社会労働委員会 第6号
- 発言数
- 123 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/02/15
会議録
○藤本委員長 これより会議を開きます。 社会保障制度、医療、公衆衛生、婦人・児童福祉及び人口問題に関する件について調査を進めます。発言の通告がありますので、順次これを許します。小鳥徹三君。
○小島委員 私は最近ちょっと海外の方に旅行して参りまするので、私が過去数年間委員として取り扱って参りました健康保険が今国会におきましても非常に大きな問題になると思いまするので、一、二の点について海外行きに先立ちまして自分の考えを述べて、かたがた厚生省の御意見も承わっておきたいと思います。 私が一番お聞きしたいと思いまする第一点は、御承知のように、この健康保険法の改正が問題になりましたのは、確かに赤字も起きておったということが言われますることも原因であったと思いまするけれども、最近経済情勢がだんだんよくなってきて、医療保険の面におきましてもだいぶん赤字が減ってくるという状態になっておりまするために、もはやこの法の改正について問題になっておりまするところの一部負担というようなことは、もうしなくてもよいのじゃないかという意見が相当出ておるようであります。しかしほんとうにこの法がただ単なる一時的な赤字対策のために出されたものであるかどうかということについては、私はそうは考えておらないのでありまするけれども、よくそういうことが議論になって参りまするので、一つこの点について厚生省の意見を開いておきたいと思うのであります。ことに最近の新聞を見ますると、ある閣僚が、これは赤字対策であったからして、もう赤字がなくなった今日においてはこの健康保険法の改正はやめてもよいというようなことを言ったということが新聞に伝わっておりまするので、一体そういうことなのかどうか、私はそうは考えておらないのでありまして、今後の医療保険のあり方について根本的な整備並びに完成をするという目的のために出されたものであると思うのでありまするが、その点における厚生省の御意見を一つ承おっておきたいと思うのであります。
○神田国務大臣 健康保険財政に政府が三十二億計上した、これが法改正の一部になっておるわけでございまするが、最近経済界の活況に伴いまして、健康保険財政も好転しておることは事実でございますので、もしそういうような事態とするならば、財政援助は必要じゃないという議論が出ておる。一体政府はそれはどういうような意味で計上しておるのかというのが第一点と考えておりますが、政府といたしましては、政府管掌健康保険の現実の姿でございます中小企業を対象として、そして医療保障を行うということで参った健康保険が、いろいろ事情がございましたでしょうが、医療の進歩等も加えられまして、近年いろいろな理由で赤字になってきた。そこで赤字の補てんをということも一つの理由でございましたが、そうでなく、もっと積極的な意味で政府管掌健康保険の質的向上をはかっていこう、そのためには政府が一定額健康保険財政に寄与していこう、これが考え方でございまして、よくなったからといっても、将来どんなによくなるか、これは遠い将来の問題はにわかに予断を許しませんが、私ども厚生省といたしまして、いわゆる政府といたしましては、この制度をしきまして、これは長く続く、こういうふうに考えておりまして、一時的な財政補助というようなことには考えておらないのであります。 それから第二の、この健康保険法の一部改正をめぐって政府部内に意見の対立があるやのお尋ねでございましたが、さようなことは断じてないということを率直に申し上げまして、御了解願いたいと思います。
○小島委員 今の大臣のお話を承わりますと、御承知のように、この健康保険法の改正というものはすでに一昨年に提出されておりまして、その後多少修正された点もございますけれども、大体において根本趣旨というものはその当時から変っておらないと思うのであります。ところが、先ほど申しました通りに、その後における経済情勢並びにひいては保険の財政におきましても非常に裕福になってきているというようなことがございましても、この法の趣旨というものは今後再び改正するというようなことはないのかどうかをお聞きしておきます。
○神田国務大臣 健康保険の政府管掌また組合管掌なり、あるいは船員保険等全部一結くたとしての国民皆保険完遂後と申しましょうか、そのちょっと前と申しましょうか、これは皆保険がずっと進んで参りますと、全体的にはいろいろまた考究しなければならない問題があるかと私は思っております。しかし当面の政府管掌の健康保険法の改正は、私どもただいまの考え方としては、一応健康保険法の全体から見て考慮した改正案が通りますれば、これで当分の間改正するという考えは持っておりません。
○小島委員 私がお尋ねしましたもう一つの理由は、実は二重指定の問題でございますとか、支払い集金の審査の問題でありますとか、こういう問題につきましては、その当時多少乱診乱療が行われているとかいうような非難がございまして、それも一応十分な検査をする必要があるというような意味も含まれてこういう規定ができている、私はかように考えておったのでありまして、世間でもそういうふうに考えている人があると思うのであります。ことに医者、医療を担当する方面におきましては、こういう規定は一種の官僚統制になって自分たちを圧迫するものであるというふうな非常な誤解もあると思いますので、一体そういう問題について厚生省としてはどう考えておられるか。この規定というものは果して官僚統制の目的を持っているものかどうか、そうでないのか、あるいは今後の成り行きいかんによってはこういう制度も改正しようというお考えがあるのかどうかということを聞いておきます。
○神田国務大臣 この一部改正案は、これはただいま御指摘もある通り非常に練りに練って作ったものでございますし、また作るに当りましても、決して官僚独善だけでやったというふうには私ども考えておりません。責任のある医師会の方とも十分の話をしたいというふうにも聞いておりますし、また与党と十分な打ち合せをして、そして成案を得た、こういうふうに私承知しております。そこで、なおそれならば今日非常な医師の反対があるではないかということに相なるのでございますが、これには私いろいろ事情があろうかと思うのであります。今御指摘になりましたように、この法案がどういうふうにできたかということのいきさつも十分納得いくようにそれが説明されておられないということも問題でありますが、それからまたこの法案が通ります際に、私どもは運用の面で今非難されているようなことは大部分解決されるのだという考えを持っております。そういうようなことがこちら側からあまり手を打っておらないので、医師側においてはそういうことはお考えにならずに、ただしゃにむに官僚行政として押しつけてくるのではないかということに対する不安ではないか、こう考えております。それからもう一つの問題としては、どうも厚生省対医師の側と申しましょうか、従来からいろいろ対立と申しましょうか、意思の疎通を欠いている面が多いように思います。それから医師側からのいろいろな要望、しかも正当な要望と認められることについて厚生省側としての責任において処置しなければならないものもおくれているというような問題があるようでありまして、長い間のそうした懸案、要望、そういった面について、これは要望だから解決をはかるという意味ではなく、もう今日の段階では医療行政というものをもう一ぺん再検討しなければならないのじゃないか。医師側に厚生省が現に考えていることを率直に話し合いをすれば、私はそこで御納得していただけるのじゃないか、こういうふうに考えておるのでございます。
○中山(マ)委員 関連して。今大臣は意思の疎通を欠いているというお話でございましたが、確かにそういうおそれがあると私は思うのでございます。私お医者様にいろいろお話を聞いておりますと、その感を深くいたします。というのは、これから健康保険で見てもらう患者は、日記でもつけていないことには、もし何か問題が起ったときに両方を調べられる、どっちの言葉を厚生省は信用するかという問題になったときに、日記によってでも、自分がその日に、問題の起ったときにいっていなければ、一万円の罰金でございますか、そういうものが課せられるというようなことを大阪方面では流しているのでございます。それでは病気になることは、病気そのものの恐怖心だけでなしに、そういう罰金がかかるかもしれないというおそれも出てくるというようなことを大阪で私ども聞きまして、まさかそういうこともあり得まいと思うのでありますが、(「そういうことがある」と呼ぶ者あり)そういうことがあるという今ここで雑音が入っておるのでありますが、その点をお医者様にはっきりそういうことはないのだということを言うていただかなければならぬ。そうしないことには、ほんとうに患者を見るお医者も不安であるし、しかも地方の知事が非常な権限を持って、そしてその健康保険にもし何かの間違いがあった場合には、その権限を二カ年間剥奪するというようなことも、お医者様方に非常なおそれを与えておりまして、この間も寄り寄り会合をやって、この心配が絶えないのでございます。いわゆる官僚統制といったことがもっぱら流されておりまして、みんな患者に至るまで不安を持っております。厚生省の行政というものは、国民に、いわゆるソーシャル・セキュリティー、あるいはソーシャル・ウエルフェア、これは類似語でありますが、セキュリティーという点からもですけれども、ウエルフェアという語源を探せば、もう一つ言えば、ウエルビーイングとでも申しましょうか、いろいろな同類語をみますると、恐怖心を与えるということは、厚生省の存在することに全然反対の立場を思わせるようなことに考えまして、ほんとうにソーシャル・ウエルフェアというその言葉通りに、安心して病気になれる。お医者様も安心していろいろなことをやる。そうして厚生省は医者は悪いことはしないであろうという建前でやっていらっしゃる。お医者さんの方はあるいは間違いがあるかもしれない、そのときがこわいという感じでいろいろな御心配の運動が展開されておりますが、そういう点を大臣はもっとお医者様と率直に話し合って、この心配を除去してやっていただくことはどうか。大臣だけでなく当局のお方からも、こういう恐怖心をどうして除去して下さるか御説明願いたい。
○神田国務大臣 ただいま中山委員のお尊ねになりましたこと、私もこれは全く同感でございます。よく気持はわかっております。ことに、先ほど私が小島委員にお答えいたしましたように、両者の十分な理解がなければならぬ。そこで一番大事な協力といいますか、責任を持ってもらわなければならぬ。お医者さん方からきびしい批判を受けておる、これは私も受けておる事実は十分承知いたしております。そこでよく話し合いをして理解をさせることが必要じゃないかということは、まことにごもっともなことでございまして、実はその点につきましては、公式にも日本医師会の代表の方々にもおいでを願ってお目にかかって私どもの真意を伝えておる。日本歯科医師会の幹部の方々にも真意を伝えておる。また各郡市、府県の代表というような立場でおいでになられる医師会の方々、あるいは個人の資格でおいでになられる方々、これらのお目にかかった方々には、今申し述べておるような私の気持、厚生省が今後行おうとする考え方、これはもう率直にお話し申し上げて十分懇談いたしておりまして、少くとも私のお目にかかった方々は、腹では十分納得していただいておる、こういうふうに考えております。今後なおその必要であることはもう申すまでもないのでございまして、御趣旨については一そう努力を続けて参りたい、こういうふうに考えます。
○高田(正)政府委員 ただいま大臣がお答えをいたしました通りの気持で私どももものを考えておるわけでございます。しかし、中山先生御指摘のようにいろいろと誤解があり、それについては私どもが誤解を解明する努力の足りないことも認めなければならぬと思います。一例をあげますと、今の罰則の点でございますが、今回の御審議を願っておる改正案におきましては、罰則の面についてはむしろ軽減されておりこそすれ、従来の現行法より強くなったという点はないのであります。医師の場合においては、たとえば罰金が過料に、これは衆議院の修正案で前々国会において修正をされたものをそのまま提案しております。それからいろいろ不正請求等がありました場合にも、従来は罰則をもって臨んでおりましたが、今回はいわゆる罰金とかあるいは懲役とかいうようなものはないことになります。行政処分だけで臨む、むしろそちらの方向に現行法を変えるように内容はなっております。そこいらの点も全く郡市の各位に理解をいただかないため起っている誤解であります。それらにつきましては、先ほど大臣がお答えをいたしましたようなことで私どもも十分善処いたしたい、かように考えております。
○小島委員 この健康保険法の一部修正について、医師方面の反対があるということの根本の理由と申しますか、腹の底にはこれらの医療担当者に相当不平がある。たとえば単価につきましても、あるいは点数の問題につきましても、長い間一度も修正されてないということのために、実際において医療担当者の生活が脅かされてくるという傾向になっておることが確かにあるのではないかと思うのであります。御承知のように租税特別措置法におきまして、お医者の所得税につきましては格別の取扱いをしておるのでありますけれども、こういう税法上特別の扱いをするということは、私は税法の体系から申して間違っておると思います。そんなことよりもむしろ実際問題として安心して医療を担当し、安心して所得税を払っていくことができる体制に持っていくことが一番大切なことであり、今後の保険行政の上におきましても、この問題が根本的解決がない限りにおいては、実際においては私は円満なる運営はできないと思うのであります。従ってこの際私が厚生大臣にお聞きしておきたいと思いますのは、この法案が改正されてくるならば、先ほど厚生大臣の言われた通りに、単なる赤字対策としてやっておるのじゃないということでありますからして、漸次この保険経済というものの内容がよくなってきて、将来黒字が出てくるということになった場合におきましては、医療担当者の待遇改善のために相当の手を打つべきである、かように思うのでありまするが、これについて厚生大臣はどういうお考えをお持ちになっておるか、お聞きしておきます。
○神田国務大臣 小島委員のただいまのお所見は全く同感でございまして、私は小島委員が言われたようなことを事務当局にも命じまして、至急成案を得るようにということを厳達いたしておる次第でございます。今お述べになりました租税制度までゆがめてやっている、しかもこの租税制度の、七二%を収入から控除する、こういう扱い方は、非常に大きな経済単位を維持しておる病院ではけっこうでしょうが、町の開業医等の、何といいますか手のないところの経済単位までいっていない病院から見ますと、全部一率に経費の控除をやるのですから、いかに不合理なものであるかということは、税制論からいってみても根本的にいけないことだし、また内容的にも今私が申し上げたような不公平があるのです。だから私はやはり今小島委員が述べられたように、当然医師が自分の企業として、しかもまた医は仁なりといわれるそういう一つのプライドを持って、りっぱな技術に一体それをどれだけ消化するかということはまたむずかしい問題でありまするが、さっき中山委員の言われたように、これはただ事務的に、技術的にやる仕事ではない。そういうあり方を十分考えて、しかも二十六年にきめた一点単価の問題そのもの自体にも不平があるとも承わっております。そこで私どもはそれにもとらわれずに、しかもその後薬の値段もだいぶ変っております、新薬もまたふえておるわけでございまするから、そういったことを念頭に置いて、新しい考え方をもって健保の正常な運営をはかると同時に、医師の待遇改善と申しましょうか、今まで厚生省としてやらなければならなかったことをこの機会にやろう、一つ一緒に並行してこれをやろうと思いまして、成案を急げと言っておりますが、調査はなかなか複雑多岐にわたっておりまして、これをやろうと思ってもすぐ一カ月、二カ月でできることでもございませんし、年度が迫っておりますので、私どもは今は健保の修正案の通過にまず全力を注ごう、そして並行的に今お述べになられたような――これはその通りでございますから、これをすみやかな機会に断行しよう、こういう考えでございます。(「食い逃げするのか」と呼ぶ者あり)決して食い逃げ等はいたしませんから、その点は御心配ないようにお願いいたします。
○小島委員 これに関連してお聞きしておきたいことなんですが、御承知のように、政府はこの保険財政に対して三十億円一般会計から補助しておるわけでございますが、先ほど申しました通りに、赤字対策として三十億円を入れておるのではないのでありまして、自由民主党といたしましてはこの三十億円というものは、当然国家が出すべきものであるという観点に立って実は出しておるつもりでありまして、政府もおそらくそういう気持だと思うのであります。そうだといたしますならば、この三十億は、たとい保険財政が最近における経済状態の高進によって黒字になるということがあっても、よもやこれを削ってしまうというようなことは政府ではなさらないと思うのでありますが、どうでしょうか、その点一つ。
○神田国務大臣 さようなことは毛頭考えておりません。
○小島委員 ところが実は私が非常に心配いたしますのは、この金の出し方が、三十億円というような一種のつかみと申しますかつまみと申しますか、つかみで出しておるということがどうも怪しいのでありまして、私から申しますならば、この国庫補助というものは、金額が二十五億になるか、三十億になるか、あるいは四十億になるかわかりませんけれども、一定の率をもって出すべきである。それが一応みんなを安心させる道であり、これが当然だと思いますが、政府はどういうお考えであるか、一つお伺いいたしたい。
○神田国務大臣 三十億の金額をどういうふうに計算したかということにつきましては事務当局から説明いたさせますが、私の承知しておる限りにおいては、健康保険財政の面、それからまた応益原則といいましょうか、三位一体にいこうということできまったように聞いております。それからこれはさっきもお答え申し上げたのでございますが、点数なり一点単価なり、これを改正いたしまして、医師が正常な収入を保証されるということになりますれば、所得税法の今の減税措置もはずさなければならぬと思います。そういたしますると、国庫の収入がそれだけ多くなるわけでございますから、私どもそういうものも見合って、なお健康保険財政が――あるいは国保の問題も控えておりまするが、そういうことも念頭に置いて、国民皆保険に持っていく十分有効適切な、より以上のことを考えておるということを、この機会でございますから申し上げておく次第でございます。
○小島委員 時間がありませんので、この程度で私の質問を終りたいと思いますが、最後に一つ厚生大臣にお願いしておきたいことは、今厚生大臣がおっしゃった通りに、この三十億円の補助は、本来あるべき姿として国の補助でありまして、決して赤字のための補助ではないのでありますから、今後ともこの三十億円の線をくずさないように補助金を出していただきたい。これはむしろ私の希望ではございますけれども、やはり三十億円というような数字でなく、一定の率をもって補助するという方向に持っていくようにしていただきたいと思いますことと、いま一つは、先ほども議論になりました通りに、この健保法改正案を見ますると、お医者の方で、いろいろ法律面で自分たちが不当に圧迫されるのではないか、官僚統制されるのではないかというような心配を持つおそれがございますから、中山委員の言われた通りに、その運営については十分誤解のないようにして、不必要に医療担当者を刺激したり不安がらせたりしないようにしていただきたいと思います。 これをもって私の質問を終ります。
○藤本委員長 岡本隆一君。
○岡本委員 今度政府は在外財産の補償をやる。一応利子として十億出そう、こういうふうな御意向の模様であります。戦争によって国民が払った犠牲というものは当然国の責任において補償しなければならぬという考え方は、私もしごく賛成であります。従ってまた戦争をやる場合には、戦費に数倍するところの国民の払った犠牲に対する補償というものを覚悟でもって国は戦争をやらなければならぬ。そこで問題になってくるのは、戦争のために失った生命であるとかあるいは身体の一部であるとか、下足であるとかあるいは盲目になったとか、いろいろそういうふうな戦争の犠牲として失ったものの中で、資産を失った者と、それから資産を失って、かりにまる裸となったとしても、その失った資産と失った生命もしくは身体の一部とどちらが尊いか、まずどちらの補償を先にやらなければならないか、こういうふうなことについての基本的な考え方というものをお持ちであるのかどうか。少くも財産の補償というものをする前には、金で買えない貴重なものを失っておる、それに対する補償というものが優先しなければならない。ところが現在までまだあらゆる補償関係の法律の体系の中で、そういう生命もしくは身体の一部というものを失って何らそれに対する国からの補償をされておらない人がたくさん残っておる。そのときにそういう財産への補償に手をおつけになるということは、もとより私はそういうふうなものもこの際完全に補償するというお考えがあって政府はされたのであろうと思うのです。先日また大臣はこの委員会での御答弁の中で、この際いろいろな戦争犠牲者への補償をやりたいという趣旨のことをおっしゃいましたが、そういうふうな点について基本的な考え方を持って一定のはっきりした方針をこれからお立てになるのかどうか、こういう点についての政府のお考えを明確にお答え願いたいと思います。
○神田国務大臣 お答え申し上げます。今次戦争で…民の受けた犠牲は、今お述べになられたように深刻であり、かつ多方面にわたっておることは仰せの通りでございます。そこで政府といたしまして、一体この犠牲をどういうふうにするか、一体どういう考えで処置するかというお尋ねと承わりましたが、これはむろん岡本委員御指摘のように、生命を失った方さらに身体に市大な障害を受けた、こういう方を優先して、そしてこの問題に取っ組んで今日までいろいろ成案を得て参ったことは御承知の通りだと思います。そこで今問題になっております海外同胞の在外財産の補償の問題でございますが、政府といたしましては、海外引揚同胞の在外財産の補償をするということは申しておりません。ただ海外引揚者の方々が財産の補償をするようにとは言うておりまするが、私どもといたしましては補償するとは申しておりません。ただ国の方針によって海外に出ておられて、そして敗戦の事実によってから手で国内に引き揚げられたこの事実、これを何か政府として、一定の給付公債を出して労をねぎらうと申しましょうか、お見舞を申し上げると申しましょうか、それと、いろいろな意味で内地でお受けになった財産上の問題とか居住上の問題とかとは、少し性質が違うのではないだろうか。内地であれば、家が焼けても土地が残るとか、あるいは近所お隣、親戚もあるというような問題もあるわけですが、海外の方々はとにかく国の政策によって日本の領土である海外に出ておられた。そして戦争によって無一物で引き揚げた。これを何らかの形でねぎらうという意味で今度解決したい。こういう趣旨でございまして、海外の残された財産を補償するというような意味で取っ組んでおらないのでございます。従いまして戦争被害の補償等につきましては、生命を失われた者と財産を失った者との区別ははっきりして、これは何といたしましても生命の問題が第一で、また今御指摘になりました重大な障害を受けているそういう方々に一つできるだけ均衡のとれた補償慰安の処置を講ずる、戦死者を第一にいたしまして、従ってその遺家族の問題を第一といたしまして、これに均衡のとれた補償の方法を考えていきたい。こういうような趣旨にのっとりまして今調査を進めておるような次第でございます。
○岡本委員 そういう御意向でありますと、やはり一応死亡及び身体の損傷が優先する。海外に行っていた人はやはり国のある政策に協力するために海外へ行っており、そこでまる裸になって帰って来た。そうすると今度は、内地にいて、国が戦争して、空襲を受けてまる焼けになっただけでなしに、自分もまる焼けになって死んじゃったというふうな人がたくさんあるわけですね。外地で財産を持っておったがまる裸になった人と、それから内地で空襲のために生命を失ったという人と、どちらがより多くのものを失っているか。そういうような点について、均衡のとれたということであれば、片方で財産を失って再起できない人もたくさんある。もちろんそういう人に対しては生活保護法も適用しなければならない、あるいはまた見舞金――できれば補価するのが当然ですが、それでは貧弱な国の財政では背負い切れない、仕方がないから見舞金でしんぼうして下さい、こういうことでしょう。そうすると、その見舞金に対して均衡のとれた措置を講ずるということでありますと、内地で空襲のために死んじゃった。そのためにたとえば両親を失って孤児となって苦労している人もあれば、あるいはつえ柱と頼むむすこ夫婦を失って、非常に老後みじめな生活をしなければならない両親なんかが養老院の中で因っていると思うのです。そういうふうな人に対してどちらがより多く国として責任を感じなければならないかというふうな点について、大臣はどうお考えになりますか。
○田邊政府委員 ただいま岡本委員から在外財産問題に関連する引揚者の処遇ということと、それからその他の戦争犠牲者との均衡という点についての御質問があったと思います。在外財産問題審議会では一番その点が問題になりました。しかしこの答申にもありますように、全生活の基盤を失ったという点について意見が一致してまたその点を強調しておられるのでございます。その他の戦争犠牲者というとたくさんございまして、それとの均衡ということももちろん大平でございます。われわれその点を注意して参らなければならぬと思うのでございます。ただ御指摘の戦災者につきましては、当時戦時災害保護法というのがございまして財産あるいは身体に障害を受けた方については、この法律によって一応の処置をするようになっており、また終戦後におきましても、この法律の実施をいたしまして、請求があった方々にはお支払いをした経緯があるわけでございます。従って一応法律による措置はしておるということでございますので、われわれとしてはそういう点も考えまして、またそれとの均衡も考えまして、今度の問題の処理に当りたい、こういう気持で目下検討いたしております。
○岡本委員 そういうふうな戦時中の被災者に対する一時的な慰めというものは、これは今日の民主主義のルールにのっとった立法措置ではないと思う。従って戦争遂行の方策として多少の保護措置は講じられてはおっても、しかしながら実際上それは空襲で死んだ人に対して、扶養者とかそういうようなものを失った人に対して、どういうふうな保護の措置が講じられたかというふうなことは私は聞いたことがない。従って、そういうふうな一時的な経過措置というものと国が今在外資産の補償はできないが、しかし見舞金でといわれるその気持、そういうものとの間に開きがあると思う。だから今財産のそういう大きな生活の基盤を失った者に対して、その人の気持を慰めるために児舞金を出そう、それは国として当然やらなければならない、それはけっこうです。そこまで国のそういう人に対する考え方が進んできたのなら、それに見合ったほかの面での犠牲を払った人への措置も並行的に進ませなければならない。従ってそれをどの範囲にどういうふうに進めていくかという大体の体系を立てて、今度の在外財産の補償の措置をお考えになったのか、あるいはやいやい言うから、仕方なしにちょっと上げておけという行き当りばったり式のものなのか、どちらなのか私は聞いておるのです。
○神田国務大臣 今岡本委員のお問いでございますが、政府としては諸般のすべてを見合って公平な処置をしていく、こういう考えでございます。今の引揚者の関係等はいろいろ複雑したお見舞というか――処遇という言葉を使っておりますが、そういうことになるだろうと思うのです。この在外財産問題答申の結論にも出ておりますが、一定所得額以上の者にはやらなくてもいいじゃないかという社会政策的なことまで出ておるわけでございまして、どこに厚く、どこに薄くというような問題よりも、戦争犠牲者の公平といいましょうか、そういうことは歴代政府一貫して考えておった。在外財産問題の解決がおくれたということは、憲法上の問題もあれば、いろいろ法的問題がございましたのと、それから引揚団体連合会の要望も非常に強くて手がつかなかったんだろうと思うのです。今日ではその要求額が下ってきたから手をつけたという意味ではございません。やはり戦争をしたあと十一年もたっておるから、この辺で一つ話し合って納得する線が出たらここでみんな解決してしまおうじゃないか。国民の税負担の問題でございますから、引揚者が納付されると同時に、その前に国民すべてがやはり納得していただく線でなければならないと思うわけでございます。そういう感覚で私どもは戦争の犠牲者は戦死者を第一義にする。遺族の方々の今日のこの姿、現実を対象として、そうして在外問題を処理いたしましても、そのために非常に不公平だというような声が起きて、他の方に波及することのないように、同時にまた在外引揚者に対しても処遇の費用をめちやくちゃに少くしてしまって、押しつけて解決しようという意図も持っておりません。よく事態を究明いたしまして、公平にやりたい。とにかくみんないくさに負けて泣いた跡始末でございますから、その辺のことを十分考慮しながら解決していきたい。せっかく今作業を急がせておるような実情でございます。
○岡本委員 戦争による犠牲者を公平に処遇していきたいというお言葉は非常にけっこうでございます。従いまして在外財産の面で処置を講ぜられるならば、今網の目から漏れておる人がまだたくさんあると思う。そういういろいろなものを考えて、体系的に公平な道をこれから考えていただきたいと思う。 もう一つ承わりたいのは、戦傷病者、これはあるいは厚生省所管の事項ではないと思いますが、戦傷病者の傷病恩給、増加恩給と申しますか、あれが非常に少いんです。そうしてほかの一般恩給は増額が二へんされている。ところが傷病恩給だけがその点に一緒にお供していない。従ってその人らだけがベースが低い。基本的な恩給をもらっておる人はまた恩給プラス増加恩給でそこそこのお金をもらえる。そこまでの年限に達しない、わずかの間に行ってたまにぽんとやられてきたという人は、ただ傷病恩給だけしかもらえない。そうなってくると生活が非常に困窮している人がある。従ってそういう人の間から陳情が非常にしばしばありますが、事情を聞くと非常に気の毒な人がたくさんあります。そういうふうなのは、やはり政府として今のものに並列して、もっと手当を厚くするようにしてもらいたいと思うのですが、大臣のお考えを一つ承わりたい。
○神田国務大臣 岡本委員の、戦争被害者の、今御指摘になられました方々に対する非常にあたたかい御同情の御発言でございます。主管が恩給局でございますので、よくまたそちらの方にもきょうの意のあるところはお伝えいたしまして配慮するように御相談いたしたいと思います。
○岡本委員 この問題は総理府関係の問題でありますから、あるいは大臣の直接所管の事項ではないとはいうものの、やはり傷病者であり、これは身体障害者なのです。従って厚生省としても、こういうふうな面については、やはり十分な御配慮を一つ大臣から特にお願いしておきたいと思います。 さらにもう一つ戦傷病者の結核の再発の問題なんですが、私の職業が医者でありますので、特に私のところへそういうふうな人が相談に参るのですが、戦時中に結核になった。あるいは外地で帰還するまでに結核になった。そうしてそのまま帰ってきて内地の療養所で養生させてもらって、そこでなおったというので復員になった。ところが二、三年たつとまた結核になる。そういう人がたくさんある。ところが今度はもうその人は国からの何の手当も受けられない。そういうふうな場合に、それが再発であるか、前の病気がなおり切らぬのがまた出てきたのか、あるいは働いたためにまたあらためて出てきたのかということについては、解釈はどんなにもできるわけです。というよりも今あらためてなったのだから知らぬというふうな措置を受けるわけです。前の続きなら当然やらなければならないが、もう今度はどっちかわからぬからそれは知らぬということになって、事実戦時中に病気になった人が困っている。これはこの前の委員会で山下次官といろいろお話しをして、そういう場合はきちんとやりますという御答弁があったのです。だからうまくあとがいっているのかと思っておりましたら、そのとき二、三私がそういうふうな陳情を受けておって、厚生省の方に連絡した人だけはうまくなるほど処置がついた。そのほかの人は全然できてないのです。カリエスになった。入院しておって退院してしばらく働いておったらカリエスが出てきた。それは流注膿傷です。というのは御承知でもありましょうが背骨やられますと、背骨から流れたうみが下腹にたまる。たまるとうみで袋ができる。そういうふうなものは決して新しい病気じゃないのです。そういう骨の結核になった人が最近あるところから私のところへ来て、もう一度援護法の援助を受けられぬのかという申し入れがあったものですから、それはできるはずだ、この前にもそういう例があったことだし、厚生省もやるといっているからできるはずだ、すぐ手続を府県の援護会へ行ってしなさいと言ったところが、府県援護会ではそういうのはできぬ、本省へ問い合すということでした。結局十一月ごろの話がいまだに解決がついていないのです。片方は七月から病気になって、患者にしてみれば早く養生しなければならないと思ってやきもきしておりますが、役所の方はきわめてスロー・モーションなんです。患者の心理というものをちっとも考えの中に入れないでそういうことをやっておられるのでは、あまりにスローモーでは困ると思う。だから方針をはっきりして、方針が打ち立てられたらすべての役所にちゃんと通達をしていって、そうして同じような事例が出た場合には、どんどんその方針通りに処理されていくというふうな運営を厚生省はやっていただかぬと困ると思うのですが、これは援護局長からでけっこうでございますからお答えを願いたいと思います。
○田邊政府委員 陳情があったものだけがうまくいって、ほかのものはうまくいかないというお話でございますが、私の方では法の許す範囲内で、できるだけ法に沿った取扱いをいたすという気持でやっております。実は元軍人復員者の在隊中における公務傷害、あるいはソ連、中共地区に抑留中の公務傷病に対するわれわれの法律の取扱いとしては、一般公務員と同じように国が療養の保障をするという考え方できております。 ちょっと長くなりますが、できるだけ簡単に今までの経過から申し上げますと、終戦による軍の解体後、未復員者給与法ができて、旧軍人に対する給与を継続支給しておったのであります。これは二十二年でございます。二十三年十二月に元軍人復員者が在隊中あるいは未復員中に公務ないし公務に準ずる事由で病気にかかった場合は、復員後三年間は国が療養を保障するという規定ができたわけでございます。一般の公務員は、御承知のように国家公務員に対する保障として、公務上の傷病に対しては三年間療養の保障をする、これと見合ったわけでございます。文官並みにいたしたわけでございます。そこで、この法律を作ったのは二十三年十二月でございますので、その前に帰った人は、この法律が実施になったときに帰ったものとみなして三年間保障したわけであります。ところが三年たってみますと、結核あるいは精神病等が大部分でございますが、その他の患者でもなおらない方がたくさんあるわけでございます。一般公務員並みに扱えば、そこで打ち切り補償というのを出して、そして療養をやめてしまうというのが一般公務員の例でございます。しかし、実情がどうもそういうわけに参りませんし、当時は傷病恩給というものが復活しないときで、わずかなものでございます。そういうわずかな金を出して療養してみても、結局また一時金として出す金がむだな金に使われてしまう。そうするよりも実情に即してもう三年間療養を延長しなければならないということになったわけでございます。これは一般公務員より以上の処遇になるわけでございます。二十六年十二月でございますが、三年間延長しましたところが、三年たってもなおなおらない人がたくさんおる。一般公務員と違って、こういう方々は国の要請によって軍務に精励された方であるので、一般公務員より多少よくなってもよいじゃないかというので、もう三年間延長していただいたのが現状でございます。そこで現在療養を申請される方が再発というか、法の許す限りの再発でございますれば、それを延長するたびごとに、法律技術その他の事務もございますが、そのときに療養しておった方にも出さざるを得ないわけでございます。一般公務員その他を考えてそういうこともありますし、根本的な問題としてはいろいろあるわけでございますが、終戦直後復員された方と、現在傷病の方との因果関係というものもいろいろむずかしい問題になろうと思います。私ども援護法関係の裁定をやっておりますが、結核が一番問題になるわけであります。私どももできるだけ結核という傷病の特殊性に考えまして、在隊中の結核との関連性についてはでき得る限り広くとっております。これは私がとっておるというよりは、その問題に参画しておられる専門の医者の方々の御意見を十分しんしゃくしてやっておる関係上、そういうふうになるので、ただいま岡本委員のお話と大体同じようなわけでございます。ただこの問題はそのほかに三年々々と延長していく、その三年目に現に治療しておる者ということにせざるを得ない、一般公務員との関係その他で限定せざるを得なかったという関係があります。従いまして今御指摘になりましたケースが、どういうケースかよく存じませんが、よく事情を承わりましてこの法律の許す範囲内におきましてできる限りのことをいたしたい、こう考えております。根本的な問題につきましては今後も十分検討を進めていきたい、こう思っております。
○岡本委員 二十九年の国会で三年の延長の法律が通ったんですね。そのときに一たんなおって、それから後に発病してきた人がこれから先も問題になっていく、従って治癒して社会に復帰しておった期間というものを治癒と見るか、あるいは治癒に至らない者、軽快と見るか、その社会人として復帰できるという期間ということが、解釈の上で問題になってくると思うのです。従ってそれまでの間に国の援護と手を切れたものについては、次に病気が出てきた場合に再発と見るか、新たな発病と見るかということが問題になってくるわけです。しかし実際問題として結核というものは――ここに医務局長もいらっしゃいますが、現在では結核というものは一度感染すれば再感染というよりも、むしろ二度目に出てくる場合は再発であるというのが学界の通説なのです。結核にも免疫がある。だからBCGというものが行われる。従って一度結核にかかった人はやはり結核に対するある程度の免疫力も出てくるわけなのです。従って再感染するというよりも、やはり次に無理をしたりいろいろな何をして、慢性の病気でありますから、再発してくるのだというふうな考えの方が今は強いのです。従って結核の場合は在職中に感染して結核とはっきり認定されたものなら、それから後に出てきたものは一応再発と考えるのが当然なんですね。しかし悪化したことが公務上の理由かどうかということになると話は別ですけれども、しかし一応以前において公務に基因する疾病というふうに認定された限り、それが再発してきた場合には、まだなおってなかったのだから、それは公務による疾病がもう一ぺん芽をふいてきたということになるわけです。従って患者の方で引き続きの援護を求めるというふうなのも、これはある程度無理からぬところもあるし、やむを得なかろうと思うのです。そのような場合に国の方針がはっきりしていないと、ある者は扱うしある者は扱わぬ、そういうふうなものについてはどうされるかわからぬ。裁定を待つ間に二カ月も三カ月も四カ月もかかる。片方は現実に病気になって養生しているのだし、早く何とか手当をしなければならないと思って、やきもきしておるというふうなことでは、非常に患者の方も不安な状態に置かれておるわけであります。そういうような点から明確な線を作っていただいて、再発した者はもう援護の手を差し伸べるのだというふうなはっきりした線を出して、そういうふうに通達を出していただければ全国の各都道府県の援護課はそのように処理していくと思うのです。その点ができるだけのものはしてやる、できる範囲でというふうなあなたの今のお言葉では、あなたなりあるいは本庁ではそういう考え方である程度見ていただいても、もう直接その裁定の業務に当っておる人にはそのお考えがしみ通っていない。従って非常に書類が宙に迷うということができると思うのであります。従ってそういう点はっきりしておいていただきたいと思うのですがどうでしょう。
○田邊政府委員 はっきりさせることはもちろんでございます。現在でもはっきりしておると思うのでございますが、ただ今岡本委員がお述べになりましたのは、理論的に考えた場合のお話であります。今私が申し上げましたのは現実の制度がどうなっておるかということを申し上げたのであります。この現実の制度を作りますときには・もちろん国会で法律の御審議をいただき、二回にわたって法律の改正をして延長をいたしておるわけであります。その際に十分御審議をいただいたのでありますが、実はそのときに問題になる事項であろうかとも思われます。これは延長するときにおいて療養をしておって、引き続き療養を要するという者のみが、その後の延長の対象となるということがございますので、一般的には帰還後三年以内というのが大原則でございます。これは一般公務員との均衡上そこの程度にするということはやむを得なかった。しかしなお引き続き治療を要する者は、一般公務員のように打ち切らなくて延長しておるというのが、現在の私どもの根本の態度であります。その方針の範囲内で規定ができておりますので、その規定の許す範囲内で、できるだけ再発等の取扱いについても御要望に沿うようにやっていきたい、こう申し上げておきたいと思います。
○岡本委員 あまりくどくなるといけませんからもう一つで終らしていただきたいと思いますが、二十九年に法改正をやれば、今年が三年目になるわけですか。
○田邊政府委員 来年の十二月が三年目になります。
○岡本委員 来年の十二月にまだ結核なんか、なおらない人がたくさん残ると思うのです。そういうふうな人は再延長されるかされないかということが一点。その次はその際結核については、再発の問題をどういうふうに考えるかという問題を、もう一度明確に論議したいと思うのですが、それまでの経過措置として今の再発の問題に限って、広義解釈してやっていくというふうな通達でもお出しになれますか。
○田邊政府委員 再発の問題でございますが、終戦直後に帰還した人であって、現在その病気が再発している場合できるかというお話でございますが、これは残念ながら法律上できないことになっておるわけであります。帰還後三年以内に療養を受けた者でないとできない、それが療養の三年の期間が切れるときになお治療を要する者を継続していくという建前になっておりますので、この点は法律上通達を出すことはできないと思うのであります。今度その期間が来たときにおいてなお治療を要する状態にある者の場合におきましては、十分考慮したいと思います。
○岡本委員 そうすると去年この委員会で山下政務次官が言われたことは、これはもう全くでたらめなことを言うたということになまますが、それでもいいのですか。また帰って速記記録を調べてみたいと思うのですが、山下さんははっきりその問題について、当然援護を受けられるものと思うから、しかるべく計らいますということをはっきり言われましたが、これは山下さんがいいかげんなことを言ったのですか。それでは援護局長と意見が正反対ですよ。だからそういうことじゃ困るんです。その当時もあなたは援護局長をしておられた。だからあなたは知らぬでは済まぬです。山下さんにそんな恥をかかしちゃ、あなたいけませんよ。
○田邊政府委員 法律の許す範囲内においてできるだけ善処したいとお答えになったのだと思いますが、なお速記録を調べましてお答えしたいと思います。
○藤本委員長 午後二時半まで休憩いたします。 午後零時十一分休憩 ――――◇――――― 午後一時五十九分開議
○藤本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 午前中の質疑を続行いたします。八田貞義君。
○八田委員 実は保健所の問題に関連して精神衛生の問題、食改善の問題、保育所行政の問題について質問いたしたいと考えておったのでありますが、時間の関係上、保健所行政にしぼって質問を申し上げてみたいと思います。 まず保健所と結核の問題でございますが、入院したくても入院できない在宅患者に席を譲れ席を譲らぬで軽症の在院患者がすわり込みをしたということがあります。ところが現実には全国の療養に空床ができておるということは厳然たる事実でございます。この理由につきまして、化学療法の勝利であるというようなきわめて楽観的な観測をされている人や、あるいは生活保護の引き締めで、入院料も払えない国民がふえたのであるというような見解を持っておる人もございます。ところが現実問題として結核患者は減っておらぬのであります。死亡を上回る新発病がございます。そこで統計的な数字で局長から知らしていただきたいのでありまするが、人口十万について年間結核による死亡数は一体どれくらいか、新発生はどれくらいか、概略な数字でけっこうでございますから、お知らせ願いたいと思います。
○山口(正)政府委員 結核の死亡は、昭和三十年のが一番新しい統計でございますが、最近三カ年間の状態を申し上げますと、昭和二十八年が人口十万に対して六六・四、二十九年が六二・四、昭和三十が年五十二・四。 新発生は、これは非常にむずかしいのでございますが、昭和二十八年、二十九年、三十年、三カ年通じて実態調査いたしましたが、昭和二十九年に実態調査した成績から考えまして、昭和二十八年のときに健康者と考えられた者のうちからの発出率が大体〇・四%ということになっております。昭和二十八年に発病のおそれある者、要注意者といわれた者のうちからの発生率が一四%ということになっております。
○八田委員 大臣、今の数字から簡単に申し上げさせていただきますと、人口十万について見ると、概略な数字になりまするけれども、年間結核によって死ぬ人は大体六十人、新発生患者が四千人というような数字が出ておる。この数字と現在空床ができておるということを結びつけて考えますると、在宅患者が多数にあるんだということが想像される。そこでこの在宅患者に対して厚生行政として十分考えていかなければならぬ重大な問題があるわけです。ところが今度の予算を見ますると、在宅患者に対する隔離病舎の建設費が削られてしまっています。私は在宅患者の現在ちまたにあふれておる現状を見るならば、この隔離病舎の予算というものは非常に大きな問題になってくると思うのでありますが、これが削られてしまったのです。この点について、大臣として十分今後の対策をお考え願う必要があるのでありまするが、一体今後どうして在宅患者を指導していかれるか、その対策をお伺いいたしたいのであります。
○神田国務大臣 八田委員のお尋ねでございますが、この結核患者の死亡者数は年々減って参りますことは、先ほど政府委員の述べた通りであります。また新発生が人口十万について四千人にも上っておる。これと国立病院の病床があいておるというような事柄と照し合せて、在宅患者の数が非常にふえておるのじゃないか。ことに自宅療法の助成を打ち切ったのははなはだおもしろくないというお尋ねでございまして、これは確かに、八田委員の御指摘の通り、そういうことに相なろうかと思いますが、厚生省といたしましては、在宅患者の療養につきましては保健所の活動をなお活発にいたしまして、患者と密接な連繋のもとに指導療養を達成していきたい。 それから昨年、一昨年と行いました病舎費の関係は、あけすけに申し上げますが、国の助成の方法もなお検討の余地があったと思いまするが、あまり徹底しなかったためか、利用者の数が十分じゃなかったというようなことでございまして、もう一ぺんこれは考えてみようじゃないかということで、本年は一応見合せるというようなことにいたしたのでございます。 結核撲滅は、政府といたしましても、十カ年計画をもって撲滅しようという考えを持っておりますので、早期発見、早期治療をやる経費をだいぶふやしました結果、これらの成り行き等をも勘案いたしまして、将来適当な処置をとりたい、こう考えておりますが、なお詳細のことは政府委員からお答えさせることにいたしたいと思います。
○山口(正)政府委員 在宅患者の指導につきましては、ただいま大臣からお答えがございましたように、私どもとしましても、保健婦の家庭訪問指導というようなことあるいは患者家族の健康管理というようなことで、入院できないで、家庭で療養している人たちに対してできるだけいろいろ手を伸べておるわけでございますが、ただいま御指摘の隔離療養室の予算の問題でございますが、これは先般滝井委員からも御指摘がございました。過去二年実施いたしましたが、これはただいま大臣からのお話のように、地方の財政状況あるいはいろいろな地理的関係等もありまして、喜ばれるところでは非常に喜ばれて、よく消化されたのでございますが、国全体としますと、なかなかその要求状況もよくないというようなことがございまして、いろいろこれは勘案しなければならないと思うのでございますが、特に温暖の地ならば、比較的よく消化されますけれども、寒冷の地になりますと、現在の状況ではいろいろ検討しなければならない部面もありますので、地方の財政の都合もございまして、ことしは一応休む、そして検討してやる。これは地方によって非常に喜ばれる施策でございますので、将来復活させていくように努力したい、かように考えております。
○八田委員長 は局長から非常に控え目な御答弁があったのですが、私国会に出まして二年になるのですけれども、毎国会ごとにこの問題をとらえて御質問を申し上げておるのです。毎年同じような隘路をお知らせ願いまして、何とかしてこの問題を解決していかなければならぬという情熱にあふれておるものでありますが、今後格段の大臣の努力をお願いいたしたいのでございます。 次に、なぜ私が在宅患者についてこれほど強く申し上げるかと申しますと、在宅患者の化学療法というのがよほどうまく管理されないと、薬のきかない結核菌の感染ということが起ってくるわけであります。これは、実はかつて社会保障制度審議会から、在宅患者の化学療法ということが勧められたことがある。これは非常な間違いでございます。これを簡単に言うならば、ナフス患者に在宅で化学療法をやるようなものでございまして、これは非常な間違いです。この答申は日の目を見なかったと私は記憶いたしておりますけれども、こういうような在宅患者に化学療法を勧めるような答申は非常な間違いだと思うのです。しかも在宅患者の化学療法をよく管理してやりませんと、薬のきかない結核菌の感染が起って参りますが、こういう感染が起って参りますと、入院しましても根本的な治療法としての肺切除というものができなくなって参ります。また喀血したり、腸結核を起しましても、治療の方法がない、こういうような状態に追い込まれてくるわけであります。このような薬のきかない結核菌の感染を耐性菌の感染というのでありますが、この耐性菌の感染に対しては、特に子供は感染しやすいのであります。しかも感染しますと、脳膜炎を起しやすい。このような危険をはらんでおるわけでございます。耐性菌による感染によって脳膜炎が起ったのでは、もう手の施しようがないわけであります。アメリカでは、新しい患者の調査をやってみますと、〇・五%は耐性菌によって発病しているのだということがいわれておるわけです。ところが、先ほど申しましたように、在宅患者というものが非常に多い、しかも住宅は狭い、しかも化学療法がでたらめに行われておる、こういった日本では、もっともっと耐性菌の感染による患者の数字は大きいのではないだろうかということを私は憂えるわけであります。こういった数字は果して厚生省で持ち合わされておるかどうか。私は二十三国会において、耐性菌の感染の状況を御調査願ったことがありますが、果してその後調査されたかどうか。アメリカでは〇・五%の感染率をあげておるが、わが日本ではどれくらいの感染率になるか、一つお知らせ願いたいのであります。
○山口(正)政府委員 二十三国会で八田委員から御賛同ありまして、調査の一部の数字はちょっとここで御説明申し上げたわけでございますが、耐性菌によって現在どれくらい発病しているかという全般的な数字は、私申しわけがないのでございますが手元に打ち合せておりません。ただ耐性菌の問題は、ただいま御指摘のように化学療法剤を乱用いたしますと菌の耐性が出てくる。これは単に結核菌だけではなしに、あらゆる病源菌でそういうことが起り得ることは御指摘の通りであります。従って結核の化学療法による在宅患者の治療と申しますか、あるいは外来治療というような問題については、これは世界の化学療法がだんだん進歩して参りますに従って、世界の趨勢でそういうことが広く行われるようになりつつあるのでありまして、従ってそれに伴ってただいま御指摘のような弊害も起ってくるということで、これは外国においても化学療法剤による外来治療をどの程度、どういう症状の、あるいはどういう病型のものにやったらいいかということを、各国で検討しているわけでございます。わが国でもこの問題は、ただいま御指摘のように耐性菌による発病の患者の予後の問題とも関係して参りますので、厚生省でもこの問題は特に取り上げて、岸生科学研究費によって専門家の方々に、化学療法剤による外来治療をどういう病型のものに、どういう症状のものに、どういう形でやるのが一番いいかということを横討してもらっているわけでございます。まだその答申を全部いただいておりません。御指摘の点は私ども十分注意してやっていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
○小澤政府委員 今の御質問にお答えいたします。国立病院、療養所におきましては、耐性菌による感染を全面的には調査しておりませんが、若干の療養所におきまして、新しい入院患者で耐性菌を持っている者と持っていない者を調査したものがございます。ただいま手元に資料がございませんが、追って資料を取りそろえて差し出したいと思います。
○八田委員 この問題についてもいろいろお伺いしたいのですけれども、時間が制約されておりますから、せっかく御調査されまして数字をお示し願いたい。それである国立病院でやられた成績を参考までに申し上げてみますと、ストマイとヒドラジッド、パス、こういつた結核の三つの治療剤に対して全然耐性がなかったというのはわずかに二割だ、こういうような成績が出ておりまして、あとの八割はどの薬にか耐性を示しておったということが言われております。これは大臣に一つ十分に頭に置いていただきたいと思うのであります。 そこでさらにもう一つ考えていただかなければならぬことは、厚生省で実態調査をやっておられた成績によりますと、一年間に生まれる赤ちゃんの〇・四%は家庭丙で感染、発病をしておるわけであります。一年間に生まれる赤ちゃんの〇・四%は家庭内で感染・発病しているのだ、こういう数字が厚生省の実態調査で出てきているのです。〇・四%と申しますと、十万人について四百人でございます。ところで赤ちゃんの結核死亡率は最近十万人について三十五人くらいでございますから、その死亡に十一倍する赤ちゃんが在宅の患者によって発病させられているという勘定になってくるわけであります。このように、在宅患者というものは、わが国結核の大きななガンとなっておる。幾ら口を大きくして結核対策を叫んでみても、この在宅患者をどうして解決していかなければならぬかというしっかりした対策を立てない限り、わが国から結核を撲滅できないのです。十年間という大きな幅をとってお示しを願いましたけれども、現在のこのままであったならば、私は十年たってもわが国から結核をなくすことはできない、こういう隘路がここに残っておる。どうかこの点は大臣といたしまして十分にさらによく御認識願いたいのであります。 そこでもう一つ、なぜ空床があるのに重症患者がちまたにあふれているのかと中しますと、これは現在の療養所における人手不足が大きな原因となっているということが考えられる。ですから今の結核療養所の状態では、どうしても重症者を入れることはできません。重症者を入れればそれだけ人手をふやさなければなりませんから、勢い軽症患者だけを集めるというのが今日の結核療養所の実態でありますが、しからば私立の療養所はどうか。これももちろん人件費を極度に切り詰めて経営をやっていかなければならぬような今日の医療費の実態でございまするから、やはり重症患者は扱いません。軽症患者だけを入れるというのが今日のわが日本の結核療養機関における実態であります。こういうことが重なり合って、国の方でも重症患者を締め出す。私立の療養所においても重症患者を締め出すということが行われておりますために、ちまたに重症患者があふれてきているわけでございます。この点も十分に御了察願いたいのであります。 時間がございませんのでどんどん申し上げて参りますが、もう一つ大切なことは、結核回復者の後保護の問題でございます。この問題については、結核予防法にも結核の治療指針にも一言も触れられておりません。後保護の問題をここで私が申し上げると、ピントはずれのようなことを言っているというふうにお考えになるほど、後保護対策は今のところ弱いものになっているわけです。再発の多い結核は、よほど上手な回復期管理が行われませんと、せっかくなおした患者が再発いたしまして、新しい患者を発生させて参ります。後保護の問題は、予防に直接つながった大きな問題でございます。本人にとっては再発予防でございますが、健康者にとっては感染予防であります。しかも後保護者の対策ということは、結核対策にとって非常に大切な施策になってくるわけであります。結核回復者が保護されていないという現在の状態は、これから療養を始めようとする者に対して非常な悪い影響を与えて参ります。例をあげてみますると、一旦療養を始めますると、肺と首を切られてしまいます。親類あるいは家族からも縁を切られるというふうになりましては、集団検診というものは地獄への招待となる。こういうようなつらい面も申し上げておかなければならぬと思うのであります。自分自身や家族や社会の幸福のために、喜んで集団検診を受けるようにするためには、シールや予防週間や、かかって泣くより笑って検診の標語では間に合いません。後保護の態勢を確立しまして、療養所からの回復者を、中国やソ連からの引揚者と同じように黙ってあたたかく迎えてやるように対策を講ずべきだ。ストマイもBCGも肺切除もなしにアメリカもイギリスもドイツも、かつて今の日本に十倍した結核を解決いたしておるのであります。 以上申し上げたいろいろな対策につきましても、第一線機関であるところの保健所に力強い指示を与えるような施策を講ぜられない限り、今問題点となった結核を撲滅することはできないのでございます。この点を申し上げまして、保健所のもう一つのサービス機関としての問題としてあげられておる受胎調節問題について御質問いたしたいと思います。 そこで、時間がありませんから、大臣が先ほど非常に力強いお考えをお述べ下さいましたので、必ずやっていただけることを期待いたし質問を進めて参りたいのですが、ただ、ここで厚生大臣に人口問題について一つお伺いいたしたいのであります。厚生省の予算には、人口問題の予算について人口対策費あるいは保健衛生費あるいは家族計画普及費というふうな名前を使って出してきておる。どうしてこういうふうにばらばらな名前を使っておられるか。私名前にいつでもこだわるようでありますが、人口対策費というのは、人口問題とは違うのです。今のような人口対策費という言葉を使いますと、出産制限を意味するのか、こういうふうになります。人口問題は決して生産制限を意味しておりません。もしも、人口対策費というような名前を使っていかれたならば、国の一方的な施策によって、あるときには健民健兵、生めよふやせよという言葉が出て参ります。今日のような時代になってくると、減らせ減らせというような言葉に置きかえられてくる。あたかも女は黙って子供を生む機械だから、政府の意向に従えというようなとんでもない誤解を招くようになって参ります。厚生省関係から出てくる予算の説明書の中に、あるときには家族計画普及、あるときには人口対策というような非常にまぎらわしい言葉が使われておることは、広報活動として誤まっておるのではないかと考えますが、この点について一つ大臣のお考えをお述べ願いたいと思います。
○神田国務大臣 今の後段の問題は、厚生省の予算用語に現われたものを土台として、もっと掘り下げた人口問題等をどう考えているかというような意味に承わったのでございますが、予算の用語の問題については、いずれ政府委員から答弁させることにいたしますが、人口問題だけにしぼって、一体どういうふうに考えているかということでございますと、これはなかなかいろいろ関係して参ります要素がたくさんございまして、人口問題をどういうふうにしていくかということは、まだ政府におきましても十分な結論を得ておらないのであります。なおよくこれを研究して、政府の考えがまとまった際にお答え申し上げたいと思います。
○山口(正)政府委員 受胎調節の費用を人口対策の中に入れておるのほおかしいじゃないかというような御指摘でございますが、受胎調節を国が政策として取り上げましたのは昭和二十六年の十月閣議了解事項として、人工妊娠中絶があまりに急にふえて、人工妊娠中絶に伴ういろいろな弊害を考えれば、竿頭一歩を進めて受胎調節の普及をやるのが正しいのではないかということでやられたのでございます。当初の出発点はもっぱら母体保護という点で受胎調節の普及ということが取り上げられたのでございますが、その後政府の諮問機関でございます人口問題審議会から昭和二十九年十月に人口の量的調整に関する答申が出ております。それで政府としてどういうふうに人口問題を考えていくかという点につきましてはただいま大臣のお話の通りでございますが、答申の中に受胎調節の普及ということが盛られておりましたので、私どもとしまして事務的に、受胎調節の普及ということは、母体保護と同時にその答申の線もございますので、一応人口対策のカテゴリーの中に入れて、こういうふうな予算書をお目にかけているという状況でございます。
○堀岡政府委員 お尋ねの人口対策といたしましたのは、ここ数年来こういう組み方をしておりまして、受胎調節等の意味についての八田先生のお話にはいろいろ考えさせられることもございます。まとめ方といたしましては別にこれでなければならぬというふうなものでもないと思いますので、将来その点については十分もう一度考究してみたいと思います。
○八田委員 やはりこういつた予算を請求される場合、名前の取扱いというのは非常に必要でございまするから、十分に連絡をとられまして正しい言葉を編み出していただいて国民を啓蒙していただかないと、間違った観念で動くようなことが起って参ります。 それから大臣に御参考までに申し上げておきたいのですが、一体子供は何秒にどれくらい生まれるかという問題でございます。大体日本では四十五秒に一組結婚いたします。十八秒に一人生まれます。四十四秒に一人死亡いたします。七分九秒たちますとせっかく結婚した数が離れてしまう。差引合計では三十秒に一人増加してきているのだ。わが日本の人口増加というものを算術計算でやりますと、そういうような結果が現われて参ります。そこで私は申し上げたいのであります。いわゆる家族計画というものは非常に観念があいまいでございます。その限度も明らかでございません。ですから厚生省として根本的理念を明らかにする必要があります。そして指導系統や指導員の手当、育成教育、民間団体の義務づけ育成などしっかりした対策を打ち立てていかなければならぬと思うのであります。そこで大臣に一つ御参考までに申し上げておきたいことは、昭和三十一年度の家族計画関係の予算額は、ほぼ決算期も近づいた今日におきまして、全額の三分の二ぐらいしか使われていない。こういうふうなことが大体において今日想定されておるそうでありまするが、実際そうでございましょうか。
○山口(正)政府委員 私のお答えがもし間違っておりましたら御指摘願いたいと思いますが、器具、薬品の無料配付の予算の消化状況のお尋ねと思います。御指摘の通り、昭和三十一年度におきまして、三千二百万円計上していただいておりますが、現在までのところ消化状況が十分でない、三分の一近く残っておるというような状況は、まことに遺憾でございます。しかし昭和三十年度からこの仕事を始めたのでございますが、昭和三十年度におきましては、これはあまり大きな顔をして申し上げられないのでありますが、もっと消化状況が悪かったのであります。と申しますのは、こういう仕事は初めての試みでございまして、福祉事務所と保健所が連絡をとって、その希望者を把握して、器具、薬品の無料配付ということを始めたのでございます。三十年度においては、非常にその消化状況が悪かったのでありますが、三十一年度においては、その後いろいろ工夫を加えて、三十年度に比べますと、三倍以上の消化状況になってきているのでございます。しかしまだ御指摘のように三十一年度の予算全部を消化し切れるというところに至っておりません。この点は私どもも事柄が人生の機微に触れるデリケートな問題でございますから、実施上いろいろ困難な点がございますので、いろいろな機会に関係者を集めてその普及を促進しているわけでございます。今後その点は十分注意してせっかくいい施策でありますので、推し進めて参りたい、そういうふうに考えております。
○八田委員 今の局長のお話の通り、三十年度の予算についても、未消化分がたくさんあったのです。三十一年度でも今までのところ大体三分の二しか消化していない、三分の一は残っておる、こういうふうに言われておるのです。このために家族計画の行政というものはスローモーぶりを発揮しておるのです。これはどうしてそういうふうなことが起ってくるかと申しますと、これは地方庁からも言われておることなんですが、厚生省の予算の交付の期日が非常におくれておるということが言われておる。三十一年度の予算の交付は実際は十二月末という状態なんです。ところがこの十二月というのは、四月から始める十二月なんです。赤字県では実際の予算がこないのに府県議会で予算支出をするわけがない。こういったことから、家族計画行政が非常に後退といいますか、非常に実際面において積極性がない、こう言わざるを得ないわけであります。この点よくその実態を調査されまして、確かなところをお知らせ願いたいのであります。 それからもう一つ、重点施策でありますから、この問題は国庫補助率を二分の一程度にしてもらえないかということであります。優生保護相談所には現在三分の一でございまして、ほかの方は全部二分の一でございます。ですから国庫補助率を二分の一程度に上げてほしい、こういうのが地方庁側からの強い要望なんです。この点について一つ大臣のお考えをお漏らし願いたいと思います。
○神田国務大臣 ただいまの八田委員の、厚生省予算の三十一年度の実施に当りまして地方におろす手続が大へんおくれている、十二月あたりにおりたというような、これは事実に基いてのお尋ねと思います。そういうことがあるかどうか。私は資料を持っておりませんが、どの予算にいたしましてもおくれているということは実におもしろくないことでございまして、事情が多少あるにいたしましても手続がおくれているということは、これはまことに不都合なわけでございます。この点は十分調査いたしまして今後はさようなことのないように一つ措置をいたしたい、かように考えております。なお保健所の費用が三分の一の情勢になっておりまして、これはまあ予算が――ことしの予算におきましてもそうでございまするが、年々この補助率の増額について大蔵省とは話し合いが出るのでございます。ことしもこの間非常に折衝を続けたわけでございますが、補助率の改訂ということはなかなか他の省にも関係することでございまして困難な問題があったのであります。ことしはとりあえず一つ保健所等に要する費用を二億円だけ増額しよう、これを適当に割り当てて保健所の使命を一つその方で――なお十分ではないが最善を尽そう、こういうような趣旨で予算編成をやったわけでございます。将来とも懸案でありますので、これはよく一つ折衝をいたしまして、保健所がほんとうにその使命を十分果せるような機関に持っていきたい、かように考えております。こまかいことはまた政府委員から御答弁させます。
○山口(正)政府委員 予算の配賦のおくれましたことは、事実おくれましたのでまことに申しわけないのでございます。しかし弁解がましいことになるかもしれませんけれども、実際に配賦をいたします際に、器具、薬品の費用、それから実地指導員の手当などを一緒にして配賦することになっておりますので、実地指導員の手当を予算の範囲内で何とかして増額したいということでいろいろ折衝を重ねておりましておくれたのでございます。しかしただいま大臣のおっしゃいましたように理由はどうあろうともおくれましたことはまことに遺憾なことでございますので、今後はそういうことのないようにしていきたいと考えております。
○亀山委員 関連して一つお伺いしたい。厚生省予算に限らず、一般に予算の施行は三十一年度は非常におくれているのです。これはよく聞いてみますと、大蔵省の主計局が非常な干渉をしており、予算の施行につきましてあまりに立ち入った干渉をし過ぎる傾向がある。私は地方行政委員会においても起債の問題に関連して同じようなことを言ったのですけれども、実行官庁に十分な信用を置かずしてまるっきり大蔵省主計局当局が予算を実行しておるようなつもりでおる。これはもう厚生省予算に限らず他の予算が全部おくれております。この問題は今八田委員が言われましたように、非常に仕事をする上においては迷惑千万、ことに地方団体は迷惑千万である。しかも多くの事業はそのために停滞して、せっかく年度予算を当初に通しても実行上からいうとその効果がないというような状態なんです。これは神田厚生大臣一つ、予算の問題につきましては、今度予算獲得に非常な御配慮になりましたことはわれわれも敬意を表しますが、同時に予算の執行についてあまりに大蔵当局がこまかい干渉をすることのないように、実行官庁を信用するように、ぜひ一つお話し合いを願わぬと、せっかく予算をおとりになって実行されるにしましても非常におくれて迷惑しておるのです。特に厚生大臣の御配慮をお願いして政府当局の意見をまとめていただきたい。この際一つ御意見をお伺いしたい。
○神田国務大臣 ただいま亀山委員の御発言によりまして、三十一年度の政府予算が全部にわたっておくれているという事実を承知いたしました。実は私も驚きいった次第でございますが、石橋内閣も組閣まだ日も浅いのでございまして、そういう問題が実は閣議の席上で上ったことがなかった。これは非常に大きな問題でございまして、大へん教えられたと考えるのであります。三十一年度の年度末も目睫追っておりますので、閣議の際に国務大臣として一つ各省にこの問題を提議いたしまして、閣僚全体としてそういうことがどうなっておるか再調査していただきまして、予算を御審議願ったその本質に照して事業が十分達成できるよう予算が運用されるということに一つ努力さしていただきます。なお三十二年度の予算につきましては今御審議を願っておるのでありまして、通していただきましてこれが実施に移りましたならば、今申し上げた気持で、十分予算の使途がその用途々々に従って時機を失しないで流れていき、効果を上げるような処置をとりたい、かように考えております。
○藤本委員長 八田さん、八木委員が他の公務のために時間の都合もございますので、簡潔にお願い申し上げます。
○八田委員 今亀山委員も触れましたように、国の予算の実際の支出というものは非常に問題があるのです。神田厚生大臣はその点について力強い御発言がありましたが、非常に監督しなければならぬ問題です。私はこの問題についても、また日本銀行と金融機関とのあり方についてももっと突っ込んでいかなければならぬ問題をたくさん持っておるのです。実際予算をはさんで金融機関が金利をかせいでおる。これらについては時間がございませんから省略いたしたいと思いますけれども、ただ問題は、家族計画の普及ということはこれほど大切でありながら、予算が一つもふえていない。そのほかいろいろな隘路があるということはわかっておりますけれども、もう一つ大切なことは、家族計画の実績というものがわかっていないのです。これはもちろん普及度を意味しております。ですから地域的、職域的、階層的にどの程度に実績が上っているかというような何らの資料もわれわれは持ち合せておらぬのであります。厚生省の方もこういう実績のない状態において大蔵省を圧迫するわけにはなかなかいかぬと思う。家族計画のいろいろな大会に出てみましてもいたずらに実績のない資料に基いての感情論が多くて、まことにこの運動を起していくために困難を感じている問題でございます。あたかも参謀本部が地図を持たないで作戦を練っておるというのが今日の現状でございます。どうかこの点につきましても実績を十分に知るような資料をお集め下さらんことを切に要望いたしまして、時間がございませんので私の質問を一応ここで保留さしていただきます。
○神田国務大臣 ただいま八田委員の御要望されました政府側が十分な資料を整えて最善を期せということは、まことにその通りでございまして、今までもその点については厚生当局としてはやって参ったと思っておりますが、お気づきの点、御注意いただいたわけでございまするから、今後はなお一そう留意いたしまして最善を期したいと思っております。
○藤本委員長 八木一男君。
○八木(一男)委員 厚生大臣にお伺いいたしたいと思います。この前の医療保障の勧告につきまして、岸総理大臣代理並びに神田厚生大臣にお伺いしたのでございまするが、時間がございませんでまだまだ問題が残っております。その中の大きな問題でございます国民健康保険の問題、結核対策の問題につきましては、後ほど別な機会なり、また関連の法律の審議のときに質問をさしていただくことにいたしまして、本日はそれをあきらめまして、ただ言い足りない点だけお伺いいたしたいのでございます。 その一つはこの前もちょっと申し上げましたけれども、医療保障委員の問題でございますが、はっきりと御答弁を伺っておらないように私記憶しておりますので、医療保障委員と社会保障制度審議会の意見が食い違ったときにどちらを重視されるかということについて一つ大臣のお考えをはっきり承わっておきたいと思います。
○神田国務大臣 八木委員から社会保障制度審議会の勧告の線と医療保障委員の考え方が違った場合、厚生大臣はどっちをとるかというお尋ねでございました。これは私は想像としてはそういうことがあろうかと考えておりますが、厚生省の立場から考えますと、社会保障制度審議会の方は大きな組織を持った法的といいますか、総理に答申する大ワクをおきめになっていただくのでございます。医療保障委員はその線をいかに具体化していくか、いわば専門的な掘り下げたような委員のように私は伺っております。私の考えているところが違っておれば別でございますが、実はそんなふうに承知いたしておりますので、そういうことはないのではないか、こういうふうに考えております。
○八木(一男)委員 大体御答弁でけっこうだと思うわけでございまするが、前に厚生省の関係のそういう五人委員会とか七人委員会、そういうものの方を重視されていろ状態にございます。それは非常に間違った考えでございまして、それは斯界の権威者を集めておられるかもしれませんけれども、社会保障制度審議会は関係の各諸団体の代表の方が、すべての関係から意見を述べておられます。また国民の代表である衆参両院議員が意見を述べておられる。そういうことでございまするので、あくまでも法律的の根拠の問題は別にいたしましても、はるかに制度審議会の方があらゆる負度から検討した結論を出されているわけでございます。おまけに法の根拠に従った審議会でございまするので、あくまでも大臣がさっきおっしゃられましたように制度審議会の答申を尊重して、その法の根拠のない委員会の方により置きを置くというようなことは決してないようにお願いをしたいと思うのです。 もっと申し上げますと斯界の権威者でございましても、五人か七人の方は同じような傾向を持っておられる。それでしょっちゅう厚生省のベテランでございまするが、そういう関係の局長さんとか課長さんと話し合っておられる。そうなるといかに練達の士でありましてもその中だけのマンネリズムに陥りまして、国民の声とか団体のいろいろほんとうに困った衷情とかがわからなくなる。自分らは権威者であるという確信を持っていられるのはいいのですけれども、確信を持ち過ぎてほかの声が耳に入らない、ほかの妥当なことをいれようという気が起らないということであってはいけないと思うのです。そういうおそれが多分にあると思うのです。ですからその点は一つ――いろいろ局長さんがおられますけれども、大臣は局長さんの意見をもちろん厚生省の代表として尊重されることはいいですけれども、大臣として厚生行政はどうあるべきかという根本の方針は大臣がおきめになるのですから、一つその点で、さっきおっしゃいましたような線であくまでも社会保障制度審議会の勧告を特に重視してやっていただきたいと思います。これは要望でございます。 それからこまかい問題でございまするが――社会保障制度審議会の勧告の中で大きな問題は後に譲ります。やはり重要な問題でございまするけれども、骨子でないいろいろの重要な問題がうたわれております。たとえば予防給付の重視であるとか失業者の医療保障とか、また効率的にして制限されない医療の実施、それから新しい診療方法の取り入れ、結核教育の推進、無医村対策の強化というようなことがうたわれておりまして、こういうことは逐次どんどん実行されるべき問題でございまするし、実行上予算的のいろいろの隘路という出題も非常に少いものでございますから、逐次どんどん取り入れてやっていただくように御要望申し上げておきたいと思います。 それからもう一つは、この勧告書ができました経緯は、私も参加いたしておりまして、亀山先生も十分に審議のリーダーとなられたわけでございますけれども、そこでは問題によってはいろいろ論議がかわされたところがございます。ですからそのいろいろの論議を頭に入れてそうして一つの文章にまとめてある。その文章には一つ一つ非常に重大な意味を含んでおります。少くともという言葉一つにも、何々以上という言葉にも、レベル・ダウンがあってはならないという言葉一つにも、非常に重要な貴重な意見が含まっておる。ですから通し読みをなさって、今の厚生省の立場から工合のいいところを一つだけ取り上げ、他の方は抽象的な文句だからほっておくというようなことは決してないようにしていただきたいと思うのです。一つだけ例を申し上げますと、「効率的な医療」という言葉がございます。効率的な医療ということをしろうと考えですると、効率というのは何か非常に能率を上げるというような点で、財政的な配慮があるように思われる言葉でございます。ところがこれは近藤文二という権威者の委員が発明された言葉でありまして、その文言の解釈はここに完全に書いてあります。これをしろうと考えで効率ということが財政的な効果を上げるというように解釈されますととんでもないことになります、ちょっと一つだけ読みますと、効率的という意味は、「まず第一には、それが技術的に見てもっとも効果的ということであり、」ということであります。「第二には、経済的に無駄があってはならないということを意味する。」それに註釈がつきまして、しかし「その場合においても、高くともより効果があり、早くなおる方法があれば、これを採用するという意味」だということが明らかに載っております。ですからもしこれの解釈を誤認したり、悪用して解釈を悪い方に持っていって、いろいろの医療を制限されるようなことがあっては、とんでもない間違いになるわけです。具体的な事実になりますると、結核の治療でストレプトマイシンとヒドラジッドという薬があり、またパスという薬があります。みなよくきく薬でありますが、金の点でいくとヒドラジッドが安い。ストレプトマイシンの方が高い。それで財政を考えてストマイの方がきく患者でもヒドラジッドで押しつけて、これでよいのだという行政が行われてきたとも思いますし、そういうおそれが多分にあるわけでございます。それはこういうことには全然相反するわけであります。それで非常に何といいますか患者のことを思わないで、そして役所がもしそういう間違った方針をとられたときに、役所の権威におもねる医療担当者があるとすれば、それはどちらでもよいのだ、ストマイとヒドラジッドでも、どっちでもきくのだというようなことを言う人があるかもしれませんけれども、それは間違いであって、あくまでもストマイとヒドラジッドを一緒にするとか、あるいはパスと三剤を併用するとか、一つでよいとか、症状によって違いますけれども、とにかくヒドラジッドでもってストマイに全部かえるということは、今の医療上間違いであります。そういうように逆用したり悪用のないように一つ御注意願いたいと思います。これは要望でありますが、この点について大臣の御所信を伺いたい。
○神田国務大臣 社会保障制度審議会の勧告を政府が尊重するということは、これは調査会を作るときの最初からの考え方でございまして、ことに今の石橋内閣におきましては、社会保障を一つうんと充実しょう、その一つの指針としまして、これは非常な期待をしておるわけでございまして、これを尊重することはもう当然のことでございます。しかしただいま八木委員の述べられましたように、勧告の線を全部これは同時にやることがきわめて当然のことのような場合でも、財政上の関係とか諸般の情勢によって、勧告自体をのむのであるが時期的に、これは行政上のことでございまするから、御指摘のようなことがないとは言えないのであります。しかし政府の立場といたしましてはそれを尊重して、逐次その勧告ないし勧告以上にやろうという熱意のあることを御了承願いたいと思います。今具体的な問題でございますが、治療の際の新薬使用の問題でございまするが、これは今八木委員の言われた通りにやっておるのじゃないかと思うのです。何と言いましても、きく薬を使用しないできかない薬を使用するということは、これは一番不経済であり、非能率のことだと思う。時間的に何回も使用すれば結局安い薬が高いものにつくわけでございまして、患者の方から考えましても病院側から考えましても、もちろん国家としてもこれ以上むだなこと、不経済なことはないわけでございまするから、さようなことは万々ないとは思いますが、たくさんの医療機関でございまするから、そういうはき違えておるようなことがあるとはなはだもって困るわけでございまするから、さようなことのないように十分注意いたしたいと思いますが、どういうふうになっておるかは政府委員から詳細答弁させたいと思います。
○山口(正)政府委員 ただいまの御指摘の結核の治療剤の問題でございますが、大臣も申されましたように、それから従来当委員会においてもたびたびお話しになっておりますように、日本医学会に諮問いたしましてその答申を得ました新しいやり方、つまり先ほど八木先生が具体的におっしゃいました三剤併用の仕方、結局ストマイを使いますと高くなるわけでございますが、ストマイ、パス、それからアイナというものの使い方、それをどういう場合に使うかというようなことを新しい考え方で答申を得ております。従いまして医療費としますと、それだけかさんでくるわけでございます。また新しい薬としてバイオマイシンとかピラチナマイドというようなものも取り入れるというような答申が来ております。その答申に基いて社会保険の方では治療指針の改訂をし、結核予防法においてほ医療基準を改訂して、たとい費用が少々高くなりましても効果的な医療が行えるように基準をかえて、それによって治療していきたい。予算的にも内容もそういうふうなことで、結核予防法の治療費の問題もそういうふうな考え方に基いて、予算の積算基礎をやっていきたいと思います。
○滝井委員 ちょっと関連して伺います。今後の健康保険の審議がありますので、大臣によくわかっていただかなければならぬと思います。われわれも大臣の考えと同じ考えを持っている。まず労働力の再生産が最も早い方法で治療をやるのが一番早道である。ところが健康保険は、結核でも今まで同じなんです。いい薬は、その薬の効果というものが普遍的にずっと学界に承認をされてから、いい薬を使うことになっている。だから実際に健康保険でその薬が使われるのは五年くらいおくれている。三剤併用ということは、二十八年に抗生物質が使われてから一、二年くらいしてからわかっていた。それが厚生省の予算の関係や何かでずっとおくれて、ようやく今になって使われている。今、実際には全部の者が使っている。たとえば盲腸を切ります。そうすると盲腸によってはうみがなかなかとまらないものがあるのです。このときにペニシリンとストレプトマイシンをまいたらぴたっととまってしまう。それは健康保険では認めないのです。そういうものをやったら、今度の健康保険の改正では過剰診療になって、審査の対象となって保険医が首になるという形になっている。だから大臣のおっしゃるような言い方をすれば、全国の医者も文句を言わないし、われわれも文句を言わない。ところが実際に使っちゃいかない。たとえばかぜを引いた。代議士がかぜを引いたら、滝井君、どんな薬を飲んだらなおるかと要求します。それはオーレオマイシンを飲んでごらん、一ぺんでなおるということを教える。飲む。ところが健康保険ではかぜにサルゾール、ズルファミン剤、そういうサルゾール剤をかぜに使っておったら削られてしまう。まずアスピリンのような人口に膾炙して昔からあるものを使ってごらんなさい、それでなおらなければサルゾールのようなものを使ってごらんなさい、それでなおいかぬで、肺炎にでもいくのならペニシリンを使いなさい。いい薬品はなるべくあとになってから使えということになっている。軽いうちに、そのものずばりと高貴薬を使うことはいけない、こういうふうになっている。これは逆なんだ。これは保険局長にお尋ねしてもよくわかるだろうが、そういうことになっている。感冒なんかで初めてそういうものを使いますと濃厚診療、こういうことになっているのですよ。この点は今非常にこまかい御答弁があったのでありますけれども、事務当局の答弁はそういう公式論でいきます。しかし実際の診療の場面になると、そういうものは使ってはいけない。今までだって三剤併用したらなおると思っても、三剤はいかない、まず一剤でやってみて、悪かったら二剤やりなさい。だから昔から医者は二割をくれる。しかし健康保険になってからみな一剤になった。水薬と散薬をやる場合は病気が重くて、必要な場合でなければやってはいかぬというのが健康保険の建前になっている。そういう工合に人間の命が大事か経済が大事かというと、今の日本では、命よりも経済が先である。経済が先行している。ここはまず大臣は、この前言われたように政治が先行して、科学的基礎のある政治でこれを押えて、ほんとうの学問の医学的進歩にいけるような医療の体制を作らなければならぬ。それはいずれ健康保険の方でやりますが、今の健康保険ではそれができない建前になっておる。この点は大臣が今私と同じ意見を述べられましたが、事実はそうでない。大臣の述べられた意見を実践してもらうことを私は要望しておきます。
○八木(一男)委員 今滝井君の質問の通りでございまして、大臣はまだ厚生大臣になられたばかりでございますから少し遠慮しておりましたけれども、大臣の精神はいいけれども実際にはその通りやられておらない。この問題は後に持ち越しまして徹底的に追及いたしますから、大臣も御勉強になりまして、大臣の精神と間違った厚生行政が行われていることについてわれわれも追及するし、大臣の方もけしからぬではないかということで御答弁の用意をしておいていただきたいと思うわけであります。 時期がございませんので次の問題も中途で終りますけれども、いわゆる同和対策の問題、部落対策の問題につきまして、大臣のお考えを簡単に教えていただきたいと思います。もし大臣がおわかりにならなければ、おわかりにならないという御答弁でけっこうです。政府委員の御答弁がありまするとおそくなりますので、大臣の御答弁を伺います。
○神田国務大臣 実は同和問題に対するどういう答弁の要求をされたのか、私ちょっとその内容がわからなったのでありますが、同和問題に対する一体大臣としての考え方はどうかという意味でございますれば、そのような答弁を申し上げたいと思います。私はこの同和問題につきましては、戦前同和問題だけを目標に、行政の対象としていろいろ施設の改善とか、あるいは融和関係等の施策を講じて参ったことを十分承知いたしております。それで戦後、これはそういうような仕組みにしないで、そして一般の社会保障の中の問題として扱っていこうというふうなことで参ってきたようであります。私といたしましては、そのどちらがいいかということは、なかなか一がいには言われないだろうと思います。しかし今日この同和問題と申しますか、今部落の問題と申されておりますが、この地区と申しましょうか地帯の衛生の改善の問題、たとえば住宅の問題にしてもしかりでございますし、さらにまた公衆衛生から見た浴場の施設の改善の問題であるとか、いろいろ今日の社会生活の上からおくれておる面、取り残された面を相当すみやかに改善いたしまして、ほんとうに同和の実をあげるということが私は喫緊の事態ではなかろうかと思う。そこでこういうような面にできるだけ一つ尽して参りたい。こういう気持を強く持っております。自分が選挙運動等を通じまして、こうした地帯に出入りをした経験をたくさん持っております。前々から関心も持っておったことでございますので、何か一つおくれておる生活を一般のレベルまで引き上げて、ほんとうに同和の実を上げたいということは私の考え方でございますが、この三十二年度予算にしからばたくさん費用を計上したかと問われますと、これは日浅くしてなかなかそこまで参りませんが、その心がまえでやっておりますことを御了承願いたいと思います。
○八木(一男)委員 同和問題は今の行政的な機構では各省にまたがっております。厚生省が最も重要な関係を持っておられますけれども、たとえば通産省の関係もあり、また建設省、文部省、農林省、地方自治庁もみな関係を持っておられるわけであります。こういうふうに部局が分れておりますので、ほんとうに重大な問題は押しやられているわけです。私といたしましては、やはり一番関係の深い厚生大臣、並びに厚生省がこの問題に取り組む腹がまえでこの問題に当っていただきたい。そうでないと各省でてんでんばらばらにやっては何もうまくいかないと思うのです。今何か答弁の紙が回りましたのは、おそらく各省の審議会があるという御答弁だろうと思いますけれども、それはわかっております。そのような審議会は強力じゃない。法制上の審議会ではないのです。そんなものじゃだめで、たとえば厚生省に局を設けるとか、部を設けるとかくらいの腹がまえでかかっていただかなければ、それをやったところでなかなか解決する問題ではございません。従って少しでも早く解決するためには、そのくらいの腹がまえでやっていただかなければならぬと思う。厚生大臣は幸い静岡県の選挙区で、今の御答弁で伺いますとよく御承知だと思いますけれども、東北方面、北海道方面の方はてんでわからない。こういう問題はいかに練達な大臣であっても北海道から出たらてんでわからない。西の方に行けば行くほどこの問題がわかってくる。そういうわけでこの問題に取り組んでいただきたいと思うのですけれども、厚生大臣の御答弁は、やや傾向は私としては、まあ非常になまいきな申し分ですけれども、いいと思う。多分この同和対策につきましては、同和教育をやるとか、精神的に平等にやるというような御答弁が方々であるのです。それはそれでいいのですけれども、それでは解決がつかない。三百万と言われる同和地区の人々の貧困な状態というものは、これは長い歴史に淵源しておるわけです。本多佐渡守の百姓は死なすべからず、生かすべからずという、その政策で、農民を非常にしぼるために、農民には名誉を与えて士農工商という、さむらいの次の階級を与えて、名誉を与えておいて、百姓をしぼる。そうして農民に満足を与えるために次々と農民以下の階級、士農工商、それからあとまだ階級を作って、それでしぼる政策の一つとして、もっと前からありましたけれども、そういうことが強化された。ところが明治維新のあとで平等になりました。ところがこれが別な面で逆になりました。その時代には、いわゆる今いう同和地区の人は、斃獣に対する特殊処理権があったのです。ですからその中には皮製品や何かを一手に売って経済的には成り立っておった。ところがそれが明治維新で、その経済的な特権がなくなって、ただ観念的な平等だけやるということになった。そこで製革業などは新しい資本主義経済でほかの方で、どんどん大きな会社でやっているのでとても対抗できないというので、明治維新以後は貧困の度が増してきている。そこで今度は終戦後農地改革のときも、小作農になっていれば農地が入った。ところが小作農にもなっていないから農地も手に入らない。だから農民としても――農村地区に多いのに、農民としても成り立っていけない。今農地を持っている人もありますけれども、これは一反か二反、せいぜい三反ぐらいです。それから労働者としていこうとすると、事実上非常に遺憾なことでございますが、大企業では事実上の差別をしているところがございます。同じ学歴、同じ能力を持っていても採用しないということが事実上あるのです。ですから中小企業か零細企業か、つぶれかかりの企業にしか就職できない。就職できた人でそうです。ですからつぶれてしまって失業戦線にほうり出される。農民としても労働者としても立っていけない。中小企業者としては大企業に圧迫されてやっていけない。げた、鼻緒という産業は、だんだん進歩してくつをはくようになったから、だんだん凋落する一方です。ですからどうやっても暮せない状態にある。その状態にあるから、環境もひとりでに、自分で改善することができないで、衛生状態も悪い。就職ができないから気が荒くなるということで、ほんとうに少くしなければならないいろいろの差別概念が経済的な点で再生産されてくる状態にあるわけです。観念的にみな一緒にやっていこうじゃないかぐらいでは解決する問題じゃない。ほんとうに根本的に経済的に取り組まなければならぬ。大臣は今経済的な点を申されたので、私としてはいささか満足なんですけれども、ただ隣保館くらいでは解決する問題じゃない。ですから、厚生省自体ほんとうに中核になって、中小企業の問題は通産省と話し合って、それから農林の問題、たとえば新しい農地を作ったらそこの農地を取れるような方法をとるとか、山林の問題も解決するとか、そういう問題まで取り組む気持で、どこかの官庁でどこかの大臣がほんとうに本腰になってもらわなければ解決ができない。その点で一つぜひともがんばっていただきたい。老練にしてしかも気鋭な神田厚生大臣が取り組んでいただきたい。そういうことで、この前も小林厚生大臣の時代に申し上げましたけれども、小林厚生大臣ははなはだ不熱心でございました。その委員会に、逃げて出てこられない。安田さんには申し上げまして、安田さんは非常に権威者で、一生懸命でやられましたが、しかし大臣に取り組む気持がなかったので、そういう問題はことしの政策には一つも反映していない。どうか沖田大臣は小林さんと違って、本腰に取り組んでもらいたい。厚生省に部局を作って、今の各省の審議会というような、いいかげんな法制的な根拠のないものじゃなしに、完全な根拠のあるものにしてその問題と取り組むという腹をぜひ示していただきたいと思う。こまかい問題で申し上げたいこともございますけれども、時間の関係がございますので、その御決心を一り承わっておきたいと思います。
○神田国務大臣 八木委員のいろいろ部落に対する御意見といいましょうか、実に実質を把握された、事実をそのままお示しの御意見でございまして、私もまことに同感でございます。この仕事と申しますか、この打開をするということは全くこれは相当の金もかかりまするし、相当の時間もかかります。もちろんこれをやるには、それに倍する熱情を傾けなければならないと思いますが、全くこれはこれ以上放置できない状態にあることは私も率直に認めます。何か一つこれと取り組んだことを事実に現わしたいということを念願しておりますので、ことしは今申されたように、少し時期を失したきらいがございますが、しかしこれは今申し上げたような施策をとるにいたしましても、調査機関も要ることでございますし、主十二年度はみっちり一つ考えまして、今お述べになられましたような方向に全く同感でございますから、新しい手を打ちたい、こういうことをほんとうにお答え申し上げまして、御了承願いたいと思います。
○八木(一男)委員 今の大臣の御決心に対しまして非常に満足いたしました。問題は実行でございますので、ぜひとも一つ急速に実行していただくように要望申し上げます。ほかの問題もございますけれども、留保さしていただきまして、私の質問はここで打ち切ります。
○藤本委員長 栗原俊夫君。
○栗原委員 大臣に数点お伺いしたいと思いますが、同僚各位のすでに質疑をした問題でありますけれどもおさらいのつもりでお教えのほどをお願い申したいと思います。 今回国民皆保険という大旆をかざして、四カ年間に皆保険を完成するのだということでございます。まことにけっこうなことでございますが、このことについては先般来、それでは権力によって強制しなくても皆保険に持ち込むことができるかどうかというようなことが取りかわされておったようでありますが、まず第一にこれから皆保険のために四カ年かかって保険制度をやってもらわなければならない地方の自治体、こういう人たちはなぜ今日まで保険を行わなかったか、こういう点どういう工合に分析して今度の皆保険の構想をお立てになりましたか、まずこの点を承わりたいと思います。
○神田国務大臣 栗原委員の国民皆保険に関するお尋ね、まことにごもっともな御心配だと思います。国民皆保険が打ち出されまして相当の年月がたっておることは御承知の通りでございます。しかしこの間すでに国民の三分の二、いわゆる六千万近くが社会保険に加入しておるわけでございまして、残りの三千万をこの四年間――正確にいうと三十一年の現に進行中のものを引きますと、二千数百万におるわけでございますが、最近特にこの保険に関する国民の考え方と申しましょうか、熱が非常に入ってきたんじゃないか。市町村においては、最近新市町村を作るというようなことで町村合併などが盛んに行われて、市町村の変革時でもあった。また財政的にも非常な苦難な時期でございました。それにもかかわらず、ここ数年来国民健康保険が着々として新設されて参っておる。この気運に乗じまして、ここで一つ国民の医療費の軽減をはかるために国民皆保険を実行したい、一つ四年間でやてっみようということでございます。そこで、それならば法的な措置をしなくてもできるかというお尋ねなんでございますが、これは先へいってみなければわからぬことでございます。法的措置をしなくてもできるようにすることでなければ、私はほんとうの皆保険ではないと思う。上の方の命令で、やらなかったら、法律で強制する、罰則を加えるのだというようなことでは、私はほんとうの皆保険ではないと思う。問題はむしろ皆保険のおくれている原因ともいうべき――たとえば国が今日まで事務費の補助率をもっと見ればよかったのじゃないか、あるいはまた医療の給付につきましても予算の計上の仕方が足りなかったのじゃないか。いろいろなそういった市町村財政を圧迫する問題がなかったとは言えないと思います。さらにまた問題は、そういう対市町村の問題だけではなく、医療機関と厚生省の側と申しましょうか、この両者の対立――とまでは申し上げなくても十分な協調がなかったということも大きな原因だと思う。医療機関の正常なあり方というと言葉がいいかどうかわかりませんが、お医者さんが喜んで皆保険になった方がいいというようなところまでの医師の協力を得られなかった点にも問題があるのではないかと思います。そこで今度四カ年で皆保険をやろうという大きな線を打ち出しましたことは、事務費においても所要の経費を増額する、あるいはまた今日二十年度の医療の給付費も残っておる。三十一年度も不足だということもはっきり聞いております。こういうのも予算化されなければいかぬ。それから三十二年度は当然増加予算を見積ろうというような行政上の措置をとると同時に、医療機関に対しても十分な協力を得るような了解をつけたい。法律を作ってやるようにしむけることも大事ですが、その前に私は厚生省としてなさなければならぬ問題が相当あるんじゃないか、解決しなければならない問題が相当あるんじゃないか、これらと一つ十分取っ組んで解決いたしたい。そこでなお至難の点がある、あるいは世の中には原則の例外というものがございまして、これはいい意味にも悪い意味にもございます。どうしても強制しなければできないということが予見し得るならば、これは法的措置もやむを得ない。そこへいくまでには、しむける方自体も十分な態勢を整えて、その後にそれでも相手が受け入れ態勢がない場合においては、無理であっても受け入れをさせるような措置をとる必要がある、こんなふうに考えております。ですからこの三十二年度に四カ年計画として大きな旗じるしとして打ち出したわけでございます。今申し上げたような考え方でございますので、すぐ立法化してというまではまだ私も腹をきめかねております。諸般の情勢をよく検討いたしまして、その前にわれわれがみずから解決しなければならない問題を解決いたしたい、こんなふうに考えております。
○栗原委員 厚生大臣も新任早々でもあり、大いに抱負をもって、おそらくこれを生涯の仕事の一つにして残そうという意気込みであろうと思いますが、法で強制するのではなく、皆が立ち上ってくれるような施策をやるよい方向へ決意して下すって頼もしく考えます。率直に見て、今までできております国民健康保険の組合も、利用されなければ困るし、たくさん利用されればつぶれるというのが実情だったのです。実際いって当局もなかなか痛しかゆしという場面にずいぶんぶち当ってきております。しかし最近は、神武以来の景気とはいいますが、多くの人たちのふところは必ずしもそういう景気ではありません。従って医療関係はやはり四の五の言いながらも保険を通じての医療という形になってきますから、どうしても保険財政は赤くなって非常に苦しんでおります。私は群馬県ですが、私の村は保険をやっておりますけれども、近所にはまだやっておらないところが幾つもあります。そしてやはり苦しいところを見ると、勧奨されてもにわかに立ち上れないという立場に立っておるわけであります。先般来二割補助を三割補助にしなければならないということですが、これは三割できっと足りるというのではなくて、まず三割あれば足りるであろうという三割だろうと思うのです。私は三割でも十分だと言い切れないと思います。そこで最終的な形で国民皆保険ができ上った場合を想定した場合に、医療の状況がどういうことになるかという御構想なんでしょうか。国民皆保険ができ上ったときの医療界というものはやはり慣行的なものも相当行われるか、あるいは保険診療というものがほとんど九九%を占めるという見方をなさっておられるのか、この点の見通しについてはどういうお考えなのですか。
○神田国務大臣 お答えいたします。私どもの考えておりますことは、特殊なものを除いてもう大部分は保険診療だ。そこでもう一つ申し上げますれば、政府も皆保険に踏み切るときに、これは財政上相当の心がまえをしようという決心で踏み切ったのでございます。ただしかし、それでは何割だというようなことになりますと、これはやはりもとが税金でございますし、それから将来の医療の伸び方も見なければなりませんから、そうしたはっきりした幾らだということをつかんでやったわけではございませんが、諸般の大筋から申しまして、国民の社会保険はまず医療からという大きな気持で入ったのでございまして、政府は財政負担をうんとやるという心がまえだけは持って入ったのでございまして、これは一つその通りに御了承願ってけっこうだと思います。
○栗原委員 非常に大きな希望と決意を持って出発されてまことにけっこうだと存じます。そこで先ほど八木委員あるいは滝井委員からもちょっと重大な問題だと言って触れられておりましたが、厚生大臣は、医療をするときに、今保険は制限治療、こういう言葉がいいか悪いかわかりませんけれども、先ほど言う通り、特定な病気に、きめられたもの以上の治療をすればこれはカットされる。カットばかりでなくて、罰則さえついているというような状況のもとにあるそうですが、病気を直すのに制限治療でいくべきか、完全治療でいくべきかといえば、これはやはり完全治療でいくのが当然だ、こう思うわけですが、国民皆保険になる、そうして病人の大部分が保険診療を受ける、しかも治療の内容は制限治療でなくて完全治療が本来からすれば一番いいのだ、こういう建前に立つと、今四年目に完成するときには、重大な決意を持ってと、こう大臣はおっしゃるのですが、その決意は、単なる国から金を出すということだけでなしに、医療の大革命という形に発展するのが当然じゃないか、こう私は思うのですが、それは率直に言って医療国営という形、しかも特別会計によるところの医療国営という形になってこそ初めて完全なる、しかも完全治療を内容とした、全国民が安心して治療を受けられる。しかももちろん全く無職出ではなしに、やはり特別会計なら特別会計というような形で、分に応じた負担をかけつつ医療国営という形が構想されるのではないか、こう思うのですが、この点に関して大臣の所見を承わりたいと思います。
○神田国務大臣 栗原委員の皆保険が進む、その前提には皆保険が完全に実施される場合は医療は国営まで考えてやるべきだというお尋ねでございますが、私どもさようにその点は考えておりません。現在の開業医は私企業として営業の自由と申しましょうか、今より以上に一つ生活を保障された姿で協力していかなければならぬ、医は国営だというようなことで、お医者さんを月給取りにしてしまうという考えは毛頭持っておりません。私企業として公立あるいは国立の施設相伍して健康保険医として十分の機能を発揮していただくことに御協力していただく、こういうふうに考えております。
○栗原委員 いろいろ当り触りもあることを政治的に考えられて慎重な御発言だと思うのですが、しかし国民皆保険がほんとうに医師の全面的な協力のもとに完成するときには、これは今のような大臣の御配慮をしなくてもよいような事態でなければ、せっかくの皆保険も画餅に帰するようなことになりはしないかと思うのですが、この点どうでしょうか。
○神田国務大臣 どうもそこが私どもと社会党と違うところじゃないかと思います。私どもはやはり企業の自由と申しましょうか、人類の進歩、国家の福祉というものは、やはり個人の自由というものを認めてそうして個人の創意と工夫とその努力と熱意によって進歩するんだ、だからこれを一つのワクの中に入れて位階勲等だとかあるいは俸給の何号俸だとかいうようなものさしにしないで、人権を尊重して最善を発揮してもらう、そこが国家興隆のもとだ、こういうふうに考えておりますので、さよう御了承願いたいと思います。
○栗原委員 これから先論ずるともう並行線になろうと思いますし、せっかく国民一人丸々の病気に対する不安を一掃するという方向で御精進を願いたいと存じます。 次に、これはまことにしろうとの質問で申しわけないのですが、一つ国民一人々々に答えてやるという気持で答えていただきたいと思うのです。今回の予算を拝見さしてもらいまして、各部門にそれぞれ適当な金額が増額されておることは一応好ましいことでございますが、さてこれが中央におけるいろいろな資料によるところの集積の中から算出された数字であることはもちろんでございますが、一たんこれがいよいよ具体的に下に流された場合に、これが衆に流れあるいは福祉事務所等々に流れて、ほんとうに最末端で接触するときになると、必ずしも皆さんが一生懸命に予算を組んで下さっておるときのような気持で最末端が執行されておらぬという事実が多々あるのです。そこで幾つかその事例を申し上げて、ほんとうのこの予算を提出されておる政府としての心がまえを聞いておきたいのですが、たとえて申しますと、結核予防法、これに対して予算が順次流されておるわけですが、この結核予防法に関する予算の執行について、省の方では府県に対して何らかこの予算の使い方について指示というか、通達というか、そういうものを三十一年は二十一年なりに流してはおりませんか。
○山口(正)政府委員 結核予防法による予算の使い方と申しますか、それを実施します場合のやり方につきましては、予算が決定いたしますればそれぞれの担当の課長会議を開きまして、それを中央に集めます場合もございます。地方にブロック的に集めますこともございます。また必要な事項につきましては、局長通牒を出す、あるいは次官通牒を出すというようなことで指示はいたしております。
○栗原委員 きわめて事務的な御答弁でまことにその通りだとは思うのですが、なぜこんなことを聞くかと申しますと、予防法の対象となる具体的な事実がある場合に、これは予算をじゃんじゃん落していくように指導をなさっておるのか、この予算で一年間は引っぱれというような指導をなさっておるのか、この辺はどうなんです。
○山口(正)政府委員 これは事項にもよると思うのでございますが、義務的なものあるいは義務的でないものもございますが、予算の大体のワクを示して、そうしてそれに基いてまかなうようにというような指示をいたしております。
○栗原委員 それは末端へいって、たとえば保健所あたりでいよいよ具体的な問題が起る。ところがこれも先般来の論議の中にも出てきたと思うのですが、予算と見合っておそらく結核予防法の精神は金があるだけ結核を予防しようというのじゃないと思うのです。具体的なものがあったらこれを予防していこうというので予算というものがこれについているんだと思うのですが、法の精神と予算とのにらみ合いのときに、最末端ではやはり予算に縛られて法の精神を没却しておるというような姿が多々出ておるように思うのです。というのは、当然結核予防法で抱き上げなければならぬ者を抱かずにやっておる。続いて同じような立場に立っておる精神衛生法ですが、こういうような具体的な問題が起ると、法には人を殺すとか、つけ火をするとかいう危険がなければだめなんだ、危険があるからお願いにいっておるんだけれども、危険があるということは、やっちゃってから危険があるということではいけない。私もずいぶん議論をやったことがありますが、実際においてせっかく法があり、こうして予算がお互いの論議によってきめられていっておるにもかかわらず、金がないからということにもよりましょうが、実際問題としてはそういうことが多々ある。こういうときに今後どう末端はやっていったらいいのか、われわれとしたらやってもらったらいいのか、この点についての心がまえを一つ――これは実際にお前は国会へ出ていって何だということが末端においてあるんです。おそらく私たちの同僚の議員さんにもあると思うのですが、そういう事実に間々ぶち当るわけです。こういう点を、予算が足らないからだといえばそれまでですが、皆さんの方からそういう口がきけるかどうか、この点一つどうやったらいいかということを教えていただきたいと思うのです。
○山口(正)政府委員 栗原先生お尋ねの具体的な問題の第一の点は、結核の予算につきましては医療費の問題もあると思うのです。精神衛生法の措置入院の問題もあると思うのでございますが、これは現在の法の建前でございますと、地方が予算化いたしましたものに対して国が義務的に負担するという格好になっておる一わけでございます。たとえば精神衛生法に基く措置入院なども、地方が予算化して、そして国が最初考えておったよりもどうしても足りないというような場合には、精算してまた予算を補助をするというようなことをやっているわけでございます。決して国の予算がこれだけだからこれ以上仕事をしてはいけないというようなことは、これはいろいろものによりますけれども、そういう建前でございます。ただ地方が現在のような地方財政の状態でございますので、なかなか予算化しにくいという事実はございます。そういう意味から考えまして、こういう結核予防法にしましても、あるいは精神衛生法にしましても、その事業費に対する国の補助率をもう少し高あて、そうして地方が十分に予算化して一般の国民の方々にもっと恩恵を多く与えられるようにすべきではないかという御意見が出ておりますが、その点は今までもいろいろ考えて参りましたが、今後できるだけ地方が予算化して、そうして実際の恩恵が与えられるように持っていかなければならぬ、そういうふうに考えております。
○栗原委員 だいぶ実情をよく察して、今後国の予算を増さなければならぬという心持の表明をいただいたわけですが、やはり生活保護の方にもそういう問題が多々起っているわけです。今度の予算の中に単価を上げた、保護人員は漸次減っていくのだというような見方もございますが、末端になりますと、生活保護の中でも特に病人が出て医療援護をするような場合に非常に重大な問題が起ってくるわけです。私も率直に言って、単純な生活援護と生活保護というような形ならば、仕事がない、ないといっても、健康体であればある程度生きものにえさをやるという形もあるかもしれませんからこれは厳格な規制をしてもいいと思いますが、病気になるとなかなかそうはいきません。ところがやはり末端へいくと、たとえば町で引き売りをやっている、病気になった、生活は何とかやっていくけれども、せめて医療費の援護をしてくれといっても、まだ引き売りをする単が残っているからめんどうを見られぬとか、あるいは農村においてはまだリヤカーが残っているからどうも援護はできぬとか、こういう形が具体的にかなり激しく出てきているのです。こういうことでは、おそらく末端の担当している人たちは与えられた予算の中で何とか年間切り盛りしていこうという努力をされる、決して悪意ではないと思うのですが、少くともこうした予算を十分計算して、予算を盛っておられる人たちの気持が通じておらぬのではないか、こう思うのですが、そういう末端に対して、ほんとうに生活援護、特に生活援護の中でも、病にかかった場合のめんどうの見方等々についていかにあるべきかというようなことについて、これは一つ大臣から、私に答えるのでなくて、そういう立場に立っている日本の国民一人々々に答えるつもりでここで所見を明らかにしていただきたいと思うのです。
○神田国務大臣 ただいま栗原委員の言われたいわゆる転落防止です。それからまた一面要保護者をあたたかい気持で抱いていく、この考え方が、政府の上層部で考えていることがそのまま地方に一体行われているかどうか。これは個々のケース、ケースによって今御指摘のようなことがあるいはいろいろあるのではないかと思って私もこれは心配しておるのでございます。と申しますことは、何といいましても、社会保障は転落を防止することが一番の手なんでございます。しかしこれは理想といたしましても、落ちてくる人をあったかい気持で救うことは当然のことです。そこでその場合に、生活条件が多少なり余裕という言葉は当らぬと思いますが、今御指摘のようなリヤカー一台ある、それがあるから要保護者にしないのだというようなものさしの当て方については、これは私もそのままの事例から考えますとどうも当を欠いていると思います。それから同時にまた生活保護をするからといって生活保護を受けたいというような国民を作ってはならないと私は思うのです。生活保護を受けることは、これはもちろん恩恵的にやっておるわけじゃありません。私どもの政治の上に現われた一つの事例を解決しよう、からだの一部の故障を解決しようということとこれは変らないわけでございますから、恩恵でやっておるのでない、当然やるべきことをやっておるわけでございますから、該当された方がありますれば、これはほんとうに立ち上るような、元気をつけるような気持をもって手当をしなければならない。その間恩恵を受けた方が徳だとか損だとかいうことであってはならないと思うわけでございまして、末端においてはよくその点厚生省といたしましては乱に流れないように、また手落ちのないように、漏れのないように処置いたして参ったと考えております。しかし多くの関係者が扱うのでございまして、間々その意を尽さない場合もないとは必ずしも言えないと思います。今後これらのことにつきましてはなお一そう周知徹底せしめまして、万々手落ちのないように十分善処するように指導して参りたい、かような考え方でございます。
○栗原委員 りっぱな大臣を迎えて、かりにも親心を子知らずというようなことがあってはなりませんし、一つ最末端の担当員がただいまの御答弁をそのまま心として行動できるように御指導を願いたいということを要望いたしまして次に移らしていただきます。 これは保健所の問題でありますが、今回保健所を五カ所新設する予算も出ており、特に医師の充足のために修学資金を貸与するという新しい線も打ち出されておりますが、率直に言って、国民の健康をあらかじめ守っていこうという保健所にどうもお医者さんが居つかなくて困るのです。せっかく保健所は相当予算をつぎ込んで作っても医者が居つかぬ。時によれば二つの保健所を医者が兼務するような場合もないわけでもない。こういうことで、私も担当する医師にいろいろ聞いてみますと、何としても月給が安過ぎると言うのです。町で開業すればこれこれの収入は、あまりはやらなくてもあるのに、どうもここで一生懸命働いておっても、何としても収入が足らぬ。ところが地方の府県において、医師だけがここに居つくような給与を出そうとしても、給与体系の中から出しようがない。こういうことで非常に悩んでおるふうなんですが、何とかりっぱな医師が保健所へ居つくための妙手というものはないものでしょうか、一つ大臣のお考えを伺いたいのです。
○神田国務大臣 保健所の実情は今栗原委員のおっしゃる通りでございまして、私どもこの充実整備に苦慮いたしておることもまた御承知の通りでございます。何とかしてこれをりっぱな機能を持ったものにして、国民衛生の最前線にあるわけですから、機能を十分発揮させたいという念願を持っておりますが、なかなかうまくいかないので困っておるわけでございます。 今の懸案といたしましては、御承知のように新しい予算に新しくお医者さんの貸費学生制度を設けて入ってもらうということを計上したわけでございますが、根本的には医師の給料が安いという問題、これはやはり解決しないとほんとうの保健所としての整備ができないのじゃないかということも実は承知いたしておりまして、これは今すぐできるという意味で申し上げるのではございませんが、何とかこの改正をしようというときでございますので、これらも一つ――予算があっても使えないという実情もあるものでございますから、直したいということで打ち合せをしている途上でございます。全くこの点につきましては長いこと苦労いたしておるのでございまして、今度の給与改訂の際に何とか一つ多少でも迎え得るような受け入れ態勢にしたい、こういうことで今折衝している途上でございます。
○栗原委員 新しく医師を充足するための新しい今度の施策はまことにけっこうでありますが、やはりただいま大臣のおっしゃる通り、せっかく修学資金は貸しても、まさかこれを鎖で縛っておくわけにもいきますまいし、昔の委託学生のような制度が最近の自衛隊にもあるそうでありますが、金を借りてさて学校を出て、おれは自衛隊はいやだよと言っても、これは縛りようがないのだそうです。まして保健所の医師充足という形で修学資金を貸与しても、実際において給与が安ければ、これはどうも御厄介になったけれどもといって、そこへ勤務しなくても、さあ縛るぞというわけにも参りますまい。結局やはりそこへすわっておられるような手当をしてやらなければいかぬと思いますし、また一方において地方公務員の給与体系の中で医師を特技者として特別な号俸を給するということになれば、養蚕関係の技師もおるだろうし、土木関係の技術者もおるだろうし、なかなか容易ならない問題も起ってきょうと思うので、何とか研究費とか特殊な考案をして、そして医師が保健所に安心して勤務できるような方法をぜひ一つ考えてやっていただきたい、こう思うのですが、こんな考え方はいかがでしょう。
○山口(正)政府委員 ただいま御指摘の保健所における医者の不足の問題、従ってそれに対する充足対策としては数年来非常に苦労して参ったところでございまして、先ほど大臣からお答えになった通りでございます。その一つの方策として、三十二年度の予算に新しく貸費学生制度を設けていこうということになったわけでございますが、そのほかにただいま栗原先生の御指摘の研究費の問題でございます。これも数年来国の予算で補助金として研究費を計上いたしております。平均いたしますと一人について一カ月二千五百円程度でございます。一応国の補助はそのくらいになっておりますが、しかし県によりましては多いところでは、――県があちこちで非常に困っているものですから、多いところでは一万円ぐらい出すところもあるが、少いところで二千円、三千円というふうに出しているわけでございます。そういうことで、これは研究費で、生活保障という建前ではございませんけれども、実際は生活保障の方に回されていると思うのです。そのほか私どもの考えております、まだ実現はいたしませんが、内地留学の制度を設ける、あるいは宿舎も、今所長には公舎がございますが、新しく入る人たちに家の心配もしてやりたいというように、給与の問題だけで解決するということはむずかしい問題でありますので、若い人が入ってきたときに勉強しやすいように、いろいろな図書あるいはそのほかの施設の整備を十分やってやりたいとか、いろいろなことを総合的に考えて現在まで参っているわけでございます。それから貸費学生制度は三十二年度から実現するわけでありますが、そのほかの施策につきましても、将来ぜひ実現させるように持っていきたいと考えております。
○栗原委員 最後にいま一点お尋ねいたします。 これは少しぼうばくたる質問なのでございますが、今回の予算にも原水爆の被爆者に対する手当の予算が計上されております。ここ数日前の新聞の報ずるところによると、最近の原水爆の実験によってだいぶ放射能が空にまつわりついてきたというような報道がございました。英国の学者の研究によれば、あと十カ年たてば許容量を越える、日本の立教かどこかの学者の計算によると、特にその谷間になっている日本の空は五カ年間でその許容量を越えるという報道をしておりました。具体的に被爆した原水爆の被害者を手当することはもちろんでありますけれども、全体的に日本人九千万が許容量を越える放射能の中に置かれるということは大へん至大な問題だと思います。これは大臣でなくてどなたか係の方でけっこうですが、何らか研究、対策等がきめられているがどうか。
○山口(正)政府委員 原水爆の実験に基く空気の汚染あるいは水の汚染というようなこと、これはつとにわれわれの日常生活に直結する重大な問題でございます。根本的にはやはり原水爆の実験禁止ということになると思うのですが、しかし現実に行われて参ります場合に、その汚染を受けますわれわれとして安閑としているわけにはいかないのでありまして、従来からも気象関係につきましては、気象庁において全国十四カ所にいわゆる触角のように網を張ってその状況を常時検査しているわけでございます。そしてそれによって異常が認められました場合においては厚生省当局の方にもすぐ連絡があるというような状態になっているのでございます。厚生省におきましては、先般の昭和二十九年のビキニ実験を契機としまして、原子爆弾の被害対策に関する連絡協議会というものを設けて――これは関係の各省が集まって、その中にいろいろな関係部会、食品衛生部会、医学部会というようないろいろな部会を設けておるのでございますが、それがときどき材料を持ち寄ってはどういうふうに対処していくかということを検討するわけでございます。昭和三十二年度の予算におきましても、これは科学技術庁の原子力局関係の予算に計上されておりますが、全国数カ所の厚生省関係の地方庁の地方衛生研究所においてもやはり水の汚染状況、あるいはそのほかのわれわれの環境の汚染状況を調査する、そして異常状態がどういうふうになるかということを調べることになっているのでございます。水につきましては、それの汚染除去方法なども専門家の方々に集まっていただきましていろいろ検討して、どういうような方法を講ずれば除去できるかというようなことも考えて研究してもらっております。空気はなかなかむずかしいのでありまして、空気が汚染された場合に呼吸しないというわけにも参りませんので、一番困難な問題になってくるわけでございますが、根本はできるだけ汚染されない措置をとってもらうということがほんとうだとは思います。しかしわれわれとしてはそれに対する調査の網は張って、それに対処していきたいというふうに考えております。
○栗原委員 いろいろ調査をしていることはけっこうであります。私たちも一向ものがわからないのですが、人体許容量を越える汚染という形にもし空気、水等がなった場合に、どんな工合になるのかというようなことが――実際国民としてはああいう記事が出るとおびえます。これらについてわかっていることをきわめて簡単に、しかもどう対処したらいいかということをきわめて簡単にかいつまんで一つ答えていただきたいと思います。
○山口(正)政府委員 水の問題は濾過することによってある程度安全だということがわかっております。空気についてはなかなかむずかしい問題でございますが、従来新聞に発表されました恕限度を越えたということにつきましては、われわれ専門の学者の方々の御意見を聞いてみましたところ、ごく上層部で瞬間的にそういう異常状況があった場合もあるけれども、全体としてわれわれの呼吸する場合にそう心配するような状態にはなっていない。いろいろ新聞発表の形式が誤まり伝えられた場合もございまして、そのために一般の国民によけいな不安も与えた場合もあったのでございまして、こういうことにつきましては私ども行政当局も注意しなければなりませんが、学者の方々の方でもその点は十分注意しなければならぬということを先般の会合でも申し合せがあったのであります。現在までのところそう急に空気の問題について恕限度を越えて非常に心配だというような状況にはないというふうに私ども聞いておりますが、空気の問題になりますと、これは非常に処置方法はむずかしいことになってくると思います。
○栗原委員 時間がございませんので、あと留保いたしまして、本日はこれにて質問を終ります。
○藤本委員長 木村文男君。
○木村(文)委員 だいぶん時間もたちまして大臣並びに政府委員の皆様には御迷惑かと思いますが、しんがりを承わりまして、従ってきわめて簡単に要領をかいつまんで申し上げたいと思います。 まず第一に、順序として大臣にお伺いすることだけを先に申し上げます。第一点として、大臣には医療制度の確立の問題に対するこの予算の説明書にのっとってお伺いいたします。いろいろこまかい点を私見を加えて申し上げようともいたしたのでありますが、時間がございませんから項目的に私がお尋ねすることについて、どういう方針でやっていくかということだけでけっこうであります。いずれこまかい点についてはこのあとの委員会におきましてそれぞれの局部深長の方々にお伺いいたしますから、方針だけをお伺い申し上げます。 国費による病院といいますと、たとえば国立の名前のついておる病院、あるいは大学の付属になっている病院あるいは療養所、こういつたようなものがあるわけでありますが、私は現在の医療保障制度からいって、もしかりに大学の設置されているところで、その付属病院がある場所で、しかも国立の病院あるいは療養所等ある場合においては、この際ほんとうに医療保障制度の確立をはからんとする見地からいたしますならば、そうしてあまねくあらゆる国民階層に対して医療思想の徹底をはかろうとするならば、これを大学の付属病院としての経営をすることによって、合理的な連帯ができるのではないか、こう考えますが、大臣の見解をただしたいと思います。
○神田国務大臣 大学の医学部があると申しましょうか、大学病院のある所在地の国立あるいは公立の病院を大学の付属病院にしたらどうかというような意味のお尋ねのように承わりましたので、そういう意味でお答え申し上げたいと思います。 御承知のように大学の付属病院は、大学の研究機関としての使命、それから学生の教材としての使命を持っておるわけでありまして、国立病院あるいは公立病院は、医療を担当していくということで、おのずから目的が違うのではないかと思うのであります。その目的の違うものを大学病院の付属に持っていくということになりますと、大学も御迷惑する、学問の進歩にもならないのじゃないか。それからまたそういうふうな大きな企業形態になって参りますと、病院としてまたいろいろ管理等においても支障があるのではないだろうか、こういうふうに私は考えるのでありますが、いろいろ歴史的にも出てきておることでございますが、何といっても大学は大学の使命を達成するに必要な限度に限られておる。国立、公立の病院はそれぞれの使命を持った存在でございますので、これを統合するということは今の段階ではどうであろうか、実は考えておらないような実情でございます。
○木村(文)委員 たぶんそうお答えになるとは私一応は考えておったのでありますが、そうなりますと私の私見を申し上げなければならなくなるわけであります。というのは今の大臣の答弁によりますと、大学には大学の使命があって施療が重点ではないということでありますが、私はこれこそ非常な改革をしなければならぬ面が具体的に出てくると思うのであります。それは今時間もございませんからあえて申し上げませんが、まず研究の面からいったら市中の病院こそ今の段階では研究が足りないと思う。ですから大学を中心にして研究せしめて、その科担当の権威者がおるのでありますから、事務的な面からいいましてもきわめて合理的な運営ができると私は考えておるのでございます。のみならずこのことについては私はたくさんの資料も持っておるのであります。必要なる点の資料は後日局長並びに関係部課長にお尋ね申し上げる際に発表いたしたいと思いますが、この点についてははなはだ失礼でありますが大臣は就任日なお浅いのでありますから、もう一歩進めて御研究を願いたいと思うのであります。きょうはこの問題についてはこの程度にとどめておきたいと存じます。 第二番目にお伺い申し上げたいのは結核対策の問題でありますが、結核対策のうちの最も大切な問題は、施療もさることでありますけれども、やはり環境と栄養であると思うのであります。環境と栄養の問題から考えますと現在の結核対策の方針でいいのかどうか。たとえば療養所における療養の仕方は施療が主でありまして、栄養の面と患者の環境の面において大きな錯誤がある。私みずからその経験者でありますが、そういうことを考えますと、この点について後日の委員会においてどうしてもデータをあげて私はお尋ね申し上げたいと思うのでございますが、現在の国立の療養所の運営がこのままでいいかどうか、どういう点に重点を置いてやるのか。たとえば施療を中心にするかあるいは栄養環境を中心にするのか、この点についての方針を承わりたい。
○神田国務大臣 実は就任日が浅いのでございまして、それらの点につきましては十分研究いたしまして結論を得たいと考えております。
○木村(文)委員 第三番目は社会福祉行政確立の問題についてお伺い申し上げたい。私長い間二十有余年社会行政面に携わって参ったものでございまして現になおその関係者でございますが、そういう面からいたしましてお伺い申し上げたいのでありますが、大臣に伺うことは、現在の社会福祉行政の機構の問題であります。これは現在のままでいいかどうかということです。再検討の要があるかどうかという点をまず第一にお伺い申し上げたい。
○神田国務大臣 厚生省は、政府の方針によって社会保障を充実し福祉国家を作っていくというような構想を打ち出しておりますので、現在の機構でいいかどうかという問題はもちろん検討しなければならぬと思います。しかし私はこの機構の問題もさることながら安は人の問題ではないかと考えております。人の問題と機構の問題が一体になって初めて行政能率の完璧を期することができると考えております。お尋ねの福祉機構がこれでいいか、これは地方の福祉事務所のものをも含めてのお尋ねだと承知いたしましたが、これらの点につきましてもなお十分一つ考えて参りたいと考えております。
○木村(文)委員 次は福祉事務所の問題であります。具体的に申し上げますと、大臣は、栗原君でしたか、の質問に答えられたように、あたたかい心で救ってやりたいという御方針のようでございます。大臣みずからがそういうあたたかいお心を持つことは、社会事業、厚生事業、社会福祉事業に関係する者がひとじく考えなければならぬことでございますが、しかしその根本的な見解は今は相当変っているのではないかと思う。たとえて具体的に申し上げますと、われわれ戦前の社会事業を行なった当時から見ますと、保護を受ける権利を持っているのだというような保護請求権の原則による救護行政が今の行政ではあるまいかと思う。こういうような面からもこれを中心にし、大臣の心を心としてやることが、現在の日本の福祉国家をさらによい福祉国家に築き上げていく唯一の道であると考えるのであります。先ほど大臣のおっしゃったただ恵んでやるんだという大臣の心はわかりますが、とかく下僚諸君が末端に参りますと、自分の金でもくれてやるような考えのもとにやられる場合が現実として昨今実に多いのであります。そこでその一つの現われが社会福祉事務所に濃厚に現われているという事実を私は指摘せざるを得ないのであります。例をあげろと言われれば幾多あげることができます。これはこまかい問題でありまするから、大臣の御心脳を煩わすまでもないと思いますので、きょうは時間もございませんし省きます。しかし私をして言わしむるならば、この社会福祉事務所は大幅なる改革を行うか、さもなければ廃止まで持っていくか、その線も考える一応の段階ではないかと思うのであります。これに対して大臣はどういう考えをお持ちでありまするか、伺っておきたいのであります。
○神田国務大臣 第一線を担当している福祉事務所の、要保護者に対する扱いの問題についていろいろ批判のありますことも承知いたしております。さりとてこれを廃止するということになりますると、今の仕事自体をどうするかという大きな問題がまたございます。今の仕事をなおより以上にするにはどうしたらいいかという成案を得ない限りにおいては、これはむずかしいことと考えております。しこうしてまた先ほど申し上げたように、福祉事務所の仕事はなかなか多岐にわたっております。また要保健者の方々も多種多様でございますので、第一線の仕事をやっておられる職員諸君の苦労も並み大ていではないと考えております。またいろいろ至らない点もあれば、十分留意いたしまして、今日の段階としては先ほども申し上げましたように機構より人とも言われるほどでございますので、よく訓練いたしまして、設置の趣旨が十分発揮でき、要保護者のたよりになる福祉事務所になるように指導督励いたしまして、その完璧を期したいと考えます。
○木村(文)委員 社会福祉行政の確立に関する一つの具体的な例として福祉事務所の問題をお尋ねしたのでありますが、大臣が今人の問題だと言われましたからもうちょっと深く掘り下げてみたいと思います。 現在社会福祉事務所に勤務している職員、いわゆる社会編社主事の資格、その技能的な面において、かりに先ほど大臣がおっしゃったようにあたたかい恵みの心で抱き締めてやるんだということであるならば、そうして、もらうことが先決でないというところに持っていきたいのだというような栗原委員の御質問に対する御答弁であったようでございますが、そのお心でありますならば、私は、今の福祉事務所の機構では、断じて神田厚生大臣の意図に沿うことのできる行政が行われないと断言することができると思う。その実例は、やがての委員会において詳細にわたって私見も差しはさんで申し上げたいと存じますので留保いたします。 次に、今まで申し上げた社会福祉行政の確立の面から見ての私の質問に対する大臣の御答弁によって自然と生まれてくるのは、民生事業の問題でございます。民生事業の問題はこれまたこのままの制度でしかるべきかどうか、この点についての大臣の御所見を承わっておきたいのであります。
○神田国務大臣 社会福祉事務所と直接の関係と申しますか、非常に密接な関係にあります民生委員のことの意味と考えますが、民生委員の方々が、非常に御熱心にしかも御熱意を持ちまして献身的に、福祉事務所と連絡をおとりになられ、要保護者に対するごめんどうを見ていただいておることにつきましては、私は全く心から感謝申し上げておるのでございまするが、この民生委員の活動こそは、わが国の要保護者屈に対する、あるいはまたボーダー・ライン層に対する行政の第一線活動者といたしまして、今後ともなお一そう働いていただきたい、こういうように考えておるのでございます。何しろ十二万、五千に上るというたくさんの方々に、しかも手当もそう差し上げないで働いていただいておるわけでございまして、民生安定のためによくお働きになっておられることに対して、私ども衷心感謝いたしておる次第でございます。
○木村(文)委員 民生事業制度の問題については、大臣まだ就任早々でありまして、失礼でありますが、まだ把握してないように御答弁によって私感ずるのでありますが、おしかりを受けるかもしれませんが……。いずれ一つ局長と私と論戦をしてまでも、私これを相当考えたいと思っておる問題でありますから、この程度でとどめまして、次に、それからまた糸を引いて出てくる問題は、生活保護制度の自主制をどこに置くかということです。この行政の自主性をどこに置くかによって、大臣の先ほどからの御方針による要保護者をあたたかく抱き締めよう、あたたかい心で救ってやろうというこの心に沿うことができるかと思うので、私は一つ神田厚生大臣の御方針を承わっておきたいのであります。
○神田国務大臣 木村委員のお尋ねになっておりますることは、たくさんの要保護者層あるいはまた転落のおそれあるボーダー・ライン層に対して、厚生行政として、第一線におる者は一体どういうような心がまえで処しておるか、あるいはまた厚生省としてこれらの第一線を担当しておる福祉事務所なりあるいは民生委員の方々にどういうような指導をもって臨んでおるか、こういうような意味のお尋ねではないかと思うのでございますが、あるいは意味が違っておりまするか、私ども厚生省の立場といたしまして、何といってもこの文明の進むに従って生じて参りますこれらの方々に対して、でき得る限りのあたたかい手を差し伸べて、そうして何度でも一つ競争に出て向上していただこう、何度でも競争のスタート・ラインに着かせよう、疾病等につきましては一日も早くなおっていただくように処置いたしたい、こういうような気持で第一線には督励し、指導し、監督しておる、こういう今日の実情でございます。何しろ厚生省といたしましても、実際には府県にこの仕手をおまかせしておるようなわけでございまして、直接の指導としては民生部長とか衛生部長を通じてやるわけでございまするが、もう今年度もこの月初めに衛生部長会議、あるいは民生部長会議と、数日にわたって、これらの厚生行政の全般につきましてなお一そう成果の上るように一つ努力をするように、三十二年度の予算にはこういうふうに予算の方向が向いておる、ぜひ一つ十分成果を上げるように努力してもらいたいという訓示も実は私からじきじきにいたせば、また関係局長、部長、課長等から詳細な説明をいたしまして、督励しておるような実情でございます。
○木村(文)委員 私非常に時間を心配しておりましたので、あるいは説明が敷衍することが足りなかったと思いますが、私の言うのは、大臣がたび重なっておっしゃっている法の趣旨に、一人だも漏れなく生活保護なり医療保護ができるようにとい御方針のようでありまするから、その保護の完璧を期するためには、そして早く更生のスタートを切らしめたいというような御方針のようでありまするから、その法を執行するその主体性をどこに持たすべきか、行政的にどこが一番いいのか、今のままでいいかどうかという問題なのであります。これは大きな問題だけ大臣にお聞きしたいと思いまして、そういう方針を一聞きたいと思って実は申し上げたわけです。というのは、現在のような機構でありますと現実に全く大臣の御恵思が反映しないことになっているのであります。事務的な処理の問題、それから法に漏れる者の数の多いこと、時間的に早くその保護ができないこと、従って大臣のおっしゃるところの更生のスタートに早くつけないという結論になる。でありまするから、私の意見を申し上げまする、これを町村自体に主体性を持たせ、民生委員制度、いわゆる民生事業の拡充強化をはかる意思はないか、こうお尋ね申し上げたいわけでございます。その点に対する大臣の御方針を承わりたい。
○神田国務大臣 意味がよくわかりました。ただいまの福祉事務所で取り扱っておる知事あるいは政府等から委任された仕事をもっと町村にも持たして、そして完璧をはかったらどうかという趣旨のように伺いました。町村も先ほどお答え申し上げた工合に、新町村といいますか、合併をだんだん完了して参りまして、町村自体も新しい村作り町作りが推し進められておるようでございまして、だんだんりっぱな町、りっぱな村に相なるようでございます。私どもといたしまして、そういう今福祉事務所でやっていることが、町村でやる方がよろしいというような時代が参りますれば、これはまた決して今のままでよろしいという意味には考えておりません。先ほども申し上げますように大事な仕事を担当しておりますから、よりよくやる方法があるといたしますれば十分検討してみたい。しかしこれは、この国会の中のやりとりだけではなかなか、これは実際上の問題でございまするから、直ちに結論めいたことを申し上げるわけには去りませんが、木村委員が非常に社会保障に御熱心で、要保護者あるいはボーダー・ライン層に対するあたたかい措置をやるにはそうしたほうがいいという御意見に対しましては、今後一つ十分検討いたしまして、その結果どちらがいいかということがはっきりして参ると思います、そういう際にはまたそういう措置をやる機会もあろうかと思いまするが、今の段階では一体そこまでどうなるかという自信も私つきかねる次第でございまして、さよう御了承願いたいと思います。
○木村(文)委員 了承いたしました。 それでは最後に、それも加味した一つの流れを持つのでございますが、そこで、社会福祉行政の拡充強化をはからなければならない、平和国家建設の日本としては、これは現在の行政面からいく非常に重大な問題の一つだと思うのでありますが、その厚生行政の外郭団体の問題でございます。私ども先年十有三年かかりまして全国の社会事業団体を組合、統合いたしました。その一つの元締めといたしまして、現在ありますところの社会福祉協議会というものが生まれたわけでございます。しかるに最近におきまして、これらに統合せられた各分野の社会事業、更生事業面においてまた分立のきざしが出ているように考えさせられるのであります。そうして、それがために大きな力を発揮することができないような現状になっているように私は見られるのであります。このままの態勢で厚生省がたくさんの助成金を出し、あるいは委託費を出し、こういう面を持っている団体がたくさんできるということになりますると、一体ほんとうに社会事業、厚生事業行政の外郭団体としての使命が果されるかどうかということを私は案ずるのでありますが、厚生大臣としてこのままの方針でいいという御見解か、それとも何らかの方途を講じなければ外郭団体としての使命を果すことは十分できないという御見解を持つか、この二点について伺いたいのであります。
○神田国務大臣 厚生省の外郭団体である社会福祉協議会が、先年せっかく幾多の困難を排除してまとまったのに、また分裂の傾向があるというお尋ねでございましたが、実は私、そういうことをまだ全然承わっておりませんので。
○木村(文)委員 それは、社会福祉協議会をまとめたということを例にとって申し上げたのであって、たくさんの団体がまた乱立しかかっているということなんです。福祉協議会それ自体が分裂するということではない。たくさんな社会厚生事業団体ができ上ってきている、こういう意味なんです。分野が非常に個々にでき上ってくるきざしが出ている、こう私は見ているわけですが、これに対してこれでいいかということです。
○神田国務大臣 よくわかりました。そういたしますと、厚生省の中にこの社会福祉協議会のできたあとで、いろいろ外郭団体ができるようだ。一体そういうように一つ一つできていった方がいいのか、それとも既存の団体の中にみな入れて、それを育成強化した方がいいのかというお尋ねでございますね。これは実は私が参りましてから、まだ団体は一つもできておりません。今までどういう経路でできたかも、実は私つまびらかにいたしておりません。ただ団体の幾つかあることは承知いたしておりますが、その後どういう団体ができるきざしがあるかということも、実は承知いたしておらないのでございまして、将来もし外郭団体ができる場合に、木村さんの今お尋ねになりましたようなことを十分留意いたしまして、これはもちろん民主的に、しかも何といいましょうか、自然発生的にできてくるものと思いますが、そうでないような無理のない場合等ございまして、厚生省として何らかそれを考えた方がいいというような場合がございますれば、これは十分考えて参りたいと思います。ただ今日のところ、ただいま申し上げましたように、団体がどういう経路でできたかも私聞いておりませんし、今ある団体が全部活動いたしておるというように承知いたしております。それから今後どういう団体ができるかということについては、全然承知いたしておりませんので、さよう御了承願いたいと思います。
○木村(文)委員 私それを非常に憂えるのであります。なぜそれを案ずるかといいますと、たとえば社会事業団体がたくさんできて参りますと、主として事務費になるおそれがあるということが一つ。実際大臣の考えておりまする意図が、これまた行われない。経費に追われてしまう。事務費に取られがちである。これはもう団体を経営してその衝に当ってみるとよくわかりますが、そういうきらいがありまして、全く名ばかりで、そして政府から何らかの補助をもらい、あるいはまた委託費をもらうというようなことが多いのでありまして、それがほんとうに厚生行政の面に有効に使われてない面が多いのであります。そういうことをほんとうに拡充強化をはかるために、私どもは十有幾年聞悩んで、そしてあすこまで持っていったわけであります。その例を先ほど申し上げたわけでありますが、そこで、このままで参りますると、こういう予算の中で、たくさんいろいろ取っておるその予算が、非常に有効に使われないという面が出てくることを私はおそれますので、そのためにただいまのお尋ねをいたしたわけでございます。でありまするから、要は今後大臣が、就任日なお浅いので今後において、これらの整理統合の御意思があるかどうか、拡充強化のために外郭団体の整理統合ということをお考えになられるかどうかということを、私はお聞き申し上げたいのであります。
○神田国務大臣 今のところ、そのいずれも私は白紙でございます。
○木村(文)委員 了承。最後にもう一点、この予算の説明の中にもございますが、未帰還者の問題であります。おそらく他の委員諸君からもお尋ねがあったろうと思いますが、現に未帰還者が六万一千余名存在していることになっているわけであります。その六万一千余人のうち、つい先ごろ国交回復をいたしましたソ連に、九千九百余名なお消息不明者が残っているというような現在の状況でございます。私は海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会におきまして、数回にわたりまして私の意見を申し上げ、そして要望した点でございまするが、それは、これらの未帰還者の問題、消息不明者の問題は、国民的な義務においてこれを解決しなければならないのであろうという見地からいたしまして、国民の代表また政府の代表、この両者の代表団を組織して、そして関係諸国にこの団を派遣して、その関係諸国の政府当局に対して、調査とすみやかなる帰還の施策を講ぜしめるよう要望して参ったのでありますが、大臣はその御意思がないかどうかということを、最後にお尋ね申し上げたいのであります。
○神田国務大臣 未帰還者の生死が多数つまびらかにされておらないことにつきましては、全くただいま木村委員の述べられたように、われわれ政府といたしましても、また国民のすべてが、日夜これは心配しているところでございます。そこでこれらの未帰還者の方々を調査するため、関係国に調査団を派遣したらどうか、政府、国会一団となって調査をするならば、なお早くこれらの生死がつまびらかになるのじゃないかという御配意と考えます。政府といたしましては、いよいよ日ソ国交が正常化して参りまして、相互に大使館を設置して大使を交換することは御承知の通りでございます。これは当方から、今度大使館設置に伴いまして、引き揚げ関係として一名大使館に常駐するという手配を今進めております。さらにまた領事館開設等の事態が参りますならば、該当者が多数おられるようなことが想定される地区におきましては、その方面にも領事館員として一つ出したい、こういう考えを持っております。中共地区に対しても何らかの方法を講じたい。あるいは南方諸地方においては、在外公館を利用いたしましていろいろ手を尽して参りたいという考えを持っておりますが、今日なおその上に、政府側で調査団を作って派遣しようというところまでは、話はまだ進んでおりません。というよりも、話は出ておりません。国会の方はどうするかということは、これは国会自体でお考えなさることでありまして、私の答弁のほかだろうと考えております。
○木村(文)委員 了承。この問題についての詳細は、後日の委員会におきまして、局長あるいは部長、課長の方々からお伺いすることにいたして保留いたします。
○藤本委員長 皆さん長時間御苦労でございました。 次会は二月十八日月曜日午後一時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時丘十一分散会