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25回国会参議院1956/12/06

予算委員会 第3号

発言数
127
登壇者
19
会派数
4
開催日
1956/12/06

会議録

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) ただいまより委員会を開会いたします。  昭和三十一年度予算の執行状況に関する調査を議題といたします。順次質疑をお願いいたします。  つけ加えて申し上げますが、総理の出席は約一時間ということでございますから、そのおつもりで御質疑をお願いしたいと思います。  なお、総理は御不自由なおからだでございますから、すわったままで御答弁願うことに御了解を願います。  順次御質疑を願います。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 鳩山総理に。本臨時国会も、本日をもって終了することになっていましたが、本日午前の委員長の御報告によりますと、政府との方から本国会を延長するような、要請があったやに聞いたわけですが、この国会の会期の延長について、自由民主党内におきまして、この会期の延長の理由といたしまして、まず一つは、どの会派とは申し上げませんが、ある会派は、会期を延長した方が、やがて行われる総裁公選における主導権確保に有利である、どういう理由かしりませんが、それが一つと、もう一つは、主導権確保のためには、新聞紙上にも、あるいは雑誌その他にも、あるいは一般の世評でも伝えられていますが、有力な総裁候補の三省のうち、それぞれ億をこす単位の資金を必要とする、そういうようなことから、次期総裁候補が総裁になるために、電気産業、石炭産業と結びついて、そしてその資金の調達をはかっている、そのために、どうしてもスト規制法を通さざるを得ない独占資本からの絶対的な要請がある。そして、委員会の審査を省略して一挙に本会議でこれを通過しようとしたのも、その石炭電力産業に対するゼスチュアであり、本国会を延長しても、ぜがひでも通そうとされるのは、主として、そういう党内主導権の争いの具に会期の延長がもてあそばれているではないかというふうな風聞が伝わっているわけであります。特に、石炭産業、電力産業等からの巨大な政治献金とからんで、この会期延長が云々されているという風説がしきりでありますが、総理とされては、そういうことに対して御案内でしょうか、御所見をお伺いしたいと思うわけであります。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) ただいまあなたのおっしゃったようなうわさについては、私少しも関知しておりません。ある候補者が主導権確保のために会期を延長するというのは、ただいま初めて聞いたのであります。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 鳩山総理が念願とされます日ソ交渉に一切の政治生命をかけられ、清廉な晩節を望まれる総理とされては、そういうことは私も毛頭疑いませんしいたしますが、しかし、御案内のように、昭和二十八年、スト規制法ができました際に、やはり、電気、石炭産業から保守政党に対して莫大な政治献金がされているという説が流布されておったのです。ところが、それは巷間の浮説にすぎないということが言われておったわけですが、私の所属いたします地方行政委員会に提出された政治資金規正法に基く資料によると、その膨大な額が、電気工業経営者会議、電気事業者連合会、石炭協会、日本石炭連合協会から五千万に近い金が献金されておる。そうして、昭和二十九年には、わずか八百万に減っているわけであります。当時、スト規制法が強行された。その通過が強行されたことは、当時のいろいろな説が必ずしも巷間の浮説ではなかった、さらにまた、造船利子補給法案が国会で難航した際にも強行され、そうしてその後造船疑獄が起きたことは御案内の通りであります。われわれとしましては、この重大な国会の会期が主導権争いやそういうことのために、労働者の持つ基本的な権利を制限するようなスト規制法を会期を延長しても強行突破されようとすることに対しては、重大な関心を持って強く反対するものであります。特に、総裁公選ということもからんでいろいろないまわしい風聞が伝っています。これらのすべてを信じようとはしませんが、清潔な、廉潔な政治を打ち立てますには、やはりそういうものがあってはならぬと思われますので、私は、昭和二十八年造船利子補給法案が出たときのように、三たびそういう轍がないように総理に強く希望するものであります。これに対する御所信をお伺いしたいと思うわけであります。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) そういうようなうわさもスト規制法との関係において私はまだ聞いておりません。ないということを信じております。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 今後政局がどう変るか、われわれの予測は困難ですが、しかし、今の状態でありますと、明年度は、四月一日から通常予算を実施することができぬで、あるいはひょっとすると、暫定予算を組まざるを得ない事情になるではないか、もしそういうことになりますと、政府各関係機関、地方公共団体、日本経済に対する影響が非常に多いと思うわけであます。総理は、近く日ソ共同宣言の批准を機に隠退されるやに仄聞いたしていますが、やはりそういう支障のないような手順をとっておかれますことは、鳩山内閣として、予算編成期を迎えて重大な国民に対する責任ではないかと思うわけですが、総理大臣並びに一萬田大蔵大臣のその見通しについて一つお伺いしたいと思うわけであります。暫定予算なしに果してやり得るかどうか。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(一萬田尚登君) お答え申します。ただいまのところ、予算編成の作業も順調に進んでおります。今、来年度の予算は暫定予算になるという考えは毛頭もっておりません。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 御所信のほどはお伺いいたしたのですが、昨年度の、第二次鳩山内閣が編成されました昭和三十一年度の予算編成の経過を見ますると、なかなか一萬田大蔵大臣が言われたようにいくかどうか懸念せざるを得ないわけであります。たとえば、三十年の十二月十九日に自由民主党の予算編成方針がきまり、政府の方針は十二月二十五日にきまり、大蔵省は十二月三十日に一兆二百九十六億の予算案を閣議に出し、そうして鳩山総理が一月十九日に裁断をされ、一月二十日に一兆三百四十九億の予算がきまって、なかなか長い経過をたどっておるのですが、この十二月二十日に通常国会が召集され、首班指名がスムースに行われたといたしましても、なかなか困難ではないかと思うのですが、重ねて一萬田大蔵大臣にお伺いします。昨年の経過と関連して。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。予算編成の今後の過程についていろいろと憶測といいますか、ああも、こうもといろいろ考えれば、これはいろいろの結論が出ると思いますが、今、予算編成の作業をしておる私としましては、今御心配のように来年度の予算において暫定を組まなくてはならぬというふうには今の段階では考えておりません。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 一萬田大蔵大臣にお伺いいたしますが、日本経済の現況は、昭和三十一年度の予算の編成当時とは非常に好転していますが、本年度の国民所得、それから本年度の歳入の実収高、租税及び専売納付金等の予想、推計です。また明三十二年度の国民所得はどういうふうに伸びていくか、また、税法を現行のままといたしますなら、本年度に比べてどれだけの伸びが税収で予想されるか、そういうことについてお伺いしたいと思います。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(一萬田尚登君) ただいまの御質疑に対しましては、具体的に数字をもってお答えしなくてはならぬと思っておりますが、今、私この数字を正確にここに持っておりませんので……。ただ、この国民所得もむろん相当の増大をいたすことは予想されるのであります。また従って税収入もふえる、これはいかほど税収入が的確にふえるかはもう少し経過を見ないと必ずしも言えないと思いますが、まあたとえば三十一年度の会計年度にしましても、少くとも私は五百億を下らざる増収はあるだろう、かように考えて、三十二年度においても、従って相当一般に言われておる千億は下らない増収を見るだろう、かように考えておる次第であります。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 もう五分しかありませんので何ですが、もっと一つ、この予算委員会に当局を呼び出して、前もって連絡してあるのですから、昭和三十一年度の十月末の租税や印紙収入等の調べ等から推計すると五百億を下らざるという表現ですからいいわけですが、それはもう少し、やはり私たちがいろいろの見通しを立てるために一つぜひとも直ちに事務当局を呼んでいただいて発表していただきたいと思います。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(一萬田尚登君) 数字でありますので、政府委員からできるだけのことを答弁させます。

原純夫大蔵省主税局長

○政府委員(原純夫君) 補足して御説明申し上げます。本年十月末の租税及び印紙収入の収入実績は四千九百九億円であります。これは一般会計分だけであります。前年の同じ時期に比べまして六百五十三億円ふえております。年度間で幾らふえるか、その後九月決算を映しまして最近の税収というものは非常に大きく伸びておりますので、さらにこれよりも大きくふえるだろうと思います。ただしこれは前年の実績に対する増でありますから、予算が前年度よりふえておりますから、ある程度はふえるのは当然必要である、予算の増が約三百六十億でありますから、そういうような数字を引いて考えなければいけないわけであります、それに最近の増、さらに今後の増を見込みますれば、ただい左大臣から申されましたように、本年五百ではとてもきかないと思います。六百、七百、あるいはもっとの数字になるかとも思います。確定的な数字につきましては、なお私どももう少し検討を重ねまして、しかるべき機会に申し上げたい、来年度も、ただいま大臣は千億はあると言われましたが、それを相当大きく上回ると思います。何分最近の経済の好況が相当急ピッチで税収に出てきておりますから、そういうようなふうに考えております、これらにつきましてもなお検討を重ねまして、いずれしかるべき時期になおはっきりしたことを申し上げたいと思います。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 国民所得の推計……。

原純夫大蔵省主税局長

○政府委員(原純夫君) 国民所得の数字は、これは経済企画庁が中心になってやっておられますが、私ここで、税の方にも関係あるという意味で受け売り的に申し上げたいと思います。よく基礎数字が動きますので、これが最近の数字かどうか若干保証しがたいのですが、少くとも一ヵ月前くらいの数字では、三十一年度の国民所得の見込みが七兆四千九百三十億ということになっております。三十二年度はこれに対して七兆九千四百三十億というのを一応の見込みとされております。ただしこれは政府として練った上正式に申し上げるというのではなくて、一応何と申しますか、試みに数字をはじいたところが、そうなるというような数字と承知いたしております。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) 中田君、もう時間であります。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 相当伸びがあるようですが、これを明年度の予算に組んで再配分するよりも、人事院の勧告等もあったのだし、やはり補正を組んでベース・アップし、さらにこれまでの国民の重い税負担があったのだから、来年度の税制改革を待ってということでなしに、やはり第四四半期等で減税措置等はできませんか。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(一萬田尚登君) そうしまして、税の自然増収が相当多額にある、これはどういうふうに考えるかということになりますが、私は今日の日本の経済の状態から見まして、ここで自然増収があって、歳入がふえたから、これをすぐ歳出に充てて使っていく、こういうことは厳に私は慎しむべきである。こういう場合においては慎重の上にも慎重に取り扱うべきである、かように考えておるわけです。減税のことにつきましてはこれはただいま臨時税制調査会に諮問をしまして、三十二年度におきまして大幅な減税を実行しよう、かように考えております。これは私はやはりいろいろな角度から考えなくてはなりませんが、三十二年度の減税に見込むのが適当であろう、かように考えております。なお、この給与関係につきましては、先般人事院の勧告がありました。政府といたしましても、人事院の勧告をできるだけ尊重すべきであるという方針のもとで、ただいま検討を加えておるわけであります。その検討の結果を待ちまして善処いたすべきことは善処いたします。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 自治庁長官にお伺いしますが、地方債が大体五千二百億くらい累積していまして、毎年度の償還額が発行額よりも、許可額よりも多い、このことが地方財政のガンになっているようであります。再建整備法を適用し、昇給昇格をストップし、人員整理をし、公共事業を圧縮して収支のバランスをとっても、どうにもならぬ大きな壁として毎年七、八百億の償還を要する地方債がガンとなっていますが、これに対して明年度根本的な対策を立てずして、地方財政の健全化は不可能だと思うのですが、これに対する太田自治庁長官の御所見をお伺いしたいと思います。  それともう一つは、昨年の春地方公務員が国家公務員よりか給与単価が高いということで、厳重な調査をやってその結果もみたのですが、最近は私の伝え聞くところでは、むしろ国家公務員よりか低いということを承わっておるのですが、調査もされているやに聞いておりますが、国家公務員に比較しての計数的にどういう水準にあるかということもあわせてお伺いいたしたい。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○国務大臣(太田正孝君) 地方財政における地方債の第一の問題でございますが、お示しの通り非常にむずかしい段階に来ております。五千二百億というお言葉がございましたが、大まかに申して五千億見当、いろいろ単独事業とか何とかいうこともございますが、まあ五千億と見ましてこの元利償還などの関係はお示しの通りでございます。これをどうするかという、こういう問題でございますが、実際は地方債の問題は過去の地方債をどうする、今後も地方債によらなければならぬものがあるが、これをどうするか、こう二つに分けられるかと思います。お示しの過去の地方債は、本来の財政の筋を追わなかったがために生じたと私は見ております。すなわち一般財源によるべきものを地方債によった。地方債の適格性でないものにも地方債をもってきた。その額が非常に大きくなってきて今日になったと思います。従ってここを考えなければ、財政の原則に基いて一般財源によるものを一般財源に、地方債によるものを地方債に、いわゆる適格地方債、同町にその起債の条件等も考えなければならぬのでございます。私といたしましては、この旧債を処理するについて、無理に一般財源によるものを地方債に押しつけたものがはっきりしておるものが少くありません。この問題を解決しなければ、元金の問題も片づきません。同時に利子の問題も非常に大きくなっておりまするので、元利を合せまして旧債については、この観点から処理しなければならぬと思っております。将来の、これからやる問題につきましては、やはり償還能力というものを考えて、地方債によるべきものはその限度をはっきりしなきゃならぬ。一般財源でなく地方債によるのがしかるべきものと思ったものに地方債を認めていく。しこうしてその償還の能力のあるかないかということは非常な大きな将来の地方債をきめる点になると思います。同時に利子の点あるいは償還期限の点等につきましても合理的に考えていかなきゃならぬ。大へん利子が高うございまして、ことに地方債の立場からいえば低めてもらわなきゃならぬものがございます。これは国家財政の建前からも、国家金融の建前からいたしましても、大蔵省等におきまして利子の下がる傾向に出ておりますが、特に地方債についてはその点を考えていかなければならぬ。また償還期限についても考えていかなきゃならぬと思います。要するに財政の基本原則によりまして、一般財源によるべきものは一般財源によって、地方債によるべきものは厳格なるワクのうちに考えていかなきゃならぬということをもとにして、旧債につきましても、新しいこれからの地方債につきましても、この判断のもとに解決すべきものと思っております。いかにも額が大きゅうございますし、そのうちで特に一般財源によるべきものを地方債によった。それが今日の地方財政の一番ガンになっておりまするので、この点に手を触れなきゃならぬと思っております。私どもとしても予算の建前からも財政当局とそれぞれの交渉はしているところでございますが、考え方としてはかくあるべきものと思っております。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 計数的に一つ。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○国務大臣(太田正孝君) 第二に地方公務員の問題でございますが、現下の地方公務員の給与というものは国家公務員に比べて水準がどうか、中田委員のお言葉ではむしろ低いじゃないかというようなお言葉でございました。人事院の勧告は地方公務員は国家公務員よりも高いというように書かれております。もし昨年の、すなわち昭和三十一年の一月十日を基準として調べましたあの大規模の調査の結果、統計として現われたものは、国家公務員よりも高くなっております、平均でございますが高くなっておる。しかるにこの三十年一月十日以後、すなわち昨年から今年大ざっぱにいって二年間にいかなることが地方財政の上に起ったかと申しますと、すでに世間でも御承知の通り私は大分地方財政は引き締ったと思っております。その引き締ったということは、人件費に関する限りにおきまして、あるいは昇給をとめますとか、あるいは遅らすとかいうような事実をもってしております。さらに新陳代謝その他の人件費の合理化をはかっておりますが、その結果といたしまして、これは相当にきびしいものでございましたので、現状におきましては、昭和三十年一月十日現在では地方公務員の力が平均的に高かったものがあるという事実を認めますと同時に、この二年間の結果は現状ではどうかと申しますると、この前のような詳しい調べはできませんけれど、今申しました判断に間違いないといたしまするならば、大まかに申して、国家公務員と地方公務員とは大体似た水準になったのではないか、低いということは私まだ言い切りません、少くとも同額になっているのじゃないか。もちろんある地方団体においては国家公務員より高いものもございます。同時に市町村等におきましてはずっと低いものもございます。達観いたしまして、昨年一月十日現在の計数は国の大規模な調査によって権威的に調べたもので、あの通りでございます。当時平均的には地方公務員は高かったが、現状においては大体同じような水準にあるのではないか。これが私の判断でございます。まあ間違いない判断かと思っております。  なお、財政についての数字は、財政部長からお答え申し上げます。

中田吉雄日本社会党

○中田吉雄君 五十円ぐらい低いんじゃないんですか。

小林與三次自治庁財政部長

○政府委員(小林與三次君) 今の、公務員のベースを計数的にというお尋ねでございましたが、今大臣から答弁がありました通り、現在の実情は精細に調べたわけじゃございません。ただ、各県の昇給延伸の状況とか、そういうものの資料は相当集めております。しかし、これも具体的にどれだけどうしたかということは、二年間を通じて見なくちゃなりませんので、正確なことは必ずしも断言はできませんが、一般の府県におきましてはもう大差がない、あるいは所によっては低いところも多少出ておるのではないかと思います。三十年の一月現在の調査の場合でも、府県のうちには必ずしも高いとは言い切れないものも、それはあったのでございます。どれだけの金額が低いかということは、申し上げるだけの資料は持ち合しておりませんが、一般の府県におきましては、もうとんとん――同じだということは言えるのじゃないかとこういうふうに存じております。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) 千田正君、御質疑を願います。

千田正無所属クラブ

○千田正君 私は、きわめて短かい時間しかありませんので、端的にお尋ねいたします。  特に総理大臣にお尋ねいたしますのは、今度日ソ条約がいよいよ批准になりまして、日本もやがて国際連合に参加する好機をつかんだのでありまするが、国際連合に参加すると同時に、日本の立場は、非常に重大なかつまた微妙な立場に立つと思うのであります。それは何かといいまするというと、いわゆるこの東洋におきまして長い間のわれわれの同族のように考えられておりましたところの台湾政権とただいまの中共と、この二つの問題が当然日本にとって善処しなくちゃならない立場に立たされると思うのでありまするが、総理大臣としましては、この日ソ条約の批准とともに来たるべきこうした問題に対しましての御所信を承わりたいと思うのであります。すなわち、二つの国を同時にわれわれが慰めるかどうかという問題が重点であると思いますので、この点は総理大臣と外務大臣にお伺いしたいのであります。  もう一つは、国内問題につきまして、これは私ばかりじゃなく同僚諸君からもしばしばお尋ねしていると思いまするが、この七月以来国会が開かれないままに本日まできておったその間に、国内においては幾多の災害が起きておるのであります。特に最近著しくわれわれの心を打ち、かつまた国民の不安にかられておるのは、北海道、東北地方の冷害と、しかも最近の新聞紙上に伝えられるところによると 北海道においては婦女子その他の人身売買までも行われるような状況に立ち至っておる。これは、とりもなおさずその間におけるところの政府の施策が十分でなかった、これはどうしても鳩山内閣の一つの大きな責任であると私は考えるのであります。特に国内対策のうちにも、鳩山内閣の公約でありますところの社会制度の確立という点から見ましても、こういう問題は特に善処しなくてはならない。あるいは地方自治団体の財政の関係から見ましても、国民健康保険等に関するいわゆる自治団体の負担の削減と、こういう問題もからんでおりますので、この点を鳩山首相の所信を承わっておきたいと思うのであります。  この二点の中の最後の社会不安の点にもう一つありますのは、毎年心々繰り返して私はこの予算委員会であなたにお尋ねしておるのでありまするが、毎年卒業するところの大学の卒業生、あるいは、高等学校の事業生が、卒業しても職にありつけない。完全雇用が鳩山内閣の方針であるとするならば、少くともこうした青年諸君の就職という点においては特に留意していただかなければならぬのでありまするが、この際、この点を公約をされておる立場上からの総理大臣のお言葉をちょうだいしたいと思うのであります。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 最初は二つの中国の問題についてでしたね。

千田正無所属クラブ

○千田正君 ええ。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) わが国といたしましては、中共との国交の正常化、これを望むことは当然でありますが、二つの中国の問題が本件解決の前提となっているために、きわめて困難な問題となっていることはまことに遺憾に思っております。  それから中国を――国連に加入の問題でありましたのですね。中共の国連加盟の問題は、今次の国連総会には持ち出さないということに決定されていますから、ソ連側が持ち出すことはないと思っております。  それから、健康保険のことについては厚生大臣から答弁させます。

千田正無所属クラブ

○千田正君 外務大臣からのお答えも総理大臣のお答えと同じでございますか、この二つの中国の問題につきまして。――それでは、もう一つこれは外務大臣にお伺いするのでありますが、先般の本会議におきまして、政府側から、あなた方から、この日ソ条約に対しての批准を求めるの御発言がありましたときに、私のあるいは誤解かもしれませんが、ちょっと食い違いがあったと思うのであります。それは日ソ漁業条約というものは暫定措置である、批准後においてこれは本条約にかわる、かわった場合においては、十年間は動かせないと思うと、これは外務大臣が御答弁になっておるのです。ところが外務農林合同委員会におきましては河野農林大臣からは、これはあくまで暫定措置であるからこの条約がやがて日ソ漁業委員会等において十分改善の余地が残されておる――非常にそこに私は矛盾を感ずるのでありまして、この点は、この際明らかにしていただきたいと思うのであります。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) その点は、何か誤解がその間にあるのじゃないかと思いますが、きわめて実は明らかなことだと思います。今御審議を願った漁業条約は十年の期限になっております。十年間は暫定ではございません。十年間の後にはこれは交渉によって改訂されるかもしれません。その条約において漁業委員会というものがあって、その漁業委員会には毎年の漁獲量等をこれで決定する。こういうことに相なっております。そこで、暫定という意味は、その漁業条約が批准になって行われる以前の漁獲量についてきめたことがございます。それを説明されたことと思います。しかし、その後に、この条約の適用をみまするときには、その条約によってすべて規定されるわけでございますから、この条約は十年の期限を持っておる、こう申し上げていいと思います。多分御了承下さると思います。

千田正無所属クラブ

○千田正君 外務大臣のおっしゃられるのは、暫定処置は、いわゆる早くいえば、予備暫定条約であるから、これは批准後においては、本条約にかわった場合には十年間この条約に基いて、一切の問題を解決する。こういうわけでありますが、河野農林大臣のお答えは、私は誤解しておるかもしれぬけれども、多少その点が、漁獲の問題あるいは領海の制限の問題、その他につきましては、今後にいろいろ問題があるとしても、それは調整も、あるいは改変もでき得るがごときお答えがありましたので、きょうは農林大臣がお見えになっておりませんので、その点はあらためて農林大臣からお伺いしますが、一応外務大臣の答弁はそれで私は了解しておきます。  それからもう一つの外務大臣にお答え願いたいのは、最近日米貿易を通じまして、アメリカ側のいわゆる産業界が日本の繊維品の進出というものに対して、極力これを制限しようとしておる。申し上げるまでもなく外務大臣は御承知と思いまするが、本年アメリカの下院における歳入委員会のボックス議員から提唱されたボックス小委員会、いわゆる日米間の貿易の問題、あるいは日本とソ連並びに共産国との間の通商を調査研究するという題目のもとに、アメリカ側におきましてはボックス小委員会なるものが作られて、そのときの予想としては、本年の年末、いわゆるこの十二月、アメリカ側からそうした通商関係を調査しに来る。こういうことが一つの情報として新聞等に伝えられております。軌を一にしまして、最近日本の繊維品はアメリカ側からボイコットをされておる。これは日本の繊維品の生産あるいは輸出という問題、これは非常に重要な問題でありまするが、この問題に関する限りわれわれとしてもあれすることはでき得ません。それでこの繊維品の輸出がかくのごとく制限され、しかもようやくガット加入をした今日において、ガットとの問題の関連において、これは今後の所信を明らかにしなければならない。われわれはかように考えますので、外務大臣からお答えをいただきたい。と同時に通産大臣がおられるならば、通産大臣からもこの点に対して、日本国内の輸出産業に対する重大な問題についてのお答えをいただきたいと思うのであります。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 最近綿製品等について米国の輸入制限運動が活発化いたしておることは事実でございまして、まことに遺憾でございます。政府といたしましては、すでに昨年来その傾向を防ぐために、すなわち輸入制限法というようなものが向うにできないというように、政府筋はむろんのこと、その他の方面に向ってできるだけ手を尽してはおる次第でございます。綿製品に限らず、対米輸出について非常に問題が多い商品については、日本側において自主的にも輸出調整措置を講じて、できるだけ制限法の成立しないように努めておるような実は次第でございます。特に綿製品の問題はやかましいのでございますが、日本のこれに対する自主調整の努力は十分アメリカ政府にも了解せしめており、また了解しておるのであります。かような双方の努力によりまして、結局日米の貿易の問題は調整ができるものと今信じて、そして努力いたしておる次第でございます。

千田正無所属クラブ

○千田正君 今の外務大臣のお話でもありますように、非常にこれは大きな問題でありますので、通産大臣からお伺いいたしますが、日米間におけるところのこの綿製品の輸出に対する制限交換文書があるはずでありますが、それによって国内の産業が一応制約される。アメリカへ対する輸出が制約され、綿に対してのアメリカ向けを、さらにいずれかの国に向けなければならない。それがまた一つの問題になって、たとえば今のボックス委員会は、これはむしろアメリカに輸出しない分は共産側の方に流れるのじゃないかと、こういう懸念をボックス委員会がもって日本に調査しにくるという問題が、われわれの耳に聞こえてきております。こういう点におきまして、通産大臣の政策としまして、アメリカに輸出できなかったところの綿製品は、しからばいずれの国に向けてゆくか、あるいは国内の生産を抑えて、果してこの際において、産業振興を叫ばれておる今日において、それが制限された場合にどうなるか、こういう問題が私は国内の産業に相当影響があると思いますので、通産大臣からの御所信を承わりたいと思います。

石橋湛山自由民主党通商産業大臣・経済企画庁長官事務代理

○国務大臣(石橋湛山君) アメリカに対する綿布の輸出制限の問題はただいま交渉中であります。外務大臣から答えられたように、大体その交渉は双方の便宜のようにまとまると信じております。まあどこの国にもあることで、同じ種類の品物の生産者から、外国の品物が入ってくることに対して苦情がある。これは双方の、そういう当業者の反対に対しては、ただいまの場合、アメリカの政府と日本の政府とが協力して、さような反対になるべくならないようにするという必要がありますので、できるだけ日本側としても協調的な態度をもってアメリカ側の政府と話し合いまして、適当に数量その他の制限を行おう、そうして当業者の反対を鎮めようという方法をとっております。これは幾らかでも規制をすれば、それだけ日本の輸出が減るわけでありますが、これは日本側の当業者も十分打ち合せて、ただいまやっておりますから、日本側の綿布業者にはなはだしき打撃を与えるようなことのないようにできるものと信じております。で、万一その生産がなお余りましたという場合には、これはよそへ輸出する必要があります。これは共産圏であろうとどこであろうと、輸出して一向差しつかえないものと考えております。品物によってはどこの国にも向くというものでありませんから、相当市場には制限を受けるでありましょう。今制限しようというものの中には、たとえば中共向けなどには適品があるようであります。そういうものはむろん中共へ向けて輸出して一向差しつかえないものと考えております。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 ちょっと関連して。外交方針の質問をやっておるわけでありますが、最初の二つの中国の問題に関連して鳩山総理にお尋ねいたしておきたい。それは日ソ共同宣言を審議しております外務委員会の席上、総理は、中国といえども内政に干渉するつもりはないが、中国との国交調整という問題について、蒋介石総統に手紙を出して、北京政府と仲よくしてもらいたいという、こういう手紙を出した。それから周恩来首相に対しても、台湾政府との間に何と申しましょうか、双方で話し合ってもらいたい、こういった話を人を派して話をした、こういう御答弁がありました。時間がございませんでしたから、明らかにまだならずにおりますが、これは中国の今あります北京政府と台湾政府との間、双方の間でこれは方向がどういう方向であるかわかりません。北京政府から話しかけましたように、蒋介石総統を北京政府の重要な地位に迎えるからといったような具体的な点はなかろうと思うのでありますが、双方の間で話し合って、一つの中国になってもらうようにという御趣旨でありましたかどうか、二つの中国のお話が出ましたから、この間の御答弁の真意、真相をもう少し御説明を願っておきたいと思います。最後にお尋ねいたします。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 私は、ただ北京政府とそれから台湾政権と相争うということは非常にばかばかしいことだと思いますから、仲よくなるような方法を考究してもらいたいという、ごく抽象的な意味でございます。

千田正無所属クラブ

○千田正君 最後に総理大臣と大蔵大臣にお伺いいたします。それは引揚げ問題でありまするが、今度の日ソ交渉によって、ようやく抑留されておる戦犯者も釈放される、まことにわれわれも同慶の至りに感じますが、同時に、過去において軍人、軍属の身分でない人たちが、この終戦のまぎわに、中共地区あるいはソ連地区において相当の犠牲者を出しております。名前は行方不明者という名前にもなっておれば、あるいは戦没という名前にもなっておりまするが、実際国内の対処方針としては、戦死者という仲間に入っておらない、非常に、早くいえば当時のいわゆる地方人と称せられる人たちが、相当なくなっております。こういう人たちの遺族その他に対する処遇は、国内においては行われておりません。こういう問題をこの際、日ソ条約が結ばれた際に特に考えてもらわなければならないと思いますので、総理大臣にこの点を特にお考えを願いたいと思うんであります。しかも現在においては調査不十分のままである。それで、その遺族の人たちが相当おりますので、この問題を一つ考えていただきたい。この点が第一点であります。  それから大蔵大臣にお伺いしたいのは、在外財産処理の問題、これは申すまでもなく、日本の憲法にあります通り、戦争におけるところのこうした在外財産の問題が、相当大きな問題になっております。ところが、今度の日ソ条約におきまして、個人の財産の請求権は放棄しておる。ことに樺太地区から引き揚げてきた人たち一万四千名、先般の衆議院の特別委員会におきましては、大蔵当局はその人たちの財産は、大体二十億であるということを発表なされておられる。一体その二十億というのは何を基礎として御発表になっておられるのか。衆議院の議事録を見ますというと、河野局長からそういう御答弁があります。で、二十億というのは何を基礎にしておるのか。当時の二十億、昭和二十年、二十一年の二十億だとするならば、今日におきましては二千億である、二千億を十分に政府は考えておられるのかどうか、この点を一点お伺いいたします。と同時にもう一つは、在外財産の補償の問題につきまして、先般政府におきましては、これの審議会に対して十分の案を練るようにということを要請しておったようであります。この間この在外財産の要求の各団体の会合の席上におきまして、自由民主党の岸幹事長あるいは大野伴睦氏、そうした自由民主党の政党の領袖は、この問題は必ず解決する、立法措置をしても、鳩山内閣がかりにかわったとしましても、保守党内閣において十分にこの問題は解決してやると、こういうことをこの人たちと確約しておられる。しかし政府の代表でない人たちから、そういうお言葉だけを承わって安心するわけではないのでありまして、大蔵当局の大臣であるところの一萬田蔵相から、一体この問題は果して自由党の領袖が国民に答えたごどく、政府機関であるところの大蔵省としましても、それに対処するだけの補償をなす考えがあるかどうか、この際はっきり御答弁をいただきたいと思うんであります。  この二点、最初に、鳩山首相からお答えを願っておきたいと思います。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) ただいまの御質問は、今度まあ未帰還の人が帰れるようになったけれども、軍人でない人でまだ住所も不明だとか、あるいは不平にして死んだ人、そういう人に対して、政府としてはどういうことを考えているかという御質問でございます。これはせっかく抑留者がみんな帰ってくるときに、帰れない不幸な人々に対しては、慎重な考慮をしなくちゃならないと思っております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 総理のそのお考えはまことにけっこうでございますが、実際全然、たとえば厚生省の処置の対象になっておらない人たち、たとえば婦人の方々ですね、当時いわゆる敵と称せられた軍隊が来て、そうして婦女子をその接待に要求された場合に、行けなくって、ほかの婦女子がかわって行った。そうしたいわゆる敵軍の接待におもむいて、そのまま帰らずに、いずれかで行方不明になって死んで行ったこの人たち、軍属でもあるいは軍人でもありません。日本の正常なる奥さんやお嬢さんたちを救うために、自分らが身を挺して死んで行った、いわば今日で言えば売春婦の一種の人たちである。あるいは看護婦の人たちでも、そういうような人たちがあります。そういうふうなむざんな死に方をした人たち、あるいは戸籍の上においてはまだ未成年の人たち、こういう幾多の犠牲者があります。この調査が十分でないために、それに関連を持つところの肉親の人たちの要望は、また切なるものがあります。この問題を十分にお考えを願われて、そうして御処置を願いたいというのが私の要望なんであります。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) そういうような不幸な人々があることを私も直接聞いたことがあります。ぜひ慎重に考えたいと思っております。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(一萬田尚登君) 在外財産の問題についてのお尋ねと思いますが、この問題につきましては、在外財産問題審議会で慎重に御検討を願っております。ごく近いうちに答申があると考えられますので、この答申がありました後に、政府として検討を加えて参りたい、かように考えております。なお、この在外財産がどのくらい――今二十億というような数字をおあげになりまして、それはどういう根拠に基くかというお尋ねでございますが、これは私も在外財産はなかなか把握が困難で、つまびらかにはしておらないのであります。二十億という数字につきましては十分調べてみますが、おそらく終戦直後に、申告になりまして一応調べたものが大蔵省にあると思います。あるいはそれの数字かとも思います。なおこれは調べた上、お返事を申します。  それから党の方の幹部の方の意見についてのお話でありますが、これは私よく直接に聞いたわけでもありませんし、つまびらかにいたしませんが、しかし今申しましたように、在外財産をどういうふうに扱うかにつきましては、審議会の答申を待って、政府としては慎重に考慮を加える、かようにいたしております。さよう御了承願いたいと思います。

千田正無所属クラブ

○千田正君 最後に一点だけ。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) もうどうですか。

千田正無所属クラブ

○千田正君 いや、一点だけ。一萬田蔵相に申し上げますが、この引き揚げの問題は、今までずいぶん論争が繰り返されてきております。大体もう結論にきているようでありますが、それが政府の大蔵当局の考えているように、補償にあらずという観点と、また一面においては全生活の基礎を失ったという点に対する特別政治的考慮を必要とする点と、この二つの点が相当今後において重大な問題となろうと思いますので、今月中におそらく答申があると思いますが、十分お考え願って、引き揚げた人たちの苦悩を御賢察の上、特別の措置を加えられんことを要望いたしまして私の質問を終りといたします。     ―――――――――――――

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) この際、御報告申し上げます。  ただいま中村正雄君が委員を辞任されまして、海野三朗君が指名されましたことを御報告申し上げます。     ―――――――――――――

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 最初に伺いますが、スト規制法と会期延長がからんで非常に険悪な空気のようでありますが、政治に無理は禁物でありますから、会期は一応これで打ち切って、来国会も間近でありますから、そのときにあらためてスト規制法を御提案になる方がよくはないかと思いますが、総理に一つ伺いたいと思います。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 政府としてはスト規制法はこの会期中にやりたいという希望を持っております。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 日ソ共同宣言の国後、択捉に関する付帯決議の趣旨は当然文書でソ連に通告されると思うのですが、いかがでしょうか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) この付帯決議は性質として先方に通告すべきものではないと今考えております。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 御承知の通り付帯決議は二つありまして、第二の方はわが国の政府が最善の努力をしろということでありますけれども、第一の方は継続交渉には国後、択捉を含むと了解する、こういう決議であります。国内的な問題ではなくて対外的な問題ですから、ソ連にこれを通告しなければ無意味、つまり院議無視と思いますが、いかがですか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) それは交渉した者のつまり共同宣言の解釈の問題だと思います。その解釈は先方と十分了解――先方の了解しておる解釈であるのでありますから、特に通告する必要は認めないと考えております。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 解釈は政府と委員会とずいぶんやりとりがあって、結局国会としてはその答弁に不満足だという意味で付帯決議ができておるわけでありますから、国内で承わっておくということじゃ無意味な付帯決議である、こう思うのみならず、モスクワ放送では、日本が付帯決議をしておることは領土問題に勝手な解釈を試みておるものである、現にきのうはそういうモスクワ放送があるのですから、院議がすでに無視されておるのみならず、国会の質疑応答は全くソ連側と見解が異なっておるということがわかるのでありますから、院議尊重の意味からどうしてもソ連に、これは聞く聞かぬにかかわらず、文書その他で通告することが政府の国会に対する当然の義務であると、こう私は考えるのですが、いかがでありますか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 今申し上げました通りに、単にこれは解釈の問題でございますから、特にあらためて条約の問題として通告する考えは持っていない、こういうことを申し上げたのでございます。その議会の模様は向うには十分にわかっております。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 議会の模様でなくて、政府の責任において国会の付帯決議をいかに取り扱うか、政府と国会の関係の問題でありますから、しかもこれは対外的な問題であるし、向うはこれに反対のような立場をとっておるわけでありますから、どうしても私は必要だと思いますが、モスクワ放送の内容は御存じですか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) モスクワ放送の放送の内容は承知いたしております。しかしそれは十分確めなければならぬので、これは十分に確める手段を講じておるわけでございます。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 確めた上で早い機会に御報告下さらんことを希望いたしまして、今の御答弁は納得できませんが、時間の関係で次に移ります。これからの質問は私箇条書にしてお手元に出してありますから、よく御検討いただいておると考えます。私は簡単にお尋ねいたしますが、返事は明確に一つお願いいたします。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 関連質問。ただいま八木委員からお問い合せになった点につきましては、私は八木委員と見解は異にするものでありまするが、非常に重大な問題だと思います。私どもはかような不要な外交問題を起すおそれもあると思って、付帯決議は国際法的な効果を及ぼすものならば、これは日本側としても不信行為になるからいけない。そうでなくて国内的な単なる留保ならばこれは意味をなさない。あるいはこの条約に反対な立場の方々、これを、青票を白票に変えるような、そういうような意味もあるかに存じまして、その必要がない。有害無益だというので反対したわけであります。ところが、不幸にして私どもが心配しましたように、モスクワ放送がこの問題を取り上げていろいろ発表したようでございます。従って私は、であるからこそ、よけいなトラブルが起らない方がいいといったわれわれの立場が正しかったことが証明されたように思います。しかし、同時にこのことは非常に重大な問題であって、解釈問題であるから何でもないとおっしゃいますけれども、私どもはこの領土の問題が、国後、択捉を含む領土の継続審議については、鳩山総理の御答弁を信頼し、日ソの間に了解がついておる、こういうことでこの条約に賛成をしたわけであります。ところが、その解釈が、モスクワ放送はこれはもとよりソ連の官辺の意向に基いての放送だと思います。内容は外務省がはっきりわかっておらないようですが、私もはっきりしません。しかしそれは一方的な解釈である、つまり領土の継続審議は一方的解釈であるというのがソ連の解釈でありとするならば、このことは国会の付帯決議という不幸な手続は別として、政府の法的解釈、ソ連のほとんど公的な機関の発表との間に食い違いがある。きわめて重大な問題でございます。それに対して、ただいまの外務大臣の御答弁では国民は納得できない。その点は条約の最も重要な部分に関する日ソ間の意見の食い違いがありはせぬかという問題を再びここに起しておる。この事態をいかに明らかにされるか。政府の所信と責任においてはっきりした御答弁を、総理大臣、外務大臣、それぞれ願いたいと思います。私どもはこの領土の継続に関する了解は十分についておる。もしそうでないというならば、そのソ連の見方に私どもは断じて賛成できません。しかし政府の説明について雲がかかってきておるという事態に対して、これは重大なる関心を持たざるを得ないのであります。どうかはっきりした御答弁を願いたい。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 領土全体、つまりソ連と日本との間に領土の帰属について問題がある、領土についてはすべてこれを継続審議に移すということは、私が出発する前に、私の提案に対してブルガーニンが承諾の手紙をよこしております。それでありまするから歯舞、色丹の問題を出さなければ、領土問題全部が継続審議になるということは、曾祢君においても了解して下さることと思います。その歯舞、色丹をつけましたがために、その領土の問題全部が継続審議になっているか、なっていないかという疑いを差しはさまるるようになりましたけれども、向うに参りまして、ソ連の首脳部と交渉している間には、そういうふうな択捉、国後を返してくれといったものですから、それで先方としては、領土問題というものを、択捉、国後を返すことに同意したのか、同意しないのかというように考えたのでありましょう。それでその領土問題のあとに択捉、国後の問題を明記せず、領土問題を含む平和条約締結ということを拒んだのであります。それでありますから、私としては、最初に全部についての領土問題の継続審議を向うが承知をしておりまして、歯舞、色丹を出すことによって全部が含まないということになるということは考えられなかったものですから、そうして択捉、国後を日本が要求しているということは、先方で非常によく知っているのでありまするから、平和条約締結のときの択捉、国後についても、やはり日本側としてはこれを主張し得るということは当然なことだと思っておる次第であります。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 外務大臣から。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 私の今申し上げたのは、いわゆる付帯決議は政府の解釈とは少しも変りはないのでございます。それでありますから、これを特に先方に付帯決議として正式に通告する意向のないということを申し上げたのでございます。  さらにこのモスクワ放送として、付帯決議をしたことを論評し、これは領土問題に勝手な解釈を行おうとする試みであるとモスクワ放送でも……、それで、解釈は全然違っておるわけではございません。日本側のこれは解釈だということを言っておるようでございます。この問題については、先ほどお答えしたことは、十分に検討しようと、こういうことでございます。そしてこれは向うの意向を確めた上は、今後はすぐもう国交も開かれるわけでありますから、いろいろ交渉をして、了解をどうしておるかということを一つ調整していきたいと、こう考えておるのであります。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 一言だけ。外務大臣は簡単に言われまするけれども、これは議会の多数の意思として、この問題のほかに、外務大臣みずからも言われたように、政府もこれに賛成しているのです。(「そうそう」と呼ぶ者あり)政府の責任はきわめて重大であります。私は初めから、これは外交上の留保にならないから、それを通告する必要はないという意味において、八木委員とは全然初めから意見を異にしているのです。少くともソ連のモスクワ放送の持つ意味はきわめて重大である。前の総理の御答弁の中でも、どうもまた非常にあいまいになってくるような感じがしてなりません。しかし、私はそう解釈したくない。ソ連を含んで、ソ連にも国後、択捉を含む領土の継続審議はしかるべく了解させてある、もしそうならば一方的解釈だという、これは誤解であろうと思います。そうであることを望みますが、しかしそこに解釈の食い違いがあるということであったならば事重大であります。平和交渉、国交回復の前にも直ちにこの点を解明しなければならない、それだけの少くとも責任が政府にある。この点を申し上げて、政府の決意を促して、私の質問を終ります。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 関連。今曾祢委員から指摘をいたしましたけれども、政府があの付帯決議について賛成をしておられる。そこでその賛成をしたときに影響、あるいはこういう事態が起るということについて、事態でなくとも、少くともモスクワからの意見が発表されたということは事実でありますが、そういう点についても、これはおそらく見通しがあったことだとまあ思うのであります。そこで賛成をせられる際に、今後起ってくるあるいは誤解なり、あるいは表示というものについていかように政府としては対処するか、こういうことをちゃんと自信を持って計算に入れて賛成をせられたと思うのであります。その政府の賛成したこの態度に基く、賛成したことによる方針あるいは態度というものを御表明願いたい。そのことがモスクワ通信に対する政府の態度、答えだと思うのであります。具体的にどういう工合に対処するかという点について、重光外務大臣から御答弁を願いたい。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 付帯決議の内容は、政府の解釈として説明したところと変りはないと、こういうふうに思っておることは、先ほど申した通りであります。そうしてそれがソ連がどういう……、その通りに考えておるかという点でございます。それは直接この交渉をされた鳩山総理自身の今の御説明によって、私も全く向うも了解に異なるところはないと考えております。考えておりますが、(「事態が違ってきた」と呼ぶ者あり)もし、このことについて、その後のソ連の放送等がそれと異なる意味であるならば、これは了解が違うのでありますから、十分にソ連と話し合いをしてみて、(「責任はどうです、責任は」と呼ぶ者あり)今後も向うに誤解のないようにしたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。(「国民に対する責任はどうです、国民に対する責任」と呼ぶ者あり)

山田節男日本社会党

○山田節男君 ただいま八木委員の御質問に関連して曾祢君からの御質問があったのでありますが、これは私は、昨年の九月二十一日にクレムリンで訪ソ議員が、これは自由民主党、社会党、共産党、労農党全会派を代表する衆参両院議員が集まってこの問題を話しましたときに、これはちょうど九月の十八日に松本君がロンドンにおられて、交渉を一時打ち切るということに決定した三日あとでございます。この問題をわれわれが提起しましたときに、フルシチョフ共産党第一書記が、歯舞、色丹は、これは日本の国民の感情から見てもほしがることはもっともと思うからこれは返す、日ソ国交が回復すればこれはすぐ返す、こういうことを育ったのであります。そこで、今問題になっているこの国後、択捉の問題でありますが、この歯舞、色丹を、国交が回復すればこれはもう無条件に返すということは、ロンドンにおける松本君の日ソ交渉の段階では話しておられぬ。そうしまして、この国後、択捉は一体ソ連はどう考えておるか。これはその後におきまして重光外務大臣がモスクワに行かれて、そのときにいろいろと交渉された結果、重光大臣は、歯舞、色丹だけでもう調印するというところまでおいでになった。これは、私どもが昨年九月二十一日の第一回のブルガーニン、フルシチョフと国会議員との会見のときにはっきりしておる。そういたしまして、これがいろいろ自民党の党内の事情のために、重光外務大臣は不本意ながらお帰りになった。そうして鳩山総理が今度はみずからお出かけになりまして、そうして今度この妥結され、調印されました日ソ共同宣言を見ると、昨年の九月二十一日にわれわれに示したソ連の政府の言葉と、鳩山総理がおいでになって共同宣言に署名された内容を見ますると、非常にこの点があいまいもことなってきておる。歯舞、色丹を返しはしないのだ。そうしていろいろこれは衆参両院の委員会で論議されたのを私は見たり聞いたりしておったのでありますが、今の択捉、国後の、例の参議院で問題になりました付帯決議の問題、こういうようなものも、これをつける必要はない。鳩山総理大臣が少くとも最近お帰りになったときのあの総理からの言明を私ども拝聴しますならば、そういう必要はないように思う。しかるに、参議院におきましては、緑風会の発議をもって自由党がこれに同調しまして、政府またこれに賛成したといういきさつで、この付帯決議がついに参議院の外務委員会においてこれは通過しておるのであります。そうして間もなく、昨日でありましたか、一昨日でありましたか、モスクワ放送においてこれは日本の国会で、参議院の領土問題に対する勝手な解釈だということを放送しておる。このニュアンスを見ましても、どうも鳩山総理が最後においでになりましたその前の、重光外務大臣のモスクワにおけるソ連の政府当局との交渉、このいきさつを見ましても、私はどうもこの点があいまいでしょうがないと思うのでありますけれども、ただいま総理並びに重光外務大臣から、そういうことは国後、択捉の問題については、継続審議についてソ連も同調しているとおっしゃいますが、どうも私は、私みずから昨年の九月二十一日、ブルガーニン、フルシチョフから聞いたこと、電光外務大臣のモスクワにおけるあのてんまつ、それから鳩山総理大臣の日ソ共同宣言に御署名になったこの三点の経過を見ますると、どうも私は総理並びに重光外務大臣のおっしゃることは、やはりそのことがソ連政府にすっきりと頭に了解されていないのじゃないかと思いますが、重ねてお尋ねしますが、今、八木委員並びに曾祢君からの御質問に対する御回答、すなわち、国後、択捉については、はっきり継続審議するということの了解を得ているということをおっしゃいますが、これはほんとうに間違いございませんか。この点をあらためて私は鳩山総理と電光外務大臣にお尋ねいたします。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 私はモスクワでは継続審議について反対だと言っているとは思いません。ブルガーニンが歯舞、色丹以外の領土について継続審議について反対だと言うはずがないと思っています。モスクワで伝えているのは、ただ日本は固有の領土として歯舞、色丹を主張している。その固有の領土だということについてソ連は反対だと言う意見を出しているものだと思っております。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 総理の言われる通りに私も解釈しております。つまり、平和条約をこしらえるときに、その領土問題、国後、択捉を含めた領土問題を平和条約に入れて規定する、つまり交渉をする、これは向うは総理の言われる通りはっきり了解しておる、こう解釈しておるのでありまして、しかも国後、択捉は、日本は実質的には従来これは日本の領土だ、ソ連は、それは日本に返せない、その点は決して調節されておるのではないということは言うを待たないのでございます。その辺に食い違いはむろんございます。そういうことではなかろうかと私は思うのであります。

山田節男日本社会党

○山田節男君 私は繰り返して申し上げますが、われわれが昨年の九月二十一日にフルシチョフから今申し上げたようなことを言われ、ブルガーニン首相も、これは全くあなた方の言われることは政府も完全に同調するものである。これが歯舞、色丹である。国後、択捉は問題外だ。このことは重光外務大臣がモスクワにおいでになったときにもはっきり言うたから、歯舞、色丹で署名せざるを得ぬ。ソ連のモスクワに行ってみると、これはどうも歯舞、色丹でがまんしなければいかぬということを、こういうことをあなたはおっしゃって、鳩山総理のところへ指令を仰いでおられる。でありますから、歯舞、色丹は、これは向うは返すと言っている。国後、択捉は問題にしていません。これは重光君も、日にちは忘れましたけれども、シェピーロフ外相が、これはもう国後、択捉はこっちに返さぬ、もし今のような日米安全保障条約等があれば、これはソ連としてもこれを基地に使われたのでは困る、これは常識でわかることであります。でありますから、少くとも今日の日米関係が存在する限りにおきましては、ソ連は国後、択捉を返すわけはないのであります。これは常識であります。それをあえて国後、択捉が今度継続審議に含まっているかのごとく言われる。これは不可能なんです。これは重光さんがよく御存じだと思う。これは明らかに、私は一面において国民を瞞着するような、一つの糊塗策に過ぎない、かように考えるから、先ほども私は重ねて質問申し上げたのでありますが、しかし、これは今後の鳩山内閣でなくて、次の内閣の段階において平和条約を結ぶようなことになるかもしれない。これは明々白々の事実であります。問題になる点は、今曾祢君の言われたようなこともなぜ重大か、あの付帯決議まで、しかも参議院の外務委員会でこれは承認されたことである。向うでもって、もし鳩山総理や重光さんがおっしゃるようなことであれば、ああいうような放送、解釈をいたしません。どうしても私はここにいる鳩山さん、重光さんは、日ソ両国の共同宣言について、われわれ国民に対してどうも瞞着をされる、ごまかし政策を……、ただそれは、国後、択捉問題は単なる希望的観測である、ソ連の腹は毛頭そういうことはないと断言してはばからぬのであります。なぜそこを正直に割り切ったことをあなたたちはなさらないかということが、われわれは非常に不満であり、しかもわれわれとして非常に不安を持つ理由であります。これは質問ではございませんが、今後の実態がこれを証明すると思います。私はこれは遺憾であります。しかも参議院におきまして日ソ共同宣言がああいう付帯決議をしている。ますますこれは一種の瞞着の上塗りをするものであると私は考えざるを得ないのであります。どうか、私は鳩山内閣がいつまで存命されるか存じませんけれども、内閣としても存命は後日余すところないと思いますけれども、しかしこれは鳩山内閣としてこういう歴史的なことをなされた以上は、その功罪はあくまでも鳩山内閣が負うべきものである。これはどうぞ次の内閣にだれが来ましょうとも、この問題をはっきりされない限りにおいては、われわれ国民は非常に不安であるということを、私は強く申し上げて質問を終ります。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 ちょっと今の点に関連して……。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) それでは簡潔に一つ。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 付帯決議をつけることについては、社会党は強く反対をいたしました。衆議院でも付帯決議は問題になったけれども、つけないということであった。しかるに参議院でつけるというお話でございましたが、これは同様な態度を堅持して参ったんであります。ところが、これは対外的には何ら影響がない、それからあるいは本会議における採決でもないし、何ら影響のあるもんでないし、対内的な単なる何と申しますか、気休めだと、こういうお話で付帯決議を通した、あるいは政府としてもあの付帯決議に賛成をされた。私どもが付帯決議は政府の言明を弱くするものだというので、こういうことで反対をいたしましたが、政府は、それを政府の言うていることと同じであるからということかどうか知りませんけれども、賛成をされた。賛成をされた結果、政府の言明なり、全権の言明について若干の雲がかかった。私どもが警告をいたしましたように、やぶを突っついてヘビが出やせぬかと、ところが出たんではないとおっしゃる。雲がかかっておる。そこで問題は、付帯決議に賛成された政府の責任を明らかにする意味において、雲がかかったのか、かかってないのか、その点を明確にして、これは国会、国民に明らかにしてもらいたい。別の機会でもけっこうでありますから、至急その念を押して、政府として一つ明らかに国会、国民にしていただきたいということを要望いたしまして、一応打ち切ります。その点について総理あるいは外務大臣から、別の機会に私の今申しましたことに沿うようにするということであれば納得をいたします。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 政府もしくは私の解釈は、先ほど申し上げた通りであります。詳しく申し上げれば、換言すれば、この問題については、実質的には解決を見ていないということは、これは先ほどのお話の趣旨でその通りであります。しかしながら、これが平和条約のときにこの問題の解決をしなければならぬことは当然のこれは残っておる問題、明らかな問題でありますので、平和条約のときに解決をすると、こういうことでございます。そこで、この付帯決議は、われわれの説明したところによって食い違いはないのでございますから、この付帯決議をソ連側に共同宣言の特別の解釈として通告するという必要はないと、こう考えておるわけであります。そしてその問題についてソ連側にも誤解があるとするならば、誤解を解くようにこれからまた外交的な折衝はむろん必要でございますから、そうやって進んでいくつもりでございます。これが政府の態度でございますが、なおこの問題についていろいろ御要望の点は、よく考究して、必要があるならばそれについてお答えをいたすことにいたします。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 一点だけ。モスクワ放送に対しての政府の見解をあらためて国会に御報告いただけませんか、念を押しておきます。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) どういう御質問でしたか。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 モスクワ放送で、領土問題で日本側は勝手な解釈をしていると、こういう放送があるが、勝手な解釈でないというのであるならば、モスクワ放送の実態をきわめて、そのきわめたことに対する政府の見解をあらためて国会に御報告下さるようにお願いをいたしますが、御報告下さるかと、こういうのです。(「賛成々々」「必要だ」と呼ぶ者あり)

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 私はモスクワ放送は、継続審議に択捉、国後が入っていないということを放送したと思いません。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) 総理のお約束の時間がもう二十分以上過ぎておりますので、御退席になる予定でございますから、どうぞそれを含んできわめて簡単に一つ……。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 新聞記事その他によって御判断をしておられるのでありますから、全部なら全部を見て、政府が、いや、雲がかかっていない、雲はかかっているのだ、雲がかかっていないのならば、その点を明確に国会に対して御説明になるべきです。そういう点を説明をされるか、こういうのであります。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) それらの点についての私の考え方は、先ほど申した通りでありまして、さらに十分検討をいたしました上で必要な説明をいたしたいと思います。(曾祢益君「報告を」と述ぶ)

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) 総理に御質問ですか。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 質問じゃないのです。多少話がごたごたしておりますから……。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) 総理の御退席は差しつかえございませんか――そういう約束をしておりますから、約束時間がかなり経過しておりますので……。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 報告を要求しているんです。報告をいたしますとおっしゃって下されば、それで終りになるのです。調査の結果を国会にすみやかに報告してくれ、これに対するお答えを願えばそれでいいのです。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) これは今申し上げた通りです。調査の結果、報告を要する……。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 報告を要求しているんです。要するじゃなくて、要求しているんです。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 先ほど申したことと異なる場合があったら、必ず報告をいたします。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 報告を要求いたしておきまして、次に移ります。  サンフランシスコ条約によって放棄した南樺太及び北千島の領土権は、左記三説のうち、いずれにあるか、政府の御見解を伺いたい。すなわち第一説は、これらの領土は現在は日本の領有であるが、将来国際会議が帰属先が決定されたときに、日本は放棄の義務を負っているのか。第二説は、サンフランシスコ条約署名国にその領有権があるか。第三説は、放棄することによって無主の地とみなされるものであるか。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) ただいま八木先生のおあげになりました三つのいずれにも該当いたさないと思います。要するに、国際的に全般的な見地から見ますと、日本と桑港条約の当事国との間には放棄するというだけの約束はありますが、主たる面接の利害関係国たるソ連との間には白紙状態ということであります。でありますから、国際的に見ますと、まだ未解決の状態にあるというのが真相だろうと思います。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 領土を物権的に解釈するとこの三つよりほかないと思うのですが、いかがでありますか。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) この国内法上の、自分の屋敷を甲が乙に売るということで解決がつく問題と違いまして、この北方領土の問題は直接の当事者は日ソ間であります。日ソ両国でありまして、むしろ第三者的な地位にある桑港条約当事国との間には、一定の約束はございますが、主たる当事国の間では白紙状態にあるのでございますから、これを国際的に見ました場合は、未解決状態であると申すよりほかはないと思います。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 納得いきませんが次の問題に移ります。  重光、モスクワ会談で北千島及び南樺太の放棄をソ連に対して確認を提案されたという意味は、一、北方領土の帰属を将来国際会議で決定する場合に、ソ連の領有に対し日本は異議なしとあらかじめ確認する意味か。二、北方領土は現在無主の状態にあるから、戦争終結と同時にそのままソ連の領有と認めるということであるか。三は、北方領土の帰属国際会議の決定に待つとの桑港条約の放棄の規定をソ連に追認せしめた意味か。  この三つのうちでどの意味と政府はお考えになりますか。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) 重光大臣のモスクワ交渉におきまして、南樺太、北千島の放棄は大臣の方から提案されたという事実はないのでございまするから、御質問の場合に該当する前提がないということに相なりますので、さよう御承知おきを願いたいと思います。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 外務省が発表の文書にあったように思うのですが……。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) それはそういう事実はございません。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 この問題は調べるとして、次に北方領土の帰属を国際会議の決定にゆだねるという説をとれば、カイロ宣言等の領土不拡大の原則によって、将来の国際会議に北方領土のわが国領有を主張し得ると思うのですが、もし重光外相の見解のごとくに、北方領土の帰属の問題を日ソ両国間だけで決定し得るものとしたならば、日ソ共同宣言でこれらの領土のソ連領有を否認、もしくは継続交渉するとの留保条項をしておりませんから、現有状態主義の通念に従ってソ連の領有を認めることになると、こう思うのですが、どうですか。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) 現有状態主義という通念はございますことはございますが、それは戦争の当事国が両方とも力尽き矢折れて、何も意思表示をしないで、自然に戦争が終了してしまったという場合に、その際押えておる方が有利になるという観念でございます。ところが、日ソ間の場合には、先ほど来御説明の通り、領土の継続交渉という明白なる留保があるのでございまするから、また、それがために暫定協定にとどめまして、平和条約の締結を将来に留保しておるのでございまするから、現在ソ連が握っておるということが法律的に何らかの効力を生ずるわけではございません。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 そこで、その継続条項が問題になるんですけれども、日ソ共同宣言という一種の国家間の約束の正文の中に明記されてない限りは、これを主張する日本に何らの根拠がないと、こう思うのですが、どうですか。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) その点は外務委員会で種々御説明がその間ございましたが、要するに、平和条約と日本が歯舞、色丹だけで満足するのだという意思を持ち、また日本がそのような意思を持っておるとソ連が思っておりましたならば、平和条約がすでにできておるはずなのであります。ところが、平和条約ができないで、将来に留保されておるということ自体が、大前提として、領土問題が未解決で、これを将来きめようということになっておると思うのであります。その点と、もう一つは、松本、グロムイコ書簡が、これは共同宣言ができるまでの事態をカバーすることでなくて、外交再開後、領土問題を含む継続審議をしようという明白な約束でございます、これ以上明白な留保はないと思うわけでございます。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 条約の条文に留保条項がなければ、準備的の一つの段階である交換文書の中に何が書いてあったにしたところが、それは私は将来に向っての効力がないと、こう思う。現在のその一つの証拠は、現に今まで問題になったモスクワ放送でも日本の領土問題の解釈は勝手な解釈であるといっております。おそらく日本と違って、モスクワ放送というものは、ソ連の国からして、完全にあれは政府の見解と見なくちゃならない。だから日本の政府がるるいろいろなことをおっしゃいましたけれども、要するに共同宣言に歯舞、色丹を明記し、平和条約継続交渉の中から領土という字が抜けたのが、如実に物語っておるように、国後、択捉の帰属をどうして留保条項と明記せずに、それを主張し得る法的根拠があるかという説明は、どうも政治論と法理論とがごっちゃになっての説明のように思うのですが、法制局長官、どうお考えになりますか。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) その点は、ただいま下田条約局長からお答えした通りと思います。決して政治論だけじゃございませんで、平和条約を結ぶということは、もちろんその戦争状態を終結して平和に返す、あるいはその場合に戦争に起因して起ったあらゆる問題を解決するためのものでございます。なお、現在、今度の共同宣言には領土問題について触れておらない点が多々ある。従って領土問題を含んで平和条約を行えるということは、これは明白な事実でございます。従いまして、平和条約の交渉を引き続きやろうということは、領土問題が入ると、これは明白な法律的な根拠だと私は思います。それと同時に、松本、グロムイコ書簡というものが、そういう意図で交換されておるということ、これも有力な根拠になると、こう考えるわけでございます。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 私は少しも明白でなくて、明白でないから付帯決議がついたのだと、こう思いますが、どうも時間がありませんから、その点はそのくらいにしておきまして、次に松本、グロムイコ交換交文にある領土の範囲はどうであるか、すなわち、南樺太、北千島、択捉、国後、歯舞、色丹、これを例示的に交渉の対象となるということが、ソ連と確約がされてあるかどうか、これを一つ伺ってみたいと思います。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) 松本、グロムイコ交換書簡にあります領土問題というのは、歯舞、色丹、北千島、南樺太、国後、択捉、すべてを包含しております。そのうち今回の共同宣言ではっきりいたしましたのは、歯舞、色丹の引き渡しの原則でございます。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 例示的にソ連の確認を得ておられますか、こちらだけの解釈でないのですか。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) 先ほども申し上げましたように、松本、グロムイコ交換書簡というものは、今回の共同宣言によってリプレイスされて、なくなってしまったものは決してございません、この書簡自体が、逆に外交関係の再開後に継続せられるべきものとして領土問題を残しておるわけでございます。でございますから、残っておりまするけれども、そのうちで、今回の共同宣言できまりましたのは、歯舞、色丹を引き渡すという原則、その原則だけは確定いたしておるわけでございます。自余の問題が未定で継続に付されているわけでございます。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 その交換公文を交換されましたときに、例示的に一つ一つソ連の確認を得ておられるかどうかということを伺うわけです。領土問題を概括したものでなしに……。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) 松本、グロムイコ書簡には、単に領土問題といいまして、その領土問題の中を分析しては考えておりません。しかしながら、これは従来の経緯によりまして、領土問題の中で何が問題となっておるかということは、日ソ両当事者とも明白に理解しておるわけでございます。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 私は納得しませんけれども、次に移りますが、日ソ共同宣言の発効後は、軍事占領がなくなるわけでありますから、ソ連が支配している領土の法的性格はどうであるか。歯舞、色丹は、これは日本に領土権があるかどうか。または、ソ連にあるのか。それから択捉、国後はどうなっておるか。南樺太、北千島はどうなっておるか。詳しいことは書面で出してありますから、それに対してお答えを得たいと思います。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) 未解決になっております北方領土の現在の法律的の性格はどうかという御質問と存じまするが、これは言うまでもなく、わが方は日本の領土権のもとにある地域と考えておるわけであります。またソ連側といたしましても、平和条約の締結を将来に留保しておりますゆえんは、もしソ連の主張が貫徹される場合には、自分の現在占拠しておる土地を合法的にもらう。自分の占拠をリーガライズするというのが、ソ連のねらいだと思います。ソ連自身は現在リーガライズされているとは思っていないと思います。従いまして、法律的に見ますと、わが方は当然日本の領土主権下にある。しかしながら、戦争状態は共同宣言の発効によりまして終了いたしまするから、戦時占領が継続することには相なりません。戦時占領は終了いたしますが、その後は、ただ事実上の占拠という状態が続くことと相なると思います。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 詳しく質問は出してあるのですから、一つ一つにお答え願いたいのですが、たとえば、択捉、国後は、日本の領土権があるとすれば、現在のソ連が領有しておるのは不法占拠になるのですが、この不法占拠を日本が許すというその法的根拠はどこにありますか。たとえば歯舞、色丹であれば、これは日本に現在あるけれども、同共宣言の規定によって、現実引き渡しまではソ連の管理を認めているということは、ここに十分な法的な根拠は認め得るでありましょうけれども、択捉、国後に対しては日本は何ら条約上の根拠と申しますか、条約土には何らの規定がないわけでありますから、留保条項をつけなければ、そのままソ連の領有を黙認するということ以外には法の上では宣言の、文理上の解釈としては何ら出てこないと、こう思うのですが、それを政府としてはどういうふうに一体説明をされますか。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) ソ連の領有を黙認しておるわけではございません。領有ということは、日本の同意を得まして、明白にソ連の占拠がリーガライズされたときに初めて領有ということに相なるのでありまして、それまでは事実上の占拠を黙認しておるということでございます。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 事実上の領有を黙認して、占拠を黙認しておって、それで将来これをまた日本の固有の領土であると言って主張し得る根拠はどこにありますか。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) それは事実上の占拠にしかすぎないということは、ソ連自身が明白にわかっております。で、ございますから、将来ソ連側としては平和条約によって自分の所有をリーガライズしたいということを、またソ連としても残しておるわけです。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 今、ソ連はわかっておるとおっしゃいますけれども、現にソ連の憲法では、自分の領土の中へ入れてしまっておる。たとえば歯舞、色丹についても、これを日本に返還するとは言わなくて、引き渡すと言っておる。だから、あなたはそうおっしゃいますけれども、択捉、国後はソ連が、日本のものであるとか、問題があるということは、多小考えるとしたところが、自分の憲法で、すでに自分の領土の中へ入れてしまっておるのだから、これからの交渉は新しい問題になるのでありまして、それの留保条項をやはりこの国交回復のこのチャンスに、はっきり文理的に共同宣言の文章の上で認めておかなければ、主張する根拠というものは非常に弱いのではないか、こう思うのですが、どうですか。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) 国際法上領土権の移転が合法的に成立しますためには、申すまでもなく、旧所有者と新しい獲得者との間に合意があることが必要でございます。ただいまのところ、日本はそれに合意を与えないのでございますから、何ら国際上の領土の移転があったということには相なっておりません。あくまでも平和条約の締結に至るまでの間、事実上ソ連が占拠することを日本は黙認しておるという形でありまして、将来領土問題を含みます平和条約交渉の際には、再び従来の日本側の主張が強力に展開し得るわけでございます。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 まだ私の疑点は多々あるのでありますが、時間がございませんので、この問題は不満ながら納得をせずして、この程度にいたしておきます。  法務大臣に一言だけ伺いたいのです。それはこの日ソ共同宣言が批准されましたのを機会に、恩赦のうわさがちらほら新聞に出ております。そこで、私の伺いたいのは、第一点は、恩赦がもし行われるとすれば、それが大赦であるか、特赦であるか。第二点は、恩赦を行う積極的な理由は一体どこにあるか。第三点は、戦前戦後における恩赦の行われた事例がどういうふうになっているか。第四点は、恩赦法が制定されました憲法議会で、立法権、司法権及び行政権の機械的分立から生ずる不合理を是正するために恩赦の制度ができた、こういう政府側の説明でありますが、今回うわさされておる恩赦との関係はどうであるか。それから第五点は、恩赦と国会との関係でありますが、比較的小さいと思われるような人事の問題でも国会の承認を求めておる実情にありますが、恩赦は、御承知の通り、行政権によって司法権の作用の効果を変更するものでありますが、国会が全然関係しないということはいかがと思われるので、これに対する見解。  それから最後に、立法、司法、行政三権調節のために恩赦という制度があるとしますれば、法律的には、法制上はともかくといたしまして、道義的にこの恩赦を取り行う場合に、単に内閣が一方的にそれをおきめにならずに、両院正副議長なり、あるいは最高裁判所長官等と恩赦の可否並びにその範囲について十分に御相談になるということが、これを慎重にする上において必要ではないか。こう私は考えますので、大へん問題だけを羅列いたしましたが、この点に対する牧野法相の御見解を一つ伺いたい。これを伺って私の質問を終る次第でございます。

牧野良三自由民主党法務大臣

○国務大臣(牧野良三君) 恩赦の問題は希望があり、新聞がこれを伝えておりますが、私はもう少し世論をよく聞いた上で意見を決定したいと思いまして、まだ決定いたしておりません。それから第三点以後のことは事務当局、政府員委から申し上げます。  最後の点は、非常にいい御意見だと思います。相当重大でありますが、戦前と違って、戦後は刑事政策及び社会政策の見地に立つべきで、戦前のように単なる恩恵としてなすべきでないと思いますから、お説のような点は、これは十分考慮すべきだと思います。ただいまのお説で、私が非常に啓発されたところがありますから、十分尊重して考慮いたしたいと存じます。

福原忠男法務省保護局長

○説明員(福原忠男君) 御質問の第二点につきましては、今、大臣のお答えのように、目下考究中でございますので、その点は省略させていただきます。  第三点の事例の点は、簡単に申し上げたいと思いますが、明治元年以来本日までの間に、わが国の恩赦といいまして、一番大きな大赦は七回ございます。第一回は明治元年、第二回が明治二十二年の憲法発布、それから第三回が明治天皇御崩御の大正元年の御大喪のときにございました。それから第四回が、大正天皇御崩御の御大喪の際に昭和二年にございました。それから第五回が終戦のときでございます。第六回が日本国憲法、いわゆる新憲法の発布の際でございます。第七回が講和恩赦といわれる平和条約発効の際の恩赦でございます。  それからそのほかに、恩赦で御指摘になったと思いますが。御質問の中にありましたのですが、五種類に分れておるのであります。特赦が行われましたのも、これを調べますと、明治以降十二回ございます。これは大赦とともに行われた場合と、大赦が行われず特赦のみが行われた場合がございますので、十二回ということになります。それから減刑が行われましたのが、これが十四回ございます。それから復権が行われましたのが九回でございます。大体事例はそのくらいでございます。  第四点は、恩赦法が制定されます当時の国会その他で十分にこの点については論議が尽されているので、御了承願えると思いますが、もしその点のいかなる点に御疑問をお持ちになるのか、その点が明確になれば、個々の点についてお答え申し上げたいと思います。それから第五点の恩赦の施行と国会との関係というものにつきましては、第六点に関連しまして大臣から御開陳がありましたので、省略させていただきます。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 ありがとうございました。

天田勝正日本社会党

○天田勝正君 議事進行について。先ほど総理が衆議院の本会議の関係で退席されるというお話がございましたし、また、委員長の方から約束の時間が経過したからというお話もございました。ところが、いまだに衆議院の本会議は開かれておりません。さらにまた、理事会におけるわれわれの約束というものは、別段あの時間に退席願うという約束もいたしておりません。これは委員長が個人でお許しになったかどうか知りませんが、私どもの関知せざるところである。私どもは、再々申し上げておるように、あまりこの委員会を延ばすことなしに、すみやかに了そうというので、幾たびか折衝がなされて、きのうなんかも総理が出席されざるままに吉田君から総括質問に入ったという事情もありますし、今後も総理に質問しない部分については、退席されても、またほかの大臣についても同様に、いわばこま切れ的に質問答弁をしつつ、早くこの委員会を済ましたい、こういうふうに考えておるわけであります。そこで、当初順序がきまっておりましたが、その順序がずっと飛び飛びに実はなりましたのも、委員長の手元で、総理を要求されない人方はあと回しにして、総理を要求されておる人を先に質問を終らして議事の進行をはかるという考え方であろうと、私どもは考えておったわけでありますが、先ほど申し上げましたように、われわれはすみやかに総理の質問を終らしたいと、こう考えておるのに、衆議院の方へ呼ばれもせぬのに退席するように取り計らわれた。一体これはどうしたことか、私どもは了解に苦しむところであります。  そこで、今後の議事進行について、委員長はどういうお計らいをなされるつもりなのか、あるいはここで皆さんに相談をしてきめられるのか、また理事会でも開いて今後の運営をおはかりになるのか、承わっておきたいと思います。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) お答えいたしますが、きょうの総理の出席を求めたのは、衆議院の都合もあり、また健康上の都合もあって、一時間以上はちょっと無理だという話もありまして、それで十二時半から一時半という約束をして、その間に総理に関する質疑をできるだけしていただきたいと、こういうつもりでやったわけなんです。そこでもう約倍の一時間超過をしたのでありますが、それもたびたび催促をされるのを、無理やりに各派の質問が一応終るまでおっていただきたいということで、ここにおってもらったわけなんです。それで一応八木委員の御質問も終りましたが、総理に対してあと質問がありますかと聞いたならば、総理に対してはもうないというようなお話もありまして、それでは各派の総理に対する質疑は一応まあ一回りしたというような関係で、その要求を許したわけです。それで、もしあと続行することが、総理が出なければ続行ができないというようなことであれば、理事会でも開いて協議するより方法はないと思います。幸いに各大臣が列席しておられますから、総理に対する分をのけて御質疑を願えれば非常に仕合せだと思います。

天田勝正日本社会党

○天田勝正君 私が申し上げたのは、委員長が今御説明になった、当初一時間くらいであろうと、これはあくまでも衆議院の関係と、しかもそれは本会議であると、このことは、両院を通じまして本会議が優先であるということは、幾たびか両院の理事会でも確認されておることですから、もう論議を待たないでもよろしいことです。そこで、向うの本会議が開かれるならば、これは当然総理のみならず、他の大臣各位も全部引き上げられたっても、われわれは何らこれに申し上げることはないのです。そこで、十一時からということでございましたが、十二時二十分ころに、吉田、伊能の両理事が私のところに参られまして、十一時から衆議院の本会議が開かれるので、こちらへの出席は当分できないというお話があった。しかし、もうすでにそのときに十二時二十分であるのであるから、この機会だって一人くらいの質問者が終えたのではなかろうか、もう一ぺん一つ確めてもらいたい、こういうようなやりとりも実はその途中においてあったのであります。あった結果、とうとう開くことになりまして、今に至ったわけでありますけれども、これは一時間というのは、衆議院の関係がそこに立ちふさがっておるからのことでありまして、衆議院の関係は、今現在でも別段向うへ行かなければならない事情にないということならば、どうして私はすみやかに総理の部分の質問を終らせるように委員長が取り計らわれないのか、不思議なんです。(「その通り」と呼ぶ者あり)ですから、私どもは総理がいなければ何ら質問を一つもしないと、初めからそういう固執を言うておるのではりません。会期末ですから、そう初めからむちゃを言うているのでないことは、委員長先刻御承知なんですね。それですから、さっき飛び飛びに質問者をお許しになったその事柄は、総理の質問の者を先にしようと、こういうお考えであろうから、この際にその飛び飛びにしておきました一松さん、加賀山さん等々の人たちの、要求されない、またこれからも要求されておらない人もあります。そういう人の質問も続行されるのなら、一向私どもは差しつかえございません。それから要求されておる人たちは、何といったって総理に対する要求が大前提になって、それから各論的なものを各大臣に質問するのでありますから、これはさか立ちになるということはまことに困る。ですから、それは普通の常識に従って運営していただきたい、こういうことをお願いするのです。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 私が申し上げるまでもございませんが、きょうよりもきのう、きのうよりもおとといの方が会議をやりやすい、だから早く委員会の開催をお願いしたいと、こう申し上げたのです。それがきのうになり、きょうになったわけでありますが、きのうの約束は、要求される大臣は全部そろえて、ごちそうが食べられるようにやりますと、こういうことを委員長なり与党の理事全部約束をされてあったのです。それも事実上できませんでしたから、過去のことは申しません。申しませんが、しかしその原則は今日まで生きておるのです。そうでしょう。きのう出席せられなかったから、せられず黙って帰られたりいたしましたから、官房長官まで呼んで、ここで政府の責任を問い、そしてきょうにおいては、きょうはきのうの状態があったけれども、できるだけ早く出席せられるようにいたしましょう、こういうことで帰られた。その始まるのが十一時ということだった。実際には十一時半ということだったけれども、その十一時半もおいでになれない。それじゃそのうちに来られるようになりましたら御連絡いたしましょう、こういうことでした。来られるようになったときに私はおりませんでしたので、中田君なら中田君から始められた、これは私は文句は言いません。文句は言いいません。しかし、総理の質問を始めて、総括質問を始めて、総理がおられぬが、総理が来られると思いますけれども、始めて下さいということだから始めた。しかし、総理がいつ来られるかわからなければ先を続けられるわけには参りませんから聞いて下さいと申し上げたら、総理は来られないのだろう、きのうはそこでやめて総理の来られるのを待った。これは委員長も与党の理事も御存じのはずです。だから始めた。私の質問の次に、総理に対する総括質問を始めた。こういうことは御存じのはずです。始めるときに一時間という話でございましたけれども、それは私聞いたところでは、社会党の理解は全然知っておりません。とにかく始める。そうして私がおらぬから中田君から始めるという点は、これは了承いたしますけれでも、黙って途中で、総理を途中で退席せられたのは、私は委員長の越権だと思う。あるいは不信行為だと思います。きのうは全然来られないで黙って帰られたから、委員長に対する、あるいは委員会に対するこれは政府の不信だと、こういうことをお話しになりましたけれども、きょうのお取り計らいは、これは私どもに対する委員長の不信だと思うのでありますが、これを、不信を追及いたしますのは、ただそれを、過去のことを責めてもしようがございませんから、これからともかく直ちに総理を呼んでいただいて、私の質問ができるようにお取り計らいを願いたいと思います。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) 総理を呼ぶということは、これから交渉してみなければわかりませんが、私はかなりむずかしいと思うのです。それでありますから、各派の代表質問者の方で総理の質問に触れるような関連質問が相当ございましたが、これはできるだけ私は認めて、そして総理に関する質問だけをできるだけしたつもりなんです。これ以上総理を呼ぶということはきょうは困難だと思うのですが、どうしても総理を呼ばねばならぬというようなお考えであれば、まあ休憩でもして、理事会でも開いて協議するか……。

天田勝正日本社会党

○天田勝正君 速記をとめて下さい。

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) 速記をとめて。  〔速記中止〕

苫米地義三自由民主党

○委員長(苫米地義三君) 速記をつけて。  暫時休憩いたします。    午後三時十二分休憩      ―――――・―――――  〔休憩後開会に至らなかった〕

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