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25回国会衆議院1956/12/13

大蔵委員会 第11号

発言数
89
登壇者
10
会派数
2
開催日
1956/12/13

会議録

松原喜之次日本社会党

○松原委員長 これより会議を開きます。  まず閉会中審査申し出の件についてお諮りいたします。閉会中審査を申し出る案件につきましては、去る五日すでに決定いたしておりますが、本日の理事会の協議によりまして、一、昭和三十一年の年末の賞与等に対する所得税の臨時特例に関する法律案、一、厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案、一、船員保険特別会計法の一部を改正する法律案の三法律案につきましても、閉会中審査ができますよう議長に対し追加して申し出たいと存じます。が、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松原喜之次日本社会党

○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。     —————————————

松原喜之次日本社会党

○松原委員長 この際お諮りいたします。過日御決定を願いました閉会中審査申し出の案件が、正式に当委員会に付託となりました際には、付託案件の審査または調査のため、当委員会または各小委員会において参考人の出頭を求める必要がありましたときは、その手続等につきましては、すべて委員長に御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松原喜之次日本社会党

○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。     —————————————

松原喜之次日本社会党

○松原委員長 金融に関する件及び税制に関する件について、質疑を続行いたします。奧村又十郎君。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 私は、一萬田大蔵大臣に第一相互銀行事件についての御質問をいたしたいと思います。本日は、大臣の御健康上の事情もあってあまり長時間は許されないということでありますので、当委員会において、過去すでに三回この問題について主として銀行局長に御質問をして参ったのでありますが、それらの問題を一つ取りまとめて、時間の関係上、本日は一応問題点を出すという程度でかいつまんだお尋ねをして、なお詳しい御質問は後日に譲りたい、かように存ずる次第であります。  第一相互銀行の不祥な事件については、過去三回の当委員会の質問においてもほぼ明らかになったのでありますし、また新聞紙上にもたびたびいろいろな報道が出ているので、それを見たたけでも、日本の金融行政の上において、おそらくこれほど不祥な事件はかってなかったと私は思うのであります。それは、西村金融とか、保全経済会とか、日本殖産金庫とかの町のやみ金融がつぶれて、零細庶民に非常な迷惑をかけたということはありましたけれども、これは、政府の監督指導のもとにないのでありますから、政府とししは責任がなく、その方法もとれない。しかし今回のように、第一相互銀行が政府の厳重な検査、監督、指導のもとにあって、しかも事件の内容は、銀行の幹部が非常な不正、不当な経営をやっておった。そこで、結局約四十億の不正不当の貸付、従って銀行局長の答弁によっても、すでに十数億円の欠損金を出しており、残りの貸付も、果してどの程度回収できるかわからぬ。その貸付については、無担保あるいは非常な担保の不足、あるいは保証の不足、あるいは偽名、あるいは情実買付、あるいは右翼が介入し、あるいは政界筋が介入し、導入預金屋と称するいわゆる金融ブローカーが介入し、おそらく金融機関の乱脈の典型的な見本といっても差しつかえないと思うのであります。  そこで、まず第一にわれわれが疑いを持つのは、一体こういう乱脈なことを、政府、大蔵大臣はどんな検査、監督、指導をやっておられたのか、これであります。これは、おそらく国民全体が疑惑を持っておるところであろうと思うのであります。つきまして、私の質問の結論を先に申し上げておいた方がいいと思う。この政府の検査、監督、指導に非常な怠慢と誤まりがあった。従って、ここに大蔵大臣並びに直接の責任者である銀行局長及び銀行検査課長は責任をとられたい。責任をおこりになるかどうかということが私の質問の要旨でありますが、しかし、そこに参りますまでに約五点の御質問をいたしまして、最後にただいまの御質回をいたしたい、かように存ずるのでのります。  まず政府の検査、監督、指導に非常は怠慢と誤まりがあったと存ずるのでのりますが、第一相互銀行のそのようは乱脈ぶりは、銀行局の局長の答弁によりますと、今年二月の検査に、その乱脈な経営ぶりがわかったという答弁であります。しかし、そういう乱脈のことは、二月以前にすでに行われておる。その検査は、今年の二月以前には二年半検査されていない。それで、二川にわかっても、もう実は非常に手おくれである。そこで、銀行局が検査をなさって、なぜこの乱脈な経営ぶりが二月以前にわからなかったか、その点をお尋ねいたします。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 第一相互銀行の不始末の点につきましては、監督者としてまことに遺憾に存じておるわけであます。今お尋ねの監督行政のことでありますが、銀行の監督につきましては、大蔵省としてできるだけの注意をつておるわけであります。ただ、何にも数も多くある関係もありまして、思うように敏速に、かつ頻繁にでがたい状況にあります。これも、ある意味において実際上やむを得ない状にあります。しかし、大蔵省としては、できる限りの検査もいたし、監督いたしておるわけであります。  第一相互のことにつきましては——第一相互のみではありませんが、まあ相互銀行は、御承知のように無尽から銀行に変って参りました関係もありまして、数も多いのでありますが、そういう関係から、ふだんから特に指導的な行政をすることの必要を痛感しております。たまたま先般常磐相互のこともありまして、これではというので、それに関連して特に監督をさらに強くする必要も感じまして、第一相互の検査もいたしたのでありますが、その結果、だんだんと特殊なやり方で欠損も多いということがわかったようなわけであります。監督につきましては、大蔵省としてはできるだけのことをいたしておると御答弁申し上げたいと思います。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 私がただいまお尋ねしたのは、第一相互銀行の内容は、今年の二月の銀行検査のときには、もうすでに手おくれだった。そこで、なぜ二月までにその乱脈な経営ぶりがわからなかったかというお尋ねです。それに対する大臣の御答弁は、まるきり言いわけであって、その私の御質問に何らお答えがない。そういうことでは、これはおそらく第一相互だけでなしに、他の相互銀行や金融機関にも同じような検査監督をしておると、またぞろ他の金融機関も手おくれになって、あとから騒ぐような、そういう無力な検査をやっておるということになる。これに対して大臣の御答弁では、安心のいくようなお言葉は今一言も得られぬ。しかし、これは議論になりますから、今の御答弁は一応承わっておきます。  そこで、二月の銀行検査においても、不当な貸付、大口の貸付、あるいはその他法律、政令に違反しておるということが明らかになっておる。それがために、また資産、債権の内容も非常に悪化しておるということもわかった。そこで、なぜそれでは二月にわかったらすぐ適切な御指導をなさらなかったか。銀行法によって適切な命令も出せる、指導もできる、それをなぜなさらなかったか。なさったとするならば、どの程度のことをなさったか、現にいまだにそういう乱脈な経営をやった前役員の責任を追及しておらぬではないですか。経済的の責任追及ならば、これは損害賠償の請求をしなければならぬ。それもしていないじゃないか、その点お尋ねいたします。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 大蔵省といたしましては、検査後の結果については、適切な措置をとるように私も指示いたしましたし、銀行局もとっておると思います。ただ問題は、こういうものの検査の結果に対してどいう措置をとるかという点について、いろいろ意見があると思いますが、こういうふうにおもしろくない事態が生じた。それをすぐ責任をとらして追及していくのがいい善後処置であるか、あるいはまた、この銀行の多くの預金者、あるいはまた将来金融界に及ぼす影響等を考えて、どういうふうな措置をとる方がいいかという判断に、当然監督官庁としても立たざるを得ません。だから単に責任——責任はむろん追及すべきものは追及しなければならぬが、どういうふうに措置するかということは、これはいろいろと意見もありましょうが、考えの分れる点でもあろうと思います。大蔵省としては、大蔵省として最善のことを指示いたしたつもりでおります。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 すでに二月に発覚して、今日までに大蔵省はどういう処置をとったか。大臣のただいまの御答弁は、これは単に言いわけです。そこで、それじゃ重ねてお尋ねいたしますが、これは、もしこの乱脈な経営を一刻でもほおっておけば、預金者に非常な迷惑をかける。ひいては全国の金融の秩序にも影響を及ぼす。従って適切な処置をとらなければならぬ。そこで、少くともこれほどの事件をやった以上は、まず前役員の責任を追求しなければならぬ。それは一警視庁は今捜査しておりますよ。しかし、警視庁の立場というものは、これは全然別です。御承知の通り、すべて大蔵省が検査、監督、指導をしなければならぬ。警視庁の捜査にまかしておくのですか。それでなしに、前役員の責任を追及するとすれば、損害賠償の請求は少くともしなければならぬ。そうでなければ、前役員は財産を全部隠匿します。あるいはまた悪事をそのまま続けます。それに対して具体的に適切な処置は、どういう処置をとったのですか。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 一々の具体的な措置については、銀行局長から詳しく申し上げた方がいいかと思います。ただ今お尋ねの銀行経営者の責任、これについては、当時からすでにやめてもらわなくてはという方針で、先方にもそれを話して、大体その後においてそういうふうに実現をいたしたわけであります。  なおこの損害賠償という点がありますが、当時重役の私財を提供させるということにして、できるだけの損害の補てんをするという措置もとったのであります。  なお今二点が特に例示されましたからお答えしましたが、なおまた必要がありますれば、具体的にとった措置について、銀行局長から詳しく申し上げてよろしいと思います。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 銀行局長には、過去三回にわたって、委員会で十分御質疑をしております。これは先ほども申し上げるように、日本の金融界始まってかつてない大不祥事です。しかも大蔵大臣は、金融には特に専門家であられる。従って、これを大臣が直接適切に御指導なさるべきです。前幹部に対してどういう責任の追及があったか。私財の提供があったというけれども、私財の提供は、これは自発的に出すのであります。現に私は、前幹部は財産の隠匿をしているということを聞いております。私財の提供は何ぼあったか。前に銀行局長の答弁によりますと、わずかに金額にして二、三千万円。そんなものじゃない。またこれは、預金者からして、新たに前重役の経済的な責任を追及するということになれば、何というても法律上損害賠償の請求をしなければならぬ。なぜそれをやらさないか。また前役員がやめたというが、この形はどうなっておるかというと、第一相互銀行の株式の七割を相互銀行協会が買い取って、株主総合によって役員がかわったのである。前役員が責任をとってかわったという法律上の形式にはなっていない。前役員の責任を追及していないじゃないか。その点お尋ねいたします。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 私財の提供につきましては、できるだけの提供をさしたわけでありまして、なおお話のように、隠匿財産があるというようなことでも判明いたしますれば、むろんこれは提供してもらうわけであります。  なおこういう事柄の処理でありますが、むろん私は、経営者の責任を追及すべきことは追及していいと思いますが、しかし大事なことは、あとの銀行経営をどういうふうにしていくかということが一番の中心にもなります。従いまして、追及するにしても、時期的にどういうふうに考えるかということは、必要であろうと考える。すぐそのときに、その責任者を極端に追及して、どうも善後措置がとりがたいというふうに持っていくのも、適当でないことが私はあると思います。それらの点については、実際を十分把握して判断しなくちゃなりません。また意見の分れるところであろうと思いますが、私どもとしては、一番適当という見地から、追及すべき時と、その範囲を選択した次第であります。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 大臣は、私財を提供したのを、隠匿したものがあとから判明すれば出させるというが、前幹部の私財がどれだけあるかということは、一体どんな方法で調べますか。損害賠償という法律上の事柄を行って、初めて前幹部の財産を調べることができる。そういう処置を初めからつけずして、ただ自発的な私財提供だけじゃ、前幹部の法律上の責任追及にならぬでしょう。またあなたは、その処置の時期ということであるが、二月にすでにこの問題が明らかになった。八月にはいろろろな工作で、再建工作をやって、もう今日その時期は来ている。あなたはもう一週間ほどすると、場合によっては鳩山さんと一緒におやめになるかもしれぬ。そうすると、あなたの職務中にこの大事件の結末をつけずにおやめになるのですか。また前役員の一人の根橋常務というのは、四月にすでにやめておる。法律的な処置をつけるならば、あなたの言われるように、時期がおくれたら手おくれで、隠匿その他のことが起ってくる。あなたのお言葉を返して、僕はもう損害賠償の時期が手おくれなんだ。なぜ損害賠償をしようとしないのか。損害賠償をしないのかするのか。するにしても今後するのか。しないとすれば、なぜしないのか。預金者に三分の一払って、あとはたな上げにする。そういう迷惑をかけておいてそういう乱脈な経営をやったものの責任をなぜ追及しようとしないのか。そんなことで今後の日本の金融行政を指導していかれるか。その点をお尋ねいたします。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 私は、これは結局意見の相違ということにもなると思います。こういう事態を処理いたします場合に、法律の力をかりて、訴訟でいくという形でいくのがいいのか、公益的な見地から、その方がいいのか、あるいはまた私財提供というような形で事を穏やかにする——穏やかにするというと語弊がありますが、今後の銀行の経営と跡始末をよくやって、多くの他の預金者なんかに損害をなるべく与えないようにしていくのがいいか。むろん考え方によって、何でも訴訟にいけ、訴訟にいけといって追い詰めていく、そういう事実があったらやったらいいじゃないか。それを私は悪いとは申しません。そういうことが必要であり、そういうことがいいこともある。しかしそういうことばかりやって、大きく言えば、これは一つの社会生活でありますが、そういうことがほんとうにいい効果を表わすか。それが銀行業務というようなものに処して適切であるか、とくと御理解を得たいと思うわけであります。私決してやるべきことをやらずに、ティミッドでしておるわけではありません。今申しましたような方法でやるのが、結局多くの利害関係者のために、跡始末としていいという見地に立ったからであります。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 実は、私は時間の関係で、簡単に問題点だけを取り上げていくつもりでありましたが、ただいまの大蔵大臣の御答弁も、そういう大蔵大臣の考え方で日本の金融行政を指導なさるとすれば、まことにこれは心細い限りです。今の御答弁によると、温情をもって事を荒立てずにと言われますが、現実に四十億余りの不当不正の貸付をやって、犯罪をやっておるのですよ。法律命令を犯しておるのですよ。それがために預金者に迷惑をかけて、全国の金融秩序を乱しておるのですよ。それを温情をもってというのですか。あなたは、この法律を執行する責任を持っておるのですよ。それを、あなたのお心のままにしないということは、あなたが法律違反をすることです。現実に預金者に迷惑をかけておるじゃないか。勝手な不当な犯罪をやった。もしこれを警視庁が捜査しなかったらどうですか。それこそもう悪事をやったやつは、ぬくぬくとして逃げていってしまう。そんなことで日本の金融行政を指導、検査、監督するのですか。それじゃ銀行法、相互銀行法の取締り、監督の命令規定というものは、もう要らぬじゃないですか。そんな温情を言われるなら、税金を取りに行っても、税金を納めろ、納めない、滞納する、それも国民であるから温情をもって税金を取らぬ、そんなことで日本の国は立っていきますか。まあしかし、これは議論になりますから……。ただいまの答弁では、とても私は大蔵大臣の答弁としては承われぬと思います。またそれじゃ、日本の金融行政というものは、とてもやっていけるものじゃないと思います。議論にわたりますから、次に移ります。  手おくれながら、この第一相互銀行をいかに再建するかということについて、政府の考え方、態度、今後の計画については、私は非常な疑いを持つわけであります。御承知の通り、銀行は明治以来ずいぶん乱設されたけれども、そのうち半数以上の銀行は整理淘汰されて、今日になって、ようやく銀行というものは一応銀行らしい安心のできるものになった。しかし相互銀行は、御承知の通りわずか四、五年前に、もとの無尽屋さんが相互銀行という看板ををかけたので、あっさりいえば、全部の相互銀行の内容が、真に金融機関としてりっぱなものになっておるとは言えません。従って、銀行と相互銀行とを同じように指導、監督していくということは無理だ。そこで、今度のような乱脈な経営をやったものは、これはあるいはつぶれてもやむを得ないということにしなければ、こんなに乱脈なことをやって、そのしりは全部政府が受けるというようなことではいかぬと思う。ところが町のうわさを聞くと、どんなことをやっても、しりは大蔵省が引き受けるのだから、ということで、相互銀行という看板を利用して、悪質な導入屋が相互銀行を利用しておるということも聞くのです。そこで、今回のこの事件については、これは他に影響をなるべく及ぼさないようにして、ある場合にはつぶれてもやむを得ない。零細な大衆の預金は、政府が何とか補償する方法を別途に構ずればいい。かように実は私は考えておりましたが、政府の再建の方法は全く違っておる。その再建の方法についてお尋ねいたしたいと思うのであります。それは、現在まで政府の一貫してとってこられた金融機関に対する金融行政の方針と、全く今度の再建方法は違っておる。なぜならば、現在でも金融機関は、自己の自主的な運営、そのかわりに自己の責任負担、もし幹部が乱脈な経営をして欠損を生じた場合は、これはその銀行の責任であって、それはつぶれてもやむを得ない。つまり幹部にその経営の責任を厳重に負わせておる。それが今日までの銀行運営、また銀行行政の根本方針であったと思う。ところが今度のやり方は、第一相互かそういう犯罪を犯して、非常に乱脈な経営をやって幹部が穴をあけた。それを救済するのに、何ら関係のないほかの相互銀行から金を集めて、二十億救済融資をした。その考え方は一体どこから出てくるか。今後でもそういう不当な経営をやった、つぶれそうになった、関係のないほかの相互銀行が金を持ち寄って救済する。それじゃ自己の責任という基本的な方針と違うではありませんか。またほかの相互銀行の金を持っていくとすれば、ほかの相互銀行にも零細な預金大衆がある。その零細な大衆の預金を、今度は第一相互銀行へ持ってくる。そんなことでは、ほかの相互銀行の運営にも非常な影響を及ぼす。この考え方自身が非常な間違いである。このように思うのでありますが、今度の再建方法について、大臣の基本的な考え方を承わっておきたいと思います。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 ひとり銀行経営に限りませんが、特に銀行経営等におきまして、この経営が自主的であり、従って経営者が責任をとるというこの原則は、特に銀行という一つの企業体から見た場合において正しいことであり、それは私どもも、ともに主張しておることはその通りであります。ただ問題は、そういうふうにやった結果において、ある銀行が不始末になった。その場合に、それをそのままに自滅させてしまう。いわゆる破産なら破産というふうにしてしまうか、あるいはそれは適当でない、これは金融界全体、あるいは社会的な問題としてやはり考慮して、企業としてはそういうふうな自主的な経営、同時に責任をとるという原則にありながら、これは、一つ社会的な問題としてその取扱いを考えなくてはならぬ。従いまして従来でも、銀行の例をとってもいいのですが、銀行が不始末を生じました場合に、すべてこれに責任をとらせたことはありません。これは、経営の基本方針について、自主経営と責任をいうのでありますが、これを一つの社会的な問題として考える場合においては、従来でも、あるいは合併をさせるとか、あるいは特別な融資をするとか、あるいは可能であればなるべく業務を継続させて、そうして銀行の場合は多くの預金者がありますから、なるべくその預金者保護をしていく、こういうのが、私はむしろ従来の状態であったと言ってもいいのではなかろうか。その結果、むろんそういうことをやったにかかわらず、結局いけなかった事例はたくさんあります。私はそういうふうな見地でありまして、今回もそういう考え方に基いて処理をやったのであります。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 私は、大臣の考え方と全然違いますけれども、それではやむを得ずそうしたとするならば、少くとも前幹部の手落ちであり、また怠慢であり、非常な犯罪を犯したのでありますから、その前幹部が損害賠償をし、また第一相互銀行の資本金なり積立金なりをその欠損に埋めてなおかつ足らざる場合は、他の相互銀行からも援助してよろしい、それはやむを得ずです。しかし、前幹部が損害賠償すらしない。そんなことで、ほかの相互銀行に連帯だからといって金を出させるというのは、これはおそらく筋は立つまい。損害賠償はもうしないのですか、将来させるのですか、その点をお尋ねいたします。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 この整理をしたときにおきましては、訴訟によって損害賠償させるよりも、話し合いによりまして、損害を補てんさせる方が適当であるという見地からやったのであります。  なおちょっと感じといたしまして、何だかほかの業者にも、金を特に強制的に出させたというふうにあるいはおとりになっておるかとも考えられるのでありますが、決してそういうわけではないのでありまして、この処理につきまして、むろん責任のある銀行経営者、あるいはその関係者に対して、損害補てんのために大蔵省としてはあらゆる手を尽したと思います。しかしそれだけではなりません。業者におきましても、これが破綻した場合における他に及ぼす大きな影響を考えられて、むしろ進んで、これはぜひともこういうふうにしてほしいということで、ああいう整理になったわけであります。決して一方をないがしろにして、他に何か特に出捐を求めてやったということではありませんので、どうぞご了承を得たいと思います。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 大臣は非常に御健康を害しておられるのに、わざわざお越しになって恐縮ですが、しかしそのような答弁では、われわれ満足できません。そんな御答弁をなさるなら、ずいぶん時間がかかります。私のお尋ねするのは、将来損害賠償をさせるのかということです。あなたの御答弁によると、いやそんなことをしなくとも、自発的に出さして、円満に解決した方がいいと言いますが、そういう自発的に円満に解決のできる責任感のあるような幹部なら、今日までにこんな不当な乱脈な経営はしませんよ。そういう場合の法律というものはある。あなた、その法律を執行する責任者でしょう。こういう不当な経営をやれば、第一相互銀行の株主にしても預金者にしても、これは損害賠償を要求しなければならぬ。しかし、その経営の内容を一番よく知っておられる、また知っておらねばならぬ検査監督の責任者である大蔵大臣が、これをなさせるべきである。その損害賠償をさせるのかさせぬのか、はっきり……。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 提供さすべき財産がなお残っておるとすれば、むろん追加提供させる。もしもそれに応じない場合は、むろん損害賠償を提起いたしたいと考えます。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 提供するような財産があるかないかということを、あなたはどうして調べますか。損害賠償を訴えて初めてその処置が法律的にできるのでしょう。その財産は、損害賠償を訴えずしてどうして調べますか。

福田久男大蔵事務官(銀行局検査部長)

○福田説明員 まず損害賠償と私財提供との関係について、ちょっと申し上げたいと思います。これは、奥村先生十分御承知のことだと思いますけれども、損害賠償は、損害額がどのくらいであるかということをまず確定するのであって、そのあとの執行は、財産がなければ執行できないわけでございます。私どもいろいろな本人の申し立て、あるいは不動産の登録、その他の面を調査いたしまして、わかる限りのものにつきましては、私財の提供をしてもらったわけであります。従って、そのほかに隠匿したものがあるかどうかということは、私どもの手ではわからないわけでございまして、民事訴訟をいたしましても、これがあるかどうかばわからないと思います。従いまして、損害賠償という訴訟手続をとっていろいろ手間をかけてやるよりも、円滑に私財の提供が行われますれば、損害賠償をやったと同じ効果が円滑におさめられることになるわけで、そういう意味で私財の提供を勧奨もし、提供していただいたわけです。従って、今後刑事事件その他の調査の進行等とも関連いたしまして、他に隠匿した財産が、たとえば他人名義とか、あるいはその他の隠匿した財産があることが明らかになりますれば、追加して私財の提供——つまり訴訟手続を経ないで事実上効果をおさめる方が、私どもとしては得策ではないかと思うのですが、それは奥村先生との見解の相違があるかもしれませんが、そういうふうに追加して私財の提供を求めたい、もしそれが得られない場合には、最後のやむを得ない手段として、損害賠償という問題も起ってくるのじゃなかろうかというふうに思うわけであります。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 損害賠償を提起しなければ、重役の私財が幾らあるか、隠匿したのがあるかないか、重役の私財を調べる方法がないでしょう。あなた、どうして重役の私財を調べるのですか、その調べる方法をお尋ねいたします。

福田久男大蔵事務官(銀行局検査部長)

○福田説明員 損害賠償を提起いたしましても、隠匿した財産については、明らかにならないのじゃないかというふうに思われます。本人名義とかなんとかなっておりますれば、それはわかるわけでございまして、そういう面で、不動産等についてわかる面につきましては、先ほど申し上げたように、私財の提供をしてもらったわけであります。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 大臣、ちょっとお尋ねしますが、あなたの部下の方がそういう無責任な答弁をしておるのです。大臣にお尋ねしますが、損害賠償を提起して、初めて法律的に前幹部の私財を調べることができる。今調べる権限がないのでしょう。調べる権限がなければ、隠匿をしておるか、隠匿してないかわからぬ。たとい損害賠償を提起しても、隠匿していれば仕方がないというけれども、損害賠償を提起しておけば、もし相手の幹部が隠匿すれば、隠匿したという一つの犯罪になる。それは、法律的な処置としては、あくまでも損害賠償を提起して、手順を追うていかなければ——損害賠償を提起すれば、その日から財産の隠匿ができぬはずです。そこで、そういう不謹慎なごまかし答弁をなさるから、われわれ何日もかかって質問しなければならぬ。現にある重役は、箱根に何万坪の土地を持って隠しておるということさえ、巷間に伝えられておる。いずれこれは時間を得て私は調べます。  きょうは時間の関係上、問題を提起する意味においてお尋ねしますが、ともかくそれじゃ言い抜けとか、言いわけは要りませんで、今後損害賠償をしないのですか、するのですか、それをはっきり……。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 ただいま、この責任者は、刑事事件になっておるのであります。私は一何も損害賠償請求をいとうものでもありません。とくと考えて、そうした方がいいということになれば、損害賠償を請求してもいいと考えます。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 大蔵大臣は、全国の金融機関の預金者にかわって、金融機関を検査、監督、指導する重大な責任を持っておる。もし法律違反があれば、これを告発して処分する、これもまた権限であり、責任です。あなたは、損害賠償をするかしないかということを決定して処置すべき権限があるのでしょう。二月に発覚して、今までほうってある。そこで、いまだにその方針をきめておらぬのか、あるいは損害賠償はもうしないのか、それを、はっきり大臣の責任上のことをお尋ねします。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 大蔵大臣としましては、他の多くの預金者を保護したいためにこそ、実は苦労しておるのでありまして、単に事柄自体をとんとんと片づけるということで事が足りるなら、実は苦労をしないのです。ただ今まで、先ほどから御答弁申し上げたように、今のところそういう訴訟手続によらずして、なるべく早く、できるだけ最大限度の経済効果を持ち来たして、そうして預金者に安心を与える方がいいという見地で処理をして参ったわけであります。しかし、すでに刑事事件にもなっておるのでありますから、私は、預金者の保護のためにそれが一そうよいということを、もう一応検討を加えまして、訴訟を提起すべきものはやってもいい、かように考えております。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 実は、私は問題を提起していこうと思うのだが、今の答弁ではとても……。  それじゃ、あと二点だから問題を提起するだけにするが、各相互銀行が二十億の金を救済融資に出しておるが、これは相互銀行法の違反である。つまり相互銀行の資本金、準備金の一割以上をこえた大口貸付は違反である。銀行局長は、確かにこれは法律違反でありますということを言うておられる。そんな法律違反なことをあなたはさせるのですか——させたのですが、なぜそういう法律違反をあえてさせたのです。その点をお尋ねします。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 銀行局長からその点について御答弁はあったと思いますが、銀行局長から違反だと言われたのは、その通りと思います。しかし、私はあえてそれをやらせたわけではむろんないのでありまして、検査の結果、そういうものが明らかになりまして、すでにこれに戒告を与えております。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 大蔵大臣は、このことが頭に入っておるのか入っておらぬのか、今の答弁は何を答弁しておられるのか。一萬田大蔵大臣は、おやめになる直前にこんなことを言うて恐縮だが、税金の問題はしろうとだからわかりませんでよかったが、少くとも金融の問題くらいは、もう少し自信のある御答弁がほしいと思います。まあ健康がすぐれないそうだから、私情としては忍びませんが、私は国会議員の立場として、あくまでも追及します。今銀行局長からお聞きの通り、二十億の救済融資は、各相互銀行から出したのもある。その中には、日本相互は三億、東京相互、平和相互は一億ずつ出しておる。これは大口貸付の法律違反である。これは銀行局長ははっきり答弁しておる。そういう法律違反をあなたは承知でやらせたのか、承知しなかったのか、その点をお尋ねします。こんな重大なことを大蔵大臣が知らぬはずはない。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 お答えします。その点につきましては、銀行局長から話があったと思います。さらにそれについての御追及でありますが、これは貸し出しというような形をとるとか、いろいろやり方についてのまずさもあったかもしれませんが、ただ一に今度の処置をとるために、ああいうふうな銀行法規に触れるという結果が出た。それを大蔵省としてはやむを得ない、こういうふうな態度をとったということになると思います。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 大蔵大臣にお尋ねしますが、相互銀行は、御承知の通り中小企業の金融機関です。従ってなるべく一千万円以下の小品貸付に重点を置いてもらいたい、これが法律の精神です。従って、大口の貸付は法律で禁じてある。しかもまた、大口の片寄った貸付をすれば、情実の貸付になる。つまり今度の第一相互のように、事実上は一口十数億円を同一人に貸しておる。そういうふうなことがあってはならぬとして、法律で大口貸付は禁じてある。その禁じてある法律の規定があるのに、今度また日本相互銀行から三億円を救済融資に出せば、これはやはり法律違反だ。私のお尋ねするのは、法律違反を承知してやらせたのですか。言いわけはよろしい、事実だけを述べていただきたい。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 お答えします。この法律違反を承知の上というわけではありません。これは、事務当局で十分検討を加えての結果と思います。決して初めから法律違反をしてもいいというわけではないのであります。しかしこれは普通の……。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 私は、あなたの答弁によっては晩までもやりますよ。国会においてそんな答弁がありますか。私の聞くのは、その融資は法律違反であるかどうか、それをあなたは知ってやらせたのかどうか、その事実だけを答えればいい、言いわけはいらぬ。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 初めから法律違反を知ってやったというわけではありません。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 法律違反を知らずにやったと言われるが、それではお尋ねしますが、今度の融資は法律違反かどうか、銀行局長と今御相談の上、御答弁をお願いいたします。

東條猛猪大蔵事務官(銀行局長)

○東條説明員 先般もお答えいたしましたように、形式的には相互銀行法の第十条に違反いたしますが、同じく第十三条に、他の金融機関に対する貸付金につきましては、特別の規定もありまするし、また今回の各相互銀行からの融資は、第一相互銀行の再建という特別の目的のためになされたものでありますので、私どもといたしましては、形式的には第十条に違反をいたしまするが、融資の精神において、これは認めて差しつかえがない、こう考えたわけであります。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 政府が堂々と法律違反でもやむを得ないと言う。大蔵大臣は、ただいまの東條局長の答弁をそのままそれでいいとお考えになっておられるのですか。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 法律違反の問題ですが、普通の貸し出しで中小企業を対象とする銀行が、大口を貸し出しすることは、法律で禁止しておりますが、今回の措置は、中小企業を対象とする金融機関に対する全体の影響を考えて、言いかえれば、中小企業金融というもの一そう潤沢ならしめるという意味におきまして、こういう措置をとる必要がある、こういうふうに考えてやったのでありまして、今銀行局長から話がありましたように、これは普通の貸し出しとは性質も異なる——貸し出しという形をとりましたから、形の上で違反になるということになると思いますが、全体として見た場合にはやむを得ない、こういうふうに考えているわけであります。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 私は、あくまでも法律上、これは違反であるかどうかということを大蔵大臣にお尋ねしているのです。法律上違反かどうか、それを簡単におっしゃればいい。政府が違反をやらせておいて、銀行の検査監督が今後できますか。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 ただいま御答弁申し上げましたように、形の上で法律違反になると思いますが、全体の今言った精神的、あるいは実質的な意味において、これが今後の他の監督行政の上に特に大きな支障が生ずるとも、実は考えておりません。まあやむを得ない措置、こういうふうに考えておるわけであります。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 しかし、この二十億の救済融資については、全国の相互銀行の中には、相当反対したものもあるということを私は聞いております。そうすると、たとえば日本相互なり東京相互が法律に違反して救済融資を出したということは、これは日本相互にとってみれば、日本相互の重役の大きな背任行為である。今度は日本相互の株主総会で、重役が背任行為で訴訟されるということになります。従って私は、この法律規定の解釈を明確にしておいてもらいたいといういうことでお尋ねするのであります。  ただいまお尋ねしたように、この第一相互については、検査監督にも非常な手落ちがあったし、またこれの再建方法にもいろいろ疑義がある。そこで、これは済んだことはやむを得ぬが、政府にも責任があった。それで、責任者はここでやめて責任を明らかにして、さあ今後こういうことのないように、金融行政をうんと強化しようという方向に出てしかるべきだ。従って、政府はどういう責任をおとりになるか。結論からいうと、今度の再建方法など、あるいは重役に対する損害賠償などのとるべき措置をとらなかったということは、これをとるときには、必ず大蔵大臣なり銀行局長なり政府の責任もともにとらなければならぬ。その政府の責任をとるのがいやさに、こういうあいまいなことをやった、私はこのように思う。従って、政府は政府の責任をいかにおとりになろうとするか、それを最後にお尋ねしておきます。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 政府は、責任を回避するためにこういう措置をとったのでは絶対にありません。これは先ほどから申しましたように、実は、こういう整理方法が銀行将来のために、預金者全体のために、あるいは金融界の安定のために必要なりという断定のもとにおいてこの処理をしたのであります。ただ監督者として、こういう事態を生ずるに至らしめた点については、私は心から遺憾の意を表します。そうして将来再びこういうことが出ないように、政府としては最善な措置、言いかえれば、銀行等の監督行政についても、こういうことを生じたにかんがみまして検討を加えて、最善を尽すようにいたしたいと思います。なお現在直接監督の立場にある大蔵省の責任についてのお尋ねがありましたが、むろん考え方、あるいは処理について批判もあるかもしれません。しかし、銀行局長以下みな最善を尽してやっておるのでありまして、責任をとらせる意思は私は持っておりません。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 それでは、これだけにしておきます。実は国会議員としてここまでは言いたくなかったが、今度の問題を調べてみても、元の大蔵省の役人が第一相互銀行の前幹部に相当なっておるし、また再建途上の現在の新役員にも、元の大蔵省の役人が入っておるし、全国の各相互銀行にも、大蔵省の役人の方々がずいぶん入っておる。うわさによると、全国の相互銀行は、大蔵省の役人の失業救済機関であるとさえいわれておる。これは、政府の役人としても、おやめになればやはり生活問題もあるからやむ得ぬが、しかし、それについてくる非常な弊害がある。現にいろいろな弊害があるが、そういうことまでは慎しんで私は申し上げておりません。しかしこの乱脈な銀行検査、指導監督に、ただ一生懸命にやったが足らなかったといって、具体的に現実に責任をおとりになろうとしておらぬ。それでは、今後の金融行政が立ち直るとは私は思いません。従って、あくまでも当の責任者である銀行局長、銀行検査部長、これは当然責任をおとりになるべきです。私もまた国会議員として、言ひっぱなしにはいたしません。あくまでも責任をおとりになるように論議を尽すつもりであります。もし私の所論が誤まっておるならば、私は議員をやめるくらいな覚悟で、最後まで政府の責任を明らかにしていただく決心であります。  今日は時間の都合上、一応問題を提起して、後日に譲ることにいたします。

松原喜之次日本社会党

○松原委員長 次に、春日一幸君。

春日一幸日本社会党

○春日委員 大臣もお急ぎの様子でありますから、時期的に今会期の本委員会において明らかにしておかなければならない問題一点だけに集約をいたしまして、大臣の御意見を伺っておきたいと存じます。  十一月の三十日に衆議院の本会議におきまして、中小企業金融年末対策に関する件について決議をいたしております。これは自由民主党、社会党の共同提案でありまして、かつ満場一致によって議決をされた決議であります。この問題につきましては、先般来本委員会におきまして銀行局長を相手にいろいろと質疑をいたしましたが、なかんずく特に明確でない点、また大臣の御意見を承わるのでなければ問題の処理ができない問題についてお伺いをいたしたいと存ずるのであります。  それは、その決議の第二項目に、政府資金の大幅預託をはかれということを政府に要請をいたしておるのであります。先般来銀行局長の御答弁によりますと、いろいろ省議を開いて検討したが、政府資金の預託は今回は行わないんだ、こういう御答弁であります。申し上げるまでもなく、国会の議決は国権最高の意思表示でありまして、政府に対してそういう執行をとにかくここに明示をいたしておるのでありますから、事のいかんを問わず、その職にあります限りは、議決に基いての執行がなされなければならぬと存ずるのであります。しかるところ、この議決があったにもかかわらず、なおかつこの政府資金の預託を行わないのはいかなる理由であるか、まずこの点についてお伺いをいたしたいと存じます。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 御決議のことでもありますし、むろん尊重いたしまして、必要ありといたしますれば実施いたすのであります。いろいろありますが、今年末の中小企業に関する金融も、例年に比べてみるとよほどよくなっております。これは御承知のことと思います。いろいろなところの資金需要といいますか、各方面から毎年いろいろと話があるのでありますが、そういうような話を日本銀行あたりに聞いてみると、今年はよほど緩和されておる。それにもかかわらず、たとえば政府金融機関の貸し出し融資ワクを広げて、中小企業金融を一そう量もふやし潤沢にするという措置はとりますが、政府資金の預金というものは、実は金融政策から見ると必ずしも適当でないのでありまして、できれば、特別な事情がない限りは、従来とてもこの政府資金の預託は避けたいという方針であります。今日特に政府資金を大幅に預託せねばならぬという状況もないようでありますので、私としては、この政府資金の大幅預託は実施せぬでよかろう。こういうふうに考えておる次第であります。

春日一幸日本社会党

○春日委員 これは、決議案の中の第二項目の中に明示されておる事柄であります。さらにまた、その賛成討論の中の第二段のところでその討論者は、その理由をあげまして、「少くとも三百億程度の預託を行うよう、特に要望する」こういう事柄を特に具体的に明示をいたしまして、かつそういう趣旨説明、賛成の討論を通じてのあなたの答弁は、これについて善処をするということがここに述べられておるわけであります。あなたは、今金融政策の角度から云々と言われておりますが、金融政策、その執行というものは、これは国会が決定するものであって、そのらち外にはありません。なお、金融が緩和されておると言われておりますけれども、国会議員四百六十七名はまた別の角度から、中小企業の金融のあり方について検討を加えまして、その決議の冒頭に述べておりまする通り、経済が全般的に好調を示しつつあるが、なおかつ中小企業は依然として困難な状況の中にある。わけて中小企業の年末金融を緩和することは、喫緊の要務である、こういう工合に述べておるのです。そうして、だからこういうことをせよといっておるのですから、する必要があると思うのです。私は国会が議決した事柄は、政府がこれを執行するのでなければ、これはむちゃくちゃだと思う。国会がそういう議決をされても、別の検討を加えてみて、その結果そういう結果にならないということでありましては、国会論議は一体何を対象にして行なっておるのか、小田原評定や町内会の懇談会とちっとも変らぬようなことになる、そんなむちゃくちゃなことは困ると思う。  私は、この問題は二つあると思うのです。一つは国会が、衆議院が特にこういうことを必要であると認めて議決したことを——執行する、執行しないという問題のほかに、院議の尊重、すなわち院の議決の権威というものについての重大な問題だと思う。本日も文教委員会においてある事柄が議決されようとしておるのだが、本会議で議決する以上は、政府がこれを行わなければならぬ。かつ予算措置をも伴うてくるかもしらぬというので、てにをはまでただして今検討が行われておる。本問題については特に大臣に申し上げたいが、当時かくかくのことをなすべきであるという希望が両党から持ち出された。それは十項目にも上る膨大なものであります。これはなし得る、これはなし得ない、これは法律に違反する、これは法の必要を越えたこと、だんだんと整理、集約されて、この四項目だけは必要にして欠くことのできない措置として、満場一致で議決をしておる。特にこの討論者がその論旨の第二段の中において、国庫余裕金の預託の事柄をアクセントを強くしてここに高調して、満場一致で議決して、善処を、要望している。これに対してあなたの独断は許されない。あなたの自由配慮、行政措置というものは、やはり国会の意思のそとにあってはならぬ、またそれに反することであってはならぬ。これは当然執行されなければならぬと思うのだが、どういうわけで院議を無視されるのでありますか。この点をもう少しわかるように、また国会の権威、国政の権威、秩序を保つために、私は責任ある御答弁を願いたいと思います。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 いえ、決して国会を無視するというようなことはありません。ですから尊重しなきゃならぬ、申し上げた通りであります。ただ、この政府資金の預託については、御承知のように、従来から会計検査院も非常にこれについては疑いを持たれておりまして、常にその適当でないことを指摘してきておる。これはやはり法律の問題でもあるようであります。そういうこともありますので、そういう措置は、実際必要である最小限度にとどめなくてはなりますまい。かように考えておるわけでありまして、この年末には、ここまでいかなくては中小企業の金融についてがまんがいかないだろう。こういう転機に私はおりますから、どうしても必要があるという場合におきましては別個また考えることも、私は何も拒否するわけではないのであります。

春日一幸日本社会党

○春日委員 これがどうして必要であるかということは、あなたは金融のスペシャリストでありますから、私が賛言を費す心要はありませんけれども、この第二項目は、資金運用部資金の貸付の増強と、そして政府資金の大幅の預託の二つの事柄をここに明示しているのです。資金運用部資金の貸付ができるのは、国民金融公庫と中小企業金融公庫だけでありましょうが、その措置によってその資金増強がはかり得る。ところが他の金融機関は、資金運用部資金の貸付を受けることが法制上できない。従って、その資金量を増強することのためには、政府資金の預託を行うということなくしてはこの年末にタイミングな措置がとれない。こういう検討の上、両党はこういうような条件を明示して政府にその執行を迫ったわけですよ。従いまして、前段のことはやって、後段のことはやらぬというわけにはいかない。そして今あなたは、法律上の疑義があると言われておりますけれども、この問題は、もとより本委員会において十分検討いたしました。かたわらにすわっておられる河野さんが、かつて銀行局長であられた当時、こういう問題が新聞で大きく論じられました。会計検査院は法律上疑義があるという警告を発したから、政府はこれを引き揚げるのだ、こういう報道が行われました。中小企業問題を重視する本委員会は、そのとき直ちに会計検査院の責任者に本委員会へ来ていただいて、法律上の疑義をただすことのための論議を行いました。その結果、当時池田さんでしたか、会計検査院の責任者は、法律上疑義があるといったようなことは言うた覚えはありません、予算決算会計令、会計法その他から考えても、形式上疑義はない。ただ望むらくは、こういうような措置をされる場合には、予算総則の中にそのマキシマムをある程度表示されることが望ましいという意見は言うたけれども、こういうことが違法であるとか、あるいは適当でないとか言うた覚えはないとはっきり言いました。だからこそ、現に昭和二十九年十二月二十一日の本委員会議の議決によって、その問題を明らかにしておる。そういう政治的な、かつ法律上の問題を委員会の議決によって明らかに解明をいたしておる。すなわちここにその当時議決された決議の記録があります。「指定預金制度については、政府部内にはこれを廃止する意向が強いようであるが、本制度は法理上何ら違法とは断じがたいのであるから、中小企業金融の現状にかんがみ、今後とも指定預金の引揚延期のみならず必要に応じ新規に預託する等適切な措置をとられることを政府に要望する。」こういうように本委員会で議決しているのです。これは、中小企業金融のために障害になる論議であるから一つ明解にしておこうというので、ここで問題がクリアにされている。なおかつ、それにもかかわらず、法律上疑義があると河野さんも東條さんもあんたまでがそんなことを言っているのは、むちゃくちゃじゃありませんか。委員会の権威、本会議の権威というものは何ら認められないのですか。あなた方がこう思ったら、だれが何と言ってもあなた方の考えは変らないのですか。法律も議決も国会も何もあなた方は認めない。大蔵省の五、六人の最高幹部がこう思ったら、スクラムを組んで国会に対しても抵抗する、委員会の議決なんかも全然認めない。これはアナーキストじゃないか、めちゃくちゃですよ。一体われわれは何を対象としてその職責を尽すのか、まるでこれじゃ絶望せざるを得ない。この点について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 いや、決して国会の御決議を尊重しないとか、無視しているということは絶対にないのであります。ただこういう金融の問題は、経済的な事柄である、このことは刻々とやはり変化をいたしておる。決議がされたときと年末の状況は、必ずしも一致するとは限らない。従って客観的な情勢のやはり必要なる範囲、これほど必要というところに行政措置をとどめざるを得まいと思います。ですから、よけいなことをし過ぎてはやはり経済はいかないのであります。政府資金の預託については、従来もそういうふうな疑義もあり、また事柄自体も必ずしも好ましくない、金融政策から見ても、やはり変則なことでもあるから、その必要があれば別ですが、率直に申しますと、今のところそれほどの必要もなかろう。むろん決議でもありますし、春日さんの御意見でもありますから、私は十分御意見を承わって年末に対処する、かように考えております。

春日一幸日本社会党

○春日委員 これは一歩前進の気配がある。この際特に申し上げておきたいことは、これはコンビネーションになっている。第二項目は、すなわち資金運用部資金の直接貸付ができる金融機関と、それのできない金融機関とがある。資金運用部資金の貸付が直接できる金融機関については、これはあなたと石橋さんとの協力によりまして、すでにその実施がなされている。繰り上げ預託やいろいろなことがなされていると思う。従ってこの事柄は、資金運用部資金の貸付の行い得ざる中小企業金融機関に対しては、当然措置を講じなければならぬ。政府関係の金融機関に対して資金増高の必要がありと認めたならば、そしてまたその措置をやったならば、資金運用部資金の貸付の不可能な中小企業金融機関に対して、その議決に基いた措置をされるということは当然の措置である。なお私ども国会議員といえども、むちゃくちゃな決定をしているわけではない。これは両党の政策マンが党内の意見を持ち寄って、そしてあまねく実情を調査して、たとえば東京手形交換所、大阪手形交換所、あらゆるところの不渡の手形の実情、中小企業金融の窓口の資金の需要と供給の実情、こういうものを調べて、この決議の冒頭にちゃんと書いてあるように、これは金融を緩和することが喫緊の要務であると規定している。あなたたちだけが金融問題を調査して、国会議員はそういうような問題を別にして——自民党の総裁選挙に没頭している連中は別といたしまして、われわれはとにもかくもに真剣にこの問題と取り組んできた。なおかつそれらの諸君たちまでも含めて、満場一致の議決なんですから、大臣が、一応そういう決定にはなっているけれども、院議であるから院議は尊重しなけばならぬ、さらにまた再検討の結果その心要があるとするならば、年末までにはなお時間のスペースもあることだから、必要なる措置を講ずる、こういうことでありますから、これは大臣に対してこの列挙し、明示した事柄の実施を強く要望しておきます。これに対してあらためてその善処の確約を願いたいと思いますが、大臣いかがでありますか。あらためて御方針を伺っておきたいと存ずるの、であります。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 金融のことでは非常に詳しい、かつまた穏健な春日さんの御意見でありますので、十分承わっておきます。

春日一幸日本社会党

○春日委員 非常に満足をいたしました。この問題は中小企業金融そのものの問題と、一つは院の議決の権威の二つの問題にかかる重大な問題であります。あなたの寿命も命旦夕に迫っておりますけれども、どうかあなたの御在任の間に、一つは国会の権威のため、一つは中小企業の年末金融を潤すための最後の善政をされんことを私は強く要望いたします。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 議事進行。本日が国会の最終日であります。第一相互銀行の問題は、この臨時国会開会以来取り上げてきたが、残念ながら大蔵大臣の御出席がなかなか得られなかったので、最終日に至ってもなお質疑が終結しておりません。そこでお見受けするところ、大蔵大臣は御健康上御無理とのお話ですが、もうしばらくごしんぼう願って、きょうじゅうに終結いたしたいと思いますから、一服して昼食を済まして、午後再開せられたい。それについては大蔵大臣がぜひお出ましを願いたいが、それほど御病気なのかどうか、そこの点、大蔵大臣の御都合を一つ委員長から伺っていただきたいと思います。

松原喜之次日本社会党

○松原委員長 奥村委員に申し上げますが、休会中も継続審査をすることができることになっておりますし、参考人その他も委員長の手元で呼び得る手続も先ほどとったわけでありますから、一つ継続審議ということにしていただきまして、今日は、大蔵大臣は午後さらに都合もあるということでありますし、一つ次の機会に願いたいと思います。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 どうも言葉を返して恐縮ですが、午前中は、大蔵大臣は御病気だということでわれわれも了承したのですが、午後はそうでもないような——それならば、国会最終日ですから、理事会の申し合せは無効であります。ほかならぬ委員長のお言葉を返して恐縮ですが、これは当然午後のお出ましを願いたい。これは一カ月間審議してきて、今日これを終結せぬままに終ることは残念ですから、一つ大蔵大臣にお話しを願いたいと思います。

松原喜之次日本社会党

○松原委員長 大蔵大臣は三十分の約束でわざわざ来ていただいたのでありまして、午後お休みになるそうでありますから、一つこれはそうしておいて下さい。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 それでは念を押しておきますが、御承知の通り、大蔵大臣は鳩山総理の引退とともに、あるいはおやめになるかもしれぬ。ところがわが委員会では、この第一相互銀行の問題は、私どもの重要な所管事項として臨時国会中審議して、この国会中に終結を見たいと思うが得られない。私だけでなしに、ほかの委員諸君も非常に疑義を持っておられる。私は、東條銀行局長及び福田検査部長の責任はあくまでも明確にしていただかなければならぬ。しかし、これは一萬田大蔵大臣の責任であると思う。一萬田大蔵大臣が近いうちおやめになるまでに、これはなさるべきことであります。あくまでもそれまでの処置であります。うわさに聞きますと、一萬田大蔵大臣はおやめしなの置きみやげに、評判の悪い輸出入銀行総裁の人事までもやられたのでありますから、それも一つ置きみやげに、責任を明らかにしておいていただかなければならぬ。私はかように思いますから、どうぞおくれないように、閉会中の審査を続けていただきますように委員長に要望し、なおまた昨日委員会で問題になりました、第一相互銀行の社長の島崎初め関係者を参考人として呼ばれるように、委員長としてお取り計らいのことを重ねて要望いたしまして、私の発言を終ります。

松原喜之次日本社会党

○松原委員長 承知いたしました。  それでは大臣からもう一度発言を求められておりますから、許します。一萬田大蔵大臣。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○一萬田国務大臣 また委員会があるかもしれません。今のお言葉ではそういうようになると思いますが、一応きょでこの国会も終るようであります。この大蔵委員会も一応きょうでしまいということでありますれば、この機会に一つ……。  この国会中はむろんのことであります、非常にお世話になりました。おかげで大蔵省の関係の法案その他非常に順調に参りましたことを、特にお礼を申しますが、なおまた、今お話がありましたように、あるいは——あるいはでないかもしれません、内閣もおそらくかわるでしょう。私が初めにこの国会に参りまして以来、特に大蔵大臣といたしまして、大蔵委員会では一方ならぬお世話になりました。この機会に、一言ではありますが、心からお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

松原喜之次日本社会党

○松原委員長 次に税制に関する質疑があります。春日君。

春日一幸日本社会党

○春日委員 国税庁長官にお伺いをいたします。本院は中小企業の年末金融につきまして必要なる議決を行い、さらに政府は、その措置を行わんといたしておりますが、年末年始に当りまして、もしも徴税行政が過酷にわたりますようなことがありましては、これらの効果を抹殺するのきらいなしとしないわけであります。従いまして、この年末年始の滞納整理の問題については、格別の配慮が——法律に規定はありましょうけれども、これは納税者の実情を十分参酌いたしまして、特に彼らを殺すようなことのない配慮が必要であろうと考えますが、長官はこれに対してどのような措置を講じられんといたしておるか、この機会に御答弁を願いたいと思います。

渡邊喜久造国税庁長官

○渡邊説明員 御指摘の点は、われわれも全く同感でございまして、幸いにしまして、税の収入の状況なども非常に順調に入ってきております。従いまして、年末年始におきまして、われわれは徴税攻勢という言葉を使うのはどうかと思っておりますが、お話のいわゆる苛酷なる徴税行政というようなことにつきましては、われわれの方は全然考えておりません。その点は、国税局、税務署にその趣旨を十分徹底させまして、苛酷な措置にわたらぬようにということにつきましては、十分な配意をいたしたいと思っております。

春日一幸日本社会党

○春日委員 社会的な修練を積んで、さらにまたいろいろと中小企業の実情を配慮するような、そういう人々が徴税行政の現場でその衝に当っておってくれれば、長官の御答弁のような結果があるいは得られるかもしれませんけれども現実におきますると、ともすれば経験の乏しい人々がそういう滞納者の前に現われまして、時に苛酷にわたるような取り立て等を行う事例をなしとしないのであります。従いまして、例年といっては語弊がありまするが、本委員会は年末に際会いたしまして、そのつど適切なる議決を行い、あるいは長官に要望をいたしまして、特殊の通達を全国に願って、さらに注意の新しき喚起に努めて参っておるのでありまするが、特に私がこの際強調をいたしたいことは、年末において滞納税金取り立てのための差し押え、特に差し押え物件の競売、差し押え物件の引き揚げというようなことについては、年末年始を限って特別の配慮が必要であろうと考えるわけであります。特にやるという指示をしなくても、ほっておけば、ともすればそういうような苛酷にわたるような取り立て方式がとられておりますので、年末年始だけは特別の考慮を払えという何らかの行政措置が必要であろうと考えるのでありまするが、長官はこれに対して何らかの通達をお出しになる意思はないかどうか、この点を伺っておきたいと存じます。

渡邊喜久造国税庁長官

○渡邊説明員 私としましては、ここ数年御趣旨のようなことでずっと第一線を指導してきておりますので、あまり私の方からやかましく申しませんでも、その趣旨は徹底しているのじゃないかと思いますが、しかし御心配の向きもあるようでございますから、御趣旨の点を十分徹底いたしますように、管下の国税局、税務署に通牒を出す用意はございます。

春日一幸日本社会党

○春日委員 納得いたしました。ただ一点を添えてお願いをいたしておきたいのでありますが、私どもは末端においてしばしば見聞するのでありまするが、伺うところによりますと、差し押え物件の競売処分、これは税務署長がみずからこれを決裁すべきものであって、代決を許さぬという一般通達が出ているそうであります。しかしながら実際におきましては、税務署長が一々これを検討するというようなことなくして、あるいはめくら判を押す場合もありましょうし、あるいは代決するというような場合がないわけではないわけであります。従いまして、これが経験を積んだ人々によっての配慮ということが加えられることなくして、そういう苛烈にわたるような印象を与えるような取り立てが強行されておるのであります。幸いに何らかの通達をお願いするといたしますれば、その際、すでに通達がされておるようではありまするけれども、しかしながら、さらに注意を新しく喚起願いますために、そういうような差し押え物件の競売処分については、これは、まさしく署長がそういうような最後的な措置を講ずることなくしてはこの処理を行うことができないかどうか、十分深甚なる検討を加えて後その措置を講ずるように、その問題についても、新しく注意喚起のための適切なる措置を実現されることを強く要望いたしておきます。私の質問は以上で終ります。

渡邊喜久造国税庁長官

○渡邊説明員 ただいまの御要望は、われわれの方でつつしんで拝承いたします。

松原喜之次日本社会党

○松原委員長 石村君。

石村英雄日本社会党

○石村委員 理財局長に、時間もだいぶんおそくなりましたから、ごく簡単にお尋ねいたしまして、早く食事ができるように……。  新聞の伝えるところによりますと、預金部が今度買いオペを始めるとか、市中銀行の持っておる金融債なんかを年末に当って——年末とも限らないでしょうが、近ごろ金融が引き締ってきたので、債券を買い上げるという御意向があるようでありますし、きょうの新聞では、日銀総裁もこれに賛成だという意思表示があるようですが、この間の経緯を一つ御説明願いたいと思いおす。

河野通一大蔵事務官(理財局長)

○河野政府委員 結論を先に申し上げますと、まだそういうことをやるということにきめておりません。ただ、今お話がありましたように、部内でいろいろ検討はいたしております。それからごく非公式にではありますが、日本銀行の意向も聴取しております。日本銀行の意向は、きょうああいうふうに新聞に出ておりますが、まだ最終的にはっきり日本銀行の意向がきまったとは、私は承知いたしておりません。この問題は、大体どういうことからそういうことが起って参りましたかと申しますと、これは、石村さんもよく御承知のことでありますが、第三・四半期の国庫の収支の状況、これは国庫全体でありますから、預金部等の収支も含めて広い意味の国庫の収支が、去年に比べましてはもちろん、当初数カ月前に私どもが予測いたしましたところに比べましても、さらに散布額というものが相当減って参っておる。これを具体的に数字で申し上げますと、去年は第三・四半期が大体二千八百億の払い超過であった。今年は当初に立てました計画が——計画といいますか、予定は大体二千億ということであったのでありますが、最近の数字によりますと、それが千五百億というふうになって参っております。数カ月前に立てました見込みに対して、約五百億の差が生じておるというようなわけであります。これを十二月だけについてとってみますと、当初立てましたときの十二月の払い超過に比べまして、今見込まれておりますところは約二百五十億の差異があるというふうなことで、これはいろいろな原因があるわけでありまして、石村さんよく御承知の通りのことであります。原因のことは、今ここで詳しく申し上げる必要もないかと思いますが、そういう状態になっております。従って、それが年末における市中の金融を非常に詰めて参っておるし、日本銀行の貸出金も、それによって相当ふえて参っており、また今後ふえるようなことになる見込みもあるわけです。こういった事態に対して、今申し上げたように、国庫全体として従来の予想よりも揚げが相当強く働いておるという場合において、この強く働いた政府資金というものを民間に還元するという施策がいいか悪いかという問題は、これは議論していい問題だということでありまして、数カ月前から、これらの問題については検討を加えて参ったのであります。もちろん先ほど来申し上げましたように、結論を得ておりませんゆえんは、やはりそういうことに対して、いろいろ批判もあります。批判といたしましては、たとえば国庫の回収というものと金融全体に対する措置というものは、日本銀行の貸し出しというものを通じて調整すればいいのだ、そのほかに国庫がさらに特別の立場で、自分自身のそういう金融調節的な操作を行うのは適当でないといったような意見もあることは事実であります。従いまして、まだいろいろな点で検討を加えておるわけでありまして、結論に到達いたしておらぬのでありますが、問題の経緯と申しますか、問題のあり個所は今申し上げましたようなところにあるわけであります。

石村英雄日本社会党

○石村委員 そうすると、これは預金部とすれば、一時的な措置としておやりになる。従って金融が緩慢になれば、買い上げた金融債を今度はまた売りに出る、そういうことをお考えになっていらっしゃるわけなんですか。

河野通一大蔵事務官(理財局長)

○河野政府委員 これは、預金部の長い意味の長期運用の対象として考えておりません。この年末にかけての一時的な金融の詰まりとまで申し上げるわけにいきませんが、金融が相当忙しくなっておる、そこを調節するという一時的な作用でありまして、従いまして、さらに具体的に申し上げますれば、これをやるといたしました場合には、少くとも年度内、来年の三月末までにはこれをやはり売り戻すといったふうな形でやって参らなければならぬと考えております。なおかりにやるといたしました場合において、その対象にいたしますものは、何も金融債に限る必要はないので、各いろいろな政府機関の発行いたしております、政府の保証いたした各公社債等につきましても、当然これはその対象に入れてもいいものだと考えます。それをどの程度のものを、どの程度の金額まで行うかということは、まだそのやるかやらぬかをきめておりませんので、そこまではまだ検討は十分尽しておりませんけれども、さらに検討を続けて参りたい、かように考えております。

石村英雄日本社会党

○石村委員 そういう操作のできる余裕資金と申しますか、その資金量はどのくらいあるわけなんですか。

河野通一大蔵事務官(理財局長)

○河野政府委員 預金部の余裕といいますのは、なかなか余裕金というのが計算がむずかしいのでありますが、大体去年に比べまして、約二百億くらいは余裕金と称されるものが多いのじゃないか、二百億までいかぬかもしれませんが、大体二百億程度多いのじゃないかというふうに考えております。

石村英雄日本社会党

○石村委員 まだきめられているわけでもないし、また意見としては、そういう金融政策は日本銀行を通じてやるべきだという一種の反対論かもしれませんが、そうした意見もあるということで、われわれとしても、これは相当問題なことだと思いますが、考慮のうちに入っておるかどうか知りませんが、二百億の余裕がある、金融債なんかの引き受ける予定であった分が未発行になっておるから、余裕ができておるのだ、こういうような記事が新聞に出ておるわけなんであります。そうしたことを考えますと、二百億の余裕があれば、先ほども預託の問題が出たわけなんですが、預託金については、私も相当これは問題だと思うのです。国会の決議があるから差しつかえないのだという意見もありますが、会計法というか何かを見れば、相当問題は起るやり方だと思うのですが、そうしたことを避ける意味でも、その二百億を国民金融公庫とかなんとかへの資金量をふやすというやり方にしたらどうか。また今市中銀行の買い上げ——日本銀行では、それは日銀の信用造出でないからインフレにならぬからいいのだという話です。それはそうもいえるでしょうが、一方では、中小企業の方は今度金融債を出そう、その金融債によって中小企業をまかなおうという考えがかりに成熟してきたというときには、預金部には金がない。三月までだというお見込みですが、その通りにいくかいかぬかわからない。少くともこの結果は、中小企業にとっては何らプラスにならない措置である。大企業の金融緩和には役に立つ。中少企業の金融緩和には役に立たない。こういう結果を生むのではないかと思うのです。もちろん国民金融公庫にその資金を出したら、それは国民金融公庫の貸し出しの性質上簡単に返ってこないから、やはりそういうわけにはいかないというような弁解をせられるかもしれませんが、それはそれとして、やはり国民金融公庫なり、農工中金なり、あるいは中小企業金融公庫なりと十分な打ち合せをしてなされば、必ずしも不可能なことではないと思う。そういう問題も、やるやらぬの検討の中に入っておるかどうかお示し願いたい。

河野通一大蔵事務官(理財局長)

○河野政府委員 これは石村さんよく御承知の通りで、中小金融の国民金融公庫とか、そういう方へどういう資金を出していくかという性質のものと、今ここで問題になっておりまする一時的な短期の金融調節の問題とは、切り離して考えなければならぬことは、今お話しがありました通り、よくおわかり願っておると思うのでありますので、詳しくは申し上げません。その場合において、中小企業の問題を一体どう考えるのだという点につきましては、先ほど来いろいろ御意見を承わりましたところでありますが、私どもとしては、そのために必要な年末の措置はいたしておるつもりであります。もちろんそれでは足らぬというおしかりがあることは十分承知いたしておりますけれども、私どもとしては、一応とにかく措置はいたしたつもりであります。さらに今お話しがありました通り、かりに国民金融公庫等に金が足りないから出さなければならぬということにいたしました場合にも、これはおそらく二、三カ月で返る金というわけには参らぬと思うのであります。これを先ほど来問題になっておりますようなルートで、ある程度市中に資金を出しました場合におきましては、それはやはり短期的に市中の緩和に役立つばかりでなく、それは回り回って、単に大企業の金融を緩和するというだけではなしに、全体にわたっての年末の金融をやはり緩和するということに役立つことになる。ただこの問題につきまして、それでは今すぐ商工中金とか、あるいは中小公庫等、あるいは国民金融公庫に短期の金を出せばよいじゃないかという御意見があると思うのでありますけれども、これは先ほど来申し上げました通り、市中銀行、すなわち預金銀行におきましてこれらの短期的の調節がききます程度と、国民金融公庫等がこういう問題に対して弾力的に、短期的の調節がきく程度とは、これは非常に違うと私は思うのであります。両問題についての目的、あるいは趣旨が違うわけでありますから、中小金融自体をさらに緩和し、あるいはその資金を充実しなければならぬという問題は、その問題としては、また別に議論がされてしかるべきものである、こういうふうに私は考えております。

石村英雄日本社会党

○石村委員 余裕金の出た理由が金融債の発行等をおもな原因にしておるというと、二カ月、三カ月というような短期の金融債でもないでしょうし、これを短期に限定する必要はないと思うのです。従って、そういう議論は成り立たないのではないか。結局預金部は大銀行、市中銀行の金融緩和だけ考えて、中小金融機関の逼迫に対して、今の資金量で非常に不十分だということは理財局長もよく御承知だと思う。それに対する考え方が足りない結果、そういう理屈をつけて、市中銀行の金融債を買おうということになるのだと私は思う。これは考え方を変えてもらわなければ話になりませんが、そういう点は、やはり十分に考慮して措置を講じていただきたいと思う。原則としては、金融政策は日本銀行かやるのが当りまえだというのは、これはだれも異論のないところだと思う。それを一時たな上げにして、補完的にやろうという考えでしょうが、それならやはり一番かわいそうな中小企業の方へ重点を置いて施策を考えるべきだ、こう私は考えます。もう時間もありませんから、この程度でやめますが、理財局長は、中小企業の窮状をもっと認識しておやりになるようにお願いいたしておきます。

河野通一大蔵事務官(理財局長)

○河野政府委員 御趣旨の点はよく含んでやって参りたいと思います。ただちょっと申し落しましたが、余裕金が約二百億去年に比べて多いと申し上げましたのは、実はこれは長い間にわたってそれだけ金が余っているということではないので、年度内にやはりいろいろな、たとえば資金運用部から政府機関にいろいろ金を貸し付けております。そういう貸付の少しおくれているようなものもあります。そういうものは、年度の進むに従いまして第四・四半期に入れば当然出さなければならないものがあるわけでありますから、今一時年末にかかってたまたまそういう余裕金が少しふくらんでおるというだけで、年度末までにはそれらの余裕金がずっと残っておるというわけにも参らぬかと思いますので、長い意味の、ほんとうの意味の金が余っているということではないということだけを申し添えておきたいと思います。

石村英雄日本社会党

○石村委員 そういう話が出ると一言つけ加えておきますが、私は何も預金部をあずかっているわけじゃないから、あなたがそういうふうに言われるのですと、ああそうですがと引き下らざるを得ないわけです。しかしさっき言いましたように、中小企業の金融が非常に逼迫しておるということを、もう少しよく考えてやっていただきたい。預金部の資金の運用についても、一時的な問題にいたしましても、中小企業はどうかということをまずまつ先に考えて、その方に対する措置を先に考えてやっていただきたいということを、重ねて申し上げて終ります。  次に主税局長にお尋ねいたしますが、租税特別措置法の中に、期限のあるのがいろいろあるわけなのですが、この十二月末で期限のくるものはどんなものがあるわけなのですか。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 その法律の第九条の二というのに、新築家屋等に対する登録税の軽減のことをうたってあります。規定が二つ、三つになっておりますが、その第一項に、通常の人が建てました家屋について、十二月三十一日までの新築家屋の所有権の保存登記の登録税率を軽減するという規定がございます。これだけだったと思っております。

石村英雄日本社会党

○石村委員 十二月末で期限が来て、もう日にちも幾らもありませんが、今日の住宅事情から考えましても、また最近しばしば新潟あるいは大館でしたか、各地で大火があったということから考えまして、この期限を延長するということには、おそらくだれも異論がないのじゃないか、延長してやるべきことだということになると思うのです。税制調査会の関係もありますが、大蔵省としては、この期限がきましてどういう措置をおとりになる御腹案か、お示しを願いたいと思います。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 調査会でいろいろとこういう特別措置のことを研究しておられますが、住宅政策は非常に大事な政策でございますから、これは期限が参りましても、なお相当の期間延長すべきであると考えております。ただこの際申し上げておきたいのは、ただいまの法律は、一応どんな大きな家屋でも軽減になる、政令で書けないこともありませんけれども、当初からその制限なしにやっておりますので、途中ではどうかと思っておりましたが、変える際は、やはり庶民的な程度のところまででよろしいのではないかというふうに思っております。そこで、時期が迫っておるわけでありますが、通常国会早早にでもその趣旨の立法をお願いする措置をとらなければいけないと思っております。年内に御審議がむずかしいというような事情がありますと、新しい年にかかって若干不都合が生ずる点、まことに恐縮な次第ですが、その辺は保存登記でありますので、関係の向きと連絡して、この恩典に延長があれば浴し得る人が浴し得ぬことがないように、措置いたしたいと思っております。

石村英雄日本社会党

○石村委員 通常国会もすぐ始まるのですが、年末を控えて、あるいはお言葉のように延長の法律が直ちに可決されるかどうかわかりませんが、そうなると、もし一月に回るということになると、登記がおくれるということの関係で救済ができるということですか。それとも一月一日にさかのぼってこれをやるという法律が可能であるかどうか。この二点、いずれを選ばれることになるか、明らかにしていただきたいと思います。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 さかのぼってやるということについても、その必要がありますれば、研究してみたいと思いますが、ただいまのところでは、保存登記でありますから、登記所の方で親切に教えてやっていただければ、ちょっとむだ足を踏ませるというようなことがあるかもしれませんけれども、法律が通ったらということでもいいのではないか。遡及力を持たせるということにつきまして、私でき切るかどうかという自信がちょっとありません。できればやりたいと思います。と申しますのは、まだ法律ができていない、登記所に来られた、今の法律は国会で審議して遡及力があるからという場合、法務の方でどういう措置をとられるか、できればそういうふうにやりたい。いずれにしても極力迷惑がかからぬように、そうして続いて軽減の利益が受けられるように措置いたしたいと思います。

石村英雄日本社会党

○石村委員 いろいろ問題もあるでしょうが、大きな邸宅とか、あるいは別荘とかなんというものを無理にそんなことをする必要もないということになるでしょうが、われわれも、通常国会になって冒頭にかけられるならば、これをすみやかに審議して、なるべく年内にちゃんとしたい、こう考えておりますが、万一そういうことができないということもありますので、関係方面との連絡も十分にしておいて、一般国民が困らないように、抜かりのないように御措置をお願いしておきます。

松原喜之次日本社会党

○松原委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後一時五十八分散会

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