外務委員会 第4号
- 発言数
- 10 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1956/11/30
会議録
○前尾委員長 これより会議を開きます。 千九百五十六年の国際小麦協定の受諾について承認を求めるの件を議題といたします。本件についてはもう質疑はありませんか。——質疑はないようでありますから、これにて本件に関する質疑は終了いたしました。 これより討論に入ります。戸叶里子君。
○戸叶委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました千九百五十六年の国際小麦協定の受諾について承認を求めるの件に反対の意を表せんとするものでございます。 その第一の理由は、政府が世界的な食糧事情の変化ということを認識しないで、相変らず過去の考えで協定を結ぼうとしているからでございます。すなわち、過去においてこの協定に加入したときには、食糧事情も思わしくなく一政府のいうように、この協定に加入して、日本が二百万トン余りの輸入を必要とするうち、その半分の百万トンを買付保証することにより、この百万トンの小麦を世界の需給市場の変化にかかわらず、安定した価格をもって買い入れることができるようになるからと言っております。しかしこのことは過去の食糧事情の上に立っての議論でありまして、今日では世界各国とも小麦の価格の安定状態が続いておりますし、わが国の例をとってみましても、この協定によって保証されなくとも、自由に買えるという新しい食糧事情になってきていることを少しも認識していないことが、相変らず惰性の外交で、何ら前進的な外交を示していないという点であります。すなわち、今日世界の市場が買手市場で売手市場でないということ。そうなって参りますと、無理やりにワクに当てはめて買わなくてもよいという点が少しもわかっておらないということが問題であろうと思います。 そこで、それを考えて参りますと、今日どうしてもこの協定に入らなければならないという大きな理由は何ら見出されません。その一つの現われといたしまして、たといその理由の根拠は薄いにいたしましても、ともかく二十八年度の協定のときには四十五カ国が署名していたのに今回は四十カ国、五カ国が減っていることを見ましても明らかであるのでありまして、もしもよいものであるならば、だんだんに加盟国がふえていくはずではないかと思うのであります。 第二は、英国におきまして今回国連の小麦会議が開催されておりながら、相変らずイギリスは入っておりません。この前の、つまり二十八年度におきましては、イギリスは最高価格が二ドル五セントになったのに対して、最高価格を二ドルにしてほしいということを主張したのでございます。今回はその主張通り二ドルに最高価格が下げられたにもかかわらず、入っておりません。しかも二十八年度にこの協定が審議されましたとき、私はなぜイギリスが入らないかという点を質問いたしましたところが、外務省におきましては、それに対して、イギリスは毎年四百何十万トンも買っている、それが一ブッシェルについて五セントも違うと何万ドルも違う、だからこれが入らない理由の一つであった、こう答弁されております。そこで今回はどうであるかという質問をいたしましたのに対して、価格の問題は今回は全然出なかったというような答弁をされております。これは全くおかしなことで、イギリスは入りたくなかったために、前にこの二ドル五セントから二ドルを主張したその手前もあって、値段の問題を出さずそっとしておいて入らなかったということがはっきりしているのであって、その入らない意図は、イギリスが自由に買った方がよいからであるということに今日政府が気づかないということは、まことに残念ながら外務省の方々の人のよさというか、あまりのんびりし過ぎているということを危惧せざるを得ないのであって、もっとよく検イギリスの意図が那辺にあったかを理解できるのではないかと私は思うのでございます。 第三点は、最高と最低のワク内で百万トン買うというが、それ以下に下った場合には安い方から買った方がよいではないか、百万トンを義務づけられていることは、日本に対して不利ではないかという質問に対しては、最低価格より下ることはおそらくないと思うというような大へん甘い考えでおられます。しかも一方におきましては、最高価格二ドルはこれ以上上る心配はないということをはっきり言い切っているのであります。それなら何もこの協定に入って安いものを買いそこなうような危険をあえて冒す必要はないではないかと私は考えるのでございます。 第四は、イギリスはソ連から小麦を買っておりますが、政府の説明によりますと、一九五三年に二千百トン、それを二十万ドルで買っております。これは一ブッシェル二ドル五十一セントに当るのですが、一九五四年には五万九千四百トンを四百十万ドルで買い、これは一ドル四十セントになっております。一九五五年には七万九千五百トンを二百六十万ドルで買って、これが一ブッシェル一ドル十八セントについております。これを見ましても、イギリスはこの協定に入らずとも相当安く多量に買っているということを証明しているのであります。こういうように、イギリスがソ連から安く買っているではないかという質問に対して、この統計はもしかしたら間違っているかもしれないというような非常に子供だましの答弁をしておりますが、この点も私ども、ふに落ちないところでございます。 日本はようやく日ソ共同宣言が批准されまして、今後安い小麦を買うことになるかもしれませんし、またこうしたイギリスの値段の安いものを買っているという例を見ましても、日本がこの小麦協定に入らなくても安く買えるかもしれないというときに、この協定に縛られるということは、日本をまことに不利にするものではないかということを考えるものであります。 第五は、国内への影響であります。日本の真の独立というものは、経済独立が達成されなければなりませんが、そのためにはまず食糧の自給のための政策が打ち立てられていかなければならないと思います。ところがこの協定に入ることは、この政策に逆行するものであって、もっと国内増産のために政府が予算を十分注入することを考えなければならないのにもかかわらず、むしろこの協定に入って農民の生産意欲を妨げるものであると私は考えるものでございます。 以上おもな点だけを申し上げましたが、その他またアメリカ側の小麦等の過剰生産の処理のために、日本が利用されようとする傾向が非常に強いことを私どもはおそれるものでございます。要するに前回協定に入ったときには、国際事情も今日と変っていたということを認識しないところに、大きな問題があるのでありまして、このような外交方針が他にも示されることがないようにするためにも、もう一度政府並びに与党の皆様方の猛反省を促して、私の反対の討論にかえる次第であります。(拍手)
○前尾委員長 石坂繁君。
○石坂委員 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました千九百五十六年の国際小麦協定の受諾について承認を求めるの件について賛成いたすものでございます。 本協定は、国際的に小麦の需給を調節し、かつ価格を一定の水準で安定させるのが目的でございます。この協定加盟に対しましては、いろいろ反対の議論もございますが、しかし私どもといたしましては、あらゆる事情を勘案いたしますと、本協定に加盟することによりまして、わが国の輸入小麦の必要量の約二百二十万トンのうち、数年間にわたってその半分の百万トンの買入量が保証され、しかも一定の価格で安定されるということは、わが国にとりましても得策であると考えるのでございます。 また今回の協定は、前回の協定よりもその価格においても最高、最低おのおの五セントずつ安くなっておるのでありまして、これは決して国際市場価格よりも高いものではないのであります。ただ反対の議論のうちに、将来小麦は値が下る公算が多い。従ってさような場合に高い値段で買うことを義務づけられることはよろしくない、こういう議論もあるのでありますが、しかし将来の小麦の価格の値上り、値下りというものは、要するに将来の見通しでありまして、いろいろ見解の相違するところ、議論は議論といたしますけれども、私はこの際ただいま申し上げました事情によりまして、この協定に参加することを適当であると考えるのであります。 ただいま戸叶委員は、反対理由の一といたされまして、英国がこの協定に加入しておらないことを引用いたされましたが、英国は御承知の通りに小麦の生産地であるカナダ及び濠州がそのユナイテッド・キングダムの一翼でありまして、わが国と対照いたしまするときに、事情はおのずから異なるものがあると考えます。従いましてこの点必ずしも反対の議論をささえる理由にならないと思います。 ただ私は賛成いたしますと申しましても、この外麦輸入の日本の農業に対する影響というものは十分に考えなければならないのであります。しかも本日の午前中の農林外務合同審査におきまして、農林当局のこの対策に対する答弁は、必ずしも満足すべきものではなかったのであります。しかしながらこの点はまことに重要な問題でありますので、日本農政全般の見地からいたしまして、十分なる考慮、対策の樹立を強く要望いたす次第であります。 なお、本案は参議院送付でありまして、参議院におきましてはたしか何も反対がなかったように私は承わっております。かような事情もございますので、どうかすみやかに本委員会におきましても賛成の決議をされますように切望いたし、私の討論を終ります。(拍手)
○前尾委員長 これにて討論は終局いたしました。 採決いたします。千九百五十六年の国際小麦協定の受諾について承認を求めるの件を承認すべきものと議決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○前尾委員長 起立多数。よって右の件は承認するに決しました。 なお本件に関する報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○前尾委員長 御異議がなければさように決定いたします。 —————————————
○前尾委員長 この際参考人の招致に関してお諮りいたします。沖縄の土地接収問題等について参考人を招致し、その意見を聴取いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○前尾委員長 御異議がなければさように決定いたします。 なお、参考人の人選につきましては、理事会に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○前尾委員長 御異議がなければさように決定いたします。 次会は公報をもってお知らせいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時四十七分散会