外務委員会 第3号
- 発言数
- 117 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1956/11/22
会議録
○委員長(小滝彬君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 千九百五十六年の国際小麦協定の受諾について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定の譲許の追加に関する第六議定書の受諾について承認を求めるの件、以上二件を一括して議題に供します。 前回に引き続いて質疑を続行いたします。前回の委員会で要求のありました資料は、ただいまお手元に配付してありますから、ごらんおきを願いたいと存じます。御質疑のある方は順次御発言を願います。本日の政府側の出席者は森下政務次官、湯川経済局長、条約局高橋参事官、それに通産省からは樋詰通商局次長、乙竹産業機械課長、農林省食糧庁の日比野輸入計画課長がそれぞれ出席いたしております。
○曾祢益君 先般委員会が決定して政府に要求しました説明資料は、ここにいただいていると思うのですが、これに基いてちょっと説明をしてもらいたいと思います。
○委員長(小滝彬君) ただいま曽根委員から御要求がありましたが、この資料について政府側としても説明したい点があるだろうと思います。せっかく要求がありましたからどちらからでも一つ御説明を、まず第一にガットの関係についてお願いいたしたいと思います。それから先日のこの委員会ではきわめて形式的な説明があったので、もう少し実質について議員の皆さんによくわかりやすいように、日本における利益とか、あるいはその交渉の経過等も簡明に一つ全般的な説明をつけ加えてお願いいたしたいと思います。
○政府委員(湯川盛夫君) いろいろな追加の説明資料として御配布申し上げた中で、一つ、「各国の関税譲許がわが国の輸出に及ぼす影響」というのがあります。これは前回の会合で、各国の関税譲許が日本の輸出にどういう影響を及ぼすかということについての資料の御要求がありましたので、ここに提出してございます。これは各国の譲許によってどれだけ日本の輸出が伸びるかというのは、輸出の伸びは必ずしも関税率のみにかかるわけでもありませんので予測することは困難でございますが、しかし昨年一番日本の輸出について大きな影響のあるだろうと思われる国は米国であるということを御説明したのでありますが、そこでその米国から得た譲許品目について、その後貿易の推移はどうなっておるかということをば別表で調べてございます。この表の作り方としましては、昨年日本がガットに加盟したのが九月でございましたので、昨年の九月から今年の八月までの一年間と、その前の一年間とを比較対照いたしまして、どういう伸びになっておるかということをば表わしたものでございます。 それから今回の交渉の結果、日本は米国及びスエーデンとだけ交渉したわけでありますが、米国及びスエーデンがわが国に譲許した品目、これを別表二としてお配りしてございます。またこのほかに、各国がわが国以外の第三国と交渉して譲許した分が、最恵国待遇の適用によって、今後わが国の輸出産品にも適用されることになった場合のいわゆる間接利益、こういうものについて別表三というものを作成いたしました。この比較的厚いやつで、「第三国間の交渉に基く譲許の表、(わが国の輸出に利益があると認められるものを収録した。)」と、こう書いてある書類がそれでございます。 それからもう一つ別に、「わが国の関税譲許に関する説明」という書類がございますが、これはわが国の関税譲許が日本への輸入に及ぼす影響、先ほど御説明申し上げたのは、「わが国の輸出に及ぼす影響」でございます。こちらの方は、わが国の輸入に及ぼす影響というものをば概略書いたつもりでございます。 本日お配りの追加資料に関する御説明は大体以上の通りであります。
○曾祢益君 まず日本の輸出に及ぼす影響について今次資料の御説明があったのですが、大体アメリカからの関税譲許の結果ふえているこの単位は大体どうなのですか。
○政府委員(湯川盛夫君) 千円でございます。上に書いてございます。
○曾祢益君 千円だと百五十億円ぐらいふえたというわけですね、ガットに加入して以来貿易は。この総計が出ているでしょう、前年同期に比べて。とにかくこの品目について、これは今度のコンセッションではなくて、前のやつでしょう。
○政府委員(湯川盛夫君) そうです。
○曾祢益君 ですから今度の予想はまだ立っていないのですけれども、もし割当制度だとか自発的抑制措置というものがかりに起らないとすれば、かなり輸出が、どのくらいあれですか、さらにこれよりか伸びるという見通しが立てられるのですか、今度の譲許の結果。今度のアメリカから得たコンセッションの結果、どういう品目についてどれだけ税率が違ったから、かなり伸びるというような予想が立てられるんじゃないですか。
○政府委員(湯川盛夫君) どれだけのびるかという算定は、これは単に税率だけできまらずに先方の市況とか、あるいは日本の商品の値段とかいろんな要素がありますのでなかなか予想をつけにくいのでございますが、しかし昨年の例からいいますと、この一年間で多くの品目についてこういったような状況にありますので、ことしもまた譲許によって相当な伸びがあるだろうということは確かであります。しかしどれぐらいという算定はちょっとただいまのところつけにくいと思います。
○曾祢益君 金額にして幾らというようなことはもちろん困難でしょうけれども、たとえばこういう品目について関税譲許を得たから、こういう品目は伸びる可能性をもっている、つまり商品別に対米輸出が、今度の関税譲許の結果その点からいえば伸びそうな傾向の品物は、どれとどれとどれ、たとえばどういうものかということの例示的でいいから御説明を願いたい。
○委員長(小滝彬君) その点については通産省の樋詰通商局次長も来ておるようでありますから、場合によっては通産局の方から説明願ったらいかがでしょうか。
○曾祢益君 ぼくも通商局の方から説明願いたい。
○委員長(小滝彬君) 続いて曽根委員が前回の委員会でも言われた、輸入による日本の産業は一体どうなるかという、その点は産業面のことだから……
○曾祢益君 それはあとで聞きます。今輸出の方で……。 アメリカから今度得たコンセッションの結果、どの品目が伸びそうかということを……
○説明員(樋詰誠明君) 今回譲許を得ました商品で一体どのくらい伸びるか、これは今湯川局長のお話のように金額的にはどの程度ということはわからないのでございますが、たとえば交織の絹織物でありますとか、あるいは絹スカーフ、ハンカチーフ、化繊衣類、あるいは装飾用の衣類でありますとか、あるいは化学製品、玩具類というようなものにつきまして、いろいろコンセッションを得ておりますので、これを昨年のコンセッションというものの場合に、たとえば綿織物等が一九五四年に比べまして、五五年並びに五六年にかけて三倍程度伸びたとか、あるいは絹織物にいたしましても、五割以上もふえているとかいったような例からいたしますと、繊維関係並びに雑貨関係といったものにつきましては、相当伸び得る可能性があり得るのではないかと、こう考えておりますが、むしろ今まで非常に伸びすぎたということのために現在問題を起しているといったものもございますので、そのあたり輸出の場合にも、また国内的にもある程度統制のある輸出をしたいというようなことをいたしまして、現在の輸出をさらに伸ばすようにいたしたいと考えております。
○曾祢益君 そこでちょっと問題になる点は、この前も永野委員から御指摘があったと思いますが、せっかく関税の率についてはコンセッションがあっても、しかし実際問題としてこれによって輸出が伸びるかと思うと、今度は実際はこれは業者の値くずしということは必ずしもいいことじゃないが、実際ふえてくると、アメリカとしてはガットの精神に反するような輸入量の方を制限したい、またしなければこれは国内法として独立法かなんか出して、税率を引き上げるというようなことが行われる。そういうことは一体ガットの精神及び協定からできるのかできないのかということも法律上問題だと思うのです。またそれにいく前に現実には日本側のいわゆる自発的な抑制措置をやらざるを得ない、こういう問題に逢着しているのです。結局これは見かけから見ると特にこれは綿製品とか化繊製品なんかに起っていると思う。現実に昭和三十年度以上の輸出を行わない、たとえば別珍のごときはもっと高くしろという要求で、結局ガットで関税の譲許を得たって現実には対米輸出ではあまりプラスにならないというような結果を超すおそれはないのか。この点については一体先ほど申したようなガットの精神からどうなのか、またそういう法律論は別としても、現実にはあまりプラスにならないのじゃないかという心配も持つのですが、これに対する外務省と、通産省の見解を一つお願いしたい。
○政府委員(湯川盛夫君) せっかく譲許をもらっても、いろいろな制限が起きるから輸出ができないではないかということにつきましては、やはり昨年と今年の統計を見ましても現実には相当にふえております。そこでたとえば今年の対米貿易を見ますと、一月から九月までで輸出が四億三千九百万ドル、昭和三十年の同じ時期の一月から九月に比して輸出は一億七百万ドル伸びております。一昨年あたりはまだわが方の輸出は二億七、八千万ドルくらいのものでございましたが、やはり非常に譲許によって日本の輸出が伸びていることは事実でございます。ただ、ものによりまして非常に急激にこちらの輸出がふえましたために、先方の業界でいろいろな反対運動の出ておるものがあることは御承知の通りでございます。そこで日本としては、やはりそれでも譲許を得た方がいい。ただいろいろな貿易政策として値段とかあるいは品質とか、あるいはいわゆるオーダリー・マーケットとか、あるいはなるべく輸出の品目をば多様化す、そういったことは貿易政策としてやらなければならない。しかしいずれにしても、やはり関税が低くなるということは日本の輸出を伸ばすために必要なことと考えております。
○曾祢益君 ちょっと法律論を聞きたいのですが、この関税のコンセッションをやれば、これは国内法で勝手に変えるわけにいかないでしょう、この税率に関しては。何年間継続するのですか。
○政府委員(湯川盛夫君) さしあたり五七年まででございますが、しかし新しいガットの規定によりますと、それがまあ早晩発効すると思いますが、そうしますと、三年間続く。その後また三年ごとにレヴューして続いていくというふうになります。
○曾祢益君 そうすると、この関税譲許に附する限りは、税率の方はそういうふうにアメリカが勝手に変上えることはできない。しかし、税率の方は変えないが、数量を何とか、割当制と正式に言わないまでも、数量の制限をやるということは、これはガットの方からできるのですか。アメリカはやることができるのですか。もし日本が自発的にやらなかった場合には、その点はどうなんですか。
○政府委員(湯川盛夫君) 日米間には最恵国条款というものがございますから、日本の商品を特に明記して制限するというようなことは、そういった面からも困難で、できないと思います。まあそういう形でなく、一般的に平等にやるといったようなことはあり得るわけでございます。
○曾祢益君 そうすると、今の通商航海条約とかガットその他の国際的な多角的な条約等からいえば、特にある国の商品ということを言わずに、実際上に日本が非常におもな輸出品目である、ある種の品物に限って量的の制限をするということは、これはできるのですか。条約上は日本から抗議する対象になるかならないか。
○政府委員(湯川盛夫君) ガット税率で縛ったものは絶対に数量制限できないという規定はございます。
○曾祢益君 一般的に数量制限みたいなことは、貿易自由化の原則からいかぬというようなあれはないのですか。
○政府委員(湯川盛夫君) 貿易自由化の原則からいえば、制限の全然ないことが望ましいわけであります。だんだんガット加盟というのはそういう方向を最後の目標にしておるわけでございます。しかし現状においては多くの国は国際収支等の理由からある程度の制限をしております。まあただアメリカとかカナダとかは、こういった為替制限といったものは行なっておりませんから、比較的他の国に比して自由な政策をとっておるわけでございます。
○曾祢益君 それじゃまあ大体法律論は一応わかりましたが、けさの新聞なんかにも大きく取り上げられておる現実の問題として、綿糸布とか布畠製品のいわゆる自発的制限の問題、これについての日米間の問題をどういうふうに処理するのか、通商局の方から方針を伺いたいと思います。両方から聞きたい。
○政府委員(湯川盛夫君) もし私の説明で足りませんでしたら、あとで通産省の方から補足さしていただくことにいたします。現在やはり先ほど申し上げましたオーダリー・マーケットとか、あるいはなるべく輸出品目を多様化するといったようなことから、日本の繊維製品については、輸出について自主的規制を行なっていることは御承知の通りでございますが、来年一月から実施する自主調整策について、数量その他については、せっかくやるならば、なるべく米側の意向も反映させる方が得策である。こういう見地から、現在、アメリカの意向を打診するということで、アメリカの当局と話し合っておる次第であります。まあ割合に今までのところでは、アメリカの考え方は相当シヴィヤである。それをそのまま日本の自主調整に入れるということはむずかしいと思いますが、しかし、なお話し合いをしておるわけでございますから、できるだけ相互にとって合理的なラインというものを発見したいと考えております。
○説明員(樋詰誠明君) 対米輸出が非常に伸びたということのために、いろいろな製品について問題も生じましたが、一番問題なのは、特定の商品に集中してそのために向うで安売りされるということが、今までも一番問題になっておりますし、今後もその点一番問題が深刻化すると、こう思われますので、今湯川経済局長からもお話がございました通り、われわれといたしましては、現在向うの米側の関係業者の意見というようなものを十分徴しました上で、できるだけ品目をある程度分散させる。そして特定の品目に集中して輸出が急激に伸びるということがないように、各品目がバランスをとりながら徐々に堅実に伸びていくという方向にもっていくということにするならば、比較的向うに対して刺激することも少ないのではないかというふうなことを考えております。大体輸出の可能なる範囲におきまして、四半期にわたって平均化するというふうなことで、全体の量が順調に伸びるということでもっていきたいということで、できるだけ向うの意向が那辺にあるか、何を一番心配しておるかという点において今せっかく検討調査中です。
○永野護君 この質問に関連してちょっと伺いたいのですが、今の点は、私この前この次のときに御説明願いたいということを申し上げたのでありますが、私どもの考えでは、ことに繊維品に関しましては税率を下げてもらうということよりか、日本人がこの税率を払ってもデマンドのあるだけは供給することができる、というふうに計らうとかしてもらった方が実際的にありがたいと思うわけであります。そこで言葉じりをとらえるわけではありませんけれども、先ほどの樋詰さんのお言葉には伸び過ぎたから、ということがありましたけれども、日本の役所で伸び過ぎたということを認められる根拠が、どの程度になったら伸び過ぎたという判断になったものか。そして従来の過去の実績に、これは繊維製品ばかりじゃございません、陶器製品につきましても、カン詰につきましてもいろんな問題がいつでも起る。それは無理のないことで、向うの消費者はそれを非常に熱望して、アメリカ国民の仕合せは日本の安い商品を買いたい、こういう点にあるのでありまして、非常に自然にふえてる。不自然な工作をして例えばダンピングをして売れたとか何とかいうのじゃないのです。アメリカの国民は日本の商品を買いたいという自然のデマンドがあるのであります。それをどの程度になったらつまり不自然な伸び方と判断をされるのか。それで将来の問題を考える前に私は過去のことを実は伺いたかったのでありますが、どの商品がどの程度に伸びたらどういう反響が起きてきた、それに対して日本政府はどういう手を打ったというようないきさつを聞かしてもらいたかった。これは非常にアメリカの問題を考えるときには大きいのでありまして、単に税率がいくら下ったとかいうよりは、もっと大きい影響が将来各種の商品について起ると思いますから、私は、アメリカで今の日本の商品が売れるようになったのは不自然な現象じゃなくって、アメリカ国民の仕合せがそれによって招来されるきわめて自然なことだと、こう考えておるのであります。それがどの程度になると伸び過ぎたというような判断をされるのか、ごく少数の業者だけが動きますとそれに対してただ何にも手を打たないで、漫然それがアメリカ全体の国論として扱われるのでは少し不十分じゃないかと思うのでありますから、ああいう運動が起きたときに一体どういう対策を従来日本の政府は講じておられたか、という過去のいきさつについての御説明を願うと、将来の問題を考えるときに非常に参考になると思いますからそれを実はお願いしたかったのであります。
○説明員(樋詰誠明君) 二、三例を申し上げますと、先ほど私伸び過ぎたと言うたのははなはだ表現が悪いのですが、急激に伸びたので向うの市況等にも非常に大きな変化を来たしたということで非常に刺激を与えたと、こういう意味でございますが、例えばギンガムあたりにつきましても五四年は六百二十万平方ヤードだったのでございますけれども、それが昨年五五年には一躍八倍になりまして四千八百万ヤードをこえた、大体アメリカの全生産が二億五千万程度というのでございますが、これまで微々たるものだったものがその五分の一に上った。しかも日本製品は価格が安い、安いものではいったので向うの市況が非常にくずれたものだから、関係業者が非常に心配したということでございまして、像かの例では別珍が一番ひどいのでありますが、別珍はアメリカの全生産が五百万平方ヤード、それに対しまして昨年はアメリカの生産をはるかにこえます六百九十約七百万に近いもので、アメリカの全生産を四割ばかりこすだけの輸出がいきなりアメリカ市場に飛び込んで、しかも価格が非常に安いということのために、向うで安いものがあまりにも急激に大量はいって来たということのために、非常な波乱を感じたということでございます。二次製品もブラウスのごときもほとんど五四年にはなかったのでございますが、四百万ダースからはいった。アメリカの全生産量の千二百万に対して三割三分というものが、ほとんどなかったものが飛び込んで、しかもそれまでは大体二ドル八十セントでありました、そこへ日本品が九十九セントで売られたということのために、市況全体が一ドル八十セントまで下ってしまったということで、非常に不安を与えて関係業者が脅威を感じた、そういうような実態なんです。
○永野護君 つけ加えて伺いますけれども、私伺いたいのはそれは今事実を伺ったのでありますけれども、それに対する日本政府の対策はどういうことをされたかということを伺いたい。というのは非常に日本がダンピングをしておるとか、日本に反省をするととがあったならともかくですが、そうでなく正当なあるべき姿に貿易が伸びておるとしますと、その事実はアメリカ国民の大衆の利益になることであります。従いましてこの交渉をしますときには、アメリカ大衆の利益を背景にする交渉ができるような気がするのであります。きわめて少数のメーカーの主張に対して、アメリカ大衆の利益が味方をしてくれるというメリットのある交渉ができるのではないかと思うのであります。たとえば陶器にしましてもアメリカでは厚手のものしかできない、日本の薄手の使いやすいものが出て来た、大衆が非常に希望した。そしてどんどん売れるようになったのに、その大衆の要求を抑えるというととはきわめて少数の業者の利益に動かされておるのであろうと思いますから、この大衆の利益ということを背景にした何らかの手が打てなかったのかという気がしますから、何かそういうような努力をされたことがありますかということを伺いたいのであります。
○説明員(樋詰誠明君) できるだけ日本といたしましても手取りをよけいにする。日本としては向うの市場にも必要以上の脅威を与えないでかつ日本が手取りをよけいにする、これは一番望ましい。そういうことが考えられますので、ただダンピング的に先を争って市場に進出をして売りまくるということは、日本自体に外貨収入を必ずしもよけいもたらさないということである。あるいはかえってそのために相手国の需要者自体にはよくても、自然関係業者あたりの反対等から、自分で自分の首を締めるということになっても、はなはだ好ましくないということで、まず役所といたしましては、昨年の七月に対米輸出に関する品質規格というものの最低限を設けることによりまして、できるだけあまり粗製乱造品的なものに流れるのを抑えるということをすると同時に、価格の協定による輸出ということを実施するように指導してきたわけでございますが、それでも数量自体を制限をしないということであれば、薄利多売式に向うの市場になだれ込むといったようなことがございましたために、やむを得ず量をある程度に押えて、とにかく一定量に押えまするならば、売る方といたしましても、一定量を売るのにできるだけ高く売るということで、自分の手取りをよくすると同時に、相手国市場に対する刺激をも比較的少くさせるということで、この数量を制限するというようなことのために、その後比較的落ち着いてきたんじゃないか、そういうふうに考えます。
○委員長(小滝彬君) 政府側に御注意申し上げますが、永野委員が聞かれたのは、国内措置というよりも、対米交渉の面において、需要者の立場からの、いわば味方が出てくるのではないか、そういうパブリック・リレーション的な活動をなさっているかどうかということだから、外務省側ではっきりした答弁をしたらどうですか。
○永野護君 今、委員長の言われた通りに、私の質問と今のお答えとは全然食い違っているような気がするのでありますが……。
○政府委員(湯川盛夫君) もちろん、アメリカでも、需要者としては、品質がよくて安ければ、その方が好ましいわけであります。ただ現実の問題としては、やはり特定の商品が非常に先方の市場にフラッドするといったような事態が出ますと、それに従事している産業では、非常に脅威を感ずる。そこで、反対運動が出るわけでありますが、綿製品の場合においても、一番初めに反対運動の出ましたのは、レディース・ガーメント・リーカーズ・アソーシエイションですか、そういった労働組合から出たわけであります。で、一般消費者は、日本でもそうでありますが、割合に結成された力というものがございませんで、一方産業別団体とか、あるいは労働組合とか、こういったものは非常に団結した力がある。そこで、ある特定の産業が非常に脅やかされるといったような場合には、非常に強い反対が出るわけであります。しかし日本としては、日本商品の品質がいいとか、あるいは価格が決してダンピングでないとか、そういった啓発宣伝ということはやっておりますし、それからいろいろ、こういった問題が関税委員会の公聴会にかかったような際には、できるだけコンヴィンシングな資料をととのえて主張してもらうというようなことは努力しております。しかし現実の問題としては、消費者の団結した声というものはなかなか出ませんで、これに反して直接に脅威を感ずる産業といった方の声が大きくなる。これはどこの国でも大体そういった現象はある程度やむを得ないわけであります。しかし、できるだけ日本の立場というものの説明には、絶えず努力しておる次第でございます。
○永野護君 そこまではわかるのですけれども、しかし私は経過を一切知りませんから、まずもって具体的にどういうことをされたかということを聞いてから、それから意見を申し上げるのが順序かもしれませんが、消費者には団結がない、メーカーの方にはいろいろある程度労働組合その他に団結があるから、太刀打ちがしにくいのだというような御説明でありますけれども、たとえば一般大衆の利益を代表するたとえば新聞で世論を啓発するとか、あるいは日本で申しますと、主婦連合会というようなもので、家庭を本位にするものに呼びかけて、そうしてそれが私は向うのメーカーの反省を促すような意味においても意義があると思うのです。日本よりなぜ高くて悪いのだという反省を促すような運動にも私はなるのではないか、決して個々の消費者の間に連絡がないからというだけで、打つ手がないというものではないのではないかというような気がしておるのであります。これは、今のは過去の話ですけれども、将来日本がよい品を安く売るとすぐ喉頭を締められるというような傾向が続くと思いますから、それに対する一般的の日本政府の心がまえといいますか、態度と申しますか、そういう場合に、しようがないや、長いものには巻かれろというようなことでなしに、少くも主張の正しいことだけはあらゆる方法を通じてアメリカ国民に訴えるという努力が要るのではないか。つまり、高いのですから、アメリカの商品が安くなりゃ行きゃしないのですから、アメリカの商品が安くてよくなれば、今度は日本がなんぼやったって売れやしないのですから、だからそういう大衆の味方を得ることは、あながち困難ではないような気がするのであります。そういう意味で、将来の対策について何かもう少し考えていただく余地があるのではあるまいかというような私の感じでありますが、それでそういうことを申し上げたわけであります。
○政府委員(湯川盛夫君) お説はまことにごもっともでございまして、まあ政府としてもできるだけのいわゆるPR運動というものはしておりますし、あるいは商業会議所とか、ファー・イースト・エコノミック・カウンシルとかいうような、そういったようないろいろな会合の機会あるごとに、なるべく日本の立場というものについては努力しておるわけであります。また新聞等にもできるだけのことはしておるわけでありますが、ただ現実問題としては、やはり組織のある団体、産業団体とか、あるいは労働組合とか、こういったようなものは相当資金が豊富にあるわけでありまして、それに比べて、政府のやっておりますこういう運動は、限られた資金でできるだけはしておるわけでございますが、何といっても貧弱だと思います。まあこういった点では、今度の予算では、できるだけたくさんの予算をいただいて、さらに努力したいと考えております。
○永野護君 私は今のお説ごもっともと思うのですけれども、非常に具体的のことを突っ込んで伺いますと、だれかこう、これだけ大きな問題について、日本産業全般にわたる問題ですが、こういういわゆるPR運動といいますか、これを専門にやられる人と、それから専門のそれに対する財源を、国家としては考えてよいのではないかと思うのでありますが、現実にはそういう人もおられるのですか、あるいはそれに関する予算も盛られておるのでありますか、それだけ伺って今日はもうとどめます。
○政府委員(湯川盛夫君) まあお説はまことにごもっともで、できるだけしなければならぬわけでございます。今まではどうも、それぞれ在外公館で努力はしておりますが、これを専門にやっておるようなものはございませんです。そこで私どもでは、ぜひ何とか今度は実現したいと思っておるのですが、これはまあ日本人だけでやっても、もちろんだめなわけでありまして、まあできますならば、何かPRエージェント式の相当恒久的な機関をかなりな予算を持ったものを作りたい、そうしてそこにこういうことの専門家というような人、あるいはまたアメリカの市場分析なんかのいい調査マン、そういった人たちも一つ使えるようにして、そうしてこういったPR運動の大きな中心にしたい。こういう考えで予算としては今度請求しております。
○永野護君 今まではなかったのですね。
○政府委員(湯川盛夫君) 今まではそういった程度のものはございません。その場その場の、問題の起きたときにいろいろな人を委嘱したことはございますが、こういったものはございません。どうしてもこれはやはりこういった何か機関を設けまして、組織的にいろいろやる必要があると思います。ただいまおっしゃったことまことにごもっともと存じて、私どももそういったことを一つもっと考えたい。こういうことで今度の予算も出しておるわけであります。
○永野護君 わかりました。
○曾祢益君 今永野委員から指摘されたような点についても同感な点も多々あるのですが、そういう啓発も大いにやらにゃいかんでしょう。そういう場合に僕の見地から言うと、やはり日本の労働組合の援助といってはおかしいのですけれども、労働組合の立場からも向うの労働組合に呼びかけるということも一つ方法としてわれわれも考えていく必要があると思うのです。同時にまた日本の産業条件が、あるいは労働条件というものが、たとえば近江絹糸みたいなものを持っておるために、非常にダンピングの疑いを持たれる。こういうやはり日本における労働政策の貧困性というものが非常にからんでくる。そういうことを含めてやはり大きく考える必要がある。同時に、確かにやはりあまり売り急いで非常な市場混乱を起させることのないように、これはやはり輸出側の方からいっても長い利益を伸長させるためには、これはやはり自発的の何といいますか、自制措置もある程度必要だ。これも奨励しなければならぬ。ただその場合に、私も永野さんと同じ考えを持っておるのでありますが、どうもやはり当局側の何というか、腰の置き方といいますか、やはり長い物には巻かれろじゃないかもしれぬけれども、たとえば今伝えられている綿布や別珍の場合を考えてみると、向うの過去そのままに、数量的には二年前の数量にくぎづけだというような事項もあるやに新聞に伝えられておる。それじゃ漸進的に伸ばしていくということで、特定の品物で市場を急激に攪乱することはこれは差し控えろということは、われわれとしてもわかる。しかし数量的に二年前の数量にくぎづけられたのじゃ、これは貿易の順次促進ということにならない。だからやはり政府としてもそういう点については、きぜんたる態度をもって、貿易は自由化がほんとうなんだ、であるから自発的な統制も必要であるが、やはり目標というものは過去の数量にくぎづけだというようなことは承知できない。こういうやはり大局的な腹をくくった上で、その上で合理的、妥当な自発的統制はやらなければならない。特定の品物に集中しないように、成るべく品物を分散する。そういう意味のマーケットというもの、オーダリー・マーケッティングというものは奨励する、そういうつもりでやっていただきたいと思う。これは希望として申し上げておきます。 それから第二の問題は、日本に対する影響なんですが、私もまだ十分に資料を検討しておりませんけれども、これは輸入の問題だということをおっしゃいましたけれども、これは言葉じりをつかまえるわけじゃないけれども、これはちょうど今のアメリカの場合と同じことで、つまり国内生産の問題ですね、従ってこれらのアメリカに今度与えたコンセッションというものが、日本の当該産業に具体的にどういう影響を与えるかということについては、これは相当やはり研究されたし上に、結局はここに書いているようにすべてはやはりギブ・アンド・テークなんだから、大局上これはいいということで総合的に判断されるものだと思うわけです。そこで今度は特にアメリカの要求したコンセッションの中で、ここに断わったものがありますが、断わり切れなかったものがある。それは当該産業に一体どれだけの影響を与えるか、この点について産業別、品目別に通産省の方からどういうふうになっているからまあ大した影響はないとか、大丈夫であるとか、多少は心配だと、一々説明してもらいたいのですが。
○委員長(小滝彬君) 通産省の方からだれか来ておりますか。
○説明員(樋詰誠明君) 非常にたくさんの品目がございますので、全般的なことを申し上げまして、あと原局の担当課長も来ておりますので、原局の方から申し上げることにいたしたいと思っておりますが、大体国内産業に悪影響を及ぼすであろうと考えられるもの、たとえば果汁でありますとか、乾燥ミルク、皮革、醋酸繊維素、合成繊維メリヤス地、あるいはラジオ受信機、真空管、タイプライター、ベアリング、ピストンリングといったものにつきましては、これは向うから相当強い希望があったものでありますが、これは一応全部国内産業に悪影響ありとして譲許を拒否したわけでございます。それから大体日本の国産品自体が相当の競争力があって、関税を引き下げてもその影響というものは心配するに足らないといったもの、たとえば塩化ビニール、あるいは醋酸ビニール系の合成樹脂、グリス、塗料、紙製の容器、絶縁電線、蓄音機、あるいはミシンといったものにつきましては、これはある程度の引き下げをいたしました。これにつきましては作る品物につきまして、もしあれでありましたならば、原局の方からお答え申し上げますが、影響を検討した結果、国際競争が十分であるということで、引き下げても心配ないと、それからある程度影響はあるかもわかりませんが、一応全体的に見た場合に、影響というものは、全体的にはそれほどおそれるに足らない。それにもっていって相手方の関心が特別強くて、これをやることによって全体の交渉がうまくいくと思われるものにつきまして、たとえば一部のフルーツ・ジュース、オレンジ・ジュースを除くフルーツ・ジュースでありますとかソース類、あるいはテレビの二十一インチ以上の受像機、あるいは工業用の自動車というものは、これは若干やっておりますが、これは影響がないとは申し上げられないとも思いますが、しかしその影響は比較的軽微である、そういうふうに考えております。 で、いろいろたくさん品物がございますが、特にこの品物についてどうだといったようなお話でございますれば、これは商品別に原局から申し上げたいと思います。
○曾祢益君 あまり詳しいことは知らないのですけれども、たとえばテレビとか写真フィルムというものは、かなり日本で勃興している産業じゃないかと思うのですが、その点は大丈夫なんですか。
○説明員(樋詰誠明君) テレビにつきましては、これは二十一インチ以上のものだけこれを譲許したわけでございます。これは御承知のように二十一インチ以上というのは、日本では大型のがほとんどないと思いますので、これは事実上心配ないのでございます。
○曾祢益君 けっこうです。
○委員長(小滝彬君) それからどなたか御質問がございますか。――ちょっと途中ですが、今ガットの関係をやっていましたけれども、この前、梶原さんや海野さんからの御要求がございまして、農林省から来ておりますから、あの方を一応聞いたらどうかと思いますがどうですか。
○吉田法晴君 ちょっと……。今の曽祢君の質問に関連して一、二点伺いたいのですが、果物のジュースについては「オレンジ・ジュースを除く」ということですが、これは直接ガットに関係があるかどうかわかりませんが、このジュースを除くというのは、ジュースについては変化がなかったということなんですか。それからオレンジ・ジュースの製造、これはバヤリースの日本でのとにかくジュースの製造を許可した、こういうことで日本のジュース業界はみな恐慌を来たしておるやに聞いておりました。それから最近コカコラについて、コカコラの輸入が許可されたということで、大きな脅威を与え、あるいは波紋を呼んでおる次第でありますが、関係がないのかもしれませんが、「オレンジ・ジュースを除く」と書いてございますから、関連してお伺いしたい。
○委員長(小滝彬君) 今税関部長が見えておりますから……。
○説明員(山下武利君) お答え申し上げます。 アメリカのバヤリースとかミッション等の輸入品に対抗いたしまして、国内製品もだんだん工業設備が充実いたしまして、愛媛県とか山口県等の夏ミカンの原液、それから三重県とか和歌山県のミカン原液などを利用いたしまして、品質の向上と企業の合理化に努力いたして参っておるわけであります。そしてその結果といたしまして、果汁の輸入も毎年減少して参ってきております。このたびの交渉におきましては、昨年のガット交渉と同様に、アメリカの方では非常に果汁につきまして強い関心があったのでありますが、このたびはオレンジ・ジュースは特に日本としては譲許しがたいという事情がございましたので、これを除きました。たとえばパイナップルのジュースでありますとか、グレープ・ジュースというふうなものに引き下げを認めた次第であります。これらは日本では今のところ生産がありませんのと、日本人の嗜好の点から申しましても国産のオレンジ・ジュースを圧迫することはないというふうに考えておるわけであります。 なおバヤリースとか、あるいはミッションというふうな外国のものも、日本の原液を現在は使っておるわけでありまして、この点からも国内の産業を圧迫することはないというふうに確信いたしておるわけであります。
○吉田法晴君 オレンジ・ジュースはわかりました。 もう一つお尋ねをしたコカコラというのは、どういうことになるんですか。これはこの関税の引き下げには関係がなしに行われたのかと思いますが、いずれにいたしましても、そういう飲料の輸入については好ましくないと考えられておったやに思うんですが、それが最近許可された、こういうことですが、あるいはガットとの関係はないかもしれませんが、あわせて一つ今のことをお聞かせ願いたいと思います。
○説明員(山下武利君) お尋ねのありましたコカコラの原液につきましては、今回の譲許には入っておりませんので、これは関係ございません。
○説明員(樋詰誠明君) コカコラの今輸入問題のお話がございましたが、これにつきましては、何もコカコラと限ったわけではございませんで、一応今まで向うから原液を入れて、それを分合している、そしてドルをかせいでいるもの、といったものがありましたが、それはいろいろ契約によりまして、売上代金の一部を向うにドルで送金を認めているというふうなことになっておりますので、従来の外貨払いの範囲内で済むというものであるなら、国産果汁との競合等の関係の度を考慮いたしまして、国産に影響のないという範囲で、かつ従来よりも外貨払いがふえないで、今までの送金がやれるといった条件がつけば、一応入れてもいいのじゃないかということで、これは申請が今七件ばかり出ております。それは現在内容につきまして検討いたしておりますので、どこにどれだけ許すかということは、目下検討中ということになっております。
○海野三朗君 先ほど永野委員からもちょっと言われたのでありますが、綿製品の行方については、アメリカの方でつまり制限をしようというようなことが新聞に出ておる。そうすると日本の綿製品はどういうふうになりますか、通産当局に一つお伺いいたしたい。ダンピングであるといって締め出された結果は、日本の国内綿製品業者の行方は一向差しつかえないのですか。どうなのですか。
○説明員(樋詰誠明君) これはアメリカが絶対に輸入禁止するというようなことになりますれば、これは相当大きな影響があるということは考えられますが、しかしわれわれといたしましては、少くとも今まで伸びてきたといったようなものを、不当に過去の一定の時点の実績まで押えつけて、輸入を制限されるというようなことは、これはとうてい承認しがたいのでございますので、今後あまり向うの関係業者に急激な刺激というような不安を与えないような統制ある輸出をしながら、徐々に伸ばしていくという方向に今後も進めたい、こう思っておりますので、自発的にこちらも輸出を制限いたします場合にも、この数量を幾らにするかというようなことについて、まだ日米両国の意見が合っておりませんが、現在せっかく折衝中でございます。できるだけ今後も順調に伸ばすという方向でやっていきたいと思っております。
○海野三朗君 もう一言お伺いしたいのですが、先ほど永野委員もちょっと申し述べられたのでありますが、向うの大衆の消費者、その方面の利益を代表する者が向うにもあるはずなので、そういう方面との連絡をとれば――、そういうような手を日本の商務官はさらに打ってないのじゃないか、ぼんやりと漫然と、ただ外国に商務官として滞在しておって、ただそれを取り次ぐだけではいけない。そういう場合に大衆を代表する消費者の方と何らか連絡をとって、打つ手があったのじゃないかということを私は思うのですが、商務官のつまり考えが、どうも非常に私はぼんやりしておるように思われてならないのでありますが、商務官はどういうふうな情報を集め、どういう手を打っておられましたか、その状態を私はお伺いいたしたい。
○政府委員(湯川盛夫君) 商務官としてはできるだけ情報を集め、また日本品に対する制限の阻止ということについては、いろいろ努力をしておったわけであります。単に商務官のみならず、在外公館としては、こういった大きな問題については、全体で手分けをして、できるだけの努力をしておるわけでございます。
○梶原茂嘉君 ガット三十五条でしたか、あれと日本との関係の問題は、その後何らかの進展、変化があったんでしょうか。
○政府委員(湯川盛夫君) 昨年わが国がガットに加盟いたしましたときに、三十五条を援用した国が十四ございました。こういった国とは、ガット関係というものは現在存在していないわけであります。ただまあその十四カ国の中で、事実上日本に最恵国待遇を与えるという国と、それからやはり複関税制度等をとって、そういった待遇を与えないという二つにまだ分れるわけでございます。イギリスとかベルギーとか、あるいはオーストリアとかオランダとか、そういった国々は、まあ事実上は最恵国待遇を与えておる。これに反してフランスとか、それからオーストラリア、南阿連邦とか、こういった国は複関税制度で、事実上も最恵国待遇でない、こういった関係にあります。しかしまあ日本としては、もちろんできるだけこの三十五条を撤回してもらおうという交渉を絶えずやっているわけでございます。遺憾ながら今までのところ、まだ撤回した国はないわけでございます。ただ現在これはまあ個別的にいろいろな国と交渉しておるのでございますが、ただ今度のガットの総会で、ブラジルが新しい関税法をやるという問題が論議されました。これはまあいろいろブラジルと話をして、ようやくこの新聞税法が実施される際には、ブラジルとしては日本に対する三十五条の援用をば撤回をやりたいと、こういった表明をとりつけたわけであります。そのほかの国についても、まあ何とかしてこれを撤回させたいと思って、絶えず努力しております。
○海野三朗君 この前の――今日農林省の方が出てきておられるのであれば、伺ってよろしゅうございますか。――小麦協定と農産物との関係はどうなっておりますか。小麦協定と余剰農産物との関係。
○委員長(小滝彬君) 余剰農産物の協定が近くできるように新聞でも報道されておるので、たとえば最高最低価格なんかがあれに適用されるのかどうか、また百万トンの中に余剰農産物協定による、近ごろは農産物協定という、あれによって入ったものは含まれるか含まれないかという点が、この前の委員会で質問があったのですが、当局の方で答弁を留保しておったのですが、そういうような相互の関係を御説明願いたいと思います。
○説明員(日比野建兒君) 余剰農産物との関係につきましては、現存第三次の協定を受けるか受けぬかという問題がありますが、この問題につきましては、一応政府の方針としましては、受けるということだけはきまっておりますが、どういう品目をどれだけ受けるかということはまだきまっておりません。それか現在の二次の余剰を今買付けておるわけでありますが、余剰の関係は大体一次、二次とも期間が少しずれまして、大体通常輸入量が済んでから余剰が入る、買付が始まるという段階になっておりますので、第二次の余剰の小麦は、この七月から買っております。小麦協定の百万トンの中に余剰の数字が入るか、入らんか、現在までは、二次の協定までは余剰の百万トンのワク外で取り扱っております。
○海野三朗君 そういたしますと、その余剰農産物の中に小麦の量はどれほど見込んでおられますか。
○説明員(日比野建兒君) 小麦の総輸入量は、御承知のように、年間二百万ないし二百二十万トン程度輸入しておりますので、その余剰とか、グラントというか、贈与の分があります。こういうものを含めまして、大体五十万ないし五十五万、従って日本がそれ以外で買う数量は、まあ百四十万ないし百五、六十万の数字になりまして、そのうち百万トンが大体小麦協定で貰う、こういうことになります。
○海野三朗君 そうしますと、この余剰農産物を買い入れないと困るわけですね。百万トンの協定だけでは足りないわけですね。余剰農産物の中に小麦が入っておるとすれば、その入っておる量だけはぜひ必要なんでありましょうから。どうなっておりますか、その辺は。つまり百万トンの協定をした、それから余剰農産物のうちから何十万トンかくる、そうすると実際必要の量というものは……、余剰農産物がないというと困るわけなんですね、そのときそのときに買い集めをしなければならないというのでありますか。
○説明員(日比野建兒君) 御質問の趣旨がよくわかりませんが、余剰がなくても小麦の輸入面では困ることはないと思います。
○海野三朗君 そういう意味ですか。
○梶原茂嘉君 余剰農産物の小麦は、百万トンのうちに日本の考えで含め得るのですか、それとも余剰農産物に関する特別の別個の協定等から、それは含め得ない、別ワクだということになっておるのですか。
○政府委員(湯川盛夫君) 余剰農産物のやつを日本の考えだけで小麦協定の買付の方に含め得るかどうか、こういう御質問かと思います。これは買付保証の数量の中にこれを入れるかどうかということについて、やはり一種の合意が要るわけでございます。アメリカとしては現地通貨で買えといったことで、これと別にしたいという意思表示をしております。従ってこれを言っても、向うはこれは別にしたいと、こういう考えでございますから、買付保証数量の中に算定して記入するというわけにはいかない、こういうことでございます。
○梶原茂嘉君 そうしますと余剰農産物の協定の方からくると、こう考えなければいかんですね。
○政府委員(湯川盛夫君) 余剰農産物の協定といいますと……。
○梶原茂嘉君 別ワクにするという……。
○政府委員(湯川盛夫君) それは別にしたいと、アリメカとしてはする方針であるという意思表示を、小麦の委員会でもやっております。別になるわけでございます。
○梶原茂嘉君 これまでの協定は三年間続いたわけですけれども、その三年の間に、この小麦協定が本来の機能といいますか、それを出したケースがあるわけですか、ないのですか。お伺いします。
○説明員(日比野建兒君) 第二次協定の期間においてはありません。と申しますのは、最高最低価格の範囲内で価格が動いている間は、輸出国、輸入国の取引は普通のコマーシャル・ベースの取引として扱う、こういう規定になっておりますので、過去三年間価格の幅の中で落ちついておりましたので、小麦協定の規定が発動したという例はないと承知しております。
○梶原茂嘉君 将来を予測することは非常に危険であり、困難でありますけれども、向う三年間この協定がその効果を出すということが期待されましょうかどうでしょうか。
○説明員(日比野建兒君) 現在と申しますか、去年、ことしごろの小麦の生産事情、それから輸入国の事情等を考え合せますと、次の三年間に価格が二ドル以上に上るとかあるいは価格が一ドル五十セント以下に下るという事態はないのではないかとわれわれは推測いたしております。
○梶原茂嘉君 今の百万トンの数字というものは一応の算出の基準があるわけですか、それとも大体輸入品の半分というような大まかな基礎で出された価格ですか。
○説明員(日比野建兒君) 別に積み上げ計算ではありませんので、大体先ほど申し上げましたように年間二百万トン程度を輸入する場合の半分という今御指摘のあったような大まかな見積りでやっております。
○梶原茂嘉君 この百万トンの数字は、その三年間大体変えないのか、それとも毎年これは小麦年度で変えていくのですか、そういうところはどうなっておるのですか。
○委員長(小滝彬君) ちょっとお諮りしますが、もう、ガットの関係で通産省必要がなければ政府委員帰ってもらいたいと思いますが、いかがですか。
○海野三朗君 ちょっと私は通産省の方に……
○委員長(小滝彬君) ちょっとそれではお待ち下さい。答弁を……。
○説明員(日比野建兒君) 百万トンの数字は三年間変りません。
○佐藤尚武君 今のに関連して小麦の問題をお尋ねしたいのですが、今の御説明によるというと、何ですか、余剰農産物の価格は協定によってコマーシャル・べーシスによってきめるということになっておるけれども、これまでの取りきめられた余剰農産物の価格というものは、ガットの価格以上には出ていないという御説明だったと私は了解するのですが、そうなんでしょうか。
○委員長(小滝彬君) 小麦協定の最高価格以上には出ていない。
○佐藤尚武君 ところがこの余剰農産物の買い入れについて非常に非難がある。その非難の一つは、アメリカから高い物を買わされている、こういう非難。もし今の御指摘のごとくガットの最高価格以上に出ていなかったとするならば、その非難は全然当っていないということになるのですか、そうなんでしょうか。よくわれわれこの委員会でも聞くのですが、余剰農産物そういうものを買わない方がいい、アメリカから高い物を買わされるなら、南方あたりの自由市場で買った方がいいじゃないかという、そういう非難がよくある。もし今の御説明だとすると、全然根拠のない非難だということになりますか、それも確かなんですか。
○説明員(日比野建兒君) 余剰農産物価格が高いとか高くないという問題は、小麦協定の価格の範囲内における問題だと思います。もしそういう御非難があるとすれば……。
○佐藤尚武君 その範囲内であれば高いものを売りつけられたという非難が出てこないはずなんですがね。
○委員長(小滝彬君) これは品質に対して割に高いとかいろいろの非難もあったのですが、小麦協定との関係は直接ないものじゃないかと思いますが……。
○説明員(日比野建兒君) 先ほど申し上げましたように、余剰が高いとか高くないということは、おそらく通常で買っている価格と余剰で買っている価格を比較されまして、高いとか高くないとかという御議論だと私は思います。
○佐藤尚武君 わかりました。
○海野三朗君 ただいまの問題に関連をいたしまして、この小麦の値段は国内のつまり農民の値段とはどういう関係にありますか。
○説明員(日比野建兒君) 輸入外麦につきましては、御承知のように全部政府が買い上げておりますので、食糧庁で、入荷しました価格で低いものをとりまして、その価格で食糧庁が買い入れまして、払い下げの場合には別途計算した国内払い下げ上価格で売り払いをいたしております。
○海野三朗君 農民の方の小麦の値段とつまりこの輸入した価格との関係は、食糧庁で調整しておられるわけですか。農民にしわ寄せしないように……。
○説明員(日比野建兒君) そういうわけでございます。
○梶原茂嘉君 今の百万トンですが、これは小麦の輸出国、カナダやアメリカ、濠州、アルゼンチンですか、それと日本との数量の割り振りといいますか、これは日本側できめるのか、この小麦協定の理事会ですか、そこできめるのか、その点はどうなるのですか。百万トンはあらかじめアメリカから幾ら、濠州から幾らと、あらかじめきまっておるのかどうか、そのつど適当に日本が自主的にきめ得るのかどうか、そういうところはどういうふうになっているのでしょうか。
○説明員(日比野建兒君) 小麦協定百万トンというのは総量でありまして、輸出国買付先別と申しますか、そういう制限はありません。従って日本が買い進んでいって、こちらの自主的な買い進め方によってそのトータルをきめるというやり方でございます。
○梶原茂嘉君 そうすれば、たとえばアメリカ一国とだけ百万トンということも日本側の独自の考えできめ得るわけですね。
○説明員(日比野建兒君) そうです。
○梶原茂嘉君 もう一つ伺いたいのは共産圏です。特に中共の最近小麦の輸入の状況はおわかりでしょうか。以前は相当中共には小麦が入ったと思いますけれども、最近はどうなんでしょう。 それと、あるいは日本がこの協定によって入れた分をかりに中共に出すような場合でも、これはこの協定に関連なしに出し得るのかどうか……。
○説明員(日比野建兒君) 輸出の問題は小麦協定と直接関係ございません。
○梶原茂嘉君 関係ない……。
○説明員(日比野建兒君) ちょっとあれですが……、小麦粉をもし日本が買う場合には、それは百万トンの数量の中に入りますけれども、日本が小麦を買って加工して中共へ輸出する場合の数字というのは、小麦協定の数字に入らないと、こういうわけであります。
○梶原茂嘉君 ああそうですか。小麦協定参加国ですと、日本から、さらに輸入したものを輸出をすると何か調整されるのですね。中共関係は加盟国でないからそれはフリーだとこう見ていいわけですか。
○政府委員(湯川盛夫君) ただいまの御質問につきましては、これの第十一条の2に関連のあることではないかと思いますが、これには「輸出国はその保証数量の一部を他の輸出国に、輸入国はその保証数量の一部を他の輸入国にそれぞれ譲渡することができる。ただし、輸出国の投票の過半数及び輸入国の投票の過半数に基く理事会の承認を受けなければならない。」こういう規定があります。ここに書いてあります輸出国、輸入国といいますのは、この協定の輸出国、輸入国であります。従ってまあ中共は加盟国ではない、こういうことでございます。
○梶原茂嘉君 価格は一応安定ゾーンにおいて取引されるわけでありますけれども、これは最近の小麦の価格がどちらかといえば下りつつある。ところが国内の御承知のように小麦の価格というものは、食管制度の建前その他から、特別の価格政策が行われておって、その間相当の開きが出つつあるわけであります。小麦のような国際的な商品、しかもその価格というものは国際的に一つの共通性を持った状況にある。もちろん国内における農民の保護、農産物の価格の維持ということ、これまた当然に必要であり合理性があるのですけれども、その間あまりに開きが出てくるとなりますと、これは食糧ではあるけれども、一面国際的な商品の性格から見て、そこに相当の私は問題が出てくるのではないかと実は思うのです。現にすでに消費面においてそういう傾向というものは現われつつあるんじゃないかとすら思うのですよ。これは少し日比野さんに御質問するのもどうかと思いますけれども、輸入等を担当しておる方からでもけっこうです。あるいは経済局長からでもけっこうです。この行き方がいつまでもこれでいいのかどうか、何らかそこに考慮を払うべき段階にきておるのではないかという感じが私はするのです。それらについてのもし御意見がありますれば承わっておきたいのです。
○説明員(日比野建兒君) そういう問題を直接担当しておりませんので的はずれかもしりませんが、御指摘のように今麦の問題はシヴィアな問題でございます。それらの対策につきましては、別途関係当局で検討中でございますので、いずれ本委員会なり農水委員会の方でその点はわかると思いますので、そのときに一つ……。
○海野三朗君 私は先ほど通産当局に関連して伺ったのでありますが、もう一ぺんお伺いいたしたい。綿製品が、つまりアメリカへの輸出が制限せられるという場合に、日本の綿製品の行方に対して、いかなる手を打っておられるか、それをお伺いいたしたい。
○説明員(大城齊敏君) アメリカに対しまして綿製品の輸出、特に今問題になっておりまするギンガム、別珍というものが輸出制限せられますと、国内産業、特にこの製品は中小企業の商品でありまして、非常に影響が大きいということから、この数量がはなはだしく制限せらないように、目下向うとの意見調整に努めているわけであります。なおギンガムにつきましてはアメリカ以外にあまり市場がありませんので、アメリカの輸出を制限せられるということは、国内産業の生産設備の遊休を来たすという面がありまして、これはギンガム以外もありますが、特にギンガム製造業におきまして、安定法による生産制限をやるというふうな措置もとっておる次第でありますが、そのような状況でありますから、なおさら政府といたしましては真剣にアメリカと意見調整を行なって行きたいと考えております。
○海野三朗君 そこで私は外務省の方に伺いたいのでありますが、そういうふうな外務省というのは在外公館は窓口なんです。この窓口がもう少ししっかりしてもらわないと、国内で非常に私は困ると思うのですが、こういう際には前に手を打つ方法がなかったかということに私は多大な疑問を持っている。そういうことに対してよく調べ、国内の産業ともにらみ合せてやって行かなければならないのではないか、こういうふうに私は考えるのでありますが、現在のどうもアメリカに行っておる日本の在外公館というものは、この前のあの絹製品が国会でストップを食ってしまってから半年も過ぎてから気がついて騒ぎ出すというようなことにはならぬように、もう少し在外公館は人をふやすなり、在外におる人たちはもっと骨を折って真剣に考えてもらわなければいけないのじゃないか。過日の絹物の薄いやつ、あの制限を食ったときに、それが国会でそれを承認されたのが半年も過ぎてから気がつくというような状態では、私は怠慢もはなはだしいと、こう思うのですが、外務当局としましては、まあ窓口であるから向うから来た引き継ぎだけの仕事をやればいいというようなことでは私はいけないと思うのですが、外務当局はどういうふうにお考えになっておるか、そういう点について私は御所見を承わりたい。
○政府委員(湯川盛夫君) もっと人員を強化していろいろな手を打ったらいいじゃないかということにつきましては、もし予算が許せば、できるだけそういうことも必要かと思います。何にもしていないじゃないかということにつきましては、いろいろやっているわけでございますが、たとえば綿製品についても非常に輸入制限法案の規制が強くなったので、まあ通産省あるいは業界ともよく連絡をして今年の初めから自主的な輸出統制というものをやってきたわけでございます。これはまあアメリカの政府としても日本のこういった措置は非常にアプロプリエィトとして、日本もいろいろああいった適切な手段を講じているから、輸入制限法案は必要じゃないと、こういった立場から、ダレス長官以下非常に努力をしてくれたのです。六月の向うのコングレスでも、輸入制限法案が非常に声が高くて、他の法案に乗っかって出てきたのがあるのですが、アメリカ政府側では非常な努力と説明をして、まあ僅少の差でそれをコングレスでは否決するということになったのであります。その間もちろん日本政府並びに在外公館はいろいろ日本の立場の解明に努めてきたわけであります、その後コングレスは一応済みましたけれども、大統領の選挙戦にからんでまた非常に向うの業界並びに一部の議員の人たちが輸入制限の声を高める。そこで明年度からの規制について話し合いをするといったような、中間的な一つの措置を発表しまして、そうして一時非常に大統領選挙戦で、政綱として共和党の方で掲げようという気勢が強かったのも、ある程度それを緩和させることができたのであります。そこでまあ選挙は済みましたが、また向うのコングレスが一月から開かれると、そこでまたいろいろな輸入制限、かような問題も出るし、その前に日米間でもう少し話し合いをして、そうしてその話し合いの合理性を十分説明することによって不当な輸入制限ということを阻止したい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○委員長(小滝彬君) お諮りいたます。もうだいぶ時間がたちましたので、本日は一応質疑をこれで打ち切ることにしたらいかがですか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小滝彬君) それでは本日はこれで散会いたしたいと存じます。 午後零時十三分散会