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25回国会衆議院1956/11/27

大蔵委員会 第5号

発言数
116
登壇者
11
会派数
2
開催日
1956/11/27

会議録

松原喜之次日本社会党

○松原委員長 これより会議を開きます。  昭和三十一年度の食糧管理特別会計の借入限度等の特例に関する法律案外二案を一括議題として質疑を続行いたします。石村英雄君。

石村英雄日本社会党

○石村委員 食糧庁長官にお尋ねしますが、せんだっての委員会で井手君の質問に対して、この概算金は消費貸借の性格を持っておる、こういう御説明でしたが、つまり消費貸借の性格があるから金利をつけて返させなければならぬ、こういう考え方に当然なってきたのかと思うのですが、そうなんですか。

小倉武一食糧庁長官

○小倉政府委員 概算金の性格につきまして、それ自体を切り離して論ずることはどうもむずかしいのでございまして、概算金だけを切り離して経済的な面を考えれば、消費貸借ということに解釈することもできるのではないか、こういう趣旨で申し上げたのでありますが、もちろん米の売買契約のほかに、消費貸借という契約が別にあるという意味ではございません。売買契約の中の一部として概算金を渡しておる、こういう実態であろうと思うわけであります。

石村英雄日本社会党

○石村委員 ただいまの御答弁を聞くと、金を渡したからイワシを買っただろうということから消費貸借だという御説明だろうと思うのですが、そんな答弁は、この性格は何かという質問に対して、金をもらった者がいろいろなものを買ったりするかもしれないからというようなよけいなことをつけ加えて答弁されることは、どうも合点いかないのですがね。あくまでこの概算金はどんな性格のものか、こう聞かれたときには、その通りのことを答弁してもらわなければならぬ。それはイワシを買う者もあろうし、おもちゃを買う者もあろうし、いろいろありましょうが、そんなことを答弁されたのでは質問に対する答弁にならない。それは、今後そうしたよけいなことを答弁していただかないようにお願いしてお尋ねするのですが、消費貸借の面なんというのは全くよけいなことで、売買条件の中にもありますように、代金の一部としてこれを払う、こういうことになっているのです。消費貸借なんということは、全然よけいなものだということははっきりしていると思うのですが、そこでそうなると、この間井手君の質問の関係もあるのですが、結局民法の五百三十六条のあの関係で、債権者にも債務者にも双方の責めに帰すべからざる事由によって履行ができなくなったというあの五百三十六条が適用される、こういうことになるわけなんですか。

小倉武一食糧庁長官

○小倉政府委員 ただいまの民法五百三十六条に関係いたします問題でございますが、米を政府に売るという約束が、いわば不可抗力でできなかった場合、そういう場合は五百三十六条に該当しますが、ただいまのお話は概算金を受け取った、この概算金の返済のことでございますので、これには該当しない、こういうふうに存じます。

石村英雄日本社会党

○石村委員 概算金の返納だから該当しないというのは、どういうわけですか、つまり、政府に米を売り渡すという約束をしたわけですね。ところが天災のためにその履行ができなくなったというようなことから問題が起っているわけでありますから、これはやはり五百三十六条で、そうして「債務者ハ反対給付ヲ受クル権利ヲ有セス」という規定から、自然前金を受け取った分を不当利得として返さなければならぬというようなことになるんじゃないですか。そんなこととは別で、とにかく概算金を返せという。売買契約に基かない理由で返さなければならぬ。全然米を引き渡すという条件なしに金を渡したということなら、それはそういうことがあるかもしれませんが、米ができたら政府に売り渡しますという契約があって、そうしてその代金の一部を前もってもらったというのだから、契約自体は、米ができたら引き渡すという契約がもとになってその概算金が出ておるわけです。この契約を引き離して、概算金だけの問題だという答弁はどうも受け取れないです。米の売買契約以外に概算金という問題がそれとは無関係に出ておるのですか、そんなら概算金という言葉が第一おかしい。

小倉武一食糧庁長官

○小倉政府委員 もちろん概算金は米の売り渡し契約と無関係ではございません。その代金の一部という性格をもちろん持っておるわけでございます。そういう意味で、五百二十六条の関係におきましては、これはもう申し上げるまでもなく、災害等によりまして、米について申しますならば、米を政府に渡すことができなかった場合、その代金を受くることができないという趣旨だろうと思うのですが、概算金の場合には、すぐこの条文は、今のような趣旨では当てはまらないように思うのであります。

石村英雄日本社会党

○石村委員 どうも概算金と米を引き渡すという契約と別個のもののようにあなたは御説明になるのですが、売買条件にもはっきりと米の代金の一部としてということが書いてあるのですよ。あなたは自分の仕事なんですから、御存じなければ読み上げますが、「買入代金の概算払」というところに「政府は、指定集荷業者に委託して、売渡の申込をした生産者に対し、売買契約が成立した後、買入代金の一部として概算払をすることができる。」とはっきり売買代金の一部なんです。これが別個のものだというようにしきりに御説明なさるのですが、この売買条件というものはその後変更されたのですか。そして「前号の概算金は、売買契約数量と次に定める金額とにより算出される額の範囲内の額とする。玄米換算一石(百五十キログラム)につき二千円」、こういうようにちゃんと書いてある。これが別個のものだということは、どうも私たちこの売買条件を読んだ者から見れば、そういうことは理解できないのです。概算金は五百三十六条の関係じゃないという御説明は、それだけではどうも受けとれないと思う。

小倉武一食糧庁長官

○小倉政府委員 もちろん概算金は、米代の一部であることは先ほど申し上げた通りであります。そのことをここで否定をしておる意味ではございません。まさに米代金の一部でございます。ただその概算金に見合う米が政府に売却できなかった場合にどうするかという問題でございまして、概算金自体は米代の一部として生産者に渡す性質のものであるということは、これはその通りでございます。

石村英雄日本社会党

○石村委員 だから五百三十六条の関係じゃないかと聞いておるわけです。つまり五百三十六条は、あなたがお手元に六法がなければ読みますが、「前二條ニ掲ケタル場合ヲ除ク外常事者雙方ノ責ニ帰スヘカラサル事由ニ因リテ債務ヲ履行スルコト能ハサルニ至リタルトキハ債務者ハ反封給付ヲ受クル権利ヲ有セス」つまり「債務ヲ履行スルコト能ハサルニ至リタルトキ」というのは、米が天災によってできなくて、米を引き渡すという債務が履行できない、こういうことなんでしょう。履行できないから、前もってもらっている代金の一部を返さなければならぬということが、不当利得の関係かどうか知りませんが、とにかく起ってくる。反対給付を受けることを得ず、こうなるわけですから、五百三十六条が関係がないことだという説明ではどうもわからないのですが、ごまかさずに率直に答弁していただきたい。

中尾博之大蔵事務官(主計局法規課長)

○中尾説明員 ただいまの御説明で尽きておるのでございますが、もし問題になりますればと思いまして申し上げます。「債務ヲ履行スルコト能ハサルニ至リタルトキ」と申しますので、要するに米が引き渡されない、天災によりまして米がなくなりまして引き渡されないという場合におきまして、その米が特定いたしておりますならば、その米はこれを政府が引き取る権利はなくなるということに該当するだけのことでございまして、あとは例の、あらかじめ前払金をいたしております関係が、この売買契約に伴なっておるわけでございまして、その関係につきましては、今の「雙方ノ責ニ帰スヘカラサル」云々の関係は直接関係はございません。

石村英雄日本社会党

○石村委員 直接関係はないという理由がよくわからないのですが、もう一度はっきり大きな声で御答弁願います。

中尾博之大蔵事務官(主計局法規課長)

○中尾説明員 もう一回申し上げます。「常事者雙方ノ責ニ帰スヘカラサル事由」によりまして契約によって特定されておりますところのその品物が、たとえば滅失しておるという場合に債務を履行することができないという場合は、この五百三十六条の場合と存じますが、その場合につきまして、今回の契約の関係を考えてみますならば、米が特定されておりまして、これがなくなってしまったという場合におきましては、これを請求することはできません。ということは、この五百三十六条から出て参るわけでございます。しかし今回の契約におきましては、そのお米の関係のほかに、あらかじめ前払金をいたします。その前払金につきましては、お米が納まるに至らなかった場合、結局代金を支払う事由がなくなった場合にはこれを返していただく、その場合に利息をつけて返していただくという契約があるわけでございますが、その関係につきましては、この五百三十六条は直接触れておらない、該当する分がないということを申し上げておるわけであります。

石村英雄日本社会党

○石村委員 これはもっと法律的な議論をしていただきたいのです。つまりあなたの御説明を常識的に受け取ると、生産者と政府との間の売買契約でもし米を渡せないということが起ったら利子をつけて払うという特約があるから、その特約によってやるのだという御説明ではないか、こう理解するわけなんですが、そうでしょう。

中尾博之大蔵事務官(主計局法規課長)

○中尾説明員 売買契約につきまして、単純なる売買契約のほかに、前払金をいたしますということと、それからその前払金が前払いの支払金としての役目を果すことにならない場合におきましては、これを返していただく。それから、それに対して利息をつけますということは、特約でございます。

石村英雄日本社会党

○石村委員 この特約にしても、結局五百三十六条の法律の関係から出ておることと思うのですが、不当利得のところを読んでみますと、七百四条に「悪意ノ受益者ハ其受ケタル利益ニ利息ヲ附シテ之ヲ返還スルコトヲ要ス」悪意の受益者とある。法律では悪意でない受益者の場合には、これは利息を付して返還しなければならぬということは要求していないわけなんです。今度の場合に悪意でないということは、天災だからわかり切った問題だと思うのです。それで、そういう特約自体がこの民法なんかの関係から見ても非常に苛酷な、普通の常識をはずれた約束だ、こう言わざるを得ないと思う。その点を政府として考えていただきたいと思うんです。  しかし、特約自体に触れてみたいと思うんですが、これは農林省で作られたものだと思うんですが、食糧庁の「昭和三十一年産米麦の集荷について」という冊子を読んでみますと、売買条件には、米を渡さないときには概算金を返せ、そして金利をつけて払え——金利が二銭五厘ですか、そういうことがなるほど売買条件にはあるのです。ところがこのパンフレットの中にある生産者と政府との売買契約書、あるいは概算金の支払い関係のところをあけてみると、そういう条項は全然書いてないわけなんですね。売買条件というものは正式な公示がされておるものですか。ただ食糧庁長官の名か食糧事務所の名で、役場の掲示やらその辺の掲示板に書いて出したのをもって公示だとはとれないと思うんですがね。先に聞きますが、一体この売買条件というものは、正式な手続を踏んだ公示をされておるものですか。

小倉武一食糧庁長官

○小倉政府委員 今お話しの売買条件は、村の役場でありますとか、あるいは買い入れする倉庫の前でありますとかに公示をいたしております。従いまして、農家が十分知り得るようにいたしておりますが、同時に概算金の申請は、そういう条件を承知の上で申請をする、こういうことにいたしております。

石村英雄日本社会党

○石村委員 その公示というのは一体何号によってなされておるか。普通公示といえば、第何号の何ということが出て、官報にでも載るものだと思うんですが、そんな手続はとってあるのですか。

小倉武一食糧庁長官

○小倉政府委員 官報に掲載するという告示の手続はとっておりませんが、いわゆる公示をして公けに知り得るような方法をとっておるのであります。

石村英雄日本社会党

○石村委員 そういうものが正式な、行政上か何か知りませんが、効果のある公示なんですか、ただ街頭に書いて張り出したということが。普通の公示というときには、そんないいかげんな手続じゃないと思うんです。売り渡し条件その他によって、期限については公示する。期限については正式な手続がとってある。その内容については正式な手続をとらずに、ただ役場へ書いたとか、農協の店先へ書いたとかいうことが公示のうらに入るんですか。これは普通の店屋が新聞に広告するのと同じようなものです。

小倉武一食糧庁長官

○小倉政府委員 公示でございまするので、官報に掲載する公示というふうにする必要は必ずしもないと存じます。しかも生産者は、そういう売買条件を御承知の上で概算金の申請をする、こういうことにいたしておりますので、それで支障はないというふうに存じます。

石村英雄日本社会党

○石村委員 ただそういう公示をしたから、それは法律的な効果があるというお考えなんですね。このなにを見ましても、契約書にはそんなことはないのです。ちょっと生産者から組合へ出した契約書を見ましても、政府所定の売買条件及び裏面記載の事項を承諾の上——単に政府所定の売買条件、農民はその売買条件というものをはっきり理解しておるかどうか、これじゃさっぱりわからぬ。刑法のような刑事的な問題なら、そんなものは知らないと言ったって、それじゃ済まぬかもしれぬ。しかし民事的なものをそんなことをして、契約書にはっきりなっておればいいのですが、それにはずいぶんばく然と、政府所定の売買条件だ、それを農民に利子をつけて払え、これは売買条件にあるんだ、こういった強要に法律的な効果がありますか。

小倉武一食糧庁長官

○小倉政府委員 三十一年度産米につきましての売買条件を、先ほど申しましたように公示いたしておりますし、生産者はそういう公示による売買条件を承知の上で概算金を申請しておるのでございますから、そこで法律上のそごはないのであります。

石村英雄日本社会党

○石村委員 農民はそれは知らなかった、こう言ったらどうするのですか。僕はそこを聞いておる。政府はそんなことを言っておることはわかっておる。ところが農民が概算金をもらうときに、そんなことはさっぱり書いてない。ただばく然と政府所定の売買条件、具体的な内容が全然ないわけなんですね。悪意の受益者なら、それは利子をつけて払うということはあるかもしれない。自分らは天災で払えないから、悪意の受益者じゃない。従って金利をつけて戻さなければならぬということは合点いかぬ、こう主張したらどうするのですか。やっぱりどうしても法律上それは効力のあることなんですか。確信が持てますか。

小倉武一食糧庁長官

○小倉政府委員 先ほど申し上げました通り、公示によります売買条件、すなわち政府所定の売買条件を承知の上でいたすということを前提としまして、概算金の申請をいたすわけでございますので、そういう御懸念はないかと存じます。

石村英雄日本社会党

○石村委員 懸念があるから私は聞いておるのです。懸念はないだろう、こうおっしゃるが……。あなたの方は自分の方だから、売買条件というものはちゃんとはっきりわかっておる。ところが相手は、それを理解しておるかどうかということはさっぱりわからぬ。概算金を支払ってくれという請求書の中に、こういう条項というものははっきり書いておれば、生産者がその条件を理解して、それを承諾しておるということがはっきり言えるわけです。そんなことは全然書いてない。ばく然と政府所定の売買条件、その政府所定の売買条件というのは、正式な手続を踏んだ告示も何もしてない。ただ役場へ書いて出しておるということで、この支払いの強行ができますか。法制局がお見えになったら、法制局の御意見を一つ……。

松原喜之次日本社会党

○松原委員長 ちょっとその前に、食糧庁の企画課長中西一郎君がさいぜんから発言を求められておりますから……。

中西一郎農林事務官(食糧庁総務部企画課長)

○中西説明員 直接の御答弁にならないかもしれませんが、輸入食糧その他政府でいろいろ売買契約をいたす場合がございまして、それぞれ売買条件を公示いたす例もほかにございますが、やはりはっきりと皆さんにわかるような形で事実上公示するということで、実際それがわかるようになっておれば、法律上の効果としては十分じゃないかというふうに考えます。役場その他倉庫の前、あるいは農業協同組合の事務所その他に長期間にわたってずっと公示しておりましたので、その点を承知した上で、概算金の申請が当然なされたものと考えます。と申しますのは、申請書の中にも、売買条件を承知の上この申請をしていただきたいということを明記しておりますので、そういうふうになっておるものと解されます。

石村英雄日本社会党

○石村委員 僕はその点、なるほど役場に出せと書いてあるから、おそらく書いて出しただろうと思うのです。しかしそれが法律的な効果があるかというのです。官報なり何なりに告示事項として出しておるというなら効果があるかもしれない。またかりに効果があるにしても、民事上の問題ですから、これは契約書にはっきり書いてなければ、生産者の方から、そんなものは知りませんでしたと言われても、ちょっと困るのではないか。僕は政府に親切に質問しているわけです。もっとこっちの聞きたいことを、こっちに納得できるような答弁をしていただきたい。ただ役場に掲示したからその通りだ、こういうことなら、わざわざ言っていただかなくともわかっております。

小倉武一食糧庁長官

○小倉政府委員 先ほど申し上げましたように、売買条件を承知の上で概算金を申請いたしますので、そのことは建前として争いのないことだと思います。

石村英雄日本社会党

○石村委員 争いのないことと言ったって、それはあなたの方の一方的な考えなのです。相手にはそれがわかったかわからないか全然わからない。ばく然と政府所定の売買条件を承諾、こう書いてある。生産者が契約したとき理解した売買条件の中に、悪意のない場合でも利息をつけて払わなければならないということまで理解したか理解しないかは、この契約書ではどうとも全然判断できないわけです。これは悪意のあったものならば、悪意の受益者として利息をつけて払わなければならないということは、一般の常識として理解できるかもしれないが、天災によって返せなくなったという場合、一種の不当利得として返還しなければならないというときに、利息までつけて払わなければならないかということは、はっきりした契約事項の中になければ無理じゃないか、こう私は聞いておるのです。悪意があるものなら、これは法律の七百四条にちゃんと利息をつけて返さなければならないとあるから、これはなんでしょうが、悪意のない場合です。民法でも、悪意のない場合利息をつけて返せなんということは規定していない。生産者がそこまで——悪意のない者が悪意のある者と同様な利息をつけて払わなければならないというような過酷な政府の条件があるということまで理解して契約したかどうかは、はなはだ疑問だと言わざるを得ないと思います。大体政府がこういう過酷な条件を作ったということが、僕は問題だと思うのです。悪意のある受益者と同様に善意の受益者に対して利息を払わせるということは、まことにむちゃな、一方的な契約をしいておるものと言わざるを得ないと思いますが、それはそれとして、相手が理解しておるかどうかちっともわからない契約書なのです。そんなものが効力がありますか。

小倉武一食糧庁長官

○小倉政府委員 三十一年産米の売り渡し代金の概算金、これにつきましては、三十一年産米の売買条件ということで、先ほど申しましたような方法で、生産者の周知し得るような状態にしてあるわけであります。そしてその状態のもとで、三十一年産米についての売買条件を承知の上で概算金の申請をする、こういう申請になっておりますので、承知の上でしたものでございますから、法律上の効果については問題がない、こう存じます。

石村英雄日本社会党

○石村委員 私の申し上げていることを食糧庁長官は全然御理解がない。あなたは売買条件というものを承知の上だという前提のもとに立っていらっしゃる。その売買条件というのは、善意の者にでも利息まで取ってやるというまことに冷酷むざんな契約なんです。そういうものを理解しているものとして契約したという前提に立って、それは取れるとおっしゃる。私はそんな冷酷なものまで規定があるとは理解しないで契約したのではないかということも言えるのではないか、そういう点で聞いているのを、あなたは、あくまでこういう条件は知って納得の上でやったのだという前提に立って議論をされるが、私はその前提を問題にしているわけです。泣く泣くそれはやったのかもしれません。百姓はどうにもならぬから、金がほしさに、まことに無情な政府だと恨みながらも、契約をしたのかもしれませんが、契約書自体には、残酷な政府でございますが、泣く泣くこれに判をつきますとは書いてない。そこを私は問題にしているので、その点についてのお考えを聞きたいというのです。私の言っていることをよく理解した上での御答弁をお願いしたい。

小倉武一食糧庁長官

○小倉政府委員 三十一年産米の売買条件につきまして米の生産者が知り得ないような状態にしておきまして、しかも形式的には売買条件を承知の上にということで、一応概算金の申請をなされているということを仮定してみますれば、お話のような疑問も出てくると存じますが、私どもは生産者が売買条件、従ってまた概算金の返済等についての条件も十分承知し得るような措置を講じておりまするので、その間のそごはない、こういうふうに先ほどから申し上げているのであります。

石村英雄日本社会党

○石村委員 幾ら言ったって全然一つことばかり返事をされて、こちらの質問に対してお答えがないのですから、長官に対してはもうこれ以上言うことをやめますが、あなたは民法の規定その他から見ましても、こういう条件というものは非常に過酷な条件だというようにお考えになりませんか。売買条件になるほどこういうことは書いてあるが、民法の五百三十四条、五条、六条、あるいは不当利得の関係、そうした規定から考えて、常識的に見てそれよりもひどい条件をつけて農民と契約していらっしゃる。あまりに過酷な条件だとはお考えにならないのですか。民法の精神をじゅうりんした規定を、特約だからかまわないというお考えなんですか。私はむしろこういう売買条件は、おそらく天災というような場合に、善意によって米を渡すことができないということを予想しないで作った売買条件ではないかと判断しているのですが、あなたはそこまで予想して、そして民法なんかの精神よりもかけ離れた非常にきつい条件を農民に対して強要しているのだ、それが政府の当然のやり方だという理解の上に立っていらっしゃるのですか。民法では不当利得の場合でもこれは不当利得ではないということになると思うのですが、その場合にでも、悪意の受益者でなければ金利をつけて払うなんということは要求されておらない。それを天災によって契約通りに米を売り渡すことができないという人に対して利息をつけて返せということは、民法の規定から見ましても、非常に過酷な条件だと言わざるを得ないと思う。もし売買条件がそうしたことまでを予想して作ったものといえるならば、これほどむちゃな売買条件はないと思う。おそらく売買条件を作られたときには、そういうことを予想せられなかった。善意の受益者についてのことは考えずに作ったものではないか。こう私は想像しておるのですが、あなたは、やはりそういう善意の者に対しても、こういう過酷な条件を政府としてはつけて、概算金を払うんだという理解の上にこういう売買条件をお作りになったのですか。この点をはっきりさしていただきたいと思います。

小倉武一食糧庁長官

○小倉政府委員 概算金の返還に関しまする売買条件、これが天災等のような場合には不当に過酷ではないか、こういう御説でございます。もちろんこの返還に関する条件いかんによっては、これは過酷にもなり、また他のいろいろの法律関係から申しまして、不当であるということにもなりかねないものであるということも、さように存じます。ただこの場合きめておりまするのは、概算金の返還の場合の利子も、二銭五厘という金利でございますので、この程度の金利でございますれば、著しく不当であるというふうには、必ずしも考えておりません。もちろん今度御審議をお願いいたします法案にございまするように、非常な大きな災害の場合に、この契約通りやるということについてはいかがかとも存じますけれども、一般の場合に、これがはなはだしく不当であるというふうには実は考えないのであります。

木原津與志日本社会党

○木原委員 政府と生産者との米の売買契約について、政府の考え方は非常に誤まった考え方をしておられると私は思うのです。そこで一応売買契約ができて、そのあと売買契約に基いて概算払いを受けた。その概算払いを受けたあと、今次の北海道の冷害や九州の風水害のように、どちらの責任ということもなしに不可抗力による天災をこうむって、収穫が皆無あるいは減収している。そのために契約通りの米の売り渡しができない。こういうような事態が発生した場合に、一体これをどういうふうに考えるか。もう頭から政府の方では、その場合は履行をしないんだから、概算払いとして支払った米の代金はそのまま返してもらう、その返す金にさらに利息もつけて当然生産者は返すべきだ、こういうような考え方に立っておられると思うのですが、これは政治的にはもちろんのこと、法律的にいっても、一ぺんよく考えてみなければならない問題じゃないかと思うのです。と申しますのは、一体天災の場合の、冷害だとかあるいは風水害を受けた場合のその危険を負担するのは、債権者が負担するのか、債務者が負担するのかということをきめなければならぬと思うのです。政府と農民諸君との間のいろいろな売り渡しの条件、契約については、これをだれが負担するというようなことは書いてありませんでしょう。そこで、結局問題は民法の契約に戻ってそういう場合にだれが危険負担するのかということを考えなければならぬと思うのです。その場合、一体政府は、天災の場合の危険負担はだれが負担するのか、概算払いをやった政府が負担するのか、受けた農民が負担するのか、そのどっちの立場をとっておられるか、それからまずお尋ねいたします。

小倉武一食糧庁長官

○小倉政府委員 お尋ねの点は二点になろうかと思いますが、契約の当事者の両方の責めに帰し得ない理由によりまして、米を売り渡すことができなくなった。こういう場合でございますれば、これは売買契約自体といたしましては、政府としては無理々々米の売り渡しをあくまで求める、こういうことにはいたしておりません。本来概算金は、申すまでもなく米の売り渡しの円滑を期するということでありますが、その趣旨からいうと、米の売り渡しができなくなったということについては、その限りにおいては仕方がない、こういうふうになっているのでありまして、あくまで債務者の米の売却の債務を履行せしめるという建前にはいたしておりません。ただ米が売却できなかった場合に、かわりに概算金を払うということになりますと、これはまた金の返還の問題に転換をするわけでありまして、金に転換になりますれば、自分の作った米を政府に売却するということとは、非常に趣きが異なって参りまして、この場合でも、もちろん災害を受けた生産者の経済力等によって変って参りますけれども、災害を受けたからといって、概算金を返還するという債務がなくなるわけではない、こう存じます。

木原津與志日本社会党

○木原委員 そうなれば、あなたのおっしゃるのは、危険負担は債務者にある、こういうことになるわけですね。そういう考え方に立つわけですね。そうでしょう。そうなんですか。

小倉武一食糧庁長官

○小倉政府委員 先ほど申しましたように、あくまで米の売買契約でございますから、その米に関する限りにおきましては、債務者の危険負担ということでは必ずしもございません。凶作で米ができない場合には、政府に売らなくてよろしいのですから、それはそうでないと存じます。ただそのかわりに、もらったと申しますか、先に受けました概算金を返さなければならぬ、こういう点はあくまで債務者の責任として残る、こう存ずるのであります。

木原津與志日本社会党

○木原委員 そういうお答えが、私が言う契約というものを、あなたは全然わかっておらないというのです。もし米の売り渡しの契約をして、まだ契約を履行しないうちに、天災でその目的になっている米が滅失、棄損してしまった。こういうような場合に、もし債務者が危険を負担するというのであれば、代金を受け取っておれば代金を返さなければならぬ。ところがその天災の場合の危険は債権者が負担をするということになれば、すでに売買代金として受け取ったものは返さぬでもいいのですよ。たとえば例を引きますが、ここで私があなたに、この六法でもいいのですが、これを売るといってあなたから代金を取っておった。概算払いで前金で金を取っておった。ところがこれが第三者の火事で焼けてしまった。その場合には、もしこの天災の危険負担が私の方にあるということになれば、もらった代金を返さなければならぬ。債権者が負担するということになれば、これは債権者の泣き寝入りですよ。契約はなくなってしまう。履行不能になったものだから金は返さぬでもいい、こういう結論になる。そうなんでしょう。それからあなたの方は、債務者に危険負担をかけるんじゃないとおっしゃるならば、概算金そのものを取り返すことはできないじゃありませんか。そうなるでしょう。あなた方今まで取り返しておったのなら、それは重大な誤まりだ。返して下さい。利息どころの問題じゃないですよ。概算払いそのものを天災を受けた農民から取り返すという法律上の理屈はないじゃありませんか。どう思います。

西村健次郎法制局参事官(第三部長)

○西村政府委員 今木原委員の仰せの、両当事者の責めに帰すべからざる事由によって債務が履行不能になった場合には、どちらの危険負担か。これを法律的に言う場合の建前、今度の売買契約、これは、その部分についてはいわゆる債務者主義という言葉が該当すると思います。要するに農民、生産者は代金はもらえない。要するに自分の米は滅失したわけですから、これは履行できない。これは責めに帰すことができない理由ですから、しようがないのですけれども、たとえばその部分については代金はもらえない。おっしゃる通り私は債務者主義ということだろうと思います。

木原津與志日本社会党

○木原委員 そうすると、政府は本件に関しては、こういうような天災によって米が滅失したり棄損したりした場合においては、農民が危険を全部ひっかぶるんだ、こういう主義に立っておられるわけですね。そう理解していいですね。

西村健次郎法制局参事官(第三部長)

○西村政府委員 私がお答えいたしましたのは、その部分と申しますか、履行不能の部分についてのみです。これを法律的な観念で、いわゆる債権者主義とか債務者主義という言葉を当てはめれば、債務者主義ということだけを申し上げたわけであります。この場合につきましては、この契約は民法上でいえば、要するに履行不能になった残余の部分については、これは代金を返してもらう。それについては、利子を日歩二銭五厘つけるという特約のついた一つの契約である、こういうふうに了解しております。

木原津與志日本社会党

○木原委員 今あなたのおっしゃった債務者危険負担の原則というのが、いまさっき石村委員から指摘になった民法五百三十六条の規定によって、その場合の危険負担は債務者主義だということなんですね、それによるわけなんですな。五百三十六条によって債務者の危険負担ということになるわけなんですね。

西村健次郎法制局参事官(第三部長)

○西村政府委員 私の申し上げた趣旨は、この五百三十六条によってとはっきり言ったつもりではないのでございますが、今度のこの米の売買買い入れ契約のその部分についてみれば、あたかも五百三十六条の一項と同じことではないか、こういうふうに申し上げた意味でございます。

木原津與志日本社会党

○木原委員 そういうようなことがありますか。これは民法上のりっぱな契約でしょう。米の売買という法律上の契約なんでしょう。法律上の契約ならば、その危険負担というのは、法によらなければ危険負担はきめられぬじゃありませんか。とすれば、その法によるやつは、民法の五百三十六条の債務者危険負担の原則によって農民に危険を負担させるのだという理屈になるではありませんか。  何も法律によらないで、勝手にあなた方政府が、その危険負担は売り渡し人である農民が負担するのだというようなことを、どういう根拠に基いてあなた方はそんなことを言われるのか。こういう重大な問題について、法的根拠を示さずにそういうような一方的なことが言えますか。

西村健次郎法制局参事官(第三部長)

○西村政府委員 契約法の一般的な理論としまして、必ず売買契約なりすべての契約が民法の規定通りの内容でなくちゃいけない、こういうことはないわけであります。これは御承知の通りでございまして、私が申し上げるまでもないことであります。たとえばここにある売買契約があって、何らの特約もない、単なる売買契約のような場合に、当事者双方の責めに帰すべからざる事由が生じた場合という場合には、五百三十六条の一項が働くということになるわけであります。私が申し上げる趣旨は、今度の米の売買契約については、はっきりその点はすべて定められておる。これは契約自由の原則に止りまして、その契約の内容は問題になる場合もあります。契約の内容が、一般的に申し上げれば、その特約が公序良俗に反しない限りにおいては、これは有効であり、認めらるべきである、こういうふうに考えます。

木原津與志日本社会党

○木原委員 そういうところがあなた方の得手勝手だというのだ。一体米の売り渡しの場合の特約に、天災、冷害とか風水害による履行不能の場合に何か規定が法律の中にありますか。売買契約の中に、天災を受けて履行不能に陥った場合にどうするという処置を書いた契約がありますか。

西村健次郎法制局参事官(第三部長)

○西村政府委員 この契約は農林当局が作られたもので、私はあとで拝見しただけでありますけれども、契約の中には、たしか風水害とか天災という特記した条項はないと思います。要するに概算前渡し金と、それからあとで納めた米の代金との差額、こういうふうな表現で、その差額についてこれを返還してもらうという約款がある、こういうふうに承知いたしております。

木原津與志日本社会党

○木原委員 この政令のどこを見ても、そういうような天災の場合にどういうふうに処置するという規定は書いてありませんよ。ただ約束通りの履行、米の引き渡しができない場合には、概算金を支払って、そして利息もそれに加えるということが書いてあるので、そういうような売買契約にはなっておりますが、それは天災というようなことを含んでいるんじゃないでしょう。

西村健次郎法制局参事官(第三部長)

○西村政府委員 私先ほど申し上げましたように、これはもちろん政府の責任でございますけれども、契約約款の最初から知っておりませんで、われわれの方は審議したということはございませんけれども、この趣旨はおそらく、天災とかそういうことにかかわらず、要するに前渡し金と、それから後に供出した米の代金との差額を返納してもらう、要するに天災であろうが何であろうがという趣旨であろう、こういうふうに解釈いたします。

木原津與志日本社会党

○木原委員 そういうことを言われるのはむちゃですよ。契約書及びこの政令の趣旨をすなおに読んでごらんなさい。そうは考えられませんよ。天災の場合でも何でもかんでも、とにかく契約しただけの米を売り渡ししない場合においては、概算払い金を計算して利息をつけて返すのだ、そういうような約款はありませんよ。はっきり言えば、天災の場合は規定はないわけなんです。天災の場合についての規定がないから、一般の契約法による危険負担をどうするかということをあらためてきめなければならぬ問題だ、私はそういう趣旨なんです。あなた方みたいに、とにかく概算払いのものとそれが符合しなかったという場合は、どのような原因でもそういうものは含むのだ、そんなむちゃな解釈はない。これは法律を全然やらぬ人が言うことです。すなおに契約の全趣旨を読み通してごらんなさい。高利貸しとか三百代言の言うことならばともかくも、良識のある政府のお役人の人たちがそんなむちゃなことを言いよったら、日本の法律はやみになってしまいますよ。もし天災でできなかった場合は無条件で売渡金は返すのだ、そういうふうな趣旨で契約をするものはおりはしません。どうです。

宮川新一郎大蔵事務官(主計局次長)

○宮川政府委員 ただいま木原委員が問題にされておる点でございますが、災害があったような場合に、二銭五厘の金利までつけて概算金を支払うのは酷じゃないかという問題は、政策論としてございましょうが、現在農林当局において、農民と契約をいたしまして概算金を払い、米ができなくなって概算金を返すことができない場合には利息をつけて返していただく、こういう契約になっておるのでございまして、契約の内容から申しますれば、天災である場合ははずすとか、天災でない場合はとるというように、契約の中身ははっきり区別されておらぬ。従いまして、現在の条項によりますれば、米ができなくなりました場合には、代金を受けることができないかわりに、米も納めない、五百三十六条の適用を受けるわけでございますが、特約をつけておりまする条項は、やはりその条項に従いまして、概算金を返納し、利息をつけて返すのが至当ではないか、かように考えるわけであります。ただ、それではあまりに酷ではないかというところから、今回御審議願っておりまするような法案を提出いたしておるのでございます。

木原津與志日本社会党

○木原委員 一応筋が通って参りました。そうすると、契約にそういうような天災の場合の規定がないから、民法五百三十六条の趣旨によって天災の場合の危険負担を債務者、生産者たる農民にさせるのだ、こういうお話だと法律的には筋が通るのです。そうなると、今度は五百三十四条を見てみると、こういう場合の危険負担は債権者がするのだということになっているわけです。「特定物ニ関スル物権ノ設定又ハ移転ヲ以テ双務契約ノ目的ト為シタル場合ニ於テ其物カ債務者ノ責ニ帰スヘカラサル事由ニ因リテ滅失又ハ毀損シタルトキハ其滅失又ハ毀損ハ債権者ノ負担ニ帰ス」こうなっている。これを具体的に当てはめれば、そういう天災によって滅失、棄損した場合においては債権者たる政府がその危険負担をする、こういうことになるわけですね。そういうことになれば、米の青田売りということは特定物に関する移転を目的とする双務契約ということになるではないかとお尋ねするのです。

宮川新一郎大蔵事務官(主計局次長)

○宮川政府委員 私も法律問題は苦手でありまして、あとで法制局の部長からもう少し正確な御返答を願いたいと思うのでございますが、私の解釈では、五百三十四条は特定物に関する物権の設定または移転をもって双務契約の目的とした場合の規定でございまして、米の概算金払いに関する契約はこの条項に該当しないのではないかと考えます。

木原津與志日本社会党

○木原委員 私は、米の青田売りというのは特定物の売買というふうに解釈するのです。そういうような売買契約であるから、風水害あるいは冷害等により滅失または棄損した場合は、政府がその危険を負担しなければならぬということになる。政府がその危険を負うならば概算払いは返してもらえない、返す必要はない、いわんや利息においておや、こういうような立論ができると私は思う。この点の解決がない限り、一方的に契約だからといって、あなた方の方で概算金を返せとか利息をとるとかいうようなことを言うのはすこぶる乱暴であると思う。この危険負担の問題について、もう少し政府から納得のいくような御答弁を求めたい。

宮川新一郎大蔵事務官(主計局次長)

○宮川政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、現在農民との間にいたしております売買契約並びに概算金返納の特約を含めた売買契約というものは、五百三十四条で言う物権の設定、移転に関する双務契約ではないと私は解釈しております。

木原津與志日本社会党

○木原委員 この米の売買というのは、俗に言う青田売りですね。農民が米を売り渡すという場合は、自分の所有の田にはえておる立毛の売買契約をするわけですね。そうすると、すでに売買契約のときにその目的物は特定しているのじゃありませんか。すると特定物の売買ということになるじゃありませんか。

宮川新一郎大蔵事務官(主計局次長)

○宮川政府委員 なるほど予約をいたしまして、米を買います、そのときに代金を払いますと、先に概算払いをする、こういう内容になっておるわけでありますが、ずっとできる米であって、特定のこのたんぼをどうするこうするというような物権の設定、移転というようなことを伴う内容の契約ではございませんので、五百三十四条の適用がないものと考えております。

木原津與志日本社会党

○木原委員 もちろん田の売買を言うているのではない。田の上におい立っておる立毛、その立毛からやがてもみができるわけなんですよ。そのもみの売買なんです。そうすると、もみの所有権を政府に移転するわけです。特定物の売買、所有権の移転じゃありませんか。私は、青田の売買ということを俗に言っておるが、その田を売買するというのではない。その田の上におい立っておる立毛、それから出るもみ、そのもみを政府との間に売買をするというのですから、これはもうりっぱな特定物の売買ということに解釈されるわけです。そうなれば、この立毛が生長中に風に吹かれて滅失したということになれば、その危険は政府にあるのではないですか。

宮川新一郎大蔵事務官(主計局次長)

○宮川政府委員 重ねての御質問でございますが、なるほど米の売買は特定物の売買でございましょう。米は自分の田でとれるものもあり、外からとってくる場合もございましょうが、米に関する限り特定物でございましょうが、物権の設定ではないと考えます。

木原津與志日本社会党

○木原委員 要するに売買は所有権の移転ですよ。所有権というのは物権じゃありませんか。売買ですから、所有権を政府に移転してしまう。そうすると物権の設定または移転でしょう。これは特定物の売買契約ということに当然なるわけなんです。

宮川新一郎大蔵事務官(主計局次長)

○宮川政府委員 大原委員の御意見に従いますと、およそ天下の売買契約は全部物権の設定、移転を伴う契約だということになってしまって、妙なものではないかと思うのです。

木原津與志日本社会党

○木原委員 売買というのは物権の移転ですよ。物権の移転のない売買契約なんというものはありませんよ。これはあなたのおっしゃるのが無理な話なので、物権の移転のない売買というのはどういうものを言うのですか、ちょっと教えて下さい。

西村健次郎法制局参事官(第三部長)

○西村政府委員 先ほど宮川政府委員から答弁がありました。私の答弁に対しては非常に御不満のようですが、減免の法律、特別会計の特例に関する第二条ですか、あれを審議する際の了解としましては、この契約条件の第十四項は天災のすべてを含む、要するにそういう特約である。私が先ほど申し上げましたようにそういう特約で、その差額はいかなる場合においても返してもらう、それに利子をつけてもらう。そういう特約が果して妥当かどうかというところが実際の議論の中心ではなかろうか、こう思うわけであります。  なお、これは余談でございますけれども、この特約について、あるいは天災等の場合においては利子はよろしいというような特約をつけるべきであったというような批判も、あるいはあるかもしれません。しかし、いずれにしましても、最初から申し上げました通り、これは木原委員の御賛成は得られないと思いますけれども、私の伺ったところ、私の聞いたところ、それから少くもわれわれの解釈といたしましては十四項に入る。従って天災の場合についても利子をつけて返さなければいけない、そういう特約は結ばれておるのだ。それをどう扱うかということがこの問題の点であろう、こういうように考えます。

木原津與志日本社会党

○木原委員 そういう天災の場合も、概算払い金と、それに対する利子を政府に返すのだという特約が結ばれておるとあなたはおっしゃるけれども、そういう特約が大体結ばれておるのですか、そういう特約がありますか、どこにそういう特約がありますか。

西村健次郎法制局参事官(第三部長)

○西村政府委員 それは十四項を見ますと、ごらんになっておわかりのように、「概算金の額に達しないときは、」ということをいっておるわけなんです。要するにその原因のいかんを問わず、すべてここに入るわけであります。そういうふうに私は少くも解釈し、これは立案者である農林当局もそうであると思っております。

木原津與志日本社会党

○木原委員 「米穀の価格の総額が概算金の額に達しないときは、」とただそれだけでしょう。「政府に引き渡した米穀の価格の総額が概算金の額に達しないときは、その達しない額に第二項に定める利息を加算した額を政府に返納しなければならない。」十四項はただこれだけのことなんでしょう。そうすれば、この「概算金の額に達しないときは、」ということを、天災の場合も何も一切を含むのだ、こういうようなことを言うものじゃありませんよ。そういう趣旨じゃありませんよ。

西村健次郎法制局参事官(第三部長)

○西村政府委員 今の木原委員のお話は、天災等の場合において、利子をつけて返せということは−いかにもあこぎなことではないかということが前提の御議論だろうと思うわけでありますが、それが適当であるか、ひどいことであるか、そういうことは別としまして、この規定、契約約款を読めば、私としては、およそすべての場合概算金の額に達しないとき、その原因のいかんを問わず、これはりっぱな特約である。そういう特約は天災の場合少し妥当じゃないのじゃないか。これは別の御議論であろうと思います。これは、この条項を見た限りにおいて、天災の場合も含まれる、私は解釈上は確信を持っております。

松原喜之次日本社会党

○松原委員長 横路委員から関連質問の申し出がありますから、これを許します。

横路節雄日本社会党

○横路委員 法制局第三部長、それから食糧庁長官にお尋ねします。昭和三十年六月二日に予約米制度が初めて農林水産委員会にかかりましたときの河野農林大臣の提案説明の中に、割当はいたしません。大体従来の実績がありますから、それによってこの程度の耕作者であり、この程度の家族であればこの程度のものは平年作の場合には政府に売っていただくことができるであろう、そこで契約を願うことにしたのです。こうなっておるのです。ですから、この予約米制度というものについては、あなたが言っておる売買条件の第十四項というのは、明らかに提案者である農林大臣は平年作を考えてやっておる。平年作で、そしてちゃんと飯米を差し引いて、種もみを差し引いて、その残りについてやるのだ。だから食糧庁長官のあなた自身も、大蔵委員会でも、この規定は悪意のものについて二銭五厘をとるのだと言った。法制局の第三部長のあなたの答弁は、そういうこの法の精神というものを全然御存じない。あなたはただ文字だけを読んでおるからそういうことになる。法にはやはり立法の精神があるはずなのだ。食糧庁長官、この点あなたはどうですか。その通りでしょう。僕は速記録を持ってきておるのです。

小倉武一食糧庁長官

○小倉政府委員 売買契約は、これは今お話しのように、大臣の説明にもございましたように、収穫前にいたすものでございますから、およそ平年作ということが前提になっておる。それから必要な保有米を差し引いたものがいわゆる予約の対象になるということは、まさにその通りであろうかと存じます。しかしながら、そういうことを前提にいたしまして売買契約をいたしました後におきまして、いろいろな事情、その中には天災、災害等が入るかと思いますが、さきに契約をしました数量のものを売り渡すことができない。従って、概算金を場合によりましては返還しなければならぬ場合が生ずることも争えないことと存じますので、そういう場合の規定が御指摘の第十四条だと思います。

横路節雄日本社会党

○横路委員 今の長官の前段はわかりましたが、後段の方は、第十四項の規定というのは、悪意のある場合には当然二銭五厘を払わなければならないということでおきめになったのですね。

小倉武一食糧庁長官

○小倉政府委員 生産者の悪意というような場合だけには限りません。悪意の場合は、多くの場合に食糧管理法の違反になるようなことが多いと思いますが、そういう場合だけに限りませず、いわゆる善意の場合、その他今お話しになっておりますような、やむを得ない場合も入ると解しております。

横路節雄日本社会党

○横路委員 それではおかしいじゃないですか。今度出された立法の精神は、この規定には、実は悪意の場合については二銭五厘を取るようになっている。ところがこれは悪意でない。いわゆる天災にあってやむを得ない。そこで法の不備だからあなたは出されたと思う。だからそれをひっくり返せば、売買条件の第十四項の後段の二銭五厘というのは、やはり悪意の場合なんだ。あなたは今までその論で大蔵委員会でやられてきたじゃありませんか。それを今になってだんだん法理論的な論究が進まるにつれて、売買条件の第十四項の前段については、悪意の場合でないのだ、あらゆる場合にも取ることの規定だということは、昨年の六月二日の予約米制度における農林大臣の提案の趣旨とは全然違うじゃありませんか。明らかに悪意の場合には二銭五厘でしょう。そうでなければ今度のこういう措置はおかしいじゃないですか。はっきり言ったらいいじゃないですか。あなたは今までその通り答弁してきておる。

小倉武一食糧庁長官

○小倉政府委員 今御指摘の条項は、悪意だけではございません。もちろん悪意でない場合がありまして、非常な大きな災害でやむを得ない場合が現にまた起ってきたわけでございますので、そういう不可抗力的に大災害がありました場合には、この条項の解釈とは別途に、別段の措置が必要であろうというのが、今御指摘のございました法案の趣旨であります。法案の趣旨とこの条項の解釈とはおのずから別でございます。

木原津與志日本社会党

○木原委員 また蒸し返しますが、この十四項の「政府に引き渡した米穀の価格の総額が概算金の額に達しないときは、」というのは、今横路委員から言われたような場合、あるいは悪意のある場合、あるいは農民の米穀に対する管理が不十分だったとき、平年作を予定して売買をしたのが不足するという場合のあったときの返納金の規定だとわれわれは見るし、またそう見ることがこの第十四項の条文の解釈の上からも当然のことなんです。それでこの中には、われわれがあなた方に追及している天災あるいは災害という場合の規定は何もされておらないのだと解釈しなければならない。それだから、そういう場合は何によるか、どういう法律によってこれを処理するかという問題が起ってくるわけです。そうすると結局その問題は、民法に戻って、どちらが危険を負担するか、天災等の場合の契約の目的物についての滅失、棄損の危険負担はだれが負うかということになるわけです。そうすれば民法に戻ってくれば、天災の場合は、私がさっきあげました五百三十四条の特定物に関する物権の設定、移転を目的とするものが、その売買契約が滅失または棄損した場合についての危険は債権者が負担する、すなわち政府が負担する、こういう理屈になるから、あなた方が概算金を払えとか、その概算金に利息までつけて払えということはどだいむちゃじゃありませんかということを私はお尋ねするわけです。

宮川新一郎大蔵事務官(主計局次長)

○宮川政府委員 ただいまの点でございますが、私はあくまでも、今度の米の売買契約と申しますものは、五百三十四条にいう特定物に関する物権の設定ではないと考えます。なるほど米は、米をとりますれば一つの特定物になりますけれども、この米という中に物権を設定して、限定してやっている契約ではございませんので、この五百三十四条の規定は、特定物、ある特定した物件に対して物権を設定した場合に不可抗力によって滅失なんかしたときは債権者、こういうことを言っておるのでありまして、一般的な米の売買契約はこの条項に当てはまらないものと考えます。

木原津與志日本社会党

○木原委員 あなたも御承知のように、米は日本では政府が管理しているものなんですね。作っているのは農民かもしれませんが、これを全面的に政府が管理しております。現在の生産制度の中で、農民は売り渡しの契約をすれば、その品物についてこれが風水害で滅失したらその品物をかえて、いわゆる代替物を持ってきて履行するというようなことは、現在の制度ではできないのですよ。こういった米穀集荷というような特殊な、ほとんど過酷に近いまでの条件をもって売買契約に縛られて、一粒といえども自由にならないというような現在の米の生産状況の中で、平年作を基準にして、自分の持ち田の青田をそっくりそのままもみの計算で売買契約を政府にした場合に、その品物が特定物の売買ではないというようなことをどうして言われますか。あなたの考えはまだどこか間違っていると思う。明らかに特定物の売買だということです。だから特定物の売買の危険負担は、債権者の危険負担という原則をあなた方に認めてもらわなければならぬと思う。あなた方はお役人の方ですから、なかなかはっきりしたことは言いにくいかと思いますが、この点については、概算金返還の問題についてゆゆしい重大な問題だと思いますから、もし何だったらあとでよろしゅうございますから、食糧庁、大蔵省関係者の統一した意見をもって納得のいくような説明をしていただかなければ、今言うようにぼうばくとした、あれも含むんだ、これも含むんだ、また特定物とは認めない、これは不特定物の売買だ、だから危険負担の場合は五百三十六条の債務者負担の原則で行くんだと、こういうようなことではわれわれとして納得できない。私どもの解釈をそのまま押し通していけば、天災の場合の危険負担は政府が負うので、今さら前渡しした概算払い金を返せというようなことは法律上理屈にならない。すでにあなた方がそういう金を今日まで取っておられるということになれば、政府こそ不当利得で、今まで取った金は返してもらわなければならぬ、こういうようなことになるのでございますから、どうかこれについての解釈を一つ政府で統一して、その上で答弁していただきたい。(「統一しておるのだ」と呼ぶ者あり)統一になっておらぬ。

宮川新一郎大蔵事務官(主計局次長)

○宮川政府委員 どうも同じことを繰り返すようで恐縮でございますが、私は木原委員の御説には賛成いたしかねますけれども、なお食糧庁等とももう一度念を入れて検討いたしましてお答えを申し上げます。

松原喜之次日本社会党

○松原委員長 横路委員から関連質問の申し出がありますから、これを許します。横路委員。

横路節雄日本社会党

○横路委員 一つだけ宮川次長に聞きますが、私はやはりこの精神を生かして、通常国会で一これは十二月三十一日または一月三十一日までになるのだが、その後の問題がこの法律案でははっきりしないのです。今の木原委員のあなたに対する質問とは別な意味、別な角度で……。北海道、東北ならば一月一日以降、その他の府県は二月一日以降の問題がはっきりしないんですね。私は、あなたの方で出されたこの法律の精神からいけば、また通常国会にこれと同じものをお出しになるのかどうか、それをちょっと聞いておきたい。私はこれを出された法の精神からいけば、それが妥当でないかと思う。私の意見をまじえないで、その点一つお尋ねしておきたいと思います。

宮川新一郎大蔵事務官(主計局次長)

○宮川政府委員 私どもの見解は、五百三十六条の関係におきまして、米を納めることができなくなった人は、その代金をもらえない。ただ、もらった概算金は、これは利息をつけて返していただくのが至当である。ただいま横路委員が御指摘になりました農林大臣の趣旨説明書、私よく存じませんけれども、これは御承知のように、日本の国は毎年々々大なり小なり災害があるのでございまして、農林当局におきまして、農家、売り主との間に契約を結びまして、そして公表いたしました売買条件というものは、災害を含んで規定されておる、私はこう考えております。しかしながら、今回のように非常に災害がひどいところに対して同じような考え方で臨むのは酷であるということから、御審議をお願いいたしておりまする法案を提出したわけであります。従いまして通常国会におきまして、これと同じような法律を出そうという考えは今のところ持っておりません。ただ来年また同じように災害が起りました場合にどうするかということになりますと、やはり同じような立法をする必要が生じてくるのではないか、かように考えております。

横路節雄日本社会党

○横路委員 私は、あなたの方で出されたこの法の精神ですね。前の論議の蒸し返しをするのではないのですよ。あなたの方で出された十二月三十一日、一月三十一日までのものについては、政令で定める地域、それは個人ですが、全免あるいは軽減する、それ以降のものについて、私はこの法の精神からいけば、やはりこれと同じようなものを出すべきだと思うのです。出すべきだと私は思う。食糧庁の長官ね、この点はっきりしておるようで、ここではあなたの方からの説明はないのですよ。この前私が聞いたときに、答弁の形であったのだが、これは一体どういうようになっているのですか。これはどうするのですか。

宮川新一郎大蔵事務官(主計局次長)

○宮川政府委員 二銭五厘の利息をつけまして概算金を返納いたしました場合には、農家に債務がないわけであります。従って一月とか二月以降の二銭何厘の問題は起ってこないのじゃないかと考えます。

横路節雄日本社会党

○横路委員 それは主計局の次長、ちょっとおかしいです。今金が払えないから問題になっておるのです。あなたの方の、金の払える者について利子がとれるかとれないかという論拠ではないのですよ。全然その二千円がとれないのですよ。そのものを聞いているのです。あなたは話が全然違う。

宮川新一郎大蔵事務官(主計局次長)

○宮川政府委員 非常に失礼いたしました。私の議論は少し飛躍いたしましたので……。この法律の規定する以外に、営農資金の方の貸付を行うことを考えております。これは法律を要せずして、予算上の措置でもってできると考えております。

横路節雄日本社会党

○横路委員 それは違うのではないのですか。営農資金は天災法の融資による、暫定法によってそれはされるわけです。それは来年度の営農資金だから……。これは予約米の前渡金の問題ですよ。予約米前渡金です。これについての一月一日以降、二月一日以降はどうなさるのですか。これは営農資金ではないのです。

宮川新一郎大蔵事務官(主計局次長)

○宮川政府委員 天災融資法によりまする営農資金に準じた金融措置を考えております。これは法律を要せずしてできるものと私どもは今のところ考えております。

横路節雄日本社会党

○横路委員 私はその点は長官にお尋ねしますが、今かりに宮川主計局次長のように、天災融資法に準じてやるという場合には、この中に都道府県の負担区分があるのですね。これは、営農資金については法律できめたからそれでいいのだが、予約米前渡金については政府と個々の農家が契約した。それを今主計局次長のように、これに準じてやれば都道府県が負担することになる。国と個々の農家が契約してやったものについてのその利子の負担をかりに農家がする場合において、それを一体何で地方自治体が負担しなければならないのですか。その法律的な根拠はどこにあるのでしょう。その点はどうですか。宮川さん、どうですか。法律的根拠はどこにある。政府と個々の農家がその売り渡しについて契約をした。もしもあなたの方でその売買条件、売買契約書をたてにとって、農家から取るなら取るというあなたの建前を押すにしても、その利子の一部を地方自治体に負担させるという法律的な根拠はどこにあるのですか。

宮川新一郎大蔵事務官(主計局次長)

○宮川政府委員 いろいろの補助金の中には、法律に基かずして政府も負担する、受益者も負担する、地方団体も負担するという仕組みになっておるものも多々ございます。従いまして、天災融資法に準じた金融措置を講じまして、国が二分の一を持つが、道が——道と申しますか、地方団体も二分の一を持ってもらいたいということは、補助として私は可能ではないかと考えます。

横路節雄日本社会党

○横路委員 宮川さん、それは地方財政法の違反ですよ。地方財政法の第二条と第十二条の中にはっきりとそれは違反となっておる。新たに国が地方公共団体にそういうものをやる場合においては、財政的な負担をしなければならない。自治庁では、そういうものは特別交付税ではやれないと言っておる。また交付税の性質から、これは利子補給金、利子の補助金ですよ。ということは交付税並びに特別交付税の性質から言ってできないのです。だから、できないものをやるということは明らかに地方財政法の違反ですよ。違反をどうしてあなたの方ではおやりになるのですか。国がきめた法律、地方財政法の違反をどうしてあなたが新たにおやりになろうというのですか。——なかなか意見もまとまらないようですから、この次にしてけっこうです。私に対するものは、この次までに大蔵省と農林省の方でよく意見を調整して、そうして今私がはっきりと申し上げたように、この法律の建前でやっても、そうやることは明らかに地方財政法の第二条と第十二条の違反行為なのであります。違反行為を今地方団体に押しつけるようなことは、一つやめてもらいたい。これはぜひ次の機会に意見をまとめて、答弁していただきたいと思います。

松原喜之次日本社会党

○松原委員長 横山君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 この間この法律案に関連して私が質問をいたした点で、二点ばかり保留になっておる問題と、それから追加の質問をいたしたいのであります。一つは大蔵省に預けてあります点ですが、宮川さん、あなたこの間の事情を聞いていらっしゃいましたか。麦の値段です。

宮川新一郎大蔵事務官(主計局次長)

○宮川政府委員 ちょっとおくれましたけれども、大体伺っております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私がこの間言ったことは、農林大臣は麦の値段を下げると言っておられる。農林省を代表した長官もそういう方向で検討しておると言われた。ところが大蔵省は、政務次官の言われることは、生産者価格と消費者価格を勘案するというような、ややあいまいな言葉でありました。しかも方向が逆の方向を向くかもしれぬというような感じを受けたのですが、それではいかぬから、農林省と大蔵省とよく連絡をして、統一した見解を出してもらいたい、少くとも今日の状態から言うと、これは緊急の問題であるから、麦の値段を下げるという点について、一つ大蔵省の統一した見解をまず第一にお伺いいたしたい。

宮川新一郎大蔵事務官(主計局次長)

○宮川政府委員 現在の麦の価格が米の価格に比較いたしまして割高になっておりまするために、その消費がおくれておる、従って精麦業界も非常に困惑を来たしておるという実情にあることは、私どももよく承知いたしておるのでございますが、ただ食管内におきまする麦の勘定だけを見てみましても、大麦、裸麦、小麦、いずれも国内産麦につきましては、政府の買い入れ価格と売り渡し価格とのギャップがあるものですから、赤字を生じておる。輸入の大麦につきましても、同じく赤字を生じておりまして、相当巨額の赤字になっておるという状況でございます。従いまして、麦の値段を適正にするということももちろん考えねばならぬことでありますが、財政的見地から、こういう麦の関係で起って参りまする勘定の赤字というものが消滅するような全面的な検討もあわせて講ずる必要があると存じておりまして、本日までにただいま横山委員の御指摘になりました引き下げにつきましての結論も、大蔵省としてはまだ出ておりません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 それではどうも約束が違うのですよ。きょうはっきりと、これだけだという話を聞こうというわけでは必ずしもないわけです。しかし少くともまずここに政府部内の方向を一定してもらいたい、そうして生産者、消費者、それから精麦業者の不安を少くとも大半これを解消しなければならぬのである。現に操業率が二割だとか三割だといわれ、倒産が続出しておる今日においては、緊急の問題だからやってもらわなければ困る。どうも考えるところによれば、内閣がかわる前だから、予算の問題は一切あとだという点がほのかに見えるけれども、それとこれとは話が違うのだから、一つこの点については、大蔵省も即刻やってもらわないと困る。こういう点が国民の中に起っておる問題なのです。今あなたが言われる逆ざやの問題については、これはテクニックの問題で、解決できない問題ではないわけです。こんなことは方法論の問題で、本質論ではないと思う。本質論として、あなた方がおっしゃる財政的見地という点は、確かに本質ではあろうと思う。しからばその財政的な問題について、じゃこのしわ寄せを農民に、あるいは消費者に転嫁すべき事由があるであろうかとなると、そもそもここまできたゆえんのものは一体どうした原因かといえば、明らかにここまで押し詰めてしまったことは、政府が米にやや偏向した価格政策をやったからではないかという点を、この間次官にも食糧庁長官にもきつく言ったわけです。そういう原因というものがわかってこの結果にきているのであるから、この際、総合的に見ればいろいろな議論はあるけれども、直接今自分のまいた種を政府が刈り取るべき段階であろう、こういうわけなんです。もう一回宮川さん、あなたきょうかりにきめてないなら、一体いっころにはそれがきまるのか、またいっころには農林省と話がきちんとできて、そして方向を発表し得るのか、こういう点についてはっきり言って下さい。

宮川新一郎大蔵事務官(主計局次長)

○宮川政府委員 できるだけ早く方策を決定すべきだと思いますが、来年の産麦についてどうするかという問題になりますと、相当大きな問題でございまして、とりあえず本年の十二月中ある程度下げるかというような問題につきましては、あるいは結論が早く出るかもしれませんけれども、来年産麦の買い入れ価格をどう持っていくか、売り渡し価格をどう持っていくか、これに関連しまして何らかの畑作奨励的な措置を講ずるかというようなことになって参りますと、予算編成上のキー・ポイントになって参りますので、おそらくそう急にはこの結論は出ないと思いますが、ただ事務当局としての考え方につきましては、せっかく食糧庁長官ともよく相談いたしましてできるだけ早くそういう方向をきめるように努力をいたしたいと考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 それじゃ長官にお伺いいたしますが、さしあたり暫定的な方法を設けることと、それから来年産麦の根本的な方向について分けて考えるという点については、あなたの方としては、これについてやはりそういう方向を考えておられるのかどうかということがまず第一です。それをお伺いします。

小倉武一食糧庁長官

○小倉政府委員 今お話もございましたように、麦の政府の売り渡し価格を下げるということにつきましては、関連して検討を加えなければならぬ点が非常に多々ございまするので、急いではおりまするけれども、速急にはなかなか結論が出にくい状況でございます。従いまして、いろいろ措置すべき中で、場合によりましては、当面下げるべきものから実施していく、こういうこともあろうかと思いますが、どういう方法を、いつやるということにつきましてもまだ検討中でございまして、いましばらく御猶予を願いたい、かように存じます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 肝心かなめのあなたの方がそういう何といいますか、非常にふがいのないものの言い方をしておられたのでは、話の解決は私はなかなかつかないと思う。あなたの方は精麦業界の苦情を一手に背負って、早く解決をしなければならぬ立場にあるのですよ。そのあなたが何だかよけいにぼけたような御答弁をなさったんでは、これは非常に責任問題だと私は思う。  それに関連してちょっとお伺いするのは、この間私が業界全般の問題として、単に調整をして設備の制限をするだけでは話がつかなくなって、企業整備を自主的にするんだ、こういう話をしたら、あなたの方じゃ、聞いておる、その企業整備については自主的にやらせて、なるべく協力的にやりたいと思っている、補助金も出してやりたいと思っている、ただしそれは自主的にやらせるのだから、法律は作らぬことにするという話でした。考えてみますと、それじゃ、一体それだけやるについては、これを要望通りにいたしますと二十数億くらいかかるでしょうが、そのお金というものは、一体どうして捻出なさるおつもりでしょうか。また本年度内にそれは一体できるものなんでしょうか。私はその点を非常に不可解に思うわけです。かりに本年度内にできないとするならば、来年度の予算ということになるでしょう。来年度の予算ということになると、この企業整備は来年度に入るわけですね。来年度に入れば、これはまた新麦の段階に入ってくる、そうすると、自主的な企業整備なんというものは、また新しい角度に変ってしまうということを私はおそれるわけです。もしもあなたがほんとうにこの麦の値段を下げて、そして設備制限や企業整備を根本的にやるというならば、時期を失さず、業界の気持が一致しておるときに、敏速にやらなければその効果を失うものではないかということを私は案ずるのです。長官はその点を一体どういうふうにお考えになるのですか。

小倉武一食糧庁長官

○小倉政府委員 仰せのように、業界の気持の盛り上りの時期、そういう時期にぴったり合ったときに、政府の施策もよろしきを得なければならぬということはごもっともでございます。私どももできるだけ早期にそういうことをいたしたいと思いますが、お話しのように予算もわずかでございますので、ただいま部内で予算の点について検討をいたしております。なお法律を要するか要しないかという点については、今御指摘のように、この前法律を作らないでやりたいと申し上げましたが、これはなおお話もございまするので、法律を制定することの是非等についても、ただいま検討いたしております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 簡単に伺いますが、その企業整備について、予算的措置を講ずるということは、本年度の問題だと思っているのですか、来年度の問題だと思っているのですか。

小倉武一食糧庁長官

○小倉政府委員 企業整備の実態につきましては、これは法律なり予算なりの裏づけがあるかないかは別としましても、どうしても業界自体の自主的な推進、実行ということが主体にならざるを得ないのでございまして、いつからと、こういうことを特に限って発足する必要はないかと思います。私どもといたしましても、法律なり予算の問題になりまするとおのずから時期がございますので、私どもは、業界の実質的な企業整備の着手よりは若干おくれることがあるかと思いますけれども、そのために、せっかく盛り上った企業整備に対する機運をそこなうということのないようにぜひいたしたい、かように存じております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私の聞いているのは、予算の準備をするのは本年度内になさるつもりか、来年度の話として想定をされているか、こういうことです。

小倉武一食糧庁長官

○小倉政府委員 予算の年度ということでございますれば、企業整備に対する必要な予算についてただいま考えておりますのは、三十二年度、来年度の予算の一部として考えておるわけであります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そうしますと、さっき私が言いました、業界としても新しい麦の段階に入るのであるから、もう少しぐらいは息をつないでという気持が必ず起ると私は思うのですが、あなたは、そういう点については心配をしておられぬのですか、それとも今年度の予算としては無理だからということで来年度に考えざるを得ない、こういうのですか。

小倉武一食糧庁長官

○小倉政府委員 だいぶお話が具体的になっておるのですが、実は予算案自体を研究しておりますので、それをいつどういう格好で出すかというまでは、なお十分検討が進んでおりません。おそらく来年度ということになろうかと、こういうふうに思っておりますけれども、中身につきまして、まだ農林省といたしましても決定はいたしておりません。そういう段階に実はあることを御了承願いたいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 宮川さんに最後にお伺いしますが、今のお話で、まだいつのことだかわからぬという感じがいたします。けれどもこの問題については、かねがねもう各層の中から問題になっておるところであって、内閣のかわるかわらぬはともかくとして、緊急の問題なんです。少くとも私は、この臨時国会中にこの問題についてのある程度の方向が決せられなければうそだと思うのです。そういう点について、あなたの方としてどういう準備をされておるのか。かりに大体の暫定的な措置にしろ、いつごろきまるのか、この点についてもう一ぺんはっきりと大蔵省の方の考え方を最後に承わりたいと思います。

宮川新一郎大蔵事務官(主計局次長)

○宮川政府委員 この点は、先ほどもお答え申し上げましたように、農林当局においても総合関連問題といたしまして全面的に検討されている段階でございます。大蔵省といたしましても、農林省を差しおいて、こうしたらどうだと言うわけにも参りません。臨時国会中に政府としてこういう対策でいくということがきまりますかどうか、これは私、お約束をいたしかねますけれども、事務当局としての考え方は、できるだけ早くするように努めていきたい、こう考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 最後ですけれども、あなたの今のお話に突っかかるわけではないのですが、農林省を差しおいてと言っておりますけれども、農林大臣はすでに公けの席上で、麦価を下げるということを天下に表明しているわけです。これは単に普通の席ではなく、公式の席上で言っておる。農林省の態度はきまっておるわけです。大蔵省の態度がきまっていないから、もたもたしているわけです。従ってあなたの方としては、もう農林省の態度がきまらぬという段階ではなしに、すぐに話を始められて、きめようとすればきまる段階なのです。この点を十分に御了察のして、すみやかにきめてもらうことを要望して私の質問を終ります。

松原喜之次日本社会党

○松原委員長 議事進行について発言を求められておりますので、これを許します。奥村君。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 ただいま提案の政府提出の法律案並びに本委員会所管の審議事項について、ただいまでまだあと数名の質問者が予定されております。しかし午前中、とても議了できないと思います。午後引き続いて審議を進められたい。もし午後引き続いた審議ができなければ、明日審議を続行するようにお願いを申し上げます。当委員会には重要な法律案が多いし、また税制の根本的な改正につきまして、相当重要な質疑事項が山積していることでありますから、委員長においてお取り計らいのほどをお願いいたします。

松原喜之次日本社会党

○松原委員長 それではこの際暫時休憩をいたします。    午後零時三十九分休憩      ————◇—————   〔休憩後は開会するに至らなかった〕

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