外務委員会 第25号
- 発言数
- 232 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1957/05/17
会議録
○野田委員長 これより会議を開きます。 まず閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。本委員会といたしましては、今国会が閉会されてからも国際情勢に関する件、国交回復に関する件、国際経済に関する件、賠償に関する件等について継続して審査いたしたいと存じますので、ただいまの四項目についての閉会中の審査を議長に申し入れたいと存じますが、御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野田委員長 御異議がなければさように決定いたします。 ―――――――――――――
○野田委員長 次に委員派遣承認申請についてお諮りいたします。ただいまの閉会中審査の件が議院の決議で本委員会に付託されました場合には委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野田委員長 御異議なければさように決定いたします。 なお委員派遣についての期日へ人撰並びに派遣地等の決定につきましては、委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野田委員長 御異議がなければきように決定いたします。 ―――――――――――――
○野田委員長 これより国際情勢等に関する件について外務大臣に対する質疑を許します。山本利壽君。
○山本(利)委員 大臣も非常に御多忙でございますからごく簡潔にお尋ねいたします。 岸総理大臣が松下特使をわざわざ英国に派遣して努力されましたにもかかわらず、クリスマス島における英国の水爆実験は、われわれの期待に反してついに行われたのでございますが、このことに対する首相のお考え、並びに今後この問題に対してとるべき処置について、御意見を承わりたいと存じます。
○岸国務大臣 われわれはクリスマス島における原水爆実験につきましては、あらゆる方法をもってこれを中止せしめんとして努力をしてきたのでありますが、われわれの強い要望にもかかわらずこれが、行われたということは、きわめて私ども遺憾に考えております。その旨をきっそくロンドンの大使館から、わが方の政府の遺憾の意をさらに強くイギリス政府に申し入れをしておるのでありますが、私ども終始一貫この原水爆の実験中止に関しましては、従来と同様にあらゆる方法をもってその目的を達するまで努力を継続する考えでざいます。
○野田委員長 ちょっと山本君、発言前にお諮りいたすことがありますが、きょう外務大臣に対する質疑の時間は、前回にならいまして約二十分といたしておりますから、各委員御了承願いたいと思います。
○山本(利)委員 承知いたしました。今までソ連とアメリカと二国が水爆を持っておったのに、いよいよ今度英国が加わって三つになったということは、非常にこれを中止させるのに今後むずかしい状態になったと思うのでありますが、なお各新聞紙もそれぞれ論評を掲げておりますように、今後そのほかの国もこれにまねて続々と水爆あるいは原爆を持つようになりますと、その禁止はいよいよむずかしいと思うのであります。そして持っていないうちこそ反対する方に協力を求めやすいのでありますから、日本はこの反対の陣頭に立って、今回英国が聞かなかったとしても続けらるべきだと私は考えるの参でございますが、それにしても日本の国内においての反対よりも、幸い日本が国連に加盟したのでありますから、その国連一の舞台において大いに発言すべきであると考えるのであります。しかるに国連における日本代表団のスポークスマンは、公式の反響は東京からくるであろうと述べているということが新聞報道報によって伝えられておる。私はこれや、非常に遺憾に考えるものであって、こういう場合にこそ国連に派遣されておるところの日本の代表団というものは、堂々と遺憾の意を表し、あるいは反対の意思表示を重ねてすべきだと考えるのでありますけれども、国連の代表団に対する外務大臣の御指示というものはいかなるものでございましょうか。
○岸国務大臣 禁止については今申しましたような一貫した考えをとってきておりまして、国連総会でもわれわれは登録制を提案いたしましたけれども、その理由として、はっきり日本が禁止一を希望していることを明言してきて、おるのであります。なおこの国連の議決によりまして、その後行われておるロンドンの軍縮小委員会におきましても、この問題を取り上げてこれの禁止に向っての有効なる措置について、いろいろと研究をいたしておるところであります。政府としては、一貫した私どもの考えを終始貫くということに、在外公館をしてもあらゆる機会にその協力をなさしめるという方針でございまして、いまだ国連における議事としては、ロンドンにおける論議中の軍縮小委員会の論議中なり、その結論を一応見ておるというのが、国連の現在の状況だと思います。しかし、日本政府の正式な意見の発表は、イギリス大使館を通じてイギリス政府に述べておりますから、これを中心として国連においてもわが代表が発言すべきものだと私は考えております。特にこういう発言をしろという訓令は出しておりませんけれども、それが従来のなにから申しましても方針である、こう思ってお上ります。
○山本(利)委員 登録制の問題が国連に持ち出されたことについて、いろいろ論議が戦わされたのでありますが、これはカナダやノールウェー等とともに出したことであり、しかもその発案はわが国ではなかった。共同提案したけれどもわが国ではなかったというようなことが言われておりますから、私はかりに登録制が出されておっても、この次には国連代表を通じて禁止の決議を――かりに一回決議案を出したからといって、その目的が達成されるかどうかは疑問でありますけれども、今度こそ日本は、国連に向って禁止の決議案を出すべきであると考えますが、それについて総理大臣はいかように考えられるでありましょうか。
○岸国務大臣 これは十分各下の情勢を見る必要もありますし、御趣旨においては私は異存ございませんけれども、しかし国連の手続といたしましても、一応提案者になっておるところの問題が、まだ審議中に、さらに同一問題について異なった提議をするということが果して可能であるかどうか、私も手続のことははっきりわかりませんけれども、御趣旨の点は私異存ございませんけれども、そういういろいろな国連の手続の問題ともにらみ合して考えなければならぬ問題である、こう思います。
○山本(利)委員 今回の水爆実験に対して、外務省は情報文化局長談を発表しておりますが、それによると、日本国民がこうむり、またこうむると思われるすべての損害及び損失については、英国が責任を有し、かつその補償の責めに任ずべきである、と申しております。ところが、一五日の実験は予定よりも早く行われたのでありますから、その危険水域の中に、日本の漁船等が、あるいは航行中の船舶等が相当おったのではないかとわれわれは懸念するものでありますけれども、その間の事情を係官からでも一つ御説明を願いたいと思います。
○金山政府委員 被害がありましたかどうか、まだ報告に接しておりませんが川ので実際のところはわかっておりません。
○山本(利)委員 それでは、この補償の責任というようなことについては、わが国の方の一方的な発言に現段階では終っておるのであるか、英国もこれに同意しておるのであるかという点と、もう一つは、危険水域での損害とか損失ということに対する補償ということだけを外務省は考ておられるか、それともわが漁民がよい漁場をそのために使えなかったということから起る損失、あるいはまた実験のために航路を非常に迂回しなければならなかったために起る損失、もっとひどい場合は、それが幾日かたってわが国土に放射能の灰を降らした、それからくる損失、そういうことにまでこの補償というものは及ぶものであるかどうか、その点について御答弁をいただきたいと思います。
○金山政府委員 日本政府といたしましては、あらゆる損害をカバーしているものと了解いたします。そういう考えで損害に対して賠償を要求する考えでおります。
○山本(利)委員 よく質問をお聞きにならぬとまことに困るのですが、その要求するとか、責任をとらすとかいうことは、日本側だけの一方的発言であるのか、これに対して英国はどういう態度をとっているのかということが最初の要点であります。
○金山政府委員 英国政府は、三月二十三日のわが方に対する回答におきまして実害のあった場合、その定めに任ずることを言明しております。
○山本(利)委員 それでは、先を急ぎますが、日韓問題が、他の東ア諸国との親善関係と同様、あるいはそれ以上に大切な問題であると考えるのでありますが、昨日の参議院外務委員会で、加藤シヅエ氏の質問に答えて、総理大臣は、日韓抑留者の相互釈放は、私の渡米前にぜひ実現するつもりだが、ということをおっしゃっておるのであります。これはまだつもりの程度を出ないのか、こういうことは、新聞記事等での印刷の都合もありますから、はっきりしたことがわからないのでありますが、ある新聞では非常にはっきりしたことを書いておる。またこの委員会での要網の表現では、今申し上げましたように、実現するつもりだがと、書いてございますが、まだつもりの域を出ないのか、あるいは今度こそ渡米前にこの問題は、ことに抑留者の釈放ということが解決する問題であるか、その点を非常に地元の者は懸念しておりますので、御答弁をいただきたいと思います。
○岸国務大臣 これは御承知の通り相手方がある問題でありまして、私がすると言っても、それができるわけではないのであります。従って、そういう希望を持ってするつもりであるという以上に申し上げることはできないと思います。
○山本(利)委員 この問題は、もう数年来むずかしい問題であるということはわかりますけれども、現在の段階では、これは未来のことであるから今首相のおっしゃった通りでありますけれども、今度はいよいよ大丈夫であると首相は思われたのか、やはり相手のあることだからまだ懸念があるという意味の方が強いのかお聞きしたがったのでございますが、それも御答弁をいただきたいと思います。さらに、もしこれが解決したら、その後一ヵ月以内に日韓会談を正式に始める、そういう場合の会談の会場等は、東京を予定されておりますか、あるいは京城を予定されておりますか、全然まだ先のことであるからそれはわからないのであるかという点。もう一つは、いよいよ正式会談に入る前に、親善使節を韓国に派遣したいということを言っておられます。これも私は非常にけっこうなことであるとおもいますけれども、なにしろ向うでは、李承晩という人のあの性格から今日までもめてきたのでありますから、その正式会談に入る前に、これはいつかも私は申し上げたことがありますけれども、李承晩を日本の国へでも招待して、そうして官民あげて胸襟を聞いてこれを歓迎することが、日韓会談を容易ならしめ、さらにほんとうに韓国とわが国とはともに手をとっていかなければならぬという機運が、そこらあたりから浮び上るのではないか。ただ普通の大使や公使を派遣し、あるいは招いていろいろ折衝したのでは、この問題はさらに行き詰まる懸念がある、こういうふうに考えるのでありますが、それらの点について御答弁をいただきたい。
○岸国務大臣 新聞で御承知のように、韓国の日本に駐在している機関の人事異動が行われているようであります。国交が回復しているわけではありませんから、正式に私の方ヘアグレマンだとかなんとかいう問題はございませんけれども、すでに新聞に一部報道されているよななにがあります。そうしてそういう関係上、従来日本に駐在しておった金公使と中川アジア局長との間に話し合いが進められてきておりまして、話は最終の段階まで達しておるということは申し上げておいたのであります。しかしなお完全に一致した、一言一句問題ないのだと両方がこの問題に関して文書を取りかわすという段階には、まだ多少の点が残っておるのであります。そこに人事異動ということが――これは相当長く一部においては流布されておりましたが、過般金裕派氏が将来日本に駐在する大使になるのだということが伝えられておりまして、それが顧問のような格で日本にやってきたのであります。そういうことのために、従来金公使と中川君との間に進められてきておったものが、一時話が停頓したといいますか、進行がとまった状況になっておったのであります。新聞の報ように、金裕派氏が正式に大使に韓国において任命され東京に駐在するということになると私は予想しておりますが、それがまだ正式に発令され、正式にわが方にあいさつに参る段階にまだなっておらないのであります。そういうことのために、私自身としては、新しく任命された――任命されるであろうという方が正確であるかもしれませんが、金裕沢氏と正式に会談する機会をまだ持っておらないのであります。従って先ほど来申し上げるように、多少奥歯に物のはさまつたような言い方をせざるを得ない段階でございます。しかし私は、正式に金公使と中川君との間に話し合いが進められてきたことが、よもやあと戻りすることはないと信じてておりますがゆえに、またそういうことであるならば、ぜひともこれを急いで解決したい。それから私は正式に会っておりませんけれども、間接に聞いておるところにおいては、余裕派氏も、早く相互釈放を解決して正式会談に入りたいという意図においては、前の金公使と同様であるということを聞いておるのでありまして、従って私がアメリカに向って出発する前においては、ぜひとも解決したいというのが私の考えでございます。 それからさらに、その相互釈放の条件といいますか、あるいは相互釈放をするとさらに一ヵ月内に正式会談を日韓の間に開くという話し合いになっております。従ってそこの間に約一カ月の余裕がございますが、この間に日本側から民間各方面の人々からなる親善団を向うに送って、とにかく相互釈放をされ、そして将来の友好関係を作るという意味において正式会談が開かれるという段階になったことは、日韓両国のためにきわめて望ましいことであり、ぜひともその正式会談を円満に成功せしめる必要がある。日本としてもこれに対しては、従来の行きがかりにとらわれず、日韓百年の友好のために国をあげて協力するつもりであり、解決する熱意を持っておるという意思を表明する。これは非公式に、政府の直接任命した者というよりも、むしろ日本国民を代表する意味において、その釈放されたことに対する感謝と同時に、そういう意味のことを、また会談中にさらに李承晩ラインを越えたというような理由でつかまるというようなことのないように、双方が善意をもってやる、話を進める、こういうことが必要だと思います。そういう意味において、国民的の代表といいますか、民間の代表を送ることは望ましいじゃないかという考えがございます。これらにつきましては、われわれの方でもいろいろの点から検討をいたしておるという段階でございます。李承晩大統領を正式に日本に招聘してはどうかというお考えも一つのお考えとして承わっておりますが、日本からそういう親善使節を送るにしましても、向うの受け入れ態勢というものがなければなりませんし向うの受け入れ態勢等につきましても、非公式に十分打診して、そうしてこれを成功せしめねばならないと思います。そういうことが非常に友好裏に行われるということになれば、さらに訪日の機会を持ってもらうということも可能になる、だろうと思います。そういうしようになる、だろうと思いますか、そういう受け入れ態勢すら十分できないということになると、招聘しても、従来のいきさつから見ると、訪日ということはなかなか私はむずかしかろうと思いますから、それにつきましても十分今後検討してみたいと思います。
○山本(利)委員 それではもう一点お伺いいたしたいのは、北海道の沿岸漁業に対する問題でございまして、これは北洋漁業に対する日ソ漁業会談が始まったときに、私はあの地方の沿岸漁民の苦痛を岸外務大臣訴えて、あの会談でも沿岸漁業についても取り上げていだたくわけに参らないかということをお願いいたしましたが、その際は、北洋漁業に対する会議であるから今回の会議に載せることはできない、しかしこれは別個に取り扱うというお話でございました。それからその次にこの委員会でまた私がこの問題についと訴えましたときに、外務省の当月の力から、これは門脇大使をモスクワに三派遣するのであるから、それが着任してからかかるというお話でございました。その一次にお尋ねしたときには、まだ着任して間もないからもう少したったらこれは発足するのだ、これは確かにやるからという話でございましに。それからいよいよもう国会も最後になりまして、この点について非常に北海道の歯舞方面の沿岸漁民たちは心痛して、現在も東京に相当数参っておるようでございますが、門脇大使はいかなる程度まで話し合いをしておられるのか。北海道の人たちはまたおざなりの逃げ口上ではないかと、これは外務省に向っては申しませんけれども、陰では懸念しておるのでございますが、この交渉はモスクワで行われておるのかあるいは東京で行われておるのか。そうしてまた昨日参議院でございましたか、総理大臣は、水産庁を打ち合せた上で補償のことも考慮したいというお言葉があったそうでございまして、これに対しては非常な感謝の心を持って非常に喜んでおりますが、その補償するという意味の範囲、金額を言うのではございませんけれども、どういうものには補償してやらなければならぬとお考えになっておるのであろうか、そこらのところを承わりたいと考えます。
○岸国務大臣 歯舞、色丹周辺の近海漁業の問題につきましては、国会でもしばしば御質問がございました。それから、関係者の強い陳情も政府にあったわけであります。日ソ国交回復後私は、いろいろな問題を積み重ねていかなければならぬということを申しておりましたが、歯舞、色丹の問題についても従来ソ連側の意向を、われわれの考えなりそれから関係業者の非常に困っている状況を訴えて、向うをしてこれについての関心を呼び起すような、いわゆる打診をいたして参ったのであります。同時に、日本側におきましても、水産庁、海上保安庁とこれに関するいろいろな事務的なことやあるいは手続、その他取締り等のこと、保護等の点につきましても十分打ち合せをいたし、いよいよそういうことについての大体事務的な話が進みましたので、従来打診の程度であったものを、今度は正式にソ連側に対して申し入れて、ソ連側と話し合いを進めるという段階にきておるのであります。今日までのところではまだ十分な折衝とか交渉とかいうので、ソ連側の意向とかその結果がどうなったかということでいかないことは、はなはだ遺憾でございますが、そういう段取りになっておりまして、国内に、おける諸般の準備も、大体において話し合いがつく状況になっておりまして、従いまして正式に近くソ連側と話をする。場所は東京でやるつもりでございます。 それから補償の問題につきましては、実は従来その問題についての関係者からの要望等もございますし、私自身としてはまだ方針でどういうものをどういうふうに補償するかということは具体的な考えを持っておりませんので、この補償について具体的に一つ十分考えろということを私は水産庁に命じておるのでございます。
○山本(利)委員 時間がありませんから、これで終ります。
○野田委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 私は質問に入ります前に、緊急を要する問題を二点伺いたいと思います。 その一つはこの二、三日、毎日新聞に出ております中国から引き揚げて帰られる方々とともに帰ってこられる一時帰国者の問題でございます。戦犯の方とそれから引き揚げてこられる方及び戦前に向うへ渡られた日本の婦人が帰ることは問題ないのでございますけれども、その中に戦後向うに華僑の妻として渡った日本の婦人も、ぜひ今度一時帰国者として入れてほしい、こういうふうなことが問題になっておりまして、そうして三団体の代表が向うへっいて参りましたけれども、その方々の判断できめることができず、日本にある三団体の方へその許可方を頼んできたわけなのです。ところが厚生省の方としては、その戦後に行った日本の婦人は、この船に乗ってはいけないというようなこと、あるいはまたその人たちについてこようとしている中国人の夫、こういうふうな問題で大へんもめているようでございます。実は三団体の代表も現地に行って非常に困って、こちらにおられます三団体の方へ電報を打ってきましたが、こちらの三団体もなかなか意見がまとまらないために返事ができない、下手をすると十九日に出発する興安丸もなかなか出発できないのではないかというような問題が起きているわけでございます。そこで私は、中国の人がこの船で一時帰国するということは入国管理の問題があり、これは別問題だと思いますけれども、いわゆる日本の婦人で日本に国籍のある人で戦後向うへ行った人でもやはり日本に帰ってみたいというような気持のある方が多いように思いますので、この際三団体の人たちを通して一時帰国者の中に、戦後行った婦人も帰してあげられるような返事を何とか御考慮いただきたい。この点を伺いたいのですが、いかがでございましょう。
○岸国務大臣 ただいま援護局の方の事務当局が参っておりませんので、事情 をつまびらかにいたさないのでございますが、今御質問の御趣旨の点につきましては、私は十分ごもっともだと思うのであります。どういう事情でそういうこと、がいけないのか実は私まだはっきりいたしません。ここで私自身十分事務的の理由を明かにいたしませんが、なるべく御趣旨の点をくみ入れて事情を調べまして、一つ御趣旨に沿うように努力してみましょう。ただどういう事情でそういうことを非常にがんばっているのか、実は私も了解に苦しんでいるのです。十分調べてみまして御趣旨に沿うように努力してみます。
○戸叶委員 問題になっておりますことは、戦後いわゆる華僑の人が帰りたいというので帰ったわけなんです。その奥さんとして向うへ行ったわけなんですが、その方たちもぜひ帰してほしいということで、これは日本人の国籍があるわけでございますから、ぜひ何とか御考慮いただきたい。これはなるべく早急に問題を解決していただきませんと、今人々が集結していて船が出ないという状態ですから、この辺をお考えいた、だきたいと思うわけでございます。 それからもう一つの緊急の問題は、先ごろ五月十二日の新聞に出ておりましたことですが、アルゼンチンの代理大使が日本の人をなぐったという事件でございます。この問題はおそらく外務大臣御存じないかと思いますが、ごく簡単に申し上げますと、ある松岡という人が自分の家を持っておりましたのを、それをアルゼンチンの代理大使にまた貸しをされてしまったわけです。そうしましたところが、その貸した人がアルゼンチンの大使のところに参りまして、それは自分のものだということを説明しましたところが、よくわかって、それでは引き渡すから自分のところに五月六日に来るように言われましたので、弁護士を連れて行ったのだそうです。ところがこれからもう一切何も言わないという条件で、この家を引き渡すというアルゼンチン語で書かれた証文を出されて、これに署名をしろと言われた。ところがアルゼンチン語ですから何が書いてあるかわからないから署名できない。日本語で書いたものを渡してほしいと言いましたところが、日本語で書く時間がないからこのあとにしろというようないろいろな問答があって、結局それではあなたの方に今まで自分が入っていた家賃を現金で払えばいいのかと言われて、それは話が違うけれどもまあいいでしょうということで納得したのだそうです。そうして署名をしようとしたら、そこへ代理大使と、それからそこにいる館員が来て、そばにいる弁護士さんと、その松岡さんという人をめった打ちをしたというのでです。二人はほうほうの体で一応帰ってきたのです。このことの問題の内容は、国内問題として解決すべきでございましょうけれども、ただ外国の代理大使ともいうべき人が、日本の人を治外法権の場所でなぐったということは、これはやはり日本の国民として許すことのできないことではないか、人権じゅうりんもはなはだしい、私はこう思うのですけれども、これに対してはどうお考えでございましょうか。
○岸国務大臣 その問題実は私の方の儀典長から大体私は報告を受けておるのであります。そういう陳情があっ出たのでアルゼンチンの代理大使、その他アルゼンチン側の話を外務省としても問いたそうであります。しかし全然いわゆる陳情の趣旨と違ったことを言っているのだそうです。そういう事実は全然ない。現に帰るときには玄関までちゃんと職員か何かに送らしており、平穏に帰ったのであって、決してそういう事実はない。ただそういう言葉の行き違い等は話し合いのときにあったらしいですけれども、それで暴行を加えたというような事実は絶対にないということを申しておるのであります。そういう報告を私は受けておるのであります。従ってそれに対してわれわれの方で、陳情は何かアルゼンチン政府に召喚を命ずるように外務省としては当然手続をとれというような陳情があるのですけれども、われわれは事実が明瞭にならないことを根拠に、いわゆる外交上の折衝として外国政府にそういうことをするということはとうていできないということでお断わりしておりますが、事情はそういうことですということを私は報告を受けております。
○戸叶委員 アルゼンチンの方からの言い分と、それからなぐられた御本人の言い分とは大へんに私は食い違いがあるように思います。しかしだれも見ていたことではございませんけれども、しかしなぐられた人がなぐられなくてひどい目にあったとかこうだということは、私は幾らなんでも捏造しないと思う。そこら辺に何かがあるのではないか、こういうふうに実は私は考えるのでございます。従って千葉局長でもけっこうでございますから、アルゼンチンのその当事者と、それから日本側の被害者とを一ぺん御一緒に会わせて、そうしてお話し合いをさせるようなあっせんをして、事の黒白をはっきりさせる必要があるのじゃないか、こう思いますが、この点はいかがでございます。
○千葉(皓)政府委員 この事件について私どもの承知しておることは、大体ただいま大臣からお話がございました通りでございますが、大臣が申し上げましたように、この事実につきましては確認の手段がございませんが、外務省といたしましても、いろいろそういうことについて知っていそうな人たちに当ってみたのでありますけれども、ただいま問題の方の申し立てられたことを確認することができないのでございまして、これはしかしさらにもう少しいろいろなことを調べる必要があると存じます、ことにこの事件は、アルゼンチンの代理大使が、戸叶先生からお話がございましたように、借りて住まっておったうちの所有権をめぐりまして、正当の所有権を有すると称する二人の方の問に何か問題がございましたことから起ったことでございまして、この五月六日に日本人の方がアルゼンチンの大使館に行かれたのでございますが、それまでの間にいろいろないきさつがございまして、私どもとしましても、そういうことについてもつまびらかにした上で、日本とアルゼンチンとの国交の関係なども考慮いたしまして、円満な解決をはかりたいと考えております。ただ、ただいま御提案のように、今すぐ両者を対面させるということは必ずしも適当でないと考えております。私どもももう少し事実を調べた上で、そういうことが適当でございましたら、またそこで考えてみたいと思っております。
○戸叶委員 今の問題は、結局アルゼンチン代理大使がそのうちをめぐるケースの中に巻き込まれたというふうな結果になったのじゃないかと思いますけれども、そのことは別といたしまして、ただ外国の人が日本人を治外法権の場所でなぐったということが非常に大きな問題になったわけですが、今のようなお話では事実でないというようなことで、これはきめ手がないわけべき処置をぜひおとりいただきたい、こうゆう風に要望いたします。そこで、私、岸大臣にご質問問いたしますが、私どもが非常に願っておりま押した原水爆の実験禁止ということも、とうとう願いがかなわず、クリスマス島でイギリスが実験をやってしまいました。私どもはこれに対してさらに強い考えを持って原水爆実験禁止ということを世界に訴えていかなければならない、こう思うわけですけれども、今回のイギリスの発表等を見ておりましても、何かしらこうした原水爆の実験をするごとによって、米ソと並んで、世界の外交舞台で発言権が強くなったかのような発言をしていること見ましても、ほんとうに私どもは残念に思うわけでございます。そこでこのたび東南アジアの諸国をお回りになるわけでございますが、それらの諸国は、いずれ経済的なあるいは政治的な基盤が異なっておりまして、いらしたその国の事情に応じた貿易の問題なり、あるいは経済協力の問題なりのお話が出るとおもいますけれど、一貫して共通した問題は、やはり原水爆実験禁止というようなことであろうと思います。従ってそのアジア諸国と共同宣言というようなものでもけっこうでございますから、原水爆禁止対してのお考えをおまとめになって、これをぜひともアメリカヘお渡りになるときに持っていっていただきたい。こういうことをお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○岸国務大臣 お話のようにこの原水爆の問題につきましては、持っておる国が現在は三国でありまして、それぞれその一面においては、それを持っておるということが発言権の基礎であるかのごとく考えておる。また対立している相手方が持っており、やめない限りは自分たちも持ち、また実験禁止もしないということを相手方の罪に帰するような言い方も、従来繰り返されておることは御承知の通りであります。私どもはその状況を非常に遺憾とし、またわれわれがあれほど強く要望したにかかわらず、イギリスがクリスマス島で水爆の実験をしたということにつきましては、御意見のように私も非常に衷心から遺憾に考えるものでございまして、これに対しましてはさっそく英国政府にわれわれの考えを申し入れております。結局私は、大きく言えば国連において持たない国がみんな協同して強くこれを一致して禁止せしめるという一つのことを実現することが非常に望ましい。その前提として東南アジア諸国におきましても、立場は違いますけれども、私は世界平和の上から、また人道的見地から、私どもが主張してきておる主張につきましては十分強くこれを述べる考えでございますし、またこれについて相手国の人をして同感せしめるように努力をしたい、それをどういう形で表明するかということにつきましても、また私としては十分考慮のうちに入れて検討いたしておるわけでありまして、御趣旨の点、さらに利は進んでこれが中心になって世界の今の持たない国が一致して大国に迫るということも、一つの道として国連において今後われわれのやる目標として考えておるわけでありますが、十分東南アジア歴訪の際におきましては、御趣旨の点につきましては考慮いたしたい、こういうふうに考えております。
○戸叶委員 それと同時に、やはりアメリカに向っては、アメリカから米英ソ三国、持っている国が原水爆禁止の共同の条約ですね、原水爆禁止条約というようなものを結ぶような提案をしてもらうようにぜひ私は頼んでいただきたい、こう考えますけれども、これに対してどうお考えになりますか。
○岸国務大臣 私もしばしば申しておるように、やはり一面においてはそういう機運を作る意味において、今言うように持たない国と協同することも必要です。さらに持っておる国々に強くその禁止を要望して、そしてそれの実現の方法としては三国間においてこれを禁止する協定を結ばせるようにしなければならぬ、そういう意味において、アメリカ訪問の際に十分考慮したいと考えております。
○戸叶委員 それから昨年の五月、NATOの結論としては、やはり軍事力よりも経済とかあるいは政治の面の団結強化ということが結論として出されましたけれども、ことしは軍事力の強化というようなことが非常に強く打ち出されておりまして、何か平和のために軍事力を増すようなことを発言しているような空気を見まして、私は日本の責任は非常に重いということを感じたのですけれども、そのときに岸総理が核兵器を持ってもいいというようなはことを言われたことが、世界の各国に与えた影響というものは非常に大きかったし、またこれを持っている米英ソにも何らかのちょっとした安堵感を与えたんじゃないかということを非常に私は心配するものでございます。従ってこの際もっとはっきりと、強く平和外交の線を打ち出していただきたいと思いますが、その一つの現われといたしまして、いかなる形においても核兵器は今のところ勧められても持たないのだという強い信念をお持ちになっていられるかどうか。たとえば具体的に申しましてアメリカから核兵器を日本の自衛隊に持ってくるというようなこともしないし、あるいは国連軍が核兵器を持って日本に来るような場合の国連軍が核兵艦を持つということも、これは望まないというほどまで強い線を出していただけるかどうかを承わりたいと思います。
○岸国務大臣 その点につきましては、私は従来きわめて率直に私の意見を明確に申し上げておるつもりでありますが、私は日本の自衛隊を核兵で武装する意思は持っておらぬ、またアメリカの原子力部隊等の駐留については、これを拒否するということを私が申し上げておることはちっとも変っておらないのであります。あくまでも純粋の憲法論として質問を受け、これに対するわれわれの憲法上の見解を明らかにしたものでありまして、またあの当時のそのいきさつを考えられますと、われわれが進んで持ち得るということを言明したというふうに論ぜられておりますけれども、決してそういういきさつでわれわれの方から進んでこれを持ち得るということを言ったわけではありませんで、憲法上の純粋の解釈としての議論を私は申し上げたわけでありまして、あくまでもこれは政策論としてこれを持たないということについては、従来明確にしたしておりますし、それは少しも変っておらないのであります。
○戸叶委員 私どもは憲法上から考えましてもそこに非常に疑義を持つものでございますが、この点で議論をいたします。と時間が長いのでよしますけれどもただいまの御答弁で、法律論としてはそう思っていたけれども、いかなる形でも核兵を持つということは断わるということで了承をしておきたいと思います。 さらにもう一点伺いたいことは、アメリカへ今回いらっしゃいますについて昨日の所信表明の中にもありましたが、日本が国連に加盟して新しい立場に立ってお互いに話し合う、こういうふうなお話でございまして、そこにはたびたび多くの人から言われておりましたように、日米安全保障条約、行政協定、そういった問題も出るでしょうし、あるいはまた沖縄、小笠原の返還の問題等も出ると思います。聞くところによりますと、今回は小笠原ぐらいの返還は望まれるのではないか、こいうふうなことも一応伝えられているわけでございますが、この点はいかがでございますか。伺うところによりすと、日本におりますマッカーサー大使も近いうちに連絡のためにアメリカへ帰るというようなことが言われておりまして、何らかいろいろ重大なこを討議された、その打ち合わせに行かれるようにも私どもは考えられますが、この点はいかがでございましょうか。
○岸国務大臣 私が今回訪米する目的については、その所信を本会議において明らかにいたしましたし、また相当突っ込んだ話が従来各委員会等において御質問がありましたのに対してお答えをいたしております。ただ今回の訪問が決して具体的問題について――領土問題をこう解決するのであるとか、あるいは安保条約やなにをこう改正するというふうな具体的な交渉に私が参るわけではないのでございます。基本的な問題として、将来の日米間の新たな段階に立って――今後の日米関係というものは、占領政策及びその当時から続いてきておる日米関係というものに対して、一つの新しい段階に立ったということを十分にお互いに認識し合って、そうして幾多の懸案事項、問題になっておるような事項を、この新しい段階に立ってどうするかという基本的な考え方において一致するならば、将来そういう問題が解決されていく一つの方向がきまるわけであります。そういうことを私は特に今度の訪米におきましてはアメリカの首脳部と話し合いをしたいつもりでおります。
○戸叶委員 もう一つ。アメリカへ行ってお話し合いの中で、いわゆる巣鴨に日本のアメリカ関係の戦犯の人が七十一人いると言われております、この釈放の問題等につきましてもお話し合いになってこられると思いますが、この点はいかがでございましょうか。
○岸国務大臣 この戦犯者の釈放の問題につきましては、従来もアメリカ側に対しいろいろな点から強くわれわれも要望してきており、アメリカとしてもこれの釈放についての委員会ができておりまして、その審査によって徐々になにをして参っております。私自身率直に申すと、もうわずかばかりといいますか、全体で初め五百数十人おったのに対して、残ったのが七十数人でありますから、一挙にこれを釈放――が適当だと思って、私が外務大臣に就任いたしましてからも、そのことをアメリカ側に要望をいたして参っております。自然いろいろな問題の中の一つとして、そういう問題についても話が触れると思いますし、従来われわれが強く要望しておることを、やはり強くそういう場合においては、われわれの考えを述べることが適当である、こう思っております。
○戸叶委員 最後にもう一点、きのうお触れにならなかったことですけれども、アジアの譜面は大体中共を承認しているわけでございますが、そうしたアジアの諸国をお回りになります。やはり中共問題についてもいろいろ意見がかわされることと思いますし、日本のこれまでの外務大臣の御答弁によると、中共の承認に対しては、非常に消極的でいらっしゃる。こういうことに対してのいろいろな質問も出されると思います。そういうふうな立場に立って、やはりアジアの中共の考えというものをも、アメリカに伝えて、そしてアメリカに対して中共を認識させるというふうな、その間の調整をとる役を、日本の立場としてはすべきではないか、こう考えますけれども、これに対してどう考えられますか。
○岸国務大臣 中共問題につきましては、いろいろお話がしばしば出ておりまして、そのつど私は私の考えを申し述べております。東南アジア者国歴訪の場合において、これら諸国の首脳部が、どういうふうに考えておるか、またわれわれ日本の政府で、どう考えているかというようなことについての隔意なき意見の交換も必要であろうと思います。ただ、私どもが考えておることは、一部で、ことに社会党方面で、何かアメリカの鼻息をうかがって何も意見が述べられないのじゃないかというふうなことを言われておりますが、私は決してそういうつもりではおりません。従って、東南アジア諸国がどう考えておるからどうだと、アメリカに向って話をする場合に、直ちに取次をするというようなことも不見識な話であると思います。日本の考えにつきまして、われわれが従来考えてきておることについて、また東南アジア諸国の首脳部と話した場合において、私自身十分私どもの今までとってきておる政策が、妥当であるかどうかというようなことを反省する十分な資料にはなる、こう考えております。
○野田委員長 川上貫一君。
○川上委員 時間が大へん少いので、いろいろお聞きしたいことがあるのでありますけれども、時間の申し合せはお互いに守りたいと思います。私の質問は、要点をつかまえて率直に、簡略にお尋ねしますので、御答弁も要点だけをお答え願いたいと思います。 まず第一に、昨日東電アジア、アメリカ訪問の所信を表明になったのを承わったのでありますが、その中で多少の疑問がありますので、この点を聞きたいと思うのです。第一点は、東南アジア諸国が今日当面をしておる一番大きな問題、ことに東南アジア諸国が日本に期待しておる問題、それは一体どいう点であろうかという問題、どうお考えになって御訪問なさるかという点なのであります。御答弁願いたい。
○岸国務大臣 東南アジア諸国におきましては、事情が必ずしも一様ではないことは、川上委員の御承知の通りであります。しかし共通して一言に申しますと、いずれの国も独立完成といいますか、自分のところの植民地より解放せられて、独立を得て、これを完成しようとする意欲が非常に盛り上っておると私は思います。これに対して、われわれは心から共鳴をし、またこれにわれわれが協力できることであるならば、あらゆる面から協力することが適当である、こういうふうに思っております。
○川上委員 いろいろ事情が違うけれども、共通することは、独立の達成、植民地主義には反対して、平和を要求するということだと言われる意見には、賛成であります。つまり中国を含めた――よく言われる言葉でいえばを含めたAA諸国の平和的な団結、それから平和の五原則を文字通り実現する、こういうことだと思うのです。これが総理の言われる、独立を完成し、植民地主義に反対し、平和を擁護する原則だと思うのです。ところが、所信表明の中身を見ますと、一つにはアメリカとの協力を強調してあります。そうしてその基本に立って経済と技術によるいわゆる経済開発に協力したい、こう書いてあるのです。ここのところが非常に問題ではないかと思うのです。総理が今言われた、第一に当面しておる問題、日本に望んでおる問題と、アメリカの政策を基本として経済と技術による経済開発に協力するということになりますと、これは申すまでもないことでありますが、アメリカの政策を基本とするのでありますから、このアメリカの政策を基本とする経済援助に一番反対しておるのが、共通した東南アジア詳国の考え方だと思う。というのは、これは、アメリカの経済援助政策のうしろにアメリカの世界政策やアメリカの軍事目的が控えておるのでありますから、ここを警戒しておるのです。これが第一に東南アジア諸国が考え、警戒し、反対し、心配しておる問題だと思うのです。そこのところへ持っていって、独立を要求し、植民地主義に反対し、平和を願っておるのが第一だと言われておって、行くのはアメリカとの協力を基礎にして経済と技術による経済開発ということになると、これでは相手国の納得を得ることがなかなかできないのじゃないか。日本の政府の真意を疑われるたけじゃないか。これは決して親善友好が成功せぬのじゃないか、こう思うのですが、この点については、どうお考えになりますか。
○岸国務大臣 私が昨日所信を申し述べました趣旨は、今私が申しましたようにアジア諸国においては、その植民地主義から解放された政治的な独立をさらに強化し、裏ずけるために、経済的裏づけをしようと努力をしておる、そうしていろいろな経済計画を持っておるから、日本としてはそれに十分に理解を持って、日本としてこれに協力をする、特に日本としては技術面において協力をすべきことが非常に多いということを種々申しておりますし、アメリカに対しては、アメリカと日本とが協力関係を持ち、アメリカと日本とが基本的な問題について十分話し合って、将来の提携を深めていくことが必要であるということを申しておるのでありまして、今御指摘のありましたように、アメリカの基本政策に従って、日本が東南アジアの経済協力をするというような趣旨では申しておらないつもりでおります。何かそこに私の言葉が足りなかったかもしれませんけれども、私はそういう考えでおります。
○川上委員 御答弁としては、そういうことになるのだろうと思うのですけれども、現実問題として日本は現在――これはわれわれも繰り返して言うたことでありますけれども、アメリカの政策というものを基調にして、軍事力を増強しておることは事実だと思う。それから軍国主義的な政策を強化しておるとよく言われますが、これもそうじゃないということはあまり言えぬのじゃないか。最近では、さきにも戸叶君が自衛隊が原子兵器を持つことは憲法違反じゃないかというようなことを言われておるが、これは理屈としてはいろいろありましょうけれども、政治としては、感覚としては、東南アジア諸国は最も警戒をする、こういう発言だと思う。それから平和五原則というのが、東南アジアでは最大の問題になっておるのですが、これには十分に同調はしておられぬのです。反対にアメリカの力の政策の方にはやはり協力をしておられる。それから中国の承認ということは、今は意思がないということを御表明になっておる。国連では原水爆実験の問題、これも先ほど出ましたが、それが実験禁止の提案の同調でなくて、実際は登録制というものを出した結果、これには政府の方としてはいろいろ理屈はありましょうが、インドは怒ったのです。インドネシアは失望した。日本の提案は実験禁止じゃなくて、実験の奨励であるとはっきり言うたのが、インドネシアの代表なんです。ここへお行きになるのです。それから今日の日本経済新聞を見ましても、こう書いてある。アメリカの経済援助は東南アジアは受けないのだ。そこで日本がかわってアメリカの資金と日本の技術という形で、肩がわりして東南アジアへ出かけていくのであるということを日本経済新聞が書いておるのです。こういうような事情でありますから、口ではそのアメリカの政策を基礎にして東南アジアへ行くのじゃないとか、軍事的目的は毛頭ないとか言われましたけれども、相手国があるのでありますから、相手国が心から納得するだろうか。日本がほんとうに平和的な政策をとりながら、経済の問題についても東南アジアへお行きになるということでなければ、外交というものは成功せぬのではないか、こう思うのですが、こういう点について総理の率直なお考えを聞かしていただければありがたいと思うのです。
○岸国務大臣 私は質問に対してお答えしたのですが、よく常識的にアメリカの資本と日本の技術と現地の資源及び労力というものを結びつけて、三位一体で東南アジア開発に当るべきだという考えを持っておるかどうかというお話がございましたが、今川上委員のお話のように、われわれはこの際いろいろな東南アジアの経済開発に協力するということは申しておりますが、これは協力を押しつけるべきものでなければ、その国民がほんとうに納得し、了解し求めておるものを、われわれが持っておるだけこれを持ち出して協力する、そうして彼らの念願である独立完成にわれわれも協力して、そうしてアジアの提携関係を深めていく、これがやはり世界平和の一つの大きな力になっていくのだという考え方にわれわれは立たなければならない。何か日本がその国々に対して一つの開発計画なり、こういう開発をしたらよろしいとこれを押しつけて、おれの技術を持ってくるのだ、われわれの持っておる技術だけにつきましても、そういう態度は間違ってておるのであって、われわれはほんとうにその国民が納得し求めておるところのものをわれわれが持ち出し、提供していくという謙虚な気持にならなければならぬ、こういう考えで、世間で常識みたいに一言われておる、三位一体の方式を東南アジア諸国に強要して、これでいくのだというふうな考え方は、決して持つべきものでもないし、私自身の持っておらないのであります。従って今回の旅行におきましても、十分これらの国々がどういうことを要望し、どういうことを、求めておるかということを率直に聞く必要があるのであります。ずいぶんそういう点において従来われわれの認識の不足な点もあろうかと思うのでありまして、十分そういう考えに立って今後話し合いをしていきたい、こう思っております。
○川上委員 時間がありませんから、この問題で議論をする余裕がないと思いますけれども、相手の考え方を十分に考えていかなければ外交はできないと思うのです。これは総理の言われる通りだと思います。ところが相手の考え方は、中国を含めたAA諸国の平和的団結、平和の五原則によるところのアジアの平和、ここなんですよ。ここの方へ日本の政治が乗っかっておらぬのです。そうして政策の基調はアメリカにあるのです。そうしますと、相手の気持ということを考えれば、これは気持に合わぬのです。今戸叶君から中国の問題についてはどうお考えになるかという御質問があって、これは私は至当な質問だと思うけれども、これに対して中国は承認しなければならぬと思うとは言われないのです。これでは向こうの気持には合わぬのですから、それでは東南アジアヘお行きになっても、相手国を納得させて、ほんとうに親善友好の美を結ぶということは困難だろう、これを言うておるわけなんです。これ以上は見解の相違にもなりましょうし、時間も非常に短かいので、やめますが、その問題について一つこれは率直に言わしてもらいたいのですけれども、そういうように総理は言われますが、また友好親善とか協力ということを言われ、また所信においても、戦後日本に対する東南アジアの支援、好意、これには深く感謝の意を表すると言うておられる。ここは非常にいいと思うが、戦争中は一体どうだ。これは一口も触れておられぬ。日本は戦争中に東南アジア諸国に対してどういうことをしたか。これは今度日本の総理としては初めてお行きになるのであります。総理大臣の訪問は戦後初めてです。この際に、この心がまえをはっきりしていかなければいかぬのじゃないか。これは日本の政府としても、私をして率直に言わしてもらえば、総理御自身としても、やはりこの数々の事柄についてみずから反省しながら、十分相手の国に対して心のあるところを尽すという態度をとっていかぬことには、ほんとうの親善外交というものはできぬと思うのですが、総理はこういう問題に対してどういう心情で御訪問なさるか、この点を簡単でけっこうですから、御答弁をお願いしたい。
○岸国務大臣 戦争中に迷惑をかけた国々に対して、特に重大な迷惑をかけた国々に対しましては、すでに賠償その他のあれによって日本の償いをすることになっております。戦争中に迷惑をかけた国々に対して日本が今後協力をしていく上におきましても、十分そのおわびをする気持を心に持って、謙虚な形で、先ほど申し上げておるように協力する場合においても、現地の要望なり何なりに対して、日本ができ得ることならばわれわれの力をもってお助けしよう、こういう気持になるわけでありまして、そのことにつきましては、十分な一つの心がまえを持っておるつもりでございます。
○川上委員 もう一点お聞きしたいのは、渡米なさることについてであります。所信の表明なさった中に、ここ一に日米関係は新しい段階に入ったということがあるのです。これは非常に重要な考え方だと思うのであります。このことは一言に言うてみれば、日本の国連加盟も実現したし、いろいろな条件も変ってきたから、今日では日本とアメリカはまずまず対等の形で話し合うことができる関係になった、そういう意味に理解してよろしゅうございましょうか。この点はどうでしょうか。
○岸国務大臣 ちょっと御質問の御趣旨を明確につかみ得ないのでありますが、私が新しい段階に立つに至ったと言いましたのは、今お話がありましたように、国連にも加盟し、日本がほんとうに国際の完全なる一員として位しておるし、その場合にソ連との国交も回復して、いわゆる対立しておる東西両方との関係も、国交の正常化し得るものは正常化していくという方針に出ておりました。いろいろな今日品までのアメリカと日本の関係を見ますと、サンフランシスコ条約によって日本は独立したとはいいますけれども、いろいろ占領下の状態からの延長と考えられるようなものも少くないのでありまして、ものの考え方にもそれはあると思います。いわゆる親米といわれる人々の考えの基礎にも、そういう考え方が全然ないとは言い切れないような状態である、ここに日本としては一つの完全な国際の一員であり、また日本の発言権が国際的にも重要な意義を持ってきておるというような段階に立っておりますから、この際また今後、私は自由主義の、民主主義の立場を堅持する場がゆえに、アメリカとの協調関係というものについては根本的にこれは強化しなければならぬと考えております、が、その見地に立って今までの関係をずっと総ざらいしてみて、新しいこの一段階に立って今後の行き方はこうしようじゃないかということを十分に話したい、こう思っておるのであります。
○川上委員 それについて具体的に一つ聞きますが、時間が十分ありませんので全部をまとめて聞きますから、一つ一つについてお答え願いたいと思います。 新しい段階に入った、しかし戦前からのいろいろなものが一残っておるので、根本的に検討しなければならぬ、その根本的にというのが、これはわからぬのです。どのようなことを研究するのかどんな理解でもつくのです。そこで、それを明らかにするために聞きたいのです。安保条約の第一条にはこれは宣戦布告の権限がアメリカに事実上あると思うのです。というのは、条約を見ますとアメリカ軍の日本駐留の目的は、極東における平和に寄与するためであって、これが駐留の目的でありますから、もし極東の地域でアメリカが戦争をする場合、その場合には日本の駐留軍は直ちにそれに参加するのが駐留の目的になっております。日本の基地はすぐ戦争の基地となるのが、これが駐留の目的であります。そうしますと、日本には憲法にどういうようにありましょうとも、そういう場合には自動的に日本は戦場になると思う。これが安保条約の第一条の内容だと思うのです。こういう点について、これはどうするお考えであるか。 第二点は、駐留軍の配備に関する規制は、行政協定で定めるこう安保条約に書いてある。ところが行政協定には何も定めてない。何もないのです。そこで配備の規制はアメリカの自由自在になってしまう、こういう関係になっている。これをどうなさるおつもりであるのか。第三点は、国内の騒擾に対して、アメリカ軍が出動する条項があるのです。これはもちろん独立関係ではないと思うのです。こういう点について、どうお考えになるか。 第四点は日米合同委員会でありますが、ここの決定事項というものは事実上条約同様の強制力を国民にもたらしておるのです。これは事実上です。ところがこの委員会の日本代表の任免監督権がどこにあるのか、これを総理はどうお考えになっておるか。なぜ私が聞くかというと、岡崎外務大臣はかって、私には任免監督の権限はないということを国会で言っておられる。そうするとこれはわからぬことになるのです。現在どうなっておるのか。 第五点としてはアメリカは原子兵器の持ち込みは実は自由になっておる。総理は拒絶するというようなことを言うておられますけれども、条文の上では拒絶する権限は日本政府にはないのです。ないのです、条文の上では。国際関係というものは道徳問題だけじゃありません。道徳問題のみではないですから、やはり条文にないということになれば、最後のどたんばにはこの条文がものを言うのですから、こういうことに実際なっておって、断わるとおっしゃるけれども、条文じゃ断わる権利はないし、アメリカは日本に相談しなければならぬ義務もないのです。これは一、二の例でありますけれども、さらにMSA協定になるともっとひどいのです。これはただ軍事のみならず政治、経済一切に至るまで、アメリカと協調しなければできぬようになっておるのがMSA協定なのです。こういう形になっておるのを、根本的に検討するとおっしゃいますけれども、そこがわからぬのです。これはどういうようになさるのであるか。具体的に一つ知らしていただきたい。国民はこれを心配しておる。
○岸国務大臣 しばしば同様な御質問に対してお答えを申し上げおるのでありますが、私はアメリカとの今回の話し合いにおきまして、こういう問題にも当然触れることは申し上げておりますから、具体的にわれわれの考えや、また今回の旅行の目的がそういう意味における交渉をして、これを改正するとか変更するとかいうことの交渉をいたすわけではございませんので、今御質問になりました具体的に申し上げるということはできないのであります。ただ一つ合同委員会の日本一側の人事について任免及び監督がどうなっておるかというお話でありましたが、岡崎君がどういう返事をしておるかしれませんが、当然これは日本側において任免及び監督の権限を持っておるものでございます。
○川上委員 日本側のどこの機関が持っておるのですか。これは総理大臣ですか。外務大臣ですか。だれですか。
○岸国務大臣 内閣において持っておると解釈しております。
○川上委員 もう一点、この問題になってくるとやはり総理の御答弁はさっぱり要領を得ぬことになる。これは具体的なんです、私の聞いたのは。こんな話し合いをするつもりじゃないのだというのだったら、安全保障条約の問題については何も検討せず、アメリカに行って話さぬということになる。ところがこれは話されるはずなのです。そういうことになっておると思う。どうもこれはごまかしておられると思います。いい工合に言えぬのかしらないけれども、しかし時間がもうないのだという札がきておりますから、そう長く続けられぬ、はなはだ遺憾でありますけれども。 そこでもう一つ伺いたいと思います。安全保障条約は御承知のように条約締結の根本において、第一は無責任な軍国主義の脅威、これが一つ。第二点、日本が当時何の自衛のための武装力も持っておらぬ、こういう二点。これが安全保障条約の根本なんです。この条約締結の基礎なんです。この二つは、今もうないと思います。無責任なる軍国主義、日本が無責任な軍国主義として考えなければならぬもの、これは極東にはない。自衛力は相当のものをもう御承知のように作ってしもうた。兵隊、軍艦、飛行機、戦車まであるのです。その上に誘導弾の持ち込みもやろうかやるまいかというようなことになっている。そういう基礎がないのですが、その上に世界の緊張が緩和しておる、ソビエトとの国交が回復したのです。中国との親善友好は全国民の希望するところだ、国連には加盟した、安全保障条約の基礎は一つもない。これは根本的に検討するのじゃなくて、基礎がなくなったのです。これは基礎があるとお考えになりすか。 さらに安保条約が必要だと言われるが、基礎がもうないのですから、どういう論拠でこれは必要だと言われるか、この点を一つお聞きしておきたい。
○岸国務大臣 私は、安保条約と行政協定を再検討してみたいということは申しております。そうしてより合理的基礎にこれを置かなければならぬということを申しておりますが、それはこれが締結された当時は、今川上委員の言われたように、全然日本の自衛力というものはゼロであった。また国際連合にも加盟しておらなかったが、この事実が当時とは非常に変った状況である。しかし私はまだ遺憾ながら日本の自衛、防衛の体制が、完全に日本の独力で日本の安全保障をするという域にはまだ達しておらない、こう考えるのであります。従いましてそういう意味においてまだこの体制そのものを全然廃棄するという段階ではないと思う。しかしこの締結した当時の事情と、今申しましたような点における変化というものは、当然この条約、協定というものを再検討すべき必要を生じておる、こういうふうに私は考えます。
○川上委員 これで質問を終りますが、その再検討された結果、今私の申しました具体的な質問に答えられないと言われるような状態、それで根本的にこれを一つ検討すると言われると、必ずこれはこういう状態以上の条件が整わなくては、何ぼ根本的検討をしてもアメリカが応ずることはないと思う。やはり不喜平等であると称する条約を双務的な条約に変えるというこの方向を考えておられるのだと思いますが、しかしこれはそうじゃないという論争になりますから、この点については、これは国民が最も心配しているところであるし、アジアの一平和の問題に重大な問題でありますから、この安全保障条約、サンフランシスコ体制の問題については、真剣に総理はお考えになる必要があると私は思う。小手先の問題ではない、不平等とか双務とか言うちやいかぬというだけの問題ではないと思う。国の運命、民族の将来に関する問題だと思いますから、十分にこれは御研究になって、しっかりした態度で当られんことを希望して、私の質問をやめます。
○野田委員長 森島守人君。
○森島委員 同僚の山本委員から日韓問題については御質問がありましたが、私きわめて簡単に補足的な意味で御質問したいと思います。 実は岸さんが相互釈放を渡米前にやるとおっしゃったのは、四月五日で私の質問に対してです。当時時間的の余裕もありますので、関係業者、ことに抑留漁夫の家族等においては安心しておった。これは実行できるのだろうというふうに考えておりましにが、その後東南アジアの御訪問が発表になりましにので非常に焦慮の念を抱いておることは事実です。これはお考えに入れていただかなければならぬ。そこで私のお尋ねしたいのは、岸さんは今でも日韓交渉、相互釈放の問題は、事務的なレベルにおいて話し合いをしたいというふうにお考えになるのであるか。二、三日前の新聞によりますと、石井国務大臣は、私らの見解と同様に、すでに事務的のレベルの段階を離れた政治的折衝よる以外にないということをあなたに建言したということを言っておられます。これに対しても、あなたは依然として事務的レベルで結末をつけたいということをおっしゃったと聞いておりますが、この点はいかようにお考えになっておりますか。事務的レベルで話し合いを続けるというお考えでありますか、あらためてお聞きしたい。
○岸国務大臣 これがおくれております理由はいろいろありますけれども、先まど申したような韓国側の代表部の人事異動とからんでおったことは事実であります。政治的折衝段階と申しますか、折衝によってをいう意味が私よくわかりませんけれども、事務的ということは、事務的にやらなければならない部分と、最後に日本政府として腹をきめなければならぬこともある。また韓国政府として腹をきめてもらわなければならぬ点があることは事実であります。そういうことをもう少し今までのレベルよりもいわゆる高いレベル一で話し合う必要があるのじゃないかということにつきましては、韓国側の今度の人事異動に伴いましてその点を十分にわれわれとしても考慮いたしております。あるいは正式に金大使が任命されれば、正式に私を――外務大臣をたずねてくることだと思います。従来の事務的折衝によって到達しておる点、及び多少の懸案になっておる点等につきまして隔意のない話し合いをして最後の結論を出して、ぜひとも私の渡米前に相互釈放だけは実現したいということを強く考えておるわけであります。
○森島委員 そういたしますと、従来この折衝には中川局長が当っておった。中川局長は今度岸さんに随行して東南アジアに行きます。事務的折衝を続けるといたしますれば、二週間、少くとも二十日間くらいは開店休業なのです。その責めの一部が韓国側の人事異動にあるかもしれませんが、私は日本としてもこの二週間ないし二十日間の期間というものは、日韓会談については非常に重要な時期だと考えておりますが、この際中川君の随行をやめて従来の交渉を継続させるという御意向がありますか、どうですか。もし中川君の随行を取りやめることができぬとおっしやるならば、中川君にかわってこの交渉に当るのは、だれであるか。おそらくアジア局長代理というものもできましょう。だれがこの折衝に当るか、この点を明確にしていただきたい。
○岸国務大臣 相手方が一応金裕沢大使が正式に任命されますとわれわれの方も実はこの交渉につきましては、一応形式的には次官をもって交渉の相手に充てるつもりでおります。それでおそらく私が東南アジアに立つ前に金大使とも正式に会う機会があるのじゃないかということをひそかに考えておりますが、そういうことで今の中川アジア局長を私が連れていくことによって、何か事務的その他においてこのものが停頓することは、万々ないようにするつもりでございます。
○森島委員 実は私たちの懸念しておるのはその点です。従来中川君と金公使との話し合いが順調に進んでおって、ほとんど両者の意見が合致しておる、一、二点だけ一致しないという御説明が中川局長から再三この席上でございました。しかるにその後、あなたからお話があったから私は申し上げますが、大野次官が外務省に帰ってきました。そうしますと、ここにあえて私率直に申し上げますが、慎重論というものが出てきた。一例をとりますれば、いわゆる刑余者を帰すという刑余者という文字を使ってはいかぬ、刑余者ということを認めるならば、李ラインというものを間接に認めた結果になるというふうな慎重論が――まだほかにもございましょうが、慎重論が出てきた。ここに初めて外務省内に慎重論と中川君の促進論、この二つが対立した関係になったということは有識者全部知っておる。そこで私が一番懸念するのは、大野君は、大野・ガルシア協定で煮え湯を飲まされた苦い経験もありましょう。この大野君のような議論をもってやったならば、岸さんの東南アジア訪問の留守中、この話が結末がつくかどうか、非常な懸念を私は持っておる。これは私のみならず、関係方面では同様に見ている。そこで私はもう一つお尋ねしたいが、あなたがアメリカヘお立ちになるまでに、金大使でございましょうか、それと大野君との話し合いがもしつかなかった場合には岸さんとしては政治的裁断を下すべき時期に到達したものと私は断定せざるを得ない。その際におきましても、あなたは依然として事務的折衛を続ける、そして相互釈放は、あなたの言明を裏切って渡米前に実行できないということがありはしないかということを憂えているのです。私は渡米前に必ず実行するという言明をこの際得たいのです。その際においても政治的裁断をちゅうちょせられるかいなか、国民は刮目して待っておりますから、この際はっきりした態度をお示し願いたいと存ずるのであります。
○岸国務大臣 私の東南アジアに参りますについて、あとを大野次官にやらせるにつきましても、私は私の方針を明らかに授けて折衝をせしめるつもりでおります。また大野君が従来この事務的折衝について、さらに次官としていろいろな注意を与えておったことも事実でありますけれども、何か慎重論と即行論と――必ずしも中川君自身も即行論というべきであるかどうか、非常になにがありますし、慎重論というようなものが対立して、それがおくらしたというような印象を与えておるとすれば、私の外務大臣において行われたという印象を与えたとするならば、これは外務大臣として非常に責任のあることでありますけれども、言うまでもなくごの問題は、過去における例から申しましても、ただあそこの人を釈放し合うというだけの問題というと簡単でありますけれども、続いて一カ月以内に正式会談を開くということが条件になって話がいっているものですから、全然切り離して、正式会談はまた別だというわけにはいかないというようなことがあるわけでございます。その正式会談における交渉の、起るべきいろいろの事態を頭に置いてすべて取りきめをする必要があることは、言うを待たないのであります。そういう点においていろいろな意見もありますし、注意も出ていることも、これも事翼であり、これは事務的に考えて当然だと思います。しかし中川君が私と一緒に東南アジアを旅行し、それにかわって大野君が折衝に当ることによって事を遅延するというようなことは絶対にございませんから、その点は御安心を願いたいと思います。いずれにしましても私としては、先ほど来申し上げているように、ああいうふうに、行くまでにはぜひともこれを実現する考えであるということを申し上げておきます。ただ一面、多少ここにゆとりのなにがあることは、私はそういう強い希望を持っておるけれども、相手方のあることでございますから、これは必ず私一個ですべてがきまるという問題ではないし、またそれをやる上において非常な支障のあるような点まで、将来の正式会談における困難を非常に増すような危険のあることも私が認めてそしてやるというわけにもいかないことも、御承知の通りであります。それらの点を考えてやりますけれども、私は非公式に来ている金裕沢氏の考え方から見ましても、私が強く希望しているアメリカ訪問前に相互釈放だけを実現するということは十分実現性のあることであり、私としてもぜひともこれを実現させたい考えでいるということを重ねて申し上げます。
○森島委員 これ以上お尋ねするのもどうかと思いますが、相互釈放をやれば一カ月間に会議を開き、そこで重要問題を討議する。重要問題についてあらかじめ了解をつけておくということを必要としておられるのだろうと私は推察いたしますが、そういたしますれば、再開後の日韓会談というものは重要問題はほとんど解決している。会談なんか大して要りはしないのだ。その一ヵ月後に開かれる会談において重要問題が討議されるからこそ相互釈放を急ぐということなんで、もしあらゆる点について了解をつけるなら、これがつかない場合には、永久に、相互釈放も含めて日韓会談全部が停頓する結果になることはおわかりの通り、私はこの際はっきりした言明を得られないことは、事情は了解いたしますが、先方がおるからとかいうことでなしに、もし先方においても大した支障がないくらいのところなら、政治的裁断によって相互釈放を実行して一カ月以内に会談を再開されんことを希望してやみません。 次にお聞きしたいのは、岸外務大臣はあまりこの委員会にお出かけにならなかった。私としてもやむを得ず事務当局に質問をしまして、御答弁をあなたに期待しておったものであります。一つは民間通商部の問題、この問題を私が取り上げたのは二月十一日か二日です。そのときに、民間双方の話し合いの模様を見てきめたい。法律は無視するわけにいかぬが、何らか便法があるような趣旨の御答弁がございました。すでに五月四日で第三次協定は効力を失っております。そうなりましたのも、一つには指紋の問題、ささいな問題のようでありますけれども、それが支障になっている最も大きな点だと思いますから、この点についてはもし法務省、外務省等の間で見解の一致を得ない、そのために進捗しないならば、外国人登録法を改正する意図があるかないかということをお尋ねしておいたのであります。この点について外務大臣の御意見はいかがでございますか。
○岸国務大臣 いろいろ検討をいたしたのでありますが、今日この外人のいわゆる指紋をとる根拠になっている法律を改正するということにつきましてはいろいろな困難がございますので、これを改正することは適当でない、こう考えております。また民間の折衝につきましても、これが非常な一つの問題であるということは、森島委員の御指摘の通りであろうと思いますが、いろいろ便法等につきましての民間同士の話し合いなり両方の折衝というものも、まだ具体的に意見がまとまったような点も出ておりませんので、私はその具体的なまとまった方法等について、具体的に便法の問題についても最後の決断をしなければならぬと思います。いろいろの場合を想定して、こういう場合にはどうだ、こうしたらどうだというような研究はいたしております。また民間の代表との間にも話し合いがありますけれども、またこちらの側の意向というものも十分まとまったという段階ではなしように聞いております。われわれとしてはいろいろな場合を想定して、こうしたら一つの便法じゃないかというようなサゼスチョンに対しても、それぞれの場合を想定して研究はいたしております。ですから、もう少し話が民間同士において具体化してくれば、いろいろな点についてさらに考えてみなければならぬ。事務的に、また法律的に解釈しますと、非常な困難なものがある。しからばというてこのために改正するということはとうていできないという事情になっておりまして、私としては一つの具体的な便法というものが、ほんとうにもう少し押し詰められて真剣に考えられるようになれば、政治的の処断をしたい、こう思っております。
○森島委員 外国人登録法のことにつきましては、法務当局にも実は私は見解をただしたいのです。世界で指紋をとっておる国は、大体二十何カ国、大体移民の受け入れ国、――多数の移民が入ってくれば、治安等の関係上指紋をとる必要があるということは当然です。日本も当時占領後六、七十万の朝鮮人がいたために、この法律の制定を必要とした。むしろアメリカの法律をそのまま焼き直して、アメリカ側が日本へ押しつけたと申しても差しつかえない。この点から見ますと、外国人登録法というものはすでに目的の大半を達しておる、改正をしてもさしつかえなう済んでしまいますし、改正しようにもしようがありませんから、ぜひとも便法をお考え願いたいと思います。 その次にもう一点伺いたい。これも政務次官にお聞きしましたが、今パリで開かれておるチンコム、この問題についてある申し合せができましたときには、秘密会でもよろしいですから、これを国会に提示して審議を求める御意図があるかいなかという点をお聞きしたいと思います。
○岸国務大臣 これはチンコムの今パリで会議をされておりますそれがどういう申し合せになりますか、申し合せの内容や、またその際における各国のこの申し合せについての取りきめというようなものと見合せなければいけないことで、必ずこれを秘密会なら御発表をしますということを今お約束するということは、私はむずかしいと思います。
○森島委員 それじゃお開きしたい。旧点法のもとにおいては枢密顧問官の会議に、これら渉外的な重要問題はすべて諮問に付さなくてはならぬ。私今成文を持っておりませんけれども、そうすると旧憲法の時代においてすら、外交大権を持っておった政府が枢密院に諮問をするという制約的な制度があった。しかして現在の新憲法のもとにおいて、このような重要問題を国会の審議なしに制定し得るということは、私は非常な大きな問題だと思う。私は植原さんの委員長時代にもこの問題を取り上げました。非常に慎重に考慮すべき問題であるという御意見もございましたが、私は岸さん自身がこの間も誤まってチンコムの条約とおっしゃったほどあなたが重要だとお考えになっておる問題を、国会の審議に付することができるかできぬかという点については、私非常に疑問に思う。この点重ねてお伺いをしたいと思います。
○岸国務大臣 今申し上げました通り、私が条約と申し上げたということにつきましては、その当時私のはなはだ不明であったことをおわびして取り消したのでありますが、この取りきめにつきまして、従来これらの扱いにつきましては、各国とも国会の承認を受けるとかなんとかいう手続きをとらないことにして、事の内容がいろいろな商売の機密にも属することであるし、また共産国――相手国に対する関係も考慮されて、一切秘密にするという扱いできておるわけであります。従いまして、日本だけ、それに加入しておって、そして別個な扱いをするということは、これは森島委員も御承知だと思いますが、なかなか国際慣例としてはむずかしいことじゃないか、こう思うわけであります。
○森島委員 それですと、この間じゅうしばしば――私新聞の記事を持ってきておりませんが、アメリカ側の官憲筋から出た情報によればということで数回詳細な内容と私は思うのですが、新聞電報によって伝わっております。それから現に読売新聞によりますと、外務省の当局自身も政府当局間限りの相談ではどうもならぬというので、国際貿易促進協会等と一緒に官民合同で研究をしておるじゃないですか。この点から言いましても、私は国会の審議に付せよという点については一歩を譲りましても、適当な時期にこの内容について国会に説明をし、またでき上った上はその内容を国会に説明されることが、私は妥当だと思うのですが、これに関する御意見を伺いたい。
○岸国務大臣 ちょっとその事情が、新聞に出たのは今お話のような事情じゃないようですから、事務当局から……。
○佐藤(健)政府委員 ただいま御指摘の読売新聞に出ました記事は事実無根でございまして、私が調べました範囲におきましては、そういう民間の希望表を作って外務省の事務当局に持ってきた。これをココムにおいて貫徹できるようにしてもらいたいということで表を持ってきた事実はございますが、しかし外務省員がそれに参画し、かつそこに書いてありますように、そういう決定をしたという事実は全くございませんので、これはその記事に基きまして先方に厳重に注意をいたしました。
○森島委員 しかしこれで見ますと、官民合同協議会を開いたということになっております。私は日本側の希望のリストを持ってきたという点は、あるいは是認できるかもしれません。しかし少くともチンコムの問題について官民合同の協議会までやったという記事が出ている以上は――これはあなたの方で何らお取り消しになっていない。もしこの重要問題について間違っているなら、これを即刻お取り消しになるのが、私妥当だと思う。その措置もとっておられないところを見ると、私は、外務官僚としてはわれわれをごまかすのじゃないかという印象を持たさるを得ない。そこで大臣にお聞きするのですが、もしパリで申し合せができたときには、これは秘密会でもけっこうです。国会の審議に付するという点は、私は譲歩いたしましょう。しかしこれを国会に出して十分意見を聞く、経過を説明するという親切なる御措置をおとりになる意思があるかないか。私は外務省のために右のような措置をおとりになった方が、外務省の威信を高めるゆえんだ、こう存じておりますが、いかようにお考えになっておりますか、御所見を伺いたい。
○岸国務大臣 御意見の点はよく承わっておきますが、先ほども申し上げましたように、これはパリにおける委員会の会議の内容や会議の結果につきまして、どういう取りきめが行われるかということにも基くと思います。従って必ずこれをそういう形において報告し、発表する――これはどうせ日本のなにから言いますと、秘密会でそういう説明をいたしましても、おそらく今言うように新聞等に出てくるということを防ぐ手段はないと思うのです。そういうことが、国際的のこの会議における申し合せや趣旨からどういうふうになるかということも考えなければならぬ。従いまして御趣旨の点はむしろ私もよく了解できるのでありますけれども、ここで必ずそういたしますということをお約束することは差し控えたいと考えます。
○森島委員 その点につきまして重ねて慎重に御考慮願うことを要望いたしまして、私の質問を終ります。
○野田委員長 松本七郎君。
○松本(七)委員 岸さんはせんだってからのいろいろな御答弁などで、アジアが二分されておる原因あるいは自衛力を漸増したければならぬ原因として、外部からの侵略の脅威ということを言われております。この侵略の脅威ということの具体的内容は、どういうものを考えておるのでしょう。
○岸国務大臣 これは抽象的に考えまして、われわれがなぜ自衛力を持たなければならぬかといえば、やはり国民が他から不正な侵略は受けないという一つの安心感を持つということが、私は基礎だと思うのです。日本の仮想敵国とか、どこからどういう侵略があるのだというような具体的なことを申し上げるということは適当でないのみならず、またわれわれとしてはそういう具体的なことをここで取り上げて研究し、それに対応する力を作るのだというような考えではないのでございます。
○松本(七)委員 そうすると岸総理は、具体的な侵略の脅威はないと考えられるのか、それとも、あるけれども、それは言明できないと言われるのか、いずれですか。
○岸国務大臣 いろいろ国際情勢の分析につきましては、防衛を担当しております責任官庁等におきましては、いろいろな場合を想定し、いろいろな国際的の情勢を検討いたしております。私は大きく申しまして、世界の情勢は一つの雪解けの方向に進んでおる。いわゆる平和に対しての一つの方向に進んでおるという見方をしておりますが、同時にそういう場合にあっちこっちにおいて紛争が起きる、これは現に東欧や中東等にもああいうふうな事件が起っておるのでありますから、そういうこともやっぱり常に注意しておかなければならぬという国際情勢の判断等もありまして、そういうことは申し上げるまでもないことでありますけれども、具体的に申し上げることは、いろいろな研究はしておるけれども、それは仮定であり、現実がどうだというようなことを申すということは、これはどこの国においても私はできないことであろうと思います。
○松本(七)委員 先ほど原子兵器の憲法上の解釈について、戸叶委員、川上委員からの質問に御答弁になったのですが、あれは単なる法的な解釈論、こういうことだったのですけれども、実はここに問題があると思う。総理大臣が答弁されるのですから、やはり純然たる法律学者なり法律家としての答弁じゃない。これは当然外国にも響いていきます。今までの日本の自衛力の漸増の過程を考えてみると、たとえば防衛庁なら防衛庁で、ある程度の計画を立ててくる。それに見合って国会における総理なり外務大臣あるいは防衛庁長官の答弁が、だんだん変ってきておる。われわれはその答弁と自衛力の漸増の実際の歩みと照らし合せて考えてみると、どうもこの国会ではこの程度の答弁をやるというようなめどがつけてあるような気がする。私は国民が疑うのは当然だと思う。事実上憲法上の解釈がいつも国会によって変ってきておるのですから、これは単なる法理論だ、政策じゃないのだといっても、それはやがて政策となって今まで実現してきているのですから、そこに国民が心配する大きな原因があると私は思うのです。ですから今までの過程から考えれば、総理大臣あるいは外務大臣としては政治的に、すべてを総合的に判断して答弁されないと、あるいは親切な答弁をして、法理的にいえば、それは自衛のためのあれから、この解釈自身にも問題がありますけれども、そういう解釈をされると同時に、政策的には絶対にやらないのだということをやはりはっきり打ち出していただかなければ、国民は不安だろうと思うのです。その点と、それから今度の核兵器云々のことも、何らか防衛庁における計画とマッチした答弁じゃないかという疑いが持たれておるのですが、この二点をお伺いします。
○岸国務大臣 憲法論につきましては、いろいろ今国会におきましても御質問があり、そうして政府の答弁がまちまちではないかというようないろいろな観点からの御質問がございまして、過般政府の統一した法律解釈というものをわれわれがお答えをしたのであります。その点に関して御質問がありまして、私はいわゆる法律論をお聞きになりますから、法律論としてはこうだ、しかし政策――そのときに私ははっきり申し上げたわけであります。速記録をごらん下さればわかると思いますが、この委員会におきまして、政策論としてはこうだということをはっきり申し上げたのでありますけれども、いろいろと新聞等の取扱い等からそういう印象を与えたということは、私自身としても非常に以外であり、またはなはだ不本意であったとおもうのであります。 次に、私どもがそういう解釈をしたことが、何か防衛庁の防衛計画というものとの間の伏線ではないかという意味の御質問でありますが、全然そういうつもりではございません。ただ私どもが今国会に三十二年度の予算を提出した場合において、この防衛力の漸増ということについては、従来もっぱら数の点に重きが置かれたような印象であるけれども、われわれはむしろ数よりも質に重点を置いて、漸増の方針をとりたいということを申しております。質ということになれば、それは何だという御質問が出ることは当然だと思いますが、それは一面において、これらの自衛力の、自衛隊その他のものの装備ということになるわけであります。やはり装備が完全なものといいますか、有効なものでなければならぬ、装備に非常に欠けるということがあっては、ただ自衛隊の数とか、あるいは海上自衛隊のトン数であるとか、飛行機の機数というだけではいけないので、やはりそれの性能ということを考えていかなければならないというふうな問題もありましょうし、装備のことを考えなければならぬということもありましょう。それらの点については、やれはり科学の発達や技術の発達に伴って、内容的に変っていくということも、これも私は当然であろうと思います。そういうことから考えまして、純粋理論的に言うならば、科学の発達がどういうようなところまで及ぶかということも、われわれのほとんど想像できないような発達もあり得るわけであります。また実際今までやってきているわけであります。そういうあらゆる場合を考えて、純粋憲法論としては解釈の理論を立てることが必要であるということからきているわけであります。具体的に何か誘導弾を持ち込むとか、誘導兵器を持ち込む一つの伏線として言った、あるいはさらに今行われておるような核兵器を持ち込む一つの伏線ではないかというような疑惑が出てくるかもしれませんけれども、私もはっきり申しておるように、そういうもので装備するという意思は毛頭持っておらぬということを、憲法の法律論と政策論とあわせて私としては言明しておるつもりでございます。
○松本(七)委員 岸さんの立場は、自衛力の必要を認められておるし、武器の発達に伴って漸増しなければならぬという、そうして憲法も改訂しなければならぬという立場、その立場から言えば、そういう論になると思います。国民の、どのくらいのパーセンテージになるか、これはわかりませんけれども、相当な部分は自衛力の漸増そのものを否定しているし、それから憲法を改訂するごとそのものに反対している意見というものが相当あるのですから、その立場から言えば、その意法は今一種の保障になっているわけです。この軍備を持てない、あるいは自衛力を漸増できないというところの反対者の立場から言えば、今のいわゆる平和憲法というものがそれの保障になって、いるわけです。そういう場合に、たよりにしている保障に対して、政府当局がいや憲法解釈上は核兵器もできるのだということを言われれば、その反響は大きい。これがただ国内に対する反響ばかりじやなしに、きつき川上さんの言われるように、東南アジアその他の、日本の軍国主義復活に非常に神経をとがらしているアジアの諸国にとっては、非常に大きな影響があると思う。そういう点を十分考慮して発言していただきたいと私は思うのです。 そのことで私は次いで具体的にお伺いしたいのですが、現在アメリカ駐留軍が使用しておる原爆機の発着できる飛行場は幾つございますか。
○千葉(皓)政府委員 特に原爆機ということですか。飛行場で発着させる……。
○松本(七)委員 可能な飛行場です。
○千葉(皓)政府委員 それは私どもそういう資料を持っておりませんので、ちょっと申し上げかねます。
○松本(七)委員 あるのですか、ないのですか。
○千葉(皓)政府委員 原爆機ということがどういうことを意味されますか、それによって違うと存じますが、過般来問題になっております飛行場拡張問題、あの飛行場拡張の必要となりましたのは、ジェット飛行機の発着を可能ならしめるために、そういう飛行場の拡張が必要となってきておりました。ただいまそれがでるきようになっておりますのは、まだその拡張で完了したものはございませんが、横田とそれから近く名古屋の小牧飛行場、この二つの拡張が完成すれば、いわゆるジェット機の発着ができるようになる、そういうふうに承知しております。
○松本(七)委員 そうすると原子弾頭、ロケット発射場はどのくらいありますか。
○千葉(皓)政府委員 そういうことのためのものはございません。
○松本(七)委員 そうすると原子兵器の地下貯蔵所はどうなのですか。
○千葉(皓)政府委員 ただいま原子兵器のためとおっしゃったようでございますが、私どもの知っている限り、原子兵器のための貯蔵所というのはございません。
○松本(七)委員 総理大臣も御承知のように、ロケットというのは原子弾頭さえつければすぐできるのですね。ふだんはいわゆる原子弾頭を持ってこなければ原子兵器ではない。原子兵器のカテゴリーに入らないものが、原子弾頭さえ持ってくればすぐ原子兵器に変るわけなのです。そういうものが今の局長の答弁にもあるように、横田あるいは小牧の飛行場が完成すればジェット機も飛べるようになるし、いわゆる原爆搭載機も発着できるように近くなるのですね。それはアメリカ軍のやっていることだからといえばそれまでですけれども、将来だんだん自衛力を漸増して、アメリカ軍には帰ってもらおうという立場をとっておられる岸さんとしては、しかも核兵器は政策としてはこれは持ち込みも許さないし、自分の方も持たないと言われる以上は、そういうものを使用できるような設備そのものも持たないようにしておかなければ、いざ事が起ったときに、ここだけは使用禁止なんといってもできないのです。ふだんからそういうものをなくしておかなければならぬと思うのですが、その御用意がございますでしょうか。
○千葉(皓)政府委員 ただいま松本先生のお話では、ジェット機がすなわち原爆搭載機というふうにおっしゃったようでございますが、私は決してジェット機がそのまま全部原爆搭載機であるという趣旨で申し上げたのではございません。御了承願います。
○岸国務大臣 われわれはもちろん今お話のように原水爆もしくはこれを中心としての核兵器を持たぬということを私ははっきり言うておるのでありますから、そういうものを持たないのみならず、それに必要な設備とかあるいは装置とかいうものも必要のないことは、言うを待たぬと思います。
○松本(七)委員 それから日中国交に関して今はその時期でないと言われておるのですが、参議院の委員会において、曾祢さんの質問に対する御答弁で、アメリカと何らか話し合う、ただ傍観しておるのじゃない、ただ情勢待ちじゃないのだ、ある程度の話し合いはするかのような御答弁があったようですが、私のお聞きしたいのは、それでは具体的に言えばどういう条件が整ったときをもって日中国交回復の時期とお考えですか。
○岸国務大臣 主として私は国際情勢がそれを可能ならしめるような情勢を作り上げていく必要があると、こう思っております。
○松本(七)委員 そのための具体的な努力の一つとして、国連において中華人民共和国代表の代表権が議題になっているというようなことも、当然これは一つだろうと思うのです。正式な国際団体の一員に入るか入らないかの問題ですから。そうすると日本が積極的にこの問題を国連に持ち出して、中華人民共和国政府に代表権を与えるという提案をされる御用意がございますか。
○岸国務大臣 私が国際情勢と言っておるのは、国際連合における一つの今までの経緯や、国際連合の大多数がとっておる一つの考え方というものも一つの問題であります。また日本が中華民国政府との間に正常なる国交を回復して、これの条約関係というものも、これも一つの関係でございます。これらの点を十分に考えて、日本の国際信義と、それから国際情勢というものとのにらみ合せでものを考えていかなければなりませんから、現在の状況で直ちに日本が中華人民政府の代表権を提案するということは、私はまだ困難な状態であると思います。
○松本(七)委員 これは私再三言うように、アメリカは極力この問題を避けようとしておりますけれども、これはアメリカ一人でもう拒否できなくなる情勢になると思います。第一インドあたりから中華人民共和国政府に代表権を与えろという提案があるかもしれぬ。そういうときにそれではどうされますか。現に今度インドに行かれて、ネール氏と会われたときもおそらくこの中国の問題は出ると思うのですが、そのときに向うから国連で代表権の問題を出した場合どうするかという相談があったときに、それではこれをむしろ時期にあらずといって押さえられますか。
○岸国務大臣 これは国際的に申しますと、アメリカは中華民国政府だけを認めて、中華・人民政府の方は認めておりません。英国は中華人民政府を承認しておりますが、日時に中華民国政府をこの国連の主要なる常任理事国の一つとして、それとやはり国連において重要なる問題を提起しておる。一方それでは二つの中国を認めておるのかというとそうでもない、ようなきわめて不明確な状態にあります。従いましてこういう国際情勢のもとに、インドがそういう提案をしたからといって、直ちにこの問題が解決するという情勢ではなしと私は思います。こういうあらゆる大国なり国際連合の諸国が考えていることの不統一というもののよって起るところ、それらのなにを調整するということをまずやらないと、ただ一つの主張だから一つののろしをあげろというふうなことでは、やはり日本が国際連合に入り、日本の発言というものをみんなが相当傾聴する、また将来も傍聴さしていかなければならない立場こある日本としてただ今の情勢を全然無視したよう提案をしましても実現できない、かえって結果としてはうまくいかないのではないか、私はこう思っております。
○松本(七)委員 これは日本が国際社会に処していくために、台湾政府を正式政府として認め続けることがいいのか、あるいは中華人民共和国を正式の政府として承認し、国連の代表権を認めるのがいいのかという観点から判断しなければならない。それは現にいろいろ国によって意見が違うでしょう。その大局的な判断のいずれを現在岸総理大臣はとっておられるかということを具体的に聞いておるわけです。インドはおそらく大局的判断から中華人民共和国の代表権を認める時期だとして提案してくるでしょう。そういう場合にさにあらずといってこれを押えちれるのか、それともほかの大国諸国の意見を聞いてから返事をしましょう、態度はきめましょうというようよあいまいな態度でこれに対処されるか、いずれですか。
○岸国務大臣 それは私が国会を通じてわれわれの所信を明らかにしておりまずように、われわれの政府としては、今日もしインドその他の何でそういう提議がありましたとしても、われわれはその段階でないという所信を述べるほかはありません。
○野田委員長 大橋武夫君。
○大橋(武)委員 私はこの機会に沖縄の海岸に沈没いたしております日本の艦船の引き揚げの問題につきまして、簡単に外務当局にお伺いいにしたいと思うのでございます。今日沖縄に沈没しております日本の艦船の引き揚げにつきまして、日本側から沖縄に対して引き揚げの許可の申告をいたしておりますものが相当あるのでございますが、これらにつきましてはいまだ許可の指令を得るに至っておりません。関係者といたしましては非常に苦慮いたしておるのでございますが、これはただいまどういう状況になっておりますか。外務省でおわかりならば一つお漏らしをいただきたいと存じます。
○井上(清)政府委員 お答えを申し上げます。琉球の周辺に相当の旧日本軍の軍艦並びに船舶が沈没をいたしておるわけでございますが、これらの艦船の所有権をめぐりまして、沖縄政府側しと日本の政府側との解釈の相違が実はあるのでございます。琉球政府は沖縄傾注に沈んでおります旧軍艦あるいは軍用船等につきましては、アメリカ側に所有権があるということを主張しておるのに対しよして、日本側はこの所有権はわが方にあるということを、従来から主張をして参っておるのでございます。そうしたことで、引揚船につきまして従来から引き揚げの許可の申請が出ておるのでございますが、これらの法律問題の解釈が沖縄またアメリカ及び日本側の間におきまして、どうも従来から食い違っておりますために、この許可の申請に対しまして、実際に引き揚げますまでには至っていないのでございます。
○大橋(武)委員 今日沖縄の行政権がアメリカにあります以上は、この引き揚げにつきましてアメリカの行政権の制約を受け、その承認を受けて引き揚げを行うということは、これは当然であると思うのでございますが、その法規として、現在アメリカの沈船の引き揚げの許可については、どういう法規、がアメリカの行政権として制定されておりますか、これを伺いたいと思います。
○井上(清)政府委員 琉球の米国民政府は昭和三十年の一月十一日布告第百十四号難破船及び難破財産に関する件を公布をいたしまして、引き続き琉球政府は右布令に基きましてただいま問題になっております沈船十隻に関しまする公示を行なったのであります。それによりまして、その公示船舶中の日本船舶八隻、すなわち民有船五隻につきましては深田サルベージという会社から、また国有船三隻につきましては大蔵省から、それぞれ所有権確認及び沈船引揚作業の許可の申請を、琉球の米国民政府副長官に対しておこなっておるというような状況でございまして、これがただいま具体的に問題となっております件でございます。その根拠は先ほども申し上げましたように難破船及び難破財産に関する件という市会でございます。
○大橋(武)委員 聞くところによりますと、アメリカ側は国有船三隻につきましては日本側の引き揚げを認める意向であるが、その条件として民有船五隻については、これは沖縄に引き渡せというような意向があるように聞いておるのでございますが、さような意向が果してございますか、事実として外務省の御承知のところを承わりたいと思います。
○井上(清)政府委員 ただいまも申し上げましたように、現在具体的に問題になっておりますことは、八隻の船舶の引揚げに関しまして問題になっておるのでございます。先ほども申し上げましたように、この沈船をめぐります法律解釈が、日本及びアメリカ並びに沖縄琉球政府側とそれぞれ違った考え方をいたしております関係上、この法律問題でもって事がはっきりいたしません。そのためにアメリカ政府におきましては、この八隻の問題につきまして法律問題を離れて、事実上の解決方法といたしまして、国有船三隻を日本の政府に返還をし、残りの五隻を琉球政府に与えたらどうか、こういうような提案がされたことがございます。これに対しましてわが政府としては、沈んでおる船八隻はあくまでもわが方に所有権があるのだということをアメリカ側に回いたしまして、これらにつきましていまだ十分両国間において解決を見ていないというのが現状でございます。
○大橋(武)委員 アメリカ側の意向と伝えられるところが、国有船三隻については日本側の引き揚げを認める、しかし民有船五隻については日本側の所有権を否認する、こういう考えであることはわかりましたが、ここで伺いたいのは、日本政府のこの問題についての法律上の見解なのでございます。私どもはこの沈没艦船の所有権につきましては、依然として日本の法律に従って日本側にその権利があるこういうふうに政府も御解釈になっておると思うのでございますが、この点はいかがでございましょうか。
○井上(清)政府委員 御説のように沈没中の艦船につきましては、所有権はあくまでもわが方にあるというふうに私どもも解釈いたしておるのでございます。すなわち戦争中、アメリカは、戦時国際法に基きまして敵国でありました日本の船舶を捕獲いにしましに場合、または撃沈いたしました場合は、これを引き揚げる等によって実際に支配を及ぼした場合においては、このような日本船舶を戦利品として没収をするあるいは捕獲審検手続を経て没収をするというようなことができるわけでございますが、御質疑のような沈没船につきましては、アメリカはサンフランシスコ条約が発効いたします以前に、二つのいずれの措置をもとらなかった関係で、日米両国間に平和が回復いんしました今日におきましては、戦時国際法に基く先ほどの権利は失われたものであるという解釈を私どもはいたしておるわけでございまして、お説の沈船につきましては、あくまでも日本にあるのだという解釈を私どもはとっておるわけでございます。
○大橋(武)委員 平和条約においてもこの所有権の帰属については何ら規定されなかったし、また平和条約の締結以前においてアメリカがこの所有権を取得するような法律上の原因を作っていなかったから、従って日本政府としては、所有権は依然として日本側にあるという御解釈をとっておること、がわかったのであります。そこでただいまの政府の御解釈、すなわちこの所有権は日本側にあるということを前提といたしますと、この船舶に対する所有権は、国有船については日本の国に帰属しておりますし、民有船については依然として日本の民間所有者に帰属しておるものといわなければならぬと思うのであります。そこで今日この沈没艦船について、アメリカ側の要求に従って民有船の引き揚げを沖縄側に認めるということになりますと、その結果は当然この所有権を侵害することになるだろうと思うわけです。従って政府といたしましては、この所有権を沖縄側に引き渡すような条約または法律というような立法的措置をとるか、あるいは所有者から政府がこれを譲り受けてそしてそれを沖縄側に引き渡すというような法律行為、どちらかの法律上の原因がなければ、アメリカ側の要求を実現するこは不可能だ、こういうことが政府の解釈から当然出てくるだろう思うのであります。そうなりますし、ここに当然憲法上の問題、が起ってくるわけでございまして、政府が民間の所有者をしてその所有権を放棄せしめますためには、当然政府として補償の措置が必要となる。これは憲法上そういう解釈になるのではないかと思うのですが、この点についての政府のお考えを承わりたいと思います。
○井上(清)政府委員 当上者が自発的に権利を放棄しない限りにおきましては、ただいま大橋委員の御意見の通りだと私どもは考えております。
○大橋(武)委員 そこで伺いたいのは、アメリカとの交渉上において、日本の感法によって政府の負うておるこれらの責任について政府はいかに述べられておるか。またこれに対してアメリカ側はいかなる見解をごららに述べておられますか。もしそういう主張をなすったことがあればこれを承わりたいし、もし上主張がなければ、今後これらの点についてどういう主張をなさるお考えであるかを承わりたいと思います。
○井上(清)政府委員 政府といたしましては、ただいまお話の沈没船八隻に対して、全部わが方に所有権があるのだという解釈に基いてアメリカ側と折衝し、できるだけすみやかに引き揚げを認めるようにこいうふうに交渉いたしておるわけであります。現在のところ、先ほど大橋委員から御質問がありましたように、法的措置をもって本沈没船を琉球政府側に譲渡するというようなことは考えてはおりません。
○大橋(武)委員 それで大体政府の意向がわかりました。ぜひそうお願いしたいと思うのでございますが、特にここで申し上げたい点は、沈没艦船の中には、きわめて引き揚げやすいような地点にあるものが相当ございますので、これらにつきましては地元の住民において種々いたずらをする。従って置いておけばおくほど船体の重要な部分が失われて、船体の価値が毎日減少しつつあるというような状況でございまして、利害関係者としては非常に心配をいたしているのでございますから、どうぞ政府におかれましては、この問題をどこまでもそのお考え通りに主張されまして、すみやかに引き揚げのできるようにしていただきたい。こういうことをお願いをいたすのであります。特に国有船の三隻につきましては、すでにアメリカ側も引き揚げを認めるような意向もあるそうでございますから、それだけについてもすみやかに実現できるようならば、できるだけそういうようにお運びを願いたいと思います。どうぞお願いをいたします。
○井上(清)政府委員 沈没船の一部に非常に盗難があるということは御指摘の通りであります。先般も政府部内でいろいろ会議をいたしまして、盗難を防止する措置をアメリカ側に要望いたしますと同時に、これが盗難防止のためにやはり見張りが必要だというので、それらの沖縄への渡航に対しても、できるだけ便宜をはかろうじゃないかということで、先般打ち合せをいたしたような次第もございます。そしてアメリカ側に対しましては、こうした事態があるから、すみやかに私どもの要望に沿って船舶の引き揚げを早く認めるようにということで交渉をいたしているような次第でございます。御指摘のようにいたしたいと存じております。
○大橋(武)委員 ぜひただいまの政務次官の仰せられたような御方針でお進みを願いたいと思います。これで終ります。
○野田委員長 次に、大西正道君。本会議の関係がありますから、約十分間にお願いをいたします。
○大西委員 大体外務委員が、外務大臣が出席したときに三十分か四十分でやらされるのだから、少しは残るのだからがまんをしてもらいたいと思うのです。 実は、きょうは外務大臣に聞きたいことを用意しておったのですけれども、それではそれを省きまして、事務当局にお伺いをいたします。 新聞によりますと、ネヴァダの実験に政府代表を派遣するとかいうことを省議できめたというようなことが出ておりましたが、これは事実でございますか。
○千葉(皓)政府委員 ネヴァダの実験に、政府の者を派遣することはまだきめておりません。
○大西委員 そうしますと、新聞の報道は誤まりであるということになるわけでありますが、まだきめてないと言われますので、検討中ということになると思うのですが、原水爆の実験反対の運動を続けている建前からいって、ネヴァダの実験に政府の代表を送るということは、これは裏を返せば、これを認めたということに私はなると思うから、この前の質問におきましても、この点はぜひ参加をしないようにという要望をいたしておいたのです。ところが考慮中だということでありますから、私の願いを聞いていただくかもしらぬが、しかしまた出すかもしらぬ、こういうことなのです。その出さないという方に決断のつかない理由は何ですか。諸種の事情を勘案していると言うけれども、私は出さない方が理屈にも合っているし、日本のもっと大きな立場を貫くためにも有利であるということは明々白々だと思うのですが、なおこれは出すかもしれぬ、その条件を今検討中だというその理由は、どこに参加して有利な理由があるか、これを一つ明確にしてもらいたいと思います。
○千葉(皓)政府委員 先ほど申し上げましたように、外務省といたしましてはまだこのことについて決定いたしておりませんが、私は、事務当局の一人として意見を申し上げさせていただきますならば、この実験に政府の者が参加することは、格別政府が実験禁止の立場をとっているそのことと矛盾はないと考えております。のみならず、今回の実験に関連しまして、参加の招請があったことは事実でございますが、私どもといたしましてはこの原爆の問題につきまして、いろいろそれについての科学的な資料がまだ十分備わっていないというふうに感じておりますので、今度のネヴァダの実験に参加することができますれば、そういう資料の一部でも入手できるいい機会である、そういうふうに考えておるわけでございます。これは先ほど申し上げましたように、私が事務当局の一人として考えている意見であります。
○大西委員 あなたの今の意見では、参加することの利点をあげられて、むしろ参加したいという意思を表明せられたものだと思うのです。それではどうして参加の決定をなされないのですか、決定をしない理由は何ですか。
○千葉(皓)政府委員 先般ワシントンにおります代理大使から招請があったという趣旨の簡単な電報がございましたが、追って詳しい招請状の写しを送るからということでございましたので、実はその招請状の全文が到着するのを待っておりましたところ、けさ参りましたものですから、どうしようかということをただいま相談しておるところでございます。
○大西委員 いつごろまでに結論は出ますでしょうか。
○千葉(皓)政府委員 私としては言明の限りでございませんが、なるべく早く決定すべきものだと考えております。
○大西委員 むしろあなたの口吻を聞いておると、参加することが資料その他を得るのに非常に有利だ、こういうようなお話でありますが、私は、そういう資料を得るということについては、あるいは若干の利点もあるかもしれぬ、しかしもっと大きな政治的な立場からこれを見ますと、原水爆の実験反対というこの基本線を貫くためには、これは明らかに不利であるということは結論ができると思うのです。特に日本国民の即時禁止という要求に対して、政府当局はそれは現実離れしているから今は登録制の段階だ、こういうことで今、国連その他で運動をしておるわけなのです。ところが松下特使のこの間の率直な反省を聞きますと、まことに困ったことだ、こういうように言っている。世論もそういうように原水爆禁止に対しての日本政府の態度が二またになってしまって何が何だかわからない、こういうことが定説になっているようです。私はこの前、日本の登録制主張のときに例を引いて申し上げましたけれども、英国はこう考えるというあの英国政府の態度の表明の中に、われわれは登録制ということは事実上やっているのだ、こういうことを言っている。これはもう責任ある表現があるのです。三保制ということをやらなくても事前に通告しているのだから、これは登録制と同じだ、こういうことを言って、登録制をやっても決してこれは禁止にならぬということを言っているのです。それと同じことが今回米国からやられようとしている。招請を受けたから行くということになれば、それは当然私はそれを認めたという立場になると思うのです。それは理屈の上ではそうじゃないという理屈をあなたはどうお立てになるか知らぬけれども、常識的に考えて政治的な立場を考えますと、日本の原水爆実験反対の人道的な血の叫びというものが大きく薄められるということは明らかです。ですから私はこの際やはりこれに対しては、多少の利点を犠牲にしても参加を拒否すべきだ、こういうことを強く申し上げておるのでありますが、あなたは大臣じゃないから、どうもこれ以上申し上げても仕方がないが、この点について井上政務次官どうですか。前の言いがかりにとらわれずに、少し真剣に考えてみてもらいたいと思う。
○千葉(皓)政府委員 ただいまいろいろ御意見がございましたけれども、ネヴァダ実験参加につきましては、一般の原爆福止の問題につきましてはアメリカ側は実害がないのだ、あるいはその程度がきわめて少いから差しつかえないということを言っておりますので、私どもは今度実そういう実害が少くて済むかどうか、それを確かめる一つのいい機会ではないか、そう考えておりまして、従って必ずしも今御意見がございましたように、ネヴァダの実験に参加することが、直ちに日本の政府がかねて、しっておりました立場と矛盾することはないと思うのであります。今度参加いたしました結果、やはり実害があるのだということになれば、わが方にしってはわが方の主張を強くする根拠になろうかと考えております。
○井上(清)政府委員 ネヴァダの実験に対するアメリカ側の日本に対する参加の招請と申しますか実は今朝電報が参りまして、やや輪郭が明らかになった程度でございます。従って政府側としてそれに対してどういうふうにしようかということについては、まだ最後的な決定をしておりませんので、ここではっきり申し上げることは避けたいと思いますが、先ほどちょっと御質問がございました登録制と禁止の関係の問題でございますが、登録制を私どもが主強いたしましたことは、登録さえすればいいというような問題ではないのでございまして、原水爆は一体どんなものか、またそれがどんなふうな影響があるかということを一つ精細に検討をして、そしてそれを禁止にまで持っていくというのが、私どものとっておる立場というふうに御了解願いたいと思います。
○大西委員 まるでお二人のお話を聞いておると、子供だましみたいなことを言っておる。きれいな原爆というようなことを米国が政策的に言っておるかもしれないが、この間の、学者の、参考人として招致したあの見解を見ましても、そういうことがあり得ないということは明らかですよ。原爆の被害がどうなっておるかというようなことは、広島、長崎でいやというほど知っておりますから、ですから、そういうことで実験に参加するということは何としても本末転倒もはなはだしいと思うのです。それでは一体どういうところとどういうところをわが方としては調査したいという科学的な準備がございますか。もう日が切迫しておるのに、そういう準備もなしに、ただ被害の少い原爆実験たというもの一ぺん見てくる、こういうようなことで、私はこの重大な原爆の実験に参加するということは、非常に大きなマイナス、だと思う。これ以上申し上げませんけれども、やはりそういう私らの強い見解を考慮に入れて、この代表を派遣されることについては一つ思いとどまってもらいたいと思います。 もう一点だけ、これは条約局長に、この間あなたからお答えをいただいたやはり安保条約の第二条の問題ですけれども、これはきょうは触れません。もう一つ別なところでお伺いしたいのは、やはり私は、この際岸首相の渡米に際しては、基本的な問題が出れば具体的な問題密話されるのが当然だと思うし、話されると思います。そういう前提に立ってお伺いするのでありますけれども、私はこの安保条約を合理化するというこの岸首相の言葉を善意にとれば、これは当然国連宗章の趣旨にこの安保条約を引き戻すということが合理的な処置だと思う。これについては大体そのようなことも考えていると言っておられました。そこで今後再び岸総理にお伺いする前提として、法律的なことをお伺いしておきます。 この前問題にいたしました第一条に、米軍の使用目的が「極東における国際の平和と安全の維持に寄与し、」こういうことが書いてある。これに対してその極東とはどこをさすかお伺いいたしましたら、朝鮮も韓国も台湾もというのが常識だろうということになった。近代戦の様相から申しますれば、きょう川上委員からも指摘されたごとく、当然日本が好まざる戦争も義務づけられることになるということで、これはもう日本の安全保障じゃなく、むしろ危険に介入する一つの条件を規定したものだ、ということを私は申し上げました。ところが第四条に効力終了の項がございます。この中に似たような文句があるのです。「この条約は、国際連合又はその他による日本区域における国際の平和と安全の維持のため」云々とある。そうしますと、今のこの安保条約は、日本を含めた、噴火口上にあるようなこれらのきわめて危険な地域の米軍の出動をもこれらで規定つけておる。ところが将来あるべき安全保障体制の中には、明確に「日本区域における国際の平和と安全」と書いてある。そうしますと「極東における」云々よりも「日本区域における」云々という方がより合理的である。すなわち日本の安全を保障するにふさわしいものであるということになると私は思うのです。 そこでお伺いしますが、「極東」の文言と「日本区域」というこの文言の内容の規定はいかがですか。もちろん違うと思うのですが、どのように違うか、それを一つお伺いしたい。
○高橋(通)政府委員 お答え申し上げます。私ども事務的に包括的に考えています点は、「極東の」云々という場合の極東は、「日本区域」よりも広いと考えております。そこで「日本一区域一」の方をむしろ小さく考えている、ただ 「日本区域」云々と申しますのは日米間の条約であり、日本の防衛と、申しますか、安全保障を主として考えておりますので、ここで「日本区域」という言葉を出しているわけでございますが、条文的に見ますと一条より四条の方が狭いと考えます。
○大西委員 あとの「日本区域」というのは日本の安全保障を日米間で取りきめた、こういうふうなことだと今あなたはおっしゃった。そういたしますと、第一条の「国際」云々の文句は、結局日本の安全というよりもむしろ広い意味を規定している、このことは結局この条約がほんとうに日本の安全を考えたものじゃないという結論になると思います。少くとも安全保障というもの――私はこの条約は普通の通念上における安全保障条約とは思いません。いみじくもこの第一条で規定しているごとく、一方的な米軍の駐留協定ですから、何ら日本を守るところの義務規定もございません。これをしもなお日米安全保障条約と僣称をして今日まで欺瞞し続けてきたのです。ですから私は岸さんが合理化すると言われる以上、安全保障の名に値しない、犠牲場のみ多くて米国の駐留権だけを認めたようなものは即刻変えなければならぬ、こういうふうに考えているのです。この判断をあなたに聞こうとは思いません。ただ私はそういうふうに考えます。 そこでもう一つ聞きたいことは、私は国連憲章の趣旨の本質に返せと申しましたが、国連憲章の安全保障にの本旨というものは、国連自体における機能と、もう一つはそれが十分な機能を果すまでの地域的な取りきめだと思う。これは国連憲章の五十二条にある。ところが同じく一つの安全保障の措置として五十一条が挿入されておりまして、これが集団的な自衛措置を認めている。日米安保条約を辛うじてこれにくっつけようとしておりますが、それは本質的には一方的な駐留協定であって、ほんとうの意味の安全保障条約でないということを私が前に申し上げました。五十一条は懸章の審議の過程において、後に挿入されたもので、国連憲章の本旨とはほど遠いものである。ほど遠いと言えば語弊があるかもしれませんが、地域的な取りきめという他国間の相互契約、相互防衛的なものと違って、明らかに一方的な攻守同盟的なものである、これが五十一条ですから、国連憲章の本旨に返すということになりますれば、そういう意味からも当然五十二条の地域的な取りきめ、わが党が主張しているような日米中ソを含めた安全保障体制というものが困難であっても施行する。そして五十一条の変態的な日米安全保障というものは当然一刻も早く廃棄しなければならぬと考えるのであります。条約的に見ま しても五十二条がむしろ五十一条よりも国連の本旨に適したものであると解釈するのが妥当であると思いますが、この点はいかがでございますか。
○高橋(通)政府委員 確かに憲章の問題はいろいろ御解釈があると思います。そこで、集団的安全保障と申しますか、国連自体で安全を保障することが第一点。それからまたそれを構成するものとして地域・協定がある。これは御指摘の通り本質的な安全保障の機構でございますが、ただこれに加えてやはり集団的自衛権、五十一条というものを憲章してある以上、やはり安全保障を補充する一つの大きな道がここに規定されてあるというふうに考えております。と申しますのは、ただいま御指摘の通り、国連憲章の成立の過程に おきまして、国連自体による安全保障と地域協定というのが二つの建前であったわけであります。ところが自衛権の五十一条を入れるかどうかということにおいて賛否両論があったのは御承知の通りでございます。そこでこれを入れないということにおいて国連憲章が成立できないという危機に直面したということを聞いております。そういうよな肥過程経てこれがやっと入ったわけでございますから、これもそれ自体相当存在理由があるのではないかと考えております。いずれにしましても御意見のほどはよく研究さしていただきたいと思います。 ―――――――――――――
○野田委員長 次に、日本国とノールウェーとの問の通商航海条約の批准について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定の改正に関する諸議定書の受諾について承認を求めるの件、貿易協力機関に関する協定の受諾について承認を求めるの件、所得に対、する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約の補足議定書の締結について承認を求めるの件、右、各件を一括議題といたします。 百質疑を許します。松本七郎君。
○松本(七)委員 初めにガットと貿易協力機関とについて伺いたいと思いますが、今度のガット協定の改正はだいぶ大改正のようですが、このような大改正を必要とするに至った理由、それから主たる改正点をお伺いしたいと思います。
○高橋(通)政府委員 ちょっとその前に御説明いたしたいと思うのは、ただいま大改正というお言葉がございましたので、あるいは誤解を招く点があったかと思いますが、ここに差し上げました関税及び貿易に関する一般協定の第九回総会による改正、その他修正及び訂正を施したもの、そこへ三議定書にあります改正を全部これに織り込みまして改正の点だけを傍線を付した次第でございます。その傍線を付しましたので相当傍線が引いてありますので、実はこれを一覧しますと非常な改。正があっにような印象を与えるのでございますが、実はこの内容は技術的な専門用語の改正でも、条文そのものを廃止して新しい条文を置くというふうな建前をとっております関係上、実はこのように傍線を引いたわけでございまして、ほんとうの実体的な改正と申しますのは、ただいま佐藤経済局長からこれも説明があると思いますが、輸出補助金に関する規定、それから経済開発に関する政府の援助その他数点であるということでございます。
○松本(七)委員 このガット協定と貿易協力機関との相互関係はどういうふうになっておるのでしょう。
○佐藤(健)政府委員 この一般協定の一方は御承知の通り、一つの条約的な内容を持っておりまして、これで各締約国は拘束される。ただ御承知の通りこの協定の内容には機関によって承認を受けるとか、機関に了承を受けた上で何々ができるということになっておりまして、その機関といたしましてこういう組織を作る。従いましてこの機関の憲章の第二条だったと記憶いたしますが、その機関である国は必ず一般協定の参加国でなければならない。また機関から脱退した国は一般協定から脱退する、こういうふうになっておりまして、両者相互関係になっておるわけでございます。
○松本(七)委員 一般協定二十九条にはハヴァナ憲章との関係を規定した条項が改正前にはのったのでありますが、この改正によってこれが削除されておりますが、ハヴァナ憲章は将来どういう形で残っていくのでしょうか。
○佐藤(健)政府委員 御承知の通り、ハヴァナ憲章というものが署名されましたが、これは各国ともあまりに規定が詳細であることに後進地の開発条項に関連いたしまして、南米諸国がいずれもこれに反対したという理由からあの協定が動かなかった。従いましてそれにかわりましてこの関税を主といたしました関税及び貿易に関する一般協定というものができたわけでございまして、今後この協定を中心といたしまして貿易の方は動いていく、こういう関係から二十九条におきましてハヴァナ憲章の部分を削除した、こういうことでございます。
○松本(七)委員 そうすると、貿易協力機関がハヴァナ懸章にかわるものだということになると、ハヴァナ憲章は、これは国連の専門機関になる予定であったが結局まだならずにおるわけですね。そうすると貿易協力機関の方は国連の専門機関になるのですか。
○佐藤(健)政府委員 これはできた当時が、そもそもハヴァナ憲章は、各国が批准しそれを実施に移していくという前提でできておりました関係上、それが動かない過渡期の処置としてこの一般協定を作ったものでございます関係上、現在までのところはこれは国際連合に入っておりませんが、ただこれを国際連合に付随させた機関にするかどうかという点につきましては、利点もあり、また不便もあるというので、いまだ決定を見ておらない状況でございます。
○松本(七)委員 その点少し伺いたいのだが、時間がないからもうこれで飛ばしておきましょう。 この協定で第十一条の数量制限の一般的廃止、それから第十三条の数量制限の無差別適用、ある一国のみを対象としない、それから第十六条の補助金、第十七条の国家貿易企業に関する規制、こういう点で自由化を志向しながらも、その反面では、たとえば十九条の特定の産品の輸入に対する緊急措置、それから二十四条の関税同盟及び自由貿易地域等の規定に従って例外的な制限措置が許されておるわけなのです。そうすると将来の世界経済の動向いかんによっては、こういった制限規定が拡大されたり、あるいは乱用され心余地があるのじゃないかという点が一つ心配されるのですがどうですか。
○佐藤(健)政府委員 御指摘のようにカットの根本精神といたしましては、貿易の自由化に持って参りたいということになっておりますが、為替不足そり他の状況からいたしまして、ガット丁二条ないし十四条におきまして、輸入制限の規定が過渡的にできるごとにはっておるわけであります。ただこの丁二条、十四条といいますのはあくまで例外的なものでございます。ので、根心としてはそういう事態がないことを希望し、十一条によりましてそういう輸入制限は百原則的にはしないということになっておりますが、御指摘のよう代十九条を設けましたのは、そういうような一般的自由の傾向に持っていきますが、たまたま不測の事態が起りまして、ある産品が特に予期せざる事情代よって輸入されましたために、国内産業が非常な脅威を受けるというようは事態が起りました場合には、その必要な範囲において、またその必要な機関において、それができるということなっておりまして、この点またガットの一つの特徴であります融通性を多少持たした、こういうふうに解するわけでございます。
○松本(七)委員 このガットの精神ということをさっき言われたのですが、これはいつも問題になるのだけれども、アメリカの日本の綿製品あるいはその他の商品に対する圧迫、これは明らかにガット精神に違反しているよう思うのだけれども、政府もその点は同感だろうと思うのですが、アメリカそれじゃ立法による禁止をやったかいうと、そこまではやらないわけですね。ところが結局は日本がアメリカの力に事実上はしいられて、そうして形は自発的に制限したことになっているけれども、実質的には明らかに泣き寝入りだろうと思うのですが、どうでございましょう。
○佐藤(健)政府委員 松本先生御指摘のようなことを一般によく言われるのでございますが、アメリカもガット協定に入っておりますために必要なる法制的処置はとれない、また御承知の通りアメリカの業界また議会方面におきましては、相当輸入制限問題が起っておりますが、アメリカ政府自体といたしましては、これを極力ガットの規定もございますので制限しておる。ただ先般綿布につきまして特別の話し合いをせざるを得ない状況になったのでございますが、これは日本として見ましてもあまりに輸出の傾向がはなはだしく、言葉が多少過度にわたるかもしれませんが、不当な競争をやり出しておる、これはまた日本のいろいろな原料の価格等の点から見ても、そういう不当な安売り競争は日本側としても避けたいという点もございましたので、ある程度の話し合いをしたわけでございますので、ガット協定自体はアメリカ政府としてはやはりその意思をくみ、いろいろ業界ないし議会方面に働きかけておる、こういうふうにわれわれ解しておるわけでございます。
○松本(七)委員 なるほどある程度の話し合いはそれはなされているでしょうけれども、アメリカは元来保護貿易の思想が相当強く残っているのです。門戸開放だとか機会均等だとか言うけれども、これは自分の方の商品の進出の一つの政策であったということからその伝統というのはやはり依然として残っていると思うのです。日米通商航海条約の十四条でもこれは貿易の自由化を約束している。ところがその履行義務というものは日本に課されているわけですね。ところが一方では今言うように対米輸出の主たるものである綿製品だとかあるいは雑貨については今回のような措置をとっておる、これを黙っておく手はないと思う。これはこの前鳩山内閣のときも再三問題にしたのだけれども、やはり反省を求める厳重な抗議をするとか、あるいは何らか報復措置をとるとか、特に原綿なんかについてはそういう措置は商売上できると思うんですね。そういう点についてそれは何らかの措置を必要とお考えになりませんか。
○佐藤(健)政府委員 そういう議論も確かにございましたし、またわれわれといたしましてもそういう点を十分考慮したわけでございますが、先ほどお答え申し上げましたように、日本自体といたしましてもあまりに過激な競争をし、しかも日本の業界自体で値段を下げていくというのは、これまた得策でないという点から、ああいう了解をやった次第でございまして、ただ先ほど御指摘のアメリカ自体は非常に保護貿易だったという御意見でございましたが、これはアメリカの一部に強いそういう論考がいるが、アメリカの政府としては御承知の通り、自由貿易の方向でやらなければいかぬというので、国内世論その他いろいろの啓蒙をしているわけでございまして、この協定にアメリカが入っておりますのもそれに基く、こう考え、これがありますがために、本来ならば、もしそのままであるならばもう少しひどかろうことが、この程度でおさまっている、こういうふうな見方もあるわけでございまして、そういうような見地からして、やはり日本側としてはあまりに急激な膨張ということは避けたいというのが、われわれ一般の考え方でございます。
○松本(七)委員 アメリカが日本の綿製品を制限するについて、十八条の第二項を適用しようという意図はないのですか。
○佐藤(健)政府委員 この十八条は後進国の規定でございますので、先生御指摘の御質問のあれがよくわからないのでございますが……。
○松本(七)委員 十八条二項、この規定を綿製品制限の根拠にしようという意図はないか。
○佐藤(健)政府委員 それはアメリカがやっておりますのは全然話し合いでございますので、このガットの規定を援用しておらないのであります。
○松本(七)委員 それから補助金ですね。たとえば補助金はこの十六条で撤廃していく建前をとっているわけですが、この輸出業者に対する免税とかその他の補助金あるいはそれに類するものを輸出入について与えている事実はありますか。
○佐藤(健)政府委員 日本としては補助金を与えている事実はございません。
○松本(七)委員 それから欧州共同市場、これは二十四条五項にいうところの関税同盟及び自由貿易地域に適合するという考えが当るでしょうか。
○佐藤(健)政府委員 その通りでございます。二十四条の規定によりましてガットの締約国と協議するわけでございます。
○松本(七)委員 こういう同盟とかブロックが米州諸国間あるいはまた将来においては中華人民共和国、ソ連あるいは人民共和国の問、いわゆる共産諸国の相互間あるいはイギリス連合国の間、そういうものにだんだん形成されていくと、日本の貿易には非常に大きなあれになると思うのです。そういった点についての見通しはどうですか。
○佐藤(健)政府委員 御指摘のように、もしこういう各地域が方々にできまして、それが排他的な関係になりました場合には、日本といたしましてもはなはだ困った形勢になるわけでございます。ただもしそういう排他的なものにならずして、たとえば欧州地域・内におきまして相当経済が進捗いたすことになりますならば、それの影響によりまして日本の貿易も伸びる、こういう見方もあるわけで、要はそういう経済同盟ができました場合に、それが排他的な障壁を作るかどうかという点でございまして、幸いにガットの規定は二十四条によりまして従来よりも不利 な制限を摂してはならない、こういうことになっておりますので、ごく近いうちにガット内部におきまして欧州自由地域でございますか、これが協議せられることになっております。この会議におきまして日本はそういうことのないように努力する所存でございます。
○松本(七)委員 日本政府の見通しとしてはどうでしょうか。こういった傾向が以前のアウタルキー経済政策というものにだんだん発展してくるおそれはないでしょうか。
○佐藤(健)政府委員 欧州は御承知の通り目下条約案について六カ国で協議中でございますので、これができることはほぼ確かだと存じます。また南米諸国におきましてもそういう傾向は強いわけでございますが、ただ南米自体として、あれだけの国がこういう欧州共同市場のようなものが早急にできるかどうかは疑問な上としないのでございますが、しかし南米自体についてそういう傾向があるということは、これまた見のがせない事実だと存じます。
○野田委員長 松本君、まだだいぶありますか。
○松本(七)委員 まだありますよ。 欧州共同市場に関して日本から関係諸国に申し入れをしたというふうに伝えられておるのですが、その真偽と、その申し入れの内容を御説明願いたい。
○佐藤(健)政府委員 関係諸国に申し入れをしたことは事実でございます。先般政務次官からお答え申し上げたと思うのですが、その内容につきましては、ここで申し揚げるのはお許し願いたいと思います。
○松本(七)委員 何回聞いてもそれを言わないようですね。 今度の貿易協力機関の総会で、日本が関税譲許についてはどこの国と交渉する予定ですか。
○佐藤(健)政府委員 当分関税交渉をする予定はございません。
○松本(七)委員 事務局の職員、これは、どこの国の人出でも募集されて任命されるのだと思いますが、外交官並の特権、免除はあるのですか。これは第十条(d)項に一応基準が述べられておるだけで、加盟国が果してこの特権、免除を与える義務があるのかどうか、あるいは別途に個別または一般協定を結ぶことになるのですか。
○高橋(通)政府委員 第十条の(d)項の規定に基いて加盟国は与えなければならない義務があると思います。
○松本(七)委員 附属書による対外貿易総額の百分率は、どういう基準で実施されるのですか。
○佐藤(健)政府委員 五三年までの三年間の平均で作ったわけでございます。
○松本(七)委員 分担金のことですが、なぜ分担金の配分をOTC協定の中で明記しないのですか。
○佐藤(健)政府委員 これは百分率が変っていく関係上、協定の中に明示いたしますと、一々改正しなければならない。またもう一つ機関自体の経費が増加するという傾向にあるためにそうしたわけであります。
○松本(七)委員 ガットはそのくらいにしておきましょう。 次にノールウェーとの通商航海条約ですが、第二条の調査研究というのはどういうことが対象になるのでしょうか。学問上の調査研究だけでなしに経済上、軍事上のあらゆる面の調査を含むものでしょうか。
○佐藤(健)政府委員 ここで調査研究と言いますのは、普通の学問上の調査研究でございます。
○松本(七)委員 自由職業の最恵国待遇供与の問題であります。たとえばある職業について、わが国は最恵国待遇によってその職業に従うことができる。ところがその職業はノールウェーでは自国民だけに許されておる、そうして外国人には許されていない。従って最恵国待遇が受けられないというような場合は、相互主義ということからどういうふうなことになるのでしょうか。
○佐藤(健)政府委員 わが国で外国人がなり得ない自由職業は、水先案内人と公証人の二つでございますが、ノールウェー側で外国人ができないのは会計士だけということになっておりまして、大体その他のものは一定の資格さえ得ればできるということになっておりました関係上、最恵国待遇にされた次第でございます。
○松本(七)委員 それから第二条の(f)項で、平時、戦時における強制軍事服役の免除を規定しているわけですが、こういったものを特に挿入する意義は 一体どこにあるのかということです。実定法としては確立していないわけですけれども、一般慣行としては外国人は兵役に服する義務は免除されているのですから、しかも一九二八年のハヴァナで開かれた第六回汎米会議でも外人の地位に関する条約で免除が規定されており、ちゃんと第三条に、国家は外人に兵役を強制することができないという規定があるのですから、何もここにわざわざ――しかもわが国は義務徴兵制はとっていないし、意味がないように思うのですが、どうですか。
○佐藤(健)政府委員 御指摘のように、この規定を入れるか入れないかに つきましては相当考慮したわけでございますが、明治時代にできました日本とノールウェーの協定の中にはこれが入っており、かつ日本側といたしましては外国人を兵役にとるということはないわけでございますが、日本人がノールウェーに行きまして万一こういうことがあってはならぬという趣旨からして、この規定を入れたわけでございます。
○松本(七)委員 これは、どこかよその国で外人を徴兵するというようなあれがあるのですか。アメリカの特定の州には何かそういうあれをやっているところがあるのではないですか。
○佐藤(健)政府委員 私、アメリカの実情をよく存じておりませんが、アメリカではこういうことがあるように聞いております。
○松本(七)委員 それから第四条で、財産の保護について内国人待遇及び最恵国待遇を与えるという規定があるのですが、この条項はおそらく日米通商航海条約の第六条に該当するだろうと思うのですが、日米通商航海条約の第六条は、その第三項で、財産の収用に際しての補償規定があるわけですね。従って、このノールウェーとの条約には特にこういう規定がなくても、最恵国待遇ということで当然この条項が均霑される、こういうふうに解釈していいのでしょうか。
○佐藤(健)政府委員 その通りでございまして、日本の憲法もそうでございますが、ノールウェーの憲法におきましても補償すると書いてございます関係上、また日米通商航海条約にもその規定がございます関係上、簡単にする意味から、その規定を特に明記しなかったわけでございます。
○松本(七)委員 それから、ちょっと日米条約のことなのですが、第六条の第四項に「いずれの一方の締約国の国民及び会社も、他方の締約国の領域内において、本条2及び3に規定する事項に関しては、いかなる場合にも、内国民待遇及び最恵国待遇よりも不利でない待遇を与えられる。」とありますが、この「いかなる場合にも」ということを特にうたった理由ですね。これは、最小限においては内国民及び最恵国待遇を与えるのであって、通常は外国人に対しては内国民及び最恵国待遇以上のものが与えられてしかるべきだということを言外に意味しておるのかどうか。わざわざここに「いかなる場合にも」と特に規定した理由ですね。
○佐藤(健)政府委員 はなはだ恐縮でございますが、私この日米通商航海条約の締結を担当しておらなかった関係上、ここにどうして「いかなる場合にも」という字が入ったのか、これは私よく存じませんので、お答え申しかねるわけでございます。
○高橋(通)政府委員 これは特に特別の意味があるわけではございません。おそらくこれは、「待遇よりも不利でない待遇」、「不利でない」ということをいっておりますから、それを強調するためにこのようなことをレトリックとして入れたものである、条約解釈上は何ら影響ないものと考えております。
○松本(七)委員 それから、第五条で領事官の規定があるわけですが、この規定によって領事条約を結ぶ必要はなくなるわけですか。
○佐藤(健)政府委員 普通、通商航海条約とは別に領事条約を締結する国もございますが、ノールウェ一との関係におきましては、特に領事条約を規定する必要はなしと考えまして、ここに簡単に四行ばかりを入れたわけでございます。
○松本(七)委員 別個に領事条約を結ぶ場合と何か相違があるのでしょうか。
○高橋(通)政府委員 従来の通商航海条約の例といたしましては、むしろ通商航海条約の中に領事に関係する最も重要な事項を数カ条入れるのが通例でございまして、特に領事官に関する領事職務条約というのを取り出して詳しく規定するというのは、むしろ最近の傾向かと思います。特に相互に多数領事官が存在する場合及び双方の国民が相手国に多数存在するというような場合で、領事の職務が相当複雑な場合なんかに結ぶという場合がございますけれども、大体はこういうような伝統で、これによって処理しておる次第でございます。
○松本(七)委員 通商航海条約も領事条約もない国と領事官を設置する場合がありますね。その場合の手続はどういうふうなことになるのですか。
○高橋(通)政府委員 それはそのつど相手国と、どこのどういう場所にお互いに置くかということを交渉しまして、それによって双方の同意を得て置くことになるわけであります。
○松本(七)委員 その場合に、領事官に対する特権、免除は、これは何を根拠にしてやるのですか。一般的な国際慣行ということでしょうか。
○高橋(通)政府委員 結局、一般的な国際慣行によってやるということで、大体各国も類似した特権、免除を与えておる次第であります。
○松本(七)委員 それからその次は、第十四条の脱船者の逮捕、拘禁、身柄の引き渡しですが、その船の所属国の一領事官が要請し、かつ、生ずべき経費を負担することを条件として、法令の範囲内でできる限りの援助を与えること、こういうふうになっているわけですが、日本の法律では、出入国管理令第四条に該当する者でなければ上陸できないことになっているわけですね。従って脱船して国内に逃亡した者は、出入国管理令違反ということになって、当然わが国の司法当局がその者を逮捕することになるだろうと思うのですが、第一に、この十四条の規定は、ある特殊な事情を予想して作られた規定かどうかということですね。
○高橋(通)政府委員 やはり、一般条約、管理令によくこういう規定がございますので、それを踏襲したわけでございますが、この締約国の領水内にある聞にその船員が商船から脱船した場合、すなわち、商船が入りまして、その商船の一般乗客ではございませんで船員が脱船した場合でございますが、その場合にこのような手続をとる、法令の範囲内でと申しますと、このような場合に大体この条約に従ってやるというような日本の古い法令でございますが、存在しておる次第でございます。
○松本(七)委員 それから、生ずべき経費の償還ということについてですが、たとえば公的機関である警察当局が逮捕する場合は、これは当然な義務として行動するわけですね。そういう当然の義務として行動して生じた場合の経安は、相手国から償還を要求できるのですか。
○佐藤(健)政府委員 これは具体的場合によって種々違うと思いますが、たとえば遠くに逃げて汽車に乗せてそこまで連れてきたというような経費を普通えておるわけでございます。ただ具体的な場合になりますといろいろ別のケースが起ってくると思いますが、その詳細についてはケースが起ってみないとわからないと思います。
○松本(七)委員 それから、商船は軍艦または公船と違って治外法権を持たない、また庇護権もないわけですが、もしも国内の犯罪人が外国の商船に逃亡した場合、その当該国の官憲はどんな手続でそれを逮捕するのでございますか。船長の許可だとか、そういうことが条件ですか。
○高橋(通)政府委員 特にその商船が領海にあります場合は、このための特別手続はないかと思います。日本の国内における一般犯罪人の逃亡、そのための逮捕手続に従えば十分であると考えております。
○松本(七)委員 今度は二五課税に参りますが、二重課税の回避及び脱税の防止に関する補足議定書というのは、表面の規定を見れば別にそう不公平もない、平等な扱いが規定されているように見えるけれども、両国の国力ということを考えてみると、一体わが国にどれだけの利益があるかというところに疑問を持たざるを得ないわけなのです。第一に、現在の日米の経済力のバランスという点から考えてみて日本の輸出入銀行が将来において米国に投資するということが考えられるかどうか、政府はこの点どのように考えられておりますか。
○井上(清)政府委員 現在の状態から申しまして、当分は考えられないと思います。
○松本(七)委員 実は審議の前に資料を要求しなければならない建前になっているのだけれども、あとでもいいから資料を出していただきたいのは、アメリカの輸出入銀行が現在わが国に投資している金額とその経済部門、それからこれはすぐ御答弁願えると思いますが、米国の輸出入銀行及び世界銀行の利率、最近世界銀行は利率を上げる ことをきめておるようですが、その利率並びに返済期間が投資の対象の企業 によって区別があるかどうかという問題です。
○井上(清)政府委員 ワシントン輸出入銀行からの借款の実績は、主として電力会社が多いのでございますが、関西電力が八百九十二万ドル、九州電力が八百五十万ドル、中部電力が八百五十万ドル、利率が五%ということに相なっております。輸出入銀行の利率は大体五%と思いますが、やはり投資対象に よって若干の違いがあるというふうに了解をいたしております。
○松本(七)委員 今の政府の基本方針はどうなのですか。外国の資本の流入ということに対して無制限にこれを歓迎すべきか、あるいはある程度において規制をすべきだと考えられるか、いずれですか。
○井上(清)政府委員 私がお答えをし上げるのは若干筋が違うのじゃないかと思いますが、私の了解いたしておりますところでは、現在の状態におきましては、なお資本が入るのなら入れた方がいいのではないかという感じを持っております。
○松本(七)委員 これはあまりやっていると議論になりますからこの程度にしておきます。それからこの議定書で課税免除を特に輸出入銀行だけに指定した理由どこにあるのでしょう。
○塩崎説明員 税金の問題でありますので、大蔵省の方からお答え申し上げます。ただいま松本委員からお話のございましたように、なぜこういういわば一方的な片務的な条約を結んだかという御質問でございますが、経済的にはまさしくこういう実態はあるわけでございます。ただ経済的な理由のほかに、こういう議定書を結びました理由の一つといたしまして、税制上の理由がもう一つ考えられると私どもは考えております。御承知のように日本の輸出入銀行は全額政府出資でございまして、その政府出資というものは全部税金から出る。わが国の所得税法、法人税法は輸出入銀行の所得に対しましては所得税並びに法人税を課税しない、かようになっております。同時にワシントンの輸出入銀行はアメリカ政府の全額出資になるところの法人でございまして、これまた連邦所得税法の非課税法人でございます。こういう趣旨からいたしまして、経済上の理由もございますけれども、なおまた税制上の理由からいたしまして、政府機関に準ずるものといだしまして相互に課税しない方がいいのではないか。こういうところがこの議定書が成立いたしました大きな理由ではないか、かようにどもは考えております。ただいまも御質問がありましにように、しからば全額政府出資の機関というものはこれだけではないのではないか、ほかにあるのではないかという御質問が出るわけでありますが、これにつきましてはアメリカ政府といたしまして、各国の租税協定に及ぼす影響等を考えまして、個々具体的に規定して参りたい、こういうような趣旨でまずまずもって経済交流のありますところの相互の輸出入銀行、ともに同じような性格でありますところの輸出入銀行に限ったわけであります。必要がございましたならばなお検討することになると思います。
○松本(七)委員 昭和三十年四月一日公布されに日米所得税条約でしたか、これは当然賛成すべきものだとしてわれわれが賛成したことは御承知の通りですが、それは一般原則を規定したものであるから、これは当然だと解釈したわけですが、この議定書による免税の点は日米いずれの方がより強く希望したのでしょうか。
○塩崎説明員 お答え申し上げます。借款の問題が起りまして際に、税金の問題が借入先の方から問題になりまして、どういうことになるのだという質問も出まして、この際に私どもは先ほど申し上げましたように、輸出入銀行の性格を検討したわけであります。すでに輸出入銀行は先ほど申し上げましにように所得税、法人税非課税だ。同時にそういう同じような性格の法人に対しまして、外国がそれについて所得税あるいは法人税を免除いたすならば、同一種の性格の、たとえばここでは輸出入銀行に該当するわけ、でありますが、外国の同じ性格の法人の所得につきまして所得税、法人税を免除するという規定がすでに内国税法にあったわけであります。従いましてそういう機関を大蔵省令で指定いたしますれば、当然議定書を結ばなくても私どもの方の国内的な措置によりまして免税になるわけでございます。そのようなことはアメリカの税法にございませんので、私どもの税法の理論から、もう一つは経済交流の観点から見まして必要ありと認めまして、アメリカ政府と話し合い、租税協定の議定書といたしまして、こういう議定書を提案申し上げた次第であります。
○松本(七)委員 相互主義によって免税をするという建前になっているわけですが、日本の輸出入銀行は米国には一銭の投資もないわけでしょう。そうすると実際には日本側から言えば、米国で免税される客体もないのに、ただこの議定吉の紙の上で相互主義による免税という建前になっている。実際にはアメリカの資本は日本に入ってきているが、日本の輸出入銀行が向うに投資するということは考えられないのですから、そうすると表面は相互主義だけれども、実際の利益は日本に何らないのじゃないかという疑問がここに出てくるのです。この点どうですか。
○井上(清)政府委員 御質問のような疑問は当然出てくると思います。しかしこれはわが国への投資を促進する上に、また日米間の経済交流をさらに緊密ならしめるために、かかる措置をとることが必要である、かように考えた次第でございます。
○松本(七)委員 もしもこの議定書が承認されないとかいう場合には、今度は逆にアメリカの方の輸出入銀行の利率をまた上げるとか、そういうことが考えられるのですか。
○井上(清)政府委員 利率を上げるかどうかということは予測することはできませんけれども、少くとも投資と申しますか、投資の促進ということについては阻害になるのではないか、少くも円滑さを欠くというような事態を生ずるのではないか、かように思います。
○松本(七)委員 どうも向うの様子を見ていると、これによる免税、しからずんば利率を上げるぞというような様子が見えるのです。実際の議定書では日本が直接には利益がない。投資ということを政務次官のように今は無条件に無制限に許すべきだという建前に立つならば別だけれども、そこに実は問題があるので、しかも特別にそういう免税の対象になる輸出入銀行というのは特殊の国家機関ですからね。向うはそういう機関を通じて無制限に、規制なしにどんどん資本が日本に入ってくるということは、今の日本と米国の関係から考えると、はなはだ危険を含んでいると私は思うのです。全く民間銀行ならまだ話はわかる。しかし国家機関的な性格を持っている銀行ですから、なおさらその点に危惧を私どもは抱くわけです。これは見解の相違になりますからこれ以上は申しませんが、ついでにちょっとお伺いしておきたいのは、この間、四月六日の読売新聞だったと思うのですが、米国のパシフィック・コンサルタント・インコーポレーテッドの脱税事件というのが出ておりました。この前審議のときに、ずいぶんこういう問題についていろいろ御質問したのだけれども、あまり大した事件ではないような御説明でしたが、四月六日にはそういう事件が出ていたのです。しかもこの会社は愛知用水の技術提供の部分で大きな役割を占めている会社なんですね。そういうところにこういう事件が起ったというので、相当私ども関心を持って調べなければならぬと思っておりますが、この事件の真相と、それから当局のこれに対する方針を伺っておきたいと思います。
○塩崎説明員 私はその事件は詳細にまだ存じておりませんが、なお帰って研究しましてお答え申し上げたいと思います。ただ外国商社の脱税が新聞に出ましても、私ども常日ごろ検討しておるわけでざいますが、国内に発生しました所得が何かという問題は非常にむずかしい問題でございます。ここに支店がありまして、日本で生じましたところの所得に対して課税することになるわけでございますが、日本で発生しましたところの所得が何かという問題はなかなかきめがたい、単純に私どもが言いましても、租税条約の趣旨から、その細目について、アメリカ政府とも必ずしも意思が合致いたしておりませんので、果してそれが脱税というところまで言い切れるかどうか、このあたりにも疑問がございますので、簡単に私どもとしまして今大きな脱税があるというふうなことはなかなか言えないのではないか、こういう気がいたしております。
○野田委員長 他に御質疑はございませんか。――御質疑がなければ、これにて各件に関する質疑を終了いたしました。 これより討論採決に入りたいと存じますが、議事の都合上、まず日本国とノールウェーとの間の通商航海条約の批准について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定の改正に関する諸議定書の受諾について承認を求めるの件、貿易協力機関に関する協定の受諾について承認を求めるの件、以上の三件について採決することといたします。三件につきましては別に討論の通告がないようでありますので、直ちに採決いたします。 日本国とノールウェーとの間の通商航海条約の批准について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定の改正に関する諸議定書の受諾について承認を求めるの件、貿易協力機関に関する協定の受手について承認を求めるの件、以上の三件をそれぞれ承認すべきものと議決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野田委員長 御異議なしと認めます。よってただいまの三件はいずれも承認することに決しました。 次に所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約の補足議定書の締結について承認を求めるの件を討論に付します。討論の通告があります。これを許します。松本七郎君。
○松本(七)委員 私は社会党を代表しまして、今議題になっております所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約の補足議定書の締結について承認を求めるの件について反対の意見を述べたいと思います。 これは先ほども質問のときにも少し申しましたように、表面はまことに相互主義の免税ということで、平等な規定になっておるのですけれども、現在の日米両国間の実情からいいますと、さしあたりは日本には何ら利益はない。ただ無制限にどんどんアメリカの資本さえ入ってくればいいのだという安易な考え方を是認すれば、これは話は別ですけれども、第一、ワシントン輸出入銀行の対日投資の利子に対しては免税されるけれども、実際には日本の輸出入銀行は先方に投資することはまず当分考えられないのですから、その点だけ見ても、何ら当面日本に利益はないと言わなければならないわけです。ましてやもしこの課税免除を拒否すれば、その課税分だけは利率を引き上げようというような動きさえアメリカにはある。これは一種の威嚇政策であって、こういう状態でこれを認めるにしろ、いずれにしてもまた輸出入銀行というものの特殊な性格、あるいは世界銀行という性格から考えても、米国に対する日本の経済的な従属化をむしろ強化するおそれさえあるという観点のもとに、私どもはこの条約には反対するものでございます。
○野田委員長 これにて討論を終局いたしました。 採決いたします。本件を承認すべきものと議決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○野田委員長 起立多数。よって本件は承認するに決しまた。 なお、ただいま採決いたしました各件に関する報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野田委員長 御異議がなければ、さように決定いたします。
○野田委員長 次に、請願の審査をいたします。 お諮りいたします。本日日程に掲載いたしました請願、すなわち軍縮及び原水爆実験禁止に関する請願、松本七郎君紹介、第八十号、外二十一件の各請願は、それぞれその趣旨はきわめて妥当であり、かつまた当委員会においても、国際情勢等に関してしばしば審議をいたしておりますので、紹介、説明、質疑等を省略し、これを採決の上内閣に送付すべきものと議決いたしたいと存じますが、これに御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野田委員長 御異議がなければ、さように決定いたします。 なお、ただいまの各請願に関する報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野田委員長 御異議がなければ、さように決定いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後八時十分散会