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25回国会衆議院1956/11/30

地方行政委員会 第3号

発言数
194
登壇者
20
会派数
2
開催日
1956/11/30

会議録

大矢省三日本社会党

○大矢委員長 これより会議を開きます。  本委員会におきまして、前国会の閉会中において、地方自治、地方財政、警察及び消防に関して実情調査のため、議長の承認を得て北海道地方及び九州地方に委員を派遣いたしたのでありまするが、この際派遣委員よりその報告を聴取することといたします。第一班北海道地方、徳田與吉郎君。

徳田與吉郎自由民主党

○徳田委員 去る九月国政調査のため、委員渡海元三郎、櫻井奎夫、徳田與吉郎の三名は北海道へ巡遣されましたが、その報告の機会を失っておりましたので、ここにそのごく概略を申し述べます。  調査いたしましたのは函館、室蘭、苫小牧、札幌等の道南各都市、並びに北海道庁、根釧地方各市町村の広域にわたり、九月十九日出発同二十九日帰院いたしました。  今回の調査目的は、地方行財政一般ではありましたが、特に第二十四国会で改正されました地方行財政の健全、合理化を目途とする一連の制度が地方公共団体個々に及ぼす具体的な影響と、後進特殊の地域にある北海道各行政団体の実態把握にあったのであります。  まず北海道庁において総務部長ほか関係各課長より詳細な説明を聴取したのでありますが、これを要約いたしますと、第一点、国費による総合開発計画が実施中である。第二点、道及び各市町村の行政施設が内地のそれに比べて著しくおくれている。第三点、地域が広大であって、気候が寒冷積雪地帯であり、かつ濃霧等の悪条件下にある。第四点、国費による総合開発計画に伴い、地方負担分あるいは付帯事業費が増高する等々の特殊事情によって、一般地方公共団体に比べ財政需要が増加されるにかかわらず、国の財源措置が不十分である。その具体的な事例として、昭和二十九年度の実積を示されましたが、これによれば同年度内におけるこれらの経費の道負担額見積り四十六億に対し、地方交付税で二十億円、地方債で十八億円、計三十八億円余が計上されたにすぎず、差額七億七千万円程度は未措置と相なっております。今回の補助率の引き上げ、補正係数の改善によって若干緩和されたとはいいながら、なお考慮の余地があるものと思われます。さらに道の公共事業費は、総合開発進展とともに年を追い増大して、昭和二十八年度、九年度はいずれも全国府県の総額の八分の一である百九十億円をこえるに至り、二十五年度に比べて三倍に伸びているのでありましたが、同時に道負担額も急激に増高して、これまた二十五年度の三・八倍である二十五億円に達し、他府県の二・四ないし六倍に比べて著しく負担が重いようであります。これらに対する措置についての強い要望がありましたが、調査室にあります資料で詳細御承知おきをお願いしたいと存じます。しかしながら一点、去る国会で改正実施されました未開発後進県に対して、投資的経費を、新顧客補正の設定によって算入する方途が講ぜられましたけれども、北海道は他の先進府県同様何らその恩恵を受けておらない不合理性の強調がありましたが、一考を要するものと思われました。  道庁で、北海道町村長会長から公債費の処理に関する国の援助政策、並びに自治法の改正に基いて、助役が教育長を兼務できる期間をさらに延長してもらいたいという陳情がありましたことを付言いたしておきます。  なお道内の町村合併については、その特殊地域性が進行をはばみ、計画の五〇%が進捗したに過ぎず、今後も残り七十三カ町村のうち、二十カ町村程度のほかは合併困難と見られております。  再建申請団体は当時七十二市町村に及び、順調に進捗しておるようでありました。  函館市ほか個々の調査団体の詳細並びに要望事項等につきましては、あまりに広範にわたりますので、持ち帰りました資料を調査室で御一覧の上、御了承願うこととし、ここでは若干抜萃して御報告いたします。  函館市におきましては、本委員会所管の問題とも思われませんが、北海道の玄関都市として、その連絡交通に関する要望に熾烈なものがありました。その一つは青函連絡船の不足と運賃の不当性であります。特に貨物運賃におきましては、国鉄標準料率の三・四倍に定められており、これが道内経済発展に大きな障害をなしているそうであります。国鉄側としては、近く鉄道料金改正の機会があれば是正すると約束をしているそうでありますが、国会側の協力を強く要望しておりました。  その第二は、内地連絡の海底トンネルの問題であります。むしろ函館地区の住民は、青森県の最北端、大間の港を改修することによって、現在の所要四時間を一時間に短縮することが可能であり、その経費もわずか二億円程度であるから、巨費を要する海底トンネルは不要であると言うのであります。北海道開発と関係の深い問題でありますので、お伝えいたします。  なお函館市を中心とする道、渡島支所管内は、近年不漁に加えて漁獲物の陸上げが激減し、最盛期の五%程度というさびれ方であって、財政の面から分県の世論さえ起っている状況であります。  室蘭、苫小牧両市はともに、日鋼、富士鉄あるいは王子製紙、国策パルプ等の大工場を抱えておりますので、大規模償却資産に対する固定資産の課税額に対し、重大な影響をこうむっております。すなわち今回の税制改正によりまして、前者は昨年比七千五百万円の減、後者は七千万円の減少と相なっております。財政規模の総額九億円や五億円の両市にとっては大きな財政欠陥であり、前国会における付帯決議の実現を待望するのもゆえありと思われます。  北端歯舞本村を視察いたしましたが、納沙布燈台の真下が国境線と称してソ連の監視下にあり、折柄出漁中の三、四十隻のわが漁民がコンブ、帆立貝の採集中を二隻のソ連監視船に追い立てられている現状を見せつけられ、痛憤にたえない思いがいたしました。  根室町では根室支庁長の催しで、管内市町村長並びに歯舞、色丹諸島関係者の懇談会が開かれました。席上、根室町、歯舞村、和田村の合併問題、歯舞、色丹諸島帰属受け入れに関する諸問題、択捉、国後島返還等について現地の声を聞いたのでありますが、その帰属に対する熱烈な住民の要望には、こうべをたるるのみでありました。領土たな上げで日ソ国交再開の今日、同情にたえないものがあります。特に千島諸島を失った根室町の財政窮乏は実にはなはだしく、何らか対策を講ずべきものと思われます。  根室、釧路地方は、いわゆる根釧原野開発地区として、世界銀行の融資によって機械開墾を進められている地区でありまして、そのモデル・ケースとして、パイロット・ファームと呼ばれる開拓農家が計画入植いたしております。地理不便のため現地視察はできませんでしたが、入植五カ年で、耐寒ブロック住宅、畜舎、サイロ等を備え、電力も導入して、耕馬二頭、乳牛十頭、肥育豚五頭、綿羊二頭、鶏二十羽を持ち、牧草、飼料栽培耕地として十四町四反、付属耕地四町四反を開墾付与して、七、八年のうちに年収百万円程度の酪農を作ろうとする理想的なものでありますが、計画の進捗は十分とは見受けられませんでした。  これら開発事業に伴う市町村の財政需要は、根室支庁管内のみでも二千万円近くに上り、三十年度は特別交付税でようやく八百万円程度を付与されているにすぎません。  湿原、泥炭地帯であるこの地方の国費による特殊開発、釧路港の整備、道路補修等強く要望されております。  釧路市は、この方面の漁業好況と、内陸開発の影響を受けて活況を呈し、市の財政も二十八年度までに累積した赤字一億三千万円を三十年度に解消するという勢いでした。  最後に網走地区に入りましたが、この地方は本年は低温、多湿のため非常な冷害をこうむり、水稲はほとんど全滅、雑穀は四分作といわれ、その対策に苦慮している状況でありました。  この調査旅行を通じまして、後進、開発途上にあります北海道を、内地府県並みに取り扱う現行制度に、大きな疑問を持たされましたことを付言いたしまして、はなはだ雑駁ではありましたが、報告を終ります。(拍手)

大矢省三日本社会党

○大矢委員長 第二班九州地方、鈴木直人君。

鈴木直人自由民主党

○鈴木(直)委員 九州調査班は、便宜、私から御報告を申し上げます。  九州調査班は、吉田重延、五島虎雄及び鈴木直人の三委員と、丸山稲調査員の四人でありまして、八月八日東京発、約一週間にわたり、福岡、長崎の両県を調査し、さらに熊本県にも立ち寄り、調査いたした次第であります。  今回の調査は、その主眼点を地方税制の改正に置き、特に固定資産税中大規模償却資産の関係、また駐留軍使用の国有資産及び旧軍港市における旧軍港施設関係を実地について調査することに努めました。  この目的のため、福岡県では八幡市及び八幡製鉄所を視察して、市財政と製鉄所の固定資産税との関連を調査するとともに、福岡市における板付飛行場の状況、長崎県においては特に佐世保市を訪ね、旧軍港市の実態、特にその行政の特殊性と財政の実情を知るに努めました。  また福岡県においては、昭和三十一年度予算案等の知事専決処分問題のその後の経過と現況を聴取するとともに、県下市町村の財政概況並びに税務行政及び税制改革に関する県の意見を聴取いたしました。長崎、熊本両県については、財政再建整備団体でありますので、その実情を中心に調査いたしました。  これらの詳細をここに申し上げることは、時間の関係もありますので、これを省略いたしまして、概括的にそのおもなる事項について、二、三の印象を申し上げたいと思います。  まず大規模償却資産に対する課税制限の問題でありますが、八幡市側のいうところによりますと、同市のごとく財政収入を大工場に依存しなければならない労働都市にあっては、昭和二十九年五月の法律改正によるこの課税制限によって大打撃を受けたのでありましてすでに全国市長会から、大規模償却資産に関する改正要望事項として陳情いたしておる線に沿って、法律の改正を熱望いたしておりました。  すなわち同市は八幡製鉄所、三菱化成黒崎工場等が所在するわが国有数の重工業地として、戦後急速に復興しつつありまして、ために人口増加率は全国平均の五倍で、戦災都市でもあり、住宅の不足はなはだしく、また学童の増加が毎年三千ないし四千を数え、さらに市街地拡充に伴う区画整理や、街路整備等土木事業など、民生、教育、土木等の行政経費は巨額に上る実情であります。  元来八幡市は八幡製鉄所と盛衰をともにしておりまして、担税力の少い従従員を抱えて市は財政援助を製鉄所に求めており、国の助成金を得たり、あるいは会社からも税負担以外に納付金、寄付金等の名目で、市が援助を受けていたのでありますが、制度の改正によりまして会社からの寄付金はあとを断ち、さらに二十九年の地方税法改正により償却資産税の課税制限が行われましたので、ここに非常な税収減を来たすことになったというのであります。  すなわち大規模償却資産に対する固定資産税だけで昭和二十九年度に比して三十年度は一億二千五百余万円、三十一年度は一億八千三百余万円の減収となったのであります。現在市税収入総額は十一億一千万円でありますが、全国市長会の要望のごとく法改正が行われれば一億一千五百万円ほどの増収が期待されるということでありまして、その改正要望の要旨は、大規模償却資産の課税限度額について人口二万人以上の人口段階をさらに分類して、高段階に至るものも、それぞれ制限の緩和をはかることとして、最終段階の人口二十万以上の市にあっては十五億円を限度として課税し得ることとするというのであります。ちなみに現在昭和三十一年度において福岡県と八幡市との間における八幡製鉄所の大規模償却資産の課税標準額の配分は、福岡県が百四十三億余円に対して八幡市は三十五億余円、税額にして県の二億円に対して八幡市は五千万円となっておるような状態であります。  次に駐留軍使用施設の関係でありますが、まず福岡市の板付飛行場については、市はもとより同基地の移転を念願して、その促進を陳情し続けておるものでありますが、にわかにその希望達成は困難であることも承知しておりまして、現在としてはもっぱら飛行機の爆音による基地周辺の中小学校の授業上の障害をいかにして防止するか、その防止対策について市としては深い関心を払っておりまして、基地周辺の中小学校に案内を受けまして、爆音の実際の状況及び教室の防音施設等について実地視察するとともに、校長教員、PTA関係者より左のごとき陳情を受けたのであります。すなわち基地周辺の学校に対しては、一学級当り児童生徒数を最高四十人もしくはそれ以下とすること、十分な防音工事を実施すること、校舎の移転、教職員に対する特別優遇を講ずること等であります。われわれは現に移転新築中の一校舎、またすでに防音装置を行なっている学校についてその模様を視察して参りましたが、その効果は十分でなく、なかなか困難な問題ではあるが一何とかして解決しなければならない問題と思ったのであります。  次に旧軍港市の問題でありますが、佐世保市についてみれば、かような都市は元来海軍依存の都市であって、軍港施設を除外してはほとんど自立産業なく、その財政基礎を持たない団体であります。戦前、海軍はなやかなりしころでさえ必ずしも軍港市は財政は豊かでなく、国庫からは海軍助成金が交付せられておりましたが、今はこれがないばかりでなく、逆に失業者が多く集まり、生活要保護者がふえ、教育施設の拡充等行政経費の激増のために市財政を圧迫している現状であります。しかも多くの旧軍港施設は駐留軍や自衛隊が使用しておりまして、一部転換工場のほかは遊休施設として、いたずらに市の枢要部分を占有しながら、市財政には何ら寄与していないのであります。  佐世保市の財政規模は本年度現計予算で十三億六千七百余万円でありますが、税収入は五億六千万円で歳入の四一%に当ります。この比率は昭和二十九年度決算では三九・七%で、人口数で同段階にある他の市平均に比較して約一〇%低いのであります。しかるに歳出面では教育費一億二千二百万円、社会及び労働施設費は三億八千余万円で、全歳出額に対する比率はそれぞれ八・九%、二七・九%となっておりますが、さらに三千人の学童増加に応ずる学校建築と失業対策費の四千万円ないし五千万円を追加予算に計上する予定でありまして、教育費及び社会労働費この両者だけで全歳出中に占める比率は四〇%となっているのであります。しかも地方交付税等国庫からの地方財政調整補給金の毎年度決算額に対する比率は、はなはだしく低下しつつある現状でありまして、終戦前の一一%に対し昨年度は七%となっておるのであります。一例を失業対策にとりますと、交付税算出における失対適格者の標準は人口二百四十六人に対し一人の失対適格者が出るものとされておりますのに、佐世保市では百十七人に一人ということになっておりまして、標準の二倍以上失業者があるわけで、それだけ市の一般財源が食われているわけであります。一方旧軍港施設が駐留軍等に使用せられておりまして、これらには非課税の待遇を与えられながら、市としては、道路費、岸壁築造費、渉外費等九千百余万円、うち六千四百余万円の市の一般財源の負担となる特別財政需要が見込まれるというような状態であります。従って国有資産等所在市町村交付金制度の関連において、関係都市としては駐留軍使用の固定資産に対して交付金の交付せられるよう要望しており、このことはすでに先国会で当委員会で法案審議の際付帯決議を付していたところでありまして、早急にその具体化が実現せねばならないと考えた次第であります。佐世保市では旧軍港施設関係を非課税よりはずすと固定資産税で約二億三千万円、電気ガス税で千三百万円の増収見込みを立てているのでありますが、また別な昭和二十九年度の決算について作った資料によりますと、佐世保市駐留軍使用施設にかかる固定資産について国有資産等交付金の法律を適用すると仮定した場合には、この交付金を含めた同市の税収全額の全歳入に対する比率は四八二%となりまして、人口同段階の市の平均四九%にほぼ一致してくるのであります。  次に、福岡県における本年度予算等の知事の専決処分の問題は、係争の原因となった中小学校児童生徒数につきましてもその後調査も完了いたし、関係当事者間の了解もなりまして解決済みとなっておったのであります。  長崎県及び熊本県は財政再建団体でありますので、もっぱらその状況を聴取いたしました。長崎県の赤字は、昭和二十九年度決算で六億四千五百万円、その発生原因は当時の地方財政制度の欠陥もありますが、特殊な本県の原因としましては、第一には長崎県は島嶼の数が六百幾つかありまして、海を含めた面積は九州全土にひとしいという地理的な事情、第二には産業の中心をなす漁業、石炭、造船の三産業が不振であったということ、第三は従前半衡交付金の基準財政収入額の算定中、遊興飲食税が過大に積算されたこと、第四に昭和二十八年六月、七月の大水害のあったことをあげております。本県は全国府県のトップを切って申し出た再建団体でありますが、再建期間は昭和三十年度から八カ年間、あらゆる面で経費節減と収入増をはかることは当然でありますが、単独事業では一割から三割減の線で計上、税収入についても新税創設や税率の引き上げは行わないけれども、もっぱら徴収歩合を高めることとして、昭和三十一年度では九六・六%、昭和三十二年度においては九六・七%にこれを引き上げまして、滞納分でも最終年度四五・五%にまで引き上げる計画であります。  再違法について長崎県から強く要望されましたことは、法律にうたわれている利点が政令の段階で受けられなくなったということでありまして、その第一は利子補給率、第二は指定事業におけ至高率補助についてであります。すなわち政令第七条によると赤子の多い団体が利子補給率が多く、経費を節約してきた赤字の少い団体に対しては利子補給率が少くなるが、これを合理化するということ、また再建団体の指定事業の総額が昭和二十七年から二十九年度までの三カ年間の平均の七五%以下の場合においてのみ高率補助を適用することとなっておるけれども、これは未開発地の開発を著しく阻害するから、七五%以下の部分については適当な改正を加えられたいというのであります。なお一般的に地方債の元利補給等を、ぜひ国で考えてほしいという要望もございました。  熊本県の赤字は、昭和二十九年度決算で六億三千四百余万円、うち再建債対象額は五億一千四百九十五万一千円。赤字発生原因は職員数が多く、かつ人員機構上単価も高いということ、投資的事業のため公債費の累増したこと、連年災害が発生したこと等であります。本県もまた再建期間は昭和三十一年度から七年間でありますが、再建計画の内容は大同小異であります。  地方税制の改正につきましては、福岡、長崎両県からはその意見を聴取いたしたのでありますが、そのおもなるものの項目のみを列挙しますと、第一に県民税については不均衡を是正すること、第二に事業税については非課税規定を整理し、原始産業課税を実施すること、及び法人事業税の分割基準を合理化し、法人県民税とともに本税の中間申告納付制度を廃止すること、また所得税の控除失格者に対しては事業税を非課税とすること、第三に遊興飲食税については非課税、免税点、基礎控除の制度を廃止し、税率は一本化し、軽減すること、第四に自動車税については車体検査の際、証紙徴収の制度とすること、第五に狩猟者税についてはその税率区分を撤廃すること、第六に軽油引取税については用途免税の制を廃止し、全部に全般的に課税すること、以上のごときものであります。もとよりそれぞれの理由はここに申し上げません。  以上のほか各県下市町村の行財政一般、町村の合併、新市町村育成強化の問題につきましても概況を聴取して参りましたが、事煩瑣にわたりますので省略いたしまして、以上をもって調査報告といたします。(拍手)

大矢省三日本社会党

○大矢委員長 これにて派遣委員よりの報告聴取は終りました。     —————————————

大矢省三日本社会党

○大矢委員長 次に地方財政に関する件について調査を進めます。質疑の通告がございますので順次これを許します。なお本日政府委員並びに説明員として政府側から早川政務次官、小林財政部長、奥野税務部長、藤井行政部長、細郷府県税課長が出席されております。中島巖君。

中島巖日本社会党

○中島(巖)委員 昨日に続いて質問を続行いたします。私は地財の整備法による再建団体と公共事業との関係を主眼といたしまして、さらに目下数県から出願されておりますところの発電税の関係について質問をいたしておったわけであります。この発電税の関係につきましては、これと関連があるところの電気ガス税、水利使用料並びに地方税法のいずれの点に抵触するかという問題になるのでありまして、昨日奥野説明員からいろいろと御答弁を賜わったのでありますけれども、いずれも了承しかねる、納得のできないような御答弁ばかりでありまして、これは結局現在の地方税制度そのものに根本的の欠陥があるのではないかというような感を深くしたわけであります。従いまして貧弱県、富裕県あるいは地財法の整備団体といたしましても、基本的の問題は国の税制制度のいかんにかかっておる。国の税制制度いかんによりまして貧弱県が富裕県ともなる、こういうことではないかと思うのであります。そのよき例といたしまして、昨日から質問しておりますところの例の電気ガス税、これなどは地方財政の窮乏打開の一策とするという趣旨であるにかかわらず富裕県に多く流れて、そうして現在地財の再建整備の適用県はほんとうに十分の一ばかりのわずかなものである。従いましてこれを目下申請しておるところの発電税にかりに振りかえるといたしますれば、一つの例を申し上げますれば、長野県にはどういう結果になるかと申しますと、大体現在の電力会社の年間収入が二千三百九十一億、さらに自家発電が一五%でありますが、これを収入額といたしまして一〇%と見ましても、二千六百三十億というような数字になる。水利使用料の面から見ますと、長野県は全国の一四・三六%である。大体この水利使用料でもって発電料は押えられると思うのであります。そうしますれば年間に三十七億八千百九十万円というような発電税が入るわけであります。長野県は十六億の赤字でもって八カ年間の再建計画に入っておる。しかしながらただいま申し上げましたような税制を合理的に改革いたしますれば、この赤字は数カ月でぶっ飛んでしまって、非常な富裕県になる。これは長野県といわず福島県あるいは新潟県も同じことが言えるのであります。従いまして国の地方税制度に大きな欠陥があり、その上に立ってかくのごとき地財法を適用して再建整備団体を作って、そして公共事業その他を押えるということは非常な矛盾じゃないか、根本的に地方税制度に対して大きな改革を加えねばならぬ時期になっておるのではないかというような感を深くいたしたわけであります。これは昨日の質疑応答の結果から得た感じを申し上げたわけでありますが、そこでこれに関連いたしまして質問に入るわけであります。しかし時間も約三十分というようなことに制限されておりますので、ごく簡潔に質問をいたしたいと思います。政府委員の方も従って回りくどいお話でなくて、要点をつかんだ御答弁を願いたいと思うのです。  そこで、昨日電気ガス税のことについていろいろ質問いたしたのでありますけれども、まだ政府のこれに対するはっきりした結論と申しますか、お考えを聞いておらない。従いまして電気ガス税は、昨日いろいろ指摘いたしたように、いろいろな矛盾があるけれども、これを存続する考えであるか、また存続するとすれば、その理由はどういう理由であるか、この二点をお伺いいたしたいと思います。

奧野誠亮総理府事務官(自治庁税務部長)

○奧野説明員 電気ガス税はなお継続実施していきたいというふうに考えております。やはり電気ガスの消費量というものは、大体個人の担税力に相応しているのではないだろうか、そういう意味において電気ガス税を消費税として課税いたしましても、おおむね担税力に合致した課税になっていくのだろうというふうに存じているわけであります。

中島巖日本社会党

○中島委員 それについては私、いろいろ意見もありますけれども、時間もありませんので、先に結論を急ぐことにいたします。  電気ガス税は存続する考えである、こういう結論を得たわけでありますが、そこで電気ガス税の中の非課税品目であります。この非課税品目は現在のまま置く考えであるかどうか、もし置く考えだとすれば、その理由は何であるか、この二点をお伺いしたい。

奧野誠亮総理府事務官(自治庁税務部長)

○奧野説明員 非課税規定の整理の問題につきましては、当委員会におきましても、あるいは他の調査会におきましても御論議がございましたので、その御論議の結果が出ますならば、十分この結果を基礎にしてさらに検討しなければならないと思います。しかしながら現在におきましては、電気ガス税はたびたび申し上げますように、消費税と考えているわけであります。従前の沿革から見ましても、家庭用の電気だけに課税しておったわけであります。生産資材に対する課税は適当ではない、かような考え方を持っておりますので、極端に生産資材に課税になります部分は、やはり課税を除外していくことが適当であるというふうに存じております。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 関連して。私、昨日から中島委員や皆さんの質疑応答を伺っておるのですが、奥野さんの御返事によりますと、電気ガス税を消費税と生産税に分けて、消費部門だけに課税するというのですが、今の例外規定といいますか、ああいうものはそういうふうにきちっと分れておりますか。私はそういう回答をいただくと、まだ例外の品目をどんどんふやしていくという事態が起ってくると見るのですが、その辺のところはどうなんですか。

奧野誠亮総理府事務官(自治庁税務部長)

○奧野説明員 電気ガス税にも相当の収入を得て参りたいという考え方がございますので、消費税として割切ってしまうというところには行きかねております。しかし基礎資材につきまして、その生産コストの中で電気の料金が大きな割合を占めているものは大体はずれておると思っております。基礎資材以外の面におきまして、たとえば製氷の関係あるいは水道の関係等におきましては、比較的電気料金が大きな割合を占めているのに、なお課税されているという部門もございます。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 私は関連質問ですからこれで終りますけれども、そういうことで行くなら、あなたの今の御答弁の中にあったように、製氷会社などは原料は水であります、あとは多少の薬品とほとんど電気でありまして、これにはやはりかかっている。これはもう完全に私は生産的なものであると思っている。  ですから結論的なことをお尋ねするのだが、何といいましても地方財政の赤字を救うためにやむを得ず電気ガス税というものを設けるのだというような一般的な考え方であろうと思う。その免税にいたしました部分が、きのうから中島さんがいろいろ御説明になったように、最近大体好況にありますので、一方はゼロで一方は一〇、この比率は何としても私はひどいと思う。それでその免税になっておる部分は、電気全体の消費量の三十数パーセントに及んでいるということになれば、たとい二%でも三%でも取るとかあるいは一〇をできたら八におろす、五におろすとか、私はもう電気ガス税については修正すべき時期に到達しておる、こういうふうに考えておるのでありますが、どうですか。政府におかれましても、そういうことについて逐次御研究をなさって、そしてせっかく早い機会にお出しになる。これは非常な問題で、たまたま地方税は、あまりどうも国税のごとく、世論といいますか、そういう面におきましても第一線に出てきませんから、はっきり言えばみんな私は知らないだろうと思う。消費者階級は電気ガス税はみんな取られていると思い込んでいる。このことがはっきりいたしましたら、これは非常な問題になってくると思う。政府は先手を打って、非常な好況でもありますから、率を変えるというふうなことを考えてもいいと私は思うのです。この点について早急研究して改正をする意思はないですか。これは政務次官、相当長期間にわたって自治庁の政務次官としておやりになったわけでありますからお考えがあろうかと思いますので、私は率直に伺わせていただいて、この問題について一応の方向を見出しておきたい、こう思うのです。いかがですか。

早川崇自由民主党自治政務次官

○早川政府委員 政府の経済施策が非常によろしきを得まして、最近そういった事業が好況になって参ったということはけっこうな事態でございますが、今御指摘の点は、必ずしも数年間好況であったとは私は言えないと思うのでありまして、もう少し情勢をながめまして考慮いたしたい、かように考えております。  ただ、電気ガス税の根本的性格は、やはり税務部長の言われました消費税的な、消費者の間接税的な性質でございますので、そういった性質、基本原則だけは一つお認め願わなければならないので、おのずからそこに検討の限度もあろう、かように思っている次第でございますが、お説は十分拝聴いたしておきます。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 これで終りますが、大体消費税だとか生産税だとか、そういう区分けの仕方そのものに非常に根本的な問題があろうかと思う。そうして現実の課税の姿を見ますと、生産税に藉口いたしまして、この間も新聞に出ておりましたが、電力会社の金沢の支店かなにかの電気ガス税は全然払われていなかったというふうなことがありまして、課税のやり方にも非常に問題がある。生産税と消費税というふうに分けるなら、一つの工場にいたしましても工場内の事務室の電気はおそらくとっておるでありましょう。しかし工場の周辺の街灯だとかなんとかいうふうにこまかく入りますると、メーターが一つであるとかなんとかいうことで、ほとんどのがれておるのが現状じゃないかと思うのです。ですからそういうふうな理論は理論として、実際問題といたしまして一方は一割とられておる、一方はゼロである。そうして政府の施策がいいのかどうか知りませんが、これはわれわれとしては世界の経済界その他いろいろな原因はあろうかと思いますが、そんなことを私は今さらお尋ねしておるわけじゃないのです。担税力という面から考えて現実を把握していただかなければならぬ。そうなればこれからもほうかむりでいくというようなことは許されないと私は思うのですが、慎重に研究なさるというような余地はないように、問題は何%かけていくかという具体的な問題だろうと思うのですが、もう一度見解を伺っておきたい。

早川崇自由民主党自治政務次官

○早川政府委員 そういう公共産業に対しましては法人の所得税とかそれに伴う事業税、また株式配当に対しては取得税というような面で国に納税せしめるというのが主力になっておりまして、あくまで電気ガス税は消費税という基本原則から申しまして、奥野部長の言われましたように、おのずから限界点があると考えておりますが、先ほど申し上げましたようにわれわれといたしましては十分中井委員の御意見も尊重いたしまして、今後いろいろ研究いたしていきたいと思います。何分の御教示をお願いいたします。

中島巖日本社会党

○中島委員 ただいまの問題でありますが、電気ガス税は消費税であるから生産材にはかけないというような奥野部長からの御見解でありました。ところが昨日北山委員からこの問題につきまして前国会に質問したというお話がありましたので、私昨晩前国会の会議録を見たわけであります。すなわち当委員会におきまして昭和三十一年四月六日に北山委員から当問題につきまして質問をし、奥野政府委員並びに鈴木自治庁次長よりこれに対して答弁をいたしております。それで時間もありませんから全文を読むわけにも行きませんから、ごく正味を読みますけれども、奥野政府委員も、また鈴木次長もこれは価格統制時代におけるところの遺物である、その沿革がそのままに来ておるというようなことを重点的に御答弁になりまして、ただいまの消費税であるから生産材部門にかけないというような御答弁はなさっておらない。奥野部長の答弁の一部を読みますと、「言いかえれば消費税として電気ガス税を消費面から考えておったのでございます。しかし価格差補給金等の関係もございまして、反面また工業用を全面的に改めますことは課税技術上の問題、税収入の問題ということもありまして、価格差補給金を受けているものに限定して非課税の規定を残し、地方税として受け継いで参ったのであります。」こういうように御答弁になっておる。また鈴木次長は、これも全文を読むとよくわかるのですが、時間が非常にありませんので、ごく一部分を読みますと「沿革的には価格統制時代のことがございましたけれども、それらの価格差補給金等が出ておりましたこのような産業というものは、今日においても依然として各種の産業の基礎をなす基幹的な産業でございますから、そういうものの中で特に相当多量の電気を要し、それが原価構成の上において大きな比重を占めるようなものにつきまして、今日なお全体の物価の上昇を押えるという一つの見地から、このように非課税をとっておるわけであります。」こういうようにはっきりと答えておる。そこで鈴木次長も価格統制時代の価格差補給金ということを重点に入れて、「今日なお全体の物価の上昇を押えるという一つの見地から、このように非課税をとっておるわけであります。」とはっきり打ち出しておる。そこで私は昨日この非課税品目について、それらの会社がどういう状態でおるかということを、それぞれ産業部門別に提示したわけであります。資本金に対し二百何十パーセントというような利益率を上げて、株主の利益配当が四割も回って、五十円株が二百数十円しておるという会社がおしなべてなのです。こういう会社に非課税措置をとっておるということは、これらの答弁から見てもまたむちゃくちゃなのです。この中に流れておる思想は、言っていることは、いわゆる価格統制時代の遺物を現在そのまま受け継いで来ておるのだけれども、この物価の高騰の上においてこういう措置をとるという説明であった、またきょうの説明はそれでなくして、消費税であるから消費部門から取るけれども生産部門からは取らない、こういうように国会のたびに説明が順次変ってきておる、これはどういうわけであるか、この点御答弁を願いたい。

奧野誠亮総理府事務官(自治庁税務部長)

○奧野説明員 別に答弁が変っているわけじゃございませんで、その通りだと思います。沿革的に申し上げますと、昨日も申し上げましたように、国税時代に家庭用の電気に課税し、工業用の電気に課税していなかったわけであります。その実績から見ていきますと、そういうような課税では区分が非常にむずかしい、しかもまた純粋に家庭用に限った場合には税額がきわめて少いものになってしまう、こういうようなことからやむを得ず工業用にも課税をしていかなければなりません。しかし当時価格を押えて補給金制度をとっておりました。こういう価格統制を行なっておりましたのは基礎資材関係だけでございます——だけでもございませんが、これが中心であります。そうしますと基礎資材関係の電気について課税をする、コストが上ってくる、価格を上げなければならない、国から補給金を増さなければならないという循環になるものですから、基礎資材関係を除く、その線を価格差補給金を交付しておるものに限定をするというところで、非課税の範囲を極端にしぼったわけであります。その後価格統制もあるいは価格差補給金の交付もいろいろ変って参りまして、若干関連のあるものを非課税とし、追加もされて参ったわけであります。その後さらに電気料金が当時と違いまして漸次引き上げられまして、つまり低いものだから多少工業用が軽くてもがまんしてもらいたいというようなものにつきましても、範囲を広げざるを得ないのじゃないだろうかという事情も生じて参りまして現在に至っているわけであります。消費税として純化していきたいのでありますけれども、行政上困難であるということと、税収入の面においても非常に減ってくるというようなところで、一応全面課税と消費税との中間的なところが現在の線ではなかろうか、こういうふうに思っておるわけであります。政務次官がお話しになりましたように、やはり原材料課税ということは、いかがなものであろうか。基礎資材を使う原料に課税をする、これはあまり適当なことじゃないのじゃないか。そういう意味で非課税規定の全廃という点について、私たちは非常な疑問を持たざるを得ないわけであります。

中島巖日本社会党

○中島(巖)委員 税体系の上から、税制問題でへ理屈といっては失礼だが、こねておるわけですが、結局電気事業の公益性というものは一般大衆に不可欠なものであるから、いわゆる公益事業である。それを一般大衆に課税して、そうしてこういうような、高率配当をしておるところへは課税せぬというのは、これはどうあっても不合理なことなんです。従って私はこれ以上質問はいたしませんけれども、これはどうしても根本的に研究されて改められなければならぬ、こういうふうに考えるわけであります。  そこで例の発電税の問題になりますけれども、発電税の関係につきましては、私、先月の三十日でありますが、第一議員会館に、自治庁並びに通産、建設などの方々に来ていただいて、あなたの方にはたしか府県税課の課員の方だと思いますが来ていただいて、この問題についていろいろと御所見を承わったわけであります。ところがその御意見は、発電所を設置することによってその地方が非常に利益を得ておる、こういうお考えのようでありました。所管が違いますからもっともな点もあるかと思いますけれども、そういうように、発電税創設に対する自治庁のお考えが、根本的に御認識がないのじゃないか、こういうように考えるわけであります。  そこで現在の発電施設に対しましては例の憲法改正以来——二十九条において「財産権は、これを侵してはならない。」その第三項の、公共の用に供する場合においては完全な損失補償を前提としてというこの項に基いて、現在の土地収用法などができておるわけであります。従いまして、それ以後は地方公共団体並びに個人の考えも違ってきて、ごく最近におきましてはそういうことも言えるのでありますけれども、大体昭和十年一二十年時分にこしらえた発電所というものは、その堰堤の土砂の堆積によりまして非常な損害を起しておるわけであります。  そこで先ほどの水利使用料であります。これは大正十三年の六月一日に創設されたのでありますが、この大正十三年時代には水力発電所は営業用、自家用、合せてわずかに百四十七万キロしかなかった。この時代とは全く変りまして、年次別に申しますと時間がかかりますので大ざっぱに申しますが、昭和元年におきましてはわずかに二百万八千キロになり、昭和十年で三百三十八万キロになりまして、二十年で六百二十二万七千キロ、三十年で八百九十万九千キロというような増加を来たしておるわけであります。そこでこの昭和十年から二十年当時に設置した発電所は、例外なく非常な被害を出しておるわけであります。ごく簡単にその一例を申し上げますと、天龍川水系においては二十七の発電所がありまして、出力が六十万六千キロワットとなっております。そうして天龍川の本流には最近できましたところの佐久間、その上に平岡、泰阜、南向、大久保、この五つの発電所があるわけであります。佐久間は最近できたところでありますから、何も問題は起っておりませんけれども、昭和二十七年に完成した平岡発電所ですら、本流には問題が起っておりませんが、その支流の遠山川には、河床の上昇によっていろいろな問題が起っておる。そして大久保、南向、泰阜等は何ともいえぬ状態にありまして、大久保なんかわずか千四百六十キロの発電所でありますけれども、昭和二年に完成して、七百町歩からの水田が二毛作ができたものが、二毛作ができぬという状態になっておる、南向もそういうような状態になっておる、ことに泰阜発電所の状態につきましてはお手元に写真などを差し上げてありますけれども、これは建設当時、堰堤より七千五百メートルの上流までしか河床の上昇はしない、それ以上はいつまでたっても旧河床でおるといったのが二十五キロ、三十キロというような上流まで河床が上昇して、ただいまそちらへ差し上げておるような大被害をこうむっておる、そうして過去十年間において県では防災工事だけで九億三千万円ほど使っておる、従って県の負担は三億何千万円ということになっておる、これが五万二千キロの発電所でありますが、これから入る水利使用料は千三百六十万円であります。従って水利使用料の三倍も四倍もの金を使っておるわけであります。そこで県の耕地課で調べたところによると、耕地関係、農作物関係だけで十三億五千万円の被害をこうむっておる、それで地元の者はこの発電所の占有主たる中部電力に対して損害賠償を要求するといって意気込んでおる、ところが損害賠償を要求するについては十三億五千万円に対して印紙だけで七百五十万円払わなければ訴訟ができぬというような結果になっていて、やはりこの大きな電力会社に現地の農民としては対抗できぬ、こういう状態になっておる、そこで今度は県の方の土木部では、これがダムの災害のためだということになれば、建設省の方針とすれば発電所に損害を請求して、災害復旧させればよいじゃないかということになる。もし会社が訴訟を起しておれば五年たっても十年たっても片づくか片づかぬかわからぬ、従ってダムのためではない天然の災害であるということで、防災工事をしてきておるというのが現在の実情なんです。ただいま申し上げましたように、天龍川の本流に五つの発電所があって、この間完成した佐久間だけはそういう災害をこうむっていないけれども、あとはおしなべてものすごい災害をこうむっておる、これが千曲川におきましても、信濃川におきましても、姫川におきましても、同じ状態にあるわけです。そこでこういうように発電県がわずかに水利使用料をとって、そして非常な災害をこうむって、県の出費が莫大になるということと、もう一つは農地改良事業などをやろうと思うと、わずかな金でもって二千数百町歩の農地の改良事業ができるというような場合におきましても、既設発電所があるためにその水利権の問題で頓挫しておるわけです。長野県の南部においては黒川総合開発であるとか各所にそれがあるわけであります。従いまして、これは長野県の一つの例を申し上げたにすぎませんけれども、福島、新潟その他にもこういうような山の県は川と山より財産がありはしない、これをいかに高度に利用するかということがこれらの県の生命である、その川を独占し占有されて、そうしてこういうような被害をほとんど漏れなくこうむっていて、そしてこれらの県にはただわずかの名前ばかりの、全国で二十二億ばかりの水利使用料を出して、この電力をもらって工業が繁栄して、そして担税力のふえるところの都市に対して電気ガス税を一割かける。手をこまねいておるところの富裕県で一割取っておる。これは実に矛盾したものである。これは理論的にいえば、電気ガス税を廃止して、そしてこの電源県に充てるべきものです。そうすればただいま申し上げましたような、地財法の適用を受けておる県が一躍富裕県になり、これらの防災もできる、こういうことになるのであります。この点につきましてはきのうからもいろいろ申し上げましたけれども、いろいろな税体系その他についての小理屈といっては失礼だが、御意見があったわけであります。ただ早川政務次官が政治家らしく大きく割り切った御発言があって非常に期待いたしておるわけであります。ただいま私の申し上げた県について政務次官の御所見を承わりたいと思います。

早川崇自由民主党自治政務次官

○早川政府委員 昨日申し上げましたように、法定外の普通税というものは——憲法によって新たに完全自治体として市町村、県を考えておりますが、できるだけ財政収入を大きくして自由にやっていきたいという県は、百パーセントとまで行かなくても、法定外普通税を認めていきたい、これは原則であります。ただそのただし書きでいろんな税と重なったり国家経済上困るという場合のみ制限したい、こういう方針を堅持しております。そこで御指摘の発電税でございまするが、御承知のように水利使用料と電気事業税といったものと若干の重複があるという点が問題であります。また国民経済からいいますと、電気の料金という問題にひっかかるという問題もわれわれは苦慮いたしておるわけでありまして、とりあえず自治庁といたしましては、水利使用料率を引き上げまして福島県とかあるいは宮崎県、長崎県のような山村県、後進県の御要望にこたえたいというわけでございまして、もしここに水利使用料をやめて発電税一本で行くとか、また電気ガス税というものを若干減らして、そのかわり発電税というものを取って物価に差し引き影響がないとかいうような結論が出ますれば、ただいま中島委員の御指摘のようなことは十分私は尊重してしかるべきものと考えております。従って昨日申し上げましたように十分御意見のあるところを尊重いたしましてわれわれとしては検討を今後加えていきたい、かように思っておりますので、その点御了承願います。

中島巖日本社会党

○中島(巖)委員 ただいま政務次官からも若干その点に触れましたし、それから昨日も奥野説明員が申されたことであります。そこで発電税はこの地方税法二百六十二条に規定してあるところの制限にも何ら触れておりません。それから昨日奥野説明員の言われた二百六十一条の三の問題でありますけれども、三の問題は国の経済施策に対して重大な支障のあるというような文句になっておったと思いますが、何ら国の経済施策に対して関係なくして、昨日も指摘いたしましたように九電会社の二十九年の下、三十年の上の一年間におきましては八十何億かの利益金を出しておりますけれども、しさいに検討いたしますれば三百二十二億の利益金があるわけであります。これを渇水準備金であるとか、あるいは固定資産の償却であるとか、あるいは退職金の積み立てであるとかいうところに税を取られぬように振りかえただけであって、三百二十二億の利益金があることはあの決算表から、幾らか経理の知識のある者ならすぐ看取できる。こういう情勢でありますから、現在各県が申請しておるところの、全国でわずか十一億ばかりの発電税は十分に吸収できる。従いましてこの三号にも触れないと思う。しからば一号の税体系において重複するというのは、ただいまの政務次官、昨日の奥野説明員の見解でありますけれども、これも決して重複は私はしないと思う。なぜなれば、かつては日本発送電と配電会社と二つに分れておりました。従いましてこの電気というものは、水を電気という物品に製造する過程が発電所の仕事である。物品というと語弊があるかもしれませんけれども、これは明らかに市場価格があるものであるから、物品とみなしていい。その次の段階が送電して配電するところの段階である。従って水を電気に製造する過程というものは、いわゆる物品税を課していい。物品税というものは国税であるけれども、いわゆる国税として物品税をかけていないから重複しないのである。法定外普通税として創設しても重複しないのである。従いましてこの地方税法二百六十一条の規定によりまして、これはどうしても自治庁が許可すべきものである。いわゆる地方税法から見ましても、また大きな国の経済施策、さらに地方自治体の財政困窮の打開という政治的見地、いずれの面から見ましてもこれは許可すべきである。こういうように考えるのでありますが、奥野説明員の御所見を承わりたい。

奧野誠亮総理府事務官(自治庁税務部長)

○奧野説明員 発電税と現在の電気事業に対する事業税との課税標準が、一方は発電量であり他方は収入金額である、形式的には違うが実体的には同じじゃないか、かように申し上げたことに対しまして、発電だけであって、発電、送電、配電と考えた場合にはその対象が同一ではないじゃないか、こういうような御意見に承わったわけであります。しかしながら現在電気事業に対して事業税を課しておりますもののうち九電力会社は御指摘のように発電、送電、配電をやっております。しかし発電だけしかやっていない電気事業もあるわけであります。これにも事業税が課せられておるわけでございますので、全体の中の一部を切り離したからといって別な理由が立てられるものではないというふうに存じておるわけであります。  もう一つ、経済施策に照らして適当でないという問題、政務次官もお話になりましたが、電気につきましては高度な統制が加えられておる。料金につきましても認可制度になっている。その認可価格の基礎には発電税という要素が入っていないわけであります。事業税の要素は入っております。水利使用料の要素も入っております。そこに発電税という新たなる要素を加えるということにつきましては、やはり一つの問題だと考えるわけであります。今までとって参った政策とは食い違うじゃないか、やはりそこに慎重な考慮が望ましいのである。しかしもとより政務次官が昨日来たびたびお話になりましたように、私たちも発電県の財源はふやしたい。またそういう意味で政務次官もいろいろ御努力になったわけでありまして、その結果発電税によって増収を得たいと考えられている程度の増収が、来年度から水利使用料の形において増収になる見込みでおります。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 今の問題に関連して、これは前国会でも同様の趣旨で御質問いたしたわけですが、その際奥野説明員はたしか水利使用料の引き上げなりあるいは何かの方法で考慮したいというようなお話があった。その後今の発電税を認めるか、あるいは水利使用料の引き上げによるか、いずれか、いろいろ自治庁、政府部内としても検討を進めたいと思うのです。それでただいまのようなお答えがありましたので、一体水利使用料にした場合には、どれくらいの金額が地方団体、府県の増収と見込んでおるのか。また政府部内における折衝の工合がどういうふうに進行しておるのか、そういうことも関連してお伺いしておきたいと思います。

奧野誠亮総理府事務官(自治庁税務部長)

○奧野説明員 政務次官も非常にお骨折りいただきました水利使用料を来年度から引き上げていくということにつきましては、通産省、建設省、自治庁三者間で話し合いがついております。第一点は現在は新規開発の発電につきまして、三年間水利使用料を二分の一に軽減するという措置がとられております。この措置を来年度からやめてもらいたい。新規のものであっても、通常の水利使用料を負担してもらう、これが一点であります。もう一点は、現在の水利使用料は戦前の水利使用料を基礎にいたしまして、河川工事費の値上り倍率と電気料金の値上り倍率との中間の程度まで引き上げていく。具体的には、一理論馬力二百五十六円と定められております。これはもとより電気料金の政策としてこれを水利使用料にしわ寄せしておるわけでありまして、その結果は中島さんが心配なさいます水利使用料にしわ寄せしてくるという結果になっておるわけであります。そこでこの水利使用料を戦前の料金を基礎にいたしまして、単純に河川工事費の値上り倍率によって修正するということであります。そうしますと私たちは大体百円内外の値上りになるのじゃないだろうかというふうに想像しております。ただ河川工事費の値上り倍率を幾らに見るかということにつきましては、河川工事費の中にセメントの材料がどの程度を占め、賃金がどの程度を占めるというふうな構成の問題がございまして、河川工事費の構成比率をどう見るかということにつきまして、通産省と建設省との間で、若干意見の食い違いが、ございまして、自治庁と三者の間で調整をしておる最中でございます。いずれ近いうちには調整がつくと思います。しかしながらいずれにいたしましても河川工事費の値上り倍率で修正するという基本方針がきまっておるわけでありますから、おそらくそう争いもなしに修正倍率が定まるだろうと思います。そうしますと、この両者で大体十億円内外の水利使用料の増収が来年度から得られるのじゃないだろうかというふうに存じております。発電税を起したいと府県が熱望されておるわけでありますが、これで得られる収入も大体十億円内外、結果的にはどちらでやっても、財源としては変りはないだろうというふうに存じておるわけであります。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 具体的に御説明を願ったのですが、発電税の問題は、そういう措置のために問題が解消したというわけではもちろんないので、やはり府県側のいろいろなお考えもあるでしょうし、さらにこれは検討すべき問題だと思います。  なおもう一点だけ。先ほど発電税については、今の電気料金のコストの中に織り込まれておらない、だから問題だというような御答弁があったのですけれども、私はその点は納得がいかないのです。というのは、自治庁はたしか消防施設税というものをこの前の国会で出そうとして、損保団体の反対等によって出せなくなってしまった。しかしやはり消防施設の方でも保険料金というものは一応公定のものであって、その中には今度のいわゆる施設税の千分の三ですか、ああいうものは織り込んでおらないが、しかしそれだけの担税能力が、保険料金を上げなくても会社側にはあるのだという御見解を持っておるのです。ですからそういう消防施設税との関連においては矛盾しておるのじゃないかという疑問を持っておる。同時にこの消防施設税については、次の国会ですかにお出しになるお考えであるかどうか、これも明らかにしておきたい。もしも電気料金のコストの中に入っていないから、発電税は考えものだというならば、やはり消防施設税についても同じような意見が出てくるのではないか。その点自治庁の考えが両者で矛盾しておるように考えますので、関連してお答え願いたい。

奧野誠亮総理府事務官(自治庁税務部長)

○奧野説明員 私たちは発電税を法定外普通税として許可することに非常に矛盾を感じております。もし法定外普通税として許可するならば法定すべきだと思います。同じ意味で消防施設税につきまして、法定外普通税として許可することは非常に矛盾を感じます。やはり法定すべきであります。法定されたらいろいろな料金をきめる場合に、それが当然要素に入ってくる、かように存じているわけであります。消防施設税を将来どうするかということにつきましては、今後の問題でございますので、いまだ検討中でございます。

門司亮日本社会党

○門司委員 関連して。電気に関する発電税についてはいろいろな問題があるけれども、税の根本的な考え方から自治庁は考えてみたらどうかと思う。問題は水利使用料を上げると言っておるが、これはあくまでも一つの補償をきめるものであって、税とは非常に性格を異にしていると思う。今議論になっているのは、自治庁としてはその点税金と同じくらい取れるのだからいいじゃないかという考え方ですけれども、この考え方は少し考えられた方がいいと思う。今水利関係の問題について補償されるということと、中島さんから話をされている府県全体に対する税としての取扱いをしようという問題については、基礎観念において非常に開きがある。これを今ここで責めてどっちにしろと申し上げるわけではないが、これは単に使用料を取っているから税金で取らなくてもいいという理論は成り立たないと思う。こういう基礎観念において非常に開きがあるから、混同して話をする問題ではないと思う。水利使用料を取っているのは、これらに対する一つの補償であり、その補償をどう見るかということについてはいろいろな問題があると思う。従ってこれは生産コストの中に当然今日入っていると思う。税の問題はそれと離れた一つの問題であって、必ずしも生産コストの中に織り込まるべき筋合いのものではないと考える。この点を十分考えてもらわぬと、水利使用料を上げるということのために、電気会社に電気料金の値上げを容易にさせるような口実を与えてはならぬと思う。税とそうしたものとの間については、その点を十分自治庁も考えて答弁をしてもらいたいと思う。  それから具体的に二つだけ聞いておきたいと思うのだが、一つの問題は、今電気税を消費税という形で取っているということが盛んに言われているのであります。これは消費税という形で取ることについても無理がある。なぜ無理があるかというと、現在は従価税で取っている。もし消費税であるとするならば、これは従量税で取るべきである。ところがこれは現在従価税でしょう。払った料金に対する百分の十ということになっている。従って問題の出てくるのは、従量税で使っております大口消費者は割合安く税金を納めている。それから一灯か二灯しかつけておらない農村の、ほとんどメーターも持たないところは、いやがおうでも高い税金を払わざるを得なくなっている。この税金にはそういう一つの矛盾があるのです。この矛盾をどう解決するかということは、実際はなかなか困難なんです。困難だが、自治庁がこれをどこまでも消費的性格を持っているのだというなら、そういう理屈が私は生まれてくると思う。もしそういう料金について、農村の一灯か二灯しかつけていない人がどれだけ高い電気料金を払っているかということの数字は、必要ならいつでも出すことができると思う。そういう割高な電気料金を払っている人は割高な税金を納めておることになると思う。特にこれが消費的の税金であるという考え方一本やりでいこうとすれば、私はそこにそういう無理がでてくると思う。だからこの税金については、そういう矛盾をやはり解決する方法がどこかになければならない。従って自治庁はこの税金について、一体従量税をとるのか、今までのような従価税をとるのか、この点をこの機会にはっきりしておいてもらいたい。  それからもう一つついでに聞いておきたいことは、農村におけるこの税金は非常に無理があるという社会の構造から来る一つの考え方、これはどういう考え方かというと、発電県であるところは割合に距離が短い。従ってそこに配電される電気料金というものは、発電所から出てきて間もないので、非常にロスが少い。これが何百キロ、何千キロかを歩いてきて都会まで持ってくる間には、大体電気料の一割がロスだといわれておる。このロスは結局価格の中に織り込まれておる。そうすると発電所を持っておる地方の住民というのは、それだけ税金を安くしてもらったからといって、会社に損は与えない。だから消費者の立場から言っても、現在の電気税というのは都市の方に割合に安くなって、発電県には割合重くなっているということは、こういうことでもわかるのです。従って電気税についても、そういう考え方から来て都市において百分の十を取るというのなら、発電県においては百分の五にするとかあるいは百分の三にするということは、これは会社の利益の相対性から考えてみても言える。こういう点について一体自治庁は何か考えたことがあるか、この二つの点についてだけお答えしておいてもらいたい。

奧野誠亮総理府事務官(自治庁税務部長)

○奧野説明員 御指摘になりました第一の問題でございますが、現在も発電県にできるだけ財源を充実したいという考え方を持っているわけでありまして、電気事業に対しまする事業税の課税標準が、御承知のように特に収入金額を採用しているわけでありまして、所得課税で参りました場合に得られるであろう税収入額よりも、三十億円内外たしか多く電力会社から得ておるわであります。もとより数字は電力会社の今後の所得の状況によって変ってくるわけでありますが、春に申し上げましたように、現在においてその程度増収を得ておるわけであります。さらにこの事業税を関係府県に分割するに当りまして、従来は従業者数によっておったわけでありますが、一昨年来でございましたでしょうか、発電県にできる限りよけい配分したいというような考え方から、全額を固定資産の価額で分割することにいたしたわけであります。そういたしますとダム等の価額が大きな割合を占めますので、発電県に電気事業に対する事業税の収入が多額に得られるだろう、こういう考え方でございます。電気ガス税の収入を発電県に持っていけないかという考え方も、中島さんからお話があったようでございました。これにつきまして私たちは、地方税はその団体の中にある課税団体、あるいは税源、これから得られる収入であって初めてその団体の税収入にできるものである、こういうような気持を持っているものですから、消費に対する課税をやめて、それをそのまま事業地に持ってくるということは矛盾があるじゃないだろうか、こういうような感じを持っています。  それからその次の従価税と従量税の問題でございますが、私たちは電気については料金に認可制をとって、その料金の認可をします場合にも、国の社会政策なり経済政策なりというものは、当然織り込まれなければならないので、低額所得者に比較的多額な料金を払わせるような料金のきめ方をしていれば、それは非常に問題だろうと思うのでありまして門司さんがそういう点について御指摘になりましたのは、これは料金政策の問題として大いに検討しなければならない点だろうというふうに存じております。消費税でありますので、その人の負担した金額、比較的所得の多い人がよけい電気料金を払うだろうというふうなことから、やはり消費税から言いますと、従量税よりも従価税の方がいいのじゃないか、こういう考え方を今日もなお持っておるわけでございます。

門司亮日本社会党

○門司委員 もう一つ、農村に返すか返さぬか、農村を安くするかしないか。都会に持って来いと言っているのじゃない。農村を安くするかしないか。

奧野誠亮総理府事務官(自治庁税務部長)

○奧野説明員 今申し上げましたように、料金政策の問題としまして都市を安くするか、あるいは農村をどうするかという問題があろうかと思います。昔電気料金というものは全国一律であった。しかし現在では電力会社のコストに応じて電力料金を定めるようになってきておりますので、門司さんのおっしゃるように、送電ロスということを考えれば、当然安くしていいじゃないかという問題が起ってくると思いますが、いずれも料金政策の問題であって、電気ガス税として支払った金額を課税標準にして、担税力に即した実際の負担額になるように持っていくということ以上には出られないのではないかというふうに思っております。

鈴木直人自由民主党

○鈴木(直)委員 ちょっとお聞きしておきたいのですが、発電税については全国七県から自治庁に認可申請が出ていると思います。それに対して認可するかしないかという問題が、行政的に措置しなければならぬ段階になっているはずであります。それをどういうふうに処理するかという点でありますが、ただいまの質疑応答の間において、発電税は法的に認可するには非常に困難性がある、それでその府県が実質的に発電税を取ったと同じ財源が収入の中に加えられれば、財政的には助かるのではないかという観点から、その法制的に困難である発電税というものを認可しないで、水利使用料の値上げによって、それに相当するだけの財源をそれぞれの発電県に与えようとしておるというようなお話でありました。そこでこの問題については、議論は別といたしまして、第一点は、その七県の認可申請書をどんなふうに処理をされるのか。いわゆる却下ということになるのか、あるいは今の税法から見て承認しがたいということになるのか、あるいはもっと検討していこうとするのか、その処理の方法について一点お聞きしておきたい。  第二点は、先ほどお話がありましたが、発電税はおそらく発電量一キロワット三銭の割において府県税としたい、こういう申請だと思っております。そうすると、発電量一キロワット三銭という収入と、一理論馬力百円上げるという水利使用料のやり方と、全くとんとんというような数字になるのかどうかをお聞きしておきたいと思います。そして水利使用については、政務次官が非常に骨を折られて解決したということでございますが、それは事実だと思いますが、これは河川法の政令ですか、何かそういうものでもって現在規定されておるはずでありますが、それを建設省において、その一馬力幾らという水利使用料の数字を改正するという処置をとるのかどうか。その点をいつやるのかも御質問しておきたいと思います。

早川崇自由民主党自治政務次官

○早川政府委員 鈴木委員の御質問の第一点は、新税の事務的処理をどうするかというお話でありますが、最後の第三点の御質問と関連いたしまして、水利使用料の引き上げの政令が決定次第、各府県にお取り下げを願う、こういう形をとりたいと思います。  それから第二点は、先ほど奥野説明員が申されましたように、とんとんになる見込みでございます。しからばその政令関係の決定をいつするか。いつでもできる状態になっておりますので、すみやかにその措置をとりたい、かように存じておりますので、御了承願いたいと思います。

鈴木直人自由民主党

○鈴木(直)委員 そういう行政措置につきまして、提出してあるところの各府県側との了解なり話し合いの程度はどんなふうに進んでおりますか。それをお聞きしておきたいと思います。

早川崇自由民主党自治政務次官

○早川政府委員 建設大臣の認可になっておりますから、おそらく来年度から実施ということになろうと思いますが、事務的に奥野税務部長から若干補足する点がありますので、部長から御答弁いたします。

奧野誠亮総理府事務官(自治庁税務部長)

○奧野説明員 水利使用料の料率は、河川法に基きまして建設大臣の認可事項でございます。しかし電気の料金にも関連をいたしますので、通産大臣としても重大な関心事であり、従来からこういう問題につきましては協議されておるわけでございます。先ほど申し上げました方針は、建設次官、通産次官、自治庁次長三者間において文書の取りかわしを行なったわけでございます。料率の問題につきましては、発電税の起って参りましたのは、私たちは水利使用料が不当に押えられている。こういうことが従来から水利使用料引き上げ運動として繰り返されておったわけでございましたが、なかなか解決を見ない。それならということで発電税を作ろうということになったのではなかろうか、かような想像をしておるわけであります。別に発電税と同額になるように、水利使用料の料率を改訂しようとしたわけではございませんで、先ほど申し上げましたような考え方に基いて、水利使用料を引き上げようとした結果が、大同小異の数字になってきたということでございまして、おそらく発電税を考えるに当りましては、水利使用料がこうあってほしいという気持から、あの税率がきまってきた結果かもしれません。その辺私はわかりませんが、意識的に発電税と同額にしようとしたわけではないわけでございます。また先ほどもちょっと申し上げましたように、河川工事費の構成費をどう見るかということにつきまして、政府部内の話し合いが一致いたしておりませんので、その解決をまった上で府県側にも連絡したい、かように考えておりましたので、もうだいぶ以前に三者間の話し合いはついておったわけでありますけれども、発表を見合せておったわけでございます。

中島巖日本社会党

○中島委員 関連質問やいろいろ出まして、お約束した時間がだいぶ経過いたしましたので、私は今政府委員の答弁に対する考えだけを申し上げて終りたいと思うのであります。それでこの発電税関係におきまして、ただいま政務次官から水利使用料を増額して、それぞれ発電県の要求しておるような金額にして、この発電税の新設の関係は取り下げてもらいたいという方針である、こういうようなお話でありましたけれども、これは根本的に水利使用料と発電税とは違うものなんです。水利使用料というものは、河川法の第四十二条の規定によって、いわゆる公けの水を占用することによって課せられておる料金である。そうしてまた当時の土木局長からの指令にも、これには治水費を含まない、こう書いてある。それからまた水利使用料が大正十三年に創設されておりますけれども、その基本的な基礎計算というものに何らの根拠がない。これは当然当時の百万キロワット・アワー程度のときと違いまして、現在は九百万キロワット・アワーを越しておるという関係で、これに伴うところの治水費を当然私はプラスして、そして税というものでなくして、この基礎計算を検討して、その上にこの水利使用料の額を決定すべきものだと思う、従って水利使用料を増額したため発電税の関係を取り下げるなんという、こういう考えはとんでもない考えだ。それからただいま奥野説明員の説明によって事業税と重複すると言いましたけれども、これは先ほど私が申し上げましたように、私はこれは絶対に重複しはしないと思います。物品税の形でかける法定外普通税としてかけ得べきものだ。それから国の経済施策に合致するかせぬか、こういう問題につきまして電気のコストの中に発電税を含んでおらぬから、こういうお話でありますけれども、現実の問題として電力会社の営業状況を見て、政府資金やいろいろ使っておりますから、遠慮して一割二分の配当しかしておりませんけれども、その経営内容におきましては、私の指摘した通り三百二十二億の利益金を上げておるのです。だから負担力というものは十分あるのだから前のコストの中にそれを含んでおらなくたって十分上げ得る。この税を創設する余地は、かりに百歩譲って電力料金にはね返さないという条件のもとにおいても、十分ある。あらゆる観点から考えてこの発電税の創設は当然のものである。これを自治庁が抑制するというような態度をとるというようなことはけしからぬと思う。というのは、これらの問題は結局通産省の制肘を受けて通産省まかせで、自治庁が通産省の言うなりになっておるから、こういう結果になっておると思うのです。従って電力会社の資産内容、それから営業状況というものを御調査なさったり、それから既設発電所の災害が、お手元に写真を差上げてありますけれども、いかにひどいかというような、そういうようなことも河川局の者も同行して実地に御検討願ったりして、自治庁独自の立場で地方財政の均衡というような観点から、これを取り上げてもらわねばならぬと思うのです。それから先ほど門司委員から電力料の問題についていろいろお話がありましたけれども、ごく簡単に申し上げますけれども、発電県の電力料と消費県の電力料がどうなっておるかと申しますと、これは電燈と電力とで、それから電力の消費の中にも、いろいろ消費量においても差がありますけれども、新潟県では平均一キロ三円十八銭になっております。福島では二円七十五銭になっておる。富山では二円三十三銭、長野では五円七十銭、岐阜県では六円十八銭、つまり発電県は大体こんなことになっている。さらに消費県を見ますと、大阪六円八銭、兵庫五円六銭、東京六円二十七銭、神奈川三円七十銭、福岡五円十二銭、愛知が四円九十六銭、こういうようになっている。従って国がいろいろな経済施策やあるいは資金の面でもって公益事業として援助しておるというなれば、電力料金も現在の鉄道のように全国均一にすべきものである、こういうように私考えるわけであります。これらの点についても質問いたしたいのでありますが、すでに一時近くにもなりますので、いずれ通常国会において質問をいたしたいと思います。  そこで、ただ一言政務次官に政治的面からお伺いいたしたいことは、昨日指摘いたしましたように、非課税部門が九十五億三千万円、これは私の計算でありますけれども、あるのであります。それで何とかこれを徴収して、そうして電気ガス税は理論的にも私は撤廃すべきものだと思いますが、現在の市町村財政を急激に圧縮するというようなこともどうか、こういう実際面から考えますれば、この非課税品目の金を徴収して、そして現在の一〇%を五%市町村へ振り向けるとすれば、全国で二、三十億の差であるのだから、それで五%を発電県の方へ持っていくというような、何かそこに政治的配慮をして、また税制上の理屈は専門家がたくさんおられるからつけて、そういうようにしてこれを割り切る方法はお考えはないか、この点一つお伺いしたいと思います。

早川崇自由民主党自治政務次官

○早川政府委員 たびたび申し上げましましたように、一つの有力な財源調整の御意見だと思います。非課税規定の方を課税して、二、三十億浮けば、電気料金という面において、逆に発電税というものを貧弱県でさらにそれだけの分とっても、電気料金に関係しないではないか、これも確かに一つの御意見かと思いますが、いろいろ税制全般の問題がございますので、十分そういった御意見も尊重して今後検討して参りたいと思います。さよう御了承願いたいと思います。

大矢省三日本社会党

○大矢委員長 それでは午前の会議はこの程度にして、午後二時からの予定で、暫時休憩いたします。     午後零時五十二分休憩      ————◇—————     午後三時三分開議

大矢省三日本社会党

○大矢委員長 午前に引き続き会議を開きます。地方公務員法の一部を改正する法律案を議題として質疑を行います。質疑の通告がありますのでこれを許します。亀山君。

亀山孝一自由民主党

○亀山委員 この前の委員会で地方公務員のいわゆる停年制につきまして一応の質問を概括的に申し上げたのですが、これから機会があるごとに具体的にいろいろ御質問を申し上げたいと思うのです。まずさしあたりわれわれのところにもいろいろと停年制についての各方面からの陳情が参っておりますか、これは私どもの方に来ておる陳情を申し上げるよりも、自治庁の方においてこれを要約してどういうような陳情が来ておるか、この際一つお伺いしたいと思います。

角田礼次郎総理府事務官(自治庁行政部公務員課長)

○角田説明員 私の方に参っておりますものは、いろいろございますが、大別いたしまして賛成ないし要望のものと反対のものと二つあるわけでございます。賛成ないし要望の方から先に申し上げますと、大体一番最初は昭和二十七年ごろからそういう賛成ないし要望が参っておりますが、知事会議から二回、市長会からは従来五回、町村会は一回、そのほか各県あるいは各ブロックの町村の議会議長会あたりから来ております。最近は村会の議長会から来ております。それから反対の方は自治労、日本高等学校教職員組合、それから東京都の都労連、これは個人の名前がだいぶあがっておりますが、そういうところ、そのほか労働組合から来ておるのが大部分でございます。なお特殊なものといたしましては、全国の教護協議会、これは教護院の職員の方のようでございますが、これは特別にいろいろな考慮を払ってほしいという要望がございます。  大体ただいま申し上げましたところが賛成要望ないし反対のありましたところでございますが、次に内容について若干申し上げますと、賛成ないし要望の方の大体の内容といたしましては、やはり提案理由において申し述べました点二つが出ておりまして、第一点は事務能率の向上であり、あるいは人事の刷新等、人事行政の面から見て必要であるという意見と、もう一つは赤字財政再建克服の一環として、そういう結果としての停年制の必要があるからという意見と二つあるようでございます。もっともそれぞれ表現の仕方によりましていずれに重点があるか、多少要望の内容によって違うようでありますが、いずれにいたしましてもその二つが中心になっているようでございます。なお特別の問題といたしましては、最初にこの問題が取り上げられました当時、教育公務員についての除外の問題がいろいろございましたので、そういう点について知事会から、そういうものを除外するのは困るというような意見があったようであります。なお特殊の問題としては、町村の議会議長会あるいは町村会では、特に市町村の合併と関連いたしまして、この停年制の問題を取り上げる必要があるというような要望があるようでございます。  大体賛成の方はその程度でありまして、次に反対の方は、反対の内容の第一は、社会保障制度が現在未確立であるから、そういう場合において公務員の退職後の生活が保障されないという点が第一であります。それから第二は、国家公務員を除外して地方公務員のみを対象とするのは問題があるという点、第三は、行政整理が強行されるおそれがあるからという点、大別して今申し上げたような三つの点か反対の理由のようであります。その他特殊の問題点では、教育職員の職務の特殊性を考慮してその適用を除外すべきであるという意見であるとか、先ほど申しました教護院の職員の問題とか、大体そういうようなものが一般的な反対意見以外に特別の反対意見として、あるいは要望として、ただいままで私どもの方に参っている次第であります。

亀山孝一自由民主党

○亀山委員 大体わかりましたが、私どもは今こういう問題に対して最も強い反対意見を出しておられるのは自治労連だと思う。この方との話し合いをされたことがあるかどうか、私はやはりこういうときには、自治庁としても提案前、あるいはまた提案後においても、こういうような情勢から見ますと、ある程度の話し合いをされることが望ましいのでありますが、どういうように自治労連との話をされたか。その点を一つお伺いしたいし、話をしておられなければ、今後そういうことを話す御意思があるかどうか、そういう点も一つ伺っておきたいと思います。

藤井貞夫総理府事務官(自治庁行政部長)

○藤井(貞)政府委員 自治労連は全国の地方団体の職員団体の連合体といたしまして、事停年制に関しまするもののみならず、いろいろの点につきまして時々折衝をいたしておるのであります。自治労連側も地方自治の振興ということにつきましては、大へん関心を持っておられるのであります。その観点から独自の考え方を持って、いろいろ意見も持ってこられ、中には建設的な内容を持ちました陳情、建議というようなものもなされておるようであります。なお日教組、さらには高等学校の教職員の組合でございまする高教組等につきましても、随時われわれの方に参られまして、陳情その他折衝ということは、数次にわたって行われておるのであります。ただお尋ねがございましたように、この法案自体の提出をすべきかどうか、あるいは法案の字句の内容をどういうふうにすべきかということにつきましては、政府といたしましては諸般の情勢を勘案をいたしましてこの内容を決定し、この内容のものが適当であるというふうに、最後的には結論をつけたわけでありまして、法案提出についてこれらの組合側と了解をつけて出すというようなことはいたしておらないのであります。ただ今後これらの問題につきまして、幸いに法律案が成立をいたしました暁におきましては、本案の実際上の運営につきましては、組合側の御意向等も十分に参酌いたしまして、適切な運営ということにつきましては、われわれといたしましても努力して参りたい、かように考えます。

亀山孝一自由民主党

○亀山委員 そこで具体的な点に入りたいと思うのですが、この前のときにも一部触れられたと思いますが、今一度念を押したいのは停年制の問題に対して、事実は話し合いで、ある程度その目的を達しておる。けれども、望ましいのは、何と申しましても、これをはっきりと明定化することがいい。そこでこういう改正法によらなければ、停年制というものは、各地方団体では法定化できないものかどうか、それは違法であるかどうか、そういう点を一つこの際はっきりお伺いしたいと思います。

藤井貞夫総理府事務官(自治庁行政部長)

○藤井(貞)政府委員 先般も亀山委員から御質問がございまして、その際に若干関連をして触れておるわけでございますが、現在の地方公務員法におきましては、禁治産者等につきまして、これは職員にそもそもなれないという欠格条項がございます。従いまして、それらの条項に触れた場合におきましては、当然失職をするという規定がございまするが、そのほかに職員について、職員の意に反して免職ができる場合が、それぞれ法律ではっきりその事由を限定いたしておるのであります。すなわち勤務成績が悪いという場合が第一、それから第二には病気等のために職務の遂行に支障がある、あるいはまたこれにたえないというような場合が第二でございます。第三には職員につきまして、その職に必要な適格性を欠く場合、これが第三、それから第四の場合といたしましては、職制の改革あるいは定数の改廃、さらには予算の減少によりまして廃職になり、あるいは廃員を生じた場合、この場合におきましては、その意に反してこれを免職ができるという根拠規定があるわけでございます。これは地方公務員法の第二十八条第一項というのに、明確に規定がなされておるような次第でございます。従いましてこの規定はいわゆる分限規定の一種でございまして、もっぱら職員保護の立場において規定されておりまして、むやみやたらに任命権者の意思をもって職員をやめさせるというようなことはやらせないという趣旨に出ずるものでございます。従いましてこれ以外の場合におきましては、その意に反して免職をするということはできないということに相なるわけでございます。停年制というのは、一定の年令に到達をいたしました場合においては、職員の意思に基かずにやめさせるという制度であるわけでございます。従いまして、このような内容を持ちます停年制というものは、現行法のもとでは、これはやれないということになっておるわけであります。従って現行法のもとにおきましては、停年制の条例というものを現在の法規のもとに制定をするということに相なりますと、これは違法の条例ということにならざるを得ないわけでございます。しかし他面におきましては、人事の渋滞というものはきわめて顕著に現われて参っておりまして、そのような耐えがたい弊害にまで高められておりますような場合に、全国一律にこれをやらせるのではなく、そのような必要性が特に痛感される地方団体におきまして、このような停年制の措置を講じ得る道を開いておくということは、どうしてもやらなければならない現在の必要なる事柄ではあるまいか、そのように考えておる次第であります。

亀山孝一自由民主党

○亀山委員 私まだありますが、西村委員が何か御質問あるようですから暫時西村委員にお譲りして、またあとで  いたします。

西村彰一日本社会党

○西村(彰)委員 今回の地方公務員法の改正の一番重要な点は、今いろいろ問題になっております停年制の問題であることはわかり切ったことであります。そこで停年制という問題が起きてきたところの第一の原因は何であるかといえば、やはり地方財政が行き詰まったので、人員が多過ぎるので整理をして、財政にゆとりができるようにしていきたい、こういうことが根本であると思うのでありまして、人事が停滞をしておるからということも理由にはなるでありましょうけれども、それは理事者が人事行政よろしきを得なかったことでありまして、かりに停年制を設けたところで、ただ単に年令に限らず、やはり人事が渋滞するということは当然起り得ることでありまして、従って、何と申しましても人間が多過ぎる。こういう停年制をたてにして人員の整理をしようということが、だれが考えても大きな原因であることはいなみがたいと思うのであります。そういうわけでありますから、理事者の側とすると、個々の話し合いではなかなか手間がとれて大へんだから、こういう伝家の宝刀を作っておいて、それをたてにして人員の整理をやっていこう。首切りの方面には使わないんだということで、一昨日でありましたか、友末茨城県知事も言っておりましたけれども、そういうことがすなわち語るに落ちたことでありまして、結局これは首切りの道具に使われるということはいなみがたいと私は思うのであります。そこで、理事者側からそういう要求が出て参りますれば、今度はこれを受ける方の側から申しますれば、お互いに首を切られるということは、これは一番重大関心事であるわけでありまして、長年一生懸命に勤務しておって一定の年限に到達した場合に当然首を切られるということは、直ちに生活の問題にも影響を及ぼしまするし、また生活の問題がかりになくても、そういう方針のもとに来たものが、一律に停年制でもってやめなくちゃならぬということは、人間の情味の一番痛いところ、琴線に触れた問題である。申し上げることは、いろいろほかにもありまするけれども、何と申しましても一これは人間の生活、人間の情味の一番痛いところの琴線であるわけです。従って、そういう琴線に法律や制度や条例でもって触れるということは、よほど慎重に考えなければならないわけであります。またいたずらにこれは触れるべき問題ではないと私は思うのであります。言葉じりをつかまえるわけではないのでありまするが、一昨日行政部長は新潟県の知事が四十五才ということを言ったのが、これはちょうど人生の第二の生活に入る場合の一つの時期であるというようなことで言われたので、決して悪意ではないということを言われたのでありますが、行政部長は、学校を卒業して相当な年令に達して、職務にある程度の経験を持つ四十五才くらいになれば、今のこの世の中において新しい第二のスタートに入り得る、こういうふうにお考えになって、この間発言をせられたのでありますか。まず第一にそういう点をお伺いをいたしたいと思います。

藤井貞夫総理府事務官(自治庁行政部長)

○藤井(貞)政府委員 ただいままでも御説明を申し上げておりますように、停年制がなぜ必要かということは理由が二つあるわけでございます。なるほど、ただいま時期的に見まして地方財政が非常に逼迫をしてきておる。そういう段階にこの問題が打ち出されて参りましたために、何か地方財政の縮減方式の一つの方策であるということが強く受け取られておるというような点はいなみがたい事実であるというふうに思うのでありますが、もともと停年制ということの第一のねらいは、先日も御説明を申し上げましたように、地方団体、特に市町村におきましては、職員の老齢化、職員構成の高齢化ということが非常に慢性的な状況になってきておるのでありまして、このために一面から申せば、それぞれ職員として日々の公務に精励をいたしております若い職員の間に、どうも将来の希望を持たせ得ない、そういうことで職場の環境というものを悪化せしめておる。人事管理の面からもきわめて悪い影響を及ぼしておるということは事実でございます。そういうような点から申しましても、また全体としての公務に清新はつらつとした活気を注入いたしまして、事務能率を刷新して、これを高揚せしめるという意味からいいましても、停年制の採用ということが必要ではないのであろうか。このためには停年制の採用というものが大きく申しまして、地方行政の能率的運営を最後的にはかるためにもきわめて必要であり、また他面人事管理の面においても必要なる事柄ではないか、かように考えるのでありまして、停年制の第一のねらいというものは以上の点にあるとわれわれは考えておるのであります。従いまして、停年制というものは、恒久的な人事管理の一つの方式でございまして、それ自体は理論的には、また直接的には行政整理ということとは関係がないのであります。一定の停年年限というものがきまりました際に、その年限に達した者は漸次交代をしていく、そのかわりに若い人がそのあとを埋めていくというのが、停年制の本来の目的であるというふうに私たちは考えておるわけであります。  ただいま先般の委員会における私の答弁について、なかんずく新潟県知事の発言をめぐる問題についてお尋ねがあったわけでありまするが、そのときに申し上げましたように、私が申した意味は、新潟県知事の意思をそんたくして、一面からいって、そのような非常識なことは言われるはずがないというような意味をもって申し上げたのであり、それを正面から見ますれば、私といたしましては、四十五才というような停年はそもそも考えられない、非常識な事柄であるという意味を、むしろ強調する意味合いにおいて申し上げたような次第でございます。私自身といたしましても、四十五才で停年、そのときになって強制的に何らかほかに仕事を探さなければならぬというようなことは、これはむしろ特異の例外でございまして、そのようなことが一般的に行われるというふうには考えておらないわけであります。

西村彰一日本社会党

○西村(彰)委員 私は国家公務員法の改正の趣旨のことを、ことさらに今御質問をしたのじゃなくて、現在の社会情勢から見まして、いわゆる大学と名前のつくところの卒業生も十五万人もある。しかもそのうち就職のできる者は三分の一あるかなしかの程度なわけであります。それで停年制を設けて老朽の人——老朽の人と申しますか、年令の上の人にやめてもらって、新しい卒業生を吸収しようということは、そう簡単にはなかなか考えられないのでありまして、結局人員の整理に終ってしまって、経費の節約をする、こういうことに終らざるを得ないのでありまして、人事の行き詰まりの打破は、理事者の人事行政よろしきを得ればやれることでありまして、とにかくそれの必要な府県、市町村と申しますけれども、一律に条例でもって一方的にやるということは、よほど深刻にお考えを願わなければならぬのでありまして、ただこれを軽々にやるべきものではない、こういうことを申し上げておるわけであります。  なお、もう一点御質問を申し上げたいのでありますが、憲法によって基本的人権というものが尊重せられておる。それと二十七条で勤労の権利と義務とが保障せられておるわけですが、自治庁とすると、こういうことで一定の年限に達した場合においては、その意思に反して一律にその職務から離れなければならない、こういうような規定をすることがこの憲法の趣旨に反するかどうか、こういうことを御研究になったことがあるかどうか。民間の会社においても停年制があるということでありますけれども、これはそれぞれ雇用関係の契約に基いてのことであるのでありまして、条例なり法令でもってそういうことを規律することは憲法の趣旨に反するのではないか、こういうふうに私は思うわけでありますが、そういう問題について、自治庁として真剣に御研究になったことがあるかどうかお伺いしたいと思います。

藤井貞夫総理府事務官(自治庁行政部長)

○藤井(貞)政府委員 憲法との関連の問題でございますが、われわれといたしましても、もとよりそれらの点につきましても、慎重な配慮を加えたつもりでございます。ただ西村委員からも仰せになりましたように、現在のところでは民間においても停年制がとられておるということが、かなり普遍的な現象でございます。さらには国家公務員の場合におきましても、もちろん一般的な停年制というものはいまだ施行されることには相なっておらないのでございますけれども、裁判官あるいは検察官さらには会計検査官、自衛官、大学教授というようなものにつきましては、停年制の規定がそれぞれの理由から設けられておるような次第でございます。要は基本的な人権等の関連もございますけれども、その点のにらみ合せば、そのこと自体の意味する内容、それの及ぼす社会的な効果というものを総合的に勘案をして、比較考量の上で決定すべき事柄ではあるまいかというふうに、われわれといたしましては考えておるのであります。停年制によって職を去られるという方々にとりましては、これは心情まことに忍び得ない点は、われわれ重々了察をいたすのでございますけれども、一面他の公務員規律の問題、あるいは職場の刷新の問題、さらには新規雇用ということの道を開かなければならないというような問題、それらの点を比較考量いたしました場合におきまして、停年制の採用というものは、憲法にいう基本的権利の侵害というような事柄にはならないのではないか、かように考えておるのであります。ただ停年制でもって一定の年令に達してやめられる方々でございますので、その点につきまして、特に退職後の処遇等に関連をいたしまして、できるだけの措置を考究をして参るということに。いて努力をすべきは当然のことであります。さらに停年の年限の問題につきましては、公務員についての恩給なりあるいは退職年金なりというような点についても、十分関連すべき問題でございますので、それらの点を十分考慮した上で、これらの最終的な措置を講ずべきものであろう、かように考えておる次第でございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 この問題に関連するのですが、昭和二十九年、三十年、本年はちょっとわからないかもしれませんが、地方公務員で退職した者がどのくらいあるか、これの数字をお知らせ願いたい。それは「地方財政の現況と問題点」という資料を見ますと、昭和三十年度には退職手当債が六十六億円出ておる、それからカッコして二万三千五百人分と書いてある。そうすると、少くとも二万三千五百人の人は退職をしたわけなんだ。退職手当債を借りないで、地方団体限りで退職手当を出したものも相当数あるでしょう。ですからそういうものを加えるとどのくらいになるのか、今おわかりになったら一つお知らせ願いたいと思います。

角田礼次郎総理府事務官(自治庁行政部公務員課長)

○角田説明員 ただいま御指摘がございましたが、実は地方公務員の数というものを把握するということは非常に困難でありまして、御承知のように昭和三十年に非常に膨大な給与実態調査をやりまして、初めて地方公務員の数を把握いたしたわけであります。その後何人退職したかということにつきましては、実はそういう統計というものは各団体から出していただいて私の方で集計をいたしておるのでありますが、ほとんど各団体からの資料の提出がおくれておりまして、そういう関係で、これははなはだ申しわけないのでありますが把握できないのであります。ただ、今お話がありましたように、退職債の関係では、これは自治庁の方に数字が参りますので、この方は把握いたしております。昭和三十年につきましては、都道府県五大市が人員で一万四千二百人それから一般都市が四千九十九人、それから町村が一千六百六十六人、合計一万九千九百六十五人、こういう数字になっております。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 そうすると、この退職債の地方財政の報告ですが、この中の六十六億円に見合う二万三千五百人分というものは実際とは違うわけですか。

角田礼次郎総理府事務官(自治庁行政部公務員課長)

○角田説明員 ちょっと私はその資料を存じませんが、今申し上げたのは三十年度分で、私の手元の資料と突き合せてみますと、三十一年分が十月現在で三千六百七十人で退職債が合せまして約六十六億ありますが、おそらくその数字じゃないかと思います。その一万九千九百六十五人と三千六百七十人を加えますと、大体二万三千人くらいになるわけです。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 ただいまの数字を聞きましても、町村分が一千六百六十六人、しかしおそらく町村は退職手当債で借りないで退職せしめたものが相当あると思います。そうするとこの一年で三万人くらいは退職しておるわけでありますが、だから最近における地方公務員の状況は、国家公務員の方は年々相当ふえておりますのに、地方公務員の方はどんどん首を切って、さらにそれでも足りなくて、今度は停年制を設けて、この年の暮れに、もしこの法律ができれば七万五千人が五十五才以上でひっかかる。この法律が通りますと死刑の宣告を受けたと同じようなことになる。どうしてそいううふうに地方公務員の首を切らなければならないのですか。

藤井貞夫総理府事務官(自治庁行政部長)

○藤井(貞)政府委員 地方財政の再建の問題とからみ合いまして、ここ最近の年間におきましては、各地方団体においてかなり人員の縮減措置が行われたということは事実でございます。その意味合いをもちまして今お示しになりましたような数字、これはわれわれといたしましてなお的確に把握はいたしておりませんけれども、例年に異なったかなり幅の広い人員整理というものが、事実上やむを得ず行われて参ったということは御説の通りでございます。しかしながらその問題と停年制ということにつきましては、これは今まで御説明をるる繰り返して申し上げておりまするように、行政整理ということ自体を、これは直接のねらいといたしておるものではないのでありまして、今後の恒久的な人事管理の制度として確立をいたしていきたいと考えておるのであります。ただ時期的に申して、地方団体の職員の年令構成がかなり高くなってきております。高令者も非常にふえてきておるというようなところから、停年制を実施をいたします暁におきましては、このために相当数の者がおやめいただかなければならぬというような事態も、一時的には生ずることはあるいはやむを得ないのではないか、かように考えておるのであります。ただお示しになりましたように、数万に達する職員というものが一時にやめなければならぬというふうには、われわれは実は考えておらないのでありまして、この点一応仮定の数字として、五十五才以上をとるならばこういうふうになるということを、先般は申し上げたのでございまするけれども、それらの点につきましては、各地方団体におきまして、そのような必要性のないところもあるわけであります。また行政上の措置等の問題とも関連をいたしまして、そのような停年制を今のところは直ちに採用をしなくてもよいというところも、具体的には出て参ると思うのでありまして、この停年制の採用自体が直ちにこの間申し上げたような数字の職員の退職を強制するという結果になるとはわれわれとしては考えておらないのであります。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 しかしあなたがもしかりに地方公務員であって、五十五才以上に達しておるとした場合に、こういうふうな法案ができ、この国会で成立をしたということになれば、自分の死命を制せられたと同じことになるのではないですか。心理的にそうなるのではないですか。あなたは自分がその地方公務員の立場に立ったとかりに考えてごらんなさい。この年の暮れを控えて世の中は景気のいい産業もあって配当もふえた、それから年末手当ももらったというてあたたかい年を迎えようというておるとき、もしもこの法案が通れば、かりに五十五才以上として臨時職員を入れますと七万五千人の人が、実に不安な気持になるような法律をこの年の暮れに通そうとしておる。こういうことはいいことか悪いことか。私はきょうの毎日新聞の論説の一番上に停年制は慎重にやれ、次の通常国会まで十分慎重に審議をしてやれというような論説が載っておる。非常に適切な論説だと思うのですが、これについて太田自治庁長官はどうお考えになりますか。

太田正孝自由民主党自治庁長官

○太田国務大臣 停年制の問題と行政整理の関係につきましては、行政部長が言われた通りでございまして、新陳代謝ということと整理ということとは本質的に違っておると思います。しかしこのときをどういうふうに選ぶか。今お示しの新聞の論説等においても、年末にこれをやることはどうか、こういうお言葉でございますが、私はすでにこの問題は、年末を前にして町村長会議あるいは六団体等もさらにやってくれということでありますけれども、現実におきましてわざわざ年の暮れにかようなことをするということは、実行上の各自治体の立場におきましては十分考慮されることと思うのでございます。法律ができたからすぐ条例を作って、条例を作るにいたしましても県会に出さなければならず、またその県会におきましても各地方々々の状況に応じまして年末の差し迫ったときに、非常に困ったときにやるというようなことは、私としても想像つかないように思うのです。考え方としてはそういうことがあり得るということはありましても、公正なる、また妥当なる地方行政をやる立場にある府県市町村におきましては、十分この点を考えられることと思うのでございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 もしも地方団体の理事者が、それほど大臣がお考えになっておるような良識を持っておるなら、この年末の臨時国会においてこの法案を通してくれなどというようなことは要求しないはずなんです。なぜこう押し詰ったこの国会で通してくれと言うておるかという気持は、これはやはり早く実行したいからなのです。おまけに来年度の予算とか、そういうふうな関係もあるでしょう。そういうことはわかり切っておるのです。大臣がどんな答弁をなさろうとも、もしもそういう良識があるならば、地方公務員法なんか持ち出さぬはずです。地方財政の問題を持ち出すと思うのですよ。だから大臣はどんなことを言っても、事実はやはり地方団体はつま立てをして、人員整理のために早くこの公務員法を通してくれという希望で言うておることは間違いない。少くともそういうことは問題は別としましても、その七万何千人という——五十五才以上と仮定をしても、何万という人に心理的にその生活権を奪うという非常な不安を与える。それだけは確実なのです。それがいいとお思いになるかどうか。それからきょうの毎日新聞の論説にも書いてありますが、これは単に地方公務員だけの問題じゃないのです。民間の事業に勤務する者についても影響するところが大きいのです。だれかが新潟県の北村知事が四十五才である、なぜ四十五才の方がいいかといえば、若くてやめた方がよその仕事に転職をする機会が多いからだ、こう言っておりますけれども、ところが役人が停年制がしかれると、民間の企業も大体それにならって行動をするのですよ。そうすると五十五才以上は雇わないということになったら、五十五才でやめた人はどこにも行き場がないでしょう。そういうような影響を民間の産業にも与えるということを当然考えなきゃならぬ。毎日新聞の論説はそれを言っておる。それほどこれは単に地方の団体の人事行政だけに関係のある問題じゃなくて、もっと広範な、大きな問題なのです。  それからこの前、たしか石炭合理化法のときに六万人くらいを整理するというときに、その六万人の人がどこへ行くかということは、一応雇用対策というものを、当時の労働大臣は、少くともうそでもほんとうでも計画的に明らかにして説明をされた。この退職金もほとんどない数万人の人がどこへ行けばいいか。そういうような生活の根底を奪うような問題をこういう機会に出すべきでない。やはり慎重にそれこそ審議をすべきである。しかも恒久的な制度であるとするならば、あらゆる角度から十分慎重に審議をすることが国会としての任務だと思う。ですが、今までのお話からもたくさんの疑問がございますから、ちょっと資料をお出しを願っておきたい。  それはこういう五十才なりあるいは五十五才というような人たちが、職業安定所の窓口で転職の機会がどのくらいあるかということなのです。これは労働省の方に統計があると思いますから、公共職業安定所におきまして四十五才以上、あるいは五十才以上、五十五才以上という人たちの就職率はどうなっておるのか、こういう資料を出してもらいたい。  かりに五十五才以上として、今の地方公務員の七万五千人の人の給与が一体どうなっておるか。ただ数だけじゃないのであります。どういう給与をもらっているのか、勤続年数がどのくらいになっておるか、やめると退職手当がどのくらいあるのか、こういう資料を出してもらいたい。まだいろいろございますが、一まずその資料をお願いをいたしておきます。  それから先ほど町村の合併の問題がありましたからちょっとお伺いしておきますけれども、この町村合併に関連して例の建設促進法が通ったわけでありますが、一体あの法が通ってから、自治庁としてはどういうふうなことをお進めになっておるか。あれにはたしか調整についての建設促進の審議会等も設けられるはずであります。それから調整基準等もきめたはずでありますが、それらの関係がどういうふうに進行しておるのですか。

藤井貞夫総理府事務官(自治庁行政部長)

○藤井(貞)政府委員 新市町村の建設促進法、これはこの十月一日から全面的に施行を見たわけであります。その後新市町村建設促進の中央審議会の構成をお願いいたしまして、まず審議会自体といたしましては、新市町村建設計画の調整基準というものを御審議をいただくということに、第一の日程をきめたわけでございます。現在まで中央審議会は前後三回開催をいたしておりまして、二回目の審議会において、これらの調整基準をさらに慎重に検討いたしますために、小委員会を組織することにいたしまして、この小委員会を中心として調整基準案の検討を数次にわたって行なった次第でございます。この小委員会における結論をもちまして、先般第三回の中央審議会を開催いたしまして、調整基準の一般的な基準について御答申をいただいたのでございます。この調整基準の一般的な問題でございますが、この点は今後具体的にはたとえば各種の施設の統廃合の基準であるとか、支所、出張所の統廃合の基準であるとか、さらには学校の統廃合基準というようなものも漸次出てくることを前提として、一般的調整基準ではそれらの基本的な将来の構想につながるような問題を中心として御決定をいただいたような次第であります。その内容については資料としてお配りをいたしたいと考えておりますが、大体の骨子を申し上げますと、まず調整基準においては、新市町村の建設計画を調整するに当って第一の段階としては、もう一度新市町村の一体的な立場から現状の精密なる分析をやっていただき、この分析の上に立って基本計画を作成する。この基本計画は新市町村を今後どういうふうに持っていくかという根本的な構想を含んだ、おおむね十カ年くらいにわたる長期の基本計画というものを、各般の分野にわたって樹立いたすことをねらいといたしておるのであります。  第三の段階といたしましては実施計画の策定でございまして、これは第二で樹立せられました基本計画というものを基礎といたしまして、そのうちで特に重点性あるいは効果性また実行可能性という点を検討をいたしました上での、おおむね五カ年にわたる年度別の実施計画ということに持って参るという構想でございまして、これが一般的な基準のおおむねの骨子でございます。われわれといたしましては現在未合併町村の合併の促進の問題でありますとか、あるいはすでに合併をいたしましたところでも、なお紛争の問題が起きております市町村についての紛争解決の問題等について取り組んでおるわけでございますが、一面未合併町村の合併等につきましては、できるだけすみやかに解決を見まして、来年度以降につきましては本腰を入れて新市町村の建設促進に当っていきたい、かように考えておるのでありまして、今御答申をいただきました一般的調整基準というものを各府県に流し、さらには周知徹底をはかりまして、新市町村の方にも十分に周知徹底の方策をはかることによって漸次軌道に乗せて参りたい、かように考えておりまして、大体そのような順序をもって仕事を進めておるような次第であります。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 町村合併についてはいろいろ問題があって、今日も二件あのように陳情が来たわけでありますが、ここでは一点だけお伺いしておくのですが、最近聞くところによると、各府県が合併を指導する際に、合併しない町村に対して補助金をやめるとか、あるいは起債を打ち切るとか、いろいろ合併せよといっても言うことを聞かない、合併に協力をしないというので当然出すべき起債、補助金等の内定しておるものまでも打ち切るという話をあっちこっちで聞くのですが、自治庁としてはそのような指導をされておるかどうか、これをお伺いしたい。

藤井貞夫総理府事務官(自治庁行政部長)

○藤井(貞)政府委員 自治庁といたしましてはそういう指導は一切やっておりません。町村合併の推進ということに非常に熱心になるということはけっこうでございますが、その熱心さのあまり、度を過して当然やるべき起債を押えるとかあるいは起債についてすでに約束をしておいたものを取り消すとか、あるいは補助金というようなことについて、それを合併促進の一つの手段に利用するというようなことはこれは明らかに行き過ぎでございます。そういうようなことはわれわれといたしまして指導もいたしませんし、そういうようなことはあるべき事柄でもない。また現にそういうものがありますならば、われわれといたしましては適切なる注意を与えたい、かように考えております。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 大へん明快な御答弁でございますが、実際にはそういうことがどうもあっちこっちにあるらしいのです。府県としては国の合併方針というものをはき違えておるらしい。  もう一つこういう考え方が出てくる。それは補助金とか起債とか、そういうものが何か上から地方団体にくれる援助で、行政を恩恵のように考えておるからじゃないかと思うのです。その原因をなしておるのは、法律の上においても多少の責任がないわけではないのでありまして、例の町村建設促進法の中に、最後に総理大臣が勧めてもなお合併をしないところには、小規模町村であるがために受けられる「財政上の援助」はやらないことがある、こういう規定があるのです。この「財政上の援助」というものは一体どういうことなんでしょうか。

藤井貞夫総理府事務官(自治庁行政部長)

○藤井(貞)政府委員 促進法に規定をいたしております、小規模町村であることによって、与えられるべき援助というものを受けられないことがあるという意味でございますが、この点は実は現在各府県におきまして未合併町村の合併計画というものを、さらに再検討をいたしておる段階でありますが、その段階におきまして、いわゆる合併不能町村というものが、最後的にはかなり出て参るというふうに思うわけでございます。それらがはっきりとして参りました暁におきましては、これらの合併不能町村に対しましては、小規模ではございますけれども、これを放置していくわけには参らないわけでありまして、いわゆる小規模合併不能町村というものについての各般の援助措置、あるいは指導助成の措置というものを考究して参らなければならない段階がいずれ参るのではなかろうか、かように考えておるのであります。現在進捗中でもございますので、率直に申してまだ私どもの方でもこれらの合併不能町村については、財政的な面、たとえば交付税の算定基準とか、それらの取扱いについてどういうような措置を考えていくかということについて、いまだ最終的な結論を得ておらないのであります。問題は、そのような点をいずれ考究をして参らなければならない時期がくると思いますが、そのときの問題とにらみ合わして一つ考えて参りたい、かように考えております。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 いや、私のお伺いしているのは、この法の中にある「財政上の援助」というのは、具体的にいうとどういうことなんだということなんです。一体、国から地方にやる補助金あるいは負担金あるいは起債、そういうものは「財政上の援助」なのかどうか。厳密な意味において「財政上の援助」という言葉が問題だと思うので、その点をお伺いしているのです。一体国から交付税をやるとかそういうのは援助なんですか。

藤井貞夫総理府事務官(自治庁行政部長)

○藤井(貞)政府委員 この点は今御指摘になりましたように、なるほど言葉自体というものがあるいは適当ではない面もある、あるいはその言葉によって観念される内容が、見方によっては適当ではないというような考え方は成り立ち得る余地があると思います。ただ一般的に観念されておりますところでは、「財政上の援助」というようなものは、これはやはりたとえば交付税の中の特別交付税の交付の問題とかいうようなことのみならず、さらには広くその他の事業についての補助というようなものも、法律的には言葉の内容としては含まれているのではないか、かように考えております。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 これはやはり行政を恩恵的に考えるという気持から、そういうふうな不明確な適当でない用語が使われるのだと思うので、政府もまた国も地方団体と一緒になって、国民や住民に対する責任を果していくのだ、こういう根本の気持であったならば、こんな言葉は出てこないはずだと思うのです。小さい町村で、合併ができなかった、そのできない事情はいろいろあるでしょうが、おそらく困難な事態もいろいろあるんだ、そとでそういう小規模な町村に対しては、また別の面からこれを指導していくなり、あるいは助けていくなりするのが当りまえであって、それをお前は合併しないから、言うことを聞かないから援助を打ち切るぞといったようなおどし文句、これはとんでもない文句だと私は思っているので、もしできればこの臨時国会において——こういうことは年末を控えて大へんけっこうなことでありますから、臨時国会で改正案をお出しになってけっこうなんですけれども、できなければ次の通常国会にこの言葉を削除するような提案をなさるお気持があるかどうか、そういうことを検討されるお気持があるかどうか、これをお伺いしておきたいのです。

藤井貞夫総理府事務官(自治庁行政部長)

○藤井(貞)政府委員 現在の段階におきましては、そのような改正案を提出する考え方は持っておりません。     —————————————

大矢省三日本社会党

○大矢委員長 次に、警察に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。北山君。

門司亮日本社会党

○門司委員 ちょっとその前に……、警察の方はどうですか。きょうは大臣は出てこられませんか。

大矢省三日本社会党

○大矢委員長 大臣はあとから見えるように連絡しておるそうです。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 石井さんにお伺いいたしますが、ただいまお聞きの通りに、地方公務員につきましては、どんどん整理いたしまして、さらに停年制をしいて人員を減らすというような方向にあるようです。ところが警察官につきましては、これは昭和二十九年の警察法の改正のときに、四カ年間に三万人を整理するということで、たしか二十九、三十年度は計画に従ってやったと思いますが、本年からその減員が中止になって、来年度から増員をするというお話でありますけれども、どういうことになっておりますか、これを承わりたい。

石井榮三警察庁長官

○石井(榮)政府委員 ただいまお話の通り、一昨年七月に現在の警察制度に改正になりました。その際に従来の旧国警、自治警が都道府県単位の警察に新しく改組するということによって、重複しておった部面の整理をし、また全般的に単位が大きくなって事務が能率的に行われるようになるということで、相当大幅な人員整理が可能であるという結論を当時出したわけであります。その当時新しい定員の数字を出しますについては、当時の社会情勢と申しますか、警察の立場において警察の対象になるようないろいろなもの、たとえば犯罪発生の状況であるとか、交通事情等により警察の対象になる交通関係の事犯がどの程度あるかというようなことを、いろいろ勘案いたしまして、この程度の整理が可能なりという結論が、先ほどお話になりました三万人という数字でございます。その三万人は、警察官と一般警察職員と合せた数字でありまして、その三万の中の警察官だけを取り上げてみますと、端的に数字を申し上げますれば、二万二千百人ということになっておるのであります。これを四年計画で逐次整理をしていくということにいたしたのであります。しかしその際、四年間と申しますと、これは相当先のことであります。その間に社会情勢は、あるいは相当に変化をするかもしれない、従いまして一応三年先をめどにいたしまして、三年後の新定員というものを当時策定をいたしたのであります。四年目につきましては、そのときの情勢を見まして、あらためて検討をしよう、こういう含みを持ちまして、全体で三万人という数字が出たわけであります。警察官でいえば先ほど申し上げたように二万二千百人という数字が出たわけでありまして、従いまして三年先と申しますと、つまり昭和三十二年三月末でございますが、そのときまでには——警察官は今申します四年間で二万二千百人となるわけであります。三年先におきましては一万八千四百人、これだけが整理可能なりという答えを出したわけでございます。しこうして、この当初の整理計画に基きまして、二十九年度、翌三十年度は整理計画の通り実施をいたして参ったのであります。二十九、三十両年度を通じまして、警察官につきましては一万四千二百名の整理を実行いたしたわけでございます。そうして第三年度に四千百九十名整理するという予定計画になっていたのでございますが、本年に入りましていろいろわれわれ過去二年の新しい制度下における警察運営の実績に徴して見るに、警察力をこれ以上減少させることは治安維持上、なかなか至難であるということに相なったのであります。しかしながら一たび公約と申しますか、はっきり整理計画を立てたのであるから、私どもとしましては整理は整理として予定計画の通り実行すべきものである。その後の情勢の変化によって新たに警察官の増員を必要とする部面は、新たなる増員としてこれを考える。そうしてその間差引勘定いたしまして、さらに減員するものがあるならば減員する、あるいは逆に若干純増をしなければならぬような情勢であるならば、そういう措置もとる、こうすべきではないか、これが筋の通った考え方ではないか、かように考えまして、三十一年度の予算編成当時、関係各省庁ともそういう立場におきましていろいろ実情を検討いたしまして、新しい定員のあり方というものを考えてみたわけでありまして、何分にも新しく増員をするのが、何名が適当かということを出すのには、だれしもこれはなかなか簡単には自信のある数字が出ないのであります。従いましてそういうことを深く研究していれば、どうしてもかなり時間が長くかかります。予算編成の時期は御承知の通り時間的制約があるものでございますから、じんぜん日を送っておるわけに参りませんので、それではとりあえず三十一年度はとにかく増員をしなければならぬ新たな理由もわかる。しかし片や整理をする約束にもなっておることであるから、この際暫定措置として、三十一年度は整理予定のものを一応ストップしようではないかということで、いわゆる暫定政令というものが出たのでございます。先ほども申します第三年度たるこの三十一年度には警察官四千百九十名を整理する予定のところ整理をストップする、こういう措置をとりまして本年度過しておるような状況でございまして、来年、つまり三十二年度以降をどうするかということにつきましては、三十二年度の予算編成のときにあらためてこれを検討しようではないか、こういう当時の関係各省庁との間の約束になっておるわけでございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 来年度の増員要求は二千五百五十人ばかりだと聞いておりますがその通りですか。

石井榮三警察庁長官

○石井(榮)政府委員 ただいま三十二年度の予算要求を私ども大蔵省の方に対していたしておる段階でございます。事務的にはただいまお話がありました通り約二千五百名の増員を要求を出しております。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 それから定員に関連して各都道府県の警察の問題ですが、東京警視庁では六百人ぐらい今でも定数以上オーバーしているということを聞いておりますがこれは事実ですか。

石井榮三警察庁長官

○石井(榮)政府委員 的確な数字を私はただいま記憶いたしておりませんが、警視庁はそれを大幅に予定によっては整理をしなければならないということになっておりました関係上、なかなか実際整理が困難を来したようであります。第一、第二年度もでき得る限り整理はいたしたようでありますが、よその府県のように第一年度第二年度に整理すべき数字を、必ずその年度内に果すということができないで、若干本年に持ち越しておるということはあるように伺っております。ただその正確な数字が今御指摘のありました数字であるかどうかちょっと記憶がございませんが、またいずれ正確なことを調べましてお答えしたいと思います。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 一つその数字をお調べになって出していただきたいのです。もしもそういうものが東京警視庁においても六百人、各都道府県についてもあるとするならば、ただいまお話があった昭和三十年度までの整理というものも進んでおらないということになるのですね。その今の実際の実員と定員とが食い違う分については、まだ整理未済だということになると思うのですがどうですか。

石井榮三警察庁長官

○石井(榮)政府委員 私の承知しておるところでは、警視庁だけが例外ではないか、ほかの県はいずれも予定計画通りの整理ができておると聞いております。また県によりましては第一年度、第二年度の整理のみならず、第三年度の予定であった整理、これは一応ストップはしておりますが、その予定されておった数まですでに整理が終っておるという県もあるようであります。全国的に申し上げますと、先ほど申し上げました通り、第二年度までに整理すべき数が一万四千二百名というものが整理できておる、こういう数字になっておるのでございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 その点は今の人員については、あとで資料をいただくことにいたしたいと思います。  次に、この前問題を起した警視庁の予備隊、これは、今の姿で必要であるというふうに長官はお考えになるかどうか、というのは、治安状況にいたしましても、予備隊が大挙出動しなければならぬような事態というものは、件数からいうならば減っておると思うのです。数年前より減っておるのではないか。それでまた事実出動の実績も、一日平均三百四、五十人ということであって、現在二千四百人もおるというところから見るならば、どうも予備隊としては多過ぎるのではないか、これはしろうと考えですが、そう思うのです。そうするならば、できるならばもしも各警察署の人員が手薄であって、そのために犯罪の捜査、そういうものに手が回らないということであるならば、むしろ予備隊を減らして、そうして各警察署に配属をする方が、警察の人員を能率的に運営するという点からすればいいんじゃないか、こう思うのですが、こういう点については、警察庁は警視庁に対してどのような指示をしておるのか。今の私の申し述べたことに対して、どういう考えを持っておるか伺いたい。

石井榮三警察庁長官

○石井(榮)政府委員 警視庁の予備隊は、現在約二千三百人の定員を持っておると承知をいたしております。これは以前にはもっと定員が多かったのであります。私の記憶では当初は約三千五百名の人員を擁しておったかと思っておるのであります。それがその後先ほど御指摘もありましたように、第一線の配置その他にこれを転換いたしまして、逐次減少いたしまして、現在二千三百名という予備隊の人員を持っておるように、承知をいたしておるのでございます。予備隊のようなものは廃止して、これを警察官が手不足なら第一線の必要な個所に配置転換したらいいじゃないかという御意見でございます。一応ごもっともな御意見でございます。ことに警視庁のような日ごろいろいろな事故の多いところにおきましては、一朝事あるときに直ちに出動できる待機部隊という性質の予備隊というものが、どうしても必要だと思うのであります。これはひとり警視庁のみならず地方の県におきましても、それぞれの府県の実情に即してある程度の必要最小限度の、そうした一朝有事の場合に直ちに迅速に出動できる態勢にある予備隊というものを持っておることがきわめて時宜に適した出動措置がとれて、効果が上るということは、私どもの過去の経験に徴して十分言えることなのでありまして、なるほどお話のように、一時のような騒乱事案というものは確かに減って参っております。これはまことにけっこうなことでございますが、予備隊は単にそういう場合にのみ出動して任務を果すのではなくして、たとえば東京で申しますならば、いろいろな大勢人の集まる行事等が行われます場合の雑踏の警備というようなものが、やはり頻度が多いのでございます。蔵前の大相撲にいたしましても、あの瞬間的に大勢の観客が出てくるというような場合の適切なる交通のさばきをするのには、やはり予備隊のようなものをかなり大量に使わなければ、各署から臨時に交番の警察官を召集してやっておるのではなかなかうまくいかない。そういった意味のいろいろ類似の行事等もございますし、また災害が起ったような場合には、こうした部隊があることによって非常に敏速に必要の処置がとられまして、警察としての任務を果すのに非常に役立つのであります。こういう意味で、警視庁はもとよりのこと、各府県とも、それぞれその政県の実情に応じたある程度の予備隊、府県では機動隊と呼んでおりますが、そうしたものを持っておるのが現状でございます。こうしたものは今申し上げましたような観点から考えまして、やはりあってしかるべきものと思うのでございます。ただそれではこれのあり方が現状のままで満点であるかと申しますと、その点につきましては私どもも十分反省をし、改むべき点は改めなければならぬと思うのでありまして、現状の数字が果して適当かどうかという点ももとよりのこと、さらに日ごろのこの使い方につきましても、あるいはこうした部隊の待機中における教養、訓練等につきましても反省をし、考えるべき点はあるいはあろうかと思っております。そういう点は今後十分反省をし努力していきたい、かように思っております。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 ただいまのお話の通り、予備隊のような、ああいう軍隊的な生活をし、ふだん民衆に接触しないというと、やはり軍隊のような気持で、日ごろ訓練したわざを実際に応用してしまうわけですね。そこで私はこの点については十分警察庁長官としてお考えを願わなければならぬと思うのですが、この前の砂川の出動について、たしかさらに調査を進めておられると思うのですが、その後の経過はどのようになっておりますか。

石井榮三警察庁長官

○石井(榮)政府委員 調査のいずれの点をお尋ねになったのか、ちょっとわかりませんので、あるいは当っていなかったならばまた御質疑いただきたいと思います。  第一点は、警察官が相当暴行を働いたんじゃないか、責任を追及すべきものは責任を追及し、処分すべきものは処分すべきではないかという意味において、その正確な詳細な調査はどういうふうに進んでおるか、こういう点かと思います。この点につきましては、私ども自来鋭意調査をさせておるのでございますが、今日までのところ、この警察官がこういう行き過ぎ行為をやって当然責任を追及すべきものであるという確証を、はっきり握るに至ったものはないのでございます。しかし今日までないからといって、それではもうそれで調査は打ち切りかというと、そういうつもりではございません。さらに鋭意調査を進めたいと思うのであります。と申しますのは、往々にしましてわれわれ部内だけの調査では、あるいは真実をつかみ得ない場合もあろうかと思います。外部の、たとえば新聞社あるいはニュース社等の写真等もいろいろありましょう。そうした点につきましても十分御協力をいただいて、警察官の活動状況を真実に把握しておるもので、われわれの調査の資料になるものがあれば、十分に取り上げたい、かように考えてそういう方面にもお願いをしておるような状況でございます。これはただいま申し上げました通り、現在までの段階においては、これといった警察官の非行を証明するに足る資料がまだないということを申し上げたのでありまして、今後もさらに引き続き調査を進めるというつもりでおります。  第二の点は、これはたしか門司委員の御要望であったかと思うのでありますが、相手方のけが人の状況がどうであるか、何名くらいであり、かつそれがどの程度であるかという正確な調査を御要求になったように思っておるのでありますが、これは警視庁の方からあるいは資料が出ておるのではないかと思うのでございますが……。

大矢省三日本社会党

○大矢委員長 出てないそうです。

石井榮三警察庁長官

○石井(榮)政府委員 入院治療をした者、外来治療をした者、あるいは現場治療をした者、こういう数字をまとめました資料はできておるようでございますから、まだお手元に届いておりませんようでしたら、さっそく提出させるようにいたしたいと思っております。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 この前の御答弁と同じなんですが、新聞によりますと、新聞のカメラマンとか、そういう報道関係者に対してけがをさしたとか、そういうことについては関係の新聞社の方から抗議を受けて、これに陳謝したという説があるわけです。その点については行き過ぎを認めたのかどうか、これをお伺いいたします。

山口喜雄警視監(警察庁警備部長)

○山口説明員 警察官が報道関係者に負傷をさせたとか、報道活動についていろいろ支障を与えたというような抗議は確かに受けたのであります。いろいろ調べてみましたが、警察官が故意にそういうことをしたという事実は認められておりません。ただしかしながら、報道関係者に非常に御迷惑をかけた点につきましては警視庁として遺憾の意を表したと思うのでございます。     〔委員長退席、永田委員長代理着席〕

北山愛郎日本社会党

○北山委員 そうすると新聞関係だけは一応行き過ぎを認めたのですかね。故意であろうが何であろうが、とにかく行き過ぎがなければ陳謝をする必要もないのじゃないか。新聞関係だけについては行き過ぎを認めたのですか。

山口喜雄警視監(警察庁警備部長)

○山口説明員 行き過ぎを認めたとかなんとかいうことではなしに、あの当日の状態において、まことに不本意ではございましたが、報道活動にいろいろと支障のあったような点について遺憾の意を表したと思うのであります。

門司亮日本社会党

○門司委員 この点は明確にしておきたいんだが、私がこの前聞いたのは、数とかなんとかいうことではなくて、とにかく千何百人あるいは千人近い負傷者がある。それだけの者がけがをしたということは、相手方が警察官であったことに間違いがない。だからそれが今言われておるようないかなる状態であろうと、その負傷者は警察官を相手にして負傷したものであることだけは、あなた方否定するわけには私はいかぬと思う。それを否定しようというのですかあなた方は。あるいは警察官がけがをさしたんじゃないんだ、かつてに警察官のこん棒にぶつかったからけがをしたんだ、あるいは鉄かぶとに向うがぶつかってきたからけがをしたんだ、だから警察官がけがをさしたんじゃない——私はそれがいいとか悪いとかを言うのではない、けがさせた事実があるから、その事実について、どういうわけでけがをしたか調べてごらんなさいと言うんです。一体どうなんです。警察官は一人もけがをさした事実がないということで、全部を否定しようとするのですか。これを否定するわけにいかぬでしょう、この点をはっきりしてもらいたいと言っているんです。

石井榮三警察庁長官

○石井(榮)政府委員 その点もできるだけ詳細にかつ正確に把握したいと思いまして、警視庁といたしましてはいろいろ努力いたしておるようであります。支援労協の方におかれましては、国立立川病院を当時指定病院とされたようでありまして、そこに参りまして詳細お聞きしたのであります。病院の方におきましては詳細な記録もないようであります。なかなかどういう原因でけがしたかということについては、協議会も的確につかんでおられないようであります。私どもの方におきましても、従ってこれをつまびらかにすることは遺憾ながらできない、こういうことになっておるのであります。おそらくあの混乱の際でありますから、いろいろな場合にけが人が出たものと思うのであります。そのけが人をすべて警察官のせいにされるのは、私はなはだ心外に思うのであります。あの混乱の間におきましては、警察官も何も意識して相手方にけがをさせようと思って行動したのではなく、お互いにもみ合っている間に何かの拍子にけがをする。ころんでけがをする場合がありましょうし、鉄かぶとをかぶっておりました関係もありまして、それにぶつかってけがをするという場合もあったでありましょうし、いろいろな場合があり得るのであります。けが人の多数出ましたことをすべて警察官の行動によるものというふうにきめつけられることだけは、私としては了承できないのであります。

門司亮日本社会党

○門司委員 私はそう窮屈にものを考えて、聞いているわけではないのです。けがしたって、自分でころんでけがした人もあるでしょう。あるいは警察官のこん棒に自分から頭をぶつけた人があるかもしれません。あるかもしれないが、実際問題として入院している人がたくさんあるのです。あのけが人全体が、それなら私は聞きたいのですけれども、一人でも警察官のこん棒でけがをした人はないと、あなたは否定されるのですか。否定されるのなら私どもも考え方が出てきます。私どもはこれは認めなければならぬ事実だと思う。ただそのことが正当防衛であったのか何であったのかにつきまして、警察官の職務執行法の七条においても、被疑者を逮捕するとき、けがさしたことがあっても、これはやむを得ないと認められる場合と書いてある。認めるか認めないかは事後の決定です。そのときではない。瞬間に決定すべきではない。認めるか認めないか事後決定なんだ。認められるときと書いてある。同時に警棒の使用規程からいっても、いかなる被疑者であろうとも、あるいはそれが殺人の容疑者であっても、逮捕したときにけがさしても、それでいいというわけにはいかぬ。ちゃんと届け出なければいかぬ。いかなる場合でも人に傷をつけてそれで責任を負わないでいいという法律はない。警察官だからどんなことをしてもいいという理屈はないと思う。そういうものを率直に、けが人がこのくらい出ている——その中には警察官のあるいは行き過ぎがあったかなかったかということは別だと思う。今の答弁を聞いていると、警察官はけがさしたことはないと言う。千人のけがは何でしたのです。少くとも傷害罪ですよ。親告罪と違いますよ。なぜ警察はそれを調べないのです。そのことがいいか悪いかを言っているのではない。けがをさしたならばこれはこういう理由で、正当防衛である、従って警察官は罪がないというところまでまだ議論していない。その前の段階で聞いているのです。あなた方に言わせれば、これは職務執行上やむを得ないからやったのだということで、全部を消してしまおうとされるが、そうは行かぬと思う。それではものが明確にならない。これだけけが人が出た、しかしこのけが人はこういうわけで警察の責めに負わせるべきではないという理論づけたものがあるならばそれでいい。その前の段階です。これは幾ら聞いてもわからない。ことに入院しているような諸君がおるから、そのけがした本人にお聞きになればわかる。どうしてけがしたか、そういう調書があなたの方にありますか。お調べになった調書があるか。警視庁をここに呼んでもらって調書をはっきりしてもらいたい。委員長、警視庁を呼んで下さい。一人も警察官がけがさした覚えがないというなら、警察官を呼んでもらわなければならぬ。この点はあなた方、上の警察庁をむやみに責めるわけではないけれども、そういうふうに弁明されると、私もそこまで言わなければならぬようになってくる。

石井榮三警察庁長官

○石井(榮)政府委員 たびたびお答えいたしております通り、事情がはっきりつかめないということを私は申し上げておるのであります。警察官の警棒によってけがした者が一人もないということを言っているのではないのでありまして、どういう場合にだれがどうしてやったかということは、なかなか真実がつかめないということを申し上げておるのであります。それがはっきりすれば、それが正当な職務行為であるならば問題ありませんが、もし不当であるならば、あるいは責任を追及しなければいかぬ、問題として取上げなければならぬということになるわけであります。それをはっきり見きわめるだけの資料を、現在のところではまだ的確に把握できない状況であるということを申し上げたのであります。

門司亮日本社会党

○門司委員 どうもその辺がはっきりしない。それではもう一つ聞きたいのだけれども、警棒の使用規程というものはどうなんです。けがさしたら、そのけがをさしたことの善悪にかかわらず一応報告するというなら、資料は集まる、そうすると今の答弁では警察官の中には一人も警棒を振った者はないという結論にならざるを得ないと思う。もう少し虚心坦懐に、悪いことは悪い、やり過ぎたならやり過ぎたと言ったらどうか。起ったことはいまさらしょうがない。もうなぐられた人もこぶはひっ込んでいるだろうと思います。悪いことはこれから先、お互いに検討して直していけばいいのであって、私は警察官をそんなにかばいだてする必要はないと思う。問題をもう少し明確にしてみたらどうなんです。これは石井さんに聞いたってわからぬでしょうから、委員長一つ警視庁を呼んで下さい。現在のけがした諸君について、どういう取調べをしているのか聞かなければわからぬでしょう。そうして警察官がやったというなら、二千人かそこらの警察官の中だから、だれがなぐったということはわかりそうなものだ。だれがどこにおったということはわかりそうなものだ。日本の八千万の国民の中で殺人罪をちゃんと調べてくるのだから、警察官の数も限られている、けがした場所も限られている。けがした場所がわかって、その時間その場所にどういう警察官が居合せたということは、統制があればわかっているはずだ。だからそういうものをやはりこの際明確にして、行き過ぎは行き過ぎとして黒白を明らかにしないと、これは警察官が不信を買うだけですよ。私のおそれるのはそれだけです。警察が不信を買うと、たとい警察官を何万名増員しても犯罪は減りませんよ。私のおそれるのはそういうことです。悪いところは改めればいいのであって、だからもうこれ以上私は石井さんに聞かない。委員長は一つぜひ警視庁を呼んで下さい。そうしてその点を明らかにしなければならぬ。  それから一点、石井さんに聞いてみたいのは、砂川の事件に対して費用の支出の点です。これは一体警察庁はどれくらい出したか。私が今まで聞いた範囲では警視庁はわからぬと言っている。超過勤務手当は警視庁が出したかもしれない、あるいは出動手当はあるいは警察庁から出したかもしれないと言っている。費用の中でわからない点があります。実際は東京都庁の予算で出すものと本庁から来るものと、警視総監は両方握っているのでしょうから、その警視総監が握っている費用の出し方を、国の費用と地方の費用との区分を警視庁はどこかわからぬといって返事していますが、あなたの方はわかっているはずだから、出勤手当をどのくらい出したか、その費用を明らかにしてもらいたい。

山口喜雄警視監(警察庁警備部長)

○山口説明員 御承知のように予備隊の経費は、給与とかそういう基本的なものは、これは都で出ております。いわゆる警備出動に該当するようなものは国費で持っていることは御承知の通り。その金額で今わかっておりますのは、国費関係で警備活動の旅費と、それから装備費、写真や何かに要したもの、そういうものを合せまして七十四万九千円、なおこのほかに予備隊が出動した場合に出す日額旅費がありますが、これが二十四万七千円、合計国費の関係は約百万円です。それからあと都の関係では車両のガソリン代とか、そういういろいろなものがかかっておるわけであります。それが約六十四万円、超過勤務手当はあの関係で幾ら出したかということは詳細なところは、まだはっきりわかっていないんです。これはやはり支給する時期が非常におくれることがありますので。そのときすぐやるわけじゃないですから……。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 今の問題ですが、そうすると、かりに砂川のような場合、警備出動の旅費というものは、全部国の方の予算から出される、こういうわけですか。

山口喜雄警視監(警察庁警備部長)

○山口説明員 予備隊につきましては日額旅費というので、毎日きまったものを出しているわけです。従って別にあそこまで行きましたからといって、個人々々にあらためて旅費は出さない。定額を支給するような形になっております。超過勤務手当は別でございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 日額旅費というのは、きまったものを出すというんですが、月にどれくらい出すんですか。

山口喜雄警視監(警察庁警備部長)

○山口説明員 千円未満であったと思います。ちょっと正確な数字を記憶しておりませんが、八百円前後じゃないですか。それは月額でございます。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 予備隊の警察官が他府県に出張する場合がありますか。

山口喜雄警視監(警察庁警備部長)

○山口説明員 今まで出しましたのは、震災その他特別の場合だけであります。警視庁の予備隊が他県に出たことはまだないと思います。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 一体国費から出しておるのは二十何億ですか、この金の内訳、どういうふうに使っておるか。来年度は四十何億か要求されているようですが、これは主として今のような警備出動等に出されておるのか。

山口喜雄警視監(警察庁警備部長)

○山口説明員 ちょっと御質問の要点がわかりかねたのですが、もう一度恐縮でございますが……。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 国庫支弁のやつですよ。これはいろいろな費目があると思うんですけれども、ただいまの警備出動のような場合に人件費として出すということですが、一体その内訳は今までどういうふうに使われているか、それ以外にも用途があろうと思うんですが、実績はどうなっているんですか。

山口喜雄警視監(警察庁警備部長)

○山口説明員 国費で受け持ちますのは、御承知のように政令できめてあるわけです。警備関係の経費につきましては、警察法施行令の第二条の七号に書いてあります。このほかに刑事関係の経費もございます。警備関係の経費につきましては、四十何億という、そういう大きな金額ではないわけです。本年度の警備関係の経費が一切がっさい合せまして、国費で十五億見当だったと思います。これはいろいろなものを全部合せましてです。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 最後に一つだけ。先ほどの質問の続きですが、警察庁長官はあの砂川の場合、今までの調査では行き過ぎは証拠が認められない、こういうことなんです。そういたしますと、この前にもお伺いしたんですが、その後の調査によってもそういう事態だということになれば、あの当時の新聞の記事というものは問題だと思うんです。新聞に対してはどういう行動をおとりになったんですか。たとえば大きな見出しで、暴徒のような警官隊であるとか、統制のない警官隊であるとか、まるで警察官でない、そこら辺の愚連隊のようなふうに、どの新聞も書いてあったんですが、あの記事は警察の威信にとって非常に重大な問題だと思う。そういうことの証拠がないということになれば、警察庁としては何らかの行動を、新聞社に対してとらなければならぬはずですが、今までとったかどうか、お伺いしたい。

石井榮三警察庁長官

○石井(榮)政府委員 たびたびお答えいたしております通り、現在ただいまのところ私どもの調査では、新聞に伝えられたような行き過ぎはないと思っております。しかし先ほども申しました通り、私ども部内だけの調査に基いて、それで最終的に絶対間違いないものというふうに決めつけてしまうのもいかがかという私は私なりの反省をいたしております。幸か不幸か……。     〔永田委員長代理退席、委員長着席〕 検察庁が実際に動いておるという事実もございますので、検察庁当局において公正な判断をしていただけるものと思うのでありまして、そういう公正な判断がすみやかになされることを期待いたしておるのであります。新聞にあったからといって、それを直ちに打ち消すような態度をことさら自己宣伝がましくやるということもおとなげないので、真実はおのずからわかっていただけるもの、かように考えておるのでありまして、最近いろいろパンフレットその他逐次出つつあるのでありますが、そうしたものを見ましても、あの当時の新聞報道等とは相当趣きを異にしました砂川の実情を伝える出版物等も漸次出ておるように思うのでありまして、そういうことによりまして漸次真実の姿というものが、国民の皆さんにわかっていただける時期が来ると思っております。警察が不信を買うようなことは、私どもも考えなければならぬことでありまして、そうした不信を払拭するだけの努力をしなければならぬことも私ども考えておりますが、しかしそうだからといって、今直ちに妙な自己宣伝めいたことをやるよりは、先ほども申しましたように、公正な第三者の批判、判断を待つ、この方が男らしいといいますか適当であろう、かように考えるのであります。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 あのときの報道はいわゆる公正な第三者に類するものでしょう。現地で目で見て、カメラでとらえて、それをあの新聞の記事なんかにそのまま反映したんです。ちょっとした問題じゃないです。あれだけの表現を用いてやられて黙っておるということは、やはりこれは反駁する自信がないというふうに見られてもしようがないじゃないですか、そうじゃないですか。

石井榮三警察庁長官

○石井(榮)政府委員 あるいはそういうふうに見られる方もあるかもしれません。それぞれ立場々々で見方が違うことはあり得るわけですから、そういう見方をされる方もあるかと思いますけれども、それを一々各個に弁解して回るというわけにも参りません。私は先ほど申しました通り、時間がたてば必ず国民の皆さんは真実を理解していただけるものと期待いたしておるのであります。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 検察庁の公正な判断と言われたですが、その後公務執行妨害の嫌疑で警視庁が呼び出して捜査を進めておるということを知っておられるかどうか。

石井榮三警察庁長官

○石井(榮)政府委員 当時のいろいろな資料に基きまして、犯罪の容疑濃厚なものにつきまして、任意出頭を求めて調べておるものがあるというふうに報告に接しております。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 そういうふうで警視総監以下は、社会党その他被害者から告訴告発を受けながら、被疑者の立場にありながらそういうことを進めている。片一方には警棒使用については報告義務がある。その点について、一つ警棒使用についても、予備隊全体に対して報告が出ておるかどうか。その点をお聞きしたい。

石井榮三警察庁長官

○石井(榮)政府委員 先ほど申し上げました通り、警視総官以下関係の警察官が告訴告発を受けているということにつきましては、私ども公正な検察庁当局の判断を静かに待っておるのであります。そういうことがあるから、警察が本来職務としてやるべき犯罪捜査をやってならないということは、あえてないのでありまして、捜査すべきものがありますならば、これを捜査するのが警察の職責を果すゆえんであると思うのであります。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 警棒の報告の点について……。

石井榮三警察庁長官

○石井(榮)政府委員 警棒の使用につきましては、なるほど規程によりまして、相手に負傷をさせた場合には報告しなければならぬということになっておりますが、先ほど来たびたび申し上げました通り、警察官は意識して相手にけがをさせたというものがないのであります。ですから、しばしば申し上げます通り調査をいたしておりますが、今日までのところ調査の結果御指摘のような事実はない、かように申し上げておるのであります。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 そうするとあの警棒使用の報告義務の規程は、意識してやった場合だけの報告義務であって、そのほかの場合は報告義務はない、そういう御見解ですか。

山口喜雄警視監(警察庁警備部長)

○山口説明員 警棒でけがをさせたことはないかというのは、これは全員に念のために調査をいたしました。やったものは出せということではなしに、全員についてやったのですけれども、何しろああいう事態の中で、なかなかその詳細がわかりかねておるというのが事実です。それから負傷者のことをお尋ねですが、これもずいぶん骨を折ったのですが、病院側で御協力を願えないのです。それからけがをした方も何もおっしゃらないし、お会いにもならない、実際の調査に困っております。

門司亮日本社会党

○門司委員 そんなあいまいなことで、一体あなた方は捜査力を持っておられるのですか。この前の委員会を開いたときも、五人ばかり入院をしておったはずです。聞かれればわかるんです。何でけがをしたくらいのことは聞かれる意思があるかないかということなんです。被疑者を呼び出して調べるひまがあるならば、そういうけがをした被害者を呼んで、どういうけがをしたということは聞けばすぐわかることです。相手が警察官である以上わかり切っているでしょう。  もう一つはっきり聞いておきたいことは、意識してやらなければ警察官はいかなることをやってもいいとあなた方はお考えですか。警察官だけに特権は与えられておりませんよ。いかなる人といえども、相手に傷害を与えて、正当防衛とそれが認定されない限りにおいては、いかなる場合といえども、けがをさしていいという特権はない。警察官にはそういう特権がどこかの法律で与えられておりますか。もし与えられておるとすればはっきりさせてもらいたい。警察官は意識してさえいなければ、けがをさせようと思ってけがをさせたのでなければいいんだという特権はどこに一体与えられている。今の警察官の行為というものは、国家の統治権の作用というよりも昔の天皇の統治権の作用じゃないですか。こういうような今の警察庁長官の答弁にはどうしても承服するわけにいかない。だから聞きたいことは、警察官はそういう場合には意識しなければ他人にどんなけがをさせてもいいんだという理論的の根拠があるなら、それからはっきりしていただきたい。

石井榮三警察庁長官

○石井(榮)政府委員 意識してなければ相手にけがをさせてもかまわないということを申し上げているのじゃないのでありまして、警察官に意識がなかったからこそ、その結果の調査に困難を来たしておるということを私は申し上げたのであります。現在までの調査においてはっきりしていないということを申し上げておるのであります。

西村力弥日本社会党

○西村(力)委員 山口警備部長は負傷者が協力しない、こういうことを言っておりますが、あなた方の末端の動きは陰から回ってその職場に不安を与えている。そういう動きが非常に強い。ですから、意思表示をしてくれ、協力してくれという、その協力はおそろしい協力なんだ。だから出てこないのですよ。それがはっきり警察不信の現われなんだ。そういう点を、私たちは真剣に考えていかなければならぬのじゃないかと思います。長官は立場上いろいろ弁護されまするが、いろいろ資料も検討されたといいまするが、一般に公開になっている毎日ニュースをごらんなさい。あれには青かぶとに一本棒を引いている、ジャケツを着て、くちびるの厚い、そういう幹部がこん棒をまっすぐに顔面に向って何回も突いているのが動きになって現われている。それは瞬間の写真じゃない。サンの写真に出ている首を締めているのは、あれは思わず首にこん棒が行ったんだ、こう言われておる。瞬間はそれで言いわけは立つかもしれぬが、それは苦しい言いわけだというのは国民全部がわかるんだ。毎日ニュースの方は、一本棒のジャケツを着たくちびるの厚い人が、こん棒で突いておるのがはっきりしておる。これは顔面を往復して突いておるのが出ておるのです。そういう証拠がはっきりしておるわけだのに、どうしてそういう答弁をせられるのか。それらこれは、まだ公開されておりませんけれども、私自身が宣伝カーから無理やりに引きずりおろされるところがニュースに入っておるのがあります。これは、私は前日けがをしてニュース・カーの上につえをついて立っておった。それを何のわけか知らぬけれども、無理やりに引きずりおろして四メートル、五メートル向うの泥畑に倒したんですよ。そういうものも、まだこれは公開されておりませんが、あるんです。ですから、もっと真剣にあなた方が証拠固めをして、任意出頭を求めて調べるような、そういうわれわれ国民に対する報い方をしなければならぬ。それは、傷害事件はどちらでも同じだろうと思う。警察官だって同じように傷害事件が起きたとすれば、そういう態度で調べてもらわなければならぬ。人民にだけ向って権力を振り回して、無理やりと証拠が固まってから調べるのだ、こう向ってこないで、警察官の方も、その御本人の警察官の個々の陳述で、すべてそれがそのまま認められるというような行き方では、これは一方的な手落ちの処置だろうと思うのです。そういう点、私はもう少し警察当局が警察に対する信頼をつなぐために、治安確保の前提として真剣に努力せられることを望みたいわけです。

山口喜雄警視監(警察庁警備部長)

○山口説明員 今お話になりました点は、これは両者が対峙して非常にもみ合っておるときに、ある人が、都職の宣伝カーの上で盛んに気勢をあげて、指揮扇動しておるものと認められたので、これの検挙を幹部が命じたわけです。ところが、その男が警察官に対して反撃して乱暴してきたので、公務執行妨害の現行犯で検挙した。その検挙したときに、これを奪還しようとして押し寄せてきましたので、このときには指揮者が、確かに警棒をはずさせて排除しておりますが、その関係者を詳細に調べまして、そのときの状況は、警棒使用については、やむを得ずやったものであって、必要以上にこれを乱用したというようにはわれわれの方で認めておりません。このときに警察官側は一人一週間程度の負傷者をいたしておるのであります。映画やあるいは写真グラア等にいろいろ写真が出ておりますが、間違えて載せておるのも相当あるのであります。そうでなければ公務執行妨害で検挙をしたときの状況であるとかいうことで、われわれとしましてはもし一つ一つ御指摘になれば、それに対しては十分に説明できるつもりで調査をいたしております。ただ一つ一つ申し上げませんが、ただいま御指摘の点は確かにこれは第四予備隊の第三中隊で起った問題であります。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 先ほどの警棒使用の報告の点について納得が行かないのですが、これは犯罪逮捕その他について警棒を信用したときも、あるいは後日裁判その他の結果によって正当防衛になるとしても、とにかく警棒を使用した場合は報告をしなければならぬ。それが書面でやるか口頭でやるかということは、私はまだはっきり聞いておりませんが、少くとも報告をしなければならない。その点を全然やっておられないと思うのですが、やられたかどうか、やられたらその結果がどうなっているか、それをお聞きしたい。さらに二千数百名の警官が出動して、そうして千名以上の負傷者が出ておる。それはもちろん大勢の中だから警官のあれで負傷したのではない場合もあるでしょう。しかしそんなのは若干であって、ほとんど大部分は指揮者のかかれという命令で、鉄かぶとで、そうしてこん棒を前に突き出して突っ込んだときの負傷なんです。われわれは見ておるからわかっているんです。そういうようなものを警棒使用の報告を一つも求めないというのじゃ、すでに一カ月以上もたっておるので、それは職務怠慢じゃないかと思う。大体調査する意思がないじゃないか。あったらその点をこの際はっきりしておいてもらいたい。私が今言いましたような警棒の使用の点、その使用した場合の報告の点、書面か口頭か、その取扱いについて御答弁願いたい。

山口喜雄警視監(警察庁警備部長)

○山口説明員 警棒を使用させた場合に報告をさせることになっておりますが、この場合はもちろん指揮者の命令によって使用しております。指揮官としては十分そのときの状況を詳細に知っております。さっきからお話がありますが、傷害を与えた場合には報告をするようになっておりますが、これは確かに自分があの人に傷害を与えたとわかる場合、やはりそういう場合に報告が出てくるわけであります。ああいう混乱の場合でして、全員についていろいろ調べたのですけれども、確かに自分はあの人に傷害を与えたんだということが、なかなかはっきり認定しかねるものですから調査がむずかしい、こういうことを申し上げておるのであります。実際それが実情なんです。それから負傷者の方もだれもお申し出もありませんし、それから名前を聞いても一切教えていただけないし、どういう症状であるか聞いてもどういうのか病院では一切御協力願えない。ある診療所のごときはいかなることをお尋ねしても一切ノー・コメントで御答弁がない。そういう診療所も中にはある。非常に骨を折っておるんですけれども、さっぱりどうも調査がしにくいという状況なんです。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 今の御答弁は刑法を御存じないのではないかと思う。傷害罪には単独傷害で相手方がわかっている場合と——私今条文を見ないからはっきりわかりませんが、二百七条か何かだと思うんですが、傷害を与えた者がわからない場合は、全部が傷害罪として犯罪が成立することは御存じだと思います。従ってあの突っ込めの命令で鉄かぶとがこん棒を前にして突っ込んで、そうして一千名以上の負傷者が出ておる。傷害事実がここに起きておるでしょう。だからだれがだれにこん棒で突っ込んでけがをさせたかということがわからないにいたしましても、あの場合はわれわれの刑法の解釈では相手方がわからないでも、集団的に警官がこん棒を突っ込んで、ここに傷害罪が起きたということは事実なんです。ですからやはりこういう場合は警棒をお前はどういうふうにして使用したか、その使用について報告させるのは当然だと思うのですが、それでも報告は要らぬとおっしゃるのですか。

山口喜雄警視監(警察庁警備部長)

○山口説明員 二百七条の関係の規定は存じておりますが、先ほどから申しておりますように、だれがどの人にけがさしたか、あるいは集団的に何人の者がどの人にけがさしたということがはっきりわからないと、この条文の適用は出て来ないと思うのです。そういうわけでわれわれ実際努めて努力をしたのです。しかしあの事態で実際わからないというのが実体なんです。われわれ誠意をもってほんとうに調べ、特に負傷者の問題につきましては極力手を尽したのですが、先ほど申しましたように、いろいろな事情で名前等のわかるのを避けておられる方も多かったと思うのですが、まず氏名から全然だめであります。もちろん負傷した人に会わしてもらうことをお願いしても、病院の方でも会わしていただけない、こういう状況であります。どうしても調べられない。ある程度診断書その他で負傷の部位や何かを調べたものはあります。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 警棒使用についての報告を認めたのも、ほんとうは警棒を使ってはならないけれども、使った場合においては、それが正当であろうと不当であろうと使用したことを報告しなければならぬ。これによって警棒の使用の乱用を防止して、公正な警察権の行使と、人権の擁護をやっておるわけです。従って二百七条の傷害罪は、だれが傷害を与えたかどうかということは必要ないわけです。ですから少くとも突っ込めの号令で、集団的に警察官がこん棒をふるって、その結果千名余りの負傷者がここに出ておる。これは各個々々について調査するまでもなく、この警棒の使用については予備隊各人々々について、お前はどういうふうに使用したかということの報告をする義務があるし、監督上させなければならぬのじゃないかと思う。その点は全然考えなしに、被害者がちゃんとわかってそれにふるった場合にその報告をさせる、これは単独犯の場合にははっきりしますけれども、ああいう集団犯罪の場合にははっきりしない。それでもこん棒によって傷害が発生したという事実はここに明かだから、それで各警察官について、こん棒の使用について、この規程によって報告させる当然の義務があると思うのですが、その点は気づかずに今までやられなかったのか、それをお聞きしたい。

石井榮三警察庁長官

○石井(榮)政府委員 その点は十分調査をいたしたのであります。ただ警棒の場合につきましては傷害を与えたときには報告せよ、こうなっております。その傷害を与えたというのは、先ほどからお話いたしておりますように、だれがだれに与えたかということが、なかなかはっきりわからないために、調査が非常に困難でありますということを御説明いたしておるのであります。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 いや、そういうふうに言われると調査は困難でしょう。困難でしょうが、私の言うのは警察官が集団的にこん棒をふるったことによって少くとも傷害罪は発生しておりますから、だからあのとき出動した予備隊員の各個々々に対して、どのように警棒を使用したか、そういう点について一々報告を求むることができるし、また各個人は報告する義務があると思います。従ってそれを求められれば、われわれもその報告によってちゃんと検討ができますが、そうさせずに、ただ各個人の単独傷害で、相手方のわかっておるだけ報告の義務があるというのなら、これはとんだ間違いだ、この法の規定の精神からいたしまして、警棒の乱用の防止と人権の擁護の点からして、そういう単独傷害の場合だけに限るべきものじゃないと思います。こういう場合も、私はその使用についての報告をさせることができるし、また各警棒官も報告しなければならぬと考えるのですが、この点はどうですか。

山口喜雄警視監(警察庁警備部長)

○山口説明員 これはその後警視庁で幹部みずから各予備隊に出かけていきまして、そうしてずいぶん時間をかけて直接調べたのです。そのときもちろん警棒使用の状況について、傷害を与えたことはないかどうかという報告を十分聞いたと思うのです。これはみずから出かけていって各予備隊を回って調べたのです。決して調べないで、私そういうように申しておるのではありません。

大矢省三日本社会党

○大矢委員長 どうですか、坂本君。私今まで聞いていると同じことを繰り返してばかりいますが、明らかに映写した映画がありますし、それから使っておらぬとは言わぬのですから、それは国民が判断するより方法がないと思います。それで今大臣も見えるそうですし、この辺でほかの点に進まれませんか。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 それでは重要なことをもう一点だけお聞きします。指揮官の命令によって警棒を振った場合でも、やはり振った各個人はこれを報告する義務があると思います。従って単に振ったということまではなくても、どういうふうにして十二、十三日は警棒を使用したかという点は、こういう重大な問題になったんだから、これは各警察官に報告させる義務がこの規定によってあると思いますが、それはないとおっしゃいますか、あるとおっしゃいますか。

山口喜雄警視監(警察庁警備部長)

○山口説明員 警棒または警縄の使用により傷害を与えたときは、これは確かに報告する必要がございます。上司の命令によって使用した場合も報告する必要があると思います。その点は私もそう思います。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 傷害を与えておるでしょう。

山口喜雄警視監(警察庁警備部長)

○山口説明員 与えたというのは本人の認識がないもんですから、それでどうも調べがつかないで困っております。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 それではあの十二、十三日のこと、ことに十三日の警棒の使用は、全予備隊員が意識がなくてやった、そういうふうにあなた方は判断しておるかどうか、その点を最後にお聞きしておきます。

山口喜雄警視監(警察庁警備部長)

○山口説明員 予備隊員のうちで、当日警棒を使いました者は、御承知のようにごく一部でございます。そうして私の申し上げておりますのは、自分があのときこういうようにして傷害を確かに与えたということを、はっきり認識しておる者がありませんということを申し上げたのであります。

門司亮日本社会党

○門司委員 このことは非常に重大なことですが、それではごく簡単に聞いておきますが、あの負傷者は警棒による負傷者じゃないということに警察側は断定しておるかどうか。

山口喜雄警視監(警察庁警備部長)

○山口説明員 断定はいたしておりません。それはあったかもわからないと思うのですけれども、いろいろ調査してもわからないので、正直にその通り申し上げております。

門司亮日本社会党

○門司委員 それは個人々々がだれがだれをけがさせたということはわからなくても、少くとも警察官の警棒による傷害であるということだけははっきり言えると思います。またそれ以外のけがの方法はないと思います。現実に私ども議員諸君の中にも、ちゃんと頭をなぐられた人がここに来たのを、あなた方知っているでしょう。だからだれがだれをなぐったということは、今のところ明確になっていない。それはあなた方で調査される。しかし総体的に警棒による傷害があったということ、傷害罪という罪名をくっつけると、あなた方の方は逃げるかもしれませんけれども、傷害事件があったということだけは正直に認められるでしょう。それが間違いであったのか、意識しておらなかったのか、あるいはそれが正当防衛であったかどうかは別として、警棒による負傷者があったということだけは、とにかくあなた方の方でも承認できると思いますが、それも否定されますか。

山口喜雄警視監(警察庁警備部長)

○山口説明員 あったかもしれないと私も思います。

門司亮日本社会党

○門司委員 私はあったかもしれないというようなことでは済まされないと思います。あったかもしれないではない、あるということです。これがない、あるいはあったかもしれないというようなあいまいなことで逃げられますか。それではあなた方は、あのけがをした人々が何でけがしたのかということについて、はっきりした反証をあげてごらんなさい。

山口喜雄警視監(警察庁警備部長)

○山口説明員 それはあの押し合いもみ合いによりまして、警察官の中にけが人が出ておるのを調べましても、非常に圧迫されて胸部をけがしておる者もありますし、それからそのもみ合いの中に入ってころんで捻挫しておる者もあります。必ずしも警棒だけによる負傷ではない、こう思います。それから多数の負傷者の中には警棒によって負傷した者があったかもしれない。これは私もそう思いますが、それを具体的にいろいろ調べて手を尽したのですが、具体的にいつどこでだれがどうしたということは、どうも調査が十分にできませんでしたということを正直のところ申し上げておるわけです。

門司亮日本社会党

○門司委員 私はそこまで具体的に言えと今あなた方に言っておるのではない。そういうことについて、警察当局が立証が上ってこないから、それが認定できないというようなものの考え方で逃げられるような議論をしておるのではない。現実にけがした諸君がおるのだから、これはあなた方はすなおに認めた方がよい。そういうようなことがあったかもしれないというようなあいまいなことではなくて、確かに警棒によって負傷者があったのだ——それが正当であったかどうかは別としても、あなた方がどこまでもそれを認めないというような今のような答弁で過ごされますと、われわれはどこまでも追及しなければならない。現実にあるのです。ないとは言わせない。まさか人がさか立ちして頭に当ったわけでもあるまい。これは警棒以外にないじゃないですか。どうして頭の上に手が上ってくるか。われわれがさっきから申し上げておりますように、そこには捻挫した人もあったでしょう。圧迫された胸を押された人もあったでしょう。負傷者の中にはいろいろあります。ですから最初から、負傷の種類と場所についての資料を出してもらいたいということを注文しておいた。それはたくさんあると思います。われわれの知りたいのは、少くとも警察官の武器と考えられる警棒を使用して、一体どのくらいの者にけがさせたかという問題ですから、それがあったかもしれないというような、まるきり否定するような考え方でおられるということになると、このまま過ごすわけには行きませんよ。幾ら押し問答になろうと、これはそのまま過ごすわけにはいかぬ。

山口喜雄警視監(警察庁警備部長)

○山口説明員 門司さんの御質問の趣旨はよくわかるのでありますが、実際先ほど言いましたように、警視庁の責任の者が各予備隊を回って十分に調べたのです。それから一方病院などにも参りましたが、肝心のけがをされた方に会ってもいただけないし、医者を通じてもお話が願えないという状況で実際調べようがない。傷害の場合は、普通はけがを受けた方につきまして、どこでどういうけがをしたのかということをよく調べるのですが、ところが今度の場合は全然その方法がつかない。従って予備隊の方を十分に調べましたが、結局まだどうにもわからないというのが実情です。

門司亮日本社会党

○門司委員 そういう答弁をされると、この委員会で淡谷君自身が私の頭をなぐられたということを言われたということも認めませんか。この会議録を読んでごらんなさい。あなた方はこれでも認めないというのですか。本人自身があくまでも公の場ではっきり言っておるんですよ。私の背たけは五尺六寸あるのだが、それが逆立ちをしたから頭に当ったというのかと言っておりましたよ。調べなければわからないというが、現実にここではっきり証言した人があるじゃないですか。あの証言はうそだとあなた方は言われるのですか。

山口喜雄警視監(警察庁警備部長)

○山口説明員 それは淡谷さんにもう少し詳しくお聞きしてみなければわからないですね。やられたということだけで、それがあったと断定するわけにはいかない。それはほんとうに十分に調べたのです。

門司亮日本社会党

○門司委員 そこまであなた方が逃げられるならば、われわれは最後まで追及しないわけにはいかぬ。一体そこまで警察官をかばわなければならぬのですか。淡谷君自身が言っていることを信じられないとあなた方は言われるのですか。一体なぐった者を出せというのですか。私がこの前言ったように、限られた範囲でなぐった者を、警棒を使った警察官を調べてごらんなさい。だれかが警棒を使っているにきまっている。五尺六寸の頭の上にこん棒が行きやしませんよ。あの範囲で、こうして持って押すだけで、人の頭の上に警棒が行きますか。たとい一つでも現実にここで証言されたものがある。それでも、あったかもしれないという程度で過ごされるということになると、このまま見過ごすわけには行きやしませんよ。そこまでかばわなくてもいいじゃないですか。こういう事実があった、しかしこの事実はこういうことに基いてやったんだということを、あなた方の方で言えるでしょう。そういうことで将来考えられてくると、今お話しになっているように、警察官をふやさなければならない事実がどこにあるか——これはこれから先大臣に聞くことですけれども、去年警察官が減らされなかった事実、ことしからふやさなければらなぬという事実は、三年前の、いわゆる治安に対する警察の態度がまずかったという処置が、人員増加に表われてきていると思うのです。このことは、これから先大臣に聞くのですが、こういうことがもしそのまま過ごされるとすると、警察官も人ですよ、神様じゃございませんから、ああいう事件があっても、上司は必ずかばってくれるんだというので、これから警察官がどういう狂暴なことをやるかわからないですよ。一人もなぐった者がないということになれば、どういうのがなぐったということになるのですか。これは将来の警察の仕事の執行の上に非常に大きな問題です。だからやっぱり行き過ぎは行き過ぎとして、警察官をためていくということをしないと、権力を持った者があばれるということが一番こわいのです。もしあの場合に、一般の諸君に警棒と同じものを持つことが許されているとしてごらんなさい。どういうことになったか。片っ方は無抵抗ですから何も持たぬのです。少くとも片っ方は武器を持っているのです。そういうふうにあいまいな答弁で、これをこのまま過ごすわけには行きません。これは警察庁の長官から一つ聞きたい。どうですか。あったかもしれないというような今の山口君の答弁でいいのですか。

石井榮三警察庁長官

○石井(榮)政府委員 その点については先ほどからたびたび申し上げている通りでございますので、またそれを繰り返すにすぎないのでございます。私どももできるだけ真相は正しいところを把握して、もし改むべき点があるならば改めたい、こういう熱意を持ってこの問題には取っ組んでおるのであります。決していいかげんに、時間がたてば人のうわさも七十五日で忘れるだろうから、そのうちにだれも問題にしなくなってしまうからという考えで、じんぜん日を過ごしているのじゃありません。しかし、何分にもあれだけの瞬間の、しかも大ぜいの者がぶつかってのことでございますので、だれがいつどうしたかということは、なかなか真相を把握しにくいものであることはおわかりいただけると思うのであります。それをできるだけ真相を把握しようと思って、私どもの許された、可能なる方法によって調査をいたしておるのであります。しかし、今日までのところ調査の結果はかくかくであるということを申し上げたので、これで調査全部打ち切りで、あと何にも調査しない、従って警察官の行き過ぎ行為は絶対なかったというふうには申し上げておらないつもりであります。

西村力弥日本社会党

○西村(力)委員 淡谷君のことが出ましたが、私も、この委員会か内閣委員会かどちらかにおいて、私のことを公式の場で申して、記録にも載っておるはずでございます。私は再度申し上げますと、トンネル送りをされてひざの裏をけられた。そんなことは大したことじゃないのですが、接触した場面の道のわきの一メートルばかりの石垣の上に立って、あまり乱暴しないように牽制をしておった。そうしたら、やかましいと言って引きずりおろされたので、私は不意をつかれて落っこっちゃった。何をするんだ、君、と言って、その方を見た。とたんに、うしろにおった予備隊がぽんとけったので、それっきり私は動けなくなってしまった。私はレントゲンもとってありますが、医者の診断では骨が少し砕けておるというのだが、こういうことがあるのです。私はこれを公式の場で言っているのですが、そういう点など、どういう工合に調査されたか。私は、国会議員の私に暴行したのがいけないと言うのじゃない。だけれども、私がそういう所におって、何ももみ合いに入っていないのにそういうことをするんだから、他は推して知るべしだという工合に私には判断される。これは常識として、だれでもそういう工合に判断されるのではないかと思う。この問題は、これはこの前の委員会でも申しましたけれども、どういう工合に調査なさっていらっしゃるのか、お答え願いたいと思います。

山口喜雄警視監(警察庁警備部長)

○山口説明員 西村議員の問題につきましては、これも警視庁の方で十分調べたのであります。しかしどうも、特に西村議員に対して暴行を加えたというような事実があったかどうか、はっきりいたしません。ただ、あの非常に紛糾した事態の中において、警察官としては、当時先生を、何といいますか、指揮者の一人と認めておったような情勢でございまして、先生にうしろの方にさがってもらうつもりで、何かやったということは聞いておりますが、特に悪意とか故意で暴行を働いたというふうには、私は報告を受けておりません。

西村力弥日本社会党

○西村(力)委員 そんな、指揮者として目されたということも、それもいいんですが、うしろにさがってもらうといっても、私は何ももみ合いの中に入っていない。道路のわきの一メートルばかりのところに石垣があって、それにカラタチの生けがきがあって、それにつかまっておった。それをうしろにさがってもらうという理由は、どうして成り立つのですか。あまり暴行を受けて、くやしくてくやしくて、おれたちがなぜ得物を持っては悪いのだと、私は何べんもみんなから言われたのを、断固として許さない。そんなことがあってはとんでもないことだというように、そういう方法をとってきておる。それはどうもこちらの考え方の基本を示すようなんですが、今の言いわけでは私は承知ができない。うしろにさがってもらうためにけとばしたんだというんでは話になりませんよ。そんなことだとすれば、だれがやったかということはわかったはずなんです。そのやった人に聞いたら、うしろにさがってもらうためにやったというんでしょう。それではだれがやったのですか。その個人はつかまえたのですか、把握し得たのですね。今の答弁から言うと、個人を把握して、やったが、うしろにさがってもらうためにやったんだ、その理由ならばよろしい、こういうふうにあなた方は断定したんだと思うが、それじゃおかしいじゃないか。

山口喜雄警視監(警察庁警備部長)

○山口説明員 私の手元にはその氏名は参っておりません。

門司亮日本社会党

○門司委員 この機会に大臣に聞いておきたいのですが、今実は砂川事件についての問題がありますので、これから先に聞いて、あとで警察官の増員のことについて考え方を聞きたいと思います。  今警察庁の答弁によりますと、警棒によってけがをした者があるかもしれないという答弁ですが、大臣もやはりそういうふうにお考えになっておりますか。

大麻唯男自由民主党国家公安委員会委員長

○大麻国務大臣 私はもちろん現地におりませんから的確なことは申し上げられません。けれども私といたしましては警察当局はこう申し上げたらおかしいような話ですけれども、皆さんの御想像されるよりも、もっと真剣に良心的に反省して仕事をやっておると認めておるものでございます。その人たちが申すのでございますから、多分山口君の言う通りであろう、かように考えております。

門司亮日本社会党

○門司委員 大臣としてはそういう御答弁にあるいはなるかもしれぬ。部下を信頼しないでここで答弁されるのはどうかと思いますが、問題は、もう一度はっきり聞いておきたいと思うが、一つ聞いておいていただいて、はっきりしたことを聞かしていただきたいと思うことは、少くとも警察官が警棒を使用した場合には、これを届け出なければならぬということは、これは前から大臣も御承知の通りであります。それを警察の今までの答弁を聞いておりますと、意識してやっておらない。自分はだれをけがさしたかわからぬ、だから届け出ない、こういう答弁なんです。しかしこれは届出があるとないにかかわらず、本人がわかるとわからないにかかわらず、警棒によってけがした人間が現実にあるのですから、少くとも何の何がしをけがさしたということがわからなくても、自分の振った警棒があるいは人の頭に当ったとか、あるいは人のわき腹に当ったとかいうことは当然私は報告さるべきだと思う。相手方の名前がわからなければこれは報告しなくてもいいということには私は済まされないと思う。だからもし大臣がこれから先も警察行政を行なっていきますに当って、こういう事件が起った場合に、どこまでも今当局が言っておりますように、あるいは警棒によって負傷した者があるかもしれないというようなことでこの事件が過されて参りますと、将来警察官がそういう思想で、どんなことをしても上司はこれをかばってくれるのだという考え方が出て参りますると、警察の行き過ぎはここから必ず出てくる。私は部下であるからかばうだけかばってやろうという気持はわかる。しかし全体の警察行政の上からいけば、それが将来大きな災いをなすと思う。従ってここではっきり聞いておきたいと思いますことは、あの砂川の事件で警察官が警棒で負傷をさせなかった、警棒によってけが人は一人もなかった、これは届出がないからわからないのだと当局は言っておりますが、その当局の答弁をそのまま大臣は信用されますか。

大麻唯男自由民主党国家公安委員会委員長

○大麻国務大臣 信用いたします。けれども尊敬すべき門司さんがお考えになって、どうもそうでない、こういうお話でございますから、それらにつきましてはよく私ども研究いたしておりますから、今後はなお一そう注意しなければならぬという感じを持っておるわけでございます。警棒の使用につきましては最も慎重に考えなければならない。今当局といたしましてはそれでやったのではない、こう思っておりますけれども、もし間違いがあったかもわからぬから、今後は一そう注意しなければならぬ、かように考えておる次第でございます。

門司亮日本社会党

○門司委員 私は大臣に率直に聞いておるのでありますから、あまり攻撃を受けておるというような立場でなくて、日本の警察行政をどうするかということについての立場から一つ御答弁願いたいと思う。それは今あるかもしれぬというような御答弁でございますけれども、山口君も同じようなことを言っておる。しかし現実にここに証言された人の中にも、私の頭をなぐった人があると言っているのです。それでもあったかもしれないということで断定ができるかどうかということです。それはだれがなぐったかわからぬからということになっておる。そういうしゃくし定木で日々のものが出てくるということになると、暗やみでは人をなぐってもいいということになる。相手方はだれだかわからなかった。それでは私はやっぱり過されないと思う。だからどうしても今度の場合は、少くとも警察官の警棒使用の点については、これで傷害を与えた者があるという断定のもとに立たなければ、今大臣の御答弁のようにあったかもしれないというような程度では、この問題はこのまま放置するわけには参りません。だからもう一応大臣に聞いておきたいと思いますことは、そういうあいまいなことでこの問題を、一体大臣は最後まで処理されようとお考えになっておるのかどうか。少くともあれだけ新聞に書かれて、あれだけ大きな問題を起して、よかれあしかれ千人余りのけが人をこしらえた事件が、その事件の負傷の最大の原因となっておると考えられておる警棒の使用が、警棒によってけが人ができたかもしれないというような程度で、一体砂川問題を大臣は処理されようとお考えになっておりますか。

大麻唯男自由民主党国家公安委員会委員長

○大麻国務大臣 お話でございますけれども、当局といたしましては、今せっかくさらに進んで調査いたしておるのでございますから、まだはっきりわからないものをあったと断定するわけにも参らぬだろうと思うのでございます。けれどもそういうことがあったら大へんだから、今後は一そう注意しなければならぬ。警棒の使用については最も注意深くやらなければならないからして、あったかもしれぬと言うと、何か門司さんがお聞きになるといい加減に逃げていくようにお聞えのようですけれども、そうじゃないと思うのです。(「それはあなただけだ」と呼ぶ者あり)そんなことはない。当局としてあったかもしれぬから注意すると言うからには、私はこれは最大の自省だと思うのです。それで今後は一そう警棒の使用については注意をしなければならぬから、さらに今のようなお話もあることだから、なお警棒の使用については慎重を期して間違いのないようにしなければならぬ、こう申しておるのでございますから、その方針でよかろうと思っております。

門司亮日本社会党

○門司委員 大臣がそういう答弁をされるならば、私はこれ以上聞きませんが、問題はこういうことなのです。砂川の事件をあいまいのうちに私ども過したくないのです。そうするとやはり警察官の態度が行き過ぎであるとしておきませんと、砂川であれだけやったが、これについて警察官は何ら刑事責任も何も受けない。大臣の御答弁のように、これから先あっては大へんだから警棒の使用については注意をせよということでは迷わされておると思うのです。おそらく警棒を使用するについて乱暴に使えという訓示をした人はだれもないと思う。こういうおざなりのことだけではこの問題は済まされない。少くともこの問題にけりをつけようとすれば、やはり警察官がとった行動について、警棒使用には行き過ぎがあった、この点はこう改むべきだというはっきりしたものが出てこなければ、あるいはまた公務執行妨害をしたら、公務執行妨害としてこういう事件があったというようなことが出てこなければ、これから先の警察行政はおそろしいと言うのです。これから先こういう問題がどこにも起らぬとは限らぬ。その場合に警察官はなぐればなぐり得だ、あんな混乱の事態だから、だれがだれをなぐったかわからぬ、なぐったらなぐり得だというような、とんでもないことを警察官に考えられたら、民衆はいい迷惑なんです。だからこの問題のきまりをつけるには、虚心坦懐に、確かに警棒で負傷させた者があった、こういうことについては一々調査することは非常に困難である、しかしその事実は認める、このことは遺憾であるというようなことがはっきりしてこなければ、この問題は私どもはけりをつけるわけにいかない。この前の石井君の答弁では、なぐった者を出してこいなんていうのはとんでもないことだ。捜査権を持っておる警察当局は、この事件が起っておることはわかっておる。そして範囲もきまっておる。だからその中で負傷がどういうものであったかということくらいはわかるべきだと思う。負傷した者を一々調べてごらんなさい、こん棒でなぐったけがか、あるいは押し合ってつまづいたものかということはおのずからわかってくると思う。この問題を処理するには、虚心坦懐にお互いに警察行政をどうするかということを考えて、あいまいではこれはのがれない、あなた方の親心は、警察官のこういう問題を破壊に導く一つの原因であり、警察官を不信に国民から思われる道をこしらえるようなものだと思う。この際は勇敢に、行き過ぎは行き過ぎと認めて、そうして将来戒めるものは戒めるという態度こそが望ましいのであって、この場合になっても、なおかつ大臣は部下の言うことを信頼して、そういうことがあったかもしれないという態度で、この問題を過させようとすればどこまでも追及しなければならぬ。これは警察の威信に関すると思う。だからそういう虚心坦懐な気持で、大臣はこの問題を処理されるお考えがありますか。処理するといえば言い過ぎかもしれないけれども、始末をつけるということです。

大麻唯男自由民主党国家公安委員会委員長

○大麻国務大臣 御趣旨よくわかりました。警察に最も必要なことは、自己反省をすることが大事だと思っております。今の程度では警備部長から申し上げた通りでございますけれども、さらに慎重に調査をいたしまして、十分に反省することは反省していきたいと思います。けれども、ないものをあったと断定しろと言われることは、ちょっとまだ早過ぎるように思うのです。今の状況は門司さんもよく御承知と思いますが、反省の能力は十分に持っておるつもりでございます。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 大臣にお聞きします前に、これは重大な問題ですが、警察官で一番注意をしなければならないのは、いわゆる武器を持っておる点、武器の使用の点、それは拳銃とこん棒だと思います。そこで警棒使用の場合には非常に制限をいたしておりまして、使用規程がございますが、使用した場合に報告しなければならぬという、その規程をそこに持っておられるかどうか、その点を教えて下さい。

山口喜雄警視監(警察庁警備部長)

○山口説明員 警察官警棒、警じょう使用及び取扱規程の第五条に、「警棒又は警じょうの使用により傷害を与えたときは、速やかにその状況を所属の長に報告しなければならない。」となっております。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 五条の届出の義務は報告事項になっておりますが、これは先ほど来大臣がおられないところでいろいろ問答したのですが、傷害が発生した場合、単独傷害の場合ははっきり被害者がわかっておりますが、二百七条の集団傷害の場合は確認できない場合もあるわけです。そういうことを考えますと、今回の砂川事件の際には二千数百名の警官が、全部ではないにしても突っ込めという命令のもとに突っ込んで、千名以上の負傷者が出ておるわけです。全部こん棒による負傷ではないにしても、その中の相当数は警棒による負傷であると認められる。従って五条にいうように、こん棒による傷害を発生した場合に私は該当すると思う。こういうような場合は、やはりその日出動した各警官に対して、こん棒はどう使用したかということを届出をさせなければならぬと思うのですが、先ほど来警察庁の方では、それに対して確たる返事はまだ私は聞いていないと思うのです。この法の趣旨は、武器を持っておる警察官の職務の執行を厳に戒めると同時に、人民の基本的人権をそういう武器で侵害してはならない、こういう趣旨からこのこん棒の使用について、こういう厳格な規程が設けられておると思うのです。従って、こういう法の趣旨からいたしましても、この砂川事件については、出動した各警察官に対して、一応こん棒をどういうように使用したかという点を届出させる必要がある、こういうように考えるのですが、その点について大臣はいかにお考えですか。

大麻唯男自由民主党国家公安委員会委員長

○大麻国務大臣 私よく存じませんが、今聞きますところによりますと、使用した状況はよく調査しておる、こういう話でございます。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 調査と届出させるのは違うわけです。だから、傷害が発生しておりますから、どういうこん棒の使用をしたか、私は使用しませんとか、使用したのはどこにどういうふうに使用したとか、あるいは突っ込んだとかいうその届出を、出動した各警察官にやらせる、こういう必要がこの五条の規定である、その点を届出させる必要があると思う、調査でなくて、今まで届出させたかどうか。

山口喜雄警視監(警察庁警備部長)

○山口説明員 これは、先ほど申し上げましたように、各予備隊でやりますと同時に、本庁からも出かけていきまして、詳細に全部にわたって調べました。さっき西村さんのおっしゃった事案調査の状況を申し上げますと、十三日、十四日に隊員全体について第一回に調べたのです。それでどうも出なかったものですから、十一月五日の日にさらに再調査のために、この地方行政委員会の議事録の内容を示して、もう一ぺんやれということを予備隊の部隊長に指示をして十一月五日、六日の両日にわたって調べておる、それでもはっきり出てこない。そこでまた十一月十三日、十四日、今度は現場写真の中からあなたの写真を選び出して、こういう者を取り扱った者はいないかということを調べたのです。とにかくこれは第四予備隊だけ三回やって、第一予備隊の万も同じように調査しておるのです。それでも出てこないものですから、確かに西村さんのおっしゃったことがあるかもしれぬと思いまして、実際調べておりますけれども、はっきりしないものですから、私ここではっきりできないのは残念でありますが、誠意だけは一つお認め願いたいと思います。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 私がお聞きしたのは、調査の点じゃないのです。何度も言うように、傷害が発生しておるから、出動した各警察官に対してこん棒を使用した者はどこに使用してどうしたという届出をさせる義務があると思うのです。それをさせたかどうか。またあるいは砂川の場合はさせる必要がないから、させずにおるのかどうか、そこをお聞きしておるわけであります。

山口喜雄警視監(警察庁警備部長)

○山口説明員 それは先ほど申し上げましたように、こちらから行って調査をいたしました、その際に届出をさせたわけであります。届出というよりも、むしろ調べていろいろ質問もし、答えさせて、十分に届出以上の調査をいたしたわけであります。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 届出というのは、調査と違うことは、私が言うまでもないと思います。届出というのは、こういうような場合はやはり書面によって各個に届出させなければならぬ。こう思うので、調査と届出と違います。これは今後大きい問題だから私は聞いておるのです。届出させる必要がないという見解でやっていないか、届出させる必要があると思うかどうか、そこをお聞きしておるのです。

山口喜雄警視監(警察庁警備部長)

○山口説明員 届出をさせる必要はあると思っております。それは必ずしも書面でなくてもよいと思います。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 届出をさせる必要があるというのはわかりました。従ってこの場合書面でする必要はないと思うならば、その届出について、一々問題について記録しておられるかどうか。ただそのときその場で聞いて、そうして聞きっぱなしか。私はこの五条の届出はそういう聞きっぱなしの問題ではないと思う。口頭で聞いたならばやはりそれは記録に残しておく、またほんとうは書面で届出さすべきものだ、私はこう思うのですが、その点いかがですか。

山口喜雄警視監(警察庁警備部長)

○山口説明員 問題になるような点については、記録が残してあるんじゃないかと思います。私は全部は見ておりませんから、はっきり申し上げられないのでありますが、少くとも問題になるような点については残っていると思います。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 この問題はいろいろ聞きたいこともあるのですけれども、何しろ警察の方の態度が初めのころとは漸次違ってきているわけなんです。初めのころには相当責任を感ずるようなお話で、われわれは十分注意したけれども、相当行き過ぎがあったようだから、調査をして処分をするというような明快なお話だったのですが、その後だんだん変ってきまして、どうもそういうことはあったかもしれぬ、ないとは言えないけれども、何しろ混乱の際であるから、双方にそういう事態があったのじゃないかというようなことに変ってき、さらに調査をしたけれども、的確にだれがだれをどうしたという証拠は上ってこないというようなことになった。これはわれわれが納得が行かないというのではなくて、国民として納得が行かないと思うのです。  私、最後に大麻国務大臣にお伺いしておきますが、先ほど大臣は十分反省をしているのだというようなお話だったのです。ということは、ただいままでの警察の御答弁を聞けば、調査の結果はあまり具体的な証拠がないからということで、そのことだけだと、一向反省するようなことに見えないのです。また反省する根拠もない。大臣が反省するというのは、やはりあの当時新聞報道機関に書かれた、警察側がなぐる、ける、突く、そういうふうなことをしたということ、あるいは暴徒のような状態になったということ、あるいは統制がとれなかったということ、ああいうことを多少認めて、その上で反省するということではないかと思うのですが、どんなものでしょうか。

大麻唯男自由民主党国家公安委員会委員長

○大麻国務大臣 私がたびたび申し上げますのは、世間でよく、警察官などは自己反省が足らずに、むちゃくちゃにやるように言う人があるけれども、今の当局は、砂川問題に限りません、自分のしたことについて常に反省をして仕事をしている、そういう行き方をやっている人たちだから間違いなかろうと思っている、こういうことを申し上げたのでありますから、どうぞ……。

丹羽兵助自由民主党

○丹羽委員 多数のけが人を出した、その中の特に地元の直接関係者は負傷者の中でどのくらいあったか、一つ承わっておきます。

山口喜雄警視監(警察庁警備部長)

○山口説明員 これは私ちょっとはっきり覚えておりませんが、大体五千ないし六千人といわれた人のうち、地元関係者は連日百五十人を越している場合はほとんどない。それから地元の人はそういう警察官との間にトラブルを起すような先の方に出て見えておりません。負傷者は大部分学生のようですが、その辺はやはりいろいろな事情、就職や何かの問題もありましょうし、氏名等を明らかにされることは非常に嫌われる。これが負傷者の状況を調べるのに私ども困っている。正直に申し上げてその通り。だから地元の方はおそらくあってもきわめて僅か、まず私はなかったのじゃないか、そういうふうに記憶しております。

門司亮日本社会党

○門司委員 この問題はあとではっきりした答弁を私は要求しますが、一応大臣に聞いておきたいと思いますことは、さっきから北山君の質問に対して、警察官を去年減らすべきものを減らさなかった、それからことしの予算要求には二千五百人ばかり減す、こういう話ですが、警察法を改正いたしますときには大体三万人くらいの人間を減らして九十億ないし百億ぐらいの地方負担を減らすという約束だった。ところが二十八年度には四十億ばかり穴があいて、一般財源から四十億ばかり流用したことは御承知の通りであります。その後警察官が、減っておらない、従って地方負担というものはだんだんふえて参っております。来年度に二千五百人プラスになると約十億ばかり地方は負担になるという結果が出てくる。そこで警察法を改正するときには、警察をああいう形にする、いわゆる地方自治警察よりも半分国家警察のような形にした方が、経費の点にも非常に安上りだというようなことが一つの大きな理由になっていると思う。もしそのことが間違いであると思うなら、今参議院議員をやっている斎藤君をつれて来ればよくわかる、斎藤君がちゃんと説明しているんだから。また地方の府県知事もそういうことを考えて、地方の負担が軽くなるから、ぜひ警察法を改正してもらいたいということの一つの大きな理由だった。それが一つも実行されないで来年度はふやされようと言う。最初の警察法改正のときの当局の説明と逆な方向に進んでいる。それを裏返すと必要があるからだということになりますが、必要があるということは治安がだんだん乱れてきている、いわゆる警察官を増員しなければならないということは裏から考えれば治安が乱れているからで、治安が満足なれば警察官を減らしていいわけなんです。だから警察官をふやさなければならないというのは、一体どこに根拠があるか。私がさっき申し上げたのは、治安が警察官をだんだん増員するというような要求をせざるを得ない状況に置かれているのかどうか、この点を一つ大臣の責任の立場からはっきりとお答えを伺っておきたいのです。

大麻唯男自由民主党国家公安委員会委員長

○大麻国務大臣 今お話の通りのいきさつがあったことは承知いたしております。ただしかし翌年からどうということをおっしゃいましたけれども、二年間はやっております。今年ストップしただけでございますから、そこがちょっと話が違うのでございます。それはとにかくといたしましても、世の中が進歩するに従いまして時勢の変化でございまして、治安が常に乱れているとかどうとかという大げさなことではありませんけれども、事件は多くなってきております。世の中も複雑になってきております。だからして、どうしても警察官を初めの計画通り減らすわけに参らぬようになっている。さらに進んで警察の対象量というものが多少増してきておりますので、自然にまた増加をしてもらった方が非常によろしい、こういうことで今政府部内で折衝しておって考究しているところでございまして、今ここでお諮りしているわけではございませんけれども、そういういきさつになっております。

門司亮日本社会党

○門司委員 そうするとこういうことに解釈してよろしゅうございますか。世の中が進んでいるか後退しているかわからぬが、少くとも治安の関係からいって後退している。あのときはああいう見通しだったが、しかし減らせない事情ができてきた。これを裏からいうと、警察官を必要とするということは治安が乱れてきているということにならざるを得ない。治安があのときのようにずっと計画的に治まっておって犯罪が減っていっておれば、警察官の増員は要らぬはずです。警察官を増員しなければならぬということは、犯罪がふえているということになる。犯罪がふえているということになると、治安能力がどうかということが考えられる。警察法を改正してからまだ日が浅いのですけれども、見通しのつかないのに警察法を改正したということになると、これはちょっと問題を起すと思う。だから、大臣に率直に聞きますが、あの警察法を改正する当時に考えておったよりも、現在は治安上警察官を必要とする状態に置かれているということに解釈してよろしゅうございますか。

大麻唯男自由民主党国家公安委員会委員長

○大麻国務大臣 治安上云々と仰せになりますと、非常にぎょうさんに聞こえますけれども、それほどではございませんけれども、犯罪件数は増しております。これは警察官が犯罪するのじゃありませんから。犯罪件数は増している、それだけは事実でございます。

門司亮日本社会党

○門司委員 そういう答弁をすると困りますね。警察官が犯罪をしないのはわかっている。もし警察官の犯罪がどのくらいあったかということが必要だというなら、私の方に資料がございますから出してもよろしい。警察官が詐欺をはたらいてどのくらい挙げられたか、傷害罪あるいは窃盗をはたらいてどのくらい挙げられたかという数字もありますから出してもけっこうです。まあそういうものはとにかくとしてだ、どうも私どもふに落ちないのは三年前に、警察官を減らす状況にあるのだ、それから警察法を改正すれば治安上こういうことになるから、警察法の改正を認めてもらいたいということで、そしてあの国会の乱闘事件のようなものまで起して警察法は成立しておる。従って政府には十分責任があるはずだ。もしこの際あの法案がするすると通っておるなら、これはわれわれにも責任があるといわれるかもしれないけれども、われわれはそういうことじゃないのだということで、警察法の改正に反対をしてきた。警察法の改正に反対をしてきたわれわれの立場から見ますると、いかにもだまされたことになる。その責任の所在を政府は明らかにしておいてもらいたい。何度も繰り返して申し上げますが、警察官を増員しなければならない最大の原因は、治安の確保を維持するには必要だと今大臣も言われましたが、犯罪がふえておるということは治安が不安であるということを私ははっきり言えると思う。それをさらに裏返してくると、今の警察の能力では間に合わないということになる。私はこれは非常に大きな社会的な問題だと思う。だんだん世の中が進んで行って、警察官を減らす状況になってきて、政府のあの当時の説明の通りなら治安対策も非常によくなった、だから警察官を減らしてもいいという考え方は、国民に非常に明るい希望を持たせる。しかし警察官をふやさなければならぬということは国民に暗い失望を与える。これは警察行政の上で非常に重大な問題である。ことに国の治安関係においては非常に大きな問題だと思う。国民にそういう暗い失望を与えるか明るい希望を与えるかということは非常に大きな問題だ。だから警察官の増員ということは軽々にきめられるべき筋合ではないと思う。これを去年減らさなかった、今年はふやすという根本の原因は犯罪がふえたとおっしゃるなら、犯罪がどういうふうにふえてきておるのか、そしてその犯罪のふえてきた原因はどこにあるのか、こういう点を何か資料を出していただいて明確にしてもらいたい。

石井榮三警察庁長官

○石井(榮)政府委員 北山委員のお尋ねのときにもちょっと申し上げたのでございますが、数字的に詳しくは申し上げませんでしたが、犯罪発生のここ数年の傾向を御参考までに申し上げますと、制度改正をいたしましたのは一昨年でございます。その当時、制度改正によって新しい定員をどうするかということを考えます場合に、その前年の二十八年度の実績というものを一つの目安にいたしたことは当然のことでございます。その二十八年度一年に犯罪が一体幾らあったかと申しますと、年間犯罪発生件数は、これは一般刑法犯でございますが、百三十四万という統計的の数字を示しておるのでございます。その前の二十七年、さらにその前の二十六年、そのときはどの程度であったかといいますと、これよりも若干数字が多かったと思います。漸次犯罪の発生件数が減って参った、こういう傾向をとっておったのでございます。さらにさかのぼって終戦後の状況を見ますと、終戦直後は御承知の通り非常に社会的に混乱をいたし、国民生活も非常に窮乏をいたしておりました関係で、最も犯罪発生の多かったのは二十三年で、年間犯罪発生件数が百六十万を越えております。その翌年の二十四年もこれに近い数字になっております。それから漸次下降カーブを描きつつ参りました。と申しますのは、国民生活が漸次安定をしつつ進んできた、こういうことを証明するものかと思いますが、二十五、六、七年と漸次減少して参りまして、先ほど申し上げましたように二十八年には、百三十四万というふうに非常に減ってきたわけであります。これは非常に喜ばしい傾向である。こういう状況になりましたので、今後おそらくこれが、少くとも横ばい程度で行くであろう、さらに減少して行くということであれば、なおけっこうなことでありますが、そうならないまでも、戦後数年を経過して国民生活も安定してきた際であるから、おそらく今後はこの辺の数字で横ばいで行くであろう、こういう前提のもとに立ちまして、二十九年の制度改正により警察官は将来この程度でやればよかろうということを計算の基礎にいたしたわけであります。ところが不幸にいたしまして新制度の発足いたしました二十九年度は、どの程度の犯罪発生であったかと申しますと、百三十六万という、わずかではありますがまた上昇カーブを描いてきたわけであります。さらにその翌年の三十年、つまり昨年一年間は百四十七万八千、約百四十八万近い数字を示した、こういうように遺憾ながら犯罪の発生が逐年増加をして参っておるという状況にあるのであります。こういう関係から警察官は従って非常に負担が重くなる。犯罪がこういうふうに多発しておるものを十分捜査、取締りをいたすということをやらなければならぬ場合に、逆に警察官の数を減らすということになって、非常に負担が重くなるということであっては、これは国民の警察に対する信頼感からいたしましてもゆゆしい問題である、こういう観点から先ほども申しました通り本年度の予算を編成する当時に、一応整理すべき予定のものを整理をしないという暫定措置をした、こういう状況になったのであります。

門司亮日本社会党

○門司委員 そういたしますと警察は、犯罪の件数がふえた原因は那辺にあるかということの御見解が表明できますか。

石井榮三警察庁長官

○石井(榮)政府委員 これはきわめて複雑な、いろいろな原因があろうかと思うのであります。私どももそれが那辺にあるかということにつきましてはいろいろ研究はいたしておりますが、自信を持ってこういう理由に基くものだということを、断定的に申し上げるだけの資料を持っておらないのは残念でございます。

門司亮日本社会党

○門司委員 大臣に一つ伺っておきます。警察庁の長官としてはこのことは、単に犯罪がふえるといっておりますが、きわめて日本の政治に関連を持っておりますのでなかなか言いにくいと思いますが、内閣におられます大臣としてははっきり言えると思います。犯罪がふえるということは、いずれにいたしましても社会情勢が不安であるということであって、これはどこにそういう原因があって、これをどう除去するかということは非常に大きな問題であります。われわれは単に警察官だけをふやして、取締りだけを厳重にしたからといって犯罪は減るものでないと考えます。犯罪を減らすにはほかに考えなければならないことがある。しかし今ここでそういうことを議論しようとは思っておりませんが、率直に大臣から、この犯罪がふえてきた傾向についての原因は那辺にあるかということについての御答弁が願えれば非常に仕合せだと思います。同時にあとの問題を検討するにしましても大きな参考になります。しかしこのことはいずれよかれ悪しかれ警察官が増員になって参りますと、警察官の定員法はないかもしれませんが、とにかく一応予算の上に現われて参りますので、われわれとしても注視しないわけに参りません。地方費はそれだけふえて参ります。地方の財政計画の上に出て参ります。だから大臣にそういうことを聞かないわけに参りません。従ってこの機会に聞かせていただければ非常に幸いだと思いますので、どうしてそういう処置をしなければならないかということの政治的な大臣の見方、姿をそのまま一つこの際発表していただきたいと思います。

大麻唯男自由民主党国家公安委員会委員長

○大麻国務大臣 これはすこぶる大きな問題でございまして、軽々に御返事できませんけれども、犯罪がふえるということはまことに悲しむべきことでございまして、これは政治の面からもあるいは教育の面からも、いろいろの方面から検討しまして、しかして国民を善導していって犯罪がないようにすることが大事だと思います。政治だけでもない。もちろん警察だけでもない。あらゆる方面から検討していかなければならぬと思っておるのでございます。犯罪の絶無を期するということは、縛るだけで犯罪を減らすわけにはいかぬので、警察はただそういう悪いことがあったらそれを取り締るだけのことでございます。それで日本の社会に犯罪をなくすということは、今申し上げたように狭い範囲で考えてはいかぬ、かように考えております。政治の方面からも経済上の施策の方面からいっても、教育の方面からいっても、いろいろな方面から国民をいい方に導いていって、犯罪の絶無を期さなければならぬ、かように考えている次第でございます。

門司亮日本社会党

○門司委員 そうするとこういうことになりますか。今の政治はそういういろいろな方面から導くことがまずかった、だから犯人がふえた、だから警察官をふやさなければならないのだ、そのために国民が大きな負担をしなければならないということになるのですがね。これは国民にとってはきわめて迷惑なことなんです。犯罪がふえてきて、税金をふやさなければならぬということになると、これほどばかばかしいことはないのです。  だからそれに対してさらにお聞きしておきたいと思うことは、今の大臣の御答弁だけでは、私どもは警察官をふやさなければならないという理由にはならぬと思う。もう少し率直に、政治の貧困であるなら政治の貧困だというようなことが私は表明さるべきだと思う。そういうことは大臣の口からなかなか言いにくいでしょうけれども、言いにくいといわれても現実に犯罪がふえてきて、警察官をふやさなければならぬということになると、理由は私はそれ以外にないと思う。その点を大臣、一つ率直に認めていただくことができますか。

大麻唯男自由民主党国家公安委員会委員長

○大麻国務大臣 どうも失敬ですけれども、門司さんはなかなか頭が明晰で弁舌がうまいからして、理屈で攻められるとそういうことになるかもしれませんが、そうばかりも行きませんよ。(笑声)それはみんなでもってやらなければならぬ。政府だけの責任ではない。ことに議会に席を持っているような有識の人は、一そう注意をしていただかなければならぬ、こういうふうに考えるのでございまして、人一人に罪を着せるべきものではないと思うのです。これは日本の指導者たちが、みんなでもってこぞってそういう社会を作り上げるように努力した方がいい、かように考える次第であります。

亀山孝一自由民主党

○亀山委員 最後に二つ希望を申し上げたいと思います。  一つは、昼夜を問わずししとしてその職務に励精しておられる警察官の待遇問題につきまして、来たるべき三十二年度の予算には、どうか大麻国務大臣の格別な御配慮をお願いしたい。  第二には、ヒロポンの中毒につきましては、警察庁を初め、各省及び各方面の御努力で非常にいい効果を上げましたことは、まことに喜ぶべきことであります。ところが最近これはだいぶ地下にもぐり、さらに他の麻薬に転向して憂うべき状態を現出しつつあると聞いております。かつて百万ありましたヒロポン患者が、数は減りましたけれども、少し深刻な中毒患者に変りつつありますので、どうかこれを手をゆるめずに、この憂うべきヒロポン中毒及びこれに関連する麻薬中毒につきまして、警察当局の格別な御配慮を希望申し上げまして、私は終ります。

大麻唯男自由民主党国家公安委員会委員長

○大麻国務大臣 今仰せの第二の点につきましてはよくわかりましてございます。今後一そう一生懸命にやるつもりでございます。  第一の点に対しましては、皆さんがそういうふうにお考え下されば、警察官もさぞ喜ぶだろうと思います。従って警察官の士気も非常にふるうだろうと思うのであります。それでお願いするのは、警察官も人間でございますから、これは打ち割った話ですが、悪いところをしかるのはよろしいのですけれども、いいときは少しぐらいほめてもらいたい、同情していただかなければちょっと困るのですから、どうぞ皆さんも一つそういうつもりでいていただきたいと思います。

大矢省三日本社会党

○大矢委員長 私からも最後に、この機会にお尋ねしておきたいと思います。警察官の増員といいますか、特に大都市における交通取締りに相当巡査を要する、それが一つの増員の原因になっておると思います。ところが今の特に困難な自動車の交通整理の問題は、運輸省の陸運局で許可したり、あるいはこれに対するいろいろな規定も設けたりしておる。ところが警察は取り締るだけだということで、これは政府部内でかつて警察庁とそれから運輸省関係、特に陸運局との間に何かそういう連絡がとれてやっているのかどうか。一方はどんどん許可してしまって、道路の狭隘なところにますますふえてきて、事件はふえていくわけです。警視庁の前を見ると、毎日三人や五人は死んでおる。これは大きな問題だと思う。そこで政府部内で連絡をとっているのか。今後何らかの対策があるのかどうか。この機会に私からもちょっとお尋ね申し上げたい。

大麻唯男自由民主党国家公安委員会委員長

○大麻国務大臣 ごもっともなお言葉でございます。昨年来政府部内におきまして、交通事故防止対策協議会というものができまして、そうして十分各関係官庁と連絡をとりまして、注意をいたしております。何しろどうも交通事故が非常にひんぱんである。実に東京都内などは、私ちょっと外へ出ておりましたけれども、委員会で御用があるというので来ようと思ったら、なかなか自動車が多くて参られない。そういう状態でやきやきすることがありますから、十分今後注意いたしたいと思います。  それから警察官の増員につきましては、そういうこともありましょうし、それから売春対策などがありますと、結局これにもやはり巡査が要るのですね、それから外事警察も、やはり交通がひんぱんになりますと、どうしても事件が起りますから、これを保護するとか、あるいは何かその他のことにつきましても要りますので、そういうことで要る原因があると思うのでございます。それだけ申し上げておきたいと思います。

北山愛郎日本社会党

○北山委員 亀山さんの御希望がありましたから、私も賛成なんで、特につけ加えておきたいと思います。警官の待遇問題ですが、さしむきの問題としては年末手当の問題があるのです。ですからこの警官の待遇を考える意味において、大臣は閣議等におきましては、一つ警察官の年末手当について反対をしないように、賛成をして大いに出すように、増額をするように御努力を願いたい。

大矢省三日本社会党

○大矢委員長 これをもって本日の会議を終ります。  なお次会は公報をもってお知らせいたします。     午後六時十七分散会

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