農林水産委員会 第8号
- 発言数
- 99 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1956/11/30
会議録
○村松委員長 これより会議を開きます。 農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたし、質疑を続行いたします。淡谷悠藏君。
○淡谷委員 大石次官に昨日いろいろ質問いたしましたが、大体お調べになったからおわかりになったろうと思いまするので、これ以上お聞きいたしませんが、今度の改正法律案によりまして違った点というのは、今度の提案理由の十ページをごらんになければ大体おわかりになったろうと思います。ここに三行目から、「すなわち、その所掌する事務としましては、農地法、土地改良法その他の法令に基き、権限として行う事務は従来の通りとする」ここから書いてある下の方を全部盛った所掌もしくは権限内容というふうに私は理解しておりますが、そのように確認して差し支えありませんか。
○渡部政府委員 前の方の第一号及び第二号のほかに、農業及び農村に関する振興計画の樹立及び実施の推進に関する事務、農業技術の改良、農作物の病虫害の防除その他農業生産の増進、農業経営の合理化及び農民生活の改善をはかるために必要な事業の推進に関する事務、それから農業及び農民に関する事項についての調査研究と啓蒙宣伝、こういうふうになっておるので、そのほかの点につきましては従来の委員会の権限がそのまま引き続いて持続される、こういうことになっております。
○淡谷委員 具体的に申し上げますと、私は今度の取扱いの内容は、第二項の三号並びに五号六号、との新法の三つがおもなる新しい点だとは考えておるのであります。すなわち「農業及び農村に関する振興計画の樹立及び実施の推進に関する事項」五は「農業生産、農業経営及び農民生活に関する調査及び研究」六、「農業及び農民に関する事項についてのけいもう及び宣伝」そういたしますと、との農業協同組合の扱う事項、それからさらに農業改良助長法において扱う事項、これらと重複する点が大へんに出て参ります。一体この農業改良助長法あるいはまた農業協同組合法、これによらざる農業委員会の仕事というものは、どういう仕事がありましょうか。たとえば第十三条の第二項第四号の「農業技術の改良、農作物の病虫害の防除その他農業生産の増進、農業経営の合理化及び農民生活の改善を図るために必要な事業の推進に関する事項」としてある、協同組合あるいは農業改良普及技術員が指導し推進する以外に、農業委員会がやる仕事というものはどんなことがございますか、具体的にお示し願いたい。
○渡部政府委員 これは申すまでもなく農業技術の改良あるいは農作物の病虫害の防除、そういうことは、耕作農民が最終の対象になり、実行者になるわけであります。その効果を上げるために、たとえば共同作業が必要になるとかあるいは共同防除が必要になるとか、こういう問題が出て参ります。そういたしますと、その共同防除は、今度はその技術、方法等については、これは農業改良普及員なら普及員が、こうやったらいいああやったらいいという指導をする。それからさらにそういうことをやるために必要な器材あるいは資材、そういうものは協同組合なら協同組合から購買しなければならぬ、こういう問題があります。それらが完全にスムーズにそろわなければ、そういう仕事はうまくいかないのでありますから、関係者がその仕事を遂行するのに、最もいい効果を上げるための連絡なりあるいは世話係あるいは督励、こういうことをやるのが、第四号に掲げられておる事柄であろうと私は考えております。そのほか第五号の「農業生産、農業経営及び農民生活に関する調査及び研究」これは調査及び研究でありますから、各段階において農家の農業生産あるいは農業経営、あるいはそのために協同組合がどうあるべきか、あるいはどういうふうになっておるかというふうなことを一つ調査研究していく、そういう仕事をこの農業委員会に与える、こういうふうに考えております。
○淡谷委員 あとで農地局長に質問をしたいと思いますので、お呼びを願いたいと思います。
○村松委員長 承知いたしました。
○淡谷委員 今の御答弁でありますが、そうしますと技術普及は普及員がやる、器材その他のあっせん購買等は協同組合がやる、そうすると農業委員会は何をやるのですか。ただ品物を買えとか、薬をかけろとか、そういう号令をかけるのが農業委員会の仕事でありますか。それともこの薬がいいとか、あの機具がいいとか、共同防除をやれとかいうことをやるのか。一体具体的には農業委員会は、改良技術普及員の仕事とそれから協同組合の仕事を除いてどんな仕事があるか。宣伝ビラを張るくらいだったらこれは安定所の人夫でもよろしい。一体具体的にはどういう仕事をされるのですか。
○渡部政府委員 これは観念的に申し上げますれば、改良普及員が時間と余裕があれば全部やれることになると思います。しかし実際にはそういうことができないと思う。たとえば病虫害の防除をやるといいましても、何月何日どこからどういうふうな順序でやる、そのためにはそれらの関係者に通知し、あるいはどういうふうな順序で集まってきてどういうふうに共同防除機械を渡していく、そういうことを段取りをつけなければいかぬ。その段取りをつけるために会合して準備をやるとか、あるいはとにかくなまけないようにしようとか、そういう申し合せをやる、そういうことが私は農業委員会が中間に立ってやる仕事である。これは実際問題といたしましてやはり農村の人々がやれる面のほかに、各人々々一筆々々の段取りは同じことをやらなければ工合が悪いことが相当ありますから、そういうときには相当な仕事があるのじゃないかと思います。
○淡谷委員 大へん気の毒ですが、もう一ぺん次官にお答え願いたいのですが、実は今の局長の答弁によって、きのうのあなたの御答弁とはだいぶ違った点が出てきておる。きのうあなたは農業委員会の仕事は大へんうまくいっているという話をされた。私は今までの農業委員会はそういう点がうまくいっていないからこの新しい法律を作ったと思った。今局長の方からは、時間と金があれば何でもやるつもりだという御答弁があったわけです。そういうことはないと私は思う。違うでしょう。時間と金があればそれじゃどうだというのです。それじゃ大へんな相違だと思う。
○渡部政府委員 私が申し上げたのは、たとえば技術の指導につきましても時間と金があれば観念的にはと、こう申し上げておるわけであります。観念的にはできるはずだ、だから改良普及員も村に一人とかあるいは三カ町村に一人とかいうのでなしに、一人の改良普及員の指導者があって、その下にアシスタントがたくさんあれば農業委員会はなくても、その人を集めたりあるいは指導することができる。しかしそういうことは実際にはとにかく一人々々のお百姓さんが動いてくれなければ困るのであって、そういう改良普及員を増すことが必ずしも得策でないと思います。やるのは農家でありますから、従って改良普及員がこういうことをやったら——、病虫害が発生したら農薬を持ってきていついつからやらなければいかぬ、その準備をするためには農業委員会が活動する、農業委員会すなわちこれは農家の集まりでありますから、それによってやった方が効果的である、こういうふうに考えております。
○淡谷委員 私どもはこの農業委員会法というのは非常に重要に考えますので、今あなたのおっしゃったようにこのなすべき事業の範囲が、ある場合には農業改良普及員の仕事になりある場合には農業協同組合の仕事に足を入れている。たとえば今おっしゃったように時間と金があれば普及員を十分置きたい、それが置けないから補助的に農業委員会でやる、こう言う。協同組合の方になった場合には、いい農薬のあっせんとか農機具のあっせん、これも農業協同組合に金もなし時間もないからといって農業委員会に頼んだ場合には、農業委員会は協同組合の走り使いをしまして、一生懸命販売のビラをまいて歩きますか、あるいは協同組合に入った薬がいいからそれを買えとかいう宣伝をやるつもりですか。その点はどこいらまでが協同組合の仕事で、どこいらまでが農業委員会の仕事か非常に境界がぼやけている。下手まごつきますとお互いに頼み合い譲り合っているうちはいいけれども、進んで協力した場合に事業関係で競合することになってくる。今でもそういう点がある。従ってこの農業委員会というものは他の二つの法律によって規定されない、はっきりした事業体系がなければならぬと思う。それは一体どこにあるか。
○渡部政府委員 それは協同組合法の十条には農業協同組合の事業があるのであります。もし協同組合がそういう事業をしなかった場合にそれでは農業委員会が協同組合に頼まれてその事業の一部をやるか、そういうことはできないと思うのであります。仮設的に申し上げますれば、人あるいは法人があるのでありますから、物理的な余裕、能力があれば何でもやればできぬことはない、そういうことは言えると思いますが、それは何といいますか、制度そのものを無視した議論じゃないかと思います。それぞれの法律でそれぞれの能力を与えられているので、協同組合が動きが鈍ければ協同組合はうんと働いてくれということ、農業委員会の会合なら会合でそういう話が出るかもしれませんが、協同組合の仕事を農業委員会の方に取り上げてやる、あるいは協同組合法第一条にきめられておる協同組合の事業をその総会なら総会、役員会なら役員会できめて農業委員会にやらす、そういうことは私は考えられないと思います。何でもやろうと思えばできるじゃないか、こういう議論ならばまた別でありますけれども、おのずから常識がありましてそれぞれの領域を守る。これは昨日も小川先生からお話がありましたが、昔の農会であればちゃんと販売、あっせんという規定があったわけであります。これは協同組合がまだできないうちに農会という格好で、そういう農事の改良なりあるいは経済行為までやってきておったわけであります。それが産業組合という新しい経済団体でやった方がいいということで、産業組合の組織が強化されて遂たわけであります。これは発生的あるいは経過的に見れば争いがあったのでありますが、農業委員会には初めからそういう任務を与えないのでありますから、私はそういう心配はないと思います。同じ村の中で、ことに今度の改正あるいは前でも選任委員の中に農業協同組合の代表者というのが入っておりますから、そういう事務の混淆というものは起るはずがない、またそういう例は私は聞いておりません。
○淡谷委員 農業協同組合法の第十条を引用されましたからこれについてもう一ぺんお尋ねしたいのですが、第十条の第一項第十号には、「組合員の農業に関する技術及び経営の向上を図るための教育又は農村の生活及び文化の改善に関する施設」、十一号には、「組合員の経済的地位の改善のためにする団体協約の締結」、十二号には、「前各号の事業に附帯する事業」としてあります。そうすると、この付帯する事業は、農業委員会はこれだけの仕事をしようと思いましても、協同組合の方でこの付帯する事業としてどんどん、これに規定されておるような啓蒙宣伝等もあるいは調査研究も、技術の普及に関するあるいは推進に関する事項も、自分の経営上の必要からも、あるいは協同組合の目的からもどんどん進めていく。そうしますと、農業委員会は要らぬ。このことは、十分なし得る協同組合があったならば、協同組合法によってもできるのです。そうするとこれは要らぬことになりますか。
○渡部政府委員 お説のように、協同組合法の第十条の中の事業の項にはそういう規定があります。もし協同組合に農家の全員が加入し、そして協同組合がそれらの事業を十分に実行するならば、これはお話のように協同組合の仕事で、農業委員会が出る幕はその面につきましてはほとんどなくなるかもしれません。農地の関係の仕事だとか何かそういう問題は別として残りますけれども、今の農業計画の振興、農業技術の改良について、協同組合が百パーセントそういうことができるということになれば、それはもうそれでいいんじゃないかと思います。しかし私どもの現在の実情から見ますと、必ずしもそういうふうにはなっておらない。また協同組合の事業を推進するためには、協同組合を督励するためにこういう委員会があった方がいい、こういう考えであります。
○淡谷委員 そうしますと、あなたの御答弁で大体わかりましたが、協同組合が十分に機能を発揮して強力になれば、農業委員会はこれらのことは要らぬということが確認されましたね。ただ督励するという性質なり任務ですから、そういうものが全部できるということになれば、農業技術の改良、農作物の病虫害の防除その他農業生産の増進等々のことの推進に関する事項ということは、農業協同組合が強力に完全にやるならば、これらは要らぬということを確認されましたね。もう一ぺん伺っておきたい。
○渡部政府委員 先ほど申し上げましたように、協同組合は任意加入でありますから、その地域内の組合員が全員加入しました、そうして今のような仕事を百パーセントすれば、何も重複する仕事は要らないが、しかし実際問題としてそういうことにならない。だから、現に協同組合が非常にいい組合では、町村の、今の農業振興計画なり何かの主役はほとんど協同組合が占めておるのであります。私はそう思います。
○淡谷委員 重大な発言があったのですが、協同組合に全員加入していない、未加入者のある村では、農業委員会がかわって協同組合の仕事をするのか。あなたの言う全村加入と未加入者のあるところを分けたら、全村加入の場合には要らぬ。未加入者のある村では、未加入者のために協同組合と同じような仕事をされますか。
○渡部政府委員 それは第十条の農業委員会の仕事と類似する仕事に関することだけであります。それ以外の一条のいろんな経済行為を農業委員会がやれたって、それはできません。
○淡谷委員 私がさっき農地局長の出席を願ったのはそこにあるのです。農業委員会になる前の農地委員会時代の農地に関する事項がたくさん残っておる。これに関して農業委員会がやるこはちっとも異存ありません。あとの付帯した事項はおざなりにつけたようなことが多いのです。おざなりにつけたことでありましても、これを全く無制限に放任しておきますと、あなたの解釈自体に現われてきておるように、はっきり協同組合あるいは農業技術普及員との間に仕事の上の競合が始まるのです。あなたが今おっしゃった通りですね。未加入者の多い村では、協同組合がやらなくても農業委員会がやればいいのだというような対立が生じてくる。そうじゃないですか。
○渡部政府委員 それは対立を生ぜしめようとすれば対立を生ずると思いますが、とにかくこの法律ではそういう関係農業団体も委員に入れまして、村の農業計画なり農業技術の改良、ひいては農業経営の改善ができるようにやろうというのでありまして、ことさら対立をさせるあるいは重複をするという考え方がおかしいんじゃないかと思います。それから一つの前提があったと思いますが、全員加入の場合、現在では協同組合が一町村一個ということだけでもございませんから、やはり観念的あるいは理論的には百パーセント農業協同組合がやれば、重複した仕事はやらぬでもいい、こういうことはいえますけれども、現実はそういう姿ではない、こういうふうに思います。
○淡谷委員 観念的、理論的ではなくてよろしいのです。法律的に考えてもらいたいのです。法律の改正なんですから、法文に基いて御解釈願いたいと思うのでありまするが、そうしますと、改正されます農業委員会というものは、行政機関の補助機関であると同時に、協同組合等々の補助機関にもなるのですか。その点はどうです。
○渡部政府委員 協同組合のそもそもが、第一条の目的にありますように、農民の協同組織の発達を促進し、もって農業生産力の増進と農民の経済的社会的地位の向上をはかる、こういうことであります。このような事業は主として経済行為であります。それに付随して十条以下の各行為を十分に果すために組合員の教育なり指導をする、こういうことでありますので、必ずしも全部が重複するわけにはいかぬと思います。しかしこれはすでによく御承知だと思いますけれども、ほんとうにいい村では、協同組合が村の農地関係をほとんどやっている例がたくさんあるわけでありますから、そういうところでは、ことさら農業委員会が、お前引っ込んでおれ、農業委員会でやるのだ、こういうことは、実際問題として起らぬのじゃないか。そういうことを予想して法律を改正しておるのではなくて、一般的、平均的といいますか、たくさんある状態をもとにして法律がねらっておるわけでありまして、非常にいい例あるいは非常に悪い例をもとにした法律ではないわけであります。そういうふうに私どもは解釈をしております。
○淡谷委員 私は農地に関する問題はやっていいと思う。ただあなたがおっしゃっように、事項によっては重要じゃない事項もたくさんあるということがわかればよろしい。その場合、重要でない事項のごときは、競合した場合は、協同組合あるいは農業技術改良普及員の方に、市町村の方に譲るという原則ができているのですか。
○渡部政府委員 最初にお答えしました通り、とにかく農家が実行し、それから技術員が技術の指導をし技術を与える、それから経済行為は協同組合を通じてやるというのが、われわれが法律上の委員会を作る場合の農村の姿としてとらえておるものであります。ほかの、それぞれの独立した機関がやっていることをこの委員会が取り上げようというふうに規定はされていないのであります。
○淡谷委員 そこで私お伺いしておきたいのですが、これはこれ以上追及はしませんが、そうしますと、やはり農業委員会というのは、一生懸命やるのは、農地の問題だけですね、はっきりしておるものは。その場合、現在における農地の実情は、果して行政機関の命令一本で片づくような、状態にあるか、それとも農民独自の農地解放の精神に沿った運動が展開されて初めてできるのか、その点を一つ農地局の方にお伺いしたいのです。
○渡部政府委員 淡谷先生に申し上げますが、ちょうど農地局長、入りかかって農地関係の質問が出て十分頭へとらえることができなかったようでありますから、もう一ぺんお願いいたします。
○淡谷委員 農地局長に一つお伺いしたいことがあるんですが、実は農業委員会法改正につきましては、われわれ団体の性格に大へんな疑点を持っております。これが行政機関の単なる補助機関であっては、私ども、今の複雑な農地事情の改正はできないと思います。一体、現在の香川県、その他に起っておりますような大量の土地取り上げ並びに先般来しばしばいわれました地主連盟、こういう動きに対しまして、単なる行政官庁の指令一本で解決ができるような状態にあるかないか、その点を一つ局長からざっくばらんにお答え願いたい。
○安田説明員 御質問は簡明でありますが、社会、経済問題としては複雑な問題でありますので、よくお答えし得るかどうか、なんでありますが、終戦後、農地改革が行われまして、その担当機関として農地委員会が設けられました。その後農業委員会になっておりますが、所有権の有償、無償の移動、賃貸借の解除、買い上げ、あるいは転用等の問題、特に既得権等先般農林委員会で御調査下さいました地主の小作地取り上げ、集団的な取り上げ等の問題が、いろいろの政治的、社会的な情勢で団体活動も加えまして起きてきておるわけでございますが、何と申しましても、農業委員会の機構は行政委員会としまして、法令に基いて農地事務を処理することになれておりまして、ある程度の変遷はありますが、その委員会の委員、または特にその書記は、相当活動いたしておると思います。今後においても、必ずしも農地関係の事務だけを農業委員会は扱うのではございませんが、他の農業関係の行政機関、その他の団体を通観いたしまして、特に重要で法令上の仕事である農地関係の事務は、行政機関である農業委員会が特に力を入れまして、さらに問題が複雑な農業経営、または農政制度の基本の問題でございますから、あるいは農民組合その他の農業団体、または農業委員会と直接関係のある団体としましての都道府県の農業会議、またその上部構造である全国農業会議所これらが一体となって活動していくのが最も適当じゃないか。他方、農地法そのものは、農林省、県知事の関係をもちまして、行政庁として事務を処理することも明確になっております。これを要しますに、農地法の擁護あるいは励行、農地委員会制度維持、今後に処する態度といたしましては、行政庁そのもの、並びに適当なる行政補助機関である、しかも行政委員会の制度を持った農業委員会、それに参加しておる農業会議、その他民主的な農民の自覚を基礎にしました団体等が総じて協力して農地法の励行、農地改革の成果、さらには農業改革とでもいうべき農民生活の向上、農業生産力の発展に努力して、協力してやっていくのが一番いいと思います。またそれしか方法はないだろうと考えます。
○淡谷委員 大へんよくわかりました。結局今の農地法といったようなものを農民の間に十分理解せしめ、推進せしめていくといったような大きな役割が農業委員会に与えられておる、同時にその役割を帯びた活動もこの委員会でやるということは絶対に必要なことであります。それに今局長が言ったように農民の自覚を基礎とした団体の活動が非常に大事である、農業委員会自体も今日まで各地において相当に活躍をしておりますのはこの方面が多い。あとは協同組合がやっております。そこで現在農地に関するすべての活動を協同組合にやれ、技術普及員にやれということはできない。これは農業委員会以外にできない。私は農業委員会の改正というものはここに重点を置いてなされなければ、本末を誤まると思います。これは一つもう一度次官に御答弁を願いたいのですが、一体今度の改正の趣旨はこういった農業委員会の基本線に沿うような方法でやられたかどうかという問題、この点を一つはっきりお示し願いたい。
○大石政府委員 お答えいたします。この改正は大体農業委員会に正しい活動を行わせるために考えたわけでございます。前にも申し上げましたように、町村合併が行われまして、大きな町村ができたわけであります。その中に数個の農業委員会があるということは非常に困ることでございますので、これをできるだけ一町村一つの農業委員会にしたいという一つの考えがあります。それ以外にさらに一つの町村が大きな町村になって参りますと、できるだけ全町村民の希望あるいは意思とうものを反映させることが必要でありますので、そのような趣旨に沿うべくできるだけあらゆる各細部までわたっての農民の希望意見というものを取り入れたいという構想にしたわけでおります。 もう一つはこれからの農村に新しい構想によって農村振興計画を立てなければなりませんので、そのようなことも担当せしめたい。こういうことが大きな目的でございます。もちろん言い忘れましたが、今までのような重大な所掌事務であった農地の問題、これも大きな問題であります。そういうものと合せましてただいまのような考えを取り入れましてこの法案を出したわけであります。
○淡谷委員 もう一つ次官にお伺いしておきたいことは、現在における農村の階層分化、これが果して利害一致し、一つの方向におもむくように一体化されておるかどうか、農村におけるはっきりした階層分化が異なれる幾つかの意見なりあるいは希望なりをもって存在すると思われますか、この点はどういう御認識がございますか。
○大石政府委員 おっしゃる通り今でも農村には階層分化がはっきり出ておりますが、以前より少くなってきております。
○淡谷委員 以前より少くなっているというのは、小作あるいは自作、地主という階層はなくなったでしょう。けれども、やはり農地改革後は、経営の規模において、あるいは経営の形において、自作農自体の間にも、はっきりした利害の対立するような階層が分れてきているように考えますが、この点の御認識はいかがですか。
○大石政府委員 おっしゃる通りだと思います。
○淡谷委員 そうしますと、この階層がはなはだしく分化した農村から、共同の意思というものを発見するためには非常に困難さがあると思う。この共同の意思というものを発見することは困難であり、また多数の意思がどこに存するかを発見することは大へん困難である。従って私どもは、原則としては農業委員会は現行法に基きまして、あくまでも選挙をもってはっきり農民の意思を問うて、多数の農民の意思にまかせた方向で打ち出されるのが、農業委員会の委員選出の方法としては一番正しいのじゃないかという考えを持っておりますが、この公職選挙法をやめた原因としましては、町村合併に伴い一つは区域が大きくなったこと、これは幾つかに分ければ解決ができる。また一つは、いたずらに多額の経費が必要になりますと書いてある。一体今日の日本の農村の民主化のために、農業委員会の選挙に要する費用くらいを惜しんでできるとお考えになりますか。もし経費がかかるためといいますならば、これは国会議員を初め、大政翼賛会時代のように全部任命制にしまして、一本にしてもいいはずですが、それはできないし、でかしてはならないところに、今日民主主義というものの根本的な理念があると思う。一体経費がないくらいで、こういう民主主義の基本的な線をくずしていいものかどうか、これは政治的にはっきり大臣としての次官の御抱負をお聞きしたい。
○大石政府委員 公職選挙法に準拠した選挙を行うということそれ自体も、確かに世の中の民主化をはかるという一つの目的にかなっていると思います。しかし農業委員会の農村を民主化するという仕事は、単に公職選挙を行うというだけにあるのではございませんで、農業委員会の仕事そのものが、農村を民主化せしめる大きな原動力だと考えております。こういうわけで、必ずしも選挙によらなければ民主化ができないということはない。むしろその仕事そのものにおいて大きな民主化をはかるべきであると私は根本的に考えております。しかし選挙そのものの持つ民主化の意義もあえて私は否定するものでないことは、御了承願いたいと思います。 それからもう一つは、大臣がよくこの委員会で御答弁されておりますように、これからの農村の経済的な基盤を打ち立てて、よくして、そして各員戸々々の農民の経済力の向上をはかるということは、一戸々々の農家個人の努力ではむずかしいと思います。やはり村なり部落なりの一つの大きな経済単位としての活動、総合計画が、私は大きな基本的な問題ではないかと思うのであります。そのような点から申しますと、やはり広い大きな町村になりました各部落からのできるだけの総意を反映せしめるということが、一つの村の経済的な発展の基盤を、あるいはその計画を作る大きな土台となると思いますし、そういう意味で、できるだけ広く部落からそのような代表者、意見を代表するものをあげるということが非常にいいと思いますので、われわれとしては部落からの推薦という形をとったわけでございます。しかし今まで何回も申し上げましたように。この公職選挙法によったらいいか、あるいは部落の推薦によったらいいかということは、どっちが絶対的によくて、片方が絶対的に悪いという問題ではないと思います。見方の違いだと思います。ですからわれわれは、部落の総意を反映せしめるためにはこの方がいいという考えと、もう一つは、実際に今までの二回に選挙におきましても、委員を十名か十五名あげる選挙においてさえ、無投票が七割五分以上もあったわけでございます。実際に十名か十五名の委員を選ぶ場合にも、選挙は四分の一以下の投票しか行われなかったわけであります。この点から考えましても、今度はおそらく三十名、四十名の委員が選ばれることになりますので、なおのこと、このように実際に公職選挙法を適用するといたしましても、今までと同じような段階——急に農村とというものはすべての事態が発展するものでないことはよく御承知のことと思うのでありますが、そういう意味におきまして、むしろ推薦制の方がいいんじゃないか、こう考えたわけでありますけれども、皆様の御意見がどうしても公職選挙法がよろしいという御意思であるならば、われわれはあえてわれわれの案に固執するものでないということを前から申し上げているわけであります。
○淡谷委員 この第十三条の第二項第三号につきまして、「農業及び農村に関する振興計画の樹立及び実施の推進に関する事項」これはあとでまた論じますが、この当面の選挙に関する問題であります。選挙というものは、普通選挙の場合でも見られました通り、初めから成功していない。数の問題でなくして、二回行われた選挙において一体あとの方の選挙で成績は上っているのですか、下っているのですか。二回行われておりますが、これはどうですか。
○大石政府委員 局長からお答えいたさせます。
○渡部政府委員 申し上げます。第一回の選挙は昭和二十六年の七月二十日に行われまして、その当時の委員会の数が一万一千八、そのうちで投票されました委員会の数が二千四百四十五、すなわち二二・一%、それから第二回は二十九年一月十六日、その当時の委員会総数が九千八百三十九、投票をされた委員会が二千三百二十八、パーセンテージにいたしますと二三・七、こういうことになっております。従いまして委員会の絶対数は減っております。率といたしましては一・六ふえております。こういうふうになっております。
○淡谷委員 ちょっと今の御答弁あいまいなんですが、減っているのは、無投票の委員会の数も減っているんじゃないですか。パーセンテージは投票した方が上っている。どうですか。
○渡部政府委員 投票委員会の数を申し上げたのでありますが、前回では二千四百四十五の委員会が投票しております。二回目には二千三百二十八投票したのであります。従って絶対数では委員会の数が減っているのですが、率では一・六ふえております。
○淡谷委員 そういうふうに説明されるとそうなるんです。ところが無投票の数字ももう一ぺん読んでもらいたい。
○渡部政府委員 無投票の数では逆になりまして、委員会の数が前回は八千五百六十三、第二回目が七千五百十一、従いまして約千の数が減っております。これは総体の委員会が減ったから、両方とも減っているのであります。絶対数の比較でありまして、率で申しますと、先ほど申しましたように、第二回の投票の委員会の数の率が上っている、こういうふうに申し上げたのであります。
○淡谷委員 これをあなたは、農業委員会の選挙制というものは今後何回やってもだめなものだというふうに断定する資料にされますか。これはもっと突っ込んでいくならば、二つの無投票の委員会あるいは投票の委員会の絶対的な計数では、一体どっちが傾向として著しくなっているか、あげてもらいたい。これだけでは出てこない。両方とも減っている。従ってこの傾向というものは一体何を示すか、一般の農民が選挙による方法を求めているか、あるいはこの際変えて部落推薦にするか、どうなのか。
○大石政府委員 この二回の選挙を比べましては、どちらも無投票地区が多いというだけの結果しかわからないと思います。一つは投票を行なった委員会のパーセンテージが、片一方は二二・一%、片一方は二三・七%でございますから、なるほど二回目の方が一・六%だけ率は上っておるわけでありますけれども、こういう率は全体から見ますと比較になりません。どちらの場合においても投票地区よりも無投票地区の方が絶対的に多いということを証明しているのだと思います。それでは今後どうなるかと言われるとわかりませんけれども、私の想像ではやはり選挙をやれば投票地区は多くなると思います。しかしそれはずっと長い将来、十年、二十年の間の話でございまして、一応このような趨勢から見ても、当分の間は二二、三%のものが急に五〇%とか六〇%に飛躍的にふえるとは考えられません。ですから将来はふえると思いますが、ここ、二回のところは部落の意思を一番反映しやすいような部落からの推薦制の方がいいのではないかという考えをわれわれは持ったのであります。
○淡谷委員 この配付されました表を見ますと、北海道は前の選挙では投票された委員会が九十二、あとの方では百二十九です。政務次官の郷里である宮城県では百十七が百二十六に上っておるのです。秋田県は百二十六が百三十三になっておる。福島県は百一が百四十一になっております。こう見て参りますと、農地に対して非常に関心の高い地方は率が上昇している。そうしますと、非常に投票に率が低い地方に対して、政府自体があるいは行政庁自体が本気になって選挙の啓蒙をやらなければいけない。国会議員の選挙でも普通選挙があった場合にはおびただしい棄権率です。参議院議員の選挙でもあんなに声をからして公明選挙をやれ、投票しなさいと言っても大きな棄権率がある。しかし棄権率があるからといって、選挙制度の基本的な線を否定しようという次官の考え方は誤まりじゃないかと私は思う。しかもあなたははっきりおっしゃっている、今後もし行われるならばこの無投票は減るだろうと言っている。だからむしろこれは農民の民主化のために、農業委員会自体が投票するように啓蒙推進することが最も大きな農村民主化への道じゃないですか。この点はどうですか。
○大石政府委員 お答えいたしますが、公職選挙法を適用することを全面的に否定しているわけではございません。それもけっこうだと申しているのであります。ただ全体から見ますと、むしろこの際は選挙を行わなくても正しい委員が出られるだろう、そうして農村民主化のために働けるだろうという考えの方が強いので、この際はいろいろなことを考え、今までの実績も見まして、ここ一、二回のところは選挙を行わないでもよかろう、いずれまた選挙を行う時期が来れば、いろいろ議論が出て選挙を行うことになりましょうけれども、ここ二、二回のところは選挙を行わなくてもいいだろうという考えを持っておるわけでありまして、別に選挙は否定いたしておりません。でございますから、何べんも申し上げましたように、どちらがいいかということの見方の違いだけでありまして、一応政府側といたしましては推薦制をとった方がよかろうという考え方をとったわけでありまして、絶対的とは申しません。選挙制がいいという意見が皆さん方の大方の御意見でありますれば、われわれは喜んでこれに従うということをはっきり前から申し上げておるわけであります。
○淡谷委員 法案を出される場合は、政府の意思によって出されるものだと私たちは思うのです。あなたが言われるようなことであるならば、ここに第二案がなければならぬのですが、この改正法案はたった一つの案をもって選挙制を否定しているのです。この法案を出された以上は、決定された政府の意思というものは選挙制を認めないというふうに見なければならないと思う。それとも、この法案は出したが、もうそろそろ修正をしようじゃないかということであるならば、われわれも十分修正する意思は持っている。その点は一体どうなんです。この法案で自信がないのですか。
○大石政府委員 ちょっと御問質の意味がわからないのでございますけれども、今まで法案には二つの案を書いて出した例はなかったのでありまして、いつも一つの案であります。その項目についての御質問があり、意見を問われればわれわれはそれをお答えするのでございます。ことに、議会政治でございますから、国会の御意思に従うのはわれわれの職務忠実のゆえんでございますので、われわれはそう考えておるわけでございます。
○淡谷委員 大へんけっこうな考え方だと思いますが、それならば現実に推薦制度になった場合には、形式はどんなものがよろしゅうございますか。あなたは、選挙よりももっと民意を反映した方法として推薦の方がいいと言われておりますが、現実にはこの推薦方法というものはどう行われておりますか。
○大石政府委員 お答えいたします。今までの二回の選挙におきまして無投票地区が多かったということは、単に投げっぱなしにしておいて投票に至らなかったというのではなくて、やはりわれわれの考えておりますような、それに近いような各部落々々の推薦制の形式があって、それぞれいい候補者を立候補せしめてこのような委員会ができておったのではないかと考えます。われわれのいなかに参りましていろいろ見ておりましても、部落常会のようなものを開きまして、そこで候補者を推薦してやっているのをいろいろの場合によく見受けておるのでありますが、大体このような方法に準拠しているのではないかとわれわれは考えます。
○淡谷委員 一般の部落常会の出席率は何パーセントでございますか。
○大石政府委員 これはまちまちで、詳しい数字は私はわかりませんが、やはりその部落の人々の意思なり何なりが反映すると思います。たとえば衆議院議員の選挙の場合には八十何パーセントの投票率がございますけれども、参議院議員の選挙の場合には、場合によっては三十何パーセントとか四〇%ということが珍しくありませんが、でもりっぱな議員が選ばれているのと同じことだろうと思います。
○淡谷委員 この農業委員会法は、昭和二十六年の三月三十一日にできて、それが昭和二十九年の六月十五日に改正になっているが、その改正になった場合にも選挙が行われ、前にも選挙が行われたが、非常にりっぱな、国会議員を出します選挙でも少し啓蒙を怠ったら投票率はどんどん減るでしょう。いわんや、この農業委員会の選挙については、少しも農民に対して啓蒙宣伝をされなかったことをわれわれは知っている。しかも選挙のたびごとに新しい法律ができている。これではとても本式の選挙にならないのです。あなたは、一、二回変えて推薦制をとったらよかろうと申しますが、一、二回この選挙をやって、十二分に啓蒙宣伝をやって、それから選挙制がいいか悪いかをきめてもおそくはないと思う。法はなるべく変えない方がよろしい。困ったときに変えたらしょっちゅう逆戻りです。選挙なんてものはやめて、上から頭ごなしに命令しようというイデオロギーが次官には基本的にあるのではないかと思うのですが、その点はどうですか。
○大石政府委員 そういうことは考えておりません。
○田中(幾)委員 関連して伺います。推薦制のことですが、法案には、推薦する者の資格と推薦される者の資格を明らかにして、地域が明瞭にしてあるわけでありますが、そこで推薦する側からいえば、推薦する資格を持っている者が、推薦権といいますか、それを使って推薦するのです。そうしますと、選挙の場合には、投票する有権者と投票される被選挙権のある者が投票によってやっているわけですけれども、この法案は特に推薦という言葉を使っておりますが、推薦という言葉と選挙という言葉とは本質的にはどういう違いがあるのですか。
○大石政府委員 これは経済局長からお答えさせます。
○渡部政府委員 これは先生の方が御専門だと思いますが、要するに選挙をやる場合、人を選ぶ場合には、どういう資格を持っている人をどういう資格を持っている人が選ぶかということになるのです。いわゆる公職選挙法ではそれらは一々法律で決定されているわけです。すなわち選挙権、被選挙権の資格、それから選挙の期日、選挙の執行方法、選挙の効力、違反の罰則、こういうものが法律できめられておる。ということは、要するにその選挙の目的に従って、その目的の効果が百パーセント確保されることを期するためであると思います。従いましてそれと同等のことが行われるのであれば、いかなる場合でも、公選選挙法でなくても選挙と言えると思います。しかし必ずしもそういった法律できめないで、市町村の条例なら条例、そういうもので、それに類する諸条項、先ほど申し上げました選ばれる者の資格、選ぶ者の資格、そういうものをきめまして、その効力は条例できめる。しかし法律ではきめない。従っていわゆる公職選挙というものには入らない。これをこの法律では推薦といっておるわけであります。しかし、それでは選ばれた者の効力が争いになった場合に、条例でありますから、法律と違って不備な点の出るおそれがありますから、最後に市町村長が条例できめられたことに従ってやっておると認定いたしまして、選任をする。その選任の効力によって、かりにこの条例の不備あるいは条例があいまいなために条例の遵守に疑義があったような場合にも、それをカバーしてしまう、こういうふうに考えてきておるのであります。目的は同じなのでありますが、法律で厳密な性格規制を期することができませんので、推薦制という字を使っておるのであります。
○田中(幾)委員 私はこの推薦者と被推薦者、選挙権と被選挙権は、一定の数があって推薦もしくは選挙されるので、これは本質的には同じじゃないかと思う。一方は選挙という言葉を使い、一方は推薦という言葉を使っておる。ただこの方法に投票の方法をとろ場合もあるだろうし、あるいは決議の方法をとることがあるかもしれない。その推薦なり選挙の方法は異なるかもしれませんけれども、自分たちの被推薦者、被選挙権者を選ぶということについては、私は選挙の場合も推薦の場合も本質的には同じだと思う。人の権利を認めて、その権利を尊重するということは、私は同じだろうと思うのです。そこで私の言わんとするのは、これは頭から任命でくるなら別個です。しかしここに一定の推薦するという資格と、被推薦という資格を認めた以上は、私はここに公けの一つの権利が発生すると思うのです。その基盤の上に立って、公平な人を推薦し、選挙しなければならぬと思うのです。そこでただいま伺いますと、その選挙の方法については条例で作る。条例は御承知の通り法律ではない。しかもここに被推薦、あるいは推薦という一種の公けの人についた権利ができるならば、これを侵害してはなりません。その推薦する者の権利を誤まって行使をさせないようなことが起ったり、いろいろなことが起らないように、その公権を尊重しなければならぬと私は思うのです。そこでそういうことは、もしやるにしても条例のようなことでなしに、やはり法律によって明らかにしないと、私は憲法の人権尊重の趣旨に反すると思うのですが、条例でよろしいのですか。
○渡部政府委員 最初に申し上げましたように、選挙の効果の確実性を完全に出すためには、私も法律できめた方がいいと思います。しかし、先ほど来お話がありますように、経費の点とかあるいは従来の二回の選挙で、そういう法律できめた選挙制度があるにかかわらず、推薦をやっておるその状況を見ましても、それが必ずしも非民主的に行われておるとは、私の方では考えておりません。そういうのであれば、ある一定の推薦方法を町村の条例できめまして、でたらめの推薦ができないようにいたしましてこれを行えば、選挙の効果に近い結果が維持できるものと考えたのであります。従いましてその点は条例できめてもいいかと思います。しかし、百パーセント選挙の効果が上るかということになりますと、市町村できめる条例でありますから、必ずしも百パーセント手続とか諸規定ができない場合が考えられますので、最後の締めくくりとしまして市町村長の選任ということで、手続等の不備があってもそれをカバーしていこう、こういうふうに考えておるのであります。従いまして、必ずしもそういう推薦の諸手続を法律できめなくても、もし万一起り得る不備、欠陥は、市町村長の選任という行為でカバーしていくという考えに立ったのであります。
○田中(幾)委員 その点、だいぶ私の質問にはずれておるのですが、この法律によって、農業委員たるの被推薦権と、それから推薦権という一種の公民権がここに発生しておる。この公民権の行使の方法を定めるのは、ちょうど議員を選ぶときの選挙法のようにちゃんと法律で定めなければ、この権利を非常に侵害したり、行使させないようなチャンスができると私は思う。そこで、この法律によって推薦権と被推薦権という公権ができなければ、いきなり任命でいくというならこれは問題ありません。すでにここに公民権が、一つの選挙される権利と選挙する権利ができておるのですから、これはやはりその人についた一種の基本的権利です。ですから、こういうものを行使する場合に、これを制限したり、あるいはまた十分に発揮させるためには、条例のようなものではだめだ。やはり人の基本的権利に関することだから、それをやるのならば法律の中に置かなければ憲法違反になりやしないかということを私は聞いておる。
○渡部政府委員 少し私の説明が先走っておるかもしれませんが、推薦権、被推薦権は、改正案の第五条できめておるわけでございます。そのそれぞれの権利を実現するための諸手続、それを条例に譲っておるのであります。その諸手続が条例では、憲法から見て不当である、こういうお話であると思います。推薦で百パーセントの効果を出そうといたしますれば、そういう問題が起ってくると思うのであります。これはあくまでも市町村長が選任する前提条件としての推薦、こういうふうな組み立てになっておるのでありますから、先ほど申し上げますように、手続によって法律上一点の瑕疵がないような規定が必ずしも市町村条例でできないのでありますから、その起り得べき不備を選任でカバーする、こういうように考えるのであります。
○田中(幾)委員 私が申しておるのは、選挙という言葉を使っても使わなくても、推薦という言葉を使っても使わなくても、一定の定員を作って、その定員の中から代表者を選ぶのでありますから、推薦といっても選挙といっても、私は本質的には同じだと思います。一種の選挙ですよ。もしここに五十人なら五十人の地域の推薦者ができて、それを一人も出さずにおったらどういうことになりますか。推薦という形をとっても、推薦権を行使しないということになる。でありますから、推薦という言葉を使ってあるけれども、やはり選挙と本質的には同じだから、被推薦権もしくは推薦権というものを公正に行使し、これを保護する規定というものは憲法でなければならぬ。基本的人権に関することですから、少くとも憲法のもとにおける法律でなければならぬと私は解釈しておる。あなたはそれを条例というけれども、条例はまちまちですよ。こんなまちまちの条例によって人の権利を制限したら、どういうことになりますか。もし条例にまかせれば、この法律によっては推薦権を認められておりながら、条例によって半分出席したらいいとか、あるいは議長の提案でやったらいいということをやられたのでは、権利が行使できないじゃないですか。もしまたこの推薦をする会を開いて、そこに出られるような機会を与えなかったらどうなるのですか。ここでせっかく法律で権利を認められておっても、それを正当に行使できなくなる。でありますから、その条例なるものにまかせるということは、憲法違反である、これは法律によってその規定をしなければならぬと私は考えておる。選挙のことはいろいろ疑義がありますから申し上げませんが、今の点については、推薦も普通の選挙も、本質的には一種の代表を選ぶ行為である。しかもここに被推薦権と推薦権という一つの権利を掲げられた以上は、これは行使させるについてやはり法律の規定によらなければ、条例では私は憲法違反になる、こういうように考えております。
○渡部政府委員 でありますから、私の方では、第六条、第七条、第八条等におきまして、条例を定める場合には農民の意思を十分に反映し、公明かつ適正に行われるということの実現できるような条例を定める、こういうことをいっております。しかしそれはお話のように条例でありますから、法律、すなわち国会の審議を経てできるような完備したものができるとは必ずしも言えないと思います。しかしながら、一つにおいてはそれは選任で確保すると同時に、もしその条例に定められたことが第六条の公明かつ適正という趣旨に反し、あるいは手続が間違っておったというようなことがありますれば、第七条で異議の申し立てを認め、さらに異議の申し立てについて不服があれば裁判所に訴えを提起して、裁判所で解決してもらう、こういうあとの締めくくりは、つまり選挙の効果を十全に確保するための締めくくりは考えておるのであります。これで今の推薦と選任、及びこの手続の不備に対する異議の申し立て、その他の訴訟等で一応選挙と同等あるいはそれに類する効果が確保できるもの、こういうふうに考えて提案しておるのであります。
○田中(幾)委員 この点はまたもう一度この次にあなたに伺います。 それからもう一点伺っておきたいのは、ただいま推薦の点を非常に軽く見まして、推薦した者について市町村長が選任するのだ、こう言っておりますが、この間の政府の答弁では、推薦ということの民主的な方法、段階を経てやるのであるから、市町村長の選任というものはきわめて軽いような答弁がありましたが、この推薦と選任の関係は一体どのような関係に立つのですか。
○渡部政府委員 もし推薦がなければ、どういう者でも市町村長が独断で選任するととができるのでありますが、しかし推薦制を置く以上は、推薦という手続をきめまして、そうしてその推薦した人を選任するのであります。ですから推薦がある場合と、ない場合とでは、これはまるきり効果が違うのでありまして、推薦という段階を経ることによって民主主義が確保できる、こういうふうに考えます。
○田中(幾)委員 推薦制をとったということは、おそらく地域の農民の意思を尊重するという意味で推薦制をとったのだろうと思う。ところがこの法律の上では非常に推薦を軽視しまして、推薦についての規定を条例にまかせるというような態度をとった。たとえば七条に選任の方法について誤りがあった場合には、異議の申し立てをすることができるという規定があります。選任について非常に重大視して、選任が間違っておれば選任が間違っておるぞという異議の申し立てをすることができる。推薦についてのことは条例にまかすのですね。この規定には選任についての異議の申し立てその他のことが書いてある。しかも選任の効力については異議の申し立ての方法を認めておりますが、選任の方法についてはこの法律に何ら書いてない。しかしながら選任という基礎がなければ選任できないのでしょう。ですからこの法律のもとにおいては、表向きは推薦を非常に尊重するがごとく仮装して、選任の方に非常に重点を置いておるように私は思う。この点はただいま申し上げました選挙と本質的には同じであるから、推薦というものについてはもっと検討をしなければならぬと私は思っておる。 さらにもう一ぺん伺っておきたいことは、いわゆる市町村長の選任でありますが、地域から推薦してきた者を市町村長が選任をいたしますね。この選任と、推薦された者に対する市町村長の選任行為というものの法的関係はどうなるのですか。任命だとすると、これは任命ですから法律的のつながりは明らかになります。ところが一方では推薦してきた者に対して任命とはいわずに選任、こういっておる。選任行為の法律的効力というものはどういうことになりますか。
○渡部政府委員 先ほどちょっと説明が不十分でありましたが、もしかりに選任がなければ任命した場合と、こういうことを申し上げましたが、それは私の方で出しておる改正案に基いてではなくして、別のきめ方で、任命または選任だけと、推薦行為というものが前提になった選任とは、別途の効果がある。この法律では推薦がなければ市町村長が独自で選任することはできない建前になっております。先ほどの説明がちょっと誤解が生ずるような言い方になっておりましたので、重ねて申し上げます。 さて、選任と推薦との法律上の効果の関係であります。推薦をされて出てきた者を選任という行為によりまして確定するのであります。ですから推薦と選任と両方が相待って委員の決定ができる、こういうことになるのであります。
○田中(幾)委員 二号委員と三号委員については、選任についての法律関係といいますか法律的効果といいますか、これは十七条に書いてあります。「第二号委員について、これを推薦した団体から解任すべき旨の請求があったときは、その請求に係る委員を解任しなければならない。」と解任権を明らかに認めてますね。それから三号委員についても、議会から解任決議を持ってきた場合は解任するという、解任権を認めておる。ところが推薦してきた委員についての選任については、ただ選任のしつぱなしで、委員の生みっぱなしで、あとのつながりはずっとへその緒を切ったように切れてしまうのですが、もう何らの関係はないのですか。
○渡部政府委員 二号委員につきましては、省令で定める農業協同組合あるいは農業共済組合がその組合の代表としてその組合の理事の中から推薦されます、それを市町村長は選任する、こういうことになっておるわけです。二号委員は組合の代表として出て来ておるわけでありますから、組合の代表たる資格がなくなり、あるいは組合の代表としての適性が失われたということになりまして、組合でそう決定いたしますれば、組合を代表しているのでありますから、組合と無関係に農業委員会の委員として残すことは不当でありますので、そういう解任権を認めて曲るのであります。これを認めなければせっかく二号委員を作る意味がなくなるからこういう規定を置いたのであります。第一の場合は推薦によって市町村長が選任しておるのでありますから、この場合はその委員の任期が満了するまで一応委員として認めておるのであります。前には確かリコールの制度があったと思いますが、今回はそれを入れてないのであります。
○田中(幾)委員 ここで推薦についてのこういうことを一切規定していないということは、推薦というものを非常に不公明に行わせることになって、推薦の方はどっちでもいいのだ、推薦をして持ってきさえすれば市町村長が選任する、その推薦の実質が何であろうといいのだということで、非常に推薦行為を軽視しているということを私は言いたい。しかもこの法律によれば、この委員会は非常に公共性が強くて、会議は公開しなければならぬし、会議録は従覧させなければならぬ、いわばガラス張りの非常な公共性と同時に公明性を持った会になっている。しかるに委員を選ぶときにはただ推薦というばくとしたもので推薦してくる、それに対して市町村長がオウム返しに選任をする、こういうことでは農業委員会というものの性格それ自体が不明確になる。各地域の委員の権利の行使その他のことについて、これは非常にびっこになる。農業委員会というものに公共性と明朗性を持たしておきながら、委員を選ぶときは下から何から何かわからぬものをぽかっと出してくるという点に非常に不明朗があるから、私どもは公職選挙法の選挙とからんで、この推薦制というものを非常に問題にしているわけであります。まだありますけれども関連質問ですからこれで……。
○久保田(豊)委員 関連、選挙並びに推薦の問題について特に次官に二、三重要な点をお伺いいたしたいと思います。 私はこの部落推薦制をとるかあるいは選挙制をとるかということが、今度の改正のみならず農業委員会全体の性格と、今後の活動をきめる根本だと思うのであります。こういう認識に立たないとこの問題ははっきり理解ができない、と申しますのは、この法律の目的にもはっきりある通り、農業の生産力の増強であるとか、農業経営の改善であるとか、農民の地位の向上であるとか、こういう目的を達することが農業委員会の役割である。特に次官もおっしゃった通り、新しい情勢に応じて日本の農民の、あるいは農民生活のあり方の大きな方向転換をやっていこう、こういう非常に大きな心棒にしようというのが法律の目的であります。そうなってくるとこれはすべての農民の利害が最もリミットにこの農業委員会に反映し、従ってすべての農民の意見というものが最も自由に、公明に表明をされ、保証されるということがなければ、これは全農民の——さっき淡谷さんからもお話のありました通り、いろいろと階層分化も違って参っておりまして、ある意味においては広くなってきており、そういう利害関係の対立もひどくなってきておる、その中の全農民の一人々々の、自分の生活と経営に非常に大きな影響を持つ共同意思の達成ということはできるものではない、こう思うのであります。こういう点について政府の今までの御答弁をお聞きしておりますと、推薦の制度でもいいが選挙の制度でもいい、ただ従来の選挙ということになると金がかかるとか、あるいは農村の実情に沿って、今までの実績が実際においてはほとんど推薦の実質を備えているからそれでやったらいいだろう、こういうような御認識のようでありますが、この委員会の活動全体と、この一番土台になります一号委員について、選挙制度をとるかあるいは推薦制度をとるかという、この基本の点についての政府の確たる御所信を私はまず第一にお伺いしたい。それでないとそのほかの問題はすべて——あとでだんだん私は御質問申し上げたいと思いますが、いいかげんになってしまう、こういう心配をいたすのでありますが、この点についてもうちょっとはっきり、今までのようにどっちでもいいのだ、どっちでもいいのだが、まあ金もかからないし、大した実績もないから、推薦制にしたのだ、こういう御答弁ではこの改正の意味全体がなくなってしまう、こう思うのでありますが、この点はどうなんですか。
○大石委員 お答えいたします。私は結論から申し上げますと、どちらでもいいのだというのはおかしいのでありますけれども、どちらをとっても私は結論においては大体そう違わない人々が選ばれるという考えを持っております。従いましてわれわれは一応この推薦制という形の方が金もかからないし、部落のすみずみまでの代表を出しやすいという考えにおきまして、推薦制という方向をとって参りましたが、別に公職選挙法で行いましてもそれほど私はまるきり違った人々が現われてくるとは考えません。と申しますのは、各村においても、その村のいろいろな階層を代表するなり、あるいは村の正しいことについて心を配るような優秀な人というのは、大体もう数がきまっていると思います。従ってそれらのいずれかが村の執行機関になったりあるいは村会議員、町会議員になったり、協同組合の幹部になったりあるいは会議員になったりするのだと思うのであります。そういう意味におきまして、結論においてはそう違った結果は出ないと思いますので、一応推薦制という形をこの法の中ではとりましたけれども、選挙でも絶対いけないという考えは持っておりません。
○吉川(久)委員 関連して。今政府の答弁を伺っておりますと、まことに信念のないような御答弁であります。(「その通り」)一体政府は、そうなりますと、この法案を通してもいいのか、通さぬでもいいのか、というようなところまでいくような感じがするのです。信念を持って、これはあくまでもこれが一番正しいのだと信じて御提案になったと思うのでありますが、どうでもいいというような態度では、われわれは与党の立場でどうしていいのかちょっと困ってしまうのですがね。やはりこれが一番いいのだというならば、もう少し信念を持って一つ御答弁を願いたいと思います。
○大石政府委員 お答えいたします。われわれは法案を出す場合には二つの意見を出すわけには参りませんで、一つの意見を持って参ります。これは先ほど申し上げた通りでございます。ただしその内容によりましても、場合によっては絶対甲でなければならぬ、乙では絶対ならないという信念の問題もございますけれども、甲をとったらいいか、乙をとったらいいか、どちらをとってもいいような問題があると思います。そういうような場合には二つをとるわけにはいきませんから、幾らかこっちの方が便利ではないかというものの方を出すのであります。従いましてこの場合には甲を出しましたけれども、乙であっても大して法律の執行には差しつかえないという場合があると思います。(「それはおかしい」と呼ぶ者あり)ですからわれわれは、今申し上げましたように、たとえば公職選挙法を適用する場合にもいい点がございます。先ほど申しましたように、民主化という意味におきましては、公職選挙法を行なった方が、この場合には確かに推薦制よりもいいと思います。しかし新しい大きい合併町村の農業委員を選ぶに当っては、一応各部落からの委員をくまなく出すという意味においては、むしろ民主化という線では劣るけれども、推薦制の方がいいのじゃないか、あるいは費用の点からもいいのじゃないかというような意味において、われわれはこの推薦制をとったわけでございます。しかし別に公職選挙法を適用するのが絶対にいけないという信念ではございません、ものによってはこれでなければならぬ、甲でなければならぬ、乙の場合には絶対だめだという問題もありますけれども、どちらもとれるような問題はいつもあると思います。この場合われわれは一応推薦制をとったわけであります。ただし御意見によっては、たとえば公職選挙法は絶対にいけないという御意見があれば、われわれの信念としてはそれでもやり得るという考えを持っているということを申し上げたわけでございまして、その点は十分御了解いただけると思います。
○吉川(久)委員 政府の御答弁としてはあまりにどうも幅があり過ぎて、ちょっと私どもには納得ができないのであります。そこでこういう場合とこういう場合とがあって、この場合の方がよりよいのだということを一つみんなに納得のいくように御説明をいただいて、それに対して私どもが、いやそうではない、政府の考え方よりはこちらがいいのだというときには、われわれが修正をいたします。修正されたときにあなた方は文句は言えないので、しかし信ずるところだけは貫くという態度を持っていただきませんと、私どもは与党の立場でまことに困ってしまうのです。その点は一つとくと御留意を願いたいと思います。それは御答弁は要りません。 同じく関連をいたしておりますので事務当局についでに伺っておきまが、公職選挙法を適用いたしますとどのくらいの選挙費用が予定されるのか、それを小選挙区、中選挙区、大選挙に区分けをして、おわかりになったらお答えを願いたいと思います。
○渡部政府委員 現行制度の場合で申しますと三億五千万円ばかりであります。今の改正案で、かりに部落単位の推薦は地元の負担ということになります。旧町村単位の選挙を行う場合には四億五千万円、こういうふうに考えております。
○久保田(豊)委員 今の次官の御答弁は私どもにはどうも納得がいかない。事実はそうではないのだ。まず第一に私はお伺いしたいのですが、今までお話になりましたように、またいただいた資料にもそうありますけれども、前二回の農業委員の選挙におきましては、選挙を実際に行なったところはわずかに二割五分以下だ、あとの七割五分はいわゆる無選挙だ、無選挙だということは、実際においては部落推薦だということであります。その原因をあなた方はどのようにごらんになっておるか。私ども農村でやっておるものはこう思うのです。その一つは、特に供出制度がなくなりまして以来の農業委員会の仕事が、ほとんど農地の仕事に限られておる、しかもその時期には非常に農地の仕事は少かった、従って農民の選挙に対する関心が薄かったということであります。もう一つは、各市町村においてみな村を牛耳るいわゆるボスとでもいいますか、そう言いますと言葉が悪くなりますけれども、比較的保守的な方たちが——御承知の通り農業委員に出るという人は昔の部落秩序からいいますと人がきまっておるのであります。そういう人を名目的に出す。人を出そうというのでもって部落や村の諸君が相談をして、選挙を押えたのであります。その結果、この選挙を押えたのをはねのけるだけの力の比較的なかったところ、片方において関心が薄かったところ、こういうところが、選挙がなくなって実質上は部落推薦の委員が大部分出た根本の原因だと私どもは思います。それと同時に、非常に長くなっておそれ入りますが、最近では農村におきまして事情がすっかり変っておるのであります。一つは直接の問題であります農地にいたしましても非常に事件が多くなりまして、これに関連して農業委員会に対します関心が強くなってきておる。特に昨年以来、自作農創設維持資金の貸し出しが末端においては農業委員会の一つの仕事になって参りました。こういうことになりまして、これに対します関心は非常に強くなってきておる。農民自体のこれに対する利害関係も非常に大きくなって参っております。特に今度の改正のように、十三条におきましてこれだけは仕事を大きくふやしておる。これがうまくいくかどうか、正しいかどうかは別問題といたしまして、政府はこのように農業委員会の仕事を拡充されるということになりますと、この仕事をもしこの法案通りにおやりになるということになれば、このことが一人々々の農民の経営と経済に持つ経済的影響というものは非常に大きい。具体的に言いまして、こういうふうな情勢の変化が大きくなってきております。そういうときにいわゆるとられるところの、しかも政府としては、この法案の意図としては積極的な方向へ全農民の活動というところに集中しようとして、共同的に新しい方向を打ち出していく、そういう際に私はあえて推薦制に戻られた意味は少しもわからない。ですから私はあとでもってもう一ぺん具体的に申しますが、この点のあなた方の御認識が不十分ではないかというふうに私は思うのですが、この点はいかでしょう。
○大石政府委員 われわれはもちろん選挙制でも、あるいは推薦制でもどちらも利点があると思います。しかしわれわれはこの際推薦制をとった方がよりよかろうという比較の問題で、われわれは推薦制をとったわけでございます。われわれはやはり推薦制でも十分にその民主化の仕事を果し得るという考えを持っておるのでございます。 それから、どうも信念がないではないかというお話でございますが、それは私は見解が違うんだと思います。法案の中には最も重大な部分と、それからどちらをとってもいいという問題は私はあると思う。いろいろあると思います。われわれの法案に対して今まで国会で修正をいろいろと受けたこともございます。その法案についてもわれわれはそれで十分に法律を施行し得るからわれわれは喜んで修正を受けまして法案を通して、その執行に当っているわけであります。この問題についてもわれわれはもちろん推薦制がいいという考えでこの案を出したわけであります。しかし多数の皆さんの御意見が選挙制にしたらよいじゃないかという御意見ならば、われわれはそれに従っても、その長所は認めるわけでございますから、それでもこの法律は執行できますから、これはそれに従うわけであります。ただ、どうしても根本の生命の部分を修正された場合にはわれわれは絶対に、国会の御意見でありましても、執行できないような立場ならばそれはもちろんわれわれは承諾いたすわけに参りませんけれども、同じ農民の幸福ということを考えております行政府では、立法府と立場は違いますけれども、同じことを考えております以上は、お互いに執行できないようなそれほどの法の修正というものはあり得ないと思います。余談でございますが、そう思いますので、決して信念がないわけでなくて、譲り得るものと譲り得ないものと区別ははっきりいたしておると思うのでございます。そういう信念でございます。
○久保田(豊)委員 どうも、これは現実の事実の認識がおありにならないようです。そう言っては失礼ですが。この前の選挙の結果をはっきりごらん下さい。皆さんの農林省からいただいた資料にはっきり出ておる。今農民生活の安定とか、あるいは農業生産の発展とか、あるいは農業経営の発展とかいっておるが、一番大きな問題は何かといいますれば、私はやはり日本の農民の七割以上を占めておる中位農層の生産力を増していく、あるいは経営の改善をしていくということが一番中心だと思う。ところがこの場合、現委員を皆さんの資料に基いて見ると、一町未満の者が大体において五万六千くらい、一町以上のいわゆる中農以上、富農と思われる者が大体において五万七、八千。十一万六千ばかりある農業委員の比率がこういうことになっておる。従ってこれはどうしても、いわゆる富農中心で、ほっておいても一人でいけるという人たちの利害が中心になって動くのは当然であります。これではいけないと私どもは思う。この点が一つ。 もう一つは、今の段階でも、前ほどではございませんけれども、小作と地主との対立というものは御承知の通りある。小作をしておるものはまだ三百万戸あります。地主もまだ百万戸あります。小さな対立ではありますけれども、やはりこの対立も今大きな問題になっておる。ところがこの自小作の関係を見ますと、小作並びに自小作民の代表というものはわずかに二千四百六十三名ですが、自小作並びに自作農代表が十万以上、ほとんど大部分であります。これでは小さな部落民の気持というものを農業委員会に反映をして、公正な、しかもみんなの気持の方向へやるということはできない。 もう一つは、今の新しい農業を打ち立てるということになれば、私は年齢ということが非常に問題になると思う。ところがこれを皆さんの方からいただいた資料を見てみますと、四十以下の者は全体のうちわずかに二万二千、四十以上の年とった頭の固くなった連中が九万幾らで大多数を占めておる。さらに、保守、革新なんということはどうでもいいのですが、そういう区別をしてみると、革新系の方がわずかに八千幾ら、十万以上の者がいわゆる保守系の人であります。こういう構成はどこから出てきたかといいますれば、要するに今までの選挙が部落推薦制に基いたからであります。さらに選挙という一つのあれがあるにもかかわらず、今の農村の力関係その他ではやはりそれを実行しないと思って部落のそういう人たちが、保守的な立場——保守的というと語弊がありますが、選挙制度をある意味において押えつけて部落推薦制をやった結果がこうなんです、そのことが農民全体が農業委員会に関心を持たなくなってきておる根本の原因です。また同時に農業委員会の活動がほんとうにぴちぴちしたものにならない根本の原因がここにあります。これをさらに色あげをして推薦制一本でやろうという、私どもはこれはこの制度の根本に関する問題だ、こう思うのであります。ですからやはり過去の事実を冷静にお考えをいただいて、新しい改正を考えられることが私は必要ではないかと思う、これは事務当局の皆さんよく御承知のことだと思います。私どもはこれらの農業委員会が革新だ、保守だということを申し上げるわけでは決してない、大部分の農民が最もヴィヴィッドに自分の意見、自分の利害というものを主張してそれが常に反映するという形になって初めて部落全体の農業の発展もあり村の融和もあるのであります。それが逆の結果になってしまえば、ますますだめになる、推薦制にもいろいろの規約を作るとか何とかいったって、それでしっかりしたものができるはずがありません。私はその点に根本があると思います。従ってこれはどうしても公職選挙法そのものでなくてもいいかもしらぬが、公職選挙法の精神を根本にした選挙制、さらに願わくばこれにリコール制というものをつけた選挙制度をこの際法文の中に明確に打ち出してやるということが、この制度が今後ほんとうに全農民の信頼を得るかいなかということの根本の分れ目になると思うが、この点についてどうお考えになっておりますか。
○大石政府委員 農村における封建制ということにつきましては確かに御意見のようなことも多少あると思います。それは私も否定いたしません。現に二回の選挙におきましても、選挙法を適用するといいながらも、ほとんど二三%ぐらいしか投票が行われませんで、あとは部落推薦というような、無投票をとられたことを見ても、ある程度そのことは認識できると思います。しかし現実がその通りでございます。従いまして今度の場合には推薦制にしたことによって、今は封建制というものを打ち破ることに対してはなるほど多少消極的なものにはなりましょう。しかし一面において部落全体の票を、大きくなりました新らしい市町村の各部落からの意見をくまなく集める点におきましては、むしろこの方がよりよいではなかろうかと考える次第であります。われわれはそう思います。こういうわけで政府といたしましては推薦制の方がよりよかろうという信念のもとに出したわけでございます。
○淡谷委員 さっきの渡部局長のお話の中に推薦したものを市町村長の選任によってあやまちなからしめるということがございました。一体推薦したものをそっくりそのまま選任するというのじゃなくて、中には市町村長がいかぬというのも出てくるのですか。
○渡部政府委員 明らかに推薦の、手続が条例に違反しているというような場合は、選任するわけにいかないから、あらためて推薦をやっていただかなければならぬということになります。しかし一応推薦が行われましていろいろ調べたところ、瑕疵も認められなかったということになれば、選任ということで終止符を打つわけでありますが、しかしあとで瑕疵が発見されるような場合あるいは問題が起ったような場合も、微細なことでありますれば選任の効果でそれをカバーしていけるのではないか。それでも異議があれば、異議の申し立てをしていただくということになります。
○淡谷委員 この推薦の方法等は条例によって定めるとしてありますが、何か農林省は今具体的な条例案みたいなものを持っておりますか。
○渡部政府委員 ただいま検討中の案はあるのでありますが、まず区域を具体的に定める。それから選任をする場合には、市町村長が推薦委員を委嘱する。それは区域の世話人であります。いわゆる選挙管理委員に相当するものですから、推薦管理人といってもいいわけです。部落の区長とかあるいは部落常会長というような人に市町村長が推薦手続の世話を委嘱するわけであります。そこで推薦者名簿をどう作るか、それから推薦者名簿の縦覧をどういうふうにやるとか、推薦委員——推薦管理人と申し上げてもいいかと思います。それから推薦会の手続をどうするとか、これは投票によるか、あるいは決議によるか、そういうことを条例できめたいと思います。
○淡谷委員 この条例というのは、名前は条例でございますけれども、この推薦の条例というのはまさに選挙における選挙法みたいなものです。その選挙における選挙法にも相当すべき推薦の条例を出してこないというのはけしからぬ。この選挙法のいかんによりましては、その推薦の方法というものはいろいろ論議されなければならない。早急に配付してもらいたい。 第二点はこの条例を見なければはっきりわかりませんけれども、この推薦母体は何であるか。それからこの条例等にそむいた場合に違反規定を設けるのですか。選挙違反に相当するような罰則も加味した違反条例を作るのですか。これはどうですか。
○渡部政府委員 推薦母体は法律にきめております。資格を有する者を名簿に掲げることにする、それが推薦者名簿でございます。その推薦者名簿に間違いないかどうかということを、推薦管理人あるいは推薦責任者、市町村長が委嘱した人に作らせる。そしてそれを縦覧に供する。ちょうど選挙人名簿を作って、選挙資格者に縦覧させると同じような手続をやらなければならぬことになると思っております。ですから選挙の管理、執行に類する手続を一応書かなければいかぬことになります。しかしそれをどの程度簡略にし得るかというところが、いわゆる公職選挙法を準用するかしないかという問題であります。たとえば戸別訪問を許すかとか、あるいは選挙法のこまかい制限をどの程度緩和するか、こういうところが問題になるわけであります。それは一応最低限を私の方でひな形を示しまして、それぞれの市町村の状況によってヴァリエーションを認めなければいかぬ、こういうふうに考えております。
○淡谷委員 どうもお話を伺いますと、この推薦というのはごまかしたような名前であって、内実はこれは選挙法と同じです。名簿を備えて違反規定を設け、十分にやるというのは、これは選挙法とちっとも違わない。一種の小選挙制です。その場合に、その選挙法を見せないできめようというのはとんでもない話です。また条例を見てから私はこの話を進めますが、きょうは私はこの条例を出すまで質問を保留いたします。
○中村(時)委員 ちょっとそれに関連して。先ほど別の委員から今言った推薦という問題を非常に軽く扱っていはせぬかという御質問があった。あなたはそれに答弁しなかった。それで私はこの席からもう一問重大な点が残っているぞということをあなたに言ったはずですが、そのまま過ごしてしまったわけです。軽く扱っていはしないかということは、この推薦を軽く扱っていはしないかということを言っているわけです。そこでその推薦という問題が出てきた。市町村長がその推薦をさすという人間を自分がまた推薦しているのですね。その部落に対してまず第一に町村長が推薦をするのでしょう。あなたの話を聞いていると、それが私は任命するだと思っていた。ところがそうじゃなくして、あなたの話では選挙名簿をちゃんと作ってと、こうなんですね。作った先はどうなるかというと、何も言わない。選挙にしようとしているのか、あるいは簡易にしようというだけの話なのか。どういう点を簡易にしようかという骨子の母体が一番はっきりしていない。これがその人間を作っていく一番の母体になっているのです。それを今まで伏せておいて、今ごろになってそういうような問題を出してくる。私は実際いって不見識きわまると思うのです。そういう意味においても、これはつけ加えて言うけれども、その実際の母体になるその状態ですね。そういうことはもう少しきっちりして各委員に全部配付してもらいたい。そうでないと、この質疑は続けていかれません。一番肝心のところですから……。委員長にお願いしたいのですが、そういう実情なんですから、きょうは一応それが出てくるまではこの質疑は打ち切ってもらいたい。これは一番肝心のところにぶつかってきたわけです。それが今まで一つも出てきていない。あるいは休憩して理事会を開かれてもけっこうであります。どちらでもけっこうですから、一つ委員長の方でお諮り願いたい。
○村松委員長 お答えします。今当局と打ち合せてみましたら、印刷の都合上明日には間に合せる。こういうことでございますから、明日配付をさせることにいたしますから、この問題は一つ明日に継続するということに御了承を得たいと思います。
○中村(時)委員 私のお願いしているのは、今言いましたように、一応の骨子の、たとえば選挙であるとか、あるいは人員の問題とか、あるいは職員の身分保障の問題とか、そういう骨子の問題の質疑はやってきたのですけれども、今きているところは、それらの打ち立てていった基礎をなしているものなんです。ほんとうの質疑というものは、この基礎から出てこなければならなかった。ところがその基礎というものは今まで隠しておったわけです。何度言ってもなかなか出てこなかった。その基礎がはっきり出てきた以上は、これを中心に積み重ねていかなければならぬという問題になってきたわけです。全然転換してしまったわけです。そこできょうは私はできるなれば、こういうような一つの不見識な方式が出てきたわけですから、その意味におきましても、これの取り扱い方を理事会でなりきめていただきたいということのお願いをしたわけです。だからその意味において、この取り扱い方法を、でき得れば一時休憩をして理事会で話し合って、どうするかという結論をつけて、考え直していただければ幸いだ、このように思っているわけです。
○村松委員長 委員長としては、今当局と打ち合せた結果、町村条例の案文は明日印刷が間に合います、こういう返事を受けたのです。そこで御相談を申し上げますのは、その返事を受けましたので、この町村条例は公職選挙法の中、心問題であることは、これは私もよくわかります。そこで公職選挙に関する問題は明日に質疑をせられてはいかがですか、かように御相談申し上げておるのです。御了承願えると思いますが、いかがですか。
○中村(時)委員 私の方としましては、今言ったような一つの骨子がはっきり出てきた以上、この取り扱い方、ほんとう言えば、進行するということになれば、私は政府の方に糾明しなければいかぬと思うのです。なぜ今までそういうような怠慢な状態を起してきたのか、なぜこういうような、軽くこれを取り扱われたのか、そういうような問題が、こういう今の問題外に当然累積されてくるわけです。そうなってくれば、私はそういう政府の責任追及をやりたいと思う。そこでそういうことではなくて、その取り扱い方を、どういう理由があったのか、あるいはどういう考え方を持ったのかということをもう一度はっきりと確認したいと思うのです。そういう意味で理事会の開会をお願いしているわけなんです。だからその点をよく御勘案願いたい。
○村松委員長 その内容に関しては、御追及なさるかどうか、これは御意見の相違もあるかと思いますが、ただ議事の運営としましては、明日提出いたしたい、こういう申し出がありますから、これをいかがいたしましょうか、こういうことです。
○中村(時)委員 私はちょっと了承しかねるのです。悪く見れば、故意に今までの質疑応答をやっておいて、いきなり打ち切って決選投票に持ち込むという手もある。そこで内容を隠しておったということも、悪く解釈すれば考えられる。そういうことは、みんなの良識からいってもないと私は思っております。しかし悪く考えますれば、そういうことまで考えがつく。(発言する者あり)それほどだれかがおっしゃるならば、私がそうでないということの裏返しをしてみましょうか。実際に以前にそういう問題すらあった。そこで善良な人たちは疑心暗鬼になっている。(「もうない」と呼ぶ者あり)もうないということは、以前にあったということを立証している。それほど疑心暗鬼になっているときですから、こういう問題は刺激をしないように、円満にやっていかれる方がいいんじゃないか、われわれもそういうことを希望したい。できればそういう中から一つの方向を見出したい、このように思うわけです。このまま進めていくならば、より以上そういう問題がつっかかってきますから、その政府の方の問題は一応ここで取り下げてもらって、理事会を開いて進めていかれる方がいいんじゃないか、私たちはそういう方がいいという考えで申し上げているのであります。
○村松委員長 この際はっきり申し上げておきますが、議事の運営は委員長責任を持って遂行いたしております。政府が条例の案文を出す出さないということとは無関係であることを御了承願います。
○神田(大)委員 今度の臨時国会でこの委員会をやるについて、農業委員会法の一部改正法案が上程になっており、これを審議することは、われわれも異議なし、賛成、しかもそれが日程をきめて火水木にやるという話になっておった。それ以外の日にやっているのですが、私はこれについて、もしそれ以外の日にやるなら、私が緊急に政府に要求している多久島事件の報告、これを中途半端にしておくわけです。多久島事件の報告を中途半端にして……(発言する者あり)黙って聞け。いま一つは食糧汚職の問題、今内外注視の的となっている食糧汚職の問題も報告せずして、そうして理事会でもってきめた日程以外の日に農業委員会法の一部改正の審議を進めていることについて私は異議を申し立てる。なぜこの重大案件を政府はもっと速急に報告しないか、それに対する質疑をやらせないが、この点委員長において速急に取り計らってやってもらいたい。
○村松委員長 神田君の議事進行に関する発言をこの理事会にあわせて協議いたします。さように御承知を願います。 理事会を開催いたしますから、暫時休憩いたします。 午後四時四十七分休憩 ————◇————— 〔休憩後は開会に至らなかった〕