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24回国会参議院1956/05/22

法務委員会 第22号

発言数
86
登壇者
7
会派数
3
開催日
1956/05/22

会議録

亀田得治日本社会党

○理事(亀田得治君) これより委員会を開会いたします。  命により私が委員長の職務を代行いたしますから、よろしくお願いいたします。  議事に入る前に委員の変更について報告いたします。五月十八日付上原正吉君が辞任されまして、中川以良君がその補欠として選任されました。五月十九日付最上英子さんが辞任されまして、佐藤清一郎君がその補欠として選任されました。五月二十一日付佐藤清一郎君、西岡ハルさん、菊田七平君、亀田得治君、赤松常子さん、藤原道子さんがそれぞれ辞任して、その補欠として井上知治君、岩沢忠恭君、大屋晋三君、菊川孝夫君、山本經勝君、小林亦治君がそれぞれ選任されました。本日付菊川孝夫君が辞任されまして、亀田得治君がその補欠に選任されました。さらに山本經勝君が辞任されまして、赤松常子さんがその補欠に選任されました。  以上御報告いたします。     ―――――――――――――

亀田得治日本社会党

○理事(亀田得治君) なお引き続きまして理事の補欠互選の件についてお諮りいたします。  本委員会の理事が欠員のままになっておりますので、その補欠互選を行いたいと思います。互選の方法は、指名を委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

亀田得治日本社会党

○理事(亀田得治君) 御異議ないものと認め、理事に亀田得治君を指名いたします。     ―――――――――――――

亀田得治日本社会党

○理事(亀田得治君) それではまず検察及び裁判の運営等に関する調査を議題に供します。  最初に神奈川県下における警察官の暴行事件について当局から報告書が提出されておりますが、一応追加して御説明をお願いいたします。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) 去る四月二日に神奈川県下におきまして、警視庁の第七予備隊の警察官が、鎌倉、江の島方面のリクリエーションに参りました帰途、横浜市の戸塚署の管内におきまして、東京都の三和自動車株式会社の従業員団体との間にささいなことから集団紛争事件を惹起いたしました。警察側に十名、相手方に八名の負傷者を出すという不祥事件を惹起いたしまして、世人の非難をこうむる状態になり、警察の信用を失墜するような事態を起しましたことは、警察当局といたしましてまことに申しわけのないことと深くざんきの念にたえないものでございます。  当時その状況につきましては、一応当委員会においても御報告申し上げたのでありますが、その事件の結末につきまして、この際御報告さしていただきたいと思うのであります。  この事件が起りましてから、神奈川県警察におきましては、さっそく捜査に着手をいたしたのであります。関係者多数でございますので、若干時間を要したのでありますが、その結果といたしまして、四月十八日に警察官側五名、三和自動車会社側六名の者を暴行あるいは傷害罪といたしまして書類送検をいたしたのであります。その間神奈川県警察におきましては、警視庁側延べ百二名、三和側延べ五十八名、その他の参考人十三名、合計延べ百七十三名の者につきまして慎重捜査をいたしまして、先ほど申し上げました結論を得た次第でございます。  なお警視庁におきましては、こうした不祥事案を起しました第七予備隊当日の中隊長以下全員に対しまして、行政処分をいたしておるのであります。その状況を申し上げますと、当日の引率最高指揮官である中隊長伊藤安男に対しましては、減給一カ月百分の二に処しておるのであります。またその部下である、当日このリクリエーションに参加しました小隊長三名に対しましては、いずれも減給一カ月百分の一に処しておるのであります。分隊長以下分隊員につきましては、乱闘事件に参加をいたしました隊員を含めまして十五名の者を成規の懲戒処分である戒告処分に付しておるのであります。その他の一般隊員につきましては所属長の措置にゆだねる、こういうことにいたしておるのであります。  これが中隊長以下当日リクリエーションに参加いたした者の処置でありますが、さらにこうした事案を引き起したということは、結局平素その上級幹部たる者が指導監督を怠ったことに起因するものであるということをもちまして、第七予備隊長松本警視を総監訓告にいたしております。また第七予備副隊長田中警部を警視庁警務部長訓告にいたしております。さらに警視庁本庁の警備第一部長が、この警察予備隊の総元締と申しますか、監督の責任者でございますので、藤本警備第一部長を総監注意という処分にいたしておるのであります。なお第七予備隊長松本警視以下今申し上げました処分を受けました者、当日参加しました隊員の末端に至るまで、すべての者を配置がえをいたしておるのであります。第七予備隊から配置がえをいたしまして、それぞれ他の部署に転属せしめておるのであります。こうした不祥事態を起したことに対しまして、関係者は十分心を新たにし、新しい部署において十分戒心して今後の仕事に精励するようにという措置をとっておるのでございます。  第七予備隊のこうした不祥事件につきまして世間をお騒がせし、また警察の信用を失墜するに至るような事態を起しましたことは、重ね重ね私ども遺憾に思っておるのであります。これは要するに日ごろの指導教養がまだ不十分であるということに起因するものと考えまして、将来とも警察の教養におきましては十分力をいたしているつもりでありますが、なお至らぬ点のありますことを、この機会に反省いたしまして、今後さらに指導教養を与えまして、こうした不祥事故を再び繰り返すことの絶対にないように、部内上下とも自粛自戒の態度をとって、今後とも精進いたしたい。そういうように考えておる次第でございますので、御了承願いたいと思います。

亀田得治日本社会党

○理事(亀田得治君) ただいま御報告がありましたが、本件について御質疑のおありの方は御発言をお願いいたします。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 お尋ねいたしますが、あなたはどういう地位におられるのですか、この警視庁の……、ちょっとお尋ねしますが。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) 警察庁長官の石井でございます。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 石井さんですか。大へん失礼いたしました。あまりお若いからまだあなたが警察庁長官だとは思わなかったのですが。大体この物というものは二葉のうちにつまなければならないと私は考えるのです。私は緑風会におりますが、憲法調査会法案というものにいまだ態度を明らかにしていないのです。それは日本の官吏の一つの習癖というものを非常に私は頭に置いて考えているのです。教育二法案の問題についても、いまだ私は態度を表明しないのは、いわゆる官吏の一つの長い間の習性というものが、日本人に独特の色彩を帯びさせておるという私は考え方を持っている。近ごろ警察のこういうふうな事件の起るのを見ますと、その習癖の一端というものが間々現れてくるという感じを、私は個人として深くしておるのであります。従って、この新しい世代に適合するところの警察官の養成、指導監督ということにつきましては、単なる行政処分なんかでは追いつかぬではないか、一応この際全面的な官吏の気風というものを打ち立てるということでも、もう少し厳粛な御処分をなさるということが必要ではなかろうか、こう考えるのです。ことに近ごろ警察官の志望者というものは非常に多い、あるときは、ある場所では二十人、三十人に一人、また幹部候補生のごときは百名に一人ぐらいの割で厳選して採用されておるということを承わっておるのでありますが、そういうふうに幾らでもいい候補者が全国至る所に発見されるときに、こういう今警察のすべての基礎工事をやるときに当りまして、今こういうふうな微弱な、なまぬるい処分をとられるということは、これは国家百年の大計の上においてよほどこれは考慮すべき問題ではないかと思う。もう少し最初厳重に処分をしておくということは、あとでやわらかくやっても、一応すべての警察事務というものが国民の首肯に値いするようになるのではないかと思っておりますが、長官の一つ御意見を承わりたいのです。どうも私はあまりになまぬるいと思う。ことにこういう事件は私も新聞でこれを見てびっくりしたのですが、百七十三名お取り調べになって、警視庁側が五名、三和側が六名、合計十一名けがをしたり負傷したりするというようなことでは、これはまああまりにも何と申しますか、これは官界あるいは民間を問わず、やはり社会の腐敗堕落の一断面をなすものだと私は考えているのです。どうか一つ御意見を承わりたい。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) 先ほども申し上げました通り、全くこうした不祥事件を起しましたことは、私ども遺憾にたえない次第であり、申しわけないと深くおわびを申し上げておるのでございますが、ただいまお話の通り、そうした不祥事案を起した場合、厳重な処分をすることによってそうした事故を再び繰り返さないようにするのが適当ではないかという御意見でございますが、まことにごもっともでございます。信賞必罰ということは私ども常に行なっておるところでございますが、しかし事案の程度に応じた適当な処分でないと、いたずらに厳重な処分をいたすことによって、萎縮せしめると申しますか、士気を阻喪せしめるようなことに相なってもいかがかと思います。むろん軽過ぎても相なりませんが、おのずからその辺の処分の程度というものは、事案の性質にかんがみまして適当と思われるところに結論を下さなければならぬかと思うのでございます。先ほど御報告いたしましたように、あの乱闘事件に直接関係をいたしました者は中隊長以下減給ないしは戒告という成規の懲戒処分の対象にいたしておるのでありまして、その上の監督者はあの日に直接関係した者でなく、ただ平素の指導監督が不十分であるということをもって、総監注意あるいは訓告といったような一段これより軽い処分にいたしたわけでありまして、おおむね警視庁のとったこの処分は、私どもとしては適当であろうと、かように考えておるのでございます。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 ただいま御意見を承わりましたのですが、要するに主観的にはこれが妥当な処置だというおぼしめしだと承わるのですが、そういうふうに解釈されるのですが、客観的にやはり国民全体の指導という立場から、客観的にものを一応考えてみる必要があるのじゃないか。もちろん主観、客観同一の帰着点を見出すということになれば、これに越したことはないわけですけれども、どうも私はやはりこれは国民がこれくらいでは納得すまいと思うのですね。ことに私先般来この学生、児童の遭難事件なんかが起り、あるいは防衛当局の部下に対するところの涜職事件が起り、あるいは国税局の問題というようなものが起りまして、いろいろと世間の批判も高いときに、どうもその上官、下官と申しますか、上層部の官吏の方が、それを寸断されてものをお考えになっているのじゃないかという私は憂いを抱くのでございます。それは徳島から、徳島でしたかね、高松からこちらの宇野の方に引き湯げるときに、あれは船が沈んだですね。紫雲丸とか何とかいうのでしたが、あのときでも大臣の態度を見ていると、下の者は非常に戒告、あるいは譴責、あるいは免職ということになりましたけれども、大臣なんかはこのごろは涼しい顔をしているのですね。昔のいわゆる日本の復興のときの官吏気分というものとは非常に違う。それで、いずれの国の歴史を見ましても、国家が興隆におもむきますときには、第一にそういう上層部の官吏の気持というものは非常に緊張して、すべての行動が国家本位に、自分を忘れてやるように、これは歴史が差し示しておると私は思う。これはやはり国家再建という大きな問題を前にひかえて、近ごろの官吏の気分の弛緩というものは私は非常に再建に災いするのじゃないかというような考えを持つのです。かりに自分にあやまちがなくても、上官というものは部下の責任を全部自分にひっかぶって退職するというようなことにならないと、この国家の復興というものは非常にむずかしいのじゃないかというようなことを考えておる一人であります。この問題にいたしましても、これは部下の監督指導ということに当られる人というものは、もう少し自分で自分の責任というものをお考えになる必要があるのじゃないか。これは長官を前に置いて私がこういうむき出しの話をするということはまことに恐縮ですが、私はそういうふうなことが、やはり国家の再建には絶対的に基礎的な必要事項ではないかと思うのですが、どうでしょうね、そういうことはどうお考えになっておりますか。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) 上司の立場にある者が部下の失態に対しましていわゆる無過失責任を負うというあり方というもの、これも確かに一つのあり方ではあろうと思うのであります。やはり具体的な事案が起りまして、それに対する責任を追及するときには、それとの相当因果関係の範囲において、それぞれの責任を負うべき者が責任を負うということの方がむしろ大事ではなかろうか。何でも部下が失態を起したからといって最高責任者がすべて責任を負うということになりますと、最高責任者というものは、絶えず部下の失態のために短時日にしてひんぱんに更迭しなければならぬというような結果にもなろうかと――むろんこれは程度問題でございますが。先ほど申し上げましたように、この事案は確かに私どもまことに申しわけない、残念な不祥事案であることにおいては、気持は変りはないのでございますが、警視庁の予備隊の指導監督に当っておりまする上司が、平素予備隊の指導教養について何らなすことなく手をこまねいておったというなら、これは確かに重大過失と申しますか、怠慢と申しまするか、厳重なる処分をもってこれに臨むのが適当であろうと思うのでありますが、警視庁の先ほど申し上げました各幹部は、それぞれ平素予備隊の指導教育につきましては相当心を砕いて努力をいたしておるのであります。しかしながら、それがいまだ十分でなかったために、ああした事故を惹起したということになりますので、これは今後十分気をつけるようにとたしなめることによって目的は達し得られるものではないか、かように考えまして、先ほど申し上げました警視庁のとりました処分がおおむね適当なものではなかろうか、かように考えておる次第であります。

赤松常子日本社会党

○赤松常子君 一、二ちょっと石井さんにお聞きをしたいのでございますけれども、私どもこういう懲戒とかいうような程度がよくわからないのでございますが、今伺いましたら、中隊長の方が百分の二の減給とおっしゃっております。これはただ一カ月分が引かれるだけなのですか。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) 懲戒処分の種類を御参考までに申し上げますと、一番重いのが懲戒免職でございます。その次が停職でございまして、停職と申しますのは勤務からはずしまして、その勤務からはずれておる期間は俸給が全然支給されない、こういう処分でございます。その次に属するのが先ほど申し上げました減給処分でございます。俸給を幾らか減ずるという処分でございます。その次の段階に属する処分が戒告処分、これは叱りおくという処分であります。この四種類が法律的にきめられた成規の懲戒処分でございます。それ以外にさらにそれぞれの任命権者が内部的に規定を作りまして、戒告に次ぐ処分としまして訓告処分あるいは注意処分、こういったものを設けておるのでございますが、これは各府県必ずしも一様ではございません。先ほど申し上げました成規の法律上きめられた四段階のものは、これはすべて共通でございますが、それ以外のものにつきましては各県によってそれぞれきめ方が違うように思いますが、警視庁の場合には、今申し上げました懲戒免職、停職、減給、戒告という成規の懲戒処分の次に位するものは、総監訓告というものでございます。その次に位するものが警視庁警務部長訓告、警務部長と申しますのは、これは人事権を持っておる主管部長でございますので、そうした処分をする権限を与えておるものでございます。警務部長訓告に次ぐものが総監注意、その次が警務部長注意、こういうふうに段階を設けているわけでございます。先ほど申し上げましたように、成規の懲戒処分である減給処分になるということは、これはかなり公務員といたしましては不名誉でございます。戒告にしましてもそうであります。いわんや減給処分になるということは、これはかなり重い処分を受けたということになると思います。懲戒免職になるというのは、これはもってのほかのことでございまして、全くこれははしにも棒にもかからぬと申しますか、何ら弁解の余地もないような失態を起したような場合に課せられる最極刑の行政懲戒処分ということになるわけでございます。

赤松常子日本社会党

○赤松常子君 これはあれでしょうか、何か成績表にちゃんと書き入れられて残って、将来昇給とか昇格に影響するようになっているのですか。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) 御意見の通りでございます。

赤松常子日本社会党

○赤松常子君 最後に、今横浜の検察庁に送付していらっしゃる五名の方及び会社側の六名の方、今審理中でございましょうが、いつごろ結果がわかるのでございますか。

中川董治警察庁刑事部長

○政府委員(中川董治君) 神奈川県警察におきましては、四月十九日送致したのでございますが、それで、結局は横浜地方検察庁におかれまして厳重捜査中でございますが、いつごろかというても正確に私どもの方では、向うが責任をもっておやりになりますので、明確に申し上げかねますけれども、そう長くない時期において処分決定があろうかと思っております。

赤松常子日本社会党

○赤松常子君 また結果がわかりましたら、ちょっとこの委員会に御報告願いたいと思っております。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) 承知いたしました。適当な機会をいただきまして御報告いたしたいと思っております。  なお、先ほど私が、神奈川県警察において捜査の結果、四月十八日に警察側五名、三和タクシー側六名の者を書類送検いたしましたことを申し上げ、ただいま刑事部長が四月十九日と申し上げましたが、私の記憶が間違っておって、刑事部長の方が正しいようでございますので、その点は訂正させていただきます。

亀田得治日本社会党

○理事(亀田得治君) ほかにありませんか。

羽仁五郎無所属クラブ

○羽仁五郎君 ただいまの問題に関連して、法務委員会としてはやはりこの人権尊重という見地から、警察関係の方々が人権に関する認識を深めていただくことを切望せざるを得ないのですが、この間、京都五番町の警察、あれは西陣署ですか、などに伺ったときにも、あの部屋に訓示のようなものが張り出してあるのですが、その訓示がどうもあまりピンと来ないような感じがしますね。現に人権の尊重という言葉は使ってないようですね。民主主義警察の何とかかんとかということであるのですが、あれはやはり全国の警察で――もとは警察法第一条というか、前文にその点が非常にはっきり出ていたのですが、警察法を改められて、そういうものを削られましたが、そんな点はどういうふうに――もう少し人権の尊重という趣旨を皆さんが銘記せられるように措置をとっていただいた方がいいのじゃないかと思いますが、あれは各署長のお考えでああいうものを張り出されるのでしょうか、それとも全国的に何かあれがあるのでしょうか、その点を伺いたいと思います。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) 全国の警察署で、その署の職務と申しますか、標語と申しますか、そういったものをいろいろ掲げられておりますが、これはまちまちでございます。署長の自発的な発意に基いて設けられている所もありますし、府県の本部長が、自分はこういう気持で警察職務執行をやっていきたいということを訓示した、その中から取り上げて各署がそうした標語のようなものを掲げるという場合もありましょうし、まちまちでありまして、これは中央からこういうものを職務のモットーにしろといったようなことは指示をいたしておりません。先ほどお話のございました人権の尊重ということについて、第一線の警察官にきわめて不徹底ではないかという御指摘でございますが、あるいは全国数多い警察署の中には、まだ不十分なところがあることは私も遺憾ながら認めざるを得ぬと思いますが、漸次この点につきましては末端まで浸透しつつあるものと信じておるのでございます。私は機会あるごとに人権の尊重ということをわれわれの仕事の基本としなければならぬということを繰り返し強調をいたしておるのでございます。特に捜査に当る者につきましては、人権の保障を主としまして、その上に立って適正な合理的な捜査を進めていくことが最も肝要であるということを、捜査官の心がまえとして、機会あるごとに強調して参っておるのであります。本年初頭におきましても、私は特に私みずから本庁の各部課長はもとよりのこと、全国の第一線の本部長諸君にも、本年の努力目標として捜査の適正化ということをぜひ実現しようではないか、今までとかく口頭禅に終ると申しますか、人権の尊重が大事だ、捜査を科学的、合理的にしろということは今までも申して参りましたけれども、それがただ口先だけで、上司の口から出て部下の耳には一度入るが、右の耳から入って左の耳へ通り抜けていくような結果はなかったか、ほんとうに捜査の適正化、合理的な科学的な捜査のあり方というものを作り上げるためには、お互いがどうしたらいいかということを真剣に考えようではないか、そうしてこの一年間ぜひその理想的な姿に到達すべくお互いがあらゆる創意工夫をこらし、努力精進を続けていこうではないかと、これをことし初めのお互いの誓いにしようではないかということを申したくらいでございます。これが、私うぬぼれではございません。漸次各府県の末端まで今浸透しつつある段階であると思うのであります。今年以前のことにつきましていろいろ不祥事がありまして、御指摘、御批判をいただいておることも遺憾でございますが、本年に入ってからなおかつそういうことが各地に若干でも起っているということであれば、これは私の指導がまだ至らないせいであるということで、私自身も深く反省をしなければならぬと思っておるのでございまして、今後ともさらに十分戒心し、努力を積み重ねまして、理想的な警察の捜査のあり方というものを、すべての警察官が身につけるように、今後とも一そう指導、教養を行なっていきたい、かように考えておる次第でございます。当委員会におきましていろいろと御批判、御叱正をいただきますことは、直ちにそれが私どもの反省のよき資料であります。りっぱな警察、理想的な捜査体制を確立する上においてよき資料となりますので、私は虚心たんかいに皆様のいろいろな御批判、御叱正を受け入れまして、それを反省の資料として今後やっていきたい、かように考えておる次第でございます。今しばらくの時間を拝借したいと思います。漸次警察は質的に向上し、改善され、よりよき真に国民の信頼と期待にこたえ得る警察の姿が遠からず実現し得る、またそうならなければならないという覚悟のもとに、私ども及ばずながら努力を積み重ねておる次第でございますので、御了承いただきたいと思います。

羽仁五郎無所属クラブ

○羽仁五郎君 警察官の教養の向上という点についても絶えず努力しておられることと思うのですが、この警察署の中に、警察官諸君が教養を高めるための図書室というのか、ライブラリーというのか、そういうものがあった方がいいんじゃないかと思って、警察に伺うたびに見て歩くのですが、あまりどうもこれはうれしいと思うようなものを見たことがないんですが、その点が一つ。  それから第二には、警察官の数はどうもわれわれがよそから拝見しても十分過ぎるほどに数が多いのではないか、むしろ数をこの際減らされて、そして個々の警察官の待避の方を向上されるということが必要ではないだろうか、その点は今どんなふうにお考えになっておるか。  それから第三にはその署長の教養というものがもう少し高くありたいというふうに考えるのですが、この点はどういうものでしょうか。やはりあなた自身なりあるいはその本部の高い席におつきになっておる方なり、また場合によってはその大都市の責任者なり、場合によっては署長なり、こういう方々がイギリスなり何なりそういう民主々義的な警察の発達しておる所を見学されるということも、よほど必要ではないかと思うのですが、その三点ですね。この点はどんなふうにお考えですか。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) 第一点の警察署に図書室がほとんど見受けられないということでございますが、これは予算の都合等もありまして、理想的な姿でないことだけは率直に私も認めざるを得ません。概して各都道府県本部には図書室を設けております。これはおそらく例外なくあると思います。比較的大きな署におきましては図書室を持っておる所もかなりあると思いますが、小さい署に至りますと、そうしたものはないという状況でございます。ただしそれを補う意味におきまして、府県本部におきましてある程度の図書をまとめまして各署を巡回文庫と称しまして各署に回しまして、それを署員の希望に応じて読書せしめる、そういう機会と勉強を与えると、こういうことをやらせているのでございます、大事なことでございますので、今後予算の許す限りそうしたものは拡充整備いたしまして、警察官の教養に貢献せしめるように配意して参りたい、かように存じております。  第二点の警察官の定員がもう今の定員で十分ではないか、むしろ多過ぎるのではないか、それを減らして質を向上せしめて、その代り待遇をよくした方がいいのではないかという御意見だったと思いますが、一応ごもっともなことと私も考えるのでございますが、現在の定員が果して今日の国内の状況に照らして十分であるかどうかという点につきましては、私若干意見を持っておるのでございますが、まあそれは差しおきまして、とにかくただ単に、いたずらに警察官の頭数をふやすよりは質を向上せしめるということは、これは私は全く同感でございます。その意味におきまして指導教養という点に一そう力を尽し、また最初から警察官に採用する際に、質的に優秀な者をとりまして、さらにそれに教養を加えまして、より質の高いものに高めていくという努力をわれわれは払わなければならぬことは申すまでもないことでございます。そういうことによって質のいい警察官を採るということになれば、勢いその待遇もまたそれに即応するものを考えてやらなければならないということは当然でございまして、待遇が低ければ、りっぱな警察官に来てくれといってもなかなか来てもらえないということにもなりますので、これは当然相関関係にあるものと思います。そういう点につきましては今後十分考えて参りたいと考えております。  さらに幹部の教養、特に署長級の教養という第三点のお尋ねでございますが、その点も特に大事なことでございます。ただ署長ともなりますと、重要なポストについております関係上、長い期間そのポストをあけ、勤務を離れて専心勉学の機会を与えるということは、これは事実上なかなか困難なことでございます。しかしながら私どもその重要性にかんがみまして、今日やっております一つのやり方は、東京にあります警察大学校に、全国の各府県の署長級の者をわずかではございますが、二週間あるいは三週間ぐらいの短期ではございますが、中央に集めまして、各方面の有力な方々のお話等を聞きまして、高い社会常識を涵養すると申しますか、そういう観点から署長級の幹部の教養ということにも力をいたしておるのでございます。これは先ほど申します通り、地方においてそれぞれ重要なポストにおりますものでありますから、長い期間任地をあけさせるということは至難でございますので、それとまた警察学校におきます収容力と、また教える側の関係ということもございまして、ひんぱんにはできませんけれども、機会を見て随時これをやっております。何年目かに一回チャンスが確実に回ってくる、こういうふうにいたしておるのでございます。なお、それ以外に、署長級の幹部につきましては、その在所におきまして各自が自発的に勉強する、世間の各有識者に広くおつき合いする機会が多いでありましょうから、そうした機会にいろいろ見聞を広め、るということによって自分の識見を養うという努力をするように申し聞かしてあるのでございます。署長級の幹部ともなれば、下級の警察官と同じように公務執行上の必要農小限度の法令知識だけを持っておったのでは不十分でありまして、もっと高い立場から、広い視野をもって警察行政の良識ある円満なる迷宮に資せしめるようにみずからを絶えずみがかなければならない。そういう意味において、自己完成、自己の修養を高めるように、機会あるごとに申し聞かしておる次第でございます。御了承願いたいと思います。  なお、外国に留学せしめるような機会を持ったらどうか、これもできれば非常にけっこうなことでございますが、今申します通り、重要なポストにおります者を長く任地をあけさせるということの支障のあります点と、また、財政上の都合もありまして、思うにまかせないのでありますが、年々わずかでございますが、数名の幹部が機会をとらえて外国視察旅行をいたしておるような状況でございます。

羽仁五郎無所属クラブ

○羽仁五郎君 外国旅行をされて民主的な執務の実際を学ばれるということについては、前に田中さんがアメリカにおいでになって、お帰りになって本を著わされて、われわれにも下さって拝見をしたのですが、その本を批評するというわけではありませんけれども、あれを拝見すると、えらい人にお会いになっていろいろと学ばれている点はいいのですけれども、実際のその警察の執務が民主的に行われている点などについては、いろいろ時間の都合もあってでしょうが、十分にごらんになったようにも拝見しないので、もちろんあなたなり中川部長なり、高い地位の方がおいでになることが望ましいのですが、実際に捜査なり何なりを指導せられるような、現場に近い方が見学せられることが必要じゃないか、今日は飛行機もあるし、何もそう長い期間あけなければならぬということじゃないし、ときどきおやりになる映画の女優さんを一日署長になさるとかいうようなことは、全く無意味なように感じます。もう少しまじめな点で御尽力を願いたいと思います。  次に伺いたいのはピストルの件です。この間御説明があったので、私は注目しておったのですが、この間の御説明では、必要最小限度に限っておられるということでありましたが、どうもそういう必要最小限度、まだあの程度ピストルが必要なんだろうかということを考えざるを得ないのです。きょうかきのうかの新聞に、イギリスのロンドンの警察、ふだん制服を着ている警察官は全く拳銃を携帯していないというイギリスの警察の原則を破って最近拳銃を携帯しているので、ロンドンの市民が非常に驚いている。それはキプロス島で死刑にせられた二人の方に対する抗議で、ギリシャの方々が英国の高官を暗殺しようという計画がある。それを警戒するために臨時に拳銃を携帯されているということですが、イギリスの警察がイギリス国民の信頼を得ているということには、やはり拳銃の携帯がないということがあることも国際的に有名なことだろうと思うし、スコットランドヤードの実際の凶悪犯罪の捜査なり逮捕に向われる際でも、相手方が拳銃を持っているということが明らかでなければ、こっちから拳銃を持って行くということをしない。また相手方が発砲したあとでなければ発砲しないということです。この間も一年間におよそ七、八名の方が殉職されておるという御説明があった。それに対しては私は深く哀悼の意を表し、また敬意を表するのですが、日本警察がある意味で分水道に立っているのじゃないか、これからそういう殉職せられるような例が多くなっていくということを防ぐためには、やはり先手を打って、警察官が市民に信頼されるような手段をとっていかれることが必要じゃないか、そういう意味で拳銃の携帯については、先日御説明がございましたですが、いま一そう御検討をいただいた方がよいじゃないかというように思う。  それからこれは質問というより希望ですが、伺っておきたいことが一つあるのです。それは、先日五番町事件の調査の際に、西陣署を見せていただいたところが、当日留置場がからでありました。私ははなはだ無邪気でありますので、非常に再びまして、西陣署の留置場がからである、実にめでたいことだと思って、そこで大へん嵩んで署長さんに握手をしたように思っております。あとでよく考えてみると、私があまり無邪気であって、喜び過ぎたんじゃないか、そうでなかったとすれば大へん幸いなんですが、当日なぜからであったか。常態においてからであったのか、それとも何か手段を講じられてからにせられて、われわれが留置人と面接するのを避けられたのであるか、この点についてお調べがいただけますようであったならばお調べいただきたいと思います。いかがでございましょうか。もし当日実際はからでなかったとすれば、どこかへお移しになったのか、どうも私その当時あまり喜んで署長に握手をしたんですけれども、署長はそれほどうれしそうでなかったところを見ると、僕は一ぱい食わされた(笑声)というのはあまり失礼な言い方ですが、ほんとうにからであったのか、そうではなかったのか、気になっておりますので、お調べがいただければありがたいと思うのです。  続けていろいろ伺いますが、けさの読売の東京都内版を見ますと、東京都議会におきまして、フィンカム基地における保安解雇というのですか、それに関連して、その解雇された労働者の方々に対して警察側が思想調査をやったのじゃないかということについて、東京都議会の議員の方々から御質問があったようですが、これはどういうことでありましょうか、今直ちにお答えがいただけないかもしれないが、警察の思想調査という疑いを依然として受けられることは、私ははなはだ悲しむべきことであると思う。東京都議会における御答弁では、前科の有無などについての調査を依頼されたようなことでありますが、どうしてそれが思想調査というふうに誤解せられるのであるか、あるいは誤解せられるような理由があるのであるか、この思想調査をするということが許すべからざることであるということについての認識がまだ不十分であるのじゃないか、これらの点について伺っておきたい。  最後に伺っておきたいのは、やはりけさの新聞に、警察庁において令状の請求について、今まで人権じゅうりんあるいは犯人の誤解というように弊害が頻発したので、それについて何か新しい措置をお考えになって、令状請求について、それぞれ必要にして欠くべからざる行為について、明らかに書類を作られるようなお考えが出ておりましたのですが。これは、実際そういうことをお考えになっておられるのか。それらの点についても伺えるなら伺わしていただきたいと思います。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) いろいろお尋ねがありましたので、あるいは答弁漏れがございましたら、また御指摘をいただきたいと存じます。  最初に外国へ警察官を留学させるのに、もう少し下級の事務専従者と申しますか、そういったものをやればいい勉強になるのではないかということであります。たしかにごもっともでございまして、私どもも今までわずかな例でございますが、そういったことをやっております。捜査関係の刑事を約一年ヨーロッパに留学させまして、現実にロンドン初め各地の警察の実際の運用の状況を見学させてこさせたという事例もございます。警察大学校の若い刑事級の人たちをこれまたイギリスあるいはアメリカに一年間おあずけしまして、みっちり勉強をさした、これは現にアメリカに派遣をいたしております。そういうふうな数はわずかでございますが、機会あるごとにそういった措置は着々とっておるのでございます。今後財政その他事情の許す限りそうしたことは範囲を広げてやっていきたい、かように考えております。  第二は、拳銃の携帯に関して羽仁委員から再びお尋ねをいただいたのでありますが、先般私詳しくお答えをいたしましたので、それを繰り返すことは省略さしていただきますが、多少見解の相違するところもあるようでございますが、御趣旨においては私も十分賛意を表しておるのでございます。でき得べくんば警察が拳銃などを持たなくても十分警察の仕事がやれるように世の中がそういう平穏な時代になることを希望いたしておるのでありまして、そういう時代になりますならば、何も事を好んで警察が常時拳銃を携帯する必要はない、むしろじゃま物になるくらいのものでございます。できるだけそうした平穏な社会が生まれますことを私ども祈念しつつ、それまでの間、できるだけ必要以外のときには拳銃を携帯しないような建前で、いろいろ研究をしていただきたいと思うのでありますが、先般も申し上げました通り、凶悪犯人等に向って警察官が殉職ないしは重軽傷を負った事例が相当あるということからしまして、今直ちにこれを大幅に緩和するということにつきましては、私どもまだ踏み切ることができない状況にございます。さらに慎重にこの問題は研究を続けまして、御趣旨に沿うような方向に努力をしていきたい、かように考えておりますので、御了承をいただきたいと存じます。  その次は、西陣署の留置場が、先生がおいでになりました場合に、たまたま一人もいなかったということでございますが、これはさっそくに実情を調査してみたいと思います。私もそういうことは何も聞いておりませんので、今直ちにそれはこういう理由でということは申し上げることはできませんので、いずれ調査したいと存じます。  次に思想調査をいまだにやっておるのではないかというお尋ねだったかと思いますが、これはまあ当委員会においても私がお答えしましたように、思想調査をやるべきでないことは、これは申すまでもないことであります。第一線の警察官には私ども機会あるごとにこれは反復、強調しまして、誤まりなきように注意いたしておるのでございます。きょうの新聞に出ておったと仰せられる事柄はどういう内容のものであるか、さっそくに十分調査をいたしまして、もしわれわれの日ごろの指導方針に反するようなことがございまするならば、十分にそれを改めさせるように善処いたしたいと、かように考えております。  次に令状請求の問題でございますが、令状請求については、これは私どももその重要性にかんがみ慎重でなければならぬということは、これまたたびたび機会あるごとに申しておるところでございます。特に刑事事件の多い警察署等におきましては、これをよほど慎重にやりませんと、とかく人権を侵害するような疎漏扱いになるということもあり得るかと思いますので、そうした点につきましては、特に注意を喚起いたしておるのでありますが、東京、大阪等の事件の比較的多い所におきまして、こうした点につきまして何かいい工夫はないかというので研究をさせました結果、大阪におきましては、令状請求の審査係りというものを設けまして、各署で逮捕令状を請求する場合、署限りでこれをきめないで、府警察本部のその道の専門家と申しますか、そういうものによる審査係りを置き、その係りにこれを一応検討してもらいまして、これなら確かに令状請求の必要ありという認定を下しました場合に、そういう手続をとる、こういうふうに慎重にやらしたら、人権侵犯を防げるのではないかというので、そういう試みをやらしてみているのでございます。東京におきましては、これまた同じような趣旨から、令状を請求するについていろいろな調査項目と申しまするか、それを一々まず下級者に記録さして、それを上級者がさらに検討して、それがまさしくその通りであるならば令状請求の必要がある、あるいは間違った点があるならば、そういうことならば令状請求の必要はないじゃないか、任意捜査でいいじゃないかという結論が出ます。要するにそういうふうに手続を慎重にし、その間の誤まりなきを期する、令状請求の重要性にかんがみ、そういう慎重な配慮のもとに慎重に措置しよう、こういう見地から、取りあえず刑事事件の多い東京とか大阪といったような所に、ただいま試験的に今申しましたようなことをやらしておるのでございます。その結果にかんがみまして、今後途次他の府県の警察にも実施をしていくように、またいろいろと工夫をこらして参りたい。かように考えております。

羽仁五郎無所属クラブ

○羽仁五郎君 これも伺っておいた方がいいと思うのですが、私前に何かの書物で読みましたときに、警察大学の教官で、今その名前を失念したのですが、その方が教科書のようなものを書かれて、その中にこの警察は前は天皇の警察であったが、現在は人民の警察ということになっておるというが、その意味は自分にはわからないという、主権在民の警察ということの意味が自分にはよくわからぬということを序文か何かに書いてある教科書を、警察大学の教官が著わされておるということが、ある書物に指摘されていたのですが、その名前がわからないので今的確に御返事をいただくこともどうかと思うのですが、警察大学の教官が、天皇の警察という意味は自分たちによくわかっておる、あるいは国家の警察ということはよくわかっておるが、主権在民の人民の公僕としての警察という意味はわからないということを公然と書かれるということは、私は非常な問題だと思う、そんなことについてお調べになったことが――そういう批判があったということにお気づきになったことがございますか。あるいはお調べになったことがありますかどうか、もしあるならばそういう点について現在あるいは今後どんなふうに御配意下さるつもりか、あわせて伺っておきたいと思います。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) 具体的にだれの著書にそういう表現がありますか、私寡聞にして聞いておりません。さっそく調査をしてみたいと思います。今日の警察は申すまでもなくかつての天皇の警察といったようなものでないことは、だれしも承知をいたしております。国民のための警察であるということは、全警察官十分承知をいたしております。今さら事新しく教えるまでもなくわかっておると思いますが、なおかつほんとうの民主警察は何であるかということを、言葉だけでなく、あらゆる面を通して身につけて、実際の執行部にそれが具現されなければならないので、そういう見地から警察官の教養をいたしておるのでございまして、御懸念のような誤まった教養はさしておらないつもりでございますが、せっかくの御好意ある御忠告でございましたので、十分検討いたしまして、もしだれかの間違ったそうした表現なり、それがありましたならば、十分善処したいと、かように考えております。

羽仁五郎無所属クラブ

○羽仁五郎君 昨晩ラジオの放送で、あれはラジオ東京でありましたか、文化放送か、日本放送か、民間放送と思いますが、夜、今の京都の五番町事件などにおいて問題になったような警察官による自白の強要なり拷問なりがあるかどうかということについて、街頭録音をされたようですが 石井さんはお聞き下さったでしょうか、どうでしょうか。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) 聞いておりません。

羽仁五郎無所属クラブ

○羽仁五郎君 ああいうのはなるべく聞いていただいた方が望ましいと思うのですが、私は聞きました。一般の国民の中からいろいろな御批判がありました。その中には、自分は前に警察に長年勤めていたことがあるが、その体験から言っても、現在警察で自白の強要なり拷問なりをやっておるという疑いがある、今度の五番町事件についての新聞報道などを見ても、明らかにそれは行われておると判断せざるを得ないという御意見などありました。それからこれは別の方の御意見ですが、やはり警察が最初に疑いをかけられた方を呼び出したときには、かなり丁寧であるが、二度目からはやはりがらりと変って、お前はこういう悪いことをやっていいと思うのかと、もう疑いじゃなくてその罪を犯しておるというように頭からきめてかかって、それを責めるという態度が、これは最近の体験に基いて、国民の一人がラジオを通じて訴えておられましたが、私は聞いていてはなはだどうも法務委員として責任を――国民に対して申しわけないような感じに打たれたのでありますが、あれはきっと録音テープもあると思いますから、ぜひまだお聞きになっていないなら、聞いていただきたいのです。  最後にお伺いをしておきたいのですが、この五番町事件が問題になりましてから、この前、中川さんの御説明を法務委員会で伺って、それに対してわれわれがいろいろ意見を述べました直後に、これは国家公安委員会のお考えもあったのでしょうが、全国の警察に向って人権擁護という点で通達をせられたということ、それからけさの新聞の発表でわれわれが知り得ましたような、人権を侵害しないために令状の請求について十分慎重な努力をするというような記事、これらは国民に対して、また私どもとしても、五番町事件に関連して、日本の警察が深く反省をしようとしておられるのであるという非常にいい感じを与えるものではないかと思う。で、こういう機会に警察が国民に対する信頼を高められるという、ある意味においては絶好のチャンスであろうと思う。まだしかし、あの程度でもって国民は、日本の警察が全く新しい方向へ行こうとしているのだというふうに考えることはできない。先日大麻国務相が、必ず国民の納得せられるような、新しい、ほんとうに主権在民の警察の方向に向って歩こうとしているのだということを、実際にお示し下さることを本委員会に向ってお約束下さいましたので、しばらくそれをお待ちしておりますけれども、どうかこの際、ことにあなたが高いレベルに立って、そしていろいろな行きがかりとかあるいは枝葉末節の点などをすっかり払いのけて、この五番町事件を機会に、一人の方が自分は刑罰を受けることを覚悟せられて自首せられた、そのために警察における自白の強要の事実が暴露せられた――少くとも自白の強要があったことは事実です。そうでなければ、傷害致死というような重い罪について少年が自白をするということは考えられません。ですから、これについてなお自白の強要があったかどうかというようなことを言っておるというのは、実に卑怯未練もはなはだしい。従って、先日もここで読み上げましたように、そういうふうでは警察は責任をもって新しくなろうという決意をしていないのだというふうに考えられるので、大麻国務相なりあるいは国家公安委員会なり、どうか石井さんの方からも十分お助けになって、積極的に、われわれが先日来苦しんでおります問題、また国民が非常に心配しておりますような問題に対して、ほんとうに納得のいくような措置をぜひとっていただきたいということを切望して私の質問を終ります。

亀田得治日本社会党

○理事(亀田得治君) 私から若干付加してお尋ねいたしますが、五番町事件に関連する責任を明確にし、そうしてそれに従って当然これは処分というものが出てくるはずですが、そういう具体的な措置が、いろんな事務的な手続等を考慮に入れて、一体いつごろその結論が出せる見通しであるか、その点ちょっとお伺いしておきたいと思います。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) できるだけ早く結論を出したいと考えておるのでございますが、今直ちに、何日ごろそれでは最終的結論が出せるかということは申し上げかねるのでございます。御承知のようにその問題が非常に複雑微妙なものでありますだけに、私ども十分慎重に今までも調査をいたしておりますが、さらに足らざるものを再調査をいたし、また、先般当委員会におきましてわざわざ現地に御調査に行かれまして貴重な調査報告を聞かしていただきましたので、そうした点を十分にくみ取りまして、できるだけ早い機会に警察部内、部外ともに納得していただけるような最終的な措置をとりたい、かように考えておる次第でございます。もう少し時間をかしていただきたいと思うのでございます。今直ちに何日たったらそれが結論に到達するか、ちょっと申し上げかねることをはなはだ残念に存じますが、御了承を願いたいと思います。

亀田得治日本社会党

○理事(亀田得治君) 本日の法務委員会の理事会でも、これは非常に重要な問題だから本会議の決議にすべきじゃないか、法務委員の調査の結果の最終的な意思表示としては、そういう結末が適当ではないかと、こういうふうになったわけです。その内容の詳細等については今事務局で専門員室の方で検討しているわけですが、まあそれにも関連があるわけですが、国会中にその処分ができるという見通しなのか、あるいはその後になるということなのか、その辺の大まかなところだけでも大体の見通しを承わっておけば便宜だと思います。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) できるだけ早く結論に到達したいというのが私たちの今の気持なんでありまして、でき得べくんばこの国会の会期中にということを努力目標にいたしております。果してその通りできますかどうかということは、今はっきり申し上げかねますが、先ほどお答えしたようなことでございますので、御了承願いたいと思います。   〔理事亀田得治君退席、委員長着席〕

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 先ほど羽仁委員からお尋ねになりました西陣警察署の留置場が当日からっぽであったという点ですね、その点の御調査をお約束になったわけですが、それにあわせて私からも一つお願いしておきたいのは、西陣署では留置場がからっぽになることが、今までどの程度あったのか、その点も一つ詳しく調べさしてほしいと思います。  それから警察における懲戒の種類等については、先ほど御説明がありましたが、現在まで一年間にどの程度の懲戒というものが行われておるのか、そういう点、大まかに一つ御記憶があればおっしゃっていただいて、詳細にはこれは文書等によって資料を出していただければけっこうだと思っております。それをお出しになる場合に、懲戒の種類だけではなく、その原因ですね、そういう点を出してもらえば、どういう態度で皆さんの方が懲戒という問題を考えておるのか、理屈よりもやはり現実の処分というものを私ども見た方が一番はっきりすると思うので、この点を一つ要請しますとともに、大体の傾向を昨年一カ年でもわかっておれば、お答え願いたい。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) 西陣署で留置場がからの耳が過去において何回くらいあったかということにつきましては、先ほど羽仁委員の御要求のありましたおいでになりました当日の問題とあわせて調査の上、お答えさせていただきたいと存じます。  それから懲戒処分の状況がどうであるかということでございますが、ただいま私、手元にちょっと資料を持っておりませんし、数字も正確なことを覚えておりませんので、これも後日、先ほどお示しのように、懲戒処分の種類並びに原因、人員というふうに分けまして、わかりやすい資料にいたしまして提出させていただきたいと、かように存じておりますので、御了承いただきたいと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それから、これも直ちにはお答えできないかもしれませんが、令状請求について、とりあえず東京、大阪等について新しいやり方をとっておる、要点としては、各警察署だけにまかさないで、本部の方で目を通していく、こういうやり方を試験的にとっておる、一応私は一つのやり方として非常にいいことだと思います。そこでそういうやり方をおとりになって、従来各署にまかしておけば出たと思われるものが、こういう機構を作ったために阻止された、令状を出す必要がないということになったと思われるようなものが、どの程度現われてきたか、そういう点を一つ一カ月なり二カ月まとめて、適当な時期に法務委員会に出してもらいたいと思います。その成果ですね、そういう調査はできるでしょう、どうですか。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) できます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 じゃこの点要求しておきます。  それから警察における懲戒ですね。これは各府県の本部長にまかしてあるのか、あるいは全部これは一応事前に警察庁の方に了解を求めに来るのか、これは機構上どういうふうになっておるのでしょうか。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) 懲戒処分は御承知のように任命権者がその権限を持っておるのでございます。従いまして各府県警察におきましては、警視以下の警察官につきましては、府県の本部長が任命権者でありますので、府県本部長が懲戒処分を決定するわけでございます。警視正以上は御承知の通り中央で発令いたします。国家公安委員会が任命権者でございますので、これは中央で懲戒処分を、その場合には国家公安委員会が決定する、こういうことになっておるわけであります。しからば府県で懲戒処分をする場合には、われわれ中央の事務当局は全然あずかり知らなくて、府県本部長に一切まかせきりかと申しますと、一応基準となるようなことは、やはり中央で示してやりませんと、各府県まちまちになって、非常にきびしい所と、非常にゆるやかな所というようなことができますので、過去の事例等に基いて、おおむねこの程度のものはこの程度の懲戒処分を前例としてやるということを、私の方に地方から聞いて参りますと、そのつど示してやる、こういうことになるのでありまして、個々具体的な一つ一つについて中央からこうすべしという指示は、これは警察の建前上、任命権者の権限に属することに中央が関与することになりますから、それはやりませんけれども、今申し上げました通り、本部長が最終的な決定をすることについて、一応基準的なものがどうであるかというようなことを、参考に中央の意見を聞いてくるという場合には、私どもの方で過去の事例はこうだというようなことを、基準的なものを示してやるというようにいたしておるのでございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 最後に一つお聞きしますが、私は今度の五番町事件等を調べた経験からいたしましても、あるいはまた前からもそういうことは絶えず感じていたことなんですが、もう少し検察庁なり警察というものは、民間の人の言に耳を傾ける、こういうことを非常に強く一つ打ち出してもらいたいと思うのです。ある場所でそういうことを言いますと、いや、そんなことをしていたら、あっちからも、こっちからもいろいろなことを言ってくるし、あるいは自分の利益のために、若干うそも交えてしゃべる、いろいろあって困るという方もあるようでありますが、私の一番聞きたいところは、十のうち、たとえ半分違っていても、それはただ警察の方で一ぱい食わされたと思えばそれで済むことで、何も被害がない、ただ、少しそのために時間がとられ、むだをしたということがあるかもしれない、しかし、そのために積極的な被害というものは何もないわけです。ただ、ちっと腹が立つという程度のことであって……。ところが、そのために聞かないというような態度をとれば、今度は非常に大事な情報が手に入らなかったり、そのために逆に真相がつかめなかったり、こういうことになってくる。もちろん、うそとか計画的な一つの誤まりをことさらに持ち込む、そんなことはよくないことなんですが、そういうものが少々あってもいいくらいの大きな考え方をもって国民に臨んでほしいと思うのですね。で、ことにいろいろな重要な問題であればその親戚の人なりあるいは関係の弁護人なり、これは必死になっていろいろなことを言ってきます。私は言ってくるのが当然だと思うのです、これは。で、ことに親戚の方がもう初めからうそをついているだろうというような考えをいやしくも持ったら、これは国民を侮辱していると思うのです、こういう先入観念は。そこなんです、私はあなたから聞きたいのは、少々うそがあってもいい、おれの方はとにかく聞こう、そういうような一つ気持を持ってもらいたいと思う。ほかのこまかいいろいろな技術的なことはあります、心がまえとして。そうすればもう警察にはいろいろのことが入ってきます。皆さんの知らないことも。その点どう考えますか。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) まことにごもっともな御意見で、私も全く同感でございます。私はひとり警察の捜査に際してのみならず、広く警察のあらゆる仕事の面について絶えず国民の皆様から率直な、忌憚のない批判をいただき、それにわれわれは耳を傾けて、われわれが何をなすべきか、国民の皆様は警察に対して何を期待しておられるかということを知るよすがとして、われわれの絶えず反省の資料にすべきであると、かように考えておるのでありまして、機会あるごとに第一線の諸君にそれをお願いしておるのでありまして、お互いにとにかく自分のやっていることは自分だけで正しい、間違いないと思っておるけれども、案外部外の人から見ますならば穴だらけ、間違いだらけをやっておるかもしれないのでありまして、そういう点は外部の人から十分にこれを批判し、観察していただいて、忌憚のない意見を寄せていただいて、それをわれわれは反省の資料にすることによって、行き過ぎの点をチェックし、至らざる点を補うということによって初めて円満な警察の運営ができるものと、かように考えまして、絶えずそのことを第一線の諸君にもお願いをしておるような状況でございます。特に犯罪捜査等につきましては、そうした関係者のみならず、広く国民の皆様から協力をいただくことによって初めて適切な捜査運営ができるものと確信を持ちますので、この上ともそういう方針でやって参りたいと思うのでありまして、ただいま亀田委員のおっしゃることは私全く同感であります。今日までもいろいろそういう意味におきまして、たとえば公聴会、懇談会、聴聞会といったようなものを各地方においては機会を見てやっておると思うのでありまして、さらにそうしたもののみならず、あらゆる角度、あらゆる機会をとらえて、広く国民の声を警察がこれを率直に受け入れて、そうしてそれを反骨の資料にする、こういうことでありたいと私は心から思っておるのでありまして、ぜひそういう方向に全警察官を指導していくようにお誓いをする次第であります。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 では私はこの程度にいたしますが、ぜひただいまお答えになったお気持ですね。これが一つ警察の末端の運営に現われるように、いろいろ工夫をしてもらいたいとお願いしまして、私の質問はこれで一応打切ります。

高田なほ子日本社会党

○委員長(高田なほ子君) ちょっと今亀田さんの方から懲戒の原因や種類を報告してもらいたい、また留置場の状況の調査等の御質問があり、またこれにお答えになるよう御発言がありましたが、できますれば次期委員会は二十四日になっておりますが、この二件は二十四日ぐらいまでにできたならばお願いをしたい。それからこの令状請求についての効果がどうかというようなことでしたが、これはまた若干時間が必要であろうと思いますから、これは後刻でけっこうでありますが、委員長からこの二件はぜひ早くお願いをしておきます。

赤松常子日本社会党

○赤松常子君 では捜査事件に関しては以上でございますけれども、私、昨日成立いたしました売春防止法に関しまして、この二年間の実施猶予の期間がございますが、この期間に警察当局に期待するところが非常に多いわけでございますので、その点について御相談申し上げ、また御意見も聞いておきたいと思うのでございますが、昨日も同僚議員が本会議で賛成討論をいたしました中で指摘いたしました通り、従来の警察と業者との悪因縁と申しましょうか、もう私はほんとうに急所だと思い、むしろ私は今までの警察官に今度の防止法をほんとうに守り抜き、その正当な趣旨、目的を実現していただけることを期待することは、私は実は悲観的に思っているものの一人でございます。というのは、ことに方々の赤線地帯、青線地帯に参りまして、そういう現状を見ているからでございます。せんだって私の所に一人の娘さんが相談に来ましたのにも、入口の交番はわれわれをにらんでいて、そしてその顔はしょっちゅうわれわれの方に向けられているので、逃げはしないかということだけが交番の任務のように考えられると告白いたしておりましたことでもよくわかる通り、ほんとうに業者を守る側に立たれてきたということが、悲しいけれども従来の警官のあり方だと思う次第で、その周囲の交番のあり方はそうだったと私は断言してはばからないのであって、今申しましたように、せっかくできましたこの売春防止法をこの二年間にその目的に沿うように警察に指導なさってもらう方面がずいぶんあるのでございますが、これに対してすでに御相談があったのでございましょうか。従来の悪弊を断ち切って、どうしたらいいかというようなことがすでに御相談、あるいは御計画があるかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) このたび成立を見ました売春防止法の具体的な実施に当りましては、私ども立法の精神にかんがみまして十分実効を上げるように努力をいたして参りたいと、固く決意をいたしておるような次第でございます。今日まで御指摘のように業者と警察との悪因縁というようなことがとかくうわさをされまして、私どもはなはだ遺憾に思っております。そうした指摘をされるような好ましからざる関係が、末端においてはあるいはあったと思うのでありますが、そうした悪因縁を断ち切りまして、立法の精神にのっとりまして、十分これが実効が上るように、警察部内の体制を十分整えましてこの問題と取っ組みたい、かように考えております。法の全面的な実施は三十三年四月一日ということになっておりますが、それまでの間におきましても、この新しく成立しました法の趣旨を十分に取締りに当る警官の一人一人に徹底するように教養をいたしますと同時に、現行法令において可能なる警察の取締りは、引き続きいなむしろ今までよりも強化してこれを実施いたしまして、三十三年の四月一日以降全面的に法が施行されるまでに相当警察の取締りの対象はすでに解決されているという事態にまで持っていきたい、それには業者の自発的な転廃業あるいは関係婦女子の方々の更生につきましても、各関係機関の行政措置はもとよりのこと、また御本人の御自覚等によりまして、また国民全般の性道徳の向上というようなことと相待ちまして、この法律が全面的に施行されるときには、われわれ警察の取締りなんかはよほど減少している、理想を言うならばもうそのときはなくなっているというふうにあってもらいたいとさえ思っている状況でありまして、今後この法律の成立しました以上は、新しい法律の趣旨を十分に警察官にも指導教養いたしまして、また警察官の今後この問題に対処する心がまえ、態度はもとよりのこと、取締り技術の面につきましての十分教養を終えましてこれに備えたい、かように考えております。

赤松常子日本社会党

○赤松常子君 私伺っておりますのは、具体的にその指導方法というものができておりましょうかどうか、御相談があったかどうかという点でございますが、いかがでございますか。

中川董治警察庁刑事部長

○政府委員(中川董治君) ただいま長官からお答えいたしましたように、いろいろ各種の、新法完全施行後はもちろんやるわけですが、それ以前の状態、これは非常に困難な問題でございますが、各種の行政措置と関連いたしまして、逐次強化していきたいと、こういうのが私どもの念願でございますが、それの具体的な方法等につきましては警察も重要な役割を果さなきゃいけませんけれども、それ以外の各種の行政措置と相関連いたしますので、売春対策審議会等の御意見等も大筋は承わっておりますが、そういう点も十分勘案いたしまして、関係行政庁間の連絡を緊密にして、ただいま長官がおっしゃったようなことをやりたい。しからば関係行政庁間のこまかい相談はどうかと、こういう御質問だと思いますが、それにつきましては大筋はただいま長官が申されましたように、逐次関係行政措置を活発にやってなにするということにつきましては、相談はできているのでございますが、こまかい点はいろいろまだ予算上のこともございますので、今後の相談に待ちたいと、こう思っておるのでございます。

赤松常子日本社会党

○赤松常子君 従来売春防止法ができなかった原因はさまざまございますが、その中の一つにやはり警察行政の方がこれに難点を示されたということも相当反対の大きな理由であったわけでございます。それにはいろいろ皆様方の立場の御意見も聞いておりますが、不備である点も想像はいたしておりますが、そういう不備あるいは何と申しましょうか、できがたいことに対してそれを補い、足し、この立法の精神に沿えるような、そういう対策が、もう立てられてもいいのではないでしょうか。この法案が発案されて相当日時もたっているのですから、その間に警察の方が、難点であると思われた問題について、それぞれ対策を考えられるべきでしょう。自然に何とかなると言える時期ではないと考えます。できがたいところを補っていくような方法を具体的にお考えになっていただきたい。それができておるかどうかということを、もう少し詳しくお聞かせ下さいませ。

中川董治警察庁刑事部長

○政府委員(中川董治君) きわめて率直に申し上げますが、過去に警察関係者が難点を示したという点は、おそらくこういう点が誤まり伝えられたんじゃなかろうかと思うのです。警察関係者が売春禁止法とか防止法に反対という趣旨では私は絶対なかったと思うのです。ところがすべての犯罪がそうでございますが、犯罪を検挙するにつきましては、証拠に基いて検挙せにゃいかぬ。窃盗とか強盗とか殺人につきましては比較的証拠があり得る。売春関係事件につきましては物的証拠が少いものでございますので、そういう点について立証が困難である。ことにそうすると人的な証拠を求めにゃいかぬ。人的な証拠となりますと、国民のお互いがそれに関連を持った目撃者等がどしどし真実を供述していただかねばならない。そのためには国民全般が非常にこういう問題について深き御協力がなくちゃいかぬ。こういう点に非常に困難がある。こういうことは、われわれ技術者といたしまして常々関係の向きに話したことがございますが、それがまあおそらく誤まり伝えられるか何かの関係で、警察はこういったことに反対だと、こういうことにお聞きになったのじゃないかと私はそんたくするのですが、しかしそういうふうなことをわれわれが言ったことは事実ございます。それで、この売春防止法が成立いたしました場合に、確かに売春関係事犯は、他の窃盗、強盗等に比しましては、証拠関係に非常に困難が伴いまして、物的証拠という点につきましては非常に少いんじゃなかろうか、事犯の性質上。そうすると、われわれが一番お願いいたしたい点は、ことに赤松先生のような先覚者にお願いしたいんですが、関係者の真実の供述を得るように努力いたしたい。われわれ警察の目をもちまして真実を発見するに努めますけれども、何と申しましても国民の隅々までに目を届かしていくのは、国民の警察でございますから、国民に真実を供述していただくようになにしていただきたい。われわれ他力本願ばかり考えるわけじゃございません。そういったことも自分で克服いたしまして、そういうところに隘路があることを十分把握しながら、隘路克服のための教養はいたしますけれども、うらはらの関係になるのでございますけれども、関係者の真実の供述をするような、技術的にと申しますよりも、国民全体のこういう新しい、正しい道徳の高揚運動というものと両々相待っていく、それで、先ほど申しましたごとく行政措置と両々相待つと申しますのは、そういう意味合いからも必要でございますので、関係各庁間の協力体制をさらに強化いたしまして、別言すれば、そういう捜査上の隘路を克服するのもそういうところにございますので、そういう点をわれわれは自分でも自分みずからの職務として、そういうことの工夫をどしどし教養、徹底して参りたいと思いますけれども、事柄が事柄でございますので、関係行政庁間の協力、さらには国民各層の御協力のもとに、新しく国会で御制定になりました法の趣旨を生かして参りたい。それにつきましてはもうお互い身を砕いて、心を砕いて、努力いたしたいと、こう思うのでございます。

赤松常子日本社会党

○赤松常子君 今度の法律は幸か不幸か単純売春を除いてございますので、そういう点、ほんとうに幸か不幸かですよ、私どもとしてはもう少し今の不備な点を今後充実していただかなければならないと思っておりますけれども、しかし当面皆様方の取締りの対象になるのは業者の転廃業の指導だと思うのでございます。今私どものところにもこの猶予期間を五年に延ばしてほしいということが山のように業者の方からの嘆願、陳情がきております。業者はやめたくないのですね、ほんとうの腹はやめたくない。それをどうしても二年の期間中に転廃業の方向に向けていかなければならないということは、これは私はほんとうに容易ではないと思うのでございます。すでに下宿屋風に改造いたしまして、一間々々小さく作って、そこに下宿人という形で女の人を置いて、そして電話連絡をするというような格好の業態に変えつつあるということは、昨日も同僚の委員が指摘され、私も一、二聞いているのでありますが、こういう新しい事態の発生に対して、それを見のがしておいでになるのか、明らかにこれはこの法律の抜け穴をうまくくぐって、そして自分たちの方の業はあくまで続けていこうという意思が明らかなんです。こういうことに対して、どういうふうに取締りを考えておいでになるのか、もう明らかに今申しますようにコール・ガールの制度に切りかえているのでございます。そういう面が方々に出ているのであります。それをどういうふうにお考えでしょうか。この点どう対処なさるおつもりでしょうか。もう一つそこが大事なところなので伺いたいと思います。

中川董治警察庁刑事部長

○政府委員(中川董治君) これはわれわれ新聞でも拝見いたしまして、いろいろそういうお話も承わっております。今度の法律につきまして、なるべくそれを順守すべき立場にある者が脱法手段を考えて、脱法的に何かやると、うまいことをやれば警察に見つからないで済むじゃないかと、こういう人もあると思います。そういう人があり得ることを予定いたしまして、まことに申しにくいのでございますが、そういう脱法手段を考えてやるということになりますと、これは法律が変なものになりますので、脱法弁解等がありましても、法律に規定した構成要件を充足しておるような犯罪があります場合におきましては、その脱法弁解は一つの弁解でございまして、その弁解がありましても、構成要件を充足しておるような事件をやっていらっしゃる方につきましては、これは厳正に捜査を続けて、これを立証して参りたい。こういう努力はぜひいたしたいと思います。それで、そういう努力をぜひすることはもちろんでございますが、そういう態度をきぜんとして持っておることが、お互いが――警察官が官僚独善に考えるというのではなしに――国民全体がきぜんとして持っていることが、何と申しても転業等この自発心を起すという側面的役割をもいたすであろうと思うのであります。ただし転廃業の指導等は直接に警察がやるが、具体的に申すと、関係業者を、この業者は機屋さんをやっていただきたい、この業者はこういう工場を経営していただきたい、こういうことは警察がやることは適当でございませんので、そういうことをすることは他の行政庁の方にお願いしたい。警察といたしましてはそういう脱法手段を考え出しまして、――考えるという点につきましては逆に脱法弁解を設けましても、法律の規定する構成要件を充足すると認める向きにつきましては、その証拠を立証して参る、こういう考えを持っておるのでございます。

赤松常子日本社会党

○赤松常子君 業者の中にも、もうここまできたら転廃業しなくちゃいかぬと観念している人もあるようであります。全部が全部そういう悪徳を続けていこうという人でもなさそうであります。私どももできるだけそういう方とも話し合って、立つ鳥あとを濁さず、ほんとうにかかえておりましたその娘たちの将来もよく相談し合って、業者が相当その娘さんたちの将来に親身になって相談にのれば、あるいは結婚も、それから身の振り方も適当にできるという例の報告も聞いております。そういうふうなことにしていくのが一番私は正しいことだと思うのでありますが、そういう転廃業者に対して、どうぞ目を届かせ、脱法行為が少しでもあればきびしくこれを取り締り、ほんとうにこの二年間に今立法された法の精神が生きるように、私どももいたしますが、警察当局も、ぜひぜひ御協力をお願いいたしたいと思うし、総合的にこの指導方針を立てていただいて、今までの警察の汚名を一掃するよい機会として、ほんとうに正しく指導を速成していただきたいと強く要望する次第でございます。

中川董治警察庁刑事部長

○政府委員(中川董治君) 御趣旨の点はよくわかるのでございますが、転廃業の指導を警察がやるということを広い意味にとられまして、これをいろいろな業者に、転廃業の指導を警察がやる これは適当でないと思っておりますので、その点は御了承いただきたいと思います。それ以外の脱法行為を逆に立証して参る、こういう作業は厳正にやって参りたい、こう思います。

赤松常子日本社会党

○赤松常子君 全面的にそう要求する意味ではないのです。この間私調布に参りまして、転廃業の実情を見まして、そして一人の業者が、どうも下宿屋にしたいのであるけれども、間数がどうであるとかあるいは畳数が少いとか多いとか、なかなか建築法ですか、そういうことにひっかかってうまくスムーズに行かないのですと、その点やはり大目に――大目に見るということはこれまた一種の脱法ですけれども――よく指導して、ここをこうすればいいというふうな思いやりのある態度でやっていただければということを業者が申しておりましたのです。その辺のことを申し上げる次第であります。

中川董治警察庁刑事部長

○政府委員(中川董治君) 御趣旨の点よくわかるのですけれども、たとえば下宿屋にする場合に、下官屋を大目に見るということになると、また問題がやかましくなりますので、たとえば下宿屋にする点につきましては厚生省所管になるわけです。下宿屋にするということになると旅館業法の関係で厚生省の所管になるわけです。その他の問題は主として他の行政庁の関係になるものでございますから、先ほども申しておるのでございますが、他の行政庁関係でそういった点について研究してもらいたい。その機関としては行政各省庁の連絡は一つ考えますけれども、売春対策審議会がそういう機能を果しておりますので、他の行政庁等の関係においてそういう円滑な連絡があるように御配慮願いたい、その一つの拠点として売春対策審議会が非常に適当な機関でありますので、その機関に御相談していきたい、こう思っておるのでございます。

赤松常子日本社会党

○赤松常子君 その書類や何かですね、この間調布で聞いたのですが、警察の中の一部で扱っていらしったように思います。それで、業者がそこのことを申しておったのでありますが、今申しますように、下宿は厚生省の関係でございましょうけれども、それへいくまでの何か書類関係のことを訴えておられましたのですが、警察でそういう点の管轄はないのでありましょうか。

中川董治警察庁刑事部長

○政府委員(中川董治君) かりにあるとすれば、料理屋等につきましては警察関係の許可なんです。そういう問題がありますかもしれませんが、それ以外は他の、大体厚生省とか、たとえば税金問題でおっしゃるのですと、税金問題になりますと地方自治庁の関係だとか、大蔵省の関係等になりますので、料理屋関係、風俗営業関係者についてはそういう事務的なこともあったかと思いますが、主として転業関係になりますというと他の行政庁関係が多いものですから、それでただいま申しましたように、売春対策審議会の御相談を中心として、主として厚生、労働その他のその主管の行政庁の配慮をお願いしたい、下手に警察が入ると脱法行為その他に協力することになってしまいますのでこれはまずい、そう思っておるのでございます。

羽仁五郎無所属クラブ

○羽仁五郎君 この売春防止法に関係して、やはり売春防止法の条文にも明記してある通りに、売春防止については警察の人権じゅうりんの危険が非常に大きいことはよく認識しておられると思うのです。この社会的なまた政治的な一般的な条件が解決されていないで、法律ないし警察だけで売春を防止するということは事実非常にむずかしいし、不可能にひとしいし、それをしいてやろうとすると、実に残酷な人権じゅうりんが起る。これは法律には明証してありますから、あらためて繰り返す必要もないのでありますが、その点について警察が売春防止に関連して人権じゅうりんなどは絶対に起らないように、それは固く認識しておられますと思いますが、どうですか。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) 法第四条にその点は特に明記いたしてあります。これは法に明記されるまでもなく当然のことでありますが、大事なことであるがゆえに特に同法に明記されたものと思いますので、その立法の趣旨を十分にくみまして、万遺漏なきを期するように、今後十分指導等を加えて参りたいと思っております。

羽仁五郎無所属クラブ

○羽仁五郎君 さっきの五番町なりあるいは神奈川なり、その問題に関連して亀田委員から、また委員長から述べられましたことに関連して追加させていただきたいのですが、第一は五番町事件を調査の際、手錠の使用について、どうも遺憾な点があるのじゃないかということを感じましたが、この手錠の使用についてやはり必要にして最小限度ということは申すまでもないのですが、幾分その必要にして最小限度を越えて、手錠が乱用されているのじゃないかと思うので、この点十分に留意せられて、そういうことがないようにお願いしたいと思うのです。どうもこの手錠については警察の高い地位におられる方は、現場の事情を御承知がないのじゃないかと思うのです。それで京都のあれは、警察本部長のお部屋に帰りに寄ってほしいというので、お寄りしましたところが、その警察のスタッフの方がおられて、少年が申し立てました鉄砲手錠ということは物理的に不可能だということをわれわれに申されました。そこで私は実際にそれをやってみてほしいといって、お気の毒でしたけれども若い方に来ていただいて、それでこの鉄砲手錠をはめているふうにしてもらいましたら、いかにもはまらないという形なんですね。それで私はそこで言いましたが、警察の方には手錠をかけるときにそういうふうにいかにも痛々しそうにおかけになるのだろう。実際に痛々しそうにかければ手錠なんというものは普通の手錠だってかけられるものではありません、人に。いわんやこういう鉄砲手錠を痛くないかと思ってかければかからないけれども、実際の警察官がかけられるときには痛くないかなんと思うような同情心なんかないですね。かなり痛かろうが、どうなろうが、むしろ痛いことが目的のようなふうになって、ガチャンとかけてしまうのです。拷問なんということは実際人が人に対する同情心のかけらでさえあるならばできることではない。それが過去においては少くとも行われていたのです。ところがそれを、本部長が私を欺こうとせられたのではないと思います、本部長は良心的であられたのだろうと思う、しかし本部長を助ける方の中に、参議院の法務委員なんというのは何も知りはしないのだ。鉄砲手錠なんというものは物理的にかからないのだと言えばそういうふうに信ずるのだという方が、私もそういう方があったとは信じられないのであります。善意に解釈すれば第一線の警察官がかなり残酷に手錠をがちゃんと、ちょっと見れば物理的にかからないような手錠のかけ方を、実際には残酷な気持をお持ちになってかける。そういうことを上のスタッフの人たちは物理的に不可能だというふうに信じさせられる。われわれの前でもそういうことをおっしゃる。そこまで私は強いことは申し上げなかったのですが、結論的に手錠の使用について、私は現場の使用の仕方について、比較的上の、責任をお持ちになっている本部長であるとか、あるいは何とか部長、課長、そういう方が御承知がないような残酷な使用のされ方がされているのじゃないか。この点についてぜひ留意していただきたいということを追加しておきたいと思います。で、最近アメリカから日本にきている映画の中には、罪を犯した人を天使として扱っている映画が非常に多いです。「汚れた天使」であるとか、あるいは「俺たちは天使じゃない」とかという題名にも現われております。これらはいずれも、たとえば「汚れた天使」というのは、少年が盗みか何かをして、二人の少年ですが、一人は少年院に入れられたために、後に非常に強悪な犯罪者になる。そのときに逃亡したもう一人の方は、後に自分の良心の苛責によって非常にりっぱな牧師になられる。つまり警察がつかまえて少年院に入れた方が犯罪者を製造して、警察がつかまえない方の方が、良心で自己是正された方がりっぱな人格者ができる。そういう趣旨の映画ですね。それから「俺たちは天使じゃない」というのは、罪人として扱われている人たちが実際は天使のような心持ちを持っている。これは最近アメリカで検察なり、警察なり、一般社会が、罪を犯した不幸なわれわれの兄弟姉妹を、天使にもやはりつながるものであるというような同情心を持っているものであろうと私は考えるのですが、日本でもどうか一つ警察におかれましても、罪を犯されるわれわれの不幸な兄弟姉妹というものに対する同情というものを持っていただきたい。その同情心があれば、鉄砲手錠なんというものは実際かけられるものじゃない。けれども、同情心がなければ平気で鉄砲手錠をかけられる。しかもわれわれに向って鉄砲手錠なんて物理的にかかりませんよ、だから少年の言うことはうそですよというようなことをおっしゃるのは、実に私は悲しいことだというふうに思う。どうか罪を犯した人たちがやはり大使であるのだというようにお考えを願いたい。  最後に、これはお願いでなく質問ですが、先ほど亀田委員が委員長代理をしておられましたときの、五番町事件についての処理をいつなさるかということについてですが、もちろん警察は法務委員会なり、国会なりを尊重せられることは申すまでもないと思う。ところが現在の国会は御承知のように間もなく参議院の方は半数改選ということになる。それで参議院が現在五番町事件についてこれだけの重大な関心を持ち、ことに法務委員会がみずから現地に委員を派遣せられて出張調査をしたということに対して、私はやはりそのある処置、結論というものを警察が示されることは、おのずから時期があると思う。先ほどのお答えでは、極力会期中にということでありましたが、私はこの程度のことじゃないのじゃないかと思うのです。それらの点を考えて、国会を尊重せられなければならないという点を考えられて、この点についてはもう少し違ったお答をいただいておく必要があるのじゃないかというふうに思うのですが、無理を申し上げるつもりは毛頭ありませんし、また急いでこそくな処置をとられるということも私の本旨ではないので、十分研究をせられて、そうして類似のような人権じゅうりん事件を根絶する、自白の強要ということを根絶するに足るだけの処置をとっていただかなければならない。そのためには十分の時間というものが必要でありましょうが、しかし国会に対する警察の責任という点から、私はこの会期中じゃなく、その一応の処置に対して国会が満足するかしないか、大麻国務相も、国民の皆さんが納得せられるような処置をとるとおっしゃったが、この国会がその処置に対して意見を申し述べる時間というものがあり得るような処置をとる努力をせらるべきではないかと思いますが、どうでしょうか。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) 米国で罪人を「汚れた天使」といったようなことで、非常に同情した目をもって罪を犯した人と接するというお話、これはまことに大切なことであります。わが国におきましても、罪を憎んで人を憎まずといったような言葉があります通り、私どもかねがね申します通り、人権の尊重ということを基本理念とし、その上に立って捜査に当る者は、いわゆる科学的、合理的捜査、適正なる捜査をやって、真実の究明に努力する、こういうことでなければならぬということを申して参っておるのでありまして、逐次こういう方向に警察の捜査に当る方の態勢が整備されつつある状況は、羽仁委員もお認めいただけるものと思うのであります。今後ともそういう点については一そう心を用いて参りたい、かように存じております。  手錠の使用につきまして、地方におる幹部などが第一線の実情を知らないだろうという点は、まことにお恥しい次第ですが、そのままお受け取りしなければなりません。私ども絶えず第一線の実情をつぶさに見るという機会がないものですから、現実にどういうふうにやっているかということの詳細については承知をいたしておりません。大まかな報告だけに基いてそれを判断しておっては間違いを起すというようなことも、これは確かにあろうかと思いますから、今後ともそういう点についてはそれぞれの機関を通じまして、むろん私ども中央におります者が絶えず第一線に出向くわけに参りませんが、それぞれの出先機関その他を通じまして、十分に指導監督を行なって参りまして、行き過ぎのないように努めて参りたいと思っております。  最後に五番町事件の跡始末の報告について、亀田委員に先ほどお答えしましたことを繰り返すことになりますが、当委員会においてこの問題を非常に真剣にお取り上げいただきまして、私ども警察の反省の貴重な資料をお与え下さいましたことは、私先ほども申し上げました通りでございまして、気持においては全く変りがないのであります。事柄が事柄だけに、きわめて複雑微妙な問題でありますだけに、慎重にも慎重を期する必要がある、こういう意味で私ただいま直ちに何日あったならば最終結論に到達し得ると断言し得るだけの用意がございませんので、いましばらく御猶予を願いたい。しかしいましばらくというのは、できるだけ早く結論に到達したい、またそれに努力するということを申し上げたわけでございまして、どうかその点意のあるところをおくみ取り願いたいとかように存じます。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 ちょっと私お伺いしておきたいのですがね。当委員会は国権の最高機関としての一委員会でありますが、もし石井長官の方でおとりになる態度に対して、委員会というものが不満の意を表した場合においてはどう御処置をなさるか。これは先ほども私が質問した通り、主観的な立場から妥当なる処置とおぼしめすかもしれませんが、客観的に見て委員会としては不満であるというような意思表示をしたときには、どちらに基準を置いて御処理をなさるつもりか、それを一つお伺いすると同時に、少し方面をかえまして、実は私二、三回この委員会に欠席したのですが、それはどういうわけかというと、予告前の予定候補者が戸別訪問をしたという疑問を抱かれて被疑者となり、十八軒戸別訪問をしたというので失格して、その補欠選挙が行われて、私大阪に行っておったのであります。これは遺家族連盟の理事が遺家族の家を十八軒訪問した。それで、お前は何のために訪問したかというと、遺家族が一時金をもらったかどうかということを尋ねに行きました。お互いによろしく頼みますと言ったのを、よろしく頼みますという意味が戸別訪問を受けた人が、この次の市会に私は立ちますから投票して下さいという意味に解しましたというので、これが結局犯罪ありと断定されて失格したのです。まあ今度公民権停止でなくてまた当選したのですが、その人間は。これは十八軒ですが、ところが今度参議院選挙に当りまして、この参議院の状況をごらんになりますと、半分欠席しておる。これは何を意味するかというと、これは告示前の一つの脱法的な選挙運動かあるいは合法的な選挙運動をしておるかわかりませんが、とにかく私は半面的な現象だと見ているのです。それで十八軒くらいを予定候補者が戸別訪問をして失格して、もう一回選挙をしなければならぬという苦労した実情から考えますと、これは実にどこの電信柱を見ても、写真入りの、何らかの意見を書いて表示したものが張りつけられておるのです。それからある所に行くというと、何とか講演会というものを大ぎょうにやっている、こういうことはこれはかれとこれとを照らし合せまして考えるというと、いかにも世の中というものはうまくやった者はもうけどくだという感じを国民に与えるのです。これは私牧野法務大臣にお伺いしたいと思っておりましたけれども、ただいま申しました市会の失格事件が起りましたのは、警察があげたのです。しかも戸別訪問を三人でやって、その中の一人は良心にたえかねるというので警察に自首して、つまりそうしたとおり戦術にかかって、相手方のわなにかかって失格したのですが、そういうのが世間にはあるのです。万一あれが当選したら、おれが良心に恥じたと言って自首すれば刑が減免されると、ちゃんと刑法の規定を研究してやっているおとり戦術が近ごろひんぴんとして起っておる、こういうまことに不愉快なできごと、しかも参議院は半分欠席する、このぶざまな状態から考えると、もう少し何とか検察庁と警察というものはこの点に思いをいたされて、何らかの処置を講ぜられるべきものじゃないかと思うのです。単に年賀状や暑中見舞をやっただけでは、これは私はどうも……、なるほどというような気持で受け取れないのですね。ですからそういう点について今日はまあ最後だと思うのですが、少し方面違いのようですが、せっかく長官がおいでになっておられるから聞いておきたいのですが。

中川董治警察庁刑事部長

○政府委員(中川董治君) 今中山先生のおっしゃった点についての……。

羽仁五郎無所属クラブ

○羽仁五郎君 その第一の点については長官からお答えがあった方がいいのではないか。

中川董治警察庁刑事部長

○政府委員(中川董治君) まず技術的に申し上げますが、当選を得る目的をもって特定の選挙を目当てに各種の行為をすれば事前運動になる、ところが一般社会活動、一般政治活動は合法である、その間の立証につきましては、これは検察庁におきましても警察におきましても、非常に苦労して工夫するのですけれども、そこには立証上について非常に困難がある。そこで、もちろんそれによって見つかってあがった事件もあるし、どうしても立証ができなくてあがらぬ事件もある、こういうのが実態でございます。それで私どもといたしましては、厳正な取締りをするという点につきましては検察庁とも十分打ち合せをし、あるいは関係の方とも十分打ち合せをしまして、そうした技術上の向上に努めておりますので、そういった犯罪捜査活動の厳正なる活動を私どもの責任で大いにやって参ろう、こういう点は各地方の警察とともによく工夫をしておるのでありますが、これは中山先生よく御専門ですから御理解いただけると思うのですが、そういうふうに捜査当局といたして厳正にやるということは、今後とも努力いたしますけれども、一般の正常なる政治活動、正常なる社会活動は合法であるということは、これは何と申しましても憲法上の自由でございます、これはそう考えざるを得ない。正常な政治活動、正常な社会活動ということの内容が、ともすると関係者が見ればこれは事前運動だ、こういうふうに思われる事件が最近多い、こういうことだろうと思うのであります。こういった点につきましては、犯罪捜査活動といたしましては、特定の選挙を月当てにして特定の候補者を当選せしめる目的の行為である、こういうふうに証明できるということを目標にして努力を続けて参ります。努力を続けて参りますけれども、その努力に並行してですね、これを私どもが申し上げるのは恐縮でございますが、国民の各層の方々、有権者の各層の方々の最近非常に御熱心におやりになっております公明選挙運動、これに御期待申し上げるという点が相当多いのでございます。そういった点も一つ、釈迦に説法でございますが、御協力願います。われわれ捜査当局としては、そういう証明をすることにつきましては大へん工夫いたしますけれども、中山先生御専門家であられるからよくおわかりと思いますが、相当困難な問題がございます。困難な問題に対しては大いに努力いたしますが、そういう客観的な限度があるということでありますので、一般公明選挙運動に期待しつつ、しかもわれわれ捜査活動を厳正に行う、こういうことによって事柄を厳正に措置して参りたい。この点につきまして大へん私ども工夫いたしますし、検察庁の方ともいつも相談するのでありますが、いつも相談した結論はそういうことについて忠実な工夫をしていく、こういうことが結論になりまして、ただその場合には限度がございますので、何といいましても検察庁とか警察という者どもが要望いたしちゃ非常に失礼でありますが、一般の政治活動、社会活動の点につきましては、有権者の方々、この選挙にかかわりを持たれる方々を中心とする一般公明選挙運動によって解決していく部面が相当多いのじゃなかろうかというふうに、いつも話合いの結果はなるのでありますが、何と申しましても事前運動の点を犯罪捜査するということにつきまして、厳正にやるという点につきましては、今後とも努力を続けて参りたい。こうわれわれ事務的には思っているのであります。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 そこが要点ですね。私はこの間失格事件の被告の私は弁護したのだからよくわかるのですが、どうぞ投票して下さいということは一言半句も言っておりません。よろしく頼みますという言葉を、訪問を受けた人がこの次の選挙に入れて下さいというふうに解しました、これだけであるのです。そこで警察がほんとうにこの人間を落そうという気分ならば、これは迎合主義の国民ですから、すぐに警察の意を迎える、検察官の意を迎えるという供述をしている、あの謝辞を読むと。よほど気持に張りのある頑丈な人間だというと法廷ではね返しますが、しかしあとがこわいとか、そうすると執行猶予にもならぬのじゃないか、起訴猶予にもならぬのじゃないか、こういう憂えをもって答弁しているのが大体多いのです。  それで私は、先ほどから警察の運営の問題についてずいぶん長い間ここで御議論が行われましたが、この先手を務めるのが警察官であります。警察官の気持たるや、こいつを一つ落してやろうと、ことに自治体が警察権を持っていたときにはその傾向が多かった。二つの対立的な立場にある政治団体に属している議員連中が、あいつが当選したら一つこの手でいこうというように、ちゃんと事前に相談し合って、しかもその派に好意を持っている警察官と――警察官も二派に分れている傾向があった、だからねらい撃ちというものが警察官の腕次第でそういうことができる。今度のこういうふうなことは、何としても大ざっぱに言ったらこれは事前運動です、半分欠席しているということは。これは公明な政治運動とか公明な社会運動とか言っておりますが、そういう問題は大ざっぱに言ったら明らかに選挙の運動が多い。私はこれをねらい撃ちして警察官が落そうと思えばどんな人でも落ちる立場にあるのじゃないかと思うのであります。それでどうも今煮えたような煮え切らないような御答弁ですね、公明な政治活動とか社会運動とかおっしゃいますけれども、これはやはり罪人を作らないためにこれからはこういうふうにするぞと、厳正に、これから疑いのある者は取締るという告示を出して、今すぐ非人をこしらえるというのじゃなしに、そういう警告を今法務省の方と連絡をとってやったらどうですか。全く目に余るものがある、これではほとんど出る人がないですよ、この選挙には。大体私たちは今度選挙があるのですが、委員長のように今度出られるけれども頑張っているという人もある。どうかそういう点一つ注意してもらいたいと思うのです。

高田なほ子日本社会党

○委員長(高田なほ子君) ちょっと一つだけ中川さんに伺っておきたいのですが、犯罪捜査ということは大へんむずかしいことだと思うのです。また民間の協力を求めるという場合にも非常にむずかしい点があると思うのです。先ほど赤松さんが、業者と警官との関連について述べられ、またきのうは藤原さんが賛成討論の中でも、業者と警察官の関連を述べられたのですが、どうやら犯罪の温床というわけじゃありませんが、被疑者がややともすると逃避するのは、ああいう特飲街のような所だと思うのです。だから常時警察官はこの業者たちと密接な協力関係を結んでおかないと、非常に不便な点があるのではないかというふうに考えられますが、そうしたことがこの業者と警察官との、何と申しましょうか、間柄を必要以上に密着しておるところに問題が発生するのではないか。つまり売春を取締る条例があっても、それを見のがしていこう、こういう原因があるように考えられます。またこれは思想関係の調査になると思いますが、この場合には町のぐれん隊とか不良とかいうものをことさらに警察の方で利用して、一ぱい飲ませて、いろいろなことを聞いていくということは、常時これは行われております。過般来私の宅にもこの当面の人間が来まして、警察なんて甘いものだと言う。一ぱい飲ませてもらったって私はよう言わぬなんということを言っておりました。こういうことが犯罪捜査のために民間の協力の一環として行われることが、むしろ社会の道義を低下し、また警官の威信を傷つけ、また社会悪を醸成する方向に持っていくようなことになっては、これは相ならぬということを私は痛感するのです。そこでお尋ねをするわけですが、民間の協力というものをどういう眼界に置くのか、はなはだむずかしい点でありますが、私の伺う意を了とせられてお答えを願いたいと思います。

中川董治警察庁刑事部長

○政府委員(中川董治君) 先ほど売春関係の事犯の犯罪捜査について申し上げたのでございますが、何と申しましても警察活動といいますのは、国民の方々の御協力を背景にしていないと、ほんとうの警察活動はできない。たとえば窃盗事件を捜査するにいたしましても、たまたまそこに警察官が居合せた場合は現行犯ですぐできますけれども、事後に窃盗事件の被疑事件を捜査するにつきましては、検証その他によって、物的のものもずいぶん克明にやりますけれども、その物的の証拠以外に参考人――裁判では証人になるわけです――そういう方々の御協力を仰ぎたい、そういう点を私は念願いたしておるのであります。その念願するのは私も正しいと思うのですけれども、特定の人と非常にじっこんになってしまって、その人の意のままになってしまう、こういうことになりましては、ほんとうに国民の協力もまた逆になるのじゃないか。それで国民全般の方々、特に当該住民の方々の御協力を仰ぐということを基盤にいたしまして、特定の変な人と結びつきをつけるということは、これは排除して参らなければならぬ。国民の方々の全部の御協力を得る――変なことを申して恐縮ですが、ある一人の人の協力を鳴ると、あとの九人の協力を得られなくなる、こうなるとかえってマイナスでございますので、全部の方々の御協力を仰ぐことを基盤として警察活動を、特に犯罪捜査の活動を行なって参りたい、こういうふうに考えておるのであります。ただいまの高田委員長からお話の、とかく暴力団の人が、おれは警察と心やすいのだということを言っているのをよく耳にいたすのでございますが、そういう点は私ども注意して参りまして、そういう特定の人とあまりじっこんになってしまうということにつきましては、排除して参りたい。ところがよくそういう暴力団の人にありがちなことなんですけれども、実際じっこんになっていないのですが、警察という一定の与えられた権限を持っている人たちと仲のいいことを他人に見せびらかすことによって、犯罪をやろうという人たちは、実際じっこんでないものを、じっこんだじっこんだと言って、人々に吹聴する傾向もありますので、具体的な例は何とも申し上げかねますけれども、そういう一般的な問題もありますので、特定の人間が実際にじっこんになっておる以上に、そういう関係者がじっこんだということを吹聴しておるということをわれわれは念頭に置きまして、警察としては全部の御協力を得る――ある特定の人に必要以上にじっこんになってしまうという態度は適当でない、警察官の教養の基本、犯罪の捜査の基本はそうあるべきじゃなかろうか、こう思うのでございますが、その点についていろいろ長官の御命令によりまして逐次努力しておる次第でございますけれども、こういう考え方で警察官を指導教養いたしまして、犯罪捜査がそういう意味合いにおきましても効率が上がるように努力して参りたい、こう念願しておる次第でございます。

高田なほ子日本社会党

○委員長(高田なほ子君) 長官あるいは刑事部長の御答弁というのはまことに紳士的で、私どもはこの御答弁はいずれも了とするのですが、遺憾ながら私が日ごろ体験する警官の行動というものは実に遺憾な点が多いと思うのです。一々ここで例をあげる必要もありませんと思いますが、先ほども私は千葉県のある市で、不当な捜査問題についてちょっとくちばしを入れた、ところが、今度は高田さんは選挙だから、今度選挙のときに、うんと一つ警官はやってやろうじゃないかということを公言しているという始末であります。これはその名前を言えば当りさわりがありますから私は申し上げませんが、そういう自分の非を隠すために報復的なことを考える、この国民を無視する警官の心境というものは、私は実に遺憾きわまりないものであると思う。従って私は、警察署がどういう動きをするかということを、今般自分の体験を通して読み取りたいと今から非常に楽しみにしているのです。  私はなぜこのことを重く取り上げるかというと、これも私が選挙のときに、あそこにビラが張ってあったから候補者本人が出てこい、ここにビラが張ってあったから候補者本人が出てこいというので非常に警察から妨害されて、運動が半減された。そこでこれは弱ったことだと思ったら、いや高田さん警察にあなた一本持っていかなくちゃいかぬよということだった。今はそういうことはないと思いますが、防犯協会のメンバーというものはかなり町の顔役であります。その顔役というものは、はっきり言えば、私どもの政党に所属しない場合が多い、それと警察というものが、相当、選挙の場合には結びつきながら暗躍をする、革新陣営にとっては、この結びつきというものは非常に痛手になります。またつまらぬことでもこれを取り上げて騒ぎ回らせる、そういうことであっては、ほんとうの意味の民主警察にならないし、また公明選挙にも協力するという態度にはならないので、この点は特に警察庁長官から、非常に大事な時期にも来ておりますから、あなたの御所信を承わっておきたいと思います。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) ひとり選挙の問題のみならず、警察の各般の執行につきましては、一党一派に偏することなく、厳正公平な立場で臨まなければならぬことは、警察法にも明記されておるところであります。私どもそういう見地で日ごろ第一線の諸君に十分趣旨を徹底せしめ、指導教養に当っておるつもりでございますが、何分にも全国数多い中には、まだそういう大事な点について十分な心がまえができていないと申しますか、まだ行き過ぎもありまして、御批判をいただくような始末をしでかしておりますことは、まことに遺憾に存ずるものであります。警察は絶えず厳正公平な態度で、真に国民の生命、身体、財産の保護に任じて、公共の秩序維持に当るという警察法の示しました責務を全うするために、常に虚心たんかいに国民の皆様の率直なる批判を聞いて、それを反省のかてとしつつ仕事を進めていかなければならぬものと、かように思っております。そういう気持で私どもはみな職務を遂行いたしておるのであります。まだ徹底しない点がありまして、お見苦しいところをお目にかけたり、またお耳に入るような事態があるということは、まことに遺憾に思う次第であります。今後とも一そうそういう点につきましては、十分機会あるごとにあらゆる方法を講じまして、真にあるべき警察の姿のために、一そう努力精進をいたして参りたい。かように存じますので、御了承願いたいと思います。

高田なほ子日本社会党

○委員長(高田なほ子君) せっかくの御尽力を期待いたしまして、本問題につきましてはこの程度にとどめます。

羽仁五郎無所属クラブ

○羽仁五郎君 先ほど中山委員から御質問の非常に重大な点、すなわち参議院法務委員会が五番町事件に関連して持っておるところの見解、それはすでに報告書の中で明らかにされておる点もあるのですが、警察庁御自身の方でおとりになる措置というものが、この法務委員会なり、参議院なりが納得することができないということになると、大へん大きな問題になるわけなんで、その点についての御質問がございましたが、(中山福藏君「答弁がないのです」と述ぶ)これにお答えがなかったのですが、これはもちろんお聞き流しになったのではない。非常に重大な問題としてお聞きになって、お考え中で、慎重にお考えになっていることというふうに了解してよろしゅうございますね。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) まことにお説の通り重大な問題でございます。先ほどからたびたび申し上げておりまする通り、この問題はきわめて重大な問題であり、かつ内容も複雑微妙なものでありますだけに、私どもといたしましては、慎重の上にも慎重を期して、最後の結論に到達したい。こういう意味で、しばらく時間をおかし願いたいと申し上げておるのでありまして、参議院の議員の方々の任期の関係等もあり、でき得べくんばこの会期中に最後の結論に到達して、御報告できるということが最も望ましいので、われわれも努力目標としてはそういうふうに考えるのでありますが、事柄の性質上、あるいはもっと時間を必要とするかもしれませんから、今直ちに何日に結論に到達するということは申し上げかねると、こういうふうに申したのでありまして、当委員会において、現地調査もされました貴重なる御報告は、私ども十分肝に銘じてこれを参考にさせていただきたい。同時に、私ども調査をいたした点もございますが、なお不十分な点を、先般の当委員会における現地調査の御報告を伺いまして、発見もいたしておりますので、そうした点をさらに十分に検討いたしまして、部内、部外ともに納得のでき得るような結論に到達したい。それがゆえになお一そう慎重を要する。こういう意味で、今しばらく時間をおかし願いたいのです。こういう意味で申し上げておるのでございます。よろしくお願いいたします。

羽仁五郎無所属クラブ

○羽仁五郎君 石井さんは新しい警察庁長官として、非常に慎重であられることはもちろんよく了承するのですが、しかしあなたは少くとも警察に関する限り最高の責任者ですから、やはり新しい風を警察の中に吹き入れていただきたい。  あれは昭和十年ごろでしたか、偶然思い出したんですが、藤沼庄平さんが警視総監をしておられたときに、新聞に自分はスパイ警察というものを根絶するつもりだという談話を発表されたことがあります。私はそのときに明るい気持を抱いた。藤沼さんが果してどの程度までスパイ警察を根絶されたか、またその他の点でどういう警察の長であったかということは別ですけれども、国民の方では、警察が少しでもいい立場にお立ちになると非常に喜ぶのです。その意味であなたは一つ新しい――新しいといってもかなり長く、しばらく御苦労をいただいておるわけですが、前の方と別に比較するということはございませんが、やはりどうも私は外国では警察のかなり高い地位の方は、ときどきなかなかファイン・プレーというか、フェア・プレーというか、国民の気持を明るくする努力をされるのですが、あなたも十分なすっているというふうに拝察するのですが、その点については一つ慎重々々ばかりでなく、あなたの識見というものをぜひ示していただきたい。

石井榮三警察庁長官

○政府委員(石井榮三君) 私、みずからの微力を顧みず重責をけがしておることにつきまして、絶えず反省をいたしておるのでございます。われわれの警察界にいろいろ多年にわたる宿弊と申しますか、改めなければならぬ点の数多くありますことを私は承知をいたしております。しかしそれはなかなか一朝一夕に改善できるものではないのであります。簡単なことはもとより直ちに改善もできますが、大きな問題となりますと、多年の宿弊というものは一挙に解決は困難でありますが、しかし及ばずながら私は機会あるごとにその努力を積み重ねて、逐次よりよき警察、真に国民の信頼と期待にこたえ得るような警察の運営のために微力ながら最善を尽したいという覚悟だけは人後に落ちないつもりでございます。  私昨年の七月に警察庁長官を拝命いたしたのでありますが、その直後、多年警察が外部から番付金をもらうということがとかく警察の公正を疑わしめる大きな原因になっているという点に思いをいたしまして、いわゆる警察に対する財政援助を目的とする警察後援会、あるいは治安協力会、いろいろ名前は府県ごとに違いますが、そうした性質のものはこの際断固廃止して、警察が部外からそういった財政的援助を受けるということは断然やめよう。警察庁本来の運営に必要な経費は、すべて公けの費用、すなわち国費ないしは都道府県費をもってまかなうべきものであって、部外から寄付金等を仰ぐべきものでないという方針を確立いたしまして、昨年の七月そういう趣旨の通牒を全国各府県に徹底せしめました。その線に沿ってやって参っておるような状況でございます。  これはたまたま一例にすぎませんが、私はそういう意味でいろいろわれわれの今までの警察を振り返って見たときに、その中には、たびたび当委員会でも御指摘をいただくような、捜査の面につきましてもいろいろの問題点があります。われわれの改善、工夫をいたさなければならぬ点がありますと同様に、他の警察の執行面におきましてもいろいろな問題があるのであります。そうしたものの解決につきましては、及ばずながら一そうの努力をしたいと思うのであります。結局期するところは、人間の問題であるかと思うのであります。警察官を質的にりっぱなものにする。警察官である前にりっぱな社会人、りっぱな紳士でなければならぬということで、私は特に警察教養のことにつきましては力をいたしておるつもりでございます。職業教育としての知識、法令を詰め込むだけが警察教養ではないのでありまして、それにさらに、むしろ先行して紳士たる警察官を作り、人間としての警察官を養成する。それは言葉をかえて言えば何であるかといえば、基本的人権を尊重する根本理念に立って、権力的な警察意識を一掃した真に国民に愛され、信頼される民主的警察官を育成することにある、こういう見地に立ちまして、及ばずながら私は努力を重ねておるつもりでございます。しかしながら微力にしましてまだ十分に末端まで浸透するだけに至っておらない点を、私自身も恥かしく思っております。どうか諸先生におかれましては、今後ともいろいろと忌憚のない御批判、御叱声を下さいますならば、私は喜んでそれを反省の資料とさせていただきまして、微力ながら最善を尽しまして、よりよき警察を作り上げる努力をいたしたいと、かように存じておりますので、御了承を願いたいと存じます。

中山福藏緑風会

○中山福藏君 大へん御熱意のある御答弁で、私ども委員として感謝しますが、実はこれは御参考に私供しておきたいと思う。今民警協会というのが各地にございますね。あるいは防犯協会というのがあって、これはやはり警察に連絡のある人が協会長になっておられるようでありますが、これなど単に寮付金だけじゃなくて、相当の因果関係と申しますか、便宜主義的な立場に立った協会が多いんですね。こういうことも一つよほど全国的にお取り調べをいただいて、そういう憂いのあるもの、警察官がややともすれば陥りやすいようなつぼを掘るような団体に対しては相当警戒を一つしていただきたい、こう思うのです。これは一例で、ずいぶん古い話で、今はそういうことはないでしょうが、私が昭和十七年、選挙に立ちましたときは、阪井という者が生野署におりまして、大阪の生野署の阪井という署長がその辺の有力者を全部集めまして、中山というものに投票してはいかぬ、将来中山に先生という名前を使ってはいかぬということを訓示しております。私が落選した二日目に、マニラの司政官に任命されたから、その署長はほとんど全国で一番早かったのです、司政官になったのは。相当前から私を根っこに入れて、落選するように指令を与えておったと思われるのですが、そのためか東条さんのお気に入りまして、司政官になった。私が今日憂うるのは、こういう過去のことを持ち出すのは不愉快なんですけれども、その逆戻りをするという心配を私は非常に憂うるのです。警察の権力はどこにあるかということによって非常に違ってくるのです、警察官の頭の中が、そこで足利尊氏を私ども憎むように歴史で習っておったのですが、足利尊氏以上のことを皆やっておった、昭和十七年には。こういうものは歴史とでほんとうに一番国民に憎めと教えておったのに、すっかり成り上って勲章をもらうとか、華族さんになるとかいって得意になって、国家をつぶしてしまったのですから、私はそういう警察の逆戻りをするという世の中を見たくないのです。もう年寄りですから早晩死ぬと思いますけれども、そういうことをもう一回見たくありませんので、特にそういうことに御注意下さって、防犯協会とか民警協会については十分一つ監視の目を光らしていただきたいので、これはお願いであります。

高田なほ子日本社会党

○委員長(高田なほ子君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

高田なほ子日本社会党

○委員長(高田なほ子君) 速記をつけて下さい。  次は刑法等の一部を改正する法律案を議題に供します。本案の逐条説明をお願いいたします。

羽仁五郎無所属クラブ

○羽仁五郎君 お許しをいただいて、私からこの刑法等の一部を改正する法律案の逐条説明を申し上げます。  この死刑を廃止するという内容を持ちます刑法等の一部を改正する法律案の逐条につきましては、参議院法務委員会の専門調査室の西村高兄調査室長並びに調査室の諸君並びに参議院法制局三原次郎君そのほか法制局の諸君、これらの諸君の非常に多大の御努力、御協力をいただいたことを、この機会に厚く感謝さしていただきたいのであります。  次にこの刑法等の一部を改正する法律案の逐条説明をさしていただきます。  第一条 刑法(明治四十年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。    第九条中「死刑、」を削る。    第十条第三項中「死刑又ハ長期若クハ多額及ヒ短期若クハ寡額」を「長期又ハ多額及ヒ短期又ハ寡額」に改める。    第十一条を次のように改める。   第十一条削除    第三十二条第一号を次のように改める。    一 削除    第四十六条を次のように改める。   第四十六条併合罪中其一罪ニ付キ無期ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス可キトキハ他ノ刑ヲ科セス但罰金、科料及ヒ没収ハ此限ニ在ラス    第四十八条第一項ただし書を削る。    第五十一条中「死刑ヲ執行ス可キトキハ没収ヲ除ク外他ノ刑ヲ執行セス」を削る。    第五十六条第二項を削る。    第六十八条第一号を次のように改める。    一 削除    第七十七条第一項第一号中「死刑又ハ」を削る。    第八十一条中「死刑」を「無期懲役」に改める。    第八十二条、第百八条及び第百十九条中「死刑又ハ無期若クハ」を「無期又ハ」に改める。    第百二十六条第三項中「死刑又ハ」を削る。    第百四十六条及び第百九十九条中「死刑又ハ無期若クハ」を「無期又ハ」に改める。    第二百条、第二百四十条及び第二百四十一条中「死刑又ハ」を削る。  第一条は、刑法の一部を改正したものであります。  先ず刑法第九条の改正でありますが、同条は、現行法上刑としていかなるものを置くかを明らかにしたきわめて重要な規定であります。死刑を廃止する趣旨にのっとり、「死刑」を削ったものであります。本条で、死刑を削りましたので刑法はもちろん、その他の刑罰法規中でも刑罰としての死刑は、一切存在しないことになったわけであります。ここで特に御説明いたしたいと思いますのは、本法案の趣旨は、単に死刑という刑を廃止しようとするものでありまして、全体的に刑を軽くして刑罰体系を変えようとするものではありません。  次に刑法第十条第三項は、第九条で刑罰としての死刑を削りましたことに伴いまして、その条文中の「死刑」の文字を削ったものであります。  刑法第十一条は、死刑執行の方法等についての規定でありますが、死刑を廃止しますと、この条文が必要でなくなりますので削除したものであります。  刑法第三十二条の第一号は、同号が死刑の刑の時効についての規定でありますので、削除しました。  刑法第四十六条第一項は、併合罪中その一罪が死刑に処すべき場合に関する規定でありますが、死刑の廃止に伴い、かような規定は必要がなくなりましたのでこれを削りまして、死刑に関係のない同条第二項の部分を整理して残したものであります。  刑法第四十八条第一項ただし書きを削りましたのは、第四十六条を改正しましたことに伴う条文整理であります。  刑法第五十一条は、併合罪の数個の裁判のあったときの執行について規定しておりますが、このうち死刑に関する部分は、必要がなくなりましたので、これを削りました。  刑法第五十六条第二項は、懲役に当る罪と同質の罪により死刑に処せられ執行の免除等を受けた者についての符犯例の規定でありますので、これを削りました。  刑法第六十八条第一号は、死刑の減軽例の規定でありますので、これを削除しました。  刑法第七十七条第一項第一号の内乱首魁、第八十一条の外患誘致、第八十二条の外患援助、第百八条の現住建進物等放火、第百十九条の現住建造物等侵害、第百二十六条第三項の刑事覆没致死、第百四十六条の水道毒物混入致死、第百九十九条の殺人、第二百条の尊属殺、第二百四十条の強盗致死及び第二百四十一条の強盗強姦致死の各罪には、それぞれ死刑を規定していますので、これらをすべて削ったものであります。  第二条 爆発物取締罰則(明治十七年太政官布告第三十二号)の一部を次のように改正する。    第一条中「死刑又ハ無期若クハ」を「無期又ハ」に改める。  第三条航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)の一部を次のように改正する。    第百四十条中「死刑又は無期若しくは」を「無期又は」に改める。  第二条は、爆発物取締罰則を、第三条は、航空法の一部をそれぞれ改正したものであります。即ち爆発物取締罰則第一条及び航空法第百四十条は、それぞれ死刑を規定していますのでこれらを削ったものであります。  第四条 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。    第八十九条第一号及び第二号並びに第二百十条第一項中「死刑又は無期若しくは」を「無期又は」に、「懲役若しくは禁錮」を「懲役又は禁錮」に改める。    第二百五十条第一号を次のように改める。    一 削除    第二百八十九条第一項及び第二百九十一条の二ただし書中「死刑又は無期若しくは」を「無期又は」に、「懲役若しくは禁錮」を「懲役又は禁錮」に改める。    第三百六十条の二中「死刑又は無期の懲役若しくは禁錮」を「無期の懲役又は禁錮」に改める。    第四百七十五条から第四百七十九条までを次のように改める。   第四百七十五条 削除   第四百七十六条 削除   第四百七十七条 削除   第四百七十八条 削除   第四百七十九条 削除    第四百八十四条、第四百八十五条及び第四百八十六条第一項中「死刑、」を削る。  第四条は、刑事訴訟法の一部を改正したものであります。即ち同法第八十九条は、いわゆる必要的保釈の規定であり、第二百十条は、緊急逮捕の規定でありますが、これらの規定中「死刑」を判ったものであります。  次の第二百五十条第一号は、「死刑にあたる罪」についての公訴の時効の期間を定めていますが、「死刑にあたる罪」がなくなりますので同号を削除しました。  第二百八十九条は、必要的弁護、第二百九十一条の二は、簡易公判手続、第三百六十条の二は、上訴の放棄についての規定でありますが、これらの規定中「死刑」を削ったものであります。  第四百七十五条から第四百七十九条までは、死刑の執行についての規定でありますが、これらはすべて不要となりましたので、削除することとしました。  第四百八十四条、第四百八十五条及び第四百八十六条は、刑の執行のための呼び出しや収監状についての規定でありますが、これらの既定中「死刑」を削ったものであります。  第五条 裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)の一部を次のように改正する。    第二十六条第二項第二号中「死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役芳しくは禁錮」を「無期又は短期一年以上の懲役又は禁錮」に改める。  本条は裁判所法の一部を改正したものであります。同法第二十六条第二項第二号は、裁判官の合議体で取り扱うべき一定の罪に係る事件を掲げた規定でありますが、その一定の罪のうちに死刑に当る罪がありますので、これを削除することと致したものであります。  第六条 監獄法(明治四十一年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。    第一条第一項第四号中「、引致状ニ依リ監獄ニ留置シタル者及ヒ死刑ノ言渡ヲ受ケタル者」を「及ヒ引致状ニ依リ監獄ニ留置シタル者」に改める。    第九条中「、監置ニ処セラレタル者及ヒ死刑ノ言渡ヲ受ケタル者」を「及ヒ監置に処セラレタル者」に改める。    第七十一条及び第七十二条を次のように改ある。   第七十一条 削除   第七十二条 削除  第六条は、監獄法の一部を改正したものであります。同法第一条第一項第四号によりますと死刑の言い渡しを受けた者は、拘置監に拘禁することになっていますが、本法施行後は、死刑の言い渡しを受ける者は存在しなくなりますので、「死刑の譲渡しを受けた者」の文字を削ることとしました。同法第九条の改正も全く同一の趣旨であります。また、同法第七十一条及び第七十二条は、死刑の執行の場所や執行後の処置について規定していますが、同条とも必要がなくなりましたので削除することとしました。  第七条少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)の一部を次のように改正する。    第二十条中「死刑、」を削る。    第五十一条の見出し中「死刑と」を削り、同条中「死刑をもつて処断すべきときは、無期刑を科し、」を削り、「無期刑をもつて処断すべきときは、十年以上十五年以下において、懲役又は禁錮を科する。」を「無期刑をもつて処断すべきときは、無期刑又は十年以上十五年以下において、懲役若しくは禁錮を科する。」に改める。  第七条は、少年法の一部を改正したものであります。即ち同法第二十条は、一定の事件について家庭裁判所は、検察官に送致しなければならない場合を規定していますが、この一定の事件のうちに死刑にあたる罪という字句がありますのでこれを削りました。  次に同法第五十一条は、罪を犯すとき十八才に満たない者に対して、死刑をもって処断すべきときは、無期刑を科し、無期刑をもって処断すべきときは、十年以上十五年以下において、懲役又は禁錮を科する旨規定致していますが、「死刑をもつて処断すべきときは、無期刑を科する」旨の規定は死刑の廃止に伴って必要がなくなりますのでこれを削除しますとともに、無期刑をもって処断すべきときには、現行の有期の刑の外に新に無期刑を科することもできることといたしたのであります。  このように、無期刑をもって処断すべき場合に新たに無期刑をも科し得ることにいたしましたことは、一見少年犯罪の法定刑を引き上げたもののように見えないこともありませんが、これは、死刑という最も重い刑を廃止しました結果、改正後の無期刑をもって処断すべき場合のうちには、改正前ならば、死刑をもって処断すべき場合も含まれており、いわば無期刑をもって処断すべき場合の範囲が拡ったのでありますから、これに即応して少年に対し、無期刑をもって処断すべき場合に、新たに無期刑をも科し得ることといたしたわけでありまして、少年の法定刑を現行法より重くする趣旨を含むものではありません。従いまして、この法律施行後少年法によりまして無期刑を科せられる場合は、従前の死刑をもって処断すべき場合のようなときに限られ、その他の場合は、十年以上十五年以下において懲役又は禁錮を科せられるものと思われます。すでに御説明いたしましたように本法案は、単に死刑という刑を廃止しようとするものでありまして、全体的に刑を軽くして刑罰体系を変えようとするものではありません。従いまして少年法におきまして死刑を無期に、無期を有期にというように逐次軽くしようという意図はないわけでありまして、結局実質的には、改正はないことに帰するのであります。  第八条警察官職務執行法(昭和二十三年法律第百三十六号)の一部を次のように改正する。    第七条第一号中「死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁こ」を「無期又は長期三年以上の懲役又は禁こ」に改める。  第九条 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う刑事特別法(昭和二十七年法律第百三十八号)の一部を次のように改正する。   第十条第二項中「死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁こ」を「無期又は長期三年以上の懲役又は禁こ」に改める。  第十条 日本国における国際連合の軍隊に対する刑事裁判権の行使に関する議定書の実施に伴う刑事特別法(昭和二十八年法律第二百六十五号)の一部を次のように改正する。    第二条第二項中「死刑又は無期帯しくは長期三年以上の懲役若しくは禁こ」を「無期又は長期三年以上の懲役又は禁こ」に改める。  第十一条 日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法(昭和二十九年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。    第二条第二項中「死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁こ」を「無期又は長期三年以上の懲役又は禁こ」に改める。  本各条は、警察官職務執行法、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う刑事特別法、日本国における国際連合の軍隊に対する刑事裁判権の行使に関する議定書の実施に伴う刑事特別法及び日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法の一部をそれそれ改正したものであります。  即ちこれらの法律の条文中死刑の文字を削ったものであります。  第十二条刑事補償法(昭和二十五年法律第一号)の一部を次のように改正する。    第四条第三項及び第四項を削り、第五項を第三項とし、第六、項を第四項とする。  本条は、刑事補償法の一部を改正したものであります。同法第四条中第三項及び第四項は、死刑の執行による補償について規定しておりますが、いずれも必要がなくなりましたのでこれを削り、条文の整理をしたものであります。  第十三条 商法(明治三十二年法律第四十八号)の一部を次のように改正する。    第六百八十条第一項第一号中「決闘其他ノ犯罪又ハ死刑ノ執行」を「又ハ決闘其他ノ犯罪」に改める。  本条は、商法の一部を改正したものでありますが、同法第六百八十条第一項第一号中の死刑の文字を削ったものであります。  第十四条 恩給法(大正十二年法律第四十八号)の一部を次のように改正する。    第九条第一項第二号中「死刑又ハ無期若ハ三年ヲ超ユル懲役若ハ禁錮」を「無期又ハ三年ヲ超ユル懲役又ハ禁錮」に改める。  本条は、恩給法の一部を改正したものであります。同法第九条第一項第二号は、一定の刑に処せられた者は、年金たる恩給を受ける権利は消滅する旨を規定しておりますが、そのうち死刑に処せられた者が含まれておりますのでこれを削ったものであります。  第十五条 戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の一部を次のように改正する。   第九十条を次のように改める。   第九十条 在監中死亡した者の引取人がない場合には、監獄の長は、遅滞なく監獄所在地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。この場合には、報告書に診断書又は検案書を添附しなければならない。  第十五条は、戸籍法の一部を改正したものであります。即ち同法第九十条第一項は、死刑の執行があったときは、監獄の長は、遅滞なく監獄所在地の市町村長に死亡の報告をしなければならないと規定していますが、死刑の廃止に伴いまして、かかる規定は必要がなくなりましたので削りました。しかし同条第二項は、なお存置する必要がありますので、整理して第九十条として残したのであります。  第十六条 旅券法(昭和二十六年法律第二百六十七号)の一部を次のように改正する。    第十三条第一項第二号中「死刑、」を削る。  第十六条は、旅券法の一部を改正したものであります。同法第十三条第一項第二号中の死刑の文字を削ったものであります。     附 則  1 この法律は、公布の日から施行する。  2 この法律施行前に犯した死刑にあたる罪につき刑法第六条の規定を適用する場合における刑の軽重については、同法第九条の改正規定にかかわらず、なお従前の例による。  3 この法律施行前に罪を犯した者がその罪を犯したとき十八才に満たない者であった場合におけるその者の処罰については、なお従前の例による。  4 この法律施行前に死刑の言渡しを受けた者の刑の執行及び刑の時効並びにこれらの者に対する再犯例の適用に関しては、なお従前の例による。  5 この法律施行前に死刑にあたる罪につき有罪の宣告を受けたことのある者の保釈については、刑事訴訟法第八十九条第二号の改正規定にかかわらず、なお従前の例による。  6 この法律施行前に犯した死刑にあたる罪の公訴の時効の期間は、改正後の刑事訴訟法第二百五十条の規定にかかわらず、十五年とする。  7 この法律施行前になされた死刑に処する判決に対する上訴の放棄については、刑事訴訟法第三百六十条の二の改正規定にかかわらず、なお従前の例による。  8 死刑の執行による刑事補償については、なお従前の例による。  9 死刑の執行による生命保険の保険者の免責については、なお従前の例による。  10 死刑に処せられた者の年金たる恩給を受ける権利の消滅については、なお従前の例による。  第一項は、この法律の施行日を定め、公布の甘から施行するものとしております。  第二項は、この法律施行前に犯した死刑に当る罪につき今後裁判をする場合に、刑法第六条により新旧比照を行うことになりますが、本法案の第一条で刑法第九条中の死刑を削りました関係で、この法律施行前の死刑と他の刑との軽重の比較におきましていずれが重いか軽いかが法文上判明しないことになりますので、かようなことの生じませぬよう、新旧比照を行う場合の刑の軽重につきましては、この法律施行後もなお従前の第九条及び第十条の例によるものとしたのであります。  第三項は、少年法第五十一条を改正しまして、同条中の死刑を削り、無期刑をもって処断すべきときは、無期刑又は十年以上十五年以下において、懲役若しくは禁錮を科することと致しました。従いまして改正前に無期刑をもって処断すべきときは、十年以上十五年以下において懲役又は禁錮を科することになっておりましたのが、改正後は、これに対し無期刑をも科することができるようになり、同時に改正前に犯した罪につき死刑をもって処断すべきものに対して十年以上十五年以下において懲役又は禁錮を科することができることとなります。これは不合理でありますばかりでなく、本法案が刑罰体系を変更しない建前をとっていますことに反することとなりますので、本項の経過規定を設けまして、このような不当な結果が生じないようにしたものであります。  第四項は、すでに御説明致しましたようにこの法律では刑の執行、刑の時効及び再犯例の規定などにつきまして死刑の文字をすべて削りました関係から、この法律施行前に死刑の言い渡しを受けた者についての法律上の取扱いの規定が存しなくなりますので、本項によりましてすべてその取扱いを従前の例によるものと規定したものであります。換言致しますと、この法律施行前に死刑の言渡しを受けた者は、刑が確定致しますと従前通り死刑の執行が行われ、また、刑の時効も従前通り三十年でありますし、再犯例の適用につきましても改正前と同一の取扱いを受けるわけであります。  このように死刑を廃止しましたにもかかわらず、この法律施行前に死刑の言い渡しを受けて確定した者について死刑が従前通り執行されますのは、法律をもって判決の言い渡しの効力を左右いたしますことが三権分立の精神に照しまして妥当ではありませんので、かような点の考慮からこれらの者に対する法律上の取扱いは、なお従前の例によるとしたものであります。  なお、「この法律施行前に死刑の言渡しを受けた者」とありますのは、この法律施行前に死刑の言い渡しを受けてその判決が確定した者と、この法律施行前に死刑の言い渡しを受けて、この法律施行後その判決が確定した者の両者を含む趣旨でありまして、たとえこの法律施行前に死刑の言い渡しを受けた者でありましても、その判決が確定しないものにつきましては、上訴によりまして、この法律施行後判決が言渡されるときは死刑が廃止されていますので、これらの者は当然、本項の適用から除外されるわけであります。  第五項は、刑事訴訟法第八十九条第一号及び第二号中の死刑の文字を削りましたが、第二号は、保釈の請求がありまして被告人が前に死刑又は無期もしくは長期十年を超える懲役もしくは禁錮に当る罪につき有罪の宣告を受けたことがあるときは、これを許さないことができる旨規定しておりまして、本則におきまして旧号中の死刑の文字を削りましただけでは、この法律施行前に死刑に当る罪につき有罪の宣告を受けたことのある被告人から、この法律施行後保釈の請求があれば、これを許さなければならないことになりますので、このような不当な結果を生じないように、このような者につきましては、なお従前の例により取り扱うこととしたのであります。  第六項は、公訴の時効の期間は、十五年と定めております刑事訴訟法第二百五十条第一号を削除といたしました関係で、この法律施行前に犯した死刑に当る罪の公訴の時効の期間について今後疑問が生ずる余地がありますので、本項を設けまして、かかる犯罪の公訴の時効の時間は、十五年である旨を明確にしたものであります。  第七項は、刑事訴訟法第三百六十条の三の規定中死刑の文字を削りましたが、このままではこの法律施行前になされた死刑に処する判決に対してこの法律施行後は、上訴の放棄ができるようになってしまいますので、この点につきましても、なお従前の例によることとしました。  第八項、第九項及び第十項は、それぞれ、刑事補償法、商法及び恩給法の規定から死刑の文字を削りましたことに伴う必要な経過規定を設けたものであります。  以上でございます。

高田なほ子日本社会党

○委員長(高田なほ子君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

高田なほ子日本社会党

○委員長(高田なほ子君) 速記を始めて下さい。

羽仁五郎無所属クラブ

○羽仁五郎君 死刑廃止を内容といたしますこの刑法の一部を改正する法律案につきましては、皆様よく御承知の通り先日開かれました公聴会におきましても貴重な意見が述べられ、またその提案の前後を通じまして、日本の新聞あるいはラジオなどの世論が非常に大きい関心を示されておることは感謝にたえない次第であり、また最近われわれの提案と時期を同じくしましてイギリスにおいて提案されております死刑廃止に関する法律案についても非常な世論の関心の中に問題の解決が急がれているのでございますが、どうか以上の逐条説明に対しまして委員各位から十分の御検討をいただきまして、本法律案が一刻も早く本院を可決、通過せられんことを心からお願いする次第でございます。

高田なほ子日本社会党

○委員長(高田なほ子君) 別に御発言もなければ質疑は後刻に譲りまして、これにて散会いたします。    午後四時三十六分散会

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