外務委員会 第21号
- 発言数
- 194 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/04/26
会議録
○野田委員長 これより会議を開きます。 千九百四十六年十二月二日にワシントンで署名された国際捕鯨取締条約の議定書の批准について承認を求めるの件、北太平洋のおっとせいの保存に関する暫定条約の批准について承認を求めるの件、右各件を一括議題といたします。 質疑を許します。岡田春夫君。
○岡田委員 二、三質問させてもらいますが、皆さんの質問でもうだいぶ要点が出てきたので、少々こまかい質問になるかもしれませんが、その点は事前にお含みを願いたいと思います。 これは条約局長に伺いたいのですが、暫定条約の第一条の三項は、どういう意味を規定しているのでしょうか。「領水の限界又は漁業管轄権に関する当事国の立場になんらの影響も與えるものとみなしてはならない。」あらためてこういうことを書いてあることがむしろおかしいような感じがするのですが、こういう点はどういう意味ですか。
○高橋(通)政府委員 それは確かに確認的規定であると思います。御承知の通り、日本と関係国では、領海の範囲については三海里、十二海里という説がありますが、お互いのそのような立場については何ら影響を受けるわけではないという、念のための規定であると思います。
○岡田委員 そうしますと、それはやはり領海の限度内における主権の存在を規定している。その主権の中でオットセイをとってはいけないという規定と、この領海の限界内という一条三項との関係はどうなるのですか。
○高橋(通)政府委員 たとえばこの条約では、公海のみならず、その領海の中でもやはり適用になる条文でございます。三海里と十二海里の間の問題は、結局領海の問題であるか、公海の問題であるかという理論的な問題になりますれば、やはり条約は条約として適用になりますが、おのおのの主張はそれによって何ら変るものではありません。
○岡田委員 第四条の二項ですが、「公式記録における資料により」云々とありますが、これは現在コマンダーその他においては公式記録がないから、公式記録というものをあらためて作るとかなんとかいう意味でございますか。この公式記録という意味がはっきりしないのですが……。
○高橋(通)政府委員 公式記録と申しますのは、正式の政府の出しました記録、公的な記録であります。そういう記録によってはっきり五万頭ということが出た場合と考えております。
○岡田委員 プリビロフ島、いわばアメリカの方の島についての頭数制限なり記録、そういうものには何ら規定が出ておらないのですが、これはどういうわけですか。
○高橋(通)政府委員 御承知の通りプリピロフ島におきましては大体最大百八十万、最低百三十万でございますから、平均百五十万頭くらいでございまして、これが最大限になっているわけでございます。すなわちもう頭打ちとなっている状態でございますので、このように一定の数を下った場合にはやめるというソ連側のような措置をとる必要がない、もう十分に、繁殖し得るだけの繁殖はしているという状況なのでございます。
○岡田委員 最大限になっているということだとするなら、これは暫定条約を結ぶ趣旨と、だいぶ変ってくると思うのです。これは水産庁の方でもやはり最大限になっているというようにお考えになっているのですか。
○奧原政府委員 プリビロフ島のオットセイの資源は、ブリビロフ島の状況の許す最大限度の蓄積を持っておる、かようにわれわれは考えております。そういうことで条約交渉のときにいろいろ議論があった次第でございます。
○岡田委員 最大限、だとするならば、ブリビロフ島から回遊してくるオットセイについては、この条約の精神からいって、海上捕獲もある程度制限をしなくてもいいことになってくるのじゃないですか。
○奧原政府委員 ブリビロフ島の百横が最大限に達しておること自体については、アメリカ側の代表も交渉の際に認めておったのでございます。しかしながら海上猟獲の影響ということに対しましては、日本側との間にいろいろな見解の相違があったのであります。アメリカといたしましては海上猟獲を日本の希望するがごとく許せば、せっかく最大限にまで到達した蓄積に非常な影響があるのではないか、またソ連側としましては、ここで規定しておりますように資源が非常に貧弱であり、日本の海上猟獲に対する不安というものはアメリカ以上に深刻なものがあったのでございまして、そういう事情からこの条約においては御承知の通りに話を取りまとめた次第でございます。
○岡田委員 これは私にもあまり詳しくわからないのですが、オットセイの回遊は群をなして来る。そうしてコマンドルスキーやロベソ島の方から来るオットセイと、プリピロフ島から来るオットセイは回遊の形態というか、群が違うと思うのです。そういう点から見て、プリビロフ島から来るオットセイの方が最大限になっているならば、少くともコマンドルスキー、ロベン島の制限と同じような制限をもって規定するということは、条約の趣旨からいっておかしいことになりはしないか、こういうように考えられるが、この点はいかがですか。
○木田説明員 私から御説明させていただきます。プリビロフ島におきますオットセイの現在の資源が満限に達していることは、先ほど次長からお答えした通りでございます。他方コマンドルスキー島及びロベン島につきましては、ソ連側の見解といたしまして現在の状況が資源の増殖の途中にあるということでございます。他方この見解につきましては、今度のオットセイ会議におきましての四カ国の意見は必ずしも一致いたしておりません。しかしながらそれぞれの国の主張は強いわけでございます。一方日本の近海に参っておりますオットセイは、全体といたしましてプリビロフ島の分とコマンドルスキー島の分、それからロベン島の分と、これらのものが混在いたしているのであります。この混在いたしておりますオットセイが帰ります場合に、米、加、ソ連の方ではそれぞれ自分の島から出たものは自分の局に帰ると申しております。しかしながら日本側の科学者の見解といたしましては、必ずしもこの点は明らかでない、場合によりましてはプリビロフから参りましたものがコマンドルスキーに上り、ないしはロベンに上るというふうな、いわゆる混淆することがあるのではないか、従って一つの島におきまして満限に達しているならば、他の島においても当然満限に達していると考えられるわけであります。そういうふうな根拠に基きまして、日本側といたしましては、プリビロフ島においては満限に達している現在においては、日本の海上においてこれを猟獲するも差しつかえない、こういう主張であったのであります。しかしながらその間におきまする見解の相違がございまして、結局結論といたしましては、現在においてはオットセイの海上生活についての知識がきわめて不十分である、従ってこれについては保存の措置を必要とする、こういう次第でございます。 それから日本の近海におきましてプリビロフ島系のものとアジア系のものが混在しているが、その混在の割合はいかがであるかということが、日米加三カ国の調査のとき以来一つの大きな問題でございます。当時の調査の結果を取りまとめをいたします際におきましても、混在についてはこの数は必ずしも現在においては確定しない、こういうふうな日本の主張に対しまして、アメリカを中心といたしましたカナダを含めた科学者の見解は、大体プリビロフから参りますものが三、アジア系が七であるという主張でございます。その結果としますとプリビロフ島系統のものが少いわけでございますので、日本の海上で猟獲いたしました際に、アジア系のものとプリビロフ系のものが七対三の割合でとられるということにいたしますと、アジア系のものが非常に大きな打撃を受ける結論になるのであります。そこでソ連側といたしましては、そのような際に海上猟獲を許すということは、コマンドルスキー島並びにロベン島におきまするものに決定的な被害を及ぼすおそれがある、従いましてこの点についてソ連側としては野放しに海上猟獲を許すことはできないというふうな次第であったのでございます。 以上のような経過をたどりまして、この六カ年において海上猟獲をいたしましたそれの調査の結果に基いて結論を出そう、かように相なった次第でございます。
○岡田委員 そこで会議の経過をもう一つだけ伺いたいのですが、そうすると今の御答弁のように、少くともプリビロフ島の方は満限に達していることは四カ国の間で一致して認められたものである。それからコマンドルスキーとロベン島については、今の御答弁を伺っていると、満限に達しているという意見と、達していないという意見で、これは必ずしも四カ国の意見の一致を見たものではなかったのではないか。要するに、プリビロフの方は満限に達しているという点では、間違いなく意見が一致をしておったのではないかと思うのですが、この点いかがですか。
○川上説明員 ブリビロフにつきましてすでに満限状態にあるということは、アメリカ自体の調査で明確になっておるわけです。それは増加率の関係とか年令組成とか、いろいろな点からすでに明らかになっておりまして、アメリカ自体としても、いわゆる最大の持続的生産性を維持する上には、もう少しよけいとる必要があるということを認めており、それは四カ国とも一致しているわけでございます。ところがアジア系は、ソ連側の資料で、コマンダーもロベンもそれぞれ約五万から五万五千頭という数字を出して参りました。これは実は日本側にとりまして意外の数字であったわけであります。初めの予想では、われわれとしましては、コマンダーはもっと多い数があるのじゃないか。ロベンにつきましては、これは日本が戦前相当調査をしておりますので、むしろ五万はあるいはよけいじゃないかというぐらいな推定をしておったわけでございます。しかし現在の状況で、コマンダー、ロベンの数字をわれわれとしてはっきりつかむことができないわけでございます。この点につきましては、年令組成などを向うが出してきたのを見ましても、いわゆる。パック——生まれたのをパックと申しますが、パックの数などを見ましても、どうも五万とパックの数が合わないのでありまして五万々々という数については、日本側も非常な疑問を持っておるわけであります。同様に、カナダ及びアメリカもそれに対して大きな疑問を持っておるわけでございます。現在の状況では、この三国がこれをはっきりつかむことはできないわけでございます。従いまして、この調査期間中においてお互いに科学者を交換するという条項がございまして、それでわれわれは確かめたい、こう思っているわけでございます。それでありますから、ただいま木田説明員の方から御説明がございましたように、アジアの方は、われわれが予想したよりもはるかに少い数であるということをソ連が出しておるものでございますから、混合率が問題でありまして、もしアジア系の混合率が相当日本で多くあるとするならば、ソ連側の数字によれば非常に大きな影響を与える、こういう結果にならざるを得ないわけでありまして、それは今後の調査によって判明するということになろうかと思います。
○岡田委員 少くともプリビロフ島については満限に達しているということになれば、海上によるか陸上によるかは別として、猟獲の数をふやさなければならないというようなことになっているのだという今の御答弁であったと思うのですが、そこで五条の四項、後段ですが、「猟期ごとの商業的猟殺の数に関する勧告並びにその性別及び年令別組成に関する勧告については、第九条1の規定に基き当該獣群から得られる獣皮の配分に参加する当事国のみが投票する。」この点が関係をしてくると思うのですけれども、その前にこの法文の解釈をまず伺いたいのですが、「獣皮の配分に参加する当事国のみが投票する。」というこの当事国というのは、具体的にいうとどこの国を意味するのですか。配分に参加するということになると、配分を与える方の側である米ソも、配分に参加する——参加するという点では、参加するとも考えれらるのだが、あるいは別に考えると、配分をもらう方の国を当事国といっているのか。この当事国というのはどういう意味でしょうか。
○高橋(通)政府委員 お答え申し上げます。この当事国と申しますのは、配分を与える国ともらう国、たとえばアメリカでございますれば、アメリカとカナダ及び日本、こういう関係になっております。
○岡田委員 そうするとプリビロフの場合には、アメリカとカナダと日本、それが投票をする、こういうことになるのですね。そうすると、そういう満限に達している島の猟獲について、これに基いて、いわゆる商業猟獲というか陸上猟獲というか、こういう点は、年々この三カ国の協議によってその頭数が決定される、こういうことになるのですか、どうなんです。
○高橋(通)政府委員 そのようになると考えます。
○岡田委員 それでは、この条約が批准になって、今年度から効力を発生することになりますと、今年度から、たとえば満限に達しているプリビロフ島については、ずっとふえた量が決定されることになるのですか、どうなんです。
○高橋(通)政府委員 これがことし発効になりすれば、おそらくことしの猟期から、この委員会を開いてそのような勧告が行われる。従いまして、われわれの主張といたしましては、われわれの資料その他を出しまして、もっと強化されるべきものであるという結論をもって主張することになろうと思います。
○岡田委員 この条約は、去年の六月一日からに遡及して発効することになるのですが、すでに満限になっておったこの島においては、去年の分についてはこういう三カ国の協議その他が行われたのですか、どうなのですか。 〔委員長退席、山本(利)委員長代 理着席〕
○高橋(通)政府委員 それは皮の配分たけが問題になるわけです。すなわち、昨年猟獲しました数に対する割合で皮の配分がもらえる、こういうことになります。
○岡田委員 こまかい問題ばかりですからどんどん進みますけれども、第七条の後段のただし書きですが、「これらの狩猟者が他の者に雇用されていないこと及び他の者に獣皮を引き渡す契約花結んでいないことを条件とする。」こういうことがあるのですけれども、こういう条件はだれが一体確認をすることになりますか。すなわち、条約締結国の四カ国が、こういう条件を持っておらないという確認をしたときにこういうことが有効になるのですか。それとも、参加している、たとえばインディアンならインディアンがアメリカの口国籍があるという場合に、アメリカだけがこれを確認しておればそれでいいということになるのですか、どうなのですか。
○川上説明員 この点は、それぞれの国が自主的にこの規定に従って実施することに、実際問題としてはなると思います。ただ、前の条約のときにもこれと同じような規定がございまして、日本側が、インディアンなどが雇用されておるというようなことを聞き込んで、それについて先方に問い合せしたというような事実は、前の条約のときにございました。もしそういうことを聞き込めば、これは当然それぞれの国がこれを問題にするということはあると思いますが、そうでない限りは、やはりそれぞれの国がこの条約の精神に基いて、取り締っていくことになろうかと思います。
○岡田委員 私もそういう疑問を持ったわけなのです。どうも内々でこういう——七条というのは海上猟獲の除外例なのですが、こういう海上猟獲の除外例が設けられた場合に、海上猟獲を禁止された日本の国としては、こういう実例がもしあるとするならば、きわめて不利な地位に置かれることになる。ところが実際問題としては、やはりインディアンとかエスキモーとか、そういう方が実際に猟獲をしながら、その皮を自分だけが使うというのでなくて、最近のような世界の経済からいえば、やはりそういう品物がある程度はけていかなければ、エスキモーあるいはインディアンの完全な自給経済なんということはありっこないわけですから、当然そういう品物を通じて交換をされていくし、そういうものがやはり発展して今言ったように暗黙のうちに契約が結ばれている、そういうことで海上猟獲が行われているそのことが、またインディアンやあるいはエスキモーにとっては生活そのもとになっているということが、一応常識としても私想像できるのじゃないかと思うのです。そうすると暗黙のうちにこういう民族であるということで許されて猟獲はできたとしても、海上猟獲を禁止されている日本の国としては、その獣皮というものはアメリカならアメリカに、秘密の裏側の契約によって渡されていくということになると、日本の方は非常に不利益になってくる、とするならばこういうような条文についてもう少し何らか厳密な規定が必要であったのではないか。たとえばこの条件というものは四カ国が確認をすることを必要とするとか、海上猟獲を禁止された日本としては何らかのそういう条件をもっと厳格につけることが必要であったのじゃないかと私としては考えるのですが、この点はどうなのですか。
○川上説明員 これにつきまして実情を、当時この会議が開かれました際に、アメリカ及びカナダの方から説明がございましたのですが、非常にこれは厳重に取り締っておるようでございます。その数も現在のところきわめて少いわけでございまして、もしそういう事実があれば当然いろいろな関係から情報がわかるということになろうかと思います。米加ともに、これは条約の精神に基いて十分取り締るということをはっきり言明しておりましたので、この程度でも弊害はないものというふうに考えております。
○岡田委員 そこで弊害はないというお考えでしょうが、私は常識としてちょっと想像できないのですね。この人たちは完全な自給自足をやっているのなら別ですけれども、何らかの形で経済関係でつながっておるのだろう、そうするならばこの獣皮をどういうふうにするとかなんとかいうことを通じて、こういう人たちの経済的な基礎になっているのじゃないかということになれば、当然何らかの形でその獣皮を売り渡すということが出てくるであろうということは、常識として想像にかたくないところです。そこで、その点は判断の問題ですから一がいにわれわれとしては言えないのですけれども、しかしこういうことがあった場合には、これに対して何らかの罰則規定があるかどうかということです。日本側がもし海上猟獲した場合は、その皮を引き渡さなければならないとか、金にかえて引き渡さなければならない、この委員会に供託するということが出ておりますね。しかし米加のこういう人たちが、この条件に反してやった場合の罰則規定というものが別段ないように思うのですが、その罰則規定があるのでございますか。ないとするならばこれは一体どういうようにされるのか、アメリカさん、カナダさんがおっしゃることだから間違いあるまいということでべたぼれになってしまって、そういう罰則も作らなかったのですか、どうなのですか。
○川上説明員 これはアメリカ、カナダといたしましては、国内法で取り締っているというふうに承知いたしております。
○岡田委員 国内法では取り締るでしょう、日本も国内法で取り締るのですから……。しかし国内法で取り締った上で日本の場合には国際条約を守るという、そういう意味において国際条約も何らかの制限が設けられているわけですね。ところが米加に対しては、そういう国際条約も何らの制限も設けないということは、片手落ちになるのじゃないかということを私は言うわけです。国内法の適用は日本においてもあるわけです。だから海上猟獲について、これはどうも片手落ちじゃないかという印象を受けるのですが、この点はいかがですか、この点会議でも討論を十分されたのですか。
○川上説明員 会議におきましては先ほど御説明したような経緯でございますが、向う側としては、非常に数が少いことと、現実にその問題については十分な取締りを実施しておるという説明がごさいました。
○岡田委員 これはちょっとまだ私は納得がいかないのです。と申しますのは、インディアン、アイヌ、アリュート、エスキモーですか、それだけの民族がどれくらいいるか私にはよくわからないが、日本の海上猟獲の担当者、関係者である経営者百六十七人、乗組員二千二百人ですか、日本には海上猟獲は問題だと盛んに言っているその加害者というか、そういう害を与える者が全部合せても二千二百人しかいない、これに対しては非常に制限を強くするが、インディアン、アイヌ、アリュート、エスキモー全部合して二千二百人くらいの人数じゃないだろうと思うのです。もっとたくさんいるだろうと思うのですが、そうすると、こういう人たちの被害が非常に少いということは、ちょっとわれわれ納得ができない。 それからもう一つは、こちらの方の日本人の場合、二千二百人にしても時期が限られておるわけですね、大体五月から七月までくらいの間だということです。その三カ月くらいの間でとるということです。ところがインディアン、アイヌ、アリュート、エスキモーというようなのはほとんど、相当長期にわたってとるのではないか、そうするならば、こちらの方の被害が少いという断定を下すことは、私は一がいにできないのではないか、こう思うのですが、この点はどうですか。
○川上説明員 ここの規定にございますごとく、捕獲いたしますこれら原住民の方法は、非常に小さな五人以下の、しかも動力のないかいまたは帆で推進する船で、なおかつ火器を用いないでとるという、ごく沿岸に近いところで全く自給のためにとる程度のもので、きわめて小規模のものでございます。その数につきまして会議で報告されましたところでは、大体年間二百から三百くらいしかないという報告でございます。沖合いに出ることもございませんし、それから来る時期はやはり限られておるわけでございます。しかもインディアンなどはすべてこれで生計を立てているということでなしに、これでやっておる者はそのうちのきわめて限られた部分である、アイヌなどは現在こういうことをやっている者はないという状況でございますので、実際としてはほんのわずかの二、三百という数に限られることと思います。
○岡田委員 それでは、あまりこれにこだわってもいけませんが、一点だけ伺います。日本にもアイヌがいるのですが、日本のアイヌがこういう方法でとった場合にはこの規定は当然適用されますね。
○川上説明員 当然適用されますが、現状におきましてはないというふうに理解いたしております。
○岡田委員 それでは次に進みますが、第九条の比率一五%というものです。これは前の条約でも一五%になっているのですが、これは前の条約をそのまま引き継いで一五%にしているのか。私は一五%にするということにちょっと問題があると思うのだが、その基準はどういうことが基準で一五%ということにしたのですか。
○川上説明員 ただいまお話の通り、これは一九一一年条約の基準をそのまま踏襲したわけでございます。なぜこれを踏襲せざるを得なかったかと申しますと、一九一一年条約の締結されますときに、一番問題となりましたのはその配分率でございまして、この配分率でほとんど会議が決裂しかけたのでございます。そして最後にルーズヴェルト大統領から当時の明治天皇あてに親電を出されまして、その結果ようやくこの一五%というのがきまったわけでございます。それで、これを変更するということは、実はまた同じ議論が繰り返されることになるということで、この前の条約の経緯にもかんがみまして、これの変更ということは非常にむずかしいということから、この一五%というのが今回も踏襲されることになったわけでございます。
○岡田委員 先ほどのあなたの答弁によると、プリビロフ島は少くとも満限に達している。満限に達しているという点は、四カ国の会議において合意された。ところがソビエト側は満限に達しているとは合意されなかったということになれば、満限に達しているものと、達していないものと、二つが同じように一五%の率であるということ、このことだけでも不公平ではないか。だから、少くともプリビロフ島の方は、ソビエトが一五%ならば、これは二〇%になるか、満限に達しているから猟獲をふやさなければならない。ふやすとするならば、一方海上の猟獲を禁じている日本に対しては、ふえた分に対して、それだけいわゆる還元率もふえてこなければならない。これがソビエト側と同率であるというのは少し筋が通らないのじゃないかと思いますが、この点はいかがですか。
○川上説明員 一九一一年条約の場合も、全体の三つの島のそれぞれの増加率ということを特に考慮されなかったわけでございまして、今度の場合も、もちろん陸上猟獲数がよけいになれば、同じ一五%でも実数はやはりよけいになるわけでございまして、満限であるからよけいな率にしなければならないというような議論になりますと、また非常に複雑になるわけでございまして、結局そういう問題にまで至らずして一五%ということが決定されたわけであります。
○岡田委員 前の明治四十四年の当時には、このプリビロフ島というのは満限であったわけですか、どうですか。
○川上説明員 北太平洋全体で三十数万頭というわずかの数でございまして、もちろんプリビロフ島につきましても非常に減少しておった状況でございます。
○岡田委員 そういう点からいっても、その当時において一五%という率が決定せられた。それが依然として今日も、満限という新しい事実に立って、パーセンテージが同じであってよろしいという理論的な根拠はないと私は思うのですが、あなたが言われたように、捕獲数がふえれば、一五%でも、全体としてふえる。それは確かにそうであるが、しかしその場合には、単に還元率が全体としてふえるだけでなく、それよりもよけいふえている率は、全体の中の一五%ですから、猟獲が今まで十とっておったものが二十になり、二十の中の一五%は確かにふえますが、しかし残りの八五%というのはよりよけいふえているということが言えると思う。そういうことでいいのかどうかということを言っているのです。やはり問題は、条約によって一方に海上猟獲を禁止しているのです。ところが、猟獲を禁止して一五%の還元をする。満限に達しているからよけいとるといって、結論から言うと、ここで一番もうかるのはアメリカだということになる。ソビエトの方は満限に達していない。アメリカの方は満限に達しているからよけいとる。よけいとるが、そのよけいとった中で八五%——カナダへいくから七〇%ですが、七〇%はアメリカがとる。そうすると、それによって、俗に言えば、もうかるのはアメリカである。この条約を結ぶことによってもうけられるのはアメリカであるということが、一つの結論として出てくるのではないかということです。
○川上説明員 この条約自体が、最初から御説明申し上げておりますように、実は調査のための条約でございまして、その調査の結果に基いて最適の猟獲方法を定めるという暫定的な取りきめでございますので、その結果において、あるいはもっと海上猟獲がよけいできるということになるかもしれません。その間の配分率ということにここではなるわけでございまして、それにつきましては、先ほど御説明申し上げましたように、要するに配分率というものだけに限りましても非常な議論のあるところで、それだけで容易にまとまらないというところから、前回を踏襲するということもやむを得ない結果になったというふうに御了承願いたいと思います。
○岡田委員 私の伺いたかった点は実は今の点だったわけです。というのは、結局この条約でもうけるのはアメリカではないかということなのです。それは調査のためにということはお話の通りです。しかしこれは調査している間はアメリカはいわゆる商業的猟獲をやらないというのではなくて、その間においても商業的猟獲をやるということは明文上規定されているわけですから、その間において当然アメリカは陸上で捕獲して商売をやっているわけです。そうすると、少くともこのパーセンテージの制限、それから先ほど申し上げた七条の問題、七条の、ある民族によっては自由にとれるというような点から考えて、日本、カナダ、それからソビエトは満限に達しておらないから、合意に達しなかったから、ソビエト、これを含めてこれらの三つの国々はそれぞれそういう実質的な制限が加えられるけれども、アメリカだけは、この条約を結ぶことによって、今までよりももっともうけるという形が出てくるのではないか。ということは、満限に達しているという事実によってもっととれるのだ、もっととれればとれるほど、幾らか日本カナダには還元してやるけれども、それは一五%の範囲内で還元してやるのだ、七〇%としてはアメリカが一番その中でもうかっていく、こういう仕組みが作られているのがこの条約ではないかと私は考えるのだが、こういうようにも考えられませんか、いかがですか。
○川上説明員 アメリカといたしましては、さらに同じ九条の第三項にございますように、やはりできるだけ調査を円滑ならしめるために、一五%以外にも、その費用を負担するということもここで規定されているわけでございまして、この際調査を完全にやるという主目的でこういう規定になっているというように御了解願いたいと思います。
○岡田委員 アメリカもあまりもうけ過ぎて気がひけるから、幾らか出そうというのだろうと思うのだが、このくらい出していいのじゃないですか。三百七十五頭分の皮を出すというのですが、これはだいぶ気がひけるから、このくらい出してカバしてこの条約を続けていくならばアメリカは損はない、これによってもうけていける。だからこれだけでも出しておけば条約はまとまっていくから、こういう形でやっていこうとしているようにどうも私は推察されてしようがないのです。というのは、これは常識的にみてもそう計算されざるを得ない。私は商人の経験がないから商売の方はよくわからないけれども、どうもそういう点が見えてしようがないのですが、これは一つの意見として申し上げた程度にしておきます。 最後に十三条で、第九条の一、二の規定は去年の六月一日から効力を生じておった、これはどういうわけでこういうことになるのですか。一般に条約の慣例からいえば、こういう先例はないわけではないけれども、条約を結んで発効してからその条約が効力を持つという、時期としてはそういうことになるの、が常識だと思うのだけれども、去年の六月に戻らなければならないという理由はどういうところにあるのですか。
○川上説明員 第十三条の第三項は、皮の配分に関する計算と申しますか、そういう点だけございまして、条約自体、が一九五六年六月一日にさかのぼって効力を生ずるということではございません。結局日本に皮を配分する場合に、昨年の六月一日にさかのぼって計算して、その分を日本に配分する、こういう規定でございます。
○岡田委員 それはどういうわけでことしからやらないで、去年にさかのぼるわけですか。去年だけではなくて、この間も質問があったのですが、今まで猟獲を禁止された以降五年間の問題について何ら明文の条文規定がない。この過去五年間の問題についてはどうなるのですか。一年だけ、去年からの分だけには規定があるわけですね。
○川上説明員 先般御説明申し上げた点は、日本とアメリカとの間の覚書でございまして、この前の期間につきましては日本とアメリカの間の関係でございます。これは別途日米間の外交交渉に基いて、今後この問題が解決されるというふうに考えております。 それからこの条項をさかのぼりましたのは、実はこのオットセイ会議がもっと短期間に解決するという予想で、昨年分からこれを出す予定でやっておったわけでございますが、会議が非常に延びましたために、予定しておった通り昨年から出しましょうということで、この規定が設けられることになったわけでございます。
○岡田委員 資料の問題にも関連してくるわけですが、このプリビロフ島のオットセイの陸上猟獲は、あなたの出された資料では国営であるように出ている。われわれは国営だとは聞いておらなかったのですけれども、これは何かはっきりした根拠があって国営であるという資料になっているのでございますか。
○木田説明員 アメリカにおきますプリビロフ島のオットセイの管理は、アメリカの内務省の直轄事業になっております。それで国営ということなのであります。
○岡田委員 先ほど御答弁のあった日本とアメリカとの書簡、交換公文あるいは覚書、この点に関連するわけですが、両国間で過去五年間のオットセイの問題についてあるいは現在交渉しておられるのか、この点どうなのですか。
○高橋(通)政府委員 お答え申し上げます。過去五年間のいろいろな詳細な資料を集めまして、アメリカに考慮方を申し入れております。
○岡田委員 考慮方というとどういうことなのですか。日本側としては禁止するという書簡だけでありますから、これを交渉してどういうことになるか、その見通しその他の点はどういうことになるのですか。
○高橋(通)政府委員 具体的に日本側にも公正な皮の配分を——日本が自制しておった期間でございますが、なすようにということを申し入れておるわけでございます。
○岡田委員 そういう交渉についてのお見通しはどういうふうになっておりますか。
○高橋(通)政府委員 先方はこれをよく考慮しようということを申し述べておりますので、今後もこの点につきまして向うとの交渉を推進していこうと思っております。
○岡田委員 ちょっとこまかい点ですが、二十六年二月七日の吉田・ダレス間の書簡によると、二枚目の三行目から四行目にかけて、「公正な取極を作成する目的をもって交渉を行う用意があります。」とある。それまでの間の猟獲を禁止しましょう、こういうような公文が取りかわされている。ところがそのあと四月三日のオットセイに関する問題に対しては、日本側としては新条約が締結されるまで変更する意図はないと言っている。これは参考資料の一番終りのところです。「現在の方針を新条約が締結されるまでの間、変更する意図はない。」こういうふうになっているわけです。条文の解釈をしちめんどうに言えば、交渉するときまでというのと、条約締結までというのとは違うと思うのです。特にオットセイのこの条約は、締結されるまで三年なり四年かかったという特殊な場合を考えてみると、三年なり四年の間、こういう締結が行われなかったために、初めの交換公文の通りに交渉を行うときまで禁止しているというのと、それから条約が締結されるというのと、その間に期間が三カ年も離れている。こういうことになってくると、これは交換公文の性格上ちょっとおかしいと思うのだが、こういう点はどうですか。
○高橋(通)政府委員 確かにその点は基本と申しますか、一般的なダレス・吉田総理の書簡では、交渉を行う用意がある、とございますから、この文面通りとりますれば、確かに交渉を行うまでの間、すなわち交渉が始まったならば——それまでは自制しようというふうなことになるかと思っております。この書簡の実施的な細目取りきめとしまして、その点少し前後矛盾するかと思いますが、これを交渉することを、新条約が締結されるまでというもっと具体的にはっきりしたということになるのではないかと思いますが、いずれにしましてもこの条約ができますことによってすべて前提条件は解決されたと思います。
○岡田委員 あまりこまかい点ですから、私はこれ以上伺わないことにしたいと思いますが、要するに私の想像では、吉田・ダレス交換公文が行われたときには、主としてほんとうの魚の方を中心にした交換公文であった。すなわちサケ、ハリバット、イワシ、ニシン、マグロ、こういうものが基礎になって日米加の漁業協定条約が結ばれた。これだけを結んでおったのだが、ところがアメリカの方ではいや、ちょっとうっかり忘れておった、オットセイもこの中に入れてしまえというので、アメリカの方からオットセイの方の覚書もやろうじゃないかというので、オットセイをつけ足してきた、こういういきさつではないかと私は思うのですが、そういう点は私の想像ですからあえて質問はいたしません、この程度にいたしたいと思います。 もう一点、これは水産庁に伺いたいのですが、オットセイの取締法の第二条において「政府ハ前条ノ規定ニ依リ禁止又ハ制限ヲ為サントスルトキハ予メ公聴会ヲ開キ利害関係人及学識経験者ノ意見ヲ聴クコトヲ要ス」こうあります。こういう禁止をする場合、すなわち昭和三十年かの禁止について公聴会その他を行なっておられますか。
○奧原政府委員 昨年十二月に省令を改正いたしまして、禁止措置をいたします際に公聴会を開いた次第でございます。
○岡田委員 その公聴会は何のためにやっておられるのですか。禁止することが適当であるかどうか、国民の意見を聞くために公聴会をやるのか、いかがですか。
○奧原政府委員 その通りでございます。
○岡田委員 それではその公聴会の結論は——結論といっても公聴会は採決をするわけではないのですけれども、この公聴会の経過はどういう経過でございますか。
○奧原政府委員 公聴会で陳述人が申し述べましたことは、イルカ漁業者の転換につきまして、あるいはまたその地帯の沿岸漁村の振興ということにつきまして、適当な対策が講ぜられるにおいては、オットセイについて全面禁止の措置をされるということはやむを得ない、こういう話でございます。
○岡田委員 イルカの組合の陳情書を見ると、公聴会には各界の代表の意見が述べられたが、この意見が政府側に対して十分反映されなかった、こういうことを実は書いているのですが、これはどういうことなのですか。
○奧原政府委員 その陳情書が作成されました当時におきましては、イルカの転換に対します政府としての措置の具体化というものは、まだ交渉の段階だったのでございます。前回具体的に御説明申し上げました転換措置に関しましては、私は、こまかい点については多少の望蜀の希望があるようでございますけれども、しかし全体の大勢としましては、この措置を非常に喜んでくれておる、かように私たちは考えておる次第でございまして、そういうことが要するにその公聴会における陳述が政府に反映した、こういうことに言い得るのではないか、かように考えております。
○岡田委員 その転換の補償措置については、この間連合会審査会のときに御答弁があったようですが、きょうは何か閣議で正式にきまるという話も聞いておりますし、その前後の関係をもし許されるならば御答弁願いたい。
○奧原政府委員 前回発表いたしました内容によりまして、本日閣議了解として閣議において決定されることに相なっております。
○岡田委員 閣議了解になりますと、その実施は大体いつごろの予定になっておりますか。
○奧原政府委員 結局漁業者の諸君の今後の準備の進捗及びその地帯におきます造船所の建造能力あるいは漁船の整備の関係、そんなふうなことによってその具体化の時期がきまってくるのでございますが、われわれといたしましては、一斉転換ということがあくまでも配慮いたしたいことでありまして、従って以上申し上げましたような要件をほぐしまして、できればこの次のオットセイの猟期の前までに具体化をして参りたい、かように考えております。
○岡田委員 この次というのはことしの春、すなわち六月という意味ですか。
○奧原政府委員 明年の二月からオットセイの次の猟期が始まるのでありまして、その前に全国的に具体化して参りたい、かように考えております。
○岡田委員 そこで転換の措置として一番重要な問題は、この間の連合審査会でも、松本君から質問されたいわゆる金融措置の問題であろうと思うのです。全額は補償措置として政府がやれるならいいのですけれども、金融措置を伴わばれけばならない今日の状態としては、この金融措置についての見通し、それから政府のそれに対する努力、態度、こういうものはどういうようになっておりますか。
○奧原政府委員 現在農林漁業金融公庫におきまして、漁船の新造に対しまして公庫の融資を出すことにいたしております。沿岸の小型の漁船につきましては、特にその中におきましても重点的に具体的な計画を出させ、その計画に乗っかりますものを公庫との間に協議をいたしまして、着々と具体化いたしておるのであります。現在まで沿岸の小型の転換につきまして、予定されているものの実現が困難であるというふうな事態は起っておらないのであります。従いまして、本件に関しましても、われわれもできる限り円滑に融資がつき得るように努力をいたしたい、かように考えております。
○岡田委員 大体これで終りますが、そういう転換する業者に対しては十分の措置を講じてやってもらいたいことを特に私は希望いたしておきます。この条約それ自体を見ると、どうもアメリカさんがもうけるために、われわれ条約のワクをはめられて、幾らかのおこぼれ、すなわち一五%のおこぼれをもらって日本の猟獲が禁止される、こういう条約であるらしいようなにおいがだいぶ感じられます。これは先ほど申し上げた例を通じてもお感じになっただろうと思うのです。それだけに日本の現実としては関係漁民に対して、こういう条約結んだ政府の責任としても、責任をもって保護の措置を講じてやってもらいたいことを希望いたしまして私の質問を終ります。 〔山本(利)委員長代理退席、委員長 着席〕
○野田委員長 田中織之進君。
○田中(織)委員 二、三関連してお伺いいたします。この条約の批准実施に伴って、国内的にオットセイの海上猟獲禁止に関する国内法の整備があらためて行われるか、それとも昨年十二月、従来の取締法の施行細則の改正等が行われておりますので、そのままでいいわけでありますか、その点はいかがですか。
○奧原政府委員 ただいまのご質問に関しましては、前回もお答え申し上げましたように、オットセイの海上猟獲の禁止ということに関する範囲においては、既に法制的な措置を講じておりますところで一応済んでいる次第であります。ただその法律自身が旧憲法当時の非常に古い法律であるという点において、いろいろ御批判もいただいたのであります。しかしオットセイの条約実施のためには、オットセイの海上猟獲を禁止するだけでは足らないのでございまして、先ほど申し上げましたように、イルカ漁業に対する対策を確立実施していかなければならない。そのためには現在の漁業法で果してそこまで書けるかどうか、ちょっと検討を要する点もあるのでありまして、それらについてこの条約実施に伴って特別に立法措置をする必要があるかどうか、目下われわれ検討をいたしておる次第でございます。
○田中(織)委員 そうすると、関係資料としていだいた臘虎膃肭獣猟獲取締法施行規則、昭和十七年五月二十日、農林省令第四十六号、一番新しい改正が三十一年十二月ということになっているのですが、その第四条には、この条約のたしか第三条にあるように、「北緯三十度以北ノ北太平洋(「ベーリング」海、「オホーツク」海及ビ日本海ヲ含ム)ニ於ケル膃肭獣ノ海上猟獲ハ当分ノ間之ヲ為スコトヲ得ズ」こういうような規定があるわけなのですが、これとは別にこの条約に基いて新たに法制的な整備を行おう、こういう意味なのですか。
○奧原政府委員 このラッコ、オットセイの法律をも、新しい立法措置を講じます際には、吸収いたしました措置を講ずるかいなか、こういうことについて検討いたしておるのであります。
○田中(織)委員 そうすると、先ほど岡田委員から質問があったのでありますが、この条約につきましては日本だけではなしに、やはりカナダなりあるいはアメリカなりソ連なりがそれぞれの国内的な立場で、この条約の趣旨に基く国内法というものをそれぞれ制定されていると思うのです。それは現在どういうふうになっておりましょうか。たとえばこれはカナダのことだと思うのですが、インディアン等がもりでオットセイをとるというようなことも、この条約の第一条の点から見たら、海上猟獲につきましては、その方法のいかんを問わず、火器を用いようが用いまいか、すべて含むということになっているのですが、そういう条約の他の関係国である三つの国のオットセイの保護に趣旨を置いた国内法が、どういうふうになっておるのでしょうか。
○川上説明員 それぞれの国にやはり禁止についての国内法を設けております。
○田中(織)委員 どうせこの条約案はいずれ本日の委員会で議了することになると思うのですが、あとからでもそれぞれの国のその法制を資料として委員会に提出願いたいと思います。
○野田委員長 承知いたしました。
○田中(織)委員 それからもう一点は、この条約の有効期間中にオットセイの獣皮の日本側に配分されるものの処理についてでありますが、この間連合審査会で農林水産委員の鈴木幸委員の質疑等の関係で、大体一五%といたしましても金額にして三十億程度、これに鞣成のための経費を差し引いても差引十五億程度のものが残る、こういうふうに鈴木委員から指摘されておるのでありますが、この配分された獣皮の受け入れ関係は、具体的にはどういうふうになるのでしょうか。
○奧原政府委員 お手元に資料といたしまして毎年の収入の見込みが出ておるのでございますが、この資料に一応想定いたしておりますような順序によりまして、国の一般歳入として入ってくるのであります。ただいまお話し申し上げましたイルカ漁業者の転換に要します経費として、大体大蔵省との間に話を取りまとめておりますのが、やや端数はございますが、五億であります。その他の金額は、これは一般の歳入に入るのでありますが、われわれといたしましては収入は収入として受領するとともに、転換に必要なる措置は、これは収入を配分するというふうな観念ではなしに、一つの日本の国内措置としてまた別に計上していく、こういうことで進んで参りたいとかように考えております。なおオットセイに関しまして必要といたします経費は、その国内措置のほかに毎年——今年の予算について申し上げますれば千八百万円、取締り及び調査研究費を計上したのでありますが、おそらく今後は若干これよりも増額いたしました経費が毎年必要に相なってくる、かように考えておる次第でございます。
○田中(織)委員 一般歳入として金額にして約三十億程度のものが入るということであるのですが、大体項目としてはどういうことになるのですか、雑収入になるのですか。
○奧原政府委員 雑収入に入る、かように考えております。
○田中(織)委員 私はそれが実は非常に問題だと思うのです。これは条約に基いて配分を受けるものではあるけれども、元をただせば日本の関係の漁民が猟獲しておったものなのです。それが条約に基いて一定の期間そういう操業ができなくなったということが根本的な理由になって、条約上そういう取りきめができたのであります。それをいきなり雑収入という形で一般の歳入に入れるということについては私は筋が通らいと思うのです。その点については従来水産庁と大蔵省との間でどういう折衝をなされたのですか。またこれは、原皮のままで入ってくるものだと思うのです、そういたしますと、その鞣成に要する関係の賞用が約半分の十五億に達するのでありますが、そういう関係のものは差し引いた十五億だけが——概算でありますけれども、一般歳入の雑収入として入るのでありますか。その関係の約三十億ということになれば大きな金額であろうと思うのでありますが、鞣成関係等の関係は大蔵省で処理されるのですか、水産庁で処理されるのですか、その点はいかがですか。
○奧原政府委員 まず、この収入が一般歳入によることが筋が通らぬではないかという御質問でございますが、われわれもこれを特別会計として受け入れて、その金をもってオットセイに関連いたしますいろいろな対策に使い、さらに要すれば一般会計に繰り入れをしていく、こういうシステムが作れないものであるということについて内部でも検討し、また大蔵省ともいろいろ打ち合せをしたのでございます。しかし現在の日本の会計のシステムの中におきましては、どうもそういう特別会計というものは成り立たないのでございまして、やはりこれはあくまでも普通の会計の組み立ての方式に従いまして、一般歳入として受け入れ、必要なる支出は支出として計上していくということにいたすべきであるという結論に到達したのでございます。なお原皮の受け入れの仕方等に関しましては、条約発効後第一回の委員会においていろいろ協議することに相なろうかと考えておりますが、われわれの考えておりますことは、原皮のままこちらに引き渡しを受けまして、これを日本政府の手でアメリカのこの方面の専門会社に委託をして加工して販売するという措置を講ずべきではないか、かように考えておるのでありますので、そういたしますとこれら鞣成に必要な経費というものは水産庁の予算に計上されるということに相なろうかと考えております。
○田中(織)委員 これを一般歳入に雑収入で入れるということについては、私は財政法上からも疑義のある問題だと思う。私もそういう処理の仕方有しようとしておるということは、今初めてわかったので、まだ私自身の研究も足りませんけれども、本来ならば私はこれはやはり特別会計で処理するということについても、なお疑義があると思うのです。従って、今度のこの条約に従って、従来この方面で生業を立てていた人たち、そういう人たちから、この分についての配分要求が私は当然出てくると思うのです。出てきた場合には、それはそのまま国の収入になっているのだからということで、私は知らぬ顔はできないと思う。従って、この点については、できれば今奥原次長も申されたように、私はこの関係についてはやはり特別会計で処理すべきものだと思う。それからなお獣皮の配分を原皮のままでやるということになりますと、日本のいわゆる水産加工をも含めまして、皮革の鞣成という工業技術については、決して外国に遜色のないものなのです。私はその意味で、これをアメリカの専門的なものにまかすというようなことではなしに、今日政府の統計によりましても、数十万という完全失業者が出ておるときに、従来皮革産業花中心とする鞣成関係の産業に従事している関係におきましては、特に失業者ないし半失業者が非常に多いのであります。従いまして、これらの点につきましても、それの鞣成の技術指導その他については、国が本格的に指導してでも、やはり国内のそういう関係の牛失業者あるいは失業者に仕事を与える。政府の大方針である完全雇用への一歩前進という意味からも、これは今奥原次長が述べられたような形で、アメリカの鞣成業者に委託加工をさせるというようなことではなしに、日本の国内で鞣成して、その製品について、できればさらにこれを輸出品等に加工する等の処置をとらなければ、どうも水産庁のそういう面における水産資源の加工部面における利用という点についての指導が、私は従来十分でないと思うのです。たまたまこのオットセイの関係で、水産庁の管福下においてこれだけのものが入ってくるということに将来なるわけでありますから、その点については、一つ日本の国内の水産皮革資源の技術の向上のためにも、またそういう方面の産業の発達のためにも、これは国内で加工し、利用していくような方法を講じてもらいたいと思いますが、水産庁の御意向はいかがですか。
○奧原政府委員 ただいまの御質問、二点に分れておりましたので、それについてお答えをいたしたいと思います。 まず第一の点につきましては、水産庁といたしましては、漁民の感情として自分たちが期待しておったオットセイの猟獲が引き続き行われないということによって、国に収入が入るのだから、その収入は自分たちに配分さるべきだという気持を抱くことはわかるのであります。しかし、国の制度といたしまして、入ってきました収入をそのまま右から左へそれらの希望しておる諸君に分ける、こういう補償的な考え方は、少くともそういう言葉においてこれを処理するということはできないことである、かように考えるのであります。ただこの収入を、できる限りオットセイあるいは水産振興というふうなことに使って参りたい、こういう意味から特別会計制度というものを考えてみたこともあるのでありますが、資金会計としての性格、あるいは企業会計としての性格というものが十分なる論拠が立ちがたいのでありまして、従ってただいまいろいろおしかりを受けましたが、やはり一般歳入に受け入れ、必要なる支出は支出として計上していく、こういうふうに措置せざるを得ない、かように考えたのでございます。 なお日本の国内における皮革の加工の現状は、オットセイを高級な婦人の外套として加工するというようなことはまだ未経験でございます。またプリビロフ島の立地等から考えましても、これをそういう方面の専門技術のありますアメリカに送って加工するのが適当か、かように考えておるのでございます。しかしながら、日本の加工業者の技術の実態というものが許しますれば、これを国内において利用していくというようなことも拒むつもりはわれわれとしてはないのでございます。要するに、加工業者の技術の実態というものをもう少し突きとめまして、その辺を判断いたしたい、かように考えております。
○田中(織)委員 前段の点につきましては、これはいずれ農林水産委員会等でもわれわれの党の諸君から関連して取り上げる問題になろうかと思うのですけれども、やはりこれはオットセイ関係の漁業者だけの、いわば犠牲の上に、水産業全体の振興に仕向けることが適当であるかどうかということについては、私は問題があろうかと思いますけれども、やはり奥原次長も考えておられるように、水産庁にはそういう意味の特別会計をもって水産振興のために積極的に手を打つべき分野が残っておると思うのです。一つの例は、たとえば最近メキシコのエンセイ灘から、カツオ、マグロについて、日本の漁業者の現地へのいわゆる出漁についての要請が全国漁民協議会の方へございます。今度北洋漁業の方へ一船団削られ出漁できなかった。現在極洋捕鯨との間で、われわれの同僚が現地へ行って参りましたことに基いて、今その方面へ船団を派遣することについて話し合いを進めておるのでございますが、そのほか、たとえばインド洋においてセーシェル島を中心とする新しいカツオ、マグロ漁業の開拓というような問題、さらに東南アジアの各方面、遠くはアフリカ方面等でも、やはり日本の水産技術を受け入れたい。最近沿岸漁場民がほとんど食うや食わずのような窮迫した状態にあることを一番心配してあられる水産庁は、やはりこういう海外への漁業進出というような面についても、積極的に施策を考えなければならぬと思う。われわれは全漁連を中心にいたしまして海外漁業への進出ということについて協力会のような団体を結成し、水産庁でぜひとも予算を組んでもらいたいということで、昨年来奥原次長も御承知のように折衝を続けて参りましたが、ついに予算の面ではそれは実現しないでおります。従って最近は漁業方面も大きな資本漁業はそういう情報をキャッチすればどんどん資本にまかして出漁をいたしておりますけれども、やはり私はオットセイ関係の漁業者にいたしましても、今度の条約に基いて五億何がしの金を投じて、転換を考えてやらなければならぬと同じような事情に、日本の沿岸漁民の多数があるわけなのです。私はそういうものにむしろこのための金が使われていく、これはやはり、オットセイ漁業が本人たちの意思ではない、もちろん魚族保護という大局的な見地からでありますが、そういうものに基いてこういう条約ができたことは、それは関係漁民としても了とするのでありますが、そういう一つの大きな犠牲の上に入って参りますものは、雑収入という形で一般歳入に繰り入れるというようなことではなしに、私はやはりこれは別な使い方を考えるべきだと思うのです。現にガソリン税というようなものがやはり道路整備のための目的税として設置されておるというふうに、これは同じ大蔵省においてもそういう処置を講じておるのでありますから、私はある意味から見れば、目的税的な性格ともこれは見れば見られないことはないと思うのです。そういう意味で、この問題については条約発効後現実にこのオットセイの獣皮が配分されて入って参りました場合に、初めて具体的になる問題でありますから、今からでもおそくないと思うので、十分その点についてはわれわれも国会側の意見を取りまとめることに努力いたしますが、水産庁長官としての、そういう面で一つ積極的な御考慮をわずらわしたい。 〔委員長退席、高岡委員長代理着席〕 それからなおこの間の連合審査会で明らかにされましたこの条約に伴いまして、イルカ漁業あるいはその関連の漁業者に対する補償の問題、漁業の転換について本日の閣議で了解されて、少くとも五億円からの支出が行われるようでありますが、その点についてはわれわれの聞いているところでは、それだけではもちろん十分ではないというふうに承知をいたしておりますので、その点については前段に申し上げましたこの獣皮を受け入れました金の使い方と関連をいたしまして、さらに積極的な方策を講じていただくことを強く要望しておきたいと思います。
○高岡委員長代理 松本七郎君。
○松本(七)委員 私は国際捕鯨取締条約の議定書の方に進むのですけれども、その前にオットセイの暫定条約をもう少しはっきりさしておきたいと思います。 さっき岡田さんの質問にありました第十三条三項「第九条1及び2の規定は、千九百五十六年六月一日から効力を生じていたものとみなす」、これについては相手国とはもちろん十分話し合いはついているのだろうと思いますが、それを確認しておきたいと思います。
○高橋(通)政府委員 さようでございます。十分話し合いはついております。
○松本(七)委員 それからこれもさっき岡田さんからちょっと出ました、先般私の質問した日米覚書によるところの一九一一年の配分金、これはこの前の御答弁で全額約六億、年間にして約一億五千万、私の調査では、ないし二億円となっておりますが、この前の御答弁で全額にして六億近い、これは日本から請求して今交渉中だというお話ですが、いつごろからこれは交渉を始めたのでしょう。
○川上説明員 本年の二月から非公式に話し合っておりまして、先般先方からその具体的の資料を出すように、その上でさらに検討するという話になっております。
○松本(七)委員 一九五二年から五六年までの分を、ことしの二月になってやっと交渉が始まったというのはどういう事情でしょう。
○川上説明員 これは一応この条約の締結という見通しがつきましてから、その問題をさらに具体的に別途話し合うということでございます。
○松本(七)委員 しかしこの部分は一九一一年の条約による配分金だから、今度の暫定条約とは関係ないのではありませんか。
○川上説明員 一九一一年条約はすでに失効しておりまして、失効した後において日本は三年猟獲いたしました。戦後自発的にこれを取りやめてあるわけでございます。その分についてのものでございます。
○松本(七)委員 それにしてもことしの二月からの交渉というのはこの暫定条約と結びつけなくてもできるはずです、日米覚書によって配分金をもろうことはきまっておるのだから。だからその覚書ができてからすぐその交渉は始めるわけでしょう。特にアメリカが拒否していたとかあるいは日本側に手落ちがあったとか、何かその間に特別の事情があったのですか。
○川上説明員 まず新たな条約を締結するというところに重点が置かれましたもので、その方での交渉に重点を置いてやって参ろう。それが一応見通しがついたので具体的な話になったのであります。もちろんその前においても、この交渉を始める前にも、そのような問題について先方と話し合ったことはございます。
○松本(七)委員 日米覚書を交換する当時、すでにそれでは暫定条約をやがて結ぶということを予想しておったのですか。
○高橋(通)政府委員 その当時から新しい条約を結ぶことを、すなわち覚書は交換しましたけれども、結局それはわれわれとしてあくまで暫定措置だということに考えておるわけでございます。そこでこの調査をやりまして至急新しい条約を結ぶというのが目標であったと私は考えます。
○松本(七)委員 非公式に話し合いはしていたとさっき言われるのはいつごろから……。
○川上説明員 この新しい条約交渉が始まりますときでございますので、今はっきりした日時は記憶しておりませんが、一昨年の大体十月ごろこの話を先方と非公式にはしたのです。
○松本(七)委員 それは東京でされたのですか。
○川上説明員 その一昨年の交渉が始まります前に、現在アメリカ側の国務省の漁業関係の顧問をしておりますヘリントン氏が東京に参りました際にもそのような話は一応しております。なお会議が始まります前に、ワシントンに参りましたときにも、そのような話は出ておるわけでございます。
○松本(七)委員 それからさっきの御答弁で、配分率のことを述べられたのですが、一九一一年条約のときに非常に交渉が困難になって、わざわざルースヴェルト大統領の明治天皇あての親書によってこれが解決した、そういう御説明だったのですが、今度の暫定条約による科学的調査の対象には、当然配分率も入るのだと思いますが、それは間違いございませんか。
○川上説明員 この配分率は陸上でとりました分に対してのみ行われるわけでございます。従って調査のためにとるものについては、この配分率は通用されないわけでございます。
○松本(七)委員 調査のためにとる分についてはもちろん通用されないけれども、科学的調査の対象に配分をどうするかということも、一九一一年の一五%という決定にこだわらないで、科学的調査いかんによっては、またこれが当然変更されるという含みが残されておるかというのです。
○高橋(通)政府委員 その点、この条約は御承知のように、あくまで暫定条約でございますし、それから六年間有効であります。この条約が六年間有効としまして、その後新たな補正条約が当事国間で効力を生ずる、それまでの暫定条約でございますから、もちろんそういう点も含めて、そのとき新たに効力の対象になると思っております。ただし一九一一年のときの経緯から考えまして、この配分率の決定ということは、非常に困難な問題であるということは確かであると思っております。
○松本(七)委員 一九一一年当時の日本の主張は、妥結するに至るまでどのくらいを主張したのですか。
○川上説明員 日本は最初二五%程度のことを主張しておったわけであります。
○松本(七)委員 当時アメリカの主張は何%ですか。
○川上説明員 今資料を持って参りませんでしたので、はっきりしたお答えは申し上げかねますが、大体一〇%くらい、だったと思います。これは一応はっきりした記録がございますので、もし必要ならば、あとで資料を御提出申し上げたいと思います。
○松本(七)委員 今までの御答弁でだんだんと明らかになったのは、要するに日本の猟獲技術というのが非常にすぐれている。従ってこれは海上捕獲でもって制限していいわけですね。理論的にいえば、厳重に制限すればいいわけです。けれども日本の技術は進んでおるし、海上では雌をとる可能性もそれだけ多い。そういういろいろな事情から、海上捕獲は全面的禁止ということになったのでしょうけれども、陸上で撲殺する場合、優秀な種雄あるいは雌まで殺すということは絶対にございませんでしょうか。
○川上説明員 オットセイの生態といたしまして、大体雄は七才くらいからハーレムに参加できる能力を持つわけであります。もちろん生殖能力はもう少し早い時期からあるわけでございますが、実際に体力の関係とか何かで競争に参加できないのでございまして結局若い雄は別なグループを作るわけでございます。従いまして、ハーレムと別なグループを分れて作っておりますから、それを物理的にやるわけであります。プリビロフ島はそれぞれのルッケリー、がございまして、そのルッケリーに何日目かごとに別に分れて上ってくる、大体三才を中心にしました雄だけを追い上げるという方法をとるわけであります。従いまして、普通六月の終りごろから七月の半ばごろまでの間に、その撲殺が行われるわけでございます。それは主として生殖に参加する前の若い雄の集まってくるものを追い上げるわけであります。大体においてその時期においては、雌が入るということはほとんどないのであります。ただ七月半ばを過ぎますと、ハーレムがだんだんだんずれて参ります。中に雌が混在するという状況が出てくるわけであります。ことに昨年プリビロフでは今までアメリカは雌をとっておりませんでしたが、昨年は雌を試験的にとるということをやっておりますので、それなどは大体ハーレムがくずれた後においてやるという方法をとっておるのじゃないか。だから普通の今までずっと踏襲して参りました方法では、雌をとるということはないわけであります。
○松本(七)委員 これは結論的にはこういうややこしい配分を受けなくても、海上捕獲を含めて商業上捕獲の制限をやるのが合理的なような気がするのですが、この点はここで、議論してもしようがないですから、この程度にしておきますけれども、さっき田中さんから質問がありました、配分を原皮で受けた場合の加工の問題その他の点ですが、先ほどはどういうふうな状態で受け入れるかは今後話し合うということでしたが、その場合どのくらいの期間の協定になる予定ですか、向う一年間はこういう状態で受け入れるとか、あるいは相当長期にわたっての協定でも結んでやることになるのでしょうか。
○木田説明員 受け入れの形につきましては、今後の折衝になるわけでございますが、大体日本側といたしましての考えは、できる限り日本側において有利な方法をとりたいと考えておりますが、現実にやってみまして果してどのような結果になるかということにつきまして、戦後の経験を持たないわけでございます。従いまして当初の間におきましては、財政当局とも連絡の上で短期間というふうなことで、将来長くなるというふうな方法になるのではないかと考えております。
○松本(七)委員 それは先方から金に換算してやるというような意見が出てくる可能性はないでしょうか。
○木田説明員 そのようなこともないとは言えないと思います。戦争前の姿でございますと、これはアメリカにおきましては、金にかえましてこちらに送るという姿になっております。いずれが適当であるかにつきましては、実行してみての判断が必要かと考えております。
○松本(七)委員 それから先ほどの御答弁で、転業資金のことは、きょうの閣議で了解事項としてきまる、そういう予定だという話ですから、これはこの前御答弁がありました五億円以上にわたっても転業を円滑に完全にやるために必要な融資もできるだけの努力をするし、またそれができる見込みだという御答弁があったですが、その融資を含めて閣議了解をされるというのですか。
○奧原政府委員 本日の閣議で了解されました事項は、約五億円の財政支出に関する範囲のことであります。なおこれが実行に当りまして起って参りますいろいろな問題についての意見の交換も若干、当然されたと考えております。なお融資の問題につきましては、これはすでに漁船の建造資金といたしまして三十億の融資ワクが農林漁業金融公庫にもとってあるのであります。その中で相当の部分はこの建造にもきき得る、かように先ほど来お答え申し上げておる通りであります。
○松本(七)委員 それはどのくらいさき得るお見込みですか。
○奧原政府委員 まだイルカ関係の漁業者の組織しております団体からの具体的な計画が出て参っておりませんので、幾らとも数字は申し上げかねますが、しかし今ここで三十トン未満のものの一斉転換ということがかりに可能であるといたしましても、それにこたえ得る分は十分公庫の融資、今計上しております漁船建造のワク及び予備費の中から配分し得る、かように考えております。
○岡田委員 関連。ちょっとさっきのオットセイの点で聞き漏らした点があるのです。私この点はうっかりしていたのだけれども、これは海上猟獲についてはいろいろな制限がある、監視とかいろいろな形が条文ありますね。ところが陸上猟獲については、関係各国の間の何らかの監視というか、制限というか、こういう点は全然なくて、そのそれぞれの国にまかしてあるわけですか、その点はどうなのですか。ということは、海上の場合は逃げようがないわけけなのです、船だけだから。だから悪いことをすれば必ず見つかるわけです。見つけようとすれば見つかる。ところが島の上の問題だとすると、島といっても相当広いのだから適当にごまかし得る。そういうことはわれわれとしても想像にかたくない。条文上の規定にそういう点が全然出ておらないとすると、これはやはりどうも日本だけが一方的に制限されるという片手落ちの条約になってきているのじゃないか。だからアメリカがことしは何万頭とったと言っておっても、それがどこまでが、ほんたうであるかという点も判断ができないのじゃないかということが考えられる。海上猟獲については制限、それから罰則の規定としての獣皮の醵出その他がありながら、アメリカ側のそういう陸上猟獲については制限、罰則がない、それからアメリカ側の海上猟獲についても罰則規定がないということになると、この条約はいわゆる条約の、原則からいって平等の条約ではないような感じがするのだが、こういう点はどうなのです。この点だけちょっと聞き忘れておりましたので……。
○高橋(通)政府委員 その点はやはりこの種条約の一つの根本的な点に触れるかと思うのでございますが、やはり何と申しましても島の問題と海上の問題とはそれ自身いわば本質的な相違があるのではないか。島と申しますと、何といいましてもその国の領土である。海上になりますと、御承知の通りこれは何人の主権下にも属さない公海でございますので、そこでやはり共同の取締りをやるというような結論になりますが、陸上の方はやはりその国の領土権とかいうふうな問題がありますので、多少そこに必然的にそういうふうな相違が出てくるのではないかと考えております。そこでそれを是正するためには、何と申しましても委員会における活発なる論議、それから資料の提出、調査によって監視をすると同時に、ここにもございますようにお互いの領域に専門家を随時派遣をして観察するなり現地調査をする、そういう点を強力にやることによって、その面に対する監視をやることができる、こういうふうに考えております。
○岡田委員 私は見忘れておりましたが、そうすると随時関係国の委員というものが派遣されて、具体的に言うとプリビロフ島に行って、そういうとっている状況なんかを見たり監視したりすることはできるようにはなっておるのですか、どうなのですか。
○高橋(通)政府委員 随時というのは、ちょっと言い過ぎかと思いますが、二条の5に「当事国は、また、科学者の交換のための措置を執ることに同意する。その交換は、そのつど、直接に関係のある当事国間の相互の合意によって行われるものとする。」となっておりまして、これはやはりだしぬけに入っていくというわけには参りません。そこで合意をするということによって実際上の観察その他共同の調査ができるようになっております。
○岡田委員 「科学者の交換のための措置を執ることに同意する。その交換は、そのつど、直接に関係のある当事国間の相互の合意によって行われるものとする。」このことによって島に行って調査するということも含んでおるのですか。そして含んでおるとするならば、会議録なりにそういう意味であるということが明確に規定でもされておるのですか。私はこれを読んだ限りでは、そういうものまで含んでおると解釈しなかったのですが、これはそういう点まで含んでおるのですか。
○高橋(通)政府委員 その点は、会議の経過におきまして十分誤解のないように相互に理解されていると思います。
○松本(七)委員 捕鯨条約の議定書について簡単に伺っておきたいと思いますが、南極水域において捕鯨に従事している国はどこですか。
○奧原政府委員 現在日本が五船団、ノルウエーが九船団、英国が四船団、オランダが一船団、ソ連が一船団、この各国を合せまして二十船団が前回の漁期において操業いたしたのでございます。
○松本(七)委員 この国際捕鯨取締条約の附表にある捕鯨の頭数は、年間一一万五千頭となっておりますが、各国別にすると、それぞれ何頭くらいになるのでしょうか。
○木田説明員 条約の別表にございます頭数は、昨年の国際捕鯨委員会におきまして改正がきれて、現在は一万四千五百等、この一万四千五百頭は南氷洋で一斉に始めましてとる量でございます。従いまして、あらかじめ各国の船団に幾らという配当はしてございません。
○松本(七)委員 各国別に実際にとった頭数というのが今おわかりでしたら知らせて下さい。
○木田説明員 各国別の、一九五六年から五七年にかけての南氷洋の実績はまだ全体としてとりまとめができておりませんので、聞いておりませんが、総体量といたしましては一万四千七百三十四頭でございまして、そのうち日本でとりましたものの総数が、白ナガス換算でもちまして三千五百八十五・五頭になります。世界全体としては一万四千七百三十四頭でございます。
○松本(七)委員 現在日本の母船に捕鯨監督官は何名くらい乗っておりますか。
○木田説明員 現在三名乗っております。
○松本(七)委員 監督官というのは、外国人を任命できるのでしょうか。 〔高岡委員長代理退席、委員長着席〕
○木田説明員 国際捕鯨 取締条約は各国がそれぞれ自国でもって取締り監督をやりますことを協定してあるものでございます。従いまして監督官は自国のものであります。
○松本(七)委員 監督官の身分は公務員でございますか。
○木田説明員 その通りでございます。
○松本(七)委員 この議定書でヘリコプターを捕鯨船のカテゴリーに加えているのはどういう理由によるのでしょうか。
○木田説明員 現在におきまして、各国の船団でヘリコプターを利用しまして、爆弾を投下したりあるいはその他の方法によります捕鯨をやっておるということはないわけでございますが、将来におきましてそのような方法があり得るのではなかろうかということでございます。そこで捕鯨をいたし得るものにつきましては、この際この議定書の中に入れ込むということによって規制をする必要があるではないかということでございます。他方におきまして捕鯨船の数につきましては、これは条約におきまして何らの規制はないわけでありますが、各国の関係会社間の中においてキャッチャーの制限ということは行われております。その際に船だけ制限いたしますと、他方におきましてヘリコプター等による抜け道ができはせぬかということもあるわけでございます。そういうふうなことを考慮いたしまして、この際そういうものを含めようということでございます。
○松本(七)委員 国際捕鯨取締条約加盟国は現在どこでございますか。
○木田説明員 全部で十七カ国でございます。
○松本(七)委員 ちょっと国名をあげて下さい。
○高橋(通)政府委員 ただいまの十七カ国でございますが、読み上げますと、オーストラリア、ブラジル、カナダ、デンマーク、フランス、アイスランド、日本、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ノールウエー、パナマ、スウェーデン、南アフリカ連邦、ソビエト社会主義共和国連邦、英国それからアメリカ、この国々でございます。
○松本(七)委員 この条約に加盟してない国が南極水域で捕鯨することはできるのでしょうか。
○高橋(通)政府委員 条約上はできることになるわけでございます。
○松本(七)委員 そうすると加盟しておらない国で実際に捕鯨の可能性のある国が現在ありますか。
○木田説明員 ただいまのところそのような国はございません。
○松本(七)委員 現在南極水域における鯨資源の状況はどうなんでしょうか。増加しつつあるのでしょうか、減少しつつあるのでしょうか。
○木田説明員 鯨につきましてはヒゲクジラといいますものとハクジラというものに大別いたしますと分れるわけでございます。ヒゲクジラの中では現在捕獲の対象といたしておりますものは白ナガスクジラ、ナガスクジラ、それからイワシクジラ、それからザトウクジラというものがございます。それからハクジラの中ではマッコウクジラというものが中心でございます。ヒゲクジラにつきましては特に白ナガスクジラ、これが資源的に非常に危ないということでございます。さらにまたナガスクジラにつきましても、現在の状況におきましては相当警戒を要するということでございます。そこでヒゲクジラにつきましては総体量といたしましてこの捕獲頭数といいますものを逐次下げていって、将来におきましては白ナガスに換算して一万一千ないし一万二千程度に下げたい。そういうことによりまして資源の最高の持続的生産性が得られるであろう、かように考えられております。
○松本(七)委員 この間の新聞の報道によると、日本の今度の捕鯨の成績はあまりよくなかったというように受け取ったのですが、ここ数年の捕獲頭数はわかっておりますか。
○木田説明員 本年の結果につきましては、総体で日本のヒゲクジラの捕獲頭数は三五八五・五でございます。それから昨年の状態につきましては二七四二でございます。それからその前の一九五四年から五五年にかけましては二七七一・六になっております。その前の年では一八九六・二でございます。それからその前は一五三〇・四でございます。それから一九五一年から五二年にかけましては一五四六・八、それから一九五〇年から五一年にかけましては一三〇〇・六、それから一九四九年から五〇年にかけましては一三七二・八、そのような状況でございます。
○松本(七)委員 そうするとこれは特に成積が悪かったとは言えない状態でしょうか。
○木田説明員 一九五六年から五七年にかけましての漁期におきましては、図南丸、松島丸という日本水産の二船団、それから日新丸と錦城丸という大洋漁業の二船団、それから極洋捕鯨株式会社の第二極洋丸というので全部で五船団でございます。その前年までは日水におきましては図南丸、それから大洋におきましては日新丸と錦城丸、合せまして三船団であったわけでございます。従いまして新しい二船団の増がございます関係から、前年と本年とを比べますとそこに実質的な相違ができるわけでございます。
○松本(七)委員 この条約が発効して加盟国の中で条約違反を犯したものはどのくらいあるでしょう。国別でなくてもいいですけれども、条約違反の件数ですね。
○木田説明員 条約違反の明らかな事実ということにつきましては、各国におきまして確認いたしましたものは現在におきましてないわけでございます。ただそれぞれこれにございます鯨の尺数等で足りないものというのがございますが、そのような若干の違反については、それぞれ各国から捕鯨統計局に報告がなされております。
○松本(七)委員 それからこの条約六条によりまして国際捕鯨委員会が捕鯨及びこの条約の目的に関する事項について随時勧告を行うことができることになっておりますが、今まで何らかの勧告を行なった事実がございますか。
○木田説明員 現在におきましては北部大西洋におきまして白ナガスクジラの禁止ということをやっておりますが、それに対しましてデンマークとアイスランドが異議の申し立てをしている。その件につきましては毎年国際捕鯨委員会におきまして論議の対象になっている。そこで委員会におきましては両国に対しましてその異議の申し立を取り下げないかというような勧告がなされております。それが一つぐらいであります。
○野田委員長 他に御質疑はございませんか。——御質疑がなれけば、これにて両件に対する質疑は終ることといたします。 これより討論に入ります。討論の通告があります。これを許します。松本七郎君。
○松本(七)委員 私は、社会党を代表して、千九百四十六年十二月二日にワシントンで署名された国際捕鯨取締条約の議定書並びに北太平洋のおっとせいの保存に関する暫定条約に賛成するものでございますが、ただ、このおっとせいの保存に関する暫定条約について、特に要望をいたしておきたいと思います。 実は私どもの考えでは、このおっとせいの保存に関する暫定条約の内容は納得できない点が多い。特に海上捕獲を全面的に禁止して、調査目的だけに限る。商業捕獲はできない。たまたま日本はオットセイが上陸する島を持っておらないために、せっかく猟獲の技術はすぐれたものがありながら、これを生業として活用できないなんという、こんな不合理なことはないので、あくまでもこれは海上捕獲を含めて制限捕獲をするということでなれけばならないと思います。しかし、そういう点まで含めて今後調査しょういうのでございますから、一応これは認めざるを得ないわけですけれども、しかし、今後科学的調査をする場合に、日本政府としては今後合理的なオットセイの保存処置をとるように、また日本のせっかくすぐれた猟獲技術を十分に活用できるような保存措置を考える努力をしていただきたいと思います。それが一つ。 それから、せっかくそういう技術を持って生業しておる者が今度全面的に転業するわけですから、この点を私ども一番心配しておったわけです。できれば、この委員会でも、完全な、安心して転業できるような転業資金、すなわち予算的な措置、並びにそれで足りない分は十分な融資をもって転業が円滑に行われるような措置をなすべきであるという附帯決議ぐらいした方がいいのではないかと、あらかじめ委員会に臨むまでは考えておったのですけれども、御答弁によりまして、大体政府もその趣旨には賛成であるし、またその努力を十分していただくような見込みもあるようであります。特にきょうは閣議でもって大体五億円の財政的な措置については了解も得られたということですし、またそれに関連して先般御答弁がありました融資についても当然話し合いの中には入っておるということでございますから、どうかこれらの業者の転業に当って十分な——本来ならばこれは補償をなさるべきものじゃないかと思いますが、名前は補償でなくても転業が円滑にできるように十分な措置を講じていただくということについてまず当局を信頼し、それを条件にして——政府側もそれをやろうと言っているのですから、条件ということにはならないでしょうけれども、それができるということを期待し予想して、この条約にも賛成する次第でございます。
○野田委員長 これにて討論は終結いたしました。 採決いたします。千九百四十六年十二月二日にワシントンで署名された国際捕鯨取締条約の議定書の批准について承認を求めるの件、北太洋のおっとせいの保存に関する暫定条約の批准について承認を求めるの件を、それぞれ承認すべきものと議決するに御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野田委員長 御異議なしと認めます。よって右の両件は承認することに決定いたしました。 なお、ただいまの両件に関する報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野田委員長 御異議がなれけばさように決定いたします。 —————————————
○野田委員長 連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。 国際原子力機関憲章の批准について承認を求めるの件について、科学技術振興対策特別委員会より連合審査会開会の申し出がございました。この際これを受諾いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野田委員長 御異議がなければさように決定いたします。 なお、この連合審査会の開会日時につきましては、後日両委員長において協議して決定いたしますから、さよう御了承を願います。 —————————————
○野田委員長 この際、日中問題について外務政務次官より発言を求められております。これを許します。井上外務政務次官。
○井上(清)政府委員 去る十九日の本委員会におきまして、対中共禁輸緩和に関しまする件に関しまして森島委員から御質問がございましたが、その当時、私の説明の不十分でありました点と、なおまたそのときに、資料と申しますか、その経緯の説明をお約束をいたしました経過がございますから、この機会を得まして若干御説明を申し上げたいと存じます。 政府は、米国の対中共禁輸緩和に関しまする提案が今月の十七、八日ごろに日英その他関係国に手交せられるであろうというような情報に関しましては、あらかじめ得ておりました。ワシントンの十七日午後、日本時間にいたしまして十八日の午前に、米国国務省は、日英等関係国の出先機関に米国の本件に関しまする提案を手交いたしたのでございます。 右に関しまする来電は、所要の解読を行いました上、その原稿草案ができ上りましたのは十八日の夕刻のことでございまして、私どもの省内の一般関係局課に配付されましたのは十九日の午前であったわけでございます。これは非常な高度の暗号で組み立てられてこちらに送られ、しかもこちらで解読をいたしますのに相当な時間を要しましたためにさような関係に相なったわけでございます。十七日に英国にも日本にも提案は手交されたわけでございますが、英国から外電の情報といたしまして、英国側は前記ワシントンの提案をその日以前に受領したかのような報道があったわけでございます。私どもも非常に驚きまして、直ちに在英大使館を通じまして英国外務省に確かめましたところ、右の情報は誤まりでありまして、当時英国も米国の提案を受け取っていないということの確認を得た次第でございます。政府といたしましては、右提案の受領の事実につきましては、十九日の午後に関係官庁からこれを明らかにいたしました。関係官庁と申しますと、通産、外務両省からこれを公表いたしたような次第でございます。私といたしましては、前述の通り十九日午前に私のところに本件に関します電信が配付されておったのでありますが、たまたま十九日は午前中から国会の関係で本省を留守にいたしておりまして、午後の本会議に臨みましたために、どうも遺憾ながらはっきりした御返事ができなかったわけでございます。この点はまことに遺憾に存ずる次第でございます。同席の局長に確かめました上で、米国提案を受領した事実につきましてその際明らかにいたしたわけでございます。その後逐次所要の連絡をいたしておる次第でございますが、御承知のように本問題はいろいろ関係国との関係もございますので、どうも残念ながらその細部について申し上げることを、現在の段階におきましては控し控えさせていただきたい、かように存ずる次第でありまして、何とぞよろしく御了承をお願い申し上げます。
○森島委員 ただいまの御説明によりまして経過は大体明らかになったと思いますが、私はイギリスにのみ提案が行っておって、日本に来てないというふうなことを懸念いたしたのでございますが、この点は明らかになりましたので、今の説明で満足いたしますが、しかしこれは非常に重要な問題でございまして、私は外務大臣に対してもまた条約局長等に対しても幾多の質問を行わなければならない、こう思っておるのであります。これは一言でいいまして、条約局長に伺いますが、パリでいろいろな会議が開かれた、その結果何らかの具体的な決定に達した場合には、これは国際的な協定というべきものだと思いますが、この点を一言だけ伺っておきたいと思います。
○高橋(通)政府委員 条約上の見地からお答え申し上げますと、いろいろな決定ができましても、それは決定に従っておのおのの国が自発的にそういう処置をとるのだ、こういうふうに解してよろしいと思います。従って決定が拘束するものである、すなわち条約または協定の形式をとるものであるとは解していない次第でございます。
○森島委員 私は条約または協定の格好をとらないにしても、その申し合せに基いて、国内法的に日本として措置をとるべき結果になると思う。そういたしますれば、その国内法的な措置の根源は、パリならパリにおける申し合せにあると私は断定しなければならぬと思う。その意味から申しますれば、たといどういう格好をとるにしても、私は日本を拘束する法的な効力を持つと思いますが、この点はいかがでございますか。
○高橋(通)政府委員 私が解しております条約の解釈といたしましては、やはりそのような、あそこで各国が意見の交換をしてある程度結論に達する、そうしますとそのように従って各国が、先ほど申し上げましたように自発的にそういう措置をとるのだというふうな解釈によって、この問題を解釈しているわけでございます。従いまして、もしもこれに違反した場合、違反と申しますかそこの話し合いで結論が得られましたときに、その結論に従わないような行為をしましても、別に私は、これは条約上の義務違反であるとか、約束の違反ではないと思う。すなわちそこでみなが話し合ったことでございますから、道徳上の義務と申しますかそういう強い義務はあるかもしれませんが、あくまでも条約上の義務違反とか、そういう問題にはならないと思っております。
○森島委員 この国際的な申し合せを国内的に実施に移す場合には法的な措置が私は必要だと思う。これは従来も行われておりますが、従来は国内法として一体いかなる法律に基いておるか、この点を一つ明確に御答弁願いたいと思います。
○高橋(通)政府委員 国内法の問題につきましてはまたいろいろ調査研究してお答えさせていただきたいと思いますが、私了解しています範囲では、為替管理法でございますか、その法律に基いてそういう措置をとることができると規定してあると思っております。
○森島委員 非常に重要な問題で、政府はほおかぶりをして国会の審議にかけないで——私は秘密会ででもこれは明らかにすべきものだと思うけれども、そういう措置もとらないでほをかぶりで行こうといたされることは明らかであります。これは私も次会にいろいろな点から論及してみたいと思いますけれども、その点について今政務次官はどういう御方針で行こうとしておられるか、もしお差しつかえなければ御答弁を伺いたいと思います。
○井上(清)政府委員 アメリカから受け取っております対中共禁輸緩和に関しまする申し出につきましては、ただいま外務省といたしましてはしさいに検討を加えておりますので、私どもの主張を来たるべき——五月の初めと思いますが、開かれますチンコムにおきまして十分反映させるようにしたいと考えております。
○森島委員 ただいまのは全く御答弁になっていないのでありまして、私の質問したのは、何らかの申し合せができた場合、日本としても国内的な措置が必要かもしれない。またこの問題は非常に重要な、私たちの見解からいたしますれば、少くとも国際的な申し合せという程度のものであることは明らかなのです。この点において秘密会でもよろしいからこの内容を明らかにして、国会の審議に付するという措置をおとりになる意向であるかどうかということを政務次官に今お問いしたわけです。
○井上(清)政府委員 ただいまの御質問につきましては、十分私どもも研究をいたしてみたいと思います。
○野田委員長 岡田君、簡単に願います。
○岡田委員 こういう場合はどうです、局長御研究願いたいのですが。外国為替管理法でリストが出ているわけですね、このリストといわゆるココムあるいはチンコムのリストが合っているか、同じものであるかどうかということもわれわれはわからないわけです。日本の為替管理法のリストに入っておらなくてそれによって貿易をしたという場合に、それがたまたまココムのリストに入っているからといっても、それに何らの国際法上の制限は加えられないという答弁ですから、それは当然やっていいのだろうと私は思う。従って国内における貿易の規制というのは国内法だけですから、国内法のリストにおいて制限外のものならば、たとえばココムのリストにあってもこれに対して制限は加えられないものと、先ほどの御答弁からいうならば解釈すべきである、こういう点は当然のことだろうと思うのですが、この点が一つ。それから研究されると井上政務次官が言われましたが、今公表されないことになっているのは、いわゆるパリのココムのCGでの会議の決定に基いてどういう制限が加えられるかということについては公表できないという今までの慣例があるかもしれない、しかしそのCGに提案をするアメリカ案というものを、国会で秘密会で公表できないという理由は私はないだろうと思う。そのアメリカの案の通りになるかどうかということはこれは未定ですからね。そういう意味では、アメリカの一部提案については、許される限りにおいて国会に秘密会としてこれは公表されるのはむしろ当然のことであり、これはそうやらなければ国会の審議権を無視したことになりますから、当然それは提案されて、われわれが審議できるようにされるのが、私は当りまえだと思うのですが、そういう点も含めてお答えができればお答えをいただきたい。
○井上(清)政府委員 現在までに判明いたしておりますところでは、米国の考え方必ずしもわが国の見解と一致しないような点もあろうかと思うのでございますが、わが国の従来から持っておりまする考え方によって、いろいろと内容については検討をいたしております。御承知のように本件は関係国に非常に大きな利害関係を持っておりますし、また今後いろいろな外交交渉にも影響があるわけでございますので、この米国提案の内容というものについて申し上げる、あるいはまたこれに対するわが国の態度というものを明らかにするということは適当ではない、かように考えております。
○岡田委員 条約局長、今の点は当然そういうことですね。
○高橋(通)政府委員 ただいまの第一点はやはり条約の論理解釈からしますと当然そうなると思うのでございますが、この点も含めまして研究さしていただきたいと思います。
○野田委員長 次会は公報をもってお知らせいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時三分散会 ————◇—————