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26回国会衆議院1957/02/14

社会労働委員会 第5号

発言数
235
登壇者
16
会派数
2
開催日
1957/02/14

会議録

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 これより会議を開きます。  労使関係、労働共進及び失業対策に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。八田君。

八田貞義自由民主党

○八田委員 まず石橋内閣の内政の焦点といたしまして経済規模の拡大を通じての完全雇用の実現が大映しにされて参りました。しかしその内容がどんなものであるかについては、はっきりしておらないのであります。そこでこの雇用問題につきまして以下二、三点質問させていただきます。  まず雇用問題と人口問題との関連においてこの問題を考えていかなければならぬのでありますが、完全雇用と完全就業という言葉とがあります。今度完全雇用という言葉を出してこられましたが、現在のわが国の就業人口は一体どういうふうになっているか、わが国の産業構造と就業者の割合についてお知らせ願いたのであります。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 政府委員にお答えさせます。

江下孝労働事務官(職業安定局長)

○江下政府委員 わが国の就業の構造でありますが、三十一年の一――十一月平均で申し上げますと、全就業者が四千二百三十二万、それを農林業就業者と非農林業就業者に分けますと、農林業就業者が千七百三万、非農林業就業者が二千五百二十九万、さらにこれを自営業種、家族従業者、応用者という点から分けますと、自営業種が一千八十六万、家族従業者が一千四百三万、雇用者、賃金労働者でございますが、千七百四十二万となっております。これは先生も御承知の通り内閣の労働力調査によります数字でございます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 今の分類の仕方でありますが、これを第一次産業と第二次産業、第三次産業というふうに分けてお知らせ願いたいことと、それから三十年から三十一年と、こういうふうに伸びがどれくらいになっておるか、パーセントでよろしゅうございますから、お知らせ願いたいと思います。

江下孝労働事務官(職業安定局長)

○江下政府委員 三十年の一――十一月平均と三十一年の一――十一月平均で就業者が八十万の増加でございます。この就業者の増加の内容を見ますと、農林業関係では四十万、これは減っております。非農林業、すなわち鉱工業あるいは商業部門で百二十二万の増加、こういうことに相なっておりまして、なお完全失業者が五万人減っておりますので、差引八十万の増、こういうことになっております。

八田貞義自由民主党

○八田委員 今の大体のお話によってわが国産業構造の特異性ということははっきりわかったと思うのでありますが、ただこういつた四千二百万の今完全就業者と申しますか――もちろんその中には不完全な就業者も含まれているわけでありますが、この雇用人口と完全雇用というのは、完全就業とどういうふうに区分して考えられておるか。完全就業と完全雇用という言葉がもちろん対照的に出てきている問題ですが、今お話を伺うと、就業人口について、第三次産業部門に不完全就業者がたくさんにおるわけであります。そうしますと、完全雇用というのは、一体完全就業とどういうふうに違うのか。世上にやはり完全就業という言葉を使う人があるのです。またあるいは完全雇用という言葉が現在出ております。一体完全就業と完全雇用というのはどういうふうに区分して考ええるのが労働行政の上において正しいかお教え願いたいのであります。

江下孝労働事務官(職業安定局長)

○江下政府委員 これは先生御承知と思いますが、日本の場合はイギリスやアメリカと違いまして、非常に雇用者の数が少い。すなわち自営業種あるいは家族従業者というものが非常に多い。従って先進諸国で言っておりますような意味の完全雇用とは私は若干違うと考えております。もちろん将来の究極の目標としましてはやはりイギリス、アメリカのようにできるだけ雇用をふやしていく、しかもその賃金が生計をささえるに足るという程度までいくのが私は完全雇用の姿だと思います。しかし今申し上げましたように六割程度が雇用者じゃない。こういう日本の現状からいいますと、直ちにそこに目標を置いてもなかなか実現困難じゃないかと思います。私どもが今まで申し上げておりましたのは、むしろ完全就業でしかも最低生活を維持するに足るだけの収入を得るということを一つの大きな柱に考えておるわけであります。従って潜在失業の問題もおのずからそういう面で解決をしていく。お話のように理想としましては雇用ということでなくてはなりませんけれども、とりあえずわれわれとしては完全雇用というのは、そういうことに目標を置いて考えていくということでございます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 ちょっとはっきりしなかったのですが、完全雇用というのは自営業種の経営からはずして、欧米のような企業形態の中の就業者を完全雇用というのだ、こういうふうにお考えになっているのですか。

江下孝労働事務官(職業安定局長)

○江下政府委員 さようじゃございませんで、ちゃんとした自営業種は当然あるべきだと考えております。ただ自営業種の中でも、ほんとうの意味ではむしろ潜在失業といわれるようなものが相当あるのじゃないか、それからいわゆる家族従業者といわれる人たちのうちでも、半失業的な者が相当おるのじゃないか、これらをやはりあわせてなくしていくことが、私は日本におきまする完全雇用の目標でなくてはならぬと考えております。

八田貞義自由民主党

○八田委員 そうしますと、完全雇用の限界点をちょっとおっしゃっていただきたい。   〔委員長退席、野澤委員長代理着席〕

江下孝労働事務官(職業安定局長)

○江下政府委員 これは非常に抽象的になりまして申しわけございませんけれども、もちろん一定数の摩擦失業というものは避けられない、資本主義社会では避けられない。イギリスあたりでは二%、三%ということをいっておりますが、若干の摩擦失業というものは私は絶えず存在すると考えます。しかも残ります人たちがやはり最低生活を維持できるだけの収入を得るということか一つと、もう一つは就業者の内容でございますけれども、かりに七十の人も働かなければ完全雇用にならないかといいますと、私はそういうことはないと思います。おのずから年令何才以上の人は就業しないで食っていけるというような政府の対策が一方において立てられることが、あわせて必要である。そういう面も考え、あるいは年少者の労働につきましても、どういう年令までが労働者としては適当だということもきめる。そういう点をすべて考え合せまして、完全雇用の内容というものを決定すべきであると考えております。実は昨日出ました雇用審議会を作りたいと考えておりますが、以上のような点につきましていま少しコンクリートに、日本における完全雇用のあるべき姿をこの審議会で検討する必要があるのじゃないかと思います。いろいろな意味で今言われておりますけれども、私どもはそういう考え方からいたしまして、この審諸会を活用していきたいかように考えております。

八田貞義自由民主党

○八田委員 完全雇用のあるべき姿については、審議会の答申に基いてせっかく研究されるそうでございまするから、時間がありませんので、この問題についてはこれにとどめます。ただわが国の人口を見ますると、欧米の先進国におきましては労働力人口の停止がありますが、わが国は反対に今後大きな増加が見込まれております。少くとも労働力人口の減少には、日本は欧米よりも五十年から八十年くらいおくれているというふうにいわれている。生産力を維持拡大するために技術革命を行わねばならないというのが欧米先進国の現状でありまして、わが国との大きな相違もここにあるわけであります。そこで問題は、一体増大する人口をいかにして第二次産業部門以下に吸収していくかということが、今後の雇用問題になってくると思うのであります。わが国におきましては、重化学工業部門では大きな雇用の増加というものは期待できない現状にあるわけでございます。これらの説明につきましては、すでに労働省で調査になっていると思いまするが、欧米の先進諸国では労働者をふやさないで、そうして第二次産業革命といわれるところのオートメーションなどの技術革命による生産性の向上の方向に向っております。従ってわが国としまして同一産業、同一製品について競争をするということはとうてい不可能でございまして、第二次産業部門以下に増大する人口を吸収していかなければならぬのでのりますが、これらについて何か具体的なお考えを持っておられるかどうか。もちろんこの背景となるものは、増大する、増大すると申しましても、わが国の人口構成率というものを考えてみなければならぬと思うのであります。今日就業しておる人口が四千二亘力、今後恒年百万ずつふえていって、十年間に一千万の労働人口を吸収していかなければならぬというふうにばく然と書いてございますが、一体わが国の人口構成率というものをどういうふうにお考えになってこのような計画が出ておるか、わが国の人口構成率についてお知らせ願いたい。

江下孝労働事務官(職業安定局長)

○江下政府委員 八田先生のおっしやるように、今後人口の増加を越えまして生産年令人口がふえていくということは私どもも承知いたしております。従って、これらの労働力人口あるいは生産年令人口から労働力に転化しますその労働力に対しまして、これを直らに完全雇用というふうに持っていくことは非常に困難だと思います。おっしゃる通り産業の実態を見定めまして、将来日本の経済規模の拡大に資するような産業の振興ということに最も意を用いなければならぬと考えております。生産性の向上もお汗の通り最も必要な問題でございまするし、私どもといたしましてはこの増大いたします労働力人口に対しまして、関係各省とも寄り寄り相談をいたしまして、今後できるだけ完全雇用に近い線に持っていくということに努めていきたいと考えております。

中川俊思自由民主党

○中川委員 ちょっとお尋ねしますが、労働力人口がぐんぐん伸びていく関係から、ことしは失業者もふえるのじゃないかと思うのです。それは経済企画庁あたりの統計を見ても、失業者がことしはふえるのじゃないかという結果を出しておるのですが、労働省はどう考えておりますか。

江下孝労働事務官(職業安定局長)

○江下政府委員 その点についての予測は実際非常にむずかしいわけでございます。しかし私どもが関係省と相談いたしました線によりますと、完全失業者については来年度も大体横ばいであろう、同じ程度の姿で推移するであろう、こういう見通しを実は立てております。一方におきまして、お話の通り失業者の発生する面も相当ございますけれども、なお経済規模の拡大という点から雇用量の増大も見込まれますので、一応大体本年度程度じゃないか、こういう予想を立てております。

中川俊思自由民主党

○中川委員 そうじゃないのじゃないですか。あなたの方で考えておられたのは、ことしはふえるのじゃないかというお考えだったのですが、大蔵省といろいろ予算の折衝上大蔵省が考え方として応じないから、今江下さんのおっしゃったように横ばいになるということを言っておるのではないか、どうですか。私はそうじゃないかと思う。意地の悪いようなことを質問するが、しかし実際問題として、大蔵官僚という連中はそういう考えを持っておる。インフレにはならない、決して失業者もふえない、横ばい状態になるのだから、失業対策費なんかそう出さないでいいという考えを持っておる。これは労働大臣に聞きますが、労働大臣は大蔵大臣と折衝して、そんなことで政治力で負けてはだめですよ。実際の実情については労働省が一番詳しい。大蔵省は実際はわからない、大きな産業だけに目をつけておるから……。ですからことしの失業対策費というものは、去年よりももっとよけい取ってもらわないとやれない。ことに私が関係のある呉市のごときは、国連軍が引き揚げるときは大へんな失業者ですよ。これは労働大臣はあまり御存じないかもしらぬが、江下さんは十分知っておられる。呉市のごときは今までも潜在失業者が一万人あったんですよ。これは多賀谷さんが呉だから一番よく知っておられる。今度国連軍が引き揚げると、さらに一万人の失業者が追加される。呉市で二万人の失業者が出るということは、どういう結果になるかというと、呉は人口わずかに二十万人です。一家族平均五入としまして四万世帯です。四万世帯で二万人の失業者が出るということは、約半分です。大体失業者というのは一家の主人ですから、四万世帯のうち二万人が失業者ということは、これはもうどこにも例のないことなんです。ことに今は失業保険で食っている。食っておるが、失業保険が切れますと、三月か四月ごろになりましたら、私は呉は暴動が起きやしないかくらいに思っておるんです。大げさかもしれないが、そのくらいに思っておる。そういうような事例は呉だけではなく、国連軍がおるところは、御承知の通り国連軍、駐留軍は逐次引き揚げるのですから……。しかも彼らは高給をはんでおりましたために、なかなかニコヨンなんかには出ないんです。そういうことになりますと、ぜいたく言ってけしからんじゃないかといえばそれまでですが、なかなか就業することが困難です。そういうようなことから見て、私はことし失業者が減るということは考えられないのです。また労働省でも、減らない、ふえるという想定のもとに予算を請求なさったんじゃないか。それがたまたま大蔵省との予算折衝において、大蔵省ががんとして応じなかったために、今江下さんが言うように、横ばい状態になるだろうという答弁なんですがね。これは私は今からでもおそくないと思います。おそくないと思いますから、一つ労働大臣はうんと政治力を発揮していただいて、そうしてわれわれもみんなで応援しますから、これは社会党もむろん応援してくれるだろうし、われわれも応援しますから、一つ失業対策費をもっとうんと取ってもらいたいということ。  それからいま一つは、労働省で検討しておられたいわゆる高率補助の問題です。高率補助というか、全額国庫負担でやってもらう失業対策、これはどうしても私は失業多発地帯に対しては考えてもらわなければならぬ問題だと思う。それもなかなか大蔵省が応じないらしいのですが、これを考えていただかないと、由々しい問題が私は勃発するだろうと思うのです。どうしても政府がむずかしいとなりますれば、議員立法でも私は持っていきたいと思う。これはむろん社会党の諸君も応援するだろうし、われわれ自民党の中におきましても、そういう声がすでに寄り寄り起っておる。これに対してあなたの方では、いろいろそういう点についても大蔵省と折衝して努力して下さったことについては感謝もいたしますし、よく知っておるのですけれども、大蔵省と同じ政府だから無理はないのですが、横ばい状態だというようなことを江下さんおっしゃらないで、ことしは失業者はうんとふえると思うので、労働省でもこういうようにやったのだが、大蔵省は聞かなかったから、お前らも一緒になって一つ大蔵省を征伐してくれないかくらいに言ってもらいたいのです。どうなんですか。大臣から一つ……。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 中川さんのいろいろの御注意、身にしみておりますが、しかしわれわれは現在提案しております数字、内容においてやっていくという自信のもとに立ち上っておりますから、あらためて交渉し直すという考えは持っておりません。と申し上げますのは、三十年の平均と三十一年の失業の平均は約五万人減っております。けれども駐留軍の引き揚げその他において新しく出るではないかという点は、これはやっぱり通産省その他と相談しているのですし、きのうも勝間田さんにお答えいたしたのですが、特需産業というものの転換方法を考える必要がある。私どももそういう特需に関係した仕事をやっておったのですが、アメリカの駐留軍が盛んに日本に来た場合、そのバラックを建てるために日本の合板工場を動員して特需をずいぶんこしらえた。ところが一応家が建ち上ってしまうとその仕事がなくなるということで、これを輸出に転換する方法を考えまして、それが非常に成功した例もあるのであります。でありますから、現在特需生産をやっている方面がだんだんと減って参りますから、それを輸出に転換するということを、この間じゅうも経済閣僚懇談会においてもいろいろ方法を考えております。その輸出の目ざす方向は、アメリカのような高度の産業及び国民経済のところには、現在の特需産業をやっている工場からは輸出が困難であります。従って東南アジア及び中国との貿易というものが、この特需産業の転換に対してはぜひ必要な販路開拓の地方であろうと思いまして、東南アジアに対しましては、特に経済提携の関係を今後やらなければならぬという相談をまとめているのでございます。中国の問題につきましても、ココムとの関係がありますから、これの緩和に今努力をいたしている次第であります。そういうことで、三十二年度は今提案いたしておりますところの二十二万五千人程度の失業対策においてできるという確信を持って進んでおるのでございますが、一方広島のように、一カ所に二万人も出るかどうかわかりませんが、そういうところがある反面に新しい産業が興っておりますから、その新しい産業部面において吸収する面も現われて参りますので、現在の程度の予算においてやっていける、かように存じております。しかし世の中のことですから、どういうことが起らぬかもわかりませんが、その場合には一つ御援助をお願いしたいと思います。

中川俊思自由民主党

○中川委員 新しい産業とおっしゃるけれども、オートメーションの時代になってくると、新しい産業が興ってもなかなか思うように吸収できないですよ。呉の工廠のごときは四万人も五万人もおったのが、その後あすこは大きな重工業が七つも八つもいっているのですから、昔のことを思えば少くも二万人くらいは収容してくれてもいいのですが、てんで問題にならない。それから中共との貿易とおっしゃるが、これも今大臣がおっしゃる通りココムの問題もありますし、日本は何といっても自由主義国と連携を取っていかなければならないのですから、まあアメリカだとかイギリスだとかいうものといろいろ協議をしないと、中共の貿易もなかなか思うようにいかない。そういう架空なことというか、これからそういうふうなところで労働者を吸収してくれるだろうという想定のもとに、予算をこれだけ取っておけば大丈夫だろうという、だろう、だろうが毎年みな違っているのです。だから私は、労働省が最初に御計画になったように、あくまでもこの問題はがんばっていただきたい。私は関連質問ですからこれで終りますが、江下さんに一つお尋ねするのですけれども、例の全額国庫負担の失業対策費、これはもうあなたの方はあきらめられたのですか、それとも、これは地方財政との問題がある。せっかく失業救済費を幾ら幾ら出そうとおっしゃっても、御承知の通り現在では地方でもって負担しなければならぬ。そうすると、呉のごときはその負担にたえられない。せっかくもらっても返上しなければならぬというような事態が起ってくる。そうすると、せっかくの親心が何にもならないことになる。でありますから、地方財政とにらみ合せて、これこれ以上のところに対しては全額失業対策費は国で持たなければならぬということが、私は今後出てくると思う。それに対して、事務当局は、もう大蔵省を相手にけんかをやってもどうもしょうがない、だからまあこの辺で、失業者が出たら出たってしょうがないじゃないか、そういう問題はほっておこうというお考えか。それとも、この問題はどうしても松浦労働大臣の就任を機会に、松浦労働大臣の政治力に頼んで、一つぜひとも解決しようというお気持なのか。それだけ伺っておきたい。

江下孝労働事務官(職業安定局長)

○江下政府委員 昨年の予算要求におきましては、全額要求を確かに大蔵省に提出いたしました。結局大蔵省と折衝している間に最高五分の四という線に落ちついたわけでございます。ことしは地方財政の面で相当この手当をするというような話も聞いておりまして、私どもは当初から五分の四という線で、本年度の予算を倍程度にふやします高率補助を要求いたしました。残念でございましたが、実は三十一年度と同じ程度の高率補助しか認められなかった。しかし、将来の問題としては、先生のおっしゃるような点がございます。従って私どもは将来この問題はなお執拗に検討して参りたいと存じます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 先ほど話の出ましたように、今後雇用人口をふやしていくために問題となるのは、第二次産業部門以下にいかにして吸収していくか、こういう問題でございますが、わが国産業のうち、重化学とか、あるいは繊維とか紡績業、こういったものは、資本集約的産業でございます。また木製品とか織物などは、労働力集約産業であります。機械工業はその中間をいくものでございます。わが国の産業構造から考えてみると、一体今後どの方面の産業に人口を吸収していくかということになって参りますと、わが国の現在の経済の伸びとか、あるいは社会状態などを考えてみまして、やはり労働力の集約的産業に人口を吸収していかなければならぬ。そうしますと、その基盤である、あるいは雇用市場であるところの中小企業対策ということが大きく浮び上ってくるわけであります。さらにまた一方人口問題を考えてみまして、一体人口構成というのはどうなっているか。三十年を起点といたしまして、昭和四十五年には一体人口構成率というものはどういうふうになってくるのか。その人口構成率から見て労働力人口を割り出し、そうして産業にそれを締びつけて雇用計画というものを立てていかなければ、なかなか実現しないと思う。そこで私は先ほど人口構成率をお尋ねいたしたのでありますが、一体昭和三十年の人口構成というものがどんなふうになっているかということを申し上げてみますと、昭和三十年には、十五才から五十九才までのいわゆる生産年令人口は、全人口のうちの五九%でございます。六十才以上は八%、十五才未満が三三%でございます。ところが、これが昭和四十五年になりますと、十五才から五十九才までの人口は六八%になって参ります。六十才以上は一一%に増加して参ります。そのかわり十五才未満は二一%に減少する見通しとなっております。この生産年令人口のうち実際に働くのは六八%と仮定いたしまして、昭和四十五年度までにいわゆる一千万人の人口というものを吸収していかなければならぬ。そこで大臣にお伺いいたしたいのでありますが、十年間にこの人口を吸収していくというふうに言われたのでありますが、どのような年次計画を持っておられるか、お尋ねいたしたいのであります。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 鳩山内閣当時、高崎経済企画庁長官の手によって作り上げられました五カ年計画というものは、皆さんも御存じのように、昭和三十五年には四千五百万の労働人口に対しまして、四十五万くらいの完全失業者を出すという想定が出ておりました。それは大体毎年の経済の伸びを五%と見ておったのでありますが、それが非常な幸いなことでありますが、二年続きの豊作と日本の貿易の伸張というようなものが重なりまして、昨年度は一二%も伸びたということで、この計画をやり直さなければならぬことになったのであります。そこで今お問いの問題は、ことしは七・六%という予定によって大体八十九万の労働者を吸収し得るという立案の上に立っております。これを基盤にしまして、今後五カ年計画を今準備中でありますから、これを四月から九月ころまでに完成したい。それによって完全雇用の方向をはっきり計画的に示したい、かように思っておりますので、現在われわれの方も、また企画庁の方も、お問いになりましたことについて数字的に申し上げる材料を手に持っておりません。大体九月ごろにでき上ると思っております。それは現在、三十三年、三十四年、三十五年というように経済の伸びがどのくらい継続していくかということの見通しも必要でありますが、大体国際経済の見通しは、私どもはそう前途を悲観いたしておりません。ただスターリング地域の方が、今度のスエズ運河問題その他中東の問題で多少下回っておりますけれども、アメリカの経済情勢はそう悪くありません。現にわれわれが携わっておりますところの仕事に対しましても、六月までの注文を万度も取っておる状況でございますから、今年度の七%半の伸びは間違いないのであって、大体それで推移するだろう、かように思っております。月々によって輸入量の多い月もありますけれども、日本の国柄が加工貿易の線に立っております以上、原料が入らなければ輸出ができない結論になりますから、今月は少し入り過ぎておるから心配だろう、こういうことでありますが、一年を通じて見るならはわれわれの計画通りにいくのではないか、かように思っております。  それから先ほど来いろいろお話のありました第二次産業及び原始産業その他、どこに一体日本の人口を吸収していくのかというお問いでございますが、これはやっぱり今の企画庁の案が完全にでき上らなければ申し上げることはできませんけれども、大ざっぱに考えまして、私はやっぱり日本のいき方は、加工貿易の線と国土の総合開発計画の線と、二本の柱の上に依存していかなければならない、国土の総合開発計画というものが完成することによりまして、食糧の自給自足もできますから、農村の過剰人口を吸収することができ、原始産業の面に吸収することができると思います。第二次産業以上の問題に対しましては、これは貿易と見合って考える必要がありますので、国内の要求と貿易との関係と見合って計画を立つべきものであると思っております。日本の現状からいうと、基幹産業、重要産業というようなものは大体原料生産なのです。中小企業がその原料をもって精製加工をいたしまして貿易をなし、国内需給に応じておるというのが今日の日本の形だと思います。鉄の部門におきまして鉄そのものを輸出しておる部門はありますけれども、大体石炭におきましても電力におきましても製鉄その他の事業におきましてもこれは原料生産なのです。だから中小企業対策というものをどうしてもやらなければならない。中小企業対策を完成することによって完全雇用というものは大部分片がつくと私は思うのです。日本の潜在失業者の一番多いのは、これは中小企業の面に多いのでございますから、この中小企業の振興対策を確立して、そして日本が加工貿易の線に立っていくことのできる設備近代化、その他の内容技術を整備していくということが完全雇用の基礎になるものである、かように考えておるのでございます。先ほど来八田さんからいろいろとお問いがありましたが、私はかように考えております。これが今度の九月までにでき上る計画の上にはっきり現われるようにいたしたい、かように思っております。

八田貞義自由民主党

○八田委員 中小企業の問題が出て参りましたが、中小企業の振興策と簡単に申しましても、われわれは実態をつかむだけの資料に今日恵まれていないわけです。今度五人以下の事業所についても臨時に調査をされるというふうに非常に統計資料がそろうような状態になってきております。今日中小企業の問題でいろいろな問題がございますが、その中で一番お知らせ願いたいのは、下請代金の支払い状況でございます。中小企業庁の関東とか京阪神一千工場の調査で、三十一年の一月から六月までの間下請代金の支払い状況が五〇%ぐらいである。しかも手形が三割強であって長期手形である。依然として親工場からの値引き要求が多いという状況になっております。また昨年十月の不渡り手形は東京では五万一千二百八十五枚、五万枚の不渡り手形の発行があるということが中小企業庁の調査においてわかっておるのでございます。こういったふうに中小企業の下請代金の支払い状況というのは非常に悪いわけでございます。これらにつきまして一体今後労働省として実態調査の面からこれらの数字がもっともっとはっきりしてくると思いますから、どうか一段と統計資料の完備について十分なる努力お願いいたしたいのであります。  そこで今日いろいろな雇用問題と関連いたしまして、非常に雇用人口がふえてきたのでありますけれども、その内容を見ますると非常に低賃金で働いておる人が多いわけであります。大体月収八千円以下の人がどれくらい現在おられるか、ちょっとお知らせ願いたいと思うのです。

堀秀夫労働事務官(大臣官房労働統計調査部長)

○堀説明員 ただいまの御質問にあります月収八千円未満の労働者がどのくらいあるかというお尋ねでございますが、これは昨年の三月に総理府統計局の労働力調査をやりました結果によりまして推定いたしますと、大体ただいま全産業で千七百二十万の雇用者があるわけでございますが、そのうち約六百万は八千円未満の所得階層である、こういうふうに報告されております。

八田貞義自由民主党

○八田委員 今日中小企業の問題は、当面の問題といたしまして労働基準法の中小企業に関する適用緩和の問題と、それから国民皆保険実施のための問題がございます。こういった問題が二つ、今日の中小企業の振興策の底にあるわけなのであります。一方は労働基準法適用の緩和でありますが、他方は適用の拡充であります。方向は反対でございますけれども、ともに中小企業に関係して深くこれを掘り下げていかなければならない。このためにはどうしても実情の調査が必要になってくるわけでございまするが、ただ問題は、今日最低賃金制の問題が出てきております。総評あたりでは最低賃金八千円ということを打ち出してきておりますが、これはあまりにも大企業中心であって、わが国の産業構造の実体に触れていない、こう考えるわけであります。名前は最低賃金と申しましても一体基準をどこに求めて最低賃金というものを考えていかなければならぬか、大臣の御所見をお伺いいたしたい。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 ただいま中小企業に対する労働基準法というものがあまりに過酷であって中小企業に適合しないじゃないか、これはやはり改正なり緩和なりしなければいけないじゃないかという問題は、常に中小企業からも陳情を受けております。私も中小企業を経営いたしておりますからその点もよくわかっておりますが、労働省といたしまして今年の方針は、この基準法を改正するということよりも、これの拡大解釈と申しますか、摘発主義をやめましてあくまでも中小企業の経営の内容が改善されるように誘導いたしまして、改善されていきましたならば基準法に合わせるような方向に、お互いに指導する方も指導される方も、腹を打ち解けて話し合って、そして摘発主義をやめてだんだんとその方向に進んでもらうような方法をとっていきたいと思っております。  国民皆保険の問題と、今の失業保険の緩和の問題に対しましては、これは今後ぜひやりたいと思っております。  それから最低賃金の問題でありますが、この問題はもう昨日も三、四回答えましたし、参議院及び衆議院の本会議においても答えておりますが、私どもは一律一体に八千円とか六千円とかということをやるという考えは持っておりません。もしそうでありましたならば御説もありましたように日本の中小企業は根底からくずれまして、それをやったことによって失業者が倍増していくという結論になりますから、われわれはこの問題に対しましては立地条件が事業には伴うものでありますから、地域別、企業別に自主的に最低賃金の相談をしてもらいたい。その自主的にでき上ったものをもってその業種、その業種でやってもらいたい。ということは、諦岡の清水港にマグロのカン詰をやっておる業者がたくさんあります。これは中小企業でありまして、十七、八才の女工を使っておるのでありますが、この四千人くらいの女工の最低賃金をこの業種が相談をしたのです。それで去年の四月からやっておりますが、非常に成績がいいんです。でありますから業種別、地域別に相談して、最低賃金をきめてもらいたいということをわれわれは考えまして、労働問題懇談会にこの問題を諮っております。近く懇談会の方から答案があるであろうと思いますから、その答案がきましたならば、われわれ労働省の出先の基準局その他を動員いたしまして、業種別、地域別に最低賃金をきめたらどうかということを勧奨していきたいと考えておるのであります。

中山マサ自由民主党

○中山(マ)委員 関連。今業種別によっていろいろと報酬をきめるというお話がございましたが、これは大阪の税務署の署長が能率給ということを希望すると申しておりますが、この問題は単に中小企業というものだけに限られるのでございましょうか。なぜかと申しますと、税務関係の仕事で、すでに税金を完納しておりますにもかかわりませず、その台帳にそれが消してないということでもって、差し押えするぞという通知を受けたということがございます。それでいきましたところが、税務署長が言われた。能率給ではないから能率が上らない。人も足らないということを申しておりました。   〔野澤芥員長代理退席、委員長着席〕 それで税務署なんかもやっぱり能率給にしてもらったら、こういうふうに納税者にめんどうをかけるようなこともなくなるだろうということを逆に言われたことを記憶しておるのでございますが、今の大臣のお考えは、単にそういう中小企業だけにそういう話し合いは限られるものでございましょうか。それとももっと押し広げて、いわゆる税務行政についても私ども納税者に不満足の点が多々あるのでございますが、それは限られた問題か、あるいは一般の問題についてお考えになるのかどうかということをお答えいただきたいと思います。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 業種別、企業別と簡単に申しましたが、今御指摘になりましたような方面におきましても、それを適用することがいいということであるならば、やはりやってもらった方がいいと思いますが、その場合、最低賃金を相談するときに、能率給にする、あるいは作業請負的な考え方にするというふうな業種も生まれてくると思うのです。それぞれの業種に適合する方法をとっていただいたならばいいのではないか、かように考えておりますが、能率給の問題については計画経済の御本山であるソビエトにおきましても、ノルマと報奨制によって、あの今までの共産主義的な考え方を修正いたしております。私はやっぱり産業、経済を発展させるためには、戦後に生活給と考えられた方法から、やはり能率によって賃金を払うといったような方法を加味した方向に進んでいくのでなければ、日本の産業も発展しないし、能率も上らないと思うのです。生活を全然無視してもなりませんが、戦後考えられたほとんど生活を主体とした賃金の考え方から、能率を加味した方向に、世界のどの国も進んでおりますから、その方向にやはり進んでいくべきだ、かように私は思っております。

八田貞義自由民主党

○八田委員 大臣にちょっとお伺いするのですが、最低賃金というのは、今はっきり聞き漏らしたのでありますが、具体的におきめになる場合には業種別あるいは地域別といったものを中心として考えていくのですか。今関連質問の答弁の中に能率給ということがあったのですが、これは年令給を意味すると思うのです。こういうことについては昭和三十年に中央賃金審議会から勧告があったはずです。四つの業種を指定しまして、そうして職種別それから地域別それぞれについてやってみるというような勧告が出ているはずでございます。もう昭和三十年に出ておるのでありますからそれらについての構想というものがあると思いますから、一つお知らせ願いたいと思います。名は最低貨金とか最低生活とか申しましても、やはりある点がなければこれを最低ということは言えないわけです。結局その点は何かといえば、平均額をさしておるものと思いますけれども、わが国の中小企業の産業構造というのは非常に大幅な変化があるわけです。平均額と申しましてもなかなかつかみにくいと思うのです。平均額から最低賃金を割り出すのか、あるいは最低賃金というのは平均額でなくて生活保護法にきめられた最低生活を基準としてきめていくのか、その点についても今までに調査されたことと思いますから構想を一つお知らせ願いたいと思います。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 今の中央賃金審議会の答申のお問いでございますが、それは全産業に直ちに最低賃金を採用することは不可能でありますから、とりあえず絹人絹織物、家具建具、玉糸、座繰生糸、手すき和紙、この四種に限って実施することにしたらどうか、こういうような答申がございましたが、われわれは現在はこういう四種に限らず、今申しましたように最低賃金をしくことができるならば、それは業種別地域別に一つ自主的に協定してやってもらいたいということに、労働省といたしましては考えをきめまして、これを労働問題懇談会の方に相談を持ちかけております。今月中には大体その答申があると思いますから、その答申がありましたならば、先ほど申しましたようにわれわれの出先の官庁によって地方々々にこれをお勧めしたいと思っております。

八田貞義自由民主党

○八田委員 答申がどのような形において出てくるかについては先の期待として待っておりますが、わが国において最低賃金制を実施しようとすれば、当分の間は最低額ではなくてむしろ高低にわたる相当広い幅を持つものでなければならぬと考えるわけです。もちろん理想から遠いかもしれないが、しかし理想から遠いのは賃金構造だけではなくて、むしろわが国の産業構造そのものにあると思うのです。賃金のはなはだしいでこぼこういうのはこの産業構造のでこぼこの反映にほかならない、こういうふうに考えるのでありますが、わが国の今日の産業構造を見て参りますと大企業と中小企業との賃金の差が大きな開きとなって出ております。しかもまたその下にもう一つ内職的な本職という職業階層がございます。しかもこの内職につきましては、今日国としていろいろな職業あっせん所なんかを設けられたり、あるいは授産場をお作りになったりして、何とかして内職の賃上げの努力をされておるようでありまするが、まだまだその網の目に漏れた人々がたくさんあるわけでございます。一体この内職という職業をどうして――内職という言葉は、簡単に言うならば本職でない生業、アルバイト、あるいは家事のひまにする賃仕事というふうに言われてきておりまするけれども、しかし今日においては生活費に追われている人たちは何か仕事、しかも継続的な仕事が必要なので、安い労賃でがまんしておるのでございます。東京都の一般の調査によりますると、一カ月の収入は大体三千円くらいだというふうにいわれておる。このような内職をほぼ固定化した職業とすることについて、今後どうしたならばこの内職という職業をもう一つ上に上げていくことができるかということ、この内職という職場を賃上げしていかない限り、最低賃金の問題はなかなか解決できないと思う。この内職する国民層に対してどのような対策をお持ちになるか、一つお知らせ願いたい。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 具体的な対策については関係局長から答弁きせますが、私の考えを申し上げたいと思うのです。今おっしゃったように、三千円とれるのはまだいい方の内職であって、安いのは月千円くらいからあるのですよ。ところがこの内職ということそれ自体、暴利をむさぼってそういうふうに安くやらしておるかどうかということを検討する必要があると思うのです。かりに封筒張りだとか、われわれがいろいろな会をやる時分につける造花、そういうものをやっておるところを私は一ぺん見に行ったのですが、作る方も非常に安くやっておるが、そういう家庭工業で安く内職をやらして、それを集めてきてやっているから、非常に安く市場に供給することができるわけですね。そうするとそれを三千円なり五千円なりに上げてしまったら、その内職がなくなってしまう。そうすると失業者が出るということになるものですから、その品物それ自体が幾らに売れているか、それでどれだけの利潤をとっておるか、それをやはり検討する必要があると思うのですよ。そうでないと、上げてしまうことによって内職が全部なくなってしまうという危険があるから、私はそういう面においても賃金を協定するならば、やっぱりそれぞれの業種で賃金の協定をしてもらいたい、こういうふうに考えておりますが、この内職の関係について具体的な問題は説明員から……。

堀秀夫労働事務官(大臣官房労働統計調査部長)

○堀説明員 内職の問題は、御指摘のようにきわめて複雑かつ困難な問題を含んでおります。われわれの方の調べによりますと、昭和二十七年の六月現在において家内労働に従事している世帯が三十三万世帯、従事者が四十九万程度と、このような一応の調査ができておりますが、しかしその内容等につきましてはまだまだ、もう少し調査検討いたしませんと、業種によりまして非常に複雑なものがあるわけでございます。これをいかに救済していくかという問題につきましては、将来いろいろな問題も考えられます。あるいは家内労働法の問題、あるいはそのほかのいろいろな施策も考えられまするが、まずわれわれの方といたしましては、とにかくどのような業態にどのような態様で従事しておるかという実態を正確に把握する、これがまず施策を立てる場合の根本問題ではないか、かように考えまして、これに関する調査を今少し正確に実施したい考えでございます。  それからただいま大臣からお話がありました賃金協定等の場合に、あるいはこの内職関係等も一緒にあるような地域におきましては、あわせてその協定に参加してもらうというようなことも考えられるわけでございます。  また婦人少年局の関係では、内職職業補導所というものも昨年から設けまして、その相談あっせんに従事している、かような状態でございます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 時間がないそうでありますから、あと一点だけ失業保険法の適用解釈について御質問をいたしたい。  失業保険法の第六条の当然被保険者の問題であります。この当然被保険者の問題で、第六条の第一号のハの部に「教育、研究又は調査の事業」こういう項目がございまして、さらに第二号には「前号イからハまでに掲げる事業を行う法人たる事業主であって五人以上の労働者を雇用するもの。但し、この場合には、被保険者となるべき者は、その事務所に雇用される者に限る。」こういうふうに書いてございます。法人である事務所、しかも五人以上の労働者を雇用するものの事務所に勤めている者は当然被保険者になる、こういうことが書いてあるのでありますが、問題となったのは、看護婦を事務職員と見るかどうかという問題から、この解釈にいろいろな疑義が出てきたわけであります。というのは労働省の失業保険課から出しておられるところの失業保険法解脱というのがございます。その中の百四十六ページ、「私立学校附属の病院に雇用されるもの」こうあって当然被保険者の中に入るように書いてあるのでありますが、ただ私立学校付属の病院に雇用される者であっても次のものはいいのだ、たとえば「純然たる研究の機関であれば別であるが、通常の医療施設、病院と同様な経営を行なっており、勤務状態、雇用関係も通常の病院に類似しておれば適用される。」いわゆる労働省の役人、出先機関に、その病院が一般病院と一体どこで区別されるかという認定がまかされているわけです。こういうふうに研究機関であっても、さらにまた「主たる勤務が学校の授業にあるようなものは被保険者とならない」というふうにくっついております。こういうふうになりますと、大学の付属病院であっても、通常の病院と何ら変らないような場合には、看護婦も医者も全部含めてしまう。ところが主たる勤務が学校の授業にあるようなものは艇保険者にならぬでもいいのだというふうに書いてございますが、一体私立大学の付属病院のような場合、学校法人として文部省から教育機関として認められている大学の付属病院でございますが、これが私立大学なるがゆえになぜこういった判定を労働省の出先機関によって判定されなければならぬか、これを一つお知らせ願いたい。

江下孝労働事務官(職業安定局長)

○江下政府委員 ただいまの問題はお話の通り失業保険法の六条の問題でございますが、先生も御存じの通り、一昨年までは医療関係者というのが適用から除外されていた。ところが一昨年の改正で医療の仕事に従事する者は強制適用に相なったわけでございます。従って一般の病院、診療所はすべて失業保険法の適用がある、こうなったわけでございます。ところが一方におきましてハに「教育、研究又は調査の事業」というものが適用から除外されている。従って一般の民間の診療所はこれはもう問題でございませんが、大学の付属病院である場合には、教育、研究が主ではないかと私は思います。しかし私どもといたしましては、大学の付属病院の失業保険の適用につきましては、教育、研究の面もありますが、独立して病院が経営されておるという場合が相当多いわけでございます。従ってこの場合におきましては、むしろ病院という観点からいたしまして失業保険法の対象とすることは、これは法律上やむを得ないと考えております。しかしながら独立の事業として適用する場合でございましても、教授、助教授等を兼ねておられるお医者さんは、主としてやはり教育、研究の仕事に従事されておるということで判定いたしまして、被保険者としないということが適当でないかと考えております。  なお看護婦その他の病院従、者でございますが、これは以上のような点からいたしますと、当然法の規定上被保険者とするという場合が私は多いと思います。しかしながら大学の付属病院につきましては、一律一体というわけにも参らぬ点もあると思いますので、具体的になお事実を調査いたしまして、善処いたしたいと思います。

八田貞義自由民主党

○八田委員 ただこの除外例の問題ですが、純然たる研究機関であれば別であるがとこういうふうな文句がございます。一体純然たる研究機関とはどういうことを言うのですか。こういう文句が書いてあれば、そういう質問をしたくなってくるのです。ところが先ほど私立大学の付属病院というものは、経営が通常の病院とあまり変りないと言うのですが、御承知のように私立大学の病院の開設者は学校法人です、理事長がやっている。ですからその中に働いている人はみんな管理者なんです。病院というのは開設者があって、そして管理者が医師なんです。開設者はしろうとであっても何でもいいのです。ところが付属病院の開設者は、学校法人である代表者としての理事長がこれに当っているわけです。ですから経営は学校法人として経営している。従って民間の病院とは明らかに経営規模が違うのです。そこで私労働省のこの解説の中に間違いがあるのじゃないかと思うのです。誤解があると思う。そこで純然たる研究機関という言葉は、ちょっと私にはわからないのです。学校法人の経営であるならば、これは臨床医学の研究機関であり、指導機関であり、さらにまたいろいろの基礎学問をやっておるのであります。現在どのような付属病院にしてみても、無給で働いているお医者さんがたくさんおるのであります。この人々はみな研究をするためにその病院に配属されておる。ですからこの純然たるという言葉がどうして出てきたかにつきまして一つお知らせ願いたい。

江下孝労働事務官(職業安定局長)

○江下政府委員 先ほど申し上げましたように、医療関係は強制適用です。従って病院という面からだけ見ますと、これは医療に従事するわけでございますから、失業保険法が適用になる。しかし一方において、学校の施設であるという点からこれがまた旧制適用からはずれておる。従って私の方の解説書にそう書きましたが、研究的な要素が強ければ除外される。半分に分けまして、研究的な要素が強いならば適用しない。研究的な要素が少なければ、医療という観点から見れば強制適用でございますから、これは適用しないというわけには参らない、こういうわけでございます。すなわち解説書の点については、もちろん若干言葉の使い方の不適当な点は私も認めますけれども、趣旨はそういう趣旨で書いたのです。従ってもしそういう両方にまたがっておるという場合は、これは事実上問題だと思いますが、その部分だけについて失業保険を適用するというのが法の適当な解釈ではないか、私はかように考えます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 そこで看護婦を事務職員と見るかどうか。

江下孝労働事務官(職業安定局長)

○江下政府委員 事務職員であるかないかという点は、この条文は実は関係がないのでございます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 ところがこの条文には事務所にと……。

江下孝労働事務官(職業安定局長)

○江下政府委員 それは強制適用にならない種目についての事務職員で、つまり医療関係者は強制適用になるわけでございますから、法文を見ればわかりますが、強制適用にならない事務主体について事務職員だけを適用する、こういうわけでございます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 それでは伺いますが、「事務所雇用される者に限る。」とはっきり書いてある。だから看護婦が事務職員かどうかということをお尋ねしたい。

江下孝労働事務官(職業安定局長)

○江下政府委員 看護婦は事務職員ではないと思います。ただ二号は、御承知の通り「前号イからハまでに掲げる事業を行う」こういう制限がございます。そこで医療関係という面から見ればこれは入らないわけでございます。しかし先生のおっしゃるように大学という観点から見れば入る、こういうことでございます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 それでは時間がないそうでありますから、いろいろもう少しお聞きしたいことがあるのでありますが、こういった除外例適用の文句の中に、われわれが理解できないような文句がたくさん書いてあるわけです。学校の授業なんと申しておりますけれども、教壇の上の講義のような授業だけをさしておる。ところが医学の場合は違うのです。この点も誤まりを犯すような文句をお使いになるということは、解説書でありますから、ぜひ誤まりのないように御注意願いたい。今の問題につきましても、どうか十分に調査されまして、誤まりのないようにやっていただきたいということを要望いたしまして、これで終ります。

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 多賀谷眞偵稔君。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 先日の質問の続きを労働次官通牒についていたしたいとふいます。  まず勢一の労使関係と労働法制という点から申していきたいと思います。その中の三の1ですが、下級審の裁判例についてきわめて批判的に書いてある。これは一体どういうわけで、下級審の判例について批判的に書いてあるのか、これをお聞かせ願いたい。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 判例は私どもといたしましても上下を問わず尊重いたすわけであります。しかしながら、申すまでもなく最後の判例として、われわれが法源として尊重いたしますのは最高裁の判例でございます。下級審におきましては、同じようなケースにつきまして、やはりそれぞれの裁判所におきまして違った結論が出ておるものもあるのであります。従って、そういうものが最後に最高裁に来まして、一つの見解として出るという意味におきまして、尊重の度合いにおいて、また法源としてやはり最高裁のものが最も権威のあるものだということを趣旨として掲げておるのでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 最高裁のものが法源として最も権威があるということはその通りでございます。しかしここに書いてある趣旨は、そういう意味でないようにうかがわれるのです。それは最高裁の判決と下級審の判決が相違した場合は、最高裁の判決が最終的決定であることは、何も書く必要はないのです。ここに書いてあるのは、そういうことでなくて、むしろ下級審の判決に対してかなり批判的に誓いてある。これは一体どういうわけなんですか。行政権を持っておるところの政府が裁判所の判決について批判的な態度をとるということ自体、これはかなり問題があると思うのですが、これについてお聞かせ願いたい。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 個々の裁判におきまして、批評してはいけないということじゃございませんで、出ましたものについて尊重しなければならないのは当然でございます。しかしながら、私どもはこの指針にもございますように、一応一貫した考え方を立てた。それから見ますると、ときにそれに合ったもの、また合わないものも下級審においては往々にして見受けられる。そこで労使ともにそれぞれ裁判判例の都合のいいのばかりとって、そうしてそれを論拠にするということだと、これはかえって混乱するんじゃないか。従ってその取捨選択というものはやはり慎重に考えなければいけない。私どもとしましては、この指針にもありますような考え方に沿うものがやはり望ましいということをここに考えておるわけであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 考え方に沿うものが望ましい、政府の七え方に沿う裁判判例が望ましい、こういうことを少くとも公けに発表するということは、これは少くとも裁判権に対する侵害ではなかろうか。侵害の疑いがある、かように考えるのです。自分は全部正しい、それに違った下級裁審の判決は不当だ、こういう言い方がされている。私の方は今度は体系的見解を立てたから、これに反するところの下級審の判例というものは、これはどうもよくない、自分の考え方に沿ったもののみがいいのだ、こういう考え方をされておる。これは一体どういうわけですか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 下級審において同じような事犯について結論が二様に出ておる。そこで最後やはり最高裁で統一的な見解が出されるということになるわけであります。その下級審において、われわれ行政担当者といたしまして、両二者がある場合には、われわれとしてはいずれが望ましいかといえば、この考えに立っておるものが望ましいのは当然でございますけれども、しかしながらそれは裁判の権威をどうこうするというものじゃないので、結局裁判に対するやはり一般の見方というものの基準がわれわれの考え方、これがいいのではなかろうかということを申しておるのであります。決してそれで裁判所の権威をどうこうしておるわけじゃございません。一、二とある場合、やはりその最後の統一的な権威は最高裁で行われるのだ。その最高裁の判例というものは非常に少い。この指針の中に出ております考え方は最高裁の考え方と違っておるというものはほとんどないというふうに考えます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 その最高裁が最終的な権威のあるものだということはわかるのです。しかしながらここに手かれてあること、また全文を通じて流れておることは、下級裁審の判決は必ずしも正しくはない、自分の考え方、政府の見解が正しいのだ、こう出ておる。そこで私はどうも最高裁の裁判が正しいというのならわかりますけれども、政府、しかも行政解釈として出されておる方が正しいのだ。こういうことは私は考え方としては三権分立の精神に反すると、かように考えるのですが。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 繰り返して申しておりますように、裁判の判例に対しての権威をどうこう、言っておるのではございません。ただ二様のものがある、あるいは三様のものがあるという場合に、一体どれが最も常識的に見てもとるべきかという基準は、私は行政官庁としましても考えていいんじやないか。別に個々にわたって裁判の批評をやっておるわけでもないので、いろいろと裁判判例が下級の方には分れておる、従って問題によっては帰一するものがない、そういう場合に一体何が望ましいものか、望ましい姿かという考え方の基準、これが指針全体に書いてあるわけであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 ことに下級裁審の判決は仮処分の場合が多い、こういうことを例にあげられておるのです。ですから仮処分というものは本案の判決とは違うことは事実でありますけれども、最近の仮処分の判決というものはかなり慎重に出されておる。かなり時日をかして研究されておることは事実です。昔のようにぽんと出ない。仮処分の判決でも事実問題としては本案訴訟くらいかかる。そうして裁判所は最近はきわめて慎重に出されておる。こういう事態であるのに、何か仮処分の裁判については非常に権威のないような書き方をしてある。こういうことをわさわざ書く必要はないと思うんですが、どういうわけでしょうか。

石黒拓爾労働事務官(労政局労働教育課長事務代理)

○石黒説明員 仮処分の点に関連いたしまして……。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 ちょっと伺いますが、石黒さんは教育謀長にいつなられたのですか。

石黒拓爾労働事務官(労政局労働教育課長事務代理)

○石黒説明員 本物の教育課長が目下ヨーロッパに出張中でございますので、ただいま私が労働教育課長事務代理を命ぜられております。  先ほどの仮処分の点でございますが、個々の事件につきましての判決なり決定なりを、それが価値がないというふうに申しておるのではなくて、あくまでも一般的な基準としての法源性の度合いの強弱を申しておるわけであります。仮処分につきましては非常に慎重な手続が労働事件についてとられておることは御指摘の通りでございますが、しかしながら地方におきましてなれないところではなおそうでない場合もままあるし、現に東京におきましても仮処分の決定に対しまして、同じ裁判所で異議の申し立てに基き取り消しもあった。一般の裁判が地裁から高裁に行くのに比べて、原審が異議の申し立てをして取り消す余地があるという点から見ましても、理論的には法源性は本案判決と全く同一に同等に論ずることはできないのではないかという趣旨でございまして、決して仮処分だからばかにしろというふうな趣旨で申しておるのではございません。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 これはただ県知事だけにあてるという意味でなくて一般にも知らしたい、こういうことを大臣は言われたわけですから、私はやはりそういう注意をもって教育指針というものは出されてしかるべきだと考えるのです。なるほど本案訴訟と仮処分は碓かに違い、今御指摘のあったようなこともままあります。しかしそれはごくレア・ケースでありまして、最近の仮処分の判決というものはかなり慎重に出されておる。そういう実態に基いてこれを書かれないと、何か仮処分の判決というものがあった場合に、その法源性に乏しいからそれはどうでもいいのだ、むしろ政府の方が正しいのだ、こういう考え方が非常に出ておる。とにかく政府の考え方は正しいのだ、こういう考え方が露骨に出ておる。これは私は慎しむべきことではなかろうかと思うんです。そこで、もしもこの通牒通りにやって、裁判所に訴えたところが違っておった、こういう場合には大体どういう責任を政府はおとりになるのですか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 この指針自身は、単に違法不当正当、適法、この見解を申しておるのではございません。自由民主主義の原則からいいまして、労使関係また労働組合運動のあるべき姿、望ましい姿を描いておるのでありまして、従って現実の問題につきまして、裁判所において、あるいはこの考え方と違う判例が出るかもしれません。それはやはり裁判所がそういう判定をされたのでございます。われわれとしましては、やはりあくまで望ましい姿としてこの指針を出しておるわけであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 そうすると、従来こうして公的解釈で出されておったもので、裁判所の具体的な判決と違った場合がありましょう。こういう場合には私は非常に困ると思うのですがね。そういう場合には、被害者は政府に対して損害賠償の請求か何かできますか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 これは労働教育指針でございます。単にわれわれの分野ばかりではなく、ほかの行政の分野でも、こういつたいわゆる指針的なものがあろうかと思っております。従って、これが行政解釈の場合におきましてさえ、裁判所と違う場合があり得るのです。その場合に、政府に対しての損害賠償云々ということは、今までも論じられたことはないわけであります。そこで、これはわれわれとしましては、法制局、法務省あたりとも打ち合せいたしておりますので、もしも下級裁において違うような意見が出ますれば、やはり最高裁までは争うような結果になるのじゃなかろうかというふうに考えております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 現実の問題として、政府が出されました通牒通りにやって、裁判所でそれと反対の判決がなされて非常に迷惑をした例があるわけですね。これは石黒課長はよく御存じで、おそらくあなたが起案したのだろうと思いますから、私が指摘するまでもないと思いますけれども、昭和二十五年の二月十六日に、千葉県知事から、クローズド・ショップ、ユニオン・ショップについて問い合せがきておる。そうしてその通牒は、労政局長発で昭和二十五年三月二十日に出されておる。千葉県知事は具体的な、事件をもって問い合せをしておるわけですね。それは千葉県の加藤発動機製造会社解雇事件、こういう事件です。もっともそのときは解雇してなかったのです。これは最初第一組合ができて、その後第二組合ができた。そうして第二組合と昭和二十五年二月二十四日にクローズド・ショップを結んだわけです。そこで千葉県知事が問い合せをしておる。そうしたところが、労政局からは第一組合の者は解雇してもよろしいという通牒が発せられた。それによって、通牒通り第一組合全員を解雇したのです。第一組合全員を解雇してもいいという通牒が出たのですね。ところが千葉地裁の決定は、昭和二十五年の八月八日に、解雇する根拠はない、こういう判決が出たのです。こういう事件ですがね。私はこういう点にきわめて重大な政府の責任があると思うのですよ。この事件は、通牒が出たから、その政府の指示通りに解雇したのです。そうしましたら、裁判所の方で、その解雇は無効だ、こう言ってきた。これは政府の指示に基いて行なった行為なんですね。私は労働法体系が確立されてないということはよく知っております。それだけに、政府としてはきわめて慎重に扱われるべきだと考えるのですが、こういう事実がある。これに対してどういう責任をお感じですか。

石黒拓爾労働事務官(労政局労働教育課長事務代理)

○石黒説明員 御指摘の二十五年の通牒の件につきまして、ユニオン・ショップ、クロズド・ショップの問題につきましては、多賀谷委員からもお述べになりましたように、今日なお確たる判例、あるいは通説というものがございません。この当時におきましては、その状態はなおさらはなはだしかったわけでございます。私ども、二十一年に組合法ができ、二十四年に大改正をいたしまして、学説、判例の確立する前までにおきましては、われわれはこう解するのだということは、聞かれれば言わなければならない責任があった。そこで申したわけでございます。そういうものを出します際におきましては、裁判所においてはこう考えるであろうということも十分検討し、念頭に置いて出すわけでございますが、間々間違えることも、これは人聞でございますから、あり得ないことではございません。このケースにつきましては、一審の仮処分においては使用者側が敗訴になり、異議申し立ての過程におきまして和解が成立した事案でございますが、そういうような結果が間々生じ得ることは、はなはだ遺憾でございますが、さればといって労働法の施行の任に当る労政局として、全然そんな解釈については知りません、裁判所でためしにやってごらんなさいと言ってつっぱねるわけには参らない。これは労働教育を任務といたしている以上やむを得ないことでございます。その後次第に学説、判例も出て参りましたので、その後ユニオン・ショップについて聞かれておりますときには、多賀谷委員も御承知と存じますが、こういう説、こういう説がある、労働省としては今までこう考えておったけれども、しかしこういう説があるのだから、裁判所にいった場合にはそういう結論になるかもしれないということは十分心得た上で、自分の決心で処置すべきであるということで、ああしろ、こうしろというような指示は全然いたしておりません。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 やっぱり政府が考えてもそれほど実際問題としてそごがあるわけですね。ですからこの通牒そのものも、あるいは行政解釈通牒として出された場合でも、労働法の分野においてはかなり危険性があるわけです。ですからその点を私は念頭に正いて考えていただきたい。今までかなり断定的なことを下しておるのですね。ですから断定的なことを下しておっても、事実裁判所にいけば、政府が言ったのは違っておった、こういうことでは権威がない。また政府の解釈というのは何も法的権威があるものではないのですが、しかしこれらの事件は政府が出した通牒によって起きているのですよ。通牒さえ出さなければこういう事件は起きないのですよ。わざわざ問い合せて、そうして問い合せた結果、いわば経営者及び第二組合が考えておった通りだ、こういうので解雇しておる。しかも第一組合全員を解雇しておる。こういうことなんです。ですから学説はなるほどいまだにこの問題については分れておることは承知しておるのですが、こういう断定的なことを政府が出されて、しかも解雇されておる。全員解雇してもよろしい、こういう通牒なんです。こういう通牒を政府が非常に軽率にお出しになったことについては、かなり責任があると私は思う。それと同じように、この教育指針にも私は今後非常に問題を残しておるし思う。これは純然たる教育です、こう言われるけれども、法解釈のところはないのですかと言いますと、いや法解釈もあるのだ、こうおっしゃるのですから、どうも私たちはこんな断定をしていいのだろうかという疑義を持つ個所がかなりある。こういう点についてはどういうようにお考えですか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 これは労働教育指針でありますから、従来からもうすでにはっきりしているようなところは、その根本の考え方に沿ってやはり法解釈的に解説をしてございます。労働教育――すべて教育はそうでございますが、われわれは長い目で、また長い努力をしなければならぬと思っておるのでございます。従ってもう方々に出ておりますように、こうあるべきだ、しかしそれが今直ちにこんな考えで労使かやるというものではないということは、重々知っておるのであります。またこの考え通りにあるいは裁判所においての裁判は出ないかもしれない。しかし長い目で見て、やはり大原則かり考えて――大原則というのは自由民主主義の原則から考えまして、これが正しいということならば、おのずから国全体の気持というものがここにくるりではなかろうか。しかし現実がもしそうでないというので、違う方向にいきますれば、これはもちろんやむを得ないところでありまするが、われわれとしましてはこれがやはり本来のあるべき姿だというふうに考えていくわけであります。そのよるべきところはやはり労働教育の指針として一応責任を持っておる政府として出していいんじゃなかろうかというふうに考えます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 そこで政府の通牒によってもし被害を受けたら、被害者は政府に対して損害賠償の請求権はあるのですか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 これは行政解釈の場合と同じでございまするが、その場合に行政処分があってそしてそれによって損害を受けたという場合にはこれはございましょうけれども、そうじゃないいわゆる労働教育指針解釈はこうだと聞かれて参考までに述べるというような意味の行政解釈である場合に、法律的に損害賠償ということはあり得ないのじゃないかと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 ですから政府の行政処分の場合は危険性を見て、そして被害をこうむった責任を負う、こういうのですから態度ははっきりしておる。あなたの方の今の通牒は、これは聞かれもしないのに出されて、そしてそれによって被害があった場合には知らないぞ、こういうのではおかしいでしょう。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 ものの考え方というものを述べておるのでありまして、従ってこれをとるとらないは、これはもう労使当事者の判断にまかせる、これは前提がそうなっておりますので、それについて具体的に、裁判でもし負けたというような場合、そのことを政府の方に持ってくるということは、法律的にはできないのじゃないかというふうに考えます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 私は責任が及ばないだけにやはり慎重に出していただきたい、かように希望するものであります。  あまりここばかりやっておりましても時間が経過いたしますから次に行きたいと思いますが、そこで第四の「法解釈の原理として、市民法に対する労働法の一般的優越性を主張するのは何らの根拠もない。」こう書かれておる。労働法はあらゆる法律に優先してまかり通っておる、こういうことをいっておる人は、だれもないと思うのですが、なぜこういうことを誇張して書かれたのですか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 専門の方々から見れば当然のことだと思います。これは全体を通じましてすべて当然のことを書いておると思うのですが……。(笑声)しかしながらこれはわれわれの想像外のことであるのでありますが、一般の方々のうちには労働運動というものそのもの、さらにまたそれを規定しておる労働というものは何か非常に戦後特別なものだ、ことに憲法にまで規定があるということで、非常な思い過ごしがあるということは事実でございまして、従ってここで当然のことでございますがそうじゃないぞということをはっきりしたというに過ぎません。

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 多賀谷さん、午後一時定刻から本会議があるそうでして、もう休憩しませんか、いかがですか。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 質問は幾らでもあるのですが、じゃ簡単に……。そうしますとかりに市民法に対して労働法というのは漸次その法領域を広めて、そして市民法の特殊法になったわけですが、それとの関連はどういうように考えておられるのか。この文章を読みますと優越性はないのだ、しかしながら特殊性はあるのだ、こういうことになっておるが、これはどういうようにお考えでありますかお聞かせ願いたい。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 これはもう多賀谷先生よく御承知のごとくいわゆる市民法、つまり個人的自由という個人や中心にしたものに対しまして、社会の進展とともにやはり労働者の社会的地位というものから集団的な行動というものが認められてきた。しかも雇用関係において経済的地位の低い労働者については、国家の権力によりまして全く平等な個人関係というものを保護する必要があるというところから、たとえば労働基準法があり、いろいろな労働組合関係の法規が出てきた、それは当然であります。しかしながら法律上はっきりと規定がある場合はもちろんこれは特別法として当然でございますけれども、そうでない場合にはやはり存在の限度というものがございますので、それは全体の法秩序のもとで解釈して調和を保たなければならない。従って労働関係だからといってあらゆるものを押しのけていくものじゃない、全体の法秩序の一環として考えられるべきだ、こういうことです。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 抽象的には言えるのですけれども、私たちも実際は悩んでおるし、よくわからないのです。たとえば労働組合法があり、労調法があり、あるいは炭鉱の保安についていえば鉱山保安法がある。そうするとそれはどういう関係になるのですか。一体争議をする場合に、今はスト規制法という別の法律が出まして、これは一応そういう要素が入ってきましたからこれで解決しますけれども、これがなくて解決する場合は昔の労調法三十六条、それと鉱山保安法あるいは組合法の争議、こういう関連はどういうように理解できるのですか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 そういうふうに根本において非常な不確定なものがあるということから、やはり私どもは指針としてこういう必要を感じたわけであります。それは結局法においてあることを保護する。それは一体どういう趣旨でどこまでだという、ここはやはりはっきりしないといけないのじゃないか。社会現象としましてあるいは法の予想しておるワクを越えてのことは起るかもしれません。しかしながらそれは法判断じゃなくて別個な社会的判断によって処理されるものでありまして、われわれとしましては憲法が基本法でございます。その憲法の精神にのっとって、そして、その憲法が保障しておるところはその本来の性格から見てどこまでかということをはっきりしておるのであります。従ってこの指針全体を通じまして、それなら本来の活動以外のものについてはすべて違法かというとそうじゃないのだ、それは労働法のワクの外なので、別の観点からまたそのそれぞれの領域の法規によって律せられるのだ、こういうことをいっておるわけであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 抽象的におっしやいましてもわからないのです。たとえば争議をしましょう、争議は全部休むのですから出ない。鉱山保安法というのがあるわけですね、それから労調法三十六条というのがあるのです。ですからこれはどういうように理解するかと聞いておるのです。たとえばロック・アウトには保障の規定がないという話ですが、自動車運送事業法で、バスは許可を得たら一日何回なら何回通さなければいかぬ、こういうことになっておる。そうするとロック・アウトした場合には自動車運送法の規定は一応排除されるこういうことに裁判所は扱っている。これはかなり事件のあった問題ですけれども、一応今はそういうふうにほとんど扱っておる。そうすると争議ということによって同じような法律が競合した場合に、その自動車運送法というものは一応停止をされる。そうすると労働争議の場合はどうなるか、いわゆるストライキの場合はどうなるか、そういう点を一つ御説明願いたい。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 それらの点はすべてがどこに調和点を求めるかの問題であります。労調法の三十六条、これは人の生命身体に関係することであります。もしその業務をやめたならば生命身体を害するというようなことは、たとい争議行為としてもやっちゃいけないということでございます。従ってどこまでやれるか。つまり団結権、団体交渉権、団体行動権、ことに争議権、これをどこで調和させるかということは、社会常識によってきまっておる。それで明らかなものについてはこれが法において定められておる。たとえば今の労調法三十六条のごときはそのいい例であるということであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 そう抽象的におっしゃっても、われわれはしろうとですからわかりにくいのです。ある事件が起ると、そこで争議をやる。争議をやった場合に、争議をやるからこれは全部原則としては休んでいいのです。しかし休むということになれば、鉱山保安法が停止される。これは就業を前提としているのです。そうすると、鉱山保安法は生きてこない。そうすると労調法三十六条があるから、その範囲において鉱山保安法が生きてくる、こう解釈していいのですか。

石黒拓爾労働事務官(労政局労働教育課長事務代理)

○石黒説明員 局長からも申し上げましたごとくに註のついたパンフレットをお持ちと思いますが、註の一にありますように最高裁も労働法と他の諸法域との調和が必要なんだと申しております。その調和点ということに尽きるわけでございます。どういう争議のときにどこで調和きせるかというのは、労働法自身が正当なという言葉を使っておりますごとくに、個々のケースについて健全な社会通念によるほかない。それは一定の大きな流れと申しますか、支柱と申しますか、そういうものがあるわけでございます。労調法三十六条の人命の問題なんか、これはだれでも文句なしで、炭鉱における鉱山保安のストップの限界といったようなものにつきましては、これは私どもは当然自明であると思っておりますが、しかしそれですから非常に争いのありましたことは御承知の通りでございます。ああいうような場合には、使用者あるいは国家の重大資源、企業の根幹をくつがえすのはいかぬというような最高裁の考え方から、一応ああいうものは調和点として社会通念上比較的無理がなくて、もっとこまかいケースになってきますと、あらかじめどういう基準ということが書けるなら法律が書いておるはずでありまして、健全な社会通念と申し上げるよりほかはないのであります。健全な社会通念育成の一助という意味で今回の通牒を出したわけであります。

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 あなたの質問は後に続行していただくことにして、本会議散会後まで休憩いたします。     午後零時二十三分休憩      ――――◇―――――     午後二時二十七分開議

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長代理 休憩前に引き続き、会議を再開いたします。  委員長が不在でございますので、私が委員長の職を勤めます。  午前中の質疑を続行いたします。赤松勇君。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 多賀谷君が質疑続行中なんですけれども、この際私から三点または四点ほど特に労働大臣にお伺いをしておきたいことがあるのであります。  その第一点は、現在わが党におきましても立法化に努力をしておりますいわゆる最低賃金法の問題でございます。この最低賃金制につきましては、いろいろな議論もあると思うのですけれども、これを制度として全体にやるという方法の中には、たとえば労使を含めた賃金協定というようなやり方もありましょうし、あるいは一つの法律を作って、その法律で基準を作っていくという方法もあると思うのですが、私どもは何としても今次国会におきまして、勤労大衆の要望である最低賃金法を制定いたしまして、もって生活の安定をば期したいと考えておりますが、これに関する労働大臣の御所見をこの際承わっておきたいと思います。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 最低賃金の問題に対しましては、しばしばお答えいたしておりますが、われわれの今考えておる方法といたしましては、業種別、地域別の自主的賃金協定によって最低賃金をきめてもらいたいということを労働省としては考えまして、労働問題懇談会に諮問をいたしております。懇談会の方もたびたび会議をお開きになりまして、近く結論が出るようでありますから、その結論が出ましたならば、われわれの出先基準局等によりましてそういう方向に勧奨していきたい、かように考えております。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 それでは法律を作って基準を作る、あるいは最低額をきめるというようなお考えはございませんか。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 ございません。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 今お聞きしますと自主的な賃金協定というようなお話なんですが、たとえば神戸の港湾労働の労使関係の中にもやはりそういう意見が出てきておるわけです。ところが自主的な賃金協定と申しましても、御承知のように労使の関係というものは労働者の力が非常に弱いのであるから、常に経営者なり資本家側が優位に立つ。それがため憲法二十八条は、労働者の対等な立場なりあるいは力を保障するという意味で、団結権、団体行動権を認めて、労組法その他で保護しておるわけですけれども、今の労働組合と経営者の力関係あるいは非常に未組織の多い労働者の現状のもとにおいて、望ましい自主的な貸金協定というものを作るにはどうしたらいいか、一つ松浦労働大臣の御見解をこの際お聞きしておきたいと思います。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 これはなかなかむずかしい問題であることは言うまでもありません。特に御承知のように最低賃金によって影響を受けるのは、中小企業でありまして、基幹産業であるとか大企業はもう世の中に伝えられておるような程度のところまで最低貧金がきておりますから、結局中小企業の問題だと思うのです。それでこの中小企業の問題について、労働省も内閣もそうでありますが、一つの統計を集めておりますけれども、今年の予算に要求いたしておりますように、三十人以上の職場でなければ統計が集まっていない、だから今度は三十人から五人以上に直すために千六百万円ほど予算をもらってやろうという、これから統計を集めようというところなんでございます。  それで最低賃金の問題についてはさらに、午前中にもお話がありましたが、家内工業、内職の問題もあります。そこでそれらいろいろ考えますと、一律に八千円とか六千円とかいうものを法制的にやったら、私は中小企業の大部分はつぶれていくと思うんですよ。失業者が増大すると思うんです。午前中の質問応答の中にもありましたが、八千円以下の者が六百万人もあるという現状において、その六百が人の人々は大体中小企業だと思う。特に大企業と中小企業の三十人前後のものと比べるならば、半分くらいの給料ですね。それでも不渡り手形が出るように中小企業は安定しておらぬものでありますから、この中小企業の振興対策が徹底して、それで中小企業が相当の高賃金を出しても経営のできるような内容にならなければ、一律一体に最低公金をきめることは困難であると私は思うのです。でございますから、業種別地域別――とにかく企業は立地条件が中心になりますから、業種別、地域別に自主的に一つきめてもらいたい。そう申しますのは、静岡の汚水にマグロのカン詰工場がありまして、若い女工を二十数工場で四千人も使っておる。それが昨年の四月ごろに最低賃金を協定いたしまして、それで今なお成功してやっておりますが、そういう例もあることでありますから、やはりこれは業種別、地域別に自主的に一つ賃金を協定してもらいたい、こういうふうに考えております。特に大企業、中企業以上の企業におきましては労働組合はありますけれども、今四十人とか三十人とかというような工場では多く労働組合を持っておりませんから、労働組合と協定することもなかなか困難であろうと思います。でありますから、とりあえずマグロのカン詰工場がやったような方法で一つ協定してもらいたい、こういうふうに私は考えております。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 その点につきましては引き続いてお尋ねするといたしまして、その前に、大臣は来年度予算の中で千六百万円調査費をかけて、従来三十人以上の工場より調査ができなかった、従って圧倒的に多い三十人以下の工場あるいは労働者等について調査をしたいというお話で、大へんその御熱意はけっこうだと思います。ぜひ一つ力を入れて調査していただきたいと思うのです。実は私どもも最低賃金法を作ります場合に、その統計がなくて困ったわけなんですが、いろいろなものを集めてあれしますと、非常にその数が多い。あまりに多いのに驚いたわけなんですけれども、この際労働省の方で、これは概算でいいです、腰だめでけっこうですから、大体満十八才八千円以下の労働者というものがどれくらい存在しているかということを概略でけっこうですからお話し願いたい。  なお今大臣は大企業には十八才八千円以下の労働者というものが存在しないようなお話でございますけれども、炭労などにはたくさんある。炭労などは低賃金の最たるものでありますから、どうぞそういう点はもう少し御検討をお願いしたいと思うのです。今私の御質問しました点がおわかりになっておれば、その概略を御説明願いたいと思います。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 統計局から答弁させます。

大宮五郎労働事務官(大臣官房労働統計調査部労働経済課長)

○大宮説明員 現在御指摘がありましたように、まだ正確な統計というものは得られませんですが、それに近いのではないかと思われる数字を申し上げますと、約六百万でございます。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 そこで、これは腰だめで科学的な数字ではないでしょうけれども、六百万人十八才八千円以下の労働者が存在している。今大臣は中小企業の雇用能力なりそういうものをあげられまして、そういう脆弱な企業においては直ちに法をもって実施するということは非常に困難な事情にある、こういうお考えですけれども、われわれはまた逆に考えているのですね。今日満十八才で八千円の最低賃金でもって、いわゆる憲法でいう文化的な生活ができるかどうかということを考えなければならぬ。いわんやそれよりも低い三千円、四千円というような労働者がたくさん存在しているわけなんです。家内労働の内職などをとらえてみますと、実際月に千円にも満たないというようなのが多いのです。ですから、そういうような特殊なそれは別としまして、僕はやはり企業をやっておる、そして人を雇用し、物を生産して販売している人はその最低生活を保障し得る――まあこれは卵と鶏の関係ではありませんけれども、御承知のようにマルクス主義によると、あすの卵を生むためにきょうえさを与えているのだということになっているのですが、そのえささえも、実際はあす卵を生むだけのものを与えていない。むしろ半分は砂だという関係になっているのですが、雇用能力あるいは賃金の支払い能力を持たない企業家は、企業家として資本主義の中においても存在すべきではない、こういう考え方が一つと、もう一つは、実際にはそういう企業家というものが現に存在しているということ、その企業者は賃金支払いの能力がないからというのでいつまでも労働者を低賃金に押えているということは、私は国際条約の上からいっても日本の恥辱だと思うのです。現に国際条約の中におきまして、日本は最低賃金の問題につきましては世界に約束をしているのですけれども、そういうことは別として、やはり最低生活というものをもし企業家が保障し得ないならば国が保障する、これはたとえば船舶に対する例の造船の利子補給などをやっているのですかち、それとこれとは違うでしょうけれども、国家保障をするという考え方も一つのやはり考え方として出てきてもいいのではないか、しかしそれも国民の税金をそういうふうな労働賃金に充てるということがいけないということならば、これはたとえば中小企業金融公庫なりあるいは国民金融公庫なり、その中に一つの別ワクを持たして、そして三百億なり四百億なり預託して、そこから賃金の支払い得ない企業家に対して融資をしていく。これは何もただでやるのじゃありませんから、たとえば利子などをつけないで貸してやるということになりまするならば、私は一つの社会政策として当然考えられていい方法ではないかと思う。そういう方法を通して、この際中小企業の中で低賃金に苦しんでいる労働者に対して、その低賃金の壁を破るような、要するにただ労使の自主的な協定に待つというような消極的な態度でなくて、もっと積極的な施策をこの際打ち出すお考えはないか。今考えられていないとしても、将来そういうことをば労働大臣は真剣に考えていく用意があるのかないのか、こういう点を一つお聞きしておきたいと思います。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 重要な点であります。でありますから、私は先ほど中小企業の振興工作が並行しなければならないと申し上げましたのは、今御指摘になりました三つ、四つの問題を含めての意味でございました。とにかく中小企業対策というものが取り残されておりまして、保守党も最近はこれに非常な力を入れて、本年は財政投融資等におきましても約七百億というものを去年よりも多く出す。これは大体産業投資になるのでございますから、回り回ってこちらの方が助けられるということにもなろうかと思いますが、とにかく中小企業の振興工作をどうしてもやらなければいかぬと思うのです。またそういう低賃金を支払わなければならないような弱小企業は存在すべきでないということを仰せになりましたが、(赤松委員「存在すべきではないという意見もあるということです。」と呼ぶ)計画経済下において全部整理されてしまって、国家が経営者になって国民全体が全部勤労者というような行き方になればそれは別でありますが、自由主義の国家内におきましては、特に中小企業というものをわれわれもいろいろ考えているのですが、中小企業はピンからキリまであるのです。中小企業の中でも今御指摘になりましたように……。   〔赤松委員「中小企業はよくわかっております。問題は、そういう中小企業の賃金支払いに対して国が融資をするかということです。」と呼ぶ〕

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長代理 私語を禁じます。発言は許可を求めてやって下さい。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 今国が中小企業の最低賃金を保障するというところまでは考えておりません。しかし国が中小企業の振興工作をやりまして、そして安定した賃金を支払うことのできるようにいたしたいということを今後積極的にやりたい意思は持っておりますが、賃金を支払うためにそれを保障するということは考えておりません。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 今度御就任なさいました労働大臣は非常に誠実でございました、私もほんとうに心から尊敬をしております。どうぞそういう態度で労働行政に臨んでいただきたいと思うのですが、ただ質問に対しましては、時間があまりありませんから、御親切はけっこうなんですけれども、なるべく簡潔に要点だけを答えていただきたいと思います。  今御答弁々いただきまして、中小企業の賃金の未払いあるいは遅延、そういうような問題については政府としても特に中小企業を保護するという面から将来考えていく、こういうような労働大臣のお話でございましたが、さっき私の言いましたそういう国の金融機関を通して保護していくのだということを真剣に考えてもいい、そういう用意がある、おそらくそういうように御答弁いただいたと理解いたしまして次の問題に進みたいと思います。  最近ちょいちょい新聞に載るのですが、いわゆる地域給の問題です。これは御承知のように、国家公務員法ができました当時、私ども人事院が出しました法案の修正につきましてずいぶんマッカーサー司令部に参りまして、約半月司令部で当時のフーヴァーという人と折衝しまして作り上げたものなんですけれども、その後経済事情もだいぶ変ってきていると思うのです。町村合併などもありまして、今の地域給制度というものがそのままでいいかどうかということにつきましては、私はやはりかなりの議論が正直なところあると思うのです。ですから実情に合わないという面はございますけれども、これは町村合併等に伴って政府の方で調整すればいい問題でありまして、廃止をするという考え方と調整をするという考え方とは本質的に違うと私は思う。むしろ今公務員の給与形態の中で最も重要な要素の一つになっておる地域差から来るこの地域給につきまして、にわかにこれを廃止するのどうのということになりますると、相当問題が大きくなってくるのではないか、こういうふうに私ども考えておるわけなんですが、もし矛盾があれば是正するという考え方に対しましては私は異議はありません。ただこれを廃止するという考え方に対しましては、にわかに賛成するわけには参らぬのでございますけれども、この地域給のこれからの取り扱い方につきまして、給与を担当しておられまする労働大臣の御見解をこの際伺っておきたいと思います。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 お説のように地域給につきましてはいろいろな議論がございますから、目下事務的に検討中でございます。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 その検討されておる内容がもし御説明願えれば説明していただきたいと思うのです。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 検討中でありまして、まだ外に出しておりませんし、まだまとまっておりませんから、まとまってから、政府及び給与担当の考え方が決定いたしましてから後に御相談いたしたいと思います。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 それでは事務上の問題はしばらくおくといたしまして、基本的には廃止をしないのか、あるいは廃止をするのか、いずれでございましょうか。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 廃止をするか、存続するか、それが検討中でございます。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 人事院にお尋ねしたいのですけれども、人事院のお考えではどうでありましょうか。

瀧本忠男人事院事務官(事務総局給与局長)

○瀧本政府委員 地域給問題につきましては、ただいま御指摘のように、これは給与の中で非常に重要な問題でありまして、慎重に取り扱わなければなやない問題でございます。人事院はすでに二十九年におきまして地域給の勧告をいたしておるのでございまして、その後相当の時日が経過いたしておりまするが、いまだにこの実現は見ていないというのが現実の状況でございます。その後におきまして衆議院の内閣委員会等において、いろいろ地域給の御研究をなさるために小委員会等を設けられたことがあるのでありまするが、その席上にわれわれ出ましていろいろ参考になることを述べさしていただいたのであります。そのときも人事院が申しましたいろいろなことの中で、申し上げられますることは、将来にわたっていわゆる生計費等における地域差というものがなくなる趨勢に当時あったわけでありまするが、そういうことが継続して参りまして、相当程度この幅が接近するというような状況になりまするならば、この地域給というものはもう存続しなくてもいいのではないか。しかし現実にそういうものがあります間は、名称のいかんを問わずやはりそれに対応するような給与種目は存続さす方が適当ではなかろうか、こういうようなことを申し上げておるのであります。現在の人事院の考え方も、将来に向って地域給制度が廃止されるということは一つの目途として考え得るのでありますが、今直ちに現在の状況におきましてこれを廃止するということは、よほど問題があるのではなかろうか、このように考えております。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 ここではしなくも労働大臣と人事院との地域給に対する考え方が違っておるということが明白になって参ったわけでございます。大臣の方は、廃止するかしないか今検討中だ、こういうわけだ。人事院としましては、将来は廃止したい。しかし当面まず廃止をする考えはない、こういうお話であります。これは非常に大事な問題で、給与局長も御承知のように、国家公務員法ができ、給与体系ができまするときに、地域給というものは地域差で、物価が高くてかわいそうだから入れてやろう、そういうものではなかったと思うのです。これは言うまでもなく給与の中の一つの重要な要素として当然受ける権利だということで、現在支給されておるわけです。これは国家公務員、地方公務員だけの問題じゃございません。これに準じて国鉄にいたしましても、あるいはその他の公社、現業関係あるいは民間産業におきましても、大体人事院で作られました地域給のそれに準じましてその給与が支払われておる。従ってその影響するところは単に官だけではなくて、民間にも大きな影響を与えまするから、すみやかに人事院と給与担当大臣である労働大臣との間に十分意見を統一していただきまして、すみやかにその具体案、いうなれば廃止しない建前の上に立ってこれを合理化していくということの具体案を示していただきたいということを要望しておきます。それでは次に移りたいと思います。けさ自由民主党の委員の方から非常に重要な、そうしてまことによく研究されておりまして、非常に深い造詣の御質問がございました。ところがそれに関連いたしまして、私はもう一点だけ聞いておきたいことがある。と申しますのは、昨年国勢調査が行われまして、そして今まで明らかでなかった年令別人口と産業別人口というものが明らかになりました。総理府統計局で昭和三十年十月一日の国勢調査の内容を発表しております。これによりますと、総人口は八千九百二十七万四千九百人、そしてその中で就業者をば産業別に見ると、第一次産業といわれる農業においては、農業に従事する人口が非常に少くなってきておる。それにかわって、第三次産業といわれるいわゆる商業やサービス業、これへの雇用がふえてきておる。おそらく戦前戦後を通じて最高の数字を示しておる、こういうふうに政府の統計はいっておるわけです。それからさらに大切なことは、この農村が減って第三次産業がふえておる。ところが第二次産業はその割にふえていないわけなんです。だから政府の方で失業者が減った、こういうふうに宣伝をされましても、問題は雇用がどの産業部門でふえておるか、どの産業部門に吸収をされたか、これがわれわれにとりましては非常に大事な問題だと思うのです。商業やサービス業にその雇用面が拡大されるということは、決して私は望ましいものではないと思います。非常に国の文化が高まり、産業が高まり、オートメーション化して、そうして労働時間がうんと短縮されて、それでサービス業やあるいは商業というものがうんと発展したというようなな段階におけるそういう雇用のふえ方というものは、大へんけっこうだと思うのですけれども、今のように日本の産業規模を拡大しなければならぬ、こういう国家の強い要請がありまする現段階において、こういう面への雇用の増大というものは、私は必ずしも当を得たものではない。国全体の立場から言えばむしろ悲しむべき傾向にあるんじゃないか。農村における就業人口が減少したということは、これは日本の食糧政策の上からも再検討しなければならぬ、国の大きな食糧政策の根幹に属する問題だと思うのです。これを農林大臣だけにまかしておくということは私は無責任だと思う。これは労働大臣もこの農村人口を一体どの程度までとどめておくべきか、農村への就業者の配置というものを全体の産業構造の上に立って、また食糧政策の面に立ってどうすべきかということは、ぜひこれは政府として真剣にお考えを願いたいと思います。  それから大体の今の就業者の割合を見ますると、第一次産業におきましては四一・二%、それから第二次産業におきましては二三・八%、第三次産業におきましては三五・一%、こういう割合になっておるようでございますが、そこで一つお尋ねをしたいのは、どうして第二次産業の雇用面で第三次産業のような雇用の増大が見られなかったのであるか、こういう点について一つ労働大臣もし何だったらそっちでけっこうですから……。

江下孝労働事務官(職業安定局長)

○江下政府委員 これはなかなかむずかしい問題で、先生のおっしゃるように就業者は農業関係においては減っておりますが、第三次産業方面の増加が著しいのであります。そこで実はお話の通りこの点は私どももあまり歓迎すべき現象ではないと考えております。従って経済企画庁におきまして五カ年計画を樹立いたしましたときに、第二次産業と第三次産業をどういう割合で見るかということで相当検討いたしましたが、ここ数年間経済規模のよほどの伸長がない限りは、第三次産業にある程度の就業者増を見込まざるを得ないという結論でございます。従って今お話のありましたような統計になっておりますことは、これは現段階ではやむを得ないというふうに私どもは考えております。そこで先ほど大臣からもお話申し上げましたように、今後私どもとしましては、第三次産業に相当潜在失業部門が多いのでございますから、この対策も含めて完全雇用への達成についてなお関係方面と十分話合いを進めていきたい、かように存じております。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 そこで今度大事なことは、そうなって参りますと、中政連及び政府で今考えておりまする中小企業団体法というようなものも、当然労働省の研究題目の一つとして取り上げなければならぬのではないか。御承知のように中小企業団体法は全体の商業活動あるいは中小企業の産着活動に対しまして規制をするわけですね。ある場合には規制をし、ある場合には調整をする、こういうことになっておる。しかし全体の考え方としては、乱立を防いで業界を安定させていくという考え方なんですね。今ですと、たとえばちょっと失業したら、その辺で飲食店でもやろうというようなことで簡単に飲食店などをやる。これを中小企業、中小企業で全部十ぱ一からげでやっておるわけですけれども、中小企業対策と申しましても、さっき大臣が言われましたようにピンからキリまであるわけです。しかし中小企業団体法ができますと、多かれ少かれ規制はされるのです。そしてその中小企業を営もうとしても困難になってくる。そうすると今第三次部門への吸収は今の数字のように現われておりますけれども、これからはなかなか吸収、雇用量の増大は困難だということを考えなければならぬわけですね。ある意味でいえば、むしろその中から失業という面も出てくるのじゃなかろうか。こう考えますと、第一に第三次産業部門に雇用量の増大したということは国全体の立場からいえば望ましくない。やはり第二次産業に多く雇用量がふえてこそ初めて国の経済のノーマルな発展だといえる、こう思います。  第二に問題になりますることは、従って今まで雇用増大しておりました部門がこういうような規制をされますると、そこから雇用に対するいろいろな問題が生まれてくる。こういう点につきましては政府といたしましても、単にこれは労働政策だけではありません。ある意味でいえば、今の通産行政をもひっくるめまして、国にとりましては非常に大きな問題ですから、ぜひともこういう点についての深い御検討をばお願いしたいと思います。  さらに次に移りたいと思います。私がこの次に問題にしますることは、今まで予算委員会の議論を聞いておりましても、あるいは本会議を通じまして議論を聞いておりましても、政府の方は、インフレにはならぬのだ――インフレという言葉は少し強いと思うんですが、物価は高くならないのだ、物価は高くならないのだ、こういう説明の仕方だったんです。   〔大坪委員長代理退席、野澤委員長代理着席〕 それで、いや高くなるのだ、高くならないのだ、こういう議論が今まで繰り返されて参りまして、そうして、物価と賃金、物価と労働者、そういう関係については、あまり突っ込んだ議論が今まで行われていないと思うのです。そこで私は一つ予算を中心に労働大臣の御見解をお聞きしたいと思うのですけれども、言うまでもなく本年度の一般会計予算は一兆一千三百七十四億ということになっておる。これは前年度より約一千億ふえておる。それで三十二年度の歳入の増加は、租税の自然増収千九百億円を中心として約二千七十七億、これを所得税の減税に一千九十億、歳出の増加に九百八十七億振り向けておる。そこで今度は減税の面ですけれども、租税特別措置の整理等による二百億の増収、揮発油税、手形に対する印紙税等、こういったものの税率の引き上げによる二百四十二億の増収、さらにたばこ専売益金の増加、これはいろいろ規制しまして、私どもも新生が好きなんですけれども、新生を買いにいくと売りどめになっておる。実は専売局にはあるのです。それをピースを吸わせようとするというような操作を行いまして、この面での増収もある。そうしますと、こういう増収分というものは、多かれ少かれ勤労者の負担になってくるわけです。ですから、厳密にいえば、私どもの計算では六百億の減税にしかならぬ。一千億々々々といっておりますけれども、計算をしてみますと六百億の減税にしかならぬ。しかもこの六百億の中で、これをいろいろ分析してみますと、年収三十万円、月収二万五千円の夫婦と子供三人の人の受ける減税率は、四九・九%だ、こういうふうに政府は説明している。そこで、この低所得者の負担過がどういうように行われておるかといえば、先ほども申しましたように、今度はお米の値段のつり上げはやりませんでしたけれども、鉄道運賃の引き上げとか、今言った揮発油税とかいろいろなものが出て参りまして、私どもの計算では大体一%賃金に響くのじゃないか――この計算が正しいかどうかは別問題として、大体そういうような計算を実はしておるわけです。そこで、三十一年度におきましては、就業人口数が約四千四百万人、世帯数で千八百万世帯、このうち所得税の納税者数は約一千三十五万、この一千三十五万の残りの人が就業人口の七六%を占めておる。その世帯数においては四二%を占めておる。ところがこの人たちに対しましては、先ほど本会議でわが党の横山君が指摘いたしましたように、実際には大蔵大臣の言うような減税にはなっていない。むしろ物価の値上りによって、その賃金が食い込まれていくのじゃないかということを懸念せざるを得ないわけです。御承知のように、経済企画庁の昭和三十二年度の経済計画によりますと、鉱工業生産は一二・五%伸びる、国民所得は七%伸びる、こういうように見ている。それで、本年度の鉱工業生産は二一%、輸出が一八・四%、国民所得が一二%、こんなふうにふえたのだ、こう言っている。しかしながら、こういうように政府が指摘するような数字がもし正しいといたしますならば、これは私は大へんけっこうなことだと思うのですけれども、それではそれに伴って個人消費というものが上っているかどうか。個人消費は八・八%しかふえておりません。国民所行がうんと伸びている、輸出も伸びている、それから鉱工業生産においても伸びている全体の国民所得が七%伸びておるというのに、この個人消費の面で八・八%しか増加してないということは、依然勤労大衆のふところがさびしいものである、国民所得や輸出やあるいは鉱工業生産の伸びに比較して、個人消費というものが伸びないのは、それだけ低賃金だということになると思うのです。また大蔵省の法人企業統計、これは資本金五百万円以上のそれなんですけれども、それを見ると、三十一年度の上半期から下半期にかけて法人所得は四七%ふえておる。これに対して労働賃金は一五%より上っておらぬ。これは国税庁の統計ですよ。依然ここにも、政府統計が示すように、低賃金の実態があるということになろうと思うのです。また労働省の毎月勤労統計によると、昨年一月から十月までの間の製造工業の実質賃金は、一時間当り五・四%しかふえてない、こういうことを指摘しております。それから総理府の実態家計調査を見ますと、全都市全世帯の平均消費支出額は、平月では五・七%しかふえておらぬ。これは六月、十二月のボーナス期を抜きまして、平均にいたしまして五・七%よりふえてない。企画庁の経済計画を読んでみますと、来年度は卸売物価は二・六%、消費者物価が〇・九%上るものというふうに予定しておるわけです。かりに来年度の消費者物価が三%上るものとしても、年所得三十万以下の階層六三・四%は、結局その犠牲にならざるを得ない、こういうことになってくるわけでございます。従って今指摘をいたしましたように、現に低賃金というものが存在している、それから一方におきましては政策の面で、鉄道運賃の値上げその他の物価の上昇がある。賃金は法人所得やその他に比較いたしまして割合伸びてない。そこで政府の方は、輸出がふえた、産業が伸びた、国民所得がふえた、こういって宣伝をいたしますが、勤労者の賃金はその伸びに応じてないということを、ここに指摘することができると思います。そこで来年度、経済企画庁は労働賃金に対しては一言半句も触れてない。そうして、やあ輸出は伸びる、所得が伸びると言っているが、だれの所得が伸びるか、これが問題なんです。そこで所管大臣である労働大臣は、来年度においてはこの一般の物価上昇と見合い、また一般の国民所得の伸びあるいは輸出の伸び、鉱工業生産の伸びと見合って、労働賃金というものはどれくらい伸びるだろうか、また伸ばすべきであろうか、こういう点について、一つあなたの御構想をこの際お示しいただきたいと思います。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 詳しい問題につきましては担当局長に答弁させたいと思うのですが、その基本的な問題について申し上げたいと思います。現在の賃金と現在の経済情勢において、国際経済に勝って、これだけの輸出が伸びたわけですわ。これは私ども直接やっておりますけれども、輸出取引の戦場は悪く言えば出血輸出のような面まで競争して売らなければ売れない状況です。そこでコストをまかなうことがなかなか容易でないというのが全体を通じております。輸出業者は、今一%ないし一%半くらいの口銭で大体取り扱っております。それで生産する方も、場合によっては手形その他の関係に追われて、どうしても売らなければならぬというので出血輸出をやっているような状況なんです。けれども国全体としてはそれだけのものは出ていったのですね。けれどもこれが単位コストに影響するような政策がとられるとするならば、日本の貿易はほとんどうまくないのじゃないかということ、が考えられるわけですね。しかし日本経済が上昇してきて、それだけ蓄積ができて楽になったということになるならば、これはやっぱり賃金の上にも配分すべきであると思うのです。もちろん私は、来年は七・六%伸びるといっておりますが、まだ今の税の高い関係から見てそんなに蓄積がたまらないと思うのです。余裕ができるならば賃金を直していくというところにいきたいのですが、単位コストとの関係を調べてみるとこれはむずかしいことをいっておりますし、経済の上昇に伴って正比例して賃金を上げるということは私はここで言い切れないところでございます。その他の問題については局長の方から答弁申し上げます。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 けっこうです。そこでもう一点あなたの御見解を伺っておきたいと思うのです。これも政府の統計を出してほしいのですけれどもこれしかないものですから仕方がない。昨年十月の総理府統計局の家計調査報告によると、月収二万六千円から二万八千円の家計消費支出総額は二万二千五百五十五円ということになっておるわけです。この二万二千五百五十五円というものは大体収入の九割を占めておるわけです。つまり家計の消費支出総額が全体の九割を占めておる。そうすると年収三十万円の消費支出分は二十七万円ということになる。さっき私は、物価の値上りやその他で大体一%食い込まれる、だろうということを指摘したのですが、一%だとしますと二千七百円減収になるわけです。従って、今官公労は二千円アップをやってくれという要求を出しておる。民間におきましても二千円アップの要求を出しておるが、二千円というのは何も根拠のないことじゃないのです。そこで来年度はこの新しい政府の施策に応じて、当然春のストライキを通じまして労働賃金を上げてくれ、現状に見合うようにしてくれ、法人の所得が多過ぎるじゃないか――それを資本蓄積だとか設備の更新だとか――、そんなことを言ってちっとも配分面で考慮しようとはしていないわけです。日経連自身がやはりそういうことも言っておりますし、事実企業家は全体として賃金ストップを考えておる。最低賃金制がなかなかできないのもそこに理由の一つ、があると思うのです。しかし大きく言えば今日国民所得が伸び、輸出が伸びたというのも、この大衆収奪の低賃金の上にそういうものが一つの実を結んでおるのだということ言っても私はそう言い過ぎではないというような気がするのです。従って一%、二千七百円が減収になる。その減収面を何も上げてくれというのじゃない。物価が上って一%食い込まれるから今の状態に置いてくれこういうのです。そういう場合に労働大臣としましては、そのアツプをするのではなくて今の物価にスライドしていくという意味において、当然労働者のそういう要求は正しいものとして大いにストライキを奨励され、団体交渉を奨励されてもいいのじやないか。しかるに中西労政局長を中心として、先般もああいうような偏向的な教育指針が示されるということははなはだ遺憾にたえないのですけれども、春の労働者の賃上げを目前にいたしまして、この際労働大臣のこれら労働政策につきまして、特に賃金問題につきまして一つ明確なる御答弁をいただきたいと思います。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 大へん重要な点で慎重に答えなければならぬ問題になってきたのでありますが、勤労者と使用者との間の自主的な話し合いできめてもらいたい。できる限り両者間の話し合いでスムーズに話をきめてもらいたいというのが私の心情でございます。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 多賀谷君の質問時間に食い込んではいけませんからこのくらいにしておきます。  最後に一点だけ労働大臣にお尋ねしておきたいことがあります。それは先般出されましたあの教育指針なるものは、読んでみましても、私たちがこの間もちょっと指摘したようにあぜんたらざるを得ない個所がたくさんある。今すぐここで言うことはいたしませんけれども、さらに多賀谷君からこまかくいろんな点で質問されると思うのですけれども、私は労働省で一応大臣を中心によく検討していただきたい。あの中には非常に誤解される面もあるし、行き過ぎの面もある。また経営者がそれを利用する面もたくさん出てくると思います。そういう点について率直に反省をしながら検討していただいて、労働省、特に労働省を代表する労働大臣の御見解を適当な機会に一つ当委員会に述べていただきたいということを要望いたしまして私の質問を終ります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 今のことに関連して……。労働省は本年度の賃金上昇率は幾らか言わなかったのですが、実はこの予算書の中に失業保険や労災保険の賃金の上昇率は書いてあるのです。四%賃金は上るとなっておる。これはどういうことなのですか。

江下孝労働事務官(職業安定局長)

○江下政府委員 失業保険の場合は毎年の被保険者の受給者の賃金の上昇率を一応上昇すると見てやりましたので、先般の賃金水準とは幾らか関係はありましょうが、直ちにそれを反映するとは考えておりません。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 どうも来年の四%上昇というのは、今まで日本の経済が普通の状態でいっておるときならばそれでよかったと思うのです。ところが豊年景気とか神武以来の景気とか言われている。実は私は先日も言ったのですが、統計で合ったのは労働人口と生産年齢人口だけで、昨年の経済企画庁の統計は就業人口から違ってきている。全部違ってその二つだけは合っている。あとはみな違っている。これはいずれまたあとで質問しますが、〇・〇四という上昇率というものは失業保険経済ばかりでなくて、これは労災も四%の上昇を見ているのです。すべての統計は四%の賃金上昇で足並みをそろえていっているのじゃないかと思う。従って労働省の正式な見解として賃金上昇ははっきり四%、これは予算書の基礎になっているのですが、こういうこととになると今度はこれは必ず健康保険に及んできます。厚生年金に及んできます。同じ労働者を対象とし、労働者の賃金を基礎にしてやるところのいろいろの施策というものが、労働省は労働省の見解、厚生省は厚生省の見解、企画庁は企画庁の見解ではこれは大へんなことになる。だから少くともこうい、う基礎的な予算の数字をはじいてきめるときには、労働省の見解も、厚生省、総理府の見解も、内閣全体としておよそ上昇率は、たとえば前年度どの省もみな取っておりますという一貫した立場じゃなくちゃ、職安だけ、安定局たけがこれでございますじゃちょっと納得がいかないことになる。内閣の施策としてはそこらあたりはどうでございましょうか。連絡はとれておるのでございましょうか。

江下孝労働事務官(職業安定局長)

○江下政府委員 これは先ほど申し上げましたように、失業保険は大体前年度の上昇率を一応見てやるわけで、失業保険の受給者というものは全般の賃金上昇とは必ずしも層が一致しておりませんので、必ずしもこれは符合しないと私は思います。それからこれは御承知の通り予算でございますので、そこまでかっちりとやらなくても、失業保険はこれは義務費でございますから当然出る、あまり現実とかけ離れた計算をしておってはまずいというので一応四%、こういうことに御了承願います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 実は午前中に労働法の市民法に対する関係を質問をしておったのですが、まだ明快な答弁を得ていないわけです。労働問題を考える場合に、法規適用の場合には、第一次的には労働法を適用するのでしょう。一応考えるのでしょう。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 その通りでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 そうすると、その面においては市民法よりも優先する――というと言葉がなかなか誤解を招くかもしれませんが、第一次的には労働法を考える。こういうことになるわけでしょうか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 第一次的というのはどういう意味ですか、結局ある具体的な事象に当りまして、その事象に関係する法律を見るわけであります。そうして結局労働法とそれとのすり合わせを考える。こういうことになるのではなかろうかと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 法律が競合した場合はどうですか。たとえば労働法の範囲内では、してもよろしい、ほかの法律で、してはならないと、こうあった場合どうですか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 それは内容によるわけであります。いずれを優先的に考えるか。たとえば刑法と労働法というものを考えた場合に、刑法にはいろいろ条章があるわけです。しかしたとえば極端なことをいえば、殺人に関する条文とか、あるいは傷害に対する条文、これはもう労働法のいかなる免責の規定にも当らない。結局それは刑法が適用になる。従って事の性格によって違ってくるのではないかと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 どうも具体的に法律適用の場合には非常に困るのですが、たとえば基準法二十六条と、例のいつでも問題になります民法の五百三十六条の二、これとはどちらが最初に適用になるのですか。

石黒拓爾労働事務官(労政局労働教育課長事務代理)

○石黒説明員 基準法の点につきましては、私どもの所管外でございますので、いききか責任を持ったお答えをいたしかねる点もあるかと存じますが、この二つの関係だけに限定して申しますれば、一方は行政部、一方は司法部でございます。従って、御承知のように罰則の強制によって六割取れる。さらに民法五百三十六条第二項に該当する場合には、全額民事訴訟法で取れる、こういうことになります。これは競合的な適用関係になっております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 大体解釈として無理なんでしょうね。これは立法のミスですか。と申しますのは大体市民法よりも労働法の方が特殊性があって、そうして普通われわれは、民法と商法の関係のように優先するのだ、こう考えておる。労働条件については労働基準法の方が高いと、こう俗に言われておる。ところが今指摘いたしました基準法二十六条というのは、これは休業の場合なんですが、使用者の責めによる休業の場合は百分の六十以上を支払わなければならぬ。以上と書いてあっても、法律の適用は六十でよろしいのだ。こういうことになりますから、六十しか取れない。ところが民法の五百三十六条の二はこれは危険負担の条項ですけれども、非常に読みにくい条項ですけれども、「債権者ノ責二帰スヘキ事由二因リテ履行ヲ為スコト能ハサルニ至リタルトキハ債務者ハ反対給付ヲ受クル権利ヲ失ハス」。ですからこの使用者の責めに帰すべき事由によって履行をなすことができなかった、労働の提供ができなかった場合には、労働は賃金請求権を失わないというのですから、これは結局全額もらえる。そこで私はこういう法律ができてからもう十年になって、非常に矛盾した法律が何らその後においても改正もされようとしないというのはどうも不可解であるし、労働基準局の方といたしましては、いやそれは百分の六十の範囲は、監督権が発動されて、払わない場合はあるいは刑事罰になるのだ。あとの百分の四十については、ほしければ民事訴訟によってお取りなさいというのでは、どうもこれこそあなたの方は解釈を出して、もう少しすっきりした方がいいと思うのですがね。こういう点は一体どうなんですか。局長、どういうふうにお考えですか。   〔野澤委員長代理退席、委員長着席〕

石黒拓爾労働事務官(労政局労働教育課長事務代理)

○石黒説明員 民法五一百三十六条と労働基準法との関係につきましては、御承知のようにいろいろ争いがございます。ただこの点につきましては、これは労働基準法の問題でございますので、私どもの方で、改正した方がいいとか悪いとか申す筋合いではございませんが、現行法のままにおきましても、われわれは罰則の強制力によって簡単に取れるということと、それから民法上の特約――民法につきましては特約が非常に簡単にできます。基準法の方は強行法規でございますから、特約を許されないというようなことで、労働者に有利な点が確かにあるわけでございます。そういう意味で基準法の規定の存在意義は十分にある。民事訴訟を起きないでも取れる。実益の大いにある条文であると考えております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 これはもし訴訟が確定しても払わないという場合には、これは全額支払いの法則の違反で、やはり基準法に返ってくるでしょう。基準法の罰則を受けるでしょう、債務が確定すれば。

石黒拓爾労働事務官(労政局労働教育課長事務代理)

○石黒説明員 確定した賃金債権を払わないときには、もちろん賃金不払いの罰則の適用を受けます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 だから罰則の点については同じじゃないか、やはり基準法の罰則の適用を受けるわけでしょう。

石黒拓爾労働事務官(労政局労働教育課長事務代理)

○石黒説明員 これは、基準法のお尋ねで大へん弱っておりますけれども、ただ民事訴訟を通すか、監督署がおどして取るかということで、実際上の違いが相当ある、実際上は非常に労働者がこれで助かっている、そういうことでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 労働法の場合、こういう矛盾した法律がある場合には、私はやはりこれについては、あるいは何らかの処置をとるか、そうして適当な、裁判所においても判例が空の状態ですから、必ずしもそういったことについて十分な解決が見られてないのですが、これは立法のミスならミスのようにわれわれとして取り扱わなければならぬし、これは実際問題としてはかなり大きい問題です。百分の六十もらえるか、あるいは全部もらえるかというのは、かなり大きいんです。ですからこういう点はやはり解決されるのが至当ではなかろうかと思うのです。先ほどからお話がありますが、基準監督署及び基準局の関係では、これは罰則を伴うからというのですね。二十四条の賃金支払いの原則からいえば、債務確定したら罰則を伴うじゃないかということになれば、その罰則の議論も、実際問題としてはあまり実効がないのです。そうして全額払うのを初めの六十だけは監督署で取ってやる。あとの四十は裁判所へ持っていきなさいという、こういう行政指導も、これはきわめておかしな話で、これは中西さんをつついてみてもしょうがないのですけれども、一つの大臣、こういう点もあることを考慮願いたいと思います。  そこでもとへ返るのですが、何かここに労働法規が、一般的な優越性はないのだと、いかにも強調されている。そういうことをだれも、あらゆる法規にもかかわらずまかり通るという話をした者もいないのですが、なぜこういうことを極端に書くのですか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 これは先ほども申しましたけれども、専門家はそうは考えてないと思います。しかしながら終戦後の非常に労働組合の育成助長という空気があったあの中で、一般国民の中には労働関係なら大ていのことはできるんだ、普通一般の法を越えてまかり通れるものだという考え方が一般に起きた。現在におきましても私どもちょいちょい耳にいたします例は、そういう考え方の上に立っての事象が目に立つのでありまして、やはりここで注意的にそうじゃないのだ、法全体の秩序の一環として考えなければいけないのだ、これははっきりしておいた方がいいというふうに考えておるわけであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 それはむしろ労働法の自主性を否定する考え方じゃないのですか。労働法というのはその一つ一つの条文が闘争の歴史を物語っておると思うのです。その歴史の一つ一つの集まりが労働法になっておると思うのです。どの条文一条をとってみましても、かなりその条文には歴史があるのです。戦っておる歴史があるし、かって各国において闘争しておる歴史がある。こんな簡単じゃないのです。わざわざ書いておるというのは、そういうように市民法の中に漸次何といいますか、拡大してきた法律を、その生成の歴史を否定する考え方じゃないのですか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 この労働法の発展してきました歴史から見ましてもこれを否定し得ないことは事実でございますが、言っておりますのは、従来の非常な思い過ごし、これをこの際そうじゃないということを十年たった今日反省の資料として提供する、こういう程度でございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 では次に移りたいと思いますが、まだ六ページしかいっていないので、かなり質問があります。そこで、次に例の「現行法の規制を受けず、又は違法とされないからといって、社会的な評価を免れるものではない。」という例で、炭労、電産のストライキをあげ、それによるスト規制法をあげておられますが、これは社会的批判というよりも、当時の政府がそう考えたんじやないですか。法律を作っておいて、その法律ができたのは社会的批判があるからだ、社会的評価だ、こう言われますけれども、公聴会を開いてもほとんどがこの法律に反対ですね。ただ事実は自民党が数が多いというだけの事実です。(「それ、が大事だ」と呼ぶ者あり)そうはいかぬのだ。労働組合というのは、あるいは公共の福祉というものは、時の政権に左右されるものではないということは、この前私は討論でも言っておいたんですけれども、そこに自主性があると思うのです。ですから、こいうことを何か言いわけ的に書かれておる。何かじくじたるものがあるんですか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 個々の理論を進めていきます場合に、このスト規制法はまことにいい例でございましたのであげたわけでございます。四年前に、多賀谷委員も御承知のように、あの法律は世論の成熟によって作るんだと言われるが、世論とは一体何かということで、えらくこの点が論議されたのでございますが、結局国家最高の機関である国会においてこれが決定されたということ、これはやはり国全体、社会としてこれを望んだんだということであるというふうに考えざるを得ない。公聴会で確かに反対の人もございましたけれども、これはそれをもって世論とも言えない。やはりわれわれ議会政治の上において世論の反映ということを考えていかざるを得ないんじゃないか、こうり思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 委員長に協力する意味において次にいきたいと思います。このパンフレットの十九ページの三行目ですが、「規約には組合又は組合員の行動の正当不正当を決する基準たる自律規範もあるから、組合が、使用者あるいは第三者に対して、かかる規約に違反した行為を正当であると主張することはできない。」こうありますね。要するに、内部的な関係でもって、そして外部に対してもそれが同じような価値づけができるものかどうか。もう少し平たく言いますと、なるほど組合員におきましてはそれは組合規約違反だ、こういう問題でも第三者に対してまで違反である、あるいはそれは正当でないと言い得るかどうか、こういうように書いてあるのでありますが、その点はどうですか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 規約は原則は自律規範でございます。しかしながら一番手っとり早い例を申しますと、山ネコストの場合、内部組織ではありますけれども、しかし組合のごく一部のところはストをやった。つまり組合の正式の機関できまったスト指令がないのに一部でストをやった。これはやはり違法なストである、山ネコストかどうかということは、結局組合の規約によってそれが正当に指令が出たかどうかということが判断されるわけであります。従って、そういった場合やはり第三者に対しても、規約違反だ、正当でないとなり得る場合がある、こういうことであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 なり得る場合がある程度ですか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 ずっと上の方を読んでいただくと、「正当不当を決する基準たる自律規範もあるから、」全部じゃないのです。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 先に書いてあるから…。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 「規約に違反した組合または組合員の行為のすべてが、直ちに違法ということはあるまい。しかし、規約には」――「規約には」ということは規約の中にはという意味ですが、「規約には組合又は組合員の行動の正当不当を決する基準たる自律規範もあるから、組合が、」云々と、こういうことであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 「直ちに違法ということはあるまい。」そこまではいいですが、なぜわざわざこういうことをつけるのですか。そういうことをもって主張することはできない。どうもものの考え方がおかしいと私は思うのです。現実の問題としてはあるんですよ。どういう場合かといいますと、昭和電工の事件を御存じでしょうけれども、組合が情宣に回って、そうして実は硫安会社はもうかっているのだけれども云々という情宣を農村に行ってしている。そして組合でそういう情宣をするということは決定してないというので問題になった。ところが会社はそれを理由に解雇した。こういう問題もあるのです。それから専売局の連中が、実はたばこは安いたばこを作らないで高いたばこばかり作っているということをストのときに情宣をした。これもかなり問題になったけれども、それは組合が組合の行為であるといってかばったんですが、専売局としては、そういうようなのはけしからぬから首にしようという場合が起ってくる。ですから、こういう場合に、組合規約違反だけれども、それによって会社が首を切る。この場合には別個の要素である従業員の就業規則等があるいは入ってくるかもしれない。しかしこういう問題はかなりむずかしい問題だと私は思うのです。これに言うても言わなくてもいいようなことをわざわざ書くというところに何か魂胆がありはしないかと思うのですが、どうですか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 魂胆はございません。「正当不当を決する基準たる自律規範もあるから、」飛ばしまして、「かかる規約に違反した行為を正当であると主張することはできない。」ということで、これは間違ってないと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 ものの書き方が非常にずるいのです。私もおとといですか、質問したことで、「使用者の正当な言論の自由」と書いてある。「正当」という言葉を頭からつけているのです。「使用者の正当な言論の自由の行使が、結果的に労働組合の結成運営について影響があったとしても、これをもって、不当労働行為とはいえない。」正当であるから当りまえですよ。問題はそれを言っておるじゃないですよ。言論の自由の行使がこうした場合不当であるかどうかというのが親切でしょう。あなたの方は抜け穴を作っておるのだというのは「正当な言論の自由の行使が」と「正当な」ということをつけておれば不当労働行為になりませんよ。だから自由の行使が正当でおるかどうかということを書くのが至当でしょう。頭から正当と書いておる。こういう点非常に逃げておられるのですが、もう少し親切に書けないのですか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 それは言いたいといたします趣旨によって書き方もいろいろあると思います。ここで書こうといたしましたのは、従来当然常識からいって言ってもいいことでも非常に思い過ごしの遠慮があった。あまり遠慮することはかえっておかしいのであって、労使はフェアでやっていいのだ、これを強調するくだりでございますので、こういうことになっておるのでございまして、おっしゃるようにこれはまた観点を変えまして経営陣がこういう子とをしてはいけないのだという点を強調する場合には、さらに裏からいって、「言論の自由行使」というものはこの程度だという書き方になるかもしれません。しかしここはそういう趣旨ではなくて今までの非常な思い過ごし、これはそう考えないでいいのだということの強調のためにこういう文章になっておるわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 どうも全般にそういう点が散見されるのです。非常に逃げておられる。突き詰めれば、正当と書いてあるが正当とはなりませんよ。こういう文章の書き方をして、これは教育になりませんよ。とんでもない教育になってしまう。へ理屈ばかり言うことになりますよ。御注意しておきます。  次にショップ制の問題でありますが、ショップ制の問題については私自身いろいろ疑問を持っておるのですが、その点については触れませんが、ここに非常に危険なことが書いてあるのです。「労使双方の積極的な意思によって、ショップ制が無理なくとられるならば、」こういうことが書いてある。「労使双方の積極的な意思」とある場合、私はむしろ不当労働行為の危険性があると思う。労使双方がやろうという場合に、次に出てくるものは首を切られるおそれがある。排除されるおそれがある。労働者だけではない。資本家も入っておるんですよ。これはどういうことなのですか。前段にある「ショップ制は、往々にして使用者の組合支配の手段に用いられる」、こういう危険性がありますよ。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 私どもはショップ制についてさらに相当いろいろと申し上げたいのでありますが、ここにもありますように、わが国の現状においてショップ制というものは大した意義がない、あまり重視する価値のないものだと思っております。しかるにもかかわらずわが国においてはショップ制のために労使間で相当紛争が繰り返されている。しかも大ていできましたショップ制というのはほんとうにショップ制についての意義を知っているかどうかという疑問さえ起るのでありまして、ショップ制は、労使がほんとうに集団的な労使関係を確立する場合、お互いがこれなら双方対等で話し合えるという相当の実績を積んだ後ならばこのショップ制も非常に効果がある。しかしながら極端なことを言いますと、きのうできた組合が直ちに使用者側とショップ制だということで、その組合が長続きするものやらどうやらわからないというようなものでも一律にショップ制の要求が出てくる。そんなことまでしてとるほどの値打のあるものではない。従って労使関係の健全な慣行が確立されたあとにおいて、双方が異議なくこれを認めるという場合にはこれは価値がある。たとえばショップ制のほかに労使がお互いに協議会を設けて経営その他についても乱し合っていこうではないか、これはやはり労使がお互いに相手方を尊重してほんとうに双方ともやろうというところに初めて価値があるので、戦ってこんなものを作ってみたところでうまくいくものではない。それがここにいう「積極的意思によって」という趣旨を現わしているつもりであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 ショップ制はむしろ戦ってとった場合の方が弊害がなくて、資本家の方がショップ制を結ぼうという積極的意思があった場合に弊害があるのでしょう。それは反資本家的な連中は首を切られますから危いのです。これはあなたの考えは逆ではないか。ショップ制は歴史から見ても戦ってとられた場合が多いし、アメリカあたりでもショップ制の闘争はかなり多く行われている。あるいは欧州あたりのように、組合自体が初めから労働市場を独占している場合には、労働組合に入ることがショップ制を結んだと同じような場合も多いのであまり問題にされぬと思いますが、たとえば日本の場合はかなりいろいろな問題があるし、その場合に資本家が積極的であった場合はショップ制はむしろ危険性があると考えますが、どうですか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 この積極的にというのはそう大して大きな意味を持たせたわけではない。つまりいうところの意味は、労使が異議なく、ではショップ制よろしい、こういうことならば、その場合にはとがめる必要もない。ショップ制につきましては、御承知のように日本におきましてもいろいろと学説もあります。有数なる学者の中に、わが国においてショップ制はどちらかといえば否定した方がいいのだという人もあります。労組法の七条、逆の形でありますけれどもショップ制を認めたような規定があるからこれはやむを得ないといたしましても、本来ショップ制は消極的団結権を侵害するものだ。フランスのごときは明らかに禁止しております。欧州では大体問題になっておらないのであります。従ってわが国の実情からしましてもしショップ制が労働組合の組織を強化するためというなら、もっと本筋の方法があるわけであります。経営陣の力をかりて組織を強化する。しかもわが国においては労働市場の独占ということもできない事情にあるわけであります。それほどまでにお互いが非常な出血をしてまで争って獲得するだけの実益のないものであるということを率直に述べたわけであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 労働省の考え方はそうでしょう。先ほど千葉県の加藤製作所の問題を出しましたが、第一組合があってその後第二組合ができた。第二組合が過半数になってショップ制を結んだ。そうして第一組合全員を解雇した。こういう場合でも有効だといっているでしょう。あなたの方はそういう通牒を出したでしょう。

石黒拓爾労働事務官(労政局労働教育課長事務代理)

○石黒説明員 ショップ制はすでに二つの組合があった場合、そういうユニオン・ショップができましたときには、法律の効力として、協約の効力としてはそう解せざるを得ないという解釈には変りがない。ただしそのことが妥当かどうかにつきましては、追っかけて別に通牒が出ておりますので、ごらんいただきたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 法律の解釈は、依然として行政官庁はそう考える。しかしそのときには念のために注意をして、こういう学説がありますよと、こう言っている。こういうことも私はきわめておかしい議論だろうと思う。石黒さんはずっと今までの説を固執するのあまり、そういうことをおっしゃるのではなかろうか。おっしやるし、またそういう通牒を出されて態度を堅持されておるのではなかろうかと思うのです。そのことがいい悪いは別ですよ。しかし現実の問題として、あとからできた組合が、しかもそういう場合に資本家とクローズド・ショップができるという組合は、大体御用組合に近い。それによって前の組合が全部首を切られても合法だというような解釈を出すということは まあ石黒個人の解釈なら別として、少くとも労働省がそういう解釈を出すということは、私は危険じゃないかと思いますがどうですか。

石黒拓爾労働事務官(労政局労働教育課長事務代理)

○石黒説明員 御指摘のごとく、当時私どもも実は勉強も及びませんでしたし、何分にも参考とすべきものがほとんどなかった。ユニオン・ショップに関しては外国の事例があるのみでございました。従いまして、もっと慎重にすればよかったんじゃないかという御指摘につきましては、今日から考えますならば、そういうような点もあるかと存じます。なおその後に出しました中では、妥当であるかどうかについては、「かかる問題の生じないようにするために、まず組合の統一強化が必要とされる」云々ということで、そういう事態に対する労政職員の指導につきまして、詳細な通牒を出しております。今日私どもは、法律がこうだからこうやれという態度をとっているのじゃありません。むしろこのように学説、判例が非常に分れておる点については、結局労働省の解釈といえども、そのうちの一説たる価値しかないので、実際の指導に当っては、この程度にやるのがよろしかろうという指導の方に重きを置いておる次第であります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 大体私が先ほど申しました、あとからできた組合とクローズド・ショップを結ぶ、こういうことは常識的に考えても、現実に二つの組合があって、しかもあとからできた組合に経営者がオーケーを与えたというような場合、これはどうしても普通の状態ではないんですよ。この前宇部かどこかの元山運輸の問題で地労委の判決が出ておりますね。その場合支配介入を認めておりますけれども、この事実関係を客観的に見れば、かなり明らかなんです。ただそれをもう一律に、法律ですから規定しなければならぬというところになかなか問題があるのです。しかし私は二十五年当時のことを責めるわけじゃありませんけれども、なるほどショップ制の問題についてはあまり議論がなかったのですが、十七条の一般的拘束力の問題については、下級裁の判例が出ておったでしょう。これは豊和工業か何か、たしか中部地方だったと思いますが、四分の三と四分の一の組合の状態です。この十七条の関係については、労働省の方は、四分の一以下が労働条件がよくても、四分の三を一律に適用するんだという伝統的な解釈をとられておる。たとい四分の一の方がよくても、四分の三の低い労働条件を適用するんだ、こういう解釈をとられておる。この二つが、率直に言いますとどうも機械的なような気がする。これはいい悪いは別として、どうも機械的なような気がする。議論は別として、ほかわかなり弾力性を持っているけれども、これは理論としてえらく固執していると思う。どうしてそういう固執した理論をとっているか、きわめて不可思議に思うのですがね。すでに今申しましたように、十七条の問題で当時下級裁の判決が出ておったと思う。ですから少数組合の利益擁護の場合はどうするかという問題は、やはりかなり議論されておったと思うのですがね。

石黒拓爾労働事務官(労政局労働教育課長事務代理)

○石黒説明員 十七条につきましては、お説のごとくに四分の一以下の協約が、かなり有利な条項を含んでおっても、四分の三以上の多数派の拡張通用ができるのだ。これについては裁判所は――豊和というお話がございましたが、私の記憶では日本油脂と播磨造船の二つが出ておりまして、これは全く逆の判決が出ております。実は行政庁の解釈は大へん窮屈でありまして、裁判所や学者では類推解釈とかあるいは趣旨解釈とかをして、学説の中には、この条文はおかしいのだからネグレクトすべきであるというようなことも、学説としては許さるべきですが、行政解釈としては、やはりできるだけ文理に忠実でなければならぬ。これは行政権としてやむを得ないところであります。そういたしますと、現行法の文理からいたしますならば、有利な場合はだめなんだ、有利な場合には拡張適用にはならないというふうな文理解釈が第一に無理である。第二には、組合法にございます以上は、十七条はやはり団結権の擁護、それでも多数派の団結権の擁護を主たる目標とする場合、発生したての――まあ発生したてでなくてもよろしいのですが、ごく小さな第二組合の方に、使用者がわざわざ有利な労働条件を与えているということは、その間に隠れた意図があるのじゃないか、あるいは少くとも多数派の団結という点についてはマイナスの作用を及ぼすのじゃないか。さらにまた協約というこものは、一つ一つの条項をもって、たまたま時間が有利であるけれども賃金が不利であるというような場合に、全体としての有利、不利というものは判定しかねるというようないろいろなことを考えまして、こういう結論を今日も持っている次第であります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 むしろ少数組合が有利なというのは、やはり既得権の問題、こういう点がかなり多いだろうと思います。そこで私は、今の解釈そのものが悪いと言っているのじゃないのですが、これはほかの解釈と違って、えらく画一的解釈をされている。あるいは多数派の団結権というのを認めるならば、またそういう議論をされるならば、別の個条においてそういう議論をしてもらいたい。こういう点も間々あるが、しかしこのショップ制の問題と十七条の問題は、えらく議論を画一的になさっている。多数派の団結権を擁護されているのはけっこうです。けっこうならば、別の個所においてもそういうよりにしてもらいたい、こういうように考えるわけです。  そこで「積極的意思」というのは、今申しましにように使用者が積極的意思を持っている場合には、私は非常に危険だと思いますが、そういう意味ではないですか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 そういう意味じゃないのです。先ほど申した通りです。それからもう少し上から読んでいただきたいのですが、「健全な労使関係がある程度確立した上で」とあって、従って先ほど言われたように、あとからひょこっとできたのとショップ制を結んで、第一組合の者の首を切るというようなのは、これは穏かじやない。従ってこの上にあります、もうすでに労使間の関係がはっきりしてきた、さらにそれを安定させるために、労使が争いなくそれを認めたという場合は、これはけっこうだが、えらく紛議を生じてまでショップ制をかちとる意義はない、こういう趣旨でございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 では紛議を生じてまでかちとる意義はないというのは、例の文章にいたしますと、そう争議行為に訴えてまで協定を締結すべきものではないというのは、法解釈じきゃないですね。これはネグレクトしてもいいですか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 これは指導指針でございまして、もうあらゆるところがそういうふうになっておりますので、従ってそれをやっていったって違法というわけじゃありません。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 では次にいきたいと思いますが、二十五ページの労働組合役員の選挙、 こういうところでございますが、これはまあ企業別組合の場合に、従業員としてりっぱであるということは組合員としての運動と無関係でしょう。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 その辺り通りであります。日本ではその特殊事情から企業内組合が多いのであります。そうして専従というのは従業員をもってやる。ここの言わんとするところは、拾い読みされると妙な解釈も出てきますが、人間としてもりっぱな人、こういう意味でございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 この規定は、御用組合になるおそれはないですか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 ずっとお読みいただけば、そういうにおいは絶対にないと私は感じております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 ここに「得てして、不平家とか、公式論者とか、あるいは政治的意図を持つものが役員に選ばれやすい。」とありますが、こうこっぴどく言わなくてもいいと思うのです。何の意図があってそういうことを言うのですか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 これももっと上からお読みいただいて、「殊にホワイトカラーにありがちのことである」、これは事実でございます。官庁などはホワイトカラーの最たるものでありますけれども、ほんとうにまじめな人はあまり役職員になりたがらないのです。従ってどうかと思われるような人が出てくることもあり得る。そういうことでは困るので、やはり組織を尊重するのならもっとりっぱな人を出すように心がけるべきだ、こういうことです。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 しかし、こういうことは組合と幹部の離間策だと思うのです。わざわざ政府の通牒に「お義理で組合に入っている者が多いところでは、得てして、不平家とか、公式論者とか、あるいは政治的意図を持つものが役員に選ばれやすい。」などというのは、何を基準にどこで判断されたのですか。具体的にお話しになったらいいでしょう。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 これはわれわれが日常よく見受けるところであり、またこのことでいろいろと裁判ざたになっている場合が多い。つまり役職員が解雇された場合、不当労働行為だと組合は言いますが、本来の理由はそうではなくて、その人がいろんな面で従業員として不適格だというので問題の起きているのが相当ございます。そういう判決とか労働委員会の決定等があるわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 組合役員が必ずしも従業員として適格性があるかどうかはわからない。しかし、役員以外の者が果して従業員として適格性があるどうかもわからないのです。こういうことを特別に書いて、一般の労働組合員の猜疑心を駆り立てて、幹部というのはこういうものだという印象をわざわざ与えてどうして教育になりますか。私はどうも不思議でしょうがないのですがね。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 そういうふうにお読みになればそう読めるのかもしれませんけれども、われわれにはそういう悪意は全然ないのです。えてしてこういうことがホワイトカラーなどでは特にありがちだが、労働者のためにも労働組合のためにもりっぱな役職員を選ぶべきだということを言っておるのでございます。われわれとしても誹謗するというのではなくて、よりよいものにしたいという意図から出たわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 組合運動者として、またその幹部として適格な人が必ずしも従業員として適格というわけにはいかない場合もあるのです。両方かね備えている場合は一番いいのですけれども、必ずしもそうでない場合がかなりある。それかといって労働運動にマイナスになるわけではないのです。ですから、何もこういうことを書く必要はない。むしろこういうことを書かれることが企業別組合を助長させ、御用組合の方向に導くことになると考えるのです。ですから、この点については削除していただきたいと考えます。  次に政治資金の問題ですが、ここにきわめて誤解しやすい言葉で書かれている。「組合幹部の政党関係によって政治献金を行うが如きは、組合会計の本旨に反することはなはだしい」、これは一体どういうことなんですか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 ここに書いてあることでおわかりじゃないかと思うのですが、労働組合というのは、そもそもが大経営者の関係において、労働条件の維持改善、さらには経済的な地位の向上ということを目的とするものでございます。その目的のために組合員は会費を納めてやっているのではなかろうか。しかるにかかわらず、その組合の金を政治の方に使うということは本旨に反する、これは当然のことではなかろうか。特に政治のために別個にカンパして積み立てたということでございますれば、それを承知の上でカンパに応じたのでございましょうかから、それを言っているのではございません。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 最近の組合はその都度積み立てる場合もありますし、あらかじめ積み立っている場合もあり、そういうのは労働組合の一環として既定経費のうちから出す場合もあると思うのです。少くとも半世紀前の話ならわかるのです。しかし、今こういう問題を持ち出されるのは歴史的事実に目をおおうものだと思うのです。昔の自由党のシンパであった――これは英国の話ですが、オズボーンなら別ですよ。オズボーンは、御存じのように合同鉄道労働組合連合会で、政治資金を値上げしたという問題で、これは労働組合外の行為であるというので提訴した。その結果、一審ではオズボーンが負け、第二審で勝って、英国の労働党及び労働組合は驚いて、一九一三年に労働組合法を作って政治醸金の自由というのをかちとった、こういう歴史的背景があるわけです。ですから、今ごろになって政治資金のことを書き出して、しかも前段にまた逃げるように「組合幹部の政党関係によって」というまくら言葉をわざわざ書く真意がどうもわからぬ。それならあなたの方が、株式会社が政治献血を行うごときは会社法の本旨に反すると書いたら、あなた方は自由党から首になるですよ。会社は営利会社で、政治献金をするのが目的ではないのです。ところが会社の方にはそういう規制をせず、労働組合の場合に規制するような言辞を弄するのはどういうわけですか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 これは会社法関係の指針ではないのでそっちの方には触れておりませんが、しかし労働組合だけ見ました場合に、先ほど申しました理屈で、組合費というものは組合本来の目的のために使われるものとして出しておるわけなんです。イギリスの例が出ましたけれども、しかしイギリスにおきましても、政治基金というものは別個に積み立てておるのであります。なるほど特に反対しない場合はこれはもうするものとして取り立てるというふうに戦後改正になりました。それにしましても、やはり別個に積み立てたもののうちからでなければ政治には使えないということになっているわけです。現状を見ますとそうではなくして、一般の組合費として納めたもののうちからかまわず政治献金がなされる。しかしこれは慣行になっておるとおっしやいますが、もし慣行になっているとすればやはり民主主義の原則に反する、こう思うのであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 会社ならよいというけれども、労働組合ならどうして悪いのですか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 株式会社の点は別といたしまして、労働組合というものはおのずからその目的を持っている。従って、一般組合員は政治のために組合費を出しているのじゃない。政治となれば、あるいは社会党だけでなしに共産党を支持する人もありましょうし、自民党を支持する人もあるわけであります。従って組合は本来の目的があると思いますので、その目的以外のために使われるということは民主主義に反する。政治というものは個人の自由でございますので、その自由を団体で統制するということは民主主義の原則に反するわけであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 現在労働組合運動を推進する場合に政治と直結している部分があるわけです。この社会労働委員会にも幾らでもかかった。ですから、ある法案に反対といいましても、その法案が出されれば直接労働者に影響がある。労働組合自体影響がある。そのために出しておると、あるいはこれは汚職になるかもしれない。そこで政治寄金というものを会社でも出しておるし、労働組合でも出しておるというのが現実の問題です。それを特に労働組合がそういうことを認識して出しておるにもかかわらず、こういうことを書くというのは別個に意図がありはしないのですか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 別個と申しますとどういうことでございますか、私としては自由民主主義の原則からいいましてよくないことだというふうに考えております。組合費を政治寄金に流用するということはこれは民主主義に反するというわけであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 中西さんはお役人だから中正な意見を吐いておかぬとあと困るですよ。これは組合がいけなければ会社だっていけない。会社だって営利会社だ。経済目的だ。何も政治献金をするために会社があるわけじゃない。しかし現実は企業の運営が政治にかなり直結しておる。そこで会社としては出すわけです。労働組合の方だって同じですよ。労働条件に直接影響がある。労働組合法の適用を受けない公務員なんかことにそうです。これはこの指針の適用外といえば別です。しかし労働条件そのものが国会において討議をされるのですから、十九世紀ならともかくも、二十世紀の後半になって今ごろこういう通牒を出すというのは、どうも私にはためにするものがあると考えられるがどうですか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 このことは当然じゃなかろうかと思います。御承知のようにタフト・ハートレー法におきましても禁止せられておりますし、イギリスにおいても先ほど申しましたように別個の積み立てでやることになっております。組合費というものは、組合費を納めなければ組合員になれないので全部取られるわけです。それが本来組合の目的に使われるだろうと思うから組合員となって組合費を払っておるわけであります。それが自分の政治的信条と違うところに献金されるということがあり得るのでありますが、それは労働組合というものはそういうことを本来の目的としているのではないので、そういう目的外の方に流用されるということは民主主義のルールに反するということになるわけであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 それは会社だって同じです。今のように株が広範に持たれるようになったら、それは中には社会党員もおるだろうし社会党に反対の人もある。しかし会社の運営としては保守党にやった方がいいと思うから保守党にやるのですから、そういう議論をしておったら何にもならぬと思う。しかし個人の意志は別として、組合運動として醸金をすることが運動の推進になる、こういうわけで醸金をするのですから、こういうことは行政官庁としては慎しむべきだ。そういうように政争の具になってはいかぬですよ。ですからその点は注意してもらいたい。前労働大臣の倉石さんが見えておりますが、これは倉石さんの遺産ではないかと思うのです。(「今出たところだ」と呼ぶ者あり)今出ても、これは一年前から準備をしたというのだから、一年前から準備したのなら倉石労政の遺産ではなかろうかと思うのですが、これは依命通牒でしょう。ですから次官通牒といっても大臣の命によって出すのですから大臣に責任があると思うのですが、そういう議論をしておりましても時間がたつばかりですから次にいきたいと思います。  次に専従者の問題です。「専従者を置くか否かは、全く労使の合意によるべきものであり、使用者が専従者を認めねばならない義務はない。」こう書いております。この点昭和二十五年の通牒とかなり反するものがあると思います。二十五年の通牒は、組合専従者の人数等は労働組合みずから決定すべき事項である。専従者の具体的人選は、会社従業員中から専従者に選任する場合でも、原則として組合の自由であるが、そのものの就任が会社の業務上重大支障を来たす場合には、団交をもって解決することが妥当である。この範囲を越えて会社が専従者の具体的人選を干渉することは妥当でない。こういうことをいっておる。ですから、この専従者を認めなければならない義務はない、こうはっきり断定をした点と、従来とられておった点とは相違があると考えますが、前通牒通りと解してよろしいですか。

石黒拓爾労働事務官(労政局労働教育課長事務代理)

○石黒説明員 前通牒におきましても、専従者の人数等は労働組合がみずから決する。これは職員たる専従者のことのみをいっておるわけではありません。職員たる専従者につきましては、従業員中からこれを採用する場合には協約段階で明確にしておくことが必要である。それがなければ職員が勝手に専従できないのだということは、通牒の非常に簡単な文章でございますが、そういう含みでございまして、御承知と思いますが、労政局で同時に発行した説明書の中では、組合事務専従者を何人置くかは当然組合のみずから決定すべき事項であるが、会社従業員中からその専従者を選任し、しかも、その身分を保持せしめておくためには、使用者の同意が必要であるというふうに申しております。法律的な見解といたしまして、当時と今日といききかも変りはありません。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 会社従業員中より専従者に選任する場合でも、原則として組合の自由である、こういうことになっておるのですね。ですからこの点がかなり乱用されるならば、すなわち本通牒がかなり乱用されるならば、組合は制約を受けると思う。義務はないなんてはっきり書いてあるでしょう。この点はすでに公企労法の場合だって専従者を置くことができる、こう書いてあるのですから、あまり断定をしない方がよいのではないですか。

石黒拓爾労働事務官(労政局労働教育課長事務代理)

○石黒説明員 公労法の場合につきましては、御承知のように公労法の四条三項がございます。従業員でなければ役職員になれないというふうに明確に限定しておるわけでございます。従いまして専従者という制度は必然的に必要になってくるかと思いますが、民間会社の場合にはそのような制約がございませんから、制度として必然的なものではない。しかし、もちろん合意があれば許されるということでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 あなたの方は企業別組合を助長しよう、こういうのでしょう。ですから矛盾がありはしませんか。企業別組合はなるべくよく働くそして信頼をされたものがよい、こう言っておる。今の場合はそうではなくして、何も従業員でなければならぬということはないのだから、ただし公企労法の関係は従業員でなければならないから、こういわれておる間にはかなり矛盾がありはしませんか。実際労政局の現在の考え方としては、企業別組合に外部からどんどん役員がくる、こういう点は好ましくないというのが大体の態度と見受けられる。それは何も通牒などに出ておりはしませんが、こういうような態度に見受けられる。その点については今のような脆弁を弄されておるのですが、局長どうですか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 もう前提から何か先入観があるようでございますが、私どもは企業内組合というもので固定さしてそれを助長する気持も全然持ってないのであります。すべて民主主義の原則から筋を通しておるのでありまして、従って専従者というものを筋を通せば、片や従業員でありながら片や組合の役職員、両方に忠誠を誓うものであるということで、これは制度として変なものだが、日本は企業内組合がおもだからこの慣行のあることもやむを得ない。しかしながらそれを認めるかどうかは、これは経学者は、義務としてそれを認めなければならぬというものじゃないというので、ずっと筋を通しておりますので、別に何を擁護しようというふうなことは考えておりません。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 しかし従来は組合の自由であるということを原則としておる。しかし企業の運営に支障のある人物の場合は団交でしなさい、こういうようにいっておるのですよ。ですから従来の考え方からすれば、人数につい  てはあるいは話し合うかもしれません。一応専従者を置く、その置いた場合に、組合がある人を選ぶ、原則としは自由だけれども、特別にそれが会社で一人しかいない機械工であったとか、あるいは電気工であって運営に非常に困る、こういう場合には話し合っていきなさいというのが現状に即した書き方ですね。それをわざわざ何も紛争が起っておらないのに――これで非常な紛争が起きたというなら別として、紛争も起っていないのに、使用者が専従者を認めなければならない義務はない、こういうことを言うというのは、どうも従来の態度と異なっているのではなかろうか、あるいはまた従来の態度と異ならないにしても、これは不穏当であると考えるのですが……。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 先ほどの理論から言いましても、専従者というものが原則として筋が通らないものでございますけれども、しかしながらわが国の実情なりから慣行化されておる。しかしそれは経営者が認めなければならない義務はないといっておることは、間違いではないのではなかろうかと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 これは教育指針でしょう。そういう教育指針ですから法解釈ではない。あなたの方は先ほどから教育指針だ教育指針だといわれておるにかかわらず、使用者の有利なところだけはぽっと断定しておいてひもはない。ですからどうも学者をえらい非難をして、ある立場に立っておるとかある側に立つて議論しておるとかいっておるけれども、これはこの通牒そのものがある側に立っておるでしょう。資本家擁護という側に立って議論を進めておる、こう見ざるを得ないでしょう。労働組合のところは何か権利擁護のところはそういうようにぼかしておる。そうして使用者のところだけぽっと断定的に下しておる。これは偏向ですね。この点はどうなんです。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 もう初めから何か先入観でお読みになるからそういう感じを受けられるかもしれませんが、専従当ということに格好はなっておりますけれども、しかし本来は変なものだ。そういう反省もなしに通るというところに、ここで一つの反省の機会を与えるということでございまして、当然の権利として専従が認められるのだというものじゃないということなのです。ここを見られてもわかりますように、われわれとしまして企業内組合を育成するという方向に意図しておるというふうには、お考えにならなくてもいいと思うのであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 専従者というのは変なものだ、だから反省の機会を与えるという意味ですか。これはきわめて重大な問題だと思いますね。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 制度として筋から言うとおかしなものです。やはり利害相対立するものでございますから同時に同じ人間が組合と企業と両方に忠誠の心を持ってやらなけれればいけないということはできません。しかしながらやはり慣行として、ことにわが国におきましては企業内組合が多いので、そこで専従者というものもこれはずっと従来からあるわけでございます。しかしながら専従者というものは権利として組合が主張し得るものではないというだけのことでございまして、それ以上の意味を持っておるものではございません。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 変なものだから反省の機会を与える、こういう点私はきわめて重大だと思う。そうすると労働省の考え方は企業別組合というものを何も否定も助長もしないのですが、企業別組合の場合はあり方として専従者というものは企業外の人がよい、身分のない人がよい、こういう考え方ですね。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 組合はやはり企業と別のものでありますので、従って企業内組合、産業別組合は別にいたしまして、組合の役職員というものはやはり組合の人であるのが本筋だ。組合出身の組合の人でなければならない、これが本筋だろう、これは御異論ないだろうと思います。従ってもしも財政的なことが許されれば、もうすべてこれは会社とは一応身分を切ってやられる方が本筋じゃなかろうか。ただしこのことは労働組合ばかりでなく使用者側も反対ございましょう。どういうのか知りませんが、おそらく使用者も従業員たる専従者を望むかもしれません。しかし筋を通せば会社従業員をやめて組合に専心するというのが、これは異論のないところじゃないだろうかと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 これはきわめて重大な発言をされておりますね。身分を切って――なるほど組合員ですよ、組合員ですが、かって従業員でも何でもなかった組合員です。外部から入ってきて組合員になるのですよ、そうした場合にそういう方が役員になる方がよい、専従者になる方がよい、こういった考え方、こういうに承わってよいのですか。そうするとなぜあなたの方は使用者からも信頼され対等に話し合える者がよい、こういうことを書いておるのですか、これは全く矛盾じゃないですか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 その矛盾のところ、私にはわかりませんが人間としてりっぱな人……。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 人間じゃない、従業員ですよ。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 従業員というのは、今の専従ということが一応認められているからそう書いてございますが、言わんとするところはこれとなら十分対等に話ができると、使用者からも尊敬され得るような人、こういう意味でございます。  先ほどの問題でございますが、これは本筋からいえば、組合の役職員というものはもう会社と縁のない、組合自体の役職員であることが本筋だと思います。アメリカにしましても、イギリスにしましても、組合の役職員がどこかの会社に籍を持っておるというのはあまり聞きません。しかしながら日本の特殊事情でそうなっておる、その筋を書いたので、従ってここいらあたりはあるいは使用者側からも反対があるかもしれません。しかしながら筋からいえばそうだということを書いてあります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 外部から役員を持ってきたらよい、こういうことを局長今おっしゃいましたが、ここにはどこにも書いてないですよ。この通牒にはそういう点はどこにも現われていない。ただ今先ほど反省の機会を与える、こうおっしやっただけで、通牒のどこにも出ていない。そしてあなたの言われるのは従業員である専従者について、専従を置くかどうかについては認めなければならない義務はない、ですから結局専従が置けないのですね。物の考え方は専従を置かない企業別組合、これを最も望ましい、こういうようにしか解釈できませんよ。あっちこっちでふたをしておるのですからね。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 どこからそういうことになりますか、この五の一番最後のところで、専従というものは制度としてはっきりしたものじゃない、ことに上部組織の役職員に多い職業的組合運動家という場合に、しいて専従の形をとる必要はないということになりますれば、これはもう組合の役職員として会社と関係のない人が入ってくるのが本筋だということを言っておるのでありまして、別に矛盾じゃないように存じます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 ところがその中ごろに、あなたの方は従業員たる地位を保持する以上、その限度において適用を受けるのですから解雇されることもあり得る、こういうように書いてある。そしてさらに最後に専従としての形をとっている場合には企業の従業員たる身分を存続せしめる必要はない、こう書いてありますが、身分の保障もしないで、そして結局専従になっておれ、こうありますけれども、御存じのように現在の組合幹部はかなりかわっているのです。そのために失業戦線にほうり出される。こういうことになるのです。これはやっぱり日本の現実ですよ。ですから日本の現実が、企業別組合がある、あるならあるに即応したようなやっぱり指導をすべきであると思う。これを排除して、私が強調しておりますように、この産業別組合の確立を政府はやるのだ、こういうことになればまた別ですよ。ところが企業別組合というものをここにも書いて、そしてそれをいわば現実のあり方として擁護して、そうして、従業員としてもりっぱなものでと、こう言っておる。そして専従者の方は、これは義務がないのだ、こういうことはどうも理論が一貫しないと思いますがね。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 私の方としましては、筋がずっと通っておるのじゃないか。なるほど日本の労働組合の指導者が非常にひんぱんにかわる。ことに大企業、大組織の指導者におきましては、順繰りに国会議員になられたり、いろいろ偉くなられる。私は日本の労働組合が、指導者が非常にかわるということが、基礎がはっきりしない、不安定な状態にある大きな原因をなしているというふうに考えまして、前々から役職員の地位の安定ということがどうすればできるだろうかということについて、しばしば検討もし、論議もしたのであります。しかしながらとにかく現状におきましては、企業内組合でありまするし、また指導者もかわる。それを前提といたしておりますので、結局いわゆる専従者というものも認めざるを得ない。そこでこの指針におきましても、それは否定はいたしておりません。否定はいたしておりませんけれども、本来の筋はこうだということを書いておるのであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 では次に議論を進めたいと思いますが、三十ページの労働協約の解釈適用について意見の相違をした場合に、その紛議を「直ちに裁判沙汰にすべきでないことはいうまでもない」云々と書いておりますが、あなた方は裁判というものはどういうふうに考えているのですか。この裁判ざたなんということは、これは浪花節的な文句ですよ。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 これは俗語といえば俗語ですが、これは教育指針でございますので、なるべく平たくということでこういう表現をしたわけでございまして、もう協約というものは結ばれておりますので、その解釈適応について、わざわざ国家機関に持ち出して争うまでもなく、紛争処理機関とかあるいは自主的な話し合いで円満に解決をすべきではなかろうか。これも当然のことかと存じますが、その当然のことを書いたわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 裁判所から見ますと、これはえらい怒りますよ。裁判ざたなんて書いて、しかも労働省が教育指針であると、こういつている中に裁判ざたがあったら、いかにも権威を失墜したように、要らぬものがあるように考えられます。こういうのはやっぱり慎しまれた方がいいと思います。それからそのあとに「争議行為に訴えるなどは論外である。」こういうことを書いております。この点は不当労働行為の場合でも、あるいはその他の場合にも出てくる思想なんですけれども、この労働協約の解釈適用について、そして「直ちに」という言葉は使ってありますけれども「論外である」――やっぱり争議行為によってその権利を守ろうというのが労働組合の本来の姿ですよ。それを論外だなんという考え方はどこから出てきたのでしょうか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 ざっくばらんに申しまして、この指針全体を通じまして、日本の労働組合が割合に簡単に争議行為に訴える。争議行為というものはやはり最後の手段だ。最後の手段だということについては、どなたも異論はないのでありますけれども、しかし現実はまことに気やすく行使される。それはやはり慎しむべきであって、真に争議行為でなければならないときに初めてその実力を行使すべきだ、そういうことを一貫して根底に考えられておりますので、そこで労働協約というものは、これはあとに出てきますように、労使間の関係をこれによって規律している。従ってこれを結べば、その結んだ限りにおいてやはり平和を保つということがいいかと思います。それだのに、その協約の解釈適用について争議行為をするということは、これは極力避けるべきものだ、これはもう当然のことかと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 時間を節約する意味において権利争議、あるいは利益争議、あるいは不当労働行為の場合の自力救済、これは大体考え方が一致していると思うのです。もっとも労働協約の解釈適用については「直ちに」という言集が使ってありますので、若干ニュアンスが違うかと思いますが、この一連の考え方についてお聞かせ願いたいと思うのです。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 先ほど申し上げましたごとく、労働争議というものは団体交渉の行き詰まり打開の方途として認められているのだ、しかるにかかわらず、これがあらゆる場合に行使されて、自力救済に出るということは、これは本年の労使自治の精神からいってもいけないのではなかろうか、権利争議は大体においてあるいは労働委員会あるいは裁判所においてはっきりと白黒を争って解決し得る問題だから、できればその方によって解決するのが望ましいのではないか、ただしかしながら、ここにも随所にありますごとくもそれは望ましいということでありまして、しからば自力救済に訴えた場合にそれは違法かといえば、それはそうじゃない、望ましいということを言っているので、望ましいことにはおそらく御異存はないのではなかろうかと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 権利争議とか利益争議というのは、私たちは日本の労働法の概念には今まであまり見なかったのですが、たしかドイツにはあったと聞いております。一体この教育指針で珍しい概念を持ってこられたのは、どういう理由ですか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 今に始まった論議じゃありませんで、つまりすでに個々人に権利として認められているというもの、それは最後においては裁判所において争い得るわけであります、また不当労働行為については労働委員会において救済が受けられるものであります。それに対しまして、たとえばベース・アップとかいうような要求は、これは裁判所へ行ってもどうなるものじゃございません。従ってそれは団体交渉によってきめていかれるものであり、もし団体交渉、がまとまらないならば、争議行為に訴えられる。これは制度としてあるわけであります。しかしながらすでに個々人の権利として保障され、ある程度確定しているというようなものにつきましては、それぞれの救済手段でやるのが妥当でなかろうかということでございまして、私どもといたしましては、これは単にドイツだけでなくして、この考え方は当然成り立つのではなかろうかと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 ドイツの場合は、権利争議というのは、ほとんどストライキとしてはやっておりません。しかしそれは救済の手続が完備しているのですね。またそういう慣習になっている。ところがアメリカにおいてはどうかというと、ショップ制その他をめぐって、二〇%以上が権利争議である。ですからそういう事情を見ますと、必ずしも各国同じような状態にはないのですね。ことにドイツなんかは解雇等につきましても比較的権利争議的考え方をしておる、これは救済手続きが簡易にして実効があるからです。そうしてそういう法に対する使用者の考え方も違う、これは法に対する責任並びに順守の考え心持っておるからです。ところがそういう実情と違った日本の場合に、これは権利争議であるから、あるいは国家機関によって救済の道があるからといって、私は争議権を制約する、あるいは制約ではないけれども望ましいといわれるかもしれないけれども、日本の場合にはかなり争議を行わなければ救済できない面が多いんじゃなかろうか、こういうように考えるのですが、どういうような判断をされているのですか。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 お説のようなことも考えまして、今直ちに権利争議というものについて、争議しちゃいけないなどと言っているのではございません。しかしながらやはり権利争議はそれぞれの平和的な公けの救済手段もあるのでございますから、その方が望ましいのではないか、イギリスのごときは、不当労働行為はもちろんございませんし、取りきめというものが裁判所ではほとんど取り上げられないというような関係で、これは自力救済よりほかないかもしれません。しかしながら制度がある限りはそれを利用するのが本筋ではないか、望ましいということにはおそらく御異存はないんじやないかと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 利用するのが本筋ですけれども、実効が上らないから争議をするのです。実効が上れば何も争議をする必要はない、ところがたとえば不当労働行為の場合でも、闘争をやり、争議をしなければ地労委そのものの裁定によって実効が上らないのです。こういう面が多いのです。ですから日本の場合には争議が主体になって労働委員会が副次的、補完的な役割をしておる、こういう点があるわけです。これは日本の実態なんです。これをあなたの方で幾らここに書かれても実悪は実態なんですからそれを改めなければだめですよ。それであなたの方の言うことだけを聞いておっては組合は救済されない、こういうことになると思うのですが、日本の実態というものはやはり争議手段というものの力を背景にしなければ解決できない場合が、ことに不当労働行為なんかをやる使用者には多いんじゃなかろうか、かように考えます。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 この指針にもございますけれども、果して労働組合の方で労働委員会あるいは裁判所という公けの機関を有効に使っておるかどうか、日本では権利争議でも直ちに争議に訴える、そうなってくると労働委員会にしましても、裁判所にしましても、争議の成り行きを見ている、うっかり決定しても実力で逆な結果になると赤恥をかきますので、火中のクリを拾うのはいやだというのでつい控えておる、もっとほんとうに活用し出せば、労働委員会もあるいは裁判所といえどもほんとうに責任をもってこれに対しての判定をするというふうになるんじゃなかろうか、しかしながらこの問題に関連しては、たとえば労働裁判所の設置というようなこと、これは将来真剣に検討しなければならない問題かと思いますけれども、しかし筋といたしまして、そういった救済制度があるなら争議に訴えずにその方で救済していくというのが望ましい、これは私ども間違っていないんじゃないかと思うのであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 しかし現在の地労委その他の決定が実効が上らない、こういう面が非常に多いのです。ことに首切りの場合はそうですよ、首切りの場合は地労委にかけてそれを何年も待っておる、そうすると地労委では決定が出たけれどもさらに中労委へ持っていく、さらに中労委に出たけれども裁判所に持っていく、そうすると闘争は一人ぼっちの闘争になってしまう。それによって与える組合員の打撃というものは非常に大きいのです。組合はそれによって萎縮します。幹部あたりが首を切られてそうして闘争もしないで地労委その他の法廷闘争だけをしておる、そうするとその間の組合の損失というものは非常なものですよ、組合幹部が出てこない、闘争がそれだけ減退をする、ですからどうしてもそれに対して対抗手段としては争議を行わざるを得ないのです。これはむしろ私は個人の意識の問題もありますけれども、制度上の欠陥でもあると思うのです。あなたの方は制度上の欠陥は直さないでおいて、ただ望ましいというだけでは私は解決できないと思うのです。現実の問題として二年も三年もかかるでしょう、二年も三年もかかってそうして給料をもらわないで生活せよなんと言っても、そんな無理なことは実現できませんよ。ですから争議に訴えてそうして一気に解決しよう、こういうように組合としてはするわけです。その実態を考えずして権利の場合はこれは救済の手段があるからと、こう言うだけでは問題は解決しないと思うのです。

中西實労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 ただいまのお説は非常に傾聴に値いする御議論でございまして、この(注16)の中にも「不当労働行為審査の所要日数」というものがかなり長くかかっております。ですから確かに制度的に考えなければなりませんが、筋といたしましては、こういつた別個の救済措置があるなら、それでやるべきで、とっておきの宝刀である争議行為というものはそうやたらに抜くものではない、従って制度的な欠陥は私ども認めておりますので、われわれ今後とも検討してさらに世論の成熟を待って、制度の改革ということが必要ならば、これをやはり変えていくということを考えなければいけないと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 今の権利争議、利益争議の件につきましてもまだぜひ質問をいたしたいと思いますし、さらにその他の問題につきましてもいろいろお聞きいたしたいと思います。委員長の非常な御理解によって今までさしていただいたのですが、まだ四分の一程度しか質問か終っていないのです。そこでこれは別の機会に一つぜひ質問の機会を作っていただきたいと思います。と申しますのは、これは労調法全般にわたって指針が出されておりますので、今までピケ通牒がありましても二日ぐらいかかるのです。その点からいきますと、これは簡単に済まないものですから、一つぜひそういう機会を作っていただくことを希望しまして、本日はこれで終りたいと思います。

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 了承いたしました。滝井君。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 私も団結権、団体交渉その他団体行動権について質問をいたしたいのですが、きょうこれをやっておりますと時間が長くかかりますから、これはいずれ来週一日、二日機会を作ってもらってやりたいと思うのです。同時にこれがこの教育指針の宣伝啓蒙にもなって非常によいだろうと思います。勉強してやらしてもらいます。  きょうはちょっとほかの予算に関係することで基本的な一、二の問題だけフル・スピードでやらしてもらいます。先に婦人少年局長さんから伺って日の暮れないうちに帰っていただきたいと思いますが、それは実は売春問題対策費という項が労働省の予算の中にある、これは七百二十八万七千円の予算が計上されております。ところが厚生省の予算を見ると、やはり同じような婦人保護費というものが三億七百九十九万三千円というのがある、そのやる仕事を見ると非常によく似たことが労働省と厚生省でやられておるのです。こういう点は、おそらくいろいろの相談や指導をやる人というものは労働省のつかまえたい人は厚生省もつかまえたい人じゃないかと思うのです。いよいよ具体内に今年の四月から売春法が成立をして実施の段階にほんとうに入ってくるわけです。厚生省は旅館業法なんかも改正をして、そうして旅館の面から風俗営業取締りをやろう、こういうふうな面も出てきているわけです。今後やはり厚生省と労働省のこの施策がうまくいくかいかないかということは、売春問題の解決のかなめになると思うのです。こういう点で労働省と厚生省とは、予算問題は別にして、売春問題の解決に具体的にどういう連絡なり調整をやってこの問題を進めていっておるのか、これをまず御説明願いたい。

谷野せつ労働事務官(婦人少年局長)

○谷野政府委員 労働省におきましては、従来から売春問題につきましては婦人問題の一環といたしまして、特に売春防止の点から問題を扱って参りました。今度売春防止法が成立いたしまして、すでに売春婦に転落をいたしました者の保護更生につきましては、この法律にございます保護優生の各種の施設を厚生省で扱っておられますので、現に売春婦になられた方のお世話はおもに厚生省に扱っていただくことになると思います。  しかし労働省におきましては、売春問題は広く婦人の地位に関係いたす問題でございますし、この法律が円滑に施行されて参りますためには、やはり労働省といたしましては、婦人問題の観点からこの売春問題に対する正しい社会の認識を得ますと同時に、また婦人の中で、ほうっておきますと転落をしそうな婦人もあるわけでございますから、このような婦人に対しましても、すでに婦人問題といたしまして転落防止の見地から、婦人少年局の婦人少年室の婦人問題相談員が相談を受けまして、本人の転落防止の相談に当っているわけでございます。  また婦人少年局におきましては、売春婦の転落防止の見地から、どのような経路によって売春婦になるのであるか、あるいは売春地帯はどのような実態にあるかというような売春問題についての調査を実施いたしまして、今後転落防止をはかりますと同時に、この保護更生に対します必要な調査を実施いたして参る仕事を進めております。その厚生省と労働省との仕事の違いは、結局におきましてすでに売春婦に転落をした者と、すべての婦人を含めての売春問題に対する問題の扱い方との点に違いがあると存じます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと端的に言えば、厚生省はすでに売春婦に転落した者をやっておる、それから労働省の方はさらにそれらの者をひっくるめた大きな婦人問題としてやっておる、こういうことなんでしょうか。

谷野せつ労働事務官(婦人少年局長)

○谷野政府委員 さようでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 私はそれらの施策が両省の間でばらばらであってはならぬと思う。まず第一段階では転落を防止する、今度は転落した売春婦の売春を防止する、さらに売春防止がある程度行われていくと厚生省になってくる、更生したならば今度はその人に定職を与える、いわゆる職業指導、こういうことで、病気でいえば予防、治療、後保護、そして社会復帰という、結核患者と同じような一つの体系がきちんと立てられておらなければならぬと思うのです。  ところがどうも、厚生省の方の予算を見ると、婦人保護と書いて、そして婦人相談所設置、相談所職員、婦人相談員、保護施設設置、婦人相談所一時収容保護費、婦人保護施設運営費、連絡協議会補助費、それから婦人相談事業費補助金、接触調査費補助と、こういうものが非常に盛りだくさんに、一つの項が九つくらいに分れている。それから労働省の方を見るとやっぱり同じように転落防止保護更生指導費、特別広報活動費、売春実態調査費、周旋行為等規正強化費、職業補導施設費、初度設備費、こういうものを見てくると、文字の書き方は違うけれども、中身は厚生省と労働省と全く一緒だという感じがしてくるのです。ものの考え方は、労働省は婦人という広い見地からやっておられるというけれども、実質的な仕事のポイントというものは売春婦自体が対象になってくると思うのです。一般婦人というよりか、しぼってくると売春婦ということになる。  そこで私はこれはわずかに七百二十八万円と三億ぐらいの金ですから、こういうものがばらばらになるというよりか、何か両者の間に、予算は一応それぞれ別に計上しておっても、この予算を使いあるいはこれを運営していく場合には、密接に、やはり一本の機関か何かを作り上げてやっていくことの方が実質的な売春防止法の施行に当っては非常にいいのではないかという感じがするのです。実はこれは厚生省にも質問しようと思ったのですが、時間がなかったので厚生省にはやっていない。しかしきょう労働省にやってみれば、連絡その他をやっておられるならば、局長さんの方からそれが聞けるのではないか、こういうことで実はお聞きしているのですが、何かそのあたりのことを、これは予算を使う上においても、一つの会議にお宅も出てくる、向うも出てきて、千円の会費で五百円ずつ割勘でやるのだということでは、これははなはだ時間的にもお忙しいからだを、二人の局長が二人とも出てきてやることはかまわぬと思うけれども、経費も半分持ちだということでは事がめんどうだと思うのです。そういうことで具体的に何かおやりになっているか、そういうことをお知らせ願いたい。

谷野せつ労働事務官(婦人少年局長)

○谷野政府委員 ただいま先生がおっしゃったことは、私どもの仕事を進めて参る上からまことに大切なことだと存じます。売春問題につきましては、これを扱います元締めといたしまして、内閣に売春問題対策協議会ができております。ここで全体の方針をきめまして、そこできめられました線に沿いまして、各省がそれぞれの立場から売春問題を扱っているわけでございますが、特に私ども婦人少年局といたしましては、啓蒙につきましても調査につきましても、すべての仕事を進めて参ります場合に、厚生省と密接にお話合いをいたしまして、仕事のかち合わないように十分注意をいたしてやっております。それからまた地方の段階になりますと、地方にはそれぞれの官庁の出先を含めました連絡協議会のようなものを設けることが、今度の売春問題対策協議会の措置要項の中に盛られておりまして、地方におきましてはそのような協議会ができております。この協議会におきまして、各省の出先が十分それぞれの立場からお話合いをいたしまして進めて参ることになっております。  なお先生の御注意は私どもといたしまして十分今後ともそのように考えまして、予算の硬い方に間違いのないようにして参りたいと存じております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 実は私今その次には地方問題を質問しようと思ったのです。中央は労働省と厚生省ですから、売春問題協議会あたりに行けばすぐに連絡がいくと思うのです。ところがこれが一たび地方に流れていくと、ちょうど上流のせせらぎでは左岸と右岸は手を伸ばせば届くが、ただしこれが一たびだんだん下に流れていくと、もはや呼んでも聞えぬという大きな川になってしまう。それと同じで、これが県に行き、実施の段階の自治体に行きますとそうはいかぬと思うのですよ。おそらく厚生省の社会局が下に行けば、これは民生部、衛生部に分れていく、お宅の方は県の婦人少年室ということになっていくと思うのですが、県で婦人少年室と言っても、私は県会議員をやったことがあるのですが、知らないのですね。それがどこにあるのか、どういう仕事をしているのか知らない。これは上の方になると知らないのですね。実は民生、衛生を専門にやってきたが、それが県のどこにあってどこでそれを握っているかということを知らない。今度おそらくいわゆる売春の性病防止の見地から衛生部がやっていくでしょう。それから婦人保護的な立場からは民生部がやっていく。厚生省という一つの役所の中で大きな見地からやっておりますが、下にいくとそういうふうに二つに分れておる。そしてあなたの方が府県の婦人少年室というような、失礼な言い方だけれどもどこにあるかわからないような官庁でやっていっておる。こうなると中央におるときには一つの小さなせせらぎで左岸と右岸が手が届いておったものが、下流にいけばもはや三つにも四つにも支流ができてわからなくなってしまう、こういう形が出る可能性が十分あるのです。しかも厚生省と労働省の合せた金がわずかに三億をちょっとこえるものだ。連絡協議会なるものは百三十三万円くらいしか厚生省は予算がないのです。これでは連絡をやろうと思っても四十六都道府県に分けたらお茶代しかないのです。来年度からいわゆる婦人の地位を向上するための売春防止法を実施するという段階のもとにおいては、非常にはなばなしく婦人議員のお骨折りあるいは局長あたりのお骨折りでできて、われわれもあと押しした。ところが実際実施の段階になるとどうにもならないということをおそれるのです。あなたの方の県の下部機構がここにありということをやはり大衆に認識せしめ、衛生部や民生部に負けない存在の誇りを現わす方法を講じてもらわなければならぬと思うのですが、そういう点何か具体内にお考えになっておりますか。

谷野せつ労働事務官(婦人少年局長)

○谷野政府委員 ただいま先生からの御注意大へんありがたくちょうだいいたしましたが、婦人少年室は県の機関でございませんで、国の機関でございます。二人から四人のまことに小さな組織でございまして、先生のおっしやられるようにまことに微力でございます。ただ売春問題の扱いにいたしましては、前から婦人少年室の働きがかなりお役に立って参りましたし、またこれから先も売春問題を皆様にわかっていただくために、特別啓蒙活動なども年に一回各省と連絡をいたすと同時に、地方ともよく連絡をいたしまして的確な啓蒙の進め方をいたしております。その機会にむしろ婦人少年室が中心になりまして、厚生省の出先の方々皆さんと御一緒になって保護の施設などを進めていくようなこともいたしておりますので、厚生省から比べれば大へん予算も少いとおっしゃられる程度でございますが、私どもの機能からいたしましては、そのような機能を通して十分有効に皆さんのお役に立つように努めて参りたいと思っております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 国民の半分は婦人なのですから、こういうところはある程度思い切って予算をもらってやる施策を講ずる必要があろうと思うのであります。こういうものが予算の片すみで、一番最後の方に置かれてスズメの涙ほど、一兆円の予算から七百二十八万円といえば〇・〇何パーセントくらいになってしまって、あるかないかわからないというのではいけないと思うのです。そういう意味で本格的に来年度から業者の転換もやる。こういうことになれば労働省としては婦人の地位の向上のためにこういう予算をふやして、都道府県の婦人少年室というものの存在を、予算的にもやはりここにありということをしてもらわなければならぬと思うのです。これは補正予算でも組めばさっそくやってもらわなければならぬ項目だと私は思うのです。補正予算ができなければ、大臣一つ来年はがんばってもらわなければならないということを要望してこの問題は終ります。  次は技能者養成の問題でございますが、これはあなたの御説明の中にも中小企業の近代化を促進いたしますために技能労働者の養成をはかるということを書いてあります。それからあとでまた質問しますが、技術革新に対応して本格的な職業訓練行政の展開をはかるということがあるのです。ところが大臣も御説明になったと思いますが、日本の雇用問題を解決していくためには、中小企業の問題を解決しなければならぬ。社会保障も大事だとおっしゃるが、中小企業問題を解決するのは、技能者養成の問題だと思う。ところが技能者養成の費用は九百万円しかない。わざわざ大臣は、大臣就任あいさつの中で技術革新という言葉を使い、技能労働者の養成ということを御指摘になったが、もはや各都道府県において中小企業における技能者の養成は非常に緊急な事態として起ってきている。ところがそれがわずかに九百万円で、おそらく三分の一補助だったと思う。こういうことでは日本の中小企業の労働問題はなかなか解決できないと思う。技術が低い。従ってほんとうの肉体の労働力以外には売るものが何もない。非常に低い労働賃金で働かなければならぬ。こういうところに技術のない日本の労働者の悲しさが現われていると思います。そういう意味でこの問題は、今後の日本の就業問題を解決する上に大事なポイントになってくると思います。そういう点でこれはおそらく大蔵省から削られてこういうことになっているのだと思いますが、これに対するあなたの考え方を婦人問題と一緒にお伺いしておきたいと思います。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 婦人問題に対する予算のとり方が足りない、積極的に努力せよということに対しましては、仰せのように努力をお誓い申し上げます。  技能者養成の問題については、これは九百万円になっておりますが、今年頭を出したということでありまして、今後積極的にその項は拡大するように努力をいたしたいと思います。特に完全雇用の関節と日本の学校教育の問題の方がもっと大きい問題でありまして、閣内に雇用関係の閣僚懇談会を作りまして、その中には文部大臣に入ってもらっております。現在企業及び経済がだんだんと拡大していくに当りまして、それに必要な人間が教育されていない。大体八割くらいが文科教育でありますが、八割くらいが技術者を要望しておる。でありますから今後の学制改革が根本的に行われなければほんとうの日本の技術革新は生まれてこないということで、閣内においてそういうものを作りまして、今後その方向に推進していきたい。しかしそれならば今年度文部行政にどれだけの転換をするかと聞かれればまだその案は立っておりませんが、今後積極的にその面も進めていきたいということをこの間相談いたしましたから、重ねて申し上げておきます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 全く同感であります。私たちはここにおられる野澤委員なんかと一緒に製薬会社等の実態を見て回ったが、もはや学校を卒業した者ではものの役に立たない。それぞれ大きな会社はみな自分のところで技能者を養成している。こういう実態です。しかもそこに働いている労働者の質を見ると、今までのような質ではだめだということが大体はっきりしてきたというようなことで、かつては何百人も働いておったであろうその工場にあるものは機械ばかりであります。そうして人間は二階なり三階なりの片すみで、ただじっといすにすわって何人かがメー夕ーを読んでいるだけである。メーターの調子、メーターの動きでその工場の生産品の質がきまっていくというこういう事態というものは、もはや今までの学校教育のあり方を根本的に変えなければならぬというところに来ておる。それは何も大企業だけでなく中小企業にも全部及んでおるので、これは相当文科系統を減らして、技能者をどの程度に養成しなければならぬかということは、大臣の言われたように今後の日本の教育行政のあり方に非常に大きな検討を加えなければならぬ段階に来ておることは全く同感でございます。どうか一つ労働行政の立場からやっていただきたいと思うのです。  ところが、そういうことが大事になってきますが、実は完全雇用と技術革新の問題ですけれども、日本の完全雇用を推進する上に今一番大きな一つの隘路になっておるものは、技術革新の問題と人口の構成の問題です。御存じの通り日本の技術というものは、日本の国内でできている技術じゃない、みな外国のいわゆるパテントを、特許をもらってきておる技術なんです。従って新しい技術革新というものは日本の国内では起らない、ということは、結局外国の新しい技術をもらってくるので、従ってその新しい技術を持ってくれば、今まで肉体で働いておった者が失業しなければならぬ。この失業者のいくところがない。すなわち日本のこの国土というものは外国の技術革新の市場になっておるということです。ここに日本の完全雇用の問題の一つのむずかしさがある。それは、科学技術が非常におくれておるから、従って、高度の性能を持つ機械を日本の国内で作っておれば、その機械を使うことによって出た失業者はその機械を作るところに転換ができていけるわけです。ところが、また日本の労働者自体がそれに対応できるだけの質的な教養の高い技術を持たないということと、現実に日本が外国の技術革新の市場になっておるというこの二つの問題が日本の完全雇用に一つの大きな隘路になっております。従って日本のこの質の低い労働力は、さらに質の低い労働力をより多く拡大をして生んでおるということです。だから、一カ月わずかに八千円以下の労働者が昭和二十九年より三十年の方がふえ、三十年より三十一年の方がふえてきておる。三十一年よりさらに三十二年がふえることは確実なんです。従って、低賃金労働者が低賃金労働者を生むという形になって、完全雇用というものは技術革新ができないためにきわめて不安定な就労者を作っているという、ここに私は一つの隘路があると思う。従って労働大臣は、そういう立場から大きな日本の雇用情勢、就業状態の本質を見きわめて、教育的な問題――今まで労働教育についてはいろいろ出されておりますが、そういう面の教育的な意見こそ労働省は今や政府に向って出す段階が私は来ておると思う。労働組合に出すよりか、まずそれを出すことが私は先決だと思うのですが、その点はどうですか。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 全く同感であります。  それから、今の先進国の技術革新の市場になっておるという問題、これは、一面から見ればそうであります。そこで、これを私は自分の体験から申し上げますと、日本の特殊鋼かもっといいものができなければ、おっしゃる通りいつまでもその線を脱することはできないと思うのですよ。技術はある程度まで模倣もし研究もいたしております。相当な技術が日本に生まれつつあります。しかし、問題になりますのは、特殊鋼なんです。つまり、鋼材資材が悪いのです。私はこういう経験があるのです。ドライヤーを私は買ってきたわけです。それをまねして、今三年後に百五十基できた。ところが肝心のところの資材が悪いから始終修理しなければならぬ結果になっております。それは私の買ってきたドライヤーだけではありません。すべての問題にその問題が起って参りますから、日本の今のおっしゃった点を改造するためには特殊鋼――優良な鉄を作る部門がもっと発展しなければ、今のことを脱することはできないと思うのです。そうであれば、外から技術を持って来ても、また新しい機械を持ってきましても、全部日本で模倣して作りますから、その点は心配ないと思うのです。  もう一つは、技術の養成もしなければ日本の貿易も全然だめになるのです。今のようなことでやっておったのでは今まではどうにかいい数字が出ましたが、これから先は――これから先の日本の貿易を進展させようとするならば、外国の市場において戦わなければならぬものですから、ああいう優秀な良品廉価に戦い得るだけの産業設備、近代設備、技術の振興をしなければならないのでありますから、それをやっていくことによって初めて完全雇用になると私は思うのです。一時の転換期においては失業者が出るような結果になりますけれども、かく貿易を生命としておる日本としては、それをどんどんやって市場を獲得していく以外に道はないと思うのです。そういう方向に向って努力するつもりでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 まあ大臣の言われたように、資材が悪いという一面も私はあると思うのです。しかし、本質的なところは日本の科学技術がおくれて、結局現在日本が外国の技術の市場になっている、技術植民地の形をとりつつあるという点は、今後の完全雇用を推進していく上に一つの大きな隘路になると思う。これはおそらく、日本における人口構成の今後における変化、いわゆる労働力人口が飛躍的に増加をしていくというこの二つの隘路を解決しなければ、日本の雇用問題は解決しないと私は思う。この二つの隘路を解決しなければ、日本の雇用問題は解決しないと私は思う。この二つの隘路を一体何によって大臣は解決していくかということなんです。私は、これには何かの社会的な力が一つのてこにならなければならぬと思う。その二つの隘路を目前に置いて石橋内閣は完全雇用のスローガンを打ち出しているのです。一体これは何をてこにして、人口構成の大きな重圧、それから今言った技術の市場、こういう二つのものをどういう工合に切り開いて、どこに突破口を求めてやっていくつもりなんですか。非常にむずかしい問題でしようけれども……。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 それは簡単に労働省だけの考え方でやったってできないと思うのです。やはり日本の政治全体、日本の政策全体として今のおっしゃつた線を切り開いていくことが総合的に行われなければ、一労働行政の面だけではできないと思います。特に問題になりますのは、教育の革新だと思うのです。教育の面が一番大事だと思うのです。デンマークが今日のごときああいうりっぱな産業国家になったということの基本はやはり教育なんです。教育は技術が伴っておりますから、これはやはり教育が日本のすべての問題を解決するかぎだと私は思うのです。その点は労働行政の面も考えなければなりませんが、大きな面を今おっしゃったのですが、それは日本の産業革新というものは教育を直していくということでなければならぬと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 私は、教育も一つの必要だと思いますが、労働省は労働省の立場からその二つの大きな障害になる壁を打ち破る社会的な力というものを私は求めていかなければならぬと思う。その社会的な力は一体どこに求めていくかといえば、私は日本の就業の構造はちょうど今宗谷が行っている南極の世界みたいなものたと思うのです。その上の方に少し、夏になればとけるところの氷が張っておる。しかし、氷の下には二十センチくらい水がある。その下には非常に厚い氷の層がある。日本の産業構造も私はそうだと思う。石橋内閣なら石橋内閣が完全雇用の政策を打ち出していくと、上の方の層は日が当るのでとける。これは日本でいえば大企業です。大企業はある程度政府の政策をやれば、減税の恩典にも浴していく、完全雇用といえばそこには賃金もよくなって、ある程度日が当ります。しかしそれは、その上の氷が解けると、次の水、そこまでしか日が当らない。その下の深い厚い層には農業政策も経済政策も何もいかない。すなわち非常に近代的なものと非近代的な二重の層があるということなんです。だからこの下の日の当らない層に、少くともこの石橋内閣の政策が浸透屈する一つの社会的な力を求めるとするならば、その社会的な力は何かといえば、私は最低貨金制以外にないと思うのです。これは労働省が、この大きな二つの前面に立ちふさがっている障害というものをたたき破る道は、何といっても最低賃金制を確立して、前近代的なこの厚い氷の層をどうして薄くするかということ以外に、私は道はないと思うのです。教育は文部省がやります。しかし当面日本のこの大きなネックになっている二つの壁というものを、労働省がたたき破る道は、最低賃金制以外にないと思う。その最低賃金制の道というものは、社会党の言うような方法でやるか、それとも保守党は保守党なりの具体的な道があると思うのですが、これを大胆率直に――教育は文部省にやってもらって、労働省自身が主体的にこの問題に立ち向ってやるためには、最低賃金制以外にないというのが私の考えなんですが、大臣はその点どうお考えになりますか。

松浦周太郎自由民主党労働大臣

○松浦国務大臣 この問題はきのうから何べんも答えているので、今急に話を変えるわけにはいかぬのです。私はやはり最低賃金制はやらなければならぬと思うが、一律一体にやるということは非常に危険である、こういうふうに考えております。特に最低賃金において問題になるのは、非常に弱い中小企業の線です。これをやはりともに連れていかなければならぬところに悩みがあると思いますので、業種別、地方別に自主的にきめていきたい。その方法といたしましては、今労働問題懇談会に諮問しておりますから、その諮問が近いうちに答申されると思いますので、それによって善処したい、かように思っております。

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 滝井さん、恐縮ですがここらでいかがですか。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 失業の問題で、非常に大事なところを残しておりますが、私は元気ですけれども大臣方はお疲れでしょうから、いずれまた別の機会に譲ります。

藤本捨助自由民主党

○藤本委員長 では、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十三分散会

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