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26回国会衆議院1957/09/06

外務委員会 第27号

発言数
240
登壇者
13
会派数
3
開催日
1957/09/06

会議録

野田武夫自由民主党

○野田委員長 これより会議を開きます。  国際情勢等に関する件について外務大臣に対する質疑を許します。  この際委員長より申し上げておきますが、外務大臣は政務の都合で午後一時まで出席されることになっておりますので、さよう御了承の上質疑を行われるよう願います。  これより質疑を許します。森島守人君

森島守人日本社会党

○森島委員 時間も非常に制限されておりますので、きわめて局限した問題、中共貿易を中心とした問題について二、三点簡単にお伺いしたいと思います。  大臣も御承知の通り、この中共貿易、これに関連する通商代友邦の設置等の問題は二年間にわたっておる問題であります。これと申しますのも、当時協定の締結に当った民間の代表において政府と十分な連絡をとらなかったという点も一つの原因となっておりますが、大半は日本政府が貿易の増進をはかると言いながら、何一つ今日まで具体的の決定をしなかった。主として政府の責任に帰すべきものと私は信じております。現に岸さんも二月二十一日か二日と思いますが、外務委員会において指紋の問題その他通商代表部の問題等について便法を講ずるということを言明せられたのでありますが、今日まで何一つ決定に至っていないというのが実情でございます。そこで民間の使節団も十四日には中共を訪問することになっておりますので、もしこの際その前に政府の方針がはっきりしていなかったならば、再び使節団も難関に逢着すると思うので、この際を逸せずして政府のはっきりした態度を決定せられんことを切望してやまぬ次第でございます。  第一は指紋の問題でございます。指紋の問題につきましては、岸総理大臣も唐澤法務大臣も、法律は変えるわけにはいかぬが、便法を講ずるということをはっきり言明しておられます。先般も外務公表として出たところを見ますと、何らか政府としては便法を講じられる意向のように思いますが、その兵相を大臣からこの席においてはっきり言明していただきたいと存ずる次第でございます。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 指紋の問題につきましては、二つあると思うのであります。御承知のように国際見本市に関係します指紋の問題と、それから通商を取り扱います機関の指紋の問題と、二つあると思います。国際見本市に関係いたします指紋の問題は、単に中共を対象といたさないで、全体各国をにらみ合せまして、国際的な見本市の性格からいいまして、指紋を二カ月というものに対して若干の猶予を認めるということに先般政府としては措置をいたしたわけであります。その点すでに閣議で決定いたしておりますので、御承知だと思います。それから通商関係の機関に対しまして指紋をとるかとらないか、通商関係の機関の設置方法によりましてこの問題は考慮いたしたい、こう考えております。

森島守人日本社会党

○森島委員 ただいま外務大臣から二カ月以上にわたって若干の期間について考慮する、こういう御言明がありましたが、若干の期間というのは大体どれくらいの期間を御考慮になっておるのですか。その点もお答え願いたい。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 若干の期間というのは二週間ということを考えております。しかし二週間を一日越えても、翌日に飛行機等がすでにリザーブしてあるというものまで何も一日だけ指紋をとるというようなしゃくし定木の解釈はいたさないのであります。

森島守人日本社会党

○森島委員 しゃくし定木の解釈はしないという言明で私も安心したのでございますが、これは一日といわず、多少のゆとりを置かれなければ、かえって見本市開催の効果を減殺するということになると思います。政府としては相当のゆとりをとってお考えになっておるものと了解して差しつかえございませんか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 私民間におりました経験からいいまして、一カ所の見本市というものはそう長期にわたるものでないのでありまして、大体一回の見本市というものは長くても二週間、普通でいいますと一週間ないし十日だと思います。従って二カ月という期間内に開こうと思えば、大体二カ所くらいは開けると思うのであります。まして一カ所開きますには十分だと思います。しかしそういうものを開いて、同時に二カ所やる。いろいろな準備から考えますれば、二週間程度のゆとりを持ちますればこれは十分達成できる、こう思っております。

森島守人日本社会党

○森島委員 新聞紙の伝えるところによりますと、アメリカにおいても、見本市の関係ではございませんが、外国人の指紋をアメリカの国の利益になる場合には免除するという趣旨の法律が可決されたように伝えておりますが、この点はいかがでございますか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 アメリカにおいてまだ可決されたということは聞いておりませんけれども、上下両院でもってすでに問題になっておることは承知いたしております。

森島守人日本社会党

○森島委員 その点はいずれお調べの上で資料を御提出願いたいと思いますが、元来日本で外国人登録法を設定しましたのは、在留朝鮮人が六十万くらいでありましたが、朝鮮人の治安関係の必要から行なった。これはむしろアメリカから強制されて、アメリカの法律をそのまま直訳したのが今の外国人登録法である、こういうふうに了解しておりますが、もしその点から考えますならば、すでに朝鮮人の登録は大体済んでおる。そうしますれば、別に外人に対して登録を強要するという趣旨の法律の必要はすでになくなったのではないか。そうすれば、少くとも二カ月とか、あるいは二カ月に二週間延ばすとかいうこそくな方法を中共の見本市問題にせっぱ詰まってやるというよりも、もっと根本的に法律の改訂を行うということが、私は最も先めいた問題だ、こういうふうに存じますが、外相の御意見はいかがでしょうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 ただいまの外国人登録法の問題につきましては、成立当時のいきさつ等詳しいことは私存じておりませんが、満場一致をもって議会を通ったと了承しておるわけであります。その後の事情が若干変ったかどうかということでありますけれども、この問題については、外務省の立場としてはできるだけ外人の面について考慮していく必要があろうと考えております。これは法務省との関係もございますので、それ以上私から御答弁いたしかねます。

森島守人日本社会党

○森島委員 外務省の観点からしますと、なるべくこれはゆるやかにしたいというお考えは今大臣のお話があった通りであります。私はこれは法務省との間でも十分折衝を重ねられまして、大局的な見地から法律改正の措置に出られることを要望してやまないのであります。大体指紋をとっておる国は、移民の受入国ということに了解しておる。アメリカを初め十三、四国ということでございますが、これらの国については治安の関係から指紋をとる必要のあることは私了解ができますが、日本については、今になって、情勢の変った今日、アメリカ流の法律をそのまま押しつけられておるということもいかがかと存じますので、改正の方向へ一つ省議を進められんことを要望してやまない次第でございます。  その次に問題になりますのが、民間の通商代表部の設置の問題であります。新聞で伝えられるところによりますと、民間通商代表部——通商代表部という名称では誤解を起すおそれがある。そこで事務所とかいうふうな名称を用いて誤解を避けたいというふうに大臣はお考えになっておるようであります。われわれの見地からいたしますと、この問題は名称だけの形式的な問題でなしに、実質上にわたる問題であると了解しているのであります。名称だけでは決して解決する問題ではないと思っております。第一点は何かと申しますと、中共から日本に来る通商代表部に対して、日本側において与える待遇上の問題、出入国の自由とか、あるいは業務を遂行する上における通信上の自由であるとか、あるいは裁判権の問題であるとか、あるいは警察捜査権の問題とかいうふうに、実質上にわたる幾多の問題があるのでございまして、これらに対する待遇のいかんということが決定されなければ、中共としても安心して通商代表部を日本に送ることはできないということが、従来の中共側の態度であったと了解しております。この点に対する御見解はいかがでございますか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 経済関係を円滑にし、特に貿易をなめらかにして参りますことは、これは当然努めていかなければならぬことでありまして、ことにまた貿易上起るいろいろな弊害を防ぐ上におきましても、何らかの形でもって事務所的なものを設けることは私は適当なことだと考えております。ただこれは日本の今日置かれております立場から見て、名称だけの問題ではないのでありまして、名称が内容を規定する場合がたくさんあるわけであります。従いまして名称の問題としても実質的に相当重要なことになってくる。また通商をほんとうに円滑にするためには、通商のほんとうのエキスパートが向うから来ればそれでよろしいのではないかというふうに私考えております。その線に沿って問題を考えていきたい、こう思っております。

森島守人日本社会党

○森島委員 私の質問に対する答弁になっておりませんが、それで果して向うのエキスパートを日本に呼んで安心してやっていけるという事態ができるとお考えになっておりますか。向うでは待遇上の問題について明確なる取りきめができぬ限り通商代表部は出せないというふうな態度をとっておると了解しておりますが、この点のお見通しないし見込みはいかがでありますか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 私がただいま申し上げましたのは、現在私が考えております構想でありまして、そういう構想によって問題を扱っていくことによりまして、スムーズな貿易ができるというふうに私は考えております。従いましてそういう主体がきまりますれば、それをどう取り扱うかということの問題も続いて起ってくると思うのであります。ただ今日まで中共が日本にいっております、全部の者を日本が全部受け入れなければならぬということは私はないと思います。やはり日本は日本の立場で社会情勢その他も考え合せて、そうして問題を自主的に決定してしかるべきだ、こう考えます。

森島守人日本社会党

○森島委員 その点に関連しますと議論の問題になりますから私はこの際これ以上深入りすることを避けますが、次の問題は、民間代表の間において協定ができます、その協定の実行について、昭和三十年の五月には鳩山首相がこの協定の実行に対して支持と協力を与るということを言明された。この鳩山首相の言明されたいきさつを書面にしたためて池田正之輔氏から中共側に送ってある。ところが当時の根本官房長官はその翌日か翌々日かに、この協定ができました直後に、政府としては関知しないところであるということを国会で言明いたしました。この点が中共側に対して日本政府は信用するに足らぬのだという印象を相当に強く与えたようであります。私はそういういきさつもありますから、おそらく中共としては、民間同士の間で締結される協定に対して、日本政府が何らかの格好において保証するのだという保証の取りつけをも要求してくる可能性が非常に多いと信じておりますが、この点に対するお見通しはいかがでございますか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 民間協定ができました場合にこれを支持するか支持しないかは、できました民間協定を見てみなければ今日私は言明できないと思います。政府ができるだけ貿易をスムーズにするという立場にありますことはむろんでありますけれども、ただ政府がそれを支持するあるいは支持しないといいましたときに、岸内閣においては今のお話のような不統一なことは起らぬと思います。

森島守人日本社会党

○森島委員 私はそれでは中共へ使いする民間代表部の方も非常に心もとない思う。ここでは深く私は追及はいたしませんが、おそらく外務当局と行かれる方々との間では極秘裏に話が進んでおるものと私は了解をいたしますが、この点についても相当深く御考慮をいただかぬと、再び鳩山内閣当時のようなめんどうを引き起すことがあるだろう、協定の締結もあるいは実施に至らぬのじゃないかというふうに心配しております。  ついでにお聞きしたいのですが、これをなぜ政府間のレベルにおける協定に持っていくことができないか、そこまで踏み込んで中共の貿易問題をお考えになる必要があるのだと私は信じておる。これは実例もございます。ビルマやフィリピンとの間には政府間の国交がなかった際においても貿易協定を行なっております。ここに出席しておる牛場君なんかはよく知っておるはずです。あるいはインドネシアにしても同様です。韓国にしても同様です。さらにほかの例を引きますれば、フランスと中共との間には国交を回復しないでおった、しかし貿易協定を結んでおる。エジプトと中共との間でも国交回復前に貿易協定を結んでおる。政府はお互いに国家としての承認を与えられないという明確なる了解のもとにおいて、政府間のレベルにおいて協定締結をはかるということは私は不可能ではないと思います。これに対する御意見を伺います。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 中共に関する経済関係を一歩々々改善していき、そうして両国の経済関係と貿易関係を円滑に運営していくということは必要なことだと思います。従いまして私は今考えておりますことで一歩前進できると思っております。また一歩前進した結果を見まして将来の問題は考えていきたいと思います。

森島守人日本社会党

○森島委員 時間がありませんので私結論を急ぎますけれども、アメリカにおいても中共に対する考え方が非常に変ってきている。私は現在の情勢からいきますれば、アメリカといえども中共と国交回復をするという時期は一年足らずのうちに必ずくると信じております。日本政府としてはむしろ先を見越して、アメリカに先んじて中共との国交回復の措置に出られる必要があるということを信じておるのであります。私は日本政府では一歩々々なんて言わないで、もっと根本的な解決策をとられる必要があると思います。これは藤山さんも岸さんの内閣の外務大臣でなしに独立してお考えになりますれば、おそらく私の言っていることに御賛同になると思うということを私は信じて疑わないのです。私は、使節の出る前に一つしっかりした方針をおきめになって、再びそごを来たさぬように御措置あらんことを要望して質問をやめます。

野田武夫自由民主党

○野田委員長 田中稔男君から関連質問の要求がございますからこれを許します。田中稔男君。

田中稔男日本社会党

○田中(稔)委員 関連しまして一言お伺いいたします。外務大臣は、中国から参ります通商関係の機関は民間的な性格のものとしたい、具体的にはそれはたとえば中国進出口公司というああいうふうな団体の人を認めるというようなお考えでしょうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 貿易をスムーズにいたしますためには、中共の貿易の実務者を入れることが一番適当だと思うのであります。現在において中国の貿易の実務当局といいますと、中国進出口公司がその一つだと思います。あるいは一つにしてかつ唯一だと思われますが、そういうことが適当ではないかと考えております。

田中稔男日本社会党

○田中(稔)委員 中国進出口公司というのは中国の国営貿易の機関、国家機関ですが、これは公務員であるわけですが、そういうことは御承知だと思います。そうすると指紋問題なんかでも公務員もしくは公務員に準ずるものとして免除するというお考えがあるかどうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 お話のようにかりに進出口公司としますれば、それは日本でいういわゆる公団だと思うのでありまして、公務員だと思います。従いましてわれわれもそれを頭に置いて問題の解決をはかっていきたいと思います。

田中稔男日本社会党

○田中(稔)委員 そうするとそういう場合政府は、参ります中国の代表者全部について指紋は免除する、こういうふうなお考えでありましょうか、お尋ねいたします。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 かりに貿易を何らか扱います進出口公司その他の出張所ができました場合に、そこに従業している人全部というふうには考えられないのでありまして、料理人があれば料理人までとは考えられません。実際に貿易の実務を担当する人になろうと思いますが、まだ最終的には決定いたしておりません。

田中稔男日本社会党

○田中(稔)委員 今のような構想は、これは政府としての公式の御見解でしょうか。それとも外務大臣の、むしろ個人としての御見解でありましょうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 政府としての、公式ではございませんけれども、外務大臣としての考え方でございます。

田中稔男日本社会党

○田中(稔)委員 そうすると政府としては通商代表部の性格だとか構成だとかあるいは処遇だとか、こういう問題について公式の最終的な意見はきまっていない、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 現在においてはまだきまっておりませんし、私もその方法についていろいろ考えているという段階であります。

田中稔男日本社会党

○田中(稔)委員 外務大臣は今度国連総会出席のためにアメリカにおいでになりますが、アメリカ政府とこういうことについて御相談になる御意向がおありでありますか。私は多分相談になるものだと思いますが、お尋ねいたします。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 その問題については、アメリカと協議しようとは思っておりません。

田中稔男日本社会党

○田中(稔)委員 もう一へんはっきり伺いますが、アメリカとはこの問題について全然御相談にならないのですか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 そういうことは考えておりません。

田中稔男日本社会党

○田中(稔)委員 そうだとすれば、政府の態度はアメリカと独立して決定できるというわけでありますが、今度十四日には池田正之輔君を団長とする使節団が中国へ参るわけであります。これに対して政府なり与党の首脳部の方がいろいろ御相談になっているようであります。政府のはっきりした見解がきまらないで、池田ミッションが参りましたら、向うで立ち往生するのではないかと私は思うのです。十四日までに政府のこの問題に関する公式の御見解を決定なさる御予定があるかどうか、お尋ねいたします。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 私は必ずしも十四日までに政府の公式の見解をきめなくとも差しつかえないと思います。

田中稔男日本社会党

○田中(稔)委員 そうすると池田ミッションが参りまして、向うと話をしてうまくいかぬ、私はこれは今のあの程度のことではうまくいかぬ、外務大臣の個人としての非公式の御見解では、私はうまくいかぬと思う。そうしますと、交渉は決裂するということになって帰ってくる。その場合、政府は一体どうなさるお考えなのか。たとえば別にまた政府の最終的な決定を持たせて、第二次の使節団を中国にお送りになるお心組みがあるかどうか、お尋ねいたします。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 私は三団体の有力な方がおいでになるのでありまして、必ずしも向うとの話し合いがつかないとは考えておりません。従ってつかないとしての予想はあまり考えておらないのであります。

田中稔男日本社会党

○田中(稔)委員 これは外務大臣の責任のがれのお言葉だと思うのです。三団体とおっしゃるけれども、この間からいろいろ私ども知っおるのですが、通商代表部の問題につきましては、これは与党の関係者だけが一切のことを承知していくのだ、同じ議員連盟の代表であっても、社会党、野党の人は関知する必要はない、いわんや国際貿促とか輸出入組合の代表者のごときは、全然これはつんぼさじきということでついてこい、こういうふうな与党の態度なのです。しかもその政府のはっきりした態度がまだきまっていないということであれば、そういうふうなあやふやなことで行きましたら、三団体の諸君がどんなに懸命に努力しましても、これは話にならぬと思うのです。だから政府としまして、十四日までにもつとはっきりした態度をきめていただく。しかもまたそのことにつきましては詳細な内容を、議員連盟の野党側の代表に対してはもちろんのこと、その他の二団体の代表に対しましても十分一つ明らかにしていただきたい、こう思うのでありますが、そういうふうなお考えがあるかどうか、お尋ねいたします。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 現在まで政府が公式的にも非公式的にもそういうことを御相課するとは私考えておらぬのであります。三団体の方々がそれぞれ御協議を願いまして、そうして交渉していただく、こう思っております。

野田武夫自由民主党

○野田委員長 田中委員に申し上げますが、あとの時間の関係がありますから、あなたの質疑はこの程度に終っていただきたいと思います。

田中稔男日本社会党

○田中(稔)委員 それでは私はこれで終ります。終りますが、外務大臣が巧妙に逃げておられますけれども、政府は池田君なんかに対しましては政府及び与党の腹をある程度打ちあけておる。しかし私はその腹を推測しても、それでは今度の交渉は成功しないと思います。その程度のことも野党の代表とかあるいは国際貿促、輸出入組合の代表に全然知らせない、ただついてこいというようなことでは今度のこの北京における交渉は、非常に私は悲観的な見通しを持たざるを得ないとこう思うのであります。この問題についてはどうかもっと一つ真剣に取り組んでいただきたい。中国貿易というものは非常に重要だと思います。市場としての重要性は外務大臣よく御承知のことと思います。外務大臣は大体年間輸出入九千万ドル程度ということをお考えになっておるようでありますが、これは大体台湾と同額でありますが、しかし中国貿易の将来の可能性はもちろんそんなものじゃないということは御承知だろうと思います。しかもこれは政府の熱意いかんにかかっておる、政府が協定に責任を持つ政府が協定に保証を持つというような態度に出ますならば、これは非常に発展する可能性がある、ところが政府がどこかに遠慮して、非常に熱意が足りない。私は外務大臣がアメリカにでもおいでになってアメリカ政府とでもいろいろ御相談になって、その上におもむろに態度をきめられるというような考えではないかと思います。今の御答弁だと、そうではない、アメリカとは相談しない、独自できめるとおっしゃった。それはけっこうです。そういうお気持ならそういうお気持でけっこうですから、一つ早く態度をきめていただきたい、そのことを要望いたします。

野田武夫自由民主党

○野田委員長 戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私は時間がございませんので、きょうは今度十四日にお立ちになりまして、国連の第十二回総会に御出席になるその問題についてだけ御質問したいと思います。去年は日本もまだ十分な発言のできるような機会がなかったと思いますが、今度は初めから総会においでになっていろいろな問題をお持ちになっていらっしゃることですから、日本の国民は大へ今度の国連総会に臨まれることに対して期待を持っておると思います。  そこでまず第一にお伺いしたいことは、国連総会に臨まれるについての基本的な態度というようなことを伺いたいのですが、岸総理とそれから外務大臣はときどき私どもは国連中心主義でやっていきたい、こういうことをおっしゃるのですけれども、国連中心主義ということは一体具体的に何を意味されるかということをまず伺いたいのでございます。それはどうしてかと申しますと、国連憲章というものは大体国際主義的な性質を持っておるものですけれども、今日の世界情勢から見ますと、どうもアメリカを盟主としたところの自由主義陣営中心の政策といいますか、自由主義陣営一辺倒のような政策が行われているように思われるわけでございまして、そういう点から考えましたときに、私どもは一体外務大臣がどういうお考えをもって臨まれるかということを承わりたいと思うわけでございます。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 日本が世界の平和を希求しておりますことは当然のことなのであります。世界の平和を希求する立場からいいまして、国連を中心にして問題の種々な解決をはかる、また国連自体が将来、世界の平和に貢献するように有力なものになっていくということを考えていきたいと思うのでありまして、国連の過去の活動についてはいろいろな賞賛の言葉もあります。あるいは、国連自体がなかなか問題を解決できないという非難の声もあります。しかし私どもといたしましては、国連をできるだけ強固なものにして、それによって世界のいろいろな問題を解決していくということを考えております。そういう意味において国連中心でやっていきたい、こう思っております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 日本が世界の平和を望むということは、私どももその通りでございますし、それから国連で世界の声を集めていろいろな問題を解決するということは、これは私どもも望むところなんでございます。けれども先ほど申し上げましたように、ややもすると、国連の中心が米国を中心とした自由主義陣営的な考え方で持っていかれそうになるときに、やはり日本は東西のかけ橋的な役割をすべきではないか、こう思うわけでございまして、そうなって参りますと、岸さんが言われるように、中立主義の国は自由主義陣営とは違うものであるというような扱い方というものは、これは間違いであって、やはりあくまでも中立的な立場に立って両陣営のかけ橋的な役割をしていく、こういう考えにお立ちになって臨んでいただかなければ、私は世界平和の方向への努力というものはむなしくなるのじゃないかと思うのですが、この点はいかがでしょう。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 国連に参りましてわれわれ考えていかなければならぬことは、そのときどきによって右にゆれ左にゆれることは、私は日本の国際信用を一番弱めるものではないかと思うのであります。日本の態度というものは、国連のメンバーの一人として信用を得るような方法で進んでいかなければならぬ。それには日本として国連の中の行動を正しく持っていかなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでありまして、その意味において立場をとっていきたい、この考えでおります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうしますと、日本の行動を国連の中に正しく持っていきたいということは、自由主義陣営の中にはっきり入って、そしてそういう考え方のもとにだけ行動をとっていきたい、こういうお考えでございましょうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 日本が自由主義陣営の中におりますことは当然なことなのでありまして、私どもはその線に沿って行動していきたいということは申すまでもございません。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 自由主義陣営の中に立つにいたしましても、やはり日本がその中から他の陣営と自由主義陣営との協調をはかっていくという役割をしていくべきだと私は思います。ただ単に自由主義陣営の言うがままに行動をとっていくというような行き方は、決して世界平和への努力ではないと思いますけれども、この点をもう一度伺いたいと思います。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 自由主義陣営の立場をとりましても、同じ自由主義陣営の中でも、問題によってはいろいろ意見の分れるところもあると思うのであります。あるいはAAグループの中におきましても、やはりAAグループ全部が一致する意見と、問題によってはしない場合もあるのでありまして、われわれは自由主義陣営の立場の中で正当な立場をとっていきたい、こういうことであります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そこで、そういうふうな基本的なお考えというものは、必ずしも私どもの満足するようなお考えではございませんけれども、かりにそういうふうな態度をもって臨まれるといたしまして、今度の国連総会に出されます問題は、ずいぶんたくさんあると思います。その中で、新聞によりますと、国民の非願であるところの核実験禁止への何らかの訴えをしたいというようなことが、先ごろの新聞に報道されておりました。外務大臣のお言葉を引用してみるならば、国連を通じて核実験禁止のために何らかの理解の道を早急に開きたい、こういうふうなことを言っていられるわけでございますけれども、これは具体的には一体どういうふうな内容を意図せられておりますかをお伺いしたいと思います。一部が新聞に外務省案として出ていたようでございますけれども、やはりこの委員会を通してはっきりと私どもは伺いたいと思うわけでございます。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 核兵器の禁止並びに核兵器の実験禁止につきましては、これは日本の国民の世論でもありまして、衆参両院の御決議もあるわけなのであります。私どもはその線に沿って一番有効な方法で国連の総意が成り立ちますように考えていきたいと考えておるわけであります。それには、その時期もございますし、あるいは軍縮委員会その他の進行状況もあるわけであります。そういう問題もにらみ合せまして、今回の総会においてもこの問題を日本として取り上げていきたい、こういうふうに考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 衆参両院の国会の決議は核実験の禁止ということでございまして、そうして国民の世論もそうであろうと思います。それからまた、先ごろの世界の二十余カ国の代表者が集まっての東京でなされました原水爆禁止大会の東京宣言を見ましても、核実験の禁止ということでございました。そこで私どもは、やはり日本のような原水爆の被害をこうむった国であるからこそ、軍縮の結論がどうとかなんとかということを待たずに、国連に行って原水爆の実験はやめるべきだということを堂々と訴えるべきであって、何かよその国の出方を待っているというようななまぬるいものであってはならない、こう考えますけれども、それに対してのお考えのほどを伺いたいと思うわけです。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 最終的に目的を達成するための努力は当然いたすわけでありますが、しかし一歩前進することができますれば、過程においてはけっこうだと思うのであります。ですから、最終的目標を達成するために、もし総会が全体として一歩前進をすることになる状態でありますれば、それにも賛成していって差しつかえはないと思います。それは最終的な日本の願いを放棄したことにはならぬと私は考ております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 この場合にもやはり自由主義陣営、すなわちアメリカなどの言うような意見に大体同意されての態度を示されるのかどうか、この点を伺いたいと思います。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 先ほど申しました国連に出ます態度で御了解いただけると思うのでありますが、アメリカだけの考えを参酌しながら問題を考えていこうとは考えていません。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 この問題は、こうした核物質を持つ国、原水爆を持つ国々に一番関係のあることでございますから、やはり他の持たない国を説き伏せて、そうして持っている国の間で禁止協定というようなものを結ばせることが一番必要なことだと私は思うのですけれども、そういう御努力は今回はお払いになりませんでしょうかどうでしょうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 持っているアメリカ、ソ連、イギリスに対して、われわれとしてはできるだけの努力をしたい、こう思っております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 できるだけの努力をしたいというお考えでございましたから、具体的にはやはり禁止協定というようなものを結ぶような努力をしていただきたいと思うわけです。  それから、それでは今までの外務大臣の御答弁を総合いたしてみまして、大体新聞に出ておりましたような、一年間くらい禁止して、そうして様子を見た上で生産停止、使用停止というようなことを持ち出すというような案がここに出ていたわけですけれども、この外務省の出された案の線でいらっしやるわけでしょうか。これは大体最終的なものですか。それともやはり国連の総会へ出られてみて、まだ違うようなことも考えられるとお思いになるのでしょうか、どうでしょうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 新聞に出ておりましたのは、まだ全く外務省の案というわけではないのでありまして、われわれはいろいろなことをただいま検討しておる段階でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうしますと、お立ちになる前までには大体の基本線というものは発表されて、そして岸総理とも御相談の上、その大体の基本線を持っていらっしゃるわけでしょうか、どうでしょうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 出発前に総理とそういう問題についてできるだけ打ち合せて参りたいとは考えております。しかし国連におきます私が参りました上での状況もございますので、それらに応じて国連に出席した上で私はいろいろな考えを最終的にはきめたい、こう思っております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 国連の総会に臨まれまして、私がおそらくもう一つ出るだろうと思われます問題は、やはり中共加盟の問題ではないかと思います。これは去年も大へん議論されて、中共加盟の問題を議題に載せるかどうかということがぎりぎりのところで否決になったというようなことも聞いているわけでございますが、去年の情勢とことしの情勢は、スエズ運河の問題と英連邦の態度などを考えてみましても、だいぶ変ってきているわけでございまして、こういう問題がおそらく出てくると思いますが、それに対して外務大臣は日本の国としてどういうふうな態度をとられようとしておられますでしょうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 国連に出ますいろいろな問題につきましては、国連に参りまして私は判断をして参りたいと思っておりますが、現在の段階におきましては、直ちに賛成するかしないかということは申し上げかねます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 それでは私どもといたしましては大へんにたよりないように思うわけです。私どもは非常に藤山外務大臣に対しては御期待を申し上げ、そしてまた非常にいい外交をやって下さるだろうということを尊敬し、信頼をしているわけですけれども、向うへ行ってから中共の問題等も考えてみたいというようなことは、ちょっとたよりないようで、やはりその点については基本的な問題をお話しになっていっていただけないものかしらと思うわけでございますが、もう一度そのお考えのほどを伺いたいと思います。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 私としましては、外交の基本的な問題というものは外務大臣就任以来今考えておるわけでありまして、そういう将来の問題については今後私の方針をきめていくということをお答えいたします。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 国連総会はもう目前に迫っているわけでございまして、そのときにそういう問題が出るのに、これから方針をきめていくというようでは大へんに私ども心もとないような気がいたします。そこでもしも中共承認等の問題が、出席された情勢いかんによって藤山さんの御意見とあるいは岸さんの御意見とが違うような場合がありましても、やはり藤山さんの御意見を通していらっしゃるかどうか、この点だけそれではお伺いいたします。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 現在の段階におきまして、私は今申したように、今後の私の外交方針というものを確立していかなければならぬと思うのであります。はなはだどうも何をしているかというあれでありますけれども、私としては就任してまだそう長いわけでもありませんし、全体のいろいろな問題を考えながら今後一つやっていくつもりなのでありまして、私と総理との間にいろいろな問題において食い違いは将来とも起らぬと私は考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 総理大臣との間の食い違いはないというようなお言葉でございましたけれども、私はむしろ総理大臣よりも藤山外務大臣の方が新しいセンスを持って、新しい外交をやっていって下さるであろうということを期待しているわけで、そうでありますならば、わざわざ岸首相の外交に合せてやっていただかなくても、むしろ藤山外務大臣の新しいセンスの外交を進めていっていただきたい、こういうことを念願するわけであります。この中共の承認の問題は、やはり時代がどんどん進んでいくことでございますし、日本がまごまごしているうちに外交舞台から置き去りを食らうような結果にならないとも限りませんので、いっこう問題については、日が浅いとはおっしゃいますけれども、どうぞ十分に早くお考えになっておいていただきたいということを要望いたす次第です。  それからもう一つでございますが、今度日本が非常任理事国として立候補されるようでございますが、この問題は日本だけが立候補するとするならば問題はないかもしれませんけれども、チェコがやはりロンドン協定というようなものを持ち出して反対をしている向きがないでもないようでございますので、楽観は許されないのではないかと思いますが、これに対しての自信のほどと、それから非常任理事国になるための努力というものは具体的にどういうふうにしていらっしゃるか、この点を伺いたいと思います。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 非常任理事国に立候補いたしまして、その当選を期するためにできるだけの努力をいたしておるのであります。現在の段階におきましては比較的その運動と申しますか努力が功を奏しつつあるのではないかと思いますけれども、選挙のことでありますし、まだ未決定の国も相当ありますので、今後一そうの努力をしていかなければならないと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 非常にいろいろ御努力していらっしゃることはわかるのですが、具体的にこういうふうな形をやっているというようなことが、もしもここでおっしゃっていただけることがあったら、ちょっとお述べいただきたいと思います。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 むろん国連大使を中心にして努力をいたしております。それから各国のそれぞれの当該駐在国の大公使を通じてやっております。なお先般移動大使を出しました際にもそれぞれ指示をしておいてあります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 ロンドン協定の問題は、あとから他の委員が触れるようですから、私は省略いたしますが、そうすると、今度アメリカへいらっしゃるわけですけれども、韓国の問題はお話し合いになるかどうかをちょっと伺いたいのです。と申しますのは、私どもは先ごろ岸首相がアメリカへ行かれる前に大体韓国の問題は片づくものと思って期待をしていたわけですけれども、また非常な暗礁に乗り上げているわけで、一体これを打開するのにどういうふうなお考えを持っていられるか、この点をちょっと伺いたいと思います。それはやはり漁夫の家族の身になってみますと、きょうかあすかと待ちわびているわけで、まことにお気の毒なわけで、あまりに長い期間帰されないというようなことを考えてみましても、何らかの形でこうした問題を解決していただきたいと思うわけでありますけれども、どういうふうにお考えになるでしょうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 韓国との話し合いが円滑に行っておりませんことは、まことに遺憾と思うのであります。しかしこの問題はアメリカに行って話をするということは考えておりません。われわれといたしましては誠意を尽して韓国側の理解を得たいと努力をいたしておるわけであります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 国連の総会においでになる前に、何らかのめどぐらいをつけておいでになるお考えがございませんでしょうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 できるだけめどをつけたいと考えて努力はいたしておりますけれども、相手国のあることでありますので、何とも申し上げかれます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 けっこうです。

野田武夫自由民主党

○野田委員長 大西正道君。

大西正道日本社会党

○大西委員 まず前の戸叶さんの質問に引き続いて、国連総会に臨む態度について具体的な問題を私お伺いしますが、非常任理事国に立候補しているわけですけれども、これはどういう意図で立候補されたのか、わかり切ったようなことでありますけれども、一つ簡単にお答えを願います。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 日本は国連を中心にして日本の外交をできるだけ展開していきたい、こういう希望を持っておることは御承知の通りであります。従いまして非常任理事国に立候補いたしまして当選した暁には、理事国の一員として国連の目的に努力をいたしたいと考えておるわけであります。

大西正道日本社会党

○大西委員 そのために非常に政治折衝もやっておられるようでありますが、今日までの段階におきまして、わが国を支持する国がどの程度であるか、反対の国がどの程度であるか、また態度不明の国はどの程度であるか、これは概略でいいが、一つお聞かせ願いたい。特にアジア・アラブ諸国の動向についてはできるだけ詳しく一つ聞かしていただきたい。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 今日まで日本を支持すると予想されております国は三十三カ国に達しております。それから態度不明の国が二十三カ国、好意的に考えられる国が十八カ国ですか、それから全然日本を支持しないと見られる国が十カ国と推定されます。

大西正道日本社会党

○大西委員 そこで今後の努力によって、目的達成のためにがんばられるわけでありますけれども、チェコが立候補しておりますが、その言い分は第一回の理事国を選ぶ際に紳士協定ができているということ、こういう主張がかなり強く言われておるのでありますが、これに対しまして日本の態度はどういう態度であるか、これを聞かしていただきたいと思います。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 ロンドン協定には関係ないのでありまして、フィリピンのあとを継いで立候補いたしております。

大西正道日本社会党

○大西委員 それでこの間あなたは、おそらくこの立候補に対してアジア・アラブ諸国の応援を得るためというねらいであろうと思いますが、五日の午後零時半から外人の記者と会見をしておられますね。その席でこういうことを言っておられるのであります。これはまあ一言一句は違うかもしらぬが、趣旨には違いないと思うのですが、アジア・アラブ諸国に対して独立への熱意というものを評価して、「日本はその歴史において外国の植民主義の支配を受けたことがないため、ややもすれば長年月の間植民主義のもとに暮した諸民族の不満と不幸とに対し十分な理解が欠けることがある、自分は日本の外相として今後アジア外交を展開するに当ってこれらの点を反省する必要がある。」こういうようなことを言っておられると思うのですが、大体こういうことを言われたのですか。これはあなたのアジア諸国に対する一つの評価と申しますか、見方と申しますか、そういうことで私は重大だと思うのですが、いかがですか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 私はそう申したわけでありまして、私自身そういうふうに考えております。

大西正道日本社会党

○大西委員 もしこういうふうな考えであると、私は非常にアジア諸国に対する見方が甘いと思う。そのことを私は具体的に、これはきょう午後三時から文部大臣やらその他、文化問題ですからユネスコの総長やらあなたの方の局長を呼んで聞きたいのでありますが、この間世界の各国の義務教育の教科書を調べましたところが、私の資料によると、その中に日本をどのように評価し、日本をどのように紹介しておるか、こういうことが克明に出ておるのです。これを見ますと私どもは非常に驚いたのです。もう一世紀前の日本の紹介をしたり、日本の一面的な見方を紹介したりしておるのです。アメリカのごときはいかに日本に恩恵を施したかということばかりを長々と書き立てておる。こういうふうな偏見が、全国民に小学校、中学校の時代から次々に日本というものはこういうものだというふうに教え込まれておると仮定いたしますと、これはいかように政治家やら文化人やら実業家が表面上の外交をいたしましても、なかなか日本に対する考え方、見方というものは変らないと思うのです。特に私はここに重大に思うのはアジア諸国なんです。特に日本がかっては侵略を行なった国、すなわち中共、それから台湾政府、韓国、北鮮、これらなんかを見ますと、日本の帝国主義的な侵略、これを「日冠」と呼び、それから「日本の武断政治」云々という見出しをつけて、伊藤博文を暗殺した者は、これは愛国者なりというふうに礼賛をし、「強盗日本侵略者」、こういうことを書いておるのです。これが中共や朝鮮なんかならあなたとしては言い分があるだろうけれども、あなたが一番仲よくされようとする台湾政府の教科書にもこういうことが出ておるのです。そういうことを見ますと、あなたが言われるような日本は植民地でなかったから、これらの国々に理解が薄いというような、そういう点を反省するという以外に、これまでのあの戦争に対してこれらの国々というものは非常な怒りと恨みを持っておるのです。これがこれらの国々の教科書に現われた実際なんです。こういう事実を認識せずして岸さんなんかがあちらへ行かれても、どういうところを見てこられたか私にはわからぬけれども、あなたが幸いにここでこういうことの反省をしておられるけれども、非常に甘いと思うのです。私のこの資料は後ほどあなたにお見せしますからそこでまた御判断願えたらよろしいのですが、私の申し上げた程度で、もう一そう深い反省が必要じゃないでしょうか。賠償問題を早急に解決するというようなことで、向うの国民感情は私はとうていよくなるものではないと思うのです。もっともっと戦争の侵略に対しての反省ということが強くなければならぬと思うのです。こういうことを私は申し上げて、一応今後非常任理事国に立候補してアジア諸国の賛成を得ようというあなたの気持に、さらにもう一歩突き進んだ決意をここで一つ聞きたいと思う。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 日本が戦争したことについての反省というものは、私はこれは日本国民全部が現在しておることじゃないかと思うわけであります。従って東南アジアに対し政府はもちろんのこと、日本国民全部がそういう気持で現在おると信じております。従ってそれに加えて昨日のようなことを申したわけでありまして、これは当然だと思います。ただお話のように、日本に対する東南アジアからAAグルーブの認識が必ずしも現状に即していない。非常に背の立場から見られておるということについては、われわれもう少し日本の現在の真意を、各国に十分PR活動的に、またわれわれの行動を通じて誠意をもって示していかねばならぬ。ですから文化的な外交という面から言いますと、単に芸能人の交換をするばかりでなく、そういう点に力を入れていかなければならぬというように思っております。

大西正道日本社会党

○大西委員 その問題はそれくらいにしておきます。  そこで非常任理事国に当選をしたと仮定いたします。その場合に、私は今戸叶委員の質問に対してのあなたのお答えのような、中共の承認問題に対してまだ考えもきまっておらぬ、就任早々だから仕方がないのだ、国連に行ってそのときの空気で何とか考える、こういうふうなことで、果してあなたは日本が非常任理事国に立候補して当選して、十分に国連の真意というものを達成できるところの、ほんとうの活動ができるのですか。私はこの点を非常に心配に思うのです。私は非常任理事国に立候補することについても一まつの懸念があったのです。しかしあなたの今の答弁を聞きまして、これはこれは大へんなことだ、これは恥さらしです。あなたも今おっしゃったように、外交はその場その場限りのものではない。一貫した方針を持って進むとおっしゃっているのに、この中共承認の問題という国の大方針の問題を、今わからぬ、行ってからその場でやるというようなことで、私は非常任理事国に立候補したということに対しては非常な危険を感ずる。今の答弁があなたの真意でなかったらお取り消しを願いたいし、もしそれがほんとうだったら、私はこういうふうな日本の非常任理事国立候補は辞退すべきです。こういうふうな定見のない、外交の基本方針さえ今ここで明言できないようなあなたの態度では……。端的にお答えを願いたい。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 承認問題に対する日本の態度は現在はっきりしております。将来どういうふうにするかという問題について、われわれは今後の世界の情勢を十分聞いた上で考えていく、こういうことを申し上げたわけであります。

大西正道日本社会党

○大西委員 それではあなたの今の戸叶さんに対する答弁とは食い違っております。訂正されたのですね。基本方針もわからぬということだったのです。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 戸叶さんに対する答弁と今の答弁と違っておらぬと思います。

大西正道日本社会党

○大西委員 違っておらなければあとの方をあなたの正式の見解として私は聞きますが、それでは中国に対する承認問題の基本的な態度はどうなんです。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 中国ではなくて、中共に対しては、現在承認をしないという態度をとっております。

大西正道日本社会党

○大西委員 この問題につきましては、現在中共政権を承認しないということは、国連の精神から申しましても私は間違っておると思います。何ゆえにそうなったかということは、これは日本のアメリカに対する、ざっくばらんに言えば気がねであります。こういうことを私は清算されて、あの中国大陸に確固たる政権を確保して、日本と唇歯輔車の関係にあり、経済的にも非常に重大な関係にある中共を承認するということは、全く何ら遠慮の要らぬ日本の外交の大道だと思います。それを今そう言れるということは、これは前から言っていることだけども、まことに残念なことであります。  それから安保条約のことについてもう一つお聞きしたいのですが、日米安保委員会というのが発足いたしました。この間二回目が終りましたが、いまだに安保条約、行政協定、これらの不平等条約の改廃の問題が議題に出ていないようであまりすが、これはいつごろからこの議題にされるつもりですか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 安保委員会は二回開きまして各般の問題の話し合いを始めております。いつどういう問題を論議するということは、この際申し上げるのは差し控えます。

大西正道日本社会党

○大西委員 安保条約の改廃の問題についての論議をなさっておるのですか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 懇談会でどういう話をしておるかということは申し上げかねると思います。しかし懇談会の目的に沿って話し合いをしておるということだけは申し上げられます。

大西正道日本社会党

○大西委員 それでは懇談会の目的というのは、これは岸さんとアイクとの共同宣言の中にはっきりと出ておると私は思うのでありますが、日米両国の関係を両国の国民の必要及び願望に適合するように今後調整することを考慮する、こういうふうに、安保条約の改廃の問題がはっきりとその議題にきまっているのです。ですからこの点について話し合いをされておりますかということを聞いているのです。この程度のことは言っても差しつかえないでしょう。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 安保条約をめぐりますいろいろな、実施その他の問題について論議をし、意見の交換をいたしておるわけであります。大きな意味でいえば、そういう線に沿って話し合いをしているとも言えるわけであります。

大西正道日本社会党

○大西委員 安保条約の実施にからむいろいろな問題と安保条約それ自体の改廃の問題とは問題が違います。安保条約の実施に関する問題としては、日米合同委員会というような従来の機関があるのです。それをことさら日米安保委員会というものを作っているのです。ですから、私の聞いているのは、運営に関する問題ではない。安保条約それ自体の改廃の問題について論及しておるかどうかということです。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 実施という言葉が何か誤解を生んだかもしれませんが、安保条約に伴っていろいろ起っている問題を実施という言葉で、言ったのですが、そういう問題をお互いに話し合っているわけです。

大西正道日本社会党

○大西委員 私の聞いているのは、安保条約によって起った問題ではなしに、安保条約それ自体の改廃の問題は議題にしていないか、それをはっきりして下さい。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 そういう問題を検討していけば、おのずからどういう点を問題にするかということが出てくるのじゃないかと考えております。

大西正道日本社会党

○大西委員 それでは将来その安保条約の改廃の問題については触れますね。当然触れなければならぬのです。触れますね。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 両国民の願望に沿ったよりな形において進めていきたい、こう思っております。

大西正道日本社会党

○大西委員 両国民の願望は、明らかにこの不平等条約によっていろいろな被害を受けているのです。不合理ができているのです。ですから当然安保条約の改廃をやるべしというものが国民の世論であると私は考える。あなたはそういうふうに考えませんか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 願望に沿って、やはり両国民の願望を十分に体現するように安保条約を考えていくというのがこの委員会だと思うのでありまして、それについていろいろ問題を検討していかなければならぬと思います。

大西正道日本社会党

○大西委員 まあそれ以上言っても仕方がない。この岸・アイクの共同宣言は、実は岸さんにもつとわれわれは掘り下げて聞きたかった。ところが時間がないし、あなたは就任早々だから、手心を加えて今日までわれわれはやらなかった。ところがそういう話ならこっちは少し聞きますが、この共同声明の中に、安保条約に基いてとられるすべての措置が国際連合憲章の原則に合致することを確保するため協議を行う、こういう文句があるのです。御存じでしょう。御存じですね。これは具体的にはどういうことを昔おうとし、どういう内容を持っているのですか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 発表した通りでありまして、そういう協議をいたしております。

大西正道日本社会党

○大西委員 これを読みますと、安保条約というものは国際連合憲章の原則に合致していないという一とが裏から証明されると私は思うのです。あなたは今の安保条約が国連憲章に合致していないというふうに考えますか。当然これはこの解釈からいえばそういうことになります。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 当時日本は国連に加盟いたしておりません。われわれとしては国連憲章に合致するように持っていきたいと考えております。

大西正道日本社会党

○大西委員 それでは加盟していないときに作った安保条約というものは、国連の精神を逸脱しておる、違反しておる、こういう今の断定は間違いないですね。あなたもそういうふうにお考えになりますね。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 合致しておる点もあり、合致していない点もあろうかと思います。

大西正道日本社会党

○大西委員 それでは合致しないという点はいかなる点であるとあなたは考えられるか、この点を一つお聞きします。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 発表にありますように話し合いをいたしております。

大西正道日本社会党

○大西委員 外務大臣、それは外交的な言辞かね。それともあなたはそれだけの知識しかないのですか。これだけ事が明々白々たる共同宣言の文句に基いて聞いておるのに、そういう答弁はこれは考えようによっては非常に腹が立つことなのですよ。あなたがそれだけしか知識がなくてのお答えならそれでもよろしいし、いかがですか、合致していないところがあればどこかと聞いておる、こまかいことは一言わなくともよろしい。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 合致していないところがどこかということを今検討しております。またそれを協議いたしております。

大西正道日本社会党

○大西委員 まことにたよりないですね。それでは私から一々具体的にお伺いをいたしましょう。あなたはこれをお持ちですか、ちょっと読んでみて下さい。まずこの第一条に、米軍は日本に駐兵するけれども、日本を守る義務はないのですね、いわゆる一方的な駐兵協定だと言われておる。この文言には「日本国の安全に寄与するために使用することができる。」、こういうふうに書いてあるのです。これは日本を守る義務はないのです。われわれは実はこういう安全保障条約というものはかえって害があると思いますけれども、あなた方はこれでもって日本の安全を名のごとく保障すると見ておる、しかし事実はそうじゃないじゃないですか、この点について不合理はございませんか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 条文の解釈につきましては政府委員から……。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋説明員 お答え申し上げます。安保条約の第一条でございますが、ただいま御指摘の通り、この文言上は「使用することができる。」とありますから、文書上はそういうふうな条約上の義務と申しますか、そういうのをはっきり規定はしていない、それはヴァンデンバーグ決議その他があってそういうふうになったことは御承知の通りだと思います。

大西正道日本社会党

○大西委員 今のをお聞きになって、外務大臣、これは改正すべき点だとお考えになりますか、どうですか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 私は今この問題について検討しておりますから、今私の見解を申し上げるわけにはいかないのです。

大西正道日本社会党

○大西委員 ある猶予期間をくれということですから猶予期間をあげます。  それではもう一つ言いますが、この中には米軍の使用目的は「極東における国際の平和と安全の維持に寄与し、」と書いてあり、これは日本とは書いてないのですが、あなたは極東という場合に具体的にどこどこが極東だとお考えになりますか。これを聞く意味は、もし極東に紛争が起きた場合に、米軍は当然これに出動いたします。そういたしますと、日本にあるアメリカの基地が当然報復爆撃を受けるということになります。そういう意味からわれわれとしては戦争に介入しないでいこうと思っても戦争に介入するというような非常に重大な門出であるから、私どもはこれは大へんな問題だと思って前々から指摘している。ですからこういう問題は私どもも非常に問題にしている点ですが、あなたは極東というものをどういうふうにお考えですか、それをお聞きいたします。

野田武夫自由民主党

○野田委員長 ちょっと大西君に御注意申し上げますが、時間の関係で条文の解釈その他については政府委員からお答えするということをあらかじめ申し合せておりますので、もし何でしたら午後三時ごろ政府委員の方に来てもらって、条文の解釈その他の答弁をしてもらったらいかがでしょうか。

大西正道日本社会党

○大西委員 委員長、今のこんなことはわずか四、五条の条文ですから、常識として知っておかなくちゃならぬことを聞いているので、何も条約局長でなければわからぬというような専門的な問題じゃない。しかも本人さんは日米安保委員会に出るのです、そうしてこの問題について話し合いをするのだから、こういうことで説明は条約局長でもよろしいから、それを聞いてこれはいいとか悪いとかいうぐらいの判断は、外務大臣にしてもらいたいと思うのです。

野田武夫自由民主党

○野田委員長 あなたの方で時間の関係はよろしゅうございますね。

大西正道日本社会党

○大西委員 もう五分ある。

野田武夫自由民主党

○野田委員長 いや、もう過ぎているのです。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 私は常識的に一応考えております。

大西正道日本社会党

○大西委員 その常識で考えておられるところはどこですか。私の方から聞きますが、極東という以上日本だけでないことは明らかである。そうすると韓国、北朝鮮、台湾海峡を含め、あるいは南北ヴェトナムも極東に入ると思いますが、いかがですか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 極東という問題については常識があろうかと思いますが、そう広く解釈はされないと思っております。

大西正道日本社会党

○大西委員 それではこの問題はどういうふうになるかということを聞きたいのですけれども、時間がないから略しますが、この中に安保条約は本質的に暫定的なものとして作成されたものと書いてある。特定的だということは、安保条約の前文にはっきり響いてあるのに、何ゆえに暫定的とことさら書いたのですか。これは憶測すれば、結局こういうことをいって、安保条約の改廃ということを委員会に持ち込んでお茶を濁してしまうというふうに私は解釈するのです。何ゆえにそうしたか、これも一つお聞きしたいのだけれども、わしはその場に立ち会っておらぬと言われれば仕方がないから、よく研究していただくとして、暫定的であるということは事実である。そうすると暫定的でないもの、本質的なものを志向していることは当然でしょう。その本質的なものはどんなものか、日米安保条約というものは暫定的なものだと条約でも言っており、共同声明でも言っている。それならば将来どういう形のものが日本を守るところの、いわゆる安保体制としてどういうものがあり得ると考え、また政府はどういうものを望んでいるか、こういうことをお聞きしたいと思う。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 そういう点について研究し、話し合いしながら努力をいたしているのです。

大西正道日本社会党

○大西委員 まだこの質問はあるのですが、この程度でやめます。  今度あなたは米国へ行かれますね。そのことについても新聞記者会見をやっておられますが、沖縄、小笠原の問題についても触れたいと言っておられます。沖縄、小笠原の問題についてどういう点を米国と折衝なさいますか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 アメリカに参りましては、できるだけ日米間の懸案の問題、特に岸総理が話し合いました後の問題についてフォローして参りたいと思っております。ただ時間的の関係もありますから、全部の問題を話し合えるとは必ずしも考えておりません。できるだけ重点的に話をしていきたい。現在ではこう思っております。どういう問題を取り上げるかということは最終的にはまだ考えておりません。

大西正道日本社会党

○大西委員 沖縄、小笠原の問題については当然返還の主張をすべきだった、ところが岸・アイクの共同声明でも、これは全く詰まらぬ結論になっているのですが、あなたの新聞記者との会見の話では、返還ということでなしに、福祉の問題だとか帰島の問題について話をする。それが将来返還の問題にも触れることは当然だ、こういうふうに言っておられたと思うのですが、これは間違いないと思うのですが、いかがでしょうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 沖縄の問題についてむろん岸総理が言われたことをフォローしていくわけであります。しかし物事はやはり一歩々々進めていくということがいい。これがビジネス・マンとしての私の経験でありますから、そういう意味で外交問題につきましても努力しているわけであります。

大西正道日本社会党

○大西委員 そうすると、やはり返還の問題ではなしに、福祉の問題等についてやられるということでしょう。  そこでお聞きしたいのだが、あなたは米軍の占領下にあるところの沖縄の住民の福祉と申しますか、そういうものは満足であるとお考えでしょうか、不十分であるとお考えでしょうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 話し合いをするということからお察しいただければおわかりだと思います。

大西正道日本社会党

○大西委員 なかなか文学的な表現で、こちらも文学的な頭を働かさなければならぬのですが、そういたしますと、われわれの推測では不十分である、調査の結果によると非常に苦しんでいる。それは沖縄岳民のたび重なる国会に対する陳情を見ても明らかです。非常に不当な弾圧が行われ、基本的人権の拘束が行われている。それはそういうふうに考えてよろしゅうございますか。程度の差こそあれ……。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 個々の問題についてどの程度に弾圧されているか、弾圧されていないかということを今申し上げるわけにはいかないと思います。

大西正道日本社会党

○大西委員 大体の考えはわかりました。しかるに岸・アイク共同声明では、沖縄を「脅威と緊張の状態が極東に存在する限り」返さぬと言っている。そうして「これらの諸島の住民の福祉を増進し、ならびにその経済的、文化的向上を促進する政策を継続すべき旨を説明した。」と書いてある。継続というのは従来あることをそのまま次に引き延ばすことです。そうすると、米国の考え方は、今日まで非常に善政を施して、福祉のために十分なる政策を施しているという言い方です。それを岸さんが反駁もせずにのんでいるのです。これに対してあなたの見解としては、この福祉の継続ということは、福祉の継続ではなくて苦しみの継続である、すべからくこの待遇改善の問題、福祉改善の問題について努力すべし、こういうふうにお考えであると思うのですが、いかがでしょうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 アメリカとしても誠意をもって福祉の増進を考えていると私は思っております。しかしアメリカの考え方と日本の考え方と若干違う点もあると思うのです。同じ福祉の問題につきましても、そういう点は十分アメリカに日本人的考え方を説明したいと思っております。

大西正道日本社会党

○大西委員 それでは最後に、この沖縄住民の非常な不幸は、私はすべからく返還によって解決しなければならぬと思うのですが、そのために沖縄の信託統治について、政府は米国に対して信託統治提案の促進を今日まで要請したことがございますか。また米国もこの信託統治にするということについての手続を私はしていないと考えるのです。  何でそういうことになるかと申しますと、御承知のようにこれは手続をいたしましても、ソ連その他の拒否権によって信託統治となることは不可能だという見通しがはっきりしております。そういたしますと、今のような中間的な経過的な米国が沖縄を占領するという法律的根拠はなくなるわけです。そういうことでしょう。いわゆる平和条約の第三条にはっきりと出ておりますけれども、この三条は履行が不能になる、無効ということになるのです。こういうふうに考えますと、どうしても沖縄の返還を主張するためには、その法律的根拠としては平和条約第三条によって日本政府が米国に対して信託統治の手続を促進させるように働きかけるということが必要です。そういたしますと、当然その信託統治になり得ないということでもって、今の中間的なアメリカの占領ということは不可能になるわけです。私はこの第三条の解釈というものは、いろいろの解釈の立場があろうと思うけれども、これは一つ積極的に推し進められて返還の大目的を達成するように努力されるということが必要であります。この点について一つ決算のほどを伺っておいて私の質問を終ります。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 法律論になりますとまことに苦手なんでありまして、よく研究した上でお答えいたします。

大西正道日本社会党

○大西委員 事務当局の見解を聞きます。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋説明員 お答え申し上げます。前回の国会の委員会でも同じような点について御指摘になられまして、われわれ事務当局としてもこの点は法理論について研究を命ぜられまして、自来研究をいたしておる次第でございます。確かにアメリカの信託統治に付して、それが解決せられるまではこのような権利を行使するとありますから、その期間は暫定的な措置、従いまして、もしそういうことができなくなった場合は、第三条の根拠がなくなるのであるというふうな一つの考え方も、十分成り立ち得るであろうと思っております。ただし、いかなる解釈をとってこれを推進するかというふうなことは、これはまた別の政策の問題になると思います。

野田武夫自由民主党

○野田委員長 岡田春夫君。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 二、三お伺いをしたいと思っておったのですが、まず第一点として、先ほどの質問に対する答弁を伺っておると、日本の国は自由主義陣営であると言うが、AAグループのメンバーであるのですかどうですか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 日本が自由主義を信奉しておることは申すまでもございません。従って自由主義陣営である。AAグループの会議には日本は出ております。AAグループ自体も自由主義陣営の中におる国が非常に多いのじゃないかと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 AAグループに属しておることは明らかなんです。しかも昨日のあなたの外人記者団会見においても、アジアの一員としての地位を明らかにする、こういう点を明確にあなた自身が演説をしておられるわけです。そうすると、時間がありませんから具体的な問題で伺いますけれども、国連総会でAAグループと自由主義陣営とにおいて意見が食い違って、その決定に困るような場合に——あなたは国連に御出席になるのですからそういう場合どういうふうにされるのですか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 AAグループと自由主義陣営との間にいろいろな問題があると思うのでありまして、AAグループ全体が一体になって、自由主義国と申しますか、あるいはむしろ自山主義国と申すよりも西欧と申した方がいいだろうと思うのでありますが、そういう国との間の問題と二つあるのではないかと思います。前者の問題はそれぞれの立場を考えてAAグループの中で話し合いをしていく問題ではないか、こう思っております。またAAグループ対西欧の問題というのは、主として植民地主義その他に対する問題だと思うのでありまして、そういう点につきましては、私が申しておりますようにできるだけAAグループの立場で努力をしていきたいと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 今の御答弁をもう少し明確に伺っておきたいのですが、きのうの演説の中にもありますけれども、いわゆる反植民地主義の問題については、具体的に申しますとアルジェリアの問題とかキプロスの問題あるいは西イリアンの問題、こういうような問題は当然今度の国運総会に出てくるわけであります。そういう場合にはAAグループの態度をとって、西欧諸国と対立をしてもやむを得ないという決意で御出席になるのですかどうですか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 対立をする場合もありましょうし、調停をする場合もありましょう。それは問題によっておのおのの立場があると思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 それではAAグループの態度に立ってやっていく、今の話で私はそういうふうに了解をいたしますが、時間もございませんので続いて先へ進みますけれども、先ほど大西君からいろいろ御質問になりました日米共同コミュニケですが、これを拝見しますと、これは多分に事務的な問題ですが、ちょっと重要なので伺っておきますけれども、今度条約集に印刷になって配付になっております。共同コミュニケは条約だと解釈してよろしゅうございますかどうですか。それからもう一つは東南アジアに岸総理がずっと回られましたが、そのときに六カ国との共同声明が発表されております。これは条約集の中に入っておりませんが、これは条約ではない、いわゆるその場における儀礼的な声明である、こういうふうに解釈してよろしゅうございますかどうですか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 日米委員会は話し合の場でありまして、日米委員会が最終的決定をするのではないのであります。日米委員会で話し合ったものを両国政府間で話し合いをして問題を解決する、こういうことであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 私の伺ったのはそういう点じゃないのです。ワシントンの日本会談の共同コミュニケというものは、条約集の中に入っているので、これは当然条約だと外務省は解釈しておられるのでしょうねと念を押しているわけです。それだけのことです。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋説明員 正式の条約と考えましてやった次第ではございません。便宜的に条約集と名を打っておりますが、条約と考えてそのカテゴリーのもとに置いたわけじゃございません。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 これはもっと伺いたいのでありますが、時間がありませんからやめますが、東南アジア訪問のときの六カ国の共同声明ですね。これは単なる儀礼的なものですか。これはあくまでも日本政府というのは共同声明の線に沿って行動していこうという、そういう決意の表われとして声明が出されたものですか、どうですか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 道義的な問題であって、別に条約とか、あるいはそういうものでは……。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 道義的な意味ではこれは守るという意味だろうと思いますが、間違いございませんか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 その線に沿ってわれわれが努力するということに間違いございません。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 それでは共同声明の中にいろいろなことが書いてありますけれども、たとえば例をあげて申し上げますが、バンドン会議の平和十原則を守るということがはっきり書いてあります。これはセイロンとの共同声明その他にも出ております。そこで一つ、国連総会に御出席ですから、バンドン会議に関連して一点だけ伺っておきます。  バンドン会議の決議を守るというのならば、南ヴェトナム、朝鮮、いわゆる韓国ですね。これが国連に加盟するというような提案国に日本がなるということは絶対にバンドン会議の決議違反だと思いますが——これをあらためて伺うのは、十一回の国連総会には日本が提案国になっている。今度は藤山さんがお出かけになるので、まさかそういうことはおやりにならないと思うが、この点はいかがですか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 別段そういうことは考えておりません。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 それじゃ提案国にならないというように解釈してもよろしゅうございますか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 現在提案国になることを考えておりません。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 それじゃ賛成もなさらないでしょうね。バンドン会議の決議をお守りになるなら……。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 国連に出ましたときの問題は、国連の全体の状態を見、AAグループその他とも話し合った上で解決いたしたいと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 AAグループはきまっているのです。バンドン会議で、AAグループはこれに対しては支持しないということを、日本の代表としては高碕国務大臣が出席して、やっているのです。そういうものに対しては賛成もしないし、提案もしないんだということは、ここではっきりしておいていただかなければ、そういう点もそのときの相談でというのでは、はっきりしないわけです。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 AAグループの立場をできるだけ私はとっていきたい、こういうことを申しているので、おわかりいただけると思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 それから安保理事国の立候補問題なんですけれども、これは時間がありませんが簡単に申し上げます。先ほど国連中心主義ということについて質問のお答えがありました。これは具体的に言うとどういうことですか。国連の憲章や、国連の憲章に基く従来の諸決定を忠実に守っていくということが、これの基本の精神じゃないかと思うのですが、この点はいかがですか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 国連をして世界平和のために一番貢献するように、国連を中心にして、国連を盛り立てていく。盛り立てていくという言葉は少しえら過ぎる言葉かもしれませんが、そういうことでやっていきたい、こういうことであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 ですから私の伺っているのは国連憲章その他の規定に反するようなことをやるのじゃ国連中心にはなりませんね。その点は申すまでもないと思うのですが……。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 それは申すまでもございません。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 それでは伺います。今度安保理事国に立候補することについて先ほどお話を伺っていると、どこが三十、どこが四十とか支援するのはこのくらいというようなお話でしたが、私の計算が間違っているかもしれないですけれども、さつきのお話を聞いていると七十対十ぐらいで勝ちそうな数字になっているのですが、あるいは合せると九十カ国ぐらいになるような計算——よく選挙なんというものは、票を合せると有権者の倍ぐらいになるもんだから、あるいは外務省もそういうように有権者の倍ぐらいの計算をしているのかもしれないのだが、もう一ぺんはっきり数字を言ってもらいたいと思います。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 先ほど申しましたように、イエスと返事をいただいておりますのは三十三であります。それからノートという返事をいただいておるのは十であります。それからこれから有望であろうと、まだ正確な返事をいただいておりませんけれども、推定されるのが十四、それから態度未定のものが二十三であります。ただ二十三のうちの五つぐらいはノーになりはしないかと思っております。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 そこで先ほどの前の点にちょっと戻りますが、私は先ほど国連憲章を中心にして諸決定を守っていくということは当然である、こういうお話を伺ったのですが、とするならば、一九四六年のロンドンの紳士協定というのは、これは国連憲章二十三条一項の地域配分の具体的取りきめなんであります。この具体的取りきめについては、これをどういうようにお考えになりますか。この国連憲章をあくまでも守っていくならば、この具体的取りきめに従って日本は立候補すべきでないと思うのですが、この点はいかがでしょうか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 ロンドン取りきめの問題についてはいろいろの解釈がされております。第一回だけのものだという説もございますし、いろいろございます。またすでにフィリピンのときにこの原則が破れておるわけであります。従って日本がこれを破るということではないのであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 フィリピンが先に破ったからおれの方でも破るのだ、こういう話ではちょっとまずいと思うのですが、私はアジア諸国から理事国に入るということならば、立候補の制度でなくても、やり得る道があると思うのです。たとえばあとの六カ国の割当は、ロンドン協定においては中南米が二カ国になっておる。中南米は二カ国とる必要はないと思う。その一方国をアジアの方へもらうということも考えていいはずなんです。これは選挙の問題ではなくて、国連総会が始まってから話し合いの問題にならなければならないと思う。話し合いの問題を、再三藤山外交は言っておられるわけですから、そういう点を交渉されないで、何かチェコと対立をして、そういうことで一つの悪い先例を残すような形は、むしろ藤山さんの場合お避けになった方がいいと思うのですが、この点はいかがですか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 安全保障理事会のいすの問題につきましては、現在国連加盟国がふえておりますので、これを増加しようという議論もあるわけであります。そういういろいろな国連内の問題については、われわれとしても国連を守っていく上において必要な改正ということについては今後努力していきたい、現在フィリピンのあとを継いで立っております。アジアが一つの席を持つことは、現在の制度のもとにおいては私は適当じゃないかと考えております。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 実はこれは国連憲章の制定の過程からいって、ちょっと理屈っぽくなりますけれども、この機会にお話をしておいた方がいいと思うのですが、私はこの安保理事国として立候補することについては、よほど慎重に考えなければならぬと思うのです。それはどうしてかといえば、国際連合の成立の過程というのは、第二次世界戦争の戦後処理の平和的な今後の問題としてやっていくとするならば、旧敵国に対する問題をどうするか。旧敵国としては日本が一つ入っているわけです。この旧敵国に対して戦後において、再度侵略主義を行う危険性があるから安保理事会を作るんだ、こういうのが実は国連憲章の基本精神の一つなのであります。そうするとここで安保理事国に立候補するということは——先ほど大西君からも御質問のあったように、アジア諸国においても日本に対する考え方というものは、いまだに侵略主義を捨てていないというような教科書もたくさんあるようなこういうときに、ここで無理に立候補するということは、今後において私は相当問題を残すのではないかということを心配しております。よく国会議員なんかでも、二年生になると名刺の肩書きがほしくなる。日本も二年生になったから今度は肩書きがほしいというような考えでやってみたって実際上私はやれっこないと思う。藤山さんは御曹司だからそんな売名根性はないと思うんだけれども、ともかくも二年生になったから立候補してどうするなどということよりも、私はアジア諸国の信頼をまず得るということが先決じゃないかと思う。そういう意味では、むしろこの際安保理事国に立候補することについて再検討された方が私はいいと思うのです。先ほどの投票数その他を見ても、選挙だけはあけてみなければわからぬことはわれわれが一番よく知っているので、そういう点から考えてもこの際もう一度慎重にお考えになって——一部の新聞等の伝えるところによると、安保理事国に当選するためには、場合によっては原爆禁止の提案はやめてもいいのだというような意見が、外務省の一部の中にあるんだなどということも記事に出ているくらいなので、こうなると全く本末転倒もはなはだしいと私は思うのであります。だから、こういう点から見て率直な現在の心境をもう一度伺っておきたいと思うのであります。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 日本が国連に加盟することによりまして、国連は日本の過去の汚辱をぬぐってくれたと思います。ぬぐってくれただけでなくて、われわれは今後国連が認めてくれたような立場で、りっぱに国連の中で活動をしていかなければならぬと考えております。その一つの方法として、できるだけ国連活動に寄与するために日本が努力する方法として安保理事国に立候補することは、必ずしも不適当だと私は考えておりません。

野田武夫自由民主党

○野田委員長 岡田君、時間ですからあと二、三分で終っていただきたいと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 私は沖縄問題その他もやりたかったのですが、これはまたあとでやりましょう。沖縄問題よりも、日本が今度はSUNFEDの問題に国連総会で積極的に賛成提案をされるというようなことを新聞に書いているのでありますが、この点はどうなんでありますか。ちなみに申し上げておきますが、バンドン会議でSUNFEDに積極的に協力するということはきまっているのです。ところが昨年は国連総会において——岸外交というのは両岸外交で、結局SUNFEDに対して棄権したのです。今度は藤山さんはSUNFEDを具体的に提案をすると聞いているのですが、こういう点はいかがでありますか。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 経済社会理事会でもってその問題は可決されまして総会に出ております。日本は賛成するつもりでおります。

野田武夫自由民主党

○野田委員長 時間が超過いたしておりますが 川上委員から三分間関連質がございます。これは厳重に三分間くらいで質疑を終りますから、その含みできわめて簡単にお願いします。川上君。

川上貫一小会派クラブ

○川上委員 私のは関連質問、ありますから二、三の点をまとめてお尋ねいたしますので、まとめて御答弁をお願いいたします。  前に各委員から御質問になった御答弁が中心になりますが、今度の日本と中国との第四次貿易協定の問題が、成否は別として交渉が具体化してきている場合に、十四日に出発するということになっているのに、十四日までに政府の態度を決定する考えはないという御答弁であったと承わっております。あなたの発言は国民に対する発言で、単なる質問者に対する発言ではない。実際そういう態度で、政府が貿易に対してまじめであるということを国民は了承するだろうか。政府は実際に中国と日本との貿易に対して真剣なまじめな態度をとっているのかどうか。十四日までには決定せぬでもよろしい、そういう態度がまじめな態度だと思うかどうか、国民に対して外務大臣から一つお答え願いたい、これが一つ。  第二点は、日本政府は決定せぬでも代表が行ったらうまくやるだろう、こんな無責任な発言がありますか。今までの経過でも明らかなように、政府の何らかの保証を終始一貫中国は要請してきているのです。第四次協定を結ぼうという時分に、政府は決定せぬでもいい代表が行ったらうまくやるだろう、これは外務委員会の一時的の答弁としてはいいかもしれませんけれども、日本政府の国民に対する発言としては私は不都合だと思う。これはうまくいくはずはありません。外務大臣として私は無責任な発言だと思う。これが中国に対して礼を尽す道であると外務大臣はお考えになるかどうか。さらに貿易を非常にこいねがっている国民に対して、これが政府の態度であってよいのかどうか。まじめな外務大臣はこれを一つここで答えておいていただきたいと思う。与党代表も行くのです、実は私も参ることにたりているのです。ここでのあなたの発言を中国へ行ってその通り私は言わなければならぬ。そんなことでは交渉はできはしませんよ。一つ正確にあなたのお考えを答えておいてもらいたい。  第三点に、通商代表部と指紋の問題です。代表部はよくない、事務所ならよかろうということを新聞紙上で外務大臣の発言として見ているのです。見本市の問題でも二カ月以上は何らかの考慮はするけれども、指紋は絶対にとるという原則はくずさぬ、こういう態度をとっておられるようです。そこで私が聞きたいのは、韓国に対してどういう態度をとっているか。代表部以上のものを認めておるじゃないか。公使という名前さえつけているじゃないか。韓国は国交を回復しておりません。指紋もとっておりません。インドネシアも同様です。中国はアジアの大国です。岸首相もアジアとの提携親善ということを言っておられる。そこで私が聞きたいのは、韓国などに対しては御承知のような態度をとっておるのに、アジアの大国である中国に対しては、私が今質問したような態度、政府がたびたび声明するような態度をとっておられる、この理由です。どういう事情でということではないのです、この理由、根拠です。どういう理由でこういう態度を中国に対してだけとるのか、気がねをせずに言うてもらいたい。そうしなければ国民にはわかりません。外交関係が結ばれておらぬからというのでは韓国に対してする問題はどうするのか。インドネシアは一体どうなるのか。この理由をわれわれの納得できるようにお答え願いたい。というのは、私も中国に行くことになっておるのでありますから、貿易協定の場合にはこれが出る。外務大臣はこう申しましたということを言わなければならぬ、日本政府の態度はこうであるということを私は一緒に行ってもぶちまけなければならぬ、こういう立場がありますから正確にこの三点お答え願いたい。  関連質問でありますから、私は長いこと聞きません。ありがとうございました。

藤山愛一郎外務大臣

○藤山国務大臣 中共との貿易をスムーズにやりますることは私として念願しているところでありまして、できるだけスムーズな方法でやれるようにやって参りたいと思います。ただ今日まで、また今後もそうでありますように、現在民間の協定として貿易協定を進めておりますので、政府といたしましては民間のその協定が成立することによって中共との貿易がいくというふうに考えておるわけであります。それにつきまして何か政府の態度をきめろというお話でありますが、政府といたしましては、御承知のように、できるだけスムーズな方法を講じたいと思いまして、それにはいろいろの方法があるので、ただいまお答えいたしましたように考えておりますが、十四日までに政府の態度を決定するということはむずかしいかと思いますのでそういうお答えをいたしておるわけであります。  また、中共の通商代表部の問題でありますが、あるいは指紋の問題が関連してくるかと思いますが、中共につきましては、国連が侵略者だという決議もいたしておりますし、それらのことも考え、現在におきまして私どもはそういう立場をとっている次第であります。

野田武夫自由民主党

○野田委員長 これにて暫時休憩いたします。午後三時より再開することといたします。   午後一時二十二分休憩      ————◇—————   午後三時二十三分開会

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長の命によりまして、私しばらく委員長のかわりを務めます。  質疑を許します。大西正道君。

大西正道日本社会党

○大西委員 ユネスコの精神は、戦争は人の心のうちに始まるものだ、従って平和のとりでは心の中に築かなければならぬ、こういうことをいっております。そのためにお互いが知り合うということ、地域的に隔たったもの、考え方の違ったもの、そういうものがお互いに知り合うということが大事だ、知らないところから誤解があり、誤解のところに猜疑心が起り、猜疑心が敵対観念を増長していく、こういうふうな考え方でありまして、まことに真理の一面をついているものだと私は思います。こういう意味で私は今日まで国内のユネスコ活動にも協力してきたし、かつまたユネスコのほんとうの発展ということを期待をしているわけです。相互理解ということ、お互いを理解し合うということが何より大切です。ところが今日国際的な不幸な対立の原因を探求しますと、やはりお互いを知らない、相手を知らないということが大きな原因であろうと思います。特にわれわれの体験から申しましても、子供のときに覚えたものというものは、なかなか頭から離れないのであります。子供のときに一番中心になるものは、学校で習う教科書であります。従いまして、私は今日単なる国内の文教政策というような観点のみからではなくして、今申しまする国際平和というような観点から教科書というものに対して特に注意を喚起してみたいと思うのです。  きよう問題にしたいのは、日本の教科書というものよりも、日本の事柄を諸外国がどのように記述し、評価し、あるいはまた描写をしているか、こういう問題なのであります。今そちらに資料として渡しております「教育技術」という教育雑誌でありますが、ここに教育大学の唐沢富太郎さんが「世界の教科書にあらわれた日本」というまことに私としては貴重な記事が載っております。これを見ますと、私は事外交に携わる者としましては非常に驚いたのであります。あまりにも日本の現実の姿というもの誤まり伝えられておる。非常に時代錯誤的なものあるいはまた日本の一面しか見てないもの、まことにどうも驚き入った次第です。おそらく皆さん方はこういう文化的なしかもじみな問題でありますから、こういう文献については今日まで目を通されたことがないのではないかと思いますが、質問をいたします前提として、一応どの程度のこういう問題に対する理解を持っておられたか、ユネスコの総長並びに外務省の担当の方から伺いたいと思います。

武藤義雄文部事務官(日本ユネスコ国内委員会事務局総長)

○武藤説明員 ただいまの御質問でありますが、唐沢教授の記事は、私どもも当時これを拝見し、また唐沢さんからも特に寄贈を受けましてこれを拝読いたしまして、中にはわれわれの承知しておったこともございますけれども、広く各国の教科書をあさったわけでもございませんので、新事実も幾多ございまして、こういうことでは困るとただいまお話のように、われわれも非常に同感に感じた次第でございます。ただしユネスコといたしましては、ユネスコ創立以来、国際理解のための教育ということに非常な力点を置きまして、いろいろの事業計画をこしらえまして、その実施推進に邁進して参っております。わが国も五二年加盟いたしましてから、これに全面的の協力をいたしまして、いろいろの計画を取り上げております。その中には最も基礎的なたとえば文盲の退治でありますとかあるいは基礎教育の拡充でありますとかいうような問題もございます。文盲の退治のごときは、わが国においてはもうすでに問題がなくなっておるところでございますが、東南アジアの諸国めるいはラテン・アメリカの諸国等におきましては、いまだにこれが焦眉の急となっておる次第でございます。なおこの一連の計画の中には、学校教科課程の改善、それから教科書、教材の改善というプログラムがございます。ただいまお話のことにつきまして直接関係がございますのは、教科書、教材の改善計画でございますが、ユネスコは一九五〇年にブラッセルで国際セミナーを開催いたしました。教科書、特に歴史教科書の改善の問題と取り組んだのでございます。翌年五一年にはやはりブラッセルで地理教科書の改善のセミナーを開催いたしました。五十三年から加盟国に呼びかけまして、それぞれの国の教科書で諸外国の取扱いがどうなっておるかということをお互いに調査しようではないかという提案をいたしました。世界じゅうの加盟国中の二十三カ国がこれに参加いたしまして——わが国もこれに参加いたしまして、わが国では特に中等及び高等学校におきまする社会科関係の教科書で西洋をどう取り扱っておるかということを客観的に調査いたしました。この調査は一冊の本にまとめられまして、ユネスコに送付されて非常に高く評価されております。諸外国もそれぞれ調査をいたしましてユネスコに報告を提出いたしました。それで、昨年一九五六年五月にバリでユネスコ主催の教科書、教材の改善に関する専門家会議が開かれました。世界の十七万国から専門家が集まりまして、わが国からは国立教育研究所の矢口新所員がこれに出席いたしまして、この会議は非常に大きな効果をもたらしたのでございます。というのは、特にヨーロッパ諸国の教科書におけるアジアの取扱いを主たるテーマとして議したのでございますが、この中で驚くべき事実が現われたのであります。ヨーロッパの各国の教科書は、主としてヨーロッパ中心に書いておる。古代アジアに触れておるのは、エジプト、メソポタミアというようなところからちょっと触れて、すぐいきなりギリシャ、ローマに移ってしまう。従って古代シナの文化、古代インドの文化というようなものには触れているものが非常に少い、これは非常に片手落ちではないかという議論が出たのであります。また中世につきましても、たとえばモンゴールの西洋侵略というようなことは出て参ります。またマルコ・ポーロの東洋旅行というようなことは断片的に出て参りますけれども、中世時代の東洋がどうであったかというようなことは全然無視されておる。また近代に入りましてもインドその他東南アジア諸国につきましては、主としてヨーロッパ諸国の植民地としての関心から取り扱われている。アジア諸国のうちで最もよく取り扱われているのはそれでもやはり日本なのであります。量的にいってもまた質的にいっても日本が一番よく扱われておる。その次に中国、その次にインド。この三国以外の諸国になりますと、あるいはもう教科書に全然無視されておる、あるいは若干の記述があるにしましても、それはきわめて皮相なものであり、また不十分なものであるという結果が現われまして、参加しました各国の専門家が大いにみずから反省をしなければならぬという機運を醸成いたしたのでありまして、これはこの会議の非常に大きな成果であったろうと思います。  今度はこのヨーロッパの教科書におけるアジアの取扱いに対応いたしましてアジアの諸国の教科書におけるヨーロッパあるいは西欧の取扱いというテーマで明年アジアの一国で国際セミナーを開催するということになっております。これは昨年のニューデリーにおきますユネスコの第九回総会で決議されたことでございまして、この会議は初めインドが主催国となることが予想されておったのでありますが、最近ユネスコの方から日本国内委員会に言って参りまして、日本で開催してみないかということでございますので、これは日本で多分明年引き受けることになるはずになっております。この会議におきましては、アジア諸国の専門家のみならず欧米諸国の教科書に関する専門家も参集いたしまして、討議をいたすのでありますが、われわれといたしましては、これを大いに重視いたしまして万全の準備を整えたいと考えております。ユネスコがこの教科書及び教材についてとってきております従来の措置のあらましは大体そんなものでございます。

片上一郎外務事務官(情報文化局第三課長)

○片上説明員 先ほどのお話の御趣旨は、いろいろ誤まって事実が外に伝えられておる教科書について、従来外務省でどの程度事実として承知しておるかということだったと了解いたすのであります。  二つ申し上げたいのは、一つは御質問の趣旨は教科書ということでございますが、教科書及びその他の一般出版物を含めまして、在外公館からかなり多くの事例を本省側に報告してきて、われわれがどういうふうに古い事実が伝えられておるかという実例は、かなり数多く承知しております。それから最近もう数九月前になりますが、特に教科書問題を取り上げまして、アメリカ関係のわが方の公館から話がきたわけでございます。それで本省といたしましてアメリカで発行されておる教科書のサンプルを相当取り寄せまして、それに基きまして外務省として何とかこれを急速に打開する策を求めるために、第一次に現状調査をアメリカだけでなく、各国にありますわが公館に訓令を出したというのが現状でございます。

大西正道日本社会党

○大西委員 ユネスコの方は、私がお示ししたようなものを通じて最近知られたようですけれども、外務省の方はかなり前から知っておったというようなお話のように思います。そこでこれはわかったようなことですけれども、なおかいつまんで一ぺん具体的な話をしてみたいのですが、世界の各国、各国と申しましても大体傾向が四つぐらいに分れておると思うのです。一つはアジアの国々、特にこれまで日本の帝国主義的な侵略の被害を受けたといわれる国々、それからアメリカ、これは一国ですけれども、特別なわけです。それからヨーロッパのあまり日本に縁のない国、こういうふうに分れると思うのですが、お手元に配ってあるような絵をごらんになりましてもわかるように、これは「アサヒグラフ」に出ている写真です。これもごらんになったと思うけれども、ドイツの戦前のものだと言っているけれども、「日本」という地理の本に大阪の町のにぎやかなところを書いておるのですが、みんなちょんまげを結って、そしてマントをかぶってまるいまんじゅうがさをかぶって——私どももこんなところがあったら行ってみたいと思うようなところです。それからこれはソ連のやはり地理の教科書に出たものだというのですが、竹やぶの並木でしょうか、この中を人力車が通っているのだが、その車夫はこの写真ではちょっと見えないけれども、説明ではちょんまげを結っているというのです。それからアメリカのやはり地理の教科書にはもうまぎれもない人力車、私もこんなのは最近見たこともない、記憶も薄れそうな人力車に乗っているところですね。それから農村の風景は、これはイギリスの教科書には水車でやっている、これは農村に行ってもないことはないです。今は少いですけれども、ないとは言えぬですけれども、これが日本の農村の代表的な描写だと思うところに問題があるけれども、しかしないとは言えない。しかしそのそばで子守をしている子供の頭はどうしても明治時代ということになるわけですね。それからこちらの方にはやはり浅草を紹介しているが、この浅草は料金二十銭と書いてあるから、これは確かに大正末期から昭和の初めだろうというふうに言われておる。またこれは時代おくれのものですけれども、アジアの諸国に対して非常に反感を呼び出すような写真がある。これは「教育技術」の中にある「朝鮮人を酷使する日本人」というので、ちょうど乃木大将がつけたような白いゲートルをはいて高い帽子をかぶっている、そういう軍人が二人で、苦力ですか、それに重い荷物を背負わして、うしろから追い立てているというような、これは東ドイツの教科書に出ておるのだそうであります。また各国の子供というのに、各国の子供がずっと旗を持って並んでおりますが、これを見ますと、日本の旗を掲げておるけれども、着ている洋服はシナ服でしょう。これは私は唐沢さんに聞いたのですが、原色の写真は、他のところはみな白い顔をしているのに、この日本人のシナ服を着た子供だけは顔を黄色く塗っておった。こういうのでありますから、もっとひどいのでしょう。こういうふうに見てみますと、あなた方ある程度知っておられたといっても実にこれはひどいものなんですね。そこで私はユネスコの方に聞きたいのですけれども、今のお話ですと、教科書の問題につきましては、すでにたびたび会合も持って研究もしておられるようだし、また今後の計画があるようでありまして、かなり努力の跡は見えると思うのですが、現実の教科書にはこれだけのことしか載っていない。こういう極端なものが載っておるというこの事は、あなた方のこういうふうないろいろのセミナーの労は多といたしますけれども、まことにこれは困ったことなんですね。そこで今お話の、日本において西洋をどう評価しておるかという五三年の調査が非常に向うに喜ばれたといいます。けれども、私はそれを見ておりませんが、これは日本が外国をどう取り扱っているかという問題ですけれども、反対の今申し上げている日本を外国がどう取り扱っているかという問題についてのお話し合い、研究の機会はなかったのですか。

武藤義雄文部事務官(日本ユネスコ国内委員会事務局総長)

○武藤説明員 お答え申し上げます。昨年のパリの教科書、教材に関するセミナーでは、先ほど申し上げました矢口国立教育研究所所員が出席いたしまして、いろいろ指摘するところがあったのであります。ただ何と申しますか報告に現われておりますところは、日本などの取り扱いはまだいい方だということで、もっと極端にさらに悪い面が強く出席者の注意を引きまして、これではいかぬということになったのであります。日本の取り扱いの個々の事例についての議事録等には別に接しておりませんけれども、結論といたしましてアジアの取り扱い、日本を含めてすべてのアジアの諸国の取り扱いが、不十分かつ不完全であるということを、ヨーロッパの教科書専門家が痛感いたしました。これは何とか改善しなければならぬと反省の機運が高まったということが非常にはっきりしております。具体的のことにつきましては私別に承知しておりません。

大西正道日本社会党

○大西委員 それじゃそういうことが非常に極端だということがわかっておるとしますと、ユネスコを通じて何かこの誤解、偏見というものを是正するような具体的な手は打たれましたですか。

武藤義雄文部事務官(日本ユネスコ国内委員会事務局総長)

○武藤説明員 お答え申しますが、ユネスコの行き方はいろいろの制約がございまして、国と国との間の交渉ではないのでございます。加盟国の代表者が集まりまして話し合いをする場であって、直接にお前の国の教科書にわが国のことがこう書いてあるから是正しろということの交渉は、一国と一国の間の交渉になりまして、ユネスコではその方法はとっておらないのであります。全般的にいろいろ勧告をするとかサゼスチョンをするという方法をとっておりますので、おのずからそういう制約があるわけであります。

大西正道日本社会党

○大西委員 それはちよっとおかしいと思うので、国と国とだってお前の国の教科書がこういう間違ったことを書いてあるからこれは是正せよということは言えません。こういうことは普通やらないはずです。ユネスコとしてももちろんそういうことはやれませんけれども、しかし具体的に非常に間違っているということに対して、それを是正するような資料を提供するとか、ここは事実と違うではないかというふうに注意を喚起するとかいうふうなことは、ユネスコは話し合いの場だと言うのですし、国内委員会もこうして現実に活動をしているのですから、当然私はやらなければならぬ問題だし、やって何らそれはユネスコの本旨にもとらぬものだと思うのですけれども、やれないというふうにお考えでしょうか、いろいろな理由でやらなかったというふうに言われるのか、どうなんでございましょうか。私は当然もうたび重なるこういう会議でそういうことの事実が明らかになっておるのに、それを是正するための効力がやられなかったということは、これは非常に残念だと思うのだけれどもいかがです。

武藤義雄文部事務官(日本ユネスコ国内委員会事務局総長)

○武藤説明員 先ほども申しましたように、このセミナーは一種の研究討論会でございまして、むろん日本から出ました専門家は、日本に関する記述で誤まりのある点については指摘したことと確信いたしますが、そこですぐそのことを取り上げて交渉をする場でないという意味で、いろいろの制約があるということを申し上げたわけであります。

大西正道日本社会党

○大西委員 セミナーはそういう一つのことはできないでしょうけれども、しかしユネスコ活動というのはセミナーだけではないのですから、現実に万般の教育、科学、文化の問題についての相互理解の原則のしに立っていろいろなことをやっておるのですから、これは私も若干知っておるけれども、これはやれないはずはないと思う。その面の活動はいかがと言っておるのです。

武藤義雄文部事務官(日本ユネスコ国内委員会事務局総長)

○武藤説明員 直接の是正の方法としましては、国家間の交渉によるはかなくて、ユネスコ国内委員会がよくするところではないと思うのでございますが、一面今度は日本の正しい姿を諸外国に紹介をするという方法によって、その問題の是正をはかることは、これは可能でございます。でありますがゆえに、国内委員会といたしましては五年計画でことしがその最後の年になりますが、外国人のための日本事典というものを編集して参ってきております。順調に参りますればこの年度末には出版の運びになるはずでございますが、これはわが国のあらゆる事象に関しまして英文をもって説明する百科事典的資料でございます。完成しますれば約千ページくらいになるかと思うのでございますが、これをユネスコの加盟国あるいは諸国政府機関あるいは民間の有力団体あるいは教育関係者等に配付する計画を清々進めております。これなどはわが国に対する誤まった記述の是正に資し、かつまた日本の正しい姿の紹介に大いに役立つもりだろうと存じております。

大西正道日本社会党

○大西委員 外務省は在外公館からいろいろな報告があり、こういうことを承知していると言うのですが、これはいつごろからこういうことを知っておるのですか。

片上一郎外務事務官(情報文化局第三課長)

○片上説明員 まとまった話として承知いたしましたのは本年に入ってからでございます。と申しますのは、断片的にある雑誌にこういう記事が出ておったというふうな単独のケースは従来ともそのつど出ておりますが、今回まとまってと申しましたのは、特にアメリカ側では在外公館からアメリカの教科書についてかなり集め得た範囲での結論をこちらに報告してまた、そういう意味でまとまったものとして報告を受けたのは本年に入ってからです。

大西正道日本社会党

○大西委員 アメリカの問題はよくわかったのですが、アジア各国の教科書に現われた日本というものについてはいかがでしょうか。

片上一郎外務事務官(情報文化局第三課長)

○片上説明員 先ほど申し上げましたようにアジア関係では、特にわれわれが受けたレポートの中では特別なものはございませんでした。従って従来は具体的な例としては、多数の例あるいは、特別な例というものはわれわれは承知してなかったということを申し上げます。今回のアメリカのケースを受けましたときに、先ほど申し上げました個々の事例としては何件かあっちこっちにございますので、アメリカだけの問題ではないということで現状調査を各地域に命じたわけでございます。

大西正道日本社会党

○大西委員 外務省にちょっと私は申し上げますけれども、アジア各国の日本に対する評価というのは非常にきついのです。これは朝もちょっと申しましたけれども、岸さんがアジア各国を回られましても、あるいは藤山さんの今度の反省のああいう記事を見ましても、なかなかそういう甘い考えでは私はだめであろうと思うのです。例を申し上げますれば、北鮮の教科書なんかはもう「強盗日本侵略者」、こういう形でもって朝鮮の統治のいろいろないきさつを書いておる。これは北鮮だからということになるかもしらぬが、それでは韓国はどうかというと、韓国はまたこれに劣らぬ記事をやはり載せておるんですね。李承晩を今外務省なんかどう見ておられるか知らぬが、あるいは一部に気違いざたと簡単に解釈されたり、あるいは国内の政治の失敗を対日の反感へあおってやっていくのだということを言っておるようなものもありますけれども、こういうふうな教科書の事実を見ますと、ああいう気持というのは、北鮮、韓国両方とも、文化人や実業家はいざ知らず、一般の義務教育を終えるという人たちには、非常に日本に対する増悪反感というもので満ち満ちておると思うんですね。こういうことに今まで気づかなかったということは、アメリカの例があって初めて各国に調査を出したということは、これは課長を責めても仕方がないのですけれども、まことにもって日本の外交としては表面だけをなでた、私はほんとうの意味の国民外交なんというものとはほど遠いものであると、実は残念に思うわけです。今からでもこれは十分調査されてこの対策を立てていただかなければならぬと私は思うのです。  そこで問題が前後しますけれども、一体こういうような偏見あるいは誤解、時代錯誤が記事にあふれている教科昔が、なぜ今日までこういうままにほうっておかれたか、あるいはまたなぜこういうことが現出したのだろうか、こういう問題について事務総長、外務省いかようにお考えでしょうか。

武藤義雄文部事務官(日本ユネスコ国内委員会事務局総長)

○武藤説明員 これはユネスコでもほっておいたわけではございませんけれども、何しろユネスコの行き方というのが直接相手国と交渉するという行き方でございませんために、 いろいろの研究会なり、あるいは資料を通じて是正していく、またこの事業はそれぞれ各国の国民感情に関連する事柄でございますので、きわめて困難な問題でもございますし、ユネスコの行き方としても、これは長期計画としまして忍耐強くこつこつと資料なり、会議なりを積み重ねていって、所期の成果を上げようという方途をとっております。国内委員会としましても、この方途に沿って地道に着々と一歩心々是正の方法を講じていこうという考え方で処理いたしております。

片上一郎外務事務官(情報文化局第三課長)

○片上説明員 御提議になっている問題は、実はこれは非常に幅の広い、かつまた非常にむずかしい問題を多々含んでいる問題であります。ただ戦後の日本の真情をほんとうの意味で理解してもらうという課題は、あらゆる政策の基本になるものであるとわれわれは了解いたしておりますので、できるだけすみやかにその状態というものは打開したい、これがわれわれの今の考えであります。それで問題は教科書だけに限定するわけではなくて、一般的に、外務省として一言で申しますと、いかにしてわが国の正しい各方面での姿を相手に伝えるか、その伝え方にはいろいろございます。また相手方に伝えるその層そのものにもいろいろございます。きょうここで話が出ました若い世代の人たち、これから伸びる小中高等学校の世代を中心にした一つの紹介活動、これがその中でも一番重要なものの一つであるということはわれわれもさように考えております。それで外務省としまして各種手段があります中で一般的なものとして申し上げますと、一つは資料の頒布ということがございます。第二には人の交流ということもございます。また会議体制による人の交流ということもございます。第三には各国の編集者あるいは新聞社その他のそういう出版関係の方面から資料を求められることもございます。あるいは寄稿を求められることもある。あるいはその人たちが取材のために日本に参ることもございます。こういうチャンスをつかまえて、できるだけ正しい認識を植え付けるようにわれわれとしては努力して参らなければならぬ。数の上、あるいは幅の上で何と申しましても一番大きなものはいわゆる資料、資料の中にも書きものの資料と、映画もありますれば写真帳もございます。いろいろあるわけであります。私たちの限られた今の執行予算の現状の中で全部というわけには参りませんので、まず第一に手がけましたのは、一番信憑性のある決定版的な国情紹介書というものを作ることが必要だということで、現在まいておりますのが「今日の日本」という出版物であります。これは外務省が編集してまいております。それ以外に映画を乏しい中で民間の協力を仰いでまいているわけであります。次に写真、これは一番大衆にはわかりのいいものであります。写真を在外公館に備えつけ、備えつける以外これは雑誌やその他の貸し出しという目的にもなりますが、それ以外に巡回写真としてかなり大きく引き伸ばしましたものを国情紹介展示用写真と称して回しているわけであります。こういう手段でいろいろまかれる部数なりあるいは機会というものが多くなりますにつれて漸次打開されつつあり、是正されるものは是正されている。それで各公館で目にとまりましたものについては編集者その他にそのつど適時連絡している。今度教科書問題を本年度に入って新たに取り上げました今の考え方は、大体従来のそういう事例を集計してみますと、少くとも七、八年のおくれのある資料が使われておるということが一つ、しかも七、八年前に作られたものがそれ以前のいわゆる写真資料あるいはその他の資料に基いておるということも一つ、それから教科書問題でぶつかりました問題の一つとして、教科書の編集そのものが政府機関でないという場合がこれは通例でございます。出版社自体がその改訂版を作るということについて、早急にこちらからの話を受けて改訂版を作るということを期待するわけにもいかないいろいろな事情もございます。これは側面的には先ほど申し上げました各種の一般資料を利用することによって、全体の認識の基礎を少しずつ変えていく作業、これはある意味でしんぼう強く続けていく。そうして教科書問題あるいは辞典類というようなまとまったしかも影響の大きいものの編集については適時の連絡をしながら、またある程度の資料をそろえて、非常にまじめな相談として相手方と相談を重ねていく、こういう方向が最も現実的じゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。

大西正道日本社会党

○大西委員 あなたのお話は、教科書問題に限らず一般の宣伝対策が話されたのですが、それはまことにその通りなんで、予算の問題もありましょうが、大いに今言われたようなことはやっていただきたいのです。しかし今私が中心に取り上げておるのは教科書の問題である。調査はいつごろをめどとして今度はいよいよその対策に乗り出すのですか。

片上一郎外務事務官(情報文化局第三課長)

○片上説明員 私は今はっきり時日を記憶しておりませんが、この秋、十月一ぱいをたしか目標として訓令を出したと記憶しております。

大西正道日本社会党

○大西委員 いつごろ出しましたか。

片上一郎外務事務官(情報文化局第三課長)

○片上説明員 出しましたのは三カ月くらい前だろうと思います。これは現物その他をできるだけそろえて送れ、かつまた現地での、向う側との話の持って行き方についての意見をこちらに言ってこい。どういう方法でやるのが一番問題なしに行えるかという意見をあわせてよこせということでございます。

大西正道日本社会党

○大西委員 それに要する予算はどの程度でございますか。

片上一郎外務事務官(情報文化局第三課長)

○片上説明員 本省といたしましての予算は、別にこういうものにこれということはございませんで、大体政策的にどういうやり方をとるかということをきめるわけでございます。それ以外に本省でそういう資料を集めてそれを整理し、またどういうふうに修正すべきかという結論を出す場合に、民間のいろいろのお力をかりてやるということも考えられますが、まだ具体的にこれでいくというふうにはきめておりません。従って本省の経費というものは特に取り立てて申すほどのことはありません。ただ在外で今度話を持ち出す場合に、直接的に相手側の政府機関あるいは出版社そのものと話し合うということが、果して最も適当な方法であるかどうか、これには疑問もいろいろあるわけです、国情によりまして……。その場合にたとえばわれわれが間接的に使っておりますPRコンサルタントと申しますか、顧問格にいろいろ意見具申をさせ、方策を検討させる人を使っておりますが、こういう人を通じて、雑誌社の知り合いの中枢人物、出版社の中枢人物なんかに接触させて、いろいろ話し合いを進めていくという方法をとるとなりますと、このコンサルタントに与えるべきある程度の工作質的なものを計上しなければならないと考えております。しかしそれも総体数字は一応意見とともに報告がまとまりませんと、ここでは私何とも額については申し上げられないのであります。

大西正道日本社会党

○大西委員 次にやはり教科書の問題ですが、ユネスコの総長にお伺いいたします。日清戦争を中国の教科書では日本の一方的な侵略、こういうふうに断定して記述しておるのです。ところが日本のある教科書では、これは清国に対して騒乱鎮定のために日本も清国も両方出兵して、そこで戦いを開くに至ったというふうな記述をしておるのです。こういう例は国際間に歴史上無数におるわけです。ナポレオンのああいう行動を一つとりましても、フランスの場合とイギリスの場合とは非常にまっさかさまなことを言っておるのです。こういうふうに国際間に発生した歴史的な事実は、事実としては厳密にいえばこれはただ一つでしょう。ところがそれを甲の国と乙の国は全然違った立場からその教科件に書いておる。それはまたもちろんイデオロギーの違いということもありましょうが、そういう例もまた実に数が多いのです。こういうようなことを見ますと、お互いの相互理解とか相手を理解するなんというようなこととほど遠い歴史教育が行われ、そういう教科書が今世界各国に一ぱいはんらんしておる、こういうことになるわけです。これはまことにもって困ったことなのです。それはユネスコの精神から見ましても、国連の精神から見ましても残念なことでありますので、御承知のごとくこの点に着眼いたしまして、国際的な歴史の共同編集というようなこと、あるいは共同研究と申しましょうか、そういうことも過去においてはヨーロッパにおいて試みられたことがあるようですが、いずれも大国のわがままでこういうことが水泡に帰してしまっておるのです。しかしこれは今私が申しましたようなことから申しましてもぜひともやらなければならぬ重要な問題だ。国際的、歴史的な事実について、少くとも関係国の間で一つの教科書という完成したものまではいかなくても、なるべく考え方の接近をはかるということ、この努力はユネスコとしてはけだし最も緊急の問題だと思うのです。今この資料の中に偶然に出ておりますが、この歴史の教科書の国際的な共同研究それから進んで共同編集、こういうことについてのあなた方の用意はいかがでしょうか。この点は外務省からも文部省の方からも教科書課長では多少問題かと思うが、もし意見があれば聞いておきたいと思います。

武藤義雄文部事務官(日本ユネスコ国内委員会事務局総長)

○武藤説明員 ただ、いまのお話は各国ユネスコでも一すでに痛感している問題でございます。たとえば今日清戦争の例が引用されましたが、ヨーロッパでは、ドイツとフランスの関係は、御承知のように両方の教科書でおのおの自分の方の立場を肯定して相手の立場を否定するという書き方をしております。これを続けていっておるのであっては、いつまでたっても国際理解を深かめることは困難であるということに着目いたしまして、ユネスコではそういう偏見にとらわれない歴史を書けないものだろうかということを考えました。その結果到達いたしました結論が、世界の有数の歴史家を動員いたしまして、公正な人類の歴史を書いてみようじやないかということになりました。これはもうユネスコ創立の翌年ごろから企画されまして、だんだん実現に近づきつつあります。わが国がユネスコに加盟いたします前から実はこの計画が立てられておりましたために、編集委員には日本からの歴史学者は参加しておりませんけれども、日本が加盟いたしてからコレスポンディング・メンバーと申しましょうか、通信員と申しましていろいろ資料、記事を日本から寄稿する役を日本の委員も引き受けております。これは全六巻からなる大部の歴史書でありまして、第一巻が紀元前十二世紀までの人類の文化と科学の発達、第二巻が紀元前十二世紀から紀、元四世紀まで、第三巻が紀元四世紀から紀元十三世紀まで、第四巻が紀元十三世紀から紀元十八世紀まで、第五巻が紀元十八世紀から紀元二十世紀の前期まで、第六巻か紀元二十世紀初頭から一九六〇年まで、一九六〇年にこれを出版する。第一巻が出るはずでございます。すでにこの国際委員会の手によってほぼ編集が終りまして、第一巻については、近くユネスコからその原稿を各国国内委員会に配付することになっております。各国の国内委員会は、自国の学者を動員しましてそれの検討をいたします。これに対していろいろ意見があればその意見をつけてユネスコに返す、ユネスコのこの国際編集委員はそれを脚註の形なりあるいは付録の形なりにいたしましてその木の中に取り入れる、そういう方法によりまして記述の公正をはかるという仕組みでございます。わが国の編さんに参画しております通信委員といたしましては、京都大学の貝塚博士、東京大学の岩生博士、東京理科大学の矢島博士、今コロンビア大学に客員教授となって行っておられます鈴木大拙博士でございます。和辻哲郎博士も委員でありましたけれども、御健康の都合で辞退されました。なおこの歴史書に日本から原稿を送った人は十数名に達しておりまして、それぞれ英語なりフランス語なりに訳しまして向うに届けてございます。これらがこの歴史書の日本関係の資料のソースとなって取り入れられることになっております。なおこの六巻の本は、六巻と申せばはなはだ大部の書でございますので、必ずしも民衆に近づきやすい形とは言えないので、ユネスコはこの六巻ができますと、さらに二巻分の普及本を編集する計画を持っております。なおそのほかに今度は一冊本の学校版を作りまして、こういう方法によって公正な歴史書が各国民の間に普及するということを企図いたしております。国内委員会といたしましても、この画期的な計画に対しまして万全の協力をいたしておる次第でございます。

安達健二文部事務官(初等中等教育局教科書課長)

○安達説明員 ただいま御指摘のありましたように、教科書は常に公正で、偏見を除いたものでなければならぬ、かように私どもも考えておりますし、現行の検定基準においてもそのことを明らかにいたしております。ただ現在は検定制度でございまして、教科書の著作、編集は民間の人々にゆだねられておるわけございまして、一方検定の面で、検定基準に沿いましてそういう極端な偏見というものは排除する必要があろうかと存じておるわけでございます。今御指摘のように、国際的ないろいろな形で客観的な、そして公正な歴史というものが生まれますならば、そういうものを民間の著作者の方でも大いに利用されるでありましょうし、検定におきましても、そういう資料を利用させていただくというようなことは、はなはだけっこうなことではないかと存じておる次第でございます。

大西正道日本社会党

○大西委員 今の総長の話、けっこうな話なのですが、私は遠い昔のことはいぎ知らず、ごく最近の一番対立的な見解のある問題については、おそらくそう簡単に一致点が見出せないと思うのです。従って、私はこの点はよくわからないからお聞きするのだけれども、教科書というものは最近の事実については、大して問題にならぬようなところを主にして書き、今私が解決しなければならぬというような問題は、むしろこれはあとに回していくようなことになるのではないかと思うのですが、ごく近世、近代の内容がどういうものであるか、わかっておれば聞かしていただきたいと思います。

武藤義雄文部事務官(日本ユネスコ国内委員会事務局総長)

○武藤説明員 まだその辺の具体的な内容については承知いたしておりません。

大西正道日本社会党

○大西委員 私はユネスコの全部のそういう研究というよりも、やはり地域的な活動も必要なんでありますから、特にアジア諸国の学者たちがそういう研究を始めるというような一つの機運でもこの際作り出すことができたら、そういうことに対して日本の国内委員会の方で働きかけがあれば、非常に希望が持てると思うのですが、いかがでしょう。

武藤義雄文部事務官(日本ユネスコ国内委員会事務局総長)

○武藤説明員 そのことにつきましては、実は比較的最近に、お話の線に沿うような会議が東京で開かれることになっております。これは東西文化の交渉史に関する国際シンポジアムでございます。ユネスコの援助のもとに国内委員会が主催者となりまして、十月の二十八日から十一月二日まで東京及び京都でこのシンポジアムを開催いたしまして、世界の有数の歴史学者、特に東西文化の交渉に関連を持った点での権威者を集めまして研究討論会をいたすことになっております。これは学者間の個人的な接触の機会を作ること自体が非常に大きな意義がありますが、同時にユネスコが十年計画として採択いたしました東西両洋文化価値の相互理解という重要事業計画の線に沿って、また実際その計画の一部として東京で実施することになりましたので、このシンポジアムの結果は取りまとめて世界じゅうの七十九カ国の加盟国に配付されるのでございます。またもろもろの学界等にも配付されるのでございまして、さだめし大きな影響力と効果が期待できるかと考えております。

大西正道日本社会党

○大西委員 日本を外国がどういうふうに教科書の上で評価しているかという問題と、今度はこちらの問題ですけれども、外国を日本の教科書にどういうふうに紹介しているかという問題、この点については今の総長の話では、すでに五三年に、対象が西欧に限定されているようですが、一応の結論みたいなものが出ておるようですが、これの特徴的なものは何かありましたですか。

武藤義雄文部事務官(日本ユネスコ国内委員会事務局総長)

○武藤説明員 ここに持参いたしましたのがその報告書でございますが、大体きわめて客観的な調査方法をとりまして、実は質の問題よりも、まず量の問題に手をつけたのでございます。たとえばイギリスならイギリスについて、イギリスの政治制度についてどの教科書は何事ぐらいを費しておるかというような量的な調査でございます。ところが実は教科書における他国の取り扱いということは、量の問題も重要ではございますけれども、実は質の問題が非常に大切な点でございます。質の点になりますと、これはどうしてもある種の主観をもって判断しなければならない。そこに非常に複雑な要素が入りますので、そういうことの必要のない面から、量的な調査に限定いたしましたので、その点ではこうという質的な結論が出かねておりますけれども、壁的にはこれはほとんど完璧に近い調査になっております。

大西正道日本社会党

○大西委員 一番大事なことはあと回しにして、あまり価値のない、しかし研究の成果は手軽にできるというようなことをやっておられたですね。これでは、私はそうじゃないかと思ってお聞きしたのですが、私どもはこういうことは無価値だとは言いませんけれども、あまりそれほど価値のあることではないと思います。将来は、今度来年打たれるような会合ででも、当然今私が問題にしておるようなことはおやりになっていただきたいと思います。今度はやはり日本の正しい姿を外国に知らせなければならぬと同時に、また外国の正しい姿を日本の教科書に取り入れるということはこれまた大事なことであります。この点について文部省の方で、今各国の正しい姿が——しかも編集者が自分の欲するところに従って国内の教科書を編集することに何ら法的な制約はないと思うが、政治的な制約というようなものがないかどうか、この点を教科書課長からお伺いしたい。

安達健二文部事務官(初等中等教育局教科書課長)

○安達説明員 先ほど申し上げましたように教科書は公正な偏見のないものでなければならないということで、検定基準の中に、立場は公正であるということ、それから日本の教育の目的に一致している、それから教科の目標に一致している、こういうことが絶対条件として掲げられておりまして、この基準に基きまして教科用図書検定審議会におきまして判断をいたすということになっておるわけでございまして、もとより御指摘のような特定の考え方を持っておるわけではないのでございます。

大西正道日本社会党

○大西委員 巷間どうも共産主義の国の記述については、その量の上から言いましても、あまりこれを多くすると検定に際してパスする率が非常に少い、こういうことを私どもは聞くのです。もちろんあなたの方はそれを否定するでありましょうけれども、そういうふうなことについて、これはあなた方の検定の誤まりというのではありませんが、何か共産圏の国の記事と他の自由主義国家の記事との間に、量的な何かの不均衡があるのではないかと思うのですが、そういう点についてはいかがですか。

安達健二文部事務官(初等中等教育局教科書課長)

○安達説明員 それぞれ教科書によりましていろいろと編集方針がございまして、教科書をごらんになりますと相当特色があると申しますが、多様な教科書が出ておるわけでございます。検定制度というものはいろいろな種類の教科書が出まして、その中でいいものが選ばれていくというところに意義がございますので、そういう一定の狭いワクに入れてやるということは、検定制度の精神に沿わないのではないかと思うわけでございます。ただ検定といたしましては、先ほど申し上げました絶対条件のほかに必要条件というのがございまして、その第一に学習指導要領に準拠しているかという項目がございます。学習指導要領にそれぞれその教科の教育において取り扱うべき範囲が明示されておるわけでございまして、その範囲内において記述してある限り、特に何ページこちらが多いとか少いとかいうようなことで合否を行う事実はございません。

大西正道日本社会党

○大西委員 共産圏のことを書く場合に他の国々と違って非常に資料が足りない、こういうようなことは編集者の間からそういう意見はございませんか。私はやはり共産圏の国の記述というものが量的に非常に少いと思うのです。その理由はパスをするために編集者の思惑があるのか、あるいは集めようにもその資料に乏しいというのか、ここのところを一つ聞きたいと思う。

安達健二文部事務官(初等中等教育局教科書課長)

○安達説明員 私ども今御指摘のようなこと、共産圏の資料が少いから書けないとか、あるいはまたそちらの方を多くすると不合格になるおそれがあるから避けるというようなことを耳にしたことはございません。現在の段階におきましては教科書の著作については、民間の著作者陣が最大の努力を払って最もいいものをこしらえる、こういうことになっておりまして、文部省はそれがレベルに達しておるかどうかということを判定することを任務といたしておりますので、それぞれ任務は違いますので、今御指摘のような話を聞いたことはございませんです。

大西正道日本社会党

○大西委員 もう一つ聞きたいのですけれども、やっぱりこれも国内の教科書の問題ですが、キリスト教の二つの流派に対しまして教科書の統計を見ますと、明らかに一方に対しては非常に肯定的な評価をし、一方に対しては否定的な評価をしておるということを、これは関係者は口をそろえて言っておるのですが、これらについて何か——もちろん基準としては、いかなる宗教に対しても差別待遇はないと思うけれども、そういうことをあなたは聞かないですか。これはお聞きになっていると思う。それはどういう理由によるものであるかということを聞きたいと私は思う。これもやはり正しい意味の一つの宗教の理解、その宗教を信じてい印肉の理解という意味から留意すべきことであると思うのでお伺いするのです。

安達健二文部事務官(初等中等教育局教科書課長)

○安達説明員 先ほど引用いたしました検定基準の中で、立場は公正であるかという中に、特定の政党を支持し、またはこれに反対するということはいけないと同時に、特定の宗教、宗派に対してこれを支持し、またはこれに反対するものがあるかどうかということが検定基準に入っておるわけでございます。従いましてこの宗教問題につきましても常に公正な立場で記述されておることが、教科書の要件であることはもとよりでございます。ただ御指摘のキリスト教の中の両派と申しますか、どちらかを非常によく書いて、片一方を悪く書いておるというようなことは、私どもに対しましては何ら陳情とかその他の形では全然出ておらないわけでありまして、またそういうことを特に、そのほかのことでも、私不敏にしまして聞いておらないわけでございます。

大西正道日本社会党

○大西委員 もう一つ、もうぼつぼつ終ると思いますが、やはりこれは国際的な問題ですけれども、漢字の問題です。これは特に中国との間の問題ですが、中国もわが国も漢字を主にして使っているところですけれども、常用漢字というものを——中国の文字政策、これはだんだん変りつつありますけれども、まだ当分今の漢字というものを主にしてやっていくということに変りはないと私は思うのですが、そういう場合に日本の漢字政策との統一的な提携と申しますか、そういうことがお互いの相互理解のためにも必要だし、この前私も向うへ行ったときにそんな話もしてきたのですけれども、この点についてユネスコも外務省も文部省も一つ見解を聞かしていただきたいと思います。

武藤義雄文部事務官(日本ユネスコ国内委員会事務局総長)

○武藤説明員 漢字の問題につきましては、国内委員会ないしユネスコの事業計画中にございませんので、別にこれについては考えておるおわけではございません。

安達健二文部事務官(初等中等教育局教科書課長)

○安達説明員 現在教科書におきまして当用漢字というものによると、大体においてそれによるように、たとえば高等学校の段階でありますと多少無理でございますが、できるだけ平易な漢字を用いるということで指導いたしておりまして、またさらに教育漢字と申しますか、小学校において修得すべき漢字につきましてこれを学年配当する、一年生ではこれだけ覚えるというようなことをいたしまして、それを同時に教科書にも反映をさせて、子供たちが漢字の制約をできるだけ離れて自由に勉強できるようにいたしたい、かようにいたしておるわけであります。ただいま御指摘の、両国のそういうことについての提携の問題等につきましては、なお文部省の方でもいろいろ研究を要するものと存じます。

片上一郎外務事務官(情報文化局第三課長)

○片上説明員 外務省としての今の問題に対する意見は、どうも私から申し上げるという立場ではないのでございますが、一応文化関係をやっております担当課長としましては、国際理解の手段の一つに言葉というものの持っている意味、これは申すまでもない。しかもその理解促進を容易にするということの最も必要な手段であるということも事実である。そういう前提から考えますと、文事そのものが相互に理解しやすいように持っていければ、それは一番いい手段であるという私自身の見解を、回答にかえさせていただきたいと思います。

大西正道日本社会党

○大西委員 長々とあまり外務委員会としては興味のない質問をいたしましたけれども、しかし見方によりましては、はなやかな外交問題よりも、こういうふうなじみな問題の方が大きな影響があるかとも考えられる。それが今日このように全くゆがめられた日本、非常に理解不足な紹介がしてあるのです。今ユネスコにしましても、外務省にしましても、こういうことについては気がついておられるようでありまして、着々と対策を立てておられるようでございます。私は実は予算の問題が気にかかるのでありますけれども、きょうは皆さんに申し上げましてもちょっと困るでありましょうが、いずれにいたしましても、富士山、腹切り、芸者ガールで日本が代表されては困るのであります。しかしやっぱり現状は、そういうものが日本の紹介になっておる。そうして幼い者の頭にそれがみな入っていく。大きくなってから新聞や雑誌や映画の一部のものを見ましても、なかなか幼いときに頭にこびりついた対日感情と申しますか、そういうものは私は清算できないと思う。その上に映画なんかでも、これは外務省にも文部省にも私は言いたいのだけれども、国際的な映画のコンクールに日本が当選したというようなものは、えてしてちょんまげものとか、それ以前のああいうものなんです。映画そのものの本質は私は知りませんが、やはりエキゾティックな興味をねらって、売らんかの宣伝じゃないか、そういうことも私はもっと言いたかったのですが、やはりもっと正しい、躍進する若々しい日本の姿を映画のテーマにして、そういうものと四つに組んでやらなければならぬと思う。「米」というような映画にしても、水準があったりして、われわれがどこかの南洋かアフリカのなにを見て非常に興味を感ずるような、そういう要素もたくさんあるのじゃないかと思うのです。そういうことも、やはり国際的に日本の政府なんかが推薦したりするような場合には、これも心がけておかなければならぬ一つの問題ではないかと私は思うのです。  いずれにいたしましても、こういうふうな間違った時代おくれの教科書の記事が各国にはんらんしておるという事実だけは明らかになったと思いますから、一つこれを機会にできるだけユネスコはユネスコなりに、外務省の情報文化局はその活動の領域で、文部省はまたそれぞれのなにで、これの是正のために万全の活動をしていただきたい、こういうことをきょうは最後にお願いをして、私の質問を終ります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員長代理 他に御質問ございませんか。——御質問がなければ、本日はこれにて散会いたします。   午後四時四十五分散会

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