運輸委員会 第2号
- 発言数
- 19 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1956/11/22
会議録
○委員長(戸叶武君) これより運輸委員会を開会いたします。 まず、委員の変更について御報告いたします。十一月十六日、川村松助君辞任、植竹春彦君補欠、同月十九日、木島虎藏君辞任、谷口弥三郎君補欠、同月二十二日、谷口弥三郎君辞任、寺本広作君補欠、選任せられました。 ―――――――――――――
○委員長(戸叶武君) それでは、運輸事情等に関する調査を議題といたします。 本日の予定を、この際申し上げますと、最初に、まず運輸大臣より運輸行政の基本方針を伺い、次に、陸運、航空、観光に関する件について、政府当局より所管事項について説明を聞き、これらの質疑は次回にいたしまして次に、参宮線の事故に対する報告及び国有鉄道の輸送、特に滞貨の問題等について、国鉄当局より説明を聴取し、これに対する各委員の質疑に入りたいと存じますので、あらかじめ御了承願います。それではまず、吉野運輸大臣より、ごあいさつをお願いいたします。
○国務大臣(吉野信次君) 今度、この委員会の構成が新たになりましたので、前から委員であらせられた方でお残りになった方もあろうと思いますか、委員長初め、新しく委員になった方も多数ございますので、ちょっと私といたしまして、ごあいさつを申し上げたいと思います。運輸省の行政は、陸、海、空にわたりまして輸送を受け持っておるのでございまして、いろいろな面でそのわたるところが非常に広範でございまして、ことに、最近におきましては、輸送が経済の好況に伴って非常に輻湊して参っておりますので、その点でいろいろな面で問題が多くなっておるわけでございまして、従来も非常に注意はいたしておったのでありまするけれども、海、陸――まあ空はしばらく別といたしましても、海、陸というものの輸送面の調整というようなことも、従来も一生懸命にやっておったわけでありますけれども、まだ十分でない面などもございますので、今度、鉄道が非常に混んで参ったものですから、その幾分を船に回すと申しましても、同じ運輸省の行政でございまするけれども、どうも右のポケットから左のポケットへ移すというわけにも参りかねるような事情もございまして、そういうことで、当面の問題としては、おそらく皆様方にも、どこでも輸送が困って、せっかくのものが運べないというような御注文と申しますか、御要求が非常に多くあると思います。私も運輸省の仕事をお引き受けいたしまして、私も実を申しますと、運輸行政にっいては全くのしろうとでございまして、今まで及ばずながらいろいろやって参ったのでございまするが、今日以後におきましても、そういったような点で、何せ運輸ということは、一国の産業というものの根幹でございまして、ほんとうに私そう思うのですが、うっかりしますと、せっかくの経済の好況というものも、運輸の面でつかえるというようなことが絶無とは言えないような今日の状況だと言うても過言じゃないと思うのです。それですから、そういうような面で、いろいろわれわれも考えておることがございますので、いずれ、今、委員長から運輸行政の根本にっいて私から申し上げるという段取りにきょうはなっておるようでございますけれども、もう少し猶予をいただきまして、その前に一通り、今まで皆さん御承知のことでいらっしゃいますけれども、運輸行政というもので運輸省で今やっておりまする仕事というものの大体の輪郭というものを、もし時間がお許しができますなら、各局長も参っておりますから、一つある程度にお話を申し上げた方がよくはないかと存じます。 これで、私は本日は、はなはだなんでございますけれども、ただごあいさつだけにとどめまして、そうして、説明が済みまして、また御質問に応じまして、私の考えておりまする行政の仕事の方針などについても逐次お耳にお入れいたしたいと思います。何分にも、いろいろな問題で、今後皆様方にお世話を願わにゃならぬことでございまして、この機会に、委員長初め委員の方々に御鞭撻と、格段の一っ御協力をお願い申し上げたいと存じます。 はなはだ簡単でございますけれども、ごあいさつにかえたいと思います。
○委員長(戸叶武君) 次に、朝田官房長より所管事項について御説明願います。
○政府委員(朝田静夫君) 私、運輸省の官房長をいたしております朝田でございます。まず、大臣官房の所掌事務のうち、当面重要な問題になっております事柄につきまして御説明を申し上げます。 お手元にお配りいたしておりまする運輸省の組織に関する資料がございますが、これは運輸省設置法、運輸省設置令、運輸省組織規程、それに組織一覧表というものをつけてございますが、後刻ごらんおき願いたいと思います。 そこでまず当面の重要問題でございますが、御承知のように最近非常な産業経済の伸びと農産物の豊作によりまして、国鉄を中心といたしますところの国内輸送力が相当逼迫をいたしまして、これらの伸びについてゆけなくなって参っておるのでございます。そこで恒久対策はもちろん推進しなければならないのでございますけれども、この当面の隘路となっておりまする事柄を放置いたしておけませんので、去る十月十六日に閣議の御了解を得まして、緊急輸送対策連絡会議というものを運輸省に設置いたしまして、関係各省庁と緊密な連絡をとりまして、わが運輸省の所管に属しまする鉄道はもちろんのことでありますけれども、国内の内航海運、自動車、特に貨物輸送の面におきましてトラック、こういったような輸送力を総合的に調整をいたしまして、問題を一つ一つ具体的に解決いたしまして、これが打開策を講じなければならぬ、こういうことでもって今申し上げましたような緊急輸送対策連絡会議を設置いたしまして、すでに二回開催をいたしておるのでございます。なお、省内におきましては、もちろん国鉄の参加も得まして、海運、トラックの方面の業界にも協力を得まして、かつまた荷主官庁でありまする――農林、通産の大口荷主官庁とも緊密な連絡をとりまして、これが打開策を講じておるのであります。最近におきましてすでに硫化鉱、砂鉄、鉄鉱石、木材、コークス、セメント、肥料、米といったような品目につきまして、すでに海運に転移いたしましたものが十四万三千トン、トラック輸送に転移いたしましたものが十二万四千トンに上っておりますので、まことにじみではありますけれども、一つ一つ具体的にその隘路になっているものを取り上げまして、個別的に解決の道を講じていきたいということで目下鋭意これが対策を進めておるようなわけでございます。 その次は、お手元に差し上げてございまする資料に、税制に対する要望事項というのがございますが、そこにありますように、運輸省の所管にかかりまする事業は海運、航空、観光といったような国際収支の改善に資する事業、あるいは国鉄を初めといたしまする自動車、私鉄、地方鉄道へこういった公共性の強い事業であります。またこういった事業の中には自動車、内航海運のように中小企業に属するものが非常に多いわけでございますので、その育成をはかりますことは、そこに書いてありますように、非常に国民経済上重要な問題でございますので、現行の租税制度のうちで最近税制の検討を行われておりますので、特にそこに掲げておりますような事柄について善処していただきたいということで大蔵省、自治庁あるいは税制調査会の各方面に要望書として提出をいたしたものでございます。 中身に入りますと非常に時間もとりますので、そのうちで最初に掲げてありますような国税、地方税に共通する一般問題につきましては、租税特別措置法に基く特別措置を存続していただきたい、こういうことをまず第一点にあげておるのでございます。輸出を振興いたしますとともに、今の企業経営基盤の強化、維持をはかつて参りますために、どうしても現行の租税特別措置法に基きます特別措置を存続してもらいたいということが第一点であります。 そこで第二点は、自動車関係の諸税公課の簡素化及び軽減でありますが、これは後ほど各原局の局長から説明をされるはずでありますが、特に自動車関係の諸税公課というものが非常に複雑多枝をきわめておりまして、しかもその負担限度はすでに限界にまで達しておるということになっておりますので、そこにあげておりますように非常に過重でありますとともに、販売に国税として物品税、取得に取得税、所有に自動車税、燃料に対しましてはガソリン税、地方道路税、軽油引取税、こういったものが道路整備の目的税として課せられておるのでありますが、そのほかに道路に関します公課として道路受益者負担金、道路改修協力費といったようなものが重複課徴されておりますので、きわめて錯雑をしておるのでございます。しかも道路交通事業は、御承知のように公益事業として厳重な運賃料金の規制を受けております。しかもその収益はきわめて低事でありますし、先ほど申し上げましたように租税負担力はその限界に達しておりますので、こういった国税、地方税あるいは公課といったようなものを調整して簡素化していただきたい、しかも適正な税率に下げて負担を軽減すべきであるという考え方を私どもとしてはとつておるのでございます。 第三点は、外国における課税に対する二重課税の排除であります。最近航空あるいは海運といったものの発展に伴いまして、外国におきまして事業税あるいは法人税的な課税をされてますます高額になっておるのであります。こういったものは国内課税との間で二重課税になりますので、海運、航空事業の発展を阻害するものであるので、諸外国との相互免除協定を締結いたしまして、二重課税の排除をしてもらいたい、しかもまたそういった措置といたしましては外国税額の損金算入を認めてもらいたい、こういうことが国税、地方税を通ずる共通問題であるのでございます。この内容につきましては非常に複雑にもなりますので、一般問題として要望事項をそこにお配りいたしてございますので、ごらんおきを願いたいと思うのでございます。 その次には、運輸省の全体の予算の概要を簡単に申し上げたいと存ずるのでございます。 本年度の運輸省の所管の歳出予算は、総額にいたしまして二百四十四億六千三百八十万円で、その組織別の内訳の大略を申し上げますというと、運輸本省におきまして百十五億六千七百万円、地方官署におきまして二十五億一千八百万円、海上保安庁が六十億九千七百万円、海難審判庁が一億一千六百万円、気象庁の関係が二十六億二千五百万円、運輸技術研究所が二億二千六百万円、船員教育機関が十億百万円、航空官署が五億六千五百万円、こういったような状況でございます。 これを事項別に見ますというと、国際観光事業の振興のたあの補助金が八千万円、国際航空事業整備のための補助金が三億二千五百万円、外航船舶建造融資利子補給金、これが本年度が三十一億三千二百万円、地方鉄道軌道整備補助金が一千七百万円、戦傷病者等の日本国有鉄道無賃乗車船費の国庫負担金が二千八百万円・離島航路整備補助金が三千七百万円、空港整備事業費が一億五千八百万円、港湾関係の公共事業費として六十三億三千三百万円、海上保安態勢の強化に要する経費が四億三千六百万円、こういったものがおもなものでございます。 以上は、昭和三十一年度の運輸省所管予算の概要でありますが、そのほかに北海道港湾事業費として、運輸省所管ではございませんが、七億八千九百万円、特別失業対策事業費といたしまして四億五千万円、日本航空株式会社の出資金十億円、これは大蔵省の所管になっておりますが、わが運輸省の関係のあるものといたしまして十億円が成立しておるのであります。 次に、お手元にも差し上げてあると存じますが、昭和三十二年度の予算概算要求が、運輸省所管といたしまして五百七億一千五百五十三万五千円を要求いたしておるのでございます。先ほど申し上げましたように、北海道あるいは大蔵省所管のもの――他省所管として百二十二億八千二百九十四万二千円、これを合計いたしまして六百二十九億九千八百四十七万七千円を要求いたしておるのでございますが、要求の重点は、運輸行政上目下非常に緊急を要すると考えられる諸点、すなわち、お手元にこれも差し上げてあると思いますが、運輸省の三十二年度の重要政策要綱というものに照らし合せまして、まず第一に、国際収支の改善、第二番目には、国内輸送力の整備増強、第三番目が、災害の防止並びに交通安全の確保、第四番目には、運輸省関係の科学技術の振興、第五番目には、中小企業の振興、第六番目といたしまして、産業基盤の強化、最後に、海上治安の維持強化、こういった七項目に重点を置いているのでございます。 三十二年度の要求総額は六百二十九億九千八百四十七万七千円と申し上げましたが、三十一年度の予算額の二百七十三億五千四百五十六万円に比べますると約二・三倍になっているのでございます。従いまして一見膨大な予算要求のように見えるのでございますけれども、三十一年度の要求額と比べますると約二十億円の減少と見ているのでありまして、要求案の作成に当りましては、現下の情勢から先ほど申し上げましたように緊要と考えられるものは積極的に盛り込みますとともに、節減し得るものはできるだけ節減をいたしたつもりでございます。従いまして要求として出しましたものは、いずれも運輸行政上真に緊急と考えられるもののみでございますので、今後大蔵省等と予算折衝をいたしまして、別途予原案として上程をされました場合に御審議を願いたいと存ずるのでございますが、十分この点につきまして御指導と御協力、御援助を賜わりますようにお願いをいたしたいと存ずるのであります。
○委員長(戸叶武君) 次に、權田鉄道監督局長より御説明を願います。
○説明員(權田良彦君) 鉄道監督局長の權田でございます。所管事項に関しまして簡単に御説明を申し上げます。 鉄道監督局は、日本国有鉄道の監督、地方鉄道軌道、専用鉄道、索道、無軌条電車の監督並びに鉄道、軌道等の車両製造事業、鉄道信号保安装置等の製造事業の監督を行なっているわけでございます。現在御承知の通りに国有鉄道が約二万百三十キロ、地方鉄道が六千三十三キロ、軌道が約千六百四十二キロというような状態でありますが、これらを通じまする当面の問題といたしましては、まず第一に、老朽設備の取りかえという問題、それから次に、輸送の安全度の向上という問題、それから第三に、輸送設備を根本的に拡充しなければならないという問題、第四に、この輸送設備の近代化の問題、かくして公共企業であるこういう事業を合理化するという問題に迫られているわけでございます。 輸送力の整備増強に関しましては、特に経済自立五ヵ年計画等の進展の度合いが予想以上に急ピッチでございまして、これらの進展の度合いに応ずべく、戦後立ちおくれました投資を今後において取り戻さなければならないと考えるのでありまして、国鉄、私鉄を通じて、主要線の輸送力の増強に努めたいと思うのであります。なお、これらの増強に努めるとともに鉄道の近代化に努めまして、あるいは主要幹線の電化その他線区の気動車化並びに車両の軽量化ということに努めなければならないと存じているのであります。 新線建設に関しましては、国有鉄道の新線建設に関しましては建設審議会の議を経まして、重要なるものから逐次これに着手するようにいたしておりまするが、ただいまのところでは、その予算額が鉄道建設審議会のお示しになりました六十五億の規模並びにその政府出資の形、こういうことが今年度までには予算上の措置はとれておりませんので、本年度は五十億の公債発行の線で参っておりまするし、来年度につきましては、政府出資の形を何らか努力いたしたいと考えているのでありますが、これらの線に沿って重点的に施工いたしたいと思っておるのでございます。 なお、大きな問題といたしましては、東海道線の線増の問題あるいは北海道、四国連絡鉄道の問題があるのでありますが、これはいずれもいまだ予算化の段階ではございませんが、少くとも早急にこの建設計画を樹立いたす必要があると考えておるのであります。 なお、ただいまさらに一つの大きな問題として討議、研究いたしておりまするのは大都市交通の問題でございます。大都市交通につきましては、御承知のような事情によりまして、特に通勤、通学の輸送というものに非常な困難を来たしておりまするので、東京、大阪を中心といたしまして、これの研究入っておりまして、運輸省に都市交通審議会という、設置法によりまする審議会がございまして、東京につきましては第一次の答申をいただき、なお引き続き大阪においてもすでに数回会合を重ねておりますが、これらの御答申の結果を待って交通網の形成、特に緊急に建設をすべき地下鉄路線の決定並びにこれが経営主体の決定、この実行に対する資金及びこれが助成の方法について、一つの案を得ておるのでございますが、これらについても、なお御審議をわずらわしてこれが促進に努めたいと思っておるのであります。 なお、先ほど来すでに出ております交通調整の問題につきましては、さしあたり当面の輸送事情についてこれが対策を了しておりまするが、この点につきましては、後ほどの議題にございますようでございまするから、そのときに御説明を申し上げますが、国鉄と私鉄、あるいは鉄道と自動車、あるいは鉄道と内航海運の関係におきまする交通調整についても種々問題が存するところでございまして、私どもは、この免許あるいは認可あるいは運賃あるいは運行計画その他におきまして、具体的な問題についてそれぞれ解決をはかっておる次第であります。 先ほど申しました経営合理化の問題で大きく浮び上って参りますのは、一つは、運賃の問題でございまするし、一つは、税制の問題でございます。運賃につきましては、日本国有鉄道の運賃は昭和二十八年に改訂をいたしまして以来今日まで据え置いておりますが、過般、日本国有鉄道から収入一八形増に見合う運賃を改訂いたしたいという申請がございまして、目下政府部内で検討中でございます。追って成案を得ますれば、日本国有鉄道運賃法改正法案として諸分生方の御審議をわずらわしたいと考えておるのであります。私鉄の運賃につきましては、運輸大臣の責任において、運輸審議会に諮問をしてケース・バイ・ケースにこれを解決いたしております。従いまして各社の申請がありますれば、この申請について厳密なる検討を加えて個々にこれを判断し、処理をいたして参っておるわけでございます。 税制につきましては、鉄道関係の税制としては、国税関係で通行税の問題、地方税関係では固定資産税の免除軽減の問題並びに特に事業税におきまして、他の公共事業はすべて収益課税に相なっておりまするが、地方鉄道軌道だけはいまだ外形標準課税になっておるのでございまして、この点が税の均衡を欠いておるのでございまして、これは地方税法の改正問題として、つとに当国会において御審議をわずらわしておる問題でございます。 次に、助成関係でございますが、地方鉄道軌道に関しましては、地方鉄道軌道整備法というものが昭和二十九年度以来施行されておりまして、今日では十九社に対して補助を与えておりまするが、本年度の予算はわずかに千七百万円ばかりでございまして、逐年減額いたしております。これは私どもといたしましては、国民生活の安定並びに産業開発上やむを得ざるものについては、どうしても経営を維持せしめまする必要上、これの増額を期待いたしておるのでありまして、なお今後とも、この重大なる助成については私どもも努力をいたしたいと思っております。 なお、この地方鉄道軌道整備法によってはこれを救いがたきその他の中小地方私鉄につきましては、現在では運賃あるいはその他いろいろな資金面において事実上の指導をいたしておりますが、これが根本的にいかなる更生をはかるかという点については、私どももなお今後の問題といたしまして、これが更生に関する立法措置を今部内において検討いたしておる次第であります。 先ほど申し上げました大都市交通の緊急な整備に関しましては、御案内の通りに地下鉄道の建設がその最も緊急なるものでありますが、これが建設には膨大なる資金を要しまして、何らかの政府の強力の助成なくしては、これが急速な実現は困難であると存じまするので、大都市交通の建設に対する補助につきましては、ただいま今後新たな補助手段を強く打ち出すべく研究いたしておりまして、追って成案を得次第また御審議、御指導にあずかりたいと思っております。 それから保安関係につきましては、冒頭に申し上げましたるごとく、輸送の安全ということは、その第一の目標でございまするので、何をおいてもこの老朽施設取りかえを強力に優先的にいたさなければならない。で、これは経費的に申し上げれば、減価償却を完全に行わしめることでございまして、この点について一段の配意をいたしたいと思うのであります。交通安全の中で現在私どもが新たなことを考えておりまするのは、踏切の問題でございます。踏切は、御案内のように一方道路でございますると同時に、一方鉄道線路でございまして、道路管理者と鉄道管理者とのちょうど共同管理のような中間地帯になっておりまして、これが道路から申しますると兼用工作物という扱いになっておりまするがために、これの整備あるいは保守、管理その他につきまして現行体制では不備の点が多々あるのでございます。この点については、私どもは目下所管省と協議を重ねておりますが、近く鉄道と道路との交差に関する立法措置に関する案をまとめまして、この踏切の保安に、さらに一歩大きく前進いたしたいと考えましてせっかく努力をいたしておる次第でございます。なお保安関係につきましては、鉄道車両については、火災を防止いたします点から、不燃化等につきましては事実上の指導をいたしておる次第でございます。 なお最後に、車両関係工業といたしましては、鉄道車両工業会社が約二十社、信号保安装置工業会社が約四十社ございまして、これらはいずれも鉄道にとって重要な事業でありますと同時に、日本の産業の中においても重要な産業でございます。さらに最近には輸出関係のプラント輸出として、船舶と並びまして重要な工業と相なっております。なお、賠償問題の進展等に伴いまして、これが非常に各国の注目を浴びておりまするが、これらにつきましても鉄道車両工業、保安装置の製造事業の合理化並びにこれのいろいろな調整につきまして、いろいろ問題がございまするが、これらについても、また追っていろいろ御指導を仰ぎたいと考えておる次第でございます。 時間の関係で、どういう問題が今私どもの課題になっておりまするかという問題だけを御披露いたしましたが、この内容につきましては、それぞれ適当の機会にまた逐一御報告申し上げまして、諸先生方の御指示をわずらわしたいと考えておるのであります。以上で簡単でございますが、御報告を終ります。
○委員長(戸叶武君) 次に、山内自動車局長から御説明願います。
○説明員(山内公猷君) 自動車局長の山内でございます。 自動車行政の現在対象といたしております業種といたしましては、大ざっぱに申し上げまして、自動車運送事業、通運事業、自動車道事業、自動車整備事業、こういう事業をわれわれの行政の対象といたしております。そのほか車両検査あるいは自家用車の車両の使用というものにつきましても、自動車局として担当いたしておるわけでございます。これを管理いたします行政組織といたしましては、各県に県知事の指示を受けます事務所がございまして、その上に全国に九つの陸運局がございます。それから本省という行政組織になっておるわけでございまして、それらの詳細につきましてはお手元に差し上げてあります自動車局所掌事務の概要につきましてごらんを願えれば仕合せであろうと思います。 私からは特に当面の問題につきまして御説明申し上げたいと思うのでございますが、この差し上げました資料の中で、第七、参考資料の一番最初の自動車車両数推移表というのをごらん願いたいと思うわけでございますが、と申しますのは、戦前の自動車の情勢と戦後の自動車の情勢というものは全く面目を一新いたしておるわけでございます。これを昭和十年の指数――当時の車両は十七万五千両でございましたが、これを一〇〇といたしますと、戦前に最も日本におきまして車両の多かったのは、そこにございますように昭和十三年でございます。二十二万一千九百両というのが戦前におきます最も日本における車両数の多い時代でございます。現在はそれが、昭和三十年の末におきまして百五十万両を突破いたしておるわけでございます。最近では百六十万をもうすでにこしておるという状態でございますので、年々、月々、私どもの方も関心を持って調べておりますが、大体年間に二十万両ないし二十五万両という非常な、戦前における日本全国の総車両数にひとしいものがふえておるということが現在の自動車の趨勢でございまして、われわれの行政も、それに伴いまして非常に大きな問題がからんでおるわけでございます。と申しますのは、道路の整備が戦前とさほど伸びないのに、自動車が一体どこまで伸びるであろうかということが、われわれの行政の何と申しますか、予想する上に非常に大きな問題になるわけでございますが、現在の状態ではなかなか、そう伸びようとしても道路が伸びられない。しかし近代生活をいたします国民の交通需要として一体どの辺まで自動車が伸びるものだろうかということは、御参考にちょっと諸外国のものを御紹介いたしますが、アメリカにおきましては三人に一両という割合で車両がございます。カナダにおきましては四人に一両、西ドイツにおきましては三十二人に一両、アルゼンチンにおきましても四十三人に一両、メキシコにおきましては六十四人に一両、こういう非常に近代化された国家から中級の国家まであげたわけでございますが、日本におきましては百二十九人に対して一両でございまして、日本の国民生活がさらに近代化されていく上には、もっと大きく今よりも伸びていくのではないかという予想も成り立ちまして、そこで自動車と道路という問題も大きな問題になるわけでございます。 そういうことでまず第一にわれわれの方の当面いたしております大きな問題は、事故の問題が一番大きな問題でございまして、そのように狭隘な道路に多くの車が走るということになりますと、われわれも一生懸命その事故の防止に努めておるにもかかわらず、年々事故はふえていっております。全国の交通事故の九割以上、もっと大きな数字となると思いますが、みんな自動車の事故になっているわけでございまして、これの防止が、人命、財産の保護をいたします上から行きましても、われわれの一番大きな与えられた使命になっているわけでございますが、そういう事故に対しまして、われわれといたしましては、初めからこの車検という、車両検査をまず完全に実施して、車が不整備のために事故を起さないようにしようということで努力を進めて参りました。またそれから、これは年に何回というふうなものでございますので、日々あるいは業者あるいは車を持たれる方々自体の自動車整備というものをまず徹底する、これは前からのわれわれの指導方針でございます。それに続きまして、今度運転する側から言いますと、いわゆる過労でありますとか、あるいはそういった面からのいわゆる運転者の注意、あるいは生活というものからくるところの事故が多いので、そういう運転者の資質向上というようなものにつきまして、事故防止に努めて参ったわけでございますが、何としてもそういう面では不十分であるということで、今後は自動車使用者の事業運営自体について、その経営を健全にさせて、その経営者の保安諸施設を改善し、そればかりでなくて直面及び運行の管理という面にわたって一つ監督してゆこう、もう一つは、従業員の労務管理の適正にまで入らないと、この問題は解決しないんじゃなかろうかということで、昨今におきましては、そういった根源にまでさかのぼって事故の発生に至る原因を除去しようというふうに努めているわけでございます。特に今後におきましては、そういう事業運営面の監督の面から事故をなくすということに努めていっているわけでございます。で、それはまあわれわれの意思でございますが、それに伴いまして隘路があるわけでございます。と、申しますのは、一番問題になりますのは、われわれの方では車両検査が問題になるわけでございますが、ただいまも申し上げましたように、月に二万三、三千両の車がどんどんふえて参るわけでございますが、われわれの泣き言ではないわけでございますが、従業員はそれに伴ってなかなか予算に縛られてふえない。しかも仕事は現業的な事業でありますために、追いつけないといううらみが多いために、車両検査につきましては、極力これを機械化して、能率を上げるとともに、定員の充実をはかって、国民のそういう要請にこたえていきたいというふうに考えておりますので、この点につきましては十分の御協力をこれからお願いいたしたいと思っております。 次に、これは輸送本来の目的は、まあ五ヵ年計画におきましても、今後の輸送に与えられた大きなパーセンテージを自動車に背負わされているわけでございますが、ただ自動車の輸送というものをそのまま野放しで進めて行っていいものかどうか。たとえばバスの問題にいたしましても、現在全国で自動車の通る所でバスの走っていない所はない。自動車の通れる道路でバスの走っていない道路はないほど普及して参りまして、特に都市交通のような場合におきましては、これをもうやはりある程度整備をする段階ではなかろうか、整備拡充する段階ではなかろうかということは、特に東京のような交通をごらんになりますと、痛感されると思われるわけでございますが、それにはわれわれといたしましては、どこからも出るというのではなくて、やはり都市計画に即応いたしましてバス・ターミナルというものを作って、交通というものを、やはりこう整理していかなければならぬということで、今、私どものところではこれを何らかの法的規制をして、そういう日本の大都市の将来の発展に期することができないだろうかと、目下検討中でございまして、成案を得ましたならば、本国会、次の通常国会にも、御批判を仰ぎたいと、かように考えている次第でございます。 次に、われわれの方で今やっております仕事は、通運事業法の一部改正の仕事をやっておりますが、通運事業法が戦後できまして以来、全然まだ手をつけておりませんので、その後の輸送情勢の変化、あるいは従前の法律と違いまして複数制をとるといった現在の段階から見まして、相当程度修正を要する部面も多くなったわけでございます。特にそういう体制に伴いまして鉄道と自動車の共同輸送体制というものをさらに発展させていく必要も、輸送の実際上必要となって参りましたために、この通運事業法の改正ということを現在検討中でございまして、これも成案を得ましたならば、当委員会でまた御審議を願うことになると思います。 次に、いろいろ私の方で大きな問題として取り上げておりますのは、高速自動車道路の問題でございます。これは相当前の国会から衆議院の御提案になる国土開発縦貫自動車道路法案というものが国会で御審議になりまして、今なお継続中の問題でございます。この問題につきましては、われわれも非常な関心を持って研究いたしておるわけでございますが、運輸省の意見を一言にして申し上げますと、この非常に、何千億という金をかけようというあの計画は、単に従来の道路を自動車に適する道路に直すという一般の自動車の道路の考え方では律し切れないのではないか、新しい交通施設がここに出現する、あるいは国鉄にも比すべき交通の施設が――第三陸上交通施設とわれわれはかりに呼んでおるわけでございますが、そういうものが出現するのであって、これの取扱いは相当慎重に考えなければならぬということで、現在問題になっておりますのは、特に東京と神戸間の将来の輸送をどう交通的に解決していくかという問題でございます。これには東海道線の複々線の問題、東海道弾丸道路の問題、それから縦貫自動車道の問題、三つが提起されておるわけでございます。これらの問題につきまして、運輸省におきましては昭和三十年度、三十一年度、両年度にわたりまして十分な予算ではございませんが、交通的見地から検討を加えまして、昨今ようやく脱稿いたしまして印刷もできておりますので、それにつきまして、運輸省としての考え方をまとめた冊子を作成をいたしておりますので、先生方にもごらんをいただき、御専門の見地から御批判を仰ぎたいと、かように考えております。われわれといたしましては、この問題は単に運輸省の問題でなくて、日本の交通の将来がどうなるかという非常に国民の経済生活に大きな影響を及ぼす問題であるというように勘案をいたしまして、研究をいたしましてまとめたものでございますので、お手元にできましたならばさっそくお届け申し上げたいと思いますので、ごらん願いたいと思います。 次に、前国会で通りました――自動車損害賠償保障制度という制度ができたわけでございます。これはまあ、画期的な法律とわれわれ自負しておるわけでございまして、従来は自動車によりましてけがをした、あるいは死んだという方々の補償が十分でないために、強制保険をもちまして、その理由が何であろうが、ある程度過失があろうが、きまった額の保険金をお支払いするという制度をやったわけでございます。その後の実施状況は逐次向上して参ったわけでございます。まだ全自動車が一〇〇%入っておるという状態ではございません。大体八〇%以上のもう車両が入っておるという数字になっておりますが、もちろんこれは強制保険でございますので、一〇〇%入るように努力しなければならないわけでございます。新しい制度であり、強制でありますために、当初から統計を用いてそういう完全実施を考えるということでなくて、行政指導等自発的にそういうふうにやっていこうということで相当期間やって参りましたが、警察方面とも相当連絡をしておりまして、逐次将来の街頭検査等におきまして、この完全実施をはかりたいと考えておるわけでございます。 それから次の問題は税制の問題でございまして、先ほど官房長から触れられた問題でございます。自動車の税は、先ほど官房長が言われましたように、非常にたくさんあるわけでございます。その点業界並びに一般自動車を利用する者が問題にいたしておるわけでございまして、今回の問題は、現在税制審議会で議論されておりまして、まだはっきりとした結論に達していないやに聞いておりますが、仄聞するところによりますと、ガソリンに対する課税は、現在一キロリットル当り一万三千円の税金に対しまして一万円くらい増徴しよう、その増徴したものをあげて道路に使うという考え方でございます。まあ自動車を利用する者、あるいはわれわれも道路をよくするという点につきましても全然異論はないわけでございますが、その道路を直すものを全部業界にかぶせるということにつきまして、いろいろ異論があるわけでございます。大体各国とも目的税をやっておるわけでございまして、それが立案者の根本的な観念になっておると思うのでありますが、非常に参考にいたしております。アメリカの場合におきましても、最近はちょっと下ったらしいのでございますが、大体費用が一〇〇といたしますと、そのうち四〇は国家負担、六〇はそういうガソリン税で負担をするというのが従前で、最近アメリカの道路審議会では、その比率が七対三になったということも聞いておりますが、この七対三の比率は確認されたわけではございません。それで目的税は利用者のガソリンの税金から、道路の整備は利用者のガソリンの税金からというのが世界的な風潮であるというふうに考えられておりますが、アメリカですら、国家でその四〇%、あるいは最近の私の聞いたところでは三〇%という状態でございますので、この点も大きな問題になると思いますので、またあらためて御説明の機会を与えていただきたいと思います。 そのほか大分問題も多いのでございますが、与えられた時間も来たようでございますので、また別の機会に御説明をさせていただきたいと思います。
○委員長(戸叶武君) 次に、林航空局長より御説明を願います。
○説明員(林坦君) 私は航空局長の林でございます。ただいまから運輸省航空局の所管事項につきまして御説明を申し上げます。 運輸省の航空局におきましては、大体次のような事項を所掌いたしております。すなわち第一に、国際及び国内航空事業の監督並びに助成のこと、また第二に、民間航空用飛行場の整備に関すること、第三に、航空保安施設に関するもの、その他第四に、航空機の安全検査のもの、また第五に、全国にわたりますATCと申しておりますが、航空交通管制の事項、次に、航空機乗員の養成また航空機乗員の試験に関する事項、大体そのような事項を所掌いたしております。そのいろいろの問題につきましては、現状についてお手元にお配りいたしてございますわが国民間航空の概況という冊子がございますので、御参照願いたいと思いますが、航空局でただいま問題として起つておりますおもなるものにつきまして概略御説明申し上げてみたいと存じます。 第一に、日本航空株式会社の状況について御説明申し上げます。 日本航空株式会社は昭和二十六年八月に設立されまして、同十月より運航を開始いたしました。二十七年の十月から自主運航に移つたわけであります。その間、操業当時からのいろいろの困難に逢着いたしまして、初めなかなか採算が取れるところに参りませんで、年々補助金を国会にお願いいたしまして、御承認を得まして会社に補助金を与えることにして助成をいたして参りました。と同時に、政府の出資を認めていただきまして、政府出資による助成をいたして参りました。そういうふうにいたしまして、大体本年度、三十一年度の初めにおきまして、累計の赤字がなお十四億二千一百万円というものを数えるほど残つておつたのであります。本年度に入りまして、大体世界的な航空旅客の増加と申しますか、その旅客がだんだんふえて参りまして、成績も逐次上って参りました。この点につきまして、本年度の上期におきまする状況を大体概観いたしてみますと、客も前年同期に比べまして相当、約国内線二一%ふえております。その他国際線におきましても相当量ふえて参りまして、非常に成績も見るべきものがあったのであります。ただいま本年度上期の決算をいろいろやつておりますが、大体四億程度の黒字を上期だけにおいては計算し得るのではないかと思っております。もちろん現在まだ十四億何がしかの赤字がございますので、全体から申しますとまだ相当赤字が残つておるわけでありますが、だんだん改善されて参っております。こういう状態で参りまして、政府の出資も逐次加わりまして、現在五十七億余りの資本金を持つところにまでなって参りました。ただ日本航空といたしましては、将来の計画といたしまして、新機種を入れる手配をいたしております。それは来年の下期におきましてダグラスのDC17Cという飛行機を入れる、また昭和三十五年におきましてダグラスDC18というジェットの旅客輸送機を入れる、こういう計画のもとに将来の計画を立てて、すでに計画を了しておるのであります。昭和三十五年ごろになりますと、大体このジェット化の方向は確実に実現するのでありまして、わが国にも世界のジェット航空機が飛んでくるようになるのであります。それで現在から見ますと、その輸送力から申しましても、DC18の時代というのが画期的な時代になるのではないかと思われます。すなわち、現在日本とアメリカとの間の交通が約三十時間ほどかかっておるものが、将来といたしましては、十三時間程度で東京―サンフランシスコの間を飛ぶことができる、こういう状態になるのでありまして、またその輸送力から申しましても、百人以上の客をこれに積むことができる、こういう状態になるのであります。そういう時代に対処いたしまして、もちろん乗員の問題その他整備の問題等、たくさんの問題を日航としては将来持っておるのでありまして、それを乗り切るためには、相当今後会社の内容を改善し、充実いたしまして、これに対処していくことが必要であると考え、いささかも心をゆるめてはならないと思っております。 次に、そのジェットの時代が参りますことに対しまして、政府といたしましては、まずこれに対する対応策として、飛行場の問題を考えなければならないと思われます。すなわち現在羽田の飛行場が東京国際空港と申しまして、わが国における国際航空の門口をなしておるのでありますが、羽田の飛行場は現在二本滑走路を持っております。その一つは、長い方が八千四百フィート、短かい方が五千五百フィー十程度のものであります。もちろんこの八千四百フィートをもってこのジェット時代に対するという場合には、ほんとうの十分なる能率を発揮することは困難で、また非常に温度等の関係からして、十分にこれを活用するにはまだ少し足りないという面がございます。また現在の飛行場の滑走路は、その厚味等におきましても現在の飛行機を相手にいたしておりますので、将来百四十五トンにもなるような大型の旅客機が参ります場合には、きわめて不十分であると思われますので、これとあわせましてこれを改善といいますか、強化する方策をとる必要があると思われます。それで来年度の問題としては、この東京国際空港を拡張し、また滑走路をふやすという点についての予算を要求したいというので、目下大蔵省と折衝いたしております。 次に、民間航空の問題といたしましては、日本航空以外のローカル航空事業の問題であります。ローカル航空につきましては、日本航空がただいま国際にも国内にもだんだん黒をなしつつある状況であるにもかかわりませず、まだ地方の飛行場が整備を完了するに至っておりません。そのために事業といたしましても、はなはだ完全に能率を発揮して動くということのできない状態でありまして、現在ございます幾つかのローカル航空事業は、いずれも経営が相当苦しいのであります。この対策といたしましては、この日本のローカルの航空事業をあるいはこれを合併いたしまして、そうしてその内容を強化し、改善するという点も考えられて進んでおります。また別途その働く場を与えてやるという意味におきまして、前国会におきまして、空港整備法というものを御協賛を得て制定されまして、それによって各地にローカルの飛行場を、比較的小さい型の飛行機の、中型程度の飛行機が着ける飛行場を地方に整備すべく、本年度の予算において約一億ほどのものを公共事業費として認めていただきました。これによりまして現在地方の飛行場を整備しつつございます。これが本年ないし来年度にわたりまして整備される予定であります。また来年度の予算といたしましては、それに加えて新規の飛行場の整備を目下考えて折衝いたしておる次第でございます。それとともに先ほど官房長からも説明のございましたように、通行税の問題がこのローカルの航空事業につきましては特別に非常な重荷になって参っております。御承知のごとく航空関係はまだほんとうの初期の産業でございまして、これにお客がつくということは、相当努力をいたさなければできないのであります。特にこのローカルの航空事業のような場合には、この通行税が、現在の税制によりますと二割という非常に高額なものがついており、これがたまたま臨時措置として一年間だけ一割に減額はされておりますけれども、これとても世界の水準から申しますと、一割というのは最高でございまして、このようなものはほかに、アメリカに臨時措置として残つておる程度でございまして、ほかにはこの通行税のようなものは航空事業にかかっておるということは聞いておらぬのであります。そういう状態でこの通行税がかかっておりますために、お客の吸収に非常に困難を感じておる。この点で将来この通行税というものがさらに特別にお考え願えますならば、ローカルの航空事業というものの発達に大いに助けになるのではないかと思っております。 次に、航空関係の重要な問題は、航空交通管制の問題であります。現在日本の航空交通管制は、米軍の航空交通管制に大体委任をしてやってもらっておったのであります。だんだん日本の方におきましてこれの移管を受けるという体制を緊急に整備する必要があるというので、この航空交通管制要員を、毎年国会の御協賛を経て予算を得て、予算および定員を得まして、だんだん養成いたしております。何にしましても、航空におきましては使います言葉が英語を使って、外国の航空機も全部これを当てはめてやっていかなければならないのでありますので、この養成には相当の時間および手数を要しております。しかしながらこれはわが国といたしましては、日本の空をわが国の完全なる管理のもとに置くという意味におきまして絶対に必要なこととして、目下鋭意その養成に当っておるのであります。来年度におきましても、新しくこの足りない要員の一部を要求いたしまして、今後数年のうちにこれを完成し、日本側に完全にこれを移管を受けるように進めていくつもりで進めております。 次に、乗員の問題がございます。これは現在宮崎に航空大学校というのがございまして、そこにおいて専修科および本科の生徒を養成いたしております。大体現在までに、専修科におきましては三ヵ月程度の教育を既経験者に対して行いまして、すでに四十名の養成を終っております。この本科というのは、完全なる新人を養成するのでありまして、これは短期大学卒業程度以上の学力のある新しい人を毎年十名すつ入れて養成することにして、本年九月に第一回の十名が出たのであります。しかしながら今航空界の進み方は著しいものがありまして、この乗員の不足は目に見えておりますので、来年度よりこれを約三倍くらいにふやしたいというので、目下財政当局と相談をいたして、予算として要求したいと思って進めております。 以上、航空関係のおもなる問題、そのような事項でございました。
○委員長(戸叶武君) 次に、間島観光局長より御説明願います。
○説明員(間島大治郎君) 観光局長の間島でございます。観光行政の概略を御説明申し上げたいと思いますが、詳しくはお手もとに差し上げました観光事業の現況と対策というものをごらん願いたいと存じます。 現在、観光局で扱っております観光行政の重点は、戦後におきまする事情によりまして、国際収支改善の上における外貨獲得の増大、国際親善の増進というふうな点から、国際観光事業の振興に重点を置いて参ったのでございますが、最近におきましては、政府の方針もございまして、国内における健全なる国民旅行の育成助長というふうな点にも力をいたして参っております。簡単に実績を申し上げますと、国際観光の面におきましては、昨昭和三十年に十万二千人の外客を迎えております。そのうち五万八千五百人が上陸して滞在いたしたものでございます。これを戦前の最高でございます昭和十一年に比べますと約四〇%の増加でございます。また外貨獲得額におきましても、昭和三十年度は四千五百万ドルでございまして、戦前の最高の昭和十一年の三千百万ドルに比べますと、これまた四五%の増加を来たしておるのでございます。しかし輸出貿易との比較におきましては、昨年は輸出貿易額の二・二五%でございまして、戦前の最高のころは約四%内外を示しておりましたのに比べますと、まだ低率であるということができるのでございます。 なお政府は、この八月十日に閣議で観光事業振興基本方策というものを決定いたしまして、観光事業を振興する場合の基本的な問題の方針を示したわけでございます。これに基きまして、現在運輸省を初め関係各省が五ヵ年計画を策定中でございますが、その要領は昭和三十二年、明年度から始まります五ヵ年計画でございまして、その目標は、昭和三十六年の最終年度におきまして、外客三十万、また外貨獲得額一億二千万ドルと予定いたしております。また国内旅行につきましては、これは非常に推定は困難でございますが、昭和三十六年度におきまする国内観光旅行の実績を三億六千万回と想定いたしまして、これをこの五ヵ年間に五割増加するものとの見通しをつけまして、この両者に対する諸般の対策を講ずるという目標でございます。これに基きまして、現在五ヵ年計画を策定いたしておるのでございます。 次に、まず外客を誘致いたします場合の観光宣伝の問題でございます。観光局といたしましては、この点につきましては基本的な計画を企画するということにとどめまして、実際の実施は、民間におきまする国際観光協会という公益法人にまかせておるのでございまして、当局はこれを指導いたしておるわけでございます。本年度におきましては、政府は国際観光事業の助成に関する法律に基きまして、八千万円をこの団体に助成いたしております。それ以外に日本国有鉄道、東京都その他の地方公共団体、ホテル協会その他観光事業に関係のある民間機関から約六千万円を醵出いたしまして、総額約一億四千万円を宣伝費に充てておるわけでございます。現在ニューヨーク並びにサンフランシスコに日本の観光宣伝事務所を持ちまして、これを宣伝の基地にいたしております。本年度中にさらにホノルル、それからカナダのトロントと二ヵ所増設いたしまして、合計四ヵ所になる予定でございます。ただ戦前に比べますと、まだ規模が非常に小さくございまして、戦前は、今の貨幣価値に換算いたしますと四億円程度の資金を使い、海外宣伝事務所も十五カ所程度作っておったのでございます。また諸外国と比べましても、フランス、イギリス、イタリー等に比べますと大体十分の一程度の規模の宣伝しかやっておりませんのです。この五カ年計画におきましては、少くとも戦前の規模にまで観光宣伝を復活させたいということで計画いたしておるのでございます。 次に、観光施設でございますが、観光施設について、特に当局が力をいたしておりますのは宿泊施設でございます。これにつきましては、国際観光ホテル整備法という法律がございまして、この法律によりまして、一定の施設基準に合致いたしまするホテル、旅館は運輸大臣の登録を受け得ることになっておるのであります。登録を受け得ました施設は、その施設を維持する義務がございますが、これに対しまして若干の助成をいたしておるのであります。固定資産の法定耐用年数の知縮、あるいは固定資産税の軽減また宿泊いたしまする外客に対する遊興飲食税の免除、またホテル用品に対しまする外貨割当というふうな助成措置をとっておりまして、昭和三十年度末におきまして登録を受けましたものはホテルは六十三、また旅館は九十九でございます。また、こういった宿泊施設の整備につきましては、観光局といたしましては、大規模なものにつきましては日本開発銀行、また小規模なものにつきましては中小企業金融公庫等の融資をあっせんする道を開いておるので、まあこういうふうには努めてはおりますが、いまだその整備も十分ではございませんし、また世界水準に比べましても、日本の宿泊料金というものは非常に高いということは言われておるのであります。こういった点、さらに助成の道を拡充しなければいけないというふうに存じておる次第でございます。なお、観光施設といたしましては、国際船舶あるいは航空機等の国際旅客交通施設、あるいは国内におきましても鉄道、自動車、飛行機、道路というふうな交通施設の充実が重要でございますが、これにつきましては、私どもの方でもいろいろ案を立て、所管の局また関係省と十分な連絡をとりましてその整備に努めておるわけでございます。 次に、旅客の接遇の問題でございますが、これにつきましては二つの法律を持っております。一つは、通訳案内業法と申すものでございまして、外客につき添って外国語で案内をするいわゆるガイドでございますが、これの素質向上のために、現在ガイドになるためには、運輸大臣の指定いたします国家試験に合格しなければならないということになっておるわけでございます。この試験合格者に対しまして、都道府県知事が免許をいたすことに相なっております。現在概数約五百名の者がこの免許状を持っておるわけでございます。またもう一つの法律は、旅行あつ旋業法というものがございまして、これは広く信用のない旅行あっせん業者が旅客に損害を及ぼすのを避けまして、旅客の保護をはかり、また事業自体の健全な発展をはかることを目的といたしております。旅行あっせん事業というものをやりまする場合には、外国人を扱いまする場合には運輸大臣、また日本人のみを扱いまする場合には都道府県知事の登録を受けなければならないということになっておるわけでございます。なお、これにつきましては、前国会で改正がございまして、この登録要件を若干強化せられまして、また従来は一度登録を受けますとその期限は無期限でございましたが、これを三年に切りまして、三年たてば、さらに再審査をして登録をする、こういうことに相なっておるのでございますが、現在外国人を扱いまする一般旅行あっせん業者と申しまるものは二十ございます。また日本人を扱いまする普通の旅行あっせん業者は、全国に千三百を数えておるのでございます。 以上のほか、各種の諸手続を簡素化をするということが、国際観光事業の振興の上に非常に重要でございまするので、関係機関と連絡をとりまして、査証あるいは人出国の諸手続、通関の諸手続、あるいは通貨交換の諸手続等の簡易化に努めておるのでございます。この中で査証の免除につきましては、すでに欧州の主要国家との間には、相互的にこれを廃止する協定が成立いたしまして実施いたしております。肝心のアメリカ、カナダにつきましては、まだこれが実施せられておらないのでございます。その点、できるだけ早くこれを実現させたいと思っておる次第でございます。 以上ごく概略でございますが、国際観光事業の現況を申し述べました。 ―――――――――――――
○委員長(戸叶武君) それでは、参宮線の事故についての御報告及び国有鉄道の輸送の現況について、十河国鉄総裁より御説明を願います。
○説明員(十河信二君) 参宮線の事故の報告を申し上げます前に、一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。 当委員会におかれましては、従来から国鉄の経営上のことにつきまして格別の御支援、御指導をいただきまして、私ども常々感謝にたえないと思っておる次第でございます。このたび新しく当委員会が成立いたしました。引き続いてまた皆さんから一そうの御指導、御支援をいただきまして、国鉄が直面いたしております数々の難問題を次々と処理できますように力強く御助成をいただくことができますならば、まことにありがたく存ずる次第であります。一言ごあいさつをかねてお願い申し上げておきます。 さる十月十五日十八時二十二分参宮線の六軒駅におきまして、まことに申しわけのない事故を起しまして、私ども、国民に対しただただおわびを申し上げるほかありません。恐縮いたしておる次第であります。この事故で尊い犠牲になられました方が四十人、重傷者が二十五人、軽傷、微傷が七十人、計百三十五人という死傷者を出しましたことは、私ども安全確実の輸送を使命といたしております者にとりまして、この上もない恥辱であり、申しわけないことと存じておるところであります。 この事故が起りますると、直ちに私も現場にはせ参じまして、営業局長とともに、松阪駅に対策本部を設けまして、諸般の応急の処置に努力し、また罹災者の救護に全力をあげて尽瘁をいたした次第であります。私が現場へ参りまして現状を見、かつまた尊い犠牲になられた方々、あるいは病院へ収容せられて治療を受けておられる方々のお見舞をいたしまして、私は一そう申しわけがないということを痛感いたした次第であります。 事故が発生いたしましてから私どものとりました処置の概要を一応御報告申し上げたいと存じます。 事故が起りますると、直ちに、今申し上げましたように、善後の処置を講ずるとともに、現地へいらっしゃる御家族の方々、関係者のお見舞にいらっしゃる人々のお世話をすると同時に、事故をどうすれば防止することができるかということの対策委員会を作りまして、小倉副総裁が委員長となって、今日までもずっと継続して検討をいたしております。三つの小委員会に分けまして、第一は、人事、職員の配置、教官、指導、訓練等のことを検討いたします。第二は、運転その他の諸規程の不備あるいは修正を要する点がありはしないか、組織の上で改正すべき点がないかということを検討いたします。第三に、保安上の施設も不備なところ、改善すべきところがありはしないかという、これらの三つの点につきまして、しさいに検討いたします。その急を要するもの、また直ちに実行のできるものは、すぐさま実行に移すということをやっております。 第二に、事故の起った当時の事実を明瞭にすること、そうしてその責任の所在を明らかにすること、またそれらの責任に対する処置をどうするかというようなことにつきましても、私ども理事者みずから検討し、調査することはもちろんでありますが、事は重大であります。従って、従来の査問委員会と少し違った査問委員会を作りまして、運輸大臣の任命せられました国鉄監査委員を中心といたしまして、石田監査委員長に委員長になっていただきまして、総裁以下の関係者の責任を目下究明してもらっておるような次第であります。 また第三には、犠牲者の慰謝の点であります。これは事故の原因はまだはっきりわかりませんが、ともかくも国鉄の過失であるということは明瞭であると認めまして、物心両面にわたって、でき得る限りの慰謝の誠を尽す、しかも急速にこれを実行するということが、せめて犠牲になられた方々に対してのおわびであると、こう考えまして、取り急いでやっておるのであります。遠からず物的方面の慰謝についても、何とか御承諾を得られるようなことに相なるんじゃないかと、こう考えております。 精神的の面におきまして一番私は大事なことは、将来事故をなくする、この不幸なできごとを契機といたしまして、事故をできるだけなくして、再びこういう惨事を繰り返さないようにするということが必要と考えます。その点については、先に申し上げましたような対策委員会で検討を続けておりますが、しかしながらそれだけでは十分でないと考えまして、私みずから全国の二十七の管理局所在地を行脚いたしまして、職員の士気高揚、精神の緊張を鼓吹いたしますとともに、事故をなくするにはどうしたらいいかということについて、日々現場の作業をやっておりまする職員に、できるだけ広く直接接触いたしまして、それらの人々の経験、意見を徴し、またこちらの考えも伝えるということが事故をなくするゆえんでもあり、従ってまた尊い犠牲になられた方々に対するせめてもの心尽しと、こう考えまして、東京を振り出しに、ただいままで十数局行って参りました。今後もこれを続けるつもりであります。なお、事故をなくするには、何よりも職員、ことに運転関係の職員の心の平安ということが一番大切なことじゃないかと、こう考えます。それらの点についても特に配慮を加えまして、職員の家族の方にも手紙を出しまして、こういうふうに考えておるから、どうかこの上とも一段の御協力を願いたいという書面を差し出しておるような次第であります。そういうふうにいたしまして、でき得る限り事故をなくしようということで今せっかく努力をいたしております。これがわれわれの尊い犠牲になられた方々並びに国民に対するせめてもの心尽しである、こう考えてやっておるような次第であります。 輸送の状況につきましては、そういうふうに私ずっと現場を飛んで歩いておりまして、私よりかむしろ当面の常務理事に御説明させた方が適当かと思いますが、いかがでございますか。
○委員長(戸叶武君) けっこうでございます。 それでは日本国有鉄道の常務理事の石井昭正君にお願いいたします。
○説明員(石井昭正君) 国鉄の輸送の現状について簡単に御説明申し上げさしていただきます。 目下、いろいろ輸送力の逼迫のために、各方面にいろいろの御影響を及ぼしておりますのは貨物輸送の問題でございまするが、旅客輸送もずいぶんと窮屈な状態でございまして、ごく簡単に旅客輸送の御説明を申し上げまして、貨物輸送に入らさしていただきたいと思います。 現在の国鉄の旅客輸送は、戦前の基準年度の昭和十一年と比べまして、大まかに考えて、大体旅客の数量は三倍半になっておるというふうにお考え願ってけっこうだと思います。これに対しまして設備面では、まあ三割から四割程度しかふえておらないという状態でございます。しかしながら混み方は、混雑の程度は大体ほぼ二倍ではないかと考えております。これはいささか勘定が合わないようでございますけれども、結局車両その他の設備の能率化ということでまかなって参りまして、ここに非常にまあ弾力性のない、ゆとりのない状態になっておるわけでございます。その結果、今旅客輸送の当面しております問題は、長距離の旅客列車、急行、準急というようなものにお乗りになるお客さんがすわれない、座席がない、立ったまま御旅行を願わなければならぬという点に大きな問題が一つございます。年間を通じますと、大体各線区とも数字の上では、年間を通じて平均数字では、大体座席に対しましてお客さんの数はバランスしているのでございますが、これは平均数字でございますので、時節により、また列車により非常に幅がございます。そういう、お客さんの方が需要が多くなったときに、ひどいところでは五〇%以上、大体二〇%から三〇%という程度のお客さんを座席がなくてお送りしなきゃならぬ、御旅行を願わなきゃならぬという状況でございます。何とかこれも改善をいたさなきゃならぬという焦眉の急に迫られております。旅等輸送のいま一つの点は、御承知のように通勤、通学、いわゆるラッシュ輸送でございます。これは戦前に比較いたしますと、お客さんの数は実に四倍にふえておりますが、さらに乗車距離を加味いたしました人キロと申しますか、距離をかみ合せました輸送で見ますと、六倍以上になっております。で、このために実は戦前に比較いたしますと、二倍以上も輸送力を増強しておるのでありますが、とうていこのたくさんの激増する趨勢について参れないために、ますます混雑をいたしておる。これも何とかしなければならないという、まことに当面の急務に迫られております。去る十九日に、東海道の電化を機会に、相当旅客列車のスピード・アップ、それからそれによって得ました車両運用等の能率化によりまして、旅客列車も増発いたしますし、またこの長年説かれました京浜、山手線の分離によりまして、東京附近の通勤輸送は若干の改善を加えることができましたが、まだまだこの程度では国民の皆様の御要望に沿い得ない次第でございます。 貨物輸送につきましては、本年度に入りまして、非常に経済情勢が好転と申しますか、生産活動が活発になって参りました。で、実は本年度の貨物輸送量を私どもが想定いたしましたときは、経済企画庁の経済情勢の見通しを基礎といたしまして、いろいろそれ以外にも各業界その他の情報も取り入れまして、大体年間一億六千二百五十万トン輸送というものを計画いたしまして、大体この程度の数量ならば一応本年度の予算でいろいろお認め願いました車両の増備、あるいは工事、設備投資というようなもので、どうやらやって参られるのじゃないか、かように考えておったのでございますが、その後この年度に入りまして、昨年度末からでございまするが、非常に産業経済の活発な予想外の発展、それと豊作によるいろいろの景気の上昇というものがございまして、輸送需要は著しく増加いたしました。第一・四半期半ばにおきまして、とうてい当初の一億六千二百五十万トンというような数字では運びきれない。少くとも一億七千二百万トン程度は、これはどうしても送らねばならぬというような状態になったわけでございます。で、もちろん国鉄といたしましても、このような経済界の好調に対しましては、ただ打てる手といたしましては、もう現有勢力を最高度に発揮して参らなきゃならぬということでございまして、能力のありったけを出して参りまして、第一・四半期におきましても、三ヵ月間で四千二百五十万トンという輸送を行なったわけでございます。この実績は、前年同期に比較いたしますと、八%の上昇に当っております。また五月は、この月だけで千四百五十八万トンという数字を出しておりますが、これは昨年が最もピークでございまして、十二月の実績を上回っておるというような状態で、とにかく上昇を続けて参ります輸送要請を切り抜けて参りまして、一時、一部地域的には若干の問題もございましたが、総体的にはどうやらこうやら輸送の御要請に何とか応ずることができるのではないかと思っております。ところがいわゆる夏枯れと申しまして、幾らかこの間に、私の方といたしましては息がつけるはずの第二・四半期に入りましても、この輸送の御要請は少しも衰えを見せておりませんので、従来ですとこの閑散期におきまして、車両あるいは線路その他設備の整備を行うとともに、要員の運用の調整などを行いまして、秋冬のピークに備えて参るのが貨物輸送の通例でございます。結局そういうこともできなくて、この第二・四半期においてすら全能力を投入して、昨年の秋冬のピーク時に匹敵する四千二百八十六万トンという実績を上げたのでございます。これは昨年の第二・四半期に比較しますと九%の上昇になっておるわけでございます。このように、できる限り貨物輸送力の増強に努めて参りましたが、運送の御要請を、一応のバロメーターである在貨と私どもの方では申しておりますが、この在貨の数量は月を追うて増加いたして参りました。四月末には九十万トン程度でございましたのが九月に入りますと百二十九万トン、現在では大体百六十万トンという、昨年に比べると約七割以上の増加を示しておるわけでございます。この点が、いかに輸送の御要請が、私どもの持っております輸送能力をオーバーしておりまして、そのギャップが積み重なるにつれ、日を重ねるにつれまして在貨がどんどんと増加して参ったという現象が出ておるわけでございます。十月以降この十二月まで、この秋冬の第三・四半期は、年間中最も輸送の繁忙する秋冬繁忙期と普通われわれ申しておりますが、そういう季節でございます。これは米を初めといたしまして白菜、カンラン、バレイショ等の農産物、あるいはリンゴ、ミカン等のくだもの、あるいはサンマ、イカ等の漁獲物などが季節的に非常に大量に出荷されるのと、時期的にも産業活動が最も活発となりまして、一番取引が活発になるときでございます。また越冬物資とか年末年始用品というようなものも一斉に殺到して参るのでございます。この秋冬の繁忙期に対応いたしますために、国鉄といたしましては、この期間にもう全能力を発揮して、いわば背伸びをしている上にさらにつま先立ちをするというような輸送をやらなければならぬということであらゆる対策を講じて参りました。貨物輸送力の極限的な発揮をはかるために秋冬期貨物輸送力最高発揮運動を全国的に展開いたしますとともに、他方におきましては、貨物輸送緊急対策案を立てまして、とにかく当面の手段といたしましては、なかなか貨物輸送につきましては打つ手が少いのでございますが、何と申しましても根本は設備の増強によらなければなりませんのでありまするが、一応とにかくこそく的な手でも打てるだけは打とう、こういうことにいたしておるわけでございます。 貨車の面では、本年度はこれは新造が大体三千三百三十両の計画でございまするが、さらにこの上に追加増備といたしまして無蓋車千五百両を発注をいたしまして、最も不足しております無蓋車の要求に対応するとともに、西武鉄道で遊休しております無蓋貨車二百両を借り入れまして、当面の輸送難に対処する、また、すでに耐用年度を経過して廃車の予定になっておりますものも、この積載車九十両につきましても特に多額の修繕費用をかけまして、若干の延命工作をいたしまして、いわば重態の病人をカンフル注射で一時もたせるというような考え方もいたしたわけでございます。そういうような糊塗的な対策もいたしておりますが、設備の面につきましても、本年度の既定計画のほかに浜川崎、それから室蘭あるいは北陸線等に資金を投入いたしまして、工期が短かくて輸送力の増強に役立つ工事に着手いたしたわけでございます。 このように各種の努力を重ねて参ったのでございまするが、第三・四半期の総輸送量の御要請は、一応私どもの方で四千八百八十五万トン程度になると想定いたしております。これに対しまして、いかに私どもの方で能力を出しましても、月間約千五百万トン、これはもう過去におきまして国鉄が出しました能力の最大でございます。これは戦争中に御承知の陸運非常体制ということで、船舶の貨物を全部鉄道でお引き受けした、そのときに旅客列車は非常に削減いたしまして、旅行の制限というような、戦争中でなければできないような、まことに無理な措置を講じまして、それで旅客列車を押えた残りの全部貨物列車に投入いたしまして、やっと千五百万トンの輸送ができた。その当時を上回るといっても差しつかえない月間千五百万トンの輸送をこの三ヵ月間に行おうという計画を立てております。大体十月、あるいは十一月の半ばまで一応そのペースで参っておりますが、それにいたしましても、先ほど申し上げましたように、その御要請の方は四千八百万トンをこえております。約三百万トン程度ギャップが出て参っております。この点で、まことに各地におきまして深刻な輸送難の事実が多数露程するに至りまして、遺憾に思っておる次第でございます。 このような情勢で産業界、経済界、国民生活に及ぼす影響も表面化して参りましたので、政府におかれましても、運輸省を中心として、緊急貨物輸送対策連絡会議が設置されまして、海運や、あるいは自動車輸送への転移その他の措置について、いろいろ御考究になっております。また一部産業部面におきましても、休日荷役作業をするというような御協力を願うようなこともできまして、その効果も現われて参ったのでございます。 大体運輸省の御調査によりますと、十月中に海運に転移した実績が十四万トン、自動車には十二万トン程度あろうかというふうに承わっております。国鉄におきまして、輸送実績は、先ほど申し上げました連日五十万トン程度の輸送をやっております。貨物列車の運転キロ数も三十七万キロという、戦前戦後を通じての最高能率をあげております。十月の実績は千五百五十二万トンという画期的な成績を上げておるわけでございます。十一月の輸送も大体十月と同じ水準を持続して参っております。従いまして御要請の線に追いつかないことは追いつかないのでありますが、何とか辛うじて食いとめていけるのじゃないか、こういうふうに目下考えておるわけでございます。しかしながら十一月下旬から十二月にかけましては、越冬用の物資の動きが一そう活発化して参りまして、輸送情勢はさらに窮屈になるのではないかと懸念されておる次第でございます。 そういうわけで、まあ今年のこの繁忙期というものは、一応私どもつま先立ちをして、何とか十分までの御要望にはこたえられないが、かつがつやって参れるのではないかという見通しもございまするが、このような経済情勢の好況がさらに引き続いてアップ・カーブの方向をたどるときに、もはや今日私ども出し切った輸送能力の限界をもってしては、とうていこれに追随して参れない、むしろ私どもとしては、本年の輸送力を心配いたしますと同時に、それ以上深刻な気持で明年以後の問題の対策にいろいろ苦心をいたしておるわけでございます。何と申しましても、企画庁の五ヵ年計画に合せて私どもは策定いたしました六ヵ年計画に必要な資金が、この二、三年間約半額しかわれわれに許されなかったということ、一方政策の方は、企画庁の計画をはるかに上回る実績を上げているのに対して、私どもの方は、それに見合う計画に対して資金が半分程度しか投ぜられない。その半分程度しか投ぜられないために結局老朽施設の取りかえというような方へ、保安度の維持という方へ当然重点が置かれました結果、同じ資金の半分にいたしましても、輸送力増強の方へ回る部分ははるかにそれより少いというような状況を二、三年繰り返しで参りましたところに、このギャップが出て参る大きな原因があったのではないかと考えておるわけでございます。そこで私どもは明三十二年度から始まります五ヵ年計画を立てて、その資金の調達ということについて、各方面に格段の御配慮をいただいて、私どもの輸送が、現在日本の経済発展の隘路にならないように努力して参りたいと考えておる次第でございます。
○委員長(戸叶武君) 速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(戸叶武君) 速記をつけて下さい。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十四分散会