外務委員会 第19号
- 発言数
- 126 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/04/23
会議録
○野田委員長 これより会議を開きます。 まず連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。北太平洋のおっとせいの保存に関する暫定条約の批准について承認を求めるの件について、農林水産委員会より連合審査査会開会の申し出がございました。この際この申し出を受諾いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野田委員長 御異議がなければさように決定いたします。 なお、ただいまの連合審査会は、本委員会休憩後直ちに開会いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。 ―――――――――――――
○野田委員長 次に参考人招致に関する件についてお諮りいたします。北太平洋のおっとせいの保存に関する暫定条約の批准について承認を求めるの件について、参考人として、北日本海豚漁業協同組合組合長川口鶴松君、北日本海豚漁業協同組合専務理事浜田清右衛門君の両名を招致し、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野田委員長 御異議がなければさように決定いたします。 なお本参考人につきましては、このあと直ちに開会予定の農林水産委員会との連合審査会において、その意見を聴取いたしたいと存じますので、さよう御了承を願います。 ―――――――――――――
○野田委員長 原水爆実験探知に関する問題の参考人招致についてお諮りいたします。本件について参考人として気象庁長官利達清夫君、立教大学教授武谷三男君を招致し、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野田委員長 御異議がなければさように決定いたします。 なおただいまの参考人につきましては、午後二時ごろ再開を予定いたしております当委員会において、その意見を聴取いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。 それではこれにて暫時休憩いたします。 午前十時三十七分休憩 ――――◇――――― 午後三時二十一分開議
○高岡委員長代理 休憩前に引き続き会議を再開いたします。 原水爆実験探知に関する問題について、参考人より意見を聴取することといたします。 本日御出席を求めましたのは立教大学教授武谷三男君、気象庁長官和達清夫君のお二人であります。委員各位に御了解を得たいと存じますが、武谷参考人は都合で四時ごろ御出席なさる予定でございますので、先に和達気象庁長官より意見を聴取することといたしますから、さよう御了承願います。 和達清夫君。
○和達参考人 原水爆実験が地球上の、どこかで行われた場合に、それを探知することができるかどうかというお話と思います。私どもは気象庁におきまして、十四カ所の観測所におきまして放射能物質の雨にまじって落ちる分量の測定及び空気中を落下してくるところの放射能物質の量の測定並びに空気中に浮かんでおるところの放射能物質の量の測定をいたしております。そのほかに、これらの観測所におきましては微気圧計と申します気圧のわずかの変化を記録する機械を備えております。地球上のどこかで非常に大きな爆発がおこりますと、その爆発によって気圧の波が起り、それが地球を取り巻く空気中を伝播いたしますから、その気圧の波が微気圧計に感ずるに十分なほど強ければ、その波が観測されて、従ってその観測結果からその爆発の大きさ、その爆発の起った時刻並びに場所が推定されるわけであります。ところで原水爆実験がどのくらいの大きさの原水爆を実験したかということに従いまして、その起る気圧の波の強さが違いますので、ある程度より小さな爆発実験では、この微気圧計で観測することができませんので、いつどこでその実験が行われたかを確認することができません。しかしその実験が小規模ではあるが、非常に何回も行われたとしますと、その実験のために生ずるところの放射能物質は大気中を広まって、風に乗ってわが国の上空にも参りまして、それはあるいは雨の中に含まれて落下する、あるいは普通のちりと同じように自然落下してきて、私どもの観測している方法によりますと、水盤の上に落ちる、あるいは空気をポンプで抜きまして、その中の放射能物質の量をはかるというような方法によって、放射能物質が大気中にふえているということを察知することができますから、どこかでそういうような実験が行われたという推定一ができます。要するに確実にいつどこでどのくらいということが推定されるには、その爆発が観測にかかるほど十分に大きくなくてはできないのでおります。もちろんこれは距離の関係もございます。従って日本で観測できるのは、やはり日本に近いところの爆発はそれほど大きくなくても観測できます。また外国におきましても同様で、日本から遠くてもほかの国には近ければ、そこの国でそういうような気圧の波が観測されますから、原水爆実験が行われたという推定はできるわけであります。ただし自然界においてそういうような大きな気、圧の波を起すことは、たとえば火山の爆発のときも起るわけでありますから、直ちにそれが原水爆の爆発であるときめることは、前もって行われることが予想されておった場合、あるいはしばらくあとで、それに伴うところの放射能物質の増加というようなことを待たねば、直ちにそれを決定することはできないと思います。
○高岡委員長代理 これより質疑を許します。大西正直君。
○大西委員 御専門のことに及びます前に、核爆発実験が探知できるかどうかというこの問題は、日本政府が国連の軍縮小委員会に提案をいたしておりますその内容に、もしその実験を探知することができなれば、その実験の禁止をやるべきだ、もしそれが今の段階においては不可能であるなれば、国際的の探知機構を設置し、探知方法を改善強化してまずそれをやるべきだ、こういうふうなことになっておるのです。これは御承知だと思うのですが、今のはどう言いますか、わが国の十四カ所にあるところの観測所における観測の抽象的な御報告であったわけですけれども、まずお伺いをいたしたいのは、大きな爆発なれればわかる、しかしある程度以下の小さいのではこれはわからない、こう言われるのですけれども、それは場所にもまた関係がございますが、今日までどのような程度のものがどの辺で実験をやったかということが統計的におわかりになる範囲でよろしいですが、一応御説明を願いたい。
○和達参考人 私どもが観測を開始いたしたのは、ビキニにおきます水爆実験のころでございました。それからあとは毎日観測いたしておりますから、その資料が入用ならば後ほどお出しいたしたいと思いますが、これはもう新聞に出ておりますように、ビキニ環礁における実験や、あるいはネヴァダにおける実験、またソ連地域内において行われたと推定される実験、そういうものはそのたびごとに全部または一部観測いたしております。
○大西委員 探知の方法は微気圧計ですか、それに波が感知する、こういうことと、もう一つは放射能を含んだところの雨とかちりとかいうものではかる、こういうふうに言われておるのでありますが、新聞で各大学―観測所ではなしに各大学の研究室などでいろいろと発表いたしておりまよすね、ある地方では非常な高いカウントを含んだ雨が降ったとかいうようなことがありますが、これが果して正確かどうかですね、そういうことも私は一つあなたにお伺いしておきたいと思うのです。
○和達参考人 ただいまのお尋ねの、気象庁の観測網以外の大学等におきます放射能の観測は私は正確であると信じます。ただし数字がいかなる単位を用いたか、どういう測定方法をいたしたかということが明記されない場合がありますので、ただ数字だけを比較して甲地が乙地より多いというようなことはできない場合があります。
○大西委員 その場合に観測所以外のそういう発表、そういうものをどこかで集めて、そうしてそれが間違いであるかないか、正しいものであるかないかというようなことをこの段階ではやるべきではないか、こういうことを私は思うのでありますが、気象庁などにおきましては、こういう情報を収集されて、今私が申しましたような意味の検討その他をなさるようなふうになっておるのですか。
○和達参考人 気象庁は気象庁でもって観測法をきめまして、この観測法に従っていたしておりますから非常に統制のとれたものになっております。他の機関で測定いたしましたものは、その機関がそれぞれの研究に必要なる観測をいたしておるのが新聞等に現われるのであります。従ってそれらが気象庁と同じ基準に換算されて発表されれば混乱はないように思います。しかしこれらのことの世話をしていただくのは、原子力委員会などが適当なのではないかと思うわけでございます。
○大西委員 そうしますと、今のところではあなた方の気象庁ではそういうお世話をしておられない、こういうことなんですか。―その必要性はあなたの方といたしましては痛感されておるわけなのですね。そういたしますと、原子力委員会などに対しましてそういうふうな仕事をしていただくような一つのことをあなたの方としては期待されますか、またそういうことに対しての申し入れと申しますか、便宜をはかられますが、そういう用意はございますか。
○和達参考人 放射能の観測につきましては、厚生省あたりのお世話で観測をする者などの集まりがあります。そういうようなところでしばしばはこの話が出ております。そういうようにすることにはどの研究者も御異存ないと思うのでありますが、私はよくわかりませんけれども、やはりそういう事態が起りましたときにいろいろ急を急がれるとか、いろいろなことからその発表には確かに単位とか、そういう注釈がついておるのでしょうけれども、それが実際世間に出るときには、ただカウント数だけになって出て誤りを生するのではないかと思います。
○大西委員 そうしますと、今の国内の体制ではどの程度のものが探知できましょうか。これは今申しました場所あるいは大きさにもよるということはわかるわけなのですが、どの程度のものが今の機構並びに性能で探知できるか。これが次に出てくる政治的な問題の解決に重要な示唆を与えると思うのですが、なるべくわかりやすくその程度を御説明願いたいと思うのです。
○和達参考人 メガトン級の爆弾数メガトンのものですと、数一千キロ離れたところでありますれば微気圧計に感じます。たとえば近ごろソ連地域と思われるところの数回にわたります実験、そのうちの三回は私どもで知り得たものであります。あとの二回は、ほとんど新聞などにおいてほかの国が行われたと発表しておるものでありますが、私どもではしかと確認することはできません程度であります。
○大西委員 ソ連の三回の爆発だけは確認された、こう言われるのでありますが、それは大きさはどのくらいで、そして場所はどの辺だというふうに推定されるのですか。
○和達参考人 局所がしっかりわかるのには、もう少し大きくないとはっきりしません。と申しますのは、日本は地球から比べれば非常に狭い地域でありますから、十四カ所でしっかり観測しませんとその場所がわかりません。この間のは大きくありませんから、その方角はわかります、けれども、場所はしっかりいたしません。なお、せんだってうちはそういうことが行われるというようなことがわかっておったということ、及び非常に大きな放射能がかたわら観測されているというようなことから、そちらの力の地域で実験が行われたということを確認し得ますが、突如そういうような気圧振動がありましても、あのくらいでありますと原水爆の実験であるということを、すぐそこで言い切るのはむずかしかろうと思います。
○大西委員 ソ連の三回の爆発は場所もあまりわからない。ただその方向がそっちの方向だ、こういうことなのですね。そしてもう一つは、前もってわかっておったと言われますが、私どもはソ連の爆発というのは抜き打ち的なように思っておりまして、事前には私どもは知らないのですけれども、何かそういうことについておわかりになっておったのでしょうか。
○和達参考人 言葉が足りなかったので補足いたします。最初の一回はわかっておりませんが、一つそうらしいのがあれば、次に同じような振動があればわかる。そのうちには新聞にも出るというような意味で申し上げたのであります。
○大西委員 そうしますと、わかっておったというのは前もってわかっておったのではなしに、同じような振動があれば、それを新聞ではソ連でやったのだろう、こういうことなのですね。 私どもがあなたからお伺いしたいのは、新聞でソ連でやったということよりも、むしろ科学的に方向なりあるいはその爆発の大きさなりというものをお聞きしたかったのでありまして、ここのところはどうも私の考えておることがちょっと食い違っておるようですが、そうしますと、今の三回のやつですけれども、これはシベリアの方面ですか、それとも中国の方面ですか、そこらのところはどういうふうになっておるのですか。
○和達参考人 その距離を定めるのは、音を観測した時刻の曲率、曲りであります。日本の島は非常に狭いので、その曲りを正確に出すにはよほどしっかりした、はっきりした観測がないと出ない。ですから向うから音が出たということはわかりますが、その曲率から距離を出すのは、十分大きくないとだめでありますから、ソ連に近い曲率はしておりますが、その誤差というものは絶対にそうだとは言い切れません。
○大西委員 これはあとで実験の禁止をやらせる前提として、探知方法ということをここで確立するというのが日本政府の申し入れなので、私はお伺いしているのですが、日本の場合ですと、北西の方ということになりますれば、大体ソ連ということがわかりますけれども、将来ヨーロッパ諸国のように入り組んだようなところ、小国が群立しているようなところで、もしこちらの方向ということだけで、その地点もその大きさもわからない。今のお話のように、それが新聞等でソ連でやったということがあるから、おそらくソ連のものであろう、こういうふうなことになりますと、探知機構というものが、方向くらいはわかるけれども、どの国でそれをやったかというような非常に責任のある一つの探知の成果を期待するためには、非常に不正確なものだと思うのですけれども、その点について、今の日本の現状ではそうであるが、諸外国の探知機構はもっと進んでおるかどうか。将来またこういうものは探知機構を整備することによって、その点が正確にはかり得るものであるかどうか、この点を一つお聞せ願いたいと思うのです。
○和達参考人 ただいまのお話は、日本の国だけの観測でもって突きとめるということにいたしますと、機械の性能を非常によくいたしましても、わずかに精度がよくなるというだけで、小さい諸国が入りまじっておるうちのどこかということは、とうてい不可能だと私は思います。しかし世界が協力してどこの国で行われたかということを見ようとするならば、非常に簡単なことだと思います。
○大西委員 簡単と言われる根拠を私はここでお伺いしたいのですが、お伺いしても、私どもはそれを理解するだけの基礎的なものがありませんから、詳しい説明は求めませんけれども、各国が協力すれば、こう言われるとその協力というのは、どういうふうな協力の体制であるべきなのでしょうか。
○和達参考人 ちょうど気象や地震の観測を行うように、世界じゅうに観測のネットをしきまして、日本がしてい参るのと同じような観測所が地球上に適当な間隔にばらまかれてありますれば、地球上どこで行われましても、すぐわかることであります。
○大西委員 国内の事情は、ほぼわかったのでありますが、今探知の能力は、世界的に見まして、どこが一番整備され、進んでおるのでしょうか。
○和達参考人 私は放射能の観測については、他国を多少存じておりますが、探知ということにつきましては、ほとんど知識がございません。
○大西委員 それでは、国際的な協力によれば、かなり正確に、そういう場所も、大きさも、探知できる、こういうことでありますが、あなたのお考えでは、どういうふうな機構にしたら、最も初期の目的が造成できるとお考えでしょうか。
○和達参考人 ただいまのお尋ねは、地球上のどこかに原水爆の実験が行われたら、それを知るのには、どういう施設をしたらいいかということと思いますが、これは地震観測を例にとれば非常によくわかると思います。地球上に地震観測所が適当な間隔に間配ってありますれば、そう大きくない地震でも、どこかの観測所で二、三は観測できるから、どこで起ったかということがわかります。それと同じように、結局気象観測をしておるところとか、そういう地球物理学的の観測をしておる観測所というのは、世界に相当たくさんあるのであります。それらはこういう放射能の観測をしようという機運が、今世界じゅうに広まっておるのであります。ただし、現在その観測をしようという機運は、放射能の量とか性質とかいうものであって、それがどのくらいたまっていくというようなことをやることは、現在の地球物理学観測においては、しばしば議題になり、次第に実現されておりますけれども、探知ということは、まだそういうときの議題になったことはないようでございます。
○大西委員 探知するだけなれば、今の機械で、そして今ある直接核爆発実験の探知のいろいろな施設でなくても、他のものを利用してでも、これを探知できる、こういうふうな世界の大勢であるとお考えになりますか。今おっしゃったようなその量とか、あるいは爆発の性質というものについては、それはまたいろいろ問題があろうとしても、この核爆発の実験が、どこで、どのくらいの大きさというようなことも含めて、あったら、それはすぐ探知できるという、その程度のことなれば、今の機構ででも不可能ではない、こういうふうにお考えでしょうか。
○和達参考人 たとえば各国の気象の観測所がそういう施設を持っておれば、そうむずかしくなく探知できると思います。ただ非常に広い海のまん中であるとか、広い領土のまん中であるとかいうところで、その付近がそういうふうに協力しない場合には、相当の施設をしなければ、やはりむずかしいのではないかと思います。
○大西委員 そこが私どもとしても非常に聞きたいところなので、ただし最後には、非常に広いところで、どこか協力しないところがあればちょっと困難だと言われましたが、そういうふうな特別な条件がなければ、大体今の機構で爆発の有無は探知できる、こういうふうに考えられておるというふうに承わってよろしいですね。
○和達参考人 地球は相当広いのでありますが、現在の地球上に間配られたいろいろな観測所がそのことに努力すれば、相当大きな試験を何ものにも察知されずに行うということは不可能になりつつあるのであります。しかし、それには非常に詳しい調査が要る場合もあります。たとえば小さい爆発を非常に何回もやった場合には、そのために生ずる放射能物質が非常に多く世界じゅうにばらまかれるわけでありますから、そういうようなことからも推定されるというわけであります。しかし、それには世界じゅうがみなその目的に協力して相当努力しなければ、今実験が行われたから、すぐわかるというようなことは非常にむずかしいことじゃないかと考えます。
○大西委員 僕は、まだそうまとめないうちにすぐ質問になりましたので、またあとで質問することにしたいと思います。
○高岡委員長代理 山本利壽君。
○山本(利)委員 私は、こういう問題につきましては、全く未知でございますので、こういう際にイロハから教えていただきたいと思うのでございます。 今の大西委員の質問に関連して、さらにやさしい段階から教えていただきたいと思うのですが、一体一口に原水爆実験といわれるのです、放射能の点からいうと、原爆によるものと、水爆によるものと違うものでございますか、同じものでございますか。
○和達参考人 非常に簡単なことのお尋ねのようでありますが、実は私もあまりよくお答えできません。武谷さんがもうじきいらっしゃいますので、爆弾の性質ということは、どうか武谷さんから聞いていただきたいと思います。
○山本(利)委員 探知機の話が出たのでございますが、放射能の探知機というものが、今の段階では特別にできておるものでございますか。何か電波探知機といったようなものを利用しての観測でございますか。またその探知機というものが別にあるとすれば、その製造等について各国の現状を承わりたい。
○和達参考人 先ほども申し上げましたが、特に探知機というものは、ございません。それだけの大きな爆発がございますから第一番に観測されるべきものは俗に申せば音であります。これを、少し音と性質が違いますが、気、圧の波、すなわち非常に精密な気圧計で御側するというわけであります。それからそういう非常に大きな爆発でありますから、これが海上で行われますれば海の大きな波、津波のようなものであります。そういうようなものでも探知されます。また十分に大きな爆発で地面の震動を起しますれば、地震となりて伝播しますから、この方法によっても探知できます。要するにそれらは大きな爆発がどこかに行われたというだけでありまして、これが水爆とか原爆とかいうことは何もないわけです。それを裏、つけるものは、数日あるいは十日くらいたちまして、そこからじた放射能物質が世界に、ばらまかれる、それを観測することによって、両者を結びつけて、どこかで行われたということになるわけであります。
○山本(利)委員 それが放射能物質というものである場合に、ちりであるとかいろいろなものに放射能が影響しているものが観測できるでしょうが、そしたらその物質を離れて、放射能というものだけを探知するといいますか感受する設備というものは今ございますのでしょうか。
○和達参考人 放射能はやはりその物質から出る作用でありますけれども、物質に近くなければその作用が及びませんから、結局物質がなければやはり放射能の観測はできないと思います。
○山本(利)委員 そうすると観測は物質がなければできないわけでありますから、何かの物質というものはあるでしょうけれども、普通の物質でないものが直接人体なら人体に影響して、それからその作用を開始するわけでありましょうが、その場合に今世界中で原水爆の人体に及ぼす影響というようなことで、これは少しきょうお願いした何から離れるのですけれども、米英ソというような直接この原水爆を実験し得るほどのものを持っているところ以外で、設備あるいは学研的に進んだ国というと、どういうところがございましょうか。
○和達参考人 ちょっと聞きそこないまして申しわけありません。しかしとにかく人体との関係は、私ちょっと専門でございませんので存じません。放射能の観測でございましたら、米英ソ以外、ヨーロッパの諸国におきまして、また日本などにおきましても、相当にやっております。
○山本(利)委員 気象は、各国に気象庁というものがあって、少くとも気象の観測をする場所があると思うのですが、現在までのところ、この原水爆の実験を、先ほどおっしゃった音波であるとか海波であるとか、あるいは震動であるとかいうようなことを総合して、ほとんどの気象観測所が記録をとり、あるいは発表しておりますでしょうか、どうでございましょうか。
○和達参考人 これらのものは、やはり特別にそれをはかる機械をもって観測しませんと、十分にできませんので、普通の気象観測所で、普通の気象の観測ではこれらのものをはかるのはちょっと不適当であります。ですから十四カ所を定めまして、そういうところに特にこういうものを、つまり音波を観測できるようにいたしたのであります。なお地震観測の力は、わが国では、松代にあります地震観測所に性能の高い地震計がありますので、現在気象庁としてはそこ一カ所。大学関係には性能の高い地震計の完備しておるところもあります。それから海波の力は、これはこの目的のために作ったものは、今まだ気象庁関係ではやっておりませんが、他の目的の波をはかる機械、あるいは潮の高さをはかる機械に現われますので、そういうときには利用することができるのであります。なおそういうような現象が現われて、原田水爆実験が行われたらしいというような発表は、外国では現在いたしておらないように思います。
○山本(利)委員 日本の上空に、この太平洋で行われる原水爆の実験の結果、あるいはソ連で行われたであろうと想像のできるそれの結果から来る放射能の灰等が、漸次濃くなっていくというようなことを新聞等で拝見いたしまして、日本の国民の多くが心配するのでありますが、放射能を含んだちり等のことでありますから、私どものようなしろうとが考えると、日本のように気流の激しいところ、ときには台風もあり、いろいろ風も吹くようなところでは、それらによって、ときにはすっかり払拭されることもある。一ぺんでなくても、それが非常に薄くなることもあり、また次の実験でこちらの方にそういう放射能がたくさん来ても、また次に風が吹けばよそへ飛んでしまうということもあり得るのではないかと想像するのですが、こういう問題はどうで、ございましょうか。
○和達参考人 仰せの通りの面もありますが、放射能物質は地面に落ちますと、地下に浸透したり、水にまじったり、他の物に吸収されたりしまして、残存するわけでございます。また海の水にも含まれるわけでございます。なお空気中の方は、おっしゃいますように、あるところでは濃くたまりましても、これは風が吹けばまた薄いところが来るということがあります。しかし雨が降りますと、それらのものを集めて落ちてきますから、雨のたびたび降るところは、放射能物質がよけい落ちるとみなしてよろしいかとも思うのであります。なおそういうような気象の変化というものは、いわゆる対流圏という、大気全体から申せば下の方の層でありまして、成層圏の方はそういうような気象の変化がありませんので、非常に軽い放射能物質が滞留しますと、それは自分の力で静かに落ちてくる以外には、それを洗い清める手段がないわけであります。一回原水爆の実験が行われるたびに、成層圏にそういう放射能のちりがふえまして、それがわずかずつ連続的に下に落ちてくるということになります。
○高岡委員長代理 岡田春夫君。
○岡田委員 参考人にははなはだ申しわけないのですけれども、私どうしてもやむを得ない用事でちょっとおくれて参りましたので、参考人の御意見を伺わないで伺うことになるわけです。従いましてあるいはすでにお話があったことと重複して伺うことになるかもしれませんが、そういう場合にはその点は先ほどお話しになったからと言っていただいてけっこうでありまして、私はあとで速記録で拝見させていただきます。 先ほどからのお話を伺っていると、日本の国内に大体十四カ所くらいの探知機構を作られてやっておられる、こういうお話のように伺ったのですが、その探知機構というのは今日の段階として、どういうような形でやっておられるのですか。気象台が中心になって、大学の研究機関その他と協力をするというような形になっておるのですか。日本の国内における探知機構の体制といいますか、行政上の組織的な体制といいますか、そういうような点をもう少しお話いただければけっこうだと思います。
○和達参考人 探知機椛と申すのは、私どもは放射能の観測所なのでありまして、それが自然に探知に役立つことでありますので、初めにお断わりいたしておきます。 十四カ所と申しましたのは、気象庁所属の気象観測所において放射能観測をいたしておる場所であります。このほかに全国の大子の若干において研究者がおりまして、それぞれに放射能の観測をいたしております。しかしそれは研究の目的にいたしておりますので、気象庁のいたしておるような一定の観測法に従い、年じゅう続けてやっておるのとは多少趣きが違います。
○岡田委員 よくわかりましたが、この点もあるいは最初にお話があったのかもしれませんけれども、気象庁としておやりになっているのは、主として放射能それ自体の、いわゆる灰を通じての観測なのでございますか、気圧あるいは地殻の変動、そういうものも総合的に含めた全体としての探知機構として操作されておいでになるのでありますか。
○和達参考人 気象庁、所属の十四放射能観測所と申しますのは、雨の中に含まれておる放射能物質、大気中にある放射能物質の落下してくるもの、あるいは大気中に浮遊しておるものというものを測定するのが一つ。もう一つは微気圧計でもって、強い気圧の波が来た場合にそれを観測する、その二つをいたしております。それを気象庁所属の百九十カ所の気象官署におきましては、それぞれにあるいは地震計を持ち、検潮器を持っておるというようなところは、それは他の目的でありますけれども、原水爆の実験が行われれば、そこに何らかの記録を残す、そういうものは随時使用できるわけであります。
○岡田委員 その観測の万全を期するために、たとえば予算の面でどうも思うようにいかない、こういう機械が入るならばもっと十分な観測がなし得るのだ、こういうような支障等が今日の気象庁関係においておありなのでございましょうか。すなわち探知が可能であるにもかかわらず、そういう人為的なことのために探知が不可能になっている。そういうような御心配あるいはそういう御経験が今までにおありでございましょうか。
○和達参考人 探知ということだけを主眼にしまして、施設を増加いたしますならば多少の精度の上ることは期待されます。もちろん施設のよいのを使いますれば、いろいろな点において精度を上げることはできますが、現在もある程度いただいておりまして、それでやっておりますが、もちろんそれが二倍、三倍の費用をかければ、それに応じて二倍、三倍とはいきませんけれども、粘度を高めることはできます。しかし日本国内だけの観測でそう画期的に詳しい探知はできるものではありません。
○岡田委員 これは私もしろうとなので、きわめて常識的に伺うのですが、いつかの新聞にアメリカ関係の探知機構では探知できたのだけれども、日本の探知機構では探知できなかった場合があったようなことを私記憶しておるのでありますが、それは地域的な条件のために探知ができなかったのか、私が先ほど伺ったのは、実は日本の予算が貧弱であり、気象庁の機構がまだ小さいために、本来ならば世界のどこでも探知ができるにもかかわらず、日本の現在の探知機構では探知できないのか。そういう点があるために探知ができなかったのか、地域的な、自然科学的な条件によるものであるか、こういう点が私しろうととしてわからぬわけであります。そういう意味でも先ほど予算の面を伺ったわけでありますが、こういう点も伺いたい。
○和達参考人 ただいまのお話は、一つにアメリカはそれ自身の国が非常に大きい、しかのみならず、たとえば日本にも出先を持っておる、世界じゅうに出先を持っておりますから、そういう意味においては探知において強いものがあります。また他の面としまして、施設という面でも多少は日本よりよいものを使っているところもあるかもしれませんが、それは根本的な問題ではありません。むしろたとえば飛行機を駆使するとかいうような点においてはだいぶ違う面があるかもしれません。私が考えますには、そんなところを総合してそういうことがいわれたのじゃないかと思います。
○岡田委員 よくわかりました。それで問題は日本の探知機構でも、最初のお話を伺うと―私は聞いておらなかったのですが、爆発の威力の差によっては、小さな爆発の場合には必ずしも探知はできない、これは日本の探知機構のみならず、そういうような点が私たち想像としてもあろうかと思うのでありますが、そういう場合に、世界的に探知機構がお互いに協力し合うというような体制が、今日の段階においてできておるのですか、どうなのですか。たとえばアメリカで微気圧計というのですか、そういうものに感じた。それがすぐに各国のそういう探知機構の方へ連絡があるとか、あるいは日本で感じたものをすぐ連絡するとか、そういう協力関係というものが全体としてあるのでございましょうか、どうでございましょう。
○和達参考人 先ほども少し申し上げましたが、探知に直接、間接と申しましょうか、あるのです。直接と申しますのは、今言った爆発それ自体の気圧の波とか、地震とかいうもので見るものでございます。それについては現在世界において別に協力体制という話もありません。しかし、世界で今協力して観測しようとするのは、放射能物質の降下してくる問題で、どれだけの量降下してくるか、いつそれは多かったか、今までどれだけたまったかというようなことを観測するのであります。これは目的が、探知というよりも、そういうようなものが人類にどういう影響を与えるかということのためにいたすのでありますけれども、そのことは必然的に、突き詰めれば、およそいつごろどういうところで行われたかということは推定できます。
○岡田委員 今まで、たとえば外国新聞その他において、この同感発があったというような発表があった場合に、日本の探知機構から見て、そういう爆発はどうもあったらしくないというように、正確ではなかったような事実があったとか、こういうような事例がございましょうか、どうでございましょう。
○和達参考人 確かに日本にも、あったということはわかりますが、小さいものになりますと日本ではわかりませんから、それを否定することも肯定することもできません。
○岡田委員 それでは日本が探知できなくて発表されておったようなものもあるわけですね。
○和達参考人 その通りであります。
○岡田委員 爆心の方向、こういうものを探知する場合に、大体探知機構で爆心の方向も見当がつくというようなことも伺っておるのですが、こういう場合、爆心の方向が必ずしも一致しないというような今までの例はございましょうか、どうでございましょう。
○和達参考人 どこで行われたかということが相当確かなものについてはかなり一致しておりますけれども、全然わからないものにつき、ましては検査のしょうがないので…。
○岡田委員 それからもう一つは、そうなって参りますと、探知機構でわかりないか、わかるかということは、先ほどのお話を伺うと、探知機構としての設備の発煙と、片一方、水爆、原爆というのは、御承知の通りだんだん携帯用、ポケット用になっていく傾向があるので、小さくないてくる。そうすると、爆発の程度あるいは爆発の場合、そういうことによってだんだん逆比例的にいきますし、片一方、探知機構はどんどん粗密化していかなければならないと思うのですが、原爆の方の研究がどんどん進んでいくと、探知機構の方がそれに追いつけないということのために、最後まで探知機構は、純科学的に見ると、実験をする場所、あるいは爆発をするとき、場所、そういうものがわからないというようなことで、探知機構が完全に完備するということは不可能なのではないか、そういりような懐疑的な気持にもわれわれはなるわけなのですが、そういう点はどうなのですか。
○和達参考人 探知ということは、先ほども申し上げましたが、狭い地域の日本だけで行うことはできませんので、これは相当多くの国が協力して行うということは申し上げるまでもない。そこで協力して行なっても、小さいのは探知できないのではないかというお話はごもっともであります。しかし探知できないというような小さいものは、果して探知する必要があるかどうかということは、私は不遜でありますけれども…。
○岡田委員 それならば、今日の全世界における探知機構が協力をするならば、少くとも相当の被害のあるような核実験の爆発の影響のあるそういうものは、それは探知することができる、そういう結論になるのでございましょうか、どうなんでしょうか。
○和達参考人 少くとも人類の問題になるようなことをすることは、各国協力すれば必ず探知することができます。
○岡田委員 実は探知機構の問題について、ソビエト側は探知可能であるという見解を出しているようであります。ところが米英の諸国においては探知が不可能だというような見解を出しておられるようであります。これはそれぞれどういう爆発力によるかという点にもよろうと思うので、私は一がいにこれに対して批評を加えるのもどうかと思うのですが、ただ問題は、今まで申し上げた点は私の感想なのですが、むしろここで伺いたいのは、外務省が四月九日付で国連の軍縮小委員会に対して核爆発の実験に対する日本政府の見解というものを出しているわけです。この見解を見ると―その前事に、この見解を作るに当って気象庁としては、いわゆる自然科学的な見地から、いわゆる観測の見地から、これに対して何らかの協力をされたものでありましょうか、どうでしょうか。
○和達参考人 申しわけございません。私その点記憶がございません。
○岡田委員 ちょっと井上政務次官にお伺いしたいのですが、この政府の見解というものは、気象庁のいわゆる専門的なこれを担当されている方々について、技術的な見地から見解を聞かれて、この見解をお出しになったものですか、いかがですか。
○井上(清)政府委員 お答え申し上げます。核実験の探知につきまして可能であるという意見と、あるいはまた、とうてい十分な探知はできないという意見と二つあることは、私どもも承知いたしております。あの見解を出します際に気象台について問い合せることは特にいたさなかったのであります。
○岡田委員 政府次官にもう一つ。これは参考人の方を前に置いて何ですけれども、同じ役所の中に、実際に観測している機関がありながら、あなた方はわれわれと同じようにしろうとのくせに――と言うとはなはだ何だが、まさにしろうとのくせに、そういう探知機構についてのこういう重要な、いわゆる日本政府としての見解を出されるに当って、気象庁に対してその見解をお聞きにならなかったというのはどういう理由ですか。それとも外務省に、われわれしろうとのくせにでないような専門家が職員としておいでになるのでございますか、どうなのですか。
○井上(清)政府委員 核実験の探知の技術並びに探知の方法につきましては、国連の科学委員会においていろいろ検討を加えております。けれども、まだ結論を得ていないという状況でございまして、世界の学界の定流というものは、まだそれらの点について確たる説がないということに基いてやったわけでございます。
○岡田委員 それじゃもう一人の参考人がお見えになりましたので、簡単にいたしますが、どうも今のお考えは私はおかしいと思う。世界の学者のことなら信用するけれども、日本の外務省は日本の学者は信用しない、こういうことになるのでございますか。日本の内に学者がいるのに、その学者の意見は聞かないで、国連できめたことは相談しましょう――しろうとのくせになまいきなことをするものだと言いたくなるわけですが、その点はともかくとして、今度は和達先生にもう一つだけ伺っておきたいと思うのですが、和達先生の見解からいくと、この日本政府の見解というものは明らかに自己矛盾を起していると言わざるを得ない。ということは、探知可能との結論に到達したときには核実験を直ちに禁止する、こういうことになっておる。そうすると、探知可能との結論ということは、世界の各国が探知のために協力する体制ができるならば、直ちに禁止できるのだ、こういうことになるわけです。この協力体制については全然触れないで、探知可能の場合には実験を禁止する、探知不可能の場合には登録制をやる、こういうことを言うわけですね。探知不可能というのは、今協力をしておらないから探知不可能なので、協力するための体制についての何らかの提案なしに、探知が可能であるか不可能であるかというようなことだけで、この見解を出したということであるならば、少くとも科学者から見ると、こういう見解はどうも納得ができないというようにお感じになることになるのじゃないかと思うのですが、こういう点を最後に――武谷先生もお見えになりましたから、あとでまた伺うとして、和達先生から、協力体制なしに今日の探知が世界各日ばらばらで探知をしているならば、当然探知不可能であろうし、協力をするならば直ちに探知できる。実験禁止のために努力するというならば、協力のための体制をやる。そういうことが日本政府の提案でなければならないので、登録をするということは明らかに自己矛盾であると言わざるを得ない。探知機構の協力ということがまず先決であるという日本政府の提案が行われた方が、純科学者の立場から見た場合には、正しい意見であると思うのですが、この点はいかがでございますか。これは政治的な見解を離れて、純粋に科学的な見地から伺っておきたいと思います。
○和達参考人 先ほども申し上げましたが、探知すべき相手がどのくらいの大きさかということによってきまるのでございまして、それ以上科学的に申し上げようがないのであります。
○高岡委員長代理 ただいま立教大学教授の武谷三男君が御出席になりましたので、この際武谷参考人より意見を聴取することといたします。武谷参考人にはお忙しいところまことにありがとうございました。ただいま当委員会におきましては原水爆実験探知に関する問題で調査をしておりますので、約二十分程度でこの件についてのお話を承わりたいと思います。武谷参考人。
○武谷参考人 原水爆の実験を国内でやるとか、また危険区域の中でやった場合に、外部から探知できるかどうかという問題でありますが、結論から申しますと、今日の原水爆は探知できるというのが私の考えでございます。もし探知できないようなものであるならば、それは禁止する必要が当面それほどはない。ないくらいに影響が少い。従って探知できるものから禁止していく、ないしは検討していくということが一番実際的であると思います。 と申しますのは、普通の原爆ぐらいの放射能でも、地球上かなりいろいろな場所から測定できます。測定網が日本という非常に極限された狭いところでありますので、現在のところ非常に不便でありますけれども、もし世界中に探知網を持ったならば、割合容易にいろいろなことが探知できるだろうと私は考えます。ただ今日世界中に張りめぐらしておりますアメリカのサン・シャイン計画と名づけられるリビーが御大になってやっております計画は、われわれから見ると、かなり政治的な背景があるのか、その発表していることも非常に極限されておりますし、その見解自身もかなり納得のいかないことがございます。従ってフェアにやるにはやはり原水爆を持っている国でない国がやるのでなければ、フェアにやれないのではないかというのが私の見解でありますが、探知できるかできないかの一つの例をお示しいたしますと、一九五三年のアメリカの国内のネヴァダで原爆の実験―水爆の実験ではありません。原爆の実験をやったわけでございますが、この原爆の実験は東京で非常に明瞭に、しかも相当の強い放射能が出ております。しかもそれが大体二週間後にずっとジェット気流――今和達さんがおいでですので、和達さんにお聞きになればもっとよくおわかりになりますが、多分ジェット気流と言われているものでしょう。それに乗って十何日かでちょうど回って参ります。そうして東京の空気が相当強く汚染されます。その年五五年の十一月にソ連の水爆実験というのがありましたが、その場合のいわゆる空気の汚染のカウント数は、たったネヴァダの二倍になっているにすぎません。ネヴァダで原爆実験をやってもソ連で水爆実験をやっても、その強さというものは、ネヴァダの部分ですらそんなに弱くは現われない。しかもそれが一度回ってきただけでなしに、二度目にその灰が回ってきたのがちゃんと探知できております。地球を三度回ったやつがちゃんと探知される。これがその絵でありますが、よくお見えになるかどうかわかりませんけれども、こちらの非常にとがったのがピークでございます。これが今申しました五五年のネヴァダでやった実験の東京に現われた放射能のピークでありまして、その他こういう小さいのもいろいろあります。これは放射能の減炭の状態を調べますと、何月何日にやったということが、こういう強いピークですとはっきりわかります。しかし少しこれが減衰した後ですと、地球上で実験がたくさん行われますと、もはやどれがどれやらがちゃがちゃに重なりますけれども、少くとも実験をやってまだ地球を一回回ったくらいですと、ぴたっと大体いきそうです。しかもネヴァダの東京で西から回っているものです。太平洋の上を通ったのではなくて、ヨーロッパの上を通ってきたやつが、こういう汚染を示しているということでありますから、ソ連の国内で実験をやったときに外部から探知できるかという場合に、ソ連の国のまわりを十分張りめぐらしてさえおけば、少くとも放射能では探知できる。かなり小型百の原爆でも相当に探知できるのではないかというのが私の考えでございますが、それより小さな実験の場合には、空気の汚染はおそらく大したことはございませんから、そういうものは探知できようとできまいと、できた部分は禁止して、それ以外の部分はほっといたってそれほど差しつかえはない。従って探知できたやつをどんどん禁止ないしは登録というか、何か禁止の条項に引っかけていくということは可能であります。 それから一つ心配な点があります。それはどういう点かと申しますと、空気のない上層にロケットでたまを撃ち上げます。そうしてその空気のないところ、つまり地上の数百キロ上空で水爆を爆発させる。そういうときに一体探知できるかどうか。これは放射能は急には出ないかもしれません。従って放射能で探知するのは相当困難であります。それじゃ一体探知できないかと申しますと、空気のない上層で水爆が爆発すると、もちろんその放射能は、一番危険なストロンチウムとかなんとかいうものがどんどん地球に降ってきます。少くとも半分は降ってきましょう。それですから、これはやはり有害ですから、何とかしなければならぬわけです。その場合にどういうことになるかと申しますと、爆発して、音は空気がないから聞えないだろうというふうにお考えの方もありますが、私はそうでないと思います。それは上空のところでそういうふうな爆発が行われますと、ちょうど超新星という―宇宙で星が大爆発をすることがあります。それと同じ状態が上空の中で行われる。つまり超新星の爆発と同じことになります。そうすると非常な速さの原子がばっと地球の上層の空気に向ってぶつかって参ります。そして相当広い面積に一挙にエネルギーが与えられますので、当然気圧波が牛ずる。従っておそらく気圧波として探知できるというふうに私は考えております。ですから小さな原爆程度ですと、あるいは気圧波として探知できないかもしれません。しかしかなり上層の部分ですから、あるいは探知が容易にできるかもしれ、和せん。それから非常に遠いところで、地球から離れた、空気のずっと上層でやりますと、かなり遠いところまで光が見えるはずですから、いろいろな点でそういうものも探知できる。ただ放射能で探知するのはかなり困難になります。いずれにしても有害なもの、かなり警戒しなければならないものというものは探知できるという結論になるのですが、最近たくさん実験をやっておりますので、相当寒気が汚染されて非常にむずかしくなるのじゃないかという意見もあります。しかしそれは、爆発して間もなくやるというのは、放射能の要素が特殊ですから、放射能で検出することはシスティマティックに張りめぐらした場合には容易であります。 その場合に探知の問題として私が一番心配しているのは、むしろこういう学問的な問題でなくて、政治的な問題であります。政治的に探知をはばむという問題を、私は一番心配しております。たとえばアメリカのサン・シャイン計画なども、リビーなどもかなりアン・フェアなことをやっていますし、リビーの論文も、この間松下特使についていった道家君が指摘をいたしましたように、かなり不備な点がございます。しかし不備な点を強引に押上切っていろいろなことをやっています。もっともアメリカは、たとえば久保山さんが放射能で死んでも、あれは無害であったというようなことを言うくらいですから、そういう点を向うが全然無害だというのは、その程度のことにおとりになってもあるいはいいのかと、われわれ学者から見てはなはだ不満なところがあります。その点をよく考えられて―やはり一番いいのは小国、原水爆を持たない品が十分探知機構を整えるという以外に方法はないのではないか。原水爆を持たない国が探知という場合には、原水爆を持つほどには金は要らない。ですから現在日本で出ている金は非常に少いが、その少い金でもかなり仕事をしております。立教大学も政府からほとんど話にならぬような金をもらっておりますけれども、そういう非常に少い金で相当優秀な仕事をやっております。従って小国程度の財政でもいいから、もっと本格的に探知機構を整えれば、かなりの探知ができるということを私は申し上げることができると思います。 それから何かよく新聞で、アメリカは日本の探知機構はだめだなんということを言いますけれども、それは局限された日本という小さな場所でやっているからでありまして、おそらくマイクロバログラフの性能なんかも、かなりいいのではないかと私は考えております。ですからそれをずっといろいろ取り巻いて観測すれば、必ずひっかかります。測定放射能の方も必ずひっかかる。ひっかからぬ程度ですと、どうでもいい。 それからもう一つ、今度は無害な水爆というような話が相当宣伝されております。それからきれいな水爆ということを言われております。今日実験しているのは、きたない水爆しか私はないと思うのであります。きたないか、またはひどくきたないか、どっちかであって、きれいな水爆というものはない。きたないのと、ひどくきたないのと二種数であります。きたないというのは、原爆の数倍のきたなさです。どうして数倍かと申しますと、水爆を点火するのに、今日まだ核分裂つまり濃縮ウランとかプルトニウムを使わないで水爆を爆発さすということは、できていないと私は信じております。もしできておるならば、熱核反応の平和利用はすでに実現してよさそうでありますが、それが実現していない。たとい実現しても、これには相当大きな装置を要します。従って水爆をそういうものでやるとすると、かなり大げさなものになってしまいまして、現在のところ実用にならない。将来はどうか知りません。 それからもう一つの、今原爆というものは非常に値段が安いです。従って中心に原爆を使うということは、経済的に一つも損なことではない、非常に得なことであります。従って中心に点火用の原爆を使いますれば、原爆が爆発いたしますと、濃縮ウランのうちの―最初の広島の原子爆弾では大体三十キログラムの濃縮ウランを使ったといわれておりますが、そのうちの一キログラムがはじけて、一キログラムの死の灰ができて、あとの二十九キログラムは濃縮ウランのまま雲散霧消してしまった。ところが水爆の中心にそういうものを置いておきますと、あとの二十九キログラムも全部水爆の中性子によってはじけてしまいます。そうしますと、点火用の原爆は普通の原爆と同じだと仮定しても、それから出る死の灰は、普通の原爆の何十倍か、最小十倍くらいあると見なければならない。従って今日の水爆は最も切り詰めて少く死の灰を作るようなものを作っても、普通の原爆の十倍は作っていると見なければなりません。しかも十倍程度ですと、相当高くつく爆発力であります。これを三F水爆という濃縮ウランでまわりを囲むというようなことをやりますれば、非常に廉価に爆発力を追加することができる。天然ウランで安く爆発力を追加できます。従ってほっておけば天然ウランの三F水爆という猛烈な、いわゆるビキニ型の水爆でもって空気をやたら汚染してくれるということになります。ところがこれを原水爆実験の中止の側の世界の世論が非常に政治的に動いていきますならば、少くとも今日の段階では、きれいな水爆、つまり非常にきたない水爆ではなく、きたない水爆程度に少くとも押える効果はあるということにだんたんなってくると思います。現在、これは余分なことかもしれませんが、寒気の汚染は相当なものであります。ですから大国また原水爆国というものは、いろいろ言いわけをしておりますけれども、それからソ連なども予防措置をやっていると言いますが、予防措置をやっているなら放射能は降ってこないはずなのに降っているという点から見て、やっているという理屈は成り立たない。だから、そういうふうにやっているし、それからやはり学者の意見というものも、こういう禁止という場合にはいろいろの方の意見があるのでありますから、やはり国会のように公平に意見をお聞きになることは、大へんよろしいことだと思います。それが禁止への一歩だと思います。それでやはりいろいろの方の意見をお聞きにならないと、いろいろ人には立場がありまして、立場上の発言――リビーなどというような学者も立場上の発言という点をわれわれが感じるようなところがあるので、そういう点も十分御注意なさる必要があるのじゃなかろうかと思います。 あと御質問に応じて何でもお答えいたします。
○高岡委員長代理 これより質疑を許します。大西正道君。
○大西委員 武谷先生にお伺いいたします。私どもは原水爆実験は即時禁止すべきだ、こういうふうな立場をとって、いろいろと政治的な面で努力をやってきたのですが、これに対しまして、政府が国連の軍縮小委員会に対して、即時禁止の上要求ではなしに、事前通告、登録制、そういうふうな提案をしていることに対して、非常に強い不満を持ちまして、この点につきましては、当委員会においても、たびたび政府のそういう処置というものが国民の意思と相違しておるということをいろいろ追及をいたしておった。ところが、つい最近日本政府の見解なるものが明らかになりますると、私どもが想像しておったよりもいささか違いまして、ただ登録制、出前通告というようなことをいっているのではなしに、その前に、国連の科学委員会あるいはまたその他の委員会で核爆発実験が探知可能であるということになれば、そうしたら核爆発実験は禁止せられるのだ、他方、もし現在の探知機構や方法をもってするならば探知不可能であるということならば、すみやかに探知機構を設置して、探知方法を改善、強化して探知を可能ならしめる、そしてそれに至るまでの間は、なるべく爆発を制限するために登録制をやるのだ、こういうような全貌が明らかになったのであります。これは私どもの政治的な一つの主張に対しまして、どう言いましょうか、科学的な面で一つの逃避をしたというように私どもは考えるわけです。そこで、今の核爆発実験の探知が可能であるかどうかという、この点を学者の先生方にお聞きするということが一番重大な政治的な問題になってきているのです。私はこの前の和達参考人からもお聞きをいたしまして、特別に小規模なものを除いては、現在のわが目におけるところの探知機構並びに今あなたがおっしゃったような国際的に、政治的にこれを阻止するというような勢力がなければ、現在の地球上においての核爆発の実験は、有害なものはまず探知できる、こういうふうに私どもは考えておるのであります。しかるにもかかわらず、こういうふうな内容を持つところの政府の見解というものは、果して妥当であるかどうか。これは学者の先生にお聞きするのはどうかと思いますが、要は政治と科学の一つの接点と申しますか、そういうところの問題でありますので、先生の御見解を、政治的な面にわたってもけっこうでございますから、お聞かせを願いたいと私は思うのです。
○武谷参考人 私の意見まで述べて差しつかえなければ、幾らでもお述べいたしますが、私、新聞で日本政府の見解というのを拝見いたしまして、多少われわれがわからない点は、探知可能なら禁止で、探知が不可能なら、それまでは登録制にするというのが、探知不可能なようなものはおそらく登録しないだろうと思いますから、それは全然矛盾しているのではないか。だから、私の考えでは、探知できないものは当面そんな有害なものではなさそうであります。従って、探知可能なものからどんどん禁止していけばいいのであって、そんなあまり小細工はやらない方がよろしい。 それから探知の場合に、やはり原水爆国が探知するのでは、たとえばこの間の新聞でも、ソ連の首相が原水爆実験は禁止するまで大いにやってもいいのだというようなことをいって、お互いに原水爆実験に関する限り、かばい合っているような感じを、われわれ学者は受けるのでありますから、原水爆国というものはわれわれはあまりそういう面では信用しない。従って原水爆を持たない国が探知をやるというようなことをやっていく方がよろしいということです。 もう一つは、私の見解を申しますと、登録制の点、これはどこでどういうふうにおきめになったのか、どういうお考えでおきめになったのか、われわれ知るよしもありませんが―知るよしもないというのは、日本の国民としては非常にまずいことだと私は思いますけれども、とにかくこういう実験禁止という面は、ソ連側も米英側も両方とも同じくらいの損害によって歩み寄るということが必要だと思うのです。いかにも見せかけはよろしい案でも、一方にはあまり譲歩をさせないで、一方には相当譲歩させているというようなことでは、幾ら理屈はよさそうな案でもこれはまずい。片一方は乗らないにきまっているのです。それは外務省の方も前に新聞でおっしゃっていて、たとえばソ連が一時中止をやろうといっても、英米が聞かなければだめだとおっしゃった。ではその事前登録制というのはソ連が聞くかといいますと、これは私は公平に見ますと―いい悪いということでなくて、公平が必要だと思いますが、公平に見ますと、ソ連側にとっては犠牲をしいて、米英側には犠牲をしいない案であります。と申しますのは、米英は大きな爆発は自国の中ではやらない。公開してやるわけです。従って事前に何とか言わなければならぬ立場にあります。そういう点は、米英側はそういうことでやっているわけです。ソ連側は事前に何も言わないでいいという大へん有利な立場を初めから持っているのですから、その有利な立場をやめるということは、ソ連側にとっては譲歩であります。ですから登録制というのはソ連側に譲歩をしいて、米英側には譲歩をしいない案であるというふうにわれわれは考えます。理想主義的にいい悪いは別として、こういう歩み寄りというのは、皆さん政治家ですから、政治家の方がよく御存じかと思いますが、とにかくわれわれ深刻に毎日原水爆の問題を考えておりますので、一生懸命そういう点まで考えて世界の学者と手を握って何とかやめさそうと思うわれわれ自身が、いつもそういうことを考えて政治家にも大いに期待している点でございますが、その点やはり一見見せかけがいい案というより、両方が同じように譲歩して歩み寄る案ということが一番必要だと思います。そういう点はわれわれの物理学の同僚である英国のブラケット教授が、すでに一九四八年にあの有名な本で、空中査察制の中にそういうことを非常に鋭い考えで申しております。そういう点からいいましても、両方が同じように歩み寄る、ですから日本がこういうりっぱな案をお出しになるのもよろしいかと思いますけれども、両方がこういう一つの案でもってどうするということより、むしろわれわれが政治家に期待しておりますのは、米英とソ連とが科学者も交えて、たとえば日本のような国で、どういう順序で実験禁止を進めていくかということについて話し合いをやってくれる、それを期待しているのです。つまり米国も英国もみな案を出すのですけれども、それに対してもう一つ案を追加するということよりも、追加してもいいですけれども、両方歩み寄らすような何か話し合いというか、会議といいますか、そういうことをやっていただくということを私は一番期待しているのです。そういう両方の歩み寄りということなしにはこういうことはだめでありまして、その場合にも科学者がやはりお役に立つならば、何かできるということが必要だと思いますし、それからそのために探知とかいろいろの原水爆実験の有害さ、その他ということももっと検討する必要がありますけれども、しかしこの場合に学者たちのいろいろの意見である程度誤解がある。学者の中にも誤解があるというのは、特に医学――お医者さんの方は病気になって月の前に現われてくれない人は興味がない。ですから現在の程度では大丈夫だとかいや何とかおっしゃるのですけれども、つまり有害だということが証明されないというようなお言葉をお使いになる。これは有害が証明されたらもうアウトでありまして、有害なことが証明される前に、人間は知能の動物ですから、子供じゃありませんので、子供だとけがしたあとで泣くわけですけれども、親はそれを見てそういうことをやったらけがするぞというわけで、まあ人間は親の立場にもうなっているわけですから、そういうことはいわゆる実際上証明されたらもうアウトであります。だからそういうことがほかのことでちゃんと証明されておればそれでもう有害だ。 それからもう一つは今日上空に舞い上げている、たとえばストロンチウム九〇がリビーは十二ミリキューリー・パー平方マイルという数を出しておりますけれども、ラップはそれを批判して四十五ミリキューリーという値を出しております。一般人のいわゆる許容量というのは五十五ミリキューリーといっているわけですけれども、だからあるお医者さん方は五十五ミリキューリーにはまだ達しないということをおっしゃっていられますが、日本に降った放射能も道家レポートでごらんになるとわかりますが、大体現在まで、五六年の十一月までに日本には十六から十七ミリキューリー・パー平方マイルもうすでに降っております。上空にはまだたくさんだまっている。こういう場合にも許容量に達しないからといって大丈夫だとかなんとかいう問題ではない。これはもう遺伝学者もいろいろの人も指摘しております。放射能の被害というのはその分量に応じた害があって、許容量にならなければ大丈夫だという問題ではない。この点お医者さん方には相当誤解していらっしゃる方があります。ですからまだ大丈夫だとかまだその水準には達しないというようなことではなくてそれなりの害が常にある、ふえればふえるほど害が多くなってくる。そういう点をよく考えていただきたいのであります。そういう点で日本国民がそういう点の認識には一番早く達しておりますのですから、何とかして歩み寄りの努力をなさる。その点で私のところの立教大学の総長とそれから私の教室の道家君が政府の要請によって英国へ行きましたけれども、これは実験をやめてくれと言いに行ったわけです。ところがちょうどそのあとで外務省がどういう御見解か知りませんけれども、やめるなんということはソ連がどうせ聞かないだろうから、登録さえすればいいのだというふうにわれわれに聞えんばかりのことをあとでおっしゃるのは、それは松下特使が帰ってからにしてほしいので、首相の命を受けて道家君というわれわれの同僚と二人で向うへ行っている間に――これはやめてくれと言いに行ったのです。ところが、いややめぬでも登録さえすればいいのだというふうなことをあまりおっしゃられるのは、政治的にはまずいのではないか。私は政治家でありませんから、その間の事情をよく知りません。あるいはその方がいいのかもしれません。私は知りません。知りませんけれども、どうも学者として考えて何となく割り切れぬような感じがいたします。ですからその点で国会あたりがフェアな討論というものでいろいろの案をお作りになるということが必要なのではないかと思います。
○大西委員 まことに学者の先生の御意見、われわれ政治家の立場としてもこれは傾聴すべき御意見であります。そこで登録制からやって、それから禁止をやる、こういうのが政治的な立場からいうところの政府の答弁なのですけれども、私はそういうことは回り道をし、むしろそれは方向が違うのではないかというふうに思うのです。私も、政治的な問題ですけれども、学百の先生の立場としてそういう登録というようなことから果して禁止というような方向がごく自然に結論づけられるものであるかどうか、今のお話でわかったわけですけれども、一応学問的な観点からと言っては少しどうかと思いますが、そういう観点からこういり政治問題をどういうふうにお考えになっておるか、それを一つ聞きたいと思います。
○武谷参考人 これはなかなかむずかしい問題で、われわれよく答えるところでありませんが、どうも私は登録ということが禁止へ持っていくかどうかということは、これは少くとも必然性はないと思います。それは人間の心理ですから、われわれ学者の考える通り動かないかもしれませんけれどもね。外務省で外交の機微からそうお考えになったのかもしれませんけれども、われわれとしては―ちょっといわゆる売春禁止法を例にとりますと、売春の登録をするということが禁止への道だということになるならば、もうとうの昔に、日本が戦争に負ける前に売春はなくなっているのじゃないかというふうに思うのですけれども、それはまあ社会のことなんで、私はどうも登録制というのは案としてあまりいい案ではなさそうだし、それからソ連側により譲歩をしているという意味で実際的でない。それは外務省がソ連側に対して批判なさった通りの同じ論拠から言える。ですから公平に歩み寄るということが必要なので、この場合には日本は、案というよりはいろいろの測定をちゃんとやって、そして両方が歩み寄る会議をできるだけ日本で取り持つというのが実際的である。それで、ではその放射能の実験の測定などということは、何か損することばかりやっていることになるかもしれませんが、これは将来日本で平和利用をやったときに、こういう監視機構というもの自身がやはり役割を演じてくると思うのです。平和利用の場合、今、放射能を飛び散らしておるかどうかということですね、そういうことのために必要ですから、われわれ学者として自分のところに予算をくれという言い方に聞えますが、それはともかくとして監視機構を作るということは少くともやらなければならない。それで気象のマイクロバログラフなんかも整備して、それから小国同士に働きかけていただきたい。幸いにして西独のわれわれの同僚もそういうことに非常に熱心でありまして、ハイゼンベルグとかなんとかいう方々は非常に熱心である。でありますのでそういう小国というものに私は非常に期待しております。要するにどうも原水爆実験に関する限り、二つの世界の対立ということが、少しその二つの世界の見ようが違って、原水爆国と被原水爆国の対立みたいな形になっているのではないかというふうに思うのです。その点でこの水爆実験禁止ができれば、これは日本として非常な功績だろうと思いますので、われわれもそういう点で、実はあまりおもしろい仕事じゃないのでありますけれども、とにかく注意を払って努力はしております。
○大西委員 今、原水爆の探知機構の確立は、とにかく原水爆を持たぬ小さな口でまずやるべきだというようなことでございました。これは非常にけっこうなことだと思うのですが、和達参考人のお話でも、かなりの有害なる大きなものなれば大体わかるが、しかし広いところで協力をしないようなものでもあると困ると、こういうようなお話がありました。そこで、持っていない国々はみなこれに対して非協力という態度をとらないと思いますが、たとえば米国とかあるいはソ連というような国が協力をしないと仮定しましても、他の国々で協力をすれば有害な程度の爆発が探知できるかどうか、この点はいかがでございましょうか。
○武谷参考人 それは当然できると思います。ソ連のような広いところの中で普通の原子爆弾を爆発さしても、観測網がちゃんとしておれば十分かかるというふうに私は考えております。
○大西委員 それは今の設備でもそういうことは十分可能だ、こういうことでございましょうか。
○武谷参考人 今の設備というのが、今の種類の設備という意味ならば、私は十分だと考えます。ただ観測網はもっと十分に張りめぐらす必要がある。今の日本でもソ連で爆発させたものはある程度キャッチできていると思います。できていないものがあるかもしれませんが、それはよほど変な方に風が吹いている状態で、その場合でもアリューシャンからカナダまで包含できておれば、それは十分探知可能だと考えております。何せ日本は狭いですから、日本に吹く風の方向というものは局限されておりますので、その点、測定の精度よりも、地理的な条件でミスをすることがあるかもしれません。けれども、それはずっと張りめぐらせはよろしいので、日本だけでも、もっとちゃんと整備すれば、ほとんど探知できるというふうにわれわれは考えております。
○大西委員 探知の設備は原水爆に比べて非常に安いものだという話ですが、今、日本には気象の観測所が十四カ所あり、それ以外にも、大学なんかでいろいろな機械があると思いますけれども、今おっしゃったような程度の、かなり役に立つものでどのくらいな経費がかかるものでしょうか。
○武谷参考人 放射能測定ですと、一カ所が百万円もあれば、かなりなことができると思います。しかし、もし分析までいろいろやるとすれば、もうちょっと金がかかります。ある設備を整えたら、あとはただそれを測定する研究助手といいますか、そういった人たちが一々数字をとるための人件費――立教大学などでは、今その人件「費だけが問題になっている程度であります。初めの設備はそんなにりっぱなものでなくてよろしい。もちろんりっぱにすればするほどいいのです。 マイクロバログラフという微気圧これはある程度金がかかりますけれども、しかしべらぼうに金がかかるものではありません。おそらく数百万円程度ではないかと思います。私は専門家ではありませんので、気象専門家にお聞きになればわかると思いますけれども、そんな程度で一カ所が整備できるのではないか。それを相当国内に張りめぐらしておけばよろしいのではないか。 それからもう一つは、それをしょっちゅう検討する学会みたいなものがどうしても必要ですが、これはほとんど金が要らないわけで、その費用は、原子炉とかなんとかを作る費用に比べて、問題にならない。原子力の技術は、そういうことの整備によってかなり進むし、そういう点の有利さも非常にある。ですから、そういう設備を十分なさるのは、ほかの意味からいっても、非常に必要だと思います。
○大西委員 そうしますと、設備の点でも今のところではキャッチできるし、それに対する財政的な面だって負担はごく少いのだから、国内のみならず、国際的にも、やろうと思えば大した問題ではない。ただ政治的な問題がここにあるということですね。 もう一つお伺いしたいのは、初めにお話のありましたストロンチウム九〇の被害の問題ですが、狩っている国の学者は、あなたがおっしゃったように、これはきれいな水爆なんだ、簡単なんだと言っているのですけれども、日本の学者、その他の世界の学者のほとんどの意見は、非常に憂慮すべき問題だと言っているのです。私どもはそれについては持っている国の見解は弁解のためだというふうにとっております。また有害だという人の意見にも、いろいろと段階があり、ニュアンスの違いもありますし、有害であるということは考えておりましても、どの程度のものかということを知りたいという気持があります。これはむずかしいかと思いますが、一応先生の御意見を聞かしていただきたい。それから、米国が言っているような、ほとんど害がないというような見解をわが国の学者でも持っている者がおりますかどうか、この点も一つお伺いしたい。
○武谷参考人 わが国の学者の中でも意見が非常にふらついているという面があるのです。先ほど言いましたように、一つは許容量ということの理解がおくれているということにあります。つまり許容量をあるところまでは一たとえばストロンチウム九〇が、一般人に対する許容量が五十五ミリキューリー・パー・スクエア・マイルという許容量でありますと、それ以下の場合には全然害がないというようなことをおっしゃる。しかしそうではないということが大体世界中を通じての考え方でありまして、アメリカの全米科学アカデミーの報告」というのが去年出ております。これは日本の原子力産業会議の翻訳が出ております。たとえば遺伝に関するもので非常に切り下げております。今まで三十年間に数十レントゲンという値をいわゆる一般人の許容量、専門家の許容量は数百レントゲンという値を出しておりましたけれども、これは十レントゲン以下でないといかぬというような値を出しております。ただしこの場合、この報告の欠点は、原水爆のものはほとんど問題にならないというふうに書いてある。これは一つはリビーの報告がずさんな点、つまり世界中に非常に膨大な観測網を張りめぐらしているという点で規模は非常に大きいのですけれども、ずさんであり、欠点を非常に持っております。それからこれを出されたときまでの資料は大体五五年です。遠くてお見えにならないかもしれませんけれども、これが五五年、これが五六年、これは立教大学の放射能の測定でありますが、この辺までの測定についてものを言っているわけです。これはストロンチウム九〇の量に直したわけですが、この辺までは割合放射能が少かったわけです。そのときまでのもので問題にならぬという話です。ところが最近までの放射能の測定はこういうようにぐっと上っております。そういう点が外国と日本との一つの意見の違いであります。そのほかリビーの計算の中には間違いもあります。それからけさの毎日新聞に松下特使がリビーの意見というものについて書いておりますが、これも多少問題になる点だと思います。第一に、「五年間の原水爆実験の結果、人間の骨の中に蓄積されたストロンチウム九〇は人体前容量の千分の一にすぎない。と言っておりますが、これは今は少くとも、急にふえることがあり得ることと、それからおとなの骨というものは、すでに骨ができ上って、それに新陳代謝でくっついていくのですから、これは非常に少い。しかし子供がだんだんふえて参る。それからこれからだんだんふえてくるということを全然考慮に入れずにこういうようなことを言っているのは、非常に危険な見解であります。それから今後ストロンチウム九〇の地上における量はふえないというのは、これはアメリカのラップが批判しておりますように、リビーが、上空へ舞い上ったストロンチウム九〇は一平方マイル一二ミリキューリーであると言ったのに対し、ラップはこれを四十五ミリキューリーあるはずであると言っております。だからリビーなどの政府に直属している人はいろいろ操作した意見を発表しているが、われわれがいろいろ資料に当っても、もっと多くあるので、この降り方も、リビーの計算は南極の端まで一応降ったと仮定しての話ですが、地球上の降り方は一様ではありません。実際降っているところに降っているわけですし、現に東京あたりは先ほど申しましたように、かなりの量が降りているということです。それはもう現実に降っておるのですから、これはどうにもならないわけです。現実に今日まで、去年の十一月までに十七ミリキューリー降っておるわけです。リビーは十二キューリーしかしへ上っていないと言うのに、日本の測定は十七ミリキューリーという値を示しているという点ですね。 それから遺伝的影響が非常に少いということをリビーが言っておりますが、これはやはり前の測定をもとにして、アメリカのちょうどこういう時代のものですね、それを問題にしているという点の欠点があると思います。その後急激にふえているという点を問題にしない。しかも奇妙に思うのは、こういうものをアメリカは五五年までのものしか発表していないということです。もし自分がやましいところがなければどんどんその量を発表すればよろしい。それを発表しないでおいて、大丈夫だ、大丈夫だとばかり言っているのはわれわれ納得できない点であります。だからこういう点はフェアにできるだけ発表してほしい。この間の国連の会議もあまり発表しないような形になってしまっています。ですから、大国の圧力があるとどうもこういうことは発表しないのじゃないかというふうに思います。もちろん学者にいろいろ意見の相違している面もありますけれども、しかしこれは考え方の相違という面も大いにあります。たとえばある学者などは、前述した地表に降った放射性ストロンチウムの量から考えると、現状では人体に対し何ら有害な影響を与えないということは明らかであるというような文章を書かれております。これは道家レポートの数字をそのままお使いになっていらっしゃいます。その理由としては、全部の積算量は許容量には達しないようであるから心配はないように思うというような文章があるのです。ですからこれはやはり許容量という考え方の間違いです。それからまた、科学的には、つまりわれらの科学が持っておる資料からだけではもちろん正確な結論は出し得ない、言いかえれば、科学的には原子核兵器の爆発実験に伴う放射能の害を証明することはできないというようなことをおっしゃっておられる方があります。しかしこれは証明したらもうアウト、証明は論理的にしなければならないのです。現実に病人が出てからでは――これはほかのことでしたらそういうこともあり得ることかもしれません。たとえば交通法規などはできるだけ自由にしておいて、そうして衝突してけが人が出たり、人が死んでから法規を作るということもよくやられておることでありますが、この問題と、日本全国に放射能が降って皆さんが一様に被害を受けるという問題とは、だいぶ問題が違います。ただその場合に衝突して人が死んだなんということは非常にシリアスに響きますが、後代の人が遺伝的障害を受ける、たとえば意志薄弱者ができるとか、その他いろいろな遺伝的障害を受けるとか、それからまた人の一生についても、許容量以下でもかなりの寿命が納まるというような問題は、これは統計的に現われてくるのでして、従ってみんな人はわからないわけです。それから放射能自身がそういう性格を、非常に強い場合でも持っております。それは、非常に強い場合でも受けてすぐ痛くもかゆくもない、音も何もしないわけですから、そういう点が非常に困るわけです。いわゆる専門家の言う許容量以下の放射能を受けた場合に、人の寿命がどれだけ短かくなるかという点では、このアメリカの若年の報告にもちゃんとあります。つまり放射線に特別の接触を持たないお医者さんの平均寿命が六五・七年、ところが放射能に幾らか当る皮膚科の専門家、これはもちろん許容量よりうんと少いのですが、これが六三・三年平均弱、つまりこの間二・五年平均寿命が縮まっておる。それから放射線専門の技術者が六〇・五年、つまりこの間五年寿命が縮まっておるというようなデータがちゃんと出ております。しかも、これは再三申し上げますが、アメリカの原水爆実験はただし大丈夫であるというふうに書かれてあるのです。ですから、放射線というものはよほど警戒する必要がある。それから結果が出てはもうおしまいである。だから事前に手をよく打つ必要がある。こういうほかの意味でもあまりありがたくないということはやらない方がよろしい。 それからついでに許容量について申し上げますと、放射線はどんなに少くても有害であるという一面を持っておる。これは学問的にはどんなに微量でもそれなりに有害である。だからといって微量な放射線に当ってすぐ死ぬなんということはありません。それなりに有害である。それからいわゆるレントゲン検査などもしないと結核がはやりますから、そういう点ではレントゲンやいろいろな放射能、放射線を使って有利な面がある。この有利な面と有害の面とのかね合いが、これがいわゆる許容量です。ですから許容量いうものは学問的な量ではなしに、政治的な量です。政治的に許容量というものがきまるわけです。許容量というのは、これだけの有利な点もあるからがまんしようということが許容量です。ですから、その点が間違うと困る。ですから、原水爆実験をどんどんやっておる場合に、日本が原水爆実験で得をするならば許容量というものが存在する。ところが原水爆実験で日本が何の得もなければ許容量というものは存在しない。どんなに少くてもそれだけ損をしおりますから、これは損しない。そういう種類のものが許容量でありますから、その点多くの方に誤解があるのではないかと思います。
○大西委員 時間がないようですから、もうこれで、やめますが、またとない機会ですから、クリスマス島の問題で御意見を簡単に聞かしておいていただたきたいと思います。
○武谷参考人 どういう種類のことでしょうか。
○大西委員 今いろいろな反対意見が出ております。具体的に阻止するすわり込み船団云々の問題がありますけれども、政治問題ですが、いろいろ御意見を書いておられるようですから、その点、一つ…。
○武谷参考人 私はある新聞から、電話で聞かれました。どういうふうに聞かれたかと申しますと、すわり込みというのは暴力であるかどうかということをまず聞かれました。私は暴力とは言えないだろうと思う、相手に害を加えないから、ほかのことでいろいろ言うことはあっても暴力とは言えない。 それからその次の質問は、すわり込み船団に賛成か反対か、これはほかにもっと有効な方法がない限り、積極的に反対をするという権利は僕にはない、そういうふうに答えました。そうしたら、それが新聞によってまちまちにお書きになりましたので、あるいは誤解を生んだ点もあるかもしれませんが、私の真意はそういうことで、ほかに名案がない限りそういうことをなさることについて、それはまずいだろう、それではこうしなさいということがない限り、それはまずいと言えないだろうと思います。従ってすわり込み船団よりももっといい方法をどんどんお考えになることが必要である。そういう手を打たれることが必要である。少くともすわり込み船団が出たあとで松下特使というようなことを政府がおやりになったのですから、それだけの効果が少くともあったのではないかというふうに考えております。とにかくあらゆる手を尽して、英国に対してやってほしくないということ、それからソ連に対してももちろんやってほしくないということ――ただソ連の場合と英国の場合とでは多少事情が違うということは、われわれよく念願に置いておかなければならない。英米の場合には公海でやるのですから、これは直接被害と間接被害という二つの場合が考えられる。間接被害は決して少いという意味ではありません。ですけれども、間接被害、直接被害の二つを常に考えなければならない。公海でやる場合にはそこを航行できない。日本が太平洋を航行できないという損害と、それから久保山さんのような例がある。しかもその例が非常に粗末な扱い方を受けまして、失礼といいますか、そういう扱い方を受けたというような記憶がわれわれにある。従って直接被害も相当重要な問題である。もう一つは、上空に灰を巻き上げて、これが地球上全体に降る、こういう間接被害があります。間接被害は小さいとは言えない。大きい。ですから、この二つを常に念頭に置いて――ソ連の場合はもちろん間接被害はあります。しかもその間接被害はかなり大きいかもしれません。しかし直接被害はないわけですから、これは間接被害について文句を言う。つまり事柄をはっきりさして文句を言わなければ、向うとの応酬がとんちんかんになる危険性が多分にある。ですからあれだけ広い公海をある長い間にわたって占領するということ自身問題であるという面がおそらくあるだろうと思います。 ところで事前登録制という場合吉にわれわれ奇妙に思うのは、ソ連に対して事前登録せよという意見です。これは事前に無警告でけしからぬという意見があるのです。もちろん警告をしてやってくれるに越したことはありませんけれども、では警告したらどうするか、ガス・マスクをかぶるわけにも参りません。従って警告するとしないにかかわらず、やめてもらわなければならぬことなんであります。そういう点でソ連の方が有利な状態にある。有利な状態というか、両方のレベルが同じだとすれば、事前に登録すればソ連がよけいに損をするというさっきの私の意見はそういう点からきているわけです。米英は人の使う公海を使っているのですから、これは事前に言わざるを得ない立場にある。それで両方がもともとの立場である。ですから両方の譲歩を同等にやっていくという場合には、よほど考えていかないとうまくいかないのではないかというのが、われわれの考えていることでございます。
○高岡委員長代理 岡田春夫君。
○岡田委員 大へんおそくなりましたから簡単に伺います。先ほどからお話のあったりリビーのサン・シャイン計画といいますか、世界的な監視機構という点で、納得のいかない点があるということでございますが、それは何か事実上リビー、いわゆるサン・シャイン計画によって探知されているにもかかわらず、そういうものを政治的に利用をするとかそういう事実から見て納得がいかないというお話なのでございましょうか、こういう点が一つ。 第二点は、先ほど先生がお見えになる直前に、外務省の井上さんから伺っておったのですが、この文を作るに当って、国連の科学委員会の最近の動きを見てこういう案を作ったのだというお話であったわけです。そうすると国連の科学委員会では探知可能説と不可能説とが対立しているというようなことになっているのでございましょうか。こういう点はどうなっているのか、科学者の先生として御存じの点があれば伺いたいのです。 第三点は、日本の外務省は今のところこの問題について科学者の協力を求めておらないようですけれども、今後この点について科学者の協力を求められた場合においては、先生方科学者として協力をされる御意思がおありでしょうか。 わかり切った点ですが、この三つの点をお伺いしておきたいと思います。
○武谷参考人 サン・シャイン計画への一番の不満は、先ほど申しましたようにデータをちゃんと発表してくれないことです。しかも五五年までのデータが物を言っていることが最もアン・フェアで困る。それからハエ取り紙方式の検討が十分なされていないとか、リビーの論文に間違った点があるとか――われわれ一番不満を持っているのは、発表しないことです。これは軍事的にいろいろあるからなのでしょうけれども、しかしわれわれ科学者としては、そんな人様の軍事のことまで心配しないで、われわれの学問としてやったことは発表するのが当然であるという観点、しかも自分の国だけの迷惑ならば発表しないでいいのですけれども、人様に迷惑をかけているのですから、当然発表すべきだと思います。 それから国連の問題ですが、国連の報告が全然ありませんので、探知できるとかできぬとかいう議論がどうなのかわかりませんし、知るはずがありません。ただ新聞でいろいろ見ていると、探知できるとかできぬとかいう理論で米英とソ連がいろいろ議論をしているということを私は聞いております。ただ国連に外務省が依存しているということは、やはり外務省が国連の―国連を尊重するのは大へんけっこうだと思いますけれども、しかし国連に、自分たちの国の意見、自分たちの国の科学君の意見を盛り上げていくのが日本の外務省の役割ではないか、国連の言うことには何でも従ってやるというだけでは、それは国連が大国の道具のようなことになるのではないかと私は考えております。従って積極的にわれわれ国民の意見ないしは日本の科学者の意見を国連に今日本の科学者が行っておりますけれども、そういう場合にそういう人たちの意見がどの程度聞かれるか知りません。こういう場合に国連の意見だけを聞くのではなく、やはり広く国民にこういう案ができました―どういうふうにお出しになったか知りませんけれども、日本政府の見解をお出しになる場合日に、これは最後的見解というよりも、国会とかいろいろなところから、いろいろお考えになって討論してお出しになるのが一番よろしいことなので、これは民主主義の当然の原則でありまして、不意打ちみたいにお出しにならない方がいいのではないか。外交上の秘密で、不意打ちでぽっと出さなければならぬというような問題もあるかもしれませんけれども、こういう問題は不意打ちに出さなければならない問題ではなくて、国民が批判してよりよい考え方にしていって出すのがよろしい。つまり原水爆実験というのは、やはり超党派、超イデオロギーの問題でありますから、不意打ちにおやりにならないで、多くの人の意見を公平にお聞きになることが必要ではないかと思います。 それから外務省が科学者に協力を要求した場合といいますが、それも要求の仕方で私に要求されればもちろん私の能力でできる限りは御協力いたしますけれども、しかし一般に政府が科学者に協力を要求する場合、何か初めから自分に都合のいいような型を要求するという場合が今までは、私の経験では相当にあったのではないかと思っております。もちろん外務省はそうでない場合もあるかもしれませんが、そういう場合がしばしはあります。ただオーソライズされるだけに呼ぶという形があるのではないか。ですからやはり公平にいろいろの意見を聞くという意味で協力を要求されることが非常に必要ではないか、だから協力を要求するだけでなしに、協力をどういうふうに要求するかということを国会でよくお考えになっていただきたいと思います。
○岡田委員 これで終ります。先生からもいろいろ国会についての御意見があったわけですが、今度のこの見解というのは、これは全く政府の見解という意味で、行政措置というような形で、国会に何ら諮らずにこういうものを日本政府は出されたわけです。 私はきょうの参考人のお二方の意見を伺って、なおさら感じましたことは、これは外務省の政務次官初め皆さんに特にお考えいただきたいのは、日本の国はどうも恥の上塗りをやったのではないかという印象を受けるわけです。というのは、登録制というものを出してしまったものだから、登録制の格好を何とかつけなければならない。その格好をつけるために、いわゆる探知機構が可能であるか不可能であるかというような科学的な問題を出してきて、そしてこの問題をどっちにしようかということで、探知可能であった場合にはすぐ禁止してしまう、探知不可能な場合には探知機構ができるように努力する、その間は登録するというような形でごまかしてしまって、簡単に言えば恥の上塗りにやったような印象を私は受けるのです。そこで政務次官に特に伺っておきたいのは、こういう問題を出される場合には、外務省は日本の国内に非常に優秀な、特に原子力関係では非常に優秀な学者がたくさんおられるわけですから、こういう学者の場意見を十分聞いて作業をされるのがいいの、じゃないか、そういう作業を行われないで、先ほど武谷さんも言われたように、都合のいいときだけ使うという考えがあるから、湯川さんが今度やめるというようなことを言い出すようなことになってくるのではないかと思う。そういう意味で今後はこういう科学的な問題について科学者の協力を得、この見解についても協力を求めておやりになる御意思があるかどうか。ということを伺うのは、どうも最近禁止の運動については行き過ぎになってしまったらしいというような意見が外務省の中にも出て、禁止の方を少し手綱をゆるめようじゃないかというような意見もあるやに聞いておるので、今後こういう点が人道的な問題であるだけに科学者の協力をお求めになるお考えなのかどうか、この点が一点。 それから第二の点は、武谷先生が今言われた点で私同感なのですが、国会の運営方法としては、参考人の武谷先生から政府にここで聞くというわけにいかないので、これは先生から頼まれたわけではないのですが、私は同感だから政務次官に伺いたいのですが、米英ソの科学者が日本でこの実験の問題について話し合う機会を作られてはどうかという提案があったわけです。これについて外務省としてはどういうようにお考えになるか。ほんとうにこの実験をやめさせようというお考えならば、こういうこともやりましょうというような御意志が明らかになってもいいはずだと私は思うのだが、こういう点については外務省としてはどのようにお考えになっているか、この三点だけを私は伺っておきたいと思います。 それから第三点は、どうやら科学者の御意見としては、探知可能であるという方向にきていることは、政務次官も今までのお話でおわかりのようであります。探知可能であるとするならば、政府の見解通り探知可能な場合には禁止をすべきであるという方向に、今後外務省の世界に対する働きかけはここに重点を置いて動いていかれるのであろうと私は想像しておるし、まさかこの文書に裏切り行為はないであろうと思うのだが、こういう点もあらためて確認をしておきたいと思います。
○井上(清)政府委員 科学的ないろいろな問題について、今後外務省が科学者の協力を求める考えがあるかどうか、こういう御質問が第一点だと思います。外務省としましては従来とも科学者の御意見は、いろいろな科学的な見解を定める場合には求めておりますし、また今度の場合におきましても、学術会議等は科学委員会の関係あるいはまた国際原子力機関に対しましては、十分協議して話を進めておるようなわけであります。先ほど未登録制の問題また実験禁止の問題等いろいろございまして、探知可能か可能でないかというような問題は、学術的な研究の同順であろうと思いますし、これらの問題につきましては、外国ではいろいろな論争の的になっておる点でございまして、私ども日本においては可能説をとるということを外国に向って主張いたしましても、現在はまだ私どもは主張するだけでございまして、国際間において探知可能であるということがはっきりした定説になっていない現在におきまして、私どもは可能説をあえてとり得ないのじゃないか、そういうふうに考えるわけであります。 なおまた実験の登録制の問題とか禁止の問題は、そういうことを前提として考えていかなければならぬ。いろいろ国際政治全般にわたって考えていかなければならぬ。ただ科学的な見地からのみ論究すべき問題でなく、そうした国際政治的な観点から考えていかなければならぬ問題です。要は、いかにしてこうした人類を破滅に難くような原子兵器と申しますか、核爆発実験をとめるか。それには具体的にどうした方法が一番いいいのか。ステップ・バイ・ステップであるいは手ぬるいというような感じをお持ちになるような点があるかもしれませんけれども、とにかくいろいろな広い観点に立ってとり得る、そしてまた世界各国の共鳴を求め得る具体的な方法を一歩々々とっていくのが、現実的な国際情勢に対処していくわれわれの行き方ではないか、かように考えておるような次第でございます。私どもは何も科学者の議論に耳をふさいでおるわけではございません。十分今後各方面の御意見を承わりまして、努力していきたいと思っております。
○岡田委員 まだ二つばかりあるのでありますが、科学者との話し合いですね。今御答弁がなかったのですが、この探知可能説というものを日本として主張できないというのは、学者と相談しないから、外務省ではわからないから主張できないのでしょう。ですから定説の百できるまで待ってくれというようなことを言っておったら、いつまでたっても実験が禁止できないということになるでしょう。
○井上(清)政府委員 答弁でまだ漏れている点がありますのでお答え申し上げますが、やはり私どもとしては、外国を相手に話の申し入れをいたします場合吉には、わが国だけの議論では工合が悪い。国連における科学委員会においていろいろと戦わされております議論というものについて耳を傾け、その説に従っていかなければならぬと思います。科学委員会におきましても、何も日本が全然これに協力しておらないというわけではなくて、日本の学者の方もこれにいろいろと協力をされておることは御承知のことと思います。 なおまた、もう一つ最後に、学術的な科学的な国際会議について外務省がそれを推進し、またそれを提唱する考えがあるかどうか、こういう御質問だったと思います。これは私どもとしては、学術的な科学的な国際会議というようなことについては、それが開かれることは非常に望ましいと思いますけれども、こうしたことを指導的に私どもが推進する、また提唱するというような立場には私どもはないと思います。むしろ学術会議とか文部省とかいうようなところで大いにこういうことを推進していただきたいと考えるのであります。
○高岡委員長代理 山本利壽君。
○山本(利)委員 先ほど私達先生に対しても申したのでありますが、私は全く、原子力問題については知識がございませんので、ごく素朴な質同でありますが、この際お教えを願いたいと思います。 一体、放射能物質の移動の速力というものは、風の方向とか速度とかいうようなことでもはかれると思うのですが、放射能そのものの移動の速度というものははかり得るものでありますか。たとえば音波とか光であるとかいうようにはかり得るものであるか。そうであれは一体どういう速度を持っておるのであるか、全然知らないものでありますから…。
○武谷参考人 放射能物質の移動の速さというものは、これは塵埃になって放射能物質がずっと空気中について運ばれてくるわけであります。ですからその移動の速さも…。そうやって運んでくるわけです。
○山本(利)委員 放射能そのものではないわけですね。
○武谷参考人 放射線ですか。
○山本(利)委員 はい。
○武谷参考人 それは非常に近いところしか行かないの百です。あの広島で原子爆弾が六百メートルの上空で爆発いたしまして、その放射線は円を描いて一キロか二キロくらいの範囲まで到達いたしました。けれどもそれ以上は行かないのです。光の方がはるかに遠いところまで行きます。あと放射能物質、死の灰が空気と一緒になってずっと流れて参ります。
○山本(利)委員 それでは次に、原爆によるのと水爆によるのとでは、その放射線そのものに相違がございますか。
○武谷参考人 原爆によるものと水爆によるものとは、放射線はやはり原爆についても中性子線とガンマー線と二種類放射線が出ます。どっちも同じです。
○山本(利)委員 それでアメリカであればネヴァダで実験し、あるいはソ連であればシベリアでやるとかいうような場合には、その放射能物質がずっと日本あたりへも流れて来ますけれども、そういう場合には日本が受ける被害というものよりも、シベリアであるとかあるいはネヴァダ地方であるとかの受ける被害というものは、非常に濃厚であるものか、かえって日本くらい距離の隔っておるところの方がよけいに被害を受けるものであるか、その点ちょっとお教え願いたい。
○武谷参考人 それは爆発の高さできまります。もちろんアメリカ国内ないしはソ連国内の方がいずれにしろ強いのはさまっておりますけれども、どの程度向うが強いかは爆発の高さによります。高ければ高いほど強いわけです。その真下というのは直接の放射線を受けますけれども、死の灰の降り方はいろいろです。直接いろいろのごみについて近くにたくさん落ちます。ですからそういうところはたいてい砂漠だとか、要するに人の住んでいないところで爆発をやる、そうでないとその呉下というのは、そうでなくても原水爆は人を殺したり破壊したりするものですから、そういう被害のないはずはないのですから、それは被害のないところでやります。
○山本(利)委員 この放射能による被害がだんだん強くなって懸念しておるのですが、われわれしろうとから考えると、それに対する予防法というものも考えられてしかるべきだと思うのですが、それが今の段階あるいは将来に対して、この放射能に対する被害をどの程度防ぎ得るものであるかどうか、今の現状とこれらの将来の見通しということについてちょっと伺っておきたい。
○武谷参考人 その被害をまず防ぐのには、食べものを全部温室の中で育て、土壌も土地の深いところからとってきて、外気が入らないように空気清浄装置をやり、水もイオン交換樹脂か何かで非常にきれいにしてガス・マスクをかぶって生活をするということをすれば、ある程度防げるわけです。 それからもう一つは、そうやって侵されたあとの治療方法というお話だと思いますが、これは科学者である以上はあらゆることについて絶対不可能だとは私は申せません。あるいは可能かもしれませんが、非常に困難だと思います。と申しますのは、放射線の害というのは、人間の細胞を部分的にかたわにするわけです。細胞全部を殺してしまうならいいのですけれども、部分的にかたわにする。かたわにすると細胞がいろいろ困ることをやるわけです。たとえば遺伝的に生殖細胞をかたわにしたときは、生殖細胞には次の人間の設計図がちゃんとあるが、その設計図の一カ所をたたきこわすという作用をする。次に出てくる人同が何か欠けた者が出てくる。からだのいろいろな部分がかたわになった細胞でありますと、からだがある状態のときに活動を開始する、そうしてそれがガンか何かになる。それをもとに戻すことは非常にむずかしいと思います。たとえば人間が片腕をちょん切ってかたわになったとき、死んで間もない人の手をくっつけて手をちゃんとうまく動くようにするということがなかなかむずかしいのと同じように、しかも微細な領域で、細胞のいろいろな部分のどこがやられたかわからないような状態のときは、非常に困難だと思います。それをなおす薬品が将来発明されるかもしれませんけれども、いずれにしても相当原理的な困難さを伴っておるといわなければならないと思います。
○山本(利)委員 私が何も存じません一からという質問をいたしましたので、幼稚園の生徒に対するようなお答えをいただきましたわけでございますが、今の段階では不可能だということに尽きると思うのですが、私がお答えを願いたいと思うのは、今のような放射能によっていろいろなものが汚されたり、それによって被害を受けるのだけれども、科学の力によって、すぐ別な放射光線であるとかその他のものを当てて、これを防ぐことができるであろうかどうか、それは科学者であるからできるかもしれぬ、その程度のお答えでありましょうか。すでにこれに対しては、食べものなら食べもの、植物なら植物に対して、そういうものが当ったならば、それは非常に害があるのだから、これは相当の放射能の害を受けたらしいというときに、それにすぐ対応して科学的な処置というようなものが考えられつつあるのが今の段階ではないのか。またあなたの頭で想像しては将来もあり得ないと思われるか、その点をお答え願いたい。
○武谷参考人 それは究極のところなかなかむずかしい問題だと思います。しかしながら現在の段階では少くとも処置がない。雨に放射能が含まれて野菜に雨がかかる程度でしたら洗うとかいうことである程度いきます。それから土地に放射能が含まれた場合には、土地に植わっているものは、全部汚染されます。ストロンチウムというもの場はカルシウムと化学的に同じ性質のものですから、これを分けるのは大へんで、化学教室のすぐれた分析装置でなければ分けられないという非常に困却さがあります。ですから放射性物質を選択的にわれわれが食物からはずして食べるというのは、非常に困難です。おそらくそれはできない。 もう一つ、からだに一度入ったもので細胞に放射線が通過しますと、先ほど申しましたようにイオン化してそこがかたわになる。ですからかたわを回復さすということは非常にむずかしいという点で、一度汚染された土地をなおすということは絶対不可能だとは言えないが、非常に金がかかるということです。実際上不可能である。
○山本(利)委員 今の段階では研究されていないということですね。
○武谷参考人 たとえばカルシウムとストロンチウムを分離するということは、化学教室の試験管の中ではできます。けれどもそれは非常に微量なもので、土地が全部汚染されてきますと、そのストロンチウムを追い出すということはとうていできないのです。これは原子核の非常に小さなところが違う原子になってしまっておるのですから、それを何か解毒剤みたいなものをばらまいて、すぐその放射能を沈黙さすというわけにはいかない。放射能というものはその点非常に厄介なもので、原子が変ってほかの原子になるのです。そのほかの原子になるのはどういうふうにしてなるかというと、原子爆弾が爆発したときに大量の中性子ができるのです。ですからそれをほかのものにするためには、やはりそういう中性子か何かを当てるよりほかに方法がない。ところがこういう土地に中性子を全部当てるわけにはいかない。当てるとほかのものが全部放射性を帯びて参ります。ですから現在考えられる限りは、まず一度汚染されたら取り返しがつかないというのが今の段階だと思います。
○山本(利)委員 先ほどの先生にもちょっと質問しかけて、ちょっと話を横にそらしたのですが、先生のおっしゃるように、私は原水爆を持たない国が一致結束してこれの禁止に当る、あるいは研究に当るということが必要だと思うのですが、英米ソ界で、日本以上にこれの問題についていろいろ考え、あるいは相当の設備を持っておる国がどのくらいごさいましょうか。国名も御存じであればそれをお教えいただきたい。
○武谷参考人 大体原水爆国は自分の直接の必要上、また戦術的、戦略的必要上、原子爆弾が爆発したのを測定するということをいろいろ考えているわけです。ところが、そうでない品は、こういうことにあまり関心を今まで持ってなかった。日本は幸か不幸か、不幸の末広島、長崎と、それから久保山さんの例がありまして、日本でも空気中の測定をやり出したのは久保山さん以来です。それまでは無関心であった。それから、そういう点で今日の戦争というようなものは、放射能をいろいろ使うにかかわらず、放射能というものについては一般の関心は少い。日本だけが特に強いのです。ですから、よく外国から帰ってきた人は、外国はそんなことは心配してないよなどとおっしゃる方がありますが、それは全く逆な話であって、日本の大衆の水準がやっと学問の水準までに心配しておる。学者は非常に心配しておる。大衆は知らないわけです。日本の大衆だけが学者と同じくらいの水準に心配している。もちろん多少はいろいろそっぽのこともあります。雨にぬれても別に毛が抜けるわけではないが、毛が抜けると心配しておるというような点では多少そっぽです。ですけれども、心配の量からいうと、やはり学者の心配と同じ程度に心配をしている。ですから日本だけがそういうことを一生懸命やり出したのは当然であります。ほかの小国ではまだそういう測定装置は、あるいは持っているところも相当あるかもしれませんけれども、それほどいい発表をまだしてないのではないかと思います。しかしだんだんそういうことの世論が高まってきましたが、おそらく原水爆実験に対する反対の世論が最近ほど高まってきたというのは急激な事件だろうと思います。ですから、今後はかなり各国の学者が関心を持つだろう。しかもそれの測定はそんなに金が要らないという点で実行可能なということだろうと思います。
○高岡委員長代理 これにて本日の質疑は終了いたしました。 和達参考人には先ほどお帰りになりましたのでお礼を申し上げる機会を失したのでありますが、武谷参考人には、長時間にわたり御多忙中のところ、いろいろ有益なる御意見の御開陳を願いまして、まことにありがとうごさいました。ここに厚くお礼を申し上げます。 次会は公報をもってお知らせいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時三分散会