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25回国会衆議院1956/11/30

法務委員会 第3号

発言数
76
登壇者
10
会派数
3
開催日
1956/11/30

会議録

池田清志自由民主党

○池田(清)委員長代理 ただいまから法務委員会を開会いたします。  委員長不在のため、理事池田清志、委員長の職務を代行いたします。  調査に入ります前に、新法務政務次官高橋君が発言を求められております。この際これを許します。法務政務次官高橋進太郎君。

高橋進太郎自由民主党法務政務次官

○高橋政府委員 ただいま委員長から御紹介にあずかりました高橋進太郎でございます。新しく政務次官に就任いたしましたので、よろしくお引き回しのほどお願い申し上げます。

池田清志自由民主党

○池田(清)委員長代理 高橋法務政務次官のごあいさつは終りました。  日程に入ります。法務行政に関し調査を進めます。  発言の通告がありますので、順次これを許します。猪俣浩三君。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 大臣は所用のため御不在のようでありますので、あと回しにいたしまして、公安調査庁長官にお尋ねいたしたいと思います。  日ソ友好関係が結ばれまして、ソ連との交流がだんだん盛んになると思います。われわれは、これは世界平和の一環として喜ばしき現象だと思うのであります。ひいては中共との友好関係がだんだん厚くなるでありましょうし、また、わが国といたしましては、しなければならない。そういう際に、治安関係ということについて法務当局がいろいろな構想をなさっておりますが、そういうことについては大臣に聞きたいと思います。私は公安調査庁の職能ということについていささか疑問がありまするので、これは念のためお尋ねしたいと思いますが、公安調査庁という官庁は、一体左翼関係だけを調査する官庁であるか、右翼関係その他についても調査する官庁であるか、そこをはっきりさしていただきたい。

藤井五一郎公安調査庁長官

○藤井(五)政府委員 公安調査庁は、破防法に基きまして暴力主義的破壊活動をなす団体を調査するものでありまして、いわゆる右翼団体についても調査を進めております。  いわゆる右翼の現勢力について簡単に申し上げますと、現在当庁において把握している右翼関係団体は、総数百十二団体、構成員の総数は百十八万二千二百十一人になっております。このうち、宗教関係のもの三団体と、旧軍人関係のもの七団体を除き、その他の一般動向を把握しておりますところの右翼関係団体は百二団体、四万五千七百六十七人であります。  ついでに、右翼の動向についても把握しておりますので、簡単に申し上げますと、最近における右翼運動の全般的な傾向といたしましては、国民の支持を得る国民的運動でなければならぬとする意向が強いのであります。中には、思想団体から政治団体へ、あるいは国民政党としての性格を一そう明確にして、各級議会への進出をはかろうとする動きなども現われまして、おおむね合法的な運動の方向を歩みつつあります。しかし、なお一部においては暴力容認などの不穏言動をなすものが絶えない状況であります。日ソ国交回復問題に関しましては、一部に日ソ共同宣言批准反対の動きもありましたが、全般的には、今となっては国交もやむなしとし、その回復後においては左翼勢力の伸張することを予想し、これに対決するため、自己陣営の強化をはかるとともに、国民啓蒙に重点を置きまして、広く国民を結集し、民族戦線の強化を企図している動きが見受けられるのであります。  以上、すこぶる簡単ではございますが、右翼の把握している団体、構成員並びに右翼の現在における動向について申し上げました。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 今、概観はわかりましたが、あなたの官庁におきまして、いわゆる右翼係に課員が何人くらい、左翼係に課員が何人くらい配置されておりますか、それをお明かし願いたい。

藤井五一郎公安調査庁長官

○藤井(五)政府委員 全調査官の十分の一を右翼の調査に割り当てております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 ここに私は問題があると思う。全調査官の十分の一を右翼に充てて、十分の九を左翼に充てている。それですから、公安調査庁というと左翼係というふうに一般に考えられておる。私は、現在の状況においては、今あなたが言われたように、もう一たん国交回復はやむなしとして、ただ今後の先は日ソのいろいろの文化交流その他について彼らは反共的立場からするどい態度をとっている。そうすると、政府対よりも、今度は共産党とかその他の民主団体に彼らが対抗していこうとするのではなかろうか。いわゆる一種の民間同士としての戦い、それが思想的啓蒙的運動として展開されるならいいけれども、そこに何らかの暴力的な対抗を考えているのではなかろうか、さようなことについて公安調査庁の考えは少し甘いのではなかろうかと思われるのですが、そういう傾向、つまり政府に対していわゆる示威運動その他の圧力をかけるということから、国交はやむないが反共的態度はどこまでも捨てずして、その日ソの国交を進展せしめんとするいわゆる進歩的団体、民主的団体に対して彼らは反共的団体としてこれと対抗する、そして場合によっては暴力行為も辞さぬというような意気込みが一体あるのであるかないのであるか、その点について公安調査庁の見込みはどうですか。

藤井五一郎公安調査庁長官

○藤井(五)政府委員 今申し上げたような情勢でありまして、なるほど、委員のおっしゃる通りに、調査官中十分の一を右翼の調査に充てているというのは少いのであります。しかし、一方左翼の中にも在日朝鮮人の数が大へん多いのでございまして、その方にも調査について差し向けなければならないような状態でありまして、右翼の動きについて決しておろそかにしているわけでございません。関係官庁とよく連絡をとりまして、できるだけの力を注いで調査に当っている次第であります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 なお、小さい事件でありますが、公安調査庁の活動について知りたいからお尋ねいたしますが、戦時中一人一殺主義をもって立っておった井上日召という男を団長として護国団というのがある。これが、井上日召がやめて佐郷屋という人物が団長になった。それはどういう理由に基くか。その佐郷屋も今度は辞任して、護国団は解散するようになったというが、その原因はどこにあるか、それを御説明いただきたいと思う。

藤井五一郎公安調査庁長官

○藤井(五)政府委員 その点、宮下次長に説明をしてもらいます。

宮下明義検事(公安調査庁調査第二部長)

○宮下説明員 最近、護国団におきまして、幹部会を開きまして、護国団の解散を決定したという情報を得ておりますが、その原因は全く財政問題にあると見ております。現在護国団の運営が非常に行き詰まりまして、経済的に成り立たないというところから、ここに護国団を解散しようというふうに内部的に決定をしているようでございます。井上日召が団長を辞任いたしまして、佐郷屋新団長になったのは、これは、当時の護国団の組織方針あるいは運動方針というものと井上日召氏の考え方が必ずしも一致いたしませんで、老人の井上日召が引退して、新しい佐郷屋が護国団を率いて再出発したというだけのことと考えております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 これは小さい問題でありますが、井上日召がやめて佐郷屋がなってから、護国団の方針というものが、彼らの文書等を点検すると、百八十度変換した、非常に左翼的になってきました。そこで、あなたが今運動方針が違っているというのは、そういうことじゃないですか。私は井上日召がやめたのは、護国団の性格が変るための脱皮作用と考えているが、公安調査庁はどういうふうに考えられるか。

宮下明義検事(公安調査庁調査第二部長)

○宮下説明員 猪俣委員が御指摘のように、最近におきまして、護国団が、理事の小島玄之あたりの推進によりまして、運動方針あるいは組織方針等に、世間一般で左翼化したという批判を受けるような論調が散見したことは確かでございますが、そういう新しい方針をとるために、世間一般で申しますような左翼的方向を団としてとるために井上日召氏を団長から追い出したというまでは私ども考えておりません。また護国団が左翼化したというふうに一般で言われておりますが、私どもいろいろ検討いたしておるところによりますと、必ずしも左翼的な旋回、方向転換というふうに一がいに言ってしまえるかどうか、——ただいま藤井長官から御説明申し上げましたように、最近右翼団体全体が国民大衆に基礎を置いた大衆運動として発展をしていくという方向をとりつつあるのでありますが、当時の護国団といたしましても、大衆に基盤を置き、大衆を運動対象として自分たちの運動を展開するのだということが基本になっておりまして、やはり基本は民族主義的な線を堅持いたしておりますので、一がいに左翼化したというふうにきめることもできないかと思っております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 もう一つ例としてお尋ねしますが、殉国青年隊なるものがあるが、この隊員は一体何人くらいであって、いかなる活動をしているか、これをお答え願いたい。

宮下明義検事(公安調査庁調査第二部長)

○宮下説明員 当庁で把握いたしております殉国青年隊の構成員は、大体七百を少し上回るというふうに考えております。殉国青年隊そのものではございませんが、殉国青年隊と表裏一体の関係にあると考えられます全学生運動純正会というものがございますが、その構成員は大体三千五百人であります。この全学生運動純正会は、殉国青年隊と表裏相連携して運動をいたしております。殉国青年隊は、一般に機関誌活動あるいは隊員の講習会、演説会等によりまして、国民大衆の間に民族的精神を植え付けていこうというような運動をいたしておりまして、特に組織的な、暴力的な動きがあるというふうには把握いたしておりません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 殉国青年隊員に対するあなたの調査は、どうもわれわれが実例を知っている殉国青年隊の活動というものと非常に違っているようであります。しかし、今はそれが中心じゃありませんから、そのくらいにしておきますが、先般ソ連代表部へ押しかけていって、閉鎖した門を打ち破り、ガラス窓を破壊したという暴力団体がありましたが、これはいかなる団体に属したものであるか、一体どういう団体であるか、調査庁の調査の結果をお知らせ願いたい。

宮下明義検事(公安調査庁調査第二部長)

○宮下説明員 先般の、ソ連漁業代表部の表門をこわして門の中に闖入した事件は、ただいま警察、検察庁において取調べをいたしております。その取調べの結果によりまして、なお詳細が判明すると考えておりますが、今までに私どもが把握いたしておるところによりますと、従前から存在いたしておりました吾郷利之を主管者とする大和党が最近アジア民族協議会というものに——ア民協と申しておりますが、アジア民族協議会と名前を変えまして、組織を変えて新発足をいたしたのであります。この大和党が組織を直しましたアジア民族協議会が主体になって、当日、日ソ共同宣言批准反対の国民大会をやりまして、そのあとでそれに参加した隊員等がソ連漁業代表部に流れまして、あのような事件になったと承知いたしております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 かような大和党であるとかアジア民族協議会というものがかような行為をするということは、公安調査庁ではわかっておらなかったのですか。あれは実に遺憾な行動だと思う。とにかく、日ソ友好条約が国会で審議せられようとする直前に、まだ国交が回復しなくても、いやしくもソ連漁業代表部として日本政府も認めている、そこへなだれ込んでいって窓ガラスを破るというようなことになると、昔ならばこれは戦争のきっかけになった。かような大胆きわまる行動が戦後ありましたか。一国の代表部へ民衆が押しかけていって窓ガラスを破壊するなんてことをやったことは一体ありますか。この日本においてはないことだと私は思う。(「ヨーロッパにはある」と呼ぶ者あり)ヨーロッパは知りませんが、この日本においてはさようなことはない事実だ。さような大それたことをやることを公安調査庁は一体事前に知らなかったのですか、知っておっても手配はしなかったのですか。それはどうですか。

宮下明義検事(公安調査庁調査第二部長)

○宮下説明員 当日アジア民族協議会が主体になりまして、日比谷公園で日ソ共同宣言批准反対国民大会をやる、そのために全国各支部を動員をしているということは十分承知いたしておりました。しかしながら、お尋ねのような、ソ連漁業代表部に押しかけて門を破壊しあるいは窓ガラスを破るというような計画は承知いたしておりませんでした。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 どうも、こういう右翼系統の団体に対しては、公安調査庁の調査がはなはだ疎漏であるのじゃないかというように私どもには考えられる。これが左翼であるなら、ああいうことは事前にわかっておったのじゃなかろうか、そうして十分に取締りに手を尽したのではなかろうかと思う。しかし、十分の一しか勢力をさいてあらぬというから、無理もないかもしれぬ。しかし、かようなことについては今後大きに考えを新たにしなければいかぬのじゃなかろうか。もうすでに日ソ友好の道も開け、また日中友好の道が必至です。日本が生きる場合において、アジアの諸国と友好関係を樹立しないで、どうして日本が生きられる。そういう時代に、反共一本やりで公安調査庁が今までのような態度で進んでいくならば、これは日本にとっては非常にマイナスだと思う。これはあなた方にいうてもわからぬ。御答弁なさらぬかもしれぬから、大臣にお尋ねいたしますけれども、それを、いや治安関係の強化などということを特に条約発効以前から大声呼号しておる。そんな他国に対して非礼な態度はないと思う。  この問題につきまして、今ちょうど質問に立ちましたから、警察庁にお尋ねいたします。一体警察庁は、かようなアジア民族協議会などというものが大会をやる、そうしてこれがソ連代表部に押しかける形勢だということはわからなかったのかどうか、それをお尋ねいたします。

石井榮三警察庁長官

○石井(榮)政府委員 本月十二日に、お話の通りアジア民族協議会の関係者がソ連漁業代表部に不法侵入をいたしたという事案が発生いたしましたことは、まことに遺憾なことだと思っております。同時に、それを警察としては事前に察知しておったかどうかというお尋ねでありますが、当日アジア民族協議会が日比谷公園において、先ほど宮下部長からもお答えがありましたように、日ソ共同宣言批准反対国民大会を開き、その会合のあと清水谷公園までデモをやるという計画のあることは私どもも承知をいたしておりました。従いまして、それに対する警備、取締りの計画に万全を期したつもりであります。清水谷公園のデモの終りましたあと、一応解散をしましたあと、それに参加しました者が三々五々、いわゆる集団陳情という形をとりまして、衆参両院議長に陳情におもむいたのであります。しこうして、その後にさらにアメリカ大使館に陳情に行き、アメリカ大使館では当日ちょうど休みでありました。午後おそらくしかるべき責任者がいなかったのだろうと思いますが、目的を達しないで、その足で狸穴のソ連漁業代表部におもむいたのであります。そうした、デモを終って解散後においてどういう行動をとるであろうかということまでは、私ども詳細にはキャッチいたしておりませんでありましたが、当時、その動きから見まして、おそらくソ連の代表部にもおもむくであろうということは直前に察知をいたしました。それに対する必要な措置は、警備措置はとったのであります。まず、私服の警察官を代表部の付近に配置いたしまして、事前の警戒に当らせたのであります。同時に、万一の場合に備えて制服警察官に時を逸せず出動できるような態勢を必要最小限度とっておくことが肝要であると思いましたので、一応それを用意しまして、あのソ連漁業代表部の近くの適当な場所に秘匿待機せしめておいたのであります。と申しますのは、かねがねソ連漁業代表部におきましては、あの付近に日ごろ制服の警察官があまり目立つようにちらちらすることが好ましくないというふうな御意向もありますので、まだどういう事態が起るかもわからぬのに、あまり事前の警戒を部厚くやり過ぎて、制服警察官をちらちらさせるということはいかがなものかというふうに考えまして、最寄りのしかるべき場所に秘匿待機させておったのであります。ところが、アジア民族協議会の今申しました関係者が漸次集合して参りまして、およそ二百名くらいが集合いたしたのであります。その二百名くらいがそこに到達する前に、先発隊と申しますか、最初に到達した四、五十名の者が、門が閉ざしてあったにもかかわらず、面会させろ、門をあけろということで、門を盛んにゆすぶったわけであります。門のさくが割合いに簡単に閉ざしてあったようでありまして、その程度の人員でゆさぶっておるうちに、木さくがこわれまして、あいたわけであります。これに乗じて数十名の者が庭内に侵入をした、こういうことになったのであります。その直前に、先ほど申します通り私服警察官をして警戒せしめておりました。そういう不穏な行動に出ないようにというので極力制止をいたしたのでありますが、何分にも相手は相当数が多い。私服警察官数名ではとうてい防ぎ切れるものでないので、私服警察官はすぐ制服隊の方に連絡をとったのであります。いち早く秘匿待機しておりました制服隊は現場に出動いたしたのでありますが、何分にもその間わずか二、三分のきわめて瞬間的なことでございまして、今申しました通り、木さくはきわめて不完全なものであったために、ちょっと二、三回ゆすぶってこわれてしまった、こういうことになったのであります。そこで、かけつけました制服警察官によりまして、庭内にすでに入っておりました四、五十名の者を警告して押し出す排除するということと同時に、さらに、それに後続しておる部隊の者が門の中に入れないように、これを制すということによりまして、この事態の収拾をはかったのであります。前後その時間はせいぜい五分くらいのできごとでございました。最初に入りました数十名の者によりまして、庭内の小石を拾って窓ガラスにぶっつける、あるいは旗ざおによってこれを突くというようなことによりまして、ガラス数枚を破損するという不祥事になったわけであります。その際取締りに当りました警察官三名は傷害を受けております。そこで、現場におきまして二名の者を現行犯で逮捕いたしたのでありますが、同時に、そこに集まりましたおよそ百名を、一応取調べの必要がありますので、所轄署に任意同行いたしまして、厳重取調べをいたしたのであります。現在のところ、ただいま申しました現場における現行犯二名の逮捕のほかに、四名のおもだった人と思われる者を逮捕いたしておるのでございます。大体経過はそういう状況でございまして、その後の状況につきましては、二人起訴したようでございます。そのあとの者はどうなっておりますか、詳細には承知をいたしておりません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 起訴、不起訴の点は、検察庁がやることですから、検察庁から答弁を求めますけれども、どういう罪名で警察ではお調べになったのですか。

石井榮三警察庁長官

○石井(榮)政府委員 住居不法侵入と公務執行妨害でやっております。さらに、暴力行為取締法に関する処罰の適用。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それから、いま一つは、その現場で暴力を働いた者のほかに、その背後に、それを操って教唆扇動したような者があるのでないか。これはどうです。

石井榮三警察庁長官

○石井(榮)政府委員 先ほどお答えいたしましたように、その場で現行犯を逮捕いたしました二名のほかに四名を検挙しましたとお答えしたのでありますが、その四名の中にこの団体の最高顧問と思われる人が入っておるわけであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 これは公安調査庁長官に聞きますが、こういうふうなアジア民族協議会というものの外国の代表部に対するこういう乱暴な行為、これは破壊活動防止法の何らかに触れませんか。

藤井五一郎公安調査庁長官

○藤井(五)政府委員 これは、警察の取調べ等を待たなくては事情がわかりませんから、今研究中でございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 なお、公安調査庁にお尋ねいたしますが、先ごろ外務委員会でも問題になりました、公安調査庁から出ております「月間国際情勢展望」、これは一体どういう人たちに頒布せられ、どのくらい出ておるものであるのか、それをお尋ねします。

藤井五一郎公安調査庁長官

○藤井(五)政府委員 約百部ぐらい印刷しておりまして、配付先は、庁内はもちろんでありますが、格別秘密にしておく内容でもありませんので、若干希望によっては部外にも配付しております。しかし、配付先はいずれも高度の批判力のある方面ばかりであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 高度の批判力があるかないか、そんなことは問題にならぬ。この書いてあることがどうであるかという問題です。私は、三十一年の九月号、十月号、十一月号、それから、ただいま法務委員会から八月号を、ここで演説に立つ直前にもらったので、これはまだよく読んでおりませんが、これは外務委員会でも問題になった。この「月間国際情勢展望」八月号の十五ページに、ソ連代表部が民間に政治及び謀略資金として九千万円に上る金をばらまいたようなことを書いてある。これはいかなる根拠に基いて、いかなる資料に基いてかような断定を下されたのであるか、それを明らかにしていただきたい。

藤井五一郎公安調査庁長官

○藤井(五)政府委員 それをお答え申し上げます前に、この「月間国際情勢展望」というものの性格を申し上げまして、それから情報の点に触れようと思うのであります。  この「月間国際情勢展望」は、日本共産党の活動に重大な影響のある国際共産主義運動と、これに関係のある国際的な問題について、公安調査庁の担当官が毎月調査、収集、検討した資料でありまして、これは公安調査庁の業務遂行上重要な一つの資料であります。このような次第でありますので、毎月その展望発行のときまでに知り得た資料を収集調査したもので、もとより完全というものではありません。月末ぎりぎりから月初めの一、二日にかけて三日間くらいの間に作成するものでありまして、動いている事態をつかんでいくという意味で担当官が急いで作成するものであります。従って、これに盛られている判断や意見がすべて公安調査庁の公式の見解とは申されません。従って、でき上ったものを見ま出すと、担当官の筆の走り過ぎたきらいのところもありますが、動く世界の事実に対する一つの資料としての価値がありますから、印刷して配付している次第であります。  今委員の御指摘になりました八月号の十五ページに記載してある点でございますが、「真偽は別として、駐日ソ連漁業代表部が、秘かに民間に撒布した政治および謀略資金は、既に九千万円に上るとの有力な情報も伝えられており、」、こういうのでありますが、これはかつて有力な情報源から得た情報であります。しかし、この内容について真偽はまだわからぬ、確認していないのであります。しかし、この書き方については、先ほど申しましたように、私といたしましては、担当官の筆の走り過ぎたきらいがあると思われますので、先般問題になりましたから、さっそく担当者に対して、客観的態度で執筆するように注意しておいた次第でございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 この問題はそんな簡単に済まされる問題でないと思います。これは八月出たんでしょう。しかも鳩山内閣が日ソ友好関係を樹立しようとして懸命になって、鳩山総理大臣はその政治的生命をかけてやっている最中です。それが、政府の一機関、公安調査庁という有名な機関が、かようなとほうもない、民間の新聞雑誌でも場合によっては名誉棄損に相当するような、——もう少し具体的になればそうなります。そういうようなことを公けに発表されるとは、どういうことですか、一体。辻政信なんという代議士がおって、これも何だかとほうもない演説をぶった。中共訪問団がみな中共から金をもろうてくるようなことをいう。それは公安調査庁から出ているのではないか。諸君がこんなことを書くところを見ると、今度は、そういうことを書面にしなくて、自民党の代議士諸君などにそういうことを話しているのじゃないか。政府の公けの機関がいうことは一応人は信ずるのです。私があなたに今釈明を求めたのは、いかなる根拠に基いて、いかなる資料に基いてこういう推定を下されたかを聞いておる。その答弁をして下さい。

藤井五一郎公安調査庁長官

○藤井(五)政府委員 それは、先ほど申し上げた通りに、あるところから得た情報に基いて、しこうして、かつて割合に高度の情報を持ってくる方面から得た情報であります。しかし真偽はわからないということを申しておるのでありますが、しかし、これまで書かなくてもよかろうと私は思って注意した次第でございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 公安調査庁は情報を持ってきた者にはみな金をやるそうだが、この情報を持ってきた人間に幾ら払ったか。

藤井五一郎公安調査庁長官

○藤井(五)政府委員 それは知りません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 だれか知っている人があるでしょう。この情報を持ってきた人に幾ら金を払われた。会計の帳面に出ているでしょう。こうして国費を乱費しているんじゃないか。公安調査庁の財政についてわれわれも徹底的な疑いを持っておる。機密費と称して、とほうもない金の乱費をしておる。こういうろくでもないネタを持ってくる者にみんな金を払っておる。スパイをさせる。昔の特高以上じゃないか。幾ら払ったのです。だれがそういうことをやるのか。情報を持ってきた者に金を払うのはだれが係です。係の名前を明らかにして下さい。

藤井五一郎公安調査庁長官

○藤井(五)政府委員 これに対して果して調査費の一部を出しておるかどうか知りませんが、かりに出しておっても、申し上げることはできません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 昔の戦時中の特高、軍部、こういうものはみんないうことのできない金を持って使っておった。それがみんな怪しげな団体に流されておる。そういうのが積り積ってあの戦争に突入したのです。右翼の軍人、特高、くちばしの青白い各省の若手官僚が下剋上の姿を呈し、そうして無謀なる戦争にかり立てた。また、ようやくにして日ソ国交が回復し、日中関係もだんだんよくなろうとする際に、かようなデマを飛ばして、そうして国の機密費を使う。日本をどっちの方向へ引っ張っていこうとするのですか。どうすればわが民族は安泰になるのです。われわれは朝から晩までわが民族の安泰をこいねがっておる。世界の平和ならんことをこいねがってきておる。その日ソ友好関係が現内閣において——これは大いなる手柄だと私は思います。無条件に私どもは敬意を表します。鳩山内閣の努力は、とにもかくにもソ連に橋頭堡を築いて、これからわれわれの努力によって日ソあるいは日中その他との友好関係が樹立される、ひいてはわが国が中心となってアメリカにも働きかけて世界の平和を達成することが日本民族の実に貴重な、これより大なる使命はないとわれわれは思っておる。それを、日ソ、日中関係にひびを入らせるようなことを公安調査庁という国家機関がやるとは何事です。ことに鳩山内閣の一機関がかようなことをやるということは、実に私は不可解千万だと思います。これをまた放任しておる政府も政府なんです。こういうことが民間に伝わったら、日ソ関係にどういう関係を及ぼすか、あなたの所見を聞きたい。漁業代表が日本に乗り込んできて、そうしてそれが足がかりとなってこの日ソ共同宣言までにこぎつけた。その代表部が九千万円の金をばらまいてスパイをやっておるとか、このようなことが一体伝播されたら、——これは八月です。どういう日ソ国交回復に支障を来たすと思っておられるか。そんな軽々しく、単に筆が走り過ぎたという問題じゃない。この文章はだれが書いたんだ。もしあなたが、書いた人が筆が走り過ぎたと言ってあなた自身の責任を回避するなら、何人がこれを書いたか、その人間に対してどういう処分をされておるか、それを承わりたい。まず第一に、こういうことが知れ渡ったら、今鳩山内閣が懸命にやっておる日ソの友好関係がどういうふうになるか、どうお考えになるか。もしそれが筆が走り過ぎたとするなら、何人がこれを書いて、その走り過ぎたことを書いたおとけもない人間にどういう処分をされたか、それを明らかにしてもらいたい。

藤井五一郎公安調査庁長官

○藤井(五)政府委員 私どもは、日ソ国交の回復を阻害する気持は毛頭ございません。むしろ、日ソ条約が妥結されようとすることは、日本の国際発展だと思っております。しかし、職務上、国際共産主義運動の動向は、これは把握しなければならない。これは職務上把握しなければなりませんから、従って、内外の共産主義陣営の動向は調査しておるのであります。しこうして、先ほど来問題になっておりますような情報については、これは多少行き過ぎだと思って、さっそく注意したのであります。これに対して具体的にいかなる処置をとるかは、まだ考慮中でございます。また繰り返して申し上げますが、日ソ国交回復を阻害する意思は全然ございません。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そんな、意思がないなんということを言ったって、客観的裏づけがなければだめじゃないですか。こんな、あなたも筆が走り過ぎたと思われるくらいのデマ放送を、公けのこういう報告書に書いておる。意思はないと言ったって、それだけでは済みません。なるじゃありませんか、国交阻害に。日本がそういう立場に立っても同じことです。いやしくも一国の代表として乗り込んでいる者がかような行動をやったなどということを政府の機関が宣伝されたら、それは外交の一つの問題になる立場です。民間人が言ったこととは違います。公安調査庁というりっぱな政府機関が言っているのじゃないですか。こんな無責任な話はないと思うんだ。長官も責任を負うべきものです。阻害する意思がないと言ったって、阻害しているじゃないか。ただソ連の方が今外交問題に出さぬだけの話だ。もし真に公安調査庁が日ソの外交関係を阻害する意思がなかったなら、これに対しては徹底的に陳謝しなければならぬはずだ。筆が走り過ぎたなどということでごまかせる問題ではありません。私は、これは将来非常に災いをなすと思う。だから、先ほどからの、公安調査庁というのは左翼関係だけを取り締るものであるかというそもそもの質問は、そこから出ておる。一対九の勢力を配置しているということを今おっしゃった。その九の勢力でこういう反共的なこと、反ソ的なことの宣伝をやっておる。それでは、日ソ国交を阻害する意思はなかったという言訳は立ちません。犯罪行為だってそうじゃないですか。いやそんなつもりはなかったなんということではだめだ。事実を認識していれば、それは犯意になるじゃないか。  そこで、なおあなたに言いたいのだが、職責としてやっておる、——デマを飛ばす職責じゃなかろう。のみならず、公安調査庁そのものの性格も、やはり日本の政府のソ連に対する態度の変貌から変ってこなければならぬ。吉田反ソ内閣のように、ただアメリカ一辺倒で、ソ連の悪口さえ言っていればよかった時代と変ってきている。一歩前進している。世界の大勢もしかりだし、日本の態度もそうなってきておる。公安調査庁もその職務も変ってこなければならぬと私は思う。ただ反共的態度ではかり——現在において徹底せる反共的態度は、一部のわからず屋の右翼団体と、国家機関としては公安調査庁だ。そんな反共的な態度をとることが公安調査庁の任務なのか。共産党といえども許された合法政党じゃないですか。ただ、破壊活動防止に関係のあることでは右も左も調査しなければならぬでしょう。しかし、反共というような一つの思想的態度を一体公安調査庁がとるべきものじゃない。官庁というものは中立的な態度でなければならない。一体公安調査庁は反共的態度をとることが公安調査庁の任務ですかどうですか。それをお答え下さい。

藤井五一郎公安調査庁長官

○藤井(五)政府委員 故意に反共的態度をとっておるのではございません。日本共産党というものが暴力主義的破壊団体であるという疑いがあるもとにおいて調査を進めておるのであります。従ってまた、これを指導する国際共産勢力の動向を調査しておるのであります。(「どんな指導をするんだ」と呼ぶ者あり)疑いのある……。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 そんな反共的態度と、破壊活動防止法に関する破壊団体を調査するということは違うのです。あなた方の態度は一体これを見てもわかる。破壊活動防止法の破壊団体としての調査、それは右も左も、あるいは中立のものも同じ調査をしなければならぬでしょう。しかし、十の力を九つも左翼関係、共産党関係につぎ込み、そうしてこういうパンフレットをでっちあげておる。これを八月号から十一月号まで冷静に見てごらんなさい。ほとんど反共的態度でもって塗りつぶされておる。たとえば、今われわれが必死の努力で展開しなければならぬと思う中国関係、——これから日本民族の将来にとって重大な問題です。この中国、六億の民衆をかかえておる中国、一衣帯水の関係の中国、これに対して何です。今中国は一生懸命、百花斉放、百家争鳴、そういうスローガンを掲げておる。これは中国の政府の大いなるスローガンです。これに対してひやかしたようなことを書いてある。これは中国に対する侮辱ではないか。これは、胸にどう思いましても、隣国であり、これからわれわれが友好関係を進めていかなければならぬ民族である。あなたにお聞きします。中国とこれから友好関係を進めていかなければならぬとあなたは思っておるかどうか。

藤井五一郎公安調査庁長官

○藤井(五)政府委員 もちろん中国とも友好関係を進めるべきものだと思います。しかし、やはり相手方を知り、また自分を知る必要があるのであります。無条件に何でも中国のいうことについてはこれを受け入れるという気持は、私どもの職責としてはありません。相手方を知り、自分を知っておく必要がある。これは調査の方針じゃありませんが、日中友好関係を妥結する方針に対する私の根本観念であります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 調査をするということは相手を知ることでしょう。相手を知ることと、反共的態度は違うんだ。あなた方のこの報告というものは反共的態度で一貫しておる。そんなことは幾ら強弁したって、全体ににじみ出ておる。私はこれを全部は読んでおりません。もしあなたが気がつかぬなら、これを全部読んで片っぱしからあなたに質問します。そういう態度がいかぬというのです。百花斉放、百家争鳴なんということは、今中国で一生懸命に、上の者も下の者も一致して言っていることです。そして中国は民主化さんとしておる。全体的独裁政治と自由主義国家から非難される。それを民主化さんとして、今こういうスローガンを掲げてやっておる。われわれもこれはいい傾向だと思うのです。百家争鳴、百花斉放、これはデモクラシーじゃないか。われわれの民主主義にも一致している方向なんだ。今この方向に努力しているのを、だれしもが安心して争鳴する気になるはずがないなんていうことを言って、あなたは一体中国へ行って片っぱしから聞いて歩いたか。われわれは去年の暮れ中国に行って一カ月つぶさに聞いてきた。あなたはいつ中国に渡っていって調査をしてきた。そんな百家争鳴なんかする気がない、百家争鳴の実は上っていないようだ、こんなことをいう必要はないじゃないか。独断もはなはだしい。だれしもが安心して争鳴する気になれるはずがないなんていうのは、一体どこからそういう材料が出てきたか。あなたは中国へ行って調べて来たか。中国人は今ともかくにも国家建設のために百家争鳴しています。向うへ行ってきた人の偽わらざる——右翼的な人の話でもみな出ているではありませんか。それを公安調査庁の報告書にこういうことを堂々と書く。一体こんなことをやる必要があるか。公安調査庁というのはいつ外務省になったのか。近ごろおかしい。農林省が外務省の代行をやったり、今度は公安調査庁がまかり出た。そうして鳩山氏は日ソ友好、日中友好を一生懸命説いている。その下の機関は、今度はぶちこわすようなことをやっている。何て醜態なんだ。これは諸君が一致して貫いている反共的態度から出てくる。これも筆のすべりですか。だれが書いたのか言えませんか。一体これはいかなる人が書いたのか、そうして筆がすべったということで長官や次長は責任を負わないでいいのか、それを明らかにして下さい。

藤井五一郎公安調査庁長官

○藤井(五)政府委員 負うべき責任はあえて回避いたしませんけれども、いたずらに責任を負おうとは思いません。  それから、中共の事情を知らぬとおっしゃいますけれども、見た人のいうことが必ずしも正しいということはありません。見た人からまた反対な見解も聞いております。そこをよく判断しなければならぬ。それについての資料も集めているのであります。決して片寄るというようなことはありません。また、今猪俣委員のおっしゃったような点は十分注意はいたしますけれども、それは反共のために担当官が筆をとっているということはありませんし、また外務省の領分まで侵すとかいうような気持は全然ございません。猪俣委員のおっしゃることは十分了解はいたしております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 きょうは時間もありませんし、私はこれを全部読んでいませんから、この次に全部読んであなたの御意見をお聞きすることにしましょう。私どもはおだやかならぬと思う。八月号から十一月号までのそこに盛られました烈々たる反共の態度——闘魂と言ってもよい。こういう態度で公安調査庁が今度進まれたらどうなる。そうして国家の機密費はそういう態度のもとから出されている。ちょうど大東亜戦争前に、軍部、官僚が結託して、そうして軍部の機密費が右翼反動団体に相当流れ、天皇機関説の爆撃その他に現われて、だんだん戦争に国論を持っていった。今公安調査庁が相当の機密費を取っている。本年度もまた増額を要求しているらしい。そういう金が、くだらぬこういう情報を提供するような団体にみな回って、そうして反共を一枚看板にして、日中、日ソの友好関係が盛んになり、お互いの文化が交流するようになると、それについて一々難癖をつけたり、けちをつけて、場合によっては脅迫し暴行を働く、さようなことになったら一体どうなる。そうして、せんじつめると、その大元締めは、公安調査庁である、そういう傾向になると、戦時中の大元が憲兵と特高警察であった。これは藤井長官がよくわかっているはずである。あなたはあのときに裁判長として毅然たる態度をとってこられた。今や今度はあなたの運命にかかってきている。あなたは知らず知らずのうちにこの特高の中へ巻き込まれております。あなたが戦時中くみせざりし特高の空気に、あなたは巻き込まれておる。それはよく反省いたしませんと、あなたの晩節を汚すことになると思う。そこで、私は、この展望をよく読みまして、いかに間違った態度を公安調査庁がとっておるか指摘したいと考えるが、今渡されたばかりで、私は読んでおりませんから、次回にいたします。御迷惑でももう一ぺん御出席願いたい。

古屋貞雄日本社会党

○古屋委員 関連して私が長官に聞きたいのは、あなたの方の予算の明細書を法務委員会にお出しになっていただけますか。それで、お出しになれば、それをお出しいただいてから質問いたしたい。お出しいただいて直接ここでお尋ねしたいことがあるんです。

藤井五一郎公安調査庁長官

○藤井(五)政府委員 明細書のどういう点についてでございましょうか。

古屋貞雄日本社会党

○古屋委員 それは調査官が地方で情報をまとめるために、いやがる者に無理に金を持っていって押しつけている事実があるんです。それから、これは本年の予算委員会で高橋次長さんにお尋ねしたのですが、答弁が出なかったのであります。高橋次長さんの答弁は、会計検査院にはおれの方のものは会計法に基く証明の裏づけである受取書はなくていいんだという答弁をしておる。これははっきりしておる。金をやって情報をとっておる。そういうことになると、金ほしさにでたらめな報告をする。これは人情です。そうすると、それは重要な日本の治安に関係をもってくるんです。重大な問題です。ところが、そういう態度が行われ、当法務委員会でも、これは志賀君が具体的にあげておる。何年、何月、何日、何の何がしに幾らの金を持っていった、何を持っていった。こういう質問がございましたが今、長官の御答弁の中にも、やはり金を出して、金——を出す場合も出さぬ場合もありますが、金を出した場合に、果して全部裏づけの領収書を持つような、あなたの方でやりきたりのことを指令しておるかどうか。それとも、地方の調査などは、情報をとるには受取書がなくても、でたらめに金を渡してしまって、それで会計の処置をあとでしておるかどうか。いわゆる支出については必ず確実な裏づけというものがなければ、これを処置しないのか、それとも、機密費だとか、あるいは調査費というような目的でまとめて渡すとか、あるいは、今申し上げたように、領収書のない支出をされても、それをあなたの方の会計は何かの方法によって処理されておるのかどうか。その点を一つ御答弁願いたいと思います。

高橋一郎法務事務官(公安調査庁次長)

○高橋説明員 会計検査院の方の手続は、簡易証明という手続が許されておるそうでございます。その技術的な点は私は詳しく存じておりませんけれども、そういうことになっております。大体調査費の使い方についても一般会計法上の原則によってやることは当然のことでありまして、ただ、特殊の活動である関係で、領収書をとろうと思ってもとれない。しかし、その仕事をやらなければならないというような場合について、そういうやむを得ざる事情を認めて、領収書がつかないでも、その事実が明らかであるというようなことが認められれば、それをもって会計法上の手続が充足されたものとするというような考え方のようであります。

古屋貞雄日本社会党

○古屋委員 そこで、そういうような考え方自体が非常に人権じゅうりんの基礎、原因をなすんですね。それはもう、私ども承知しておる中でも、しばしば地方で行われておる。私の知っておるところでも、ごちそうをして集めて、そのかわりこれとこの情報を持ってこい、これは事実なんです。その支出が正しいという認定はだれがなさるんですか。今の会計検査院の——これは私、近いうちに会計検査院の責任者を呼んではっきりさせますが、会計検査院が会計検査ができるはずはない。領収書がなければ、これは証明できませんよ。これは常識的に、会計検査院法に従うというようなことですけれども、これは証明できませんよ。ことに私ども非常におそれるのは、単に防衛庁が古エンジンをごまかしてたくさんのものを買ったという問題じゃないんです。国民の尊い、血の出るような税金をむだに支出しておるだけではなく、それが原因になって重大なる人権じゅうりんの基礎を築き上げておる。そこで、はっきりお尋ねしたいんです。それは、あなたの方で、情報をとるために金を渡さない、渡す場合には必ず領収書をとるという御答弁なら、わかりますけれども、そうでないという場合があれば、そういうことが果してよいのか悪いのか。しかも、実情から言って、金がもらえれば、それは報告いたしますよ。その報告が確実であるということは、人情上、言えない。そこに問題がある。そういう問題が現に起きておるのです。特に金沢の問題がそうです。はっきりある人が要らぬというのに、女房がもらっておる。それで起訴されておりますよ。だから伺っておる、今までの方針通りで、裏づけの領収書がなくとも、かりの処置で会計検査院でやってもらえそうだということであなた方は了承してやらせておいてよいのかどうか。

高橋一郎法務事務官(公安調査庁次長)

○高橋説明員 一般の調査の方法につきまして、私は全部が理想的に行っておるとはもちろん考えておりません。数多くの中には行き過ぎの場合も起り得るわけでありまして、それが絶無であることを私ども希望して、そのためにいろいろ教養訓練などにも努めておるわけでありますけれども、絶無ということは実は理想であって、できるだけこれを少くするというような考え方でやっております。  それから会計法上の取扱いの問題がそのようであるが、何かいやがるものを無理に協力者にしようというふうな——会計法上の問題と調査上の行き過ぎの問題とは直接関係がないのじゃないかというふうに考えます。たとえば、私どもは共産党の方の事情を調べておるのでありますが、(志賀(義)委員「社会党も調べておるじゃないか」と呼ぶ)その中には党員みずからの協力を得る場合があります。その場合に、もしその事実が明らかになりましたならば、御承知のように党の方から非常な査問を受けるわけであります。そういうような危険のあります場合に、その者の名前の領収書をとって、それがいろいろの人の目に触れるようなことになっておりましたならば、これは実は調査ができない。そういう意味で、簡易証明などということもやむを得ず例外的に認められる問題だろうと思います。  それから、もう一つ、金をやりまして情報をとるという場合、これは実際ございますけれども、そういうときには人情上えてしてありもしない情報を作ってくることは実際ございます。それで、私もずっと経験しておりまして、そういう例もありますし、そういうことは私どもは非常に警戒しております。ただ、それではそういうようなことがないようにということで初めから百パーセント確実な情報だけ集めればよろしいはずでありますけれども、情報活動というものはそういうものではない。やはりたくさんの情報を得まして、そうして一方公然面にもずいぶんいろいろ私どもの目に触れるところで大筋の動向ということはつかめますから、そういうこととも考え合せましてこれを取捨選択して、正しい結論を出して参ることに努力しておるわけであります。そこは、やはり経験なりあるいは勉強なりして、そういうことをやって参るわけであります。でありますから、個々の例としては、そういうふうなうその情報なんかも私は自分で経験しておりますから、これは公安調査庁に情報が入ったらすべてそれが信用されているというふうにはぜひお考をにならないようにお願いしたいと思うのであります。  それから、これは先ほどお話がございまして、社会党も調べておるじゃないかというようなお声があったのでありますが、これは共産党の方がこのごろしきりにそういうふうに問題を持っていこうとしておるようでありますけれども、私どもの方では絶対そのような考えはございません。

古屋貞雄日本社会党

○古屋委員 大臣が来ましたから、簡単にいたしますが、今のあなたの御答弁それ自体が僕は承服できない。刑事訴訟法の原則から参りましても、九十九人の犯罪者を逃がしても一人の冤罪者を作るなという人権の尊重、これが原則なんです。今のようなことでいけば、これはもう相当人権じゅうりんをする基礎を公安調査庁は作ってもかまわないという答弁になってくるじゃないか。それではできない、——できなければやらぬでもいいです。無理に買収までして情報をとるというようなことはやっていただかない方がよい。それが国民の声ですよ。それは人権じゅうりんの問題ですから、基本的人権を尊重する立場から考えれば、それは非常に重大な御答弁ですよ。とれなければとれないで、その範囲でけっこうです。それ以上やるから、昔の特高みたいになって、今猪俣君が言ったように無理ができるし、うその情報によって人権がじゅうりんされてくるということは、それが原因をなすのですよ。やはり公安調査庁は無理をしてまでも情報を集める義務はないと思う。大体地方では特高上りの者が相当入っているが、昔のままにやろうとするところに無理がある。人事の問題についてはかれこれ申し上げませんけれども、結局この問題は会計の明細書を明確に法務委員会に出したらどうですか。そういう簡易処置でごまかされておるところに問題が出てくると思う。不正の事実をつかむために、その事実をつかんだ以上の人権じゅうりんをされるということでありますと、どうもわれわれとしては納得いかない。簡易処置をすることを当然なりとお考えになられてやっておることに対して、今私が申し上げておるのです。それで、法務大臣も見えておりますから、これ以上は追及いたしませんが、とにかく、その点を明確に、そういう御方針なら御方針でけっこうですけれども、私のいうようなことになれば情報が集まらないというのだから、それでも集めるためにはやりますという御意思であるか、それとも、その点について十分考えて、従来の態度を変えていただくような御意思があるかどうか、その点を承わりますと同時に、明細書を当法務委員会にお出しを願えるかどうかを質問いたしまして、打ち切ります。

高橋一郎法務事務官(公安調査庁次長)

○高橋説明員 犯罪捜査の場合に、密告ですぐ何か権力を発動するというようなことになりますと、これは非常に人権問題であろうと思います。しかし、私どもの申し上げたのは、そういう趣旨ではむろんないのでありまして、いろいろ調査をして情報が入っても、その中にはうそもあればほんとうもある。そういうことをすべて取捨選択をしましてやるのであります。それから、情報収集については、われわれの方には何も強制権は実はございません。たとえば新聞社の取材と同じようなことになるのでありますけれども、新聞社でもやはり多くの情報を集めようとして金をお使いになる場合も私はあるように承知いたしております。問題はその使い方で、今御質問の中に現われております御心配の点は、私どもよくわかっております。自分たちの力の限り、そういう御心配になるような事態を起さないようにということで心がけております。ただ、それじゃ絶対金も使わないでやれ、こういうふうに言われましても、それはちょっと御無理な注文じゃないか、こういうふうに考えております。  それから、明細書と申しましても、今おっしゃったように、何の何がしに幾らやったというふうな明細書でございましたならば、これは、この国会に限らず、ときどき社会党の方面から御要望があるのでありますけれども、いつもお断りしておる次第であります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 大臣がおいでになりましたから、今の引き続きの二つの点をお尋ねいたします。  一つは、日ソ関係が好転してきた、なおわれわれはわが民族の立場から日中関係もより好転させなければならぬ、これは日本の外交方針として必須のことじゃなかろうかと考える。こういうことに対して大臣はどういうふうにお考えになるか、それを承わりたいと思います。

牧野良三自由民主党法務大臣

○牧野国務大臣 しばらく他出いたしまして申しわけありません。ただいまの御質疑は、すでに総理大臣が繰り返してお答えいたしております通り、皆様と心持は同じでありますが、何としても、台湾政府があります関係上、それを上手に調整していかなければならない外交上すこぶる微妙な点がありますので、心持は同じ心持でいきまして、この点を国際的にしっかり解決していきたい、かように思っております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 台湾政府との関係の御考慮、ごもっともだと思います。しかし、とにかく日ソ関係、日中関係の友好関係を進展せしめなければならないということは現内閣の方針でもあるし、われわれもそれに賛意を表しておるものでありますが、そこで、この内閣の大きな外交方針と公安調査庁の存在であります。そういうような大きな一つの外交方針を現内閣が持っておる。その政府のもとの一国家機関が政府の大きな方針と背馳しておるような態度をとるたらば、これは政府としては徹底的に是正しなければならぬと思うのであります。これは外務委員会においても問題になりまして、大臣の答弁があったのでありますが、今大臣のお答えになった外交方針と、公安調査庁の空気というものが違っておるのじゃなかろうか。それを外部においてわれわれ発見できます一つのことは、公安調査庁が毎月発行されておる「月間国際情勢展望」という印刷物があるのでありますが、この中に盛られております思想的態度というものは、反ソ、反中国、ひっくるめて反共、こういうような態度で貫かれておる。日本の歴史的外交関係のあった時代においては、反共ということで進んでおったときもあったでありましょう。まさに吉田前内閣のごときはその典型的なものであった。しかし、世界の情勢も変りますし、日本の政治の動向も変るはずでありまして、今は反共なんということは中心課題でなくなっておるのじゃなかろうか。反ソ、反中国というようなことは、少くとも鳩山内閣がその政治的生命をかけてやりましたこの日ソ友好関係の妥結から見ましても、かようなことが現内閣の方針でないことは明らかである。しかるに、この公安調査庁の公文書を見ますと、まことに奇怪なることばかり羅列されておる。そこで、今その一つとして、この「月間国際情勢展望」の昭和三十一年八月号の第十五ページに書いてあります駐日ソ連漁業代表部——これは少くとも今日鳩山内閣の念願であった日ソ共同宣言までこぎつけました橋頭堡であります。この駐日ソ連代表部が民間に政治及び謀略資金として九千万円に上るものをばらまいたらしいということを政府の分けの機関が書いている。あなたはこれに対して善処なさる答弁があったかと思いますが、その後いかなる処置をとられましたか、お答えを願いたいと思います。

牧野良三自由民主党法務大臣

○牧野国務大臣 これはちょっと内容がすべり過ぎております。が、猪俣さん、これは八月だから、ちょっと特別にかんべんしておいて下さい。それへ持っていって、やはりスターリンの方針の何が日本にはまだ消えないのと、そして共産党関係の人は行動が隠密でやられることが多いのですよ。ちょっとしたことで姿を隠せられたり、そして徳田球一氏の行動までが知らないうちに北京へ行ってなくなっておられたりなんかするものだから、それで私が非常にその方面を公安調査庁にやかましくいう。両方とも何もかも明らかにしようということになりまして、ほんとうにこういう悪い材料まで明らかにして、ちょっと悪うございましたが、これはこの程度にしておいていただきたい。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 あなたは八月だからと申しますが、八月だから私は問題だと思う。八月は、今の鳩山内閣が、自民党の中にも甲論、乙論があった、それを統一して、とにかく必死に向って日ソの友好関係を樹立しようとしておった最中であります。八月であるからなお問題なんだ。それを公安調査庁が、われわれからすると何か反ソ的な分子に動かされているのではないかと思われる。ちょうどこのころ辻政信君のごときは、日本の団体が九千万円に上る金を中国からもらってきたような放送をやっておる。演説会でやっておって問題になりました。そのころと軌を一にしておる。何か一部の反共的な、反ソ的な団体に連携し、政府自身を牽制する意味においてかような報告書を書いたのではないかと思われる。この八月といえば、政府は内閣の政治的生命をかけてやっておったのではないですか。その際にかような——唯一の日本における橋頭堡としてのソ連の代表部がかような大それたことをやっておるようなことを堂々と書くという、これはあなたは軽くお考えになっておるが、容易ならぬことだと思う。私は公安調査庁の背景に何かあるのではないかと思う。吉田一派と提携しているのではなかろうか。こんな公安調査庁というものは吉田内閣の時分にできたのじゃないですか。そのかいらいになっておるのじゃないか。そんな政治的陰謀があるのではないかとまで疑われる。そこまで私は確証がありませんから言い切れませんけれども、これは、真に日ソ友好関係を進展せしめていこうという熱意があるならば、この問題は不問に付する問題ではありません。かような大デマを飛ばしたことに対して、いかなる材料に基いてやったかということを明らかにしない。ここに何か背後団体があるのではないですか。私はそれを疑いを持つ。これは法務大臣はもっと徹底的に調査する必要がある。今公安調査庁長官も、ちょっと筆がすべったという。しからば、筆をすべらしたのは何人であるか。その名前を明らかにしない。それに対していかなる処置をとるか、それを明らかにしない。うやむやにしておる。これはもう少し具体的に出たらりっぱな名誉棄損の問題ではないですか。しかし国家の機関がやることは一応の信憑性を持ちます。あることについてはあまりに極端だと思われるくらい秘密主義をとって念に念を入れているにもかかわらず、かようなでたらめなレポートに対しては、さっそくこれを発表する。その態度に対して私どもは疑いを持たざるを得ない。大臣はこれに対して何らその後調査なさらぬのですか。あるいはまたこれを何とか結末をつける御意思はないのですか。このまま八月中のことだからというようなことでほおかむりなさるのですか。それをお伺いします。

牧野良三自由民主党法務大臣

○牧野国務大臣 時期に関しての態度はあなたと私と違っておりますが、しかしね、こういうことなのです。これに関連する材料は私のところにもっとうんとあるのです。非常にあるのです。最近におきますと、ソビエトは容易ならぬぞ、こんなことをしておるぞ、あんなことをしておるぞと言ってきておるのですが、そういうものを取り上げるべき限りじゃございません。と同時に、右翼の連中がどんなことをする、大へんなことを言ってきているのです。そこを適当に取捨選択して、ある程度のものはやはり展望の内容にしておかなければ参考にならない、こう解したのが当局でありますが、出てみるとちょっと目立ちますね。やはりこんなことをしちゃいかぬ。そこで、最近三日間ですっかり明らかになりましたが、私の手元の材料が出なかったからまだよかったので、手元のはもう少し具体的になっております。それに、ラストボロフのような、あんな信用されておった先生があんなスパイであったでしょう。えらいことをやっておるものですからね。公安調査庁の当局としては甘い考えは持っていけない。従って、共産党に対してもソビエトに対しても厳格な態度を持っていかなければならぬ。同じように砂川の連中に対しても厳格、同じように日共に対しても厳格、同じように右翼の連中に対しても厳格。でありますから、その厳格が利害関係の方面の人からは非常に重大にお思いになることは無理はない。だから、少し角のあるようなことはこれに書かない方がいい。内緒で私のところに持ってきてくれればいいのを、ちょっと内緒の部分なのでありますけれども外へ出まして、まことに残念に思っておりますが、責任は私がとります。今後を深く戒めまして、秘密の材料は私のほかは外へ出しちゃいかぬということに深く戒めますから、これで今回は切に御寛恕を請います。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 なお、先ほど私が問いただしたのですが、大臣のお答えになっているように、中国との友好関係を進展していかなければならぬ。しかし、具体的な外交関係は台湾政府があるからデリケートである、それはよくわかる。しかし、友好関係が進展していかなければならぬことは国民一致の世論だと思う。しかるに、この公安調査庁なるものは、中国が今一大国民運動の中心スローガンとして掲げております百花斉放、あるいは百家争鳴、これはデモクラシーの観念でしょう。われわれ歓迎すべきことなのです。隣国中国がこうなってくれれば、われわれ民主国家としてはいいわけです。しかるに、この百家争鳴、百花斉放に対して、そんなものは信ずるに足らぬというような、ひやかし半分のことを書いておる。一体何という態度なんですか。これは個人々々はいろいろなことを考える人もありましょうけれども、国家の一大機関として堂々と印刷物に、隣国の大モットー、しかもわれわれは歓迎すべきモットーじゃありませんか。それに対してもひやかす。そういう態度の中に実に許すべからざる反ソ、反中国の思想がこの公安調査庁にひそんでおる。この全部に対して私は点検をいたしまして、次回に公安調査庁になおお尋ねすることをお約束したのですが、一体、反ソ、反中国的な言動を公安調査庁がやることに対して、法務大臣は賛成なんですか反対なんですか。

牧野良三自由民主党法務大臣

○牧野国務大臣 むろん反対でございます。けれども、もう少し寛大であってほしい。左翼に対しても批判したい。そして左翼の批判すべき材料も出したい。と同時に、右翼に対しても出したい。私は、国会議員諸君は、この種のことについてはもう少し寛大であってほしい。そして、公安調査庁の連中もいろいろの思想を持っておりましょう。それを表現して印刷物に出すときには私の責任に帰します。しかし、個人々々には思想の自由を許してやっていただきたい。そして、調査の自由、学問の自由も許してやっていただきたい。その自由を許している結果として、折々しくじりをやるときには、そのしくじりの責任はどうしても私が負わなければなりません。それは徹底して負いますから、この点に関しては、どうか皆さん、もう少し寛大な態度で、あまりこんなことを追及しないでおいて下さい。この程度でお許しを請います。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 大臣はそうおっしゃいますけれども、私どもは個人の言論をどうこういうのではないのです。公安調査庁と銘打って、「月間国際情勢展望」なる印刷物を出して、その中に盛られている態度です。官庁というものは、今あなたがおっしゃったように、右でも左でもない、中立的立場で冷静公平に事を扱わなければならない。しかるに、公安調査庁は元来共産党係だといわれるくらいで、今また聞いてみましても、そのエネルギーの十分の一が右翼関係に注がれて、十分の九が左翼関係に注がれておる。しかし、公安調査庁は破壊活動防止法に基いて生まれた官庁であるがゆえに、右であろうが左であろうが、破壊活動をするものの調査をするはずなんです。しかるに、左翼について九の精力を費して、こういう一貫して流れた反ソ、反中共の報告をしておる。それが国家の官庁の性格として不通当ではないかというのが今問題になっておる。個人の思想をどうこう言っておるのではありません。官庁全体の性格というものから事を論じておる。しかも、官庁の性格も、時の政府の政策によって変ってきましょう。だから、吉田反共内閣の時分にそういうふうな十分の九の精力を対ソ、対中国関係に注いだこともありましょうけれども、今や鳩山内閣によって、国民全部の歓呼の声のうちに——自民党の一部の反共のいわくつきの人物だけ除いて、あとは国民全部の歓呼の声のうちに日ソ共同宣言その他の条約が締結せられる運びになってきた。私は今後日中、日ソの文化交流、その他の交流が激しくなるだろうと思うのであります。その際に、公官調査庁が一体こういう態度をとっていいかどうか。それより、根本問題として、法務大臣としてはいろいろの観点がありましょうからの発言だと思うけれども、日ソ関係を好転させ、この友好条約を結ぼうとするときに当りまして、今後日ソ交流が始まる際には、いろいろな者が来て日本の治安を乱すかもしれないから、治安対策は徹底的にやるようなことを言っていらっしゃった。私はこれもはなはだ解せない。人を見たらどろぼうと思え、自分が手を差し伸べて友好関係を樹立せんとする国の民族に対して、これをどろぼうと思って、片方は手を伸べるが、片方は縛るようにやるということは、矛盾もはなはだしいじゃないですか。治安対策は、右であると左であるとを問わず、公平にやらなければならない。アメリカに対してもずいぶん取り締ってもらわなければならないことがあるのです。それに対しては何もこの月間報告に書いてない。今あなたがおっしゃったラストボロフ、あれはソ連のスパイであったかもしれないが、今アメリカのスパイになっている。そういう実力をアメリカだって発揮しておる。もしスパイ関係であるならば、なぜソ連のスパイばかりを問題にするのですか。アメリカのスパイだってどのくらいいるかもしれない。そういうことに対して公平におやりになさるのはかまわないが、あまり一方的なことばかりを取り上げられると、われわれはこの官庁に対して疑惑を持たなければならない。  そこで、あなたの治安対策というものについて聞きたい。一体、日ソ友好関係を進展せしめるという陰から、何かソ連から来る者は治安を乱しはせぬかというような疑いを一応かけまして、これを調査し、あるいは取り締るというのであるか。この日ソ友好条約発効以後の日本の治安対策についてのあなたの所見を承わりたい。

牧野良三自由民主党法務大臣

○牧野国務大臣 日本の治安対策について、日ソの国交が正常化するからといって、別段の考えを持つということの必要は全然ないと考えます。治安はこの四、五年来非常に軌道に乗って参りまして、火炎びん事件、それからあの激しかった電気と石炭のスト、あれがありましてから以後、非常によくなりました。だから、どれも軌道に乗りかかってきましたのですから、私は非常に喜ばしい傾向だと思っております。ただ、治安ではない、公安が非常に悪くなりました。これは町の暴力団を初めといたしまして……。だから、私の熱心にやっておるのは公安関係でありまして、事すなわち民主政治に関係する方面の治安は、私が初めて手をつけた当時から、少しも強化するとかそれをどうかするとかいうような考えはございません。従って、ただ少しルーズでありまして、内部を引き締めなければなりませんのは治安ではない、主として公安であると御解釈を願いたい。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 大臣の御所見、了承いたしましたが、これは大臣、あなたの在職中に一つピリオドを打っていただきたいと僕は思う。あなたも戦時中非常に苦しんだ問題だと思う。戦時中の状態は、軍部の一部の連中、そうして各官庁のおもに若手官僚、これが下剋上の情勢を形成して、思慮ある軍部の上官あるいは官僚の上位の人、この人たちを牽制いたしました。そうして、その運動資金は主として軍部から出ておる。そうして、矯激なる右翼団体を使嗾して、それが政治問題としては天皇機関説となり、実に今から考えれば奇怪千万なる運動となって、あの硬骨なる美濃部博士を狙撃するというようなことになり、美濃部博士は国家から一切の栄典と上院議員までも辞職せしめられるということに相なった。そうしてとうとうとしてこの戦争の方向へ引っぱっていかれたことは、あなたの御存じの通りであります。その際における議会の姿というものは哀れそのものであった。そうして、その運動をするには必ず軍資金がなければならぬ。その軍資金は陸海軍から出ておった。それが百弊のもとでありました。そうして、人権じゅうりんし、われわれの行動を調査すると称して束縛いたしましたのは憲兵であり特高であった。ところが、それも度が過ぎまして、特高も仕事がなくなってくる。そうすると、予算の減ること、自分たちの職場のなくなることを心配して、でっち上げ事件を作り上げて、人心を刺激して、このことから特高の存在は必要だといって予算を取っておる。これはあなたもよく御存じだと思う。今あなたが申されたように、治安関係はわれわれも治まっておると思う。日本共産党も、火炎びん事件の卑劣なることに後悔して、今や内部の組織までも変えて、人的配置までも変へてきて出直してきておる。これは私が言わぬでも、ここに親方がいますから、申すまでもないことだ。ところが、公安調査庁の月間報告なんかを見ると、みんなうそだうそだと言って、何しろ金は九千万円をばらまかれるし、共産党は何をやらかすかわからないというような報告ばかりやっておる。一体公安調査庁なんか要らぬのじゃないかと思う。そういう説の出ることを防ぐためにかようなことをやっているのじゃなかろうか。ちょうど昔の特高警察のやった故知を学んでいるのじゃなかろうか。逆にかえってその予算を増強してきている。  そこで、今問題になったのは、公安調査庁の調査費です。これは幾多のことを耳にしておりますが、今同僚古屋委員からも質問が出た。その調査費の内容を明らかにしろという。これは、個別的にできないならば、人名を言わんでもいいが、一体レポを持ってきた者に大体どのくらいの金をやって、どのくらい調査費を使っているか。私が聞いたところによると、公安調査庁は金が余って困っているらしいと公安調査庁のある役人が私の親友にいうた。非常に金が余っている、使い切れないほど金がある、そういう説を私は聞いておる。これも的確なことでありませんから、うわさにすぎないと私どもは思うのでありますが、とにかく、そういううわささえあるのですから、予算関係を明らかにしていただきたい。これが下手をやると戦争中軍部と反動団体を結びつけたようなもとになる。公安調査庁の機密費が中心になって日本の反民主主義運動が展開せぬとも限らぬ。そうして、いたずらにソ連、中共の神経を刺激して、また世界動乱の原因を日本が作るようなことにならぬとも限らぬ。これは荒唐無稽の説じゃないと思う。わが国の過去の苦い経験に徴して、今牧野大臣のような民主的な政治家が法務大臣にある間に何とかくぎを一本打っておかぬと、容易ならぬことが起ります。その一つの現われが、今質問しました九千万円事件なんというのだ。平地に波乱を起すようなことを構想して、そして自分たちの職務を温存しようとするのじゃなかろうか。私どもはその疑いを持つのです。  そこで、あなたにお願いしておくことは、今公安調査庁側の諸君の答弁によると、これは職務のためだ、調査する必要があるのだということです。諸君の答弁を聞いていると、ちょうど明治憲法時代と同じ頭じゃないかと思う。日本国憲法は基本的人権というものが中心です。公共の福祉のために制限できるというのは、憲法をごらんなさい、これは消極的な態度なんだ。原則として基本的人権は尊重しなければならぬという原則が一段立っている。ただ、公共の福祉の場合を除いてはと、消極的な態度なんだ。国家活動あるいは共産党活動を調査するためには個人の人権などどうなってもいいというのが明治憲法の精神です。全体主義なんだから、国家ということが至上命令、そのために個々人の人権なんというものは犠牲になるべきが当然だという思想だ。それから今は百八十度転換しているんです。個人の基本的人権が諸君が調査をすることに妨げになるかもしれない。あまり個人的人権ということを言ったら公安調査庁の活動がにぶるかもしれぬが、その場合には、公安調査庁の活動をにぶらしても基本的人権を尊重しなければならぬというのが今の憲法の精神なんだ。昔と違うのはそこなんですよ。昔だって基本的人権というのはあった。それと今の憲法と違うところは、基本的人権が先なんだ。それと国家活動、諸君の活動と何か抵触するようなことがある場合においても、基本的人権を先に立てるというのが今の憲法の基本なんです。ただ、それが公共の福祉上やむにやまれぬ場合だけ例外があるというのが今の憲法の規定じゃありませんか。公安調査庁がいろいろデマ宣伝や情報を集めるために、基本的人権など多少犠牲にしてもやむを得ないと諸君は考えておるかもしらぬが、それは大きな憲法の誤解です。高橋次長の答弁を伺うと、そういうように考えられる。そういう誤解を持っておる。そこで牧野大臣に聞くのですが、私どもは今の憲法をさように考えております。公安調査庁がいわゆる左翼活動あるいは共産活動を捜査するためには多少の人権じゅうりんをやってもやむなしというような態度をとるとすれば、法務大臣はそれを支持なさるのか、法務大臣の御意見を承わりたい。

牧野良三自由民主党法務大臣

○牧野国務大臣 断じて許しはいたしません。ただし、左翼の方面の警戒をゆるめるわけには参りません。右翼の警戒をゆるめてはならないと同じことであります。昔私は、あなたと同じようにやはり軍部に対して警戒を厳重にして、これに抗議をして身に危険を受けたのであります。それと同じことです。左翼に対しても、この際調子に乗られてつまらぬことをやられては困ります。責任はとれません。だから、峻厳なる態度をもって向っていきたいと思います。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 あなたが右翼左翼に対して峻厳な態度をおとりになるのは理解できる。ただ、そのために基本的人権尊重ということを阻害してはならない。そうして、公安調査庁の調査、これは調査にすぎないのだ。公安調査庁は、その調査するのには多少基本的人権を犠牲にしなければならぬという場合においては、そういう調査方法はやめてもらいたい。これなんです。峻厳に調査なさることはかまいません。しかし、その調査というものに対しても人権尊重ということを頭に置いて調査してもらわなければならない。それが衝突する場合においては、人権の尊重の方に国家活動を譲ってもらいたい。これが憲法の精神だと、こういうのです。国家のためということになるならいかに基本的人権を阻害してもかまわぬというのは、戦時中の全体主義国家の思想だと思う。今はそれと違っておると私は思う。その点をあなたにお聞きしたのです。今おっしゃるように、公安調査庁は眠っているというわけでは決してありません。極力活動してもよろしゅうございましょう。しかし、その調査活動が基本的人権じゅうりんなしには行われないという場合に、取捨択一の場合にどちらをとるか、それをお聞きしているのです。その点について御答弁願いたい。

牧野良三自由民主党法務大臣

○牧野国務大臣 すべて猪俣委員と同感でございます。基本的人権を侵すような行動は決して許しません。御安心をいただきます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 なお、これは同僚議員の質問があるかと存じますので、私はこの程度にしますが、なお法務大臣にお尋ねいたしたいことは、巷間新聞に恩赦の問題が出るのであります。実は、これに対してはずっと前に法務省に意見を聞きたいと思ったのでありますが、いろいろの影響があると考えまして本日までお尋ねをしなかったのであります。根本官房長官の談話が二十九日の朝日新聞に出ております。その他日本経済新聞あるいは昨日の読売新聞等にみな取り上げられてきておる問題でありますので、これはもう不問に付しておくべき時期じゃないと考えます。そこで、政府の方針をお尋ねいたしたいのですが、問題は、サンフランシスコ条約締結の際に恩赦があったから、今度の日ソ協定締結の際に恩赦という説もありますが、それが一つでありましょう。しかしまた、国連加盟を機会にして恩赦ということもあります。私どもは、日ソ共同宣言及びその効果として国連加入ということは、わが日本にとりましてはエポツク・メーキングのようなことだと思うのです。これは何らかの形において国民一般が祝うべきことだと思う。簡単な問題じゃない。わが民族の将来の運命にとって重大なる契機であります。ほんとうの意味において日本が世界的にのし上ってくる突破口が今できた。鳩山内閣は失政百出でありますけれども、これを成就されることは実に偉大なる功績であります。これを一般国民とともに祝うとともに、この国連加盟のごときがどんなに重要なことであるかを徹底せしめる意味において、私はこういうことを機会に恩赦ということの発動があってもいいんじゃなかろうかと思いますが、政府の御所見を承わりたい。

牧野良三自由民主党法務大臣

○牧野国務大臣 猪俣委員に申し上げます。当局者といたしましては、この程度に承わっておくということで、答弁はお許しを請いたいと存じます。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 関連して。その点について、ただいま牧野法務大臣から、もう少し猶予してくれというような言葉がございました。あなたのところの事務当局はちっとも猶予してないのですよ。現に、昨晩の放送から今朝の新聞にかけては、そうたびたび恩赦をやっては困るから今度はやらたいというようなことを言っているのです。実は、先日の日ソ共同宣言案の本会議のときに私がその点で質問しましたときに、鳩山総理は耳にめがねをかけられたせいか、その点の答弁を忘れられたようであります。私の方でも、自由民主党も社会党も、ただいま牧野法務大臣が言われたようなことを含んで、もう少し先に延ばそうと思っておったところが、昨晩からしきりにそういうことを言っておる。あなたの足もとでそういうことをやっているのです。それでは困ると思います。というのは、たびたびやっては困る、戦後もこれまで三回やったから、実は四回なんでありますが、そう引き続きやっては困ると言いながら、昭和二十年十月十七日、戦争終結に際し大赦がありました。昭和二十一年十一月三日、日本国憲法公布のときにありました。それから約五年半飛んで二十七年四月二十八日、サンフランシスコ講和条約発効のときにやられました。何とそれからわずかに七カ月足らずのときに立太子礼挙行ということでやっております。立太子礼挙行ということは、今度の国連加盟というような国事に比べてどれほど大きいことか。そうではないことは、さきにこの大赦を実施するときに、恩赦は自来わが国においては古くから行われていたもので、それはすべて天皇の仁慈に基くものであったが、昭和二十二年五月三日、日本国憲法施行後は、一般の行政事務と同様内閣の事務の一つとして行うこととなった。ですから、立太子礼挙行のときにこういうことを行うよりも、日ソ共同宣言案を批准し、国連加盟をするのは、はるかに大きい国事です。こういうときこそやるべきである。実は、これまでの恩赦の中に、昭和二十一年十一月三日、勅令第五百十一号の大赦令には、「罪を犯した者は、これを赦免する。」とある。そこにただし書があって、「但し、その罪に該る行為が聯合国占領軍の占領目的に反する行為であるときは、この限りではない。」とある。松川事件にしてもその他の問題にしても、これに関係あるものはまだみんな残っておるのであります。朝鮮人連盟が解散されたときに莫大な損害を受けたものもそのままになっておる。朝鮮人に対する指紋を取る問題、今日は非常に行き過ぎが行われている状態であります。いろいろと占領軍の占領目的ということで被害を受け、まだ刑務所にいる者もいるのであります。今度国連に加盟すれば、その占領状態から一歩脱け出す大事な機会になる。大国として世界の平和共存のところに入っていく重大な機会に当る。各政党でしばらく当局の動きを見ようとするときに、法務当局が、早過ぎるとか何とか、そういうことを言い出す。こういう差し出がましいことをいうことははなはだ不謹慎千万のことと思いますが、その点について法務大臣はどういうふうにお考えでございましょうか。

牧野良三自由民主党法務大臣

○牧野国務大臣 御説の通り不謹慎と思います。従って、ここでもあまり進んだ御意見は、法務大臣承わるだけにさしていただきたい。深く了しまして、世論の声を聞きまして適当な決断をいたすことにいたしたいと思います。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 それはいいのですが、私の説の通り賛成なさるとすれば、そういう不謹慎なことをいう法務当局に対してどういうふうな御態度をとられますか。  それから、もう一つ、これは関連することですが、例の問題になった「展望」の八月号、こういうでたらめを書くことは、ちょっと筆が走り過ぎたとか、行き過ぎたと言われますが、今後こういうことを厳格にやらせない方針をとられるか。今度の恩赦の問題に関する勝手な自分たちの見解をラヂオ及び新聞を通じて発表するこういうことを厳重に慎しまれるかどうか。こういう点をあわせて御答弁願いたい。

牧野良三自由民主党法務大臣

○牧野国務大臣 深く慎しむことにさせます。今後はこんなことの賛否をあらかじめ行政の事務当局が世の中に流すということをしてはならない。深く慎しませますから、この程度にしていただきたいと思います。

池田清志自由民主党

○池田(清)委員長代理 この程度でお開きにいたします。質疑の自余は次会に譲らしていただきます。次会は来月の五日に予定いたしております。公報で御通知申し上げます。     午後一時十八分散会

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