外務・農林水産委員会連合審査会 第1号
- 発言数
- 155 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1956/11/30
会議録
○委員長(小滝彬君) ただいまから外務、農林水産連合審査会を開会いたします。 慣例によりまして外務委員長の私が委員長の席を汚させていただくことにいたします。 日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との共同宣言の批准について承認を求めるの件、貿易の発展及び最恵国待遇の相互許与に関する日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の議定書の批准について承認を求めるの件、海上において遭難した人の救助のための協力に関する日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の協定の締結について承認を求めるの件、北西太平洋の公海における漁業に関する日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の条約の締結について承認を求めるの件、以上四件を一括して議題といたします。 なお、本連合審査会の性質上、主として漁業問題を中心に願うことといたしまして、農林水産委員を優先的に扱いたいと存じますから、外務委員の方は他の機会に質問をしていただくことにして、本日はなるべく遠慮していただきたいと存じます。 なお、本日は八名の質疑の通告者もございますので、なるべく重複を避けて簡潔に一つ御質問をお願いいたしたいと存じます。 通告順に質問を許します。青山正一君。
○青山正一君 最初に領土問題について、本日は総理大臣が御出席なさっておりませんから、外務大臣に承わりたいと思います。 新聞の報ずるところによりますと、歯舞、色丹両島の返還は、両島のソ連陸上施設の取り払いの期間六カ月後に即時返還されるという総理大臣の言明がありましたので、北海道の漁業者はもとより日本国中の漁業者は、少くとも北海道の漁業者は、提灯行列までして非常に喜んでいたのでありますが、この両島は、国後、択捉あるいは沖縄と、この三つの島が返還されるまで歯舞、色丹も返還されないというわけですか。その点はっきりしていただきたいと思うのであります。 それから次に、この日ソ漁業条約とはこれは別の問題でありますが、非常に関連性が深いので、外務大臣に特にお聞きしたい問題でありますが、この日米加の漁業条約を改変するお気持があるかどうか。この点について承わりたいのであります。御承知のように、日米加漁業条約締結は占領当時でありまして、当時、私はこの条約が将来の日本漁業に悪い影響を与えるのではないかと非常に心配していたのでありまして、時の吉田総理大臣に対しまして、いろいろ質問を行なったのであります。と申しますのは、この条約の条項の中では、はっきり成文にうたってありませんが、いわゆる米国におきましては距岸百五十海里、カナダにおきましては距岸百二十海里、こういう線で、そのいわゆる数字的なことはおもてに表わしていませんでしたが、その精神がこの条約の中に明らかに察知されておるのでありまして、私はこの日本の将来の漁業は、アメリカとかあるいはカナダから制限を受けるばかりでなく、この条約を結ぶことによって、少くとも他国よりも非常な圧迫を受けやしないかということを非常に心配しておったのであります。ところがその当時、これは七年前ですか、緊急質問いたしまして、少くとも日本の漁業は富士山の山の上に網をおろさなければならぬような破目に陥りはしないかということを私は緊急質問したのであります。で、不幸なことには、私の心配がだんだん近づいてきたように思われるのであります。そこで、そのためにいわゆる濠州の真珠貝採取の問題でいろいろ制限を受けたとか、あるいは李承晩ラインの設定など、日本漁業の操業海域は次から次へと狭められてきておるような状態であります。ソ連の北洋漁業におきましても同様であります。で、この日米加漁業条約が不幸な出発点になっておるのじゃなかろうかと、こういうふうに私は考えておるのでありますが、この点について、この日米加漁業条約を改変するお気持があるかどうか、外務大臣なり、あるいは場合によれば農林大臣から承わりたいと思います。
○国務大臣(重光葵君) 第一の御質問すなわち歯舞、色丹を日本に返還してもらう時期はいつかと、こういうことでございます。それは今回の日ソ共同宣言の第九項をごらんになることをお願いします。歯舞群島、色丹は日本に引き渡すことに同意する。ただし、これらの諸島は日本国とソ連邦との間の平和条約が締結せられた後に現実に引き渡されるものとする、こうございます。この通りに、平和条約を締結しました後に、日本側に引き渡されることに相なるのでございます。さような意味で総理もお答えしたのでございます。 第二の問題の日米加漁業条約に対する御批判がございました。いろいろお説は承りましたが、今回取りきめました日ソ漁業条約の運用は、同条約にあります通りに、日ソの間の漁業委員会というもので実際運用ができるのでありまして、それでありますから日米加漁業条約との調節も少しも差しつかえはないのでありますし、従いまして日米加漁業条約を早急に改変すると、こういうことは今考えておらないわけでございます。
○国務大臣(河野一郎君) 大体外務大臣のお答えになった通りでありますけれども、最近の情勢といたしましては、むしろ逆の方向にいっておりまして、今回の日米加三国の漁業委員会をつい最近開催いたしたわけであります。その会議の空気といたしましては、米加ともどもいろいろな資料によりまして、この線をもう少し西に広げてもらいたいというような要望をいたしておるということを、出席いたしました委員の諸君から報告を受けているような状態でございますが、一応ただいま外務大臣の申されました通り、わが方におきましては十分研究資料を整えて、現状が妥当であるということを主張することが適当ではないか、こう思っております。
○青山正一君 農林大臣に承わりたいと思いますが、第一の問題は、歯舞、色丹両島の領海にある水産資源は、従来のわが国の実績によりますと、大体三十億から四十億と推定されるのでありますが、この帰属未決定の両島の領海における日本漁民の操業について、交渉なされたことがあるかどうか。 それから第二の問題として、その他ソ連の領海内における日本漁民の操業を交渉されたことがあるかどうか。たとえばこのウラジオストック付近の沿海州、この付近に相当底びき漁業が行われておったわけでありますが、そういった問題について何かお話があったかどうか。 それからこの北千島とかあるいは南千島に日本漁民の基地を設ける必要があろうかと思うのでありますが、そういった点についていろいろお話があったかどうか。たとえば入会の問題もあろうと思いますが、そういった問題について、漁業大臣なり向うの全権とお話し合った事実があるかどうか。その点を承わりたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) 問題は二つに分けてお答えすることが適当と思います。歯舞、色丹両島の沿岸漁業でございますが、これにつきましては従来わが方の漁夫の方の経験によりまして、相当に水産資源がありますことは御承知の通りでありますが、何分これらの島嶼の帰属も未決定でございますし、従いまして別の処置といたしまして、これらの漁民の処置を考えるという程度に現在いたしておりまして、さしあたりこれらの沿岸の問題についてはまだそこまで進んでおりません。 次にソ連の極東における水域における漁業の問題でございますが、これは御承知の通り今回国交が正常化されようとするのでございまして、国交正常前におきましてこれらの話し合いをする機会は実は持たないわけでございます。先般私が参りました際には、鮭鱒漁業についてのみ主として話し合いをいたしまして、他の漁業につきましては、極力これに触れるという態度に実は出なかったのでございまして、カニでございますとか、そのほかニシンでございますとかいうようなものについては、先方としてはいろいろ全体の漁業についての問題を話し合う希望も実はなくはなかったのでございますが、まずさしあたり鮭鱒ということで話し合いをいたしましたので、今申し上げるように、これらの沿岸におけるたとえば今お話のありましたシベリア沿岸における漁業等については、話し合う機会を持ちませんでした。 その他漁業基地の問題でございますが、漁業基地の問題につきましても話し合いをいたしておりません。ただ、先般も申し上げましたように、これらの地区における鮭鱒漁業の一部制限によるところの漁業協力の点等につきましては、多少話し合って懇談をしてみたのでございますが、先方といたしましてもすでに年々生産制限をしておる現状てございますので、これは先方にもそういう希望が今のところないというようなことでございました。 ただ、この機会に特につけ加えさせていただきたいと思いますととは、日本の水産関係の方々で——実は今私のおくれましたのも、ただいまチフヴィンスキー氏より会見の申し出がございまして、それと会見しておりましておくれたのでございますが——非常な誤解がありまして、今チフヴィンスキー氏の話によりますと、シベリア沿岸、ことに樺太とシベリアとの海峡に属する水域等において、日本の漁業者がソ連の漁業代表部に、これらの地区における操業の了解申し出でございますか、許可でございますか、何かわかりませんが、そういうことを願い出てくる向きがある。これは非常な誤解であって、日本の漁業者諸君にそういうことのないように、日本の漁業者が出漁する場合は、日本の政府がやるべきことであって、もし日本の政府においてソ連例の了解を得る必要があるならば、日本政府を通じてのみ漁業代表部は話し合いに応ずるのであり、その点の誤解のないように、日本の政府の方において特に考えてもらいたいという話でございました。この点につきましては、今それに多少は関連はあるかどうかしりませんが、そういうことでございますので、特にこの機会に申し上げる次第でございます。
○青山正一君 今度はこの条約付属書の問題について一、二点御質問申し上げたいと思いますが、1のサケの(ハ)の項に、「条約実施第一年の総漁獲量は、第一回の委員会において決定される。」そういうことになっております。そこで御質問申し上げたいことは、政府はこの委員会に対して、今年度出漁した全鮭鱒漁船を滅らさないだけの数量を要求できるかどうか。その数量は一体何万トンぐらいになっておるか、その点について承わりたいと思います。それから委員会の決定は何月何日までにできるお見通しか、その点について承わりたいと思います。この鮭鱒漁業者の立場から考えてみますると、私はおそくとも明年の一月末までにこういうものは決定しなければならぬと思いますが、例年の例によりますと、それが三月になり、あるいは四月になるというようなことで、非常に決定がむずかしいのではないか、こういうふうに考えておりますが、それでは操業上非常に困るわけですが、そういう点についてお聞きいたしたいと思います。 それから同じく附属書のサケの(ロ)の二項に、「前記の禁止区域は、将来科学的資料に基きできる限りすみやかに委員会において再検討するものとする。」となっておりますが、この禁止区域、すなわち「締約国に所属する島しょ及び大陸沿岸の海岸線より沖合四十海里の条約区域において、」こういうふうになっておりますが、現在は二十海里になっておる。ところが附属書を見ますると、「沖合四十海里の条約区域において、」こういうふうに改正されておりますが、この移動漁具による海上漁業禁止は、今そういうふうにされておるわけでありますが、この一九五六年、つまり今年度だけではなくて、この問題を再検討されない限りは、いつまでもこの四十海里の線で進んでいくという意味合いなのですか。その点を一つ承わりたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) 第一の点でございますが、大体今回の規制措置は、鮭鱒の魚族保護保存ということを目的にいたしておりまして、今年度の出漁計画もしくはソ連の陸上の計画というものを基礎にして話し合いをしようというものではございません。従いましてわが方といたしましてはソ連側の陸上の計画を十分検討いたしまして、それに対してわが方の今年度の漁業実績等をお互いに批判検討いたしまして結論を出すという態度に出べきだと思うのでございます。従いまして、今申されましたように、今年度出漁いたしました船団もしくは独航船、もしくは四十八度線以南の漁船、これらの経営が成り立つか成り立たぬかという数字を基礎として明年度の数字をきめるということでは基本的にはないという考え方でおるわけでございまして、結論が出ました上で、その結論に対してどういう船団、どういう独航船、どういうふうな四十八度線以南の漁業経営というものをきめるということの方が順序だと考えております。 そこでお話の第二点になりますが、それをきめるには、そういうことで、これがおくれることは非常に経営上、準備の上において支障を来たすということは御説ごもっともでございます。従いましてこれも、今も重ねてチフヴィンスキー氏に私は話しておいたことでございますが、これが条約批准になりますれば直ちに、大体目標といたしましては今月の二十日以前に委員会を開きたいということの申し出を実はいたしてあります。これは先般モスクワに参りましたのも、日本側としてはどうしても年内にきめたいということを強く要望いたしましたからですが、ところが、ソ連側の言いますには、一月の半ばでないと、ソ連側の今年度の漁業経過についての参考資料が収集しかねる。従って明年正月の半ばにしてほしいという話でございましたので、それは日本側としては非常に困るということを強く主張いたしまして、大体年内に開会ができる運びになろうと私は考えております。大体ソ連側もこれに協力してくれるような態勢でおるように見受けられます。そういうことでございますが、しかしいろいろ意見が対立するために、結論がなかなかきまらないと私は思います。これは双方の主張にも懸隔があると思いますが、おそらくソ連例としましては、なるべく少く言うて出るでしょうと思いますけれども、そこはまた一方におきましては、ソ連側の陸上の計画とにらみ合わせてこの数字はきめようということがはっきり了解済みになっておりますから、従いまして私はわが方のまあいろいろ言われておりまする十五万トンというような数字は、今わが方の各方面等で言われておりますが、いずれにいたしましても、わが方で諸般の情勢を勘案いたしまして検討いたしました主張というものについては、ある程度ソ連側も了承するような方向に行き得るのではなかろうかと期待をいたしております。これもつけ加えて申し上げておきますが、最終的最悪の場合には、御承知の通り明年度は豊漁の年でございますから、十万トンということにならざるを得ぬのでございますけれども、私はそういうことにならないで、ある程度の理解あるソ連側の協力、もしくは結論が出るものと期待いたしておるわけであります。 四十海里の問題でございますが、これは今二十海里まで大体先方が了解しつつ今までやって参ったのであります。ところがそれは規制の状態を両国で話し合いました結果、この程度の漁獲をして参る。要するに規制の状態においての漁獲である以上は、これは四十海里までの保護区域を設ける方がよかろうということでございます。これは私たちといたしまして、これは同行いたしました専門家諸君も了解いたしましたことは、先般衆議院の方でも申し上げたのでございますが、ソ連側としましては、戦前に日本側で経営いたしておりました優秀な漁場等もすでにこれを閉鎖いたしまして、そうして保護区域にいたしておるというような状態になっておるわけであります。そういうことで、ソ連側もわれわれが思っておった以上にこれが保護助長についてすでに実施しつつあるのでございまして、これにつきましては十分わが方の調査団をすみやかによこして、一つ双方で十分調査研究、了解の上でやろうじゃないかという態度に出ておるのでありますから、わが方といたしましては、このソ連側の態度に十分順応して、そうして了解のできる妥結点に達するように持っていきたい、こう考えております。
○青山正一君 最後に農林大臣と外務大臣に承わりたいと思いますが、これは農林大臣ですが、先ほどの農林大臣のお言葉に、資源保護というような言葉が相当あったわけでありますが、この資源保護ということに関連させて漁獲量の制限をソ連は持ち出しておるのでありますが、この広い公海のまん中で捕獲する日本の立場、それから産卵のために河川に上ろうとする、いわゆる接岸したところをおもな目的として、対象として、ソ連側が漁獲をあげておるわけでありますが、こういうことを科学的に研究された上で、つまりソ連と御折衝なすったわけですか。どうなんですか。私らの建前から申し上げれば、たとえば広い公海の漁場でとる魚は、むしろ産卵のために川を上ろうとする魚をとる者の立場よりも、むしろ資源保護というような言葉の上から申せば非常にいいんじゃないかと、こういうふうに考えますが、その点一つ農林大臣の御見解を承わりたいと思います。 それからもう一つ、これは外務大臣に承わりたいと思いますが、一九二六年九月二十一日に駐日のベセドフスキーソ連大使が日本政府に対しまして三海里から十二海里の間では、ソ連は日本の船舶を拿捕しないこと、こういうことに決定した旨を口頭で政府へ伝達されたと、私はそういうふうに信じておりますが、それからまた実際上にも第二次大戦が終るまでこれによって処理されてきたわけでありますが、この問題について、政府は、あるいは松本全権は、ソ連と何か話し合われたかどうか、一つ外務大臣の見解なりを承わりたいと、こういうふうに考えております。 以上で私の質問を終ります。
○国務大臣(河野一郎君) 生産制限の問題でございますが、お話の通りと私は考えます。しかし御承知の通り、沖どりはわが方であり、沿岸漁業は先方でやっておるわけであります。このたびはソ連側の主張によりますと、流し網をもぐって皆中をけがをしておる鮭鱒が大体二十四、五%に上っておるということを先方は言うのであります。そういうようなことを向うはどこの漁場でどういうふうに調査したんだという調査資料をもって実はくるわけでございます。そういうようなことで、御承知の通りな生産の条件にある場所でございますから、これは双方でお互いに一つ協定をしてやっていくということより仕方がないだろうということで、わが方としてもソ連側の主張に対して協力し、ソ連側もまたこの現に生産制限を行いつつある地区ないしはまたさらに今後におきましても双方協議の上うまくやっていくことにしていきたいと思っております。
○委員長(小滝彬君) ちょっとお諮りいたしますが、総理大臣はしばらくすると、大体二時三十五分ごろに出席されるはずであります。そこで衆議院の予算委員会の方から河野農林大臣に一時間程度で一つ向うへ出席してもらいたいという要求がございますので、農林大臣が予算委員会の方に出席されることを一つ皆様に御承認を願いたいと存じます。大体一時間ばかりいたしましたならば再びこちらの方へ来たいということでございます。(「休憩」と呼ぶ者あり)
○堀末治君 せっかくの委員長の申し出でございますけれども、実はこの日はあなたによく相談をして、衆議院の予算委員会の決定の前にこの決定がされておりますから、あとで向うが御決定になって、そして私どもの審議を中断されることは、私としてははなはだ不快に思いますが、何とかそうでないことにお取り計らいを願いたいと思います。
○委員長(小滝彬君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(小滝彬君) 速記を起して。 しばらく休憩いたします。 午後二時二十三分休憩 —————・————— 午後二時四十二分開会
○委員長(小滝彬君) それでは連合審査会を再開いたします。 初めに青山君からの御質問に対する外務大臣の御答弁をお願いします。
○国務大臣(重光葵君) 今の御質問の最後のところをいたします。 千九百何年ですか……千九百二十何年か、ベセドフスキー代理大使から領海の問題に関するソ連の考えを日本側に通告してきた、それはどうなっておるかというような御質問でございました。そのことについて交渉をしたことがあるかという、こういう御質問でございました。今回の交渉はすべて領海の問題には一切触れずして交渉しました。また触れると非常にめんどうな問題になりますから、触れないですべて交渉してあの漁業条約ができたわけでございます。従いましてこの問題を取り上げて、特に領海の問題に関連して交渉をいたしませんでした。以上でございます。
○青山正一君 先にお聞きしたのは、そういうふうなソ連の大使と申し合せがあった。それで三海里から十二海里の間において日本の船を拿捕しないという口約束があるのだ。だからその口約束のもとにこれは第二次戦争の末期までそれが続けられてきたのだ。だから今後も日本の船が三海里から十二海里までの間に通る船は拿捕しないという、その口約束を確認されたかどうかという意味合いなのです。
○国務大臣(重光葵君) その点に触れて交渉はしなかったそうでございます、事実。それはやはり双方の漁業委員会等の接触がございますから、それで調和をはかろうという考え方のように私は解釈をいたします。
○羽生三七君 お尋ねしたい問題の大部分は、この前本会議でお尋ねいたしたので、その場合不十分だったと思う一、二の点をごく簡単にお尋ねいたしたいと思います。農林大臣に関係する問題もありますので、後刻出席方を求めます。 その一点は、御承知のように歯舞、色丹の返還の時期、引き渡しの時期は、講和条約の締結のときとなっておるわけでございます。そこで講和条約の締結の時期がいつであるかということが、非常に歯舞、色丹の引き渡しと重大な関係を持つわけでありますので、このことを私はこの前お尋ねいたしました。しかし時期は不確定である、それは確かにそうだろうと思います。なかなか予知しがたい。国際情勢が変化した場合には、国後、択捉が返るかもしれない。日本は希望は持っているわけです。しかしそれが希望がない、全然希望がないということになるというと、日本としてもすぐ平和条約を締結できない。そうすると平和条約が締結できなければ歯舞、色丹は返らない、こういうことになってくるのです。そうでありますから、この歯舞、色丹は平和条約のときでなければ返らないということであるならば、平和条約の締結の時期だけが歯舞、色丹引き渡しの唯一無二の条件だということになると、これは私はなかなかむずかしい問題になると思う。そうであるというと、これは松本全権がロンドンで交渉した場合、あるいは重光全権がモスクワに行かれた場合と変りはないのみならず、むしろ問題がかえってこんがらがってきておるとも受け取れるのです。であるから、平和条約締結の時期に歯舞、色丹が返り、さらに継続審議の対象たる国後、択捉がわが方に有利な解決ができればけっこうでありますが、それがもし今すぐ可能でないとするならば、平和条約の締結というそういう制約以外の何らかの条件、たとえばこの日ソ共同宣言が批准されてから一定の期間がたったときとか、あるいは日本が国連に加盟してしばらくたったときとか、何か適当なときに平和条約締結ということと別個に歯舞、色丹を引き渡してもらう取りつけをしないと、これはなかなか歯舞、色丹そのものもいつ返るかわからない。返らないでも条約を締結するかと皆さんに聞いたら、それは皆さんお困りになるでしょう。皆さんというのは政府です。そこで歯舞、色丹の引き渡しの時期を、平和条約締結の時ではあるが、何らかソ連の配慮によって今後の交渉に——批准がなされたあとの今後の交渉に待つわけであるけれども、何らか他の条件によってすみやかにこの歯舞、色丹の返還を実現させる方法はないかどうか。残余の継続審議の対象はまた別の問題でありますが、これはどうお考えになるか。これは非常に重大なことだと思いますが、これは総理大臣どうですか。それから外務大臣、両方からお聞きしたい。
○委員長(小滝彬君) 総理大臣にはすわったままで答弁していただきたいと思います。御了承願います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 歯舞、色丹だけを問題とすれば、ただいまでも解決はできる。けれどもその他の領土についても、ある時期において日本の領有としたいという希望を持てば、どうしてもその領土問題という一括の問題の中に歯舞、色丹の問題も入るものですから、取りのけてこれだけを先に解決するということは今回はできませんが、これは非常に主張したのです。歯舞、色丹は以前に日本に返還を約束してあるものであるから、約束した部分は即時に実行してもらって、その他の領土について継続審議にしてもらいたい。これは再三言ったのでありますけれども、どうしても領土問題という中に歯舞、色丹を加えて一括しなければ承知しないで、御承知のような条件で取りきめをいたしてきました。しかしあなたのおっしゃるように、ある時期において、平和条約の締結以外の時期において、歯舞、色丹だけは返すという約束をすでにしたのだから、その時期を探せ、そういう時期を求めよというあなたの御趣旨です。それはただいまのところではできませんけれども、国際関係の好転は必ずあると思っておりますものですから、その場合に択捉、国後と切り離して歯舞、色丹を日本の領土にするということには努力をしたいと思っております。
○国務大臣(重光葵君) 総理の言われることに尽きておると思います。私重複するかもしれないけれども、歯舞、色丹の返還期は、これは今回の共同宣言にはっきり書いてあります。その通りでございます。そこで今回の公共宣言に歯する限りは、そこでとまらなければならぬ、そこで将来共同宣言と離れてこれの引き渡しを促進するように一つ別に交渉を開くということ、これは別問題だと思います。その別問題は私は考え得ると思います。それは非常に困難は伴うでしょう、また総理の言われるように国際情勢の好転というような時期を選ぶ必要もございましょう、これは可能なことであると考えます。
○羽生三七君 それで今の御答弁である程度わかるのですが、その国際情勢が好転したときに歯舞、色丹とおっしゃいますが、私は国際情勢の好転したときにはむしろ国後、択捉で、その上の解決に当るべきなので、歯舞、色丹はとりあえず平和条約締結のときとなっているけれども、今私はそれを条件にするわけではありません。この批准が済んだあと、やはり別の時期に平和条約の締結とは別個の他の条件において、すみやかなる引き渡しの取りつけを政府は十分考慮すべきであるということであります。これは真剣にお考え願いたいと思う。そうでないと、これは言うまでもないことでありますが、今総理大臣が言われたように、歯舞、色丹だけを引き離しての領土問題の解決ということは無理であったのですから、これはたな上げするなり一括する、平和条約の場合には歯舞、色丹に限定されてやむを得ずとったのが今回の措置であるから、どうしてもなかなかまだ国後、択捉が現実的に平和条約の中でわが国に返るということをわれわれが取りつけるためには非常な努力が要る、それが時期的にいつになるかわからぬということになる、そうすると歯舞、色丹もいつ返るかわからぬということになる、であるから国後、択捉については国際情勢の転換を待つけれども、とりあえず歯舞、色丹については別個の保障を取りつけるよう最善の努力を政府は払うべきだと思う。今のお答えである程度わかりますが、さらに念のために政府の注意を喚起しておきたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) あなたの御趣旨はよくわかります。
○羽生三七君 第二の点は、これはまあ蛇足のようなことでありますが、先日来外務委員会において委員各位から領土問題についていろいろ機微に触れての御質疑があったようであります。そういう問題の取り扱いについては、外務委員会御自身が御決定になることでありますので、私はこの際あえて多く触れませんが、ただ私この機会にはっきりさしておきたいことは、河野・フルシチョフ会談、特に第三回の会談でどういうやりとりがあったかということは聞きません。そういう機微のことは別として、外務委員会でお聞きすることにいたしまして、ただ問題は、鳩山政権のもとにおいてはこれが精一ぱいであって、今度の日ソ共同宣言にこれまで持ってくるのが精一ぱいだ、だから日本国民のいろいろな世論の的になっている国後、択捉というものがついに未解決のままに後日に持ち越され、それが次の政権、それが保守政権であるかどうかは別として、次の政権が解決しなければならぬ、社会党政権の場合もあるかもしれぬ、これは私ははったりでものを言っているわけじゃありませんが、だれが解決するかということです。その解決するときに、政府はこれはもう絶対国後、択捉というものは打ち切りになっておらないのだ、そういうことを言い切ることができるかどうかということですね、これはもう条約の表現上のことではちゃんとそうなっております。政府が確信を持って——私たちはここではったりを言っているのじゃない、あとの政権が、あるいは社会党政権がこれを受け継いで、この問題を完成せなければならぬのだから——そういう余地が残されておるということを、はっきりお答えいただけるかどうか承わっておきます。
○国務大臣(鳩山一郎君) 国後、択捉その他の島嶼、歯舞、色丹を除いたその他の島嶼について、ソ連との間に何らの制約はありません。確かに国後、択捉については要求をいたしましたから、ソ連側においてもよく承知をしております。この次の継続審議の中に入っておるということをよく了承されております。これは大丈夫ですから、御心配のないようなものです。
○羽生三七君 それならそれは次の政権なり、あるいはまあ社会党政権なりができた場合に、私はそういう余地があるならば、必ず解決できる時期もくるだろうということを期待いたしております。 次にもう一点だけをお尋ねしておきます。それは重光外務大臣にお尋ねいたしたいのでありますが、近く国連に加盟できる条件もととのったので、重光外務大臣を首班として、アメリカへおもむかれるようでありますが、その場合、夕べのラジオでも国連に加盟する場合の日本の心がまえというようなものを、政府がいろいろな角度から検討されておるということを承わりました、非常にけっこうだと思います。そこでこの前本会議でも私ちょっとこの問題について触れたのでありますが、国連に日本が加盟した場合に、ただ国際社会の一員となった、発言の機会を持ったということでは意味がないので、その場合にどういう心がまえで臨むかということが大きな問題になるわけでありますが、アメリカすらがこの数日来の動きを見ていると、いわゆるAAグループ——アジア・アフリカ・グループとある程度歩調を共にしようとする動きさえ見えておる。もとよりこのNATOというものを根本的に傷つけるものではないという声明を一方においてやってはおりますが、しかし顕著なる傾向としては、今申し上げたAAグループと歩調を合せようという努力は、アメリカすらがやっておる、その真意がどこにあるかは、私がここで論ずる必要のないことでありますが、少くとも表面上に表われたことはそうなっておる。そこで日本においても国連という中に入った場合、一員となった場合、国連を通じて、その場を通じて、日本が東西緊張の緩和に積極的な役割りを果していく、特にアジア・アフリカ関係諸国、これに限定する必要はありませんが、そういう特定の軍事グループに属さないような勢力と相提携して、東西の緊張をやわらげるような方途を積極的に講ずることが、私は国連に加入した場合の日本の最も好ましいいき方ではないかと、こう考えるのでありますが、近く国連におもむかれんとする重光外相の御見解をこの機会に承わっておきたいと思います。
○国務大臣(重光葵君) その今申されたお説には、私は趣旨において賛成でございます。国連に加盟することのできました上は、日本が国連を通じて強くわが平和的政策、平和の意向を推進していく、こういうことに今お話の趣旨は帰着するわけでありますが、これはあくまでその役割りをしていきたい、またそれが最も重要なことである、特に日本がアジアにおける一流国であるということを考慮しまするならば、特に必要な点であると、こう考えておるわけでございます。
○羽生三七君 ではあと農林大臣には留保しておきます。
○委員長(小滝彬君) それでは千田君。
○千田正君 まず第一に国際緊張の折から、特に東アの状況下におきまして、総理大臣並びに三全権が努力を払われたことに対して敬意を表する次第であります。ただこの際共同宣言が批准されるに当りまして、私は特にこれによって生ずるところの結果、影響等を考えまして、二、三の疑義がありますのでお尋ねいたしたいと思います。 まず第一に、これは一昨日でしたか、当外務委員会において曾祢議員からのお尋ねに対しまして、外務大臣からお答えがあったわけであります。そのお答えのうちに、ソ連がサンフランシスコ条約に参加しておらないから、日ソ間の領土問題等においては日ソの間にだけとりきめることができると思う、そういう意味において北千島並びに南樺太の問題は、これは当然ソ連側の領有と認めなければならないであろうというような御発言があったように新聞が伝えております。この問題は非常にわれわれとしましては重大な御発言であると、かように考えるのでありまするが、なぜかといいますというと、鳩山総理は今度御引退になるということを声明されているが、あるいは次の内閣は鳩山内閣の延長であるかもしれない。そういうような場合に、鳩山内閣におけるところの外務大臣の発言は、国際間に及ぼす影響というものが非常に大きい、かように考えるのであります。それで一応ただしておきたいのは、日米間のサンフランシスコにおけるところの平和条約において、当時参加しましたところの関係諸国との間に十分な了解なくしてこういう御発言をなさるということは、非常にこれは国際間の信義の上からいって好ましくない。私はかように考えるのでありまするが、この点を一つ外務大臣に御釈明願いたいと同時に、総理大臣の御意向もやはり外務大臣と同じように、これはサンフランシスコ条約において参加しなかった国との間には勝手に条約ができるし、平和条約に関係する問題については、少くとも参加しない国とは何ら相談する必要もないのだ、参加しない国との条約は、当時参加した当事国間との間の了解すら必要もないのだ、こういう建前において今後の外交方針を立てられるかどうか、この点を総理大臣並びに外務大臣にお伺いしたいと思うのであります。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私はただいまの御質問に対して外務大臣の言っていることを聞いていたのですけれども、外務大臣はサンフランシスコ条約のためにその加盟国と何らの相談なしにやってもいい、何らの了解なしにやってもいいということは申しませんでした。ただ法律的に非参加国との約束はできる、それから政治的には話し合いをする必要があるということは言ったと思います。今あなたのお話では加盟参加国、サンフランシスコの条約の加盟国とは何らの了解なしでもいい、何らの相談なくてもいいとおっしゃいましたけれども、そういうことは申しませんでした。
○国務大臣(重光葵君) 今の御説明で、尽きていると思いますけれども、サンフランシスコ条約に調印することをソ連は拒絶したのであります。そうでありますからソ連との関係を正常化するためには、どうしても領土問題を交渉して妥結する必要がございます。それはその交渉をやりましても、何ら法理上サンフランシスコ条約に抵触しておるからできぬのだということはないと、私は申し上げたのであります。もっとも、さらに付加えて、日ソ間に協定が成立した上で、領土問題を処理したときに、その問題がサンフランシスコ条約の調印国の利害に関係するということは当然のことだ、何となればそれはサンフランシスコ条約において領土は日本が放棄しておるのだから。そこでこれらの国との間に十分な了解を取りつけることが必要となるかもしれないということを申し上げましたが、この領土問題と直接の関係がなくとも、この問題については、特にサンフランシスコ条約の最も重要な役割を演じた米国との関係は常に了解していかなければならぬから、交渉の初めから十分の連絡をとって、了解をせしめつつ交渉してきておるのだということも、あるいは本院の委員会でなかったかもしれませんけれども、詳しく私は申し述べておるわけであります。そういうわけでありますから、私の申し述べたことは総理大臣の御了解の通りでございます。御了承を得たいと思います。
○千田正君 この問題は非常に重大な問題でありましたが、ただいまの釈明において一応了解いたしました。そこで私はこの領土問題と相関連しまして、日本の水産問題、この漁業問題に非常な影響を及ぼす問題でありまするから、特にお伺いしたいのは、今度の条約の内容を見まするというと、もちろんいろいろな問題がありますが、領土問題をたな上げした残りの問題の最大の問題は、この北太平洋における漁業条約並びに北洋における漁業条約、戦犯の即時釈放というような国内の産業なり、国内の民心なり、道義的な問題に関連した重大な問題であることは、私が申し上げるまでもありません。ただこの条約を結ばれる過程におきまして、ロンドン会議の最中において、これが停頓した問題の最大の原因は、私が申し上げるまでもなく、南千島の問題、これが中心になって一応デッド・ロックに乗り上げた。そのときまでは松本全権とマリク全権との間の話し合いは、一通り漁業問題あるいは戦犯釈放の問題等は一応片がついておったように見えたのでありますが、デッド・ロックに乗り上げた。その後、再開した期間の間にこの漁業問題が非常に進展していった。私はさように解釈しておりますが、そのときのテーマとして出された問題は、この領土問題に関連して、それにいわゆる——こういう言葉が果していいかどうか——取引のようにして持出されたのがこの漁業条約問題であるようにわれわれ感ずるのであります。なぜならば、今度の条約の内容を見ましても、先ほど同僚青山委員の質問に対する農林大臣のお答えによりますというと、領海に触れない。ソ連側が今度このたびは十二海里説を主張しておる、そして距岸四十海里という問題を出している。日本側は従来の国際慣習に従って日本の領海は三海里、また距岸は二十海里ということを、従来の慣例を守ってきておったのに、この際においては四十海里、十二海里、こういう問題を、領海には触れないということを、議定書には出しておりまするが、現実においては触れてくる。私どもはそういう観点を持っております。なぜならば、おそらく平和条約発効以前において、この条約の批准が進行中においても、日本の漁船はソ連の領海と称する四十海里の領海内に行ったならば直ちに拿捕される状況にある、私はさような解釈を持っておる。少くともこの条約は、一国の独立国として自由にしてまた独立の主権が十分に平等に行われるところの条約でなければ、私はこれは不平等条約であるというふうに考えられるのでありまするが、この点におきまして、何ゆえにこの領海に触れないということを前提として、ソ連側の四十海里というものを認めたかという問題と、それを認めなかったならば一体できなかったのか。同時にまたソ連側だけが公海の漁業に対して区域を設定して、そうして日本側の政府の要求に応じて漁業の許可を与えるというようなことは、われわれから見まするというと、これは侮辱的な隷属的な条約であるとしか思えないのであります。独立を主張し、しかも独立の上に立って平等の条約を結ぶことが念願であったわれわれは、領土問題とかけ引きの間において、水産の問題が犠牲に供せられたような感を抱かせられるのでありまするが、その点におきましては、ロンドン会議においてデッド・ロックに乗り上げた後におけるところの北洋問題と、それから領土問題との関連に対して、松本全権からの何かその間において釈明ができるということがありますれば、承わりたい。外務大臣からは、このような公海の自由の原則がそこなわれたような状況において、日本がやむを得ず漁業条約を結ばなくちゃならなかったというこの立場を釈明していただきたいと思うのであります。
○全権委員(松本俊一君) 私はロンドンで会議をいたしまして、この三月の二十日にマリク全権との話を、領土問題について意見が一致しませんために、一たん打ち切りましたことは御承知の通りであります。その翌日、ソ連側は公海のサケ、マス漁業制限に関して閣僚会議の決定を発表いたしました。その後のことは、これは総括的におやり下すった外務大臣から御答弁に相なるそうでございます。さように御了承願います。
○国務大臣(重光葵君) 四十海里の制限、これは条約付属書にそう書いてございます。その四十海里の中では移動漁具の使用禁止区域ということになっております。移動漁具の使用禁止区域ということでありまして、決してこれは領海の設定を認めたわけではございません。主権の問題では厳重に申してないのでございます。それは魚族の保護のためかような制限をするということが必要であるというので、公海においても禁止区域をこしらえるということに相なりまして、これはできておるわけであります。つまり資源保存のための制限は必要であると認めて、この協定をしたのでありまして、それは双方のために必要である、魚族保護のために必要である、こういう見地からできております。従いまして、一方的の条約であるとか今申されたことは、少しこれは当らぬと考えておるのでございます。双務的にこしらえておるわけでございます。
○千田正君 私が特に一方的であると主張したゆえんのものは、今までのかつての条約の中で、その国の領土内、あるいは明確に国際条約の上にきめられた領海の中において他国が漁業を行うというような場合には、その国の許可を得るのは、これは従来の国際慣習であることは申し上げるまでもありません。しかしながらこのたびは、この太洋の真ん中に一つの区画を設けて、その区画を制限区域として、その制限区域において漁業をするためには、ソ連からその漁業許可を得なければならないということは、私は納得できないのでありまして、それが果して平等の条約であるかということについては、私は平等の条約ではないという観点でお尋ねしておるのであります。その点はいかにお考えになりまするか、お答えを願いたいと思います。
○国務大臣(重光葵君) むろん公海において無制限な漁獲ということは、これは従来主張してきたのでございますが、しかし公海といえども、魚族保護等の必要のためには、互いに協力して制限するということは、これまた従来の国際間に行われておることでございますことは御承知の通りでございます。それと同じ意味でこれをこしらえたものでございます。ただ、ソ連の方が先に、こういう区域はこうだといった経緯はございましょう。しかしながら、それはソ連側の提案として、それについてわが方は十分検討した上で、わが方の見地からいっても、それに賛成した方がいい、こういうようなことで、この結果が協定と相なったのでございますので、これが単に一方的のものだとはわれわれは考えておらぬわけでございます。
○千田正君 これはお互いの観点の相違でありまするから、なかなか論は尽きないと思いますが、しからば日本の国内において、私どもはもう一つ屈辱的な問題が提起されておる。これは数カ年にわたりまして論争されてきましたところのラッコ、オットセイの漁獲の問題であります。日本の三陸の沿岸から北海道にかけて、毎年々々数百万頭のラッコ、オットセイがこの沿岸を通過するために、一匹のラッコ、オットセイが魚類を食べるのが一貫目であります。それで一日に少くとも数百万貫というものは荒らされていく。日本の沿岸の魚族は、それによって次第次第に減少していくということは、これはもうみな知っておるのでありますが、こういう問題につきましても、ソ連側やアメリカや、あるいはカナダにおいては、日本に対してはあくまで海上猟獲を禁止しておる。魚種あるいは魚族の資源保養をうたうというならば、当然われわれは魚族の資源保護のためにこれを海上猟獲をしても差しつかえないという観点に立っておる。しかも日本の国のいずこにも生息しないところの海獣が、日本の沿岸漁民や、あるいはその他の漁民の最大の目標であるところのサケやマスや、あるいはイワシや、そういうものが、こうした外国の土地に生息しておるところの海獣によって、日本の漁業資源というものは荒らされていく、こういう問題に対しては日本はほほかむりの状況であります。私はそういうところに日本の外交の弱さがあるのではないか。われわれは同じ見解に立った場合において、私はやはりこういう問題はどうも一方的な条約のようにしか思われない。それで、もろもろの問題は将来も起きてくるでありましょう。この日本の沿海を荒らすようなそういう海獣に対しては、われわれは国内においてはこれを捕獲するというと、五年の刑期であるとか、あるいは漁船や網を没収されて極刑に処せられるというような状況になっておる。そういう不平等な問題が片方に行われておって、片方の国際条約だけはこれは平等であるというような、私はそういう観点はとらないところでございます。それで、この問題は将来、さっきも青山委員から質問しておりましたが、日米加の漁業条約と何ら抵触しないという観点に立たれておりますかどうか、その点も伺っておきたいと思います。あらためてはっきり伺いたいと思います。
○国務大臣(重光葵君) その点を十分的確に関係局長から御説明申し上げます。
○政府委員(下田武三君) 御承知のように戦前はオットセイ条約がございましたが、戦争のために中断されまして、これまた御承知のように独立回復前に日米加の覚書によりましてまあ自発的に日本はオットセイの猟獲をやめております。しかし日本のみならず実は関係国はみな海上猟獲はやらないという建前になっておりまして、日本だけでは実はないわけであります。そこで、御承知のように、ただいまワシントンで日米加ソ四カ国間の平等の基礎におきましての新しいオットセイ条約の締結交渉をやっておりまして、ほとんど最終段階になっております。科学的の見地からオットセイの資源が減少しつつあることは争われない事実でございますので、その見地からの規制と、同時に日本の強い主張によりまして、試験的操業ということで一定限度の海上猟獲はできるという道が開かれるように相なると思います。
○千田正君 たまたまラッコ、オットセイの問題が出たのでそういうお答えを得ましたが、私は日本の国民の立場からいってラッコ、オットセイが日本の国民の生活にどれだけの好影響を与えるか、ラッコ、オットセイの生息というものは。そういうものに荒されるところのいわゆる魚族の損滅というものがはるかに重大なのです。日本にとっては。そういう問題さえも国際平和のためにはやむを得ずのまなくてはならないのか、この根本理念を私は聞きたいのであります。国際信義のためには日本の国内の犠牲もある程度顧みないで結ばなければならないのか、今度のいわゆる日ソ条約においても、領海の問題等に対してははなはだ不満である、公海の自由の原則というものは国際法上において厳として立てられておるにもかかわらず、一方的な制限を受けて、しかもそこにおいて漁業するためには、領海でないところの公海におけるところの制限漁業に対して他国の漁業許可がなければわれわれは漁ができないということは、私はこれはやはり正しい行き方ではない、しかしながら日本が国際間に復帰する問題と、また平和への日本の精進という立場からやむを得ずそういう方に賛成せざるを得なかったのか、この根本理念だけは私は総理大臣と外務大臣に伺っておきたいと思うのです。そうでなければうしろ向きの国民に対して納得させることはできませんよ、その点をはっきりしていただきたい。
○政府委員(法眼晋作君) このオットセイの問題について、ちょっと簡単に補足説明いたします。これは現在まだ日本の捕獲が決して禁止されたわけではございません。オットセイの与える漁族に対する損害については、目下科学的に十分わかっていない点がありますので、今後これは五カ年間調査した上できめる、こういう話し合いになっております。そういうことによって目下条約が四カ国で審議されておる過程でございまして、日本は一方的にこれを禁止されたという状況ではございません。
○千田正君 それならばなぜ国内法においてそうしたものを捕獲する者に対して厳罰を加えるのですか。国内法では厳としてラッコ、オットセイを捕獲した者に対しては、あるいはその皮を所持しておる者に対しては、何カ年以下の懲役もしくは財産を没収するという条文があるじゃないですか。そういうような国際条約がないというならば、なぜそういう国内法において、罪ないところの漁民に対してそういうような刑罰を付すような日本の国内法を設置しなければならないか。私はこの問題はこれ以上論じたくないのですが、そういうあなた方の観点があるならば、いつでも論じますよ、材料があるから……。
○政府委員(法眼晋作君) 私の申し上げたのは、条約上外国との関係におきまして、条約審議の問題につきまして申し上げたわけでございまして、そのことを完全にやるために五カ年間試験的にやって、その結果一つきめようと、こういうことの話し合いが行われているということを御説明申し上げたわけでございます。
○千田正君 それは説明として伺っておきます。われわれは、立法機関の立場からは、また論議を尽さなければならない。そこで根本理念だけは先ほどからお伺いをしておるのでありますが、そういう日本の国内の国民の生産に不便やあるいは犠牲を忍んでも、やはり全体からいえば日本の国民の平和へ寄与するところの表示であると同時に、また国際平和にわれわれは参加しなければならないから、このたびの条約を結んだのだと、こういうふうな私は信念だと思うのですが、そうじゃない、あくまでも平等の立場でわれわれは結んだのであるというお考えであるのかどうか、私はその辺の信念をはっきり御答弁いただきたいと思うのであります。
○国務大臣(重光葵君) 御質問の点はわかりました。私が平等、双務的であると、こう申し上げたのは、こちらに対して何ら不便がなかったという意味で申し上げたのでは少しもございません。これはとにかく話し合いで、双方とも話し合いでこしらえたのだ、こういうことを申し上げたのでございます。そうしてまたその話し合いの結果、日本側にとって相当不便もあり、不利益もある、しかしそれは大局のために忍ばなければならないからそういうことになったのだということは、その通りでございます。これはやむを得なかった、何もかもこちらの思う通りにはいかなかったのでございます。
○千田正君 総理大臣も今の外務大臣のお答えと同じでございますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私はあなたの意味がよくわからなかったのですが、とにかくソ連と日本とは私は平等の立場において話し合いをしたものであると、決して不平等の立場に立って相談をしたのではないと思っております。
○千田正君 だいぶ観点が違うようでありますが、私の言うておるのは、国内の産業であるとか、あるいは国民の生活に相当の影響を及ぼすのであるけれども、国際信義にそむかないように、日本も参加するという意味で、今度のいろいろな難航な続けておったところの日ソ条約が結ばれたのである、こういうふうに私は考えてさっきから伺っておるのであります。ところが、あなたの場合は、平等ということを表面に出して、あくまでも平等であると、それは形式的な平等でありましょう、しかし現実においては漁業のこうむる相当の損害とか、あるいはいろいろな問題が国内的にはあるわけであります。それを忍んでくれというのは、これは総理大臣としての言葉を承わりたかったのはそこなんでありますが、その点はどういうわけなのです。平等であるということだけをおっしゃって、国内のしからば産業に従事しておるところの漁民であるとか、そういう人たちの不便はほったらかしておいてもいいというわけじゃないと私は思う。その点を私は承わっておるのであります。
○国務大臣(鳩山一郎君) 国内の人の利益を無視してもいいというような考え方はもちろんしておりません。
○千田正君 これは外務大臣に伺いますが、交換公文の中の各条約国の領域内における漁業の規制措置に関する交換文が、あとになって取り消されている理由はどういうわけでございますか。
○政府委員(下田武三君) 漁業交渉におきます日本側の主張は、単に公海における漁業の規制のみならず領海、さらに鮭鱒のごとき川に遡上して上る魚につきましては陸上河川、それまでの規制措置をやるのでなければならないと、それまで条約で取り上げなければならないという強い主張を河野大臣がなさったのであります。しかしソ連側はそれはもっともであるけれども、領水、陸上までにわたって外国との条約で縛られるということは、やはりソ連の主権に対しておもしろくない。かといってそれを全然問題から削除するわけでは決してないということでございまして、結局この条約の規定の第四条に科学的基礎に基いて付属書の規定を検討するということが出ております。その意味は、科学的基礎に立って検討するという以上は、これは公海だけの調査を幾ら取り上げても何にもならないわけであります。公海に泳ぐ鮭鱒は遡上して卵を陸で生むのでございまするから、当然この科学的基礎の検討の際には、ソ連の陸上、領水における調査も問題になる、またソ連側もそういう資料は喜んで出すということでありまするから、毎年必ず一回は少くも開かれる合同委員会で、ソ連の領水、陸上の資料も出されるということに相なりまするから、それによってわが方の主張は実際上達成されるわけでございまして、ソ連が自分の主権国としての建前上、領水、国内までに立ち入った規定を設けられるのはごめん蒙りたいという立場も認められまして、結局その交換公文というものは日本から出したのでございまするが、削除されましたような次第でございます。
○千田正君 であるから私は決して平等でないと、こう申し上げたいのでありまして、交換公文が途中から消えてしまった、日本の主張がついに通らなかった、言いかえればそういうことにしかならないのでありまして、これ以上は他の議員の御質問もありましょうから、また後日に至りまして申し上げます。私の質問は一応それで留保しておきまして、あとは他の議員から……。なお河野農林大臣が見えられましたならばお尋ねいたしたいと思います。
○委員長(小滝彬君) 承知いたしました。安部キミ子君。
○安部キミ子君 鳩山首相はこの臨時国会が終りましたら間もなく退陣なさるというお話でございますので、こうした大事な問題を首相にお尋ねする機会がないかと思いますので、首相が在任中にぜひ御自分の責任において解決していただかなければならない問題である対韓対策の問題について二、三質問いたしたいと思います。 御承知のようにただいま日本の漁船漁夫が、漁船は百二十五隻、漁民は八百三十名の多数が韓国に抑留されておりますですが、この抑留に対して外務省は再三いろいろなことを言って一向解決の域に達していないのでございます。今年も留守家族の人たちが大挙上京いたしまして、早くこれらの人を帰してもらいたいという言葉に対して六月まで待ったならば、今先方と話をしておるから解決するのだと、こういう答弁でございました。それから、それまでにやはり解決できませんので、また九月に、新しく八月に山日県の漁船が拿捕された問題もございまして、お話し申しますと、十月まで待て、こういう話でございます。最近また話をいたしますと、臨時国会が終るまでには必ずこれらの問題は解決できるのだというふうな御答弁だったのでございまして、こういうふうな言を左右にされるような形では、いつまでたっても解決できないのじゃないか。一方日ソの共同宣言が批准されましたら、ソ連の戦犯抑留者たちもやがては帰ってきます。こういうことに対しては鳩山首相は大へん熱意を持っておられまして、いろいろと言っておられますことに対しては、私も大へん敬意を表するものでありますが、中国の戦犯も御承知のようにもう帰っております。ただ残された問題は、韓国に抑留されておる人たちだけで、しかもまた冬をあの寒い韓国で、しかも劣悪な待遇をしておる韓国のもとに送らなければならないということになりますので、留守家族の人たちの悲しみも想像に余るものがあるのでございます。そこで一体首相は、やがては首相の地位を引かれるということにも関連いたしまして、この問題を早急に解決する見通しがあるかどうか、そのお答えによっては私また質問いたしたいと思いますが、その辺の見通しはいかがなものでございましょうか。
○国務大臣(鳩山一郎君) あなたの抑留者に対しての御同情ももっともです。私もこの問題についてはずいぶん前から関係しております。で、金公使にもたびたび会いました。ただいまのところ、あなたのおっしゃる通り六月がどうなる、九月がどうなる、十月はどうなるというような工合で延びております。ほんとうに。まことに遺憾です。とにかく今日考えておりますのは、やはり釜山にあるわが抑留漁民の帰国問題と、大村に収容しておる韓国人の送還問題と関連しておりまして、これに対して日本としては大村に収容している人をとにかく帰してしまう、向うがどうなるかをかまわずに帰してしまって、そうしてその向うの出方を見守ろうじゃないかというような論等が出ております。できるだけこの問題を早く解決するのには、向うが帰したらこっちも帰す、相互関係において帰すということをきめるのでは、なかなか向うが承知しないのですね。それですから大村に収容しているのをとにかく帰してしまって、そして向うの、釜山の抑留者を帰してもらうというような手続をとろうじゃないかというような話し合いをしておるのであります。で、今朝の閣議におきましても牧野君は四、五日のうちに必ず片づけると、四、五日なんて早いことを言っておりましたが、とにかくこの問題は日本が悪いというよりは、李大統領の意見が変るので、それでおくれておるのが最大の原因だと私は思っております。なお外務大臣から詳細答弁いたします。
○国務大臣(重光葵君) 私からもお答えいたします。この問題はまっ先に解決しなければならぬ問題だと思って実は非常に苦慮してきた問題でございます。その大要は、今総理大臣の言われた通りでございます。以下の問題もやはりこれは国交の全般に関係する問題でございまして、まあその一つの問題としてこれが出てきた問題でございます。そこで全般の問題を解決するということについては、なかなかこれは容易じゃございません。これは御想像にかたくないと思います。いろいろ困難な問題がたくさんございます。そこでこの日本の漁夫の送還ということを中心にして、そして向うの要求する大村の収容所の韓国人の釈放ということを、全般の問題とは引き離して解決しようと、すなわちそれをなるべく早く漁夫の帰還を実現させたいという一念から、そういうことになったのでございます。そこで今年の四月には、私と金公使との間に合意が概括的にできたわけでございます。その合意に基いて、あくまでこれを実現していこうということで話し合いをしているわけでございます。国内的にはいろいろまた問題もございました。しかし法務省側もよく事態を了解して、そうして今申されました通りに、大村の韓国人の釈放についても、韓国側の気持を十分いれていこうということに相なってきているのでございます。しかし向うの漁夫の釈放は韓国側がやるのでございますから、以来韓国側と交渉して、話し合いをして、そうしてその送還の実現することのできるように引き続いて話し合いをしているのでございまして、いろいろな事情、特に先方の事情によって、はっきりとまだ話し合いのつかないような状態でおるのは非常に遺憾でございます。今後も一日も早く実現したいと、こういうふうに考えておりますことをお答えいたします。
○安部キミ子君 ただいまの答弁によりますと、おそらくこの臨時国会内には解決できないという見通しじゃないかと思います。そこで、私はこの問題は、たとえば外務省の事務折衝というような形では、根本的な解決はできないと思うので、鳩山首相に最後の最後の御奉公というお願いで、直接鳩山首相が韓国へ乗り込んで、これらの問題を根本的に解決するという熱意を示してもらいたい、あなたがソ連に単独行かれて、あれだけの大きな仕事をなさったことは、私ども非常に敬意を表しております。全面的に賛成しているわけではない、一部不満足な点はございますけれども、しかし世界の平和という面では非常に私どもは喜んでおります。しかし、その問題が解決され、中国の問題がやがては国交回復というような方向で解決されるであろうということを私どもは心に期待しておる者でありますが、一番近いこの韓国と、しかも自由圏内にある日本と韓国との問題が、このようにこじれているということは、鳩山首相ないし重光大臣の熱意が欠けているのじゃないか、国民はおそらくそういう点に非常に不満を持ち、不信を持っておると思うのです。そこで最後の御奉公を私お願いするのでございますが、鳩山首相は飛行機にお乗りになれば、ほんに二、三時間で行けるのじゃないかと思いますので、この問題を解決してりっぱに鳩山首相の政治生命を断たれることが、私は一番国民のためになるのじゃないかと思いますので、鳩山首相の信念、所信をお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) ソ連との国交の正常化については、とにかく昭和二十七年から、五年前から唱えておりますので、ブルガーニンもよく知っておるのです。私がどういう演説をしたかということを……。それですからソ連は私に対して、向うでも信用をしておりますから、非常に話がうまくいったのでありますが、季大統領はブルガーニンと同じようには話ができないだろうと思います。あなたのお話についてはよく考慮をいたします。
○安部キミ子君 それでは李承晩大統領はもののわからない方でだめだということであれば、李承晩がなぜあのように強がっているかという根本的な問題を、お互いは考慮しなければならないと思います。もし李承晩から、バックになっているところのアメリカというものを取り除いたならば、あんなに李承晩は強くないと思うのです。そこで私はアメリカにこの問題を篤々と、ほんとうにアメリカが極東の平和を願うなら、この問題の仲介に立って、お互い同士をけんかさせるようなからくりはやめて、ほんとうに日本のためにも、また韓国のためにもなるこの問題を、早く解決するように頼まれたらどうか、こう考えるのでございますが、所信はいかがですか。
○国務大臣(鳩山一郎君) アメリカが李承晩大統領を説得するということは、有力なる方法と思います。で、アメリカはすでに李承晩を説得するように努めたと私は確信をしております。アリソン大使などもわざわざ韓国に参りまして、李承晩を説いてくれたのですけれども、そのときに承知をしなかった。アメリカの言うままにも李承晩は動かないようであります。僕の答弁が足りなければ、外務大臣から補足して説明をしていただきます。
○国務大臣(重光葵君) 補足かたがた申し上げます。これはもう御承知の通りに米国も非常に関心を持っておる問題でございます。そこで米国側とは密接の連絡を持っております。そうして常に米国側は、東京の大使だけじゃございません、ずいぶんいろいろの人が本国からも参りまして、この問題を説得するために努力したのでございます。まあそういうようなことで、非常に順調に行ったと思っておったのでございますが、まだ解決はできておりません。今後もむろん米国側に十分連絡をしまして、この問題の実現を期するようにいたしたい、このように考えております。
○安部キミ子君 ただいまの答弁によりますと、アメリカもたよりにならないということになれば、最後の手は、今日国連加入の問題が目前に迫っておりますので、やがてはこれも実現すると思いますが、国連に提訴するというお考えはございませんか。
○国務大臣(重光葵君) 目下のところ国連加入の時期を急いでおることに頭が一ぱいでございまして、それ以後にはそういうことも十分に、機会あれば利用していきたいと考えております。
○千田正君 関連して。今安部議員の質問の前段の問題ですが、ソ連に抑留されておるところの戦犯者のリストは、外務省が御存じの通りであります。この抑留者が平和発効後じゃなく、おそらくこの臨時国会においてあなた方の提示されましたこの条約の批准があると思いますが、批准後直ちに返していただけるような目安がついておられるかどうかという一点と、それから戦犯リストに載っておらない、刑期が満ちてそうして釈放されておる、ソ連の領土内にどこかに住んでおる、こういう邦人も相当おるはずであります。この調査と、これらの人たちの帰還が一体いつできるのか、この二点だけ一つお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(重光葵君) 抑留者の帰還は、これは批准交換があればすぐ着手をするということに、繰り返し向うとの打ち合せができております。この批准の御承認を仰ぐようになって以来でも、もう数回も向うと打ち合せをいたしております。向うとしても、それは批准交換がある前でも、一つ準備に着手をしてもらいたいということであったのであります。そういうことについては、先方もきわめて理解をもって準備を進めておることは事実でございます。配船の工合までも打ち合せをいたしておるようなことでございます。それでありますから御質問の第一は、必ずこれは実現するだろうと思います。 第二のリストにない人々が残っておる。これはあらゆる方法で、と申しますのは手紙を送るとか、また間接的に人の話を聞くとか、日本人だけの何でございません、ドイツの戦犯その他のソ連を出国した人々からの話を聞くというようなことで、その消息を詳細に実は調べております。そのうちでその事情のよくわかったものについては、直ちにソ連側と連絡をいたしまして、調査をしてもらうということに、ソ連側も今回の共同宣言でお読みのように、その調査に応じてくれる、そういうことに相なっております。また現にそういうものが若干すぐ現われて来ておるのでありますから、これは帰還を許される、つまり帰還が実現するということに相なっております。今後も私はその点は十分にソ連も好意を持ってくれることだとこう確信いたしておる次第でございます。
○安部キミ子君 ただいま韓国の問題については、国連提訴の件について今頭が一ぱいでそこまで考えていない、という外務大臣の御答弁でございましたが、早く頭の中を整理されて(笑声)この問題も処理していただきたいと思います。要するに、今の答弁を通して考えますと、この臨時国会中には根本的な解決はできないということになりますかどうか。
○国務大臣(重光葵君) 臨時国会の終了と言わずに、一日も早くという考え方ですべて処理をいたしておりますが、これが韓国側と打ち合せした上でなければなりませんので、はっきりといつと申し上げることは今日もできないことを非常に遺憾といたします。
○安部キミ子君 そうしますと、鳩山総理が去られましたあと、鳩山総理大臣はこの問題をどういうふうに処理してもらいたいという考えを持っておられますか。あなたが在任中にはこの問題は未解決ですよ。あなたは責任を十分果さないで退陣されることになると思いますが、その後の対策についてどういうふうに考えておられますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私はいつやめるかわからないのです……(笑声)とにかく……(「総理の言葉がよくわからない、そのマイクをもう少し近付けて聞えるようにして下さい。」と呼ぶ者あり)とにかく、できるだけ早く片付けるように努力をします。
○安部キミ子君 それではこの問題はその辺でやめまして、そういうことになれば、その留守家族に対する援護措置というものを十分配慮に入れて対策を立ててもらいたいと思いますが、外務大臣はどういうふうに考えておられますか。
○国務大臣(重光葵君) 援護措置も十分に手当をするように、関係の向きに協議をしようと考えております。
○安部キミ子君 この問題は幾らしましても結論はいい方向に出ないようでありますので、質問を運輸大臣にかえたいと思います。 大臣は今度の運賃の改正に当りまして、鮮魚の運賃についてこの間発表があったようであります。それを見ますと、遠距離の鮮魚の輸送になりますと大へん率が高くなっております。山口県の例をとりますと、下関から東京までが三三%以上になっている。こういうふうな不均衡な運賃は日本の水産業に非常に悪影響を及ぼすし、また業者やそれから漁夫の間にも働くという熱意を失ってしまう、それから消費者にとっても大へん高い魚を食わなければならぬということにもなりますが、この問題を合理的に是正されるお考えありませんでしょうか。
○委員長(小滝彬君) ちょっと安部さんに申し上げますが、もちろん答弁はしていただきますが、本日はまだほかにも残っておりますので、なるべく日ソ問題について御質問を願います。
○安部キミ子君 はい、私はこれで終ります。
○国務大臣(吉野信次君) 運賃の問題は国鉄の方から私どもの方に参っておりまして、今私の方で検討中でございます。今お話のあったことをそのままやるとはまだきまっておりません。お話の点についてはとくと考慮いたします。
○安部キミ子君 以上でございます。
○小林孝平君 質問の最初にちょっとお尋ねしたいのは、最近に至ってもわが漁船がソ連に拿捕されておりますが、それはどの程度に拿捕されているのか、どういう理由によって拿捕されているのか、そういう点を詳細にお尋ねいたします。
○曾祢益君 議事進行について。先ほどのお話では一時間半ぐらいしたら農林大臣こられるということでしたが、どうなっておりますか。
○委員長(小滝彬君) その通りであります。こちらから行きまして一時間ということで、三時五十分に必ず向うを終了するということになっております——、今、そこを入るようになっております。
○政府委員(法眼晋作君) 漁船の問題につきましては、私どもの方からチフヴィンスキー氏に対しまして、現在九十三隻並びに百三名の返還を要求いたしております。これは先方は本国に伝えるという話でありまして、いずれそのうち返事があることと思います。
○小林孝平君 これはただいま拿捕されたものについても返還を要求されたのでありますが、最近の拿捕状況並びにどういう理由で拿捕されているのか、どこまで行けば拿捕されるのかという点をはっきりお答え願いたい。
○国務大臣(河野一郎君) その点は本日もチフヴィンスキー氏が参られまして話合った際に、私の方からもできるだけ事情を説明いたしました。なお先方からは、特に違反の多いのは雌ガニの漁獲をやっている者を捕まえた場合が多い、そういうことがないように特に注意してほしいということを先方が言うておりました。この点につきましては農林省といたしましても十分注意いたしまして、そういうようなことのないようにすることはもちろんでございますが、なおその際に、先般モスクワでフルシチョフと会談いたしました際に、当時までに未解決になっている、まだ抑留されている、拿捕されている漁船の引き渡しについて交渉いたしまして、これは先方も私の希望に応ずるように政府に進言しよう、ということで約束をいたしましたが、きょうなおチフヴィンスキー氏に今回の条約発効を契機として、これまで未解決になっている抑留、拿捕されている、その後抑留、拿捕されたものについてもこの際全部返してほしいということを要望いたしまして、チフヴィンスキー氏はただちに本国政府にその旨を申し送ろう、ということの話し合いをきょういたしまして、当方の希望に沿うような結果になるように努力いたしております。
○小林孝平君 現在までに拿捕されたもの、また最近に至っても拿捕されているのでありまするが、そういうものは、この拿捕は不法に拿捕されたものと考えるのですけれども、農林大臣はどういうふうにお考えになりますか。これは拿捕されるのも仕方がないのだ、これはこちらが悪い、こういうふうにお考えになっているのですか。
○国務大臣(河野一郎君) これはそれぞれのケースによりましてよく事情を調べなければ、いずれが悪い、いずれがいいということは言えなかろうと思います。
○小林孝平君 現在まで相当拿捕され、なお拿捕されつつあるのですが、そういうものについて、どういうものが不法拿捕である、あるいはどういうものは仕方がないのだと、そういう調べはないんですか。そういうことは当然調べてなければ交渉ができないんじゃないかと思う。また将来もどういうことをやれば拿捕されるのだということをはっきりしなければ、非常に不安にかられて日本の漁船は仕事をしなければならぬ、こういうことになると思うのです。
○国務大臣(河野一郎君) 一応今日までの場合と、この条約発効後とは違ってくるようになりますことは、おわかりの通りであります。条約が発効いたしますれば、公海における漁業の場合におきましては、直ちにその原因、理由のいかんにかかわらず、わが方の漁船についてはわが方に引き渡しをいたしまして、わが方においてこれが処置をするということになっておりますから、今後拿捕、抑留ということはなくなるだろうと、こう考えております。
○小林孝平君 今農林大臣は公海における場合とおっしゃいましたが、それはどういう範囲を言われるのですか。日本は公海は距岸三海里と、こういうふうに解釈をしておる。それからソ連は十二海里、さらに今回のこの条約によって四十海里までその制限区域が広まっている。今の河野農林大臣の公海においての場合はとおっしゃることを考えてみると、これは当然日本としては三海里と解釈すべきだと思うのですが、その点はいかがですか。
○国務大臣(河野一郎君) 先方と、四十海里を保護区域としようということにいたしておりますから、鮭鱒の漁業については四十海里以上接岸することは不適当であります。ただし、四十八度以南の漁業につきましては——南千島であります——別途ソ連側と話し合いまして、これはわが方のこれに従事いたしておりまする漁船等も非常に小型でございますし、機械設備その他の面につきましても不十分なものもございますし、漁業の性質等からいたしまして、これは今の制限を緩和するということに話し合っております。
○小林孝平君 私はただいまの農林大臣の御答弁をお聞きしましても、この問題は非常に不確定だと思う。先ほど外務大臣の御答弁では、この四十海里の問題は移動漁具による海上漁業は禁止されるというのであって、実際にとっておらなければ、その漁具をつけてそこらを航海しておっても、違反にならないというような御説明があったと思うのです。そうしますと、これは明らかに、実際に漁をやっていれば悪いけれども、漁をやっていない場合はいいということ、この点を一つとりましても非常に解釈があいまいだと思う。
○国務大臣(河野一郎君) この解釈は、外務当局から御説明申し上げた通りであります。ただし、この四十海里につきましては、この条約によりましてできまする委員会において、四十海里がどうしても必要であるかどうかということについては、さらに検討をいたすことにいたしております。従いまして、今のまぎらわしい点、わずらわしい点等につきましては、その際明確に業者の間で打ち合せをいたしまして、明年度の漁業につきましては明確を期することが適当だろうと存じます。
○小林孝平君 そうしますと、私が質問いたしましたので多少はっきりいたしましたけれども、最後にまた農林大臣の御答弁では、まぎらわしい点はその委員会でやる、そうすると現在なおまぎらわしいのですか、この四十海里の問題については。たとえば漁具をつけて実際に操業した場合は違反であるけれども、操業をしない場合は違反でないというような点は、まだ目下まぎらわしいのですか。
○国務大臣(河野一郎君) 私が申し上げたことでもしまぎらわしくなったら、はなはだ恐縮でございますが、私が先方と話し合いました際には保護区域ということにしようと、また同時に、そういうところにまで行って魚をとらぬでも十分にとれるというような見解で、私は総括的に話し合いましたので、今のような答弁をいたしましてはなはだ相済みませんでしたが、これは外務事務当局の説明いたしました通りに、協定の条文で明確に規定いたしてあるそうでありますから、明確でございます。
○小林孝平君 そうしますと、この漁具をつけて操業しない場合ですが、日本は公海は距岸三海里と、こういう解釈をとる。これはしばしば従来も政府は、このわが主張には変更はないと、こういうふうに言われておるのです。そうしますと、ただいま農林大臣が言われたように、公海においてはその操業しない場合は自由であると、こういうことであれば、距岸三海里まで日本が近づいても、これは拿捕されないのですか。あるいは、後ほどお尋ねしようと思うけれども、別に不都合はないわけですね。
○政府委員(下田武三君) この拿捕の問題は二つ実はあるのでございまして、一つはただいま仰せの領海侵犯の問題でございます。現在の国際法におきましては、遺憾ながら領海は三海里であるという確定した原則が樹立されておりません。わが国は伝統的に三海里説をとっておりますけれども、国際法にはあらゆる国家は三海里以上に主権を及ぼしてはいかぬという禁止規定がないのであります。そこで、あるいは十二海里、極端な場合には二百海里まで主張しておる国があるわけであります。ソ連は伝統的に十二海里説であります。そこで、十二海里以内に入りますと、ソ連の方から見ますとこれはやはり領海の侵犯でありますから、これはソ連の領海に適用のあるソ連の国内法によって取締られるということは、免れ得ないわけでございます。 それから先ほどの問題になっております点は、四十海里以内においては移動漁具を使用してはならないという禁止規定がございます。そこで条約では第七条で、条約のいろいろな規定がございますが、その規定違反の明白な現行犯にぶつかった場合には、これは日露双方の官憲が取り押えて、直ちに相手国側に引き渡すという規定がございます。これは移動漁具禁止は四十海里でございますけれども、その他の問題、たとえば規定違反の網目を使っている操業中の漁船が発見された場合には、これは何も四十海里に限らないわけであります。条約水域全体に及ぶわけでございます。でございまするから、領海侵犯の場合と条約のいろいろな規制に関する規定の違反とは全く別個の問題でございまして、後者はこの条約で明確にどういう場合に押える権限があるということが一々書いてございますので、その点は漁業者がどうしたらよいか迷うというときには、条約をはっきり見れば全然御心配のないことだと思います。
○小林孝平君 こういうことは非常に私はしろうとの御質問のようでおかしいのですけれども、念のためお尋ねしておきますが、たとえばこういう四十海里だとかなんとかいうのを勝手にやられる、勝手でもないけれどもだんだん広まってくる。ところが、今後委員会でこういう問題はいろいろ検討されることになっておりまするが、こういうふうなきめ方をすれば日本と話し合いをすることができるけれども、ソ連が一方的にたとえば領海を今後距岸五十海里である、こういうように言ったときは日本は何も言うことはできないのですか。どうも委員会を開いてみたけれどもさっぱり話がまとまらないと、それならおれの方はもう領海は五十海里であると、こういうふうなことがあり得ないとは私は言えないと思うのです。そういう場合どうなんですか。
○政府委員(下田武三君) ソ連は昔から十二海里説をとっておりますので、突然五十海里説を唱えるようなことは万あるまいと思っております。また一方こういう先ほど申し上げましたように、各国がばらばらな主張をいたしますことは非常に困ることでございますので、先般問題になりましたように、国際連合のもとにおきまして、国際法委員会で公海制度に関する法典案というものをただいま作成しておりまして、来年くらいには国連総会にかけられることになっております。そうしますと、五十マイルだとか二百マイルという法外な主張はもうできないことになるだろうと思うのでございます。
○曾祢益君 今のに関連して。このいわゆる沿岸からの四十海里の条約区域の問題でございますが、これは私は非常に重大な問題だと思う。つまり今度の協定の中で、もちろん公海の中でも区域を限って、魚族保護のために規制の措置を相互に講ずるということ、これは例もあることであるしこれはまあ必要やむを得ざるところだろうと思います。ただ問題は沿岸から何海里を限って、そしてしかも農林大臣は保護区域というソ連の言い方を、まあ俗に言っておられるのでしょうけれども、設定を認めた。これは日本としてはなるほど形式では一九五六年度に限っての、しかもそこで制限される内容は特定の漁法に限ってはありますけれども、ただただいまも条約局長がちょっと触れられたような、今、公海、領海の問題について非常な大きな問題が国際法的に起っている。ことに私が一々申し上げるまでもなく、日本としてはオーストラリアの大陸棚の問題、あるいは李承晩ラインの問題、こういったような沿岸国側から勝手に一国の保護区域というような一方的な主張に日本が苦しめられている際に、かりに本年度限りとしても、条約の中でいわゆる保護区域というようなものを認める、こういうことになったことは、これは私は、非常な大きな日本の公海自由、あるいは公海におけるほんとうの公正な立場に立って、相互主義に基いた漁獲の規制とは違った非常に大きな問題である。まさに小林委員が指摘されたような、沿岸十二海里あるいは日本の沿岸領海三海里、これは交換公文でどっちの主張もそのままだと言っておきながら、現実にはこの十二海里をさらにオーバーするような、この四十海里という保護区域というものを認めたということになりはしないか。そうなればこれは日本としては非常に大きなマイナスになりはしないか。かように考えるのですが、この点に関する農林大臣、外務大臣のお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) 曾祢さんのお話でございますが、これは鮭鱒漁業に限って、この鮭鱒漁業の特質からこの取りきめをいたしたのでございまして、ひとしく問題になりましたカニの漁業につきましては、四十海里は認めないのでございます。漁業全体にわたってやろうということをソ連の主張を認めたんじゃないのでございまして、これはまあ私はそういう点は不なれでございますけれども、鮭鱒漁業の特質から、河川に上って産卵するという特異性をもっております関係から、鮭鱒に限ってこの処置をとろうというふうにいたしたのでございます。同じ対象にいたしましたカニの漁業につきましては、こういう制限措置はとっていないということで、私は差しつかえないかと思って、またこの漁業の立場から申せばこういう措置が妥当であるということは、専門家の意見に徴してやったのですが、これが外交しに及ぼす影響その他につきましては、外務大臣の方からお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(重光葵君) これはソ連の保護区域ということではないのでございまして、条約で双方できめました保護区域でございます。そこでこういうことはきめて差しつかえないと、こう考えております。
○曾祢益君 それは私も初め申しましたように、条約には、条約区域となってまことに罪のないような形になっておりますが、現実にはソ連のいわゆる保護区域の観念を認めたものである。全面的じゃないだろうというお話がございました。あるいはそうかもしれません。しかしそういうことになれば、日米加の漁業条約においても、西経百七十五度以東のべーリング海におけるものは、これも鮭鱒とそれからニシン、オヒョウですか、四つの魚種に限っての禁止に違いないのです。こういうことは、これはよほど注意しなければならない。私はやはりこの点においては非常な条約におけるこれは重大な過大な譲歩ではないか、私はかように考えるのであります。
○国務大臣(河野一郎君) 鮭鱒の保護、保存という意味からいきまして、日ソ両国間におきまして漁獲の制限をしよう、これはわが国だけその立場を強要せられるのじゃないと私は思うのであります。従いまして明年度以降の漁獲量の決定等につきましては、ソ連の陸上の漁業計画等をにらみ合せてやるということにいたしております。また今の私が使った保護区域という言葉は適当であるかないかは別といたしまして、領海と四十海里との中間の区間におきましては、これはソ連側といたしましても、この区間においては漁業はいたさぬということでございますから、私はわが方だけが一方的に譲歩して、そうしてソ連側が非常に有利な立場に立ったということにはならないのじゃないか。これは双方が漁族を保護、保存しようという立場に立って取りきめをしたことであって、従ってソ連側におきましても、私はこの点について特に考慮いたしましたゆえんのものは、たびたび申すことですが、ソ連の漁業計画が相当に特定の河川等について保護区域を設けておるということの説明を十分了承いたしまして、しかもこれはいずれ明年度あたりにおきましては、実情調査にわが方からも先方も調査団の交換をしようということになっておりまする等々の経緯からいたしまして、やったことでございまして、一方的な譲歩という考えは私は持っておりません。
○海野三朗君 ちょっと一言。拿捕されておる現実の姿に対しまして、政府としてはどういう手を打っておるのでありますか。拿捕されないようにするのがほんとうなんである。それに対して拿捕されないようにはどういうふうな手を打っておられますか。
○国務大臣(河野一郎君) これらに対して監視船その他十分手配いたしまして、そういう点について落度のないようには指導いたしておるわけであります。
○小林孝平君 私は質問を続けるに当りまして申し上げたいのは、今質問をいたしておるのは、河野農林大臣その他非常に御努力をされたのに、けちをつけようとしてやっておるのではないのであります。今後のこの委員会の交渉等に当って、今明確にしておかなければ、非常に将来禍根を残すおそれがあるのでお尋ねをいたしておるのでありますから、念のため御了承願います。 そこで農林大臣は、これは一方的の制限でないとおっしゃいますけれども、公海における漁業を制限されたのは一方的の制限でないと言われますけれども、これは現にこの公海における鮭鱒の漁業は日本だけしかやっていないのです。ソ連はやっていないのです。これは何といっても一方的だと思うのです。もしこれが一方的でないというならば、この今後の委員会においてソ連からも資料を提出してと、こうおっしゃいますけれども、なぜそのときソ連が、具体的にやっておるこの魚族保護の陸上における、この鮭鱒漁業の保護地域の設定とか、そういうものをもっと具体的に資料の提出を求めて交渉されなかったか、そういうものはどうもやっておるらしいということであって、こちらの方だけが大幅に制限されるということは、どう考えても対等でないと思うのです。こういうことは基本的に条約の取りきめのときこういう態度で行われておれば、今後といえどもどうも対等にはきめられないと思うのです。その点いかがですか。
○国務大臣(河野一郎君) 御承知の通りに、今日の日ソ間の関係、もしくはこの友好閥係が今やまさに開始されようというとき、私は露骨に言わしていただきますならば、鳩山総理のお供をして参りましたときと、私が五月漁業の問題について日ソの間に交渉いたしましたときの、両国間の雰囲気は全然違うのであります。しかもわが方といたしましては漁期まさに迫りまして非常に逼迫しておったときでございます。この漁業をどうしたらよかろうかということで、非常に国内におきましてもやかましかっときでございます。そこで暫定取りきめをいたしたのでございまして、これを恒久的に漁業条約全体といたしまして扱います明年度以降の分につきましては、委員会において検討しようということにいたしまして、差し当り今年度の分についてはこういうふうなことでいこうということにいたしたんでございます。今お話の通りに、現存ソ連は沖取りはやっていないじゃないか、その通りでございます。ただしカニはやっております。また沖取りについてもやろうという計画を立てるかもしれません。現に鯨もやればマグロもやろうと今計画しておるようであります。でございますから、今後わが方としては沖取りについては、ソ連に控えてもらいたいということもこれから提起しなければならぬと考えております。そういう事態でございますから、今お話の通りそれはなぜそういうことは言わなかったか、なぜこういうことをやらなかったかとおっしゃればその通りと思いますが、事情はそういうようなわけで、私といたしましてはいろいろな点においてもっと強く主張しなければならぬ点もございました。当時同行いたしました専門家の意見も十分徴しまして、この四十海里まで接岸しなくても十分わが方としては所期の目的を達成することができる、というような御意見等も十分しんしゃくいたしまして、この取りきめをいたした次第でございます。
○小林孝平君 私は農林大臣のそういう御答弁なら満足するのです。先ほど外務大臣は、これは実に両方対等な立場でやったのだ、何ら一方的に押しつけられたものでないと、こういうふうにみえを切られるから念のために申し上げたんで、今河野農林大臣のお話を聞けば、あの当時の情勢としてはいかに農林大臣の力をもってしても、この程度でがまんしなければならなかったという話だから、私はそれならわかった、こういうのです。率直にお答えを願えばわかるのです。(笑声、「あんまりほめるな」「ほめるのは早いよ」と呼ぶ者あり) そこで農林大臣にお尋ねいたしますが、いろいろの資料に基いてこういうことをおきめになったんだろうと思うのです。今年たとえば、六万五千トン、ところが農林大臣は、今年は当初十九船団を鮭鱒漁業に許可する方針をきめられたわけなんです。ところがこの六万五千トンになりましたので、それが非常に困って十六船団になった。こういうところを見ますと、これは相当ソ連の要求に屈したと言わなければならぬと思うのです。そこでたとえばこの十九船団のときは、一体何万トンくらいとるつもりで許可される方針だったのか。あるいは、今度は十六船団でこの六万五千トン、決定ではもっとほんとうは少いのだけれども、この程度にされたのだろうと思いますが、六万五千トンなら何船団がほんとうに適当であるか。そういう点をちょっとお尋ねいたしたいと思います。そこでそれに関連いたしまして、一体日本はこの六万五千トンに決定したとき何万トンを要求されたのか。そういう点をお尋ねいたしたいと思います。これは今後のこの委員会において科学的資料に基いて御決定になるそうでございますから、これは政治的に決定されるのでないのだから、こういう点は明らかにしておかなけりゃいかぬと思うのです。政治的に決定されるものならば、これは外交上の秘密だとか何とかということで御発表にならぬことがあるかもしれぬけれども、科学的にやる以上は大体このくらいとるなら何船団、日本はどれだけ要求したけれども六万五千トンになった、というような点は明らかにしていただかないと困ると思うのです。
○国務大臣(河野一郎君) 御説明を申し上げて恐縮でございますが、今年度におきましては、例の今年度の漁獲制限の区域外の漁業というものを相当に見込んでおったわけでございます。従いましてその制限の地域外の漁業と制限地域内の漁業とを合せまして、十六船団で大体よかろうということにいたしたのでございます。それからそれを決定する前に、大体六万五千トンを決定いたしました際に、私が先方に折衝いたしました数字は、この制限区域内で今年の漁業の状況から判断いたしまして、大体八万トン私は要求いたしました。先方は御承知の通り閣議決定が五万トンであったのであります。で、先方の五万トンに対して私は八万トン要求いたしまして、再度両者談合の結果六万五千トンということに決定をいたしたわけでございます。しかしこれは明年度以降の交渉の数字の基礎としては、これは全然基準にならない数字でございます。なぜなれば今申し上げましたように制限区域外の漁業の数字がございまして、それとこの六万五千トンと合わせたものが今年度の総漁獲高になるのでございます。しかもこれは今年はマスの不漁の年でございますから、この小さい数字に落ち着いたのでございまして、明年はマスの豊漁の年でございますから、そこでわが方としては相当の沖取りの数字を要求してもいいんじゃないかというふうに考えておるわけであります。
○小林孝平君 大体承わりますれば衆議院の委員会等でも凶漁の際は八万トン、豊漁の際は十万トン、こういうふうに御説明になっておるようでございますが、そうしますと最高でも十万トン以上は来年はきまらないのですか。
○国務大臣(河野一郎君) それは非常に誤解があります。両者の意見がどうしても合わなかったときには、十万トンでがまんをすることにしようじゃないかということなのでございまして、まあ俗に申せば十万トンが最低でございます。不漁の年には最低が八万トンということにしておりますが、これはあまりわれわれどもといたしましてはこの一条件だけを強く考えませんで、これは今年度の双方の漁獲高と、明年以後におきましては、ソ連側の陸上の漁業計画とにらみ合せて、明年の沖取りの漁獲高をきめていくというふうに、条件として双方で意見の合致を見ておるのでございますから、この二つの条件を勘案して明年度の数字はきめるということにいたしたいと思っております。
○小林孝平君 ただいまのところこの十二月中には開かれます第一回の委員会には、大体どのくらいを日本としては要求されるのですか。
○国務大臣(河野一郎君) これはなお検討中でございますから、幾らという数字は今申しかねますけれども、大体民間研究家等の意見ではまず十五万トンというような——新聞にもありますように——というような意見を強く言うておられますが、政府といたしましてはなお各種の資料によって検討中でありまして、わが方の意見はまだ確定いたしておりません。
○小林孝平君 今後の委員会における討議のやり方に関係があるのでお尋ねいたしますが、この条約の結ばれましたとき、暫定協定の締結されました、六万五千トンと決定されました際、どうもソ連側の一方的の資料によって押し切られたというふうにわれわれは聞いておるのです。それでこれは現在のところ この資料についてはソ連とわが方とはそういうふうに格段に資料の量が違うのですか。日本はあまり調べてないのですか。向うの数字に押し切られたところを見ると、日本側の資料というのはきわめてずさんのように思うのだけれどもいかがです。
○国務大臣(河野一郎君) そういうことはございません。日本側におきましても、相当長年にわたる経験、長年にわたる資料はありますし、また、ソ連側も日本の資料をみなもっておりまして、そうして日本の資料もソ連側は基礎にいたし、またソ連側としても、ソ連独自のいろんな研究資料を提示いたしまして、これらにつきましては、双方全く隔意なく談合いたしましてやりましたことでございまして、最後の六万五千トンと決定いたしましたのは、今申し上げましたように、いろいろ意見の相違がございまして、先方は閣議決定で五万トンと決定しておりましたので、私の主張いたしました八万トンの、これは中を取って、政治的に六万五千トンと決定いたしましたが、しかし、専門家の間で討議いたしました際の資料につきましては、両者十分資料の出し合いをしてやったのでございます。わが方としては、十分研究資料は持っておるわけであります。
○小林孝平君 この交渉の際に、このソ連側の陸上漁業の保護施設、あるいは保護の状態等については、詳しく資料の提出を求められたのですか。それがソ連の方はさっぱりわからぬで、日本側だけこういうふうになっておる、公海の漁業の調査はこうだというふうでやられたんではないかと思うのですが、そういうことだと今後非常に困る。
○国務大臣(河野一郎君) そういうことは全然ございません。先ほど申し上げましたように、たびたび申して恐縮ですが、私たちがかつて承知をしておるほど有名な漁場、優秀な漁場を保護のために閉鎖しておるというようなことを向うが説明する、ことほどさように詳細にわたって先方からは資料の提示があったわけでございます。
○小林孝平君 かりに十万トンと決定された場合は、日本の船団は何船団ぐらいになるのです。もうこれは近く決定になるのですから、そのくらいのことは大体おきまりになっているのじゃないか。
○国務大臣(河野一郎君) 十万トンにきまると考えておりません。先ほど申し上げました通り、ソ連側が陸上の漁業計画をどう立てるかということとにらみ合せてやることでございますから、先方がどういうものをもってくるか、これとにらみ合せてやって参るわけでありますから、先ほど申し上げました通り、わが方として提示いたしますものは、そういう少い数字を提案しようとは考えておりません。
○小林孝平君 そんなら十五万トンならどうなんです。これは、非常にいろいろの漁船の船団の割当等に関連していろいろ要らない疑惑を生じたりいたしておりますから、私は、この際、明らかにそういうことをされた方が農林大臣のためにもなるだろうと思ってお尋ねいたしておるのです。
○国務大臣(河野一郎君) これは、こういうことになるだろうと思うのであります。また、私としての考え方を申しますと、十五万トンになりましても、大体本年度の出漁の船団もしくは独航船の数で足りる。これが減りますれば、それだけ減って参るわけであります。その減りますことは、民間の諸君が自主的にして、政府はこれに補償したり賠償したり、いろんなことを絶対すべきものでないという考に私は立ちまして、民間が自主的にこの程度の漁獲量であればこの船団、この独航船の数が妥当であろうということはわかるわけであります。従いまして、それによって、自主的にそれぞれやれる船団、もしくは独航船、補償は民間が自主的にやってもらうということが一番いいんじゃなかろうかと考えておるわけであります。
○委員長(小滝彬君) 羽生委員の質問が残っておりましたので、この際質問を許します。
○羽生三七君 私の質問は問わずもがなのようなことで、お尋ねするのもどうかと思いますが、先ほど実は総理大臣からお答えがあったことに関連して、この席に河野大臣もおっていただきたかったのですが、念のために一言だけお尋ねいたします。それは例の領土問題の継続審議に関連したことですが、河野フルシチョフ会談のときに、ことに第三回の会談について、いろいろ取りざたされておる。それは外交の機微のことだから私はあえて多くは申しません。ただ問題は、鳩山内閣はいずれ近くかわるわけですが、あとの内閣なりあるいはずっと先へいって、あるいは社会党政権のときかもしれませんが、とにかく領土問題の仕上げをせんならぬ。それについての余地が残されておるかどうかということでありますが、それは残されているにきまっておるというお答えは当然されると思う。だからそういうことを聞いても意味のないことですが、しかし少くとも日本の国民を代表されてモスクワに行かれて、ただ表面条約の体裁上あるいは自民党内の党内工作上、やむを得ずああいう表現を使ったんだということと、どうせ歴史の審判になる問題ですが、あなたが信念をもって、やはりあとの内閣なり、また、いずれは社会党の政権になって必ず仕上げをする時期が残っておるということは、だいぶ私は違うと思う。それだから、あなたがほんとうに全国民に対して信念をもって、この余地が残されておると判断されておるかどうか、それを承わっておきたい。
○国務大臣(河野一郎君) 私は、この際明確に申し上げておきたいと思います。それは、私とフルシチョフ氏との間に、領土問題について数次にわたって談合いたしました際、将来を拘束するような会談は一つもいたしてありません。これはどこまでも、共同宣言に表明せられましたるそれが、両国の間の意思の合致でございまして、これ以外に将来を拘束するような談合は全然ございませんから、将来社会党政権ができました際に、この日ソ交渉、平和条約等によって交渉されます際に、当時河野がこう言った、ああ言ったというようなことは、そういうことは一切ございませんということを私は責任をもって申し上げます。
○秋山俊一郎君 同僚委員がかなり質問をされましたので、私の考えておることもやはり了解いたしましたが、もっぱら農林大臣に対しまして、漁業問題を一部お尋ねいたしたいと思います。 この日ソ漁業条約という問題が、突如としてロンドン会議が停頓した後にすぐ出てきた。これはわれわれとしては突如として出たように思いますけれども、実は、その前に前のソ連の代表部といいますか、ドムニッキー氏が昨年の夏ごろからちょいちょい何か放送したようなことを耳にしておりましたが、まさかと思っておったときに突如として出てきた。これはわれわれといたしましては非常に心外でありまして、当時ソ連とは、現在でもそうですけれども、戦争状態にあるということの上において、ソ連がああいうふうな広大な区域に入れば拿捕をするというようなことを、一方的に閣議できめて発表されたようですが、これは戦時状態にあるという意味において、日本政府はやむを得なかったと見られるのでありますか。またその際に日本政府として、これに対して何らかの抗議を申し込まれたか。そういった点はどういうことに相なっておりますか。これは農林大臣が主としてこの漁業交渉に当られたのですが、外務大臣の所管になるかもしれません。
○国務大臣(重光葵君) それは外交交渉といたしまして、むろん抗議をいたしました。ロンドンでその抗議を二回ばかりしたという記録がございます
○秋山俊一郎君 それはどういう抗議をなされたですか。
○政府委員(法眼晋作君) これは、ロンドンにおきまして、ソ連が公海に一方的に線を引いて、その中で一方的に漁獲を制限することは、日本として承服しかねるということを強く先方に申したのであります。
○秋山俊一郎君 それに対して、ソ連はどういう回答をしておりますか。回答がなかったのでありますか。
○政府委員(法眼晋作君) それに対してはソ連は同じ発表をして、同じ言葉を繰り返すのみでございました。
○秋山俊一郎君 そういったような観点からわれわれは考えますと、先ほど来いろいろ論議されましたように、結局一方的に押しつけられておる。今河野農林大臣が言われたように、漁期は切迫しておるし日本の力はないし、どうも泣き寝入りにならざるを得ないといったような格好にわれわれは受け取らざるを得ない。まことに遺憾でありますが、そういう土台に立っていきますと、この条約というものがいかにも一方的であって、ことにこの海域におきます沖取り漁業といいますか、鮭鱒の遠洋漁具を使ってやる漁業は現在のところほとんど日本だけである。そうすると、日本だけを規制すれば、ソ連の漁業は保護されるといったような感じにわれわれは感じるのであります。従いまして、先ほどからいろいろ四十海里の問題が論議されましたが、これもやはりわれわれとしてはまことに納得いきかねる問題であって、もちろん魚族の資源が維持されるということなれば、われわれにも利益があるわけでありますけれども、ソ連側がほとんど沿岸あるいは内水面において漁業をしておるということから考えますと、とにかく日本の漁業が大きな制約を受けて、で、私は数字を今調べておりませんが、長年このオホーツク海及びベーリング海においては、露領の沿岸においても日本は長い間漁業をして参りました。相当の漁獲量をあげておったはずであります。そういう総体の漁獲量を勘案して、そうして今日日本のあの海域における漁業が非常に資源の維持に害があるから、規制せなけりゃならぬというようなことにある程度の根拠があって、こういうことになったのかどうか。先ほどからソ連が発表いたしました閣議決定によりますと、あの広い海域において漁獲数量五万トンときめたものが、河野大臣が行かれまして交渉の結果八万トンが六万五千トンになった。すなわち中をとって二つ割りにして一万五千トン加え、一万五千トン引いたといったような、いわゆる目の子の交渉のように考えますが、そうするとあのときは何らのそういったような基本的な数字なしに、五万トンときめたというふうに私どもには想像されるのでありますが、その点いかがですか。
○国務大臣(河野一郎君) 今お話の点で、私はもちろん蛇足と思いますが一点つけ加えたいと思いますことは、これはお話の通り鮭鱒漁業は全部淡水に産卵する魚族によるのでございまして、わが方が海洋において一方的に魚族の保護を計画いたしましても、これはできぬことでございます。わが方の漁獲を制限することだけでできることでありませんし、またこの淡水の産卵時における保護が必要なことは申し上げるまでもございません。従いまして水上、陸上双方協力いたしましてそうして初めてできる魚族の保護であり保存であることは御承知の通りであります。従いましてソ連側におきましても、すでにこの魚族の保護のために海上における制限を加えようということになりました。以前において相当の規制をしておるという事実をわれわれはソ連から提示されたのであります。これはもちろんそれまでは全然わからなかったことでございますが、先方へ参りまして、先方の資料その他によりまして、われわれはむしろソ連側から非常にこの産卵もしくは魚族の保護育成に努力しておりまする経過の説明を受けまして、そしてむしろわれわれは、もしくは私のみならず、同行いたしました専門家の諸君も非常に驚いたというようなわけであったのでございます。そういうふうなことから、両国の専門家の間には相当の保護、規制をする必要があるということに期せずして意見の一致をみたのでございまして、今年度の漁業に対しましては早々の際でございましたから、むろん両者の間に十分な談合はいたしましたが、これは先ほど私が小林委員に申し上げましたような経緯でございますけれども、明年以後、すなわち漁業条約に規定いたしまするところのものにつきましては、決して押しつけられたとか、一方的にわが方だけが規制を受けて、ソ連側に非常に有利であるとかいうようなことはないように努力をいたしたのでございます。そのために、陸上の漁業と海上の漁業と、これは双方見合った上で制限を加えていこうというようにソ連側も了承いたしております。従って、両国の間に明年以後におきましては調査団の交換をしようというようなことも約束いたしております。そういうようなことでございますから両国合意の上、もしくは協力の上でなければこの魚族の保護、保存はできないわけでございます。そういうふうな見地に立ってこれから先はやっていくというふうに考えておるわけでございまして、まか、今お話でございますが、戦前から沖取りもやっておりましたし、向うの陸上もやっておったのでございますが、戦前に比べますと水上でやりまする漁業は非常に発達しております。今日は非常に戦前に比べまして漁撈方法も発達しておりますし、それから海上でやりまするすべての操作も、戦前に比べて比較にならぬほど飛躍的に増大いたしておりますというようなことでございますから、これも陸上には相当に影響が及びまして、そこに戦前ももちろん、水上と陸上との間に農林省があっせんいたしまして、協調してこの漁業はやって参ったのでございますが、今日は立場がソ連と日本という格好になりましたので、今言うように両者の間に協調してやっていかなければならぬような実情になったことは当然だと思うのであります。今の六万五千トンにきめたのは、それは適当に見合いでやっただろう、それはあの当時の事情といたしまして、科学的根拠を求めたわけでもなければ……しかしこれも先ほど申し上げました通りに、この制限区域外における漁業に相当の期待をいたしておりました。事実またここに相当の漁獲をあげたわけでございます。そういうものと相加えてことしの漁業を終ったわけでございますが、そういう意味合いで同行いたしました専門家の意見等も十分徴しまして、この辺で適当であろうということで妥結をして参ったということでございます。
○秋山俊一郎君 今のお話を承わっておりますと、従来まあ戦後日本があそこの沖取りをやり出したということについては、何ら定見がないような感じであります。ソ連のデータによって初めて資源保護の必要が感じられたように受け取ったのですけれども、私どもは、日本の農林省が漁業を許可する場合に、その漁場における資源というものは十分にらみ合してやられたものと考えております。従いまして農林大臣の許可は適当な許可であると、こう考えておりましたが、今の答弁によりますと、何だか少しあやしいような感じがいたしますが、その辺いかがでしようか。
○国務大臣(河野一郎君) 今年度の許可をいたしますに当りましては、十九船団を出漁させましても、船団の漁獲については、いずれも採算可能であるという見地に立って許可をいたしました。従いまして、これら魚族の保存というような点につきましては、露領においてどういう経緯になっておるかということはむろん調査はできません。日本といたしましては、今申し上げましたように、あの海域におきましてこの程度の独航船船団が参りましても、いずれも相当の漁獲を上げ、採算可能であるという見地に立って許可いたした次第でございます。
○秋山俊一郎君 現在でもそのお考えは変りませんか。
○国務大臣(河野一郎君) これから先は今申し上げました通りに、両者の間に魚族の保存について十分な資料の交換をいたしまして、そうして委員会において研究して参るということになっておるのでございますから、その決定した数字に基いて、先ほど小林さんのおっしゃいました通りに、民間において自主的に適当な規制を行なっていくようにやっていくことが適当であろうと思っております。
○秋山俊一郎君 今度条約の区域は非常に広くなっておりますが、漁獲量も今年よりふえるのが当然だと思います。そこで先ほどから十万トン、十五万トンという標準がございましたが、これは農林省が今日まであの海域において適当なる、ただこれは採算外ではいかぬと思いますが、やはり資源保護の関係からいきますと、適当なりと考えてとられた点はあくまでも主張してやっていただきたいということをお願いいたします。 それから海岸から四十海里の問題でありますが、これはこの条文にもありますように、鮭鱒に限られておるように思います。従いまして鮭鱒以外のものの漁業、先ほどはカニはその中でやるということ、トロールであるとか底曳であるとか、そういったような鮭鱒以外のものを目的とするものは、何らこれに規制されないのですか。その点。
○国務大臣(河野一郎君) もちろんさようでございます。
○秋山俊一郎君 それからいずれ細かいことはまた明日でもお伺いいたしますが、この漁業の許可でありますが、実は本年はソ連の漁業の許可が非常におくれたために出漁もおくれまして非常な損害を受けたわけです。この条約ができました以上は、漁獲数量が決定し、そうして船団が大体きまって、少くとも船団がいかになろうとも、漁獲高すなわち漁獲量が決定すればそれでいいと私は思いますが、採算のとれないものはできないはずであります。そうしますと、その許可は日本の漁船に対しては日本だけの政府が許可をして、あるいは証明書を発行するだけでいいのであって、それはソ連に通告すればいい。これだけのものをこれこれの船に許可をしたということを通告すれば足りると思うのですが、その点はいかがでございましょうか。
○国務大臣(河野一郎君) これは今年は特別異例の、両国の国交の関係からいたしまして、異例の措置をとって安全操業をいたしたのでございます。明年以後のことにつきましては、委員会において十分話し合いまして、決して不平のないように了解ができるだろうと思います。そしてまた両国間に十分そういう話し合いができると思います。
○秋山俊一郎君 許可の点、いかがでございますか。日本政府だけの許可でいいんですか。またソ連の許可を取りつけなければ、一つの船に両方の許可を取りつけなければ出漁できないのですか。
○国務大臣(河野一郎君) これはそうしていった方が今年は安全であるからそうしたのでございます。来年もおそらくこういうふうに……。国交が正常になれば、そういうことは話し合えばすぐわかることでございますから、そういう許可の必要なしに行くことになろうと思います。許可の必要なしにやるようにいけると考えております。
○秋山俊一郎君 それはソ連の許可なしに……。
○国務大臣(河野一郎君) ええそうです。
○秋山俊一郎君 まだ小さい点がありますが、明日もあるそうでありますから、明日に譲りたいと思います。
○千田正君 先ほど重大な質問を、私外務大臣にお伺いするのをちょっと延びましたのですが、二、三点特にお伺いしたいと思います。 それから河野農林大臣には明日もう少し聞きましてから……。 第一点は、この日ソ共同宣言の第六項において、日本の国民の財産権を放棄したという点であります。これは重大な問題であるとわれわれは考えざるを得ないのでございますが、御承知の通り日本は憲法の第二十九条によっても、日本の国民の財産は当然侵されないことになっておるはずでありますが、この日ソ共同宣言においては日本の国民の在外資産が喪失する、放棄されるという状況にありますが、この点は憲法違反ではないか。たとえば昭和二十六年のサンフランシスコの平和条約においては、御承知の通り世界人権並びに国際連合の憲章に基いて、アメリカ側は日本とドイツの財産に対しては一応これを立法措置によって補償しよう、こういう状況に立ち至っておるのは御承知の通りであります。ところがこのたびの日ソ共同宣言に至っては日本国民の財産権を放棄する、これは日本の憲法の第二十九条からいえば重大な問題であると思いますので、この一点をただしたいと思うのであります。 もう一つは、千島並びに南樺太におけるところの日本の存留国民が大体一万四千名、この人たちの財産は相当多額に上っております。小笠原諸島から引き揚げてきたところの島民に対しましては、日本の政府がいろいろできるだけの国内措置を行い、さらにアメリカ政府に対しましても補償を要求しておるとまで伝えられておる今日において、この南樺太及び千島に邦人が残した財産に対しては全然放棄する、こういう問題は、私はどうしても考えられない。これに対して外務大臣並びに総理大臣はどう考えられるか。先般衆議院の特別委員会におきまして、政府は、南樺太及び千島において日本の国民が残してきたところの財産はどれだけかという問題に対しまして、大蔵省の発表は二十億円、こういうことを河野理財局長が発表されております。これはいかなる根拠に基いて二十億ということを発表されておるか、これは大蔵省に聞かなければわかりませんが、大体こういうことであっていいのかどうか。少くとも憲法第二十九条において保障されておるところの日本の国民の財産が、かように放棄されるということは、これは重大な問題であります。私はこれは一面においては憲法違反でもあるというように考えられますので、総理大臣並びに外務大臣の所信をただしておきたいと思います。
○国務大臣(重光葵君) その点は主として法規問題にも関係するようでございますから、まず条約局長から説明をさせた上でお答えいたします。
○政府委員(下田武三君) 共同宣言には財産の放棄ということは少しも書いていないのでございます。つまり請求権と申しますか、英語でいうクレイムを放棄するという建前になっております。またこの考え方はサンフランシスコ条約でもすでにとっておるわけでございまして、その桑港条約のみならず戦争の結末をつける平和条約あるいは類似の文書においては遺憾ながら敗戦国側は戦争に基いて起りました種々の請求権を放棄させられるという先例になっておりますので、日本側も今回はまことにやむを得ない次第に相なっておるということでございます。
○千田正君 その点をただしたいと思います。昭和二十六年の九月の桑港平和会議におきましては、サルバドル国の代表が国連憲章並びに世界人権宣言に基いて、日本及びドイツの財産を放棄させるということは穏当でない。これは国際連合の立場からいってもこれは留保すべきであるという強硬なる意見のもとに、この問題は留保されて、アメリカの上院委員会におきましては、この問題に基きまして新たに立法措置を講じたわけでございます。ソ連の場合においてこうした問題が将来に残される問題としてあなた方は交渉しなかったかどうか、この点であります。
○政府委員(下田武三君) 桑港条約の中にも請求権を放棄した日本国民に対して、日本政府は補償すべしという規定は実はないのでございます。その点は今回の共同宣言と全く同じ関係に相なっております。ただその点が仰せのように国連憲章の原則——私有財産権の尊重の趣旨に反するという見地から、御指摘のような発言をいたしました二、三の国の代表もおりましたが、しかし条約そのものにおきましては国内補償の点は全然白紙に残しておるわけでございます。
○千田正君 米国上院のダークセン議員から提出されまして、米国上院におきましては、この桑港平和会議のサルバドルの抗議を十分聞き取って、アメリカの国内におきましては一つの立法措置をした、日本人及びドイツ人の財産を没収した場合においては、その補償をするという立法措置をしたはずであります。
○政府委員(下田武三君) それは桑港条約の規定の実施のための立法ではございませんで、米国内にあります日本人の財産、これは桑港条約の規定によりますと、アメリカは留置、清算して取る権利があったのでございまするけれども、特に好意的に一定限度、つまり一万ドルでございましたかの限度において、留置、清算していいものを払い戻してやるという好意的な措置をとってくれたわけでございます。
○千田正君 あと一点だけ……。この問題は将来重大な問題でありますが、ソ連との間にこの問題に対しては今後に残されておるのか、これで請求権を放棄したことによって打ち切られるのか、その点はっきりしていただいて、もし請求権を放棄したものだとすれば、国内的に何とか補償しなければならないのは当然であります。総理大臣の将来のこの問題に対しての御所信を承わっておきたいのであります。
○国務大臣(鳩山一郎君) こういうような問題はほかにも同様な関係に立っておる事件がありますので、国内問題として考慮したいと思っております。
○委員長(小滝彬君) いまだ質疑は残っておりますが、自後の取扱いにつきましては、早速外務委員会の委員長理事打合会を開いて協議することとし、これにて散会いたします。 午後五時四分散会