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25回国会衆議院1956/11/26

日ソ共同宣言等特別委員会 第8号

発言数
178
登壇者
15
会派数
2
開催日
1956/11/26

会議録

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 これより会議を開きます。  日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との共同宣言の批准について承認を求めるの件外三件を一括議題といたします。これより質疑を許します。大西正道君。

大西正道日本社会党

○大西委員 この前残っておりましたので、ちょっと二、三お伺いします。  これは、きのう、おととい穗積委員の方からも再三聞かれているように私は新聞で見たのでありまするが、万一択捉、国後を放棄した、その取りきめを日ソ間で最終的にやったというような場合には、サンフランシスコ条約関係の国々にはこれは了解を求める必要はあるけれども、最終的な日ソ間の取りきめの決定については、とやかくいうべき筋合いのものではない、こういうふうな趣旨であったように思うんですが、この点で総理大臣並びに外務大臣の答弁が、非常に、ときによってどうとでもとれるような印象がありまするので、この点をもう一回はっきりとしていただきたいのです。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 今お話の通りでございます。日ソ間には何らまだ条約関係がないのでありますから、日ソ間においてこれは条約できめ得る問題であります。

大西正道日本社会党

○大西委員 そこでそのサンフランシスコ条約関係の了解を得るということは、それでは絶対条件ではないと、こういうことでよろしいのですね。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 それでよろしいと思います。サンフランシスコ条約によって利害関係を持っておる国との間には、それについて必要な了解を求める手段をとりたいと思っております。またとる必要があると思っています。

大西正道日本社会党

○大西委員 その通りであるとおっしゃるのが、私の申し上げておるのとやはり違うのであります。了解を取りつける必要があるとおっしゃいますが、もし了解を与えなかったという場合には、それでは日ソ間の取りきめというものがやはり御破算になるのですか。そこのところをはっきりとお聞きしたいと思う。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 それは国際間の普通の関係になります。これは国内法じゃないのでありますから、国際間で問題が起りましょう。それが起るならば、その問題は続いて起るわけであります。しかも、それは国際間の利害関係国との間において、話し合いによって了解に達することになる、こう思います。

大西正道日本社会党

○大西委員 そこのところですよ。米ソの利害関係がそう簡単に一致しないと私は思うのであります。わが国の方も択捉、国後は固有の領土であると言っておるし、米国の方も、これはわが国が条約で放棄した千島の一部ではないというような見解をとっておるのであります。そういう状況において、なかなか米ソ間の見解が一致するということは、むずかしい場合が容易に想定されると思うのです。それでは、日ソ間で択捉、国後を日本が放棄して、そうして最終の決定をしたというときに、米国に対してこれについて了解を求めると言われるのですけれども、万が一その了解に納得しなかった場合には、最終的にはどうなるのか、こういうことをお聞きしているのです。もちろん、ソ連に対して了解を求めるだけの努力をせられると言われることは当然でありますけれども、法律的には、二つが対立した場合には、日ソ間で最終的な決定をして、それでよろしいかということです。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 その点は私が繰り返し繰り返し申し上げる通りに、国際間の問題になるわけであります。あるいは両方の話し合いによって、その法律的の解決を司法裁判所に訴えることになるかもしれない。それでも合意ができなければ、合意ができないままに進むわけであります。しかし、それは国際間の普通の法理関係で、あくまでもこれは了解を求めるように努力するというのが、実際の政治問題であります。

大西正道日本社会党

○大西委員 どうも私は納得ができませんけれども、これはこれ以上追及しないことにいたします。  それからもう一つ、これも私はこの前に鳩山総理大臣にお伺いいたしたのでありますけれども、今回の日ソ間の国交回復ということに見合って、日米間の関係を是正する必要があるのではないか、こういうことであります。この点については、具体的には日米安保条約、行政協定の改訂の問題でありますけれども、総理大臣の答弁では、自衛力を放棄する考えはないから、安保条約の改訂は何ら必要はない、こういうお考えでありましたが、一方総理は、領土問題の最終的な解決は、国際緊張の緩和のときである、こういうことを言っておるのであります。この点は外務大臣も同感であると思うのです。そこで、国際緊張の緩和ということを、ただ座して待っているのではなくして、やはり日米安保条約が、国際緊張を来たしている原因の一つであるというようにも考えられるのです。もちろん、中ソの同盟条約もその一つであるかもしれません。しかし、少くとも座して国際情勢、米ソ間の関係がよくなるのを待つのではなしに、みずから進んで日本が安保条約を改正していくということが、国際緊張の緩和ということにも役立つことであるし、かつまた、そのことが領土の返還ということにも大きく影響するのでありますから、この点について、ただ日米関係はそのままで何ら考えていないというのじゃなしに、団際緊張の緩和、領土の返還を強く願うならば、やはりみずから進んで、この不平等な、主権を大きく制限しているところの日米安保条約というものについて、何らかの検討を加えるべきではないかということでありますが、この点について宝光外務大臣から誠意ある回答をお聞きしたいのです。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 その点は従来繰り返し総理及び私からお答えした通りであります。国際緊張の緩和は、あらゆる方面から努力しなければなりません。国際緊張の緩和があれば、将来いろいろな問題の解決ができると思います。領土の問題もその一つである。そこで、国際緊張の緩和をするために、日ソ交渉も始めたのである、こう申しておるわけであります。安保条約の問題が起りますが、安保条約も、国際緊張が緩和した場合には、将来はこれを改訂するような時期はくるだろうと私は申し上げた。しかし総理大臣の説明通り、今日はその時期ではない。こう言って説明しておるわけであります。

大西正道日本社会党

○大西委員 これも全然考え方が違うのでありまして、これ以上答弁を求めても仕方がありませんけれども、考え方が全然違うと私は思うのであります。国際緊張の緩和、米ソ間の関係をよくするということに対して、日本が果すべき役割というものは十分あると思う。だから、それの具体的なものが、日米安保条約の改訂の問題だと私は思うのですが、それに触れないで、何か国際情勢の緩和が自然にやってくる、そのときになってから考えましょうということでは、結局百年河清を待つようなものではないかと思うのです。しかし、これはもうはっきりと考え方が違っておるのでありますから、これ以上申し上げません。  それから、小さいことでありますが、二、三お伺いしたいのであります。それは国連加盟の問題です。たびたびこれもお答えになっておるのですけれども、やはりお伺いしたいのは、ソ連の態度です。これは単独で、無条件で日本の加盟に賛成する、こういうふうなことがはっきりしておるのでありますか、どうでありますか。これをもう一回お伺いします。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 これもたびたびお答えした通りでございます。これはもう、いわゆるひもつきと申しますか、ほかの条件なしに、今度は加入にソ連も賛成してくれる、こう考えております。

大西正道日本社会党

○大西委員 その言葉をそのまま信じて、私はこの国連の総会で日本が円満に加盟できることを期待しておりますが、万が一、ソ連が抱き合せの提案をしたというようなことがあったとすれば、その場合はこれはソ連の不信行為である、こういうふうに考えてよろしいですか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 そういうようなことは起らないと考えております。

大西正道日本社会党

○大西委員 それからもう一つ、ソ連の場合はそれでよろしいのでありますが、国府の問題であります。これは前に委員がお伺いになったようでありますが、私からもう一回お伺いします。国府の日本加盟に対する無条件の支持は得られておるのでありますか。いろいろと交渉をし、了解を得ておるというふうに私は承わっておりますが、その点を明らかにしていただきたい。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 国府というのは台湾政府ですね。台湾の国府からも故障は起らない見込みでございます。

大西正道日本社会党

○大西委員 私はいろいろな場合を想定しますと、そう無条件にオーケーという返事がきたものではないように思うのです。かなりいろいろな政治折衝がなされ、あるいはいろいろな条件が出されて、そしてその上で、今おっしゃるように支持の約束が得られたのではないかと思うのでありますが、その点あらためてお伺いいたしますけれども、何ら向うからは条件らしきもの、あるいは政治折衝の過程において、何か理由づけというようなものがなかったでありましょうか。この点も安心するために、一つお聞きしておきたいのです。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 今申し上げた通りでございます。

大西正道日本社会党

○大西委員 そういたしますと、この間のある新聞に、中共を承認しないというようなこと、あるいはまた、あくまでも国府を支持するのだというような条件が出されたか、そういう政治的な折衝がなされた結果、日本の支持を国府は約束したのであるという報道がございましたが、これは間違いでありましょうか。単なる憶測にすぎないのでありましようか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 何も条件は相互にございません。

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 参議院本会議に外務大臣出席のため、退席されますので、参議院本会議散会後再開することといたし、暫時休憩いたします。    午前十時五十二分休憩      ————◇—————    午前十一時四十四分開議

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際お諮りいたします。理事床次徳二君より理事を辞任いたしたい旨の申し出がありますので、これを許可し、その補欠選任は、先例によりまして委員長において御指名することに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 御異議なしと認めます。御異議がなければ、床次君の理事辞任を許可いたし、その補欠として、委員長は櫻内義雄君を理事に御指名いたします。     —————————————

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 これより質疑を継続いたします。  鈴木善幸君。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 私は主として漁業条約につきまして、鳩山総理、外務大臣並びに河野農林大臣に対しましてお尋ねをいたしたいと存じます。  まず河野農林大臣に対してお尋ねをいたしたいと思いますが、日ソ漁業条約は、条約の前文にも、自由かつ平等の基礎の上に結ばれるものである、こううたわれておるのであります。しかしながら、どうも交渉の経過を見ておりますると、初めからソ連のサケ、マス漁獲制限に関する三月二十一日のソ連閣僚会議の法蔵という事実、この圧力と影響のもとに、大きな不満を持ちながら、調印を余儀なくされたような印象を受けるのでありますが、農林大臣はどういう工合にお考えになっておられますか。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 今回の日ソ漁業条約は、ただいま御朗読になりました通り、前文に規定しております通り、平等の立場に立って検討を加えまして、両国の利益のために、この条約を締結することが妥当であるという立場をとっておるわけでございます。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 それでは、ブルガーニン・ラインの設定、及びこれに関するところのソ連閣僚会議の決議に対しまして政府の御所見を伺いたいと存じます。これは農林大臣と外務大臣と両方からお伺いしたい。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 ソ連の閣僚会議の決定については、審議はいたしましたけれども、これはむろん認めたわけじゃございません。日本はソ連のきめた漁業の線等については抗議をして、十分保留して、相互的に話し合いを進めたわけでございます。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 外務大臣の申した通りであります。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 河野農林大臣は漁業代表として訪ソなされました際に、条約のほかに、今年度の北洋サケ、マス漁業の操業につきまして、ソ連代表のイシコフ漁業大臣との間に暫定取りきめをなさって帰られて、それによって、今年度の出漁が円満に遂行ができたわけでありますが、暫定取りきめにおきましては、どういうことをお取りきめになってこられましたか、その点をお伺いいたしたい。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 先方と始終会談いたしました結果、今年度の漁獲量につきまして、先方は、御承知の通り、五万トンが適当であると言いましたけれども、こちらからも案を出しまして談合いたしました結果、六万五千トンをとることが適当だろうということに取りきめした次第であります。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 ただいまの農林大臣のお話になった、五万トンを六万五千トンにふやすようなお話し合いができたというほかに、ブルガーニン・ラインの中におきまして操業いたします場合には、ソ連の政府機関が発給いたしまする許可証を日本漁船に持たせるとか、あるいはその他ソ連閣僚会議の決定に基きまするサケ・マス漁獲制限のいろんな取りきめ、規定がございますが、その線に沿うて取り進める、こういうようなお話し合いもなさってお帰りになりましたか。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 御承知の通り、日ソ両国の間には今回戦争状態終結の宣言をし、国交の正常化をいたそうということにしておるのでございますが、なお本年の漁期等におきましては、両国間にそういう状態がございませんでしたので、これは普通の場合と少々事情が違うというふうに考えまして、両国話し合いの上で、漁業条約発効前の暫定措置として、漁族の保存、その他の点を勘案いたしまして、話し合ってきめたわけでございます。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 そういたしますと、政府がその後チフヴィンスキー氏をソ連の漁業代表として迎えまして、ソ連の政府機関の許可証を発給する仕事にこちらも協力いたしまして、それらの発給を受けるとか、そういうこともあらかじめ御相談になってお帰りになっておりますか、その点念のために……。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 御承知の通り、基本的にわが方の出漁を許可いたしてありまする独航船もしくは漁船に対して、ただいま申し上げました漁獲協定数量をそれぞれ割り当ていたしまして、そして日本政府が出しまする許可証について、何と申しますか、ソ連も同意をして、よろしいということで、裏づけをするという措置をとったということに御了承願います。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 これは事務的な点でございますから、水産庁長官にちょっとお尋ねをしておきたい。ただいま農林大臣からお話になりましたソ連政府機関の発給いたしました許可証は、サケ・マス漁業許可証、そして船名、トン数が書いてあり、制限条項と漁獲トン数が記載されておるようでありますが、その通りでありますか。

岡井正男水産庁長官

○岡井政府委員 その通りでございます。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 河野農林大臣に伺います。ただいまのようなソ連政府の発給する許可証を持たせるようなお約束は、口頭でなさっておりまするか、それとも何か文書になっておりますか。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 口頭でございます。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 今の、ソ連政府機関の発給する許可証等を持たせるというような暫定取りきめに基くところのソ連側の措置に対しまして、日本政府のおとりになりました措置は、先ほど申し上げましたように、ソ連政府漁業担当の代表の資格を持たれるチフヴィンスキー氏が日本に駐在されることを認めまして、同氏がソ連政府の許可証を発給する場合に、農林当局がその発給について交渉をし、かつ発給業務について協力をするという方式であったと思いますが、この点間違いございませんか。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 その通りでございます。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 それから、農林御当局は、またソ連政府発給の許可証が各漁船に渡されるまで、日本漁船がブルガーニン・ラインの中に入ってはならない、危険だから入ってはならないというような御指示をなさっておると思いますが、その点はいかがでありますか。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 その通りでございます。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 以上のような農林御当局がとられました御措置は、民間側がソ連政府の出先官憲と交渉をし、事務的取りきめをしたものとは全く意味が異なりまして、全く公的なものである、こう思ってよろしいのじゃないかと思いますが、その点……。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 今お答え申し上げました通り、右の措置は、日本政府の行政措置と心得ております。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 ただいままで河野農林大臣から政府のおとりになりました行政上の具体的な御措置につきまして、はっきり伺うことができたのでありますが、これに関連いたしまして、重光外務大臣、鳩山総理もお見えになりますれば、鳩山総理からもお伺いしたいと思うのであります。それは、ソ連側のブルガーニン・ラインの設定は、公海における漁業を一方的に制限するものでありまして、国際間の正当な合意のない限り、これは国際法上違法である、こう私ども確信をいたすのであります。しこうして、この公海の漁業制限を容認するということは、わが日本国民の権利に重大な制限を加えるものであり、同時にまた、国家の主権を制限するものであるというべきであると思うのでありますが、この点、外務大臣はどうお考えになりますか、御所見をお伺いいたします。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 公海においては、いずれの国も主権の及ばないところであります。従いまして、公海における漁業等につきましては、国家間で話し合いをしていろいろな取りきめをするということは、これは従来の慣例上そういうふうにできることでありますから、それに従ったわけであります。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 今私が申し上げましたように、これは関係国の合意があって初めてそういう規制措置がとれる、こういうことであれば、けっこうだと思うのでありますが、ある一国が一方的にこれを決定し、これを他の国に押しつけてくる、他の国の漁業者にこれを強制してくる、こういう場合は、これはどう考えましても国際法上違法ではないか。これを私どもは、国家の立場からいたしましても、国民の立場からいたしましても、主権と国民の権利が大きくこれによって制限を受ける立場に置かれるのではないか、こう感ずるわけでございますが、いかがでございますか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 今お答えした通りでございます。公海におきましては、互いに取りきめをして目的を達するということは、国際間の慣例でございますから、それによってやることができると思います。今回の漁業協定もその一例でございます。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 それでは、具体的に外務大臣にお伺いいたしたいのであります。先ほどの河野農林大臣の御答弁にもありましたように、暫定取りきめによりまして、公海上で操業する日本の漁船に対して、ソ連の発給する許可証を持たない場合には、ブルガーニンラインに入るとソ連公船の臨検拿捕の権限が行使される、こういうようなことに当時なっておったわけでありますが、これは法律上どういう性質の行為でございますか、この点をお伺いしたい。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 魚族保護等のために、公海における一定の区域に対する漁業について漁獲の量及び方法等について制限を加えるということは、当然これは合意によってできるわけでございます。その合意を、漁業の暫定協定で、話し合いでやったわけでございます。その中に入るためには、これが日本政府の許可を受けた漁船であるという、りっぱな証明書がなければわかりません。いろいろ検閲するとか、どういう船であるかということがわかりませんので、その話し合いをして、その証明書をちゃんと渡すということにいたしたわけでございますから、これは双方の合意によってできた便宜上の措置であるのでございます。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 農林大臣も外務大臣も、暫定取りきめによって両国の合意ができたんだというような御見解でございます。従って、ソ連発給の許可証を持たしてよろしいし、またブルガーニン・ライン内で操業する日本の漁船は、ソ連の公船の臨検も受けて差しつかえない、こういうような御見解のようでありますが、もしさようでありましても、何らかの国内的な、法的な措置が必要になるのではないか。これは、一種のソ連の行政権が日本国民に及んでくるようなことにもなりかねないのでございますから、さような御措置をとるのが当然ではなかったかと思うのでありますが、その点に対する御見解を承わりたいと思います。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 それは公海における一つの国の、たとえばソ連の行政権をそのまま認めたという意味ではございません。互いにこうやってやろうということで、話し合いをして、できた便宜上の措置でございますから、これは行政措置としてやることができると思います。それでやったわけであります。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 日ソ間の暫定取りきめ、この合意が文書によってなされたものでありとしますれば、事の性質上、それは当然憲法第七十三条にいう条約であって、国会の承認を求むべきものではないか、こう思うのであります。また、先ほどの河野農林大臣のおっしゃるように、日ソ間の合意が、文盲によらないで、単なる口頭の申し合せによって成立した、しかも、日本政府が公式に合意を前提とする行政措置を実行したとしますれば、問題は一そう重大ではないか、こう感ずるのであります。すなわち、現憲法下におきましては、政府は一種の秘密条約の締結をする権限があるというようなことになりかねないので、この点についての政府の御所見を明確に伺いたいと思う。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 これは先ほど農林大臣のお答えの通りに、口頭の合意で、できた便宜上の措置でございます。これは行政措置として、かような便宜上の措置はでき得ると解釈しておるのであります。外交関係、他国との関係においては、さようなことが口頭で、外交措置として、しょっちゅう行われておることでございます。しかし、これが正式の取りきめになり、条約になれば、むろん、これは議会の協賛を経て、はっきりとしなければなりません。さようなわけで、これができておるわけであります。なお、もしなんならば、条約上の関係については、条約局長その他から専門的に申し上げます。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 ソ側の許可証というものは、——法律的に見ますと、当然日本国民に対しては、日本政府の許可証だけで足りるわけであります。しかしながら日本政府の許可証だけで行きますことは、実際問題として危険でございますので、ソ側から大丈夫だという、太鼓判を押したものがなければならないわけであります。その太鼓判に相当するものがソ側の許可証でございまして、このいわゆるソ側の許可証というものは、法律的に見ますと、日本船がこれを持っておれば安全操業ができるという、向うの保障を与えるものだ、そういうようにみなしております。また法的に見まして、日本側は、日本漁船をそのまま臨検拿捕して留置するというようなことは、決して認めておらないわけであります。その点ははっきりいたしたいと思っております。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 今年の北洋の漁業を安全にさしたいというこの念願は、私ども全く政府と同じ考えでおるわけでありまして、その点をかれこれ申しておるのではございません。政府が行政を執行いたします場合には、やはり憲法なりあるいは法律なり、そういう成規の手続と道を踏んでなさるべきではないか、こういうことをただしておるのであります。ソ連の発給いたしましたものが、先ほど水産庁長官から確認をいたしましたように、漁業許可証と書いており、操業の制限条項も書いており、漁獲のトン数も書いておる漁業許可証と私ども見ておるのでありますが、どういう性格のものでありますか、もう一ぺん条約局長からお伺いしたいと思います。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 総漁獲量を決定いたしますことも、あるいは一船当りの漁獲しご決定いたしますことも、これは先方と相談いたしまして、事実上の合意できめたことでございます。そこで、日本政府としましては、農林省が日本漁船の出漁を統制する法律上の権限をすでに持っておられます。によって当局に委任されました権限の範囲内で、漁船の操業方法あるいは漁獲高をおきめになることは、これは法律上許されたことであります。その行政権の範囲内において向うと相談されてきめたことを、先方もそれに従って書くということでございまして、直接向うに対して日本漁民に対する規制権を認めたのではなくて、一度日本政府を通しまして、合意の内容を書いたわけでございますから、その点は差しつかえないと思います。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 今、局長からもお話しになりましたように、各漁船の漁獲量も制限をし、またそのために操業の日数等もいろいろ変って、現実にこれが漁業操業に大きな制限を与えられておるわけであります。これが日本政府を通じて各漁船に指示されておりまするけれども、その前に、先ほど河野農林大臣からもお話しがございましたように、ソ連のイシコフ漁業大臣と御相談になり、そうして御意見が一致し、合意されたところによって、それからの措置が国内へ帰ってなされておる。その合意によって、これが根本となって、いろいろ昨年までやって参りました日本のサケ・マス漁業というものが、変った形で操業せざるを得ないようになりましたことは、これは現実の姿であります。だから、この合意から発しておる。これは国民の権利、義務を大きく制限し、変えておるわけであります。これは厳然たる事実であります。そこで、そういりような国民の権利、義務に影響を与えるようなことが、外国と、たとい口頭でありましょうとも、合意に達した場合には、それはただ政府だけでよろしいのか、そういうことは、憲法の第七十三条に従って、事後であっても、国会の承認を求める必要があるのであろう、このことをお尋ねしておるわけで、あります。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 御承知の通り、公海漁業に関しまする日本政府の基本的立場は三点でございます。つまり、科学的に見まして規制の必要がない以上は、規制する必要がない、必ず科学的根拠がある場合に規制するということ、第二は、いかなる規制も相手国との合意がなければ規制をしてはいかぬということ、第三は、その規制は当事国間に平等に適用されなければならない、この三つが日本政府の基本的立場であります。そこで、ただいまのお話は第二点、つまり合意がなくては規制してはいかぬという点に触れるわけでございます。そこでブルガーニン・ラインを閣僚会議幹部会で発表いたしまして、これに対して日本政府は、こういうことは不当であるといって抗議いたしたのであります。しかし、それだけでほうっておきますならば、本年度日本の漁船は操業できないわけであります。その事態に直面いたしまして、それなら暫定的の合意をしようということで、文書も何も作らないで、暫定的のアレンジメントをいたしたわけであります。そこで、その暫定的の合意の内容を、日本政府が日本の漁業者にいかに適用し得るかという段階になりまして、もし現行法令の範囲内で、できないことがございましたならば、これは当然立法手続を必要とするわけでしざいます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、すでに農林省が法律上持っておられます権限の範囲内と、そのソ側との合意の内容を実施し得るわけでございますから、これは当然政府限りでできることだと、そういうように考えておるわけでございます。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 私はよくわからないりでありますが、その合意がなされて、しかも、それが国民の権利、義務に大きく制限するような合意がなされた場合、政府だけで勝手にそういうことができるものかどうか。たとえば、もっと端的な場合を申し上げますと、口頭で秘密条約を結びまして、それを国会の承認も得ないで政府が勝手に進めて参る、幸い国内法があるからといって、ある特定国と、あることを合意して、それを国会の承認も得ないで実行する、こういうことは、秘密条約を締結できるというようなことになるのではないかというおそれがあるのでありますが、その点をもう一ぺん、これは大事な点でありますから、明確にしていただきたい。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 秘密条約等は、日本政府の合意なくて、絶対に締結されないこととわれわれは承わっておりますが、かりに秘密の合意がどこかの国とできたと仮定いたしまして、その場合に、その合意を実施するについて、政府が現行法令の範囲内で持っております権限の範囲内なら、これは理論的には、できると申し上げなければなりません。先日問題になりましたココムの申し合せに基く規制でございます。これも別に文書による合意でもなんでもないので、事実上の打ち合せの場できまったことを各国の政府が実施するわけでございますが、これも輸出入統制等、現行法令の範囲内で、通産当局が持っておられるところの法律で実際に行われておる。そうでございまするから、その合意を実施するについて、新たに立法を必要とする場合には、当然その法律を国会の承認を求めるために提出する。すでに政府が持っております権限の範囲内でございましたならば、これは事実上権限の範囲内で行われる、そういう関係になっておる次第だと存じます。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 私は、合意、そのものが勝手に行政府だけでなされていいのかどうか、しかも、それが国民の権利、義務に大きく影響を与える、もっと申しますると、国家の主権にも影響を与える、それを制限するというような内容の合意そのものを問題にしておるのでありますが、その点いかがですか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 国際間に、実は日常無数の合意と申しますか、申し合せなり、アレンジメントができつつあるわけでございます。これは憲法上、外交の常務の処理として、内閣の権限にまかされておるわけでございます。そこで無数の合意ができましたうちで、立法を必要とする内容の合意というものは、これは当然憲法第七十三条に申します条約として国会の御承認を求めておるわけでございますが、日常無数の申し合せが外国と政府との間にできておりまするが、けれども、その大部分は立法を必要としない外交の常務の処理でございまして、これはわが憲法上の政府の行政権内にまかされた事項である、そういうふうに了解しております。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 この点は、それでは、この程度にとどめます。  次に、農林大臣にお尋ねをいたしたいのであります。この日ソ漁業条約におきましては、条約の区域は領海を除くことになっておるのでありますが、日ソ両国の領海は沿海から何海里までをさすのでありますか、その点をお尋ねしたいと思います。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 御承知の通り、日本は三海里、ソ連は十二海里。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 水産庁長官にお尋ねするのでありますが、ソ連のサケ・マス漁業は、ほとんどこのソ連の領海といっておる十二海里の中で行われておると思うのでありますが、いかがでありますか。

岡井正男水産庁長官

○岡井政府委員 その通りでございます。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 サケ、マスにいたしましても、カニにいたしましても、条約区域の公海よりも、この問題になります三海里から十二海里の間の水域が、繁殖保護上からいいましても、またいうところの資源保存上の面からいいましても、きわめて大切な水域である、こう私ども考えるものであります。しかるに、この漁業資源の保存措置をとりきめた、それを目的とするところのこの条約が、資源保存上きわめて大切な三海里から十二海里の間を条約区域外に置くということは、これは条約の目的を大きく阻害するものではないか、こう考えるのでありますが、政府の御見解はいかがでありますか。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 御承知の通り、沖取り漁業は今御指摘になりますような区域まで入って参ることは少い。むしろそこまで行かなくても、従来漁獲をいたしております。また、今お話の通りに、ソ連のやっておりますものは、ごく沿岸に近いところをやっておるものでございますから、問題は、公海で漁獲いたしまする日本側の分が制限の対象になり、陸上でやっておりまするソ連側の分が制限の対象にならないということが、非常に一方的制約であって不公平じゃないかというような議論がなされる場合があるのでございますけれども、この点は、公海における漁獲量の決定は、陸上、沿岸におけるソ連側の漁獲重の決定と相待って、両者合意の上で、全体の漁獲量を見合いつつ、魚族保護の立場をとって決定して参ろうということに、両者意見の一致を見ておるわけでございます。従って、今申し上げましたように、海上における魚撈のみを制限して、陸上の方は幾らとってもよろしいということにはしていないのでございます。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 農林大臣のおっしゃることはよくわかるのでありますが、ただ、条約をずっと読んで参りますと、有権的と申しますか、条約上の権利義務と申しますか、そういう形では、ソ連の方は何ら制限を受けない。もとより漁業委員会等におきましてはそういう点も勘案するでありましょう。ありましょうけれども、条約そのものの中に、一番資源保護上大切な三海里から十二海里の海域というものが条約の適用外に置かれておるということは、何といっても、条約の目的である、漁業資源の保存措置を目的とするこの条約の本旨からいたしますと、非常に不満足の感がいたすのでありますが、この点はこれ以上義説を申し上げても仕方がない、こう思いますから、とどめておきます。ただ、このソ連のいわゆる領海内で、一九五一年にソ連は二十五万一千六百トン漁獲をしておる。昨年の一九五五年には十七万二千トン以上のサケ、マスを漁獲をしておるのであります。さらに、私どもが重大な関心を払っておりますることは、極東地域におけるソ連の地下資源の開発が進み、また山森の乱伐、過伐等が行われまして、そのために河川が著しく荒廃をしておる、サケ、マスの繁殖保護はそのために非常な打撃をこうむっておる、こういうことが報告にもございます。私どもこれに対して重大な関心を持っておるのであります。この条約は、このようなソ連の現在行なっておりますサケ、マスの漁獲であるとか、あるいは資源保存上最も必要なる措置に対して何らの規制をも加え得ない、さらに言葉をかえますと、ソ連側にとって何らの痛痒も感じない内容になっておる、こういうことであります。一方、わが国のサケ・マス漁業は、申すまでもなく、ほとんど大部分が条約区域において行われるものでございまして、条約の規制を全面的に受ける立場に置かれております。これが事実であります。こう考えて参りますと、この条約というものは、日本側には、ソ連の現に行なっているサケ・マス漁業に対して、有権的に何らの発言権が与えられていないにもかかわらず、ソ連側は、わが国の北洋サケ・マス漁業に対し、資源保護の名のもとに、全面的かつ決定的な規制加えるという立場に立つものである。その実体を見るならば、本条約の冒頭に明記されております。両締約国が資源の保存及び増大をはかる義務を自由かつ平等の基礎の上において負うものであるという精神は全くじゅうりんされておるのではないか、こう思いますが、政府の御所信を伺いたいと思う。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 実は、私も、ソ連側が相当鮭鱒漁業を盛んにやっておるという考えで、本年度の出漁船等についても相当の増加をいたしたのであります。ところが、先般漁業交渉にソ連に参りまして、しかも、御承知のようにわが国の専門家の顧問諸君を帯同いたしまして先方へ参りまして、先方の漁業の状態等も全面的に聞き、しかも調査資料等の提示を受けましてこれを十分検討いたしました結果、決して日本側が考えておるようにソ連側はいたしていない、相当に漁獲制限を行い、戦前において主要漁場と目されておった漁場等についても、相当の規制を行なっているという事実をわれわれどもは知ったのであります。そういう結果から、先方においてこれだけの規制を行い、これだけ魚族保存に先方が努力いたしておるという事実をわれわれが知りました以上は、わが方といたしましてもこれに対し相当の協力をすることが両国のためであるというような認識に立ちまして、今回の漁業条約の案文を練ったのでございまして、今御指摘のように、ソ連側は一方的に規制を受けていない、日本のみが受けるということではないのでありまして、ソ連側としては、相当に、そういう面については、たとえて申しますと、われわれ聞かされて驚いたのでございますが、海上における流し網漁業の結果、流し網の網をこぐって背中をけがをしたマスが、大体一漁場で多いところは二七%くらいそういうものが入っておるほどであるというような事実等も聞きました。いろいろ談合いたしておりますうちに、双方において相当の処置をとる必要があるという見解に立って、この条約の案文をいたしたのでございまして、しかも、なおまた、この条約そのものが漁業委員会に権限移譲が多いじゃないかという御議論のありますことは、実は、条約が発効いたしますれば、わが方からもソ連の漁業地に技師を派遣いたしまして、実際の調査を先方も十分双方でしょうじやないかということになっておりますから、わが方といたしましても十分先方の調査をいたし、先方もまたわが方のことについて十分勉強して、その上で委員会で具体的な取りきめをしようという見解に立っておるのでございますから、今鈴木さんの御指摘のようなことに実際われわれは考えていないのでございまして、十分ソ連側としても将来の鮭鱒漁業の永続性等について協力をし、しかも十分調査の上に立っての認識でこれをやっておるということをわれわれは知って、この取りきめをいたした次第でございます。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 河野農林大臣もすでに御存じの通り、英ソの間にはやはり漁業条約がございます。英国はソ連の沿岸から三海里ないし十二海里の間の水域におきましても漁業ができるように取りきめがなされておりまする英ソ漁業条約というものがあるわけでありますが、今後、本条約もそういう方向へ近づくように、政府として御努力なさる御意思でありますか、伺いたいと思います。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 そういう必要があれば、そういう処置をまた双方合意でできぬことはないと思いますが、先ほど申し上げました通りに、ソ連側の漁業は大体御承知の通り沿岸漁業であります。わが方は沖合い漁業でございます。しかも、今の御指摘になりました三海里ないし十二海里というところまで接近していきますことは、河川に産卵いたしまする漁族の関係からいたしまして、私は、双方とも、これは安全地域ということで、ソ連側もここはここで漁業するということは差し控えてもらう、わが方もそこには接近しないというのが妥当であろうということは十分・主張いたしたいと思います。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 私は、十二海里ないし三海里の水域を条約区域にする、した方がよろしい、これが平等の原則に立つのではないか、こういうことを申し上げて、英国とソ連との間にもそういう事例があるからそうなさったらどうか——しかし、条約区域に入れるということは、必ずしもその中で漁獲をするということではございません。保存措置を講ずる対象の水域になるという、こういう見解で申し上げておるわけでありますから、その点は御了承いただきたいと思うのであります。  次に、条約の附属書は条約の一部である、こう書いてあります。この附属書を読んでみますると、ほとんどソ連閣僚会議のサケ・マス漁業制限に関する決議というものがまる写しになっているような印象を実は受けるのであります。これは御折衝に時間があまりなかった関係もあろうかと私ども推察はいたしておりますけれども、それだけに、わが国の北洋サケ・マス漁業が受ける影響、規制、制限というものは非常にきびしいものであるということを、私どもは身をもって今年度の操業から体験をいたしておるわけであります。この附属智が、今後日ソの漁業委員会におきまして、先ほど農林大臣がお話しになりましたように、科学的基礎の上に立って逐次改善されて参るとは信じますけれども、こういう非常にきびしい、日本側にとって非常に不利なスタート・ラインから出発するということに、日本の今後の北洋漁業というものが非常に大きな不利益な立場に立つのではないか、こういう感を深くいたしておるのでありますが、その点農相はどうお考えになっておりますか。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 御承知の通り、閣僚会議で決定いたしました中で、わが方に一番影響のあります網目の問題については、わが方の主張通りに変えております。ただ、先方の主張いたします分でわが方で認めましたのは、網と網との間隔の問題であります。これだけでございまして、ほかには大した規制はしてあると私は思いません。ただ、その網の間隔につきましては、この程度の網の間隔がよいか、もう少し網の間隔を縮めた方がよいかということについては、なお今後折衝してきめてよかろう、こう思っておりますが、全体の漁獲高とにらみ合せまして、それだけの漁獲をいたします上において、必要な処置はまた考えなければならぬというふうに考えますから、全体どの程度の漁獲量が妥当であるか、その漁獲高を決定いたしました上で、その漁獲高の決定に対して、これらの漁具もしくは漁撈方法等についてはさらに両者で話し合っていけるだろう、こう思っております。しかも、これは先方もそう経験者でございませんから、両者で談合いたして、実際に当った上で十分説明して参れば可能であろう、今年度は暫定取りきめでございますから、先ほど申し上げました通りに、私は同行いたしました専門家の意見によってこの取りきめをいたしたのでございまして、大体いけるだろうということでやったわけでございます。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 次に、一九五六年の漁区については、条約区域の中で海岸線から沖合い四十海里の区域については操業は禁止されております。しかし、これは、明年度五十七年度の漁期から解除されるとか、あるいは日本側が今年操業しようといたしました二十海里線あたりまでこれが改められるような見通しでございますか。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 それらの点は、今年の経験等に徴しまして、国交回復後における両者の間柄もその中に十分入って参りましょうし、それからまた、漁業の専門家同士の話になりますれば、おのずからそこに開ける道もありまして、また、わが方といたしましても、二十海里まで接近する必要があるかどうかというような問題もございましょうし、これらは今後の専門委員会において検討されて、ソ連としても、一たん言い出したことは絶対に譲らぬとか、無理に意地悪をしようとかいうような立場は、この漁業関係においては少しも発見できない、こう思っておりますから、もし必要があれば、こちらで十分主張いたしますれば、先方も了解してくれるというように考えて、私はやっておるのでございます。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 それから、附属書に、やはり四十海里操業禁止のこの点は日本の小漁船には適用しない、こういう配慮がなされておりますが、一体小漁船というのは何トン程度のものでありますか。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 これは、御承知の通り、四十八度線以南にその点を適用するために、先方と折衝した話であります。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 条約区域内における総漁獲量は委員会において決定をされる、こういうことになっておりまして、なお、条約実施第一年度の総漁獲是は、第一回の委員会において決定されることになっておる。ところが、もしも日ソの意見が不幸にして調整ができませんで、容易に一致点を見ない場合には、どのようなところにめどを置いてきめたらよいのかということであります。これは、この五月三十日の予算委員会で、井出一太郎君の質問に対しまして農林大臣が御答弁になっておるのでありますが、例の八万トンないし十万トンが基礎数字になる、こういう工合に理解をしてよろしゅうございますか、その点をお伺いしておきたいと思います。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 御承知の通り、豊漁の年次に十万トン、不漁の年次には大体八万トンというところを目標にしようということにしております。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 そういたしますと、これはイシコフ漁業大臣と農林大臣のお話し合いで意見が一致されて、大体これが基礎的な数字という工合に考えてよろしゅうございますか。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 これとソ連の漁場で漁獲いたします漁獲量と見合いつつ決定いたしたい、こういうことになっております。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 これは水産庁長官にお伺いした方がいいと思いますが、一九五五年と五六年におきますところの日ソ両国の極東海域におけるサケ、マスの全体の漁獲量がどうなっているか。特に今年度分につきましては、母船式で何ぼ、ブルガーニン・ラインの中と外に区分してお示しを願えば幸いだと思います。なお、四十八度以南におきまして、今度の条約区域の中でどの程度のものがとれているか、お示しを願いたいと思います。

岡井正男水産庁長官

○岡井政府委員 ただいま御質問の日本側とソ連側との漁獲高の比率でありますが、本年度におきましては、日本側は、母船式におきましては六千四百万尾、流し網において二千九百万尾、合計におきまして約九千三百万尾でございます。ソ連側におきましては、大体推定したところ一億五千九百万尾でございます。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 先ほど、河野農林大臣は、不漁の年は八万トン、豊漁の年は十万トンをベースにして、今後毎年度の総漁獲量がきまるだろうというお話でございましたが、日本におきましては、一九五五年には約十五万トン水揚げをいたしております。今年度におきましても、ただいま長官からもお話がありましたが、大体四十八度以南を含めまして十二万数千トンではなかろうかと思うわけであります。そこで、先ほどの農林大臣のお示しになった数字は基礎数字であって、最低の数字と考えましても、現在の十六船団、五百隻の独航船という日本の母船式の漁業、さらに四十八度以南の多数の漁船のことを考えますと、どうしても、私どもの推定では、十五万トン以上のものが認められませんと、相当経営は困難ではなかろうか。今年度におきましても、西カムの二船団は別でございますけれども、東アリューシャンに回りました漁船のほとんど七割までは経営上赤字であるといわれておる現況からいたしまして、十五万トン以上の総漁獲量が許容されるのでなければ、日本の北洋漁業というものは経営が非常に困難であると考えるのでございますが、これらの漁業の経営の安定が期せられるように、今後漁獲量がきまる見通しに立っておられますかどうか。この点非常に業界が心配いたしておる点でございますから、念のためお伺いいたします。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 業界の諸君も、さしあたりの採算ということよりも、将来にわたって安定することの方が必要なことでございますので、ある程度規制をすることはやむを得なかろうと思っております。従って、今年出漁いたしました船団の中で、さらに数船団はこれを減少いたしまして、船団数も合理化し、独航船等についても合理化して参る方が妥当だろう、そうして、ここ数年の魚族の状態等を十分検討いたしまして、その上でさらに増加してよろしい場合には増加するということで、さしあたりは減少の方向にあるのでございますから、これはやはりある程度双方とも規制の方向に努力する必要があるだろうと考えております。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 私どもは日ソ漁業問題が起りまして以来心配いたしておりましたが、非常に事態はきびしい状況下に置かれておる。それに対して、河野農相から、来年の出漁期においては数船団の減船整理もまた将来に対する北洋漁業の安定と発展のためにやむを得ぬのではないかというような、率直な御所見を伺ったのでありますが、減船整理あるいは漁船の漁業転換というようなものに対しまして、漁業者に対して、政府は、どのような救済措置と申しますか、その整理転換に対する御措置をお考えになっておりますか、この点をあわせてお伺いいたしたい。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 これは、さしあたり、私どもといたしましては、当業者間における談合によりまして、共同救済の立場をとって善処していただく方が一番適当だろうと考えておるのでありまして、政府が補償の立場に立つとかいうような処置はさしあたり考えておりません。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 政府は、河野農林大臣になられましてから、北洋の漁業につきまして積極的な御施策をとられて、母船の数も独航船の数もふえて参っておるのでありますが、これを、日ソの漁業関係から将来を考えて、やむを得ずここに規制をしなければならない、こういうような政策の転換を大きく迫られる事態に立ち至ったのでございまするから、政府としても、民間だけの業者間の相互救済ということで、これは放置すべきものではない。転換資金の融資の面であるとか、その融資に要する利子補給であるとかいうような面、あるいは転換のためのほかの漁業権の付与、こういうような面につきましては、当然農林大臣もお考えの中にあることと思いますけれども、この際御所見を御発表願いたい。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 はなはだ申しにくいことでございますけれども、私は、両国間におきまして、もしくは他国との間におきましても、そういうことは言えると思いますが、生産制限するとかそういう処置をとります場合には、どうしても現状の漁獲ということが基準になって参るということ等々も考慮いたしまして、従来のようにわが国の沖取り漁業が非常に消極的でございまして、ソ連が一方的に積極的に漁獲をいたしております際に、この処置をとるということよりも、双方が同等の立場に立って、漁獲制限もしくはこれらの魚族の保護という立場に立つことが必要であろうというようなこと等も勘案しつつ、実は積極的に私は処置をとったのであります。元来、わが団が相当にこの方面においては開拓者でございますから、当然そういう立場をとってしかるべきものだというふうに考えてやったのでございますが、今お話のようにそういう処置をとったのであるから、ここで政府がこれに対してある程度の補償をするとか、これを救済するとかいうようなことをお話でございますけれども、私ほ、これほど確定的な、しかもあと引き続き漁業いたしますものにつきましては、相当有利な漁業でありまする以上は、これらの人の責任において、ここで整理せられる者、もしくは出漁を見合せる人たちに対しては、相互救済の立場も十分していただくべきものであって、政府がその処置に介入していかなければならぬとは実は考えていないのであります。もしくは単に転換資金を一時政府があっせんするというような処置は、これはむろん必要があればけっこうでございますけれども、利子補給するとかなんとかいうようなことは、実は考えていないわけでございます。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 最後にもう一点だけお伺いしておきます。

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 あなた、時間をオーバーしておりますから、どうぞなるだけ簡単に。

鈴木善幸自由民主党

○鈴木(善)委員 農林大臣は、ソ連においでになりました際に、千島に漁業基地を設定する問題でありますとか、あるいはまた日ソ合弁漁業等の問題につきまして、ソ連の首脳ともし御懇談になり、ある程度の見通しがおつきでございますれば、御発表願いたい。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 実は独航船等で出漁いたしまする漁師の諸君の仕事場を考えまして、ソ連側に労働力の提供はどうだというような雑談をいたしました。いたしましたが、ソ連側といたしましても、自分の方も相談しなければならぬ。漁場の規制もしてしかなければならぬから、今さしあたりそういう処置はソ連の意思では必要ないというようなことでございましたが、今後、網とか漁船とか等につきましても、十分了解の上に立って、協力し合っていくというような処置は、今後引き続き談合して参る必要があるだろうと考えております。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 議事進行について。去る二十日、政府委員に対して、政府側に質問する際において、賠償権の放棄に関連いたしまして大蔵大臣の出席を要求しておりましたが、いまだに出て見えないようであります。そこで、私といたしましては、質問を保留しておる関係もありますので、すみやかに、委員長の側において、大蔵大臣の出席を促進していただきますことを、この際要求しておく次等であります。

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 中崎敏君の議事進行は、政府に伝えまして御意向に沿うように努めさせます。  臼井莊一君。——臼井莊一君に委員長から申し上げますが、総理はなお出席しなければならないところもあるし、すでに一時で、昼食もいたさなければならないようなところを無理に押して出席いたしていただきましたから、どうかあなたのお約束の時間以内において質問をなされることを委員長は希望いたします。臼井莊一君。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員 よくわかりました。委員長の御忠告の通りよく守っていたしますから……。  私は、去る土曜日の二十四日に、引き揚げ問題に集約いたしまして一応質問をいたしておりますが、ただ総理に一点だけお伺いしたい点が残してございましたので、その点お伺いいたします。  実は、この質問は、私の全体の質問の前提といいますか、そういう意味でお伺いいたしたかったのでありますが、御不在でございましたので、この機会に一つお伺いいたします。それは、総理はこの引き揚げ問題を非常に重要視されまして、ぜひ年内に抑留者が帰れるようにしたい、こういうことはたびたび留守家族その他の前に約束をされていたのであります。その観点から、ほかにいろいろ不満の点もあったけれども、共同宣言に調印された、こういうふうに漏れ聞いておるのでありますが、果してそうであるかどうか。もしそうであるとするならば、総理は、今度の共同宣言の効果の発生によりまして、抑留者の問題はすべて解決するのであると確信されておられるかどうか。その点だけをお伺いしておきます。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○鳩山国務大臣 このたびの協定書によりまして、抑留者の問題は全部解決したものと思っております。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員 ただいまのお言葉でわれわれも安心するのでありますが、ただ、共同宣言の条項だけ見ますと、果して日本がどれだけこれに対して今後引き続いて催促ができるか、そういう点に対する多少の不安もないではない。また、マリク名簿では、帰還者を除くと千五、六十名でございますが、それ以外の消息不明者が一万一千百七十名以上あるのでございます。その中には昭和二十五年以降において政府が確かに生存しておるという資料を得ておるものが三百八十五名あるのでございまして、こういうような問題についても今後相当に問題が残るのではないかということを心配しておりますが、どうぞ、今後大使が交換でさましたら、この点について、外務当局また厚生当局においては、ソ連側の調査も、できれば何とか合同委員会を作って、そして迅速に調査を進めていただきたい。人命に関する問題でありますから、残されるであろうと心配される問題についても進められるようにお願いいたしまして、私の質問を終ります。

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 日野吉夫君。

日野吉夫日本社会党

○日野委員 時間の制約がありますから、簡単に伺います。  総理大臣はソ連におもむくに際して、談話を発表されております。それは、不自由なからだを運んで行く悲哀な決意を表明されておる。その談話の中に、ソ連との国交を回復することによって赤化するという危惧を抱く者があるが、それは当らない、善政をしくことによって、そういうことは救われるのだ、こういうことをその談話の中に言っておられるので、それでソ連におもむかれまして、この条約を取りきめられてこられた。その前に、漁業条約はすでに起草されてあったのでありますが、これはしばしば指摘されましたように、一方的なソ連の閣僚会議の決定をのまざるを得なかった。日ソ国交の回復をやるためには、それ以外に道がなかった。北洋漁業が国交回復の犠牲にされたといってもいいのではないか。これほど日本は、漁業条約に対して、忍んでこれをのんだのにもかかわらず、世界の世論はあまり日本に同情がなかった。むしろ、ソ連の制限に対して、資源の擁護のための制限に対する同情の国はあったけれども、日本の苦境に対する同情がなかったというのが事実であります。そこで、私が総理大臣に伺おうとするのは、日本の北洋漁業というものは、外交の拙劣な関係もあったでしょうが、私が過般も言ったように、乱獲の指摘を受ける根本的なものとして、北洋漁業に対する労務の管理が不十分であるというところに原因があるのじゃないか、労務管理が十分に行われていないところに乱獲の指摘がある、かつて日本が女工の低賃金と、そのもとに行われた綿製品が、イギリスでこれをダンピングであるということを言われたと同様に、今日の北洋漁業の乱獲の陰には、労務の管理が不十分であるということで、国際的に同情を受けない原因があるのじゃないか、こう思うが、人道主義の立場に立っておられる総理は、こういう面に対して、労務管理を十分にやって、国際的な信用を高め、総理の一つの宿願達成の国交回復の犠牲にされたその代償として、善政として、全く放擲されて顧みられなかった労務管理に一つ目を注いで、これを取り上げてやっていく考えがおありにならないかどうかを一点伺っておきたい。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○鳩山国務大臣 労働者保護の見地から、労務管理が重要視されねばならぬということは、同感であります。この意味において、政府としては、数年来、関係業者及び組合とともに労務管理の改善と向上に力を注いで参ったのであります。詳細なことは所管大臣よりお答えいたします。

日野吉夫日本社会党

○日野委員 そこで、労務管理についてでございますが、労務管理をやるといたしますならば、今賃金の問題がきわめて根拠なしにやられておる。請負制度というのが採用されておるようでありますが、これは非常にむずかしい問題になっておるのであります。この請負制度については、首相の弟さんの鳩山秀夫博士などは、当時非常に明確な法理論を展開しておられますので、十分これらの問題を研究されると、あの賃金問題の改訂ができると思います。労働時間の問題なども、北洋の問題でありまして、半年、昼の地域に近いところでありますから、きわめてルーズに行われておるのであります。そのほか保健衛生、災害等々に対する問題も、全く投げやりにされておるという実情であります。これにつきましては、船員法という法律がありますけれども、これは三十トン以上の船に適用されるのであります。北洋漁業全般から見ますと、三十トン以下の船が非常に多いので、これは労働省の管轄になり、労働基準法の適用があるのでありますが、それら等も一切顧みられないというのが、現状のようであります。私は、総理大臣が善政の一端として、労務管理までやろうとお考えになるならば、労働省と運輸省と——船員法は運輸省の管轄でございまして、運輸省の片すみに船員局というものがあって、事実上は季間労働であるということも関係がありましょうが、北洋漁業にはほとんどこれが実施されていないのが実情であります。こういう片手落ちなことではいけませんので、労働省に労務管理は一切統一して、今後労務管理の適正をはかって、世界の市場に出ても、日本の北洋漁業はりっぱに操業をしているんだ、こういう世界的な信用を得るためにも、そうすることが適当でないかと思うのでありますが、労務管理を統一する考えがあるか。もし労務管理を統一して行わせるといたしますならば、労働省にこれを統一することが妥当だと思いますが、総理大臣はどういうお考か、所見を承わっておきたい。

鳩山一郎自由民主党内閣総理大臣

○鳩山国務大臣 御質問の点は、所管大臣からお答えさせます。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 私から便宜わかるところだけお答え申し上げます。御承知の通り、かつてカニ工船というようなことでやかましい問題も起しましたが、現在の工船はそういう時代とは全く違いまして、ただいま御指摘になりましたように、船員法の適用をりっぱにやっておるとわれわれは了承いたしております。この間に不平不満があるようには、全然聞いておりません。  それからまた、今お話の通り、一部のごく少数の三十トン未満の流し網がないことはございません。しかし、これらは、御承知の通りに、今申しまするものとは全然趣きを異にいたしまして、これは請負制度でやっておるのでございまして、しいて申せば歩合と申しますか、そういうようなことでやっておるのでございますし、これには漁業のことでございますから、それぞれ自己の計算もしくは自己の努力によってやっておるのでございまして、この間にまた御承知の通り、今御指摘のような労働問題について、とやかくの問題があるというようなことは、現在の北洋漁業については聞いておらないのであります。しかし、なお、われわれの目の届かぬところがあれば、十分御注意は承わりますが、何分独航船の所属いたしまする各県によりまして、条件も違っておるようであります。しかし、総じて農林省といたしましても、これら魚を売る場合に十分注意をいたしましたり、もしくは水揚高等についても十分注意をいたして、いやしくもそういうことのないようにいたしております。その点は御承知願いたいと思います。

日野吉夫日本社会党

○日野委員 総理大臣に伺っておるのは、それだけです。  今の河野農相の答弁ですが、これは御注意申し上げておこうと思うのですが、その請負制度、歩合制度というのが一番に問題を起しやすい。このことが、結局、よけいとらなければ、自分の歩合に関係するから、乱獲をやるという一つの結果にもなるので、この点については、今の総理の答弁の趣旨に従って、これは十分やっていただかなければならぬと思うのです。  次に、外務大臣に伺いたいのであります。漁業関係に対する質問の点は、大部分、鈴木善幸君から質問がありましたので、重複の部分は避けますが、簡単に伺いたい点は、ソ連領内に昔持っていた日本の権益、これは、過般の答弁にもあり、当然消滅したと解釈することが妥当だと考えまするが、新しくこの問題を設定する、回復する何らかの道が今後残されているのか、残されていないのか。かつて、ドムニッキー氏や植田一信氏あたりの情報では、それはだいぶ話が進んでいるように伝えられたが、その後この話はどうなったか。自民党のどなたか幹部でも、国後、択捉に基地を何カ所か設ける話が進んでいるというように伝えられたのであるか、これは国際間の話し合いとしてはどの程度になっておるのか。今後の可能性について一つ外務大臣から伺いたい。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 ソ連領内における日本の漁業の問題、日本はソ連領内にかつて漁業権を持っておりました。それが戦争によって全部消滅したことは、御承知の通りであります。その後、それはソ連領内、たとえば島々の上での何か漁業の根拠地でもできないかというようなことが、新聞にはちらほら出ました。そのことについては、何にも先方との話し合いのあった事実はございません。  将来の見込みはどうであるかと申しますると、これはソ連の主権の及ぶ領土内に、日本の漁業に便宜をもらいたいという問題でございますから、理論上からいえば、話をしてみなければわからぬのでございますが、非常にこれは困難なことと思います。ソ連は、そういう主権の問題、領土の問題については、従来特別に困難な態度をとっておりますから、これは非常に困難なことと思います。

日野吉夫日本社会党

○日野委員 今の問題では何も話し合いがなかったということですが、河野農林大臣は若干話し合いがあったかに聞くのですが、もしあったら、その経過、あなたの考えるその可能性に対する判断をちょっと伺いたい。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 先ほど鈴木さんにお答えいたしました通り、向うに漁業基地を設けるとか、漁夫をソ連にやるとかいう話は、私はいたしませんでした。ただ、日本の労務者諸君をソ連が雇用して、そうして漁業をやるようなことはどうだというような話は雑談にいたしましたが、それは先ほど申しました通りに、漁獲を制限していこうという際だし、ソ連側としても、そういうことは困難だというようなことの雑談をしたことはあるということです。

日野吉夫日本社会党

○日野委員 次に、条約局長の今の公海漁業に対する考え方に対して、外務大臣の意見を聞きたいのですが、今、国連の国際法委員会に、これに対する法案が出ているはずです。これは日本の三原則とはかなり違った方向に行こうとしておるように見受けられるのでありますが、条約局長の考え、外相のお考えはどうですか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 その問題につきましては、便宜、条約局長からお答え申し上げます。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 国際法委員会で作成いたしました公海漁業に関する法典案は、ただいま仰せの通り、国連の委員会にかかっております。この法典案の内容を検討いたしたのでございますが、しかし、仰せのように、日本の公海漁業に関する基本的な立場に反するものでも何でもございません。むしろ、日本が主張しておりました趣旨に非常によく合致しておる、かように考えておるわけでございます。

日野吉夫日本社会党

○日野委員 沿岸の四十海里の問題は、鈴木君が質問しておりますから繰り返しませんが、ついでに条約局長に伺います。これは国際法上何か根拠があるのですか。

下田武三外務事務官(条約局長)

○下田政府委員 これは、公海漁業あるいは領海の範囲の原則問題とは全く別個の見地から、漁業の資源保存の見地から本年定められたものでございまして、準則の問題とは関係ございません。

日野吉夫日本社会党

○日野委員 これは主として農相に伺うことですが、条約はソ連の閣僚会議の一方的制限をのんででき上ったのであるが、この国会でこれが承認され、批准を終えれば、これは前とは状況が違って、対等の立場で今後の漁業委員会での交渉に入るわけでありますが、この間に、委員会が協議する年間漁獲量の問題、これは、農相は、八万トンから十万トン、それもソ連の陸上漁獲をにらんできめる、こういう答弁をしておられるのでありますが、平等の立場に立って協議をする場合、国内の業者を中心として、これをだいぶ上回った実績やそうしたものから要求があるように思うのですが、この関係は、農相はどう考えておられるのでありますか。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 先ほども鈴木さんにお答えいたしましたが、今お話の八万トンから十万トンの範囲内ではないのでありまして、おおむね、豊漁の年には最低を十万トン、不漁の年が予想されることがございますが、その年には八万トンを最低と大体見なすが、それはソ連がとっておりまする陸上の漁獲計画もしくは実績がございまして、それとにらみ合せて、日ソ両国の間できめていこうということでございます。なお、それには科学的な調査資料を含めつつ、両国の漁獲の状況等を勘案して、両国の間に話し合ってきめよう、こういうことでございまして、国内で希望等はむろんあるでございましょうが、問題は、魚族の保護、保存ということが必要でございますから、その見地に立って、両国の間できめていくということになっておるわけです。

日野吉夫日本社会党

○日野委員 大体、今度は海域が広くなるとこの条約で考えられる。今の話によりますると、海域が広くなって、漁獲量が少くなる。こういうことになると、このしわが結局中小の漁業者、たとえば、はえなわであるとか、四十八度以南の流し網であるとか、そういうものにこのしわが寄せられる危険があると思うが、農林大臣はどうお考えになりますか。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 はえなわの漁業につきましては、今年一年相当に出漁船をふやしたのでありますが、その結果等、十分調査勘案いたしまして、将来の方針をきめる必要があるだろうと考えております。むろん、これは政府が一存でやるべきことではないのでありまして、漁業調整委員会等の意見も十分聞いた上で考えなければならぬと思っております。しかし今お話のように、四十八度線以南の中小の流し網業者、これらと、四十八度以北の独航船の漁獲高というものは、全体にこれを勘案調整してきめる必要があるのでありまして、これらの中小業者にしわ寄せをするということは、全然考えておりません。この点についてはソ連側とも十分話し合いをいたしまして、特にこれらの中小の業者については、先ほど鈴木君からもお話のありましたように、沿岸に接岸することもある程度大目に見ようじゃないかとか、これらは機械も十分持っていないことでございまして、無線機等についても、不十分なことがあるわけでありますから、これらのことについては、特別に取締り等についても考えていこうじゃないかということになっておりまして、その点については十分配意いたしつつ折衝して参りましたし、今後においてもそうするものと考えております。

日野吉夫日本社会党

○日野委員 今のようないろいろな事情があって、今度の条約では——前年は五月の十日から八月十日という初めと終りがあったのですが、今度は終期だけの決定をして、いつから始まるかという問題がきまっていない。同時に、これは年間漁獲量であるから、そういうことになると、ますます漁獲量が少くなるのでないか、こういう意味合いから、委員会の意見の統一が——ソ連は科学的な資料を用意していると言われ、日本側でもその後いろいろの科学的資料を用意してここで協議をする、その協議がもしととのわない場合、不一致のまま出漁するというような事態が考えられるといたしましたならば、これは直ちに拿捕されるということになりますか、どうですか。国際法上の関係も一つ。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 そこでどうしても意見が調整できない場合に、不漁の年で八万トン、豊漁の年には十万トンであります。これは最低でございますから、その最低で両者が合意する、こういうことにしてありますが、なるべくそういうことにならないように、陸上の漁獲高をこれに見合せてきめる、両方合意の上できめるようにしよう、ということにしてあるわけでございます。

日野吉夫日本社会党

○日野委員 もし、そういうことになって、不一致のまま出漁するというようなことになりましたら、国際法上の関係はどうなりますか。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 不一致はないのでございます。不一致の場合には、豊漁の年には十万トンにしよう、不漁の年には八万トンにしようということにしてあるのでございますから、これは不一致という場合はないのです。両方の意見がどうしても一致しなかったならば、そこで押えようということにいたしてありますが、私が先ほども鈴木さんに申しました通りに、この話し合いは必ず円満のうちに進行するということを私は確信いたしております。決してソ連側はそうむちゃな乱暴を言わないだろう。それは科学的な根拠に基いて、過失の実績もしくは統計等に基いて、両者は技術的良心に立って話し合いがつくものなり、こう確信いたしております。

日野吉夫日本社会党

○日野委員 その問題はその程度にしておきますけれども、どうもこの条約を手放しに楽観しているようなきらいがあるのですが、実施後にじりじり締めていかれる心配がないかということなんです。決議があり、勧告をすることができる、あるいは罰則付の国内法の制定が要求されているというような点があるが、こういう点について農相は十分の確信が持てるのかどうか。勉強すればわかると言いますが、どうも調べてみると、ずいぶん不安の念なしといたしません。先方は、相手が何といってもソ連です。ことし一年の操業の実績からも、これは相当重大に考えなければならぬものと思うのでありますが、農林大臣から、この点について自信のほどをここで伺いたいと思います。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 御指摘の点は十分考慮しなければならぬと思いますが、ただ、今お話の勧告をすることができる、何をすることができるということは、両国の委員会において決定した事項について、それぞれの国に対してその委員会から勧告をして、それぞれの国はその委員会の決定に基いて運営をするということになっておりますので、これは委員会の決定でございますから、双方の代表委員が意見の一致がなければ、それぞれの国に勧告をいたさないわけでございますので、その点については心配ないじゃないかと思っております。

日野吉夫日本社会党

○日野委員 その他の細部の点は、いろいろの関係もありましょうから、農林・水産の委員会等でいろいろ審議をしてみたいと思うのでありますが、この間本会議において、北海道の去年の豊漁について、魚価が下った、僕は下らないということで議論したのであります。きのうの新聞を見ると、お正月用品のお値段は、軒並み高値の海産物、この中に、新巻は北海道の秋サケが貫当り一千二百円、北洋物が九百円から一千円で、前年比持合ということなのです。そうしますと、去年の豊漁と、ことしの去年よりもはるかに下回る半分の漁獲で、魚価は持合でありますから、大体去年より下らぬことは私はわかると思うのでありまして、いろいろ議論がありまするが、あとは委員会に譲って、私の質問はこれで終ります。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 お答えするのはどうかと思いますけれども、御参考にまで申し上げておきます。私が申しましたのは、おととしに比べて去年の魚価が一割二、三分下っておる、こういうことでございまして、ことしの魚価のことをお答えしたのではありません。一応お断りしておきます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 関連して、河野農林大臣に伺いたいのですけれども、大陸から四十海里以内の禁止区域でもしも漁船が拿捕された場合の裁判主幹権は、どちらにあるか。当然これはその所属する国にあると思いますけれども、その点は話し合いがついているのかどうか。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○河野国務大臣 お話の通りでございます。現行犯で拿捕されました場合には、直ちにその船の所属国に引き渡すという建前になっておりますので、すぐにこちら側に引き渡される、こういうことになっております。

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 松本七郎君。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 今まで御答弁があった中に、いま少し詳しく伺っておきたいことが一点と、それから確認しておきたいことが一点ございますので、簡単に伺っておきます。東欧諸国との国交回復については、以前から、外務委員会におきましても、外務大臣が日ソの国交回復ができた後にやるんだ、こういう御答弁があったわけで、この委・員会もこの点お伺いいたしまして、同じような御答弁があったのでございまするが、だいぶ前に私どもの承知しておるところでは、東欧諸国のうちで、ハンガリー、ポーランド、それからルーマニアですか、何か二、三カ国から日本の方に国交正常化をやりたいという申し入れがあったように覚えておるのです。この点について、いつごろ、どこどこの国から、どういう申し入があったのか、その期日と、それに対して日本政府はどういう回答を与えられておるのか、その御説明をお願いしたい。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 いつごろから今の東欧諸国から国交回復をしたいという申し入れがあったか、こういうことを一々記憶しておりませんが、ポーランドは昨年初めだったということでございます。それから、チェコ、ハンガリー等から申し入れがありました。いずれもそれに対しては、ソ連との国交正常化の後にお互い考慮しようじゃないかということで別かれて、話し合いがそうなっております。そこで、今後の方針ですが、いよいよソ連との国交回復がありますれば、その後の状況をも十分に検討しなければなりません。また相手国の意向も十分に突きとめなければなりません。さような検討をした上で、この問題を取り扱いたいと思っております。東欧の情勢も、これは今動いておりますから、相手方の都合もございましょうし、十分これは話し合いをしてみたい、こう考えております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そうすると、今度日ソの国交回復ができてから、これらの、過去において日本に正常化を申し入れてきた今言われた三国に対しては、今度は日本側の方から申し入れをされて、研究を進められますか。それも相手国からの話が出るまで待たれる御方針でございましょうか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 それはいずれとも方針はきめておりませんけれども、各国にわたって検討してみた上で、あるいはこちらの方から、それをお話しする道を開いてもいいかと考えております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 それから、もう一つ確認したいのは、これは、先般来、理事会あるいはこの委員会でもすでに問題になったのでございますけれども、この批准を早く終り、それから引き揚げもなるべく促進したいということから、この委員会としては、またいずれ委員の御賛成を得て、ソ連代表部に、先方の批准の促進方あるいは引き揚げの配船、それからナホトカの集結その他の促進についてお願いする方針で進んでおるわけですけれども、政府としても、これはできるだけ努力しようということで、総理大臣はブルガーニン首相にわざわざ書簡を出そう、こういう御返事があったわけです。しかし、政府としても、ブルガーニンに書簡を出すばかりでなしに、国家がそういうことをするとすれば、行政府としてもソ連の代表部にそのようなお話をされるのが当然だろうと思うのですが、その場合、そこに何か不審があれば、まず第一にそれは政府としてなさるのが可能であろうし、また政府としてそれをなされるのが当然だと思いますが、その点はどうなんでございますか。間違いないかどうか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 批准交換後にいろいろ事態が発展いたしてくるわけでございます。抑留者の問題もございます。特に抑留者の問題、その他の問題もございます。特に抑留者の問題は重要でございます。ソ連に対する準備を、その批准交換前においてもしなければならぬ。そこで、行政府といたしましては、その準備を進めておるわけであります。これは行政事項でありますから、国会が直接これをやられるということに対しては、私は適当でないと考えます。これは行政府として当然やるべきで、今日までやっておるわけであります。そうして、先方からの反響等は御説明申しておる通りであります。先方も非常に手を尽して急いでおります。そこで、その促進の方法として、総理から向うの総理にあてての日本行政府の意向を伝えるという手段を、今準備をいたしております。まずその前に、向うのモスクワにおいて、また東京において、互いに代表機関が今不完全ながらあるのであります。それに連絡をして、ほとんど連日のようにその打ち合せをしておるわけであります。それからまた、引揚者のためには、乗船の配備もしなければなりません。それらは、赤十字社等をして準備を進めさしておるわけであります。総理の書簡はまだ発送には相なっておりませんが、これは何どきでも発送できるように、準備をいたしておるのでございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 政府がやることであって、国会がやるのは適当ではないというお言葉がありましたが、これはおかしいと思う。政府は政府でそういうことをやられる。国会が国民のそういった気持を代表して、政府のやることを国会がかわってやるのではなしに、国民の希望する点、また国会の意思としてそういうことを早くしていただきたいという意思表示をすることが、政府とは別個にこれは可能だし、また当然やるべきことだと思うのです。それに対して、国会がやることは不適当だという、行政府がそういう発言をされることは、これはおかしいと思う。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 私は、その権限の問題は、実は、意見を述べましても、議論をする意向はございません。これは行政府と国会との間の、憲法の問題でありますから、それによって御判断を願えば、それで私は満足します。しかし私は、これは行政府がやるべきことで、もし国会でこういう希望があると言われるならば、行政府を通じてやられるのが一番適当である、こう思うのでございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 これは国会が当然やっていいことだし、やるべきことだと思って、そういうふうに進めておるわけです。この論は別として、国会がそういう意思を持っておれば、その意を体して政府もやるべきだということでさっきはお伺いした。政府がやられるという答弁でしたが、その点はそれでいいのですけれども、それ以上に国会がやるのは不適当だなんて言われるのは越権です。よけいなことです。国会がそういう意思を決定して、そして、どこに話を持っていこうか、これは国会の独自の活動として、当然許されることなんです。外務大臣がそういうことを言われたんじゃ、とんでもないことです。それははっきり取り消していただかなければ困ります。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 これは引揚者の……(「陳情して悪いのか」と呼ぶ者あり)陳情は問題じゃない。陳情の問題は別です。陳情しようというのは別です。引き揚げの交渉をやるということは、これは外交交渉でありますから、外交交渉でやったらいいだろうと思います。(「それは思い違いだ」と呼ぶ者あり)思い違いではありません。政府の意思は初めからその通りであります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 政府のやることをわれわれがやろうと言ったのじゃないのです。その趣旨をよく向うにわかってもらうために、国民の意思を代表してこれをお伝えするということなんですから、そこのところを一つ誤解のないようにお願いします。行政上のいろいろな仕事をわれわれがかわってやろうというのでは決してない、そこをはっきり御理解願いたい。  もう一つそれに関連して確認しておきたいのは、今まで日本政府は、ソ連代表部のチフヴィンスキー氏を、漁業以外のことには権限のない漁業代表と、こういう扱いをしてきたわけです。しかし、これからそういったいろんな広範囲にわたる話をされるについては、正式な国交回復の折衝をやり、そして調印まで運んだ今日ですから、当然外交代表として、漁業問題のみならず、広い範囲にわたって、外務省という窓を通じて話ができるもの、こういう解釈でおそらくやっていただくのだろうと思います。この考え方に間違いがあるならば間違っておると言っていただきたいし、それでよければそういうふうに了解していいかどうか。この点を一つ確認しておきたい。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 批准交換があって国交が回復した場合に、この代表部をどう取り扱うかということは……(松本(七)委員「してからじゃない、批准までの間です」と呼ぶ)批准までは、漁業代表部でございます。漁業問題については、外務省はこれと交渉をいたします。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そうすると、こういう話は外務省の窓口を通じないので、河野農林大臣その他を通じてやる、そういう従来の形式にやはりこだわってやられるつもりですか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 それは従来の形式も何もありません。当りまえのことでございます。国交が回復されれば、回復されたときの代表というものができるわけであります。そのときは、こしらえればいいのであります。日本はモスクワにおいてその準備をしておるわけであります。向うもこっちも——向うが漁業代表部を組みかえるということならば、それはそれですぐ話がきまるわけであります。しかし、国交が正常化するまでは、これは漁業代表部であることは疑いをいれぬわけです。その他のことは、もし話し合いをしたいということになれば、日本はモスクワで話ができるわけであります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 どうもそこのところが——今までのような関係の間はそれでも、そういう扱いというものは、国交を回復しようという国の代表に対する態度としては、私どもからいえば適当でないと思って、外務委員会でもこれは申し上げておったんですけれども、今日すでに共同宣言が調印になって、そして批准までこぎつけようとしておる。そして、その過程において、特に向うさんもいろいろ便宜をはかって、引き揚げも早くしよう、こういう好意的な態度に出ておる。それをさらにこちらからお願いしょうという場合に、依然そういうふうな態度でいいのかどうか。法理的にいっても、すでに調印しておるというような関係があるならば、これはもう漁業代表というような、そういう狭い代表でなしに、広くこれを代表として外務省が窓口になって話をするということは、できるんじゃないかと思う。そういう大きいところを、外務大臣の踏み切りをお願いしたいので、御答弁をわずらわしたい。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○重光国務大臣 それは、理屈の問題は、国交の正常化が正式にできるまでは、従来の通りであることはわかりきっております。しかしながら、お話の通りに、国交の正常化の後に来たるべきものをいろいろ準備もしなければならぬから、便宜上、いろいろ話し合いをして、取り次いでもらいたい、こういうことは何も少しも差しつかえないことですから、それは現にやっておることですから、それは少しも差しつかえないことと思います。

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 大蔵大臣が出席されましたので、先日の中崎委員の質疑について、この際その答弁を求めます。——御存じなければ、中崎君簡単に繰り返して下さい。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 もう一ぺん質問します。今回の日ソ宣言の中に、日ソ両国とも賠償の請求権を放棄するという項目が入っておるわけです。従いまして、両国間においては、一応賠償請求権は放棄しても、残る問題は、日本の国民が、ソ連の関係領域内において、私有財産をそこに掻いて帰っておる。それによって、それらの個人が一体どの程度の私有財産を持っておったのか、こまかい数字はわからぬにしても、概算的に、たとえば樺太でどうとか、あるいは千島でどうとか、あるいはシベリアでどうとかというような、大体世帯数を概算して、金額をおよそ見通した数字の発表をこの間求めたのでありますが、これは大蔵省でわかっておるということなので、特に問題が重要であるので、大蔵大臣の出席を要求して、本日そうした答弁を求めたいと思います。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 お答えします。これはその当時の事情と事柄の関係から、正確なものはないと私は思いますが、終戦直後の二十年、二十一年ごろに、各在外地にあった財産の申告のようなものですが、この集計したものがありますから、今理財局長が見えておりますので、具体的に読ませます。

河野通一大蔵事務官(理財局長)

○河野政府委員 数字のことでありますから、かわって私からお答え申し上げます。  引揚者の方及びこれは企業も入りますが、その財産の調査は、個人につきましては、昭和二十年、二十一年にかけて、企業の財産については二十一年に、各当該の関係の方から申告を徴しまして、その申告に基いて集計したものが一応手元にございます。ただこれは、特にお断わり申し上げておきたいのでありますが、申告を調べてみますと、大体積極財産は載っておりますが、消極財産はほとんど記載してございません。それから、その評価等につきましては、どういう評価がされておるか、これは私どももわかりません。従いまして、その辺についての正当な調整ということは一切いたしませんで、そのまま申告された数字をなまのままに集計をいたし、また外国通貨によって換算されておるものにつきましては、その換算率をどうするかという問題等につきましても、全部申告された方の評価をそのままとってある、こういうことでございますので、その数字が非常な信頼性があるかどうかという点につきましては、先ほど大蔵大臣から申し上げましたように、私どもは必ずしもそれについて自信を持っておりません。集計いたしましたところ、今、御質問の地域につきまして一応作ってございますが、これは各別々に分けてございませんので、樺太、千島、カッコしてソ連を含むとなっておりますから、ソ連の対岸の方も入っておると御了解いただきたいのでありますが、これを集計いたしますと、個人の財産につきまして大体二十億という数字になっております。それから企業の財産、これは主として法人の財産でありますが、これが五十億余りという数字になっております。両方とも円であります。それから引き揚げをされた方の数、これは二十七万四千人という数字になっております。その当該地域です。なお、ことしの七月に——在外財産問題審議会で現在在外財産の問題を審議していただいておりますが、その御審議の資料にということで、厚生省で引揚者の調査をいたしました。その結果につきましては、厚生省の方で大体集計ができておるはずでございます。この調査に基きまするところでは、在外財産の額といったものは、調査の項目に入っておらなかったと思いますので、その方の調査は比較的新しい調査でありますが、今お尋ねのような点にお答えできるようなものは、たしかなかったかと存じております。非常に雑駁なお答えでありますが、以上、私の手元にあります数字だけ集計して申し上げました。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 ただいまの報告によりまして、いろいろ詳しく質問したいのでありますが、時間の関係もありますので、重要な点だけ一つお聞きしたいのであります。まず、ことしのこの厚生省を中心として調査された在外財産の調査の中に、金額の調査がされてないというのは、これは全く驚き入ったことでありまして、昨年の国会においても衆参両院満場一致の決議をもって、ことに昭和三十年度の予算編成の際に当って、政府は在外財産の補償について予算的並びに法的措置を講ずべしというところの満場一致の決議がされておることは、御承知の通りでございます。従いまして、これを履行する物合において、その金額の調査をしないでおいて、適正な結論を出しようがないのは当然なことであります。どういうわけでこの金額の調査がされていないのかを一つお聞きしたいのであります。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 この在外財産の調べにつきましては、調査費用も計上して、できるだけ努力をいたしておりますが、ただいま申し上げました表は、今、御説明申し上げましたように、ずっと古いもので、終戦直後であります。これをもとにしまして、そうして審議会の、今後の在外財産をどういうふうにするかということの材料にいたしてあるのであります。なお、今後この調査については、最善を尽していきたい、さように考えております。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 たとえば、昭和二十年度並びに二十一年度における個人並びに企業体におけるところの在外資産の調べにいたしましても、たとえば、これは換算率がどういうふうになっておるとか、あるいはこの財産の実態が一体どういうふうになっておるかというふうなことがはっきりしないということであるが、これははっきりしないのは当然でありましょうけれども、いずれにしても、何らか最大公約数を求めて、この範囲においてこうなんだという的確な資料——的確といいますか、判断し得る一つの基準を設けられなければ、在外財産の適正な調査並びにこれに対する対策の講じようがないと思うのです。今日に至るまで、十年もたっても、なおかつこの問題が、今言われるような状態において放擲されているのかどうなのかを、一つ大蔵大臣にお尋ねしたいのであります。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 この在外財産については、国会でもしばしば御答弁申し上げましたように、できるだけすみやかに調査するということをやっておるのでありまして、今お話に出ましたような事柄についても、審議会で十分やっていると私は考えております。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 どうも質問に対する答弁がそれているようでありますが、一応これはこの程度にしまして、さて、今回の日ソ共同宣言の中に、賠償の請求権の放葉ということがあるのでありますが、たとえば、日本と戦争した各国の中でも、中共のごとき、まだ今後いろいろ取りきめなどによる国交調整等によって、個人財産を一体どうするかというような問題で検討されるべきものもあると思うのでございますが、今回の場合においても、相当大量な、たとえば、昭和二十年度、二十一年度においてさえも、二十億円あるいは五十億円、合計七十億円というところの私有財産がすでにもう、今日の貨幣価値からいってどれだけになるのかという問題もあるのであります。いずれにしても、相当大きなるところの個人財産が、一応国家の手によって放棄されている。個人の財産を国家の手によって処分されている。でありますから、こうした問題が現実に出てきているということについても、なおかつ一切目をおおうて、調査々々に名をかって、いつまでもかまわないような考え方であるのか、あるいはまた今後に問題を残している、たとえば中共などの場合においては、その際において、個人の財産をどうするかという問題もあるのでありますが、それらをひっくるめて、政府の方において在外資産の補償の問題として処理していく考え方であるのか、あるいは今回のこうした問題、具体的に、個人の請求権を国家の手によって放棄するという、国家の手によるところの処分の問題が現実にあるのでありますが、それだけは、私は切り離して、適当な個人の財産に対する補償の措置を講ずるというふうな考え方があるのかどうなのかを、一つ明らかにしていただきたいのであります。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 この問題は非常に複雑な内容を持っていると存ずるのであります。従いまして、この在外財産の処理については、特に審議会を設けまして、ただいまのところ審議会の検討にゆだねておりまして、その答申を待っている状況にあるのであります。その答申を見ました上で、政府としても考えていく、かようになると思います。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 大蔵大臣が、去る二十日の閣議後において、新聞記者団に発表されたところによりますと、これは要旨だけでありますが、何しろ八十万世帯の引揚者に対する在外資産は、金額としては個人的に、一世帯別に見れば大した金額ではないけれども、全体として見れば膨大な金額に上る。そうした金額については、これを他に効果的に使うべきだと考えるというふうに言っておられるのでありますが、これは間違いありませんかどうか、確かめたいのであります。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 ただいまお読みになったことは、新聞記者の会見でこうというて話したのではありません。雑談をしておるときの話なんであります。それは何もおかしく思われる点は全然ないのでありまして、これはこういうことなんであります。話しました内容を具体的に申しますと、かりに一世帯に十五万円差し上げるとすれば、そのとき百万世帯と言いましたから、そうすると千五百億になる。この千五百億を一世帯十五万円ずつにすると、経済効果は、ともすると十五万円にしかならない。百万に割られるのだから。ところが、かりにそういうことをするという場合——するという意味じゃありません。かりにいたした場合に、千五百億という金を何かほかにまとまって使えば、経済効果は非常に大きいのじゃないか、こういう意味のことを言った。金の使い方について雑談的に話した、そういうことなんです。しかし、これを私は出すというのではありません。出したらこうなるということで軽く話した、こういうことなのであります。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 ああした大蔵大臣の発言が新聞に出ました際において、引揚者はもちろんでありますが、これに関係のある多数の日本同氏の中には、大蔵大臣はもうこの問題に目をおおうて、予算的には何ら考慮してないのじゃないかというふうに解釈しておる。ところが、今の大蔵大臣の発言によりますと、いずれにしても、大きな金額になることが考えられるのだが、それを個個の人間、世帯に渡さないで、何らかとりまとめて、それを有効に使うような方途をも考えた方が適当であると思う、というふうな意思表示をされたものと解釈していいのかどうかをお尋ねしたい。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 さようであります。ただ、しかし、これは仮定で、何もかどばっていうたんじゃありませんよ。金の使い方に、そういうことも考えられるということを申したのであります。それだからというて、お前も金を出す考えを持っておるのだというようには受け取らぬように願います。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 そうしますと、その意味はわかりますが、さて問題は、たとえば、一世帯十五万円というふうなこと、あるいは百万世帯というよりも、現実にもし全体に一律に払うとしても、大蔵大臣は、八十万世帯の数であるということも、すでにおわかりになっておるはずだと思います。さて、それに十五万円ずつ払うというようなことも考えておられるとも思うのです。しかし、それが三千や五千ということでなしに、やはり万とまとまった相当な金額に上るものをも考えておられると思っていいのかどうか、ということを一つお尋ねしたい。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 重ねて申し上げますが、私の今申した何は、新聞記者もたくさんおったわけではないのです。友人がいて、その話が出た場合に、そういうこともというて出たわけでありますから、それからだんだんとお引き出しになられて、いろいろ質問を伺っても、お答えはできかねるのです。今いうた万というようなその金額も、私がそういうのじゃないのです。引揚者が一世帯十五万円というようにいうておるから、その引揚者のいうておる十五万円というものをちょっというただけでありまして、何も私が万を考えておるということではないのです。すべて審議会の答申の結果を待っているのが、今の現状であります。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 もし審議会の答申の結果を待つというのならば、その事前において、大蔵大臣がこうした考え方を一方的にお出しになるのは、間違いだと思う。言いかえれば、審議会にまかせて、その結果判断するというならば、事前にあなたの考え方をお出しになるというのは、間違いなんです。であるから、私たちは、もう少し大蔵大臣は大蔵大臣としての独自の立場に立って、この引き揚げの問題を考えるべきだ。少くとも今この日ソ共同宣言の条約文の中において、はっきり個人財産を国家は放棄しておる。個人の財産を国家は勝手に処分しておる。これは、憲法の条項からいうても、こういうことが一体あり得るのかどうなのか、正しいのかどうかという問題にも触れてくると思うのでありますが、憲法論はしばらく別として、いずれにしても、個人財産を国家の政策上の都合で取り上げたことになるのは事実である。これを何とかしなければならぬのは、当然の条理なのです。それについて、たとえば、十五万円がもし適当でないというならば、何万円なら一体適当であるか、国家は一体どのくらい払えるのか、それの支払いの方法は一ぺんにやるのか、あるいは公債でやるのか、あるいは何らか一つの事業体というふうなものを設けさして、そういうふうなものに有効適切な方法で使わせるのか、いろいろな方法があると思う。何らかこれはしなければならぬというだけの、そういう責任のある答弁が大蔵大臣から聞かれぬということは、私は非常に遺憾に思う。そういう意味において、まず考え方、少くともこうした条約の審議の際において、この問題でも、一体どうするというふうな一つの考え方ぐらいを示してもらわなければならぬという段階に到達しておると私は思う。そういう意味において、大蔵大臣の一つ腹蔵のない、率直な意見をお聞きしたいのであります。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 ただいまお答え申しましたように、この問題については、審議会の答申を待っておるのであります。私が、非公式といいますか、雑談的に話したことについて、そういうことを言うのはおもしろくないじゃないかという御注意は、つつしんでありがたく承わります。ただ、しかし、それは何も私の意見ではないのです。引揚者の意見を、言いかえれば、私は引揚者の声に非常に耳を傾けておるということであります。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 そうしますと、この審議会の構成はどうかといいますと、御承知の通りに、大蔵省の相当有力なる役人の歴々も入っておられる。審議会の経過をずっと仄聞してみますと、大蔵省の意見が強く出ておる。ほとんど、現在において、大蔵省のそうした意見が圧倒的、代表的な考え方で、何らかこれがうしろでもって足を引っぱられちゃって、一向前進しない、結論が出ない、こういうふうな実際の状態であるから、大蔵大臣はその審議を待つといっても、結局においては、そこに名前をかりて、全然こういうものに耳をおおうて、引き揚げの問題、在外資産の問題については何ら措置を講じない、ただ、うやむやに時間だけを引っぱっていって、次の予算にも間に合わさないというふうな考え方を持っておられるのかどうなのかを、お聞きしたいのであります。実際において、もしそうでないとすれば、この次の予算には、何らか一つの形を持ったものが盛り込まれたものを提案する考えをお持ちになっておるかどうかを、お聞きしたいのであります。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 お答えします。大へん私は御無理なことをおっしゃるように思うのですが、審議会を大蔵省が引っぱったり、そんなことは決してやりもしませんが、またできもしませんよ。これはきわめて公平に審議しておるのであります。従いまして、その結果を見まして、政府としては善処をいたす、かよりなことに御了承願います。   〔「もういいじゃないか」と呼び、その他発言する者あり〕

中崎敏日本社会党

○中崎委員 これは重大問題だ。八十万の引揚者の世帯に関する重大問題だから、そう簡単に——ほんとうに年をどうして越そうか因っているんだよ。

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 私語を禁じます。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 審議会の結論が出なければ、いつまでたっても政府の方ではこの措置をされないのは、あるいは審議会に対して、いついつまでに一応見通しを立てた一つの案を出すように、要請といいますか、希望をされるのかどうなのか、そこまで努力して、何らか一つの措置を講じられようとするのかどうなのか、それをお聞きしたいのであります。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 政府といたしましては、この審議会の答申が早く出てくることを実は待っておる次第であります。その答申がありましたならば、むろんその答申を尊重いたす考えであります。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 審議会の構成、運用等から見まして、公平にやっておると言われますけれども、実際においての結果から見まして、この審議会というものが、むしろブレーキ役になっておるというふうな現実から考えてみて、また審議会については、大蔵大臣は絶えず関心を持っておられると思う。国民のこれだけの世論であるのだから、持っておられると思いますが、一体いつごろになったら意見が出てくると認識しておられるかをお伺いしたいのであります。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 私の考えでは、審議会の答申もそう遠くないうちに出るだろう、かように期待いたしております。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 それでは、その審議会の答申をお待ちになって、少くとも今度の新年度の予算に、何らかの具体的な施策を盛り込んだ予算というものが顔を出すというふうに了解していいのかどうかをお尋ねしたいのであります。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 答申案が出ましてから、予算に組むかどうかということは、十分考えて参りたいと思っております。

中崎敏日本社会党

○中崎委員 それでは、私はこれでやめます。

植原悦二郎自由民主党

○植原委員長 これにて日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との共同宣言の批准について承認を求めるの件外三件に関する質議は終了いたしました。  なお、明二十七日午前十時三十分より会議を開き、ただいまの四件について討論採決を行うことといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時十三分散会

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