公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第5号
- 発言数
- 53 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1956/12/18
会議録
○青木委員長 これより会議を開きます。 公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。本日は選挙違反事件等と恩赦の問題について議事を進めます。高橋法務政務次官より発言を求められておりますので、この際これを許可いたします。
○高橋説明員 今回、国連加入という、わが国終戦後における画期的な事態に対応いたしまして政治が一つの新しい段階に入り、あるいは人心の一新ということを考えまして、その一つの方法として、恩赦の問題を現在取り上げているような次第でございます。これにつきましては、大体、考え方として、今回の国連加入が政治目的でございますので、従って、政治に関係する選挙法違反であるとか、そういうようなものを中心として大赦令によってこれを行い、その他の個々の事件につきましては、罪状なり罪質なりあるいは個々の各般の状況を十分しんしゃく考慮いたしまして、公平にしてかつ遺憾のないような形において実施したい、こういうので、形といたしましては、大赦令によるものと恩赦令によるものと、この二つに相なると思うのでございます。大体ただいま考えている点はさようでございます。
○青木委員長 発言の通告があります。ので、順次これを許可いたします。井堀繁雄君。
○井堀委員 ただいま高橋政務次官のお話によりますと、日本の国連加盟を期して恩赦を実施されるということが明らかになったようでありますが、このことについては、すでに、各新聞社の報道は、いずれもその恩赦の内容などについて報道いたしているようでありますが、一体、恩赦にいたしましても、旧憲法のもとに行われた天皇の大権の発動と異なりまして、新しい憲法のもとにおいては、行政府である内閣が、あらかじめ、恩赦の範囲なりその実施細目などについて、相当具体的なものを準備されて認証を求めるという形式が、正常なるやり方のようにわれわれは思うのであります。こういう点で、すでに今まで新聞に発表されておりますものは、政府がそれぞれの方法において明らかにされたものが報道されているものと、当然判断されるのであります。そこで、この機会に、実施細目なり適用範囲などについて、この国会に、ことにこの委員会は、政府の恩赦の対象が選挙法関係の救済に主力が注がれているように新聞は報じておりますから、こういう点について、われわれとしては、恩赦の認証が行われる以前において、一応政府の所見をただす義務があると思いますので、一つ当局の見解を明らかにしていただきたいと思います。
○高橋説明員 恩赦を行うかどうか、言いかえるならば、国連加入を機会にして行うかどうかということにつきましても、これは、事務的に考えますと、相当論議のある点でございます。従って、閣議等におきましても、国の総合的な政治判断に基いて相当論議されたのであります。大体、閣議におきましても、その政治判断において恩赦を行おう、こういうようなことになり、従って、先ほど申し上げました通り、その後の考え方も、政治違反というものを中心にして考えられたのでございまして、従って、それに伴う事務的な、それならそれにどの程度までとるかというようなことについては、いろいろ論議されました。従って、今新聞等に出ておりますのは、必ずしもそれが当を得ていると思いませんが、同時に、御承知の通り、国連加入というのが、日にち的にも、最初は十八日といい、十九日といい、未決定でありましたのと、その間、御承知の通り恩赦につきましての最終決定は陛下の認証を得、また、その間におきまして、これが外部に漏れるというようなことにつきましては、いろいろ実施上においてもあるいはこれが運営においても相当な問題を惹起いたしますので、かつまた、現在、その内容等においても、本日の閣議において最終的な決定を論議されておる、こういうような状況でございまして、今直ちにこれとこれだというようなことをお答え申し上げる段階ではないのでございます。ただ、申し上げました通り、大体の政府の考え方としては、政治事犯を中心ということになりまして、勢い選挙法違反のものがその中核をなす、こういうことは大体の考え方としてあるわけであります。
○井堀委員 私のお尋ねをいたしまする前提として、まだ私法律のことはしろうとでよくのみ込めませんが、そういう意味で一つ次官の見解でもけっこうでありますが、昔の明治憲法のもとにおきまして恩赦が行われる際においても、今度の新しい憲法の第七条にも規定してありますように、大赦、特赦、減刑あるいは復権、こういうふうに憲法の第七条の六号に明記されてあるわけであります。同じ恩赦でありましても、大赦の場合と、特赦の場合、減刑の場合、それぞれ大きな違いがあるようでありますが、私どもは、古い時代の大赦については、大赦が刑の執行の免除復権を認証するものとして、大赦の場合でありますならば、その大権の作用によりまして、犯罪に対する法律上の効力を消滅するという非常に幅の広い性格を持つものであり、特赦はそれに次ぎ、さらに減刑、復権というような、その恩赦の内容にも非常な違いがあるようであります。でありますから、一がいに恩赦が行われるといっても、それがどういう内容のものであるかということが大きく開きを来たすと思うのです。そういうふうに私は理解しておりますが、間違っておれば教えていただきたい。そういう恩赦、しかも、旧憲法のもとにおいては全く天皇の大権ですから、問題はおのずから明らかでありますが、今度の場合は、この委員会で絶えず検討を続けてきておりまする選挙法に関係いたします、すなわち選挙違反の犯罪がこのいずれによって恩赦を受けるかということは、選挙法を審議する委員会としては重大な関心を持たなければならないと思う。もし選挙法の欠点や盲点をこの恩赦によって救済しなければならぬものであるとするならば、その選挙法自身に対する改正をわれわれは急がなければならぬ。そうではなく、恩赦の一般規定に基いて全体のそういう犯罪者及びこれに類するものを恩赦にかけようという場合とケースが非常に違うと思うのです。今回新聞等の伝えるところによりますと、大幅に選挙違反関係者が救済されるということが報道されておるわけであります。こういう点に対して私どもとしてはある程度の事実を承知しておきませんと、それが従来のように天皇の大権で行われるのと異なりまして行政府が——その行政府も、御案内のように国会が首班を任命したものであり、その閣僚のほとんど大部分はわれわれと同僚の国会議員である、こういう関係から責任の一半をわれわれは負わなければならぬことになるわけですが、行政府の行います恩赦の天皇への認証を求めるその発案というものは非常に重要である。こういう意味で、ある程度計画その他についてわれわれに政府は明らかにする義務があると思う。そういう意味で、どの程度、施行細目なり、恩赦を行います場合の適用範囲、適用範囲の中でも選挙関係のこと、新聞が伝えるように選挙関係に大幅にこれが適用されるとするなら、そういういろいろな分類があるようでありますが、どういうものによってどの程度の範囲に及ぶか、ある程度明らかにされることが必要だと思いますが、この点に対する政府の見解をお伺いいたしたいと思います。
○高橋説明員 お話の点ごもっともでございますが、先ほど今回の恩赦の性質について申し上げましたように、国連加入という政治問題を中心にして人心を一新しようという意図に出たものでありまして、従って政治事犯のものが中核になりましたが、それでは、現在の選挙法自体が非常に欠陥が多くて、そうして恩赦その他によってこれを救済するのが妥当だというような結論からきたのではないのであります。この点は、この前の講和会議のときに恩赦を行いましたが、その場合には若干講和会議という政治目的もございましたが、同時にまた、占領中においていろいろ占領行政が日本の従来の刑法なりあるいは日本の実情等においてそぐわなかった処罰規定等によってやはり処罰されておるものもございますので、これらを若干救済するというような占領行政自体の是正というような観点から、恩赦の中にもそれを十分取り入れたのでありましたが、ただいま申し上げました通り、今回選挙法が中心になっておりますけれども、これは選挙法自体の欠点を救済するという意味からこれを救済したのではなくて、むしろ先ほど申し上げましたように政治目的という点にあるのであります。もちろん検察当局等から聞きましても、われわれ法務当局といたしましても、現在の選挙法が紙一重のところで罪になり罪にならぬというような、いろいろな非常にむずかしい問題を含んでおるということが、現在のような選挙事犯が十何万も出るというような点に及びますならば、あるいは、こういう機会に、こうした一般の国民の選挙に対する犯罪意識とまたその実情に完全に一致するような、あるいはそれに近い選挙法の改正等をお考えいただくということも必要かと思いますけれども、これはこれなりで、選挙法自体の問題として十分実体的にお考えいただくことになると思うのでありますが、今回の恩赦は、先ほど申し上げました通り、むしろ政治目的、ちょうど昔の大権時代なら、あるいは年号を変えるとか、あるいはそういうようなことで一つの人心の一新ということをねらったろうと思いますが、その一態様として今回この恩赦の問題を取り上げた、こういうことであります。
○井堀委員 そこで具体的に一、二お尋ねをいたしますが、恩赦の実施の時期はいつであるか、それから内容についてどの程度明らかにできるか、そのできるところだけをお伺いしたい。
○高橋説明員 先ほど申し上げました通り、内容的にはきょうの閣議におきましても最終的な論議が行われておるところであり、同時に、認証前にこれを政府において発表するということはいろいろな支障を来たすものでございます。これは日本の国連加入がきまった日ということを目途としておるのでございまして、従って、同時に、国連加入の日が十九日になりますか、あるいは事態によっては延びるということになりますれば、それに応じてまた日にちも変ってくると思います。 なお、内容等につきましては、ただいま申し上げました通り、今回は国連加入ということでございますから、政治事犯を中心にした。従って、政治事犯となりますと、数量的には選挙事犯の人が多く適用を受けると思いますが、その程度の意図でございまして、その他は特赦と申しまして、個々的な罪状あるいは罪質、そういうものの総合判断において、本人の申し出、そういうことも十分取り入れまして、そうしてある一定期間内においてそれを解決する、こういうことに相なっております。
○井堀委員 実施の期日は国連加盟の日によってきめられるだろうということですが、それでは認証の手続をいつおやりになるか、この点に対して一つ。それから、実施内容については発表がはばかられるような御発言であります。ところが、これは朝日新聞の十八日の記事ですけれども、内容がかなり具体的に公表されている。これに対して一体政府は全然責任を持たぬのか、この点まずお伺いいたします。
○高橋説明員 ただいま申し上げた通り、最終的には本日もただいまの閣議で論議されておりますので、私も閣議の情勢を知りませんものですから、私といたしましてはここで何ともその点はお答えいたしかねる次第であります。従って、それらが閣議で決定いたしますれば、なるべく早い機会に認証手続は踏むものと考えております。 それから、今のお話の新聞発表でございますが、今度の問題は、先ほど申し上げました通り、法務省が事務的に進めたというよりは、むしろ政治判断に基きまして法制局を中心とした内閣においていろいろと進められたのでありまして、われわれも、新聞にえらく詳細に出ておりますので、実は驚いておるような次第であります。その点の経路についていまだつまびらかにいたしておらないような状態であります。
○井堀委員 認証の手続の日がいつであるか。新聞などによりますと、本日の閣議と十九日の朝の持ち回り閣議で再び正式にきめると朝日新聞は明らかにしておる。それから、内容については、適用の範囲も七万余人ということが明らかにされておる。しかも、大赦あるいは特赦、減刑その他かなり詳細に数字をはめての発表でありますから、これは責任当局の公表したものであるということは想像にかたくない。こういうものがすでに明らかにされているのに、国会で内容をこの程度も発表ができないということは、奇怪しごくと言うほかはない。冒頭にも申し上げましたように、この委員会は選挙法の改正についてはかなり熱心に検討を続けております。特別委員会ではありますけれども、与野党の正式のメンバーが今日まで選挙法については最大の努力を傾けておると思うのであります。本来でありますならば、新しい憲法のもとにおける恩赦というような制度が実施される場合には——ことに、今回新聞の報道するところによると、選挙法違反の事件が一番多い。あなたは、先ほどの御答弁の中におきまして、選挙法の極端な盲点ともいわれるべき罪の裁定について紙一重という、この点をこの際救済することが大きな理由であるということを明らかにされたが、その通りだろうと思う。そうだとするならば、もちろん選挙法の改正が約束されなければならぬわけです。こういうような事柄がきわめて明確でありますから、本来でありますならば、今日の行政府は当然——国会のこの委員長は与党の青木さんなんです。委員長とやはり事前にこういう問題に対して協議が行われる。あるいは、新聞に発表になる以前に、こういう事柄について政府はこう考えるくらいのことは明らかにされる。また、委員長は、委員長の考えでこの委員会に諮るか、自分の意にとめるかはこれは別でありましょう。当然こういう委員会の意を聞いて、そうして恩赦の場合におけるそれぞれの実施内容なり範囲なりを定めていくのが普通のやり方ではないか、こういうように考えるのですが、この点に対するお考えはいかがですか。
○高橋説明員 お説ごもっともでございますが、実は恩赦をやるかやらぬかという根本問題についても政府部内で相当異論があり、この問題については法務委員会あるいは参議院の法務委員会等でも問題になったのでございまして、しからば、かりにやるとしましても、こういう内容をどの程度まで持っていくのがいいのか、同時にまた、かりに選挙違反にいたしましても大赦令によってやるのがいいのか、あるいはまた個別恩赦の形式によるのか、そういうのが最終的にきまらなかったものでございますから、従って、その間選挙関係について当委員会あるいは委員長に御連絡申し上げるというようなひまがなかったのでございます。 なお、新聞等における人数や何かの点はどうだということでございますが、これも法務省としては発表いたしません。たまたま、法務委員会等において、一体選挙違反関係の刑訴事件は今どれだけあり、あるいは刑に問われておる者はどうだというような御質問に対して申し上げた数字はございますけれども、恩赦関係としてこれこれだというような数字は、法務省としては発表いたしておらないのであります。従って、おそらく内容的にこういうのじゃないかというような想像から、選挙関係では何人、あるいは政治資金規正法で何人というような数字が、これは新聞社のそういうような取材によって構成されたのではなかろうかと存ずるのであります。
○井堀委員 新聞の取材がどういう方法で行われたかということについては、私どもも事情がわかりません。しかし、内容としては各社とも同じような書き方をしておりますから、公表したかしないかは別です。しないと言えばそれだけでしょうけれども、しかし、一応こういうことが一般に明らかになったということは事実なんです。そういう事実が公表されたのは、新聞一社の調査に基いて取材したのかかもしれぬ。これと全然違ったものが計画されておるというならば、これは別です。しかしこれと似たり寄ったりというようなことでありますならば、この委員会としてはあらかじめ承知しておかなければならぬ事柄だという点については、あなたもうなずけると思う。こういう点については私ども非常に心外だと思う。一体この委員会というものの責任から参りましても不見識きわまることですが、幸いにして委員長が事前にこの委員会を招集されましたから、認証前に、すなわち公表前に一応政府の所見をただすことができた。しかし、政府は依然として他の理由をもってその内容を公表する時期じゃないと言うようでありますが、このことは大へん誤まっておるのじゃないか。公表をはばかるものでありまするならば、この委員会は秘密を保つことに何もやぶさかでありません。非公開もありましょうし、何か方法はあると思う。そういう点ではないというのでありますならば、私は、政府の今回のやり方は、国会軽視の一つの現われだとして、非難しなければならぬ事柄のものじゃないかと思うのです。 次に、私どもがこういうことを申し上げるのは、一つには、選挙法それ自身に対する専門委員会としてのこの委員会のわれわれは責任を感じまする立場と、いま一つは、恩赦というものが言うまでもなく公平でなければならぬことは、何人も否定ができぬのであります。選挙関係の中においても、公平かいなかということについては、私はこの委員会が一番正当な判断をし得る国の最高機関の中における専門委員会だと思う。これが全然ノータッチで、新聞に出ていることもこの委員会は政府を通じて聞くことができない。これはまことに不合理だと思う。牧野さんがおいでになれば、選挙については相当の権威者ですから、きっといい答弁をされると思うのですが、あなたの専門ではないと思うのですが、本来——これはいつ大赦されるか時期も明らかにされませんけれども、できるなら、政府は、公表する以前にすみやかにこの委員会に連絡して委員会の了解を求めるくらいの手続をとるべきではないか。そうしませんと、結果になって不公平だとかなんとか、認証が行われましてからそういうことをこの委員会が審議するということは、ある意味においては天皇の認証に対する不信を意味することになると思う。こういう点から考えても、従来のように天皇の大権で発動されるのでありますならば、これは何回も言うように責任をとらなければならぬ。これは非常にけしからぬ行為だとわれわれは思うのでありますが、政府はこの点に対して何か配慮をされたことがあるか、その他何か適当な処置を講ずる意思があるか、これに対する明確な見解をお聞きしたい。
○高橋説明員 先ほど来申し上げました通り、特に今回の恩赦がきまる経過が最終的になかなか異論があり、内容的にも相当な議論があって、本日もなお午前中に閣議でやっているというような状態であったことは、申し上げた通りでございます。しかしながら、お話の通り、選挙その他に非常に重大なる関係があるというような場合におきましては、やはり当委員会と十分な御連絡も申し上げ、あるいは十分御意見等も御聴取するということは、私も当然だと思うのでございます。お話の通り、大臣がおればもっと適切なる御答弁ができると思うのでございますが、私はなはだ不敏にいたしまして十分な御答弁ができませんで、その点につきまして十分お話の点は大臣に申し上げたいと思います。
○井堀委員 私の失言か知りませんが、何も決して牧野さんとあなたを比較して軽重をどうこう申し上げておるのじゃありません。ただ、責任の所在が、私はこういう機会に明確な答弁をさるべき筋合いだということを申し上げたのでありますから、御了解願いたいのです。 そこで、あと同僚からの質問もあり、時間も制約があるようでありますから、この一問で終りたいと思うのです。はっきり一つ御答弁いただきたいと思いますのは、先ほど来あなたも了承されておりますように、扱い方としては、やはり、国会の同意を得るというまでにいかなくても、了解の上でこういうものは処理すべきことが筋だと思う。しかし、これは、恩赦が発動になったあとにおいて、公平か不公平かというようなことが具体的に現われてくるわけであります。それは行政府としては公平だと主張されるでありましょうけれども、世論政治でありますから、国民の多くが見て不公平だということになれば、当然国会の問題になってくるわけであります。そのときになってから、こういう問題の処理をどうするかということについても、われわれはあらかじめ考えてお尋ねをしたつもりであります。しかし、それも余儀ないとするならば、こういう問題が今後起きないということの保証は私はできぬと思う。そういう場合に、この委員会は、政府とこの委員会との関係において、選挙法の限界においてはどうしても始末しなければならぬ責任の地位にある。こういう問題についてきょう具体的にお尋ねしたいのでありまして、用意したのでありますけれども、政府の方では内容については明らかにされないし公表しないと言う。そのことを追及することは困難でございます。実際を申し上げますと、新聞の報道している範囲内におきますと、私どもは非常に不公平な点を指摘しなければならぬ。しかし、これは新聞の取材だと逃げたので、論議の中心になりますまい。問題はあとに残されるわけであります。新聞記事とほぼ同様のものが恩赦の内容だとするならば、選挙法に関する限りにおいても、あるいは政治事犯という言葉を用いておりますが、果して政治事犯というものがこういう程度でいいかどうか。従来私どもは古い憲法のもとにおいて何回も行われた恩赦などを見ましても、特に今回の場合は国連加盟という、いわば世界的な、日本の一つの画期的な進出を意味するわけでありますが、こういう恩赦というものを政治犯に及ぼすということは、私はある意味において筋はあると思う。しかし、その場合においては、政治犯とは何かということが問題になってくると思う。新憲法が施行された当時の恩赦のように、ああいう明確な線もありますが、今回の場合もおのずからそういうものに来なければならぬ。そういう点において、選挙違反と他の政治犯との関係においていずれを直視するかということは、議論があると思う。そういう議論がこの国会で行われないということは、新しい憲法の精神にそむく恩赦のやり方だと考える。こういう点に対して問題をあとに残されるわけであります。われわれは今後この問題について政府の責任を追求しなければならぬ。しかし、総裁もかわられて、内閣も近く退陣されるかもしれません。社会党にいくか、あるいはたらい回しするか、個々いろいろの問題もあるようであります。今後の問題といたしましては、私は、こういう問題を今後に残すことは必ずしも適当でない、こういう時期においてこそ、すみやかに責任政治の立場を明らかにする意味において、やはりこういう委員会に積極的にあなたの方から、それは公表をはばかると、今言うように防犯上の理由があるなら、それは言えるわけです。そうすべきだと思うのです。こういう点に対して——これは、何も牧野さんでなくても、あなたでもお答えできる。この機会に明確な御答弁を伺っておいて、次のわれわれの討議の対象に残したいと思う。
○高橋説明員 お話の点私もごもっともだと存じます。恩赦のように政治目的をねらおうというのは、要するに、そのねらう政治目的というものは、やはり世論がこれを支持するということでなければ、その政治目的は達成できないのであります。従って、大権時代のように、ある一つの大権の恩典とかあるいはいわゆる恩赦とかいうあれではなくて、むしろ新憲法のもとにおいての世論政治ということでございますれば、今のお話の通りであります。従って、それを行いますには、各界各方面の意見をくまなく取り入れまして、そうしてほんとうの政治目的が達成し得るような形において行うのが筋であると思うのであります。今回いろいろな先ほど申し上げたような事情で十分でなかった点については十分反省いたしまして、将来、こうした問題については、ただいまの御意見のようなあり方において今後運ぶべきが適当であろうかと私は考えるわけであります。
○青木委員長 島上善五郎君。
○島上委員 今回の恩赦は広く政治に関する罪を許す、こういう方針できめられたということを伺っておりますが、それは間違いないかどうか。広く政治に関する罪を許す、そういう基本方針の上に立っておることが間違いないかどうかということを確かめておきまして、そうであるとするならば、広く政治に関する罪とは、もう少し具体的にいえば、どういう事柄が含まれるのか、これを最初に承わっておきたいと思います。
○高橋説明員 言葉のあやで、広くということがどの程度を含むのか、これはなかなか問題でございますが、ただ、大赦及び恩赦を通じまして、できるだけ今回の政治目的に沿うようにという意味におきまして、政治に関するものについては広く恩典に浴させ、国連加入という政治目的に対する人心の一新をねらいたい、こういうふうに考えておるわけであります。
○島上委員 広く政治に関するといっても、これはもちろん抽象的な言葉ですから、その広さの限度もあることでしょうけれども、私どもは、選挙法違反あるいは政治資金規正法違反だけが政治に関する罪だとはどうしても考えられない。政治に関連した罪がもっとほかにもあるはずだと思う。その点を伺いたいわけなんです。
○高橋説明員 この二つだけが政治の事犯でございませんことはお話の通りで、その他にもございますが、どの程度で入れるかということにつきましては、やはりその間比較公平の問題と、同時にそれらが今回の恩赦による政治のねらいということと関連してその範囲をおのずからきめたい、こういうふうに考えております。
○島上委員 これはぜひ牧野法務大臣に伺いたいところですが、それはもしあとで機会があればするとしまして、今同僚井堀委員の御質問に次官が率直に答えられて認めておりますように、どうも今度の恩赦については万全を期していないといううらみが強いと思う。これは、私ども野党だからそう言うのではなくて、公正だと思われる新聞の世論、それから公明選挙連盟、婦人団体等々の意見は、ことごとくと言ってもいいほど、今度の政府の恩赦に対しては、片寄った恩赦である、政略的なあるいは党略的な恩赦であるという非難を浴びせております。というのは、広く政治に関する罪を許すという方針でありながら、それがきわめて狭い範囲で公職選挙法違反と政治資金規正法違反が中心になっております。それが大部分である。全部であると言ってもよいくらいそれが中心になっておる。そういうことになりますと、世間の世論がそういう非難を浴びせるのも私は当然ではないかと思う。現在の公職選挙法自体に不備があって、罰則規定適用に際して紙一重の場合が非常に多い。従って現在の公職選挙法がもっと改正されなければならぬ。昔の取締り法規的な罰則が非常につまらぬことまで取り上げるようになっておる点などについては、検討を要することを私どもも認めます。しかし、現在の公職選挙法といえども、そういう紙一重でない場合のいわゆる悪質な違反もあることは事実なんです。紙一重の場合が多いから、将来法の改正も必要であるし、そういう意味で、今度恩赦に公職選挙法違反を入れる場合に、そういう点が考慮されたというならば、紙一重でない悪質違反も今度の場合一緒くたに含まれている。内容はまだ正式には発表されないと言うけれども、新聞で発表されている程度で間違いないと私は思いますので、こういう御質問を申し上げるわけでありますが、紙一重でない悪質のものが一緒くたに含まれておる。そうして他に当然考慮されなければならぬとわれわれが思うような政治に関する罪を除外しておる。これはどう考えても手続の上においても欠くるところがあったと思われるし、また、今次官が答弁されたように、各界各方面の意見を徴して、特に国会の意見なども聞いてやるべきものだと思いますが、そういう点は手続をしなかった点もありますが、内容的には当然公正を欠いたものである、片寄った党略的な政略的な恩赦であると言われても仕方がないようなにおいが多分にする。そういう点に対して、今日閣議で決定するまでの間にも、新聞紙上の伝えるところによりますれば、法務省や検察庁において非常に議論があったということを聞いております。そういうような片寄った党略的な政略的な恩赦をするということは、私は、新憲法の、つまり恩赦の大権が天皇から政府の手に移った、この新憲法の精神に反するのじゃないかと思う。そういう点に対する次官の御所見を伺いたい。
○高橋説明員 先ほど申し上げました通り、選挙法自体の欠陥ということから、今回の恩赦の中に選挙違反の事犯を取り上げたというのではなくて、全く国連加入という政治目的による、従って政治事犯として取り上げたというのでございます。従って、本来、軽微なものであるとか、あるいはまた悪質なものであるとか、そういう罪質を分けることがいいか悪いかも、これはまた一つの議論があると思うのでございますが、いずれにいたしましても、選挙法の欠陥を是正するために今回の恩赦というものを取り上げたのではないのでありまして、その点は一つ御了承いただきたいと思うのであります。従って、それらのものとの比較公平においてどの程度の政治事犯を入れることが適当であるかということについてはいろいろ御議論があろうかと思います。ただ、政府といたしましては、何らかのそういうような一つの政治目的とか、あるいは一党一派に偏し、あるいはそれによって別なものを意図したわけではございませんので、国連加盟という、終戦以来のわが国民の悲願であり、かつまたこれによって今までの日本というものが国際的にも今までの日本であって、しかも新しい日本である、こういう姿において国民が新しい覚悟と決心とを国際社会に持つ、こういうような人心作興の一態様としてこの問題を取り上げたのでございまして、決して他意はないのでございまして、この点は十分一つ御了承をいただきたいと思う次第であります。
○島上委員 次官はこの恩赦が片寄った恩赦であるという答弁をするはずがないので、私はそういう答弁を期待しているわけではありませんが、しかし、次官自身が認められているように、今回の恩赦に際しては各方面の意見を十分聞けばよかったが、いろいろな都合でそういう点は今回は不十分であった、今後はそういう点十分に留意すべきものと考える、こういう御答弁です。私が今質問しましたように、新聞関係方面、公職選挙連盟、婦人団体、それから私どももそうですが、今回の恩赦に対しては非常にきびしい批判がある、非難がある、こういう事実は、政府が所期しておるように、人心の一新とか政治目的の達成とかいうことに、結果においては逆効果を現わすのではないかとさえ思われる。新聞を見ましても、公明選挙背負い投げ、選挙法は骨抜き、苦り切る法務省、検察庁、こういう記事、それから公明選挙連盟の前田理事長の談話のごときは実に峻烈そのものです。文書違反等の形式犯は対象にしてもよろしいが、買収犯は除外すべきだ、選挙の買収犯などはどろぼうと同じようなものだと言っている。私はこの言葉をそのまま肯定するわけではありませんけれども、こういうきびしい非難を浴びせておる。それから、投書などもそうですし、特に私ども心外なのは、選挙法違反は政党人に関係があるから、与野党ぐるになってやっているだろう。全く私どもにとってこれは迷惑千万な話である。われわれが一ぺんも相談を受けたわけではなし、意見を徴されたわけではないのに、世間がこういうふうに今度の恩赦を批判し、非難するということになりますれば、あなたがせっかく今答弁された、今度の恩赦について、政府が期しておるところのものが、決してその通りに効果を上げ得るとは考えられない。逆の効果を現わすということになると思うのです。私はあなたが片寄った恩赦ですという答弁をする気づかいはないと思う。そういうことを要求しているわけではありませんけれども、こういうふうに新聞や世論がきびしく非難しており批判しておるという事実は、少くとも今日まで知らぬはずはないと思う。次官も知らぬはずはなかろうし、大臣も知らぬはずはなかろうと思うのです。こういうことを知っておって、あえてしたとなれば、今後改めますということで、今後改めるかもしれませんけれども、少くとも今回の恩赦は必ずしも芳ばしい効果を上げ得るとは考えられないと思います。あなたが今事務的に答弁したように、人心一新の政治目的を達することができるかどうか、十分達することができるとお思いになるかどうか。私どもは、むしろ逆の効果を生むのではないかということを心配するから、その点を聞くわけです。しつこいようですが、もう一ぺんその点をお伺いしたい。
○高橋説明員 今回の恩赦につきまして、世間でいろいろ論評もあることは十分承知いたしております。従って、恩赦自体というものは、これは、先ほど御答弁申し上げました通り、やはり国民の世論にこたえる一形体であり、それによって人心の刷新という政治目的達成の一つの形でございますので、十分これは尽すべきは尽し、従って遺憾のなきことを期することが必要であろうと思うのであります。従って、それだけ十分慎重を要するものと存ずるのでございます。ただ、政府といたしましては、先ほど来申し上げました通り、国連加入という全国民の悲願を、こういう形において一つの人心一新を企図するということを念願したのにほかならないのでございまして、他意はなかったということについて、十分御了承願いたいと存じます。
○島上委員 私どもは、国連加入という国民の悲願が達成された日を期して行われる公正であるべき恩赦が、こういうような不公正な非難の強い結果になるということは、はなはだ残念で、決して、政府が期しているような人心一新とか、そういう目的を達することはできないだろうと考えて、はなはだ遺憾に存じます。私どもは、単に選挙法違反を恩赦に含めたからそれがいいとか悪いとか、そういう議論をしているのではなくて、もっと公正にこの問題を取り扱うべきであったと考えるわけです。この問題についてはあとでまたもっと質問しなければならぬ点がありまするが、時間もありまするので、もう一点だけ、これは大臣に伺いたいところですが、法務省でも、自治庁でも、どなたでも御存じの方があったら伺っておきたいと思います。特にこの問題は記録にとどめておく必要がある。 今度の恩赦に際して公職選挙法を中心にしたことに関連して、牧野法務大臣がこういうことを語っておると新聞に伝えられている。「死刑廃止さえ問題になっているほど教育刑主義の思想が一般に行き渡っている現在人を罰するだけでなく、人を許すことを惜しんではならない。選挙違反をした人が二度と違反をしまいと悔いていることは、私の在野法曹界四十年の体験で分っている」選挙法違反を一ペんやった者は二度ともうそういうことはしない、改心し後悔していることは自分の在野法曹界四十年の経験でわかっている、こういう大へんけっこうなことを言っている。しかし、私どもの知る限りでは、少くとも悪質違反をするような人は、いわば常習犯的で、この前もやった、大した処分も受けなかった、またやる、恩赦になって罪が消えた、またやるというような場合が、私どもの知っている範囲では非常に多いと思う。形式犯等を含めて七万何千人という人が、みなもしくは大部分がそうだとは私は申しませんが、買収とか供応とか、いわゆる悪質違反をやる者の中には、再犯、累犯を犯す者が非常に多いということを私どもは知っている。数字に現われた、そういう者を扱っている関係当局において調べた結果によりますと、果して、牧野法務大臣が言ったように、一度やった者は二度とやらぬという結果が出ているかどうか、その点を伺っておきたい。
○高橋説明員 ただいまのお話は、これは直接大臣がお答えすべきでございますが、おそらく、大臣がおっしゃられたのは、そうした自分の体験に基く一つのお話として、できるだけ犯罪人を許そう、許された者はその恩義を感じて再び起さないであろう、こういうので、お話のように必ずしもそうでない場合もあり得ると思うのです。しかしこれが数字的にどの程度のことになっておりますか、今手元にその数字がございませんので、これはいずれ十分取り調べまして、その数字はお答えすることにいたしたいと思います。
○青木委員長 御調査の上、できましたら、あとでけっこうですから数字を……。
○高橋説明員 調査いたしまして必ず当委員会に資料として差し上げます。
○青木委員長 森三樹二君。
○森(三)委員 私は牧野法務大臣が出られないので非常に遺憾にたえません。今パーティをやっておるそうですが、こういう重要な委員会に牧野法相が出ないということは、私は、責任政治を常に説いておられる牧野法相のために、まことに遺憾にたえないと思うのです。そこで、政務次官にお尋ねする範囲も相当限界があると思いますから、私は政務次官に対してきびしい質問をしようとは思わないけれども、しかし、あなたは、先ほどから、たびたび国連憲章が国の悲願である、そこで政治犯を第一番に恩赦にするのだとこの席上で述べられておりますが、それならば、前両君もそういうような意味で言ったのではないかと思うが、私がもっとはっきり言いたいのは、ことしの春第二十四国会の末期におけるところの、いわゆる国会の騒擾によって起訴されておる人々、これをなぜ恩赦の第一号にしなかったか。国会内における行為に対しては、国会は懲罰法というものがあり、懲罰委員会もあるのです。しかるに、これを自民党の諸君が得々として告発をし、しかもわれわれの同僚の議員が多数起訴されている。ほんとうに政府が政治犯を恩赦の恩典に浴させるという気持があったとするならば、これを除外して選挙違反を論ずることは不可能だと思うのですよ。立法、司法、行政の三権分立の精神からいっても、立法権である国会において起きた事犯に対しては、国会内で処理すべきことは当然である。あなたが政治犯と言うからには、国会は政治の最高の機関でしょう。その中で議員が起した事犯、これを恩赦にかけないで、何をかけるのですか。私はそのことをまず冒頭に聞きたいのです。しかも、今度の恩赦を見ますと、選挙違反をあなた方は政治犯だといって、多数恩赦にかけることによって、自民党のいわゆる悪質ふんぷんたる買収事犯にひっかかっておる議員諸君の首が相当助かることは、自民党のここにおられる委員諸君も御承知のはずだ。(「知らない」と呼ぶ者あり)知らなければ僕は名前をみな言ってあげる。そういうような自分たちの党に有利な、党利党略にとらわれた恩赦をやって、国会の権威を守るところの内部的な行動を外部にさらけ出して、しかもそれを恩赦にかけない。高橋政務次官の言っていることは非常に私は矛盾があると思うのですが、あなた自身も矛盾を感じておるだろうと思う。これについてあなたの御所見をどうしてもお伺いしたい。なお、あなた方は一応あさってがきたら辞表を出すのだろうと思うが、それにしても、やはり政務次官としての責任も残るし、新しい内閣ができればまた新しい法務大臣にも追及するつもりだから、責任ある答弁を述べてもらいたい。
○高橋説明員 ただいまのお話にございました参議院内におけるいわゆる暴力事犯というものが政治事犯になるかどうかということについては、これはなかなかその判定は容易でないと思うのでございまして、われわれの見解といたしましては、にわかにそう政治事犯と断定することができるかどうかということについては、必ずしも見解が致しておらないのでございます。
○森(三)委員 それは非常に高橋さんは錯覚を起しているんですよ。お互いにこの政治の府というものは国会でしょう。しかも、ことしの例の乱闘事件というものは、選挙法を改悪するという、自民党の諸君でも反対する人が三分の一くらいあったところの、あのゲリマンダーを阻止するために起きたのです。いわゆる暴力法案に対してその対抗上起きた。あの選挙法をもし作ったとするならば、買収、供応というものはどれほど激しくなるかわからないのですよ。そういう悪質な身勝手な選挙法を粉砕するためにああした問題が起きたのです。私利私欲のためにわれわれの同僚がああいうような事犯を起したわけではないのです。しかりとするならば、当然これを政治犯の第一号にして、それこそ恩赦の恩典に浴させなければ筋が通らぬと思うのです。それは、自分たちの政党の人々の選挙違反を、自分たちの議員の議席を救済することですよ。結局、最後までいけば、これはみなばたばたと将棋倒しに失格する連中を救済するために、しかも、長い間その事犯が継続してもう四年も五年もやっている。一審、二審、三審をやると、もう十年ぐらい引っぱれる。かつては、静岡県の選挙違反で、ある当選者が五十人も弁護士を頼んで十年間引っぱったことがあるのです。そうすると、その間恩赦が二、三回くらいある。現に、この終戦後、恩赦がやはり四、五回行われているのです。そのたびごとに選挙違反が救われている。そういうような選挙違反だけを救済するというような恩赦をやるから、先ほど島上君が新聞に書いてある論調をあなた方に読んで聞かした。あなた方でも理論的にそこに矛盾撞着があることを自覚されたと思うのです。しかし、あなたに今ここで言ったところでしょうがないから、私はこのことをぜひとも牧野法務大臣にあなたから伝えてもらいたいと思う。今後、私は、あなたにお会いしたときに、牧野法相に言ったかどうか聞きますからね。また新しい法務大臣にもこの点を私は追及します。 それと関連して私は福原さんにもお尋ねしたいのだが、今度のこの恩赦によって選挙法違反を救済するということでもって、今後選挙法違反というものがまた激増するのではないかということを、われわれは非常に懸念するのです。法務省としては非常に反対の空気があったのですが、これは私は当然だと思う。これは法務総裁ではないから的確な御答弁はできないかもしらぬけれども、しかし法務総裁というのは国務大臣であります。いわゆる政治家です。あなた方はほんとうの立法と司法から分離された仕事をするのですが、純粋的な理論的な立場に立って物事を処理できると思うのです。あなた方の内部にもちろん異論があったと思うのです。これは当然だと思いますが、一応御所見を承わって記録にとどめておきたいと思います。
○福原説明員 このたびの大赦の中に選挙法違反が加えられているということは、大臣がある程度お話しになっていますものですから、その点はさっきの政務次官の御答弁とちょっと食い違って申しわけありませんが、一応それを前提として申し上げて、その点をお許し願いたいと思います。選挙法違反がかように再三大赦の対象になりましたことによって、将来この種犯罪の激増を懸念されるというお言葉ですが、一応われわれもその点については同様な危惧の念を持っております。しかしながら、このたび大赦をいたしますについては、先ほど来政務次官も申された通り、この際国連加盟という国の慶事に際しましてこれを国民一般の喜びとし、かつ国連加盟ということが今後の日本の国政の転換と躍進を期待するものであるという点から、この際人心の一新をはかるために恩赦をすることが必要であるという政治判断をなされたのであって、その点は、事務当局といたしましては、いわば将来の見通しを、たとえば先ほど島上委員からもお話しになったように、大臣としては一たん許すならば必ずや将来そのようなことはしないであろうという御認識もありまするし、われわれといたしましては、その点一部懸念はいたしておりますが、その点についての将来の見通しをあえて犠牲にいたしましても、この場合の政治的判断としての大赦の必要ということについては、事務当局として賛成いたしたところであります。
○森(三)委員 それならば私はお尋ねしますが、国連加盟によって国民は確かに日本が国際社会に復帰したことは喜んでおりますけれども、それを理由にしてこの大幅な恩赦令でもって悪質な違反を救済したことは、国民は逆に泣いていますよ。そういうことをたてにして多数の議員の首をつなぐようなこういう恩赦をやったことに対しては、国民は憤激し非常に泣いております。これは、福原さんあるいはまた政務次官、両方から聞いておきたい。そうして記録に書いておかなければいかぬ。国連加盟はわれわれはもちろん喜んでおる。国際社会に復帰したことは喜んでおるが、こういうむちゃな、つまり当然失格すべき代議士の首をつないで喜ばして、そして自分たちの党利党略だけを考えて国民を憤激さしておるという事実は、何とあなた方は見るか。これは理論的にも非常に私は矛盾があると思う。国連加盟を喜ぶなら、もっとやることがたくさんある。それをあなた方は恩赦によって……。国民はとんでもないことをやるといってかえって憤慨しているんだよ。それに対して政務次官と福原さんからお伺いしたい。
○高橋説明員 先ほど申し上げました通り、恩赦によっての人心の一新ということを政治的に意図したことは、お話し申し上げた通りでございます。従って、これによって党利党略をはかろうという意図のなかったことも申し上げた通りでございますが、それならこれがどの程度まで政治的に意図したものが実現されるかどうかは、おのずから世論の判断によってきまる問題であると思うのでありますが、われわれといたしましては、今までお答え申し上げました通り、これによって他に他意がなかったという点だけを十分御了承いただきたいと思います。
○福原説明員 ただいまの政務次官のお答えで御了承願いたいと思います。
○森(三)委員 とにかく、幾ら話したところで、大臣じゃないんだから、あまり責任のある答弁はできないだろうと思うから、あまり意地の悪い質問はしませんが、私は、そういうように国連加盟に名をかりて党利党略の悪質選挙違反を救済しておるという天下の憤激というものは、必ずや来たるべき総選挙に現われてくると思う。 そこで、選挙違反の件をやるというのですが、これについては相当な調査もしてあると思うのでありますが、その恩赦ののちに、これに漏れる者があった場合にどうするか、漏れた者はやはり本人から申し出をさして、そして漏れないように恩赦の恩典に浴せしめるかどうか、この点について一つ御答弁を願いたいと思います。
○高橋説明員 これは、先ほど申し上げました通り、今回のは大赦令によるものと個別恩赦によるものでございまして、個別恩赦によるものは、一定の基準を設けまして相当の期間内においてこれを処理し、従って、本人の申し出もさることながら、十分その罪質や何かで今回の恩赦の政治的目的を達成し得るように、その公平と同時に、その状況も考えまして対処いたしたい、こういうふうに考えております。
○森(三)委員 私は、やるからには一人も漏れのないようにやらなければ、そこに公平を害すると思います。特にこれについては大きな問題があるので、先ほど申し上げましたように、たくさん金を使って弁護士を頼んで、一審、二審、三審と最高裁まで引っぱっている人はみな助かる。ところが、金もないし、一々裁判所へ行くのにも自分が働かなければ食えないような、しかも、選挙違反としては、ポスターを間近って張ったとか、街頭演説と書いて期日を書かなかったために形式的に起訴された人もたくさんいるのですよ。そういう人はあきらめて罰金を納めて、確定してしまっている。ところが、罰金は返還はしない。それならばどうして救済するか。結局復権によってその選挙権、被選挙権を停止しないという方途に出ずるしか方法がないと思うのです。この復権は絶対やらなければ表裏一体をなさないと思うのです。現在ずうずうしく自分で悪いことをしておきながら裁判を係属しているもの、現に公判中のものは救われて、そしてほんとうに軽微な事犯を起して大したことがないと思って罰金を納め、公民権は当然五年間停止されてしまっている、こういう人こそ復権させなければ……。罰金もほんとうは返してやらなければならぬくらいだと思う。ところが、返せといっても取ったやつはなかなか返さないが、罰金も返してもらえば一番いい。(「利子をつけて返せ」と呼ぶ者あり)それくらいにしてもらえばいいが、そうしてもらいませんでも、一応罰金についても、一定の期限を切って、現に係属中の事案の選挙違反の起きた時までさかのぼって、そしてその時から以後のすでに確定した罰金や何かを戻してやる。それから復権、いわゆる選挙権、被選挙権を停止しないというような——ここに書いてある通り「復権は、有罪の言渡を受けたため法令の定めるところにより資格を喪失し、又は停止された者に対して政令で要件を定めてこれを行い、」云々とありますが、これを漏れなくやってもらわなければ、よけい悪いことをしたやつの方が助かって、わずかなことをした者の方が罰金をとられてばかを見る。これに対してあなた方はどういうふうにお考えになるか。
○高橋説明員 罰金を返すかどうかという、これはちょっとむずかしい問題と思いますが、前段のお話のように、復権関係のものについては、これは、漏れなく、今回選挙関係が大赦令の中に入って参りますれば、その関係から一連といたしまして全部復権することと思います。
○森(三)委員 福原さん、何か答弁ないですか。
○福原説明員 森委員が十分御存じだと思うのですが、大赦になりますので、その点は、確定刑の者もその刑の言い渡しが全くなかったということで、復権以上の効果を生じます。それですから、たとえば公民権その他が停止になっておりましても、そういう言い渡し自体がなかったものと同様な取扱いを受けることになるのであります。それから、今の恩赦法では、既存の効果を変更しないことになっておりますから、納めました罰金は返さないという法律上の規定になっております。
○森(三)委員 政治資金規正法が入っているそうですが、これは、聞くところによると、かつての自由党の幹事長であった佐藤榮作君が政治資金規正法でひっかかっているだけだそうですが、これも天下の士は非常に憤慨しているのです。そういう事実は私も確かに認めざるを得ないのです。そうすると、なおさら党利党略だといわれると思うのですが、これについて政務次官はどのようにお考えになっておりますか。
○高橋説明員 先ほど申し上げましたように、その範囲等につきましても、私も最終的な閣議の決定を存じておりませんので、ここではっきりしたことを申し上げかねるのでございますが、政治資金規正法というものが入ったといたしますれば、これは、先ほどから申し上げております今回の政治犯というものに公職選挙法その他が入るとい一たしまして、それとの均衡上からこれらのものが入って参るものと存ずるのであります。ただ、今お話のように、内容的には佐藤榮作氏がひっかかっておるというような具体的な事例等がございますけれども、これは何もそうした具体的事例をもって今回これに入れようというのではございませんので、全く他の法令との均衡からこれは論議されておるものと存ずるのでございます。
○森(三)委員 最後に一点尋ねますが、政治犯々々々といわれているが、政治犯以外の犯罪についても、現に刑務所に入っているような連中は、一般の法令からいけば刑期の三分の一を過ぎれば仮出獄の恩典もありますが、一般の、政治犯以外の者についても、減刑、つまり刑を軽くしてやるというような恩典はあるのかどうか、これを一つお伺いしておきたいと思います。
○福原説明員 このたびの大赦につきましては、先ほど来政務次官もおっしゃったように、政治的な事犯を主としているようにうかがえるのでございますが、それ以外の一般の犯罪についても、このような国民的慶事に際しまして恩赦が行われるということは当然でございますので、このたび大赦令が発布されますと同時に、特赦、減刑並びに復権、刑の執行免除、四種類の恩赦の施行を考えまして、それに関しますそれぞれの基準については、いずれ閣議決定がなされることと予想しております。
○森(三)委員 私の質問は大体これで終りますが、最後に一つ……。新しい内閣ができれば、私はなお先ほどの問題について徹底的に同僚諸君と質問いたしますが、そうすると、福原さん、殺人、強盗、傷害、そうした一般の事犯についても、たとえば懲役五年なら五年のものを一年なり二年なり減刑してやるというようなことは行われると考えてよいのですか。
○福原説明員 ただいまのお話の一般犯罪につきまして減刑をするという場合に二種類ございまして、場合によりましてはやはり減刑令という政令を出しまして、一定の犯罪を羅列いたしまして、これについての確定刑を受けた者を、それぞれ四分の一とかあるいはある程度の減刑をするというような場合もございますが、このたびの恩赦は、そこまで参りませんで、減刑基準を作りまして、個々の事犯を審査した上で減刑を行う、こういうようになっております。
○森(三)委員 そうすると、くどいようだが、やることはやるのだが、個々の事犯を調べて、たとえば殺人罪でも、情状上やむを得ずやった、同情に値するというようなものについては、やはり減刑するというふうにわれわれは解釈してよろしいのですか。あなたは個々的にやるとこうおっしゃったのだが、全部の刑務所に入っておる者を全部やるのではなくて、この犯罪者、この犯罪者というふうに個別的に審査してやれるものは、それが殺人罪であろうとあるいは窃盗罪であろうと減刑する、こういうふうに解釈してよろしいのですか。
○福原説明員 御存じのように、個々の減刑というものは常時行われているわけでございます。それで、このような国民的慶事に際して行われる個別減刑というのは、この機会に多少平素の減刑基準よりもゆるめた形でやりたいということであります。しかし、現実の場合といたしましては、きわめて凶悪な犯罪などを減刑の対象にするということは従来もございませんし、今度も、極悪の者については、おそらく考えられないと思います。ただ、御指摘の中の窃盗その他につきましては、もちろんある程度考慮されるものと予想されます。
○青木委員長 他に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。 午後零時五十六分散会