科学技術振興対策特別委員会 第16号
- 発言数
- 39 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1957/03/15
会議録
○菅野委員長 これより会議を開きます。 科学技術庁設置法の一部を改正する法律案並びに日本科学技術情報センター法案の両案を一括して議題といたします。 質疑の通告がありますので、これを許します。齋藤憲三君。
○齋藤委員 第一に、私は今審議になっております日本科学技術情報センターについて、簡単に御質問を申し上げたいと思います。 昨日の本委員会では、各委員から熱心に日本科学技術情報センターについての質疑が行われまして、当局からも熱心に御答弁があったのでありますが、その中で私はまだ了解に苦しむ点がありますので、その点について御質問を申し上げたいと思います。 それは、昨日の質疑応答の中で、国立国会図書館と科学技術情報センターとの関連性でございます。私の承知いたします範囲においては、日本科学技術情報センターと国立国会図書館とは、おのずからその設立の趣旨を異にいたしておりまして、またその主掌する事務もこれは判然と区別ができるという建前でおったのであります。その点をさらに明確にしておいていただきたいと思います。と申しますのは、国立国会図書館法第二条、第七条、第十五条、第十七条、第一十一条、第二十三条並びに国立国会図書館組織規程第一条、第三条、これを通読いたしますと、国立国会図書館法の規定いたします業務というものが明確になっております。たとえて申しますと、国立国会図書館法第二条には、「国立国会図書館は、図書及びその他の図書館資料を蒐集し、国会議員の職務の遂行に資するとともに、行政及び司法の各部門に対し、更に日本国民に対し、この法律に規定する図書館奉仕を提供することを目的とする。」それでございますから、第一段階としては、国会議員の職務遂行に資すること、第二段階は行政及び司法の各部門に対して資料を提供すること、さらに日本国民に対してとなっている。でありますから、一般民衆に対しては、これは第三段階におけるところの義務を負担しておるということに解釈してしかるべきものだ。通覧してみますと、国立国会図書館法においては、そういうふうに規定されております。 ところが、情報センターというのは、科学技術の振興を目的として、民衆の要望にこたえることが第一ですから、その設立の趣旨が全く異なっておる。国立国会図書館も近代的図書館として国民の要望にこたえることはもちろんでございますが、その設立の趣旨からいきますと、これが主ではない。日本科学技術情報センターは、国民の要望にこたえて、科学技術の振興を企図し、その情報を流すということが主でありまして、この点は私は明確だと思う。ただ、そこの紛淆を避ける線というものはおのずから出て参りますので、第二十四条及び第三十八条の規定が設けられておって、ここでお互いに有無相通ずる立場から協力をして、その全きを期する。こういうことでありまして、決して国立国会図書館の業務に侵食の手を加えるとか、そこに一つのセクショナリズムの体系がかもし出されるとかいうことは、断じてないと考えておったのであります。昨日の論議の中に、どうもそういうことが懸念されていろいろな論議がかわされたように私は感心得いたしたのであります。それですから、こういうことは法体系として全然ないのだ、これは明確に線が引かれているのだということを、当局においてもはっきり言明していただかないと、これを審議する上において、われわれは何かあと味の悪いところが残って参りますから、きょうは国立国会図書館の方もお見えになっておりまするし、科学技術庁の方もお見えになっておりますから、この点をもう一度明確に、われわれに納得できるように御説明願いたいと思うのであります。
○中根国会図書館副館長 ただいま国立国会図書館法の各規程をおあげになりまして、国立国会図書館の設立の趣旨目的につきましてお話がございましたが、全くその通りでございます。国立国会図書館は、国立国会図書館法第二条に規定してございますごとく、国会に奉仕することが第一の任務でございます。そして、国立国会図書館法の二十一条をごらんいただきましても、「国立国会図書館の奉仕及び蒐集資料は、直接に又は公立その他の図書館を経由して、両議院、委員会及び議員並びに行政及び司法の各部門からの要求を妨げない限り、日本国民にこれを最大限に利用させる。」というような、さらに敷衍された規定もございまして、ただいま御説明の通りであります。従って、科学技術情報センターを設立することによりまして、国立国会図書館の使命あるいは機能というものは、法文の文理的な解釈におきましては何ら心配されるところはないと私も考えております。問題は、もしそういう趣旨において明確なものが、今度できまする法案中の若干の規定によりまして、やや紛淆されるおそれがある、あるいは紛淆されるごとく解釈されるおそれがないということを希望いたしたいと考えているわけであります。
○秋田政府委員 齋藤委員のお説に全く同感でございまして、昨日もいろいろ質疑応答の中で明らかにされたのでございますが、この科学技術情報センターと国立国会図書館との仕事が、常識的に考えますと紛淆するようでございますけれども、科学技術振興のために、特定の分野の事項を、特定の人の依頼に応じ、特定の範囲あるいは特定の人々の利益のための秘密の性格を持つ情報を提供するというような特殊の目的、専門的な目的、こういう点にポイントを置いてこの科学情報センターというものが設立されますから、私はその分野はおのずから明確である、こう考えております。ただ、情報の収集あるいは分類、提供という点におきまして図書あるいはその他の文書の収集等が伴うために、おのずから二重に図書を購入したりするようなことから、実際問題において非能率あるいは重複があってはいけない、こういう点に実際上注意もし、かつ協力もしなければならない。こういう規定が注意的と申しますか規定されておるのでありまして、本来の使命はおのずから明瞭になっておる、こう考えております。従って、実際面においてよく連携を保ちまして、法の精神を具体的に実現するように進めることが肝要でありまして、その点については事務当局において、今日から将来を予想して、綿密な連絡をとり、遺憾なきを期しておる次第でございます。
○齋藤委員 その問題はそれで私も了解をいたしました。 次に、この法案の第二条に定義が下されておるのであります。「この法律において「科学技術情報」とは、自然科学を基礎とする技術に関する情報をいい、当該技術に直接関係する自然科学に関する情報を含むものとする。」こういう、まことに頭の悪い私にはわからない定義でございまするので、この定義を一つ御説明願いたいと思うのでございますが、この定義の御説明を要求するということは、非常に酷でないかと思いまするので、御説明を願いたいと思いまするけれども、これはここで御説明を願わなくてもいいので、まだ委員会は長く続きますから、その委員会の続いておりまする間に一つ定義を定めていただきたいと思うのであります。と申しますのは、こういうことを申し上げておく方が私はいいのじゃないかと思って私の意見をここに書いてきたのでありますが、私は、国会において、学術的にあらゆる用語の定義を論議決定せんとしているものではないのでありますけれども、いやしくも国家最高の機関として法律を作成決定せんとすることは、とりもなおさず、国家の政治はその国の最高の創造的意思を決定して、これを国家権力によって遂行するものであるという観点から申しますると、その法案の骨子となるべき用語には、その適用を受くるすべての人々が明確に用語の持つ定義を了解し、その上に立ってすべての法律が定められることが一番妥当であると考えるのであります。科学技術という言葉も、科学と技術は明白に限界があり、これについては一般に適用する定義があるはずである。従って、その定義に従って法案の審議が行われなければならぬと私は思うのであります。他日速記録に収録されたお互いの言葉が検討されるときに、重大な法律の骨子となるべき用語の定義があいまいであったことが発見されるということになりますと、お互いの努力も後世の人々の笑い草となることを私たちは考えるのであります。この点欧米においてはすこぶる厳重に用語の定義が論議されておるのであります。いやしくも科学技術庁は新設の行政官庁であり、従来の観念的、抽象論的政治形態に最も現実的形態を注入し、国家の政治に具体的法則と規律を加えて生活の向上に寄与せんとするものである以上、あらゆる用語に検討を加え、最も適切な定義を与える新時代的観念の養成と決定に寄与すべきものである、私はそう考えておるのであります。それでありますから、いやしくも科学技術庁が法案を作成せられんとする場合には、その用いるところの用語には、国民がすべて納得のできるような定義というものを一応お考えの上で法律を作成いたしてもらいたいと私は思うのであります。私もずいぶん定義というものについて文献をあさってみましたが、あらゆる用語に対して、すこぶる広範な検討が加えられております。こういうものは、やはり当局としては相当勉強せられまして、その法案の骨子となるべき用語に対しては、一応通俗的な、すべての人々が納得できるような定義というものを考えて、そうして法案を提出していただきたいと私は思う。そうでないと、第二条にあるがごとき、「この法律において「科学技術情報」とは、自然科学を基礎とする技術に関する情報をいい、当該技術に面接関係るす自然科学に関する情報を含むものとする。」ということを、私が勉強いたしました範囲におけるところの定義というものに照らしてみると、幾多の論議が出てくる。際限のない論議を加えていかなければならぬ。ですから、そういうときにあなた方がはっきりしたところの定義を持っておられるとするならば、私たちも了解するのでございますけれども、大体「当該技術に直接関係する自然科学に関する情報」などということは、いかなる意味を持つのであるか、私は了解に非常に苦しむのであります。ここで私は論議をかわさんとするのではない、論議をかわさんといたしますと、際限のない論議が展開されると思うので、これは一応やめます。やめますが、私の考えからいたしますと、科学技術庁設置法から一貫した法体系に準拠してこの科学技術情報というものを考えますときに、「この法律において「科学技術情報」とは、自然科学及び自然科学を基礎とする技術に関する情報をいう」と規定するか、あるいは「この法律において「科学技術情報」とは、科学技術(人文科学のみに係るものを除く)に関する情報をいう」とかいうように、はっきりした体系において定義を定めていただいた方が、今後この科学技術情報を一般の人々が了解するのに非常にいいのではないか、またその方が国家的に妥当ではないか、そういうふうに考えるのでございます。この点に対して一つ御当局の御意見を拝聴いたしたいと思うのであります。
○秋田政府委員 大臣が来られたのは御質問の途中からでございましたので、便宜私からかわってお答えをいたします。この定義に対する答えは、あえてしなくてもいいという、非常に御理解のある齋藤委員からのお言葉でございますから、あえて定義論を展開しようとは考えておりませんが、(笑声)お話がありましたので、軽い意味において、私どもの考えております点、並びにどうしてこんなむずかしい、ちょっと読んではわかりにくいような表現になったかという点について申し上げまして、御了解を得たいと思うのであります。この科学技術とはどういうものであるかという定義になりますと、もちろんこの定義は単なる解釈論的ではなく、実体をいかに考えるかという意味において、齋藤委員のおっしゃる通り、明確な、厳格な、具体的な概念を把握して、それを的確に表現するということを心がくるべきは当然でございます。ことに、この科学技術に関するそういう意味の定義ということになりますと、解釈上いろいろ困難な問題を含んでおるように存じます。従いまして、オーソライズした解釈につきましては、一つ明敏なる齋藤委員を初めといたしまして、皆様の御援助によりまして、将来解釈を公けに確定いたしたいと思います。また、われわれといたしましても、関係各政府機関とばかりでなく、広く学界その他の研究機関等におられる方々の研究者の意見もお聞きいたしまして決定をいたしたいと存じております。この際、齋藤委員の御注意もございまして軽々の定義確定はこれを避けたいと思っておりますが、この第二条の表現は、いわば学問を、自然科学の分野と人文科学の分野に大別をいたしまして、科学技術というものは、その人文科学の方にも自然科学の方にも関連をして科学技術が考えられる、そこで、科学技術庁の設置法、あるいはただいま問題になっておりまする科学技術情報センターの第一条にいう「科学技術の振興し寄与することを目的とする」という場合の科学技術という場合には、広義におけるところの科学技術の意味を考えておるわけであります。しからば、この情報センターがどういう点を取り扱うことによりまして、広義の科学技術の振興に寄与するかという具体的問題になった場合には、おのずから少しその場合の科学技術の意味を限定して取り扱う、それがこの科学技術情報センターなる機関の目的を限定し、明確にし、その仕事を能率的に有効にするのに役立つというような関係、またきのうからの御論議等において御承知の通り、おのずから分野は明確ではございますけれども、実際の仕事面において紛淆を来たすおそれの多少考えられまする国立国会図書館その他の機関の行います仕事との関連等をも考えまして、この科学技術情報センターが行うところの情報というものは、自然科学を基礎とする技術に関する情報をいうのだ、そして、その技術に関連した面における自然科学のものは、当然牽連性を持つものとして、それに関する情報もあわせ含めていく、そこで、初めから技術一般に関連しておるからして、自然科学一般に関する情報を取り扱う、こうなって参りますと、いろいろ他機関との紛淆をも考えしめるおそれなしとしないという点を考慮いたし、同時にこの方面のことを取り扱うことによりまして当面のさしあたりの科学技術情報センター機関としては十分機能も発揮できるのである。こういう観点でございます。従って、この表現は非常に回りくどく、神通の人の常識をもってしては、具体的にいきさつを知られませんと難解不可解な表現になって恐縮に存じますが、やはりこの間にあるいきさつ等も考えますと、こういう表現になった次第でございます。この点あしからず御了承願いたいと存じます。
○齋藤委員 他にも質問の方がございますから、私の質問は簡潔に終ることにいたしますが、科学技術という言葉は、一応科学技術庁設置の場合に定義づけられたのであります。科学技術庁設置法では、第、一条の「科学技術の振興を図り、」というときには、全部の科学技術を包含する。ただ科学技術庁が取り扱うところの科学技術は「人文科学のみに係るもの及び大学における研究に係るものを除く。」という限界を定めて、科学技術庁の設置法を通過せしめたのであります。それでございますから、おのずからそれは決定いたしておるのでございますので、私たちは、この日本科学技術情報センターが、わが国における科学技術情報に関する中枢的機関として、わが国の科学技術の振興のために内外の科学技術情報を迅速かつ適確に提供をするためには、やはり第二条の定義というものは、「この法律において「科学技術情報」とは、科学技術(人文科学のみに係るものを除く)に関する情報をいう。」こういうふうに定義するのが妥当だと考えておるのであります。ただ先ほど申し上げましたように、この際、それによって一応科学技術というものの定義の概念をきめておきたいと思うのでございますが、「人文科学のみに係るものを除く)」という、この人文科学と、人文科学を科学全般から除くということの人文科学の範囲というものが、まだはっきりしておらぬ。この人文科学という言葉は、終戦後、占領軍の申し出によって日本に入って来た。そして、人文科学の定義を決定するのに膨大な文書になるくらいの論議がかわされておる。私はその一部を通読いたしてみましたけれども、まだ人文科学というものははっきりしてこない。ですから、「(人文科学のみに係るものを除く)」として、人文科学というものがどの範府をさすのであるかということをはっきりきめないと、十分な了解はできなくなると思います。果して従来のごとく自然科学と社会科学ということの分類、及び自然科学と精神科学ということの分類によって人文科学というものを律しられるかというと、人文科学の中には社会科学も入ると書いてある。そうすると、人文科学の中に社会科学が入ると、まだほかにも人文科学の分野があるということ。そうすると、これは心理学の科学の分野も人文科学の中に包含するのか。そうすると、従来の自然科学の定義はこわれてくる。従来日本に考えられておるところの自然科学の中には、心理科学というもの、心理学は入っておる。だから、人文科学を除くというと、心理学の部面が除かれるということになりますると、今日の進歩した科学技術の体系から非常な大きな支障を来すということは、すでに御承知の通り、エレクトロニクスの分野あるいはオートメーションの分野は心理学的に大きな分野を占めつつ入ってきておる。ですから、そういう定義になりますると、まだまだここで論議をして早急に決定をみるわけには参りませんから、そういうしさいにわたるところの定義は、一つ今国会を通じてはっきりするように定めていただきたい。これは各省間にも関係のあることでございますから、関係各省においていろいろ御論議を下さいまして、それによって決定づけられたところの「(人文科学のみに係るものを除く)」というようにして、人文科学というものは一体いかなるものであるかというようなことの定義をはっきり定めておきたい。こういう希望条件を付して、私の質問はこれで終ることにいたします。
○菅野委員長 次に滝井義高君。
○滝井委員 私は簡単に一、二点お尋ねしたいのです。前の質問者の方から科学技術情報センターの方は質問があったようでございますので、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案の方で一、二点お尋ねいたしたいのであります。 まず第一に、科学技術庁設置法の一部改正案の中を見ますと、放射線医学総合研究所となっておるわけであります。ところが、もうすでに衆議院を通過した予算書を見ると、放射線総合医学研究所となっておるのですが、総合が上につくのか医学が上につくのか、どっちがほんとうかということです。これは法律の方がほんとうじゃないかと思うが、予算書にはみな医学があとになっておるわけです。これは固有名詞なんですから、間違っておったのでは大へんだと思うので、これはここではっきりしておく必要がある。
○鈴木説明員 御説明申し上げます。予算要求の段階におきましては、放射線総合医学研究所ということであったのでございますが、この法案を法制局で審議いたします際に、放射線総合医学という言葉はまだ国民に慣熟した言葉ではない、放射線医学という言葉は学術通念的に古くからある言葉でございますので、その放射線医学の基礎と応用と両方をひっくるめてやるのであるならば、放射線医学総合研究所でいいのではないか、これが法制局の意見でございます。それにわれわれ承服いたしまして、法律の段階では放射線医学総合研究所ということになった次第でございます。
○滝井委員 これで初めて名前がはっきりいたしました。放射線医学総合研究所だそうでございます。名づけ親ができたわけであります。 次にお尋ねをいたしたいのは、今後やはり各省との関係を明確にしておかなければならぬと思うのです。と申しますのは、文部省所管の各大学の医学部に、物療科あるいは放射線を専門にやる科があるわけなんです。こういう科が、今までレントゲンのいろいろの障害、エキス線障害については研究をしてきておるわけなんですね。そうすると、やはり今後も当然それらの大学の医学部の放射線に関係のある科というものは、ストロンチウムその他の研究についても範囲を拡大していかなければ、大学の医学部の物療科とかレントゲン科というものの存在の意義がだんだん薄れていくということは確実なんです。従って、当然新しい研究分野として、放射能のちりの問題、そうしてそれに関連するストロンチウムの問題なんというものは、広範に研究されていくだろうと思うのです。そういう場合における文部省所管の大学医学部との関係をどういう工合に総合研究所はつけていくのか、この点をまず御説明願いたいと思います。
○鈴木説明員 この研究所の生い立ちといいますか、従来の経過を申し上げますと、従来、各大学の医学部に放射線科というのがございまして、主としてこれは放射線を使って病気の診断あるいは治療に当っておったわけでございますが、それのもう一つ前の段階、放射線がどういうふうに人体に影響を及ぼすであろうかというような、そういう基礎的の研究面が非常に欠けておる。これは医学部でいえば、臨床医学の方ではなくて、むしろ基礎医学の方で扱うべき問題でございますが、そういうものはどこの大学にもない。それからさらに臨床にございます放射線科と申しましても、これも全部の大学の医学部にあるわけではございませんので、まだそういうものが置かれてない医学部もかなりあるわけでございます。それで、学術会議がこの問題を取り上げまして、昭和三十年の一月十一日に内閣総理大臣あてに、こういう面が非常に欠けておるから、別に国立の放射線の医学研究所を作るべきであるという勧告が参ったわけなんでございます。その勧告が引き続いてこういう形になって、現在御審議いただいておるような研究所の姿になってきておるわけでございます。従来非常に欠けておった研究、また、今後、各大学で放射線科のないところは放射線科を増科し、あるいは特別なそういう研究機関を各大学に設けるよりも、この際それを一本化いたしまして、国立の中心研究機関を作った方がいいであろうというこの学術会議の申し出は、政府の方といたしましても、けっこうであるという見地に立ちまして、この法案を提案いたしておるわけでございます。と申しましても、何もこの研究所ができたから、ほかの大学の研究はすべてもうしなくてもいいのだということではございませんので、各大学の従来の研究は進めていただきます、それでなくともおくれておる面でございますから、各大学の研究はもちろんやっていただく。むしろここはそれの全国的な中心機関となりまして、総合的な研究を行なっていくというのが至当であろうと思います。もっともお互いの研究の内容につきましては、今後十分調整をはかっていく必要があろうかと思います。こういうふうに考えます。
○滝井委員 大体この研究所の基本的な性格が、基礎的な放射線に関する医学を研究するのだということはわかりました、大学と並行してやるということですが、厚生省の国立公衆衛生院ですか、クリスマス品等における原爆あるいは水爆の実験によって日本の環境衛生が汚される、こういうことになると、今後の日本の衛生技術者というものは、当然放射能に関する高度の、やはり人体影響の知識というものを知っておかなければならぬわけです。ところで、公衆衛生院というものは、日本の公衆衛生の第一線において働く技術者を養成する機関であります。少くともそういう大きな意味を持っておる。今度できる放射線医学総合研究所も、やはり放射線の人体に関するいろいろの障害、予防、診断、治療を研究するとともに、医学上の技術者を行政訓練するところになっておるわけですね。そうすると、公衆衛生院という国立の機関があるわけですね、あそこへ相当の国費をつぎ込み、総合的な国民生活に密接な関係のあるものをやっておるわけなんですね。この機関と放射線医学総合研究所との調整の問題です。今、大学その他とは並行してやるし、放射線に関する基礎的な研究というものはまだ未知の分野であるという御説明がございましたが、公衆衛生院との関係は一体どうなるのでありますか。
○楠本政府委員 お答えをいたします。ただいま御指摘がございましたように、公衆衛生院におきましても、当然国民生活を対象といたしまして、放射線に関する各種の調査、あるいは研究、また技術者の養成等も行うことは、従前通り今後も拡充していかなければならぬものと考えております。ただこの場合、公衆衛生院の仕手は基礎的研究機関ではございませんで、基礎的研究は一切行わず、もっぱら国民生活を対象といたしました直接的な行政的な点に関してのみ従来も研究をいたしております。従って、この職員の養成につきましても、基礎的な問題を担当いたしますような職員ではなく、目下養成を考え、また現にいたしておりますのは、直接国民生活を整備していく上に役立つ、つまり行政と密着した職員を養成していくという考え方でございます。従いまして、放射線医学総合研究所と公衆衛生院との研究内容あるいは仕事の内容につきましては、かねて科学技術庁とも十分連絡をいたしましてこの点は重複を避け、またお互いに相寄り相助けて、よりりっぱな成果が上り得るよう、その間の調整をはかっておる次第でございます。たとえますれば、生活環境の汚染という問題を直接対象にいたした場合には、これは厚生省の任務、つまりこれを実際に調査しあるいは職員の養成というようなことになりますと、これは公衆衛生院の仕事というふうに考えております。従いまして放射線医学総合研究所におきましては、これらの主として基礎的な部分を研究するにとどまるというふうに私どもは考えております。しからば、なぜ一体基礎的研究の機関を特別に設けるかという問題でございますが、何分にも、放射線医学につきましては、その基礎的研究の部分はきわめて総合的な見地からこれを実施する必要がございますので、私の方といたしましては、これらの基礎的研究は、その総合性にかんがみまして、一カ所で集中的に行うことの方がはるかに効果的であるという結論に達したわけでございます。
○滝井委員 どうも少し答弁が苦しいようでございますが、いいですか。この科学技術庁設置法の一部を改正する法律案の十九条をごらになると、「放射線医学総合研究所は、次に掲げる事務をつかさどる機関とする。一 放射線による人体の障害並びにその予防、診断及び治療に関する調査研究を行うこと。二 放射線の医学的利用に関する調査研究を行うこと。三放射線による人体の障害の予防、診断及び治療並びに放射線の医学的利用に関する技術者の養成訓練を行うこと。」、こうなっておるのですよ。これから見ると、基礎的な研究という事項はどこにもないのです。少くとも予防、診断治療ということになれば、これは現実の臨床的な問題を持ってくずしてはだめなんですよ。そうしますと、公衆衛生院等でやることとどこも本質的に違ったことはない。また公衆衛生院がこの国民生活に密着したもの、あるいは臨床的という言葉はどうも当てはまりかねますが、臨床的なことをやるといっても、基礎的な研究のない科学者なんというものはないのであって、当然公衆衛生院だって基礎的な問題をやっておるはずなんです。そうしますと、ここらあたりの関係が最も私たちにはわかりかねるのです。今の御説明ではわかりかねる。が、それはもう少し先で質問いたしますから、一応わかりかねるということを言っておきます。 次に、工業技術院の方に一いらっしゃらなければ科学技術庁の方でけっこうでございますが、御答弁願いたいと思います。それは、この放射線医学総合研究所組織規則というところの六条に、「物理研究部においては、次の業務をつかさどる。」というのがあるのです。そしてその一に、「放射線の測定に関する調査研究に関すること。」、二に「放射線の照射に関する調査研究に関すること。」、三に、「放射線による障害の防護に関する調査研究に関すること。」というのがあるのです。この物理研究部でやることは、やはり工業技術院でも同じことをやるのですね。工業技術院の予算書の中で、「放射線測定の確立及び規制に必要な経費千七百九十万円」という予算が計上されておるのです。予算の説明書を見ますと、「放射線障害防止のため放射線計測器の基準及び精度を確保するに必要な経費である。」とあってこれはやはり物理学的ないろいろな調査研究の機関であることがはっきりしてくるわけです。そうしますと、工業技術院との関係ですね。私の言いたいのは、こういう大事な基礎的な研究をやるのに、わずかばかりの、千万かあるいは百万か二百万の金をばらばらと各所にばらまいているということなんですよ。これではほんとうの研究ができない。こういうことは、事務費や人件費に金が食われちゃって、ほんとうの研究というものができないですよ。これは国税、いわゆるわれわれの血税を浪費してしまう以外の何ものでもないのです。こういう点は、どういう理解のもとに工業技術院とここの物理研究部というものを調整していくのか、こういう点を明確に、できれば大臣あたりから御答弁を願いたいのです。
○鈴木説明員 お答え申し上げます。工業技術院のその関係の予算も一応原子力予算の調整のワクの中に入っておりまして、原子力局において調整いたしました問題でございまして、その間の事情はわかっておりますので、その間の事情を御説明申し上げます。 工業技術院の電気試験所が中心であろうと思いますが、そこでしていただきます仕事は、放射線というものの基準、それをまず確立していただくことと、それから各種の計器、ガイガー・カウンターその他の計器の検定をぜひしていただかなければいかぬというので、それに伴う経費を計上してございますしこちらの放射線医学総合研究所の物理研究部においていたします仕事の主たるものは、個人が放射線にさらされます被爆染量、そういったものをどうやってはかるか、フィルム・バッジその他がございます。これらの測定に関する研究、あるいは放射性物質で汚染という現象が起るわけでございますが、そういうものの測定に関する研究、こういうようなこと、あるいはナチュラル・バック・グラウンドの測定に関する研究でございますとか、そういうものでございまして電気試験所のその方の研究とは全然重複がない、こういうふうに考えております。
○滝井委員 そうしますと、この工業技術院の方の研究というものは、ガイガー計算器その他をやるについてはいろいろの国民生活に非常に関係のある、たとえば魚類とか米とか茶とかいうようなものについても、当然その鮮度を測定するについては、やはりそれらを対象にしてやらなければならぬと思うのですが、そこらのところは何もやらずに、ただ技術上の研究だけを工業技術院というものは無関係にやっていかれるというのですか。
○黒川政府委員 工業技術院といたしましては、そういったような応用的な問題が多数今後起るとも思いますけれども、一応そういう放射能の標準の決定、またそういったものを計測いたします器械の製作、そういうところに重点を置きまして研究をいたしていく次第でございます。
○滝井委員 そうしますと、工業技術院の方と今度新しく科学技術庁の設置法によってできますところの放射線医学総合研究所とは、何ら関係がない、こう理解して差しつかえないのですか。
○黒川政府委員 関係がない——研究分野は別でございまして、標準の装置とかそういうものをまず最初に決定いたしまして、それを使っていただいて、いろいろそれぞれの放射線医学の研究所あるいはその他の研究所ではかっていただくというような、まず基礎的のものをやろうと思っております。
○滝井委員 わかりました。 次にお尋ねしたいのは、この研究所の構成を見てみますと、守衛さんまで入れて四十人なんですね。それで技官は二十人。これは六つ部がありますので、一つの部は三人にしかならない。そうして、給料を見てみますと、研究員といっておもに働く人たちで、二万から二万七千程度の給料の人が十六人ですか。そうすると、ここの研究所の状態を直観しますと、これは東京大学あたりの一学科くらいのものでしょう。これは少くとも日本の各大学の放射線科と並行して、基礎的な総合的な研究をやると非常に大きく銘を打たれたわけなんです。ところが、それがあまりにも貧弱なのに驚かざるを得ないのです。これでは総合と名が出ておりますけれども、各大学の方が総合になってしまう。各大学というのは、やはり総合的な研究体制を持っておるわけなんです。私はさいぜん一、二の例を持ってきたのですが、水産研究所や何かたくさんあります。しかし、それでは時間がかかるので、特に工業技術院と環境衛生関係の厚生省に来てもらったわけなんですが、大臣どうでしょうか。技官がわずかに二十人で、そして予算が一億四千万円、今年の状態を見ると、ほとんどこれは初度調弁的なもので食われてしまう。そうすると、総合と言いながら、実際に総合的な研究所ができるんじゃなくて、ほとんど人件費みたいなものに食われちゃって、ほんとうの研究というものができるかどうかということか、非常に疑わしくなるのです。そこで、私としてこれを見ると、今のようないろいろな疑問が起ってきた。放射線医学総合研究所になっておるけれども、名前が総合というほどに総合的な研究ができるかできないかということなんです。あまりにも人的な構成が少いということなんですね。しかもこれが六部に分れている、その六部に分れておる各部の研究というものが、非常に基礎的な、未知の分野の開拓をやらなければならぬものであるという点から考えると、これができたときは、非常にはなばなしくできているけれども、だんだん先になっていくと、消え失せるのじゃないかというような感じもするのです。と申しますのは、やはり技術者の世界というものは、技術者を優遇しなければならぬということがありましたが、日本の態勢というものは、実際に技術者を優遇する姿にない。そうしますと、一万から二万七千くらいでここに来て 一生懸命に医学の総合研究をやるよりか、ほかのところに行った方がいい。外は技術者が足らずに、技術者を求めておるんじゃないか。特許庁あたりが、特許の審査官と申しますか、そういうものがなかなかなくて、特許申請がうんとたまっておるということが新聞にも出ておりましたりこういうことから考えると、どうも私は先が怪しくなる感じがするのです。そこらあたりのことは、大丈夫だという具体的なものがあれば、大臣から御答弁願いたいと思います。
○宇田国務大臣 私はあなたの御意見と全く同感であります。このような程度で、このような予算の配分で、こういうふうな目的が達成されるということは非常に困難なことで、むしろこういう程度で推移するなら、とても当初の目的は達成し得ないように思われます。それで、こういう新しい組織を作ります場合には、日本全国でこれに該当する技術員も基本的に少い、非常に手持ちが少いというのも実情でございます。また、ただいま言われたように、特許関係の行政事務だけを考えてみても、お説の通りのような日本の状況であります。それで、これに対しては、何しろ歴史がただいまから始まるものでありまして、そこに原子力の平和利用に関するところのいろいろの設備をこれからいたす。それはとても予算措置では手が足りませんから、一挙にはいかないですけれども、長期計画をもって、予算措置を政府はもちろんとる。それでもなお足りませんから、民間の浄財を集める、いろいろな方法をとりながら、この目的の線に沿うような努力をしなければならぬと思います。ただ、基本の考え方としてこういうふうな総合的な研究所を持つということは、おそらくこれは非常に重要なことであって、これからの日本の原子力平和利用に並行して、当然こういうものをやらなければならぬと思いますから、とりあえず頭を出したという程度の、これは段階と思っております。それで、おっしゃるように、もう欠陥だらけなことはよく承知いたしておりますが、しかしこういう方向に努力を払うということは、少くともここで打ち立てることによって、将来これをどういうふうに拡大強化していくか、これはこの法律の趣旨に沿って努力を払いたい、こういうことでございます。欠陥だらけであります。それから待遇等もこの法律の目的に合う——医学総合研究所ですか、これの待遇もありますけれども、なお進んでは原子力研究関係のグループの東海村寺におけるいろいろの環境から見てみまして、なかなか優秀な人を集めるに足るだけの条件がそろっておらぬ。これは将来大いに考えなければならぬ。なお早急に解決をしなければならぬ。もう少しほんとうに研究にふさわしいだけの待遇を与えなければならぬ。それだけの努力はいたすべきである。こういうふうに考えております。
○滝井委員 実は、こういう機関というものは、発足の当初が大事なんです。こういう大きく総合研究所と銘打って、そうして、その構成がわずかに四十人だということになると、ここの技術者はどういう姿になるかというと、事務屋になってしまう。そうしますと、技術を扱う人が事務屋になったら、これは研究所はおしまいです。たとえば日本の農協あたりをごらんになると、大臣は実業家だから御存じだと思うが、日本の農業技術を振興させるために、各農協に技術者を配置した。ところがその農協の技術者はどういう姿にあるかというと、農業の技術指導はやっていない。農協の予算その他補助金が少かったりして縛られるので、農協の技術員はみな事務屋になっている。あるいは現在医学関係で保健所がございます。保健所の医者は技術者でなくなっている。事務屋になり下っておる。そこに行って自分の技術を生かされないために、全国の保健所の充足率は六割程度で、四割は欠員になっておる。行き手がない。二万、三万の待遇では行き手がない。従って、人数が少いということは、技術者が技術を生かされずに事務屋に転化して、本来の自分の天分が生かされない。こういう形が出てくる。私はこの放射線医学総合研究所がそういうことにならないことをぜひ望まなければならぬと思う。と申しますのは、大臣御存じの通り、この原子力平和利用あるいは放射線の障害というものは、新しい分野です。従って、これは物理学の分野においても、各大学が競って研究することは、火を見るよりも明らかです。同時に、これは生物学の分野においても、遺伝その他の密接な関係が出てきましたかり、この分野においても新しい分野の開拓として、非常にはなばなしい研究か今後行われると思う。それから、化学の分野においても同じです。そうしますと、これは各大学が基礎的な研究をやっていないからこれを作ったとおっしゃるけれども、各大学も基礎的な研究を臨床的なものと並行しながら、総合研究所がやると同じものを、各大学が競って今後やることは明らかだと思う。もしそれをやらなければ、各大学自身が、基礎研究がなければ、臨床上の治療ができないのだからおくれてくる。あるいは生物学界においても、その遺伝に及ぼす影響の研究等をやらなければ、今後の新しい二十世紀後半における科学技術、文化におくれをとることは明らかなんですから、やっていく。そうなりますと、ここで日本の総合的な医学の研究を集約するのだと銘打っても、ここにおる科学者が事務屋に成り下って科学的な権威を保てないということになれば、だれも相手にしないことになってしまうのです。私は発足の当初が大事だと思う。こういうものを政府機関として作るのですから、こういうところには、日本の第一線の新しい優秀な者を集めて、これはやはり日本の総合的な権威であるという姿を作るのでなければだめだと思う。その証拠には、各役所の中にある試験所とか研究所というものが、現在日本の学界でどういう位置にあるかということを見たらわかるのです。そこの手術者が、日本の科学技術を指導する立場にあるかというと、ないんですね。大衆は何といっても大学の権威を認めてきているということなんです。そうしますと、今後の新しい分野の開拓をするために国費をつぎ込むならば、当初のあり方からよほどふんどしを締めてかからなければならぬと思うのです。その点について、大臣はここにくる手術者の持越、来年度からの御計画があれば、どういう御計画をもってこれを推進されるのか、その構想の一端でもお示し願っておきたいと思います。
○宇田国務大臣 それは、東海村における原子力研究所のこれからの指津育成にも触れることと思われます。お説の通り、優秀な技術者を集め得ないような研究所は、幾ら作ったって何の役にも立たないと思います。従って、どういうふうにすれば優秀な技術者が喜んでそこへこられるかということは、われわれはほんとうにこれに取り組んで行政指導しなければならぬものであると思っております。放射線医学総合研究所を東海村にまとめて持っていくのは、要するにリアクターをあそこに置いてそれを中心にして——原子力平和利用のための予算措置を十分にとって、持っていく土地は東海村であるということにとりあえずの計画ではなっておりますから、それに併置をすることが第一のねらいであったと思われます。それが大学を離れた場所に新しい総合研究所を生ました原因でありますが、ただそういうことのみが、研究する中心人物として優秀な者を集め得る条件とは考えておりません。従って、東海村の持つ特殊な条件はありますけれども、新しい国の将来を背負うだけのりっぱな技術員をここにたくさん求め得るかどうかという点につきましては、あなたのおっしゃる通りの非常な疑問を私も持っております。従って、来年の予算措置のみならず、民間の各方面とも打ち合せをして、万全を期すように努力いたしたいと思いますから、どうか御鞭撻をお願いいたします。
○滝井委員 ぜひそうしていただきたいと思います。 次にもう一つ私が疑問に思っている点は、「国立機関原子力試験研究費」として五億三千六百二十四万五千円が予算に計上されているわけです。その中の一億二千三百万円というものは、研究施設整備費として、たとえば国立遺伝学研究所とか国立公衆衛生院施設整備費、国立癩研究所施設整備費とかいう形で、科学技術庁の予算がトンネルの形になっているわけです。私がさいぜん構成整備のことを申したのは、ここにも関係があるのです。こういうように科学技術庁というものを大きく外に出した格好は出ておるけれども、その中身というものは実は何もない。手足はみなよそにあって、科学技術庁には通り抜け勘定みたいなニュアンスか強いのです。しかも一方には放射線内学総合研究所だけは別途に作られている。しかもそこの技術者はわずかに二十人そこそこで、六部にも分けて、一部には三人そこそこしかいかないという形である。こういう形でもし通り抜け勘定をやられるならば、思い切って 各省には各省の伝統としきたりがあるでしょう。ありますけれども、やはりここでいろいろ人体に関する基礎的な研究をやられるとするならば、遺伝なんというものは最も基礎的なもりです。そういうことをやられるならば、思い切ってそれを集めて、がんとした総合研究所を作るべきだと私は思う。それを何か通り抜けみたように作る。自分のところには小さなものを件って、ここで総合的にやろうということでは、どうも科学技術庁は世間的に大きくデビューしておるけれども、案外中はもぬけのからであったということでは、国民は泣いても泣き切れぬと思う。従って、こういう点でごまかしと言っては語弊がありますけれども、ここらあたりでこの際思い切ってメスを加えていく必要があるのではないかと思う。年々科学技術研究の予算はふえている。しかし、それはさいぜん申しましたように、ばらばらとまんべんなく至るところにばらまかれて、それがちっとも実っていない。実る情勢にないということは、嘆かわしいことだと思う。こういう点についても、私は来年度は再検討しなければならない段階がきていると思う。国立機関原子力試験研究費に五億三千万円も計上されているので、よほどの研究ができるかと思いますけれども、実質的にはばらばらで通り抜け勘定になっている。こういう格好なんです。こういう点について、どうお考えになっておりますか。
○宇田国務大臣 それは私は日本の姿かそうだと思っております。科学技術に対しいかに配慮が薄い国であるかということが、そういうただいまの状況になっていると思います。それは国際情勢の、少くとも経済の伸びの内容を見てみますと、そういうことでは国は進み得ない段階にきているから、やはり貿易の質的内容の変化あるいは国民の消費動向の質的変化に伴って、われわれは国策としてあなたのおっしゃるような方向に転換していかざるを得ない環境に入り込みつつあると思います。今までの過程では、科学技術は各省に分置しておけばそれで事は足りておったといった段階であったでしょう。しかし、イギリスのように、ミルというような人が動力大臣にならなければ、国の運命がそれによって開拓し得ない国もあります。先進国はそうなりつつあります。わが国もおそらくそうなっていくと思われます。燃料に関する大臣、動力に関する大臣が生まれてきて、国の経済の伸びに寄与するというところにいくだろうと思います。そういう点から見ると、日本が科学技術庁がやっとできたが、研究所は各省が分割してなかなかこれを放さないというようなことでは、国はりっぱに育っていくとは私は考えません。しかも科学技術に関する特別委員会が参議院にはまだできないというのが、日本の国会の実情であります。そういうふうな程度の考え方で、立法府は日本の国策を十分に検討していけるとも思えません。従って私は滝井先生のように超党派でもって自分の思うことを述べていただいて国家の前途に寄与していただくように言論を戦わすということは最も好ましいと思って来年、あなたのおっしゃるような線に沿って、十分われわれは役所の諸君と一緒に努力を払いたいと思います。
○滝井委員 大臣からなかなかいい御答弁をいただきました。もう時間がきましたから、これ以上はやめますが、ほんとうに科学技術庁というものができても、もぬけのからではしょうがないと思うのです。日本に生産性向上運動というものが起らないということは、結局日本が技術植民地になっているということなんです。それは、特許を諸外国から買ってきて、新しい機械の設備をやる。そうしますと、そごから失業者が出ることは当然なんです。ところが、その特許を外国から買う、その機械なら機械が日本の国内でできれば、そこに新しい職場が開拓されていくのだから、これは当然そう失業者というものも出てこない。ところが、技術植民地になっているところに問題がある。従って、そういう点は今後参議院にも作ってもらうように、これは与党がやりさえすればできることなんですから、一つ大臣、閣内でもあるいは与党の内部に対しても今の発言を強力に御推進になって、そういう形で私は急速に作ってもらいたいと思います。そして科学技術者というようなものをやはり設けて、総合的に実験所その他の統括できる姿を作らなければ、この状態で百十六万円とか九十七万円とか二百万円とかいう予算をばらまいて研究してくれと言ったって、絶対にできません。これは人件費、旅費その他で食われてしまいます。従って、私は、そういうことを要望いたしまして、一応質問を終ります。(拍手)
○菅野委員長 他に御質疑はありませんか——なければ両案に対する質疑は、これにて終了することといたします。 この際、日本科学技術情報センター法案に対する修正案が前田正男君外二十四名より提出されておりますので、その趣旨説明を求めます。前田正男君。
○前田(正)委員 この際、当委員会全員の皆様の御賛成をいただきましたところの修正案について、皆様全員の御了解を得まして、私が提案の趣旨を説明させていただきたいと思うのであります。 まず修正案文を朗読いたします。 日本科学技術情報センター法案に対する修正案 日本科学技術情報センター法案の一部を次のように修正する。 第二条中「自然科学を基礎とする技術に関する情報をいい、当該技術に直接関係する自然科学に関する情報を含むものとする。」を「科学技術(人文科学のみに係るものを除く。)に関する情報をいう。」に改める。 こういうような修正案を提出いたしたいと思うのであります。 まず科学技術という言葉の内容につきましては、先ほども齋藤委員からもいろいろと質疑がございまして、この内容のこまかい点につきましてはまだ不明確な点が多々あります。これはぜひ一つ今後政府関係その他関係者によりまして、定義を明らかにしなければならぬと思うのであります。しかしながら、科学技術庁設置法の任務におきましても、「科学技術の振興を図り」という場合の科学技術という言葉、及びこのセンター法案における第一条の「わが国における科学技術の振興に寄与する」というこの科学技術、これは科学技術のすべてを含めた広範なものであるということは明瞭であると思うのであります。ただ、設置法におきましては、その後の行政の範囲を一応限定しておるのであります。この際、本科学技術センター法案におきましても、科学技術情報という場合は、この法律案においてはその一部を制限するということはやむを得ないと思うのでありますけれども、しかし今政府が御提出になっておりますような定義で参りますと、実は自然科学と自然科学を基礎とするところの自然科学技術関係の情報は集めることができると思うのでありますが、最近の科学技術の進歩から見ますと、自然科準技術に関連いたしまして、人文科学の関係のものが相当できておるのであります。特に最近のオートメーションでありますとか、あるいは原子力の方面から生命であるとか、いろんな問題にどんどん入って参りまして、その関係の情報というものは全然政府提案の定義でいきますと収集することができないようなことになるのであります。そこで、私の方から修正案を提出いたしましたのは、これは人文科学のみの場合には、なるほど収集する必要はないと思いますけれども、自然科学の関係から、その関連として人文科学の必要なものは収集ができるということにしておかないことには、支障が起るのではないか、こういうことで、この法案におきますところの科学技術情報の範囲というものをこの際少し広げようというのでございます。しかしながら、この情報の運用に当りましては、政府間でもいろいろ調整されました通りに、大体この定義で書いてありますような範囲を主としておやりになるということについては、われわれとしては別に異論があるわけではございません。こういうように範囲を広げるから、広い範囲で情報センターを運営せよというのではありませんで、政府間で調整されました通り、政府提出の法案に書いてありますような定義の範囲において主として業務が行われるということについては、われわれは異論はないのであります。ただ、関連して、人文科学というものが出てきましたときには、その人文科学の情報を集め得るようにしておきませんと、事実上最近の科学技術の進歩の情勢に合わないのではないか、こういう点でわれわれは修正案を抽出したような次第であります。 なお、この際つけ加えておきたいと思いますのは、第二十四条にありますところの国会図書館その他の関係機関との協力という点については、この修正案を提出したから、その協力の仕方が変るということではありませんで、われわれがこの修正案を提出いたしましても、政府提案の法案に書いてあります通りに御協力願うということについては、何らの異論のないところであります。そういうわけで、全員の皆さんの御提案でありますけれども、どうか本委員会の御賛成を願いたいと思うのであります。
○菅野委員長 これより両法律案並びに前田正男君外二十四名提出にかかる修正案を一括して討論、採決を行います。 討論の通告がありませんので、これを省略、し、直ちに採決に入ります。 まず科学技術庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、採決を行います。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔総員起立〕
○菅野委員長 起立総員。よって右案は原案の通り可決すべきものと決し ました。 次に、日本科学技術情報センター法案につきまして、採決を行います。 まず、前田正男君外二十四名提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めま す。 〔総員起立〕
○菅野委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。 次に、修正部分を除く原案について、賛成の諸君の起立を求めます。 〔総員起立〕
○菅野委員長 起立総員。よって、本案は修正案の通り修正議決すべきものと決しました。 この際、志村茂治君より発言を求められておりますので、これを許します。
○志村委員 科学技術情報センター法案はただいま通過いたしましたが、このセンターの資本または資金の構成は、政府と民間との同額出資ということになっております。そういうところから、われわれはいろいろの事情を考慮しなければならないことにならざるを得ないと考えておるのであります。まず第一に、このセンターの設立の目的に沿って、あらゆる業者の間に平等にこれを利用してもらわなければならないと思うのであります。資金あるいは資本等の圧力によりまして大企業、大資本偏重の情報活動をするような危険があるのではないかということがまず一つ考えられるのであります。次に、この法においては、これは運営の仕方によっては十分に営利事業としても成り立ち得る性格を持っておるものであります。出資証券を発行したり、また利益の配分などというような規定もあるところから、この情報センターの活動が営利主義に墜落するような危険もまた感じられるのであります。こういうことは、また反面に、民間資本が入っておるということはプラスとなるべき——たとえば、この情報活動に対して協力を惜まないというような立場からプラスの部面も考えられるのでありますが、しかしこれはプラス・マイナス相殺すべしという考え方ではなくして、マイナスの点についてはわれわれは十分警戒しなければならないということから、ここに私は附帯決議案を提案いたしまして、皆さんの御賛成を願いたいと思うのであります。 まずこの案文を読み上げます。 附帯決議 政府は、日本科学技術情報センターの監督に当っては、科学技術の振興に貢献せしめるため、営利を排し、その公共性に徹するよう、特に留意すべきである。 どうぞ皆さんの御賛成を得たいと思います。
○菅野委員長 ただいま志村茂治君より、日本科学技術情報センター、法案につきまして、附帯決議を付すべしとの動議が提出されました。本附帯決議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔総員起立〕
○菅野委員長 起立総員。よって、附帯決議を付することに決しました。 この際、宇田国務大臣の発言を許します。
○宇田国務大臣 ただいまの附帯決議の御趣旨の、日本科学技術情報センターの監督に当りましては、科学技術の振興に貢献せしめるために、営利を排することと、公共性に徹するように特に留意をいたしたいと存じます。 ただいまあわせて御意見がありましたように、中小企業者の活用を期するということ、零細企業者等を含めて科学技術の研究に関する組合等の結成をはかりまして、たとい民間から一部の寄付を仰ぐことがありましても、そういうことによって大多数の研究の機会、情報獲得のための機会を失わないように、行政指導は十分留意すべきものである、こう存じますから、その点はなお今後よろしく御指導、御鞭撻をお願いいたします。
○菅野委員長 この際、お諮りいたします。ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○菅野委員長 御異議なければ、さよう取り計らいます。 本日はこの程度にとどめます。次会は十九日、午前十時より開会いたします。 これにて散会いたします。 午後零時十二分散会 ————◇—————