外務委員会 第16号
- 発言数
- 144 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/04/10
会議録
○野田委員長 これより会議を開きます。 国際情勢等に関する件について質疑を許します。大西正道君。
○大西委員 この前に引き続いて、都留さんの証言問題について、外務省並びに文部省の方にお聞きしたいと思います。この前要求しました証言の速記は配付して下さいましたか。
○井上(清)政府委員 先般の委員会におきまして御要求のございましたアメリカ上院治安小委員会におきます都留重人氏の証言に関しまして、その速記録は月曜日に英文のものを皆様に御配付を申し上げたはずでございます。
○大西委員 新聞に載っております速記の要領を見ますと、取調べのやり方はわれわれが予想していたように、かなりひどい取調べをやっているようです。なお秘密会での証言の部分がこれはもちろん秘密会でありますから、明らかにされないわけでありますが、いろいろと問題がありますので、私はこの際文部省並びに外務省にお聞きしたいのであります。都留さんに対してこの際帰朝命令を出して、その辺の事情を明らかにすべきではないか、こういうことを思うのですが、この点はいかがでしょうか。都留さんの向うの滞在期間は、初めの予定では一年間こいうようなことでありますから、自然の帰朝を待ちますと、かなり先のことになると思うのであります。当然これだけの大きな国際的な波紋を呼び起し、かつまた日本の対米関係の上からも重大な問題でありますので、この際帰朝命令を出して呼び帰すべきではないかごいうふうに考えるのでありますが、いかがでしょうか。
○田中説明員 都留教授を早期に呼び伏す考えがあるかという御質問でございますが、出張を命じておりますのが一橋大学の学長でございます。そこで都留教授に帰国を命令するにいたしましも、大学側の考え方というものをよく確かめまして、さような取り計らいが必要であるということになりますれば、さような措置に出たい。いずれにいたしましても、大学側の考えというものを無視してここで文部省側がどうこうというようなことは、今直ちにこの段階においては考えておりません。
○大西委員 外務省の方の見解はどうですか。これは、ただ単に大学の学長の権限の問題というだけでなく、これだけ大きな国際的な問題を起しておるのです。都留さん自身にいたしますれば、再喚問されるおそれ必ずしもないとは言えないと思うのです。政府の申し入れに対して、米国政府は遺憾の意を表したとかいうことを聞いておりますけれども、その後の治安小委員会におきましては、そういうことにおかまいなく、今後もどんどん外国人といえども証人として喚問するということを言い放っておるのです。そういうことから考えますと、都留さん個人のためにも、私はこの際、単に学長が云々という問題じゃなしに、外務省としても考えるべきではないかと思うし、かつまた都留さん個人の問題のみならず、もっと大きな見地から考えていい問題ではないかというふうに考えるのです。外務省の御見解をお尋ねいたします。
○井上(清)政府委員 都留教授の証言問題に関しましては、先般当委員会において申し上げた通り、このたびのような形で同教授が召喚されましたことは、国際儀礼上必ずしも妥当の措置とは言えず、今後渡米いたします同種日本人に対しましても、不安の念を与え、また今後の日米文化交流の面にも好ましからざる影響を与えるものだと考えられますので、今後同様のことが発生しないように善処方を在米大使館を通じまして国務省に申し入れたことは、先般申し上げました通りでございます。これに対しまして、国務省当局は当方の申し入れの趣旨を十分に了承いたしまして、わが方申し入れの趣旨に沿って今後措置するという回答があった次第でございます。私どもといたしましては、都留教授の身分が、先ほど文部省当局からも御答弁がありましたように、一橋大学教授で、一橋大学学長の監督下にあるわけでございますから、これに対しまして帰朝云々のことにつきましては、私どもとしてここで申し上げるべき筋合いではなかろう、かように考える次第でございます。先ほど来の御質問の点につきましてのいろいろな法律的な門出、そうしてまたこれに伴う今後の措置等につきましては、本日の答弁並びに先般来申し上げましたことによって御了解を願いたい、かように考えます。
○大西委員 そうしますと、外務省としては——私は米国政府からどのような回答が来たかまだ伺っておりませんけれども、正式の回答はまだ来ていないと思うのです。口頭の何か陳謝のようなものだと思うのですが、それでもってこの問題については、もう何ら日本政府としては相手に対してさらにこれ以上追及するというような必要はない、こういうふうに考えておられるのですか。その点で私が今申しました、あなたも御承知のように、米国の議会と政府との関係は、日本のような政党内閣ではございませんから、政府が陳謝の意を表しましても、委員会はああいうふうに今後も引き続いてこういうことをやると放言をしておるのです。それに対して私は非常な懸念を持つのですけれども、あなたの今のお話では、もうこれ以上何らやるべき必要はない、このような事件に対してもわが方の面子も決して失墜していないし、将来日米の文化交流その他の親善関係にも、少しも支障がない、安心してよろしい、こういうふうなお考えですか。
○井上(清)政府委員 わが国の申し入れの趣旨に対しまして、アメリカ側といたしまして十分これを了承して、この趣旨に沿って今後措置するということを公けに申して参っておりますので、今後はアメリカ側が、わが方から申し入れた趣旨に沿ってやってくれることを私は信じております。
○大西委員 私はそういう政府の態度にはどうも賛成しかねるのです。そこで外務省にお聞きいたしますけれども、日米知的交流委員会というこの委員会で、都留さんが向うに招請されたわけですが、これはこちらの委員会から都留さんを推薦をしたのか、あるいは向うから都留さんを名ざしで呼んだのか、この点はいかがでございますか。今日まで多数の人が向うに行っておりますし、向うからもこちらに参っておりますが、それらのケースと私は若干違うように思うのですが、その辺の事情はいかがですか。
○井上(清)政府委員 この点は私ども深く実は調べておりませんので、後刻お答え申し上げたいと思います。
○大西委員 文部省いかがですか。
○田中説明員 文部省としましては、知的交流委員会から招聘の手紙が参っております。それによりまして出張を認めたような次第でございます。
○大西委員 どうもあなた方この問題に対しては十分研究しておられないようですね。その手紙というのは、知的交流委員会というのは、どちらの委員会から文部省に対しての要請が来たのですか。
○田中説明員 これは文部省に手紙が参ったわけではございません。都留教授本人にあてまして、ハリー・ジェー・カーマンという向うの知的交流委員会の代表だと存じます。
○大西委員 その内容を詳しくここで公表できませんか。どういうふうな招請の内容であるか。これを私がお聞きしますのは、あなた方御存じないようだけれども、今日まで日本から行っているのは市川房枝さんだとか、安倍能成さんだとか、長与さんだとか、中山さんだとかこういう人たちが行っているのですが、これらはいずれも日本の知的交流委員会から向うにこれを推薦している形をとっておる。ところが今回都留さんだけは特別のケースであって、今お話のように、向うからわざわざ都留さん名ざしの招請が来ている、こういうふうに私は把握しているのです。そういたしますと、これはかなり、あとの証人喚問と関係があると私は考える。悪く気を回しますると、呼んでおいてはしったようなというふうにも曲解できないことはない。私はそのようには断定をいたしませんけれども、これは向うの日米知的交流委員会の、おそらく今おっしゃったような代表者からの——コロンビヤ大学ですか、その中にあるこの委員会の代表から来たと思うのですが、これを一つお聞かせ願いたい。
○田中説明員 一九五六年二月六日、都留教授あての手紙でありますが、中身は、要点を申し上げますと、ハリー・ジェー・カーマンの名前で、個人的にも、アメリカ知的交流委員会のためにも、私はあなたがマサチュセッツ州ケンブリッジのハーバード大学の経済学の客員教授となるよう、一九五六年から五七年の大学教育年に、アメリカ委員会の客員として招待されていることをあなたに通知することを喜びます、こういう趣旨のものでございます。
○大西委員 内容はわかりましたが、これは私が今申しましたように、ほかの向うに渡った人々とケースが非常に違うのです。ですから、私は呼んでおいてこれを喚問した、そこに何らかの関係があるのじゃないかというふうに気を回さざるを得ないのです。そこで今井上外務政務次官は、申し入れに対しての簡単なる回答によって、将来十分な何ができるだろうというふうなお話であったが、私はこの際、向うで呼んでおいて、呼んだ主体は向うの知的交流委員会であったかどうかは知りませんけれども、呼んでおいて向うの議会に喚問する。しかもその喚問の内容、やり方を見ますと、私はこれは非常に国際的な礼儀にも失したものだと考えます。ですから私はこの際一つ、いろいろ不明な点もあるから、都留さんの帰朝命令を出して、その辺の事情を明らかにするということも、日本の強い態度をこの際示す意味において、非常に意味もあるのではないか、こういうふうに考えるわけなのです。もう一回そういうふうな観点から、一つ御検討を願いたいが、一つ文部政務次官の御意見を聞きたい。
○稻葉政府委員 都留教授の向うからの招待状は、ほかの場合と違って唯一の例であるというふうにお考えのようでありますが、これは他にも同じようなケースがあると記憶しております。よく調査をいたしまして、ほかにもこういう例があるということをあとで申し上げたいと思います。従いまして、大西委員の言われるような、初めから計画的に呼んでおいて証人喚問したのだというふうに即断することは、私どもはまだこの段階では差し控えておきたいと思います。
○大西委員 私はそう言っておりません。そういう意見もあるということです。
○稻葉政府委員 そういう意見もあり得ると思いますが、私どもはそういうふうに今理解をして、この段階で直ちに帰朝命令を出して云々するということは差し控えたいと思います。この段階では、やはり大学自治の関係があって、一橋大学教授会の議を経て学長が御決定になることであって文部省がそういう大学自治にまかせられている事項を直ちに乗り越えて、この段階で帰朝命令を直接発するということは考えておりません。
○大西委員 国際的な問題は、国内の大学自治の問題だけで——ちょっとそれに対しては文部省は何ら関与できないというのは、これは責任回避だと思うのです。身分は国家公務員でしょう。この国家公務員に対して文部省は、その国家公務員が外国の議会においてかなり疑問のあるところの証言を強要されて、それに対して日本の大学の学長から何も言ってこないから、大学自治の建前で何とも言えないというような、そんなおかしなことはないと私は思う。やはり文部省として、国家公務員がこういうことについてやられた、その法的なことは、米国の国内の立法によってこれは違法ではないといわれても、国際的な親善関係の上からいって大いに異議を申し述べるべきだと私は考えるのです。もう少し積極的な御意見はございませんか。あなたはどうも米国の上院の治安小委員会の弁解のために来ているように私は思うのですが……。
○稻葉政府委員 文部教官たる一橋大学教授都留重人氏がああいう取扱いを受けて、また質問の仕方にしても、答え方にしても、われわれにとっては理解しがたい点が多々あって、非常に遺憾であるということは、あなたと同様私も考えておる。そこで外務省を通じて、以後こういうことのないようにという抗議的な申し入れをしてもらった。そういう処置をとってもらったことについては、外務省の御処置に対しては文部省としてはやや満足しているということです。それに対して向うから回答が来て、以後こういうことはしないように国務省としては取り計らうということですから、あとは向うの政府と議会との関係にどういう処置をとるのか、もう少し様子を見なければいかぬ。今直ちにここで、そんな返答では満足できない、従って帰国命令を出すのだというようなことは、少し軽率ではないかと私は思っているのです。
○大西委員 国家公務員の立場の場合、国家公務員を監督する文部省の立場としてはいかがですか。この点は、国家公務員がソ連に行く場合、非常にむずかしい制限やら条件を加えておる。ところが、米国に行ってこういう非常な問題を起して、都留さん個人の生命とは言いませんけれども、名誉のために重大な問一越が起きているのに、国家公務員の立場を一応監督する文部省として、おれは知らぬというのは、どうも無責任なように思うのですが、その問題については、岸外務大臣が来られましたから、もう一つだけ私はお聞きしておきますが、この公開の委員会の速記は国会に提出されたそうでありますが、秘密会でどういうことを言ったかということは、これは私どもは非常に関心を持っているわけです。私は今言いました都留さんがすみやかに帰朝されることを期待しますけれども、もし帰られました際に、私どもは国会において、向うの秘密会で述べた内容についてこの国会に証人として出席を願ってその当時の事情をお聞きするということは、何ら法律的にも触れないし、あるいはまた政治的にも当然のことだと思うのですが、この点はいかがでございますか、これは法律的な見解をお聞かせ願いたい。私どもは後日そういうことをする用意があると思うのです。こういうことによって米国が行き過ぎた、外国人を喚問してそうして秘密会でいろいろなことをしゃべらしたということも、後日その国の国会においてはその秘密会の内容もやはり公開されるのだ、こういうふうな一つの事実を明らかに、米国のそういう行き過ぎた委員会の処置に対しても見せつけるということも、私は一つの意義があろうと考える。私はそういうことを考えておりますので、この際都留さんが帰朝の上、この国会の委員会において証人として出ていただき、秘密会の内容を言うことは当然のことであると私は思うのですが、法律的な見解をお聞かせ願いたい。
○井上(清)政府委員 お答え申し上げます。都留教授が秘密会において答えられましたことは、その内容は私どもはよく承知しておりません。ただし非常に短かい時間でございまして、その秘密会が、間もなくと申しますか、すぐ公聴会に切りかわったわけでございまして、質問とか、それに対する答弁というものはほんのわずかしかないのじゃないか、かように思っております。都留教授が日本に帰られまして、国会に召喚してその間の事情をお聞きになるということにつきましては、法律問題としては差しつかえないことだと私は考えております。 —————————————
○野田委員長 日本国とチェッコスロヴァキア共和国との間の国交回復に関する議定書の批准について承認を求めるの件、日本国とポーランド人民共和国との間の国交回復に関する協定の批准について承認を求めるの件、右両件を一括議題といたします。 質疑を許します。松本七郎君。
○松本(七)委員 前会この国交回復の問題を事務当局にいろいろお伺いしたのですが、その中で東欧諸国、ポーランド、チェコに限らないのですが、これらの国の最近における経済的な実情、それから従来と違って、社会主義圏に属する諸国が、ばら、ばらでなくして、非常に計画的に——その計画も、各国別というよりも、国と国との間の調整までに及ぼそうとしているというような最近の情勢にかんがみまして、そういう新しい事情についていろいろ御質問したわけです。それから特にハンガリー事件以後、これは第二十回のソ連共産党大会以後そういう傾向が出てきているのですが、ハンガリー事件以後、五カ年計画を一応大きな変更を加えている。ハンガリーはああいう動乱があったのですから、特にそういう変更が激しいのは当りまえですけれども、大きな五カ年計画それ自体にも変化を来たしている。そういう事情についてこの前いろいろ御質問したわけです。現在大体その資料で御提出願ったのですが、どうも私どもの見るところでは、東欧諸国に対する外務省の調査なりがはなはだ不十分なように思うのですが、これは外務大臣としてどういうふうに観測されているか、足りないことを認められて、今後充実されるおつもりがあるのですか、それとも現在の機構なり人員で当分はやっていくおつもりであり、またやっていけるお考えであるか、それらについてまず伺いたい。
○岸国務大臣 ポーランド及び、チェコとの国交が回復され、これらの国に在外公館が設置されることになりますと、これらの国の事情、またこれらを通じてソ連及びソ連を中心とする共産圏内の事情につきましても、いろいろ明確なことがつかめるようになるだろうと思います。従来のなにから申しますと、私は、決して十分であったとは申しかねると思います。今後経済関係はもちろんのこと、政治的にもあらゆる面において。ポーランド、チェコとの国交が正常化せられるということになりますと、日本としては正確なる情報もわかるし、またこれに対処すべき日本の外交政策の考え方もきめ得ることとなる、こういうふうに考えております。
○松本(七)委員 それで今度国交回復した後に、貿易協定なり、通商航海条約なり、あるいは文化協定というような問題が起ってくると思うのですが、これに積極的に直ちに取り組まれるおつもりでしょうか。
○岸国務大臣 いろいろな事情もございますので、時間的にすぐとかいうようには考えておりませんけれども、十分各種の事情を考えてやっていきたいと考えております。
○松本(七)委員 この前の御答弁にもありましたように、今のところではどの程度の経済交流の見込みがあるかというようなことが、あまり的確にはつかみにくいような情勢だと思うのですが、どうしてもこれはすみやかに市況調査というようなものに乗り出す必要があるのじゃないかと思うのです。何かそういう御計画でもございますか。
○岸国務大臣 特にそういう計画は持っておりませんけれども、先ほども申し上げたように、経済その他各般の問題につきましても、調査する機能を充実していかなければならぬと考えておりますが、特に今具体的に一つの計画というものは持っておりません。
○松本(七)委員 それは今持っておられなくても、今後立案するように事務当局にでもすでに御指示を下しておられるのですか、それともばく然として何らかこれからやらなければならぬというお考えなのか。
○岸国務大臣 特に今具体的な案は持っておりませんけれども、各般の事情を考えて研究をいたして参りたい、こう思っております。
○松本(七)委員 それからこういった新しいところに市場を求め、経済的な交流をやろうとする場合、特にポーランドやチェコとこれから交流をやろうという場合には、他国から買わないような物でも特に新しい国から買うという努力が必要なのではないか。第二次大戦後のドイツのやり方を見ておりますと、貿易が非常に伸びたについては、やはりそういうやり方で格段の努力をしているように思うのですが、従来の日本のやり方は、第一宣伝が足りないのと、今言うような努力なしに、ただ値段ばかり下げて、安売りで競争の中に割り込んでいこうというようなやり方だった。これでは今後うまくいかないのではないかと思うのでありますが、こういうことについて特に何かお考えがございましたら、伺いたい。
○岸国務大臣 お話の通り市場開拓、経済交流を盛んにしていくためには、十分その国におけるところの各般の事情を考え、また日本自体の貿易政策もこれにマッチせしめるように考えなければならぬのでありまして、従来品物の値段だけで競争していこうというふうなことが、むしろ極端にいっているために、かえって貿易の正常な伸展を阻害しているというふうな事例もありましたので、十分に各般の事情を調査した上においてこれらの国情に合うように、日本の貿易のやり方も考えていくというふうに持っていかなければならぬと思います。
○野田委員長 岡田春夫君。
○岡田委員 この議定書、協定について二、三質問をいたしますが、その前提となる問題としてまず伺っておきたいのですけれども、岸内閣は石橋内閣の政策を継承するという点はすでに明らかになっていると思うのですが、それでは鳩山内閣の政策との関係はどうなるのか、当時岸さんは幹事長をやっておられたわけですが、その鳩山内閣の特に外交政策との関係においてはどのようなお考えを持っておられるのか、その当時の幹事長であった岸さんとして、今日総理大臣になられた立場としての見解を伺いたい。
○岸国務大臣 鳩山内閣時代、御指摘のように私は幹事長をいたしておりました。鳩山内閣の外交政策の基本は、言うまでもなく、私の幹事長をやっておりました自民党の基本的な外交政策を実現するものでありました。従いまして、私は、鳩山内閣も石橋内閣も、またこれを継承しておる岸内閣におきましても、基本においては変りないと思っております。しかし外交政策は、言うまでもなく、いろいろな国際情勢の変化なり、また日本自体の国力の増加や国内の事情というものの進展に伴いまして、ある時期になれば基本そのものについても再考することが考えられなければならぬのですけれども、私自身はそういう事態にはまだないと思います。ただいろいろ起ってくるところの具体的な問題に対処するについては、国際情勢なりあるいは日本の国内情勢のその後の変化によってある程度の修正なり、ある程度の進展なりをするということは当然であると思いますが、基本については今申したような考え方であります。
○岡田委員 率直に申し上げて、今のお話を伺っていると、外交方針の基本においては変りはないというお話ですが、われわれの印象としては、岸内閣は鳩山内閣から見るならば、対米依存の程度が強過ぎる。鳩山内閣の外交政策の基本というか特色というものは、むしろ社会主義諸国との友好関係を深めていく、その一つの現われとして日ソ交渉が行われた、こういう点で鳩山内閣の一つの特色があったと思うのでありますが、こういう点についてもいわゆる平和のために社会主義陣営と友好関係を深めていくという、そういう基本については、鳩山内閣と今日情勢が違うというので、そこに幾らか政策上の変化があったと考えるべきでありますか、いかがですか。
○岸国務大臣 私はそうは考えておらないのであります。なるほど鳩山内閣におきまして日ソ交渉を初め今まで閉ざされておったところの門を開くということに非常に努力をされたこと、また私は努力しなければならぬという鳩山内閣の外交方針を支持し、これを推進してきたものであります。さらにそれが開けた上におきまして——その開くのに一つの支障があった。それを打開することに全力をあげなければならないように、その閉ざされておる門はなかなか開きにくい情勢にあったことも御承知の通りであります。これに非常に力を入れましたために、他の面が世間に、印象としては比較的薄く映ったのであろうと思います。あくまでもわれわれの政策は、この共産圏に対しましても門を開いて、そしてこれらと国交を正常化し、親善関係を深めていくということについては、一貫した方針で参っております。しかし同時に、日本が自由主義の立場を堅持しており、これらの自由主義国との提携というものに非常な重大な意義を置いておるということ、これも事実であります。従いまして、われわれの政策としては一貫しておるのであるが、外に映るところの印象としては、今言ったような特殊の事情からそういうふうに何しておりますが、私は決して根本方針において変っておらぬ、かように考えます。
○岡田委員 チェコ、ポーランドの国交回復は、実はこれは鳩山内閣の当時に具体的に始まった問題であります。岸内閣が今あって、それによって審議をされているわけですが、今のように、共産主義諸国との友好関係については一貫して変っておらない、こういうお考えならば、チェコ、ポーランド以外の東欧諸国あるいは社会主義諸国と、新たに岸内閣としては国交回復を具体的にするという、そういう何らかのお考えがあるのですかどうなのですか。
○岸国務大臣 このポーランド及びチェコとの国交回復の問題は、御指摘のように、すでに鳩山内閣当時から話が始まっておる問題であります。そうして、その共産圏のいわば指導的立場にあるソ連との間に国交が正常化せられた以上、これらの国々と国交回復をしていくということは、これは当然のことである。またそういう方向で進んでいるわけであります。しかし。ポーランド、チェコ以外の共産圏の国々との間におきましても、機運が醸成してくれば、私はこれとの国交を正常化すことについてはちっともやぶさかでない、やるつもりでおります。
○岡田委員 東欧諸国においては、今後機運が増してくればそれはやろうというお考えの点を伺いましたが、それじゃ東洋においてはどうです。中国の問題は、だいぶいろいろな問題があるのであとにしますけれども、たとえば蒙古人民共和国のような国と国交回復をするということは、日本の歴史的な関係からいっても、私は当然やらなければならないことだと思うのですが、この点はいかがですか。
○岸国務大臣 今私の申し上げましたことは必ずしも東欧に限らない、全世界に共通した一つの理念心であります。ただ問題は、この東洋における中共というものとの関係につきましては、私がかねて私の所信を明らかにいたしておるような何で、まだその段階でない、政治的な関係を作り国父正常化する段階でない、こういう見解を持っておるわけであります。従いまして、その他の諸国、今おあげになりました蒙古に対する関係等におきましても、私は今そういう機運が醸成されており、またそれをするのにふさわしい状態にまでなっておるとは実は考えないのでありますが、しかしそれは、われわれはどうしてもこれと国交正常化せないということをきめているわけじゃないのでありまして、これらの国々に対する考えは、さきに私が東欧に対して申したと同じような考えに基いて今後進んでいきたい、かように思っております。
○岡田委員 対中国問題については、これはあとで質問があるかもしれませんから私は遠慮したいと思いますが、ただ一点だけ、これは鳩山内閣との関連においてだけ岸総理大臣に伺っておきたいと思うのだが、鳩山総理大臣臣は、三十年の一月十一日の記者団会見の車中談において、これはどこでも同じことを書いているので間違いないと思いますが、中ソとの国交回復については積極的な役割を日本は果したい、このように実は、言っているのであります。ところが今岸総理大臣は、中国との国交回復についてはその時期ではないという、きわめて消極的な態度をとっておられる。とするならば、大体中国との国交回復については、鳩山内閣との間において一貫性がないと私は考えるのですが、この点はいかがですか。
○岸国務大臣 今おあげになりました記者会見に現われておる鳩山前総理の見解というものについての真偽は、私ここで明らかにすることができませんけれども、私どもは、当時の総理大臣とし、幹事長として、鳩山内閣の外交方針の基本につきましても、従来幾たびか話をして参っております。決して鳩山前総理が、ソ連と中共と同時に、もしくは引き続いてこれをやるという考えを鳩山内閣の基本の方針とされておったものでないということは、私はよく承知しておりますので、今の新聞記者会見の言葉だけで、中国とソ連を同時に、もしくは相次いで直ちに国交回復するという鳩山内閣の方針だったとは、私は信じておらないのでありまして、ソ連との関係におきましては、まずこれを推進しなければならないという強い考えのもとに進んでおられましたけれども、中国に対する考えは、今私が申した考え方と基本において相変っておらないと信じております。
○岡田委員 この点はもっと触れたいのですが、あとできっと質問があると思いますから、私は省略をいたします。 三月二十九日の参議院の商工委員会では、実はあなたが具体的に答弁されておりまして、速記録はここにありますが、ここでわれわれとしては非常に重要なことを答弁されておるのです。それは、ココムの制限を緩和するために、アメリカに行ったら交渉をしたい。その交渉をするときに——そこから読んでみますが、「日本自身は現在の段階において決してこれを承認し、」——これをというのは、中国との国交回復を承認し、「これとの間に正式に外交関係を開くというような考えのないということについても、十分にわが方の考えをアメリカの首脳部に理解せしむることが必要であると考えておるわけでございます。」こういうように答弁をされております。私がこれを読んだときに感ずるのは、ココムの制限を緩和してもらうために、中国との国交回復をやるつもりはないのだということをアメリカに了解をしてもらう——日本の国が、あなたの言っておられるように、独立国であるならば、外交関係で、国交回復の問題について、アメリカの了解を得なければならないというような態度は、あなたがこの間記者団会見で、卑屈な態度ではいけないと言われた、その卑屈な態度そのものを現わしておるのではないかというように思いますが、いかがでございますか。
○岸国務大臣 それは非常な誤解でありまして、われわれはココムの制限緩和ということについて努力しておる。そうしてそれを実現するのに一番困難なことは、御承知の通りアメリカがそれと反対の意見を持っているというところにあるのです。そうしてアメリカは、日本がココムの制限を撤廃しろというのは、直ちに外交関係を開き、これを承認するということと同意義であり、もしくはこれと共通している考えであるというふうに誤解しております。私は了解を得るということについて——非常に卑屈だというお話でありますが、日米間においては誤解やあるいはいろいろな推測が間違うということがあってはならない、日本の真意を率直に話すということなら、そしてそれを理解せしめるということは、決して卑屈なものじゃない、むしろ独立の日本国としては、また日本とアメリカの関係を正常化す意味からいって、当然やらなければならないことである、かように考えておるのであります。
○岡田委員 その答弁の中でこういうことも言っておられるのですが……(菊池委員「議題から脱線してしまっているじゃないか」と呼ぶ)その答弁の中で——これは菊池君にもわかってもらいたいのですが、(笑声)国交回復の問題は、これは通商条約の問題でもあるし、そうするとココムの問題にもなるので、だから議題の範囲内になるわけですから、一つよく御勉強願いたいと思いますが、ココムの制限の問題に関しましては、アメリカから「非公式に各加盟国の意向を打診し、わが方に対しても、わが方の考え方を打診してきております」、こういうように言っております。それでは、ココムについて制限を強化したいというような非公式な打診がアメリカからあったというのですが、そういうことが事実あったのですか。いつあったのですか。それからどういう方法であったのですか。内容についてもこれは必ずしも明確ではないのであります。
○岸国務大臣 一月の初めに非公式に口頭でわが方のその方の係に話があったということであります。われわれの方では、直ちにその当時非公式にわれわれの方の意向を口頭で申し伝えております。
○岡田委員 そこで、先ほど申し上げたように、チェコの問題は、通商条約の関係でココムに非常に関係があるので御答弁願いたいのですが、ココムの緩和の問題について最近だいぶ問題になっておるようでありますが、きょうの朝日新聞を見ましても、近いうちにパリにあるココムで禁輸緩和の提案が行われるであろうというような話が出ておりますが、ココムのそういう会議が近く行われるというようなことを御存じでございますか、あるいは何らかの連絡はございましたか。
○岸国務大臣 パリにおける会議は常設的にあるものでありまして、従いまして、いろいろな加盟国の意見があれば、それを取り上げて審議する、話し合うということになっております。特にいついかなる形式で提案され討議するというふうなことについては私ども承知いたしておりません。
○岡田委員 そのココムの国際機関には日本はもちろん加盟しておるのでございますか。
○岸国務大臣 加盟いたしております。
○岡田委員 今お話のように、ココムの制限緩和の問題は、この国際機関の決定によって緩和するかどうかが決定されるのです。ところが、あなたがココムの制限の緩和についてアメリカに要請するというのは、これはちょっと筋違いじゃないかと思うのです。ココムの国際機関において緩和させるということが本筋であって、アメリカに要請するというのは、先ほど申したように卑屈な態度ではないかと私は思うのだが、どうなんですか。
○岸国務大臣 加盟国のうち、この問題について最も強い関心を持っており、その委員会において最も影響力のあるところは、実はアメリカであるのです。従って、アメリカ自身が強く反対なりあるいは一つの意図を持ってするということになりますと、やはりその影響力は大きいのでありますから、われわれはココムの制限緩和の問題については、加盟国の他のものとも連絡をとっておりまして、いろいろそれについて努力しておりますが、一番われわれの真意でありわれわれの希望と反している方向に行っているのはアメリカである、こういう事実に基いてアメリカに十分理解せしめるということが必要である、こう私は思っております。
○岡田委員 今の御答弁は非常に重要、だと思うのですが、日本の政府の希望と反しているのがアメリカである、そのためにアメリカとの話し合いをつけることが必要である、こういう御答弁であったと思うのです。 そこで、この国際機関の制限をことさら緩和してもらわなくても、たとえばイギリスなんかこう言っているのです。七日のサンデー・エキスプレスには、イギリス政府はアメリカが承諾しないならば単独で禁輸の緩和を行うことも考えている、こういうことまで考えている。ですから、国際機関がココムの制限を緩和してくれなくても、いよいよとなったら日本がやったらいいじゃないか。イギリスだって西ドイツだってどんどんやろうとしているのですから、何もアメリカの了解を求めなくても、日本がやろうと思えばやれるはずです。この点はなぜおやりにならないのですか。
○岸国務大臣 これは新聞の報道でありますから、イギリスの意向というものをそれでもって直ちになにするわけには参りませんが、これは、…際の話し合いの機構として自由主義川におけるこれの加盟国が話し合って禁輸をいたしておるわけであります。そうして国際協力の上にこれを実現しようとしておるのです。ですから、バーミューダ会談におきましてもこの問題についての議論がやはり英米の間においてかわされているということが報ぜられておりますが、イギリスがそれを脱退するとか、あるいは自分ひとりでもって勝手な行動をやるということは、今までの沿革や経過から見て信ぜられないのでありまして、あくまでも国際協調の範囲内において考えてそうして合理的な方法でこれを解決していくことが望ましいのではないか、かように考えております。
○岡田委員 やはり国際機関に加盟している限りにおいて、その国際機関の決定に従わなければならない何か義務があるというようなことで、これをできるだけ守っていかなければならない、こういうようなお考えであろうと思うのでありますが、そういう点はいかがでございますか。
○岸国務大臣 もちろん、日本の国際的な立場なりあるいは国際的の信用の基礎として日本が加盟し、そこの決議なり申し合せとしてきまったことは忠実に守ることが、日本の外交の基本方針、でなければならぬ、かように私は考えております。
○岡田委員 やはりその二十九官の答弁でありますが、そこで岸総理大臣はこういうように言っております。これは社会党の相馬君の質問に答えて答弁されておりますが、「それからココムの制限及び特認制度の問題でございますが、これは今のこの条約、国際条約に加入している以上、それの範囲内においてわれわれが貿易を進めていくということは、当然であります。」それからそのあとで「中共との貿易は、これはできるだけこの条約の範囲内において進めていかなければならぬ。そのもとの条約そのものの制限というものを、これをわれわれは緩和の方向に持っていくということに今後とも努力をしたい、かように思っております。」こういうように答弁されておりますが、大体こういう趣旨を現在も同じようにお考えになっておられますか、どうでございますか。
○岸国務大臣 方向としてはそういうふうに考えております。
○岡田委員 それでは、その条約はどういう条約でございますか、これを明らかに願います。
○岸国務大臣 方向がその通りだと私は申しておるのですが、言葉のなにとして条約という意味はやや正確を欠いておると思います。私の言いたいのは、国際的の話し合いによって、国際的の義務の範囲内においてやっていきたいということを条約という言葉で言っているのでありまして、厳格な意味における条約というものは存在しておらないのであります。
○岡田委員 この部分だけではなくて、大竹平八郎さんの質問に答えた部分においても、「国際条約の範囲内において他の自由主義国と同様な程度までわれわれがこれを促進していく」云々とある。あなたが今まで参議院において言われているのは、ココムの基礎になっているのは国際条約であるという点をはっきりと再三答弁されているのでありますが、この国際条約というものをあなたは今ここでお取り消しになる、こういうふうにこれは解釈してよろしゅうございますか、そうなんでございますか。
○岸国務大臣 厳格な意味における国際条約という意味ではないという意味におきまして取り消します。
○岡田委員 しかし、その場合に、国際的な義務は負わなければならないと今御答弁になりましたが、その点は間違いございませんか。
○岸国務大臣 それは間違いございません。
○岡田委員 国際的な義務というのは、国際法上の権利役務だと思うのですが、それは条約であろうとアグリーメント、いわゆる協定であろうと、あるいはこのチェコのような議定書であろうと、こういう国際的な義務関係を生するものは、憲法の規定に基いて国会の承認を得なければならないと思いますが、このようなアグリーメントはいつ国会の承認をとられましたか。
○岸国務大臣 国会の承認を得るかいなかという問題に関しましては、一つの従来の慣行から申して、いわゆる国際間の話し合いや、それに基いての一つの義務を生ずる根拠になる取りきめの形式に私は関係があると思います。従ってすべてそういうようななには、私は手続をとっておるということは、従来においてもその前例になっておりませんし、そういう厳格な意味における条約ではないという意味において、先ほどの言葉を私は訂正をいたしたわけであります。
○岡田委員 しかし常設機関である国際機関に加盟しておるのだということを先ほど答弁されましたが、常設機関である国際機関に加盟している場合に、国会の承認を得ない、あるいは国際条約でないにしても、国際的な義務関係も生ずるそのような議定書、あるいはそういう条約、アグリーメント、こういうものに対して日本が署名をした場合に、国会の承認を得ないという例があるなら、その例を一つお聞かせ願いたい。
○岸国務大臣 これは各国政府の行政府の申し合せで、実はそういう一つの制度といいますか、できておりまして、従いまして、どこの国もこれに加盟するについて特に国会の承認を得るというような手続はとっておらないと承知いたしております。
○岡田委員 それはちょっとおかしいです。行政的な措置としてとっておられるということなら、国際的な義務関係を行政的な措置としてとっておられるということならば、なおさらこの憲法で規定している——あなたも憲法の特別委員会の委員長をやられたので御存じのはずなのだが、国会は国権の最高の機関であるということが、行政の措置として、国際関係の義務関係として、それが否定されてもいい、こういうことになりますか。
○岸国務大臣 国際慣行として、事実上の協議機関で話し合って協議したところのものを、やかましい意味における法律的の、各国がそれに違反した場合にどうなるのだというようなことは別といたしまして、やはり国際慣行上、私は道義的の信用ある国際国としては、それを守るということは、私は現在における正常なる国際関係のなににおける一つの慣行だと思います。従ってこれは一つの事実上の協議機関であり、その協議機関において申し合せ、その取りきめされたところのものを、これに参加したところの国々が守っていく、またそれを守ることがその国の国際的な信用の基礎を作るところの根拠である、私はかように考えておるのでありまして、従いましてやかましい意味における国際条約であるとか、厳格なる意味からの国際的な条約であるとか、あるいは条約上の義務というふうな考え方とはやや趣きを異にしますけれども、今申したような事実上の協議機関で協議したところのものをわれわれが守っていくという考えに立っておるのであります。
○岡田委員 どうもあまり長くこれでとりたくないのですが、これは重要な点なのです。というのは、先ほどのあなたの御答弁がだんだん変ってきている。いわゆる国際上の義務として制限が加えられている、こういう御答弁と、今言われておるような御答弁とはだいぶ実は変ってきているのですが、国際上の義務があるような、言葉をかえて言うならば日本の主権を制限するような、そういう義務関係を結ぶものならば、国会の承認を得なければならない。その国会の承認を得ておらないのはどういうわけなのだということになると、あなたのお話では、道義的に守っていくのだというようなお話なのですが、逆に言えば、道義的に守っていくのだという程度ならば、日本の国がその制限を守らなくともいいということに、法律上はそういうことになりませんか。そうしてまた先ほど私が質問したように、この制限緩和に対してアメリカが了解しないならば、単独ででもやる権利はあるのだと言っているイギリスの態度というものが正しいのであって、あなた自身の答弁は正しくないのだというように考えざるを得ないじゃないかというのです。
○岸国務大臣 やかましい厳格な法律的のことか言えば、私は法律的の義務がありということは言えないだろうと思うのです。しかし実際問題として、国際の一員としてわれわれが自由主義国の立場をとっておって、それらの国々が数カ国で実際の協議機関を作って、それに入って、そこで話し合って申し合せたところのものを守っていくということは、これはもう私は国際のなにとして一つの正しいやはり問題であり、また同時にいろいろなことを考えて、われわれが行政上——道義的な問題ということになりますと、各般の外交政策や日本の立場というものからも、私は、そういうことをわれわれは法律上の義務はないのだから、われわれは勝手にやるという態度をとることが、日本の外交全体から見て望ましいことであるか、また得策であるかということもまた考えなければならぬと考えるのでありまして、厳格な意味においては法律的の義務ということは言えないけれども、実際上これを守っていくという従来のわれわれのとってきたところの方針は、やはり妥当なものである、かように考えております。
○岡田委員 それでは角度を変えて伺いますが、ココムについては制限品目がいろいろあるわけですが、この制限品目についてこの際これを公表されるというお考えがあるかどうか。ということは、これは国家的には今道義的に政府は守らなければならない、こういうお話ですが、しかしそういう道義的なものにしろ法律的なものにしろ、日本の主権を制限されるわけですから、この主権の制限については、日本国の主権者であるところの国民に対して、あなた方の主権がこのように制限をされておりますということを報告をする義務が政府としては私はあると思う。国際上の取りきめをやった場合には、それは義務があると思うのですが、そういう秘密にされておる制限について公表されるお考えがありますか、どうですか、この点が一点。 第二の点は、国民に対して公表ができないとしても、国会は国権の最高機関でありますから、国会がこれを要求した場合に、これを公表される御意思があるかどうか。その方法としては、公開の席においては困るというならば、秘密会においてでもけっこうでありますが、これを公表される御意思がありますか、いかがでありますか。
○岸国務大臣 このココムの、先ほど申したような各国の取りきめにおきましては、その品目は公表しないという申し合せになっておりまして、各国ともこれを公表いたしておらないのであります。従って私は現在のところこれを秘密にする、公表しないという従来の方針を変える考えはございません。
○岡田委員 国会に対してはどうですか。あなた御承知のように、国会は国権の最高機関である、国政の審議をすることは憲法で明らかに規定されているのですが、それに対してもあなたは公表されないということになると、憲法違反だということになりますが、この点はいかがですか。
○岸国務大臣 これは公表しないという立場をとりますと、私は憲法から申して、先ほどお話のように、国民が主権者であり、その主権者にも公表しないのですから、あらゆる場面において公表しないということになると思います。
○岡田委員 しかしおかしいじゃありませんか。国会法を見ると、国会法の七十四条、七十五条においては、出会が質問の趣意書を内閣に提出した場合には、その趣意書については七日以内に答弁をしなければならない。これは国会法によって政府が負わされた義務であります。それからまた百四条においても、審査のために報告をしなければならないという義務がある。これについてあなたはその内容を報告しないということは、明らかにこれは憲法違反です。それでは国会が最心機関であるという地位を事実上において否定することになるではありませんか。行政上の措置の方が、いわゆる立法機関より上である、憲法よりも国際法が上である、こういうことをあなた自身がお認めになったということになるじゃありませんか。
○岸国務大臣 これは少し詭弁になるかもしれませんけれども、私はやはり国会法で、質問があれば答弁しなければならない、われわれが政府を代表して答弁しなければならないとありますけれども、私はある場合にはそのことは、いろいろな国際上その他からいって、御答弁できませんということも答弁になると思うのです。だから今申したように質問書が出てきた場合において、それはこういうわけでその具体的なことは言えない——言える範囲内においては言うのは当然であります。われわれもそう思いますが、ある場合においてこれは申し上げることができ得ませんということもあり得るし、またそういうことも今までの慣行であるのですから、そういう意味において今の問題は御了承願いたいと思います。
○岡田委員 それでは政府の持っている機密というものは、何によって法律上保障されているのですか。憲法上保障される規定がございますか。国民に対して秘密を守るというような憲法上の保障があるなら、そういうのは何条にあるということをお答え願いたい。私はこの憲法というものは、国民主権の立場に立って国民が主権者である。しかもこの国民の主権者は、国民全体が聞くわけにいかぬから国権の最高機関として国会が設けられている、それによってこの新しい日本の憲法というものが作られているので、その根本がひっくり返されたならば、この憲法自体が全部ひっくり返ったといわざるを得ないのです。行政権が立法機関よりも優位にあるというような何らかの規定があるなら、この中でどこにあるのかということをお話し願いたい。それから政府の行政上の機密を国会に対して出さなくてもいいというような何らかね、憲法上の規定があるならどこにあるか、それを一つ見せていただきたいと思います。
○岸国務大臣 私はこれが行政府の国会に対する責任の問題であり、われわれのやっておることに対して行政府が責任を持って行なっておるある程度の限度というものはあると思うのです。従ってそれに対してもしもそれが不当であり、そういう行政的な行為をしていることまた取りきめをしていることが不当であるということであれば、これは政治的責任の問題であって、私は行政府に立っておるところの者は、各種の判断からこれは公けにしないことが国政上適当であり、妥当であり、それが正しいと思うときにおいてはそのことを公表しない、しかしその公表しないということに対しては私は行政府としてそのことの妥当なりやいなやということの判断については責任を持たなければならぬ、政治上の責任を持つ、こういう問題であろうと思います。
○岡田委員 ややすりかえられた感があるのですが、行政上の責任と国政上の責任というものはやはりはっきりと区別しなければならない。行政上の措置というものは——これは憲法の中に行政上の措置に関する限りは明細な規定があるわけです。その行政上の措置というものは、法律上に規定されている限りにおいてそれが許されるのであって、その法律上の規定がなくしてそういうことが許されるはずはないのであります。ですから、私はこの点についてはもう少しあとで、国際情勢のときに岸総理大臣に御質問しますが、むしろこちらから一つ問題点を提起して御研究を願いたいと思うのですが、これは国内法上の規定が一つあるのですよ。国内法上の規定というのは何かというと、これは外国為替及び外国貿易管理法の規定によって国内的な制限をやろうとしておるわけです。こういう法律を使って制限を加えていく、そういう点で、いわゆる行政権が巧みに国民の主権を制限しようという手を使っておるわけです。こういうところに私は問題があると思う。貿易を制限するという場合にこの法律を使って、しかもそれの法律に基いた政令を使ってやっておるわけです。そういうところから秘密だから守らなければならないといってごまかしをしておるのですが、こういう根本問題について岸総理大臣はアメリカに行く前に一つ根本的に考え直してもらわなくちゃいかぬと思う。岸総理大臣はアメリカへ行ってココムの制限緩和を頼むのだ、頼むのだという卑屈な態度でなく、こういう法律上の基礎があるのだから日本としてはこういう法律をなくしてしまうならば、制限の緩和なんか頼まなくてもどんどんやれるのだ、そういうことが言えるのですよ。この法律に基いた政令によってやっているわけですから、もし日本の国内において義務があるとするならば、この法律を改廃した場合においては、当然そういう制限はなくなってどんどん貿易はできるわけです。この法律をやめた場合にココム制限というような何らそういう制限は受けないのだと思うのだが、その点はいかがでございますか。
○岸国務大臣 われわれ全体として行政府にまかされたその権限内のことは、行政府として当然やらなければならない。またやり得るのです。実際の運びにつきまして法律、政令というものを設けていろいろ処置しておることは御承知の通りでありますが、その範囲内においてやることは、先ほど申したように、私はこれを守っていくことが国際的の道義から見て、日本の外交の全体から見て妥当であるという考えに立つならば、その権限内でまかされておる政令等の運用は当然やっていいものである、かように考えるわけであります。
○岡田委員 まああとの方の質問が迫っておりますので、私はきょうはこの程度にしたいと思うのですが、一つ岸さんに大いに勉強してもらいたいと思うのです。一つは、やはりこれは国連に加盟以前にこのココムの緩和の問題が出ておるわけです。私たち日本の国は国連に加盟したという新しい事態が来ておる。それからもう一つは、日ソの共同宣言を日本が調印して国交回復をした、そういう新しい事態が起っておる。このココムに加入したころは朝鮮戦争のさなかであったわけです。そういう大きな国際情勢の変化があったわけです。そういう点から考えて、日本がココムに入っておることが妥当なのかどうなのか、根本的に考える時期じゃないかというのが私の考え方なのです。そういう点についても根本的にお考えを願いたいと思うのです。というのは、ココムというのは、御承知のようにNATOのいわば関係の機関として加盟しているのは、全部北大西洋条約関係の西欧諸国ばかりです。西欧諸国と関係なしに日本だけがその中に一つ入っておる。こういうことでは、日本の国だけがあの中に入らなければならないというような、そういう事情はないだろうと私は思います。NATOの制限を受けるというような、そういうようなことはないはずなのです、そういう点からも根本的にお考えを願わなければならないと思うので、制限を単に緩和してもらうとか、そういうなまぬるい態度でなくて、根本的にそういうココムに入ったらいいのか、入らなければいいのか、日本の今後のことを考えるならば、その根本問題に返って一つお考えを願いたいということを特にこの機会に伺っておきたいと思うのであります。 大へん時間が迫っておりますから、もっとあるのでありますが、きょうはこの程度にしておきますから、大いにこの次のときまでに勉強しておいてもらいたいと思います。
○岸国務大臣 十分一つ研究をいたしましょう。
○戸叶委員 関連して一点だけ質問したいと思いますが、このポーランドと、それからチェコとの国交回復に対する協定、議定書の中を見ましても、その五条に、近い将来に通商協定なり条約を結ぶということが書いてございます。当然通商協定なりあるいは条約を結ばれると思いますが、同時に考えられますことは、ソ連との間にも通商協定というものが先ごろから折々問題になっておりました。そこでソ連との間にも通商協定なり何なりが考えられると思いますが、そのいずれが先になってもこれは別にどうということはないと思いますけれども、それらの問題に関連して何らかの腹案をお持ちであるかどうかを承わりたいと思います。
○岸国務大臣 私はこれらの国と国交を回復し、国交を正常化して親善関係を深めていくということであれば、当然通商上の関係も、経済関係も深めていかなければなりません。これをスムーズにやるためには、通商協定や、あるいは貿易に関する取りきめ等ができることが望ましいと思っております。従いましていずれが先になるかというようなことにつきましては、また向う側の事情もございますし、私の考えでは、とりあえず国交を正常化して、そうしてこれらの国におのおの在外公館を置いて、向うの経済事情なり、それから各種の事情も正確に把握して、向うの希望等も十分参酌して、日本側の考えも具体化していくということが必要である。今直ちに、これが調印されればすぐ通商協定としてこういうものを持っているというまでの考えにはなっておりません。
○戸叶委員 先ごろのソ連の漁業代表の中に来られた人の個人的な話を聞きましても、貿易を盛んにするためにもやはり通商協定なり何なりが必要だということも私は伺いました。そういう意味からいいましても、当然近いうちに結ばれると思いますが、今の岸総理大臣のお話では、結ぶことは結ぶ、いろいろ研究した上で結ぶというようなお話でございました。近いうちというのは、大体どのくらいのうちに結ばれようとされているのですか。
○岸国務大臣 日ソの間の通商協定というようなことがちらほらといろいろなところで出たことも事実でありますが、私ども正式にそのことについてソ連側の提案とかあるいは意向とかいうものをまだ何も受け取ったものはございませんし、また私の方も経済界やあるいは産業界等の意向も非公式には打診しておりますが、このソ連との間の通商協定の問題に関する意見が相当具体化するという程度には、日本の産業界やあるいは財界等もまだそこまで進んでおらぬと思います。しかし将来この問題については、やはり一面においては日本の経済発展の上から申しましても、相互の国の産業経済の振興の上からいっても望ましいことでありますから、私は今いつごろということをはっきり申し上げることはできませんけれども、いろいろなデータを集め、また意向を打診しながらその機運を促進して参りたい、かように考えております。
○野田委員長 穗積七郎君。
○穗積委員 私は当分この委員会に欠席いたしますから、岸総理にこの際ごく簡潔に、アメリカを訪問されますことに関連してお尋ねしておきたいと思うのです。今度の訪問は総理としての御訪問でございまして、しかもこちらの申し入れによる御訪問でございますから、ディテールについてはまだ十分な準備はできていないかと思いますけれども、大体この構想をおきめになりましたときに、すでに内容については、岸総理の、同時に外務大臣としての腹もおありになろうと思うので、この際問題点だけでも明らかにしておいていただきたいと思います。
○岸国務大臣 過日社会党の鈴木委員長とお目にかかった際に、実は私の訪米が大体決定したこともお話をいたしまして、ついては総理が出発前に国会を通じてその所信を明らかにし、われわれの考えも述べるということにしたいと思うが、総理はどう思っているかというお話がございまして、私はそれはぜひやりたいので、適当な時期に必ず私は責任をもってやるつもりだということを実は申しております。本日あなた方は中国においでになりますが、お帰りになりましたら、それを十分申し上げる機会が私はあると思いますし、またそれに対していろいろな御質問なりあるいは御論議を拝聴する機会があると思います。きょうはまだ申し上げることは適当でない、かように思います。
○穗積委員 実は私も国会対策に関係いたしておりますが、鈴木委員長があなたに申し上げたのは、今あなたがお受け取りになったような意味では必ずしもないのです。というのは、総理がアメリカを訪問されることは事重要であるから、本会議を通じて一度国民にその所信を明らかにしてお立ちになったらどうか、いわばあなたの壮行会みたいなものという意味で、本会議における説明と質問をやったらどうかということであって、それだけに限る、それまでは所信を明らかにしない、考え方を明らかにしないことにいたしましょう、それから以後やりましょう、それはそのときだけやりましょうという意味で本会議における所信表明の申し入れをしたわけではございません。従って私が申し上げるのは、先ほど言ったように、こまかいディテールについては事前のサウンドも必要でございましょうし、またこちらの構想も、情勢を判断してこまかい点についても難を練ることも必要でありましょうが、それを私は一々要求しているのではなくて、少くとも訪問を決意されたそのときにすでに何らかの問題点は持って、その必要から訪問されるわけでございましょうから、そういうごくアウトラインについて私は今日あなたの腹の中にできている点をお尋ねするわけですから、どうぞお逃げにならないで逐次発表していただいたらよかろうかと思うのです。いかがでしょう。
○岸国務大臣 私の訪米の基本的の考えにつきましては、予算委員会その他におきまして私ははっきり申し述べております。それからさらに各種の準備を整えて、私が訪米する前に適当な機会を持って、国会を通じてこの所信を明らかにし、またこれに対しての質疑や、あるいは野党としてのお考えというものを聞く機会を十分に持つということが適当であるという考えに立っております。従って私がかねて予算委員会等において申し述べました基本的な考え方以上に、今日どういう問題と、どういう問題と、どういう問題を取り上げて話すかというような点につきましては、まだ申し上げることは適当でないと思いますので、今お答え申し上げましたような趣旨において御了承願います。
○穗積委員 それではこちらからお尋ねいたしましょう。すでに先ほど岡田君からもお話があり、さらにあなたが総理になられてから当委員会でもそういうことをおっしゃいましたが、ココムの緩和の問題です。これは当然お話をなさると思うのです。そこでお尋ねいたしますが、一月にアメリカが、ココム加盟各国に対しまして、ココムをもう少し強化したらどうかと思うがどうかという質問の形式で各国に通達を口頭または文書をもってした。その後各国から大体アメリカに対する回答が行われたとわれわれは推測いたしておりますが、その回答されました内容について外務省は当然正確な情報をお取りになっているべきはずでございますが、大体の傾向、ココムを強化するか緩和するかということに対するアメリカ以外の加盟各国の最近の態度について明らかにしていただきたい。
○岸国務大臣 正確なことは実は申し上げかねますけれども、傾向としては、従来われわれが接しており、またいろいろ意見の交換をいたしております加盟国の多数の国々の意向は、アメリカの意向とはむしろ逆でありまして、緩和の方向を希望しておる国々が多いと思います。ただアメリカにどういう回答をしたかという内容につきましては、私どもうかがい知ることができませんけれども、大体傾向としてはそう申して差しつかえなかろうと思います。
○穗積委員 それは何ら秘密にする必要はないと私は思うのです。何も秘密文書を盗んでわれわれが国会において発表するわけではないのであって、何もここで外国の秘密でない文書を秘密であるかのごとく守られる必要はないというふうにわれわれは思う。私どもの知り得ているところでは、大体各国ともココムの不合理性についてはむしろ婉曲ではありましょうけれども、相当強い底に流れる反対の意思表示が行われておる。それが盛り上って積み重ねの結果バーミューダ会談にもなっておると思うのです。従って情勢としては非常にわれわれだけが無理をしてココムから離れようとし、またはココムを何といいますか孤立して反対しているというのではなくて、このこと自身がもう国際的に戦争を前提としない以上は、または将来の国際情勢判断に対して戦争の可能性を希望し、または推測していない以上は、非常に不合理なものであるということが、このいきさつを通じて国際的に今日明瞭にされてきていると思うのです。従って日本としては西欧諸国以上にこのココム、チンコムの制限というものから受けます。経済的不利益というものは御承知の通りでございますから、従って今度のアメリカ訪問においては十分あなたは成果を持って帰られるべきである、私どもはそういう期待と判断をしておるわけですが、総理の御決意を一つ伺っておきたいと思うのです。
○岸国務大臣 各国の意向につきましては今お話がありましたが、これはアメリカとそれぞれの国々が話し合っていることでありまして、その返事というものについては私ども正確にはつかみ得ない。ただ傾向としては大体あなたの持っておいでになる情報と、われわれが考えておる、もしくはわれわれのところの持っておる情報とも方向においては大体一致しておると思うのです。そこでそういう機運にありますから、従って今アメリカにおいていろいろな問題を話す場合においてこの問題に触れる場合におきましては、今言うように決して日本だけが日本だけの特殊の事情でこういうことを言っておるということでなしにこの問題を扱うことは、私は相当であると思うのです。ただそれから先はいろいろな面におきましてどの程度に、どういうふうになるかという具体的の見通しは、まだ今日持つことは早いと思いますけれども、努力は十分いたすつもりであります。
○穗積委員 私の判断では、この問題はココムの会議が開かれることが一つの山だと思うのです。そうすれば、おそらくはアメリカとしてはやぶへびになったわけですが、一月以来の各国に対する質問の形式によるココム強化の通告というものが逆な結果を促進してきた、こういうふうに思うのですね。その収穫を得るのは、やはり総理がアメリカへ行って個別に話されることもけっこうでしょう、またはイギリス、フランス、ドイツ等とも連携をとって話されることもけっこうでしょう。しかしその収穫を得るものは、やはりココムの会議を一ぺん正式に開くことをめどとしてわれわれは判断をしなければならない。ココムの会議が最近において開かれることになれば、各国はおそらくは口をそろえてこの緩和の方向へ会議を持っていくだろうと思う。そういうことでありますから、そういう判断に立つといたすならば、日本側としてはあなたの訪問またはその前後を通じてココムの会議の正式な開催というものを要望すべきだと思うが、政府としてはどういうお考えでございますか、そのことについてお考えを伺っておきたい。
○岸国務大臣 お話のように最後の決定はパリに設けられておる委員会において、参加国の間において話し合って取りきめるということになると思います。そうして傾向としては、私どもの推察によりましても大体アメリカを除く他の国々は緩和の方向に考えておる、こう見られるわけでありますから、この問題を特に取り上げてこの委員会を開くというようなことは私は望ましいことであると思います。ただ問題はそれのタイミングをどうするかという判断であります。やはりわれわれがそういうことをやって十分に成果が上るという一つの見通しを立てて開催を要求するということにする必要があると思いますから、そういう意味のタイミングをきめる意味におきましても、私の訪米ということを一つのチャンスに考えておる、こういうことです。
○穗積委員 了解いたしました。そこで続いてお尋ねいたしますが、そうなりますと、すでに政府はココムの問題の交渉または促進とは別個に、それをも含んで中華人民共和国との貿易拡大ということは政策としてすでにお取り上げになっておるのです。そこで一方、直接中国との関係において貿易拡大に非常に必要であるのは、民間協定における代表部設置並びに決済協定に対して政府がどういう理解と支持を与えるかということが問題になる。やがてこれを政府間協定に取り・上げるということが問題になると思います。この問題についてはもうこの前、第四次協定の交渉を前にして民間代表部の設置並びに銀行間における決済協定の成立については、積極的な協力をしたいという御答弁がございましたから、きょうはその問題に触れません。 そこでもう一つ私はあなたにお尋ねいたしたいのは、そういう決意を中国貿易に対してお持ちになっておられるとするならば、次に業務的なことでございますが非常に重要な意味を持つのは両国間の郵便の問題でございます。この協定なるものは政府間でお結びになりましても、必ずしも相手国政権を承認する、または国交回復を予約するものとは別個なものであるという外務省の解釈でございますから、従って貿易促進という業務的な立場に立って郵便に関する業務的な政府間協定を結ぶことを御研究になるべき時期にきたと私は思いますが、総理のお考えはいかがであるか、伺っておきたいと思います。
○岸国務大臣 この問題は純技術的な問題としてわれわれ取り上げて、すでにジュネーヴにおけるわが総領事から向うの総領事へそういう申し入れをいたして交渉をいたしておるのでありますが、まだ中国側の方からこれに対する具体的な返事がないという状況でございます。
○穗積委員 続いてもう一つ外務大臣自身のお考えを伺っておきたいのだが、この前もちょっと私申し上げたのですが、昨年の六月初めから、和達気象庁長官の努力によって、両国間において気象情報の交換がもうすでに完全に近いほど行われているわけです。そのときには、和達さんは政府の機関ではありますけれども、政府機関としての公文書でなくて、プライベート・レターの形式で実は気象交換に関する両国の文書の往復がございます。これは御承知の通りだと思う。そうでありますならば、これもはなはだ業務的なことであって政治性から遠いことでございますから、今アメリカや台湾政府との関係においてわれわれと違った考え方や立場をとっておられる現在の保守党内閣においても、これまた私はきちっとしたものにされて何ら差しつかえないというふうに思うのですが、総理のお考えはいかがでございましょうか。
○岸国務大臣 気象の情報交換の問題は、今お話のように政府間の何でなしに話ができておりまして、支障なく行われておるというのが現状だと思います。従いまして、特にそれを取り上げて政府間の取りきめにしなければいかぬとも考えておりませんが、しかしどうしても政府間の取りきめにしろというような情勢になってきて、さっきのような純技術的な問題として別個に考えることは差しつかえないと思いますけれども、現在やられておることでも支障なくこれができておるということですから、特に今われわれとしてこれを取り上げて政府間のレベルに持ってこようという考えは持っておりません。
○穗積委員 先方も気象台で政府機関であり、こちらの気象庁も政府機関になっております。そこで今までの過去一年近くの実績にかんがみて向う側の強い要望によってこの際これをちゃんとした政府間の業務協定にしておきたい、すなわち向うが気象台、こちらもおそらくは気象庁との間の取りきめになろうかと思うが、そういうものを要望されたときには、これを拒否はされないでしょうね。
○岸国務大臣 今申し上げたように、私は性質上そういうことをしていかぬというような考え方は持っておらない。従って、拒否するという意思はございませんが、実際上今ので差しつかえなければ、特にそういうことをする必要もないじゃないかという考えは持っております。けれども、別に他にこだわって拒否するという考えは持っておりません。
○穗積委員 実は私は沖縄の問題、それから日本の防衛計画、それからアメリカとの間における不平等軍事的な条約、すなわち安保条約の改廃の問題等々、もう少しお伺いいたしたい予定でございましたが、きょうは時間が迫ってきたようですから割愛いたします。そこでただ一点だけお尋ねいたしておきたいのは、アメリカに参られましたときに、われわれが最も心配いたしておりますことは、日本とアメリカとの条約関係を対等なものにしたいといったときに、その条件として私は二つの重要なものが、重光さんの話し合いのときの経験から見ましても明瞭に予測できる。一つは日本の軍事体制の強化の内容について、一つは憲法改正を伴う外地派兵の体制を作るということ、この二つです。このことは言うまでもなく、SEATOなりあるいはNEATOなりに日本が参加することを、向うで期待の形式で強く要望されることだと思うのです。そこで防衛計画については、これはまたあらためてお尋ねいたしたいと思いますが、お立ちになる前にただ一点この際伺っておきたいのは、あとは列挙して一ぺんにお尋ねいたしますから、問題別にお答えをいただきたい。 第一点は、日本に誘導弾その他の原子兵器の持ち込み、並びに基地の設定、アメリカ原爆基地の設定の要望に対しては、これは当然拒否すべきものであると考えますが、念のためにそれを伺っておきます。 第二点は、外地出兵の道を開くような憲法改正の要望に対して、与党が持っておられる憲法改正の内容と同じものであるのかどうか。それを伺っておきたい。 第三点には、あなたはこの間の鈴木委員長との会談において、選挙法の問題につきまして、人口の比率がだいぶ変動しておるから、これを均衡化する、地ならしするために選挙法の改正に一つ手をつけたいと思うというお話もあったようです。そこで私は一連としてお伺いいたしたいのは、日本の再軍備の内容について、原子基地または原子兵器の内容。それからその次に憲法改正の内容。あなた方がお考えになっておられるアメリカとの関係における憲法改正の内容。それから第三点は、今の選挙法改正のお考えの中に、手づけの初めは、人口別による定員制の不均衡を地ならしするという名目によって、かつてあなたが幹事長当時にお考えになりました小選挙区制をもう一ぺん提案されるおつもりがあるかないか。その三点をこの際一括してお尋ねいたしますから、再質問しないで済むように明確にお答えをいただいておきたいと思います。
○岸国務大臣 原爆基地を日本に設けるという問題につきましては、私かねて申し上げておる通り、そういう提案がもし万一あるとしても、私はこれははっきりとお断わりをする考えであります。それは今回のことのみならず、すでに国会において私の考えは明らかにした通りであります。 それから外地派兵についての問題でありますが、これは今の憲法においてできないことは言うを待ちません。それから憲法改正の問題は、これは憲法調査会において十分に審議されなければならぬ問題でありますが、私自身、もしくは従来自民党で考えておる基本の考え方は、言うまでもなく自主憲法という考えでありまして、アメリカから指示されるとか、アメリカからこうしろというような意味において憲法を改正すべきものでないことは言うを待たないのでありまして、むしろ今の憲法を再検討して自主憲法を作るということ自体が、現在の憲法ができる沿革からいって、むしろ日本の自主的な国民の意思に基いておらないというところに何があるわけでありますから、従いましていかなる意味におきましてもアメリカにおいて私は憲法改正を約束したり、あるいは憲法改正の方向についてアメリカの考えを受けるということは、絶対にいたさないつもりであります。 選挙法の問題につきましては、先日、今人口が非常な不平等になっており、そしてあの法律から言うと、当然五年ごとに再検討して、最近の国勢調査に基いて実情に合うところの附表にするということになっておるにもかかわらず、今日までほうっておられる、どうしてもこれは手をつけなければならない、それについてはむしろ超党派的に一つ考えようじゃないかという話をいたしたのであります。小選挙区の問題は、実はその際にも申し述べたのでありますが、これは私は従来非常に誤まり伝えられておりますけれども、二大政党論者であり、二大政党というものをほんとうに健全に育て上げて、そして二大政党が互いに交互に政権を担当して、そして国運の隆昌をはかっていくという民主政治の根本から言うと、一人一区の小選挙区が正しい、また最も適当な選挙制度であると私は信じておるのです。しかしそれをやる上におきまして、実際の国情、それから理論はその通りであるけれども、区制をいかにきめるかという問題につきましては、非常に困難があることは御承知の通りであります。この考えは、いかにして公平、妥当なる区制が設けられるか、またいろいろな意味から言って、一人一区を原則とするけれども、例外をどの程度に作るかというふうな実情との間の調整という政治的考慮、こういう問題がありまして、非常に困難な問題であるけれども、私は理論的に言うならば、あくまでも小選挙区制というものが二大政党下においては望ましい選挙区制であるという考えは、一貫して持っておる。しかし今選挙法の具体的の人口のアンバランスを、どういうふうにそれを合うようにするかという問題とこれをからましてどうするという考え方は持っておりませんけれども、しかしそれを論じていく場合において、そういう小選挙区制の問題も、自然話に出ることは私は当然であろうと思う。これを社会党が従来言われているように、憲法改正のための三分の二をとるための野望を蔵しておるものであるというふうな見解は間違っておるので、冷静にお互いの政党が二大政党を現実に発展せしめ、国民政党として互いに政権を担当上合っていくという民主政治の完成のためには、この制度が望ましいという考えを持っております。
○穗積委員 お出しになるおつもりですか。附表改正のときに小選挙区制を案としてお出しになるつもりですか。
○岸国務大臣 それは先ほど申したように、今具体的に問題になっているのはその問題ではないのであります。従ってそれと今の区制の人口のアンバランスを調整するということは必然の関係はない問題であるけれども、今言ったような問題が議論にはなる。私は当然それに引きつけて小選挙区制を出そうというようなことは考えておりませんけれども、そういう問題も議論になるし、小選挙区制に対する私の信念のことを申し上げたわけであります。
○野田委員長 岸総理大臣兼外務大臣の御都合がありますので、この際十分間休憩いたします。 午後零時十二分休憩 ————◇————— 午後零時四十六分開議
○野田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を継続いたします。松本七郎君。
○松本(七)委員 今までの質疑応答で、今後。ポーランド、チェコと国交回復した後に、通商あるいは文化その他で親善友好の関係を増進していかなければならぬわけですけれども、その場合に、特に非常に大きな変化を来たしつつある。ポーランドなりチェコの各分野にわたった事情を十分よく把握し、これを理解するということが、一つの大事な点であるということははっきりしたと思います。それからもう一つ一は、今後そのような関係を深めるのに司それか現在の世界の情勢からして日本として最も留意しなければならない点は、やはり経済ばかりではございませんけれども、日本の自主性、自立性という点に今後留意していかなければならないのじゃないか。そういう観点からココムの問題も私どもは大きな関心を持って政府がどのようにこれと取り組もうとしておるか注目しておるところなのですけれども、それと、直接の関係はございませんけれども、日本の経済の自立性ということから、私どもが一つ注目しておる動きは、アメリカの世界銀行の最近の動向なのです。御承知のように、すでに第二回目の調査団が来ておりますし、それから聞くところによると、五月早々には世界銀行の総裁が再び調査に来るようでございます。私どもが各方面で調べたところによると、今度の調査は非常に大々的な調査をやるといわれておるのです。これは果して日本側から特定の借款を申し入れて、その借款を中心に調査に来るのか、あるいはばく然と広い範囲にわたって事情を調べに来るのか、その辺の事情がよくわかりませんので、御説明願いたい。
○岸国務大臣 世銀の総裁は、大体五月の五日にこっちへ到着をいたしまして、五月十二日まで日本にいるという予定になっているようであります。その目的は、具体的の借款に対する調査ではなくして、一般的の調査の目的をもって来るということになっております。
○松本(七)委員 そうすると、それは世銀側からその必要を認めて来日するのでしょうか、日本側からそれを要請したのでしょうか。
○岸国務大臣 世銀側からそういう必要を認めて来るわけです。
○松本(七)委員 その調査は全産業というか、すみずみにまでわたった非常な精密な調査を希望しているというが、そうでございますか。
○岸国務大臣 先ほど申したような滞在日数でもありますし、もちろんすみずみにわたった詳細なる調査ということは——いろいろな調査のできているものをもらっていくというようなことはありましょうけれども、今度来るなにとしては、日本の産業経済の各般のなにに対する一般の調査と、かように心得ております。
○松本(七)委員 そうすると、期間の関係からも向うとしては調査資料の提出を広範囲にわたって求めてくるだろうと思うのですが、その準備はできておるのでしょうか。
○岸国務大臣 関係の経済団体等とも連絡をとりまして、これらの経済界の重要なる人といろいろ会談するような何もありますし、また準備のできるものはそれぞれの団体とも連絡をとって一般的事情のわかるようなものは準備しておると思います。
○松本(七)委員 何か特に日本として借款を申し入れたい、それについてそれの範囲内で必要な調査資料を求められた場合にはこれは準備するのが当然だと思いますが、一般的な調査を、しかも世銀側でやりたい、日本から要請したのでなくやりたい、そういう場合にありとあらゆる向うの要求する必要資料を、日本政府で提供しなければならぬ義務がありますでしょうか。
○岸国務大臣 私はそんな義務はないと思います。ただ日本としては日本の経済産業の状況の大体のことのわかるような資料は役所としても持っておりますし、また関係の経済団体においてもそれぞれの資料は持っております。そういうものをできるだけ示して、そうして日本の経済産業界の一般の事情、また百品木の将来についての見通し等について基礎的の判断を誤まらないようにしておくことが、将来日本が世銀を利用する場合において役立つことであると私は考えておりますので、できるだけのことは便宜をはかりたい。しかし義務として何かわれわれが出さなければならぬというようなことは考えておりません。
○松本(七)委員 資料を提出するには調査項目というか、どういう事項を今度目的にして来るかということが明らかにならなければ、資料の準備もできないと思うのですが、向うからすでにそれは言ってきておるのでしょうか。もしその調査事項が事務当局でおわかりでしたらお聞かせ願いたい。
○佐藤(健)政府委員 別に調査事項は、先ほど大臣から申し上げましたように一般的な調査でございますので、これこれの資料をくれということは向うから何ら申し出てきておりません。
○松本(七)委員 それから経済的な諸外国の情報調査をもう少し総合的にどこかで統合してやる必要はないか。外務省は外務省でやっておる、大蔵省でもやっておる、企画庁でもやっておる、調査がダブっておる場合もあるし、そこに各省の関連が非常に薄いように思うのですが、何かこういうふうに非常に世界的な規模になってきた場合に、これらの外国の事情の調査というものがもう少し統合的にやられる必要を感じられないか、それを感じられておられるならば、今後何か改革されるお気持を持っておられるか、それを一つ承わっておきたい。
○岸国務大臣 一般的な外国の事情、特に経済事情につきましては、われわれの在外公館等を動員してやるということになっております。従って従来の外交官としてのキャリアを持ったものだけではなしに、あるいは通産省の関係であるとか農林省の関係であるとか、あるいは大蔵省の関係の人々もこれらの在外公館には配置してありまして、広く第一次的の資料を集めるのはこれらの外務省の関係機関を通じて集める。それをさらにいろいろなところへ、もちろん関係の方面には日本にその情報を得た上におきまして、企画庁や大蔵省その他の何にも出しております。それから特に特殊の問題を取り上げて調査するとか、あるいは資料を集めるというような場合におきましては、それぞれの問題をあげてやらなければならぬと思いますが、一般的なことは今申したような機構で集めておりまして、これは強化する必要はもちろんございますが特にその機構を変えてどうするというのではなくして、むしろこれを強化していくという必要を私は感じております。
○松本(七)委員 それは世銀の調査にしても、外務省の方は一般的なばく然とした調査だ。しかし大蔵省の方でもこれはむしろ深い関係があるでしょう。そうすると大蔵省の方では相当詳細な調査項目というものをすでにもらって、そしてその準備をしておるのじゃないですか。そういう点はどうなのですか。
○佐藤(健)政府委員 御指摘の通り、日本の大蔵大臣が世銀の理事になっておりますので、ブラック総裁が参りましたときにおもたる関係は大蔵省が世銀の理事の一員としていろいろ世話をやる、こういう関係になっておりますが、これの今御指摘になりましたいろいろな連絡方法につきましては、あらかじめ外務省にも連絡がございましたけれども、世銀の方からの回答といたしましては、特定な調査をやるのでなく、前のガーナーという副総裁も日本に来て一般の事情を見て帰ったので、そういう関係でこのブラック総裁も一応日本の経済を見ていきたい、こういうことを申して参ったわけでございます。従いまして先ほど大臣が申し上げましたように特定のこれこれの事業、これこれの部門について特別に調査するということではないのでございまして、ブラック総裁が来ましたときにあるいは経済関係閣僚ともお会いし、また日本の経済界のおもだった方にも会いたい、こういうことを申してきているわけでございます。従いまして何をどうするというために特別の会議はないというふうに私承知しております。
○松本(七)委員 そういう特定の目標はなくて、一般的な日本の経済状態だといっても、その調査のやり方というか、今度は非常に詳細らしいのですね。各産業の生産量、そういうものまで詳細に向うは調べたいと言っているらしいのです。ですから外務大臣としてもこれはもちろん必要なことなのですけれども、まして総理を兼ねておられるのですから、大蔵省がどういう準備をしておるのか、それから世銀側はどういった——われわれの判断では、今までに得た情報によると、まるで日本の産業をまる裸にするような徹底的な調査をやろうとしておるのです。だからそういう調査を向うから希望してやろうという場合に、その要求する資料を全部日本がそろえてやるということになれば、これは私は日本の経済の自立性——従属性を脱却しなければならぬ今日非常な問題だと思う。そういう観点から特に御質問もしておるし、それから総理大臣がどの程度それをつかんでおられるかということは非常に大事な点なのです。総理としてもこれは特にもう少し突っ込んだ調査を一つやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
○岸国務大臣 外務省としては今お答えしたような連絡になっておりますが、もちろん大蔵大臣その他の何につきましても、どういう目的でどういう調査項目を持っておるか等につきましても、全体としてさらに検討をいたしてみたいと思います。
○岡田委員 ちょっと今のに関連して。さっきのは大蔵省では調査項目を出しているのですよ。外務省がそれを知らないという話はないと思う。しかもその調査項目は今松本氏の言われたように、生産量に至るまで、のみならず国鉄、電力、道路、港湾、こういうことに至るまでの調査項目なのですよ。そのほかもたくさん今松本氏が言われるだろうと思うが、そういうような膨大な調査というものを、一週間やそこらで調査するなら大したことないだろうというような、先ほどの御答弁とはだいぶ食い違うのじゃないか、そういう点が一つ。 もう一点は、総理大臣としては御存じなかったというのじゃなくて、総理大臣も十分御存じなのじゃないか、そういうような膨大な調査について単に大蔵大臣だけでやっているのではなくて、やはり経済閣僚会議かそういうところで、ある程度の話し合いが出た上で、こういう活が進められているのではないかと思われる節が実はあるのですが、こういうような点はどうなのです。 それから第三点は、ブラック総裁が来たときに、日本政府としては何かそれに対する借款を申し出るというような考え方が現在おありなのかどうか、この三点について伺っておきたい。
○岸国務大臣 調査項目につきましては、先ほど松木君の御質問に対して申し上げたように、私よく詳しく具体的に承知いたしておりませんので、これを大蔵大臣等々にも話しまして検討したいと思います。 それからこの問題についての資料等の提出につきまして、関係経済大臣の関係する面において話し合って、これに対する何をきめておるという事実はございません。 それから最後にブラック世銀総裁が参りました際に、日本国政府として具体的の借款を申し入れるような準備もいたしておりませんし、そういう意図もございません。
○野田委員長 これにて両件に関する質疑は終了いたしました。 これより討論に入ります。松本君。
○松本(七)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、日本国とポーランド人民共和国との間の国交回復に関する協定と、日本国とチェッコスロヴァキア共和国との間の国交回復に関する議定書に賛成の意見を簡単に述べたいと思います。 鳩山内閣以来の自由民主党内閣が、日ソ国交回復を契機にいたしまして、岸内閣においても共産圏の諸国と広く門を開いていこう、そういう政策をとられておることについては、社会党としても満腔の敬意とできるだけの及ばずながらの御支援をしてきたわけであります。日ソ国交回復の問題のころから東欧諸国との国交回復についても、私どもはできるだけ早くこれをなすべきことを要求もし、質問もして参ったのですが、今日ここに両国との国交回復の議定書なり協定なりが審議の対象になったことは、非常に喜ばしいことでございます。もうわざわざ討論するまでもなく、自民党とともに私どもも賛成するのでございますけれども、非常に大きな意味を持っておりますので、特に相手国であるチェッコスロヴァキア及びポーランドに敬意を表する意味もあり、また私どもの考えるこの両国との国交回復が、今後どのような意義を持つかということもここに明らかにする必要を感じまして特に討論をする次第であります。 希望としましては、私どもは国交回復した後に、政府がほんとうに友好親善の関係を増進するという建前から、積極的な努力をしていただきたい。そのためにはさしあたり大公使の交換も可及的すみやかにおくれないようにやっていただくことを特に要望いたしておきます。 それから将来両国との親善ばかりでなしに、さらに未回復の国との国交回復をやり、ほんとうに世界の平和に貢献するためには、各国孤立した大使が、その国だけのことを知ればいいというような状態では、世界の情勢におくれると思う。これから特に社会主義圏の国といわれておる国々は、すでに経済的にも協業分業の時代に入っておるとさえいわれておるわけであります。そういうわけですから、新しく赴任される大公使は、その国の事情だけでなしに、日本から各国に駐在しておる大公使との連絡を密にしてこれら新しく国交回復した国の実情を的確に把握して、お互いに情報の交換を密接にやるというふうに運営していただきたいのであります。 私どもはこの両国との国交回復ができるということは、日ソの国交回復に次ぐというか、また違った意味で特に社会党としてはこの意義を感じております。それはどういう点かと申しますと、昨年の二月のソ連の共産党二十回大会以後、ソ連自身も非常に変ってきておりますけれども、その影響するところは、東欧諸国にきわめて大きく現われておるわけでございます。ハンガリーの動乱の原因その他については、いろいろ議論もございますけれども、その議論は別として、東欧諸国自体がこれから大きく変るであろうと思います。その場合に特に東欧の中でも、ユーゴスラビアとそれ以外の東欧社会主義国との関係が、従来とはまた変って大いに飛躍発展するであろう。その間にわれわれが見のがすことのできませんのは、中華人民共和国と今度はユーゴとの関係が今後深くなろうとしておる。こういう点から、私どもは今後の世界におけるいわゆる社会主義国と共産圏の諸国というものが、非常に交流が密接になり、関係が深まっていくであろう。いわば世界的に社会主義体制というものが、急激に広がっていくと同時に、社会主義のあり方というものが非常に従来とは変った面が出てくるだろうと思います。 そういう意味でこの敗戦のうき目を見、そして新たに東南アジア諸国、それから進んではアフリカ諸国とも提携していかなければならぬという、大きな任務を持っておる日本といたしまして、日本の行き方に一つの大きな示唆になるものを、これらの諸国は与えてくれるのであろうと思うのであります。そういう意味でこの両国との国交回復は、ただ今まで国交がなかった国に、新しく国交が開かれたというだけでなしに、私どもは大きな意味を感ずるのでございます。それだけに現政府がこれを開いたということに敬意を表すると同時に、これを有意義ならしめる努力を一そう政府においてもやっていただきたいことを特に最後に嘱望いたしまして、賛成の討論といたす次第でございます。(拍手)
○野田委員長 これにて討論は終結いたしました。これより採決いたします。 日本国とチェッコスロヴァキア共和国との間の国交回復に関する議定書の批准について承認を求めるの件、日本国とポーランド人民共和国との間の国交回復にかんする協定の批准について承認を求めるの件を、それぞれ承認すべきものと議決するに御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野田委員長 御異議なしと認めます。よって両件は承認することに決しました。 なお両件に関する報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野田委員長 御異議がなければさように決定いたします。 —————————————
○野田委員長 日本国とノールウェーとの間の通商航海条約の批准について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定の改正に関する諸議定書の受諾について承認を求めるの件、貿易協力機関に関する協定の受諾について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約の補足議定書の締結について承認を求めるの件、千九百二十四年八月二十五自にブラッセルで署名された船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約の批准について承認を求めるの件、以上各件を一括議題といたします。 政府側より提案理由の説明を求めます。井上外政務次官。
○井上(清)政府委員 ただいま議題となりました日本国とノールウェーとの間の通商航海条約の批准について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 わが国とノールウェーとの間の通商航海関係は、戦前におきましては、明治四十四年六月十六日に署名されました通商航海条約及び特別相互関税条約によって規律されておったのでありますが、ノールウェーは、昭和二十七年十月、サンフランシスコ平和条約第七条の規定によってこの条約を復活させる意向はなく、これにかわる新条約の締結を希望すると言って参りました。従いまして、戦後における両国の通商航海関係は、サンフランシスコ平和条約第十二条の規定によって規律されて参った次第であります。 しかしながら、平和条約第十二条の規定は、御承知のように、同条約の効力発生後四年間となっておりますので、両国間で昭和二十八年十二月から新しい通商航海条約案の検討を開始したわけでありますが、ようやく本年二月中旬に至り、わが国の主張を十分に取り入れた条約案の妥結を見ましたので、条文、字句の整理を施した上、二月二十八日に本外務大臣とランゲ・ノールウェー外務大臣との間に署名調印を了した次第であります。 わが国とノールウェーとの間の通商航海関係は、この条約によりまして初めて安定した基礎の上に置かれることとなるわけでありまして、両国間の友好関係及び両国民の間の一そう緊密な経済交流に資するところが大きいと認められますのみならず、この条約の締結が、現在なお交渉の途上にある他の諸国との通商航海条約の締結交渉にも好影響を与えることとなると考えられますので、ここにこの条約の批准について御承認を求める次第であります。 慎重御審議の上、本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。 次に関税及び貿易に関する一般協定一の改正に関する諸議定書の受諾について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 ガットは、国際通商の分野における代表的な国際協定として一九四八年に発足したのでありますが、その後の国際経済情勢の進展にかんがみ、これを全面的に再検討する必要が認められましたので、一九五四年末ジュネーヴにおいて開催された第九回ガット締約国団会議においてガットの規約改正の討議が行われ、その結果、一九五五年三月十日に至り、ガットの改正に関する諸議定書、すなわち、ガット第一部、第二十九条及び第三十条改正議定書、ガット前文、第二部及び第三部改正議定書並びにガットの機構上の改正に関する議定書が作成されたのであります。 これらの議定書は、国際収支上の理由に基く数量制限の緩和、輸出補助金の撤廃等、通商障壁の除去を目的とする改正を行うものであり、また貿易協力機関の成立に伴い必要とされるガットの技術的修正を行うものであります。 わが国がこれらの改正諸議定書を受諾すれば、通商障壁の軽減についての義務を負うことになり、いわゆる貿易自由化の方向に進むことが要請されるのでありますが、改正ガットの趣旨は、国内産業に急激な打撃を与えることなく漸進的に通商上の保護措置の減少をはかることにあり、国内生産者保護の道は保障されております。他面、輸出貿易に依存するわが国としては、改正ガットに基く各国の通商障壁の撤廃によって益するところはなはだ大であると認められますので、ガットの改正者議定書を受諾することは、きわめて有益な措置であると考える次第であります。 よって政府は、これらの改正諸議定書の受諾について御承認を求める次第であります。右の事情を了承せられ、何とぞ慎重御審議の上本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。 次貿易協力機関に関する協定の受諾について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 ガットは、現在事実上設けられている総会、会期間委員会及び事務局により運用されており、その運用に関して明確な規定を欠いております。一九五四年末ジュネーヴで開催されたガット第九回締約国団会議においてガットの規約改正か討議された際、あわせてこの問題が取り上げられ、その結果、一九五五年三月十日にこの貿易協力機関に関する協定が作成されたのであります。 この協定により設立される貿易協力機関は、ガットの運用を主目的とする国際機関でありまして、その成立の暁は、前記のガット締約国団会議、今期間委員会及び事務局は、それぞれ機関の総会、執行委員会及び事務局に引き継がれるものであります。ガットの締約国であるわが国としては、ガットの運用に当り、かつ国際通商の分野における恒久機関として発足を予定されているこの機関に参加することはきわめて有益な措置であると考える次第であります。 よって政府は、この協定の受諾について御承認を求める次第であります。右の事情を了承せられ、御審議の上本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。 次に所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約の補足議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 御承知のように、わが国とアメリカ合衆国との間には、昭和二十九年四月にワシントンで署名された所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための条約、いわゆる日米所得税条約がございまして、両国間の経済活動及び人的交流の円滑化をはかっているのでありますが、このたび、日本輸出入銀行及びワシントン輸出入銀行がそれぞれ相手国内の源泉から取得する貸付金または投資の利子に対しまして、その相手国における課税を免除することとするため、右の条約を補足する議定書を締結することといたしたい次第であります。もちろん現状におきましては、日本輸出入銀行はアメリカに対して投資を行なっておらず、ワシントン輸出入銀行が主としてわが国の電力会社に対して火力発電用設備資金として借款を供与している状態でありますが、将来わが国の輸出入銀行が取得する利子について免除されることとなる道を開くとともに、ワシントン輸出入銀行が取得する利子を免除することによってわが国への投資の促進、ひいては日米間の経済交流の一そうの緊密化をはからんとする次第であります。 よってここに本議定書の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ慎重御審議の上、本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。 最後に、千九百二十四年八月二十五日にブラッセルで署名された船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約の批准について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 十九世紀以来の会場運送事業の発展に伴い、運送人対荷主の利害の衝突を国際的に解決する必要が生じましたので、第一次大戦後、海上運送における運送人の責任を統一的に規律する国際条約起草の準備が開始され、数回の国一際会議を重ねた結果、一九二四年ブラッセルでこの条約が作成されたのであります。 戦前、海運について一流国でありましたわが国は、前記の条約交渉に当初から参加上、一九二五年にこれに署名を了したのでありますが、その批准のためにはわが国海商法の改正等の問題についての検討を必要とし、そのうち第二次大戦となり、ついに批准は実現しないまま今日に至ったのであります。 この条約は、海上運送に伴う運送人の責任を明確にすることにより、一方においては荷主の保護、他方においては海上運送企業の円滑な発展を促進しようとするものであります。わが国がこの条約の批准を行いますと、わが国の海運業が、取引の実情に即さない現行商法のもとにおいて過大な責任を負担させられる危険が解消し、戦後再び昔日の地位を取り戻しつつあるわが国の海運事業の安定した発展に寄与するものと考えるのであります。 なおわが国は、署名の際にベルギー外務大臣にあてた書簡をもちまして、船長その他運送人の使用人の航海上の過失に基いて生じた損害についての運送人の責任を免除する条約第四条2aの規定の受諾及び内国沿岸貿易に条約の規定を適用することを留保したのでありますが、批准の際には、内国沿岸貿易に関する留保は存置しますが、第四条2aの規定に対する留保は撤回し、また第九条第一項の貨幣単位に関する条項は、現状に即しませんので、新たにその適用を留保することとといたしました。 よって政府は、この条約の批准についてご承認を集める次第であります。何とぞ右の事情を了承せられ、御審議の上、本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。
○野田委員長 これにて提案理由の説明は終りました。ただいまの各件に関する質疑は次会に譲ることといたします。次会は公報をもってお知らせいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時二十分散会