外務委員会 第15号
- 発言数
- 100 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/04/05
会議録
○野田委員長 これより会議を開きます。 国際情勢等に関する件について質疑を許します。大西正道君。
○大西委員 米国の上院の委員会で、わが国の一橋大学の都留教授の召喚問題が大へんに話題になっております。すでに文教委員会でこの点について追及が行われたようでありますけれども、私もこの際二、三質問をしたいと思います。 きょうの新聞を見ますと、ノーマン氏がこのために自殺したというような非常に国際的な重大な問題が起っております。私が考えますのに、従来米国で行われたいわゆる赤追放の問題が国際的にまで広がってきたように考えますので、これは非常に重大な問題だと思うのです。米国の上院の治安小委員会というのは、米国内の思想問題に対するところの調査機関であろうと思うのですが、ノーマン氏はカナダ人です。カナダ人に対して米国の国会が思想の調査をやる、しかも最近の問題でなくして十数年も前のことをここで取り上げるというようなことは、従来の米国のこれらの問題に対する私どもの常識から考えまして、国際的な慣例を破った非常に重大な問題だと思うのです。これも新聞で知るところでありますけれども、ノーマン氏の調査には、友邦の重要な地位に共産主義者がいてはほうっておけない、こういうことを言っておるのでありますけれども、これは米国の他の国に対する内政干渉の最も顕著な例だと思うのです。共産主義者がいて悪いなれば、カナダの国、カナダの政府自体がこれを問題にし、処理すべきなのです。ところが米国の国会が外国のことに対してとやかく干渉するようなことは、極言をいたしますれば、まさに米国の世界支配に対する一つの具体的な現われだといってもいいと私は考えます。これは外国のことでありますが、こういう米国の態度が、日本と米国の関係から見まして、わが国にも重大な影響を及ぼしはしないか、こういうことを私はおそれるのです。赤という言葉ですべてのことを合法化してしまう、こういうことであっては大へんだと思います。大臣はおられませんが、私はこの際政務次官並びに千葉アメリカ局長に対しまして、政府はもしも将来わが国に対してこういう米国の干渉がましい態度があったような場合には、きぜんたる態度でこれをはね返す決意があるかどうか、この点をまずお聞きしたいと思うのです。
○井上(清)政府委員 アメリカ上院の司法委員会の国内治安小委員会において、都留教授を召喚しましてノーマン氏に対しまする証言を求めましたことは、ノーマン氏自体を取り調べる、あるいはまたそれについて事実を調べるということではなしに、ノーマン氏に関連のあるアメリカ人に関することを調査したいということが中心ではなかったかと思うのでございます。でございますから、アメリカの国内治安小委員会でいろいろな人を呼んで証言を求めておりますことは、何も他の外国の人を調べて、そして外国のことにくちばしをいれよう、こういう意図を打ってやっているものではなくして、アメリカ自体の問題に関連して調査し、証言を求めたものだと私は了解をいたしておるのであります。
○大西委員 私の質問の初めの方の半分には答えていただいたけれども、あとの方の政府の態度に対してのお答えがないようです。それはあとでお伺いをすることにして、今あなたはノーマン氏個人に対する調査じゃないと言っておられけすけれども、それは何か根拠を持ってそういうことをおっしゃるのですか。
○井上(清)政府委員 国内治安小委員会の調査なりあるいはまた証言の目的といたしておりますところは、ノーマン氏を目的とするのではなくして、ノーマン氏に関係のあるアメリカ国民の問題を調査しているのであると考えます。都留教授につきましていろいろ尋問をされました点も、都留教授がかってハーバード大学に在学しておったとき、ノーマン氏とどんな関係があったかとか、あるいはまたその後の交友関係とか、また日本に来ておりましたときに日本でどういう関係があったかというような点について一応聞いたのでございまして、それは必ずしもノーマン氏を目的として、ノーマン氏を調べるということでやったわけではなしに、その目的としているところは、アメリカ国民の問題を中心に調査している、かように私には考えられます。
○大西委員 新聞の報ずるところによりますと、委員会は、友邦の重要な地位に共産主義者がいてほうっておけないので調査を続けた、こういうことをはっきり言っているのでありますけれども、もちろん米国の国会の一つの委員会でありますから、外国のことはできないという建前は明らかなことです。しかしそういう名目のもとに実際は友邦のすなわち第三国の重要な人に対してその思想の調査をやっている。私はこの新聞の報道は何ら疑う余地はないと思うのですが、あなたの今の見解は間違っていやしないでしょうか。
○千葉政府委員 政務次官の御説明を補足する意味におきまして、今問題になっておりますアメリカの上院の司法委員会の小委員会の任務と申しますか、調査の目的を定めております上院の決議がございますが、その内容を簡単に御説明申し上げたいと思います。それによりますと、この小委員会は三つの事項について調査をする目的を持って構成されておるということであります。第一は、アメリカの国内法でございますが一九五〇年の国内治安維持法、これの実施状況の調査、第二は、アメリカの国内治安の維持に関するその他の法令の執行状況について調査をする、第三は、米国の領域内における秩序破壊活動に関する調査、この三つになっております。政務次官が仰せられましたように、直接にはそういう第三国人についての調査をするということではないと解釈してよろしいと思います。
○大西委員 解釈の問題はそうなんですが、現実にこういうふうなことが記事に載っているから、私はそういうふうな逸脱した行動があると思うのですよ。それに対してもし日本にそれと同様な事態が起こったときに対する次官の見解を私は聞いておるのです。
○井上(清)政府委員 本件につきましては、結果から言いますと、まことに遺憾なことと思いますが、日本に具体的にどうした問題が起るかというようなことは、今から予測するわけにも参りませんし、具体的な問題については、そのときに考えていくより仕方がないのじゃないか、こう考えております。
○大西委員 その問題はもう少しあとで事情がわかってから問題にしましょう。 それからもう一つは、都留さんが証人に出られたわけですが、昨日の委員会であなた方がお答えになったところによりますと、二十六日に出られる前の二十五日の夕方に大使館に通知があってそれだから何ともできなかった、こういうふうなお話のように聞いておるのですけれども、これは都留さんの個人的ないろいろな事情も聞かなければ、私は外務省の責任の問題は明らかにならないと思いますけれども、一体外務省は、この問題で都留さんが証人として呼ばれることを出先ではいつ知ったのでしょうか。
○井上(清)政府委員 都留教授喚問に対します件につきまして事の始まりから一応申し上げてみたいと思います。三月十四日に喚問状が出ておりまして、都留教授が喚問状を受けられたのは三月十六日であります。そのときの喚問状の内容では、二十一日に出頭をしてもらいたい、こういうことでありましたけれども、同教授から二十一日は都合が悪いから、二十六日に変更してもらいたいという申し入れがありまして、それを治安小委員会においては了承しておるわけであります。二十五日に都留教授が在米大使館に夕方四時ごろ来られまして、実はこうこうこういうわけだということをお話しになった。そのときに初めて都留教授が召喚されて、これをすでに応諾されておるということをわが大使館において知ったわけでございます。三十六日午前十時に上院の司法委員会の国内治安小委員会の秘密会に出席したわけでありますが、この秘密会は間もなく途中から公聴会に切りかえられました。二十七日には第二回の公聴会が開催されて、これにも都留氏は出席してそこで証言をして終りになっております。
○大西委員 そこで問題は、都留さんがアメリカの国内法によって証人として出頭しなければならぬ義務があるということにつきましては深くは知りませんが、あなた方の説明でそれは違法ではないように思いますが、しかしもう少し早くこの証人として喚問されるということを知っておれは、都留さんがその前日に来て十分に対処ができなかったというようなことじゃなしに、いろいろとその対策ができたのじゃないかと私は思うのですよ。この点は、都留さんが出先の大使館の方にやってきて初めてわかったのですか。それまでは一向わからなかったのですか。
○井上(清)政府委員 都留教授が二十五日の夕刻大使館に来られて、実は初めて大使館でわかったわけであります。先ほどもお話がありましたように、もし、もうちょっと早く都留教授から御連絡がございましたならば、あるいはそれが成功したか成功しないかわかりませんけれども、わが出先大使館として何らかの処置がとり得たのじゃないか、かように私は考えております。
○大西委員 そういう御見解を聞くと、なおさら私どもはこれに対して早く対処がしたかったと思いますがね。私どもの常識から考えますと、大体この治安小委員会というものは非常に関心を持たれておるようでありまして、これが外国人を召喚する、しかもそれは日米の交換教授の有力な日本の教授を召喚する場合に――これは新聞その他でもおそらくかなり大きな問題として取り上げておると私は思います。また日本の国会の慣例によりますと、証人として呼ぶ場合には、これが公報に出るとか、いろいろと明らかになると思うのですが、十四日にそういう喚問状が来ておるのに、本人が二十五日の晩に大使館に来てから知って、それまで一向知らかったということについては、なお早く手を打っておれば十分な手が打てたということをあなたが言われたことも考えると、非常に残念だと思います。だからあなた方の本省の態度はよくわかりますが、出先がこれに対して鈍感であった、不勉強であったというそしりは私は免れないと思いますが、いかがですか。
○井上(清)政府委員 私は出先が不勉強であったとは思いません。なかなかアメリカの国会の力も複雑なようでありまして、いろいろ委員会もございますし、またいろいろな証人を呼ぶ場合もありますし、そういう点まで十分に気を配らなかったという点においては、あるいは至らない点があったかもしれませんが、とにかく十六日に喚問状を都留教授が受けておいでになったのでありますから、そのときにさっそく御連絡があれば非常によかったと私思います。
○大西委員 手落ちがないと言ったって、これだけの重大なことを、本人がその前日にやってきて初めてわかったというようなことで手落ちがなかったとは、これはどうも納得ができないと思います。 もう一つ、それはそれとして非常に私は遺憾だと思うのだけれども、二十五日の夕刻それを知ったといたしましても、二十六日に都留さんがその委員会に出頭されたときに――その内容をお聞きしますと何か非常に罰則がついておるのですね。もし都留さんがここで証人に立たれてその罰則の適用でも受けるというようなことになれば、これは大へんなことです。だから都留さんが出頭されるときに、大使館としては在外公館の使命に照らして、人命その他名誉の擁護のために、この都留さんの出頭に対してどういう処置をとられたか、私はこれを聞きたいのです。
○井上(清)政府委員 都留教授は、先ほどもお話がございましたように、ハーバード大学に交換教授として行っておられます。しかも日米知的交流委員会のお世話と申しますか、それによって行っておられる人であります。わが国においても著名でありますと同時に、アメリカにおいても相当知られた人であると思う。そうした召喚の事実を大使館が知りましたときに、著名人のそうした問題については放置できないということで、さっそく国務省にも話したようであります。がしかしすでに大使館に御報告がありましたまでに、もう喚問に対して応諾をされておったのであります。そうした点でいかんともできなかったというのが事実でございます。
○大西委員 本人が大使館に来るまでに、すでに喚問に応じておったということはわかっていますが、喚問された委員会に対して大使館としてはどういうふうな処置をして本人の立場を守ってやったかということなのです。都留さんが行かれるときに、大使館の方からだれか同道し、あるいは委員会の秘密会はやむを得ませんけれども、公開の委員会においては、この事情を傍聴されたのでしょうか。
○井上(清)政府委員 大使館員は当日委員会に行きまして傍聴いたしております。
○大西委員 どうも都留さんの行動につきましても、その前日に大使館に報告になったというようなことも何か私はいきさつもあろうと思います。その点も一つこれは明らかにしてからでないと、この問題の問題点を明らかにすることができないと思うのですけれども、いずれにいたしましても、交換教授に行った人をこういう証人として呼ぶということについて、何ら米国政府が日本の出先機関にも連絡をせず、了解も与えず、そうしてこういうことをやった。しかもその後の発表によりますと、さも都留さんが共産党員であるかのごとき印象を与える。そういうふうな非常に政治的な影響が私は重大だと思う。こういう意味におきまして、私は日本国政府が強い態度でもってこれに対して抗議を申し入れ、あるいはこの善後処置を講ずべきだと思うのですが、この点について気持だけじゃなしに、かなり具体的な方策があれば聞いておきたいと思います。
○井上(清)政府委員 今度の都留教授事件は国際儀礼上からいってもまことに遺憾であったと思います。なるほどアメリカに滞在いたします外国人に対しまして、アメリカの国会が国内法に基づいて証人として召喚をする権限はもちろんありますけれども、そうした問題については、あらかじめ外交機関を通じて話してもらう、あるいはまたいろいろ打ち合せを願った上でやっていただくというのが、私は従来の慣例でもあった、かように思うわけであります。今度のことはまことに遺憾だと思います。そうして今後こうしたことがまたさらに起るというようなことになりますと、日米間の知的交流というような問題にも、いろいろな悪い影響を及ぼしはせぬかということも懸念されるわけであります。また今度渡米いたしまする日本人に対しましても、不安の念を起させるというようなこともございます。さようでございますので、今後そういうよりなことが再び発生することがないように、善処方を在米大使館を通じまして、アメリカ政府に対して強く申し入れをするように措置をいたしております。
○大西委員 この事件に対して、カナダ政府に対しては何らか日本政府としては意思表示をする考えはありますか。
○井上(清)政府委員 今のところ都留教授の召喚の問題と、ノーマン氏との間にどういう関係があったかということははっきりしておりません。今のところカナダ政府に申入れをする考えはございません。
○大西委員 その点については、都留さんが語っておられる談話の中に、私にも責任があるということを言っておられますが、これは政治的に考えて十分一つ配慮があってしかるべきだと思うのです。
○井上(清)政府委員 都留氏の、ノーマン氏自殺事件に関してのいろいろな感想は、新聞紙によっていろいろ違っておるようでありますし、またその表現の仕方もだいぶ違っておるようであります。これはよく事実を調べてみなければ何とも言えない問題じゃないか、こう思っております。
○大西委員 それから都留さんが行かれた日米の文化交流委員会ですか、これは私は不勉強なんですが、どこにあってどういうふうなことをやっており、都留さんが行かれたのはどういう経緯になっておるのか。私の疑問とするのは、こういう交換教授に行ったのを待ちかまえていたようにしてこれを証人として呼ぶというところに、私は日米文化交流委員会の運営その他について、若干解せぬものがあるからこの点をお聞きするのです。
○井上(清)政府委員 日本知的交流委員会と申しますと、アメリカのコロンビア大学の資金によりまして、日米両国の知識人の交流をはかる目的をもって設置されたわけであります。これには日本委員会とアメリカの委員会がありまして、日本側の委員会の委員長は高木八尺氏がなっておられます。そして実際の交流計画に当りましては、招聘いたします側の委員会が、旅費及び滞在費を負担する建前になっておるようであります。今度都留教授が向うに参られましたのは、この知的交流委員会によってアメリカに行かれ、アメリカにおいてハーバード大学に交換教授として配属されたと承知いたしております。
○大西委員 それでは、後日この問題はまた続いて討議をしなければならぬと思いますので、都留さんの向うの委員会における証言内容、これは一つ公表していただきたい。
○井上(清)政府委員 速記録は公開の公聴会においてなされた証言を収録しておりますので、その速記録はできるだけすみやかに委員の方に配付いたしたいと思います。
○大西委員 日本文も一緒に。
○井上(清)政府委員 非常に大部の冊子でございまして、とりあえず今原文でもって印刷に回しております。翻訳の点はちょっと一つ御猶予を願いたいと思います。
○大西委員 いつごろ日本文の発表はできますか。勉強して早く一つおやりなさい。英語のわかる人はそれでもけっこうかもしれませんが……。
○井上(清)政府委員 来週早々仕上げることができると思いますが、翻訳はごかんべん願いたいと思うのです。
○大西委員 発表しないのですか。やりなさいよ、そんなことは……。
○井上(清)政府委員 相当時間がかかりますので、遅れると思いますが……。
○大西委員 たくさん役人がおるじゃないですか、日本の国会は日本語でやるのですよ。
○井上(清)政府委員 十分検討させていただきたいと思います。
○野田委員長 これより外務大臣に対する質疑を許します。 〔岡田委員「関連々々、一問だけ。」と呼ぶ〕
○野田委員長 お約束が違います。あとで……。 〔発言する者あり〕
○野田委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○野田委員長 速記を始めて。
○岡田委員 今の問題に関するものですから、特にお許しをいただいて質問さしていただきたいと思います。四月一日の英文毎日によりますと、この委員会のロバート・モリス首席顧問の発言として、日本の国会はアメリカのシチズンを出頭させて質問する権利を持っているということが、明らかに記事として出ているのであります。私たちは都留氏の出席を要求したことについて非常に遺憾に思っているのでありますが、何か日本の国会にもこの権限があるからアメリカの国会でも呼ぶ権限があるというかのごとき印象を与えているということは、われわれとしてこれは非常に問題であり、逆にいって、もし日本の国会においてもこの証言を求める権利があるとするならば、今後国会の運営としても、われわれは十分これを活用していかなければならないと考えておりしなす。そういう点においてもこの発言はきわめて重要であると思いますので、この点についてはいかにお考えになっているか。 それから、ちょうど衆議院の西澤法制局長も見えておりますので、この機会に伺っておきますが、国会の中には、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律というのがあります。この法律の解釈によると、日本の国民でなくとも、国会の議案の審査または国政に関する調査のために出席または書類の提出を求めた場合に、これに応じなければならない義務があると私は考えるのであります。しかもその先例として、朝鮮の人または台湾の人を、証人として呼んだ記憶は必ずしも明らかではございませんけれども、参考人として出席を要求している先例は、この外務委員会にもあるのでございます。これは外国人としての扱いで参考人として呼んでおりますが、こういう先例等から見て、当然この議員における証人の宣誓及び証言等に関する法律は、アメリカのこの発言と関連をさしてみた場合においても、外国人を呼び得るというように理解すべきだと考えますが、この点は法制局長からも特に伺っておきたいと思います。いろいろ質問したいのですが、きょうはこの程度にしておきます。
○井上(清)政府委員 国会は国会法の規定によりまして、国政の調査権に基いて国政調査のために必要なる者を証人として出頭せしむる権利を持っておりますし、また出願を求められた者はこれに応ずる義務があることは、もとより当然でございます。外国人でございましても、わが国に居住いたします者は領土主権の適用を受けるわけでございまして、法権からの免除を受けております者、すなわち治外法権を有します者以外は喚問することができることは、法律上の建前から申しまして私は当然だと思います。ただ実際問題といたしまして、外国人の所属国政府の事前の了解なしに、強制的に国政調査のための証言を徴するというようなことは妥当ではないと私ども考えますし、また国際法上もきわめて異例なことである、かように考えるわけでございます。でございますから、都留教授の問題について、私は法律の一般論としては可能であるけれども、国際慣行上遺憾である、かように申し上げたような次第でございます。
○西澤法制局長 ただいまの岡田さんの御質疑でございますが、御承知のように憲法の六十二条の方を見ますと、ただ単に「これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。」ということになっておりますが、これは例の基本人権のところにあります「何人も」というような言葉がついておりません。憲法の条章の中において「何人も」というときには、一応領土主権の関係上外人も含まれるというふうに理解されておりますが、この六十二条にはそのことが書いてございません。従って今のような御疑問も生ずるわけでありますが、これに対します、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律の第一条を見てみますと、ここで初めて「何人でも、これに応じなければならない。」という工合になっております。つまり、ここで初めて「何人でも」という言葉が出ております。この「何人でも」という言葉が、憲法にいう「何人も」というのと同じ意味であるかという点につきましては、私、今すぐにちょっとお返事いたしかねます。先ほど御指摘になりましたように、本院といたしましても参考人の事例はあります。しかしながら、証人の事例はございません。それら等も考え合せまして、われわれの方でいま少しくお時間をちょうだいして、その上で明確な御答弁を申し上げたい、かように考えます。
○岡田委員 井上政務次官は、出席を要求し得る権利はあるけれども、相手国政府の承認を必要とするであろうという意味の答弁をされたようであります。そうすると、都留氏がアメリカに呼ばれた場合に、相手国の政府である日本政府に対して何らかの了解を得ておるのですか。
○井上(清)政府委員 私はさように申し上げたのじゃございません。私は、一般法律論といたしまして召喚することができる、ただ実際問題として、外国人を召喚いたします場合には、相手国の政府の承認を得るとか、あるいは通報するということが、国際慣例上妥当であろうということを申し上げたわけであります。
○岡田委員 それでは、長くなりますからやめます。これであと研究をいたします。
○野田委員長 これより外務大臣に対する質疑を許します。松田竹千代君。
○松田(竹)委員 私は外務省の制度について外務大臣にお尋ねいたしたいのでありますが、その前提と申しますか、現在の国際情勢下日本の置かれておる立場、地位について、外務大臣にただしておきたいと思う。すでに予算委員会その他の方面において外務大臣から御答弁になっておることで、ほぼ明白でありますけれども、さらに明らかにいたしておきたいと思うのであります。 日本の置かれておる地位、これを戦略的に考えてみても、地理的に考えてみても、政治的、外交的、その他社会的、いろいろの方面から考えてみましても、日本の現在の国際的地位、特に東西両陣営の戦端相まみえるその中間にあって、きわめて微妙、困難、従ってそれだけに重要である、こういうふうな考え方を持たざるを得ないのでありまして、そこで、外務大臣も施政演説において、東西のかけ橋になりたい云々のお言葉もあったくらいでありまして、そこまでいけばまことにけっこうであるが、そこまでいけないまでも、船が岸壁につくときにあまり激突、しないようにする、何といいますか、日本ではゴム帯のような、フェンダー、ああいう役割でも果せるならば、まことにけっこうであると私は思うのでありますが、なかなか困難な立場であると思う。従って、日本の外交方針としては、あくまでも誠実を持って、世界のいずれの国に対しても親善の歩を進め、平和の大目的へ向って進んでいくということよりほかに道はないのであることは言うまでもない。従っていかなる国に対しても一辺倒ではあり得ない、かように私は思うのであります。またもう一つ総理、外務大臣のお言葉のうちに、対米外交については、日本の外交は対米外交を基調としてやるのだという言葉がありましたが、これは見方によっては私は誤解を生むと思う。それはどういう意味であるか。おそらく日本とアメリカとの関係というものは、平和条約を初め安保条約、行政協定、通商航海条約その他一連の条約が現存しておる。従って日本はこの条約の条章を厳守していくという伝統的な立場をとっていかなければならぬことは言うまでもない。その他人事の交流を初め文化の交流、経済的な深い結びつき、歴史的な深い因縁等いろいろあって、その関係は幅が広くかつ深い。こういうことを意味されることであって、すなわちこれに最も重きを置いて力を入れてやらざるを得ないということであろうと考えるのでありますが、この二つの点については外務大臣のお考えはいかがですか。
○岸国務大臣 日本の外交方針につきましては、やはり一番根本は、世界の平和を増進するという意味におきまして、われわれはあらゆる場合においていわゆる平和外交を推進するということが一番基調であると思う。それを権一進していく上から申しますと、具体的に各国との問にわれわれは旧交を正常化して、そしてこれらの国々と親善関係を深めていくということしが必要であることは言うを待ちません。またわれわれは国際連合に加盟をいたしまして、国際連合を通じて世界の平和に貢献するために、世界の東西の両陣営の対立を緩和する方向にあらゆる努力を傾注すべきことは当然であると思います。と同時に私がアメリカとの関係を重視して申し上げておることは、言うまでもなく、日本の立国の根本は民主主義であり、自由を愛好し、人類の自由を擁護することによって、ほんとうの平和がもたらされるのだという建前から申しまして、こういう世界の各国における自由を愛好する国々との間においては、特にわれわれの進んでいく上において協力すべき一顧が多いし、またその協力関係を増進していくことが、必要であるという立場を当然とることになると思うのであります。しこうしてアメリカと日本との関係を見ますと、一つはこの防衛の上において、またさらに政治的な理念の上におきまして、あるいは経済的な部面におきまして、非常に深い関係がございますことは私が言うを待たない。従って米国との間の関係というものを常に緊密にして、そうして両国の間に多少でも誤解があったり、あるいは十分の理解を欠くようなことがないようにしていくことは、日米関係の調整の上からいえば当然やっていくべきである、かように考えておるわけでありまして、決して私はアメリカ一辺倒の政策をとろうとかいうふうな、世界の平和増進の上から申しますと、御指摘のごとく、ある一つの国との問に一辺倒的な関係を持つということが適当でないことは言うを待ちませんし、また日本の独立完成及び自主独立の立場を堅持する上から申しましても、そういうことはとるべきでない、こう考えておる次第であります。
○松田(竹)委員 私は日本の国民を初め、世界の人々の平和を思う心は今日ほど強いことはないと思う。従って日本は特に原子爆弾の洗礼を初めて受けた唯一の国であるということから、今度の総理の原水爆の実験禁止に対する努力に対しては、われわれは国民とともにこれを多とするものでありまして、これはあくまでも真剣にやらなければならない事柄である。その成否は別といたしましても、あくまでもこれに努力して、最後までその目的を完徹するようにしなければならぬことは言うまでもないのでありますが、しかしわれわれは幸か不幸か、いな不幸にしてという方が正しいと思いますが、自分の世代において二度までも世界戦争を身みずから体験してきておる。私のごときは日露戦争も外国にあってこれを見てきた者の一人であります。われわれはあまり深くものを考え、そうして正しい判断をする能力はないかもしれませんけれども、自分の世代において身みずから体験してきて得た経験、深刻な感じというものによって現代の世相を見直していかなければならぬと思う。私は忘れもいたしませんが、第一次世界戦争の結末のときに、世界の人類が文明が根底からくつがえったように考えて、みずから良心に返ってそうしてあの国際連盟というものがついにでき上ったのではないか。ヴェルサイユ会議では私は日本は平和に対してきわめて必要なる、最も妥当なる提案をしたと思う。すなわちみな御記憶の、あのいわゆる人種の平等、資源の公開、移住の自由というこの二原則を提案したが、これはたな上げになってしまった。もし世界戦争のあの悲哀のどん底に陥ったときに、真剣に世界の人種があの妥当な公平な日本の提案を採択することができたとしたならば、私は第二次世界戦争は防げたのではなかろうか、かように考える。それにもかかわらずそういうことはなく第二次世界戦争が起き、そうしてまたより以上の悲惨事を世界の人類はなめた、そうして国連というものができた、日本もこれに加盟することができた。国際連盟規約であるいは国連の憲章でも、一見すればそこに盛ってあるものは人類の理想の最高峯が盛ってあるが、果してあの国連憲章なり国際連盟規約に掲げられてあるあの理想に向って、人類があらゆる努力をそれへ傾けておるかというと、そうではない、相変らずパワー・ポリティックスが中心になっていはしないかパワー・ポリティックスの末路というものは、人類の歴史に徴して明らかである。そういうことをやっていて世界の平和は得られるはずはない。私どもひしひしと身に感ずることは、やはりこの東西両陣営のチャンピオンが現在やっていることは、原水爆製造の競争じゃないか、これが世界の人類に一番大きな電圧を加えておると私は考える。これで一体どうするのだ。こういうことではまたぞろ大きな悲劇を人類はなめなければならぬのではないか。私ども日本人が一番よく知っておる。私どもがよく覚えておるのだが、何しろ予算の六割以上も軍事費に使っておる。ソ連でも国民生活の必需品の方は大いなる犠牲に供して、そうして軍事の方に力を入れ過ぎておる。これは他国のことでありますけれども、われわれはその市重圧を身に感ぜざるを得ない。国連の一員となって国連憲章を読んで、そうしてわれわれがやらなければならぬと思うことは、あくまでもそうしたものの製造を禁止するように努力していかなければならない。そういう方面に向っていかなければならぬ。人類の長い歴史の間でも、わずか数百年前へさかのぼれば、そこにある兵器というものは弓矢であり、火なわの鉄砲であった。第一次戦争でタンクというものが出てきて、第二次世界戦争で原水爆というものができた。兵器にのみわずかの間にこうした進歩を、見せておるのはどういうわけであるか。学問でも物理化学、自然科学の方はかりうんと進んで、人文科学や政治の学問というか、心の学問、この方面のことは、全然というわけでもないけれども、全く均衡のとれないような状況で進んできておるのであるが、パワー・ポリティックスの末路の哀れであることにかんがみ、現在の世界の情勢がそういう状態であることにかんがみて、わが日本としては、真の国民全体が心から平和を希求する念の今日のような熾烈なときにおいて、わが日本の外交の進むべき道は、今外務大臣の言われたように、あくまでもあらゆる努力をその方面に向けていかなければならぬと思うのでございます。私はこういう私の感じをつい長長と述べましたが、そういう立場に立って日本の外交をこれから進めていく上において、現在の日本の外務省の制度そのものがあれでよろしいとお考えになっておられるか。このときこの際外務大臣は、何時に総理大臣であって外務大臣を兼ねられ、そうして自由民主党の総裁であられる。そうして身みずから官界出身者として、官界の機構その他について最もよく知っておられる外務大臣は、このときこの際、この外務省の制度について、どういうお考えを持っておられるか。これは外務省だけではありません、各省にまたがりますけれども、とりあえず外務省において最もその刷新強化ということが望ましい。外務大臣は、先ごろ民間から顧問を採用する云々の話が新聞に出た。それもまことにけっこうだと思いますが、現在のままでよろしいとお考えになっておりますか、これを大いに刷新強化していかなければならぬとお考えになっておるか、お伺いいたします。
○岸国務大臣 外交官の制度もしくは機構等につきましては、私も外務大臣に就任いたしましてからいろいろ検討いたしております。今の外交制度あるいは理事官制度というふうに、外務省員の採用の制度が作られておりますが、今お話のごとく、これから進んでいく日本の外交につきましては、いわゆる従来の意味の外交上のテクニックといいますか、外交上の特殊技能といいますか、もちろん外交官としていろいろな交渉をし、他と折衝していく上におきましては、いろいろな特殊技能も要しますし、テクニックも必要であると思いますが、さらに大半なことは根本的な考えの問題であろう。日本の置かれておる地位、また日本のこれから進んでいく外交というものの根本方針について、広い見地から十分な考えを持ち、そうしてそれを実現するに必要な人間としての優秀な人をこの制度においても取り入れ、養成していくということが最も必要であろうと思います。従って任用の範囲とかあるいは選考の範囲というものを、なるべく広げていって優秀な人をとるということも必要であろうと思います。特に私は、平和外交を進めていく上から申しまして、経済外交に日本の外交の非常な重点を置かなければならぬということを、現在も申しておりますので、それを現在の外務省の機構や人事から見まして、それを進めていく上から見てどうかというと十分でない。そこで現在商務官の制度を研究を進めております。それから現在他の省との人事の交流につきましても、相当やっておりますが、まだ十分でない。これも十分にやっていくつもりでおります。また各在外公館における大公使等の仕事をさらに一般上から見て、これらのものと連絡をとり、これらのものと協調してその機能を十分に発揮せしめるために、ローヴィング・アンバサダーというような制度についても現在検討いたしております。いずれにいたしましても、新しい今後の日本の進んでいくべき外交の衝に当るべき外務省の機構及びその制度につきましては、私としても根本的に検討して、時代に即応するような、また今後の日本の発展に即応するようなものを考えて参りたい、こう思っております。
○松田(竹)委員 時代に即応して新しい考えを持ってやっていかれるお考えを水わりまして、まことにけっこうと存じます。そこでもう少し具体的にお尋ねいたしたいのでありますが、現在はお話のように、外交官並びに理事官という二本立のやり方でやっておられるように承知いたしておりますが、これを外国特にアメリカなどは非常に広範囲にやっておりますが、三本立にして、そうして学界あるいは法曹界あるいは言論界あるいは実業界その他いろいろの方面からでも適当と思われる優秀な人を迎え入れて、そうしてこれをいわゆる職業外交官と同じような建前に持っていくというようなことが必要でないかと思うのであります。それはなぜかと申しますと、たとえば大使級というような人物を、今大臣のお考えで、民間からきわめて広い範囲からこれをすぐに採用して、呼び迎えてやろうと考えても、果してちょうどいい適格者を容易に得られるかどうかというと、私は困難である、なかなかむずかしいことであると思う。そこで、あまり若い人でなく、相当社会の各方面の経験を持った人で優秀な人を迎え入れて、そうしてちょうど何年間くらいでありますか、とにかく外交官の試験を二十四、五才で受けて、十年間くらいはほとんど外交官としてのアプレティンスシップをやっているような、そうした期間を相当実社会で経験してきたような人を外交官に採用して、そうして同じキャリア外交官として数年間外交のテクニックをも通じさせ、修練を積ましてやっていくならば、やはりそこに公使級、大使紋の人ができてくると思います。私は今の制度でも優秀な人はむろんたくさんいると思いますけれども、多くは東大出の人が多いでしょう。あるいは正規の大学の出身者が多いと思われるが、二十四、五才のときに試験を受けただけで、一たん試験に通ってしまって外交官になると、十年たてば何になれる、十五年たてば何になれる、二十年たてば何になれるということは、ほとんどきまりきっておるような今の姿です。これは各省もほぼ同じであると思うけれども、私は外務省にそれが一番ひどいと思う。これは、外務省にはほかに回すところがないから必然的にそうなるのだと思いますけれども、そうすると、幾ら優秀な人でも、そういうふうにきちっときまりきって先の見通しがついておれば――こう言っちゃそこらに若い人もおられるのでありますから、はなはだ申しにくいのでありますけれども、やはり刺激が乏しい。そこで外から優秀な者を入れることによって、同じキャリア・デプロマットとしてやっていくことによって、互いに切瑳琢磨できて、そうして異分子扱いしないで一緒にやっていくということになれば、非常によいことになるのではないかというふうに考えるのであります。これはなかなかちょっとやそっとでいかぬと思いますけれども、何しろ外務省は通産省や大蔵省や農林省や何かの経済省と違って、先へ行って公使、大使になってしまったらおしまいで、わきへ行く出店も何もないから、外交官としてもあやまちなからぬようにこれを勤めていかれる工夫が非常に大事でと思いますけれども、それだけでは私はいかぬと思う。欲を言えば、外交官というのは国を代表するのだから、あらゆることに通じ、人口骨柄卑しからず、何もかも優秀な人であって、全く総合芸術の完成品である、それくらいの人であってもらいたいということを、私どもは思うのでありますが、そういう人は――幾ら優秀な外交官たちもそんなふうにはいかないのでありますが、そういう欲望を持たざるを得ない。それには今のように、外交官になるには大学を出る。ところが大学を出るまでは、外国でありますならば、それまでに相当社交場や何かで社会的の訓練を受けるチャンスが多い。日本ではそれがない。そうすると試験を受けると、学生からすぐにだんだんと昇進して、十年たてば何になるというきまった行き方をしなければならない。これはだいぶ前でありますが、シカゴでこういうことを言われておる。シカゴの総領事でありますから、相当の年配であろうと思うけれども、一見若々しくて男前でありますから、実に若い総領半です。アメリカの実業家でシアース・ローバックの社長だったと思いますが、スチューゲントかと私に言うたのです。それくらい若々しい人です。若若しいりっぱな青年でありますけれども、リンコルンなんかに乗って制服のニグロの運転手をかかえてやっている。まあ領事館の話は植原先輩から前にいろいろとお話がありましたから申し上げませんけれども、これはよほどおかしく感ぜられる。外国の総領事でも、みな自分でドライブする。外国でドライブの経験のないものは、あまり自分でやることは推奨しませんけれども、若い外交官は今日はみな自動車を持つことを外国では一番先に考える。そして自分がやる。そのためには月給もためようし、いろいろなにして、フォードでも買うことに非常に熱心です。そしてゴルフをやることも必要である。私は、外交官というものは試験をやって通ったら、二、三年くらいいろいろなことをやらして遊ばして、世間のことを学ばすくらいやったらいいだろうと思う。外務省に籍を置かして実社会へ放り出して、いろいろなことを学ばせることが――研修所で勉強をさせることもけっこうでありますけれども、そういうことも必要だと思う。こういう必要を感ずるがゆえに、私は一般社会からまだ割合若い人で優秀な人を採用してやっていくということは非常に必要であると思う。そういうところまで、外務大臣はお考えを及ばしていただけないかどうか。
○岸国務大臣 外交官の養成及び外交官のあり方についての松田委員のお話は、全く私も同感でありまして、国を代表して大半な仕事に当るのでありますから、あらゆる面に修養を積み、またあらゆる点から尊敬を受けるような人を選んでいかなければなりませんが、なかなかそう理想通りにもいかないのであります。しかし少くとも今お話の外交官制度として、外交官の試験を受けて、ある期間研修所で研修さしておりますが、それでもって足れりということはもちろん言えない。これはまた在外公館における公使であるとかあるいは大使であるとかいうものが、そこに配属される若い外交官の養成といいますか、指導といいますか、それにも非常に関係していく問題でございます。特に日本人としては、何といっても外交官として外国語をある程度までは修得してなければならぬ。これが日本人には一般的にいってなかなか困難な仕事でありますために、なかなか外交官というものに広く適材を選ぶことのできない点もあると思います。しかし今後は、昔の欧米中心でなしに、あるいは中南米、あるいは東南アジア等にさらにわれわれが経済外交を推進する意味からいきますと、言葉の上でも、英語、フランス語中心でなしに、スペイン語も必要であろうし、あるいはマレー語その他その国の土語をやはり修得していることが必要になってきます。こういうような点を考えていきますと、実際外交官の今後の採用及びそれの研修、養成という問題につきましては、よほど考えていかなければならぬ。今の御意見のような点も十分頭に置いて検討してみたいと思います。
○松田(竹)委員 私の質問は三分の一も尽きませんが、時間がきたそうでありますから、やむを得ません。 ただ一つ最後に伺いたいのは、理事官の仲間において、私は非常に優秀な人にも接する。しかし理事官からではなかなか公使にまでいくというようなことは容易じゃない。一等書記官というようなところへもなかなかいけぬ。こういうことは私はどうであろうかと思う。たまに特に優秀なものがある場合には、断然抜擢主義をとってもらいたいと思うが、そういうことはできないものであるかどうか。私はかつて運輸省その他についても、特に優秀な人を、政党人出の大臣に、一体これくらいのことを政党出の大臣ができないのかと言って詰め寄ったこともありますが、そういうことを、岸外務大臣ならばあらゆる官界のことを知っておられるのだから、できると思うが、これを一つやってもらいたい。私は個人の名前をあげませんけれども、たとえばペルーにいる天野さんであるとか、ああいう人はアンバサダー・アトラージにすれば最も適当な人だと思うのだが、ほかの人でもそういう人がありますし、理事官の中にもきわめて語学にもたんのうだし、非常に現地の実情もよく知り、最も有能に働ける人が、たまたま本省から来るより若い人が本官の外交官であるがために、その下におって十分に活動できないような様を見て、私はまことに遺憾に思うのでありますがこの点に力をお入れ願いたいと思います。
○岸国務大臣 理事官のうち特に優秀な人を抜擢するということは、私も考えております。それから今般大使制度の変更によりまして、そういうことがやりやすくなっております。これは先ほど来申しているように、広く民間からも採用するが、さらに部内におきましても、外交官とか理事官とかいう制度にとらわれず、りっぱな優秀な者は抜擢するということを考えていきたいと思います。
○松田(竹)委員 それからいろいろありますが、もう一つ、私は外務省はこれらのことをやって、そして大いに強化していかなければ外務大臣の経済外交も進まぬ。この点について私いろいろ申し上げたいが、あとで通産局長に質問したいと思いますが、この点について、外務省はもっと国会、それから大蔵省に対しても、PRというものをなぜやらないかと私ども考える。もっと国民に外務省の仕事を理解を持たせなければならぬ。なぜPRということをおやりにならぬのですか。情報でもプリントしたものでなくとも、ガリ版刷りのもので少くとも外務委員会の連中にでも早く送ってもらうことによって、代議士なんかそれで喜ぶのです。(笑声)情報なんというものはプリントになっておそくなってもらったのじゃありがたくない。早くもらうことによってありがたく思う。そういうことくらいは何でもない、金はかからない。それでなければ金も取れない。論より証拠、日本の外務省がどうやら今度できることになったが、まだできない。日本の国の表玄関の庁舎が明治以来できていないということを見ても、いかにこの方面に私は力の注ぎ方が足らないかということを痛感します。これをもって私の質問を終ります。
○野田委員長 森島守人君
○森島委員 岸兼摂大臣が各種の委員会に出席せられまして、比較的率直に意見を表明せられておることは、私はこれを多としております。しかし、同時にそれ以上に必要なことは、すでに国会で与えられた言明、国民に対する公約を機を逸せずして実行に移す決意があるか、誠意があるかという点が、さらに重要な問題であると思う。この見地から見ますときに、岸外務大臣がこの席において日韓交渉の再開の問題、あるいは指紋に関連する通商使節団の設置の問題等に関して言明せられたことが、今日まで何一つ実行されておらぬのでありまして、私はこの点に対していささか不満の意を表せざるを得ない。現に岸さんはニ月十二日の委員会において、同僚の松本委員の質問に対して、日韓交渉はまず大村の収容所の抑留者と、それから抑留漁夫とを人道的見地から相互に釈放したい。その上で会談を再開して、公正かつ現実的に諸種の案件を解決していきたい。それにはただ一点両国の間で了解に達しない点があるということをおっしゃっておった。いかにも楽観的な、あるいは言葉をかえれば、積極的な御意見を御発表になっておりました。それ以来すでに二カ月足らずになります。この一つの問題というのはすでに解決しているというふうに了解しておりますがその点はいかがでございますか。
○岸国務大臣 日韓会談がその後停頓いたしておりますことは、私としても非常に残念に考えております。これを打開するように私自身としてもいろいろと構想を練っておるわけであります。と申しますのは、その当時大村収容所に収容しておる韓国人と釜山に抑留されておる日本人漁夫とを相互に釈放し合うということを第一段の目標とし、これができれば続いて日韓会談を再開してやるという――日韓会談の問題につきましては、ごく一、二の点について、私が言明しましたように公正かつ現実に即してやるという話で、大体一点非常にむずかしい問題が残っておりましたけれども、それは実は解決したのです。ところが、今度はさらに再開さるべき日韓会談について取り上ぐべき議題について、さらに私が抽象的に申していることをある程度具体的にしなければならぬというふうにこの会談の結果なりまして、なかなかそれが具体的になりますと、実は両方の意見において一致しない。これは過去において幾たびか会談がやられて、そして会談が途中で行き詰まっておった歴史的な経緯もございまして、私は必ずしも従来の経緯にとらわれず、ほんとうに公正かつ現実的に将来の日韓関係の友好関係を作り上げるためには、両国ともそういう気持でやろうという、その気持については両方とも異論はないのでありますが、さらに具体的に従来問題になっておりましたことを取り上げて、ある程度の了解といいますか、見通しをつけないということ、日韓会談が再開しても、さらにまた停頓するというようなことになると、かえってせっかくわれわれが日韓の友好関係を増そうという意味において考えておることが行き詰まっちゃ困るという考えが両当事国にあるわけですが、そのためにそれらのものをある程度――私は決して結論的に出そうとはいたしておりません。ある程度の方向においてほぼ意見が一致するならば、これを未決は未決のままで再開をし、その前提として相互に釈放し合うということを実現したい考えで、実は決して停頓しておるから全然ほうておいて、たな上げし、何しておるということじゃございませんが、あらゆる点から今申しましたような点についてのある程度の見通しをつけて、それは日本国内におきましても、関係省等の間の打ち合せをしなければならぬ問題がございますし、また外韓国側におきましても、なかなかこっちの代表だけでは決し得ない問題がございまして、本国政府との交渉もございますし、そういうことのために今日までその結論を見ておらないという状態であります。それは非常に遺憾でございますから、私は決してこの問題について無責任に放置しておるものでない、必ずこれから打開についてさらにさらに努力をするということを申し上げておきます。
○森島委員 私の了解しているところによりますと、大体金公使と中川局長との間の事務的な話は妥結にきておる。数点あるかもしれませんが妥結にきておる。要は岸外務大臣としての政治的裁断にかかっておるのだというふうに承わっておるのです。ところが一昨日の新聞でございますか、政府部内において李承晩ラインの問題とか、あるいは在韓財産の請求権の問題等に関して意見の一致を見た上でなければ再開をしてはいかぬ、再開しても再び難点にぶつつかるというふうな見地から、慎重論が持ち上ってきたということを報じておりますが、私は日韓会談は今や岸総理大臣の政治的裁断にかかっておるものだ、こう思っておるのであります。ついでにお話しますが、日ソ漁業の問題については、岸さんなかなか御熱心で、二回も三回もみずからソ連の大使にもお会いになって妥結に努めておられますが、もし日韓会談が一、二のささいな問題で行き悩んでおるとすれば、金公使と局長との会談にまかせるのでなく、外務大臣自身先頭に立って金公使と折衝されて、すみやかに日韓交渉の再開にまで持ち運ぶという御決意があるかいなか、私はこの点を特に要望せざるを得ないのでありますが、御意見を承わりたいと思います。
○岸国務大臣 この日韓の問題は、私自身も最初から国民にも公約いたしておりますように、私、外務大臣としてぜひともこれは解決したい問題でございまして、解決につきましては、もちろん必要があれば金公使とも会いましょうし、あるいはその他の方法もとるつもりでおりますが、私は決してこの問題を等閑に付しておるものでもなければ、また私自身がもしも政治的判断をすべき段階であるならば、私が政治的判断をいたしまして処置する考えております。
○森島委員 ところで、日本の水産業界においても、もうかんにんの限度にきたというふうな実情でございまして、これまでは水産業界の方々が出先を押えて、比較的慎重な行動をとっておられましたので、問題が国内的に大きくなるということはある程度避け得たのであります。これは外務当局の行なっておられる交渉を円滑にする、これにじゃまを入れぬという点で非常に私は多としておりますが、われわれといたしましてなるべく不必要な質問は避けまして、外務省の交渉の円滑なる進捗に資してきたわけであります。しかし、三月三十一日の朝日新聞に、京城放送として伝えるところによりますと、韓国の外務部長官の言明として、「韓日会談再開のための今までの交渉は順調に進展しており、日本側が継続誠意さえ示すならば効果があるものと信ずる」という旨を伝えております。それから業界の力から聞くところによりますれば、最近は拿捕される船舶の数も非常に少くなったというので、韓国側においても、この際すみやかに日韓会談の再開に至るように十分な心がまえを持っておるものと私は思うのでございますが、岸さんとしても、こまかい点は政治の裁断によってなるべくすみやかに御解決を願って、一日もすみやかに再開に至らんことを望んでやまないのでございます。 これに関連してお聞きしたいのは、岸さんの訪米の時期であります。五月の中旬ともいい、あるいは六月ともいっておりますが、ここで一つ明らかに言明を願いたいのは、渡米される前に日韓会談を再開にまで持ち込む決意があるかないかを一応承わっておきたいと思います。
○岸国務大臣 特に日韓問題につきましては、政府は昨年末までに抑留漁民の釈放、帰国ということに実現するという意図のもとに、前内閣以来交渉を始めましたことは御承知の通りであります。今日まで非常に長い期間抑留されておりまして、その留守家族等の方方が一日千秋の思いで待っておられるところが一向進展していかないという点において非常な焦慮を感じておられる気持も私はよくわかっております。従ってこれをできるだけ早く実現したいと、私としてもあらゆる努力を今日までして参っておりますし、また今後もしていかなければならぬと思います。こういう公開の席で申すことはいかがかと思いますけれども、この問題は簡単の問題のようであって、取り組んでそれをほんとうに誠意をもって解決しようとすると、次から次へといろいろ困難な問題が起って一これは過去の実例もそうでありますが、私実際当ってみて、私自身が非常に焦慮を感ずるような事態もあるのであります。従いまして、今日までおくれておることは、私としても非常な大きな心の負担としてありまして、常に頭から離れない問題でありますが、私の訪米につきましては、今朝六時に発表いたしましたように、アメリカ側の都合もいろいろお聞きしておったのでありますが、向う側から六月の十九、二十、二十一の三日私を招請したいという申し入れであります。私はそれを受諾いたしたわけであります。従って六月の中旬に立つことになるだろうと思います。従いましてそれまでにこれをぜひ私としては解決したいという非常な強い決意でおりますことを申し上げておきます。
○森島委員 非常にかたい御決意を表明せられまして、私たちとしても安心をいたしましたが、ぜひ日韓会談が御渡米前に再開に至るよう御配慮あらんことをさらに要請いたします。 次に、私は日中国交回復に関する問題について二、三点お伺いしたいのです。岸さんは石橋内閣の外務大臣として、二月四日のわが党の鈴木委員長の代表質問に対して、「今日中共はまだ国連に加盟もいたしておりませんし、世界の各国の情勢も、一部は承認をいたしておりますが、まだ多数の国がこれを承認いたしておりません。こういう状況のもとにおいて、日本が日ソ国交正常化に次いで直ちにこの問題を処理するということは、私はまだ時期的に適当でないと考えます。」というふうに答弁をされておるのであります。これは代表質問に対する答弁であるから、あらかじめ岸さんの方としても十分に御考慮になった上の答弁だと私は了解しております。これを裏から見ますれば、現内閣で国交の回復はまだ時期じゃない、こう言っておられることはわかります。国連加盟とおっしゃるが、国連代表権の問題だと思いますが、これを裏から見ますと、中共の国連代表権の問題が解決し、多数の国が中共を認める段階に至れば、日本としても中共との国交回復問題を考慮するに足る適当な時期がくるのだというふうに私は了解しておるのでありますが、その通りで間違いございませんでしょうか。
○岸国務大臣 鈴木委員長の代表質問に対する私のお答えにつきましては、私としても相当に考慮して発言をいたしておるつもりであります。従いまして相当な含蓄のある言葉であると思います。と同時に、今われわれは承認する意思のないことは同時に表明をいたしております。聞く人によりましてこれに対する御解釈はいろいろあろうと思います。そうでありますが、私は今森島君の御質問のありましたことに対して、明確にそうでありますとも、そうでありませんとも、申し上げず、あの言葉で一つ御想像を願いたいと思います。
○森島委員 きわめて不明瞭なので私は満足いたしませんが、ただ一つ私として、岸さんの答弁にいい点があるとすれば――重光さん時代には台湾政府の存在ということをまっ正面から打ち出しておられまして、国民政府を承認しておる日本としては、その他に中共を承認することができないというのが、大体外務省の方針だったようでございます。しかし、この点についても幾分進展の見えたことは私はこれを多とするのです。同時に今のような消極的な態度で、自然に情勢の展開するのを待つというだけでは、中共関係の問題は決して私は好転しないと思います。国連加盟の問題をお出しになっておりますが、外務省からいただきました資料によりますと、国連代表権の承認の問題と国家承認の問題とは全然別個の範疇に属するということを国連でも認めております。そういたしますれば、私は外務省としても中共承認に一歩でも二歩でも近づき得るという措置をとることが当然だと思う。これは御意見があるかもしれませんが、私はその点において国連代表権の承認の問題、特にココムに関係がありますが、例の国連において極印を押した中共の侵略者の決議というものを撤回させるように御努力になるという措置がとれないものであるかどうか、この辺に関する御意見も伺いたいと思います。
○岸国務大臣 ココムの制限の緩和につきましては、われわれが前内閣以来一貫してとってきておるところでありますし、私もそれに特に今後も努力いたしたい、こう考えております。中共の承認問題、これは日本にとってきわめて重大な問題であると同時に、私は国際的にも非常に重大な意義のある問題であると思います。従って国連の代表権の問題と直ちに承認するという問題とはこれは別個のものであるということは申し上げておる通りでありますが、実際問題として、国連に代表権をめぐって中華民国の今の政府と中共との間に非常な論争のあることは御承知の通りでありまして、従いましてそういう場合にかりに代表権を認めるということになれば、これは非常に大きなやはり国として承認するという方向に――とにかく観念が違いますけれども、大きな一つの機運ができる問題であると思います。もちろん私は単に日本がいつまでも主導的立場を捨てて、国際的な情勢だけのまにまにこの問題を処理しようと考えておりません。やはり特に日本にとっては重大な何があり、また歴史的にも地理的にも経済的にも文化的にもあらゆる面において関係の深いところでありますから、もちろん日本の独自の考えをきめて参らなければなりませんが、その上において現在の世界情勢の中における日本の地位というものを考えてみると、国際情勢というものを全然無視して、日本が独自の考え方を立てるということはできないという意味において私は国際情勢というものを非常に重視して言っておるわけであります。もちろん日本独自の立場からこの問題を処理していかなければならぬ。もちろん今御指摘のありましたような、従来前大臣も申しておるように、中華民国との同にわれわれは日華条約を結び、そうして国交を何しておるという関係も、われわれがこの問題を考慮する上におきましても、もちろん無視できない問題である。しかしいずれにいたしましても今日の状況からいえば、私は今直ちに承認するというような考えは持っていない。しかし貿易の関係であるとか、あるいは文化の関係というようなものについてわれわれはこれを増進していここうというふうな考え方を持っておるということは、そういうことがだんだん積み重なっていけばどういうことになるのだということを突き詰めて考えてみれば、私はあるいはテンポの点であるとか何とかについて、御意見がわれわれの考えと違うかもしれませんが、方向自身としては、われわれのやっていることは、決してあなた方のお考えと相反している方向を考えているものではない、こう思うのであります。ただそれには今言ったようなあらゆる関係を十分に考慮し、これに対する処置を考えて、そうして結論を出すべきであって、従ってテンポの点等においては、あなた方のお考えとは相当な開きがあるということであろうと思います。
○森島委員 承わりますと、現内閣の方針は、おそらく国際情勢を見るとかなんとか言っておられますが、もしアメリカが中共の国連加盟を認め、中共と国交回復をするという段階に至れば、日本もそれに右へならえするということを告白されたにほかならぬと私は思うのですが、この点について一点だけ伺いますが、もし中共から戦争状態を終結して、平和を克復するということについて共同宣言等を持ち出してきましたときには、いかにこれに処されるつもりでございますか、この点をお伺いしたいと思います。
○岸国務大臣 戦争状態がどの国との問においても、どの地域との間においてもなくなるということは、平和外交を推進していくわれわれの根本の立場からいえば、これはわれわれとしては慶すべきことであって、決してこれに反対すべき性質のものではないと思います。ただ今具体的の事例としておあげになりましたことは、これは一つの仮定でありまして、そういう場合におけるそれの内容とか、それの意義とかいうものを十分検討しなければ、事前には私はすぐ直ちにイエス、ノーは言えないと思いますけれども、方向として、今申し上げたように、戦争状態がどこともなくなっていくということは、これは望ましいことである、かように考えております。
○森島委員 多分そういう御答弁をなさると思ったのですが、これは決して仮定の問題とのみは言えないと思う。現に岸さんの主宰しておる外務省で、最近の中共外交についてということで、在外公館その他から有力な資料を集めて検討を行なっておった。その結果八全大会以後の中共外交というパンフレットか冊子ができたらしい。その中において引用しておるのが香港の南華日報の論説でございますが、このうちには非常に示唆に富んだ意見がございます。第一に、中共は台湾問題が日中復交の第一の障害になるので、これを避け、これに触れないようにしているということを述べておりますが、これに引き続いて、日本にとって国交回復が実際に困難なら、中共はまず戦争状態に終止符を打って、平和克復の共同宣言形式をとるということを発表しておるのであります。これはおそらく外務当局においても十分御存じのことと思います。すでに御研究が遂げておられなければならぬと私は信ずるのですが、この点に関しての御所見を承わりたい。
○岸国務大臣 森鳥さんも御承知のように、純法律論として考えると、あるいはこれはやはり承認問題と私は関係があるだろうと思うのです。というのは、日華条約でこの戦争状態、日華の間の平和条約で、これは範囲の問題はあるかもしれませんけれども、要するに中国との間の戦争状態というものは一応なくなっている形になっている。しかしそれは中華民国の支配するところは台湾だけではないか、台湾との間だけしかないではないか、中共、いわゆる中国大陸との問にはあるかという、こういう問題になってくる。中国大陸というものと中華民国との法律的の関係が出てくると思う。従いまして今おあげになりましたようなことは、私はよほど法律問題としても考究をしてみなければならない問題があるし、それからまだそういう新聞の報道や記事等において、直ちにこれに対するわれわれの意向を具体的に述べるというのは適当でないのじゃないか、こう思います。
○森島委員 新聞の報道に対して御意見の発表を求めはしません。しかし新聞の伝えるところによると、中共政府においてはこういう意図があるといっておる。これは必ずしも日本から特使を派遣して、北京でやるというふうなこともないでしょう。おそらく今進行しておるジュネーヴの会談で、総領事あたりから総領事に対してそういう意向の伝達があるかもしれません。あるいは共同宣言でなくても、中共が一方的に戦争状態をやめるという宣言をした場合には、さらにいかなる御措置に出られるか、この点もあわせて承わりたいのであります。
○岸国務大臣 今お話のように中共の方で一方的にそういう声明を出す、宣言をするという場合において、日本がどう扱うかという問題は、さっき申し上げたような日華平和条約との関係も考えて措置しなければならない。私は戦争状態自身がなくなっていくということは、さっきも言うように望ましいことである、いいことであるから、これはもう歓迎することでありますけれどもそれの扱いごついては、まだわれわれが直ちに中共というものを独立国として承認する段階ではないという見解を今までとっておる。それとの間にどういうふうにこれを考えるべきかという問題は、研究してみないと、私はただそう宣言したら日本でもそれに応じてどうするかというように、これをここでお答えすることは適当でないと思います。やはりそういうものが現実に起ってきたときにおいて、今言ったような点もあわせて考慮して、こちらの感度をきめるということになると思います。
○森島委員 元来国家承認の問題は、純然たる国際法上の問題であるとともに、もっと重要な点は、現実の事態に即して政治的に事柄を判断するという点になければならぬ。外務省の任務もまさしくそこにあると私は思っておるのであります。法律上だけでやるなら、条約局長一人でけっこうでしょう。しかし外務大臣の任務というものは、そういう点のみではない。私は政治的な情勢から判断をせられる時期がすでに到達しりつつあるということをこの際お伝えしなければならぬ。承認の問題になるとおっしゃいますけれども、戦争状態か終結して平和宣言をやったって、決して国家の承認にはならないのです。この前例もございます。ヴェルサイユ条約のときの前例を見れば、米国はヴェルサイユ条約の批准を上院で拒否いたしました。そこで、ドイツとの関係を復活する前提といたしまして、対独戦争状態の終結の宣言を一方的にやっております。それからその当時の中華民国も、山東問題に関連してヴェルサイユ条約に参加しなかった。この中国においても同様な措置に出ておるのでございまして、わずかに八百万の人口を有する台湾政府を相手にしていつまでも外交をやっていこうというところに、非常に無理がある。中共大陸の現実の姿を見られて、外交方針を転換される必要がもう来つつある。アメリカにおいてもこの議論は出ております。田中稔男君からお話がありましたグリーン上院外交委員長の意見や、あるいはフォード二世の意見、あるいはその他いろいろありますから、岸さんも心機一転して、新しい観点から中共問題に取っ組まれんことを切望いたしまして、私の質問を終ります。
○野田委員長 山本利壽君。 〔委員長退席、森下委員長代理着席〕
○山本(利)委員 今回日ソ漁業交渉が妥結したことは喜ぶべきことでございまして、その折衝に当られた政府当局その他に敬意を表したいのでございます。ところが、今回妥結をした漁業の問題は、北洋関係でございまして、沿岸漁業についての問題がまた残っております。このことは前回外務大臣にもお願いいたしましたし、御欠席のときに他の方にもお願いいたしたのでございますが、とかく遠洋漁業というものは、大資本による漁業でございます。沿岸漁民はほんとうにその日その日の生活に困ることでございますから、根室沿岸及び歯舞、色丹等から引き揚げてきた者の生活問題は、政府当局は見殺しにすることができない問題でありますから、ぜひこの問題と取っ組んでいただきたと思うのでございます。ことにコンブその他海草類等は、日本からいえば数億円の価値があるけれども、ソ連側ではこれはとらない問題である。しかも歯舞、色丹はい、ずれは日本に返すと言っておるのであるから、あの島々の沿岸でも漁業ができるような交渉はできるのではないかということで、地方の人々は鶴首して行っておるのでございます。この点についてこの関係官は、ソ連駐在の日本、大使が着任早々でまだ話ができていないということであったが、その後すでに何遍間かたっております。今回の交渉に引き続いてこちらで行われるか、あるいはすでにモスクワにおいて着手されておるか、この点について御答弁を承わりたいと思います。
○岸国務大臣 大使が赴任するに当りまして、私の方からいろいろの訓令を与えております。そしてそのうちにはこの問題も含まれておるわけであります。さらに具体的な交渉に入りますれば、あるいは東京でもやることになりましょうが、まだ今のところ交渉が開始されておる、話し合いが進んでおるという事態にはなっておりません。
○山本(利)委員 その点をお急ぎいただくようにお願いいたしまして、次の問題に移りますが、今回英国に対して特派大使を送られて、原水爆実験の禁止を要語された。これは人選においても時期においても非常に当を得たものと考えるのでございますが、その活動の模様については、各新聞紙は報告しておりますが、外務大臣に向って特別な報告があったかどうか、この点をお伺いいたします。
○岸国務大臣 松下特使が向うへ着きまして、イギリス政府に首相との面会を申し入れまして、マクミラン首相と親しく会いまして、私から託した親書を渡し、それからさらに約三十分にわたってマクミラン首相と意見の交換をいたしております。その状況につきましては私の方へ報告がございますし、それからさらにカンタベリー大僧正が教会関係の人々を集めた席上におきましてこの問題を取り上げて、そうして日本の考えを大体において承認議決をいたしております。ごくわずかの多数でありますけれども、集まった百人前後の人々の過半数の人がそれを支持しておるというようなことで、同時に、松下特使が今後なお各方面の学界、政界の有力者とも会う計画を持っていっておりまして、それらの詳細なことはまだこちらへ報告がありませんが、マクミラン首相と会い、また宗教関係の方面のことにつきましては報告がございます。
○山本(利)委員 松下特使の活動をさらに期待するものでございますが、一体こういったようなことによって世界各国の人々に原水爆の拠出がいかにはなはだしいものであるかということを知らせて、世界の世論を起すことが非常に大切なことであると考えるのであります。国際連合その他においていろいろな決議をしてもらうことも必要であるけれども、何といっても世界じゅうの人がほんとうにおそろしいということを感じなければその効果がないと思うのであって、この点についてはすでに岸総理大臣も十分に御認識になってその方向に行きたいと考えておられるようでございますが、今後世界の人々にほんとうに原水爆の被害をこうむったただ一つの国民であるこの日本人の惨状を伝える方法について、何か具体的にお考えになっておるかどうか、その点を承わりたいと思います。
○岸国務大臣 この問題につきましては、いろいろな手段を講じていかなければなりませんが、その一つの何といたしまして、特に科学的研究、すなわち原爆の被害がそれぞれの個体にどういう影響を与えておるかということを科学的に証明する、さらにそれが遺伝の上においてどういう影響があるかというようなことにつきましては、日本においては相当な研究がすでにありますし、さらにこういう研究なり調査なりというものを正そう科学的に進めまして、こういう科学的の見地から、各国の良識ある人々に訴えていくということも、非常に有効な方法であると思います。そういう意味において、そういう研究なり調査なりその結果なりというものを、あらゆる機会に各国に明らかにして、これで訴えていくということも一つの方法であると思います。また、すでに国連に対して国会の議決等は送っておりますが、それをさらに国連加盟の各自にそれぞれ事務総長から移牒をしてもらいまして、各国のこれに対する関心なり在論なりを高めるということも努めておりますが、同時にそれと並行して、各在外公館におきましてもそれぞれの駐在しておる国々において、その関心なり世論を起さしめるように努力をすることも必要である。あらゆる機会においてあらゆる方面から十分これに対する合理的かつ有効なる手段、方法は私の方でも考究いたしますし、広く意見も聞いてこれを実行していきたい、こう思っております。
○山本(利)委員 いろいろな学者の研究であるとか、調査であるとかいうようなことももちろん必要でございまして、その点についてはすでに各国においてもそれぞれ相当な人々が認識を高めておる、ところが大衆に対してはまだ行き渡っておらない。頭の中でただ原水爆はおそろしいものだという程度のことは知っておるけれども、身にしみてそれを知らないと考えるのでありますが、今回の松下特使のような人々をどんどん世界各国に向って送って、実際大衆に向って講演さすことも一つの方法であると思う。あるいは外務省はいろいろなフィルムを作、て在外公館に配給して各地で見せておりますが、これが富士山であるとかあるいは東京の様子であるとかいったような観光的なもの、あるいは日本の美しいところを見せるということもいいことであるけれども、今、日本が世界の平和に貢献しようとする第一の大きな問題の一つは、原水爆の禁止ということでありますから、日本におけるあの広島あるいは長崎の当時の模様を復元したようなフィルムであるとか、あるいはパンレフットその他を作って、どんどん世界に配るのが、さしむきのよい方法ではないかと考えるのであります。これに対しても相当な費用が要りますが、国連のこの原水爆関係の委員会等に援助を求めるならば、その点も私はある程度解決できるのではないかと考えます。とかく抽象的な理論というものは口にしやすいのでありますけれども、手っとり早くして世界の世論を起すような問題がなおざりにされるがちでございますから、さようなことを考えるのでありますが、外務大臣のこれに対するお考えを承わりたいと思いま
○岸国務大臣 山本委員のお話のような方法につきましても、十分一つ考究してみたいと思っております。
○山本(利)委員 では日本の経済問題、ことに岸外務大臣は経済外交ということを旗じるしにしておられるのでありますが、日本の経済の問題、さらには人口問題解決の一方法としては、普通に移民といわれております、現在では移住問題と言い直しておりますが、この問題が非常に重大だと考える。ここ二、三年来北アメリカあるいは中南米、東南アジア等におけるわが国の移民を迎え入れようとする態度は、著しいものがございまして、前の移住局長であった矢口さんは、もし日本が送るならば一年間に五万人くらいは受け入れてくれるであろうということもいわれておったのでありますが、この過去一年間、昨年の四月一日からこの三月末日までに送り出した日本の移民の数というものは、大体どの程度になっておるのでありましょうか。係官からでけっこうでございますが、御答弁をいただきたいと思います。
○岸国務大臣 総数で約六千百五十五だそうでございます。
○山本(利)委員 一年間に五万人から受け入れることが可能であるというのに、日本は六千人程度しか送り出すことができないというこの原因についても、とくに私は考えていただかなければならぬと思うのですが、その原因の一つは費用の点もありましょうけれども、いろいろな関係機構の複雑さということがあるように思うのであります。この点について外務大臣はいかように考えておられますか。
○岸国務大臣 移住の問題を積極的に増進していく上におきまして、各国における日本移民の受け入れの希望の方から申しますと、今お述べになったように、あるいは三万とか五万とかいうような数字になります。これに応じてこれを実現していくという上においてのいろいろな困難を私どもも十分検討いたしております。一つの大きな何は資金の点が大きなネックになっておる。もう一つはこれを送るべき船の問題、輸送の問題が非常に大きな問題であります。それから御指摘になりましたが、移民に関する国内における機関がなかなか複雑であり、またその間において連絡や協調が十分でないという点は、確かに御指摘になったことがあると思います。しかし私は今一番大きな支障がそういうことからきているのではなしに、先ほど申した二点が、現実の問題から言うと一番大きなネックになっているように思います。しかし国内における機関の連絡と協調につきまして不十分な点は、いろいろな意味において移民行政全体を推進する上の支障になりますから、十分考えて参りたいと考えております。
○山本(利)委員 この問題を、あえて私が本日取り上げましたのは、総理大臣が外務大臣を兼ねておられますから、この機会に改革し、確立していただかなければ、またとよい機会はないというように考えるからでございます。もうずっと以前から日本の移民問題については、ことに移民問題だけではなしに、いろいろな問題で日本の役所というものはなわ張り争いが非常に激しい。これは熱心さのあまりということもございますから、あえて非難すべきではないけれども、結果的には非常に困ることが多いのであって、この移民の問題についてもたくさんな機関でいろいろ紛糾いたしましたので、手続上の問題などを一括するために、海外協会連合会というものを作ったのでございます。そうしてまた金融部面を担当するために日本海外移住振興株式会社というものができたのでございます。こういうふうにして漸次その係を単純化していこうということに外務省でも努められ、われわれこの委員会も協力してきたのでありますけれども、最近では農業移民を送り出すためには、どうしても農林省の協力を得なければならぬということは当然でありますが、これは農林省の管轄内であるという意味から、ここにいろいろな問題ができてきて、拓殖農業協同組合というものを設立して、この農業移住者を送り出そうとしておるやに聞くのでございます。また労働省の方では、たとえば北米等に送ります短期労務者等の選定は、職安を通じてなすべきことだという意味から、これに強い主張をしておられるようでございます。こういうふうに関係各省があまりなわ張りを争いますと、せっかくの移住問題が停頓しがちである。これらの点について、すでに外務大臣は聞き及んでおられるかどうか、そしてこれをどう統一しようとしておられるか。機構上、日本海外協会連合会を中心としようということは、昭和二十九年の七月二十日の閣議決定にもなっておる。また昭和三十年五月二十日の閣議了解事項にもこれらの問題が取り上げられておる。にもかかわらず、政府部内においていろいろな争いが起る。ことに、御存じかと思いますけれども、農林省の平川次官からアメリカの移民帰化局長あてに、この日本の政府部内の内紛を麗々しく伝えておる。ここにその書簡の全文も入手しておりますけれども、私はこれらのことはまことに遺憾なことであると思います。これを統一するのに今は絶好のチャンスである。ことにあらゆる面においていろいろな知識と鋭い感覚を持っておられる岸総理大臣、外務大臣としてはこの点を十分に統一して、すみやかに日本の移住問題が進展するようにはかってもらいたいと考えるのでありますが、御意見を水わりたいと思います。
○岸国務大臣 移民に関する国内機構がいろいろその間に摩擦があり、十分な連絡協調がとれていないという事実につきましては、私も党におりますときから相当体験をいたして参った問題であります。言うまでもなく、移民につきましては、農業移民の例を一つとって考えてみましても、外国における土地を購入し、あるいは向うにおいて受け入れをするとか、受け入れについての交渉をするとかいうような問題は、これは渉外機関である外務省がやらなければならぬということは言うを待たないのであります。また送られるべき農民が向うの土地に落ちついて十分な成績を上げるように優秀な人を選んで、移住した後におけるところの行動についていろいろな訓練をしていくという問題になりますと、これは実は農林省の立場から言うと、農林省の考えが非常に重要視せられなければならぬということになることは当然だと思います。またそれは非常に尊重しなければならぬのでありますが、何時にこの問題が海外の事情を十分に知っており、海外の要望であるとか、その国々の事情というものを十分に知っておって、それに適するように持っていかなければならぬということになりますと、これはやはり外交に当っている外務省の人々がそういうことについては適切な意見を持っているという点がございまして、決して単純ななわ張り争いというだけではなしに、ほんとうにこれを成功せしめるためには、両方が謙虚な気持で協力し合わなければできないのです。ところが移民の問題は一方からいうと、過去のわれわれの経験からいっても非常にむずかしいものであります。従って移民の仕事に当る人は、ほかの仕事と違って、それに精魂を打ち込んでやるという人でなければできない。そういう人はやはり性格的にも強いものですから、現実の問題からいうと、協調の点においてなかなかむずかしい点があるのです。ですから機構として一応立てられても、十分な協調あるいは連絡が円満につかないおそれがあることは、従来私も実際に体験した問題であります。しかしそうであるからといって、現状で放擲することはできませんから、非常に複雑で困難な事情がありますけれども、日本の移住政策を積極的に推進するためには、国内における機関の統一ないしこれの協調連絡について私としても十分検討して、適当な方法を立てなければならぬと思っておりますから、今後十分力を尽して参りたい、かように思います。
○山本(利)委員 外務大臣のお言葉でございますから、その通りに行われなければならぬのでございますが、この昭和二十九年七月二十日の閣議決定事項の中に、外務省内に移住関係官庁連絡会を設けて、各省事務の連絡統一をはかるものとするということがありますけれども、そういうものがすでに設けられて活動しておられるのかどうか、せっかくこういうものを作りながら行われていないのではないか。 それからもう一つは、移住というような問題は特殊な問題であるから、よくよくそれに熱意のある専門家が必要だ、移住局を外務省内に作らねばならぬというのでせっかく作った。それを演義に課長から局長にして、なれてくると公使に出してしまったのでは、私は何もならぬと思う。だから、自分こそ一生を移民問題にささげてもよいというほどの人物を扱えなければ、順送りに課長から局長になって、早く公使に出たいというような人の占めるべきポストではないと思う。こういう特殊なポストについては十分人選を考慮せられまして、あせって公使、大使に出たいというような人は、今後局長になさらないように私は要望するものでございますが、お考えを承わりたいと思います。
○岸国務大臣 連絡協議会は時々やっておるそうであります。できるだけ今のような御趣旨に沿うような意味において、連絡を緊密にしていきたいと思います。 人事につきましては、お話のような点も十分頭に置いて考えて参りたいと思います。
○山本(利)委員 これは一々いろいろな参考書類によって、移住品題については御質問いたしたいのでありますけれども、いつか日を変えて係の方にお尋ねすることといたしまして、この問題でいろいろな繁雑を避けて統一するために、ここに海外移住団体法案というものを早く設けてもらいたい、これを設けるということも、前に閣議決定事項の中にあるのでございますが、それがまだ現に行われていない。これを各地方団体では非常に待望しておるのでございまして、事実私どものところには早く法制化してもらいたい、この国会にぜひ出してもらいたいといってきている。聞くところによると、外務省ではすでに法案もできているようでございますけれども、これが提出されない理由、また今国会に出される意思があるのかないのか、もしなければ何ゆえ停頓しておるのか、その点について承わりたい。
○岸国務大臣 こういう総合的な一つの法律を作ることについては、一般の要望もございますし、外務省としてもその法案の提出につきまして、あらゆる値から準備を進めて参っておるのであります。同時に今お話がありましたように、これは各省にも関係のあることでございまして、これらの方の十分了解協力がなければならぬわけでありましてまだ実を言いますと、各省との問の下話を進めておるような程度でございまして、われわれといたしましては出したい意図のもとに準備を進めて検討いたしておる。しかしこの国会に必ず出せるかどうかということは、まだ明確に申し上げることができないと思います。
○山本(利)委員 これ以上あまり追及いたしますと、かえって問題が紛糾するかと思いますから停止いたしますが、繰り返しますように、総理大臣は外務大臣を兼ねておられるのでございますから、今が一番各省の意見を調整するにもよい機会でございますから、大臣みずからこの点については一つ手を染めていただきたいと考えるものでございます。 最後にいま一点お伺いいたしたいと思いますのは、岸外務大臣は御就任以来、経済外交という旗が掲げられて、世人の注目と期待を受けておるのでございますけれども、これが従来はいろいろな善隣外交であるとか、その他美しい名前で言われながら、実を結ばなかった。今度もそれと同じような結果になりはしないかと、最近危惧する向きも多くなっておるのでございますが、この点についてはぜひ具体的な案がなければなりませんけれども、その具体的の案を作るのは政府部内で一体どこで作っておるのか。わが国の過去の外交を見ますと、日支親善を唱えて、今でいえば日中親善でございましょうが、それは一に同文同種ということを言っていた。これで大ていいけると思っていたけれども、現在は全く相離れてしまっておるし、そして先ほど言った善隣外交も単ある旗じるしに終っておるのでありますが、そうしないためには、どうしても具体的な政策がなければならぬが、それは今の政府部内ではどこが担当して、どこでお作りになるのか。それもないのであるかという点について一つお伺いいたしたいと思います。
○岸国務大臣 経済外交の推進という問題になりますと、これは個々のそれぞれの国々における具体的問題をとらえてこないというと、一般に抽象的に一つの政策というようなことは考えられないと思うのであります。従ってそれぞれの具体的の問題に関しましては、経済外交推進については言うまでもなく外務省が中心になってこれをきめ、またこれを推進するわけでありますが、貿易の問題等については当然通産省と関係がございますので、通産省との間に連絡をとってやっていかなければなりませんし、あるいは海外投資の問題になりますれば、金融の面とか財政の面から、当然大蔵省と話をしなければならないという問題があります。それから同時に日本の長期経済計画を立てる上におきまして、経済外交というものが――日本の経済から申しますと海外の資源に依存しなければならぬところもあります。あるいは年々の対外収支の問題を考えていく上におきまして、われわれの経済外交と非常な密接の関係がございますから、当然経済企画庁とも関連を持ってくる。あるいは移民の問題については今お話がありましたように、農林省やあるいは必要によっては労働省とも関係を持ってくるわけでありますが、この具体的の政策の内容案というものの計画、実施については、外務省が責任を持ってこれに当っております。
○山本(利)委員 外務省がその主管省としておやりになるということは、まことにけっこうなことでございますが、現在の外務省の各部局においては、この大きい問題と取り組んでいかれるのには非常に私は手薄でもあり、その他支障があるかと考えるのでございます。今外務大臣は海外投資の問題を言われましたけれども、海外投資の面だけ考えてみましても、大蔵省の調査によりますと、昭和二十五年度から三十一年六月末までの実績というものは百三十三件で二千五万ドル、その中で東南アジア関係はわずかに六百十四万ドルという貧弱さでございます。他の部面の技術協力の面についてもこれと同じようにまださっぱり伸長していないのでございますが、私は今までのところはそれとして、今後岸総理大臣兼外務大臣のもとにおいて、これをほんとうの意味の経済外交に推進していただきたいというその熱願から申し上げるのでございますが、ここに特別な、たとえば経済外交審議会といったようなものを作って コロンボ・プランであるとかICA等の計画とにらみ合せ、かつ国内におけるいろいろな各行政部門との連絡、さらには関係国におけるところの計画の進み工合というようなものを勘案して、具体策を立てた方がよいのではないか。これによって、たとえるならば技術援助の場合であれば技術協力の目的であるとか、事業、経費、組織等の大綱をきめ、関係諸国との折衝の基礎的方針をここできめることができると思うのです。現在では、わが国に来た相手国の研修生や視察団の帰国後の組織的連絡もまだついておらぬようでありますし、またわが国から派遣した専門家あるいは祝祭団等の成果も、これをフォローアップするところの手段がないように見受けておるのでありますが、私は外務省内に今申しましたような経済外交審議会とかあるいは技術協力審議会とか、名前はいずれでもけっこうでございますが、そういう部門を設けて、そして外務大臣の諮問機関としてこの点を進めていかれる御意思はありませんでしょうか、この点についてのお考えを承わりたいと思います。
○岸国務大臣 私は実は過日来、経済外交懇談会というものを外務省に設けまして、財界、産業界あるいは各方面の、経済外交に関して有識の人に来てもらいまして、またわれわれの方からいろいろな経済外交上の重要な問題と思われるような問題をあらかじめ与えておいて、それについての意見を聞いております。たとえばヨーロッパ市場に関する日本の貿易その他海運等に及ぼす影響、これに対する対策というようなこと、また東南アジアに対するいろいろな経済外交につきましても、東南アジア諸国の方面の知識のある人々に集まってもらいまして、これらの意見を聞いて経済外交の具体的問題を推進することに資しております。現在のところしばらくこの形において、問題問題を取り上げてこれらの人々の意見を輝き、またわれわれの具体的政策を立てるのに資して参りたい、こういうふうに考えております。
○山本(利)委員 時間がございませんから私の質問はこれで終ります。
○森下委員長代理 次会は公報をもって知らせいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時五十三分一散会