科学技術振興対策特別委員会 第25号
- 発言数
- 50 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/04/05
会議録
○菅野委員長 これより会議を開きます。 この際、原子力行政につきまして宇田国務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。宇田国務大臣。
○宇田国務大臣 本日、閣議の了解事項として、ただいま差し上げました一、三、三、四の四項目について協議の結果、了解に到達いたしましたので、正式にこれを御報告申し上げたいと存じます。政府委員よりそれを読み上げさせます。
○佐々木政府委員 全文分を一応読み上げてみたいと思います。 原子力に関する対外措置について(閣議了解) 科学技術庁 三二・四・五 一 米国と速かに天然ウランの購入及びCP―5用濃縮ウランの貸借に関する細目取極の交渉に入る。 二 カナダより核燃料物質及び核原料物質を購入するため必要な交渉を、同国との間に開始する。 三 原子力の平和利用に関する一般協定に関しては、米英両国と可及的速かに交渉に入るため、これに関する基本的方針、交渉の時期、交渉方針その他所要の口内措置につき、関係各省庁間において協議するものとする。 四 わが国は、国際原子力機関の発足に協力すると共に、同機関成立後は同機関を通じ、その加盟国との間に原子力平和利用に関し、緊密な協調を計ること。 以上四点が閣議了解の事項でございますが、逐条別にお話申し上げますと、第一項の「米国と速かに天然ウランの購入及びCP―5用濃縮ウランの貸借に関する細目取極の交渉に入る。」という意味は、天然ウランの方は、この六月から動きますウォーター・ボイラー型の実験材料としてどうしても必要といたしますので、すみやかにこれを手を入れたい。それからCP―5用の濃縮ウランに関しましては、これは貸借でございますが、必ずしも今すく入手するという必要はないのでございますが、ただ、この加工工程におきまして、相当時間がかかる関係上、早くこれを取りきめまして、そうして国会の御承認等を得た上で今から手配をしておきますと、今年の末から組み立てに入りますCP―5用の濃紺ウランは確実になるであろうというふうに考えまして、これを取り急いで入手できますように、さっそく交渉に入って参りたいという意味あります。 第二点は、「カナダより核燃料物質及び核原料物質を購入するため必要な交渉を、同国との間に開始する。」という意味は、核燃料物質は郷承知のように天然ウラン等でございまして、核原料物質と申しますのは天然ウラン等のもとになります粗製練等の段階を経たもの、あるいは鉱石等を意味するのでございまするが、ここではむしろ核原料物質の方に重点がありまして、イエロー・ケーキを手に入れたいというので、ただいま交渉に入ろうとしておるわけでございます。ただし、カナダの方では、もう少し時間がたっと天然ウランもあるいは出せるかもしれないということでもありますので、念のために核燃料物質という点も入れてあるわけであります。 第三番目は、英米との一般協定でございますが、これは原子力委員会でも前々からきめておりましたので、これに対する基本方針あるいはいつごろから始めるか、あるいは「交渉方針」とありますのは、交渉の方法と考えていただいていいのではないかと思いますが、あるいは「その他所要の国内措置」と申しますのは、これは受け入れ態勢の問題とかあるいは所要資金の調達方法とか、そういったようなものを関係省で協議をいたしまして、その範囲がまとまればすぐ交渉を開始してもかまわぬじゃないか、あるいは情報をここまで固めておけば、交渉を開始しても大丈夫だというようなことを十分相談いたしまして、そうしてこの交渉に入り、なるべく早く妥結するのが第三番目の趣旨でございます。 第四番目は、国際原子力機関が、ただいま準備委員会で協議中でございますけれども、わが方も準備委員会の中に入っておりまして、近くこの夏に成立いたします総会で正式に発足するわけでございますが、理事国になることはほぼ明瞭でございます。その理事国は、御承知のように、主要なメンバーがほとんど加入しておりますので、そういう理事国同士がいろいろ話し合っていきますと、非常に緊密な協調も保てますし、いろいろな他の国の原子力事情もわかるであろう。従って、資料等の入手もいろいろ便宜がはかってもらえるのではなかろうかというふうに考えまして、もちろん理事国はかりでなしに、それに加盟した国々が非常に多いわけでございますから、その中で主要な国々に対しましては国連の機関で十分御研究いただいて、そうして資料等を入手して参りたい、こういう趣旨であります。
○菅野委員長 ただいまの発言について、何か質疑はありませんか。
○志村委員 ここでは第一の項目についてまずお尋ねしたいのです。「濃縮ウランの貸借」ということだけが書いてあります。われわれは従来からこの濃縮ウランにしても天然ウランにしても買い受けということを提唱いたしておりますが、そのために研究協定の改訂ということを要求してあった。政府もそのように外交折衝に入っておったのですが、それは、どうなんですか。
○佐々木政府委員 購入あるいは貸借、両方を含んで研究協定の改訂をお願いしておったのでございまして、まだその改訂の成文がわが国に届いたという通知を外務省から正式に受けておりません。
○志村委員 それでは、研究協定の改訂については、依然としてこの折衝を継続しておるのですか、今後ともずっとやられるのですか。
○佐々木政府委員 本文の内容がまだよくわからないものですから、本文を見まして、十分外務省等とも連絡をとりながら、委員にお諮りしてみたいと思います。
○志村委員 それではやはり改訂についての交渉は、今後継続してやられる、こういう趣旨なんですね。
○佐々木政府委員 その本文の中についてさらに折衝を重ねて、そうして長くこの折衝がかかるというふうな見通しでありますると、本国会に間に合わなくなりますので、そういうタイムの問題等も考えあわせて、条文等を十分検討した上で態度をきめたいというふうに考えております。
○志村委員 いや、私のお聞きしているのは、今の方針は、研究協定の改訂の交渉を今後とも継続してやられる御趣旨であるかどうか、その点なんです。
○佐々木政府委員 こちらから米国にお願いしまして、向うから成文を送ってくることになっておりますので、公式の案文が入って、その案文をよく検討して、もう差しつかえない、すくでも調印できるという性質のものでありますれば、時間的に間に合うでしょうから、すくお出しするということになるでしょうし、条文等検討しましてさらにたくさんの点で交渉を重ねなければいかぬということになりますと、なかなか解決がつかない。そうすると、今国会に間に合わないということになりますので、そういう点、条文を十分見た上で、そのやり方等を考えてみたいというふうに考えております。
○志村委員 次にお聞きしたいのですが、これは第二番品目のカナダから核燃料物質あるいは核原料物質の購入について交渉を開始するというのでありますが、従来カナダにおいては相当量の、輸出可能な程度の、国内需要以上のこうした核燃料物質であるとか原料物質があるということを聞いております。これについて、とうに交渉が進められるべきであるとわれわれは考えておったのでありますが、商社とエルドラドとの折衝があったらしい。しかし、その間には、三百キロ以内とかなんとかきわめて少量であったがために、商社はこんなものは買っても引き合わない、もう少し大量でなければならないというようなことであったのだが、カナダと商社との関係においてはそういうことは許されない、こういうことかあったんですが、政府との折衝はあまり行われなかったということを聞いておりますけれども、その点いかがですか。
○佐々木政府委員 ここの文書にありますように、いわゆる正式交渉と申し上げては、あるいは間違うかと思いますけれども、こういうイエロー・ケーキかこのくらいほしいというのは向うにお話いたしまして、外務省を通じ出先大使館から向うにお願いして、そうして向うの方ではそれに対して、日本ばかりでなしに、いろいろな国から申し込みがあるので、どう扱うかという点をカナダ政府といたしまして検討もし、あるいは条文等も練っておる、それができますればわが方に送ってくることになっております。そういうものを見ました上で、早く交渉して、必要ならいただくというふうにしたい、こういうふうに考えております。
○志村委員 今のイエロー・ケーキを入れたいというようなことはわかりますが、たとえば、アメリカから四トンの天然ウランを日買い入れるということについて、いろいろ困難な問題がある。一応細目取りきめの交渉に入ると言っておりますが、これも問題があると思う。従って、カナダから天然ウランを買い入れるについての交渉をしてもらいたいと思っておったのですが、今まで政府としてはあまりやられた形跡はないというのですが、それはどういうわけか。
○佐々木政府委員 お話の通りでありまして、カナダからなるべく早く入手いたしたいと思いまして、前大臣の正力さんがおられたころから、この点はしばしば向うに申し入れました。そうして何とか考えてもらいたいという交渉は続いております。ただ向うでは、やはりイエロー・ケーキといえども、普通の商取引として出すわけにいかないので、その前提条件として国家間の協定が必要である。そうして条文はただいま策定中でありますので、できたらお送りするということで、非常に好意的に考えていただいております。
○志村委員 私たちは早くカナダとそういう折衝に入ってもらいたかったのでありますが、もう過去の事実であって、これからやられるというのならば、次善の策としてこれを承認せざるを得ない、こういうように考えております。 次に、第四項の問題についてお尋ねしたいのですが、ただいまの御説明であると、たとえばこの間問題になったソ連等につきましては、国連機関を通じてこれは行うのである。一国対一国の間でそうした折衝はしないという方針なんですね。
○佐々木政府委員 この趣旨は、まだ英、米、カナダ等ほどその他の国の事情がよくわかりませんので、せっかくああいう国際原子力の平和利用という面で各国とも集まって、そうして協議をし、問題も進めようという機関ができたのでありますから、そういう機関でいろいろ話し合って、あるいはお願いしたりするということをすれば、今までよりもはるかに事情がはっきりしてくるのじゃなかろうかというので、国際機関にわが方も、先ほど申しましたように理事国として加盟いたしますから、そういうのを利用と申しては語弊がありますが、極力親密の場として、そうして各国から資料等の入手、あるいは事情の紹介等を受けた方が、今後の進め方を考える上において非常にいいのだろうというふうに考えて、こういうふうにいたしたわけであります。
○志村委員 今後の進め方について非常にいいのじゃないかと考えておるというのでありますが、ソ連について接触して、それから協定に入るための事前準備として調査を進め、あるいは資料を収集するという程度のことであるならば、何も国連機関を通じて間接的にするよりも、直接ソ連と折衝された方が早いではないか。なぜソ連と直接接触してはいけないのか、この点はわれわれは疑問があるのですが、その点を明らかにしてもらいたい。
○佐々木政府委員 この前にもたしか申し上げたと思いますけれども、たとえば、ソ連に留学生をやりたいといったような問題は、向うへ申し入れまして、そうして向うから語学その他のいろいろな条件がありましょうから、どういう条件であれば受け入れるかということは向うへお願いしてございます。ただ、原子炉、燃料等の問題は、御承知のように非常にデリケートな問題でございまして、留学生をやるとかという問題とは違いまして、いろいろ各国の原子炉の開発状況あるいは資源状況といったものかはっきりいたしませんと、どういうふうな交渉を進めていいかもわかりませんので、こういう国連の機関等がありますれば、そこで常時皆さんか話し合う機会があるわけでございますから、こういうところで十分お話し合いをして、そうして意思の疎通をはかって、資料等が十分手に入りましたらその上で考えるというのが、一番早くてと申しますか、確実であり、必要な手段じゃなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
○志村委員 国連機関を通じてそういうふうな折衝をするのが最もよろしいというのであるならば、これはすべての国家に国連機関を通じてやられた方かいいはずだと思う。ところが、いわゆる自由主義国家群に対しては、直接一国対一国の折衝をしようというふうな建前をとっておりながら、それ以外の国に対しては間接的な方法をとってよろしいという理由は一体どこにあるのか。デリケートという言葉を使われたのですか、それがどういう意味であるか私はわかりませんが、それはどういうわけなんですか。
○佐々木政府委員 たとえば、フランスなどにいたしましても、フランスから人に来ていただいたりなどして、だいぶ事情ははっきりして参ったのでありますけれども、それにしても米国あるいは英国ほどその国の原子力の開発事情というものは明瞭ではありません。従って、その他の国に対しましても、やはり事情がはっきりしたい間、またはっきりさしてくれるかどうかわからないような状況のときにおきまして、そういう話をするのが国際機関の場でございますから、むしろそういう国際機関の場で、わが国も理事国に入ります関係上、人ももちろん向うに参るわけでございますが、そういう人たちがいろいろ話し合って、そうしてスカンジナヴィアからは、スエーデンからは、こういう資料をいただけるだろうか、あるいはこういう開発状況で、こういう点がわからないのだけれども、あなたの方では、どうなっておるかといったような話を聞いて、そうして国際機関でいろいろ資料をちょうだいできれば、そういうものはもちろん向うの許可を得まして、こちらの方でもちょうだいし、そして、各自の事情か順次判明して参りました際に、こちらの方としては今後の方針を考えたらどうか、こういう趣旨でございます。
○志村委員 そうしますと、折衝に入る場合には、もちろんこれは一国対一国でやらなければならないということはわかるのですか、調査段階のものは国連を通じた方がよろしい、こうおっしゃるのですか。
○佐々木政府委員 各国とも国連の機関に十分協力するということになっておりますので、おそらく名国とも国連に対しましてはウランを提供するばかりでなしに、資料その他も提供して、そこで各国の事情の検討等を行う場になるというふうに考えられますので、そういう場を十分活用して、わが方でも資料を出しますし、希望も述べ、そして各国からもいろいろ資料等の援助その他を仰ぎたいというのが順序かと思いますので、まずそういう機関を通じて、もう近々の問題でございますので、近々と申しますのは、成立するのが二カ月後、三カ月後くらいの問題でございますから、そういう機関を通じて、いろいろ各国の事情を明確にいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○齋藤委員 これは天然ウランというのと核燃料物質、各原料物質、三通りあるのですか。
○佐々木政府委員 カナダより天然ウラン及びイエロー・ケーキというふうに、はっきり書いてしまえば問題ないのでありますが、石川さんは、はっきり申しますと、カナダを非常に詳しくごらんになって、山奥まで何べんも入って帰ったのですが、ここはそうはっきり今の段階では、天然ウラン、イエロー・ケーキと書かないで、もう少し幅を持たしておいたらどうだろうかということで、むしろ核燃料物質、核原料物質とか、あるいはイエロー・ケーキ以下のものであればもっと多量に入手できるという事情があるいはあったかもしれませんし、あるいはイエロー・ケーキだとあれだけれども、単なる鉱石材料であれば協定になくても出すというふうになるかもしれません。そこら辺も考えまして、あまりここのカナダの点はぴちっと限定しないでやった方が、今後の折衝等に弾力性を持ち得るのでよいのじゃなかろうかという強い御意見がございましたから、こういうふうに書いた次第でございます。
○齋藤委員 そうすると、天然ウランと書いておくと、ピューリフィケーションをやったものも金属化したものも、それから原料そのままも、イエロー・ケーキも、天然ウランとして全部入るのですね。
○佐々木政府委員 イエロー・ケーキの問題は、六〇%くらいまで詰めておりますので、すぐそのまま使える核燃料物質というものにはまだ段階が必要なものなので、あるいはむしろ核原料物質というふうに考えた方がいいのではないかと考えまして、イエロー・ケーキにつきましては、核原料物質の方に含ませてあるわけであります。
○齋藤委員 どうもわからない。これは、そうすると、カナダから買うものは、核燃料物質というと、ウラン、トリウム、プルトニウムというようなものも含まれるし、アメリカと今交渉するというのは天然ウラン、こういうことですか。そうすると、カナダの方は、非常に範囲が広くて、アメリカの力は天然ウランに局限する、こういう意味ですか。
○佐々木政府委員 大へんどうもむずかしい質問になって参りましたのですが、濃縮ウランあるいはプルトニウム、トリウム等に関しましては、御承知のように特殊核燃料物質という言葉を普通は使ってございます。そこでカナダからそういうものを入れるということに関しましては、ただいまの段階では考えておりません。しかし、核燃料物質というふうに書いておきますれば、そういう点はいろいろ情勢に応じて、カナダも燃料国でありますから、カナダの燃料の処理が進歩するに従っに、今考えるよりもはるかに幅の広い問題が生じてきやしないかという考慮のもとから、天然ウランというふうにはっきりしないで、核燃料物質というふうに書いた次第でございます。
○齋藤委員 僕はよくわからないのですが、そうすると、あなたは、天然ウランと書いてある米国との天然ウランなら、これはピューリフィケーションしたものだ、この天然ウランと書いたやつは核燃料物質、だ、そういうことでしょう。そうすれば、カナダより天然ウラン及び和製ウランと書けば、それで用語の統一というものは私はできると思うのだけれども、一方には天然ウランと書いて、これはピューリフィケーションしたものだ。ピューリフィケーションしたものであったならば、その選鉱過程において純粋なものであるならば、これも天然ウランだ。それから製練過程に上せて、そして金属ウラン、板状にしたようなものでも、天然ウランに入るんだ。一歩核燃料物質ということになると、その天然ウランに匹敵するのだ。イエロー・ケーキは核原料物質に入るのだ。それは書いた人はわかるけれども、読んだ人はわからぬだろう。だからそういう点はもっと注意を払って用語の統一をはかった方がいいだろう、これは書いた人だけわかって、読んだ人は何をいっているのかわかりませぬのだ。私はそう思うのだが、これはどうですか。
○佐々木政府委員 お説の通りであります。もう少しはっきり書けばあるいはよろしかったかと思いますが、趣旨はよくおわかりかと思いますので、ただいま説明したような趣、旨に御理解いただきたいというふうに考えます。
○菅野委員長 この問題について、他に御質疑がなければ、次に移ります。 ―――――――――――――
○菅野委員長 次に、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律案を議題といたします。 本日は、政府より提出せられました資料につきまして、説明を聴取いたしたいと思います。鈴木アイソトープ課長。
○鈴木説明員 御説明申し上げます。御存じのように、放射性同位元素の輸入は昭和二十五年から始まっておるわけでございますが、その当時は総理府にありました科学技術行政協議会、アブリヴィェーテッド・ネームをスタックと申しておりました役所で取り扱っておったのでございます。そこでこの放射性同位元素は、研究及び産業、医療その他で非常に有効なものではございますけれども、使い方によりますと放射線障害を伴うという非常にあぶないものでございますので、とりあえずそういう研究者なりアイソトープの取扱者に、何らか安全な取扱いの方法を示す必要があるであろうということで、当時アメリカで発行されておりました「セーフ・ハンドリング・オブ・レディオアクティヴ・アイソトープス」というものが、その前の年の昭和二十四年の九月に発行になっておりまして、それをスタックにおいて、スタックの中門委員をしおられました当時の灯台の中泉教授あるいは科学研究所の山崎文男所員あるいは東大の筧講師というような方々にそのセーフ・ハンドリングを訳していただきまして、それを科学技術行政協議会から発行いたしましたものが、この放射性同位元素の安全取扱法と赴いたものでございます。これはアメリカのものをそのまま直訳的に翻訳したものでございますので、いろいろわかりにくい点もあるかと思いますけれども、要はアイソトープの大体の種類とそれの危険の工合、そういうものを書いてあります。それからそれを取り扱う人の心得、あるいはそういうものを取り扱う部屋の設備はどうすべきであるかといったようなことが書いてある書物でございます。それからその次に、放射性物質による障害予防勧告というパンフレットがございますが、これは先ほど申し述べましたアメリカの取扱法を日本の学者、特に日本医学放射線学会の方々かそのアメリカのものを基礎としまして、日本的にいろいろ考え直されて書かれたものでございます。そしてこれは同じく科学技術行政協議会において、適当なものであるということで、発行されたものでございます。内容は先ほどのアメリカのものと大体似ておりますけれども、もっとよりわかりよく、アイソトープの定義でありますとか、そこへ出てきます単位の問題、最大許容線量の問題、そういう本のをるる述べてあります。それからアイソトープを取り扱います施設の工合、それから取扱いの心得、労働時間の問題でありますとか、健康診断の問題等々が述べられてございます。これが第二の資料でございます。それから第三の資料といたしましては、その当時、昭和二十七年からでございますが、科学技術行政協議会において、こういう放射性物質の障害予防のために何らかの法的規制が必要であろうということで、特別な委員会ができておりましたが、そこでいろいろ法案の準備をいたしておりました際に、まず労働省において、労働基準法に基いて障害の防止を始めてもらうのがとりあえずの手段であろうということになりまして、労働省の労働基準局長から各都道府県の労働基準局長あてに放射線の障害の予防について通牒を発したことがございます。その通牒の全文が、「有害放射線による障害の予防について」と題する印刷物であります。それからその次に、「放射性物質障害の有無に対する健康診断基準」というのがお配りしてございますが、これは厚生省に設置されております原爆被害対策に関する調査研究連絡協議会というのがございまして、広島、長崎の事件、その後のビキニの事件というものに対する調査、研究をやっておったわけでございます。その中の医学部会、これの部会長は都築先生でありますが、その部会において、放射線障害の健康診断といってもなかなかむずかしい問題であるので、何か基準を設けたらよいであろうということがありまして、そのときにできました基準でございます。以上四点が、この前、岡委員から御要求のありました資料でございます。 それから最後に、横になった資料でございますが、これは前田委員から御要求のありました資料でございまして、アイソトープの輸入の状況、それからどういう方面に使われておるか、川使用の状況を一覧にしたものでございます。これは先ほど申し上げましたように、昭和二十、五年から輸入が始まっておりますので、二十五年から三十年までの毎年の輸入のふえ方を一応小さな表に載せてございますが、昭和二十五年を一といたしますと、年々アイソトープの利用がふえて参りまして、昭和三十年には二十倍ということになっております。昭和三十一年はさらにこれの倍以上になっておりますので、初めから見ますとすでに数十倍に達しておるということでございます。それからその下の表は、こういうアイソトープがどういう分野で使われておるかということを、さらに詳しく昭和三十一年現在のものを書いたものでございます。ここにごたごた書いてございますけれども、大体の傾向を申し上げますと、日本におきましてはまだやはり医学の利用が一番多うございまして、全体の約六割を占めております。それから工業方面の利が第三位に上って参りまして、これが約二割、農業方面が一割、その他の基礎科学といいますか、そういう学問的な利用が一割というようなものが大体の傾向でございます。一番うしろのページの上の方に国内産のアイソトープのことが出ておるのでございますが、これは現在日本におきましては、科学研究所のサイクロトンからできますアイソトープが一般に売られておるわけでございますが、それの三十一年度分の表でございます。このほかに東大の理工研のサイクロトロンでも若干のアイソトープを作っておりますが、これはもっぱら学内用でありまして、外には出しておりません。なお、京都大学のサイクロトロンでもできるはずでございますが、これは今年の秋ごろからという話でございます。 以上、御提出いたしました資料について、大体御説別を申し上げました。
○菅野委員長 以上をもって説明は終りました。 通告に従いまして、質疑を許します。齋藤憲三君。
○齋藤委員 質問申し上げます。これは聞きようによっては意地悪い質問ですけれども、決して意地悪い質問ではないので、答弁のいかんによっては双手をあげて賛成しようという心がまえの質問でございますから、そのおつもりでお聞き取りを願います。もし御即答かできかねましたならば、次の機会に御答弁願ってもけっこうでございます。 第一、私はこの法律において一つ疑問があるのでありますが、「この法律において「放射線」とは、原子力基本法第三条第、五号に規定する放射線をいう。」と書いてある。そうすると、この原子力基本法の第三条第五号を見ますると、「「放射線」とは、電磁波又は粒子線のうち、直接又は間接に空気を電離する能力をもつもので、政令で定めるものをいう。」と書いてございますが、お伺いする点は、どういう政令で定めておるか、またこの政令という字をとりますと、この放射線の中にはエキス線が含まれるのか含まれないのかということでございますが、これはいかがでございますか。
○鈴木説明員 原子力基本法にあります政令というのは、実はまだ出ておらないわけでございまて、この障害防止法が出ました暁には、その政令を至急出さなければいかぬ、こう考えておりますが、この政令で定めますものは、直接原子力に関係のある放射能線だけを規定しようと思うわけでございます。それは何かと申しますと、アルファ線でありますとか、べーター線、ガンマー線、中性子線等々があるわけでございますが、この際エキス線というものをその規定の中から落すわけには参らないと思うのでございます。と申しますのは、そういうアルファ線やべーター線やガンマー線が出るときに、エキス線も同時に出る場合がしばしばございます。この政令で定める放射線の中には、エキス線というものをやはり除外するわけにはいかぬと思います。しかしそれから第四項にございます放射線発生装置、その政令の中では、エキス線発生装置は除こうというつもりにいたしております。
○齋藤委員 その点ですが、御即答ができればけっこうですが、まあよく考えて、一つびしっとした線をきめていただきたい。というのは、一方放射線という全体的な解釈においては、エキス線をはずすわけにはいかない。が、しかし「この法律において「放射線発生装置」とは、サイクロトロン、シンクロトロン等荷電粒子を加速することにより放射線を発生さる装置で政令で定めるものをいう。」、放射線発生装置ということで一応限界をきめておいて、そうしてこの法案で放射線の中にエキス線を含ませておいて、こういうような体系で、全部の放射線の障害に対して防止できますか。
○鈴木説明員 お答えいたします。エキス線装置につきましては、これは原子核の変換の過程において出てくるものもありますが、一般にエキス線装置と言っておりますのは、エキス線管というものを使いまして、そこに電気を通してエキス線を発生させておりまして、それは原子核の変換と関係のない、つまり原子力基本法と関係のないエキス線装置が普通に言われておりますエキス線装置でございます。これは原子力木本法の規定からはずれるということで、そのエキス線装置を含ませることは妥当でないと考えております。それから同時に、エキス線装置といいますのは、お医者さんの使うものが非常に多いわけでございますけれども、これは医療法という法律がございまして、これで現在取締りを受けております。それで十分であろう、こういうふうに解するわけです。
○齋藤委員 そうすると、今の御答弁は、原子力基末法の第三条の第五号の放射線というものは、政令できめるときは、エキス線を除くわけですか。
○鈴木説明員 放射線の政令の中には入ります。それは除外するわけに参らないと思います。原子核の変換の過程において出てくるという放射線の中には、エキス線もあるわけなんでございます。
○齋藤委員 そうすると、「放射線発生装置の使用を規制することにより、」というこの放射線発生装置というのは、エキス線も入るのですか。
○鈴木説明員 放射線の定義の中には入りますが、放射線発生装置の定義の中からはエキス線装置は除外する、こういうわけであります。
○齋藤委員 もう一ぺん、これは僕の頭の中を整理してから御質問を申し上げます。 もう一点は、この法律からは、放射線発生装置というものの中にエキス線を含ませない。医療川のエキス線は医療法ですかによって規制をしていく、そうしましてもまあ医療用のエキス線というものは割合にボルトが低いと私は聞いておる。五万か六万か、あるいは断層用に用いても十万を出ないだろう。ですから、割合にこの方面の取締り予防というものは楽だ、こう考えますけれども、これが一たん学校用となると、大学あたりで使っておりますのを聞きますと、大体強いものになると三十万ボルトぐらいになる。工業川になるともっと強いものがある、こういうものは一体どうして取り締るのですか。取り締るというか、障害の予防をやるのですか。
○鈴木説明員 ただいまの齋藤委員の御質問は非常に急所をついておられるわけでございますけれども、工業用のエキス線装置については現在のところ法的規制がないわけでございます。それから医療用についてはございますけれども……。(齋藤委員「学校は」と呼ぶ)研究用及び工業用につきましては何の規定もないわけでございます。それで、医療用と並びまして別の法的規制を加える必要があるのではないか、ただし、これは原子力ではないというふうに解しております。
○齋藤委員 それからこの第二条の第二項で、「この法律において「放射性同位元素」とは、りん三十二、コバルト六十等放射線を放出する同位元素及びその化合物並びにこれらの含有物で政令で定めるものをいう。」とこう書いてございます。放射性同位元素といえば、ウラン、トリウム、プルトニウム、全部入るのでありますが、そこの関係は、どうなっておるのですか。
○鈴木説明員 ウラン、トリウム等原子燃料物質というものは、別途原子炉等規制に関する法律というのを近く提出いたす予定でございますが、その方でもって規定いたす、そういう予定にいたしております。
○齋藤委員 そうしますと、この法案を審議し、この法案に賛成する前提といたしましては、文部当局及び通産当局が、その管轄下にあるエキス線の装置に対していかなる障害防止の法案を考えておるか。それを今国会に提案する意志があるかどうか。どうして一体この放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律案からエキス線を除外したかというようなことを一つよく審議いたしませんと、与党であるからといって軽々に賛意を表しがたいような点がございますので、そういう点につきまして、一つ次会に通産及び文部当局の出席をもお願いいたしまして、何ゆえにこの法案からエキス線を除外したか。――もちろん厚生省もおいで願わなければならぬと思う。われわれのこの法案に対する基礎観念は、この放射性同位元素等によるなどというやかましい、そんなめんどうくさいことでなく、放射線障害防止法、こう一本でいって、一切のエキス線もこれに含めて、原則的に主管の責任大臣をきめてやりたい、こういうふうに考えておったのでありましたが、提案せられました法案を見ますると、「放射性同位元素等による放射線障害の防止」と、頭の悪い私には非常に了解できないような題目がついておるのでございますので、一つ委員長にお取り計らいを願いまして、次の機会には、厚生省、それから文部省、通産省、これらのエキス線取扱いの責任の地位にあるところの方々の御出席をお願いいたしまして、質問を継続することにし、本日はこれで質問を留保いたします。
○菅野委員長 ほかに御質疑はありませんか。――ほかに御質疑がなければ、本日はこの程度にとどめます。 次会は来たる九日開会し、質疑を続行いたします。 これにて散会いたします。 午後二時四十一分散会