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26回国会衆議院1957/02/19

社会労働委員会 第8号

発言数
116
登壇者
9
会派数
2
開催日
1957/02/19

会議録

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 これより会議を開き開きます。  内閣提出の健康保険法等の一部を改正する法律案、船員保険法の一部を改正する法律案、厚生年金保険法の一部を改正する法律案、及び滝井義高君外十一名提出の健康保険法等の一部を改正する法律案の四条を一括して議題とし、審議を進めます。質疑を続行いたします。岡本隆一君。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 昨日の滝井君の質問に答えて、大臣は、〈今度の法律改正は赤字対策ではない、健康保険制度の合理化のために出したものだ、こういうような御意見でございました。なおまた御説明の中に、健康保険制度は日本の社会保障の一大支柱であるというふうな表現を用いておられますが、社会保障制度の一大支柱という立場に立って現在日本の健康保険というものを考えてみるときに、その制度の根本的な欠陥というものはどこにあるか、そういう点について大臣のお考えになっていらっしやるところを承わりたいと思い  ます。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 岡本委員にお答えいたします。私どもがこの健康保険法を改正するに当って職域と地域の関係をどう考えてやったかというばくたるお尋ねのようでございまして、答弁に少し困るのでございますが、職域の健康保険を合理化してりっぱなものにしたいと考えております。そのやり方としてはいろいろ考えられるでございましょうが、政府が今回提案いたしております改正案は、健康保険財政の赤字を解消し、同時にまたこの機会に、昨日も御説明を申し上げた諸般の点について改正を加えていく、そして弱体な職域健康保険を根本的に改めてりっぱなものになしとげたい、何といってもこれは産業の基盤を預かっている大事なものでございますから大筋を通してりっぱなものにいたしたい、だから赤字が解消しても政府の補助金は減らさない、こういう仕組みで御審議願っておるのでございます。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 悪いところがあるから改正したいのだ、合理化したいのだ、とおっしゃいますが、現在の健康保険制度においてどことどこが不合理なんだ、だからこういうふうに改正するのだという論拠がなくてはならぬ。その不合理なところはどことどこだとお考えになっていらっしゃるか承わりたい。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 一口に申し上げますと、今回御審議を瀬っております改正案に盛られております全般的な問題になるわけでございますが、大きな例をあげてみますと、従来給付費につきましては国から援助をする建前がなかった。やはり今日のように世の中が進歩いたして参りますと、給付費に国がある程度の補助をするとかあるいは負担をするとかいうようなことがなければいけないということ、あるいは標準報酬の刻み方等にいたしましても、現在の賃金水準はすでに三万六千円以上というものがずいぶんあるわけであります。従いまして、それらにつきましてもこれに改訂を加えていく。いろいろ改正案の中に盛られております点は、全部必ずしも現状は合理的でないという観点から立案をいたしておるような次第でございます。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 これはきのうの蒸し返しになりますが、今出されております改正案は、昨年の赤字対策として出されたままの形で出てきておる限りにおいてこれは赤字対策とより考えられない。また事実赤字対策と見られる向きのみがこの中に出ておる。ただ一つ根本的な問題に触れているのは今局長の言われた三十億の国庫補助の点です。しかしながら、それも零細な国庫補助で、どうも赤字でしょうがないからちょっと出してやろうか、こういうふうなものであって、国が責任をとり、国が国民の疾病に対して保障するというふうなところまでのものでありません。従って今出ているところのこの内容というものは、たとえば一昨年には保険料を値上げいたしました。そして今度は標準報酬を引き上げよう、また昨年の御説明によりますと、とにかく赤字が六十億ある、これは百億の赤字を保険料の値上げで三十幾億とった、残った六十億の赤字については、国が三十億持ちますから、被保険者も一つもう一歩持ってもらいたい、療養担当者も犠牲を払ってもらいたい、また雇用者の方も犠牲を払ってもらいたい、みんな持ち寄り、こういうふうな形でもって昨年この案が出されて参りました。そして現在でもこの健保の改正案というものはそのらちを一歩も出ておらない。ただ内容は一部負担の形がちょっといじくられただけ、こういうふうなものが出てきている。だから私がお伺いしていますのは、もっと根本的な形において、現在の疾病保険制度というものを医療保障の一環として——一環なら一つの鎖ですからこれは問題じゃありませんが、先ほど言われたところの一大支柱としての医療保障、そういう意味における健康保険というふうなことを考えるときに、どういう点において一番大きく取り上げなければならない問題を包蔵しているか、そういった根本的な問題について私はお伺いしている。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 岡本委員の前段のお尋ねは、健康保険法の一部改正は最初は赤字補てんが目的であったようじやないか、こういうお尋ねのようでございます。私も、さようであったとこれは否定いたしません。健康保険法の改正の初期においては赤字が中心だった。なぜそれならば政府はその後赤字対策以外のところまで手を打ってきたかということは、これは昨日もお答え申し上げたように、その後当委員会の中から出た、政府は当面する目前の赤字対策だけを考えてやっておるのじゃないか、もっと流れておる一つの考え方を法案の改正に含めたらどうだ、こういうような声に応じて、二十二国会、二十四国会、二十五国会と変ってきた、こういうふうに私は考えておるわけでございます。  そこでもう一つ、健康保険の今度の改正がそれにしても根本的の改正だということには自分は考えない、まだもっと掘り下げた問題があるじやないかというお尋ねのように承わったのでありますが、これは私考えまするに、何といっても五人未満の工場をどうするかということが私は一番大きな問題だと思う。池田大蔵大臣個人の考えをもってすれば、それはもう国民保険でいいじゃないか、自分はそう思っているのだということを言われておりますが、これはあくまでも池田蔵相個人の立場から言われておるのでありまして、私どもといたしましては、もちろんそういう議論もございますが、一体そこまで踏み切るということになりますと、あまりにも問題が大きくなって参ります。これは七人委員会等の答申もございますので、これを健康保険の中で扱うかあるいは独立した立法措置を講じていくか、あるいはまた他の方法をもって国民保険の方へ入れていくか、これはもうしばらく研究したい。それならいつまで君は研究するのかということになろうかと思いますが、何といたしましても石橋内閣といたしましては、今後三十二年度から四カ年計画で国民皆保険を完成しよう——これは完成しましても、国会の皆様方にそれで十分だという御満足を得るだけの内容を持ったものとは考えられないと思います。なぜかといえば、これも先般お答え申し上げたように、今度は一つ全部一応ワクの中に入れてみたい、そして逐次内容を充実していきたい、こういうことを申し上げておるわけでございまして、この五人未満の事業場に対する医療保険の関係が放置できない状態であることは、しばしば滝井さん初めその他の方々の御指摘の通りでございます。私も同感なのであります。なぜそうなるかということは、これは結論を得るにきめかねる、要するに材料不足と申しましょうか、もう少し検討いたしたい。国民の医療保険、これはきのうも滝井委員から画竜点睛を欠いているのではないかと言われましたが、これはほんとうに大きな問題です。これを簡単に踏み切って禍根を残しては困る。もう少し考えたい。言いかえますれば、三十二年度一ぱいぐらい、あるいはその前にきまればけっこうでございますが、早急に一つこれは方向をきめまして、もちろんこれは財政的の裏打ちが伴ってくる問題でございますから、そういう諸般の準備もいたしまして、またどこで扱うか技術的な面もたくさんこれは出て参りますから、そういうものもみんな織り込んで解決いたしたい、こういう考えでございますので、そういう意味で盛れなかった。今日私どもの考えておるそういう点は入らないけれども、その他の点は一応数えた、そこで根本的な改正だということが言えるのではないか、こういう考え方でございます。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 五人未満の被雇用者を社会保険の中に吸収する、そして国民保険を施行されていない地域を全部強制加入きせる、そこで一応国民全体は社会保険の中に吸収できる、なおその段階になっても今の日本の疾病保険制度、医療保険制度にはやはり大きな欠陥があると思うのです。それはどういうことかと申しますと、少くも医療保障という限り、——御承知のように社会保障というものは、これは病気であるとかあるいは貧乏であるとか、失業であるとか、そういうことはその人個人の責任ではない。近代社会というものは、必然的に人間にそういう不幸をもたらすものだ。従ってそういう不幸な境涯に入った人を、社会連帯の責任において、少くも最低の生活を保障し、少くも文化の恩典に浴せしめよう、そういう考え方が社会保障に対する考え方であろうと思う。そこですでに少くも義務教育ということに関する限り、これはもう国家の責任においてやっております。そしてそれも小学校六年制だけでは不十分だということでもって、六・三制というものができて、さらに中学三年までが義務教育になって、少くも近代人としての素養を十分とは言えないまでも備えるようなふりになっておる。それと同じような意味におけるところの疾病に対する保障というものがやはり国の責任においてなされなければならない、社会の責任においてなされなければならない。そういうところに医療保障という言葉が私は生れてきておると思う。ところで現在の日本の社会保険というもの、疾病保険というものは、これは保険主義がとられておる、保険主義でやっておる、こういうことになっておる。保険主義でやるのに、現在では国民を幾つかのグループに分けております。まず私はこれが今では四つのグループに分れておると思います。第一には健康保険、その健康保険の中に二段階ある。それは組合管掌のものと政府管掌のものと二段階に分れておる。そして大企業で非常に恵まれた——恵まれたというと語弊があるかもしれませんが、比較的いい待遇にあるものは、それでもって一括されて組合保険。従ってその経済は裕福なのが相当あります。だからあるいは温泉に寮を作っておって、さあ一つたまには保養にでも行きなさいというふうなこともやっている。私は社会保険の医療保障とか、そういう形に置いては、そういうものが理想であると思います。そういうふうな非常にいい形のもの。それから中小企業を含めたところの政府管掌の健康保険、これは赤字できゅうきゅうしている、そういうグループ。それともう一つは日雇健保、これはもうお前たちは保険のかける能力が少いのだ、保険をかける料金が少いのだから給付内容も悪くてもしょうがない、あきらめよというので、健康保険よりも一段低い段階の医療給付が規定される。それと国民保険。こういうふうな四つの段階があると思います。この四つの段階の中へ現在取り残されておる人たち、三千万の人たちを一つどちらかへ振り入れていこう、こういう構想が今立てられておる政府の方針であるかのように、また医療保障制度に関する勧告もそういう方針を私はとっているかのように思うのです。そういうことになって参りますと、今度は国民保険と健康保険というものの違いは、御承知のように、健康保険の方には事業主負担がある。従ってやや経済的に国民保険より少しましでありますから、療養給付は本人は完全に——一部負担というものが今度はちょっとふえますが、しかしながらまずまず一部負担というものは、これはほとんど本人に関する限りはないわけです。ところが国民保険であると全部半額一部負担になります。五人未満の被用者を健康保険に入れることができないから国民保険へ入れていくというふうな構想でありますと、同じ被用者でありながら、片一方は零細企業で日ごろきゅうきゅうした暮しをしておる、食うに困っておる、そういう人を、同じ被用者でありながら、たまたま零細企業に勤めているがゆえをもってベース・ダウンされて悪い方へ入れられてしまう。これをどうしてベース・アップしていい方へ入れてやるというような努力をなさらないのか。私はそれが理解に苦しむのです。それについて大臣の一つお考えを承わりたいのであります。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 今の社会保険が大体四本立てになっております。船員保険もありますが、岡本委員の分類は大体その通りだと私思っております。そこで私ども各保険がお述べになりましたような事情で厚薄があるといいましょうか、実際において給付の場合、治療上の場合に差のあることは、これはその通りでございまして、そこでこれは一体国民ひとしく同じように受けるべきものであって、そういうことを考えてないかということをおっしゃられるなら、これは考えてはおるのだが、一体それじゃどうするかといえば、まだまだこれは手をつける段階ではないのじゃないか。手をつけた方がほんとうによくなっていくのか、あるいはいい方へ右へならえしていくように今の制度を立てながらやっていく方がいいのか。これは皆保険を完了しながら考えていって、日本の経済力の充実ともにらみ合せていかなければならぬ問題じゃないかと思う。おっしゃることはよくわかるのですが、政府の側に立って、何かこれに対して考えておるかと言われると、これはもちろん考えてはおるのでございますが、早急に打開の方法はないと思う。ただしかしたとえば日雇労務者に対する今の制度に対しましても、政府がなお一つ五割持とうとかいうような方途を今度も予算に計上しております——一割を一割五分に引き上げたわけでございまして、それからいえば五割引き上げたわけですが、一割を一割五分に引き上げたということと、それから疾病手当、これは多年日雇労働者の要望であったのです。私はこれは今年解決いたしたいと思って、ずいぶん折衝したのです。結局疾病手当につきましては、話はいいところまで行った。ただこれをやり抜くだけのいろいろ何といいましょうか、事務的の折衝というか、資料その他やり方の方法で準備が足らなかった。ことしは一つ準備して、これは相当人を入れなければならない、金がかかること自体、人を入れなければならない。来年度三十三年度には一つそれをやろう。こういうことをはっきり大蔵大臣とも約束して、事務当局同士も立ち会わして、ことしは私はおりる。疾病手当の加えることをことしは一つ日雇労働者にがまんしてもらう。一割を一割五分にしたのだから、これはがまんしてもらうが、三十三年度は優先的に計上することをここできめようじゃないかというような工合で、これはやるべきことはやはりやっておるのでございます。それから今の五人未満の問題でございますが、これは実際私も真剣に頭を悩ましております。どうやったらいいか、健康保険の方へ入れてみたくもあり、それよりも一本別に打ち立てて、五人未満の健康保険をはかるとすれば、相当政府の支出を当てにしなければならない。もう一つ困ったことは、政府の支出がほんとうに事業面、被保険者の側にうまく流れていく全額だけですと、これはいいのですが、これは事務費に相当かかるんじゃないかと思うのです。これは五人未満の工場にこれをどうやってやっていくか。事務費のかかることもいとい決せんが、実質的効果を上げる必要があると私は思う。その上げるのにどうやったらいいのか。標準報酬をきめるにしても大へんなことだ。今事態が、おそらく帳簿というものがないといってひとしいのじゃないか、大福帳経営だろうと私は思う。あるいはまた大福帳がある方がまだいいのであって、出来高払いであるとか、あるいはいろいろな労働条件なんかも複雑多岐にわたっておるのだと思うのです。それから経営者だといっても、これは始終かわっているのだろうと思う。労働者も異動すれば経営者もかわる。一体どういうふうに的確に捕捉して、社会保険の目的を達するか、そういった技術面の見通しが実はつかないので困っている。池田君に言わせれば、そういうふうにむずかしいのだから一つ国民保険に入れてしまって、早く解決したらどうか、こういうことを言われておるわけでございまして、親切にこれは医療保障を早くやろうということを、私は端的に池田大蔵大臣は言うていると思う。私ども専門に調べれば調べるほどなかなかむずかしいのでございますが、しかし調べることは結論をつかむことなのでございまして、いつまでも調査々々と言うている段階でもなかろうかと思います。なお一つ急ぎまして、その結論を得次第、できるだけあたたかい気持を持った社会保険をどっちかに一本打ち建てていきたい。この健康保険法の中へぶち込んでも、何か、このためにこうするという政府の腹が明確でない限りは困ると思う。せっかくこっちの方で合理化、健全化をはかっても、もうこれでまたかしげてしまこういうことでは大へんだろうと思う。さればといって、それじゃ一つすぐ国民健康保険の方へ入れてしまう、これはもう市町村もなかなか大へんだろうと思う。まあ、とつおいつ考えておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、そういつまでも考えておる段階でもないと思いますので、これは三十三年度には、何かいたしたい、三十二年度で十分考えまして成案を得ないというのが、今日の厚生省のまとまった意見であるということを申し述べて御了解を得たいと思います。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 そこで、すべての人は一応医療の機会均等がなくちゃならないと思うのでが、健康保険の種類を見ましても、いわゆる医療の給付を受けておる一人当りの、点数を見ましても、本人の場合と家族の場合とには大きな開きがある。やはりそれは一部負担を伴うから開きがあるのです。また政府管掌の保険と、あるいは組合保険の被保険者と、健康保険の被保険者と、それから国民健康保険の被保険者とが受けておる医療の給付の状況を見ましても、やはり国民健康保険は半額の一部負担というものがある限り、どうしてもなには少いわけです。そういうあり方から見ますと、かりに五人未満の被保険者を、ある程度のそういう零細企業で、そして低額の賃金で貧しい暮しをしている人たちを、とにかく一部負担を伴うような保険制度の中に入れる限り、これは保険料かけても一部負担が伴うものだから、どうしても医療を受ける機会が乏しい。ちょっとしたかぜである、あるいはできものである、そうするとすぐ医者にかかるのに対して一部負担がかかるから、ちょっと見合せようかということで二、三日見合している間に大ごとになる、こういうことになるわけです。従ってそういう零細企業で貧しい寡しをしている人ほど一部負担を少くしてやらなければならないと思います。だから社会保障制度審議会の勧告でも、国民健康保険に対して、あるいは家族の医療給付に対しては、七割を負担せよということを強調しております。そしてまた今度の健保のこの改正案が出される前には、あの勧告も出て、大臣もそういうことは十分御承知であろうと思う。ないそでは振れない、そういう御意見ですが、これは熱意の問題だと思います。自民党は医療保障はないそでは振れぬからいいかげんなものにしておくのだ、お茶を濁しておくのだというふうなお考えなら、それはそういうないそでは振れぬからしょうがないじゃないかという論法で、私はやむを得ないと思います。しかしながら自民党も、少くも政策の中には福祉国家の建設ということをうたっておる。そうしてまた国民皆保険、国民をみんな保険の恩典に浴させるのだ、つまり医療保障をちゃんとしまっせ、こういうふうに訴えておられる。そう言う限りにおいてはやはり貧しい者ほど医療制度というものを、一部負担のない、負担の少い保証の中に包んでいくというやり方でなくちゃならぬと思う。将来の国民皆保険という構想の中に七割の給付というものを入れていらっしやるかどうか、そういうことを一つ承わりたい。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 岡本委員のお説は自民党が福祉国家建設のために社会保障の面に大きく踏み切ったと言われているのだから、もっと踏み切ったらいいじゃないか、こういうことだろうと思います。私どもしばしばお答え申し上げてありますように、何といたしましても、社会保障をやって参る段階として医療保障を重視するということが第一義だということはどなたも異議はなかろうと思う。そこで今の社会保障を受けていない三千万の方を対象として四カ年門にこれを完了いたしたい。そこで内容の問題でございますが、内容も今お話しのように、社会保障制度審議会の勧告の線まで持っていこうということについても十分実は考えている。しかしこれはないそでは振れないという、そういう消極的な気分だけでなく、やはり何といいましょうか、いろいろ政府全体としての段階はやはり考えていかなければならぬと思います。限られた国民負担の中から国費全体にこれをあんばいしていくということになりますと、三十二年度としては私は自分でよくとったなどという考えは持っておりませんが、出す方から、あるいは第三者からいえばよくやったという声もあるぐらいでございますから、相当やったのではないか。それからもう一つ方針としてはもちろん七割やる腹でおります。現にやっている市町村もあるわけでございますから、そこまで持っていきたい、国費を投入してそのくらいのことをやりたいということは腹の中に置いて、それならばいつ一つそこまで持っていくかということになろうかと思いますが、私どもはやはりこの四年計画で、最終のときにはそのぐらい、あるいはそれに近い線を——とにかく皆保険を全部やる場合には経済の伸びもにらみ合せなければなりません。今の経済の伸びで参りますれば、それらに近いものが打ち建てられていくのではないか、そういう構想のもとで対策を考え考え、岡本委員の言われたようなことは同感なんでございまして、今後漸を追うてやっていく、こういうことでございます。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 もう時間が参りましたので、これで打ち切たいと思いますが、ただもう一つだけ承わっておきたいと思います。今のお答えはお粗末なもんやけれども、あんばいするさかいちよっと待っててくれ、こういう御意向のように思いますので、それはしょうがない。もう少し大臣のこれからの御努力を大いに期待いたしたいと思うのですが、そこで先日城北医師会で健康保険改悪反対大会をやったのですが、その際あなたの方の中村法務大臣がお見えになってごあいさつされた。そのごあいさつは昨日のあなたの御答弁と百八十度おしり合せになっておりまして、今度改正案を出したのは、これは法律の改正そのものが目的じゃないのだ、三十億使えるようにするだけだ、三十億使えるようにさえなったら、もう法案は通らぬでもいいのだ、こういうことを大会の席上で演説されて、大いにそれがアッピールして満場拍手大かっさい。それがテープ・コーダーにとってある。もしそんなはずはないとおっしゃるなら、ここへでもテープ・コーダーを取り寄せて一つお耳に入れようと思いますが、そうするとお話がちょっと違うのですけれど、これは閣議ではどういうことになっているんですか、その真相を一つ知らしていただきたいと思います。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 この間も中村法務大臣の城北医師会のテープ・コーダーのお尋ねがあったわけでありますが、今も岡本さんから、どうも私が申し上げたことと違うとおっしゃるんでございますから、これは私言論いたしません。私は中村法務大臣から聞いたことをそのままお答えしておるのでございまして、それが違うということになれば、私はそのテープ・コーダーを聞いてはおりませんから、これはここで議論はいたしませんが、閣議でどうかということは、閣議では私が今申し述べておる趣旨で閣議の了解を得まして提案をした、こういうことであることを一つ御了承願いたいと思います。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 そうするとそのときに、あなたの方の法務大臣だから担当は違うものの、法律を出した根本方針というものについては、一応閣議でもって意見の一致がなければならぬはずだと思います。しかもこれは今国会では一番重要な法案なんです。ほかのものはあなたの方はすべて御遠慮なんです。ただ一つこれだけが、国会で論議さるべき今国会の一番重要法案です。その一番重要な法案について、中村さんとあなたのお考えが違う。しかも、もしそういう閣議のなにを承知であって、中村さんがああいうふうなその場の場当りで、ただ大向うをうならせるというふうな無責任な放言をされたとするなら、これは私は中村さんの人格を疑わざるを得ない。こんなことを言うたら失礼だからやめておきますが、少くも一国の大臣ともある者は、これは人格、識見ともにやはりすぐれた人でなくてはならない。いやしくもいいかげんなことを言うて、人をちょろまかすというふうなことでは、これはいかぬと思うのです。やはり責任のある言葉を吐かなければならぬと思います。だからあなたがそういうふうなことをおっしゃると、中村さんの人格が非常に傷つけられるということになるのですが、それでもあえてあなたは、どうもしょうがない、中村が悪いのだ、おれの知ったことじゃない、そのときはでたらめを言うてきたかしらぬが、これはこの通りだというようなことだと、それは大へん中村さんはお気の毒なことになるのですが、われわれはそういうふうに理解してよろしゅうございますか。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 どうも事実問題になりますと、私は片っ方しか聞かないわけでございますから、お答えしかねるのでございますが、しかし閣議におけるいきさつを端的に申し上げますと、この法案は鳩山内閣後の石橋内閣として、引き続いてそのまま御審議願う、こういうことに決定しておりまして、現に御審議を願っているわけでございますから、閣内でそのことについて不統一があろうというよりなことは、実は夢にも想像できないことでございまして、その意味で、これは前回からずっと一貫してお答え申し上げているのでございまして、他のことは私からお答え申し上げない方がよいと思います。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 もうこれ以上は水かけ論になりますが、そういうことであれば一つ中村法務大臣に、今度からあまりでたらめ言わぬでおけと、一言あなたから御忠告をしていただきたいと思います。  なおほかに相当問題を残しておりますが、これはまた次の機会に譲りまして、きょうは一応これで打ち切ります。

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 了承いたしました。  午前中はこの程度にとどめ、午後三時まで休憩いたします。    午前十一時五十六分休憩      ————◇—————    午後三時三十四分開議

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 休憩前に引き続きまして会議を再開いたします。  午前の質疑を続行いたします。大橋武夫君。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 私は、議題となっておりまする健康保険法の改正案につきまして質疑をいたしたいと思います。この問題はもうだいぶ研究し尽した問題でございますので、直接四、五点について御質問いたしたいと存じます。  まずお伺いしたい点は、今回政府が提出せられておりまする法案において、一部負担並びに国庫補助という点が入っておりますが、健康保険法における国庫補助という考え方は今度新しく入った考え方でございます。一体この国庫補助のねらいというものはどこにあるかということを伺いたいわけなのでございます。と申しますのは、元来健康保険も現在の制度といたしましては社会保険という考え方で、一つの保険制度として、保険料をもって保険給付をまかなうという考え方で従来きておったわけでございます。しかるに今度国庫補助という制度が加えられておりますけれども、もちろんその金額が現在の予算においてはまだきわめて少額でありまして、保険制度の本質についてこの程度の金額で根本的な考え方を変更するということは言えないと思うのでございますが、厚生省の当局としてはこの健康保険制度というものを原則的には保険でいくのであるか、あるいは社会保障的な考えをこれに加えて将来逐次一般会計において負担する部分をふやしていこうというお考え方であるか、この点をまずお伺いしたいと存じます。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 大橋委員の御質問にお答えいたします。今度の健保改正に当りまして国庫補助をするという建前をとりましたのは、理念としては社会保障を逐次加えていく、こういう考え方をもって進んできているわけでございます。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 もし社会保障を逐次加えていくという考え方で今度の国旗補助をお考えになったといたしますと、同様の制度はひとり政府管掌の健康保険ばかりでなく、組合の管掌する保険が相当大きな部分を占めておるわけであります。従って政府といたしましては今後健康保険組合についてもやはり国庫補助を制度化していくという考えでございますか。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 そういう考え方を概念的には持って考えております。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 しからば保険経済のどの程度の部分を一般会計において負担することが適当とお考えになっておられるか、すなわち事務費については全額、これは別といたしまして給付費についていかなる割合まで一般会計で負担すべきものと考えておられますか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 これはなかなかむずかしい問題でございまして、国の経済力等ともにらみ合わして考えていかなければならぬ問題であると思いますが私ども当面考えておりまするところは、別に国保に二割という一つの例がございます。これら等をにらみ合わせまして政府管掌におきましては大体一割という程度のことを私どもは今日目標に考えておるわけでございます。それぞれ管掌別によりまして、御指摘の組合管掌と政府管掌とがだいぶ事情が違いますので、それらの実情に即した国の補助割合といいますか、あるいは負担割合といいますか、さような点を将来均衡をとった形に考えていきたい、きょうなつもりでおるわけであります。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 元来健康保険制度が出発いたしました当時においては、これは一つの社会保険として出てきたものでございます。従いまして保険料でもって保険給付をカバーするという、いわゆる保険理論に基いて出てきておるわけです。従って私は今日の保険料率というものの規定もやはり保険理論で計算されてできておるのじゃないかと思うのですが、政府の御計算によると、現在の保険料率というものは給付に要する費用の何パーセントをカバーさせるつもりでこれを計算しておられますか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 保険料で給付をまかなって参るといういわゆる保険理論から申しますれば、先生御指摘の通りでございます。ただ政府管掌のことにつきましては、さような事情がだいぶ変って参りまして、保険料で全部給付費をカバーするということは、政府管掌の実態に即して勘案をいたしました場合にそれが非常に無理がある、こういうふうな観点から私どもといたしましては、ここに国庫補助金の投入ということを考えて参りたい。こういうことで、今回御提案申し上げたようなことに相なったわけでございます。その際にただいまの制度では、今申し上げましたように今御提案、御審議願っておる法律では、はっきりと給付費の幾ら幾らというようなことが定められておりません。予算の定める範囲内においてと、こういうことに相なっております。従いましてその方もきまっておりませんし、また同時にその残りの部分を保険料でまかなっていくということに相なっているわけでございますが、その点につきましても、そちらの方もきまらぬと同時に保険料の料率を——給付費の何割を保険料でカバーをする、その観点から料率は幾らというふうな計算をいたしておらないのでございます。ただ当面の問題といたしましては、御存じのように法律が千分の六十を基準といたしまして、六十五までは上げ得るという建前になっております。それで一昨年に千分の六十五ぎりぎりまで上げたわけでございます。さような経緯等にかんがみまして、ただいまは保険料の料率につきまして、これをさらに上げるということは非常に無理がある、こういう判断に立ちまして、当面は千分の六十五ということを一つの既定事実として考えまして、そして保険財政の収支というものを考えておるわけでございます。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 そうすると今度の予算の考え方というものは、千分の六十五で足りない部分を国庫に肩がわりする、こういう考え方と受け取ってよろしゅうございますか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 さようなこととも申せないのでございまして、千分の六十五というものは、将来下げるとか何とかいうことがあり得たといたしましても、あるいは上げるということがあり得たといたしましても、当面としてはこれを一つの既定事実にする、それから国庫の方といたしましては国庫の財政、いろいろな事情から一応三十億というものがきまった、来年の保険の収入支出の見通し、これらから総合的に保険財政の規模というものが出てくる、これら三つをにらみまして、そこで予備金等のワクもございまするので、その辺で操作をいたしまして来年度の保険財政の見通しを作っておる、こういうことが率直に申し上げて必要であろうかと思います。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 本年度の三十億円の金というものは、要するに保険経済の赤字をカバーするためのつまみ金という程度のものと私は了解しておったんですが、早い話がそうじゃないのですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 大橋先生よく御存じになっておりまするように、前国会で法律案の御審議をいただきましたそのときの三十億というものは、これはあくまでも保険財政の健全化をはかるための金であるということで、別に穴をそれだけ埋める、そこにそれだけ三十一年度として穴があくから、その穴がちょうど三十億になるからその三十億をそこに埋めるんだという考え方ではないのでございます。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 そうすると保険財政の健全化というのはどういうことですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 保険財政を何と申しますか、健全化ということは、平たく申し上げてみれば財政的な基礎を強固にするという意味であろうかと思います。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 それは三十億だけ強固にするという意味ですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 先生の御質問の趣旨を十分私、とりかねるのでございますが、すなわち今までなかった、いわゆる一般会計の方から保険財政に金を繰り入れるということは今まではなかった制度でございます、さような制度を創設して、そこに三十億という金を投入いたしまして保険財政全般を強固にする、こういう意味であろうかと考えております。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 しかし一昨年は十億円入っておったんじゃないですか。そうすると一昨年は十億円だけ財政の健全化をはかったのだし、それから今年は三十億円だけ健全化をはかった、こういう意味じゃないですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 一昨年十億円繰り入れましたことは御指摘の通りでございます。これは御存じのように過去の赤字とあわせて当該年度の赤字等を含めまして、一連の財政措置というものを考えましてそのうちの十億円入れた、しかしこれは臨時応急の措置ということでございまして、今回の三十億とは若干意味が違う、かように考えております。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 そうすると先ほどの局長のお答えでは三十億が保険経済の健全化ということでしたが、それは三十億分だけ健全になるという意味なんでございましょう。つまり三十億円だけ他から資金を入れますからそれだけ健全になる、こういうことで、健全化されたのは三十億円ですね、そうじゃないのでございますか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 大橋先生の御質問にぴたりとしたお答えになりますかどうかわかりませんが、直接の効果というものは三十億円繰り入れられるのでございますから、先生仰せの通り三十億円だけ健全になる。しかしながら私どもの考え方といたしましては、国庫もこれだけの金を投入するという制度を実体法の上に明らかにしていく、それらと関連をいたしましていろいろ他の措置もとっていく、こういうふうなことに二十四国会以来御説明を申し上げておる通りでございますので、間接に財政の健全化ということになりますると他の要素をもあわせ考えていただかなければならぬと思っております。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 そういたしますと、三十億円だけ一般会計から資金を入れたが、その入れた意味は同時に保険経済自体において並行的に健全化の措置を講ずるという条件のもとに入れたのであるから、従ってこの効果は三十億円以上にある、こういうことでありますが、そこで、三十億円というものにつきまして、先ほどこれは社会保障的な意味を加味してあると大臣からお答えがございましたが、一体どういう意味において、どの程度において社会保障的な意味を加味してあるのですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 大へん恐縮でございますが、御質問の御趣旨をはかりかねておりますので、もう少し具体的におっしゃっていただきたいと思います。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 そうすると、また前へ戻りまして、保険経済というものは、原則的には保険収支の理論でいくものであるか、それとも将来においては全額国庫まで行ければ行くのだというようなつもりでやっておられるのか。その根本的な考え方はどちらでございますか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 総括いたしまして保険制度というものは保険料で給付をまかなってくるということで出発をいたしたわけでありますが、今日の段階におきましては、それぞれの保険の性格によりまして、そういう原則というものを通すということはいささかどうであろうか。それかと申して全部国の費用でやるということになりますと、結局税金でやるということでございますが、一つの、何といいますか、国家サービス的なことになって参るわけでございますが、さようなことをも考えておりません。従いまして、大部分と申したらよかろうかと思いますが、それは経済力の発展等によって若干変って参ると思いますが、大部分というものは保険経済自体の負担において行なっていくべきであるけれども、ある程度は一般会計からの援助というものもそれにかみ合せていく。しからばどの程度にかみ合せるかということにつきましては、これは先ほどお答えをいたしましたように、私ども当面は政府管掌の健康保険につきましては一割という考え方をいたしておりますけれども、これは将来、現在保険に加入しておらない人たちが保険の網に入っていくというふうな場合をも考えまして、それらが一応完成のめどがつきましたあかつきにおいて、国がどの程度の責任を分担していくかということは、各管掌別の保険について総合的にこれを勘案いたしまして将来決定いたしたい。かようなつもりでおります。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 一割というのは何か根拠があるのでございますか。あるいは諸外国の立法例等からそういうことをお考えになっておられるのですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 一割というのは、根拠と申しますか、厳密な意味の理論的な根拠というものは、率直に申しましてございません。先ほど申しましたように、現行制度で国保が二割、なお今回、三十二年度では日雇労働者が一割五分というふうな決定をいたしております。それらの問題とにらみ合せ、また当面いたしております保険財政の現状というものとを勘案いたしまして、一応われわれは一割という目標を置いておるのでございます。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 そうしますと、この保険財政が苦しければ二割にも三割にも上げるという、こういう考え方であるかどうか。それとも社会保険の建前上、一割以上の国庫補助というものは当分するつもりはないという考え方ですか。どっちですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 大へんむずかしい御質問でございますが、保険財政が苦しくなったらば一割をすぐ二割にする、あるいは三割にするというふうなことは、私ども当面のところは考えておりません。たとえば三十三年度に、三十二年度が苦しくなったというような場合にこれを今度は二割というふうなことを考えていくというふうには考えておりません。と申しますのは、保険というものにつきましては、先生御指摘のように保険自体で努力をいたすべき点、増収をはかり、あるいは支出の方を節減していくというふうなことも十分いたすべき筋合いのものでございますから、ただ財政が苦しくなったらばそれだけを国庫補助の方に持ってきて、つじつまの合わないところを埋めるというような単純な考え方はいかがかと存じておるわけであります。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 ただいま局長は、当面のところは苦しくなったからといって一割を二割、三割にしようというつもりはないというお答えですが、今私の伺っているのは当面の問題というよりも、あなた方のお考えになっておる思想の根本といいますか、理論といいますか、その理論上からいって、多々ますます弁ずる式の考え方であるのか、それとも一割以上はみだりにすべきでないという考え方であるのか。それを伺いたいと思っておるのです。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 私どもの考え方の根底にありますのは、つじつまの合わないところは、保険料はこれ以上金を出さない、それから受ける便益はこれ以上減ることはいやだ、アンバランスなところはすべて国庫でこれをカバーしていく、こういうふうな考え方もどうもいかがか、それかと申して国庫の方としましては、国庫の都合でどうにでも出すまいと思えば簡単に出さぬでも済むというふうなこともいかがか、従いまして、その中間にある、国はこれだけの責任は分担をしてやる。これは定率である場合もありましょうし、あるいは定額である場合もありましょうが、これだけの線は国として責任を負って、あとは一つ保険自体の運営においてやっていくべきである。こういうふうな線の引き方というものが望ましいと考えております。ところがその線はどこで求めるかということでございますが、これは先ほど来申しておりまするように、わが国の国家財政、あるいは各管掌別保険の実情というふうなものに即して、さような線は彼此勘案をして、一定の線が引かれる、いずれにいたしましてもそういう線を引いてもらいたい。そういうふうな考え方を私どもはいたしておるわけであります。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 そうしますと、これは現在は赤字を出しておるし、三十億から見ると、一割といえば二十億ふやすと一割になりますから、一割くらいはいいだろう、こういう程度でざっと大まかに一割とおっしゃっている以上に、そう理論的な根拠もないような気がするのですが、何かはっきりした根拠がおありになればこの機会にお伺いいたしたいと思います。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 先ほどお答えをいたしましたように、一割でなければならないという突き詰めた理論的な根拠といいますか、数学的な根拠というものは事柄の性格上なかなか求めがたいと思います。いろいろの現在当面いたしておりまする保険財政の状況あるいは国の財政事情あるいは他の保険にとっておりまする現行の制度、そういうふうなものをにらみ合せまして、現在の段階におきましては一割程度が適当であろう、こういう考え方をいたしておるのでございます。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 一割以上は出す意思がないという点はわかりましたが、同時に、非常に保険経済が黒字になってくれば、その場合には、出している三十億もできるだけ出さないようにしようという考え方が並行していかなければおかしいのじゃないかという気がするんです。すなわち苦しいときには一割程度は補助をする、そうなれば楽なときは逆に補助をしない、まさか取り上げるわけにはいきませんが、そういうふうな考え方があり得るんじやないか。かりに厚生省がそういう考え方はとらない、苦しくても楽でも一割は必ず出すべきだということでありますならば、そこに一割は一般会計で負担すべしというはっきりした理論的根拠というものをお作りになっておく必要があるわけです。そういう点についてはどうお考えでございましょうか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 先生御指摘のように、そういう理論的な根拠が求め得るものならば、さようなものを検討いたしておくべきものと私も存じます。ただ今日までのところ、いろいろ国庫負担につきましては、こういう理論的な根拠でこうやったというふうないろいろな御意見が出ておりますが、私どもそれらの理論的な根拠というものも結局は表現の相違とかなんとかいうことでありまして、突き詰めて参りますると、一割というようなことが理論的な根拠があまり明確でないと同じようなことになってしまうように思うのでございます。しかしこれらの点につきましては、御指摘の通り確かにさようなものを求める必要があるわけでございますから、今後検討を続けて参りたい、かように考えております。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 ただいまの局長のお話は正直なところその通りかもしれませんが、すべてこういった国民の租税から上る一般会計から特別会計に繰り入れをするということについては、やはりはっきりした理論的根拠がないとしますならば、そういう漫然たる他会計への繰り入れということをずるずるとやっていくことは不当な経理だということになるだろうと思うのです。そこで今後はずっとこの補助を続けるつもりだとおっしゃるのならば、どうしてもこの際こういう理論的根拠で一般会計が負担すべきものだということをはっきりしておかなければならぬと思うのです。もしそれがはっきりすることができないということであるならば、今は当面赤字対策上ほかに方法がないから一般会計からの繰り入れをしておるけれども、しかし理論的根拠がないものである以上は、赤字が解消した場合においてはもはや繰り入ればやめるんだ、こういうことにならなければおかしい。赤字が解消して、特別会計として一般会計の補助を仰ぐ必要がないにもかかわらず、しかも補助を仰ぐべき理論的根拠がないにもかかわらず、漫然補助金を続けていくということは、これはどうも政府の考え方としてとるべきところではないように思うのでございます。そこで一つ理論的根拠をお示しいただきたいと思うわけであります。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 私がお答えをいたしましたのは、政府管掌に一割というその一割入れなくてはならぬということについて数学的な根拠がなかなか求めがたいという意味でございまして、将来保険財政が楽になった場合にはもう繰り入れなくてもいいじゃないかというふうなことが出てくるという点につきましては、先ほど私がお答えを申し上げましたように、国が諸般の事相から勘案いたしまして、これだけは国で責任を持ってやる、あとは保険財政でまかなっていけ、かりに将来保険財政が楽になって参りますれば、そのときは保険の内部におきまして、あるいは料率を下げるという方法もありましょう、あるいは医師の待遇改善ということもありましょう、あるいはまた給付をより厚くしていくという方法もありましょう、苦しくなったならば、またその逆にいろいろやっていく、そういうふうなことが保険の中でいろいろやっていきなさい、しかしながら国としてはこれだけは責任を持ってやる、それ以上はもう知らない、こういうふうな一定の線を引いてある姿が、私どもといたしましては今日現段階におきまして最も望ましい姿だ、かような考え方をいたしておるわけでございます。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 望ましいということは、私どももそれができればけっこうだと思うのですが、その望ましい姿を将来にわたって持続するには、やはりすべての行政については理論的な根拠というものが必要だ。私は理論的根拠がないからそれでこういうことはよせという意味で言っておるのではない。そういう望ましい姿を維持していくことは厚生省御当局の責任でありまするが、御当局がその責任を果していかれるためにはどうしてもこの問題についての理論的根拠というものをはっきり持っていなければ無理じゃないか、理論的根拠なしに、ただ一たんもらった補助金は返すわけにいかぬというような考え方ではどうも無理じゃないか、こういう意味で質問をいたしたわけでございます。  そこで、ただいまその理論的根拠というのは、国はこれだけは責任を持つのだ、その程度は当然国が一般会計で負担すべきだというお話ですが、これは問いに対して問いをもって答えるようなものなんです。そこで私は重ねてお問いするんですが、一体国はなぜ、どれだけ責任を健康保険については持つべきであるか、その理論的根拠をお伺いしたい、こういうことなんです。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 大へんどうもむずかしい御質問で当惑をいたしておりますが、今日私ども一割ということを政府管掌について望ましい姿として考えておりまするのは、御存じのように、政府管掌というものは中小企業というようなものが主でございまして、さような観点から、今日の政府管掌の被保険者の実情なり、あるいは財政状態なりというふうなものを考え合せまして、国としても税金の一部をそこにきいてこれに投入をしてもらっても十分理由は立つじゃないか、こういうことを私どもは考えているわけであります。しかしそれが三十億でなければならぬ、あるいは一割でなければならぬということにつきましては、先ほど申し上げましたように、私どもとしましては数学的な理論構成ができておりません。これは今後さらに検討を加えて参りたいと考えております。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 今日までの考え方では、社会保険の制度というものは、企業体にとっては明らかに労務費の一部をなしているわけであります。そこでその企業の負担すべき労務費の一部をなぜ一般会計においてさらにその幾分かを肩がわりしなければならぬかということになると、いろいろ問題があろうと思う。今局長の言われた点は、大企業は別として、政府の管掌する社会保険の費用を負担する企業は主として中小企業である。従って中小企業対策としてこの厚生省の社会保険の補助というものをお考えになっている、こういうふうな趣旨に伺いましたが、それでいいわけですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 どうも私の言葉が足りなかったようでございまして、もう少し繰り返して申し上げてみますれば、当面私どもが政府管掌に国の費用を投入するということを考え、またさような予算を出しておりますのは、今申し上げたような事情であります。当面といたしましてはまずここからというつもりでございます。それで社会保険全体に、私が先ほど申し上げましたように一定の国の費用を投じてもらいたいという考え方をわれわれがいたしておりますのは、確かに健康保険というものは、最初の出発は一種の労務対策というような、労働力の保護というふうなことから出発しておりますけれども、しかし今日の世の中におきましては、疾病も本人の責任というよりも、むしろ社会の責任である、こういうふうないわゆる社会保障的な考え方にだんだん移っております。従いまして、さような観点から、しかも疾病の保障というふうな、医療保障というようなことはいろいろやり方もあろうけれども、社会保険という一つのシステムを使ってこれをやっていこうという今日の方針でもございますので、従いまして、大きな社会であります国が税金として国民から吸い上げました金をこれに投じていくということも、今日の段階におきましては十分その意味では理論的な根拠になり得るもの、私どもはかように考えております。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 そうしますと、社会保険に対する政府の補助は病気についての社会全体の責任の一部を国家が果す、こういう意味なんですね。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 私どもはそういう方向でものを考えているわけであります。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 そういう方向でものを考えていくということになりますと、あらゆる医療についてすべて国庫の負担ということを考えていかなければならぬと思うのです。そうなれば、労働者の相当な数を対象としている一般の組合健康保険についても同じように補助を考えていかなければならぬだろうと思う。そうなると、今度の保険法の改正というものはあなた方のお考えになっている趣旨と違った規定になっている、こういわざるを得ないわけですが、いかがでございますか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 私が今申し上げましたような考え方からいたしますと、大橋先生御指摘のようなことに相なると存じます。すなわち組合管掌にも、あるいはその他の共済組合等もございますが、そういうふうなものにも何らかの国庫の援助というものがあってしかるべきであるという方向に相なるかと思うのであります。ただ私が申し述べましたことは、私どもが考えておる考え方でございまして、今日の段階におきましては、必ずしも今申し述べましたような考え方につきましては全部が全部それを了承していただけるという程度までには至っておりません。従いましてただいま御審議を願っておりまする国庫補助の規定につきましてもその姿が条文の上に現われておるわけでございます。そういうふうに全部が全部それを肯定とするいうことには相なっておりません。従いまして私どもといたしましては現状に即して、先ほど申し上げました最も中小企業が集まっておる、その標準報酬が低い、総括的に申してそういうふうなところへまず国の費用を投入していく、それからさらに現在保険に全然加入をしておらない人たちを保険に加入させるというところに国の費用を投入していく、これらのことが一応成り立ちまして将来の姿として、一体他の管掌の保険をどういうふうに考えていくか、あるいは国がどの程度の責任を分担していくべきかというふうなことの決定は将来に譲りたい、こういうふうな段階的な考え方から、とりあえず政府管掌の健康保険に国の援助を仰いでいく、こういうことを考えたわけであります。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 私はこの機会に政府委員の答弁について希望を申し上げたいと思いますが、私は個々の政府委員の個人的見解をこで承わりたいと思って質問しておるのではありません。政府委員の資格において統一ある政府全体の責任においての御答弁を要求しておるわけなんです。ですからそういう意味においてもう一度重ねてお伺いしたいのですが、これは中小企業対策と見るべきものであるのか、それとも一般社会保険についての考え方と見るべきものであるのか、政府はどういう意味においてこの法案を提出されておるのか、一つ大臣と御相談の上でお答えをいただきたいと思います。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 社会保険に対する考え方がそこに現われておるわけでございます。同時にそれは中小企業対策に結果的には政府管掌の場合にはなって参る、さようなことかと私は存じております。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 これは中小企業対策的な意図を持っておるとか、あるいはそういう意味が含まれておるということになりますと、私は中小企業対策としては、政府管掌だけで果して十分かという点が出てくると思うのです。と申しますのは、一般健康保険組合にいたしましてももとより多数の大企業を含んではおりますものの、かなり中小企業的なものがあるわけです。ことに中小企業が集まって一つの協同組合を作り、その協同組合を単位として一つの健康保険組合を作っておるというようなものもあるように聞いておるのでございますが、そうなると、そういうものに対しては当然均衡上、同じような国庫補助というものを厚生省の御当局としてはお考えになる責任があるのじゃないか。もちろん仕事には順序がありますから、一時にやれればけっこうですけれども、しかし今日の予算においては他の面は入っていない。しかし逐次そういった面を拡充していくというお考えは当然なければならぬと思うのですが、その点はいかがでございますか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 御指摘の通り中小企業、むしろ小企業が集まりまして総合組合というものを作っておる姿もあるわけです。それでこれらのものにつきましても、私どもは今回は実現をいたしておりませんけれども、将来の問題として十分考えて参りたい、さような意思を持っており、また努力をいたすつもりであります。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 そこで将来健康保険組合についても、中小企業の労務者を対象としたものについては、国庫補助を考えていこうというお考えはわかりましたが、その場合において、具体的にどういう範囲に補助を行なっていくかということが問題となると思うのですが、これについては私はいろいろ考え方があると思います。というのは、一つの考え方としては、ある企業の規模を押えて、その規模よりも小さな事業の労務者を対象とした組合に対しては、補助をするというような行き方をするか、あるいはまたそこにさらに政府管掌に対する今回の補助金のような赤字対策的意味をも加味して、現実に経営困難なところを部分的に補助していくという考えをとっていくか、あるいはまた賃金が零細であるという点に着眼して、その組合の標準報酬の平均額がある程度以下のものにやるというようなことにしていくか、いろいろ考え方があろうと思うのですが、そういう点については、すでに相当お考えになっておられましょうか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 ただいま先生がおあげになりましたように、いろいろなつかみ方があると思います。私ども今後十分検討して参りたいと思っておりますが、目下のところ、一体どれでいくということ、が政府の意見としてきまってはおらない実情でございます。将来の問題でございますので、主管局長としての意見を申し上げさしていただくことをお許し願えれば、賃金の標準報酬の多寡というふうなものを、やはり一番有力な要素としてものを考えていくべきではあるまいかというふうに、ただいまのところは考えております。将来十分研究をいたして参りたい、さように考えております。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 私は国庫補助の目的あるいは国庫補助の理論的基礎という点について今まで質問をして参ったのですが、私が今の御答弁から受け取った感じによりますと、どうも御当局のこういつた根本的な掘り下げについての御検討は、われわれとしては満足すべき程度に達していないような気がいたします。これは今後社会保険をどうしていくか、ことに社会保険についてはいろいろな問題がございますが、そういった問題を取り扱うに当っては一番大事な点でございますから、一つ今後当局においては、こういつた基本的な問題を十分に掘り下げて、そして厚生省としてのはっきりした理論層作り上げ、その理論によって将来の施策を講じていくというふうにしていただきたいことを希望するわけでございます。  その次にお伺いいたしたいのは、目下医師その他に対する医療費の単価の引き上げについての要望がぼつぼつ出ておりますが、この単価引き上げにつての政府のお見込みはどういうことになっておりますか。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 お答えいたします。今、大橋委員のお尋ねの医師の単価の引き上げの要望の強いことは御指摘の通りでございます。どの程度これを引き上げるかということは、今直ちに結論を持っておりませんが、これは何とかしなければならぬという前提で、事務当局に至急調査をして資料を集めて、その収集した資料で判断いたしたい。しかしこの単価の引き上げということは、やはり何とかしなければならぬだろうということで調査を命じておる段階でございます。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 この単価の引き上げということについての財源は、どういうふうにお考えになっておられますか。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 財源の問題は実は一番苦慮している問題でございます。しかし単価の問題あるいは点数の問題等、これは相当各般にわたるものも調査いたしたいという問題、それから御承知のように暫定措置の問題も税法上にございますので、そういうこともやはりにらみ合せの問題があるだろうと思います。財源の見通しの問題とこれはもちろん関連いたしますが、私どもといたしましては、その前に医師の正当な企業保障といいましょうか、そういう正しいあり方を見たい。要するに広く待遇改善をしたいという意味で十分な調査をしたい、こういう意図をもって今やらしております。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 具体的な財源についてのお見込みを伺いたいのでございます。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 医師の待遇改善ということについては何とか考慮すべきであるから、それの具体的な調査をいたすようにというふうな御命令を大臣から受けております。私どもといたしましては、目下国会中で法律改正の問題に取っ組んでおりますので、そちらの方に精力を傾倒することがいたしかねておりますけれども、これは早急に私どもといたしましても取り組んでみたい、かように考えておるわけでございます。単価の引き上げをいたしますと、御存じのように、かりに一円あげたといたしましても、相当大きな響きのようであります。なお片一方におきましては、単価は、現在のようなことでなく、たとえば十円とか二十円とか、あるいは一円とかいうふうに、むしろまるくしてものを考えた方が事務的にも非常に便利だという御意見もあります。それらの点をもいろいろ考慮いたしまして、私どもといたしましては、単価の形に相なりまするか、あるいはまた他の方法に相なりまするか、いずれにしろ待遇改善という問題について何らかの措置を講じたいということで研究をいたしておるわけでございます。しからばその財源は具体的にどうかという仰せでございますが、これはどの程度の財源を必要とするか、たとえば政府管掌でどの程度、あるいは他の部面でどの程度ということがそれぞれ出て参ると思います。それらのものは一応やり方を考えて、その金額を大体の見通しをつけましてから、一つ財源のことにつきましてもいろいろと考究いたして参りたい、かようなつもりで、今直ちに財源はこうであるとふうなことには相なっておりません。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 いろいろ伺いたいこともございますが、順を追うて伺いたいと思います。  医師の報酬については何とかしなくちゃいかぬ、こういう御当局のお考えのようです。どういう点をどういうふうに考えなきゃいけないということなんですか。その点をもっと具体的に、たとえば点数を何割引き上げなきゃいけないとか、そういうのがなければ、何とかしなければならぬという結論が出るはずはない。何とかしなきゃならぬというのは、こういうふうにすべきだという一つの姿を心に描いて、それを現状と比較して隔たりがあればこそ、その心に描いた姿に現状を近づけようとするから、何とかしなきゃならぬという結論が出たのだと思うのです。そこであなたのお考えになっておられる、何とかしなきゃならぬというその心に描いておられる状想は、一体どういう状態ですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 従来のいろいろな制度といいますか、きまり方、きめ方というようなものにとらわれないで、一つ思い切っていろんな案を考えてみろ、こういうふうな大臣の御命令を受けておりますので私どもといたしましては、いろいろ方法があろうかと思いますが、今どういう方法でやるということを申し上げる段階にまだ至っておりません。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 私は具体的な方法を伺いたいというのではなくて、まず報酬を引き上げる、単価を引き上げるということになりますと、医者に対する待遇改善ですから、いわゆる医療費がふえてくる。そうするとどの程度までふやすつもりですか。今日医療費が幾らであって、それをどの程度までふやそうというお考えなのですか、そのことを伺いたい。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 一割ふやそうとか二割ふやそうとかさような考え方はまだ固まっておりません。ただ私ども今考えておりますることは、単価ということで表現されておりまするものの中には、あるいは医療費の中には、物に関係する部分と技術料に関係する部分とあるわけです。それらの点を十分区別をいたしまして、技術料という方に重点を匿いてものを考えて参りたい、かような基本的な方向を考えておる次第でございます。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 お伺いいたしますが、来年度予算においては医療費は幾らになっておるのですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 御質問の点は、政府管掌の健康保険についての御質問と拝承いたしまして、四百七十四億ということになっております。これは法律を改正いたしました後の医療費の見込みであります。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 その四百七十四億を一体どのくらいにしようというお考えなんですか。あるいはそれとも政府管掌の方は変えずにおいて、ほかの方の単価だけを変えようというお考えなんですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 政府管掌だけはそういうことをしないで単価というふうにしぼって御質問でございますが、私どもは先ほど申し上げましたように、単価という形でやるということではございませんので、それは決定しておるわけではございませんので、いわゆる医師の待遇改善ということを考える際に、政府管掌だけは別にしてやるということは、これはできないと存じます。それは当然政府管掌も一本でものを考えなければならぬ。しからばその政府管掌の中で四百七十四億をどの程度にふくらますような結果になる改善を考えておるかという御質問でございますが、これは先ほどお答えいたしましたように、まだ私どもは物事を調査研究の段階でございまして、そこまでの金額を申し上げる京での結論に至っておりません。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 そうすると、調査の結果あるいは四百七十四億が多過ぎるというので減る場合があるかもしれませんが、しかしそうでなくて、あなた方はこれは少な過ぎるから幾らかふやさなければならぬというふうなお考えのもとに、御調査をなすっておられるのだと思う。それならば一体なぜふやさなければならないか、ふやさなければならぬ理由についてどの程度の御認識を持っておられるか、それから伺いましょう。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 これを減らそうという方向ではものを考えてはおりません。それからこれをふやさなければならぬ、すなわち言葉をかえて言いますと、医師の待遇改善をしなければならぬということについての分析でございますが、これは大橋先生も御存じのように、特別な審議会を設けていろいろやっておるわけでございますが、なかなかむずかしい問題でありまして、今日までその審議会の結論が出ておらないことも御存じの通りでございます。それほどめんどうな問題でございまして、簡単にかくかくのことでかくかくだけ上げなければならないという結論は、とてもただいま申し上げる段階ではございませんけれども、私どもといたしましては大臣の御方針もあるのでございまして、かような審議会の御結論が早く出てくればこれにこしたことはございませんが出てこなくても、並行的に事務当局としてこれに取っ組みたい、かような考え方をいたしておるわけでございます。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 私は特にお伺いしたいのは、今のような審議会がああいう審議の状況で、いつまでたったっておそらく結論は出ないのじゃないかということを実は心配しておる。それは一体政府の方でどの程度まで上げるべきだというある程度の見当があって、その程度まで上げるならば、その方法としては単価はこうとか、点数はこうとか、こういうことの調査なら、あの審議会でけっこうやれると思う。しかし元がなくして、一体上げるべきか、上げるべからざるかということをも含めてあの審議会にかけておったならば、これは審議会の結論が出るときにはお医者はみんな参ってしまう、こういうことを心配いたしておるわけです。従って厚生省としてはやはりある程度は上げるつもりでいらっしやるのでしょうが、一体その上げる財源についてどういうお考えを持っておられるでしょうか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 先ほどお答えをいたしましたように、どの程度の財源を要するという大体の見当がつきましてからその財源の措置は考えたい、かように思っておる次第でございます。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 それじゃどの程度の上げ方をするのですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 それはただいま検討中でございます。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 それではこれだけはわかっているでしょうね、今の点数単価じゃ医者に気の毒だということはわかっているのですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 いろいろな資料が実は私どもの方にもあるわけでございます。たとえば二十六年当時の稼働点数と、今日のあの資料ではたしか三十年の三月を押えての比較だったと思いますが、稼働点数の伸び、あるいは物価、賃金水準の上り方というふうなものと勘案いたしまして、現在の単価が妥当であるかどうかというふうな資料、あるいはまた基金の方で支払いをいたしまするのが個人経営の診療所については過去において平均幾らになっておったか、今日は幾らになっているとかいうような資料を実はとっておる。これらの資料からいたしますと、平たく申せば、当時よりはむしろ医師の収入はふえておるという一応の結論に、資料としましてはなっておるわけであります。しかしそのためには医師の稼働時間というものも変っておるはずです。それらの辺をもいろいろ勘案いたしまする際には、これは事務当局の判断といたしましてというよりは、むしろ大臣の御方針としまして、これでは現状のまま放置できないというふうな大臣の御方針でございますので、私どももその御方針に従って調査を進めておるわけでございます。厳密に事務的な意味で、これこれこういう資料でもってこれだけ上げなければならぬというふうな理論的な検討というものは、先ほど仰せになりましたように、審議会が過去において相当長い間御審議をいただいておるわけでございます。まだ結論が出て参らないほどむつかしい問題です。私ども事務当局といたしましても、さような資料を目下のところはまだ持ち合せておらないわけでございます。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 そうすると厚生当局の大体の気持としては、医師の報酬はふやさなければいかぬ。根拠を言えといわれると困るけれども、結論としてはそういう気持でおるというふうに承わっていいと思いますが、そこで一体それではなぜ健康保険の報酬というものが、そういう医者を不当に苦しめなければならぬような状況になってきたか、その原因について御説明をいただきたいと思います。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 事務当局といたしましても、ただいま大橋先生が仰せのような気持を持っておりますことは事実でございます。しからばなぜそういうふうなことになってきたかということは、これはいろいろ錯綜した事情があったと思いますけれども、一つには過去の保険の運営の仕方におきまして、簡単に申し上げてみますれば、財政に余裕ができたときには給付の改善というものを相当やって参っております。これは二年から三年に療養給付期間を延ばしたというふうな性格のものでございますが、いま一つは医学、薬学の進歩発達のためにどうしても金がかかる。それに即応していくためには金がかかるという部面からさような進歩発達に即応するような措置をとりましたために、金もそちらの方に投入せられたということが過去において相当行われまして、従って財源の上から申して医師の待遇の改善という方面になかなか金が回らなかったのではないか、さようなことも大きな理由に相なっておるかと思います。また全然観点を変えて考えます際には、これはいろいろな問題に関係があるわけでございますが、保険医の数も年々ふえて参っております。私の記憶では、たしか三千人近く毎年ふえているのではないかと思います。それがしかもわが国の全域にわたって平均的にふえてくるというのでなく、都市に比較的に集中いたしましてふえて参っておる、さような点も確かに関係のある点であろうと思います。そのほかいろいろ事情はあるかと思いますが、私がただいま気のつきました点はさような点にあるのじゃなかろうか、かように考えます。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 給与の改善とかあるいは医学、薬学の進歩に伴って新しい療法をやっていくという場合には、それに即応して従来保険料の引き上げもやってきておられると思うのですけれども、その点はいかがですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 私一々詳しくは存じておりませんが、過去の例を見ますと、必ずしもさように参っておらないと思います。その辺に保険運営のやり方についての御批判も出てくるかと思いますけれども、必ずしもさようになっておらないと私は承知をいたしております。

大橋武夫自由民主党

○大橋(武)委員 そこでこれは次会までに御調査をいただきたいと思うのですけれども、どうも私の受けております応じでは、財政上の余裕のあるときに、給付の内容を拡充していることがしばしばあるし、また医学、薬学の進歩も直ちに保険給付に取り入れておるということがあるわけです。大体今まで保険という建前でやってきたのですから、こういう新しく給付が増加する場合においては当然保険料率が引き上げられなければできないわけです。その保険料率の引き上げが行われないといたしますならば、それは当然医者の待遇の切り下げとなっていくわけなんです。そこで厚生省としてこういつた保険の内容を改善することによって医師の待遇の切り下げに結果した部分がどの程度あるか、これを一つあしたまでに御研究の上お調べいただきたいと思います。これだけは調べていただかぬと、果して単価が適正かどうかということは言われぬと思う。もっともこれを調べたところで、それは終戦前なら終戦前の一定の時期における単価を適正と仮定した場合に、それがこの保険の給付の充実によってどの程度相対的に切り下げられたかということを示すだけのものなんですけれども、しかしそれにしても、非常にこれは参考になりますし、またどうしてもなければならぬ一つの御調査だと思いますので、あしたまでにできなければもう少し延ばしても仕方がありませんが、ぜひ御調査をお願いしたいと思います。  それから、私の質問はまだありますが、保留いたしまして、ちょうど関連質問があるそうでございますから、大石さんから……。

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 保留、了承いたしました。大石委員。

大石武一自由民主党

○大石委員 ただいま大橋委員から、一点単価の問題についていろいろと御質問がありまして、大体了承したのでありますけれども、ただ一点だけ、もう一ぺん厚生大臣のお考えをお聞きしたいと思います。先ほど大臣は、医師会の方から単価の改正をしたらよかろうという要諦が非常に多いということを知っておる、自分としても待遇改善、つまり単価を上げることが中心と思いますが、待遇改善をいたしたいという気持があるというお話でございました。これは単に医師会の要請だけによってでございましょうか。あるいは、ばく然としたお考えかもわかりませんが、とにかくそろそろ単価をあげなければならぬような社会的、経済的な情勢であるというお考えなのか、どちらのお考えであるのかお聞きしたいと思います。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 その両方からの強い要請と考えております。

大石武一自由民主党

○大石委員 それではまことにけっこうでございます。そうすると大臣のお考えとしては、三十二年度に単価の改正をやりたいという強い御意思がございましょうか。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 私の考えといたしましては、そういう考えのもとで調査を命じておりますが、しかしこれは何といいますか、単価をしぼってやるということは、今大橋さんの言われるように、財源の裏づけの問題もあるし、また立法的な問題も出て参ります。私はその障害を十分承知して、そこまで一つ踏み切ってやろうという決意なんです。だからいろいろ議論にもなっていますし、先般たしか滝井委員からも質問がありました。また一部質問にお答えいたしました問題ですが、お医者さんの患者に対する処置と申しましょうか、施療につきまして、今のやり方だけで一体いいかどうかということも、私は非常に意見を持つわけであります。疑問というよりも進んだ議論を持っております。たとえば法律できめたものしか投薬できない、処置できない。そういうことによって患者の回復をおくらせている。今日非常なスピード化した時代なんだから、新薬ができて、それを使用して、その方が効果があるというんなら、速戦即決、これはどんどんやるべきものじゃないかと思います。もちろん医者の方から強制すべき問題じゃないけれども、こういった非常な科学技術の急激な進歩の時代を前提としない法律のきめ方が惰性でもってきていることそれ自体が、私はおかしいんぢゃないかと思います。よく差額徴収の問題が言われるのでありますが、患者側に立った場合、一体そういうものを押えておった方がいいのか、やらせた方がいいのかということ。これは従来の健康保険の扱い方においてはやらないことになっておるが、今日ではそれを乗り切る時代なんじゃないかという考え方を持っております。そういうすべてのことを含めて、どっちがいいのか。国民の医療保障をやって、国内から病人というものをできるだけ少くしよう。早く治癒させようという前提に立って、しかも時間的に経済的に一つやってみたらどうかという考えで、その一切を事務当局に、資料を集めて、幾つか案を出してみないか。そしてその成案を得ましたら、いろいろそれを党にも相談しなければならぬし、識者にも聞かなければならぬし、閣議にも諮らなければならぬことでございまするが、そういうことのすべてにわたって調査をして、その結論を得て、結論が出たらこれを一つ実施をする。もちろんこれは議会がなくなって立法行為をしなければならぬというなら話は別でございますが、とにかくこういう意図で私はやって参りたい。単価を押えているから税金の方で考慮するんだ、こういうやり方は乱暴だと思うんです。たとえば大石さんもその方の出ですから私が申し上げるまでもないと思いますが、税の場合に何でもかんでも七二%引くというようなことは、これは理論的に説明できないと思うのですよ。いかなる場合でも企業の単位というものがある。単位以下のものも以上のものも、一律に経費を平均で引いていくというようなことは、今日の社会情勢からいって、それは窮余の策であって、私は長くやるべきものじゃないと思う。医者を一つの企業体であると認めるなら、これはやはり健全企業として国も育成していくことが必要だと思う。しかも技術水準を高めてもらうということなら、その技術というものは相当に評価すべきものだと思う。いかにして国民の病気というものを追放しようか、安心して早くなおそうかということが、私は建前だと思う。国費であるからゆっくりゆっくり安くやっていくんだというようなことは、私は今日の社会情勢において最も愚だと思います。そういう観点に立って、一つ抜本的なことを考えてみようじゃないか、そういう意味でやろう。その障害となるもしのがあれば、皆さんの御審議を経て改めていきたい、こういう考えのもとでやっております。しかし今の健康保険法の改正が先なものですから、この方が先になってあとのものは手が出ないというのが実情であります。しかしそれだからといって、それをほっておいてこれをやっているという意味ではないのであります。

大石武一自由民主党

○大石委員 ただいまの大臣の大部分の御意見、非常にけっこうでございます。ぜひそのお心がまえでこの単価問題を三十二年度には解決していただきたいと思います。ただし抜本的な問題の解決はまことにけっこうでありますが、しかし非常に解決のむずかしい問題だと思います。根本的、抜本的な解決はなかなかできないと思いますが、少くとも現在障害となっております単価の改正あるいは基本的な問題も困難もありましょうから、そういうものだけは少くとも解決されるように、ぜひとも三十二年度に着手されるように心からお願いいたします。

中山マサ自由民主党

○中山(マ)委員 それに関連して、今二十六年度くらいにきめられたものが、今日いろいろ経済状態も変化しておりますのに一向変らないということがお医者様の側の大へんな不平だということを私は聞いておりますが、そういうことを厚生省としてはちゃんとわかっていらっしやるから、何かお医者様の側に不正があるというような考え方を起して、立ち入りでいろいろなものを調べていくというようなこともお考えになるのじやないでございましょうか。そういう点は関連性があるでしょうか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 単価の問題と監査の問題とは全然関連はないのでございます。監査をいたします際には、当該官庁が好きこのんで、そこいらへのこのこ行って、勝手に見るということではないのでございます。これは今の監査要綱で、かくかくの場合にかくかくの手続で監査をするというふうなことになっておりまして、それらには医師会に十分御連絡をし、これとこれとこれとをやる、しかもその方法はどうだ、お立ち会いを願いたいということで御連絡をいたしまして、それをやる理由はこうだというようなことで、十分話し合いをしてやることになっております。今先生の仰せになりました単価、経費というふうな問題と、それから医師の監査といいますか検査といいますか、そういうふうな問題とは何ら関連のない問題であると考えます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 私はいずれ一般質問でゆっくりしたいと思いますが、今大橋先生から非常に重要な点を指摘されましたので、みんなの記憶の新たなときに聞いておきたいと思うのですが、それは三十億の金の性格です。これは三十一年度、いわゆる今年度の三十億と来年度の三十億とは性格が同じものなのかどうかということです。大橋先生もわれわれは三十億というのは赤字カバーのつまみ金——つかみ金というんですか、つかみ金だと思ったとこう言った。あなたの方は、いえそうじゃありません、三十億は赤字の穴埋めのものではないのだ、これはあくまで財政健全化のためのもので、財政の基磯を強化するものだとおっしゃった。これは大臣どうですか。三十一年度と来年度の三十億というのは同じですか、今のようなものですか。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 お答えいたします。三十一年の予算の組まれた趣旨と三十二年の性格は大体同じ考えをお持ちになっていただいていいと思いますが、三十一年のときに私は直接関係しなかったものですから、これは聞いたことを申し上げておるわけでございますが、三十二年度の予算の折衝においては私と大蔵大臣との話し合いでは、健保の問題はいろいろあるようで、この三十億だけでいいかどうか、要求は多いが、とりあえず三十億でがまんしてくれないか、法律改正が通ったあとで一つ相談しようじゃないかということが結論になったんです。そのときに私が今の医師の待遇改善の問題も話を出しまして、今大橋さんが言われたように、これは予算の関係も出てくる問題なんです。しかしこれが一体どう出るかは、当時予算編成のときには——今でもこれはお答えできるような材料がまとまっておりませんが、そういう問題もからんでおるのだ。そこでこれは健康保険の財政確立しいうことだけではない。この三十億という金は、去年も三十億ことしも三十億といっても、去年の出たいきさつは私はよくわからないが、ことしは一応この改正法案とにらみ合せて根本的な医師の待遇改善のこともこれはもう当然だ。そこで税法の問題もこちらがきめる。それから今の一点単価とその他待遇改善の方を具体案ができるまで、ちょうど期限切れになっておったのでございますが、この方も延期してもらいたいのだ。やはりこれは通ったあとで一つ十分成案を得て折衝しようじゃないか、こういう打合せになっておりまして、三十億というものはこれからずっと出すのだというふうには私は考えていない。むしろ三十二年度以降はもっと出してもらうんだ、こういう話合いで、向うもやってみなければわからぬけれども、その気持はわかる。税法の方は医師の待遇改善の案が出てこないのだから、こっちの便法を延長することにしよう、そっちが出たときに一つ考えようか、こういう見合いの話し合いになっておるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 三十一年度の三十億とたまたま額は同じなんですが、三十二年度の三十億は同じかどうかということです。今大橋さんの質問はおそらく三十一年度と三十二年度を一本のものに考えて、これはおそらく三十億というものはつかみ金だろう、こういう質問だったと私は理解したのです。ところがあなたの方はいやそうじゃありません、それは財政健全化のためのものだとこうおっしゃったから、私はもっとわかりやすく分けてみた。三十一年度と大臣がおとりになった三十二年度の三十億は性格が同じものかどうかということなんです。これはきわめて重要なところなんですよ。というのはあなた方は三十一年度の三十億は取れていないんだから、健康保険の改正の基礎に、やはりこれにきわめて重大な関連を持っているものは三十一年度の三十億と同じなんです。七十条の三から出る点においてこれは同じなんです。だからそれが同じかどうかということですよ。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 私は内容を具体的に申し上げたので、あるいは簡単にお答え申し上げた方がよかったかもしれませんが、性質は同じだと考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 会計課長からもはっきり説明を求めたいと思う。社会保険国庫負担、予算妻の十九ページをごらんになると、三十二年度の三十億は健康保険給付費財源繰入れです。ところが三十一年度のものは健康保険再建資金繰入れです。違うのです。だからこれは厚生保険特別会計という袋の中に入っていく。その場合に一般会計の受入金という袋は同じ、入っていく袋は同じだけれども出す目的が違う。この前私はここに大蔵省の主計局の次長を呼んでるるこの点についての論争をやったときに、あなた方は一緒だ一緒だと言っておったが、予算書の結果違ってきた。私の言う通りになった。三十一年度の三十億は財政再建のための金だということを私はるる言うたが、あなた方はそれをそうじゃない、そうじゃないと言ってきた。初めは大蔵大臣はそう言った。私に予算委員会においても言ったし、予算の説明書にもそう書いておった。ところが参議院に行ってそれをわれわれに無断で書きかえた。そうしてこれは予算書は未定稿でございますといって書きかえた。ところがいよいよ今年度になってみたところが、書きかえておったけれども証拠が現われてきた。ことしの三十億と来年度の三十億は違うのです。違うものが同じ健康保険法という基本法の七十条の三から出ていっている。これは一体どういうことか。だから健康保険法の七十条の三のほかに、もう一つ法律をつけなければならぬ。(「それはうらはらのことじゃないか」と呼ぶ者あり)いや違うんです、項目が違う。だからこれは入れる金が違う。どうしてそれは違うかというと、それは皆さんも高田さん見てもらわなければならぬ。今まで十億入れたときは基本法というものがなくて十億入れてしまった。どこで入れたかというと厚生保険特別会計だけで入れてしまった。そこで私なんかは去年あの法律が書かれたときに二十四国会で、これは厚生保険特別会計だけでとれるという主張をしたけれども、あなた方はがんとして、それはとれないと言った。そこで私たちは一応下って、とれなければ、昨日も私が大臣に御忠告を申し上げたように厚生保険特別会計だけの修正で一つ今度はとりましょう、その厚生保険特別会計の修正は十億をとったと同じような方法で、健康保険の改正をやらず、あれの改正だけちょっと一行加えればいいのだ、こういう主張を実はしておった。ところがここには明らかに二つの項目で出てくるというならば、法律においても別個でなければならぬ。なるほど補助であるという点においては同じです。しかし目的が違う。目的が違えば根拠法がなければだめでありますということは、もう大蔵省にもあなた方にも一時間二時間にわたって声を大きくして言ったけれどもがんとしてきかなかった。ところが予算書を見ると——しかも合計課長は特に去年ここで説明た。速記録を見たらわかる。三十一年度のものとはことしは違っております。こういうことでちょっと違えてきている。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田(正)政府委員 説明の文句は違っておりますが、別に性格が違つておるわけではございません。本年度の説明の仕方は受入金となっておりますか繰入金となっておりますか、本年度の説明の仕方が受入金とか繰入金というふうになっていても、出す金の目的なり何なりは、本年度のものは説明の書き方が違うというだけで……。(「よく考えてあした説明したらいい」と呼ぶ者あり)それでは明日調べまして、御答弁をいたしたいと存じます。

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 高瀬委員。

高瀬傳自由民主党

○高瀬委員 大へん時間もおくれましたが、大臣に一つ伺いたい。それは健康保険の赤字の問題について、私はしろうとながら問題点が一つあると思うのです。それは、赤字の原因はいろいろありましょうけれども、少くとも、日本に非常にたくさんの患者のおる結核ですね、この結核に対する対策をはっきりしてかからなければ、いつまでたっても健康保険は赤字ではないか。従って結核対策について神田厚生大臣はどういうふうに考え、あるいはこの赤字の処理について、結核対策を盛り込んで解決する方が妥当であると思うのですが、その根本的なお考え方を一つ伺っておきたい、かように思うわけであります。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 ただいまの御質問でございますが、これはいろいろ議論がある問題でございますが、ただいまとしては現行のままでいく、こういうことになっております。

高瀬傳自由民主党

○高瀬委員 それでは、これについて急速に具体的な何かの施策をやられる御意思はございませんか。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 御承知のように、今なっておられる方々の回復をはかるということは、これはどの程度スピードを上げるかということになりますので、最近アメリカで新薬の非常にいいものができたということも出ておりますが、私どもといたしましては、むしろ今後なる者を一つ押えていきたい、早期診断、早期治療、こういうことを強力に推し進めることによって、結核医療費というものが逐次激減していく、こういう考えでおるのでございます。

高瀬傳自由民主党

○高瀬委員 私の見解としては、健康保険の赤字解消というためには、やはり根本的にこの結核対策を——今の中に結核患者を入れて健康保険の運用をするということ自体が相当問題であろうと私は考えておるわけです。従つてこの問題について、いずれもう少し研究しましてから御意見を伺いたいと思います。このことを申し上げて一応本日はこれで打ち切ります。

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 次会は明二十日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十四分散会

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