議院運営委員会 第11号
- 発言数
- 59 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/02/20
会議録
○保利委員長 それでは、ただいまから会議を開きます。 内閣官房長官から発言を求められておりますから、これを許します。
○石田(博)政府委員 先般来の本委員会におきまして、総理の病状について、医師の診断等により、二十一日には発院できる見込みであるということを申し上げて参ったのでありますが、十九日、今までの両医師に立ち合い診察を願った結果、なお、からだが非常に衰弱いたしておりますので、この状態では、二十一日に出席させることは不可能である、さらに一辺間程度経過を観察したいということでございましたから、その旨議長に御報告を申し上げておいたのであります。しかし、その後医師とさらにいろいろ話をいたしましたところによりますると、一週間たったら出席できるというのではなくて、一週間の経過を見て、そうして医師としての確信ある見通しをつけたいということなのだそうであります。そこで、そういう状態でございますると、政府といたしましては、一週間後の経過を見ることは、諸般の事情から非常に差しつかえがあると存じますので、明後二十二日、さらに東京大学の沖中内科医長、それから聖路加病院の橋本院長の両医師の御参加を得まして、他の条件を全然考慮しないで――他の条件と申しますのは、何日程度たったら出られたいというような希望的な観測等は一切しないで、医者としての確信ある決断をしていただきたい、こういうことを今お願いいたしておるような次第でございます。従いまして、二十二日に得ました診断の結果に従いまして、政府としての考え方を取りまとめた上、さらに当委員会に御報告申し上げたいと存じておる次第でございます。病気のこととはいえ、今まで申しておりました見通しに相違を来たした点は、深くおわびを申し上げまするとともに、以上の事情につきまして、御賢察のほどをお願い申し上げる次第であります。
○保利委員長 岸内閣総理大臣臨時代理。
○岸国務大臣 総理の病状につきましては、ただいま石田官房長官から詳しく申し上げました。なお今後の病状をはっきりいたさせるためにも、万全を尽しておるような次第であります。しかるところ、今日まで総理が病気で出席できないために、私が臨時代理として国会に出席いたしておるのでありまして、これにつきまして、各方面から格別の御同情によって今日まで審議を尽して参っております御協力に対して、私は衷心から感謝をいたしますとともに、この上とも何分よろしく御協力をいただきますように、切にお願い申し上げる次第でございます。
○池田(禎)委員 ただいま官房長官並びに岸内閣総理大臣臨時代理から、石橋総理の御病気について、あるいは登院に対する見通しにつきまして、今後に対する御説明がありました。私どもは、石橋内閣が成立いたしまして、開会式の日取り、あるいは予算編成に苦心しておる姿等につきましても、いわゆる二大政党の国会運営いうものを話し合いでいこう、国会の迷宮を正常にしようという建前のもとから、ずいぶん今までにおきましても、野党としての主張も押えて、相協力して参ったのが、社会党の姿であります。 さらにまた、突発異変とはいいながら、総理大臣のにわかな発病によりまして、三週間の病気欠席ということを通告されまして、総理大臣のいないところで、にわかに、しかも臨時代理を置いて、そうして施政方針の演説を行い、社会党としての代表質問を立てて参ったのであります。そのときの論拠というものは、三週間あれば必ず総理大臣は出席ができる、本来ならば二週間でよろしいけれども、あとの一週間というものは、一つ十分念には念を入れて、一週間をとって、二週間にしてもらいたい、こういうことで、私どももこの御趣旨につきまして、これを了といたして、臨時総理大臣代理の設置も認めて参ったのであります。これは申すまでもなく、過去の記憶でいいますならば、浜口総理大臣が凶変にあって、そうして当時の野党が無理やりに総理大臣の出席を要求して、ついに総理大臣をして病死せしめるに至ったというような点につきましては、私どもは過去の事例を通し、あるいは社会党といたしまして、そういう人道上の問題はとるべきにあらずという見解から、実はきわめて寛大な態度をもってこの国会に臨んだことは、これは政府も与党の諸君も十分御承知の通りであります。 ところが、昨日に至りまして、医師の診断の結果、総理大臣がさらに登院不可能である、二月一ぱいはできない、さらに三月一日以後におきましても、それはそのときの医師の診断によらなければ、何とも言明できない、こういう申し出を受けたのでありまして、これは私どもとしては、まことに遺憾しごくなできごとであります。三十二年度予算案を初めといたしまして、幾多の法律案が提出されておるそのときに当って、総理大臣の出席なき予算審議に応ずるということは、これは私ども野党といたしましては、なかなか許すことはできないことであります。野党がいかに寛大なりといえども、限界があるのであります。 そこで私は、こういう前提に立って、岸臨時総理大臣代理にお尋ねをいたしたいのです。先般、本委員会におきまして、石田官房長官と林法制局長の御出席を願って、総理大臣の権限については法制的解釈、政治的解釈というものを承わりました。要約すると、総理大臣固有の権限、俗に専門語で申しまするならば、一身専属的な権限というものは、これは厳として存在するものである、こういうことを政府は表明されました。この事実は岸総理大臣代理は御承知でございましょうか。いかがでございましょうか。
○岸国務大臣 その法律解釈につきましては、私も一緒に研究をいたしまして、そういう結論になったことは、よく承知いたしております。
○池田(禎)委員 そういたしますると、われわれといたしましては、総理大臣には侵すことのできない固有の権限がある。従って、臨時総理大臣代理の持っておる権能というものは、ある程度の制約を受けておる。ことに、今行政府において取高の権限というものは何であるかというならば、これは人事権であろうと私は思う。たとえば、はなはだ失礼なことを申し上げるようでありまするが、岸臨時総理大臣代理を罷免することも石橋首相がこれは十分できる、こういうことが表明されております。そういう総理大臣固有の権能というものを政府が厳として堅持しておるもとにおいて、総理大臣が長期にわたってさらに国会に御出席に相ならない。こういうことにおいて私どもは、野党としてのこの重要な予算審議というものにつきまして、総理大臣の持つ固有の権能から発するところのものを聞くにあらずんば、社会党といたしまして、この丘大な予算案の審議というものは終了するというわけにはいかないのです。そこで、政府はそれにつきまして、どういうふうなお考え方を持っておるのでありましょうか。いかがでありましょうか。
○岸国務大臣 総理大臣臨時代理の権限につきましては、今、池田君から言われるように、国会の意思に基いて総理大臣を指名されておるわけでありまして、この総理大臣が一身に専属する権利としては、内閣の構成に関するもの、これは一身に専属する権利である、従って臨時代理がこれを代行することはできないという法律解釈をとっておるわけであります。しかし、予算の編成にいたしましても、予算の提出にいたしましても、その他の問題につきましては、私が総理大臣の臨時代理として、総理大臣の持っておられる一切の権能、今申しました内閣の組織に関するものを除いて一切のことは、私が全責任を持って代行するという建前をとっておるわけでありまして、予算につきましても、従って臨時代理が全責任を持ってこれを提出し、これに対する質疑応答に応じ、一切の責任を持っておる、こう政府は解釈しておるのであります。
○池田(禎)委員 そういたしますると、当初、官房長官よりわが党に申し出られました、予算の総括質問については、必ず総理大臣が出席をして、そうして質問に答え、かつまた一責任を持って応対するということを社会党に対し申し入れられました。この政府の方針というものは、今日変更になったと見てよろしいのでしょうか。その事実はいまだに残されておる、かように私どもは見てとっていいのでしょうか。
○石田(博)政府委員 私は、病気のことでありますから、見通しとして、あるいは私どもの希望として、予算審議に参加できるようになるであろうと、医師の診断等から考えて、そういうことは申し上げましたが、病気のことについて、私から必ずというようなことは申し上げられるはずもないと私は考えております。それが一点であります。 それから、現在の状況は、先ほど申し上げましたように、当初の見通しの通り参らなくなりまして、二十二品に病気がなおるということに要する日にちを、民部の側から明示していただくわけでありまして、それまで、しろうとの私が何とも申し上げられませんけれども、しかしながら大体の観測から申しますと、一週間というようなことで済むような状態ではなさそうであります。従って、病気のことでありますから、私どもといたしましては、医師の診断に従って、それに基いて政府の態度というか、考え方というものを定めたい、こう思っておる次第であります。
○池田(禎)委員 そういたしますると、二十二日に、あらためて、従来の医者のみならず、もっと権威のある人も加えて、精密検査をなさるということをただいま申されましたが、その結果によるか、あるいは新しく一暇を要求されまするその期限が二月二十八日、今月一ぱいとするならば、三月一日になった場合、そのときの状況によって登院することができるか、できないかというようなことのお話でありますけれども、そうすると、そのときになって登院ができないとするならば、総理大臣の出席なくして、政府は臨時首相代理でもって予算の審議に当らしめる、そうして本院の通過を行おうというお考えでありましょうか、どうでしょうか。
○石田(博)政府委員 二十二日に診断をしていただきますと、二月三十八日ということを待たずして、その診断に基いて政府の態度をきめたいと思っております。従って、二十二日は夜になりますから、二十一品早々にでも、両院に対しましてその診断の結果を御報告いたしますとともに、政府の態度の協歳に入りたいと思っておる次第であります。従って、その二十三日の診断がどういうふうに出るか、まだわからない状態でございますから、それによらないで、それを待たずして、ただいま御質問のようなことについて、政府として別にまだ結論に入っておるわけではございません。
○池田(禎)委員 どうも事態が病気でありますから、これは私どもとしても、できるだけこれに対しまして、こういう突発の異変につきましては、御同情もいたせば、また野党といたしましても、できるだけ一つ静養に努めて、そうして、すみやかに登院なさることを希望して今日まで参った。しかし、この病気につきましては、私ども、多分にこの病気を政治的に扱っておる、たとえば、この病気は三週間かかるという、今度はまた一週間を求める、その次にまた一週間とか二週間とか、どうもこういうように小出しにしておるのじゃないかという感じがしてならない。本日の新聞を見ますると、中には一ヵ月を要するという主治医の断定をなさる方もあり、あるいは政府の大官と申しますか、要路の方においても、これを是認しておる方が、幾人かが談話を出しておる。与党の中においてもそうです。こういうことは、病気というものを政治的に扱っておるとしか思えない。いわんや、これは個人に関することでありますから、申し上げたくないのでありますけれども、石橋さんの主治医というか、その個人関係の人のみを中心にして――官房長官の話によれば、二十二日にあらためて沖中内科の医長に、それぞれの権威者にあらためて見てもらうと言っておるが、これはアメリカの大統領アイゼンハワーが脳血栓で倒れておるとき、彼の主治医のみならず、全米をして納得せしめる権威ある医者を網羅して、そうして詳細に、科学的にその病態を発表いたしました。その科学的な病態の結果を国民の前に公表して、全アメリカ人をして、なるほどということで同意せしめておる。今回の病気における扱い方は、多分に政治的な扱い方であって、どうもこれは、国会に対して登院することを区切るために、一週間と言い、三週間と言い、こういうなしくずし的にやっておるというきらいがなくはないかということは、私ども遺憾とするところであります。しかし、それは病気であるということによって、いわば、申し上げますならば、病気に籍口して、病気なるがゆえに、野党もあまりひどいことを言わぬだろう、国民もまた、病気の総理大臣をいたわらねばいかぬというところの、国民の同情心に依頼しておるところが多分にあると思う。これはまことに遺憾千万なことである。もとより石橋総理大臣がどうしても出られない場合、岸臨時総理大臣代理をもって予算の通過に当るというが、一体全体三十二年度の予算というものは、石橋内閣の政策、法律すべてを集約したものです。これに総理大臣が出て、総理大臣としての権限において、その責任において、その質問に当り、応答に当るということは当然のことです。しかし、それを病気なるがゆえに、待ってくれ。これも限界があります。私どもは寛大な気持をもって三週間待った。今また一週間を経過して、さらにその後上でないとわからぬという状態において、私どもこういうことでもって、野党として、こういうことです、はい、そうですか、こういうことに同意を与えるわけには参らない。いわんや病気なることに藉口して、甘えておるという傾向が多分にある。こういうことにつきましては、一体どういう考え方に立っておるか。ある一定の期間を区切って、そうして、この期間病気で行かれないから、これを過ぎた場合はどうだ、これこれの期間においてはどうするという、政府の責任ある態度が出てこなければ、私どもとしては、あなた方の申し出だけを、はい、しからばさように、というわけには断じて参りません。そこで、どうしても総理大臣が出ないときの政府の態度を、どういうふうに対処しようとしておるか、その御見解はいかがでございましょうか。
○石田(博)政府委員 当初三週間と申し上げましたのは、医師自身も、それは幾らか希望的な観測が入っておりましたでしょうけれども、そういう見通しを十分狩っておったと私は思うのであります。しかし、なかなか回復がはかばかしく参りませんで、途中に至りまして、回復の速度が非常に鈍って参りました。そこで、今日のようなことになったわけでありますが、今回一週間の経過を見ると申し上げましたのは、病気自身につきまして、体力の回復その他のことを、現在かかっておるお医者さんだけで診察するのではなくて、さらに今、池田委員が言われたように、もっと公けの人を広く集めて、はっきり明確にさせるための必要のある期間として、一週間ということをお願いすることになったのでありまして、従って、先ほどから申しておりまするように、一週間を待たずして、今までの二人の医師以外に、権威ある人一を加えて、そうして、その権威ある人によって、詳細な病状の発表を願って、それから政府のとるべき態度というものをきめて参りたい、こういうことでございます。
○池田(禎)委員 私どもは、端的に申して、総理大臣の病気による、その病中の臨時代理というものは、これは限界があると思う。言うまでもなく、これは与党のうちにおいても、私どもは幾多の意見を承わっておる。かって第二次伊藤内閣、あるいは加藤高明内閣、あるいはまた濱口内閣等において、臨時総理大臣代理を置いたことがある。これは当時、国政は、国事は、天皇の大権に属しておった。しかし新憲法のもとにおいては、主権は国民にあり、いわば国会にある。そうしてそれは総理大臣に集約されておる。従いまして私は、国会において指名を受けた人間、信任された人のみがその固有の権限を持っておるということにつきましては、疑義があるとしても、これは実は政府の見解を一応了としておる。そういたしますと、国会において信任されざるところの臨時総理大臣代理において、長期にわたって国政の責任を見るということは、これは私どもとしてははなはだ穏当を欠く、こういう見解を持っておる。また内閣を組織されて、内閣の運営の責任者というものは総理大臣である。それが、あらかじめ予定せられざるところの人をもって、内閣の首班として内閣を統率するということにつきましては、これは憲法上からいきましても大きな疑義がある。憲法上のことはさておきまして、政治上の信義といたしまして、政治上の道徳といたしまして、信任をされておらない臨時総理大臣代理が、長期にわたってその任にあるということは、これはそれで差しつかえないという御見解をとるのでありましょうか、それとも、それは好ましくないとお考えになるのでありましょうか、いかがでありましょうか。
○保利委員長 池田君、信任せられていないと言われるけれども、それは指名せられていないということの間違いですね。
○池田(禎)委員 そうです。国会において指名されざる総理大臣代理ということです。
○石田(博)政府委員 そういう事態が好ましくない事態、つまり喜ばしくない事態であるとは考えております。しかし総理大臣臨時代理には、先ほどから申し上げておりますように、一身専属の権限以外の権限は、つまり内閣の組織をする権限以外の権限は、一切代理ができるのでありますから、私は法律的に、総理大臣臨時代理をもって予算案を初め諸般の審議に当っていただくことは、法律的には何も疑義がないところであろう、こういうふうに私どもとしては考えておる次第でございます。
○池田(禎)委員 政治的にはいかがですかと私は聞いておる。
○石田(博)政府委員 もとより望ましい事態であるとは思っておりません。
○池田(禎)委員 それでは、一つ岸臨時総理大臣代理にお尋ねいたします。今、総理大臣の病気をめぐって、私は率直に申し上げたならば、政局の不安動揺ということは免れない。これは事実です。さらに、これがひいては国会等においても非常な深刻な影響を与えておる。たとえば国会の委員会も本会議も、今、国政の審議に当るべき同僚の国会議員が、まことにりょうりょうたるありさまです。正確なことを申し上げますと、国会の運営ができない。成規の定足数を言うならば、委員会におきましても、本会議におきましても、成立することは困難な事態です。私は幾多の事例を知っておる。これは、一つは総理大臣の病気をめぐる政局の不安なり、深刻な様相である。同時に、もう一つは、政府みずからが解散を呼号し、総選挙を呼号しておる。こういう姿は、非常な不安動揺を与えておる。一体全体政府は総選挙、解散をする意思があるかどうか、どういう考え方を持っておるか、この際政府の方針を披瀝してもらいたい。
○岸国務大臣 解散の問題につきましては、過日国会におきまして、私は私の所信をはっきりと申し上げたのであります。今日政府として解散をする意思心は持っておらないということを、かつても明瞭に申し上げましたが、今もそういう考えであります。そうしてなお、政府が解散を呼号しており云々ということがございましたが、そういう事実は私はないと思います。そうして政府の方針としては、今解散するというような意思は持っておらないということを明瞭に申し上げます。
○池田(禎)委員 そういたしますると、先般来、あるいは本日の官房長官等の見解によれば、一身専属の総理大臣固有の権限というものは人事権である、その他は臨時内閣総理大臣代理にまかしてあるとおっしゃっておる。今、岸臨時内閣総理大臣代理の御答弁で、解散する意思は毛頭ないということを申されておるが、もしあなたが閣僚の地位にあっても、総理大臣がやるというたら、どうしますか。あるとは、あなたを罷免してでもやるということになったら、あなたはどういうような責任をおとりになりますか。
○岸国務大臣 総理が病中におきましては、私は、先ほど申し上げておるように、総理の一身専属の権限を除いて、一切のことを私が代行しております。従って、解散をするかしないかということを今日において決定する者は、不肖でありますが、私がその権限を持っておるものと考えまして、それは絶対に、今申し上げておることは現在におきまして変りございません。
○野原委員 非常に岸総理大臣臨時代理は、私は重大発言をされたと思う。あなたに私、端的にお尋ねをいたしますが、総理大臣の一身上の専属権以外はあなたにあるのだとおっしゃる。それでは一身上の総理の権限とは、憲法上のどことどこなのか、それを明確に一つお示し願いたい。その上で私どもの意見も申します。
○岸国務大臣 正確な法律的解釈につきましては、法制局長官に答弁さしてもよろしゅうございますが、私の申し上げておる一身専属の権利というのは、内閣総理大臣として国会から指名れて内閣を組織する、すなわち閣僚の任免に関するところの権限は、これは総理大臣の一身に専属する権限である、それ以外は、私は全部代行し得るものと考えております。
○野原委員 憲法上の意見は、学者の論争がありますから、私も深追いはいたしたくございませんけれども、一身専属の権限、ことに国務大臣の任免権、いわゆる国務大臣を任免する以外の権限は総理大臣臨時代理に当然あるのだ、このように受け取ってよろしゅうございますか、もう一度念を押しておきます。
○岸国務大臣 その通りであります。
○野原委員 そういたしますと、内閣が総辞職をするということも、あなたの権限でできるのですか、お尋ねします。
○岸国務大臣 それは今申しましたように、内閣の組織に関するというのは、内閣そのものの存在を作る、またこれをなくするということに関連しておるのでありますから、総作戦をきめる権限は私にないと思います。
○野原委員 総辞職をきめる権限がないならば、一身専属の権限とは、国務大臣の任免だけでなしに、総辞職についても実は権限がないのだということを明確にしてもらわなければならぬと思う。総辞職について権限がないということは、どういう根拠に立っておられますか。
○岸国務大臣 私、先ほど申し上げておる通り、内閣の組織に関する問題と、こう申しております。従って、さっき野原君から任免権かというお問いがありまして、そうだと申し上げましたが、総辞職するということは、やはり内閣の組織に関する問題であって、内閣そのものをなくすることですから、従って私は、総理大臣の一身専属の権限である、こう解釈いたします。
○野原委員 解散する権限はあるけれども、総辞職をする権限がないということになりますと、議会を解散せしめるということは、当然内閣の総辞職を憲法上は意味しておるわけです。議会解散ということは、内閣構成に実は関係がないという認識に立って、そのような御発言をされておられますか。
○岸国務大臣 法律的に申しますと、解散ということは、内閣の助言と承認によって天皇が行われるということになっております。しかし私は、いろんな意味において、内閣の組織に間接的にも関係のあることを一切できないというほど広く解釈いたしますと、非常に不明確になると思います。従って、私は一身専属の権利というものは、虚構に内閣の組織に関する事項であって、解散のごときは含まない、こういう解釈をいたしております。
○野原委員 それでは、重ねてお尋ねをいたしますが、憲法の第六十九条をごらん願いたいのです。「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。」とあります。あなたは一々専属の権限以外の権限を行使されて、今日内閣の首班として立たれておるわけでありますけれども、かりに野党が――よろしいですか、野党が石橋内閣に対する不信任案を出して、そうして議会の事情によって、その不信任案が可決されるという事態がきても、あなたには総辞職する権限がない、総辞職の権限は、それは石橋総理大臣個人にあるので、私にないのだ、不信任、が可決されても、総辞職の権限がない、このようなお考えなんですか。
○岸国務大臣 そういう不信案が通過した場合における内閣のとるべき態度としては、お話の通り、総辞職するか、解散するかでありますが、総辞職をするということが適当だと考える場合におきましては、総理と相談して、総理がそれを決定するという考えで、ちっとも差しつかえないと思います。
○野原委員 内閣が総辞職するかどうかということは、わが国の国政にとってはきわめて重大なことなんです。国政の最も大事な点については、あなたは代行する権限がないとおっしゃる。そうなれば、私どもは、臨時代理を相手にして国政の重要な点についてお尋ねをいたしましても、論議いたしましても、全くむだだ、このように考えますが、よろしゅうございますか。
○岸国務大臣 私は、そういうことはないと思います。
○野原委員 私がこの点についていろいろお尋ねしておりますことは、これは憲法上の学説におきましても、個々まちまちなんです。ある者は、一身専属権以外は臨時代理にあると言い、ある者は、全権限が臨時代理に移行すると言っておる。しかしながら、そのあとの解釈をとって、内閣構成の権限が臨時代理にあるということになれば、いろいろ憲法上誤解も生ずるからというので、政府は前の解釈を打たれておるということは、過日、官房長官と法制局長官から、その説明があったわけなんです。しかしながら、この前の御説明のときには、ただ国務大臣の任免権と、国務大臣が憲法上訴追され、その訴追に対する同意権、これだけが実は人事権なんだ、この権限以外は一切あるだということで、総辞職につきましても、解散についても、きわめてあいまいであったと私は思う。不信任案が出された場合には、解散か、総辞職かについては、憲法上の義務が生ずるから、義務の生じた場合には、これは臨時代理といえども行使しなければならぬ、こういうことであるならば、こういうことであるように、明確にしていただきたい。総辞職は私でできるなら、できる、できないなら、できない。こういった場合にはできてこういった場合にはできないと……。そういうあいまいな態度では、私は、岸臨時代理に対して重大な質疑もできませんから、この点どうなっておるか、重ねて……。法制局長官でもよろしい。
○石田(博)政府委員 この前のときに、総辞職についての御質問がございませんでしたから、総辞職については論及いたしませんでした。それから解散権については、天皇が内閣の同意を得てやる権限であるから、総理大臣臨時代理で行い得るのだという答弁をいたしたと、私は記憶いたしております。その他のことにつきましては、法制局長官から答えていただきます。
○林(修)政府委員 内閣の解散と総辞職の問題でございますが、これは法律的に純粋に申しますれば、解散は、天皇の行われる国事行為でございます。これに対して内閣が助言と承認を行うわけであります。その内閣が助言と承認を行う場合において、その内閣を主宰する方は、臨時代理が置かれておる場合には臨時代理であるということを御説明申し上げました。それから総辞職の問題でございます。これに再会から指名をされた方は、何といってもほんとの総理大臣でございます。衆議院で不信任議決があった場合は、衆議院が解散されない限り、内閣は総辞職をしなければならぬ。内閣総辞職ということは、もちろん総理大臣を中心として閣員全部が総辞職をするということだと思います。これは結局、国会で指名された総理大臣が加わらない総辞職ということは、あり得ないことで、当然そういう方の意思が中心となって総辞職が行われる、かように考えられるわけであります。そこでお尋ねの、万一不信任の議決があった場合にはどうか。不信任の決議があれば、当然内閣を総辞職するか、解散するかの義務があるわけであります。当然その義務は内閣が買うわけであります。それにつきましては、解散の方は、先ほど申し上げましたところにより行われるわけであり、総辞職の方は、ただいま申し上げましたところによって行われるわけであります。当然内閣は、憲法上どちらかの道をとるという義務を貰うわけであります。現在において、総理大臣臨時代理が内閣を代表して行われておりますことについては、当然内閣は責任があるわけであります。いろいろご質問になった場合も、当然それでいいのじゃないか、かように考えます。
○野原委員 これは政府当局も御承知のように、国務各大臣は、行政事務をそれぞれ分掌管理しておるわけですけれども、しかし、国の行政事務を行使する場合には、原則として、閣議によってこれは行使されて知ると私どもは思う。しかもその閣議というものは、全会一致でなければならぬ。全会一致が原則としてその本質ではないかと考えます。そこで、かりに岸総理大臣臨時代理が主宰するところの閣議において、ある国務大臣がどうしても承認できない、私は反対だ、こういう主張をした場合には、実は内閣総理大臣であれば、この国務大臣の罷免ができる、身専属の権限によって罷免できる。ところが、臨時代理では罷免ができないといことであれば、閣議不一致というとになって、行政権の行使ができ吹くなるおそれがあろうと思う。この点について、これは一体岸総理大臣はどう考えますか。あなたのもとでは、閣議が必ず一致するとは限らない。国務大臣を罷免する権限がないのですから……。そうなると、あなたは行政権を行使するところの力がないということになる。これを一体どうお考えになって、今日臨時代理の職責に当っておられるのか、お尋ねいたします。
○岸国務大臣 原則として、政治上のなにとしましては、野原君の言われるように、閣議は、全会一致で了解をつけて運用していくということに努めることは当然であります。しかし、今の罷免権の問題につきましては、私は持ちませんけれども、総理がおられるのでありまして、どうしてもこれを、自分は内閣を主宰し、行政上行使しなければならぬと臨時代理が考えたことを、ある大臣がどうしても聞かないという場合におきましては、総理と相談をして、総理は罷免権を持っておるわけですから、総理が了承すれば、そういうこともできるし、実際問題としては、まあ起こらない事例でありましょうけれども、私は相談して、総理の下身専属の権限を、行使してもらうということはもちろんできる、こう思っております。
○野原委員 全会一致ということは、政治上そうだという御答弁でありましたが、これは憲法上全会一致が原則になっておる。内閣は一体として国会に対して責任を負うと明記されております。そこで私は、この点をもう少しお心ねしておきますが、あなたは、そういう必要が起ったならば、総理大臣のところへ相談に行くのだ。ところが、その総理大臣は病気で、その相談に応ずることができないのでしよう。だから、国会に出てこないのでしょう。相談に行ったとて、総理大臣は、応ずるか、応じないか、わかりゃしませんよ、今日のような病状では。そうすると、あなたは行政権を行使する能力はないことになる。つまり、総理大臣に相談をして、総理大臣が判断力が健康で、十分あなたの相談をそしゃくする力がかりにあったとしても、臨時代理では――とにかく内閣の最も重要な仕事は行政なんだ、行政権の行使が臨時代理ではできない。そういう解釈に立ってあなたは臨時代理をお勤めになっていらっしゃるのか、これをもう一度お尋ねをいたします。
○岸国務大臣 今、申し上げました通り、任命する権利、罷免する権利は、私待ちませんけれども、閣議を主宰し、閣内の統制をとって、そうして必要な行政行為がやれる、またしやらなければならぬという考えで、臨時代理の職に当っておりますが、不幸にして、もしお話のごとき事鮮が生ずるなら、私は、総理に相談して、そうして国のために最もいい結論の出るように、罷免免権の発動も頼むというつもりでおります。これはいろいろな場合がありまして、想像していろいろな場合を仮定しますとなんでありますが、辛い私は、本日総理にも合って参りましたけれども、からだの衰弱は、相当やせてもおりますため、国会に出てくるとかなんとかいうことは非常に無理だとは思いますが、しかし、活をしてみて、判断力等におきましては、私は、もしそういう事態があって相談しても、十分総理は、一身専属の権限を行い得るだけの能力を持っておられると、確信しております。
○野原委員 これは岸総理大臣代理も御承知のように、予算の審議ということは、国会で最も重要です。特に衆入院は、予算については非常な責任があるわけです、国民に対して……。その衆議院の予算審議に、ついに総理が出席することができない、こういう事態には、あなたとしては、どのようなお考えを持って臨まれるつもりですか、お聞きしておきます。
○岸国務大臣 先ほど石田官房長官がお答え申し上げましたように、政治的に、それは望ましい状態ではないと思います。非常な変則な状態であると思います。しかし、法律的には、もちろん私は、その権限ありと、こう考えておりますし、皆さんの御協力さえ得て やれば、私は国民も、こういう際に納得するんじゃないかと、かように考えております。
○野原委員 政治的に望ましい状態でないということをお認めでございますから、そのような事態がきたならば、当然総理大臣臨時代理は、重大なる決意をされると、このように考えてよろしゅございますか。
○岸国務大臣 ご質問の、重大なる決意ということが、どういう意味であるか、ちょっと私にははっきりわかりませんが、一生懸命にやれという意味なら、それは私はやります。
○池田(禎)委員 ただいま岸総理大臣と官房長官から、それぞれいろんなことを伺いました。私どもは、実は率直に申しまして、まことに不満足な御答弁である、かように思っております。憲法の第七十二条には、「内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。」とある。この精神から申しますならば、この国会に提出された予算案、法律案の提出責任者である石橋総理大臣の出席を待って、「初めて私どもは、番議の最高のものを尽すものなり、こういう判断をいたしておるのであります。しかも内閣法の第九条によって、あらかじめ総理大臣事故あるときには、その職務を行わしむるというその制度を設けておらない。そうであるとするならば、私どもとしては、提出の最高の責任者である総理大臣が、国会の重要なるところの予算案の審議に出席、不能であるという状態において、野党といたしましても、当然これでは、国政審議の責任を果たすことはあり得ない、こういう見解を私どもはとっております。そこで、一身専属の権限につきましても、私、本日は議論しようと思いません。法制局長行は、宮澤教授等の御意見を披露されましたが、かつての内閣の法制局長官として、あなたの先輩に当る人でも、こういう見解をとっておらぬ人も明らかにおります。のみならず、臨時総理大臣代理には、その人事権まであるということを申されて、おるかつての長官も幾人かあります。私は、今日あなたとここで論争しようとは思っておりません。しかし、いずれにせよ、石橋内閣の今日の状態は、病気ということによって、あまりにも国会に対して甘えておる。国民の多くの人の情をかりて、国政審隣の大任を果しておらないということは、私どもとしては、まことに不満にたえないのであります。私どもは、この主張を、それぞれの党の機関を通じましていたすつもりでありますけれども、あなた方の今日の御答弁に対しましては、まことに不満であります。しかしながら、私どもはこれ以上は、本委員会としては、あらためてまた機会を求めてやりたいと思います。
○野原委員 一言だけ池田君に付加して……。今、総理大臣臨時代並びに官房長官からお説を拝聴いたしましたが、私どもとしては、ただいまの私どもの質問に対する御答弁では非常に不満でありまして、明日からの予算審議には、これはやはり重大な私どもの態度な決定して臨まなければならぬかと思います。このことだけ申し上げておきます。 〔「もういい」と呼ぶ者あり〕
○保利委員長 それでは、ご苦労さんでした。 ―――――――――――――
○保利委員長 この際、図書館運営小委員長より発言を求められております。これを許します。
○内田委員 小委員長にかわって御報告を申し上げます。 国会図書館の建設用地に関する問題につきまして、金森国立国会図書館から御相談を受けましたので、昨日図書館運営小委員会を開きまして館長の説明を聴取し、小委員でいろいろ相談をいたしましたので、その内容を簡単に御報告申し上げますと、次の通りであります。 お手元に資料を差し上げてありますが、国会図書館新庁舎の建設工事の予定敷地の中の、その一角に、自治労会館の建物並びにその敷地が現在ありまして、自治労会館からその敷地の買収の要求がありました。これは図書館といたしましても、将来この自治労会館の現存するところまで図書館の工事が及びますし、また自治労会館といたしましても、御承知のように現在あそこに工事中でありますために、その工事のために非常な迷惑を受けておるので、この際買い取りの意思があれば、すみやかに買い取ってもらいたい、こういう申し出が館長の方にあったそうであります。この点につきまして図書館側から当委員会に御相談がありましたのは、まず第一に、これを買い取るためには、現在その目的のための予算がないので、昭和三十二年度国会に提出されております予算案では、御承知のように建築工事費が何億ですか計上されておりまして、この敷地を買い取ります場合には、その建築工事費の予算を流用しなければならないので、その流用について大蔵財務当局と協議をしたいが、その点についての御相談と、それから第二には、買います場合には、価額の問題が出てきますが、これは双方、それぞれ希望価額等がありましょうから、図書館の交渉にしばらくゆだねてもらいたい、さような趣旨の御相談でありました。小委員会におきましては、この問題を検討いたしましたけれども、この事態を解決することが適当と考えましたので、図書館長の善処におまかせいたしまして、またその結果を当委員会に御報告願うということで、一応散会いたした次第であります。 なお、ちょっとその数字を申し上げますと、今日自治労会館が建っておりますあの建物は自治労会館の建物で、その敷地が五百数十坪あるようでございます。これはもっと早く買い取っておったならば、よかったろうと私どもは思いますけれども、いろいろの事情で、ことに図書館建築の予算のうちに、この敷地買収費が認められておらなかったというような関係もありまして、今日に至ったようでありますが、たまたますでに同じような敷地につきまして、一部は買い取った土地もありまして、その際その予算の余り等を――千代田区の六番町でありますが、そこに三百坪余りの土地を国立国会図書館で持っておるので、従って、この自治労会館の土地を貰い取ります際にも、この六番町の土地をかえ地として提供して、いいかえますならば、交換の目的として、現に図書館の持っておる土地を提供して、そうして価額判定によりまして、もし差額が出ます、ならば、その差額を予算流用の結果による買い取り資金で相手方に支払う、こういうことに相なるだろうと思います。 なお、小委員会の結論といたしまして、館長におまかせはいたしましたけれども、その際小委員長から特に飢民に要望をいたしまして、これは買い取る方向で進むべきであり、価額の問題は、むろん双方折衝することが必要でありますけれども、最も適正な合理的な価額で話を進めてもらいたいということと、もう一つは、第三者が介入するようなことになりますと、いろいろの問題も生ずることをおもんばかりまして、この買い取りの問題は、自治労会館の当事者と図書館の当事者と直接交渉を進めることが望ましいから、この方向で進めてもらいたいということを希望いたしておきました。館長はこれを了承いたしました。一応御報告申し上げておきます。
○保利委員長 ただいまの御報告を了承するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○保利委員長 御異議がなければ、さよう了承することにいたします。 ―――――――――――――
○保利委員長 明二十一日は、法案もあるようでございますから、定刻から本会議を開くことにいたしまして、十一時から議運の委員会を開会したいと思いますので、そういうことに一つ……。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐々木(良)委員 この議院運営委員会の運用につきまして、一言希望を申し上げておきたいと思います。公報にはいつでもこれは理事会終了後となっておりまして、会館その他におると、いつ開くとも開かぬとも、われわれ委員にはちっともわけがわからぬ。そうして理事会でもあれば、さっさと出てきて、ちゃっちゃっとここでやられるそうですけれども、これは当然放送されて、会館からちゃんと出てくる余裕を与えて、きちんと開会していただきたいと思います。それから、その他の小委員会の開会につきましても、さっぱりわれわれにわけもわからずやられておるような部分が事実上多いように見受けられておりますから、一つこの運営については、気をつけていただきたいと思います。
○保利委員長 佐々木さんにお答えいたします。できるだけ予定されておる定刻に開会いたしたいということで努力をいたしておりますが、佐々木君の御発言は全然同感でございますから、そのように取り計らうことにいたします。 それでは、本日はこれをもって散会いたします。 午後五時五十四分散会