予算委員会 第5号
- 発言数
- 140 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1956/02/15
会議録
○委員長(西郷吉之助君) それではただいまより委員会を開きます。 まず、理事の辞任並びにその補欠を行いたいと思います。 理事佐多忠隆君及び松洋舞人君から、それぞれ理由を付しまして理事辞任の申し出がございます。これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(西郷吉之助君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。 次に、理事の補欠互選を行います。 互選は先例によりまして、その指名を委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(西郷吉之助君) ではさよう決定いたします。 理事に秋山長造君及び曾祢益君を指名いたします。
○委員長(西郷吉之助君) 本日は提案されました昭和三十年度予算補正案を議題といたします。 この審議につきましては、昨日委員長及び理事打合会を開きまして協議の結果、本日提案理由の説明を聞きまして、その後に総括質問を行い、引き続いて一般質疑を今明日続けて参る予定でございます。 なお、十七日に本補正予算案は衆議院を通過する予定でございますので、委員会における討論採決は来る十八日土曜日に行う予定でございますからさよう御了承をお願いいたします。 それでは昭和三十年度予算補正案につきましてまず大蔵大臣の提案理由の説明をお願いいたします。一萬田大蔵大臣。
○国務大臣(一萬田尚登君) 政府は、昭和二一十年度予算補正を行うため、昭和三十年度一般会計予算補正(第一号)、昭和三十年度特別会計予算補正(特第四号)及び昭和三十年度政府関係機関予算補正(機第一号)を国会に提出いたしましたが、ここに予算委員会の御審議をお願いするにあたりまして、七の概要を御説明申し上げることといたします。 一般会計予算の補正は、先に実施した地方財政についての臨時措置に伴う財源の補てん、食糧管理特別会計の赤字補てん、義務教育費国庫負担金、生活保護費等の不足補てんその他必要最少限度の歳出の増加に限って行うこととし、これに必要な財源は、租税等の増収のほかは、極力歳出の節約繰り延べ等により捻出することといたしております。特別会計及び政府関係機関の予算につきましても、右の一般会計予算の補に伴うもののほか、必要最少限度のものにつき、補正を行うことといたしております。以下、補正予算の内容につき御説明いたします。 一般会計予算の補正における歳出の追加額は、三百五十四億円でありまして、その財源としては、租税等の増収二百十八億円のほかは、公共事業系統費その他既定経費の節約繰り延べ等により、百三十六億円を捻出いたすこととしております。 これによりまして、一般会計歳入歳出予算の総額は、二百十八億円増加し、一兆百三十三億円となる予定であります。 歳出の追加額のうち、おもなものにつき御説明いたします。 地方財政につきましては、その窮状に対処し、さきに本年度限りの臨時の措置といたしまして、交付税及び譲与税配付金特別会計において百六十億円の借り入れを行い、これを地方団体に交付することとし、これに伴う同特別会計の補正を行なったのでありますが、今回は、この特別会計の借入金相当額百六十億円を一般会計から補てんすることといたしたのであります。 なお、地方財源措置といたしましては、このほか、地方交付税交付金について、三十年度の所得税及び法人税の増収見込み九十五億円に対応し、その二二%に当る二十億九千万円を増額することといたしております。 食糧管理特別会計につきましては、三十年産米の買い入れ数量の増加に伴い、食糧買い入れ費、食糧管理費等の歳出予算を増額する必要がありまするため、さきに予算の補正を行なったのでありますが、この特別会計は三十年度末におきまして、二十九年度末の損失三十億円を含め百六十七億円の損失を生ずる見込みであります。そのうち一般会計からのインベントリィ・ファイナンス相当額百億円を除く六十七億円の損失を補てんするため、今回一般会計から繰り入れを行うことといたしました。 生活保護費につきましては、実績に基く所要見込額が予算を上回るに至りましたので、不足額二十三億円を追加計上し、義務教育費国庫負担金につきましては、二十九年度の清算に基く不足額十二億円と三一年度の年末手当〇・二五カ月分の増額に伴う不足見込額十二億円と合わせて二十四億円を追加計上いたしました。 国債費の追加額十二億五千万円は、三一年七月の特別円問題の解決に関する日本国とタイ国との間の協定の発効に伴う政府と日本銀行との間の債権債務の処理に関する取りきめに基き、戦時中政府が日本銀行から借り入れた金額を償還するためのものであります。なお、この取りきめにより、同時に日本銀行から旧タイ国特別円債権返償金として十六億千五百万円を歳入に受け入れることになっております。 旧軍人遺族等恩給費につきましては、受給見込人員の増加に伴う本年度内の不足額十七億円を追加計上いたしました。国際金融公社出資金約十億円は、別途今国会に提出して御審議を願っております国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律案に基き、国際復興開先銀行の活動を補足する目的で設立される国際金融公社に出資するため必要なものであります。 日本電信電話公社交付金約九億円は国際電信電話株式会社法に基き、政府が保有する国際電信電話会社の株式の一部の売払代金相当額を電電公社に交付するものでありまして、歳入歳出両建であります。 以上のほか、国会の会期延長等に伴う国会運営費の増加等、必要最少限度の経費の追加を計上いたしております。 以上の歳出の追加に必要な財源といたしましては、次のとおり予定いたして、おります。 租税及び印紙収入は百六十億円の増加を見込んでおりますが、これは経済の好転等に伴う所得の増加により、所得税が八十五億円、法人税が十億円増加いたしますほか、砂糖の輸入量の増加等に伴い砂糖消費税が十五億円、電気器具等の売上げ増加に伴い物品税が三十五億円、砂糖等の輸入量の増加に伴い関税が十五億円増加する見込みであるからであります。 砂糖等の特殊物資の輸入差益につきましては、当初予算においては、特殊物資納付金処理特別会計を創設し、これに吸収する予定でありましたが、関係法案の審議未了により、この特別会計は成立いたしませんでしたので、今回、これを一般会計の歳入に寄付金として受け入れることといたしました。その金額は三十億円と予定いたしております。 その他の歳入につきましては、国際電信電話会社の株式の売払代約九億円、旧タイ国特別円債権返償金十六億千五百万円、金融機関調整勘定利益分配金十七億九千万円その他合わせて七十八億円の増加を見込んでおります。 以上、歳入の追加額は、二百六十八億円になりますが、上級たばこの売れ行き不振等によりまして、専売納付金が約五十億円減少する見込みでありますので、差引、歳入の増加額は二百十八億円と予定いたしております。 公共事業系統費につきましては、事業の執行状況等を勘案し、無理のない限度内において、節約繰り延べ等を行うこととし、六十四億円を減額することといたしました。 右のほか、賠償等特殊債務処理費において三十億円、農業保険費において二十八億円、外航船舶建造融資利子補給その他において十四億円、合わせて、七十二億円の歳出の節約不用等を見込んでおります。 以上、歳入の増加二百十八億円と歳出の節約繰延等百三十六億円、合わせて三百五十四億円をもちまして、歳出の追加に必要な財源といたしている次第であります。 特別会計及び政府関係機関の予算につきましても、一般会計の補正に伴い、交付税及び譲与税配付金特別会計、国債整理基金特別会計、専売公社等の予算の補正を行うほか、必要最小限度のものにつき。補正を行うことといたしております。 以上、昭和三十年度補正予算につきまして、ごく概略を御説明申し上げましたが、なお詳細にわたりまして、政府委員をして補足して説明させることといたします。 何とぞ、政府の方針を了とせられ、この予算補正に対て、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○委員長(西郷吉之助君) 次に、森永主計局長から補足説明をいたさせます。
○政府委員(森永貞一郎君) ただいま大蔵大臣の説明の補足資料といたしまして、お手元に「昭和三十年度予算補正の説明」という資料がお配りしてございますが、詳細はこの資料にゆだねることにいたしまして、二、三の点につきまして補足して申し上げることにいたします。 今回の補正は、一般会計、四つの特別会計並びに政府関係機関では専売公社と、それだけの範囲にわたっております。 まず一般会計でございますが、三ページにございますように補正の規模は、純増加額が歳入歳出とも二百十八億でございます。すなわち歳入におきましては増加額が二百六十八億、減少額が四十九億差引二百十八億。歳出では増加額空手旦五十四億、減少額が百三十六億、差引二百十八億ということに相なつております。この歳出の増加といたしまして、三百五十四億円の内訳がすぐその下の表にございますが、項目的に申し上げますと、臨時地方財政特別交付金が百六十億円、地方交付税交付金が二十億九千万円、食糧管理特別会計へ繰り入れ六十七億円、生活保護費に二十三億五千六百万円、義務教育費国庫負担金二十四億四千四百万円、国債費十二億五千万円、旧軍人選旅等恩給費十七億七千三百万円、国際金融公社出資金九億九千六百万円、日本電信電話公社交付金八億九千七百万円、その他九億八千二百万円、こういう内訳に相なっております。その財源といたしまして歳出の節約繰り延べ等によりますものが百三十六億三千五百万円でございまして、その内訳は公共事業系統費六十四億三千七百万円、賠償等特殊債務処理費三十億円、農業保険費二十八億円、その他十三億九千八百万円。歳入の増加によりますものが二百十八億五千六百万円でございまして、内訳といたしましては、租税及び印紙収入百六十億円、専売納付金の減少四十九億八千百万円、証券売払代八億九千七百万円、旧タイ国特別円債権返還償金十六億一千五百万円、特殊物資差益寄付金三十億円、その他五十三億二千四百万円、かような内訳に相なっております。この各項目についてはただいま大蔵大臣の説明で相当詳しく触れましたし、またさらに詳細なことはこの資料にゆだねることにいたしまして、まず、歳出の追加額その他その内訳を申し上げますと、五ページの石の方にございますが、主なものを申し上げます。まず国会運営費一億三千万円。国庫堂入預託金等利子一億一千四百万円、国立学校運営費一億百万円、これは別途収入の増加を伴っております。いわば両建的なものであります。漁船再保険特別会計へ繰り入れ等追加六千三百五十万円。減少が千五百万円。差引四千八百五十万円。これは先般御可決いただきました漁船再保険特別会計の補正に伴いまするものでございます。それから石油資源開発会社出資二億八千万円。これは今まで当初予算には補助金で出ておりましたものを今回出資に振りかえたものでございます。科学研究所出資一億円。これも補助金を出資に振りかえましたものでございます。次に、歳出の節約繰り延べ等のうち公共事業系統費の内訳を申し上げます。七ページに詳しい表が出ております。合計額が六十四億三千七百万円でございまして、そのうち公共事業関係費が五十六億一千九百万円、その内訳は治山治水二十四億九千五百万円、道路港湾等八億一千八百万円、食糧増産十六億九千七百万円、災害復旧等五億六千六百万円、鉱害復旧四千百万円、公共事業以外の事業費といたしまして、公立文教施設三億六千二百万円、厚生施設六千工百万円、住宅施設三億九千百万円、合計八億一千八百万円、こういう内訳に相なっております。いずれも予算の執行状況を勘案いたしまして事業の繰り延べ地下によりまして、年度内には支払いを必要としない金額を修正減額いたして今回の補正に供したわけでございます。実施に当りましては、事業の進捗状況等をよく考えまして、極力無理のないように配慮いたすことに相なっております。 歳出の節約繰り延べのその他十三億九千八百万円、その内訳でございますが、八ページの一番下から始っております。おもなものの内訳を申し上げますと、社会保険費が一億六千七百万円の減少、このうち一億五千万円は厚生年金保険の給付額が当初の予定より減りましたために機械的に国庫負担の所要額が減少いたすものでございます。千七百万円は国民健康保険の助成費でございまして、これも実績に基く事務的な積算の結果による減少でございます。外航船舶建造融資利子補給一億二千七百万円の減少、これも実績に基く減少でございます。このほか先ほど申し上げました、石油関係の補助金を減にいたしまして、一方歳出に生かす、科研についても補助金が減りまして、一方歳出の追加に生かす。また国債費、大蔵省証券が発行されなかったことによる利子の減少あるいは事務費の減少、そういった国債費の減が三億八千五百万円、その他各省、各庁にわたりまして極力節約し、捻出に努めました結果、四億三千百万円くらいのものを今回修正減額いたしております。 それから歳入でございますが、租税収入の増加の内訳が十ページの上段の方にございます。大臣の説明でも触れましたので省略いたします。 専売納付金の減少四十九億八千百万円、これにつきましては後に政府関係機関を申し上げる際に譲ります。 官業益金及び官業収入四億五百万円、これは先ほどもちょっと触れました、大学の付属病院における入院及び外来患者の増加による収入の増加でございます。 政府資産整理収入十一億四百万円、このうち大部分は証券売払代八億九千七百万円でございます。これは政府が持っておりました、一般会計が持っておりました国際電信電話株式会社の株式を先般処分いたしまして、その処分代金がここに計上してございます。他方におきまして、この相当額は電信電話公社に交付を必要とするわけでございまして、歳出の方にも出ております、いわば両建に相なっております。雑収入九十三億でございますが、そのうち一番大きいのは特殊物資差益寄付金三十億円でございます。その他旧タイ国特別円債権返償金十六億、金融機関調整勘定利益分配金の十七億、指定預金の利子七億二千七百万円等がございますが省略さしていただきます。特別会計は交付税及び譲与税配付金特別会計、資金運用部特別会計、国債整理基.金特別会計、郵便貯金特別会計、この四つにわたっております。 まず、交付税及び譲与税配付金特別会計は、一般会計におきまして臨時地方財政特別交付金並びに地方交付税交付金を計上いたしておりますが、それに伴いまするもののほかに、一般会計に関係のない事項として入場税の収入が増加いたしましたので、その分を譲与税として追加配分することとし、十二億円を計上いたしております。 国債整理基金は、これは一般会計の関係に機械的に必要な補正でございます。 資金運用部特別会計並びに郵便貯金特別会計、この二つは相関連いたしております。すなわち郵便貯金特別会計におきまして本年度七億七千八百万円の歳入不足額が増加する見込みと相なりましたので、その分を資金運用部特別会計から補てんをいたすことといたしております。その関係が資金運用部関係の主たる補正でございます。そのほかにも若干郵便貯金の見込の減少等に伴う補正が計上してございます。 最後に政府関係機関といたしまして、専売公社の予算の補正をお願いいたしておりまして、御承知のように年初来ピース、光等の上級たばこの売れ行きがきわめて不振でございまして、通年の計算では総売上本数におきまして三十八億本、総売上金額において百二十六億一千百万円の売上代金の減収を免れない見込みでございます。これに対しまして製造計画を変更し、また極力経費の節約に努めたのでございますが、他方におきまして昨年における葉タバコの増産等もございまして、結論といたしましては、結局四十九億八千百万円の国庫納付金の減少を余儀なくせられる見込みでございます。これに伴う補正を計上いたしております。 以上きわめて簡単でございますが、補足説明を終らしていただきます。
○委員長(西郷吉之助君) それでは以上をもちまして暫時休憩いたし、現在開かれております本会議の終了次第総括質問を開始いたします。 暫時休憩いたします。 午前十一時八分休憩 ―――――・――――― 午前十一時三十七分開会
○委員長(西郷吉之助君) ただいまより委員会を再開いたします。 午前中に申し上げました通りに、三十年度補正予算案に対しまする総括質問を開始いたします。発言順によりまして順次お願いいたします。曾祢益君。
○曾祢益君 私は鳩山総理大臣に対しまして、外交問題に限って若干の点を御質問いたしたいと存じます。 最初に日ソ交渉についての問題でございますが、ただいまマリク全権が一時帰国しましたためにやや中絶の形になっておりますが、これは非常に重要な段階に到達しているように考えられるのであります。ところで今般国会再開の暁に、衆議院、参議院におきまして本会議あるいは衆議院の予算委員会等において、総理の施政方針、なかんずく日ソ交渉に関する意見についてのいろいろな質疑応答が行われたのでありまするが、しかしこれらの質疑応答を通じましても、一月二十六日の総理の記者会見における総理の発言、これと総理の施政方針演説等との間の食い違いというものについての十分なる解明がなされておらないように考えるのであります。従って私はまずこの問題について若干の点を御質問いたしたいのでございます。 総理の記者会見における発言については、これはちゃんとした記録がありまして、これを一々読み上げるのも繁雑でありまするから一応差し控えまするが、この一月二十六日の記者会見における総理の発言の要旨は私のみるところでは次の二点にあると思います。一世の点は、終戦宣言で抑留者を帰してもらうことから一つ始めるのだ。終戦宣言を向うから出してもらうということを肯定しておられる点が第一点.であります。第二点は、領土問題の全面的な解決を待たず日ソ交渉の妥結をこいねがう。この二点からなった重要な発言であったと存じます。そこで伺いたい点は、まず第一の終戦宣言云々の点でございまするが、これは今さら私が申し上げるまでもなく、総理が昨年の二月の衆議院選挙の当時から言っておられたように、終戦宣言で国交調整をする一つの方式があります。いま一つは、第二次鳩山内閣ができてからはっきりときめたよりに、平和条約によって国交を回復する方式があります。私は第三には、終戦宣言を向うがやってもさらに平和条約をやる方式、あるいは平和条約ができない場合には暫定協定をやる、いろいろな方式があると思いますが、いずれにしても、終戦宣言でやる方式と、平和条約方式とは大きく二つにわかれる。これはもう明瞭なことだと思います。そこで一体総理はこの段階において、すなわち平和条約方式を一ぺんとらして、松本全権をして平和条約方式による交渉をやらさせておいて、卒然として一月二十六日に再び終戦宣言方式を可とするやの発言をされているのは、これはきわめて重大なことだと思います。しかもこの発言面の裏に、その後にわかったように、確かにドムニッキー氏から河野一郎君を通じてと言いますか、日本の漁業者を通じて、河野一郎君を通じて内閣に働きかけがあった。その方式が終戦宣言をやって、それで抑留者は帰してあげるからすぐ国交調整をやろうというようなヒントがなされたことが背後にあるのですから、ロンドンの正式交渉とは別のルートでソ連側のヒントに応じて、再び終戦宣言方式に意見が変ったのだと世人が思い、ソ連もそう思うことは、これは状況上当りまえの話であります。その点についてこの疑惑はまだ残っております。この点はいかにお考えになるのか。その後総理は外務大臣が驚いてかけつけたこの会見において、この方式を否定して今までの方式でいいというふうにかえられ、そうしてさらに施政方針演説では明瞭に平和条約方式をとったようになっておりましたが、これは一体いずれが正しいのか。つまり終戦宣言方式を否定されるのか、あわせて用いられるのか、これについての明確なる態度をあらためておっしゃっていただきたいのであります。 以下私が御質問申し上げまするが、どうか総理は御滑席のまま十分にゆっくりと御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) ただいまお許しを得ましたから着席のまま答弁させていただきます。ただいまの御質問は、ソ連と日本との交渉はロンドンの一本でありまして、松木全権がマリクと交渉している以外にソ連との交渉はございません。松木全権がマリクと交渉しておる要諦は、平和条約を結ぶというのであり、平和条約を結ぶのには、戦争によって起きたところの占領だとかその他の事柄を全部解決するということも含まれておるのでありまして、領土問題の解決等は当然にその中に入っておるのでございます。その方式においてロンドンにおいてやっております。この以外に日ソの交渉はございません。一月の二十六日の記者会談におきます私の発言について何か不十分なことがあったとみえまして、疑惑を世の中に起しましたけれども、それは私はとにかくソ連と日本との間は戦争状態終結を早く確定したいという熱望がありまして、戦争状態終結を早くしたいというのが新聞記者の耳に強く映じたとみえて、領土問題はあと回ししてもかまわないというような点まで考えたらしいのです。けれども、私は領土問題はあと回しでいいと言った覚えもなし、また戦争状態を終結をするのにはソ連の一方的な発言があればたくさんだと言ったような記憶もないのであります。誤解のないようにお願いをいたします。
○曾祢益君 ソ連との間に戦争状態をすみやかに終結するあるいは終結を確定するということの必要については、これはもう私は全国民一致していることと思います。それはしかし方針であるとともにもちろん願望でありまするが、ただいまの総理のその気持がどういうふうにここに発言に表われているかといえば、戦争状態終結の宣言をしたいというようなことから始まってきて、戦争終結の宣言をすれば当然にそれと同時に抑留者を帰さなくちゃならぬ、つまり戦争状態終結宣言をまずやってもらう、こういうことははっきりとあなたは言っておられる。方法論にまで触れられておるのです。終結の状態が望ましいというのじゃなくて、その方式に――どういうふうに実現するかについては終戦宣言をやるという方式と、それから平和条約方式があるわけです。あなたが明瞭にこの際終戦宣言をまずやってもらうことから始まる――終戦宣言だけで懸案は全部解決しないでいいということは確かにこれは言っておられません。しかし、同時に終戦宣言を出してもらうことから始めるということは、これは新聞記者がそう想像したのじゃなくて、あなたの言葉の記録がそう示しているのですから、終戦宣言を向うから出してもらうことによって始めるということはあなたの言われたことなのです。今日でもその方式を賛成されるのか、それともそのときは言い方が悪かったから、終戦宣言を出してもらう方式でなくて、平和条約によって解決するのだと、終戦状態を確立するのだと、こういうふうにかえられたのか、これに対するはっきりとしたことをもう一ぺん御答弁願います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私の言葉に不足がございました。とにかく抑留者を早く帰したいということは、非常に熱望は私は持っております。同時に戦争状態終結の宣言の必要であるということも非常に強く考えておるものでありまするから、誤解を新聞記者諸君に与えたものと考えております。
○曾祢益君 それは抑留者を早く帰してもらいたいという気持については、これもまた国民的の要望が一致していると思うのです。これはあとでさらに伺いますが、従って平和条約方式をあまり固執し、領土問題の取り上げ方にあまり厳重な条件を固執するならば、この願望である抑留者の早期返還が困難になる、この点に関連して申し上げまして、これは今のところでは戦争終結状態を確認する方式としては、やはり一方的の宣言でなくて、平和条約でやるのが本旨である、これが総理の意見であると、こういうふうに考えてよろしいのでございますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 平和条約の方式でもってただいまはソ連と交渉をしておることは先刻申した通りでございます。
○曾祢益君 どうも直接にお答えにならないので、ただいまばかりでなくて、この前から平和条約の方式でやっておられたのに、突然として終戦宣言方式をまた持ち上げたから問題を起したのです。しかし、私は言葉だけの争いになるのはいやでありますから、今の総理のお言葉はやはり平和条約でやる、こういう意味にとりまして、矛の部分において一月二十六日の記者会談の内容は否定されたものだと自分で考えます。 それから今私がまだ御質問してない意についてすでにお答えがあったんですが、つまり、私の申し上げる第二の点です。すなわち領土問題をあとにしても平和条約を確立したいといったような記事は、全く事実に反するということを、このあとで社会党のわれわれの顧問の河上さんの衆議院本会議における質問に対してあなたは言っておられる。戦争状態終結を確認するという念願を成就するために領土問題をあと回しにしてもいいということは一言も言っておられないと、こういうことをあなたは卓をたたいて断言しておられる。また同じく衆議院の同僚勝間田君の質問に対しましても、領土問題はあと回しにして日ソ交渉を解決するということを言ったのではない。こういうことが交渉で起きるかもしれないと言ったまでである。自分は「歯舞、色丹だけで満足して日本は領土問題を解決するのだという意味を言ったのではない」、これはどうも勝間田君に対する答弁は少しズレて、歯舞、色丹だけで満足するとかしないとかの問題でなくて、領土問題の未解決の部分があっても国交調整を早くやるのかという質問に対する答えになっておりませんけれども、これは本会議の質疑応答の性質上これらの点が一つもはっきりされておらない。しかも、実際はしからば一月十六日にあなたは何と言っておられるかといえば、申し上げるまでもなく、領土問題にしても、不当に占拠しているという理由はないのであるからして、戦争を防止するために必要な程度に限ってそういうようなものは暫時の間このままにしておいて、後日解決するというような結果になっていって、日ソ交渉が片づきやしないかということをこいねがっているわけだ。これは非常にゆるやかな気持で言われたんでしょうから、言葉を集約していえば、領土問題についてはあとでこの点も伺わなければならない。戦争防止のために必要な領土という観念は非常に私にはわからないのですが、とにかくある部分については解決はできないものがあっても捨てるということをあなたは言っておられない。どこを捨てるということは言っておられないけれども、未解決の部分を残しても国交調整を早くやるのだ。条約を締結するのだ。これは誰が何と言っても明瞭に言っておられるではございませんか。それをそのことがいろいろ国内、党内、あるいは閣内においてすら非常な問題が起きて、自分の総理大臣の意向がわからないというので、同じ内閣の外務大臣が翌日さっそく伺いを立てに行く。こういうような問題を起したのでありまするから、従って、これは誰が何と言っても、領土問題のある部分未解決のままでいいから、そして国交調整を早くやる。私はある段階においてはこの方針が正しいと思う。しかし、それならばなぜあとでこの方針を根本的に否定して、記者会見の事実に即さない。このことは全く事実に反すると、そういう事実はない、こういうような否定をされておるのか。これは十分に解明しなければならない重大なる問題だと思います。総理がはっきりこの際もっと丁寧にまた親切に十分自分の信念を吐露されるのが望ましいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) ソ連との交渉は二本建にすべきことではないと確信をいたしますので、ただいまロンドンにおいて松木全権がマリクと交渉している以外に、私が迷うような言葉を発することは、非常な日本に対しての不利益と思いますから、私は松本全権に一任した以外においては、日ソ交渉についての条件について発言するわけには参りません。
○曾祢益君 今のお話はどうもわからない。日ソ交渉のこまかい条件で私は今あなたに、少くとも質問においては南千島がどうだこうだというような、交渉に直接関連した、非常に一本にそれこそ交渉しなければならない問題についての質問をしているのではない。総理大臣として、当然に日ソ交渉の最高責任者である総理大臣として、領土問題についての基本的な考え方、領土問題と国交調整とのウエイトに関する基本的な問題について、あなた自身の新聞に対する発言、国会を通ずる国民及び世界に対する発言の食い違いが現に起っているのです。従ってこれについてあなたはいずれを可とし、いずれを否とされるかということを、この際明確にしていただきたい。そのことは何もロンドンの日ソ交渉にマイナスになりません。むしろあなたのときどきのロンドンの交渉以外の発言が、ロンドンの日ソ交渉に対してマイナスを起しているではないかというのが、これは国民の心配である。私は従って一月二十六日の発言が正しいのか、それともいわゆる平和条約を急ぐから、領土問題は未解決の部分があっても早く平和条約を結ぶという、一月二十六日の方式が本当の考えであるか、決して南千島が云々というような細目に入ったのではなくて、この基本的な問題については、いわゆる平和条約方式で全部領土問題を解決しようというのか、その基本はこれは国民にお示しになるのは当然だと思う。あえてもう一ぺん答弁を求めます。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は松本全権の一本で日ソ交渉はすべきものと思いますので、松本全権に訓令をした以外の私の発言というのはそこに違いがあれば、これは主張いたしません。
○曾祢益君 そういたしますると、あなたは一月二十六日のこの新聞記者会見は、松本全権の交渉以外の問題であって、これは非公式なものである。こういうものは不謹慎であるし、これを否定する。あくまでも松本全権の交渉、総理大臣の命を受けて、外務大臣が閣議の決定に従って、そうしてロンドンでやる交渉一本でその他の総理大臣の発言というものは何ら政治的の責任を感じられないのですか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は松本全権に出した訓令と違った意味のことを話したつもりはなかったのでありますけれども、人間のすることですからして少しは過失があるでしょう。言い過ぎたかもしれません。私の考えを言い過ぎて、それを新聞が書いたのかもしれないし、どの程度において私がどう言ったかということは記憶ありませんけれども、領土問題はあとにすると、戦争の終結の宣言さえしてもらえば、抑留者が帰ってくるからそれでいいではないか、というのは私の言い過ぎです。
○曾祢益君 総理大臣の重要な新聞会見の発言を、あとで自分がどう言ったのかわからないということは、これはずいぶん無責任な話だと思いますし、また非常に非民主的だと思います。総理大臣自身言われたことについては、政治的責任を取るべきであります。しかし、今のお話によると、この終戦宣言だけで満足するという意味ではない。もし言ったとすればそれは言い過ぎである、それから領土問題についても懸案を残しておいて、そうして平和条約を急ぐと、そういう方式をあなたが今明瞭に否定されておると思うのですが、これは私は非常に重大な問題だと思いますが、ほんとうに平和条約においては、領土問題の全面的な解決がなければ、平和条約を作らない、こういう方針であるかどうか、もう一ぺん一月二十六日のこの重大な、われわれが同感し得るように考えられる基本的な考えをあなたは否定されますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 領土問題の解決がなければ、ただいまのところでは平和条約はできないと考えております。
○曾祢益君 結局一月二十六日の記者会見における領土問題の未解決のまま国交調整、すなわち平和条約を急ぐということを否定された、取り消された、こういうことに解釈せざるを得ないのを非常に遺憾とするものであります。そこで領土問題についての総理の見解をもう少しお尋ねしたいと思います。あなたは全面的に一月二十六日の記者会見の内容を否定されておりませんから、もう一点だけ二十六日の記者会見のあなたの発言について伺いたいのです。 領土を不当に占拠しておるという理由はないから、戦争防止に必要な程度に限って暫時そのままにしておいて後日解決する、こういうことを言われた。一体戦争防止に必要な程度に限って――領土の中に、これは戦争防止に必要な領土、これは戦争防止に必要でない領土、そんな一体領土の違いがあるかどうか。もししからば、ソ連がこの領土は戦争防止に必要だから返さないと言ったならば、松本全権がいかなる理由があっても、ロンドンで日本の主張によってある領土を返してくれ、歴史的の条件、いろいろな条件から日本の領土を返してくれといっても、戦争防止に必要だから返さないと言ったら、平和を念願する日本としては、一切の領土に関する主張はできなくなります。一体戦争防止に必要な程度の領土は残していいというのはどういう意味であるか、これはどうしても解明されてほしい。しかもこれは非常に重大なものである。われわれは平和を念願するのであるから、われわれがもしかりに北海道の一部である歯舞、色丹というようなところも、もし相手側がこれは戦争防止に必要だといったら、われわれは戦争防止に賛成なんでありますから、領土権は主張できないということになる、こういう一体発言が、それこそ交渉は一本でロンドンでやるといっておられる総理の発言の中に、こういうものがときどき出てくるということは、まことに私は不幸なことではないかと思います。一体戦争防止に必要な程度の領土というのはどういうことなのでありますか。これを一つ御説明願いたい。
○国務大臣(鳩山一郎君) そういう点について答弁をいたしますということは、誤解に誤解を招きますから答弁を差し控えたいと思います。
○曾祢益君 私は誤解に誤解を招くようなことに誘導尋問するようなけちな考えは一つもございません。総理のおっしゃったことが誤解を生んでいるのであるから、私の言い方が悪かったかもしれませんが、むしろ積極的に誤解を解くような発言をしていただきたい。われわれは野党の立場にあっても、日本の正しい主張――これは領土権もあります。これをできるならば、貫徹したい、政府の交渉に水をかけるような気持はない。社会党はこの間の政策委員会でも正式にきめました平和条約の中で、アメリカとも関連する点でありまして、ソ連にだけ領土権の主張をするのは、これは筋が立たない、しかし領土権の主張を捨ててしまって返らざる領土についてソ連の主権を認めるような平和条約に反対です。なし得るならば全部返してもらいたい。しかし返らざる部分についても、これは平和条約でやる場合にははっきりした留保をしておかなければならない。将来交渉の余地を残しておかなければならない、かようなことを言っておるのであるから、今日直ちに何もいわゆる暫定方式に今直ちに帰ろうとか、領土を主張をするなということを言っておるのでもなんでもない。こういう気持に立って私は申し上げておるのですが一体、この総理の重大な戦争防止に必要な領土、そうでない領土というこの区分の仕方というものは、非常に私はわからないし、非常に危険な考え方ではないかと思うから、しからばあなたはこの発言を否定されますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私はそういうことを申したことは記憶しておりますけれども、それに対する説明はいたしません。
○曾祢益君 私は政治家としては説明された方がいいと思いますけれども、されないというのでありますからこれは水掛論だからやむを得ません。そこで今後の交渉に当って私は重要な件として考えておるのは、前の国会の際も参議院の予算委員会で御質問いたしたのですが、自民党の緊急政策でそのままいくならば、これは領土問題についてはっきりした線が出ておるのです。つまり南千島まで必らず返さなければいかぬ、そして更に新聞の伝うるところによれば、昨日閣議において外務大臣から、松本声明とも言っておりまするが、十日ころのマリク・松本会談における松本全権の主張、この線を確認して譲らない、すなわち歯舞、色丹はソ連の言っておるような、日本に返還する、譲渡するというようなことは、これはばかばかしいことであって、これはもちろん返還させる、南千島までは返えさせる、それ以外の土地については国際会議できめる、この線を確認して譲らないということを閣議で決定した、こういうことを伝えられております。しかし閣議で決定するまでもなく、私は自民党の緊急政策によれば、そういうようなぎこちのない領土問題で交渉がデッドロックにぶち上げるようなことをはっきり決定しておると思うのです。その自民党の緊急政策の領土問題に関する条件を、総理はあくまで守って行かれるのかどうか。この点を総理から御説明願いたいのであります。
○国務大臣(鳩山一郎君) できる限りその線に沿うて条約を結びたい、平和条約を結びたいと考えております。
○曾祢益君 南千島について、数日前、森下政務次官が衆議院の外務委員会で政府の見解を発表されましたが、これは総理大臣も承認の、政府の公式声明と認めていいかどうか、この点を総理大臣に伺います。
○国務大臣(鳩山一郎君) この点については外務大臣から答弁をしていただきます。私存じません。
○国務大臣(重光葵君) その点は昨日の閣議で私が松本全権の主張を報告いたしました。松本全権の主張なるものは政府の方針に従って主張をいたしたのでございます。それと同じ趣旨の政府の考え方を政務次官から議会に説明をしたのでございます。従いましてこれは政府の考え方と、こう御承知を願って少しも差しつかえはございません。
○曾祢益君 外務大臣からでもけっこうですが、この主張の中で非常に重大なる点は、サンフランシスコ平和条約第二条において、日本は千島の主権を放棄しておりまするが、その千島には南千島が入らないということを政府は明瞭に言っております。私は日本の国民の気持として、また歴史的関係から南千島は、北千島とは違って、かつて外国の領土になっていないのであるから、そういう意味での南千島に対する主張ということに、特に強い、また強くあるべきだということはわかりますが、政府が今日交渉の最中に、日本に不利のような発言をするのは私はいけないと思いまするけれども、しかし日本の主張というものに曇りのない、だれが見ても立派な主張でないと、私は交渉が弱いと思う。政府は昨年の夏ころには、この南千島はサンフランシスコ条約の際にはっきり千島から離して留保しておったかどうかについては、アメリカに問い合せをしております。そういうふうなやや危うげな主張で、だれが考えても、日本の吉田全権がサンフランシスコ会議で法律的に明瞭に南千島はこのキューフィルの中に、いわゆる千島の中に入っておらないという明確な留保はなしておった形跡がない。政府もそれがよくわからないからアメリカに聞いたのだと思う。当時アメリカの返事はあまりこれを奨励するような返事でなかったように承知しております。今日交渉が非常にデリケートな段階になったときに、急に何の根拠をもって、明確に南千島はサンフランシスコ条約第二条で放棄した部分でないということを言われたのか、はっきりした根拠を示していただきたい。われわれも自信をもってそういうことが主張できるかどうか、急に南千島が日本の放棄した千島の中に入っておらないということを言い出されたについては、何らかの立派な根拠があると思う。それをお示し願いたい。
○国務大臣(重光葵君) 私も日本の主張がきわめて明瞭な、また世界に受け入れられるべきものでなければならぬという、その点については、全くその通りに考えます。またそうでなければならぬ。ただ希望だけの主張ではいかぬ、こう思います。さて、千島の問題であります。千島の問題につきまして、日本側が、日本政府が急に主張を変えたとは言われませんが、主張をある点について明瞭にしてきた、こういうことではございません。しかしながらサンフランシスコ条約において、いわゆる、キューライル、千島と訳している、これが一体どういう法律上の、条約上の意味であるかということは、これは主としてサンフランシスコ条約の起草に当った米国側に聞き合せることは少しも差しつかえない、またそうしなければならぬことだと私は思う。そこでこれははっきりとアメリカ側の意向を聞いたわけであります。アメリカ側も千島がどこからどこまでということをはっきりその当時において、地図の上で検討したわけではない。そこで千島が日ソ交渉の対象になっておる以上は、日本としては日本の考え方によって主張をするということは何ら差しつかえないことだと、こういうアメリカ側の考え方を聞いたのであります。それはアメリカ側の解釈の仕方でございます。しかし御承知の通りに南千島はこれは北海道直属、最も近接したる島であって、北海道直属の島である。そうして歴史上いまだかって日本固有の北海道直属の島として認められなかったことはないという歴史を持っている。ただそれだけではございません。歴史上だけではございません。この島は地理的に北海道の一部分と日本人は考えておるのみならず、これに住まっております住民は日本人だけでございます。ほかにはおらない。その日本人も一万人以上も住んでいる。今日の人口ははっきり調査はできませんけれども、少くとも戦争終結直前には一万をはるかに越しておった。そうして相当重要な漁業で生業を営んでおった。日本人だけが住んでおって、日本の本土に直属の島と認められている。そうして歴史上いまだかつて日本固有の領土でないといわれたことのない島について、これが北海道の一部分として日本が返還を要求するということは、これは私は当然のことであるし、またそうしなければ、この交渉において、要するに日本の利害、国民の希望に沿うた交渉とは私はいえないと思う。そうしてそういう主張は、今大前提としてお話になった、世界のどこに行っても、なるほどだと思われる合理的なものでなければならぬというその点においても、私は完全に一致しておるとこう考えておるのであります。しかしながらむろん今日の状況において、日本として戦敗の地位におるということも、これは事実でございます。それであるからそこに直ちに私は、先方において、それはそうかといってすぐ日本の言うことを聞いてくれる、譲歩してくれる、こういう見込みを今すぐ持っておるわけではございません。しかしながらかような正しい主張はあくまでも続けていけば必ず通ると私は考えております。これはソ連側もよくその点をくみ分けてくれると私は信じております。そこでその主張が通らない場合を今日は私は少しも予想いたしておりません。これはあくまでその正当な主張を続けていきたいとこう考えております。しかしそう申し上げたからといって、国交の正常化ということが目的でありますから、その目的を達するために、私はこれを言うのであります。これは少し御質問の点を脱するかもしれませんけれども、そういう日本の正しい主張、正しいというのは、日本の立場からだけではなくして、世界のどこに行っても通ずるとわれわれの信ずるこの主張を、これを十分に尽さずして、これをたな上げしてこの問題を解決するということになれば、それは私はほんとうの問題の解決にならぬと思う。せっかく国交を回復しようという以上は、さような根本的のことまでも十分にこれは検討して、両方の国の間に解決をしなければならぬ、すなわちわが方の主張を聞いてもらわなければならぬ、こういう信念のもとに、それが将来国交回復の大きないい基礎になるのだと、こういうふうに考えて進んでおるわけでございます。御質問のなにを脱しましたかしりませんけれども、私の本問題に対する考え方を申し上げました。
○青木一男君 簡単に今の点に関連して質問をしたいと思いますが、曾祢君の御質問が終ってからでけっこうです。
○曾祢益君 外務大臣からるる御説明があったのですが、私はるる申し上げたように、私は今のように南千島に対して主張されることに反対ではございません。しかしその主張をこのサンフランシスコ条約のキューライル、いわゆる千島には入っておらないというような理屈でやるということはかえって主張を弱めるのじゃないか、もしそういうことになれば、ヤルタ協定によるいわゆるキューライルにも、これは南千島に入ってないのだということをソ連がかりに承知になっても、米、英もはっきり責任をとるということでなければ、これはおかしなことになるんです。だからそういう言葉といっちゃ悪いかもしれませんが、そういうあまりテクニカルな、技術的な知恵を出してやることよりも、南千島の歴史的な事情に基いての領土を返してくれと言う方がかえって強いのだ。変な法律的に通らないような理屈をつけることは、私はとるべきでないと存じまするが、これは意見の相違ですからやめます。 次に総理に今度は伺いたいのでございます。結局いろいろな御質問をいたしましたが、要は日ソ国交調整をすみやかにやっていく必要があるのではないか。この基本的な考えにおいては一致していると思うのであります。ところが総理は従来とかく二元的な交渉と見られるような不謹慎な言葉吐いたりなんかされて、はなはだみっともない状態を提出してきたのでございます。たとえば一月二十六日のあとで重光さんが総理大臣のところに急速はせ参じて、そして方針が変ったのではないかと伺い立てをする。それにそのあとで首相は、重光君はロンドンにおける交渉の形式を変えなければならないかと思ってお伺いを立てに来たらしい――まるで一つの国の総理大臣と外務大臣との間の関係ではございません。また外務大臣はその会ったあとの記者会議において、いろいろと伝えられているので日ソ交渉の方針が変ったのかと思い、首相に会った――これだけまずいチーム・ワークということは、これは実に珍しいことであるとともに、はなはだ私は不謹慎きわまることだと思う。これで二元外交でないとはだれも言えない。これらについて総理はほんとうに自分の信念が国交調整を重点に置くならば、総理の考え通りに閣内をまとめ、党内の政策が悪ければそれを直すだけの断固たる所信を貫ぬくのがほんとうではないか。世人の言われるように河野外相なんかという言葉、はなはだ私は閣内が統一されていない。もし外務大臣の行動並びに方針が悪ければ、外務大臣おやめになったらいい。自分で兼摂されるなり、河野農林大臣を外務大臣にされるなり、これはもう総理の、あなたの権利であるとともに、あなたの義務だと思う。二元的な外交をやっていることは、はなはだ日本のためにならないと思いますが、今後の外交の、一元的な総理の責任のもとにおける運営と、総理の方針通りに閣内及び党内をまとめて行く自信があるかないか、これをはっきりと伺いたい。
○国務大臣(鳩山一郎君) 記者会見をいたしました後に、外務大臣が見えたのは、あなたのおっしゃった通りであります。その際に、私はこういう話をした。少しもあなたの考え方と違っている点はないから御心配になる必要はありませんということを言いました。外務大臣も覚えていらっしゃると思います。外務大臣と私との意見が、対ソ交渉の意見が非常に違うようにたびたび伝えられておりますけれども、一度も二人でもって。意見の違ったことはないのであります。根本において外務大臣と総理大臣との間の意見は完全に一致しておりますから、御心配になることはないと私は思っております。外務大臣からもどうぞお聞き下さい。
○国務大臣(重光葵君) 今の問題につきましては、総理の答弁で尽きております。ただ私からも同じことを申し上げろ次第でございますが、外交の運用について二元的に運用してならぬということは、これはもう世界共通の事柄であるのでありまして、そうしなければなりません。そこで私も絶えず内閣は総理が指導してやられておるわけであります。外交もそうでありますから、私は総理と常に密接な連絡をとって、何か自分の十分理解のできないようなことでも、新聞の記事でもありますれば、すぐ実は総理の意見をよく確めて私はやっておるのでございます。そうしてそのやっておる結果はどこに出ているかというと、政府の方針としてはっきり出ておるのでございます。それが統一した方針でございます。総理もその方針で行かれ、私もむろんその方針で行っておるわけでございます。さようなことで二元的の運用と、いやしくも疑いを招くようなふうなことは一切避けたいと私も努めて努力をいたしておる次第でございます。
○曾祢益君 時間がないので最後に伺いたいのです。総理大臣に伺いたいのですが、私は今後の日ソ交渉の行く末について相当大きな危惧を持っております。この前の委員会のときにも、私は大体において三つの可能性が理論的に考えられた。一つはソ連の言うなりほうだいで早く手を打つことを、これは日本の圧倒的な多数の国民が反対しておると思います。われわれもまたソ連の言うなりほうだいの国交調整には反対であります。しかし第二の可能性としては、私たちがほんとうに真剣に心配しているのは、今交渉のさなかであるからという理由で主張をするのは、これは私は水をひっかけるつもりはないけれども、確かに平和条約で懸案を解決し、しかも南千島も絶対に返ってこなければいかぬ、北千島、南樺太については明確に留保しておきたい、そうして居留民、抑留者の引き揚げは平和条約の前にやるのだ、これを文字通りに推し進める結果は、これは交渉が一体いつになって妥結するかについては見通しを失う。いな双方の主張は一応主張としては、実は今回の再開されたロンドン会議を待つまでもなく、昨年の六月ないし九月のロンドン会議で主張の点はもう出尽しており、いわば最後の集約の段階に来ておるのが日ソ交渉の大勢だと思います。しかるに自由民主党の中では、私もある有力な人とラジオ対談をやったときに、日ソ交渉はこれから、スタートしただけだ、三年、四年かかってもかまわないというような、のんきなことを言っている。これは相当有力な人が言っておる。さらに複雑な自民党の内部の情勢から言うならば、自民党の緊急政策という一つの証拠物件を取っているから、あれをしゃにむに推し進めて、ロンドンの交渉が行き詰ることがいいのだ。彼らも決裂がいいということは、国民の手前言えないけれども、事実上デッドロックになって延びてしまう。事実上は停頓断絶になってもいいのだというふうにこの政策はできておる。従って第二の可能性というものは、私は非常に不幸な可能性であるけれども、私は日ソ交渉がデッドロックになる、名前は国民に対して延ばしてやるのだ、ゆっくりやるのだと言いながら、事実上はデッドロックにしてしまう、国交調整のめどがない、こういう可能性が非常に多いのじゃないか。たまたま二月二十六日の総理の発言は、今否定されている二元外交というような誤解を生み、発言の方式は非常に不適当であったと思うけれども、私は鳩山さんの本心はいい意味に考えて、国交調整の大局はぜひやりたい、こういう気持だろうと思う。その意味で私たちは、この第二の方式にならないように、この際はっきり総理は国交調整の大筋は必ずすみやかに通すという、はっきりした気持をこの際表明されることを希望するのであります。私はその意味において、これは御答弁を要求しませんが、しかしわれわれ社会党の立場を明確にしておく意味で、最後に希望として申し上げておきます。 国交調整の大局を通す、しかも領土について将来返らざる部分についての発言権を失わない方式というものは、われわれの考えとしては、暫定方式に切りかえる以外にないと思う。平和条約方式である限りにおいては、どの領土はどっちに返る、あるいはどの領土については将来離そうということは、明確にきめないわけにはいかないと思う。そこで私は、また社会党は、今日直ちに暫定方式に切りかえるということは申しません。申しませんが、国交調整の大局の筋を通すというこの基本方針の一つの方式として、そういうことも十分にこの考えに入れておいていただきたい。そうでなければ、ソ連の言うなりほうだいになる方式か、あるいは国交調整をたな上げにしてしまって、そうして平和外交にプラスにならないような自民党一部の、あるいは国粋的な意見に左右されてしまう。この危険をわれわれは非常に感ずるのです。この意味において総理の明確な基本的な考えをあらためて最後に表明していただくならば、私は幸いであろうと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は世界の平和を作るためにはできるだけ努力をするというのがわれわれの努めであると思います。世界の平和を作るために必要なことはできるだけの努力を払うのがわれわれの任務なりと考えております。(相馬助治「もう少し具体的におっしゃって下さい、日ソ交渉に対する考えを聞いているのだから」と述ぶ)
○曾祢益君 総理もう一ぺんあれですが、いろいろわれわれの同僚委員の方からも発言がありましたように、それは基本的には平和のために努力するのは当然だと思います。日ソ交渉について、基本的にはこの国交調整というのを大局を失わないようにすみやかに処理するという基本的な考えに賛成されるかどうか、この点を伺っているわけです。
○国務大臣(鳩山一郎君) 具体的にどこでどういうような妥結を見出すということは申し上げるわけには参りません。(相馬助治君「関連して、関連して」と呼ぶ)
○委員長(西郷吉之助君) ちょっと関連ならば関連を、青木さん、さっきから済んだらと約束されて……。ちょっと外務大臣の発言を……。
○国務大臣(重光葵君) ただいまの御発言は非常に根本的な問題で、私は日ソ交渉の最も重要な問題であると思いますから、私からも二言その点について考え方を申し上げたいと考えます。 社会党の方針であるという点、その点について今その中心におられる曾祢君からはっきりと社会党の方針を伺ったわけであります。その点については私は非常にこれは感謝するものでございます。私は今この問題を取り扱う上において曾祢君の言われる三方式がある。これは理論的にはそうでございましょう。ソ連の言うことを全部聞けば一つの解決方法になる。しかしあくまでソ連と妥協することのできる態度を日本がとって進んでいるということは、これは解決の方式にはならぬと思います。しかしながら、これは交渉でございます。重要な国交回復の交渉でございます。私は日本として、日本国民として、日本民族として主張すべきものがなければならぬと思う。その主張すべきものを正しく、先ほど申し上げたように、どこに持っていっても、世界のどこに持っていっても正しい主張を私は勇敢に正しくすることにおいて何もこれは遠慮するところは私はないと思う。こういう根本問題につきましてはですね。しかしそれは正しくなければならぬ。そこでその正しいと日本が信ずることを主張しながら、これは通らぬと思って、非常に先へ目をきかせて、それは交渉のことでございますから、私は全部通るといったことを保証することは、これは何人もできません。しかしそれはその正しく主張を通すべく日本国として、日本国民としては、私は全面的にその主張をすることが最も有力な国民外交であると、こう考えているのであります。 私は今社会党の方針が、先を見越してこれは通らぬから今暫定方式にしろ、今すぐしろと、こういうことではないと言われるし、またそうではないと思う。主張すべきはあくまで主張しろ、こういう御議論だと思うから、そのところにあまり差はないと思うけれども、しかしながら先を見越して、今日まだその主張が通るか通らぬか、つまり主張の最中において少し先を見過ぎていることがないかどうか。もしそうであるとするならば、それは私どもはさようにこの問題を取り扱いたくないのであります。これはあくまでもわれわれの正当と主張する、日本の主張を貫徹すべく最善を尽すというところに今とどまらなければならぬ。また交渉というものはすべてそうである。交渉が最後の終末に近づかぬ前にいろいろなことが、腹のうちはいろいろなことを考えなければなりますまい。しかし腹のうちにいろいろ画策することを公けの席上でこれがどんどん議論されるということになれば、これは国家的の外交ということについてははなはだしく私は不利益な結果を招来すると思う。そこで私はそういう感想を申し上げて、私としてはこの日本の正当と信ずる主張を貫徹すべくあらゆる方面から努力をさらに進めてみたいと、こういうことを申し上げて、私の考え方を一応申し上げる次第でございます。
○曾祢益君 私は質問終ります。
○青木一男君 ただいまの曾祢君の御質問に対して関連して二点外務大臣にお伺いします。領土問題について南千島を返してもらいたいということは、わが国民の圧倒的な世論となっていることは事実であります。この根拠についてはいろいろ歴史上並びにわが民族の生活の問題もありますけれども、私は先ほど曾祢君が言及された森下政務次官の外務委員会における説明に関連して非常な重要な点があると考えているものでございます。その点について外務大臣にお伺いします。 それは千島という名前は、地理的には相当やはりどこまでが千島ということについては疑問がありましょう。ただサンフランシスコの講和条約においてわが国が領土権を放棄したという沿革は、要するに降伏条約に基く、敷衍するものと私は考えております。降伏条約はポツダム官許受諾に遠因すると思います。そうしてポツダム宣言に引用してあるカイロ宣言を見ますというと、その大戦の跡始末として、領土の非併合という大精神がうたわれているのであります。そうしてポツダム宣言を見まするというと、日本が略奪したような土地は返させるということがその領土の始末の大原則としてうたわれているのでありまして、わが国はそれをまあ受諾したわけなんです。そうするとこれはやはりずっとサンフランシスコの条約までも引いていく根本思想でなければならぬと思うのであります。そうすると先ほど来お話のあった通り、南千島というものは一ぺんも外国の領土になったことはない。いわんやソ連から取ったものでも何でもない。こういう沿革から見れば、やはりあの条約の精神というものは、やはりポツダム宣言その他に淵源するものでありますから、当然固有領土には触れないものであるという解釈は、私は沿革的に当然だと思うのであります。この解釈について森下政務次官も触れられておるからして、あらためて外務大臣から御所見を伺いたい。 第二点は、社会党の諸君は、場合によったならば領土問題はあと回しにしてでも、まず国交の回復をせよと主張されておるようであります。(「総理大臣の主張だよ」「総理の主張じゃないか」と呼ぶ者あり)それで私は外務大臣の御所見を伺いたいのですが、ソ連が何がゆえにドムニツキーを通して日本に国交調整を申し込んできたか。もちろん日本とソ連が今日の状態にある全責任はソ連にあるのでございます。宣戦の布告も彼らが勝手にやった。(「その通り」と呼ぶ者あり)われわれは無条件降伏をソ連に対してもやったのに、サンフランシスコ条約に参加しなかった。全部責任はソ連にあるのでございます。今日までこういった状態が長引いたことについて、日本は一つも責任はございません。(「そうでもないぞ」「吉田内閣もそうだ」と呼ぶ者あり)しかるにそれを突如として国交調整を申し込んできた真意がどこにあるか、これは私もわかりません。しかしながら、私どもは率直にこう考えております。その講和条約を結ぶ際に、その問題を解決せずにあと回しにしたならば、あるいは目的を達成するかもしれないというような可能性が果してあるのでございましょうか。今日ソ連が欲する時期に講和条約を向うは結びたいと言っておる。その際に領土問題を解決せずしてあと回しにしたらば、そういうふうに領土が日本の思うように解決する可能性があるのでございましょうか。私どもは、一そうそれはむずかしいものであると考えておるものでございますが、その点に対する外務大臣の御所見を伺いたいのでございます。(「鳩山さんの所員を伺ったらいいじゃないか」「いや外交は外務大臣の方がいい」)と呼ぶ者あり、笑声)
○国務大臣(重光葵君) 今、日ソ交渉の非常に重要な問題について交渉中に、そういう問題について実は討論を進めていくことを、私は御遠慮申し上げたいのでありますが、今の問題について簡単に私は、私のさしあたっての感じを申し上げます。 御議論が多うございまして、第二点は、領土問題をたな上げして、将来解決することが容易になるのか、かえってむずかしくなりはしないか、こういうお話でございます。私は常識をもってすればむずかしくなると思います。それはその領土は相手国の占有しておるところであるからであります。これを延ばせば延ばすほど困難があると、こう一応常識的に考えなければなりません。 それから第一点は、領土の無併合ですか、そういうことは戦争中からもう連合軍、すなわち敵国側の旗じるしであったではないか。それをそうであるから、日本の固有の領土は敵側としてもこれを要求する地位におらない、こういうふうな御感想でございます。私は戦争によって負けた場合においても、さような大きな戦争目的は、戦勝国があくまでこれを達成する。すなわちその主義に従っていくということが、世界の平和のために望ましいと考えます。従いまして、戦争中に出されたいわゆる大西洋憲章その他の領土に関する主義の問題、カイロ宣言を含めてそういうことははっきりと守られることを期待いたします。従いまして、日本の国有の領土に対して日本が返還を要求するということは、これは正しいことだと私は信ずる次第でございます。
○相馬助治君 私は同僚曾祢委員の質問に関連して、鳩山総理大臣に二点伺っておきたいと思う。 日ソ交渉をどうするかというのは、政府の今大きな課題であり、日ソ交渉がどうなるかというのは国民の大きく注目しておるところですが、私はやはり率直に社会党自身も従来の野党としての立場から、これは反省すべき点は大畑に率直に反省すべきだと、私自身は思っておる点ですが、専外交の問題は、何とか国論を統一してやりたい、またやらなければならない、これは何人も与え方は同じだと思うんです。われわれとしてもこういう点については大いに協力しなければならぬと基本的に考えておるんですが、この日ソ交渉に関する限りにおいては非常に不幸だと思うことは、党内が統一していないどころの話でなくて、閣内が統一していないということ、少くともそういう印象を国民に与えておるという事実、河野農相が演壇に立てば、河野外相というヤジが飛んで、国民がこれを不思議としないという現実、私は近光外相は、その人柄からいうても手腕からいうても実にりっぱな方だと、つとに尊敬しておる。少くともその重光外相が、重光外相としてその通りに、与えた通りに行い得ない段階が今あると思う。重光さんの考え方がいいか悪いかは刑として、そういう事実が国民に印象づけられておることは、これは蔽うべくもない事実です。松本さんが帰任する前に、肝心な会合に河野さんが堂々と出ておる。新聞に大きく写真を出しておる。そうしてそのあとで河野さんが堂々と記者会見でもつて何やらちょう述べ立てておる。どういうふうに弁解をしようとも、こういう事実そのものが、国民に閣内の不統一の印象を与え、党内不統一の印象を与え、社会党の良識をもってしても同調し得ない気分を与え、そうしてこれがある意味ではソ連になめられるところの材料になっておることは、私は蔽うべくもないと思うんです。従いまして、鳩山さんに尋ねたいと思いますることは、先ほど重光さんが、あまり先を児越すなということをおっしゃっておる。先を見越すということは、われわれは敗北主義的にのみ考えてはいけないと思うのですけれども、もちろん相手のあることですから、これはある点は先を見越さなければならぬでしょうし、ある点は下手に先を見越さなくて、堂々とやらなければならぬでしょう。少くともこの辺で閣内において日ソ交渉の基本的なものを再確認して、わが鳩山内閣は、重光外交は、こういう路線に沿ってやるんだということを、私はこの辺で再確認をして、国民に開示すべきであろうと思うのです。そうして国民の世論を背景として日ソ交渉を進めるべき段階がきておると思いまするが、鳩山さんの見解はいかがですか。 第二の問題は、妙なところで代表のマリク君がさっさと帰ってしまうというような、こういうことは不幸なことです。今日外交の姿を見ると、ずいぶんと変っておることは、巨頭外交になっておるということです。従ってこの際鳩山さんは、重光さんを堂々とソ連に派遣するくらいな勇気を持ったらいかがでしょう。松本さんをあそこへ出しておるのだからそういうことはできないということは、筋としてはその遜り、しかしソ連のやっている外交のやり口を見ますというと、これは実に微妙で、また変化に富んでいて、あのてこの手と裏表の手を使っている。これは日本としてもこの際考えなくてはならぬ段階がきていると思うのです。こういう巨頭外交の流行の時代に何か新機軸を出すような珍手を鳩山さんは考えているかどうか。またそういう段階がきているのじゃないかと思うのですが、これに対して御答弁を承わればありがたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 外務大臣と私との間に意見の相違があったようなことがたびたび伝えられましたけれども、これはそういうことはございません。全く松本俊一全権大使に対して同じ訓令を出しておりまして、松本全権は、日本の政府の言うままに動いております。 それから河野君が新聞にいろいろ出たというお話がありますけれども、河野君は党と内閣との連絡委員をやっておりまして、その関係上ときどき新聞に出るのであります。別に河野君が連絡委員の職責以外のことをやっているわけではございません。(秋山長造君「巨頭外交をやられたらどうですか、総理大臣なり外務大臣なりがみずから出かけていったらどうかということですしと述ぶ)ただいまその必要を認めておりませんが、必要に応じては考えるべきことだと思います。
○秋山長造君 資料の要求なんですが、すでに幾つかの資料要求が出ているのですけれども、いまだに資料は何も出てこない。きょうあすの審議ですから、一つこれを極力急がして、少くとも午後再開までには相当の資料を出していただくように督促願いたい。
○委員長(西郷吉之助君) それでは午前中の審議はこの程度にして、二時まで休憩いたします。二時に再開いたします。 午後零時五十三分休憩 ―――――・――――― 午後二時二十五分開会
○委員長(西郷吉之助君) それではただいまより予算委員会を再開いたします。 総括質問を継続いたします。
○中山福藏君 私は鳩山首相にお尋ねいたしますが、まず第一に、政治の要諦は国民に信を得るということが最も大事であると私はふだんから考えております。現政府はさきに三十年度の一般会計予算の補正は大体一兆円のワク内でこれを処理するということを国民に声明せられておる。ところが今回補正予算が出されまして、三十年度歳入歳出予算の総額が一兆百三十三億円ということになったのであります。結局一兆億予算の政府の声明のワクというのはくずれたわけであります。この点につきまして、衆議院におきましては成田君が一兆億予算をあくまでも堅持するといった政府の声明に反して、今回一兆億円を超えたことについて政府はどう考えるかと質問したところが、この質問に対して鳩山首相のお答えは、健全財政を保持することになれば、少々ぐらいワクをはずしても差しつかえないのだというお答えが出ておるのであります。それでこの少々ぐらいという言葉は、まことに味のある言葉でございまして、主観的、客観的の見方、立脚地を異にして見ますというと、いかようにも解釈できるわけであります。しこうして百三十三億というものが現われて、国民に政府というものはいいかげんのでたらめを言うものであるという印象を与えたことは、最も政府もてつつしまなけれればならぬ問題であると考えておりますが、こういう先例を開きますというと、これはやはり尾を引くのではないかと、私はおそれるわけでありますが、この少少という限度は、鳩山総理大臣はどれぐらいの限度ということにお考えになっておるのでしょうか。まあ手近なところからお尋ねしておきます。
○国務大臣(鳩山一郎君) そのときは私は普通歳入の範囲内という意味において答えたつもりであります。普通歳入の範囲内において予算をやり繰りすればまず健全財政といえるわけなんで、健全財政ということが目的にありまするから、その目的の達成にはどのくらいの必要があるかといえば、普通歳入の範囲内――これは大蔵大臣の議会における説明を私が聞いておりまして、大蔵大臣から借りた知恵でありますけれども、それはそう思います。普通歳入の範囲内、それが一兆数百億の範囲内において予算が組めればやはり健全財政だ、こう言えるというのが大蔵大臣の説明であります。私はそれは正しい考え方であると思っております。
○中山福藏君 私は常々臨時議会が開かれたときには、もう今年は補正予算はこれで組まないといったようなことを繰り返し巻き返し聞くのであります。その場合国民の一部には、政府なんかというものは結局政治家の集まりだから、ずうずうしいものだというふうな感じを与える。これはようやく黎明期を迎えんとする日本の社会に対して非常に悪い影響を及ぼすと信ずるからお尋ねしておるわけですが、結局ただいま大蔵大臣は、普通歳入の範囲内においてという言葉をお使いなされたけれども、ずいぶん大蔵大臣としては無理をしておられるように私は考える。予算の編成に当って普通歳入の範囲内においてということは、言葉のあやで、一種のごまかしである。こういうふうでは非常な悪い習慣が作られるのじゃないかと思うのですが、大蔵大臣どうですか。
○国務大臣(一萬田尚登君) お答えいたします。この一兆の予算規模、一兆というときの一兆の意義は、むろん本質において健全財政ということを意味するのでありますが、しかし予算が膨張する傾向があるときは、やはり形ではありますが、防波堤的に一兆というものをきめてかからないと、なかなか健全財政は確保が困難だ、こういう意味において一兆というものが意義を持っておりまして、この一兆が、たとえばこの三十年一度において補正予算のために百三十三億ふくれたから、この一兆というものがいかにも国民に対して頼りない印象を与えるという御意見については、これは十分考えなくちゃなりませんが、そういうふうに私は頼りないという意味に国民がとらないようにしてほしいと思うのであります。それは一兆というものは、今言うたような意義を持っておる。本質は財政の健全性を貫くということにおいて意義がある。 それなら、重ねての御質問の財政の健全性とは一体何だといえば、先ほど総理大臣からお答えがありましたように、これは私はやはり一般歳入、言いかえれば租税収入、専売益金、その他の歳入、そうして歳出を重点的、効率的にまかなっていくというところに、私は財政の健全性の線を一応置いてよろしい。むろんその財政がいいか悪いか、いろいろ歳出についての内容にまで立ち入って、いろいろ考慮すべき点はありますが、大まかに申しまして、一応総理大臣の御答弁のように、一般歳入をもって歳出をまかなうというので健全性を貫く、こういうふうにお考えになっていただきたいのであります。
○中山福藏君 私は予算提出の場合には、将来やむを得ないときには補正予算を組むかもしれないというようなゆとりを残しておかれる方がよいのじゃないかと考える。初め断言しておいて、あとで一般歳入の範囲内においてというようなことは、よほど大蔵省としてはお慎しみになる必要があるのじゃないか、そういう点は御考慮を願いたい。 このたびの三十一年度の予算と今回の補正との関係を見てみますと、今回の補正に歳出増に掲げてあります生活保護費の不足分二十三億円、義務教育費二十四億円、旧軍人恩給費十七億となっておって、これらのものは、当初大蔵省の予算原案では、三十一年度の歳出額に計上されておった。ところが与党の補助金、公共質業費の復活に対する圧力に属せられて三十年度の補正にこれを回しておる。こういうことが、これはやはり今大蔵大臣の言われる普通歳入の範囲内において健全財政云々というような大きなことが言えるかどうか、御意見を承わりたい。
○国務大臣(一萬田尚登君) 三十年度のこの補正予算の歳出は、これは三十年度にやはり支払うべき性質のものでありまして、何も三十一年度の予算に計上すべきものを三十年度に前もって払っていくということはいたしておりません。補正をいやしくも三十年度組むとすれば、三十年の補正でなるべくすみやかに決済をつける、そういう歳出に限っておるわけであります。
○中山福藏君 それでは次の問題に移りますが、今度お尋ねする問題は、予算編成に当ってどの程度に政党の介入というものを認めていいかという限度をお聞きするわけであります。わが国は今回二大政党の対立となりまして、従って政党政治の明確な線がすべての政策面に顕著になってなりました。たとえば、三十一年度の予算編成あるいはこの補正予算の組み方から見まして、その感をことに深くせざるを得ないのです。ことに首相は、三十一年度予算編成の際は、いわば格好のいいたな上げということになって、温泉郷に静養しておられたが、現政府は予算編成に当っては、政党政治の今日、政党の政調会あたりでまず基本方針を定めて、これを政府の予算として国会に提出すればよろしいというようなお考えを持っておられるのかどうか。この前、清瀬氏が文部大臣におなりになったときに、新聞に御発表になったところでは、私は政党の小使役を勤めるのだというようなことをおっしゃっておった。こういう考え方から推測してみますと、どうも政党の政調会において決められた予算が内閣を動かしておるのじゃないか。フルシチョフがブルガーニン勘かすように、妙なことになっておるのじゃないか。こういうようなことを考えられるのであります。そこでこの際介入権の限度を総理大臣あるいは大蔵大臣にお聞きしておきたい。
○国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。予算の編成権が内閣にあることは申すまでもありません。従いまして、この予算編成権が他より左右されるということは、あってもなりませんし、また事実ありません。しかしながら、今日これは議会政治といいますか、あるいは政党内閣制であるのであります。従いまして、この政党の政策というものがやはり考慮さるべきことも、これも私、常識であると思います。また当然、政治の本体、政治の本質からいってもそうあるべきことと、かように考えておりますから、そういう意見を十分聞くことは当然のことであろうと思います。従いまして政党が予算編成についてあまりこまかいことをかれこれ言うことのよろしくないことは言うまでもありません。またそういう事実もありません。
○中山福藏君 そういう事実がないとおっしゃるのは、これは実際どうかと思う。私どもはそういう事実がまことに顕著に露呈しておると、こう見ております。御承知の通りに、鳩山総理大臣は、ほとんど予算の内容というものは御承知ないと私は見ておる。あなたは補正予算を編成するに当って、これから自民党の政調会に行って承諾を得れば、これを議会に提出するということが、はっきり新聞に発表しておられる。新聞のことですから、新聞のことは知らぬとおっしゃればそれまでです。しかし、そういうふうにして出された。実質的には自民党のやはり編成になっておると、こう思う。それで、ただいまおっしゃった通り、主体性というものは内閣にある。これは憲法第八十六条が明らかにそうなくちゃならねということを示しておるのです。「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」、明確に内閣主体性というものがうたわれておるのであります。今回のような牽制され、あるいは公共事業費の復活を要求されて、そうして次々に転々と予算の編成の内容が変っていくということは、実質的に憲法第八十六条の精神を干犯しておるものであると断ぜられても仕方がない。どうですか、大蔵大臣は将来そういうことは絶対にない、私はあなたをまことに正直な方と見ておるのですが、一つ正直なところを言って下さい。これから絶対に自分は、大蔵省あるいは内閣が主体性を持つのだという断言ができるでしょうか。
○国務大臣(一萬田尚登君) 仰せに従いましで正直に答弁いたします。私はほんとうに何も保留するのではありません。将来におきてましても、内閣が予算編成について絶対の責任を持つ、これは申すまでもありません。はっきり申し上げておきます。ただしかし自分の与党の政策と内閣の政策が一致することは望ましいことは、これは言うまでもない。やはり今日の政党政治の運用のやはりそこは妙でありまして、一致することができればそれは私は一番いい。一致することをとやかく言うこともありますまいと思います。
○中山福藏君 私はそうこいねがっておきます。なお鳩山総理大臣にお願いしておきたいのですが、鳩山首相はおからだも悪いのですから御無理もないと思いますが、結局税金というものは国民の血潮のかたまりであるというこの観点から、一項、一目といえども、応は政府の首脳者がこれに口を通しておかなきゃいかぬ。予算編成の局に当る人はもちろん日夜兼行でおやりになるでしょうし、その大綱というものを、あくまで内閣の方針として一応大綱をきめておいて、その裏づけをお金で、もってまかなうということになるのでありますから、大体どういうふうにやるということを、指標をおきめにならずして、下僚の人が得手勝手に一応金をきめておいて、そうしてこれをこういうふうにしますからその通り答弁して下さいでは、私どもはそれは国民に対して申しわけないと考えております。それで将来はできるだけ鳩山首相みずから、温泉でもけっこうです。あそこに原案を持っておいでになって、もう少し研究していただきたい、こう思うのですが、そういうふうにお願いできるでしょうか。これは今度の予算編成の結果を見て特に申し上げておきます。
○国務大臣(鳩山一郎君) 予算編成に際しまして、党の政務調査会からいろいろの注文がありましたことは御承知の通りであります。その注文に応じて政府においてもそのつど協議をしたことは事実であります。やはり政党内閣において政務調査会の意見を聞いて、相談をして、政府のか針をきめるということは、これは一向差しつかえないと思うのです。責任はむろん政府がとるのでありますから、一向差しつかえないことと思って実行してきましたことであります。これらの問題になりました問題につきましては、逐一官房長官と相談をしておりまするから、私自身は存じております。
○中山福藏君 どうか一つそういうふうにお願い申し上げます。 そこで、鳩山首相に今度は……財政の問題は大蔵大臣の方にあとでお聞きしますが、外交問題のきわめて大ざっぱな点についてお聞きしたいと思うのです。大体マリクが事前通告をせずに本国に引き揚げた、こういうことになつておる。これは私は非常に国家に対する侮辱だと考えております。わざわざ松本全権があちらにおいでになって、そうしてちゃんと予定日を定めて、今度は幾日にするということになっておるのに、黙って帰って、そうして事後報告をしておる。これは国家の屈辱だと私は考えるのですが、首相はそうお考えになりませんでしょうか。
○国務大臣(鳩山一郎君) マリクが突然に帰りましたことについては、あなたと同様に非常に遺憾に考えております。
○中山福藏君 そこで大へんしつこいようでありますが、私は三回目の同一の質問を繰り返してみたいと思います。 それは御承知の通り私は二回にわたりまして、南極に対する日本の権益を擁護すべきものではないかという御質問を申し上げました。一昨日のロンドンのUP特電によりますと、十三日のモスコー放送として南極探検、いわゆるソ連の南極探検隊が十三日南極大陸の西側にありますクイーン・メリー海津のミルヌイという基地にソ連の国旗を掲げて、いよいよ領土権の主張をするだろうということが見えております。私はサンフランシスコ条約第二条の(e)項というあの条項ですね、こういう条約に、何人も所有していない問題について条約が結ばれたということについては、当時の全権の方々がきわめて不用意な立場をとられたということを今日痛感してやみません。そうして(e)項にはどういうことが書いてあるかというと、「日本国は、日本国民の活動に由来するか又は他に由来するかを問わず、両極地域のいずれの部分に対する権利若しくは権原又はいずれの部分に関する利益についても、すべての請求権を放棄する。」、これはよくまあ太平洋の漁業権というものを制限しなんだものだと私は考えている。大体条約というものは自分の品物を相手国に譲るとか放棄するとかいうことについては、これは常識的に考えられる。しかしこれはだれも持たぬ無主物なんです、南極というものは。これはヤルタ協定に結んでありますところの南樺太とかあるいは南千島とかいう問題とは根本的に性格が違う。同じ放棄でも放棄が違うのであります。私はこういう場合には日本政府は大勇猛心を起して、条約の改正を主張していいと信ずる。 御承知の通り明治時代の条約改正によって、不平等という立場を突破しております。私はこのぐらいだれが考えても不合理な条約はないと思う。南極こそは何も戦争に関係はなかった地域である。そうして狭い日本の島に八千九百万の人間がうずくまっておって、何らそこに生活の安定を将来に保障するというようなものがない現在、こういう問題を各国がやるというのは残酷残忍そのものです。この事柄は、私としては正義感の上からも、政府は一大勇猛心を起してこの問題にぶつかつて、体当りをなさる必要があると思うのですが、いかがなものでありましょうか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私から答弁をいたしますよりは、こういうような点につきましては重光外務大臣から答弁をするのが適当とは思いますが、ただいま中山君の御質問は、大和雪原にわが領土として日章旗を立てろということをたびたびおっしやいましたが、そういう意味なんですか。
○中山福藏君 それはノルウェーでもそうでしょうが、近くそれを主張するということは、大体私のいろいろな方面から聞いたところではそういうふうになっているようであります。これも一つ御留意を賜りたい。 それからその次に一つお尋ねします。ワシントンの本月の八日のup電報によりますと、ラストボロフという日本におった元ソ連の商務官が、アメリカ国会の治安委員会に呼ばれまして、かつてソ連に駐在した日本の外交官あるいは日本の有力なる官吏、あるいは日本駐留の連合軍の総司令部の幹部のうちに、スパイの手先になって相当の活躍をしておる者があるということを証言している。今に日本人の名前も必要があって呼び出されて、要求を受けた場合にはそれを発表すると、こういうようなことを言っておる。これらの事実についてはすでに日本の政府はお取り調べになっているのでありましょうか。また万一そういう名前が現われたときにはどういう御処置をなさるつもりか、お伺い申します。
○国務大臣(鳩山一郎君) これは外務大臣から違った機会において答弁をしてもらいます。私存じません。
○中山福藏君 これは清瀬文部大臣は法律家ですが、いけませんか。内閣連帯の意味で一つやってもらいたいのですが。
○国務大臣(清瀬一郎君) それは責任ある主管大臣よりの方がいいと思います。
○中山福藏君 それでは時間がございませんからあと戻りをして、大蔵大臣にお尋ねいたします。 三十年度に生ずる純剰余金は幾らでありますか、大体のお見通しはついていますか。今回の補正で税の自然増収というものを吐き出し、また節約、不用も表面に出した結果、三十年度に生ずる剰余金というものはきわめて少額になるだろうと思われるのです。そういうことになると、三十一年度はとにかくといたしまして、三十二年度の予算編成をやる場合に非常に窮屈になってくるのじゃないかと思う。その純剰余金はどのくらいに見積っておられるか、それを承わっておきたい。
○国務大臣(一萬田尚登君) 検討をしておりますが、どのくらい剰余金が出るか、今のところまだはっきりいたしませんが、しかし仰せのようにあまり多くない、まあ私、全然ないとも言えないが、という程度であろうかと思います。
○中山福藏君 どうも私は御答弁に不満足でありますが、仕方がありません。 最後に一つ文部大臣にお伺いしておきます。御承知の通りに長崎県あるいは三重県において給食ミルク問題について非常な問題を惹起しておる。それで学校給食法というのですか、そういういろんな法律があるようでありますが、三重県なんかの実例を見てみるというと、非常におそるべき結果が現われておるようです。しかも文部省がこれに指示を与えたと書いてある、新聞には。そうして四日中の保健所の証明をもらって、腐敗したミルクというものを結局大平商事会社に売却した。これは総括質問としてはどうかと思いまするけれども、これが万一不法不当に児童に配給されると、国民の体位の向上を阻害するものである。大へんな問題なんだ。私は今日まで文部省がこういう問題に手を触れずに安閑としておられたということについては非常な不満を感じます、国民の一人として。私は大阪に住んでおりますが、先般この給食品の製造工場を大阪府の教育委員会が協力して調査したその結果、不正なものが四割占めておるのです。抜き打ち調査でありますよ。これはもし調査するからといって報告したら、全部私は及第品だったと思っておるのです。こういうことがこの日本国全体に私は行われておるのじゃないか。近ごろひんぴんとして新聞紙に現われております涜職事件、汚職事件というものは、やはりその片棒をかついでおるのじゃないかと思うのですが、文部大臣はこれに対してどういうふうな処置をなさるりもりか、あるいは適切なる学校給食法の一部を改正して罰則を加えるとか、あるいはその他の措置をとるとか、何らかの構想を持っておられると考える。もしそういうものがありますれば、この際お示しを願いたい。
○国務大臣(清瀬一郎君) 中山さん御指摘の今回のミルク横流し事件は実に遺憾な事件でございます。それからまた従前とも集団中毒とかあるいは腐敗ミルクの処理とかいうことについていろいろなうわさもあり、事実もあるのでございます。今回と事件を機として、これについて十分なる措置をとろうと思って近時調査をいたしておるのでございます。 なお、この事件の全貌というものはまだ十分にわかっておりませんから、これがわかりましたら、本院、または衆議院にも公表いたしてみたいと思っております。
○中山福藏君 先般文相は他の委員会において教育基本法の改正という問題に触れて、改正するということを御言明になっておるということでありますが、それはその通りですか。
○国務大臣(清瀬一郎君) 今のこの教育にあなたも御不満でありましょうが、私も不満なんです。だんだん原因を考えてみると、昭和二十二年の教育基本法に足りないところがあると見ておるのです。書いてあることそれ自体に誹議すべきところは少いのでありますが、あれだけでは日本の伝統を維持し、りっぱな日本人を作るに足りませんから、今回臨時教育制度審議会が法案が通ってできますれば、これにかけて、深く広く考えて、できれば改正いたしたいと存じております。
○中山福藏君 国家最高の方針というものは憲法によって定まっておるのです。この憲法の精神を教育によって植えつけるというのが教育基本法の制定せられた理由であります。でありまするから、もしこの憲法以上のものがありとすれば、教育基本法は改正される。それなくしては改正するといっても不可能であると私は見ているのです。そういう点についてどういうふうなお考えを持っておられますか。
○国務大臣(清瀬一郎君) 憲法につきましてもこの内閣は、何とか独立日本にふさわしい憲法にいたしたいと存じております。しかしながら、たとい憲去が改正されなくても、現行憲法のもとにおいても国民に愛国的情操を養成し、また家族団らんの美風を維持するということは、憲法には抵触しないと思いまするから、憲法も改正いたしたいと思いまするが、その成否を待たずして、教育基本法の方については深き研究をいたしたい、かように思ってお
○中山福藏君 私は国本の確立は教育にあると見ておりますから、この質問を繰り返し巻き返し文部省にお尋ねするのです。そうして文部省はまことに考え方が、何と申しますか、はなはだ失礼な言葉でありますが、低劣だと考えておる。少しも日本国民の向うべきところを示していない。のみならず、あの憲法の平和の解釈というものは何も研究して発表していない。ここから日本の混乱というものが生じておる。松村文相でも、新生活運動というものをやれば社会がよくなるの、国家がよくなるのと、改善せられるだろうとおっしゃっておる。しかしながら新生活運動の五千万円、この血税の上にあぐらを組んで、そうして新生活運動をこれから展開するのだとおっしゃる。何ができましたか、一つもできていない。お正月に門松を廃止する運動をやる、あるいはできるだけ年始状をやらないようにする、これが新生活運動だと言っている。それくらいのことで日本の建て直しは私は不可能だと見ているのです。私は今度のクリスマスのあの繁盛した状態は、文部省が奨励したものだとすら考えております。正月に門松を立てて祝うことができないから、昨年末のクリスマスには二晩も三晩も、徹夜の大騒ぎをやってクリスマスを楽しんでおるのです。国民には一つの娯楽を与えるということは必要なんです。小さいところに眼をつけずに、もう少し大乗的な国家の大方針というものに文部省が限をつけて、目標を定めておやりにならなければ、国家の再生というものはなかなかむずかしい。そういう大臣を私は探しておるのです。あなた一つ覚悟してそれをやっていただければけっこうなんです。私は政治家の功績というものは、過去を振り返って自他ともに満足するところにほんとうにいい政治だという感じを受ける。あの五千万円を計上して新生活運動をすると言ったときには、松村さんというものはさばけた人だと、いろんな拍手かっさいを受けたかもしれません。今日から過去を振り返ってみるときには、実にくだらぬことじゃないかという感じを受ける。これは政治じゃありません。私は外交でも、小村寿太郎が、棺おけをかつがれてひそかに迎えにきた人があったのを振り切って、自分の所信を貫いた。今日から過去を振り返って称讃に値する外交しの進路を打ち立てられたものだと私は感心しております。ここなんです。政治というものは現在拍手を受けるような手ぬるいことじゃほんとうの政治はできぬと見ておる。どうか清瀬文部大臣、十分腹をきめてやっていただきたい。あなたが腹をきめられるころに内閣はつぶれるかもしれませんが、しっかり研究して下さい。 それじゃ外務大臣おいでになりましたから、一つ御答弁を承っておきたいのです。それはサンフランシスコ条約のその改訂というものを私は申し込む勇気はないかという質問をしておる。あなたは聞いておられなかったからわからぬでしょう。もう一回繰り返しましょう。南千島あるいは南樺太の所属に関するいわゆる外交交渉が今ロンドンにおいて行われておりますが、それと立場を異にしたこの南極の問題について、サンフランシスコ条約はその第一条(e)項において規定しておる、こういうものはどうしても大勇猛心をふるって改正に乗りだす必要があると思う。それを各国に申し込まれるお気持はないかどうかということをお尋ねしておるのです。
○国務大臣(重光葵君) サンフランシスコ条約におきましては、南極におけるかつての言いがかりありましたことをすっかり放棄しておることになっております。従いまして今これを持ち出すことは適当でないとこう考えております。新たに将来日本人が開拓するような場合がありましたならば、これは別問題でございます。
○中山福藏君 南樺太、南千島、いわゆる日本の四大島の周辺の付属の島ということに条約には書かれておりますが、それで南樺太も南千島も一応はヤルタ協定なんかでは放棄した、これは有効か無効かは別として、ということが書いてある。それを含んでソ連というものは出かけて来ておる。それと南極とは大分放棄した趣旨が違うのですよ。しかも同じ放棄でも、一方、すなわち南極の方は主人公のない土地の権益を放棄した。サンフランシスコ条約第二条(e)項、こんなべらぼうな講和条約はない、それを同一趣旨で放棄したから、おれの方は無関係であるとすましている、こういうことはいかがなものでしょうか、外務省としてはよほどお考えにならなければならぬ問題じゃないかと思うのです。私どもは南千島のような条約で放棄したものすら、ソ連と今交渉しているのです。いわんや南極にはこれを支配した相手方はない。ただ国連に訴えて、そうしてその帰属をきめてもらう方法もあるでしょう。何とかして南極だけはぜひとも取りとめておく必要があるように思う。だから繰り返しまき返し、私は三回連続して此の質問をしておるのです。私はただいま総理大臣にも申し上げたのです。ソ連が南極のクイーン・メリー海岸に自国の国旗を掲げて領土権を主張せんとしておる、主張しかかっておるというのです。それで私はこういう質問をして、できるだけ日本の権益を養護しなければならぬと考えまして、このお尋ねをしておるわけです。サンフランシスコ条約に、日本の南極に関する権利放棄云々ということを書き入れるというのは変じゃないですか。本問題は正義人道の上からも当然条約締盟国は日本の要求に応ずべきものだ思料する、いかがですか。
○国務大臣(重光葵君) 私の申し上げたのは、サンフランシスコ条約で放棄したものは、これは主張することは適当でないと、こう考えておることを申し上げたのでございます。しかし日本人が新たに努力したその結実については、これは擁護しなければいかぬと考えております。さような考え方をもって進めて差し支えないと、こう考えております。
○羽生三七君 ちょっと関連して……。ただいまの外務大臣の御答弁の中に、サンフランシスコ条約で放棄したものを主張するのは適当でない、こういう御趣旨だと思う。そうすると、今の、ちょっと話は横にそれるのですが、この日ソ交渉の問題はどうなるのですか。サンフランシスコ条約で規定されておる範囲内だけの交渉ということになるわけですね。今の御趣旨から言うと、放棄したものに対しては絶対触れることは適当でないとおっしゃったのだから。そうすると、今の日ソ交渉の実際の重点は、サンフランシスコ条約でどこと、どこを完全に放棄したのか、あるいは条約で規定されておらなくても、わが方にどういう、どこの島にどういう権限があるのか、こういうその解釈の幅の程度で、根本的には、きょう午前中曾祢君と総理、外務大臣と御質疑があった問題とだいぶん違うように思うのですが、これは私の勘違いですか、いかがですか。
○国務大臣(重光葵君) なるほど私の言葉は少し足りなかったように思います。中山さんにお断りしますが、放棄したのは、つまりサンフランシスコ条約において放棄したのは、サンフランシスコ条約に調印をした関係国の間に、これは有効であるわけで、あります。それは当然そうなるわけであります。しかしながら南極のような場合を、これを今外郭的に見ますと、これはサンフランシスコ条約に関係をしている諸国に対して放棄した、こういうことはすなわち今まで言いがかりのあったものは、日本はもう主張しないということに結果は相なるのでありますから、それを申し上げたのでございます。しかしたとえばサンフランシスコ条約に調印していないソ連に対して、それじゃそういう必要があるか、それは必要はないのであります。これはサンフランシスコ条約に関係がございません。従いましてサンフランシスコ条約において、たとえ放棄した領土があっても、それをソ連に対して千島、南樺太のごときを要求するということは、これは当然でき得ることでございます。そういうふうに解説した方がよかったかもしれません。以上をもってお答えといたします。
○千田正君 私は限られたきわめて短い時間でお尋ねいたしますので、重点だけしぼってお尋ねしたいと思います。 午前中も社会党の曾祢委員と総理との間に論争を繰り返されたのでありますが、私は別な観点から、一つ総理大臣にお尋ねしたいと思いますのは、現在のような日ソ交渉が停頓状態におったならば、おそらくわれわれが期待しておるような国内的には北洋の漁業のいわゆる産業する問題、国外的には国連への参加というような重大な問題がだんだん遅延していくおそれがあると思うのであります。そこで国連への参加ということが、とりもなおさず日本は世界の国家群の中の一人前になって立っていくという、日本の独立にとっては最も大事な国際間の地位を占めるということになるのでありますが、それが今のような停頓状態に置かれてはとうてい望みが少くなってくる。戦後ようやく立ち上って、しかも外国からは太平洋の孤児のごとく思われ、今やまさに国連への加入をめぐっては日本は世界の孤児として全然相手にされておらない。こういう段階においてこの日ソ交渉が行われるということは、鳩山内閣の運命をかけてこの問題は解決しなければならない問題だと私は思います。 そこで首相にお尋ねするのは、けさほどの理論闘争の結果から言いまするというと、従来鳩山内閣が主張しておったところの領土権の回復の問題並びに戦犯の釈放の問題、この二つの問題を第一義に解決しなければ、日ソ交渉というものは妥結をしない。それを認められなかった場合においては日本は一応打ち切る、こういう考えでおられるかどうか。そういうような場合においては、鳩山内閣は運命をかけて、これを国民の前に声明しておるのでありますから、鳩山内閣はやむを得ず辞職するだけの覚悟をもって、今度の日ソ交渉に臨んでおられるのかどうか、この点を明らかにしていただきたいと思うのであります。
○国務大臣(鳩山一郎君) マリクはただいま帰国をしましたけれども、間もなく帰ってきまして、ロンドン会議がまた継続せられるものと思っております。あまりに長くは延びないだろうと思っております。できるだけこれに重点を置きまして、日本の希望が達成せられるように、むろんあなたもおっしゃる通りに、内閣をかけてやるか、むろん内閣の非常な重大なる使命と考えて、これに努力するつもりであります。
○千田正君 それでは私は続いてこの問題について。最近新聞紙上によりまするというと、どうも日ソ交渉は停頓している、ところが北洋の漁業という問題は遅延するわけにはいかない、このままでいっては北洋の漁業は壊滅するよりほかないので、民間団体が直接乗り込んで行って、ソ連側との間に折衝しよう、こういうことを紙聞紙上において伝えられております。それがほんとうであるとするならば、この民間団体の代表者の諸君がソ連側の民間との間に直接折衝するということを政府が許す、こういうような立場でおられるかどうか。この点はどういうふうにお考えでありますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 外務大臣が御答弁をした方がいいと思いまするけれども、私の存じておる限りにおいて私申し上げます。漁業問題はマリクと松本君の間においても出ております。そうして漁業問題は円満に解決せられて、李ラインというような問題も残さないように極力松本君は努力をするものとただいま私は推測しております。不足の点は外務大臣から補充をしてもらいます。
○国務大臣(重光葵君) 大体総理の御説明の通りでございます。漁業問題もロンドンの交渉の重要なる題目の一つとして爼上に上っておるわけでございますから、それによって漸次展開をしてゆきたいと、こう考えております。
○千田正君 それでは続いて外務大臣にお尋ねいたしますが、これは鳩山総理にもお考え願いたいと思いますのは、戦争後、この第二次大戦以後において、国際法の慣習が守られておらない。御承知の通り、領海三マイルというのは従来の国際法におけるところのいわゆる慣習として各国がある程度守っておった。ところが戦後においていろいろなラインが引かれた。マッカーサー・ラインが引かれ、それが解除され、続いて李ラインというような勝手なラインが引かれ、さらに最近唱えられるところにおいては、ソ連は十二海里説を唱えておる。こういうように各国が自由勝手に自分らの領海をきめる。こういう問題が現段階においては起きております。日本のような、水産というものは一つの大きな原始産業として領土を持たない日本にとっては海こそが日本人が行くべきところの産業の一つの原野であるとさえ言われておる今日において、そうした各国が争って領海をきめられた場合において、日本の領土は非常に狭隘になってくるのでありますが、今後の外交問題を処理するに当りまして、ソ連との交渉において、この領海問題はどういうふうに考えて取扱わるるつもりでおられますか、その点を伺っておきたいと思うのであります。日本の立場からすれば、従来の慣習的な領海三海里説を主張して、公海の自由の航行と操業自由の原則をあくまで貫くという観点において外交交渉を進めていかれるかどうか、その点を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(重光葵君) 国際法としてわれわれが認めておる領海は三海里説でございます。しかし三海里説は世界の各国が全部認めておるというわけでもありません。そこで問題が起ります。お話の通りにいろいろ問題は起ってきておるのであります。ソ連は従来とも十二海里説を革命以来主張しております。それでありますから、戦前におきましても漁業問題については、ソ連と日本との間にはこの問題について、遂に妥結のできない外交問題になってきたのでございます。戦後におきましても同様でございます。 そこでそれならば日本としてどういう主張を持っておるか、こういうことは今お話の通りに公海の自由ということは非常に重大でございます、日本の利益のために。そうでありますから、日本としては普通認められておると、こう信じておる領海三海里説を堅持して、その主張のもとに交渉をすべて進めており、また将来も進める方針でおります。
○千田正君 その次に、日比交渉の問題がだいぶ好転してきておるやに新聞紙上に伝えられておりますが、そのうちの内容を一つ私は伺っておきたい。ということは、かつてこの前の前の予算委員会におきましても、総理並びに外務大臣にお伺いしたのでありますが、当時は四億ドル説が有力であったのに、その後八億ドルという問題になってきた。新聞の伝えるところによるというと、二千万ドルがいわゆる現金の支払いであって、あとのものは役務賠償あるいは借款によってこの問題を解決しようというところに、お互いが歩み寄っておるというように新聞紙上は伝えられております。しからば、その内容はどうなのか。きのう、きょうの新聞等におきましては、あなた方与党内でさえも、この問題をめぐって一貫した一つのフィリピンに対する賠償問題の根本方針がきまっておらないがごとく、新聞紙には伝えられておりまするが、その内容のこまかいことは別としまして、一体借款のよるところはどこにするのか、役務賠償はどの限度においてこれを行われるかということを、その点を、一応その方針を伺っておきたいと思いますので、お答えを願いたいと思います。
○国務大臣(重光葵君) 日比賠償はなるべく急に片づけたいという方針で進んでおることは、たびたびこれは申し上げた通りでございます。その点は私が一般の世論をも代表しておると実は心得ておる次第でございます。最近その問題もほぼ具体的に進んでおる段階に達しております。全面的に終局的に意見がまとまったというところまではまだ参っておりません。おりませんが、不目その域に達するつもりでございます。いろいろ新聞紙上に報道もございます。そのうちには必ずしもむりん真相は伝えておるわけではございません。ございませんが、今のところではですね、従いまして、交渉が大よそまとまって、これで先方も異議のないときには、早速これは詳しく申し上げて御了解を得なければならぬと思っております。 大体私どもの考えておるのは、賠償額として五億五千ということを考えておるのであります。これは新聞紙上にも伝えられておるその点は確かです。そうして、それを二十カ年。それから経済的に互いに協力するために二億五千の借款を提供していこう、こういうような考え方によってまあこの問題を処理しよう、さようにしていきますならば、数字の問題以外に、どうしても南方の方面においては、数字以上の利害関係をこれは顧慮しなければなりませんから、さような見当のもとに進みたいと、こう考えております。むろんかようにごく大ざっぱなところの輪郭を申し上げるといたしまして、それについていろいろ御議論もございましょうと思います。思いますが、今やはりこれは一つ結末をつけさしていただきたい、こうお願いをする次第でございます。いろいろ議論が与党内にもあるということを言われましたが、その通りでございます。いろいろこれはあります。またあるべきだと思います。そういうことについて十分検討もいたしますし、また交渉上必要な資料にしなければなりませんし、そういうわけでございすますから、しばらくお待ちを願って、私が詳細御報告を申し上げる機会までお許しを願いたい、こう考えております。
○千田正君 時間がないのですが、一点だけお尋いたしておきます。 総理に最後に一点だけお伺いいたしておきたいのは、今度会計検査院からの報告によりますというと、昭和二十九年度において批難事項として国会に提出されましたところのいわゆる不正に支出された、政府が国の関係の機関を通じまして各府県あるいはその他の公共事業等に出した金が不正に使われた、架空の工事等によってまた不当支出をされたりしたような、いわゆる批難事項として取り扱われた件数がこのたび国会に報告されております。その報告の件数からみますというと、二千二百四十六件、金額にして大体七十三億円、こういう膨大な数字がいわゆる国民の血税から出された、正当にこれが使われるべきものが不正に使われている、こういうことを会計検査院から参議院及び衆議院の委員会で報告されております。これは毎度この問題が起きてるたびに、われわれは予算の執行に当りまして、十分政府が責任を持って、この問題を解決しなければならないということをたびたびわれわれは忠告をしてきたのでありますが、内閣といたしましても、もちろん責任上そういう問題の起らないことを企図してはおられると思いますけれども、年々件数がふえるということは、まことに残念なことでございまして、これに対しましては、総理といたしまして今後の予算の執行に当りまして、十分なる御注意を願いたいと思います。それに対するところの対処方針を承わっておきたいと思います。 もう一点、外務大臣に最後でありますが、お伺いしておきます。戦犯の処理はどうなっておりますか、現在残存しているところの海外にいる者もありますが、国内にいる戦犯も相当おります。これに対して各国に対してのその後の処理に対しての交渉をなされているかどうか、この点も一応御報告をお願いたしまして、私の質問を終りたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 年々に事件が増大いたしまして、ただいまおっしゃるような結果になっていることは、非常に遺憾に思っております。どうにかしてこれは減らさなくてはならない、常々われわれ一同協議をいたしております。そういうことの少なくなるように努力いたします。
○国務大臣(重光葵君) 戦犯の問題についてお答えいたします。お尋ねの戦犯というのは、これは抑留者の送還の問題ではないと思います。特に巣鴨関係のことじゃないかと思います。
○千田正君 ソ連の戦犯の数はわかっております。それから中国におるそれもわかっております。で、現在巣鴨プリズンにおって、なおかつ釈放されておらない問題についてどういうふうに思っておられるか。
○国務大臣(重光葵君) 今日調べて参ったのでございますから御報告いたしておきます。講和条約発効当時におけるその数は千二百四十四名の多数でございました。それも中華民国、フリッピン、フランス関係全員の釈放がございまして、なお関係各国の好意的措置によって、これがだんだん減少いたしまして、二月十五日現在では巣鴨抑留者の在所者は四百十二名に減少いたしました。むろんこれらの人々に対して機会あるごとに全面的釈放を強く関係各国に要求して参ったのでございます。特に米国に対しましては、昨年の八月私が渡米をいたしましたときに、強くこの点も申し入れて好意的な考慮を加えてくれるということに相なって、自来釈放の度合が進んで参ったのでございますが、そこで米国関係について申し上げれば、最初が四百一十五名でございましたのが今日では百四十五名に減少しております。しかし米国政府のそういう言質もありますし、これもそう遠くはなく解決することだろうと期待をいたしております。英国関係につきましては去年の九月十九日に同国の戦犯関係が八十名ございましたが、これを一挙に約六割に当る四十六名を釈放して、その後にさらに十九名の減刑釈放を行なってくれましたので、現在は十五名に激減をいたしておるのでございますが、これもわが方の希望を入れて遠からず解決するのではないかという期待をもっております。今度オランダ関係は、現在百十一名でございますが、オランダ関係のいろいろな日本との間の困難な問題、特にオランダの戦時中のクレームの問題がございます。これも解決をいたしましたので、その影響が非常にいいので、これも不日解決する気運に向くだろうと、こう考えております。次に濠州の戦犯に対する態度は、最初は非常に峻厳であったのでございます。講和条約発効当時の二百二十九名に対して現在は百四十名でございますが、昨年十二月十日の総選挙によって戦犯釈放に好意的な政府党が勝ったのでございますから、これを機会に先般来本件の根本的解決を強く要請しておるのでございます。濠州の政府も好意的に考えてくれておることで、この報告に接しておる次第でございます。これが全部でございます。
○八木幸吉君 総理にお伺いいたします。 第十九国会で本院におきまして原子兵器使用禁止、また最近両院で原水爆実験禁止の決議案が、それぞれ満場一致で可決され、総理もまたこの趣旨の達成に努力するとの言明がありましたことは、まことにけっこうでございましたが、私はこの問題をもっと具体的に局限して、総理の御見解を求めたいと存ずるのであります。一月十一日ダレス長官は、原水爆実験は中止しないと言明しておりますが、現下の国際情勢におきまして、実験中止が不可能であるとするなれば、私どもはこれを信託統治の太平洋水域において行わずして、アメリカ本土内において行われんことの交渉をすべきであると存ずるのでありますが、いかがお考えになりましょうか。
○国務大臣(重光葵君) この問題は、信託統治でやっては困る、それは公海に影響をもって、そしてまた他国、すなわち日本側の利益に関係することであるから、こういうことの理屈になると思いますが、そういう公海における損害を及ぼさないようにあらゆるプリクルーションをすると、こういうことでありますならば、この信託統治で実験をすることを防ぐということは、理論上これは困難な点がございます。しかし理論上困難な点があっても、こういうことは波及するところが多いから、ほかに持って行ってやれ、しかし、それならば、アメリカに持って行ってやれというのも、少し理論の合わない点もないことはないと思います。アメリカならばどうでもいいということにもなりますまい。そこであらゆる予防措置をとって、そして実験も他国の迷惑にならぬようにするということを申し入れて、かつそれに対する万一の場合の補償もあらかじめ要求しておくということが適切だろうと、こう考えて措置しておるわけでございます。
○八木幸吉君 予防並びに補償のお話がございましたが、私は原水爆の影響の問題をもう少し申し上げまして御注意をいただきたいと考えるのであります。原水爆の影響は、海水、魚類、大気の汚染のみならず、農作物にも影響を及ぼすということは、農業技術研究所が発表いたしておるところであります。それからまた放射線が人間の遺伝に悪影響を及ぼすということは、遺伝学者でだれ一人もこれを疑っておらぬと、その道の大家の駒井博士が最近発表されておるのであります。またさらに木原という有名な遺伝研究所長も一生の間に受けた放射線の全量に比例して突然変異の率が高くなる、こういうことも発表いたしておりまして、その実害の及ぼす範囲はなかなか計り知ることのできない程度の広大なものであるわけであります。かかる直接的の災害だけでなしに、民族の上にも非常に大きな悪影響を及ぼします原水爆実験は、これはどうも地理的な関係から申しまして、たといそれが信託統治の中でありましても、あるいは海流の関係、あるいは大気の関係におきましても、日本と非常に密接な太平洋地域でやられるということは、最初のかつ最大の被害者である日本としては困る、こう考えるのは、これは国民感情の上から、私、無理からぬことであると思うのであります。その結果が御承知の通り両院の決議になったわけでありますが、先ほど申しました通り、ダレスのいう通り今の国際情勢は実験を全然やめてしまうということは、これはむずかしいのだ――われわれは高い人道上の立場からこのことを要求いたしますけれども、実際むずかしいのだ、こういえば、どうしてもその実験したいというなら、これは他国のことをかれこれ日本としてはいうわけに参りませんけれども、せめて小さな爆弾でも、いつかやったようにアメリカ本土のネブラスカでやるとか、とにかく日本の近くではやってもらいたくないということは、危険水域の事前通告であるとか、あるいは事後の金銭の補償等の問題ではなくて、自分のところではやらんけれども、太平洋じゃやるのだということは、どうも日本人の国民感情から申しまして納得がいかない。決してこれは一部で伝えられるような反米思想から申すのではなくして、原水爆の実験、原水爆の禁止に三千何百万という署名者があるというこの実情からいって、やはりこれは第一には原水爆の実験はぜひやめてもらいたい。どうでもおやりになるならば、一つ太平洋上でやられるのは、今までの最大かつ最初の犠牲者である日本としては、これ以上堪えられない。どうか一つその辺もぜひくみとって、やるなら太平洋でだけはやらないでくれというところの外交上の折衝というものは、一体できないのかどうかということを、私は国民の感情の上から切実にお願いしたい、こういう意味で実はお尋しているわけであります。
○国務大臣(重光葵君) 今のお話は非常にわれわわも共鳴申し上げるところでございます。そこで日本政府としましては、実は原水爆の使用はむろんのこと、実験をもやめてもらいたい、やめるべきである、これは人道上お話の通りの理由によってやめてもらうべきであるという方針をもって進んでいるのでございます。そこで両院の御決議の趣旨も、さっそくその趣旨によって政府の意見をも加えて、そうして関係国に申し入れているのでございます。しかしながら今日の国際情勢からみて、いわば原水爆の競争みたようなことになっております、現実の問題として。一方は原水爆を武器とするということかもしれませんが、一方はこれを発達せしめて戦争をやめるというために必要である、こういうふうなことも考えているような状況で、なかなか原水爆の実験の中止とまではいく今国際的の情勢でないことは非常に遺憾と存じます。しかしながら、原水爆の性質は私どもには的確にはむろんわかりませんけれども、今お話の通りに非常にこれは大きな影響を人類に及ぼすものであることはこれは疑いをもちません。さような新しいものでございますから、ここに国際上においても新らしい分野で、いまだ国際法上のはっきりしたこれに対する規制がないわけでございます。従いまして、実験の禁止というようなことについても、国際法上の規制が今日までございません。しかしながら、これは人道上の見地からみても、あくまで私は国際法上の問題としてその禁止にまで持ってゆかなければならぬ、そういう考え方が世界にたくさんございます。それで国際連合その他の国際会議においては、そういう人道上の主張が実現するように努力することが必要であり、これが実は一番の近道だと考えます。そういう方向に向って政府は及ばずながら努力をしておるわけでございます。またその方針で進むつもりでございます。 以上御答弁申し上げます。
○委員長(西郷吉之助君) それでは先ほど中山君の御質問に対して外務大臣の答弁が残っておる分を御等分願います。
○国務大臣(重光葵君) 先ほど私のおりませんときに、中山委員からお尋ねがあったとのことでございます。それは米国議会においてラストボロフが証言をした。そうして日本の官庁内においてスパイ活動をしておる者があったというような意味のことについて証言をしておる。これは非常な重大な問題であるが、これについて、政府の見解はどうであるかというお尋ねであったそうでございます。むろんこれは非常に重大なことに考えまして、調査はむろんのことであります。どういう従来のいきさつになっておるかということをすっかり調査してみまして。元来この証言は新しいものでないことは御承知の通りでございます。従来とも報道されたところとあまり変りはございません。そこで従来の報道に基いて、政府はこれまでこの問題について十分審査をしまして、それに対する処置を講じて参ったことを申し上げたいのでございます。むろんこういうことは将来とも気をつけなければならぬ問題で、国の根本に関係する問題でありますから、あらゆる処置をとって、今後とも一そうこういうことについて万全の対策を講じて、慎重にこれに対処したい。こういうことにいたしたいと思っております。
○中山福藏君 ちょっと一点。ドムニッキーもやはりスパイ行為をやったということを証言しておりますが、これについてどうお考えであるか。
○国務大臣(重光葵君) これはそういう証言のうちにあることは、ドムニッキー氏の名前のあることは私も承知をいたしております。この問題について私は今判断する資料のないことを申し上げて私のお答えといたすよりほかに今はしようがございません。あしからずどうぞ。
○山本經勝君 私にはまず鳩山総理に御質問を申し上げるのでございますが、御承知のごとく公務員関係並びに三公社関係、それから五つの現業、それに民間労組を加えまして、日本の就業労働者のうちで六割何分を占める四百数十万という膨大な労働者が賃金のベースアップを要求しております。このことはご承知の通り。特に公務員関係並びに三公社、五現業等につきましては、法の規定、すなわち公務員法並びに公労法の規定によって争議権が剥奪されておる。そこでこれらの賃金問題の解決の方法といたしましては、調停あるいは仲裁裁定、こういう道が残されておるわけでございますが、これらの状態につきまして、今日までの経過を一応振り返ってみますというと、従来公務員法の施行あるいは公労法の施行後今日まで仲裁裁定が行われて、これが政府によって受け入れられ実施されたことはわずかに三回だといわれております。あるいは調停委員会における調停が公正に行われず、ややともすれば時の政府の権力によって左右され、あるいはまた、いわれなくして引き延ばされる、こういう状態におかれてきたことに、今回の問題の原因である非常に大きな……、これら従業員の不満が横たわっておることは、本日午前中の本会議におきまして同僚永岡議員より御質問を申し上げた通りであります。そういう状態でありますから、今日はこれらの従業員の職場から根強い不満が盛りしってきておる。これが率直に申し上げまして今問題になっておる春季攻勢といわれるものの問題点であるかと与えます。ところがこれに対しまして、政府では、全く油をかけて火をつけるような態度が今日まで繰り返されてきた。第一番に一月二十六日、すわり込み等いわゆる行動を起すなればこれは現行法規をもって取り締るという声明、これは声明ではなくて、新聞記事としてそういう声明を出すということが発表された。これも一つのアドバルーンといえるでありましょうが、一応こういうことをやっておる。それからさらに自由民主党の声明書を見ますというと、経済社会、つまり日本の経済社会を撹乱するという意味におきまして、これらの闘争といいますか、問題について、強力に政府の弾圧を要請しておる。それからさらに驚くべきことは、二月の八日に至りまして、船田防衛庁長官は、自衛隊の出動を言明しております。ゼネスト等になるなれば自衛隊を動員すると言っておる。また根本官房長官も大体同様の趣旨に立ちまして放送討論会で言明されておるのは、自衛隊の動員でございます。それからさらに労働省を中心にいたしまして、政府の統一した意見として、たとえば順法闘争などは違法である、こういう声明を二月の十一日になさっておる。こうしてさらに最後にはいわゆる警告を正式文書によって、いまだかつてないといわれるやり方が、これらの公務員あるいは公共企業体等の労働者の組織の代表者に送付されておる。こういう経過をたどって今日になり、ますます事態は解決困難な、しかも非常に膨大な影響の及ぶであろう闘争が予想されるような事態になって参りました。このような状態を考えてみますと、しまことに憂慮にたえないわけである。しかも国内において血で血を洗うような同胞間のけんかになるかもしれない。あるいは泥沼闘争になるかもしれない。こういう状態であることは率直に首相自身もお認めになるところと考えております。 そこで私はまず第一点として首相にお願いをし、また御意見を承わりたいのは、本日の本会議におきまして御質問がありまして、それにお答えになった点で、特に問題をこれ以上拡大し深刻化しないように早期に円満な解決について努力するということをお話になっておる。しかしながら単なる言葉ではこれはおさまらない。先ほどから申し上げましたように、いわゆる自衛隊の動員ということが閣僚の口からどんどん言われておる。新聞に発表されておる。公衆の席上において発表されておる実情のもとで、総理はこういう状態を、すなわち円満に平和裡に解決つけたいという希望を持っておられるとするなれば、いかなる方法でなさいますか。その点を明白に御説明をいただきたいわけでございます。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は政府が作為的にこの問題に火に油を注ぐというような形をとったということはないと確信をしております。政府としては、むろん自主的に円満な解決方法をこいねがっておるのでありまして、この問題が拡大することを喜ぶはずがありません。政府としてはできるだけ円満裡に自宅的に解決してもらいたい。ただし政府のこいねがうところは、不法行為によってこの問題のやられないことです。この問題は、やはり自主的に、不法でなく正当な方法によって、話し合いによって解決してもらいたいということを考えているのでありまして、それ以上政府の言うところは、何も自衛隊を使ってどうするということは決してないのであります。ただ不法行為の場合に、不法行為に対しては法律的の制裁を加えるということを言ったものと考えております。それ以上に政府は言うはずはないのであります。
○山本經勝君 これは二月の八日付の東京新聞で、自衛隊を出動するという、もしゼネストになればという前提はございますが、自衛隊を出動するということを船田長官がみずから言明をなさっております。船田長官は当然鳩山総理の指揮下にある一閣僚であると思う。しかも当の自衛隊の最高責任者であるその人が、いやしくも新聞紙上に公然とこのような状態を発表されたということは、私はきわめて重大であるという簡単な言葉ではないと思う。いやしくも憲法二十八条にきめられておるその実体に対してどう首相はお考えになりますか。私は今首相が言われる平和裡に円満に解決つけたいという念願については、総理に劣らぬ私も考え方を持っておる。しかしながら、このような状態で油をかけ、さらにそれに火をつけるというような状態でないといわれる根拠は、私、全く納得がいかないわけであります。この点さらに明快な御回答をお願いしたいと思う。
○国務大臣(鳩山一郎君) 争議の権利はむろん労働者にありますが、それがやはり法律を逸脱してはいけない、法律の制限内においての争議権だと私は考えておるので、それに対して法律を逸脱したる場合には行使はできないということを関係閣僚が言った場合があるかもしれませんけれども、それ以上のことを閣僚が言うはずはない。すべての人が皆円満な解決を希望しているのは事実でありますから、それ以上のことを言うはずはないと思っております。 直接に船田長官の言動について船田長官から説明がございます。
○山本經勝君 船田長官に対しましては、後ほどまたあらためて一般質問で詳細にお伺いをしたいと思う。それでただいまは総理のみに限定をいたしておきます。 そこで、ただいまの円満解決、あるいは早期解決、このことについては、申し上げるように私どもは異存はないわけです。ところが今日までたとえば調停の経過を見て参りますと、二回にわたって、調停案、成案を得て提出するまでの期間を延ばしておる。一方では現に生活問題として守らなければならぬ生活権の擁護を労働者の基本的な権利として組織の名において戦っている、こういう状態でありますからいきおいこれがただいま申し上げましたような各種の声明、これは威喝といいますか、どうかつといいますか、分裂策動といいますか、いろいろな意味において政治的反響を呼んでいる。ゼネストをやるなれば、それは革命に通ずる暴力闘争である、こういうことまで閣僚の中の言葉が聞かれるようになって参りますというと、事態はますます紛糾する一方であって、円満解決の方向に向っていないと思う。でありますから、最高責任者としての総理がどのような考え方で、どういう方針でこの事態に対処なさるのかということを、いま一度はっきりとお答え願わなければ、どうしても納得が参らないわけです。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私はただいま言った通りのことを閣僚たちから聞いておるのでありまして、円満に自発的に解決する、作為的に物事をしないというふうに聞いております。
○秋山長造君 ただいまの質問の、官房長官なりあるいは防衛庁長官が、ラジオあるいは新聞紙上において、事と場合によったら自衛隊を出動するというようなことを言ったという事実を総理大臣は御承知になっておるのかどうか、その点をまず聞きたい。 それからまた、そういうことがあり得ることかどうか。総理大臣として一つ責任ある御答弁をこの際聞かしていただきたい。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私はその事実を全然存じません。
○秋山長造君 そういうことがあっていいのかどうか……。
○政府委員(根本龍太郎君) ただいまの御質疑の中に私の名前が出ましたので申し上げます。先ほど実は内閣委員会において、衆議院で同様な問題が出ましたが、当日の放送討論会におきまして、ストライキ弾圧のために自衛隊を発動するということは全然言っておりません。問題は逆でございまして、当日の社会党の代表の一人である赤松君の方から、防衛庁長官あるいは労働大臣から、警察、さらには自衛隊まで出動するということを言っておるじゃないか、これは明らかなる弾圧である、こういうふうに言われたのです。それに対して私は、政府といたしましては自衛隊をもって弾圧するということは考えていない。しかし一般の治安の責任にある政府といたしましては、平時においても万全の措置は講じております、こういうことを申し上げた。なお更に若干関係して質問されておりましたのは、炭労の争議において、保安要員等を引き揚げて、非常に事態が危険な状況になった場合においては、そういう点についても考いなきゃならぬでしょうということを言ったときに、ちょうど時間がきたのです。そこで、わあわあと、こうなったのですが、これは御承知のように、私はこれは明らかに保安要員の引き揚げは禁止されております。従ってそういうような非常識はやらないと思います。しかしまた全然ないと言って断言するほどの勇気も私はございません。そういうことに端を発して、もし非常なる状態が発生したときには、地方自治体の長官である知事の要請がありますれば保安隊が出動するような形になっております。こういう点をもこれは考慮していくことが必要であろうと思います。しかしこれは何らストライキそのものを弾圧するための手段としてではございません。 また先ほど、今の質問には出ませんでしたが、衆議院におきましては、平時においては絶対に保安隊を出動しないように言明せよ、こういつていますが、これは無理なことと思います。たとえば災害等のときにおいて人命救助のために自衛隊が出ております。あるいは水害のとき、火災のとき、そういうのが出ております。そういうふうに、これは国民の生命、財産の安全、そういう立場からして、自衛隊の出動が国民全体の利益になるという場合においては、それは地方の要請等もありますれば、これはなすのが私は当然だと思います。しかしその問題とストライキの弾圧と関連して考えることは、ちょっと私は、ふに落ちないと思います。そういう点については、政府はストライキを弾圧するために自衛隊を出すという考えは持っていないと、こういうふうに御了解を願いたいと思います。
○委員長(西郷吉之助君) 山本君、だいぶ時間が超過しました。
○山本經勝君 ただいまの根本官房長官のお話は、つまりストライキを弾圧するために自衛隊は出さないが、その他いろいろな場合に出すことはある。その問題はストの場合に出される、ストが社会的にあるいは全国民に対して重大な影響を与えるというときに自衛隊を出されると、自衛隊を何のために出されるのか、この点をはっきり御説明願っておきたい。すなわち自衛隊をもっていわゆるストライキその他の行動によって、つまり欠員を生じた従業員の仕事を代行させるのか、あるいは自衛隊を使ってこれらの労働者を追い散らかし、あるいは実力をもって措置を講ずる、こういうことなのか。その点を明らかにしていただきたい。
○政府委員(根本龍太郎君) お答え申し上げます。 これは今から想定することは困難だと思います。災害の場合において、たとえば渡船場が全然なくなったと、そういった場合に、今までの渡船場にかわって自衛隊のある部隊がやることもありましょう。あるいはまた河川の復旧のために工作部隊が出るということもありましょう。それは、そのときどきによって考えらるべきことでございます。しかしただいま申し上げましたことは、ストライキを弾圧するために自衛隊を発動しないということだけは、はっきり申し上げておきます。
○委員長(西郷吉之助君) 山本君に一つ御注意申し上げます。時間が非常に超過しておりますから、引き続いて一般質問に入りますから、山本君が最初ですから、一応その辺で総括質問をお切り下さ。 それでは以上をもちまして総理に対する総括質問を終ります。 引き続いて一般質問に入ります。山本經勝君。
○山本經勝君 防衛庁長官にお伺いを申し上げます。 二月八日付の東京新聞に「ゼネストになれば自衛隊を出動」という見出しでもって次のように説明をされている。「自衛隊本来の使命は国内の治安維持にあるので、春季闘争がゼネストに発展して、警察力で収拾がつかず、自衛隊の出動を求められるようなことがあれば、当然自衛隊を出動すべきである」という言明があっております。このことについて、自衛隊を出される目的、並びに、いついかなる状態で自衛隊を出動させるのか、この点について具体的な御説明をいただきたい。
○国務大臣(船田中君) この問題につきましては衆議院の内閣委員会におきましても同様の御質問がありましたので、私はそのときに明瞭にお答えを申し上げておきましたが、先ほど根本官房長官からも御答弁のありましたように、ストライキ弾圧のために自衛隊を出動させるというようなことを申したことは全く事実無根でございます。新聞にどのようなことが書いてありますか知りませんけれども、しかし二月八日の午前中における自由民主党の総務会におきまして、私から自衛隊をそのために出動させるというようなことを申したことは全然ございません。
○山本經勝君 もし、ストライキ弾圧のために自衛隊を出動させるというようなことはないと、かりにありましたならば、この新聞の記事の中にはこういうふうに書いてある、「春季闘争がゼネストに発展して警察力で収拾がつかぬと、こういうような状態、こういう状態のときには出動させる」ということがあなたの談話であるのですが、これは全然根拠のない間違いなんですか、あるいはこれに類似したあなたの意思表示をなさったのか。その点を明らかにしていただきたい。
○国務大臣(船田中君) ただいま山本委員が御指摘になりましたような事実は全くございません。
○山本經勝君 それではお伺いを申し上げますが、つまり今回の春季闘争に当って、自衛隊をこの労使間の紛争あるいは争議といいますか、こうした問題については自衛隊を出動させるというようなことは絶対にないという御言明がなされますか。
○国務大臣(船田中君) 労働問題と治安とは、はっきり区別をいたしております。労働問題が労働法規の範囲内におきまして合法的に行われておるものに対しまして、これを取り上げて治安上の必要から弾圧するというようなことは絶対に考えておりません。しかし先ほど根本官房長官から御答弁のありましたように、一般問題といたしまして治安が乱れ、警察力をもっては収拾がつかない、こういうような場合においては、法規の命ずるところによりまして治安出動ということはあり得るのであります。しかし今回の場合とそれとを混同しておるようなことは絶対にございません。
○山本經勝君 そこで、いわゆる法規のワクの中で合法的に労働争議が進行している、こういう場合には絶対に自衛隊の出動、あるいはその前につまり警察力の行使と、こういうようなものはないのだと解して、まあ一応話を進めるわけであります。 そうしますと、争議の行為あるいはこの紛争の実態が正当であるかどうかということにさかのぼって参ります。順法闘争という問題につきましては、これは政府の正式発表であります新聞に載っておるところでございますが、違法であるということが内容となっております、これは二月十一日。しかしながら今公務員あるいは公社関係、それから現業関係、こうしたものの争議権というものは一応法規で禁止されておる。ストライキその他のいわゆる争議行為を行うことが現在できなくなっている。そこで仲裁裁定といったような最終的な機関の決定によって納得せざるを得ぬ状態に置かれておるのであります。その際に、仲裁裁定が行われて、それが政府に勧告される。そうしますと、その勧告が不満であるか、もしくは不満ながらもやむを得ぬとして受け取らなければならない、その仲裁裁定さえも、政府がこれを踏みにじってきた過去の経験がある。これはそれに照らして考えてみますと、仲裁裁定自身をみずからの国法として決定しておる機関でありながらも、その決定した勧告に従わなかったという事例を考えるときに、違法性というものの問題がどちらにあるのかということを率直に申し上げたくなるのであります。そこで、たとえばその場合に起ってくる実態が、つまり下部の職場居住にある組合員、従業員でありますこれらの人々の間でやるせない不満が燃え上ってくる。そうなりますと、たとえば法定の休暇をとるということはおもしろくないという不満から発生したものである。あるいは出勤あるいは退勤時間をきちんと時間通りにやっていく、あるいは時間外作業は、これは、やる、やらぬということは特別のきまりがない限りはこれは自由であるとしますと、当然そうして自由な立場に立って時間外の拒否もできる。それからあるいは鉄道なんかでは特に問題になる問題でございますが、運転規則というのがございまして、その運転規則に応じて所定のいわゆる検査なりあるいは業務を行なって運転をするのが通常である。そうしますと、これらの運転規則にのっとって厳重にその業務を法的に合法的に進める、こういうことが起る。そのことは結局順法闘争と言われるものでありますが、この順法闘争の違法だということは、一体どういう根拠に立って労働大臣はおっしゃっているのか。この点を御解明願いたいわけでございます。
○国務大臣(倉石忠雄君) お答えいたしますが、先ほど総理大臣にお尋ねになりましたお言葉の中で、ただいま公社関係で調停案が出ておるが、これを、二回も決定を引き延ばしたというお言葉がございましたが、政府はこういうものに対して関与する資格がありませんし、引き延ばしたということで政府が何か関与されたと、もしあなたが言われるならば、これは、はなはだ残念なことでありまして、調停委員会というものは裁判のような司法権はありませんけれども、あの法律によって当事者双方を拘束するということになっておるのでありますから、組合側でも、あるいは政党であっても、政府であっても、これに対して何らかの威圧を加えるがごとき態度は民主主義を解せざるものであると私は存じまして、国会でただいまのようなお言葉のあることは非常に私としては残念なことであります。政府は一回もさようなことをいたしたことはございません。 それからただいまのお尋ねでありますが、まず第一に国鉄のお話がございました。これはあなたのよく御存じのように、公共企業体労働関係法によってただいま調停が研究中でありまして、調停案は近くそれぞれ出てくるでありましょう。それで、調停に出す場合には、御承知のように、経営者側も従業員側も承知の上で調停にかけたわけであります。従って従業員も、国鉄当事者その他経営者側も、自分たちが話し合いの上で調停に出した調停案の決定を待っているという段階でありまして、その間にいわゆる何とか闘争というふうなものが行われるということは法律無視の精神でありまして、まことに私は、折角こういう法律があるのに残念でありますが、そのことはさておいて、調停案に対して不満でありますならば、当事者どちらか、いずれ仲裁委員会に持ち出して仲裁の決定があるわけであります。そこで公務法によれば、三十五条の命ずるところによりまして、仲裁裁定は当事者双方を拘束するということになっておりますが、その三十五条の条文を受けて、さかのぼって十六条においては、ただし予算上資金上支出不可能なる場合は政府はこれに拘束を受けるものではない、その場合は国会の議決を持つということであります。御承知の通りであります。従って先ほどお話のありました仲裁裁定について、政府がいつも蹂躙をして、あたかも違法なことをしておるではないかというふうな、私の聞き違いか存じませんが、これは現在の内閣だけの責任ではありませんので、もしそういうことが違法であるならば、歴代の内閣にその違法があったわけでございますが、これは違法ではございません。あなたもよく御存じの通りに、つまり仲裁裁定というものが出たときに、先ほど申しましたように、予算上資金上……金銭だけの問題であります。ただほかの待遇上の問題は、これは国会にかけて参りましたが、予算上資金上支出不可能な場合には、政府はこの決定には拘束は受けない。そこで今度は、一方、経営者の方の側になりますと、自分の方の企業内容では、これは支払ってもいいのだと思っても、その場合に政府が予算上資金上これは不可能だと言ってしまえば、経営者はいかんともできない、これが今日の立場であります。実情でありますから、これは余談でありますが、公共企業体労働関係法を改正しようということで今従業員とも相談してやっておる最中でありまして、いずれにしても、ただいまの法律はそういうことであります。そこで先ほどあなたのお話にもありました、それからまた永岡氏の緊急質問にもありましたが、過去の仲裁裁定が実施されたことはわずかに三回だとおっしゃいましたけれども、もう一ぺん御研究を願いたいのでありまして、過去二十回仲裁裁定は出されておりますが、そのうち、いつの内閣のことでありましたか失念いたしましたが、ただ一回その裁定の金額を削って国会に政府が提案をして、議決を求めたことがあります。あと八回は完全に実施されております。そのほかの十一回は期間がずれた、決定の期日よりもずれてはおりますけれども、われわれ衆議院及び参議院の労働委員の人々が中に入りまして、これは政府との間に歩み寄って、大体実施いたしておることは御承知の通りであります。 そういうことでありまして、仲裁裁定のことは、今申し上げましたように、現在は国鉄その他三公社五現業については調停を待っているということでございますから、私どもとしては、この調停案が出るまでは、いろいろ発言いたしますというと、誤解を生じたり、あるいは調停を牽制するようにとられてもいけませんから、なかなか発言いたしておりません。先ほどのお言葉の中に、この公社が順法闘争をやることは違法であると私が述べたようにおっしゃいましたが、私はそういう見解をいまだかつて発表したことはないわけであります。
○山本經勝君 同じく新聞によりますと、これもまた自民党の声明の中にも載っていることでもございますが、今回の春季闘争というのが、いわゆる政治闘争である、こういうふうに言われ、そうして、その政治闘争のために少数の幹部が大衆を引きずっているのだ、こういうようなきわめて悪らつな、いわゆる闘争に水をさすといいますか、あるいは闘争戦線の分裂を企図したような表現でもって発表が行われておるのであります。 こうなって参りますと、政治闘争というものの本質も問題でありましょうが、その前に、当面は、この春季闘争が政治闘争であるという判断の基礎は一体どこに置かれているのか、この点、同じく労働大臣に承わりたいわけでございます。
○国務大臣(倉石忠雄君) 私は政治闘争だというふうなことを一ぺんも申したことはありません。自由民主党で声明を発表いたしたことは承知いたしておりますが、それは政府を代表して労働大臣が御答弁申し上げる限りではございませんが、私が正式に今度の春季闘争について発言をいたしているのは、この国会における委員会及び本会議における言論は、これは責任を持っていたしておることでありまして、政府もまた労働大臣の口を通して申し上げる労働政策が鳩山内閣の労働政策だと御了解を願いたいのでありまして、私は政治闘争云々のことは、どういうことから言われたか存じませんが、今度のストライキが二・一ストを上回る大仕掛けなものになるだろうというふうなことが組合側から伝えられましたので、そういうようなことであっては、どういうことが起るかわからないから、そういうことについては一応の対策は講じておかなければいくまい。ことに私どもといたしましては、前段に一つ申しげたいと思いますけれども、これはしばしば申し上げておりますように、今度のいわゆる春季闘争につきましては、全労働者のやむにやまれぬ要求であると一部では申しておられますが、御承知のように総評三百二万のほかに全労会議約八十万人の方々や中立系の組合員の方々は、今度の闘争は政治的色彩を持っておって画一的な闘争をやるから、ああいう運動には反対であるという声明を新聞にお出しになりまして、反対の立場をとっておられることは、よくあなたも御存じの通りであります。 そこで、いわゆる総評でございますが、この総評の人たちが、昨年三月の京都の補欠選挙の最中に、御承知のように京都で総評の幹部会がございましたときに、この春季闘争に対する方針を決定されまして、新聞に発表されました。そこには「ゼネスト的大規模な」という言葉を、新聞によれば発表いたしておられるようでありますが、私どもはゼネストといったようなことにならないようにということで、なるべく機会あるごとにあの人たちの代表者にもお目にかかって御注意を申し上げておるのでありますが、基本的には政府はこういう考え方であります。国家公務員については、これは公務員法の命ずるところによって、違法な行為があればやむを得ず取り締らなければならない。でありますが、いわゆる御発表になりました闘争のスケジュールを拝見いたしますというと、とかく違法と心配されるようなことを書いてありますから、そういうことをおやりになって、そうして事端を繁くしてはいけませんから、政府としてはあらかじの公務員に警告を発した、こういうことでありまして、違法な行為がない限り、私どもはこれに干渉をしようとは思っておりません。民間産業の個々の争議については、政府はこれを干渉する意思は毛頭ございません。
○山本經勝君 ただいまのお話を伺っておりますというと、順法闘争は違法であるとか、いろいらな政府表明が新聞を通してなされていることは、何もそういうことをやっておらないと、こういうことになって参りますが、しかしながらこの新聞発表がいい加減なものであるかどうか、この点は私非常に問題があると思う。二月十一日の「順法闘争など違法」という声明は、これは明らかに政府の公表となっている。で、公務員諾法規の解釈もあわせてなされておりますが、これらの解釈は、いわゆる労働省として鳩山内閣の労働行政を担当するという立場から法規解釈をなさるということは、これは一応当然だと思う。しかしながら、その解釈は、これはいわゆる担当国務大臣という資格において、あるいは担当省においての一方的な解釈である。幾多法的にも疑問を残しております。で、こういう状態について、一方的に事前に、事態が発生しない以前に、本日から実力行使は始まっている。しかしながら、今日始まって、十五日から二十日までの間に起るであろう、いわゆる実力行使について、現に結果も現われていない。ところが、そういう状態の前に、前もってこういうものを予備的に警告的に発表された、こういうお話でございますが、そういうことがなされること自体が――少くとも公務員であり、あるいは公共企業体等の従業員であり、国民であります。民間の労組の労働者も、みんな国民である。しかも、もはや今日戦後十年を経て、労働組合運動の経験は身につけております。国家の財政や、あるいは国民経済の実態についても、一通りの基本的な知識はたくわえておるはずである。そこで考えますと、労働者の良識をもって、いかにすればどういう結果になるかというような事態を十分に考慮してかかっている。にもかかわらず、こういうことをなさることによって、むしろ悪い意味のいわゆる水さしじゃなくて、弾圧をするぞという、おどかしによって、戦線の分裂をはかったという受け取り方しかできないのが実態なんです。そうなってきますと、事態をますます私は紛糾させる結果になりはしないかということを憂えるものなのであります。でありますから、私は少くともこういうことがなされることが、このことをなす前に、いわゆるベース・アップを要求する労働者の実態をいま少し掘り下げて研究され、実態を正確に把握されることによって、いかにして要望を入れ、協力をさせるかという観点から解決を促進する具体的な方法を政府当局はいやしくも考えるべきである。ところが、そうじゃない。反対に、こうしたらこうやりますよというおどかしでもって、あるいはどうかつでもって戦線の分裂を企図したと言われても私は不当ではないと思う。あるいはまた先ほどのお話のように、一応いわゆるゼネストに対して直ちに自衛隊を出動させるということではないと言われるけれども、新聞にまで発表されて、そういうことが事実ないということであるならば、少くとも事態は起っていない。事態が発生していない。とすれば、そこで自衛隊を出すぞというようなおどかし、弱い労働者の下部末端を脅威に陥れるようなあらかじめ発表をなさる必要はないと思う。これは何のためにこういう発表があらかじめなされたのか、この真意は今の労働大臣の御説明では納得が参りません。重ねて懇切なお話を承わりたい。
○国務大臣(倉石忠雄君) まことにごもっともなことでございまして、私は労働大臣の嫁かに公務員制度担当という国務大臣でございますので、公務員のことについては特に注意をいたさなければならない立場でございます。卑俗な例でございますが、政府と官吏というものは親と子のようなものでございますから、できるだけこの人たちの幸福を増進するように努めるべき政府の立場でありまして、そこでもちろんその公務員、諸君の給与についても、三十一年度予算編成に当りまして、私どもはいろいろなことを調査研究をいたしました。その後官公労の代表者や総評の代表者と会見いたしましたときも、私どもの考えを十分述べました。意見の一致点はなかなか見出せませんけれども、そうやって話し合う機会を労働大臣はしばしば持っておるわけであります。そこで、ただいまのお話でございますが、私どもは昨年末に人事院勧告に従いまして〇・二五の年末手当を支給せよという勧告は、率先してこれを尊重いたしまして、その通り実施いたしました。さらに三十一年度においてはベース・アップをなすべしという人事院の勧告はございませんので、政府としてもその点については考慮することができません。ことに財政事情を考え、その他の物価の状況などを考えてみましても、政府の発表いたしました統計を見ましても、二十九年一月がベース・アップでございますが、二十九年の一月から三十年の十一月までの間の消費者物価は一・七%下回っております。小売物価は三・六%、卸売物価は五・六%というように漸減の傾向にございますし、さらに三十一年度予算編成におきまして政府は方針を立てまして、鉄道運賃は三十一年度においては上げない、消費者米価も上げない、さらにまた非常に苦しい財政の中であるにもかかわらず、低額所得者の勤労所得の税を軽減いたしたことは御承知の通りでございますから、そういうふうにすることによってかえって実質賃銀は上昇するではないか、そういうことで私どもは人事院の勧告もないことでございますし、ベース・アップは困る。そこで、しかしながら公務員法に命ずるところの定期昇給だけの原資はぜひ確保したいということで、政府は来年度予算においてその原資確保に努力をいたしたことは、本日も総理大臣が言明いたしました通りであります。そういうことでございますから、私どもとしては公務員の給与ベースは今回は上げられない、こういうことは官公労の諸君にもしばしば伝えておるところでありまして、それからまた民間産業につきましても、なるほど合化労連の所属いたしておるような産業については景気のいい利潤率の多いところもございますけれども、石炭のようなところもあります。そういうところを一斉に時期をそろえてベース・アップをやられるということはいかがかということを、ただ私どもの見解をそういう点では発表いたしておりますが、民間産業のベース・アップについてとやこうわれわれは申そうというのではありません。そこで公務員のなされる要求については、山本さんもすでによく御存じのように、公務員法には公務員のとるべき手段というものが明確に掲げてあります。公務員法及び人事院規則を尊重して公務員が行動をしてもらいたい、こういうことでありまして、それから公労協のことをただいまお話がございました。公労協のことは、本日から第一波を始めたという、ただいまのお言葉でございましたが、私どもの立場からすれば、せっかくああいう法律を作っておいたのでありますからして、その法律は先ほどのように調停が出て、不満だったらば仲裁に持ち込むべきなんです。しかるにそういう裁判的な正当なる法律上の行為を、手続をお踏みにならないで、途中で第一波といったような法の禁止してある行動をおやりになることはまずいではないか、こういうことを申しておるのでありまして、別にそのこと以外に私どもは申しておるわけではありません。
○山本經勝君 第一波という問題はいわゆる実力行使の第一波という意味ではなくて、今次紛争に関する内部態勢を、たとえば職場大会を開くとか、いろいろな意味で経過を報告し、今後結束を固めていくという意味において行なっているのであって、直ちに第一波というのが、つまり対抗手段としての第一波という意味ではありませんから御了解を願います。 それから私はさらにお伺いしたいのは、先日ある学識経験者等を含むこの春季闘争に関する懇談会の席上で言われた言葉を思い起します。それは問題をあまりにも大きくしたのは政府ではないかというのが圧倒的な意見であった。つまり今度の春季闘争というのがあたかも日本の歴史始まって以来の大問題、あるいは日本の国がひつくり返るような大問題、こういうようなふうに問題を拡大し、そうして深刻なもののごとく作り上げてきたのは、実は政府ではないかというのが、およそ集まりました多数の意見でありました。このことは何を意味するかと申しますというと、もともと静粛に法の定めにのっとって協議、交渉等が進められた。ところが何を申しましても、先ほどから申し上げました多数の声明等の前にも、昨年の十二月にすでに労働大臣のいろいろな闘争に関する意見が発表された、こういう状態を考えてみますというと、あたかも闘争に対する水さしか、戦線の分裂をはかる意図を持った政府の行動あるいは発表、こういうふうに実は受け取れて参るわけなんであります。ですから申し上げるように、少くとも問題は、なるほど参加している人員は官公労並びに民間労組を含めて膨大である。しかしながら私どもこの実態の内容を各単産別に分析して検討してみますというと、それほど歴史始まって以来の重大な事態であるとは考えておりません。これは労働大臣も十分御承知だと思う。そうしますと、あたかも革命に通ずる大闘争であるがごとき表現をもって言いふらかしてきたのは、むしろ政府であり、保守党側である。自民党の方の声明等が大きく影響をしているというふうに受け取らざるを得ぬのです。ところが一面こういう反面では、いわゆる大きく問題があればあるだけに、直接担当されている労働大臣としては取り組みがいもあるでしょう。またそれを手ぎわよく処理できたならば、いわゆる倉石労政の株が上るぞというような話まで実は飛び出した実情でございます。こういうことを考えてみますというと、むしろ今度の闘争をあたかも未曾有の大闘争のごとく盛り上げ、そうして飾り立て、アドバルーンを上げて盛んに宣伝をし、鳴物入りで拡大していったのは、むしろ政府のとった措置あるいは保守党の声明、こういったものに原因があるのではないか、こういう意見が多数であったのでありますが、私はもう一度労働大臣にこの点について十分な御解明をいただきたい、かように考えます。
○国務大臣(倉石忠雄君) 私の方から事を大きくして、ちっとも政府に利益はないのでございまして、事を大きくしたのはむしろ総評の宣伝が非常に大きかったことは御承知の通りであります。二・一ストを上回る大争議だということを最初に申されたあとでスケジュールを発表されました。二・一ストが世の中にゼネストという言葉で伝えられておりまして、これはマッカーサーが禁止したことも御承知の通りであります。それよりもなお大争議だということが伝えられれば、世間は非常に心痛することは当然でありまして、そういうようなこと。しかも御覧になったと思いますが、二月三日の共産党中央機関紙の「アカハタ」に総評の副委員長の太田君が御自分の名前で論文を書いておられます。あれを拝見いたしますというと、ゼネストであるとはおっしゃっておりません。しかしながら企業別の全産業を動員して、同一時期に闘争を展開するのだ、ゼネストという言葉の定義についてはいろいろ議論がありますが、画一的に同一時期に企業別の産業を一ぺんに争議に訴えるのは、イギリスなどでは御承知のようにいわゆるゼネラル・ストライキと申しております。私は京都で総評の方がおっしゃったゼネスト的という言葉は、それを意味しておるのではないかと思うのでありまして、そういうふうに御自分の方から発表されますから、政府としてはそういうことの結果社会に不安をかもすようなことがあっては、国民に相すみませんから、そこでいろいろなことをまあ考えた。しかしながら私どもの政府の基本的な考え方は、健全なる労働運動はあくまでもこれを育成していくのだ、健全なる労働運動の発達がなければ日本産業の復興は困難であるという認定のもとに立つのでありますから、違法なる行為をなさらないで、正々堂々たる要求をなさる、労働組合法第一条にいう正当なる労働運動については、もちろんこれに関与、介入する意思はございませんばかりでなくて、そういうまじめな労働運動の発達を期待しておるわけであります。しかるに違法な行為がしばしばかりに行われるとしますと、せっかく労働運動がここまで伸びて参りましたのに、八千万国民に労働運動に対していやだと思わせるような誤解を生じますと、大へんなことでありますから、労働組合の指導者には慎重にやってもらいたい、こういうことを言っておるわけであります。
○山本經勝君 今回の春季闘争が二・一ストを上回るという話が、私ども聞いておる範囲では、いわゆる数と規模において上回るという意味で――あの二・一ストというのは実際はゼネストであります。まったく言葉の通りのゼネストが行われる事態にあった。そうなりますと、これは相当大きな問題になったでしょう。もしまた現在でもそうなれば、そうなるでしょう。そうして問題は今回の春季闘争が参加人員において、参加単産において、こういった規模から申しまして最も大きな――しかしそのことが即日本の経済、産業を撹乱していくというようなことにはなりませんし、またそういうことを考えて、この闘争を進めておるものではない。先ほどから申し上げますように労働組合自身が十分自覚を持って国民的な立場に立って問題の解決を急いでおるというのが実相なんです。ですから決してそういうような先回りをして御心配をなさらなくてもいいような状態であるにもかかわらず、むしろ先回りをして御心配なさった、そのことの方が問題を拡大し、政治問題のごとくあたかも一般では受け取られる、こういう結果を作っておるのではないかと思う。 そこで私は最後に一点お伺いをしてまた決意を伺っておきたい。そう申しますのは、当面する問題でいろいろ派生的な問題もありましょう。特に民間労組について画一の賃金値上げは不当であると言われるのでありますが、たとえばこのことは鉄鋼も化学も石炭もあるいは繊維工業、おしなべて一定額の賃金にせよというのであれば、これは画一賃金でありましょう。しかし業態の実績や経営の実態等は今までの賃金の決定に重要な要素になってきております。従って炭鉱においてあるいは鉄鋼においてあるいは化学において、それぞれ実態に即した賃金がきまっておりますが、それらはいずれも格差がついておる。あるいはまた産業別に見ますと、同一賃金ができておるというところも実は少い。ですからもっぱら現在の姿を率直に申せば、企業経営の能力と限界において賃金がそれぞれきまってきておるものの上に、たとえば一律に二千円引き上げるとかあるいは三千円引き上げる、あるいは千円引き上げる、こういうことになりましても、そのことが即画一賃金だということにはならないと思う。しかもそのことにまで労働大臣が容喙されるということは、私は容喙しませんと言われるけれども、実際上すでに容喙なさっておる。そうしますとそれらの、今度現に交渉を進めつつある各民間産業の分野では、経営者の側はどう言いますか。労働大臣の意見はこうなんだ、日本の労働行政をあずかる政府の一人として重大な責任を持っておる労働大臣はこう言っているじゃないか、立ちどころにこのことが交渉の推進の妨げになってきます。そこでその障壁を破るためにはやむを得ず実力行使をしなければならない。私は炭労ですが、炭労の場合にやはり部分スト、あるいはその他この有効な遂行のためにピケラインを用いるでしょう。そうすると部分ストとか、あるいはピケを用いた争議行為はいわゆる暴力である、こういうことになって参りますというと、ますますもって労働者のいわゆる立ちいくすきをなくしてしまう。そういうことがむしろ闘争を深刻化し、悪化させる、こういう結果になると思われますから、この点についてはなおもう一度の御解明をいただきたい。 そうしてもう一つは、官公労あるいは民間企業であれ、その要求が不当であるというお考えなのか。そうしてなるほど要求は要求として認められるけれども、現に今直ちにできないのだ、しかしそれに対する解決のための努力として政府自身が何らかの手を打つものであるのか。そうでなくて、これは見送っておいて、いわゆる紛争になれば、官憲の力を動員して弾圧でもすると、弾圧という言葉が不穏当であれば、官憲の介入もまたやむを得ない、こういうふうにお考えになっているのか。この両方のいずれかを明白にしていただきたい。
○国務大臣(倉石忠雄君) 山本さんはすでに専門家でいらっしゃいますからよく御存じの通りでありまして、私が画一的と言うのは時期のことを申したのでありまして、もうかっておる化学工業関係や、全然赤字である炭労関係の産業を一緒に同じ時期にベース・アップをするのはおもしろくないではないかという見解を申しておるわけでありまして、ベースを画一的にせよということを言っておるのでないことは、ただいまお話しの通りであります。 そこでこの民間産業のベース・アップの闘争について労働大臣がどういうことを言うから云々というお話でございましたが、先ほども申し上げておるように、個々の民間産業の争議には団体交渉などについて介入しようとする意思は毛頭ないのであります。そこでただ私どもの気持を申しますというと、あなたもすでに御存じのように、われわれが二十九年度予算から思い切ってデフレ経済をやりましたのは、要するに国際競争力を増すために物価を安定させようというねらいでありました。幸いにして外国の好景気も手伝って輸出のバランスが黒字になってきた、ようやく安定を見てきた今日でございますからして、ここで一段と一つ日本経済の底力をつけるようにしたいと、こういうふうにわれわれが思って参りましたときであるからして、どうか一つ経営者も組合の人々もこの点に自覚を持っていただいて、もう少し一つ日本経済の力をつけるようにできないだろうか、その上でさらに私は待遇改善のことを要求しても、これは国民が納得するでありましょう。そういうことの見解を私は申しておったわけであります。 それからただいまのお話の官公労の問題でございますが、官公労が要求を出しておるのをほっておく、民間産業が事端がしげくなってもほっておくということは、私どもとしても困ることでありますから、官公労の諸君にはしばしば会見をいたしております。私が会えないときには公務員室長とかそれぞれのものに会見をしてもらって、いろいろ話し合いをして、政府の財政的立場もよく理解していただくようにやっておるわけであります。しかしながら何とかならないかということになりますというと、私どもとしては、来年度予算においては、遺憾ながら今日すでに提出してありますような予算の関係でもありますし、それからベース・アップに対する政府の見解は先ほど申し上げた通りでございますので、今のところ何ともいたし方がない。そこで将来のことについてはさらにお互いに話し合いをしていこうと、こういうことでありまして、今の政府は御承知のように、結局において使用者と被使用者との利害は一致するんだという見解に立っておりますから、私どもが就任いたしましてから労働問題懇談会を設立しましたし、また来年度予算には労働省の予算の中で、企業別に八大産業についてはお互いに企業別の労使協議会というものを政府があっせんをして、事前にそういうところで経営などについて話し合いをしていこうということを予算化して参ったような次第でございますから、十分これからも話し合いをしてやって参るつもりでございますし、春季闘争の最中でも、労働大臣は献身的にそういう話し合いをして、円満に解決のできるように努力を続けて参るつもりでございまするから、どうぞ一つ山本さんもそういう点について御援助をお願いいたしたいと思います。
○山本經勝君 労働問題懇談会あるいは各産業別の協議会でありますと、これはもうしばしば新聞で見ておる。それからまた社労の委員会で大臣が説明なさった一般行政の問題もその中に取り入れられております。そういうような状況から考えまして、懇談会あるいは協議会、こうしたものは非常にけっこうなんです。ところが、ややもすると、従来それらの機関がとかく政府の考え方・あるいは政府の考え方というよりも、極端に言えば、日経連等が特に労働関係の問題について強く政府にアッピールしておる、それらの受け売りのような形で労働省あるいは政府当局がこれに、この懇談会、協議会等に持ち込んで、これを組合あるいは労働者側に理解させるという機会に使われる以外にあまり実効が上っておらぬ。むしろそういう意味ではこの労使の関係というものは元来自主的な協議なり話し合いというものによって事前に結びついていくことが一番ほんとうだと思う。しかも今日組合法、基準法におきましては一定の基準を引かれ、そうしてまたそれに違反すれば統制を受けるというような形に置いてあることでも、むしろそうではなくて、ほんとうには事前の動きの中で話し合いでもって対等な立場でいわゆる話し合い、協議という形でもって自主的になされることが必要なんです。むしろ多額の費用をこういうところに投下して、そうして政府の予算でもってまかなう、こうしたこの種機関というのはとかく御用機関といわれるわけだ。ですからむしろそういうものではなくて、今回の春季闘争の問題にいたしましても、もしこういう費用をここに使われるあれがあるなれば、事前にもっと専門家も集めて、広範な国民の良識を集めて解決をする、いわゆる話し合いをする場所、こういったものが当然に作り得ると思う。ここらの考え方が非常に大臣とわれわれとの相違があると思うのです。しかし相違は相違といたしまして、やはり当面する問題は、好転し解決のきざしがあるというのではなくて、むしろ悪い方向に向いつつある現状です。であるからこそ今日もここで議題として取り上げていただいて審議を願っておる。ですからすみやかに労働大臣としてはこの問題に対する当面の責任者という立場に立って、解決を促進することに努力をお願いしたいと思います。 そこで大体の状態から申しまして、調停委員会の国鉄に対する調停案の提示もまだあっておらない。しかも先ほどもありましたように、引き延ばしに引き延ばしておられる実情で、一方ではその問題を引き延ばしながら、一方ではその調停案の提示も見ず、あるいはまたその調停案が不満な場合に仲裁裁定に付することもなくして、実力行使云々ということを言われておりますが、一方にも結論が出ず、いつまでも延びておる状態が、こういう事態を招来するということも十分御認識願っておきたい。 それからもう一つは、やはり問題の拡大をするような方向でなくで、やはり問題は、先ほど冒頭に御質問申し上げて、総理の答弁も得たわけでありますが、拡大するのではなくて、深刻化さす前に問題を解決さすという最後の努力をお願いいたしておきたいと思う。 以上、要望を付け加えまして、私の質問を終らせていただきます。
○委員長(西郷吉之助君) それでは本日はこの程度にいたしまして、明日午前十時から一般質問を続行いたします。 本日はこれで散会いたします。 午後四時五十一分散会