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24回国会参議院1956/03/26

予算委員会 第21号

発言数
14
登壇者
6
会派数
5
開催日
1956/03/26

会議録

西郷吉之助自由民主党

○委員長(西郷吉之助君) ただいまより予算委員会を開会いたします。  これより昭和三十一年度予算三案につきまして討論を行います。順次発言をお願いいたします。  吉田法晴君。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 私は日本社会党を代表して、昭和三十一年度予算三案に対し反対討論をなすものであります。  第一に、この予算は選挙の際の公約をことごとく踏みにじり、むしろ選挙で鳩山民主党総裁が批判した自由党の向米一辺倒政策に立ち戻り、平和外交方針を放棄して、日本の将来の希望を打ち砕いた予算であるからであります。  今回の予算は、民主党と自由党とが野合してできた自由民主党が、鳩山総理を中心に政権の座について初めて提出された年間予算であります。民主党は寄り合い世帯であるから選挙の洗礼を受けなければならぬと、昨年の選挙を通じて、国交調整、国民生活の安定など、国民をごまかす政策によって第一党となりましたが、その後鳩山民主党は、政策によってでなく、社会党に対して政権を維持するただそのいちずさから自由党と野合、政策的には全く自由党に屈してしまいました。しかも選挙を通じて国民の批判と支持を受けるという態度をとりませんでしたから、自民党には政策的な一定の方向もなく、政策は国民に約束したものでもなければ、責任を負い得るものでもありません。選挙で公約した政策は、実質的にことごとく破れ去り、残っているものは形骸ばかりで、約束しなかった再軍備、憲法改正と、そのための国民生活の犠牲と、いう特徴が昭和三十一年度予算三葉を貫いております。民主政治も、その基盤をなす二大政党存立の意義も、政策によって国民の選択、支援を得、政権を担当しては、その支持せられた政策を実行することにあることは今さら申すまでもありません。この民主政治の原則を踏みにじり、多数をたのんで憲法の条章を無視し、国家権力をもって世論をも踏みにじってゆくというなら、名は民主政治でも実はファッショ政治、専制政治以外の何ものでもありません。  昨年の選挙において鳩山首相が国鳥に公約した最大のものは、日ソ国交調整、日中貿易の促進等平和外交の推進でありまして、これが吉田反動内閣の向米一辺倒の外交政策に対比し、国民に明るい希望を与えるものとして国民が鳩山内閣にかけた期待の大きな一つでありました。しかるに鳩山民主党が向米一辺倒の自由党政策に屈した結果、昨年は四巨頭会談による新たな国際情勢の展開という絶好のチャンスにおいて、アジアに一つの友邦もないという悲しい現実を暴露して、国際連合に加入することに失敗し、鳩山首相がその政治生命をかけると言った日ソ国交回復のためのロンドン交渉は、九カ月の日子の経過の後、われわれの憂慮しておりましたような事実上の決裂に立ち至り、抑留者は帰らず、北洋漁業は制限せらるるという交渉前以上の悪事態を招来せしめております。隣国中華人民共和国との関係におきましても、いたずらに米国の意向にこびて、先方よりの国交回復の呼びかけに耳を傾けず、中共貿易を拡大するといいながら、ココムの禁輸品目は、鳩山内閣になって以来ただの一つも解除せられておりません。インド、インドネシア、ビルマ等アジア諸国との友好関係、貿易の促進も何ら伸展せず、アジアの経済発展に寄与をなし得る能力を持つ日本が、依然としてアジアの孤児にとどまっております。  鳩山内閣がこのような平和外交の推進に失敗し、自主性を失った以上、わが国貿易の発展や経済基盤の拡大がどうして期待し得るでありましょうか。鳩山内閣が幾度長期経済計画というものを書き直し立ててみても、発展の基礎を欠いている以上、計画はついにペ一パープランに終らざるを得ません。昭和三十一年度予算が経済五カ年計画の第一年度予算に当ると言われながら、前提と基礎はかくのごとく崩壊し去っています。  反対の理由の第二は、公然たる再軍備、憲法改正への道を進むため、国民の生活を完全に犠牲にする予算であるからであります。経済五カ年計画の主要な目標の一つは、完全雇用の実現にあると説明されました。実際は一昨年、昨年私どもが経験したところのものは雇用状態の悪化のみであります。昨年のようにわが国の経済活動が拡大したといわれるにもかかわらず、鉱工業の雇用量が減少したということは重大なことであり、生産性向上とか産業合理化によって失業が必然的に発生するという冷厳なる事実に目をおおって完全雇用政策を云々するごときはデマゴギと言うほかありません。このままでは今後数カ年に及ぶわが国の雇用状態はまことに重大であります。これに対処する方法といたしましては、あくまで平和外交に徹して貿易を振興するとともに、食糧の自給度を向上し、民の租税負担を軽減し、社会保障を強力に推進することによって経済の拡大、国民生活を安定する以外にないことは明らかであります。しかるに鳩山内閣の提出いたしましたこの予算案を見ますると、緊張緩和への国際政局の新なる情勢に目をつむり、吉田内閣以上の対米追随、軍備拡張政策を推進しようとする結果、三十一年度予算におきまして実質的に増額され、伸びておるものは防衛関係費のみでありまして、他の公約予算については全く見る影もないありさまとなっているのであります。たとえ数字的に若干増額を見ておりますものにつきましても、これをしさいに検討してみますれば、実質的には明らかに後退しているのであります。その薄しい例が社会保障予算であります。政府はこの予算で百一億円増額したと誇っておりますが、生活保護費において従来は保護人員につき年五%の自然増を計上するのを常としたのに、今回は二・五%と半減されております。社会保障費については、たとえば政府管掌健康保険の赤字一部負担増等を主として、賃金労働者の犠牲において解消せんとはかっておりまして、わが党の断じて認め得ないところであります。今日何ゆえに政府管掌健保が莫大な赤字を出すかの原因を冷静に考えるならば、政府の結核対策の貧困、中小企業労働者の低賃金等にその原因が横たわっていることは何人も疑い得ないところでありましょう。また失業対策費においては、政府は現実の失業状況の悪化に目をつぶって、失業保険費を三十億円削り、これをもって一般及び特別失対事業費の増額に回しております。別に臨時就労対策事業費六十九億円というのがありますが、これは揮発油税の自然増収に伴う当然増加すべき道路事業費を、失業対策として看板を塗り変えたにすぎません。要するに失業対策費としては新たに増加したものは何もないのであります。しかも本年も引き続き合理化政策を進めるというのでありますならば、失業者の増加と失対費の不足することは明白な事実であります。  義務教育費については、児童生徒の自然増に伴う教職員の増加について一応措置してあると称しておりますが、教職員の定員増の抑制と停年制の強行などにより児童数に対する教員数は相対的に減少し、増員に対する教室の増築及び危険校舎の改築費等は減少し、よって教育内容は低下の一途をたどります。のみならず、鳩山内閣は民主的教育委員会制度を崩壊し、教科書制度の刷新に名をかりて教育の官僚統制を企図しているのであります。わが日本社会党は政府の再軍備、憲法改正のための予算、すなわち防衛関係費を最優先的に増強して国民生活を犠牲にする予算、そして独占資本、大資本のための予算に対置して、防衛支出金を全面削除、防衛関係費を大幅に削減して、労働者に賃上げを、農民に一万二千円の米価を約束し、中小企業者に低利豊富な融資等、大衆の生活安定、特に社会保障の充実、すなわち医療保険の拡充と国民年金制度確立への準備措置、雇用対策の強化、公共事業及び文教費の増加、地方財政の赤字克服に全力を注ぐべきだと考えますが、その詳細なる案の内容は、これを省略して委員長の了承を得て速記にとどめたいと存じます。  次に減税の点などはいかがでございましょう。給与所得者につき年額百五十億円の減税が行われることになっており、標準家族については月額二万円まで無税とするということでありますが、しかしその財源は主として砂糖関税の引き上げとか、その他間接税の自然増収に待っております。わが党は組みかえ案の中で、標準家族で月三万円までを無税とすることを目標に本年、総合月収二万五千円、年間三十万円までを無税にし、大衆の日用必需品に限り全廃を提案し、そのかわり財源を大企業保護の各種特別減税措置の撤廃と所得税率の累進に求めました。国民の要望する減税とは、このような低額所御者や中小零細企業、中小法人の減税等、大衆の負担を軽減し、担税力のある大企業にもっと税をかけよというにあります。政府のように月給袋から控除する額を減らすかわりに、これを家計費より巻き上げるというがごときごまかしであってはならぬのであります。この予算は歳出の構成が不当であり、水ぶくれして、余裕がないばかりでなく、歳入面における無理がはなはだしいことは、多くの識者の一致して指摘するところであります。実質的の自然増収額七百八十億円に上るのでありますが、このような大幅な自然増収が果して期待できるのでありましょうか。この結果は大蔵当局は徴税強化という奥の手を出すことを必至とするのでありましょう。三十一年度予算を組むに当り大蔵省が歳入合計を一兆百五十億円程度に見ていたことは明白であります。これが与党より一兆三百億円のワクを提示されて水増しをし、さらに一兆三百五十億円となった経緯は周知のところであります。のみならず予備費において五十億、賠償費において百億、計百五十億円というものが与党の予算ぶんどりのため削られております。このように無定見な大蔵大臣は近年まれに見るところであり、このような一万田大蔵大臣がいかに予算補正はいたしませんと申しましても、それは信ずる人はないでありましょうし、補正必至の状況でございます。  反対の理由の最後のものは、再軍備を公然と推し進め、海外派兵や戦争の危険を近づけつつある予算だからであります。以上のように、国民生活はことごとく犠牲にされておりますが、他方防衛関係予算はどうでありましょうか。他の経費が軒並み哀れな姿となっておるのに、防衛費だけが大きな顔をしてまかり通っておるのが、本予算案の最大の特色であります。防衛庁費、防衛支出金を合計したものが千四百七億円、これに旧軍人恩給費七百二十六億円を加えたものを再軍備費といたしますならば、総額実に二千亘二十三億円に達し、百九億円の純増加となるのであります。三十一年度計画が完成いたしますと、陸上自衛隊は六個師三混成旅団、総兵力十六万人、海上自衛隊は潜水艦二隻を含む九万九千トン、航空自衛隊は航空機五百八十二機が整備され、第三次ジェット戦闘機国産化計画も始められるのであります。吉田内閣のもとで私生子として生み出された警察予備隊が次第に成長をして、今日ではりっぱな戦力、戦闘力を持った軍隊として成長いたしました。その火力、機動力等を考えあわせますと、満州事変当時の日本軍に比し三倍以上の力を持つに至っております。かくて政府の自衛権、自衛力、戦力の解釈に飛躍的な変化を生じて参りました。戦力なき軍隊が戦力を有する自衛軍となり、自衛のためならば敵基地まで出撃してたたいてもよろしい、攻撃してもよろしいという発言が首相及び防衛庁長官の口より公然と本委員会でなされましたし、また別の機会においては鳩山総理の口から、自衛のためなら戦争もなし得るというに至っております。こうした発言の背後には、憲法の旧道徳及び追放せられた明治憲法の精神、陸軍も海軍も持てないような憲法には反対だというような旧憲法の精神の明白な復活がございます。こうした自衛権のはなはだしい拡大解釈、明白な憲法のじゅうりん等、大東亜戦争もアジア民族の解放に役立って悪くなかったという重光外相の発言の精神と結びつき、アメリカのSEATO参加希望、その中での協力、派兵要請があるからであります。そして事実かかる事態が早晩実現するようなテンポで自衛隊が近代戦闘をなし得る軍隊に成長しつつあるからであります。この予算にはスイスより誘導弾十発を購入する経費が計上されております。さらに船田防衛庁長官はナイキが原子兵器であることを承知しながら、わが方に供与を申し出ており、質問に対してこれを否定いたしませんでした。最近のSEATOの演習に日本からの飛行機、軍艦、オネストジョンが参加していると報道せられて、昨年のネバタの演習に引き続き、このタイでの演習でも戦争と原子兵器が切っても切れない関係であることが証明せられました。このような日本憲法をじゅうりんしたところの政府の言動や予算に対し非常な憤激と不安を禁じ得ないのであります。かかる事態は、国と国民の存亡に関連いたしますので、国民の名において断固これを阻止しなければなりません。この国民の滅亡を防ぎ、国民生活を守り、経済自主を達成するためには、鳩山内閣の向米一辺倒政策を打倒し、再軍備予算を否決する以外に道はないと信ずるのであります。  この点に関しまして、日本の良識を代表する前里大総長南原繁氏は、本年一月の雑誌「世界」でこう申しておられます。「最近の日本には、その「帝国」と「帝国主翼」が再び起りつつあるのではないかと憂えしめるものがあります。政府当路者の用意、不用意の発言や、政党領袖の文章などにもそれを裏付けるものが少くない。かくては、表面いかに自由と民主と平和を唱えても、内容においては、そのもとで大陸侵攻をあえてした古き明治憲法精神への復帰以外のものではあるまい。最近成立した保守合同は、かりにもさような動向とかかわりあってはならないであろう。もし不幸にして多数の力をもって、そのかつて来た道に立ち帰ろうとするならば、これは国民を駆って再び破綻と瓦解に、今度は永遠の没落に導くものである。」また、日本中国の提携を説き、中ソとの和平の打開を説いた後、「外民族の独立と自由を確保すると同時に、内国民大衆の生活の安定と向上がはかられなければならない。そしてその基礎の上に、およそ人間精神の自由にして高貴な文化が築き上げられなければならない。けだしそれは世紀を要する大業であろう。だが、これこそが輿に国を興し高くする唯一の道であるとともに、この道を歩むことによって、わが民族はよくみずから世界に「平和ならしめる者」となるであろう。」と申しておられます。  これわが党が政府提出予算三案に反対し、組みかえを主張するゆえんであります。(拍手)

西郷吉之助自由民主党

○委員長(西郷吉之助君) ただいまの吉田君の討論中に、社会党の組みかえ意見を速記録の末尾に掲載するようにという希望がありました。さよう取り計らうことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西郷吉之助自由民主党

○委員長(西郷吉之助君) 御異議ないものと認め、さよう取り計らいます。  安井謙君。

安井謙自由民主党

○安井謙君 私は自由民主党を代表いたしまして、政府提出の昭和三十一年度予算三葉に対し賛成の意を表するものであります。以下、簡単に理由を申し述べます。  本予算は、申すまでもなく、第三次鳩山内閣の手になったものでありますが、今日日本経済界の現状を見まするに、過去二年間にわたる健全財政政策の効果はようやく現われ、物価は安定し、生産は拡張し、貿易は伸び、金融は緩和し、雇用関係も漸次改善に導かれつつあります。この経済的好転の好条件を背景にする一方、年来の懸案である保守合同による自由民主党の新政策を強力かつ合理的に盛り込んだものであります。  本予算につきまして、第一にあげられる特徴は、予算編成の過程を通じて、自由民主党と政府との間に完全な連絡協調が保たれたということであります。政党政治の今日、党の政策が最も具体化いたしますのは予算案においてであります。むろん予算案の提出権は政府にあるのでありまして、党はその基本的政策を決定すれば足りるのでありますが、従来、ともすればこの両者の間に緊密なる連絡を欠くうらみなしとしなかったのであります。今回の予算編成に当りましては、わが党は特にこの点に留意をいたしまして、昨年末党内において慎重に論議を尽し、予算編成の基本方針を確立いたしました。今回提出されている予算案にはそれが十分に反映をされているのであります。  第二にあげられますことは、本予算案においては、自由主義経済の原則である経済規模の拡大、発展と、予算の均衡、健全化との間の調和が十分にとれているということであります。昭和三十年度を軸として好転のきざしを見せております経済界の実情を反映し、三十一年度予算については、相当積極財政に転ずべしという議論が起きてくることも当然予想せられたところでありまして、しかしながら、順境にあるとは申せ、いまだ資本の蓄積も浅く、海外資本からの影響をはなはだしく受けやすいわが国の経済界に対して、明年度予算から直ちに公債政策等による積極財政をとることは、まだ若干の危険なしとは申せないのであります。一方においてはあくまで健全財政を貫きながら、他方国民的要望にこたえて経済基礎の拡大、振興をはかるということは相当の難事でもありましたが、本予算はほぼこの課題を解決いたしたと申しても過言ではなかろうと思うのであります。  すなわち、このことは昭和三十一年度予算の最大の特徴ともいうべき財政投融資の圧縮と政府関係機関に対する民間資本の活用という形で果されておるのであります。戦後十年わが国の民間企業体は多分に政府の財政資金に依存するという変態的な現象を呈しておりました。これは戦後の日本経済の実情から申せば一面やむを得なかったことでもありますが、自由主義国家として財政本来のあり方から申せば、決して正帽の姿とは言えなかったと思うのであります。むろんこの傾向は毎年度予算において逐次是正されつつあったのでありますが、三十一年度予算においてはさらにその仕上げをいたしまして、従来の財政投融資の対象を大幅に民間資本に肩がわりすることとし、三十年度において百八億円に上っておりました一般会計からの財政投融資の大部分を削減し、また産業投資特別会計資金や余剰農産物資金も漸減の方向に向っております。それと同時に、国民多年の要望であった北海道開発、有料道路建設、住宅建設等々の公営企業的性格を持つ政府関係事業に対しては思い切った民間資金の導入をはかり、三十一年度の活用見込み額は三十年度の六百二十三億に比し一千三百六十九億円と大幅な増加を見ております。これは財政政策の一大転換とも申すべきでありまして、戦後十年にして財政の正常化へ向って大きく踏み出したものと言うことができます。  また本予算における収支均衡という面から見ましても、健全財政の堅持という方針は厳重に守られております。わが党は従来一兆円のワクを設けて、健全財政の一つのめどとして参りました。しかし二十九年、三十年度と緊縮財政を行なって、経済の健全化、正常化をはかってきました結果、その効果は顕著に現われまして、前述の通り輸出は伸び、鉱工業生産は大きく増加しましたが、一方物価は横ばいの状況を続けております。かくして国民所得も順調な増加を続けておるのでありまして、国民所得の増加に見合う財政規模の若干の拡大は当然期待されてよいことでもあります。  三十年度一般会計予算は、補正後すでに一兆円のワクを破って一兆百三十三億円となっておりますが、三十一年度予算案は一兆三百四十九億円と相なりました。これを国民所得と比較いたしますと、昭和三十年度国民所得六兆六千八百四十億円に対し補正後の予算は一五・二%ととなり、二十九年度の一六・三%、二十八年度の一七・五%、二十七年度の一七・九%に比し十分な健全性を保って参りましたが、さらに三十一年度予算案の一兆三百四十九億円は国民所得推定額六兆九千七百十億円に対し一四・八%になっており、国民所街に対する比率はますます減少しておるのであります。国民所得の六兆九千七百十億円に対し財政規模一兆三百四十九億円は少きに過ぎるという議論も出るゆえんでありまして、財政面からするインフレの危険は全くないと申さねばなりません。  第三にあげられまするのは、歳出の重点化、効率化についてであります。一兆三百四十九億のワク内でわが党の重要な政策を実現するのはなかなか困難なわざでもありましたが、予算案は、財政投融資の民間への肩がわり、公共事業費のむだの排除、その他行政費の節減等によって浮かした額を社会保険費、失業対策の充実、文教、科学技術の振興、地方財政の立て直し、道路の整備、自衛力の漸増、賠償問題の解決等の重要政策の実現に振り向けることによってこのような問題を解決しております。  社会党の諸君は三十一年度予算に対して再軍備予算だという逆宣伝を行なっておりますが、あまりにも事実をゆがめたものと言うべきでありまして、自衛力不要論のごとき現実離れのした議論を別にして考えますならば、今かりに重要項目別の予算の増減を調べてみましても、社会保障関係費は三十年度に比し百二十二億の増、文教関係費は同じく五十四億の増、科学技術の振興費は三十一億の増、恩給関係費は六十六億の増となっておりますが、これに比し防衛関係費の増加はわずか八十億にすぎないのであります。これを予算総額に対する比率について見ましても、広義の社会政策費は総額一千八百八十七億で、予算総額の一八・三%であります。防衛関係費は一三・六%にすぎず、言うがごとき再軍備予算とはおよそほど遠いものであります。  最後に地方財政の立て直しについて一言いたしますに、三十年度におきましても、前の臨時国会において特別の措置を講じましたが、これは応急の措置にとどまり、大きな立て直しはすべて三十一年度に持ち越されたのでありまして、予算案は第一に、地方行政の刷新、簡素化によって経費の節減をはかることとし、第二に、地方の自主財源を拡充するために国鉄、電電、専売、国有林等に対し固定資産税相当額の交付金または納付金を納付させることとし、また目的税として軽油取引税、都市計画税を新設しており、第三に、国の調整財源を拡充するために地方交付税の税率を二二%から二五形に引き上げる操作をいたし、さらに入場税を全額譲与することにいたしました。これによって三十一年度の地方財政はほぼ実体に即した均衝予算の編成ができるように相なったのであります。  ただ赤字の地方自治体に対する地方債発行についての抜本的な対策が今回はまだ見送られておりますが、この点は地方行政機構の根本的改革、中央地方を通じた税制の本格的改正と相待って今後に期待すべきでありましょう。  以上の諸点より見まして、昭和三十一年度予算案は、インフレなき拡大均衡予算のスローガンに完全にマッチする予算案でありまして、さらに将来の積極財政への橋渡し予算と考えましてもまことに完備せるものと思い、私どもは双手をあげて賛成をいたす次第でございます。(拍手)

西郷吉之助自由民主党

○委員長(西郷吉之助君) 木村穂八郎君。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 ただいま上程されました三十一年度予算三葉に対して反対いたすものであります。  反対理由の第一は、三十一年度予算編成の前提条件が間違っており、矛盾しているということであります。すなわち三十一年度予算は三つの前提条件に基いて編成されております。つまり昭和三十年度の好景気を契機としまして日本の経済は安定したと、正常化したという前提に基いて編成されております。第二は、政府の重点を生産基盤の強化、オートメーション、生産性の向上運動等を通ずる生産費の切り下げ、それによる輸出の増加、雇用の増大、こういう点に政策の重点を置いて編成されているといわれております。第三の前提条件は、経済五カ年計画の第一年目の予算である、そういう前提で編成されております。しかしこの三前提は、われわれの立場から見る限り間違っておる、そうして矛盾をしていると思うのであります。  日本経済は安定、正常化したといわれておりますが、昭和三十年度のいわゆる好暑気は、従来の好景気と三つの点で違っております。その第一点は、景気がいいにもかかわらず、失業者が激増しているということでありまして、労働省の発表によりましても、昭和三十年一月から十一月間の一カ月平均において完全失業者は六十九万人、前年度に比べて二五・五%もふえております。職業安定所に行って職を求めて職の得られなかった人、いわゆるあぶれた人は、昨年一月から十一月の間に百丑十四万人にも達し、前年度に比べて三五・九%、約三割六分も激増しているのであります。従来の好景気においては景気がよくなれば失業者が減るのが当りまえです。ところが三十年度の好景気においては、景気がいいにもかかわらず失業者が激増しております。これは経済企画庁の発表にもあります通りに、そのおもなる原因は、生産年令人口の激増でありまして、経済企画庁の経済五カ年計画によりますれば、今後約十年間は欧米先進国においてもこれまで経験したこともないような大きな規模と速度とをもって生産年令人口が激増する、そういう立場にわが国はあるということを述べております。昭和二十九年度から三十五年度に至る期間においても総人口の増加五・五%に対し、生産年令人口は一二%増となる。この生産年令人口の圧迫によって、従来の好景気と違って、景気がいいにもかかわらず、失業者は激増するに至っているという点であります。さらにまた生産年令人口が激増しているにもかかわらず、この増加人口は第二次産業に吸収しなければならないのに、製造工業、鉱工業、建設業等の第二次産業においてはいわゆるオートメーション、生産性向上運動が行なわれて、むしろこれを吸収できない。そのために民生は著しく不安定になり、就職難、非常な民生は不安定をきわめている。最近の日本の経済において何が重要かというと、この生産年令人口の圧迫、戦争中産めよふやせよの政策をやった結果が、戦後十年を迎えてここに生産年令人口に世界の歴史に見たことのないような非常な重大な変化が現われている。これに対して何ら施策が行われない。そうして経済が正常化した、安定した、全く私は今の日本の最も重大なる問題について眼をふさいでいると言わざるを得ません。こういうような認識不足で三十一年度予算を編成することは間違いであると思うのであります。さらに不渡り手形が激増している。景気がいいにもかかわらず、不渡り手形が激増している。これは金額は減っていますが、枚数がふえている。昨年の十月は一カ月で全国で十五万枚、戦後の最高記録です。これは百貨店の進出による中小業者の困難、あるいは大企業がオートメーション等によって近代機械を据えつけて、コストが安くなるが、中小企業の方は近代施設ができない。大企業の圧迫によって、そうして輸出がふえ、輸出が二八%ふえ、生産が一割以上ふえているにもかかわらず、中小企業の方は倒産しておるのでありまして、その結果としてまた銀行は中小企業に金を貸さない、優良企業の方にばかり金を貸して、いわゆる系列化がひどくなって、ここに不渡り手形が激増している。これは従来の好景気と全く違うわけです。  さらに経済企画庁の発表によりましても、所得分布が従来の好景気と違いまして、一万二千円以下の低所博層が著しくふえる。一万二千円から二万円までの層、あるいはまた二万円から四万八千円までの中間所得層が減少して、四万八千円以上の高額所得層がふえている。ここにいわゆる貧富の差がここで非常にひどくなっている。日雇い人夫、臨時工、そういう雇用内容の低下による低額所得者の激増を見るに至っているのであります。この三点からいっても、三十年度は好景気だと言われておりながら、従来の好景気と著しく違っているわけです。これで一体経済が安定し、そうして正常化していると言えるでありましょうか。特に生産年令人口の圧迫は今後十年間も続くといわれているのです。こういう間違った前提に基いてこの予算が編成されている。  さらに第二の前提条件、政策の重点をオートメーション、生産性向上、生産費の切り下げ、輸出の増加、雇用の増大に置くといっておりますが、これは全く矛盾しております。オートメーションによって生産費を切り下げ、輸出を増大しても、三十年度の例に具体的に見るように、なるほど生産はふえておりますが、雇用は増大しない。現に三十年度において、経験しているわけです。その経験にもかかわらず、生産年令人口の圧迫とオートメーションによって失業者が激増している。そういう政策をさらに強行しようというのが鳩山内閣で、施策の重点を生産基盤の強化、生産費の切り下げ、輸出の増大に置くという政策でありますが、これはむしろ失業者を多くする。この雇用政策というものは著しく貧困であります。全体の予算を通じ、全体の鳩山内閣の政策を通じ、雇用政策は盲点であります。雇用対策についてはお手上げの状態になっておるわけであります。  さらに第三の前提条件である経済五カ年計画の第一年目の予算である、このことは結局防衛力六カ年計画を織り込んだ長期計画の第一年目でありまして、鳩山内閣は前に総合経済六カ年計画を樹立いたしましたが、総合経済六カ年計画当時においては、昭和三十五年度においては防衛費は大体千八百億円、ところが今度の長期防衛計画になりますと二千百五十億円と推定されております。さらにその結果として総合経済六カ年計画のときには、防衛費をふやさい結果として、社会厚生費は、いわゆる民生安定費は二千三百三十億にもふやすことができましたが、今度の長期防衛計画を織り込んだ五カ年計画によれば、三十五年度までの社会厚生費は一年平均千四百二十億にすぎない。いわゆる防衛費に民生安定費が食われるというそういう計画、従って鳩山内閣は前の選挙のために、昭和三十五年に完全雇用と経済自立のあの政策を発表して国民に訴えましたが、それは全く国民を偽わるものです。あの総合経済六カ年計画は、防衛費をふやさないで民生費をふやすという計画でありましたが、この経済五カ年計画には長期防衛計画を織り込んだ結果として、全く前に公約しましたところの民生安定ができないというそういう結果に終っている。国民を欺くものであります。  そういう三つの前提に基いてすなわち日本経済は安定した、その基礎に基いて施策の重点を生産基盤の強化、オートメーションによる合理化、輸出増加、さらに長期防衛計画を織り込んだ再軍備計画の第一年目の予算としてそうしてこれを組んだ、こういうことになっております。この前提条件が全く間違っており矛盾しております。  第二の反対理由ば、財政規模に関するものでありますが、ただいま自民党を代表して安井君は、この予算は健全な予算である、そういうことを言われましたが、しかし財政規模だけを見ましても、この予算は決して健全ではないと思います。一般会計、特別会計、地方財政、財政投融資、民間資金活用、これを全部合せますと、三十一年・度は三兆六千三百八十億になりまして、前年度に比べて二千八百六十三億円の膨脹になっております。しかもこの中には民間資金活用千三百九十七億、これは前年度に比べて六百八十七億ふえておりまして、この民間資金活用は長期固定投資でありまして、従ってこれはどうしてもインフレ要因になるわけであります。さらにまた不生産的な防衛費あるいは旧軍人恩給費等がふえているのでありまして、私は財政規模だけから見ましても、この予算はいわゆるインフレ予算である。しかもこの民間資金活用千三百九十七億は、これは形を変えた金利の高い公債にほかならないのでありまして、公債を発行すれば金利が安いから銀行がこれを引き受けたくないので、そこで事業債という形で金利の高い公債をここで発行して、そうして資金のダブついている銀行に持たしてやろう、銀行を救済してやろう、こういうのがこのねらいであって、従って、しかもそれは長期固定投資になるので、これがインフレ要因でないということは言えないと思うのです。現にこの予算を実行してみれば、おそらく私は、もうその他の諸物価は上りつつあるのでありますから、総合的な予算としては二千八百億円以上ふえているのですから、本年下期ごろから物価は確実に、私はこのインフレ要因を加えて、鉄も上ってきている、銅も上ってきている、その他諸物価の騰貴とあわせて私ははっきりと物価を騰貴せしめるインフレ要因を含んだ予算と言わざるを得ないのです。この点に賛成することができない。  それから第三の反対理由は、歳入に関するものでありますが、鳩山内閣は税金がまだ重い、税負担は重いから税負担を軽減するということを公約されております。しかし三十一年度のこの予算の歳入を見ますると、決して税金が減っておりません。前の予算委員会において質問いたしましたが、計数的に計算しましても、決してこれは減少していないのであります。国税は国民一人当り一万七百二十円、地方税は国民一人当り四千四百十八円、国税、地方税を合せまして一万五千百三十八円、前年度に比べまして八百九十二円、つまり六・二%ふえております。それにもかかわらず、国民所得の方は、一人当り七万七千四百四十四円で、三・四%の増加にすぎません。国民所得が三・四%しかふえないのに税金の方は国税、地方税合せて六・二%もふえている。これは全く私は政府は欺瞞と言わざるを得ない。税負担が重過ぎるから軽減すると言いながら、実際には国民所得の増加率よりも税金の増加額がふえておるのであります。全てこれは私は国民を欺瞞するものと言わざるを得ません。しかも最初大蔵省は三十一年度においてはそんなに税収がない、従って一兆二百億から一兆二百五十億くらいの予算しか組めないといったところが、自民党の要求によって、とうとう一兆三百四十九憾にふえてしまう。その結果として税収を上げなければなりませんので、いわゆる徴税強化をやらざるを得なくなってきております。中央地方を通じて徴税の強化が行われている。すなわち徴税に特段の努力を払うということがそういう条件になつておるため、徴税の強化、税制改革はしませんけれども、実際の税負担は重くなると言わざるを得ません。  次に税制の問題について問題になります点は、これまでの税制は、まだ日本の経済が安定しないから、資本の蓄積に対する税制面から特段の配慮を払うと、そういう点から資本蓄積の上に重点を置いた、また重点を置きすぎた。その結果として税負担に非常に不均衡が生じております。不労所得と勤労所得の不均衡、あるいは勤労所得税と申告納税との不均衡、大法人と中小法人との不均衡、従ってこの資本蓄積に偏重したこの税制を、日本の経済は安定したというならばここで是正しなければならない段階にきているのに、それをやっておりません。ただ勤労控除を一五%から二〇%に引き上げ、百五十一億減税すると言いますが、これは先ほど社会党の方が指摘されました通り、勤労所得税を軽減するのに砂糖の関税を引き上げる、大衆課税の引き上げをもって勤労所得税の控除に充てておる、こんな不均衡、不合理はないと私は思います。少くとも今の勤労控除はシャウプ税制改革前の二五%まで引き上げるべきであり、その最高限度は十万円まで引き上げるべきであると思うのでありますが、そういう点に何ら考慮されておりません。そして法人の青色申告については、昭和二十九年におきまして千八百億も税を負けておるわけです。そのうちの約八割は一億円以上の大会社であります。それから三十年度におきましては約二千億円くらいの金額について免税をしていると思うのであります。このように資本蓄積の名によって非常に不均衡な税のとり方である、これを是正すべきが本来であるのに、何らこれについて触れておらない。そして根本的税制改革は三十三年度に見送られておる。こういう点でこの歳入面について賛成するわけにはいかないわけです。  第四の反対理由は、歳出に関するもめでありますが、先ほど自民党の安井君は、この予艇は社会党の諸君の言うように再軍備予算ではないと、それはデマである、宣伝であると言いましたが、そしてその論拠といたしまし、て、社会保障費が百二十二億ふえていると言っておりますが、この百二十二億ふえている社会保障費の内容を検討いたしますれば、むしろ社会保障費は後退しているのでありまして、そのうちふえておると言っております社会保険費の三十六億は、これは社会保険の赤字を埋めるために三十六億を計上したのでありまして、むしろ被保険者は標準報酬額の引き上げあるいは患者負担の増額によって、民生はむしろ圧迫されておる。また生活保護費も十四億ふえておりますけれども、三十年度は生活保護費は五%増加させたのに、三十一年度は二五%の半分に減っている。失業対策にしましても、予算はなるほど六十二億ふえております。しかし三十年度は五万人失業者を救ったのに、三十一年度はたった二万八千人になつて、失業者が激増しているのに、むしろ三十一年度は失業対策の新しく救済する人員は減っております。結核対策費にしましても、三十一年度は国立療養所のベットはゼロであります。増床はゼロである。従ってただ金額が百二十二億ふえたことをもって社会保障の充実ということは、全くこれは意味をなさないのでありまして、内容をよく検討してみなければなりません。内容からみれば、むしろ実質的には後退しておるのであります。しかも政府みずから、経済企画庁では、五カ年計画の期間中には雇用の問題は十分に解決されないから、これに対してはやはり公共事業、失業対策、社会保障等の対策を講ずる必要があるということを述べているわけです。生産年令人口の圧迫による雇用問題が、計画期間中五カ年間に解決できないから、公共事業、失業対策、社会保障等の対策を特に講ずべきであるといいながら、公共聖業費は削減されております。特に食糧増産対策費は削減されており、自給度向上政策をやらなければならぬのに、アメリカから余剰農産物が入ってきまして、そして食糧増産がここでストップ状態になっておる。そうして食糧増産対策費は激減しているわけであります。昭和二十八年に食糧増産対策費は千百五十七億、二十九年は九百六十八億、三十年は九百十二億、三十一年は八百四十二億に激減しております。治山治水あるいは災害復旧その他の公共事業費が減っております。失業対策費も二万八千人しか失業者を救わない、社会保障等も今述べましたように、内容はかえって後退をしている。これでどうして社会保障を充実する予算と言えましょう。  しかも防衛費の方につきましては、特に着目しなければなりませんのは、三十一年度から日本の防衛はアメリカの戦略転換に従いまして、防衛型の再軍備から攻撃型の再軍備に転換しておる。その再軍の内容が転換したために、この予算委員会で問題になりましたように、よその国を侵略してもいい、海外派兵も可能なるごときそういう答弁をして失言をしたのは、この装備自体が、防衛の内容自体が、攻撃型に転換をしておる。そこに問題があるのであって、はっきりこれは憲法に違反している。さらにまた今の自由志願制度、こういうのが、防衛六カ年計画をやる場合、攻撃型の再軍備には非常に金がかかりますから、将来強制徴兵によって安い費用によって再軍備せざるを得ない事態に今おかれているのです。財政面から強制徴兵せざるを得ない。しかもアメリカの要請によって、海外派兵ができなければ、アメリカの防衛の一環としての日本の再軍備の意味をなさないので、そういう意味から、今の自衛隊が憲法に違反しないといいながらも、憲法改正を、小選挙区を強引に通して、これを行おうとしているところに問題があると思う。予算がない、予算がないといいながら、スイスから三億六千二百万円のエリロン社の誘導弾を買う。ところが新聞で問題になりました親のない養護児童の一日の給食費は、野犬狩りでつかまえた犬の一日の給食費とひとしい。それで厚生省の役人があまりかわいそうだというので、十円三十六銭値上げして、一億七千六百万円の予算を要求したところ、大蔵省は七千七百万円に切り下げた。一億七千六百万円あれば、このかわいそうな養護児童に、四日に一ぺんリンゴを一つ、三日に一ぺんミカンを一つたべさしてやれる。ジェット機一機は一億六千万円、百十機も作り、しかもそのうちノース・アメリカンに対して、一機について九千五百ドルもロイアルティを払うのであります。T33は八十四機作る。約七千万円、一機について二千五百ドルもロッキードというアメリカの航空会社にロイアルティを払う。みんなわれわれの税金です。そういう予算はあるけれども、このかわいそうな養護児童に対して、たった一億七千六百万円の財源がない、予算がないというのが、この予算の編成の性格であります。これは保守とか革新とかいう問題ではないと思う。全くこれは良識の問題です。そういう点から言って、この予算の組み方は、良識を失った予算——これほど政治が貧困している点はないと思うのです。保守、革新の問題以前の問題、良識が欠けているのです、この予算には。全く政治の貧困と番わざるを得ないです。  最後に問題になりますのは、民間資金の活用でありますが、これは財源がないと称して、そうして重要産業の産業資金を、民間の資金に依存することであります一前に、政府がそんなに資金に困るならば、どうして公債を償還してしまったか。インベントリー・ファイナンスのときに、まだ期限のこない公債を償還してしまった。そうして資金がなくなっている。安い金利の公債を償還しちゃって、金がない。そうして今度高い金利の民間資金を借りようとしている。非常にコストが高くなる。その結果として、公営住宅、公団住宅は、約百億民間資金を使う。結果として金利が高くなる。そうすれば家賃が高くなる。そうすれば住宅政策として、庶民が入れるような住宅はできないのであります。また約二百億だと思いましたが、国鉄が民間資金を活用する。そうすれば金利の高い金を使えば、国鉄はどうしても運賃値上げをせざるを得なくなる。みんなそうしてこれは国民の生活に影響して、国民生活を圧迫するものであると思うのです。  要するに、これまで述べましたその論拠を総合いたしますれば、この予算は良識のない予算である。血の通っていない予算、人間の作った予算ではない。冷血動物的予算にすぎない。全くそうです。予算の内容をこまかく検討すればするほど、それは保守、革新の以前のものである。そういう意味で人間の愛情が通っていない。こういう予算に対して、われわれは保守、革新の立場をこえて、断固として反対せざるを得ないのです。(拍手)

西郷吉之助自由民主党

○委員長(西郷吉之助君) 豊田雅孝君。

豊田雅孝緑風会

○豊田雅孝君 私は緑風会を代表いたしまして、昭和三十一年度一般会計、特別会計及び政府関係機関の予算案に対し、簡単に意見並びに希望を付して賛成をするものであります。  一般会計の予算の総額は一兆三百四十九億でありまして、三十年度の当初予算額に比べますると、四百三十五億円、補正後の予算額に比べますれば二百十六億円の増加となっておるのでありまするが、一時に比しまして漸次安定感を増してきている点等を考慮に入れますれば、まずもりて妥当な予算規模だと考えるのであります。しかしながら和税収入を検討いたしてみますると、交際費課税の強化、あるいは退転給与引当金制度の改正、砂糖輸入税等の増徴等によります増大分は約百五十億円でありまして、給与所得控除の引き上げによりまする減税と大体見合うのであります。従って自然増収の見積りは七、八百億の巨額に上るのであります。われわれは経済の好転を計算に入れましても、なお歳入見積りが過大でないかという懸念を持っておるので勝ります。かように巨額な自然増収を見込むことに相なりますると、税務当局の辛らつ過酷な追求がいよいよ激しくなるということを憂慮いたしまするので、この点につきましては政府は十分なる配意をせられるよう切に熱望するものであります。  三十一年度予算は、従来の税制によりまする税収を基礎とするところの最後の予算だろうと考えられるのでありまするので、特にこの際一言いたすのでありまするが、国民は税の過重負担に悩み抜いていることは周知の事実であります。しかも終戦後間もなきころと現在とにおきましては、経済情勢が全く一変してきておりまするために、従来の税制ははなはだしく負担の公平を欠くに至っておるのであります。特に事業税法、物品税法、租税特別措置法は最も負担の均衡を欠く代表的なもめでありまするがゆえに、これに対して根本的検討を加えられますると同時に、全体的に国民負担の軽減をはかるように画期的なる税制改革を要望してやまないのであります。一方歳出面を見ますれば、三十年度より増加いたしておりまするのは社会保障費、文教費、恩給費、地方財政費、防衛費等でありまするが、これらはいずれも当然増でありまするか、あるいは消費的支出が多いのであります。先に政府が予算編成の基本方針に掲げておりまする重要施策を中心とするところの生産的支出の面におきましては、きわめて不徹底であることを遺憾とするのであります。ことに経済五カ年計画の二大目標である経済自立と完全雇用の裏づけとなるところの輸出振興でありますとか、あるいは中小企業対策等において、ほとんど見るべき予算が計上せられておらないことを最も遺憾に存ずるのであります。かようなことでは経済五カ年計画が果して遂行できるかどうかということについて、多分の疑いを持たざるを得ないのであります。政府はこの点につきまして今後真剣なる御検討と最善の努力を払われんことを要望するものであります。  さらに地方交付税交付金は二十九年度の精算額を除きまして、三十年度に対し二百二十億の増加になっておるのでありまするが、この程度の交付金の増加、あるいはまた政府が今回とられようとしておりまする措置の程度をもっては、果して地方財政の赤字が出ないようにし得るかどうかということにつきまして、大きな疑問なきを得ないのであります。従ってさらに地方制度の根本的改革を将来真剣にやられまするように、この際要望するものであります。同時に食糧管理特別会計におきましては、三十年度までの赤字は補てんされたのでありまするが、現行食管制度のままでいきまするならば、三十一年度に赤字が発生しないように措置し得るかどうか疑問なきを得ないのであります。従ってこの食管制度につきましても、今後根本的に検討を加えられたいことを要望するものであります。  最後に、会計検査院の検査報告によりまするならば昭和二十九年度において二千二百四十六件、約七十三億円に上るものが不当なものとして批難されておるのであります。しかもこれは予算執行の全部を調べたものではないのでありまするから、全体としてはさらにこれよりも大きな数字に上るであろうと考えられるのであります。この際、政府におかれましては、単に不正不当使用の事実を調査するというようなことだけではなく、関係者の責任を徹底的に明確にいたしまして、予算の乱費を厳に取り締るような画期的措置を要望するものであります。  私は以上の要望を付しまして、緑風会を代表し、昭和三十一年度予算三案に対しまして賛成の意を表するものであります。(拍手)

西郷吉之助自由民主党

○委員長(西郷吉之助君) 八木幸吉君。

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 私は昭和三十一年度予算三業に対し反対の意を表するものであります。(拍手)  第一に、鳩山内閣は行政改革を三大重要政策の一つとして掲げました。世論が行政改革を熱望するのは、行政機構をわが国情に適合するように合理化し、能率化し、サービス化するとともに、わが国力に相応するように簡素化し、もって国民負担の軽減に資せんとするのがその一大眼目であります。租税負担にいたしましても、昭和六年満州事変前、一人当り二十三円、これが三十一年度は一万五千七十円、六百五十五倍で、いかに物価騰貴があるとは申せ、国民が負担軽減を熱望するゆえなしとせないのであります。しかるに政府の行政改革は、根本的な長期計画を立てることもなく、単に機構の部分的改廃にとどまり、何ら国民負担の軽減に資するところがございません。たとえば米の供出制度が予約売り渡し制度に変更され、さらに米の統制撤廃を目途としておるのに、三万五千八百七十一名を擁する食糧事務所、調査統計事所務所にさえ何らの考慮も払われておらざるがごときもその一例であります。現に人員の点について申せば、昭和三十一年度末の予算定員は、防衛庁関係の約二万名の増加を除き’一万四百四十三名増の百三十五万四百四十二名になっておるのであります。  第二は、米の統制撤廃の問題であります。昨年は未曽有の豊作であって、やみに流れる米は一千万石といわれ、やみ値は公定価格を割ろうとするところさえあるのに、政府は統制撤廃に踏み切り得ないのであります。戦争以来の習慣とはいえ、国民の大半が法律を犯して生きているという状態を改善する何らの方策がとられておらないのは、はなはだ遺憾であります。  第三は、会計検査院の予算に関してであります。近時社会道徳の頽廃、官紀の紊乱は血税の乱費を誘発しまして、昭和二十九年度の批難件数は二千二百四十六件、金額七十三億四千万円、しかも補助金関係は十万三千五百カ所中、わずかに一割を検査したのみで、批難件数は千百十四件に上っておる状態であります。各省には郵政省の監察局九百六十一名を初めとして、内部にそれぞれ監察機関を有しておるのであります。また行政管理庁は本部のほかに八つの管区と四十一の地方のそれぞれ、監察局を有し、地方機関だけで千三百三十名の人員と約五億五千万円の経費を使っております。もとより有効な実績を上げてはおりますけれども、果して政府内部の機構として、この膨大な組織をそのまま存置する必要があるかどうかは多大の疑問であります。しかるに一方憲法上の調査機関たる会計検査院は、人員、経費ともに行管の監察部にさえも及ばざる状態であります。会計検査院の経費及び人員の数並びに素質に格段の向上を期し、その予算を増加することが国費節約上最も効率的投資であります。他の政府監察機構とあんばい調整して、これが実現をはかるべきであります。  第四は、文官恩給の問題であります。政府は昭和二十三年六月末以前の退職者との不均衡是正のために三十一年度三億円、平年度十億八千万円の増額を計上しておりますが、公務員のベース・アップに応じて文官恩給費を増額してこれが軍人恩給にはね返れば、現在でも九百億円に近い恩給費はますます増嵩する一方であります。ゆえに文官恩給はこの程度にとどめ、まず軍人恩給との均衡をはかり、続いて内外地の戦没者並びに動員学徒の戦没傷者に報ゆるのが当然であると存ずるのであります。  第五は、日本電信電話公社の事業計画についてであります。政府の独占事業である電話のごときその建設資金は、当然政府がまかなうべきものであるにかかわらず、三十一年度の財政投融資の資金計画二千五百九十二億円には一文も電話公社へは割当てられておらないのであります。ために加入者負担の時限立法もさらに五カ年延長させるの余儀なきに立ち至ったのであります。  これに関連して一言注意いたしたいことは、法律がすみやかに売却してその対価を電電公社に交付することを命じておる国際電電株式会社の株式時価約八億円をいまだに大蔵省の保有しておって、予算に計上せず、電電公社の建設資金に充当せざることであります。これは明らかに当事者の怠慢であります。電電公社の固定資産税の実体を有する納付金三十一年度七億七千万円さえやかましい問題となっておるのでありますから、すみやかなる処置を希望いたします。  また電電公社におきましては、いまだ入手せざるこの国際電電の株式を額面に見積って、昭和二十九年末財産目録に出資勘定として十四億二百万円計上しております。かくのごときは不健全なるものと断ぜざるを得ないのであります。現にかつて大問題となりました四千七百万ドルの対米償権は二十九年度の特別会計決定計算書の外為会計の貸借対照表には備考欄に記入されておるのであります。電電公社の財産目録にいまだ入手せざる株式の対価を出資勘定として記入するがごときは妥当ならざることは言を待たざるところであります。  第六は、国会関係の予算であります。国会図書館の建設費四十一億二千万円のうち三十一年度二億三千五百万円、また衆参両院事務庁舎増築費六億円のうち、三十一年度分二億八百七十万用、合計四億四千三百七十万円は中止すべきものと存じます。国立図書館のりっぱになることは望ましいことでありますけれども、現在のわが国の国力を考えますれば少しの資金の余裕も危険校舎の補強工事、住宅の不足並びに生活困窮児童の救済に振り向けるべきであって、図書館のごときは赤坂離宮で十分であります。  さらに本予算案に憲法調査会の費用が計上されておりますが、未成立の議員立法の予算を計上することは悪例でありますから、金額は館かですけれども賛成することはできません。  第七は、防衛庁費であります。防衛庁費については翌年度繰り越し額の臣額に上ることや、物資調達面にも幾多の論議が残されておりますが、これは別問題といたしまして、私は自衛隊は明らかに憲法違反であると信じますがゆえに、これに関する経費を認めることはできません。一日も早く憲法第九条の改正を希望するものであります。  以上が私の予算三業に対する反対する理由の大要でありますが、一昨日の読売新聞紙上に「乱費して、恩給ついて、しばられず」という時事を諷刺した川柳が載っておりました。徳川時代には政治に対する不平不満は川柳の中にそのはけ口を見いたしていたとのことでありますが、これも国民憤激の情の現われだと思います。自粛自戒相ともに反省すべきものであります。これをもって私の討論を終ります。

西郷吉之助自由民主党

○委員長(西郷吉之助君) 以上をもちまして討論の通告は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより昭和三十一年度一般会計予算、昭和三十一年度特別会計予算及び昭和三十一年度政府関係機関予算を一括して採決を行います。  右三案に賛成の諸君の起立をお願いいたします。   〔賛成者起立〕

西郷吉之助自由民主党

○委員長(西郷吉之助君) 起立多数と認めます。よって右三案は可決すべきものと決定いたしました、(拍手)  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容及び報告書につきましては、あらかじめ委員長に御一任願います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)  賛成の方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     池田宇右衛門  堀  末治     三浦 義男   安井  謙     豊田 雅孝   中山 福藏     青木 一男   石坂 豊一     井上 清一   伊能 芳雄     木内 四郎   高橋進太郎     佐野  廣   西岡 ハル     野村吉三郎   吉田 萬次     藤野 繁雄   川村 松助     田中 啓一   平林 太一     宮灘 喜一   田村 文吉     館  哲二   北 勝太郎     小林 政夫

西郷吉之助自由民主党

○委員長(西郷吉之助君) 本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十七分散会

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