法務委員会 第24号
- 発言数
- 101 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1956/05/31
会議録
○委員長(亀田得治君) これより法務委員会を開会いたします。 議事に入ります前に委員長としてのあいさつを述べさしていただきたいと思います。 大へん私若輩未熟の者ですが、今回法務委員長をやれということで、この任につかしていただきました。自分としては人権擁護ということについてはあくまでも正しい立場で仕事をしたいと思っております。しかし何分にも自分の経験なり、あるいは識見、いろんな面から見ても欠点の多い人間ですから、どうか一つ皆さんの方から忌憚なく悪い点は御指摘いただいて、この委員長の仕事が滞りなく全うすることができるように、最初にこの機会にお願いをして、一言ごあいさつといたしたいと思います。(拍手) —————————————
○委員長(亀田得治君) 委員の変更について御報告いたします。五月三十日付高田なほ子君が辞任され、その補欠として森崎隆君が選任されました。 —————————————
○委員長(亀田得治君) 理事補欠互選の件を議題にいたします。本委員会の理事が単名欠員のままになっておりますが、これからその補欠の互選を行いたいと思います。互選に当りましては、その方法といたしまして、理事の指名を委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(亀田得治君) 御異議ないと認め、理事に一松定吉君、井上知治君及び赤松常子君を指名いたします。 —————————————
○委員長(亀田得治君) 次に立正交成会問題について政府に対し次のような申し入れを行いたいと存じます。案文を朗読いたします。 申入書 憲法の保障する信教の自由は、あくまで擁護されなければならないが、いわゆる新興宗教団体の中には、大衆の無知、病気、貧困、精神的苦悩などに乗じ、あるいは暴行、脅迫によって加入の強制、寄附の強要、脱退の阻止に努め、あるいは非科学的な医療類似行為を行なって病状を悪化せしめ、また窮迫のあまり自殺者、精神病者を生ぜしめる等、基本的人権を侵犯し、法令に違反し、著しく公共の福祉を害し、また宗教団体本来の目的を逸脱するものが少からず見受けられる。 政府は、かかる人権侵犯または違法行為を根絶せしめるとともに、関係法令を一そう適正に運用して、その不備を認める場合はその改正に努めるべきである。 右申し入れする。 以上の通りの申入書を決議することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(亀田得治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。 —————————————
○委員長(亀田得治君) 次に検察及び裁判の運営等に関する調査を議題に供します。 京都地検における犯人誤人事件に関して御質疑のおありの方は御発言をお願いいたします。
○宮城タマヨ君 法務大臣のおいでを願いまして御無理ではないかと心配しながら、ちょっと時間をちょうだいしたいと思います。 この京都地方検察庁におきます犯人誤人の事件は、ことに四人の少年の問題でございますが、世間が非常にやかましく騒ぎ立てて、この事件の結末につきましてはおそらく国民全体が非常な注視をいたしておるような次第でございます。(拍手)そこで、どういうふうな結末になさろうとしておいででございますか。またなさっておるのでございましょうか。昨日の各新聞、ことに私が詳しく読みましたのは読売新聞でございますが、もうそれぞれのお手配ができたように報道いたしておりますが、いかがでございましょうか、ちょっとお伺いいたします。
○国務大臣(牧野良三君) お答え申します。 事が重大です。のみならず手続を要しますので、迅速を期したいと存じまするが、時間を要していてまことに不本意に存じます。しかしながら着々と御期待に沿わむことを期して、手続を進めております。新聞にいろいろ出ましたことが非常な災いになりました。新聞報道というものは慎しんでもらいたい。当局の決心を遂行するに非常な妨害になります。妨害の意思はないのだろうと思います。あの新聞記事、ラジオの放送があってから忙殺されて、そのために遺憾なことにならないように苦慮しておる次第でございます。しかし私は事務当局を督励いたしまして、予定のごとく進捗いたしたいと存じております。
○宮城タマヨ君 法務大臣の御苦労お察し申し上げます。 実は国民はこういう警察あるいは検察、そして裁判をも、もう信頼するに足りないと言いながら、しかし一方では何といってもこういったような警察陣、検察陣、裁判所というようなものを、おそれたよっておるということは、これはもう動かすことのできない事実でございます。しかし重大な責任を負ってその運営に当っておりますものはやはり人間でございますから、いかに責任を負っておりましても、やりそこないは必ずあると思っております。そういうときにその責任を明らかにするということが、ことに警察、検察、裁判におきまして明らかにするということが、国民のほんとうの信頼を得ることでございますことは申すまでもないことでございますが、今まで私ども法務委員会で非常に重大問題といたして、また法務委員会のみならず天下の重大問題として起って参った過去の問題でございますが、あの指揮権発動のときなぞ、これはその責任を明らかにして、その責任の帰するところに、その責任者が当然その責任を負って、社会にその責めを負ってもらわなければならないと、法務委員会なぞも大いにその問題を取り扱ったこともございますのでございますが、結果から申しますと、あのときの当の責任者である犬養大臣はおやめになりましたが、検察陣といたしましてはそのままになっております。そういうことが今回の事件にまでやはり不安として国民の間に残って、そうして有識者の間におきましては今日けんけんごうごうの非難が非常に起っておるということを、私ども心配いたしております。 そこで、人事に関係したことなぞ決して私から願う意図はございませんけれども、しかしながらこの重大な仕事自体に対しますところの責任を明らかにしていただくように、ことに御病気中の大臣で、お顔を拝しますと、ほんとうに何を申し上げたらいいかというように苦しい思いをいたしながら、これは重大な事件でございますから、私の願い心を申し上げておきたいと思うのでございます。
○国務大臣(牧野良三君) まことに申しわけないと思っております。必ず責任を明らかにしたいと思いますから、この上とも御支援を切にお願いを申します。
○羽仁五郎君 先ほどの法相のお言葉に納得いたしかねるのですが、やはり言論機関の態度というものは、ある意味においては天の声であるというふうにも私どもは考えるのであります。それで、先日も松原政務次官のお言葉に対して申し上げたのですが、新しい憲法が明示しております主権在民の原則というものがなかなか徹底していない、しかもそういう際に高いレベルの方々のお言葉に対して私どもはどうも心配する。これは先ほどの法相のお言葉を批判申し上げるのではないのですけれども、それはあるいは聞き違える人もあるのじゃないか。で、やはり先日京都五番町事件の調査に本院から派遣せられて、いろいろな方にもお目にかかりましたときにも感じましたのですが、極言すれば、やはりまだ現在の日本の警察官なり検察官なりは、主権在民の認識がないと申し上げなければならないことを非常に遺憾に思うのであります。これはまあ天皇主権から国民主権に移り変ってまだ年月も浅いことでありますから、やむを得ないという点もあるかもしれませんが、しかしまた許されがたいとも言わなければならぬように思うのです。で、新聞の報道があるいは法相の心を痛めておられることに対しては、満幅の同情の意を表するものでありますけれども、しかし同時に他面、国民が五番町事件の機会に、日本の警察及び検察の民主化の一歩前進ということにどんなに大きな期待をかけているかということもまた御了察を賜わりたいと思うのであります。そうでなければ、新聞も決してああいうことを書かないと思います。またきのうの新聞を見た多くの人が私に語ってくれた感想も、ある程度までの結論が出そうだねというふうに、みんな明るい顔でわれわれに話してくれたのであります。もちろんあの結論で皆さんが満足しているかどうか、それは別問題でありますけれども、しかし従来はいつもああいう問題がうやむやに終ってしまったのですけれども、今度は法相の非常な大所高所に立たれた御決断によって、ある程度までの結論が出そうだねというふうに喜んでくれた人たちの顔を、今思い起すのであります、電車の中でも道路でも、会った人がそういうふうに言っておるのであります。 いろいろな意味において、容易に得がたいチャンスでありまして、真犯人が現われてこられたということが実に千載一遇のようなことであります。また法務省における最高のレベルの責任を負うておられる法相あるいは政務次官、それらの方々が、実際日本の法務行政あるいは検察の民主化のために、心と体とを捧げて御努力下すっておるということも得がたいことでありますし、従って国民もそこに今度こそ、いわゆる「真昼の暗黒」に一条の光明がさしてくるのじゃないかというように期待している点もどうかお察しを賜わりたいと思います。 民主主義の先進国における警察及び検察の民主化には、実際多くの人が非常な努力をされている。特に、私は先日も申し上げたのですが、個々の警察官あるいは個々の検察官の威信というものを擁護してこられたために、日本では警察全体及び検察全体の威信が地に落ちてしまった。裁判においてもその通りだと思う。検事総長が朝日新聞などに論文をお書きになって、日本に死刑の誤判がないということを誇らしやかに書いておられるようなセンスというものは、全く検察、裁判、今も宮城委員からお言葉がありましたが、国民はある意味において、日本の警察や検察や裁判というものは、やっぱり国民のものじゃないのじゃないのかしらというような絶望感さえ抱いているというのは、そういう独善的な態度にあると思うのであります。またしかも、今宮城委員も御指摘になりましたように、国民が日本の警察や検察や裁判を批判するのは、その日本の警察や検察や裁判がほんとうに主権在民の民主的なものとなることを、涙をもって願っていればこそ批判をするので、あきらめてしまえば何も申しません。あきらめないでいるからこそ、国民が、そうして絶えずかぼそい声で、そうして勇気をふるって、批判をしているのでありますから、私どもの意の存するところは、全く日本の警察や検察や裁判が、ほんとうに主権在民の警察、主権市民の検察、主権在民の裁判として、国民に信頼せられ、そうしてその重い任務を日々最大な喜びを持って遂行せられるように、一日も早くなっていただきたいと思えばこそ、しつこく批判を申し上げているのでございます。先日来御病中格段の御苦心をいただいていることに対しては、実際国民を代表して厚く感謝し、同時にしかしこの際得がたいチャンス、天の与えたチャンス、天の声を聞いて、そうして断固たる処置をおとり下さることを心からお願いするものでございます。
○国務大臣(牧野良三君) 新聞に天の声が伝わりますと、天の声なるがゆえに、これをはばまんとする地上の声が非常にたくましく出るのであります。これに抗するということの苦労というのは並み大ていじゃないのでございます。全く意外な力があるものでございますけれども、正しいことは正しく行いたいと存じますから、この上とも御同情賜わりたいと存じます。
○委員長(亀田得治君) それでは京都地検における犯人誤人事件に関連して、本委員会といたしましては、次のような人権擁護に関する決議をしてはいかがかと存じます。決議案文を朗読いたします。 人権擁護に関する決議案 近時、京都地方検察庁における犯人誤認事件のごとく、しばしば犯罪捜査の核心を誤り、いたずらに無実の人を逮捕拘禁し、あるいは自白を強い、暴行拷問に及ぶ事例あるに鑑み、政府は、すみやかに、人権尊重の精神を捜査官に徹底せしめ、警察及び検察の独善的態度を一掃し、見込捜査及び目白偏重の旧弊を改める等、捜査の欠陥を、その制度、運用に亘って深く検討是正し、もって基本的人権の保障に遺憾なきを期せられたい。 右決議する。 以上でございますが、本決議案通り決議することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(亀田得治君) 御異議ないと認め、本委員会の決議とすることに決定いたしました。 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(亀田得治君) 速記を始めて。 次に請願を議題に供します。大阪拘置所移転関係の請願五件について、なお御質疑がありましたら御発言願います。
○宮城タマヨ君 大阪の拘置所の移転問題についてでございますが、たくさん出ております請願陳情についてでなくて、私は法務大臣に伺ったりお願いがございます。 一点だけ申し上げます。それは刑務所、ことに少年院、鑑別所の土地を選定いたしますとき、また建物を建てるという場合に、もう日本全国漏れなく問題が起りまして、わずかに一、二カ所が大いに関連して少年院、保護鑑別所を建ててくれろといったことがございますが、これは特別かえっておかしいくらい思うほどまれなことでございます。もうことごとくが反対いたします。この大阪の拘置所なんか実際行って見ますというと、これを今までほうっておった一体法務省はどういうことだろうか、どういう神経だろうかと思うほど、あの哀れな様子を見て驚いたのでございますが、そんなものを見るにつけましても、私どもはやっぱりお互いに国民として非常な大きい責任を感じるのでございます。ことにこの少年を入れます保護鑑別所やそれから少年院といったようなものにつきましては、これは外国のまねをして言うのではございませんが、ほんとにこれはおとなの責任であって、こういう子供を作ったこと自体が私は国家あるいは社会、家庭の責任、親の責任と考えておるのでございますが、そういうときに、もう喜んで迎えるべきが私普通だと思うのでございますのに、いつ見ても問題が起りまして、そうして、しかしそういった問題を言ったあげくに、そこへ建ててみますというと、案外そうでもなかった、よかったというような結果になっております。ことに仙台の少年院、男子の少年院ができますときなんか、この委員会ですら大へんな問題が起って、両方から出てきまして大騒動が起ったのでございます。だが行って見ますというと、もう実に近所近辺大歓迎でございまして、何ら問題がない。けれども、一昨日も当委員会でいろいろその請願、陳情についての御意見を、いろいろな御意見を伺ってみますというと、たとえば最近のこの都島にございます保護鑑別所なんかにつきましても、近所近辺の人が非常におそれて、こういう被害がある、こういう被害があるというようなことを訴えていらっしゃることが、一つの、そこに拘置所をめったやたらに作ってもらっちゃ困るじゃないかという一つの大きい理由にされておるというようなことを思いますと、これはまあ私どもの考え方から申しますと、とんでもないことでございまして、できるだけ国民の責任を果す意味合いにおいて近所に持ってきてもらって、みんなお互いに助け合ってその責任を果すということはどんなに仕合せかというように、ことにお母さん方がそう考えそうなものと思っておりますが、事実はそうでなくて、いつぞや私ども当委員会の方から出張いたしましてたくさんの陳情者に会いました。万をもって数えるほどの陳情者に取り囲まれました中に、その多くの人は婦人であり、お母さん方でありましたが、みんなわが子を守る意味合いにおいて大反対なんです。そういうところに私は根本的な大きい問題があるのじゃないかと思う。そしてこの気持を一体どこがどういうふうにして是正することがいいのであるか、またその責任があるのであるか。生活の問題もございましょう、教育の問題もございましょう、いろいろございましょうと思っておりますが、私はそれについてつくづく考えますことは、法務省といたしましても七月は社会を明るくする運動が展開されております。そうして全国的に犯罪者をなくして社会を明るくしようという運動がされております。そうしてそれはもう何年かたっておりますが、一体その効果はどういうふうに上っておるのかどうか。私などももう毎夏一カ月はどこかの県を選びまして、そのためにもう歩き回っておるのでありますけれども、一体あれはどのくらいの効果が上っておりましょうか。私はもし私が見ておりますほど効果が上らないということが正しいのでございましたら、一体その原因はどこにあるか。一つは予算がないというようなこともあるのでございましょうと思っておりますが、これは小さい問題のような、また考え方によっては非常に大きい問題だと思っておりますが、法務大臣のお考えを一つ聞かしていただきたいと思います。
○国務大臣(牧野良三君) その点に関しまして私は非常におもしろい現象だと思うのです。民主主義の思想とまるで相反する大へんな流行が全国にみなぎり、全部それが政治運動である。困ったことだ。それで政治運動ということはおもしろくない裏面なのでございます。 そこで大阪の拘置所の問題で心配したことは、この間一松委員から指摘されたように、両者の評価の大へんな違いがある、これなんかは自重しませんと中古エンジンと同じ私はしくじりをやるぞ、これは今こそ価格は少くとも、五年、八年の後にこれが価格が暴騰したときに、こんなものをというようなことで、あとから指摘されたら大へんだ。それに知名の鑑定人が十二名も一緒になった協会の鑑定、これらもまた非常な警戒をしなければならない。でありますから私は中古エンジンの戒めがあるからよく考えて、念には念を入れておかないといけないと思うことと同時に、今早急に事を進めますると時期が悪いと思います、選挙がありますから。これは少し時期をはずして、地方的の了解を求めなければならない。現に私が取り扱っておる移転問題のトラブルだけでも十数件に及んでおる。でありますから、これはただいま宮城委員の仰せられましたように、皆さんのお力を借りて、いい御協力を願って啓発運動をしていただく。と同時に、当局もいけない、施設が悪い、でありますから、これはどこまでも社会政策的な文化施設を試みまして、今御指摘なりましたけれども、予算の点は私は心配ないと思う。必ずやれると思います。この点はただいま私は事務当局にも深く念を押しまして、国民の心持を改めるように、啓発運動を起そうじゃないか、それには参議院、衆議院の皆さんの御協力を得ることが大切だということを育っておるのでございますが、東京でもまた豊多摩刑務所の問題、最近大へんな陳情が来ております。進駐軍が返したら、あれはもう刑務所に使ってくれては困る……、どうもそれは全国的にやはりございまして、だから全国的に保護更生、それに矯正という仕事は法務行政の上に非常に大事なものだということを頭に置いて、ここに私は極度の点まで福利施設、文化施設という方面の心持を持っていかなければならない。どうかそんな心持でおりますから、御助力を得まして、この悪い流行は違った方に転換することができると思う、どうぞ御棚力を願いたいと思います。
○宮城タマヨ君 大阪の現地に参りましたときに、お母さんたちの言っている中にこんなことを申しました。大臣がいらっしゃって、大へん文化的な施設をしてやるから心配ないというようなことを言われたが、とんでもない話で、そんな文化的なきれいな建物を建てられたら、自分たちの子供たちが、家よりもあそこの力がいいからと、みんな刑務所を希望するから弱るのですよ、とんでもない話ですということも——まあこれは私どもは一笑に付したわけであったのでございますけれども、一般の思想といたしまして、応報刑の思想はまだ一般の人たちから抜けないのじゃないですか。だからやはり悪いことをした人たちは、そんないい所に入れないで、悪い所にぶち込んで置いたらいいんじゃないかというような、それから子供なんかでも、そんな特別の更生保護の施設とか、あるいは矯正教育といったような、そういった特別なことをしないで、がんじがらめに縛ってやるというような考えが、つまり応報刑が相当あるというような考え方が、国民の私は根本にあるのじゃないかということを、非常に心配しておるのです。だからそういう考え方について、どうして啓蒙していったらいいかという問題になるのでございますが。
○国務大臣(牧野良三君) これは私はどこまでも社会保障の大きな部分として、国民に教え込まなければいけないことでございます。拘置所というものは犯罪人の行かれる所じゃないのだから、気の毒なんです。疑いを受けておられるのだから大事にしなくちゃならぬという考えを持っておる。われわれも場合によっちゃ行かなきゃならない、疑いを受けるということはいつあるかわからない。ことに拘置所というものは全然違ったものですよという話をしておるのですが、刑務所に関してはこれは全くやむを得ません。でありますから、今のように国民には、応報的な刑罰という心持を持っちゃいかん、どこまでも落後者だ、この人を救って、お互いの力で救って、お互いの社会生活が平穏にできるように、われわれの手でしなくちゃならぬのだという心持をみんなに植え付けたい、そういう考えをもちまして、まあ保護司の皆さんを初めとして、人権擁護委員、こういう方面と、それから矯正の面には新しい境地を私は開きたい、こういう考えを持っておりますが、省内でもそういうふうな空気が充満しているようでございます。そうしてこれが閣僚とか大蔵省なんかにはわからなかったが、よほどどうもわかってきたので、従って次の年度には私は相当の効果を上げることができるのじゃないかと期待しております。
○宮城タマヨ君 それにつきまして、法務省の機構の問題でございますけれども、今少年院や鑑別所というものが矯正局に属しているので、これは私、当然保護局に属するのじゃないかということを思いもし、またその方がいいだろう、つまり保護局から少年院を矯正局の所属に持っていきましたときに、私どもを初め一般の人たちが、非常にこれは行刑の色が濃くなるのじゃないか、またなるような気がするので、これについて一つ私は法務大臣が牧野さんであるから、私、ことに願うのでございますけれども、一つこの点を考えていただきたい。
○国務大臣(牧野良三君) その点はそれじゃ十分私自身が研究してみたいと存じます。
○宮城タマヨ君 お願い申し上げます。
○委員長(亀田得治君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(亀田得治君) 速記を始めて。 請願の以上五件は、これを採択し、議院の会議に付するを要するものとして、内閣に送付を要するものと決定して御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(亀田得治君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたしました。 本請願の報告書にはそれぞれ意見書を付することとし、その内容につきましてはこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(亀田得治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
○委員長(亀田得治君) 次に千二百六十五号、徳島刑務所移転に関する請願について、まず西村室長から御説明願います。
○専門員(西村高兄君) 千二百六十五号、徳島刑務所移転に関する請願の御説明を申し上げます。 本件は、徳島市長の長尾新九郎さんの請願でございまして、御紹介は三木興吉郎議員、紅露みつ議員でございます。 この徳島刑務所は、明治二十二年にできたものでございまして、戦災などがありまして、一時収容施設のままの状態になっているのでございますが、その場所が市の最も繁華街に当る所にあるようでございまして、その後の市の発展状況にかんがみまして、立地上この場所に置くことが適当でないので移転をしてもらいたい、こういう趣旨でございます。 なお、あと拘置所の移転などもございますので、関連いたしますことを一括してちょっと御説明をしておきたいと思いますが、刑務所や拘置所の移転に関しまする法務省の行き力を伺ってみますと、ただいま移転工事中のものが、刑務所といたしましては長野県の須坂、それから福島、大分などでございます。それから拘置所としてやはり移転工事をいたしておりますものが大阪、京都、小倉、それから支所としまして八代、丸亀などがあります。それから刑務所の改築をいたしておりますものが、札幌、宮城、ほか数カ所ございます。この請願にはございませんけれども、陳情を受けて、ぜひ改築あるいは移築を希望しているものが、刑務所といたしまして新潟、名古屋、山形、高知などがあるようでございます。そういうように、相当にこれが殺到しておりまして、一つ一つの事件を一々取り上げることはむずかしいかもしれないということを法務省で言っておられるのでありますけれども、この請願の御趣旨は、その地方の事情といたしまして十分必要があるものと思いますので、御採択の上、適当な時期にこの願意が達成される方向に向けられるよう御努力いただくことが適当だと思います。その意味で御採択しかるべきものと考えます。
○委員長(亀田得治君) 法務当局の力で御意見がありましたら、この際述べていただきます。
○政府委員(渡部善信君) 申し上げます。大体一般的に申しまして、刑務所の施設は、最初にその建築に当りまして郊外その他人口稠密ならざる地域を選択して建設いたしておるのでございまするが、建設後周辺地が市街地となりまして、いつの間にか都会の中心部に位してしまうというような結果になっておるものが多いのでございます。法務省といたしましては、拘置所は格別でございまするが、刑務所の施設が都市の中心部に位いたしまして、その発展を阻害するということは決して望ましいこととは考えていないのでありまして、いずれそれらの施設を郊外に移転するということにつきましては、原則的には賛成をいたすのにやぶさかではないのでございます。しかしながら、現在の国家財政に徴しますると、かような刑務所の施設の移転を早急に実現するということはなかなか困難なのでございます。大体一つの刑務所を建設いたしまするのに、建設費だけでも五億円内外の巨額の費用を必要といたすのでございまして、現在法務省で新しくやっております新宮又は移転を実施し、または実施を計画いたしておりまする刑務所とか拘置所の施設は、須坂、福島、大分、大阪、京都、小倉等でございまして、しかも本年度計上されておる予算額は、そのすべてを合せましてわずかに二億円に過ぎない状態でございまして、今後なお数年間はこの工事を継続してやっていかなければならないような現状なのでございます。なお、将来新宮を取り上げなければならないものは、庁舎の非常に老朽いたしておりまするもの、これは、札幌、宮城、前橋、松江その他の刑務所であります。また、都市の中心部に存在いたしておることによりまして問題となっておりますのが、本件の徳島のほか、豊多摩、新潟、名古屋、山形、高知、静岡、岡山、その他の刑務所になっております。以上、刑務所の新営を実現するには巨額の予算を必要といたしますので、国家財政の現状におきましては、早急に実現するということは、これはいささか不可能に近い、かように存じておるような次第でございます。御了承のほどお願い申し上げます。
○委員長(亀田得治君) 何か御質疑のおありの方は。
○羽仁五郎君 この徳島の今問題になっております刑務所は、お話にもあったように、非常に古いもので、古いものはここにも限らないでしょうけれども、私もこの間そこを見まして、実際一日もああいう状態に置いておくことは許されないじゃないかと思うのです。そこで、私ちょっと政府に伺っておきたいのですが、国家財政の見地ということももちろん問題でありますけれども、やはり刑務所なり拘置所なりに収容されておる方々の人権をじゅうりんして国家財政もないもので、そういう点で大蔵省なり何なり、国家財政に関係する方々が金をもうけたりなんかすることは非常にお上手かもしれないが、人権についての感覚がきわめて低い、だからそれはその責任を負うておられる当局、法務省が十分に啓蒙せられて、昔のような考えで刑務所、拘置所はあと回し、防衛庁なんかを先にこしらえるということじゃ本末転倒だし、その目的も達しないのだし、予算の面で今御説明下さったように、話にもならないというようなことでなく解決していただきたい、これはお願いしておきます。 伺っておきたいのは新築移転などの方針ですが、今の御説明で一つ矛盾しておる点があると思います。都市の発展を妨げるのを先に移転なさるおつもりか、それともその中の設備が人権の保障上申しわけないという非常に古い昔の考えでできておるというのを先になさるおつもりか、いずれを先になさるのか、私は当然多少都市の発展を阻害するというふうなことがあっても、それよりも建築その他が非常に旧式なものであって、現在の憲法の保障する人権の保障というものに支障があるという方を先にやって下さる方がありがたいのですが、その点はどうなんでございましょうか。
○政府委員(渡部善信君) お答え申し上げます。全くわれわれの努力の足りないせいだと実は恥じ入る次第でございますが、われわれといたしましてはあとう限りかような老朽施設を早く改善したいという念願に燃えておるのであります。これはただいま羽仁委員の仰せのごとく、われわれじゃなくて、大蔵当局の方の認識の足りない点も確かにあるように見受けられます。極力われわれといたしましてはその当路者の認識を深めていただくことに努めておるのでございます。先般の、先般と申しましてもついせんだってでございますが、北海道から東北方面の古い施設につきまして、われわれの方からも係官がつき添いまして一々かような古い施設あるいは非常な過剰拘禁になっております施設等を事実見て回りまして、われわれの要求が無理なものじゃないということを、極力説明をいたしておるのでございます。現在移築をいたしておりますのは、ただいまも御指摘のようなそういう老朽の施設と同時に、場所的に見ましても非常に町の中心部に位しておるというような両方の条件を兼ねたものから実はやっておるような状況でございまして、今宮城等はこれは老朽、札幌も今やっておりますが、非常に古い施設であります。これはもう現場のままで施設の改築をいたしておるのでございます。今後ともかような施設の改憲には努力いたしたいと思っております。さよう御了承願います。
○羽仁五郎君 これはぜひ一つ大蔵省の方々ばかりじゃない、大蔵大臣にもちゃんと見てもらうように、一日くらい場合によったらそこに入って、そこでなるほどこういうことは一日も許されるべきものではないという認識を深めていただくようにお願いしたいと思うのです。 それからその金のかからない方で老朽施設の中でもあたたかく人権を尊重する方法はあるのですね。それは監獄法の改正、これも僕の口がすっぱくなるくらいになっておって、申し上げるのも腹が立つことですが、その意味からも、そういうひどい所が移転も改築もできない、予算がないからということも十分一つお考えになって、監獄法の改正で、法の面で人権の保障ということの意味が、いやしくもないということになると、おわびのしようがないのではないかと思うのですが、その点も御尽力願いたいと思うのですが、どうです。
○政府委員(渡部善信君) 羽仁先生のお顔を見ますと、私はすぐ監獄法を……。実は本務をちょっと半ば放擲したような形にも実はなっているのでございますが、一生懸命でこの監獄法の改正に取っ組んで参っておるのでございます。まず未決関係の未決拘禁法の問題をまず今やっておりまして、不日これは、われわれの局の方の審議は大体まとまりましたので、省議にかける段取りに進んでおります。決して放擲はいたしておりませんので、もう頭にこびりついて、羽仁先生のお顔を見るたびに監獄法々々々ということを常に考えておりますから、どうぞ今しばらく御了承のほどをお願いしたいと思います。
○小柳牧衞君 ここに申し上げて恐縮でありますが、今お話もあったようですが、新潟の刑務所の移転改築の問題でございますが、これは昨年の大火によりまして、都市計画の関係上早く実現していただきたいのですが、その実現には経費の関係、財政の関係等もありましょうから、急速に運ばぬということもお察しいたしますけれども、その前に大体移転するという方針を定めていただくことが、都市計画を決定する上に非常に必要なのでありますから、その辺御考慮の上、至急その方針に進んでいただきたいと思うので、またそうきまりますれば、財政的のやりくり等についてもよく考究する機会を持ち得ると思うのでありまして、自然実現も早くなるんじゃないか、かように考えるわけであります。これと同じような例はほかにもありましょうから、ああいう膨大な区域の移転ということは、いろいろの面において関係が多いと思いますから、なるべく方針を早くきめて、発表される方がいいんじゃないかと思いますが、お願いかたがた申し上げておきます。
○政府委員(渡部善信君) 仰せのごとく新潟の刑務所は先般の火災に関連いたしまして、相当都市計画の関連性から急いでおられる旨を承わっておるのであります。われわれといたしましてもこれは全体的な関係から実は考慮していかなければなりません。また移転するといたしましても、移転先をどういうふうにするか、またその問題についていかような配慮をしていくかというようなことも、いろいろ考えていかなければなりませんので、全体的に見まして、この点解決いたしたいと思っております。各施設の現状につきまして、それぞれの緩急順序を立てまして、継続事業として今後進めていきたい、かように存じておりますので、御了承を願いたいと思います。
○羽仁五郎君 もう一点申し上げておきたいと思うのですが、その改築せられる場合の建築ですね、いたずらに金のかかる、それで人権をじゅうりんするような建築を未だに建てておられるように思って憤慨にたえないんです。その一つは、例をあげるのはちょっと気の毒でありますが、福井の裁判所の下に拘置所から裁判を受けに来られる方々が一時入っておられる所がありますが、福井の裁判所は非常にりっぱにできて、そうして民主主義の裁判の本質を実現されようとすることには全く敬服し、また賛成しているのでありますが、あれだけりっぱなものを作りながら、その下の裁判を受ける方が一時入っておられる房ですね、その中にはセントラル・ヒーティングの暖房まで完備しているといいながら、何ゆえに食物を差し入れる口を地面に近い所にこしらえているか。それは実に驚きにたえている。それで、どういうわけだといっていろいろ聞いてみたら、上の方に差し入れ口を作ると、中にいる人が、中へ差し入れようとする人に対してげんこつか何かでぐっと突くような心配があるから、それで上の方には作れない、地面に近い方に作るのだと……。何ていう考え方だ。主権在民も何もわかってはいないんだろうと思う。ああいう人たちには、全部一ぺん地面に置いた飯を食べていただいたらいいと私は思う。わざわざああいったことをやるので、かえってああいう待遇をするから改善の実効が上がらないのですよ。何も、人間が幾ら悪いことをしたからといって、その差し入れなり食事を地面の方から入れるというような屈辱的なことをするということはどういう理由であるのか。これは一例ですが、そういうことは多々ありますよ。中へ入って見ると、それは実にひどいものです。ああいう古い、江戸時代の、封建時代の考え方がいまだに残っている。それで、今後新築せられる拘置所なり刑務所なりあるいは裁判所なり、その他気の毒な、罪を犯した方を収容するような場所に、不必要にしてそして人権を踏みにじるようなそういう建築を私はとても許せないと思うのですが、そういう点にも十分戒心せられることを要求しますが、どうですか。
○政府委員(渡部善信君) 仰せのような点は、十二分にわれわれとしても考慮しております。私らの方にも実は技術家の専門家もおりまして、各広くいろいろな施設等を建築様式をとり入れまして、最も一新しい形で進みたいと思っております。もちろんこの中は、四六時中生活する人たちのおる所なんでございますから、健康をまず考えまして、十二分に健康の保持できるよう考慮を払っておるわけでございます。昔の施設でまだ至らぬものも相当あるのでございますが、まあ今羽仁委員の御指摘になりましたこの食物を入れる口が下の方にあると申しますのは、私の聞いておりますのは、実は大体日本の様式がすわるようにできておりますので、すわっておるちょうど手の所に食物がくるようにというような配慮から、下の方についておるということを聞いております。これも程度の問題でございまして、どこまでがちょうどすわって手を差し伸べる位置になるのか、これもよく今後も研究していかなければならない問題でございますがよく考えまして、そういうような、いやしくもさように見られるような設備を廃しまして、もっぱら中に入っておる人たちの健康を考えてやっていきたいと思います。もちろんこれには管理上の制約はあるのでありますが、その範囲内におきまして極力健康的なまた明るい文化的な施設にしたいという念願でおります。
○羽仁五郎君 あまりそれについて述べるのは何ですけれども、おっしゃるものだからつい言わなければならぬのですが、一人入ってすわっておる場合なんかには、すわっておるままで受け取れる場合もあるでしょう。それにしてもですね、目八分くらいでいいです。何も下の方から入れるという必要はない。とにかく現在の口は下過ぎます。もう少し上につけるということは当然です。ことにそれから食事ですね、動物でも食事をするときは、そう人をけとばしたりしないものです。ことにああいう所に入っておりますとおなかがすきます。従ってずいぶんひどい食事をお入れになりますが、それでも感謝してやはり人間ですから穏やかな気持で食事をいただこうとするのです。そのときにまで踏みつけるような屈辱的な態度を取られておるということをよく認識していただきたい。あなた方はそういうことを申し上げてもなかなかおわかりないでしょうけれども、それはひどいものです。だからクリスト教にも、コミュニオンというか、食事を一緒にするということは神聖なことなんです。日本では不幸にして食事をそういうふうに重んずる風俗、習慣が比較的少ないのです。外国のああいう所を参観せられる機会がおありになるでしょうが……。食事をするときには、現に松本の少年刑務所かで、一時非常によい企てをなさって、食堂でもって食事をするときには、その少年たちが、そのときまで看守の方方がわきに立っておられて食事をするというようにして下さらなくても大丈夫だ、私たちは楽しく食事し、穏やかにそれを済ませるつもりだから、食堂にまで看守が立っておるというふうにすることをやめてくれと、少年たちから願われて、それが快く受け入れられて、食事の際まで監視をしないということで、非常にいい結果が出てきた。あのころは市中の映画館へ一月に一回ぐらい一緒に映画を見に行くというようなことまでやっておられたということで、結局よくなりはしないかと喜んでおった。とにかくあたたかい心で親切な取り扱いをしていただいたら、必ずしもこのためにそう金がかかるものではない。鉄筋コンクリートで非常に金をかけてりっぱなものをやっても、冷たい気持でこうした人を踏みにじる、ような建築を作るということはやめていただきたいと思います。せっかくのお答えですけれども、今一応やはり涙とともにパンを噛みしめる人の気持になって一つやっていただきたいと思います。
○委員長(亀田得治君) それでは一応質疑をこの程度で打ち切りまして、この請願を採択し、内閣に送付することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(亀田得治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(亀田得治君) 次は請願千四百五号、東京都新井町所在豊多摩刑務所跡敷地解放に関する請願及び千四百二十四号豊多摩刑務所移転促進に関する請願、二つを一緒に議題に供します。西村室長からの説明をお願いいたします。
○専門員(西村高兄君) 千四百五号の請願は、東京都中野区の区議会議長塩沢さんからの請願で、御紹介は中山壽彦議員でございます。 これは、この中野区の新井町にございます豊多摩刑務所と申しますのは、現在アメリカ軍のスタッケードに接収されておるのでございまして、これはまだ確かなことではございませんが、ことしの七月にあるいは接収解除になるかもしれないのでございます。そういうふうになりました場合には、この豊多摩刑務所を法務省の行政財産として使用継続しないで、公用を廃止して、中野区民の直接の福祉のために解放していただきたいというのが請願の趣旨でございます。その理由といたしますところは、中野区が現在の東京都の発展に伴いまして、すでにその郊外的な意義をもう一変しており、繁華の中心に移ってきておる。そういう状態にあるときに、いろいろな公共施設、教育施設、住宅その他いろいろな面で施設を要することが多いのでございまして、この従来郊外的見地のもとに建てられた豊多摩刑務所を再び刑務所に使用するということは適当でない、立地的に適当でないから、ぜひこれを公用を廃止してほしい、そうして中野区民の直接の福祉のために解放してもらいたい、こういうのでございます。 これも法務省の方といたされましてはいろいろ御意見があるようでございますけれども、ただいま最初に申し上げましたように、刑務所の位置というものが最初の計画され、設置されましたときとは、いろいろ事情が違って参りますとともに、またこれを考えなければならない状態にあるでございましょうから、この区民の方々の御意向が達成されるような状態になりますことを念願いたしまして、御採択いただきたいと思うのでございます。 それから千四百二十四号の豊多摩刑務所移転促進に関する請願、これは浦和市の豊多摩刑務所移転期成同盟会の会長の小谷野伝蔵さんから請願されておるのでございまして、御紹介は上原正吉議員でございます。 これもこの現在の浦和市にございます豊多摩刑務所は県庁の翼向いにあるそうでございまして、すでに首都圏整備法が国会を通過いたしましたことでありますし、埼玉県の地位が従来とよほど違って参って、浦和市が当然その意味におきましても首都圏の内容にいろいろな意味を占めなければならないときに、その施設の中心、県政の中心であります県庁の前にあるということは、いろいろ都合が悪いと言われるこの請願の趣旨はもっともだと思いますので、これも法務省にはいろいろな御意見があるようでございますけれども、できますればこの請願の趣旨が達成されることを念願いたしまして、御採択しかるべきものと思う次第でございます。
○委員長(亀田得治君) 法務当局の御意見をお述べを願います。
○政府委員(渡部善信君) 現在浦和にございます豊多摩刑務所の移転促進の問題は、ただいま申し上げました徳島刑務所の移転問題と大体同趣旨にお考え願いたいと思うのでございます。ただいま仰せのごとく豊多摩の刑務所は県庁のまん前にございます。しかしながら実はこの刑務所は戦災で焼失いたしたのでございます。戦後建て直した施設でございます。従いましてただいま羽仁委員の仰せのような老朽施設という点から申しますと、むしろ新しい施設なんでございますが、ただいま御説明の首都圏整備計画と申しましょうか、そういうふうなより高次な観点から、この移転が問題視されるのじゃないかと思うのでございまして、われわれといたしましてもさようなあらゆる面からも検討いたしまして、この問題を処理していきたいというふうに考えておる次第でございます。 次に、中野にございまする元の豊多摩刑務所跡の敷地の返還に伴う区民への解放の問題でございますが、実は終戦までは東京都内に東京拘置所、それから既決囚を入れまする刑務所といたしまして豊多摩、小菅、府中の三刑務所、合せて四施設がございまして、常時未決約二千名、既決約四千名を収容しておったのでございます。ところが終戦直後に東京拘置所それから豊多摩刑務所が占領軍によって接収をされてしまいまして、さような関係から既決の人たちをやむを得ず他府県に移送をして処理しなければならないような状態に立ち至ったのでございます。このような施設の接収がありましたし、一方戦災等によりまして多くの施設を焼失いたしましたため、終戦後激増いたしました犯罪者の収容には全国的に非常な困難を感じていたのでございますが、ことに東京管内がその状況がはなはだしかったのでございます。収容者増加の傾向は昭和二十七年、八年には一時落ちついたかのごとく思われましたが、昨年ごろから再び増加を呈する状況になりました。一方国家財政の関係から刑務所を新築することは非常に困難が加わり、法務省といたしましては右接収施設の返還を久しく待望いたしておったような次第でございまして、この問題につきましては、われわれの立場からすれば御希望には沿い得ないような状況でございます。その理由といたしましては、この収容者の矯正教育上、社会復帰のことを考えますると、収容者の居住地から離れた他府県に移送することは、保護者との面会その他あらゆる面で非常に支障を来たすわけでございまして、好ましくないのでございまするが、現在東京都内から年間五千名ないし六千名の既決の人たちを他府県に移送しておるような状態でございまして、一日も早くかような状態を解決したいという念願に燃えておるのでございます。かような状態はただ東京都内ばかりじゃございませんので、東京管内を全部見渡して見ましても、なおかつ全国でやはり一番過剰拘禁の状態を呈しておるのが東京管内なんでございます。一例を申し上げますと、今年の一月から三月までの一日の平均収容人員は二万二千名でございまして、収容定員は一万五千八百人という状態、その拘禁率は一三八%ということに相なっておるのでございます。東京管内以外に東北あるいは北海道方面に移送しておりますのが二千三百名にも及んでおるのであります。かような状態からいたしまして、法務省といたしましては同所が返還された場合は、施設の整備を急ぎまして、接収前同様既決の人たちを収容する刑務所として使用し、収容者の処遇の万全を期したいというふうに考えておりますので、さよう御了承を願いたいと思います。
○委員長(亀田得治君) 御質疑ありませんか。
○羽仁五郎君 今の中野の方ですが、それはもう少し研究するということにしておいたらどうですか。
○委員長(亀田得治君) ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(亀田得治君) 速記をつけて。 それでは千四百五号の方は一つ審査はこの程度にして、採決を留保いたしたいと思います。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(亀田得治君) さよう決定をいたします。 それから千四百二十四号、これは一つ採択をして内閣に送付することに御異議ございませんか。
○羽仁五郎君 それも、まあこれは二つの問題があるでしょうが、いずれも重要で、一方は割合に新しく建設したものであって、他に移転するということもそれ自体としては必要がそう急迫しているものじゃない。だから現状のままで置かれたということでしょう。他面首都圏整理法に伴う都市計画ということもあるのじゃないかと思うのです。首都圏整理法が、これは直ちにそれで非常に大きな障害にぶつかるのかどうか。やはりこれはもう少し研究してみた方がいいんじゃないかと思います。
○委員長(亀田得治君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(亀田得治君) それでは速記をつけて。 請願千四百二十四号も、審査はこの程度にして、採決を留保することにいたします。 —————————————
○委員長(亀田得治君) それでは次には、請願二百八十一号、四百八十三号、千五十二号、三件を一括して議題に供します。 まず調査室長から御説明願います。
○専門員(西村高兄君) 二百八十一号は山口県宇部市に山口地方裁判所支部等設置の請願でございまして、請願者は宇部の市長三隅順輔さんで、紹介者は中川以良議員でございます。 この山口の地裁の支部は現在山陽線から船木鉄道で入りました船木にあるのでございまして、交通的に申しますと少し不便な土地であるわけでございます。ところが宇部は現在人口がもう十七万にもなっておりまして、また現に船木の小さい支部で取り扱っております事件の七〇%は宇部市の事件であるようであります。この船木に支部ができました当時と事情がよほど変って参りまして、山口県の工業事情が小野田、宇部など非常に発展をして参ったのでございまして、その点から考えてみますと確かに宇部に置くことが地域的に適当だと思われます。 この点につきましては二十二国会にすでに請願が出まして御採択の上内閣に送付されているのでありますけれども、その促進の意味においてこの請願が出てきたものと思われますので、前回すでに御採択になっていることでもございますし、今回もこれを御採択しかるべきものと存じます。なお調査室としての資料六十七号をお手元に差し上げてございますから、それを御一覧いただきますとありがたいと思います。 それから四百八十三号、これは宮城県の築館簡易裁判所に家庭裁判所併置の請願でございまして、これは築館町役場の千葉さんの請願で、紹介者は高橋進太郎議員でございます。現在地裁の支部が古川市にございます。築館には簡裁しかございませんので、家庭事件につきましては非常に不便があるわけでございまして、家庭裁判所の出張所を築館に置いていただきたい。これも事件の状況を調べてみまして、請願の趣旨適当と存ずるわけでございますので、御採択しかるべきものと存じます。 なお調査室で作りました資料第六十九号に若干説明をいたして資料の数字などもあげておりますから、これをごらんいただくとありがたいと思っております。 それから千五十二号、秋田県米内町に簡易裁判所等設置の請願、これは米内沢町の金さん外一名の請願でございまして、紹介者は長谷山行毅議員でございます。 この件につきましては若干沿革があるのでございますが十五国会に、この近所にございます鷹巣町にも同様の希望がございまして、この米内沢町と鷹巣町とに簡易裁判所設置の競願がございましたが、このときは審議未了でございました。それで十六国会に今度は米内沢町だけの請願がございまして、このときは御審議いただいた上、それが採択になりました。それからその次には十九国会に鷹巣町からその要望が出て参りましたが、請願が出て参りましたが、このときは前に米内沢町につきまして御採択になったことでもありましたので、このときは審議未了でございました。それで、二十国会に今度は米内沢町から、先ごろ御採択いただいた簡易裁判所設置促進を希望するというその請願が出て参りまして、それが御採択になっております。そうして今回また米内沢町につきまして請願が出てきたわけであります。いろいろ地方事情もあるようではございますけれども、大体本院としての御意向は、米内沢町に簡易裁判所を置くことにつきましてただいま御説明申し上げました経緯もございまして、御採択になっておることでございますので、今回も請願の願意をお聞きとりいただいて御採択いただくことが適当と存ずる次第であります。
○委員長(亀田得治君) 本件について最高裁当局から御発言願います。
○説明員(海部安昌君) 山口県の宇部市に地方裁判所及び家庭裁判所の支部設置の御要望は、宇部市が最近非常に発展しておりますが、支部を設置した場合の予想件数その他の点がありまして、相当考慮すべきものと認められるものでございますが、ほかにも支部設置の御要望が出ております所は四十カ所くらいございまして、その中には宇部市と同等あるいは以上の条件が具備しておる所もございますので、それらとの権衡の点もございますし、庁舎も増築をしなければ執務に困難でありますので、職員の増加も必要となっておりますので、これらの制約がございますので、さらに検討いたしたいと思います。最終的結論には達しておりません。 それから宮城県の築館簡易裁判所に家庭裁判所及び出張所を設置する件につきましては、交通事情なんかから見まして御要望ごもっともだと存じておりますが、これも地元からの職員の増加を必要とするというふうに言って参っておりますので、あるいは早急の実現は困難かもしれませんけれども、御要望に沿うように十分努力をいたしたいと思います。 それから秋田県の米内沢町に簡易裁判所を設置することにつきましては、ただいま御説明もございました通り鷹巣町からも設置の要望もございまして、競願の形でございますので、検討して参りましたが、予想事件数もあまり多くございませんし、早急に実現は困難かと考えます。
○委員長(亀田得治君) 速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(亀田得治君) 速記を始めて下さい。 以上三件は採択をして内閣に送付することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(亀田得治君) 異議ないと認め、さよう決定いたしました。 —————————————
○委員長(亀田得治君) 次に請願第十七号、請願千四百三十八号、二件を一括して議題に供します。 まず西村室長より御説明願います。
○専門員(西村高兄君) 十七号高知地方法務局赤岡支局改築に関する請願は、赤岡町長の古味さんからの請願でございまして、紹介者は寺尾豊議員でございます。 これは赤岡町の発展に伴いまして、これが支局に昇格しておるのでございますけれども、従前出張所のときのままの設備でございまして、取扱い件数などから考えてみましても、非常にこれは不便な状況にありますので、改築を希望するのでございます。 法務当局といたされましてもそれぞれの山出張所、支局、そういう所には建築の規格があるようでございますけれども、現在の五十坪という庁舎は、出張所としての規格でもまだ狭いようでございますので、この請願の趣旨は適当と思われます。御採択しかるべきものと存じます。 それから千四百三十八号埼玉県皆野町に浦和地方法務局出張所設置の請願は、皆野町長の設楽さんの請願でございまして、紹介者は上原正吉議員でございます。 これは先般国神村、金沢村、日野村が皆野町に合併になったのでございます。ところがこの出張所で取り扱っております事項は従来のままでございまして、土地関係は吉田でやり、農業関係は野上でやるというようなことになりますので、つまり町村合併によりまして諸政更新のことが、この登記関係におきましては実現されていない状態にあって、非常に町民として不便を感じておる、こういうのでございます。 請願の願意適当と思いますので、御調査の上、御採択しかるべきものと存じます。
○委員長(亀田得治君) 本件に関し法務局の御発言をお願いいたします。
○説明員(平賀健太君) 高知地方法務局赤岡支局改築に関する請願に対する意見を申し述べます。法務局の施設のうち支局庁舎の窮状は最もはなはだしく、予算措置として本請願の趣旨と同様これらの整備に重点を置き、努力中であります。 なお、支局のうちにはまだ独立庁舎を有しないで裁判所施設の一隅に同居中のものが多く、著しく狭隘のため執務に支障を来たしておる実情にありますので、これらの点を総体的に検討し、その緩急に応じ、国家財政の許す限りにおいて、早急に実現するよう努力したいと考えております。 次に浦和地方法務局皆野出張所設置に関する請願であります。出張所を設置しますかどうかにつきましては、その地方の人口、交通、産業、面積の実態はもとより、主として登記件数及び隣接登記所の事務量などを十分考慮して決すべきものでありますが、本請願による地域内の登記件数を見ますと、まだ独立の出張所を新設するには事務量が僅少でありまして、特に出張所庁舎、倉庫その他の施設を新たに設け、職員を駐在させることは現下の財政の実情から見まして、国庫の負担が大きに過ぎる感があり、目下のところ実現することは困難であろうと考えております。
○委員長(亀田得治君) 以上、二件につき何か御質疑はありませんか。——ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(亀田得治君) 速記を起して下さい。 本請願は、採択して内閣に送付することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(亀田得治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(亀田得治君) 速記を起して下さい。 次には請願七百二十、請願千二百六十七、請願千四百二十九、請願千四百五十五、以上四件を一括議題に供します。 西村室長からまず説明をいただきます。
○専門員(西村高兄君) 七百二十号売春に関する請願、これは大阪府新地組合連合会の藤原茂雄さん外八名の請願でございまして、紹介者は一松定吉議員でございます。 これは組合側からの請願でございまして、売春禁止法の施行に関しまするいろいろな具体策につきましては、業者の意向を十分反映さしていただく意味で、売春対策審議会に意見を述べさす機会を与えてほしいという請願でございます。この願意は適当と思いますので御採択しかるべきものと思います。 それから千二百六十七号売春禁止法制定促進に関する請願、これは東京都府中市議会の議長野口さんからの請願でございまして、紹介者は高田なほ子議員でございます。 なお千四百二十九号売春防止法制定促進に関する請願、これは栃木県の売春対策審議会の甲斐キヨさんからの請願でございまして、紹介者は相馬助治議員でございます。 それから千四百五十五号売春防止法制定促進に関する請願、これは大阪市のYWCA内の売春禁止法制定促進委員会の山本君代さんの請願でございまして、紹介者は藤原道子議員でございます。 この三件は大体同趣旨でございまして、法律の制定を促進されるとともに——この点はもう制定されたわけでございますけれども、なおその法律の施行につきまして、いろいろ国会の審議の途中に論議されております各方面の意見を十分参酌されて、この法の施行について十分政府は考えてもらいたいし、なおこの法律の内容をさらに具体的ないいものにしていくようにという希望でございまして、三件それぞれ請願理由ありと存じますので、御採択しかるべきものと存じます。
○委員長(亀田得治君) この際法務当局より御意見を伺います。
○説明員(横井大三君) ただいまの請願のうち、千二百六十七号、千四百二十九号、千四百五十五号のこの三件につきましては、売春禁止法の制定促進に関する請願でございます。売春防止法は先般国会の非常な御努力によりまして法律として制定、公布いたされまして、現在実施準備中でございます。この法律は決してわれわれといたしましては十全の法律であるとは考えておりません。政府内部に設けられました売春防止対策審議会、これが恒久的機関としてこの法律の実施を見て参りますと同時に、それに伴いいろいろ生じます欠陥とかあるいは不都合の点につきまして今後対策を講じて参るということにいたしておりますので、御趣旨を尊重いたしまして、われわれとしても御趣旨に沿うように努力いたして参りたい、こう考えておる次第でございます。なお七百二十号につきましては、これは売春問題対策審議会に業者の意見を述べる機会を与えるように、こういう御趣旨でございます。われわれといたしまして売春問題につきましては、いろいろな方面から検討いたしまして売春婦あるいは売春業者の、あるいは特飲店の代表者等の意見も十分この審議会に反映するように、その上で政府の方針を定め、対策を考えていくというふうに努力するつもりでおります。ただ直接この審議会に代表者を加えまして、あるいは意見を述べる機会を与えるのが適当かどうかにつきましては、なおわれわれの方といたしまして検討して参りたいと思いますが、少くとも特飲業者の代表者の御意見を十分考慮に入れながら対策を考えて参りたい、こういうふうに存じております次第でございます。
○委員長(亀田得治君) ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(亀田得治君) それでは速記を起してもらいます。 この請願は採択して内閣に送付することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(亀田得治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。 —————————————
○委員長(亀田得治君) 次に請願千三百九十九号を議題に供します。 まず、西村室長より御説明願います。
○専門員(西村高兄君) 千三百九十九号、長野県の伊那警察署の不当取調べ調査に関する請願、これは伊那市の手長区におります後藤富貴美さん外一名の請願でございまして、紹介者は棚橋小虎議員でございます。 これは、この請願人であります後藤富貴美さんが、昭和二十八年十月十一日につじ強盗傷害事件の容疑者として逮捕されまして、それから起訴をされて、長野県の地裁飯田支部で判決を受けております。それを控訴しまして、三十一年五月二十八日東京高裁で懲役四年の判決を受けております。これは原審は七年でございます。で、こういう事件につきまして取調べを受けましたときに非常にいろいろな方法で人権が無視されておったので、伊那警察署の不当を調査の上善処せられたい、こういう請願なんでございます。 当室といたしましてはこれは非常にデリケートな問題でございますし、もちろん警察の取調べに当りまして人権の擁護されなければならぬことは当然でございまして、そういうことにつきましては当時委員会諸先生常にそのことについて御意見が述べられておるのでございますし、政府のいき方について常に御監査があるわけでございますけれども、この一つの具体事件につきまして直ちに御採択いただきますことは非常にどうかと思われるのでございまして、なおもう少し時間をお与えいただきたい。そういう意味で御留保をいただきたいと思うのでございます。
○委員長(亀田得治君) 本件に関し法務当局並びに警察当局より御意見がありましたらお述べをいただきます。
○説明員(横井大三君) ただいまの請願千三百九十九号につきまして申し上げます。この後藤富貴美に対する強盗傷害被告事件につきましては控訴の申し立てがございまして、東京高等裁判所に係属中でございましたが、五月二十八日原審の懲役七年の判決を、量刑不当の理由で破棄いたしまして、懲役四年の言い渡しがございました。これはつい最近言い渡しがございましたので、また確定いたしましたかどうかわかりませんのでございますが、また判決内容も詳しく知る機会がございませんが、この控訴審の審理の過程におきまして、被告人側から、警察の取調べに際しまして、誘導あるいは強制が行われ、事実無根であるという旨の主張がなされておりますが、裁判所におきましては、現場検証を再度にわたって行いまして、十数人に上る証人尋問を行い、慎重に審議を重ねておられたのであります。もちろん捜査機関による人権じゅうりんににつきましては、政府といたしまして重大な関心を払っておるところでございまして、いやしくもかかる非難の生ずることのないように、あらゆる機会を利用いたしまして、関係機関に対し注意を喚起しているところでございまするし、人権じゅうりんの嫌疑のあるものにつきましては、法務省の人権擁護局あるいは検察当局等をして慎重に調査の上、事案に応適切な処置をとり、世間の疑惑を解くように努めておるところでございます。先ほども当委員会におきまして、人権擁護について御決議がございました。政府といたしましても、この御趣旨を、特に今後の事件の取扱いの上におきまして具体化して参りたいと考えておる次第でございます。従いまして請願のご趣旨につきましてては、法務省人権擁護局等、関係機関によって慎重に検討を加えるつもりでございます。
○政府委員(中川董治君) ただいま議題となっております請願の案件につきましては、法務省から述べられましたと全く同様な意見を持っておりまして、人権侵犯ということが、われわれ警察活動としてもろとも注意すべきことの一番根本問題でありますので、常常こういったことについては、警察活動の正しいやり方について、ことに努力すべきものである。なお一そうこういうことについて徹底をはかるべきものであると、こういうふうに考えておりますので、議案になっておりますこの案件につきましても、十分調査いたしまして世の中の疑惑をいろいろ究明いたしまして、そういうことの状況をはっきりさして参りたい、こう思っております。
○委員長(亀田得治君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(亀田得治君) 速記を起して。 それでは本請願は採択して、内閣に送付することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(亀田得治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。 なお、本請願に意見書をつけることにいたしたいと思います。意見書の内容は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(亀田得治君) じゃさよう取り計らいます。 —————————————
○委員長(亀田得治君) 次に請願第七百六十三号を議題に供します。
○専門員(西村高兄君) 請願七百六十三号、戸籍法第百二十八条改正に関する請願。これは岐阜市議会議長早川光治郎さんの請願でございまして、紹介者は古池信三議員でございます。 この請願の趣旨は、戸籍法第百二十八条により行うべき旧法戸籍の改製を無期延期してもらいたい。少くも最小限度十カ年延期してもらいたい。こういう請願でございます。 その請願の理由といたしますところは、昭和二十三年に新法が施行されまして、その後施行から十年目に、つまり昭和三十三年には、この戸籍法百二十八条によりまして「新法施行後十年を経過したときは、旧法の規定による戸籍は命令の定めるところにより、新法によってこれを改製しなければならない」こういう規定がございますために、改製しなければならないわけでございますけれども、現在まで改製されておりますのが二、三割でございまして、昭和三十三年までにはあと七、八割の戸籍を一時に改製しなければならない。そういたしますと、その手続が非常に大へんなことで、また費用もかかるので、この百二十八条による戸籍の改製を延期してもらいたい。無期延期が希望であるけれども、少くとも十年くらい延期してもらいたい。こういう御希望であります。 これは当室でも研究いたしましたし、法務省の方にも御意見を伺って見たのでございますけれども、この百二十八条の解釈を、やや固く解釈し過ぎておるのではないかと思われる節があるのでございまして、この百二十八条を読んで見ますと、「旧法の規定による戸籍は、命令の定めるところにより、新法によってこれを改製しなければならない。」というのでございまして、命令が別に出ることになっております。そういたしますと、この命令では適当な命令が規定されることになっておるのでございまして、必ずしもこれを一時に全部改製しなければならぬ実情にはないのじゃないかと思うのです。そういう意味から申しますと、この請願は直ちに御採択いただく必要はないと考えられます。ただこの請願者が、岐阜市議会の議長と先ほど申し上げましたが、岐阜市議会の議長は、同時に東海市議長会の会長でありまして、東海市議長会と申しますのは、静岡、三重、愛知、岐阜、この四県が加わっていることでございますので、取扱いとしてはいろいろな皆さんの御意見もあることかもしれません。それでそういう方面に十分に御理解を求めるということの必要は確かにあると思われますので、そういう方面には別の方法で力を入れることにいたしまして、この請願は御保留いただくことが適当であろうかと思う次第でございます。
○委員長(亀田得治君) 法務当局の御意見を聞きます。
○説明員(平賀健太君) 本請願につきましては、戸籍改製の事務が無理なく進むよう十分に研究いたしたいと考えております。
○委員長(亀田得治君) ちょっと速記をやめて。 〔速記中止〕
○委員長(亀田得治君) それでは速記を始めて。 本請願は採択して内閣に送付することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(亀田得治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。 —————————————
○委員長(亀田得治君) 最後に、請願八百号を議題に供します。
○専門員(西村高兄君) 八百号、借地借家人組合法制定に関する請願。これは東京都豊島区の井上正信さん外二十二名の方の請願でございまして、紹介者は藤原道子議員でございます。 これは借地借家人組合法を作ってもらいたいという請願でございますが、この請願書に記載されておりますことは、借地借家人の団結権、団体交渉権の保障、今のは(イ)でございます。(イ)借地、借家人の団結権、団体交渉権の保障、(ロ)組合代表または組合の委任を受けたものは代理人として地主、家主と協約、交渉する権限を持つ、(ハ)借地、借家問題に関する調停事件には調停委員として組合代表を必ず一名以上立ち会わせる、(ニ)土地、家屋賃貸価格評定委員は必ず組合の推薦したものを入れる、(ホ)政府及び地方自治体の土地、住宅審議会等には必ず組合代表も入れる。大体こういう趣旨を盛った法律を作ってもらいたい、こういう御趣旨であります。 この今説明いたしましたような趣旨を法律に盛るといたしますと、既存の借地借家関係法令との関係とか、利害得失などについていろいろ考えなければならない点がございますし、もちろんこの請願者の御希望を十分そんたくしなければならないので、この組合の事務所へもこちらの方で連絡をとりまして、いろいろ伺ってみたのでございますけれども、あまりまだ内容としてのものは持っておいでにならないようであります。 それから御希望は、別に政府側に対して立法化の陳情をするという意向はなくて、議員立法にするような御希望のようであります。そういたしますと、なおこれはいろいろ研究しなければならぬところがありますし、御希望は議員立法でありますから、適当に御調査の上、御採否を決定いただきたいと思う次第でございます。
○委員長(亀田得治君) 法務当局の御意見を伺います。
○説明員(平賀健太君) 借地人及び借家人に対する地主及び家主の立ちのき要求や賃料値上げの請求は、もしこれが不当なものであれば、借地法、借家法、地代家賃統制令などの規定によっても認められないところであります。その他の点につきましては、借地人及び借家人の権利は現行法令のもとにおきましても強力な保護を受けておるのであります。さらに借地人または借家人がその共通の利益を擁護するために団体を結成し、その代表者などが個々の借地人、借家人のために借地借家の条件などに関し地主、家主と交渉をすることは、現行法のもとにおきましても十分にできることであります。 従いまして請願の趣旨のような特別の立法をすることは、その必要がないものと考えております。
○委員長(亀田得治君) ちょっと速記をやめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(亀田得治君) 速記を起して下さい。 本件の質疑はこの程度で打ち切りまして、採否を留保することにいたします。 —————————————
○委員長(亀田得治君) 次に継続審査の件についてお諮りいたします。 刑法等の一部を改正する法律案及び幼児誘拐等処罰法案につきましては、従来より審査を続けて参りましたが、会期も切迫し、会期中に審査を完了することは困難でありますし、閉会中も引き続き審査を続行する必要があると認めますので、本院規則第五十三条によりまして、それぞれ継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(亀田得治君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。 なお、要求書の内容及びその手続等は、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(亀田得治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。 それでは本日の委員会はこれで終了し、散会いたします。 午後二時四分散会