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25回国会参議院1956/12/02

外務委員会 第8号

発言数
67
登壇者
8
会派数
3
開催日
1956/12/02

会議録

小滝彬自由民主党

○委員長(小滝彬君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告を申し上げます。昨十二月一日、大谷贇雄君が委員を辞任せられ、苫米地英俊君がその補欠として委員になられたので、右御報告申し上げます。

小滝彬自由民主党

○委員長(小滝彬君) 日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との共同宣言の批准について承認を求めるの件  貿易の発展及び最恵国待遇の相互許与に関する日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の議定書の批准について承認を求めるの件  北西太平洋の公海における漁業に関する日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の条約の締結について承認を求めるの件  海上において遭難した人の救助のための協力に関する日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の協定の締結について承認を求めるの件  以上四件を一括して議題といたします。昨日に引き続き質疑を行います。

苫米地英俊自由民主党

○苫米地英俊君 農林大臣の御出席を要求しておいたのですが、お見えになりませんが……。

小滝彬自由民主党

○委員長(小滝彬君) 農林大臣は、本日他にやむを得ぬ用があって出席できないので、その質問は留保していただきたいと思います。総理大臣は、今すぐここにお見えになりますので、その方から始めていただきたいと思います。

苫米地英俊自由民主党

○苫米地英俊君 それではあらためて農林大臣には……。私はほとんど農林大臣に多くお聞きしたいと思っておったのです。  それでは、日ソ共同宣言等の四案につきまして、国会に提案して批准を求められてから審議の経過を見ますというと、質疑応答によって国民の疑惑は少しも解明せられておりません。もやもやとした不安が、依然として国民に不安をかもしておると私は存じます。日ソ共同宣言批准による両国の国交の回復を国民大多数が心から感激し歓迎しておるように政府は見ておるようでありますが、現実は必ずしもそうではありません。政府提案の案件について、すでに論じ尽せられていることでもあり、この上、押し問答をしても由民の不安が除かれることはまず望めないと私は考える次第であります。そこで現段階においては、幾らかでも国民のこの不安を軽くするためには、次の二つの方法が考慮せられると思うのであります。  その一つは、ドムニツキーの提案を受けて鳩山総理大臣が立たれてから、今日に至るまでの間に、国内的、国際的にどういう手を打ち、どういう準備をされたかということであります。私の見るところでは、総理の国交回復に対する構想を、国民が的確に把握して、国民の心によく理解されておるとは考えられないのであります。この国民に理解せしめ、総理の構想を徹底させるために、どういう手段を講ぜられたか。また治安対策、司法、行政上の準備、思想及び教育からくる現在の混乱について、どういうふうな手を打ってこられたか。また国際的には、日本の正しい主張を支持せしむるために、どのような外交交渉をしてこられたか。またその効果が将来にどういうふうに現われてくるかという見通しについて、はっきりお伺いいたしたいのであります。  その第二は、政府の領土問題に対する所信を声明するということもお考えのようであり、まことにけっこうだとは思いますけれども、私は参議院において今まで政府が述べられた所信を確認する決議をして、政府がこれを得確認されることがより力強く、よりよく国民に徹底すると考えるのであります。  この二つのことをいたしますれば、大体国民の不安というものが薄らいで、この日ソ国交の正常化に貢献するところが多いと思いますが、どうかこの国内的、国際的にどういう手を打ったか、確信のある見通しをお伺いしたい。  もう一つは、この参議院における政府の声明を確認する付帯決議をつけて、この決議に対して政府が再確認するということに対する総理の御意見を承わりたいのであります。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 第一の御質問の、国内的にいかなる手を打ったか、これは条件についてですか、一般問題についてですか。

苫米地英俊自由民主党

○苫米地英俊君 先ほど申し上げましたような工合に、国内的に、国交回復した場合に、今の日本のあたかも太平洋戦争の前のような国民が分裂した形をとっておる。従って治安対策というものは、これは非常に大事なんです。ソ連は、対外政策には二つの手段を使っておる。  御承知の通り、一つは、政府が外務省を通じて対外折衝をやっておる。他は、党を通じて他国を混乱させ、赤化の最終目的に向って使っておる。しかし政府はいかに内政干渉をしないといっても党のことは知らぬと言って、今まで突っぱねてきておる。従って治安対策ということは、非常にむずかしい問題であり、それには法律上の欠陥を補う司法的な措置を設けるようにする。また行政的にこれに対応する方法を講じておかなければならない。また日本の思想が非常に混乱していますから、これをもっと正常な、日本に適する思想を持たせるようにするためには、教育も必要であります。日本の大学は……

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) わかりました。

苫米地英俊自由民主党

○苫米地英俊君 まことに不思議な存在で、世界にこんな大学はないのです。どこへ行っても、国家とつながりがあるか、実際とつながりがあるか、もしくは国民とつながりがある。ところが日本の大学は、政府とも絶縁されておる。国民とも絶縁されておる。そうして勝手な理想論を唱えている。そのために、この教育というものの波乱が非常に起っていると、私は信じております。これらの問題に対して、国交回復後に、これだけの手が打ってあるから心配するなと、こういうことをはっきりさせていただくならば、この質疑応答によってもやもやとしているものを、取り除くことができると、こう考えるのであります。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 御質問の趣旨はわかりました。私は御質問が国内的にいかなる手を打ったかというのを、ソ連と交渉する前にいかなる手を打ったのかという御質問かと思ったわけです。そうではなくて、国交が正常化せられたる後に国内について……。

苫米地英俊自由民主党

○苫米地英俊君 正常化されるまでにどういう手を打ったか。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) わかりました。  その前に、国内的にいかなる手を打ったかということになれば、ソ連と国交を正常化するということの必要なることについては、私はずいぶん前から国民に訴えておりました。それからまた国際的にいかなる手を打ったかと、これは国際情勢の推移を十分勘案して、慎重にやっていかなくてはならないと思います。しかしあなたの御質問が、治安の問題をおもにするということならば、昨日治安の問題については、どういうような考え方をしているかということを答弁いたしましたから、それを御参考にしていただきたいと考えます。

苫米地英俊自由民主党

○苫米地英俊君 私は、日ソ国交を回復するというのであるならば、国交を回復した場合に、こういう問題が起ってくる、その基本線、世界で二大強国と言われているソ連が戦敗弱小国の日本に対して自発的に国交回復を求めてきた。しかも正常の経路を経ないで求めてきた。そのときに、基本線は一体、ソ連は何を狙っているのか。日本から何を取ろうとしているのか。国内をどういうふうに動かそうとしているのか。国際政局にどういう反映を及ぼそうとしているのか。これらの基本線をお考えになって、これに対してはこれ、あれに対してはあれという、はっきりした確信をお持ちになって立ち上られたものだろうと思うのです。その確信のほどを伺いたい。  また二十七年九月以後、絶えず主張してこられたことはよく存じておりますけれども、総理が熱情を持って、これに当られるならば、これに並行して平和回復後における、国交回復後におけるいろいろの手を国内的にもお打ちになったのだろうと考えるのであります。どういう手をお打ちになったか、こういうことを伺っているのであります。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 私は、ソ連が日本に国交の正常化を求めて参りましたのは、やはり米国との軍備の競争をするということは、世界平和を求むるゆえんではない。世界平和はどうしても必要だ、お互いに軍拡をやって競争をして、水爆、原爆の競争をしておったならば、ともに破滅する。それですから世界の平和は、どうしても世界の皆欲求をしておるところのものであるから、やはりその点から発足をして、日本の国交の正常化をしようという考えを起したものと思います。

苫米地英俊自由民主党

○苫米地英俊君 どうも少し、総理のお答えはずれているように思うのでありますが、むろん総理の言われることもあるでしょうけれども、特に日本に対して国交回復するということが、そういう意思があるならば、サンフランシスコ条約のときに、なぜああいう過酷のことを言ったか。しかるにあの過酷のことを言って調印をしなかったのに、あの時期になって日本にああいうことを言うてきたのは、それ以外に何かあるのじゃないかとお考えになりませんでしょうか。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) サンフランシスコ条約のときには、戦争直後でありまして、ソ連は日本に対して戦敗国として、もっと要求を過大に考えていたのでしょうけれども、その後の国際情勢というものは、戦争回避の情勢にみんなが向ってきたものと思います。

苫米地英俊自由民主党

○苫米地英俊君 その点は、私満足いたしませんけれども、時間がありませんので、ただ総理が長い間、御主張になっておった、主張しておっただけじゃ、これはだめなんで、その主張を遂げたならば日本のためになる、日本は微動もしない態勢を整えておかなければならない。それに対して、どういう手をお打ちになりましたか。平和回復後に対する準備が、主張と並行しなければならない。並行して、どういう手をお打ちになりましたかと伺っているのであります。法律上にもまだ穴があいている。行政上にも穴があいている。それをどういうふうに埋めてこられたかと伺っているのであります。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 苫米地君の御質疑は、治安の関係が重点だろうと思っているのでありますが、私は、ソ連との国交回復によって、国交の正常化によって、直ちに国際共産主義が活動をしげくするものとは思っていませんが、とにかくその点について、日本の治安関係の諸諸機関が、十分に密接なる関係をとって、そうしてソ連に対する諜報や情報等をつまびらかにする必要はあろうと思います。治安の維持については相当の手を考えていかなければいけないというような考えを持っております。

苫米地英俊自由民主党

○苫米地英俊君 近ごろ治安問題について、関係方面であわてたように、いろいろのことをいうていることはよく承知しております。けれども、あのあわてたようなやり方でなしに、これらのことを準備する時間は十分にあったと思うのでありますが、結局十分国民に確信を与え、政府が確信を持つ準備がなかったものと、私は推定せざるを得ないのであります。この国際的関係におきましても、日本が日ソ国交の交渉を始めても、どこの国も静まりかえっておって、どこからも援助の手は伸べられなかった。終りごろになってアメリカから、重光外務大臣がロンドン、ニューヨークで話をせられてから、少し動いたようなふうでありますけれども、どこの国も、無関心といったような状態であったところを見るというと、国際的にりっぱな手が打たれたとは考えられませんが、これは外務大臣いかがでございましょうか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 日ソの交渉をやるにつきましては、日本と主要な関係を持っておる国々に、十分これを了解せしめるということが第一点でございます。それから第二点といたしましては、日本の主張を十分に世界の世論をして了解をせしめていくということが第二点でございます。  このことについては、むろん交渉を始める場合においては、外交手段として、当然これはとらなければならぬことだと思います。その施策を進めてきたわけでございます。それが十分でないという御観察は、これは私ども伺っておいて差しつかえないと思いますが、しかし米国を初め、この交渉については十分の了解を与えてきてくれましたために、この交渉においては、何も外国からの故障もございませんでした。また、外国の世論も、大体においてこの交渉の筋を了解してきたが今日までの状況であると私どもは考えております。

苫米地英俊自由民主党

○苫米地英俊君 それは、外務大臣の言われる通りであるかもしれませんが、もう少し具体的に、どういうふうにしてきたということを伺わないと、外部から見ておるというと、ほとんど外務大臣がモスクワで、南北千島全部、樺太を放棄しても、平和条約を締結しようという決意をされて後になるまで、国民には、アメリカが動いたこともわかっておらないのであります。あれからロンドンに来られてお話をされて、例の平和条約の二十六条問題とかなんとかうるさい問題が起って、初めて国民は外務大臣がそういうお話をなさったのだということを認識した程度なんであります。それまでは、もう何もしないで、そんな問題が起ることにも気づかぬで、いわゆる自主的に自分勝手に考えておったんじゃないかと、こういう印象を得ておるのであります。その点は、もう少し具体的にお話を願いたいと思います。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) それらの点は、交渉が進むに従って、相当外部に出てきておったのでございまして、十分注意をされておる方は、それについて私は誤解はなかったと信じております。のみならず、米国等との連携と申しますか、よく了解をさして進んできたということは、国会に対して私はそのつど説明を申し上げております。さようなわけで、この経緯については、外交的に動いたことは、これは外交の常道として全部発表はいたしておりません。発表をいたしておらないから、何もそれはなかったんだという結論は、むろん出ません。発表しなくても、やらなければならぬということは、どんどんやらなけばれなりません。その結果とは、私は必ずしも申したくないのでありますが、しかし、どこからも故障は、この交渉に入ったことはございません。のみならず、米国側は、最終的にわが国の主張に対して相当積極的な支援をしてきたということは、御承知の通りでございます。

苫米地英俊自由民主党

○苫米地英俊君 会議の経過については、一々これを知らせたということは聞いておりましたけれども、私は結果から見るというと、どうも努力が足りなかったのではないか、効果が現われてこなかったのではないかという感じがいたすのでありますが、しかしそれはそれだけといたしまして、外務大臣が御帰国になったときに、飛行場で声明を発せられましたが、あすこで、今は打つべき手はずべて打ち、いうべきことはすべて言い尽したと、そこで今は国民が決意をする時期だとこうおっしゃったのでありますね。ところが、その後国民は、外務大臣からはっきりしたことをお聞きしたいと思っておりましたけれども、何も一口も国民にはお話にならない。そこで声明では、国民が今は決意すべき材料をお与えにならない。秘密外交を排撃されておるにもかかわらず、秘密を堅持して、一向に国民に対して決意すべき資料をお与えにならなかったのは、これはどういうわけでございますか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) お話の通りに、私がやりました日ソ交渉においては、いうべきことは言って、突きとむべきことは突きとめてきたと、こうあの当時に思ったのでございます。それを材料として、一体国民は、日ソ関係を正常化する方面に向うか、それとも反対の方向に行くべきかということを決断すべきときであると私は考えました。そう考えました。そうして、ゆっくり一つ時間もあることだから、よく考えてもらいたいということを申し述べました。その考え方は、私が当時帰って参りましたときの考え方でございますが、今日から見ても、大体そういうふうにしてよかったと思っております。そこで、その後の形勢によって、私は声明ばかりを出す地位にもおりませんでした。しかしながら、私は、やはり日ソ国交の正常化の方向に同かなければならぬということを強く国民に印象をさしたつもりでございます。そこで、平和条約の形式ではこれはいかぬから、暫定協定によるべきだという方向に導いてきたわけでございまして、その問について、いろいろ国内的に議論があったことは事実でございます。そうでありますから、これを順次に国交正常化の方に導いていくことが必要であると考えました。  さようなわけで、行くべき方向をはっきりして参ったつもりでございます。

苫米地英俊自由民主党

○苫米地英俊君 どうも、私は十分納得がいかないのでありますが、そもそも外務大臣が全権として、平和方式で国交復交をやるということに努力されたものと私は伺っておるのでありますが、それがあとからひっくり返っちゃうというのは、これはお出かけになる前に、内部ではっきり今度のような方式でいくか、平和条約の方式でいくか、これをはっきりきめないで、独走されたのじゃないでしょうか。私は独走もいいと思う。外務大臣は長い経験もお持ちですから、その経験によって、国のためにこういうふうにやるとおっしゃるならば、私はこれは異議がありませんけれども、それならば、あの声明通りにわれわれは正確に判断し得る十分な資料を与えて下さらなければ困る。ただあれでは、外務大臣が独走したか、もしくは出かける前に打ち合わせがなかったかどうか、こういった疑惑を国民に持たせるのであります。私も持った一人であります。この点いかがでございますか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) そういう疑惑を持たれたとは、実は驚くべきことだと思います。少しは、このいきさつを十分御検討になった上での御判断を願いたいと私は思うのであります。私はこういう大きな問題について、独走ということはしなかったわけでございます。私の、どうも初めからの何は、国民的にもこれは考えて、平和条約の方式にいくことがいいことだ。そうしなければならぬことだということで、これはいろいろ御議論はございました、御議論はございましたが、そのことについて平和条約の方式にということは、政府もそういう決定をし、与党もそういう考えになり、その他の方面においても御議論はございましたが、それで進んでいくのだということで、そういうことで国会に対しては、繰り返し私はその方針をもっていったのであります。それでもって、はっきりきめて、そうしてロンドン会議もやり、私もモスクワに行って、それでやったのであります。それでその方式で行き詰ったのであります。いうべきことは言い、向うを突きとむべきことは突きとめて帰ったつもりでございます。  そこで先ほども申す通りに、これで一体決裂をしていいものかどうか。国交正常化をあくまでやるべきか。もし国交正常化をあくまでやるとするならば、どうしなければならぬのかということに思いをいたさなければならぬことになりました。それで先ほどもおっしゃる通りに、今度は平和方式でなくして暫定方式でやるべきだということで進んで行ったのであります。これは、今平和方式でやるということも、相手あってのことで、日本が一人でやるということはいけませんから、相手の意向を確かめたところが、相手も平和方式でいこうということで、一応話をしてきたのであります。それで行き詰った後に、さてどうするかということで、今度は暫定方式でいくべきだということに結局意向がまとまったのであります。そうして先方もそれで異存がないということで、最終的にその方向に向ったわけであります。そういう事実はすべて発表し、内容もすべて世間周知のことでございます。

苫米地英俊自由民主党

○苫米地英俊君 どうもおかしく私は思う。あなたは、モスクワにおいてもロンドンにおいても、平和方式でもってやるのだ。自分はその決意だ。ロンドンにおいても、なぜ自分が署名してこなかったかとさえ思うと言っておられるのです。行き詰っても、あなたは平和方式でやろう、こういう決意をもって帰ってこられたと思うのです。  そこで、今外務大臣のお話を承わりますというと、行き詰ったから変えたと言いますが、そこで総理にお伺いしたいのは、外務大臣が全権として出かけられる前に、平和方式できめるということを閣議でおきめになったのでございましょうか。またきめたとするならば、それを変換した理由は……。行き詰った、何に行き詰ったか、その点をはっきりさしていただきたいと思います。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 平和方式で参りますのが、これは常道なのでありまして、領土問題をきめずに最初からソ連と交渉する意思はなかったのであります。ところが領土問題については、ソ連も強硬なる意見を持っておりまして、日本の主張とはまるで正反対で、デツドロツクにぶつかったものですから、そこで暫定方式というものを考え出したわけであります。

苫米地英俊自由民主党

○苫米地英俊君 それでは、閣議でこの常道である平和方式でまとめて来いというように総理大臣から外務大臣に御指示があって出かけたのでありますか。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 領土問題を解決するというのが常道ですから、それですから、もちろん日本の主張は、最初においてソ連に十分に吹き込んでおかなければなりませんから、当然に、そういう話はありました。

苫米地英俊自由民主党

○苫米地英俊君 領土問題がむずかしいということは、ロンドンの交渉のときにもわかっておったし、また全権は現地において、平和方式で踏み切ろうという決意をされたのであります。その決意をされたのを、内閣で引っ繰り返されたというのは、私はわからない。またこのときに外務大臣があの踏み切りをされるときに、あの踏み切り方が、サンフランシスコ条約に抵触しないとお考えになっておったらしい。それはその後の国会における答弁でも、そのように了解できるのでございますが、どうもここのところに、わきから見ておりますと、政府が二転三転している。確信をもって進んでないのだ。これが国民に大きな不安と不満を与える根本だと思いますが、この点は、幸ら押問答してもだめでありますから、このくらいにいたしまして、そこで先ほど申し上げましたような工合に、この参議院において、政府が領土問題について所信を述べられており、それを納得させるだけの材料をお話しにならないのでありますから、少くとも参議院は、政府の言うているところは間違いないのだということを確かめる決議をして、その上で政府はその決議を了承すると言われるならば、ここに問題は非常に簡明になってくると思うのでありますが、この点に対する総理の御意見はいかがでございましょうか。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) ただいまの御質問は、ちょっと了解しがたかったのですが……。どういうことですか。

苫米地英俊自由民主党

○苫米地英俊君 もう一度申し上げます。政府が、質疑応答を通じていろいろお答えになっておりますが、それでは、もやもやしたものが残っておる。また社会党からは、秘密会を開いてその実情を話せ、かような要求も出ておるのでありますけれども、これをどうもはっきりさせるという政府の態度がない。これでは幸ら押問答をやっても、これは、質疑応答で国民を納骨させることはできないから、参議院は参議院独自の決議をして、その決議の通りに政府が確認される、こういう方法をとったならば、国民は了解すると思うのであります。その点について御意見を承わりたい、こういうわけであります。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 択捉、国後が継続審議にかかっているか、かかっていないかというのが具体的の御質問ですか、それに対しての付帯決議をするという意味なんですか。

苫米地英俊自由民主党

○苫米地英俊君 もちろん領土問題全部が継続審議の対象であるということと、それから国後、択捉はもちろん対象になっておるということ、それを、政府はそうだと言うておられるのですから、われわれは、さように了承する、間違いないかという決議によって、政府の意向を確かめたい、こういうのです。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 私は、その点は今日までの経過によって明瞭だと思いますから、付帯決議の必要はないと思います。

苫米地英俊自由民主党

○苫米地英俊君 私は明瞭でないから、そういうことを申し上げているのです。意見の相違でありますから、これはやむを得ないので、独自に私ども考えるほかはないと思います。  大体、農林大臣に私はほとんど質問をするつもりで参ったのでありますから、それを留保しまして、きょうはこれで終ります。

小滝彬自由民主党

○委員長(小滝彬君) 質疑の通告順から申し上げますと、今度は森君、残っているのは吉田君、佐多君でありますけれども、いずれも出席しておられないようでありますので、まだ緑風会の持ち時間もありますから、梶原さん、御希望であれば御発言を願います。

梶原茂嘉緑風会

○梶原茂嘉君 私も、農林大臣に若干の質問が残っておるのでありますが、適当の機会に質問することにいたしまして、簡単に松本さんにお伺いしたいのであります。松本、グロムイコ交換交文で平和条約の継続交渉には領土を含むと表現されておるのであります。この交換交文ができまする過程において、領土を含むという言葉のほかに国後、択捉を含むというのがわが方の案であったと、それが、交渉の経過において、国後、択捉を含むという言葉がなくなったということが言われておるのでありますが、その間の事情を一つ、御説明を願いたいと思います。

松本俊一自由民主党

○全権委員(松本俊一君) 私とグロムイコの交換文書の問題につきましては、私は衆議院の特別委員会でもはっきり申し上げました通り、私は当時鳩山総理大臣がブルガーニン首相に送られました書簡並びにそれに対するブルガーニン首相の返事、この二つの文書の中から領土問題の——領土問題と申しまするのは、もちろん国後、択捉の問題も含むものであります。歯舞、色丹の問題も含むと思います。つまり日本の領土問題全部についてです。日ソ間の懸案になっておる領土問題全部について、国交正常化後なお継続審議をするのかしないのかということについて疑問が起きましたので、政府は私に対して、モスクワに行って、その点をはっきりさせろということで、私はモスクワに参りましたことは御承知の通りでございます。そこで私は、二つの前提のもとに、ソ連の、最初は今度参りますフエドレンコ外務次官と交渉をいたしました。  それは、二つの前提と申しまするのは、暫定方式によって国交が正常化された後においても、平和条約の締結の交渉は必ず将来やらねばならぬということが一つであります。そのもう一つは、平和条約の交渉をやる以上は、必ず領土問題の交渉をやらなければならない。その領土問題の中には、もちろん今お尋ねの国後、択捉の問題も含んでおるのであります。こういう二つの前提の下に、フェドレンコ外務次官並びにグロムイコ第一外務次官と交渉の結果得ましたのが、私とグロムイコとの交換文書であります。  そういうふうに御了解を願います。

梶原茂嘉緑風会

○梶原茂嘉君 その経過は、御説明を待つまでもなくよく了承しておるのであります。私のお伺いいたしたいのは、領土に関連して、わが方の考え方と向うの態度との間に、相当の相違があること、これまた事実であります。従って領土を含むというその領土の中には、国後、択捉を含むのだという趣旨が——これは念のためになるかもわかりません——わが方の原案にあった、ところが、それが折衝の過程においてなくなったということが、この折衝の経過の中に、あったのかなかったのかということをお伺いしておるのであります。

松本俊一自由民主党

○全権委員(松本俊一君) 私は折衝の初めの案のときから、領土問題を含む平和条約の継続審議の文字だけでありまして、決して国後、択捉という文字は、初めから私の出しました案には入っておりません。この点は明確であります。

梶原茂嘉緑風会

○梶原茂嘉君 私は、外務大臣にお伺いしたいのでありますが、今回の日ソ共同宣言が発効いたしますことによって、わが国の国際的の立場は、新しい場面に当面するわけであります。従ってまたわが国の外交というものも、そういう立場において、今後展開されることは、これは当然のことであります。  ところで、第二次世界大戦後のわが国に残されておりまする最大の問題は、私は中共の問題であると思います。考え方によれば、ソ連との関係以上に中共の問題が重要であり大事であると私は思うのであります。従来中共との関係においては総理も繰り返して言われており、外務大臣も繰り返して言われましたことは、中共との関係は、いろいろむずかしい問題であることは、これは当然のことであって、いわゆる貿易の増進等の積み上げ方式によってやっていくのだということであったのであります。これまでのところは、それも一つの道であろうと考えておったのでありますが、今回国連にも加盟をして新しい場面において発言をしていく立場の日本としては、いわゆる従来の積み上げ方式というふうなことではいけないのであって、もうあの積み上げ方式の段階は、私は過ぎたと思うのであります。どうしても中共の問題を解決していくことは、私は日本外交の持っておる責任じゃないか。どうしても歴史的の関係から見ましても、歴史的の関係から言っても、中共の問題を解決していく上において、イニシアチブをとるのは私は日本ではないか。そういう観点から、従来のように賛助の拡充というふうなことによって国交回復の実を上げていくのだということは、私は、はなはだ心細い。もうそういう段階は、今回の日ソ国交回復の機会に過去のものになって、新しい一つの構想と工夫によってこの問題を打開しなくてはなるまい、かように思うのでありますが、外務大臣の一つ御所見を伺いたい。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 中共の問題と申しますか、中国大陸と日本との関係を重要視して、将来の外交の施策を進めなければならぬ点については、私はその通りだと考えます。御承知の通り、第二次世界戦争以来、いわゆるシナ問題は世界的な問題になっております。日本一国で解決すべき問題でもなければ、また解決のできる問題でもないのであります。戦争前の関係とは、よほどこの関係は大きく異なっております。それは日本の地位の低下ということもございましょう。しかしながら世界の関心が非常にこの方面にも多くなったということも関係しておると思います。  そこで私は、日本はこの世界的の関係を離れて考慮するということはできないと思います。また日本の世界的な地位をはかって、そしてこの問題に対処しなければならないと考えております。その意味において日本がいろいろな考えを出し、またその大勢を動かすべく努力するということは、これは当然やらなければならぬ。それは日本としてその方向に向って努力してきたのでございます。しかし、もしお話の点が、何か中共との関係を打開しなければならぬというお話が、中共と今日ただちに政治関係を開かなければならぬということでありますならば、これはたびたびお答えした通りでございまして、その時期でまだない、こう私どもは考えておる次第でございます。

梶原茂嘉緑風会

○梶原茂嘉君 もちろん外相の言われます通りに、大戦後の状況、特に現在の状況から見まして、日本だけがその力によって、シナ大陸の問題を解決するとかいう筋合いのものではこれはもちろんないのであります。ただ今後、従来と違って、日本の発言が十分でき得る機会に、初めて私はのぞむことになった東南アジアとの関係等を考えましても、やはりこの中共の問題、シナ大陸に関連する問題について、日本が十分なる発言をしていくことによって、意義のある外交が展開できるのじゃないか、その場合に外務大臣として、抽象的じゃなく、どういう一つ構想を持ってこの問題を解決の方向に持っていくかという、その構想をお伺いしたいのであります。現在そういう具体的な構想をまだお持ち合せがなければ別でありますが、何らか、そういうお考えがあれば承わりたいと、こう思ったわけであります。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 私のお答えすることので、きるのは、先ほどお答えした通りでございます。

梶原茂嘉緑風会

○梶原茂嘉君 なお数点簡単なことでありますが、お答えを願いたい。  日ソ共同宣言で、国交が問復し、中共との関連でありますが、国民政府と日本の平和条約によって、領土問題その他、一応結末がついた。ところが、このシナ大陸と申しますか、国民政府の実際上統治権の及ばない中共と日本との関係は、いまだ戦争状態にあるのか、中国政府との平和条約によって、戦争状態というものはすべて終了をして、従って中共との関係は、戦争状態にはこれはないんだ、将来中共と日本との関係においては、従って平和条約的のもの、あるいは平和条約の内容とする領土その他の戦争に関連した跡始末の問題、そういうものはなくて、まあ中共政権の承認といいますか、そういう道が残されておるだけかどうか、その点について一つお答えを願いたい。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 御承知の通り、中国との平和条約は、中華民国政府として日本が認めたいわゆる台湾政府との間に、りっぱにできておることは御承知の通りであります。これで解決しておるというのが、これは法律条約的の解釈として間違いはないと思います。  従って中国と日本とは、平和関係にあるわけであります。  ただ中共との関係は、これは中国の国内的の勢力争いとして、中共と日本の承認した台湾政府というものが争っておるのであります。それは早く中国の問題として、中国において解決をしてもらわなければならぬ問題だと、こう考えております。これが筋道だと考えるのであります。

梶原茂嘉緑風会

○梶原茂嘉君 ただいまの御見解によるというと、中共との関係においては戦争に関連する問題というものは、建前上すべて解決されておると、こう理解していいわけですか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 私どもの申し上げるのは、中国との間に解決をいたしておるというのが筋道だと……。

梶原茂嘉緑風会

○梶原茂嘉君 その外務大臣の言われる中国というものは、いわゆる国民政府及び中共を含む中国、こういうふうに受け取れるわけであります。従って分析すれば、中共との関係においても、戦争に関連する問題は解決がされておるんだと、こう理解していいのですか。

小滝彬自由民主党

○委員長(小滝彬君) 梶原君、下田条約局長の説明でよかったら、下田条約局長に……。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 私が申し上げておるのは、中国との問題においてこれは解決しております。  なおその問題は、これは政治問題としては非常なむずかしい問題になります。それは、中共と国民政府との関係、中国の勢力関係、これは政治問題として、実際的に取り扱うべき部面がたくさんあろうかと思いまして、またそれが実際の政治外交でなければならぬと思います。  そこでその筋道とは別にもしくは筋道は筋道としておいて、その範囲内においてでき得ることはしなければならない。実際に合うようにしなければならない。そこで中共との貿易の問題が出てくるのでありますから、そちらの方面において、実際的に施策を進めておるというのが今日の状況であります。ただしその筋道の条約関係、法律関係については、条約局長から御説明を申し上げます。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) 外務大臣の御答弁を補足して申し上げますが、御承知のように日華平和条約の第一条には、この平和条約が発効すると同時に日華両国間の戦争状態は終止すると、あたかも日ソ共同宣言の第二項と全く同じ規定がございます。  その場合に、日華両国の戦争関係というものは、日本と統一体としての中国との戦争状態が終了するものであることは申すまでもないことであります。これは中国の内部の二つの政権が分裂しておるということのあるなしにかかわらず、戦争状態というものは、一つの国と、中国というまとまった国との間の関係でございましたから、それは平和条約の発効によって終了したというのが法律的に正しいと思います。  ただ御承知のように、日華平和条約には、この条約の規定は、現に国民政府が支配しまたは将来支配する地域に適用するという規定もあるわけでございます。その意味は、あの条約には、通商関係のような規定もございますし、また今度の議定書と同じような通商条約の発効に至るまでの経過的の貿易手続、その他に関する規定もあるのでございます。そういうようなものは、これは現に中国が——国民政府が支配してない地域に適用しようだってできないことであります。そういう国家の単一体としての戦争関係という問題と、それから具体的に現に支配しておる地域でなければ適用できないような条項とは、やはり区別して考えなければならない。そういうふうに考えられるのでございます。

梶原茂嘉緑風会

○梶原茂嘉君 御説明によりますると、日華の間の平和条約によって基本的な問題、すなわち戦争の終了、あるいは台湾の領土というものは中国に対してわが方は放棄する。こういう基本的な問題は、これは中国全体に及ぶのだ。従って分解していえば、中共に対しても、言いかえればシナ大陸に対しても、こういう基本的の問題は解決されておるのだ。こういうふうに理解されるのでありますが、それでいいわけですね。

下田武三外務省条約局長

○政府委員(下田武三君) 先ほど申し上げました国家間の戦争状態の終止、また今御指摘になりました台湾、澎湖島に対するサンフランシスコ条約の規定を確認すると、そうした規定、これもまた中国の内部が分裂しておる現実の事態にかかわらず、国家対国家の関係において、必然的に効力は存続するものだと考えております。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 関連して伺ってよろしゅうございますか。

小滝彬自由民主党

○委員長(小滝彬君) どうぞ。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 先ほど苫米地委員の御質問の中に、それから総理の御答弁の中にあった問題ですが、どうも領土問題に関する継続審議、すなわち国後、択捉その他の領土に対する継続審議の点がはっきりしておらないようだから、この参議院において共同宣言等を承認する場合に、何らかの参議院としての意思を付帯決議みたいなものにして出すというお考えのようですが、私個人は、この問題については、参議院が十分な審議を尽した上に、どうしても不十分と認められた場合においてのみ、そういうことがいいか悪いかを考えるべきものであって、現段階において、当然にそういうような付帯決議をつけるというようなことを頭からきめていくのは正しくないと私は考えております。  しかし、今日までの審議の過程を通じた印象からいえば、私自身もせっかく鳩山、ブルガーニン書簡、ことに鳩山さんのブルガーニンに対して出された書簡、それを追っかけての松本・グロムイコ書簡に、はっきりと領土全体の継続審議がうたってあったのに、最後にできた共同宣言については、これはその後のいわゆる新党議の線からきた結果でありましょうが、歯舞、色丹についての明示的な規定がある。これとまあ引きかえ的にとでも申しまするか、領土に関する継続審議という言葉は、確かに字句的に抜けている。それらの点について、さらに当委員会として慎重かつ徹底的な検討を加えることが絶対に必要だと考えておるわけであります。従いまして河野全権としてはそれらの問題については何らの御答弁をなさらない。そうしてその問題については、外交上の機微ということで答弁をなさらないので、私は、常道にはずれるけれども——要すれば秘密会においてでも、その点を明らかにすることを主張しておるものでありまして、この問題は、当委員会としても、正式に取り上げて、いかにするかについて、今委員長と政府の間で交渉願っておるような次第であります。そういうような結果を見て、そうして果して付帯決議がいるのかいらないのかということを考えるのが筋じゃないか、私はかように考える。  しかし同時に、この問題に関連する苫米地委員の御質問に対して、総理は、その必要なしと——もとより議会の行動でありまするから総理にお伺いする必要はないようなものでありまするけれども、この問題について、議会が付帯決議をすることについては、総理は必要なしというきわめて明瞭なお答え。ところが同様な問題について、しからば政府の声明をする必要はあるかないかという議論に対しては、総理は一たんその必要なしと言われて、直ちに河野農林大臣のささやきの結果、いや政府は、もし国民に疑いがあるならば、そういう声明を出すであろうと、ほとんど出すことがきまっておるような御答弁になっておる。そうすると私は、そこに非常に矛盾をお感じにならないか。政府としては、国民にそれだけの疑惑があるということを承知であるから、その疑惑を解くために、同時に国民に今後の向ううべき道を示すために、声明を出そうと、ところが議会の方で同様の疑惑があった場合に、そういう決議はいらないのだということは、一つの問題に対する、結果からいえばおかしい。かように考えるのですが、どうも河野さんがおられないと、そういう機微な政治的な問題についての最終的な御回答が得られないようでありまするから、今度の機会でいいですから、はっきりと政府としては、いつ声明を出されるのか、またこのことと関連して、もう一ぺん苫米地さんに対する非常に明確なお答えでありましたけれども、果してそれが矛盾であるかないかについて、よくお考えの上に、あらためて御答弁を願いたいと思います。これが第一点。これは従って、今お答えをいただかなくてもけっこうでありまするが、私から意見を陳述しておくわけであります。  第二点は、これまたもうすでに本委員会としては、委員長と政府の間で交渉に移っておると思いまするが、元来私は、秘密会議なんかやりたくないのです。本来ならば、外交上機微だからというような理由にかまけないで、これは何も河野さんだけが政府を代表しているはずでないわけです。総理大臣とされては、特に河野・フルシチョフ会談において、この歯舞、色丹だけは早く返してもらう。そうして他の問題は、領土は継続審議という、当然の日本の政府の主張が、どうしてああいう結果になったか、それらの経緯については、当然に議会を通じて国民にその経緯を明らかにする、そのことによって、初めて共同宣言に盛られた、このいわゆる平和条約は継続審議にする、その中に明確に国後、択捉等の問題が入っているか入っていないかといういうことを、われわれが初めてそのときに判断し得ると思うので、これは秘密会をとらずに、政府の方から進んで疑惑を解く意味において、この点を明らかにするおつもりがないか、この点を総理から伺いたいと思います。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) その当時におきましては、領土問題全体を継続審議にするということには、ソ連が承知していたのであります。それは、私が出発前に、ブルガーニンとの文書の交換によりまして、全部継続審議にするということは同意済みであったのです。そこへもってきて、日本から歯舞、色丹だけは直ちに日本に返還するということを明示せられるということになったものですから、そこで、領土問題全部を継続審議をするという文字を削ってくれということをソ連が申し出しまして、断じてきかないのです。そこで、書いてなくても、以来のいきさつによって明瞭だから、書かないでも差しつかえないと判断したのであります。それですから、国後、択捉の問題が継続審議になるということは、前後の事情によって明白であると信じておるのでありますから、特に約束をしなくてもいいと思ったわけであります。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 非常に重大な御発言があったわけです。今までの政府の御答弁では、あるいは御説明では、特に領土に関する継続審議という言葉を使わなくても、事理の当然として、平和条約の継続交渉ということになっておれば、領土問題を含むのであるから、国後、択捉が継続審議になっていることは間違いない。のみならず、その前に鳩山・ブルガーニン書簡、松本・グロムイコ書簡に、はっきりと領土全体を継続審議するということになっているのだから、その二つの理由で、この共同宣言案に領土の継続審議という字句がなくても、領土の継続審議は疑いないと、こういう御説明であった。ただいまのお話を聞きますと、そうでなくなってくるのです。全般的の領土の継続審議ははっきりしておった。ところが、その後新党議の線が出て、歯舞、色丹というものをどうしても返してくれ、それに対して、それは返してやるけれども、しかし領土の継続審議ということは、歯舞、色丹を書けば、それは落してくれ。こういうことで、どうしてもソ連の方がいうことを聞かなかったから、その領土の継続審議という表現を落した。落したけれども、前後の関係で、日本の方の希望は、はっきり歯舞、色丹以外にも、国後、択捉の継続審議を前に言っておるのだから、大丈夫だと思って、あえて残念だけれども、領土の継続審議ということを共同宣言案から除くことに賛成したのだ、こういう御意見だ。  そうなれば、これは私は、日本の希望はそうであっても、できた正式の約束の中には、ソ連が、この領土の継続審議ということを、歯舞、色丹に関する限り日本の希望を入れるために、それを引っ込ませることに成功したのだ、こういうことに私はなると思うのです。それならば、これは非常に重大な問題である。すなわち日本の希望にかかわらず、結果において、できたところの国際約束の中では、領土の継続審議というのは、ソ連が拒否したから落ちておるのだ。私はこういう結果になろうと思うのです。私はその点明瞭だと思うのです。  私はその点を申し上げておきまして、あらためて明日以後の審議の際に、今後とも疑問等があれば、審議を続けていきたいと思います。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(鳩山一郎君) 私は、従来の主張と全く変っていないと思いますが、この点については、松本全権からさらに明らかにしてもらいます。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 私はこの問題は、河野全権も出た上において、もっと本格的に質疑を継続したいと思います。

小滝彬自由民主党

○委員長(小滝彬君) 曽祢君の意向は前から承知いたしておりまするので、せっかく政府側とも話し合っておりまして、明日はぜひ政府側から進んで発言してもらうようにいたしたいと目下努力しておりますが、ただ曽祢君に申し上げますが、せっかく松本君が補足的に説明したいというなら、これを委員会として聞くのは、何も差しつかえないと思いますから、松本君の発言を許します。

松本俊一自由民主党

○全権委員(松本俊一君) ただいまの曽祢委員の発言につきまして、私は曽祢委員が、やや総理の言われましたことを曽祢委員の主観において解釈しておられるように、失礼でございますが、そう感じましたので、私から補足いたしておきますが、総理大臣が申されたことは、交渉の経過を申されたのでありまして、この今できております共同宣言の字句についての政府の従来の説明を何ら御変更になったものではないのでございます。私はその点を、交渉に従事いたしまして、総理大臣並びに河野農林大臣を補佐いたしました全権の一人として、その点を明確にいたしておきたいと思います。さよう御了承願います。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 私は、総理が今までの御発言を訂正されているとは思いません。総理が経過の、何といいますか、河野・フルシチョフ会談における領土問題の経過について、一部を御説明に相なり、それを私が解釈すれば、非常に重大なことになる、こういうことを申し上げたわけであります。従いましてこれらの問題については委員長に特にお願い申し上げたいことは、もうこういう問題を秘密会議でやるというようなのは、私は適当でないと思うのです。今度次の機会に、これは正式の本委員会において、この経過をはっきりとしていただきたいことを要求しておきます。

小滝彬自由民主党

○委員長(小滝彬君) 了承いたしました。  本日は森君、吉田君、佐多君、いずれも出席がないので、大体これを除いて通告者の質疑が済んでおりまするので、本日の委員会としては、この程度にとどめ、次回は、明日午前十時に開会いたします。  それでは、これにて散会いたします。    午前十一時五十九分散会

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