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26回国会衆議院1957/03/20

外務委員会 第13号

発言数
181
登壇者
13
会派数
2
開催日
1957/03/20

会議録

野田武夫自由民主党

○野田委員長 これより会議を開きます。  航空業務に関する日本国とスイスとの間の協定の締結について承認を求めるの件、日本国とブラジル合衆国との間の航空運送協定の批准について承認を求めるの件、日本国とドイツ連邦共和国との間の文化協定の批准について承認を求めるの件、日本国とインドとの間の文化協定の批准について承認を求めるの件、日本国とチェッコスロヴァキア共和国との間の国交回復に関する議定書の批准について承認を求めるの件、日本国とポーランド人民共和国との間の国交回復に関する協定の批准について承認を求めるの件を議題といたします。  質疑を許します。松本七郎君。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 政務次官が時間の関係がおありのようですから、少し順序が前後しますけれども、最初に少し政務次官にお伺いしてみたいと思いますが、その前に条約局長にちょっと一つだけお尋ねするのは、東欧諸国で現在なお法律上戦争状態にある国はどこどこでありますか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 お答えいたします。法律上戦争状態と申しますか、国交断絶状態にある国としましてハンガリーとルーマニア。それからブルガリアにつきましては、これは何と申しますか自然的に国交がないと申しますか、そういうふうな状態になっております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 今度は政務次官にお伺いするのですが、このハンガリーあるいはポーランドの問題が起ったとき、当時の鳩山内閣としてももちろんそうだったようですが、当時の外務大臣の重光さんの本会議における説明なり、それから委員会の答弁で、いわゆる東欧諸国の自由化というか、あの民族的な運動に対して非常に大きな同情を寄せられた説明があったのです。端的に言えば、いわゆる東欧諸国の自由化というものに、もちろんわが国全体にわたってこれに賛意を表している向きもだいぶあるのですが、政府の今後の対東欧諸国政策を私どもがはっきり理解する上からも、この点非常に必要なので政務次官の御答弁をわずらわしたいと思うのは、いわゆる東欧諸国における自由化といわれておるこの運動が、あくまで社会主義制度内における自由化の運動であるか、それともこの東欧諸国の自由化は、社会主義制度をさらに突き破って資本主義制度への質的変化まで伴う自由化の運動と政府はこれで見ておられるか。どういうふうに政府がこの東欧諸国における最近の動向を見ておるかということが、今後東欧諸国に対する日本の政策そのものに関係してくる。特に国交回復をやるチェコ、ポーランドに対する国交回復した後の親善友好政策の上には、この今起っておる東欧諸国のいろいろな動向を政府がどう見るかということは、非常な大きな影響がありますので、外務当局はこの点をどういうふうに見ておられるか、この点一つお答え願いたいと思います。

井上清一自由民主党外務政務次官

○井上(清)政府委員 お答えを申し上げます。一つの国が国の制度としまして資本主義をとっていくか、あるいはまた社会主義とっていくかということは、その国自体の自由であり、またその国の過去の歴史あるいは伝統、またそのときのいろいろな社会的な事情その他によってその国の採用する方法だろうと私は思います。ただいま御質問がございましたように、東欧諸国間において自由化の動きがあり、それに対して同情を惜しまないというような考え方を、先般の鳩山内閣において当時の重光外務大臣がお述べになったことは私どもも承知をいたしておりますが、ハンガリーの国民が非常に極端な弾圧からのがれて、自由なる制度を求めたいという気持に対して、私どもは心からなる同情の念を禁じ得ないものでございますけれども、しかしそれがどういう制度のもとで自由を求めんとするかということは、その国自体が選ぶべき問題であって、私どもがかれこれそれに対して云々することは避けなければならぬと考えております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 政府にその自由化の運動がどうあるべきかという意見を私は求めておるのではないのです。日本の政府のそういったことに対する観測なのです。つまりアメリカの一部でしきりに観測されておるように、見方に二つあると思うのです。東欧諸国におけるいわゆる自由化の運動が、社会主義制度はそのままにしながら——ハンガリーから逃げてきた人たちの話を聞いてもいろいろあるのです。それからユーゴスラビアその他の情報をごらんになっても、ハンガリーの国民は、今まで築いてきた社会主義制度はあくまでも守っていくのだ、ただしその中にもう少し自由化をするのだ、こういうふうな情報もくるし、また一方には、最近日本に逃げてきておる人たちの一部には、いや今まで築いてきた社会制度そのもの一切がわれわれはいやなんだ、これもやめてしまいたいのだ、こういうことを言っている人もあるといわれておるのですが、そういう個々の情報を言うのではなしに、今質問の要旨をわかりやすくするためにそう言ったので、外部から見ている場合に、ハンガリーあるいは。ポーランドの自由化運動は、果して社会主義制度はそのままにしながら、その中の自由化運動として成長するのか、あるいは社会主義制度そのものを否定しようとする運動になりつつあるのか。これは干渉でも何でもない。よその国の一つの運動に対してこれをどう判断するかということは、当然外交政策を担当する以上はこれは判断がなければならぬと思います。その政府の判断を伺っておるのです。

井上清一自由民主党外務政務次官

○井上(清)政府委員 お答え申し上げます。これは簡単に一口に申し上げることはどうかと思いますけれども、大体私どもの大勢として判断をいたしておりますところでは、極端な共産主義は排除し、社会主義下における自由化の方向にハンガリーが進みつつあるのではないかというような観測をいたしておるような次第でございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 その次は、いわゆる衛星国という言葉が日本政府の出しておるいろいろな書類にも出ておるのです。衛星国という表現は国際法上からいうと一種の従属国の意味が含まっていると思います。たとえば外務省の発行している文献で言うと、「世界の動き」の六十号にも衛星国という用語が使われておる。一体政府は、ポーランドなりチェコその他の東欧諸国をソ連の衛星国と見ておられるのかどうか、この点をまず伺いたい。

井上清一自由民主党外務政務次官

○井上(清)政府委員 衛星国という言葉の使い方については、いろいろ議論もございましょうが、普通形容詞的な意味で用いておりまして、やはりハンガリーなりポーランドなりチェコという国は、従来の国の成り立ち、そしてまた国のとっておりますところの政策、制度というような点から考えまして、ソ連との非常に密接な関係から考えまして、衛星国というような形容詞をもって表現いたしますことが、適当ではないかというふうに考えております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 さっきも言ったように、社会主義のワク内であってもとにかく自由化、民主化運動が起っておる。それから御本尊のソ連においても昨年の二月の二十回大会では、従来と違った線がだんだん強化されようとしておるのです。そういうときに日本がチェコなりポーランドと国交を回復しようとする以上は、友好親善関係をこれから結んでいかなければならぬというときには、国際法上従属国ととられるようなおそれのある衛星国というような表現を、今後外務省が出す文書で依然として使うということは、あまり好ましくないと思います。やはり日本がアメリカの従属国であるとかアメリカの衛星国といわれれば、かりに日本の現状からいってそれが事実であってもあまりいい気持はしない。ですからこういうことはやはり一つの独立国家と国交を回復する以上は、われわれとしても細心の注意を払って表現の用語等にも心すべきだと私は思いますがどうですか。今後は衛星国というような表現の仕方を改める御意思はございませんか。

井上清一自由民主党外務政務次官

○井上(清)政府委員 言葉の使い方についていろいろ御注意があったわけでありますが、こういう国際間の問題は非常に微妙な問題でございますので、言葉の使い方などについては十分慎重でなければならぬと考えます。その点については同感でございます。衛星国という言葉の使用についても十分検討を加えまして、今後注意していきたいと考えております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 条約局長にお伺いしたいのですが、ポーランドとチェコがわが国に対して宣戦をしたのはいつですか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 お答えいたします。ポーランドにつきましては昭和十六年十二月十一日であります。チェコは昭和十六年十二月十六日であります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そのとき宣戦布告した国の政府は、いずれも亡命政府だったと思うのですがどうですか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 さようであります。ロンドンに亡命した政府であります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 この亡命政府と国際法との関係はどうですか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 結局当時は亡命政府としてあったのでありますが、その後その亡命政府がポーランドなりチェコ内に復帰いたしまして、そこで条約を締結するというふうな形になったわけであります。従ってその限度において当時の亡命政権——当時の事情では日本側はそういうふうにとっておったわけでありますが、亡命政権そのものはチェコなり。ポーランドの正統政府として向うの側からは考えられておったわけであります。それが現在になってから、当時亡命政府といわれたのが復帰しまして、正統政府として平和交渉をし国交回復をするということになったというわけであります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そうすると亡命政府の国際法上における権限だとか、その当時その政府の締結した条約の効力というようなものは、それが正当政府になった場合には過去にさかのぼってすべて有効になる、こう解釈していいでしょうか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 国交回復なりましてからその点はまた問題になって、その当時の個々の行為はどうだとか、その当時の条約は有効だとか、そういう問題が議せられて決定になると思っております。もしそういうふうな条約なり行為なりがございましたら、国交回復後の問題になるかと思っています。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 それからこの条約の第三条の二項には国内事項に干渉しないという国内事項不干渉の原則が述べてあるわけでありますけれども、ここに「政治的又は思想的のいかなる理由であるとを問わず、」と、わざわざ思想的理由による直接干渉ということをうたっていますが、これは具体的にいうと何をさすのですか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 ここにございます内政不干渉の原則でございますが、これは日ソ国交回復以来一つの例文的なものになったと考えております。そこで思想的と申しますのは、一国のとるいろいろな体制と申しますか、共産主義と申しますか、社会主義と申しますか、そのような宣伝とか、それが相手国に内政干渉にわたるようなものになったならば、これは相互に差し控えるべきであるというふうな考え方であります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 日ソ共同宣言の場合にもこれは問題になったわけでありますが、今の御答弁のように、日ソ共同宣言以来これが一つの例になってきたということはなかなか重要なことだと思います。そこでこのチェコ及び。ポーランドとの場合には、この条項はいずれの側から要求したのですか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 日本側から提案したわけであります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そうすると、共産主義とか、社会主義とか言われるけれども、そのどこから、共産主義の輸出といわれるように、そういう制度を外国に押しつけるとか、あるいは内政に干渉するものと判断するのか、これは非常にデリケートだと思うのです。文化というものは、その国の政治制度やその他と全然切り離されて考えられるものじゃなし、すべてこれは相関連するものですから、両国か文化交流を積極的にやろうとする場合に、この条項が拡大解釈されてくると、本来なさるべき文化交流でさえ順調にいかないというおそれがあると思います。ですから、この思想的理由云々は、日ソのときもすでに出てきておるのですから、それをこの条約だけで撤回してみても大して意味はないと私は思いますけれども、むしろ今後の運用においては、よほど慎重に考えていただかないと危険を含むと思うのです。これは日ソ共同宣言のときにも、岡田春夫君から長時間にわたってずいぶん質問があったと記憶しておりますが、文化交流を阻害するような程度にまでこれが拡大解釈されて悪用されないという保障は、何らか両国間の話し合いの中ででもなされたのでしょうか、どうでしょうか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 交渉の過程におきましては、別にそのようなことは考えません、おそらく双方とも考えなかったかと思います。従いましてそういう点につける保障というような問題は全然議題また交渉に上ったことはございません。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 田中局長にお伺いしますが、情報文化局の立場から見て、文化交流の立場から見て、こういうことが将来文化交流の発展のじゃまになるおそれがあると思われませんか。

田中三男外務事務官(情報文化局長)

○田中(三)政府委員 私どもは純然たる文化の交流は、今おっしゃるように、内政干渉になるとは考えておりません、従ってここに書いてありますように、国内に干渉しないという規定と、われわれの考えております文化交流とは矛盾しない、そういうふうに考えます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 それはここにいう内政干渉に該当するかどうかというような判断は個々の事例によって具体的になされますので、純然たる文化の交流と、それから思想的な干渉を含んだものとの区別を一つ例をあげて説明していただきたい。

田中三男外務事務官(情報文化局長)

○田中(三)政府委員 今までのところ一具体的な例がありませんので、仮想的に申し上げると非常にむずかしいのでありますが、日本の国内の政治情勢等に直接批判するようなものがあるとすれば、あるいはこういう規定に関係を生ずるかもしれませんが、われわれとしては、さしあたりそういうものはないと、こういうように判断をいたしております。従ってこの規定と文化交流とは衝突しないものと判断をし、さように期待をいたしておる次第であります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そうすると、直接その相手国の社会制度なり政治制度を批判しなければよいのですか。

田中三男外務事務官(情報文化局長)

○田中(三)政府委員 批判しなければいいといっても、今われわれが抽象的に想像できないような事態もあるいはあるかもしれませんが、一応は単にイデオロギー的であっても、それが即内政干渉になるというふうには考えておりません。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そうすると、たとえばチェコから何か劇なり映画なりが入ってくる、そこにはチェコ自身の制度あるいは共産主義の制度そのものを、観衆なり聴衆が非常に高く評価できるような表現がされておる、それが間接に資本主義の欠陥を大きく浮び上らせるというような場合は、これには決して該当しないと解釈してよろしいのですか。

田中三男外務事務官(情報文化局長)

○田中(三)政府委員 抽象的に今おっしゃるような御質問の点に対してお答えは非常にむずかしいのでありますが、私どもの考えております文化交流というのは、もっと純然たる文化内容の豊富であり、かつ高尚な芸術味のある文化交流というものを期待をいたしておるわけであります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 その文化交流について、文化交流そのものにも、両方の間で、こういう条項があることによってなかなか意見が一致しないで、結局交流そのものが阻害されるおそれがあるのじゃないかと思うのです。だからなぜこういう規定を設けなければならないか。日ソの場合に設けたから例として設けたでは、どうも納得できないので、そういう事例が今までないならなおさらのこと、こんなものは除いておいた方が、むしろ今後文化交流を盛んにして、その上でどうしてもそういうおそれがあるというきざしでもあるような場合には、あらためて考えるという方がむしろ現実的じゃないかと思うのです、どうも今までの御説明では納得いかないのですけれども、そうすると逆に——日独の文化協定ができる。最近西独ではだいぶナチスの復活というようなことも方々でいわれておりますが、かりにそういうナチス文化というようなものがどんどん復活してきたような場合に、文化協定に基いて、一切それは御自由だ。直接、向うさんが日本の内政に干渉しない限りは、また思想的に干渉しない限りは一切自由だということになりますでしょうか。

田中三男外務事務官(情報文化局長)

○田中(三)政府委員 文化協定に基いて政府が直接間接関係いたします場合には、今おっしゃったような場合はわれわれは取り上げない考えでおります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 取り上げないというのはどういうことですか。

田中三男外務事務官(情報文化局長)

○田中(三)政府委員 直接間接政府としてはこれに関与しないということであります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 文化協定に基くところの文化交流には政府は関与しない、こういうのですか。

田中三男外務事務官(情報文化局長)

○田中(三)政府委員 文化協定に基いて政府のやります事業としては、今お話のような問題の文化手業というものを取り上げないということであります。すなわち直接にも間接にも援助しない、こういうことであります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 文化協定に基いて今後両国で文化を交流する場合には、具体的には政府がそれにタッチしないというのですか。

田中三男外務事務官(情報文化局長)

○田中(三)政府委員 文化協定では、日独の場合は、規定もありますように、混合委員会を開きまして、混合委員会でいろいろの具体的な問題を取り上げて相協力して文化交流を促進する、こういうことになっておるわけでございますが、今例をあげられましたような事業が、かりにだれかの手で、あるいは相手国側で計画されたといたしましても、日本の政府当局としては、これをこの協定に基く混合委員会の関係した事業としては取り上げない、すなわち関係しない、こういう趣旨であります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そうすると、今後も大体、かりにチェコやポーランドと文化協定を結ぶというような場合、やはり同じようにそういう委員会でもって担当するということになるだろうと思うのですが、この国交回復条項の、今指摘した思想的云々との関係などは、その委員会で判断する、こういうことになるでしょうか。

田中三男外務事務官(情報文化局長)

○田中(三)政府委員 委員会のみで判断するわけではありません。それは日本側が独自に判断をするわけでございます。従ってもしかりに文化協定を作っておる相手国が、今おっしゃったように非常に全体主義国に変ってきたというふうな場合に、相手国としては全体主義的な思想を持ったいろいろの文化事業をやりたいということを提案しても、わが方としては独自の見解に基いてこれを拒否する、こういうことであります。なお文化協定ができましたからといって、両国間のすべての文化事業がこの協定に基き、また混合委員会の手を経て行われるというわけではないのであります。民間における文化交流事業というものが別にあり得るわけでございますので、われわれとしては、文化交流事業は協定ができたから全部を政府が直接間接関与するという建前はとっておらないのであります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そうすると、将来予想されるチェコとの国交回復ができて、そして文化交流も進んでいく、あるいは文化協定もできるかもしれない、そういうときに、この思想的のいかなる理由云々の条項を基準に判断するのは政府だろうと思うのですが、いろいろな文化交流は、混合委員会が新たにできて、そこを中心になされる場合もあろうし、それから民間でやられる場合もあろう、いろいろ広範囲にわたってなされるでしょうが、その場合に、内政干渉にわたらないかというようなことは、当然日本政府が監視するということになるのでしょうか、その点はどうなのでしょうか。

田中三男外務事務官(情報文化局長)

○田中(三)政府委員 今のところこの委員会で監視をしたり統制する権限はないものと考えております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 委員会でなされない場合は、それではどこがこの条項を見守るのですか。

田中三男外務事務官(情報文化局長)

○田中(三)政府委員 外国の国内事項に干渉しないというのは、こういう規定があってもなくても、これは国際法上の反則になっておると思うのであります、従って、そういう規定がなくてもやはり国際法上の原則は生きるものと考えておるわけでありまして、かりに自由主義国との間に文化協定を作った場合に、どんな事業でもこの委員会で取り上げて積極的に努力し合うという考え方は持っておらないのであります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 こういう規定がなくても、当然国際法上内政干渉はやれないのだ、こういう建前なら、わざわざここに設けなくてもいいじゃないかということになるのですが。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 確かにその点につきましては国際法上の基本原則でございますし、当然のことであります。従いまして、もしそういう事例が起りましたならば、こういう協定がなくても、お互いに国家間で取り上げ、外交上の紛争として外交交渉に移るということは確かだと思っております。ただ国家間の基本的な原則と申しますのは、ここにございますように、また国連憲章にも規定がございますように、紛争の平和的解決、武力を行使しないこと及び内政は干渉しないこと、これがやはり何といいましても国家間の交通の上における一つの重要な基本原則だろう、こういうふうに考えますので、やはり国交回復の最初にこういうふうな原則を確認的にうたっておくのは決してむだなことではない。ただこういう事態が今あるのだとか、最近ありそうだ、そういうふうな意味でこれを置いたわけでは決してございません。ただそういうふうな基本原則というのはやはり国交回復というような行為の冒頭には確認的に規定しておくべきではないか、こういうふうに考えております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 それでは国際法上認められておらないところの内政干渉を阻止するという、それを再確認する意味でこの国交回復の条項にうたったのだ、こう理解してよろしゅうございますか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 当然そのように考えております。すなわちこの第二項は、国際法上規定してある原則に追加するものでもなく、それから削減するものでもなく、その原則をそのまま確認的にうたったのだ、こういうふうに考えております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 しからば将来行われる文化交流を絶対にこれは阻止するものではない、こう理解して次に進みたいと思います。  その次は今条約局長がちょっと触れられた問題なのですが、第三条の第一項(b)項「国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むこと。」これは文章からいえば当然なことのようですけれども、今の国際情勢の実情からいうと、国際連合の目的と両立しない云々ということ自体が、なかなか問題が起り得ると思うのです。つまりたとえばNATOだとかあるいはSEATOというようなものについても、国際連合の憲章に照らしてその当否を判断した場合に、国際連合憲章に基いて当然NATOやSEATOもこの精神を体した至当なものだ、こういう判断をするものと、それからこういったNATO、SEATOこそ国際連合憲章にむしろ違反するものだ、こういう観点とあると思うのです。ですからこの「国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるもの」とここにうたっても、果してある事件が起った場合に、その処置は国際連合の目的に一致するか反するかということについては、簡単にきめられない場合があろうと思う。日本の敗戦後今日までの状態を考えてみても、アメリカのやることが必ずしも全部国際連合の精神に一致したものとは思われない、ある場合にはアメリカの政策自体が、国際連合憲章から見て好ましくない場合もあるわけです。この前の委員会でも問題になった沖繩の問題一つ取り上げてみても、日本の立場からいえば、はなはだアメリカの対沖繩政策というもの、あるいはさらにそれを対アジア政策、あるいは世界政策というものにまで広げて、アメリカの政策は国際連合憲章と完全に一致しておるとは思われない節がたくさんあると思う。その場合に対米協調という観点から、日本もあまり対米協調ということに心が移り過ぎると、この国際連合憲章の目的に矛盾した行動に、日本みずからが入ってしかなければならぬいうような事態が今後も私はあり得ると思うのです。そういう点を十分警戒してかかる必要があると思うのですが、日本政府としてはそれらの点をどのように考えておられるか。この条項を作られる場合に、そういう問題について少しは考慮されたかどうか。これは一つ政務次官の御見解を伺っておきたいと思います。

井上清一自由民主党外務政務次官

○井上(清)政府委員 ただいまの御質問についてお答えをいたします。この国連憲章に従い、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものについても、国際関係においては慎しむというような言葉は、サンフランシスコの平和条約におきましても、またソ連との共同宣言におきましても、例文的に用いている言葉でございまして、平和条約また国交回復に関します議定書等におきましては、例文的に用いておるところであります。こうした言葉がございましても、これによって国際連合憲章の諸原則に従っていくという意味を強めることはありましても、このことによりまして、何か特別な目的とか、あるいはまた特別な意図によってその国際関係が左右されるというようなことはないと私ども了解をいたしておるわけでございます、

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 これはいつも出てくる表現ですけれども、この「国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むこと。」とわざわざうたっておるのは、国際連合の目的と両立する場合にはこれが認められるわけですから、当然国際連合できめた武力行使というものも認められておるので、そこに問題があるのですよ。国際連合の目的と両立するものかどうかという判断は、今後は日本が独自な立場から厳正にやっていかなければならぬ今日の状態ですから、今まででのように対米協調政策ということにあまりとらわれて、日本独自の判断が薄らいでは困るということを私は心配しておる。今後は国連というものが創立当時の国際連合になるように日本も十分に努力しなければならないし、国連における行動も、どこから見ても国際連合の根本精神に違反しておらないというような行動を、日本が積極的にとてっいく決意が必要だと思うのです。そういう点を伺っておる。

井上清一自由民主党外務政務次官

○井上(清)政府委員 ただいま御意見の点、私どもも重々同感をいたしておるような次第でございまして、私ども、では国際連合の目的と両立する場合にはその武力の行使はいいのか、あるいはまた国の領土保全のために武力による威嚇とか武力の行使というようなことについて考えるなどということは絶対にあり得べからざることであります。何と申しましても国連憲章の根本的な考え方によって行動し、それによってわれわれも今後は律されていくものだと私ども考えておる次第でございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 政務次官はお時間がないそうですから、別な機会に御質問をいたします。  それから第五条で通商海運の関係について規定されているわけですが、通商航海条約は大体いつごろ結ばれるか、お見通しがあるでしょうか。

佐藤健輔外務事務官(経済局次長)

○佐藤(健)政府委員 ちょっと今のところ、いつこの交渉を始め得るか、また結び得るかについては、いろいろ広範にわたって調査する必要がございますので、ここではっきりした時期を申し上げることはできないと思います。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 日ソの場合は議定書で通商航海条約ができるまでは最恵国待遇が与えられるということになっておりますが、この両国の場合はどうなのですか。

佐藤健輔外務事務官(経済局次長)

○佐藤(健)政府委員 別にただいまのところ最恵国待遇を与えるかどうかということをはっきり規定しておりませんが、実際問題といたしましては、普通の日本の税率はガット税率を除きまして一本でございますので、支障ないものと考えております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 ポーランド、チェコ両国と日本との現在の経済交流が大して大きいものがない、また将来そう活発化することが考えられないという意味で、最恵国待遇の規定をしなかったのでしょうか。

佐藤健輔外務事務官(経済局次長)

○佐藤(健)政府委員 御指摘の通りでございまして、数字を申し上げるならば、チェコに対する輸出実績は五一年から五三年まではほとんどゼロでございます。五四年に至りまして輸出が百三十万ドル、五五年は輸出が四百五十万ドル、五六年は約二十万ドルに減少しております。またチェコからの輸入は、各年いずれも十万ドルに満たない少額でございまして、こういうような関係から、果して直ちに今の段階において最恵国待遇の供与を約していいかどうかという問題もございました関係上、この協定はそこまで明白に規定しなかったわけであります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 第二次大戦前はチェコの外国貿易の中で日本は相当重要な地位を占めておったと思うのです。日本と貿易協定を結んだのはたしか一九二五年だったと思いいますが、その貿易協定締結後の両国の物資交流の状況はおわかりでしょうか。

佐藤健輔外務事務官(経済局次長)

○佐藤(健)政府委員 はなはだ不勉強のおしかりを受けるかもしれませんが、戦前の統計はただいま持っておりません。ただ私二十年ばかり前にヨーロッパの諸国との経済関係の仕事をしておったのでございますが、チェコと日本との同にそう大した大きな貿易があったとも記憶しておりませんし、また今御指摘の貿易協定があったという記憶も持たないのでございますが、この点できるだけ調べまして、調べがつき次第、お答え申し上げます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 一九二五年だったと思うのですが、貿易協定があることは間違いないのです。大戦前は日本からチェコが輸入しておったものの一番大きなものは油脂です。それから一九三七年ごろの記録を見ますと、チェコの輸入総額の四分の一が日本からきておる油脂というように出ておるのです。また絹だとか、人造繊維、綿織物、魚のカン詰、こういった相当な物資交流があったように思うのですが、全然おわかりじゃないですか。

佐藤健輔外務事務官(経済局次長)

○佐藤(健)政府委員 恐縮でございますが、ただいま詳しいことを覚えておりませんので、別に調査いたしましてお答え申し上げます。  それから、私先ほど貿易協定がないと申し上げましたが、一九二五年に通商条約はあったようでございます。貿易協定と通商条約とは多少内容が違いますので、二五年のあれは通商条約でございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 それから先ほど五一年以降の輸出額のことを言われましたが、その中で五四年が百三十万ドルと言われましたが、私の調べたのでは百三十四力九千ドルですが、もう一度この数字を伺いたい。

佐藤健輔外務事務官(経済局次長)

○佐藤(健)政府委員 それではこまかく申し上げますが、五一四年はただいま御指摘の通り百三十四力九千二百ドル、五五年が四百五十二万四千九百ドル、五六年が十九万八千二百ドルでございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そのときの品物は日本から寒天だとか、銅製品、魚の油、綿糸といったものがチェコにいっている。それから日本にきた物は、ガラス製品、機械といったような内容ですが、その内容を少し説明願いたい。

佐藤健輔外務事務官(経済局次長)

○佐藤(健)政府委員 御指摘の通り五四年と五五年に割合に輸出がほかの年に比べて多重に上っておりますが、その大きな原因は今御指摘になりましたように、いずれも銅線でございます。数字を申し上げますと、五四年の総輸出額が百三十四万九千ドルのうち百三十二万七千ドルが銅線でございます。また五五年の四百五十二万四千ドルの中で銅線の占めます金額は、四百三十五万七千三百ドル、こういうふうになっております。それ以外の商品につきましては、今の数字を引きましてもわかりますように、非常に小さなものでございまして、五四年の輸出の第二番目の範疇に属しておりますのは、書籍、パンフレット、こういう部類になっておりまして、これが一万五千ドル、それから五五年の銅線を除きました以外の大きな部類としては、無機化合物、無機薬品が約十万ドル、あとフェロニッケルが一万六千ドル、映画フィルムが一万ドルという程度でございます。それから輸入につきましては、ガラス製品だとか、帽子だとか、映写機というような雑貨類にひとしいものばかりで、総輸入額は五三年に六万三千ドル、五四年には二万七百ドル、五五年には三万九千ドル、五六年には九千ドル、こういう数字でございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 日本とチェコの経済構造が割に似ているために、物資の交流は今後発展性がないのではないかという見方があると同時に、一方では、そういうふうに類似点はあるけれども今後は相当両国の貿易は伸びるのじゃないか、こういう両方の見方があるようですが、日本政府はさっきのようにあまり伸びないと見ておられると了解してよろしいのでしょうか。その理由をちょっと述べていただきたい。

佐藤健輔外務事務官(経済局次長)

○佐藤(健)政府委員 少くとも現在までの状況によりますと、ただいま申し上げましたように、輸出がかなりな額に上った年もございますが、これがいずれも銅線ということで、今後果して日本側からこの種のものが国内の需給関係から出せるかどうかの点もございますので、従来からの実績から見ますと、またただいま御指摘のように両国の経済状況が非常に似ておるというところから見て、必ずしも大きな増大ができるとは考えておりませんが、しかしながら、国交も回復されたことでもございますし、今後両国がいずれも相手市場を研究すれば、また努力次第で相当伸びる可能性もあるのではないか、こういうふうに考えます。今申し上げましたように、何といいますか、はなはだわけのわからぬ答弁になるわけでございますが、これからの努力次第ではまたかなりな増加も見込まれるだろう、しかしそれにはやはり両国とも相手国の市場というものをもう少しよく調べてかかる必要があるだろう、こういうふうに考えておるわけでございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 外務省では、こういう問題を調査される場合に、通産省や大蔵省あたりとの連係はあるのでしょうか。ただ出先の機関だけと検討されておるのでしょうか。

佐藤健輔外務事務官(経済局次長)

○佐藤(健)政府委員 ソ連なんかに対しても同様だと思いますが、できれば通産省の専門的な方々も入れて現地の調査をやってみたら、こう考えております。ただいろいろな費用の点、それからあまり大人数になっても困りますし、また向うとのいろいろな折衝もしなければなりませんので、現在のところ、どのくらいな規模でやったらいいかという具体的な案は持っていない次第でございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 どうもこういった調査が総合的になされないで、各省でばらばらにやっているのですね。重複もあるし、むだが多くて、こういう点もう少し改める必要があると思うのですが、それは別な問題ですから、そのくらいにしておきましょう。  それから、ことし東京で開かれる国際見本市の日程は大体はっきりきまっておるのでございましょうか、五月と聞いているのですが。

佐藤健輔外務事務官(経済局次長)

○佐藤(健)政府委員 たしかきまっているはずでございますが、私そこまでちょっと記憶がございませんので、後刻御返事申し上げたいと思います。ただ、全部きまっているはずでございます。しかし、何日からということになりますと、ちょっと失念しております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 参加国の中にチェコは入っておりますか。

佐藤健輔外務事務官(経済局次長)

○佐藤(健)政府委員 入っております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 出品なんかについては、ある程度具体的なものが出てきているのでしょうか。

佐藤健輔外務事務官(経済局次長)

○佐藤(健)政府委員 出品なんかにつきまして、まだ具体的な品物まで提示してきているとは聞いておりません。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 私の聞いたのでは、チェコは、えらい最新式、フライス盤だとか、自動式の旋盤だとか、それから乗用車、トラック、印刷機械、こういったものを準備していると聞いているのですが、そういう情報は全然ないのですか。

佐藤健輔外務事務官(経済局次長)

○佐藤(健)政府委員 私、そこまで具体的なことは聞いておりません。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 ポーランドとチェコは、戦前には日本に財産は持っておったのでしょうか。日本における両国の財産ですね、これを伺いたい。

山下重明外務事務官(欧米局第六課長)

○山下説明員 戦前にポーランドとチェコが持っていた財産で、在外公館以外のものは全然聞いておりません。ないものと理解いたしております。在外公館につきましては、大体閉鎖してそのままになっていると思いますが、この点についてはいずれ大蔵省とも連絡をとって、国交回復後解決されるものと理解しております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 それから、わが国が両国に持っておった財産はどうですか。

山下重明外務事務官(欧米局第六課長)

○山下説明員 わが国につきましても、同様に、民間その他の財産が残っているということは全然われわれの方に情報は入っておりません。公館の点については、わが方の国有財産として持っているものがありませんから、国交回復後公館設置の問題について相手国と話し合うということになっております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 もうだいぶ時間もたちましたが、航空関係の方が来ておられるようですから、航空協定のことについて伺いたいと思います。この前も少し伺ったのですけれども、もう少し一詳しく伺っておきたいと思うのですが、日本がブラジルと航空協定を結んだという意味の中心的な問題は、おそらく移民の問題と関係があるのではないかと思うのですが、そうでございましょうか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 そうでございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そうすると、航空機で移民を運ぶ場合、運賃は何か特別なものを立てるのでしょうか。

吉行市太郎運輸事務官(航空局監理部長)

○吉行説明員 南米向けの移民の航空輸送につきましては、船運賃と同額と考えますと、大体三百五十ドル程度の運賃になるわけでございますが、この程度の低い運賃では採算が非常にむずかしいのではないかと考えられるわけです。なお、国際航空運送事業協会と申しますか、IATAの運賃では、日本から南米までツーリスト運賃で大体九百四十七ドルになっております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 これは、国際航空運送協会ですか、あれで大体飛行機の運賃はきめることになっているのでしょう。それの例外として、特に移民の運賃はきめ得るのですかし自由に運賃はきめられないことになっているはずですが。

吉行市太郎運輸事務官(航空局監理部長)

○吉行説明員 IATAで話し合いがつけば定められるわけであります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 それでは移民などの場合には簡単に話し合いがつくものなのですか。

吉行市太郎運輸事務官(航空局監理部長)

○吉行説明員 そう簡単につくかどうかはむずかしいと思いますが、特に強く要望すれば不可能ではないと思います。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 これはそう簡単に特別運賃がきめられないのじゃないかと思う。そうすると普通の運賃では、とても移民が負担するのは容易なことではないですから、そこの調整が今後どうなるかということが聞きたいのです。

吉行市太郎運輸事務官(航空局監理部長)

○吉行説明員 その点は別途、移民送出上の問題といたしまして、何らか政府からの補助、あるいは貸付というふうな方法が考えられなければ、むずかしいのじゃないかという工合に考えております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 外務省の移民当局としては、どういう予想を持っておられるのですか。航空機の特別運賃ができる予想で移民を進められるつもりか、それとも、それができなければ、十分の負担を政府当局でやるつもりなのですか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 このブラジルとの航空協定のおもな目的が移民だと申したのでございますが、ちょっと言葉が足らなかったかと思います。と申しますのは、現在のところその航空機によって移民を行うということをやはり主眼として考えているのではない、やはり将来において、この航空の関係が盛んになりましたときは、移民、特に技術移民なんかの問題が非常に有望になるのじゃないか、また要求が非常に強くなるのじゃないかという、そういうことにも備えまして、御承知のように現在は月一回か、不定期の航路がございますので、それを早目にブラジルと航空協定を結び、そしてその他の国国とも逐次結ぼう、こういうふうな気持でおりますので、すぐ現在移民がどうだというところまではまだ考えていないわけでございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 日航機によるサンパウロまでの普通運賃と、それから移民船による太平洋経由、及びアフリカ経由のブラジルの終着港、それぞれの運賃はどうなっておりましょうか。

吉行市太郎運輸事務官(航空局監理部長)

○吉行説明員 正確な数字はただいま持っておりませんが、ただいま申し上げましたように、船運賃が大体三百五十ドルだと思います。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 それは終着港までですね、ブラジルの。

吉行市太郎運輸事務官(航空局監理部長)

○吉行説明員 たしかサントスまでだと思いますが、それに対しまして、航空機の場合は、今申し上げましたようにツーリスト・クラスで九百四十七ドルになっております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 ブラジル並びにスイスの航路はいつから開始される予定でしょうか。

吉行市太郎運輸事務官(航空局監理部長)

○吉行説明員 まずブラジルにつきましては、現在日本航空によりまして、大体三カ月に一回程度の不定期として運航いたしております。一応の将来計画といたしまして、大体昭和三十三年度ぐらいから月一同程度の回数による定期を始めたい。行く行くは、約五年くらい先の問題になりますが、その当時には、週一回の定期に持って参りたいと考えております。それからスイスにつきましては、スイスと申しますよりも欧州線につきましては、大体昭和三十四年度くらいから日本航空による欧州線を開始いたしたい、かように考えております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 その欧州線は寄港地は大体予定されておるのでしょうか。

吉行市太郎運輸事務官(航空局監理部長)

○吉行説明員 欧州線は現在のところ、東南アジアを回ります路線とSASがやっておりますように北極圏を通ります路線とあるわけでございます。営業政策上どちらが有利であるかという点を、もう少し事態の経過を待ちまして検討いたして判断をつけた上できめたいと考えておりますので、どちらの路線になるかただいまのところ確定いたしておりません。かりに東南アジアを通る路線といたしますと、大体諸外国のキャリアがやっておりますように、東京から香港、バンコック、ラングーン、カラチというふうな地点を曲って欧州へ参ることになるかと考えます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 この前もちょっとお伺いしてはっきりした御答弁を得られなかったのですが、今のお話では日航ではSASのように北極圏の計画もあるのですか。

吉行市太郎運輸事務官(航空局監理部長)

○吉行説明員 まだ具体的な計画ではございませんが、いろいろと研究をいたしておるわけであります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 日航では北極圏よりもむしろ北京、モスクワの線が有利じゃないかというのでその研究を進め、それを非常に希望しているということを聞くのですが、いかがでございますか。

吉行市太郎運輸事務官(航空局監理部長)

○吉行説明員 その点はお説のようにシベリア地帯を経由して参りますのが日本と欧州の最短距離でございますので、距離的には非常に短かい一番有利な路線になるかと考えております。ただ日航の現在の機材の保有状況では、まだとうていそこまでの路線を開設するほどの機材を持っておりません、将来の計画としてそういう希望を持っておるような状況でございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 今、日航が使用している旅客機は価格はどのくらいでしょう。

吉行市太郎運輸事務官(航空局監理部長)

○吉行説明員 はっきりした数字はただいま資料を持ち合せておりませんが、現在日航が持っておりまして国際線に使っておりますDC6Bで約六億、それから国内線に使用いたしておりますDC4、これが約二億見当だと考えております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 アメリカ以外の外国が使用している旅客機は、どこの国の製品が一番多いのですか。

吉行市太郎運輸事務官(航空局監理部長)

○吉行説明員 大体英国のキャリアは英国製の機材を使っておりますが、それ以外の諸国ではやはりアメリカ製の機材が多いのじゃないかと考えております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 一般にSASが非常に安全度が高いと言われておるのですが、これは機材その他飛行機そのものがすぐれておるのか、あるいはある人に言わせると飛行機よりもむしろ運営の仕方、人間の使い方といいますか、乗組員の就業時間が非常に知かいとか、休養を十分にとらせるとか、そういった方面からいろいろな整備も行き届くし、万事が行き届くために安全度が高いのだということを聞くのですが、SASの使っておる飛行機はどこの製品かということと、今の問題あわせて御説明願います。

吉行市太郎運輸事務官(航空局監理部長)

○吉行説明員 SASの使っております機材は、国際線におきましてはDC6B及びDC7Cでありまして、大体ほかの各国が使っておりますのと同じく、米国のダクラス社製の機材でございます。従いましてSASの好評は、機材そのものと申しますよりも、機材に対する整備に重点を置いておる、あるいはパイロットが非常に慎重であるというふうな、機材以外の管理、運航面がよろしきを得ておるせいであると思います。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 日本の国際航身のパイロットをだんだん日本人に切りかえるという話ですが、現在日本人のパイロットが何者くらい国際線に従事しておられるのでしょうか。

吉行市太郎運輸事務官(航空局監理部長)

○吉行説明員 現在国際線に日本人の機長が七名、副操縦士が九名乗務いたしております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 日本人のパイロットとアメリカ人。パイロットの給料の比率はどういうふうになっておりますか。

吉行市太郎運輸事務官(航空局監理部長)

○吉行説明員 国際線におきまして、日本人機長の平均給与月額が約十万円でございます。これに対しまして、国際線の外人機長が約六十万円くらいにになるかと思います。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 これは飛行時間が基準になるのでしょうか。何でこんなに開きがあるのですか。

吉行市太郎運輸事務官(航空局監理部長)

○吉行説明員 この給与は基準給与、乗務手当、そうしたもので構成されておるわけでございますが、外人につきましては、元来他国で勤務しておるという在外勤務俸といいますか、そういうものも入っておる関係上、元来基準が違っております以上に大きく違ってくるということになっております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 次は航空管制のことですが、この航空管制が現在もなおアメリカに握られておるという状態は、はなはだおもしろくないと思うのですが、いつまでこういう状態が続く見通しですか。

吉行市太郎運輸事務官(航空局監理部長)

○吉行説明員 航空交通管制組織につきましては、管制に要しますいろいろな機材と管制要員、両方の面で問題がございまして、わが国といたしましては、管制官の食成に全力をあげておるわけでございます。ただいままでに約三百名余に及びます管制官の養成をやっております。ただ最終的には七百二、三十名程度の管制官を必要といたしますので、目下これの養成に全力をあげておるわけでございますが、大体昭和三十五年度くらいを目標といたしましてテイク・オーバーを受けるべく管制官の養成に全力をあげているような状態でございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 今は日本の上空に行ったら、外国の上空に行くと同じように、管制を完全にアメリカに握られているので、一刻も早くそれの日本に返ることを望む声が強いのですが、現在が三百名で、七百名養成するまでにあとどのくらいかかるのですか。

吉行市太郎運輸事務官(航空局監理部長)

○吉行説明員 管制官が上級管制官あるいはシニァ管制官、ジュニァ管制官というふうに違っておりますので、一律には申せませんが、まず一年程度の期間を要しましてジュニァの管制官になるはずでございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 それからその以後は。

吉行市太郎運輸事務官(航空局監理部長)

○吉行説明員 基礎訓練と、それから実地に管制タワーで管制の実務によります経験を要しますので、高級の管制官になれるためには二、三年の年月を要するわけであります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 最初の一年は。

吉行市太郎運輸事務官(航空局監理部長)

○吉行説明員 最初の一年は基礎訓練でございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 この航空管制業務が米軍によって管理されるということの法的根拠は何なのでしょうか。行政協定による合同委員会で正式に取りきめたのか、条約局長の方から伺いたい。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 行政協定の第六条だと思います。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 その取りきめた内容と年月日はどうなっているのですか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 ちょっと私今つまびらかにいたしませんから、調査いたしましてからお答え申し上げます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 航空業務に関する協定がなければ、外国に民間航空路を開くことは全然できないのですか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 お答えいたします。御承知の通り外国の領域の上空を飛び、かつそこに着陸するという必要もありますので、これは個別的な協定か、もしくは国際民間航空条約でありますか、あの当事国になります場合、それから国際航空業務運送協定、その当事国は、いわゆる上空を無害に飛行することと、それからその他運輸以外の目的で着陸するということは許されておりますが、普通申します商業上の目的のためにやる場合には、必ず個別的な協定が必要となるわけであります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そうすると、たとえば日航がある国と面接協定を結ぶということはあり得るのですか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 やはり国と国との協定で結ぶということだと思っております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そうすると、たとえば日本とスイスと協定を結んだ、それからその路線の中に日本と航空協定を結んでおらない国があり得るわけですね。そういう国はありますね。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 お答えいたします。スイスとの場合は、協定を結んでいる田はバンコックそれからインドでございます。従いまして、その間の国についても逐一着陸する必要があります場合には、そして客を収容する必要がある場合には、締結しなければならない。従いまして、バンコック、インドでありますから、中近東の国になお協定を結ぶ必要が——これは技術上の問題でありますが、あるのではないかと思っております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そうすると、その着陸する国と全部協定を結ぶまでは、スイスとの航空路は開けないということですか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 お答えいたします。そういうことになります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そうすると、その準備はどうなのですか。せっかくスイスと航空協定を結んでも、それを実際に運ぶ段取りに必要な、その他の国との航空協定の準備は……。

吉行市太郎運輸事務官(航空局監理部長)

○吉行説明員 単なる途中での給油その他のための技術着陸だけであるならば、必ずしもその国との航空協定を要しないわけでございます。その国の地点におりまして、そこで貨客を積みおろしをするというためには、その国との航空協定を要するわけでございまして、日本の場合、欧州向け路線を開設いたしますのに、まだ協定が済んでおりませんのは、ビルマ、パキスタン及び中近東、イタリア、これらの諸国についてはまだ航空協定がございませんので、その間の貨客の積みおろしを期待いたすといたしますと、開設までにそれらの国との航空協定を結ばなければ、路線が経済的に運行できないということになるわけでございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 どうせ行くなら、旅客を少し、でもたくさんの場所から積みおろしした方が得なのですが、今の方針では、全部の協定ができ上らなくても、とにかく航路は開設する、そうして航空協定の力をなるべくすみやかに整えるという御方針ですか、それとも、全部の航空協定ができ上るのを待ってから航路を開設される方針でしょうか。

吉行市太郎運輸事務官(航空局監理部長)

○吉行説明員 ただいまのところ、大体昭和三十四年度を目標にいたしまして開設いたしたいと考えているわけでございますから、それまでの国に、先ほど申しましたような国々との航空協定の締結をいたしたい、かように考えております。

野田武夫自由民主党

○野田委員長 この際佐藤経済局次長より発言を求められておりますので、これを許します。

佐藤健輔外務事務官(経済局次長)

○佐藤(健)政府委員 先ほど松木先生からの御質問で、チェコに最恵国待遇の規定を書いてないけれども、どうかという御質問に対しまして、貿易額があまりないので、その必要を認めなかったとお答え申し上げましたが、その点間違えてお答えいたしましたので、訂正させていただきます。  チェコは、御承知の通りガットの加入国でございます関係上、ガットの規定によりまして、当然に関税に関する最恵国待遇が均霑されておりますので、チェコもそれによりまして日本において最恵国税率が適用されるわけでございます。また日本品も向うにおきましてそういう待遇が受けられるわけでございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 ポーランドは……。

佐藤健輔外務事務官(経済局次長)

○佐藤(健)政府委員 ポーランドにつきましては、先ほど申しましたようにあまり額も多くなく、今後の話し合いによって解決したいと考えております。これは先ほどチェコにつきましてお答えしたのが、ポーランドについて混同いたしましたために失礼いたしました。

野田武夫自由民主党

○野田委員長 この際暫時休憩いたします。本会議散会後、午後三時ごろ再開することといたします。     午後一時四分休憩      ————◇—————     午後四時七分開議

野田武夫自由民主党

○野田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際理事の補欠選任についてお諮りいたします。理事渡邊良夫君は去る二月二十六日委員を辞任せられましたので、理事が一名欠員となっております。そのゆえこの際理事の補欠選任を行いたと存じますが、これは例によりまして委員長より指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野田武夫自由民主党

○野田委員長 御異議がなければ菊池義郎君を理事に指名いたします。

野田武夫自由民主党

○野田委員長 国際情勢等に関する件について、政府当局に対し質疑を行うことといたします。高岡大輔君。

高岡大輔自由民主党

○高岡委員 私は去る二月十一日外務大臣あてにアメリカの民政長官レムニッツァー氏から寄せられました評価に基く招聘によりまして、去る三月十一日から十三までの二泊三日間にわたりまして、沖繩の視察をして参ったのでありますが、この視察に対して、数点について大臣初め当局の御意見を承わりたいと思います。  それに先だちまして一言お伺いしたいことがございますが、それは最近のモスクワからの外電によりますと、ソ連の在ソ邦人の名簿が畑中政春氏に手交されたという話であります。しかしこの件につきましては、去る十六日に総理がデヴォシャンソ連大使に要請されたものとも聞いているのでありますが、ソ連側が日本政府の要請を無視して、日本の一私人にそうして名簿を渡されたものかどうか、これは新聞報道でございますので、はっきりしないのでありますが、留守家族の身になってみますれば、この問題は非常に正大な問題でございますので、この際これの経過と申しましょうか、事情についてお伺いしたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 ソ連に残留しておると考えられる日本人の消息を、できるだけ早く明確にするということは、私どもの願いでありまして、日ソ共同宣言にもその旨が明記されておるのであります。先日デヴォシャン大使が私を来訪いたしまして、日本から出ておる一方名余の残留者や消息不明者のうち、とりあえず七百数十名の者がわかったから、それをこちらへ報告するということがあったのであります、当時人数は知らされましたけれども、名簿は渡されなかった、はっきりしなかった、従って私は直ちにその名簿をできるだけ早くわれわれの方では入手したい、お骨折りを願いたいということを頼んでおいたのであります。しかるに新聞で見ますと、畑中氏に対してそういう名簿が手交されたというふうな新聞記事がありますけれども、新聞の記事で直ちにその通りの事実があったということを何するわけにも参りませんから、私の方ではさっそく門脇大使に事情をはっきりするようにということを申しておりました。門脇大使はフェドレンコ次官に会ってそのことを確かめましたところ、フェドレンコ次官はそういうことは関知しない、そういう名簿を作成中であって、名簿ができれば門脇大使の方へ渡すということを言ったということであります。従って畑中氏がそういう名簿を受領したかどうかということについては、ソ連の外務当局はこれを関知しないということを申しておりました。私どものところに明瞭になった事実は以上の通りであります。

高岡大輔自由民主党

○高岡委員 ただいまの御答弁によって一応了承するのでありますが、しかしこの問題は留守家族の方から見ますれば、一日も早く知りたいわけでございますので、幸い日本とソ連との間には国交回復もできたわけでありますから、門脇大使をして一日も早くその要望が向うへいきますように、一つ特段の御配慮を願いたいと思います。  なおもう一点お伺いしたいのでありますが、これも外電によりますと、フルシチョフ氏が畑中氏に対して、十五日に総理がデヴォシャン大使に漁業問題等のことについてお話し合いのときに、日ソの通商問題についても言及されたということが伝えられておるのでありますが、この事実につきまして御答弁を願いたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 新聞の報道中には目下東京で行われておる日ソ間の漁業交渉について、私とデヴォシャン大使と話し合いをした際に、漁業問題と通商貿易の問題とを関連せしめてこれを解決するという提案を私がしたように伝えておるものが一部にございますが、そういう事実は全然ないのであります。同時にソ連側からも何らそういう意味の提案はないのであります。話は要するに今専門家の間において数十回委員会の会合が催されておるけれども、これの妥結がなかなか困難である情勢である、日ソ国交が正常化された今日、最初の両国間の交渉事件であるので、これが円満に妥結されるということは、われわれの希望しておる日ソ間の友好親善関係を増進する上からいって、きわめて望ましいことであり、ぜひそうしなければならぬと思う。しかるに今までの委員会における交渉を見ると、なかなか困難な状況にあるから、この際ソ連政府においても大局的見地から、この問題の円満なる妥結ができるように努力をしてもらいたい、それが将来われわれの期待しておる日ソ間の親善友好関係を増進する上に、非常に役立つと私は確信するがゆえに、またおそらくソ連政府においても同様の見解だろうと思うから、そのことをソ連政府に言ってやって、ソ連政府の配慮を願うということを私は申し出たのであります。何ら通商問題等に両者とも触れたことはございません。私の考えでは、やはり漁業問題は漁業問題としてあくまでも解決を目ざして参りたい、さらに通商問題は通商問題としてこれを煮詰めていくというふうに、私が申し上げておるいわゆる段階的に問題を一つ一つ積み重ねていって、両国の親善友好の関係を固めていきたいというのが、私の考えでございます。

高岡大輔自由民主党

○高岡委員 ただいまの総理兼外相の御答弁によって了承いたしましたが、次に私お伺いいたしたいことは沖繩の視察の結果に基く件であります。それを申し上げます前に最近の新聞を見ますと、ミシガン州立大学総長のジョン・ハンナという人が報告書を書いております。その報告書なるものの概要が日本の新聞に出ておりますが、それを見ますと、日本は感情的に沖繩を日本の一部だとみなしておる、そうして沖繩の人たちは日本の復帰運動を盛んにやっておる、しかも沖繩におけるいろいろなトラブルがあるけれども、それは支払いを三段階に分けておる、すなわちアメリカ人、フィリピン人、それに沖繩人という三段階に賃金を分けておるということであって、この三段階に分けておるということは、アメリカの賃金の支払い方法から見ても、これはまことに不自然であるといって、この三段階の支払いに対しては非難しておるような報告をしております。さらに土地問題につきましても、これはすみやかに、しかもはっきりと解決する必要があるのではないかということを書いておるのでございますが、私たちが沖繩へ参りまして、三日間に見たり聞いたりしましたことを、三つに分けて申し上げてみたいと思います。  その一つはあらゆる面にでこぼこといいましょうか、アンバランスが非常に多いということが一つであります。それからもう一つは、沖繩では日本復帰の熱望というものが非常に強いということが次であります。それからもう一つは敗戦処理といいましょうか、戦後の処理が何ら行われていない、これを突っ込んで申し上げますと、何しろ沖繩のあらゆる民政は軍人によって処理されておるために、実際面において非常にまずい面が多いということの三つにしぼられてくるかと思うのであります。  そこで最初に言いました沖繩の問題はいろいろのでこぼこがあるということを、どういう意味でそういうことを申し上げるかといいますと、まず第一に沖繩をちょっと見た方ないしは沖繩に現におられる方でも、非常にアメリカを徳としておる方々がかなりあります。しかしこれは沖繩の那覇にありますミラクル・マイルといいますか、奇跡の一マイルというところがありますが、これは話をそのまま申し上げますれば、砲弾によって地上の一切のものが吹き飛んでしまって、まっ白いサンゴ礁のところへ一マイルにわたって何階建という高層建築がくしを並べたように立ち並び、そこにはぎっしりとした近代的な商店が並べられて、活発な商店街ができておるというところであります。これはもちろんアメリカのいわゆる基地経済とでもいいましょうか、そうしたものが実在しております。ところが一方農村の方へ参りますというと、これはまたおびただしく都市との間に不均衡があります。すなわち全体から見て、まことに気の毒千万なものがあるのでありますが、その農村をまた二つに側って見ることができます。すなわち土地の賃借料の問題にしましても、ある場所は何万坪という広漠なところに、アンテナが立っております。このアンテナのありますところは、御存じのように、ここには化学的な作用で空気中の窒素が分離され、雨の降るたびごとに、これが土中に行きまして、俗にいう窒素肥料分に変りますから、畑作は非常によくできます。そうしたところがたくさんありますが、その場所は接収されていながらも、農耕が許されております。すなわちアメリカの軍当局から地代をもらいながら、そこには従来通りの作をしておる。しかもその作は、今申し上げましたような化学的な作用から、非常によくできるといったような場所がございます。そうかと思いますと、今度は土地が全部取り上げられ、そこにはいろいろな軍施設がありまして、とうていそこで耕作はできない。すなわち農家の人たちは谷間へ追い詰められてしまって、家を建てるにも、隣の家とすれすれになるほど、狭いところへ家を建てさせられておる。しこうして、一坪の畑地もない。そういう意味から、サンゴ礁の山腹を削って、そこにわずかばかりの段々畑を作って農耕をやっておる。見るも哀れな姿であります。しかもそれらの山を借りますにしても、もともとこれが公有林でございますので、その貨借料というものは、自分の土地をアメリカ側に接収されて受け取る金の何倍もする借料によって、サンゴ礁の出ておる山腹を、自分が耕さなくちゃいけないという不合理きわまるものもあります。また中には海岸沿いでございますが、これは地名からいいますと、水釜と砂辺の二カ所に参ったのでありますが、昔はあそこまでが畑地だったというだいぶ遠いところまでが、かつての海洋がそのまま残っておりますけれども、広い面積の地所が、全部土壌がアメリカ軍に運ばれてしまって、現在では海の姿になっております。そうしたところはどうしましたところで、耕作は全然できっこありません。これは埋め立てる以外はどうにもできないのでありますが、さればといって、そうした農家の人がこれを埋めるというようなことは、とうてい財力といい、機械力からいいましても不可能であります。さらに今度は土地を返したという場所がございます。しかしその場所も、場所によりましては三尺もあるコンクリートを敷き詰めたもので、それをそのまま返されたのでは、農家の人は、このコンクリートを取り除くことは、一生かかっても取り除けないという。しかし御本人からすれば、何とかして一坪でも畑作をしたいというので、汗水たらしてそのコンクリートをはがしておるという姿の場所もございます。従って沖繩全体を見ますと、非常なでこぼこがございます。ここに私は問題があろうかと思うのであります。  しからばなぜそういうふうになったかといいますと、この問題は、これは私の想像でございますけれども、戦争のときにアメリカ軍が空と海から砲弾を撃ち込む。そして、話によりますと、一木一草までも地上のものは全部吹っ飛んでしまった。もちろんネコの子一匹いないところに、アメリカ軍が敵前上陸をやって参りました。それが沖繩の一番いいといいましょうか、中心のところであります。すなわち地図でごらんになります通り、この赤いところが現在の軍事基地であります。アメリカ軍が敵前上陸しましたのは、嘉手納を中心とした最も平坦な場所であります。すなわちこの地図を見ますとおわかりのように、ここが一番平地であり、場所柄としていいところでありますが、ここに敵前上陸をしたわけであります。何もないところへ軍がどっと来たのですから、思う存分拡げて陣地を作った。そうしてその後において何ら整理されていないというところに、土地問題の根本問題があると思うのであります。  こういう面からいたしまして私は、この土地問題というものは、アメリカではもう一度平時に帰って、今日の軍事基地という考え方でこの土地問題を整理しませんければ、とうていこの問題は解決がつかないじゃないか。全体的に見て私はそのように考えるのであります。しかもアメリカ軍が今後接収したいと言っておりますところが、この緑に塗った場所でありまして、これらのものを総計いたしますというと、全沖繩の四分の一が軍事基地になります。こうした面からいいまして、一番悲惨な姿というのは、地域的に見ましては少ないのでありますけれども、伊江島であります。伊江島はごらんの通りに、三分の二が軍事基地であります。ここが軍事基地にされますというと、その残った農地でもって農家がいかに苦しむかということは、数字の上からもはっきりするだろう、かように考えるのであります。こうしたいろいろの面から考えまして、私はアメリカの軍事基地というものに対して再検討を加える必要があるのじゃなかろうか、こういうことを考えますと、問題は沖繩に対するアメリカの考え方に対してわれわれがここに是正といいましようか、修正を求める必要が出てくるのじゃないかという気がいたします。  なおこの問題をさらに検討して参りますと、過般の外務委員会において岡田委員がいろいろと質疑をされたのでありますが、沖繩の施政権の問題が、これに直結して参ります。私は沖繩問題は日米外交の接点でありまして、この問題が両国の理解の上に円満に解決することができますれば、これを一つのいわゆる突破口とでもいいましょうか、一つの解決点として、糸口がここから開けて、日米の国交が調整されてくるのじゃないかという気がいたします。  そこで問題になりますことは、沖繩では祖国復帰の熱願が非常に強いと申し上げと決したが、沖繩における青年団の諸君が、それぞれ団の力によって住民に対していろいろと署名を求めました、そこで今日祖国復帰のために署名しました者が、全住民の八四・三%に及んでいるということを聞いて参ったのであります。しかも祖国復帰に対して住民の方はまずどういうことを熱望しておられるかといいますと、その一つは日本の日の丸の旗を随時立てさせてもらいたい、現在では日の丸の旗は民間で立てることは許されておりますけれども、学校その他の公けの場所に国旗を立てますことは、元日一日だけでありまして、その他は禁止されております。民政長官でありますレムニッツアー大将にこのことを言いますと、それはそうだろうというようなことを言っております。言葉をかえて言いますと、こうした問題を本気になって当間主席が民政府の方に要求しておられるかどうかということについては、私は深く聞く機会がなかったのでありますが、こうした問題を沖繩の人たちは非常に深刻に考えておられます。すなわち内地におりますわれわれの日の丸に対する愛着よりも、遠く離れた沖繩におられます方々の日の丸に対する愛着はむしろ強いのでありまして、やはりこの気持をわれわれは考えなければならないと思うのであります。  さらに、私は二日目の十二日にあらゆる団体の方々との話し合いをしたのでありますが、そのときに向うの教職員の代表の方がおっしゃいますには、ぜひ一つ日本の地図の中に沖繩を日本の内地同様に色づけをしてもらいたいということを強く申されておった言葉の筋からいたしましても、沖繩の方々がいかに日本への復帰をこいねがっているかということがしみじみと感じられたわけであります。  ところがこの施政権の問題について、最近の新聞によりますと、日米の間に、ある区域をきめて相互防衛条約を作ったらどうかというようなことをアメリカ側が考えておる。もっと申し上げると、これは新聞記事ですからわかりませんけれども、総理がアメリカヘおいでになった場合に、こういう問題をアメリカが提案するのではないかというようなことを言っております。しかし私は考えますのに、この問題の内容によりましては非常にうまく解決がつくかもしれませんけれども、内容いかんによりましては、東南アジア諸国が、また日本はアメリカのかいらいであるとか、いろいろな批評をいたしまして、逆に言いますと、日本はアジアの孤児になるという危険も生まれるのではないかということを気づかうのであります。そうしたいろいろな問題が出て参りますが、レムニッツァーも、沖繩に関する限りは何としてもプライス勧告なるものが基本であり、沖繩に対する憲法である、従ってプライス勧告を動かすことは容易なことではない、自分としてはこのプライス勧告のワク内において沖繩の人たちの希望にできるだけ沿うように取り運んで参りたいというようなことを言っておられるのであります。しかしこのプライス勧告には、地元の諸君は反対の個所を数点上げて反論されております。このプライス勧告並びにこれに対する反論、さらに今年の一月四日になされたレムニッツアーの声明なるもの、しかも今度はこれを裏書きするといいましようか、これをさらに正確にしましたものに布会第一六四号というものがあります。これらのものを一貫して見て参りますと、この沖繩の施政権の回復ということは、沖繩八十万の人が非常に熱望はしておられますものの、これはなかなか容易ではなし、またこれには十分な準備を必要とするのではないかという気がするのであります。  これらのことを考えて参りますときに、私は総理兼外務大臣にお伺いしたいのでありますが、私たちがこのたび参りましてレムニッツァーを初め、アメリカ極東軍の首脳部といろいろ話し合いをしました感じからいたしましても、この際国会議員がアメリカへ参りまして、アメリカの国会議員と十分沖繩問題について討議をするということは、これらの諸問題解決の糸口を見出すきっかけが出るのではないかという気がするのでありますが、この考え方について総理兼外相の御意見を承わりたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 高岡委員は最近沖繩に行かれまして、沖繩の実情についてのいろいろな御報告を私は傾聴いたしておったのであります。問題は、われわれが一方においては潜在主権を持っており、また沖繩の住民が日本人であるということを申しておりますけれども、その現状に至りましては、これはよほど日米の間において調整をせねばならない幾多の問題があることを痛感するものであります。つきましては、この問題を解決することと、施政権の返還については、すでに国会が国民の意思を明瞭に示しておりまして、アメリカ側にもこれが通告されております。しかし今日はまだ解決されておらないのでありまして、高岡委員のお話のように、われわれがそれに向ってあらゆる努力をするという意味におきまして、あるいは首脳者の間において話し合うということも必要であります。さらに御提案のような政治的な意味におきまして、両国の国会議員の間においてこういうものが討議され、解決の糸口を見出すということも、また一つの方法として有効な方法であろう、かように考えます

高岡大輔自由民主党

○高岡委員 ただいま総理兼外相の御答弁を得たのでありますが、過般の外務委員会において田中委員並びに岡田委員から、この沖繩問題を日米両国間の外交折衝だけにとどまらず、国連にも訴えなくてはいけないという意味の御質問があったのでありますが、私はさらにこれに加えまして、アジアの諸国は御承知のように近世三百年にわたって植民地であった国々でありますか、この国々の人たちは植民地ということについては人一倍に敏感でありますと同時に、物を深刻に考えられるのでありますが、この沖繩の問題につきまして東南アジア諸国に話をしますれば、はなはだ失礼な言い分でありますけれども、日本の政治家より以上にこの問題を深刻に考えられるのではないかという気がするのであります。従いまして東南アジア諸国にも沖繩問題は訴えなくてはいけない。それはこれらの諸国から直ちに共感を得る面が非常に多いのではないかという気がするのであります。従って幸い首相兼外相が今年中には東南アジアをあるいは御都合によっては半分という場合もございましょうが、東南アジアを一巡なさるという御計画があるやに承わるのでありますが、その際沖繩問題も東南アジア諸国の話題にいろいろと乗せていただきますれば、その後にアメリカへおいでになるのかどうかその日程のことはわかりませんけれども、こうしたアジア全体の空気を総理兼外相が胸の中にいろいろお考えの上で、アメリカ側との話し合いの話題にしていただければ私は非常な進展が見られるのではないかと考えます。これはまだ御計画ではっきりしていないのでございましょうけれども、国会の終了後にはぜひ東南アジア諸国を回っていただきたいと思うと同時に、その際にはこの沖繩問題もそれぞれの国の首脳者との話題にしていただきたい。そうして東南アジア全体から見た沖繩の地位、あるいは今後のあり方とかいったものにつきまして、一つ忌憚のないお話し合いを願いまして、いわゆる東南アジアの世論とでもいいましょうか、帰一するものを持ってアメリカ側と折衝していただきたいと思うのでります。  なお私はこの際、ここで東南アジアをお回りになるときのことについて一言申し上げたいことがございます。今まで東南アジアをお回りになった方はたくさんおありであります。ことに国内においては重要な地位といいましょうか、相当の地位におられます方々が東南アジアを回っておられる。ところがこれらの方々は、目的は親善旅行でありますが、向うに行ってレセプションがございますから、その際はまさか相手の国の悪口を言うわけには参りませんでしょうが、言葉が余るといいましょうか、勢いが余るといいましょうか、向うの首脳部の方と手を握りまして、大いに合弁会社をやりましょう、経済開発をやりましょうということで、いろいろといいことをおっしゃいます。ところが向うの方は、何しろ独立はしたものの経済的にはまだまだ幾多の難関を経なければならないという状況にございますので、言葉が非常に悪いのでありますけれども、おぼれる者わらをもつかむとでもいいましょうか、そうしたようなせつない気持で物事をしっかりと見詰めてやっている。従って日本の有力な方がうまいことをおっしゃると、これは一つ日本へ行って具体的に話を持っていこうというようなことで、東南アジア各国から工業大臣でありますとか、経済大臣、大蔵大臣といったそれぞれ重要な方々が、日本を訪れられていることは皆さん御承知の通りであります。ところがそれらの方々が日本に来られますと、かつて自分の国をたずねてきてくれた偉い方々はどこに何をしていらっしゃるのか、呼べど叫べど姿は見えないという状況でございます。従って日本のこうした問題については非常に落胆をして帰られる事実がたくさんございます。従いまして総理大臣は、まさか総理大臣がそうだとは申すわけではございませんが、今度総理大臣が東南アジアにおいでになる場合には、ぜひそれぞれの国の問題点を十分に御研究になって、その問題点の一つなり二つなりを、必ずその場で解決の糸口をつけておいでになるように、これは今まであまりにもから手形とでもいいましょうか、口先だけの外交をやってこられた関係がございますので、この際その点を特に総理兼外相にお願い申し上げたいと思うのであります。  私は今申し上げましたようなことからいたしまして、沖縄におけるいろいろの問題について一つ御配慮願いたいと思うことは、沖縄が今一番困っておりますことは農業問題であります。農業問題につきましては、日本はかつて台湾を領有しておったのでありますが、台湾には幾多の試験といいましょうか、研究が行われておったのであります。すなわち台湾におけるサトウキビないしはバナナに至るまで非常な研究が日本においてはなされておったのでありますが、このたび沖繩に参りますと、御案内のように沖繩はサンゴ礁の島でありまして、その上砲弾、爆弾があそこに何万トンとぶち込まれているだけに、耕地というものが全然ございません、そのところに農業をやっていこうというのでありますから、よほどの力をこれに加えなければ、沖繩の農業というものは振興しないと私は思うのであります。ところが沖繩全体の行政費といいましょうか、そういうものを見てみますと、これを八十万の人口を持っております日本内地のある県と比較してみますと、大体地方交付金あるいは公共事業に対する補助金というようなものを合せまして六十億程度のものがいっておりますが、過去十年間にアメリカが沖繩に投じました金を合計しますと約六百億近くになりますので、その内容は違いますけれども、金額は一応合うのであります。しかし地方行政に至りましては内地の五分の一程度であります。従いまして地方の辰村が非常に疲弊しておるということは、数字の上から見ても明らかなのでありますが、この沖繩における地方行政の充実をはかる意味からいいまして、沖繩の農業振興に対して一つ日本から有力な農業技術団を派遣していただきたい、こう私はお願いするわけであります。この問題につきまして総理から御答弁を願うと同時に農林当局の方からも御答弁願いたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 沖繩の農業をさらに一そう改良し、その基礎を作り上げるためには、日本の技術また日本において研究されたところのものを向うに実行するということが必要であるという意味において、日本から農業技術についての専門家を適宜沖繩に派遣してお役に立てるというお考えは、適切なお考えだと私は思います。いろいろ国内におきましても関係省の関係もありますし、またアメリカ側との了解等につきましても、そういうことが具体化する場合においては、十分その実現に努力いたしたいと思います。

大坪藤市農林事務官(振興局長)

○大坪政府委員 ただいま沖繩の農村の実情につきまして御意見を承わりまして感銘いたしておる次第であります。総理からお話がありましたように、農林省といたしましても、もちろん沖繩の農村振興のために技術者を派遣することに対しては、御指摘の通り考えております。従来もここ数年沖繩政府の要請によりまして、短期間技術者を数名派遣いたしたことがございますが、これは期間も短かく人員も非常に少かったのであります。今後その点については、ただいま総理から申されましたように、なお一そうの努力をいたしたいと考えております。

高岡大輔自由民主党

○高岡委員 申し上げるまでもなく、沖繩は非常に台風の被害をこうむるところでございますので、この台風の状況を勘案しませんと、ただ単に台風のないときに農業指導と申しますか、そういうプランを立てましたところで、台風で全部吹っ飛ぶという危険性が多分にあるのでありますので、これは短期間のものでは私はなかなか結論が出ないと思うのであります。私が見ましたところでは、サトウキビはもうほとんど原始的な種類に戻っております。何ら新しいのがありません。しかもこのサトウキビはさし木によるのが収穫がいいのでありまして、大体台湾ではさし木でやったのでございます。ところが向うはさし木がめんどうなのかどうか知りませんけれども、根から出すようになる。これも非常に原始的なことをやっております。しかも肥料が足りないからという話でありますけれども、サトウキビの刈ったものを畑の中に積み上げまして火をつけて燃しておる。すなわち葉っぱだけは焼いて灰にして肥料にしよう、こういうことをしますと、なるほど葉っぱは燃えて肥料になりましょうけれども、茎の方はかわいてしまいますから、収穫の面からいえば非常に減って参ります。しかも砂糖工場がその近くにないものでありますから、これを数日たって工場に運ぶようではとうてい収入は多く得られません。こうした面まで指導をしませんと沖繩のせっかくの砂糖というものは、これは農業からいいますと非常に大きなパーセンテージを占めているのでありますので、そうした面まで指導していただかなければならないと思うのであります。しかもさっきも言いましたように段々畑が非常に多いのでございますので、こんな所に麦を植えたり何かするよりも、ジャボンでありますとかその他の柑橘類を植える、これは台風との関係もございますが、そうしたこまかい点の指導といいましょうか計画を立てていただくには、とても二日や三日の短期間の滞在では完全な計画は立たないと思いますので、これらの点については十分に農林省としても御計画になって、できますれば民政府の了解を求め、沖繩の琉球政府とも一つ話し合いの上で、十分の措置を講じていただきたいと思います。  こういうことを申し上げますことは、結局沖繩の人たちは、われわれは日本の領土に住んで日本人なんだ、だからいつの場合でもわれわれを忘れないでもらいたい、われわれは日本人なんだ、そうしてわれわれの住んでいるところは沖繩なんだということを念願しているのでありまして、小さな問題にまで日本の政府は心を配って、沖繩の土地並びに沖繩の人をかわいがっていつも忘れてないのだという方向をとることが、沖繩問題を解決に持っていく基本だとも私は考えるのでありまして、これらの点を総理兼外務大臣は一つ十分に御配慮を願いたいと思うのであります。しかもことしは戦いに敗れてから十三年忌で、非常な大がかりな慰霊祭を行いたいというような計画を持っておるのでありますが、これらのいわゆる扶助料にしましても、それらのいろいろの問題等がございますが、それらの点は一つ総理府においても十分に協力といいましょうか、この面にも十分に力をいたしていただきまして、沖繩のなき方に対しても十分われわれがその霊を慰めるという処置をこの際とっていただきたいと思うのでございます。  なおいろいろ申し上げたいことはございますけれども、他に御質問等があるそうでございますから、以上をもって私の質問を終りますけれども、沖繩の問題は、今申し上げましたように、あるいは平和条約でありますとかあるいは国連憲章並びにその後における幾多のものからして簡単ではございませんけれども、この施政権の返還につきましては、あらゆる角度からの御研究を願いまして、せっかく国会でもこれを決議しておりますので、最初に総理兼外相の御答弁にもございましたように、十分この点に力をいたして下さいまして、沖繩の人たちが一日も早く日本に返り、日本人になり切って日の丸の旗をいつでも自分の家に立てられるよりに一つ御配慮を願いたいと思うのであります。

野田武夫自由民主党

○野田委員長 次に穗積七郎君、きわめて簡単に質疑を願います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 総理は外務大臣と兼任ですから事情いささかしんしゃくすべきこともありますけれども、実は当外務委員会としては外務大臣の出席がこんなに悪いのは今度が初めてで、いろいろ今国際的な重要な問題が起きているのに、政府のお考えも聞けず、問題の促進もできないでは、はなはだ遺憾ですから、どうぞ一ついろいろの事情もおありでしょうが、時間はこちらで外務大臣の御都合に合せますから、好んで一つ出席していただくようにお願いしたい。そういう外務大臣の都会できょうもまた時間がなくて、いろいろ私は質問したいことがあるのですけれども、お急ぎのようですから百歩議って簡潔に一つだけお尋ねしておきたいのです。  それは今停頓しております日ソの漁業交渉についてでございますが、はなはだ緊急性を持っておりますし、同時に経済的または労働者の生活にも関係していることであり、さらに広くいえば、日ソ間の友好初志問題にも関連いたしておりますので、簡潔にお尋ねいたしますから結論を簡潔に御答弁いただきたいと思うのです。  まず第一にお尋ねしたいのは、実は当時河野農林大臣がモスクワで締結してこられました日ソ漁業協定、その当時漁獲高については河野農林大臣の当時の報告と、今度交渉が始まってみましてからの向うの態度とは、食い違いがあるわけです。デヴォシャン大使並びに向う側の関係の諸君の言葉を聞きますと、昨年の交渉のときに、われわれは協定をきめただけじゃないのだ、付属書並びに漁獲高を確定したのだ、そのときわれわれとしては六万トンないし八万トンを提案しておったが、日本側の要求によってそれをもう一歩譲歩して八万トンないし十万トンの線をきめた、とこう言っているのです。それが協定が批准されて、ほんの一、二カ月を出ないのに、そのきめたことをひっくり返して、一方的に多額の漁獲高の要求をされるということになると、これは一体どこまで信用していいかわからぬというような印象を持っている、そういうことが向う側から言われているわけですが、一体総理として——これは実は河野さんに出てきてもらって聞きたいのですけれども、河野さんもすでに大臣ではないのですから、従って総理は当然当時の交渉の経過を継いで今の交渉を政府としてしているわけですから、その間の事情は一体どういうふうになっているのか、この際第一に明らかにしておいていただきたいのです。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 昨年五月の暫定協定及び漁業協定を当時の河野農相がイシコフ漁業相とした中に、八万トン、十万トンという線があることは事実であります。しかしそれの前提となっておった昨年度におけるソ連側の漁獲高の八方二千七百トンでありますか、それを前提として、日本側においても去年は大体凶漁の年であると見て八万トンのことを考えたわけであります。そうしてまた海上における八万トン、十万トンという制限をすると同時に、陸上における何についても、ソ連側が適当な制限を加えなければならぬという主張をして、ソ連側もその趣旨においては同意し、ただ従来ソ連側としてはそういう陸上における漁獲高についても、十分統制し制限をしているという意味において、今の八万トン、十万トンということが一応きめられたわけであります。しかし漁業条約におきまして、その年の漁獲高については漁業委員会において両国の間で話し合うということになっております。ソ連側が今穗積君の言われるような主張をしておることも事実であります。そうしてそれに対して反問してみますと、そうなると一体東京で会議をするというのはどういうことなんだ、八万トン、十万トンときまっておるというなら、本年がただ豊漁の年であるか凶漁の年であるかということの認定だけに一体あの会議というものが意味があるかということを考えてみると、きわめて非常識的なことになるじゃないか。最初ソ連側はイシコフ漁業相を東京に送るということが確定して、わが方にも通知があったのであって、いかなる理由か知らないが来られなくなって、これにかわってクータレフという、これも有力な人で、それが来てこういうふうな交渉をしているということが、われわれが理解しているがごとく、本年度において漁獲高はどれだけにきめるがいいかということを十分科学的な根拠、従来の統計その他から十分議論してきめるのが当然じゃないか。従って今言われるようなことをソ連側が主張されるということは、あまりにもただ昨年の河野・イシコフ交渉の一部をとらえて、そして押しつけようとするもので、われわれはとうてい承認することはできないという意味において交渉がされておりまして、そうして昨年度は御承知の通り、ソ連は八万二千トンというのが約十六万トンの実際の漁獲品になっております。本年度は十四万トンの計画を持っておるといわれておるのでありまして、そういう際に日本側が、昨年の日ソ交渉が成立しない、いわゆるまだ国交が正常化せられなかった時代に、現にわれわれは実際の漁獲高は十三万トンを越した状況であったわけであります。そういう実情を前提として、日ソ国交正常化せられた後において、正常化以前の無条約の状態よりもなお悪いということは、日ソ間の友好関係を増進していこうという両国の熱望からいうと、私は望ましいことではないじゃないか。だからそういう、ただ昨年の五月の折衝の一部の言葉ををとらえて、それを動かすべからざるものとしてこれを停頓せしめないように、もう少し大局的な見地からソ連政府においても考えてもらって、この問題を少くとも昨年度以下にならぬように解決しなければ、これは常識に合わぬじゃないかというような意味のことを実はデヴォシャン大使に私は言って、ソ連の政府にその旨を通じてもらって、ソ連政府のこれに対する配属を頼んでおるというのが現状でございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 漁業交渉に関する限り、われわれも実はそういう考え方でおり、そういうふうに理解しておったのです。ところが当時河野農林大臣から報告された話と向うが言っておるのと、はなはだしく理解が違うわけです。そうなると、向うの言っていることが不当だとか、あるいはまた全然間違っておるという根拠になるような客観的な資料を持っていないのです。だから河野さんの声明も口で言っている、向うも口で言うことをわれわれは聞いている程度なのです。そうなるとわれわれ日本国民の側からみれば、今総理の言われるようにこの問題は当然理解すべきであって、ただことしは豊漁であるかあるいは凶漁であるかということを事務的にきめるために、イシコフとかそれに当るような人が来る必要はないということでしょう。しかしながら向うで話したときにそういう話を、向うが言っているように、したとすれば、当時の河野農林大臣としてはこれはやっぱり失言だと思うのです。われわれの常識に反した約束をしたわけです。そうなりますね、そうなれば、相手が無理解だとかいう理屈でなく、河野当時の農林大臣が約束すべからざることを、申し合せか何か知らぬけれども話をしたということのもし非があるならば、それは率直にこっちとしては認めて、そういう話があったかもしらぬが、常識的、論理的に見ればこうじゃないかということで、未回復時代より下回るような漁獲高は考えられないことだ、なおこちらの調査によればこれだけの漁獲高が妥当だと思うということで話をし直す必要があると思う。そのくらいの幅は向うもあると思うのです。河野当時の農林大臣の言ったという八万トン、十万トンを絶対に動かさぬということに全然触れないでというよりも、そのことを岸総理が河野農林大臣からよくただされて、もし誤解、失言であったならばはっきりその点は認めて、それはそうであっても、客観的な根拠はここにあるのだからということで、場を改めて話をさるべきであると私は思うのです。ただきょうは時間がありませんから、その間の河野・イシコフ会談のことにについての食い違いを私は総理に向って追及しょうとは思わない。ただその点は明らかにしておいてフェアにおかかりになることがよかろうと思うのです。これは御忠告申し上げておきます。  そこで次にこれに関連してお尋ねいたしたいのは、漁業問題はなるほど日ソ間の重要な問題の一つに違いありませんが、これがすべてではございませんし従ってわれわれの印象では、日本側の今までの保守党政権のソビエトに対するいろいろな態度から見ますと、魚は取りたい、引揚者は帰したい、国連には加盟させろ、そういうことで、ギブ・アンド・テークで、しかもその態度が口で言うごとく友好親善の態度で、前向きになってすべてを進めていくというような水心がなかったのじゃないかというふうに思うのです。そういう印象を受ける。具体的にいえば、今までの経過の中でも一、二われわれでも気のつくことがございます。たとえば、新しい内閣になってからですが、文化交流についてステパーノフ文化局長が日本にアレンジのために来たいといってヴイザを申請されたのに必ずしも納得されないような、十分な納得も実は相手方にしないで、いたずらにヴイザの発行がおくれている。これはわれわれからも実はやかましく要請をしておったりしたのですが、これはこの間の土曜日に解決したわけです。それからまた貿易問題は、向うは非常に熱心に考えていることは明瞭でございます。初めからそうなんです。その点についても、たとえば漁業代表部の設置の問題、あるいはプラス・アルフアーとして専門家を入国せしめる問題等々についても、日本外務省はどういうわけか知らないけれども、われわれには納得のいかない何か背後の理由があるかしらぬが、必ずしも相手側に水心を示していない、こういうことなのです。さらに外務省の文化情報局の名において発行されている文書の中にも、われわれから見てもいささかどうかと思うようなアメリカからのおかしな情報、つまり内容はソビエトを中傷したりからかったり批判するような意味の情報を、大した根拠もないようなものを軽率にも載せてみたり、こういうことは私は向うに必ずしもいい感情を与えていないと思うのです。そこで私が総理にお尋ねしたいのは、そういうことについて外務省は一体反省されながら、漁業問題だけでなくて他の問題についても、合理的な線において友好親善に文化、経済の交流をやっていくお心持があるのかどうなのか。このことは私はおっしゃる通り、漁業交渉を打開するためにこれをかみ合してというような考え方は私もとりません、総理もおとりにならない、しかしながら別問題ではあるけれども、今言った通りに人と人とのつき合い、国と国とのつき合いは、魚心水心であって、自分のほしいものだけよこせ、よこせでは常に目的を達しません。そういう点はおわかりになると思うのです。そういう意味で私は聞いているのですが、文化、経済の交流についても今までに非ありとするならばこれを率直に認められて、友好親善な態度を前に促進される御用意があるかどうか、この際伺っておきたいと思うのです、

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 私はしばしば予算委員会その他においても答弁をいたしておるのでありますが、今穗積君の指摘されているように、日ソの共同宣言によって国交が正常化せられた以上、両国の間に友好親善の関係を将来に向って深めていくということは当然やらなければならぬし、またそれに熱意をもってやるつもりでおります、従って、貿易の問題あるいは文化交流の問題につきましても、私はそれぞれその趣旨におきましては異存がないのでありまして、従って具体的な、公正な方法によってこれが推し進められるように、今後といえども努力をするつもりでおります。ただ、今もお話がありました通り、漁業問題の解決に直接に関連せしめてやるということは、私はとらないというだけであります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 御趣旨はわれわれも賛成なのです。そういうことで、今までの非があれば改めていただきたいと思っております。  最後に一点お尋ねいたしますが、あなたは、前に当委員会において、国交回復後日ソ間において通商協定を結ぶ用意があるというふうにおっしゃいました。そのときも、むろん漁業交渉をかみ合わせてやるというような意味で言われたのではないし、私もそれで聞いたのではありません、しかしながら、ここで、それがし実質的に関連を生ずるかもわからない。そういうことは別問題として、通商協定についての御方針をちょっと承わっておきたいと思うのです。お進めになるという一般的なお話がありましたが、その後さらに具体的な方針がまだ示されていない。水田通産相からは、やや一歩前進したと思われるような御意見が漏らされておりますけれども、きょうは、経理かつ外務大臣として——交渉の窓口でありますから、その責任者としてのあなたが、通商協定についてやるという原則をおきめになっておるならば、大体の見通しとしてはいつごろから交渉を始められるつもりであるのか、どういう構想で始められるつもりであるのか、そしてまた妥結を目標とする時期期等についてはどういうふうにお考えになっておられるか、さらに伺えば、それが妥結することを目途としておるならば、続いて日本の政府側でも、財界をも含んでトレード・プランも作らなければならぬと思いますが、それについても進める御用意を持っておられるかどうか、それらの点について、時間がありませんから、一括してお尋ねいたしますので、一括して、再質問しないでいいようにお答えをいただきたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 私は、門脇大使を赴任せしめるに当りまして、将来の日ソ間における親善友好を進める問題として、引揚者の問題については特に急いでやってくれ、次に問題になるのは、当然通商関係を開く、これに対してはいろいろ想像され、またこの前の日ソ共同宣言の場合に、ソ連側の片言隻句によって、あるいは十億ルーブルが年にできるというようなごくばくとした話はあったけれども、あるいはまたシベリア開発計画というようなものに即応して、日本側とのなにを進めたいという希望があるようにもわれわれは聞いておるけれども、何分にもソ連側が一体具体的にどういうことを考え、どういう意味において通商協定を進めていき、またその希望をどういうふうに具体化するかという問題がはっきりしないから、その点はソ連側の意向を十分に打診して、これに応ずるように日本側も考えようじゃないか、共産国に対する輸出制限の問題も、ソ連に対しても中央と同じようにあるし、それからまた支払い等の問題についてもなかなか困難があろうと思うが、一応ソ連側の意向を十分打診して、これに対して貿易の増進の方策を考えたいと思うから、それをまず着任したならば向う側の当局と話し合ってもらいたいということを私は指示しておるのであります。今穗積君の質問されたように、一つのプランをもって、こういう考えで、こういうふうに進めて、この辺に見通しをつけて締結するというふうにまで、私はまだ具体的には考えておらないのでありますが、今申したように、門脇大使を通じて向う側の意向ももう少しはっきり打診し、われわれの方でそれに応じた考慮をして、これを進めていきたいというのが私の考えであります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 実はこの席上で日ソ共同宣言並びに貿易拡大に対する議定書を審議中に、われわれ社会党は政権を持たず、外交権を持っておりませんが、党の代表としてチフヴインスキー当時の公使、並びに貿易代表部のハンガリジャン等の諸君に会いまして、君の方は十億ルーブルの提案を一般的にしておるけれども、具体的な方計を持っておるのか、トレード・プランがあるならば見せてもらいたい。おそらくわれわれの推測では、こちらの売るものはあるが、買うものは、なかなか十分に見合うものが考えられないのです、なぜかと言うと、そのトレード・プランはシベリア開発計画をかみ合せたものであるに違いない、そういうものがあるのかといって確かめに一、二度参ったことがあります。そのときに政府の関係者の方にはちょっとそのことを、アンオフィシャルな会見でございましたが、報告しておきました。そのときから今回までわれわれが確かめておるところによりますと、もうすでに向うはいつでも出し得ます、こう明言しております。ただ私どもは外交権を持たず、また貿易の実務をやっていないものですから、われわれに示しても、それをすみやかに実行する可能性はないわけです。だからそのときに言ったのは、日本政府において貿易促進の腹をきめて、協定を結び、貿易を進めるという腹を第一きめていただきたい、そうしてその腹さえきまって日本側の方針もきまるなら、私の方はいつでも出す用意がありますということを政府の機関として言明いたしておりました。そういう状態ですから、今門脇大使を通じて、そのことの向うの意見をサウンドすることをお考えになっておられたというけれども、すでに就任以来引き揚げと貿易と二つの問題がありましたが、私の推測では、向うの内意が示される程度の報告がなければならぬと思うのです。ある意味では私は少し——サボタージュと言うと強過ぎますけれども、緩慢ではないかというふうに思うのです、これは事情を私申し上げておきますしそこで向うの意見が正式なルートを通じて示されたならば、即座にこれに応じていかれるだけの御用意があるかどうかを承わって、この際私の質問を終っておきます。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 私は先ほど申し上げましたように、通商関係を開いて、これを増進するということを考えておりますから、向うからそういうふうな意向が出てきますと、これを検討して適当な方向においてこれを実現するということは私は熱意をもって実行したい、こう思っております。

野田武夫自由民主党

○野田委員長 岡田春夫君、きわめて簡単に願います。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 大臣はお急ぎのようですから、簡単に伺っておきます。これはあるいはしつこいとお感じになるかもしれないけれども、外交関係としては重大な問題ですから、お尋ねいたします。というのは、国連で日本が特に提案国になったということについて関係があるので、速記録ができておりますから、時間の関係もありますので、申し上げますが、例の朝鮮とヴェトナムの国連加盟の提案国に日本国がなった、それの国境線はどこですかということを聞いたのに対して、あなたの答弁は、ヴェトナムの国境線は十六度線だ、朝鮮の場合には三十八度線だ、こういうふうに御答弁になりました。私はここで例を引いて、朝鮮の例で申し上げますけれども、朝鮮の三十八度線というのは休戦協定の線であります、そうではないのですかということを聞いたら、岸国務大臣は「現実の韓国の統治権の及ぶ管囲として一般に承認されておるところは、三十八度線を分界としておると現実に考えられておるのが私は事実であろうと思います。」と、それからまた別な面において、「たとえ休戦のときに定められた線でありましょうとも、国際的に見て、現実の問題が、統治権の現実に及ぶ範囲がそこにあるという事実に基いて、一応韓国であるとか、あるいはヴェトナムというものを考えるというのは、これはやはり国際通念からいって、それが普通の常識的な解釈であろうと思うのであります。」と、こういうようにまではっきりと実は国境線の問題について御答弁になっておるわけです。とするとこれはあとあと重大な問題になってくるわけでありますが、この点について実はもう少しいろいろ御質問をしたいわけです。しかしこれはいろいろ伺っていくためには相当時間を必要としますので、これについて一つこういう重大な答弁をされておるのですが、依然として岸外務大臣の御答弁は誤まりだと私は思うのですが、誤まりであるとするならば、これはいさぎよくこれを改められる御意思があるかどうか、あるいは誤まりでないとおっしゃるのなら、私はまだこの次の機会にこの点を留保いたしまして、いろいろ伺って参りますから、この点まず伺っておきたいのですが、いかがですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 これはちょっと条約の解釈や何かに関係しておりますので、この次までに私研究してはっきりいたします。必ずしも述べたことに拘泥してなにしませんから、一つ研究さしていただきます。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 それから現実の問題として、こういう御答弁があるから、たとえば朝鮮の場合には三十八度線までが韓国であるとするならば、それから北の方は、鴨緑江までの朝鮮民主主義人民共和国というものが、現実に事実現存している。これは国際法上日本が認めるか認めないかは別ですよ。現実に現存している、それから北の方にもいわゆる北ヴェトナム、ヴェトナム人民共和国ですね、これが現存しているということをお認めになるのですか、どうですか、この点はこの機会に御答弁いただけるだろうと思うのですが、この点はいかがでしょうか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣・外務大臣

○岸国務大臣 韓国やヴェトナムは、そのそれぞれの国においてはやはり全土を自分の正当な領土として規定していると思うのです。この前お話がありました韓国は鴨緑江までを韓国の領土として認めておると思うのです。あるいはヴェトナムについてもそうだろうと思うのです。ただそういう実際の現実の統治権が、それでは全部にいっておるかというと、これはいっておらないというのも事実であろうと思います。そこでどういうふうにこれらの国を扱っていくかということにつきましては、国際法上私少し研究が足らなかったと思いますから、研究をいたしたいと思います。その結果といたしまして今、それに関連しておりますが、韓国の北に存在しておる朝鮮、それからヴェトナムの北にあります北ヴェトナムの支配しておる一つの政権というものについては、私どもの立場からは、これを正統な統治権者としてそういう国をまだ認めておらないという意味において、現実にそういう支配関係が行われておっても、それはまだ正統なものとして認めておらぬという立場をとっておるということであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 実は今の答弁にも問題があろうと思うのであります。そういう点を含めてこの次に一緒にいろいろお伺いをして参りたいと思います。私の質問は留保いたします。

野田武夫自由民主党

○野田委員長 次に、航空業務に関する日本国とスイスとの間の協定の締結について承認を求めるの件、日本国とブラジル合衆国との間の航空運送協定の批准について承認を求めるの件、日本国とドイツ連邦共和国との間の文化協定の批准について承認を求めるの件、日本国とインドとの間の文化協定の批准について承認を求めるの件を議題といたします。ただいまの各件につきましてはほか御質疑もないようでありますので、これにて質疑を終了することといたします。  なおただいまの四件に関し討論の通告もありませんので、これより直ちに採決いたします。航空業務に関する日本国とスイスとの間の協定の締結について承認を求めるの件、日本国とブラジル合衆国との間の航空運送協定の批准について承認を求めるの件、日本国とドイツ連邦共和国との間の文化協定の批准について承認を求めるの件、日本国とインドとの間の文化協定の批准について承認を求めるの件をそれぞれ承認すべきものと議決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野田武夫自由民主党

○野田委員長 御異議なしと認めます。よってただいまの四件は承認することに決しました。  なお各件に関する報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野田武夫自由民主党

○野田委員長 御異議がなければさように決定いたします。   次会は公報をもってお知らせいたします。   本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十七分散会

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