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25回国会参議院1956/11/29

社会労働委員会 第8号

発言数
171
登壇者
14
会派数
3
開催日
1956/11/29

会議録

千葉信日本社会党

○委員長(千葉信君) それでは、ただいまより社会労働委員会を開会いたします。  電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律附則第二項の規定により、同法を存続きせるについて、国会の議決を求めるの件を議題といたします。  これより質疑を行いますが、鳩山内閣総理大臣が御出席でございますので、総理大臣に対する質疑をお願いいたしたいと存じます。御質疑を願います。

大矢正日本社会党

○大矢正君 私はこの法律が提案をされてから今日まで、政府の考え方あるいはまた総理の考え方を承わって参ったのでありますが、特にその中で非常に重大な影響を及ぼす考え方の発表がなされておりまするので、この点を十二分に解明をいたしたいと考え、質問をするものでありますが、この法律を作る場合の考え方の基本は、公共の福祉を擁護するためにあると、こういうことが再三言われております。しかもまた今日まで繰り返されて参りました委員会の答弁その他を考えてみまするに、私は、公共の福祉というものが優先をいたしまして、労働者に対するいわゆる労働基本権という、こういう権利というものがこの公共の福祉に全部おおわれてしまって、基本権というものが失われるような感じを抱くわけであります。私は少くとも憲法で保障された労働者の権利というものとそれから公共の福祉というものは、これはどちらが上でどちらが下だというものではなくて、これはともに両々やはりわれわれが認めなおかつ守り抜いていかなければならない内容であると、かく考えるのでありますが、今日までの総理の答弁やあるいはその他政府委員の答弁を判断いたしてみますると、どうしても公共福祉を先に立てて、労働者に対する基本的な権利というものを抑圧をしても、あえてそれは差しつかえないものであるかのごとき印象を与えるのでありますが、この点に対する総理の答弁をいただきたいと考えます。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) お答えをいたします。  勤労者の団体行動権というものは極力尊重すべきものと思います。しかしながら、この団体交渉権というものは決して無制限のものであってはならないと思います。団体交渉権は公共の福祉を害しない程度において尊重すべきものと、このように考えております。

大矢正日本社会党

○大矢正君 私は、公共の福祉というものは確かに言葉の上においてはそういうことが言えるかと思うのでありますけれども、現実的に公共の福祉というものの内容を分析いたしてみますると、これはいろいろとこのことが必ずしも労働者の与えられた権利の上に立たなければならないというようには考えられないのであります。なぜこういうことを言うかと申しますと、少くても労働者の権利というものは、当然これは公共の福祉というものと並行すべきものであって、たとえばこれは公共の福祉というものを阻害する、あるいは労働者の権利というものを侵害するというものは、お互いにこれは片方にのみ犠牲を負わせるということではなくて、両方たとえばこれが衝突をする場合、公共の福祉という問題とそれから労働者の基本的な権利というものが衝突をする場合には、両方これはお互いに退いて解決をすべき問題である。たとえばそれは公共の福祉だけをのみ守って、そのことで事足りるというものでもないし、あるいはまた、労働者の基本的な権利だけを擁護するだけで、公共の福祉がいかようになってもよいというものではなくて、これがもし衝突する、これがお互いに公共の福祉やあるいは労働者の基本的な権利がともに守り抜くことができないという場合には、お互いに退いて問題を解決するという精神が今日の段階では必要ではないかと思いまするし、それこそが憲法の私は解釈の精神だと考えるのでありまするが、この面に対する総理の答弁をいただきたいと思います。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 先刻申しましたように、団体交渉権というものは尊重しなければなりませんけれども、公共の福祉を害していいということは言えないと思います。

大矢正日本社会党

○大矢正君 公共の福祉を害するということでありますが、先ほど私も申し上げましたように、公共の福祉を阻害するという、その阻害の内容において非常に違ったものがあるのじゃないか、たとえばかりに電気が五分間とまった場合と、それから一日とまった場合とこれは相当大幅な公共の福祉に対する相違が私はあるのではないかと考えるわけであります。それからもう一つ、かりに石炭事業の場合にまた例をとってみました場合に、保安要員を引き揚げるという、あるいは保安要員を差し出さないという、こういう措置が講じられた場合といえども、そのことの行為が、たとえば一時間であるという場合と、それから一日そうやった場合と、あるいはまた一つの山において行われた方法が、ほかの山にも同様にそれぞれの公共の福祉を阻害するような結果をもたらすとは考えられないわけでありまするが、そういう点に対して、ただ一律に公共の福祉という名前のもとにどんなささいなものであってもそのことがほんのわずか、公共の福祉というものは少くとも相当大きく国民一般に迷惑をかける問題だと私は考えるのでありまするが、それがたとえば五分間の停電や、あるいは炭鉱の一時間の保安要員を差し出さないという問題によって、大幅に公共の福祉が阻害されるとは考えられないのでありますが、この面に対する総理の答弁をいただきたい。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) この法律の適用に当っては時期に適するように、そういうような常識的に解決するようにしなくてはならないと思います。

大矢正日本社会党

○大矢正君 それでは、次の点に私は移りたいと思うのでありまするが、この法律が制定をされましたいわゆる三年前、この三年前とそれから今日の労働情勢の比較でありますけれども、過日、この委員会の中においての労働大臣の答弁を承わっておりますと、非常に労働情勢、そうしてまた、労働慣行というものがよくなりつつある、これは喜ばしいことであるというような御発言もあったようであります。そこで私は三年前と今日では相当大幅に労働情勢というものは変化を来たして参りましたし、従って労働情勢が変化を来たすということは、言いかえるならば、争議の内容あるいは争議の方法、それから争議の時期的な問題、こういう総体的な点から判断をいたしまして、今度の法律は必要がないように考えるわけでありますが、この面に対する総理の答弁をいただきたい。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) あなたのおっしゃる通り、三年前と今日とはだんだん慣行がよくなっておると思われます。けれどもなお、この法律を必要とするような情勢がなきにしもあらずで、やはりこの法律をこしらえた方がよいと考えたわけであります。

大矢正日本社会党

○大矢正君 これは私だけがそう考えるのじゃなくて、全部の人がその通り考えるのじゃないかと思うのでありますが、これはたとえば、この前非常に悪い労働情勢、これは私が言うのじゃなくて、政府の答弁でありますが、悪い労働情勢の中にあってもなおかつ、三年間で法律は一応区切られておるのであります。ところが、今日提案された内容はこれはもう明白に永久立法であります。そうすると、総理やあるいは政府の考え方がどういうところにあろうとも、一般的な国民の見る月としてはあの当時ですら三年間で、その間に一つ政府も、もちろん労使もそうでありまするが、非常によい労働慣行を作ろうじゃないかというように努力されておるのでありますかう、まして今日のように、総理が今答弁をいたしましたように、漸次労働慣行がよくなっている場合に、そういう永久立法をさらに作ろうということに対する考え方は、どうも国民には理解をされないのではないかと、このように思うのでありますが、この面に対する答弁をいただきたい。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) よい労働慣行ができますならば、もちろんこういうような法律は廃止いたします。

大矢正日本社会党

○大矢正君 よい労働慣行が生まれてくるならば固執をいたしませんというただいまの答弁でありますが、もしそのようだとするならば、私はこれはもう今総理が言ったように、よい労働慣行が生まれつつあるのであります。生れつつありますし、現に生まれているわけでありますし、それからこのことは労働大臣自身もお認めになっておるはずなんでありますから、あらためてここで法律の継続を提案する必要性はないと、このように考えるのでありますが、この点はいかがですか。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 現状におきましては、その必要があると考えた次第であります。

大矢正日本社会党

○大矢正君 現状においては必要があるというのでありますが、現状においては必要があるというそのことに対する根拠が私は必要だと思うのであります。だんだんよい慣行が生まれてきておるのでありますから、それをなおかつ法律を継続するというこの考え方に対する根拠が明確にされなければならぬのでありますが、その面は総理はいかがですか。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) その根拠の詳細なことについては、関係大臣から答弁をしてもらいます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 私はこの法律の考え方ですがね、これは法律の考え方、こまかい内容じゃございません、あるいは運用の問題じゃございません。この法律がどういう判断のもとに継続をされるのであるかということに対する基本的な考え方でありますから、あえてここで所管大臣の答弁をいただかなくても、総理の考えたままの答弁で私はけっこうだと思うのです。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 私は先ほど申し上げましたごとくによき慣行ができますれば、もちろんこういうような法律は置く必要はないと考えます。ただその慣行がまだ未完成だと考えておるわけであります。

大矢正日本社会党

○大矢正君 それではもう一つ続けてお伺いしたいのですが、そのよき慣行とはどういう慣行ですか、あなたの言われるよき慣行というのは。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 公共の福祉を害するようなおそれが全然なくなった場合です。

大矢正日本社会党

○大矢正君 現実的には公共の福祉にいわゆる背反するような、これはまあ程度の問題であります。確かに程度の問題、しかし現実的には公共の福祉に反して日本の国の経済や国民生活が混乱に陥るような状態は、現実的にはこの三年間にはないじゃありませんか。ありましたですか、そういうことが。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 私どもの観察では、こういう法律があったから、なかったと思います。(「明解」と呼ぶ者あり)

大矢正日本社会党

○大矢正君 それでは次に関連して私は承わりたいと思うのでありますが、私どもは、この法律はたとえば、労調法がある、あるいは炭鉱の場合には鉱山保安法がある、こういう立場からあえてこういうものを作る必要性はないということを再三再四訴えて参りました。特に私は、昭和二十七年だと記憶をいたしておりますが、炭鉱で争議がございまして、経営者の態度が非常に頑迷なために長期化をいたしまして、さらにまた、そういうことが発展をいたしまして、非常に労使間の感情がこじれまして、炭鉱の労働組合は保安要員を差し出さないで、これは経営者の反省を求めなければならないという態度をとった時期がございました。このときに政府はどういう措置をとったかというと、これはストライキ規制法がなかったにもかかわらず、労調法の適用において争議も終息はできたし、それからまた、保安要員の差出拒否も解決をいたしたわけでございますが、そういうように考えて参りますと、あえてこの法律を再びまたここで継続をしなければならないという理由がないやに私は感ずるのでありますが、この面に対する総理の答弁をいただきたい。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 私は、労調法がありましても、この法律は必要だと考えておるのであります。昨日も藤田君から、この点について御質問が承りました。労調法だけではまだ不十分で、私はこの法律があるのを必要だと考えております。

安井謙自由民主党

○安井謙君 議事進行について。非難に専門的な御質問もあるようにわれわれは思うので、労働大臣も出ておられるので、この労働大臣で専門的な分については御答弁もお認めになるように諮っていただきたいと思うのですが。

千葉信日本社会党

○委員長(千葉信君) その点については、委員長の方で質問者の意向を確かめつつ、適切に計らうつもりでおります。

栗山良夫日本社会党

○栗山良夫君 議事進行ですが、今安井君からお話がありましたが、これは首相として十分答弁できる、していただける範囲内の質問だと考えております。そういう意味で、総理の所信というものを明確に答えていただきたい思います。私の希望です。今の答弁でも皆様おわかりだと思いますが、自分の意思を表明されるときになぜ根拠を示されない、理由を示されない。それでは国会の審議としては非常に片手落ですから、やはり自分の意見を述べられるときには、その理由を明らかにしてそして結論を述べていただく、こういう工合に一つ善処されたいと思います。

千葉信日本社会党

○委員長(千葉信君) 栗山君にお答えいたしますが、その点については、昨日も御意見のあったところでございまして、首相におかれても適当に考慮されて出席されておると存じますので、御要望のように委員会を進めたいと思います。

大矢正日本社会党

○大矢正君 私は、法律というものは少くとも簡単にあった方がいいという、こういうのみで法律というものを作うるべきものではない。必ずそこに必要性があるから作られるべきものだと、かく感ずる者であります。従って、そういう点から考えてみますと、ただいまの総理の言うように、ただあった方がよいから置いているんだというような答弁では、私はとうてい納得することができないのでありまして、先ほど来申し上げておりますように、現実的にこういうストライキ規制法というものがなかった時代において、明確に争議も終息できたし、それから保安要員の問題で政府委員の答弁を聞きますと、公共の福祉に非常に損害を与えるというようなこともなくて済んだんでありますから、あえてこの法律は必要はないんじゃないかという私の質問に対して、非常に根拠のないお答えしかいただけないので、私はもう一回答弁を求めたいと思います。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 抽象的に言いますならば、この法律と労調法のめ的とするところは、対象を幾らか異にしているものと考えております。本法は、元来国民の公共の福祉を害し、許すことのできない争議行為を禁止するものである。これはもちろんその通りでございます。労調法の緊急調整は争議行為として認められる範囲における労使間の紛争を緊急に調整するものでありまするから、両者の対象は幾らか違っていると私は思っております。

大矢正日本社会党

○大矢正君 それではまた別の角度から質問いたしたいと思います。この法律が企図いたしております内容というものは、電気産業と、それから石炭産業の両方を拘束するという、こういう内容でありますが、私どもは考えてみまして、電気産業というものは、これはある面で考え方によっては公益事業であるし、それから行おうとすることの争議行為の方法も一つ一つについて国民に影響があることは事実だと考えるのでありますが、翻って石炭産業をみた場合に、石炭産業というものは、これはもう電気産業とはおよそ内容的に異なっておりまして、これはもう完全な私企業であります。従って電力料金を設定をする場合の内容と、それから石炭が売れていく場合の値段をつける場合の方法、こういう点についてみましてもこれは大きな相違があるのでありますし、片一方ではある程度公共性を持っているがゆえに、国民全般の批判やあるいは意見を十分に尊重してその企業も運営をされるように考えますけれども、石炭産業というものはそうじゃなくて、経営者の政策によっては幾らでも石炭をよけい出したり減らしたりすることもできますし、幾らでも高く上げるということも現実的には行われているわけであります。このように非常に相反すると申しますとちょっと言葉が合いませんかもしれないけれども、非常に異なった内容の廃業を一つの法律の中で規制をするということになって参りますと、これは法律を作る精神の上においては変化を私は起すのではないかと、このように考えるのでありますが、この面に対する総理の御答弁をいただきたい。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 電気の場合と石炭の場合と、あなたのおっしゃる通り異なる場面があるということは私も了承いたします。しかしながら、保安要員の引き揚げということはですね、非常に公共の福祉に関係のあるということはいなめないと思います。公共の福祉に非常に関係があるものであるから同様の規定を作ったのであります。石炭の場合、電気の場合、同じようなものだということを前提としているわけではないのであります。

千葉信日本社会党

○委員長(千葉信君) ちょっとお待ち下さい。  草葉委員、田村委員その辺で首相の御答弁聞えますか。

田村文吉緑風会

○田村文吉君 聞えます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 公共の福祉に石炭企業の場合といえども当然関連が出てくるのだという、こういう意見、この意見はもちろん私もその通りだと思いますけれども、しかしそれは大がかりのいわゆる保安要員というものの差し出し拒否が行われた場合には、こういうことはある面では言えるかもしれませんけれども、現実に、たとえば、電気産業と異なっているのでありますから、一つの山が保安要員を撤収して、あるいけ保安要員が出ない場合、こういうような場合に即それが国民全体に多大た迷惑をかける、あるいはまた公共の福祉の上から推して、これは全然見逃すことのできない事態だと、このようには考えられないわけでありますけれども、その面はいかがでありますか。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) ただいまの御質問は、小規模の場合の保安要員の引き揚げは、公共の福祉に関係がないと、こういうわけでしたかしら。

大矢正日本社会党

○大矢正君 これは、私の言っているのは、たとえば、日本の国中にある石炭産業の労働者が全部保安要員が出ない場合がある。これはまあ総理の言うように、公共の福祉には相当関係が出てくるかもわかりませんけれども、しかし、かりにあちらの山、こちらの山、九州の山、あるいは北海道の山、あるいは常磐の山というような形で、山元においてそういう紛争議が出て、保安要員が出ない場合には、それが即公共の福祉という面で重大な影響がある、このように私は考えられない。こういう点に対する総理の答弁は……。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) それは公共の福祉に影響があるというような認定がなければ、この法律は適用はないと思います。一部の山で……(「それはおかしいぞ」「一部でもあるぞ」と呼ぶ者あり)

千葉信日本社会党

○委員長(千葉信君) 私語を禁じます。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) ある局地の炭鉱におきましても、保安要員を引き揚げれば、国家資源の維持、職場復帰の可能性の破壊、法益不均衡というような観点から、石炭産業の保安要員の引き揚げは、性質上は公共の福祉に影響があると思います。

大矢正日本社会党

○大矢正君 公共の福祉に影響があると盛んに言われるのですが、どうも私はわからないのです、電気産業の場合ですから、たとえば停電をかりにやった場合に、これはもう電車がとまる、あるいはまた、機械がとまる。こういうことが影響が出てくるかもわかりません。だがしかし、先ほどから申し上げておるように、一つの山がかりに保安要員が出ないような結果が出たからといって、国民生活に重大な脅威を与えますか。あるいはすぐ次の日から機関車が動かなくなって、足がとめられるとか、こういう面で、公共の福祉に反するような、そういう結果が出ますか、出ないじゃありませんか。しかも今までここ幾年間の間に、日本の炭鉱の経営者は中小炭鉱を、特に私は中小炭鉱の場合にそういうものが出てくると思うのですが、中小炭鉱の場合には現実的に幾らでも山がつぶれておるじゃありませんか。しかも政府は現実ではそれを投げているので、それでかりに一つの山が争議行為で、そういうものが起きた場合に、公共の福祉に関係がある、そんな矛盾した説明は、私には納得がいかないのであります。もっと具体的に説明していただきたい。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 補足して説明したいと思います。

大矢正日本社会党

○大矢正君 いや、あなたに何も…。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 真相をはっきりするのが委員会の目的じゃないのか、政府の答弁は統一されているのだから。(「大きな問題はとにかく」「総理の答弁を言う能力がないから」と呼ぶ者あり)

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 今こうやって質問に対する御答弁の様子を伺っていると、昨日の状態が依然として繰り返されている。(「ノーノー、明解じゃないか」と呼ぶ者あり)ちょっと聞いて下さい、こういうことです。総理が昨日御答弁をなさった、たとえば、よき労使の慣行といい、あるいは公共の福祉といい、非常に重大なかぎになっている。ところがそのことについて、十分一つ法律関係の検討をしてきて、再度一つ御答弁を願うということが、昨日は藤田議員やあるいは栗山議員等の答弁のときに要望も出ておったのに、依然としてこういう状態では、このまま進行しても私は意味がないと思う。それで再度一つ総理も労働大臣と十分打ち合せしていただいて、そうして十分腹に入れて聞いていただくようにお願いをしていただかぬと、議事の進行が円滑にいかないと思う。(国務大臣(倉石忠雄君)「よくわかるじゃないですか」と述ぶ)大臣に言っているのじゃない、私は委員長に言っている。そういう取扱いをしていただかないとむだなことだと思う。一々その場で総理大臣と労働大臣とが打ち合せして、しかもちぐはぐな答弁をなさるようなことでは、これこそ委員会は意味がないと思う。それで、一つ委員長の方で、しかるべくお取扱いを願いたいと思います。(「非常に基本的問題だから、総理答弁しなさいよ」と呼ぶ者あり)

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 私は先刻答弁をしたことを答弁といたします。

栗山良夫日本社会党

○栗山良夫君 ただいまのすぐ前に、大矢君の質問に対して答えられた鳩山総理の発言は、実に重大な発言であります。これは先ほど公共の福祉に関係のない問題についてはこの法律の適用外であると、こういうことをおっしゃった。ところがその次の質問に対しては、小さな山でも出炭ということに対して影響がくるから、従って公共の福祉に関係があると認める、こういう工合におっしゃったので、本質的に問題は全然別な問題、公共の福祉に関係のないものは適用しないと、こういうことは、公共の福祉そのものに対するいろいろな論議は将来に残るとして、一つのはっきりした線というものが出たのです。従って鳩山総理大臣は、先ほどの言葉をそのまま速記にとどめて正式の答弁とせられるか、あるいはそれに対して取り消しをせられるのか、これは明確にしておく必要がある。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 私は、この法律は、とにかく公共の福祉を害するものについて制限を加えたものと思います。こういう趣旨でできているということを繰り返して言っておるわけです。

栗山良夫日本社会党

○栗山良夫君 公共の福祉に関係のないものはひっかからないと、こういうことであれば、わずか月に五十トン、百トン出すような小山の場合に、どこに公共の福祉に関係ありますか。そろいうやはり法律的な社会通念的な議論というものは残りますよ。ところが政府の今考えられておるのは、どんな小さな山でも保安要員の引き揚げをやればこれで取り締るということです、従来の法律観念は。全然違いますよ、考え方というものは。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 小さい山にしても、国家資源の維持や、職場への復帰の可能性の破壊とか、法益不均衡といったような観点から、やはり公共の福祉に影響があると私は考えます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 そういう答弁ではどうも納得いかないのですよ。先ほど私が申しておりますように、石炭企業というものは、これは私企業、私企業ですよ。従って今までこの幾多の法律ができた以降においてもつぶれている山があるわけであります。これはまあ総理といえども、ニュース映画や新聞等で、悲惨な労働者の現況を見ておられれば、つぶさに私はおわかりだと思うのですが、つぶれている、つぶれているんですよ。つぶれているというよりも、むしろつぶしているという方が多いのです。そういう現状の中で、これはそれでは公共の福祉に関係はないのですか。こういう状態は最もあるじゃありませんか。こういうものを投げておいて、たとえば保安要員にしても、一つの小さいわずかな山であっても、保安要員が出ないことが公共の福祉に反する、こんなばかな話はないのですよ、もっと明確に答弁して下さい。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 私は先ほどの答弁でもって了解をしていただきたいと思います。

大矢正日本社会党

○大矢正君 念のためにもう一度伺いたいのですが、たとえば、これはまあ公共の福祉ということが、この法律の最大の理念になっておるわけであります。私はこれ以外には、公共の福祉ということ以外には、この法律の根拠はないと思うのであります。その場合に、全部の炭鉱が一ぺんに保安要員が出ないというような事態が起きた場合には、これは明らかに、石炭が一つも出ないのでありますから、公共の福祉に反するということで、こういうようなものはこの法律の適用を受ける、あるいはこうい法律に背反するというような、こういうことが言い得るかもしれないけれども、かりに一つや二つの山が直接にそのことによって国民生活に影響が及ばない範囲におきましては、保安要員が出なくてもこの法律には関係がないのだ、このように感ずるのでありますが、その点に対してはいかがですか。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) ごく小規模の炭鉱で、その存否が日本経済上ほとんど影響のないものについても、人命危害はもとより、施設荒廃についても、労働者の復帰すべき職場を失うというような労働争議は、本来争議行為の目的を逸脱するものでありまして、これを行い得ざることは明瞭だと考えます。

栗山良夫日本社会党

○栗山良夫君 議事進行。それだから私は繰り返して言っているんですよ。今総理大臣がおっしゃったことは、政府があの法律を作られてからあと一貫してとっておいでになる態度なんです。今鳩山総理大臣が述べられた点は、それはよくわかっていただきたい——、そういう意味でわれわれは理解をいたしております。ところが、先ほどきわめて慎重でありましたか、軽率であったかしりませんけれども、公共の福祉に関係のないものは問わない、こうおっしゃった言葉は、これは初めて出てきた言葉なんです。今まで三年間いろいろ議論したうちで、これは新語なんです。そういう新しい解釈というものを、鳩山総理大臣があくまでも堅持せられるということであれば、これは非常に重大ですけれども、われわれとしてはそのまま了承し、そうして今後の対策を立てる。この点は言葉のあやで答弁を左右されるということでなしに、もう少し真剣によく、その辺にたんのうな方がたくさんおられるから、よく補佐をしていただいて、そうして将来のあやまちのないように一つ御答弁を願いたいと思います。そのままならそのままでよろしい。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 私の答弁では、ただいま申しましたことによって御了解を願います。それ以上のことにつきましては労働大臣から答弁をしてもらいます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 鳩山さんね、あなたが今発言せられた中に、いろいろに質疑の内容は変化があったけれども、要するに、公共の福祉ということが、この立法の大方針であるんだから、精神なんだから、ということからだろうと思うんだが、その公共の福祉に影響のないものについてはスト規制法は適用しないんだ、言いかえれば小さい炭鉱などで、その出炭尾等から見合って、さして石炭の状況に影響を及ぼさないというような場合は、当然公共の福祉に影響はない。で、そういうものがこの対象にはならないという趣旨の答弁があって、今申し上げた通りだということでその通りきておるんです。その点が、あなた改めて、自分が先ほど言ったのは信念に基いて言ったのであって、間違いがないなら間違いないと、あなたはときどきあとで取り消されるものだから、念を押して聞いておるわけです。これを、いよいよどうするか、判断に立つ場合に取り消されたんでは困りますからね、どうなんです。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 小規模な炭鉱について、私が小規模な炭鉱については、決して公共の福祉を害するような労働争議はない、というような意味を言ったことはありません。小規模な炭鉱についても、その存否が日本経済上ほとんど影響のないものについても、人命危害はもとより、施設荒廃についても、労働者が復帰すべき職場を失うような労働争議は、本来争議行為の目的を逸脱するものと私は考えます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 言ったことがあるなしという議論になるとこれは果しがない、直ちに速記を調べて、その速記によって、私は今鳩山総理が大矢君の答弁に関連して言ったことをはっきりさせたいと思う。委員長においてそのような取り計らいをしてもらいたい。

千葉信日本社会党

○委員長(千葉信君) お答えいたします。直ちにその方法をとることにいたします。(「ちょっと待って下さい、委員長」「言った言わんの、そのために時間をとるようなことになっては」と呼ぶ者あり)

千葉信日本社会党

○委員長(千葉信君) 速記を調べて措置をとるということは当然のことです。

栗山良夫日本社会党

○栗山良夫君 もう一つ。今、石炭の保安要員の方から申しましたから今のような御答弁があったと思いますが、それでは電気の方の問題から公共の福祉に関係あるなしを一つやってみましょう。たとえば今の日本の電気は一千万キロをこえる大きな電力が一つの有機体になってこれは運転せられておる。四国と北海道は切れておりますが、あとは全部有機体になって運転されておる。一個の生物と同じ形で運営されておるわけでありますが、そういろ送電網の中で、ごく小さな五十キロ、百キロというようなそういう発電所もあります。そういう五十キロ、百キロというような、運転要員が一人しかいないような小さな発電所で、労務提供を拒否してそうして発電所がとまったというときには、発電所には全部自動発電装置がついておりますから、器物の損壊などということには全然影響がありません。ただ発電がとまるだけであります。そういう場合には公共の福祉には何ら関係ない、その五十キロや百キロの発電所がとまったからというので、需用家に対する電力の供給が影響を受けるということは、私ども専門家じゃないが、全然ありません。何ら影響ない。どこに公共の福祉というものが関係がありますか、従って公共の福祉に関係のないものは本法を適用しないという表現をせられるというと、将来いろいろな疑惑が生じますよ、私は政府側に立って質問しているような格好になるが、政府として非常に困られる。今まで三年間主張してこられた論拠というのはくずれますよ。くずれた方がわれわれはいいと思うけれども、くずれますよ。この点を、鳩山内閣の責任者として鳩山さんどういうふうにお考えになるか、私はこれは非常に重大なことだから、時間をかげても明らかにしておかなければならぬと思う。

藤田進日本社会党

○藤田進君 いや、それは言っていないと言うのだから、言っていると私らは認識しているのだから、言ってるか言ってないかはっきりしてもらいたいと思うのだ。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 私としては、公共の福祉に大なるものについては制限があるというのが根本だと考えております。性質上ですよ。電気の特性上、一小発電所の発電停止に当っても相当広範囲に影響が及ぶと私は考えます。時に全発電系統に混乱を生ぜしめることのあるものでありまして、また、電気会社の損害は必ずしも停電施行の長短に比例するものではありません。また、当事者と第三者との損害の著しき不均衡からしても、かかる行為も公益と争議権の調和、公共の福祉の見地から制限されるということはやむを得ないと思います。

藤田進日本社会党

○藤田進君 大矢君の質問に関連して問題が出て、私は大矢君の質問に若干の補足をして、大矢君の趣旨をわれわれも確かめてみたいと思っていた。ところが、公共の福祉に関係のないものは適用しないという趣旨の答弁があった、そうであれば、従来の答弁なり、政府の提案理由の説明なりと照らしてみて大きな変化があると思う。(「大変化だ、これは」と呼ぶ者あり)しかし、それをただしたところ、鳩山総理は、そういうことを言った覚えがないかのごとき、これまた発言があった。そこで私は委員長に、そういう発言をした、しないの論争をしていたのでは果てしがないから、そういうことを言ったのか、言わなかったのか速記に、そのために速記をとってあるのだから、速記を調べて、そしてその真相を明らかにして、もしわれわれが指摘した点に間違いがあれば、その点でわかる、もし、総理において言っているとすれば、従来の主張との関係において、どちらを本意とするものであるか、これをわれわれはただしたい点なんであります。ぜひ一つこの点は大矢君もまだ続いて質問があるようでありますかう確かめていただきたい。

千葉信日本社会党

○委員長(千葉信君) 藤田君にお答えいたします。委員長は、先ほどの藤田君の要望の通りに取り計らうこととして、直ちに速記録の調査を命じました。従いまして、その速記録の調査がどの程度時間がかかりますか、それは今ここで明らかになりませんので、その間議事を進めたいと思っております。

栗山良夫日本社会党

○栗山良夫君 今の小発電所の労務提供拒否による停電の事態が起きたような場合において、なおかつ公共の福祉に関係があるという工合に断ぜられましたが、これは私は承服いたしかねます。立証をして一つ論争をするようにあとに保留しておきたいと思います。そういうでたらめな答弁でもって逃げようなどということは、全くこれは卑怯きわまることであります。そういうことではいけません。これはあくまでも、労働大臣もよく聞いておいて下さい。そういうことはあり得ないことなんでございますかう、事実あり得ないことをあり得ることにして公共の福祉に結びつけるなんということは、少くとも法律を手がけるものとしてとるべき態度ではないと私は思う。

田村文吉緑風会

○田村文吉君 議事進行。大矢君の質問は終えたのですか。

千葉信日本社会党

○委員長(千葉信君) 続行中でございます。

田村文吉緑風会

○田村文吉君 どうぞ私は大矢君の質問を続行されんことを希望します。(「賛成」と呼ぶ者あり)

大矢正日本社会党

○大矢正君 与えられた時間もわずかに迫っておりますので、最後に一つだけ質問をいたしたいと思っております。  それは、この法律に反対をいたしておりまするのは、適用される炭鉱労働者あるいは電気産業労働者だけではなくて、非常に多くの労働者が反対をいたしておることは、総理もよく御存じの通りだと私は思うのであります。なぜこの法に適用される以外の労働者も反対しておるのかというならば、これは先日新聞紙上で見たことでありまして、私は本人から直接聞いたことではございませんから、真偽のほどはわかりませんけれども、あなたの所属される党の中の一部の議員が、これは電気産業やあるいは炭鉱に働く労働者だけではなくて、もっと範囲を拡大して、たとえば運輸関係あるいは鉱山関係、こういうところにまでその法律の適用を拡大する方がよろしいという意見の発表がなされておりました。こういうことがありますために、この法律に適用される以外の労働者も非常におそれ、憤りまして、ぜひこの法律を粉砕しなければならない、このように言っておるのでありますが、私はおそらく総理はこの国会限りでおやめになるのでありますから、この次の通常国会には別な総理が当然出られて、新たな観点から明確に労働行政に対する態度を表明されると思いますけれども、しかし少くとも一党の総裁として、そしてまた総理といたしまして、今日までやられました鳩山さんでありますので、そういうような将来においても法律の拡大やあるいは法律の幅を広げて、もっと多くの労働者にこの法律の適用をさせるような、こういう考え方は絶対ないと、こういうようにお考えになっておられるかどうか。そしてまた、そういう考え方を今後とも党内においても、あるいはあなたのあとにどなたが総裁になられるかわからぬけれども、そういう人にもよくこういう点については拡大する意図はないという点を今後明確にとっていただけるかどうか。この点に対する総理の御答弁をいただきたいと思います。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 私は現在の事柄については責任をもって申し上げます。将来のことについては言明の限りではないと思います。現在は拡大の意思は毛頭ありません。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 私は労働行政について二、三質問してみたいと思うのであります。  このスト規制法が三年前に時限立法として成立いたしまして、その後労使の関係がどうなっておるか。労働者の争議権、罷業権あることによって、労使関係というものが、労働組合法の第一条を出発点として、労働組合法に書かれているバランスがとられて、対等の立場、で問題を解決する、こういう格好になっておるのでありますけれども、労働者のバランスをとるべき争議権というものがたな上げされて、そうして三年間今日まで自分の力というものをとられてしまって今日まできておるのであります。その後の鳩山総理大臣に聞きたいのでありますけれども、たとえば電気の場合、あの法律立案当時におきましては、これは保守党の議員の中からでも、労働者に対する一方的な法律であるから、労働者の生活や、経済的地位、その他に関して経営者に対して何とか処置をとらなければいかぬ、早急にという言葉は、昨日の総理の発言の中にも出ていたと思う。そういう関係から見てみまして、政府は事業者に対してどういう形の処置をとられたか、こういうことをお尋ねします。労働者を保護する建前に立ってどういう処置をとられたか、御答弁願います。労働者を保護する立場からですよ。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) むろん事業者に対しても適当なる監督をしております。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 適当なる監督とはどういうことです。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) やはり労働者の地位というものを考えなくちゃなりませんから、そういう適当なる監督ということを申し上げたのであります。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 私は労働者と、使用者、労使のたとえば正常な慣行が鳩山さんは芽ばえつつある、こういう工合に言われて、さっきの論争がありましたから、これに関係する問題には触れませんけれども、私の調べました範囲においては、不当労働行為として出てきている問題を摘出いたしまするに、団交権の拒否というものが、そり数字が年々非常にふえてきている。私は今度の法律のように、経営者だけを守るようになるような法律が作られるということと、労働行政の面からは、たとえば不当労働行為の面に現われてきていものだけをとってみましても、昭和の二十四年ごろには一三%ぐらい、団交拒否が不当労働行為の申請の一%ぐらいであったものが、三十年度には、全部の集計は入りませんけれども、一月から三月までの統計を見まして毛、その倍の約二四%という数字が不当労働行為申請の中に出ているわけであります。で、最近のこの委員会でも審議いたしましたが、千葉新聞の争議を見ましても、労使があらゆる問題を労働協約においてきめている。たとえば人事の今度三十七名の首切りの問題が出ているわけでありますけれども、こういう問題を見ましても、勝手に労働協約を踏みにじってその首切りを実行する、こういう形が出てきている。こういう形が団交権の拒否という、全国的な動きとあわせまして非常に重要な問題と考えているわけであります。私は公益事業の団体交渉の歴史を振りかえってみますと、労働者が何らかの実力行使をやらないと、そういうかまえをやらない限りは、真剣に交渉にとりついたことがないという問題が歴史的に明らかであるのであります。そういう点から言いましてもも私は使用者に対してこの労働組合法に示しております、また憲法に示しておりますような立場から、私は労働教育というものをどういう工合にやってこられたか、こういうことをお聞きしたい。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 政治の目的は、むろん国民生活の安定と向上をはかることにあるのです。それですから、労働行政についても労働運動の健全なる発達というものを目的としているのでありまして、労使の安定をはかるとともに、労働者の生活を安定するということをもって基本方針としております。事業者に対して何をしておるかという御質問がありましたが、公益事業令というのがありまして、それで事業者に対しても指導をしておるわけであります。労使の間においては協議会がありまして、平素から話し合いをして、労使の間の関係がうまくいくように考えているのであります。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 政府はですね、特に労働省という担当省を設けているのは、労働者の保護であるとか、労働者の監督であるとか、こういう形が私は建前だと思う。ところが今日の状態では、むしろその中の調整、それを踏み越えて使用者を守るような状態にまで政府の労働行政というものがいっているという感じを持つわけであります。私はこれは重要な問題だと思うのであります。労働基準法の問題を見てみましても、たくさん問題が指摘されております。たとえば、労働基準法の監督行政の面を見てみますと、事業者数を見てみましても、昭和二十三年には四十五万なにがしという事業春に対して、二千四百八十一人の監督官がおった。今日では八十六万で、この大体倍くらいになっておっても、やはり二千四百人の監督者しかおらない。こういう格好になりますと、五百事業所に対して一人の監督者くらいにしかならない。そういうものからくる違反案件、この違反案件というものが年々ふえているという形になってきている。私はこういう問題について、労働者を守る立場から、総理大臣としては監督者をもっと動員して、適正な労働者の職場における慣行、労働基準法を守るという建前から、政府としては、たとえば労働監督官をふやすとか、摘発を明確にして、労働基準法の違反が起らないようにするとか、こういう問題について鳩山総理大臣はどういう工合にお考えになるか。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 主管大臣と相談をいたしまして、できるだけ努力いたしたいと思っております。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 何とおっしゃったか……。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 私は十一時に外務委員会に行く約束を前からしてあるんです。今、迎えがきていますので……。

千葉信日本社会党

○委員長(千葉信君) その問題について、向うから連絡とってありますか。(「答弁々々」「先に答弁してからだ」と呼ぶ者あり)先にただいまの御答弁を……。答弁を…。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 労働基準法は、労働者の基本的保護法規でありますから、政府としては、これが運営に当って適正を期して参ることはもとより当然でございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 だから、当然なことでありながらやっていないということはどうなんですか。監督行政は、その方はほったらかして、監督官の数はかえって減って、二十四年時分からすれば半分くらい。これからいきますと、倍になっていても人聞はふえていない、半分になっていると、こういう状態はどうなんですか。こういう状態を政府は知っておりながら、今の御答弁を聞いておりますと、関係当局と打ち合せて考えるんだとおっしゃる。具体的には年々工場数はふえるけれども、人員は減るという格好なら、監督行政はできないじゃないですか。その点はどうなんですか。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 所管大臣を督励いたしまして、そういうことのないようにいたしたいと思います。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 そうすると、ちょっと明確にしておきたいのですけれども、こういうことはたとえば、おのずから人間の監督する能力の限界というものはあるわけなんです。私はこういうことでは違反件数がどんどん、年々ふえていくということは、労働省の一年間の労働行政の統計を見てもよくわかるのです。こういうことのないようにするということをお約束されるわけですね。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) できるだけそういうことのないように努力はいたします。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 できるだけ……。それじゃあ、まあ鳩山総理はこれはないようにするということでございますから、その辺でこの問題は打ち切りますが、次にもう一つ聞いておきたいことがあるのです。それは一番最初に聞きました労働者の権利を取り上げるという問題と、労働者の生活という問題との関係になると思います。労働者が対等の立場で労使関係、労使のあらゆる問題を解決するという今日の労働法の精神というものがこういうスト規制法や、その他の処置によって労働者の力がさかれていく。そうすると何とはなしに、力なしに使用者と労働者が団交をやる。それには何というか、バランスをとる力の裏づけといいますか、こういうものがなくなってくるから、順次労働者は資本家の圧迫態勢の中に追い込まれていっていると私は感ぜざるを得ないのであります だから、そこで今日問題になっておりまする日本の最低賃金制という問題が、これは労働基準法で明確にしているわけです。三年ほど前に最低賃金委員会というものを中央で持って、そして最終的には坐繰り玉糸等ですか、四業種を区切って、それから順次実行するなどということをしておきながら、今日までそのままの状態になっている。たとえば、外国の一、二の例をとってみましても、イギリスのように業種別に使用者、それから労働者の団体がきめたものが一般に公示して、それが法律の拘束を受けて最低賃金制に転換していく、六十幾つという業種別に分れてそういう方法がとられている。アメリカにおきましては、公正基準法といって、今日一時間当り一ドルの最低保障の賃金が組まれている。今年あたりは一時間一ドル二十五セントの最低保障をするというところまできているという。私は二つの例を、あまり長くなりますから二つの例を申し上げたいのです。今日六千円以下で、または二千円や三千円で働いて、経済政策の中では産業の独占化による中小企業が被害を受けているわけでありまして、あわせて非常に低い賃金であえいでいる労働者がたくさん何百万もおると私は思います。この点から考えてみると、憲法の二十五条に示されている人たるに価する最低生活というものをどうして守るかという問題との関連においても、私は最低賃金立法というものを政府はどういう工合にお考えになっているか、この点を一つお聞きしたいと思います。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 賃金は労働の報酬であるのみならず、労働者がそれによって生活を維持するものでありますから、これが公正を確保することが必要であると考えております。当然のことと思います。最低賃金政策につきましては、労働省において今鋭意検討中でございます。(「議事進行」と呼ぶ者あり)

千葉信日本社会党

○委員長(千葉信君) ちょっと待って下さい。先ほど首相の答弁に関して速記録を、調査の結果に基いて善処をするという御答弁を藤田議員に申し上げましたが、ただいまその速記録が委員長の手元に参っております。まず最初その速記録をこの際読み上げます。  内閣総理大臣「ただいまの御質問は、小規模の場合の保安要員の引き揚げは、公共の福祉に関係がないと、こういうわけでしたかしら。」続いて同じ問題について大矢君から質問があり、重ねて内閣総理大臣より「それは公共の福祉に影響があるというような認定がなければ、この法律は適用はないと思います」。(「実にはっきりしている」と呼ぶ者あり)  従いましてこの速記録の点からいいますと、明らかにこの法律の解釈について、非常に限界が変って参ります。(「その通り」と呼ぶ者あり)重大な法律の適用について、その限界が変ってくることが認定されざるを得ません。従いまして、きょうは、実は外務委員会への出席が約束されており、当委員会への出席の時間も大体きておりますので、この問題につきましては、後日適当な機会に、この承認案件の審議の過程の中で総理大臣の御出席を願って、あらためて当委員会において審議をするということにしたいと存じますが、首相においても御出席を願えますか。(国務大臣鳩山一郎君発言の許可を求む、「異議なし」「委員長、委員長」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)私の申し上げておるのは、何日何時にやるということではないのです。少くともここに重大な疑義がある問題が出ましたから、この問題の究明については、あらためて委員長は首相の出席を待って、この問題について十分審議を尽すということにして、首相にお約束を願っているのです。それともこのまま委員会を続行いたしますか。(「委員長、委員長」と呼ぶ者あり)   〔藤田進君「ずっとやるなら速記をとめて相談してもいいよ」と述ぶ〕

千葉信日本社会党

○委員長(千葉信君) もし、あらためてこの問題について審議するのでなければ、委員長はこのまま委員会を続行せざるを得ません。

榊原亨自由民主党

○榊原亨君 ただいまの問題につきましては、現にその御本人である総理大臣がおられるのでありますから、今の委員長がおっしゃいましたことについての何か総理大臣のお考えをこの際聞いたらいいではないか。(「聞かぬでも言っているのだから」と呼ぶ者あり)

千葉信日本社会党

○委員長(千葉信君) 榊原君に申し上げますが、おっしゃるように、この問題について首相の御答弁を求め、さらに委員の質疑が続行されるということについて御同意ですか。

榊原亨自由民主党

○榊原亨君 ただいまの問題は、総理大臣の御発言についてのことでありますから、今ここに総理大臣がおられるのでありますから、一応その速記録を委員長がお読みになりましたから、それは間違いであるとか何とか、そういう一応のお話を、総理大臣のお話を承わるのが至当だと思う。(「委員長、委員長」と呼ぶ者あり)

千葉信日本社会党

○委員長(千葉信君) ちょっとお待ち下さい。榊原委員の言われるように取り計らうとすれば、私はこの問題については、首相から、これについて答弁を承わるだけでは済まないと思うのです。やはりその点はとことんまで、ある程度まで審議をしなければならぬと思うのです。その点御了承ですか。

榊原亨自由民主党

○榊原亨君 一応ここで、そこに、その隣に総理がおられるのですから、その総理のお話をちょっと聞かれて、そこでさらにこれの審議を継続すべきかどうかということをお諮りになった方がいいんじゃないか。ただ、一方的に、その速記録は、人間の言葉ですから誤まることもある。その御発言について、今委員長がお話になった以上は、その隣の総理大臣の御意見をもう一ぺん、発言を求められておるのでありますからそれを許されて、しかる後、さらに総理大臣の御出席を求めて、いろいろこの委員会を継続するかどうかということについてお諮りになっていただきたいと私は思う。

千葉信日本社会党

○委員長(千葉信君) 榊原さんに申し上げますが、この速記録を今委員長の手元で読み上げて、これについての真相、もしくはもう一回首相の答弁を求めたりすることになりますとも(「必要なし」と呼ぶ者あり)これはこの問題についての審議を、このままこの委員会でこの問題については審議を継続しなければならぬと思うのですが、その点について御了解ですか。

榊原亨自由民主党

○榊原亨君 一応今までの慣例によりましても、そういう場合には……。速記録を調べるとおっしゃった。速記録を調べた結果を委員長がお読みになった。それについて、総理大臣が現に御発言を求められておるところである。その御発言は一応聞かれて、さらにどうするかということをお諮りになるべきであって、一言半句も、現に、御発言になっておる総理大臣の発言が求められておるのを許さずして、今の、これはさらにもう一回出席を求めてやるとか何とかいうことは、慣例上も私は非常に遺憾な点があると思う。従って私が申しますように、委員長においてお取り計らいをお願いいたしたい。

千葉信日本社会党

○委員長(千葉信君) 委員長としては厳正公平に取り扱わなければなりませんので、首相のこれに対する答弁を聞きましたならば、あらためて今度委員諸君の質疑に入らなければならぬと思うのです。

藤田進日本社会党

○藤田進君 議事進行ですがね。だれの発言を許す、許さないということは、委員が軽々に言うべきではない。それは委員長の権限に託されておる。こういう、確かに榊原委員のおっしゃる通り、総理はしばしばいろいろなことがあった。そういう意味では慣行や先例はあったかもしれないが、およそこういう重大な時期と法案に対して、かくも明確に速記で、今委員長からお読みになって、みなが再び聞いたように、こういう事例はまずない。まれだ。しかし私が速記を特に要求したのは、総理や、あるいはここにいる皆さん方かう、私が指摘したようなことは言っていないという議論もあるやに見、えるので、速記を調べてもらったので、しかもまさに明確に答弁されておるわけだ。こういう明確な答弁が、またすぐあとで変更されるともしするならば、これは非常に、これまた審議を今後進めていく上において重要な問題なんです。(「そうだ」と呼ぶ者あり)ですから、私はもし委員長においてもし議事を進行せられるならば、中途半端なことでなくて、引き続きこの総理の発言に関する点について、明確になるまでこの審議を続行してもらいたい。この点を提案いたします。   〔「議事進行と呼ぶ者あり、その他発言する者多し、国務大臣鳩山一郎君「私もさっきから発言を求めておりますから……」と述ぶ〕

千葉信日本社会党

○委員長(千葉信君) この内容ですか。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) はい、そうです。

千葉信日本社会党

○委員長(千葉信君) この内容について……。じゃ今発言を許しますと、さらに委員会を続行しなければならぬから……。(「おかしいじゃないか」と呼ぶ者あり)どうしてですか。   〔「総理が発言をお求めになったのだから、それを聞いたらどうですか」「あとでやればいいじゃないか」「それはおかしいじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕

千葉信日本社会党

○委員長(千葉信君) それじゃ委員会を続行しますか。   〔「その問題じゃないよ。「おかしいじゃないですか。」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕

安井謙自由民主党

○安井謙君 発言を許されましたので……。  今委員長が速記を調べると言って読み上げられたのでありますが、あの速記はまだ前後が非常に十分でないと思う。(「その通り」と呼ぶ者あり)だからその速記自身については、ことに後段の点においては非常に欠けておると思うので、これはもっと速記の整備をやって、これは改めて問題にしていただきたい。(「続行しろ、それじゃ」と呼ぶ者あり)  それからもう一つは、きょうは厳重に野党の諸君と委員長、理事ともお約束がされておる。これはきょうは首相の出席一時間と、こうはっきりときまっておるし、外務委員会もやっておるのでありますから、きょうはこのままで一つ総理の御退席を願って、あとの問題はあとで御相談したい、こう思います。(「それならいいよ」と呼ぶ者あり、国務大臣鳩山一郎君「私の発言を許して下さい」と述ぶ)

千葉信日本社会党

○委員長(千葉信君) いや、それはまた紛糾いたしますから……。それでは……。

安井謙自由民主党

○安井謙君 ああ、総理がせんだっての何で発言をお求めになっておるのなら、その点は総理の御発言をぜひ……。(「せんだってっていつだ」「それを阻止するなんてことはできないですよ。発言要求じゃないか」と呼ぶ者あり)

千葉信日本社会党

○委員長(千葉信君) せんだってというのはいつです。

安井謙自由民主党

○安井謙君 委員長が速記録をお読みになったことに関して、総理が御発言をお求めになっておるのでありますれば、これについては当然委員長としては御発言をお認めになって、その上で……。

藤田進日本社会党

○藤田進君 それについて、私はそれはあなたの提案について、総理が発言されて、もし私どもが——この速記に関連することと思うから、発言はね。そうだとすれば、お許しするとして、そのあとはもう出ていくとおっしゃるから、われわれは困ると言っているのですよ。それに対してわれわれとしても、(発言する者多し)まあ、静かにしましょうよ。もっと興奮しないでいきましょう。その発言に対して、私どもがさらにたださなければならぬという場合には、この際やはりたださせてもらいたい。もしあとでそれをやるということなら、一切あとでやってもらいたい。(「そうだ、そうだ」と呼ぶ者あり)それが会議運営の常識なんです。(「議事進行」と呼ぶ者あり)それははっきりしているのです。

千葉信日本社会党

○委員長(千葉信君) 暫時休憩いたします。    午前十一時四十四分休憩      —————・—————    午後一時五十七分開会

千葉信日本社会党

○委員長(千葉信君) 休憩前に引き続きまして、社会労働委員会を再開いたします。  午前中議題となっております議案について、引き続き質疑を行います。  政府側からは、倉石労働大臣並びに政府委員として武藤政務次官、中西労政局長及び説明員として石黒労働法規課長が出席しております。順次御質疑を願います。

大矢正日本社会党

○大矢正君 午前中に引き続きまして、労働大臣に二、三点御質問いたしたいと思います。たしかきのうの委員会だと記憶いたしますが、今日の労働情勢の判断に当って、特に電気産業については、非常に好ましい労働慣行が生まれつつある。先日から労働大臣が、電労連から抗議文として申し込まれた内容を、非常に自分に都合のいいようなところだけを解釈をされて発表しておられたようでありますが、しかも念のためにつけ加えられたことは、電気産業関係としては、このように非常に好ましい労働慣行が生まれておる、こういうふうに言われておった。それから判断をすると、電気産業は非常にいい労働慣行が生まれつつあるんだけれども、炭鉱の方がどうも悪いんで、従ってこの法律を残さなければならないんだというような実は感じを私は受けたのであります。それで、これは別に私は議事の引き延しのためや時間かせぎのために申し上げているんじゃなくて、ほんとうに労働大臣の今月までの判断や、それから考えの基礎を十二分に承わって、私の考え方の参考にいたしたいと思うので、一つ時間にあまり借金をしているわけじゃございませんから、ゆっくり、内容を豊富に御答弁をいただきたいと思うのでありますが、こういうような考え方と、それから今日の全般的な日本の労働情勢の内容、こういう点について、大臣の一つ所見を承わりたい、こう考えます。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 電気関係のことにつきましては、しばしば私が申し上げておることでありますが、私は大体他の一般産業も非常にこうわれわれの希望いたしておる方向に進みつつある傾向だと思っております。しかし、まあ電気関係では、しばしば申し上げておるように、今組合相互の間にもやっぱりいろいろ自分の、何といいますか、地歩の拡大に努力を続けておることは御承知の通り、石炭関係につきましては、私ども三年前からその後の経過を見ておるわけでありますが、実際の争議行為などに当っては、だんだんと様相が変っていく傾向にあると、こういうふうに見ておりますけれども、本法を不必要とする段階ではないと、こういうのが私どもの認識であります。ことに炭労の方々のいろいろ発表しておいでになるものを拝見しましても、私どもはやはりそういう感じを持つわけでありまして、大矢さんも御存じのように、炭労の申しておることで、今年の十五回でありますか、大会の決定を見ましても、私どもはそういう感じを持たざるを得ない。こういうふうに了解するわけであります。

大矢正日本社会党

○大矢正君 労働大臣は、単にその労働組合が表面的に発表をした内容にこだわるというか、それのみをとらえて意見を述べられておるように感ずるわけであります。少くとも労働争議というものは、これは経営者の考え方、こういうものが中心になり、さらにまた、それに対する労働者の判断、こういうものとの関係において労働争議というものは発生をすることは、これは私が申し上げるまでもないと思うのでありますが、あなたの今言われた答弁からいくと、一方的に労働組合だけに非があり、労働組合が言った、いわゆる最終的には、もしも経営者が理解をしない場合には、保安要員の差し出しをしない、こういうこともあり得るという、この前文の方を、全然考えないで、ただあとに現われてきた差し出さない場合もあり得るということのみをとらえて答弁をされるのですが、私はどうもその点ふに落ちないのですが、その面に対する御答弁を……。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 炭労の今年の御決定を見ましても、春季闘争のことを先の方にうたっておいでになるようですが、「今次闘争において、われわれが既定方針であった保安要員差し出し拒否の方針の実施をさけたのは、あの当時の条件のもとにおいてはそれを採用することは適切でないと判断したからであった。この方針を放棄したわけではもちろんなく、それは最後の手段として今後なおのこされているものであることを再確認されねばならない。」こういうふうに申されております。そこで、春季闘争のときには部分ストが宣言をされた、部分ストに対して今まで賃金カットというふうなことも、ある山においてはなされたこともあるようですが、大矢さんも御存じのように、その後の実際においては、そういうことはいろんな形で両者の間で話し合いがついておったようであります。実際の解決手段としてはそこで部分ストをやられた場合には、これはまあロックアウトをするよりしようがない、こういうことでロックアウトが行われた、そのときにはやはり保安要員の引き揚げは、あのときの条件ではしない方がいいという判断をしたから組合側はされなかった。しかし、これは決してその手段を放棄したのではなくて、これは残されたる手段としてわれわれはやるんだと、こういうことを再確認しておられるわけで、私どもはしばしば申しておるように、民間産業の、個々の争議行為について、政府は何らの干渉をしようとは思いません。もちろん日本の産業のために、なるべく早く円満に妥結することは希望するのでありますが、これに対して干渉しようとは思いませんが、やはりわれわれが希望しておらない保安要員の引き揚げというふうなことをされるということはどこまでも慎しんでもらわなければならない、こういう見地に立ちまして、私どもとしては、現状においてはなお本法の存続を必要とすると、こういうふうに認定するわけであります。

大矢正日本社会党

○大矢正君 あなたは盛んにやるんだ、やるんだということを言われるのでありますけれども、労働組合の方はそういうことを言っているんじゃないと私は思う。やるということを言っているんではなくてやれるんだ、こう言っておる。やれるんだということと、やるということとはこれは違います。私はそう思う。どうですか。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 現在この法律が存在しているにもかかわらず、やれるんだという態度を示されることは、われわれとしてはまことに困ることでありまして、やはりそういう認識をお持ちにならないようにしてもらいたいのであります。

藤田進日本社会党

○藤田進君 関連質問。今の御答弁を聞いていると、炭労についてなお今後このスト規制法を適用する必要ありと認識し、ここに提案したのは組合の機関で、今お読みになった保安要員の引き揚げもやれるんだ、こういうことをきめたから必要だと、これしか理由がない。ところが、昨日来私の質問に対してのお答えでは、電気についてはそこへお持ちの何か申し入れがあったようだが、その末尾の方に、そういうストライキはやらないんだ、電気の方は書いてある。石炭の方はやれるんだと書いているから、これはどうも心配だ、必要だと、き、出らはそういう御答弁をなさるが、その答弁ならば、そのまま電気については、それではどういうことになるのか、やらないんだということを文書で書いてくれたといってあなた喜んでいるわけだが、それならば、その、そこらの説明が全然ちぐはぐになりゃしませんか。電気の場合はきょうはどういう答弁をしますか。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) お天気と違うんですから、日によって答弁を変えるわけにいきませんで、私が常々申し上げておるのは、今ここに例にお引きになりました電労連のおっしゃるように、この末尾に書いてありますように、これは法律は要らない、われわれは良識の上に立ってこういうことはやらないんだということはまことにけっこうなことである。しかし、今あなたは電気に限ってのお話でございますが、電気の方でも御承知のように、労働組合が全部こういうふうに安定しているということを、労政を担当いたしておる立場からはなお今日は判断することが困難だ、私どもは、やはり不安定な状態に電気の方もあるんだ。しかし電労連の、こういうことはもうやらないんだという御趣旨はまことにけっこうなことである、こう申しているのでありまして、従って電気の方に見ましても炭労の方に見ましても、政府としては、今の労働情勢の客観的条件というものは、やはり本法の存在を必要とする、こういうことを申し上げておる。

藤田進日本社会党

○藤田進君 天気と同じような答弁はあなた自身しないと言って今したんだ、今言った、けっこう言ってのけてしまったのであります。それは昨日まではそんなことは何も言ってない、言ってないどころか熱病人にたとえて、だんだん熱は冷めつつあるが、まだ七十何度ぐらいあるから、それでもう少し、いずれ安定はするんだけれども、安定はするんだが、まだちょっと心配だ、こういうことだった。だんだん安定しつつあるのだ、しかし、安定はしてもまだ必要だというその必要性については答弁ができなかった、これは心身ともに疲れていたのだろうと思うから、ついに切り上げて休憩して差し上げたわけだが、きょうのところは、炭労の方が、組合がこうきめたからあたかもそういうことをきめなかったらこの法律は出さなかったような答弁ぶりなんです。きのうときょうでまるっきり違う、これじゃ審議になりませんよ、もう少しきのう、きょうのない一貫したもので御答弁いただかないと……。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 藤田さんも初めから終りまで大体席においでになるのですから、私が初め申し上げていることも後に申し上げていることも大体お聞き取りだと思うのですが、私は本法の必要性については、電気の方もなお安定しておるとは認めがたい、こういうことを言っているのでありまして、その客観的労働情勢の認識については、今申し上げたような感じを持っているわけです。

藤田進日本社会党

○藤田進君 もう一点だけ、しかし昨日の、これもまた速記を読まなければということになると厄介なんだが、きのうまでは電気については安定しつつあると、将来の見通しは安定の方向でもうしばらく時をかすという意味のことだった、それならば必要がないじゃありませんか、こう言ったら答弁に窮したわけだけれども、その考え方、観念と、電気に対するそういう観念と、今の炭労に対する、炭労がそういうふうに委員会できめたというものをとり上げて必要だというのとでは全然根拠が違うのだな、法律を一つ作る以上、石炭のことを言うときには、組合がきめたからこれは必要だというし、電気のときには組合はやらないといっておるのに、また必要なんだという。石炭がもしそういうことをきめなかったら、これはあなたは出さないつもりだったのかどうか、それを聞いておきたい。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 炭労の御決定については、御参考までに申し上げたことでありまして、私としましては、電気も石炭もなお安定いたしておるとは思わない、こういうことを当初申し上げておるわけであります。従って、きのうここにお話が出ましたように、一般労働情勢としては、終戦当時から見れば今日はだんだん安定しておる、この傾向は非常に喜ばしいことであるが、なお、私としては今十分に安定してよき労働慣行が成熟しておるといわれる時代ではない、しかし、傾向としてはそういう方向にだんだん行きつつある、こういうふうに見ておるわけであります。

藤田進日本社会党

○藤田進君 もし、あなたのそういう認識をそのままだとすれば、未来永劫これを延長するのだということでなくて、もっと変った提案がなされなきゃならぬはずなんです、それであれは。労働大臣のように安定しつつある、しかもあなたの主張は腹からかどらか私は知りませんよ、一応表現を聞いた限りでは、こういうものがなくて、労使の良識においてものをやはり円満にという態度だと、そうだとすればなおざら安定の方向でもあるのだし、ただ成熟がまだしていないのであれば未来永劫これを残すというのでなくて、何らかそこにもつと考え方があったはずなんです。しかも、立法は三ヵ年というものであったわけですから、当初。それが期限がきてここにあらためて検討しようという時期にきた以上は、あなたの考え方ならば再三申し上げるように、何も未来永劫これを延ばしてしまう、そういうものでもなくてやっていけるのじゃないか、こういう点についてはどういうお考えなんですか。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) これはまあいろいろ私どもそういうことを考えてみましたが、まあ第一に法律手続として、この付則第二項によって存続するかどうかの議決を求めなければならない、こういうことでありますから、かりに今回、前回のように三年なら三年というふうなことを考えて、三年たったら議決を求めなきゃならないというようなふうにやる場合には、他の立法措置をやらなければならぬ、こういうことのようでありますし、私どもとしては、非常に会期の短かいこの会期であります。法律は必要だという前提に立っていろいろ考えてみますというと、やはり今回のような出し方をいたすより仕方がない、これは手続上の問題であります。そこでよき労働慣行が成熟してくるようになれば、本法はなくてもいい時代がくるであろうし、それを待望するのだと、その場合においては政府もさることながら、国会において法律というものは廃案にすることもでき、何でもできるわけでありますから、そういうときには、そういう措置を国会において御決定を願うこともできるし、また、政府もあるいは提案をする場合もあるかもしれないが、今回はまだそれがいつくるかということについてわれわれの見きわめがありませんからして、そこで存続していただきたいという提案をいたしたわけであります。

藤田進日本社会党

○藤田進君 それは付則によって提案をしたということはわかるが、その際には、すでにこれが昭和二十八年にきめられたときにも出てきたことであるが、提案の仕方にはいろいろある。いかがいたしましょうかもあるし、存続の必要なしとするという意見を付する場合もあるし、あるいは必要ありとする場合もあるだろうし、いろいろあるが、それはそのときの事情によるんだということであったと思う。で、今他の立法を必要とするという点が昨日来言われているが、私どもにはその内容が示されていないので理解しがたいのですが、今未来永劫とにかく手放しに、無期限に延ばすということがやれる。けれどもいましばらくというようなことは一切やれないんだというふうに聞えるわけです。その点は、現在の法制上国会にできないということについてのどういう理由か、意見を聞かしてもらいたい。

石黒拓爾労働省労政局労働法規課長

○説明員(石黒拓爾君) ただいまの点につきまして、各方面と打ち合せました担当者として御説明申し上げます。  本議決案は、付則二項によるものでもございますが、この付則二項を素直に読めば、もちろんオール・オア・ナッシングの議決案を出すという書き方になっているのは申すまでもありません。これが期限を付することができるかどうかという点につきまして、私どももいろいろな意見を聞いたんでございますけれども、絶対にできないんだという強い意見もきわめて有力にございます。それから全部の、全部と申しますか、私どもが御意見を伺いました方々の意見は全部共通して、かりに絶対に不可能でないとしても、はなはだしく妥当を欠くんだ、つまり法律の有効、無効ということを、たとえばここで三年なり五年なりというふうに期限を切って、法律によらずして終りに自然に消えてなくなるというようなことは妥当を欠くであろうということは、皆さん意見を一致しておるわけでございます。従いまして、政府としましては法律的にむずかしいし、実際上妥当を欠くという見地からこのような出し方をいたしたわけでございます。さらに、政府の提案に対しまして、国会が議決において期限を入れるかどうかという点につきましては、これは国会において御判断になるべき事項でございまして、その場合も私どもとしては、妥当性につきましては若干疑問を残さざるを得ないように考えております。

藤田進日本社会党

○藤田進君 それは永久に残したいという人に聞いているわけなんだから、それは無理だ、無理だと言ったかもしれない。それはどういう人たちが言ったのか、参考までに聞いておきたいと思う。法制局長以下あまたの人に聞いたかの印象を受けるので、あとで聞いておきたいと思います。しかし、その見解はわれわれは了解いたしません。いたしませんが、もしそういうあなた方のお考えのように、ここで期限を付するというようなことが法制上妥当でないと、そんなことはないと思うが、ないのだが、まああると称するが、もし出し得たならば、どれくらいが適当だと思ったのか。労働大臣の今までの所見からすれば、成熟しつつあるというのだから、進行過程にあるわけだから、そうすればさらに何ヵ月とか何年とかいうものを当初考えたが、手続上できないからそれをしなかったというふうに響くのだが、僕らに聞えるのは。それができるならば、ここで政府の意見を付する際に、今の労働情勢から見てなおどの程度必要と思うということが最初あったに違いない。ところが、手続上それもどうも妥当を欠くということでかような提案をしたというふうに響くんだかう、そうだとすれば、どれぐらいを当初適当と思っていたのか、お答えを願いたい。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 今の提案の仕方について、いろいろ提案の場合に参考に諸般のことを調査いたさせましたけれども、私どもの考え方としては、この法律ができましたときに、三年たったら一ぺんそのときの様子を見て、そして存続するかどうかの議決を求めろと、その場合に、やっぱり当今必要であるということだったらばそのままで存続の議決を願う、廃止することが必要であるとするならば、廃止の議決をしていただくと、こういうことでありますが、三年目である今日、政府としては、なお将来どのくらいたったらいいかということについての目算は立ちませんからして、一応恒久法にしておきたいと、こういう考えであります。

田畑金光日本社会党

○田畑金光君 昨日来労働大臣の答弁を聞いておりますと、よき労働慣行が生まれたときにはこういう法律案についてはない方が当然政府として考えておる態度である、こういうような話がありましたが、労働慣行と申しますと、労働大臣の考えておられるいわゆるこの法律を必要としないという労働慣行というものは、どういう内容のものをさしておるのか。特に昨日来の答弁においては、いろいろヨーロッパ諸国の労働事情等も調査をなさり、また、この法施行後の国内における労働運動の発展推移等もよく見きわめられて、今回のさらに決議案を求められたようでありまするが、大臣のいわゆる労働慣行というのは、どういう内容であるのか、一つ教えていただきたいと思い室す。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 私から教えるなんということはまことにおこがましい次第でございまして、私どもは、たびたび例に引いて相済まぬのでありますが、この電労連の人が書いたものをお出しになりましたが、つまり私どもとしては、社会公共のために今度ここに指定いたしておるような争議行為というものは、これは争議権の当然の発動としてでもそういうことはやるべきでないんだと、お互いに、民主主義というものは、申すまでもなく、個人を尊重し合うということでありますかう、憲法がわれわれ国民に与えております自由権の発動というものも、自分の自由を尊重すると同時に、相手方の人格、自由を尊重する建前でありますから、その調整をうまくやっていくことが私は民主主義社会の理想だと思うんです。そういう意味で、野放しに何でもやれるんだというふうな考え方で——田畑さんも御存じのように、現在行われております労働組合法一条二項に、われわれはいかなる場合といえども、暴力行為をしてはならないとか何とかいう条項を入れたことがありますが、あのときに、私は当時の改正案を国会でやっておりまして、実は内心実に恥かしい思いをしたのであります。労働組合法にわざわざ、しかしながら暴力だけはいけないんだなんということをうたわなければいけないという客観的情勢というものは、実に日本人として恥かしいんだと、こんなことはもうやめようではないかということをしばしば言い合ったんですが、当時の情勢では、やむを得ない。従って、われわれは労組法を改正して、一条二項のただし書きを入れました。ああいうものがなくてもいいように、お互い日本人が民主主義というものを理解し、労働組合の方々も憲法で保障されておる勤労者の団体行動権の発動についてもやはりりっぱな態度で民主的に労働運動をやっていかれる、そういうことによって一般国民大衆の労働組合に対する理解と同情とを持たせるようにしなきゃ成功しないと、従って、いろいろなやかましい法律、規則なんかは作らなんでも自主的にそういうことが行われるようなよき労働慣行が成熟する時代が必ず来るんだ、われわれは戦後の様子を見ておりましても、まだ実際には経験が浅いわけでありますから、そこでそういうふうなよき慣行が成熟して参りましたならば、何も法律、規則でそういうことをしないでも、やはり私は組合自体の規約の中でりっぱにいろいろな行動はとれるようになるでしょう、そういうことを待望しておると、また、そういう時代があれば、特にこんな法律は要らないではないか、こういうことであります。

田畑金光日本社会党

○田畑金光君 今お話しのようなことでありますと、個人の自由をお互いに尊重する、あるいはまた、相手方の権利を認め合ってやる、こういうことが民主社会の一つの生活原則であるということであると私は思うわけです。そういう一般的な原則論あるいは一般的なものの考え方で、昨日来労働大臣がいわゆるよき労働慣行と言われておるといたしますならば、そこにわれわれは、その内容が何もならなかったんだという感じを持つわけです。労働法の第一条にあるいわゆる暴力の行使云々というような問題も挙げられましたが、確かにそういうような行為が労働組合運動にあるといたしますると、それはまことに、抽象的に申し上げますと、遺憾なことだと、こう思うわけです。しかし、労働組合運動かう暴力行為を排除するということは、決して組合法にうたったかう暴力行為が排除されたんではなくして、やはりそれは客観的な条件とか、社会的な情勢とか、あるいは労使関係のあり方とか、あるいはまた、さらには、そのときの政治的な条件、こういうようなものによって初めて私は解決される問題だと思うわけです。そういう観点から私たちは見ましたとき、戦後の労働組合運動の発展というものも、それはやはり国民的な一般的の水準が成長する、それに応じてやはり組合運動も全般として発展し成長するものだと思うのです。ただ、法律によって規定されたから安心であるとか、あるいはこういうことがなくなるんだとか、こういうことは、まことに単純な考え方であって、労働組合運動に対する正しい本質的な理解を持たないものだと私は申し上げたいわけであります。先ほど電気関係の労働組合と石炭関係の労働組合とについて具体的なお話があったわけでありますが、労働大臣の今の説明によると、とにかく石炭部門においては、炭労の大会においてこういうことがなお決議をされておるんだと、それが今回の法律存続の大きな理由になっておるようです。しかし、それは、組合の大会において組合がたとえば、使用者側のとっておるロックアウトに対する戦い方の戦術として一つの態度を明らかにしたということと、現実にそういう決議あるいはそういう態度決定に基いて行動を起したかどうかということは、おのずから私は別の範疇で考えてもよろしいのじゃなかろうか。ただ、それだけでもしこの法律の存続決議案が必要であるとするならば、かりに炭労の大会で、そのような決議がなかったとするならば、労働大臣はこの決議案を出すという必要はない。労働慣行もそこまで成熟、成長したのだ、こういうことになるのかどうか、この点はどうですか。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 炭労の本年の十月の決定は、私は御参考までに一つの例として申し上げたのでありますが、今年の秋行われました古河の大峯鉱山の争議行為は、田畑さんも御存じだろうと思いますが、あのときは、明うかに保安要員引き揚げの命令を出した。しかし、実際にはそのことなくして解決をいたしまして、私どもは諸般の情勢を総合して見まするのに、やはりこの法律がいまだ存在する必要があると同時に、この法律が存在することによってやはり保安要員引き揚げというふうなことが行われずに済んできているのだ、こういうふうに考えるわけであります。従って、私どもの予期いたしております公共の福祉、つまり国民大衆、国民の利益ということを前提にものを考えております。この法律というものは、やはり現状の客観的情勢からはどうしても存続することが必要である、こういう解釈をいたして提案いたしておるわけでございます。

田畑金光日本社会党

○田畑金光君 古河大峯の例をお引きになりましたが、保安要員引き揚げの指令を出したけれども、しかし実行に移らなかった。その場合に、実行に移らなかったというのは、この法律があったためであるのか、それともそのときの労使関係の具体的な話し合いとかあるいはそのときの交渉の推移からくる発展からしてそのようなことになったのか。私は労働大臣の答弁のように、今回に限らず、すべてこの法律があったからそういう大事に至らなかったのだというような独断的な物の考え方というものは、少し私は慎しんでもういたいと思うわけです。職場を守るということ、労働者が自分の職場を守るということは、これは本能的な要求だと思うのです。しかし、労使関係というものは、常にそのときの条件によって、相手方の態度によってその戦術的な要素というものは異なってきようと思うのです。その戦術的な一つの現われがあるいは保安要員の引き揚げの指令となって出てくる面もありましよう。  だから、私たちはもう少し労働大臣にあるいは政府に考えてもういたいことは、労働者のやはり人格と申しますか、人間性というか、そういうようなものに一つの信頼を置いてもらいたいということなんです。私は決してこの法律があったから今日まで具体的なこういう違反行為がなかったと言うのじゃなくて、私はやはり組合運動の成長の面と、また、労働者の自覚と、それかう労働者が本能的に自分の職場や生活を守っていこうとするこの気持、そういうような問題が私は今日までこの法律の適用されなかったという事情があると考えるわけで、私はそういう点から申し上げますと、昨日来の労働大臣のお話なさっておられる労働慣行の成熟というようなことは、まことに抽象的であって、たとえば、この法律は制定された当時に公共の福祉、ただ、これだけでこの法律が制定されたようなそういう印象を受けるわけで、私はもう少し掘り下げて考えていただきたいと、こう思うわけです。私は先ほど質問いたしましたが、もしも、労働組合運動の運動方針やあるいは賃金闘争の折りにいろいろ行う決議等において、もし先ほど大臣の引例されたようなそういう何も言葉がなければこういう法律案というものは必要でない、そういうことになるのかどうか、もう一度一つお尋ねしたいと思います。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 田畑さんのおっしゃいますことはごもっともな面も多いと思います。私ども全く御同感でありまして、政府と申しましても、なるほど今鳩山さんを総理とする鳩山内閣ができておりますけれども、これはつまり国会によって選ばれてできているわけであって、国会はつまり国民の投票によってできておるわけでありますから、この政府というもののすべての施策は何を対象にしているかといえば国民大衆でございます。国民大衆の総合した利益ということをまず念頭に置いて諸施策をやらなければならない。今のお話で、労働者に対してもう少し信頼感を持ったらどうだというお話でございますが、もちろんこの労働組合に対してばかりじゃございませんで、ときの政府を組織いたしておるものはもちろんすべての施策は国民に対する信頼感は当然持っております。持っておりますけれども、今この労働関係ばかりを例にお引きでありますけれども、私どもがたとえば、お互いが選挙して出てきておりますが、その選挙をするときに、やはりわれわれ国会議員であった者が衆議院が解散されたときまる腰になってもう一ぺん立候補いたしますが、公職選挙法という法律がございますが、これによってやはり拘束を受ける、この国会議員たりし者が今度は国会議員になるためにも、やはりなくてもよさそうないろいろな選挙法というものを設けてやはりフェア・プレイをなさせるべくルールをしくのでありまして、すべて私は法律というものはそういうものだろうと思うのです。何も特に凶悪な性格を持っておる人たちに向ってだけ刑法の罰則があるわけじゃないのでありまして、いかなるときにどういうはずみでそういう違法行為をやる者がないとも限らないから、やはり公共のためには国民を信頼しておりますけれども、選挙法もあればあるいは刑法もある、こういうようなわけでありまして、私はそういう立場からこの国民という立場に立って見たときに、やはりその争議行為としてでもこのようなことはなすべき行為ではないのだ。ところが、一部の反対の方から申されますというと、争議行為というものに制限をつけるべきではないと、こういう御意見でございますけれども、私どもはしばしば論議されておりますように、そうはいかないのだと、そこで今度は現実の問題で、この法律の延長を審議を願うというときの立脚点はどこにあるのだと、こういうお尋ねでございますから、私どもは今申し上げましたようなことを前提に考えてみまして、みんな国民に対する信頼感を持ち続けながら、現在の客観的情勢としては炭労の十月の御決定があるなしにかかわらず、それは一つの参考資料として申し上げることでありますけれども、現在の客観的労働情勢は、政府としては本法の存続をなお必要と認めざるを得ない、こういうことでございます。

田畑金光日本社会党

○田畑金光君 法律の必要性と申しますか、社会生活の各面において活動する上においてそれぞれの法律が必要である。それはまあ一般的にはそういうようなことが言えると思うのです。しかし、このスト規制法案というものが、政府の答弁の中にも繰り返し繰り返しありますように、これは新しい法律を制定するのじゃなくて、すでに、既存の法律によって争議行為の限界というものは明示されておるが、それをただ宣言的に確認したのがこのスト規制法案である、こういうことを言われておるわけであります。私たちはそこが非常に大事なことだと考えるわけで、炭鉱の場合ですと、それは鉱山保安法や、あるいは鉱山保安規則ではっきりうたわれておる。保安を確保しなければならぬ義務というものはうたわれておるわけです。あるいはまた、人命保持のための施設を、争議行為としても停廃するような行為をやっちゃならぬということが労調法の三十六条ではっきりうたわれておるわけです。私たちは別に何を好んでこういう新たな問題の多い法律をさらに延長しなければならぬのか。先ほどの大臣のお話にありましたように、すでに炭鉱においても、石炭においても労使のルール、あるいは労働運動のルールというものは既存の法律によってできておるわけです。なぜ新しくこういうような法律を制定し、ざらにまた、労働慣行も大へんよくなったのだ、健全化しつつあるのだということをお認めになっておきながら、これを延長しなければならないのか。たとえば、炭鉱の保安の問題等を見ますと、大臣の御答弁にもありましたように、この法律ができて以降、労働組合の責任、あるいは労働組合運動の一環として保安法規による災害が起きたことがないということははっきりお認めになっておるのです。ところが、労働組合運動による、あるいは労働者の責任による災害は起きていないが、現実に炭鉱においては毎年毎年、むしろこの法律が通りまして以降大きな災害が起きているのです。一体これはどういうことになるのか、だれの責任なのか。当然鉱山保安法に基くならば、それは鉱業権者の責任でありましょう。そういう点について一体政府はどういう態度をとってきているのか、鉱山保安に関して政府は、監督行政を通じてどのような積極的な手を進めてきておるのか。問題は私はそのあたりにむしろあるのじゃなかろうか。ほんとうに鉱山の保安という観点のみかう言うならばですよ。で、私はこの法律案に関しましては、そういう点から申しましても疑問があり、また、存続の意義を認めるわけには参らぬと思いますが、既存の法律で十分やっていける、このことに対しまして、大臣の御意見を承わりたいと思います。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 今のお話し、もう非常にわれわれとしても重要な点だと存じますが、創設立法か、確認立法かということにつきましては、これはまあそういう言葉の意味のとり方にもよりますが、ここで規制しようとされておる行為というものは、争議行為としてでもかくのごとき著しく不当な争議行為の手段を禁じておる。その手段というものが行われることによって、結局社会公共のために非常なる影響をもってくるものである、こういうことでございます。そこで一方、翻って今お話のありました鉱山保安のことについてでありますが、鉱山保安の義務は御承知のように、経営側の、鉱業権者側にございます。従って、鉱山保安法は非常にむずかしい規則で、この保安義務者に対して、いろいろな拘束を加えていることは御承知の通りでありますが、しかもなおかつ、御指摘のように、ときどき大きな被害がございます。こういうことにつきましては、政府としては、非常に遺憾に存じているところでありまして、労働省はこういう点につきましては、監督官庁である通商産業省にもしばしば厳重な警告を出しておりますし、また、私どもの所管に関することについては、基準関係においてときどきこういうことについて警告もし、指摘もいたしております、事実。しかもなお、保安関係についての事故が発生いたしていることは、われわれ政府としてはまことに遺憾であると存じます。なお、こういう点については、保安義務者に向って、将来ともこういう事故を絶無なうしめるように最善の努力を続けて参るつもりでおります。

田畑金光日本社会党

○田畑金光君 八月でありましたか、労働大臣が関西の方においでになって、関西の経営者協会でありましたか、財界の人方と話合いをなさったとき、それは公式の会議の席上であると、私たちは新聞を通じて見たわけでありますが、この次の臨時国会において、スト規制法案の延長については、現政府としては必ず出す方針である、こういうことを述べておられるわけであります。私は、労働大臣が、自分の抱負や、所信を、出先において述べられること自体は、これは当りまえのことだと考えるわけですけれども、何を好んで経営者の団体の前で、しかもまだ政府としての、内閣としての方針が決定されない以前に、スト規制法存続の抱負を述べなければならなかったのか。私の強く尋ねたいことは、要するに、この法律が生まれました昭和二十七年末における炭労や、電産の長期の争議の経過を見ましても、それはあのときの炭鉱の経営の実情はどうであったか、あるいは電気産業の経営の実情はどうであったのか、財閥関係の大手筋の炭鉱においては、三割乃至四割の高額の配当をやっている。電力会社においても同様に一割五分前後の配当をやっている。あの争議が長引いた原因というものは、結局経営者や、当時の会社側が当然支払い能力があり、組合の要求にも応じ得るにもかかわらず、自分のふところからは一銭も金を出そうという妥協がなかった。ここに私はあの争議が深刻化した原因があろうと考えているわけです。そういうことを考えましたならば、当然政府の側から言うならば、政府というものはあくまで、あるいは労働省は特に労使関係については中立的な立場に立って考えてもらわなくちゃならぬ、施策をとってもらわなくちゃならぬが、あの争議の結果はどうかというと、経営に対する規制、あるいは会社側に対する社会的な規制というようなものは何にもなくて、ただ労働組合のみこういう法律をもって押しつけられた。すべて労働組合に一方的な責任をかぶせられておる。私はここに吉田内閣以来歴代の内閣の性格があろうと考えておるわけで、そういう気持がたまたま私は関西における経営者協会を前にして、経営者協会であったかどうか記憶がはっきりいたしませんが、とにかく演説をされているわけです。私は、そういう点において、労働行政というものはもう少し労働階級の労働者の信頼を得るようなやり方でなければならぬ、こう考えている一人であります。率直に申しますと、この法律存続というものは、政府がその必要であるということを認める前に、財界あるいは経営者の諸君から強くこの法律の存続を求められたところに、提案された原因があると見るわけです。従って、労働慣行の成長とか、労働慣行のよき傾向とか申しましても、財界がこれを必要とし、経営者団体がこれが存続を求むる限りにおいては、いかに労働慣行によきものができたといたしましても、これは不可能だ、この法律の廃止を実現することは不可能だ、こういう考えを私は持っておりますが、労働大臣の一つ考え方を承わりたいと思います。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 関西の経営者協会で講演をいたしましたのは、たしか九月の末か十月の初めごろだと記憶しておりますが、この法律をどういうふうな取扱いをするかということについて、私は八月、国会休会中に自由民主党の政務調査会及び政策審議会等でしばしばこれについての研究会をいたしました。党の方では大体そのときに方針を決定いたしまして、次の国会においてこの継続を議決していただくような手続を、政府においてとらせる、こういうことに方針を決定いたしたわけであります。そこで国会も間近になりまして、毎年労働大臣は一度か二度関西に参りましたときに、経営者協会と、日を違えて労働組合、関西の労働組合との懇談会をやっております。私もその例にならってやったわけですが、労働組合との会見のときにも、この法律を今度の国会で継続を求めなければならないだろうということは申し上げました。関西経営者協会でもそういう講演をいたしたわけであります。そこで御承知のように、関西経営者協会というのは中小企業者の集まりでありまして、こういうような大産業に関係のあるものはほとんどあの協会には入って参りません。こういう業種の大きいものも向うにおりません。電気関係がおりますが、集まられた方はことに中小企業者が多かった。そこで、私はこの法律のことだけ申したのじゃありませんで、せっかく関西へ来たのであるから、政府の労働政策について説明してくれという御希望がありますかう、私は政府の労働政策としては、まず第一に、この次の国会に出そうとしておるものはこれである、次に臨時国会が済んでからわれわれがやろうとするものは例の雇用安定に関する基本的政策をどうしてもやらなきゃいかぬ、雇用安定問題というものを前提とせざる経済政策というものはだめだというようなことで、こういう方向に向って雇用安定の政策について説明をした。同時にまた、最低賃金制度というものについて政府はこういう考えを持っておる、そして一般を指導いたして参るつもりだというふうなこと、それから生産性向上については政府が骨を入れるべきだというふうな、労働政策について一般的に説明をいたした。それとあわせて私の所信を申したと、こういうことでございまして、私どもはしばしば申しておるように、経営者側の意見だけ尊重いたしておるわけではありませんで、田畑さんの御承知のように、先般いわゆる財界申し入れというのがあって、鳩山総理引退云々の話が申し込まれたことがあります。われわれは強くこれを反駁いたしまして、そういうよけいなおせっかいは、財界かう受ける筋合いではない、そういうことを、もしわれわれがするとすれば、組合側の方が、社会党に対していろいろなことを言っておって、社会党というのは組合の出先だなんといって攻撃をしているのが、筋が通らなくなるではないかといったような議論が行われたような次第でありまして、私どもとしては、そういうことに動かされている点はちっともないのであります。同時にまた、今、次の方でお話のございました一方を規制をして一方を規制しないではないかというお話でございますが、この点もしばしば申し上げておりますように、なるほどこの法律に規制という文字はありますけれども、争議行為全般に対して言っているのじゃありませんで、その争議行為のうちの一つの手段をやめてもういたいということを言っている、しかもその手段たるや、それを遂行されることによって、社会公共の福祉に大きな影響を持っているのだから、そういうようなところまで争議権というものは自由であっていいはずではないのだ、こういうことを言っておるのであります。しかしながら、その一つの手段はやってはいけないというわけでありますから、今度相手方の経営者側に向っても、私どもとしては、さっきもお話がありましたが、公益事業については公益事業、石炭のことについても、やはり通産省としてはいろいろな監督をいたしております。しかし、誤解ないようにお願いいたしたいと思いまするのは、争議行為というものは、民間の組合の争議行為に政府は介入することは極力避けるべきだ、これが非常に大きな社会的影響を持ってくるような段階になりましたら、やむを得ず緊急調整というような制度を考えている、しかしながら、原則としては、民間産業の争議行為には、われわれはなるべく介入しない方がいいというのは、しばしば私が声明いたしておる通りで、今もそういう考えを変えておらないわけであります。

田畑金光日本社会党

○田畑金光君 鳩山退陣の申し入れをけった、これでわが党は財界なんかの意見に左右されるものじゃないなどとおっしゃいますが、あのとき受け入れたのでは、収拾がつかなくなって、とにかく鳩山さんを、あのときは利用の価値がある、こういうわけで財界の申し入れを一応退けられた形のようだが、とにかくこの法律も、財界の意見あるいは要請に基いて、現内閣も存続を求められたということは、これは明らかであります。この問題についてとやかく申しましても水掛論に終りますが、とにかく労働大臣のお話を聞いておりますと、一部の争議行為について規制を加えたにすぎないのだ、あるいはまた、政府としては、民間の労働組合の争議行為については、できるだけ介入しない態度で臨んでいるのだというような方針でありますが、しかし、この法律自身が重大な干渉であり、介入であると私は言いたいのです。先ほど来の大臣のお話を聞いておりますと、労働争議をやった場合に、それが常に労使の間だけの関係であって、それが少しでも社会的あるいは一般公衆に影響する、直ちにこれが公共の福祉を阻害するのだ、こういう非常に単純素朴な考え方のようにお見受けするわけです。今日のどういう一つの民間の企業を見ましても、一つの社会性を持っているのです。従って、その企業において争議が起きますならば、単にそれは企業の労使関係のみならず、それが社会一般に大なり小なり直接間接の影響をもたらすことは明らかであります。従って、争議行為というものが労使の関係のみでなく、それが結果的に対社会に、あるいは公衆に何らかの影響をもたらすということは当然の話であって、その前提がなければ、労働組合法の、あるいは憲法に示された労働者の基本的権利というものは全く固定化された権利として主張し得るものでもないと私は考えるわけです。当然そういうことを考えて参りました場合に、どうも労働大臣やあるいは政府の考え方というものは、争議行為というもののほんとうの性格、あるいはまた、争議権を含んだ労働者の基本的権利というものを形式的に見ておられるのじゃなかろうか。こう申し上げざるを得ないわけであって、そういう考え方の間違いというものがこのような法律として、しかもこれは労働者を縛るのではなく、単にその一部の争議の行為を規制したにすぎないものであって、このことによって、社会公衆の福利というものと調整をはかっておるのだと、こういうような立論のように承わるわけでありますが、われわれとしては、そういう考え方には納得がいかぬ、こう申し上げたいわけであります。  それから、先ほど炭鉱の問題に触れて話が他にはずれたわけでありますが、たとえば鉱物資源の滅失という問題が出ておるわけです。それで御承知のように、昨年の二十二国会で石炭合理化臨時措置法という法律によって、現在昭和三十年かう三十四年度まで五ヵ年計画で石炭の買い上げという問題が起きておるわけです。ほんとうに鉱物資源の尊重保護という立場から言うならば、この合理化法に基いて、年間三百万トンの山の買い上げをしなければならぬ、こういうようなこと等は、どうも鉱物資源の保護あるいは尊重という点から言うと、何か割り切れないものを私たちは感ずるわけです。ほんとうに政府が炭鉱の生産を確保し、あるいは鉱物資源を保護する、尊重する、こういうようなことでありますならば、もっと合理化計画というような、こういう無理な手術をしなくても、産業政策というものによって、当然生かす道が考えられてしかるべきじゃなかろうか、こう私たちは考えるわけです。具体的にたとえば、合理化計画に乗って山が買い上げられる、そういう山においても、かりにこういう山は普通、賃金が何ヵ月もたまっておる、未払いが起きている、いろいろ労働者の悪条件、労働者は悪条件の中にあるわけでありますが、たとえば、こういう山においても合理化によってやがて買い上げられる、こういう山においても、もし労働争議が起きて、たとえば、この法に違反するような行為があるならば、やはり保安の確保とか、あるいは鉱物資源の保護、こういうことでもって適用されるのかどうか、この点について一つ承わりたいと思います。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 石炭合理化法によるただいまのお話でございますが、御承知のように、この法律案を国会で御審議願ったわけでございますかう、すでによく御存じのことと思いますが、ああいう小山で、非常にコマーシャル・ベースに乗らない山を、これを何とかして整理しなくては、まあ賃金の未払い問題も起きてくるのでありましょうし、ひいては鉱業主が夜逃げをしてしまった、そのために非常な関係者に迷惑をかけるといったような、そういうことを一つ整理をして、そうして国の大事なものでございますから、これを合理化していこうではないかということで、それを適用する前に、これらの業種からいろいろ通産省に伺って陳情請願があれば、政府としては、できるだけめんどうを見て参りました。ところが、やはりある程度そういう合理化をしなければならないという必要に追って、その法律案を国会に提出してこれが成立を見たわけでありますから、そこで私どもとしては、それによって生ずる失業問題については、別個の立場からこれを善処していかなければならないことはもちろんでありますが、この合理化法を適用される小山につきましては、それぞれ保安関係のことも十分な手をして、そうしてそれによる災害などが起きないように処理をして、そうして買い上げをいたしておる、こういうことでありますが、そして今のお話のように、いかに経済的に採算のとれない山でも、いわゆる国家的に重要なる資源ではないか、まことにお説の通りであります。しかし、これを政府が今度ペイしないものを無理に政府の損失の補償によってこれを経営していくということも困難でございますし、やはり、あの法律に書いでございますような処置をして、そうして買い上げをして、合理化をしていくより実際にはしようがないのでございます。そこで問題になりますのは、そういう小山の合理化をやっていくときに、大事な財産というものを埋めてしまうようになるのではないか、こういうところに私はやはり一つの問題はあるであろうと思いますが、しかし、今自由経済のもとにおいて、経営者が鉱業主であって、そうしてこれが実際にペイする経済的な経営ができない、こういうやむを得ざる事情でございますから、これを放置いたしておくことは、かえって業界のためにおもしろくない結果を生ずることは、法律制定当時にしばしば申し上げておる通りでございます。そういうことでございますからして、私どもとしては、この石炭合理化法は、結局石炭鉱業界を合理化して、そうしてできるだけ何と申しますかコマーシャル・ベースに乗る経営をやって、それに働いておる整理されたる労働者も、それに吸収していくように配置転換をする、こういうようなことがこの法律のねらいであったと思うのでありまして、やはり、私はあの条件のもとにおいてはそれが必要であったと思います。ところが、御承知のように、近来非常に整理されそうな山でも、もうそんなことをしてくれるなというふうなものも出てきました。これはやはり経営自体が採算に合うような社会情勢になってきたわけでありますから、それはそれとしてけっこうだ、こういうことであります。

田畑金光日本社会党

○田畑金光君 山をペイしない。ペイするといっても、これはなかなかむずかしい問題であるかもしれません。しかし、私の申したいことは、とにかく合理化法案を必要とするに至った経過というものを考えてみたとき、要するに、それは政府の燃料政策、石炭政策の確立がなかったから、必要以上に単なる一般的な経済界の不況のみからではなく、政府の施策の貧困からこういう法律制定という問題が出てきているわけなんです。そういう産業政策の貧困からして、まだ十分やっていける、具体的にこれは申し上げますといろいろありますが、そういう山が結果においては買い上げられてくる、ところが、一方労働者の権利を抑圧する場合においては、鉱物資源の保護の名において労働者のスト権を一方においては弾圧しながら、一方においてはみずからの施策の貧困によって、貴重な鉱物資源を埋めていっておる。まことにその場限りの御都合主義の政治だと私は言いたいのです。具体的に私はお尋ねしたいことは、それはそれといたしまして、たとえば、そういうように合理化法にひっかかるような山、これは先ほど申し上げたように、多く小さな山です。また、労働条件が非常に悪い。そういうようなところで、かりに争議が起きて、そうしてそれがこの第二条ですかに該当する。しかし、実際その山はあと一月か二月でもって買い上げられていく、結局廃山をする、閉山をする、こういう山等においても、この法律というものは、現実に、形式的に読みますと適用されるようになると思いますが、その点はどうでしょうか。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 先ほど午前中もそういう、それと同じお話が大矢さんと総理との間にかわされたようでありますが、総理があとで詳しく御説明申し上げましたように、政府側としては、今石炭合理化法などというようなものをわざわざ制定していただいてああいうことをやるのは、鉱業政策に対する貧困からだと、こういうようなお話もございましたが、御承知のように、一般の国際経済の影響を受けて、やはり日本の国内の石炭に対する需要量も従って上下のあることはやむを得ません。そこで、そういう場合に、ある程度のわれわれの方としての、政府としての方針はございましても、鉱業権あるいは試掘権というものを今は出願されれば、成規の手続でおやりになれば、これは当然許可されることでございまして、そういうことで非常に石炭の需要が多いときには、そういうような小山でもやはりどんどん採掘されることによって、経済発展の原動力になっていただけるわけでありますから、この点はなかなか私はむずかしいと思うのです。ところが、炭業界の情勢によりまして、今度のような石炭合理化法というようなものを出して、小山の救済をしなければならないというふうなことになって参ったわけでありまして、これは私は、あながち、当事者の炭業政策の結果ばかりではないと思うのでありますが、そこでそういう場合に、そういう小山が国家の大事な財産をなくする、こういうことになることはかまわないで、その小山の従業員がいわゆる保安放棄をすることをとがめられるのは不公平ではないか、こういうふうなお話のように拝聴いたしたのでありますが、きわめて小さな炭鉱で、その存在するといなとが日本経済上ほとんど影響がないといわれるような極端な例を考えましても、その保安放棄ということによって、人命危害はもちろんのこと、施設荒廃について、それからまた、今保安放棄の場合は、もちろん主として争議行為の結果でありますので、その結果、争議が妥結して、もうやはり小山なら小山なりにやはりそこに帰ってくる職場を滅失するような結果になる行為というものは、本法はこれを禁じておる。このことは大きな山でも小さな山でも、そういう点については変化はないものである。こういうふうに申し上げるわけであります。

田畑金光日本社会党

○田畑金光君 私は小山であろうとも、中どこの山であろうとも、大きな山であろうとも、それはこの法の適用の点からいうと、形式的には同じことだと思うのです。小山であろうとも、それはそれぞれの規模に応じて埋蔵石炭価値あるいは坑内の設備を持ち、坑外の施設を持っておるわけです。また、それぞれに応ずる人員を持たなければならぬはずです。私は現在稼動しておる山の問題についてどうなるかということを質問したのじゃない。それは具体的に申しますと、すでにこの合理化法によって買い上げられる。しかしやはり買い上げのためにはある時間が必要です。一月あるいは二月。しかし現実にもう山は休止しておるが、これは買い上げられることになっておるのだ。現実そこには労働者は働いておる。そうしてまた、多くの未払い賃金を持って苦しんでおる。そういうようなところですね、まだ現実の山はあるのです。  そんなときに一体この法律は適用されるのかどうか、もしそこで保安放棄が起きた。そのような場合には、一体やはりこの法律によって処罰の対象になるのかどうか、禁ぜられておるのかどうか。先ほど大臣のお話によると、小さな山でも自分たちの帰る職場を失うような行為はこの法律では許されてない。ところが、その人たちは帰る職場はもう買い上げられてなくなる山ですから戻る職場はない。しかし、現実にはまだ山自体としては存在しておる。このような場合この法律の適用はどうへばるのか。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 今のような場合を想定いたしましても、やはり保安放棄ということによってやはり人命に危害を及ぼす結果を招来するかもしれないのでありますから、その山の保安要員が引き揚げるということは本条に違反するものである。こういう私どもの、解釈であります。  ただ、非常にこのあと一ヵ月か二ヵ月で閉山をするということが確定をいたしておるということでありますというと、個々具体的にはその間にいろいろな問題があるかもしれません。そういうことはやはりその事情を判定してみませんというと、その場合にはいろいろな事情があると思いますが、総括的には私が今申し上げたような解釈をいたしておるわけです。

田畑金光日本社会党

○田畑金光君 ちょっと答弁がはっきりしませんが、結局この山はなくなるのです。そうしていわゆる政府の考えておられる鉱物資源というものも滅失をするのです。また、山は閉山になり、荒廃に帰するわけです。そういう山に対してすらもこの法律が適用さるるとするならば、一体そのときの法のねらっている法益というものは何であるかという問題が出てきようと思うんです。それは形式的な労働者のストライキ権、ただそれだけをその際はなおかっこの法律に基いて制限、禁止しよう、そういうことに結果においてなっているんじゃないかと……。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 実際問題として、炭鉱合理化法によって買い上げを受ける、今のような御実例は。そしてあと二ヵ月ぐらいで閉山をするというふうなときに争議行為が行われておるというふうなことはおそらく実際問題としては(田畑金光君「あります。あるんです。」と述ぶ)あまりないんではないかと思うのでありますが、かりにそういう場合を想定するといたしましても、(田畑金光君「それが多いんです。」と述ぶ)そういう場合を想定するといたしましても、私たちは本法に違反する行為をなされるということはいけない。同時にまた、その行為によって、今、田畑さんのおっしゃるのは、いかなる法益を守るためにそれならこの本法の適用を考えているかということでございますが、やはりこれは本法の示しておりますように、そのことによって、保安放棄をすることによって人命に危害を及ぼすような結果になるということを想定されるわけでありますから、それは第三条で禁じておるところであると、こういう解釈でございます。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 関連……。ただいまの田畑議員の質問に関連しましてちょっと御質問を申し上げたいんですが、実は非常に具体的な話になって参ります。今の大臣の御答弁だと、合理化法による買い上げ炭鉱を中心にした労使間の紛争、それが争議状態になって戦術がいろいろ問題になる、しかもスト規制法をその場合にも適用して、そうして適用する必要性をつまり公共の福祉といったような立場からあるいは人命に対する危害を与えるという点からの保安放棄というものは違法であるという御解釈のように受けとれるんです。そこで、私は具体的な実例を一つお話を申し上げてこの際御検討を願ってみたいと思うんです。それは先日この委員会で申し上げた上添田炭鉱の実例でございます。このような実例はあまりないと言われておりますが、実は非常に多い。すでに私どもが直接手がけた問題でも七件ばかりに上っております。そしてその一つの例は一番最近ですかうなまなましい問題なんです。今月の十三日に一応の解決を見たという事件。これは今年の八月の八日に買い上げの申請がなされました、福岡の石炭事業団に対して、鉱業主である三崎友一なる人から……。ところが実はその買い上げ申請したことが組合は知らなかった。ここら辺から一つよく聞いとっていただきたい。八月の二十三日になって、私どももどうもそういう傾向があるということで事業団についていろいろ調査をしたところが、事業団の方ですでに実は買い上げ申請やっておりますと、こういうことである。そこで直ちに会社と組合間の交渉が開始された。ここでは労働協約の定めによって事業場を譲渡したりあるいは売ったりあるいは縮小したりする場合には、あらかじめ組合と協議すると、協議決定すると、こういう約款がございます。ところが、事業主たる三崎友一社長はこの協約を全然守ることがなくて、いきなり組合にこっそりと実は事業団に買い上げ申請をしている。これは大臣も御承知だろうと思うが、石炭合理化法による買い上げ申請の場合には、法律の条文で明確ないわゆる労使間の合意ということをうたっておりませんが、審議の際にいろいろ問題がありまして、いやしくも事業場を買い上げをしてもらうというのでありますから閉鎖が伴う。ですから夢前の相談はすべきであるという当時通産省並びに労働省も御承知の上で取扱いが進められている。ところが、そういう形ですから全然組合は知らなかった。ところがたまたま九月の二日になって調査団が現地に参りました。その現地に参りました調査団の動きについて組合は何事かいうので追及をいたしましたところが、実はこの炭鉱は今度新しく長壁採炭によるカッペを入れるんだ。従って資金が必要である。その資金を突は開銀に融資申し入れをしておったところが、銀行の方からそのために現地の調査に見えたのであると、こういううそを言っている。これは明らかにうそですよ。こういう形で実は問題がすべり出た。その後いろいろ追及して紆余曲折を経たのでありますが、基本的な違いというのは、この労使間では、会社側は採算上赤字でやれないから買い上げてもらうというのと、組合側は現在の鉱区をそのままの形においても運搬坑道の整備をすることによって採算はとれるのではないかという主張、さらにもう一つは鉱区について鉱業法の規定もありますので、その坑口の条件等を勘案して、その鉱区の整理分合を推進することになっている。これも御承知だろうと思う。そうしますと、そういう立場から隣接鉱区の譲渡を受けるという話し合いが一応行われたのでありますが、その鉱区なるものが再三にわたって盗掘をやるので、実は感情問題があった。その感情問題になりました鉱区というのは、これは古河鉱業です。その鉱区をいわゆる分譲してもらうことに上ってその企業の存続は可能であるし、しかも坑内状況を改善することによって依然として継続ができるのみならず、黒字に転換することができるという再建計画をもって、組合員が会社と交渉したのです。ところが、最終段階になりますというと、これがこの社長三崎友一なる人がアメリカに用事ができたというので、十月の八日にアメリカへ行っちゃった。ところがその間の事情に至っては、これは私労働省の方に先日頼んでありますから、詳細な御調査を願っておると思いますが、讃岐石炭局長をだまし、あるいは石炭鉱業事業団の田口理事長を偽わり、ほとんど言語に絶したやり方をやって、いわゆる買い上げ促進のために、自分はアメリカへ逃げて、そうして一方むすこの二十三になる青年、学校をようやく出たばかりの青年をあとがまの社長に据えておいて、そうして重役をくっつけて、万事は社長並びに重役に一任してある、こういうことなんです。こういうような状態で、そもそも企業を継続する経営の努力が払われるならば、当然存続できる炭鉱、またそういう努力は当然企業家の責任においてなすべきである。ところがそれに対して、そばから私どもは、いろいろ関係方面を動かして鉱区の分譲を中心にした企業の継続についての計画をそばからお膳立てをして盛り上げていったところが、社長なる人はアメリカへ飛んでいった、こういうことなんです。そこでこういうような状態で買い上げの促進がなされる。ところがこういう状態ですから、申し上げるように労働者自身ふんまんやるかたもないのです。もうこういうような状態であるなれば、坑内の保安要員の提供はお断わりするという話まで一時は出たのでありますが、炭労としては、まあまあそういうことをやったのでは、根も葉もなくなるかもわからないというので、きわめて慎重な態度をとりました。ところが向うはそうではない。組合が同意をしなければ事業団が買い上げをしないという大きな壁にぶつかったものですから、勢い今度はそれならばやむを得ぬから、わが方は全員八百数十名の鉱員を含めて約九百名に近い人々を全員解雇をして、そうして必要な保安要員を別個に雇い入れて、そうして自分の炭鉱の買い上げの促進をはかるという態度に出てきました。これは私はいいかげんなことを申し上げているのではない。これはよく労働省自身みずから御調査を願いたい。そういう状態できたものですから、やむを得ず最後の手段として残ったものは何かということを検討しましたら、もろこうなった場合に、保安要員の提供をする必要がないじゃないかということが一つと、さもなくば労働組合自身の手で炭鉱を経営するかという重大な段階に追いつめられた。この間ずっと紛争が続いていることは申すまでもない。そこで、問題は今申し上げたような状況で、たとえば今田畑議員から御質問があったように、保安要員をこの際提供しないという態度をとったなれば、大臣の答弁だと、これに対しても当然いわゆる処罰がある。処分がある。あるいはこの法に違反したというかどにおいての問題が取り上げられる。そうしますと、一体これは何を守る法律であるのかということはおのずから明らかなのではないかと思う。何を守るのですか、これは。そもそも今申し上げるような諸般の情勢は、経営者が経営の企業努力というものを払わずして、そうしてまた、一方的に最終的な労使の合意を得ないということになれば、基準法の規定に基くと称して一方的な全員解雇をやる、そうして新たな必要な要員を保安法等に充当するために新たに採用をして、そうして買い上げの期間中をしのいでいく。そうして守られるものは何かといえば、今大臣の言われた天然資源である石炭、まず埋蔵量は若干あるわけです。その残った何がしかの埋蔵量を買上対象としてそろばんをはじき出して金によるのですから、あるいは施設その他を計算の中に入れるのです。ところが、その資源なるものは、一体その場合に何になるのですか、これは私は法的に見ましても重大な問題だと思う。しかもこれは一つの例じゃない、直方地区におきましてもすでに二炭鉱出ている、嘉穂に出ている、現在さらに粕屋に出ようとしている、こういう状況を詳細に私は見て参った。ところで今大臣の言われたような答弁は全く無責任というよりも金をもうけるためにかあるいは損をせぬようにするために資本家がこういう法律を悪用して、今のうちに売った方が安全だという考え方、しかも手続的に誠意を尽さず協約を踏みにじってやる一方的な押しつけ、全員解雇、それに対抗する手段として残ったものは今の保安要員をも提供せぬ、そして水浸しにしてしまうということか、もしくは労働者自身の手で生産を管理するかという二つの道しか残されていなかったその他にどういう方法もない、しかもそれを今言われるように、大臣の見解によれば、当然これにもスト規制法が適用されるのだということになれば、その法律はいわゆる残炭を買い上げる、施設を買い上げるための単なる個人の利益を擁護する、炭鉱資本家を擁護する法律でしかないと断ぜられると思うのですが、私はこの点について大臣のきわめて明確な懇切な御説明をいただきたい。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 先ほど田畑さんにお答え申し上げましたのは一般論として申し上げましたので、たとえ、炭鉱業者が鉱山を閉山しようとする場合であっても、争議行為として第三条に規定する行為、たとえば人に対する危害を及ぼすような行為などを行うことは正当なる行為の範囲を逸脱しておるのだということを今申し上げました。しかし、先ほどもそれにつけ加えて申し上げましたように、炭鉱経営者が閉山する場合の閉山の事情、それから閉山後の方針、それからまた各山の具体的状況によっていろいろ具体的に判断されるべきものはたくさん残されておると思いますということを申し上げたのでございますが、今のお引きになりました実例につきましては私よく事情を承知いたしておりませんし、山本さんから労働省にもお話があったそうでございますからして、あるいは私の方の事務当局で知っておるかもしれませんが、若干事情をあなたの方のお話によって知っておるそうでありますから、政府委員から一応お答えをいたさせます。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 大臣の見解をお願いしたいのですがね、その点は私もう少し申し上げ足りない点もあると思うのです。たとえば、今お話し申し上げた中で二つの点がやはり問題になってくる。いわゆる鉱業権者が持っているいわゆる鉱区並びに施設、これを一応人命とあわせて保安上の対象になりますね。それから根本問題として、このスト規制法については公共の福祉ということが非常にやかましく言われている。公共の福祉の重要性は私十分認識しております。そこで今度のこの問題につきましてはこういうことがある、この当該地方公共団体であります添田町では町議会がこの買いつぶしについては反対である。鉱区は同じ町内にある他の鉱区があるのであるから、そこら辺の分譲等もあわせて促進をすることによって企業を存続してもらいたい。ということは、あそこに小さな町で、その山の中の町でしかもあそこだけでも八百数十名の失業者を出すのですよ。それからさらにその家族を含めますと二千四百に余るところの失業人口となって町にあふれることになる、同じことが福岡県においてもいえる。その県からも陳情に県知事の代理として副知事の山本さんがわざわざこちらにお見えになって関係者とも話された。添田町会議長、町会議員、町長、これが旬日かけ回って関係方面の協力を求め、そうしてやろうと事業進捗に努力された。そこで大臣にお考え願いたいのは、公益ということはどういうことなんだ、公共の福祉とは何なのか、こうした問題は最も大きな公共の福祉じゃないだろうか、これは端的に大臣からお答え願いたい。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 私どもがしばしばここで申し上げておりますことは、つまりこれは一般論として申し上げておるわけでありまして、鉱山保安要員が引き揚げることによって、その結果温水あるいはガス爆発等を招来するようなことがあれば、しばしば申し上げておりますように、国家の重要なる資源を滅失することであり、また争議妥結のときに帰るべき職場を失うというようなことは困る、こういうことを言っておるのでありまして、そこであなたのお話にありました問題につきましては、事案あなたのお説の通りだといたしますというと、まことにこれはけしからぬことだと思います。思いますけれども、やはり今多分その事例をあげられた問題は、紛争の継続中のようでありますから、そういう場合に特殊なそういうことに向って労働大臣が発言をするということは、やはり非常にいろんな影響を持って参りますので、その実情は私もよく承知いたしておりませんから、実情を調査しろということならば、さらに調査をいたしますけれども、今の山の個々の問題については、私から御返事申し上げることは差し控えたいと思います。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 今のまことにけしからぬことだとおっしゃる、その通りなんですよ。まことにけしからぬのだが、しかしそれがどうにもならぬのですから、実はそこが問題なんだ。もし先ほど申し上げたように、このような状態が、特殊な個々の事例について大臣がそれについて口を入れるわけにいかぬ、あるいは一般論としてこの公共の福祉なりあるいは争議行為に伴う炭鉱の場合の保安の問題、これを論じておるのであると言われておりますが、私は少くともこれが問題だと思うのですよ。私は今度の臨時国会の中で非常に重要な問題として考える。いやしくも昭和二十八年の八月に本法が施行されてから今日までちょうど三年間、ことしの八月で一応期間切れになっておる。ところがその間に労使の慣行は漸次向上しつつあるということについては大臣もお認めになっておる。そうしますと、いつどこでどういう事件があってどうなっておるかということの具体的な内容をつかまずに、それは抽象的なことではだめだと思う。そこで本日は資料の提供を求めて出してもらいましたが、出てきました資料というのは、炭鉱関係でわずかに二十四件、実は私の方で調査してみますというと、大体二百七十件をこえる事件がある。今申し上げるような具体的な事例は、むろん労働省の方から出されました資料には入っておりません。しかしこの三年間に労使の慣行が少くとも向ししているという事実がある。私は第一番に、一般論として言われる大臣の主張から言うなれば、この事件の中で、争議の中でスト規制法違反等に問われるような具体的な違反事例がなかったということは、その法律があるないにかかわらず、争議の効果等もあわせ考えた労働者の良識ではないでしょうか。私はまずこの点第一点、労働大臣に伺っておきたい。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 私は、やはり私どもの調査研究の結果によれば、炭鉱関係においても、ほかの産業の労働関係におきましても、やはりだんだん安定の方向に向いつつある、こういうふうに理解をいたしております。間違いはないと思っておるわけであります。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 ですから、二十四件しかここには出ておりませんが、お出し願った資料の中では実は申し上げるように、昭和二十八年に九十四件、それから二十九年に百件、三十年に八十六件、こういうやはり争議が起っております。これはたとえば、労働組合だけの資料ではございません。連盟の方の資料と労働省にある資料とを合せたものです。大体において実数であろうと思う。こういうふうな事件があるにもかかわらず、ここに出されたのは二十四件、もっとも主要な大きな争議は網羅されているように思う。しかしこの二十四件の中で、このスト規制法の適用等によって処置をしなければならない事態が起りましたかどうか。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) いわゆるこの法律に抵触するような大きな争議があったかということでありますが、それはあまりないようであります。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 あまりないようだというようなあいまいなことではなく、あるのかないのかということをはっきり育って下さい。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) あなた御存じのように、すれすれのところまできて妥結をいたしておる例が多いのです。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 すれすれのところにきたというのはどういう内容でしょうか、一つ御説明願いたい。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 先ほど申しました古河の大峯などもその一つの例だと思います。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 内容を一つちょっと。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 政府委員の方から答弁いたさせます。

中西實労働省労政局長

○政府委員(中西實君) 今大臣が大峯の例を仰せになりましたが、これはよく御存じだと思いますけれども、今年の六月の保坑関係作業条件のことに関する職場闘争から発展いたしまして、最後、七月の二十七日に解決したのでありますが、もしもそれまでに解決しておりませんければ、大峯の組合におきましては、二十人目保安放棄をすると決定をいたしておったのでありますが、幸い二十七日の未明に交渉が妥結したということで、その事態が起らたかったということでございます。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 大臣にお伺いしたいのですが、ただいまお聞きのような状況、ところがもし、いいですか、ここをよくお聞き願いたい。今の大峯の例をれば、二十七日の未明に妥結に至った、その前にロックアウトをやってる状態ですから、勢い今度はロックアウトをやられて、それから今度は保安要員を提供しなければならないとい義務づけは生まれてこない。これは大臣も……、そのことは私はこの際一応別問題として、問題のぎりぎり一ぱいのところまでいくというところまでいかなければ解決にならない、二十七日の未明ぎりぎり、時間一ぱいのところで解決がついたということで、辛うじて組合側の要求の六四、五%、七〇%程度が認められておる。ここなんです。もしいわゆるこの法律があることによって、これが保安要員の引き揚げなら引き揚げということが違法であるという前提が立てられておるということになれば、この争議によって利益を得るのは使用者側なんです。しかし、だれでもこの法律でいうような人命に危害を及ぼすことや、あるいは職場が荒廃することや、資源が滅失することを希望しておりません。経営者はむろんのこと、労働者も希望していない。しかし行きがかりはそういうふうに盛り上げていく、これは労働者ばかりの責任ではありません。この争議そのものの解決点がぎりぎり一ぱいのところにいった、そのいった瞬間に解決が見られている、これは法律がなかったら、それなら労働組合は保安要員の総引き揚げをやって荒廃させる、そんなばかげたことはありません。常識とは、こうした長い経験の中で積み上げられた労働者の自覚、経営者の自覚の中で話し合いが営まれて解決の焦点をつかみ出すという努力だと思います。それを一〇〇%あらゆる状態を利用することができなければ、労働者だけが不利益な立場に追い込まれるということは、労働大臣ほどの労働通に至ってはよくわかっておられると思う。こういう点を、私はむしろ労働大臣から労働慣行のよき方向に導く施策としても配慮されなければならぬ当然のことではないかと思う。どうでしょうか。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 山本さん、田畑さんの言っておられることと私の考えておることじゃもうほとんど一致しておるところが多いのです。九〇%くらい同じ考えなんです。ただ最後のところへきてそれだからこの法律がなくてもいいではないかというくだりだけ違っておる、結論だけが。そこでそのことについては、私は今のあなたのお説のように、大峯の例を引きましてもやはり保安要員を引き揚げるぞというおどかしをしたから妥結をしたというふうには見ておらぬ。労働大臣という立場で、個々の産業の争議行為を批評することは遠慮しなければいけないと思います。全般的に見て保安要員を引き揚げるぞというようなことをなさらないでも、ことしの春季闘争をあなたごらんになっても、たとえば三井をごらんになってもそうです。ちゃんと保安要員を差し出してあるにもかかわらず、ちゃんとあれだけの手を打たれて妥協しておるのでありまして、これはこのことがあることによって労働組合に一つの刃物を与えるのだというふうなことにはならないのでありまして、これは争議行為としてでも当然なすべからざる行為である。しかし、このことがなされないでも他に労働組合としてなされるべき争議手段というものは、あなたの方が専門家でありますから、その争議行為の一手段は御存じの……その争議行為の専門家というわけではありませんけれども、炭労のことについては専門家でございますから、それは私よりあなたの方がよく御存じです。そこで、私はこれはしばしばくどいようですけれども、国民の自由権というものはお互いに尊重し合わなければならないのだ、それにはやはり一つの制限をみな持っておるのだ、この範囲内において当然行使されるべき自由権というものは政府はできるだけこれを保護しなければならないという立場から考えてもここに否定しておる手段というものはすべからざる行為なんだ、しかし、これがなくてもりっぱに争議行為ということはやれてもおるし、将来もそれで団体行動というものは十分にとれ、労働組合の主張というものは貫徹できるようになっておるじゃないかということを私どもは言っておるのです。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 大臣、最後のところだけ違うと言われますが、それだけであれば大臣の方がこれだけ皆さん反対しておるのですから、やめて同調をしてもらいたいのですが、これはなかなかむずかしいだろうと思う。それはそれとして、今、お話の一定の規定があることによって、そのワクの中でやれと言われることが、実は争議を困難に陥れる場合が多い、私はそう思う。問題は先ほどの上添田の問題に返りますが、同じ炭鉱の争議でも、大難の争議の場合には大きな職場で安定しておる。そうして戦う主体的な力も組合、会社互角と言っていい。ところが、上添田のごとき例の場合にはこういうわけにはいかない。すでに経営者は炭鉱を買いつぶしてもらう、買い上げてもらってつぶそう、金にしょう、こう言う。ところが組合は存続できるではないかと言う。まじめな企業意欲と生活への努力を続ける。奇怪千万だと言われましたが、全く奇怪であって、これに対して何ら抑える手はないでしょう。そうすると、その場合の労働者とはまたおのずから状態が変ってくることは御了解願えると思う。そこでああいうような場合は特殊な例であるということじゃなくて、今炭鉱関係で起っておる事態の中で一番大きなウエイトを占めておるのは、合理化の推進による買いつぶしの炭鉱なんです。現在問題になつておるのはたしか三十何炭鉱あると聞いておりますが、今までに買いつぶしになったものが、決定したものが十三か四あったと思います。それで大体予定数にして、七、八千人の失業者が出ることになる。失業者の問題はきょうここの議題でないから、特に申しませんけれども、そういうようになっていく過程では、ことごとく買い上げに同意するかせぬか、企業を存続するかどうかということ、もしくは失業から避けるという努力がいつも行われているのですよ。それが紛争になって現われる、現われるから特殊な一つの例ではなくて、今後ますます起きるであろうと、こういうことが言い得る。ですから私は念のために、しかも大臣として、最高の責任者であるから、その見解を承わっているのですが、その場合の争議手段は今言われたような大峯の場合とはかなり違った実質的内容を持っている。ですから、一般論だというので、実例をあげれば逃げられるし、どうもその点けじめがつかぬので困るのですが、大臣としては、詳細のことは私が言うだけでは不安心だから、十分調査もなさるでしょう。しかしながら、こういう実例があったことは事実なんですから、その実例について大臣はこういう場合にはこういうことがあるべきだと、ただ抽象的なけしからぬということじゃなくて、単に経営者が自分の持っておる事業が、そろばん上引き合いに合わぬから買い上げてもらおうということ、しかもその及ぼす、買い上げによって起る、いわゆる公共の福祉は、買いつぶしによって生ずる失業者を抱えた市町村から、県あるいは全国的にも言い得ると思うのですよ、大きないわゆる公共の福祉の面からいいますと問題があると、こまかな説明は必要でないでしょうと、そこでそういうような状態が一方にあり、一方単に保安を要するということは、坑内の保安を維持するということは、この場合に……、買い上げてもらう炭鉱がそのときに事業団が買い上げを決定するまでに水びたしの廃坑になっておったのではないから、単に保坑だけをやっておこうというのですから、私はここで重大な問題が起ると思う。そのためにもなお、労働者が労務の提供をしなければならぬ、こういうことになってくるのじゃないかと思うのですよ。しかもこれは適当な機会にまた詳細な御質問を申し上げなければならぬ点だと思いますが、少くとも今この実例によれば、その労働者が保安を放棄したということによって起る被害は、なるほど経営者に及ぶことは買い上げの決定が困難になった、あるいは価格が低下するでしょう。そういうことによって起る打撃というものは、公共の福祉でもなければ、単に九州炭鉱株式会社の一民間企業の一経営者の問題、それが公共の福祉だという名において、あるいは人命の保安とその他の問題を中心にしてこのスト規制法が適用されるというのであれば、これは私は労働大臣が一つの事件についてとやかく意見が述べられないと言いますが、大臣として、その監督指導の最高責任者というならば、少くともこういう事態がある事実を見て、そうしてどうこれに対処するのかという信念のあるお言葉を伺っておきたいのです。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 先ほど申し上げましたように、あなたのおっしゃる通りが真実であるとするならばまことに私は遺憾千万なことであると思いますが、そのことについては別として、一般論としては、私は今のような場合でもやはり三条に違反する行為であると、従って保安要員の引き揚げはなさらない方がよろしい、しかしかりに、そういう事態があるという場合に、やはり今申し上げましたように、持殊な事情でありますから、つまり合理化法によってその炭鉱を買い上げられるかどうか知りませんけれども、その買い上げということになるという特殊な事情でございますから、その山主が閉山をする事情、それから将来の方針、労働組合に対してはどういうふうに処置をするんだ、あるいはまたそこから出てきた失業者に対してはどういうふうなことをするんだというふうな、そういうふうな将来の方針などについてもやはり具体的に検討してみなければ、そこに発生してくる労働紛争というものを解釈つけることは困難でありましょうが、そういう場合にはやはりその閉山の事情とか、閉山後の方針とか、具体的そのときの状況などについて、あるいは情状酌量の問題もあるでありましょうし、いろいろな問題があるでありましょうが、基本的にはやはりその場合でも保安要員を引き揚げるということは三条に抵触することである、私はこういうふうに考えております。

田畑金光日本社会党

○田畑金光君 大臣のお話を聞いておりますと、常に一般論としては、こういう言葉でお話なさっておりますが、やはり一般論というものは具体的な事実を正しく解決され、また解決する議論でなければならぬと思うのです。抽象的にはこうだというようなことではなくして、その抽象的な理論がやはり具体的な現実に即して正しく通用する原則であって初めて一般論の権威をわれわれは認めると思うのです。ただいま山本君からも具体的な事例に即して話があったわけですが、今の上添田の問題にいたしましても、鉱物資源が現実にあるんだ、しかもそれは企業努力によってはなお何百名かの従業員の生活をささえ、また、地方公共のためにも役立ち得るんだ、そういう客観的な事実があるにかかわらず、これを無視して強引に買い上げにもつていこう、一体その場合に、私はこのスト規制法に、第三条に掲げられておる鉱物資源の滅失もしくは重大な損壊、鉱山の重要な施設の荒廃または鉱害をあくまでも生ぜしめないように、こういう観点から見たとき、一体どこに、たれに具体的な責任があるのか、こういう問題が当然起きようと思うのであります。この法律の思想、このスト規制法の思想を、この法律の底を流れる思想を見ますと、すべて保安を破壊し、保安の業務を阻害し、あるいはその他の鉱物資源を滅失するのは労働者だけである、こういう観点でこの法律は作られておりますが、具体的な問題について私たちがぶつかって検討した場合に、一体それは労働者なのか、経営者なのか、こういう問題です。この問題が私は根本的な認識の違いになってきようと考えるわけであります。  それからもう一つ、先ほどの事例で私たちは伺いますことは、あの上添田の場合には経営者が山をやめて、そうして労働者があくまでもこの山を守っていこう、みずから進んで保安業務をやっていこう。もしかりに事例が逆であって、もし単に山の買い上げという問題は別にして、普通の事態においてもし経営者のサボがあった、サボタージュで企業の経営がやっていけぬ、その場合に労働者がみずから生産を管理する、こういう態度に出てきた場合に、一体これはどうなるのか、生産管理として、またこれは違法な争議行為として労働省はこれを排撃するのかどうか、こういう問題がまた一つ出てきようと思うのです。また、私は先ほど抽象的な御質問でありましたが、とにかくもう買い上げがきまっている山だ、これをあと一ヵ月、二ヵ月すれば坑口を塞いで封印をして、もう自然これは荒廃にさせてしまう山だ、ところがまだそこまで最後的な結論がきていない前の段階において、もし未払い賃金その他の問題で労使の関係の意見の一致をみないために争議行為が起きた、そういう明らかにもう一ヵ月後二ヵ月後には山は完全に荒廃する、その対象であるにかかわらず、この法律が適用される、こうなった場合、一体これは何のための法律適用なのか、何をこの法律によって守っていこうとするのか、こういう問題が起きてきようと思うのです。私たちは具体的な事例から一つ一つ判断して参った場合、結局この法律の中に流れる考え方というものは、すべて労働者が間違ったことをするんだという認識の上に立ってやられておる、ここに私は問題があろうと思うのです。私はそういうような観点から申しましたとき、どうも一般論のみで話を進めておられますが、やはり一般理論というものは具体的な事実を解決し得る問題でなければならぬと思うのです。この点どうでしょうか。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 私が申し上げておりますことは、こういう委員会の席で、特殊な一つの山の具体的な争議行為について政府の立場からそれを批評することは、今の場合は避けなければならない。これは事件が落着したとか、あるいは過去の事例というふうなことについての法律的見解などは別でありまして、今問題が続行中なんでありますから、そういう場合には政府としては見解を述べることは遠慮した方がいい。ことに田畑さんのお説は、それは百パーセントその通りでございましょうけれども、今それだけのことで、その具体的の山の行為について私の判断を下すことは遠慮すべきである、こう申しているのでありまして、一般論として先ほど来申し上げておりますように、今おあげになった例のような場合でもやはり第三条抵触するものであると考えます。しかしながら、それについては先ほど来繰り返して申し上げておりますように、その閉山の方法、事情、将来の方針等によってはいろいろ具体的に実情を調べてみないとわかりませんが、こう申し上げておるわけであります。

千葉信日本社会党

○委員長(千葉信君) この際、お諮りをいたしますが、本問題に対する本日の質疑はこの程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

千葉信日本社会党

○委員長(千葉信君) 御異議ないと認めます。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時二分散会

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