国土総合開発特別委員会 第23号
- 発言数
- 36 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1957/10/25
会議録
○五十嵐委員長 これより会議を開きます。 国土総合開発に関する件について議事を進めます。廣川委員より発言を求められております。これを許します。廣川弘輝君。
○廣川委員 この機会に少しばかり小さいことを関係大臣である郡君、赤城さんにお聞きいたしたいのでございますが、今党内におきましてまた社会党におきましても、南九州開発の問題について、いろいろと相談をいたしておるようでございます。そこで、この総合開発については、やはり地下資源なり、あるいはまた化学工業の振興なり、あるいはまた農作物の増産なり、いろいろとあるわけでございまするが、その中で一番手っとり早いと思われるものは、今までなれておる作物を、これに大きく価値づけていくことが一番よいと私は考えておるのであります。特に南九州等においては、年々非常な災害を受けておるのでありまして、これに対する農作物について、いろいろと検討をされておるのでございます。 そこで、日本全国を見た場合に、一番北の寒冷地帯から南の亜熱帯地帯まで、農民を潤しておるものは、イモであります。東北、北海道におきまするジャガイモ、また南九州におきまする冬季のいわゆるジャガイモ、これと関東地方から奄美大島までいっておりまするカライモ、サツマイモであるのでありますが、これともう一つ、われわれが今一番重要に考えておるのは北海道におけるビート、東北におけるビート、そしてまた南九州における暖地ビートであります。しかも、この南九州におきまする暖地ビートも、東北におきまするビートも、もう試験の過程は済んでおるのでありまして、これを工業化いたしていきますると、非常な増産になると思います。特に今年は北海道におきまするビートの増産は、われわれ想像した以上になっており、しかも、また糖分の含有量も今までよりずっと上回っておることがわかるのであります。昨年一工場を新設いたしましたが、北海道におきまするこの原料をこなすのに、果して四月までこれが操業して、こなし得るかどうかということが、もはや心配になっておるような状態であるのであります。そこで私たちは、全日本の農家を潤すために、日本の砂糖の自給度を高めて参りまして、そうして今百二十万トンも外国から入れておりまするこの砂糖を、何とかいたしまして、国内でこれを持っていこうというようにわれわれは考えなければならぬと思うのであります。特に澱粉を政府は買い上げておるのでありまするが、この澱粉は、われわれが承知いたしておるところによりますと、大体四千五百万貫程度のものが食管特別会計で眠っておるのであります。これを精製ブドウ糖化することによって砂糖といたし、そして暖地ビートと寒地ビートをまぜ合せまして、そしてここで砂糖を作ることが一番よいのじゃないかと思います。 それからもう一つは、沖縄、奄美大島群島におきまする黒糖の問題であります。これを全部総合いたして参りますと、私は少くとも六、七十万トンのものができると思うのでありますか、戦後イタリアにおきましては、この点に非常に着目いたしましてすでにもう七十万トン以上を自給いたし、昨年あたりから輸出に転換いたしておるのでございます。このいわゆる砂糖の自給をすることによって農村が潤い、しかもまた、国の方針として今非常に大家畜を奨励いたし、酪農を奨励いたしておるのでありまするが、この澱粉製糖によりまするところの澱粉か丁、あるいはまたビート・トップ、あるいはまたビート・パルプ、こういったようなものが全部飼料になって参るりであります。これについて政府として、国内の砂糖が自給でき得るように、いろいろな障害を除去する考えがおありであろうかどうか。すなわち、国内におきまする砂糖の一番障害にばっておるのは何かというと、関税の問題であります。それから国内の消費祝の問題、この二つがあるのであります。アメリカでは一つのシュガー・アクトというような法律があるのでありますが、ああいったようなことを考えて、この関税から取り上げられたものを、こういった方面に奨励金として出すようなお考えがあるかどうか、これをお伺いいたしたいと思います。
○赤城国務大臣 非常に私ども農政をやっていく上において、ためになるといいますか、卓見といいますか、拝聴いたしまして、私どもといたしましても、仰せの通り、砂糖の自給化ということを強く進めたいと思うのであります。というのは、一面におきましては、おくれておる畑作を振興したいというふうに考えておりますし、それについては畜産、酪農も強く取り上げなければならぬ。こういう点から考えて、畑作物といたしまして、カンショ、バレイショ等につきまして、作付の転換あるいは生産費の低下ということも考えていますが、何といたしましても、消費販路の拡大ということも考えられなくてはなりませんので、今お話の通り、砂糖の自給化という点から、澱粉による結晶ブドウ糖の工業化ということにつきまして、目下調査を進めておりますし、あるいは、ときによっては、立法化もしなければならぬのじゃないか。あるいは経営面からどういう数字が出るか、こういう点から研究して、来年度中には工業化に持っていきたい、こういうように考えております。 ビートにつきましても、北海道等をもこの間視察いたしたのでありますが、作付面積も非常にふえておりますし、工場の設置等もなお必要と考えておるのであります。ビートによる砂糖、カンショ、バレイショによる砂糖、それによって砂糖の自給度を高めていく、これは外貨の面においても非常に有利でありますし、畑作農家にとっても大切なことでありますので、お話の通りに強く進めていきたいと思うのであります。 それにつきまして税金の問題がありますが、これもまたお話の通り、関税を引き上げていく必要があろう。ただ、そういうことにしますと、消費税の方でこれを引き下げるというような形に持っていかないと、消費者にとってどうかという点もあるのであります。この点につきましては、大蔵省当局ともよく話し合って、お話のような線に持っていきたいと考えておる次第であります。
○廣川委員 やはり砂糖の自給の中で、大きな部分を占めます黒糖の問題でありますが、高知県並びに奄美群島は非常に長い間黒糖をやっておるのでありまして、特に奄美群島におきましては、これが主作物となっているような状態でありますけれども、これに対して、何かこのビート糖と同じような方法で保護をするようなお考えがおありかどうかお聞きいたしたい。
○赤城国務大臣 奄美大島における黒糖についてのお話でありましたが、あそこの農民はカンショに依存しておるものが大体七〇%ということを聞いておりますので、これについても調査等をいたして、何らかの方法によって育成する方向をとっております。ただ御質問にはまだなかったのでありますが、これを価格安定作物として、価格支持政策の中に入れるかどうかということにつきましては、なお研究させていただきたいと思います。御承知の通り、非常に含水量が多かったり、吸湿性というか、そういうのが強いので、保管管理上、まだ研究すべき余地が残っておるというふうに考えておるのであります。しかし、捨てておくわけではありませんので、分みつ糖への転換を進めていきたいと考えて、実は鹿児島大学を主なる研究場といたしまして、県の農事試験場の大島分場を教育機関として、分みつ糖の生産上の転換が可能であるかどうかということにつきまして、目下研究を進めております。そういう方向に持っていきたいと思います。いろいろまたお話を聞きまして、対策を講じていきたいと思います。
○廣川委員 大へんけっこうで、あそこは大体三万トン近くできるそうであります。が、指導によりますと、七万トンから九万トンの生産が可能であるということを言っておるのであります。しかも、これは三百年、四百年という長い歴史がありまして、非常にこれにたよる度が強いのであります。そこで分みつ糖に関しましては、もう研究過程ではないと思うのであります。一般業者がもはや手を出す段階になっているようにわれわれは聞いておるのでありまして、これについて何か来年度予算あたりで少しお考えになっておるようにも考えられるのですが、何かそんなことがあれは非常によろしいと思いますけれども、来年度予算についてはどんなふうになっておるでしょうか。
○赤城国務大臣 調査の結果も、今お話のように分みつ糖に転換した方がいいということでありますが、まさにそういうことだと思うのであります。来年度の予算についてどういう措置をとっているかということでありますが、予算そのもので要求をしているということにはなっておりません。テンサイ糖もそうでありますが、融資の面につきましては、十分に分みつ糖への転換を見ていきたい。農林省の予算全体といたしましても、本来の予算も相当要求して、御協力をお願いしたいと思うのでありますが、融資の面につきましては、特に力を入れなければならぬと考えているわけであります。その中において、分みつ糖への転換につきましても考慮しているわけであります。
○廣川委員 非常にけっこうなお考えをお持ちで、われわれ安心するのでありますが、もうこれはあそこに行ってみれば、わかるのでありますけれども、カンショにたよる度合いは内地で想像のつかないくらい強いのでありますから、融資をするにしても、あるいは予算措置を講ずるにしても、どうかこれを分みつ糖の方に持っていくように願いたいと思うのであります。 それから、もう一つここでお聞きいたしたいのは、この奄美群島における主要作物を、どういうふうに今後持っていったらいいかということです。これは台風銀座といわれるように、始終台風が通るのでありますが、この中で、農作物をどういうふうに持っていったらいいかということであります。私たちが見て参ったところでは、やはり何といっても、いかに台風があっても、カンショが一番強いようであります。そのあとバナナとか、あるいはパパイヤであるとか、マンゴーであるとか、いろいろなものがあるのでありますが、この中で一番よいと思われる作物は、やはり。パイナップルでございます。このパイナップルは、あるいはこんなところでこれを言うと、種をフィリピンあるいはハワイ、台湾等からとっておるのでありますが、来なくなるかもしれないのであります。これは今までだいぶとっておりますから、今後も試験栽培して、良種を得ることはそう大して骨ではないと思いますが、これは非常に台風に強いのであります。それで御承知のように、もう四十町歩くらい作付をいたしておりまして、一部の永長部島においては、産物が出ているようなわけであります。ただ徳之島、大島等はまだこれからでありますが、徳之島等は、もうこれが来年あたりからでありますと、工場の中へ入ってくるというようなものであります。非常によいものができるのでして、どういうものか、ほかのものは台風でほとんどなくなるのでありますが、あれは台風に強くて、りっぱに実っておるのであります。そして酸性土壌の中にあっても、よく伸びるというようなことで、しかもまたこれが平地でなく、いわゆるマウンテン・スロープといいましょうか、山の傾斜地、そういうところによいのでありますが、こういうことについて、何かこれを特に奨励するというようなお考えがおありかどうか、お聞きしたい。
○赤城国務大臣 奄美大島等につきましては、今お話のように、作物の種類を内地のこちらのように選定するわけにはなかなかいかないと思います。そこで、今お話のようにカンショ、それに次いではパイナップル等、熱帯植物について奨励し、奄美大島の農民の生活の安定に資したらどうかということでありますが、まさにその通りだと考えております。またパイナップル等につきましては、ほかから輸入するよりも、やはり内地において奨励するということが、とるべき政策であると思います。私どもの方と連絡はとっております。御承知の自治庁の方におきましても、奄美大島の復興特別予算等も組んでおります。その中におきまして、熱帯植物等についてこれを奨励し、これを育成していくということも考えておるわけでありますが、さらに私どもといたしましても、自治庁と連絡をとりまして、こういう方向に力を入れるようなことにいたしたい、こう考えております。
○廣川委員 南九州から奄美群島にかけては、非常に雨量が多く、しかも温暖の土地でありますので、樹木の成長が非常に早いのでございます。しかし熊本から宮崎、鹿児島、あの辺をずっと歩いてみますと、樹種の改良というものはおくれておるように思われるのであります。特に牧野開放やその他で、国有地を開放いたしたところが、もうほとんど荒れ野になっておるのでありますが、一番ひどい例は、鹿児島県の牧園というもとの国立牧場であります。これは大体面積七百町歩くらいあるのでありますが、またそのあとで二百町歩くらい払い下げておりますので、大体九百町歩、これがほとんど荒れ野になって、草地の改良もなければ、また植林した模様もない。そしてその大面積の中に、動物というと、牛が十頭余り、馬が五、六頭、こんなことをやっておるのであります。一体いろいろな法律で国有林を払い下げるのでありますが、南九州開発、特にこの払い下げた牧園等について、何か手を打つお考えがおありかどうか。またこれに対して今まで御調査でもあったかどうか、お聞きいたします。
○赤城国務大臣 こまかい調査を、払い下げ地についてしておるとまではまだいっておりませんが、国全体といたしまして、今お話のように、森林が荒れておったり、まだ自然林で人工造林がされていないというのは、まことに残念でありますので、森林政策として、実は来年度予算にも相当要求しておるのであります。植樹の改良による人工造林ということは、これは北は北海道から南九州までも含み、また国有林、民有林を問わず、やっていきたい。こういうことで、政策も立て、ときによっては、立法の必要があれば、また立法もしたいと思っておりますが、事務当局にその点も調べさしております。その点で、その一環として、今の払い下げた林野が荒れておるというのは、これはやはり森林政策に欠くるところがあるから、調査の上、そういうものに対しましても植林を勧める、こういうことにいたしたいと思います。
○廣川委員 まことにけっこうですが、そちこち歩いてみますと、決して今の牧園の国有牧場のみではないのであります。東北に参りますと、白河のもとの国有牧場などは、非常な広面積が荒れ野になっておるわけであります。そういうようなところに立法措置を講じてやれば一番よろしいのです。これはどうしてもやはり考えてもらわなければならぬと思います。林野を払い下げて、原木だけ切ってそのあと、まるで荒れ野であります。そこで、ここに放牧するのだということで、払い下げをしたようでありますが、馬もいなければ、牛もいないというのが実情であります。そういうところに——今一番問題になっております南九州あたりでは、イタリアポプラとでも申しましょうか、これを民間の各パルプ会社で入れて、非常に一生懸命試作をいたしておるようであります。こういうものでも、とりあえず早くやって、しかも、これは六、七年で南九州でりっぱに使える。ちょっと寒い所でも、十年たてば使えるというところから、今、薪炭もなく、パルプの材料もなくて、カナダ、アラスカあたりからもらってこなければならぬというような状況でありますので、こういうようなことで何かお考えがあるかどうか、お聞きしたい。
○赤城国務大臣 私ども、今のお話を聞きましても、せっかく払い下げた林野を荒すというのでは、払い下げの目的を達していない、こういうふうに考えておりますので、これにつきましては、植林を勧めたいことは先ほど申し上げた通りであります。それにつきまして、育種の試験をいたしまして、今のお話のように、適作と申しますか、しかもまた、早く転換できるようなら、なおけっこうだと思いますので、試験をしておりますから、その試験によって——今お話のようなことが適当だろうと思いますので、そういうものを植えるように勧めたい、こういうふうに思っております。
○廣川委員 このイタリアポプラは、イタリアの文献を見ますと、麦の反収とポプラの収入を、十カ年間で計算して、ポプラの方がはるかに大だというような文献が出ておるのであります。どうかこういうことを一つ考えて、このしょっちゅう暴風の通る南九州、その他奄美群島等に、こういうようなものの助成の方法とか何かをお考えになっていただきたいと思うのであります。 それから、またもう一つ、奄美に関することでありますが、奄美群島は、今月の中央公論でも取り上げておるように、これは一世紀どころじゃないのです、二世紀も三世紀もおくれておるような民度の低いところであります。中央公論の最初の何ページかにずっと載っておりますが、家屋の状態から見て、また持ちものからいって、道路からいって、農産物からいって、もう問題にならないのです。それで政府は、東南アジア開発基金を設定するといって、だいぶまごまごしておるようですが、やはり国内での開発を先にしないと、私はいかぬじゃないかと思います。特に奄美群島は、歴史上、一時は沖縄に属し、あるいはまた支那にまでみつぎものをするといったようなこともあり、あるいはまた島津侯の藩下に入って、非常な圧制を受けておった時代が長く続き、そうしてまた終戦後におきましても、特別占領地区になって、何ら手を施されていないのであります。それで、今度復帰いたしましてから、奄美群島の復興の法律ができたのでありますが、この法律ができたために、かえって各省がそっぽを向いたような形になっておりまして、郡君が自治庁長官でこれを主宰いたし、そうして何か諮問機関みたいな審議会ができて、すべてのことを知事がやるようになっておるものでありますが、各省がまま子扱いにしているような感じがうかがわれる。また実際行ってみて、そういうことが如実にわかるのであります。 そこで、今まであの群島は農と漁でやっておったのでありますが、漁業に関しましても、代船建造その他のことが内地においては盛んにやられたのでありますけれども、その大事な期間を占領されておったものでありますから、そのチャンスをなくしておるのであります。そこで漁船の建造等はほとんどできていない。目の前に黒潮が流れて、カツオ、マグロがおどっておるのでありますが、これをとることができない。相変らず手こぎの一本釣でやっておる。また漁港なんかもほとんど整備されていないし、漁港に対する陸上の整備、冷蔵庫であるとか、そういったようなものが何もないのであります。何かこれは特例を作って——内地はもう全部締め切っておるのでありますが、奄美群島における漁船建造については、何か便法をお考えになられる余裕があるかどうか。またどうしてこの漁民を救っていくか、その点のことをお伺いいたします。
○赤城国務大臣 政府といたしまして、まことにおかしなことになっておったということを申し上げるよりほかないのです。これは陳情もあって、私もこの間気がついたのですが、奄美大島の復興特別予算の三十二年度分には、百二十トン漁船の公庫融資をするという予算が組まれておるのであります。ところが、今の漁業法によりますと、百トン以上の建造には法律の改正を必要とすることになっておるのであります。こういうことで、実際私の方としては、予算には載っておるが、取扱いができないということになっておりますので、いろいろ研究しておるのでありますが、奄美大島だけに百トン以上の船の建造を許すことがいいかどうか、全般的に影響するものですから、率直に申し上げて、実は今検討中でございます。そういう段階であることを御承知願いたいと思います。
○廣川委員 これは日本全般の漁政上から考えると、あなたのおっしゃる通りなんですが、とにかく内地でどんどん代船建造ができる時代に、ブランクになっておったのですから、何か条項を当てはめて、奄美群島だけで何とかでき得るようにしてあげなければいけない。しかも、ああいうりっぱな漁場を持っていながら、何もとれない。しかも民度がああいうふうに低くなっておるのでございますから、融資はされたが、船を使う権利がないということでなく、ぜひ一つ親心でやってもらいたいと思うのであります。 それからまた、漁港についてもそうであります。これは一般商業港も御存じの通りでありますが、何といったって棧橋がないのであります。あの荒波の中を、波の調子をとりながら、からだに反動をつけて、船の舷門に入るという状態なんでありますから、漁港等についても格段のお考えを持って、いわゆる後進地域の開発というものを考えてあげなければいけないのではないかと思いまするので、漁港と漁船については、どうかお考えになってもらいたいと思うのであります。この間ネール氏が大へん大いばりをしていましたが、インドの大衆というのは、われわれから見て、一世紀半ないし二世紀過ぎなければ、どんなにしても普通一般のレベルにならぬ民族だと思うのでありますけれども、あれと決して負けないくらいの民度の低いところであり、しかもまた、行ってみると、離村者がどんどん出ているというような状態でありまするので、ぜひ御一考を願いたいと思うのであります。 農林大臣は大へんお忙しいようですから、あなたに対する質問はこれでやめます。 それから次は自治庁長官にお伺いいたしたいのですが、自治庁長官になってから、あなたの所管事項の奄美群島においでになったことがございますか。
○郡国務大臣 私まだ奄美群島に参る機会を持っておりません。非常に大事な、また同時に、なかなか深刻なむずかしいところでありまするので、これについてはよほど今後気をつけて参らなければならぬと思っておりまするが、まだ不幸にして参る機会を持てずにおるような次第であります。
○廣川委員 今は飛行機があるのですから、鹿児島まで行けます。あなた行ってみないと、やはり情が移らないのですよ。大蔵省の役人みたいに冷たい連中なら、見ると情が移るから、行かない方がいいんだと言うのだが、あなたは実際にこれをやるのですから、やはりおいでになって十分これを見てやりませんと、あやまちを起すようになるのではないかと思う。あなたもすでに御存じでしょうが、今月の中央公論を見てごらんなさい。これ以上です。実にひどい。民度の低いところで、全く行き詰まっているのです。面積はどのくらいあるかというと、御承知の通り香川県くらいある。ここに国道がないのです。村道と県道しかないのです。その県道も一周できるだけの道路がないのです。実にひどいものです。それから先ほど赤城さんにもお話したのですが、港に行ってみても、接岸できるところというのは大島の名瀬港一カ所です。あとは、あのあらしの中でも、調子をつけて伝馬船から舷門の中へ飛び込む。われわれと行った人でさえ、頭を割られて病院に入ったのですから、実にひどいのです。 しかも私が非常に心配しているのは、あなたの方で所管している、この奄美群島復興特別措置法という法律ができたために、各省がそっぽを向いてしまった。お前ら勝手にやれ。ちょうど北海道開発庁ができたために、各省が勝手にやれというように、そっぽを向いたようなもので、これはもう少し各省と緊密に連絡をとっていただかぬと、困るのではないかと思うのです。道路もそのようでありますが、港もその通り、しかも接岸するところに上屋があるかというと、ここには上屋も何もない。それからまた工事をあなた方の方でやっているのですが、この工事のぶざまなことは、どの港へ行っても、この間のあらしで吹っ飛んでいるのです。農地のため池の工事なんかも、みんなこの間の雨でだめになってしまっている。小学校もみんなつぶれて、民家に分散して教育をしているというような状態なんです。これについて、今度の予算には住宅関係やなんかをたくさん要求しているようですが、戦災を受けた場所としては一番最大のところであります。この戦災住宅に対してどういうふうにするか、あるいはまた民度を内地並みに上げるために、住宅に対してはどういうふうにするか、また国道編入についてはどういうふうにするか、港湾についてはどういうふうにするか、また補助航路については、どういうふうにしてあそこの産業を育成していくかというようなことを、ぽつぽつお聞かせ願えればけっこうだと思います。
○郡国務大臣 奄美群島の振興につきましては、もっと考えねばならぬことであり、現在自治庁のいたしておりますることを、さらに工夫をこらさなければ相ならぬのでありまするけれども、たとえば離島振興の場合等に比べますと、奄美群島の場合には、計画といたしましては、おっしゃるように、それ自身が非常に大きい面積で、他の島とは類を異にいたしますせいもあるのでありますが、とにかく今までの五カ年計画を一応持っております。ただ今度これを十カ年の計画に改め、計画全体を一挙に、急によくするということも困難でありますので、気象条件に適した産業の振興をはかって参る。水産業、農業というようなものが主になり、農業につきましても、ことに奄美群島に適したものを考えて参ることと思うのでありまするが、災害等については、それぞれ各省と協力いたしまして、また各省もここの災害復旧についてはかなり考えてくれているのでありますけれども、私どもといたしましては、奄美群島振興の基礎になります基礎的条件を、何とか大体十カ年くらいの実施期間には——おっしゃるように、非常にまだ交通、港湾その他の道路等、ほんとうに基礎的なものにつきましても不十分な模様でありますので、そうした基礎的条件を一つ確立して参る。それと、ただいま申しました気象条件にマッチいたした産業の振興、要点をこの二本立にいたしまして、そうして、これは各省ともかなり実際に合った実施計画にしようという点では、協力をいたしておりまするから、その点をさらに推進して参るようにいたしたいと思います。
○廣川委員 あなた方の持っておりました復興計画は、大体五カ年計画で、百五十二億だったと思っております。そのうち、大体やっておりますのが四割程度じゃないかと思うのでありますが、それを一体今後どのくらいの金額にするか。これは各省と折衝もするのでありましょうが、とにかくおくれておるんです。ですから、これを単に各省のバランスや、また鹿児島県内におきまする内地の各郡との均衡なんということでなく、別な方法でこれを持っていかなければなるまいと思います。一体香川県の中に国道がないかというと、りっぱに国道が立っておるのだが、あれと同じ面積の中に、国道一つないということが、これはおかしい。それで、不良住宅改良なんということを盛んに叫んでおるんだが、三百年も四百年も前からのあのとんがり帽子の住宅、だれが見たって、あれは人間が住むところとは思われないのであります。南方の土民の住宅とちっとも変らない、その通りの住宅におるんです。しかもこれが戦災を受けておる。こういったようなものについて、何か一つお考えを願いたいと思うのであります。 それからまた、地下資源等についても、マンガン、燐鉱石、あるいはまたアンチモニー等の地下資源もあるのでありますが、ほとんどまだ緒についておりません。そこで、ここであなたの方でこの開発の何か基金を設定でもするお考えがおありでしょうか。これをちょっとお聞きしたい。
○郡国務大臣 開発の基金については、これはおっしゃる通り必要なことと考えるのでありまして、これについての計画を持っておりまするので、説明員の方から申し上げることにいたしまするが、ただいまも御指摘のありました住宅の点でございますね。確かにあの学校などで、永久建築にいたしました分は、台風でも被害を受けておりませんですね。そこで、住宅が公営住宅になり、融資による自己資金等を資金源としては考えておりますけれども、奄美群島に合った住宅、それでありませんと、ほんとうにいつもこわれてしまいますし、学校はああやって永久建築にいたしますと、これには全く被害がない、こういう点は、確かにむだなことをいたさないように、考え方をしっかりして参りたいと思っております。
○吉浦説明員 開発基金を設ける意図があるかというお尋ねに対しまして、ただいま大臣から、そういうふうなことで準備を進めておるということでございますが、その細目について申し上げますと、要するに現在いろいろ復興計画に基く事業を行なっておりますけれども、地元に受け入れ態勢がないと申しますか、地元の負担につきまして、それを負担する能力がないわけであります。今内地の金融機関等を通じて極力行なっておりますが、内地の金融機関の貸付のベースに乗らないわけでございます。どうしても若干ベースを落したもので、相当やわらかい線で貸付する金融機関が要るということを特に痛感いたしまして、現在その案を立案中でございます。特に復興計画の実施は年限が限られておりますので、復興計画が終りました際にも、こういった基金というものは必要でございます。そういった面から、できるだけ機構も簡素化しましたもので、資本金としましてもおよそ五億円程度のもので、その何倍かの貸付ができるような仕組みにして考えておるわけでございます。まだ完全な成案を得てないわけでございます。
○廣川委員 どうもそこのところがわれわれふに落ちないんですよ。内地並みに見ることが、どうもいかぬのです。それで、行ってみて、粗収入が年収八万円だというところに、それが金融ベースに乗るなんということは、絶対に考えちゃいかぬと僕は思うのです。そこをどうにかあなた方の方で、いい知恵をひらめかしてもらいたいと思う。特にその家屋内においてのハブの被害、これが非常に多い、今の建築物の中で。ですから、こういうことからしても、これは人道上の問題で、どうしてもあの家屋は私は直さなきゃなるまいと思うのです。それについて北海道あたりも、あれだけ長い間かかって、やっと近ごろになって寒地住宅というものが緒について、れんが、あるいはまたブロック等でどんどん建っていくのですが、だから、ここは何か政府の力を入れてやりませんと、資本蓄積が全然ないところなのです。そうして粗収入のない、わずかに八万円程度なのです。何か別にここは考えてもらいたいと思います。 それからもう一つあなた方の方で、これは農林省関係でしたが、開拓、開墾する土地がないかというと、そうじゃないのです。徳之島あたりに開墾適地が、平坦の一番いいところが、三千町歩も遊んでおるのです。ことしあたりは国営開墾にどうしてもこれは持っていかなければならぬ、ということをみなが言っておるのだが、できない。だから、主管であるあなたの方からも農林省に強くお話し願って、おやりになることがいいじゃないか。そうして、しかも暖地作物としてやっと緒についたパイナップルがあそこに全般に広がりましたら、パイナップルはそっちこっちから日本へとっておるのは、四十億円と買っておるでしょう。これが僕はりっぱに自給できると思うのです。それと先ほど農林大臣に言いましたが、主作物であるところの黒糖の問題を十分掘り下げて、しかも、これが安全作物になるような方途を考え、そうして単に開発の基礎だけということでなく、それと並行して、産業開発をうんと力を入れてもらいたい。担税負担力のないということは、ほんとうにわかるのであります。この産業の開発は、一番手っとり早いところの農業と漁業、これでやっていくことが一番よろしいのです。それから、あそこにたくさんの国有林があるのでありますが、これなんかもやはり開放して、そして経済樹木を植えて、年中あらしにさらされている奄美大島が豊かになるような方途を考えてもらいたいと思います。
○郡国務大臣 仰せのございましたように、開発基金の問題、これは一つ皆様の御意向も伺い、実際何か実地に合ったようなものにしたいと思います。実は自治庁の前身、旧内務省で沖縄の振興をいたしておりましたときに、全く他と同じに考えたために、失敗をいたしました幾つかの経験を持っておりました。あの場合も、昔話でありますが、何年かたってから、かやを買う金を貸すことから、まずもって始まったというような始末でございまして、振興計画にかやを買う金を含んで、それまでのいろいろな人に与えた被害などを避けていったような始末でありますけれども、そういうようなことは、奄美群島についても、これは各省で話し合いをいたしましたときにもやはり出てくる問題であり、財務当局などとも十分その点実際に合うように相談をいたしたいと思います。 それから徳之島の開拓地についても、これは農林省の直轄工事として着手いたすのでありますが、そういう点は、おっしゃいましたように一つ早く運ぶようにいたしたいと思います。産業の面での、ことにパイナップル、カンショ等、結果が有望であると見えておりますものについては、一つ早急に力を入れますること、また実際その方を主管いたしております各省との間の連絡は密にし、かつ実際実行して参るようにいたしたいと思います。
○廣川委員 最後に一点だけ伺いますが、一番大事なことは、あそこの連絡船でございます。内地の四国あるいは北海道等の島嶼に対しては国鉄がやっておるのでありますが、これは国営か何かで船を運航するような方法が講じられるかどうか、あるいは高率の補助をもって優秀船を配置するようなことができないものか、あるいはまた、そのお考えがあるかどうか、これも一つ聞いておきます。
○郡国務大臣 これは私どもの方の審議会の委員の諸君に見に行ってもらいますときも、近くまでは飛行機で行くんだ、そのあとで、連絡船が不便なために非常にひまがかかる、あれをまずもって直すことがもとだ、というような報告も持ってこられております。それで、現在航路補助はいたしておりまするけれども、これの高率の引き上げか、あるいは、それは直営という形ができましたら、一番いいのかもしれませんが、現在の航路補助をもっと思い切り高率にいたすような点については、一つ考えさせていただきたいと思います。
○廣川委員 これは南方あたりにあるのですけれども、デッキ・パッセンジャーという甲板に乗る客ですが、あの連絡船を見ると、三等客というのはデッキ・パッセンジャーよりももっとひどいのです。実にみじめなことであそこへ連絡しているのですが、これはどうにか一つ考えてもらいたい。 それから民間飛行機の着陸する飛行場は、私は当然必要じゃないかと思うのです。これはごく近くの伊豆の八丈島が、協同組合等で民間飛行機を雇って、観賞植物を東京、大阪等の市場に入れて、非常に島民を潤しているのですが、特に亜熱帯の観賞作物が多いところでありますから、これを皆さん方でお考えになって、飛行場なんかも来年の予算処置にお考えになっておるかどうか、これは大事なことでありまするので、これをちょっとお話し願いたい。
○郡国務大臣 飛行基地は計画改訂に入れております。
○廣川委員 それから、台風の非常に多いところで、あれだけしょっちゅう被害を受けるのだが、無線の設備がないのであります。そこで、この無線設備等もお考えになっておるかどうか、これもちょっとお聞きしておきます。
○吉浦説明員 現在警察無線しかございませんで、一般の行政無線がないわけでございますが、そういった災害時の連絡等につきまして、本土の鹿児島県との連絡及び各離島間の連絡がぜひとも必要になって参りますので、今後計画改訂の際に検討をいたしたい、こういうふうに考えております。
○廣川委員 それは非常にけっこうなことで、あれだけの災害を年中受けるところですから、これはぜひ一つ無線をやってもらいたい。ちょうど私はあらしの中に突入して行ったものでございますから、全然連絡がどこにもつかない、何ともしょうがないようなことになった経験から言っても、これがなくちゃならない。それからまた無電灯と言ってもいいくらい、点灯が問題になっておりません。これは一体どういう方針でいくのか。九州電力に全部おっかぶせてしまって、知らん顔をしているのか。あるいはまた特別の融資をして、みんなに点灯させて、明るい生活をさせるようにするのか。またこれも先ほどの話の通り、はだかの人たちでありますから、むろん負担力はないが、国としてどういう方針で行くのか、これもお聞かせ願いたい。
○吉浦説明員 電力問題は、現在電源が不足いたしておりまして、特に今まであります名瀬市周辺の電力につきましては、ディーゼル・エンジンの発電機を持ち込むことによりまして、若干電圧が上って参ったのでありますが、今後の産業振興の面を考えますときに、どうしても基礎的産業の問題といたしまして、電源を確保しなければならないということから、水力発電につきまして、現在大島本土と徳之島の二カ所において調査をいたしまして、大島本土の分につきましては今年から着工することにいたしまして、現在準備を進めております。なお無点灯部落が相当高率に上っておるわけでございますが、これらにつきましては、電力会社だけでそこまで配電をするということが不可能でございますので、別の面から補助金をつけるという線で、できるだけ無点灯部落を解消したい、こういう方向で考えております。
○廣川委員 実際行ってみると、電灯の配線があって、それが暗くて、わきにランプをつけているというのが実情なんです。そこで、これは九州電力あたりにまかせておいても、これはペイしなければ、事業家というものはやらぬわけです。そこで、その間の中間措置とでも言いましょうか、風力による簡単な発電であるとか、あるいはまた水力の小さなやつであるとか、何かここでお考えになってあげないと、あの恵まれない人たちは私は非常に嘆くのじゃないかと思うのですが、何かもう少しあなた方お考えになりませんか。
○吉浦説明員 電力問題は、実はそういった無点灯部落が非常に多くあるということは、一種の人道問題にもなって参ると思いますので、先ほど申しましたように、あらゆる観点から検討を続けて参ったのでございますが、現在大島電力という電力会社が存在しておりまして、それが経営をいたしておるのでございますけれども、何分にも経営の主体性がなくて、財政的にも貧弱でございまして、信用力もありませんので、そのままこれを育てていくということには、相当な難点があったわけでございます。九州電力の方で参加するということにいたしまして、今九州電力が後援をいたしておるわけであります。できるだけこの会社を伸ばしていくとともに、この会社の手で及ばない面がございました場合には、地方公営企業、つまり各町村で電力を経営させるという方向を考えておりますのと、その他いろいろ現在現地を視察しておりますので、その視察団が帰りましたあとで、十分に審議会で検討いたしまして、やって参りたいと思っております。
○廣川委員 いろいろと手を染められておるようでありますが、歴史的に見て、先ほども申し上げた通り、いろいろな段階を経てきておる奄美群島であります。そこで、この人たちに政治の貧困、行政の貧困の苦しみをなめさせるということは、お互いにこれは相済まぬことなので、お互いに政府とわれわれが一体になって、あの人たちに光を与えてあげなければならぬと思うのです。ですから、今までありまするような奄美群島の復興法なんという小さなものにとらわれずに、もうちっとからを破って、そうして起案なすったらどうですか。そしてまた、予算の今審議中でありましょうが、多く出してもいいじゃないですか。一ぺんやり直してごらんなさい。どうもあなた方の話を仄聞しておると、やはり今までのような小さなからでおやりになるようです。それじゃあの群島の人たちは救われないのですから、ここで一つからを破って、少し大きく取り上げていくことが——この一番戦災を受けた、しかも占領の苦しみを一番長く味わったこの島民が、希望が持てるような、一つ明るい行政をやれるよう、この通常国会を通じておやり下さることをお願いいたして、質問を打ち切ります。
○五十嵐委員長 ほかに御質疑はございませんか。——別に御質疑もないようですから、本日はこれにて散会いたします。 午後二時四十三分散会