外務委員会 第23号
- 発言数
- 145 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/05/13
会議録
○野田委員長 これより会議を開きます。 理事の補欠選任についてお諮りいたします。理事穗積七郎君は去る四月二十二日委員を辞任せられましたので理事が一名欠員となっております。それゆえ、この際理事の補欠選任を行いたいと存じますが、慣例によりまして委員長より指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野田委員長 御異議がなければ穗積七郎君を理事に指名いたします。 —————————————————————
○野田委員長 特殊核物質の賃貸借に閲する日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との間の第二次協定の締結について承認を求めるの件、特殊核物質の賃貸借に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との間の協定第一条の特例に関する公文の交換について承認を求めるの件を議題といたします。 政府側より提案理由の説明を求めます。高橋条約局長。
○高橋(通)政府委員 ただいま議題となりました特殊核物質の賃貸借に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との間の第二次協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明申し上げます。 一昨年十一月十四日に署名されました原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定が国会の御承認を得まして同年十二月二十七日に効力を発生し、一方研究用原子炉の設置のため国内における諸措置も着々と整備されて参りました。すでに御承知の通り、政府は、さきに茨城県東海村原子力研究所に設置される溶液型研究用原子炉に使用するための濃縮ウランの賃借に関しまして前述の日米原子力協定に基き客年十一月二十三日米国政府との間に第一次協定を締結いたしまして、同協定は客年末国会の御承認を得て十二月十四日に効力を発生いたしました。 前述の溶液型研究用原子炉に次いで第二号炉として重水型研究用原子炉も客年十月発注されておりまして来春には完工を見る予定でございます。よって政府は、右の重水型研究用原子炉に使用するための濃縮ウランの賃借を取りきめるため一昨年締結されました日米原子力協定に基きまして先般来ワシントンにおいて米国政府との間に交渉を行なって参りましたが、このほどその協定案文につきまして妥結に到達いたしましたので、五月八日在米下田臨時代理大使と米国政府を代表する合衆国原子力委員会代表ジョン・A・ホールとの間で署名を行なった次第でございます。 この協定におきましては、わが国は四キログラムをこえない量の同位元素U二三五を含有し、一九・五%ないし二〇%に濃縮されましたウラン約二十キログラム及び補てんのため必要なウランの追加量を、米国の原子力委員会より賃借することができることになっております。 賃借に関する経費としましては、濃縮ウランの使用料、消耗及び濃縮度低下補償料、及び再処理料金を原子力委員会に支払うこととなっておりますが、そのほかにわが国が負担する経費といたしましては、濃縮ウランの加工業者に支払う加工料、輸送料、梱包料または分析検査の費用等がある次第であります。 その他この協定は、濃縮ウランの引き渡し及び返還の手続、引き渡し後においてわが国が引き受けるべき責任等についても定めております。 前述の重水型原子炉は本年度中に組み立てを終り、来春には運転を開始する予定になっており、その成否は、将来のわが国原子力開発計画の進展に大きな影響を持つものでございますので、その予定に間に合うよう濃縮ウランの加工が終り、入手できるよう発注するため、特に会期末にもかかわらず今次国会に提出して本第二次協定の締結について御承認をお願いする次第であります。 何とぞ慎重御審議の上、本件につきましてすみやかに御承認あらんことを希望いたす次第であります。 次に、特殊核物質の賃貸借に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との問の協定第一条の特例に関する公文の交換について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明申し上げます。 この協定の第一条は、合衆国委員会が溶液型研究用原子炉の燃料といたしまして日本国政府に賃貸する濃縮ウランの規格について、同位元素U二三五において一九・五%ないし二〇%の濃縮度であるべき旨定めております。 しかしながら、前記の原子炉のためのフィッション・チェンバー、これは原子炉の始動に際し必要な装置でございますが、これに装填される極微量のウラン、U二三五について約〇・六グラムでございますが、につきましては、その濃縮度が前記の規格を若干下回るものであっても原子炉の操作に支障がないことが判明いたしましたので、協定第一条に定める濃縮度は、特に右の原子炉のフィッション・チェンバーについては必ずしも適用するものでないこと、及び協定の両当事者は、右のフィッション・チェンバー用ウランについては二〇%をこえない範囲で随時合意することができるよう協定第一条の特例を設けることといたしまして、五月八日ワシントンにおいて在米下田臨時代理大使と合衆国原子力委員会のジョン・A・ホールとの間に右に関し公文を交換いたした次第でございます。 前記原子炉の運転開始を目睫に控えておりますので、特に会期末にもかかわらず今次国会に提出して本公文の交換について御承認を求める次第でございます。 何とぞ慎重御審議の上、本件につきましてすみやかに御承認あらんことを希望いたす次第でございます。
○野田委員長 これにて提案理由の説明は終りました。 お諮りいたします。ただいまの両件につきまして科学技術振興対策特別委員会より国際原子力機関憲章の批准について承認を求めるの件と一緒に連合審査会を開会されたいとの申し出がありました。この申し出を受諾したいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野田委員長 御異議がなければさように決定いたします。
○岡田委員 この原子力の関係の平和利用協定並びに第一次の協定、その他の関係資料を、これは審議を進めるためにも急いで資料として御提出を願いたいと思います。
○野田委員長 了承いたしました。政府の方で御提出を願います。 国際原子力機品憲章の批准について承認を求めるの件、及びただいま提案理由の説明を聴取いたしました細目協定等二件について一括して質疑を許します。松本七郎君。
○松本(七)委員 きょうは条約のことになるべく限りたいと思うのですが、そればかりでも済まないと思いますし、連合審査のときにまた質問が出ることもあろうかと思いますから、一応概略質問しておきたいと思います。 第一は、日本の原子力の利用についておそらく一番関心が持たれているのは、発電関係だろうと思うのですが、これが果して商業ベースでやっていけるかどうかという点です。米英はそれぞれ安い単価を一応はじき出して、そうしてしきりに動力炉を売り込もうとしておるようですが、今日すでに商業ベースで発電しておる国があるのかどうかということをまず伺いたい。
○佐々木政府委員 今日世界各国で、いわゆる他の通常な、火力発電あるいは水力発電に比較いたしまして、その国におきます原子力発電というものの方が、むしろそれよりも安いというふうな意味合いにおきましての商業炉というものを運転している国はございません。
○松本(七)委員 そうすると、まだどこの国も実験過程の発電所だ、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○佐々木政府委員 その通りでございます。
○松本(七)委員 今度の機関の目的は、原子力の平和利用というとに限られておって軍事的目的には利用されないということを、原則としてはうたってあるわけですね。ところが米国なり英国なりソ連のように、すでに原子兵器を持っておる諸国が、この機関に加盟することに上って今の平和利用のみに限るという点については、どのような拘束を受けるのかという点をまず伺いたい。
○宮崎政府委員 米英ソ等の諸国は、この憲章に関する限りでは、提供国に回るわけでありまして、従ってこれらの国に対する制限というものは、この中にははっきり出てきておりませんのは、これは事実であります。しかしながら、この憲章がきめますいろいろな保障措置というものは、これは提供を受ける国に適用がある次第でありますけれども、それらの国が適用を受けることから自然に提供する国もやはりそれを考慮しますし、またそれに使用する物質は始終この保障措置によって数字等を正確に記録して軍事方面に流れないようにしておりますので、そういうものは軍事的に流れるということはないということになっております。それで提供国の方は別に軍事的な使用は現にやっておるわけで、この憲章かできても相変らず続けてやっていくのでありますけれども、だんだん平和的利用ということを強調してくることによってまたそういうふうに核物質を平和的に利用することによって軍事的利用の面がそれだけ制約されてくる、制限されてくるという間接的な効果はある次第であります。
○松本(七)委員 今の御説明でもはっきりしておるように、提供国はこれは法的には拘束されない。ただ間接的に、平和利用が進んでくれば軍事利用の方もだんだん薄らいでくるだろう、こういう期待を持たれた御答弁のようでありますが、これは確かに平和利用が進めば、そしてそれを確実ならしめるためには軍事利用というものを制限するなり禁止するという空気が世界的に強まってくることは事実だと思うのです。その点に私は今度の原子力機関のできた大きな意味もあると思うので、すが、しかしこの条約文そのものから言えば、提供した方の国には拘束力はないのですから、そうなるとこの軍事利用の方を積極的に禁止するなり制限するなりということの保障がない限りは、逆にすでに原子兵器を持っておる諸国の優位性を、この国際機関によってかえって保障するという結果が情勢いかん、では出てくるだろう。ですからそういう危険があるということはお認めになるかどうか、いかがでございますか。
○宮崎政府委員 元来この国際原子力機関憲章ができましたいきしさつは、核兵器の制限というような軍事面のことはこれはきわめて望ましいことではあるけれども、しかしそれが完成するのを待ちましては非常に時間をむだにするという見地から、それとは別にこの憲章を作ってやっていこうということになったわけであります。それでありますから軍事的な面はまたこの憲章以外の別の方法で国際間において進めていこう、そういう方面の制限はまた別途の軍縮会議とかそういうような方法でやっていこうということになりまして、この憲章そのものについては、そういう点はただ間接的な効力だけを期待するということで進んできた次第であります。
○松本(七)委員 この間の宇田さんの答弁でも、軍事的な面はわれ関せず焉だ、そういう言葉は使われないけれども、いかにもわしらはもう平和的なことだけ考えればいいのだ、軍事的なことは人がやってくれる、こういう態度だったのですが、それではだめなのであって、やはり平和的利用に関心を持ってそれを確保しようという担当者は、一方軍事的な利用というものを禁止するという運動がなされなければこれはできないと思うのです。ですから特に日本の場合はこういった機関に入って理事国にもなろうという希望を持ってこれを取り組もうとしておるのですから、当然軍事的な利用の制限禁止ということにもあらゆる積極的な努力をする必要がある、こういうふうに私どもは解するのですが、政府当局のその点に対する考え方をはっきり伺っておきたい。
○宮崎政府委員 今仰せの通りでありまして、軍事的な制限に対しましてはこの憲章内でできればよろしいのですけれども、すぐこの憲章によってやるという方法は当分考えられないと思いますから、そのほかの方法によりまして、たとえば国連の総会あるいはその他国連の機構を通じまして、あるいはさらに従来やっておりますように、ほかの国が核爆発の実験をやります際に日本の抗議を申し込むというような方法によりまして、他の場面を借りまして今後とも十分機会をとらえて続けてやっていくつもりにしておる次第であります。
○松本(七)委員 そこでわが国として今やっておるような登録制の提唱の程度でいいか悪いかというような問題になるわけですけれども、いずれこの点は大臣出席のときに同僚議員からさらに詳しい笠岡があると思いますので、一般的なことはそのくらいにしておきまして次に、原子力物質を買い付ける上で、今度できる国際機関を通じて買い付けるのと、それから二国間で直接取引するのとどういう差異があるのですか。
○宮崎政府委員 原則的には別段差異はありませんので、そのときの提供する国と受ける国との関係によってきまってくる次第であります。
○松本(七)委員 そうすると、たとえば日本がこの機関を通じて米国が提供した原子物質を購入した場合、米国の原子力法との関係はどうなるのですか。
○宮崎政府委員 米国が日本にあるいはその他の国に原料を出しますときは、やはり米国の国内法に制約せられることはやむを得ないかと思いますが、日本といたしましてはこの国際憲章に基いてやった方か有利であるか、あるいは直接アメリカと交渉してやった方が有利であるか、その二つの場合を比較して一そう有利な方を採用することができるという利点があるわけであります。
○松本(七)委員 いや、それはかりにアメリカから原子力物質を受ける場合に、この機関を通じてやった方が有利だと思っても、アメリカの方で直接二国間でやる、こう言えばこれは相手の同意がなければできないわけでしょう。ですからこの機関の場合にどうなるかということが問題なのであって、かりにこの機関を通じて米国から受ける場合、日本は直接アメリカの原子力法には拘束されない。けれども提供国であるアメリカが原子力法に拘束されるのですから、結局日本もアメリカ原子力法によって拘束されるという結果が出てくるだろうと思います。この機関を通じてやる限りは……。その点はどうなのですか。
○宮崎政府委員 ただし直接やる場合においても米山においてはもちろん原子力法の制約を受けるわけでありますから、その点は別に差異はないと思います。
○松本(七)委員 この第三条Aの5には、機関みずからが特殊核物質その他の物質を提供することができるようになっているのですが、この具体的な準則はきまっているのですか。
○宮崎政府委員 まだ具体的な方法はきまっておりませんので、そういう点は将来発足しますこの機関の理事会において詳細を決定することになると思います。
○松本(七)委員 提供を受けることを希望する国とこの国際機関との間には、どういう取りきめが今後なされるのですか。
○宮崎政府委員 その点は十一条をごらん下さいますと、そこに提供を希望する国と機関との間に取りきある次第が規定せられております。
○松本(七)委員 この国際機関の活動開始はいつごろになるのですか。
○宮崎政府委員 従来八月に発足するであろうということを予想せられておりましたが、各国の批准の状況が少しおくれておりますので、あるいはそれよりおくれて九月あるいは十月になるということも可能であります。
○松本(七)委員 第三条Aの7は、機関が利用し得る施設その他が不適当であるか、または機関が不満足とする場合には、機関が必要とする施設、工場等をいつでも取得することができることになつしいるわけですが、これはどういう手続あるいは規則によって取得するのですか。
○宮崎政府委員 この点も将来理事会においてきめることになっております。
○松本(七)委員 将来理事会できめるにしても、収得することができるというような手続や規則は——原則としては不適当あるいは不満足な場合には取得できるのですね。こういう機関がそういった権限を持つということは、一種の超国家的機関であると見ていいでしょう。
○宮崎政府委員 これは機関と関係国との間の合意を待ってやるわけであります。
○松本(七)委員 この機関の平和的利用の目的を確保するための管理は、どういうふうにしてなされるのですか。
○宮崎政府委員 この点は相当詳細に十三条に規定せられておりまして最も主要な点は、いろいろな記録を正確にしてそれを機関の方が始終把握しておることとか、その関係国に対しまして視察員を派遣してよく状況を見るとかいう直接な方法もとり、管理をしていくことになっております。
○松本(七)委員 そうすると管理の面では国連の安全保障理事会の、平和維持の問題と関連してくるだろうと思うのです。核分裂物質の平和利用と国連における安保理事会の平和維持としいう問題との関連はどういうふうになりますか。
○宮崎政府委員 この原子力機関と国際連合との間には、将来相互間において協定を作りましてその関係を律するわけでありますが、現在のところはこの機関が安保理事会に対して報告をすることになっております。それによって安保理事会と原子力機関との間の関係が生じてくるわけであります。
○松本(七)委員 こういった包括的な国際機関という建前にはなっておっても、やはり事実上の発言権を持つものは、核物質もしくはその施設を提供する大国だろうと思うのです。この点はいかがですか。
○宮崎政府委員 そういう大国はやはり国力の背景を持ってこういう会議なり機関なりにおいて発言いたすことを事実であります。けれども、この制度といたしましては、提供国以外に提供を受ける国の数もそれ以上入っているわけでありましてそこにおいての議決は三分の二または単純多数ということでやっていきますから、場合によっては大国の一部の希望しないような結果も生じ行るという建前になっております。
○松本(七)委員 これは非常にたくさんの国を包括している、国際連合でも同じですが、運営していく場合に結局大国の協調ということが一番大事なことになってくると思います。今では特に米ソの両大国が協力するということが、すべての国際機関を円滑に動かす根本だろうと思う。そうすると日本も御承知のように国連に加入し、こういった一番関心の深い原子力の平和利用の国際機関ができて、その理事国にもなろうというわけですから、当然大国間の協調ということにわれわれも関心を持たざるを得ない。たとえば第三条のBの3にあげてあるように、低開発諸国への配分を決定する場合の問題一つをとってみても、大国の間のイデオロギーが相対立しておれば、低開発地域をどうするかという問題が必ず出てくる、そういうことでも総会なり理事会での決定がなかなかできないことになるおそれが多分にあると思う。ですから日本は国際機関に入れば入るほど、やはり世界の平和的環境を進んで積極的に切り開いていく、特に米ソ両国の協調、提携、協力という面に格段の努力をこれからしなければ、せっかくのこういういい機関ができても、絵にかいたもちになるのではないかということを憂うるのであります。これは大臣から御答弁を願うべきことかもしれませんけれども、これを作られた当局としても当然そういったことを完全に動かすには何が必要と考えているか、今のような点をどう理解されているかお伺いしておきたい。
○宮崎政府委員 この機関憲章を発議しましたのは、御承知のように米国でありますけれども、最も先に批准をいたしましたのはソ連でありましてすでに批准の寄託を了しているというようなわけでありまして、米国とソ連との間には、期せずしてこの憲章の取扱いについては、態度が一致しておるというふうな非常に都合のいいことに現在なっておるわけであります。もちろん具体的にこの機関を動かしていきます場合には、種々の点につきまして米ソ両国の間に意見の一致しない点も生じてくると思いますけれども、しかし、さっきも申しましたように、提供を受ける国もたくさんまじっておりますから、この間に自然にある一つの妥協なり合意なりが生じてくるものであると思っておる次第であります。もちろん日本といたしましてもその間に立ちまして、この機関が円満に運営されるように、代表の方は努力されることであると考えておる次第であります。
○松本(七)委員 この第三条Bの4で安全保障理事会との関係を規定しておるのですが、今度できるこの機関を、安保理事会の機関として置いた方が、運営上または安全保障という点からも適当ではないか、あるいは国連の独立した専門機関にするとか、そういったことも一つのやり方だと思うのですが、その点はいかがですか。
○宮崎政府委員 この機関を安保理事会の直接の下部機構にいたします場合には、安保理事会が現在いろいろな点で活動を十分できない場合が多い。たとえば拒否権の発動などによる場合が種々ありますので、むしろこの機関は国連全体の下部の機構として発足することにしたわけであります。
○松本(七)委員 それから今度は三条Cに関連することなのですが、現在原子兵器は作っていない、しかしこの新しい機関の援助によって将来原子兵器を作る可能性が出てくる、またある国が現在は作っていないが将来その可能性ができた場合には作ろうという意思を持っておる。そういう場合にその国とこの機関との関係はどうなりますか
○宮崎政府委員 この憲章におきましては、加盟する国はこの機関から得る便宜を転用して軍事的にこれを利用するということはできないということになっております。でありますからこの加盟国が機関と全然関係なく独自に核兵器を持ってくるというような場合は、この機関の問題ではないのではないかと思っております。
○松本(七)委員 そうするとかりに機関の援助によっていろいろな研究が進み、面接機関の援助で核兵器を作るのではない、けれどもそれが間接的にその国の原子力関係の発達を促してそして原子兵器を作る能力がその国に備わってそうして作り始めたというような場合には、これは全然別個な問題、その区別はどこで区別しますか、直接でなければいいということになりますか。
○宮崎政府委員 この機関の援助を受けていろいろ研究を進めていきまして特定の国に原子力に関する技術なり知識が進んで参りますことは事実でありますが、そういう場合はすべて研究の結果などをこの機関に報告することになっております。しかし報告はしましても、そこにまたその知識なり研究なりが別途に軍事的な目的で利用せられるということはやむを得ませんが、しかしそういう研究の結果などを機関の加盟国岡全体の利益に供さずして、自分の国だけでそれを隠して持っておって、軍事的に転用していくというようなことは認められていないことになっております。
○高橋(通)政府委員 ちょっと私からも補足さしていただきますが、ただいまの問題はやはり間接とか直接とかいう判定の非常にむずかしい問題てはあるかと思っております。憲章の条文上は御承知の通り、機関と提供を受ける国とが約束をいたしましていろいろ取りきめるわけでございます。そこでその約束の内容としましては、御承知の通り第十一条のF項の4に「いずれかの軍事的目的を助長ずるような方法、利用されないこと」というような規定がございますので、この約束をしました以上は、これによって提供を受けたということによってそれがその国の軍事的目的を助長ずるようにそれを利用していくということは約束違反になると思います。
○松本(七)委員 提供国の方はその点での拘束を受けないのでしょう。そうするといよいよ提供国とそれからこれを受ける国との扱い方というものが、これでは非常に差があるということになる。これは直接間接ということを非常、区別しにくい。ある原子力関係のおくれている国がこの機関からいろいろた援助を受けてそれによって間接に独力でも研究も進んできて原子力を持てるようになる。それも今の御説明からいえば、結局この機関からの援助によってそういう状態になったのだから、これは一切軍事的なものに向ってはいけないということになるの一ですね。ところが今すでに原子力兵器を持っている国つまり提供国の方は、それも拘束を受けないのですから、いよいよ軍事的には——、世界的にこれが禁止でもされない限りは、どんどん発達されるということになる。すると軍事的にはいよいよ開きができるということになると思いますが、いかがですか。
○高橋(通)政府委員 確かにただいまの点は憲章自体のやはり根本的な規定に関連する問題でございまして、提供を受ける国の方についての御承知の通りのいろいろな規定でございまして、従って提供をする方の軍事的利用その他については、直接にはこれに関係していないということから来るところのそういう相違があるかと思っております。しかしながらやはり何と申しましても、これが目的とするのは、直接の平和的利用でございますが、御承知の通りこの趣旨としましては、軍事的利用というものは適当でないというのが趣旨でございますので、たとい提供する国であっても、条約的義務的には一応問題とはしていませんが、道徳的には当然拘束されるような方向に持っていかれるものであるというふうに言えております。なかんずくたとえば第三条のBに「機関その任務を遂行するため、次のことを行うものとする。」とございまして、「1平和及び国際協力を助長する国際連合の目的及び原則に従い、」云々ということは、やはりこのような方向に原則としてこの機関憲章の大目的がありますので、この参加国である提供国でも当然拘束されるというふうに解釈をいたします。また理事会では、二十三カ国理事会に入っておりますが、提供国として考えられるのは五カ国であったのでございますので、その点におきましても提供される国のヴォイスを強く述べることができる機会も与えられているというふうなことから、大体の方向としましては、条約的な義務の方面では直接に問題にしていませんが、そういう方向においても有力な影響を与えることができるというふうに考えております。
○松本(七)委員 これは内容が明らかになればなるほど、やはり軍事的な禁止という面も並行して早くそういう体制を作らなければ、これが生きてこないということはだんだん明らかになると思うのです。ところでこの理事国の選任ですが、第六条Aの一の「最も進歩した五加盟国」というのはどことどこですか。
○宮崎政府委員 これは米国、カナダ、イギリス、フランス及びソ連の五カ国をさしております。
○松本(七)委員 それから地域別の理一事国をそれぞれどういうふうにして選ぶのですか。
○高橋(通)政府委員 第六条Aのは「最も進歩した五加盟国」で、ただいま申し上げた通りでございます。それから次の八つの地域がございますが、この地域で、先ほど申し上げました五加盟国、英、米、仏、ソ、加で代表せられない地域か各一カ国が指名されることになると思います。その地域といたしましては、(2)のラテン・アメリカ、(5)のアフリカ及び中東、(6)の南アジア、(7)の東南アジア及び太平洋、(8)の極東、この地域の国々から各一カ国が選ばれると考えます。
○松本(七)委員 この2、3による理事国は、どの国予定されていますか。
○高橋(通)政府委員 ここに掲げてありますベルギー、チェコ、ポーランド及びポルトガルの加盟国であります。それから技術援助国としましては国でございますが、現在大体スウェーデンあたりかなるのじゃないかと考えられております。
○松本(七)委員 ずいぶん複雑な選び方をきめたものだと思うのですが、どうしてこういう複雑な方式にしたのでしょうか。
○高橋(通)政府委員 実は御指摘の通り、非常に複雑した選び方をしているわけでございますが、結局会議の実体的問題といたしましては、非常に多くの国が理事国になりたいので、非常な競争と申しますか、候補が非常に多かったわけでございます。そこでこれをどういうふうに割り振るか、どういうふうな格好でみんなの満足のいくように割り振ってその原則を立てるかということで、このように、進歩した国であるとか、あるいは原料物質の生産国であるとか、あるいは技術援助国であるとか、いろいろな名目といいますか、原則というものを考え出しまして、大体このようなふうで全関係国の満足を得るような結論に達した次第であろうと考えております。
○松本(七)委員 Aの1に規定した(6)の南アジア、(7)の東南アジア及び太平洋それから(8)の極東、これは地域的にどういうふうに区別されますか。
○宮崎政府委員 これははっきりした区別は、ここに列挙してある以外にはわれわれにはわかっておりません。
○松本(七)委員 ここにわざわざ番号をあげて東南アジアとかいうふうに区別してある以上は、その区域がどこかということがわかっていなければ、あげられないだろうと思う。
○宮崎政府委員 この憲章に署名しました当時におきましては、南アジア、東南アジア及び太平洋、極東、この区別をはっきりすることが非常に困難でありました。それでありますから、一時こういう名前だけを出しておきまして、あとできめるということになっておった次第でございます。(「日本はどこに入るのだ」と呼ぶ者あり)日本は極東に入っていることは間違いございません。
○松本(七)委員 この機関の職員はどういうふうに任命されるのですか。各加盟国から任命されると思いますが、その場合の各国の割り振りはどういうふうにするのですか。
○宮崎政府委員 この機関の事務局の職員は、これは加盟各国から地域的な配分を考えまして採用するということになっておりまして、大体ほかの国連関係の機関の職員の採用と方針においては大差のないものになるだろうと思っております。
○松本(七)委員 そうすると、分担金の額に応じて何か剃り振るというのですか。
○宮崎政府委員 第七条のD項にあります「機関に対する加盟国の寄与」というのが分担金のことも考えての規定ではないかと思うのですが、そういうものを考えまして職員を採用することになると思います。
○松本(七)委員 この機関の予算はもうきまっているのですか。
○宮崎政府委員 現在国際連合から二十万ドルを借りて準備委員会の仕事をやっているところが予算的にきまっているだけでありまして、将来の予算は第一回の総会できめることになるだろうと思います。
○松本(七)委員 そうすると、その予算がきまるまでは、職員の割り振りなんかはきめられないということになりますか。
○宮崎政府委員 やはりはっきりした予算ができるまでは、職員は本式には採用せられないものだろうと思っております。
○松本(七)委員 それから第七条E項に「理事会が作成する規則に従うものとする」とありますが、この規則けさっきの御説明のようにこれから作るわけですか。
○宮崎政府委員 この規則と申しますのは、国際連合あるいはエカフェとかFAOとかいう国際連合関係のいろいろな機関は、すべてこういう職員に関しての職務上の規則というものを持っておりますが、それに類するような規則が総会において承認せられた場合には、そういう規則に従っていかなけ場ばならないということを言っておるわけであります。
○松本(七)委員 その次は同じ七条のFですが、機関の職員の地位、これは当然国連と同じように一種の超国家性の人格が要求されると思うのですが、この職員は「自己の公的任務により知るに至った産業上の秘密)(は他の機密の情報をもらしてはならない」という規則があるわけですけれども、この者が機関の職員を辞任した後は、法的にはもう拘束されることはございませんか。
○宮崎政府委員 この条文だけでは辞任したあとのことは書いてありませんけれども、おそらく総会が承認する規則などにおいてそういうこまかい点もきめられて、結局辞任してからもその職にあった間に知るに至った秘密等は漏らしてはならないことになるであろうと考えております。
○松本(七)委員 そうすると辞任した後に自分の国の公的機関によって喚問され、そしてその内容の発表を要求されるというような場合は、それが発表できないというふうに今後規制しようというのですか。
○宮崎政府委員 そういう場合には一応機関に連絡いたしまして、その間に了解ができれば、喚問に応じて返答してもいいことになるであろうと思いますけれども、そういう了解が得られない場合には、やはり機関の規則に拘束せられることは続くだろう、こう考えております。
○松本(七)委員 今の点は原子兵器の製造あるいは使用といろいろな関係が出てくるだろうと思うのです。原子兵器の製造なり使用が国際的にほんとうに効果のあるような禁止が完全にされれば別ですけれども、それができていない以上は、ほんとうの意味の原子力の平和利用が十分に行えないのじゃないか。その禁止が完全にされない間は、合言うF項も結局平和利用の発展そのものを阻害する面が出てくるだろうと思うのです。それは軍事的利用というものが完全に禁止されればそういう心配がありませんから、平和的利用にはあらゆる知識を動員しようということができるわけです。けれども軍事的利用という面が残っている以上は、そこに非常に警戒心がわいて、本来なら平和的に活用されるべき知識も、軍事的利用ということに神経をとがらすために、何だかんだとそれが公けにできない場合もあるだろうし、平和的な面から見れば公けにすることがむしろ利益であるにかかわらず、軍事的にも関係があるということから、これが公けにできないというような部面がたくさん出てくるだろうと思います。そういうことにこの点は関連してくるだろうと思うのですが、その点についてのお考えを伺います。
○宮崎政府委員 この点は情報の提供ということをここに規定しておりまして、この機関を利用しました上に得た知識等は、全部の所有にしなければならぬということになっておりますので、これによって自分のところだけにそういう知識をとどめておいたり、軍事上の方に転用したりすることを避けるようにしておるわけであります。
○松本(七)委員 私の聞こうとするのは、結局軍事的な面の禁止をもっとやらなければ、今言うようなF項が逆に平和利用の発展を阻害する一つの条項になるのじゃないかということなのです。
○宮崎政府委員 確かに仰せのような面もありますけれども、ただそういうふうに軍事的利用の点ばかりを憂慮して、研究や利用が進まないというわけでもなくて、やはり併行していくのであろうと考えられるので、でありますから軍事的利用の面はできるだけ早く禁止をすればそれだけいいわけで、一方だけが進んで他が全然とまるというようなことはないのじゃないかと考えております。
○松本(七)委員 その次はG項の警備員ですが、日本に外国人の警備員が派遣されるというようなことはあり得るのですか。
○宮崎政府委員 この機関の派遣する警備員は日本人ばかりではありませんで、外国人が来ることもあります。
○松本(七)委員 この警備員の職務遂行上の権限はどういうことになるのですか。警察権はあるのですか。
○宮崎政府委員 この警備員はこの機関の提供しました設備その他関係のと、ころだけに立ち入るわけでありまして、それもその国の主権を十分尊重して行動するようにということになっておりますから警察力というような力は持っていない非常に限られた目的のために行動すると考えております。
○松本(七)委員 しかしこの警備員は、職務上最小限度の武器は携行することがあるのでしょう。
○宮崎政府委員 今御質問にありました警備員というのは、一つは視察員というのがありましてこれは施設に対して行う視察、いろいろな施設のある場所に行きまして実際その状況を見るものであります。それからその他核物質を引き渡したり輸送したりするときの警備というものもありますが、そういう場合には輸送なり保管なりの目的のための警察的行動はとるわけであります。
○松本(七)委員 今質問した点が御答弁ないのですが、最小限度の武器は携行することがあるわけでしょう。
○宮崎政府委員 今お答えいたしました輸送その他につきまして、必要があった場合にはあるいは武器を携行することもあるかもしれませんが、あまり武器の携帯いかんというようなことは考えていないわけであります。
○松本(七)委員 私は、おそらく警備員はその職務上必要な最小限度の武器ぐらい持つことはあるだろうと思う。その職務の範囲内で、今おっしゃるように警察権も当然これはあるだろうと思います、限られたものであっても……。するとその場合の国内法との関係は何か考えておられますか。
○高橋(通)政府委員 ここで「「職員」には、警備員を含む。」とございますので、御指摘の通り、これは主眼といたしますのは、やはりこういう危険な物質でございますから、それに対する安全保護の必要上、そのような貯蔵場所に警備員を派遣しておくとか、そういうのが主たるねらいではないかと思っております。そこでここではただ「警備員を含む。」というだけでございましてこれが武器を携帯するとか、その提供を受ける国に行く場合があるかどうかわかりませんが、第三国、外国に行く場合とか、そういう場合にどういう権利、権能、権限を持つか、そういうことはこれによって、ここでこの条約に参加しましたことによって、当然にその詳細な内容まで決定されたということはないと思っております。やはりその場合は、その個々の場合のとりきめだとか了解によって、この具体的な内容や権限の範囲がはっきりきまってくるものじゃないか、こういうふうに考えております。
○松本(七)委員 それから宮崎さんがさっき触れられた視察員ですね。この第八条のA、Bに関連して情報が正確であるかどうか、またはその提出さるべき情報が完全に提出されているかこうか、そういうことを査察するための、第十二条Aの6にいう視察員が派遣されるということはあり得るのですか。
○宮崎政府委員 視察員の行いますここは、第一には保障措置が十分にいっ、おるかどうかということが主でありまして、その保障措置の中にいろいろば計数等も常時維持しておるというここもありますので、その中に含まれるわけでございまして、本来は保障措置を全般について視察するわけであります。
○松本(七)委員 そうすると今言うように、その情報の正確さだとかあるいは提出さるべき情報が完全に提出されておるかどうかというような点も視察し得るわけですか。
○宮崎政府委員 その点も包含せられておると思います。
○松本(七)委員 そうすると、そこに上権侵害というような事態が起るおそれがあると思うのですがどうですか。
○宮崎政府委員 この保障措置を考えました場合には、もちろん日本の主権の一部を制約するということは当然言えるわけでありますけれども、しかしこの保障措置は機関憲章ができます場合に、いろいろな国から文句を言いまして、最小限度まで切り下げたわけでございまして、この限度の保障措置を認めなければ憲章が成立することができなかったので、こういうことになつしおるわけであります。しかしこの憲章を署名かつ批准します場合には、それだけの主権の制約というものは受け入れた上で承認することになるわけであります。
○松本(七)委員 その次は第九条C項「自国の法律に従って」云々として、物質の量、形状、組成を機関に報告する、こういう条件があるのですが、この場合、たとえば米国について言うならば、原子力法というものがある。原子力法によって厳格な規定及び制限が加えられているのですが、さっきもちょっと触れたことですが、この条項によって今度できる機関そのものが結局米国の原子力法によって拘束されるもの、こういうふうに解釈していいのですか、この条件を解釈すれば。
○宮崎政府委員 この場合に、加盟国は機関との間にも一つ協定を結びますので、そのときに機関と結びました協定に上ってこれらの通告がなされるわけであります。またそれでありますから、「自国の法律に従って、」というのは、そういう加盟国と機関との間に協定を結びます場合にそういうことをいっておるだけのことでありまして実際に通告をする場合に関係しておるものではないと思っております。
○松本(七)委員 どうも今の説明は意味がよくわからないのですが。
○松井説明員 松本先生の質問は二つ問題があると思います。まず九条のC項であります。たとえばアメリカが特殊核分裂物質を提供する場合には、その規定の、憲章の条文の通りに、アメリカの国内法に従ってやるという場合に従って、具体的にはやはりアメリカの原子力法で規定している、五十三条でいわゆる免責条項のような規定がございます、こういう条件を機関に出す場合には、アメリカは国内法の規定に従っていいとあるから、免責条項はつけ得るという考えが成り立ちます。しかしながら会7度アメリカから燃料の提供を受けました機関が、これを加盟国に貸与する場合があります。その場合はまだきまっていないわけです。十一一条の規定がきまっているだけです。日本政府としましては、燃料物質をもらう場合に、一々日本の財政法の特例を設けるようなことは、政策的にも法律的にもきわめて困るから、そういうものは、もし理事会その他で問題になればこれを削除するように努力する方針でございます。局長の御説明を補足いたします。
○松本(七)委員 それから第九条H項。時間がありませんから少し急ぎますが、この機関が所持する物質の貯蔵は分散すべきことをここで規定しておるのですが、さしあたり現在ではどこの国に分散貯蔵する計画になっておるのでしょうか。
○宮崎政府委員 この規定は概括的にいっただけで、具体的な決定はございませんので、この目的は、一つの場所に核物資を集中いたしますと、いろいろ国際情勢の変化等でそれが悪用せられるおそれがありますので、ただ広く分けておくということを抽象的に書いただけのものであります。
○松本(七)委員 そうすると、それを決定する機関はどこですか。総会ですか、あるいは理事会ですか。
○宮崎政府委員 理事会がそれを決定することになると考えております。
○松本(七)委員 第九条1項の1で、物質の受け入れ、貯蔵、それから送出のための工場、それから設備及び施設、これをすみやかに設置または取得すべき旨が規定されているのですが、これは結局提供国たる米英ソ等の大国だけに置かれるようなことになるのじゃないかと思うのですが、どうでございましょう。
○宮崎政府委員 この点も理事会において具体的なことは決定するわけでありますが、必ずしも大国だけに置くというふうには考えておりませんで、機関に参加しておる国の範囲が大へん広く、世界各地にあるわけでありますから、そういう点を考慮して、最も便利なふうに配置をすることになるのではないかと考えております。
○松本(七)委員 次は十一条B項、平和目的のための原子力の研究開発または実用化等の計画を遂行するために、この機関はそれに要する融資を確保するように援助することができる旨の規定ですが、実際にはどのような援助がこの機関として考えられるのですか。
○宮崎政府委員 この融資をするというのは、本来は機関のやることではありませんけれども、被援助国が申請した計画を機関が承認いたしましても、資金が不足して困るというような場合がありますので、それで機関があっせんするのでありまして、特別に予定せられた金融機関等はありませんが、たとえて申しますと、国際復興開発銀行なども考えられるわけであります。
○松本(七)委員 わざわざ融資の援助に際してはこの機関そのものは財政的な責任は負わないということがうたわれているのですから、なおさら今言われる単なるあっせん、仲介、それだけだと理解してよろしいでしょうか。
○宮崎政府委員 その通りでありまして、ただあっせんをするというだけでありますが、この規定がここに加えられました理由は、憲章を討議しておる場合に、資金のあっせんということを書き込んでくれという非常にたくさんの国の希望がありましたので、ここにこういうふうに書かれることになったわけであります。
○松本(七)委員 次は十一条のF項ですが、この機関を通じて提供される物質、設備、これは賃貸ですか、あるいは買い取りですか。
○宮崎政府委員 これは提供を受ける加盟国と機関との問の協定の次第によってきまるわけであります。
○松本(七)委員 そうすると、濃縮ウランについて骨うと、今日本とアメリカとの協定による料金なんかでも、どのくらいの差ができるかというようなことはまだ全然わかりませんか。
○宮崎政府委員 そういうことはまだわかっておりませんけれども、アメリカの原子力局が出しております価格表というものが、自然ある程度の基準になっていくのじゃないかというふうに想像せられるところであります。
○松本(七)委員 第十二条のB項ですね。必要な場合には、視察部を設置することができるようになっているのですが、これは機関そのものの内部視察でしょうか。
○宮崎政府委員 機関そのものの視察も行いますし、加盟国の視察も、両方行うことになります。
○松本(七)委員 そうすると、ここでいう視察部というのは必要に応じて設置されるのであって、常設ではないのでしょうか。
○宮崎政府委員 事実上はこの視察部は非常に仕事が多いので常設になるのではないかと考えております。
○松本(七)委員 しかし、さっきの視察員というのは別にあるわけでしょう。それから臨時に設置される視察部というのは、建前は臨時設置でしょう。実際上は常設のようになっても、ここにいう視察部というのと、さっきの視察員というのとは建前は別じゃないでしょうか。
○高橋(通)政府委員 ちょっとと私から申し上げます。確かにただいまのところは、初めは「視察員」と使っておりますし、ここは「視察部」という言葉を使い分けておりますが、ここでその点はなはだ明確を欠くわけでありますが、B項の「視察部」というのは、「スタッフ・オブ・インスペクターズ」とありますし、A項6の「視察員」は「インスベクターズ」であります。そこで「視察員」と「視察部」は違うものではなくて、われわれの考えます視察部というものの部員としてこの視察員があるのではないかと考えます。それから「機関は、必要な場合には、視察部を設置するものとする。」これは要するに、そういうふうな一つの視察員はございますが、それが一つの機関として、部としてスタッフとして存在するというような場合には、必要な場合にそういう機関と申しますか、部というものを置くのだということになっているような書き方でございます。しかし、実際上はただいま申し上げましたように、大体常設になるのではないか、このように考えております。
○松本(七)委員 もし視察員が常置されていて、この視察員が視察部に所属するなら、これはもうB項の必要に応じて設置するということと合致しなくなるのではないかと思うのです。
○高橋(通)政府委員 確かに書き方が今の御指摘の通りでございますが、この視察員と申しますか、インスベクターズというものは個々におりまして、そうしてこれは個別的に視察の行動をするわけであります。そこでそのような必要な場合視察部を設けますと申しますのは、この違反があったかどうかというようなこと、その他報告とか、そういうことは視察部としてやるわけでございます。従いましてこれは必ずしも常に違反があるということではなく、これはこの活動を開始した以後の問題でございまして、そのような違反事例が非常に多く、視察部としていろいろ報告書を作り報告しなければならないということがあるとしますと、この視察部というものを別に設置するというふうに解釈をいたしております。
○松本(七)委員 それから十二条A項7とC項とは違反国に対する措置を規定しているのですが、どうして同じようなことを一カ所に規定しないで、罰則というものを二重に二カ所に分けて規定したのでしょうか、何か本質的に違いがあるのでしょうか。
○高橋(通)政府委員 特にこのように二重になっておるのは、条文の整理上は必要はないと思っております。ただ一方は視察員の権限と申しますか観点が違うわけで、同じようなことを二度書いたと思っております。
○松本(七)委員 第十四条G項で「総会が承認した規則及び制限に従うことを条件として、機関のために借入権能を行使する権限」を理事会に与えられておるわけですが、借り入れを必要とするような事態の発生が予定されておるのでしょうか。
○宮崎政府委員 将来機関自身がいろいろな設備を持ったりすることがありますし、またこれが発足するまでに全然費用を調達する方法がない場合に準備委員会をやるというような場合もありますので、そういう場合にいろいろ借り入れをする必要が起ってくるということで、こういう規定をしておるわけであります。
○松本(七)委員 この場合の「規則及び制限」というのは、どういうことが考えられておるのですか。
○宮崎政府委員 この借り入れに関する規則及び制限というのは、総会がきめるあるいは借り入れの額であるとか方法であるとか、そういうようなことを意味するものであろうと思っております。
○松本(七)委員 制限というのは額なんかですか。
○宮崎政府委員 金額の最高限度です。
○松本(七)委員 もしもこの機関が借り入れるというようなことを仮定した場合、おそらく借入先は、さっきもちょっと言われておったのですが、世界銀行だろうと思いますが、矛、うでしょうか。
○宮崎政府委員 世界銀行などが最も考えられる機関であると思っております。
○松本(七)委員 そうすると、御承知のように世界銀行の貸付というものは全般的に非常に条件がきびしいのですね。この場合機関と世界銀行との関係というものがどうなるか、金を貸した世界銀行が、もともと条件はきびしいのですから、この原子力機関というものを財政的にだんだん支配するというような事態が起るのじゃないかということが考えられますね。
○宮崎政府委員 世界銀行もこれは国連の機関でございまして、国連総会に従属しております。それからこの原子力機関も同じく国連の一機関になるわけでありますから、その間に、相互の間にそういうような金融の関係ができましても、別に一つの機関が他の機関を金融を通じて左右するということにはなるまい、それよりも上の機関が見ておるという関係は残るだろうと思っております。
○松本(七)委員 これはまあ借りる全額なんかにもよりますけれども、世界銀行あたりから相当多額の金を借りてくれば、そう簡単には行かなくなるだろうと私は思うので、果してある程度もう借り入れの予定があるのかどうかということをさっき聞いたわけであります。 それからこの機関職員の特権及び免除が十五条に規定されているのですが、日本としてはどういう内容の協定を結ぶつもりなのですか。一般的にいって外交官の特権、免除と同じような内容のものか。たとえば警備員については特殊な規定が加えられるのか。
○高橋(通)政府委員 実はその内容につきましては、そのような代表、代表代理または顧問という場合は、これは大体における慣例があると思っております。慣例と申しますのは、現在国連または国連の専門機関と関係国とが結んだ協定などがございますので、そういう協定を参考として研究をしてみたいと思っております。それからやはり、結局においては外交官とか領事官とかいうふうな特権にほぼ近いものになるかと思っております。事実問題としましてこれのみならず日本で国際会議行われます場合には、代表とか代表代理とかにはそのような特権を与えております。ただそれが警備員ということになりますと、ちょっと問題が代表とは違いますので、その点今どの程度の特権を認むへきか将来研究の余地があるだろうと思っております
○松本(七)委員 それから第十七条の紛争解決の問題ですが、ヴェネズエラが附属書1において一種の留保を行なっておりますね。国際司法裁判所への付託について「同国の明示の同意なしに国際司法裁判所のA権を受諾することを意味しない。」、こういうことを明示して言っているのですか、これは、国際司法裁判所への付託には相手国の応訴が当然必要なので、わざわざヴェネズエラがこういう留保をした常は一体どこにあるのでしょうか。
○高橋(通)政府委員 この憲章を受諾しまして批准しますと、紛争が起きました場合はその応訴義務が当然第十七条によりまして生ずるわけであります。そこでヴェネズエラはその応訴義務を自分としては欲しない、従いましてそのたびごとに同意してのほか自分は受託をしないということを特にここに表明している次第だと思います。
○松本(七)委員 これはヴェネズエラだけですか。
○高橋(通)政府委員 今のとこらはっきりこういうふうにここで明示しているのはヴェネズエラだけでございます。
○松本(七)委員 それからこれはまた条約の書き方の問題ですが、原文にはないカッコが和書きの条約の中に多いのですが、そのカッコがあるために、文意のニュアンスに相違を来たしたり、解釈に違いを生ずるというようなことはないでしょうか。
○高橋(通)政府委員 全然そういうようなことがないように気をつけてやったつもりでございます。非常に翻訳がむずかしいものでございますから、このようなカッコをつけましてなるべくわかりやすいようにというふうに考えまして原文とはできるだけ合致するようにしたつもりでございます。
○松本(七)委員 午前はこの程度にしておきましょう。
○野田委員長 これにて暫時休憩いたします。再開の時刻は、外務大臣の都合等もありますのて追って各員に通知することにいたします。 午後零時三十一分休憩 ————◇————— 〔休憩後は開会に至らなかった〕