農林水産委員会 第7号
- 発言数
- 60 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1956/11/29
会議録
○村松委員長 これより会議を開きます。 農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたし、審査を進めます。質疑を続行いたします。小川豊明君。
○小川(豊)委員 私はこの農業委員会の性格といったようなものについてお尋ねしたいと思います。 この委員会は政府の補助金によって経費がまかなわれておるわけです。その任務から見てもやはり行政機関であるか、一方ではこの委員会に農民の利益を代表せしめる利益代表機関というような任務をも負わせているわけです。この異なった性格を一つの体の中に備わしめるようなところにその無理が出てくるのではないか、やはりそういう点から一団体一性格にした方がすっきりするのではないかということが考えられるわけです。政府が農業委員会に求め、あるいは期待しているものは、その二つの性格のいずれが重点になっているのか、こういう点をお尋ねしたい。
○渡部政府委員 その一つには経過的あるいは歴史的な関係からお考えを願いたいと思います。そもそも農業委員会は、昭和二十六年に農業調整委員会、農地委員会、農業改良委員会、この三つを合併してできました。それを供出制度の緩和なりあるいは農地事務の減少に従って、さらに二十九年に現行法に変えてきたのであります。従いましてただいまお話がございます農地事務等に対する行政機関としての任務、農家の農業振興計画の樹立とか、あるいは農業技術の改良等の仕事、その両部面の仕事のいずれが重要であるかということは、端的に申し上げまして両方とも必要である、こう言わざるを得ぬのであります。しかしそのことが現在の農業委員会の実際の姿のうちに出ておるかどうかということになりますと、必ずしも出ておらない。それはなぜかといえば、農業計画の樹立とか、農業技術の改良等は、農業に関する市町村長の諮問機関の性格を持っておるから、そちらの部面がうまく働いておらない。従って今度の改正におきましては農業振興計画の樹立とか、あるいは農業技術の改良等に関する事務を委員会において推進するというふうに直しておるのであります。改正案の十三条の三項にそのことをはっきりいたしました。従来の諮問または建議の字句の上に、「農業及び農村に関する振興計画の樹立及び実施の推進」あるいは「農業技術の改良、農作物の病虫害の防除その他農業生産の増進、農業経営の合理化及び農民生活の改善を図るために必要な事業の推進」そういうふうな字句を入れまして、こういたしますれば現在の農業委員会がもっとはっきりして、行政事務と自分たちの農業地域の農業振興により働きやすくなる、こういうふうに考えまして改正案を出しているのであります。
○小川(豊)委員 私はその点については、農民の利益代表機関であるということと、政府の行政機関的なものであるということとは二つの異なった性格だと思うのです。その異なった性格を一つの肉体の中に仲よく住まわせようとするところに無理があるのではないか。そういう点からいうならば、一つの団体は一つの性格を明確に持った方がいいじゃないか、こういう考えから御質問したわけであります。この農業委員会の持つ性格はどっちが重点になっているかというお尋ねに対して、あなたは双方重点だ。それはそうお答えしなければならないわけだが、農業委員会がほんとうに企図しておるものは、行政機関としての役割を果させる方が今のあなたの方の考え方の中では重点になっているのではないのか。法文を見るとそういうように見られるわけです。これについてはあなたの方は、双方これによってうまくいくと思う、こういうお話ですからその程度にしまして、次にこの改正の経過的な説明、その他現在の段階を見ますと、農業委員会あるいは農業協同組合、改良普及員制度、こういう三つが日本の農林行政の柱になっており、そういう点にあなたの方では農業委員会に対する期待を多分にかけておられるのじゃないか、こう想像されるわけですけれども、この点についてはいかがですか。
○渡部政府委員 お話の通り農村の経済事業は農業協同組合によって、農業技術の指導なり普及は農業改良普及員制度によってやり、農民の利益の増進についてはこの農業委員会でやっていただく、こういうことを考えておるのであります。
○小川(豊)委員 さらにこの性格に関連してお尋ねしたいと思いますのは、この農業委員会をして農村の発展に寄与せしめ、あるいは農家経済の安定をはかる農民の利益代表機関たらしめるとするならば、政府の補助、助成でその運営をするのは間違いではないか。もし料理屋から運動資金をもらって売春禁止法の運動をやったとするなら、人はその純粋性を疑うだろうと思う。今日の農民を窮乏化せしめた原因は元の地主小作のあの制度ではなくて、今日は課税とか地代とか鋏状価格差等の問題が農民を窮迫せしめておる原因の要素である。してみると政府の農業政策こそがその原因であるとも言い得るわけであります。農民を窮乏から守り、農業の近代化をはかるこの農業委員会が、その政府の助成で運営されて果して農民の利益代表機関といえるかどうか。こういう形こそがむしろ大政翼賛会的な機関であって、その活動も従って御用団体化する。そこに農民の関心が薄らぐ原因があるのではないか、こういうふうに考えられるわけですが、これに対してあなたの方の見解をお尋ねしておきたいと思うわけであります。
○渡部政府委員 お話の点は、農地事務に関するいわゆる行政事務以外の仕事に関しては、お話の通りだと思います。農地法の施行、その他法律に基いてこの委員会の権限に属せしめられた事項の処理につきましては、これは国が経費を持たなければならぬ。そのほかの事項につきましては、これが農民の利益代表機関という性格を持っておるのでありますから、これはみずからの経費でまかなうことがいいと思います。しかし御承知のように、先ほど申し上げました通り、この委員会が従来の経過をたどりまして出てきておるのでありまして、従来におきましては、たとえば食糧調整事務等につきましても、一部は国のために働かされておった。その職員が残っておるというような関係から、農地事務を取り扱う職員以外の職員につきましても補助金を出しておりました。しかしそれらも順次減少いたしましても、現在は職員の補助も三分の二人分で、一人前出しておらないのであります。そういう関係にありますので、農地事務が果して一人前あるかないかという問題は、——私どもの方では一人前ほしいといっておるのでありますが、予算の関係で出ておりません。そのほかの事務については補助金が出ておらないのであります。しかし実際問題としてさらに議論を根本的にさかのぼらせますと、国の行政、あるいは国の補助金が出ておるものを見ますと、必ずしも理屈通りに、自分のことをやるのであるから自分が経費を負担すべきであるという理論に対して、しかしそういう部面の人々の経営規模あるいは経済能力からいって、その負担ができないから国が補助するという例はたくさんあるのでありまして、その点から見ますれば、必ずしもこの委員会が国の補助をもらっておるから御用団体化するということは言えないのではないか。独力で仕事ができない部面に対して国が補助を出すということは、ほかの部面においてもたくさんあるわけでありまして、それだけをもってこの委員会が農民の利益を代表する機関としての資格がないということは言えない、こういうふうに考えております。
○小川(豊)委員 私は資格がないということを言っておるのではなくて、ここで農林当局としてもまたわれわれとしても反省しなければならない点は、農民は自分の利益代表行為を行わせる団体の負担金を持つことができない、農民自体が窮乏しているから、それに対して補助金を出してやってもいいのだ、これは私は認める。しかしその前に、農民が自分の利益代表行為をするものに対してどうして負担金を持つことができないかということに対する反省をお互いにしなければならないのではないか、その反省をせずに、ただ農民は貧乏しておるのだ、負担能力がないから出すので、これは善意だということでは解決する問題ではなくて、その反省を必要とする問題ではないか、こういう点に立って私はお聞きしたのです。原則を言っておるのです。この点に対してもう一ぺんあなたもお認めになるかどうか。
○渡部政府委員 私も同様に考えます。自分の仕事であるからできるだけ自分がその費用を負担するということは、建前としてはそうなければならない。農家の側においてもそれだけの自覚と自信を持っていただきたいと思います。しかし先ほど申し上げましたように、従来の経過等もありまして、それからほかの部面等における例も見まして、現在補助金を出しておることが一がいに悪いというふうには思わない、こういうことを申し上げたのであります。
○小川(豊)委員 私は補助金を出しておるのを悪いと言っておるのではないのですが、農民が自分の利益代表行為さえも補助金をもらってやるのでは、——農民自身がそれを負担できないから補助金を出しておるのでしょう。でき得ないようなそういう農民を作っておる、その根本に対する反省をお互いにしなければ、こういう問題は解決しないのではないか、こういう点についてのあなたの御意見を伺ったわけです。補助金を出すことについて悪いとは決して思っておりません。
○中村(時)委員 関連して。今の小川委員の問題は、非常に重要な問題を含んでおるわけなんです。ということは、片一方において今言ったような補助金を出しておる。そうしてそれに対して官僚制度的なものの方向をとりはしないかという疑義さえあるのです。ところが事務当局はそういう必要はないというわけです。事務当局はそういうことはないという前提に立ってのものの考え方をしておるのは、これは当然なことなんです。ところが実際一面から、制度的に考えた場合に、そのものの利用度というものが非常に大きく出てくるわけです。そこでそういうものは、当然政務次官なり、大臣なりの出席を要求して私たちは質問をしなくちゃならぬ、こういうふうに思うわけです。そういう建前に立って、農林大臣並びに政務次官の出席要求をしたい、このように考えるわけです。
○村松委員長 政務次官の出席を要求いたしました。参りますまで一つ他の問題を継続していただきます。
○小川(豊)委員 政治的な配慮を必要としない問題からお聞きしたいと思います。 それでは行政機関的な任務の点から見ると、今日市町村の財政はすこぶる窮乏しておるわけです。この窮乏しておるときに、わずかな助成金を出して、大部分は市町村の負担たらしめて、むしろ市町村では財政面だけでは迷惑を感じておるというようなことが、きのうの公述の中にも出てきておるわけなんです。こういう状態の中で、政府が意図し、期待するような組織なり機構なりを整えて活動することができるということを、あなたの方ではわずかな助成金でそういう確信がお持ちになれますか。その点をお尋ねしたいと思います。
○渡部政府委員 でありますから、行政事務に関しましての必要経費は、私の方で持たなければならないと考えます。そのほかの費用につきましては、市町村の財政の許す範囲においての活動を期待する以外にはないのではないかと思います。それよりもっと根本にさかのぼりまして、こういう委員会が必要であるのかないのかという議論までいかなければ解決しないと思いますが、今の経費の面だけから言いますれば、市町村で負担できる範囲内の活動だけしかわれわれは期待することができない、こういうふうに思うのです。
○小川(豊)委員 そうすると、あなたの答弁は、今の補助金では期待するような活動は自分としてはできないと思う、従って今の市町村の財政の許す範囲内でやってもらうよりほかに仕方がないのだ、こういう答弁だと解釈しますが、そう解釈してよろしゅうございますか。
○渡部政府委員 市町村の財政並びに委員会を組織する農家の醸金の範囲になると思います。こういう委員会を農家が代表者を選任して作っておるわけでありますから、その委員会の活動は、国の費用あるいは市町村の予算から出る支出並びに各農家の醵出金、この三つの合計の範囲内で活動ができる範囲しか期待することができない、こういうことです。
○小川(豊)委員 それからこの法案は十国会でしたか、提案されたときに当時島村さんが農林政務次官をしておって、この提案理由の説明をしておるわけですが、この中にこういうことを言っております。「農民の積極的な意欲と主体性を持った活動と協力がなければ、とうてい望み得ないと堅く信ずるものであります。従来の農業施策の実施の上において最も欠如しておりましたものは、制度上の農民の自主性が重視されていなかった点ではなかったかと思うのであります。この欠陥を補うため、従来上から行われていた農業政策を地方の、——下からの農業政策に切りかえることが根本問題であろうと考えられるのであります。」こういうふうに言っておられる。この説明でもわかるように、日本の農政の民主化ということがこの法案の主眼点になっているわけです。また上からの農政を下からの盛り上る農政にするというねらいが、委員会の委員を公選制にした点であろうと思うのです。従って選挙はいわばこの法案の生命である、こう言えるわけです。この生命とも言うべき公選制を廃して、任命制にするということは、性格の重大な変革であり、この変革を必要とする理由を一つ詳しく御説明願いたいと思います。
○渡部政府委員 まず前提といたしまして、こういうふうに直しました理由は、一つはせんだって御説明申し上げましたように、昭和二十六年の選挙、二十九年の選挙いずれも農業委員会の三分の一以下の委員会において、すなわち昭和二十六年の選挙におきましては委員会数一万一千八のうち二千四百四十五の委員会が投票をいたしましたし、二十九年におきましては九千八百三十九委員会のうち二千三百二十八委員会において投票をしたのであります。従っていずれも二十六年においては二割二分、二十九年においては二割三分余りの投票の委員会数になっております。従いましてそのほかの委員会においては無投票であります。この実態を見、一つはまた現行法によります公職選挙法の準用による選挙によりますれば、選挙人名簿の作成あるいは選挙管理そういう費用に約三、四億の金が要りますから、その二つを考えまして、費用が少くて、しかも選挙の効果を確保する方法はないかということを検討いたしまして、ただいま提出しておりますような、農村の地区を数地区に分けて、その分けられたる地区の農民を推薦母体にして推薦をやらせ、その推薦されたものを市町村長が委員会の委員に選任するというふうな考案をしたのであります。従ってこれによって民主化の道が曲げられるというふうには私の方は考えないのであります。そういうふうにすることが農業委員会に関する経費の節約にもなるというふうに考えまして、この改正案を出しておるのであります。
○小川(豊)委員 今御答弁を聞いていますと、選挙に対する農民の関心が薄かったということが一つの原因、いま一つは三億ないし四億の経費がかかるということ、この二つの原因でこういうふうな形にしたという話であります。あなたの方で考えておられるように、重大な使命を持つ農業委員会の任務に対して大きな期待をかけておられるならば、この四億くらいの経費はおそらく問題にならぬのじゃないか。経費がかからなくて実効が上るならいいですけれども、農村の民主化ということがこの農業委員会法を提案するときの説明にも出ているように生命になっておるのだから、その生命に対して四億くらいの金を惜しむことはない。これはおそらく答弁としても成り立たないのじゃないか。むしろあなたの方で言いたいのは、この選挙を何回かやったけれども無投票地区が多くて、従って農民のこれに対する関心が薄かったということが、こういう形に改める理由であり、根拠になっている、こう思うのですけれども、これはお尋ねすればこれで差しつかえないのだとあなたは答えるほかはないわけです。私にもそれ以外に答えようがないことはわかりますが、根本はここにあるのじゃないか、こう思うのですけれども、この点私も別に言葉じりをとってどうだこうだと言うのじゃないから、率直に言ってくれませんか。
○渡部政府委員 ただいま申し上げたのは経費のかかる点と、無投票であった点と、もう一点は選挙にかわる効果を持ち得る選任方法があるかないかという、この三つから現在のものになっております。従ってこの改正案に出ております選任の方法が、選挙にかわる効果を持つか持たないかということが問題になるのじゃないかと思います。私の方では改正案に出している方法で選挙にかわる効果を持つ、こういうふうに認定をしておるのであります。
○小川(豊)委員 あなたの方で認定をしておられるというが、その問題についてはあとでまたお尋ねします。 そこで一点お尋ねしたいのは、農民が委員会の選挙に対してきわめて関心が薄くて、その効果を求めることができなかったということが説明の一つになっておるわけですが、しからばこの効果を高めるための宣伝なり啓蒙なりを政府は行なったのか行わないのか、またその農業委員会の事業はなぜ農民の関心をもっと高めることができなかったのか、関心を持たなかったということ自体をこの委員会の運営に当ったあなたの方では反省をされたか、もしそういう反省がされたとするならば、それは具体的な事例としてどういうふうな反省をされたか、この点をお尋ねしたいと思います。
○渡部政府委員 これは非常にいろんな見方があると思いますが、私の見ておるところでは農業委員会法にきめられております農業委員会の任務は、やろうと思えば農地の事務にいたしましても農業振興、農業技術改良の事務にいたしましてもまあ無限といっていいと思います。従いましてこの委員に選任せられましてほんとうに仕事をやるとすれば、自分の経営を行う上に相当労力をさかれて、自分の本業の農業経営に手が抜かれるということになるのであります。この農地改革によりまして自作農家になりましたけれども自分の経営を留守にして委員会その他の公職につくのには経営のあとのめんどうを見る費用もどこかでまかなう必要があるのです。ところがその費用は農業委員会の委員になっても必ずしも見てくれない。従ってこの委員会の委員の選任方法が立候補制になっておる関係から、有能な人あるいは選挙に出てもらいたいという人が必ずしもそろって立候補はしないのが一つの大きい理由じゃないかと思います。従いまして幾ら選挙がいいといっても、昔と違いまして名誉職で農業委員会の世話をするだけの犠牲的精神を持つ人はなかなか立候補しない。そこでこの過去の二度の選挙に出ております無投票区というものは、話し合いで一つ出てくれ、あなたに出てもらわなければ困るということで、無投票区がふえていることが私は非常に大きい理由じゃないかと思います。そのほかの理由もいろいろあると思いますけれども、そういう関係で選挙の行われた率が低いと私は考えております。従いましてそういう点からいいますれば、やはり何と申しましてもまだ地域的な結合が農村においては都会と違って非常に強いと思いますから、そこで今度の改正案みたように、話し合いでぜひ出てもらいたいというふうな場を作った方がいいんじゃないかということがこの改正案の一つの大きい理由になっていると私は考えております。
○小川(豊)委員 私もこの問題にそうこだわっているわけではないのですけれども、あなたの答弁ではちょっと納得がいかないのは、農地改革によって自作農になった、しかし自分の経営で手一ぱいなものだから、農業委員会等の仕事はできない人が多い。それからもう一つは立候補制であるから、出てもらいたいというような人が出られなくて、逆をいえば出てもらいたくないような人が選挙される傾向があるから、これはむしろ話し合いの方がいいのだ、こういうような御答弁だったと解釈したわけですが、立候補するということは自分に能力がある、そういうことにたえられるという確信があるから立候補するのだろうと思います。それから選ぶ選ばないは、農民自身が、この人が適当だと思うから選んで出すわけであります。私はその原則というものはやはり曲ぐべきではないと思うのです。実効論からいうならば、これはいろいろ議論はありましょうが、あるいはその方が効果があるかもしれませんが、しかしいずれにしても農村の民主化ということが基本的な要請になっているならば、建前としては選挙が一番正しい建前でなければならない、こう私は思うのです。そこで今言うような話し合いというものに対して、私どもは少しく疑問に思わなければならないのでありまして、そうすると今のあなたの話からいうと、自分の経営を見るのに手一ぱいだから、そっちへは出られないのだという人たちは、話し合いということならそういう人たちは出ないで、仕事をどんどんやっていけるという人たちだけが出るということになるわけです。そういう人たちはわれわれの言葉でいえばいわゆる富農だとか残存地主だという言葉で出てくるわけだが、そういう方々が主として話し合いで出てきて、この委員会法の精神である民主化というものは、ゆがめられていく結果が出てきやせぬかと思うわけですけれども、あなたの意見と——これは意見でなくて私は大へんな違いがあると思います。あなたはこういう法案を出して、その説明に当らなければならないからそういうことを強調されますけれども、その考え方は私どもは矛盾した違った考え方ではないかと思いますが、この点についてもう一度お尋ねしたいと思います。
○渡部政府委員 率直にいってジレンマに陥っているわけなんです。選挙をやってみても二割そこそこしか選挙をやってくれない。その実態を見ますと私個人は、私が申し述べた点が非常に大きい理由になっておると見ておりますが、もちろんほかの理由もたくさんあると思います。そうなりますと結局これはいろいろなケースが出てくると思いますが、部落で寄り合いをしまして、部落で討論をして、あるいは最後には投票できめるかもしれませんが、だれにしよう、彼にしようということを相談しまして、そうして従来からの人格なりあるいは村の世話なり、そういうものを見て、何人かの候補者をあげて、その中から選任するということになれば、私は例外はあると思いますけれども、原則論としては御心配のような点は少いのではないか、こういうふうに考えるのであります。選挙しましてこれが逆に八割が投票してくれておるということならば、全然問題ないのでありますが、これは非常に近欲な考え方になるかもしれませんが、二割ぐらいな投票ならば、民主化のためには少い経費じゃないかとおっしゃられますが、三億ないし四億の金としますと相当な経費であり、また町村に選挙人名簿の調製とかいろいろな事務をやらすことは彼此勘案しまして、現在のような制度もまた——現に改正案で出しておりますような推薦選任制度も民主化の線に逆行するものであるとは言い切れないんじゃないか、こういうふうに考えております。
○小川(豊)委員 私は先ほど申し上げたように、どんな仕事でも、やってみてそこに欠陥が出てくることはやむを得ないと思います。それを、責任を追及していたんでは、これは仕事にならないと思います。今後どうすればいいかということを考えるべきなんで、やった仕事のここに欠陥があったということを率直におっしゃっていただくと、私どもも理解しいいのです。やっておられたことをあくまで妥当化し合理化しようとして御答弁していただいていると、私どもも非常に誤まった考え方になる。やはりこういう点はまずかったんだ、だからこうした方がいいと思うということをおっしゃっていただけば、私どもの方もそういう点に沿って考えられるので、もっと率直に自己批判してもらったらいいと思う。いろいろな書物を見ると、確かに農業委員会の選挙は省略されているところが数多くなってきた。けれども選挙をやっているところは、投票を見るとその棄権率は減っているのです。これはあなたの方でも資料があると思う。選挙の棄権率が減っているということは、農民の農業委員会に対する関心が薄くなったということではなくて、関心が高まってきていることだと思う。ところが一方において無投票地区が多くなってくるということは、これは金がかかるということから、投票をしないようにしてくれぬか、しないようにしてくれぬかといって、市町村の当局がそれを指導するからそういうことになって出てくる。その指導でそういうことになって出てくるのを、あなたの方が数字を見て農民の農業委員会に対する関心が薄くなったんだという見方ならば、これは僕は非常に誤まった見方だ、こう思う。そういうあなたの見方というものはないわけですか。
○渡部政府委員 そういうこともいえるかもしれませんが、私が先ほどから申し上げますように、選挙にかわる効果を安い経費でできるならばそれに変えていいじゃないかという考え方であります。従ってこの改正案に出ている選任方法がその選挙にかわる効果を持つか持たないかの判断の問題になってくると思います。私の方はそれでやむを得ない、こういうふうに考えておるのであります。ただそれが民主主義の根本原理である選挙というものをもっと徹底さす線にもとるじゃないか、こういうことは、その推薦選任の効果が確保できないとすれば、これは考えなければならぬ、そういうことになると思います。
○小川(豊)委員 いま一つ聞きたいと思いますが、今あなたは、やむを得ない、こうおっしゃって、推薦制でも選挙にかわる効果が上げられればいいではないかというが、私も原則論あるいは公式論は別として、効果を上げられればいいじゃないかという考えが出てくるのです。しかしもしそれが効果が上らなかった場合には、選挙をやった場合においてはその責任というもの——なぜこういう委員会ができたんだ、なぜこういう不利な点が出たかということは、選挙する農民自身がそれによって反省をしなければなりません。従ってその後における選挙に対しては改めることができる。ところがそうではなく、もし推薦制でやった場合には、これは改めようとしても法律を直さなければ改めることができない。そうすると、法文のねらいである民主化ということからいうと、大きな禍害を起すことになる。従ってあなたの方で、選挙をやらなくてもこれで実効が上るんじゃないかという、経費の点にこだわってそういう考え方がもし強く出ているとするなら、これは強く反省をしなければならぬ点である、私はこう思う。しかしその点については今はおきます。 その次に、この法案でいま一点心配になることは、第十三条第二項の四にある、さっきあなたの読み上げたこれを見ると、「農業技術の改良、農作物の病虫害の防除その他農業生産の増進、農業経営の合理化及び農民生活の改善を図るために必要な事業の推進に関する事項」というのがあるわけですね。この場合推進とは一体具体的にはどういうことをするのか。この点は、私はきのうから参考人に再々お聞きしておる。自分自身が農業団体におってそういう苦い経験の中にいたことがあるから、そういうことをなからしめたいと思うからお聞きしているわけですが、同じ農業団体が事業を競合していがみ合うという心配と危険が、この推進という言葉を拡大解釈すると出てくる。従ってあなたの答弁で、この推進はそういう心配はないのだということを明確にしてもらいたいわけです。もしそういう農業団体が競合するようなことになるとすれば、これは農民の利益を代表どころではなくて、農民組織の弱体化を招くことになる。こういう危険のある、拡大解釈をすればできるような条文というものは、農業団体の円満な、そして健全な発達を遂げさせようとするならば、こういう危険なものは条文から削除すべきじゃないか、あるいは訂正すべきではないか、こう思うわけなのです。きのうも北海道の岡村さんは、そういう危険はあるが、これは人の問題だ、こういうふうに言われたわけです。これは人の問題ではないのであって、制度の問題なのです。こういう危険を包蔵する条文は、ないというならばないということを明確に御答弁願いたいし、それを裏づけるような法文の解釈について御答弁を願いたい。あるとするならば、これは修正するなりあるいは訂正するなりすべきではないか、こう思うわけですけれども、この点あなたはどうお考えになりましょうか。
○渡部政府委員 この点は、御説のような心配は全然ありません。まず四の字句について申し上げますれば、農業技術の改良のために必要な事業の推進、あるいは農作物の病虫害の防除のために必要な事業の推進に関する事項、こういうことになりまして、農家が農業改良普及員の技術指導を受けて技術改良をやる、その援助をする、あるいは病虫害共同防除をするについての援助をする、そういうふうなことでありまして、ほかの農業団体の仕事をこの委員会が取り上げてやるというのではなくして、ほかの農業団体なりあるいはほかの機関がやる仕事をうまく調整して、これを農民の利益になるように推し進めていく、こういう考えであります。これはまた一面から申し上げますと、協同組合法第十条の事業、この事業のいずれとも重複するものでなくして、たとえば協同組合法第十条の各事業の遂行に当って組合員が協力し、協同組合を強化するように、農業委員会では農業生産あるいは農業経営あるいは農民生活に関する調査なりあるいは宣伝、啓蒙、こういうものをやっていくのであります。従って御心配になるような点は全然ありません。またさらにこの農業委員会それ自体の機構の点からいきましても、委員会は委員の合議機関である。ただし農地については行政機関でありますが、その他のものにつきましては合議機関でありまして、ほかの団体なりあるいは機関がやっておるような仕事をやるだけの組織、人員というものは全然ありません。お話のような心配はないと私は考えます。
○小川(豊)委員 それはあなたの解釈であって、そういうことをやっていけないという——あなたはそういう心配はないとおっしゃられる。それでは、そういうことはないという条文はこの中にありますか。そういうことはやれないのだという条文はありますか。推進はできるという条文があるのです。推進するという条文を拡大解釈すれば、かりに種苗のあっせんもできれば、農薬のあっせんもできる。あっせんをするということは推進でしょう。こういう農薬を使うべきだ、それにはここの会社のものがいいのだということを言っても、これは推進です。妨害じゃない。そういうことが今行われていないかもしれません。けれども補助を受けている団体がそういうことをやっていくことによってそういう危険が出てくる。あなたはないというけれども、ないということはこの中のどこにうたってあるのか。そういうないということは一つもうたってない。推進というものを拡大解釈できるような気がするので、その点を心配するのです。従ってそういう危険がもしありとするならば、ないようにしておくことが、団体の円滑を期するゆえんではないかと思うのですが、今のそういう心配はありませんという点は、この中にどこにあるか。人の数が足りないからどうとかというのは、ふやせばいい。仕事がふえればふやすことができる。農業委員会の職員なりその他の人数を制限しておるわけじゃないでしょう。そういう心配はないという条文は、この中にどこにありますか。
○渡部政府委員 そういう条文は直接にはありません。しかしもしかりにお説のように農業委員会の方で、この法律できめておる組織なり人員でできないで、その組織を拡大し、職員の数を増してでもやっていいと農業委員会がほんとうに決議してきめるのでありますれば、それは町村の実態が変ってきたことになって、そのときには法律の改正というような問題が出てくるのじゃないかと思います。もしかりにお説のように推進を非常にひん曲げて解釈しまして、そういうことをやれるというふうな解釈ができましても、それを実施するまでにはそういうふうな経過が要るわけでありますから、御心配の点はないだろうというふうに考えておるのであります。
○小川(豊)委員 そういう点は私はあなたの考えと違うわけです。法案を作る限りにおいては、あなた自身が解釈してそういうことはやらない方がいいのだし、やるはずがないじゃないかということでなく、やらない方がいいなら、やるべきでないということをきめておくべきだ。それではあなたの意見というものは、岡村さんの意見と何ら変りない。そういう危険はあるけれども、人の問題だというが、人がかわればやってもいいということか。そういう法案というものはあるべきでないと私は思う。特にこの点私申し上げたいのは、大体この法案の作成の中心をなしているのは、あなたではなくて、安田局長でしょう。安田局長が時事通信の農林経済版というのがありますが、あれを読むと、これは安田さんが言ったか言わないかわかりませんが、安田さんが、これは衣の下によろいを着せたものだと記者会見で言っておるということが出ておる。作った本人がそういうふうに衣の下によろいを着せておるのだと言っているのに、あなたがそういう心配はないのだと言われるが、どこから心配ないということが出てきますか。一つも心配がないということは何にもうたってない。ただ私の考えがそうだということだけになる。私は安田さんがきょうここに来ておられないのが非常に遺憾です。もしこういうことが事実ならば、農業団体の再々編成のときに、これはいろいろな世論の問題があって葬られておる。その報復としてこんな案を作ってくるとするならば、衣の下によろいを着せた案だというならば、それは結局農民に挑戦するものじゃありませんか。そうなってくると、官僚というものの持つおそるべき報復主義的な執念というものは日本の農村をまさに誤まるガンだということに考えざるを得なくなる。私は自分でそういうことを言いたくないが、そういう言葉が現に時事通信に出ている。しかもあれは権威のあるものだと聞くから、私は読んでおるのだが、そういうことが出ている。あなたはそういうことはない、心配はないと言うけれども、それはきのうの岡村さんの言と何ら変らない。そういうものはやらない方がいいのだという主観で、やり得ないのだと言う。そういうことはこの条文の中に一つも明記されていない。この点をくどいようですが、もう一度お聞きしたい。
○渡部政府委員 ただいまお話のありました前局長が時事通信にしゃべっておることについては、私不幸にして知らないので、今係に聞きましたけれども、係も知らないのであとでよく調べますが、しかし私は前局長からこれにつきまして引き継ぎを受け、そうして一条一条について説明を聞きましたけれども、そういういわゆる衣のそでの下によろいという点は一つも感じておりません。前局長の言がかりにあったとして、それを推定すれば、この法律ができる前の案は部落会とか農民会とか、いろいろな案があったようであります。しかしこの法律に盛られておるところではそういう片鱗もないわけでありますから、この法律をその通り適用せざるを得ぬと思います。かりにもしそういうことがあるとすれば、この各条の運用方針はここであるというふうな説明書きでもあればまた別でありますが、そういうものも全然ありません。文字通り解釈いたしまして、また協同組合法その他の法律と照らし合せまして、少しも重複するところはなし、背反するところはないと思います。 それから昨日の岡村参考人の意見と同じだと言われますが、私は岡村さんのおっしゃられたのは、農業委員会の活動が十分に行われるか行われないかは、出てくる委員の働き、あるいは会長になる人の働き、これは先ほど申し上げましたように、沿革なり従来の経歴等のことをさしておるのだと思いまして、この法律に規定されていないことを何でもかんでもやる、そういう人をさされたようには考えておりません。もしかりにこの委員会を土台にしてこの法律に規定されていないようなことをやろうとする人がありとすれば、それは行政庁において十分監督すべきものである、こういうふうに思います。
○小川(豊)委員 あなたもきのう岡村さんの意見を聞いておられたと思うのです。これは私がその心配があるか、その心配がないか聞いたところが、あると言う、あるけれどもそれは人の問題だと言われたので、私はその点では岡村さんの言葉を曲げて解釈してこの問題を言っているのではない。それから安田さんのことは、これは私が言ったのではなく、私は通信で見た。安田さんがそう言ったということを見たから、まさにこれは官僚というものはそうまで報復主義的な執念深いものかと、むしろ官僚の持つ本質に対して敬意と驚きとを持ったのです。そういう考え方でこういう法案を作るから、われわれもしなくてもいい議論までして明確にしておかなければならぬことになってくる。 それから次に、現在補助金で委員会制度の運営がされておりまして、農業委員会の職員の身分的なものはきわめて不安定なんです。これはきのうも公述されたところでよく出ていると思うのです。こんな不安定な身分の制度で意図するような活動はまさに困難じゃないかと思う。できないのじゃないかと思う。そこに農民の関心が薄れる原因がある。先ほどの選挙あるいは選挙ばかりでなく農業委員会に対する関心が薄いということは、その原因というものは、不安定な身分で職員に働かしているから結果として出てくる。原因はそこにもあるのではないかと思います。従って政府としては、この補助金をもっと増額して、職員の身分の安定をはかることこそ法律改正よりもむしろ重要なことではないか、法律を改正するよりもむしろ委員会の制度を効果的ならしめるためには、この点が最も重要な点ではないか、こう思うのですけれども、これに対するあなたのお考え並びに補助金が年々減額されてくる、そういう中で活動への期待をかけていく。これは農業委員会というものがだんだん休止するようなことになっていくわけです。そういう行き方にこそ反省すべき点があるのではないか、こう思うわけですが、補助金を減額しながらこれに対して多大な期待なり責任なりは負わしめる、そういう考え方、それでやり得るのだという考え方についてお尋ねしたい。これはもっと補助金を増額したいのだ、けれども予算の面でできないからやむを得ずこうやっているのか、これであなたはいいと思ってやっておられるのか、その点をお尋ねしたい。
○渡部政府委員 委員会の職員の身分の保障並びにそれを維持するためにもっと国が持つべきではないか、こういうお話であります。私もそういうふうに考えます。ただいろいろな法律で、市町村地方自治体の仕事の経費で、国で持つものと地方団体で持つもの、その区分ができております。農業委員会の仕事を国の事務及び地方の事務に分けまして、いろいろ予算をとるときに検討はされたのであります。昨年三十年度に二十数億あったのが、三十一年度予算では十一億余りになっておる。これはあまりにも急に幾ら農業委員会の仕事が減ったとはいえ、減り過ぎておると私は考えておるのであります。職員俸給の国庫負担につきましては、三十二年度予算においては農業委員会の仕事の内容を検討いたしまして増額要求をいたしておるのであります。
○小川(豊)委員 そこで政務次官にお尋ねするわけですが、この委員会の性格について、これは性格を原則論的に言うなら選挙で行くのが正しいのではないか、こういう私の質問に対して局長は、経費が省け、そうしてその実効があがるならばそれでいいんじゃないかというお説であった。ところが先般の委員会の論議の中で、農林大臣が出席されて、それは委員会で、皆さんが選挙でいいならば選挙でも私はいい、それに対してはこだわらない、こういうことを言われているのです。これは私は確信がないことをやったとか何とか、そういうことを言うのでない。むしろそういうことに対しては、どっちでもこだわっていないのだ、こういう意見だと、こうすなおに解釈しているわけですが、そうすると、かりに農林大臣の意見もそうで、そうして原則論的には農村の民主化ということは委員会のむしろ生命であるとするならば、これは選挙で行く方が正しいのじゃないか、こう考える。大臣もそれに対してはこだわらない、こう言っているわけです。大臣はきょうお見えにならぬですけれども、そうなった場合に対するあなたのお考えはどうですか。
○大石政府委員 お答えいたします。私の考えは大臣とまったく同じでございます。この委員会の御意見によって選挙によってやった方がよろしいということならば、私どもは別に原案にこだわらないで賛成いたす所存でございます。ただわれわれといたしましては、先日中村委員の御質問にもお答え申し上げたのでありますけれども、私は選挙にすべきか、あるいは選挙をやらない方がいいかという問題については、いろいろの考えがあると思いますけれども、全体から見まして、この場合は選挙によらない方がむしろやりやすいのではないかという考えのもとに政府はこの案を出したわけでございます。絶対的にいいとか悪いとかいう違いはないと思います。おっしゃる通り、民主化ということを考えますと、選挙をやろうということも一つの民主化のいい方法だろうと考えております。しかし現実の問題からいたしまして、いろいろむだな費用や手数を省くということ、あるいは前二回の選挙を見ましても、大体二割五分以下だけが選挙でございまして、あと七割五分以上が選挙が行われていないというふうな実態から言いまして、ことに今度は部落代表ということを考えますと、いわゆる農業委員の数が多くなりますので、なおのこと選挙ということは数が少くなるのではないか、実際選挙を行いましても少くなるのではないかと考えます。農村民主化の道は別に選挙の方法によらなくても、ほかにもいろいろな方法があると思いますので、私は当分の間は選挙によらないで部落の推薦制をとった方が形がいいのではないかというような考えのもとに、このような案を出したわけでございます。しかし皆さんの多くの御意見が選挙がよかろうという御意見ならば、私どもは、農林大臣も申し上げました通り、こだわらないで、それに従う所存でございます。
○小川(豊)委員 これは重複して申しわけないのですけれども、この法案が二十六年の二月に十九国会に出されたとき、島村さんが農林政務次官をしておって、その説明によると、農業委員会の基本的な生命ともいうべきものは農村の民主化だということを強調しているのです。そういう点から選挙というものは打ち出されてきているわけなんです。ですから金を使うことを望むわけでないから、今聞くと四億かそこらの金がかかるという。農村の民主化がそれによって達成されるかされないかというならば、四億という金は、これは惜しむべき金ではないじゃないか、こう思うのです。選挙によらないでその実効が上る、上らないということは、あとの経過を見なければわからないことです。そこで原則論としては選挙でいくべきだ、こう私は思う。その実効が上るんだ、それで差しつかえないのだということは、やってみなければわからないことです。差しつかえないのだということは、これははずれた場合には重大な結果が出てくるわけです。それに対するあなたの確信、そういうことをやらなくても済むのだという確信のほどを一つお尋ねしたいと思います。
○大石政府委員 昭和二十六年の島村元政務次官のご意見は、確かに正しいと思います。農業委員会の仕事は農村の民主化にある、私もその通りと思います。それは選挙をやるということではなくて、その仕事をすることが、農業委員会の正しい機能を発揮することが、私は農村民主化であると考えるのでございます。選挙をするということも、確かに農村を民主化する、目ざめさせる点には一つの手段と思いますけれども、むしろ出てきた委員の仕事をすること、その仕事そのものが、私は農村民主化の土台であると考える次第でございます。従いまして、選挙をやってもちろんけっこうでございますけれども、やらなくても、ただいまのような、われわれの考えておりますような部落の推薦の形によって出て参った委員によって仕事がされます場合には、大多数は正しき民主化の方向に向う仕事をするものと私は確信をいたす次第でございます。今までも農業委員会は相当に農村民主化の実績を上げて参ったと思います。これらのものは、公職選挙法を土台とした選挙というものを主体としておりましたけれども、実際に出ております委員というものは、大多数は選挙によらない無投票のものでございます。こういう点から考えましても、私は当分の間この推薦制によりましても十分に民主化の成果を上げ得ると確信いたしております。
○小川(豊)委員 さらにもう一点、これは特に政務次官にお聞きしておきたいと思う点は、この選挙の問題は、実効がある、ないということは、これはあなたの方として、委員会できまればどっちでもいいのだというならば、それはこれでなければならないという確信じゃないわけですね。それはそれでいいと思いますけれども、ただ私ここで一つ最も重要な点は、農業委員会という委員会制度なり任務なりが、一つは農地事務等の政府の行政的な機関である、一方においては、農村の進歩なり発展なりに寄与する、農民の意思を代表させるというような、農民の利益代表的な機関である。この二つあるわけです。一方は農民の意思を代表する性格であり、一方は政府の補助機関的な役割を果していく、この二つの異なった性格を一つの団体が持っているのが今の農業委員会なんです。そこにこの農業委員会のいろいろな性格の複雑さが出てくると思う。そういう点から言うならば、農業委員会というこの一つの団体は、やはり一つの性格にはっきり割り切った方がいいではないか、その方がむしろ効果を上げ得るのではないか、こういうふうに考えているわけです。異なった性格を一つのからだの中に仲よく住まわせようとするところに矛盾がある。そういう矛盾をあなたの方では考えられないか。もし考えられるとしたならば、それはどういうふうにしたならばそれが是正されるかという点を、次官からお伺いしたいと思います。
○大石政府委員 お答えいたします。確かにお説の通りに、この農業委員会の形は、何か少し行政機関であるような団体のにおいもあるような、ごっちゃにしたような印象を受けられると思います。それはごもっともと思います。私たちの現在の改正する農業委員会についての性格を考えますと、農村には、御承知のように、いろいろな経済行為の中心である農業協同組合であるとか、あるいは行政機関である市町村とか、あるいはその他、農村の災害補償である共済組合とか、いろいろな団体やその他の機関がございますが、それらのおのおのを見ましても、その間の連絡と申しますか、調整と申しますか、そのような機関が必要であると思いますし、またそれらのおのおの団体なり機関が持っております機能の中にやはり抜けているものがあると思うのであります。それらの抜けたものを全部ここで引き受ける。そういうものを引き受けてやる一つの行政機関がやはり必要であると思いますので、その仕事をさせるのがこの農業委員会でございます。そのような意味でありますから、割合ごちゃごちゃと仕事が入っておりまして、ちょっとおかしな性格になっていると思うのでありますけれども、われわれはそのような考えでいろいろな団体なり、いろいろな機関なりの仕事の間で、足りない、抜けている仕事があると思います。そういうものを引き受けるのがこの委員会と考えておりますので、多少ごっちゃになっているような感じがするんじゃないかと思う次第でありますが、われわれはあくまでもこれは法人格を持たせない一つの行政補助機関として盛り立てていこう、こう考えているわけであります。
○小川(豊)委員 いま一点。これは小さいことですが、政務次官よりも渡部さんの方にちょっとお聞きしたいのですが、部落推薦ということになると、具体的な部落というものは、戸数でいくと何戸くらいを一つの単位にするのか。何か今までの選挙制でいけば、これは階層別になるとか——今度は地域的なものになって、地域代表になってくる。従って僕がさっきから言っている性格というものは非常に大きな変化がある、こう思うのです。その議論は別として、部落というものは一体どのくらいをあなたの方では想定されておるのか。 それからさらにこれは条例で作るというふうになっているのであるが、しかしそれに対する指導というものが当然出てくると思う。あなた方はどのくらいの戸数をもって一部落の単位と見ているのか。それから部落の推薦というのは一体どういうことなのか。さっきも、部落で選挙をやったらいいじゃないか、こういう話もあった。そうすると、費用を省くということだけが目的みたいに見えてくるのであるが、一体部落の推薦というのは、形としてはあなたはどういう指導をなさるのか、ただほっぽりぱなしで、部落で推薦すればいいというのでは、投げやりだ。従って部落の推薦というのはどういう形が望ましいかという構想というものが、私は指導としてあると思う。そういう指導に対するあなたの構想をお尋ねしたい。
○渡部政府委員 いわゆる部落は、御承知のように歴史的な経過をたどっておりまして、県によって非常に大きさが違います。そこで私の方でもこの法律ではいきなり部落ということを書かないで、地理的、経済的なまとまりから市町村長が一つの区域をきめるというふうにしておるわけであります。従って場合によりますと、旧来の二部落あるいは三部落が一つのここにいう、推薦区域になる場合もできてくると思います。しかしそれがあまり大きくなりますと困るから、大体五十戸から百戸くらいの間で大体区域ができるように指導したいと思っております。 それから推薦方法でありますが、これらは一切条例にまかせておりますが、私どもの方で一応考えておりますのは、市町村長が、ただいまあります区長とか、あるいは常会長というようなものを椎熊委員長に頼みまして、その人を世話人にいたしまして、部落の人を集めて、そこでいろいろ候補者をあげ、その中で投票によるか、あるいは全体に集まっていただいてそこで相談できめるか、そういうふうな形を考えております。法律ができましたら、いろいろな方法につきまして、こういう方法か、こういう方法かということをひな形で、そのいずれでも参考にとってもらいたいというものを示そうと思っております。今のところはそういう構想を考えております。
○小川(豊)委員 私の質問は終りました。
○淡谷委員 この農業委員会法の改正案というのは、私どもの考えでは、非常に大きな日本の農村民主化上の問題と考えておるわけであります。従ってこれは改正の本旨につきまして、農林大臣の直接の御答弁を実は伺いたい。しかしあなたもれっきとした次官でございますから、本日のあなたの答弁というものは、農林大臣と同じ資格でお答えになるというふうに了解しておる。これは当然でございますが、その点をもう一ぺん確認しておきたい。御承知の通り河野農林大臣というのはまことに剛腹な大臣でありますので、大石君は大石君、おれはおれということになられては、私どもの質問も全然意味を失いますから、その点あなたは大臣に対して十分責任を負えるかどうか、これはまことに失礼な申し分でございますが、あなたの確信を伺いたい。
○大石政府委員 まことに異なお尋ねをいただきまして恐縮でございますが、ここに農林政務次官として出席しております以上は、私の御答弁いたしますことは全責任を負う所存でございます。
○淡谷委員 それではお伺いいたしますが、農業委員会法は二十六年の三月三十一日に第一回目の発効を見まして、法律第八十八号、それが改正されましたのが昭和二十九年の六月十五日法律第八十五号、もう二年か三年の間にひんぴんとして改正が行われているというのが、今日の日本の農業及び農村の状態の目まぐるしい変化を示すものとして、一応了解はできます。しかし農地法から農業委員会法に変り、さらに委員なども農地委員会から農業委員会に変ってきた。この形の中に農地の問題が解決されると同時に、発展すべき日本農業の前途がはっきりあるんじゃないだろうか。そうしますと農業委員会というのは、従来日本の農業に対して非常に大きな使命を持った団体であります。さっきあなたは小川委員の質問に対しまして、農業委員会の今までの業績はまことに見るべきものがあったと言う。旧法によって見るべき実績をあげておる農業委員会を、なぜここで法律を改正しまして、別な機構にしなければならぬ必要があるか、この点については、はっきりした政治的なあなたの含みを現わしましたものをお伺いしたい。
○大石政府委員 お答えいたします。先ほど申し上げましたように、農業委員会は今まで少くとも形の上でも、民主化ということに対しては非常な大きな役割を果して参ったと思います。その後御承知のように、日本の農村のいろいろな制度が変って参りまして、大きな任務の一つであった供出制度もなくなりましたし、農地の問題も大部分解決して参りました。そうすると、だいぶおもな仕事がなくなったわけでございます。なくなりましたならばやめてもいいわけでございますけれども、それ以外に現在考えられますことは、先ほど小川委員にも申し上げました通り、日本の農村の経済の向上なり、あるいは民主化なりに資すべきいろいろな機関なり団体なりがあるわけでございますが、それらのものの間の総合調節がまだ不十分であると思うのでございます。それ以外になお抜けておるいろいろの点があると思います。こういうものをまとめまして、そういうものを扱わせる一つの機関も必要である。それには今までの農業委員会を形を変えまして、もちろん農地の処理等もございますが、そういう仕事と同時に、それらの諸団体、諸機関の間の連絡調整なり、あるいはそれに落ちておる仕事を担当させることが一番いいだろうという考えのもとにこれを変えたわけでございます。
○淡谷委員 この農業委員会の処理すべき事項については、旧法にも今度の法律案にもはっきり明記されております。今あなたの言われました各種団体の間の調整なんという仕事は載っていない。同時に、やるべき仕事が一応終ったと言っておりますけれども、旧法によって規定されました農地法、土地改良法その他の法令によりその権限に属させた農地の交換分合あるいはそれに付属する事項あるいは採草放牧地、薪炭林の利用調整及び自作農の創設に関する事項、これははっきり残されたものとして掲げられておる。そのうち農地の利用、農地の交換分合等々については、旧法も新法も同じであります。そうしますと、事業面では別段新しい点はない。一体どこが処理すべき事項で具体的に違っておるか、お考えを聞かしていただきたい。
○大石政府委員 旧法と新しい改正予定の法案の違いでございますが、仕事の第二項の中に、たとえば前の方には市町村長に建議し、またはその諮問に答申することができるとなっておりますが、あとの方に参りますと、二項の中には、推進したりする事項がございます。そういうことが一つの別に付け加えられた仕事だと思いますし、またさらに第四条の第二項におきましては、二号委員というものを必ず入れる、農村の団体からの代表者を必ず入れるというところに、一つの大きな意味があると考えておる次第でございます。
○淡谷委員 私のお伺いしておりますのは、全体に対する差異じゃなくて、所管事項の違いなんであります。具体的に申し上げますと、旧法においては第六条、改正法案によりましては第十三条であります。この各項目が所管されるものと思いますが、一体どこが違っておるか。
○大石政府委員 新しい法案の第十三条の第二項の三号によりますと、「農業及び農村に関する振興計画の樹立及び実施の推進に関する事項」でございます。推進ということは今までの古い法律ではなかったところでございます。
○淡谷委員 そのほかにあるんじゃないですか。次官まだ読んでいないんじゃないか。実際に読んでいないんでしょう。読んでなかったらもっと勉強してこられてから質問したい。一々こっちが教えてあなたの答弁を求めるのでは話にならぬ。大臣になるつもりならもっと勉強して……。問われてから一々勉強して間に合わしていてはとうてい間に合わぬ。 委員長にお願いいたしますが、こういうような不的確な答弁では時間がかかりますから、もう少し次官に勉強していただくためにあすまで延ばしてもらいたい。
○村松委員長 なお他の点について質疑を継続していただきたいと思います。
○淡谷委員 その点を明らかにしなければ質問はできませんよ。日本の農業の未来を負うべき大きな使命を持っております農業委員会の構成並びに事務について、的確な目標がきまっていなければこの問題の審議はできない。その点でやはりもう少し次官に的確な御答弁をお願いしたい。
○村松委員長 明日まで勉強をしてくるそうでありますから、その前提以外の問題で、技術的の点でお聞きになる点がありましたら、一つ局長にお願いいたします。
○淡谷委員 まずこの基本的な問題をはっきり確かめましてから議論を展開しないとから回りしますから、それ以上の質問は留保いたします。
○村松委員長 事務的な技術的な点はいかがですか。
○淡谷委員 基本的な改正の趣旨がはっきりしていなければ、それから派生すべき事務的な問題はどうあろうとも、意味ないです。なぜ一体農業委員会法というものを改正しなければならないのか。その点をはっきり伺ってから議論を進めていきたいと思います。
○村松委員長 お諮りいたします。本日はこれにて散会いたしたいと思いますが、いかがですか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○村松委員長 本日はこれにて散会し、明日は午後一時から委員会を開会いたします。 なお明日午前中に小麦協定の外務委員会との連合審査がありますので、御出席願います。 午後四時十四分散会