社会労働委員会 第14号
- 発言数
- 106 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/03/01
会議録
○藤本委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の健康保険法等の一部を改正する法律案、船員保険法の一部を改正する法律案、厚生年金保険法の一部を改正する法律案及び滝非義高君外十一名提出の健康保険法守の一部を改正する法律案の四案を一括して議題とし、審査を進めます。 質疑を続行いたします。岡本隆一君。
○岡本委員 一昨日の続きで、結核と健康経済との関係の問題をもう少しお尋ねしたいと思うのでありますが、大臣がお見えになりませんので、それまでの間に事務的な問題を二、三お尋ねいたしたいと思います。 まず第一は給食の問題でございますが、健康保険における完全給食という制度のねらいはどこにあるのかということをお尋ねしたい。
○高田(正)政府委員 ばく然とした御質問で、お答えになるかどうかわかりませんが、何と申しますか一般の給食でも、これはカロリーとかなんとか、おのずから基準があってしかるべきものでありますけれども、しかし今日その方は一般の病院、医療行政の方で一応ある程度の基準をもって逆用されておると思います。しかし完全給食と申しまするのは、よりしっかりした給食をしてもらう場合には、これだけの加算をいたしますということにいたしまして、より完全な給食をしてもらおう、こういうことがねらいであろうかと思います。
○岡本委員 そうすると完全給食の行われている病院では、完全給食の費用の三点加算をもらっていない病院よりもよりいい食事を出さなければならないと思うのです。そしてまたすべての病院において、できるだけそういう完全給食の設備を行うことを厚生省としては望んでおられるのかおられないのか、そういうことをお尋ねしたい。
○高田(正)政府委員 病人の入院について給食をいたします際に、できるだけいい給食が行われることが望ましいということは、これは一般の医療行政の立場からさように期待さるべきものと思います。保険といたしましては——保険医療と申しましても、医療そのものが別に二つあるわけではございませんので、従いまして医療行政の観点からそういうふうないい給食が期待され、それが行われるという場合には、保険としましては当然費用もかかることでございますから、それに対して加算をしていく、こういう建前でございます。保険の方で医療の内容をとやかく、引き上げるとか引き下げるとかいうふうなことは、保険制度としてむしろ考えるべきことではないので、医療そのものの問題として、医療の一環であります給食がよりよくなりました場合には、これに対して保険としては費用の観点から加算をしていく、こういうふうな態度で私どもはやっているわけでございます。
○岡本委員 そういうことでありますと、健康保険の被保険者である限り、入院する場合にはできるだけ完全給食か受けられることが望ましいわけですね。ところで現在完全給食を希望する病院がありましても、その設備とかいろいろな点において不十分であるというふうな理由をもって完全給食がなかなか許可されない。片っ方にやっていこうという意欲がある、ところがお前の方の病院は小さいからできぬのだということで許可してくれない。片っ方の病院は大病院だからできるのだ、小規模な病院は完全給食は頭からできないのだ、少々犠牲を払っても患者にサービスするためにやろうという意欲があっても許可が出ないという実情にあるわけですけれども、そうしますと、片一方の大病院に入院する人にはある程度の利益があり、片一方の小病院に入院する患者は、小病院に入院したがゆえにその恩恵を受けられないという現象が出てくるわけですね。行政面においてこれから後もこういうことをやっていかれるのか、あるいは意欲のある病院にはどんどん許可して、あとそれが実行されるか、されていないかということの監督はされる必要があると思うが、今のように大病院にだけはやらして、小さい病院にはやらさないという原則をおはずしになりますか、あるいはやはり持続してやっていかれるおつもりですか、その辺を伺いたい。
○高田(正)政府委員 今日、大病院には完全給食を認め、小さい病院には完全給食を認めないというふうな方針では、運用いたしておらないはずでございます。私ただいまその点の資料を持ち合せておりませんけれども、一応の基準というものを定めまして——御存じのように三点加算ということがございますので、従ってその基準に合ったものには完全給食という建前を認めて三点加算をしていこうということに取り扱っておるわけでございます。病院の規模によって云々ということはいたしておらないつもりであります。ただ現実の問題として、大病院であれば比較的設備もいいし、その他の管理も行き届くから認められる。小さい病院でありますと、なかなかそういうこともできないので、ただ完全給食をやらしてくれといってきてみても、こちらの基準に合わない、従っておのずからそこは認められないというような現実の結果にはあるいはなっておるかもしれませんけれども、私どもが認めるか認めないかということにつきましては、あくまでも大病院、小病院ということでは運用いたしておらないつもりでございます。なお今後の運用につきましては、先生の御趣旨のあるところも十分拝聴いたしまして、運用に全きを期したい、かような所存でおります。
○岡本委員 それでは、健康保険では食費十三点、それから完全給食を合せますと十六点、金額に換算いたしますと二百円になるわけですね。一日の給食費二百円ということになる。その二百円というものは患者にそのまま帰属すべきものなのか、あるいは病院が一部それから利潤をとっていいという建前に考えておられるのか。入院料は病院の収入になる。しかし食費は患者に帰属すべきものだと私は思いますが、病院がその一部を利益として得ておってもいいのかどうかという点を厚生省ではどういうふうにお考えになっておられましょうか。
○高田(正)政府委員 給食が行われまする場合の、その給食に対して保険が支払います費用でございますが、これはあくまでも、入院それから給食、そのほかに医療も行われますが、そういう医療機関が被保険者に給付をしてくれまするサービスに対する報酬として払うのでありしまして、これは医療機関に払うのでございます。従って、その部分だけは今先生が仰せのように患者に払うのだという思想ではございません。医療機関にそのサービスの対価として払う、こういうわけでございます。従いまして、医療機関に払います際には、保険というようなシステムで参りますと、一定のものを払わなければならぬということになりまして、現実に個々の医療機関かそれに費されましたコストと一体どうなるかということになると、個々の医療機関の事情によって違うということに相なります。これは給食の問題のみならず、その他保険の支払いまするあらゆる診療報酬の場合にも、一つの基準で払いますからそういう問題は起るわけでございます。従って、給食をやっておる場合に、その給金に支払われる点数から利潤を上げているか上げていないかということは、個々の病院々々の事情でございまして、特に給食の費用だけについてほかの医療報酬と別な考え方をいたしておるというふうなことはございません。
○岡本委員 給食の費用というものは、そのサービス行為に対する報酬だ。従って一般医療費と考え方は変っていない。そういうことでありますと、今まであなた方は、物と技術とを区別して、材料費とか原価計算は厳密にやっていきたいというふうなお考えで、新医療費体系を組み立てたいというふうな方針なんですね。従って、厚生省の方針として貫いているところのものは、そのサービス行為に対する原価計算と、それからサービス行為に対するお礼といいますか謝礼といいますか、そういうふうなものとにやはり分析しなければならない。またそういう分析の上に立って、完全給食の場合の十六点、二百円というものを計算していられると思うのです。従ってそういうふうな十六点をおきめになる場合に、大体どれくらいを原料費として見、また炊さんには燃料が要りますから、どれくらいを燃料費として見、あるいは炊事の人件費として見、あるいは食器の損耗費として見るというふうに、そういうふうな一般事業費といいますか、給食事務をやる必要の上の事業費と見ておるか、その割合を大体どういうふうに見当をおいておられるのか、承わりたいと思います。
○高田(正)政府委員 物と技術とを分けてものを考えていきたいというのは、そういうことで現行の点数表を改正したいという将来の意欲の問題でありまして、しかもその際に技術と申しまするのは、これは医師の技術というものをできるだけ分けて参りたい、物とくっつけたようにして支払うことはどうも不適当であるから、できるだけ医師の技術料というものを分けて参りたい、これもしかし可能な範囲でということでございますので、私どもが今日医療協議会に諮問いたしておりまする改正の点数表の案におきましても、全部が全部分けられたようなことにはなっておらないのであります。できるだけ分けていきたい、そういう気持でやっておるわけでございます。従いまして、入院料、ことに給食等の際の技術料というものは、今私どもが点数表の改正で考えておりまする場合に技術々々と言っておるものとは、ちょっと区別があるかと思うのでございます。それにいたしましても、先生の御質問の、今の十六点というものについて、どういうふうな中身で考えておるかという仰せでございますが、この十六点という点数は、ずっと古くからやっている一つの点数表というものがございまして、それに少しずつ足してきたというふうないきさつで今日の点数表はでき上っております。別にそこに原価計算とか何とかいうことをして今日の点数表というものはできておるわけではございません。従いまして私どもが新たに考えておりまする点数表の改正にはそういうことをやりたいと思っておりますけれども、しかし今日の点数表がそうなっているというわけではございません。過去のいろいろないきさつから今日の点数というのかきまっていることは先生御存じの通りでございます。そういうわけで今の十六点の中身の厳密な分析は実はいたしておらないわけでございます。ただそれを三点加算をいたしますときの一応のその当時の目安というものはあったはずでございます。しかし今日十六点を払うのに、厳密にこれが材料費でこれが薪炭費でこれだけがどうだというふうな形で払うような建前にはなっておらない次第でございます。
○岡本委員 食費については明確な原価計算はやっていない、およそ大まかなところできめている、こういうように承わってよろしゅうございますか。
○高田(正)政府委員 食費の十三点あるいは十六点とかいうことだけでなく、今日の点数表というものは、たとえば入院料の部屋代といいますか、それの点数表におきましてもすべて、たとえば盲腸の手術料が句点というふうな場合におきましても、特別に綿密に原価計舞によって成り立っておるものではございません。古いことは私よく存じませんが、医師会で団体請負をやっていただいておるときからの点数表をずっと踏襲をして、それを適時時勢に応じて補正をして参ったというふうなことで、今日の点数表は過去のいろいろないきさつから成り立っておるわけでございます。綿密に分析をして今日の点数表が組まれておるというものではございません。その意味におきまして食料というものにつきましても同じようなことでございます。ただ三点加算をいたしまする際の一応の目安というものの内容の分析はあったはずでございます。しかしそれはあくまでもそういう意味でございまして、それが今日非常にこの時節に適合した内容の原価計算であるとは申せないかと思うのでございます。
○岡本委員 手術料と食費というものとは相当性質が違う。手術料というものの中には、大きな医師としての特殊の技術料が入っている。従ってそういうものは原価計算は困難でしょう。だから綿密な原価計算がなされておらないと、言われても私は納得できると思う。しかし食費となって参りますと先ほどおっしゃるように技術性というものがあまりないわけです。そういう意味においては手術料とかなり性格が違うと思います。ところが食費がそのように大まかに手術料と同じような形式できめられておる。ところで一方薬価になって参りますと、薬価基準というこまかい計算がございます。そして現在御承知のようにそのために医者がどれだけ悩まされておるか、局長もより御存じだろうと思います。たとえば散薬を調合しますのに五種類の処方を書きます。 〔委員長退席、野澤委員長代理着席〕 そして一・二あるいは三グラムというふうにして数量がずらっと並べられます。そしてその一グラムは何ぼに相当するかということをずっと計算をして、その計算で何十円何銭になる、だからこの薬は一日分何点だ、それを四日分渡せば幾らになる、その一部負担金半額ちょうだいいたします。従いまして従来はごく大まかに、特別高価薬を除いては大体二点計算で請求されたから事務が非常に簡素であった。ところが薬価基準がやかましくなって原価計算方式になりましてからというものは、医者の仕事の半分は薬価の計算にとられてしまうのです。だから診療能率というものが半分に落ちてしまう。私は昔やっていた時分に、疎略だと言われるかもしれないけれども、忙しかったものですから一時間に十人から十五人くらいの患者はどんどん診察していったものです。ところが今は薬価の計算をみなやっていますので、患者さんが半分よりはけないです、診療能率がそれだけ落ちるのです。それくらい薬価基準というものは医療担当者を悩ましておる。そんなに悩ますほど薬価というものについてはあなたの方は厳格な態度をおとりになっていらっしゃる。ところで一方では入院料については原価計算なんかしたことない、考えてもおらぬ、およそこんなものやろということで出しておるということになってくると、厚生省の方針というものがどこにあるのか私にはわからない。これはあなたの方で方針がないのじゃないと私は思うのです。これはやはり現在の医療費というものはこれだけ組まるべきだ、そして一般の業務費についてはおよそ何パーセントくらいが入り用だ、そしてその積算の結果二百円を食費料として支払わないことにはすべての病院が採算がとれない、こういうふうな基礎の上に立って当然お出しになるべきであるし、出しておられると思うのですが、そういう点について今まで何か基準というものをお考えになったことはほんとうにないのですか。
○高田(正)政府委員 薬の計算の仕方につきましては、昔から一つのルールがずっと踏襲されておるようであります。なるほど今岡本先生御指摘のいわゆる薬治料の計算につきましては、今日のお医者様方相当めんどうをしておられるだろうと実は私ども拝察をいたしております。その原因はどこにあるか言いますと、やはり薬の種類が多いということであります。一つには、今日薬価基準に登載されておりますものは三千種類からある。しかもそれが御存じのようにそれぞれ値段が違う。いま一つは、私どもが新しい点数表の改正をいたしたいと思っておりましたが、それが御存じのようないきさつからなかなか成り立っておりません。従って、例の暫定措置というやつをやりまして今日施行されておりますが、あれがまた非常にお手数をかける一つの原因になっておると思います。これはやはり近い将来におきまして、ぜひとも新しい点数表の改正というものについての措置をいたしまして、できるだけさようなめんどうをおかけしないような方向にものを考えて参らなければならぬ、さように私どもも考えておるわけであります。 入院の食費料のことにつきましては、先ほど申し上げましたように、その点数を定めましたときに、医療協議会等で御論議になりましたときには、先生御指摘のような内容の分析はあったと思います。あったと思いますが、今日それをもって私どもはすべての病院、療養所について縛るつもりであるというような気持ちでこれを運用しておるわけではございません。はなはだどうも非科学的なやり方ではないかというおしかりをこうむるかもしれませんが、その点につきましては、申し上げましたように、今の点数表がそう科学的な根拠から組み立てられておるわけではございません。現行点数表問題全般のとして私どもも今後検討を加えて参らなければならない、かように存じておる次第であります。
○岡本委員 どうもタヌキとキツネの問答のようなことをやっていてもこれは進行いたしませんから、こちらも率直に直截に入っていきますから、一つあなたの方も直截なお答えを願いたいと思います。 こういう議論をいたしましたのは、民間医療機関、あるいはその他の公立の医療機関では、食費の原材料費に大体百二、三十円見当予算を組んでやっているところが多いのです。そして完全給食二百円をもらっておれば、大体百二、三十円原材料費を使っても、人件費その他を組んで大体二百円の範囲内で食事がまかなっていける。ところが、国立病院は予算の組み方が非常に少い。患者は、健康保険の被保険者である限り——それは国と保険経済との間でどういう契約があり、どういうことがあるかは別問題です。それは考えていただかなければならぬが、国立療養所の入院料は二割引きで、保険者から入るところの収入は、なるほど少いかもしれませんよ。しかし被保険者は、国立療養所へ入院してもこれはほかの病院へ入院した被保険者と同じように、二百円の単価の給食を受ける権利を持っているわけです。ところが、それに対するところの予算の組み方が非常に少い。だから、国立病院も同じですが、国立療養所は、わずか九十四円、九十六円という予算です。半額以下の原材料費より組んでおらない。そういうことを、保険局長として、厚生省のあなたとしてでなしに、健康保険の完全な運営の任に当られるあなたとして、当然国立病院及び療養所が、患者に帰属しておるところのものを完全に患者に帰属せしめる義務を怠っておる、私はこう思うのですが、そういうことを今までどういう理由によって黙認してこられたかということを一つ承わりたい。
○高田(正)政府委員 国立病院でも療養所でも、それからその他の医療機関でも、できるだけいい食事を保険の入院患者に供していただくようなことを、私どもは望んでおります。しかし、今の国立病院の材料費九十何円では、保険としてこれはけしからぬじゃないかといってしからなければならぬかどうかという問題、簡単に言えばそういうことでございますが、その点につきましては、私、先ほどお答えをいたしましたように、保険から払われておる金というものは、患者に帰属するのではなくして、病院からサービスをされますものが、患者には給付としていくわけでございます。それでその対価として、私ども、医療機関に支払いをしているわけでございますから、最初申し上げたように、患者が当然自分が食うべきもの、サービスをさるべきものを、病院が頭をはねているという関係にはならぬわけであります。それから国立病院の現在の九十何円という原材料費が、保険が期待をいたしております食事として不適当であるかどうかという問題でございますが、これも私申し上げましたように、十三点なり十六点なりというものは、いわゆる給食のサービス全体に一括して払うものでございます。そのほかにいろいろ管理費とかあるいは燃料費とかいうものが必要でございますから、この九十数円で相当な食事を現実に食わしていただくならば、特別に国立病院を、保険の立場から、簡単にいえばしからなければならぬということにもなるまいかと存じます。しかしできるだけいい食事を給していただくということは、これは私ども被保険者の立場を代表いたしまして、希望をいたしておるわけでございます。
○岡本委員 そこで原価計算の問題が出てくるわけだと思うのです。同じ質のものを出しさえすれば、何ぼ低い原価に押えても、とにかく生きていくだけのものが出ていればいいじゃないか、こういうふうな局長のお考えのようだと思う。大きな世帯でまかなって、いるから安くつくのだ、安くつけばそれでいいじゃないか、かまわぬじゃないか、こういうようなお考えのように思える。ところが御承知のように国立療養所というようなところにおける食事というものは、これは治療の一環なんです。薬餌療法と安静療法、それに食餌療法というものと三当が一体になって、そこで初めて治療の完全なものが期せられる。ところがその国立療養所におけるところの食事が非常に粗末であるがゆえに、もう少しましなものにしてもらいたいという運動が、ほうはいとして起っておる。そしてついこの間も大勢の患者が陳情に参りました。あなたも、その食事がどんなものが出ているかをごらんになっていると思う、私も見ました。その日の分だといって、大きなふろしき包みにして、アルミのさらとアルミの食器に入れたごはんと、その口はこれくらいのおとうふ一つ、それから野菜とちょっと魚の入ったぐしゃぐしゃしたたき合せ、見ても食欲の出そうにないものを、これがきょうの食事でございます、こういって持って参りました。しかも食器はアルミで、もうでこぼこだらけでゆがんでいます。アルミの器でものを食べるのはまずいのです、におってね。それは兵隊にいった人みな経験済みだと思うのです。そのアルミの食器に、しかもむぞうさにつけられた粗末な食事、それが結核患者の治療食です。私はこれはひどいと思った。それは経済が許す許さないということが理由なんでしょうが、しかしながらそれにしてもあまりに冷たい心のない食事だと私は思いました。そういうふうなものが提供されておって、しかも入院しておるところの被保険者は当然二百円相当の食事の支給をされる権利を持っておるわけです。またほかの病院ではその範囲において百二、三十円の食費を予算に組んでまかなっておる。もし国立療養所の運営の任に当られる人にして心あらば、何も九十六円で抑えつけてしまわんで、それを当然まあそこへ二、三十円ほうり込んで——大きな経済であればあるほど少しの単価の値上りによってうんと質をよくすることができるのです。それをなぜよくしてやらないのか。私はほんとうにそのときそう思いました。次官もここでこの話を聞いていただいて、先日おそらく陳情のときにお立ち会いになっていらっしゃると思うのですから、一つ次官のこれについての感想を——別に必ず実行しますという約束を今して下さいとは申しません、しかしながら次官がこのお話を聞かれて、またあのときに日患の人の、患者の陳情を聞かれての、その感想を一つここで話して下さい。その感想が今度は決意に変り、そしてそれが実行に変ってくるということを私は期待したいと思うのです。一つ次官の感想を承わりたい。
○中垣政府委員 岡本さんにお答えいたします。先日陳情団が参りましたときに私も実は立ち会いして拝聴いたした一人でありますが、そのときの私の感想はどうであったかといいますと、国立病院並びに国立一療養所においていかなる食物が提供されておるか、それ実際に実地において見なければいかぬ、ぜひ見たいものだ、まず先にその点を非常に強く感じました。その次に感じましたことは九十三円とか六円とかという数字で普通の家庭においてどういうものが一体まかなえるかということを自分で想像してみました。そうして決してこれは陳情団の言うことがむちゃじゃないのだ、おそらくいま少し金をかけた方が大へん栄養のあるりっぱなものかできるだろう、そういう意味でこれは考えてみなくちゃならない問題だ、こういうふうに実は考えたのです。それからその他のことにつきましては、私は就任いたしまして実は局長にこの問題について相当時間をかけていろいろ聞いたのですが、相当多数の患者を持っておるところではこれでいわゆる学問的な栄養価的な食糧としては、たとえばそれがために栄養失調になるとかあるいはまた治療の促進の阻害になるようなことはないということを承わっておりまして、その点は私は実は安心をしたのです。そういうようなことでありますから、ただいま岡本さんの主張されておられます御意見というものは、やはり私ども責任のある者が実際に現地を見て、直接それに触れてみて、そういうことから考えていきませんと、理論的に構成された数字であるとか、栄養であるとか、そういうことだけで判断をしてはならない、かように実は考えております。
○岡本委員 カロリーがそれだけ出ておるから一応それでもいいじゃないか、粗末であってもいいじゃないかというふうな御意見でございますけれども、しかしながらカロリーというものはそれが完全に摂取され、そしてまたそれが十分に消化されて初めて出てくるカロリーであって、従って非常にまずくて食べなければそれはカロリーになってこない。あるいはまた食べてもそれが十分によく消化されて吸収されなければカロリーにならない。そこで現実においては療養所でも病院ででも完全給食——完全給食というものは別にあと足し前をしたくてもいいという意味なのです。完全に十分な食事をあげますという意味で、足し前をしなくてもいいだけのものを病院は食べさせていく、こういうのが完全給食です。その話は今来られたので、さっき局長と問答しておったのですかお聞きになっていらっしゃらないと思うのですが、ところでその完全給食が完全なものでないからみな補食しているのです。みな月に大体千円から二千円というふうなお小づかいを使って、それでもって食事の足りない分あるいはまずくて食べられない場合の足し前にしておる。そうして患者のカロリーは維持されておる。その補食によって辛うじて病院の給食というものが治療食事ということになっているわけなのです。病院自体が出しているものが決して治療食事じゃないです。あれじゃもう病気を悪くする程度の食事です。そこで昭和二十八年に厚生省から出しておられる患者の調査を見ましても、これはどこの病院での統計か、全国のものかもしれないと思うのですが、死亡率を見ますと生活保護法の患者さんが死亡率が一番高い。大体健康保険及び自費というふうな、一般その他の生活保護法以外の患者さんの死亡率は三%から七・一%、ところが生活保護法だけはぴんとはね上って二〇・九%、こんな高い死亡率が出ているのです。健康保険及び船員保険、そういうふうな被保険者の本人でありますと比較的に早く入院するということと、それから経済的にゆとりがあるということで死亡率は三・二%、家族になるとやはりそれがおくれるし十分でないから五・五%、国民保険は一部負担が半額ありますので半額負担しなければなりません。しかしながら経済的に多少ゆとりがあるのでしょう五・四%、全額自費で入院している人は六・七%、そうして生活保護法の患者だけが二〇・九%、こんなにぴんとはね上っておるというのはいろいろな要素があると思うのです。非常におそくまで放置しておいたために相当重くなってから入院するということもあるでしょう。また一旦生活保護法としてごやっかいになって入院した限り途中退院というものをしない、最後のゴールまでいくでしょう。だからほかの人だったら、途中でもう期間満了がきてお金がないから帰ってしまう、あるいは鉄砲玉が続かないから仕方がないから帰るというような人もあり、最後まで病院にいる人が少いからもあるでしょう。そういうような要素を加えても、とにかく生活保護法の患者さんだけがこのようにぴんと高いという一つの要素は補食するお金を持たないということです。病院から給食されるもの、それだけでもって自分の食糧をまかなっていく以外に道がないということ、これも私はそのファクターの一つであると思うのです。だから病院における食事というものの内容が、別に幾らのものという一定の規制がなくてもいい、極端にいえば、みそと塩と米とだけ出して、かりに五十円で済ましてもそれでいい、こんな性質のものじゃないと思うのです。やはり二百円の給食費を与えられたなれば、その二百円の給食費についてはおよそどのパーセンテージまで、たとえば六割なら六割、そういう。パーセンテージまではやはり原材料費として、それは充てるべきだ。そしてそれにおいてまかない得るだけのできるだけのいい食事を供与すべきだ。こういうふうな一定の指導方針というものが保険局になくては、それは患者さんの方で大きな不満を打ってくるということも、私はやむを得ないと思うのです。今後これからそういう方針を出していただけますか、あるいは、いや、やっぱりあかぬと、こういうふうな方針でお臨みになりますか。一つもう一度くどいようでありますが……。
○高田(正)政府委員 私ども十分給食の点につきましては、保険局といたしましても、今後仰せのような方向に努力して参りたい、かように考えております。ただその際に、保険といたしまして十分注意しなければならぬことは、保険が医療の内容の向上なり指導なりということにあまり立ち入りますことは実は避けたいという気持を私は持っております。給食の場合におきてましても、これはあくまでも医療の一環として行われておるわけでございます。やはり本筋といたしましては、医療行政の面からの指導がまず第一に行くべきである。保険としましては、先ほど申し上げましたように、保険医療というものは一般医療と別にあるわけではございませんので、医療が行われました際に、それを保険の医療と認めて、そしてそこに代金、報酬を払っていくということになっております。従いまして、保険の立場というものを踏みはずさないようなところで医療行政の方と協力をいたしまして、今御指摘の方向に私ども努力を重ねて参りたい、かように考えております。
○岡本委員 局長としてはまことにお苦しい立場、よくわかります。私の今申すことに対して、局長のヒューマニティは、おそらく、いやこれからやっていきたい、やっていきますと、こう言いたいと思う。しかしそれをうっかり言うたら、今度は医務局の方へ大きなしぶきが飛びますからね。だからおっしゃりにくいことはわかる。一つこれから大臣とも——この問題は大臣のいらっしゃるところで討議したかったのですが、次官が来ていただいておるのですから、一つ厚生省の省議に取り上げて、できるだけこの問題が実現するように御努力をお願いいたしたいと思うのです。 そこで国立病院の運営についてもう少しついでにお尋ねしたいと思うのですが、大体こういうようになってくるのはやはり単価の問題と結びついていると思うのです。公的医療機関が、単価が低いために非常に運営がやりにくい。その運営のやりにくいしわ寄せが患者の食事の方に出てきておる。従って食費を削らなければならぬ、原材料費を十分に組み込めないということも原因の一つだろうと思うのです。先日も清瀬とかその他の国立療養所に二、三参りましたが、夏参りますと、草ぼうぼうです。今度、次官に一度、日赤の中央病院に夏行ってみてもらいたい。私は去年八月ごろでしたが、志村さんが入院しているときに見舞いに行きました。あの回り廊下のまるくなった、りっぱな松の木のはえた広庭がございますが、そこには子供の背たけほどの夏草がぼうぼうとはえている。日赤中央病院といえば、日本の代表的な医療機関ですよ。その一番まん中の庭園ですよ。それが子供の背たけほどの夏草がはえている。これが日本の医療の実体なんです。私はそのときにひどいなと思ってそれを見ていた。帰りの汽車の中で、滋賀県の瀬田の川のそばに、東洋レーヨンの滋賀工場がありますが、その工場の庭の芝生が実にりっぱなんです。一本も雑草がはえていない。工場といえば、およそ少々草がはえておっても、工場ならそんなものだろうというところでしょう。しかしながら病院の庭が草ぼうぼうで、そうして片方工場の庭がそのように芝生の美しいのを見て、私は日本の医療行政の実体というものがここにあるなと、つくづく思ったのです。そういうようなことも、やはり公的医療機関、民間医療機関を問わず、その与えられるところの診療報酬というものが長い間据え置きになって、そのことのために運営に非常に困難を来たして、国立病院であれ、国立療養所であれ、それから日赤であれ、掃除するところの人夫賃すら出てこない。従って他は推して知るべきなんです。人目につきやすいそういうところですら、そうなんです。そういう点を一つ次官はよくお考え願って、これから後の医療行政にほんとうに生かしていただきたいと思う。これは希望的な意見で、御答弁を求める必要もないと思います。 もう一つ、局長にお伺いしたいと思うのですが、寝具の問題です。これは完全看護、完全寝具、同じような建前のものです。これは完全寝具を実施している機関は、公立病院にあっても割合に少いのですね。それは一ぺんにさっとやろうとすれば経費が相当かかるからでしょうが、しかし完全寝具というものは、制度が設けられた以上、完全給食と同じように、すべての被保険者にできるだけ行き渡らせたいのか、あるいはそうでないのか、そういうような点の御見解を伺いたい。
○高田(正)政府委員 この寝具については、実はいろいろ問題がございまして、保険の立場から、この医療という面から行きますれば、これはだれでも入院した場合に自分がふとんをかつぎ込まなくても病院の方でちゃんと設備があるということになりますと、これは非常に便利なわけでございますが、一般のいわゆる入院サービスという観点からいきますれば、できるだけ広がっていった方が望ましいということであります。ところが保険の立場からいたしますと、非常に今少いので、被保険者の大多数はそういう給付は受けておらない。実際にやっているところは少うございまして、ほんのわずかなところが、そういうふうなことで完全寝具三点加算でございますか、入院料に加算される。その辺被保険者の公平の観点からというふうないろいろな問題が実はあるわけでございます。従いまして、入院サービス、いゆわる入院医療というものの向上という観点からものを考えますれば、できるだけそういうふうになった方が望ましいと思いますが、現在の程度であって保険でこれを取り上げるというふうな場合にはよほどまた保険の立場から検討を加えてみなければならぬ。実は率直に申してこういうふうな気持を持っているわけでございます。しかし今直ちにこれをどうこうするという気持ちはございません。今すぐやめちまうとかなんとかいう気持もございませんけれども、この問題は給食のように徹底しておりません。もちろん給食しない医療機関も相当ございますけれども、しかし今日給食というものは非常に徹底しておりますが、寝具の方は今の様な実情でございますので、この制度は保険の観点から将来の研究問題にしようというふうな気持を持っておるわけであります。しかしそれかと申して今直ちに廃止するということをきめておるわけでもございません。従いまして、純粋に保険の立場からいいますと、これが全国的に広がることを今望んでおるかという御質問に対しましては、そういうふうな気持を持っておりますので、はいさようでございますと、すぐお答えをするような気持でもございません。非常に割り切らないお答えでございますけれども、私ども考えておりますところを率直に申し上げまして、また将来いろいろ御検討いただく時期もあろうかと思います。
○岡本委員 あまり確たる方針をお持ちでないようでございますが、実情は今日の勤労者の世帯というものは、入院した場合に、さあふとんをどうしようと一番に考えるのです。親子三人、四人が二組のふとんに寝ている。ところが一人病気になった。入院させるのに一組持っていったらあと三人寝られない。しかもその、ふとんがよごれてる。おふとんをどうしましょう。先生おふとんを持っていかなければなりませんか。これが私どもが一番に受ける相談なんです。だから私どもの方でもそういうふとんのない患者さんのための寝具は用意しています。そしてふとんなんか心配せぬでもいい、来いというて、その場で自分の自動車に乗せて連れて帰ってやる。そしてつき添いが必要な場合にはつき添い人のふとんまで、提供している。そうしてやらなければ、持ってこいと言ったって、ないんです。またそのときに新調しようったってなかなかそれはできることじゃない。従って完全給食の方は事務的な面、カロリーの計算であるとか、献立表をきちんと整備しなければならないとか、いろいろな面において小さい施設では完全給食は困難であるかもしれない。しかしながら完全寝具という点に至ってはこれは設備してできないことはない。そうして現実に実行しておるのです。そこでこういう制度があるのだから、そして国立病院なんかでもやっておるんだから、おれのところでも設備するから完全寝具料を支払ってくれ、こう言って、保険課の方へ申し入れたところが、洗たく設備がないからいけないとか、あるいは寝具の消毒設備がないからいけないとか、こういう理由をもって完全寝具が許可されない。現実には完全寝具を今日民間病院ではどこでもサービスに、のみならず患者の実態を思えば余儀なく完全寝具をやっておるところがたくさんあります。むしろ公的医療機関こそそういう点については冷やかであるかもしれません。民間医療機関というものは完全寝具という点については十分な誠意を持ち、サービスをしておる、しかもそれに対して三点加算が支払われてこない。そしてまたかりにふとんを新調するときに、それは病室の数だけ二十、三十新調するにはある程度費用は要ります。しかしながら完全寝具料が支払われれば十分それは償却できるんです。一年くらいの間には完全に償却できるんです。そしてそれでもって完全寝具というものはうまく回転していくのです。それから洗たくの設備がないならクリーニングに出せばいいじゃないですか。新しい患者が来た場合にはクリーニングへ出してきちんと新しいのとかえていけばそれで十分できる。ところがそういうふうな点につい完全寝具というものは全然重きを置いて見られていない。それは実際ふとんに困るような貧困家庭の患者の発生した場合の患者の実態というものを御存じないからだろうと思う。完全寝具こそは完全給食以上に広げることが容易なことである、可能なことである。そうして費用もそんなにかかる問題じゃない。だから、そういう点について今後広げる方針にしていただきたいが、局長、お考えは変りませんか。
○高田(正)政府委員 たとえば百床の病院あるいは五十床の病院でそういうふうに特殊な、とても持ってこれない人のために五組なり三組なり寝具を備えておいてそういう持ってこれない人のためにそれを供するという場合には、御存じのように完全寝具の何はいけないのです。個々の患者が病院で寝具を供されたからその人だけに三点加算するということでなくして、医療機関が入院料に三点加算するということになるのですから、従って病床の数だけ寝具がそろっていないとその取扱いはできないということになるわけですのですから、その点は別としまして、そういうふうな完全寝具の医療機関がどんどんふえていくということは、これは私ども保険という立場を離れて、また保険の観点からも、医療、入院サービスの向上ということになりますので、これはむしろ望ましいことだと思います。ただこれは今日の現状からいきますと、先生も御存じのように、まだ非常にりょうりょうたるものでございますので、従ってそのりょうりょうたるものを保険が取り上げる場合にはよほど被保険者の公平とかいろいろなことも考えていかなければならぬ、これが相当程度普及いたしました場合には当然望ましいことでございますので、また考え方もありますけれども、今日の状況では保険としては相当考えていくべき制度であろう、非常にわずかの者しかその恩典に浴さない、その人が非常にいいサービスを受けるわけであります。その辺のところはよほど保険の制度として検討していかなければならない。しかしながら入院サービスとしてそれが向上し、完全将寝具ということができますことは望ましいことでございます。従って私どもとしまして現在の完全寝具の基準に合っておって、申請をされました場合に、これをむげに拒否していくという方針は持っておりません。しかし私が申し上げたのは、今日の完全寝具の普及の実情と保険の立場というものをかみ合せて、この問題については制度として相当検討すべきではないか、実はいろいろな諮問機関等から指摘されておりますので、これらの問題については研究しておりますということを申し上げたのであります。先生仰せのように、実情として、完全寝具の医療機関が普及いたしますことは、私どもそれに対して不適当というような、否定的な考え方は決していたしておらないのでございます。
○岡本委員 完全寝具が普及することは望ましい、しかし今りょうりょうとして非常に少いから、その給付を受けられる人や受けられない人があるからという御議論は、完全給食の場合の御議論と正反対です。完全給食の場合は、完全給食を受けられるものと受けられない病院との間に差異がついても、それはやむを得ない、けれどもできるところはやったらいいのだ、食費についてはこういう御議論だった。ところが寝具については、少いから一小部分にやるのは不公平だ、だから考えなければならぬ、こういう御議論であれば、これは考え方が正反対です。食事と寝具となぜそんなに取扱いが違うのですか。どちらも患者へのサービスの問題じゃないですか。それについてそのように取扱いが全く正反対だということがふに落ちない。それがまず第一点。その次には普及することは望ましい、しかしりょうりょうりょうとしたものである、非常に少い。少いからこそそれを奨励するような態度をおとりになるのか、患者に対するサービス第一、被保険者に対するサービス第一に考えられるところの保険局の立場ではないですか。そういう点は率直に改めていただかないと因ると思いますが、どうでしょうか。
○高田(正)政府委員 私の言葉が少し足りませんで、先生に誤解を与えたようでありますが、完全給食の場合におきましても、完全寝具の場合におきましても、私どもは完全給食を重しとし、完全寝具を軽しとしているつもりで申し上げたのではございません。その場合両方とも同じような考え方をいたしております。従って同時に完全給食も完全寝具も、そういう医療機関が普及いたしますことを、私どもは医療行政に関係いたします者として、入院サービスの向上という意味から望んでおるわけであります。ただ区別のあるということを申しましたのは、完全給食の場合には、完全納給食も普通給食も相当普及しております。しかし今日でもまだ給食しておらない医療機関ももちろんあるわけでございますが、そういうふうに病院としては半分以上、むしろ給食していないところの方が少いという程度に達しておる。一つの入院サービスの一部門と、それから医療機関のほんのわずかしか今日やっておらない入院サービスの一部門との保険の取り扱いということからいきますと、これはいろいろ諮問機関等でも指摘されておりまして、同じような取扱いにしてはいけないのじゃないか、検討ししていく必要があるのじゃないだろうかという指摘があります。従ってこれらの問題について、私ども検討を今後加えていきたいと思いますということを申し上げたのであります。しかしそうかといって直ちに完全寝具を廃止しようなんていうことは考えておりません。従ってこの基準に適合をいたしますような設備をしていただきました医療機関から願い出がありますればこれは認めて参りたい、かように考えているわけであります。 それからこの点は一つ岡本先生の御了承を得たいのでございますが、医療そのものの向上だとか、それに関与をいたすことは、保険局の私どもの立場としてはなるべく避けていきたい。入院サービスの向上は、医療行政の観点からいろいろ御指導願って、われわれとしては現実にある医療というものにかぶさって保険の仕組みというもを運用しい参りたい。そういたしませんと非常に保険か出過ぎたことになる可能性かございますので、その辺のところ私どもは十分戒心をして参りたい。従って今日非常にりっぱな医療機関もある。たとえば入院の部屋にいたしましても非常にりっぱな医療機関もあれば、破れ障子に破れ畳というところもあり得るわけでございますが、それらについて保険の立場から直ちにこれに干渉いたしましたり何かするというようなことは、よほど考えものであるというふうな気持で物事を考えておりますので、その辺のところは私どもの立場もある程度御了承をいただきたいと思うのでございます。
○岡本委員 そういたしますと健康保険としては医療内容の向上とか、そういうふうなことには強い関心を持つが、寝具のようなサービスをすることについてはあまり強い関心を持たない、だから無理に広げたいとも思わぬ、こういうふうにとれるのです。今京都で完全寝具の許可を得てやっている病院は、国立京都病院、第一日赤、第二日赤、国立舞鶴病院です。これはみな軍病院のあとです。軍隊の払い下げの毛布があるので、それをそのまま転用して完全寝具、そうして三点加算で請求している。しかもそれは古びてお粗末なものです。そんなもので国立とか、あるいは日赤——日赤は国立でもありませんが、そういう機関だけが完全寝具の支払いを受けている。そうしてその他の病院がもっと新しい寝具を設備してやろうという誠意、患者にできるだけいい医療内容をもって報いていきたいという誠意を持っている。それに対してはあまり新たにそれがふえることは困るのだというふうな態度であると、これは全くこういうところの赤字埋めの手段として完全給食を考え出して、オンボロ寝具をあてがっておいて、国立病院の医療費かせぎをやっているというようなことより考えられないというふうなひがみも出てくるのです。完全寝具というものが望ましいとあなたが言われるのなら、すべての医療機関すべての患者にほんとうにいい寝具を与える、できるところからでも少しずつやっていく、こういう誠意を厚生省が示さなければ——今日は神武以来の好景気か知りませんが、しかしながら一般の勤労者のふところは好景気の影響はまだまだほど遠しなんです。みな苦しい暮しをしているのです。一つ間違って入院ということになるとみんなふとんに苦労するのです。そういうふうな状態のときにすべての病院が進んで寝具を患者に提供するような制度を作っていくことは私は大平だと思うのです。そういうふうな現実を無視して、ただいろんなわかりにくい——私にはわからぬのです。わかりにくい理由でそれはちょっとできぬ、やっぱりできぬ、こういうようなことは納得できぬと思うのです。
○高田(正)政府委員 現実に完全寝具の設備を備えられて完全寝具の申請をされましたものを、私どもは拒否をするという方針は立てておりません。それはそういうふうに私申し上げなかったわけでございます。従いまして今御指摘の、しかるべき病院がこれだけの設備をなさいまして、完全寝具にしてくれと仰せになりますれば、私どもはそれを拒否いたすという方針は立てておらないわけです。その点は一つ了解していただきますように……。
○岡本委員 設備の要求が過大だということを言うのです。つまりふとんの消毒設備というものを要求される。そういうところに設備の要求の過大さがある。なるほど結核療養所であるとか結核患者を収容する場合にはそれは必要でしょう。またそういう場合には医療機関の方も医学的な良識に従って、伝染のおそれのある患者に使った寝具については適当な消毒の方法を講じるでしょう。膨大なふとんの消毒設備というものを条件として要求されるところに無理がある。また洗たく設備にしても、洗たく機があればいいというのじゃないのです。やはり何かしら大きな設備を要求するようです。そういうことではいかぬから、そういう点をもう少し考慮してもらいたい。そしてそうした大きな施設であればあるほど完全寝具を一ぺんに持ち込むことは困難だと思うのです。だからすべてのところで部分的に持ち込んでいって、漸次に完全寝具になれるようにしなければ、なかなか完全寝具ということは困難だと思うのです。だからそういう点を考えて、完全寝具をできるだけ普及するような方法を講じていただきたい、こう申しておるのです。わかっていただけましたか。
○高田(正)政府委員 先生の御趣旨のあるところは十分わかりました。御趣旨のような方向で運用をして参りたい、かように考えます。
○岡本委員 それでは一つ問題を転換いたしまして、今度の健康保険法の改正の中に患者から一部負担をとる、こういう制度が出ておる。そうして入院料を三カ月の間三十円一部負担としてとる、それから初診のときに百円徴収するという何を組んでおられますが、これによって出てくるところの財政的な効果はどれくらいと見積っておられますか。
○高田(正)政府委員 三十二年度の推計といたしましては、支払いの減が十二億何千万円かであったように記憶をいたします。
○岡本委員 一部負担を患者に課することによって出てくる金額は十二億何がし、そこでその十二億何がしの一部負担をめぐって非常に大きな被保険者からの不満が出てきておるということは御承知の通りです。これは大臣にお尋ねしたいのだが、大臣がおられませんからこの次にやりましょう。 もう一つ、今度の法案に二重指定の問題が出ておりますが、この改正法案を見ておりますと、診療担当者としては非常に不愉快な印象を受けるのです。どういう点で不愉快に思うかといいますと、指定医療機関は命令の定むるところにより療養の担当に従事しなければならない、また指定医は命令の定めるところにより診療に従事しなければならない。そしてその命令に定めるところというのは、これは担当規程だろうと思いますが、その担当規程にそむいたら指定を取り消しする。何か必要があって検査をやろうというときには、検査を拒んでもいかぬし、うその答弁をしてもいかぬ。もしうそをついたら指定を取り消すぞ、こういうようなことが書いてある。これから政府の方針は国民皆保険に持っていこうということです。従って国民のすべてが被保険者になるのです。そして健康保険から指定医取り消しとして締め出された場合には、これは完全な生活権の剥奪です。これでは暮していきようがないから死刑にひとしい処分です。人間としては命はあっても医師としては死刑なんです。そうしますと、命令の定めるところによりというところの一定のワクがある。その定めるところの通り従順に診療に従事しなさい、それにそむいてもいかぬ、もし何か嫌疑がかかって調べに来たらうそ偽わりまかりならぬ、また黙秘権を使っても死刑だぞ、こんな死刑の羅列です。指定の取り消しをすることができると書いてあるのだから……。こういうことになってきますと、大きなだんびらを振り上げてお前らの生殺与奪の権はその監督の任に当る者の上にあるということになる。そういうように憲兵にピストルを突きつけられて仕事をしなければならない。これでは奴隷労働です。療養担当者としては、そこが、そういうだんびらを突きつけて、おとして、それでもって仕事をさせようというふうな感じを受けるから、自尊心のある人は、非常に不愉快になる。 〔野澤委員長代理退席、委員長着席〕 こういうところに、療養担当者の大きな不満がある。 ところで、こういうふうな保険医の指定をされるのに、日本じゅうのすべての医療機関に同じようにそういうような方針をもってお臨みになるかどうかということを、まず第一に承わりたい。
○高田(正)政府委員 医療担当者にさようなお気持を与えでおるということは、はなはだ遺憾でございます。私ども決して、全体の法律改正案をさような気持で立案をいたしておるわけではございません。最近の他の法令等の新しい書き方方というものをこれに取り入れまして、書いてあるだけでございまして、その点は、さような御不安を与えておるということにつきましては、啓蒙宣伝というふうな点において、十分趣旨の御理解をいただくという意味において、私どもの努力の足りないことを、はなはだ遺憾に思います。決してさようなつもりで改正案を御提案申し上げておるわけではございません。 それから、具体的な御質問に対しましては、四十三条にあがっておりますように、特別に何かの目的をもって設立されました医療機関というふうなものは、これは法律上別の扱いをいたしておりますが、一般の国民を対象にして設立をされておりまする医療機関につきましては、同じような方針、取扱いをいたすつもりでございます。それで現行法の規定よりは、むしろ改正案の方が、同じように取り扱うということの範囲は広くなっております。その点は、法文をごらんいただきますれば、御了承をいただけるかと思います。
○岡本委員 従来は、大学病院であるとか、そういうところは、特殊の扱いを受けておって、一般の保険医と違った待遇を受けておった。今度はそういうことがなくなって、大学の病院も指定機関として指定し、またその診療を担当する医師も、すべて保険医として指定した上で、診療に従事をおさせになるつもりですか。あるいは文部省と大学の特殊契約でございますので、その点どうにもなりませんというようなお言葉を前に聞いたことがありますが、今度はそういうことはございませんか。
○高田(正)政府委員 従来は、大学病院のみならず公立病院も、それらに勤務しておられます方々は、みな公務員の性格を持っておられますので、従来の現行法の建前では、これは区別して保険済の指定するものということにしまして、一般の保険民の指定はいたさない取扱いをいたしておりました。ところが今度の改正法案では、大学病院も公立病院も同じように指定医療機関という取扱いにいたすことで、立案をしておるわけでございます。
○岡本委員 そうしますと、国立療養所、国立病院、そういうところも同断だと考えて差しつかえございませんか。
○高田(正)政府委員 さようでございます。
○岡本委員 おととい資料をお願いしておいたのですが、大学病院の診療報酬請求書はまだ参りませんか。
○高田(正)政府委員 まだ本日までは脚提出の運びになっておりません。今準備をいたしております。
○岡本委員 請求書はもう基金にあるはずのものですし、電話一本で……。
○高田(正)政府委員 準備をいたしておりますが、治療の内容なり病状なりがわかるようになりますので、そこいらの秘密保持という関係もございますので、その辺のことを実は今研究を進めておるそうであります。いずれそのうちに何らかの方法をもって御提出を申し上げるつもりでおります。
○岡本委員 出すと都合が悪いから持ってこられぬのと違いますか。
○高田(正)政府委員 そうではございません。ひょっとすると関係者が罰を食ったりするといけないということも考えられます。
○岡本委員 学会雑誌などに病状を出します場合には、写真をとりましても、みな顔のところは紙を張るのです。だからもしそういうような点でお差し支えがあるなら、名前のところを黒で真っ黒に塗ってこられても、私はいいと思います。ただ私がそれを求めるのは、従来厚生省は、ああいう大学とかいうふうな病院に対しては、大子の権威というものに対して非常に専一であったと思うのです。それで一般民間医療機関に対しては、治療方針か、そういうものについて非常に強い制限を加えているわけです。それについて何か少し逸脱したりすればどんどん削除するし、削除されると困るから、同じ点数をちょっと振りかえて適当に請求したりすると、振りかえ請求はけしからぬ、虚偽の請求をしたということで、指定取り消しというふうになって、だんびらが振りかざされる。それは悪意を持ってやる人も、大勢の中にはあるでしょう。しかし余儀ない手段としてやった人も、私は相当あると思うのです。このごろこそ何か特に疑わしいと思う場合以外は監査をなさらぬようですけれども、しかし私は今から十数年若いころに——まだ抜き取り式に監査をしていた時代でありますが、そのときに監査を受けたことがございます。非常に尊大なお役人が出てきまして、その時分は私も若い純真な青年の医者で、今のようにどんどん文句を言って突っかかっていくだけの度胸もなかったので、かしこまって監査を受けたのです。そしてそのとき摘発されたのが、三十日もしくは三十一日、月の末日に二日分の投薬をいたしますと二月にまたがりますね、それをうっかり前月に繰り入れて請求しちゃったのです。翌月分に請求すべきものを、前月に請求したのです。それが一つと、それから頓服は二包で二点とついていたのです。それはサントニンだったからそうなのですが、普通だったら頓服は一服〇・五点ですから四服とついているのです。うっかり二点とついているのを請求書を書くときに四服二点と書いたのです。実際はサントニンだから二包で二点で、診療報酬の請求内容は正しかったのです。けれども事務的な書き違いだ、その二点で、これはこれだけ違う、だから始末書を書けというて始末書を書かされました。私もおとなしかったので、そのとき始末書を書きました。実際私は何も悪いことをしてないのになぜ始末書を書かされるのか無念に思ったのです。始末書の形式というものは今でもそうだと思うのですが、以後注意しますということを書かされました。それが監査の実態なんです。おそらくこの健康保険の制度か通ればあなた方はやはり私たちにそんなことはいたしません、こう言われるでしょう。また私のところに監査に来てそういうことを言うても私は吹っ飛ばしますけれども、しかし善良な気の小さいお医者さんというものは、かつての私の青年時代のごときものです。何も悪いことしてたくても、何かでどこかボロが出やしたいかという不安を持つのです。そういう不安におののいているところへ何か検察官的態度でもってやってくる、そして横暴な態度で尋問するということになってくると、これは医療機関はたまらぬと思うのです。私は去年あなたに現実の京都の歯医者さんの問題をお尋ねいたしましたね。歯医者さんに何か疑いを持ったのです。そして調べるときに患者さんを二十人も三十人も町の公会堂へ集めたのです。そうして被保険者は、歯医者さんの治療内容に何かあるというので公会堂に集められて一日つぶして、いなかのことですから遠くから出てくるわけです、そうして調べられて帰っているのです。それで先生えらい目にあいました、ぼろかすに言われて、お前はというてやられた、そうして患者の実態調査をやっているのです。何のためにひまをつぶして何のために——何らの罪もない被保険者が呼び出されて町の役場か公会堂かそんなところで保険課のお役人の取調べを受けてもう帰ってよろしいというので帰った。そういうふうな調査の方法がもしも今後乱用されたら、これはもう被保険者にとって非常な迷惑である。被保険者にとって迷惑であるだけでなしに、診療担当者にとっては大きな名誉毀損です。何ぞ悪いことをしはったに違いない、何ぞ悪いことをしているからあんたことになるんやということになると思うのです。だから、今度こういうふうな機関指定をやられる場合により一層そういうことが官僚的な風習を助長しないかということを私は非常に恐れる。これについて今度は監視するものを監視するような機関ができなければ医療機関としては安心できないと思うのですがどうでしょう。
○高田(正)政府委員 結論的に申し上げますと、監査の関係につきまして改正法が通りましても別に従来と変ったやり方には相なりません。現行法でも法律の解釈上認められておりました権限をただ明らかに近代的な書き方にいたしたというだけでございまして、監査のやり方が変るということは結論的に申し上げましてございません。ことに岡本丁先生御承知のように、監査要綱というものがございまして、これに従って実施をいたすということでございます。従いましてこの監査要綱というものはやはり中央医療協議会の諮問を経てでき上るものでございます。従来の監査要綱をそのまま踏襲して参りたい、かように考えております。その監査要綱の中にはいろいろなことが書いてございますが、特に医療担当者の団体——具体的に申せば都道府県医師会でございますけれども、これと十分な連絡をとって監査は実施いたす、従って監査をいたす場合には両方が立ち会いでやっておるわけでございます。 ただいま被保険者をどこかに集めたというお話でございましたが、普通のやり方といたしましてはお医者様の方は、医師会の役員の方々と一緒にこちらがお待ちしてある一個所に集まっていただくということになるのでございます。これは診療所に踏み込んでいくことはあまり適当でないということで、むしろ診療録を御携行いただいて一個所に御参集願っていろいろお話をするということになるのでございます。被保険者の方はこれは大体聞いて参る。たとえば事業場に行き、あるいは自宅にお伺いする場合もあるかと思いますが、大部分は働く場所等に行って聞いて参るわけでございます。先生御指摘のようなことがあったかなかったか、私今ここで申し切れませんけれども、さようなことはいたさない方針で監査は運営いたしております。こういうことになりますと第一線の者の言動というこまかい点が非常に大事なことになりますので、私どもといたしましては、監査要綱に従ってやることはもちろん、それらの言動につきましては、従来とも十分戒慎を加えるように申しておりますけれども、今後なお一そうその点につきましては、私どもといたしましては責任を持ってさようなことのないように措置をいたしたい、かように考えておる次第であります。
○岡本委員 去年私がお尋ねしたときも、実情を調べてみぬとわからぬがというふうなお言葉でございましたが、その後今もって実情はお調べになっておらぬから同じようにお返事だろうと思うのですが、しかし現実に、監査要綱に従ってやりますと、今まではそういうかたい約束ができておって、また今後も監査要綱に従ってやりますと、こういうお答えなんです。ところがその監査要綱が今までしばしば守られない場合があったわけです。監査要綱が守られないから今のような事例が出てきたわけです。そういうふうな事例が発生した場合に、われわれの方から抗議を申し込んでも何らの措置が講じておられない。そういう行き過ぎたことをやった人が何ら責任をとっていない。またその責任を追及されようとしない。そういうふうなことであるとするなら、これは野放しになると思うのです。もうこれは切り捨てごめんになる。だからやはりそういう監査要綱というものがあり、双方の紳士的な申し合せに従って、そして適正に運営していくというなら、もしもそれが守られなかったときにはどうする。それは両者の協約である。その協約が守られなかったときにはどうするかというふうなことについての厳正なる措置というもの、これが定められてない限り、医療担当者の方は切り捨てごめんで、武士と町人ですわ。だからそれをどういうふうに措置されるかということをお尋ねしているわけです。制度化しなければいかぬということです。
○高田(正)政府委員 監査要綱というものは、これはかっちりしたものでありまして、このもの自体は、今先生ちょっと仰せになりました一つの制度として施行されておるわけであります。従ってこれを守らたいような運用の仕方が現実に行われました場合には、当然そのものの実情を調べた上で、責任を追及しなければならないということに監督上相なって参るわけであります。なおこれは私自身の時代ではありませんが、過去におきましても監査のときに、その当時現行の監査要綱はまだなかったかと思いますけれども、監査の場合の言動等が問題になりまして、現実にその職から他に移したというふうな実例もあるやに、実は聞き及んでいるわけであります。過去のことは別といたしまして、今後はこういう要綱を踏みはずしたような運用をいたしました場合におきましては、これは先生御指摘のように、十分これに戒告を加え、その責任をとらせるということは、いたさなければならぬと思います。なお、監査要綱の問題はさようなことでございますが、かりに診療担当者の責任ということになりますと、これは御存じのように、医療協議会にかけて諮問をしてやるわけでございます。現実の問題といたしましては、医療協議会というものは、診療担当者の代表の方々がうんと言われませんと、現実の問題としてはなかなか行くものではございません。処分の案を府県の保険当局が出しまして、それが医療協議会で変更されて答申される。従って処分は、それに従って変更した、原案とは違った処分をいたすということも、これは幾らもある実例でございます。非常にけしからぬやり方をして監査をいたしたというふうなことになりますれば、それから出てきた結論で処分をいたす場合は、どうしてもここの協議会でひっかかるということになります。現実の運用としましては、その辺にも一つの関門があるわけでございます。しかし先生仰せのことは、私ども法の運用をいたします者といたしましては、十分気をつけなければならぬ点でございますので、御警告の点は十分気をつけて、そのことの処置をいたしたい、かように考えております。
○岡本委員 昨年私がそういう非常な行き過ぎを指摘して、それがそのまま調査もされずに放置されておったということが今わかったことは、私もちょっと不満に思うのですが、今後もし私どもの方からこういうような何があった場合は、強く私は処罰を要求すものではございませんが、しかし今後そういうような行き過ぎが出ないような措置だけは講じていただかなければ、切られた者は切られ損、なぐられた者はなぐられ損というようなことでは困ると思う。一つその辺を特にお願いしておきたいと思います。 なおまだいろいろ質問を残しておりますが、来週にでも一つお許しを願うことにいたしまして、きょうはこの程度で終っておきます。
○藤本委員長 午後二時半まで休憩いたします。 午後零時二十八分休憩 ————◇————— 午後三時二十一分開議
○藤本委員長 休憩前に引き続き会議を再開し、質疑を続行いたします。滝井義高君。
○滝井委員 この前大橋さんの質問の場合に関連して質問しときに答弁が留保されておったのですが、三十一年度の一般会計から厚生保険特別会計に繰り入れた三十億と、三十二年度に一般会計から厚生保険特別会計に繰り入れた三十億は性質が同じなのか、どうかという点でございます。これに対する御答弁がなかったので、まずそれをお尋ねしておきたいと思います。
○高田(正)政府委員 あのときお答えいたしましたように性質は同じでございます。先生から御指摘がございましたので、私会計課長の速記も調べてみましたが、会計課長も同じようなことを申しておりますし、あのとき御説明いたしましたように同じ趣旨の三十億の補助金でございます。
○滝井委員 そうしますと、同じでないという証拠物件がここに一つあるわけです。三十二年度厚生所管予算要求額事項別調べというのの社会保険国庫負担というところの一に、健康保険給付費財源繰り入れ三十億、これが今年の三十億です。昨年の三十億は健康保険再建資金繰り入れ、これが三十億、こうなっておるわけです。まず違う一つの証拠がお宅自身から出ておる要求額事項別調べの中にある。それからいま一つは、今私ここに持ってきておりませんが、内閣からわれわれの手元に配付されております特別会計の予算書をごらんになると、三十一年度の三十億はどういうことに書いてあるかというと、財政再建のための補給金と書いてある。それから三十二年度の三十億は何と書いているかというと、これは法律に基いております。七十条の三の規定により健全な発達をはかるための国庫補助金になっている。従って三十一年度の三十億は財政再建のための補給金ですから、従ってこれは赤字に対して出すものであって、黒字になったら出さないのかもしれません。そういう性格のものです。三十二年度のものは、大臣が明白に提案理由の説明においても、その後においても、恒久的に必ず出していきますという説明をしておる。従って明らかに二つの証拠物件が出てきた。この予算要求額の事項別調べとわれわれ自身に配付をされているところのこの特別会計の予算書は明らかに公けの文書なんです。公けの文書において、同じ三十億でも七十条の三から出た補助金でありまして性質は同じのようであるけれども、実際はそれが違った説明がされておるということなんです。この点は今からだんだん質問に入っていくにつれてぜひここで明確にしておいてもらわなければならぬ重要な事項なんです。これをまず明白にしておいてもらわなければいかぬ。
○高田(正)政府委員 厚生省から出しました先生が御引例のこの資料でございますが、これは会計課長もこの資料につきまして説明をいたしておりますように、名前を変えましたけれども同じ性格のものでございます、こう言って説明を申し上げておるわけでございます。名前の書き方を変えましたのは、今度の新しい書き方は「給付費財源繰り入れ」と、こういうことになっておりまして、どこに入れるのだということを言っておるわけであります。前年度の言い方は再建資金という、目的といいますか、資金の性格に若干触れておる、こういうことでございまして、今回変えましたのはほかの日雇い健康保険やなんか同じような性格の金かございまして、それがみな給付費財源繰り入れという言葉を使っておりますので、それに統一しただけでございます。それで、このことにつきましては会計課長も、名前は変っておりますけれども同じ性格の金でございますということを、速記を調べましても申し上げております。 それから先生御引例の三十一年度の予算説明、これは前国会でも先生が御指摘であったようでございますが、大蔵省主計局が出しておりますこの三十二年度予算の説明書をごらんいただきますと、その十三ページに「政府管掌健康保険については、その事業の健全な発達をはかるため、医療給付費についての被保険者の一部負担、標準報酬等級の改訂等の対策を見込むとともに、国庫においても、三十一年度と同様三十億円を厚生保険特別会計の健康勘定へ繰り入れることとして」おりますというように、「三十一年度と同様」という説明をいたしております。それからなお、これが一番正式なものであろうと存じますが、三十二年反厚生省所管という予算の各月明細書というものがございますが、これにおきましては、健康保険国庫補助金繰り入れという言葉を使っております。これが一番正確なものとして扱われておりますけれども、国庫補助金繰り入れということで別にその資金の性格とか何とか、何のために入れるとかいうことは無色な言葉で表現をいたしております。 こういうふうないろいろな資料から今御説明を申し上げたわけでありますが、要は昨年の二十四国会におきましても繰り返し御説明を申し上げておりますように、三十一年度の三十億というものも、政府の意図いたしておりますところは、赤字補てんということでなくして、従って一葉をかえて行えば、赤字が三十億にならなくても、その三十億円は再建のため、健全化のために政府としては入れるのであるということは、これは二十四国会でも繰り返し御説明を申し上げております。従って三十一年度のその三十億と三十二年度の三十億も同じ性格のものでございます。
○滝井委員 結論は同じであるということは一応確認をいたします。 そこでこれは同じものであるので、従って健全化のためにはたとい健康保険会計に今後黒字が出ても、必ず、その額は幾らかわからなくなるけれども、三十億ときまっておりませんけれども、恒久的に出ていくものであるという、これは大臣がおらぬとちょっと工合が悪いことですが、確認をして差しつかえありませんね。ここらあたり一つぴしっと責任をもって大臣のかわりに御答弁を願っておきたい。
○高田(正)政府委員 改正法律案が成立いたしますれば法律に明記してある通りに、今後黒を出すようなことがございましても、全額のいかんにかかわらず国庫の補助金というものはあるわけでございます。
○滝井委員 健康保険財政が黒字に転化しても、金額が多い少いはあるが、毎年恒久的に健康保険には補助金が出ていくということを確認々いたしました。これは一応神田厚生大臣が答弁をしたことと確認をして差しつかえないですね。
○高田(正)政府委員 大臣のかわりに私が御答弁を申し上げました。
○滝井委員 実はそこまで念を押さなければならぬ。そうしますと、しからば一体三十億と性質の異なる十億はなぜ延ばしたかということです。健康保険の財政に赤字があるから赤字補てんのために六十億の借入金をして、そして毎年十億ずつ入れることになった。一体それをなぜ三十一年度はやめて延ばしたのか、性質が同じならばこれは財政再建のため並びに健全化のためという三十億ならば、十億は延ばしてもよろしい、しかし十億というものは、明らかにこれは二十二国会で健康保険法の本法が流れて、そうして厚生保険特別会計だけが通って十億を入れた、その十億を入れるときにはどういう形で入れたかというと、非常に特殊な形で入れたことは局長さん御存じの通り。すなわち、厚生保険特別会計の中に一般会計からの受入金という袋を作らずに厚生保険特別会計の中だけでピッチャーとキャッチャーを作って繰り入れることを得るということで十億を入れてしまった。こういう、いわば変則的な立場をとって入れたんです。この変則的な立場は、実体法の改正をやらずに、とりあえず健康保険が赤字で火事が燃えておるので、それを消すためにはまず十億が必要だ。すなわち恒久的なものとして入れるのじゃなくして、歳入不足を補てんするために十億を入れたはずなんです。従って、三十一年度においても六十七億の赤字がある。当然これは、過去の赤字であっても二十九年から三十年には約三十九億の支払いの繰り越しがあってずっと尾を引いてきておるものであるから、従って会計自身からいえばこれは前からの赤字の累積が健康保険の会計の中にきていることは これは食管におけると同様な状態が出てきている。従って当然十億というものは、三十億というものが健全なる発展のための恒久的なものであるならば、繰り延べずにぴしっと入れるべきものなんです。一体なぜ繰り延べたかということです。この明白なる理由を一つ聞かせてもらわなければならぬ。
○高田(正)政府委員 実体的に申しまして、この十億年々繰り入れるというのと、今回の三十億というものとは非常に性格が違うわけでございます。十億の分は三十一年度にかりに繰り入れましても、それは借金の六十億の中で十億を返してしまって借金を五十億にするということになるわけです。それで、それを繰り延べるという措置をとりましたと同時に、その反面では六十億の借金を返さない、そのまま六十億をまた三十一年度にも借りっばなしでいくということにいたしたわけでございます。従いまして、この十億を繰り入れましても返済に充てる十億でございまするので、保険財政には何らプラスにならないということに相なるような性格の金でございます。ところが今回の三十億というのはそういうことではございませんので、現実にそれは保険財政が費消をしていってよろしい、すなわち言葉をかえて申せば、それを給付費、医療費の支払い等に充てるということの金でございます。その意味で実体的に金の性格が違いまするので、直接保険財政の実質というものは、借金返しの方をしなければ響かないのであるから、この際国庫財政の都合等もあるので、入れてやっても、返さなければならぬ十億は一つ三十一年度は繰り延べをするということに政府として決定がいたされたわけでございます。
○滝井委員 いいですか。個人でも同じですよ。借金を六十億借りようとすると、銀行の信用はありません。ところが借金が毎年減っておる、三十一年度は五十億になるんだというと信用できる。あなた方健康保険財政の健全化のために十億を歳入補てんのために入れてくれておる。三十億というものはやはり健全化の一環ではあるけれども、それはその年その年の収支なんです。過去に大きな負債を背負いながら、今の健全化を言うことは、百年河清を待つにひとしい。やはりもとの借金から返していくというのが人情でしょう。もとの借金をうんとかぶりながら、おれは健全になった、そんなばかなことはない。従って十億を延べる理論的な根拠は今のあなたの御答弁からは出てこない。私は三十一年だけを繰り延べたのならば、まだそういうことは言いません。ことしも繰り延べた。三十二年度においても繰り延べされちゃった。そうすると健康保険会計というものは依然として六十億の借金を背負いながらとぼとぼと坂道を上っていく姿です。こういう大きな袋を背負いながら、借金を背負いながら上っていく姿というものを健全化と言えますか。言えないでしょう。だからそこにあなた方が、三十億というものは同じでございます、恒久的に健康保険財政を健全化するために入れるものであるとおっしゃるけれども、その実十億を差し引かれて実は二十億しか入らぬものなんだということ、十億をだんだん繰り延べることによって、あたかも国民の目を、三十億を入れて健全化をするような目のごまかしをやっているということなんです。健康保険自身のいわば負担において犠牲において、十億だけというものの信用を失っていくような格好に、実際はなってきておるわけです。従ってその点は私はこれは繰り延べる理論的な根拠がないから、政府はやはり入れなければならぬと思う。三十億が再建のためのものであるというのならば、私は十億入れなくてもよろしいと思う。一体なぜそれじゃことしまで二年も繰り延べなければならなかったか。
○高田(正)政府委員 個人の場合とか普通の企業の場合に、あるいは銀行から金を借りるとかなんとかということになりますと、先生御指摘の通りである実情は、私十分承知をいたしておりますが、特別会計でございまして、これは銀行から金を借りるとかなんとかということもございませんし、これの信用ということの問題になりますと、結局法律なり予算措置なりで裏づけされておるということでございます。従って十億というものは、年々今借金を六十億背負って歩いておりますが、その借金は過去の赤字の借金でございまして、しかもそれは政府がこの返済には任ずるという法律的な根拠がちゃんとあるわけでございます。従いまして、その意味で借金を背負っておりましても、このために政府管掌健康保険が特別に不信用になるということのものではあるまい、かように考えるわけでございます。ところがそれならば、滝井先生の御質問の御趣旨をもう少し突っ込んで参りますと、今回の三十億だってまた繰り延べるかもしれぬぞという御心配も御質問の中にあったようでございますが、今回の法文におきましては、さようなことのないように法文に配慮が加えてございます。先ほど私がお答えいたしましたように、金額は別といたしまして、この法文の改正がございません以上は、補助金というものは必ず支出されるということの配慮が法文にも加えてございますので、その点につきましては御心配のようなことはないかと存じます。
○滝井委員 今の御答弁では、どなたが聞いておっても、十億を二年間にわたって停止をしなければならぬという理論的な根拠は何も出てこない。そこで私は逆な質問をしてみますと、三年間繰り延べた十億、しからば昭和三十三年度には必ず十億は入りますか。
○高田(正)政府委員 ただいま特別会計法の改正を別の委員会で御審議をいただいておるわけでございます。これによりますると、三十三年度から以降六カ年間ということに相なっておりまするので、財政当局といたしましても、この法律が成立をいたしますれば、その法律に従って繰り入れる。別にこれを踏み倒すというふうなことを今考えておることは絶対にございません。
○滝井委員 いずれあした予算委員会でこの点はあるいは時間があればつきたいと思いますが、これは実は大蔵省がここに来てもらっていないと工合が悪いのですが、ちょっと主計局次長でもいいから来てもらってくれませんか。 実は局長さん、私はなぜそういう疑いを起すかというと、現在国会に二つの法案が出ておる。政府の意思は二つあるのです。この第二十六国会においては、厚生保険特別会計の大蔵委員会にかかっている法律案の中においては、御存じのようにまず一つの厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案は「第十八条ノ六中「昭和三十年度以降七箇年度間」を「昭和三十年度及昭和三十二年度以降六箇年度間」に改め」と、こうなっておる。一年休む法案が一つ、いま一つ次いであとから出た厚生保険特別会計法の一部を改正する法律は、同じ法律の「第十八条ノ七中「昭和三十二年度」を「昭和三十三年度」に改める。」こうなっておる。こういう法律の出し方というものは、もしあとから出た昭和三十三年度に改めるという力が先に通っちゃって、前のが通らなかったら一体どうなるかということです。政府の意思は二つあるのです。この国会にこういう法律の出し方というものは異例の出し方なんです。少くとも政府がやるからには、前に出した厚生保険特別会計法を撤回して、そうして二カ年の十億の繰り入れを停止しようとするなら、当然これは一本にして出さなければならぬものを、わざわざこういう手の込んだ出し方をやっておる。そうしますと、こういう手の込んだ出し方をする政府でございますから、来年度になりましたら、また十八条の七のうちの昭和三十三年度を三十四年度に改める。こうやって出せば一行で片づいちゃう。何ということはない。われわれが目の色を変えて議論をしておっても、あとは野となれ山となれで、ぽっと変っちゃった、こういうことになっちゃう。そこで私は、こういうあつものにこりてなますを吹くわけではありませんけれども、やはり健康保険の健全化をはかろうとするならば、まずここで大蔵大臣なり大蔵当局なり厚生大臣の、来年度は十億必ず入れるという言明の上に立って七十条の三の問題を論議しなければならぬと思う。そうしませんと、十億というものがいつでも犠牲になって、そして補助金というものが話題に上ってくる。これは今年だって大蔵省は別に十億を入れて、補助金、七十条の三から出る補助金は二十億だというのが大蔵省の初めの主張だったのです。それが、榊田氏が厚生大臣になってぽっと三十億に繰りかえられておるといううわさもある。しかし、あなたは今、来年度は必ず十億取るという御言明をなさいましたから、あなたに関する限りは、私は無罪放免だと思います。そこで、あとは大蔵当局がその通りに納得するかどうかです。これはしなければ大へんなことです。われわれをごまかして言っていることになる。初めわれわれは財政再建のためだということで三十一年度に三十億を入れることを納得して、そのかわりに十億を停止することを了承しておった。しかしいつのまにかそれが保険給付という恒久的なものに切りかえられてしまったというのでは、われわれ了承できないのです。厚生大臣並びに厚生当局は入れるということを確認しておりますから、これは大蔵当局が来てから追求いたします。 そこで、これと関連する問題として船員保険の問題が出てきます。一般会計から船員保険特別会計へ繰り込んだ三十一年度の一億と、三十二年度の一億とは性質が同じかどうか。
○高田(正)政府委員 別に答弁せぬでもよろしいということでございましたが、一応前の点にも触れてお答えいたしたいと思います。 二つの法案を大蔵委員会に提案しておるということでございますが、これは全く技術的な問題でございまして、これを引っ込めて二年繰り延べるという一本の法律を出しても、また追っかけて二本の法律を出してもよい、これは前例等もあるそうでございます。なおまた、政府が提案しておりますように十億を踏み倒すという場合には、どうしても今回のように法案の御審議を願わなければならぬ。やはりそういうことをいたすためには、私が先ほど申し上げましたように、現在の法律が通り——特別会計法も、現在の提案が通った暁において踏み倒すということはございません。その場合にはもう一度法案を出して御審議を願わなければならなくなるということでございます。従いまして、政府が方針を変えてそういう御提案をいたすようなことがあるいは梓来あるかもしれませんけれども、ただいまのところさような方針はございません。再来年度以降は必ず十億の繰り入れをとるつもりでおります。なおまた、さような状態に変更がございましたような場合には、もちろん必ず法案を提案して再び御審議をお願いするということに相なるわけでございます。 それから三十二年度の三十億につきまして、最初は二十億と借金返しの十億であったといううわさもあるとの仰せでございましたが、さようなことはさらさらございません。大蔵省は第一次査定から同じような方針で三十億というものを入れておったのでございます。 それから、船員保険の昨年の一億と本年の一億とどうだという仰せでございますが、これは健康保険と同じような性格の金でございまして、三十一年度の一億と三十二年度の一億も健康保険と同断の趣旨のものでございます。
○滝井委員 法律は必ず補助をするということになっておりますとかいろいろおっしゃいますけれども、実は三十年度に十億を繰り入れる法律を審議するときも——当時は久下保険局長であった。主計局は正示君であったが、わざわざ大蔵委員会まで行って念を押した。毎年十億ずつは誠心誠意入れますと言ったが、あれは入れることを得るとなっていて、しかも財政に不足が生じたときに入れることができるという条文で、明白に入れなければならぬとはなっていなかったので、われわれは極力それを追及した。ところがそのとき保険局長も正示君も、必ず毎年入れし伏すから滝井さん御安心下さいと育った。当時大蔵委員会に行って横路さんに質問してもらったら、横路さん御安心下さいと言っていたにもかかわらず、「繰入ルルコトヲ得」となっている。私は予算委員会から大蔵委員会まで全部の資料を集めて用、恋しているのです。あなた方はその地位におるときはそう言いますけれども、かわっていくのです。われわれだって落選するとおらぬことになりますから、そのときは速記録を見る以外ないわけです。従って、後に伝えていくためには、法律なり覚書の文章を、確実に取れるように書いておかなければ間違いが起るのです。今は必ず取りますとおっしゃっている。そのときもやはりそういう答弁を受けた。ところがあにはからんや、十億は、毎年くれると思っておったら、もう一年間も延ばしてあったということなんです。だから、こういうことでは結局あなた方はだらしがないと言わざるを得ない。毎年入れると約束をしておるものが、いつの間にかずるずると流されてしまって、二年間も繰り延べされた。なるほど親方日の丸で国が持ってくれると言いましょう。しかし保険経済の健全化にとってきわめて好ましくない状態であることは確実である、赤字の山をかかえておるのですから。そういう点、今の御答弁はどうも筋が通らないのです。 そこで、船員保険の方に移ります。三十一年度と三十二年度の一億は一応同じであることは了承しました。これは毎年繰り入れるものである。そこで船員保険法の五十八条はどういうことになっているかと申しますと、簡単に申しますれば、疾病部門以外の保険給付は国が負担することになっている。これは総合保険ですけれども、とにかく十の保険給付があるとすれば、そのうちの二は負担をします。残りのうちの疾病部門は同じ保険給付で国が補助するのです。しかもあなたが補助すると言われるものは恒久的に国が出すものである。それならばなぜ負担すると書かないかということなんです。これは私の理論の方が筋が通っている。法律の書き方に混乱が起っている。あなた方が前に出した三十億なり一億というものが、同じ保険給付でありながら、一方は負担するときちっと書いてある。負担ということは、私は法律はしろうとでございますが、これは義務費なんですよ。補助は義務費じゃないのですよ。これはやってもやらなくてもいいものなんです。ここに問題が出てくる。従って念には念を入れて、今ここまできた——少くとも三十億というものは、私は補助するということは恒久的なものではないではないかということは、結局船員保険に照らしてみれば、あなた方の手のうちがわかる。同じ保険給付で一方は十のうちの二か三は負担していくけれども、残りの十のうちの二は、今度は補助金でいくという、こういう形は、少くとも社会保障の一環として大衆をになっていく健康保険法の、あるいは船員保険法の立て方としては、これは邪道です。これをもって社会保障の一大支柱なんということは、これだけを見ても、大それた言い方です。この点を一つ明白に補助すると負担する——しかも、それが同じ保険給付であるという点、疾病部門であろうと、それが失業保険であろうと、厚生年金であろうと、概念は同じです。国民健康保険なんかもぴしっとしてきておるわけです。そういう点をどうしてそういうようにしなければならないのか。そういう手の込んだ法律というものは大衆のものでなくちゃならぬ。その大衆のわからないような、われわれが一生懸命に、ほとんど専門にかかっておる者さえもその観念心の統一のできないような書き方を、なぜやらなければならぬかということです。法律は大衆のためのものなんです。あなた方のためのものじゃないのです。
○高田(正)政府委員 船員保険の五十八条というのは、今先生御指摘のように、船員保険は総合保険でございます。失業保険だとか厚生年金保険等も、全部海の場合には一本で運用しておるわけであります。今の失業部門、あるいは年金保険部門につきましては、陸上におきましても、負担をするという建前になっておりまして、船員保険の場合にも、負担をするということに相なっておるわけであります。それで、現在医療の保険につきましては、その給付費を国が負担をするという建前には、全般的にはなっておりません。陸上におきましてもそうでございますし、海上におきましても、この規定を読んでいただくとわかりますように、医療保険につきましては、これは負担はしないのでございます。国は何もやらないという建前になっておるわけであります。一切責任を負わないという建前になっております。それでは困るからというので、今度健康保険につきましては三十億、それから船員保険につきましてはその疾病給付部門に一億国庫の金を投入するということを制度として打ち立てたい、こういうつもりで改正一案の御審議をお願いしておるわけであります。その際に、滝井先生は今、それなら負担という言葉を使ったらいいじゃないかという御質問でございます。私どももさようなことを考えたこともあるのでございますが、しからばいかにこれを取り扱うかということにつきましては、いろいろと政府部内でも相談をいたしまして、今日全然援助するということが制度化されてない医療保険に、国がいよいよ援助の手を差し伸べるということを制度化するのでございますので、いきなり負担ということで今割り切ってしまうよりは、国民健康保険の法律に補助という言葉が使ってありますが、それと同じような言葉を今ここで法律の上で使いまして、さらに将来国民皆保険といいますか、医療保険の網の目から漏れておる人等も包含をしていった場合に、全般的に国がいかに各保険に介入をするか、責任を分担するかということについては、将来一つ検討しようじゃないか、こういうことで、とりあえず補助という言葉を使ったわけでございます。これは国保にそういう言葉がございますので、そういう言葉を使ったわけでございます。しかも補助することを得ということでなくて、補助するというふうに法文で書いてあります。今日まで船員保険におきましても、陸上の場合におきましても、医療保険については国が援助をするという制度がないのでございます。私どもは負担ということが希望でございますけれども、負担するという以上は、予算の範囲内とかなんとかいうことでなしに、明らかに負担区分を分けなければならぬ、金額もはっきりしなければならぬ。さようなことは将来の検討に譲って、この際一歩でも前進をしたいということで、今の法律案の御審議をお願いしたわけでございます。
○滝井委員 あなたも大臣の答弁でお聞きのように、皆保険ができるまではもうこの健康保険法の改正はないのです。そういうほとんど半恒久的な日本の法律は四、五年すれば大がい変るのですから、自民党では皆保険を四年以内にはやってしまうということだから、従って四年の後まではほとんど改正はない法律です。今審議している健康保険というものは、あるいは船員保険でもそうですか、大臣ははっきり御言明になっている。明年また改正しますということならこれはまた話は別です。ところが少くとも皆保険を実施する直前かその後までは改正はいたしませんということは、この前大臣から明白に御答弁いただいている。そうしますと、何も今の段階でそう検討した後に明確にするということを言わなくても、もう今から確実に恒久的に取れるものなら、大蔵省も出します、こうおっしゃっているわけでしょう。それならば、たとえば毎年三十億なら三十億でいいじゃないか、あるいは一割なら一割と定率でもいいじゃないですか。この前も言ったように、われわれが反対するものを、この委員会でわざわざ与党の力によって定率負担をなすべしという附帯決議までつけて、しかもあなた方は一割要求しているのだから、一割要求すれば政府管掌の健康保険は大丈夫というのがあなた方の自信であったはずです。自信がなければそういう要求はしないのですから、自信と確信を特った要求をしており、とにかく失業保険とか年金部門というものの定率を負担すると書いているものを、国民のためのものであるはずの法律を、わざわざわかりにくくする。同じ保険給付を、補助するなんという、こういう条文の書き方は、明らかに思想の混乱ですよ。そういうわかりにくい法文の書き方をするから、法律はますます複雑怪奇になって大衆から浮き上ってしまう。だから同じ条文の中に、やはり専業の執行に要する経費は負担をするということで、三十億なら三十億と額を示してもいい、あるいはそれが一割でもけっこうだと思う。当然そうするのが順序だと私は思うのですよ。これは今の船員保険の思想から見て明らかに矛盾してきている。しかもさいぜんにも申しましたように、三十年度に入れた十億というものは、一般会計の受入金というような袋も作らずに、厚生保険特別会計の中だけでやってしまったのです。自分たちの都合のいいときにはどんなことでもやるけれども、都合が悪くなると手をかえ品をかえて大衆の目をごまかし、国会議員の目をごまかすような立法の方式をとるということは、これはよくないことなんです。法律はもっとすっきりした形で書くべきだと私は思う。これは研究しないとわからないのです。実際こういう厚生保険特別会計にしても、船員保険特別会計にしても、複雑ですよ。あまりにもやりくりが複雑で、しろうとにはわからぬです。結局みんなわからぬ。だれがわかっておるかといえば、あなた方の何人かしかわからない。あなた方の中でも全部はわからない。あなた方の何人かが、詳しく調べてわかる。あとの者は皆目わからぬのですよ。これはそういう法律の書き方がきわめて複雑怪奇になっているところに、そういうわからないものが出てくる。だから少くとも恒久的にやるものならば、負担をしますという形でびしっと書いて、船員保険ならば五十八条をちょっと、読めばわかるし、健康保険では七十条を見ればすっとわかるという形にしてもらわなければ、同じ国が出す経費が、一つの保険の中で、事務の執行に要するものは国が負担をします、年金やあるいは失業部門は負担します、しかも医療部門は補助します、一体こういうことでこれはわかりますか。わからないです。しかも事業の執行と事務の執行。事務なんというものは事業の執行の中に入ってしまうのです。それをわざわざ事業の執行と専務の執行とこう古く。一体専業と事務にどこに違いがありますか。事業が動いてこそ初めて事務ができる。事業の中に事務というものは含まれている。そういうことをわざわざわかりにくく分けてしまう。それはそういう事務費だけを国が負担するということを明白にするためにそうしたのでしょうけれども、われわれが事業と言えば事務もみな入ってしまう。石炭事業、石炭鉱業と言った場合に、石炭の事務だけを別にする概念なんというものはないですよ。石炭事務、そういう概念はない。こういうむずかしい書き方、またこれはかたかなで書いてあるということをこの前指摘しましたが、こういうことは三十年前の思想なんですよ。まだ日本が帝国主義はなやかなりしころの思想をそのまま受け継いでいるところに問題がある。なるほど戦犯の岸さんが出てきましたけれども、岸さんも民主主義を誓っている。従って二十世紀の後半の法律というものが三十年前の帝国主義はなやかなしころにできたものをそのまま受け継いでいって事務だ専業だと言うところに問題がある。こういう法律もやはり生まれかわってもらわなければならぬ。新しい総理のもとには新しい健康保険法というものをぴしっと出してもらわなければいかぬと思うのです。これは説教になりましたが、そういうことでしてもらいます。 それから今度は少しむずかしくなりますが、もし健康保険法が通らないで厚生保険特別会計法だけが通ったときに、昭和三十一年度の三十億は厚生保険特別会計の中に入るか入らぬか。
○高田(正)政府委員 二十四国会のたしか最終日であったかと思いますが、大蔵省の主計局並びに法制局のそれぞれ次長がこの委員会でお答えを申し上げておりますように、今提案をいたしておりまするような厚生保険特別会計法の改正案でありますると、実体法と会計法と両方が通りませんことには、三十一年度の三十億は一般会計から特別会計へ繰り入れることはできない、かような法律解釈に相なっております。
○滝井委員 今も予算委員会で議論があったのですが、食管会計では、決算か確定をして赤字であるということが確認されたときには、一般会計から食管特別会計に入れることができるのです。こういう規定が食管会計の中にあるのです。ところがたしか一萬田大蔵大臣のときだったと思いますが、赤字が確定せぬときに一般会計から食管会計に法律なしで入れてしまったという例がある。それから財政法の十五条——私は今ここに財政法を持ってきておりませんが、ちょっとごらんになっていただきたいと思います。この財政法の十五条の国庫債務負担行為で、大きく分けると法律上の支出と予算上の支出とある。そして健康保険の三十一年度の三十億というものは、いわば広義の予算上の支出になるのです。予算がきまればもうすでにそれは入れることできるのです。あとは帳面づら問題なのです。法律の問題じゃない。従ってこの解釈も、あなた方は、自体法である健康保険法が成立しなければ、厚生保険特別会計には三十億入らないあるいは船員保険の一億というものは入らないという解釈でございますが、財政法の十五条をお読みになりますと、これはそういうことはない、これで入れることになります。これは法律と予算と二つある、非常に広義なものです。あとは帳面づらの問題だけですよ。
○高田(正)政府委員 財政法十五条の解釈は、私十分これについて研究をいたしてはおりませんが、特別会計、一般会計の関係は、すべて法律によって規定されるのでございまして、その法律によって一般会計の方から出す根拠、それから特別会計の方が受け入れる根拠、この両方が成り立ちませんと、一般会計から特別会計に繰り入れることができないという解釈でありますことは、二十四国会で大蔵省並びに法制局からお答えを申しました通りでございます。私どももその解釈に立ってものを考えておるわけでございます。
○滝井委員 とにかくこの健康保険法が通らなかったときには、三十億とれるかとれぬかというきわめて重大な段階なんです。これは当然あなた方も何とかして通らなくてもとる方法を考えてもらわなければならぬ。私は何とかして法律が通らなくてもとれる道を実は考えてみつつある。政治は生きものですから、五月十八日までにはどういうことで政変なり解散があるかもわからない、あのがんじょうな石橋さんでもやはりわずか六十数日で内閣を投げ出さなければならぬという奇跡が起ったのです。だから私は財政法十五条を専門家にも聞いてみましたら、これは十五条で入るという意見がある。これは国庫債務負担行為となっておるけれども、法律上と予算上とこれはきわめて広く解釈しておる。そこでこれはあなたが御研究になっていなければ御研究をしていただきたいと思います。 そこでそれならば今度は問題を限定をして、健康保険法が三月三十一日までに通らなかったときは、三十一年度の三十億はどうなりますか。
○高田(正)政府委員 健康保険法並びに厚生保険特別会計法の改正が三月三十一日までに通過し公布されておりませんと、三十一年度の三十億という本のは受け入れられなくなります。
○滝井委員 これはきわめて大事な点ですから……。三月三十一日までに通過、公布されておらなければ三十億はとれない、こういうことですね。
○高田(正)政府委員 少くともその部分だけの規定につきましては、法律として成立し、公布し、施行をされておりませんと、三十億は受け入れられなくなります。
○滝井委員 わかりました。逆に言えば、もう四月一日以降に法律か実施されたら三十億はだめだ、こういうことですね。 そこで次に入ります。健康保険の会計は、この前もちょっと雑談の中にいろいろ問題にしたのですが、三月に始まって二月に終り、一般の会計とは違うということが大体皆さんはっきりしておるわけであります。そこでちょっと予決令を見てもらいたいと思いますが、そうしますと、私はこの前歳入については予算決算令の第一条にあることをお教えをいただきました。ところが予算というものは歳出と歳入とかバランスがとれ、均衡がとれておるのが予算だと思うのです。そうしますと歳出は一体どういうことになるかということなのです。健康保険会計の歳出というものは一体どういう工合に締め切られていくのか、歳入は今育ったように予決令の一条で大体はっきりしします。歳出がわからないのです。
○高田(正)政府委員 歳出の方におきましても三月—二月分を見ておるわけでございます。もう少し具体的に申し上げますと三月に診療が行われましたその診療費につきましては、四月以降の年度でその診療費の歳出を見ていくわけでございます。
○滝井委員 そうしますと医療費の債務発生の時期はいつですか。
○高田(正)政府委員 むずかしい御質問でございますが、少くとも請求がございました以後でございます。
○滝井委員 請求が行われた以後ということになるといろいろの点が考えられるのです。まず普通の患者であるならば診察をやり、投薬注射が終ったらこれはもうもらう担当者側からいえば債権が生まれてきた、患者側からいえば債務がそこにできてきたわけです。そういう場合が一つあります。それから請求書を月末に書き終ったとき、請求書は金券ですからそういうときもあります。あるいは基金に請求書が届いたときのことも考えられます。あるいはそれが審査会に到着し、審査が終ったときも考えられます。あるいはわれわれ権利を持つ療養担当者側から言えば、銀行から振替小切手で金が届いたときに、これは初めておれの債権はここに何ぼということがわかったということになる。債務発生の時期は大体いつですか、明確にして下さい。
○高田(正)政府委員 保険が支払いの義務を負いまするのは、先ほどお答えをいたしましたように、請求がございました以後でございます。さて、それがどこかということになりますと、これはもう少し法律的にはいろいろ詰めて研究をいたしてみませんと確定的な所見を申し述べがたいと思いますが、少くとも請求がございました以後であることはこの席でお答えを申し上げられると存じます。
○滝井委員 私がが言うのはなぜそういうことを明白にする必要があるかというと、歳入は明白になっておるが歳出が明白でない。そうしますと、会計年度が三月に始まって二月に終るということになれば、保険料については二月は三月になりますから、これは何と申しますか三月までが入るのではなくて二月分までが入ってくることになります。ところが医者の請求書は、実際医者に金の入るのは翌々月末なんですね。従ってあなた方の会計から支払うのも翌々月末に支払うのです。収入というものはきちっとはっきりその法律できまっていっておりますけれども、歳出というものは一体どこに債務が発生するか、債務の発生する時というものをびしっと区切らなければ決算ができない。しかも歳入歳出バランスをとっておるのか予算なんですから、どこからどこまでが収入歳出の区切りかわからなければ決算できませんよ。あなた方は何回一も決算なさっているから、医療の請求が行われたのはいつが債務の発生の時期だ、どこまでが昭和三十二年度であるということが明白になっていなければわからないのですよ。そこらあたりをもう少し明白にして下さい。
○高田(正)政府委員 決算は御存じのように実際に収入をいたしました金額と、それから実際に支出をいたしました金額とを決算いたすわけでございます。いわゆるその金の出入りの会計年度というものは、これは保険におきましても、四月一日から三月末日までで、普通の会計年度であります。それから今滝井先生が問題にされておりましたのは、決算はそうでございますが、予算組みます場合には三月分の保険料は四月になりませんと入って参りません。それから私どもとしましては三月の診療分というものを支払うのは四月以降であります。現実には五月以降ということになっておりますが、少くとも四月以降でございますので、私どもとしては予算の見合いとしてバランスをとらなければなりません。そういう場合には片一方の収入の方は三月分の収入から翌年二月までの収入を見越して見る、それから支出の方は三月診療分から翌年二月診療分を見ておる、そうして予算の見通しをとっておるわけてありまして、それの法律的な根拠はどこかということになるのでございますが、投入の方におきましては予決令の一条の一の一号でございます。法律的な根拠としてはさような解釈をとっております。歳出の方でございますが、それは二条の五号という解釈を一応とっておるわけであります。二条の五号は「工事製造費、物件の購入代価、運賃の類及び補助費の類で相手方の行為の完了があった後交付するものはその支払を為すべき日の属する年度」こういう規定でございます。それから御承知のように予決令なり財政法なりというものはいろいろな国の出納につきまして総括的に書いておるわけでございます。今の医療報酬というようなものにつきまして、特別そのことを例示いたしておりませんけれども、まず五号で読むのが一番すなおであろうというような解釈をいたしております。
○滝井委員 どうもそこらあたりいろいろ考えてみるけれども、債務発生の時期がはっきりしないし、債務発生の時期がはっきりしないと、予算のバランスというものはどうもはっきりしない感じがするのです。いろいろ調べてみると結局一つの日にちの根拠を見るとすれば、二十日までに審査しなければならぬという条項で日にちを区切っておるのがあるのです。社会保険診療報酬請求書審査委員会規程というので、「審査委員会ば、毎月分につき、前月分の診療報酬請求書を、その月の二十日までに審査しなければならない。」そうすると、審査が終ればそこで債権債務が確定することになる。そうするとそこから初めてはっきりしてくるのじゃないかという感じがするのです。そうすると二月分というものは三月になる。三月以降というものは四月になるので、ちょうど予決令におけ 歳入歳出が一応のバランスがとれてくるのじゃないかという感じがするのですがね。こういうことをどうして問題にするかというと、やはり保険経済というものを一応見ていくときに、医療費の支払いの方は非常にルーズなんです。ルーズといっても、たとえば支払わなければならぬという確定的な期限のあれがないのです。ところが保険料なんかになると、これは日にちを切って、支払わなければいわゆる追徴金なり加算金がついていくのでしょう。ところが、歳入の方はそういう工合で、きちんと折り目を正しておるけれども、歳出には折り月がない。そういうことを私は問題にしなければならぬと思うのです。取る方は権力をもって取るけれども、支払う方はきわめてルーズだ、こういうことなんです。こういうところこそもっとあなた方がほんとうに健康保険の健全なる発達をはかるためには、明白にしておかなければならぬ、ということなんです。保険料の取り立てについては峻厳苛烈であるけれども、しかし支払いについてはきわめてルーズで、水が漏っているということでは困ると思うのです。そこで私は実は会計というものが一体三月に始まって二月に終るが、どうなっているのだ——なるほどこの間お尋ねしたように、歳入はわかるけれども歳出は今の御答弁のようにはっきりしない。もっとそこらあたりの法律上の根拠を、やはりこれは他のいろいろな法律についてはっきりしてきておるのですから、だから予決令の中に社会保険の項も入れるなら一項入れてもらうというような修正をしてもらって、そして歳入歳出というものが、どちらも明白になる形をとってもらわなければならぬと思う。それは一つ希望しておきます。 そこでこれからは大臣に来てもらわなければいかぬのですが……。
○藤本委員長 大臣は今請求しております。それまでどなたか……。
○八田委員 それでは今の滝井委員の質問に関連しまして……。支払い債務の問題でありますが、これは一つは社会保険の資金が問題になると思うのです。というのは、今日の社会保険の支払いが、物的給付ということが一つの理想的形態として取り上げられております。ですから今の滝井委員の質問は、金銭給付の場合においては、私はああいう理論は成り立つと思う。しかし今日の社会保険の給付形態が物的給付だ、こういうことがいろいろな問題を蔵しているだろうと思う。そこで今後この物的給付というものを理想的形態として社会保険を進めていくかどうかという問題にも入ってこなければならぬが、それはそれといたしまして、関連でございますから、ただこの保険料の収入状況が一体どういうふうになっているか、毎月々々何パーセント——ここには保険料の収納率が九一%というようなことが出ておりますけれども、毎月々々収納率をはかっていきますと、こういう数字は出てこないと思う。月によって非常に低い場合もあるし、あるいは九一%、九三%というようなときもあると思うのです。それをお調べになっておるかどうか、この点をお知らせ願いたいのです。実際いろいろ聞きますと、事業者が保険料を徴収しておりながらこれを運転資金に回しているということが、よく言われているわけです。ですから実際の保険料が入ってくるのは、運転資金として使ったあとの場合ですね。ですから非常に会計年度も問題になりますが、あとになって、だっと入ってくる。こういうことが想像されるわけです。そういう点を一つはっきりしていただきたいのと、過年度分の保険料がどういう形で入ってくるか、どういう月に入ってくるか、これをちょっとお知らせ願いたい。
○高田(正)政府委員 保険料は、今八田先生御指摘のように、年間同じような傾向では入って参りません。大体の傾向は年末なり年度末にやはり徴収に馬力をかけませんと、なかなか入りにくいものでございますので、実は全国の社会保険出張所の職員の非常に大きな精力を保険料を取り立てることに使っております。そういう年末とか年度末というような場合には、もうほかの仕事もほうっておいて、全部そっちに重点を指向していくというようなことで、やはり比較的そういうときにたくさん入ってくるというのが一般的な傾向でございます。ただ本年は経済界の好況等もございまして、いつもの例と比べますと、比較的順調に入ってきておるというふうに申し上げてよろしかろうと思います。 それからもう一つ、過年度の保険料でございますが、これはいつ入ってくるということではありません。過年度にもいろいろございまして、たとえば昨年度分のような分は、少し事業の業態がよくなると積極的に納めてくるような場合もございますし、古いものはどうしても、あるいは古いものでなくても新しいのでも、事業の状態によりましては、いわゆる滞納処分、強制執行というようなこともやらなければ入ってこないという場合もございますし、これはいろいろでございます。それから被保険者からは、これは源泉徴収で保険料を事業主が取っておりますので、それを保険料の滞納の場合にはその事業が運転資金に使っている、結果的にそうなるのではないだろうかという御指摘でございますが、さような場合には、それは御指摘の通りのことに相なります。しからば、直接本人から政府なり、あるいは組合の場合でありますれば組合の者が直接個人々々の被保険者から取れば、そういう問題が起らないわけでございます。しかしこれには非常な手数と経費を要しますので、従って今の建前では事業主に源泉徴収をしてもらって、そうしてその事業が保険料納付の義務を負うという形で保険のシステムが組み立てられているわけです。これは現実問題としてやむを得ない一つのシステムでございます。従って私どもといたしましては、それが滞納ということになりますと、今先生仰せのようなことになりますので、それで滞納ということのなるべくないように実は努力を続けて参っているわけでございます。そういうようなわけでございますけれども、今の事業主に保険料納付の責任を、負わせるという原則は、これはわれわれの事務能力と被保険者の数とのにらみ合せから、健康保険法始まって以来の一つの建前でございます。これはなかなか実際問題としてはくずせないことであろうかと存じます。
○八田委員 それから今度の健康保険の三十億の問題です。この場合に恒久的な制度に持っていくということが、国庫補助というものを今後恒久的な制度としてやっていくのだという観点から、今度はやはり三十億円というものを出してきた。そこで恒久制度として今後やっていくなら、やはり組合健保にも補助をしなければならぬというりくつになってくるわけですね。現に組合健保にも赤字経営の組合が相当に出てきているわけです。これに対して補助を与えないで、政府健保の方に、だけ充てたというこのアンバランスをどういうふうに解釈されているか、見解を一つ伺いたい。
○高田(正)政府委員 組合管掌のものに対しても、政府管掌のものに補助を出すならば同様に補助を、出すべきではないかという御趣旨の御質問でございますが、実は私どももさような希望を持っておるわけでございます。ただ、今まで御存じのように給付費に対しては一般会計は全然援助をしておらないところへ、新たに一般会計から援助を仰ぐということになりますと、やはりものには順序がある。りくつからいって一ぺんにそうであるべきところは全部やるということではないと、政府管掌にも出せないのだということではなかなか問題が大きくなりますので、やはり八田先生御存じのように、政府管掌と組合管掌では総括的に申しまして標準報酬の高も違いますので、それらのことも勘案をいたしまして、まず政府管掌のものに国は出していく。将来組合管掌等に対しましても逐次物事の考え方を整理いたしまして、それらにも手を伸ばして参りたいという考え方でございます。
○八田委員 今赤字経営の組合健保はどれくらいあるのか、お知らせ願いたい。
○高田(正)政府委員 九百幾つございますが、大部分の組合が赤字——といってもこれは年度々々のことでございますから、若干の赤字を出したり黒字を出したりしておりますから、そういうふうな御趣旨ではあるまい、むしろよたよたしておって、非常に弱い組合はどれくらいあるかというお尋ねと思います。その数は、大事業場のものはほとんどありません。むしろ相互組合といって小さい同種の業者が集まってやっております組合が十か二十、これはいろいろ標準のとり方があると思いますけれども、ごくわずかなものであろうかと思います。
○八田委員 十か二十と言うのですが、私はそんなに少い数じゃないと聞いております。今正確な数字がなければ、これはまたあとでお知らせ願いたい。局長は十か二十というような、大きな開きをもってお示し願ったのですが、こういったように十ぱひとからげにやられる組合が、実際は非常に経営に悩んでおる。その状態は、ある場合には政府健保に比べてみた場合にずっと経営に困難を感じておる状態である。今後この医療保障勧告にも組合方式がいいんだということを簡単に割り切って書いておりますが、この問題は十分に検討しなければ、組合方式がいいか悪いかということは出てこないと思うのです。この実際に赤字経営に悩んでいる組合健保に対して、政府健保の方が非常に大きな問題になっているから、まずこの力をやってからおやりになると言いますけれども、政府健保よりもかえって苦しんでおる組合健保があるという現実に対して、私は下の緊急性から見てやはり同じように取り扱っていくべきだと思う。この点について局長にもう一度お伺いしたい。
○高田(正)政府委員 組合で弱い組合がどのくらいあるかということは、これは基準がとりにくいのでございます。たとえば付加給付をやっておって赤字をしているところもございましょうし、法定給付だけで標準報酬が非常に低くてだめなところもございましょう。あるいは標準報酬は相当あるのだが、保険料納付の成績が非常に悪いということで非常に困っているところもございましょうし、いろいろございますので簡単にはいかぬと思います。しかし私どもとしましては、とにかくどういうふうな意味におきましても弱小な、ことに標準報酬が政府管掌と同じくらいであるとか、あるいはそれより低いというようなところにつきましては、何らかの方途を将来は講じて参りたいという意思を持っております。 ただここでちょっとお考えをお願いしたいことは、その場合にも、御存じのように自分が好んで出ていった人たち——おれたちはおれたちだけでやればうまくいくから、おれたちだけでやらしてくれというわけで出ていったわけです。そうして建前としましては、それが成り立っていかなくなった場合には解散をして、一切がっさい債権債務を政府管掌が引き継ぐという法律上の建前になっているわけです。そういう本質的な性格を持っているのでございますから、政府管掌の方は強制的で、だれでもかれでも組合を作っているもの以外は入らなければならぬということになっております。その法の建前というものも、組合のことを考えます際にはやはり考慮に置いていかなければならぬ。従いまして、そこにやはりものの前後というものはつけられてしかるべきじゃないかということを一つお考え置きを願いたいのでございます。しかし御指摘の通り弱小の組合につきましては、私どもとしてもこのまま放置をするつもりはございません。将来何とかこれに手を加えていくというような方向でものを考えて参りたいと思っておるわけでございます。
○八田委員 そこで二重加入の問題を国民皆保険の見地から、どのように考えておられるか。私は弱小な組合健保と今日の政府管掌の健康保険、それから国民健康保険との二重加入問題、これは相当御調査になっていると思うのですが、二重加入というのは現状はどのような形であるのか、お知らせ願いたい。
○高田(正)政府委員 政府管掌の健康保険なり、組合管掌の健康保険の被保険者の家族で、国保に加入しておるのは現在ございます。被保険者本人は除かれるということになっておりますが、家族ではございます。それで以前に厚生省といたしましてはさようなことを奨励いたしました時期もあるやに私は聞いておるのでございます。しかし今日の国民皆保険というふうなことを考えました際には、さようなことは不適当である。むしろ国保の給付率なり家族の給付率というものの改善に努力すべきであって、二重加入ということはあまり適当でないというふうに私どもは考えておりますので、昨年から行政方針をもちまして二重加入は新しいものは認めない、しかし今まで二重加入しているものを今一ぺんにひっぺがしてしまいますと、それらの人々に非常にお気の毒なことになりますから、今まであるものはできるだけ実情に応じて——二重加入を排除していくような方針ではあるけれども、しかし今直ちに排除することはしない。しかし新しい部分は認めないというふうな行政方針で今日運用をいたしております。
○八田委員 方針は伺ってよく了承したのですが、現在の保険の普及状況を見ますと、職域保険のあるところは国民健康保険がくっついて普及していっている。実際に今の国民健康保険の趣旨にのっとって普及していこうというところには普及していないのです。もうそこは、かつて国民健康保険を実施してつぶれたか、あるいはどうしても行い得ないという状態なんです。現状は、職域保険があれば国民健康保険はすぐにそこにくっついていくのです。というのは、今の健康保険の家族の場合には半分払わなければならない。その半分払わなければならないものを国民健康保険でもって支払いをやってもらうということで、今日は健康保険のあるところには国民健康保険がくっついていって、被保険者と同じように被扶養者も全額保険給付を受けておるわけなんです。実際に国民健康保険の趣旨にのっとってやらなければならぬところには伸びていっていない。特に純農村なんかに参りますと職域保険というものはありません。どうしても国民健康保険をもっていかたければならぬ。ところが、ここは、財政状態はなかなか弱小で実施できない。昔はやったところがつぶれてしまった。こういうところに今後国民皆保険をやっていかなければならないのですから、私は非常に問題があると思うのです。実際に純農村に国民健康保険を実施した場合には、三反歩百姓のような零細な農家はとうてい国民健康保険の恩恵に浴することはできないのです。中農階級以上の人たちが初めて国民健康保険を利用し得るというような状態になっているのですから、私は実際に今日までの社会保険の普及状況を見ますと、職域保険と国民健康保険とが巧みに結びついて、そうして普及していっているのが現状です。二重加入の問題につきましては、またあとで御質問いたしますが、こういう現状にあるということをよく分析の上、今後の国民皆保険を考えていくということが必要であろう、私はそう考えております。この点もう一回……。
○高田(正)政府委員 今日二重加入をしておりますのは、あることはあるのでございますが、今八田先生から仰せになりましたことから受ける印象のように、国保の被保険者というものは二重加入の方が多いのだということではございません。これは何と申しましても自営業者が中心でございまして、二重加入をいたしておるものもありますけれども、その数については一応の推定数がございます。被保険者の家族で国民健康保険の被保険者であるものは約二百万。昨年あたりから、新しいものは認めないという行政指導方針をとっておりますし、できるだけ排除するように、従来のものもできるだけ地域々々で排除するようにというふうな指導方針をとっておりまして、また国保を運営しております市町村当局でも、その方がいいというような考え方をしておられる方が、だいぶあるものですから、ただいまのところ二百万程度と私どもは推定をいたしております。しかしそれはそれとして、将来国保を普及いたします上についてのいろいろな苦心のいるところ、困難性のあるところは先生御指摘の通りでございます。私どもそれらの点については十分留意いたしまして、国保の普及をやって参りたい、かように考えております。
○滝井委員 ちょっと最後に一つだけお尋ねしておきたいのは、三十一年度の赤字が四十七億二千万円になったところまではわれわれがお聞きしておるわけです。もうすでに二月分の診療報酬は二十日までで終って、大体赤字の見通しが全部つくはずなんです。大体三十一年度の赤字は幾らになったのか、それだけちょっと最後に、明日の質問の都合がありますので伺っておきたいと思います。
○高田(正)政府委員 最初六十六億と申しておりましたその中に、予備金の十八億が入っております。その数字が臨時国会のときに、私どもが持っておりります資料でお示しをしましたのは、今先生御指摘のように約二十億程度減りまして四十七億という資料を出しております。今回の予算の説明にその資料がついていると私思うのでございますが、その数字が三十六億という数字に減っております。非常に好転をいたしております。その中には予備金を含めての六十六億との比較でございますから、そのことを申し上げまして御了承を得たいと思います。この財政状態は年間の見通しでございますから、さらに若干上下動く可能性は十分あると思います。
○八田委員 今の二百万の二重加入の問題ですが、これは地域的に集積しておるんだと思うのです。これはばらばらじゃないのですね。地域的な集積が二百万人、こういうことですね。
○高田(正)政府委員 今大体国保の被保険者が三千万人程度ありますが、その三千万人程度の中で二百万人程度が二重加入の人であるということでございます。それで二重加入を認めていないところでは一人もいない、認めておる市町村ではそういうのがある、ただここにそういう者ばかり集まった国保の組合があるわけなんです。これが非常に私問題だと考えておるわけでございますが、それでそれらにつきましては、将来私どもとしても十分検討を加えて参らなければならぬというふうに考えております。
○八田委員 それで二百万という問題と、今後の国民皆保険としては二重加入という姿はこれはよろしくないというお考えなんですが、ところがそれを希望して二重加入でなければやっていけないというところもあるわけなんです。二重加入でたければ実際にやっていけないというところもあるわけです。それがその地域の理想的な姿になっておるわけです、ですから今後われわれが国民皆保険をやっていく場合に、そういう姿を、どうしてこわしていって正しい国民皆保険の姿を立てていくかということがやはり問題になってくると思う。この点は次の機会にまた質問させていただきますが、どうかその点よく分析検討していただきたいと思います。
○藤本委員長 次回は明二日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十九分散会