海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第3号
- 発言数
- 62 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/02/14
会議録
○廣瀬委員長 これより会議を開きます。 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する件について、調査を進めることといたします。 この際、お諮りいたします。未帰還者留守家族及び遺家族援護の問題につきましては、以前より、現行法の問題点について調査検討を加えて参りましたが、今国会においても引き続き調査検討を行うため、特に八人よりなる留守家族及び遺家族等援護に関する小委員会を設置いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○廣瀬委員長 御異議なきものと認め、設置することに決しました。 なお、これに基く小委員及び小委員長の選任については、委員長に御一任願うことに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○廣瀬委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。 なお、小委員及び小委員長は追って指名いたします。 —————————————
○廣瀬委員長 本日は、海外同胞引揚及び遺家族援護についての昭和三十二年度の政府の施策並びにこれに伴う予算について、政府当局より説明を求めることにいたします。 まず、厚生省当局より説明を求めます。厚生省引揚課長石塚富雄君。
○石塚説明員 三十二年度の引揚援護局関係の歳出予算につきまして、御説明申し上げます。先生方のお手元には資料が参っておると思いますが、それにつきまして御説明申し上げます。 まず第一に、引揚援護局一般行政に必要な経費でございます。これは、三十一年度に比較しまして九百八十五万円の増額と相なっております。増額の内容は、(5)の特殊経費におきまして、二百七十二万二千円の増加となっております。これは市ケ谷庁舎の土地建物借料の単価の引き上げによる増でございます。次は(6)の調査究明費でございます。これは、三十一年の一千百三十九万八千円に比較しまして、八十七万三千円の減額となっており、千五十三万五千円となっております。現在の調査究明は、非常に困難なケースが大体残っておるのでありますが、この困難なケースを処理するためには、地方庁に従来委譲しておりました業務を中央庁に漸次引き上げなければならない状態でありますので、地方庁の方におきましては、本年度に比較しまして、七五%程度の業務量と相なるわけであります。それに伴いまして、中央の方はそれだけふえておるのでございますが、地方庁で、本年度に比較しまして二五%の業務量が減っておることに伴います減額でございます。次は復員事務委託費でございます。これは五百七十八万九千円ほどの減額と相なっておりまして、二千八百五十二万三千円と相なっております。これは、件数が漸次減っておりますので、件数の減少に伴う減額でございます。次は(16)の旧軍債権債務調査経費でございます。これは旧陸軍海軍関係の債権債務の調査に必要な経費でありまして、本年度はゼロでありましたが、三十二年度は八百五十九万一千円と相なっております。次は(17)の朝鮮、台湾出身者の旧軍人軍属関係の資料整備費でございます。これは、朝鮮、台湾関係出身者の旧軍人軍属の方で、戦死された方あるいは処刑された方がおられるのでありますが、こういった方々の遺族に対しては、何らかの処遇が必要とされるわけであります。現在これらの方々の遺族は多く外国におりますので、まだ何ら処遇の手を打たれていないわけでございますので、こういった方々に対する処遇に備えまして、資料を整備しておくための経費でございます。第二の未帰還者留守家族等援護に必要な経費でございますが、三十二年度は十三億八千四百八十七万三千円計上いたしました。三十一年度に比較しまして、二千百八万三千円の減額と相なっております。これは、三十二年度は死亡処理を一万五千件と見込んでおりますが、本年度においては九千五百件の死亡処理でありますので、死亡処理人員が五千五百人の増と相なっております。これに伴いまして、留守家族手当その他の方で減額に相なったのでございます。その次は、三番目の戦傷病者戦没者遺族等援護に必要な経費でありますが、三十二年度におきましては、五十七億七千一百四十七万円計上されております。三十一年度に比較いたしまして、二十一億七千七百万円の増と相なっております。この増の大部分のものは、遺族年金、障害年金でありまして、二十一億四千九百万円の増額と相なっております。これは、従来遺族の方々に対する年金のうちで、恩給の方へ移ります分の中で、内縁の妻あるいは孫につきましては、遺族年金で処置いたしておりましたが、予算の計上面におきましては、こういった方々を含めまして、総理府の恩給に必要な経費の中へ計上いたしまして、それを年度途中におきまして、移しかえを行いまして実施されておったのであります。三十二年度は、年度当初から厚生省所管経費に移しかえて計上したために、これだけの増額と相なったわけであります。 次は、旧軍人遺族等恩給進達事務に必要な経費におきまして、三百八十六万九千円の減額になっております。これは件数の減少に伴う減でございます。 次は、五番目の海外邦人引揚等処理に必要な経費であります。三十二年度は二千五百十一人の引き揚げを見込みまして、これに必要な経費を計上しているのでありますが、三十一年度は三千百人の所要経費を計上しておりました。それで、人員が減っておるにかかわらず経費がふえておりますのは、三十二年度におきましては、引揚者の連名簿の整理のために一千百万円、それから個別引き揚げの運賃の単価引き上げ、それから中共引揚者に対する特別帰還手当、こういったものを見込みましたための増額でございます。 次に第六番目に、国立戦没者墓苑建設に必要な経費でありますが、御承知のように、昨年の十二月に閣議決定によりまして、まだ仮称でありますが、無名戦没者の墓を千鳥ケ淵公園に建設することに相なっております。これに必要な経費といたしまして、五千万円が計上されておるのであります。なお、関連した経費といたしましては、道路移設に伴う必要な経費として千五百万円が建設省所管経費の中に計上されております。それから墓苑を建設するために、現在宮内庁の職員の宿舎の一部を使用しておりますが、この一部経費千二百万円が、本年度分として、三十一年度におきまして、総理府に計上されておるわけでございます。この墓苑建設経費の内容は、墓苑の建設のために四千七百六十九万九千円、この内容は、墓碑が七百万円、納骨堂八百万円、休憩所に五百万円、作業員詰所に百八十四万円、それから工事その他の経費に二千二百五十九万九千円等と相なっております。なお、墓苑管理費としては、百六十九万三千円が計上されております。なお、(6)の下に前年度限りの経費三千万円とあります。これは総理府移替分で、在外財産調査のための経費でありまして、前年度に総理府から厚生省に移しかえた経費であります。 厚生本省としては以上の通りであります。 次は、引揚復員官署に必要な経費であります。総体におきまして三十二年度におきましては、七千七百八万二千円でありますが、前年度に比較しまして、千九百七十九万四千円の減額でございます。この減額の原因、三十一年度におきましては、復員官署におきまする定員が二百二十三名と相なっておりますのを、三十二年度におきましては九十一名減員と相なりまして、百三十二名と相なります。これらの使途の減少に伴う経費の減少でございます。なお、引揚援護局の機構につきましては、三十一年度におきまして八百十一名であります。当初の予定でいきますと、五百四十名減員いたしまして、二百七十一名を存置するということになっておりましたのでありますが、現在の調査究明その他において、なおかなりの事務が残っております。こういう事務を処理するために、当初の予定を変更いたしまして、来年度の定員は現在の八百十一名から五百四十名にして、減員は二百七十一名と相なっておる次第でございます。 以上で、簡単ながら御説明を終ります。
○廣瀬委員長 これにて政府当局より一応説明を聴取いたしました。 これより、これに対する質疑を許します。質疑は通告順によってこれを許します。逢澤寛君。
○逢澤委員 根本的には、私はいろいろお尋ねいたしたいことがあるのでありまするが、ちょっと、きょうの問題といたしまして、質疑を行なってみたいと思います。それは未引揚者の問題であります。いまだ引き揚げが済んでいない人の問題であります。その中には、すでに十三年にもなるので、実際は死亡したという人があるのです。ところが、二、三年前にもそれらのことがあって、それが死亡確認がつかなければ処理できぬということで、いろいろの事情で、証拠をこしらえて死亡の取扱いをしておった。ところが、死亡確認をした者が帰ってきたというような事実が出てきた。それ以来、確実な証拠がなければ、これを取り扱うことができないというのが現状になっております。しかしながら、実際においては、今六万数千人の方が海外におるといっても、実際はおらぬ。おそらく、私どもの想定では、これらの方々の六割以上はもう残念ながらなくなっているのではないか、こういうふうに想定をしております。家族の方々も、そういうふうに言っておる。ところが、今の方法では、外国のことだから、特に日本と生死の情報交換のできないような所においては、取り調べることができない、こういうようなことは、政府の方々もよく御確認賜わっていると思う。そこで、きょうも実は多数の陳情者が見えておるのであります。おそらく諸先生の皆さんや政府のところへも陳情者が見えたと思うが、この取扱いについて、さきにやりましたように、実際死んでおるのなら死んだ人として扱うことを要望し、かつ内地におる家族の方々も、もうすでにいろいろの情報によって、不正確ではあるが、友人のたよりとか何とかにおいて、あの人はなくなったんだというような情報を受けて、自分でも半ばあきらめておるというようなときに、それは、証拠として出すのにはあまりにも不十分だ、こういうような場合に、どういう取扱いをするかということについて、一応方針を承わっておきたい。
○中垣政府委員 逢澤先生にお答えいたします。未帰還者の中に死亡者がある、この死亡者の確認の問題について、どういうふうに政府は考えておるかという第一点のお尋ねであったと思うのでありますが、実は先生のおっしゃった通りでありまして、この確認につきましては、非常にむずかしい点が実はたくさんあります。第一に、留守家族にとりまして、むしろ確認してもらっては困る、幾ら友人が見たと言っても、うちのせがれは生きておるのだ、こういうことを強く主張なさいますような家族におきましては、やはり厚生省としましては、死亡確認というものが非常にむずかしい状態にあるようであります。また逆に、死亡の確認を要請される遺族というものもあるのでありまして、そのことにつきましては、厚生省はそれぞれの資料をもちまして調査をいたしますし、またその死亡を現場で見届けてきた方があれば、その方よりも事情を聴取いたしまして、そうして実は努めて要望におこたえするような態度をとって参っておるのであります。一般論といたしましては、六万人以上かもしれませんが、その未帰還者の中には、半分くらいなくなった人がおるのではないかという御意見もあり、実は私もさように考えております。この確認につきまして、やり方といたしましては、たとえはソビエトのごときは従来国交関係というものが成立していなかったのでありますが、この際、国交関係が回復いたしまして、正式に両方の外交機関が設けられたのでありまして、この機関を通じまして、こちらでマリク名簿以外に生存者の確認されている人もたくさんございますから、そういった問題等についての調査はすでに実は申し入れてあります。これはソビエトの駐英大使のマリクさんを通じて申し入れてありますが、まだ返事は来ていないようでありますけれども、今度あらためて日本におりますソ連大使に申し入れをして、向うの権威のあるソビエト政府の機関を通じまして、これはぜひとも一つ調査していただかなくてはいけない、かように実は考えております。その他のアジア諸国の外交機関の復交のできたところに対しましても、やはり同じような考え方でございまして、十数年間大へん御心痛しておられます遺族の心を心といたしまして、これらの死亡者の確認、生存者の確認等の問題については、すみやかに努力して参りたい厚生省の方針でございます。
○逢澤委員 御趣旨はわかるのでございますが、そこで具体的に、留守家族の人々も、いろいろの情報を総合すると、もうなくなっておるんだ、こういうことをすでに確認した人に対しては、証拠がどの程度なら政府もこれを承認するか、こういうことです。それをできるだけ簡易な方法で一つ確認を承諾していただく、同時に、おそらくこれからもそういうような人が出てくると思う。死亡を確認したけれども、あとから戻ってきたという人、それらの人に対しては、戻ってきた者はこれを復活する、こういうような立法措置を講じておいて、そうして承諾する、こういうようにやってくれというような人に対しては、さきに政務次官のお話のように、できるだけそうした趣旨に基いて、その希望に基いた解決方法をするというようなことにやっていただきたい。これに対する政府の所見を承わりたいと思います。
○吉田説明員 面接調査を実施しております者として、ただいまの御質問にお答え申し上げます。現在、お留守宅の心情はさまざまでありまして、御説の通り、もう死んでいると思うから、公報をもらいたいという工合に希望なさるお留守宅もございますが、中には、この程度の死亡に関する情報では、どうも信ぜられぬから、もっと調査をしてくれというような、相反する御要求もあるのでございます。数年前までは……。
○逢澤委員 私がお尋ねしておるのは、希望した分に対する点で、それをお答えいただきたい。
○吉田説明員 それでは、私の方で死亡処理に関する事務をやっております法的根拠はどこかと申しますると、戸籍法の八十九条の水難、火災その他の事変によって死亡した者があるときは、取調べをなした官庁は、市町村に死亡報告をする、これによって実施しておるわけです。ただこの法律の条文通りきわめて固く解釈いたしますと、ただいまのごとく、今次のような非常に困難な状況で行方不明になられた方は、すでに死亡したという確信を持って取調べ官庁として調査のできない方があるわけでございます。現実の状況を申し上げますと、でき得る限りお留守宅の希望に沿うように処理いたしておりますけれども、お留守宅の希望があっても、私ども取調べをいたしております官庁として、死亡と言い切れるかどうか、疑いのある事例がままあるのでございます。こういう点になりますと、現在の法規のもとでは、私どもとしてそこまで踏み出してやるわけには参りません。将来ソ連から回答もなかったというような場合においては、大局的にはなくなられたと思う、またきわめて不確実な、あるいは死んでおるのではないかと思う資料のある方をどうするかということは、どうしても法的に何らか措置を講じなければいけないものじゃないか、こういう工合に考えております。
○逢澤委員 今、政府のお話によると、最終の処理官庁が確認したものでなくちゃいかぬ、こういうふうなことだったら、何ぼしても解決がつかぬ。最終の処理官庁というものは、今、日本と国交のないところなんです。そういうようなところのものに、それを確認しろといってもできない。これは事務官僚としてはできないと思うのです。そこで、政治的に、そういうような場合に対する措置をいかにするかということを、この機会に、委員会で、この諾先生方の間でやらなければいけない。そうでしょう。今、国交の回復していないところが最終の処理官庁なんだから、そんなところにこれを解決せいといってもできない。特に、中共地区においても、そうしたものがたくさんある。だから、そういうようなものに対して、現行の法規のもとにおいて解決せいということは、解決できぬことを解決せいということになる。そこで、私がお尋ねしておるのは、なるたけ希望を達するようにするということは、これは先ほど中垣政務次官からもるるお話があったように、千差万別です。留守家族の人からいえば、なるたけ死んだとは思うまいと思うのが人情です。これはおそらくどなたも、まだ生きておってくれる、帰ってきてくれるという気持でおるのでございますが、それが何かの風のたよりや、いろいろな情報を通じて、もう君の方のは、ある人のたよりによって、こういうようなことだからということを確認した人がある、確認しているけれども、これを立証せいといえば、これは確実な立証がない。そこで困っている。そんな場合——留守家族の方が、こういうようなことで、私どもの方のは残念ながらもう死んでおるのだ、しかしながら、そのはっきりした証拠がつかめぬのだ、だが、こうなんだから、これは一つ死亡を確認して下さい、こういうことになった場合には、これを解決する方法をここで処理しなければならぬ。これは、政治的に、法律をこしらえるというような処理はできると思う。だから、そういうようなことをやる熱意を持っているなら、それに対する熱意で、どのように処理するかということについて、政務次官からお答え願いたいと思います。
○中垣政府委員 逢澤先生にお答えいたします。逢澤先生は、こういった問題については非常に専門家でいらっしゃいまして、むしろ私どもの方がお教えを受けるわけでありますが、この問題は、かねがね御承知の通り、死亡の確認ということは、非常に重大な法律上の関係がございますので、現行法だけでは、その遺族の要請によりまして、根拠の明らかでない者について、死亡の確認に応ずるというわけには参らないと思います。そこで、これはまだ省内で意見を一致さしたわけでもございませんし、大臣の意見も聞いているわけではございませんが、逢澤先生の御意見は私はもっともだと思いますので、もう一つ単独法を作りまして、こういう十年とか十五年とかいったような長期にわたる生死不明者に対しまして、その遺族の御要望があれば、これにこたえ得るような法律を作るということでなければ、先生の御意思に沿えないと思いますので、これを中心といたしまして、一応省に持ち帰りまして、意見をまとめまして、また近い委員会でお答えさしていただきたいと思います。
○逢澤委員 ただいまのこの問題に対する中垣政務次官のお答えは、私はこれを信願いたしまして、そういうようなとりまとめといいますか、一つ何かのとりまとめをお願いいたしたいと思います。 もう一つただしておきたいことは、いただきました一般会計歳出予算額事項別増減表に載っていないのでありますが、実は、私どもの関係している例の靖国神社に参拝する遺族の鉄道運賃のことでございます。これは、従来は無償で家族の二人までは輸送しておったと思います。その後いろいろ国鉄に話をいたしまして、国の一般会計で半分は持って、半分は国鉄が持つということで従来やっておった。そこで、国鉄経済からいって、全額国鉄で負担するということは独立採算制の建前からできない。半額はかつて持っておったのだから持つ、しかし半額は国の方で持ってもらいたいというのが国鉄のものの考え方、そしてこれを実行しております。ところが、この予算面には何ら現われていない。日本も独立が確認されて、諸問題が軌道に乗ってきておるこの際でありますから、せめて遺族の方が——あとのことは心配するなと言われ、喜んで国の防衛の第一線に立った人は、戦死したあとは、今度会うときには九段の森で会おう、こういう気持で行っておるその一柱に対して、二人くらいの遺族の方を参拝させてあげることは、当然過ぎる当然の国の義務であると思う。ところが、残念ながらこれが今まで実行できていない。神田厚生大臣は、こうした問題に対しても非常に理解が深い。中垣政務次官におかれましても、非常に理解の深い方である。就任日が浅いので、そこまでお気がつかなんだと思いますが、これは予算面においても大きな問題ではない。私どもが計算したところにおいても大きな問題ではない。私どもが計算したところによりますと、この対象者は百五十万人であります。百五十万が二人ずつ出てこられましたところで三百万だ。三百万を五カ年計画でやれば、一カ年に六十万の人が参拝できる。六十万ずつといたしますと、推定によりますと、半額をやっていただけば、五年で十五億円あれば十分だ。これを五年でやりますれば、一年三億円あれば無料で参拝することができる。年間三億円くらいの金は何とか割愛していただきたい。諸情勢が軌道に乗って世の中もだいぶ明るくなってきておるというときに、一柱二人くらいの遺族の方が無賃で靖国神社へ参拝できるようにする、こういう思いやりは、厚生省当局の方々が——私しいていえば、今まで立案していただいていなかったことを非常に残念に思う。いろいろ都合があったのでしょうが、現大臣、現政務次官にぜひそうした考慮を払ってもらいたいと思います。こういうことに対してのお考え方を一つ承わっておきたいと思います。
○中垣政府委員 逢澤先生にお答えいたします。ただいまの御意見は、ごもっともだと思います。ただいま国鉄が、一柱につきまして二人半額で靖国神社に参拝なさる家族の運賃の便宜をはかっておるのでございますが、厚生省といたしましては、これは非常に大事な問題でございますので、これからの問題といたしまして、よく調査をさせていただきたいと思います。
○廣瀬委員長 次に、眞鍋儀十君。
○眞鍋委員 戦没者墓苑の建設費用として五千万円計上されて参っておりますが、これはどういう規模でやるつもりですか。五千万円だというと、かりに五万円の土地を千坪使いますと五千万円になってしまうのですが、土地の購入費から建設費まで五千万円かけてできますか。除幕の費用なんか出てくるのですか。私どもの考えておった墓苑は、もっと国家的な敬慕の中心となるものであって、こんな貧弱なものを想像していなかったのであります。あるいは官有地でおやりになる設計ができておるのですか。もう少し納得のいくような御説明を願えないものかと思っております。
○石塚説明員 墓苑費の内容は、工事費に二千二百万円計上してあります。給水、排水、電灯、敷地、そういうものを含めて二千二百五十九万九千円。そのほかに、墓碑として、寸法は忘れましたが、かなり大きな墓碑を計画しております。これは七百万円で、専門家の御意見なんかもお聞きして、それを参考にして設計しております。この程度でかなりりっぱなものができ上るのではないかと思います。
○眞鍋委員 官有地をお使いになりますか。
○石塚説明員 土地は官有地でありまして、土地の購入費その他はございません。
○廣瀬委員長 山下君。
○山下(春)委員 私は、ちょっとこまごましたことをお尋ねいたします。いただきました資料の十二番目の、沖縄等在籍者復員処理費というのが、百一万三千円御要求になっておって、二十三万二千円になっておりますが、これは一体何でしょうか。その内容を御説明願いたいのです。その内容によってまたお尋ねしたいと思います。 それから、十五番の、南西諸島関係外国旅費というのが四十三万九千円ありますが、これも御要求になった額より非常に小さい額で、内容がわかりませんので、内容を明らかにしていただきたいと思います。
○田島説明員 お答え申し上げます。沖縄に関する業務でありますが、御承知のように、占領軍に長い間いろいろな交通その他について制限を受けていた関係で、非常におくれておりまして、最近ようやくいわゆる軍人軍属であった者に関しまして、まずこれができ上ったのであります。そこで、今度新たに要求してやるものは、主として援護法でいうところの戦闘参加者であります。そういう方が、ただいまのところ大体四万人程度あるということで、この業務はすでに相当進んでおるのでございますが、実際問題といたしまして、こちらは相当進めておりますけれども、現実の問題として、琉球の政府を経由して参ります関係上、琉球政府に対しまするいろんな調査表その他の提出が非常におくれておるわけでございます。そこで今回特に、今の戦闘参加者を主にいたしまして、それに要しますいろいろな、たとえば調査に必要な表の印刷でありますとか、書き方の指導でありますとかいうことが、おもな経費でございます。 それから、なお沖縄には近々、これは来年度の予算に関係なく、本年度内に向うに係官が三名行く予定になっておりますことをつけ加えて申し上げます。
○山下(春)委員 内地も、まだまだ戦争の傷跡が完全にいやされたといえない諸般の問題が残っておりますが、特に沖縄の場合は、御案内のような非常に悲惨な状態にあります。それから、私ども、沖縄人はあくまでも日本人と心得ております。沖縄人もまた日本人であると決意をいたしておるはずであります。沖縄が日本のものかアメリカのものかというようなことを議論する前に、まず日本人として沖縄人を処遇することが、政治上私は一番大切な問題であろうと考えます。御案内のように、沖縄は最後の激戦地でございました。本土を守る最後の防衛地点として、島をあげて総ぐるみの決戦場でございましたので、現地で戦いました軍人の中の大半が沖縄人であったと思います。そういうことから、今年はあたかも十三回忌を迎えますに当りまして、この処置がいまだ十分に進んでいないということは、これはもう沖縄人に、日本人であるかどうかを疑わしめる重大な問題になると思います。この問題が処理されまして、一人に相当な金額がまとまっていくことになりますれば、沖縄のことしの十三回忌は、ほんとうに島民は日本人であることをかみしめながら、非常に盛大な追悼式が行われることになると思うのであります。そういうことで、この処理が、まあ厚生省としてもいろんな面で非常にむずかしいとは思いますが、今、田島さんの御説明のごとくんば、それはこんな少額な金でもないよりはましと言えましょうけれども、これらの重大な沖縄問題の処理というものは、ただ単に戦争犠牲ということでなく、いろんな微妙な問題を含んでおりますので、何とかしてことしは一つ島民が喜ぶように処置してやらねばならぬと思います。そこで、そういう御認識が大蔵省にあったかどうかということが、この数字を見るとはなはだ心細いのであります。厚生省が御請求なさっただけでも、今、田島さんがおっしゃったようなことなら、この百一万というもので間に合うかもしれませんけれども、実際は、内地の人もまだ処遇を受けない者がたくさんありますからいらいらしておりますけれども、遠いだけに、そして完全な日本でないだけに、これに対する心配は非常なものだと思うのであります。そこで、ずっとこれを見まして、ほかにそういうものを処理する金というものがあまり見当りませんので、これらかなと思いましたので私お尋ねしたのであります。今つけ加えられました三人の事務官を派遣して、この整理を早くするということのお考えは、もう全くけっこうなことで、ありがたいことだと思いますが、これくらいではとてもどうにもならないと思うのでございます。政務次官、いかがでございましょう。私は、沖縄の問題というものは、いろんな観点からいろんな議論をするよりも、この問題を早く片づけてあげる。御承知のように、沖縄島民の中のほとんど大部分が戦争未亡人でございます。国内は母子福祉資金の貸付などの法律があって、それぞれ救済の道が講ぜられておりますが、沖縄の戦争未亡人は、もうそれこそ戦後十一年ぶん投げてある状態でございまして、私ども同じ日本人として、全くお気の毒にたえないのでございます。この面に対して、厚生省はことし一つ思い切って、私どもこの引揚委員会も、全力を尽して大蔵省説得に御協力申し上げたいと思うのでありますが、もっと積極的な調査究明を進めて、この扶助料が流れていくような御処置をなすっていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○中垣政府委員 山下先生にお答えいたします。ただいまの、沖縄の人は日本人だと思っているのだからというようなお考え方、私も同感でございます。今までこうい調査が十分行われなかったこと自体も、実は大へん責任があると思います。これでは実は予算が少いというようなことから、南方連絡事務所の職員も、一人これに参加することになっているようであります。なおまた、沖縄在籍者で戦闘に参加した者の調査がおくれました一番大きな理由というものは、やはり沖縄が保障占領をされておって、なかなか米軍との関係があってやりにくかった点が、その原因であるようであります。ところが、ようやくそういうようなことができるようになった、こういうことでございまして、これを拡大して、すみやかに沖縄の人々に恩典を浴せしめたらどうか、こういうようなお考えについても全く同じ考え方でございまして、そういう方向に進めて参りたいと思います。
○山下(春)委員 政務次官も私どもと同じようなお考えのようでございますが、こういうことは厚生省だけにお願いして、早くやれ、早くやれと申しましても、諸般の情勢で、あっちに突き当り、こっちに突き当りという場面が出ると思いますので、これはぜひ委員長にも私から特にお願いを申し上げまして、本委員会もこういう問題の処理に、厚生省の業務の施行が容易にできますように、全面的に応援をするバック・グラウンドにこの委員会がなりまして、できるだけすみやかにこの問題が解決いたしますように、私いずれ他の予算でない委員会で、法律的なことその他のことでお願いもし、お聞きもいたしたいと思いますが、きょうは沖縄の遺族の援護をすみやかに完了するということを、特に政府及び委員長にお願いして、進めていただきたいと思います。御要望申し上げて私は質問を終ります。
○廣瀬委員長 受田新吉君。
○受田委員 一言だけお尋ねしておきたいことがございます。いずれこのことについては、重ねてお尋ねする機会を設けていただきたいと思いますが、先ほど逢澤委員からお尋ねの問題に関連するのでありますけれども、政府はまだ帰らざる消息不明者の取扱いを、はなはだあいまいにしておられることを私遺憾に思っておるのであります。なぜかというと、今、逢澤さんから、家族から申し出があったものについては、死亡の取扱いをしてはどうかという御意見もあったのでありますが、しかし、まず例の留守援の規定の中にはっきり書いてあるように、政府自身の調査究明を徹底させて、十分に手を尽して後に、今の逢澤さんの御意見の処理がなさるべきであって、政府は未帰還調査部その他の事務的な仕事に一任して、ほとんどこの調査究明という法律にうたった根本精神を実行しておられない。外交的にもまだまだ打つべき手がある。国会議員、あるいは政府職員、留守家族、そういう者が中国あるいはソ連に乗り込んで、草の根を分けて探すほどの努力もしておられない。ただ外交事務的な問題と、国内で消息不明の留守家族を形式的な慰めをするというこそく手段にすぎない点を、私はなはだ遺憾に思うておるのであります。政務次官、あなたは大臣と御相談をして、あるいは省内の意見をまとめてと、さっきからしばしばおっしゃっておられますが、少くともこの問題は、この特別委員会の根本問題でありまするので、いいかげんな事務的な処理で片づけるような形にしないで、積極的に調査究明を果して——これにはいかようなたくさんの国費を費してでも、旅費、調査費を費してでも、草の根を分けても留守家族を安心させるような調査究明をはっきりして、問題の処理に当る熱意があるかないか、お伺いします。
○中垣政府委員 受田さんにお答えいたします。先ほど申しましたように、未帰還者の生存死亡の確認という問題につきましては、これは既存法によりまして、調査は徹底的に充実したやり方をやる、これはほんとうに、もちろんでございますが、ただ先ほどの逢澤先生のお尋ねの、家族が要望した場合に政府はどういうふうに考えるかということについてお答えしたのであります。外交問題等も昭和三十一年よりもはるかにこういう問題を解決するには好転して参ったと考えておりますので、その点は、ソビエト、東南アジア等含めまして、三十一年度よりも三十二年度の方がこれらの調査はやりやすいのじゃないか。でありますから、もちろん徹底的に力を尽しますが、ただ、この問題はいつまでも放置できる性質のものでないということもまた考えますので、そういう問題等につきましては、単行法を作って、もし遺族の要望者があれば、これはやはりそのワクに入れてあげる、こういうことの方がふさわしいのじゃないか、かように考えております。ただし、どこまでも前提としては、受田さんがおっしゃったように、全力をあげて、調査究明をする。そういう努力をせずに、単行法等で十ぱ一からげに解決してはならぬ、これにつきましてはお説の通りだと思います。これは当然注意をいたして参ります。
○受田委員 家族の申し出があった場合には、死亡処理のような形にしてでも、手当その他を特別に考えたいというようなことになるのじゃないかと思うのです。そうなると、これは恩給法上の公務扶助料支給という規定を対象にするならば、六十才未満の両親でも、また二十才未満の子供でも対象になって、金額も非常に高まる。ところが現に留守援の対象となる人々の中では、六十才未満の両親あるいは生計の主体となっていない二男、三男の人々は、何ら恩典に浴さないという一つの欠陥がある。これが戦死者として取扱いをされるならば、みな広く、少くとも戦傷病者戦没者遺族等援護法の対象になって遺族年金がもらえます。あるいは恩給法上の公務扶助料の対象になる。どっちかでみな救われることになるのです。今のところ、留守家族援護法なるものは非常な欠陥があるので問題であるのでありますから、あなたのお説のように、申し出た者はそういう死亡処理をして、手当を増額できるが、申し出のない者がその恩典に浴さないような片手落ちになるおそれが多分にあると思う。これでは留守家族に対してはなはだ相済まぬことになるのであるから、できれば、今からそういう二、三男で生計上の主体でなかった人でも、あるいは六十才未満の両親でも、または二十才未満の子供にも、そうした戦傷病者戦没者遺族等援護法あるいは恩給法の特典を賦与するような形にこれを切りかえておけば、そういうわずらわしい心配もなくなるのです。この際、政府自身は、その恩典に浴せざるような対象を多分に包蔵しているこの留守家族援護法なるものを根本的に改めて、そうして調査究明は一方でどんどんやるという形に持っていくならば、これは相当に政府の誠意がくみとれるわけです。これはわずかな予算で片づく問題であって、戦後十二年も消息不明のままで苦労されておる家族に報いるには、二男、三男、四男であり、生計上の主体ではなかったから一文も金を出さないというけちな冷たい仕打ちはやめて政府がみずから進んで、遺族援護法の適用から漏れておる人々をこの際全部救い上げるという方策を打ち立てて国民にまみえたならば、政府が、神武以来の好景気をうたわれてくるという好況の波に乗って組む予算案の中に、この一項を盛り込んだだけでも、全国の留守家族の喜びはどれだけ大きいかと思うのです。慰めるに事欠いて、事務的な処理にのみきゅうきゅうとして、死亡確認の申し出があったものについては何とか手を打ってというこそくな手段をとっておったんでは、千載の歴史の上に禍根が残ると私は心配しておる。その意味で、この際大勇断を振って、国会側のこういう動きをあなた方の方では十分察知して、進んで厚生省提案によって、この戦死者、また生存しておることがわかっておる立場の人々でもなお味わうことのできない大きな苦労をなめられておる消息不明者の家族を守る処置をこの際徹底的におとりになる必要はないか、御答弁を願いたいと思う。
○石塚説明員 ただいまのお説は大へんごもっともな点でありますが、ただいまの留守家族援護法の建前といたしましては、いわゆる社会立法でございます。遺家族援護法のように、国家補償というような性格よりも、むしろ社会立法という意味で、未帰還者が帰ってきたならば、その人々の収入によって生計を維持しているそういった留守家族の方をお救いしよう、こういう意味でできておるのであります。こういう意味合いにおきまして、未帰還者の身分その他を全然考えないで、一般邦人を含めて、広くこれを対象に取り入れて援護の対象としておるわけであります。今の受田先生のお説の中にきわめて造詣深い点があるのでありますが、現在留守家族の処遇につきましては、いろいろの点で確かに恩給法、留守家族援護法あるいは遺家族援護法の間において若干のギャップがありまして、欠けておる面があると思います。恩給法は、御承知のように、これは一定の身分に基きまして、給与体系に属するために、本来ならば、一般ですと、給与がありまして、その方が死亡された場合には、その死亡したときからその人の給与に応じた扶助料が遺族に支給される、こういうことになっております。恩給の原則は今申し上げたようなことになっておりますが、未帰還者の方は、未帰還者という特殊な状態にありますので、しかもこの未帰還の方々の中には生死がはっきり把握されていない、こういう特殊な事態を考慮しまして、昭和二十八年の恩給法改正によりまして、昭和二十年の九月二日前に死亡された方については、恩給の一般原則によりまして、遡及して公務扶助料を支給することになっております。ところが二十年の九月二日以後に死亡された方に対しましては、死亡判明のときから公務扶助料を支給することになっております。従って、死亡処理の届がおくれればおくれるほど、遺族の方は非常に不利な状態に置かれるわけであります。結局、その間留守家族援護法による援護が行われるのであります。ただ、残念なことには、法律体系が違いますので、一方は給与体系、一方は社会立法という工合に、その間にギャップがありまして、恩給でいきますと、扶助料をもらうべかりしものが留守家族援護法のためにもらえない。こういうような気の毒な方々が現在あるわけであります。この調整の問題につきまして、厚生省といたしましても、この処遇の改善につきましてはできるだけしたいということで、現在も恩給局や大蔵省の方面となお折衝中でございます。まだここでは結論を出す段階には至っておりません。ぜひ早い機会に結論を出したいと大いに努力しております。
○受田委員 今、御指摘の中にある問題点、すなわち生計の主体者でなかったといっても、次男、三男、四男というところにあった人は、当然国家の公務に従事して公務員としての給与をもらうべき立場にある人なのです。その人は普通の形でいった場合よりも、こっちへ帰還がおくれたのであって、しかも国家の公務に従事しておることは間違いないのである。その人に対して国家が給与を支給するのは当りまえの話なんです。それを、国家が、国家公務員の身分である人々に、ただ奉公させておるということになると思う。そのほかの一般邦人に対しては、これは今の社会立法という考え方も考えられるのでありますが、しかし、もう長期にわたって御苦労いただいておることにおいては、これは平等に取り扱って、一つこの際未帰還者は一括して公務でなくなられた方と同格の何かの形の給与を支給しておいた方がいいのじゃないか。生存不明のままで国家の公務に従事させ、ただ奉公させるという法の欠陥をこの際温存させるよりは、勇敢に何かの措置をもって、公務扶助料と同額の給与を支給するような手続をこの際おとりになる方が、厚生省としては政治的にあたたかい心を持った措置をしたということになる。大蔵省と折衝とかなんとかあまりややこしいことを考えられないで、この未帰還者留守家族等援護法の中に欠陥として現われた、国家公務員にただ奉公させ、あるいは十数年も祖国へ帰ることのできない苦労をさせている人を冷たく遇しているというこの態度を、根本的に改める措置を大急ぎでお立てになって、次の委員会くらいには結論を出して、ここへお持ちになってくるという用意をしていただけるかどうか、御明答を願いたいのであります。
○中垣政府委員 受田さんにお答えいたします。一応御意見といたしまして、非常に私どもの納得のいく点があるのでありますが、前提といたしましては、やはり留守家族援護法、遺家族援護法という法律の筋だけは、ただいまの段階では堅持いたしませんと、未帰還者の中の生死の確認ができないような状態でおって、これを一つにまとめてやるということになりますと、これはあなたのおっしゃるように、根本的に考え方を変えなければいけない、こういうことになると思うのです。でありますから、そういう根本的なやり方になりますと、相当慎重な調査やいろいろ審議会等も作ってやらなければならぬと思うのでありますが、その前に、やはり私どもといたしまして、あらゆる外交機関を動員して、調査を徹底的にやりたい。これは大臣も私も同じ意見なのです。 それから今の留守家族援護法というものが、非常に意味が薄れてきているのじゃないか、むしろ遺家族援護法と同じような考え方まで飛躍していかなければ不公平じゃないかという御趣旨は、私どもも非常によくわかるのです。でありますから、この次の委員会までにまとめて参りまして、その基本方針を明らかにせよというようなことにつきましては、ちょっとお約束いたしかねるのでありますが、受田先生の御意見のような考え方で、省議にはこれはもちろん出しまして、意見をまとめてみなければならぬと思います。そういうことでございますから、現在政務次官や大臣がやっております立場からいきますと、留守家族援護法や遺家族援護法というものは、その筋はやはりこれを認めていきたいと考えております。ただし、これからの問題といたしまして、もう十年も十三年もなったのじゃないか、こういう新しい考え方で未帰還者の留守家族等に対するやり方というものは、これは確かに考える余地があると思うのです。そういう意味におきまして、一応省に持ち帰りまして、きょうはこの席に大臣が出席しておりませんから、大臣を加えまして、そういう話をいたしまして、あまり早い機会にすぐ方針を明らかにしろということは、受田先生は内容をよく知っておられますから何でありますが、御趣旨の線に沿って努力をいたすことだけは、私はかたくお約束いたします。
○受田委員 これで質問を終りたいと思いますが、政務次官は誠意のある気持がよく現われておるようで、その点頼もしく存じ上げる次第であります。これは根本的に考え直さなければならぬときにきておる。国家の責任でこういうことになったんだから、国家補償の線をはっきりうたっていいのです。その点は十分検討していただかないと、今の逢澤君の御質問の趣旨と食い違う点がありましたので、そこを私指摘して、申し上げたわけであります。 最後に一つお尋ねしておきたいのですが、二ページの「海外邦人引揚等処理に必要な経費」、これは本年一体何人帰られることを予想されておるのですか、お答え願いたい。
○石塚説明員 二千五百十一名でございます。
○受田委員 その数字は何を基礎にされておりますか。
○石塚説明員 現在のソ連地域及び中共地域に残留しておる者の残留状況から推測しての計数であります。
○受田委員 その推測の基礎をお示し願いたい。
○中垣政府委員 受田先生にお答えいたします。御承知の通り、マリク名簿というものが松本大使に渡されまして、これによりまして明らかになったもので、もうすでに帰還者があったことは御承知の通りであります。あの中でまだ実は未帰還者があるのです。こういう人を含めまして、それからなお中共地区でも、紅十字会と日赤との交渉の結果、明らかに日本に帰り得る人、そういったようなもので、この二千五百十一名というものは、率直に言いますと、名簿が明らかになったものだけの対象人員でございます。
○受田委員 名簿が明らかになったのは、中国にも、いろいろな角度からながめたら、まだ相当そういうものがあるという見当でありますし、まだソ連にも樺太等に相当の残留者があるということも考えられておるのですか。名簿に現われた二千五百十一名というのは、向うへ残留しているすべての数かどうか、もう一度御確認申し上げたい。
○石塚説明員 残留者そのものの数ではありませんで、たとえば、樺太の方では現在八百名から千名くらい残留しておる、こういうふうにいろいろな資料で出ておるわけであります。しかし、樺太の方から千名全部帰るということは、国際結婚その他の方もおりますし、中には定着されておる方もおりますので、大体その半数とか六割とかいうことで計算しておるわけであります。それから中共地区の方におきましては、現在六千名くらいの方が生存残留の資料が出ておるわけでありますが、しかし四千名以上というものは、国際結婚または孤児の方でありまして、これらの方々が全部帰ってくるということはちょっと予想されませんので、この中共地域は現在大体千二百名ほど見ております。中共地域はこういう残留されておる方々の中で帰り得る状態にある方を大体いろいろな資料で拾いまして、計上した次第であります。
○受田委員 今年度に最初予定した数字と、それから実際に帰られた数字との差はどうでございましたか。
○石塚説明員 本年度は三千五百人計上しております。実際帰りましたのは、抑留漁夫その他を除きまして二千八百名、抑留漁夫あるいは一時帰国者を含めますと、三千百二十三名でございます。
○受田委員 今、帰り得るものは全部帰ると予定して二千五百十一名と計算をしたということでありまするから、一応私は納得するのでございまするが、ほんとうに留守家族の気持を思うたならば、あとに残っている人は、結婚をしたとか何とかいう事情を考えたり、いろいろの立場もあろうが、とにかく帰り得ると何時に、向うに自分の家族が現に残留しておると確認されているものに対しては、あたたかい心で、その人たちをみなお迎えするという気持で、二千五百十一名というそんなにきびしく計算するより、去年の三千五百と同じように三千人なら三千人で予算を立てられて、それを輸送して帰すような建前にしておく方が、政府としては親心があると私は思うのです。
○石塚説明員 この引き揚げの経費は、絶対必要な経費でありまして、かりに予算を越えまして引き揚げが行われますれば、これは予備金なりそのほかの方面で追加支出するということは、当然考えられておるわけであります。決して何ら支障は生じないと思います。
○受田委員 この引き揚げの予算は、引き揚げ後数年間は、全部総数を対象として計上しておる。そして余った分はこれを繰り越すという形になっておったのです。それが最近になって非常にきびしくやるものですから、途中で追加する措置ができるとはいっても、留守家族に与える心理的影響は、当初の残留者全部を引き揚げの対象とした時代と比べて、はなはだ冷たくなっているという批判を受けているのです。支障がないとおっしゃっても、一応予算の範囲内で足らなくなったら予備金からもらうというようなやり方になることは、留守家族に与える心理的影響と、国策として考えた場合に、人道主義を尊重する真意を逸脱するという批判を受けることは忘れないように願いたい。最後のページにある予算定員の問題は、この次の日に詳しくお尋ねをさしていただきますが、大幅に減らされておる。この人員の処理で、厚生省が未帰還者処理がりっぱにできるかどうかという大問題がひそんでいるので、その点に対して明確な答弁がなし得る用意をして次の委員会に臨んでいただきたいと思いますので、さよう御了承願って、私の質問を終ります。
○廣瀬委員長 木村文男君。
○木村(文)委員 先ほど逢澤委員並びにただいままた受田委員からも御発言があったことでありますが、消息不明者の処理につきましてのことについていろいろと熱意を込めた、当然の要求を含めた御質問があったようであります。それに対して、中垣政務次官が非常に熱心にお答えになりました。その中に、こういうようなお答えがあったようでありますが、そのお答えをこう解していいのか。ということは、消息不明者の死亡者の確認の問題でございますが、この確認に当って、あらゆる方法をとって、そのあとなおわからない場合には、それを早く処理するために、単行法でも作るような御発言があったように思いますが、私はそれはきっと、中垣政務次官が未帰還者留守家族援護法に基きまして、あくまでも留守家族の方々のお心を心として、できるだけ早く確認したいというようなお考えから出たお言葉でありまして、できるだけは確認してからのすべての処置にしたいというお心がまえから、この未帰還者の留守家族援護法にありまする昭和三十四年度における期限、このときにあってなお確認できない場合には、その法律をさらに改正するなりあるいは単行法に切りかえるなりして、さらに確認に努力するというような、そういうお考えのもとに御答弁なされたものと存じますが、その点が将来の法的な解釈の非常に重要な問題になると思いますから、この際一つ明確にしていただきたいと思うのであります。
○中垣政府委員 木村さんにお答えいたします。先ほどの私の答弁の中で、未帰還者の生死不明の確認のための調査は、現在の機構を通じて、またこれから新しく外交関係等によりまして起きて参ります機構を通じて、全力をあげて調査する、しかる後に、そういうことをやりましてもなお不明の場合、もしその遺族から死亡確認等を要求されたときに、現行法では不的確な根拠では応ずることができません、従って、それに対する措置としては考えなければならぬというような意味のことを申し上げたのであります。ただいま木村先生がおっしゃった通りでありましてこの未帰還者の最終的な法律の処置というものは、当然昭和三十四年八月でありましたか、それをもちましてこの留守家族援護法というものの内容が、たとえば留守家族に対する手当等の問題でありますが、これがいかなくなることになっておるのでありますから、この留守家族援護法の内容をただいま木村先生の御意見の通り改正をするか、あるいはこれらを含めまして未帰還者の法的最終措置のための単行法を出すか、こういうふうな意味のことであります。
○廣瀬委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 私、承わりたいと思いますことは、先ほど受田委員からお聞きになりましたが、先ほどの海外邦人引き揚げの関係の予算のことなんです。大体二千五百十一人というふうに今年は見ておいでになりますが、私が心配いたしますのは、先ほどのようにもっと大ぜい、大幅の予算をとっておいて、そうしてたくさんの人が帰ってきて、そのワクがふえた場合でも心配がないというふうに、予算の面でちゃんと出していただきたかったのであります。引き揚げの問題は特別だから、この予算のほかにも幾らでも考えられる、こういうお話でございました。けれども、私一つ心配なのは、この間新聞に出ておりました中共からの戦犯が解除されて、そうして元外務省の官僚であった方と、それから御婦人の中島さんという方、この二人が今度釈放されて帰られることになったのですが、幸いにしてその二人は向うから船で神戸まで送られることになりましたけれども、あの場合に、中島さんの方は非常に御病気が重かったわけなのです。そこで、そうした場合に、だれか来てほしいというような手紙もありましたものですから、その方の御子息が行こうといたしましたところが、その船賃なども、私わざわざ厚生省の方へお願いに参りましたけれども、そういうふうなこっちから迎えに行くような場合には、とても考えられないというような御答弁であったのです。私はこの予算を見ていまして考えましたことは、そういうふうな場合、もしも向うでどうしても重態で動けない、一目でもいいから子供に会いたいというふうな考えでおられるときには、これも戦争の犠牲者なのですから、こうした子供さんが行けるような費用も、この中で考えられてあったらいいのじゃなかったかしらということを考えたわけなのです。ですから、この予算というようなものももっと大幅にとっておくべきではないか、こういうことを私は意見として申し上げたいのです。 そこで、この予算を見ておりますと、今年度においては一千百万ほどふえているのですけれども、この額は要求額よりも大へん少いようなんです。これはどういうのでしょうか。ほかのは要求額と予算額との差というものはあまりないようですけれども、この面だけは、要求額というのは六億六千幾らになっていて、とれた予算額というのが七千三百万になっておるようで、あまりにその要求額と計上額と違うんじゃないでしょうか。
○石塚説明員 ごもっともですが、内容を見ますと、要求額と査定額といいますか、計上額と一番大きな開きのあるものは住宅でございます。要求の中には、疎開住宅を実は厚生省所管経費の中に含めて要求したのでございますが、疎開住宅につきましては、建設省の第二種公営住宅の中からおおむね一千戸ということに話がきまりました。新規の引揚者については二百戸、これも同様に建設省の第二種公営住宅から出す、こういうことになっておりますので、厚生省の当初予算要求の際には疎開住宅の分が含まれておったのでありますが、それを建設省の予算の中でまかなうことになったのであります。
○戸叶委員 そうしますと、住宅関係の予算は、初めはこの中に含まれていたのが、建設省の方の予算に計上されたというふうに了解してよいわけですね。
○石塚説明員 そうでございます。
○戸叶委員 それから、もう一つ事務的なことで伺いたいのですが、戦没者の遺骨の問題ですけれども、これの納骨堂の予算はどのくらいに見ていられるか。さっきちょっと開きそこなったのですけれども……。
○石塚説明員 納骨堂は八百万円でございます。
○戸叶委員 大体いつごろ完成される予定ですか。
○石塚説明員 四月早々設計その他を始めまして、整地その他がありますので、おそくとも年内くらいには完成するのではないかと思います。
○戸叶委員 私、ほかのいろいろな問題は、次の機会にしたいと思います。
○廣瀬委員長 ほかに御質疑はございませんか。——御質疑がなければ、本日はこの程度といたします。 —————————————
○廣瀬委員長 先ほど設置いたしました留守家族及び遺家族等援護に関する小委員及び小委員長の選任について、委員長に御一任願いましたので、この際、委員長より御指名いたします。 それでは、委員長は小委員に 逢澤 寛君 中馬 辰猪君 原 健三郎君 廣瀬 正雄君 山下 春江君 石橋 政嗣君 受田 新吉君 櫻井 奎夫君以上八名の諸君を指名いたします。 なお、小委員長に山下春江君を指名いたします。 次会は、十六日午前十時より開会することといたし、本日はこれにて散会いたします。 午後三時三十四分散会