社会労働委員会 第11号
- 発言数
- 83 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1956/12/03
会議録
○委員長(千葉信君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 委員の異動を報告します。十二月三日付をもって、佐野廣君、藤田進君、田畑金光君及び高田なほ子君が辞任され、その補欠として、野本品吉君、木下友敬君、坂本昭君、山下義信君が選任せられました。
○委員長(千葉信君) 健康保険法等の一部を改正する法律案(参第一号)を議題といたします。御質疑を願います。
○安井謙君 議事進行。健康保険法にお入りになるようなお話で、まあそれもきょうは若干それは入ることはやむを得ないけれども、午前中の商工との連合委員会で何か、社労の委員から、まだ御質問が残っておるような言い回しもあった。幸いきょうはいろいろと取りまぜてやる委員会でもありますので、これを一つできるだけお計らい願いたい。通産大臣は見えますので、一つその点をあわせてお取り計らい願うように御配慮願います。
○委員長(千葉信君) 安井君にお答えいたしますが、午前中の連合審査会の最中にも、おっしゃるような意見が出まして、委員長において、その件については、あらためて理事会等で話し合いをしてもらうことになっておりますから、さよう御了承願いたいと思います。
○安井謙君 それは委員長はそう計らいたいというお話のようでしたから、私発言を求めて、幸いにも午後の委員会があるのだから、一つ午後に計らうように考えてほしいと言ったら、社会党の席の方から、賛成という声もあのときあったので、できればそういうふうなことで一つお進め願いたい。
○栗山良夫君 社会党の席の方から、賛成という声ありというのですが、それは全然ありません。速記録を見ていただきたい。われわれは三人発言しましたが、私以外の二名が商工との連合審査会をもう一度開いて、そこでお尋ねをしたいという意見でありましたが、僕はそれより少しは間口が広うございまして、もし連合審査会が開かれれば幸いであるし、開かれなければ、社労の正規の委員会で、特に通商産業大臣の出席を求めてお尋ねをいたしたい、そういう機会を委員長においてぜひとも作っていただきたい、こういう善処を要望したのであって、その点は誤解のないように安井君も一つお願いを申し上げます。
○委員長(千葉信君) この問題については、午前中にも申し上げましたように、この午後の委員会も、時間が非常に窮屈ですから、この委員会でこの問題をこれ以上取り上げていくと、委員会の能率が非常に阻害されますから、理事会等でこの問題を取り上げてもらうことにして、質疑を願います。
○安井謙君 ちょっと続けて……。それから健康保険法をおやりになることを、それは委員長どうしてもおやりになるというならけっこうだと思いますが、これは自民党としては、前から言っておりますように、健康保険については、党の、あるいは政府との協調した案も出てくるという話ですから、われわれの方では、今本格的な質問がありませんので、時間はここで貴重な時間なので、なるべく簡単に切り上げるように、なお、前の栗山君の発言は、そういうことはないというふうに断定されるので、そういうふうに聞いたので、これは水掛論になるから議論しませんが、われわれの方から、そういう強い要望が出ていることだけを御承知願います。
○委員長(千葉信君) わかりました。それでは坂本昭君、質疑を願います。
○坂本昭君 ただいま自民党の方から、社会党の提出した案に対して質問がないということでありますけれども、ないということはそれでもうよろしいという意味なんでございますか。
○委員長(千葉信君) 坂本君。どうぞ質疑を願います。
○坂本昭君 それじゃ今の安井さんの発言に対して……。
○委員長(千葉信君) いや、質疑を許しておりますから……。あなたに発言を許したのは質疑ですから、どうぞ。
○坂本昭君 提案者に一つお伺いいたします。この前のときにいろいろとお伺いいたしましたけれども、その中で私二つお尋ねしまして、特に後者の点、すなわち提案者の提案理由の中で赤字補てん、健康保険の保険財政を整えるという意味と、それからもう一つは日本の将来の社会保障制度を確立したい、その二つの点に提案理由かあったと思いますが、特にその後者の点について、提案者は、将来このような一〇%の国庫負担をすることによってどのような日本の社会保障、特に医療保障の制度を確立しようとする御意図であるか、その意を御説明願いたいと思います。
○山下義信君 お答え申し上げます。非常に重大なお尋ねでございまして、言いかえますというと、提案者、すなわち社会党においては社会保障制度の上において、ことに医療保障制度について、将来基本的にはどういうことを考えているかというお尋ねであったようでございます。従いまして今回提案の国庫負担、すなわち一〇%の関係はどう考えているかということでございまして、私ども今回提案をいたしました国庫負担の十分の一、船員保険に対しましては十分の一・五ということは、現制度の上に立ちまして、現在の政権下におきましてはこういたすことがよろしかろうという観点で提案をいたしたのでございます。前回にお答えいたしましたように、その中で基本的にわれわれが主張いたしたいと考えましたのは、すなわち定率の国庫負担、こういうことでございまして、一応現制度におきまして当面の解決のためにはこの程度の定率負担をいたすべきが当面の対策として適当ではないかと考えたのでございます。将来社会党の政権下におきまして医療制度の上における国庫負担のあり方というものは、ただ単に医療給付の定率負掛という一点のみでなくして、関連いたしまする諸施策を強化拡充いたしまして総合的な制度の上に立って健康保険のあり方というものを根本的に考え直しをしなくちゃならぬのではないかと考えております。もっともわが党といたしましても飛躍的な観念的な考え方ではないのでありまして、現実な諸点に立ちまして考えるべきではございますが、しかしながら現在の政府の考え方とば相当異なる点もあろうかと考えます。ことに国民皆保険という立場に立ちましたときに、五人未満の事業場の未加入者をどこに入れていくかというような点も現政府の考え方とは多少異なるかもわかりません。また健康保険の上におきまする重大な問題点といたしましては、御承知の通り結核対策がございます。この結核対策をどうするかという点につきましても、しばしば申し上げますように、社会党におきましては全額国庫負担でやると、こういう考え方でございますから、そういう考え方に立ちましたときの健康保険のあり方というものは、現在の制度と遊離しないように改善されていく建前にありましても、相当大きな変革になろうかと考える次第でございます。そういう場合におきましては、国庫負担のあり方といたしましても、今回提案いたしましたものを、若干わが党政権下になりましたときには、再検討する必要も生じてくるのではないかと、かように考える次第でございます。一応お答え申し上げます。
○坂本昭君 提案者の御説明を伺いまして、非常にはっきりしている点は、提案者の提案理由の基礎を貫くものは、日本の医療保障制度をどのように確立するかという点に重点があるのであって、現在あるところの健康保険の赤字対策そのもののことにだけ目的をおいているのではない。私はそういうふうに感じましたがその点いかがでございましょう。
○山下義信君 前段のお尋ねは、基本的に提案者の側における社会保障制度、ことに医療保障制度の基本的な考え方についてお尋ねでございましたが、当面の赤字につきまして本提案がどういう関係を持っておるか、どういう考え方であるかということにつきましては、本案の中に、ことに付則におきまして、本年度の一般予算に計上せられました政府管掌の健保に対しまする三十億の繰り入れ、並びに船員保険に対しまする一億円の繰り入れ、これを直ちに特別会計に受け入れまして、それが支出のできまするような措置を講じてありますることは、当面いたしまする健康保険の赤字対策でありますることは、きわめて明瞭でございます。従いまして本提案は、一つには現在の健康保険制度に対しましてわれわれが考えておりまする基本的な諸点について、一歩を進めたいと存じますると同時に、一方におきましては、当面いたしまする健康保険の赤字の解決、言うまでもなく懸案となっておりまする一般会計予算の使用を可能なうしめるという提案でありまするので、この点につきましては、現政府におきましても当然この種の御提案がなくちゃならんはずであります。現政府におきまして提案の御意思がありますかどうかということを、いまだ正確に承わってはおりませんけれども、この種の提案がありましたことは、政府、与党におかれましても、きん然として御賛同に相なるべき点であろうと思うのであります。提案者といたしましてはすみやかに審議を促進していただきまして、一日も早く御可決あらんことを希望いたすのでございまして、もし本案が否決せられるというようなことに相なりますれば、当然この点に関する限りは、政府の方はどういうふうにお考えになるかしりませんが、政府が御提案に相なろうとしておられまする健康保険法の改正案にも重大な影響があるのではないかと考えまするので、たとえ社会党の提案でありましても、本提案に対しましてはすみやかに御審議、御可決を希望いたしております次第でございます。
○坂本昭君 今の御説明で、赤字対策としての具体的な現実の案としてのこの提案理由もよくわかりました。が、しかし最近、この問題は最近だけじゃありません。ことしの春から二十四国会以来この健康保険の赤字の問題は重大な問題でありまして、全日本の健康保険に加入している人及びその家族の人たち、特に病床に呻吟している多くの患者さんがまことに強い関心をもってながめている重大な問題であります。にもかかわらず政府がこういう問題に対して政府提案をしない、そしてむしろ医師会とか患者の方から何とか早くしてくれと言って迫っている実情は私はまことに政府の怠慢であると言わざるを得ないのであります。見ましても本席は厚生大臣もどなたも来ておられませんけれども、これは委員長、一つ出ていただきとうございます。
○委員長(千葉信君) 今すぐ参ります。
○坂本昭君 つきましては、私前回厚生大臣にもお伺いしましても、大体政府当局の考えていることはもっぱら赤字の対策そのものだけしか考えていないのであります。そして赤字の対策そのものから見ますというと、これは定率の国庫負担をしなくてもまだほかにいろいろと赤字対策をこぎ抜ける手はあるのであります。現実にこの政府当局のやっておられることはどういうことかといいますと、国庫負担をやるというようなことよりも、なるべく健康保険の医療を制限をしたり、あるいはまためんどうくさい審査や監査を強化して、そしてできるだけこの安上りの保険経済にもっていこう、そういう努力が非常によくうかがわれるのであります。私は今回の提案がなされたことの一つの大きな目標は、単に健康保険の赤字をどうこうするということよりも、もっと大きな面で医療保障制度を打ち立てるという熱意のもとに一つやっていただきたい。その点で、私提案者に、これは少しこまかい問題になりますけれども、具体的な現実の赤字の問題もお考えになっている以上は、今政府がいろいろやっておられるところの対策についてのお考えを少し述べていただきとうございます。たとえばこれはもうすでにことしの予算に組まれておりますけれども、官給明細書にかわるところの何らかの適当な方法として三十七百万円程度の予算を組まれております。これはことしの二十四国会のときには、どうも官給明細君では工合が悪い、何かもっと適当なものはないだろうかというようなことで議論されたのであります。私はこういうようなことはそもそも健康保険の本筋からはだいぶ離れた問題であって、こういうことによってたとえば受診率を低下させる、実際こういうことをやれば受診率が低下されて健康保険の赤字はずっと抑圧されると思うのです。けれどもこういういき方は私は正しい方針じゃないだろうと思うのであります。あと三つ四つ、そういう点について触れたいと思いますが、まず、この官給明細書といった問題について提案者はいかにお考えになっておられるか、お伺いいたしとうございます。
○山下義信君 官給明細書の問題につきましては、提案者におきましては、こういういき方というものは私どもとしてはとるべき手段、方法ではないと考えております。と申しますのは、すべての保険はそうでございますが、ことに医療保険のごとき、すべてを割り切ることのできない人間の生命、その生命を保障して参りまするきわめて微妙な医療、そういうようなものがことごとく数学的に割り切れるものではないのでございまして、言いかえますと保険者と、被保険者と、療養担当者との三者が相互信頼、全く保険を適正に運営いたしまするために、ほんとうの協力というものがなけらねばこの保険の運営ば成り立たないのでございます。この点は坂本委員におかせられましても、よく御承知の通りでございます。従いまして保険者は療養担当者を疑い、被保険者を疑い、また被保険者は療養を憂くるについて医師の治療の内容に疑惑を持ち、あるいはまた療養担当者は政府のなすことはわれわれ保険医を圧迫するのである、われわれ保険医を不正者扱いにするのである、検察的態度をもって臨むのであるというがごとき、政府、保険者に対しまして憤慨の念をもって当るということになりますれば、いかなる法律を制定いたし、いかなるまた緻密な制裁規定その他の諸規定を作りましても、とうてい円滑な運用はできないのでございます。御承知のごとく病気にかかりまして医者に治療を受ける、いかなる治療をしたかということは、そのときのその時点に患者と医師とが承知いたしておるだけでございまして、その治療が済んでその病気が治癒したあとで、その治療の内容がどうであった、こうであった、その医師の施しました治療があるいは過剰診療であった、あるいは不正診療であったといったようなごときを追及いたしまするということは、言いかえまするというと、過ぎ去ったあと、証拠のない争いをして参りますということは、この種医療保険におきましては全く不可能でございます。従いましてあくまで保険者は療養担当者を信頼いたし、そうしてきん然としてこの保険に協力させるという施策、運営というものが医療保険におきましては不可欠の要件であろうかと考えるのでございます。被保険者におきましても、療養担当者におきましても、不正を排除し、不正を摘発する手段は、健康保険法の上におきまして追及しないでも、この種の不正はすでに刑事事犯でございますので、他の方法におきましても監督、取締りを強化する方法は幾らでもあるのであります。要するところ三者が相互信頼いたしまして保険を盛り立てる、保険はわれわれのものであるという観念に徹しますることがわれわれは必要ではないかと考えます。従いまして官給明細書のごとく、三者が相互猜疑心をもちまして、お互いがお互いの不正をあばき合う、あるいは小正し合うというがごとき手段によりまして、この保険医療の医療費の圧縮をはかろうとするがごときは、私どもといたしましては保険運営の邪道であろう、いたずらに事務を煩瑣にし、いたずらに事件を輻湊せしめまして、保険の運営を阻害するものでありまして、百害あって一利なきものである、かように考えておる次第でございます。
○坂本昭君 提案者の提案に際しての立法の精神と申しますか、非常に私と同じ考えでございます。この点きわめて私こういう問題に当りましては大事なことだと思うのです。というのは、法律というものは見かけはいかによく見えても、底を貫いている精神によって、運用の点において非常な差異が現われてくるのであります。ただいまの御説明によってこの提案者の精神というものが、医療を担当する人、また医療を受ける人お互いの相互信頼の上に立っていく、そうしてまたその制度を監督する人たちも猜疑心をもって見ないで、信頼の気持をもって見ていく、これは非常に大事なことだと思うのです。ところが実際は、このごろ全国の医師会が保険医のストライキをやろうというようなところまで決意をしたということは、そういう点におけるところの厚生当局と医師会、保険医との問の関係が十分でないということを私は意味すると思うのであります。非常にいろいろ問題はまだたくさんございますが、たとえば、最近この春まで私は、国立の結核療養所の所長をやっておりましたが、最近全国的にベッドが室床が多いのであります。非常にあきベッドが多いということは、患者さんが減ってきたからあきベッドが多いかというと、決してそうじゃないのであります。結核の死亡は確かに減ってきております。去年度あたり、大体五万人足らずであります。十年前に比べますと、何分の一というほどに死亡患者は減ってきました、ところが実際の病人はまだ今日治療を要する人で二百九十三万人といわれております。また現に発見せられて今治療を受けておる人が大体六十五万人ほどおるのであります。しかも結核のベッドは二十四万であります。でありますから、当然、ベッドが満員にならなくちゃいかぬ、ところがあいておるのであります。そのあいておるのはどういうことかといいますと、一番多いのは生活保護法の医療扶助の適用を受けておった人たちが、医療扶助の適用がだんだんと狭められてきてほっぽり出されてしまうのであります。そういうことのために、政府は医療扶助審議会というものを作っております。で、こういう医療扶助審議会によって、入院の事前審査というものをやっておる、それによって、だんだんと、入院しなければならない人であってさえも入院を束縛して、入院を制限して、そうしてそのためにあたら結核のベッドに室床ができるというようなことも起っておるのであります。これも一つの、これは広い意味で生活保護の例をとりましたけれども、健康保険についても、こういう動きを私たちは感知するのであります。こういう入院の前事審査といったこと等についての提案者のお考えを一つ承わりとうございます。
○山下義信君 坂本委員は有名な専門家でいらっしゃいますので、今専門的な見地で具体的なお尋ねがありましたのでございますが、現在の政府の施策が、ただいま御指摘のように、入院治療せしむべき者までも必要以上に、チェックいたしまして、そして医療を拒んでおる、ひとえにこれは、一つには御指摘のように、生活保護費の圧縮を試み、一つには健康保険の医療費の支払いも渋りというような観点から、結核患者の入院数を、いわゆる入退院の基準などを苛酷にいたしまして、病人を野放しにいたしておりまする状態というものは、これは私は悪政のはなはだしきものであると考えておるのでございます。従いまして、その結果全国に非常に多数の空床ができております。こういうような室床をたくさん出しまして、そして一方におきましては、結核対策を拡充強化するというようなことを言っておりますることは、まことに矛盾いたしておりまする政策でございまして、私どもといたしましては、結核対策につきましては、根本的に、これは言うまでもございません多年内外の上要望となっており、すでに定論となっておるといってもよろしいほど、いわゆる国の費用を十二分に傾注いたしまして、すみやかにこの社会病を撲滅をしていかなくてはなりません。長い年数をかかってぼつぼつやればよろしいという性質のものではないのでありまして、いわゆるきわめて憂慮すべき伝染病でございますから、一刻も早くこの全滅をはからなければならぬのでございまして、一時に多額の国費を投入いたしますることは、経費の上から見まするというと、多額を要しておるように見えまするけれども、長い目で見まするというと、結局これが安くつくのでありまして、年々歳々僅少な経費をもちまして消極的の方法をやっておりますることは、やっておるかのごときに見えて、実質はやっていないと同じでございまして、何と申しまするか、一方においては、多少の対策を講じつつ、一方におきましては、新しい感染の患者、新しい病人が続出いたしておるのでございまして、結局そういうやり方をしておりましたのでは、さいの河原と同じでございまして、むだなことで、こういう現在の政府のやっておるようなやり方をしておりましたのでは、三十年たっても五十年たっても現状とちっとも変りのない状態でありまして、これでは結核患者を救済するのではなくして、その関係の仕事をしておる役人を養うておるにとどまるということになるのでありまして、私どもといたしましては、思い切って五カ年なら五カ年の間にこの結核病をわが国から撲滅していく、それには二階から目薬といったようなやり方でなしに、全額国庫負担でもってこの結核治療を引き受けよう、従いましてその治療方法につきましても、従来研究されました幾多の方法を全般的に採用いたしまして、そうしてどんどんと最近の医学医術にのっとりましたる治療方法を行い、国の結核ベッドは申すまでもなく、十二分にこれを使いまして、かつまたそのベッドの回転率にも極力工夫をこらしまして、そうして計画的に、しかも短期間の間に少くともわが国の結核病の撲滅の山を越していくということをやっていかなくてはならぬ。この解決をしない限りには、医療保障制度の確立はとうていこれは不可能でございまして、従いましてこれらの結核関係のベッドに収容いたしまする患者の取扱いその他等につきましても、それぞれうんちくのある専門家の御意見を十分取り入れまして、そうしてこの結核対策に関しまする諸施策の全面的の改善をはからなくちゃならぬ、かように大体考えておる次第でございます。
○委員長(千葉信君) この際お知らせをしたします、小林厚生大臣及び高田保険局長が答弁のために出席せられました。
○坂本昭君 ただいま提案者は、入退院の基準のような、ここに作られておるようなもの、こういうようなものはいたずらに官僚的な仕事であって、こういうものは不必要である、あるいはまた今日実際に行われていることは、結核の患者を救うことではなく、結核の対策に従事する役人の生活を、何といいますか、に生活を与えているような制度にしかすぎない、というようなことをきわめて鋭く指摘されたと思いますが、ところが現地におきましては、これは後ほど厚生大臣にもお伺いしたいと思いますが、ことしの夏から例の三百人の、保険の監査を強化するために、保険調査員という制度を新しく制定しているのであります。 これなども屋上屋を架すどころではない、今提案者の言われた点から申しますと全く無用の長物であって、おそらく提案者はこれが提案されると同時に、こういう屋上屋を架するような、こういう三百人の保険調査員といったものは、これはむしろやめてしまった方がいいというふうにお考えになっておるのではないかと思います。その点一つ提案者のお考えを伺い、合せて最初からの上官給明細書の件、入退院基準、入院の事前審査の件、それから最後の保険調査官の件、これについて厚生大臣のお考えを承わりたいと思います。
○山下義信君 提案者に対しましての御質問の中に、調査員の制度につきましてのお尋ねがございましたですが、私どもといたしましては、何と言いましても、この保険経済の上におきまして注意いたすべき点は、この運営の能率化ということが、これがもう第一に必要でありますことは申すまでもございません。よき制度であって、しかもその制度が能率的に経済的に運営されていくということは、まあ諸般の制度について必要でございますが、ことに保険制度のごとく、被保険者の保険料をもって運営をいたしておりまするような諸制度につきましては、たとえその事務費は国の支出であるといたしましても、事務費は国が持っているのだからどういう運営をしてもよろしい、どういうルーズな運営をしてもよろしい、どんな非能率の運営でもよろしいというわけのものではないのでありまして、庶政百般安上りの行政が必要でありますことは、世論の指摘しておる通りでございますが、ことに保険運営につきましては、能率化ということは、これは非常に必要であろうかと思います。それはただ単に経済的な能率化というのみではないのでありまして、何といたしましても、この保険運営は、保険者におきましても被保険者に対するサービスであります。最も便利である、かゆいところに手の届くような親切な制度の運営が望ましいことは言うまでもございません。保険に対しまして、好ましい感じを被保険者等が持ちますということが必要であります。その保険の運営にありまして必要以上に取締りを強化する、あるいは好ましからざる検察的な態度に出ていくというがごときことは、私どもといたしましてはできるだけ避けるべきではないかと考えるのでございます。もとより保険の専務につきましては、質問者におかれまして十分御承知のごとく、非常に事務分量の多い仕事ではございまするけれども、しかしながら御指摘のように今回政府が実行いたしましたごとく多数の調査員を任命いたしまして、そして療養担当者、あるいは被保険者等たに対しまして、この何と申しまするか、不正摘発を主たる目的をもっていろいろ取り締りに当りますというようなことは、われわれといたしましては賛同いたしがたい点がございます。むしろそういうことよりも、被保険者のいわゆる保険に対しまする啓蒙と申しまするか、保険に対する認識の宣伝と申しますか、啓蒙といいますか、教育と申しますか、普及徹底、そういう保険思想の徹底のために、ただいまその方面の委員といいますか、そういう制度もあろうかと思いますが、そういう面に主力を注ぎ、療養担当者につきましても十二分に保険者の胸襟を開きまして、協力するようにしむけて参りまする方が、全体的にながめまして保険のために有益であり、有利になるのではないかと考えます。今回政府が設置せられました三百名でありましたか、それらの調査員がどういうような仕事をなされますか、どういう動きをされますか、ということは、おそらくこれからのことであろうと思いますので、われわれ提案者におきましても非常に注目をして、その状況を注視しております状態でごがいますが、われわれとしましては、できるだけかような煩瑣な、屋上屋を重ね、次から次にと監視、監督の制度を重ねて参りますことは、なるべくこれは避けまして、そうしてこの保険に関する限りは制度が簡潔に明瞭に、そして何といいますか、非常にまあ好もしい、愉快な状態で保険が使用され、運営されていくということがわれわれとしては最も望ましいことではないかと考えておる次第でございます。
○委員外議員(湯山勇君) 今の補足……。 今山下委員から御答弁があった通りでございますが、御答弁の中で、この調査員についてはどういうふうになっていくか、将来を心配しておるという御答弁がございましたが、さらにこれると思います。そういうことを考えてみるときには、質問者の御指摘のように、こういう調査員をこういう客観的な情勢のもとで置くということは、これはもう保険を引き締めていく以外の何ものでもありませんから、これはやはり私どもとしては、そういうことはやるべきでないということを、今日言い切ることができると思います。
○国務大臣(小林英三君) ただいま御質問のありました本年の七月からと思いますが、調査員を三百十五名増員いたしました。これはこの標準報酬の適正化等をはかる上におきまして、非常に必要欠くべからざる人員であると思いましてこれは増員したのであります。その詳しい内容につきましては、保険局長から御答弁申し土げる方が適切だと思いますから、保険局長から御答弁申し上げます。
○政府委員(高田正巳君) それでは補足してお答え申し上げます。官給明細書、それから入退院基準、入院の事前審査、調査員というようなことについて具体的なお話がございましたが、官給明細書というのは、ある機関からこういうものをやったらどうかといって厚生大臣の方に意見の具申があったやり方なんでございます。これはあのままの形でやりますることはいかがであろうかというふうな国会の、衆議院でございましたが付帯決議等もつけましたので、ああいう形での官給明細書というようなものも私どもも目下考えておりません。ただこの制度が勧告されましたねらいというのは、これは決して何と申しまするか、これによって受診率を下げようとか何とかということでなしに、むしろ今日の医療保険というものは他の保険と違いまして、保険給付が行われる場合に保険事項を確認して給付をするというような一般の保険の、何と申しますかやり方と違いまして、被保険者が医師のところに参りまして受診をいたしますると、そこでもう給付が行われるわけでございます。保険者は全然関係なく給付が行われる、それであとで保険者の方にはつけが回ってくる、債務だけが残る、こういうふうな格好になっているわけです。従って以前におきましては被保険者台帳というようなものを作りまして、いろいろな保険給付というものを被保険者ごとに整理をして参っておったのであります。ところが被保険者が非常にふえて参りまして、この被保険者、保険者、医療担当者の関係というものがばらばらになっておって、保険というもののシステムからいって、非常にそこが不備である。従って事業主、被保険者、医療担当者、支払機関、それから保険者というものの結びつきを何らかの形でもつことが必要ではあるまいか、こういうふうな観点から、あの方法が一つの方法として意見具申されたわけであります。しかし先ほど申し上げましたように、私どもといたしては、これにかわるよりいい方法があるならばと、私どもいろいろ研究はいたしておりまするけれども、ああいう形のものは、国会の御意思等もございまするので、いかがなものであろうか、こういうことに相なっておるわけであります。それから入退院基準のお話がございましたが、これは保険の方ではさようなことはやっておりません。それから入院の事前審査でございますが、これは今日の健康保険法の上では、法律の建前では事前承認の建前になっておるわけであります。しかしこれも現実問題といたしまして、先生も御存じのように、事前承認ということはいたしておりません。また今後特別な事情でも起りません限り、事前にこれを承認するというふうな運用は、今日のところいたすつもりもございません。それから例の三百名の調査員の問題でございますが、これは先ほど大臣がお答えになりましたように、主たるねらいは今日の標準報酬収入面にあるわけでございます。建前の上ではそれだけということにはなっておりませんけれども、私どもの一番のねらいはそこにあるわけでございます。で、この収入面で、今日では事業主の届出で個々の被保険者の標準報酬を決定するということになっております。ところがいろいろ賃金の動きがございますし、それから低く決定されることは事業主も被保険者も保険料が安くなることでございますから、従って利害も共通でありますし、さらに現物給付とか何とかいうものをどういうふうに換算するかということでいろいろめんどうな問題もございます。従ってこれは全部を年に一回定時改訂というのをやりまして、そのときに元来ならば全部の事業場につきまして異調をして、ほんとうにそれだけの賃金であるかどうかということを確認してむしろ決定すべきものなのでございます。以前はそういうことをやっておったわけでございます。ところが最近は、事業場もうんとふえて参りましたし、被保険者もふえて参りましたので、私どもといたしましては、その実調をいたすということが人手の関係でできませんので、昨年来できるだけ現在の陣容で実調をいたすようにということで督励いたしておりますけれでも、まず五〇%程度しか異調をすることができない、従って届出だけで決定をいたしてしまう、こういうふうなことでいろいろまだまだ標準報酬のつかみ方について足りないところがあって、その面からもう少し財政の収入があげられるのじゃないかというふうないろいろな世間の御指摘もありますので、さような意味合いにおいて、昔こういう制度がありましたのを復活いたしまして、そうしてできるだけ現実に現場を回って物事を確認していくという建前の職員をたしか九月からであったと存じますが、増員をしていただいたようなわけであります。さようなわけで、これが医療機関等にもあるいは回っていく場合があるかもしれません。たとえば傷病手当金の支給等に関連をいたしまして、医療機関の方の認可外にいくというような場合があるかもしれませんけれども、主たるねらいは今の収入面でございます。坂本先生の御発言の中にも、それから提案者としての山下先生のお言葉の中にもございましたが、私どもといたししましては、保険というものが被保険者なり医療担当者なり、あらゆる方々の信頼関係といいますか、協力関係、育てていこうという気持がなければ、なかなかいろんな制度を考えてみたところがうまくいくものじゃないというふうなことにつきましては、全く私どもも同じような考え方をいたしております。従いまして、今のようないろいろな具体策というものも決してうたって書かれておるばかりではございませんで、むしろやはり貴重な保険料なりあるいは税金なりを使って運営しておる機構でございますから、われわれの管理の不行き届きのために収入面なり支出面なりでむだがあるということであれば、これはどうしても排除していかなければならない。さような観点からいろいろな具体策を考えておるわけでございまして、協力関係に立たなければこの法の運営はできないという、この根本精神につきましては、私どもといたしましても同様に考えておるわけでございます。
○坂本昭君 大へん繰り返して申すようでございますけれども、実は現在健康保険の赤字対策に対してとっている政府のやり方は、主として行政措置によるところの医療費の削減ということに重点を置いておるように思うのであります。それで、今特に官給明細書とか、あるいは入院の事前審査や、今の保険調査員のことについてお尋ねしたのでありますけれども、この官給明細書などが大体三千七百万円程度ですし、それから三百人の保険調査員の人件費、これは幾らになるかわかりませんけれども、六、七千万円くらいになりましょうか、両方で一億くらいのものじゃないでしょうか。ところが、今政府の方でお考えになっておられるところの健康保険の改正案を仄聞するところによりますというと、患者の自己負担、たとえば初日の百円の自己負担、あるいは入院一日の三十円の自己負担というようなものをあげておられる。これらによって一体どの程度金が浮き得るか。これはまだ提案されたものでないので、政府提案に対する質問じゃなくて、一応そういうふうな扱いをした場合にどの程度金が浮くかということもお尋ねしたいと思いますが、その浮く金と今のような官給明細書やあるいは三百人の保険調査員というようなものを作ることによる金とあまり違わないと思うのであります。私はそういう点で果して今局長さんの言われたように、山下案の提案者である山下委員は、この立法の精神において真に患者と働く者を守るための社会保障制度としての、医療保障としての健康保険のこの改正案を出しておられるけれども、今の政府の方々はどうもその点が目先の赤字対策だけ、しかもその赤字対策を患者の自己負担によってやっていこう、根本において考え方が違うのじゃないかと、そう思うのであります。どうか今の患者自己負担によるところの保険財政のゆとりはどれくらい浮くかという一つの問題についてのお答え、それから、それらによって浮くところのわずかな金額、そういうものに私は重点をおくよりももっともっと大事な点があるのじゃないか、私はその点を一つ厚生大臣に特にお伺いいたしとうございます。
○委員長(千葉信君) 大臣でなくてもいいですか。
○坂本昭君 大臣に、患者の自己負担によって浮く一億数千万はわずかなものじゃないか、だから患者の自己負担というものは大したものじゃない、それについての大臣の所感。それからあとは具体的にその自己負担によって幾ら浮き得るか、今のような想定のもとに……。それを保険局長さんから数をあげてお伺いしたい。
○国務大臣(小林英三君) ただいまの私どもが考えておりまする、近いうちに提案をいたしたいと考えておりますることは、まだ党の正式の機関において決定いたしておりませんから、いずれその機会にはその問題を中心といたしましていろいろ申し述べたいと思いますが、いずれにいたしましても自己負担のみによって健康保険の財政を維持していこうというのじゃないのでありまして、私どもが考えておりまする問題といたしましては、健康保険制度そのものの立て直しをいたしまして、また将来に向いましての健全なる発展を期したい。こういうためには政府の補助負担も必要でありまするし、また一部負担も必要でありまするし、また標準報酬等の引き上げもいたしまして健全なる発展を期したい、こういうことに考えておるのであります。
○政府委員(高田正巳君) まだ最終的に決定をいたしておりませんので、その金額が幾らという具体的なお答えをいまだいたしかねておるわけでございますが、いずれにしましても今仰せになりました官給明細書の予算が幾ら、それから調査員の予算が幾らと、一億ぐらいになるのではないか、そういうふうなものとは比較にならない数字になると思います。前回の国会で私どもお願いをいたしました際には、二十三億という程度の財政効果を見た一部負担を、政府の原案としては提案をいたしております。ただいまの方向ではさようなものを若干軽減をするというふうな方向で、党の方で一部負担の方法につきまして御審議をいただいておりますけれども、しかしいずれにいたしましても年間の財政効果を見ますれば、一億や二億というようなことには相ならぬのではないか、かように考えておるわけであります。
○木下友敬君 先ほどから保険と結核の問題が論ぜられておりましたが、結核については結核予防法で国と都道府県と市町村で負担して結核患者を取り扱っていくということがきめられておりますけれども、近来地方公共団体の財政が非常にまずくなってきて、そのために地方公共団体はこれをまかない切れぬ、それが逆に上ってきて政府予算もだんだん逐年これを縮小していかなければならないというような形になっておることは御承知の通りでございますが、こういうふうに結核行政が下しほみになってくるということは非常に遺憾なことと考えておりますが、これについて厚生大臣は何かこれを立て直していきたいというようなお考えをお持ち合せではないかという点をお尋ねしておきたいと思います。
○国務大臣(小林英三君) 御質問のようにこの結核そのものというものの死亡率は近年非常に減じておるのでありますが、患者の数はまだ相当数に達しておることは御承知の通りでありまして、私はこの結核の対策といたしましては、何と申しましても病気になってからどうするということよりも、むしろ病気にならぬようにこれを突っかい棒していくということが一番必要なことと思います。健康診断でありますとか、あるいは予防接種でありますとかいうような問題につきまして、これを根本的にそういうような施策を推進していくということが必要ではないか、政府といたしましてはその問題につきましても三十一年度予算につきましても相当力を尽しておるのでありますが、来年度の結核予防法による予算におきましては、健康診断につきましても、従来のように受診者が実費負担をしておりましたのを改め、全額国庫負担によって実施することを考えております。それからまた公費負担につきましても、各都道府県の財政状態も考えまして、従来よりもなお一そう国庫の補助を十分にして、できるだけ地方公共団体にも負担を少くするような方向に向って参りたい。それから結核患者の負担率という問題につきましても、従来御承知のように負担率が患者が二分の一打っておる、あとの二分の一を国と地方で持つというようなことであったのでありますが、これもぜひ来年度の予算におきましては患者自身の負担率を少くいたしまして、しかもそのあとのもののうちで地方公共団体の負担率を少くしていく、国ができるだけ打つようにいたしたい、こういうふうに考えておるのでございます。いずれにいたしましても結核対策というものにつきましては、まず患者を減らしていくという対策を進めて参りたいものだと考えております。
○木下友敬君 ただいまの御答弁で、来年度予算には結核についての政府負担を多くし、また患者の自己負担を少くするように施策を向けていきたいと考えたというお考えは全く同感でございます。非常にけっこうなことと思いますが、いま一つお尋ね申し上げたいのは、現在結核患者は三百万からあり、また一触即発の形にある者が二百六十一万もおるというような現状でございます。ところがそのうちで自分が病気であるということを自労しておるものはわずかに二四・一%である。しかもまた自覚した上に、ほんとうに結核の治療を受ておる者は三六%しかいない、こういうことなんですね。これも、しかもこの自覚して治療しておる者も、結核の治療費は二十九年度には五百九十二億である。これを国民の総医療費からいきますと、総医療費の二七・八%であり、保険からいえば、保険の医療費の給付の三五%が結核でおおわれておるというような、こういう状態である。私はここで考えるのは、政府はこの結核の問題については相当意を尽しておると言っておられるけれども、自覚しておる者のわずか三六%しか治療を受けていないという事実は、これは啓蒙運動が非常に足りないのじゃないか。これは啓蒙運動をどんどんやっていけばもっと自覚しておる者の中から治療する者がずっとふえてくる。さらにまた啓蒙運動が進められることになれば自覚するパーセンテージももっとふえてくると考える。そのようになりますまではその自覚者が非常に少い。その自覚のうちの三六%しか治療を受けてないという、そういうみじめな状態であっても、五百九十二億という金が結核に使われておるとするならば、啓蒙運動がどんどんどんどん進んでいけばとても五百九十二億とか一千億というような金では結核がまかなえぬという事実がある。おそらく私は、これは曲った考え方かもわかりませんが、もう結核予防法ができましてから三、四年になりますが、それでもまだこの治療率がかように少いということは、非常に曲った考えかもわからぬけれども、非常に聡明な当局は、あまり結核患者の啓蒙運動をやって、そうして治療をする者の数がどんどんふえてくればどうにもしようがないから、そこそこに啓蒙運動をやっておられるというようなことで、いつまでもこの自覚者あるいは治療者の数が増してこないのじゃないか、こういうことを考えるのでございます。これはまあ決してこういうことをむちゃを言っているわけじゃなくて、今日の保険対策などでも、何かといえばその保険の改正の方法を赤字をどう解消するかという方向にだけ向けていかれるという事実から見ましても、政府はこの結核患者を目覚まして、そうして少しでも早く治療をしてやるということを避けているんじゃないかというようなことが考えられるが、この点についてのお考えをはっきりさしてもらいたい、こういうふうに考えます。
○国務大臣(小林英三君) 御意見のように、啓蒙運動をいたすということは、きわめて必要だろうと思います。なお、私が先ほどお答え申し上げましたような結核予防法によりまする健康診断でありますとか、あるいは予防接種でありますとか、これはどうしてもやらなくちゃならぬことになっておるのでありますが、なかなかこれが徹底いたしませんで、実際に、それを全国津々浦々に行うということができないのであります。先般も私どもの方で表彰した市町村の中には、宮城県でありましたか、その町がこぞってこれらの結核の対策につきまして非常に協力をされて、そして健康診断にいたしましても、あるいは予防接種にいたしましても、その他の結核全般にわたりましてお互いに気をつけ合ってやっていかれた。それがために、わずか四、五年のうちには三分の一に患者も減っていたというようなことも聞いておりまして、これは表彰いたしたのでありますが、こういうふうに啓蒙運動を徹底させますし、また、お互いがお互いの自覚によって、これをやっていきまするならば、私は日本の結核患者というものは、相当数減る見込みだと確信をいたしておるような次第でございます。
○木下友敬君 そこで、病室の問題でありますが、先ほども坂本委員から話が出ましたが、従来、結核の患者が出て入院をしようと思えば、なかなか半年やそこらでは入院ができなかった、ずいぶん待たなければ入院できなかったというのが、現在では病室が非常にあいているという状態、その病室があいているのはどういう原因かといえば、坂本委員が言いましたように、入院をさせることを澁っておるんだというような見方があるわけでございますが、政府の方では、この病室があいとるという現実は、どういう原因であいているというようにお考えになっているか、これをお尋ねしたい。
○国務大臣(小林英三君) これは、いろいろ理由があると存じますが、まあ最近医術が非常に進歩いたしましたし、中には、患者みずからが、できるだけ交通の便利な所であって、しかも、新しい、設備のりっぱな病院に入りたいというようなことは、これは人情として当然なことでありまして、私は、必ずしもそうなってはいないかもしれませんが、そういうふうな、ある所はほとんど満員で次を待っていてもはいれない、ある所は空床の所もたくさんあるというようなことも多々あると思うのでありまして、そういうような意味からいたしまして、今後結核の病棟なんかの問題につきましては、そういうふうなことも十分頭に入れまして、施策をいたしていかなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
○木下友敬君 それでは、そのあいている病室の処置でございますが、入院を必要とする患者を病室に入れてやるために、何らかの処置をとられるようなおぼしめしはございますか。
○政府委員(高田正巳君) 何らかの措置という仰せでございますが、なかなかいろいろな、結核の患者としましては職業上の理由もございまするし、また、先ほど大臣が仰せになりましたような家族との関係の立地的な問題もございますので、そう簡単に、こちらからはいれということで押しつけるわけには参らないいろいろな複雑な事情もあると存じます。おそらく、今の先生の御指摘の点は、その人が貧しくて、医療費の負担にたえかねるような場合に一体どうするかという御質問ではあるまいかと存じますが、それにつきましては、先ほど申し上げましたように、保険の運用の上におきましては、入退所基準とか、あるいは入院の事前承認とかいうふうなことは、今日やっておりません。従いまして、保険の関係の患者でありますならば、従来と、いわゆる結核療養所にはいりにくかった場合と、それほど運用の上に隔たりがあるわけじゃございません。ただ、これは私の所管外でございますが、生活保護法の運用等において入退所基準というようなものが逆用されているというわけでございまするが、しかし、その面におきましても、生活保護法は、御存じのように、国費でしかも義務質的に公費でもって支出をいたすシステムになっておりまするので、予算が足りないから入れるべきものを締めていくというふうなやり方はしておらんと私は心得ております。おそらく医学的な判断なり何なりというものからこれは公正な審議会というようなものにかけて運用をいたしておるだろうと私は承知をいたしておるわけであります。従いまして、そういうことでございまするので、特に何らか新しい制度を設けて経済的な面をカバーをするというふうなことは、ただいまは考えておりません。 なおまた、室床ができましたことにつきましては、先ほど大臣が御答弁になりましたところでございまするが、その他にも、結核の治療方法につきましても、これは私しろうとで大へん恐縮でございますけれども、化学療法というようなものが非常な進歩を示して参りまして、従来であれば入院して安静療法一本しかなかったものが、化学療法で非常に多くの部分の結核患者が片がつくというふうなことにもなって参ったことがやはり相当な影響を持っておるのではあるまいか、しろうとなりにさような想像もいたしておるような次第でございます。
○木下友敬君 今の御答弁の中に、入院させることを渋っているような事実はないというような御答弁でありましたが、末端の状態を申し上げますと、実は入院している所に下級の官吏の方がお見えになって、そうして、もうこういうものは退院さしてもいいではないかというようなこと、あるいは生活保護法の者がこの病院にはあまりょけい入院し過ぎておるというようなことで、しばしば命令退院をさすというような事実が起ってきておるのでありまして、その個々の問題についてはあるいはぜいたくな入院をしておる場合もあったかもわからないけれども、多くの場合には、そうではなくして、経済的理由によってこういうように入院さしたのではとても生活保護法の経済は成り立たない、生活保護法というのはこれはもう最底の治療を受ければいいのであるから、健康保険の場合と同じような考えで治療あるいは入院をさしてば困るというようなことは、これはもうしょっちゅう起っておる事実であるわけでございます。もしそういうことを御存じないとすれば、いま少しこういう方面に気をつけていただいてそういうことの起らないようにしてもらいたいと思うのでございますが、なお、現在室床ができておることについて、その室床をどうして埋めようかということについては特別の考えを持っていないというようなお話でございますが、それでは今の状態では空床がだんだんふえてくるのじゃないかというような気がするわけなんです。ところが、一方においては、あらゆる審議機関とか、あるいはまたいろいろの団体などで話し合いされておるのは、結核の病床は、現在二十四万しかない、患者の数はその十倍以上もあるのだ、だからどうしても結核病床をどんどん作らなければならぬということをしょっちゅういわれておる。または政府筋においても結核の病床は作っていくという方針をまだとっておられるのではないかと思うのでございますが、このように室床がだんだんできておる現状においても、政府は明年度においても結核の病床をだんだん作りましていかれるお考えであるかどうか、この点を御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(小林英三君) 詳しい問題につきましては、医務局長が今来ておりませんが、政府といたしましては三十四年までの間に二十六万床を作りたいという方針でやっておるのでございますが、最近民間等におきましても相当ベッドもふえて参りまして、今御意見のありましたように、大体二十四万床になっておるのでございまして、来年度はたしか一万床を国立、公立等におきまして増設いたしたい。そうしてさらにその様子を見た上で、三十三年度におきましては善処をいたしたいと、こういうふうに考えておるのでございます。数字は間違いましたら後刻訂正いたしたいと思います。
○木下友敬君 そこで先ほど局長のお話では、今室床ができるのは、これは締めておる結果ばかりでなく、治療方面においてもいろいろの化学療法などが出てきて、自然入院しなくても自宅療養というものが行われるようになった結果もあるということを言われたのでございますが、この傾向は将来ともだんだん進んでいくのだろうと思います。そうすると、入院しないでも化学療法をやっておけば今まで開放性の結核といわれておったものがすみやかに開放性でなくなってくるから、通院あるいは自宅療養ができるという可能性が非常に増してくるということを、局長自身もお認めになっての御答弁だったと思いますが、そうすれば現在空床があるのに明年度またたくさんの、あるいは一万の病床を増すというような考えは非常に大きな矛盾があるのではないかと、こういうことを考えますが、この辺の問題についてはっきりした一つ答弁をほしい。と申しますのは、病床を作る金があるならば、その金の使い用が単に結核の方面だけでもたくさんある。三十四年には二十六万作るという既定方針があるから、しゃにむにそれを作っていくのだという考えはしゃくし定木であって、その考えを曲げてほかの方面に使うというような機動的な考え方を厚生行政の上に持っていただきたい、こういうような考えがございますが、この点についての一つ御答弁を願います。
○国務大臣(小林英三君) 今いろいろ御質問を受けております木下先生はその道の専門家でございまして、ちょうど本日はここに担当の局長が参りておりませんので、専門家の木下先生に私どもが適当な御答弁を申し上げておることは、むしろ私は無礼なような気もいたしますので、他日担当局長がおります上におきまして、私も御意見を申し上げ、また御満足のいく御答弁を申し上げたいと思います。さよう御了承を願います。
○木下友敬君 まことに御丁寧なごあいさつで恐縮するわけなんですが、そこで今のそういう病室を作らないで済めば、また相当の予算が余ってくる、そういう予算はとらなくてもいいというようなことを私は申し上げましたが、先ほど大臣は結核の問題はどうしても予防措置が非常に大事だ、この方面を推進していかなければならないということを言われまして、これは非常にしろうと以上のりっぱなお考えであると、こう思うのでございますが、そこで私は予防措置というものが考えられるならば保険においても結核の問題がある程度解決していかれると思うけれども、今日の健康保険では予防というものは全然取り扱われないことになっておる。しかし結核の問題におきましてもその他の伝染病の問題などにつきましても疾病の取扱いについては予防ということが一番大事なことは明らかなことなんです。そうすれば保険というものがわが国の医療の背骨であるということを考えるならば、どうにかして予防というようなことを結核の問題で打ち出して、そうして保険の中にそれが入れるようにするか、そうでなくて保険に結核がはまっておれば予防という大事なことがやれぬからこれは分家して、結核は健康保険から分離して結核だけの対策を別に立てていくということを考えなければ、どうしても十分に結核の問題において予防の面に進んでいくということができぬのじゃないか。この点について結核の問題は一つ保険とは別のワクでこれを一つやっていこうというようなお考えばないものか、この点を一つお伺いいたします。
○国務大臣(小林英三君) 今お尋ねにありましたような御意見はしばしば前国会等におきましても委員の各位からもそういう御意見もたびたび拝聴いたしております。私どもといたしましても今日の結核というものが健康保険財政に非常に大きなウエイトをかけておる。将来国民皆保険に進んで参ります上におきましても、今日の結核というものを今おっしゃったような工合に健康保険というものから全然別のものにしてやっていくということがよろしいかどうかというような問題につきましてはただいま鋭意慎重に検討中でございまして、政府といたしましても今の御意見のようなことも十分考慮に入れて検討いたしておることを申し上げておきます。
○木下友敬君 そこでこの結核の問題では予防ということが非常に大きな役目を果すと同じウエイトで後療法、結核のあとのアフター・ケアということがまた徹底しなければいけないということが専門家でも言われておりますし、厚生省でもそういうことを取り上げておられるのでございますが、先ほど病室の問題でお尋ねいたしましたように現在結核の病床がだんだんあいてきておる、それでもなお病床を作っていかなければならないお考えであるかのようにも考えますが、病床としてのそういう設備を増していくかわりにそれを振りかえてアフター・ケアの方面にむしろ考えを進めていかれる、病川床は今のまま据え置いて、これからの結核対策の大きな力をアフター・ケアの施設あるいは推進に向けていくお考えはないものかどうか、お尋ねいたしたい。
○国務大臣(小林英三君) アフター・ケアの問題につきましてもこれはもちろん必要だと存じますから、厚生省といたしましてはその問題に対しまする十分な予算を計上いたして今後そういう問題について十分推進して参りたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
○竹中恒夫君 提案者に御質問申し上げますが、先般提案の理由を詳細に拝聴いたして、従来社会党の医療保険に対する対策なり考え方等につきましては私どもも満幅の賛意を表し、共鳴をいたしておったのでありますが、先般のあの改正案を拝見いたしまして、大へん私失望を感じたのでございます。それは第一に国庫負担というこの一割の問題でありまして、それについての御質問を申し上げました。それに対しまする御答弁は明快になされましたが、私一応その一割というものについてのお考えの根拠を了承することができたのでございます。すなわち定率国庫負担法の道を開く一つの前進として、とりあえず一割国庫負担にしたのだ、なお社会党の医療保険に対する根本的な考え方の変革は来たしておらないということでありまして、その次の理由としては、社会保障制度全般を考えて、結核療養に対しては全額国庫負担というような考え方を持っておる、そういうような関係からして、総合的な社会保障という観点からして、また一割ということを考えたのだという三つの理由の御説明によりまして一応了承いたしたのでございまするが、この機会に重ねてお尋ね申し上げたいことは、そのときの御答弁の末尾において、大体そういうことで一割国庫負担ということにしたのであって、なお保険財政に余分な黒字を必要としないのであるから、従って一割国庫負担になったのだというような付加的な御説明がありました。 そこで私はお尋ねいたしたい。これは非常に提案者に質問申し上げますことは御迷惑を感ずるかもしれません。むしろ政府委員に質問すべきだと思うのでございますが、いずれそれは政府提案があったようなときに譲りまして、御迷惑かも存じませんが、一側ということによっての提案でございますからお尋ね申し上げるのでありますが、まず第一に私が申し上げたいことは、現行のあの単価、昭和二十六年以来暫定単価を適正なりとしてお考えの上での一割国庫負担ということなんでしょうか、あるいは何かほかに単価問題については他に機会をつかまえて考えるのだというようなお考えなんでしょうか、この単価問題についての提案者の御所見を一応承わりたいと思います。
○山下義信君 非常に重大な御質問をいただきました。率直に申し上げまして、現在の診療報酬制度が果して適当であるかどうか、このままでよろしいかどうかということにつきましては、提案者といたしましても、すなわち社会党といたしましても現状でよろしいとは考えておりませんので、できるだけ実情に即しました、かつ合理的な適正な診療報酬制度を定めなければならぬと考えております。現在の点数単価制度には長所もありまするし、欠点もありまするが、今日まで長らく使用して参ったのでございまするが、しかしながら医療保障制度全般とにらみ合せまして、やはりこの制度におきましても現状でよろしいかどうかということの根本的検討をする必要があると私どもは考えております。要は実情に即しまして、かつまた公正妥当な医療報酬が療養担当者に支払い得られるように、そうしてあまりに繁雑な手数を要しないような簡明な報酬制度でありたい。関連いたしまして、支払い制度につきましても十分現状については再検討する必要があると私どもは考えておるのでございます。しからばいかなる報酬制度がよろしいかということは、これはもう自他周知のごとく非常に複雑な問題でございますので、社会党といたしましても軽々にこうあるべしということを軽率に打ち出しますことはなお慎重を要しまするので、目下党におきましては検討中でございます。 なお現在の単価がそのままでよろしいか、どうかということにつきましても、これは船価そのものをつかまえて現在のままでいいかどうかということを議論いたしますこともこれは妥当ではございませんので、右申し上げましたような全般的なあらゆる観点から総合いたしまして検討する必要があると存じておりまするが、結論的に申しますれば、私どもは医療報酬というものは十二分でなくてはならないということが基本的なわれわれ社会党の考えておりまする態度でございます。ほかの物価等につきましては言うまでもございません低物価主義々われわれはとっているのでございます。必要以上の利潤の追求は許しません。しかしながら医療に関しまする報酬は、単なる物質的の、物の対価とは違います。生命に対する治療の、あらゆる全力を傾注してその治療に当っていただきまするそれらの技術あるいは医療品等に対しまする支払い、言いかえますれば生命の保障をしていただきまする非常な重大なかつ微妙な問題の対価でございます。従いまして一般的な何と申しますか、無機的な物質の物価とは私どもは同様には考えていないのでございまして、言いかえますと安かろう悪かろうということは実に危険で、健康保険制度は、ただ単にその事故が発生のときに医療の給付をすればよろしいのではないのでありまして、健康保険の目的は、竹中先生御承知のごとく生命の危険々防がなければ意味をなしませんのでございまして、劣悪な治療をしてもらって生命を落して、そうしてその医療が安く済んだと言ったってこれは何にもならぬのでございます。私どもの考えといたしましては、少くとも医療保険に当りましては医療報酬というものはできるだけ十分にこれは支払い得るような態勢にいたしまして、そうしてよりよき治療をやっていただき、一日もすみやかに病気の治癒をはかりまして、そうして被保険者、患者をしてすみやかに職場に復帰し、そうして生産に努力をいたしまする方が国全体としての利益であると考えておりまするので、私どもは医療報酬を惜しんでこれを値切ろうということの考えはございませんので、できるだけ公正妥当な医療報酬であるべきであると考えている次第でございます。
○竹中恒夫君 次にお伺いいたしたいのですが、大体ただいまの御答弁にも含まれておりましたのですが、やはり一割国庫負担の財源によりまして医療内容の低下ということは防ぎ得るかどうかという問題でございます。御承知のように健康保険法の制度が普及徹底いたしまして利用率ということを考えて参りました場合において、将来そういう方面からの医療費の上昇もあるでしょうが、日進月歩の医学に追随して医療内容を上昇さしたいというのが医療担当者の考え方であり、同時に国民の要望であると思うわけであります。そこでとりあえずの暫定的な措置としての一割であるように拝聴いたしましたが、単価と同様にこの一割国庫負担の程度でもって医療内容の低下を防ぎ得るでしょうか。その点見通しをどうお立ての上の一割国庫負担か、その点お聞きしたいのです。
○山下義信君 お答えを申し上げます。私ども政策を立てまする上に申すまでもございません二つの面がございまして、一つには現状に即しまして大体考えていかなければなりません。同時に一面におきましてはわが党政権下におきましてはこうもやりたい、ああもやりたい、またこうやろう、ああやろうという考えのもとに施策を考慮して参りまするので、従いまして、一割の医療給付の国庫負担をいたしましたときに、保険経済がどうなるかということを考えましたときには、やはり現実の医療給付費の総額を勘案いたしまして、その伸び等も考えまして、一応の一割国庫負担という場合には、何十億を要するかということを出して参ります。しかしながら、これは、ただいま申し上げましたように、現実の上に一応の立場をとりますのでございますが、しかしながら遠慮なく申し上げますというと、わが党の政権下におきましては状況が一変いたします。今日の状態のままでは推移はいたしません。ことに大きく変化をいたしまするのは勤労者の所得でございます。言うまでもなく、わが党の政策の中の重大な政策は社会保障制度であり、分配政策でございまして、勤労者の所得の状況、生活の状況というものは、われわれといたしましては非常に期待をいたしておりまする中心政策でございます。従いまして、ただ単に国庫の負担の一割という、つまり現状に即して幾十億という金額を打ち出します以外に、保険経済で申しまするならば、勤労者の所得が非常に伸びて参りまするので、その生活状態が向上して参りまするので、従いまして、保険料の収入も今日のままということば、とうていこれは予想ができませんので、非常に保険料収入も増大するということが考えられまするので、従いまして、保険経済の内容は、一面におきましては国庫の大幅負担となり、一面におきましては勤労者の給与の増額に伴う保険料の増収と相なり、他方におきましては、結核対策に対しまする画期的な政策と相なる、彼此にらみ合せまして、保険の運営の内容というものは、私どもといたしましては、格段な改善がはかられると考えておるのでございます。従いまして、お尋ねに相なりました医療の水準の向上はもとよりでございなすが、すなわち給付の内容の改善でございますが、私どもは医療の向上のみならず、その給付の割合も、たとえば被扶養者等の給付の率等につきましても、被保険者も家旅も実は全額給付ということが理想でございます。目標でございます。従いまして、その目標に進みまして、現在の被扶養者の半額給付も、これも七割、八割と伸びていかすということが私どもの考えておりまする一目標でございます。従いまして、われわれは国庫負担を十分にいたしまして、保険全体の改善向上をはかるのでございますが、しかしながら必要以上に黒字になることは、これは言うまでもございません、それは必要はないのでございまして、保険経済が余りまして、黒字になりまして、金の使い道がなくなるというほどの必要はございませんので、ただいま申し上げました諸点の施策を断行して参るということになりますれば、相当保険経済は好転いたしますことが予想されますので、一応一割という定率を今一打ち出しまして、もとよりしばしば申し上げまするように、定率の国庫負担を規定いたしますることに重大な意味がありまするとともに、これを付則におきまして、今年度におきましては三十億を読みかえるということは、当面の赤字対策、すなわち予算使用の道を開きましたものでありまして、この点は政府においても、与党におかれましても、御反対のあるべきはずはないと確信いたしております。もしわが党の提案を御否決に相なりまするならば、私は政府提案の上に重大な御影響があるのではないかと存じますので、できるだけ、審議はお急ぎかと存じますが、御可決あらんことをひとえにお願い申し上げる次第でございます。
○竹中恒夫君 次にお尋ね申し上げますことば、提案者にお尋ねしたいということは、いささか言わずもがなの節があるわけで、むしろこれは政府委員の方々にお聞きを願いたいという気持もあって提案者にお尋ね申し上げるわけであります。前々国会ないし前国会等において政府案として健保一部改正案が出ました。その案の内容はわれわれも承知いたしておるわけでございまするが、また先ほど大臣の御答弁のなかに、確定したのではないが、近く出す予定であるというようなことを仰せになられたようでございまするが、その案を仄聞いたしましたり、あるいは前国会の案などならいたしまするというと、当然標準報酬料金の等級改正あるいは一部負担の範囲拡大ないしは被扶養者の範囲の限定等被扶養者に対する、俗に言うしわ寄せというものがあるわけでございます。またその他先ほど来木下委員などから御質疑があられたように、行政措置等によっての圧迫もあるように考えるのでございまするが、もとより社会党としては前国会のあの案を反対しておられたわけでございまするからして、当然今回の提出の一割国庫負担という中にはそういう施策ば行わないといういうことが前提であろうとは存じまするが、一応念のために標準報酬料金の等級改正あるいは一部負担の範囲拡大ないしは被扶養者の範囲の狭め、または行政措置の圧力を加えるといったようなことにつきましてこのお考えなりを伺いたいと思うわけでございます。
○山下義信君 お答えを申し上げます。政府が近くどういうような健康保険改正案を御提案になりますかということはなおつまびらかにいたしませんので、案を拝見いたしまする前に、わが党の、社会党の賛否の態度を申し上げるということは、これはできませんことでございまして、まだ見ません幽霊でございますから、それをどうこう退治るだの切るだのということは言えません。しかし前国会でも政府から御提出になりました、その健康保険法案につきましてはわが党といたしましては、社会党はこれに反対をいたしましたことは御承知の通りでございます。反対をいたしました点、あるいは理由等はいろいろございますけれども、御指摘になりましたような一部負担につきましては、社会党は党議といたしまして、党の政策といたしまして、これには反対をいたしておるのでございます。従いまして、一部負担の形式がいかなる形式で行われましようとも、社会党といたしまして、これに賛成するということはできませんので、前回におきましてはこれに反対をいたしました。従いまして、現在の初診料の一部負担五十円すらもわれわれといたしましては、一日もすみやかに撤廃をいたしたいというのが念願でございます。従いまして、前国会におきましては、御案内のごとく、この一部負担には反対をいたしましたのでございます。標準報酬の改訂あるいはその他の諸点につきまして当然措置すべき点がありますることは、これは自他ともに異議のない点もございます。しかしながら改正案のように重大な点について意見が相違いたしました以上は、その中身についていろいろにまた検討いたしまするいとまもございませなんで、言いかえますならば、社会党が修正案を出し、与党と御相談申し上げ、また与党の一部からも修正案の動きがある、われわれが検討さしていただく、そういう余裕もなくいたしまして、全面的反対ということで前国会は御承知のような出精に相なりましたのでございます。実は私どもといたしましては、健康保険の制度のごとき問題はできるだけ激突を避けまして、そうして非常に正反対な、イデオロギー的真反対な点でない限りには、この種の問題につきましてはできるだけ私どもといたしましても与野党の激烈な対立をなくいたしまして、この保険の運営の円滑をはかりますように協力いたしたい実は問題であろうと考えております。私どもが申し上げるのはあるいは僭越かわかりませんが、もし二大政党が話し合いの場を持って、共通の話し合いの広場を持って、お互いに胸襟を開いて話し合うというならば、この健康保険の制度の問題こそ、いな広く申しますれば、社会保障の制度の問題こそ、これは私はほんとうに党利党略の立場を離れまして、お互いの力を合せて御相談申し上げるべき問題ではないかと考えておるのでございます。従いまして、健康保険の改正案に対しましては、社会党は決して反対せんがために反対をいたしておるのではございません。今回の提案のごときは、しばしば申し上げまするごとくこの案は政府与党にとられましても、よくこそ社会党は出してくれたと、自分の方で出そうと思ったけれども、いろいろどうも事情があって、これはおれが言おうとしておる、おれが出そうとしておる案にそっくりだとおっしゃていただいて、喜んでいただく案を出して、おりますることは、すなわち言いかえますと、純然たる社会党案でなくて、政府案にかわってお出し申し上げているという点をお考え下さいますならば、われわれの心中も御了察賜わろうかと存ずるのでございます。大体さように考えております。
○竹中恒夫君 厚生大臣に私要望いたしたいと思うのですが、大体ただいまの質疑応答によっておわかりいただいた点もあると存じますが、先ほどの御答弁では、政府提案の改正案はまだ正式に確定いたしておらぬ、近く国会に提案するというようにとれたのでございまするが、どうか健康保険は御承知のごとく政府所管だけでも五百数十万おられる、及ぶところは五千万人以上の関係者があるわけでございますが、この提案の時期、方法等につきましてはいろいろと国会におきまする審議の状況から勘案いたしまして、あるいはまた新聞紙上等に報ぜられておりまするところのいわゆる政界のかけ引き、取引等によって提出する時期等を考えられているようなことは新聞紙上等に伝えられておりまするが、今申します通り、きわめて国民の健康に関連する重大な案件でございまするからして、十二分な審議の期間が与えられまする方法をもって御提案を賜わりたい。いろいろと重大な多々案件がございまするが、会期その他のことも十分御勘案の上で提案を処理していただきたいということをお願い申し上げまして、私質問を終りたいと思います。
○委員長(千葉信君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(千葉信君) 御異議ないと認めます。 —————————————
○委員長(千葉信君) 次に、労働情勢に関する調査を議題といたします。 前回の調査の結果について、その後関係当局において調査した結果の報告を求めます。 なお出席されておる方は倉石労働大臣、政府委員として中西労政局長でございます。
○政府委員(中西實君) この前に御質問のございました千葉新聞、上添田、日華油脂、この三つにつきまして組合課長の方からその後の事情を御説明申し上げます。
○説明員(山崎五郎君) まず千葉新聞の争議の前回報告した以後の経過を御報告申し上げます。 十一月二十一日、会社は組合に対し、会社解散の件及び休業中の社内立ち入り禁止につきまして団体交渉を行いたい旨を申し入れましたが、組合はこれを拒否いたしました。 十一月二十八日組合は、不当解雇を撤回し、健全な県紙として千葉新聞を再建させる組合の要求のもとに争議解決をはかることを目的とする団体交渉を行いたいと、こういう申し出をいたしました。 翌二十九日午後二時半から団体交渉が行われたのでありますが、意見が対立のまま団体交渉は打ち切られました。 千葉地労委は十二月一日午前十時半に、十月二十一日付解雇通知の効力発生は留保の上、労使双方はおのおの三名よりなる会社再建協議会を設け、解雇通知撤回問題を含む会社再建を協議する。この協議会は右の三名のほか、地労委あっせん員が参加し、なおあっせん員が必要と認める場合は、その推薦による第三者で労使双方が承諾した者を参加させることができるとの趣旨のあっせん案を提示いたしました。 回答期限は十二月一日午後十時までに、争議行為は双方受諾の回答があったときすみやかに中止する。いずれか一方から拒否回答があった場合はあっせんを打ち切りせざるを得ない、こういうことを明らかにしております。 このあっせん案に対して会社は十二月一日午後十時受諾の回答をいたしました。組合は十二月二日午前十時まで留保していただきたい旨を回答し、さらに十二月三日まで回答を延期されたい、こういうような通知をいたしました。 会社側は十二月二日午前十時三十五分から約三十分間株主総会を開き会社を解散いたしました。 千葉地労委は会社解散の決定後、労使双方を招致して、組合の回答がないこと、及び会社解散をきめたことを理由としてついにあっせんを打ち切りせざるを得ないことを文書をもって通知しました。 本日組合はこの会社解散について反対の決議をしまして、会社側に手交する予定になっておる模様であります。 以上が千葉新聞のその後の経過であります。 引き続きまして日華油脂の賃上げの争議の経過を申し上げます。 十一月十七日兵庫県の地労委は千三百円の賃上げ、配分及び賃金体系については労使間で協議するとのあっせん案を提起したが、二十日組合は拒否回答を行い、二十三日にストライキを通告し、二十四日以降無期限ストライキに入ったということを報告しておきましたが、その後会社は二十四日、組合が会社回答を待たずして二十三日スト通告を行なったため、会社は回答の熱意を失った旨を回答し、具体的に諾否の態度を表明しなかったのであります。一方中労委は十一月二十七日、この争議につきまして兵庫地労委と連絡いたしましてこの取扱い方を協議し、兵庫地労委総会では引き続きあっせんを行うことをきめて、十二月一日に労使双方を招致しまして、事情聴取という名のもとにあっせんを継続しております。会社は十一月三十日定例株主総会を開催しまして取締役全員の委員の改選を行なっております。十二月一日組合は、十一月二十三日付会社名で散布されたビラについて名誉棄損として告訴をしております。兵庫地労委は十二月一日午後三時から労使を呼びまして事情聴取を行い、自主交渉を行うように再び勧告をしております。この勧告に基きまして明日から団体交渉が再開されることになっております。 次に上添田炭鉱の閉山争議につきまして詳細に報告せよ、こういう希果がありましたので、その後通産省、炭労あるいは福岡県の報告を総合いたしまして、前回報告したものよりも詳しくもう一度御説明をいたします。 争議の経過でありますが、会社は昭和三十一年八月九日石炭鉱業整備事業団に売り渡し申し込み申請をいたしました。前回のはちょっと日付が違っておりましたので……この申請理由は要約いたしますと、今後の可採埋蔵量十四万八千トンとみられるに至ったこと、可採炭量の減少に伴い、昨年までの月産量は一万二千トンないしは一万三千トンであったものが、本年に入って七千トン、あるいは八千トンに落ちるに至ったこと、この結果鉱量一人当りの能率は九トンになった。 深掘に伴い、坑道は延長複雑化して炭車の回転は悪くなったこと。 以上のような条件悪化に伴って赤字が累積した。なお九州鉱山では最近一年間の赤字額は七千万円ないし八千万円と称しております。 右のほか九州鉱山は、これまで三度にわたり古河鉱業より鉱区の分譲を受けてきており、今回も分譲についての意向打診を古河鉱業に対して行なったが、古河鉱業はこれを拒否しております。なお古河鉱業においては九月二十四日の重役会において、鉱区分譲を拒否することを正式に決定しておるようであります。会社側はこれによって新鉱開発の望みを断たれたことを理由にしております。 そこで八月二十三日、石炭鉱業整備事業団は、九州鉱山よりの売り渡し申請を受理いたしました。 八月三十日より九月十六日までの間石炭鉱業整備事業団は、他の視察事務をもかねて九州鉱山の採堀権につきまして調査を行いました。この点については会社側は、この調査団を銀行筋が融資先調査を行なったものと説明をされております。また会社はこの間を通じて売り渡し申請を組合に知らさず、また組合からの売り渡し事実有無に関する質問に対しても、申請の事実がないと回答しておったということが言われております。 整備事業団は、九月十二日より二十六日までの間、九州鉱山の機械設備についての調査を行いました。 九月二十日、上添田労働組合は、九炭労より会社の花山申し込みが真実であることが知らされました。 九月二十一日会社は、組合の質問により売り渡し申請を行なったことを知らせるとともに、閉山の意向であることを明らかにいたしました。 上添田労組は続けまして九月二十三日には代議員会におきまして売山阻止闘争を行うことを決定しております。 その後、会社、組合間で交渉が持たれましたが、九月二十八日に至って組合は次の再建案を提示しました。その再建案は、設備改善により、明年五月まで月産九千トン・ベースを維持すること。その後は新鉱開発により経営を続行すること。 なお、九月下旬以降九炭労及び炭労は交渉のあっせんを行なっております。 その後十月中旬より東京本社において交渉が行われ、この交渉には山本参議院議員及び多賀谷衆議院議員等も列席しているようであります。 この間十月十日ごろ福岡県労働部長、副知事等は関係方面——通産省、整備事業団等の方に陳情を行なっております。 また、添田町では、十月十五日、特別対策委員会を設けて、町会役員、町会議員、労働組合等によってこれが構成されておりますが、そうしてこの対策に当ったのであります。 なお添田町町長等は十月初めごろ上京して、通産省、古河鉱業等に陳情を行なっております。 これらの交渉、陳情を通じまして、鉱区の譲渡の意向のないこと及び可採炭量の少いことがわかったのであります。 炭労は十月中旬の大会において上添田労組閉山反対闘争支援を含め、中小炭鉱の闘争支援のためにスト権を確立いたしました。 また十月三十一日、炭労は傘下全文部に対し上添田炭鉱売山阻止のために、十月十五日以降一時間五十分ストの準備体制を整えるように指令を出しております。 しかしながらこれらの紛争により、鉱員の労働意欲は減退して、十月の出炭量は三千トンに低下しまして、坑内状況も漸次荒廃するに至り、売山阻止闘争の完遂についての組合の自信も次第に失ってきたのであります。しかしこの間に会社側の賃金遅払いは別にありませんでした。 十一月に入り、野口副委員長、渡辺中小対策部長を派遣して、交渉強化に努めたが、組合側より、先ほど申し上げましたような事情によりまして、十一月七日に至って売山阻止闘争よりも条件闘争の方へその方針を転換することに決定いたしました。 なおこの間炭労では古河鉱業に対して古河鉱業より九州鉱山に鉱区を分譲するよう要請するためストライキを行うことを計画したが、不可能と見てそれをするに至らなかったと、こういう報告もきております。 十月十二日上添田炭鉱労組は、閉山に同意して会社との間に協定を結びました。 組合は十一月十三日付をもって上添田炭鉱の閉山に同意する。退職手当は、会社都合解雇の場合の額の六制増しの額を支給する。 退職に際し、特別加給金を下期期末手当を含み、一人当り七千円を支給する。解雇予告手当三十日分を支給する。有給休暇の残り日数の六〇%を支給する。帰郷旅費は基準法通り支給する。買上げ決定後、二カ月間は、社宅、電灯、水道は、現状通りの利用を認める。 上添田炭鉱の十三日付閉山により、在籍従業員九百二十名中、八百三十名は同日付をもって解雇され、残余の九十名は保安要員及び事務職員としてなお在籍しております。 なお、十一月二十四日現在では、事業整備団の方との間の売山契約は正式に締結されておりません。 労働組合は閉山争議を通じまして争議行為は行なっておりません。前回山本委員の指摘されました前社長が八月初め売渡し申し込み申請と前後して渡米しておることは事実のようであります。 以上その後の経過並びに詳細に報告を求められておりましたのを報告いたしました。
○藤田藤太郎君 千葉新聞のことについてまず最初に少し聞いてみたいと思うのです。この前も労働協約を踏みにじって解雇の問題が出てきた、そういうところから協約で平和条項がありながら、これに対しまして片方はロックアウトという状態に入った、三十七名の首切りをめぐって争議が続けられて参りました。ところが今の報告を聞いてみますと会社は解散をした、解散をしてしまった。今日の状態では地労委も手を引いてしまっている、こういう状態、一部では擬装解散じゃないか、こういうことも言われている。いずれにいたしましてもここで働いている百名近くの人の生活というものは今日会社解散という会社側の都合で四万部から出ておった県民の新聞、特に新聞の持つ重要な役割であるような事業を勝手にこういう処置をしてしまう、非常に遺憾なことだと思うのです。私の聞いたところではこの地労委があっせん案を出して、その日中に回答をしてほしい、きょう一日だけ待ってもらえないかということで、そのまま会社解散という事態の上に立ってこの問題が今続いている。実はこういう事実に対して労働省としては今までこういう例があまりなかったと思うのですけれど、こういう問題については労働大臣はどういう工合にお考えなんでしょうか。これこそはほんとうに一万二千円の賃金で長い間働いてきた、千葉市ですから、東京に非常に近いところで、再建協議に組合を熱心に連日やって赤字解消のために努力をするということで、努力をしてきながら、勝手に首切りの問題だけやってしまって、こういう結果になってしまった、協約があって、そうしてこの同意権の問題が明確に書かれ、合せて平和協定というものがその中に入っている、こういうような会社が解散してしまって労働者は出て行け、こういう私は事態の問題、これこそほんとうに労働行政でほんとうに労働省は先頭に立ってこの労働者を守るということこそ、私はやってもらうような問題じゃないかと思うのですけれども、労働大臣、どうでしょう。
○国務大臣(倉石忠雄君) 労働関係はもちろん平和にやっていただくことをわれわれも希望いたすのでありますが、この東京に割合に接近いたしておる地方新聞が東京の大新聞に圧倒されて経営困難になるというふうな事例は時に見受けられることでありますが、千葉新聞の個々の争議の内容につきましては、労働省でもいろいろ情報をとっておりますが、その内容のことにつきましては、個々の産業の争議行為でありますので、政府委員の方から一つ答弁をさせるようにいたしたいと思います。
○藤田藤太郎君 それでけっこうです。政府委員の中西さんでも山崎さんでもけっこうですが、経過の問題は……、しかしこういうような具体的な事実の問題になってきたときにこういう問題こそ労働省としてはやっぱり働いている者の生活やそれから地位やそれを守ってやるということに労働行政というものは向けらるべきじゃなかろうか、そういうことを労働大臣がどうですかということをお尋ねしているわけなんです。
○国務大臣(倉石忠雄君) そういう場合には法の許す限り労働者の立ち行くように、われわれの方としても考えてあげなければならぬと思っておりますが、今の説明にもありましたように地労委も中に入っていろいろあっせんをいたしておりますので、特にわれわれがこれに介入するということは避けるようにいたしたいと思いますが、労働者を守ってあげなければならぬということについては全く御同感であります。
○藤田藤太郎君 そこでこの千葉新聞の問題は突き詰めていくと、私は今やはり重要な問題は、会社がこういうことを勝手にやるということは、労働者としては黙っておれない問題です。問題はやはり争議を解決するというのは何といっても焦点なのです。だから地労委があっさり手を引いたというような格好であっていいのかどうかということになると、私は重要な問題があると思う。地労委は公的な機関として、争議を調停、あっせんをするという役割を持っておるのですから、地労委が積極的にこの争議の解決のため尽力するということについては、私は労働省は監督行政の立場から地労委にやってもらう努力を、私はやはりしてもらいたい。今山崎さんから報告があったのですが、そういうような問題についての経過はどうなのですか。
○説明員(山崎五郎君) 先にあっせん案が提示されるまで、十薬の地労委は相当勢力的にこの解決に努力いたしました。その後あっせん案が提示されて、それを一方が拒否し、一方が受諾して再び争議が長期化する様相が見えたのであります。すなわち二十一日から十一月の下旬まででありますが、その間労働省としては県の部長あるいは課長を通じまして再び労働委員会がこの争議に乗り出すように要果していろいろ打ち合せを行なって参りました。その間におきましていろいろこの争議の事情を調査してみますと、非常に複雑なものが多いので、非常に解決に困難に見られる点が多かったのであります。この点のいろいろ詳細を申し上げるのははばかりますが、各方面の意向も打診してきたのでありますが、やはり労働委員会が最終的に乗り出さなければならないような状態にあったので、われわれ要望いたしまして再度のあっせん、こういうことになったのであります。しかし藤田さん御承知の通り、あっせん案につきましてはわれわれ介入することができないのであります。しかも一方会社が解散するまでの間は労働組合側、あるいは衆議院の労働委員会で参考人を招致して陳述せしめ、それに質問したときには、解散の点につきましては明らかにされておらなかったし、われわれの情報にも解散するものか、しないものか、はっきりしておりませんでした。結局この二日の会社解散というのは、新しい事態が急に生じて、一応地労委は手を引いたのでありますが、今後の問題につきましては、新情勢にかんがみ、いろいろの点から検討を加えて対策を立てなければならないと思っております。きょう現実にどうする、こうするというよううな見通しはつきません。
○藤田藤太郎君 時間がありませんので、私はきょうはこれで打り切りますが、問題は、私はながめてみてやはり今一番大事なことは地労委がこのあっせんをして何とかそういう解決に努力をするというのが今の情勢の中で一番いいのじゃないか、私はそう思いますから、そういう点の努力を一つしてもらいたいと思います。
○山本經勝君 倉石労働大臣にお伺いをしたいのですが、実はせんだってこれは千葉新聞の紛争について御質問のあった点なんですが、再度明確にするために伺っておきたい。この千葉新聞の労働組合の持っております労働協約第六条でしたかに、会社の解散、合併、閉鎖、縮小、長期の休業等重大な企業の形態を変更するような事態については、会社は案を提示して組合と協議をする、とこういうことになっております。なおこの協約からいいますというと、協議決定ではなくて協議をするとなっているからという理屈もつくでしょう。ところで労調法の第二条には労使の関係は一応それぞれ具体的な規制をしておりますが、そこの中で第二条に示しておることはいろいろな問題、交渉の手続はむろんのこと、あるいは紛争の場合、あるいは争議の場合にどうするかということについては労働協約を取りきめておくことが望ましいということをきめている。これはいわゆる労使関係の調整の建前に立って、つまり一つの規範を示しておるのだと解しておるのですが、そうしますとこの規範はやはり尊重されねばならぬ問題であることは申すまでもない。ところがどの程度に、ただいまの報告によって聞きますというと、この協約に基く会社の解散ですからどういうふうに具体的な協議がなされたかということは、実は内容については御報告は伺っておりません。そこで私どもは直接お伺いしがたいのですが、思うにこれは協約の末尾にある協議するという言葉にかかって協議が整わないから一応協議を尽したのだという建前をとっておるのでしょうが、それでは労調法の基本的な規範をほんとうに順守して労使のいろいろの問題になっているよい慣行を確立していくということになっていないと思うのです。ですからこういう点が非常に大きな問題であるのと同時に、憲法で言う二十七条の勤労の権利あるいはまた二十八条の団結権、団体交渉権あるいはまた団体行動を保障しておるという立法の建前から見て、こういう場合に最後に会社が解散をして、そうして涼しい顔をしている。こういう状態になってきますと、一体労働者はどうしたら救われるか。労働省は少くとも労働大臣を中心にして労働者の基本的な権利を守り、生活を擁護するという建前をとっておると思うのですが、この千葉新聞の例をもって考えますというと、全く労働者の権利は守られておらない、同時に協定された協約もほんとうの意味における労使岡の憲法として尊重されたと判断ができないのですが、そうすると労働者が守られないということになるので、重大な問題になってくる。ですから労働大臣のこの点に対して懇切な一つ御解明を願うと同時に、そうした労働者に対する労働省ばどういう取扱い方をお考えなのか、この点を明らかにお願いしたい。
○国務大臣(倉石忠雄君) ただいまのお話を承わっておりますというと、やはり会社側がこの協議約款に違反して解雇を行なったと思われる疑いが濃厚だと存じます。それからまた、ただいまの報告の中にございましたように、組合がストを実施いたす場合にピケットなどについてやはり協定違反と思われるような行為の疑いもあることでありますが、実際に今このお話になっております千葉新聞の争議行為の実態につきましては、今お話を加わりますというと、双方にやはり行き過ぎた、約款が効力を持っておる湖に行われた行為としては私は遺憾な点があるのじゃないかと存じますが、この個々の千葉新聞の実際の争議行為の内容について私自身が一応の報告を受けておりますが、内容をつまびらかにいたしておりませんので、御趣意は私ども同感でございまして、労働者の立場をあとう限り守ってあげなければならないのは当然でございますが、内容については一つ政府委員の方から御説明を申し上げたいと存じます。
○政府委員(中西實君) この千葉新聞におきましては仰せのような協約があるわけであります。で労使が常に話し合いの上で円満な関係のもとに企業が続けられて行くと、これが当然近代産業においてのルールでございます。従ってその点からしましてたとえば企業に重大な変更を生ずる場合には、組合と話し合いをする、協議をするというような約款も最近方々であるわけでございます。こういう約束をした限りは、やはり労使双方でそれを守ってやって行くということでなければならないと思います。で、言いかえれば一部まあ組合が経営に対して参加するというと大げさでございますが、ある程度そういう関係になっておるものでございますので、そういうことを会社側が認めておる限りばその約束を履行すると、そうして約束したことは履行することは当然でございますが、それによって労使が円満に話し合いの上で企業が渋滞なく続けられて行くというのが、これはもうルールでございます。この千葉新聞におきましてはどうもその辺が尽されていない。今、大臣がおっしゃいましたように、若干遺憾な点があるのでございまして、このことは確かにこの千葉新聞に関する限りは経営陣としましても約束をあまり履行しなかったという感じがいたします。ただ仰せのごとく協議でございます。従って経営権の根本はやはり経営者にあるわけでございます。これはまあ裁判所の判例でもそのことははっきりいたしておりますが、形式的ではなくて相当実質的に突っ込んだ話し合いをしたと、しかしどうしても意見が一致しなかったというような場合には、これはまあ経営陣が方針通り遂行するということもやむを得ないのじゃなかろうか、ただこの際はそこまでどうも協議が熟していなかったということは言えるようでございます。
○山本經勝君 若干の遺憾の点はあったと言われますが、最も遺憾のところばかりのような印象が強いのですが、そこで協議がどのようになされたかという点で遺憾な点があったというだけではないと私は思います。この中小企業の労使の関係というのはとかくボス的な経営者の圧力や、あるいはまた懐柔が、こういったものが常に強く支配するために労使の対等の原則が組合法で規定されておりながらもそれが実は保てない。こういうのが実際の姿ではないかと思う。千葉新聞の争議の経過を見て参りますというと、いわゆる第二組合という形は正式にとっておりませんけれども、一部懐柔された会社の何といいますか、手先のような仕事をやった連中もあると、それからまた一方会社は暴力団を動員して、そうしてなぐり込みをかけてみたり、あるいは糞尿等を投げ入れる等の暴挙をあえてしたことは前回の委員会で明らかにされた通りであります。これはもう認められているので、皆さんも御承知です。そういうような力の関係というものは単にその企業内における組合と使用者という関係が、組合として団結はしておりますけれども、数が少い、あるいはまた一方企業の関係からいいますと、資本の力が弱いから勢いそこに力の関係が、いわゆる均衡が保たれた状態であり得なかったかもわからない。しかし労働者はやはり賃金を受けて生活をするという建前ですから、勢い労働者が自分の利益を守るため、あるいは首切りを防ぐためにみずからの結集された力でもって対抗するということになるのですが、会社は力は足らぬ、そうなりますと、今申し上げたように暴力団等を動員して、まともな交渉が率直に申し上げればこの千葉新聞の争議においては行えないということははっきりしているわけです。最近出てくる多くの中小企業の労使の関係は、あたかもこの千葉新聞の争議が縮図のような形で現われておると解してもそれは大きな誤まりではなかろうかと思う。そこで先ほど引例いたしましたように、労働基準法の第二章に示している労働協約、あるいはその協議約款なるものを尊重して話し合いを続けるというなれば、いやしくも労働委員会という公正な機関もあるのだから、それらの意見を十分取り入れて勧告に従って努力をする、こういうことが続けられていかなければならぬのではないかと思う。このような機関の活動や、あるいは運営の中身について労働省からとやかく言えというのではない。しかし労働行政の面からみて、特に労使の関係においては責任があるのです、労働省に。ですから、そういう機関の指導とでもいったような活動がなされなければならぬ、そういう具体的な方法を中西労政局長はお考えになったか、またおとりになったかということは非常に重要な問題です。 それからもう二つ、今の点を明らかにしていただくと同時に、労働大臣に対して申し上げれば、こうしてここには百数十名の従業員がいる。これが労働組合を作っているわけです。これが解散という状態になれば、単に失業をしたといだけではないと思う。この争議の過程を通してじゅうりんされた人権もありましょうが、労働者として憲法が保障している基本的な権利があると思う。これはもうたびたび繰り返して申し上げるまでもない。ですからそれを守るためにむしろ一歩進んで、労働組合法を不備な点があると思う。あるいはまた調整法の不備な点も私は具体的に浮んでいると思う。ですからもう少し踏み込んだ今後の問題に処する大臣の所信を伺っておきたいと思うのです。
○国務大臣(倉石忠雄君) 千葉新聞のこの争議にかんがみて、労働組合法及び関係調整法に不備な点があるという、こういう御意向のようでありますが、この新聞の争議の実体について、個々の行為について私今よく承知いたしておりませんから、一応の報告は受けておりますが、先ほど来事務当局から内容については御説明を申し上げておるところであります。そこでただいまの御意見のように、こういう個々の争議の体験から労働関係法にやはり改正を加えるべきではないかというふうな大事なお話でございますが、この個々の内容についてさらに検討いたしまして、そういうことを考える必要があれば十分に政府としても考えてみたいと思います。
○政府委員(中西實君) 先ほど来私の方でとりました措置につきましては、組合課長から申し上げました。一番この労使関係で解決を困難とし、むずかしいと考えられますのは、事業の縮小、あるいはそれに伴う解雇の反対の事案でございます。情においてわかるのですが、事業縮小、そして解雇の問題につきましては、これは組合は承認しがたいと思うのであります。そこでこの問題になりますと、どうも話が円滑にいかない。とどのつまりは条件闘争ということになってくるのでございますけれども、この事業縮小、あるいは首切りというものにつきましての労使の話し合いは常に円滑にいきにくい傾向を持っております。この千葉新聞におきましても十一月二十一日、これは初めて会社の方から解散の件について組合側に団体交渉を行いたいという申し入れをしたようでありますが、組合は拒否しております。こういった問題についていきなり頭から話に応じましょうというのは、組合の立場から非常にむずかしいようでございます。しかしまあ自由経済にのっとっております限りは、企業に伸び縮みはございます。そういう際に、やはり上部団体の指導によりまして、虚心にそういう話し合いに応じて、労使胸襟を開いて企業の経営の打開に向うという慣行がほしいと思うのでありますが、これはなかなかむずかしい。立場上そういうことを組合の方が頭から認めて話し合いに応ずるということは非常にむずかしい、これは事情はわかりますが、そのことがついだんだんと感情がこんがらかり、会社側としてはもう問答無用のような気持になってくるということで、事態が非常にこじれるということが例でございます。ことに中小企業においてこの例が多いのでありますが、これは今の企業が自由競争のもとに一応消長を来たすという点からは、やむを得ない点はございますけれども、しかしその間、できる限りそういう場合には第三者、今でいえば労働委員会等の意見によって、事が円満に運んでいくという気持なり慣行を労使双方に打ち立てていくように、われわれとしましても個々の事案について努力をいたしておる次第でございます。その意味からしまして、この千葉新聞につきましても深甚な関心と注意をもって千葉関係当局と今連絡しておる次第でございます。
○山本經勝君 ただいまの話、一応経過的には報告の通り受け取りますが、たた伺っておきたいのは、なるほど解散を前提にした団交に組合の態度として応じるのは困難な事情もある、これは私もよくわかる。この場合には千葉の地労委が勧告をして再建を協議するようになっていたでしょう。解散という問題は当初は出ていなかった。いわゆる第二会社的な企業の変更を計画しておったと思う。そこで再建計画を中心にした組合の協議の要望と、それを取り入れた地労委の勧告であったと思うのですが、しかしその間の関係は、これは一方的に会社の方が、こんなことならおれはやめてしまうというので解散を打ち出してきたと思われる。ですからそういう具体的な内容からいいますと解散反対、それから組合は再建について協議をしよう、こういう形であると思う。ですから解散しなければならない政治的な理由か、あるいはその他諸般の関係理由が明らかにされるのはその団交であると思う。なるほどその団交を拒否したということは組合側にそれは欠点があると思うのです。しかしながら反対に再建を協議しようと考えておる組合側の意図は結局会社には通じておらない。そのことがしかも地労委の勧告を経てなお行われぬというところに私は問題がありはせぬかと思う。そこら辺の解明が非常に不十分だと思うのですが、局長はどのように考えておられますか。
○政府委員(中西實君) 千葉地労委があっせん案を出しまして、その内容は御承知と思いますが、そうしてその回答を十二月一日午後十時までということをはっきり明示しておりまして、労使ともそれを納得しておるわけでございます。それにもかかわらず会社側は午後十時に受諾を回答いたしましたが、組合は留保して、そして二日の午前十時まで留保するというような回答をし、さらに三日まで延ばしてくれという回答をいたしております。そこで会社側としてはもう約束の期限も二日ばかり過ぎたというようなことでほかの行動をとったのだと思います。そのとった行動について私も是非はどうかと思いますけれども、しかしながらとにかく地労委のあっせん案に対しまして組合員が二度拒否している、会社はまあ受諾しておる。問題がやはり解散とか首切りということを前提としておるので、どうもそういう態度をとり得ないかもしれませんけれども、しかし客観的に見て第三者たる地労委のあっせんに対しまして、できれば双方がこれに従って話し合いを進めるという態度がほしかったというふうに考えております。
○山本經勝君 この今の局長のお話、つまり会社は勧告を受けた、組合は拒否した、三日の期限をつけて延期を求めた、こういう事情は一般に中小企業の中における労使の関係として常識的にあることなんです。というのは、再建計画を中心にして協議をするにしても、一応の準備が要ると思う。その場で一つの円卓会議をやっておると仮定して、どうだと言われてへいよろしいと端的に答え得るのにはよほど態勢が整っていなければならないので、そこでどうしたらいいのだ、どう対処するかという労働者側の協議をする時間がなかったと思う。そこら辺がもっとあたたかい思いやりを持った措置がとられない、と申し上げるより、労使の力のバランスというものがとれていないのじゃないか、ただ時間が非常にございませんから一応今お話のあった千葉新聞の報告については以上で質疑を終りたいと思います。ただ一点御要望申し上げておきたいのは、ただいま申し上げたような中小企業における労使関係の特殊性、いまだ成熟しておらない状態、こういうものにあたたかい労働省の指導的な手を差し伸べてもらわないと、かえってこれはゆゆしき社会問題になってくるのじゃないか、こういうことになるのじゃないかと思います。この点要望を申し上げておきたいと思います。 それから次に日舞油脂の問題でありますが、これは時間がありませんから省略して、今度は地労委の勧告によって明日ですか団交が正式に行われる。この団交の推移を一応見守る以外にないようです。 そこで第三の問題の上添田炭鉱の問題ですが、これは非常に問題がありまして、限られた実は時間では尽せぬと思うのです。それでまたあらためて機会を得るといたしましても、一応明らかにしておきたいのは古河鉱業の鉱区分譲について、いわゆる古河鉱業の重役会議で分譲をしないという決定をしたというのは、これは正確に言いますといつのことですか。
○説明員(山崎五郎君) 九月二十四日と聞いております。
○山本經勝君 そこで山の実情については私もかなりつぶさに知っておるわけで、当初この埋蔵量、採炭量がすでに非常に少くなっている、このことは私どもよく知っている。しかしながらこの鉱区は上層を採堀しておったのであって、その下にもう一つ下層がある。その下層を採堀するようにするためにはなるほど坑道を整備しなければならぬ。それからまたこういうようないわゆる企業努力が行われていなかったという点はお触れになっていない。もっともこの事務的に電話その他で状況を問い合せになって、そうして日記的に経過を羅列されておるということは、この間も申し上げたのであります。しかし非常にこれは重大なのですね。私どもは実情を知っておるだけにこの上層採堀が終れば当然炭鉱では、大ていの場合下層に炭層があるなれば試堀をやってさらに坑道の延長をやってその炭層の採堀をやる。それは私炭鉱を知った人にとっては常識なのですね。ところがそういう企業努力をこの炭鉱は払っていない。それからもう一つは、たとえば鉱区の問題についての話し合いがみずからの不都合な行為があったために、古河鉱業は非常に警戒的であったということは率直に言える。これは先ほど御報告になったように幾多の先輩や同僚とともに交渉に当って、そしてまた石炭局長並びにこの間話したように田口鉱業整備事業団の理事長、こうした人々、あるいは石炭業界ではかなり長い間努力をなさった佐久さん、こうした人々とともに協議をして、こうすればできるじゃないかということの一応意見を述べたわけですが、そのときは社長はすでにアメリカに飛んでいた。その前後の事情について特に私は明らかにしておいていただきたいのはこういう点なのです。十月の十一日であったと記憶しております。それは先ほどの御報告の中にない。讃岐石炭局長のところに私参りまして、これは私一人じゃなくて、県会議員団が福岡から陳情に来た、この問題について失業対策問題とか何とかということで見えたので、私が同道して石炭局長と会談をした。その際に、実は社長が不在で、肝心ないわゆる最高責任者がいないので話ができない。こういう事態に讃岐石炭局長曰く、社長という最高責任者がこの問題をほったらかして、姿を消すということはけしからん、そこで社長をすぐに出すように連絡をした。ところがその息子の三崎矩光という、当時社長と名乗っておったのでありますが、それを呼び出してそうして事情を聞いたところが、実は秋田県のメタルマインの視察をして、その足で北海道に別に炭鉱を営んでいる、その北海道の炭鉱の視察をして帰ってくるので大体二週間の予定である、こういうはっきりした話があった。そこで讃岐石炭局長は、そんなのんきなことじゃ困る、仕事は仕事で忙がしいだろう、しかし山はこういうふうに紛争している、そうして各界の人々が、それぞれいろいろ自分の問題を処理するためにいろいろ配慮をしている、こういう状態の中で社長をすみやかに戻るようにしてくれ、こういう要請を讃岐石炭局長がしている、それを引受けて、そうしてそれでは早速連絡をしましょうといったのですが、それから二日後には、実はアメリカに行っておりましたというようなでたらめが行われておる。これは私この間もちょっと触れたのですが、そういう状況のもとで買上げ促進を、自分が姿をくらましておいて、そうしてやっている。そこで私は労働大臣に伺いたいのは、炭鉱資本家が、自分の炭鉱を買いつぶす促進をすることのために、労働者の話し合いを回避して、そうして今度はいろいろな虚構をかまえて、こういう事実が明らかなんです。それで今の報告では、そういう具体的な内容については触れられておらない。私はもし状況によっては石炭局長、田口石炭整備事情団の理事長、そうしてその他関係者をこの委員会の席上に来てもらって、この事実をやはり私は解明する必要があると思う。こういうことを考えるわけですが、労働大臣としてはただいま申し上げたような状況、先ほどまた組合課長から御報告のあったような諸般の状況等を御勘案になって、この紛争がすでに解決がついておる、けれども事件の経過として、先ほどの千葉新聞における問題と同様に、やはり中小企業の中にある経営者あるいは資本家というか、そういうものがやっている労働関係の処理というものが、いかに悪らつ無類なものであるかということを物語っているのですが、そういう点については、私はどうあるべきか、労働大臣としてのお考え方をお聞かせ願いたい。
○国務大臣(倉石忠雄君) この問題はこの間もお話がありまして、個々の争議内容について、私が批判がましいことを申し上げるのは差し控えると申しておりましたが、ただいまの事例が、そのままそれが真実であるということになりますならば、私はやはり経営側もあたたかい気持で、相手方の身になってやってもらわなければならぬと思います。ことに通産大臣からも本日もお話がありましたように、やはりこういう石炭鉱業というようなものは、いろいろな意味で、政府その他の援助を仰いでいるわけでありますから、そういう点は十分心して労使関係をうまくやっていただかなければなりません。ことに閉山というような場合につきましては、通産省もさることながら、労働省もやはりそれぞれのその地方の出先のわれわれの官庁を督励いたしまして、この閉山のやり方、それから将来の労使関係というふうなことについても十分に世話をやくように、介入するわけではありませんが、その処置についてはできるだけのことをやる、これは必要であろうと思っております。
○委員長(千葉信君) 本問題に対する本日の調査はこの程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(千葉信君) 御異議ないと認めます。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時一分散会 —————・—————