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25回国会参議院1956/12/13

商工委員会 第8号

発言数
63
登壇者
9
会派数
3
開催日
1956/12/13

会議録

松澤兼人日本社会党

○委員長(松澤兼人君) それではこれより商工委員会を開会いたします。  去る十二月十日山下義信君、藤田藤太郎君及び木下友敬君が辞任され、その補欠として藤田進君、阿部竹松君、阿具根登君がそれぞれ委員に選任されました。  また、去る十二日勝俣稔君が委員を辞任され、郡祐一君が委員に選任されました。  以上御報告申します。   —————————————

松澤兼人日本社会党

○委員長(松澤兼人君) それではこれより本日の議事に入ります。  まず理事補欠互選の件についてお諮りいたします。阿具根登君が一時委員を辞任されておりましたが、ただいま御報告いたしましたように、委員に復帰されましたので、同君を再び理事に選任することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松澤兼人日本社会党

○委員長(松澤兼人君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。   —————————————

松澤兼人日本社会党

○委員長(松澤兼人君) 次に、公報をもってお知らせいたしました通り、経済自立と発展に関する調査を議題といたします。  まず、産業と税制に関する調査を取り上げます。政府側の出席は、通産省の繊維局長、同じく鉱山局長、それから大蔵省主税局税制第二課長などの出席がございます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。  なお、大蔵省主税局長は衆議院の大蔵委員会に出席中でございまして、ただいま出席ございません。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕

松澤兼人日本社会党

○委員長(松澤兼人君) では速記を始めて下さい。

加藤正人緑風会

○加藤正人君 繊維局長に、その後の繊維課税に関する動向はどういうふうになっておるのか懸念にたえませんので、だいぶ方々から聞かれもしますし、私自身も知りたいので、大体どういう過程を踏んでおるか、あの話がどういう過程を踏んでおるか、現状を聞かしていただきたい。

小室恒夫通商産業省繊維局長

○説明員(小室恒夫君) これは大蔵大臣の諮問機関である税制調査会において目下検討中のことでございまするから、正確な経過の報告は、あるいは大蔵省の方でしていただくのが適当ではないかと存じますけれども、私の今承知しております税制調査会の内部の空気と申しますか、大体こういうところじゃなかろうか、まあこれは外部からでございますけれども、伝え聞きでもありますし、想像もございまするが、大体ごく一部の原糸を除いて、原糸全般に対して五%の課税をやるという案が有力であるというふうに聞いております。ただ、まあ大衆課税というような点の一般の批評等にこたえて、三十番手以下の綿糸、あるいはそれに類似のスフ糸こういうふうなものを、従来は全面課税の対象になっておったものを落そうかという空気も非常に強いということも聞いておりまするけれども、私はこれは大蔵省の方からお話を願った方がいいのじゃないかと思いますが、ただ結論的な、今原糸課税についての税制調査会の空気として聞き及んでおりますところを申し上げただけであります。

加藤正人緑風会

○加藤正人君 繊維局長のお立場として、これに対してとかくの批判なり、意見が述べられることは、非常にむずかしいと思いますが、これは非常にわれわれ不適当な、おもしろくない税だと思うのですが、ということは、非常に徴税は簡単で、取る方は楽かもしれんが、しかし、それを払わせられる、対象となる業者は、非常にこれは迷惑する。ただ抽象的に迷惑になるだろうと考えているのでなくて、前にいろいろな実例があるのですね。非常に困難するのは、この業者なんです。取る方は非常にのんきでしょう、これは。従って不適当な税だと思うのです。これはもう私は通産当局、特に繊維局長なぞは御同情があると思うのですが、まあそれは率直に税としておもしろくないのだと言われても、一向はばかりあるところはないと思うのですが、どうでしょう、局長、どう考えられます。

小室恒夫通商産業省繊維局長

○説明員(小室恒夫君) まだ政府原案もきまっておりませんし、税制調査会としての結論も出ておりませんので、私ども繊維局としての公式の意見を申し上げるというわけに参りませんけれども、まあ個人的な感じでお許し願えるならば、まず第一に、全面的な原糸課税ということは、大衆の必需品であるところの衣料品に対して、まあ、程度はそれほど高くないにしても、新しく課税されるということになりますと、所得税の支払いもしておらぬような低額の所得者に対しては、やはり大衆課税という点についての批評はこれはやはり免れないのじゃなかろうかというふうに感じますが、市況等によって転嫁されない場合もありますと、これはやはり中小企業がどうしても負担するという結果になるという点で、やはり中小企業対策も相当考えなければならんというように、また、私どもも関心を持っておりますが、やはり繊維品が輸出品の大宗でありますので、これは戻税はやっていただけるような感があるようでありますが、なかなかこの各種の原糸が交織され、あるいは混紡されるようなものもございますので、この辺の価格の関係等とにらみ合せて、正確な戻税をやるということは手続も繁雑でありますし、また、非常に輸出阻害の感じを免れないと思うのであります。それからまた、徴税に伴う税を納める側からのいろいろな御念懸等もよくわかるのであります。それらの点、いずれも私どもとしては懸念を持っておりまするが、今直ちに繊維局の公式の意見を申し上げるということは差し控えさしていただきたいと思います。

加藤正人緑風会

○加藤正人君 ありがとうございました。

松澤兼人日本社会党

○委員長(松澤兼人君) ちょっと、中途でございますが、主税局長は今衆議院の大蔵の理事会で、新築住宅登録税軽減措置という問題について、主税局長が立ち会って質疑応答中だそうでございます。この問題が済みましたら、参議院に参るということでございます。

豊田雅孝緑風会

○豊田雅孝君 私は主税局長が見えましてから、一括質問いたすことにいたします。

松澤兼人日本社会党

○委員長(松澤兼人君) ほかに原糸課税あるいは物品税、そういう問題について質疑のある方はこの際一つ……。

豊田雅孝緑風会

○豊田雅孝君 主税局長が来るまでの間お尋ねをしますが、繊維局長は今私見だというような前提のもとにお答えがあったわけなんでありますが、この原糸課税をより必要とするという説が一面に出ておるのに対して、果して原糸課税をやらなければ、一方において伝えられておる一千億減税というものができるのかどうか、そういう相互関係を検討せられて、その上で通産省としても特にこの繊維課税が問題であるだけに、ことに今お話しのように、中小企業対策として、これは非常に重大な問題だと思うのです。さなきだに原料高の製品安に追い込まれておるわけなんですが、御承知の通り、原糸は大体において特殊のもの以外は、大メーカーのものが多いのです。従って中小企業に対して転嫁せられてくる。そうなると、いよいよもって原料高の製品安に追い込まれるということになるのでありまして、そういう点では、この繊維課税というものが非常に問題のある税である。しからばその問題のある税をやらなければどうかということについては、それ自体が悪税であるという考え方のほかに、今の減税を果してやるについて、一面そういう悪税にまで手を伸ばしていかなければならんという関係があるのかどうかということは、大蔵当局において、通産当局としても御研究になっておってしかるべきものじゃないかと思うのですが、その辺については御研究になっておるでしょうか。

小室恒夫通商産業省繊維局長

○説明員(小室恒夫君) 税制全般に関する問題でありまして、通産省としてはむしろ企業局長から御答弁する筋かとも思います。自然増収はどの程度にありまするか、また今後平年における増収がどの程度にありまするか、また、減税の幅はどの程度になりますか、それらを見合った上で間接税の増徴、特に繊維課税がどの程度必要であるかというような問題が判断されるのであると思います。現在税制調査会で繊維課税に期待しているのは、百数十億程度のものであるように思われます。その程度のものであれば、今の全体の関係を考えて再調整する余地は十分あるのではなかろうかと、私個人は考えております。しかし、これは私の方が答弁するという立場ではございません、そういう感じを持っているということだけ申し上げておきます。

豊田雅孝緑風会

○豊田雅孝君 川野通産省政務次官がお見えになっておりますので、政務次官にお尋ねいたしたいと思いますが、今の一千億減税が伝えられておるのが、果して可能であるかどうかということと関連いたしまして、物品税の拡大、ことに原糸課税、この問題について政治的にどういうふうにお考えになっておるかということを伺いたいのであります。要するに自然増収と、それから租税特別措置法、それらについて相当メスを入れますというと、一千億の減税が可能ではないかというふうに私どもは考えておるのであります。かりにこれが、一千億の減税ができなくても、かりに七百五十億の減税をやられても、一面において悪税といわれている物品税の拡大の線に沿って、繊維課税のごときものをおやりになるということは、自民党として非常にお考えにならなければならぬ問題ではないかというふうに考えるのであります。御承知の通り減税せられたものは、それは大いに喜ぶわけなのでありますが、一面において、増税せられた面が非常にふんまんやるかたないものがあるわけです。反対に反対を重ねてきたあげくの果て、実質的にやられたということになりますと、非常にそのときの政府、与党を恨むということになりますことは言うまでもない。そういう点でむしろ減税総額が減っても、減税一本でこの際おやりになることが、今の政府、与党として賢明ないき方じゃないかというふうに思うのでありますが、その点政治的にどういうふうにお考えになりましょうか。

川野芳滿自由民主党通商産業政務次官

○政府委員(川野芳滿君) ただいまの問題は、これは大臣から答弁する問題であろうかと考えますが、御質問がございましたので、私からお答え申し上げたいと存じます。産業の関係省といたしましては、でき得べくんば間接税というような問題については、上げていただきたくない、かように考えておるわけであります。しかしながら、今回の一千億減税、こういう問題は所得税を中心として減税をやろう、現在の税体系のもとにおいては、所得税が非常に高い、かような関係から所得税を中心にして一千億減税をやろう、こういう政府の方針でありますので、従いましてその目的を達するために、その財源を何に求めるか、かような見地から税制調査会におきましても、いろいろ調査の結果、物品税の増徴等によってある程度の財源を確保しよう、こういうふうな実はただいま議論があっておるのではなかろうか、かように考える次第であります。従いまして政府全体の考えから、物品税の増徴、こういうことに今現在議論が進んでおるかのように承わっております。この問題について、物品税の増徴をせずして、一千億の減税をさせたらどうであろうかというような御意見のようでありますが、この御意見ももっともな御意見かと考えまするが、政府全体の立場から、今減税の問題が論議せられておる次第でありますが、この問題につきましては、私から異論を差しはさむことはいかがかと思います。その点御了承していただきたいと思います。

豊田雅孝緑風会

○豊田雅孝君 賢明なる川野政務次官も、もちろんお考えになっておられることと思うのでありますが、世間に伝えられるところによりますと、来年の二月あたりには、解散でも——総選挙でもありゃせんかというようなことが伝えられておるのでありますが、こういう矢先に、私どもは一面減税々々と言いながら、増税の形の物品税の増徴なり、あるいは繊維課税をおやりになるということは、実に政治的にまずいことじゃないか、まあ、これはよけいなことでありますが、自民党としてもいろいろ無理な手もお打ちになるぐらいに諸般の面でやっておられるようでありますが、こういう、まことに見えすいたそんな手をお打ちにならん方がいいのじゃないかというように私どもは思うわけでありまして、もちろん、ただいま申しまする通り、賢明なる川野政務次官、大いに党内においてもそういうお考えを持ち、また、おわかりにもなっておられるかとも思いまするけれども、こういう面は十分にお考えをめぐらされてしかるべきものじゃないか、ことに中小企業関係は言うまでもなく大体保守党が多いのでありまするから、唯一の頼みにしておるこの面からこっぴどくやられてくるということになりまするというと、大きな影響が各般の面に出てくるというように考えまするので、考えようによってはよけいなことのようでありまするが、この点特に申し上げまして、政府あるいは与党内において、十分この点をお考え願いたいということを、特にこの際申し上げておきたいと思います。

加藤正人緑風会

○加藤正人君 今豊田委員のお話し、まことにごもっともだと思うし、なおそれにつけ加えて申し上げておきたいことは、どうも物品課税、特に繊維課税というものは、先ほども申しました通り、業者が非常に迷惑するのですね。これはまあ迷惑するだろうという想像で、予測でですね、これに反対するのでなくて、もうすでに、非常な迷惑を既往に受けた経験を持っておるのですね。おそらく今こういう案を立てている若い官吏などの知らないいろいろな迷惑の実例を知っておる古い年寄りの業者がたくさんあって、体験から出た迷惑を訴えておる。そういう意味から言って、百数十億ぐらいな金額を徴税するためには、あまりこれ、犠牲が多過ぎるのですね。このぐらい幅広く、普遍的に迷惑、損害を与える例はないと思う。これはすなわち悪税なるゆえんであるのです。輸出阻害、中小企業を育成助長するという基本的の方針に背馳するというようなもろもろの事件が起る、労働強化が伴う、百数十億を取るのには、あまり知恵がないですよ、こういうばかげた考えを起すということは。豊田委員は、減税を少し控えても、これをやめた方がいいと、そういうお考えもあるが、また、一千億という自然増収というものが、非常に過少に見込まれているということ、こういうものは、政府は何というか、主婦のへそくり金みたいに、温存しておいて、退蔵しておいて、じくじくいろんな工作に使おうと、小出しに出して、そういう便宜な金として保留しておこうということであるらしいということが一方に言われておる。一千億の自然増収がほんとうか、一千五百億確かにあるというようなことを言うのが、これも想像であてになりませんが、少くも百数十億なら、そういう方面からでもまかない得るのじゃないか。豊田委員の言われるように、これほど実害があって、しかも精神的に非常な、結果において政府与党に不利を与えるような、知恵がないですよ、こういうばかげた考えを起すということは。私はできるだけ反対します、この税に対しては。どうぞ一つお考えおきを願いたいと思うのです。

川野芳滿自由民主党通商産業政務次官

○政府委員(川野芳滿君) 大蔵当局から御答弁申し上げるのが適当かと考えますが、まだおいでになりませんので、私から簡単に御答弁申し上げたいと思います。  先ほど来豊田委員、加藤委員から懇切なるおさとし的の御質問がございまして、私も共鳴する点も実はあるわけであります。しかし、税の体系というものは公平であらなければならない。かように考えるわけでございまするが、こういう面からも、税制調査会において、いろいろ御検討に相なっておるものと考えます。繊維課税が適当であるかどうか、これは私はここで論議いたしませんが、少くとも税制調査会において、税の体系をやりかえる、こういう場合には、公平でなければならない、かように考える次第であります。そういう点からも考えまして、ただいま豊田、加藤両委員から御質問がございましたような点も、われわれよく胸に体しまして、今後大蔵当局からの税の問題等について相談がございましたら、さらに検討いたしたい、かように考える次第であります。

松澤兼人日本社会党

○委員長(松澤兼人君) 主税局長が見えました。

豊田雅孝緑風会

○豊田雅孝君 臨時税制調査会の最後の答申案につきまして、きのうあたりお打ち合せがあったように聞くのでありますが、お差しつかえのない限り、臨時税制調査会の結論的な見通しをまず承わりたいと思うのであります。

原純夫大蔵省主税局長

○政府委員(原純夫君) お尋ねは全般についてのお話しですか。

豊田雅孝緑風会

○豊田雅孝君 全般について願いたいと思います。

原純夫大蔵省主税局長

○政府委員(原純夫君) 相当報告書は広範なものになりそうでございますが、要約して申し上げますと、中心はやはり直接税、特に所得税の負担の過重を緩和して、そして合理的なものにする、そしてそれによって納税者の申告納税の方も、今だいぶ不十分であるという面もあり、執行の方も困難しているというのを救って、所得税における課税がしっかりしたものに、適正なものになるようにということで、大体の額として千億程度の減税を、所得税においてやろうという考え方になってきておられます。そのやり方は、諸控除は近年だいぶ回復して参りまして、貨幣価値換算をやって昭和十五年の税制当時までのレベルに大体達しておるので、そして今所得税でいろいろな困難がある原因は、やはり税率の累進が非常に低いところで急だというところに大きな原因があるというふうに考えられて、千億の約七百億円を税率に充てる。それから三百億円を控除に充てる。やはり税制をやってみますと、中あたりのところに非常にひびが大きいわけですが、下の方についても反面で特別措置の一つである概算所得控除というものがありますが、これを整理しようというような考えがございまするのと、それから下の方にもやはり軽減の必要があるという意味で、三百億円を控除に充てる。千億といいますのは、やはり税率を納税者がなるほどと言えるようにするためには、その程度どうしてもやらなければならぬというところから、税率に七百億というところからスタートしております。税率をこまかく申し上げるのは複雑でございますから簡単に申しますと、今の税率は、諸控除を引いて残りが課税所得になりますが、その課税所得に対して初めの三万円に一五%かかる。三万円をこえますと二〇%になる。八万円をこえますと二五%になる。十五万円をこえると三〇%になるというような、非常な急な累進になっております。つまり控除がまあ普通の給与所得者でしたら二十四、五万ですか、約四十万ですね、二十四、五万の上に十五万課税所得が乗っかりますので、年四十万という収入の人はその上の一万というのは、今三割取られるわけです。今度の税率の調査会の考えている改正案によりますと、百二、三十万円をこえる一万が初めて三割取られるというふうになって、普通の給与のところに二割とか二割五分というようなことになってくるというわけであります。最初の税率も一五の下に一〇%のものを作ろうじゃないかというようなことを考えまして、同時に最高税率も非常に合理化する関係と、所得の状態も相当高額所得も出てきていますから、最高税率は五千万円をこえるところは従来の六割五分でなくて七割に引き上げたらいいじゃないかというような、上と下に一つづつ階段をつけ加えるというような考えでやっております。控除はこの三百億円を基礎控除一万円と、扶養控除の最初の一人、今四万円でありますが、それを五万円にするというようなこと、それから給与所得控除が現在四十万円まで二割ということになっておりますが、そこでぽきっと切れるわけでありますが、給与所得の控除の税率から考えまして、そこでぽきっと切るのはおかしい。諸外国の例あるいは昭和十五年当時、あるいはその前の制度等を考えて、これを二割でいくのは五十万円までとして、五十万円を越して百万円までの間は半分の一割を認めるというようなことにしたらどうだろうかというようなことを考えています。  所得税の関係は大体そういうことでありますが、直接税には法人税がまあ大きな分として残っております。これについては所得税に比べると、やはり第二段の問題であるということで、どうしても下げなければならぬという感覚よりも、特別措置の方で若干個人関係のみならず、法人関係も特別措置が整理されますと、従来よりも増収がある。その増収の全部を法人関係の税負担の軽減に充てますと、所得税の軽減の財源にならぬという問題がありますが、まあそのうちのしかるべき部分は、法人税一般に軽減するという見地で、それをまずやはり地方税である法人事業税を二%下げてそれに充てる。その後の年度でこの改正による増がなおあったならば、法人税の方も考えたらどうだというような線で議論が進んでおります。  所得税の裏になりまして、地方税で住民税がございますが、その住民税の面では所得税を千億減税しますと、大体住民税は所得税にのっかっておりますので、そのままでおくと住民税が減収になる。それを減収にならないように、住民税率第一方式というのは、御案内のように府県六%、市町村一五%、これは所得税額に対してですね、前年の所得税額に対してそういう税率をかけますが、それを所得税の減による分を埋め合すために、逆比例でその率を上げたいという議論がありました。ただそれを完全に上げるということは、所得税が毎年このただいま申した累進税率の関係で、所得の伸びの二倍、あるいは二倍半ぐらい所得税が伸びますから、その辺を考えて、住民税率を調整する場合にも、単純に機械的に逆比例でやっちゃいけなかろう、妥当なところで慎重に検討してやるようにというような考えであります。  それから所得税の一千億減税の財源を何によって賄うかという問題で、当初はわれわれはただいま明らかになっておりますような自然増収というものが考慮のほかにあったわけなので、各種特別措置の整理と、それから間接税の増徴という線で来られました。その後非常に経済が調子がよくて、自然増収が多いということから、自然増収を入れて三本立てで財源を考えております。で、自然増収もますます調子がよろしいので、ただいまちょっと両三カ月前に立てておりました見込み、つまり昭和三十二年度で本年度予算の額に対して千億の自然増収というのがもう少し上回りそうになっておりますが、将来は大体自然増収の中から五百億を財源に充てる。それから残りの五百億を特別措置の整理と、それから間接税の増徴で、まあはっきり半々ということではございませんが、両者でいけるというような考えでございます。その特別措置の整理の方は、件数にして大きいものだけで三十ぐらい、小さいものを入れますと非常にたくさんございますので、百ぐらいになると思いますが、こまかいものまで一々詮議していただけない事情にありますが、大きなものについては大体議論がつまってきております。総額で大きいものだけで年々の減収額が千億ぐらいあるのでありますが、それを昭和三十二年度、初年度に二百六、七十億ぐらい減収が少くなるように、つまり収入になるようにしたい、平年度には、もう少し大きな額になりますというような線でおります。  それから、まあ中身はいろいろありますが、また追ってお尋ねがありますれば、申し上げることにして、間接税の方では当初先ほど申したような前提で売上税というものをだいぶ研究されまして、現在よりも、やはり売上税というものに対して相当強い意見がございますが、まだ国民のそれに対する理解も十分でない、また実際上障害になっている所得課税の無理と申しますか、そういうものをいわば根治した上で、なお将来の問題として残そう、そうなりますと、売上税を考えない現行の間接税体系でどうするかという問題になって参りまして、その面では今の体系では、酒とたばこと砂糖と、まあたばこは専売でありますが、間接税のようなものでありますから、その三つに非常にウエイトが置かれ過ぎている。それで一般のバランスを見ても、物品税系統においてそういう三品目とのバランスが非常にとれないし、また最近、近年の消費の伸びというものを分析してみますと、量においても質においても財源が必要だという場合に、担税力をかなりよく推定して間接税をかけ得る商品が相当あるというようなことから、物品税の面である程度の増収をはかりたいという考えになってきております。  なお、少し申しおくれましたが、この自然増収が特に出てきておる状態で、間接税に無理することないじゃないかというような議論もあり得るわけでありますが、調査会の考え方としましては、やはり直接税で非常に無理がある、直接税、間接税のバランスが今ちょうど国税で半々になっておりますが、戦前は直接税が一、間接税が二というような割合になっておりまするし、また、各国の例を見ましても、所得のあまり高くないところであまりに直接税をかけるということは、なかなかうまくいかぬということで、かなりはっきりと所得の大きさ、それから税負担の大きさとの相関関係で所得が割合に低くて、そうして税負担が大きいという場合には、どうしても間接税に相当ウエイトがかかってくるのが実情であります。これはまあ日本の状態で見ても、あまりに所得税だけが多いために、また法人でもそういうことがあると思いますが、なかなか申告納税の態度が十分でないことになっている、また税務執行の方もなかなかむずかしい、税法上は非常にいい税である直接税が、実際にある税の負担というものは、かなりに不公平なことになっておるということがいわれております。これではやはり世の中のためにもよろしくない、むしろ間接税の方で担税力を公平に取れてやれる面があるならば、そっちへいくべきだ、売上税の考え方になりますと、もう少し広くなって、非常に福祉国家的なものになってきて、いわば全部が幸福に生きていこうというようなことになって参りますと、非常に財政支出もふえる、それから直接税の所得税の納税義務者は有業人口の四分の一しかございませんが、それでまかなうというのはなかなかできない、やはり広く浅くという観点で考えておられるわけでありますが、まあそんな考え方も入れて、間接税のウエイトを、直接税から間接税へウエイトを移そうというような考え方になってきております。そういうわけで物品税の系統でいろいろと現行の課税物品と対照し、また、外国の例なども研究されて新たに課税するものを求め、また現在課税物品の中で課税最低限というものを置いておりますが、これが年々高くなって、ものによりますと九割七、八分も課税最低限ではずれておるというようなのがございますが、その全部でありませんが、その中でたとえば電気洗濯機というようなものは、そこに担税力があるという意味で、課税最低限をはずしていいじゃないかというような議論が出ております。新規にかけます物品の中で、やはり大きな問題が繊維で、繊維を額においては新規にかけますものの大半が繊維関係になります。繊維も対象として考えようじゃないかという線で研究が進んでおります。  直接税、特に所得税千億減税を中心としまして申し上げて大体そういうことでありますが、その他なお税法上いろいろ問題があります。そういう点もいろいろ研究しておられますが、長くなりますから、このくらいに申し上げておく次第であります。

豊田雅孝緑風会

○豊田雅孝君 特別措置のうち、大きいもの、項目的に言ってもらうとどういうことになりますか、整理せられると……。

原純夫大蔵省主税局長

○政府委員(原純夫君) 特別措置はいろいろな分け方がございますけれども、大体が政策的な目的を持つものが多い。中に貸し倒れ準備金とか、特別租税引当金というような企業会計原則論から当然だろうという性格のものもありますが、大体そういう政策ないしそういう性格から七つのグループに分けて研究していただいております。最初のグループが利子課税、それから配当所得課税、いわば資金の蓄積ですね、貯蓄の奨励といったような種類のもの。第二のグループが資本構成の是正といいますか、増資配当について免税するというもの。それから第三のグループがただいま申し上げましたいろいろな準備金、引当金のグループ。第四が特別償却でございますね、大事な、重要な種類の機械等について償却するのでございますがその分、それから第五が輸出奨励のための措置。第六が重要物産免税。第七その他と、そういう七つのグループに分けて研究していただいておりますが、最初のグループの利子配当、これは利子はただいま特例で全然非課税ということになっております現実でありますが、これについては大体半分程度を、つまり一〇%ですね、本法二〇%の規定がございますが、非課税はもうよろしくなかろう。ただ一度に二〇%の源泉徴収で総合課税ということは、まだ貯蓄の状況から見て行き過ぎであろうが、一〇%の源泉徴収をして分離課税をするという段階を、なお二年くらい続けたらどうだろうという御意見が強うございます。それから配当につきましては、原則は源泉徴収が二割、それから配当額を個人が受けますと、その二割五分のワクを所得税額から控除するというのが本法の規定でありますが、ただいま特例で源泉徴収の二割を一割にしている。それから二割五分の控除を三割にしております。それを控除は原則に戻す、それから源泉徴収は一割、利子をそろえて一割にするというような考え方が強く出ています。増資配当免税の方は、来年一月末までの措置でありますが、これはその期限でやめたらどうだろう。準備金につきましては、非常に議論がむずかしい議論になりまして、まだはっきり結論が出ておりません。特に貸し倒れ準備金、価格変動準備金といわれるあたりのものは、性格論も相当議論のあるところで、大体性格は落ちついてきましたが、それをどういう結末をつけるか、つまり給与会計原則上当然だといわれるものについては、当然だと思われる限度のパーセンテージまで認めるのがよかろう、それ以上の優遇は制限しようかというようなことで、その辺の数字の集め方が非常にむつかしいものでございますから、なお今研究最中だと、いずれもある程度そういう見地で、それぞれの当然値する程度でやっていこうというようなことになっております。中で、退職給与引当金、特別修繕引当金あたりは、それぞれ、退職給与は先般変えたばかりでありますし、特別修繕は、非常にはっきり度を過ぎるということのないようにやっておりますので、これは今のまま変えないでいくというようなことになっております。  それから、特別償却と、その次の輸出奨励のグループは、やっぱり目的としては、今の日本の経済状態において最も重視すべきものであろうかという考え方で、特別償却はその対象となる機械設備の指定を、もう必要ないというものは、どんどん整理してよろしいけれども、日本経済が進むにつれて、新しいものを入れろという必要のあるものは、どんどん入れてほしい。その他、陳腐化の償却であるとか、その他償却関係で、前よりも積極的なそして円滑な運営ができるように措置をしてほしいというような線になってきております。  輸出所得の免税でありますが、来年一ぱいまでの取引による所得を免税することになっておりますが、ただいま申したような意味で、これは続けたい。まあ、税理論としては、これは相当議論のあるところでありますが、やはり、なおしばらく続けたい。おそらく来年の末、あるいはその後の通常国会において措置されるように、というような答申になるのだろうと思っております。輸出の関係では、こまかいのはそのほかに二つばかりありますが、輸出所得の免税をやれば、ほかのは整理してよろしいというような考え方がございます。  重要物産免税につきましては、非常に議論が多うございまして、これはもう御承知の通り、あの制度は、非常に国民経済に必要な新規企業の興るのを奨励するというような意味で実は当初始まったんですが、だんだん運用がマンネリズムになりまして、今では、石炭だとか、電力だとか、そう何といいますか、新たに興す、新たにそういう事業を始めるということでないようなものが非常に多額の免税を受けるというようなことになっておる。かつ、非常に新しい事業であるから、不安が多い、で、フラクチュエートするマーケット、あるいは技術というようなものの不安があるのを助けようというような趣旨が本来あったわけなんですが、実際には、ほんとうに苦労して所得が出ないというようなところは、なかなか利益が十分ない、初めから外国からパテントを買って、もうもうかるにきまっているというようなものが利益を受ける、というような面の矛盾もかなり指摘されて、これについては、業種を弾力的に指定するような制度にするということと、それから法人税四〇%がまるまるもうかってしまうというのは、やはり行き過ぎだから、それをしかるべき程度に制限するというような線で研究が進んでおります。  その他の中では、大きいのは、先ほど申し上げました概算所得控除といいまして、所得税で、社会保険料が所得から控除されることになっております。それからお医者さんにかかりますと、ある程度以上のものについては、これも証明があれば控除する。どろぼうなんかにあいますと、雑損といいまして、これを控除するというような制度があります。そういうものは、一々やるのも手数がめんどうだ、知らない人は恩典に浴さないというようなこともあって、いかにもおかしい。ほんとうにある人はある人で控除を受けたらいいじゃないか。そういうことを問わずに、五%という率でありますが、一率に控除するというのは一般の控除に吸収したらいいじゃないかという議論が強くて、これは減収額が年額八十億に及んでおりますが、これを整理しよう。それから、あと、例の米穀の供出代金の一部を所得額に計算しないという問題、それからお医者さんの社会保険診療報酬について、経費率を法律できめて、その分は所得は二八%だというふうにやっておられる。この二つの制度については、いかにも税制上おかしいということで、これはやめるというような方向に向かいそうであります。  こまかいことはまだございますけれども、大体そのくらいでございます。   〔委員長退席、理事西川彌平治君着席〕

加藤正人緑風会

○加藤正人君 今度の減税は、減税を一方で唱えると同時に、また、増税になる部分もある。減税を喜んでおる方面と、増税を受ける方面は反対に困る、という両面ができるわけなんですが、さきほど豊田委員が言われたように、それなら減税の額を減らして、今までたとえば特別措置によって負担が軽減された方面にさらに税金を増すような方法をやめたらどうだとわれわれは思うのです。臨時措置でやってきた方面には理由があるので、そうなってきたのでありますから、まあ年とともに事情が変るから是正していくということも必要でありますけれども、一応日本の経済界は非常によくなってきた、こういう措置は要らんということになってきたという面も、むろんあるのですけれども、しからば日本の経済が好転してきたという原因が、日本の経済の回復状態が原単位が下ってきて、いわゆる合理的に力が強まってきたということから来る経済の回復であるのか、あるいはまた海外景気の好調を受けて他力本願的によくなったという部分も、だいぶこれは考慮に入れなきゃならん。近ごろは、スエズ問題など起って、恩恵を受ける企業がある。臨時措置なんという方面を今度少し改正を加えるということになると、議論が非常に輻湊すると思うのですね。税制調査会のメンバーも、相当有能な人が集まっておられるのですが、あの人たちの出した結論が必ずしも一般の支持を受けるかどうか、それはわからん。そういうふうなわけで、できたらこういう方面の激しい変更をやめて、どっちかといえば、減税が一千億とならんでも、七百億でも、そう無理せんでできる、一方犠牲を払わないでできる程度の減税をしておいたらどうかとも思うし、また、先ほど局長の言われたように、自然増収も一時の見込みから見るとよけいになってきたでしょうが、しかし今のお話しでは一応五百億ずつ一千億を流用する、すると、あとにその後予想以上にふえてきたという自然増収の幾ばくかの金は残るわけです。私はこういうものを残す必要はないと思う。これをやはり利用するということにすると、非常に日本の経済に影響の甚大である繊維課税が百数十億ぐらいなものであれば、見込み以上にふえてきたという自然増収の残った部分をこれに引き当ててでもできることです。繊維課税の声が起ってから、今繊維界でも来年の四月以降の成約ができかねている、いわゆる輸出の停頓をきたしておる。こういうことでもやもやしていると、日本の海外貿易が受ける損害が非常に大きいのですね。だから早い期において百数十億ぐらいのものは自然増収でまかなうことになって、考え直してこういう悪税はやらぬことにしたというようなことを発表すれば、まるでみぞにごみがひっかかっていたそのごみが払われたように、また、輸出の伸張を見るだろうと思う、今は停頓しているが……。大体こういう方針でもうきまったのだから、多少の反対があっても進むというような行き方は、大いに考え直さんと、先ほどもあなたが来られない前に申し上げたのだが、これは中小企業を育成助長しようという基本的な方針に反するようないろいろな問題が起ってくる。同時に自然労働強化というような問題が諸企業に起ってくる。そうして輸出の方面においては当然戻税問題など起ってきて、これは前の繊維の戻税でもいまだに解決していない、池田大蔵大臣時分にも返すとか返さぬとか言ったままで、あとがちゃんとはっきりした整理ができてないまま今日に及んできた。今それをまた再び繰り返そうというのです。これはもう大いに考えてやってもらわんことには、百数十億としては犠牲があまり大きいのですね。こういうことを少し考慮していただきたい。  それからついでに伺いたいのですが、日本の税金の歩どまりはどういうことになりましょう。われわれのような会社生活をしている者は、ガラス張りでもう根こそぎ取り上げられてしまう。しかし私企業みたいに見える方面では、相当なぜいたくな暮しをして税金の負担を免れているところもあるしするので、ときどき話題になるのですが、ずうずうしいやつには案外徴税はむずかしいと見えて、いいかげんであきらめてしまうらしいのだが、抵抗の少いところにはどこまでもぐんぐんきめて、苛斂誅求なんという悪政をやっているようなこともある。何か厄介なやつは、いいかげんめんどうだから、放っておいて、取りいいところから取れというふうにも見えるのですね。そんな工合で結局結論は、一体これだけ徴収しようという予定徴税金額と、実際徴税した歩どまりがどんなことになっているか。ずうずうしい不正直なやつが恩恵を受けるというようなやり方は、僕はいかぬと思うのです。そういう点についてちょっと……。

原純夫大蔵省主税局長

○政府委員(原純夫君) 最初のお話しの点はあとにして、最後の点から申し上げます。最初とも関連いたしますが、おっしゃる通り給与所得者の給与所得は非常に正確に納税されておる。ところが事業所得になりますと、なかなかむずかしい。今おっしゃる通りであります。先ほど申した通り今非常にきつい税率なものですから、去年八十万円の所得で申告した、実際はまだ自分は収入があるのだけれども、それを申告するとさっき申した四十一万円の収入に対しては三割取られるから百万円とすると五割くらいとられてしまう。その上住民税がくる。納税者を弁護するわけじゃございませんけれども、なかなか申告できぬ。そうして税務官吏の方も事業の所得を正確に確かめるということは非常にむずかしいものですから、なかなかそれがしっかりいかない。おっしゃる通りのことがあります。納税者の中には、何といいますか、気の弱いといいますと語弊がありますが、正直な人とそれからずるをきめて徹底的に逃げてしまおうという人がある。税務官吏の方にもやはりきつい人とずるい人が、どうしても人間だからあります。そうして私どもやすきについて取りやすいところから取るという気持は毛頭ありません。公平に取ろうとやっておりますけれども、やはり人間のすることですから、税務官吏の方のきついところ、正直なところに当った場合、納税者が非常にずるいところと気が弱いというところからは、結果として出てくる所得の把握が非常に違うというようなことがあると思います。これが一体全体平均して大蔵省は所得の幾らをつかんでおるか、幾らつかまっていないかということは、これはもうわからないのでございます。わかるなら百パーセント取っていなければいかぬわけなんですが、よく七割はつかめておるとか、いやとても半分くらいだろうというような声も聞きますが、その辺はちょっと幾らかと聞かれましても、正式にはわかりませんとお答え申す以外ないと思います。ただ、ちょうどお話しにも出ました通り、そうして私が今申し上げました通り、あまりにこの所得税が重過ぎますと、どうしても納税者の面と税務官吏の面と両面でうまくいかない事情が重なるものですから、その結果は所得のつかまり方がまちまちになる。そうしてそれは非常な不公平になるのです。所得が三割も上りますと税額では倍どころでない、一と三とか一と四とか五とかいうことになってくるのでございます。そういうようなことがあってはいけない。そうしてそれはやはり税率が急に累進して重いというようなところに非常に大きな原因があると思います。もちろん戦後のいろいろの混乱の痛手の跡というものも残っておりましょうけれども、そういう意味でとにかく納税者がこれなら納められるという程度のものにしなければならぬと思います。そこで最初の、そういうのをやらぬでも、特別措置なり間接税なりの措置をやめたらというお話しでございましたが、それも一つのお考えでございますけれども、私の今申しましたような所得税でそういう非常な不公平がある。それはグループとしていえば給与所得者と事業所得者に全体として全く不公平があるという感じが残る。事業所得者の中でも、非常に大きな不公平があることがおそれられるわけですね。それを何とか抜本的に直したいということが一方にあり、一方で特別措置でちょうど年々千億の減収になる。その上に各種準備金引当金につきましては、大体約五千億円の所得が課税されないで留保が認められておる。これをかけるとすれば、法人税率四〇%をかりにかけますれば、二千億円の税金が留保されているということになるわけです。もちろんそれにはそれぞれ意味があるわけでありますけれども、総体的に考えて、所得税についての非常な無理、そして勤労者は無理にでも源泉で取られてしまう。事業所得者の中でも非常に大きな問題があるという際に、それを抜本的に直すということは、まあしかるべき程度でよろしいというのでなくて、やはりこれは抜本的に直したいという気持にならなければならぬ。一方で特別措置でそういう大きな額があり、かつその中にはそれぞれ意味がありますけれども、やはりおかしいというものがあります。非常におかしいというものがあります。そういうようなことを考えますと、単に財源論だけでなくて、税の公平な負担、もう税だけでなく、とても税だけでは説明し切れないおかしい事象があるのです。そういうようなことを考えられて、やはり所得税を合理化するためには、またその事自体の統制から言うても整理しなければならないという考え方をとっております。間接税の方につきましても、お話しのような御意見は十分あり得ると思いますが、先ほど申しましたように、全般の体系的な考え方で、まあ日本の税体系をより安定したといいますか、バランスのとれたものにしたいというふうな考えでありますので、感じとしてはおそらく五百億半々と申し上げたのは、若干特別措置の方に重みが加わったというふうに私ども見ておりますが、そんなような感じでありますけれども、そういうような見地で審議しておられるということをつけ加えて申し上げたいと思います。

加藤正人緑風会

○加藤正人君 自然増収にさらに残っておる部分があるのです。そういうようなことなら繊維課税はやめたらいいということです。

原純夫大蔵省主税局長

○政府委員(原純夫君) 申し落しました。実は先ほどちょっと申し足らなかったのですが、十月の初めごろでありますか、自然増収来年度一千億円と申し上げた時分に、調査会がそれならその中で五百億は減税に回したいというようなことを言われましたが、それで今作業しておられます線は、非常にきつい要求を自然増収に対して出しておるということなんです。それは税、それから専売益金、それにいろいろなもの、前年度剰余金とか国有財産売払代金とかいう雑ですね、この三つでできているわけです。歳入は。税の一千億円、専売の伸びが悪いので困っておりますが、その雑の方で大きく減るのがあります。三十二年度にはこれは約二百四、五十億ある。もうわれわれがどうにもなりませんのは、三十二年度に使います過去の年度の剰余金と申しますのは、一年置いて三十年度の剰余金を使うのです。本年は二十九年度の剰余金を使うのです。これは決算にはっきり出ておるのです。本年使うことになっております前年度剰余金というのは三百八十億、来年使う三十年度の剰余金百九十億円、半分に減っております。そのほかに雑の中で鮮銀、台銀から、例の最後の何といいますか、整理の際に納付金を取り上げましたものだとか、あるいは保険会社の調整勘定の納付金というようなもので、一時的にしか入らないというもので非常に大きなものがあるのです。それらを考え合せまして二百五十億前後そっちでマイナスになるということになっております。そうしますと千億の税が専売でふえましても、二百五十億そっちに食われてしまいますから、歳出の増加なり、あるいは減税なりに充てるものが七百五十億だということになってしまうわけです。そのときに調査会が大いに減税をやる必要があるのだから、五百億だということで言われたわけですが、まあ、そのときに私ども伺っておって、それじゃとても残りの二百五十億で、この予算のワクをそれで押えきるということは、とてもできまいと実は私ども思っておりました。私も税の方ですから、非常に調査会でがんばっていただくというのはありがたいという気持で伺っておりましたが、とてもそれじゃ済まない。当然にふえます賠償とか、恩給とかいうようなものだけでも三百億とか、四百億とかいう話しでございますから、そういうようなわけで自然増収が出ましても、にわかに減税にすぐ振り向けるというわけにいかない。もちろん出る程度にもよりますが、出たものが減税に全然向かぬのだということはないと思います。何分そこに非常に大きな無理をしてといいますか、国民に減税の形で返すという強い主張的な前提で五百億と考えられておりますので、おっしゃるような面が全然ないとは言い切れませんけれども、相当大きくそこで無理がいっている、従ってそれを考えあわせて最後の結論を出さなければいかぬのじゃないかというふうな事情をちょっと申し上げた次第であります。

豊田雅孝緑風会

○豊田雅孝君 さっきの説明のありましたことに関連してお尋ねをしたいと思っておりますが、まず第一は、概算所得控除制、これを今度廃止しようというわけですが、概算所得控除制がこれは認められたのは、御承知のように中小企業にはあれは一番便利なんですね、ああいう制度が。今までこの租税特別措置の大部分というものはほとんど大企業だけに利用せられて、中小企業にあまり効果がない。一方は少くとも損なことだと言われておったのですが、その中で概算所得控除は御承知のように雑損控除などの一々手続をしなくても一律にいき得るというところに、中小企業、零細企業に非常に便利なところがあるのですね。それをやめられるということになると、いよいよ租税特別措置法は今までよりも一そう大企業本位のものになるという非難が私は必ず起きると思います。その点についてのお考えを一つ伺いたい。  それからもう一つは自然増収の関係でありますが、本年の三月から九月まででも法人税中心に一カ月かれこれ百億の増収だというふうに言われておったのですが、それで推算して一年千二百億、しかもその後ますます景気がいいというようなことから見ても、中には千五百、あるいは場合によれば二千億の自然増収があるのじゃないかというふうに言われているわけですね。一千億の自然増収というのは、あまりに自然増収の見積りが過少なんじゃないかというふうに思うのですが、まあ、その点についてのお考えを伺いたいということが第二。  第三は今度のこの間接税増徴について新規に繊維にかけようということですが、具体的に繊維にどういうかけ方をするのか、原糸課税というか、一部を除くと言われますけれども、どういうものを除くのか。その課税の段階がどういうふうになるのか、そういう点。それから従来御承知のように物品税は非常に戦時中から悪税だ、特に戦時中のように物の少いときだと、これの転嫁が自然にできるので、比較的公平にいけるという前提に立っておったのですが、戦時中と今とでは、全然御承知の通り経済状況は違うわけなんでありまして、従って、経済力の弱いものは自分でかぶらなければならない、けんかもできないという点で、戦時中の物品税創設当時と全然事情が変ってきたにもかかわらず、依然として物品税というものを存続するというところに問題があるところへもってきて、今度は増徴しよう、また、課税品目を拡大していこうというわけで、これも非常に問題があると思うのでありますが、そういうことを強く主張すると、従来中小企業関係、零細企業関係について問題のあったものについては、相当手心を加えていかなければならぬ、そういう面は、むしろこの際十分に改善を加えて、そうして新規に別の方向に向けていくというのですが、しからば、中小企業、零細企業などで、従来問題のあったものに対して、どういう手心を加えようとお考えになっておるのか。この点について、税率もアンバランスでありますし、免税点も、でこぼこで、非常に問題がある。それから従来の品目自体に、また非常な選択についても不公平がある。こういうような点が従来からも非常に言われてきたようですが、そういうものに対しての、この際お考えはどうなのか、そうして新規に課税しようというならば、そういうものについてどういうお考えを持っておられるか、これをもう少し具体的に伺いたいと思います。

西川彌平治自由民主党

○理事(西川彌平治君) 川野政務次官が衆議院で今委員会を開会いたしておりまして、実は出席方を要請されておるのでありますが、川野政務次官に特に質問がなければ、御退席願ったらどうかと思います、いかがでしょうか。

豊田雅孝緑風会

○豊田雅孝君 私はけっこうです。

西川彌平治自由民主党

○理事(西川彌平治君) それでは一つ御退席願います。ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕

西川彌平治自由民主党

○理事(西川彌平治君) 速記をつけて。

原純夫大蔵省主税局長

○政府委員(原純夫君) 最初に概算所得控除の問題でありますが、おっしゃる通り、あれは中小企業に利益になっておるというような考え方もございますけれども、だれにも五%の控除があるということならば、それは基礎控除なり、扶養控除なり、まあそういう系統で吸収してしかるべきものではないか。実際に医療費もかからない、それから社会保険にも払ってないという人に、そのかわりだと言ってやるのは、どうもおかしい制度ではないか。そういうおかしい制度はやめて、そのかわり基礎控除は上げよう。まあ、概算所得控除が現在一万五千円になっておりますから、基礎控除だけではありませんが、扶養控除というふうなこともありますし、それから最初の税率を一〇%にするというようなことをすれば、その点は十分以上に償えるという考え方です。それは裏から言いますと、つまり何といいますか、そういう三つの事由があっても、なくても控除するというのは、事由のある人にその部分を控除してやろうということに対して否定的な感じがあるわけですね。ところが、やはり社会保険料なりその他というものは認めてやらなければならぬ、またそういう意味で、その中で一番普遍的な大きい問題は社会保険料控除を考えますと、一方で生命保険料控除がある。社会保険料控除は中小企業があまり使っていないということを言われるのです。が一方で生命保険料の方は、なかなか勤め人は一般の事業者ほどには生命保険に入っておりません。事業者の方が入っている人数も割合多いし、そうして入っている額も多いのです。これの方は概算所得控除をもらったからといって、生命保険料控除も含めたかわりだというのでないわけですから、そういう意味では、そこでバランスが破れるというようなこともある。かたがた、社会保険の広がり工合はかなり急速なものがありまして、申告納税の事業所得者の社会保険にかかる割合も年々相当な率でふえておりますというようなこともあり、両面からいろいろそういうことを考えて、むしろやはり全部に与える控除は基礎控除とか扶養控除とかでよろしかろう、特定の事由によって控除が必要になるならば、それは理由がなければやめてしまった方がよろしい、あるならば、ちゃんと認めて、その人にはちゃんと傾斜のついた控除をしてやるというふうなことで行くべきであろう。生命保険料控除が別に認められることが考えられれば、別に認めてもいいじゃないかというような考え方でやっておったのであります。  それから自然増収の額のことでありますが、これはやはりお話しの通り、来年度千億ではとどまらないと思います。一両月前に出ましたのがそういう見込みでありました。ただ毎月百億ぐらいと言われます中には、いろいろな時期的な、当初どの時期がお目にとまったか知りませんが、年度の初めごろにはかなり特殊な事情がございまして、七月の予定申告が、昨年と今年と、昨年はあとえ延ばして、今年は早いというので、早く始まったというものもあります。それから何よりも大きいのは金利の正常化というのが年度初めごろに非常に強い勢いで行きまして、そうして企業の収益状態もよかったのでありましょう、納税の率が非常によくなったということがあります。これはそのあとでずっと続く問題じゃなくて、一時的な問題だというようなことがありまして、百億そのままのテンポではいかぬという問題と、それから予算が三百億ばかりふえておりますから、それは当然伸びないと困るわけで、その辺を考えまして、一両月前には、私ども本年度だけで五官億円確実に、来年度は千億は確実にある、こう申しておりましたが、ただいまではこれをある程度上回るだろうと思っております。特にこの期の決算もよろしいようで、来年度の見込みは、なかなかこう大きく動いておりますときはむずかしい問題になりますが、それにしても千億は上回るだろうと思っております。どの程度になるか、これにつきましてはもう少しデータも得て、かつ勉強もしっかりして申し上げたいので、ただいまのところは千億を若干上回るということで、しばらく差し控えさしていただきたいと思います。  それから繊維課税の具体的な方法、これはまだ調査会にも研究の段階でありますし、扱いとして、私ども最後的にきまります前に、こういう席であまりしゃべるのも不穏当かと思いまするので、一つ別な機会にさしていただきたい。  物品税につきましては、お話しの通り、課税物品間の権衡、税率の権衡、あるいは課税最低限の権衡というような問題もありまするし、また、中小企業形態のものはいろいろ問題であるということも承知いたしておりますが、これらを抜本的に直すということも、もちろん問題でありまするけれども、今回調査会の研究は、先ほど申しましたような視野から、間接税の体系の、いわば構造を直すというような考え方でやっておられますので、まあ、なお現行の課税物品についてのそういう問題の分まで勉強していただきたいとは思ったのでありますが、そこまでいかなかった。ただその中で、ある程度冒頭にお話がありました中小企業的なものについて何か考えたらというような御意見は相当強く出ております。  大へん概括的で恐縮でありますが、大体この辺で……。

豊田雅孝緑風会

○豊田雅孝君 簡単に、概算所得控除についてですが、これは私どもは一種の零細企業控除というようなふうに考えておるのです。というのは、御承知のように、勤労者には給与所得控除というのがあるが、零細企業は勤労者同様朝から晩まで働く、ところがこれが普通の基礎控除だけで行かれるところにアンバランスがありはしないか。そういう点をかねがね主張しておった結果、概算所得控除という、ああいう一律的な行き方で一つの零細階級に対する特別控除が認められてきたので、私これは社会政策的に非常に意味があることだと思ってきたのですが、それだけにこれが廃止せられるということは、非常に逆行する感があるのであります。そういう点では今後また大いに論議もしたいと思いますけれども、今申すように、一種の特別控除税を零細階級に認めるというような、社会政策的意味のある立場からも一つ御研究を今後願っておきたいと思うのであります。  それともう一つは、間接税に移行していくことはいいといたしましても、あれほど問題のある物品税、特に戦時中創設せられた税であって、今日の平和状態のときとはもうまるで違う、それだけに一番の問題があるこの物品税をねらって間接税に移行をすることが私は非常に問題じゃないか、何ゆえに、税制調査会まで設けられて根本的に再検討せられるのだったら、もっと新しい制度として、そうしてバランスのとれた行き方をおやりになる方がいいんじゃないか、ことにこれは政治的に見て最も悪税だ、悪税だと言われているものをねらってやられるということは、非常にまずいのじゃないかというふうに思うのであります。そういう点では、私どもこれには非常に反対をせざるを得んのであります。今後世論もずいぶん出てくるだろうと思うのですが、そういう点でこの際税制調査会の答申とはまた別に十分御検討を願いたい。ことにまあこれは大蔵大臣等に、今後機会を見て十分に一つ質問もいたしたいと思っておりまするけれども、政治的にこの際考慮をせられることが私は非常に必要じゃないか、悪税中の悪税を選んでおやりになるということは、非常に政府与党としてきわめてまずいやり方ではないかというふうに思っておりますので、いずれ機会を見まして、あらためて質問をいたしたいと思いますので、きょうはこの程度にいたしておきます。

西川彌平治自由民主党

○理事(西川彌平治君) それでは原主税局長は衆議院に出席の要請がありますから、これで一応税制に対するものは後日に質問を譲ることにいたしましてこの辺で……。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕

西川彌平治自由民主党

○理事(西川彌平治君) 速記をつけて。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 昨日共同宣言等の批准が終ったわけでありまするが、相次いで起るのは、貿易協定の問題でありまするが、それについて政府としてはどういうような準備をしておいでになるか、また、いつごろそれを結ばれる御所存ですか、それを一応承わりたいと思います。

松尾泰一郎通商産業省通商局長

○政府委員(松尾泰一郎君) 共同宣言によりますと、できるだけ早く通商協定を締結するということに実はなっておるのであります。われわれ事務当局といたしましては、どういうふうな内容、あるいは形態の通商協定になるか、まだ先方の意向もわかりませんので、はっきりはしないのでありますが、一応関係各省で準備のための非公式の委員会というようなものも作りまして、ソ連が今各国と結んでおりまするような協定も詳細に研究をいたしまして、まあいつでもやれるような準備を整えるということで、つい最近そういう準備に実は取りかかっておるような次第でございまして、従いまして率直に申しまして、いつごろからそういう交渉が持たれるか、実は私まだはっきりはしないのであります。まあ今申しますように、申し出でもありましたら、いつでもやれるような態勢だけはやっておくという準備に取りかかったというだけでございます。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 この日ソ貿易につきましては、先般重光・シェピーロフ会談の際にも、また鳩山首相が行かれまして、ブルガーニンに会われました際に、この五カ年計画によって今後五カ年間に十億ルーブルに拡大をするというようなことで、鳩山首相もそれに関しては非常に期待を持っておるというようなことでございますが、しかしながら、これはこの三十数社の従来の日ソ貿易をやっておる人たちは必ずしも夢じゃないというようなことがあるかと思いますると、一方政府筋ではこれはまあ政治的な一つのゼスチュアでなかなか期待がそんなに持てない。従来戦前の日ソ貿易の状況から考えても、また、昨年の貿易の状況から考えても、ブルガーニン、シェピーロフの今の構想が五十倍、六十倍だというなことはちょっと望めないのじゃないかというようなことも聞いておりますが、通産省としてそれらについてどんな見通しを持っておいでになるか、それを一つ伺いたいと思います。

松尾泰一郎通商産業省通商局長

○政府委員(松尾泰一郎君) この五年先に往復十億ルーブルの貿易といいますと、今のドルで換算をいたしますと、ちょうど二億五千万ドル程度になります。これを片道半々と、こう直しますと、一億二千五百万ドル、こうなります。そこで五年先に一億二千五百万ドルの貿易が達成できる見通しありやいなやということになりますと、率直に申しまして、非常にまあむずかしいと、われわれ事務当局としては考えておるわけであります。御承知のように、昨年は輸出入合計しまして日ソ貿易額は五百万ドル、従いましてまあ五年先のことを予測するということは非常にむずかしいのでありますけれども、われわれとしては、できるだけ努力はしなければならぬということではありますが、まあ一億二千五百万ドルということになりますと、これはかなりよほど特殊の考慮を先方が払うとかなんかなければ無理じゃないか。しかし、できますれば、それは大いにけっこうなことだと思います。で、むずかしい原因といたしますと、結局日本の輸出余力の制約というよりは、日本がロシア側から買う物資の限度いかんということになるわけであります。まあ木材とか、あるいは石炭とか、石油とか、まあこの辺のものはシベリアあるいは北樺太等から買われるのですが、特に石油等につきましても、われわれの受けている情報によりますと、いわゆるアジア地区では非常に供給が不足しておるということで、もし石油を買うとすれば、やはりヨーロッパ側の方のロシア側ということになると思います。そうなりますと、結局価格の問題、輸送費の問題というようなことが問題になるわけでございます。また、シベリアの木材にしましても、あるいは樺太から石炭を買うにしましても、いろいろ積み期、積み取り期の制約もありますし、その他の、たとえば綿花、あるいはクロム鋼とかいうような商品になりますと、結局ヨーロッパ側のロシアからということになりまして、これまた価格、特に運賃の問題が重要な要素になってくるわけでございます。これはああいう国営貿易国家でありますので、どうなるかわかりませんが、普通従来いわれておるような価格だと、国際価格からかなり上回っておるというふうな制約もありますし、その他いろいろな取引の慣行も違ったりいたしまするし、急にはそこまでの線にいくことは、正直に考えましてむずかしいのじゃないかと、こう思っておるわけでありますが、しかし、われわれといたしましては、できるだけ伸ばすというような方法で、一億二千五百万ドルにかりにならなくともできるだけ伸ばすというような方法で研究もするし、お互いに努力をしなければならんだろう、こういうふうに考えておるわけであります。で一億二千五百万ドルのものがほとんど不可能かというようなことになりますと、私どももわかりませんが、イギリスその他ヨーロッパ諸国とロシアとの間の貿易額、最近の貿易額を比べてみますと、たしか一番多いのはイギリス本国であったかと思うのでありますが、はっきり数字を覚えておりませんが、一番大きな金額がやはり一億ドルくらいになっておるのではなかったかと思います。しかし、これもいろいろ地理的な条件なり、いろいろなそういう取引の条件によって、そこまで、一億ドル程度にまで貿易を達成し得ている国も、英本国のようにないことはないわけであります。従いまして、努力次第では不可能とは言えないかと思うのでありますが、さしあたりロシアと日本との置かれている地理的な関係その他から見ますと、率直に申しまして、急にはそこまで達成するのは相当困難ではないか、また、努力を要するのではないかというふうに考えております。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 そこで、今どういうものを輸入するかというようなお話がございましたが、またこっちからどういうようなものを向うへ持っていくかということで、支払いの決済の方法が一番その点について非常な大きな件になろうと思いますが、これについてはポンドによってやるのか、ドルによってやるのか、あるいはその方法は英蘭銀行にありまする勘定を通して清算をせられるのか、どういうようなことをそれらについてお考えになっていらっしゃるか。

松尾泰一郎通商産業省通商局長

○政府委員(松尾泰一郎君) 決済通貨はドルかポンドかということになりますが、従来の経験から申しましても、ポンドの方がやはりやりよいのではないかというふうに考えております。実は現在の取引の方式としては、ロシア側の希望もありまして、バーター決済は現金決済、ポンドによる現金決済ということでやっておるわけであります。現在やっておりますような方式が非常にめんどうかどうか、また、支障があるかどうかという問題でありますが、大体中共の貿易もそういうふうなバーター取引による現金決済というような方式をとっております。われわれ事務的に考えますと、今の現在の方式でもそう不便もないのじゃないか、こう思いますが、ロシアは現在そう多くの国ではございませんが、若干の国といろいろ通商協定を結んでおりますが、その中で決済方式としまして清算勘定と申しますか、いわゆる現金決済でなしに、両方の中央銀行が帳ずけをして、一定期間のとき相殺していくようなやり方、いわゆる清算協定、そういう清算協定方式というものをロシアがやっている国も若干あるわけであります。そこで業界からもその方が便利じゃないかというような御意見も実は出ております。実はまだわれわれもどういう決済方式が望ましいかということを、まだつめて研究もいたしておりませんが、通商交渉になりますと、向うからもいろいろの希望もありましょうから、それも聞いた上で望ましい方式でやっていくべきじゃないかと思っておりますが、何分清算協定方式と申しまするのは、世界の大勢からいいますと、漸次やめてきたような方式でございます。やはり貿易を多角化するというためには、あまり厳密なバイラタラルな清算方式よりも、やはり現金決済による特に国際通貨による現金決済の方が望ましいということで、ここ一、二年来かなり清算協定方式というものを日本としてはやめて参ってきております。よほどの必要性のない限りは、大体やめることにしておる。従いましてそういう従来この清算方式を、いわゆる清算するという傾向から見て、望ましいかいなかというふうな原則論も考えなければなりませんし、他方お互いに借り越し、貸し越しになった場合の清算をするというふうなことも必要になってくるわけであります。従来の清算方式では、たとえばスウイングをつけて超過した分は現金で取るというような方式をとって来たわけでありますが、まあことにインドネシア、あるいは南鮮等の清算協定方式は御存じのように非常に貸し越しになりまして、焦げついたというような苦い経験もございますので、ロシアとそういう清算方式をかりにやるとしましても、それらの点もよく研究をしていかなければ、今申しましたように、輸入の方はどっちかというと、若干最近困難です、ロシア側からの輸入は困難です。輸出はどちらかというと日本の余力はあり余っておりますから楽になる。ともかく輸出超過になり、日本が貸し越しになる。その貸し越しになった金を現金でもらえるかどうかという問題も実は考えなければいかぬ。従いましてまだ研究をするいろんな要素が残っております。それからの点をまだ事務的につめているわけじゃありません。何分まだ現実に交渉が始まったわけでもないものですから、まだ地に足がついたような研究ができないのであります。いろいろの場合を想定いたしまして、利害得失を今の段階におきましては研究もしているという段階で、まだこれという方式が望ましいという結論には達しておりません。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 今インドネシアとの焦げつきの問題もありましたが、こちら側がたくさん輸出して、向うからなかなか来ないということで、また焦げつきになるというようなことを私ども非常に心配しているわけですが、そこで今さっきのロシアの第六次五カ年計画で、シベリアの開発をやるということが、十億ルーブルの裏ずけになっておるのじゃないか、こう思われるわけですが、そのシベリア開発計画というものの全貌が通産当局としてはわかっておるわけですか、どんなものでしょうか。

松尾泰一郎通商産業省通商局長

○政府委員(松尾泰一郎君) そのラフなものは、一応承知しておるのでありますが、果してそれがわれわれの輸出見込み、いわゆる輸出計画として役立つような意味においての向うの計画というものは、現状ではまだよくわからないのであります。外務省にも頼みまして、もう少し実態がわかるように頼んでおるわけであります。まだ正直なところ、ばくとしたものはわかりましても、われわれといたしましては、それが現実のわれわれの輸出計画としてどういう影響を持つかということは、計画の詳細がわかりませんので、見当がつきません。ただこういう計画がある、ああいう計画があるといいましても、雲をつかむような話でありまして、まだわれわれの計画にそれをある程度、参考資料とする程度の計画の実態はわかっておりません。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 そうしますと、まだその全貌もはっきりしておらぬ、まだ具体的な計画もできぬということでありますが、シベリア開発で膨大な資材を日本から買うということであれば、非常にけっこうだが、なかなかそう簡単にいかぬ、まだわからぬという話でありますが、そこでココムとの関係は、日ソ貿易が開かれます場合に、どういうことになりますか。

松尾泰一郎通商産業省通商局長

○政府委員(松尾泰一郎君) ココムのいわゆる戦略物資の統制は受けるわけでございます。よくお尋ねを受けるわけでありますが、ココムのいわゆる制約が日ソ貿易の進展に非常に阻害をするのではないかということが言われるのですが、それは確かに、そういう制約がない方が、それは貿易はやりいいに違いないのですが、実は中央向けの戦略物資の統制と、それからいわゆるソ連圏向けの統制とは非常に程度に差がありまして、今普通のものならば、武器、弾薬、あるいは直接戦争に関係のあるようなもの、あるいは原子力の関係のあるものというようなものになりますと、これは工合が悪いのでありますが、いわゆる普通の貿易品であるならば、大体今の制約下においてもできるのではないかと、考えております。それは向うから注文が来ることでありますからわかりませんので、あまり軽々にも申せないとは思いますが、普通のものならば、大体今の制約下でもやれるのではないかと考えております。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 そこでこの日ソ貿易を始めると、日米通商関係にひびが入るのではないか、影響があるのではないかと非常に心配する向きもあるように聞きますが、それらについてのお見通しはどんなものでしょうか。

松尾泰一郎通商産業省通商局長

○政府委員(松尾泰一郎君) 私は日ソ貿易をやることになりましても、日米貿易に影響はないのじゃないかと思っております。今言うたような国際的な制約を守ってやる限りにおいては、アメリカからとやかく言われる点はなかろうじゃないかと思います。日本以外のヨーロッパ諸国も大体そういう方向でやっておりまするしいたしますので、特に日本がこれから日ソ貿易をやるについてアメリカから苦情も、また、感情を害すというようなこともないのじゃないかと考えております。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 それから貿易機構の問題ですが、向うは申すまでもなく国家で一本にやっているのですが、日本は各商社が非常にたくさんあるわけですが、それについて向うは何か組合貿易を要望しておるというようなことも聞いておりますが、その点はどうですか。

松尾泰一郎通商産業省通商局長

○政府委員(松尾泰一郎君) 先方が組合貿易を要求しているということは、私はないのじゃないかと思うのであります。向うは御存じのように国営、わが方は多数の輸出入業者による自由貿易ということになっております。まあ格好といたしましては、日本側はおそらく窓口を統制しないと、いわゆる取引上の勝負においては負けになるのであるから、従いまして向うの都合からいいますと、こちらがばらばらでおる方が御しやすいわけです。従って向うがわが方が一本になるということはあまり要望はしないのじゃないか、ただ、わが方が向うのそういう国営貿易に対抗するために、何かもう少し組織を強化しないと、輸出にしましても、輸入にしましても、競争の結果損をするのではないかということは言えるかと思うのであります。まあ余談になりますが、たとえば対中共貿易におきましても、日中輸出入組合というものが結成されております。戦後だいぶ活躍をいたしておるのでありますが、なかなか向うが一本でありまして、輸出入組合で何も一本に取引しておるわけじゃない。多数の輸出入業者がやられるのを若干調整をしている。そうなりますと輸入物資の値段の協定にしましても、あるいは輸出物資のそれにしましても、なかなか向うにしてやられる場合が非常に多いわけであります。まあ今後の対中共貿易におきましても、現在の輸出入組合のやり方でいいか悪いか、もう少しやり方を強化しなければならないということで、実はわれわれ勉強をいたしておるのでありますが、今後の日ソ貿易をやる場合におきましても、同様の問題が起るのではないかというふうに考えておるようなわけでございます。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 それから船員ですね、それから貿易関係の商人の入国というようなものについては、これは通商航海条約で根本がきまるわけだと思いますが、さしあたってそういうような点については、入国を緩和をするというような考えでおられるか、その点の御研究も進んでおるわけですか。

松尾泰一郎通商産業省通商局長

○政府委員(松尾泰一郎君) この出入国の問題は率直に申しまして実はわれわれの所管じゃございませんので、あまり口はばったいことは言えないのでありますが、やはり貿易がある以上は、ある程度の出入国ができないと、これはやれないわけでございます。特に向うは国営であります。ここに大使館ができてそこへ通商関係の人が来れば、向うはそれで用が足りるかもしれませんが、こっちはみなそこへ輸出入業者が群集するということになると非常に不利な格好になる。われわれ側から見ても、積極的にやはり向うの市場調査に行く、見てくる、実態をよく把握してくる必要があろうかと思います。まだ、今までのところ出入国について何ら話し合いがされておりません。今後の話し合いによって出入国の問題はきめられると思いますが、われわれは貿易促進という観点から、ある程度の出入国が認められるようになりませんと、ほんとうの貿易はできないのじゃないか、ただ大使館相手の何といいますか、いわゆるめくら貿易しかできないのじゃないかというふうに考えているわけであります。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 今大使館の話がありましたが、将来ソ連の通商代表部というものの設置を許可されるつもりか、その点伺っておきたいと思います。

松尾泰一郎通商産業省通商局長

○政府委員(松尾泰一郎君) この問題も、私の方からこの意見を申し上げましても、実はちょっと所管の関係が違いますのでありますが、まだ私は、はっきりきまっておらないと申し上げた方がいいかと思います。現にロシアがほかの国とやっておる場合も、通商代表部の設置の認められているところもありますれば、通商代表部の設置は認められずに大使館でやっているというようなところもあるわけであります。今後ここに駐在をする大使館のほかに通商代表部が認められるかどうか、まだ私は、全然きまっておらない、今後の話し合いにかかるのではないかというふうに承知をしているわけであります。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 その問題がまあ他の国の例等にかんがみましても、宣伝機関に利用されるおそれが多分にあるので、お尋ねしたわけですが、また、他日の機会にお伺いをいたしたいと思います。  なお、この日ソ貿易に関連をしまして、衛星国家との貿易の関係、また、ことに将来の見通しはどんなふうに考えておられるか、その点を一つ。

松尾泰一郎通商産業省通商局長

○政府委員(松尾泰一郎君) 衛星国家といわれますと、東ヨーロッパのソ連圏の……。

大谷贇雄自由民主党

○大谷贇雄君 そうです、ソ連の……。

松尾泰一郎通商産業省通商局長

○政府委員(松尾泰一郎君) 今ああいう紛争の起っておりますハンガリー、あるいはポーランドその辺との貿易は実は非常に微々たるものでありまして、東独とは若干カリ等の輸入の関係がございまして、あまり微々とは言えないかもしれませんが、顧みまして非常にけわしいヨーロッパのソ連圏との貿易は、まだ少いのでありますが、われわれ通商関係のものといたしましては、もう少し伸びる余地もあるのではないかと私は思いますが、いろいろな障害もありますし、率直に、今ここでどういう見通しだと聞かれますと、率直にお答えしにくいのでありますが、まあ努力はいたさなければならないとは思いまするが、果してこれは期待が持てるかどうかという点については、私正直のところ疑問を持っているようなわけであります。

西川彌平治自由民主党

○理事(西川彌平治君) それでは本日はこれにて散会いたしたいと思います。    午後零時四十八分散会

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