農林水産委員会 第4号
- 発言数
- 76 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1956/11/22
会議録
○村松委員長 これより会議を開きます。 農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたし審査を進めます。質疑を継続いたします。中村時雄君。
○中村(時)委員 先般来からこの農業委員会の一部改正に対しまして、部分的ながら政治的に非常に大きな問題も一、二残っているので、農林大臣の出席を要求しておったわけでありますが、本日お見えになりましたので、その観点から二、三お尋ねいたしたいと思います。 まず第一に、河野農政といたしまして、団体の再々編成の問題があり、その問題が農民の大きな力の団結によりまして、ついにこれが実現不可能のような状態になってきた。そこでとたんに自由民主党の内部におきましても、一部の方々がそうであったように、おそらく私はそういうように受け取っておるのですが、このしわ寄せを農業委員会の一部改正に求めて、そして組織的な強力な一つの態勢を農村に打ち込もうというような考え方が出てくるのではないか、そのような危惧を持ったわけであります。その一つの現われ方は、組織強化ということを表面的な農業委員の質的な向上という面にからませまして、たとえば市町村における農業委員の選出の方法の改訂であるとか、あるいはそれに伴うところの人数の拡大であるとかあるいは県段階におけるところの委員に対しまして、各市町村の委員会の会長がその中の委員に選任されてくるとかいうふうないろいろな問題の疑義があるわけでありますが、それに対しまして河野農林大臣は、この農業委員会の改正に伴う政治的な配慮というものを、どういうお考え方をもって進められておるのか、第一点にお聞きしたい。
○河野国務大臣 だいぶやかましい御意見ですけれども、今中村さんのお考えになっておるようなことは全然考えておりません。
○中村(時)委員 だいぶやかましいそうだけれども、現実の問題からいくと、そういうふうな推理もできるということだけは確かだと思う。そこで一点お聞きしたいのは、以前この農業委員会が二十六年に発足以来一万一千の委員会があったわけです。その一万一千の委員会が現在は減りまして、七千三百八十五となっておる。これに伴いましていろいろな問題、町村合併とかいう問題があり、ここに部落におけるところの推薦制が出てきたわけでありますが、私たちの考えるのは、現在の農村の社会構成から見ていきますと、少くともまだ血縁社会から地縁社会に移行していく過渡的状態である。それだけに非常に封建的な面が多分に含まれておる。そういたしますれば、少くともそれを任命制にいたしますと、そういう地方におけるところ血縁なり地縁なりでボス的な人々がどうしても互選されるおそれがある。事実土地を中心にしていった場合に、土地をたくさん持っておる者とか経営のいい者が部落の中心になってくるのだと私は思う。そうすると必然的には、そういう方々がどうしても部落の中心になって現われてくるということは、統計の上にもはっきり現われてきておる。そういうような状態になって参りますので、私たちといたしましては、少くともこの問題は任命制よりも選挙を行うのが一番よいのじゃないかと思います。ところが選挙の問題に関連してたとえば費用の問題が出てくる。昨日の政務次官のお答えでは、費用の点は大して問題にしていないというお話なんでありますが、その費用の点を申しますと、旧町村別にいたしまして大体四億四千万円ばかりです。それから現行法でいきますと三億五千万円、それから部落単位といたしますと十八億円ばかりになってくるわけであります。そこで四億前後の金が、今言った旧、新あるいは単位として行なった場合には出てくるわけでありますが、それは大した費用ではないというお考え方があるわけであります。そこで今言った基本的な条件の上から申しまして、ただ選挙でなくて推薦によって数多くの委員が出たというだけでこの問題を選挙からはずしてしまうという考え方ではなくて、そういう民主的な方法をとって、逆にそれを啓蒙するという意味において、選挙の方向を基本的にお考えになられるかどうかということをお尋ねしておきます。
○河野国務大臣 お話の通り選挙によってやることの方がその仕事について全体として深く興味を持ちますし、理想としては選挙でやる方がよいと思います。ただ、しいて申せば、今日の農業委員会等の現状から見まして、それを選挙でやって理想的なものにするということは、先ほど中村さんもお話になりました通り、理想と現実とがうまく合っていって、その目的から逸脱しないということで農村に対するこの団体の本来の使命達成に純粋に動くということであれば、それが一番よいと私は考えております。ただそれがそうでなく行った場合に、行き過ぎになりはしないかとも多少懸念いたします。そういう御意見がありましたので、政府としては案を出したわけでありますが、地方の実情その他をよく勘案いたしまして、また委員各位の御意見も十分に伺いました上で、政府といたしましては善処することにやぶさかではありません。
○中村(時)委員 基本的にはやはり民主的に公職選挙法でやってもよろしいという、基本概念だけははっきりしたと思います。 その次にお尋ねしたいのは、今までの農業委員会の職務のあり方でありますが、羅列的にはたくさんの職務の名前が書いてある。ところが実績的にはどうかといいますと、ほとんど行われていない。農地に関する問題の、交換分合であるとか、あるいは分譲に対するあっせんであるというような問題が骨子になっておって、供出に対する問題は、今のところはほとんど皆無に近いような状態になっておる。また小作地を自作地に転換させていく手続の状態も、非常に縮小されてきておる。そういう状態の中で考えていった場合に、私たちの基本的な考えは、そうなってきたら農地の方が中心だから、昔の農地委員会のようなものにしておいて、残りは行政機構にまかせてよいのではないかという基本的な考え方を持っておりますけれども、一応この法律を骨子にいたしましてその進め方を考えていった場合には、それは別として、私は今のままの状態であるならば、どうしてもこれを作らなければならぬとするならば、本質的な問題でよりよきものにしなければならぬという考え方を骨子に持っているわけです。そうすると、今の委員会の中で、少くとも農地というものが、やはりこの統計からいっても中心になっておる。そこで農地に対する部会を設けて、はっきりとした農地の線を打ち出していきたい、こう考えられるわけです。 それからもう一つは、他の業務に関して別に部会を設けるなり、別の業務を扱うなりして、農地だけは骨子的に委員会の中にそういう農地部会を設けていきたいという念願を私は持っておりますが、それに対してどういうお考えを持っておりますか。
○河野国務大臣 お考えまことに妥当だと思います。
○中村(時)委員 妥当だといわれても、これがさっぱり入っていないので困っているわけだが……。そういう面で、この法律案を改正してもいいというお心がけだと思います。そういうふうに考えていってようございますか。
○河野国務大臣 お話の通り、羅列いたしましてもなかなかやっていないじゃないかということは、必要の有無からくることでございます。しかも今お話の点の農地に関する問題は、非常に重要なことでございますから、ただこの中に入っていないじゃないかという御指摘でありますけれども、これを入れる入れぬということは、この法案を創案いたしました当時、いろいろ他に御意見もありましたようなことで、実はあまり問題のないようにということで考えたものですから、こういたしましたが、委員各位その他の方面の御要望がそういうところにあれば、私といたしましては入れることに一向やぶさかでございません。
○中村(時)委員 次に第三点は、職員の身分保障の問題なんですが、現在は農業委員会の会長によって任命されておる。ところが実際の役場にいってみますと、役場の中にその事務局を置いて、ひどいのになったら女の子なんか置いてやっているような実情です。そこで、実際の事務がはっきりした性格を持たなくなっている。それには、一つは今言った身分保障が常任でない、委員長にまかされて、そういうような結果を招いているところがあると思う。そういう意味において、たとえば都道府県知事の承認制にして行なってみるとか——これは第一です。その行政機構の長、すなわち村長あるいは委員長の意に反したときに、それが免職されたり、あるいはほかにほうり出されたり、不当処分を受けるような場合が多々あるわけです。これを農林大臣または知事が事情を調査して、その救済策を講ずるように、身分の安定の法律を私は考えるべきではないか、このように考えられるわけです。これに対して、どういう御意見を持っていらっしゃいますか。
○河野国務大臣 元来終戦後農業関係の政府の補助職員というものが補充率が割合に低くて、広範囲にわたっておる、いろいろな角度から出ております関係から、ときに今中村委員の御指摘になりましたような点があることをかねて私は遺憾に思っております。この農業関係の補助職員を政府の方から出します補助金は、むろん現在もしくは現在以上にいたしまして、これを集中してなるべく身分の安定をして、専任できるように、もう少し優秀な人物をそろえるとかいうようなことをしていくことが大事だろうということを私は考えておるわけでありますが、まだそこに至らないのをはなはだ遺憾に思いますが、今御指摘のように、こういう機会には十分検討いたしまして、なるべく御期待に沿うようにいたしていくことが妥当であろう、かように考えます。
○中村(時)委員 しかし、今言ったことで私もそういうふうな方向が非常にいいと思ってお尋ねしておるわけであります。そうなってくると、今度はたとえば職員の質的な面が出てくるわけです。今言ったように、ただ単に政府の方で交付金で三分の二を出す、残りを行政処置でやっていくというような格好になっておるものですから、そこにいろいろな問題が起ってくる。そこで質的な向上をはっきりさせなければならぬという意味におきまして、たとえば改良普及員がやっておるような資格制限をやってみるというふうな考え方を、考え方としては打ち出すべきじゃないか、私はこう思っておるわけであります。そうしてそこにはやはり質的な向上をはからなければならぬじゃないか、こういうふうに考えておるのですが、これに対する御意見はいかがですか。
○河野国務大臣 私が今申し上げましたのは、たとえば役場の書記さんか団体の職員か性格の不明なようなものがあるために、優秀な人であっても、その人が団体の職員として優秀であるかどうかというような疑念を持つ場合もあるということでありますから、農業団体の職員として相当の素質を持った人を入れるというふうにするためには、補助いたします対象をあまり広範囲にしないでいくようにして、仕事の面で一人の人がいろいろなことができるようにしていく方がよいのじゃないかということを考えております。しかし地方の実情によりまして、なかなか急激にはいかぬ面もあるかと思いますが、なるべくそういう方向へいくようにいたしたいと思っております。
○中村(時)委員 そうなってきますと、少くとも予算上の問題が出てくるわけであります。そこで政府の方として、今交付金で三分の二というものを、農地が公的なものという建前から補助しておるわけであります。そこで今言ったように、農地に関する問題が基本的には今後中心になっていくと思う。それだから、身分の保障をする以上は、国庫の全額負担にしておく、最小限度それだけは食いとめておかなければならぬじゃないかというふうに考えられるわけであります。でき得れば、その問題に関する全額国庫負担の方法をはっきり打ち出していく方がよいじゃないか、そこで自分たちの本職に甘んじていくことができるのじゃないかということが考えられるのであります。職員が必然的に質的に低下をしていく、それは身分の安定がないからだと思いますが、その点の御配慮はどういうようにお考えになっておりますか。
○河野国務大臣 御意見ごもっともであります。ただ従来もそういうことは考えておったと思いますが、財政の関係でこういうふうになっておると思うのです。御案内の通り、町村別から見れば事務も多少減って参りますが、町村合併その他によって、これに専念する人数としては少くてよろしいということ等の変化がございますから、それと考え合せまして、なるべく御期待に沿うように努力いたして参りたいというように考えます。
○中村(時)委員 最後に一点、これは最も大きな問題になるわけですが、今まで市町村内において、十名ないし十五名の農業委員を県の段階におけるところの評議員にしておったわけなんです。今度は農業委員会の会長を全部委員にしていくという状態になっております。そうすると、人数が非常に膨大にふえるわけです。しかもそれが農地あるいはその他の二、三の事項に関しては、常に全体会議のような状態に、この一部改正の中からでは受け取れてくるわけです。そうしますと、そこにまた政治的な配慮というような問題がからんで推察されるような状態にまであるわけです。だから、この問題を集約していってどういうようにするかといえば、農業委員会の人員の規制の問題が出てくるわけです。ただ無制限にそういうふうな膨大な数を云々するのではなくて、そこにある程度制限を付して、そして今言ったような向上ができるような方法のお考え方を持っていらっしゃるかどうか。
○河野国務大臣 ただいまの点につきましては、必ずしも数の多いのを望んで、そして他の意図をいたしているわけではございませんから、なおよく御意見等を別の機会において十分承わりまして、よく御懇談申し上げて結論が出れば、それで一向差しつかえないと私は思っております。
○中村(時)委員 要約だけを今お尋ねしたわけですが、大体私の考えている骨子はこれで一応とりやめにしますから、今言ったようにほんとうに真剣にこれと取っ組んでよく話し合いをしてもらいたいと思う。また話し合いの場をつけて、でき得ればそういうような方向でまとめていきたいと考える。なぜかといえば、御存じのようにこの問題は以前から政治的に団体の再々編成の問題とからんで、この前の国会のときには廃案というところまできている。それが社会党の先輩諸氏の考慮によって継続審議になったという実情もある。でき得ればそういう実情の中から正しい線を打ち出したい。このように考えているものですから、一応骨子だけの質問に終えさしていただきまして、いずれ先輩諸氏からのお話があると思いますから、この次の場合に小さい問題に関してはお話をし合っていきたいと思います。
○村松委員長 芳賀貢君。
○芳賀委員 大臣にお尋ねしますが、この農業委員会法の一部改正の案は、これはいうところの河野農政の中においてどうしても改正しなければならぬというほどの重要性を持っているかどうか、心境はいかがですか。
○河野国務大臣 私は今日の農村の実情から考えまして、町村合併その他の変遷もございますし、かたがた農業の実態が順次変遷して参るという現状から見て、また現在の農業委員会のあり方等についてぜひやってみたいと考えているわけであります。
○芳賀委員 この法案の内容だけ見ると、どうしても改正しなければならぬというような必然的な要素が全くないのです。先ほど中村委員も言われましたが、第一の点は町村の委員の選任の方法を改める、市町村長に大幅の権限を与えて選任制をとるということと、もう一つは都道府県の農業会議の構成員の中に市町村の農業委員会長をことごとく一号委員にする、この二点に尽きていると思う。これだけのことで現在の農業委員会の活動が、農林大臣が平素言うところの新農村建設と適地適産の方向に機能が向いていくというふうには断じて考えられないわけです。それでお尋ねしたい点は、農林大臣は、農業委員会なるものをこの法律の改正によって農業団体として育成する考えであるかどうか、その点はいかがですか。
○河野国務大臣 むずかしい議論をしてこれに一つの目的を持って云々ということは考えておりませんが、御承知の通り農産物の生産、その他のことにつきましても、団体間の連絡等を緊密にする必要があるだろう、そしてその会議をそこに持っていくことがいいだろう、というようなことを一応目的としてやっていこうというふうに考えているわけであります。
○芳賀委員 私のお尋ねしたのは、現在の農業委員会を農業団体として育てる考えの上に立ってこの改正案をお出しになったかどうか。
○河野国務大臣 これは協議機関ということになるわけであります。
○芳賀委員 そうじゃない。大臣にむしろ私からお教えしますが、最初の河野農政の農業委員会に対する考え方というものは、農業委員会を根本的に改組して農業団体にするというところに最初のねらいがあったのです。そのためには市町村における農業委員会の区域内の農業を会員として、そうしていわゆる団体組織の委員会を作るというところに最初の構想もあったわけです。ところがこれは各方面からの反撃がありまして、それは法案の改正から全く取り除いちゃった。それとあわせて都道府県の農業会議の構成メンバーに市町村の委員長を全部入れるという構想が中断されているわけです。ですから最初考えた全国的な組織の系列化の上に立って、しかも末端の委員会を会員組織の団体化するという考え方が全くこの改正案からははずされているわけです。ですから一番大事なねらいがはずれているけれども、何のためにこういうような変でこな改正案を出して、これを河野農政の重要なる一つの要素として成立させねばならぬかというところに私は問題があると思うのです。ですから現在おそらく大臣は、この法案を無理やり通さなければならぬというような熱意がないということはわかるのです。それは中村委員の質問の中にも大体うかがわれるわけなんです。ですからこの基本的なものが何らうたわれておらない場合においては、審議の経過にまかせるというお考えのように思うわけでありますが、その点はいかがですか。
○河野国務大臣 申し上げるまでもないことでございますが、私は私なりの実は考えもないことはございません。ございませんが、とにかく皆さんで御審議を願い、皆さんでおきめ願うことでございますから、皆さんのお考えが大体こういうところにあるだろう、この程度なら御承認願えるだろうというものを政府として提案しないわけには参りません。従って今お話の中にございましたが、必要最小限度のものを集約いたしまして大体こういう案を備えて提案したわけであります。
○芳賀委員 それではもう少し具体的にお尋ねしますが、この改正によって町村の委員会の委員を市町村長の選任制にするということは、農村の民主化の上からいって一つの逆行になるのじゃないかと思うのですが、その点はどう考えていますか。
○河野国務大臣 これは勝手に任命するのじゃないのでありまして、御承知の通り各団体、各部落で推薦したものを任命するようにしていこうというような、妥協的に実情に合うように考えているわけであります。しかしそれは先ほど中村委員からお話になりました通り、それよりももっと一歩踏み越えて選挙にしたらどうか、それもけっこうでございます。というふうに考えているのでございまして、決して逆行するように町村長が独善的に好き勝手に任命してよろしいという建前はとっておりません。
○芳賀委員 この点はあえて選任制を固執するわけではないということがわかりましたが、問題は今後農業委員会が強化される場合には何としても財政面の強化ということが一番大事だと思うのです。それでお尋ねしますが、農業委員会に対する国の予算内容を見ると、昭和三十年度においては二十億四千万円が支出された、昭和三十一年度には十一億九百万円、ちょうどこれは半減されておるわけなんです。これは農業委員会は今後改正までして強化する場合において、しかも本年度の予算が前年度よりも十億円も大幅に削減されるということは、これは表面は強化をうたいながら、実質的には弱体化をねらっているということにしかならないわけなんです。これに対する事由をこの際明確にしてもらいたい。
○河野国務大臣 従来やっておりますものでいきますと、町村の数が減るとか委員の数が減るとかいうことになりますから、一応それでも予算が減るということになりましょうし、また仕事の面につきましても改正していかなければいかぬということを考えておりましたので、改正案実施後には一つ強化していこうと考えまして、今御指摘のようなことになっておりますが、そういう面からも一応事情の変遷によって新しいものは必要である。新しいものは本案が通過いたしまして成案になりましたならば、相当に経費等の裏づけもして、そして目的達成のために政府としても協力しなければいかぬだろう、こう思っております。
○芳賀委員 今の答弁は全く不可解ですよ。委員会の強化をねらって改正法律案を出しておきながら、これは成立するとみなしてことしの予算は編成されておると思うのです。その場合に一方予算上においては極端な弱体をねらっておきながら、一方においては強化のために改正案を出す。しかもこの法案が成立した場合には予算的な配慮をさらにやるということは、これは政府提案である以上全く理解に苦しむわけなんであります。どうしてこういうようなやり方をとっておるのですか。
○河野国務大臣 これは芳賀さんも御承知の通り、予算を編成いたしましたときと、この法案を提出いたしましたときとは、提出の時期が違っております。法案はおそらく予算の通過後に出たのでございまして、予算を編成した当時にはどういうふうな方向も実は全然きまっていなかったわけでございます。従いまして予算の編成にはただいま申し上げました考慮は払えなかった。従って法案が通過いたしますれば、それに基いて政府としては予算処置は別に考えるということでございまして、これは私の申し上げたことで御了承願いたい。
○芳賀委員 そういうことでなくて、委員会に対する大幅な経費の削減を行なって、法案の改正をして、今度は町村の委員が三倍ぐらいにふえるでしょう。大体一委員会が五十人ぐらいの委員になるのですよ。そうするとこの委員の費用等の支弁は、地方公共団体がこれを負担せよということになっておる。政府がその支出を極端に削減して、何のためにふやすかわからぬような委員を大幅に増加して、その経費は全面的に貧弱な町村財政の方から出せということでは、これは全くつじつまが合わないと思う。しかも今度の委員会の内容を見ると、実質的に働く常任委員たるものは、今までの委員の数と大体同等なんですよ。それ以外の増員された委員というものは全くたな上げされて、一年に一回くらい総会に出席するかどうかわからぬというこれは形式的な委員なんです。全く実のない委員をよけいふやして、実質的には今までと同じような常任委員制でやっていくというようなところに根本的な矛盾がある。どうして委員に平等の権限と資格と行動の責任を与えて活動できるような委員会を作らぬかというところにまず一つの問題点があると思うのですが、その点はどういうように考えているのですか。
○河野国務大臣 農村の団体が、またその委員とか議員とかいうものの実費弁償は必要でございますけれども、当然予算の裏づけがなければ活動ができないだろうというような気持でなしに、自分たちの作った団体であるから、自分たちでやっていくのだ。必要なる職員とか事務費というものは政府もこれに協力しようという建前が本来の姿だろうと思うのであります。それを、終戦後事情も不安定であるし、また活動の意思の乏しいときには、これを十分に刺激するように、または経費としても十分に考えなければいけなかったと思いますが、これからの農村のあり方としては、新農村建設の場合におきましても自主的な農村の意欲というものを刺激していくという建前等からいたしましても、団体等について委員の数がふえたから予算をふやさなければならぬ。委員になるには月給がつきものだという考えよりも、むしろ農村のために非常な意欲を持って、そうして農村のために協力しようという意欲も私は相当にあるだろうと思うのであります。ただしかし理想だけ述べても仕方がありませんから、予算の面においてもわれわれの方としては考えるだけのことは考えなければなりませんが、農民自身におかれましても自分で作る団体、自分でやっていく団体というようなことを考えてもらいたい。農地の事務のようなものにつきましては、これはまた別でございますから、事務費等はつけていくというような考えでいってほしいものだと思っておるのでございます。さればといって予算はどんどん削っちゃってよろしいということは、また一方において考えませんけれども、今芳賀委員のお話の通り、委員の数がふえた、それはまたどうしなければならぬということだけで割り切っていくのはどうかというふうな気持がいたすわけであります。
○芳賀委員 農林大臣は、今の農業委員会というものを知らないのですか。繰り返し繰り返し自分の作る農業団体ということを言われておるけれども、当初に農林大臣は、現在の農業委員会なるものを今後農業団体として育成する考えでこの委員会法の改正をやるかどうかということに対して、あなたはそうでないということを言っておるのです。性格的にそうでないと認めながら、自分の作る農業団体であるから、自分の作った団体に対しては云々ということでありますが、今の農業委員会というものと全く性格の異なったものが出てこなければならないのですよ。しかしこの法案の改正の中においても性格というものが本質的に変っていないでしょう。たとえば農地の問題等にしても、これは国の行うところの行政行為を町村の委員会が一部行なっておるわけなんです。自主的に、自然発生的にできた農業団体と全く違うわけなんですよ。そういう場合に実務に携わることのできないような常任委員以外の大勢の委員をただ作るだけ作っておいて、これが何ら具体的な活動ができないような仕組みの中に置かれておるというところに非常に問題があると思うわけなんです。人数が足りないのであれば、町村合併の実情に即して町村の委員の数を適当に勘案するという方法もあると思うのですよ。ですからこういう機構上の問題においても決して全く改善ということにならないわけなんです。こういう法案が出たということに対しては、農林大臣自身はおそらくきょうまで知らなかったと思うのです。ですから大臣自身もやはり全面的な検討をする必要があると思うのですが、いかがですか。
○河野国務大臣 だいぶひどい御意見でございましたが、私は芳賀さんのおっしゃることにも矛盾があると思うのです。従来の農業委員会のあり方では足りない点がある。今までは農地の事務も非常に多かった。またそれが一番大事なことだ。それをやらした。それも一つの仕事ですが、そのほかにもまだやることもあるだろう、やりたいこともあるだろうというようなこともないわけはないし、またその仕事自身についても先ほど申し上げましたように、今まで農業委員会でやってきたことはもう一切手をつけちゃいけないのだ。あれはあれで、ああいうやり方でいくのだということばかりにきめておかなければならぬ理屈も私はないと思うのです。ですから、農村の事情も変って参りましたし、それから町村の合併等もできましたし、事務も従来よりもその地域だけで考えれば減ったこともありますししましたり、いろいろな変遷もございますから、その変遷に即応するように第一に考えていかなければならぬだろうし、また農民自身の考えも終戦以来十数年にして相当に変ってきておるということもありますから、それらの問題に適応するように農民自身としての考えもありましょうし、その連絡強化その他やることもあろう、そういう希望もありますから、それをすべての方面からの御意見を総合して、そうしてこういうふうなものでいくのが一番よかろうということでこの案を提出した、こういうことで御了承を願いたいと思います。
○芳賀委員 ではあらためてお尋ねしますが、この改正によって町村の委員会は新たな仕事を何かやれるのですか、何もやれないでしょう。やりたいことをやらせるなんて何も書いてないじゃないですか。どの点をやらせるのです。
○河野国務大臣 この提出をしております法案をお読みいただけばずっと書いてあります。
○芳賀委員 そんな答弁を聞いているんじゃないです。新たに、有機的に何をやれるかということなんですよ。それは何カ条かの事項は掲げてあるけれども、実際これが改正された後における農業委員会が、果して現在までやった仕事以外に何をやれるのです。
○河野国務大臣 何をやれるか何をやるのかとおっしゃいますけれども、法案を提出する以上、法案にいろいろ記載してございます。これらの仕事を、その地方の実情に沿って、その委員会が取り上げてやろうと思うものをやる。その地方の農業委員会なり町村の委員会なりその既存の団体が十分に活動しているところは仕事の量の少いところもありましょうし、また十分な活動のなかったところで、それらの点について足りなかった面があるというところはやれるでございましょう。農業団体の今までやっていました仕事の中で全部十分にいっておる、これで一切よろしいのだということならそういう意見も起ってくることが少いと私は思うのです。しかし必ずしも今の日本全体をながめてみましたときに、そうばかりは言いにくい点があるということ等々から、こういう問題が起ってくる、必要性も生まれてくる、こういうふうに考えて事おります。
○芳賀委員 大臣は読んでみればわかるというが、あなたは見ていないのですよ。見てごらんなさい。それを読んでみて、この点が今まで農業委員会のやれなかったことを実質的に事業としてやれるのだということを指定しなさい。私は十分見ておりますよ。あなたは見ておらないから、何がやれるのだか自信を持って言えないのです。どの点が法の改正によって、新たに農業委員会はこれこれの事業がやれるから改正しなければならぬということを、自信を持って説明しなさい。
○河野国務大臣 今申し上げましたように、全国地方の実情によって、そのまた従来の団体のあり方によって違うと申し上げておるのです。でありますからここで指摘いたしましてもそれが全国的に通用するものもあれば通用しないものもあるという要望があるわけです。その要望にこたえて私はやっておる、こういうわけであります。
○芳賀委員 そうじゃないのですよ。新たにいろいろなことをやらせるとかやれるとかいうことを言っておるから、ではどういう点をあなたがやれるかということを尋ねておるわけです。そういうことを従来あなたがいっている適地適産とか新農村建設とかいろいろあるでしょう、そういうものと結びつけた場合においても何がやれるかということを、一つでも二つでもいいから具体的な事例を示して答弁の衝に当るのがあなたの役目じゃないですか。
○河野国務大臣 答弁に当るのがあなたの役目、それはその通りです。しかし私が全部何でもかんでもわかっておるわけじゃありません。それはそれぞれの分に応じてわかっておるわけでありますから、それぞれの分に応じて答えさせますが、今のお尋ねにつきましてはあなたも御承知の通り、わが国の農村の事情も非常な急角度で変遷しております。たとえば一例をあげて申しますれば、養蚕の従来の角度が今日は蔬菜園芸に置きかえられております。こういう新しい事実が農村に生まれておるわけであります。従いまして従来の団体でやっておったもの、やろうとしてもそれが急には困難なものまたはその地方の実情に応じてそういう方向に急激な意欲を持っておるもの等々の場合がありますから、それらのものについてそれが育成強化されて、従来の団体が扱う方がいいことになってくる場合もありましょうし、もしくは指導等についても従来の団体でやる場合がいい場合もあるでありましょうし、それは地方の実情に応じて、地方の人によってやらせていくということが妥当であろう、こう思っておるのです。
○芳賀委員 ですから大臣の言われるような構想をこの委員会法の改正に当てはめる場合には、こういう改正ではだめなんですよ。ところがあなたのいわゆる河野農政の構想なるものと違った改正法律案というものが出ているからして、あなたの方で頭がこんがらがっているわけです。だから団体再編成の方にこれを持っていくとすれば、もう少し形の違った法律の改正をやらなければいかぬ。その点があなた自身整理されていないわけなんです。ですから今の段階において大臣が今言われたような日本農政の諸情勢のもとにおいて、このような法律の改正を行う必要は全くないんじゃないか。もう一年たっておるのですからして、そういうことがお考えになれるかどうかということを私は老婆心ながら尋ねておるわけなんです。
○河野国務大臣 それは先ほど来申し上げました通り、私は私で考えていることはあります。しかしそこまでいくにはやはり段階があります。またそこまで遂にいかないかもしれません。しかしこれは実情に応じてもしくはあなた方の非常な英知の結集によって、実情によってものは進んでいくと思います。従って今ここに出されておる案につきましても私どもとしましては、われわれの与党の議員諸君の御意見も十分拝聴して、それらの実情を総合してこの段階が今日の状態においては一番適当であろうということで提案しております。でございますからこれは今あなたの御指摘の通り、お前の考えておることと違うじゃないか、私の考えておるそのものずばりをやるわけにはいかぬ場合があります。これは議会政治である以上は仕方がないと思っております。ですから私は多数の同僚諸君の御意見を総合してここにこの提案をいたしております、こう申し上げておるのであります。
○芳賀委員 これは政府提案の案です。内閣提出にかかる法案でありますからあなたの考えをこの中に全然反映できないような法律を持ち出す必要はないじゃないですか。与党の諸君といえども、前国会においてはこれを真剣に審議して成立させなければならぬというような、そういう熱意を持った者は一人もなかったわけであります。今回の場合は早晩鳩山内閣が退陣して、おそらく河野農林大臣もそれ以上の地位を占めるんじゃないか、そういうので一応今までの問題の整理という意味において、今国会においてこれを何とか審議しなければならぬだろうというような、お義理で今法案の審議に当っているような状態なんです。ですからこれを大臣が答弁されるような、皆さんにおまかせするとか私の構想が十分盛られておらぬというようなことであれば、その考えが当委員会に明確になればわれわれはまたそのような判断の上に立って、今後の法案の審議に当りたいと考えまして、それで当初に農林大臣の所見のほどを確かめておるわけであります。これは非常に大事な点ですから、河野農林大臣の考えと団体再編成の問題と、これが無縁のものであるかどうか、この点だけは明確にしてもらう必要があると思います。
○河野国務大臣 だんだん申し上げます通りに、現在の農業委員会の制度は、これは現行のままではもう妥当でない、これをどういう方向にか改正をする必要があるということが第一点であります。それから地方農村の実情が非常に変遷がある。これに対処すべき方法として考えなければならぬということが第二点であります。私は私なりに先ほど申しましたような考えがありますけれども、それらの要素を総合して、御承知の通り政党内閣でございますから、社会党内閣になりましても、芳賀さんが農林大臣におなりになっても、芳賀さんのお考え通りにはいかぬ場合がある。これはやはり与党できめたものを代表責任者としては、それを推進して参るということは当然のことであります。従いまして私といたしましても、与党の議員諸君の意見を十分総合して、そこで全国各地の要望にこたえて妥当な案を提出しておる、こういうことでありますから御了承願いたいと思います。
○芳賀委員 それではこれを法律上の角度から見て、全国と都道府県と町村と三段階に委員会の機構があるわけですが、この各段階における人格を大臣はどういうふうに考えておられますか。
○河野国務大臣 政府委員から答えさせます。
○芳賀委員 これは大臣から答弁してもらいたい。
○河野国務大臣 政府委員の方が私より明確ですから……。
○渡部政府委員 御承知のように、市町村段階におきましては、政府案では部落民が推薦したものから市町村長が任命した農業委員をもって組織する農業委員会であります。従いまして先ほど大臣がお答えになりましたように、いわゆる法人格を持った団体というところにはいかないのであります。その内容も従来の法律では、農業委員会が行政的に処理する農地事務のほかに、農業振興計画であるとか農業技術改良等について市町村長の諮問に応じて答申する、あるいは建議をする、こういうことになっておったのを、今度はそういう事務をこの委員会が推進するということになりまして、もう少し積極的に活動ができるようになっておるのであります。都道府県及び国におきましては、それぞれ、都道府県は農業委員会の会長なりあるいは農業団体の代表者あるいは学識経験者をもって組織する法人になっております。全国では都道府県の農業会議及びそのほかの農業団体をもって組織する全国農業会議所という法人格を与えておるのであります。
○芳賀委員 ただいま経済局長が言った通り、委員会の人格はそういうことになっております。それで結局、大臣もお気づきになったと思いますが、町村段階の委員会が法人でないのです。会員を持っていないのですね。だからこれを何とかしなければ、今までのような改正案では、河野さんの考えと違って団体再編成の実が上らないのです。ですからこの点に対しては、きょうは時間の関係で十分の質問ができませんけれども、次期委員会まで宿題として残しておきます。 次にお尋ねしたいのは、二十日に政府は提案理由の説明を再び参議院の農林水産委員会で行なっておる。その提案理由の説明の中に、いろいろと説明をしたあと、「しかしながら本法律案が前国会において継続審議になりました関係上、この法律の施行の時期は所要の準備のため若干延ばす必要があると考えている次第であります。」こういう提案理由の説明が行われておる。この点は前国会における提案理由の説明と違うわけなんです。この法律案は前国会からの継続審議に付されているわけですね。そういたしますと、今審議しておる法律案の内容にも一つの変化を与えるようなことを提案理由の説明の中でうたっているのですよ。法律の附則の中でも、施行期日をいつからするということが明確になっているじゃないですか。それを提案理由の説明の中で、この法律を否定するがごとき説明を政府が発言しておるわけです。これは私は非常に重大な問題であるというふうに聞いておるのです。この点に対しては政府の明確な態度の表明が必要だと思う。これはぜひ農林大臣からお答え願います。
○河野国務大臣 それは芳賀さんのおっしゃられることですが、前国会で通過すれば一月一日から実施する、これが成立の時期が非常におくれましたから、従ってそれだけずれていくというようなこともございましょうし、急ぐにいたしましても先ほど申しました通りに、予算措置その他必要なものもまた起ってくるだろうというようなことを考えますれば、やはりこれはある程度その処置がずれるということはやむを得ぬことじゃないかと私は考えます。
○芳賀委員 これは継続審議になったということは、政府、提案者の意思において継続審議になったのではないのです。ですから、もしこの法案が審議が済んで要件がととのって成立する場合においては、所要な修正とかそういうものは当然それに付随して起る問題なんです。提案者が勝手に、この法律案は施行の時期が若干ずれるかもしれぬということを何もあらためて言う必要はないじゃないですか。それでは具体的に、これはいつからやる考えなのですか。
○河野国務大臣 ただいま私が申し上げた通りでありまして、継続審議になっておりますが、継続審議と申しましてもいつ臨時国会が開かれ、これがいつ成案を見るかということの予定はつきにくいわけであります。従いまして審議の過程におきまして、これが施行期日をいつにするかということにつきましては、なおよく考えまして、委員各位とも十分御相談申し上げまして、政府の方といたしましても施行期日までの準備について所要の手続、期間等については十分御説明申し上げまして、適当に是正する必要があるだろうということを参議院ではあらかじめ申し上げた、こういうことでございます。
○芳賀委員 法律の提案理由の説明を行う場合は、これは両院を通じて共通した提案者の説明とか態度が必ず必要だと思うのです。衆議院の当委員会においては何らそういう意思表示をやっておらぬで参議院の委員会だけやって、この法律は施行時期がずれるということをあえて言っておられる。現在法律を先議しておる、取り扱っておる委員会に対して何ら政府はそのような意思表示を行なっていないじゃありませんか。そういうずさんな態度で早くこの法案を審議して通してもらいたいというのは、これは全くけしからぬと思うのです。もし提案理由が変るとすればもう一回この法律を取り下げて出し直すなら出し直すとか、提案理由をやり直すならやり直すという態度をぜひきめてもらう必要がある。
○河野国務大臣 参議院におきましては、事前審査の場合にそういうふうなことを御説明申し上げたのでありまして、いずれ参議院に対する提案理由の説明は当委員会において法案が成立いたしました上で、その成立した法案について参議院に正式に説明に参るわけでございますから、その際もこの法案が成立するまでの過程におきましては、ただいま申し上げました通りこの法案の施行については、いずれ十分御審議、御相談願った上で妥当なところに修正していただくなりもしくは政府の方としてこれを是正するなりいたすべきだと思います。そうして、その成立いたしました法案についてあらためて参議院に説明をいたすということが提案理由の説明でございます。今いたしましたのは、便宜慣行によりまする事前審査の形式でいたしたのでございますから、その点はさよう御了承願いたいと思います。
○芳賀委員 それは間違いじゃないですか。
○村松委員長 芳賀君、十二時五分前に休憩に入りますから、どうかそのおつもりで願います。なお石田君の通告がありますから……。
○芳賀委員 これは正式に参議院の農林水産委員会においてこの法案を議題に供して政府が提案理由の説明を行なったのです、そうでしょう。もう一回またいってやるのですか、正式なやつを。
○河野国務大臣 それはそうです。
○芳賀委員 二度やるのですか。
○河野国務大臣 そうです。提案理由の説明はまたやります。
○芳賀委員 その必要はないじゃないですか。施行の時期は延びますということを何もことさら言う必要はないじゃないですか。(「形だ」と呼ぶ者あり)形でも何でもありませんよ。そういうあいまいな態度ではけしからぬですよ。 〔「やり直し」と呼ぶ者あり〕
○村松委員長 石田宥全君に発言を許しますよ。
○芳賀委員 それではきょうの私の農林大臣に対する質問は、時間の関係上本日は留保します。
○村松委員長 石田宥全君。
○石田(宥)委員 今度の改正案の趣旨、目的の点で先ほど来中村委員、芳賀委員の質疑に対して、はなはだ明瞭を欠くのみならず、大臣の言明の中に、わが国の農業事情が急激な変化を来たしておる、そういう事情にかんがみて云々ということ、さらにまた、私には私なりの考えがあるんだということを言っておられる。私はその含みのある言葉の中に、われわれが最もおそれている問題が含まれておるんじゃないかということを心配するのです。と申しますのは、農業委員会というものは元来農地改革に伴いまして農地委員会というものができ、農地委員会というものは農地法の適正な運営のために階層別選挙が行われて参ったのであります。その後これが農業委員会法というものになりまして、農地改革の成果が著しく阻害をされておる現状にあるわけであります。一面においては、予算の削減から来る事情からいたしまして、各地方において農地法の四条、五条あるいは二十条の違反事件が続出をしておるにもかかわらず、これが適正な処理がなされておらない。なぜなされておらないかというと、それは予算の面もあるが、やはり日本の農業事情の変化、すなわち最近の旧地主の結束の問題、解放農地国家補償連盟あるいは促進協議会、あるいは農業再建協同組合というような団体ができて参っておるのであります。こういうふうな団体ができて参っておりまして、その主張は明らかに今の農地法を廃止しあるいは改悪しようというはっきりした目標を掲げて進んでおるわけでありますが、今の農業委員会でさえも十分この農地法の厳正な適用が行われていない状態のもとにおいて、もしこれが選挙によらないところの町村の農業委員会になりまして部落推薦ということになれば、日本の現在の農村部落の実情からいたしまして、当然旧地主の人たちが出て参ることは必至な情勢であります。そうなりますと、今の地主団体の主張のために、現にやはりそういう人の支配しておる農業委員会は、先ほど申しましたような四条、五条、二十条、二十一条の適用が厳正に行われていないのです。それを多少革新的な農業委員会がかろうじてこれをささえておるという状況なんです。そういたしますと、今度の改正案というものは大臣の含みのある言葉の裏には、解放農地国家補償連盟というあの地主団体の反当十万円補償要求の運動というものについては、特に大臣言明されたように、この法案を出すにも政党政治であるから政党の責任だ、こうおっしゃる。そうすると自民党の中には解放農地国家補償連盟の十万円の補償金を支払うのは妥当であると主張しておる人たちが現にあるのです。そうするとここに私は非常に大きな問題が伏在しておると思うのであります。そこで私は根本的に今度の改正というものは、そのような地主の要求であるまず第一に十万円の補償金の要求というものに対する大臣の所信、同時にそれに関連する三つの、今全国でほぼ三つに分れておると思うのでありますが、地主団体の主張しておるところの農地法を廃止し、あるいはまた改悪をする最も重要な点については、大臣も御承知の通り保有面積のワクをはずす、不在地主を認める、あるいはまた現物小作料を取れるようにする、あるいはまた旧民法に従って所有権の絶対性を認めて地主が自作をするという場合には無条件に土地を取り上げすることができるというような改悪をねらっておるわけでありますが、そういう運動に拍車をかけようとする意図のもとにこの法案の改正をされようとしておるのではないかということを、今全国の農民諸君は非常に心配をしておる。私はこの機会に私が申し述べた項目について大臣の所信を明らかにしてもらいたいと思うのです。
○河野国務大臣 ちょうどいい機会ですから、私も一つ明確に申し上げます。御指摘になりました点は、第一、この法案の改正とは全然関係がございませんということをはっきりいたしておきます。旧地主の運動であるとか、そういった一連の人たちの要望というものは、この団体の改正案とは全然関係がございません。さらに私自身が考えております考えの中にも、そういう意図は全然私は持っておりません。これも明確にしておきます。 次に、旧地主の方々が運動しておられます運動が農村本来の問題とこれもからみ合せて考うべき問題ではない。農業政策として考えるべき問題ではない。この運動は、社会政策と申しますか、一つの別の角度から論じられることであって、農業政策それ自身とは関係して考えたくないということも、私ははっきり申し上げておきます。 次に、いろいろ旧地主、現在の農村の実情、小作地等の問題についてお話がありましたが、農地法を改悪するというようなことは、私は全く意図いたしておりませんし、将来におきましても、そういう考えは私は持ちません。ただしいて申せば、将来わが国の生産を増強いたす上におきまして、全体の農民諸君が要望せられる場合においてのみ、現在の農地法を改正する場合には、これは考慮することがあっていいのではなかろうか、さらに改善する必要がある場合には、現在の農地法が絶対のものであって、一切これに手をつけてはならぬものであるということにばかりとらわれるわけにはいかなかろうということは、私は含みを置いていいのではないか、こう考えております。また一連の人たちが云々ということをおっしゃいますけれども、私は全国各地の農村の事情を勘案いたしますのに、一部にそういうものがあるからといって、他の公正に、比較的善良に運営指導されております農業委員会、その他地方の実情を、これら一地区の問題を非常に神経過敏に考えて、そういう感覚で他の方面に対して指導することは、あまり実情に適さぬ場合もあるのではなかろうかということも、多少は懸念いたします。しかし総じて申します場合に、現在の農地法を緩和するとか、さらにこれを改悪して、一連の従来の地主の諸君が言われるような方向に行くということは、時代の逆行である、これはとるべきことでないということに、私は全然同感であります。どうかそういう意味合いで御了承願います。
○石田(宥)委員 今農地法の改正についても、全体の農民が要望する場合と、こう言われるのですが、私はそこに問題があると思うのです。というのは、農業委員会というものは全体の農民の意思の代表機関だ、こういうことに考えられやすいんです。そうなりますと、さっき申し上げたように、選挙によらないで選ばれたところの委員というものが、果して全体の農民の意思を代表し得るかどうか、疑いなきを得ないのであって、私は問題はそこにあると思う。われわれがこの法案に対して疑いを持つのもそこにある。従ってでき得べくんば、これはやはり農地法を中心とする建前からいえば、階層別の選挙によるべきであると考えるのでありますが、少くとも全農民の選挙によるにあらざれば、農業委員会の公正な運営は不可能である、こう考えている。大臣はその点がおわかりになるならば、選挙によらないところのこの改正案というものについて明確にその意思表示を願って、選挙によってやってもいいんだ、こういうことになれば、われわれもまた考え直す余地があるのですが、どうなんです。
○河野国務大臣 私は全体の農民という場合に、推薦制によって出てきた農業委員が全体の農民代表になるということは考えておりません。そういうことで全体の農民という言葉は、私は使いたくありません。従いまして、今の農地法の改正とかいうような問題が、ただ単に新らしく選ばれる委員であるとか、それらの者の意思だけで、それが全体の農民の意思を代表しておるというように見るわけにはいかなかろう、そういうことで御了承願います。第二に選挙の問題でありますが、これは先ほど中村委員にお答えいたしました通り、私は選挙でやることが一番いいと思います。しかし地方の実情等によって、段階を経ていく場合もあるでございましょうが、それは委員諸君と十分御相談の上、しかるべき方法をとっていいのじゃなかろうか、決して私は政府が提案いたしましたものでなければ絶対いかぬのだというような、かた苦しい考えではないのでございまして、選挙の方法というものが地方の実情に沿うだろう、こういうように大多数の方々がお考えになれば、決してそれに反対するものではございません。ただ改正に漸を追うていくのがよかろうというような御意見もだいぶ多うございましたから、そこで私も漸を追うていこうじゃないかということに賛成いたしたわけでございまして、これがさらに理想的に選挙によってやることがよかろうということに、各地方を代表しておられます皆さん方、委員諸君の御意見がそういうことになれば、私もそれに一向反対すべき何ものも持たないのでございまして、賛成するにやぶさかではございません。
○石田(宥)委員 時間の都合もありますので、きょうはこの程度にしまして、あとでまた継続してやることにいたします。
○村松委員長 暫時休憩いたします。 午前十一時五十二分休憩 ————◇————— 〔休憩後は開会に至らなかった〕