P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
24回国会参議院1956/03/20

予算委員会第四分科会 第2号

発言数
59
登壇者
12
会派数
3
開催日
1956/03/20

会議録

館哲二緑風会

○主査代理(館哲二君) ただいまから第四分科会を開会いたしますが、開会に先だちましてお諮りいたしておきますが、本日は中山主査、安井副主査ともにお差しつかえがありますので、先例によりまして私が主査の席をけがすことにいたしまして差しつかえございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

館哲二緑風会

○主査代理(館哲二君) 御異議ないようでありますから、私がしばらくの間いたします。  それでは本日は法務省所管に関する件を議題といたします。どうぞ御説明をお願いします。

松原一彦自由民主党法務政務次官

○政府委員(松原一彦君) 昭和三十一年度法務省所管の予定経費要求額につきまして、その大要を御説明申し上げます。  昭和三十一年度の予定経費要求額は、二百十億二千七百三十七万一千円でございまして、これを前年度の予算額二百二億三千六百九十九万三千円に比較いたしますと、七億九千十七万八千円を増加いたしました。増加の詳細は別途の資料により御承知願いたいのでございますが、今増額分の内訳を大別いたしますと、第一に、人件費関係の三億六千百万円、これは昇給、昇格等に要する職員俸給等の自然増であります。第二に、施設費関係の九千四百十八万一千円、これは裁判所との均衡上増額となったほか、特に登記所関係の新営費が増額になっております。第三に、一般事務費関係で三億三千五百十九万七千円、これは事務量の激増に伴うものと若干の政策的経費が増額されております。  次に、昭和三十一年度において、新たに増額した経費の内容と重要事項経費について御説明申し上げますと第一に「外国人登録法」第十一条に基き、今秋登録証明書の一斉切り替えを行うことになっておりまして、それに要する経費として六千八十四万一千円を新たに計上いたしました。第二に、昭和三十一年六月三日に任期が満了する参議院議員の選挙の公正を期するため厳正、適切な検察を行う必要がございますので、これに要する経費として四千五百七十四万五千円を新たに計上いたしました。  以上新たに計上いたしました経費の概要でございます。これに対しまして、昭和三十年中に行われた衆議院議員総選挙並びに地方公共団体の長及び議会議員の選挙取締りに要した経費六千百十二万二千円が前年度限りの経費として減少となっております。  次に、重要事項について概略申し上げますと、第一に、「外国人登録法」に基き、在日外国人の登録及び指紋採取の通常事務を処理するために必要な経費として九千三百五十二万四千円を前年度に引き続き計上いたしました。第二に、法務局、地方法務局等におきまして、法令に基く登記、台帳、供託、戸籍等の事務を処理するために必要な経費として、二億九千五百三十二万五千円を前年度に引き続き計上いたしました。第三に、検察庁におきまして処理する一般刑事事件その他各種犯罪事件の直接捜査活動に要する経費として四億七千四十九万二千円を前年度に引き続き計上いたしました。第四に、拘置所、刑務所、少年刑務所、少年院及び少年鑑別所の昭和三十一年度の一日収容予定人員十万一千五百人に対する衣食医療及び就労等に要する経費として、四十八億一千二百九十五万四千円を前年度に引き続き計上いたしました。第五に、「犯罪者予防更正法」「更生緊急保護法」及び「執行猶予者保護観察法」に基き、刑余者並びに執行猶予者を補導監督し、これを更正するための補導援護に要する経費として、二億二千九百七十四万円を前年度に引き続き計上いたしました。第六に、「出入国管理令」に基く不法入国者等の調査、並びに審査事務を処理し、被退去強制者に対しては護送、収容、送還する必要がございますので、これに要する衣食、医療及び送還のために必要な経費として一億三千五百三十五万円を前年度に引き続き計上いたしました。第七に、公安調査庁におきまして処理する破壊活動防止のための調査活動等に要する経費として、二億七千四百六十四万一千円を前年度に引き続き計上いたしました。第八に、検察庁庁舎その他、及び刑務所、少年院等の収容施設の新営、整備等に要する経費として、五億四千九十一万五千円を前年度に引き続き計上いたしました。なお、このほかに営繕費といたしまして法務局等の庁舎その他新常に要する経費として一億一千百八十六万五千円が建設省所管に計上されております。また昭和三十一年度より在外公館駐在員一名が新たに認められ、それに要する経費として、三百三十万円が外務省所管に計上されておりますから、御参考までに申し上げておきます。  以上が法務省所官歳出予算予定経費要求の大要でございます。  終りに当省主管歳入予算につきまして一言御説明申し上げます。  昭和三十一年度法務省主管歳入予算領は三十七億二千二百二十一万三千円でありまして、前年度予算額三十一億四千百九十五万三千円に比べますると、五億八千二十六万円の増額となっております。その増額の主なものは、罰金及び没収金で二億八千九十八万三千円、刑務作業収入で二億四千三百八十八万六千円であります。いずれも過去の実収実情等を基礎として算出されたものでございます。  よろしく御審議を賜わりまするようお願い申し上げます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 厚生省の高田児童局長にお出で願っておりますので、それに関連する問題を最初に伺っておきたいと思いますが、大蔵省の主計官、お見えになっておりますか……。  まず法務省に伺います。少年院の収容予定人員一万二千人と予算書に書かれておりますが、最近の収容人員の数の動き、並びに少年犯罪のまあ質的な面とそれから量的な面について大略承わりたいと思います。

渡部善信法務省矯正局長

○政府委員(渡部善信君) それでは少年院の収容状況を御説明申し上げます。  これは昨年の十一月末の統計でございまするが、現在人員が一万二百九十三名ということに相なっております。この収容者は昭和二十六年ごろから大体横ばいの傾向をたどっておるのでございます。この少年たちの質的な面を検討いたしまするとき、少年院に入って参りまする子供たちの数的な面はあまり増加の傾向は見受けられないのでありまするが、これを質的な面から考えて見ますると、凶悪な犯罪がだんだん増して参っておる傾向が見受けられまして、質的にはむしろ悪化の傾向をたどっておると認めざるを得ないのでございます。なおこの少年院に収容いたしておりまする少年たちの大体の処遇上の難易を調査いたしたものを申し上げますと、これは十一月三十日現在の少年院の収容者の統計でございまするが、処遇のむずかしいものと、やすいものを大体目安にいたしますると、処遇上まあそう手のやけない者が大体五四・六%、半数ちょっと上回わっておりまするが、やや困難なものが二三・八%、それから非常にむずかしい処遇の子供たちが二一・六%という状態に相なっているのでございます。なおこの少年たちの精神状態を調査いたしますると、正常な精神状態をもっておりまする者が二八・七%、それから準正常の部類に属する者が三八・五%、それから精神に障害のありまする者が三二・六%ということに相なっております。その精神障害の内訳を申し上げますと、精神病質の者が一一・五%、それから神経症の者が一・九%、精神病と名のつく者が一・三%、精神薄弱が一七・九%という数字を示しているわけであります。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 詳細な数字を承わってありがたいわけですが、昭和二十六年から横ばいと申されますが、私はまあ部分的な資料しか持たないのですが、日をたどって見ると二十五年ごろから急にカーブが上って、上ったままでずっと横ばいしているのではないかと記憶するのですが、これを横ばいというそのことがいかにも現状維持のような感じがするのですけれども、これは当然私はこのカーブが下降しなくちゃならんと思うのですが、どういうわけで下降しないのか。対策が不十分なのではないか。特に質的に悪化したことは先ほど御答弁の通りですがその点と、最近新聞辺りで見ていますと、至るところに少年院の収容者が収容施設からの脱走というのがあるようですが、どういう原因でああいうことが起ってくるのか、何か指導が適当でないか、また指導者に適格者がいないのか、あるいは施設設備が不十分だとかというところに原因があるのか、どういうところにあるか、そういうようなことを。

松原一彦自由民主党法務政務次官

○政府委員(松原一彦君) この少年院は、私も矢嶋委員と同じような心配をもちまして、せいぜい見たいと思っておりますが、最近小田原等を見て参りました結果、脱走は少し減っております。小田原では去年もことしも一人もない、なかなか少年院におけるいわゆる教育のやり方は私はだんだんよくなってきておると思う。もっとも御承知のように特別少年院、非常に質のどういいますか、むずかしい連中の入っている所は格別でございますが、五十五の本院と六つの分院がございましてそれが四つにわかれておる。なかなかむずかしいのでありますけれども、だんだん教育的な取扱いが上手になり、また学校の中に教育の施設をやって、土地の学校長が卒業証書を出してくれるような心やりまでやっておりますので、私の見たところにおいては世相はだんだん落ち着いてきておるものと思います。同時に少年院における取扱い方についても、だんだんよくなってきておるのであって、逃亡などは減ってきておるものと思っておりますが、なお全国的な詳しいことはわかりませんので、これは矯正局長の方からお答えしていただきます。

渡部善信法務省矯正局長

○政府委員(渡部善信君) ただいまお話の二十六年頃に急に上昇しておるというお説でございますが、全くその通りであります。と申しますのは、それは御承知のように二十四年に少年法が改正になりまして、今までは十八才未満を少年として取扱っておったのでございますがその少年法の改正によりまして二十才まで年令が引き上げに相成ったのであります。そのために少年法で保護処分を受けますものがお話のように急激にふえまして、それまでは結局少年刑務所に収容せられておった者が肩がわりになっていったような傾向も見受けられるのでございますが、なるべく少年の将来を考えて保護処分でまかなっていこうという立場から少年院の収容は非常にふえて参った。さような関係から収容施設を急激にふやしましたので、少年院の施設にまだ不十分なところがあるのは事実でございまして、今後この面の拡充強化をはかっていかなければならないと私は考えておるわけでございます。  なお逃走の点でございますが、ただいま政務次官からお話のように現在は逐次減少しております。例を数字的に申し上げますと、昭和二十五年には全国で千百五十二件あったのでございますが、それが二十六年には六百九十二、二十七年には四百六、二十八年にはちょっとふえましたが四百二十一、二十九年には三百七十一それから三十年は三百二十八、ずっと減って参っております。これはただいま申し上げまするように、少年院に入っております子供たちの年令が非常に上りましたので取扱いが非常にむずかしくなっております。今ちょっと数字で申し上げましたように非常にむずかしい者が二丁六%という状況でございます。これらは、大体精神的な性格に欠陥のある者が多いわけでございまして、ただいま数的に申し上げましたように精神に障害のある者が三二・六%約三三%、三分の一ばかりがこういう少年たちでございます。この処遇には非常に職員は心をくだいていろいろと指導をしております。最近もこの面の科学的な検討を加える趣旨から、大学の教授等に協力を得まして、特別少年院の収容少年の質的な面の検討を三月一ぱいに終ることにいたしておりますが、こういうものを資料といたしまして、今後少年たちの処遇はさらに向上をはかっていきたいというふうに考えておる次第でございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 これに関連して承わりたいことは、厚生省児童局で所管していますところの教護院と、それから法務省所管にかかる少年院、これはどういう連繋、協調をとられているかどうかという点と、それから私は更生教育の効果というものを否定するものではありません、肯定するものでありますが、しかしこの十五才から二十才ごろに一応過ちを犯した者を、しかも先ほどから収容児の精神状態についてもいろいろお話を承わりましたが、若干欠陥ある者を矯正補導していくということは私は容易でないと思うのです。従って重点はこの十五才よりも若い、今厚生省所管になっている教護院のところに主力を注いで、そうして保護教導することが非常に効果的ではないかと、かような私は見解を持っているのです。ところが御承知のように少年院は国立で直轄でやっておられますが、教護院の場合は各都道府県立の形になっていて、八割国庫補助の形でやっていると思うのですが、ところが最近のこの地方公共団体の財政窮迫という面もあって非常に困難な状況だと思うのです。従って私は今少年院で扱っていることは教育効果がないとか、あるいはそれほど必要でないということを毛頭申し上げる気持はないわけですが、教護院と少年院と一貫した運営をやり、すなわちこの教護院も国立にして、そうしてしかも重点を幼少のときに向けていく。かような私は措置をされるのがいいのではないかと、かような見解を持っているわけです。従ってこれに対する答弁を矯正局長、それから厚生省の高田児童局長がおいでになっておりますから御両人から承わりたいと思います。

渡部善信法務省矯正局長

○政府委員(渡部善信君) 御説のごとくなるべく幼少のころに手当を加えていくということが望ましいことは、予防の面から申しまして非常にけっこうなことだと存じておる次第でございます。この少年たちの不良化していく経過を考えてみますると、決して一朝一夕にさようなことになって参ったわけじゃないのでありまして、深く掘り下げて参りますと、幼少のころからのいろいろな環境的なものの影響というものが相当ひどく影響しておることを、われわれ実際に当って少年たちを見まするときに感ずる次第でございます。さような意味合いから申しまして、少年教護の面に十分お力を入れていただくということばまことにけっこうだと存ずるわけでございます。われわれといたしましても、その教護院とのかね合いでございまするが、私らの方に参りまする子供たちは、犯罪というものに陥りました子供たち、あるいは犯罪に陥るおそれのある子供たちでございまして、しかもこの十四才以下の者は教護院に参るのでございまするが、いわゆる刑事責任を負うべき年令に達した者は、われわれの所に、家庭裁判所の審判によりまして、裁判によりまして送られて参るわけでございます。従いまして私らの方に入ります子供たちは、何と申しますか、非常に悪性の程度から申しますと高度な、非常に手のやける子供たちが収容されて参るわけでございます。従いましてただいま仰せのごとく、精神的な面から申しましても非常に片寄った性格の者が参りますので、強力な矯正教育を施していかなければならないというところから、国家の手によって相当高度な矯正教育を施して参っておるのが現状なんでございます。家庭裁判所の方で審判をせられる際に、その点も十二分に考慮せられまして、いわゆるよりすぐつた連中が少年院に送られて参っておるというのが現状でございます。

高田浩運厚生省児童局長

○政府委員(高田浩運君) 私どもの方で所管をいたしております教護院は現在五十二カ所ございまして、職員の方々非常に御苦心を願って不良児童の教護に当っておられますけれども、対象が対象でありますだけに非常にむずかしいものでありますが、そういうところから徴しましても、法務省の方で御所管になっております対象の少年につきましては、なお一そうむずかしい点があろうと推察をいたしておるのでございます。まあ総じて、病気についても同じでございますが、早期発見、早期治療にまさるいい効果をおさめるものはないと思いますが、こういった児童についても、やはり同じ考え方を徹底をさしていくことが最も適切な措置であるというふうに私どもも感じておりますけれども、しかし翻って考えてみますと、従来教護院収容の員数その他から見ましても、そういう意味からすると、もう少しやはり教護院に力を入れなければならない面があるように私どもも率直に存じておるのでございます。かりに悪いことをする可能性のある子供でありましても、その程度が少いうちに適正な教護を加えて、未然に少年院あるいは将来刑務所等の御厄介になる率を、なるべく少くするように努めなければならぬと思っております。そういう点から、確かに教護院に対する政策は従来にも増して強化しなければならないと私は感じている次第でございます。  それから先ほどもお話のありました国立云々の問題でございますが、この点教護院の関係者からも相当強く最近に至りまして要望が出ておる問題でございますが、この点につきましては、やはり十分考えなければならない多くの問題を含んでおると思います。たとえば教護院に入っております子供について見ましても、まあ一種類や二種類の単純なものではなくて、いろいろの原因のものがそれぞれの形において教護院という一木の施設に入っているわけでありますけれども、これはやはり適切な教護を加える上から言いますならば、それぞれのいわゆる症状に応じた取扱いなり、施設なりというものを考えていくことが、その効果を上げる上からどうしても必要じゃないかと思うのであります。それらの問題を考えますると、現在の形の方が適当かどうか、相当これは再検討する必要がある問題じゃないかと考えておるわけであります。いずれにしましてもこういった問題を私どもの方としましては、児童福祉審議会があるのでございますが、それを中心に教護院の問題のみならず、現在やっております児童福祉全般の問題について、この機会に一つ再検討をして、将来の方向をきめていこうじゃないかというような考え方でせっかく検討中でございますので、お話の点も十分その方にお伝えもしますし、その点を含んで研究を進めて参りたいと、かように考えております。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 ついでに承わっておきますが、大づかみの数でよろしゅうございますが、今の日本で教護院に収容を必要とする人員をどのくらいつかんでおられるか、また今かりにどの程度の国費というものが支出されたなちば一応満足すべき状態になり得るか、という点について大ざっぱの数字でいいですが承わっておきたい。

高田浩運厚生省児童局長

○政府委員(高田浩運君) 現在教護院に収容しております児童の数はおおむね四千六百名程度になっております。収容すべき員数については実は昭和二十八年に調査をいたしまして一応の数字がございますが、ちょうどたまたま本日その材料を持って参っておりませんので、不正確な数字を申し上げるのはいかがかと思いますので、後刻お知らせいたしたいと思います。それからそれに要します経費等につきましては、おのずからこれは現在の費用を基礎としまして推算をしたならば出てくるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、今、入っております児童の二倍、三倍どころの数字ではないわけで、それよりもずっとオーバーした数字になるわけでありますので、従って費用の点も相当多額の金になると考えます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 これは直接法務政務次官の御所管ではないわけですが、関連がありますからここで松原法務政務次官に所見を承わりたいと思いますが、私は先ほど申し上げましたように、教護院と少年院の関係というものは、常に念頭から離れないものであり、また離すべきものではないと思うのです。それで教護院のお世話になった子供がいずれ少年院のお世話になってくる、という場合はかなり多いのじゃないかと思うのですね。そういう立場からも関連があるからお答えをいただいて不当でないと思いますが、今の都道府県立になっておる教護院、そうして国家から八割程度の補助をするような形態になっておるのですが、これをあなたの方の所管の少年院のように国立として運営していくということについて、松原政務次官、どういう御見解か承わりたいと思います。

松原一彦自由民主党法務政務次官

○政府委員(松原一彦君) できるなら少年をこういう特殊の所に入れることだけは、ほんとうからいえば原則としては私は避けたい。というのは、幾ら言っても少年院は少年刑務所と同様に見られております、世間では。少年刑務所と少年院とは違うのであります。少年院は教育機関であるのであって、教育機関であるならば、これほたとえ家庭裁判所の方からよこしたものであるにしろ、何とかもっと教育的なものとして取り扱うべきであって、従って色をつけて子供の時分から刑務所に入れた者のように、あれは少年院出身だと言われないようにしたい、私どもはかように思います。できるならば厚生省の方とも一貫してなるべく色のつかない教育ができることを希望します。非常にこの点には苦心が要ると思います。御説のように小さい時分から不良化しないような指導を、学校教育者と一緒になって行なっていくようにいたしたい。今ちょっと先ほど申し上げましたが、私もその苦心を聞いているのですが、少年院で幾ら中学校卒業までの資格を与える教育をしても、義務教育を行なっても卒業証書が少年院で出されない。教育機関でありながらその卒業証書を持ったならば将来の履歴のじゃまになって就職ができない。そこで長野県あたりでは付近の学校の校長さんが、その学校には来ないのだけれどもその学校が委託を受けたものとして、卒業証書を村の学校が出してくれるといったような心づかいをして、義務教育も小学校中学校ともに少年院で受けたのではないように表面は取りつくろって、彼らの将来に暗い影の残らないようにしてやろうといたしております。こういう苦心を見ますにつけても、こういう特殊施設というものが一面においてはなくてはならぬし、といってこう刑務所的に見られるようなことのない、何と言うか穏やかなものができないものかとこの現地を見て私ほしみじみ思ったのであります。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 教護院の国立についてほどういう御見解ですか。

松原一彦自由民主党法務政務次官

○政府委員(松原一彦君) まだ研究しておりませんからただちにお答えできかねます。

吉田萬次自由民主党

○吉田萬次君 私は朝鮮、韓国の問題について質問したいと思うのですが、終戦当時あの混乱しておるときに、朝鮮人がいわゆる外国人という名前のもとに、非常にあらゆる方面において活動し、しかも善良な活動ならいいけれども、相当国家的に見て損害のあるような活動をしておりました。その習慣が現在まで続いておるように感ぜられるのでありまして、いわゆる密造酒であるとか、あるいは麻薬であるとか、あるいは密入国であるとかいうようなふうのものの大半は、私はこの朝鮮半島の諸君であると思うのであります。従ってまたその入国者というものも、居留しておる者も、非常に朝鮮人はたくさんおると思う。しかしながら国家的の立場から考えまして、一般外国人と違って非常な国家の経済から考えましても、芳ばしからぬ私は結果を見るのであります。従ってこの外国人としての朝鮮、あるいは外国人というものに対する方策というものは、私は相当深甚なる注意を払って、そうして将来のために考究しなければならぬたくさんな問題があると思うのです。かような点から考えまして法務省としてどんな方針のもとに、またどんな考えをもってこれに対して一定の方針といいますか方策といいますか、そういうものをもって臨んでおられるか、また続いてこれに付帯して大村収容所におけるところのこの人たちの犯罪の種別というふうなものをお尋ねいたしたい。

松原一彦自由民主党法務政務次官

○政府委員(松原一彦君) これは率直に申して非常にむずかしい問題で、今日本の、ことに法務行政のうちの最も悩みきっている問題の一つでございますことは御承知の通りであります。従来日本人であったのでありますが、それが終戦によって国籍が非常に不明になっておる。帰化しきっている者としない者がいるわけでございまして、まことにむずかしい問題だと思う。それが今日大村収容所の中におる重い罪を犯した数百名の人たち、強制送還をやろうとしても受け取らないという現実であります。一方には密入国者が毎日ふえてきておる。最近には激増というのではありませんけれども、千数百名が大村に、これは密入国者として当然帰さなければならないし、受け取ってもらわなければならぬ人間が検束せられておるのであります。この解決は何と申しましても朝鮮と日本との間における国交の正常化ができない限りにはどうにもこうにもならない。一方には日本の漁夫が向うで抑留されている。これまた当然帰さなければならぬ者が理由なくして抑留せられている、こういうことで刑期が満ちておりながら抑留されているというようなわけでございまして、この関係が打開せられることを私は非常に祈ってやまないのでありますが、こまかな数字及び経緯等につきましては入国管理局長がここにおられますから、内田政府委員からお答えさせていただきたいと思います。

内田藤雄法務省入国管理局長

○政府委員(内田藤雄君) 現在日本に在留しております外国人の登録に現われました数字は、全体で約六十四万でございますが、そのうち朝鮮人が五十七万六千七百五十、中国が四万三千九百六十七ということになっておりますので、大体六十余万のほとんど九五%くらいが朝鮮人と中国人でございます。われわれの方の仕事は、新しい外国人の出入国の問題、また現にそれで出入りしている外国人の数も少々ございますが、そのほかにただいまおっしゃいましたように戦前から日本に在留しておりまして、終戦までは日本人であったというこの特殊な人々、この問題が実は非常に厄介な問題になっているわけでございます。それで確かに戦後のあの特殊な状況におきまして、いわゆる第三国人という名のもとに、中国も多少ございましたが、数におきましては確かに朝鮮人が非常にいろいろ暴れもいたしましたし、一時あたかも戦勝国民のような気持で非常に生活状態が急に上ったわけでございます。ところがその後社会情勢が落ちつくにつれまして、いわゆるやみとかそういうことでは生活ができなくなりました結果、しかもその間に正常な勤労精神を失ってしまっておるというようなことから、大量にこの人々が犯罪者の群に移って行ったということは大体申し得るのではないかと存じます。その結果これは矯正局の方の数字を伺いますと、現在約六万人くらいの刑務所に入っております者のうち、その一割近い人が朝鮮人であるように聞いております。そういたしますと、人口との関係を考えますと、約八千万でその数字五万なにがしであるにもかかわらず、片一方では六十万そこそこで四千幾らということでございますから、犯罪の比率から申しますと十倍を越しておるくらいの比率になっておるわけでございます。で犯罪の内容は先ほどおっしゃいましたように、われわれの方に現われて参ります限りでも、ヒロポンとかああいう関係の犯罪、それから密造そういった専売法規と申しますかああいうふうの関係の違反者、そのほかにはやはり量から申しますと何といっても窃盗が非常に多いのでございます。そうしてそういう人々の中からわれわれといたしましては入管令に基きまして懲役一年以上の刑を受けました者は当然退去を強制できるということになっております。これは日本の出入国管理令がそうであるばかりでなく、国際慣習といたしましても、外国に在留しておる外国人が犯罪をいたしたような場合には、ある限度を越えた者を退去にいたすということは、これはもう国際的にも認められておるところでございますので、われわれとしてもその入管令を基礎とし、またこの国際慣習に基きまして悪質の外国人は退去にいたしておるわけでございます。しかし先ほども申し上げましたように、戦前から日本に長く住んでおりまして、生活の本拠が日本にあるような者を、ただ外国から渡航して一時日本におる外国人と全然同等に扱うということは、また必ずしも正当と申せませんので、われわれといたしましては戦前からおりますような朝鮮人の場合には、ただ一回犯罪を犯して懲役一年以上の刑を受けたというようなことだけでは退去にいたしておりません。大体の現状を申し上げますならば、前科、もっともその内容にもよりますが、たとえば窃盗等の普通の犯罪の場合でございますと、前科三犯以上くらいでないと退去にいたしておりません。われわれが記録を見まして大体その者の生活が犯罪に依存しておる、犯罪の上に生活しておるのではないかと考えられるような者のみを退去にいたしておるのでございますが、それが毎月刑務所の方から出所いたしまして、われわれの方に送られて参ります二百ないし二百五十、月によりましては三百くらいのときもございますが、そういう者の中から、大体一割五分見当くらいの、これは結果においてそうなるのでございまして、一割五分というように限っておるのではございませんが、大体において一割五分ないし二割程度の者を退去強制にいたしまして、大村に送っておるわけでございます。それが、ところが先ほど政務次官のお話にもございましたように、現在の日韓関係が正常でないというばかりでなく、韓国側の全く政略的な意図と申しますか、日本において戦前からおる朝鮮人については日本に在留資格があるのであって日本側にはこれを退去強制いたすような権利がないのだと言わぬばかりの態度でこれらの悪質なる朝鮮人の国内釈放を要求しておるというのが現状でございます。そうしてそれに引っかけまして、御承知のごとく李ラインを越えたという理由でつかまえました日本人の漁夫を人質にいたしまして、その日本への送還を拒否しつつこれらの悪質なる朝鮮人を国内で釈放しろと、こういうことを要求しておるというのが現在の状況でございます。そのために、理論上密入国を引き取らぬということは一回も申しておりませんが、実際上密入国者の引き取りも拒否いたしております。密入国者の数の方は、これは新しい密入国者というのは、大体戦後の趨勢を申し上げますと減って参っております。と申しますのは、なぜ密入国をして参るかといいますと、その一番大きな原因は、戦争で疎開などさせられまして、家族の一部の者が朝鮮と日本に分れてしまった、それをまたもとの家族の者の所へ復帰したいというようなのがまあ一番多い例なのでございます。それで戦後十年もたちましたので、そういった種類の密入国というものが漸次まあ片がついたと申しますか、それが大きな理由だと思いますが、漸次減って参っております。ことに朝鮮動乱の直後におきまして、向うで家を焼かれたとか、食うに困ったという者が大量に密入国して参りました昭和二十六、七年ころに比べますと、最近はよほど減って参っております。そういう傾向にはございますが、しかしなおかつ現在すでにもぐって、潜在している密入国者の数というものは、これは相当大きいものと考えております。従いまして新しい密入国は、現場でつかまえます者以外に、今までもぐっておりました密入国者が何らかの事情によりまして密入国者として発見されまして、それでわれわれが退去強制にする者が、これがまた相当ございます。  そういった関係で、大村が一番多い状況のときには、昨年末約千三百五十くらいですか、それから先ほど申しました犯罪等の理由によりまして退去強制いたしました者が約三百五十、両方合せまして約千七百という状況になったときがございます。そのほかに浜松に分室を設けておりまして、これは横浜収容所の分室でございますが、ここに中国関係が現在約百五十くらいおると思いますが、それから大村が一ぱいでありますために、現在浜松に送っております朝鮮人がそのほか現在すでに百くらいに達しておるかと思います。そのほかほんとうに収容施設が十分でありましたならば、当然収容しなければならぬ者の数は数百あると考えます。で、この問題は目下外務省とも協力いたしましてせっかく日韓の間に交渉をいたしておるわけでございますが、われわれといたしましては先ほど申しましたような人質外交にひっかかって、悪質不良な外国人を日本から退去いたさす権限をこういうところで傷つけると申しますか、その将来に暗影を投ずるようなことは断じていたしたくない、そのためにはあくまで大村の収容施設が一ぱいになったり、いろいろなことで苦労はいたしておりますが、がんばっていきたい、こう考えておる次第であります。

吉田萬次自由民主党

○吉田萬次君 私はもちろん久保田発言に関連して派生的に起きた問題だと思っております。久保田発言をとり消すというようなことですね、その御意思もあるように承わっておりまするが、要するに本邦人の、日本人の朝鮮におけるところのいわゆる在外資産というものが二千数百億であるのに対して、それを支払わないような意思において、すべての事柄にひっかかりを持ってきておるように考えるのでありますによって、この問題はその派生的の問題として私は解決がむずかしいということに了承しておりますが、さらにこの朝鮮人の登録の問題でありまするが、従来も相当あったと思いまするが、この登録は完全に行えるものですか、行いにくいものですか。

内田藤雄法務省入国管理局長

○政府委員(内田藤雄君) 外国人登録は昭和二十二年以来行われ始めまして、二十二、二十五、二十七、二十九、現在まで四回行なって参りました。当初、たとえば昭和二十二年ごろ、まだ日本の一般の情勢がいわば混乱期とでも申しますか、治安の面などから見ても不十分でありました当時におきましての登録というものは、あとから顧みてみますときわめて不完全なものであったということはわかっております。しかし年とともにその点だんだん改善せられてきておると考えております。このたびこの秋の登録に指紋をとるということになりましたのも、全くそのねらいはその登録を完全なものにしたいということにほかならないわけでございます。と申しますのは、登録をいたしますと同時に登録証というのを発給いたすのでございますが、この登録証と登録伝票とが一致していなければおよそこれは意味のないことなんでございますが、従来密入国をいたしましたような者に対しまして、たまたま登録証を持っておる者が金に困っているというような状況がございますと、その登録証を譲渡いたす、売り渡すというようなことが相当行われておったのでございます。そして売り渡した方はこの登録証を紛失したということで再度登録証をもらい受ける、こういう事態があった。これはたとえば紛失を理由にして登録証の再交付を求めました場合に、それが譲渡したものであるとか、売り渡したものであるとかいうことの立証と申しますか、証拠をつかむということはほとんど不可能でございます。それで、われわれの申し上げますのは結局推定の数字でございますが、大体約年四万ぐらいの再交付が過去において、行われておったのでございまして、この相当大部分はほんとうの紛失ではなくして、実は譲渡ではなかったか、こういうふうに思っております。ところが、この指紋を採取いたしまして、指紋を押すことになりますと、この譲渡というものは非常に困難になります。現にこの指紋制度を去年の四月二十八日以後やり始めましてから、この再交付の申請というのが激減いたしております。で、この登録証のやみ相場が十倍ぐらい値上りしておるというようなうわさも聞いております。それで今回この秋の指紋を含めました登録には、われわれとしては非常に期待を持っておるわけでございます。今度は相当完全な登録ができるのではないかと考えておる次第でございます。

吉田萬次自由民主党

○吉田萬次君 公安調査庁の方にお尋ねをいたしますが、この破壊活動といいますか、この問題について、私は相当な関心を持っておりまするが、この活動に対する私は防禦の方法というものが相当いろいろむずかしくなってくると考えるのであります。従って科学の進歩その他につきまして費用がかさんでくると思うのであります。しかるに本年度の予算をここで拝見いたしますると、公安調査庁として第一の、公安調査庁一般行政に必要な経費というものに対しては増加が認められますけれども、2及び3、4、5に属する方面においてはさらに増額せられておりませんが、これは去年のままでやはりやり得るという可能性があるのか、あるいはだんだんこういう方面に対するすべての問題が何か変ってきて、そしてこれだけの費用によってより以上の効果が上げられるようになってきておるのか、いずれにいたしましても、私はこの問題については相当な経費をかけても国の存立ということに対して、私は重大な関心を持たなければならぬ問題だと思います。従ってこの経費というものが相当増額せられるというのなら私どもは受け取れますけれども、前年度通りにというようなことは、形式的に十分にやっておられるか、あるいは力を入れてやっておられるかというようなことに対する……、見方によってはこれはいろいろと考えられると思いますが、完全にこれで遂行していくというふうなことができるかどうかということに対して承わりたいと思います。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 ちょっと答弁の前に関連して一緒にお答え願いたいと思うのですが、これは質問の角度が違うかと思いますが、あわせて御答弁願いたいと思います。  私はこの予算書を見て、あっちこっちに理解しかねるところがあるわけですが、この公安調査庁もその一つなんです。吉田委員からああいう質問がございましたが、私はこの破壊活動調査に必要な経費の二億六千四十六万二千円、こういう金がほんとうに要るのだろうか、それほど緊迫した状況にあるのだろうか。ちょっと私の感じでは、その二億六千万というものはもったいないなあと、こんな感じがしているのですが、吉田委員の質疑と角度が違うと思いますが、吉田委員にも納得できるような、また私のような気持を持っている者もあるわけですから、納得のできるように一つ御説明願いたいと思います。

湯山勇日本社会党

○湯山勇君 私のもついでに一括してやってもらいたい。  実は昨年予算において、この公安調査庁関係の経費は非常に大きくふくれております。ことに破壊活動調査に必要な経費というのは、三十年度におきましては、二十九年度の数倍にも膨張をしております。そのときに当時の法務大臣にお伺いいたしますと、法務大臣の御見解では、国際情勢が非常に変ってきた、しかもまあ共産党にはまだもぐっている幹部もある。こういった各般の情勢から、二十九年の中ごろからその必要を認めることになったので、特に団体ファイルの作成とか、あるいは科学的な調査のための自動車を買うとか、写真機を買うとか、そういうことのために今回特に破壊活動調査に必要な経費が膨張したのだ、こういう御説明がありました。そこでその当時は、そういう事情があったということは一応私どもも肯定しておったわけですけれども、大体一年かかって、そういったような作業もできたことだと思いますし、写真機や自動車をそう幾らもお買いになるというようなこともないだろうと思います。まして国際情勢の変化に伴って破壊活動の調査の費用を多くしたという前法務大臣の御答弁でしたけれども、ジュネーヴ会議後ああいう状態ですし、それから共産党の地下にもぐっておった幹部もだいぶ出て参りましたし、また最近でほどういうことかよくわかりませんけれども、とにかくソ連の政策転換という問題もありまして、もし破壊活動調査に必要な経費というものが、そういった国際情勢に動かされる性質のものだということであれば、もう少し敏感にそういうものに即応すべきではないか、それが今吉田委員が御指摘のように、昨年の御説明は、団体ファイルとか自動車とか、写真機とかおっしゃっておりましたが、それをそのまま踏襲して、増減なしというような組み方は、私もやはり納得できないので、これも見方の差はあるかも知れませんけれども、御答弁の際、一緒に一つお答え願いたいと思います。

高橋一郎公安調査庁次長

○政府委員(高橋一郎君) お答えいたします。私どもの方の責任を持っております破壊活動調査が非常に、単に治安と申す以上に、国家の基本に関係する重要な問題であるというふうにわれわれは考えております。その点全く吉田さんの言われた通り考えておる次第であります。それで予算の方は三十一年度は実質において全く三十年度同様でございます。総額において若干増加しておりますけれども、これは人件費の自然増等でありまして、内容的には全く前年度と同じであります。それで私どもといたしましても、与えられた任務に比べまして、人員も不足しておりますし、それから予算的にももっと増加していただかなければ十分の仕事がでてきないというふうに考えまして、事務的にはいろいろ努力いたしましたのでありますが、財政上のいろんな総合的な観点等からいたしまして、来年度は本年度通りという点で一応まとまった次第であります。そういうわけで、もちろん事務的には決してこれで十分とは考えておりませんけれども、このようにきまりました以上は、この範囲内で全力を尽してできるだけの仕事をやろうというふうに考えております。それでこの調査活動の内容等についてよくわからないという矢嶋さんのお話もございますが、これは全くごもっともの点もあると思うのであります。私どもの方の調査の内容は、強制調査権というものがほとんどございませんで、全く任意調査によっておりますけれども、その態様は多種多様でございまして、またその中には今後の調査活動のために取得しなければならない部門も相当ございます。それですみからすみまでご納得のいくよう実は十分の御説明をすることができないのが大へん残念でありますが、そういうわけで、よくわからぬ点があるという御疑問も出てくるのだろうというふうに実は考えておるわけであります。ただ昨年の七月に日本共産党が六全協で若干の戦術転換を見せ、続いて本年度二月にソ連党大会が新聞で伝えられたような決定をしたのでありますけれども、私どもの方の仕事はそのようなそのときどきの情勢の変化で、それに常に即応して伸縮するというものであってはならないというふうに実は私ども考えておるのであります。今度のソ連党大会の決定を見ましても、なるほど一口で言いますというと、平和革命であるとかあるいは議会制度の利用というふうなことを言っておりますけれども、これを正確にフルシチョフ報告やミコヤン演説に出ておりますものを検討しますというと、要するに議会外の革命的大衆運動というものに支持されて、そうしてまた政権を握った以上はこれをそのような革命運動に支持されつつ安定したものとして自分の政策を実現していくという考え方であります。従ってまあいわば終戦直後の混乱時代に行われましたような、院外におけるあらゆる革命的大衆行動、結局ゼネスト武装蜂起といったような、武器をとって議会外でやるかどうかというような点の違いはかりにありましても、その他のあらゆる革命的大衆行動、たとえばいわゆる生産管理であるとか吊し上げであるとか、人民裁判とか、あるいは実力ピケ、それから実力的な大衆デモ、あるいはさらに進んでゼネストというような、そのようないろいろな方法を用いてこれをやるということでありまして、決して何かわれわれの使うような意味の議会主義の利用といったようなことを考えておらないことは、はっきりしておると思うのであります。ただ、それを用います時期につきましては、いろいろな国際、国内情勢によって条件をよく見ながらやるでありましょうけれども、そのようなことが必らず起ると考えなければならない、これを実際に起らせるか起らせないかということは、やはりこちらの方の用意によると思うのであります。そういう意味である年には向うがそのような戦術をとり、また別の年にはその戦術を変えたというようなことから、われわれの態勢が常に動揺するということては、これは全くわれわれの仕事はできない、こういうふうにあるべきではないというふうに実は考えておるのであります。そしてこの昨年説明された団体ファイルであるとか、その他の仕事が済んだのじゃないかというふうなお話もありましたけれども、それは実は済んでおりません、済んでおらないというのは、われわれがそれだけのことをやらなかったというのではなくして、大きな、非常に膨大な仕事を小口からずっと固めていっておる段階でございます、従いまして一年でやり切れるということはない、現に共産党員の数自体も明確なところはわかっておりません、もっともこれは党にも正確な数はわかっておらないと思いますけれども、大体八万から十万というのでありますが、破壊活動調査という観点から申しますと、破壊団体の構成員という意味で、この党員を個々に確認しなければならないのであります。ところが実際にやってみますと、一人の調査官で解明し得る限度というものは非常に少うございます、というのは、戦跡と違いまして今日のような制度のもとにおいては、この党員性ということを立証するのに非常に緻密な、正確な仕事を要するわけでありまして、そのような制約のもとにおいて党員性を解明して参るということはきわめて困難でございます。従ってわれわれは着々やっておりますけれども、まだそれは非常に部分的でございます。そういうような仕事をずっと今後続げて参りますについては、もちろん本年度と同じといったような予算は、情勢の変化にかかわらず、われわれとしては非常に必要なわけでございます、写真機その他の装備毛私どもの役所ではむろん予算上の数は買っておるのでございますけれどもきわめて少い、調査官の数に比べまして何分の一という程度でございます。従いましてこれは今後と毛予算的に一つ十分の御理解をいただきたいというふうに考えます。

吉田萬次自由民主党

○吉田萬次君 ただいまの御答弁でこれだけにきめられたからやむを得ぬというお話でありましたが、他の省におきましては膨大な要求、膨大な要求というよりはむしろ必要と認める相当な額を出しておって、そのうち削られて、ある部分になっておるというのが普通であります。従ってあなたがそれだけ御留意下さったものであったならば、要求額というものは相当多額なものだと考えまするが、要求額はどの程度の御要求をなさったのですか。

高橋一郎公安調査庁次長

○政府委員(高橋一郎君) 今項目別の数字を用意しておりませんが、全体としては十四億くらいを要求いたしました。

吉田萬次自由民主党

○吉田萬次君 もう一つ。小さい問題でありますが、簡単な問題ですが、売春婦の、これはその売春行為によっての犯罪ではなくて、その他の一般の犯罪というものはどれくらいあるものですか。何%くらいになるものですか。もしわかりましたらお答え願いたい。

長戸寛美法務省刑事局長事務代理

○政府委員(長戸寛美君) 現在売春関係の法令といたしまして御存じのように刑法に淫行勧誘、常利誘拐、それから児童福祉法、職業安定法、労働基準法、勅令九号、それから全国に五十五、六ありますところの条例違反というものがございます。これらによって取締りをいたしておるわけでございますが、毎年全国の検察庁で受理いたしますこれらの人員は一万五千人、昨年は少しふえまして二万七千人でございます。そのうち条例違反が大体半数でございます。この条例違反の中に売春婦自体のものが含まれおり、その他のものはただいまお話の業者とか客引きとか、あるいは人身売買のぜげんとか、そういうふうなものでございます。

吉田萬次自由民主党

○吉田萬次君 私のお尋ねするのは売春婦その毛のが売春行為あるいはそれに関連する犯罪というものでなくて、一般の窃盗であるとかあるいはその他の問題に対しての犯罪はどれくらいあるでしょうかと言ってお尋ねしておるのです。

長戸寛美法務省刑事局長事務代理

○政府委員(長戸寛美君) これはただいま計数的に申し上げることができませんのですが、売春婦が他の犯罪を犯すことがかなり多いのでございますが、それは犯罪の事例としましては窃盗とかあるいはヒロポン、覚醒剤取締法の違反、あるいは麻薬取締法の違反、そういうふうなものでございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 先ほどの問題に関連して、この破壊活動調査に必要な経費二億六千万円ですね。本年度の予算執行に当っては情報入手のために謝礼としてどのくらい金を出しておりますか。

高橋一郎公安調査庁次長

○政府委員(高橋一郎君) それはただいまおっしゃった数字の中に公安調査官の調査活動に要する旅費などは含まれております。それでいわゆる公安調査官調査活動費と申しますのは、約一億九千万円でございます。この一億九千万円の中でどのくらい実際にいわゆる報償というふうなことに使われておるかというお尋ねでありますが、その数字は私ただいま正確なものを用意しておりませんから、ちょっと申し上げかねるのであります。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 それでは本日または明後日までに本年度の予算執行に当ってどのくらい支出されているか、その数字をお示し願います。

高橋一郎公安調査庁次長

○政府委員(高橋一郎君) よろしゅうございます。

湯山勇日本社会党

○湯山勇君 ちょっと今の点、先ほどの御答弁で、情勢によって調査活動というものは伸縮すべき性質のものではないという御答弁がありましたが、これは昨年は法務大臣は逆のことをおっしゃっているのです。それからまたどなたでしたか、竹内経理部長も同じように二十九年の中ごろから急にこの調査活動を強化しなければならぬような様子が出てきた、そういう事情に対応して増額したという御答弁があったので、ただいまの御答弁と大へん食い違うと思います。私どもの考えとしては、これはやはり破壊活動といったような性質のものはむしろ情勢に適応していろいろ変化すべき性質のものだと、破壊活動そのものの性質から考えてもそうあるべきだと思うのですけれども、今のあなたの御答弁じゃ、そうでなくて、もう恒久的なそして情勢のいかんにかかわらず変化しべきものではないとうようなお話で、非常に違っているのですが、これは次官からお聞きしないと工合が悪いことになると思うのですが。

松原一彦自由民主党法務政務次官

○政府委員(松原一彦君) お答えいたします。御承知のように共産党は合法政党の一面と秘密結社の面があって、よく正体がわからない、だれもっかめない、どういう活動をやっておったのか今日今ごろになってミコヤンその他の発表によってスターリンの晩年は気が達っておったのだと言われるように、わからない、共産党の正体は秘密結社の面においてはあなた方も御存じなかろうし、われわれもわからない、そのつかみにくいものをつかんで、真相を調査している苦労は、一つお察し願いたいと思うのであります。だから現象に応じてただちに即応するというわけにはいかないのです。それは今あなたもおっしゃったように、地下にもぐった巨頭もだんだん出てきておりますが、まだどこにだれがいるやら全然わからない。むしろ吉田さんのおっしゃるように、おしかりを受けてもいい、何をお前たち金を使ってやっているかといったような面もあるが、しかし一々これを中途半端で発表することのできない性質のものであって、わからないものを中間発表をするわけにはいかない、常に隠忍してクモの巣をかぶって真相をつかむことに苦労していることを御了察願いたい。今申しましたのは、もちろん政治でありますから、情勢に応じて変化すべきものではありますが、秘密結社である共産党の秘密的な活動というものの調査は、これがっかめないだけに、うっかり手がゆるめられないというのがわれわれの考えだったのであります。何もことさらに作為的に申すのではないのであります。ほんとうに複雑多岐、そうしてむしろ共産党側の方が日本のいろいろな面をこまかに先につかんでおるような事実すらも、われわれは耳にいたしておりますので、あなた方のごらんになるような情勢の変化というのが、単なる表面的のものではない。あらゆる現象がよほどむずかしいものを包蔵しておるのではないかと、こう思うのです。そういうわけでありますから、まあ乏しい予算の中で、精一ぱい苦労しながら真相を探しておるということについて、どうぞ御了承願いたいと思います。

湯山勇日本社会党

○湯山勇君 次官のおっしゃるのはよくわかるのですが、先ほどの御答弁の中に、たとえまわりの情勢がどう変ろうが、それに即応して変るような性質のものではないという断定も、私はちょっと変じゃないかと思うのです。以前には情勢に順応して変っておるし、それからそのために変え、なくちゃならなかったのだという御答弁もあったわけですから……。しかしまあ次官の御答弁で私は了解いたします。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 ただいまの発言ですが、承わっておきますけれども、共産党、共産党といいますけれども、これはその情勢の変化にもかかわらず相当額の予算を持ってこの仕事をやっていくようになりますと、私どもよほど気をつけていただかぬというと、やはりかつての特高みたいな思想警察化し、やはり国民の自由なるべき思想、言論の有形あるいは無形の抑圧とならないとも限らないと思います。その点私は非常におそれているものですが、時間もないですから、他の質問に移りますが、よほどこの運営に当っては心していただきたいと要望しておきます。二億六千万円のその上にある千六百三十七人についての金額はわかるわけですが、二億六千万円というのは、どうも私は納得できません。まあ報償金をどのくらい支出されているかを承って、必要があればまた伺うことにします。  それで、時間が迫っておりますので簡単に伺っておきますが、この法務省所管の歳入予算額の中に、罰金及び没収金として二億八千九十八万三千円の増額を見積られているわけですが、こういう予算の組み方というのはおかしいのじゃないですかね。どういうふうにお考えになっておりますか。これとも関連するのですが、私も今度は参議院の改選期になっているのですけれども、この参議院議員の選挙の公正を期するために四千五百七十四万五千円を計上しておるわけですが、確かに昨日本会議でも公明選挙の決議をしましたように、必要なことです。しかし私はここで要望しておきたいのは、いつものこの選挙のときには、ひどいのは見のがしておいて、大魚は逸しておいて、ざこばかり追い回しておる。非常に故意にやっておるのじゃないかということさえ私は感じております。この予算が必要でないと申しません。運用に当ってはざこをつかまえるよりも大魚を逸しないようにしてもらいたい。汚職事件の場合も同様だと思うのです。ほんとうにでかいのは取り逃がしてしまって、ざこに類するものばかりつかまえていじめておる。こういうのは非常に遺憾に思っておりますので、たとえばここに伺ったように、罰金及び没収金を二億八千万円多く見積って、おる。これは一つ選挙のときに悪質の買収、供応とかいうものはあまり追及しないで、ちょっとした形式犯を片っぱし抑えていくというようなことの方針でもとれば、あるいはこういう罰金の増収というようなことが簡単にできるかもしれません。しかし少くとも予算を組む場合に、罰金の増額を見越して予算に組むというのはほんとうに悲しい感じがするのですが、どういうふうにお考えになっていますか、お答え願いたい。

松原一彦自由民主党法務政務次官

○政府委員(松原一彦君) 矢嶋委員の選挙の取締り、選挙の粛正に関する御方針についての御警告は、私はそのままいただきたいと思います。まことに御同感あります。巨口を逸して細鱗を組するということになりがちであります。選挙というものの源泉を清めないで、政治の細流というては悪いが、政治の現象の上に清浄を保てるというわけはないと思う。これは私ども多年命をかけてやって参っておる。従って昨日の御決議の御趣旨に即応するようにいたしますが、いたずらに重箱のすみを突っついて罪人を作るのが目的ではございません。どこまでも清浄なる選挙が清浄に行われるようにすることであって、この点については細鱗を網するというものではございません。単なる形式犯をことごとく犯罪とする意味のものではございません。本質的に選挙そのものを混濁する源流を洗わなければならぬというふうに考えております。十二分にその方針をもって進みたいと思いますが、ただいまの数字に関する方面につきましての計算の基礎は、経理部長からお答えいたします。

竹内壽明法務大臣官房経理部長

○政府委員(竹内壽明君) お答え申し上げます。この懲罰及び没収金の見積りの基礎になりましたのは、昭和二十七年度から以降三カ年間の収入実績の平均をとりまして見積りをいたしたのでございます。それでは去年の三十一年度との間に一億八千万からの開きがあるのはどういうことかという御疑問があろうかと思うのでございますが、これは御承知のように交通関係の自動車事件がここ二、三年の間に急激に増加をいたして参りまして、この交通関係の違反につきましてはすべて罰金でまかなっているというのではございませんけれども、その懲罰の大部分は罰金、科料でございまして、この方面の歳入が非常に多くなっておるのでございます。三十一年度におきましては百九十二万八千件を見込んでおるのでございます。これをちょっと累年別に申しますと、昭和三十年度が百五十一万四千件の見込みでございまして、それから二十九年度には百五十一万、二十八年が九十三万、二十七年が四十八万、こういうふうに事件がふえてきておりまして、これの対象は大部分が罰金、科料でございます。そこで一二十年度の歳入見込みでございますが、予想いたしておりますところによりますと、大体十億の線に近くなっているのでございまして、さらに三十二年度の歳入計画を立てます場合には一そうこの点が大きくなってくるのではないかというふうに考えられるのでございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 数字的なことはわかりましたが、討論になるから申し上げませんが、私は罰金の徴収なんかできるだけ必要なくなるようにするための対策の予算を増加する意思ならわかりますけれども、罰金がよけいになるような予算書を出してくるということは、全く私は逆だと思います。ある程度罰金を納める者が出てこなければ困るというような、心ひそかに期待感を当局者は持つに至るであろうと思う。そういう政治というものはおかしいと思うのですが、それはまあ討論になりますから、その程度にとどめておきますが、次にお宅の所管ですが、例の売春禁止法案というのがなかなか出てきませんが、いつごろ政務次官、出される予定ですか。また予算はどの程度見込み……、どの程度の予算を必要とする内容のものにするつもりですか。もしそれが院で成立した場合には、その法の執行についての予算はどういうふうに考えて今進められておるのか、骨子だけ伺っておきたい。

松原一彦自由民主党法務政務次官

○政府委員(松原一彦君) 売春禁止法は、国会の御要求に従いまして、先日御承知のように売春対策審議会というものができまして、これが内閣に置かれて審議会委員が二十五人あげられました。首相官邸ですでに三回の審議会を開きました。二十二日に第四回を開きまして、できる限り予定といたしましては、今月一ぱいぐらいに一応の答申案を出していただきたいという希望を持っております。今その対象になるものと、それからそれに対する措置の方面との二部の小委員会を設けて審議を続けておるところでございます。この審議が終って具体化しましたならば、四月早々にでも提案したいという計画をもって進んでおることを申し上げておきます。  それから予算は実ははなはだ残念でございますが、すこぶる少額で、法務省などはもうほとんど申すに足らないほどの少額です。いずれ詳しいことは総務課長からお報告申し上げますが、これはしかし一応の対策が出ましたならば、大蔵大臣の方で毛これに応ずるだけの金の負担はするということをば約束いたしておりますので、完全なことはできますまいが、措置に対しては、これは精密に申せば非常にたくさんな金が要る。けれども、応急の措置としましてはせめて半年分でも得たいものと考えております。御承知のようにこの対策ほきょう言うてあしたから実行はできません。少くともその間に半年なり、若干の猶予期間がなければ……ああいう設備を持っておるものを取りやめるということについての期間が要ります。本年はどの程度の答申が出ますかわかりませんが、成案を得ましたならば若干の猶予期間を得て実施し、これに即応するだけの応急の費用を捻出してもらうように工夫したいと思っているところでございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 それは早急に善処していただくように要望しておいて、次伺いますが、それは昭和二十九年度決算検査報告の中に法務省関係の批難事項が三十三から三十五まで出ております。さすが件数から申しますと、法務省関係は少いのでありますが、しかし国民に対する影響という立場から考えるというと、ずいぶんと悪質なのがあるようです。時間がないし、印刷になっていることですから、内容を御承知と思いますから申し上げませんが、私承わりたい点は、この批難事項に対しての国会に対する法務省の説明書は了承いたします。的確なる処置をとられているようです。承わりたい点は、この会計検査院の決算報告を見て、各省の処置を見ると、アンバランスがあると思うのですがね。これは事務当局に伺うわけですが、指摘されている批難事項に関する各省の取扱い方というものは、調整をいかようにされているのですか。その点と、それからもう一点は、お宅関係の内容なんですがね、宮崎刑務所の坂本法務事務官に二十六年三月から二十九年八月にわたって実に二百三十七万円という金を着服されている。こういうものは早期発見ということはできないものか、どういうところに欠陥があって早期発見ができないのか。  さらに島原支部、それから札幌、この地域では罰金、科料等を不当に着服したことが指摘されておるのですが、この報告書を見ますというと、調査したのほごく一部のようですが、他の地域の検察庁の支部または出張所にはこれに類似した事件がないということはその後確認されたかどうか。おそらくあなたの方ではこういう点を指摘されると同時に、注意を喚起する措置をとられたと思うのですが、実に過去三カ年間にわたってこういう事実があったということが指摘されていますので、その後調査の結果、これに類似したものがあなたの方で摘発できたかどうか。その経緯と結果を承わりたいと思います。

竹内壽明法務大臣官房経理部長

○政府委員(竹内壽明君) お答え申し上げます。関係者の職責につきましては、各省間の歩調を合せるような特別の措置と申しては、ごく最近官房長官からそういう御示達がございまして、関係省が歩調をそろえてやるというような態勢が整ったようでございますが、それ以前におきましては、特に関係省との振り合いを見て処分をきめるというようなことは、事務的にあるいは連絡は人事課の方でやっているかしれませんが、私の承知いたしておりますところでは、各省それぞれ独自の立場でやっておったようなんでございます。特に参議院におきましては昨年も厳重なる行政措置をするようにという決議までも出されておるのでございまして、そういう点にかんがみまして、懲戒処分の扱い方につきましては、従来犯罪と目されておりましたもの、犯罪というふうに扱われましたものについて特に懲戒処分にかける。もちろんそれ以外のものにつきまして勧告なりその他いろいろな内部的な処置をすることはもちろんでございますが、正規の懲戒処分にかけるというのはそういう方面を主としてやっておったのでございますけれども、さらにそれを範囲を広げまして、いやしくも不当事項として指摘を受け、われわれもその調査の結果承服するというような案件につきましては、かなり大幅になるべくすみやかに処置をするという方針に切りかえ、そうしてここ二、三年そういうふうにいたしております。  従いまして今回の二十九年度の批難事項に対しましてもそれぞれ処置を了しておりますが、一部宮崎関係の監督者の責任がまだ調査未了になっておる状況でございます。それから宮崎の法務事務官が長期にわたりまして警察に対する留置人費の償還金を着服しておりました案件につきまして、ただいま御指摘のありました通り、長期間にわたってわからなかったのはどういうことかという疑問、これはひとしくわれわれも持った疑問でございます。で、私どもの方でも詳細に調査いたしましたところが、ただいま資料持っておりませんので宙に申し上げて恐縮でございますが、宮崎刑務所から償還金を払っております延岡警察分でございまして、その延岡警察は債主として遠隔地にありますので、隔地払い形式で払うのが会計法の指定しておる原則でございます。それをば宮崎刑務所管内では数カ所の遠隔地警察に対しまして、隔地払いの形式をとらないで、持参人払いで、自分の裏書でこれを現金化いたしまして、それを郵便為替で送るというような異例なやり方をずっとやっておったようでございます。これは違法というのではございませんけれども、異例なることでありまして、原則には反するわけであります。そういうやり方をやっておりましたために、延岡についてのみあやしいということが監督者としてはわからなかったということでございます。それからまたその法務事務官をすっかり信用いたしまして、何事も法務事務官が警察関係のことは詳しいというので、まかせ切りにしておりましたために、かれの乗ずるところになったということでございまして、その関係につきましては、矯正当局の方におきましても、即時いろいろ取り扱い方を改めまして、今後は再びさようなことのないようにというふうな処置をいたしております。   〔主査代理館哲二君退席、主査着席〕  それから島原の関係の検察庁の事項、それから北海道の鵡川でございましたか、法務局の登録税の使い込みでございますが、検察庁の方におきましては、これはその事務官が一人でもって五役をかねております。罰金徴収係、証拠品領置取扱主任、収入官吏、あるいは歳出外現金出納係、といったような現金を取り扱う会計職員としての立場と、罰金等を徴収いたします徴収金係の立場とを一人でかねておりましたために、そういうような制度上の若干の欠陥もありまして、その欠陥に乗じてなされたのであります。それがどうして長い間発見できなかったかと申しますると、金を徴収いたしましたものを、帳面につけないで、別の帳簿に整理をしておりましたために正規の帳簿を何度監査いたしましても、その間に四回部内監査をいたしておるようでありますが、正規の帳簿を幾らひっくり返してみても、わからなかった。結局これは罰金の未納者につきまして、お前は罰金をもう納めたか、まだ納めないでいるかというようなことを聞いてみないとほんとうのことはわからないといったようなことでございまして、はなはだまずい質問の仕方になるのでございますけれども、なるべく検察庁の権威に反しないような方法で、罰金を督促するといったような形で、この未納者に対する調査を進めまして、そのような未納者から勝手にとって、正規の帳簿につけておかないといったようなことから起る犯罪の防止につとめておるわけでございます。  それから片一方の法務局の関係ば、これはまことに妙なことでございまするが、御承知のように登録税は収入印紙で納めることになっておりますが、いなかのことでございまして郵便局に一万数千円の収入印紙がなかったそうでございまして、現金を添えて何とかこれで一つしかるべく登録税を納めるように処置してほしいという申し出がございまして、便宜そういうことをやったところが、それで味をしめまして、たった一人の職員でございますので、悪いことをしようと思えばできるという立場から、その後引き続きまして犯罪を犯したという関係になっておりまして、これはその上級官庁が不正事項の防止のために監査にそこに参りましたところが、直ちに印紙がはってありませんので発見されたということになって、いずれもこれは国損関係の弁償は話し合いがついておるのでございます。  かように考えて参りますると、結局は職務に当ります者の良心の問題に帰着するかと思いますけれども、他面また一人で何役も背負わせておくといったような人員不足のような点にも関係を持って参りますし、その他制度の面から考うるべき点もあるので、その点は十分処置いたしたい、そして絶滅を期したい、かように考えておるのでございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 その点については宮崎県の場合のごとき、九州の新聞には罰金を横領して遊興費に使ったというようなことがでかく新聞に出ましたね。これは非常に影響が大きいと思うのです。特に先ほども私指摘しましたように、本年度のお宅関係の予算では罰金の増収まで見込んであるというようなわけでありまして、これはよほど国民の順法精神も影響してくることですし、ただいまのあなたの御発言を了としますが、御善処を特にお願いしておきます。  それからもう一点伺いますが、入国管理関係ですが、これは他の委員会でもすでに質疑済みのことでしょうし、きょうも法務大臣お見えになっていないのですが、具体的な問題として私もあらためて事務当局に伺っておきたいのですが、それはごく具体的な問題ですけれども、ことし一月末に松山で日本教職員組合が教研集会を挙行するに当って中国の教育界の代表を招いたわけですが、その旅券を、入国査証を出すかのごとく出さざるかのごとき態度をとられて、ついに出なくて入国ができなかったわけですが、これは相当に背景には政治的な考慮というものがあって、事務当局に御答弁願うのはあるいは無理かと思うのですけれども、こういうのは私はあまりこだわらずに入国を許可した方が大へん日本の国のためになると考えております。当時一部の新聞には、法務大臣の見解としては若干の中国の教師を入国させて日本の教師に悪い影響があってはというようなことも考えてというようなことが新聞記事にちょっと出ておりましたが、果してそう言われたかどうか私は的確に確かめてはいないわけですけれども、他国の代表としておいでになった方が、いかようにあろうとも、その二人か三人の方々の強い影響を受けて日本数十万の教師が右に左に動くというようなことは考えられないと思うのですね。従って私は入国管理を扱っている事務当局にお尋ねしておきたいと思うのですが、今後はこういう問題が起った場合は入国をさせてしかるべきだと、かように私考えるのですが、どういうふうにお考えになっていらっしゃるか、承わっておきます。

竹内壽明法務大臣官房経理部長

○政府委員(竹内壽明君) ただいま入国管理局長急用がございまして、ちょっと退席をいたしましたので、ただいまの御質問の趣旨は私からちょっと答えにくいのでございますが、御質問の趣旨を伝達いたしましてお答えを願うようにいたしたいと思いますが、御了承願いたいと思います。

中山福藏緑風会

○主査(中山福藏君) どなたかほかに御質問ございませんか。  ちょっと私からお伺いしたいのですが、それは検察審査会の問題ですね。で、検察審査会というのは人事と予算というものが裁判所にあって、所管省は法務省になっているわけですね。そこでですね、その所管省が法務省だから検事の上に重い荷がおおいかぶさってくるということで、どうもうまく検察審査会の目的というものは達せられないのじゃないかという気がしますが、これは将来総理府やどこかに所管省だけをまあ移すということが最も検察審査会の設置精神にかなうような気がするんですがね、そういうことについて何かお考えになっておりますか、それを一つ私からお確かめしておきたいと思います。

長戸寛美法務省刑事局長事務代理

○政府委員(長戸寛美君) 検察審査会につきましては人事、予算すべて最高裁で扱っておられます。われわれとしましては検察審査会の御決議のありましたものにつきましては十分に尊重しまして事を決する。ただその場合に検事正としてさらにそのままこれを不起訴を維持するという場合、あるいはさらに再調査の上調べてみたけれども、やはり不起訴であるというような場合はあり得ると思いますが、事を慎重にいたします建前から、検察審査会において起訴等の議決がなされた案件につきましては、すべて高検と相談してその上で処理する、こういうことにいたしております。そのようなことから私どもとしては今後とも議決尊重の建前においてこの種の事案を処理して参りたいと考えております。

中山福藏緑風会

○主査(中山福藏君) そこでお尋ねするのですが、私のお尋ねするのは検事の不起訴処分を指導……いわゆる検察庁法ですかね、それで検事が不起訴になすったのを、その不起訴は不適当であるという、この検察審査会で一応決定をみた場合においては、その不起訴処分をなすった検事の顔は一応つぶれるわけですね、そうするとその長官というのは法務大臣ということになっておりますからね、そうすると法務省全体の検事がどうも格好つかないのじゃないかという気がするのですが、そこでその所管省である法務省の所管であったものを総理府に一応移した方が検察審査会の設置された目的にかなうのじゃないかと、こういう質問をしているのです。

長戸寛美法務省刑事局長事務代理

○政府委員(長戸寛美君) 私どもは検察官は、その不起訴の裁定をいたしました場合にも検察審査会においてそれが起訴相当の議決がなされた場合には、それに対して慎重に考慮しまして、それが法律上罪とならないような場合、あるいは刑事訴訟法上の立証ができないような場合、あるいは犯罪が成立するといたしましても、その他の案件とのバランスにおいて起訴ができないような場合、そういうふうな場合に不起訴を維持すべきものでありまして、検察官はいやしくも公共のと申しますか、代表者としてその任務を遂行する上にはその顔がつぶれるとかそういうふうなことにこだわるべきものではないというふうに私は思っております。虚心にその点は決すべきものは決すべきである、かように考えております。

中山福藏緑風会

○主査(中山福藏君) それは理屈から言えばあなたのおっしゃる通りですね。これはその間に公平を欠くとか、あるいは自分の立場を悪くするようなことのために、いわゆる公けの勤めを左右されるというような憂いはまずないと、これはおっしゃるのが普通でしょう。そこが人間でして、これはしかも法務大臣はすべての指揮権を持っておる、各検事に対する自分の、たとえばこれを卑近な例をとりますと、自分の家庭において子供が悪いことをした、親の情として子供をかばうというのが、これは本来の情だと思う、人間の情として。これと法務省の場合と同様に見るということはこれは無理でしょう。しかしながら、自分のかわいい若い検事さん方が、せっかく相当の証拠に基いて調べたけれども、これはどうも確実性がない、従って起訴猶予か、不起訴にしたんだというような場合に、上官の情において自分の信頼する部下が不起訴処分にしたものを、おやじがそれを間違っておるということは、これは家庭の場合と同じようにそこに幾分人間味というものが加わって人間の情に引かれるのじゃないか。その所管省というものは法務省でなくて総理府であるということになりますと非常に公平にスムースに客観的に、これをだれが見ても妥当の処理を行なっておると、こういうふうな感じを持たれるということが一般に、明瞭ないわゆる司法権の運用をなされる信頼感を国民全体に得るんじゃないかという感じがするんですが、だから人事権と予算の問題というものを最高裁判所が持っておられて、しかもそれだけ最高裁判所で持っておられて、所管省は法務省であるということは、これはまことに不合理である。従って一般国民が検察審査会というものがあるかないか知らぬ人がほんとうは多いんだ、だからもしこれを総理府においたらもう少し宣伝して、一般にこういう制度があるんだ、だからお前何か不服だったらそういうふうな適当な審査の申し立てをしてやるんだ、ということの宣伝も、もう少し徹底するのじゃないかという気がするんですが、私はその不合理性をついておるんです。どうも筋が通らぬのじゃないかと、こういうお尋ねをしておるわけですが、これはきょう法務大臣がお見えになっておりませんから、あなたのお立場としては無理かもしれませんが、どういうふうな動きがあるかということを一応お聞きしておきたいと思います。こういうふうに考えております。

長戸寛美法務省刑事局長事務代理

○政府委員(長戸寛美君) 検察審査会の問題はおっしゃいますように人事、予算とも最高裁でございます。ただ委員長のおっしゃる所管省、主管者が法務省であるという意味がはっきりいたしませんけれども、法律の改正というふうなことになりますと、最高裁関係でも法務省の方を通してやる、それほ法務大臣が国会において責任を負う立場からそうなっておる、そういう点において所管省というふうにおっしゃられればそれまででございますけれども、その他のことはすべて検察審査会に関する限りは最高裁でおやり願っておる、こういうふうなことからいうと公正は完保されておる、こういうふうに私は考えております。

中山福藏緑風会

○主査(中山福藏君) 実は一週間ほど前、私最高裁に参りまして、明確に、主管省がどこにあるかということをはっきり法文の上に現われておるかどうかということを確かめたところが、検察審査会法をごらん下さるとその点はっきりしていないのです。どうもあの法文だけでは主管省はどこかということがはっきりしていないし、それから今担当しておられます最高裁判所の——あれは裁判官の方でしょうか、何か知りませんが、その人が前任者から事務を引き継いでおられるのですね、その人に私はぶつかって一週間ほど前に聞いた。その点は明確になっておりません。だから人事権と予算の関係だけは最高裁判所というものが責任をもってやっておりますけれども、主管省の問題になりますと、最高裁判所には権限がない、こういうことを明確に私におっしゃった。で、私はあの法文をちゃんと読んでみて、その点どうも明らかになっていないんじゃないかという気がするのですがね。それは最高裁判所が主管省であるという明文がどこかにありますか、それを一つ確かめておきたいと思います。

長戸寛美法務省刑事局長事務代理

○政府委員(長戸寛美君) これは検察審査会みずから独立の機関としてやっておるわけでございまして、先ほど申されたような意味におきましては法務省は主管しておりません。

中山福藏緑風会

○主査(中山福藏君) 主管してないとおっしゃるのですか。それだったらどこに所属しておるのですか。最高裁判所にあるとおっしゃるのですか。そうなれば私の方もまた一本にまとまるのですから非常に仕事がやりやすい。私の考え方が間違っておったということになるのですが、その辺疑問があったから最高裁判所に念を押しに行った、一週間ほど前に。それはたまたま一緒に会食をするというので私がお伺いしたときに、ついででありましたからその点を念を押したところが、ただいま申し上げた通りの御答弁なんですね。だから最高裁判所では宣伝の方法がないと、こうおつしゃっておる。これははっきりしていただかぬと、おととしも私法務委員会でその点をもんだのですけれどもわからぬ。だから予算だけはとられるけれども、さっぱりどうしていいかわからぬということをそのときの事務の担当者がおっしゃっておった。それから引き続き三年たっておる。それに対して明確な線が現われてこないものですから、やはり法務委員としてはその線をはっきりと打ち出しておかなければ、これはだれが一体最高の指揮権を検察審査会に対して持っておるのかわからぬのですね。あの法文自体というものはそもそも非常に私はあいまいな書き方だと思って見ているのですがね。これは特に私最高裁判所へ行って聞いたのですから、しかも一週間ほど前なんですよ、これが。これは、だから一ぺん最高裁判所と打ち合せて、さらに明確なる御答弁をわずらわしたいと、こう思うのですね。これははっきり私の隣にすわっておられた担当者がおっしゃったのですから、おそらく間違いないと思うのです。

長戸寛美法務省刑事局長事務代理

○政府委員(長戸寛美君) 私の申し上げたところは以上に尽きるわけでございますけれども、お話によりまして最高裁の係官とも話しまして十分御納得のいく答弁をいたしたい、かように存じております。

中山福藏緑風会

○主査(中山福藏君) それでは一つ十分お確かめ願いたいと思います。  それでは本日はこれをもって散会いたします。    午後一時十四分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗