外務委員会科学技術振興対策特別委員会連合審査会 第1号
- 発言数
- 143 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/05/14
会議録
○野田委員長 これより外務委員会科学技術振興対策特別委員会連合審査会を開会いたします。 慣例によりまして私が委員長の職務を行いますから、さよう御了承願います。 国際原子力機関憲章の批准について承認を求めるの件、特殊核物質の賃貸借に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との間の第二次協定の締結について承認を求めるの件、特殊核物質の賃貸借に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との間の協定第一条の特例に関する公文の交換について承認を求めるの件を一括議題といたします。
○野田委員長 質疑の通告がありますのでこれを許します。岡良一君。
○岡委員 このたび国際原子力機関憲章の採択会議において日本国がその準備委員に選ばれ、従って理事国に当選をする公算がきわめて大と相なりました。私は原子力の平和利用を掲げるこの機関の運営において重大な任務を果し得る機会を与えられたことについては、外務当局の御努力を衷心より多とするものであります。しかしながらそれだけに、わが日本も理事国としての任務はきわめて重大であろうと思うのでありまして、従って国際機関の運営に対する政府の根本的な態度については、親しく所管大臣よりその所信を承わりたいと思って、特にこの連合審査を私どもは要求いたしたのでありますが、お見えになりませんので、その点は保留いたしまして、とりあえず技術的な問題について、この際所管の局長その他より率直なる御意見を承わりたいと存じます。 第一に問題となりますのは、いわゆる特殊核物質の賃貸借に関する米国との間の第二次協定でありますが、政府並びに原子力委員会は当初改訂の内容としていかなるものを要求いたしたのであるか、この点を明らかにいたしていただきたい。
○宮崎政府委員 日本政府といたしましては、第二次協定におきましては燃料を購入するという考えをもってアメリカに伝えたわけでありますが、それに対しましてアメリカから参りました案は、われわれの予想しておるものと相当違っておりまして、うまくそういう購入方式で進んでいくということがむずかしくなって参りましたので、しばらくそういう交渉をいたしました末、また元のような賃貸借という考えによって今月の初めから交渉を進めたわけであります。
○岡委員 原子力委員会の決定として新聞等を通じて私どもが承知をいたしましたところでは、当初わが方としてはプルトニウム、高濃縮ウランあるいは天然ウラン等もあわせてこの協定の改訂に当ってその譲渡あるいは売却方を要請した、このように承知しておるのでありますが、その間の事情はいかがでしょうか。
○宮崎政府委員 今御質問の通りに購入以外にもウランを十二キログラムに増加したいということと、それから免責条項を挿入するということ、それからプルトニウムを購入したいということも初めには考えておった次第であります。
○岡委員 そのプルトニウムあるいはウラニウム二三三あるいは九〇%程度の高濃縮ウランの受け入れというものは、もちろん原子力委員会としては厳密な具体的な原子力開発の計画に即応したものとして私は要求されたものであると思うのであるが、これは具体的にわが国における原子力開発のどの点においてこれらのものが必要とされたのであるか。
○佐々木政府委員 プルトニウムに関しましては将来増殖炉を作る際にぜひこれが必要な核燃料物質でございますので、その将来の増殖炉に備えまして今から研究を進めたいというふうに考えておったのでございますが、増殖炉そのものの計画というのはただいまの段階では相当先でございまして、少くとも六年あるいは七年以降ぐらいになるのじゃなかろうかというふうに考えておりますので、早いに越したことはないのでありますが、必ずしも今年度これを入手しなければ将来の計画にそごを来たすというふうには考えられませんので、先ほど外務省の方からお話ありましたように、今回はその点を見送ったわけであります。
○岡委員 天然ウラン二トンの要求が日本にあったはずでありますが……。
○佐々木政府委員 天然ウランに関しましては研究協定の改訂を要しないのでありまして、これはおととし締結いたしました研究協定の中に材料としてこれを提供することになっておりますので、細目協定を締結すれば入手できるというふうになっておりますから、本協定の改訂をその中に織り込まなければ必ずしも入手できぬというものではないのであります。それから天然ウランの使途でございますが、使う目的はウォーター・ボイラーの上に一つの小さい研究のチェンバーを作りまして、そうしてそのチェンバーの中に下から中性子を一部放射させまして、そうしてその結果中性子束の運動の過程を研究したい。これは何のためにやるかと申しますと、国産原子炉を三十四年度の末に完成いたしたいという念願を持っておりますので、その設計その他に間に合うようにということで、この天然ウランの入手を期待したわけでございます。
○岡委員 わが国のようにウラン資源の乏しいところでは、お説のように増加炉の方向に研究の方向を力強く向けていくことは当然であると思います。またどうしても三十四年には、繰り返し原子力委員会も強調しておられるように、天然ウラン重水の国産炉はぜひ建設してもらわなければならぬ。それでプルトニウムは別といたしましても、天然ウランはそれではこの細目協定の批准をし、成立をすれば必ずアメリカから受けとることができるという保証がありますか。この点特にまた外務当局からもその所信を伺いたいと思います。
○佐々木政府委員 今回の第二次協定の方は、御承知のようにCP5に必要な濃縮ウランを入手するためのものでありまして、天然ウランは別協定になる予定になってございます。ただいまの段階では、このCP5用の濃縮ウランをまず入手いたしまして、そうして引き続いて天然ウランを入手するための交渉に入るということになっております。
○宮崎政府委員 今佐々木局長から御説明がありましたように、まだ少し時間的な余裕があるということがありますから、今後協定をいたして交渉に入るということでいく予定にしておるわけであります。
○岡委員 炉心もやがて到着することになり、従って東海村のウォーター・ボイラーは七月中には試運転を始めるかもしれないといわれておる。そのあとで天然ウランをその上部に装置するということはできるのですか。
○佐々木政府委員 ウォーター・ボイラーそのものを逆転するのには、別に天然ウランは要しないのでございまして、濃縮ウランはもう五月の中旬には入って参りますので、予定通りにできるかと思います。その際上部に対する中性子の抜け道と申しますか、照射の穴をふさぎましてやって参りますと、ウォーター・ボイラーそのものの逆転には全然差しつかえございません。事後天然ウランが手に入りました際にその上に並べまして、そしてふたをとればそのまま照射できるような装置になりますので、運転した後でも十分可能というふうに考えておるのでございます。
○岡委員 カナダ政府では天然ウランも日本政府に譲渡する意思があるやに伝えられておる。昨年中にはすでにそのようなカナダ政府としての意思決定をして、諸外国の天然ウランの入手については便宜を供与しようという意向が、外務省のリーフレットに載っておるのでありますが、その辺はどういう情勢になっておりますか。それからもう一つ、天然ウランが早く入手できなければ、三十四年の天然ウラン重水の国産炉の建設はそれだけおくれるわけですが、間に合いますかどうか。
○佐々木政府委員 天然ウランを一緒にチェンバーに使いまして研究いたしたいという目的は、先ほども申しました通りでございますが、それがなければ絶対に設計ができないという性質のものではないのでありまして、あるいは国産炉を作る際に少し経費がかさばるとかいったような問題等も残りますが、これに関しましては、ただいま原子力研究所の杉本理事が作りました設計図をもちまして、英国、フランスあるいはベルギーあるいは米国、カナダ等全部その設計を向うに持って参りまして、そして専門家に一つ一つ微細にわたって検討していただくというので、当面の責任者が参って研究しております。あればなおさら確実ではございますけれども、これがただいますぐ入手できなければどうしても実験が成り立たないという性質のものではないというふうに承知しております。
○岡委員 一般協定のワク内であるいは九〇%相当の高濃縮ウランなりあるいはウラニウム二三三なり、また濃縮ウランの増量、プルトニウムのわずかな量等と、一般協定のワク内で供与を受けておるという事例は、他の国についてございませんか。
○宮崎政府委員 ほかの国では、そういう協定をして受けておるという事例はございます。
○岡委員 ドイツはすでに濃縮ウランの増額、その他相当な要求量というものをアメリカは受け入れておる。一般協定のワク内でしかもこれは売却です。なぜ日本は、日本の当初の要求がここまで押えられて、なおかつ賃貸という条件を付されたのですが、どこにそういう原因があるのですか。
○佐々木政府委員 昨年十一月に大統領の声明がございまして、それには原則としては、研究協定でやる分は賃貸を原則とする、同時にその量は十二キロをもって限度とする。そしてそれ以上の量になりますと、これは研究協定じゃなしに、いわゆる一般協定で、しかも形式は賃貸じゃなしに売却を原則とするというふうになっておりまして、わが国でも向うと交渉しておりました研究協定の改訂に際しましては、十二キロぎりぎりまで濃縮ウランを研究協定でもらいたいというふうに申し込んでおったわけであります。
○岡委員 それでは今後プルトニウムなり高濃縮ウランなりあるいはまた濃縮ウランの増量というものは、もはや研究協定の改訂をもってしては入手はできない。従って動力協定の交渉に入らなければ、これらの資材というものは入手できない、こういう方針でありますか。
○宮崎政府委員 現在アメリカの公けにした声明その他から推察いたしまして、大体今お話のような見通しにならざるを得ないというふうに考えております。
○志村委員 関連して。ただいま佐々木局長のお話によると、天然ウランが入手できない場合には、エクスポーネンシャル・エクスペリメントを省略して、それから、国産一号炉の設計に入る、こういうような意向もあるというお話でありますが、そのことは事実ですか。
○佐々木政府委員 それなしに最終的に決定するという意味合いではないのでありまして、ただいまの段階では天然ウランがないわけでございますので、こちらで各国を視察あるいは研究した結果によって、各メーカー等が集まりまして、研究所が中心になって設計したものがございますので、その設計を各国に参りまして具体的に検討するという段階になっております。もちろん天然ウランをできるだけ早くわが国でも入手いたしまして、さらにそれをコンファームするという道が一番最善じゃなかろうかというふうに考えております。
○志村委員 指数実験を抜きにしてそして国産炉の設計をするということになると、一つの大きなトライアル・エンド・エラーになってくると思う。莫大な経費を使ってやる場合に、事前の実験準備を十分尽さないでやるということは大きな危険があると思う。こういうことはなるべく避けるべきであると思うのですが、ただ天然ウランがどうもうまく入りそうもないから、これを省略してやるというような安易な態度でなくて、そのためにはぜひ必要であるから、天然ウランはぜひとも入れるという態度でやるべきだと思うが、いかがですか。
○佐々木政府委員 その通りだと思います。
○岡委員 他の国はもらうものはもらっておる。わが方はせっかく要求してもらえない。ここに私は納得できぬところがあるのです。これは明らかに外務当局としての責任だと思う。それによって、今志村委員も指摘したように、金属材料等、相当純度の高いものを必要とし、あるいは耐久力のあるものを必要とするものが、その試験ができないという状態に今置かれておる。三十四年に国産炉ができるかできないか、その確実性というものは、こういう交渉の結果、今疑われてきておるわけじゃありませんか。その責任は一体どこにあるか。アメリカの方針というたけでなく、他の国はもらっておる国もあるじゃありませんか。その辺のところは外務省だってとくと御存じの上で交渉しておられるものと思う。
○宮崎政府委員 今申しました国々は一般協定を締結しております関係上、さっき申しましたようなこの研究協定のワクというものに縛られないで入手しておるわけでありまして、一般協定がまだ日本が締結することができないでおるということに根本的な理由があるのであろう、こう考えております。
○岡委員 去年の五月、西ドイツの原子力相であったシュトラウスは、ワシントンへ行って、みずから直談判して、こういうものを西ドイツは研究協定のワク内でもらっておるじゃありませんか。何も動力協定を結んでおらないじゃありませんか。なぜ日本はもらえないのですか。
○松井説明員 技術的な点でございますから、私からちょっと御説明させていただきます。おっしゃる通りに、現行の協定の第四条では、天然ウランその他を含む原子炉材料というものは、もしも公開の市場で入手できない場合にはアメリカが輸出許可を与えるということを約束しております。従ってこれによってコマーシャル・ベースで買えるものと日本側では考えていたわけでございますが、その後アメリカは、天然ウランの量が多い、しかもその結果発生すべきプルトニウムの取扱い等に関しましても政府間の協定としたい。関係の条文は、アメリカの原子力法の第六十四条にこういう規定がございます。原子力委員会が外国に対してソース・マテリアル——これは天然ウランとか、トリウム、そういうものを輸出する場合にはですが、原子力法の百二十三条に基く協定の条件に従ってこれを外国にやってよろしい。その協定の条件の中には、本協定でカバーされたものと、すなわち本協定の条件に従うということが第一、第二には、原子力委員会がこうしたものを外国に輸出しても米国の利益に対して不利ではないという決定をした場合に、これを出すことができる、こういう規定がございます。それから同様の規定が六十九条にございます。それはいずれにしろ天然ウランは輸出してもいいけれども、その結果アメリカの利益に反し、もしくは国防上共通の目的に対して害がないという保証がなければいけないということになっております。この関係から、アメリカ側は現行協定の第四条ではコマーシャル・ベースでは一応出せるということを予定しておりますけれども、天然ウランの量が多いので、政府間の協定にいたしたい。その内容につきましては、免責条項のような内容とか、あるいは原子力委員会の代表が日本に来て天然ウランの使用状況を視察する場合にはこれを許可する、あるいはそれに関する報告を提供しろというようなことが入っております。従って、あけてみますと、現在の協定でカバーされた分のほかに、特殊核物質の使用状況につきましては、現行協定の第七条のC項だと思いますが、向うのオブザベーシヨンを許すということをきめておりますが、天然ウランについてはそういう規定がなされておらない。ところが向うの規定では、天然ウランの使用状況についてもオブザベーションを許すということが規定されております。こういう点が、外務省の条約局の見解といたしましては、立法事項をなす、従って国会の承認を得なければいけない。ただ今宮崎局長、その他佐々木局長から御説明があったように、研究協定の改訂方針が基本的な態度が変った。その理由は、向うは一般協定でいきたいと言ったために、研究協定の改訂を実質上動力協定なる一般協定の基礎でやることは不可能であるという結論に達したために交渉がおくれました。しかもCP5の燃料の交渉も急ぐ。その結果事実上時間切れで、今次の国会に間に合うように交渉を妥結して提出するということは不可能になった次第であります。おくれたことは事実であります。しかしながら政府といたしましては、国会の承認を要するような事項でございますので、遺憾ながら今度の国会には間に合いませんが、来たるべき国会、最も早い機会の国会に提出する準備で交渉を継続したいというふうに考えております。ちょっと事務的なことを御説明申し上げました。
○岡委員 いろいろ苦心はよくわかるのですが、しかし現実に原子力をめぐる国際情勢は、これを平和利用の面で言えば、米英両国は日本と西ドイツをねらって動力炉の売り込み競争に狂奔しているというのが現実の姿でしょう。そういうような事情は百も皆さんは御存じの通りなんだ。そこで、なるほど今濃縮ウランを四キロもらわなければCP5の燃料はない。それは今度の国会の会期にはおくれるというので、天然ウランをもらうという交渉も、その他いろいろの要求もすべて捨ててしまう。しかしCP5が運転するのには、この次の国会の当初にこれを国会が批准してもいいじゃありませんか。ところが、そういう日本の原子力の自主的な開発のための国産炉建設に必要な資材についてはある程度まで目をおおうというような形で私は急がなければならぬ必要はないと思う。しかもその結果はアメリカ側の動力炉売り込みというアメリカの政策というものに日本は引きずり回されたという結果が、この四キロというふうにしぼられた今度の協定に相なっていると私は思う。こういう事態は明らかにこの原子力外交の大きな失態ではないかと私は思う。外務当局はどう思われますか。原子力委員長がお見えになったが、どう思われますか。
○宇田国務大臣 発電用のリアクターを中心としてこれの売り込み競争を考えるというようなことは、これは当然起り得る現象だと私は思っております。ただ二国間の動力協定を結ぶということが前提でありますから、その前提を満たすためには、われわれはなお検討すべき点が数カ所ある、こう考えております。従って二国間の協定について政府におきましても十分な検討をまだ加え切らない現在といたしましては、動力協定に直ちに入る時期であるかどうかというのは、この国会の当初において外務省その他の出先の傾向等も聞き合せまして、これは今国会には無理であるというのが、外務省の向うとの交渉の結果の見通しでありましたから、そういう意味で動力協定を前提として、そして新しい発電用のリアクターを入れるか入れぬかということにつきましては、なお時期を待たざるを得ないであろう。とりあえずCP5を中心とする、現在われわれが輸入を決定いたしておりますものについての必要な燃料対策を講じよう、こういうことになったわけでありまして、その出先の外務省の交渉経過等から判断をいたしますと、細目協定をもって当面を処理していく、こういうのがとにかく現実の問題としては一番適当であろう、こういう結論に達したわけでありまして、この細目協定を中心とする外務省の交渉は、今の段階ではやむを得なかったものであると私たちは判断をいたしております。従って動力協定をどうするかということをこの間に織りまぜていくということは、かえってわが国の研究所を中心とするところの原子力対策としては、現状に合わない事件が起っては困るというわけで、こういうふうな取りきめに賛成をし、そしてその手続をした、こういうわけであります。
○岡委員 あまり御趣旨がよくわからないのですが、問題は具体的に申し上げると、たとえばこれはアメリカの方がはっきり言っておることは、去年の一月三十一日のマッキニーの報告なんかを見ますと、とにかくアジアだけでも原子力産業の施設を買い取る潜在能力は日本の邦貨にして十億ある。従って今後における最も好望な輸出産業は原子力の産業である、こう言っておるわけですね。従ってそういう勧告を受けてアイゼンハワーは二万キロは国外に濃縮ウランを放出するという声明をやる、原子力委員会は原子炉に関する機密をアメリカのビッグ・メーカーに対して接近を許可するという状態で、相手国に、日本に対しあるいは東南アジアの諸国に対してどんどん動力炉を売り込みたいという態勢に出ておることは、これはアメリカについてみても明らかなのです。最近アメリカの方からやってきておる人たちがいろいろ昨日も講演しておられる内容なんかは新聞はまことに功妙に批判していると私は思う。原子力に対する巻き返し政策だ。日本がコールダホール改良型におもむくかと思えば、いろいろいい条件を彼らは打ち出して、どうぞアメリカの動力炉をという方向に出さんや日本の世論に印象を与えようとしておるわけです。こういう方向に政策をどんどん推進しておるときに、これは委員長に私ははっきり聞きたいのだが、二月九日の原子力委員会は研究協定の改訂でいこうという方針と動力協定にすみやかに入ろうという方針を二つきめておるでしょう。こうやれば向う様の手に乗ってる形になっている。だから向うも強気になって、二トンの天然ウランも待ってくれ。ぎりぎりのところで結局ようやく四キロの濃縮ウランでわれわれは旗を巻かなければならぬ結果に経過から見ればなっておると私は思う。そうじゃないのですか。
○宇田国務大臣 当面われわれが昭和三十二年度の完成を希望しておる二つの炉のためには研究協定の改訂で十分である、こう考えておりました。しかし情報交換あるいは技術の交流等をあわせ考えますと、一般協定すなわち動力協定を結ぶということは必要であるという判断も持っております。従ってわれわれといたしましては石川委員が持って帰りましたドラフトを中心として、動力協定の研究に入るということは当然のことであると考えております。そうして動力協定の締結につきましては、その時期、方法等について政府の各省庁間において十分な協議をして、その上において政府の基本方針を決定しようではないか、こういうことに政府も委員会の方向に合せて打ち合せはいいたしてあります。従って四月の五日にそれを明確にするために開議の了解事項としてこれを決定いたしたようなわけでありまして、この研究協定をもって当面の二つの炉を中心とする昭和三十二年度の措置、そのほかにわれわれの新しい国際環境に合う動力協定に対するところの態度というものの二つをきめた、こういうのは差しつかえないものと考えております。
○岡委員 方針が是か否かを私は言っているわけではないのです。問題は、アメリカと研究協定の改訂をやって日本の原子力の開発に最も有利な諸条件をとろう、こういう方向に進んでおるときに、しかも相手方のアメリカは日本に動力炉を売り込みたいという念願を強く持っておるときに、研究協定の改訂もやってくれ、動力炉もほしいのだ、こう腹の内をすっかり出したのでは、これは相手国との交渉ということになれば、動力炉という手を握ってこようとするのは当りまえではありませんか。私はそこに問題があると思うのです。そういうことはこれからもあることだが、よほど慎重を期さなければならぬと思う。問題はこういう追い詰められた形でようやっと四キロの濃縮ウランを増量するにとどまるという結果になったということは、これは日本とアメリカとの原子力問題に対する交渉の過程においては、日本側に何らの責任もないのだという判断に立っておられますか、もっとやりようがあったのだという判断にお立ちですか、そこのタイミングです。判断の問題なのです。そこのところでこういうことをあまり繰り返してもらっては困る。そういう意味で一つ委員長としての御判断を承わりたい。
○宇田国務大臣 昭和三十二年のこのわれわれの計画の中には、ただいま据付中のものとCP5と二つを稼働しなければならないという現実の条件を持っております。現実の条件を満たすためには、一般協定でこれをまかなおうとする場合には時間切れであるという。その時間切れをおそれるための細目協定を締結するというのはやむを得なかったことと思っております。これは最上の結果とは考えておりません。しかしやむを得なかったこの時間的な制約の中でとった処置と、こういうふうに考えております。
○岡委員 私はどなたの責任であるかということを今さら追及しようとは思いません。しかし何といっても日本の立ちおくれを今後克服しようとするには、原子力外交というものが日本の外交の大きな分野を占めてくることは必至なのですね。その場合、閣議決定は四月の二十日ごろですよ。閣議決定で、米英両国との間に可及的すみやかに一般協定の交渉に入ろう、そのためにはその時日や基本的方針等については関係省庁の間で協議の上決定する、これは四月の二十日ごろの閣議決定です。二月の九日に研究協定の改訂で外務当局が大わらわなときに原子力委員会は一般協定に入るのだ、向うでは一般協定に入ってほしくてしようがないから、その方の手ばかり出しておる。日本は両方の手を出して、研究協定と動力協定の両方の手を出せば、必然に日本の動力協定という手と向うの動力協定一本の手と握り合ってくるということになれば、研究協定の改訂というものがたな上げになってくるのは当りまえではありませんか。そこでこういうようなやり方を続けていくということになると、私は日本の原子力開発というものが非常に不安です。有澤先生がお見えですが、これはまず日本の立ちおくれを克服するためには、やはり諸外国の強力なる援助が必至だと思う。そこで原子力委員会の決定というものは、日本の原子力に関する外交とうらはらの関係になってもらわないと困ると思うのです。そうあらしめるには具体的にどうしたらいいかという点が一つの問題だと思うのですが、一つ先生の率直な御意見を聞かしていただきたい。
○有澤説明員 大へんむずかしい問題でございます。と申しますのは、何といいましても日本の場合にはまだ何も持っていないのですね。持っている国と持っていない国との折衝でございますから、なかなかむずかしい問題だと思いますが、しかし今御議論の問題になっておる点につきましては、私たちの方も時間の問題と、それから一般協定の中においていろいろ検討すべき問題がかなりあるということと、従ってその点から言えば、研究協定を改訂して天然ウランとか今の濃縮ウランを入手することができるような道が比較的やさしくいくのではないか、こういうふうにわれわれは考えたのですが、それが今申し上げました持たざる国と持てる国との間の折衝のために、われわれの思っているようには事が進まなかった、こういうことになったと思うのです。ですから結果から申しますと、今岡さんのおっしゃったようなまことに不手ぎわだというふうな感じが出てくると思いますが、しかしわれわれはむろんそういうことを予想してやったわけではないので、今申しました時間の問題とか、それから一般協定、研究協定の改訂が、これはほかの国々との関係から考えてみまして割合にうまく簡単にいくのではないか、と言うと言い過ぎかもしれませんが、比較的容易にいくのではないかというふうに考えたわけです。その食い違いがこういうふうな結果になって、結局は濃縮ウラン四キロだけの問題になって、しかもそれも会期の切迫したときにこの問題が上程されるようになった、こう考えます。 根本の問題は、私はやはり日本の場合におきましては燃料政策を確立することだと思うのです。この基盤を作っておきさえすれば、外交の問題におきましても相当自主的なと申しますか、自主的と言うと少し言い過ぎかもしれませんが、フリーハンドで折衝を進めることができるのではないかと思います。要は燃料政策を確立するという点にあろうか、こういうふうに考えております。
○岡委員 有澤先生は大へんわれわれの崇拝する権威であって、これはもうそういう情勢判断なんかはしっかり持っていただかなくてはならぬと思うので、常勤委員になられたらとたんに政法家になられては困ると思います。この問題は結局やはりこれからどこの国と交渉なさるにしても、原子力委員会の決定した——ところが外務省の力では右の道を行き、原子力委員会は左の方向を行くということになると、こちらはあぶはちとらずになって向うに乗ぜられるというような結果が今度の場合見えるのですよ。こういうやり方をやられると、日本の自主的な開発というものが、むしろ向うの政策に引きずられることになって、自主性というものがやはり大きく傷つけられる。そういう点で一つ今後機構の上においても運営の上においても十分な御検討を願いたいと思います。原子力委員会の強化、特に参与会議等に関係各省庁の方々も一つ御参加願って決定する、十分参与会議というたたき台の上に載せて、財政的にも外交的にも遺憾のないようにというところまで念を押した上で、委員会の決定に到達するという御努力をしていただきませんと、国民の待望している原子力委員会というものの権威を失墜する心配があるので、そのことが私は非常に憂慮にたえないので繰り返して申し上げるわけであります。 それで結局明らかになったことは、日本とすればプルトニウムなり高濃縮ウランなり天然ウランなり、そのような今後国産炉を建設をし、あるいは増殖試験炉を建設をするがために必要な資材等については、一般協定を結ばなくては入手することができないという段階にきておるのですか、この点外務省の方からお聞きしておきます。
○宮崎政府委員 法律的に申しますと、今おっしゃいましたように、どうしても一般協定を結ばなければうまくいかないというふうに考えられるわけであります。しかしさっきも言いましたように、天然ウランの入手その他個個にやっていけるものは別々にやっていきますが、結局のところはやはり一般協定を結ばなければうまくいかない、そういうふうに考えております。
○岡委員 先般の閣議了解事項として伝えられている可及的すみやかに米英両国との間に一般協定の交渉に入ろう、それについては関係各省庁と基本方針なり時日なりその他の重要なる事項について協議をする。そこで原子力委員会としては一体いつごろ一般協定の交渉に入ろうという御意思なのか。外務当局としてもいつごろが適当と思われるか。特に私がこの問題を聞きますのは、宇田委員長も今度近い将来にはアメリカや英国に行かれるという話も聞いておりますので、願わくばこれに間に合ってくれればこれに越したことはない。そういう意味でいつごろ関係省庁で話がまとまるのか、その辺のところを一つお聞かせ願いたい。
○高橋(通)政府委員 その問題につきましては、先ほど申し上げました通り、時間切れというような点がございましたので、一応濃縮ウランの協定だけをここに御提出した次第でございます。しかしながらその前にも動力協定または研究協定の改訂というようなことは一応中止したわけではございませんで、今後ともますますその線に従いましていろいろ向うと折衝していきたいと思っております。従いまして外務省としてましても関係各省といろいろ協議し意見打ち合せをいたしまして、今後とも交渉を続けていきたいというように考えております。
○岡委員 どうもはっきりしないのですが、先般予算委員会で大蔵大臣が言明をされたところによると、とりあえず英国からコールダーホール改良型を入れるとすれば、当初建設費だけでも四百億をこえる、年々五十五トン以上の天然ウランの詰めかえをやっていかなければならぬ。この詰めかえ原料を入れるとして運営費等を考慮すると相当の費用がかかる。一千億にもなんなんとするかもしれない。それほどの大きな国の財政支出あるいは国庫の債務負担行為が伴うような約定は、この際いたすべきではないと思うというようなお話があったわけです。外務当局の方では一般協定についてまだ相手国との間の話し合いに入っておられないという。そこで原子力委員会の力では相手方が示した草案を検討の上で一般協定に入ろうということなのですが、原子力委員会としては米英がすでにわが方に示しているところの一般協定草案について検討されたかどうか。しかもその草案の内容のどの点について問題があるということを問題点として抽出されているかどうか、その点についてお聞かせ願いたい。
○宇田国務大臣 アメリカからのドラフトは正式にもらってありまして委員の皆さんにも差し上げまして、その面については検討はいたしております。イギリスのものは、まだわれわれのところに十分検討するほどのものはありません。石川一郎氏からわれわれが見せてもらったものはあります。しかし、それにたよって、最後までこれを検討していくべきものかどうかということについては、私たちは十分見通しは持っておりません。どういうものにたよっていくかということについては、外務省とそれぞれ打ち合せまして、政府の責任のあるドラフトを中心にして判断をいたしたい、こう考えております。
○岡委員 ドラフトは、アメリカの方も、英国の方も、向う側としては責任のあるドラフトをわが方に提示しているのでしょう。
○佐々木政府委員 英国の方のドラフトに関しましては、石川ミッションが向うに参りました際に、まだ英国政府としては未決定のものであるという条件でいただいて参ったものがございますので、それを中心に条文上の解釈あるいは国連憲章との比較問題等を検討しております。米国の方に関しましては、石川ミッションが参りました際に、向うのAECからちょうだいしました案文と、その後、外務省の方から、出先官庁にお願いして入手いたしました同文のものを中心に、ただいま検討中でございます。 この一般協定の問題に関しましてはいろいろ問題がございます。たとえば国内的な整備の問題と一般協定の条文そのものの問題、この二つに分れるであろうと思いますが、国内的な問題といたしましては、ただいま出しております原子炉等の規制法あるいは放射線等の障害防止法、ああいう法律を整備いたしまして、国内的にはいつでもこういう国際的な義務を受けて立てるという体制を整えることが一つで、もう一つは、やはり一般協定となりますと、資金の問題あるいは受け入れ態勢の問題等、非常にむずかしい問題が出て参りますので、そういう点もある程度のめどをつけておきたいというのが、国内的な準備の一つのやり方ではなかろうかと考えております。もう一つの面は、相なるべくは条文そのものを国連憲章等に即したものにいたしたいということで、いろいろ条文の比較等をいたしまして、わが方のいわゆる三原則に、もちろん抵触することはないのでありますけれども、有利にと申しては語弊がございましょうが、なるべく国内で、これは最も妥当な条文であると思われるような点に向って極力努力して問題を解決したいと考えますので、その間、十分条文の比較検討をいたしたり、あるいは解釈等でわからぬ点が相当ございますので、こういう点はどういうふうに解釈したらよろしいか、あるいはこの点はどういう内容を含んでおるのかというような点をそれぞれ向う側に聞きただしたりなどして、問題を解決していきたいと考えております。
○宇田国務大臣 その点につきましては、われわれは英米のドラフトないし国際原子力会議に関するドラフト等を持っておりますけれども、われわれ委員会といたしましては、各国と交渉する場合に、日本は日本独自のドラフトを用意すべきであるというのが結論でありまして、有澤委員等とも話をいたしまして、われわれ委員会は日本独自の一般協定の原案を作成しよう、それに基いて各国のものと突き合わすということにするがよかろう、もちろん参考といたしましては、先般来石川委員が持って帰ったドラフトあるいは国連憲章に基くドラフト等を持っておりますから、それを中心としてわれわれ独自の案を作りたい、こういうことでただいま委員の中で検討をやっております。
○岡委員 そういう場合、原子力委員会、外務当局は、この原子力機関の憲章、米英両国の草案等は緊密な共同作業として進めておられますか。
○宇田国務大臣 その点につきましては、外務省ないし大蔵省等とは、われわれは、原子力委員会の専門機関としての原子力局を中心として、十分事務的な連絡はいたさせております。
○岡委員 事務的な連絡でなく、国の政策としてのあり方についてそれぞれの責任者の方々の話し合い、了解というものを十分得てやっていただかなければならないと私は思うのです。しかし、そうなりますと、先ほど有澤さんもおっしゃったように、日本は何もないのだから、向うの示した草案というものが一番重要な参考資料になる。相手方の意思として受け取って、これらを参考として、日本側の意思を積み重ねて作ろうという御方針と承わっております。そういう作業はいつごろできますか。
○宮崎政府委員 いろいろの点、たとえば基本方針であるとか、日本側の受け入れ態勢をきめるというようなことを協議するのは、これからすぐ始めまして、大体秋ぐらいになるというような想定をいたしております。
○岡委員 そういたしますと、宇田原子力委員長がアメリカその他へ招待を受けてお出かけになるときには、わが方の一般協定に対する具体的な態度というものは決定に至らないがままにお出かけになる、こういうふうに了解してよろしいのですか。
○宇田国務大臣 そうなると思っております。
○岡委員 できたら、せっかくの御招待でも延ばして、あなたが陣頭に立って交渉する、これが私は責任ある委員長の態度だと思うのですが、少し延期されたらどうですか。
○宇田国務大臣 条約協定についてのみを切り離して、それをもって旅行の基本命題にしなければならぬ、こうは考えておりませんわけで、もちろん一般協定を締結する場合に、どういうふうな責任者をもってこの協定締結に当らせるかどうかということは、あらためて検討して差しつかえないと思います。
○岡委員 せっかくのお楽しみだが、あまり軽率なことを言っていただくと困りますから、十分慎重にかまえていただきたいと思います。そこで国際原子力機関憲章の問題で、国の根本的な方針は、総理あるいは外務大臣より直接聞かしていただきたいと私は思うのですが、ごく技術的な問題で若干お伺いをしておきたいと思います。 この憲章の採択の会議では天然ウランが査察の対象になるということで非常な論議があったようであります。ついに天然ウランは査察の対象となりました。この論議の過程を簡潔に要点だけ御報告願いたい。
○松井説明員 御説明申し上げます。原子力憲章の十二条には、査察の対象にはソース・マテリアルを加えております。このことにつきましては、インド側が、ソース・マテリアルにつきましても査察の対象とすることは、原子力未開発の国に対する内政干渉であり、主権の侵害となるおそれがあるので、査察の対象になるとすれば、核分裂物質に限るべきじゃないかという意見を相当強硬に唱えました。これに対しましてアメリカ初めソ連も同意しておりますが、ソース・マテリアルは結果においてウランの二三八もしくはトリウムが中性子の衝撃を受けると核分裂を起すところのプルトニウムもしくはウラニウムの二三三になる。しかもその量も動力発電になれば相当多くなる。従って単にソース・マテリアルであるという理由だけによって査察の対象からはずすことは、すなわち国際原子力憲章が原子力の平和利用を大眼目にしておる、その大眼目が目的を達成する上に万全を期することができない。これらの問題は、受入国については大国、小国の別なく受け入れる場合は、核分裂物質並びにソース・マテリアルすなわち天然ウランとかトリウムのようなものにつきましても、査察の対象とすべきであるという意見が戦わされました。ソース・マテリアルというものの、結局その中のリアクター・マテリアルは、いずれ核分裂物質になる可能性のあるものである。従ってこれは国際原子力憲章の第三条に掲げるような平和目的の達成ということから、査察の対象にすべきであるという原子力委員会の結論に達しまして、日本政府といたしましては、査察の対象とすることには核分裂物質のみならず、いわゆる核原料物質、ソース・マテリアルも対象にすべきものであるという説に同調いたした次第でございます。
○岡委員 たとえば先ほど原子力局長も言っておられるように、わが国はウラン資源に乏しいから、当然やはり天然ウラン、トリウムというふうな方向に、増殖炉という方向にこのエネルギーの需給のための原子力発電はいくべきであるということは、原子力委員会の基本計画として内定しておるわけです。そうなればどうしても天然ウランが必要になってきますね。ところが天然ウランがかりに国際原子力機関から受け入れたという場合、これが査察の対象になってくると、わが方の天然ウランから生ずるプルトニウムの使用についての自由というものは、かなりきびしく拘束をされることはありませんか。
○松井説明員 御承知の通り、国際原子力憲章の機関査察を受ける対象となるものは、天然ウランをこの機関から借りた場合に限ります。将来日本が燃料公社その他において国産的に天然ウランを作って、それを使う場合は、この国際原子力憲章に定むるところの査察の対象とはなりません。日本が自発的にこれを査察してくれと頼めば別でございます。
○岡委員 いや、私は国際原子力機関憲章が双務協定に優先すべきものであるという立場から申し上げておるわけです。そこで国際原子力機関から天然ウランを日本が供給を受けた場合、査察の対象になるわけですね。そうすると、天然ウランを使用した結果、原子炉において生ずるところの使用済み燃料の再処理の結果生ずるプルトニウム等は査察の対象になるわけですね。その場合、それはいろいろ厳重な査察の対象になって、日本の自由な使用に供せられることがはばまれる危険がないか、もしそうとすれば、増殖炉でもって原子力発電をいたしたいという原子力委員会の基本計画というものが、ここで大きくチェックされる結果となるわけです。こういうおそれがないかどうかという点をお聞きしているわけです。
○松井説明員 天然ウランあるいはトリウムを使った結果できる副産物、プルトニウム、もしくはウランの二三三を国際原子力機構が厳重なる査察をする。その結果日本の自主性がなくなるという議論であります。一応形式的にはそういう議論は理論的には成り立つと思います。しかしながらこの憲章の目的は、平和利用の結果できる副産物プルトニウムその他軍事利用に転用の可能性のあるものは、この憲章本来の目的に従いまして、軍事転用を防ぐために査察を受けるということが、これは日本の原子力基本法の精神にも合致するゆえんではないかと思っています。すなわち平和利用のみに限るということを日本がアクセプトすることは、日本の原子力基本法の精神と完全に一致すると思います。その結果におきまして研究の自由がある程度制約を受けることはやむを得ないじゃないか。なお御説明申し上げますと、この副産物の取扱いに関しましては、初め八カ国草案におきましてはきわめて厳重な制約がございましたが、今お手元にある憲章の十二条の条項は、平和利用の範囲内においては、その国に置かしてもよろしいのでございます。その平和利用の所要量の認定につきましても、初めはかなり厳重な制約がございました。リアクターの数とか、その他によって科学的に客観的にきめるというのでございましたが、今度はその点がはっきりしておりません。その点ゆとりが出ております。それから余ったものは機関の指定する倉庫に貯蔵しなさいということは、これは現在の段階においては、たとえば貯蔵は相当放射性の強いものでございますから、これが機関の定める安全なところに納めるということは、これは人体、生命に及ぼす危害を少くする立場からおきましても妥当な意見ではないか。しかもこの問題につきましては、昨年九月の憲章採択会議に参会しましたところの国が、全会一致でこの案を承認いたしております。従って理論的には、副産物の取扱いが日本の自由にならないという点については、御指摘の通りある程度の自主性の制約はあることは事実でございます。しかしながらこれはより大きな目的を速成するがための、すなわち原子力の平和利用、軍事的には絶対に転用させない、その大眼目を達成するがために払われたところの貴重な対価だと考えております。
○岡委員 理屈はいろいろ言えるわけなのですが、しかし結局原子力発電を急げ、日本のエネルギーの需給はもう昭和四十年にはくずれてくる。四十五万キロワットはどうしても必要だと電力業者は言うておるわけです。昭和五十五年になれば一千万キロワットからの発電が必要だ、そこで日本の産業の根幹であるエネルギー需給計画のためには、原子力委員会はウラニウムをもってするところの原子力発電よりも、資源の、原料の効率的な活用のためには天然ウラン、トリウムのサイクルによる原子力発電へいくべきであるという結論を出しているわけです。それにはどうしてもプルトニウムをわが方に自由に使わしてくれなければ困る。それが拘束を受けるということならば、単に日本の原子力の開発だけでなく、国の産業の基幹であるエネルギーの需給計画にも相当大きな影響を持ってくるという結果にもなりはしないかということを私は心配しておる。運営上その点に遺憾がないかどうかということをお尋ねしているわけです。
○松井説明員 その点につきましては全然心配ありません。副産物たる核分裂物質は、平和利用のためにその国に、産出国に留置せしめる。すなわち日本で増殖炉を使ってプルトニウムができましても、これが平和利用に使われるという保証がある限りは、日本が自由に使えるわけでございます。従ってその点につきましては研究の自主性を妨げるという議論は必ずしも成り立たないのではないかと考えております。
○岡委員 次に、憲章で査察を受ける。ところが憲章は、その実質的な活動を開始するのはいつごろでしょうか。何から始めましょうか、見通しとしていかがでしょうか。
○松井説明員 憲章の発効につきましては、まず米、英、ソ、加、仏五大国のうち三カ国を含む十八カ国が米国政府に批准書を寄託したときに憲章が発効することになっております。その憲章が発効すれば、機関の発足のために当初の予定では八月十九日以降約一月、ウイーンにおきまして創立大会を開催する予定でございました。これが最近の情勢によりますと、若干おくれる見込みでございます。まず憲章が、国際原子力機関が発足した場合に何をするかという問題でございます。この問題につきましては、目下ニューヨークにおきまして準備委員会が数回の会議を重ねまして議論を練っております。外務省に達した情報によりますと、原子力平和利用のためにまず第一に初期の段階においてやるべきことは、原子力平和利用に関する情報の交換である、各国の情報をできるだけ機関に提供し、機関を通じて加盟国へこれを頒布しよう、第二には原子力の平和利用に関する学者、技術者の交流をはかろう、機関がこれに対してあっせんいたしましょう、それから第三には放射性同位元素の使用の方法並びに技術者の交換についても原子力機関が力を入れるべきであろう、さらに憲章におきまして、原子力の平和利用については未開発の地域を考慮してやれという規定がございますので、その規定にかんがみまして現在一万キロワットくらいの動力実験炉を世界の未開発の地域に約三台くらい設けまして、そこでいろいろな学術的な研究あるいは技術者の訓練その他をやろうではないか、こういうことを考えております。このいろいろな案は目下議論中でありまして、まだ確定はいたしておりませんが、これに関する情報はいずれ外務省から刷りものにしてお手元へ差し上げたいと思います。
○岡委員 それからもう一つ、この憲章に関連して、たとえばアメリカと日本が一般協定をかりに結んだといたしますね。そうするとアメリカ側から査察を受けるわけです。それからその原料、リアクターをアメリカからもらう、ところがフュエルは国際機関からもらう、その場合アメリカからの査察も受けるし国際機関からの査察も受けなければならぬ。もちろんこれは両者が相談の上決定するのだから、いずれか一方の査察だけにとどめられる場合もあり得るわけです。ところがかりに国際機関から査察を受けるという方針を日本がとった場合、しかし、リアクターはアメリカから輸入をしておるということになると、国際機関から来る査察人はあるいはアメリカのきらないな国の代表が来るかもしれません。これを拒否するという結果になれば、日本のリアクターというもの、動力炉なら動力炉というものは、絶えず原料の供給なり修理なり、一切の面である一つの特定国との間に依存をしなければならぬという状態が生まれてくるわけです。そういう状態は起らないでしょうか。
○高橋(通)政府委員 確かに理論的にはそのような二つの方法で行われるというような場合がないでもないと思っております。しかしながらやはりアメリカとの協定及び原子力機関憲章に従います場合にも、いずれか一方で統一的に行われるというのが適当な方法ではなかろうかと考えております。その場合はたとえば機関憲章という国際組織によって一般的に行われる、そういうふうに持っていくべきではないか、その方向に持っていくべきではないかと考えております。幸い機関憲章にもそういうような場合には、たとい二国間のものであっても、機関からの査察とか機関からのコントロールができ得るという規定がございますので、そういう方向に持っていくべきではないかと考えております。
○岡委員 問題は、一九五三年の十二月ですか、国連総会でアイゼンハワー大統領が国際原子力利用機関の設置を提唱した、その後この四年の間にユーラトムができた、アメリカは三十八カ国と一般協定を結び八カ国と動力協定を結んだ、かと思えばソビエトは十一カ国の共産圏と協定を結び、エジプトにもインドにもこれを伸ばしていく、世界は原子力の問題については大きくブロック化されつつあるわけだ。そこに国際原子力機関というものが呱々の声を上げたというところに、この国際原子力機関というものの運命の悲劇があるわけです。 そこで、これはあなたがおっしゃったが、私は政府の方針として確認をしておきたいのだが、問題は、国際原子力機関というものが十分機能を発揮するまでの空白をわれわれ日本は現在うっちゃっておけないから、どの国かと一般協定を結ぶこともあり得るであろうし、あるいは研究協定を結ぶかもしれないが、しかしこの原子力機関の憲章があくまでも優先する、だから原子力機関がわれわれの期待をする活動を開始するまでに至る間に、日本が他の国との間に結ぶ協定は、この機関憲章の運営を妨げるものであってはならない、こういう原則の上に私は立つべきものだと思う。これは委員長と有澤さん、その道の大先生ですから一つ……。
○宇田国務大臣 私は当然そうだと考えております。
○有澤説明員 私も全く同様に考えております。
○岡委員 一つぜひそのようにやっていただきたい。答弁もかなめなところになると松井さんが孤軍奮闘だし、佐々木局長が孤軍奮闘だということで、外務省も原子力委員会も少し勉強が足らぬと思う。私どもはやはり責任のある返答を聞いておるのだから、御無理ごもっともだというようなことでいなされては、せっかく口角あわを飛ばしておっても何のためだか……。(笑声) そこで、それはそれとしまして、いずれ総理にぜひ一つこの重要な若干の問題をお聞きしたいのですが、この際経過だけをお聞きしておきたいと思う。これは松井さんの方が物知りだからお聞きするが、国際原子力機関の現加盟国は国際連合の加盟国か専門機関の加盟国ということに限定されていますね。あとは理事会の勧告によって総会が決定するということになっておる。しかし事原子力に関しては、大国であろうが小国であろうが、近代科学の粋である原子力の恩典というものは全人類に普及すべきだと思う。こういう拘束を受けておるというそのこと自体、私は国際原子力機関のあり方としては正しくないと思う。ところが記録を見ると日本はこの原案に賛成をしておる。ソビエト側は中共等を加入せしめようという提案をしたところが日本が反対をしておる。何を根拠にこれは反対したのですか。
○宮崎政府委員 お答えいたします。この国際原子力機構というものは、国際連合の機構の中で発足いたしたという関係上、たとえて申しますと一つのクラブのようなもので、そのクラブ員の中で話が始まったわけであります。それでありますから、ついクラブ以外の人のことは考えないで話をきめていたということが言えるわけなのであります。もちろん理論から申しますと、今岡先生のおっしゃった通りでありますけれども、やはりこういう国際機関とかあるいは国際条約というものは、非常に手続関係をやかましく言うものでありますから、そういうメンバー以外の者のことについて提案がありましても、なかなかそういうことがうまくいかない、ことにソ連が推薦しました中共というものに対して、国連に反抗しておる国であるという考えがまだありますために、ついにその意見は賛成を受けなかった、その二つのことが考えられるわけであります。
○岡委員 そうではなく、憲章採択会議における日本の代表の態度は、中共加盟に反対をしておるでしょう。日本は国連に加盟したのは十二月の十八日でしょう。中共が侵略国であるという銘を打たれたのは六年前でしょう。日本はやはりそういう国連の決定というものに拘束をされて反対をしたのですか。
○宮崎政府委員 日本が国連に加盟いたしますときは、その現状における国連一切に対して加盟したわけでありますから、その日本加盟以前に行われましたいろいろな国連の決定というものは、日本としてはそのまま受け入れて加盟したというふうに考えております。
○岡田委員 関連して。今の点非常に重要だと思うのですが、去年の外務委員会で、当時原子力委員長であった正力大臣に対して私はその点をただしているのです。その質問に答えて正力国務大臣は、中国の加盟については、日本の政府としてはこれを支持する、こういう答弁を——私の記憶が間違いなければ、たしか八月、もう少し前だったか、六月か七月ごろの委員会で正式な答弁をしているわけであります。その十月にこの憲章の国際会議が行われたのですが、そのときはたしか正力国務大臣であったと思うのだが、そのときに反対の採決に参加しているということは、政府が国会においてそういうような私への答弁と食い違っておると思う。こういう間の事情はどういうようになっておりますか。
○宮崎政府委員 中国が加盟しておるということは、これは加盟しておるわけであります。当時の正力国務大臣の御答弁は、中国は加盟しておるということを、中国が加盟するのには賛成であるということを言われたのではないかと思うのであります。さらにその中国が、どの政権が代表する中国であるかということまではそのときは考えられなかったのではないかというように思います。
○岡田委員 私は関連ですからこれで終りますが、そういう子供じみたことを私は聞いたのじゃないのです。あのときにすでに中華人民共和国がこの国際機関に対して加盟するという希望があり、ソビエト側がそういう問題を提出するという状況にあっただけに、中華人民共和国というものがこの国際機関に対して加盟するという場合に、日本の政府はこれに賛成しますかどうかということを、念を押してはっきり聞いている。これは速記録にも残っておるから、お調べいただきたいと思うのですが、その場合に正力国務大臣は、こういう原子力の平和利用というものは、これは国際的に大いに発展させなければならない問題であり、平和利用はあらゆる国々が国際機関の中に参加してそして発展させることが望ましいのであるから、これはむしろ参加することが望ましい、われわもこれに対して賛成をするのだ、こういうはっきりした言明をされたのであって、国民政府の加盟に対して賛成をするということを正力さんが言ったのではないのであります。あるいはあなたはその当時局長でなかったから御存じないかとも思いますが、これはあした私は外務委員会でこの原子力問題について質問いたしますから、明日までに一つお調べをいただきまして、その間の食い違いその他について御答弁をいただければけっこうであると思います。
○岡委員 私は原子力委員長に承っておきたいのですが、原子力委員長は、かつて原茂委員の質問に対しても、ソビエト、中共等とも原子力の研究、開発については協力するということは当然であるという御返答であった。そこで今日本からは、湯川さんを除けば最高のスタッフが中国へ行っているのです。朝永さんや坂田さんや伏見さん、この人たちは、当然中国の専門的な原子力の権威との間に話し合いがあると思う。どういう合意に到達するか、どういう了解に到達するかはわかりません。またあってしかるべきであると思う。しかも中国の方でも、日本ばかりが夜郎自大は許されないと思う。来年になれば一万キロの発電原子炉が運転を開始するのです。二百名の若い学徒がモスクワの総合原子力核研究所に行っております。国内でも千五百名をこえる専門的な原子科学者の養成をやっておるという状態です。そういう状態の中で日本の最高の権威が中共を訪れ、そこで中共のその方面の権威と会って何らかの合意なり了解に通して、両国間における原子力の平和利用なり研究や開発についての協力をしようという了解があったとき、原子力委員長はどういう態度をとられますか。
○宇田国務大臣 原則として、どの国と研究あるいは技術の交流をしようと、私たちはこれをはばむということはあり得ないと考えております。ただ中共が国際機構の中にどういうふうに加入してくるか、あるいはそれはどういう時期が好ましいか等については、これは外務省の見解に従うのが私は適当だと考えております。
○岡委員 私は抽象的な仮定のことを言っているのじゃない。現実に起り得ることです。数日のうちに起るかもしれない。そういう場合、国際協力局としてどういう態度をとられますか。いずれ責任ある外務大臣の御答弁を伺いたいと思うが、あなた方は事務処理の上において、従来の慣行からどういう方針をもって臨むべきであると思われますか。
○宮崎政府委員 中共に行かれた科学者がどういうような協定なり約束なりを中共側となされるかということは、これはよくその内容を検討してみませんことには、われわれとしてもそれに対する考えが出てきませんので、まず結果を見ましてそれから検討いたしたいというふうに考えております。
○岡委員 あなたの言葉をかりれば、もう二千年来の仲よしのクラブの同士ですから、ぜひこれは一つ国境を越えた科学者の良心というものはやはり尊重してもらいたいと思う。今平和の問題に一番やっきになっているのは科学者であるというところに、現実の重大な切実な問題が含まれている。それを単に外交政策のために科学者の良心というものが否定されるというようなことは、これは原子力そのものの将来の発展にとらないところだと思う。ぜひこれは一つあなた方事務当局としても学者のことですからそうまとまった了解に達しないかもしれません、道が開かれたという事実を認識の上で、むしろこれを推進するという方向にいくべきだと思う。 それからなお国際科学委員会が、当然国連に直属する機関として、原子力の障害についていろいろと取り調べているようです。これと、この国際原子力機関との関係はどういうことになるのですか。
○宮崎政府委員 国際原子力機関そのものが、まだ国連との関係は将来決定するわけでありますから、国連科学委員会は、国連との関係が下部の機関としてあって、その間の関係はわかっておりますけれども、今申しましたように、国連そのものとの関係がまずきまらないことには、科学委員会との関係も判明してこないのじやないかと思います。しかしそれはただ手続とか法的な考え方でありますけれども、もちろんその内容から考えれば、自然にそういう何らかの関係が打ち立てられるものだろうと私どもは考えております。
○岡委員 いずれにしても、この憲章では、資材等の供与の場合の条件としては、保安に対する保障というものがかなり厳重に義務として負わなければならないことになっているわけです。そうなってくれば、軍事利用の問題は別として、今後原子力の平和利用というものがますます発達すればするほど、やはりそのための障害の防止ということは原子力機構の当然の仕事になると思う。国連機構の中に科学委員会があって、障害の防止、そのための調査について奔走している。この国際原子力機関というものは、組織としては別な組織になっておりますが、国際原子力機構というものが、その目的のごとく保健のために、繁栄のためにという目的を果そうとして進むならば、当然科学委員会というもの、これは一本になるべきだと思うのです。日本も理事国として加わるというなら、それくらいな方針を持っていくべきではないかという気持で私はお尋ねしているのですが、そういう意味で私の申し上げていることについての御所見を承わりたい。
○宮崎政府委員 今の御説のように、われわれとしても進んでいきたい、こう考えております。
○岡委員 あと私ほんのわずかなのですが、五、六点外務大臣に直接機関憲章についてお尋ねしたいことがありますので、その点保留いたしまして私の質問を終りたいと思います。
○野田委員長 松前重義君。
○松前委員 私は簡単に二、三点お伺いいたします。第二次協定の内容を見てみますと、大体東海村の原子力研究所が発足するのに必要なものだけにとどめてあるようでありますが、交渉をなすった過程においては東海村だけを目的にしてこれを交渉なすったのかどうか承わりたいと思うのです。
○佐々木政府委員 一昨年の秋に決定いたしました原子力協定の内容は、御承知のように濃縮ウラン六キロを限度としてございまして、研究協定の改訂の際は、これを十二キロまで実はふやしたい。アメリカ側で研究協定で出すのであれば十二キロを限度というふうに規定してございますので、十二キロまで伸ばしたいというので交渉したのでございますが、先ほど外務省側から御説明がありましたように、研究協定の改訂の問題は一応繰り延べまして、そして細目協定に入ったのでございますから、どうしても六キロおととしきめました本文のその限度までしか受け取りがたいのでございますので、ぎりぎり四キロふやしまして、六キロの範囲にとどめたわけでございます。従いまして決して原子力研究所そのもののみというわけではないのですが、限度といたしましてはこれが限度でございますので、そういうふうにいたしたのでございます。
○松前委員 原子力研究所が大体の対象であったと思いますが、この研究協定というものに対して、少し専門的になりますけれども、二〇%の濃縮ウランによるということでここに書いてありますが、大体今後の研究用の原子炉なるものは、二〇%のような濃縮度の薄いやつでは非常に値段が高くなりまして不経済になりますので、どうしてもこれはもっと濃縮度の濃い五〇%以上のものにならなくちゃないかぬという、相当に弾力性を持った協定をほんとうは結んでもらいたかったのでありますが、今後において交渉されるときに、そういう広範囲な濃縮度を持ったもの、たとえば硫酸ウラニウムにしても、ホモゼニアス・リアクターを作るにしても、とにかく相当に濃縮度の高いものでなければ非常に不経済であるというのでありますので、この点については今後の研究協定等の改訂におきましては特に留意していただきたいと思うのです。この点に対して原子力局ではどういうお考えか、承わりたい。
○佐々木政府委員 一般協定の米側の本文を見ますと、九〇%までの濃縮度のものを提供してもよろしい、ただしそれは六キログラムの範囲をこえてはいかぬということで、ただいまお話のありましたような二〇%に限るというのは研究協定の段階でありまして、一般協定になりますと濃縮度の高いのも提供してやろうというふうになっておりますので、一般協定に入りさえすればそういう点は十分解決できるのではなかろうかというふうに考えております。
○松前委員 この次の協定には、ただいま申しましたように相当に広範囲な濃度ばかりでなく、量においても特に留意していただきたいと思うのです。これはよろしゅうございますね。
○佐々木政府委員 よろしゅうございます。
○松前委員 そうしますと第二の問題といたしまして、私が昨年インドへ行ってみたところが、インドではスイミング・プール型をアメリカから材料を輸入して自分で作っておりました。これはすでにもう運転を開始しております。それから同時にカナダとの協定によりまして一万キロを建設中でありました。インドは非常に多角的に、方方との間にこの原子力に関する協定を結んで、どんどん進めております。こういう実態を見てみますときに、わが国はただアメリカばかり考えておられるようで、先ほど来お話もありましたけれども、石川団長のいろいろな資料はお持ちではありましょうが、どうも政府としてほかの国と具体的にタッチされ、打診され、あるいは話し合いをされた様子は見えないようでありますが、何かほかの国とやられた事実がございますか、伺いたいと思います。
○宮崎政府委員 現在のところ、まだ一般協定に類するものをほかの国と交渉したという事実はございません。
○松前委員 私はあまり長くここで議論をすると時間を食いますから簡単に申しますが、とにかく原子力の研究はアメリカだけが進んでいるのじゃありません。アメリカは財を持ち、あれだけの工業力を持っておりますから、ものをやるのには相当に大規模に派手にやりますけれども、私どもが見たところでは、この研究その他に関しましての問題はむしろ北欧諸国等において相当に進んでおる。現にスウェーデンのごときはウラニウムの精練をやっております。それであと三年すれば日本に輸出できるというのです。こういうことで、今天然ウランの問題も出て参りましたが、あらゆる国とこういう原子力に関する協定を結んでいく場合において、ただアメリカだけを目標にして何やかやいろいろな議論をしてやっていかなくちゃならぬ。いかにもどうもアメリカに追い詰められた感じがいたすのでありますが、こういうことでなくて、もっと広範囲に世界の各国との間に——しかも原子力の本尊は実は北欧でありまして、デンマークなんです。そしてデンマークはスウェーデンと一緒に今研究をやっております。しかもこの国のごときは、行ってみれば、アメリカみたいにあんなぱッジをつけて、何か誓約書を書いて研究所を見るというようなことは全然ありませんで 行けばすぐ原子炉のところに案内して見せてくれる。まことにかきねも何もない。秘密条項やその他の問題が神経質に論議されるわが国が、何ゆえにこの北欧のしかも進んだ国々を閑却しておるのか、このことを私たちは非常に不思議に思っております。こういう点はあまり外務省から答弁をいただかなくても、私どもの意見を申し上げて善処してもらえばいいと思いますが、ただ問題は、いろいろ御答弁を伺って、だいぶ外務省もこういう問題につきまして真剣に取っ組みかかってきておるような感じはいたしておりますけれども、いずれにしても 学者を書記官その他の立場において大使館その他に置いているのはアメリカだけであります。それ他の国には、通産省からもいわゆる技術者の方が行っておられるようおりますけれども、外交陣営においてバラエティがない、いわゆる外交官一色であるというところに、複雑多岐な世界の現状に対処してしけない原因があるのじゃないかという感じがする。これは大臣に承わらなくちゃならぬ問題だと思いますけれども、この点につきまして特に宇田原子力委員長の国務大臣としての見解を承わりたいと思います。
○宇田国務大臣 私は同感でございます。われわれは大国の原子力対策を研究するよりも、むしろただいま御指摘の北欧ないし持たざる小国の原子力対策が、どういうふうな現状にあるかを、各国の原子力行政等ともあわせて研究しなければならない。先般ランダースさんがこちらに見えたときにも、ノールウェー、オランダ等が現在相協力してやっている原子力に関する開発行政をぜひ見てほしいということを言っております。今度どうしてもノールウェーを通っていくということについては、そういうふうなランダースさんからの親切な話もありましたので、それも考慮に入れてぜひ向うに行きたいということが一つにはあります。原子力委員会の諸君の希望の中にも、米英はもちろん研究しなければならぬでしょうが、ただいま御指摘になったような各国の中に、新しい科学的、技術的な非常に重大な問題が生まれたのもある。しかも国民生活の中での利用の内容を見ても、そのときランダースさんが言っておられたのは、船に対する北欧諸国の配慮の問題また特殊資源を持っているため、たとえば木材の利用と原子エネルギー、ないし原子エネルギーを利用するボイラーの活用というような問題があった。それをどうしていち早くわれわれの日程の中に繰り込ままないのか、そういうことはぜひ自分の国へ来て話し合いをすることにしてもらいたい、留学生が向うにおりますからそういう連中を通じて自分たちのデータはいつでも十分に渡したいというようなこともありました。従ってただいま松前委員の仰せられるようなことについては、今後十分配慮を払うと一緒に、外務省ないし外務大臣に対しても、そういう線に沿ってもらうよう、新しい角度の外交政策についての方針をわれわれは一つ真剣に考えたいと思っております。
○松前委員 問題はアメリカばかりを大本山と思っておりましたわが国の原子力外交が、非常に新しい面に展開する第一歩であります。単にアメリカばかりを大本山と思わないでやっていただきたい。現にアメリカからデンマークのコペンハーゲン大学に三十五人の留学生が行っているのです。アメリカは北欧に学んでおるのです。それをアプリケーションしているだけであります。こういう点を十分認識されまして、すみやかにもっと広範囲に原子力協定を結んでいただきたい。そうすれば天然ウランの受け入れその他に対しましても、相当楽な条件がアメリカに対して生まれてくると思うのですが、その進行状況についてはいずれまたいろいろ承わることにいたしまして、この点希望いたします。 それからこれは外務省に承わりたいと思いますが、昨年私はバンコックに行って、あそこの原子力委員長と話をした。そのときに日本という国はおもしろい国だなと言うのです。どういうことを言うのかと思ったら、実はあそこにすず鉱山の廃鉱があるのですが、そのくずが多分にトリウムを否んだモナザイトであります。そのモナザイトをアメリカ、カナダ、英国が盛んにほしがってくるから、輸出をするようにしなければならぬというので、工業省の省令を変えて輸出相手国としてこの三つの国を指定しようとしたが、タイは日本と非常に親しいから、日本も一つ入れてやろうと思ったけれども、相手がほしいとも言わぬのに入れるのはおかしいから、どうであろうと聞いてみたが、半年たっても返事をよこさぬ。一方は矢の催促で早くやってくれと毎日やってくるけれども、日本は輸出をしてやる相手国として名前を入れてやろうというのに、全然ナシのつぶてで何度催促をしても返事が来ない、こういう話でありました。それで大使館に行って聞いてみたら、大使館でも、どうも日本に五、六ぺん電報を打ったけれども返事が来ない、困ったものだと言っている。どういうわけでこれがいかなかったのか、ある意味においては、何だ、モナザイトぐらいもらっても何もなりはせぬじゃないか——これは悪口になりますけれども、ネコに小判であります。ネコは小判をもらったってとうといものだとは思わない。そういうことであったのかどうか私は知りませんけれども、とにもかくにもこういうことでは原子力外交もまことにおぼつかないと思う。外務省も新陣容になりましたからそういうことはないと思いますけれども、こういうことがあったことは事実でありますから、その間のいきさつを承わっておきたいと思います。
○松井説明員 確かに先生が今御指摘になったことは事実でございます。外務省といたしましてはこういう事実の報告を在外公館から受けまして、すぐ原子力委員長にどうするかと相談をいたしておりました。その結果日本政府から調査員が行きまして実情を詳しく調べました文書になったものも出ております。これが輸入に関しましては、目下バンコックの大使館を通じまして向うの政府と交渉中でございます。
○松前委員 また新しく交渉しなくてはならぬようになった、死んだ子に注射をするようなもので、生き返るかどうかわからないと思いますが、とにかくこういう事実があったということはまことに遺憾だと思うのです。今後はいろいろな意味において、原子力は科学の問題だという簡単な考え方をしないで、少し力を入れてやっていただきたいと思うのです。 それから先ほど岡さんがいろいろ言っておられましたので、私が申し上げる必要はありませんが、原子力に関しては世界がブロックに分れつつあります。英国とカナダとアメリカとはとにかく一応のブロックを形成しております。これに対抗してかも存じませんが、ヨーロッパが昨年ブロックを形成いたしまして、スイスに研究所その他を作るようであります。このようにヨーロッパもアメリカ圏もいろいろブロックを作っております。ところがアジアにおきましては、インドが昨年初めにセイロンとビルマとエジプト、インドネシアを集めて原子力会議をやっております。どういう内容であったか、私今日まだ調べておりませんけれども、おそらく資源の問題を背景としたものと、原子力の研究に関する問題だろうと思うのでありますが、とにかく原子力会議をこの五つの国がやっております。そこで私どもは日本の外務省はあるいは反対されるのではないかとひそかに思いながらも、なぜ日本を一体入れないのだ、除外してやるのだ、日本もアジアじゃないか、こう言いましたところが、向うさんが言うのには、日本はどうもアメリカの方ばかり向いておるようでこっちをお向きにならぬから、こう言うのです。非常な皮肉を言われましたが、少くともアジアがだんだんやはりインドを中心にしてこういうブロックができかかってきておるということになると、日本は一体どこにぶら下るつもりか。一つその辺を、もしブロックに入るということになるならば、一体外務省はどこへ入ろうと思っていられるか、これを承わりたい。
○宮崎政府委員 外務省では別にブロックに入るという考えはございませんで、国際原子力機関成立の上は、これを通じてできるだけ広い範囲かついろいろな国々と世界的なレベルでもって協力をしていこう、こういう考えを持っております。
○松前委員 どうもブロック以上に大きな構想でありまして、けっこうなようでまことに現実的ではないと私どもは思うのです。これはやはり現にアジアにブロックができております。おそらくタイもことしか来年には入っていくだろうと思う。日本は全然アメリカのブロックに入られるのかどうか知らぬけれども、とにかく孤立の状態にならざるを得ない。こういう形で一体いいのかどうか、これは現実問題です。ソビエトはソビエト圏で共産圏の一つのブロックを作っている。そういうときにアジアの孤児として、アジアばかりではない、世界の孤児になる。これはだれも友達がいない。世界を友達にするということはこれはアメリカ以上の大きな国だろうと思うのでありますけれども、とにかく孤児になります。それでいいのでしょうか。これは大臣に言わなければわからないだろうと思いますけれども……。
○宮崎政府委員 国際原子力憲章ができましたときの議事なんかを見ましても、日本とインドとは割合立場が同じでありまして、いわゆる後進国の先頭を切っておるというような格好で、いろいろな点において事情が似ておるわけであります。地域は隔たっております。けれども、日本もそんなに捨てたものでもないわけで、相当日本に対して手を伸ばしてくる国もあるわけであります。それで今、日本といたしましてどの国どの国と手を握るとか、あるいはブロックするということを考えなくても、自然に深い関係がその間に将来生じてくるだろう、こういうふうに考えておりまして、必ずしもインドとは対立のブロックに入るとか、あるいはどの国とは一緒のブロックに入るということを考えなくても、自然にその間に一つの形ができてくるだろう、そういうふうに考えております。
○松前委員 大体あなた方はこれを考えるのに対立なんということを考えられるところにおかしな考え方がありますよ。大体アジアは少くともこの原子力資源は非常に豊得なのです。ことにトリウム資源のごときは非常に豊富です。だからしてアジアにもしわれわれが、ブロックとは言わなくても、一つの原子力会議あるいはその他お互いに話し合う機関を作るとするならば、日本は将来非常に有力な地位を占めることになるのです。こういうことをお考えになって、もう少し原子力政策というものを具体的に進めていただきたいと私は思います。それだけの背景があるならばアメリカだってあんな勝手なことを言いませんよ。こんな実際みっともない協定のごときをアメリカは日本に強制しませんよ。そういう一つの背景なくしてあなた方はおやりになるものだから、何か知らぬけれども子供扱いされて、資本家が孤児を取り扱うようなものですから、これはまことに哀れなこういうちょびちょびしたものになってしまう、私はそう思う。そういう現実は外交を長いことおやりになっておってお認めになりませんかね。どうでしょう。
○井上(清)政府委員 いろいろアジアにおける原子力の平和利用に関する協力関係について御質問でありますが、現実にはやはりアジアにおける原子力の平和利用に関します中心は、何と申しましても日本とインドではないか、かように思います。今後はこうした面で日本とインドとが協力をしていかなければならぬというふうには私どもは考えております。
○松前委員 どうも抽象的ですね。大体外務省の意思はわかりました。わかりましたけれども少し申し上げておかなくちゃならぬことがあるのはこのことです。アジアの原子力会議のようなものが開かれるときには、インドは日本と一緒にやるかということを言ってみたところが、それはもう喜んでやる、アメリカの方ばかり向いておったものですから遠慮しておった、とこう言うのです。ですからとにかくこういう場合においては積極的にこちらも向うと話し合いをつけて、やはりアジアの資源の開発というような問題に対しては目をおおうてはならないと思うのです。すでにビルマには英国が手をつけて調査団を派遣して、この原子燃料の調査を大体完了したと思います。大体英国に持っていかれてしまいます、あそこあたりは。ぼんやりしていると、ちょうど明治維新の当時それまで日本が目をおおうておったために、鉄、石炭、石油全部持っていかれてしまって、あとから工業国になっていろいろやってみたら足りない。それで勝手に資源の再分配と言い出して、それで資源の再分配するのにはどうもよこさぬから、げんこつでやっちまえ、戦争になる、というようなことになりますから、決してこの問題は悪い問題ではない。ほんとうにまじめに今にして取り組んでおかなければならぬ国の基礎工事だと思うのです。そういう意味でアジア原子力会議その他について参加ばかりでなく、積極的にこっちから提唱するぐらいのことを考えなければいかぬと思う。この点については一つ宇田大臣から……。
○宇田国務大臣 当然われわれは積極的に努力しなければならぬものと考えております。昨日もフォーラムがありましてアジア各国から七、八十人参っております。そうしてそれぞれの国々の原子力関係のエキスパートと会ってみたのですが、中には京都大学の物理学科を出たという人もある。そうして一致した点はどこにあるか、われわれが特に反省させられたのは、関係者がみな若い青年で学校を出てまだ年月が幾ばくもたっておられないと思うような人たちが非常に多いということと、そしてそれぞれの国々の原料資源に対して非常な自信を持っているということ、そうしてそういう諸君が相はかって新しいアジア的な連帯体制を作ろうじゃないかという意見がほとんど一致しております。そうして非常に熱心であります。言葉が英語かと思ったら向うから日本語で話してきて、非常な熱意をもって日本はどうしてもそういう意味ではいろいろな設備がたくさんあって潤沢である、また学問的にも研究場所が非常に多いのだから、われわれと一緒にやることを努力してもらいたいというお話があって、かなり来ている人は若い人が多いのですが熱意があふれているように思いますから、ただいまの機会にすぐそういうことを話しかけるのがいいのか、なおあらためて別の機会しおいてこちらから特にその問題のために話を進めて、そうしてこれをただいまのような線に沿って至急にまとめることがわれわれの非常に重要な任務となってきておることを私は痛惑いたしました。
○松前委員 向うが熱意があってこっちが今までなかったのでありますから、今度は一つうんとふんばってこれを推進していただきたいと思います。ただ推進の方法としては、政府の責任ではやりにくいかもしれませんから、できるなら政府ならざる民間の学者なら学者の会合としてやらせるような方法をとって、一つこういう機会を利用して何かの話し合いを民間の学者にしてもらう、そうしてでき上ったものに対して政府はしかるべき考え方をするかのごとく、そのような一つの考え方をもってこれを指導していただきたい、こういうふうに思うのです。具体的には何かお考えがありますか。
○宇田国務大臣 その点につきましては、原子力委員の中でも、昨日石川委員も有澤委員も出ておられましたから、この期間中にどういうふうにするかということについて具体的な案を至急に作りたい、そうして皆さんに御相談いたしたいと思います。
○松前委員 私はこれで終ります。
○志村委員 国際原子力機関憲章について質問したいのですが、この憲章の全文を読んでみまして、全体の精神としてわれわれが感じられるところは、大体提供する国家の利益代表機関なのであります。その権益を擁護する機関にこの原子力機関がなっておるのではないかということが見られる。たとえば「第八条 情報の交換」というところを見ますと、「各加盟国は、自国の判断により機関にとって有用と考える情報を提供するものとする。」こういうことになっております。非常に自主的な立場を保障しておる。ところがその次に、これは援助を受ける国の側ですが「機関により与えられた援助の結果として得られるすべての科学的情報を機関に提供しなければならない。」ということになっておる。援助を受けたものはすべてのものを出さなければならない。提供する国家は、一応自分の判断で、これは機関のためになると考えた場合には出すんだ、こういうことをいっておりますが、アイゼンハワーが最初にこの機関を提唱した場合の友情だとか平等だとかいうような考え方とはだいぶ違ったものになっておると見てとられるのですが、あなた方はどういうふうにお考えになりますか。
○宮崎政府委員 全く仰せの通りで、大国と申しますか、提供国が被提供国に比べて非常に異なった地位を持っておるわけであります。保障措置などにおきましても、それが現われておるのでありますが、この憲章を作りました場合に、提供を受ける国と受けない国との間にいろいろと議論が戦わされまして、そうしてある点においては提供国が譲った点もあるのでありますが、結局この程度に落ちつくより以外道がなかったわけであります。この情報に関しましては、日本側は提供国が積極的に情報を提供することを主張したのでありますが、しかし現在のような条項にまとまりましたけれども、今後日本が理事会に席を得ました上は、この運用につきまして主張を続けていきたい、こういうふうに考えております。
○志村委員 それではなるべく研究の下請国家にならないようにお願いします。 それから次に先ほど松前委員の質問の中で、タイ国からモザナイトを輸入するために調査団を派遣したと言っておられます。ところが日本の国内にもこうしたトリウム原料というものは相当ある。これが十二、三トンも輸出されておる。これからはトリウム金属が十トンできるんだということ、一方においては日本の国内産のものを輸出しておりながら、他国から同じようなものを輸入するのは矛盾ではありませんか、どうですか。
○佐々木政府委員 ただいま輸入しておりますモナザイトから——主として関西地区でございますが、いろいろほかの希元素を収集するためにこれを使っておりますけれども、それから出ますのは数量も非常に、限界がございまして、将来のことを考えますと、やはり先ほど松前先生のおっしゃったような方法がとられるのではなかろうかという考えでございます。
○志村委員 それでは、まだ日本ではトリウムを原子炉に使うということについて何も手がついていないから、将来は将来として、今のところは日本にあるものを輸出する、こういうことなのですか。
○佐々木政府委員 フランスと記憶しておりますが、若干のトリウムが昨年度輸出されたのは事実でございます。これに関しましては十トンばかり輸出しておりますが、通産省の方からも輸出許可について相談を受けたのでありますけれども、政府で買い上げる買上価格も実はまだきまっておりませんし、そういう関係でいたずらにこの輸出を禁止するということは、何らかの国家補償その他の措置を講じませんと、ただいまの法規の内容では損害賠償なり訴訟の問題が起きて参りますので、そのくらいの量のものであれば、これは将来必要の場合には十分償い得るという観点から、業界の人も強く要望いたしましたので、輸出を許可したというような次第であります。
○志村委員 トリウムなりあるいはウラニウムの買上価格がきまらない、これは至急にきめなければならないということは、先日懇談会があったときにわれわれ申し述べたのでありますが、もうおそくなったからやむを得ないとは思っておりますが、そういうごく簡単な、しかも根本である重要な問題が手抜かりであるということについては、われわれ皆さんに注意しなければならない点だと思っております。 それから急ぎますからさらにもう一つお聞きしたいと思うのです。先ほどの指数実験に使う天然ウランの問題ですが、指数実験は、国産炉を作るための予定としては、どうしても七月ごろから開始しなければならないというような順序になっておったと思うのでありますが、研究協定の改訂がこのような状態になった、このため天然ウランが入らない、やむを得ないから次善の方策をとるというような形になっておるのでありまして、この研究協定の改訂の際に、それではどうしても天然ウランが入り用だというならば、ほかの、買い受けとかそのほかの条件とは分離して、これだけを折衝されたことがあるのですか、そのような努力をされたことがあるのですか。
○宮崎政府委員 天然ウランの購入に関しましては、ずっと過去一年くらい断続的に交渉しておりまして、そしてなるべくこれは商業ベースでもって買いたい、こういうふうに思って努めております。
○志村委員 その天然ウランは、先ほど申し上げましたように、指数実験上また国産炉の建設のために、どうしても時間的にも一刻も早く手に入れなければならないという状態になっておるのです。日本のこの原子力研究の基本方針は、一刻も早く国産炉を作るということにある。それが指数実験をやらないで、トライアル・エンド・エラーでやっていくのだということになったならば、これは重大なことだと思うのです。問題は小さいようであっても、根本的な問題ですから、これを手に入れるように大いに努力してもらいたいというのであります。ところが一般協定ができなければできないのだということでありますれば、これは一般協定だってまだこれが批准になるかどうかわかりませんよ。その間に、そのできるまで天然ウランの入手を延ばしておいていいということは考えられない。天然ウランはあらゆる努力を尽してやってもらわなければならぬと思うのですが、外務省ではどのようなことをやっておられるのか、それをお聞きしたい。
○宮崎政府委員 今申しましたように、交渉をいろいろ続けておりまして、今後ともできるだけ早く入手ができるように努力するつもりであります。
○志村委員 その努力と言われますが、それはアメリカに対してやっておられるのですか。それ以外の国に対してもやっておられるのですか。たとえば私ソ連に行きましたときに、ソ連はお互いに協力して研究しましょうという抽象的な協定でもって、直ちに必要な物資は提供すると言っておられる。しかしソ連についてはこの間の閣議なんかでも、何かアメリカに遠慮するのか何か知らぬが、これは国連を通じてやるということになっておって、早急の場合には間に合いません。これは国連では、憲章ができ上らない以前にはできないわけであります。そうするとそういうようないろいろなチャンスを逃がしておる。先ほど言いましたように、アメリカだけにひっついておるがために、日本の研究が妨げられておることはおおうべくもない事実なのです。そうしますと、アメリカ以外の国にカナダにも折衝するということを言っておられますが、どういうようなことを今具体的にやっていらっしゃいますか。
○宮崎政府委員 現在やっておりますのはアメリカとカナダだけでございます。
○志村委員 どうもそれだけではきわめて心細いのであって、天然ウランというものはどこにもあるのです。たとえば濃縮ウランあるいはプルトニウムというものとは違ってどこにもあるのですから、各国とも協定したらいいじゃないですか。よけい買って損ということはないと思いますが、いかがでしょう。
○佐々木政府委員 天然ウランの問題は、お説のようにたとえばカナダあるいは英国等にもそれぞれお話してございますが、ただいまの段階では、カナダの方はやはり協定ができてからというお話でございまして、協定文はまだちょうだいしておりませんが、向うで準備している最中でございます。従いまして細目協定さえ結べば、入手可能な米国となるべく早く細目協定を結びまして、入手するのが一番近道じゃなかろうかということで、この道を進めておるわけであります。
○志村委員 そうするとお聞きしたいのですが、研究協定の改訂はしなくても天然ウランの入手はできるのですか。
○佐々木政府委員 研究協定の改訂はする必要はありません。しないで、天然ウランは細目協定で——初めの考えでは細目協定も必要でなかろう、単なる売買協定で、材料として提供するという条項でいけるのじゃないかということで、重水なんかと同じように考えておったのでありますが、去年でありますか、研究所の方でAECといろいろ折衝いたしましたところが、やはりこの天然ウランに関しましては細目協定が必要であるという向うの見解でございますので、どうしても細目協定を結びませんと入手できないということで、一昨年結びました一般協定の細目協定として、一般協定を変えずに入手できることになったのでございます。
○志村委員 今の点は一般協定ですか、一般協定の細目ですか。
○佐々木政府委員 研究協定を改訂せずに、研究協定の範囲内で細目協定を結べば入手することができるということになっております。
○志村委員 そうすると研究協定の細目協定によって天然ウランは入手できるという、こういうことなのですか。
○佐々木政府委員 その通りでございます。
○志村委員 そうしますと、ここで今審議しておりますが、もうすでに調印されたのですから、これで天然ウランはすぐ入る予定になると思うのですが、いつごろ入りますか。
○佐々木政府委員 これは濃縮ウランに関する細目協定でありまして、天然ウランの細目協定は別の細目協定になります。
○志村委員 どうして同時にやられなかったのですか。
○佐々木政府委員 天然ウランの細目協定は賃貸でなくて売買ということになっておりまして、これは売るのでございますから、条文を見ますと、今までの濃縮ウランの細目協定と非常に違った内容をたくさん盛ってございますので、そういう点をいろいろ折衝する余地がたくさん残されておりますので、時間の関係上こうなっておるだけであります。
○志村委員 どうもその関係がよくわからぬですが、そうしますと、天然ウランは売買ということになって、売買ということは、前の研究協定には全然入っていなくても、細目協定だけでやれるのですか。
○高橋(通)政府委員 お答え申し上げます。私からかわって補足して申し上げますが、天然ウランの購入の問題でありますが、これは前にできました研究協定でありますか、あの研究協定のワク内で、すなわち研究協定によって御承認を得た範囲内で、いろいろ記録の提出だとか査察だとか視察だとか、その他免責条項——これはありませんが、そういう研究協定で御承認を得た範囲内で天然ウランを購入するのが一番早道ではないかというふうにかねて考えまして、天然ウランの購入の交渉に入ったわけでございます。ところが交渉中に向うの案文を見ますと、研究協定だけではカバーせられないいろいろな条項が入って参りましたので、これは国会の御承認を得なければなりませんし、その他、交渉中果して時間的にこちらの満足するような案文ができるかどうか、その先方の提出しました案文が、研究協定だけでカバーされる範囲内のものであれば、これは当然すぐできることでございますが、それよりも少しはみ出しておりますもので、そこでその点について交渉が長引いておる、こういう状況でございます。
○志村委員 日本の開発の実情というものは、天然ウランの増量の問題、CP5の問題、これはずっと先の問題になってきます。ところが指数実験の問題は、当面の、七月というごく目先の問題になってくる。目先の問題をあとに延ばして将来の問題、CP5の問題を先に片づけるということは手続として逆になっていませんか。その点いかがです。
○高橋(通)政府委員 お答え申し上げます。交渉の時間的な問題、技術的な、時間的な問題が入りますわけでございまして、実はその購入の方の交渉も並行的に進めているわけでございます。ところがそれにはやはり国会の今期には間に合わないというふうな状況でございますので、一応今国会に間に合いますところの濃縮ウランの賃借の協定、これはこの前御承認いただきました協定とほとんど同じでございますので、これは簡単に成立いたしまして、ここに御提出をしたわけでございますけれども、もう一つの協定は米側の案もおくれますし、その交渉が継続中であります。——いわば継続中と申しますか、今国会に間に合わないというような時間的な制限がございましたので、一応見送りまして、これだけを御提出いたしたという次第であります。
○志村委員 あんまりいつまでもやると時間を食うと思いますから私は簡単に申し上げますが、大体この天然ウランの必要というものはずっと前に出ている問題なのです。それがわずか細目協定の一部分の変更とかというふうなことで半年もたっていまだにでき上らないという事情はわれわれはのみ込めない。外務省ではいつごろその問題に手をつけられたか。
○松井説明員 ちょっと従来の経緯を御説明申し上げますが、外務省としましては一昨年の十一月、天然ウラン四トン購入に関する申し入れを米国政府にいたしております。それに対しまして米国政府の案文が来ましたのは約八カ月の後です。その内容は立法事項がかなり含まれておるのでございます。それで国会にかけなければいけないという問題がありまして、それを達成する方法としまして現行協定を改訂するならば、そのときに立法事項を包括して入れておけば、あとは予算のある限り行政取りきめでもいけるのじゃないか、そういうアサンプションのもとにやって参りました。ところが今申し上げました不幸な事情によりまして、研究協定の改訂が見送らざるを得なかったという事態に直面いたしましたので、外務省といたしましてはCP5の燃料に関する細目協定の交渉と天然ウランの購入に関する協定の交渉とを一緒に始めたかったのでありますけれども、物事には、一度にやるには事務的に困難があるのでございまして、しかもなお天然ウランの案文につきましては、さっき条約局長が御説明申し上げましたような向うは改訂案を持ってきたのです。それが来ましたのは三月の中旬でございます。従ってその基礎で交渉を始めることは、さっき局長が御説明なさったように事務的にどうしても間に合わない、二つ急げば二つともだめになる、そのうちいずれをとるかという選択に迫られたわけであります。どうせ通るなら通るという可能性の最も多いところのCP5に全力を注がざるを得なかったという事務的の事情もありまして、外務省としてはさっき局長がおっしゃったように、国産動力炉の設計上天然ウラン入手により指数実験を行うことの重要性は十分認識しております。今後ともその問題につきまして引き続き交渉の妥結に努力いたします。これは一般協定の問題と関係なく、即時交渉を開始いたします。 なお天然ウランの交渉につきましては、さっきの御説明を補足いたしますが、カナダ、イギリスその他即時入手できるところのソース、その他条件等を至急審査して、ほかの国とも交渉をやるという考えを持っております。
○志村委員 私は、本会議が始まったようですからこれで質問を終ります。
○野田委員長 これにて本連合審査会を散会いたします。 午後一時三十四分散会