P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
26回国会衆議院1957/04/08

公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第7号

発言数
41
登壇者
6
会派数
2
開催日
1957/04/08

会議録

石坂繁自由民主党

○石坂委員長 これより会議を開きます。  公職選挙法改正に関する件について議事を進めます。前会に引き続き質疑を続行いたします。井堀繁雄君。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 去る五日の本委員会で、地方自治体の選挙を公明かつ厳正なものにいたしますための質問をいたしました際に、地方の選挙管理委員会の委員長もしくは委員に、都道府県知事及び市町村長の組織下に置かれておる、たとえば副知事あるいは部長、市町村にあっては助役、職員などがそういうメンバーに加わっておるものの実態調査を希望しておきましたが、その結果をこの機会に明らかに願いたいと思います。

兼子秀夫総理府事務官(自治庁選挙部長)

○兼子政府委員 この前お尋ねの、助役等が選挙管理委員会の委員長となっておりますものは、これは全部報告がまだ集まっておりません。徳島等はまだ未報告でございますが、委員長と助役が兼任しておりますところが全国で二十ございます。それから、委員と助役が兼務しておるのが八ございまして、合計二十八となっております。そのほかに、御参考までに、収入役と委員長と兼職いたしておりますものが五、委員と兼職いたしておりますものが十、合計十五でございます。そのような数字になっております。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 府県のはわからぬのですか。

兼子秀夫総理府事務官(自治庁選挙部長)

○兼子政府委員 府県の方はまだちょっと調べております。府県におきましても若干——最近の情勢はわかっておりませんが、以前におきましては若干委員を兼職しておるのがあったように記憶いたしております。ごくわずかであります。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 政務次官にお尋ねをいたしますが、前会選挙部長に御答弁を願って、ある程度明らかになっておりますが、なお自治庁長官の答弁をいただくために、さように質問を延期しておいたわけでありますが、次官がお見えでありますから、当然大臣にかわって責任ある答弁をいただけると思いますから、伺います。それは、この選挙法の第一条に選挙法の大目的が明示されております。選挙は、言うまでもなく、選挙人の自由に表明する意思によって公明かつ適正に行われることを、この法律は確保しなければならぬのであって、これは言うまでもなく民主政治の基礎的な条件の一つであります。そこで、この選挙法は、国会、すなわち衆参両院議員と都道府県、市町村のような自治体の公職選挙を一本で取り扱っておるわけでありますが、とりわけ、自治の問題について、この選挙法のあるべき正しい姿というものが問題になってくるわけでありまして、その点についてやや具体的なものを例示してお尋ねをいたしてきたわけであります。  そこで、あなたもごらんになっておると思いますが、田中自治庁長官は、その著書の中で——憲法に関係した著書を三つばかり私拝見いたしております。そのうち二つたけは、手元に取り寄せまして、全部拝見いたしました。その中で、「新憲法の解明」という、かなり平易に憲法を解説したものの中で、新憲法と地方自治に関する点に言及されております、しかもかなり具体的な事例を引いておりますが、この点は、これは著者である田中自治庁長官からお答え願うのが至当だとは思いますけれども、あなたはこれをお助けになっております共同の責任をとられまする政務次官でありまするから、これにお答えできるならばお答えしていただくし、できなければ、またその機会を委員長を通して作っていただこうと思います。できればきょうでも出席願うかもしれません、一応お答えを願おうと思います。  それは、この前もちょっと言及しておきましたが、ジェームス・プライズ卿の「近代民主政治」に記載されておりまするいろいろな事例を随所に取り上げて、これを全体を拝見していきますと、プライズ卿の民主主義に対する基本理念を全面的に取り入れていっている、いい文書であると私は思う。言うまでもなく、プライズ氏の思想については、私が駄弁を付加するまでもありません、地方自治の上に民主政治というものを考えているという一貫した思想であります。この思想を「憲法の心」の中で取り上げたということは、田中自治庁長官の考え方が明確になってくると思うのであります。こういう考え方からいたしますならば、現在の選挙法については、私は積極的な改正を意図されるであろうと思う。そうしなければ、田中長官の抱いておりまする、地方自治に関するあるいは民主主義政治に対する、こういう著書に表わした考え方というものが、全く思いつきのものであるか、しからざれば政治力を疑われるかということになるわけであります。しかしながら、自治庁長官というポストは、こういう問題を実践するに最もふさわしい立場であることは間違いないのであります。こういう関係からいたしまするならば、さっき極端な事例として現われました地方自治を理想的なものに育て上げていくためには、選挙それ自身が適正に行われなければならぬことは言うまでもないわけであります。その選挙は、この自治の精神からいいまするならば、あらゆる権力から独立しなければならぬ、しかも、このプライズ氏の思想は、私も著書をこの問題について多少読んでおります。なお今回多少時間をかけて全体を読んでみましたが、その基本的な考え方というのは、民主政治の基本的思想をここから引き出しておるようであります。すなわち、多数者の支配たる民主政治という短かい言葉で、この思想はある程度表明することができると私は思う。そうすると、多数者の支配たる民主政治、すなわち自治をこういうふうに言いかえていくことができるわけでありますが、そうすると、地方自治の首長は公選であります。市長なり町村長なりあるいは知事なりは公選でありますから、その公選は言うまでもなくその選挙民の自由なる意思によって表明するという精神を選挙管理に移します場合には、その選挙管理機構というものがそういう権力から独立していなければならぬことは言うまでもない。さらにそれに選挙民の自由な意思を表明せしめ得る本質が具備されていなければならぬことは、言うまでもないのであります。にもかかわらず、先ほどの自治庁の方の調査にりますと、全く首長の任免にまかされておる、いわば首長に配属する助役あるいは収入役、そういう人がその長の選挙を行う管理委員会の委員長であったり委員であるということで、その選挙が公正に行われるはずのないことは、これはもう何もむずかしい議論を必要としない。こういう矛盾撞着がこの選挙法の中で処理できないということは、田中自治庁長官としては片時も放置できない大きな問題ではないかと私は思う。こういう点に対して長官とお話し合いをなされたことがもちろんあると思うのでございますが、これに御答弁ができましょうかどうか、一つ伺っておきたい。

加藤精三自由民主党自治政務次官

○加藤(精)政府委員 ただいまは、選挙と地方自治との関係につきまして、非常に深い御思索の上の御意見の発表と御質問があったのでございます。大臣不在でございまして、ちょっと私のような者からお答えすることが適当かどうかはわからないのでございますが、自治庁といたしましてかねがね御意見のあるところを承わっておりますので、便宜私からお答えさせていただきます。  前段の大前提になる御議論の民主政治理念につきましては、私たちも同様御意見の通り考えております。またプライズ卿がモダン・デモクラシーで述べておりますように、一般大衆と地方自治との関係におきましても、一般大衆は毎日々々朝から晩まで地方自治のことを考えているわけではないのでございまして、選挙というような機会にこそ、ほんとうに地方自治の充実あるいは国の政治をりっぱなものにするというような意欲の実践を集中して、そして自分らの手によってよき政治を作っていくということにつきましては、われわれ同感なのでございまして、そうした意味におきまして、地方自治を育てるものは選挙だということも言い得ると思うのでございます。そうした観点から、国といたしましても、国の政治が地方自治のよき発達から積み上げられるものであるということの理念に基きまして、国、地方を通ずる選挙法規の立法につきましては、一定の理念で貫いたりっぱな選挙法規を持っていなければならない、そういうふうに考えるものでございます。自治ということは多数者の支配たる民主政治という御意見につきましても、私たちもちろん同筆ございます。  権力からの独立のことでございますが、新しい地方行政は、憲法の面においてもそうでありまするように、国の政治というものから一応地方自治の政治は独立的なものにしてございます。そういう理念ででき上っておるのでございますから、外部からの圧迫によって住民自治の意思が制限されるということは、もちろんこれを拒否する法制になっているわけでございまするが、当該選挙管理委員長の選任は、当該地方団体の意思機関でありまするところの議会が選任いたすようなわけでございますから、そうした関係で、議会そのものが良識を持ちさえすれば、自治的なよき選任ができることになるわけでございまして、そうした選挙管理委員の選任という一つの自治活動というものが純化されていくことを望むわけでございまするが、ただいまの御意見によりますると、全国にそうしたことに対する弊害が相当多いということを承わっておるのでございますし、制度上とかく首長の任免権下にある機関でありますことのために、諸種の疑惑を持たれたりすることもまたあると思いまするので、将来立法におきましてそれらの点を十分調査研究いたしまして、具体的に相当な弊害がございまする場合におきましては、法の改正をいたさなければならぬのではないか、現在ではそういうふうに考えております。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 お尋ねが長い時間にわたりましたから、御答弁も親切であったかと思いますが、簡単にもう一度明らかにいたしたいと思いますのは、あなたお認めのように、市長あるいは知事の選挙に、その任免される部下が委員長で選挙管理するということは、常識上あり得ぬことです。しかし、現存しているし、数の上でもかなりある。このままにしておいては公正な選挙はできぬ。選挙法の精神をここでチェックされてしまう。これをどうするか。私は、だから直ちに法律改正をやらなければできないものとは思いません。こういう問題に対しては行政指導によって改め得るものだと考えておりますが、この点はどうお考えでしょうか。

加藤精三自由民主党自治政務次官

○加藤(精)政府委員 現在の制度におきましては、府県市町村の理事機関の行為に対しては、指導あるいは勧奨というような一種の行為ができるのでございますが、それ以外の議会という機関に対しましては、そうした指導勧奨等の一種の強制行為はできないことになっておりますので、現在は、議会がそういう議決をしないように——まあその人によるわけでございますけれども、不適当な場合、そういう不適当な吏員を選挙管理委員にしないようにという指導を加えることはできないことだというふうに了解いたしております。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 今の御答弁によりますと、行政指導の範囲ではない、こうお答えが明確にあった。そうすると、これは、法律を変える以外は、こういう現状を見送るという結果になると思います。この点いかがでしょう。

加藤精三自由民主党自治政務次官

○加藤(精)政府委員 所管官庁の地方団体に対する行政としてはそうでございます。また選挙粛正とか民間運動等のいろんな運動をどういうふうに持っていくかというふうな問題は別でございますけれども、なまの所管官庁の行政指導としては、今行政指導の範囲外になるということを申し上げたわけでございます。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 それでは、行政指導では困難だ、そうすると立法措置を講ずる以外にないということになるわけですが、選挙法のそういう部分に対する改正の御意思はございますか。

加藤精三自由民主党自治政務次官

○加藤(精)政府委員 選挙法も、常に実情を検討しながら、一つ一つ改正していかなければならないのでございまして、現に、自治庁の方におきましても、そうしたことも現在いろいろ法自体につきまして研究しておりますと同時に、いろいろ研究さしていただきたい、こう考えております。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 これはもう、先ほど来あなたもお認めのように、こんな大きな弊害が——これは何も具体的事例をあげなくてもわかるわけです。こんなべらぼうな選挙管理なんというものはあるものじゃないのです。しかし、それが行政指導の面でも不可能だ、法律の上からいってそのことは許されるということになると、結局、地方の自治体の中でも、首長の選挙に限っては、全く自分で管理委員会を作って、そしてその部下に命じて選挙を管理せしめて自分が選挙をやるということになるわけです一体この法律の精神とこんな矛盾した事実があっても、ほっとかなければならぬものでしょうか、どうでしょうか、あなたは、行政的な指導も困難だ、またすべきじゃないというふうにもお考えのようですが、そうすると、法律それ自身はこんな矛盾を持ったものになる、この点どうお考えになりますか。

加藤精三自由民主党自治政務次官

○加藤(精)政府委員 お説でございますけれども、選挙管理委員の選任というものを最も公平にやるという立場から申しまして、これを理事者の任命にするわけにもいかないでしょうから、そうしますれば、市町村の意思を公平に代表するものとしての議会の選任というふうなことに、一応は民主政治理念から見るとなる。そうすると、その中におきまして、たとい市長あるいは県知事の部下であっても、最も公正であって、選挙の法規や選挙の実務等にも通暁しておる者を選挙管理委員の中に一人入れたい、あるいはそういうふうな者を選びたいというふうなことで選任いたしました場合は、選挙法というものは、法の運営では自由裁量の余地のない強制法規が大部分でございますので、あまり弊害がない場合もあり得るのじゃないか。それで、たとえば市町村等で選挙法規に詳しい民間有志も少いような場合に、人選難等の際にそういうことがたまに起っておる。ただいまも選挙部長から申しましたように、数はあまり多くないようでございますけれども、そういう事例があって、そういう事例の場合には非常に多くの弊害がない場合が相当あるというようなことで、今日までそういうことも一部に行われてきたのじゃないか、こう考えるのでございまして、制度それ自体の弊害よりも、運営の弊害の方が実際は多いのじゃないか。そういう事態を考えますと、今度終りになりましたけれども、町村の教育長を助役が兼ねるというような場合の弊害よりも、弊害がある場合が総体から見れば少いのじゃないかというふうな気がいたすわけでございます。しかしながら、少いにいたしましても、その弊害の実情が選挙制度全体の核心的な部分に関連するものでございますから、とんでもない大きな弊害があって、それが全国の選挙そのものの公正を疑わしめるような事態が起っては大へんでございまして、また、井堀先生の御見解では、そういうふうな実例があるという御主張だろうと思うのでありますが、そういうたとい数は少くても致命的な弊害と認められるようなものがあって、それが全国に響きまして、国の選挙、地方の選挙を問わず、わが国で行われますところの選挙そのものの全体に不信の念を生ぜしめるというものがある場合におきましては、立法上、そういうことのないように保障することが必要じゃないか、そういうふうな工合に具体的には考えております。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 どうも終りの方がはっきりしなくなったのですが、前段は、はっきりあなたもお答えいただいたように、自治法の精神から判断しても、あるいは選挙法のあるべき姿から見ていきましても、当然その首長の任免される職員なり、そういう者が選挙管理をやれば独立性を失うということは、言うまでもないのです。だから、こんな矛盾した姿が現存しておるということは明らかなんです。その弊害は、具体的な事例をこの間からあげて審議をしておるわけでありますが、しかし、これはあなたもお認めのように実例をあげるまでもないわけです。それをどうするかということについて、あなたは明確な答弁を避けられておるようです。すなわち、行政的勧奨はできない、またすべきものじゃないというふうにお考えのようでありますが、そうだとするならば、立法措置でこれを解決する、だからその法の改正をするという御意思があるかどうかというお尋ねをしておるわけです。その点御意思はありませんか、ありますか、明確に一つ——もちろん長官と相談しなければ答弁ができないのなら、それでもけっこうです。無理なことはお尋ねしたくないと思うのです。

加藤精三自由民主党自治政務次官

○加藤(精)政府委員 ただいまその最後に端的に意思があるかないかということの意見を出せということでございますが、問題を自治庁の方で承わりましたのが、きわめて近い過去でございますので、十分調査いたしまして、できるだけ御期待に沿うようにいたしたいと考えております。  それから、前段、議会で自治団体の首長の部下である者を選任する場合は、いかなる場合も弊害があるにきまっているという御意見だったように承わりますが、これは、必ずしも政党政派の盛んでない地方団体もあり、派閥抗争の盛んでない地方団体もござ’ますので、一がいに全部が公正を保たれないと言うことはできないのじゃないか。また、当該選挙に処します者も、現在の首長であったり、また現在の首長と非常に因縁の深い者でない場合もございます。私、地方団体に長く理事者等をやっておりました経験から見ても、実害のない場合にも遭遇しておりますので、制度そのものが本質的に全部悪いということじゃないように思います。その点、自治庁の答弁だとして、御結論しておられるのと若干違うと思いますので、相当の場合、首長が再び首長に立候補するとかいうような場合に、若干好意を持つというような傾向があることは、あり得ることだろうと思いますが、何しろ、選挙法規こいうものは、自由裁量の余地のない独制法規ばかりでございまして、よほど犯罪を犯すくらいの気持でなければ、選挙管理委員は不公正な措置は選挙事務についてはとりにくいわけであります。また、選挙管理委員だということの地位を利用して特殊な行動をするというようなことは、また考えられ侍ることでございますが、その弊害も、あまり露骨にやるような非常識なことは、よほどの場合でなければ、そうしばしばじゃなかろう、地方の実際について考えますと、そんなふうにも考えられる面もございます。議会が、非常に弊害のあるものでございましたら、そういうふうな非常に弊害を起しそうな吏員を管理委員に選ばないだろうということを、一応は推定できるわけです。しかしながら、派閥抗争の激しいときは、それをも振り切って派閥的に現在の首長のもとにある吏員を管理委員会の管理委員に選任するということも、絶無ではないと思います。たまたまそういうふうな最も悪い事例の際に、選挙制度全体に対して相当不信を抱かせるような、突拍子もないような行動をしたものがあるという事例を、井堀委員におかれましてはいろいろ御想定になっておられる、そう考えるのであります。大前提の首長の行なった者が管理委員になる場合、すべての場合に弊害があるとは考えていないということ、御意見の若干のニュアンスの差だけでございましょうけれども、正確にものを申しますために、その点も申し上げておきたいと思っております。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 あなたがおっしゃるように、まだ——地方の町村という方がわかりいいかもしれませんが、町村の場合におきましては、選挙関係に、特に選挙事務のような管理については、十分な知識を持った管理委員を選ぶことがむずかしいという事情から、とかくそういうものに明るい者は、村町の職員であったり、あるいは収入役や助役であったりする場合が多いので、たまたまそういう人たちが選ばれて出てくるという御趣旨のようであります。私もそのことはよく承知しておる。しかし、そういう考え方を推し進めていきますと、この選挙法自身を抜本的に変えなければならぬじゃないかということを、いつかの委員会で冒頭にお尋ねをしてから、この問題に入った。私の考え方は、公職選挙法は、衆参国会議員の選挙と、地方の自治体の議員及び首長の選挙を一本でやっておる。ですから、今の場合、この選挙法の上で論議するより仕方がない。末端のそういう市町村の選挙管理委員会が、国会議員の選挙事務を管理することに対しては、何ら弊害がない。——何らということは言い過ぎかもしれませんが、比較的公正に行えるものと見てもいいと思う。しかしながら、先ほどから私が分けてお尋ねしておるのは、自治体の首長の選挙をやるときに問題がある。これは、神様でない限りは、上司の指揮命令に反してまで行動する限界は、そうだれの判断も変らないと思って、実は私はお尋ねをしておるわけであります。この点は、あなたの方の選挙部長も、自治の精神に対しては、こういうやり方は穏当でないということをお認めになった。これはだれでも同じだ思う。だから、私が具体的な例をあげてこの前やったのですけれども、なるべくそういう例を口にしたくないものですから、申し上げておらない。しかし、今日、さっき例をあげられた市の場合ですね。助役と収入役が委員長と委員をやっておられる。それを全部私は調査したわけではありませんが、大なり小なりこれは弊害をみなもたらしておる。だから、それを改めることができないとするなら、これは取締り当局の限界も伺ったわけであります。取締り当局の限界は、たとえば事前運動という具体的な事例で島上君からお尋ねがあって、それに関連して私はお尋ねした。ここでも明確にしておりますように、私どもは中川部長の答弁と同じ見解を持った。なるべく選挙違反というようなものは取締りによらない。すなわち選挙民である主権者の良識に訴えていきたい。政治的良識の向上によってやはり公明選挙が行われてくるようにすべきであるということは、選挙法にもうたっております。また、われわれは、このために、予算を出せとか、もっと積極的な行政をやれとかいうことを、注文をつけてきておるわけであります。しかし、これは理想であって、現実の間に合わないのです。島上君がお尋ねしたのは、具体的な事例をあげて、抽象論でなくてお尋ねしての結果を、私は関連してお尋ねしておるわけであります。ですから、中川部長のお答えは、事実上取締りができぬのです。一番いいことは、常時啓蒙をやって、そういう事態の発生せぬようにやろうという選挙法の掲げておる理想を第一にし、第二の問題は、結局選挙管理委員会の活動を期待したわけであります。しからざる場合に、警察の注意なり警告なり、もっと具体的な事例があれば、これは人権じゅうりんに差しさわりのないような取締りをやろうということになると、違反の具体的な事例が現われてこなければならぬということになると、われわれのように選挙に常時関係をしておる者からいいますと、警察あるいは検察当局はとうていこういうものに対する取締りができぬ。したら、それは弱い者に対する権力の専横、すなわち人権じゅうりんを問わざるを得なくなると言っても、言い過ぎではないと私は思う。だから、こういう実態をほったらかして——これはわれわれが選挙法を作った責任がありますからね。これは法の盲点になっておるのです。だから、この解決をしなければ、私は地方自治の公明な選挙などというものは思いもよらぬことだと思います。こういうことで自治が発展するはずがない。それで非常に遠いところからお尋ねをしたわけでありますけれども、しかし問題はきわめて近いところにあるわけです。こういう問題の解決が今できないようなことで、民主政治の精神を多少でも良心的に実行に移そうというようなことはできるものじゃない。幸いにして自治庁の長官はそういう思想を持っておいでになるということが明らかになっておりますので、この長官のもとにおいては、こういう問題くらい即刻解決できるものと私は思っておりました。明確な御答弁をいただいてすっきりした形を期待できると思って、これは御相談なさるまでもないと思って、実はお尋ねしたわけであります。それは田中長官に関することだからというならば、無理にあなたにお尋ねするのは悪いからと思っておったのですが、あなたは十分御相談なさっておるようでありますから、答弁を願っておるわけです。無理なことを言っているわけじゃありませんから できるとか できぬとか、すべきであるとか、どうであるとかいうようなことを、はっきり言っていただきたいと思います。そうしませんと、今後われわれが選挙法に対する——あなたは選挙法は非常に自由裁量の幅が狭いと言っておりました日けれども、何も法は必ずしもそのまま適用できるものじゃありません。解釈上の問題がいろいろ出てきます。今後すぐ出てくる。今現に山口県で知事の選挙が行われておる。大阪で参議院議員の補欠選挙が行われております。なまなましい問題が出てこないとも限らぬ。自治庁の解釈や取締り当局の行動がそれぞれもう迫られておるわけです。これは国会議員と違って自治の場合を私はあげておるのです。自治の場合は、方々でまた行われておると思いますが、ただ表に出てくるかこないかだけの問題です。ここにはっきりしたものをすっぱり片づけていくことが大事じゃないか。もし政府がそういう御意思がないとするなら、われわれは議員立法ということも考えなければならぬ。しかし、こういうことは議員立法にすべきかどうかということについても、御意思を伺えばすぐわかることでありまして、そう食い違いはない思ったから、はっきりした御答弁を伺っておるのです。だから、こういう点についてだけでも、法律を改正するかしないか、しないとするなら、行政的な方法があるかといえば、行政的な方法はないとおっしゃる。そうすれば法律改正しかないじゃないか、こういうことをお尋ねしておるわけでありますから、はっきり一つイエスかノーかお答うえ願いたい。

加藤精三自由民主党自治政務次官

○加藤(精)政府委員 御説のあるところ、やっとわかりましたのでございますが、ただいま承わりましたように、相当の弊害が現在あるということを前提にしておられるようであります。その弊害につきまして承わりますと、警察庁の当局も相当大きな弊害だと認めておられるようにただいま承わりましたのでございす。それらの点にかんがみまして、政府の方といたしまして至急調査をまとめまして、改正を要するようなことが判明いたしますれば、できるだけすみやかに改正いたしまして、御期待に沿いたい、こう思っております。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 しつこいようですけれども、あなたの立場を苦しめようという考えはごうもありません。できないならできないとおっしゃって下されば、われわれは議員立法を与党の諸君とも諮ってみたいと思っております。しかし、これは、行政庁が実際問題には詳しいし、これから調査しなければわからぬようなことではない。何べんもはっきり兼子部長からもそれぞれの見解を明らかにされておるところなんです。こういう具体的な例があるからやれというのではなくて、ただそれを例に取り上げただけです。しかし、これは、繰り返すようでありますが、どこから判断しても穏当でないとするならば、そうしなければならぬ。二つ改正の仕方があるのです。一つは、抜本的にこの公職選挙法を自治関係の選挙法と国会議員の選挙法というふうに分離すれば、今あなたのおっしゃる点については、私は別な法律の構成の仕方があると思う。自治の選挙だけをやる選挙法になりますならば、それは、自治の精神からあなたが言及されたように、選挙管理委員会の人選は自治民の自由にまかせるから、中央議会や中央の行政機関がこれにくちばしをいれることは、これは自治の精神からいって好ましくないと思う。それが勧奨であっても、理想からいえばよくないと思う。しかし、今のところは残念ながら法律で一本なんです。だとすれば、歩調を合せなければならぬ。ですから、別個にして考えるというならば、あなたが先ほどちょっと地方の町村のような場合の例をあげて言われた、それはまたほんとうに自治民が自由にしかも適正公正に選挙の意思を表明できるような選挙管理のやり方というものが私はあると思う。しかし、それをやろうとすれば、国会議員の選挙法と混線してこれはうまくいかなくなる。ですから、一応現行法の中で考える場合には、それでは逆に言いますと、国会議員の選挙をやるのに、国会議員が任免権を持つような、与野党がそれぞれ好きなものを選挙管理委員に選び出して、自由党系の選挙管理委員、社会党系の選挙管理委員を政党の数に比例して出すというようなことで選挙をやらしておったら、政党の選挙区の関係者が集まって選挙をやるようなもので、そんなむちゃなことはできやしない。これは、二大政党の形をとるから、すぐ答えが出るのです。ですから、できるだけ選挙法の改正にすら政労の関係者が入らない方がいいという潔癖な主張をなさる方があるくらいですし、選挙管理をやるのですから、自分の選挙をやるのに自分が使っておるものを選挙管理委員にしてやらしたら、何をしでかすかわからぬ。だから、それは一つには、あなたもお認めになるように、まだ日本の自治というものは成長していないから、そういう自治民が自由に意思表明ができるような公明選挙を行う管理委員会が思うようにできないということを説明するだけの話なんです。それはまた啓蒙宣伝に属することでありましょう。だからといって、仕方がないという考え方は私はとらざるところです。それを補うには、もっと積極的な進歩的なものを考えるべきである。しかし、それをやるにしても、別個に考えなければならぬ。しかし、一緒になっておる現行法のもとにおいては、一応できないと見なければならぬ。それならば、やはり法律の改正をその部分だけでもやるべきであるし法律によらなければならぬ。結局これはどっちにするか。だから、あなたの方は、やらぬならやらぬと言えばいい。それは、やれぬという場合も、やりたくないという場合も、いろいろあるだろうが、そこをはっきりしてもらわなければ、われわれはこういうものに対する審議が進められない。それで実は長官の御出席をこの間から要求しておるわけです。それで前会保留してきょう開いたわけでありますけれども、きょうも差しつかえがあるようであります。何も私は田中さんにほれているわけではありません、田中さんに聞かなくても、むしろあなたの方がそういう方には詳しいかもしれません。権威者かもしれません。そういう点ではっきりするものははっきりしていただきたい。相談して、するというのなら、それでもいい。何もきょうすぐ聞かなければならぬというほど、私はせっかちではありません。しかし、あまりむだはしたくないというように思いまして、できればはっきりしたことをお聞かせ願いたい。

加藤精三自由民主党自治政務次官

○加藤(精)政府委員 井堀先生が御質疑になっておる中に、なかなか質問の内容が理解できないので、答弁に惑っておるのではないかというふうな御意見があったように承わっておりますが、大体井堀先生の御質問の構成、脈絡は理解しているのでございまして、選挙法を、国の選挙のための選挙法と、それから各段階の地方団体の選挙のための選挙法に分けるのも一策じゃないかという一つの御想定のあることも、よく理解できるのです。ただ、私今まで申し上げなかったのですけれども、大体地方自治行政というものは、従来のわが国では超党派的に運用されてきているので、政党政治というものはそう深く入り込まないような町村も相当あるのです しかしながら 当該地方団体だけの市長選挙なんかになりますと、直接公選ということは非常に珍しいものでありますし、新しい制度に習熟していないために、熱心の余りいろいろの弊害があるという点も、私了解できるのであります。しかしながら、長年選挙事務というものは非常に公正にやるものにされて、厳格にやるものにされておりますので、また選挙法規にはいろいろむずかしいこともございますし、各地方団体では選挙事務の生き字引みたいなものが相当でき上っておるわけであります。そういう生き字引のような人たちは、他の部門と同じように、その自治団体の職制におきましてどんどん栄進していくというような人でなしに、相当な生き字引だから、いつまでも余人をもってかえられないから、ずっと選挙をやっているという人もあるわけであります。現に、私のごく近い地方団体等においても、長年そこにおります吏員で、市の選挙管理委員長をやったり、またそこの市の助役が県の各市町村の吏員のうちで最も選挙事務に詳しいというので、県の管理委員なんかにもされておりますけれども、そういうものを見ておりましても、別に弊害を聞いたこともございませんし、また実際まじめにやっております。ことに国や県の選挙等の場合に、そういう熟達のものがいると非常に都合がいい。また市町村選挙管理委員会もそうした上級の選挙の事務も扱うものでありますから、いろいろ得もあるわけであります。要するに、そうした行政上の取扱いの実際上の能率とか便宜とかいう面と、それから井堀先生の御指摘になりましたような弊害との利害較量の問題になりますが、しかしながら、差し引きよければ、現状のままでいくということは決して考えているのではない。こういう選挙の問題は、一つの著しい不公正が、あらゆる選挙の公正に対して、選挙民に不信の念を抱かせるということがあっては大へん大きな弊害でございますので、その弊害の程度を、なお若干時日をいただいて調査をいたしまして、どうしても弊害が著しいと認めました場合には、できるだけすみやかに法律改正の措置をとりたいということを、われわれ考えておるわけであります。決して逃げているわけでもございませんし、御質問の趣旨を取り違えているわけでもございませんので、しばらく調査をさしていただければありがたい、こういうふうに思っております。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 それでは一つ誠意を待つことにいたしたいと思います。  次に、もう一点、やはりこれと関連をいたしておりますが、それは、選挙管理委員会が独立して、しかも、選挙法に規定されておるように、適正かつ公正な選挙運動をやっていくという場合に、また一つこういう具体的な例が出ておるわけであります。これも調査を願って資料を出してもらおうと思います。これは、川口市の市条例の中で自治協力会というものを設置しておるわけです。第一条の中ではその目的と構成を明らかにしておりますが、構成は、市の中にあります町や字を区域として、そこに自治協力会を作らせる。そうして協力会が連合会を持つことになっている。そうして、その協力会の目的は、住民の自治に関する広報連絡という表現をしておりますが、次の項で、これは市の行政の下部機関になっていることが明らかになっております。それから第二条には、その会の規定や役員の氏名や会員名簿を市に届け出て、市長の承認を得ることにきめております。それから、第七条には、この連合会——さっき申し上げた自治協力会に大体七つの地区連合会を作らせる。町村合併前の町村の単位でありますが、その連合会には、市会議員及び公選または選任による各種の委員は随時出席して意見を述べることができると、こういうことをわざわざ規定してある。これだけを見てもわかりますように、戦時中の町内会、部落会といったような考え方の上に立脚していることは、きわめて明確なんです。しかも、それが市の下部機関として、それからその役員や会員の名簿が届出をされて、市長が承認をするということになれば——しかもこれは市条例でこういうことをきめている。それのみでない。毎年何がしかの予算を組んで、しかもそれが会員一名について幾らという単価のきめ方で予算を取っているわけであります。ですから、完全に市の行政機関の下部組織になっているというような見方もできるわけです。それから、さっき七条の規定で言ったように、ここへ市会議員やあるいは公選または選任による各種の委員が随時出て意見を述べる、その会議の運営に参画するということをわざわざ明記してある。これだけでも問題がすぐわかりますように、それが、たまたませんだって島上君から指摘されましたように、事前運動に動員された。そこへ選挙管理委員長がわざわざ出て行って、これは選挙の事前運動にはなりませんということをわざわざ言ったというような問題になってきたわけであります。これは、私は、川口の事例があまり極端なものであるということは言えると思うのですけれども、こういう下部組織ができてきますと、これは多く論議するまでもありません。田中自治庁長官なら、すぐこれはプライズ卿の思想に対立する組織であることは言うまでもないし、それから日本でも戦時中経験したことである。今さら論議するほどむずかしい問題じゃない。悪意があってこういうものを作ったとは私は思いません。私多少事情を知っておりますが、自発的にできた。ばらばらではいろいろやりにくい点もあったし、統一的なものにしたいという行政上のいろいろな不便から、そういうことを考えてくることも私はあり得ると思う。しかし、それは、あくまでも自治の本質を失わないように、ただ行政上の便宜だけを考えて、自治の本質をそこなうような、自治民の自由を縛るようなことは避けなければならぬ。ですから、そこに思いが足りなかったといえば、言えぬことはない。情状のあれはできますけれども、しかし、こういう制度がよろしいということになりますと、これも選挙の場合にとりますならば、これを選挙の下部組織にして市長の選挙をやり、あるいは県知事が市町村単位にこういうものを作って、県費や市費で助成金をくれ、そして年に一回でも二回でもいろいろそれぞれの催しに相当の金額で派手にやられた日には、現役の自治の長が選挙をやる場合に、これで落選するなら、よほどどうかしていなければならぬ。それで、先ほどあなたもちょっと議論の中に指摘されたように、今日まだ、町村にあっては、公選の市町村長の任命する職員でなければ、選挙管理についても十分な知識を持ち合していないというほど、日本の政治訓練は低いものだという事例があげられているわけです。そういうときに、こういう組織を持たれて、その組織を通じて選挙をやられたら、どんなに公明選挙を言っても意味がない。これは本質的なものだと思う。川口の例をあげることは私自身あまり適当じゃないと思っておるのでありますが、ほかに格好の例を知りませんものですから、お尋ねしたのです。できるならば、自治庁としては、こういう例がほかにあるということを至急調査して、資料として提供してもらいたいと私は思います。それでこの問題に対する自治庁の見解だけを一つ承わっておきたいと思います。

加藤精三自由民主党自治政務次官

○加藤(精)政府委員 私もこの自治協力会の設置規定をただいま初めて拝見いたしましたので、どうも大へん申しわけありませんが、私の大体の考え方を申し上げますれば、今度は、現在の地方制度の上で、地方自治の固有の自治体たる市町村は合併によって非常に大きくなりましたので、何らか市の政治の運営につきましての下部機関といいますか、そういう市の行政の円滑に行われるための純粋な一種の組織がないことにはなかなか困る。交通上非常に便利であったり、比較的地域が狭かったりするところは別でございますけれども、そういうことも問題があろうと考えておったのでございますが、それがいろいろ行き過ぎがあったりいたしますと、また非常に困る。全国的に今町内会、部落会的な組織は、本日も御出席になっておられます大村委員が国務大臣時代廃止されて、今日に至っておるわけです。しかし、非公式のこうした——私は今見たのでちょっとびっくりしたのですが、この第二条の、市に届け出て市長の承認を得るというようなのは、私は国会に出るまでずっとこんなことをやっておりましたものですから、こういうふうな種類のものの実際を非常にたくさん見ておりましたけれども、ちょっと珍しいと思いました。しかしながら、こういうものは大体は日常の社会生活を市の行政にマッチさせるために作っているものでございまして、こうしたものが今でも市町村に自然発生的にだいぶできておりますけれども、これは何も選挙目当てのものでも何でもない、純粋なものである場合が多いのでございまして、問題は、こういうものを意識的に選挙にも活用し得るように、自然発生的でなしに、作為で統一的に作ることのよしあしという問題になるのじゃないかというふうな感じがいたしております。  なお、これらのことは、その行政の方の自治におきましての専門家であり、経験家であり、同時に学者である行政部長に判断させる方が、より正確な判断ができるのじゃないかと思いますので、行政部長に詳しい判断をさせて、それを御答弁にしたいと思っております。

藤井貞夫総理府事務官(自治庁行政部長)

○藤井(貞)政府委員 一般的に申しまして、町内会、部落会の取扱いないし指導の方針でございますが、ただいま政務次官からもお話がございましたように、町内会、部落会あるいは連合会等につきましては、去る昭和二十二年五月三日に政令十五号というものが出まして、これらの解散ということが行われてきたのであります。その後講和条約が発効になりまして、これら一連の例のポツダム宣言関係の命令関係の整備が行われまして、その際にこの政令十五号につきましても廃止せられることに相なったのであります。廃止になりましたのは二十七年の十月二十五日であると承知をいたしておるのでございます。  そこで、問題は、町内会、部落会につきましては白紙の状況に今のところは置かれておるという段階でございます。ただ、この問題につきましては、地方制度調査会におきましても一応論議の対象になった時期がございました。昭和二十八年の十月に地方制度の改革に関する答申が出されました際、部落会、町内会の問題も取り上げられております。その内容を簡単に申し上げますと、骨子は二点ございまして、第一点は、町内会、部落会等の住民組織については、特に画一的な法制化の措置はとらないものとするということが第一点でございます。第二点は、地方公共団体の区域内における特定の行政権能、地方団体が持っておる権能の一部を行使させるための特別な公共団体というものを設置する方式は、原則としてこれをとらない。この二つの事項を含めた答申がなされておるのであります。政府といたしましても、この地方制度調査会の答申の線を尊重いたしまして、今までのところ、町内会、部落会等につきましては、特別の指導方針等は明らかにいたしておりません。いわばこれを白紙の状態において放任をいたしておるという状況で、今日まで至っておるわけであります。ただあくまで町内会、部落会等が戦時中のような行政権能の一端をになうというようなやり方をやりますことは、われわれとしても反対でございまして、そういう方には持っていくべきではないということを考えておるのでございます。ただ、自然発生的にこれらの組織が出て参りました、それは単なる住民の協力組織であり、あるいは市政、町村行政の周知徹底方式をやりまする際に利用し得るような状態のものにとどまるというような場合におきましては、そのものまでも、自治庁といたしまして、そういうものは設置すべきではない、作らすべきではないというようなところまでいくべきかどうかということについては、疑問に考えておるのであります。結論的に申しまして、ただいまのところでは、町内会、部落会につきましては白紙の状態でおります。ただ、それが特定の行政権能等の一端をになうというようなことになって参りますると、これは疑問でございまして、そういうようなことが起ってくれは、それに対しては注意を与えて参りたい、かように考えております。将来の問題として町内会、部落会等がどのような形になっていくか、また自然の趨勢に放置した場合にどのような状況になっていくかというようなことも、ここしばらく事態を静観をいたしまして、必要なる措置を講じなければならない段階に至りまするならば、これについての対策を講じて参りたいというふうに考えておる次第でございます。  川口市の自治協力会の問題につきましては、これは、私もまだ、ほんとうに自然発生的にできてきたものか、あるいは市当局が積極的にこれを作らしたものかというような諸般の事情については、私自身つまびらかにはいたしておりません。従って、批判は今のところは避けたいと思っておりますが、ただ、先刻政務次官も指摘されましたように、設置規程の第二条の、市に届け出て市長の承認を得るというようなやり方は、これはいかがであろう。届け出てそのものについて委嘱をするという程度のものであればと思いますが、承認を得るというような方式については、疑問の余地があるのではないかというような気持がいたしております。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 私も多少地方制度調査会の答申案については目を通してみたのでありますが、今あなたの御指摘になったように、二つの原則をこれに当てはめて考えればぴったりきてしまう。しかし、今の自治庁としてはこういう町内会、部落会のような組織については白紙だという御答弁がありましにが、一面答申案を尊重するという矛盾した御答弁のようにも、とればとれるのです。答申案を尊重するということになれば、自然発生的なものは憲法の結社の自由の精神にもなると思うので、何を作ろうともそんなことはどうこう言うべきではありません。それが行政権能の一翼をになうようなことになりましたら、これはもう憲法のいう結社の自由とは異なります。それから、画一的な組織を——これは画一的な組織かどうかというと、この中だけではわからぬですけれども、予算をごらんになればわかりましょう。二十九年度、三十年度、ことしの予算にもまた組んだようでありますが、ちょっと人口割に見える。しかも全体を見て予算を出さなければ不公平になりますから、そういう点で画一的だということは明らかだ。だから、答申案に反するということは言うまでもないのです。ただ、自治庁に私の聞きたいのは、自治庁が、先ほどの問題と同じように、ほんとうに民主政治を真剣に考えれば、私は日本の自治が一番おくれていると思うのです。中央では、二大政党を云々するほど理想に手を出そうとして、議会政治を正常化するなんて、これは政府の誓いの言葉にもはっきりしておる。しかしそれは私は基礎が薄弱な高層建築だと思う。地方自治というものが民主的な呼吸を十分できるようにしなければ、中央の議会を正常化するといってみたり、日本の民主政治を理想に持っていこうといったところで、そんなものはうそな話なんです、政府が真剣に民主政治を考えるといっても、こんな自治の大事な問題に対して、白紙でおるとか答申案を尊重するなんてばかげたことを今答弁するようでは、どこに民主政治をほんとうに理解しておるのか。国会の正常な運営なんというのは、国会の与野党の四者会談で話し合いをするというのが正常な運営でも何でもありゃしないことは、三歳の童子だって知っております。大事なことは自治が民主政治発展の方向を向いているかどうか、こういう基本的な問題がここにひそんでおるのです。こういうものに対しては、私はてきぱきと答弁ができ得べきだと思う。そういう意味で私は田中長官に所見を伺いたい。機会があれば岸総理に聞いてみたい。もっとも、岸さんは民主政治を志向しているかどうかわからぬ。しかし、遺産相続をしておるのでありますから……。石橋さんは、明確に、このことを五つの誓いの中にしかも強調しておられるのであります。だから、民主政治の確立は抽象論ではだめなんです。あとあとまたこの問題は——ただ川口の事例で、私は非常に川口に利害関係を持っておるものですから、こういうものに言及したくないのですけれども、不幸にしてこういう極端な事例を私まだ知らぬものですから……。こういうことは、抽象的にいろいろお尋ねしても、仮定の事実は困るとかなんとかいうようなことで、お互いに議論がしにくいものですから、できぬなら一つこの次には——白紙で臨むのだから調査もやっておいでにならぬと思いますが、一つ至急に御調査なさいまして、こういう組織がどういう状態で全国に存在しておるか、もちろん一方は自然発生的なもの、その自然発生的なものが、こういういろいろな要素が重なって、答申案とは全く相反するようなものがここにもあるかもしれない。これは一つ至急に調査を願いたい。これに対するお考えを伺って、この問題を終りたいと思います。

加藤精三自由民主党自治政務次官

○加藤(精)政府委員 本件は、選挙の関係におきましても重要な研究題目であるばかりではなくて、新しい地方制度の総仕上げとしての地方団体内の住民組織の問題として、非常に大きな、また重要な問題でございまして、自治庁としても相当なこれに対しての意見をまとめる必要に迫られているわけでございます。国会でも済みましたら、大至急全国各地にわたって十分調査をいたしまして、将来の立法の資料にいたしたい、こう考えております。こういう点を御指摘いただきましたことは、大へん私たちとしてもありがたく考えております。

井堀繁雄日本社会党

○井堀委員 この問題はなおまだいろいろ関係も幅も広うございますから、次にお尋ねをいたそうと思いますが、時間の都合もございましょうから、この問題は保留いたしまして、もう一つだけお尋ねしておきたいと思います。それは、各方面からいろいろ漏れ聞いておるのでありますが、行政地域における人口のアンバランスから、選挙法にいう別表の改正の動きがあるように聞いております。これは選挙区の定員に関連することでありますが、前回の小選挙区の問題で大きな政治問題になった直後のことでもあります。何か、選挙法の改正について、小選挙区なり、また別表改正と並行して、その他のさっき私のお尋ねしたようなことに対していろいろあると思いますが、そういう選挙法の改正をお考えになっておるかどうか、一つ政府の所見をお聞きしたい。

加藤精三自由民主党自治政務次官

○加藤(精)政府委員 本日も、参議院の地方行政委員会におきまして、緊急質問といたしまして中田委員から御質問があったのであります。それに対しまして自治庁長官からも答弁いたしておりまするがごとく、現在の段階で、自治庁長官としては、全然こういう問題に意思表示もしていないし、タッチもしていないし、御相談も受けていないようであります。いろいろ世論や政治家仲間の御意見がありましょうけれども、その点につきましては、いかなる意見が政府部内または党内で出ても間に合うように諸般の基礎調査をしている、そういうふうな急に別表改正を意図するような意思をまだ持っていない、自治庁長官はそういう答弁をいたしておりますので、私からその旨を申し上げます。

石坂繁自由民主党

○石坂委員長 島上善五郎君。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 最初にただいまのことを聞きますが、もし、自治庁長官が、きょう参議院で今あなたの御答弁のような答弁をされたとすれば、かって予算委員会で私に答弁したことと違う。それははっきりこう言っておる。「人口のアンバランスは更正しなければならないと考える。すでにその時期にきておる。」私は当時各府県や選挙区の人口のアンバランスの数字も若干示して質問しましたら、「あなたのおっしゃる通り、これは著しいアンバランスが現にあるから、そうして十年間更正しなかったのだから、更正しなければならぬと考えておる。今その時期にきておる。ただし、この問題は、選挙区制をどうするという問題もあわせ検討する要があるから、今どういう案を出すということはここでは答弁できないけれども、少くとも人口のアンバランスを更正する法案を早急に調査して提案したいと考える。」こう答弁しておるのです。それとまるで逆のことを言っておる。それから、岸総理大臣はまた、この問題に対して、「私は人口のアンバランスの更正と小選挙区制の問題は全然別個の問題だと思う。これはこれ、こっちはこっちで、法の精神からいっても、これはぜひしなければならぬという法律ではないけれども、更正するを例とする。」五年ごとに行われた国勢調査ですか、「直近に行われは国勢調査に基いて更正するを例とする。」しかるに十年間もやっておる。正確にいえば十一年です。これはしなければならぬ。しかしこれは小選挙区制とは別個の問題なんだ——からみ合せて考えているのか別のものとして考えているのか、こう質問したら、「これは別個の問題です。小選挙区制は小選挙区制として私には私の考えがあるけれども、これは別の問題であるから、この人口のアンバランスの更正はしなければならぬと考えます。」こういう答弁をしておる。自治庁長官は、もっとはっきりと、その更正の法案を、いずれなるべく早い機会に国会に出して皆さんの御審議を得たい、こういう答弁をしておる。これは速記録を読まなければなりませんけれども、全然答弁が食い違っておる。反対の答弁をしておる。

加藤精三自由民主党自治政務次官

○加藤(精)政府委員 決して食い違っていないのでございまして、ただいま時間の関係上簡単に申し上げたのでございますが、自治庁長官も国勢調査と選挙法の別表改正との関係、その他人口の激変がありまして定数の改正をしなければならぬという事情はよくわかっておりますし、またそういうことも申しております。しかしながら、この選挙法の別表改正というのは非常に政治的に重要な問題でありまして、過般も小選挙区制度に関連して非常な政治的に大きな衝動を与えるような問題になりましたので、選挙区制の問題を切り離しましても、議員定数の問題等につきまして相当二大政党間の打ち合せを要するので、よく党と党との相談をつけてから慎重に選挙法の改正は行なっていきたい、こういう意味のこともきょう言われたのであります。案外すらすらと両党間の話し合いがつくならば、この選挙法の改正は提案できるけれども、まだそのお打ち合せの段階まで入っていないので、それで、ただいまのところ、うわさにあるような、直ちに選挙法の改正案を突然出すようなことは全然考えていない、こういうことなんでございまして、答弁を簡単にいたしましたために、大へん誤解を生じまして、申しわけございませんけれども、どこまでも人口の増減による定数の変更等も、合理的に、また両党間の協調を得て円満に実施に至るように改正することにつきましては、長官も相当の熱意を持っておりますので、御了承いただきたいと思います。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 このこととやはり関連するのですが、長官は、私の質問に対して、今あなたのおっしゃったように、去年は小選挙区制が一方的にゲリマンダーといわれて非難を浴びたので、今度改正する際には両党で事前に話し合いたいということで、これはいいのですが、同時に選挙制度調査会というものが内閣設置法に準拠して法制的には現に存在しておる、しかし委員の任期が切れて空白になっておる。これをどうするのか、こう言ったら、これも委員を早急に委嘱して、明年度、要するに四月一日以降ですが、四月一日以降発足させたい、こう考えておる、こういう答弁があった。きょうは、すでに四月の八日ですが、一体この選挙制度調査会に対する長官の答弁が、現実にどういうふうに進んでおるのか、おわかりでしたらお答え願いたい。

兼子秀夫総理府事務官(自治庁選挙部長)

○兼子政府委員 予算分科会におきます自治庁長官に対する島上委員の御質問に対し、自治庁長官から御答弁のありましたことは、御承知の通りであります。ただいま、選挙制度調査会につきまして、その後どう進んでおるかというお尋ねでございますが、先ほど政務次官からお答え申し上げましたように、人口の変動に伴う定数の増減問題がございまして、衆議院議員選挙法の改正につきましては、御承知のごとく別表の改正に問題があるわけでございます。それで、われわれといたしましては、小選挙区制をとるという建前でありますれば、それは選挙制度調査会の答申は一応出ておるのでございますが、さらに両党間の話し合い等がもしあるといたしますれば、そういう点も考慮いたしまして、調査会の方向を考えていかなければならぬと考えておりますが、目下のところその点につきましていろいろと検討をいたしておるところであります。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 その問題はまた後日伺うことにしまして、時間がありませんから、私二つばかり簡単に質問をしたいと思います。  これもこの前質問した事項でございますが、実は昨年暮れのいわゆる国連恩赦、この国連恩赦というものは、いかなる意図を持っていたしたにせよ、その結果が少なくとも選挙界にきわめて悪い影響を及ぼしておるということは事実なんです。私、その当時も指摘しましたが、おそらく、この次の選挙はもう野放し選挙、それで取締り当局においてももう全く熱意を失っておるのではないかと思われる節があるというのは、この次皇太子殿下の御成婚か何かの恩赦が予定されておる。じゃの道はヘビとかいいまして、ちゃんとそういうことを知っておって、この次は何をやってもいいといったような空気がある。そのために、事前運動も実に大胆不敵な運動が行われておる。川口のことはこの前私が質問したので、ここで重ねて申しませんけれども、あなたは初めてだから申し上げますが、自治協力会の会長、副会長三百数十名を、告示の一週間前に、バス七台を連ねて帝劇に案内して、そうして帰りには船橋の温泉でどんちゃん騒ぎをやっている。一週間後の告示に市長に立候補がきまっておる人が行って大いにサービスをふるまい、選挙管理委員長も行って、これは選挙と関係がありませんから、御心配なくごゆっくりとたくさん飲んで下さいと言っておる。これだけでも明白な事前運動です。中川部長に聞いたら、投票を得んとする意思がはっきりとつかめないから、今までの捜査の管囲では事前運動という結論は出ていないということですが、これは捜査の熱意がないからなんです。せっかく捜査しても、この次恩赦でもってみな何もなしになってしまう。そういうことが、やはり第一線で捜査の任に当る諸君の活動に大きな心理的影響を与えていると私は思う。そこで、この前質問したときは、今後の恩赦については十分検討してしなければならぬ。——私はこの際ですからもう一つ言っておきますが、同じ川口市の選挙で、市会議員の五名の補欠選挙があった。これは、この前の選挙で、買収供応、きわめて悪質な違反をやったために、五人が失格して、その失格によって生じた補欠選挙なんです。その失格した者がまた国連恩赦で復権して立候補して、堂々選挙運動をやって当選しておる。これは、法的には禁止する条項がないから、やむを得ないかもしれませんけれども、少くとも道義的には歓迎すべきことではないと思う。こういうことがどんどんやられるようになったら、これは選挙法なんかどんな法律があっても何にもならぬということになる。そこで、田中長官は、この前、恩赦については今後十分各界の意見を聞いて検討するようにしたい、たとえば恩赦審議会のようなものを作るようにしたいと考えている、こういう答弁であった。しかるに、その後これに対する政府からの動きというものは何も見られない。最近の新聞によりますれば、参議院の緑風会の人々が中心になって、国連恩赦の弊害があまりにも深刻であったという事実にかんがみて、恩赦法の改正を議員提案として出そうとする動きがある。田中長官はそういう答弁をしておりながら、政府は一体これに対してどのように考えておるか。たとえば恩赦法の改正とか、そういうような構想が、当然、二カ月近くもたっておるのですから、政府の考えが固まって、今国会に出すなら出すというふうに具体化してこなければならぬはずだと思うのですが、その点に対してどのようにお考えになっておるか伺いたい。

加藤精三自由民主党自治政務次官

○加藤(精)政府委員 ただいま承わりますと、うちの大臣が恩赦法の改正につきまして相当な抱負を持っているようでございますが、問題は法務省の所管でございまして、内閣におきまして大臣も法務大臣に対していろいろ意見を述べたりいたしているのでありますけれども、うちの大臣が主になってそういうふうな制度の改正をする十ことは、企画もできないのじゃないかと考えております。よく大臣に承わりまして、また御意思のあるところを大臣にも伝えたい、こう思っております。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 これはいずれ大臣が来た際に聞きますが、全くその場限りの出まかせ答弁をしているとしか思われない。誠意のある答弁ならば、その答弁をして相当時日がたちましたならば、政府の検討が進み、考えが固まってこなければならぬはずなんです。それが政府の考えが一向はっきりしないものですから、議員提案という動きが当然起ってくる。もし政府が答弁した通りに誠意をもって出すというのであれば、それでよし、そうでなければわれわれ自身がまた考えなければならぬということになってくる。これはあなたを責めても仕方がないと思うから、長官が来た際にまた伺うことにして、保留しておきます。  時間がおそくなりましたから、これは大きな問題ですが、簡単に次官に伺っておいて、また次に伺うことにしたいと思います。今の選挙法は実に抜け穴だらけのものだと思う。特に事前運動、それから寄付行為、これも霊前運動です。特に寄付行為などというものは、事前運動の中の最も悪質なものだと思う。こういうことに対してきわめてルーズな法律なんだ。私がこのことを心配するのは、いずれ解散がある。今年の暮れにあるか、来春あるか知りませんけれども、もう遠からず解散があるということで、各地において選挙の事前運動が活発に行われているのです。これが純粋な政治活動の範囲に属することであるならば、むろん差しつかえないことだし、弊害も何もないけれども、それをはるかに逸脱した、悪質と思われる事前運動が行われておる。この法律はその点に関してはきわめて不備です。そこで、私は具体的に伺いますが、せんだっても川口の例をあげて聞きましたが告示一週間前に、三百人もバス七台を連ねて、ごちそうしている。これが、特定の選挙に特定の候補者にきまっている人間が中心になってやっても、投票を得るという意思あるいはその行為がはっきりしないから、どうにもできぬ、こういうことでしたが、特定の選挙と特定の候補者という二つの条件がきまれば、ごちそうしたり金を寄付したりすることがその選挙に通じていることは、当然判断してよろしいと思う。ところが、これは、法の不備もさることながら、当局の熱意がないということが大きな原因だと思う。しかし法律的に見ても不備な点があることは事実です。そこで、私はあなたに一点だけ伺っておきますが、法律の百九十九条の二に「公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。)は、当該選挙に関し、当該選挙区(選挙区がないときは選挙の行われる区域)内にある者に対し、寄付をしてはならない。但し、政党その他の政治団体又はその支部に対し寄付をする場合は、この限りでない。」こういうことがある。これは、たとえば現に今山口で知事選挙が行われている、大阪で参議院の選挙が行われている。この現に行われている選挙にも大きく関係することはもちろんですが、やがて行われようとする衆議院の解散の際にも大きく影響する問題です。この場合、以前には、自分の所属する政党及び政治団体に寄付する場合は、この限りでない、こうなっておった。ところが、その所属というものを取ってしまった。ですから、自由民主党に所属する者が、何とか政治連盟という政治団体に、あるいはこのごろは何とか学会とか何とか会という宗教団体まで政治団体になっておりますが、そういう自分の所属しない政治団体に、またはその支部に、無制限に寄付してよろしいのです。そして、それを受けた政治団体は、確認団体であればもちろん確認団体として許された範囲の運動ができますし、確認団体でなければ、その選挙期間中の許された政治運動はできませんが、しかし、そのもらった寄付で、その団体員に招待状を出して、千人ほど花見に連れて行ってごちそうしても、この法律からいえばかまわないのです。このお金はだれそれさんからもらったから選挙の際によろしくと言えば、これは違反になりますけれども、そういう投票を得んとする意思表示なり行為なりを伴わなければ、何したってかまわない。一体こういう状態でよろしいと思いますか。

兼子秀夫総理府事務官(自治庁選挙部長)

○兼子政府委員 百九十九条の二の規定についてのお尋ねでございますが、この規定は、御指摘のごとく投票を得るということは要件になっておらないのでございます。公職の候補者または公職の候補者となろうとする者が、当該選挙に関し、当該選挙区内にある者に対して寄付をすることを禁止いたしておるのでございますが、ただ、候補者が政党に対する寄付をする場合がありますので、これはただし書きではずしたのでございます。従前の規定は所属政党ということであったのでございますが、改正のときに、これは政党の所属だけに限らない、他の政党に対しての寄付もただし書きで差しつかえないということになったのでございます。ただ、御指摘のような場合におきましては、実際金を政党に寄付して政党が供応するというようなことは客観的に見ますれば、投票を得る目的、買収供応の意図が相当はっきりしてくるのではないかと思うのありまして、そういう場合には、そちらの方の違反として事件が成立するのではないかと思うのです。百九十九条の二の規定は、御承知のごとく一般の選挙に対する寄付が増高する傾向にありますので、それを一般的に押えるという趣旨から、この規定が改正されたように記憶いたしておるのでございます。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 あなたは、今、客観的に投票を得る意思があるものとして取り締ることが可能だ、こう言いますけれども、川口のときに、一週間前に市長候補者がきまって、その候補者の事務長に現職市長がなることがもう客観的に明白になっておって、それでああいうことをやっておる。これは投票を得る意思があったと判断することができないというようなことで、どうしてそういう判断ができますか。この寄付を受けた政党及び政治団体の支部は、その寄付を何に便わなければならぬという規定はどこにもない。これは、確認団体であれば、当然その選挙中の政治活動に使うでしょう。また、確認団体でなければ、その他の方面に使う。どこへ使ってもいいのです。こういうような、まるでどんどん水が漏るざるのような法律では——われわれは、金がないから、しませんけれども、金のある人は、これを利用したらどんなことでもできる。知事選挙だって、無所属で立っておって、自由民主党の支部が県下に百あれば、百の支部に十万円ずつ寄付したっていい。あるいは何とか会とか何とか政治連盟というものがあれば、それに寄付したってよろしい。選挙中に寄付したってよろしい。その寄付を受けた団体が、この寄付を何々候補者のだれそれさんから受けたから、一つ選挙の際にはよろしくとまで言えば、それは引っかかりますけれども、そのもらった金で普通の政治活動をしようと、政治活動の範囲をこえたあれをしようと——第一、この政党及び政治団体というのは、確認団体ばかりさしておるのはなでい。政治資金規正法による届出団体でなくても私はいいと思う。そういう団体でなければならないという法律解釈はここにはない。そうすると、使ったという届けをしなくてもよろしい。こういうことになったら、これは弊害百出で、どうにもならぬと思う。私は、最近の選挙界の風潮にかんがみて、それが特に国連恩赦の弊害が非常に深刻になっている事実にかんがみて、少くともこういうような抜け穴だけはふさがないと、大へんなことになると思う。次官、いかがですか。

加藤精三自由民主党自治政務次官

○加藤(精)政府委員 島上委員の御質問並びに御意見の中には、選挙を公明ならしめる上の御意見として、私たちも御同感のできるところが相当多いのでございますが、現在の選挙の実情を十分調査いたしまして、これらの点につきまして十分な改革をいたす必要があるのではないかと考えております。政府といたしましては、各省連合いたしまして、十分調査いたしまして、善処いたしたいと考えます。

島上善五郎日本社会党

○島上委員 政府に、選挙を公明にしよう、腐敗選挙を防止しようというほんとうの熱意があるならば、それは口先の答弁だけじゃだめです。また、啓蒙やなんか、そういうことだけでもだめです。こういう法律の抜け穴をふさがなければならぬというのが、残念ながら日本の現状なんですから、政府にその熱意がなければ、われわれが改正案を出すことも考えます。まだ関連してたくさんありますが、いずれ次会にすることにしますけれども、ほんとうに熱意を持って考えてほしい。

石坂繁自由民主党

○石坂委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる四月十二日金曜日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十九分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗