国土総合開発特別委員会 第8号
- 発言数
- 71 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1956/12/05
会議録
○廣川委員長 これより会議を開きます。 前会に引き続きまして、東北開発に関する件について参考人より御意見を承わることにいたします。本日御出席の参考人は、大日本水産会常務理事石井省一郎君、農地開発機械公団理事土屋四郎君、森永乳業株式会社酪農部長鈴木市郎君、日本高周波鋼業株式会社取締役中村武晴君、東北パルプ株式会社社長高田良作君であります。なおフジ製糖の松沢郷司君は所用のためお見えになりませんで、農務部長の佐野伝四郎君が出席されておりまするので、この際同君を参考人といたしまして御意見を伺いたいと思います。御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○廣川委員長 御異議なしと認めます。さよう決します。 この際一言申し上げます。参考人の方には、御多用のところ御出席下さいまして、厚く御礼申し上げます。本委員会はただいま東北開発に関する問題を調査中でありまして、すでに二回にわたり、東北各県知事、電力、金融関係等から参考人を招き、御意見を伺ったのでありますが、本日は地方産業の関係の方々をお招きし、忌憚のない御意見を伺い、調査の参考にいたしたいと思っています。御意見開陳の時間はおおむね十五分程度とし、東北開発に関し、各自の立場から概括的に、かつ重点的に御説明下さいますよう御願いいたします。なお御意見発表の後、委員側から質問もあろうかと思いますから、お含みの上お願いいたします。その順序は、中村君、石井君、土屋君、鈴木君、高田君、佐野君の順序でお願いいたします。議事の進行上、皆さんの御意見開陳が一応終ってから委員からの質疑に入りますが、中村参考人は所用のため急ぎますので、同参考人のみは御意見発表後、直ちに質疑に入ります。 それでは中村参考人。
○中村参考人 日本高周波の中村でございます。 本日お招きにあずかりまして、東北地方総合開発に関連しての電気銑部門よりの意見を述べろとということで参ったわけでありますが、砂鉄の増産に関連いたします御調査につきましては、国土開発あるいは砂鉄増産対策委員会その他たくさんの委員会によりまして、本年夏ごろより御視察になったわけであります。御承知の通り、東北地方におきましては、相当量の砂鉄が埋蔵されているわけであります。ことに淋代地区あるいは天間、あるいは陸奥湾を控えます一帯の地方におきまする砂鉄の埋蔵量は、われわれの推定といたしまして、数億トン埋蔵されているのではないかというふうに存じております。 御承知のように、東北の砂鉄は浜砂鉄と山砂鉄に分れまして、大体陸奥湾一帯にありますもの、それから淋代一帯にありますものは、主として海岸砂鉄でありまして、天間あるいはその他の地方にまたがっておりますものが山砂鉄であります。今までの調査でわかっております数量は、大体一億トン程度のものが調査の結果、わかっているのであります。二十八年の未利用資源調査によりまして、一応数字が明らかになっておりますものが、大体六千万トンでございます。これは大体磁着一五%の品位におきます計算でありまして、これをさらに一〇%に落したといたしました場合は、さらに増量される結果になるのであります。この砂鉄を中心にいたしまして、電気銑が東北地方に発達しているのでありまして、これは終戦以来細々とやっておりましたが、その後特殊電気銑、いわゆる低燐銑、あるいはベース・メタル、あるいは低硫低銅銑という特殊な銑鉄の要求が業界から非常に多くなりました関係上、急速なる発達を遂げまして、二十八、二十九、三十年と年次を追いまして、非常なる増加を来たしているわけであります。 御承知の通り、日本の電気銑の総生産量は、二十八年度におきましてはわずかに十万トン程度のものでありましたが、それが数年を出ずいたしまして、昨年大体十五万トン、本年の推定といたしまして二十万トンの電気銑ができるだろうという見通しを立てているのであります。これは上期の実績からいたしまして、二十万トン程度の電気銑はできるものとわれわれとしては確信いたしております。この電気銑の急速なる増加は、特殊なる用途に使います関係上、わが国にとりましては非常に大きな役割を持っているのであります。数量的には高炉銑に比較いたしまして、わずかに二十万トン前後の現状ではありますが、将来はこれは三十万トンになり、あるいは五十万トンに伸びていく可能性が多分にあるのであります。御承知の通り熔接棒あるいは造船業の曲軸、あるいは推進軸、連接棒その他高級鍛鋼品になりますベースの銑鉄は、ほとんど電気銑が主体になっております。現在不足分はスエーデンあたりから木炭銑を輸入いたしまして、これを補っているわけであります。現在の状況からいたしますと、その必要量はさらに増加していく傾向であります。従って、われわれ電気銑メーカーも、この産業界の一般要望にこたえまして、さらに増産の態勢を進めたいということで、本年本格的に電気銑の増産態勢を組んだわけでありまして、日曹製鋼、東北電気製鉄、東北電化、あるいは当社の高周波、それぞれ増産態勢を組んでおりますが、三十二年度のわれわれの生産目標といたしましては、約三十六万トンの計画を樹立しております。 しかしながら、この三十六万トン生産につきまして、一番問題になってくるのが電力であります。御承知の通り電力は、本年度の発電その他のいろいろなる調査によりまして、先般来からいろいろと打ち合せを進めております。その結果によりますと、大体全国的に見ますと、約二十七億キロワットの電力が不足になっておりまして、特に東北地方だけを取り上げて申し上げますと、これは単に電気銑のみならず、全般の東北地方の産業の必要電力量でありますが、約十一億キロワットの電力が不足であります。この十一億キロワットの電力をいかにするかということで、われわれとしても苦慮いたしているわけでありますが、電力会社あるいは通産省、その他関係所管の方々の御尽力によりまして、東京電力あるいは中部、関西と、それぞれ融通の問題を今取り上げまして、この交渉を進めております。しかしながら十一億キロワットの電力は、われわれの見通しでは、埋め合わすことは現状ではなかなか困難ではないかというふうに考えております。従って、われわれが立てております三十六万トンの三十二年度としての電気銑の計画は、この電気の事情のために、なかなかむずかしいということを予想いたしております。しかしながら、われわれといたしましては、最善の努力を払いまして、しかも産業の重点度に応じた電力の配分の問題について、特に声を大にしているわけであります。東北電力におきましても、東北地方の電力不足のために、それぞれ火力発電あるいは水力の設備の増加をはかっているようでありますが、産業の伸展度に応ずる電力の増加は、先般国家が樹立いたしました自立五ヵ年計画の上昇数字に比較して、非常に大きな飛躍をいたしました関係上、電力の供給はだいぶずれている現状であります。従って、われわれから申し上げますと、産業の伸展の度合いについては十分御審議を願いまして、ことに産業の基幹となります電力のあり方については、十分なる御検討をお願いしたいと存じております。 ことに東北地方におきましては、いわゆる鉄源は非常に豊富であります。またこれを溶かしまする補助材料と申しますか、コークスあるいは石灰、あるいはマンガン、これも比較的豊富でありまして、電力がこれに伴いますと、この電気銑工業は、私は将来非常に大きく伸びていくのではないかというふうに存じております。ことに採鉱いたしますコストにいたしましても、外国の鉱石その他と比較いたしまして、非常に安い価格で採掘できるということがこの電気銑の強みでありまして、たとえばインドのタタール鉱石などと比較いたしますと、問題にならない安い価格でマイニングができるわけでありますから、せっかくありますこの鉱量を十分に生かしまして、いわゆる特殊銑、電気銑を大いに増産さしていただきたいというふうに考えております。 こう申しますと、これは単に電気と砂でやるというだけの話のようにお聞えと存じますが、しかしながら、産業の伸びはそれだけにとどまりませず、これに関連いたします諸産業が興ってくるわけでありまして、ことにそれらを助けます一番大きな問題としては、われわれが東北地方で常に感ずる問題として、いわゆる道路と申しますか、交通網の整備が必要ではないかと私は存じております。ことに八戸を中心にいたします鉱石の輸送に関連いたしまして、道路網の整備ということは、私、電力と同時に取り上げていただかなければいけない問題ではないかというふうに考えているわけであります。ことに、三月から四月の後半にかけまする泥濘時におきましては、ほとんど交通が途絶するという状態でありまして、特に八戸-淋代間の道路は、数地点は舗装はしてありますが、あとは全然舗装されてない。そして火山灰の土質であるために、雪解け時におきます交通は困難を来たしまして、ことに淋代の一川目、二川目、三川目、四川目と続いておりますが、六川目までの区間におきましては、相当に困難なる状態を呈しているわけであります。当社の来年度の計画から見ましても、少くとも運びます砂鉄は約十万トン近くになるわけでありまして、トラックに換算いたしまして、延べにして九千台のトラックを使うわけであります。従って、国道によります――あるいは県道その他で、トラックの通過回数によって、それぞれのいわゆるクラスがあるように聞いておりますが、少くとも一日二百台以上のトラックが通行いたしますところは、十分に路面を修整していただきまして、一年を通じまして交通の途絶の起らないような道路構成というものをお願いしたいというふうに考えております。この約一ヵ月半の交通途絶のために、特別なる原料手配をしなくてはならないというふうな状態に追い込まれておるのが、現在の青森県を中心といたします砂鉄工業のあり方でありまして、雪が降り、道が詰まる、原料は少くとも二ヵ月ないし三ヵ月特別なる貯蔵をして、資金を寝かさなければならないというのが、東北の現状ではないかと思っております。そうした事情を一刻も早く取りのけてもらいたいと存じまして、また、われわれ業者といたしましても、極力この面につきましては協力をさしてもらい、また一部の経費を負担さしていただいてもいいのではないかということろまで考えております。昨年あたりは、日曹製鋼、高周波鋼業は、それぞれ人間を出しまして、県の道路の舗装のために援助しておるというふうな事情であります。またトラックその他バラスを運びます機関にいたしましても、われわれの方から御援助申し上げて、道路補修をやっておるというのが現状でございます。 今申し上げましたように、電気の問題と交通網の整備によりまして、東北のあり方が一応の形を整えるということになりますと、電気銑の生産におきましては、おそらく日本の八〇%を東北地方が占めるのではないか。御承知の通り、北陸方面でも、富山を中心といたしまして盛んに電気銑は作っているのでありますが、この原料は東北並びに北海道方面から回しておるわけでありまして、ことに青森県から行っております砂の量は非常に多いわけであります。従いまして、地元でもって銑鉄を作るということは、事業のあり方といたしまして当然のことと考えられますので、先ほど来から申し上げております電力の問題、道路交通網の整備、これは焦眉の問題としてぜひ取り上げていただき、国土開発の一環といたしまして御審議を願いたいと存じております。 なお国家の鉄鋼計画その他につきましては、それぞれの計画が発表されておりますから、省略さしていただきますが、このちっぽけな電気銑というものが、いかに大きな役割を持っているかということにつきまして、最近までは比較的御認識が浅かったではないかというふうに存じ上げます。と申し上げますのは、いわゆる高炉銑は絶えず大きな数量が動いております。八幡、富士、鋼管、これがいわゆる日本三大の銑鉄メーカーでありますが、特殊銑となりますと、まことに細々とした生産でありまして、従来は冬眠経営と申しまして、電気のあるときに仕事をして、電気のないときには仕事を休むというのが、大体電気銑メーカーの通例でございます。しかしながら産業の伸びに対しましては、そうしたあり方は当然許されないことになって参りまして、年を通じましてコンスタントな動かし方に持っていきたいということで、われわれは努力しているわけでありますし、また二千キロ、あるいは三千キロの小型炉でもってやっておりましたものが、原単位の引き下げ、コストの引き下げ、その他の問題、いわゆる競争場裏に十分耐え得る態勢を整えるということで、大型の炉に移行いたしまして、われわれの方でも七千五百KVAの電気炉を目下建設中であります。これは来年三月を期しまして完成し、四月から操業に入る態勢になっておりますが、だんだん大型化になる。そうしますと、原料の消費量も多くなる。これに関連します電気の消費も多くなるということで、先ほど申し上げました道路網の整備と電力の問題は、ぜひ御審議を願いたいと思います。 そのほか、いろいろこまかい問題があるわけでありますが、私の方といたしましては、お手元に大体八戸工場の概況を一応パンフレットにしておきましたから、ごらん願いたいと思います。またその他の電気銑を中心といたしましての問題につきましては、はなはだ失礼でありますが、十分ないし十五分程度、御質問にお答えさしていただきたいと思います。
○松田(鐵)委員 砂鉄というのは、一体何に使うものですか。
○中村参考人 何に使うと申し上げますと、結局銑鉄になるわけなんです。砂鉄銑は、御承知のように鉄できらいます銅分が非常に少いわけです。これが、いわゆる特殊銑として業界から非常に買われておるゆえんでありまして、高炉銑は、御承知のように鉱石に含まれる銅分が高いために、良質の銑鉄ができないというような事情で、買われておるわけであります。
○松田(鐵)委員 私ども北海道へ汽車に乗って帰るときに、砂鉄をとっているのをよく見るのですが、あれは土地を掘り返してとっているわけですけれども、そうすると、深さというものがあるわけですね。淋代地区やそういうところの深さがどのくらいあるのか、また、とったあとを農地になるように整地しておるのか、こういう点あなたの方はどうなっておりますか。
○中村参考人 深さにつきましては、いろいろ山砂鉄あるいは海岸砂鉄によって違うのでありますが、当社の淋代鉱区といたしましては、大体一番厚いところが三メートル、それから薄いところは大体五十センチ、三メートルないし五十センチの幅を持って、途中に帯状にあるわけであります。 それから、先ほどお話がありました深さのことで、山砂鉄の問題でありますが、山砂鉄は、深いのになりますと、四メートルから五メートルのものがあるわけであります。また浅いのになりますと、これも大体一メートルあるいは一メートル五百という層になっておるものがずっとあるわけであります。だから、表土をとりまして、その層だけをとって、選鉱するということになるわけであります。従って、海岸砂鉄は先般も廣川先生にも見ていただいたんですが、これはマイニングとしては鉱山の中に入らない。いわゆるホースでもって砂を落して、サンド・ポンプで引き上げ、そして磁選機にかけて、珪砂と砂鉄とを分離するということであります。山砂鉄は御承知のようにブロックになる。これはなかなか砕けにくい。これをクラッシュいたしまして、さらにそれを水洗いたしまして、次に水と一緒に磁選機にかけてセパレートするというのが、大体山砂鉄の特徴であります。そして山砂鉄は表土剥離のために、非常に費用がかかる。それから層が非常に深い場合に、縦坑を掘らなければならない。これは御承知のように東北さんの天間の鉱山などでありまして、縦坑を大体三十メートルくらいおろしまして、横穴を掘っていくという炭坑掘りになるわけであります。普通の状態は、表土を開さくいたしまして、それから掘るというのが常態なんです。深いものは全部そういう方式で掘る。従って、海岸砂鉄のコストと比較いたしまして、数倍のマイニング・コストがかかるというのが、大体山砂鉄の状況であります。 それから私の方の淋代の鉱区は、パンフレットに書いておきましたが、総面積は大体六百十万坪であります。これで、現在までに調査いたしました結果によりますと、大体精鉱品に換算いたしまして、四百五十万トンという推定数字をおろしております。
○松田(鐵)委員 その掘ったあとの――海の中からとるのは、ポンプでとったらいいでしょうが、平なところからとるとき、農地との関係はどうなっておりますか。
○中村参考人 このマイニングしましたあとの、いわゆる残土処理でありますが、その残土処理は、海岸砂鉄におきましては、風浪その他によりまして、掘ったあと全部埋めてもらう場合もありますけれども、私の方といたしましては、掘ったあとにつきましては、ブルドーザーを使いまして、排土による整地をやっております。従って、掘ったあとを全部埋めておるわけであります。初めの通りの形にしておるわけであります。
○松田(鐵)委員 農耕地からとる場合、耕地の転用許可なり何なりをとってやるのですか。それともまた、そこのものを農民から買って、整地をやるということを約束してやるのですか。
○中村参考人 これは一応いわゆる補償の問題になりまして、農作物をやっておる場合、その下に砂鉄がある、だから、一応補償してくれというので、坪当り幾らという補償料を出します。一応そこを掘りまして、掘る場合に表土を別の場所に運んでおいて、それをとってしまってから、その表土をもとの通りに返すというやり方をとっておるところもあります。それから、一応補償料だけ出せば、それでまずおさまる、それで大体の整地をするというやり方等、いろんなやり方を各メーカーさんはとっておるようであります。
○松田(鐵)委員 砂鉄の鉄分というのは、大体何パーセントくらいあるんですか。
○中村参考人 砂鉄の鉄分は、粗鉱にいたしまして――粗鉱と言いますと、砂が入っておるものですが……
○松田(鐵)委員 砂を除いたもの。
○中村参考人 砂を除いたものは、大体五〇%ないし六二、三%というのが、砂鉄の品位であります。Fe換算です。
○竹谷委員 ただいま中村さんのお話を承わりまして、東北地方ことに青森県並びに岩手県北部における砂鉄の埋蔵量は数億トンに達する、しこうして非常に安い、よい特殊鋼ができるということで、まことに御同慶に存ずるのであります。ただ電気が足りない、こういうことであります。今、八戸に東北電力が火力発電所を建設中であるようでありますが、これが完成をしたときに、その電気のうち、どのくらいが電気銑のために使えるものであるか。そうなれば、電気銑の生産量はどのくらいにふえますか。
○中村参考人 ただいまの御質問、非常にむずかしい問題でありまして、八戸地区には、七万五千キロ二基の十五万キロワットの火力発電が三十三年の七月、三十三年の十二月にまたがりまして、一応完成するわけであります。これによりまして、われわれの受けます恩恵は幾らかというお話ですが、これは非常にむずかしくありまして、これに並行した水力の設備の増加もあるわけであります。われわれが今予想しておりますのは、少くとも現在立てておりますわれわれの計画の大体七〇%ないし八〇%程度満たしていただけるのではなかろうか、というふうに考えております。といいますのは、産業の伸びが非常に大きく伸びております関係上、常時化される電力が非常に多いということで、われわれの希望を満たしていただく数字にはなかなか達しない。従って、われわれの方といたしましては、さらに十五万キロを三十万キロ、倍の火力に持っていってもらいたいということを、東北電力へ行くたびに話しておるわけでありますが、なかなかむずかしい問題ではなかろうか。従って、三十五年度になりましても、東北地方におきましては、電気が余るということ、現在の北海道並びに九州のような状態には、なかなかならないのではないかというふうに予想しております。
○竹谷委員 そうしますと、あなた方の目標の三割くらいは生産ができない、そういう場合に、これを石炭でもって製練する――久慈にあります川崎製鉄ですか、あそこは石炭でやっておるようですが、ああいたしますと、費用コストがかかってむだが多いのであるかどうか。一時電力ができるまで、もし設備投資にあまり資金が要らないのであれば、そういう手段はどういうものであるかという問題と、もう一つは、浜砂鉄というか、海岸の砂鉄と、山に埋蔵されておる砂鉄の埋蔵比率はどのくらいになりますか。
○中村参考人 第一の御質問でありますが、これは石炭をもってやったらどうかという――石炭に限らず、電力以外の燃料による、いわゆる電気銑の生産というふうに考えさせていただきますが、これはいろいろな状況があって、たとえば重油でやるという問題もいろいろわれわれの方でも取り組んでやっております。しかしながら燃料価格から申しまして、最近までは東北電力が非常に安いということで、企業の向きもその方向へ向いていたわけでありますが、だんだんに火力をそこにコンバインするということになりますと、電気料金も相当高くなってくるという傾向があります。しかしながら、とれを重油でやり、石炭でやる――川崎さんは一部ロータリー・キルンでやっておりますが、ロータリー・キルンでやるようになりますと、これは石炭ガス並びに重油ガスを使うわけであります。従って、生まれ出る銑鉄がいわゆる川崎さん特有のものでありまして、エビ銑、イモ銑と言っておりますが、これはそれぞれの用途によってきまるわけでありますけれども、一応銑鉄としての形を整えておるということになりますと、われわれの考えといたしましては、現状では、一応電気でやる方法が一番いいのではないかというふうに考えます。それから、石炭並びに重油を使います問題といたしましては、一次でできました低硫低銅銑を、二次でもって洗うわけであります。そうして、さらに高級な銑鉄を作るという形には、一応重油あるいは石炭ガスが使えるではないかというふうに考えております。 それから山砂鉄と浜砂鉄の埋蔵量の比率でありますが、たとえば一鉱区について一億トンあるという話もあるし、あるいは一千万トンという話も出ておるわけで、非常にむずかしいわけであります。大体私の推定では、少くとも現在の海岸砂鉄の方は、東北地方全般といたしまして、六、七〇%を占めているのじゃなかろうかというふうに思います。残りの三、四〇%というのが、山砂鉄ではないかというふうに考えるわけであります。山砂鉄、浜砂鉄という区分にしましても、御存じかも存じませんが、野牛地区をごらんになりましても、単に海岸だけにあるものを海岸砂鉄というか、海岸に並行しまして、道路を隔ててヒルになったところは一体山というか、というふうなことで、その限界点に非常に苦しいところもありますがけれども、われわれが東北地方を見て参りました限りにおきましては、大体六〇%近くは海岸で、あとが山ではなかろうかというふうに思います。 それから、ちょっと補足しておきますけれども、この推定量三億トン、一億トンというのは、あくまでも推定でありまして、いわゆる鉱業法などにもありますが、一定の規格によって測定しなければ、幾らだということができないわけでありまして、全部推量で言っております。大体海岸砂鉄も全部推定で言っております。御承知願います。
○竹谷委員 第二十四国会で、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法というようなものができているのですが、重要な路線については国が三分の二を負担して、冬季の除雪あるいは交通のじゃまにならないような施設をやることを、ことしの冬は間に合いませんが、昭和三十二年度の冬から施行する、という法律ができておるのであります。これはむろん鉱山道路、でありまして、普通の道路とは違うのであります。が、青森県なり岩手県なり、あるいはそういう東北地方の県等で計画を立てて、建設大臣がこれを指定することになっております。砂鉄の鉱石の運搬に、冬季非常に困ることはよくわれわれは承知しておりますが、これらにつきましては、建設当局と御相談なさったらどうかと思います。御参考までに申し上げておきます。
○中村参考人 今国会で御審議願っていることは、われわれとしても非常にありがたいことであります。ちょっと御参考までに申し上げますと、淋代鉱区から八戸に至る間の舗装の問題につきまして、約二十四・五キロメートルというものが、コンクリート舗装を要する道でございます。それから淋代から古間木駅に至る間でも約三キロメートル、合計いたしまして二十七・五キロというものを舗装していただきますと、この淋代地区から出ます砂鉄の運搬が非常に変ってくるのではないか。現在では、少くとも四百円ないし五百円の運賃を払って運搬しているわけでありますが、これが年間を通じまして運搬できるということになりますと、運搬賃の軽減が非常に大きな数字となって現われてくるのではないかと思います。また、いわゆる自動車の消耗度におきましても、非常に変ってくるという状況にありますので、その点どうかよろしくお願いしたいと思います。
○廣川委員長 よろしゅうございますか。――中村さんありがとうございました。 それでは、次は石井参考人にお願いいたします。
○石井参考人 水産業から見ました東北地方の開発上ネックになっております問題は、大体三つぐらいあげ得ると思うのであります。その第一点といたしましては、輸送の問題でございます。それから第二の問題は、漁港の整備の問題、それから第三が製氷事業、この三つを大体概括いたしまして、ネックと考えているのでございます。 東北、特に太平洋岸におきます魚の生産量は非常に多いのでありまして、わが国の大体十二億に対しまして、あの付近で揚ります魚は、二億ないし三億貫と称されております。特に東北におきまして、青森、岩手、宮城、それに福島まで入れますと一億数千万貫、これは現実に水揚げされるものでありますが、そういった観点で、きわめて莫大な数量がこの青森、岩手、ことに宮城において揚るわけであります。ところが実際に当ってみますと、輸送の問題に非常に困っております。もちろん輸送の問題と申しましても、第一に取り上げます問題は鉄道で、第二が自動車、それから第三が海上の輸送の船の問題でございます。特に大部分の魚は鉄道に待つものでありまして、現在一番困っておりますのが、東北線の単線の問題でございます。現在一日に専用の鮮魚の列車は三本しかございません。われわれといたしましては、せめてこれを五本通していただきますと、三陸におきまするこの膨大な魚の輸送に役立ってもらえる。もちろん、これは技術上直ちに複線にするということは困難と思いますが、私どもが伺っているところによりますと、ところどころに複線のある個所を設けますと、二本ぐらいの増強は、技術上可能であるということであります。こういう問題が解決されますと、非常に輸送の問題が緩和できる。これが一つでございます。 それからもう一つの問題は、青森、岩手、宮城におきます海岸線を早く完成していただくという問題で、これは御承知の通り、岩手県にいたしましても、宮城県にいたしましても、海岸線の完成に今着手はされておりますけれども、なかなか進行がおくれているようであります。この間にはいい漁場もございますし、また港としても、将来非常に有望な港があるのであります。例を引いて申しますと、たとえば岩手県におきます普代の漁港、それから宮城県におきます志津川の漁港、しかも、その漁港付近におきましては、全国でも有名な定地漁業で、ブリあるいはマグロの類の漁獲が、一漁場でもって一億円を越えている漁場もあるのであります。そういった関係上、やはり海岸線をすみやかに作っていただきたい。こういうことが、この輸送問題の第二点になるのであります。 それから第三点といたしましては、支線の路線の改良と申しますか、御承知の通り東北線を枢軸といたしまして、ちょうどあばらの骨のような工合に、支線が出ているのであります。これは一度おいでになるとわかるのでありますが、どの支線に行っても、やはりこれは難工事の関係であると思うのでありますけれども、非常に勾配が急なところがあります。非常に輸送能力が上らない。そういう点を将来改善してもらいたいというのが、私どものお願いであり、常に要望している点なのであります。たとえばサンマの問題を取り上げて申し上げますると、これは大体九月から十一月にかけて三陸でとれるのであります。ことしは昨年ほどは参りませんけれども、ここ数年の統計を見ますると、大体一億万貫を越えております。しかも水揚げ地におきましては、この輸送の問題が解決されない関係上、平均価格が四十四円くらいになっておるのであります。ことしは大体昨年の半分くらいのようでございまするから、調べてみますると、大体百二、三十円が平均値段になっておるのであります。四十四円の価格では、幾ら魚をとりましても、そろばん上、合わないのであります。しかし、とにかく全国から漁船が三陸へ約四千そう近く参りまして、しかも短期間にとるのでありますから、全部の輸送問題を完全に解決することはできないにいたしましても、こういう問題が解決されますると、業者にとっては救われる点が非常に多いのでありまして、特にこの点を一つお願いしたいと思うのであります。 それから第二の点といたしましては、漁港の整備拡充の問題でございます。これは御承知の通り、漁港法によりまして、全国的に、しかも総花的に仕事をやっておるのでありますが、特に生産の多い重要なところにおきましては、漁港の整備は、私どもの希望としては、むしろ重点的にやっていただきたい。岩手県にいたしましても、宮城県にいたしましても、非常に将来性のある港でありながら、それがまだ十分整っていないところもあるのでありまして、そういう意味から、一つ至急にこの整備をする必要があるのじゃないか。それからなお、既設の漁港でございまするが、これは特に河川の河口に当る漁港でございます。こういうところは、漁港としては施設の点で、いろいろ技術上困難はあるのでありますが、それだけに、どうも河口の漁港の整備ということはおくれておるように思うのであります。たとえば北上川の河口にある石巻の漁港であります。それから名取川の河口にある閖上の漁港でありますとか、阿武隈川の河口にある漁港でありますとか、これは宮城県の例でありまするが、そういった河口に当る漁港は、工事上非常にむずかしい問題があろうと思うのでありまするけれども、どうも十分整備されていない。こういうところを至急に、しかも重点的にやっていただきたいというのが、私どもの念願でございます。 それから、その次に製氷の事業でございまするが、これは戦後政府の力の入れ方が非常に熱心でありました関係上、全国的にかなり緩和されております。しかし、やはり東北地方におきましては、最盛期になると、氷が足らないのであります。もちろん人造氷のほかに天然の氷、それから東北におきましては、裏日本等からも氷の供給を受けておる。しかも最盛期になりますと東京地方からあげてあの地方へ氷を運んでおるのが現状でございます。この点は、氷でございまするから、かりに東京からあの地方へ氷を送りますると、非常に歩どまりが悪い。従って、高い氷を買うような形になりまして、これは生産漁師にとりましては、大きな痛手であります。もちろん場所によっては、かなり整備はされておりまするけれども、まだ製氷事業は十分でない。そういう方面の充実をこの際はかっていかなければならぬ、こう考えておるのであります。 大体以上の三点が、東北開発上非常に重要な問題と私は考えておるのであります。 御承知の通り、東北の海岸を拾ってみますと、市がたくさんあるのであります。それは水産業によってそこへ人が集まってきて、それに関連するいろいろな仕事ができております。そういうことで、この市の形成が行われておると思いますが、広く考えまして、わが国といたしましては、人口の増加は年々相当の数になっておりますので、こういった手当をいたしますれば、この方面にまだかなり人手を吸収することができると思うのであります。そういう広い立場から考えましても、大体この三つの問題、先ほど申し上げました輸送問題の解決、漁港の整備拡充、製氷事業の充実というようなことによりまして、非常に救われるのではないか、こういうふうに考えております。
○廣川委員長 次は土屋参考人にお願いいたします。
○土屋参考人 機械公団の土屋でございます。東北の開拓、酪農の問題につきまして、機械公団が現在やっておりまする仕事の概要を説明させていただきまして、さらに、これに関連いたしまして、いろいろ考えておりますことを述べまして、御参考にし、その実現を期して参りたい、かように考えております。 何と申しましても、日本の未墾地の大部分は北海道、東北にあるのでございまして、この未墾地の開発、国土の総合利用という問題は非常に重要でありまして、これに対する一つの措置といたして機械公団が昨年設立され、本年からこれによって機械開墾を始めた次第でございます。 東北の機械開墾の対象になっておりまする現在の地区は、青森県の上北郡の野辺地町、六ヵ所村、横浜村、甲地村。青森県の青森に行く途中に野辺地という町がございますが、あの町から東の方、太平洋岸に達するあの一帯に、開発の非常におくれた地帯でございまして、この地区が五千六百町歩ございます。この中で開墾適地といたしまして三千四百二十二町歩、これを開墾する。これに対して入植農家が三百四十八戸。それから地元二千八百六十七戸に対して耕地の拡張をする。この三千四百二十二町歩を開墾いたしまして、ここに入植者を入植させて、酪農経営をやって参る。同様に北海道の根釧原野――根室、釧路の広大な原野に対しても、本年度から機械開墾を開始いたしまして、この地区の開墾予定面積が三千四百三十一町歩、入植農家が二百八戸、こういう計画で、開拓の仕事を始めた次第でございます。 簡単に申し上げますると、上北の方の現在までの進捗状況は、本年度はこのうち入植者用といたしまして、六百町歩の開墾を予定いたしまして、十一月末までにおおむねこれを完了いたしております。この機械開墾の仕事は、機械公団といたしまして開墾をいたします。それから入植者に対しまして、公団でジャージー牛を輸入いたしまして、これを県を通して導入いたす。それから開拓地に開拓道路その他の建設が必要でありますので、この建設工事は国で担当される。それから入植者の入植の世話あるいは営農の指導等は、県あるいは道庁でおやりになる。この三者がそれぞれ仕事の分担をいたしておりまして、この三者の仕事が縦横よく連絡をとって参りませんと、この開拓の所期の成果が上らない、こういう次第でございますので、われわれといたしましては、国並びに県とよく連絡をとりまして、仕事を推進して参りたいと、常に念願をいたしておる次第でございます。 機械開墾は、いろいろ問題もございまするが、何といたしましても、現状の、たとえば東北等の開拓の状況を見て参りますると、耕地の配分された全面積が、フルに抜根をし、耕作をいたしまして、利用されていない。それは動力関係その他の関係がございまして、配分された面積がフルに利用できない一つの問題がここにあろうかと思います。配分されたところの耕地はなるべく早く抜根し、荒起し、砕土しまして、フルに利用する。もとより北海道、東北でございますので、西南の温暖の地方と違いまして、耕地の面積は広い面積を要します。またひんぱんに襲来いたしますところの冷害に対処いたしますためには、何と申しましても酪農経営、二十八年、九年、さらに本年と続く冷害に対しまして、一番苦労いたしますのが特に開拓地でございますので、開拓地の営農といたしましては、酪農の形態に持っていく必要があろうかと存ずるのでございまして、この見地から、上北地区に対しましても、本年は牧草を五十九町歩播種いたしました。オーチャード、ラジノクローバー・ペレニアルライグラス等の牧草を五十九町歩播種いたしましたが、こういったところの東北、北海道の高冷地帯におきましては、酪農経営がどうしても一番大事なことではないかと考えます。なお、この開拓地に導入いたしますところのジャージー牛は、本年度千九百頭輸入することになっておりまして、青森県に六百頭、岩手県に三百頭導入することに相なっております。 最近、世界の食糧事情が好転して参りました関係からいたしまして、ともすると、食糧増産という声が非常に低調になったやに感ぜられるのでございますが、日本の経済の発展を維持して参りますためには、農家の次三男対策、あるいは食糧の自給度の向上が大事な問題だと考えますので、この見地からいたしますると、開拓事業というものは、特に北海道、東北においては強力に推進されなければならない。もとよりこの開拓事業は、効果的な、また能率のよい開拓事業でなければならぬ次第でございますが、この見地からいたしましても、機械等による急速なる開墾並びに開拓、酪農経営の導入、このやり方をもっと大規模に展開する必要があるのではなかろうかと考える次第でございます。もとより、これに対しましては、いろいろ国の予算面等の制約もございますが、現在の状況では、機械開墾は青森県の上北と根釧――根釧等においては、ただいま着手しておる床丹第二地区が終りますと、床丹第一地区にさらに仕事を進めて参る計画になっております。さらに東北地方におきましても、青森県の上北の開墾が三、四年後に終りますと、これと一部並行して、岩手県の北部の九戸地方とか、あるいは二戸地方等に機械開墾をやる適地がございまして、農林省の方で目下調査、計画を進めておられるのでございますが、われわれとしては、これらの仕事が一日もすみやかに進捗せられまして、機械開墾が実現いたしますように念願をいたしておる次第でございます。
○廣川委員長 次は鈴木参考人にお願いをいたします。
○鈴木参考人 酪農関係につきまして、御参考までにお話申し上げたいと思います。 乳牛は、御承知のように草食動物でありますから、草が、乳牛を飼う上においては、最も必要な問題になって参ります。そういう面から見まして、東北地方が比較的草資源に恵まれておるということは、皆さん御承知の通りだと思うのであります。つまり馬産地として発達して参ったところは、やはり草資源が多い。従って、東北地方の酪農というものは、最近非常に伸びて参っております。三十年度の乳牛の頭数を、地域別に見ますと、一番多いのが関東地方で十一万三千頭、二番目が北海道で十万二千六百頭、その次が東北の六万五千七百二十頭、こういうような工合になっておりまして、東北地方が最近非常に伸びております。 酪農というのは、五十年この方、ようやく日本人が牛乳のようなものを一般に飲用するような風習が出て参ったものでありまして、発達の歴史を見ましても、やはり静岡とか千葉とかいうところが、最も先に発達して参ったわけであります。その点、東北の方面はおそかったわけであります。北海道は、北海道開発の計画で前から進んでおりましたが、東北地帯というものは非常におくれておったわけであります。ところが今申し上げたような工合に、ここで急速に伸びて参っております。牛乳の生産量の方から見ましても、御承知のように昨年は五百三十三万三千石出ておりますが、地域別に見ますと、やはり関東地区が多くて百三十四万石、次が北海道で百十二万石、東北地方は頭数では三番目ですが、乳量では四番目になりまして、五十四万石というような状態で、牛乳の生産もきわめてふえておるわけであります。 いずれにしましても、今申し上げましたように酪農というものは、草資源がある、ないということが、将来非常に大きな問題になって参るわけであります。たとえば十分なる草を与えますと、牛の寿命も長くなり、健康状態もいい。それが、従来から伸びております関東地区等におきましては、草資源が少いから、どうしても濃厚飼料の原料が高いために、牛の能力は一時的には増しますけれども、やはり寿命が短かいというようなことになっていくわけでありまして、やはりどうしても草資源が多いところで酪農は伸ばしていかなければならぬ。世界各国の例を見ましても、酪農が盛んなところは、みんな草資源の十分あるところであります。そういうようなことから将来日本の酪農の伸びて参りますところは、やはり東北と北海道が最も有望だということは、これはどなたもすべて御了承になっておることと存じます。ことに、また牛乳というものは、御承知のように栄養価の非常に高いものでありまするが、また細菌その他によって汚染される機会がきわめて多いわけです。従って、そういう面から見ましても、水が豊富であり、しかも寒冷地帯であるというようなところは、牛乳の生産の面からいきましても、きわめて有望なものと、こう考えられるわけであります。 そんなようなわけで、酪農が順次伸びておりますし、また伸ばさなければならないわけでありますが、ことに最近東北地帯で非常に伸びておりますのを、県別に見ますと、岩手県であります。最近の三十年の全国の頭数が四十九万七千頭になっておりますが、岩手県は二万一千頭になっております。これも県別に見ますと、一番多いのは長野県の二万九千頭、その次は神奈川県の二万五千頭、千葉県の二万五千頭、その次が岩手になっております。こんな工合で、岩手県は非常に伸びておりますし、また乳量の方から見ましても、ただいま申し上げました五百三十三万三千石のうち、岩手県は六番目で、十六石七千石の牛乳の生産を見ておるわけであります。これは皆様方のお骨折りによりまして、酪振法に伴う高度集約酪農という構想から、農林省がつとに岩手山ろくの開発という面で、あそこを指定されまして、ジャージーを入れるということになりましたし、またあの地帯は、県等におきましても、おるいは町村等におきましても、この酪農に対しまして非常に力を注がれております。私のところでも盛岡で工場をやらしていただいておりますが、東北地方はいろいろな面から、農家が経済上あまり豊かでない、従って、あの付近の町村では、幾ら酪農がよくても、乳牛の購入資金に非常に困難があるものですから、各町村から三十万円ずつ出資いたしまして、第一回は十ヵ村で三十万円ずつで三百万円、私の方の会社で三百万円出しまして、それで開発会社を作ったわけです。そうして乳牛の導入をするというようなことをやっておるわけであります。全国で各町村が出資いたしまして、そういうような乳牛の導入の開発会社を作ったというようなことは、今までなかったわけでございますが、最近兵庫県におきまして、一部でそういうようなものを作りつつあるのであります。そんなわけで、町村、県等におきましても、酪農に対する熱意が非常に旺盛でありまするがために、今日のような酪農県として、頭数から言えば全国の四位、乳量からいっても六位というところまでこぎつけたものと考えるわけであります。 東北地方の耕地面積は、二十九年度で見ますと、百三十二万五千町歩というふうに拝聴しております。農家戸数が九十七万二千戸というようになっておりまして、酪農の密度というものは、まだまだきわめて少い。農家十五戸に対して一頭くらいの乳牛しかまだ入っておらない、こういうような状態であります。御承知のように、冷害に対しまして非常に抵抗力の弱い地帯であります。従って穀寂農業のような実取り農業でなく、草をとるような酪農業というものに急速に変っていくことが、この地方の農業を安定させる上において、きわめて重要だと考えておるわけであります。しかし幾ら有望な地帯と申しましても、今申し上げましたように、あの地帯はまた農家が比較的経済的に恵まれておりません。従って、あの地方に酪農を扶植して参りますには、どうしても乳牛の導入資金として相当な金額を、しかも安い利息で十分に投入する必要があると思うわけであります。それから酪農は私も長くやっておりますが、むずかしいと申しましても、指導の面が徹底いたしますると、絶対安心になって参ります。従って、酪農を奨励いたしますに対しましては、酪農の指導方面の技術者の養成、こういう問題を絶対に必要とするわけであります。そういうような指導の問題を、十分あの地方において考慮して参るということになりますと、酪農というものは直ちにあの辺に扶植することができると思います。その次には、幾ら草資源が多いと申しましても、今日のような草でありましては、十分なる乳牛の飼料としての効果がございません。従って、草を改良するということによりまして、もっと養分の多い草をあの地方に十分繁殖させるようにいたしますことが、あの地方の酪農を開発することになる、こう考えるわけであります。 御参考までに、日本の酪農が現在どんな状態かと申しますと、先ほど申し上げましたように、乳牛一頭につきましてどのくらいの人口を持っておるかということを二、三の国と比較してみますれば、最も乳牛の濃厚に入っておりますのがニュージーランドでありまして、国民一人当り一頭というような、きわめて濃厚な状態に乳牛が入っておるようであります。その次はデンマークでありまして、二・九人に対しまして乳牛一頭というふうになっております。ドイツのごときも、一頭に対して人口は四・五というような数字になっております。それからオランダが六・八人に一頭、アメリカは七・二人に一頭、いろんな条件が最も似ておるとわれわれの考えておりますイタリーにおきましても、十二・三人に一頭の割合で乳牛が入っておるようであります。ところが、日本はどうかと申しますと、二百四十七・七人に一頭ということでありまして、他の比較的先進国といわれるところと比較いたしますと、まだまだ日本の酪農というものは、きわめて幼稚なものである、こういうふうに考えるわけであります。 また、いろいろ食生活の相違がありますから、欧米の人たちと日本の人間との乳製品等の使用量を比較することは無理ではありますが、御参考のために申し上げてみますと、日本の国ではこれは三十年でありますが、三十年の一人当り人口に割り振って参りますと、牛乳の使用量は四升七合になっております。それからバターの消費量は、三十年度が〇・一九ポンド、チーズが〇・〇五ポンドというふうになっております。世界で牛乳を最もたくさん飲んでおりますのはデンマークでありまして、一年一人一石四斗三升を飲んでおります。それからバターの消費は、アイルランドが最も多くて、一人当り四十・三ポンド、チーズはスイスが二十・四ポンドというふうになっております。アメリカはどうかと申しますと、一人当り九斗五升八合の牛乳、バターが十・七ポンド、チーズが七・七ポンドというような消費をされておるわけであります。もちろん食生活の面から見まして、日本がこういうような状態になるということは考えられないわけでありまするが、こういう消費の面から考えましても、日本の酪農というものは、今後伸ばしていかなければならない、こう考えるわけであります。そういうわけで、少くも世界の先進国のような農業の経営形態に持っていく――日本の食糧問題を解決する面からも、また保健衛生の面からも、酪農というものをもっと伸ばしていく。そのもっと伸ばしていくところは、どこかと申しますと、先ほど申し上げましたように、東北地方と北海道以外にはない、こう考えるわけであります。 きわめてつじつまの合わないことを申し上げましたが、以上申し上げまして、御質問等がありましたならば、お答え申したいと思います。
○廣川委員長 ありがとうございました。 次は高田参考人にお願いいたします。
○高田参考人 先ほどから、いろいろな角度から東北開発について御意見がありました。大体私も要点は同一に帰しますから、繰り返しませんが、結局、開発の根源は、電力、輸送、道路というようなことに帰することだろうと考えられます。それにつきまして、私どもが現在やっておりまするパルプ製紙業から一言申し上げたいと存じます。 私どもの会社は、御案内の通り、昭和十三年ごろ東北開発の線に沿いまして、時の政府の国策会社でありました東北興業と旧王子製紙との半々の資本によって、東北開発の一端をになったような次第でございまして、この線から申しますと、この開発は今日までずっとやってきた仕事であるのでございます。ただ、私どもの仕事だけからいろいろ申し上げますことは、ちっとおこがましく考えられますが、結局私どもの仕事が、この東北開発に関連しておりますから、そのままを申し上げたいと存じます。 電力の問題につきましては、先ほどいろいろお話がありましたから申し上げませんが、私どもも電力については非常に困っているのでございます。御承知の通り東北は寒暑の差がはなはだしいために、渇水、豊水の程度が大きい。従いまして、渇水のときには電力の制限を受けて、操業が完全にいかないというようなことに直面しておるのでございます。しからば電力はどうしてやるかということになりますが、これは水力電気もございましょうが、水力電気はなかなか資金もかかりますし、またこの完成に非常にひまどりますので、この際に火力の方に一応力を入れていただいて、水力については、十分検討の上に、しっかりしたダムをこしらえて、永久性のものをこしらえて、その間におきまする電力の不足を火力電気に待つことが適正でないか、こう考えられます。この水力電気が完成した場合に、それでは火力設備はどうなるかと申しますと、火力の電気は、御承知のように寿命の短かいものでありますから、私の考えでは、ちょうど水力電気ができたときには、火力電気の能率も悪くなって、あるいはこれを停止しなければならぬようなときにも当るのじゃないか。こう考えますと、東北を開発しますには、まずさしあたり火力の設備が急務じゃないか、こう考えられます。 それから、私の工場について申し上げます。現在石巻工場でパルプと製紙をやっておりますが、なお進みまして、地元の方の御要請により、東北の開発と文化の源泉でありまする新聞紙製造の設備に着手をしたのであります。この問題につきましても、配電会社とよく打ち合わせてこれを計画しましたので、来年一ぱいには完成するつもりでありますが、これに対する電力は、どうもいろいろ聞きますと、私どもの希望しておりまする電力が入ってこないような感があるのであります。これに対しましても、一つ東京電力その他から一時補給する、あるいは今申し上げたように、火力電気を早く設備するというようなことにつきまして、特段の御配慮を願いたいと存じます。 次に輸送の問題です。輸送の問題は、もうずいぶん先ほどからお話がありましたから申し上げませんが、私ども独特の立場から申し上げまして、道路でございます。道路の中でも、鉄道あるいは車道、人道いろいろございますが、特に私ども考えておりますことは、林道の整備の点でございます。この林道というものは、開発には絶対必要なものでありまして、今日までもずいぶん各方面で宣伝されておりまするが、全国的には、まだ非常に遺憾な点が多いのでございます。一例をあげてみますると、民有林道が十ヵ年計画――昭和二十六年から三十五年までにおきまして、一ヵ年の平均八千三百二十キロメートルという計画に対しまして、最近四ヵ年の一年平均は千五百六十キロメートルで、その進捗率非常に遅々たるものでありまして、約一八%の完成にしかすぎないのであります。かような状態では、どうしてもよほど強力なる政治的、あるいは技術的な配慮がなければ、全面的の林道整備というものはおぼつかないと思われるのであります。 この林道整備についてちょっとつけ加えておきたいと思いますことは、特に東北にたくさんありますところの濶葉樹の利用ということが問題になっておるのであります。昨今のパルプ並びに紙というものは、輸出の大宗をなしておりまして、外貨獲得に現在御尽力になっておりましょうが、多々ますます弁ずるときでありますので、これをどんどん伸ばすことは、国家産業として非常に注目すべきことであろうと思われます。この林道につきまして私の常に考えておりますことは、現在のような日本の人口過剰のときにありまして、失業者対策の一端といたしましても、これを利用することは非常に適切なときでなかろうか。この対策そのものについては、いろいろこまかい議論もありましょうけれども、ともかく失業者を収容いたしまして、これを適当に指導していきませんと、だんだん人間のいわゆる本能に反した気分にもなりますし、いろいろな大きな意味合いから、この失業者をうまく利用する林道の整備というものが必要でなかろうかと思われる次第でございます。 はなはだ簡単でありますが、私の気持はそういう気持でおりますから、どうぞおくみ取り願いたいと思います。
○廣川委員長 ありがとうございました。 次は佐野参考人にお願いいたします。
○佐野参考人 佐野でございます。私の会社は本土におきまして砂糖の生産をやりたいと考えまして、昨年、静岡県に砂糖大根の試作をいたしました。その結果はあまりはなばなしくなく、失敗いたしまして、今年それをもっと北の方に持っていったならば、よくできるのでなかろうかということになりまして、県当局その他の御援助によりまして、宮城県下の北原尾部落――蔵王開拓地であります、それと青森県の十和田市に試験地を持っております。その試験成績はお手元に差し上げてあります参考表にある通りでありまして、青森県の方は、思ったよりも非常によい成績であります。私どもは、もっと病気が出るのではないだろうか、従って、収量も少いのではないかというように予想しておったのでありますが、今年の結果でありますと、大体北海道の農業試験場でやりました試験成績とあまり変っておりません。ところが蔵王開拓地の方は、いろいろな条件が悪うございまして思ったほどの成績が上りません。また、ここには載せておりませんですが――この蔵王開拓地の方は五月二十一日まきであります。もっと前にまきましたのもあるのですが、これは採取しておりませんので、成績表に掲載することができませんでした。でありますが、いずれにいたしましても、蔵王開拓地の方は非常に収量が悪い、青森の十和田試験地の大体半分くらいの収量にしかならないというような結果になってしまっております。 それから含糖量でございますが、含糖量も、十和田開拓地の方は、病気が出なかったために、寒さに向いまして、思ったよりも糖度がよろしゅうございました。今年の状態では、むしろ北海道の成績よりもいいような状態でありますが、しかし北海道の成績は、今年のは私はよく存じません。はっきりわかりませんが、北海道におきましても、今年は例年よりもブリックスにおきまして大体二度くらい高いのだというような話であります。ですから、これぐらいのところが、まず北海道の成績ではないかというふうに感ぜられる状態であります。 私どもの実験いたしましたのは、本格的には今年一年だけでありますので、今後さらに実験をいたしませんと、これをどういうふうに処置していったらいいだろうか、どういうふうに栽培すれば、ほんとうに企業化に進むことができるかということは、まだはっきりはいたしておりませんが、一年越えて、再来年あたりまでしっかりした実験をやりまして、そうした上で、会社としての対策を立てたいと思っております。ところが、企業化いたします場合にも、北海道で現在千トン工場を建設いたしますのに、約五千町歩の耕作面下が要るということを言うております。そういたしますと、あの付近で五千町歩まとめた耕作地が、果してうまく取れるかどうかという点も、いろいろここに問題があるわけでございます。その点につきましては、農業協同組合中央会にあります東北甜菜研究会が、砂糖大根の栽培とか、あるいは経済関係の調査とか、あるいは企業に関する調査ということをやっておりまして、いずれそちらの方で、しっかりした結論を出してくれると考えております。その辺をまた御尽力していただければ幸甚と思います。
○廣川委員長 これにて参考人の意見の開陳を終ります。 これより質疑に入ります。竹谷委員より発言を求められております。竹谷委員。
○竹谷委員 各参考人に少しお尋ねいたします。最初に石井さんにお尋ねしたいのであります。三つばかりお尋ねしたいのでありますが、東北地方の水産関係の開発のネックとなっている点が三つある、第一に輸送の問題を取り上げられたのでありますが、鉄道の幹線が非常に隘路になっていることは私も承知いたしております。さて青森県あるいは岩手県の東海岸地帯は、これは道路の関係で、大体船もしくは鉄道によると思いますが、宮城県の南になりますと、最近では自動車で東京等の市場へ相当大量に輸送をしておる。夜分なんぞは、国道第四号線に魚を積んだトラックが行列のように並んで南へ疾駆しているのでありますが、これはどれぐらい東京へ――たとえば塩釜から東京の市場へ送る魚のうち、どれくらいが一体自動車輸送に今依存しておるか、もし統計か、あるいは大日本水産会としての大体の推定がおありならば、お聞かせを願いたい。
○石井参考人 正確な数字を、実は私、昨晩参考人の御連絡をいただきましたので、つかんでおりません。正確な数字はあとからお届け申し上げたいと思いますが、しかし全体といたしましては非常に少い数字、こういうふうに私は承知しております。御承知の通り、塩釜だけに揚る魚の数量も非常に多いのでございまして、サンマの場合などというのは、ほとんど大部分は肥料に落しているのですね。従って、自動車を使いますやつは、少し高級のものが多いのでございますが、全体からいたしますと、非常に僅少な数字と思います。正確なところはあとから書面でお届けいたしたいと思います。
○竹谷委員 次に製氷、冷凍、冷蔵等の問題のお話がございましたが、いかに魚の水揚げの多い地方でも、季節的に、今の肥料につぶすように、非常にたくさんとれるかと思うと、さっぱりとれない。こういったように、豊凶の差が非常に激しいので、そういうところに冷凍、冷蔵等の巨大なる設備を置きましても、遊ぶ期間が多くなるのではないか。従ってこれを水産業だけに利用しないで、野菜やくだもの、その他農林関係の産物を冷凍、冷蔵、あるいはこれに加えて、カン詰工業等と兼業することによりまして、その設備が年じゅう継続的に使える。また営業としても非常にその点調整がいきまして、得がいく、こういうふうになるのじゃないかと考えられるのですが、水産関係の石井さんでございまして、農業関係等についても、あわせて伺えるかどうかわかりませんが、この点はいかがなものでありましょうか。すなわち工場を海岸だけに置かないで、農村地帯にも置いて、そして道路もすいぶん発達しましたし、大勢にトラック等でも送れるわけですから、魚がたくさんとれたときには、それを持ってきて冷凍、冷蔵する。そして農村方面にも売りさばくし、都会の市場にも輸送する。一方魚があまりとれないときには、農業関係の産物を冷蔵しておいてこれを適当に売りさばく。またカン詰工業もそこで兼ねて、魚並びに野菜、くだもの等のカン詰もやるというふうにして、農林水産物、両方あわして営業をやる。こういうふうにやったならば、非常にうまいのじゃないか。これによって農村地方における園芸の奨励、あるいはくだもの等の生産も増大をいたしまして、その地方の生産が多くなりますから、農民の購買力も増大をする、魚も食う、国民の栄養はよくなる、こんなふうに考えられるのですが、これはいかがなものでございましょうか。
○石井参考人 これはまことに同感でございまして、私どももそういう点を実は考えておるわけでございます。実は政府に対しましても、海岸の冷蔵庫よりも、農村では設備があまり大きくなくてもいいから、冷蔵庫の普及をやろうじゃないか、そういう予算を計上してくれということで、毎年政府に迫っておるわけなんですが、まだ遺憾ながらその実現を見ておりません。しかし今おっしゃいました通り、私どもまことにいいところをついていると思いまして、その通りに考えております。
○竹谷委員 第三番目に、東北ばかりではない、これは全国的かと思いますが、サケ、マスの独航船の権利許可というものは、どういうふうにおとりになっておるか知りませんけれども、東北地方で、今まで機船底びき網をやっておった権利を譲渡してしまって、従って、底びき網漁業をやる権利がなくなったところが船は三、四十トンくらいの小さなものだ。それを遊ばしてまた漁師に指をくわえて海をながめさせておくわけにいかない。従って、漁船の所有者としては、密漁に出かけるという問題が起っており、それに対して水産庁の取締船が盛んにこれを取り締まっておる。石巻や塩釜、その他の港の入口に待ちぶせしておって、魚をとってきた漁船をとっつかまえるということで、悲鳴をあげておるようである。これはもとより法規に違反するものであって、けしからぬことには相違ないのであるが、しかしながら三、四十トンの船を持っておって、漁師もおるわけです。それを権利だけ水産庁がよそに売ることを認めるということは、自然、密漁を奨励するということになっていくのではないかと思う。これは一部大漁業資本家の利益のために、中小漁業者の生業を奪う結果になる。権利金を取って、また密漁をやるのだから、これはよろしくないことには相違ないのであるが、そのような密漁をしていることは、当然予定されていることだと思う。この間の事情を大日本水産なんかではどう考えておるか。またこれは北洋漁業、金華山沖等の漁業全体として、将来東北開発上非常に影響があると思うのですが、水産関係者としてはどう見ておられるか。また私が聞いたそのようなことは事実であるか、あるいは違うのであるか。もしおわかりでしたら、御説明を願いたいと思います。
○石井参考人 その問題はこういうことだろうと思います。独航船を経営する場合に、トン数が小さい場合には、ほかの船を買いつぶしまして、そうして適当の大きさに増トンをやるわけなんです。これは独航船の船主がやっておるわけなんですが、どうもその根本問題になりますと、私どもも実際どうしたらいいかという問題に実は苦慮しておるわけなんですけれども、結局過去におきましては、機船底びき網の整理規則というものがございまして、そしてそれによって一定限度まで整理をしていこうじゃないか、こういう規則があったわけなんです。それがたまたま昭和十八年、戦争中でございましたが、その規則が廃止されまして、そして自由勝手にやれる形に一応なったわけなんです。そこで船が最近におきましては非常にふえまして、結局今のそういった籍のない船で、実際やってはいけない仕事をやるというような傾向が出ておると思うのでありますが、これは結局、資源と生産規模の問題に関連してくるのでありまして、なかなか解決がむずかしい問題と私は考えております。しかし、これは結局戦争中食糧がなかったから、ともかく、もうそういう整理規則なんかをやめてしまえということで、農林大臣が省令を廃止したことに一番の原因があると思うのですが、戦後におきましては、それが急速にみんな仕事を始めた関係で、ちょうど日本の人口と同じように、とる魚の量よりも、船の方が多いというような形になりまして、政府は、手段として、北の独航船に行くものについては内地の権利を放棄せよ、こういう形をとらしたわけなんです。そうして船の小さいものは、ほかの内地の船を買いつぶして、自分の権利にして、たとえば自分の船が三十五トンであれば、それをもう二十トンふやして五十五トンにしたい、あるいは六十トンにしたいというような場合には、他の小さい船を買って、そしてその権利を消滅させてしまって、自分の船を増トンするという形をとっているわけです。しかし、それだけではまかない切れない、そこに難点があると思います。これを水産庁としては将来どういうふうに持っていくかということも、私は相当問題になると思うのでありますが、ことに今度の合同委員会なんかのあれによりまして、もし母船あるいは独航船の数が減るというような問題が起りますと、そういう問題がさらに起っていくのではないかと思うのであります。私どもとしては、むしろ北海道あたりの基地から、できれば四十八度以南の流し網、ああいう方面のものをある程度許可してもらいたいという気持を持っているわけなんです。というのは、それは沿岸の零細漁民を救済するという建前なんです。ですけれども、それだけでは私はなかなか解決がむずかしいのじゃないか、こういうふうに考えております。
○廣川委員長 この際ちょっと竹谷君。に申し上げますが、高田参考人が非常にお急ぎのようでありますので、高田参考人に質問がありましたら、お願いいたします。
○竹谷委員 それでは高田参考人にちょっとお尋ねしますが、今、電力と輸送の問題が林産資源の活用上最も重要だという御説、ごもっともでありますけれども、実はこの衆議院のほとんど大部分の議員が提案者となりまして、国土開発縦貫自動車道建設法案というものが今国会で審議中になっております。これはたとえば東京――神戸間であれば、八王子から富士山の北部山ろくを通って、大井川の上流に大トンネルを掘って出て、赤石山系を突き抜けて長野県の南部地方へ出て、それから岐阜県の中津川へ出る。あるいは東北地方であれば、栃木県を通り福島、蔵王山ろくを通ってずっと青森まで行く、こういうような計画でありますが、このようなものができれば、たとえば今の赤石山系だけでも、一年に二百万石以上の木材がわずか一時間で東京へ輸送のできる大道路ができる。こういうことになりますると、これによって奥地林の開発ということ、それから、そういうところで安い設備費で電力の開発ができる。こういうようなことになって、パルプ工業の発展等にも大いに資すると思うのですが、パルプ工業の関係者として、どういうふうにお考えになるのか、御意見をお伺いしたい。
○高田参考人 御質問じゃないですね。
○竹谷委員 どういうふうにお考えになるか。御意見を拝聴したい。
○廣川委員長 あなたとして、縦貫道路を作った場合にどうお考えになりますか、ということです。
○高田参考人 私が先ほど申しましたことは、現状の自分のところに使うもの並びに出すものにつきまする隘路を申し上げたのでありまして、その施策については、これはやっぱり専門家に御検討を願うよりほかにないという気持を持っております。何しろ、さきに申し上げましように、御案内の通り闊葉樹専門に使っております関係から、――日本の闊葉樹が現在で三十二億五千万石あるのです。そのうちのちようど四分の一、八億が東北にあります。この闊葉樹、いわゆるブナ材が過熱しておりますので、うっちやっておけば、うっちやっておくほど価値がだんだん下る、こういうような時期にもなっておりますし、地上、地下を論ぜず、こういうものをしますのには、どうしても電力と道路というものが絶対必要である。これが開発の根本である。こういう見地から、私の立場を一、二申し上げた次第であります。これに対しまするいろいろの施策は、一つよろしく御検討を願って、適正な施策をお願いしたい、こう思って気持を申し上げた次第であります。
○竹谷委員 高田さんは終ります。
○廣川委員長 ほかに高田さんに御質問ございませんか。――それじゃ、どうもありがとうございました。
○竹谷委員 次に土屋さんにお伺いしますが、われわれが長年待望した、大きな機械でぐんぐん強力に開墾を進めていくために、この機械化公団ができたことは、まことに喜ばしい。ことし初めてその仕事をおやりになって、われわれも青森県上北郡野辺地にあります開拓地の開墾の状況をちょっと見せていただきましたが、ただその場合いろいろ関係者から承わりますと、機械化公団でやってもらうと、その費用が非常に高い、もう少し安くならないか、これは結局入植者の負担になるわけでございます。もっと安いコストでできますように、お考えになれないものかどうか。また、どういう事情でそのように経費が高くつくのであるか、御反省になっておられると思うのですが、御意見を承わりたい。
○土屋参考人 竹谷先生にお答えいたします。上北の機械開墾の町当単価でございます。公団はことし――開墾と申しましても抜根、荒起し、砕土、土壤改良、播種鎮圧――牧草の種をまきまして、その種を鎮圧してやる、そこまで、ことしやったわけでございます。なお当初の開墾の作業の中には、そのほかに、来年牧草がはえます。実は牧草は今はえておるのでございますが、それが来年春伸びますと、その伸びた牧草をさらにすき起すのでございます。御承知のように非常に火山灰地帯でございまして、有機質が少いのでありますので、堆肥等を開拓者が入れるといっても、これは大へんなことでございます。そこで牧草を前年まきまして、翌年の春これがある程度伸びますと、それを緑肥がわりにすき込みます。これを再墾と申しております。この再墾まで入れまして、実は開墾の単価を見ておったのでございますが、ことしはと申しますか、ただいまのところでは、県の方でも再墾は望まない、こういうことでございますので、ことしは抜根と荒起し、砕土、炭カルをまぜまする土壤改良、それから先ほど申しましたオーチャード・グラスとかラジノクローバーというような牧草を菜種と混播いたしましてそれをまく。そこまでの作業をいたしました。 これが公団の単価は、上北地区におきましては一町歩七万八千七百円、一反歩にいたしますと七千八百七十円でございまして、御参考までに申し上げますと、根釧の方は約一万円低い六万八千七百円と、こうなっております。これは実は農林省の予算単価と一緒になっておるのでございまして、青森県の方でも少し高いじゃないかというような議論がございまして、いろいろ折衝をして参ったのでございますが、結論を申し上げますと、県の方と最近、この単価で県でもよろしいということで話し合いができました。ただ、何しろ機械開墾は初めてのことでございますので、開墾は開拓者が県の知事に仕事を委託しまして、知事が今度は公団と開墾の委託契約をやる、こういう格好になっておりまして、県と、この開墾段階につきまして委託契約をするわけでございますが、それで今、委託契約を進めることに相なりました。ただ青森県でも、最初のことでもあるし、なおこの公団の作業の実績をよく両方で――県も公団も農林省も、三者寄って実積をよく検討した上で、あとで精算をしようということで、目下その実績を検討中でございますが、委託契約といたしましては、そういうことで一応委託契約をしよう、こういうことに相なっております。 それからなお、先ほど申し上げましたように、上北の機械開墾はほとんど終ったのでございます。そこで、われわれその実績をいろいろ考えてみますと、ことしは、なるほど最初のことでもございますし、これはできるだけ開拓者の御要望に沿うように、りっぱな開墾をしなければならぬという頭で、われわれ仕事を指導して参りました。開墾と一口に申しましても、いろいろ精粗バラエテイがあるようでございまして根っこを起して、それからあと、荒起しをするくらいの開墾もありましょうし、いろいろございますが、公団の開墾は、ただいま申しましたように牧草をまくまで、こういうことでやっておりますので、従来の開墾より非常に手のかかる開墾になっております。それから抜きました根っこは、大体片道五十メートルずつ、従いまして両方で百メートルになるのでございますが、その間隔に、根を集めて固めておいてくれというようなことで、これは少し広いかとも思いましたけれども、県の御要望もございましたので、そういうふうに非常に広い間隔に根を運んだわけでございます。それからもう一点、あそこは非常に木の多いところでございましたので、まず伐採をしまして、その伐採した木を取り片づけたあとで、われわれが入って開墾するわけでありますが、その伐採とあとの伐採した木の取り片づけの関係が、若干スムーズでなかった点もございます。それから、そういう関係からいたしまして、伐採が済んだところから開墾をやっていくというようなことで、飛び飛びに開墾をやりました。その地区がある程度分散をいたしましたために、機械が移動しなければならぬ。そういうような関係等もいろいろございまして、最初のことでございますので、いろいろ貴重な経験をしたわけでございます。来年度以降はこの経験を十分かみしめまして、せっかく大きな機械でやるのでございますので、極力むだな費用は省きまして、一銭でも安いところの開墾単価で開拓者に与えなければならぬ、かように思っております。
○廣川委員長 私も関連して。実は私、東北地方の十何町歩かの団地の開墾をやったのですが、傾斜は三十五度程度です。それであなたのやっております上北半島と同じような立木があって、あのくらいの根があるのです。それの開墾を機械開墾でなく、全部手開墾でやって、そうして土壤改良をして、堆肥を入れて、クローバーとオーチャード、イタリアン・ライグラス、菜種と混播して、一町歩の費用が七万円程度でした。これは参考までに申し上げます。
○竹谷委員 機械開墾は初めてのことであり、いろいろ経験を踏んで、漸次改善されていくことと思います。ただ機械化公団はいろいろたくさん機械をお持ちのようですが、職員の人々並びにその機械を年じゅうまんべんなく利用していくという点において、欠くるところがあるのじゃないでしょうか。冬などは、北の方ではなかなか作業が困難だろうと思うのですが、そういうときには、南の方の雪の降らないところに人と設備を持っていってやるとか、この点人的及び物的資源を活用しておられるのかどうか。 またもう一つ、地元で開墾費用が非常に高過ぎる、こう言うのは、そういろいろな堆肥を入れたり、あるいは牧草の播種をして、また耕耘をやるというのまで含んでいることを知らないで、ただ伐根、粋士あるいは地ならし、土地改良、その程度だと思って、高過ぎる、こう言ったのでしょうか、この点もしわかりましたら伺いたいと思います。
○土屋参考人 御指摘の第一点は、実は私どもも非常に苦心をいたしておる点でございまして、何しろ根釧と上北は、十二月から翌年の四、五月ごろまでは大体仕事ができない、そういうような自然条件の地帯でございますので、そこだけで仕事をするということになりますと、万事割高につきます。その点が、機械を動かす際に非常に苦心する点でございます。この前の国会で公団法が改正されまして、農地の造成、開発の仕事に支障のない限りは、冬季間等はその他の道路の仕事とか、あるいは木材の搬出とか、あるいは除雪というような仕事にも使ってもよろしいというふうに、事業内容が改正になったのでありますが、そういう趣旨もございまして、われわれといたしましても、上北が開墾を終りますと、いち早く、福島県あるいは宮城県等の開拓地の要望もございますので、そちらの方に機械を移動しまして、目下蔵王地区で、根っこの残っておりますところの開拓地の抜根をやっております。なお東北だけでは足りませんので、そのほか関東その他の地帯にも、できるだけ機械を向けまして、冬季間も遊ぶことがないように、年間通じますと、機械が能率的に稼働しまして、その結果、東北あるいは北海道の開墾の単価が下るようにということを、非常に苦心いたしておる点でございますが、努力をいたしておる次第でございます。 第二点は、従来の開墾をやる業者あるいは開墾のやり方の程度を考えてみますと、牧草の播種までも開墾単価の中に入っておるということは、あるいは認識が十分徹底していない、そういうきらいも一部にはあったのではなかろうか、かように考えております。
○竹谷委員 次に、森永の鈴木さんにお伺いしたいのです。先般私は委員長と東北地方の酪農関係等も視察をしたのですが、その際、岩手県等において草を改良して、そしてりっぱな牧草畑を作ってそこで酪農をやれば、一反歩当り一ヵ年に四万円くらいの生産が上る計算になる、このような意見を述べておりましたが、鈴木さんは、その点どのような御研究をなさったことがあるか、もしあれば、お示しを願いたいと思います。
○鈴木参考人 東北地方でも、ことに岩手県の試験場が草の改良面で非常に研究をされておりまして、岩手県等におきましては、ただいまお話のありましたような、耕地にクローバーを主とした草類を播種いたしまして、そこに繋牧いたしまして、ただそれだけで乳を出すというようなことが、だいぶ普及して参っておるようであります。御説のように、大体反当四万円くらいの牛乳の収益が上ってくるということは、私どもの方の工場でも、あの地帯で調べて伺っております。もっと草の改良の方面が進んで参りますれば、さらに収益が上るようになるのじゃないか、こう考えております。
○竹谷委員 次にフジ製糖の方にお伺いしたいのです。青森県の三本木における試験の成績は、ことしは北海道もしくはそれ以上であったが、宮城県の蔵王の地区では思わしくない、こういうお話でございましたが、宮城県の試験地は何村の何という部落であったか、もしおわかりでしたら……。
○佐野参考人 ここにちょっと書いておきましたが、宮城県刈田郡蔵王町北原尾部落。
○竹谷委員 成績のよくない理由は、褐斑病が出たためですか、それとも何か別の耕作上の欠陥、あるいは地味の関係、それに対する施肥や科学的な土壤の研究等が足らなかったためですか。そういうこまかい科学的な点はおわかりでしょうか。
○佐野参考人 実は、私どもこの地帯では初めての実験でありまして、土壤の件につきましては、あそこの開拓をされますときに土壤調査をやられました、そのデータによりまして、サンプルの調製をいたしました。それから施肥の量につきましては、三本木の試験地と同じ状態でやっております。でありますから、あるいは地味が悪いのじゃないかとも考えられますけれども、参考表の第二項の一番しまいに褐斑病の程度を書いてありますが、これが三本木と北原尾では非常に違っております。ことに褐斑病の出る時期が早いということが、相当に大きく響いておるのだろうと考えられます。褐斑病が早く出ますと、それからあと葉がどんどん落ちて参りまして、根の発育も悪うございます。これが収穫期になって、褐斑病が相当に出てくるのであれば、割合に収量にも影響しませんし、糖度にもほとんど影響しないということになっておりますが、とにかく褐斑病が非常に早く出るということも大きな原因と考えられます。そしてまた導入三号と申します種類、KLCRという種類は、ともに褐斑病に対する抵抗性の強い品種であります。ところが、この褐斑病に対する抵抗性というものが、蔵王地区ではほとんど出ておらない状態であります。蔵王地区でもって、褐斑病に弱い品種と、強い品種と並べて栽培しておりますと、どちらも同じようにかかってしまう。三本木に参りますと、褐斑病に強いといわれている種類は、確かに褐斑病の罹病率が低いのであります。弱い種類は相当やられても、強い種類はやられていないのであります。結局、気候的条件というものが、非常に何か悪いところがあるのじゃなかろうかと感じております。今後、追試験をやって証明したいと思います。
○竹谷委員 福島県の鈴木代儀士がこの間われわれに配付してくれた印刷物によると、福島県の阿武隈山系、むろん、これは蔵王山ろくよりももっと暖かい地方ですが、そういうところにおいては、病気も出ないし、成績がよかったとある。蔵王は相当標高も高く、今年はアズキ、豆等もとれぬ冷害があったのです。われわれが拝見した今の十和田市、昔の三本木町は平地のよい土地であった。蔵王山ろくは火山灰地の悪いところで、濃霧が多い。そういうところは、褐斑病に抵抗の強い品種でも、その強さを発揮できなかったということになると、問題になります。私、昨年の九月か十月ごろ行ったのですが、終戦のとき、鉄道職員が何十人かあの近くに入植して、酪農なんぞやっておって、そこで試作をしておった。これは北海道の製糖会社と連絡をとって種を持ってきたようでありますが、何も病気にかかっていない。私はこの目で現に見ております。だから、これは決して望みなきにあらずと考えている。これは東北地方の、ことに高原地帯等の開発のために、非常に重要な産業と目されるものでありますので、御社においても、今後くじけないで御研究願いたいと思う次第であります。
○廣川委員長 ほかに御質疑ございませんか。
○門司委員 この話と全然関係がないわけでもないが、森永さんにちょっとお聞きしたい。酪農開発は非常によいと思いますが、現在の酪農の状況を見てみますと、農民の生産した乳価と、市販乳価との間の開きが非常に大きい。こういう状態では、どんなに酪農を奨励して参りましても、あまり農家の利益にならず実際的の効果は薄くなると思うのですが、どうして乳製品と原乳と、こういう開きを持っているかについて、あなたの方ではよくおわかりと思うので、この機会にお聞かせを願っておけば、けっこうだと思いますが……。
○鈴木参考人 御指摘の件は、各方面から質問される問題でありますが、われわれが農家へ支払っております乳価というものは、そこの付近の集乳所と申しますが、そこで受け取るときの乳価であります。そこで冷却するとか、あるいは工場まで持ってきます運賃とか、あるいはその間やはり非常にいたみやすいものですから、変質するものとか、目減りというようことを計算いたしますと、工場へ入ります原価は相当高くなるわけであります。今ちょっとはっきりしたものを持っておりませんが、運賃だけでも、私のところの全国平均が今日では約四円くらいかかっております。さらに目減りも一%くらいはあります。また落等というようなもの、つまり乳質が落ちまして、ビン詰にならないようなものも、〇・五%くらいはあるようになっております。われわれの方で乳価と申しますのは、大体脂肪率三・二%であるとか、あるいは三・三%とかいうようなものを一応基準といたしまして、一升二百目幾らというふうにきめているわけであります。御参考までに、これは今年の九月分ですが、私の会社の受け入れているものを平均して調べてみますと、主としてミルクその他の原料になっておりますものの乳価は、四十九円三十三銭になっております。運賃が四円四十銭、こんな工合になっております。それからビン詰工場の方面のものはどうなっておるかと申しますと、一升当りの平均ですが、六十一円七十六銭、運賃が二円七十三銭、こんな工合になっております。これはもちろん一等乳と申しまするビン詰牛乳、あるいは乳製品でも、高級な赤ちゃんのミルクであるとかいうようなものを作るものと、それから質が落ちまして、バターを作るというようなもの全部を入れた平均になっております。それで、この二つを平均いたしますと、全国の平均乳価が五十二円五十三銭、それから一升当りの運賃が四円四銭というのが、九月の月報になっておるわけであります。 こんなわけで、たとえば北海道が、四十四円というような三・三%のものの価格になっておりますが、脂肪率がやはり高いものですから、脂肪率の高いものは高く買います。そういうような関係で、遠州地区の九月分の一升当りの乳価は、四十六円十五銭という工合になっておりますそれからこの付近ですと、埼玉が五十二円二十二銭、これは三・二%にしますと、五十円、三・三%で五十一円五十銭という呼称価格でありまするが、支払い価格は、脂肪率が多いために、五十二円二十二銭という価格になっております。さらに神奈川県の平塚でありますが、ここは三・二%五十一円、三・三%五十二円五十銭になっておりますが、支払い価格は五十六円七十九銭、こういう工合になっておるわけであります。このほかに目減りとか、落等とかいうものが、今申しましたような工合になってくるわけでありまして、普通いわれておりますのは、いわゆる農家の手取り乳価というもので、その間に相当の価格差があるということを申し上げたいと存じます。 それからビン詰牛乳で、いつも問題になるわけでありますが、ビン詰牛乳は、今申し上げましたように、たとえば東京の工場で申し上げますと、目黒工場の原乳価格が五十九円六十六銭、新宿工場が六十二円八十九銭というような価格になっておりますし、横浜工場が六十六円九銭、これは九月分の一升当りの乳価であります。こういうような価格で買いましたものを、われわれは農家から工場へ持ってくる間に、冷却あるいは運賃、目減り、落等等々がありまして、さらに工場に来ましてこれを冷却する、それからこれを法によって殺菌する、さらにまた、これを冷却するというような操作をいたしまして、ビン詰にいたします。その市乳の卸価格を今はっきり私、存じておりませんが、おそらく普通の牛乳は、九円六十五銭か七十銭くらいで、小売店まで持っていって届けまして、卸しておるというようなことになるわけであります。さらに脂肪率を強化いたしまして、ビタミンあるいはミネラル等を加えました、いわゆる私のところのホモ牛乳と申しておりますが、これはやはりそれよりも約七、八十銭高で卸しておるわけであります。だから、十円五十銭くらいと思いますが、そのくらいの価格で卸しておるわけであります。 それから末端の、いわゆる小売価格のマージンが多いというような声もあるわけでありまするが現状でいきますと、やはり法律上十度以下のところに貯蔵しておけというような何もありますし、いろいろな関係で今日末端価格は、普通牛乳が十四円、ホモ牛乳が十五円というような価格で売られておるようであります。 しかし、いずれにいたしましても、乳製品といたしましても、御承知のように、アメリカ等と比較いたしまして、日本の乳価がどうかと申しますと、決して日本の乳価は高くない、しかるに今日日本の製品が外国に輸出されない。どうして輸出されないかということで、よく言われるわけであります。つまり乳価はアメリカあたりよりも高くないにかかわらず、製品の価格がどうして高いんだ、君らがもうけ過ぎるのだろうというようなことを、よく言われるわけであります。これは先ほど申し上げましたように、日本の酪農がまだ十分なる発達をいたしませんで、生産量が伸びたとは申しながら、きわめて少い。そういうような関係で、工場を経営いたしましても、三十石かあるいは百石という程度の工場が大部分でありまして、二百石、三百石というような工場はきわめて少い。こういう関係で、設備の方面から見ましても、高能率の設備をどこへも据えつけることができないというような状態にあるわけであります。アメリカあたりでは、私の聞くところによりますと、普通の中小メーカーでも五、六百石、大遂いメーカーでは千五百石から千八百石くらいを、一工場で毎日処理しておるということであります。そういう形になりますと、コストはどんどん下ってくるということになるわけでありまして、そういう形にわれわれも早く進めたいと考えて、日夜努力しておるわけであります。
○門司委員 今のお話は、業者から見た一つの考え方であって、われわれが検討しなければなりませんのは、結局、酪農農家の立場と、乳製品その他の価格の問題と、二つあるわけでありますが、この場合は酪農農家の場合だけを考えて、もしお気づきがございましたら、お答え願いたいと思います。これをお聞きいたしますのは、酪農にいたしましても、日本の場合のように個々が一頭か二頭しか飼っておらない、従って集荷所に集約される乳の内容というものは異なっておる。異なっておるということになりますと、脂肪がどれだけか、何がどれだけかという正しい値段が出てこないということと、もう一つは、指導の面に非常に問題がある。これはアメリカの酪農の関係をわれわれの乏しい知識から申しますと、合理的、集団的に五十頭なり六十頭なり飼っておる関係から、会社へ持ってきたものを直ちに検査して、いいとか悪いものを分けていって、それで乳価はこれだけということで、正しい計算の方法でずっと支払われておる。同時に、生産者に対しては、こういう結果が出たということは、こういうえさが足りないのじゃないか、こういうえさをもっとやったらいいじゃないかという指導がされている。そこまで指導して、お互いがやってきておる。ここに日本の酪農の一つの隘路があるのじゃないか。だから、牛の飼い方をもう少し集団的にやるなり、あるいは科学的にやるなりすることによって、市販の乳価と原乳の幅が少し縮められるのじゃないかというような関係も、これは作る者だけの立場から見て、あなた方の方に触れないで――あなた方の方に触れるということは、いろいろ問題がありますが、触れないで、農家の生産と品質をよくするということの立物から考えると、そういうことが考えられるのですけれども、そういうことも、乳価を処理されるあなた方の方でお気づきになって、多少なり今指導がされているかどうかということ。今申し上げましたように、指導が個々ばらばらの指導でありますから、非常にむずかしいと思いますが、なされておるかどうか。生産者側の改良すべき点が、一体どの辺にあるかということにお気づきの点がございますならば、一つ教えていただきたい。
○鈴木参考人 きわめて適切な御意見でありまして、私たちも常にそういう面に対しましては、及ばずながら仕事をやっておるわけであります。私のところでも、大学を卒業いたしました、いわゆる酪農係と私の方では申しておりますが、これを百二十八人ぐらい、現在各工場に、多いところでは十人くらい、少いところでも二、三人を配置いたしまして、絶えず農家の酪農経営改善のために、努力して参っておるわけでございますけれども、なかなか十分な人がありませんもので、まだそういう面の十分なる啓蒙ができないということで、さらに一そうそういう面の強化をしなければならぬと考えております。 それから牛乳の問題ですが、牛乳はただいまのところ、お説のように集乳所へ持って行きます――これは輸送の関係から全部二斗カンにあける、あるいは、たくさんありますところは、タンク・カーと申しますが、冷蔵装置になったものにがあっと詰めて参ります。しかし、その集乳所では、一軒一軒の農家の牛乳は、必ずサンプルを取りまして、これを貯蔵しておきまして、そして毎日はやっておりませんが、少くとも一ヵ月に三回ぐらいは全部、脂肪を個人々々で検査いたしまして、それでお支払いをする、こういうことになっておりまして、乳質のいい牛乳を出す方々は、従って乳価が高くなる。乳質の悪いものは、やはり高くないというようなことにはなっております。それから、ただいまお説のように、そういうような乳質がよくない牛乳を出す農家がわかりますと、できる限り早く酪農係はその農家へ行きまして、その飼養管理がうまくいかないのか、あるいは牛がそういうような脂肪の少い系統のものであるか、というようなことも十分調査いたしまして、飼養管理の面で、脂肪の少いものは飼養管理を改善して脂肪をよくする。脂肪がどうしても体質的に少いようなものは、これを淘汰するというようなこともやっているわけでありまするが、何にいたしましても、今申し上げましたように、全国に三十数ヵ所の事業場を持っておりまして、酪農係というものが、わずか大学を出た者は百二十八人、その他高等学校程度の者がおりますけれども、そういうようなところでは、病気になりますと、病気を見てくれと言いますし、治療と両方を兼ねておりますから、十分の指導のできませんことを、まことに遺憾に存じておるわけであります。お説のように、今後十分そういう面に対しましても、さらに一段と努力して参りたい、こう考えております。
○廣川委員長 よろしゅうございますか。ほかに御質問ございませんか。――なければ、これにて参考人よりの意見聴取を終ります。 参考人各位には、長時間にわたりまして、非常に貴重な御意見を承わりまして、本件調査の上にきわめて参考になると考えます。この際厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。 ―――――――――――――
○廣川委員長 次に請願の審査に入ります。 一級国道三十六号線舗装工事促進の請願を議題とし、まず紹介議員より趣旨の説明を聴取いたします。紹介議員がお見えになりませんので、私がかわって朗読いたします。 本請願の要旨は、北海道総合開発において、交通の整備は最も急を要する問題であるが、なかんずく道南地帯を結ぶ札幌-室蘭間の一級国道三十六号線の完全舗装は、運輸交通上はもちろんのこと、産業・文化の興隆上きわめて重要である実情にかんがみ、北海道開発局の配意によって同舗装が着工されたことは、沿道関係住民の喜びとするところである。ついては同工事がすみやかに完成するよう、特段の措置を講ぜられたいというのである。 次に政府側の意見を聴取いたします。高野説明員。
○高野説明員 一級国道三十六号線のこの区間につきましては、昭和三十一年度に事業費一億七百六十万円をもちまして、今年度中に約五千二百メートルを完成する予定でございます。昭和三十二年度には、事業費を約二億七千万円要求しております。なるべく早くこの未完成区間を完成したいと考えております。
○廣川委員長 この際お諮りいたします。ただいまの請願は、その趣旨は適切妥当なものと認められますので、本請願は議院の会議に付することを要するものとし、採択の上、内閣に送付すべきものを決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○廣川委員長 御異議なしと認めまして、さよう決します。 なお、本請願に関する報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○廣川委員長 御異議なしと認め、さように決します。 ―――――――――――――
○廣川委員長 次に、閉会中審査案件申し出の件につきましてお諮りいたします。本会期も数日後をもって終了することになっておりますが、ただいま本委員会に付託になっておりまするところの北海道開発庁設置法案、北海道開発庁設置法施行法案、北海道に在勤する者に支給される石炭手当等に対する所得税の特例に関する法律案及び国土総合開発に関する件につきましては、前国会通り、国会法第四十七条第二項により、閉会中も継続して審査をするために、その旨を議長に申し出るに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○廣川委員長 御異議なしと認めまして、さよう決します。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時五十七分散会