海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第7号
- 発言数
- 107 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/03/13
会議録
○廣瀬委員長 これより会議を開きます。 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する件について調査を進めます。本件について直ちに質疑を行うことといたしますが、海外同胞引き揚げに関する問題及び引揚者の就職問題等政府当局に対する質疑の要求がありますので、順次これを許します。中馬辰猪君。
○中馬委員 去る一月二十五日、労働省におきましては、引揚者の就職のために非常な熱意を示されまして、引揚同胞雇用促進月間実施要領なるものを各関係各面に御配付になったそうでありますけれども、われわれも、この企てに対しましては、心から賛意を表し、感謝を申し上げているわけであります。つきましては、昭和三十三年二月一日から二月末日までがその期間に相なっておりますが、その問における引揚者の方々の就職の状況を具体的に一つお示しを願いたいと存じます。
○江下政府委員 お話の通り、雇用促進月間を設けて実施いたしましたが、お断わり申し上げなければならないことは、その結果がまだ全部出ておりません。ただ、私どもの見込みとしては、現在まで到着しているもの等から推定いたしますと、公共職業安定所による就職を希望されました方が、ソ連の第十一次引揚者のうちの三百八十一名でございますが、そのうち約百五十人程度が大体就職されたのではないかという見通しをつけております。なお、そのほか、あっせん中の者百四十名程度、それから引揚者の方でまだ態度を保留されておる者が九十名程度ございますようですが、一応この程度の見込みじゃないかと思っております。
○中馬委員 三百八十一名のうちで、二百九十名程度が確定またはあっせん中というような見込みがあるわけでございますけれども、これは非常に成績がよくて、われわれも敬意を表しておるわけであります。重点事項として、引揚者で前職のあった者の就職あっせん等については、前職復帰を強く推進すると、こうなっておりますけれども、その決定した百五十名のうちで、前職に復帰した者は大体どの程度でありますか。
○江下政府委員 今私申し上げましたのは、前職等がはっきりしないで、公共職業安定所に申し込まれた人たちの数字でございます。前職復帰希望といたしまして百三十人の方が申し出られております。そのうち、私の方で確認しました者が三十一名、これだけがはっきり前職に復帰されたように承知しております。
○中馬委員 百五十人の、程度といいますか、その場限りの日雇いみたいなものであるのか、あるいはある程度恒久的な職業であるのか、その点はどうですか。
○江下政府委員 実は本日までにそういう具体的な内容につきましてこまかく調査ができませんでしたが、一応数だけはこの程度の見込みである。詳細はいずれまた判明いたしましてから御報告申し上げます。
○中馬委員 態度保留の九十名というのはどういうことなんですか。実家が割合いいからしばらくぶらぶら研究するとか、あるいは病気だから就職の希望が現在はないとか、その点はどうですか。
○江下政府委員 とにかく就職はしなければならぬ、しかしながら、今お話のような、からだの調子の回復を待つとか、あるいはもう少しなれてから就職したい、こういう人たちだと思います。
○中馬委員 この九十名の方々はなおさら気の毒だと私思うのです。現在引揚雇用促進月間においては重点的に取り上げておりますから、非常に明るい見通しだと思います。しかし、そういう方々が、病気が全快したり、あるいはある程度仕事ができるというふうな場合においては、労働省において熱がさめないように、たとえば、そういう方々が今後安定所等に来られたような場合には、やはり最優先的に考慮してもらいたいと思います。われわれの方でも、この九十名という方々については、今後もよく気をつけておきますから、あなたの方でも、よく熱を入れて、最後までめんどうを見てもらいたいと思います。 もう一つこれは重大なことだと思うのですが、民間については非常に成績がよくて、二百九十名のうちほとんどが民間なんですが、官庁も少しございますか。
○江下政府委員 内容も調査中でありますが、大体民間でございます。
○中馬委員 民間がこれだけ協力をしておるのに、当の官庁に全然受け入れ態勢がないということは非常に不公平だと思うのです。聞くところによれば、たとえば、住宅公団等のごときは、そういう雇用促進の運動があるということすら知らなかったという話でありますけれども、住宅公団等においては、特に新しい役所でございますから、大量に人を採用するということは、他の今までの役所に比べて非常に差があると思います。従って、たとえば、住宅公団なり、あるいは農林省で考えておる干拓のための特別会計だとか、愛知用水だとか、あるいは八郎潟だとか、いろいろたくさん仕事がございますから、そういう新規に事業等を始める場合においては、特にあなたの方でも、関係各官庁と連絡をとって、入れてもらいたいと思います。現在官庁方面においては一体どういう受け入れ態勢であるのか、あるいは前歴の者、あるいは前歴でなくて官庁に入ってきた者、そういう人数等が第一次から第十一次までもしわかっておったら、お知らせ願いたいと思います。
○江下政府委員 実は今引揚者全体についての資料を持ち合せておりませんが、公務員関係について相当の希望者があることは事実でございます。そこで、今回の引揚者につきまして、私どもといたしましては、官庁にもできるだけ採用してもらいたいということから、各省の次官にお願いをいたしまして、傘下の機関へも御連絡方を依頼いたしております。今回の引揚者は、主として警察関係、国鉄関係、郵政関係、防衛庁関係、こういう方面の御希望が多いようでございます。そこで、具体的には、第一線ではなかなか採否がきまらないということから、中央にまでこの問題が上っておりまして、中央同士の話し合いで私どもお願いいたしておりますけれども、仰せの通りそれほど大きな成果がまだ上っていないと思います。しかし、これにつきましては、今後とも私どもも十分な努力を重ねてみたいと存じております。
○中馬委員 各官庁といってもいろいろ役所が違いますが、その中で、今まで引揚者に対して比較的好意を持つといいますか、受け入れておる役所と、全然冷淡といいますか、関心がないといいますか、そういう役所と、いろいろ色合いがあると思いますが、比較的受け入れておるところはどういうところがあるか、おわかりになりませんか。
○江下政府委員 実は、先般申し上げました大体就職しておるという百五十名程度の予想のうち、十一名が官庁関係でございます。その内容を申し上げますと、警察関係が一、運輸省関係が一、国鉄関係が二、県庁が一、学校の先生が一、町の役場が三、市役所が二、こういうことに相なっておりまして、やはり現業関係かあるいは第一線の職場が多いということじゃないかと思っております。
○中馬委員 警察、運輸、学校の先生、市役所、役場等なんですが、これは前歴ですか、新規ですか。
○江下政府委員 これは前歴ではない人たちでございます。
○中馬委員 警察とか学校の先生すら一名とか二名とかしか採用していない。これだけ膨大な役所があるのですから——労働省はどうですか。あなたの力でも一つ垂範するという意味で何人か採用してもらいたいのですが、今までソ連引揚者で労働省に何名くらい採用されておりますか。
○江下政府委員 実は、労働省は地方の出先関係が大部分でございますので、この方の調査をまだまとめておりませんが、本省では一名だけ採用しております。
○中馬委員 出先のことはわからぬから、ちょっとなんですけれども、本省においてはわずかに一名だけしか採用していないということは、それでは、他の官庁に対しても押しがきかないといいますか、他の官庁に対して、労働省自身がそれの促進運動をしておるのに、自分のところは一名も採用しないで、他の官庁には採用せよということは、実際問題として迫力もないし、言えないと思います。そこで、今後は、労働省自身が一つ重点的にある程度これを引き受けるという腹を示して、それをもとにして、他の官庁の方々に対しても、あるいは次官会議なりあるいは知事とかそういう方々にある程度局から一つ割り当てるぐらいに——残っているのはたった九十名ですから、九十名を各役所へ一名ずつ採用しても消化できるのですから、今後はそういう問題の解決に一つ具体的に努力してもらいたいと思います。 私は先般ある会社に行ったのですけれども、「どうも官庁はけしからぬ。われわれ民間のものは盛んにソ連引揚者のことを就職を頼まれて協力しておるのに、官庁自身は何もやっていないのだから、どうも困ったもんですね」という話があったのですが、官庁で、あるいはこの三百八十一名帰ったうちで十名なら十名程度は引き受けるんだという態勢を示してくれれれば、それによって、民官の方々に対しても、近ごろは景気のいい会社もございますから、そういうところに割り当てるといいますか、押し込みがきくのじゃないかと思いますが、なるべく早い機会に、残りの九十名の方々に対してもそういう措置をとってもらいたいということを、強く、要望をいたします。江下政府委員 仰せの点はごもっともでございますし将来もさらに努力いたしまして、官庁関係の開拓に努めたいと思います。
○戸叶委員 関連して。先ほどの説明の中で就職の希望者が三百八十一名とおっしゃいましたが、これは東京の職安関係だけでございましょうか。
○江下政府委員 全国の公共職業安定所に申し込まれた数字であります。
○戸叶委員 先ほどの御説明によりますと大へん就職率がいいようなんですけれども、私のところへいろいろな方から陳情を受けますのは、就職できないで非常に困っていらっしゃる方ばかりなんです、それで、今この数字を伺いまして、何か非常に驚いてしまったわけです、特に、地方などでは、たとえばいなかから中央まで出ていくための旅費だとか、あるいは東京の場合にはバス代とかいうので、そういうふうな経費までが自分たちには重い負担になるというようなことまで私は聞かされるわけなのです。こういうふうなこともある程度就職がきまるまで考えてあげなければ、非常に無理じゃないかという気がするわけですけれども、そういうことはお耳に入らないのでしょうか、どうでしょうか。
○江下政府委員 今回の公共職業安定所の活動方針といたしましては、できるだけ引揚者の家庭まで入って訪問してやれということを指示をしております。あるいは、一回行って、あとはもう行かないという場合もあるかと思いますが、建前は、できるだけその家庭に行って、よく相談をしなさいという指示をしておるわけでございます。ただ、予算等の関係もございまして、再々行って御相談するということができないという場合もございますので、あるいはそういう点についての御不満かと思いますが、できるだけ予算を有効に使いまして、今後とも、できるだけ引揚者に負担をかけない方法で、役所が出向くということにいたすようにいたしたいと思います。
○戸叶委員 そういうふうにしていただければ大へんけっこうなんですけれども、何か今までの御説明と私のところへ来られる方との間に、ギャップがあるものですから、私どうしても就職されたというようないい数字を何か信ずることができないような気がするわけなんです。個々に当ってみますと、もう少しいろいろな問題があるということを御承知下さいまして、そしてもう一度指令をお出しになって、親切に相談をしてあげるように計らっていただきたい、私はこう考えるのですけれども、いかがですか。
○江下政府委員 申すまでもございませんが、引揚者の就職促進は二月だけで終るつもりはございません。今後も引き続きやるわけでございます。そこで、先ほど申し上げました数字は、冒頭に申し上げましたように、まだ全部集計した結果ではございませんが、一部きましたものから推定いたしまして、この程度はいっておるのじゃないだろうか、こういう数字でございます。そこで、いすれ近く全国的な数字かはっきりいたしました上は、今後さらに、いかにしてこれを促進するかという点については、あらためてまた指示をして、完全就職まで持っていきたい、かように考えております。
○戸叶委員 私こういうことを申し上げるのは大へん無理かとも思うのですけれども、帰っていらして、職がなくて非常に困っていらっしゃるうちに、だんだん気持も荒れていくということが考えられると思うのです。ですから帰られた方々の完全就職をなるべく近い機会においてするように、ぜひお取り計らいを願いたいということを要望いたします。
○中山(マ)委員 それに関連して。そういうふうに帰ってきた方々の就職が、そこまでおわかりになっておるならば、知らせていただきたい。どれだけ平均俸給をもらって、ということはおわかりにならないでしょうね。独身者がやっていける俸給か、あるいは家族持ちで、やっていけるか、そういうことはおわかになっておりませんか。それが一つ。それから、宣伝の予算は年間どれくらいか。これはこれきりでやめる気はないという御発言でございますが、そういう宣伝のための予算措置ができておるのでありましょうか。
○江下政府委員 賃金等につきましては断片的に調査したものはございますが、全部まとめてやったものはございません。非常に残念なことでございますが、引揚者の方は、長いこと異国におられまして、技能等のない人も相当多いということからいたしまして、就職の場合、非常に不利な条件の場合が率直に申し上げて多いのじゃないかと思います。先ほど申しましたような守衛とかあるいは門番とか——技能を持っておられる方々はもちろんちゃんとした就職をされておりますが、そういった方々が多いわけであります。そこで、私どもは、経営者に対して、長い間のブランクに対する酌量をすべきじゃないかというお話をしておりますが、相手のあることでございますので、なかなかそう必ずしも期待通りにはいかないわけでございます。そこで、引揚者の方が入るときはそういうことでもいいけれども、将来昇進というような場合には、何かそのブランクを埋めるような、成績を上げた場合には、できれば何か考えてもらいたいということをお願いをしておりますが、現在までのところ、そう高い地位につかれたということは少いのじゃないかと考えております。 それから、予算は、実はこの委員会で私二百万円なり三百万円なりぜひ大蔵省にお願いをしたいと言っておりまして、最近までねばっておりましたけれども、大蔵省の方では、既定の予算でやり繰りをしてもらいたいということで、どうしてもこれは認めていただけませんので、私の方の予算の中から重点的に出しまして、過去の分は埋め、将来も——一応来年度には若干は入っておりますが、本年度分につきましては、やはり既定予算のワクでやるより仕方がないわけでございますが、ある程度のことはやれる確信は私は持っております。
○中山(マ)委員 それは労働省にはまことにお気の毒のように私は思うのでございます。引揚者がずっとおいでになるということがはっきりしておりましたので、ロンドンへ行ったり、モスクワへ行ったり、あちこちなさいましたが、これは労働省に申し上げることではないかもしれません。厚生省の政務次官にちょっと私はこの点をお尋ねしたいのでございますが、長い間、この集団引き揚げということは、もう内閣のスローガンというかアドバルーンと申しますか、大きな一つの柱であったにもかかわらず、帰ってきた人たちに十年余りの、ギャップがあったり、いろいろ技術の面でも国内では躍進的に進んでおりますしいたしまして、いろいろな面で非常に困った立場におるということはわかり切っておりますので、厚生省としても、労働省の方に、そういう就職あっせんのための予算が取られるようにご進言下さるべきであったろうかと思うのでございます。これは、結局、新政務次官にお尋ねするよりも、前の厚生大臣なりあるいはその関係の方に申し上げるべきであるかもしれませんけれどもし、しかし、厚生省というところは変らないのでございますから、大臣、政務次官がおかわりになりましても、私はその方針といったものは立っておらなければならなかったように思うのですが厚生省としてはどうお考えになりますか。それで今後そういう面について何とか御心配いただけるものかどうか、労働省にそういう点をまかせ切りで、引き揚げは済んだらそれでこちらの方のお仕事は済んだということでいいのかどうかということが、私ども考えられるのでございますが、いかがでございましょう。
○中垣政府委員 中山さんにお答えいたします。引揚者の就職並びに職業の補導の問題は、これは大切なことであると、その点全く同感でございます。それにつきまして、従来主管は労働省でございまして、先ほど来御答弁になられたようなことをやっていただいておるのでございますが、私どもの方も努めてあらゆる機会にやはり協力をしては参っておるのです。ただし、御指摘のような予算関係は、実は計上をしてございません。今後の問題といたしまして、まだこれからも引き揚げてくるのでありますから、非常に大事だと思いますので、一応省でよく議を練りまして、御意思に沿うように努力をして参りたいと考えております。
○中山(マ)委員 今のお言葉を承わりまして、いささか気が楽になったのでございますけれども、引揚者が帰ってきて最もやかましく言うのは住宅、その住宅を得るためには、結局お給料が取れなければどうすることもできないのでございますから、どうぞ一つこういう面につきまして格段の御努力を願います。そして、労働省と結束なさいまして、帰ってきてからのことまでめんどうを見てやるという親心を十分御発揮下さいますように、いわゆる政策、考えというものは予算によって決定づけられるものでございますから、この点一つ御努力のほど要望いたしておきます。
○戸叶委員 先ごろの委員会で、山下委員の質問に厚生大臣が答えられて、中共の例の行方不明の人たちのために、もしも外務省の方でその決意があるならば、だれか調査官をやってもいいというようなことを発言せられたように、私新聞で拝見いたしました。そこで、その問題がどうなっているか、すでにもう中共へどなたかを派遣する段取りがついているかどうかを、厚生省と外務省の方に伺いたいと思います。
○中垣政府委員 戸叶さんにお答えいたします。さきに、本委員会におきまして、厚生大臣が先ほど御指摘のような答弁をされましてから、外務省とも連絡をとりまして、その問題につきましては実現するように、ただいま交渉中であると思います。
○小川説明員 ただいま厚生政務次官のお答えになりました通りでございまして、事務的にも、名簿の資料をまとめましたものを提出してから、その調査の協力のために調査官を派遣するという方向で、ただいま両省で相談しております。
○戸叶委員 ただいまの厚生政務次官の交渉中というのは、どこを相手に交渉中なんですか。
○中垣政府委員 お答えいたします。交渉といいますのは、外務省と厚生省が折衝しているところでございます。
○戸叶委員 そうしますと、事務的な書類がまとまりますと、大体派遣するということにきまった、こう了承していいわけですね。
○中垣政府委員 お答えいたします。政府部内におきまして意見がまとまりますと、これをば中国の紅十字社を通して一応申し入れをして、それに対しましてその返答が参りまして、そういり機関の協力や便宜を受けまして、それから実際の調査にかかる、かように考えております。
○戸叶委員 その通りだと思うのですけれども、そうだとするならば、もうだいぶ時間がたっていることで、そうした調査の人を派遣してほしいというような要望はずいぶん前から出ていることですから、もう外務省との交渉というものはできていていいころじゃないかと私は思うのですけれども、まだこれはなかなかおかかりになるのですか。
○中垣政府委員 お答えいたします。やはり経費の問題でありますとか、あるいは人員の問題、査証の問題であるとか、なかなかそういう点は時間がかかるようでありますが、しかし、もうそんなに長くかかるとは思いません。
○戸叶委員 伺うところによりますと、社会労働委員会で、ある議員が質問したのに対し、そういうふうな係官を派遣しないというような御答弁があったやに伺っておりますけれども、その点はいかがですか。
○中垣政府委員 そういう言明は、実はしておられないと思います。先ほど私は紅十字を通じてと申し上げましたが、その後ジュネーヴの日本の総領事を通じまして、中共側の出先と交渉する予定に決定したそうであります。
○木村(文)委員 関連。今の戸叶委員からの最後のお尋ねは、実は私三十二年の二月十五日の社会労働委員会において、私から厚生大臣に質問したことなのであります。そのとき私はこういうことを尋ねております。「ソ連の未帰還者の問題については、これは早期に解決するということは政府として言明しているところであるが、中共その他における未帰還者に対しては、もうすでに幾たびか、国民的な外交の上に立っての、人道上の問題として取り上げてきたのだから、今度は、国民の代表である国会議員の中から代表団を関係諸国に派遣して、政府当局とともにこの引き揚げ問題に対する調査に当るべき段階ではないか」、こういうことを質問いたしたのであります。それに対して、厚生大臣は、この二月十五日の御答弁では、まだその意思はございませんということを答弁されているのであります。そこで、私本日この委員会に出席して、戸叶委員のお尋ねしていることに対する当局側の御答弁を聞いていますと、外務省と厚生省の両当局において話し合いを進めている、その方針を決定いたしましたという御答弁であるやに承わったのでありますが、その決定なりあるいはその方針なりが、二月十五日の私の社労委における質問後において決定したのであるかどうか、それを伺っておきたいのであります。
○中垣政府委員 木村さんにお答えいたします。二月十五日以後にそういう問題を折衝開始したと思っております。
○木村(文)委員 了承しました。
○戸叶委員 なるべく早くそういうことをしていただきたいと思います。まだ帰られない行方不明者の御家族の方々は、一日も早くははっきりさせてもらいたいというような希望を持っておられますから、その点を考えていただきたい、こう思います。 次に伺いたいのは、一応帰国者の問題でございます。昨年、中国から、一時帰国者の方、いわゆる里帰りといわれている方が来られまして、初めのうちは何かいろいろ不愉快な思いをされたようですが、ここにおられます山下さんなどもこの前厚生政務次官で大へんお骨折りになりまして、最後には気持よくお帰りになって、その後、それらの人々が、帰られた様子などを向うへ帰ってお話しになったのだと思いますが、ぜひその後の故国の様子を見てみたいというような方々があちこちに集まりまして、署名をいたしまして、私のところへも陳情書が届いておりますし、また赤十字の方へもだいぶ来ているというふうに私は伺っておりますが、こういうことを厚生省では御存じでございましょうか。
○中垣政府委員 よく存じ上げております。
○戸叶委員 知っていらして、どういうふうな方法をとろうとしていらっしゃるか、伺いたいと思います。
○中垣政府委員 これらは中国におります日本人の一時帰国者の問題につきましては、今後やはり一般の引揚者の場合に配船いたしますので、そういうときには、その帰還船の乗員定員の許す限り、努めてこれをば一応帰国をさせる、そういう方針でおります。
○戸叶委員 今中国の方には四十四名の方々が戦犯として残されているということを聞いているのですが、その方々が帰国されるまでは、一時帰国者の方々を迎えるようなことはしない、こういうふうにお考えになるのでしょうか。
○中垣政府委員 戦犯で抑留されておる者が四十四名あることは事実でありますが、そのほかにまだ、元軍人であった者、それから政府関係におった者、その他を含めまして、約二千名近くもおるのでありまして、その方々がやはり帰還を非常に要望しておられるのであります。そこで、先般、中国の紅十字社を通じまして、帰還の希望者等を問い合せてみましたところが、この二月、三月のうちには帰還希望者が多数はない、こういう返事が参りまして、ただいまではりそのままになっておりますが、しかし、向うから御返事をいただきましたのは二月、三月にはないということでありまして、四月、五月以降にはやはり船を配船しなければならなくなるだろうと考えております。そのときに、できるだけ、いわゆる便乗と申しますか、定員が許す限り、一時帰国者の方にも利用をさせてあげたい、かように考えております。
○戸叶委員 そういう方々のために、たとえば戦犯の方が一日も早く帰れるようなそうした手続は、あらゆる方面からしていただきたいと思いますし、それからなお、そのほかの帰還希望者で、二、三月に帰りたくなくても、四月、五月に帰りたいという方のために、特に考えていただきたい。これはむろんのことでありますけれども、聞くところによりますと、先ごろ地方委員団が周恩来氏と会いましたときに、周恩来氏が、この一時帰国者について、自分の方で日本へ行くための旅費並びに支度金の方はめんどうを見てやってもいい、こういうようなことをおっしゃったように私は聞いておるのでございすが、そうであるとするならば、この日本の受け入れ機関だけが問題になってくると思うのですけれども、こういう方々を受け入れてあげるような御用意はないかどうか。やはり、一時帰国を希望しておられる方は、戦争のどさくさの犠牲者であって、ほんとうに気の毒な方々であり、必ずしも心から望まなくても結婚せざるを得なかったような立場の方があるかとも、私は聞いております。まあ一応日本の様子を久しぶりに凡て帰りたい、これは私は人情として当りまえのことだと思いますし、それまで中国側で言われるのでしたら、日本の方もそれらの人を受け入れてあげるような方法を考えるべきではないか、こう思うのですが、この点についてどうお考えになりますか。
○中垣政府委員 ただいまの御質問の第一点でありますが、一時帰国者につきましては、再渡航の場合の旅費というものはぜひとも用意してきていただきたい、そういうようなことを各希望者に対しまして連絡をしていただくように、実は中国紅十字社を通じて依頼がしてあるのでございまして、まだ、昭和三十二年度の予算には、これらの経費は、率直に言いまして実は計上されておりません。 第二閥の点でございますが、これらの中の国際結婚をされた方々に対しまして、戦争犠牲者というような観点からの考え方につきましては、戸叶さんの御指摘のような方もあろうし、あるいはまた若干見解が異なるところもあるだろうと思いますが、非常に複雑でございまして、資料の持ち合せもございませんので、これらの一時帰国者に対しましてはできるだけ便宜を与えていきたい、こういう考え方でございます。
○中山(マ)委員 ちょっと関連して伺いたいのでございますが、それは、この前お帰りになった方々は、日本側はお帰りの旅費はあるという考えに立ってお迎えをした、向うは、大体自分の故国の姿を見たい、親類の者にも会いたいというその慕情の一念から、その辺のことがはっきりしないで帰ってきてしまった。それで、帰ってきたときには、非常にうれしくて何とも言えない気持でいらしたようでありますが、だんだん日にちがたつにつれまして、帰り道の旅費などが問題になってきて、ときにはもう、かえって——私はこれはラジオの放、送で聞いたのでございますが、非常に日本の冷たさということについて、いろいろな座談会でもって不平を漏らしていらしたのを開きまして、私は、せっかく帰ってきて下さったのに、こういう気持で送り返すということはまことにまずいということで、わが党といたしましても、いろいろとこの委員会でも発言をいたしたのでございます。今度お帰りになる方が私は新聞で見たのですが、あるいはこれは新聞社の勘かもしれませんけれども、四百人ほどこういう希望者があるということを何かの新聞で発表しておりましたが、そういう数等もおつかみになっていらっしゃるかどうかということも伺っておきたい。どこからその数字が出たのか。 それから、今度お迎えをするときには、何とか一つ明朗な立場でお迎えをしたい。帰ってきてよかったという気持で、ちゃんと旅行のプランなども立てて、それから最後には、ここでやはり、日本国はあたたかかったと涙を流して感謝していただいたのですが、その間皆様方に焦燥の感を持たせたことはお気の毒である、ほんとうに悪かったような感じがいたしましたが、厚生省としては、そういう企画をもって今後この問題の処理にお当りになるお覚悟があるかどうか。そういうところまでは調べられない、しょうがないんだ、外交機関もなくてそういう詳しい調査はできないから、そこまではいかれないというお気持なのか、ちょっと伺っておきたいと思います。
○中垣政府委員 中山先生にお答えいたします、御質問の第一点でございます第二回目の一時帰国者の数が四百名程度あるというこの数字につきまして、厚生省といたしましては、公式にはまだ入手いたしておりません。私どももやはり新聞等で見ておる程度でございます。 それから、第二点の引揚者が非常にさびしい気持で帰って行く、これはよくないという御見解は、私も全く同感でございます。そこで、国際結婚等につきましているいろ十分な資料もございませんので、政府が一律に再渡航の経費を全部負担するというような方針にはただいまのところなっておりませんけれども、事実は、第一回目においても、やはりこちらで負担した人が相当にあった。今後も、それらの人々の生活の実態をながめまして、人道上の問題といたしましても、またそういう再渡航者の方々の気持を考えてみましても、政府といたしましては適宜な処置をとらしていただく。その程度で一つ御了承を願いたいと思います。
○戸叶委員 先ほどの希望者の数の問題ですけれども、私どももはっきりした数字は知りません。あとから、ごく最近中国から帰られた西村委員が質問されるときに詳しい事情がわかると思いますから、そのときに聞かれたたらいいと思うのですが、私のところへ依頼してきている方々も打者くらいございますし、赤十字の方にもだいぶきているというようなことを聞いているわけでして、それらの方々が久しぶりで日本の国を見たいという気持は、私どもも十分理解してあげられることだと思うのです。今の政務次官の御答弁によりますと、三十二年度の予算の中には 入っていないということでございましたが、これは全く残念なことでございます。中側でさえも、片方の船賃は持ってやるし、支度金もしかるべく考えようとわれているほどでございますから、そういう方々が、日本の姿を見て帰って、日中の親善のために尽されるという面から考えましても、ぜひともその方たちの希望をかなえてあげるような方法を講じていただきたい、こういうことをお願いするのですが、この点はいかがでございましょうか。
○中垣政府委員 戸叶さんにお答えいたします。先ほど中山さんにお答えいたしたのでありますが、御指摘の通りに、将来のことを考えて、再渡航者に対して帰りの経費くらいはこちらで出すべきではないかということにつきましては、私どもも理解できないことはないのであります。しかし、ただいままでも何にもしていないというのではないのでありまして、この前のような場合でも、帰りの船そのものはこちらが都合してやっておる。そこで、帰るときの旅費をば一人について幾らくらい出すかというようなことになりますと、これは随時帰国であるか集団帰国であるかというようなことがなかなか見分けがつかなくなりますし、また、そういうことをいたしますと、向うから引き揚げてきて再渡航しないような方々に対しまして、戸叶先生御承知の通り、引揚者に対する給付の問題が近く法律化されて実施されると思うのでありますが、そういったような問題ともやはり関連があると思います。そこで、ただいまのところでは、一時帰国希望者に対しましては、まずその帰国の願いがかなえられるような努力をできるだけいたしまして、再渡航の場合には、その方々の生活の実態を見まして、次の処置をさせていただく、こういうことに了承を願いたいと思います。
○戸叶委員 適宜に処置をとっていただくということでけっこうと思いますけれども、聞くところによりますと、希望しておられる方々は必ずしもゆとりのある生活の者ばかりでもないようでありますし、また、内地の親戚が、一ヵ月もただいて旅費まで心配してもらえるような家庭ばかりでもないようでございます。むしろ、その人たちの内地の親戚はあまりよくない人も多いように伺っておるわけです。そういう点から考えましても、そういう方がこの前のようないやな思いをしないで帰れるように、一日も早く御考慮を願いたい、こういうことを希望ずるわけでございます。 あとの問題は西村委員に譲りたいと思います。
○廣瀬委員長 西村力弥君。
○西村(力)委員 戸叶さんからただいまいろいろ質問がございましたので、つけ加えて申し上げることはほとんどございませんが、一つ知っていただきたいのは、向うに残留して中国人と国際結婚した御婦人の方々は、全部が全部といってよいほど帰国を希望していることです。これは当然のことであり、御理解をいただけるではないかと思うのです。しかも、みんながみんなというわけではなのですけれども、やはり、現在は幸福であっても、その当時の心境やさまざまなことを考えてみますと、戦争犠牲者であるということは間違いない。本人たちも、当時のごとを回想して、そういう工合に考えている。政府の立場として、いろいろ引き揚げの跡始末、戦争の跡始末、そういうことをやっていらっしゃるが、そういう残された人々の希望をかなえてやることも大事な跡始末の一つではないか、かように考えるわけなんでございます。中国では、もちろん中国人と結婚した人の帰化を認めているようでありますが、国交の回復していない現在において、一時帰国の希望も不可能になるではないか、こういう考え方からむしろ帰化手続を意識的に遅延さしている、こういうのが実情なんであります。ただいま戸叶さんからお話がございましたが、こっちに来る場合の旅費や支度金までめんどうを見てやろうということを、昨年地方議員団に話されたことも聞いておりますし、また、先般家族が面会に行ったときの手あつい取り扱いというようなことをいろいろ考えてみますると、私たちは、やはり国民の一人として、同胞がそういう希望を持っておるのに対して、政府が強い決意でもってあたたかく迎えるように、実現方を熱望してやまないのであります。昨年来た人とその後残っている人の経済事情の問題になりますると、一般的に言って経済事情が低い方々が残った。昨年は自費だというようなこともありましたので、相当抑えられて——そうでない無一文でおいでになったような方もあったようでございます。去年はそういう関係から希望を抑えたけれども、やはり一時帰国したい希望は抑えがたいというので、経済事情が低い人々でもぜひ一度は帰りたい、こういう熱望を持っておるのです。その点ぜひそういう決意をもって進んでいただきたいと思うのでありますが、ただいまの次官の御答弁によりますと、適宜な処置をなさるというお話でございましたが、そのことは、日本に来たら、日本人だと思い、その人々に不満を持たせず、あるいは失望を与えないで、あたたかくお帰りを願うまで、めんどうを見よう、そういう工合に政府としては必ずやるという腹づもりである、かように了解してよろしゅうりございますか。
○中垣政府委員 お答えいたします。前段のご質問の意味でありますが、中国側の好意によって日本に到着するまでの旅費まで世話してもらって帰ってくるのありますから、帰るときに旅費がなくて帰せないなどいうことは、これは議論の余地のないことでありまして、当然これは何とかしてやらなくなくちゃなりません。そのほか、こちらに一時帰国中の毎日の生活のめんどうでありますが、そういうことについては、ただいま御指摘をなさったように、ほんとうに生活に困る者も、この前もそうでありましたが、 これからも多いということは予想されるので、そういう方は、やはり生活の保護というものをやっていかなければならないと思っております。それは別に一時帰国者のために予算等を組まなくてもやれる措置でございまするので、その点はやっていけるようになっております。それから、今後予想されるだんだん生活の程度低くなった方が帰ってきた場合に、いろいろなことができてくると思うのでありますが、政府は誠心誠意それらの方々のごめんどうを見ていくということは、御解釈になっておる通りでございます。
○西村(力)委員 自己負担で最大限に努力して、それ以上自分ではどうもならぬという場合においても、自分の母国だ、同胞があるいは政府が必ずめんどうを見ることができる、そういう工合に私たちは了解して、この問題がうまく進むように希望してやまないのでございます。 次に、警察庁長官の石井さんにちょっとお尋ねしますが、向うにおる人々が内地との音信について相当疑問を持っておる。これは、新潟県の女の人ですが、家に便りをやっておったところが、あまり手紙を寄こすと、どうも——畳屋だそうですが、警察関係がうるさくて商売ができなくなる、だから手紙を寄こしてもらっては困る、こういうことを言ってよこしたのです。私たちはどうもふに落ちないのです。親が子供の音信、しかも故郷を離れておる子供の音信を断るというような事情がどうして発生するんだろうか、そこまで警察が公安関係の活動をやっておるのかどうか。やらなければならないのか。それから、一つは、奈良県の例でございますが、向うで技術留用になった仲間が帰って、地方の公務関係に就職した。初めは音信しておったが、そのうち音信が来なくなった。そうして何べんもやったところが、最後に、私の勤務上非常に工合が悪い、今後あまり手紙をよこさぬでくれといってよこした。ここでもやはり公安関係の活動が陰に陽に圧迫を加えているのではないか、こういうことが考えられる。その点長官としてはおそらくそういうことはあり得ないと答弁するだろうと思いますが、事実としてそういうことがあるんですから、あり得ないというそっけない御返事でなく、相当慎重に考えて下さることが大事じゃないかと思うのです。一体そういうことに対してどういうお考えを持っていらっしゃるか。それから、中国、ソ連、そういう国からの引揚者に対する公安活動の方針、そういうものは一体どうなっておるのでございますか、御答弁願いたいと思う。
○石井(榮)政府委員 ただいま御例示になりました、新潟県あいは奈良県の方と中国におられる方との音信の関係を、警察が何か圧迫を加えておるのではないかというお話でございますが、私全く初耳でございまして、ただいまの西村先生のお言葉をそのまま返して恐縮でございますが、そういうことはあり得ないことと確信しておるのでございます。しかし、私は全国の大小のできごと一切を承知しているといううぬぼれを持っているわけではございませんから、私の知らない間に、第一線において何らかの行き過ぎがあるなら、慎重にこれに対処しなければならぬという気持を持っておりますので、ただいま御例示になりました二つの件については、さっそく十分に調査いたしまして、もし警察がそうしたことについて行き過ぎがありますならば、これは将来に向って十分そういうことのないようにさせたいと思います。およそそうしたことを警察がする必要はないと私は思います。中共にいる自分の娘から、あるいは知り合いから来た手紙の内容はどういうものであるかということが世間話的にも話題になって、警察官か必要以上にそれに興味を持って、いろいろとお尋ねをするというようなことから、あるいは何か警察がそうしたものに特別の関心を持って調査をしているのではないか、あるいは圧迫を加えるのではないかという誤解を受けることもあり得るかとも思いますが、そうした誤解を受けることのないように、そうした関係の人に接触する場合におきましては、たとい知り合いの懇意の間柄であっても言動を慎重にするように、こういうふうに十分今後戒めたいと考えております。
○西村(力)委員 そのように長官としは御答弁になるのじゃないかと思っておったわけだが、私もその話を聞いて、そんなことはあんまり度を過ぎた話なんで、まさかあり得ないことじゃないか、こういうことを言ったのですが、親が娘に手紙をよこすなと、言ったのは事実その通りなんだ、こう言うのです。私思うに、去年の砂川問題のときなんか、警察官が二百人けがされたということでありますが、労働者や学生たちはけが人が五人しかいない、こういうことになっておる。なぜかといいますると、学生は、そんなところでけがをしたということを発表すると、就職ができなくなる。労働者は、そういうことを発表すると、警察官がその使用者の陰に回っていろいろなことをやる。結局その職場からいろいろな圧迫を受けてくるために、そのけがをしたということを申告しない。こんなことになったんですが、そういう事例からいいまして、長官は確信を持ってそういうことはないだろうとおっしゃるけれども、やっぱり事実存在するのではないかと思われる。それはそれとしまして、今御答弁のありました通り、そういうことは、一般的な公安関係の方針として、強く長官の方で御指示賜わりたい、さように、私は希望いたすわけなんです。以上強く希望申し上げまして終ります。
○廣瀬委員長 中山マサ君。
○中山(マ)委員 私は外務省の渡航課長さんにお尋ねをしたいのです。昨年の暮れの第十一次の引揚者の中に第三国人が数名いたように聞いておるのでございますが、その人たちを向うでお受け取りとなるときは、どういう身分でこちらにお引き取りになりましたか。またソ連側はどういう身分として引き取りを要請しましたか。この人たちはマリク名簿に載っておりましたのか、それとも日赤さんの方の名簿に載っておりましたか、それをまずお尋ねしたいと思います。
○広瀬説明員 お答えいたします。第十一次の引揚船に朝鮮の方が四名おったということでございますが、この方たちはマリク名簿に載っておる方々でございます。
○中山(マ)委員 その朝鮮の方は、韓国の方か、それとも北の方の半分の国に属する人か、その辺はおわかりになっていらっしゃいますか。
○広瀬説明員 四名のうち一名。住所が北鮮の平壌になっております。あとの三名の方々は南鮮の地域が居住地になっております。
○中山(マ)委員 そういたしますと、こういうお方をお引き取りになりましたが、この四名の人たちのかつての身分は何でございましょうか。軍人でしょうか、軍属でしょうか。
○広瀬説明員 お答えいたします。この点は厚生省の方で十分御承知のはずでございます。私どもは名簿記載の点だけしか承知しておりません。
○石塚説明員 三人がかつての軍属、またそれに類したものであります。あとの一人は何でもない方であります。
○中山(マ)委員 それでは、日本といたしましては、こういうお方々をお引き取りする権限と申しましょうか、責任と申しましょうか、そういうものは、今の立場ではないのではないかというような感じが私はいたすのでございます。当然、こういう方々は向うに残られて、北鮮の方であれは——これは一名でございますけれども、結局ソ連とそのイデオロギーを同じくするのですから、そういう方面から北鮮へ送っていただくべきはずの人でございましょうし、三名は結局日本においで願う筋合いではない人であります、過去のことを考えますと、こういうことは言うべきことではないということは私もよくわかっておりますけれども、やはり何らかの形でその本国へ送らるべき人のように考えるのでございますが、いかがでございますか。
○広瀬説明員 お答えいたします。厚生省と打ち合せの結果、ソ連が引き渡すというものは一応全部日本側で引き受けるということになっておりますし、特にマリク名簿に載っておる方々でございますから、こちらにお引き受けした次第でございます。ただ、この四名の方についてどうされるかというようなことは、入国ないしは滞在の関係については、法務省の管轄になっておりますので、私どもの方のお答えするわけ合いではありません。
○中山(マ)委員 それでは、マリク名簿に載っていたからというのでお引き取りになった。前に、中共から帰ってきた人の中にも、日本へ帰ってくるべきはずでない人たちが、私がお出迎えに行ったときにも、白系露人でございましたかが帰っていらっしゃいまして、とやかくの問題が起きたことを私は記憶いたしておりますが、それがマリク名簿にあったからということでお引取りになったといたしますれば、入国管理庁の方にちょっと伺いますが、この人たちは、今日本に滞在していらっしゃるについて、その入国許可というものはもう、すでにお出しになったのでありますか。いわゆる永住の方か、あるいは暫定の滞在か。よく一年ごとに切りかえたりなさるようでありますが、どういう名目でこの人たちは日本に滞在しておるのでございますか。
○下牧説明員 その四名の方の具体的な取扱いがどうなっておるか、ちょっと調べて参りませんでしたけれども、私が聞いているところでは、一名はすでに出国済みであります。韓国人で、韓国へ出国することを希望いたしました。そこで、短期の許可を与えまして、それで出国したということになっております。あとの三名は強制退去を手続中で、おそらくまだ裁決になっておらないと思います。
○中山(マ)委員 そうなって参りますと、ちょっと妙な気がいたします。短期出国とはどういうことなんですか。
○下牧説明員 これは、何と申しますか、一たん日本が引き受けて参ったものであります。強制退去をいたしますと、強制退去のままでは韓国が受け取りません。それで、こちらで一たん特別在留許可にでもなりまして、そうして自分の意思によって出国するという形において受け取っておる、入国を許しておるわけです。そして向うへ入国の希望がございましたので、短期の許可を与えた。たしか七日だったと思いますが、七日間の特別在留許可を与えて、形を整えて出国する、こういうことになっております。
○中山(マ)委員 そうすると、あとの三人はどういうような処置——強制退去でございますか。一名が北鮮人で、三名が南鮮の人で、そのうちの一名は今のような形式でお帰しになりましたが、ほかの人々はどういうふうになさるおつもりですか。
○下牧説明員 先ほども申し上げました通り、強制退去の手続というのがございまして、それで不法入国ということになりますものですから、そこで、違反の審査にいろいろ段階がございます。その段階を経て、最後に法務大臣の裁決によって、日本に特別に在留を認めるか、あるいは最後的に強制退去を命ずるかということが決定される。その手続を今進めている一最中だと思います。
○中山(マ)委員 それはますますおかしくなってくると私は思うのでございますがね。不法入国という名前はどこから生まれてくるのですか。いわゆる日本政府の外務省の渡航課のお方がちゃんと引き取っていらした人が、どうして不法入国になるのですか。合法人国だと私は思います。
○下牧説明員 引揚者の範囲というものがきまっているわけでございます。原則的には日本人の引き揚げのめんどうを見る。それから、元日本人で戦犯として扱われている人は、日本人に準じまして引揚者の範囲と見ているわけでございます。そのほかの外国人が乗って参りましても、私どもの法令の上から、入管令の適用の上から見ると、これは正規の入国とは認められない。その意味で不法入国として審査をいたします。そして特別在留をするかどうかを最後に決定するという手続を進めるわけでございます。
○中山(マ)委員 なるほど人管のお気持ではそうなるのでございましょうけれども、しかもこの三名は元軍属ということになっているのですね。かつてはわれわれの同胞として日本のために働いたお方々に、もし勝手に入ってきたのなら、それは不法でございましょうけれども、そういう名前をつけてやるということは、今特に外務省はこの間も岸外務大臣としてのお話を新聞かラジオで私は見たか聞いたかしたのでございますが、その中に、韓国と何とかして一つ交渉を開いて、お互いに常態に立ち至るように話し合いをしようというようなことが上っておりますときに、こういう人たちにそういう名目をつけるということは、一体国交上どうかということをお考えになったことはございませんでしょうか。
○下牧説明員 国交上それで問題が起きたということは私ども聞いておりません。ただいまおっしゃったような事情で、非常に対日協力の末抑留されておって、しかも日本に戻って参っておるということになりますると、これは、法務大臣の裁決をいたします場合、それらの事情を考慮いたしまして、特別在留許可を与えるということも可能なのでございます。それらの事情を本人及び証拠について調べた上で、一件記録が法務大臣のところに参ります。それを法務大臣の手元で検討して最後の決定をするということになりますから、結論的には、不法入国の扱いで審査をいたしましたことが、直ちにそれでもって強制退去処分を最後的にするということにはならないわけでございます。事情を調べた上で、ほんとうにこれは日本でめんどうを見なければならないものなら、その間の事情を考慮して、やはり善処いたしたいと考えております。
○中山(マ)委員 官庁のお立場としては、そういう入ってきた人間を種類分けになさる。いわゆる適法の入国または不法の入国という二つにお分けになるのも、私はわからないことはございませんですけれども、そういう立場の人に不法ということをつけてやることは、私はいかがなものかと思うのです。こういう例はあまりなかったからしょうがないじゃないか、そういうふうに分けた、それで取扱いさえして、いろいろな情勢判断でうまくやってやったらいい、そうお思いになるでしょうが、私自身そういう立場に立ったとき、何という冷たい国であろうという気持は否定できないと思うのでございますが、何とかその名前をもうちょっと人情味のあるものに切りかえてやっていただくわけにはいかないものでしょうか、いつまでも不法入国者としてとにかく残るのですから。その取扱いはいかようにあんばいなさってくださっても——しかも日本が受け取った。これはどう考えても、つり合いのとれない、日本のその取り扱いそこ不法取扱いと私は言いたくなって参るのでございまするが、その点何かこれ緩和して——日本が戦争に負けて、かつての同胞あった人がそういうふうになるようなことが二度と再びあってはならないということは、お互いにわかっているわけでございますが、何か特別な取扱品いはできないものでございましょうか。
○下牧説明員 不法入国と申し上げましたが、これは俗にわれわれが使っておる言葉でございまして、成規の手続を経ずして入国した者というふうに、正確にいえばなるわけでございます。それを俗に不法入国ということで扱っおるのです。別に特別在留許可証の表面に不法入国という言葉を出すわけではございません。入管令の第何条違反、そういう文句で、それに対して第何条によって特別在留許可を与えるというような形式で出ますので、俗語を使ってはなはだ誤解を招いたわけでごさいますが……。
○中山(マ)委員 私も弁護士の家内でございますから、こういう問題で不法というと、何だか、小さい船にでも乗ってきて、門司あたりからがけをよし上って来る人たちを不法入国者といっているのを始終聞いておりますから、私は特にこういういやな思いを受け取るのかもしれませんけれども、その不法を幇助——そうしたら外務省の渡航課長は幇助罪で訴えられなければならぬと思うのでございますが、この点どうでございますか。確かにこれが不法入国だ、何条だといっても、底をめくってみたらこうなんですから、日本の外務省が不法入国籍幇助罪を犯したといわれても、これはのがれる道はないと思うのでございますが、いかがでしか。
○下牧説明員 これは外交上の考慮がございまして、わずか一、二の人にこだわって引き揚げという大きな目的を達しないということになれば、ゆゆしいことだろうと存じます。中共の引き揚げの場合にもやはり同じようなのがございまして、たとえば日本人と結婚しておる中国人の夫が、日本人の引き揚げの際に一緒に参った。そういうような場合に、あらかじめ私どもに連絡なしに三団体がいろいろ尽力されて、現地で折衝された結果、やむを得ず船に乗せられて、そのまま連れてきたというようなケースもございます。これは、私どもの立場から申しますと、正式の引揚者の範囲船に属さない以上は、純然たる外国人としての扱いをしなければならないわけであります。そうなれば、入管令上成規の手続を経ないで入国した者として、違反の対象になるわけであります。それを幇助罪かどうかということは理論的な問題でございまして、実際問題として、それを幇助罪に問うとかなんとかやぼなことはできないことでございますし、そういうことで引き揚げた、またそういう事情でもって入ってきたということは、これは私どもが特別在留許可、を与えるか与えないかという判断をいたします場合に、非常に大きな一つのポイントでありまして、そういう事情も考慮した上で、そのほかに、本人が入国するに至った事情、その環境といったようなものを総合的に判断いたしまして、最後はそれらの判断に基いて、日本に置いてよいかどうかということを決定したい、かように考えるわけでございます。本来、外国人でございますれば日本に帰すというのがおかしいので、たとえば、アメリカ人でございますれば、ソ連から帰すにいたしまして、アメリカへ帰すというのが筋なのでございますが、ただいまおっしゃったような韓国人でありますと、従来の日本との関係もございますし、それやこれやで一緒にまぜて帰してきたと思います。それはある程度外務省としてそれをのむのもやむを得ないと思います。私ども、そういう立場で帰ってきたものあることを考慮した上で、最後の決定をいたしたいと考えております。
○戸叶委員 関連して。私この話を伺ってみまして、どうしてもふに落ちないのです。不法入国というのは成規の手続をしないで入国した者だと、こうおっしゃるのですけれども、引き取る場合には、ほかの引き揚げていらっしゃった人たちと同じように、マリク名簿に載っていて入ってきたのですから、これは成規の手続をしないとはいえないのだと思うのです。それからもう一つは、今度引き揚げてこられた人たちと一緒に、何か日本に関係のあることをしていた方ではないかどうか、この点が疑問だと思うのです。つまり、その四人の人が、引き揚げてこられた人とは別の行動をして、日本に何の関係もなくて、韓国とか朝鮮とかいうところから何らかの形で直接にソ連に入っていて、そして集結されていた日本の人とは全然無関係のことをしていた、しかし今度の引き揚げにおいてマソク名籍にただ載せられて帰ってきた、こういうような場合と、そうでなくて、日本人が集結されておるところに、一緒に行動しておったために、マリク名簿に載せられて帰ってきた。この二通りあると思うのですが、これはどういうふうな関係になっておりますか。
○下牧説明員 その点は外務省からお答えするそうでございます。
○石塚説明員 四人のうち三人は先ほど申し上げました。結局残りは一人の問題だと思います。この方は汪精衛政権の陸軍中将だった。そして平壌に帰っておられて、平壌で結局連れて行かれた。ですから、直接日本政府とは何ら関連はないのです。
○戸叶委員 そうすると、その三人は明らかに日本と関係があったわけですね、軍属として。それが日本の引き揚げてこられる人と一緒に帰ってきた。その方たちを不法入国と呼ばれるという、それがどうしても私にはわからないのです。もう少しわかるように説明していただきたいと思うのです。
○下牧説明員 おっしゃるその事情を一つ加えて、具体的に個々のものを見なければお答えできないと思います。引揚者の範囲に属しているということになりますれば、これは非該当で、不法入国も何もなくて、当然引き取っていいという結論が出るかもしれません。ただ、一応こういう疑問のございますもの、たとえば日本人だと申しておりましても、本籍を調べてみてもその該当がないというので、朝鮮人じゃないかという疑問のある場合もございまして、そういう場合は、みっちり調べた上でなければ、引揚者の中に入るかどうかということも疑問なのでございます。そういう点を一切今調べているわけなので、結論的に申しますれば、引揚者の範囲の中に入っておるということであれば、文句なしに非該当であるということで、われわれ違反を問うことはしません。しかし、もしこれが引揚者の範囲外のものであるということでありますれば、これはわれわれとしては今度は特別在住を与えるかいなかということを考慮しなければならぬ、こういうふうに考えるわけであります。
○中山(マ)委員 今のお話で、この三人は不法入国のワクに入らないような気がいたします。手続はちゃんと渡航課長さんがとってきていた。そういうことが最も有力なことであろうかと思います。あなたと押し問答をしておっても、あなたはやはりその二つのワクの中に入る、いやこれは不法だとおっしゃるし、私は、どう考えても、外務省の渡航課長さんが受け取ってきていらっしゃるのですから、不法入国で外務省の出先機関のお供みたいにして帰ってくるということはちょっと考えられませんし、どうもそこは私ども野人と官僚との考え方の違いであろうと思うのでございます。どうか一つ恩情をかけてやっていただきたい。今日韓問題が起ろうとしているときに、それだけ日本のために尽してきたのに、こういう扱いを受けたというような——ちょうどさっきの中共から帰ってきたいわゆる向うの人と結婚した人たちと同じ感情の問題に入っていくと思いますので、お互いにやはり感情の動物でございますから、向うへ行く人も気持よく帰してやりたい。また韓国へ行く人も気持よく帰してやりたい。連れて帰ってきたという感謝の念がございましょうから……。あなたといつまで押し問答をいたしておりましても、お互いに譲らない立場にあると思いますので、最後にそれだけのことを要望しておきますが、それならば、こういう人々を帰ってからどういうふうに厚生省ではお世話をしていただいたかということを、お尋ねしたいと思います。
○石塚説明員 かつての軍人または軍属の方は、一般の日本人の引揚者と同様に援護しております。
○中山(マ)委員 今、軍人軍属は厚生省が引き受けて日本人同様にお世話した、こういうお話でございますね。そうすると、片一方の平壌でつかまったかつての中将の位を持っているこの人はどういうふうになっておりますか。去年の暮れに帰って参りましてから今日までのその人の生活環境、あるいはこの中に病人はなかったか、もし病人があったとしたら、どういうお世話をしていただいておったかということも伺いたいと思います。
○石塚説明員 この方は日本人と直接関連はないのです。ただ、本来ならば、名簿をこちらで事前に把握しておりますので、そういった点も十分調査して引き取るべきじゃないという議論もあるかと思いますが、実はこういう前例もございます。こちらでないと思ったものが案外帰ってきて、かつて日本と関連があったという事例もかつてはあったことがありますので、マリク名鮮に載ったものを一応面接した上で、よく調べてこういう判定になったわけであります。せっかく帰ってきたのでありますから、われわれとしては舞鶴の援護局内で援護は一応、する。ただ、この方はたまたま病気をしておりましたので——援護局で、大体引揚者に対しては二十五日の医療給付をいたしております。その扱いをただいまいたしております、若干そういった実情を考慮して、緊急援護的な意味で扱いをいたしてやっております。
○中山(マ)委員 病人というのはどなたでございましょうか、北鮮の人でございますか。それから二十五日の療養給付だけで、今はどこにおるのでしょうか。
○石塚説明員 二十五日の引き揚げの療養給付が打ち切りになりますと、これは生活保護法で擁護するということになって参ります。ただいまこの方は八王子の病院に入っております。それから、この人は朴炳斗といいまして、例の汪精衛政権の陸軍中将であった人であります。
○中山(マ)委員 それなら、生活保護の面で、やはり病気の治療受けているわけでございますね。
○石塚説明員 緊急援護というような意味で、生活保護による療養給付が行われるまで、二十五日を延ばして実際にやっております。
○中山(マ)委員 わが国におりますところの第三国人に対しましても相当生活の援護が行われておりますし、準日本人というようなことで、生活課でやっていらっしゃると思うのでございます。そうすると、その人の身分がどうかなりますまで、この人に対する援護を一打ち切るというようなことはございますまいね。ずっとそれは延長してやって下さいますか。それから病気の状態はどうなのでございますか。しつっこいようでございますけれども、ちょっと承わっておきたいと思います。
○石塚説明員 この方の病気は結核でございます。それから生活保護で援護ということになりますれば、生活保護法の規定に基いてやるということになります。
○中山(マ)委員 それでは、この人がほうり出されたりしないように、ちゃんと渡すべきところに渡すまで、ぜひ一つごめんどうを見ていただきたいと思いますが、それをお約束いただけますか。
○石塚説明員 生活保護法の切りかえが、できるまではやって参ります、
○廣瀬委員長 ほかに御質疑はございませんか。——御質疑がなければ、本日はこの程度にいたします。 次会は公報をもってお知らせいたします。 これにて散会いたします。 午後四時四十八分散会