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24回国会参議院1956/02/04

予算委員会 第4号

発言数
134
登壇者
18
会派数
5
開催日
1956/02/04

会議録

西郷吉之助自由民主党

○委員長(西郷吉之助君) ただいまより予算委員会を開会いたします。  通告順に従いまして質疑を開始いたします。戸叶武君。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 昭和三十年度の特別会計予算補正の審議に当って、大蔵大臣は、豊作と集荷の好調により三十年度産米の政府買上数量が当初の予定二千二百八十六万石を大幅に上回り、三千四百二十万石を見込まれるに至り、食糧買上費、食糧管理費及び予備費の歳出予算を約千二百億円追加する必要を生ずるに至ったと説明しておりますが、政府側でかかる豊作の見通し並びにその対策の必要を感じたのはいつごろでありますか。その点を明らかにしてもらいたいと思います。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(一萬田尚登君) 私の考えでは、二月の中旬過ぎまでは従来の予算でやっていけるということを考えておりましたのですが、買上数量が急に非常にふえたというようなこともありまして、早くしなければならぬことになったと考えます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 農林大臣は衆議院の予算委員会で、二十九年度のバック・ペイを支払わないのは、三十年度の豊作予想が八月ごろついたからだと述べておりますが、従って買入数量が予定を上回ることは昨年の八月ころから予定されたことと思われますが、農林大臣の御見解はどうですか。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) この予算がいつごろということですか。バック・ペイの方ですか。どちらですか。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 この買上数量のふえたのによつて……。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) お答え申し上げます。実は例年でございますと、予約をいたしましても政府の方にこれを現物を引き渡して参りますのが、御承知の通り正月から二月、主として新正月の切りかえ等が割合に多いのであります。それをことしは天候のかげんか、とにかく非常に政府に対する現物の引き渡しが早まったのであります。それは十二月の半ばころから、急にこれはこのままではやれぬ、何とかしなければならぬというようなことを考え出したのであります。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 農林大臣は昨日は大体昨年の八月ごろ、これは大豊作でバック・ペイは支払わなくてもよいというようなことを見通しをつけたといわれておりますが、いずれにしても昨年の臨時国会で補正処置を講ずべきでなかったか。また三十一年度予算編成に当って、政府と与党間では、昨年末ずいぶん新聞をさわがせるほどもみ合っておるのでありますし、しかもその際において、この予算編成期に大蔵大臣と河野農林大臣との接近ということが新聞を非常にさわがせていたほどなんで、両大臣の間にはそのころから、もうすっかり話し合いができていたのではないかと思いますが、その点はいかがでありますか。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) 今申し上げましたように、こんなに政府に対する米の現物引き渡しが急に早くなりましたのは、実は今申し上げた通りのことなんでございまして、昨年の臨時国会当時には、これは通常国会になってお願いしてよろしいんじゃないかというようなことを考えておりましたのが、それが通常国会が始まると当初に早急にお願いをしなければならなくなったというのは、今申し上げたような事情でございます。別に大蔵大臣とこの問題では意見の食い違いがあるわけでもございませんし、そう懇談了解を求めることでもございませんので、話し合いがらくにつくとか、つかないとかいう話とは別に、そう関係はない問題なのでございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 この補正の内容を見るに、単に米の買い入れ代金のワクの問題だけでなく、過去の赤字をこの際一掃しようという企てが包まれているのではないかと感ぜられるのであります。酒米の収入増によるもの二百億、希望配給実施による歳入増が七十六億円、外米による損が十七億、砕米による損が四十二億、大麦・裸麦による損が十一億、小麦による利益が三十九億、飼料による損失が十八億、澱粉による損失が三十八億、北海道の天災による損失二億、学童給食のための一般会計受け入れが十八億、菜種による歳出増が十億というふうに、全部食管会計に入っておるのでありまして、河野農林大臣は特に飼料関係等についてはベテランでありますが、この飼料の損失というようなのは内容はどういうところにありますか。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) 政府委員からかわって……。

清井正食糧庁長官

○政府委員(清井正君) ただいまのお話でございますが、三十年度の特別会計の損益関係でございますが、若干数字の点につきましてはただいまおっしゃいました数字と違う点がございます。特に御指摘のありました飼料の点でございますが、これは御承知の通り外国の飼料の買入れと、売り渡しを食管特別会計においては取り扱っているのであります。飼料需給安定法によってやっております関係を食管特別会計を利用いたす、こういう建前になって現在動いているわけでございますが、当初の予定では外国の飼料の買入れ価格と、それからそれに食糧庁のコストを足しまして一応計算をいたしまして、さらにそれを国内の飼料の価格の状況と見合って売却を入札によっていたしているのであります。その関係で約四億程度の赤字が出るということを当初予定しておったのでありますが、本会計のただいま御説明申し上げました損益の中では、飼料による損益は二千六百万円程度に計算をされているのであります。当初の四億がこの程度に減りました理由は、主として買入価格と売り渡し価格との関係が当初の予定と変って参りました関係でございまして、主として価格の関係でこういう状況になって参ってきた、こういうことでございまして、予算による損失は二千六百万円、こういうふうに計上をいたしております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 その全部の内容を知りたいですが、時間がありませんから、それはあとにいたしまして、百六十七億の赤字のうち、百億をインベントリーでつぶし、残りの六十七億を砂糖差益金三十億円、一般会計歳入自然増三十七億円をもってしようとしておりますが、砂糖の差益金三十億と歳入自然増三十七億を食管会計の赤字補てんに充てるためには、食管会計の補正とともに三十年度一般会計予算の補正案も同時に提出すべきではないでしょうか。この点を大蔵大臣に承わります。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(一萬田尚登君) お答えいたします。仰せのうよに一般会計の補正を出しますわけでございますが、一般会計の補正は他にもいろいろありますので、食管会計より若干おくれております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 それはいつ出すか、もっとはっきり明言してもらいたいのですが、それとともに河野農相は、第一次鳩山内閣の成立した際に、精糖業者の不当な暴利を押えるために、砂糖の専売をも辞せないというような、非常な意気込みを示して国民からかっさいを拍したのですが、この砂糖の差益金を取り上げる程度に譲歩してくるまでには、いろいろな心境の変化もあったと思うのですが、いずれにしても国民は一年に百万トンからの砂糖の消費をしておるのでありまして、この外貨の割当は原糖割当というような操作によって、今まで不明朗に精糖業者の一部をもうけさせていたのにもかかわらず、今日においても精糖業者に対しての政府の施策というものは非常に手ぬるい面があると思うのでありますが、その点に対して河野農相はどういう御見解を持っておられますか。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) お説の通り私は精糖業者がかって非常な利益をあげておったということについて、はなはだ遺憾に考えまして、これを何とか適当に是正しなければならぬということを引き続き考えておるわけでございます。たまたま昨年議会に法案を出しましたところが、審議未了に終りまして、はなはだ残念に考えておったのですが、その間における利益を今回政府に納付、寄附ですが、よくそこのところは、法律上の用語は心得ませんが、それを出して、それを財源にしてこの三十億の赤字をうめるということになり、その後は御承知の通り砂糖が非常に暴落いたしましたので、その後の利益はないようでありますが、今後の処置といたしましては、今回関税の引き上げによって、その利益を大体政府に正当に吸収する、そして適当な価格に砂糖の価格を安定して、一部精糖業者をして大きな利益を得させないように公正に運用をしていくということに、今回政府で処置をきめたわけでございますから、これである程度の、私の所期の目的は達することができるというふうに考えておる次第であります。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 先ほどの大蔵大臣の答弁が非常にあいまいなのでありますが、三十年度一般会計の補正は近いうちに提出するということでありますが、食管会計の補正のみを、一般会計の補正から切り離して審議決定しても、それで差しつかえないものでありますか。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(一萬田尚登君) お答えいたします。私は差しつかえないと思っておりますが、しかしなるべく一般会計補正も早く出しまして、十一日ごろは多分提出ができると思っております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 この点をさらに法制局長官からも承わりますが、こういうことが便宜上許されてもよいというような見解を大蔵大臣も打っておるようでありますが、こういうふうにして国会の予算審議に関しての権威というものが失われるようなことがないかどうか、それは法制局としてはどういうふうに考えておりますか。

森永貞一郎大蔵省主計局長

○政府委員(森永貞一郎君) 今回の食管会計の予算補正は、食管会計自身の歳入歳出の補正でございまして、かかる歳入歳出の結果といたしまして年度未に決算上損失が出るであろうと見込まれる金額が百六十七億になるわけでございます。そのうち百億円の部分は昭和二十六年度に一般会計から食管会計に貸し付けいたしましたインベントリー・ファイナンスがございますので、その分をいずれ決算確定を待ちまして、債務免除をいたすということによりまして補てんをする予定であるわけ、でございますが、それをこえました六十七億につきましては、食管会計の健全性を確保いたしまするために、いずれ一般会計からその損失を埋めるための繰り入れ金をいたさなければならぬわけでありまして、その繰り入れを先ほど大蔵大臣から申し上げました十一日ごろ予定いたしております。一般会計の補正の際に提案いたしまして御承認をいただこうと存じておるわけでございます。この損失は決算上起ったであろうところのものに対するものでありまして、形式上は食管会計の補正と一般会計の補正が一体化しなければならぬ性質のものではないわけでございます。形式的には分離が可能であると考えておるわけでございます。しかし時間が間に合いますれば、むろんこういうものは同時にお出しした方がすっきりするわけでございますが、何分にも一般会計の方にはこの問題のほかにいろいろと補正予算がございまして、目下鋭意補正予算を準備中でございますので、数日おくれますることを御了承いただきたいと、特にお願いを申し上げる次第でございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 次にバック・ペイの問題で農林大臣にお尋ねしますが、政府は二十九年度産米価の追加払いを食糧管理法の規定に従って行わなければならない義務があると思うのでありますが、それを果さない理由を承りたい。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) ただいまお話のバック・ペイは、食管の別に規定もしくは法律で義務づけられておるものではないのでございまして、これは私、案ずるに、かつて非常に物価の高騰時代に農家から米を価格をきめて買い入れました。その後物価が非常に急激に高騰いたしまして、それをまた売りさばきするときにも政府がその米を高く売って、そうして買ったときの値段と売るときの値段と差ができる。それを物価指数によってバック・ペイをするというときから始まった行為だと思うのであります。これは確かに慣習にはなっておりますけれども、それが法律上もしくは規則で返さなければならんと、返すという約束をするということにはなっていないのでございます。で、御承知の通り昨年の米価の決定に当りましては非常に早期にこれを決定し、しかもその決定はいわゆる一万円米価を、生産費等も勘案いたしまして決定したわけでございます。その後御承知の通り、八月に豊作がわかるはずはないじゃないかという御意見もだいぶございましたが、御承知の通り八月の十五日には第一回の収穫予想もいたすわけでございます。大体従来の慣行といたしましてバック・ペイは大体八月にしておるのでございまして、そのバック・ペイをしておる当時におきましては、米価の決定、しかもそれが非常に豊作であるというようなこと等々をいろいろ勘案いたしまして、農家経済に与える影響等を考えまして、まず今年はこの程度ならば一つごかんべんを願って、農家の諸君にも一つがまんを願おうじゃないかということでいたしました処置でございまして、その点を一つ御了解願いたいと思う次第でございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 農林大臣は法律で義務づけられていないからという点を逃げ口上にしておりますが、今まで数年間続けられたこの慣習というものに対しては道義的義務があると思うのです。政治家のやはり務めというものは、法律できめられてないから、そこに義務はないというような道義観念をもってしては私は間違いじゃないかと思うのです。農林大臣は昨年の米価決定を早期にして一万円米価の中には生産費も勘案してあるということをいい、そして八月十五日の収穫の予想において大体豊作であるということがわかったので、農家経済が好転しているから二十九年度の産米の追加払いはまあ農民にがまんしてもらおうという建前で、こういう処置をとったといわれておりますが、そういう処置をとったのは農林大臣としての一個の考えでもってなされたのか、生産農民に対してどういう形においてこれは納得をさせようとはかっているのか、米価を決定する審議機関であるところの米価審議会等にはどういう形でこれを出したか、また生産農民の農業団体なり、あるいは国会に対してどういう働きかけをもって、農林大臣のこの態度というものを表明してきたか、そういう経緯を承わりたいと思います。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) お答えいたしますが、従来では別にバック・ペイをいたしますときには、米価審議会にこれをはかってやるべき行為でもございませんし、やったためしもありません。私は決して道義を、今云々されましたが、ただいま申し上げました通り農家の経済から考えましてこのバック・ペイのよってきたりました経緯から考えましても、その後物価指数に、今申し上げました通り何がしかの高騰はありましたが、大体一般に物価は横ばいであり、しかも農業生産の主たる原料でありまする肥料にいたしましても多少値を下げておるような傾向でございます。しかもそれだけをもって決して私はかれこれ申すわけではございませんが、今申しました通り、農家経済全体を通じて米価の決定もしくはその農家所得等が相当に恵まれる、今申し上げました通り平年作を意図して決定した米価が、それが三十年度においては非常な豊作であるというようなことでございますから、それらの処置を勘案し、ないしはまた消費者の立場の方を考えれば、消費者の価格は据え置きにしてもらいたいというような事情等々も考えまして、まあこの辺で農家の諸君にもがまんを願おうじゃないかというふうにしてやったのでございまして、それをどういう処置をとったかということでございますが、従来の慣行も別にそういう処置をとってこれはいたしておりません。別に何らの処置もとらずに参ったわけでございます。

西郷吉之助自由民主党

○委員長(西郷吉之助君) 今法制局長官が参りましたから答弁をさせます。

林修三法制局長官

○政府委員(林修三君) お答えいたします。私質問を直接伺っておりませんので、今加計局長から聞きましたところに従ってお答えいたします。あるいは御質問と違った点がございましたら、なおあとから答弁させていただきます。今私伺いましたところでは、要するに今度の食糧管理特別会計の補正予算を一般会計の補正予算と同時にしないのは違法ではないかというような御質問だと伺っておりますが、これは法律的に申せば御承知のように財政法第二十九条で予算はその予算外に新しい経費を支出する必要が生じた場合あるいは既定の経費に不足を生じた場合は追加予算を出せることになりますから、理由としてはそれだけあれば足りるわけであります。今回は要するに食糧を買い入れる費用が足りなくなって、そういうわけでそれに応ずる歳出、それに見合うところの歳入を今回補正に組んだわけです。で、今おっしゃいましたたとえば食糧管理会計に赤字があるじゃないか、その赤字の補てんについての一般会計との関連の問題でございます。これはもちろんそういう必要があれば、別にその補正をしなければならない必要が生ずるであろうと思いますが、これは切り離しても別に法律的に問題はないじゃないか、ぜひ一般会計と一緒にやらなければならないという理由は法律的にはないと思います。今度一般会計を出す際には、それと同時にそういう赤字処理についての補正を出す。これは同時に関連することでございますからそれでいいじゃないか、今度特に食糧の買い入れ数量の増加等に伴う不足分だけの補正をする、追加をする、それだけ独立させてやるということは法律的に何ら問題にならない、かように考えます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 農林大臣に承わりますが、百億円のインベントリーを赤字補てんに振りかえるということは重大な問題を含んでおります。従来政府はわが党の主張するような二重米価制を採用しなかったけれども、現実的には食管会計に若干の弾力性を持たせて生産者米価と消費者米価との間に一定のさやを持たせる政策をとってきたのであります。ところが今回のごとくインベントリー百億を食いつぶすことになると、食管の赤字は一掃されるかもしれませんが、今後食管会計が厳格なコスト主義に基く独立採算制をとるように進んで、生産者も消費者もこれによって苦しめられるという結果を招くおそれはないか、これを農林大臣から承わりたいと思います。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) 昨日からコスト主義とか独立採算制という言葉を承わるのですが、われわれは決してそういうふうに考えていないのであります。どこまでも米価の販売値段の決定は消費者の実情を勘案して決定すべきものであって、これについては消費者価格の引き上げをいたしませんということをはっきりと決定しております。それから生産者価格の決定は従来の方式を尊重して、それによって生産者価格の決定をいたします、こうきめておるのであります。でありますから、何もその間にコスト主義をとるとかないし独立採算制をとるのだから、生産費を上げなければならなくなりましたとか、消費者米価の引き上げをしなければならなくなりましたとかというようなことは少しも考えておりませんし、そういうことを申したこともないのでございます。どこまでも今申し上げます通りに、配給価格は従来の配給価格より引き上げはいたしま、せん。なお、外米の値下り等によりまして外米の配給価格はこれを引き下げる方針でございます。外麦についても外麦の値段はこれを上げずに、内麦の値段を引き下げるつもりでございます。内麦の買い入れ価格は従来の方式によって決定いたします。そういう生産者価格と消費者価格についてはそれぞれの事情を勘案してやるのであって、決して今申すようなコスト主義であるとかないしはまた独立採算だとかというようなことの影響を受けるということは絶対にとりません。その結果、赤字が生ずれば赤字は赤字として考えればいいのであって、現在われわれが予算を組むのに赤字は生じません。そこでこういう制度でやっておりますというのでございまして、それを国民諸君をして、食糧については政府は非常に冷淡だ、何もこれに対して補給をしないのだ、だから消費者の価格を引き上げたとか、生産者の価格を引き下げたとか、こういう非難を誤まって農民諸君もしくは消費者諸君がされるといけませんから、この点は一つ誤解のないようにお聞き、取りいただきたいと思います。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 この食管の問題を中心といたしまして、食糧政策は今重要な私は転換期に立っておると思います。政府側では、日本の経済の自立態勢を確立するためには貿易を振興させる、貿易の振興には製品のコスト引き下げが必要であるという見地から、工業部門においては産業の合理化を強行して労働賃金を押えるというふうに向い、また農民に対しては、物価の高騰の抑制を名として低米価政策をしいるような方向に向っておるのでありますが、しかし産業合磁化の過程において、この機械工業の部門においては、材料としての鋼鉄価格三割引き下げ施策というようなものが行われて、今日においてはインドその他に機関車その他の輸出というものが相当成果を上げておるのであります。この工業部門における施策と同じように、農業部門においてもいろんな保護施策が行われねばならない。たとえば肥料の硫安の引き下げとか、あるいは酪農を盛んにするためには飼料をもっと引き下げるとか、そういうようなことがされなければ、今後における農民というものは今のような米価においては生産費を償うことができないと思うのです。そこで河野農林大臣が本会議の席上において言われた言葉の中に、保護政策を持たなければならないが、しかし保護政策が要らないようにしていかなければならないというような言葉があったように記憶しております。河野さんの今の農政というものは、一本の農業革命の画期的な段階においては一つの役割を果しておると思います。一つの商業主義的な移行だと思うのです。しかしそれだけに今までの重農主義的な古い考え方とは迷うようでありますけれども、農民に対する思いやりというものが非常に欠けているのじゃないか。そういう見地からいたしましても、この食管制度に対してはきわめて慎重な態度でこれをやっていかなければならないと思うので、ありますが、河野農林大臣の言うところの農民に対するところの保護政策の限界、これを私は明らかにしてもらいたい。アメリカのような資本主義の繁栄している国においてすら、大統領選挙が間近であるせいもありますけれども、この過剰農産物の海外のはけ口と、また国内におけるその生産抑制によって土地銀行その他の施策によって農民保護というものを非常に力強く打ち出しておるのであります。こういう点から見て、アメリカよりも不利な状態に置かれる日本が余剰農産物のダンピングの市場として荒されて、農民がおびえているだけであって、これに対する具体的な保護施策というものが打ち出されていないという感じが非常に強いのです。一萬田さんも河野さんも先般アメリカに行かれて感ずるところがあると思うのでありますが、資本主義の繁栄した国においても、農民の生活を安定させ、講買力というものを相当持たせなければ、その国の産業の繁栄の基礎ができないという見解の上にたってコントロールを行なっておるのです。しかるに日本では労働者や農民に犠牲を強要して、その上に一つの繁栄をもたらそうというような旧式なこういう経済政策が農業政策の面においても出ているように見られるのですが、河野さんから御所見を承わりたいと思います。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) はなはだ意見を申し上げて恐縮でございますが、たとえば米価の決定にいたしましても、生産者価格は御承知の通り二万百六十円、これに一切の諸掛りを加えますると、おおむね一万一千五、六百円に私はなると思います。これが今の農家の手取りですから、合理的に消費者に渡る価格だと思うのであります。そういたしまして、消費者の諸君は大体二万八百円で買うわけでございます。そういたしますと、その間に石一千円の開きがあるわけであります。これを二千三百万石としても二百三十億の農家に対して、米価に対してつまり保護費が行っておるわけだと——保護と申しては恐縮でございますが、つまり補正しておる費用がかかっておるわけであります。これは消費者の負担において出ているわけであります。決して私は今日の農家がわが国において保護の対象になっていない、ただ予算の上でと今おっしゃいますけれども、予算の上の数字のほかに、たとえば食糧政策でもそれだけのことを行なっております。これはむろん外麦の関係もしくは外米の関係等からも出てきております。そういうもので、また今年の計算でいえば、先ほどインベントリーを百億くずすというものも、その差額としてこれが使われるわけでございます。そういう関係を別にして、明年度の米穀特別会計におきましても、そういう外米の値下り、外麦の値下り等を考慮におきまして、たとえばこれもはなはだ当を得るか得ないかはいろいろ議論もございましょうけれども、とにかくあまり急激に下げることもどうかということも勘案をいたしまして、私は予定しておるのでありますが、たとえばビルマの米にいたしましても、今年のビルマ米よりも明年の買付は一割二分引きということに大体決定しております。タイにつきましてもむしろそれ以上の値下げを私は期待いたしております。アメリカの米につきましても、もし買う場合におきましては同様であります。その他余剰農蔵物の圧迫を受け、これによって荒されるとおっしゃいますけれども、決して余剰農産物を入れることによって内地の生産に妨害を、悪影響を来たすというような事実は、どこにも私は現われていない。当然買うべきものを、必要なものを買っておるだけであって、不必要なものを買ってきて、それを安い値段で売って、そうしてこの方に消費を転換するというような施策は、絶対にしていないのでございます。で、今お話の通りアメリカにおいていろいろ保護政策をとっておりますこともその通りであります。わが国におきましても、私の申し上げますのは、たとえば今肥料が安くないじゃないか、えさも安くないじゃないかというお話でございますが、これには限界もございますので、私としては可能な限りの値下げを実は要求し、これを漸次実行しておるわけでございます。硫安のごとき国内でできますものにつきましては、御承知の通り昨年の六月もさらに第二回の値下げをいたしたわけでございます。一昨年の暮に下げたのは、だいぶん各方面からお小言をちょうだいしましたが、昨年の六月は委員会を経てちゃんと値下げをいたしたわけでございます。これは漸次生産の合理化を要求して、硫安についてはまだことしの六月も私は値下げをしてもよろしいと考えております。ただ外地に原料を求めます面につきましては、船賃の値上り等のために所期の目的を速成することはなかなか困難でございます。しかしこれとても値上げということは絶対に避けてゆかなければならない。カリ肥料につきましても、先般も外地に行きましたときに、十分に、ドイツ、フランス東独等と交渉いたしまして、これも産地の値は相当に下げました。ただし船賃の高騰によって所期の目的は達成できませんが、少くとも多少の値を下げるという方向に努力をしているわけでありまして、農家の生産費を合理的に引き下げるということについては、及ばずながら努力をしておるつもりでございます。えさにつきましても御承知の通り、私が大臣就任当時には、ふすまが大体八百五十円から九百円しておりましたものが、今は六百五十円前後に、少くとも二百円以上の値下りをさせておるわけでございます。しかるに先ほどお話になりました食管会計で一部負担をして、そうして外国のふすまを買い入れて、内地のふすまの引き下げに寄与しておるということで、相当畜産えさについてはある程度の、これはふすまについてもおよそ限界がございまして、大体六百円前後がふすまの価格の限界だと私は考えております。この程度まで何とか下げる、この間は下ったが、今ちょっと上っておりますが、その程度だろう。豆やその他トウモロコシについても、これは国際的な価格の影響を受けますから、国内で何としても操作が困難でございます。これらにつきましても、相当合理的にこの配給をさすことによって、いやしくも国際価格よりも高いものを内地の農民大衆が使うということのないように十分注意をいたしておるつもりでありまして、その上で、日本の農業が御承知の通り非常に恵まれない事情にございます。その主たる要素たる土地について非常に恵まれておりませんから、これを何とか適正にし、有効にこれを利用するという意味において、農民の生産意欲もしくは企画性の合理化等をはかって、そうして新しい農業、農村経営を協同してやってもらうというところに、政府としては十分な補助、保護を加えて、そうして農民自身の計画によって、意欲によって保護の農村から、保護でなしに協力をしてやっていけるという立場まで、農業経営もしくは農村生活を合理化し、引き上げていくということが理想であると私は思うのであります。しかしその道はなかなか遠い。日本の置かれておりまする、農村の置かれておりまする立地条件が非常に悪いのでございます。もしくは農村人口が非常に多いのでございますから、なかなか困難だと考えますが、何とかそういう方向にもっていくことが農業政策の基本ではないか、こう考えておる次第であります。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 三十年度の食管特別会計補正予算はほとんど農林関係のものだけでございますから、河野農林大臣にお尋ねいたします。  私は農林問題に関する限りずぶのしろうとでありますが、まず第一にお尋ねいたしますが、食管特別会計というものは大体昭和十七年に議会を通った食糧管理法に基いて発足したもので、食管法そのものはただいま申した通り東条内閣のときにできた法律であります。これに基いて食管特別会計が今日なお存続しておるわけであります。私はこの東条内閣時代の食管法を実に不愉快な感じをもって見ており、食管法は東条政策の骸骨だと考えておる。この法律は大体食管法の第一条に掲げてありまする通りに、主要食糧の確保とかあるいは経済安定のためとか、いろんなものがうたわれておるわけでありますが、現在すでに相当の時期が経過しておるのに、なおかっこの制度を維持存続せしめるためには法律はもちろん、これに基く特別会計に相当改廃すべき点が多いんじゃないかと思います。この点について何かお考えになったことがありましようか、まずそれからお尋ねいたします。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) 御承知の通り食糧の問題は、全国民諸君に毎日関係のある問題でございまして、いやしくも食糧の問題について不安を与えるようなことは絶対に避けなければならない。従ってこれが施策につきましては、どこまでも慎重でなければならないと思うのであります。そういう意味から今御指摘のありましたように、これについて改正をする考えはないかというお話でございますが、その改正につきましても、十二分に注意をして、いやしくも国民から疑惑を持たれ、もしくは不安感を生ずるようなことは避ける方がよろしいという考えのもとに、なるべく改正を具体的に避けるよりも、事実が先に進んで改正があとになるということの方がいいのじゃないか。現実が国民の納得の上にこれが推移いたしまして、それについて食管法はむしろいくというようなふうにこれからはしていくべきだ。今まででございますと、どうしても米が、戦争で食糧が足りなくなる、占領で非常に窮迫しておるということで、相当強く政治がいろいろ制約を加えていかなければならなかった時代でございますから、そういうふうに法律が先に進んでいきましたけれども、むしろ私は、昨年、施策として変更いたしまして、従来の供出制度を予約買付制度に変えた。なるべく、一ぺんやったこの制度を、いき得る範囲でいった方がいいのじゃないかというふうに考えておるのであります。もちろん御意見のような点も十分考えなければならぬと思いますけれども、今私の申し上げたような意味合いで、いやしくも国民全体に不安を与えないようにしていくということでやっていきたい、こういうふうに考えておるものであります。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 今農林大臣の、国民に不安を与えないという御意見、これはごもっともです。しかし私は、この法律あるがために、ある部分の国民に対してはかえって不安を与えておると、こう思うのです。この第一条を試みに読んでみますと、「本法ハ国民食糧ノ確保及国民経済ノ安定ヲ図ル為食糧ヲ管理シ其ノ需給及価格ノ調整並ニ配給ノ統制ヲ行フコトヲ目的トス」とありまして、国家総動員法の精神に基いてこれが戦時中に制定せられた。ところが大臣御承知の通りにただいまでは主食以外のものは相当大幅に統制が解けておる。一時せつな的にぱっと値段が上りましたけれども、それからはほとんどすべての統制をはずされたものは実に調子よく国民の台所に行き渡っておる。つまりおのずから一般に食物が配給される、統制なくして配給されておる。この実情からお考えになっても、これは私はやはり相当の時期に、ことに今日のような場合には、この法律による主食の統制は当然廃止されてもいいのじゃないか。従って私はある部分の人が、この主食の統制に絶対に反対だ、こう言っておりますけれども、どうもこの意見は食管関係職員の圧力のために、この制度をなお保存しなければならぬと考えているのじゃないか。約二万五、六千人の人がこれに関係しておるということを承わっておりますが、国民大衆から言えば、私はやはり絶対に撤廃さるべきではないかと思う。更に主食の統制撤廃は、河野農相の手によってなされるのが一番当を得ておるのじゃないか。私は今あなたのお力ででなければ、これはちょっとうまくいかぬのじゃないかとすら考えておる。どうですか、その決意があるのかどうか、あるとすれば、その時期はいつごろになるのか、こういう点をはっきりさしていただきたい。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) お答えいたしますが、決して職員の圧力でもなければ何でもございません。問題は、たとえて申しますれば、外麦と内地の麦とを比べてお考えいただきましても、外麦の方が内地の麦よりも安く入ってきます。これをどれも国内で自由に売りますれば、外麦と内麦との間には非常に価格に差が出て参ります。外麦の方が安いのであります。これを自由にしますれば、外麦ばかり要求が出まして、内地の麦の生産というものはほとんど私は極端に圧迫されて、農家経営は成り立って参りません。米につきましても、ある程度言い得ると思う。今御承知の通り配給いたしております米、すなわち台湾の米でありますとか、それからまた朝鮮から入って参りませんが、かつて中山さんも御承知の通り、朝鮮米の圧迫を受けて、米を品川の沖に流そうかといった時代もあったわけであります。これを自由にいたしまして、しかもこの方面の米の値段はどんどん下って参ります。でございますから、この外米がどんどん値下って品質も相当に改善されていくものと、内地の米との間にこれを自由に手放しにするということでは、農業経営、農業政策は私は立ちません。その意味からいたしましても、これを全く手放しするということでは日本の農業政策は立たぬのでございます。決してこれはただ単に今の一部の職員が言うとか、だれが言うとかという問題ではないのであります。この点をどういうように解決するかということが第一に必要であります。  第二には、御承知の通り、戦前は朝鮮から大体八百万石、台湾から三百万石、合せて一千万石ないし一千二百万石の米が入っておったわけであります。これを内地の農業の改善によりまして、相当に内地で、今年のように八千万石以上作ることができるようになっております。一千万石くらいの増産が可能であるようにはなっておりますけれども、その半面において人口が三千万もふえております。この事実をつかまえて見ましたときに、これを手放しに簡単にできるものではない。特に消費者の諸君の中には、統制が外れれば、やみ米がなくなって、かえって安いものが食えるというふうにおっしゃいますけれども、さてとなるとまだ不安が私はあると思うのであります。この消費者の不安が、たとえ一家で一斗でも二斗でも買いだめをされるということになりますれば、一ぺんに日本の食糧の需給は根底からくずれて、かっての米騒動時代と同じ結果になると思うのであります。そういう消費者の面から言いましても、決して不安感がない、安心して、買いだめする必要はないという事態にまで信頼性を持たれる必要がある。また生産農民から見ますれば、今申し上げましたようなことで、決して外麦の圧迫を内地の麦が受けない、外米の圧迫を内地の米が受けないのだということの不安感をなくし、決して再生産に支障のあるような、米の値段の下らないということの安心感を農民が得るような施策を十分に政府が講じまして、それが十分整った上では、なるべく私は自由の方向に向かっていくことがよろしい、よろしいということは考えておりますけれども、それにつきましては十二分の準備と国民の信頼感を得るという二つの前提がなければやるべきものではない、こう考えておるわけであります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 関連質問。中山議員に対する今の農林大臣の御答弁を承わっておると、外麦、それから外米等の、つまり国際食糧価格の値下りで、ある程度日本の農業の保護が必要であるということを前提として御議論になっておると思うのであります。そうなると、私どもが新聞なんがで見ている外米の統制撤廃を前提条件として、本年秋ごろには統制撤廃は行われるのではないかというような議論にある程度河野農林大臣は終止符を打たれたように思われるのであります。準備というのは三カ月や四カ月でできるとは思いません。だからお考えとしては私は非常にけっこうだと思うのですが、それは河野農相の今のお考えはかなり永続的な政策を示唆しているものと了解していいものですか、いかがですか。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) 私は今申し上げました通りに、決して十一月ごろに米の統制撤廃をするというようなことは考えておりません。明年度の食管会計の数字を見てもおわかりの通り、あういう方針でいくべきものだと、いすれ——まだ決して十一月になったら云々というようなことは考えておりません。どこまでも今申し上げたような既成の事実、もしくは国民諸君の了解の上に立ってやるべきものである、その了解が成り立たなければ、準備ができなければやってはいけないという考え方であります。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 大体政府は昨年の米の収穫が七千九百万石と発表されておったのですが、私の見るところでは八千三百万石はできておると、こう見ておる。農家の保有米は三千六百万石くらいあるでしょう。そこで、やみ米というのは一体大臣はどのくらい動いておるとお考えですか。私の考えでは二千三百万石くらい動いておると思うのですが、どうですか。それを確めた上で私の質問を進めたいと思います。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) これは私は申し上げるべきことではないかもしれませんが、私の一つの予想と申しますか、観測はしておるのでありますが、従来米が平年作で六千万石とれたとします。昨年は七千八百万石とれたと政府はきめております。その政府の集計いたします。数字に一割くらの——その年によって違います、去年のような年は私は少いと思います。豊作の年には少いし、凶作の年には私は多いと見ております。つまり等外米であります。砕け米であります。これが大体平均して一割くらいあるのじゃないか、多い少いはむろんありますが、それが調整によって政府の方に、むしろあまり合格米でないものが一般の調整をする際に米の中に入りまして、そうして政府にこれが供出されて、配給される場合があるといたします。そうすると、そこで、取った米が、六千万石取っても大体六千六百万石くらいのものになる。そうすると、今六千万石を対象にして供出をし、割当をし、配給をしておりますが、そこに今の六百万石という、つまり数字外のものがあるわけであります。俵ができるわけであります。それはやみに流れる。それからそのほかに農家が麦を食べその他いたしまして、無理をして出す米が何がしか出て、大体一千万石程度のものは出るのじゃなかろうかという見当を私はつけておるのでございまして、今お話のように、二千何百万石という数字は私はとうてい考えておりませんのでございます。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 大体一日一人の人間が三合食べると見て一年に一石九斗五合、これを一人が食べる。そこでざっとまず一石食べると見て、今八千九百万の日本人が、このうちには病人もいれば赤ん坊もおりますが、相当食べる人もおる。主食だけで八千二、百万石ぐらいあれば、大体主食は各家庭に分配できると思う。ここで一言しますが、日本人の食生活に対し農林省は少しも手を入れていない。ずいぶん施策がずさんだと、私個人は考えておる。何ら改良のあとが見られない。私は常に思うのですが、たとえば日本人の朝夕のお膳に上ります品物を見ておりましても、いわゆる臓腑類、魚類、獣類の臓腑類というものは全部捨てて、ほとんど顧みない、これが普通です。私は過日台湾に旅行しまして、フカの胃袋というものを食べさせられましたが、実にそれは未だかつて味わったことのないくらいいい味を出しております。(笑声)これは私は食糧政策の徹底した結果だと見ております。それで陳誠という人が、この農業や食生活改良の主任になってやっておりますが、私は、日本のお膳に上るものを見ておりますと、大体米が七割くらい占めておって、あとはいろいろな野菜類とか、魚類とか、肉類とか出ております。これをもう少し一般に申しますホルモン料理ですね、ホルモン料理というもをのに目をつけて食料の政策の改善というものをおやりにならなければ、単に米ができるとかできないとか、今年は豊作だとか豊作でないとかいうことだけを議論しておっては、日本人はこの狭い四つの島に閉じこもって、将来食っていけないようになるのじゃないか、農林大臣もよく聞いてもらわぬと困るんですよ。そこで私の言いましたように、去年の豊作は私は八千三百万石と思うが、あなたのおっしゃるところでは七千九百万石くらいでしょう。それだけあっても副食の食料改善というものができれば、外米、すなわちシャム、ビルマ、アメリカなんかから米を入れないでも、大体まかなえる方針が立てられるんじゃないかといううことを考えておるのです。魚類はなるほど戦前は六百万トン、今三百万トンくらいしか食膳に上っていないというんですがね。これなんかを米に換算して胃袋にどれだけ詰め込んだら八千九百万の人間が満足できるかどうか、詰め込んだ上になおさら外米というものを輸入する。必要があるのかどうか、こういう点はどうですか、一体どういうふうにお考えになっておるんですか。一つ聞かせて下さい。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) 昭和の十年前後までの日本の統計を調べてみますと、大体日本内地に住んでおりまする国民の平均の一人当りの消費量が、景気のいい時、世の中の景気がいい時には一石八升から九升、不景気の時で一石四升くらい食べております。食べるということのほかに工業用原料、その他酒、いろいろあります。全部の消費量を、国内消費を人口で割ってみますと、大体景気、不景気によって違いますが、一石四升から一石八升くらいまでの間を消費しております。従って今のように子供さんだとかやれ何だとかだけ計算されては困ると思いますが、大体そういう数字になるのでございます。ですから大体七千万の当時人口がおりまして七千七、八百万石の一年の消費であったはずであります。でございますから現在をもっていたしますれば、八千八、九百万人といたしまして、その当時の消費量を今なお続けるとすれば九千五百万石くらいの米が必要になってくる、こうなるはずであります。ところが御承知のように国内で六千万石とれ、外地から輸入されるものが大体一千万石、七千万石くらいの米で、あとは麦、つまり粉食を代用し、ただいまお話しになっておるような点が、十分食生活の改善運動が相当に、中山さんのおっしゃるように日本でも……、ひとり台湾たけじゃないのでございまして、苦しい中でこちらもやったのでございますから、相当に食生活は改善いたしまして、麦、粉の利用というものは行き渡っていると私は思うのであります。これは特に学童にパンを給食いたしました結果、小さい子供から年々に麦の消費量がふえて参りまして、米の消費量よりも麦の消費量がふえる。半面に大体私は、私の計算が違うかもしれませんが、やみ米の価格と麦のうどん、パンの値段が常に見合っていると私は思っております。やみ米が高いときにはうどんやパンの消費量がどんどんその勢いによって伸びてきております。ところが昨年の豊作からいたしましてやみ米が下って参りましたので、やみ米が下ったためにうどんとパンの、要するにせっかく粉食に転換しましたものが非常に消費が減って参りました。従って最近は製粉会社等の小麦の要求が順次減って、製粉会社が景気が悪いというのはそのためであると私は思うのであります。そこでどうしてもやみ米はむろんなくさなければならぬ、やみ価格は押えなければなりませんから、そこで先般農林省で実施いたしました米の希望配給価格、すなわち一升百二十円、これを私は多少下げてもいいんじゃないかと思っているのであります。その程度で生産者から買った値段に政府が必要な最小限度の経費を加えた価格、その価格で希望配給して、そうして消費者への配給と希望配給二通りにいたしまして米の点を持って参りますれば、この希望配給価格の百二十円前後と見合うところまで麦の値段を下げて、そうして値段を下げれば粉食の奨励は徹底いたします。みな今十分な余裕のある生活をしておられるわけじゃございません。非常にみなその点については深刻にそろばんをはじいて、労働者諸君でも、腹もちが一体どちらがいいか、今のやみ米を食うのとうどんを食うのと、一体どちらが得なんだということも非常にこまかく考え、みな消費の面にぴしぴしと出てくるわけであります。でございますから配給価格を百二十円と押え、それに麦の値段を勘案いたしまして、そうしてそれから作ればうどんが幾らになる、パンが幾らになる。ないしは外米の値段をそれに平均してつり合いのとれるところまで何とかして外米の値段を、外麦の値段を下げていくようにして、そうして今の内地の米とのバランスのとれるようにして、そこで食生活の改善の面に持っていきたい。  つまりパンを食い、うどんを食うようになれば、どうしても動物蛋白が入り用になって参ります。そこで畜産を振興し、水産も盛んにして、そうして食生活の改善に持っていきたいということには及ばずながら留意をいたしまして努力をいたしておるわけでございます。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 私は農林省のやっておられることについてこの予算委員会でいろいろ質疑応答が行われるのを始終拝聴しておりますが、どうも徹底した信念もなければ、これをやり抜くという決意もないように思うのです。たとえば河野農相は、昨年はどう言ったかといえば、米の統制というものを廃止しなければならぬということをはっきり世間に発表されておった。ところが今お聞きすると、これからよく研究して云々ということになって、何が何やらさっぱりわからぬことになっている。ですから私は、政府は農地の開墾よりも頭脳の開墾が第一に必要だといつも言っているのです。だから頭脳耕作というものを一つやって、内閣がもう少し適確な、総理大臣初め確固不動の信念をもって政治をおやりにならぬと、何が何やらふらふらしていて、聞く者の方では耳の鼓膜がどうかなっているのじゃないかと考えることすらある。この点十分反省なさるよう勧告します。  そこで私はお聞きするのですが、大体国民の胃袋が一ぱいになればストも起らぬ、相当減ると考えておる。ただいま申し上げます通り、米の収穫高と副食物の米に換算した量というものを合算すると、大がい八千九百万人の胃袋に一ぱいになるような方策を立てさえすれば、米の統制は撤廃してもいいと見ている。その方策を立てられぬ限りは、あなたのこれからの研究が足らなければ、一応食管法は存続しなければならぬ、こういう議論が出るだろうと思う。もう少し徹底した方策と努力というものが必要じゃないか。あなたのようなすぐれた頭脳を持った方が内閣におられることは非常にけっこうだと思うておる。どうかそういうことを十二分に御研究になっていただきたい。  時間がないといって通知がありましたから、あなたに対する質疑はこれだけで打ち切りまして、それから一つ外務大臣にお尋ねしますが、これは農林大臣にも関係ありますからともによく聞いて下さい。  補正予算説明の第三項に、漁船の再保険ということが出ておりますね。これは李ラインという根本問題を解決しなければ、幾ら河野さんがばたばたなさってもだめです。李ラインというものを突破したかどうかという問題にこれが付随して現われてくるわけですから、どうしても外務大臣によってその源泉を断っていただきたいということでお尋ねするわけです。一月二十二日の午後零時半に下関で李ラインに関係を持つ各県知事が十四名も集った。これは農林省からも係官が派遣されている。それから外務省からも行っております。これは名前もわかっているのですが、それで関係大臣として十分御承知のことと考えておるのです。そうしてそのときにいろいろこの問題について検討され、決議が行われております。大体大蔵省からお出しになりました説明書を見てみますと、六カ月間の韓国による拿捕船及び抑留者に対する保険措置をとりあえずやったということになっているんですね。それでこれは農林大臣答えられますか、この問題はあなたの方から……、水産庁に関係あるわけだから……。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) 答えられます。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 答えられますね。この六カ月とりあえずということになっておりますが、この保険はさらに状態が継続すれば、やはり同様な立場をおとりになるんですか、まずお尋ねしておきましょう。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) お答えいたしますが、こういう事態は長く続かないことを希望いたしておりますから、先般も予備費から六カ月間やりました。しかし解決ができずに続けば、またそのときに考えるということにしております。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 この十日県知事の会議では、こういうことを外務大臣言っているんですがね。この李ラインの水域で操業漁船の被害をこうむったことについて、日中協定のような、漁業に関する協定のようなものを結ぶ、その他知事の代表者並びに被害者の代表の人々が韓国に行って談判をする、それについては外務省並びに政府においては相当の援助をしていただけるかどうかということを決議しておるわけです。そういう点はどうでしょうか。外務大臣相当力を入れておやりになりますか。もし民間の協定を結ぶというようなことができるとすれば——これはできない相誤かもしれませんが、そういうことについて熱意をお持ちになっておるでしょうか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 韓国との間は政治的には中共との関係のような問題はございません。そこですべてを政府筋でやるようにしなければならぬということも私はないと思っております。そこで適当に便宜上民間でそういうことができるならば、これも私は一つの方法だと思います。ただ問題は、そうやってすぐ協定ができるかという少しは見通しもつけなければなりません。政府がこれに対して十分奨励をする以上は……。今のところではさような方法で果して協定ができるかという見込みは私にはまだつきません。しかしながら、さような協定のできるようにいろいろなことを、施策をめぐらすということは、当然これはやらなければならぬことでありますから、そのことについても十分検討をいたしております。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 私はいつも不満に思っているのです。これは外交がうまいとかうまくないとかいう問題じゃない。大体李承晩というがんこおやじを向うに回してのこれは外交なんですから、それはあなたばかりを悪く言うわけにはいかぬ、向うも悪いんです。それでそのがんこおやじを向うに回しての外交には、深く私は御同情を申し上げますが、しかしアメリカというものは何のために拱手傍観しているかというのが私の疑問なんです。これは安保条約並びに日米行政協定の線から共同歩調をとるという精神からおして、なぜもう少し親切に日本に対して行動を起さないかということが私の疑問なんです。しかも、韓国がなぜしゃちほこばるかと申しますと、アメリカからどんどん軍需物資並びに武器というものが援助によって韓国に相当渡っておる。これが石炭となって李承晩という機関車を動かしておるわけです。だから黙っておっても、この石炭さえ燃えれば李承晩という機関車が日本に向って動いてくるわけですね。その機関車をあなたの力で防ぎとめなければならぬのですから、私は同情します。そこで機関車に、石炭を運ばないようにする方策を講ずる必要がある。それにはあなたがアメリカに向って手を打って、軍需物資援助資金の供給というものを杜絶する方途を講じなければ、私はだめではないかと思う。ただ安閑としていずれの日にかこの解決はできるであろうというようなことでこれを見守っておったのでは、この保険問題というものは簡単に解決できまいと思うのです。三十年度の特別会計の補正予算というものが出ておって、漁業者の保険問題がここに起っておって、いつまでもこれは続くのであります。いつ京でも続くのでありますから、どうしてもアメリカが積極的に日韓の間を甘く解決してくれるか、あるいは李承晩という機関車に入れる石炭を杜絶せしむるためにアメリカに談判して、あなたがその手を打たれるか。これは賀川豊彦君なんかが金公使に面会して、その上で鳩山さんに会っている。あの二つの条項なんかを見ましても、久保田発言を取り消せ、日本人の財産請求権を放棄せよとかと、同じことを年中繰り返して、盆とうろうの回るようなことをやっておる。私はこの二つのただいま申し上げました手をお打ちにならなければ、いつになってもこの問題というものは結末をつけないと思う。李承晩ラインというものはマッカーサー・ラインの延長みたいなものです。北東にずっと線が引いてある。このがんこおやじを何とか説教して、彼を説き落す人があれば、それはえらいものだと思うが、これはないと思うのです。できぬと思うのです。だからこれを解決する道はアメリカ以外にないと思うのです。あなたはアメリカに対して談判する気持はありませんか。またアメリカとしてもそれだけの親切がなければ、いろいろ日本のために援助するとか、東南アジアに多大な指導をやるとかいっても、それはほんとうにから念仏にすぎぬと私は思う。その点はどうですか。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 私は根本論といたしましては、今の保険、補償の問題とは離れまして、根本論として、日韓のかような重大な争いは、私は日韓の側で解決することが一番よいと思っております。私は全力を尽さなければならぬと思っております。隣組である二つの国の関係を、たとえ重大な利害関係を持っておるといえども、すべてをあげて他国にまかせるという、やむを得なければまあそうしなければならぬかとも思いますけれども、これは根本論としては、あらゆる努力をして、両国の間で直接に解決をしたいと、こう思っております。しかしながら、まことに遺憾ではございますけれども、その私の努力は今日、一年の間実を結んでおりません。私は決してこれを等閑に付したことはございませんが、その間にもってきて、あるいは砲撃の問題が起ってきたり、漁夫はつかまえられる。こういう問題をさしあたって解決をして、全般の問題を両国の間に解決をしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。しかしながら、お話の通りに、アメリカがこの日韓の関係について非常な大きな責任を持ち、利害関係を持っておるということは、お話の通りであります。そうでありますからアメリカ側には、この日韓の問題については誤解のないように、さらに進んで日本の立場を十分に理解させる、手段は、東京においてもワシントンにおいても十分にとっております。  それからまたさらに申し上げますが、アメリカ側も非常にこのことについてむろん責任を感じ、興味を感じて、いろいろと韓国側にも接触をし、勧告をいたしておるわけでございます。アメリカ側の大体の意向も私どもも承知いたしております。それができるだけ日本側の公正な、無理を言わない立場を理解して、そうしてアメリカ側が強力にこの作用を進めていくことは希望をいたしております。さようなことがだんだん実を結べば、日韓の間の話し合いもまた進んでいくだろうという期待をいたしております。ただアメリカ側で、韓国に対する軍需品の供給なんぞを断てば、李承晩はすぐぺちゃんこになるのではないかということは、少し簡単すぎるべき御議論のように思います。アメリカ側が韓国を援助しておるのは、日韓関係だけではございません。大きな対共産陣営に対する政策からきているのでございますから、それはそうは簡単には参りませんが、しかしながらアメリカ側に十分理解をせしめて、そうしてこの問題について共同の目的を達するようにしたいということは、よく先方の異議のないところでございますから、その方針でやっておるわけでございます。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 先だって下関の会場におきまして、西岡長崎県知事がまことに大胆な発言をいたしている。十四万の韓国人を送還せい、こういう大胆な発言をいたしております。しかし私はこれについてかれこれ申し上げるのではありません。しかしそこまで言葉を発するというと迫害を受けるということがわれわれの日本人の気持には宿っております。それを押し切って西岡知事がここまで発言するということは、よほどの度胸をきめて、また被害者に対するところの同情の心の現われだと私は見ておるのですが、やはりどういう被害を受けても一つやり抜くという覚悟をきめなければ、私は日韓の関係というのは改善することはできんじゃないか。いわゆる至誠天に通ずるという、単に武力とか腕力で押えつけるべきではなくて、至誠を披瀝して、もう少し私は確固たる一つ方針で進まなければ解決ができぬじゃないかと見ております。これはただいまおっしゃったように反共、防共の関係からそういう立場をとるのだということはよくわかります。私にはよくわかるのです。これは外務大臣にその点も御同情申し上げるわけですが、今のままではこれはちょっと心細い感じを持つのです。ただそのままに放置されておるのじゃないかということすら私は考えております。御承知の通りに、ただいまこの解決できていないのが、たいぶおりますね。これは船の数から申しましても、あるいは人間の数から申しましても、相当同情すべき人々が多いと思うのですが、こういう点について私は外務大臣にお願いをしておくのです。これはもうそろそろアメリカに一つ仲裁を頼むというようなことはいけませんか、あるいはインドにですね。その方がかえって早いのじゃないかと思うのです。それをそういうことは日本の面目に関すると言っておったところが、これはらちあかぬと思いますが、大体外務大臣としてはその確信がおありになるのでしょうか。これを解決し得るということを、一言でよろしゅうございますから、御答弁を伺いたい、その点について。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) 私はこれは解決しなければならぬし、また解決し得ると、こう考えております。  それからまた米国関係でございます。米国関係には、私の本会議における外交演説の中にもその点にちょっと触れておきました。それ以上にその点について今はっきりと申し上げることは差し控えますが、そういうことについてもあらゆる私の力の、考えの及ぶ限りでございますが、考えて処理しておることだけを私の立場から申し上げます。決してこの問題を等閑に付しておるつもりでないことを申し上げてお答えといたします。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 最後に、こういうことはいかがでしょうか。直接間接のその損害賠償ということを、これは保険料を支払うということもなかなかけっこうでしょうけれども、やはり韓国に対して直接間接に被害をこうむったにつきまして賠償を取るとか何とかということについて、お考えになっておることがありましょうか、一つそれを最後にお伺いして、私の質問を打ち切ります。

重光葵自由民主党内閣総理大臣臨時代理・外務大臣

○国務大臣(重光葵君) これは交渉の内容にも関係をいたしますし、今賠償を取るとか、取らぬとかいうことを、私はこういうような席で申し上げることは、あまりに波及するところが多うございます。将来そういうことも検討して、検討してではございません。交渉の道程にあるということを申し上げておきたいと思うような、次第でございます。

西郷吉之助自由民主党

○委員長(西郷吉之助君) それでは午前中はこれにて休憩いたしまして、午後三時半再開いたします。    午後一時七分休憩      —————・—————    午後四時六分開会

西郷吉之助自由民主党

○委員長(西郷吉之助君) それではただいまより委員会を再開いまします。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 まず大蔵大臣にお伺いいたしたいんですが、前に三十年度の補正を組まないと言われまして、また補正を出して、さらに今後三十年度一般会計の補正も出されるようでありますが、先ほどの御答弁を聞いてみますと、食管の赤字補てん以外に、まだほかに補正も出されるようなお話でしたが、食管の赤字補てん以外に、どういうものの補正を出されようとされておりますか、その内容を承わりたい。

森永貞一郎大蔵省主計局長

○政府委員(森永貞一郎君) 目下検討中でございますので、まだ的確なことは申し上げる段階でございませんが、ただいま予定いたしておりますものは、食管会計の繰り入れのほかに、前国会でお願いいたしました地方に対する臨時地方財政交付金、これを後日一般会計から繰り入れることにいたしておりまして、その関係のもの、その他のものといたしましては、二十九年度中並びに三十年度中に、若干の経費につきまして不足の予想せられるものがございますわけでございまして、たとえば生活保護費、義務教育費等でございますが、それらのものにつきましてこの補正の機会にあわせて補正をお願い申し上げたい、大体そんなような心組みにいたしております。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 きょうの新聞を見ますと、三十年度のアメリカの軍事顧問団に対する交付金の増額に対する覚書を交換する、こういうことが新聞に出ておりますが、それは三十年度のあの五億六千七百万円、あれを増額することになるんですか。

森永貞一郎大蔵省主計局長

○政府委員(森永貞一郎君) 三十一年度の顧問団関係の経費に関する協定でございます。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 次に、農林大臣に伺いたいんですが、この食管会計の赤字の問題ですがね。この赤字処理について、この食管会計の今度の補正と一般会計の補正を両方出してこないということは、私はこれは非常に不当だと思うんですが、それは議論になりますからやめますが、この赤字の内容について伺いたいのです、詳細に。  と申しますのは、最近新聞を見ますると、食糧庁の汚職の問題がひんぴんとして報ぜられております。一月の二十日の読売新聞には倉庫業者と食糧庁の役人との汚職の問題が摘発されております。また一月の十四日、これは輸入米用の麻袋をめぐる収賄問題で、食糧庁の役人がまた摘発されておる。こういう点を見ますと、食糧庁について非常にわれわれは疑惑を抱くものであります。特にまた食管の赤字の問題についても、われわれはこういう倉庫業者のいわゆる中間経費の問題についていろいろな汚職があり、またこの赤字につきましても、たとえば黄変米の問題、あるいはテンサイ糖とか、その他相当いろいろあるようであります。この際そういう赤字について詳細に私はここで説明していただきたい。そうしなければ国民は食糧庁は伏魔殿ではないか、そういう疑惑を抱くのは当然であります。われわれもまたこれを明らかにする責任があると思うのです。そういう意味で、ここでこの食管の赤字、それから現在摘発されております麻袋、それから倉庫業者との問題、その経緯の詳細をここで御説明願いたいと思うのです。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) ただいま御指摘になりましたような事件が新聞に報ぜられておりますのは、はなはだ遺憾のことでございます。しかし私はその事件の内容をつまびらかにいたしておりませんので、これをここで申し上げかねますが、私が農林大臣になりましてからは、麻袋の問題はこれは食糧庁と関係がありませんように……、御承知の通り着荷買い上げでございまして、これは輸入業者が、麻袋に入ったものを倉庫に納めたものを買い上げることにいたしておるわけでございまして、もしそれが麻袋に関する事件であるとすれば、私の就任前のことではないかと思うのでございますが、よくその点は了承いたしておりません。  それから倉庫の方につきましては、これは昨年の国会で御答弁申し上げましたように、これも倉庫料の相当な引き下げを実は私はいたしましたようなわけで、これらの点につきましては、いやしくも負担の軽減をいたしますように努力をしておるつもりでございます。今ここで事件の内容を私がお答えできませんことは、はなはだ遺憾でございますけれども、何か新聞を見ましても、数年前の事件だというようなことであったようにも記憶いたしますし、またそういうようなことも実は私は聞いておるのでございますが、いずれにいたしましてもはなはだ遺憾千万なことだと、十分監督の不行き届きな点につきましては申しわけないことと存じておるわけでございます。なお、また赤字になりました点につきましては、事務局から説明いたさせます。

清井正食糧庁長官

○政府委員(清井正君) ただいま御指摘のありました食糧管理特別会計の本年度の赤字の問題でございますが、御提出申し上げました資料によりまして、損失合計が四百二十二億、利益が二百八十六億、差引百三十六億の損失になっておるのでございますが、損失の分の、まず二十九年産米、三十年産米、内麦、農産物等、持越米経費等と区分をいたしておるのでございますが、二十九年産米の三十九億、その内訳は六億と三十三億に分れておりますが、六億の損失の内訳は、これは本年度に、すなわち昨年の四月以降買いましたところの二十九年産米が五十万八千石ございます。五十万八千石の二十九年産米についての損失でございます。その分は六億あるのでございます。すなわち買い入れ価格と売り渡し価格との差額が損失になるわけでございますが、その差額に数量をかけましたものが六億でございます。それから三十三億と申しますのは、御承知の通り減収加算、二十九年産米につきまして石当り百四十円の減収加算をいたしましたので、それが三十三億ということであるのであります。百四十円に二千三百二十四万石買い入れ数量をかけまして、三十三億でございます。その合計で二十九年産米につきましては三十九億の赤字になっておるわけでございます。  それから三十年産米の二百九十二億という赤字でございますが、これは買い上げの計画が三千四百二十万石ということになっておるのでございますが、そのうち本会計年度内に売り渡すものが二千七百二十七万一千石になっておるのであります。その二千七百二十七万一千石の本年度売り渡す分についての損失をここに計上してあるわけでございます。その損失の単価が一万二百十六円と九千二百円との差額になっておるのであります。一万二百十六円と申しますのは、一万百六十円の米価に、その後いわゆる早場格差が計画よりも若干ふえておりますので、今までの計画によりますというと一万二百十六円になるだろうと一応推定いたしておりますので、一万二百十六円と、採算単価の九千二百円との差額、それにただいま申し上げました二千七百二十七万一千石をかけまして出ました数字が二百七十億、そのほかに取扱い業務費その他のこまかいものを合せますと、三十年産米の損失が二百九十二億ということになるのであります。すなわち買い入れ単価と売り渡し価格との差額に一定の政府の売却数量をかけたのが三十年産米の赤字になっているわけであります。  それから内麦の損失でございますが、内麦の損失は、御承知の通りただいま政府の買い入れ価格にコストを足しました分と、売り渡し価格の差額がございます。逆ざやになっておるのでございます。従ってその逆ざやの差額分にそれぞれの買い入れ数量をかけまして出しましたものでございます。一例をとりますと、大麦につきましてはトン当り三千四百十円の赤字になるのでございます。それに買い入れ数量の二十一万八千石をかけます。裸麦につきましてはトン当り四千円の損失になっておるのであります。それに買い入れ数量の四十四万トンをかけたのであります。それから小麦につきましてはトン当り四千八十三円の損失になっているのであります。それに五十九万トンの買い入れ数量を乗じまして、内麦の損失を計上いたしておるのであります。そのほかに昨年度から持ち越しました古麦、古い麦が、新しい麦が出ますと品質が悪くなりますので、それだけ値段を安くいたしますので、その古麦格差分がありますので、それを全体含めまして、内麦の損が五十三億ということに相なるわけでございます。  それから農産物等と申します内容は、飼料と麦製品、テンサイ糖でございますが、飼料の損失は、この間もち、一つと申しましたが、二千六百万円の損失であります。これは外国のものでございますが、外国のものの買い入れ価格にコストを足しまして、それと売り渡し価格との差額にそれぞれの売却数量を全部乗じまして出しました損失でございます。非常に詳しいこまかな数字になっておりますので、数字を省略さしていただきますが、品物はふすま、それから飼料用の小麦、大麦、とうもろこし、大豆等が中に入っておるのであります。コスト価格と売却価格との差額に売却数量をかけました数字が、ただいま申し上げました飼料だけにつきまして申しまして二千六百万円の損失でございます。それからテンサイ糖、麦製品等につきまして六億四千五百万円の損失でございます。そのうち麦製品につきましては約三億であります。と申しますのは、麦製品、主として官需用——刑務所等の官需用であります。それは幾らか安く、約三億の損失であります。それから澱粉も、政府の手持ちにしております澱粉を約二百八十万貫ばかり本年度売りまして、その澱粉がコスト価格に比較いたしまして売却価格が低うございましたのでその差額が出ておりまして、それが約一億一千万円であります。それからテンサイ糖でございますが、テンサイ糖もコスト価格と売却価格とに若干差がございまして、これも約二億三千万円ばかりの損失でございます。それらを合計いたしまして、飼料とただいま申し上げましたテンサイ糖、麦製品、澱粉、それらを全部合計いたしまして約七億の損失ということに相なるわけでございます。  それから持越米経費でございますが、これは御承知の通り、本年度は非常に多量に内地米を買い上げたそうでございまして、とうてい本年度内にはこれを配給はいたしかねますので、相当程度のものを持ち越すことになるわけでございます。それで、大体持越分の数量を約百四百トンと計算いたしまして、それに持ち越しのために金利、倉敷料がかかりますので、それらにかかりました金利、倉敷料を足しまして出しましたものが約二十八億でございます。いわゆる増加分の持ち越しに要する経費でございます。  そのほか病変米、いわゆる黄変米といわれております病変米の損失が約二億であります。それは御承知の通り、病変米につきましては二十九年度決算におきまして十五億の損失を計算いたしておるのであります。持ち越しをだいぶんいたしておりますので、相当評価減をいたしまして、二十九年度の決算におきまして十五億の損失を見込んで評価減をいたしております。その後ただいま一部を加工用に売っておりますので、今後この会計年度内に売り得る見込みの数量に売り得る見込み単価を比較いたしまして、その差額を出しましたのが二億でございます。そこでただいま申し上げました持越米の経費と病変米の経費を足しまして三十一億という損失に相なるわけでございます。  以上が損失でございますが、利益の方は外国食糧益百三十八億でございますが、これは当初に見込みました価格と実際に買い付けました価格とに相当の差がございますので、その差額につきましてそれぞれ実際の買付単価をかけまして買付数量を出し、国内の価格と比較いたしまして食糧の利益を計算いたしましたのが百三十八億であります。たとえば資料等にも出ておるのでありますが、指定外米につきましてはトン当り百七十五ドル、外米につきましては百五十四ドル、砕米につきましては九十一ドル、大麦につきましては七十四ドル、小麦につきましては七十八ドル、それぞれ前に計算いたしました単価と比較いたしまして相当の減額の価格になっておるのであります。その価格差に買付数量をかけまして、その総額と国内に売り渡す価格との差を計上いたしましたのが百三十八億ということになっておるわけでございます。  それから酒米等の売却益でございますが、これは酒米につきましては約百二十万石を酒用に一般配給よりも高く売っておりますので、百二十万石を一般配給より高く売りました分の利益を見たものでございます。その利益が五十一億でございます。それから業務用の方は、これは御承知の通りただいま業務用を売却いたしておるのでありますが、業務用を一般の価格よりも高く売っておるのであります。大体政府が一升百二十円見当で売っておりますので、それと一般配給との差額に業務用に売却し得る見込みの数量をかけまして出しました利益が約一億でございます。  それから雑収入の利益四十三億、これは延納を認めております場合の延納の金利、それからビルマから米を買いました場合のいわゆる返還金と申しますか、他国に安く売った場合にはその差額を日本に返還することになっておりますが、その返還金であります。そういったこまかい収入を計算いたしておるのであります。  それから希望配給益、これもただいま申した通り、希望配給をいたしております分の一般配給よりも高い差額の分について、希望配給数量をかけまして希望配給益を出した、こういう計算になっておるわけでございます。  従いまして益合計二百八十六億、損失合計四百二十二億、その差額が今年度の百三十六億という差引の損失になっておる計算に相なっているわけでございます。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 この農産物等の赤字についてはただいま説明を聞きますと、コスト価格よりも販売価格の方が安いと、それで損が出るんだと、ただそういう説明だけなんです。で、コスト価格よりなぜ売却価格の方が安いのか、それは詳細な私は資料を出してもらいたいのです。その売却価格というのはほんとうに適正に売ってそれが安いのか、不当に安く売っておるのか、そういうところが問題になるのですね。ですからそれはわれわれ判断しなければなりませんが、コスト価格と売却価格、これを詳細な資料として出してもらいたい。  それからもう一つは、病変米の方について、との損失はもうこれで計上しなくてもいいのかどうか、その点もう一度……。

清井正食糧庁長官

○政府委員(清井正君) ただいまの前半の方でございますが、それはただいま売っております農産物は全部入札で売っておるのであります。従って時価を反映いたしておりますので、時価が非常に低い場合におきましては勢い低く売らざるを得ないという事態がございますので、販売価格がそういうふうに実際上実施されるということになっておるわけでございます。なお詳細な点につきましては、後ほど資料を提出いたしたいと思います。  それから病変米の件でございますが、それはただいま約十三万トン手持ちをいたしておりますが、これにつきまして申し上げました通り、二十九年度すでに十五億の損失を計上いたし済みであります。本年度はただいま申し上げましたように、ある程度高目の価格で一部に売り得る見込みがついておりますので、従ってそれを本年度は当初低く見積っておりますので、それで二億程度にとどまるだろう、こういうふうに見ております。三十一年度につきましては若干損失が出るものというふうにただいま計算をいたしております。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 時間がありませんから次に伺いますが、中間経費というのはどのくらいのものなんですか、それで今度の補正で中間経費は変化がないのか、どうか……。

清井正食糧庁長官

○政府委員(清井正君) 御質問の点にぴったりお答え申し上げることはできないかもしれませんが、先ほどちょっと申し上げました点に触れるのでございますが、食糧管理費等につきまして相当な増額になっておるのでありますが、これは主として買い入れの数量がふえたことによりまして、運賃、保管料等の業務費がふえておるのであります。そこで私、どもその当初に運賃、保管料等につきまして相当の単価の引き下げを行なったのであります。その数字によりますというと、運賃につきまして節減見込み額が約七億七千九百万円の運賃の節減を見込んだのであります。とこころがそのときの買い入れ見込みが三千三百五十万石であったのでありますが、買い入れ数量がふえましたために、単価は減りましたけれども、全体の運賃額がふえまして、結局二億三千百万円の増になったということになりまして、その分で五億四千八百万円の減になっておるのであります。しかしその中に輸入食糧等の差額も含まれておるのでございます。また保管料等につきましても、単価六千八百万円の当初の数字では減額を見積っておりました。ところがその後買い入れ数量の増に伴いまして、十五億六千二百万円の総ワクで、保管料がふえましたので、差引十四億九千四百万円の保管料の増になっておるのであります。その他集荷業務取扱費につきましても同様の、十五億の増になりまして、結局食糧管理費といたしましては、当初単価を節減することによりまして九億七千八百万円の総ワクで減にするつもりでありましたところが、買い入れ数量がふえたことによりまして、結局それが三十一億六千三百万円の増になったのであります、従って内地米だけについて計算いたしますというと、二十一億八千五百万円の増に相なったのであります。当初の単価は節減いたしたのでありますが、数量の増の結果、食糧管理費といたしまして内地米についてのみ申しますというと、二十一億八千五百万円の増に結果としてはなってきたと、こういうふうに相なった次第であります。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 今の御説明を聞いても中間経費は相当ふえてきている。しかも保管料は年間まあ十億以上に上るといわれているのですから、決してこれは少くない額であって、しかも全国約千二百の倉庫業者のうち、毎年半数が契約している。そこで食糧倉庫業者は奪い合ってこの輸入原麦、外米等の保管についてこれを契約したがる。それで食糧庁幹部に多額の贈賄、供応を行なっていたことがわかった。それでこういう倉庫業者と食糧庁の役人との汚職が摘発されたのですが、先ほど河野農林大臣は、極力そういう中間経費を減らすことに努力すると言っておりますが、しかし具体的にいろいろなことを外部から聞きますと、非常に私はむだがあるように思うのです。たとえば横浜に着く小麦ですね、小麦はいわゆるターミナル倉庫というのですか、これはどこに入るのだか、農林大臣にお伺いしたいのです。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) これは神奈川県の食糧事務所でそのときの県下の倉庫事情を勘案して、それぞれ指図をしてきめておる、こう思っております。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 どういう倉庫に入るのですか、御存じのはずですよ。……それではいいです。またあとで詳しく……。湘南倉庫というのがあるはずですが、湘南倉庫というのは河野さんの弟さんが社長さんをやっておるのです。そうしてそこに外国から輸入した小麦が保管されて……、そうして聞くところによると、そこに保管しないで、近所にある製粉業者に、これを消毒したあと配給した方が便利であるという声も聞くのですが、しかし一たんとにかく河野さんの弟さんの社長をやっておられる湘南倉庫に入って、そこで保管料を払って、あるいはまた荷役料等を払って、そうして製粉業者のところに行く。そういう中間経費についてはわれわれ非常にどうもむだがあるのではないかと、こう思うのです。そうしてまあ倉庫業者と食糧庁の役人との汚職というのが出ておりますので、われわれはそういうむだがないように、予算の審議についてもこれは監視しなきゃならない。こう思っておるのですから、そういう点ですね、非常なむだが私はあると思うのです。そういう点を伺っているわけです。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) 私の弟が倉庫会社の社長をやっているということは私聞いておりますが、横浜にはそういう倉庫を持ってないのじゃないかと思っておりますが、よく私は詳しいことは知りませんが、今せっかく御指摘でございますけれども、私の郷里の平塚の方で倉庫会社の社長をやっているということは聞いておりますが、その倉庫が横浜にあるということはあまり私よく知らないのでございますが、一々そこへ入れて消毒して云々と、そういうことはないのじゃないかと思っております。今申し上げた通り、私も一々そういうことはよく存じませんが、各港の、所在の食糧事務所長が、それぞれを勘案して船をつけて入れるということになっておりますし、よく取り調べて、一つそういうことがありますれば、絶対そういうことのないよう注意をいたします。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 それは横浜と言ったのは間違いで、神奈川にあるんです。ですからよく調べてもらいたいと思うんです。製粉業者の、ある種類の製粉業者の間ではわざわざそこに一たん持っていって、(国務大臣河野一郎君「そんなことはないですよ」と述ぶ)いや、それは調べて、ですからそうして事実でなければ事実でないように……。(国務大臣河野一郎君「調べてみます」と述ぶ)そういう話を私は聞くんです。こういう倉庫業者と食糧庁の役人との汚職事件、こういうことがなければ何も問題にしないんです。しかしこういう問題が起っていますから、われわれはそういうことをよく調べなければいけないのであって、中間経費中間経費と言って、これが非常にむだに使われるのじゃないか。あるいはまた麻袋の問題、こういうことをわれわれ聞きますと、ことに食管会計は非常にわかりにくいんです。ですから非常に疑惑を抱かれるのではないか。こういう疑惑を抱かれるのですから、そうでないとしたらこういう点は詳細に調べられて、そうして明らかにしていただきたいと思うのです。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) 先ほどもお答え申し上げました通り、麻袋につきましては、これは政府は麻袋に入ったものを買うのでございまして、麻袋に入れて、ちゃんと倉の中に納めたものを、着荷したものを買い取るということに……、その前は船で、本船で買った。本船で買ったときには麻袋は政府がこれを持って、そうしてその袋へ詰めて、それから先は政府持ちである。そこに非常におかしなことがありましたから、いろんなことがあるように思い、むだな経費もありましたから、今ではそれをやめまして、そうして全部これを倉庫に詰めて、詰め上ったものを買うということにしておりますので、麻袋としいて関係があるといえば、政府がその麻袋を払い下げするときに関係があるかもしれませんし、いずれにしてもよく取り調べをいたしまして、注意いたしますが、それが、麻袋の払い下げ価格は、米屋の方で幾らということにきまっておりますから、それから先は政府としてはあまり関係がない。それが一回り、政府が袋に入れたものを製粉業者、米屋に幾らで、公定したものを渡します。入ったものを渡します。でございますからそれが一回り回って、詰められたものが倉庫に入って、倉庫に入ったものを買うのでありまして、直接今の役人と麻袋業君とは関係がないということに現在ではなっているわけでございます。  それから一方の倉庫につきましては、今その点御指摘でございますが、昨年の夏だったと記憶いたしますが、私は全国の倉庫連盟の代表者を呼びまして、倉庫料について引き下げをしてくれ、一割倉庫料を下げろということを厳重に交渉いたしましたが、その後事務当局の折衝によって、五%去年引き下げをさしているようなわけで、極力御趣旨に添うように努力は続けてきているわけでございますから、なお至らない点につきましては、今後十分注意をしてやるつもりでございます。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 時間がもう非常に迫りましたから、あと簡単に伺いますが、先ほどの御答弁で、河野農林大臣は米の消費者価格は引き上げない。それは三十一年の米穀年度について、三十一年十一月以降においてもこれは引き上げませんか。新米穀年度の十一月以降です。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) 政府といたしましては、将来にわたって現在は消費者価格は上げないという方針を堅持しておるわけでございます。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 しかし新米穀年度から配給を一律十日に切り下げるという話を聞いております。そうしますと、大体内地米の配給使用量は二千万石弱になっておる。実際の集荷量が二千万石弱をこえる場合は、その超過分を希望配給値段で、配給する。こういうことになれば、配給量が減れば、実質的に消費者価格の引き上げになるのじゃないですか。そういうことはあり得ないかどうか。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) 大体全国の配給を平均にして十日ということにいたしておるわけでございまして、その値段は、配給価格は既定方針通り。そのほかに外米について引き下げをいたしますから、多少その引き下げの仕方、外米の、取扱い等については多少のでこぼこがありますが、総じて消費者値段は軽減されるという方針をとっておるわけでございます。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 どうして軽減されるのですか。配給日を切り下げて、そうして消費者値段が軽くなるのですか。希望配給で買う量が多くなるのでしょう。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) 従来都会で八日であったものを十日にふやします。ただし生産県は十五日であったものが十日になります。なりますけれども、いずれにしても政府の勘定としては大体そういう方向でいくことがいいのじゃないか、こう考えております。

西郷吉之助自由民主党

○委員長(西郷吉之助君) 木村君大分時間が経過しましたから。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 それじゃあと次の機会に聞きますが、余剰農産物によって河野農林大臣は日本の農業は圧迫されているような事実がないということをさっき断言されました。しかしタバコについてはどうでしょう。これははっきり圧迫されている。私この間岡山の専売局の倉庫を見せてもらいましたが、ピースやあるいは光など高級物が売れないで倉庫に一ぱいある。黄色極の岡山産の葉タバコが詰っている。その上にアメリカ余剰農産物の葉タバコ  三年間のストックがあるということで、そのために葉タバコの増産計画はおそらく中止されていると思うのです。その上にまた一九五六年の余剰農産物輸入によって葉タバコを買うことになるのでしょう。これでは日本の農村は圧迫されていないとは決して言えない。その他についても私は問題があるのですけれども、その一点だけでも問題じゃないかと思う。その点いかがですか。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) 葉タバコにつきましては、大体従来ある程度枯して使うというようなこともあるそうでございまして、ある程度ストックはあるのでございます。従って明年度に買いますものは昨年の半額を買うのでありますから、私はタバコの一年の消費が半分に減るということはなかろうということで、決して余っているから……。前年度通りということならばそれはそういうことになるかもしれませんが、そういう実情も勘案して前年度の半分ということにいたしたわけでございますから、決してそれによって内地のタバコの生産を圧迫するということになっていかないと、こう考えております。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 増産の中止と言ったのです。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) 増産は、これはタバコの方が利益がよろしいから一般の米麦農家がタバコの耕作の方に転換をする要求が強いということは、農業政策上私は考えなければいかぬということで、タバコ耕作と米麦耕作との間に適当な政府としては価格政策を考えなければいかぬということに実は考えて、昨年もそれらの価格政策についての調査も実はいたしたようなわけでございまして、この点につきましてはまた別に考慮があるのじゃないか、こう思っておるわけであります。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 最後に……。これだけで質問を終りますが、今度砂糖に対して関税を引き上げる、それでこれは砂糖の超過利潤をとるかわりに関税引き上げによって、そうして増収をはかるということなんですか。もしそうなると、これは超過利潤を歳入に予定する趣旨と全く反してくるのじゃないかと思う。関税を上げれば消費者に転嫁されます。これは何も砂糖会社の超過利潤をとることでなくて、どういういきさつか知りませんが、結局消費者に転嫁しておる、こういうことになるのじゃないですか。それでは超過利潤をとるということにはちっともならぬ。何か今まで砂糖会社の不当の利潤を政府がとり上げて、そうして必要なものに使うというふうにいわれておりますが、関税の引き上げだったら消費者に転嫁されて、ちっとも今までの趣旨と沿わない。これは非常におかしいことと思うのです。  それからもう一点、大蔵省の方に伺いたいのですが、今度の食糧証券千六十億発行限度を拡張して、そうしてその割引料ですか、二十四億一千五百万円計上されておるわけです。この金額は少しどうもそろばんをはじいてみると多過ぎるように思うのですが、どういう計算をしてきているか、その積算の基礎を伺いたい。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) ただいまの砂糖の点でありますが、こういうことになると思うのであります。砂糖の価格の安定値をきめますことは、輸入量によってある程度操作ができる、これは御了承願えると思います。そこで農林省といしましては、さつまいも、澱粉等から勘案いたしまして、おおむね七十五円見当を適正な価格にいたしたい。これは従来の価格でございます。そこらに安定することを一番期待する。そこらに安定するように輸入の見当の操作をしていこう。なお、その操作については万全を期する意味においていろいろこれに付加した施策も行おう。そこで七十五円曲後に砂糖を安定いたしますれば、そこに精糖業者も利潤が生まれてくる。その利潤は関税で吸収してよろしいということでございまして、消費者に転嫁とおっしゃいますけれども、消費者は従来七十五円もしくはそれ以上の砂糖の時、代をずっと経過してきておるのでございます。その当時精糖業者は相当の利益をとっておった、こういうことでございます。それでわれわれの農産物の関係から申しますと、それよりも下りますと、あめ、澱粉の関係からさつまいもの生産に支障をきたしますから、大体七十五円ぐらいには維持いたしたい。その意味から七十五円前後に維持すれば精糖業者がそこで利益が多くなり過ぎますから、それを計算して、大体関税でとれば吸収できるだろう、一番簡単にいくだろうということで、その処置に同意いたしたわけであります。

森永貞一郎大蔵省主計局長

○政府委員(森永貞一郎君) 食糧証券の割引差額でございますが、千六十億は、これは年度末にこれだけ増加するということでございまして、二十四億の積算に当りましては、十二月までの実績が発行差額七十八億でございます。その後一、二、三月の連月の発行見込額を積算いたしまして、一月が十一億、二月が十億、三月が約七億、合計発行差額が百六億ぐらいになるわけでございます。当時の予算が八十二億ございましたので、差額といたしまして増加いたしますものは二十四億ということで積算いたしておりますが、なお後ほど詳しく御説明申し上げてもけっこうであります。  なお、この機会に、先ほどお答えいたしましたことが若干間違っておりましたので、訂正させていただきます。軍事顧問団の経費は、やはり三十年度の経費に関する協定でございます。もう一つ三十一年度についての協定、実質的な協定を済ましておりましたので、それを混同いたしました。三十年度の協定は、これは今年の軍事顧問団の経費が五億九、十万ございまして、うち五億四千万は顧問団に交付金として渡す、五千万が、軍事顧問団の住宅を住宅公団に管理させることになっておりまして、公団の方に渡すということになっておりました。ところが住宅の管理を予算のときには一月から住宅公団に移すつもりでおりましたところ、いろいろな都合でその移す時期が二月の半ば以後、末ごろになる予定でございます。そうしますと、公団に渡すつもりでおりました金を顧問団の方へ振りかえないと支障を来たすということでございしまして、内部での振りかえをいたしたものでございます。経費の総額には移動はございませんわけでございます。従いまして補正等の問題には影響はございませんのでございます。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 時間がありませんから。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 漁船再保険特別会計に関する補正に関連をいたしまして、李ラインの問題についてお尋ねをいたします。外務大臣病気がひどいものでありますから、次官でも代りからでもけっこうでございます。李ラインについて……。  それじゃ外務関係はあとにいたしまして、この拿捕漁船船員に対する補償関係についてお尋ねいたします。出ておりますこの補正の中身をなす給与保険についてはわかるのですが、しかし、これはまあ前の話がございませんからあれですが、公海において漁業をやっておる、それを納得できない理由で拿捕する、言いかえると、不法に拿捕して、そして連行される、そこでその船あるいは船員に対してどういう取り扱いをするかという問題が補償の問題だと思うのでありますが、保険によって、自分たちがかけた保険料で生活が見られる、あるいは一万五千円との差額三分の二、しかも六カ月という、こういうことになっておるようでありますが、それでは政府の責任を十分に尽したものとは言いがたいと思うのであります。韓国から全部の補償をいたしますか、そうでなければ、政府から全部について補償するというのが建前ではなかろうかと思うのでありますが、原則、それから実際の措置に対して不満の意が表明されておりますだけに、建前を明らかにしながら所見を承わりたいと思います。これは農林大臣から。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) 韓国関係の賠償補償の問題は、これは外務大臣からお答えを願った方が適当だと思うのであります。私よくわかりませんですが、それとは別個に国内関係におきましては、今御指摘になりました通りに、保険のかかっておりますものは保険によってやる、そうでないものにつきましては、昨年末にそれぞれ政府といたしましては適当な保護助成の形式をとったわけでございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 それじゃ何と申しますか、問題はまあ水産庁なり農林省の責任だと思うのですが、あまり小さいことを聞いても御存じないようですから、もう少し大きいところで伺いますが、この李ライン云々ということで起っております問題について、これは自民党でも対策委員会を持っておられます。あるいは政府でもおそらくこれはお考えになりましたろう。昨年末のごときは、政府が何にもやってくれぬからというので、何千という人が出て参りました。それからこの間から関係知事も集まって下関で協議をいたしました。そういう関係者の寒気が、政府がやってくれぬから、どんなことでもしよう、あるいはは国内にある朝鮮人の諸君もいわば帰ってもらえ、こういう強硬論までも唱えておるわけでありますが、党なり、あるいは政府としても協議をされたと思いますが、その対策について外交折衝で片づけるべき問題につきましては外務大臣にお尋ねいたしますが、補償なり、あるいは漁業というものについて、あるいは漁民というものについて立てておられます政府の方針というものを農林大臣から一つ明答を願いたいと思います。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) 政府といたしましても、この問題の解決できますまでの期間、これらの漁業者を安全な方向に臨時に、よく協議をいたしまして、他の方の漁場に臨時に振り向けるということにつきましても、時々話し合いを実はいたしておるわけであります。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 全くこの問題について対策なしという御答弁、今の御答弁はほかにふり向ける云々というお話はどういう要求をなされておるか、主張がなされておるか、問題がどこにあるかを御存じないということのように承わるのです。たとえば拿捕された漁船に対して代船建造の融資をしてもらいたい、あるいは北九州あるいは山陰あるいは北九州だけでなしに鹿児島宮崎等の船員にいたしましても、あの東支那海の大部分、しかも寒流と暖流とが衝突をして餌が多いから、群がっております。魚がとれない、従ってそれに対してどうしてくれるか、あるいはかわりの漁場云々というお話でございましたけれども、生活が立って行かぬ、漁ができない、そこであるいは固定資産税を減免をしてもらいたい、こういう要望がある、あるいは船員の生活を国でもってもらいたい、こういう要望が出ておりますものに対して、具体的な要望をも御存じないようですが、これの具体的な要望に対して政府あるいは農林省として、どういう御方針であるかということをお尋ねしておるわけです。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。拿捕せられました漁船につきましては、農林漁業金庫を通じて建造資金の貸し付けをいたしますとか、さらにまたこれらの漁船につきましては臨時にカツオ、マグロ漁業等にすでに転換をして臨時許可を処置したものもあるわけでございます。もちろん十分とは参りませんが、できるだけのことは一つあっせんをしてもしくは協力をいたそうということをしておるわけであります。  さらに、ただいま御指摘の固定資産税の問題につきましては、すでに政府内部におきまして、自治庁と——むろん自治庁の仕事でございますけれども、農林省といたしましても、これについて協議に加わりまして、大蔵省との間に今協議折衝中でございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 私の時間が移るのに、まだ次官がおいでになっておらない。あと一点だけ農林大臣にお尋ねしたいと思います。代船融資と、金を倍してやるからそれで作りなさい、こういう態度ですが、そうではなく日本の国民について、責任のない事故によってとらえられる、あるいは船がとられた、そこでこれに対して政府から補償してもらいたい、こういう点が要望の基本原理だと思うのでありますが、ですからたとえば融資ではなく補償あるいは保険ではなく見舞金を、しかもそれが平均をいたしますというと一万一千円くらいにしかなっておらぬ、しかもそれは六カ月でありますが、一万五千円程度、生活ができる程度国からこの補償をせよ、こういう要望がなされておるのでありますが、基本原理にかんがみて、政府としてはどういうふうに考えられますか。お前たちがとらえられたのだ、だから金は貸してやるから船を作れ、あるいは掛金の範囲内でせよ。それで六カ月、こういうことでありますのか、その辺をもう少しはっきり承わりたい。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) 期限のことにつきましてはなるべく早く解決することを期待いたしまして、政府は六カ月としております。これはもし解決がつかぬような事態がありますれば、またそのときに考えるということでございます。  それから金を貸してやるから使えということではないのでございまして、一応保険制度を、しかも料率は非常に安く、しかも政府の方でその保険に入っておれば、ある程度資金が、もとの金ができるというようなふうにしてございます。それから、それに入っていないものにつきましても、昨年末臨時特例を作ったわけでございますが、しかし何分にも既存の法律等もいろいろございますので、その範囲内においてできるだけの処置を講じて、そうして遺憾なきを期することに、現在の事情にかんがみて努力をいたしておる。なお十分でない点につきましては、いろいろ御意見等も承わりまして今後一そう努力をするということに御了承を願いたいと思う次第でございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 それでは六カ月という限定はない。それからその他、この再検討をして固定資産税の点についても協議中だというお話しでございましたが、いろんな点について検討してさらに対策を立てる。こういう御意見のようですが、いつごろどういう工合に立てられますのか、従来の点でなくても、今後の施策の方向をできればお示しを願いたい。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) 今の固定資産税の点につきましては目下鋭意協議中でございますから、できるだけ早くいたします。その他の点につきましては一応昨年末政府としては考慮せられる問題については考慮をいたしたわけでございますから、なお、その他の点につきましても、御要望がありますれば、時々それにこたえて、あらゆる施策を講ずるようにいたしたいと、こう申し上げております。

西郷吉之助自由民主党

○委員長(西郷吉之助君) 吉田君、今、外務省関係招致しておりますから、しばらくお待ち下さい。  その間に佐多君に一つお願いしたいと思いますが、佐多君どうですか。今なるべく早く来るように呼んでおりますから……。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 それじゃ一点だけ質問をいたしまして、あと外務大臣に対する質問は留保して次に交替をいたします。  河野農林大臣に一点だけお尋ねをいたしますが、それは質問をいたしております私と、それから関係者、それから農林大臣との間には基本的な考え方で違いがまだございます。  それは先ほど申し上げましたけれども、理由なくして不法に逮捕され、あるいは船を没収されたり、その責任は韓国にあるか、そうでなければ日本の政府が代ってこれを補償すべきだと思うのです。そうすると、たとえば船の問題にいたしましても、あるいは生活の問題にいたしましても、もっと政府が責任をもって対処すべきだ。その個個の項目については、時間がございませんから個々にあげませんけれども、その点についてはどういうぐあいにお考えになりますか。大臣にお尋ねをいたしたいと思う。政府として、船あるいは生活といったものについて、もっと責任を持って対処する、全責任をもって対処する、こういう考えであるかどうか、その点伺っておきます。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) ただいま御指摘になりましたことにつきましては、外務大臣からその基本的な考え方、方針についてまだ十分に結論を出す段階になっておりませんので、差し当り政府といたしましては、先ほど来申し上げましたように、政府として考えられる、また、でき得る範囲の点は十分やっておる。なおまた、今後もいろいろ御意見がございましたら承りまして、それらについて十分善処する用意があるということをお答え申し上げた次第でございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 拿捕漁船の抑留船員に対する生活保障の問題でありますが、これは先ほど農林大臣も御説明のように、六カ月を限度として一応見舞金程度の額が出されたのでありますが、これは六カ月というのは、すでにとらわれてから六カ月以上を経過している者が大部分であるので、過去のものについての見舞金であって、今後の生活保障の問題は何ら考えていない。しかも今朝ほどの外務大臣のお話によると、なかなかこの問題は早急に解決をしそうじゃないし、なかなかまだ数カ月帰る見込みはない。この措置がなされたときには、もうやがて遠からず問題が解決するというようなお話だったから、六カ月で一応問題が落着をしたのですけれども、しかし、これで解決しないことが今は明瞭になってきているので、従って、それに対してどういう措置をなさるか、それは今後検討しますという問題ではなくて、現実に措置を考究し、予算その他において考慮をしておかなければならない問題であると思うのでありますが、農林大臣、どうお考えになりますか。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) お話の通りでございますので、しかし十二月まで一応いたしましたので、お話の通り、さらに今後長期にわたるというようなことになりますれば、むろん考えなければならぬと思いますが、しかし、いずれにしても適当な時期にまた考慮する必要が起ってくるだろう、その際には予備費等でむろん考えなければならぬと考えております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 もう今現実に問題としては起っている。たとえば三十年度の四百十七人のうちの大部分である二百九十四人という者は八月からの未帰還者でありますから、すでに六カ月を経過している。この一、二、三月でもすでに措置をしなければならないし、ましてや三十一年度予算、今年の四月以降も、そんなに早く解決すると見通しがつかないのだから、すでに補正予算として、はさらに三十一年度予算として措置ができていなければならない問題であると思う。これからということでは問題にならないと思います。これを予備費その他で出すというふうに言っておられるが、確実に出されるのかどうか、あるいは確実に出されることを約束されるなり、さらには補正をするなり、あるいは三十一年度予算に計上するなりしなければならない時期になっていると思いますが、どうお考えになりますか。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) 従来この種のものは予備費で処理いたしておるようでございまして、政府としても予備費で処理をいたしていきたい、こう考えております。また先ほどお答え申し上げました通りに、むろん、こういう事態が今後引き続いて継続するようなことであれば、引き続き補償していかなければならぬ、もちろん、そう考えております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 大蔵大臣にお尋ねしますが、農林大臣は、今後この事態が続くならば、予備費その他で措置をする、こういう言明をなされましたが、それは大蔵大臣も御承知ですね。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(一萬田尚登君) これはまあ今後の事態の推移の上に待ち、また、どういう処置をとるか、その処置にもよりますが、これはまことにお気の毒な点でもありますし、考えておるのでありますが、まあ、第一には抑留されておる人に差し入れをする、そういうものの、品物の購入の補助とか、こういうことはむろん今後も続けてさっそくにやりたいと思っておりますが、その他は今のところでは、これはまあ外務大臣がどういうふうに事態を説明しますか、保険制度の活用、こういうふうなことで、私としてはできるだけいきたい。特にこれを、こういう事態について制度的に見られるような、そういう行き方は、ことがらの性質上適当でない、かように考えております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 保険制度でみたいとおっしゃるけれども、保険で今考えられている数字は、今ここにお示しになった、六カ月を限度にした金が認められているだけなんです。保険ではもう措置はできないのです。そんなごまかしを言わないで、明瞭に、保険でできないから農林大臣はこの事態が継続する限り予備費等で措置しますと言明をされた。しかもこの事態が継続することは明瞭なんです。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(一萬田尚登君) 私の考えでは、この抑留というものが、外務大臣がいないからどうも困るのですが、抑留が一日も早く解放されるというやはり方向を強く打ち出すことが必要と思います。それを放っておいて、いたずらに長く抑留される、その対策ばかりを私は考えるべきではないのじゃないか、こういうふうに考えるのであります。事実上しかしこれが六カ月以上一年も長くなるということになれば、これはまたその状態に応じて考えてみなくちゃならぬと思っております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 長くなるという仮定の問題ではないのですよ。ここにはっきり数字をお出しになっているように、二十九年度までに逮捕されたもので未帰還者が二百七十四人それから八月の未帰還者が二百九十四人、これはもう六カ月を経過していることははっきりしているのですよ。何も仮定の問題じゃない。従ってそれに対してはそういう事態があるならば措置をすると言われるのだから、そうしてまた仮定だったら今後考えるというお答えで、大蔵大臣のお答えとしてはけっこうですが、仮定でなくて現実の事実なんです。それの措置は農林大臣が言われたようにはっきり一つあなたも言明しておいていただきたい。予備費から出すと、まずこの点を……。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(一萬田尚登君) お答えいたします。具体的措置について財政的に処理ができるという範囲内においてはこれはやっぱり考えるべきだと思っております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 それじゃそういう意味で予備費なるものがあって財政的な措置の可能性があるわけですから、財政的な措置の可能性がある限りやりますという大蔵大臣の御言明は農林大臣の言明と完全に一致している。従ってこれは予備費で措置されるものと了承をいたします。  そこで問題は、一応そういうふうにとりあえず予備費で措置をされることにはなりましょうが、しかしこれは予備費で措置をするということは今あなたも非常にちゅうちょされるように、これは臨時の措置であって、もっと本質的には生活保障の問題として、あるいは生活保護の問題、あるいは留守家族に準ずるものとして措置をしなければならないと思うのですが、そうなれば保険の問題であるとか予備費の問題でなくて社会保障の問題、そういう点をちゃんとお考えになって、今後の問題としては社会保障の問題として措置をされる覚悟があるのかどうか、これは厚生大臣にお願いをいたします。

小林英三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(小林英三君) ただいまの拿捕されました船員の留守家族の方につきましては非常にお気の毒のことと思っておりますが、農林大臣からも大蔵大臣からもお答えがありましたように、漁船乗組員共済に入っておられぬ方の留守家族に対しましても、六カ月の期間が来た場合においては適当の措置をされるというのでありますから、それが将来生活の保障も得られないというような事態がありました場合におきましては、これはその家族の実態を調査の上、要件に該当するものには生活保護法を適用するということだろうと思います。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 保険ではもう数字的に措置ができなくなっているのすでよ。それは再保険の問題でもできないし、もちろん船員保険でもやっておられぬのだと思います。だから保険では措置できない、保険で措置ができないからまずさしあたり予備費でやられると言われるけれども、この予備費でやられるということは正常の問題でないから制度的な問題に考え直さなければならぬ。さしあたりの問題は今もう過去の問題は予備費でやらざるを得ないだろうけれども、三十一年度の予算の将来の問題としては制度的な問題として考え直さなければならない。それを考えることは、国策の犠牲によってこういうことになっているのだから、生活保護なりあるいは留守家族なりの措置と同じようにお考えになって措置をしなければならない義務が厚生大臣に出てきていると思う。それをどうお考えになりますか。

小林英三自由民主党厚生大臣

○国務大臣(小林英三君) ただいま申し上げましたように、生活保護法によって実施したいと思います。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 それは大臣の御言明でありますから、その点は明瞭に一つ政治的な責任をとって、生活保護法で措置するとすればかなりむずかしい問題も出てくるかと思いますけれども、すでにはっきりこの席で御言明になったのでありますから、その政治的な責任ははっきりとっていただきたい。この点を特に念を押しておきます。  それから船主に対する問題でありますが、代船建造の融資の措置をしているというようなお話でありますけれども、現実にはほとんどこれが行われていないのじゃないか。事実どの程度に今までおやりになったかどうかということ。それから系統機関から出ておる既融資分、すでに融資された分が拿捕その他によって償還不可能になっている。それに対しては延期その他の措置をして然るべきだと思いますが、それをやられる決意があるかどうか。それから系統機関以外の市中銀行からも借入金を持っておりますが、これも償還が不可能になっている。これらに対しても特別な措置をする。あるいは系統機関への肩がわりをするというようなことを講じてやらなければならないと思いますが、それらの一連の船主に対する措置をおやりになることは決意しておられるかどうか。ぜひおやりになるべきだと思いますが、農林大臣はどうお考えになりますか。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) お尋ねの数字は今手元に持参いたしておりませんから、別にこれを差し上げることにいたします。  それから拿捕されました船の返済の遅延しておる分等につきましては、随時これを系統機関の分につきましてはこれを取りついで適当に善処するようにあっせんをしておるわけであります。それから市中銀行の分につきましてはちょっと私の方では手がつけかねますので、この点につきましては今別に考慮を払っておりません。ですがこれらは問題によりまして何とか考慮することにいたしたいと思いますけれども、何分これを、系統機関に借りかえるというようなことはちょっと困難じゃないかと思いますので、別にこれは考えることといたしたらどうかと思います。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 困難ではありますが必要だと思いますので、その点も一つ特別な考慮をしていただきたいと思います。  それから先ほど固定資産税の免除の問題が出ましたが、この固定資産税を免除するためにどれくらいの収入減になるというふうにお見込になっておるか。その減の措置をどういうふうにやろうとしておられるか。そうしてこれはもうすでに大蔵大臣も農林大臣も方針としては決定しておられて、ただ数学的な問題として残っておるだけなのかどうか。おそらくそうだろうと思いますが、その点を大蔵、農林画大臣から言明を願いたいと思います。まず大蔵大臣から……。

一萬田尚登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(一萬田尚登君) 今の一つの金額の点は政府委員から説明いたします。  それから固定資産税を免除した場合のその穴については、これは交付税算定の際に特例交付金として回すようにいたしております。

森永貞一郎大蔵省主計局長

○政府委員(森永貞一郎君) ただいまの点につきましては、たしか二十九年末でございましたか、自治庁次長から各市町村に通達が出ておりまして、できるだけ固定資産税を減免するようにというような指導をいたしておるわけでございます。現在減免いたしております金額は、金額をはっきり記憶いたしておりませんが、たしか一千万円前後ではなかったかと存じます。その範囲をもう少し、関係市町村でできるだけこれをやるように広げたいという、要請がございまして、それにつきましては減免によって起る市町村の減収をどうするかという問題でございます。これは現在特別交付金で調整をいたしておりますが、交付団体ならそれでいいわけでございますが、不交付団体についてどうするかという問題でございました。私ども目下研究いたしておりますのは、不交付団体にもこの特別交付税を分けられるように、そうして固定資産税の減免によって起って参ります穴をできるだけ埋められるというようなことで目下検討いたしておるわけでございまして、それよりましてこの固定資産税減免の措置も相当徹底するのではないか、さように考えておるわけでございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 その今の御説明の点は二十九年度分あたりの数字かと思いますが、私は、さらに三十年度あるいは三十一年度に向って同じような問題が出てくるので、その措置をどうされるか、何か三十一年度あたりはこれは数字が違うかも知れませんが、私の聞いたのでは一億程度の減収になるのじゃないか。そうすればその半分は今お話の特別交付金で措置をし、半分ぐらいは予備費ででも措置をしなければできないような金額のように思いますが、そういう事実も御了承の上で今みたような方針としてはそういう措置をするということをおきめになっているのかどうか、私はそうであることを希望し、そうであると了解したと思います。

森永貞一郎大蔵省主計局長

○政府委員(森永貞一郎君) 一億円という数字は、すべての漁船に対して固定資産税を減免いたしました場合にそういう積算が出て参るかと思います。そこで減免いたしました場合の穴埋めでございますが、国からあるいは予備費から直接交付するということになりますとこれは第二交付金みたいなものができるわけでございます。地方財政の現在の制度を担当乱すというふうに私も考えざるを得ないわけでございます。従いまして調整はやはり特別交付金の中でお願いをいたしたい。それが法規的に不可能ではないと私は信じておりますが、そういうラインで特別交付税をもってこれを調整することを目下事務当局間において検討中でございますので、御了承を願いたいと思います。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 最後にもう一点。今までの御言明によってすでに方針の問題としては農林大臣も大蔵大臣も御了承になって、あとはただ数と現実に出す方式操作の問題だけだというふうなお話しであったと了解して私の質問を終ります。

松澤兼人日本社会党

○松澤兼人君 ただいま主計局長が不交付団体と交付団体に分けて交付団体は特別交付金というようなことは考えられる。不交付団体に対してはどういう形式で交付されるお考えでございますか。その点はっきりと、まあ法律改正の必要があるのかどうかその辺のところをはっきりとしていただきたいと思います。

森永貞一郎大蔵省主計局長

○政府委員(森永貞一郎君) 現在の地方交付税法によりますと、特別交付税はこれは普通交付税の不交付団体にも交付できることになっております。現実に交付いたしておりますのは災害の関係でございます。そこで私どもといたしましてはできるだけこの特別交付税で調整をしていただきたいと申しますのは、地方に対する交付制度が二重にも三重にもなることはこれは財政全体、地方財政の制度全体に影響して参る問題でございますが、かような関係からぜひそういうふうにこの問題を解決して参りたいということで関係当局間において交渉中でございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 外務大臣を初め外務当局にも根本的な解決のためにとる方策についてお尋ねをしたいと思いましたけれども、関係者の御出席が得られません。そこで補償関係を主として農林省にお尋ねしたいわけでありますが、外交関係についてもほとんど対策がない。関係者は政府の不信をあるいは無能を糾弾しておりますが、補償関係についても河野農林大臣も十分御承知がない。あるいは大蔵大臣に至っては初めてここで聞くかのようなお答え。従って外交関係をも含んでこの李ライン問題についての政府の対策を十分閣議で御討議願いたいと思います。党においては御検討願っておるということであります。自民党あるいは政府に関係者の要望がすでに十分伝わっておると思うのでありますが、問題の根本的な解決のためにあらゆる方策を尽す。あるいは国連にあるいはアメリカにということも言われておりますが、まず政府が久保田発言等を取消して対韓交渉に進み得るようにすみやかに交渉をお始め願いたいと思うのでありますが、拿捕されました船員はすでに六カ月を越して栄養の不十分な、寒い収容所に呻吟をしその中から死亡者さえも出ている。従って先ほどのような保険で対処するというようなことでなくて、全責任をもって政府が収容者に対してもその生命を保護し、あるいは留守家族の生活もみてやる、あるいは代船を建造し、漁業ができるようにしてやるという任務は、これは急を要するものだと考えます。閣議においてこの問題を取り上げて外交方策、あるいは補償について十分な対策を一つ立ててもらいたい。きのうは駐留軍の労務者の職業あっせんその他についても協議願ったようでありますが、近い将来において閣議で検討され十分な対策を立てていただきたいと思うのでありますが、これについて政府を代表して河野農林大臣から所信を一つ御言明おき願いたいと思います。

河野一郎自由民主党農林大臣・行政管理庁長官

○国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。折あしく外務大臣病気のため出席できませんでお答えができませんが、いずれ適当な機会をみて外務大臣からお答えがあることと思いますが、政府におきましても実はこの問題のために先般も関係閣僚の懇談会を開いていろいろ協議、検討はいたしたのであります。しかし今お話の点につきましては十分外務大臣にも申し伝えましてすみやかに御期待に副いますように善処することをここに申し上げて御了解を得たいと思う次第であります。

西郷吉之助自由民主党

○委員長(西郷吉之助君) 以上をもちまして昭和三十年度特別会計予算補正(特第3号)に対する質疑を終了いたします。  引続きまして討論に入ります。順次発言をお願いいたします。戸叶武君。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 私は日本社会党を代表してただいま上程された昭和三十年度特別会計予算補正(特第3号)について、食糧管理特別会計、国債整理基金特別会計には反対し、李ラインの犠牲者たる漁民保護を目的とした漁船再保険特別会計には賛成し、これが討論をいたします。  政府はこの予算補正の説明に当り、三十年度産米の買上げに際し、豊作と集荷の好調により、政府の買上げ数量が当初の予定二千二百八十六万石を大幅に上廻り、三千四百二十万石を見込むに至り、食糧買上費食糧管理費及び予備費の歳出予算約千三百億円を追加する必要を生ずるに至ったと述べております。わが党がこの補正に反対なのは、第一に政府の不誠意な怠慢な態度に対してであります。政府は昨年八月十五日に農林省の調査により、三十年度産米が豊作であることを承知しておるのであります。政府は昨年の夏以来買い上げ数量の上回ることをわかっておりながら、昨年の臨時国会で補正措置を講ぜず、また三十一年度予算編成に際しても何らの措置を講ぜず、今日に至って補正の承認を求めておりますが、かかる態度はまことに遺憾な次第であります。この補正の内容を見るに、これは単に米買入代金のワクの問題だけでなく、今までの食管の赤字をこの際一掃してしまうという企てがなされているのではないかとの不審の筋もあります。政府は最近不正事件が続出しているのにかんがみ、食管会計の内容をすみやかに詳細に公表し、世間の疑惑を解く必要があります。また政府は百六十七億円の赤字のうち百億円をインベントリーで食いつぶし、残りの六十七億円を砂糖の差益金三十億円、一般会計歳入自然増三十七億円をもってしようとしておりますが、これらの財源を食管会計の赤字補てんに充てるためには、食管会計の補正とともに、三十年度一般会計予算の補正案も同時に提出して、同時に審議すべきであったのであります。食管会計の補正のみを一般会計の補正から切り離して審議決定することは、厳格な意味において違法的行為であります。私たちは主計局長、法制局長官等の答弁をもってしても納得がいきません。国会の審議権の権威のため、予算審議の手続は慎重にやるべきだと信じます。  次にバック・ペイの問題でありますが、政府は過去数年来の慣習を踏襲して、二十九年度産米価の追加払いは支払うべきであります。これに対して河野農相は、三十年度産米が豊作で、農家経済が好転してい石から、三十九年度産米の追加払いの必要なしと強弁しております。そして政府には法律上の義務なしとまで放言しておりますが、道義的責任感を欠く河野農相の言動に対して、全国の農民は深い噴りを抱くことでありましょう。また百億円のインベントリーを赤字補てんに振りかえるということも重大な問題を含んでおります。過去において政府はわが党の主張するような二軍米価制を採用しなかったが、食管会計内に若干の弾力性を含ませ、生産者米価と消費者米価との間に一定のさやを持たせる政策をとってきたのであります。これが今回のごときインベントリー百億円を食いつぶすやり方では、これによって食管の赤字は一掃できても、今後においての食管会計が厳格なコスト主義に基く独立採算制となり、米価問題で生産者も消費軒も苦しめられる危険性が生ずるのであります。今や食糧政策は重大な転換期に直面しております。政府は日本の経済自立体制を確立するのには、貿易の振興にあり、貿易の振興は製品のコスト引き下げにあるという見地から、工業部門において産業合理化を強行し、労働賃金を押える一方、農業部門においては物価の高騰抑制を名として米価を押えつつあります。かかる状態のもとにあっても、機械製品は材料としての鋼鉄価格の三割引き下げの施策等により、最近は輸出面で成果を上げて参りました。これと同様の方針のもとに、農業生産部門においても生産費を償う米価の維持、肥料の値下げ、酪農振興に必要な飼料の値下げ等の諸施策が推進されるべきであります。一萬田蔵相、河野農相とも昨年は米国を訪問しておりますが、米国は資本主義的繁栄を続けながらも、農業保護政策を重視しております。もちろん過剰農産物の処理に苦しむ米国の生産抑制の保護政策としての土地銀行、余剰農産物の海外市場の開拓等と、食糧不足に苦しむ日本の農業政策とは、立場を異にしております。しかし日本においても国民の四三%を占める農民に対する農業保護政策なしには、自等経済確立の基盤は培養されません。国民所得に占める農業所得の割合は、大体一四%から一六%であります。かかる農民の経済的貧困を打開すべく、政府はその責任において米価の決定及び米の管理方式において、農民に国富の公正なる分配を与えるに役立つ処置をとる義務があります。  討論を結ぶに当り、わが党はわずか一日の審議で、農民の目を盗んでこの補正案を通過させようとする政府の態度は言語道断なりと信じ、全国の生産農民を代表し、この補正案に反対するものであります。(拍手)

堀末治自由民主党

○堀末治君 私は自由民主党を代表して、昭和三十年度特別会計予算補正(特第3号)に対しまして、賛成の意を表するものであります。  まず食糧管理特別会計につきましては、本年産米の宝前の豊作と集荷の好調とによりまして、その政府買入数量が当初において二千二百八十六万石を大幅に上回り、三千四百二十万一石と見込まれることになりましたので、これに伴う歳出の増約千二百億円を追加しようとするものでありまして、その財源としては、とりあえず食糧証券の発行によるのでありますが、この食糧証券発行限度の引き上げは、すでに昨年、第二十三回国会におきまして、法律改正が行われているのでありまして、今回の補正は単にこれに見合う予算措置を行おうとするものであります。従って別段の問題はないのでありますが、ただ大蔵大臣の提案理由の説明にもありましたように、当初予算の歳出権はすでにほとんどゼロとなっており、二月上旬にはこの会計の支払いに事欠くに至るおそれがあるということでありまして、すでに昨年から明らかにわかっておりますことを、このような事態に至るまで放置し、早々の間に国会の審議を求めるということは、不手ぎわかつ怠慢のそしりを免れないと存ずるのでありまして、今後かかることのないよう政府の善処を要望いたしておきます。  次に国債整理基金特別会計につきましては、食糧管理特別会計の補正による食糧証券の発行増加に伴いまして、食糧証券割引差額に必要な経費を処理するものでありまして、当然の措置であろうと存ずるのであります。  第三に、漁船再保険特別会計につきましては、拿捕による抑留漁夫の増加及び抑留の長期化等により、同会計の給与勘定にお春まして、予備費を使用してもなおかつ二千五百万円の歳出不足を生じますほか、歳入におきましても、中共地域における操業の安全化等に伴う加入人員の減少等により、約七百万円の減少が見込まれますので、これを補正しようとするものでありまして、やむを得ない措置であるとは存じますが、漁船の拿捕、漁夫の抑留の問題につきましては、なかなか困難な案件とは存じますが、できるだけ急速に外交交渉によりその解決をはかることが必要であろうと存じまするので、この際政府の一段の努力を強く要望するものであります。  以上三特別会計の補正は、いずれもそれ自体いわば既定の事実に基く予算面の措置にすぎないのでありまして、ここに賛成の意を表するものでありますが、なお、今回の補正の実質的内容をなす一般会計の補正をすみやかに提出されんことを要望いたしまして、私の討論を終る次第であります。

木村禧八郎無所属クラブ

○木村禧八郎君 私は四つの理由から昭和三十年度特別会計予算補正(特第3号)に反対するものであります。  第一は、この食糧管理特別会計の食糧証券の発行限度を拡張するという点についてでありますが、これについてはその基礎になる政府の農業政策なりあるいは食糧政策について、われわれは反対の立場をとっておりますので、これは賛成できないわけです。特にわれわれは昭和三十年度はまれに見る豊作であったのでありますから、政府は当初予定の買上数量より上回った分について、やはり今までの消費者価格一升百九円でこれは増配すべきであるという主張をとってきたのであります。しかしながら政府はその上回った分については、希望配給として配給価格よりも上の一升百二十円で配給しておるわけです。これは実質的にわれわれは消費者価格の引き上げと解釈しておるのでありまして、表面は消費者価格の引き上げじゃないように見えますが、実質的には消費者価格の引き上げであります。さらにまた新米穀年度以後におきまして、来年の十一月以後におきまして配給量を減らす、特に内地米の配給量を減らすわけであります。そうしますと今度は内地米の希望配給で買う量が多くなりまして、それだけ消費者の負担が重くなるわけです。農林大臣は外米の配給量を多くして、その値段を下げると、こう言っていますが、結局それは質が低下したのであって、配給食糧の内容の質が低下するという形においてやはり食糧価格は上る、そういう点についてわれわれは反対なわけであります。  それから第二には、食管会計の赤字につきまして、特にまた経理について、赤字の出てきました経理について、われわれは先ほどの農林当局の御答弁ではまだまだ十分納得がいきません。従って十分これは資料を提出してもらいまして、われわれはよく検討をしなければならぬのでありまして、食管会計の経理について多大の疑惑を打っております。世間では、特に食糧庁についてはいろいろな汚職疑獄が起っておりますので、困るではないか、そういう説さえもあるのでありまして、そういう経理内容の食管会計について、これをわれわれは認めることはできないのであります。  第三は、食管会計の赤字補てんについて、一般会計の補正をあとで出すことになっておるそうでありますけれども、これも私はなぜ一緒に、食糧証券の発行限度の拡張と一緒になぜ出さないか、当然私は一緒に出すべきものであると思いますので、この点も反対であります。  それから最後に漁船再保険特別会計につきましては、これは技術的にはもうやむを得ない措置であると思うのでありますけれども、しかし韓国に拿捕された抑留漁夫の措置につきまして、先ほど社会党から質疑がございましたが、政府の答弁を聞いておりますと、その家族等について政府の措置はまだ十分でないと思うのです。(「その通り」と呼ぶ者あり)そういう点からこれは賛成することはできない。  以上の四点をもって本補正予算案に反対するものであります。

豊田雅孝緑風会

○豊田雅孝君 私は緑風会を代表いたしましてただいま議題となっております昭和三十年度特例会計予算補正(特第3号)に対し、賛成の意を表するものであります。この補正は、三十年産米の政府買入数量の増加並びに李ライン関係の抑留漁夫の増加等に伴います関係の特別会計の補正でありまして、現下の実情より見ましてやむを得ない措置と労えるのであります。しかしながらこの際、政府に対しまして若干の希望を付しておきたいと思うのであります。  第一には、補正予算提出の時一期でありますが、支払い不能に陥る直前に提出するがごときことのないように、将来十分に戒心せられたいという点であります。  第二には、わが会派の中山委員の質問に対しまして、河野農林大臣は食管制を改正するよりも、まずその事実の方を作り上げて行きたいと答弁せられておるのでありますが、食管制を改廃するがごとく、あるいはせざるがごとく、国民をしてまさに混迷に陥らせるものがあると思われる点については、われわれの遺憾とするところであります。現行食管の制度は、豊作になればなるほど政府の損失は増大し、国民の負担が増加するという矛盾を包蔵いたしておりますのみならず、闇米は公然として横行し、まさに食管制度は満身創痍の状態になっておるのでありますがゆえに、政府はこの制度に対しまして、根本的に再検討を加えられ、ひとり生産者に対してのみならず、消費者に対して、また国民全体に対して納得のいくような新しい方策を明確に樹立せられたいと考えるのであります。  第三には、李ライン問題についてでありますが、重光外務大臣は、日韓両国の間におきまして直接解決すべきであって、またそれが可能であると考えると答弁しておられるのでありますが、これを口頭禅に終らしめることのないように、政府は一体となりまして真剣に具体的措置を講じられまして、本問題を根本的に解決するよう、これが一つは人道問題でありまするがゆえに、特に具体的の努力を示されたいと痛感いたすものであります。  以上の希望を付しまして、昭和三十年度特別会計予算補正(特第3号)に対しまして賛成をいたすものであります。(拍手)

八木幸吉第十七控室

○八木幸吉君 私はただいま議題となりました昭和三十年度特別会計予算補正(特第3号)全部に対し反対するものであります。  その理由の第一は、これら三つの予算補正の実体は政治的に見まして、国会の予算審議権を無視するからであります。けだしこれらの三つの特別会計予算の補正によって生ずるところの損失の補てんは、一般会計の補正予算において処理することとしながら、何らその内容に触れず、当然同時に提出せらるべき一般会計補正予算並びに関係議案もいまだ提出されておらないからであります。政府はこれら一般会計の予算補正の成立を予定されておられるのでありましょうが、未提出の一般会計補正予算に、特別会計の補正のための損失補てんの財源措置をゆだねられるごときは、明らかに国会の予算審議権を無視したものであります。従ってかかる実体を有するこれら三つの特別会計予算補正を認めるわけにはいかないのであります。  次に食糧管理特別会計予算補正に反対する第二の理由は、この予算の補正を必要ならしむるに至った政府の食糧管理制度の根本に反対であるからであります。今回食管会計に赤字の生じた原因は、政府が予算米価を石当り九千七百三十九円ときめておきながら、早期供出奨励金の支払い実績の増加等もあって、買い入れ決定米価をさらに上回り、実質的には一万二百十六円となり、心当り四百七十七円の損失増加を来たした結果にもよりますが、この事実を別にいたしまして食糧管理制度そのものに重大な欠陥を有するからであります。政府が今回赤字補てんのために補正予算を組む必要の生じた原因として、豊作によって政府の米穀買い入れ数量が一千百三十四万石増加し、従って食糧買い入れ費その他一千二百億円増加するの必要を生じ、これに伴う食糧証券の発行額もまた一千六十億円増加しまして、外国食糧益等の勘定を差し引きまして、結局今回の補正の結果は昭和三十年度中においてさらに食管会計に百三十六億円の損失を生ずるに至ったからであると説明をされております。これを要約しますと、豊作であったから赤字が増加したことになるのであります。有史以来と称せられる大豊作であって、しかも消費者米価も引き下げなければ、配給日数もふえない、また供出量は予定よりも五割近くも増加するというありがたい状態であるのに、かえって赤字がふえて国民の負担が増加する、これほど矛盾したことはないのであります。ただ一点、豊作の結果国民生活を潤したのは、米のやみ価格が下落したことであるのであります。生産地では配給米を辞退する者が続出して、米屋が福引きで配給を受け取るよう勧誘したという笑えない事例さえもあるのであります。政府が親心をもって行なった業務用米の払い下げも、希望配給も、予定通りには売れないという状態であります。国会再開の劈頭に本会議は憲法尊重の問題でもめ抜きましたが、憲法第七十三条には行政の最高責任者たる内閣が法律を誠実に執行する義務を規定いたしております。しかるに米の配給は、わずかに十五日、やみ米の横行は当然のこととして、政府もこれをあやしまず、既定の事実となっております。政府は一千万石はやみに流れるであろうと推定をし、やみ売り防止のために米の課税を反当り収穫量に改めることさえ行なっておるのであります。一体憲法尊重の精神はどこへ行ったのでありましょう。これらの現象のよって起る根源は無意味なる米の統制制度を続けておるところにあります。せめて供出後の自由販売を認め、供出量を予定し、予算米価を厳守するなれば、豊作だからといって補正予算を組んで赤字の穴埋めをせねばならぬというような奇妙な現象は起らないはずであります。しかるに三十一年度の予算においても、なおかつ食糧管理制度に根本的改革を加えず現状維持のありさまであります。もしも生活困窮者に対する配慮なれば別途に対策を講じ得るのであります。私はこの食管特別会計補正予算を審議するに当り、そのよって来たる根源は食糧管理制度そのものの欠陥にあると確信し、この根本の原因を除くための対策を樹立せずして、当面の赤字穴埋めの応急措置をするところの本予算案には遺憾ながら反対せざるを得ないのであります。  以上をもって私の反対討論を終ります。

西郷吉之助自由民主党

○委員長(西郷吉之助君) 以上をもちまして討論は終りました。  次いで、採決を行います。昭和三十年度特別会計予算補正(特第3号)に賛成の諸君の起立を願います。   〔賛成者起立〕

西郷吉之助自由民主党

○委員長(西郷吉之助君) 起立多数であります。  よって本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容及び報告書の作成等につきましては委員長に御一任願います。  ただいま賛成の各位は順次御署名を願います。   多数意見者署名     堀  末治  三浦 義男     豊田 雅孝  青木 一男     石坂 豊一  井上 清一     木内 四郎  佐野  廣     野村吉三郎  吉田 萬次     館  哲二  中山 福藏     廣瀬 久忠  西岡 ハル

西郷吉之助自由民主党

○委員長(西郷吉之助君) 本日はこれにて散会いたします。    午後六時五分散会      ————◇—————

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