法務委員会 第3号
- 発言数
- 80 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1956/02/16
会議録
○委員長(高田なほ子君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 まず御紹介をいたします。法務委員の異動がございましたが、大谷先生、大屋先生が御辞任になりましたので、その補欠として木村守江先生、伊能芳雄先生がお移りになることになりましたので御紹介を申し上げます。
○委員長(高田なほ子君) まず理事補欠互選の件を議題に供します。泉山三六さんが一時委員を辞任されましたので、本委員会の理事が一名欠員のままになっておりますから、これからその補欠互選を行います。その互選の方法はその指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高田なほ子君) 御異議ないと認めます。 それでは理事に井上清一さんを指名いたします。
○委員長(高田なほ子君) 次にお諮りをいたします。総理府設置法の一部を改正する法律案について内閣委員会に対しまして連合審査会の開会の申し入れをすることに決定いたしまして御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高田なほ子君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。 なお連合審査会の開会の日時につきましては、内閣委員長と協議の上、決定次第御連絡することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高田なほ子君) 御異議ないと認めます。 ―――――――――――――
○委員長(高田なほ子君) 次に委員派遣承認要求に関する件についてお諮りをいたします。 検察及び裁判の運営等に関する調査のため、委員派遣をすることに決定して御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○一松定吉君 それはどの方面ですか。
○委員長(高田なほ子君) この内容は理事会でも一応お諮り申し上げたわけですが、大村収容所の事件、続いて大阪拘置所移転問題並びに板付に起っております裁判権等の問題についての出張でございます。
○一松定吉君 わかりました。
○委員長(高田なほ子君) 御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高田なほ子君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。 なお、議長に提出すべき要求書の内容、手続などにつきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高田なほ子君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。
○委員長(高田なほ子君) 次にお諮りをいたします。接収不動産に関する借地借家臨時処理法案審査のため、公聴会を開くことに決定して御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高田なほ子君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたします。 つきましては公聴会決定の日町、公述人及び手続などにつきましては、これを委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高田なほ子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(高田なほ子君) 速記を始めて。 次に家事審判法の一部を改正する法律案を議題に供します。本案につきまして提案理由の説明を願います。
○政府委員(松原一彦君) 私から便宜御説明申し上げます。 家事審判法の一部を改正する法律案について、提案の理由を説明いたします。 家事審判法施行このかた、家庭裁判所が家庭の平和と健全な親族共同生活の維持のために、大きな成果をあげつつあることは、周知の通りであります。しかしながら、家庭裁判所において審判がなされ、あるいは調停が成立いたしましても、これらの審判または調停で定められました義務の履行が十分に保障されないといたしますならば、家庭裁判所に救済を求める当事者の紛争が終局的に解決されたとはいえないことはもとよりでありまして、家事審判法制定の趣旨の完全な実現にはまだほど遠いものがあると申さねばなりません。 現行法のもとにおきまして、扶養、離婚に伴う財産分与その他いわゆる家事債務につきまして、家事審判法による審判又は調停がなされました場合、これらの審判または調停で定められました義務の履行を保障する手段は強制執行であります。しかるにこれら家事市債務の従来における履行状況を見まするに、権利者が強制執行の手段によって権利を実行する例はきわめて少く、大部分は義務者の任意の履行に待つのが実情でありまして、そのためせっかく審判または調停によって義務が確定しましても、これが不履行に終る場合が少くないのであります。これは、強制執行が近親者またはかつて近親の関係にあった者相互間における権利の実現の方法としては、少しく強力に過ぎるため、当事者は感情上強制執行の手段に訴えることを回避する傾向にあり、また、家事債務においてはその額も僅少である場合が多く、強制執行がこれら小額債権の実行方法としては必らずしも実際的でないことに起因するところが少くないと考えられるのであります。 右に述べましたような家事債務履行の現状にかんがみまして、従来家庭裁判所の実務家の間においてはもとより、日本調停協会その他各方面において、強制執行以外に家事債務の履行を確保する制度の創設を要望する声が強く、現に家庭裁判所におきましても、事実上義務者に対し義務の履行を勧告するなどの措置を講ずることによって義務履行の促進について相当の成績をあげているのであります。 この法律案は、右に述べましたような各方面の要望にこたえるため、従来における家庭裁判所の実務上の経験を基礎といたしまして、家事審判法による審判または調停で定められました家事債務の任意の履行を促進し、確保するための新たな手続きを同法中に規定しようとするものでありまして、その骨子は次の三点であります。 第一、家庭裁判所は、家事債務の履行状況を調査し、義務者に対し義務の履行を勧告することができること。 第二、家庭裁判所は、財滝上の給付を目的とする家事務を履行しない者に対し、その履行を命ずることができ、この命令に従わない者には過料の制裁を科すること。 第三、家庭裁判所は、金銭の支払を目的とする家事債務の履行について、義務者の申出により、権利者に支払うべき金銭の寄託を受けることができること。 以上がこの法律案の提案理由の大要であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに可決されるよう希望いたします。
○委員長(高田なほ子君) 続いて補足説明をお願いいたします。
○政府委員(村上朝一君) 私から逐条的に補足して御説明申し上げます。 まず法律案の十五条の二の改正でございますが、本条は家庭裁判所の審判で定められました義務、いわゆる家事債務の履行状況の調査及びその義務の履行の勧告を家庭裁判所がすることができる旨を定めたものでありまして、従来におきましても、多くの家庭裁判所においては事実上これと同様の措置をすることによって相当の成績をおさめておりますので、それを正式に法文の上に明らかにしようとするものであります。本条の審判で定められた義務の中には扶養、財産分与などのような財産上の給付義務だけでなく、夫婦の同居義務、未成年の子の監護に関する処分としての子供の身柄の引き渡し義務などのようなものも含まれるわけであります。義務の履行状況の調査は、家庭裁判所の裁判官が適当と認める方法で行われるおけでありまして、たとえば義務者に出頭を求めて審問し、書面によって照会するなどが考えられますし、また家庭裁判所の調査官に命じて調査をさせることも可能であると考えられます。義務の履行の勧告も、裁判官が口頭または書面ですることができるわけであります。なお家庭裁判所は職権で本条で定める権限を、特に申し立て等がありませんでも、行うことができるという趣旨でございます。 次に十五条の三でありますが、本条は金銭の支払いその他財席上の給付を目的とする家事債務の履行を怠った義務者に対して、家庭裁判所が履行命令を発することができる旨を定めたものであります。義務を履行する資力を持っておりながら、十五条への二の規定による勧告に応じない、また勧告だけによっては任意の履行を期待することができないような義務者に対して、本条による履行命令が発せられることになるわけであります。本条の規定による履行命令は、家庭裁判所の決定でなされ、義務者に告知されることによって効力を生じます。もとよりこの履行命令は審判で定められた義務の内容には何ら影響を及ぼすものでなく、二十八条第一項の規定による過料の制裁と相待って、間接に義務の履行を強制することを目的とするものであります。 次に第十五条の四でありますが、本条は、家庭裁判所が金銭の支払いを目的とする家事債務の履行について、義務者の申し出によって権利者に支払うべき金銭の寄託を受けることができる旨を定めたものであります。従来におきましても金銭の支払いを命ぜられた義務者が、権利者に支払うべき金銭を直接権利者に支払うことを避けまして、家庭裁判所に持ってくる例が少くないのでありますが、家庭裁判所としてはこれを正式に預かる権限がありませんために、あるいは義務者の申し出を断わるか、あるいは裁判官個人の責任で提出された金銭を預かって権利者に渡してやるというような措置をとっておるのであります。しかし家事債務の履行として当事者間で行われる金銭の授受について、家庭裁判所が中に立つことは、義務の履行を促進する上において少なからざる効果がありますので、本条の規定によりまして家庭裁判所が家事債務の履行としてなされる金銭の寄託を受けることができることとしたのであります。本条の規定によりまして金銭の寄託を受けるべき管轄家庭裁判所、寄託の手続等の細目は、最高裁判所規則で定めまして、家庭裁判所が寄託を受けた金銭が権利者に交付されることはもちろんでありますが、その手続も最高裁判所規則で定められることになっております。 次は第二十五条の二でありますが、本条は、調停または家事審判法第二十四条第一項の調停にかわる審判で定められた義務の履行につきましても、家庭裁判所が十五条の二から上五条の四までに掲げる履行の勧告その他の措置をすることができる旨を定めたものであります。 次の第二十六条第二項の改正は、第二十五条の二の規定が新設されたことによる字句の整理でございます。 次の第二十八条、本条の第一項は、十五条の三または二十五条の二の規定によってなされました家庭裁判所の履行命令に従わなかった者に対し、過料を科することを定めたものでありまして、家事債務の履行を間接的に強制するのが主眼であります。本条の第二項は現行法の第二十八条の規定の字句を改めたものでありまして、規定の実質には変更がございません。 次に付則でありますが、この法律の施行につきましては、金銭の寄託に関する最高裁判所の規則の制定その他の準備が必要でありますので、付則第一項におきまして、この法律の施行期日を本年七月一日と定めております。第二項において、改正後の家事審判法がこの法律施行前に免じた事項にも適用されることといたしましたのは、この法律施行前になされた審判または調停で定められた義務の履行についても、この法律による措置ができるものとするためでございます。
○委員長(高田なほ子君) 本案に関しましては本日はこの程度にしまして、次の議題に移りたいと存じます。 ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(高田なほ子君) 速記を始めて下さい。 次に第三百十六号及び第三百二十八号、大阪拘置所の都島区内移築反対に関する請願を議題に供します。調査室長から一応の御説明をお願いいたします。
○専門員(西村高兄君) 三百十六号の請願は、大阪拘置所の都島区内移築反対に関する請願でございまして、これは亀田先生の御紹介でございまして、請願者は大阪市立都島工業高等学校のPTAの竹村会長からのものであります。 それから三百二十八号も同趣旨で、やはり大阪拘置所の都島区内移築反対に関する請願、これが都島区都島本通、山野さんという方からの請願で、御紹介は須藤先生でございます。 なお十八日に付託されることになっております請願がございます。これはやはり同趣旨でございまして、御紹介は一松先生、佐多先先、亀田先生、森下先生、加藤先生ということでございまして、これは都島区の本田玉子さんほか三万三千五十名の請願になっておりますが、これも同趣旨でございますことをちょっとつけ加えておきます。ただいま三百十六号と三百二十八号、この両方が付託になっております。 請願の御説明を申し上げます。現在の大阪拘置所は北区の若松町にございまして、ここは裁判所とか検察庁とか拘置所とか、そいうものが全部一緒に建てられておりますので、そういう意味ではこういう建物の場所として適当な場所かと思うのでございますが、この拘置所は大正七年に建てられましたもので、建坪が二千坪足らず、千九百八十四坪、これの収容力は四百五十二人の定員になっておるわけでございますけれども、ただいま二千五百名ぐらいが収容されている、つまり過剰拘禁の状態になっておりまして、そういう関係上、建物が古いこともございまして、移築の問題が前々からあったわけでございます。それでかつて北区の北錦町、ここに一万九百坪ばかりの土地が選定されまして、そちらにこの拘置所を移転する問題がございましたのですが、これに対しまして、やはり当委員会に反対の請願があったことがございます。これは二十六年の十二臨時国会でございまして、その反対の請願が採択されまして、内閣に送付されたことがございますが、それと直接の関係の有無、そういうことは別といたしまして、そのときには、この北区北錦町への移築は一応取りやめになっておったわけでございます。ただいま問題になっております所は、それよりももう少し東北に延びる場所でございまして、都島区善源寺町、そこに二千二百坪ばかりの土地が選定されまして、そこに移築ということが、法務省としてはきめられておるようでございます。もっともこの場所が選定されますまでには、二十数カ所のいろいろの候補地などが比較考量された上、この土地に移築するということに大体きまって、資材などの手当も済み、大蔵省の営繕との関係も一応交渉が済んで着工直前にあるわけでございます。これに対しまして、ただいまの二つの請願が出ておりますのは、主として学校関係でございまして、その地区の近所につまり直線千メートル円内くらいのこころに都島工業高等学校がございますし、なお、そのほか第二高校、夜間の高校がございますし、それから中学校、小学校、幼稚園などがあるので、場所としては適当でないということであります。なお、そのほか都市計画の道路路線などの問題もあったりいたしまして、この両方の請願では、それぞれこの地区が拘置所の移築地区としては適当な場所でないということになっておりますが、なお、その請願に書いてございます内容につきまして、法務省の方の御意向なども伺ってみましたが、必ずしもその請願に書いてあります内容とは一致しておらないのでございまして、つまり事実問題が必ずしも一致しておらないわけでございますので、現地調査など、まだ調査室として十分いたしておりませんので、ただいまのところといたしましては、ただいま私が御説明申し上げましたような実情を御説明申し上げまして、委員諸先生方の御判断をお待ちしたい。こう考えるわけでございます。
○委員長(高田なほ子君) ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(高田なほ子君) 速記を始めて下さい。
○専門員(西村高兄君) それではちょっとつけ加ええさしていただきますが、一松先生、須藤先生、亀田先生、森下先生、加藤先生が御紹介になりました大阪拘置所の都島区内移築反対に関する請願、これは正式に二月九日に受理になりました四百六十号で、十八日に本委員会に付託になるようでございますが、ただいま私の御説明申し上げました内容といたしましては、この四百六十号の請願が内容的に非常にこまかく書いてございまして、各種の事情が相当にくわしく説明されておるわけでございます。それで私はその内容を主といたしまして、今の実情の説明を申し上げたわけでございますので、お差しつかえございませんようでございますれば、本請願書を重要な参考として御審議いただくと非常にけっこうと存じます。
○委員長(高田なほ子君) お差しつかえはございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高田なほ子君) 御異議ないと認めまして、本請願につきまして御質疑のおありの方は御発言願います。
○亀田得治君 本件は大阪の国会議員のうちで、特に一松先生が中心になっていろいろお骨折り願っておる問題ですが、私もこの問題の取扱いについて、法務省側の態度について若干この際聞いておきたいと思うのです。いずれ委員会でも、先ほど実地調査をするということになっておりますから、いずれ最後の委員会としての結論が出ると思いますが、若干その前に法務大臣の考えを聞きたい。その前に、私のこういう問題に対する考え方を若干申し上げておきたいのですが、それは、こういう拘置所だから持ってきてもらっては困るとか、そういう考えは私はありません。持ってきて困るようなまた作り方をしてもいけないし、どこで作るにしても、大いに歓迎されるようなものを実は作ってもらいたい、そういう考え方であります。だから、決して毛ぎらいをしてどうこうというような考えでないということをまず申し上げておきます。 そこで、ただいま説明もありましたように、この大阪の拘置所が狭いので、何とかしたいということで、終戦直後に北区の北錦町、ここで一万四百坪あまりの土地を買ったわけです。それを買って、そうして現在もそれを所有しておる。そこに拘置所を作らないという理由ですね。これは私いろいろ聞いておりますが、これは納得いかないのであります。それで一たんお金まで出して買ってしまったものを、それを反対にあったからというて、どこかほかへ持っていくということは、拘置所というものはきらわれるものだということを、法務省がそういう考え方を認めていると思うのです。私は、なぜ金まで出して買ったものをそこまでがんばらないか、拘置所というものはそういう趣旨のものじゃない、私はそうであってほしかったと思うのです。今のこの問題は牧野さんの責任ではありませんが、しかし、国全体としてはそこで大きな一つのミスをしておるのです。だからその後どこへ持っていったって、それは同じように言いますよ。法務省が公けにこれはきらってもらってもいいものだということを認めているんですからね、それは反対意見が出ておるのは当然です。そういう最初のつまずきについてどういうふうにお考えになっておるか、そこを取りやめた理由等を聞くのですが、たとえば城東線の高架から見えるとか、そんなことは土地を買うときにちゃんと城東線のあることはわかっていますよ。いや繁華街になってきたとか、これは土地をお買いになるころには、もう相当繁華街なんです、あの当時は。私も近くだから知っております。だからそんな程度の理由なら、これはどこへ持っていったってあるのです。だからそんなものは理由にならないのです。その点をどういうふうに考えておるか。これはどこへ持っていったって割り切れない気持ですよ、新しく持ってこられる人は。これが一つです。 それからもう一つは、これは私ども前から言っておるのですが、現在裁判所の裏に拘置所がありますが、その場所と、それから裁判所のすぐ東側に官舎とかいろいろなものがあります。そういうものをつぶして、裁判所にくっつけてこの拘置所を作る。これは私一番いい案だと思っているのです。いろいろな問題が紛糾して困るから仕方なしにそうするという意味じゃなしに、やはりこの裁判所の近くに未決の人を置いておく。これは弁護人がしょっちゅう被告人に会うとか、いろいろな点からみてもこれは一番望ましいのですね、ほんとうに人権を保護する立場から考えると。若干土地が狭いという問題があろうと思うのですが、これは四階でも五階でもりっぱなものを建てたらいいと思うのです。それは拘置所、刑務所にしてはちっとりっぱ過ぎるという感じがあるかもしれませんが、これは法務大臣もいつか陳情に行ったときにおっしゃったように、これはお互いにまた入るかもしれないのですから、そういうものなんですから、これはうんとりっぱなものを私は作ってほしいと思うのです。未決はどこに行ったって非常に粗末なんですよ。だからこれを機会にほんとうの拘置所というものはこういうものだ。まあ裁判所ですと、たとえば福井の裁判所、ああいう一つの見本を示されましたがね。やはり拘置所についても大阪の拘置所ですから、ずっとりっぱなものを作ったってそれはいいですよ。その案はほんとうに私は考えてほしいと思っているのですが、それをまあ大臣もこの間現場を見られたわけですが、どういうふうにお考えになっておるか、これを一つ第二に。 それからもう一つは、今問題になっている都島の土地ですね、これについて法務省としてはすでに土地所有者と契約を正式に結んだのかどうか。あるいは契約を結んだとすれば、若干手金でも支払い済みのものであるかどうか、こういう点も私どもどこまで問題が進んでいるかということを判断する上にやはり必要だと思いますので、第三点として一つお聞きしたいと思います。以上です。
○国務大臣(牧野良三君) お答えを申します。亀田さんの御意見には全面的に賛成です。大体ちょっと反対があるからといってわきへ持っていくなんて、そんな不見識なことじゃいかぬ、それはおっしゃる通り。当時の法務当局が頭が少し古かったんじゃないかということが一つ。それからまた当時の法務委員会というものがはなはだあなたの意思に沿わないものであったのじゃないかということが一つ。ここの請願がパスしなければあれはやったでしょう。この請願を採択されたでしょう、それがいかぬのですよ、それがね。参議院と衆議院が請願を採択しているのを、よほどの大臣でなければいけませんよ。もう一ぺん請願委員会を開いてくれということはできません。だからそれほどの法務大臣はいなかったな。これが一つの原因。だからまず今の制度のもとにおいては、大体において国会が頭を切りかしえなければならぬ。この点においてむやみに下から請願して頼んできたからといって、紹介して、それに反対したらいかぬ。政府がまず大体を決定して敷地まで買っているなら、政府を支持するということから私は進んでいただきたい。これを私は欲するな。あなたの御意見は正しい、どこまでも。過去において政府当局が誤りをなし、過去において衆参両議院の法務委員会に、何かそこに及ばざるところがあったのではないか、かように思います。が、今後はお言葉を深くあとにまで残して、方針をわずかなことで霧散にしてはならぬが、国会の意思だけは尊重しなければならぬと思いますから、この点は過去の当局者も弱かったことをお許しを願いたいと思います。 第二は、そのために拘置所というようなもの、監獄というようなものは、国民からきらわれるのは当りまえだというような思想を持っているのじゃないか、持っていちゃならぬと思います。のみならず、亀田さん、あなたのおっしゃった通り、拘置所はいい所へ、りっぱなものをこしらえなければならぬ。そしてそのためには責任をもって私は予算を取ります。これは現に私やあなたが一番入る危険性が多いでしょう。(笑声)ここの委員は一番危険性が多いと思います。だからいい拘置所をこしらえて、私ども入っても人権蹂躪のような圧迫感を受けない、そして還境のいい所、健康的な所で、そして敷地を相当豊かに取って、そしてりっぱな設備をして、十日や二週間入っても、われわれが圧迫感を受けない、従って取調べに対する供述も自由意思に基いて不安なく述べられるようなところにしたい。そのモデル・ケースとして私は大阪を行いたい。その点において亀田さんの御意見に賛成して、御希望に沿うことに努めたい。こう思います。そこで、従って前の敷地をかえたということに対する内容の話は、これで御破算にして下さい。今度の所のことは、私は主張するだけのまだ決心はいたしておりませんが、これには皆さんが反対だ、けれども反対意見の根拠が私は反対でございます。学校が近くに見える、刑務所の近くの学校は風紀がいい、常に刑務所を見ておりますから。これは統計的の事実であります。それを国民が誤まっておるから、あなたのような思想を徹底せしめたい。ことに私は皆さんに申し上げた通りに、法務行政は文化行政である。文部省の行政よりももっと文化行政でなければならぬ、そうでなければ人権を尊重していくなんということは決してないと思う。人権の尊重ということは、私は法務行政の中心にしていかなければならぬ。それには私は拘置所だの刑務所だのというものを忌まわしいものと思わしてはならぬ。これは社会の病院だと、互いにこの病院というものを守って、中でも私は人権が尊重されなければならないと思う。同時に周囲の者も学校教育のこれは範にしなければならぬ。そういう考えをどうしても私は根本に持たせなければならぬ。従って学校の近くに建てたい。むしろあればますますいい。小学校、中学校、高等学校、義務教育関係のところはかえっていいじゃないかと思います。同時に、そこに出入りする際にも、妙な編み笠をかぶせるとかなんとかいうようなことはしないで、これは自由にして、顔を隠したい人には何でも欲する顔を隠す方法をとらしてやるようにして、出入りはできる限り自動車を用いて心配のないようにするばかりではなく、自分たちもああいうことになってはならないぞという戒めを、幼いうちから与えておかなければならぬ、これがいいことだと、同時に中では人権蹂躪が決してないようにしなければならぬ。そういうことはPTAの人や何かも一緒になって、そういうことのないようにということに私は努めていかなければならぬと、こう思う。この点において、全面的にあなたの御意見を支持申し上げて私の法務行政をりっぱに実現していきたいと存じます。 次に、関連いたしまして、現在の裁判所、検察庁のある敷地を用いたらどうか、これは一松先生から詳細な説明を受けまして非常に私は賛成でございます。それで私はもう一ぺん見直したのでありますが、これは絶対に不可能であることがわかった。私はできるよと言って、当局者を抑えておった、ところが何かまあ、建築基準法に制限されまして、あそこに高層建築が立たないのです。困った。こいつには致命的な打撃を受けてへこたれて帰ってきたのです。私はあなたと一緒に、あそこに地下一階、地上八、九階の建物……それには経験があるのです。私がなにを立てておるのです。今の法務省の構内に。それはいい建物です。あれを文化センターと、皆私をからかって名前をつけたそうですが、私が文化丸々と言うものですから、法務行政を。いい建物です。一番上は映画ができて、会合ができて、皆さんと一緒に食事もできて、めいめいが何ら今までのような法務省の中だという感じが起きない、むしろ法務省は実にいい所だと思わせるように。それで実にいいのです。それでこしらえたいと思っていたところが、どうも建築の方の問題で、四階以上はできない、従って敷地がどうしてもうまく行かない、だからあれを全部壊して、裁判所まで壊してあそこにダーッとやればいいが、そうは行かぬ。それまでの発展的なことはできぬ。それで議論ではなく、専門的に不可能だということが明らかになったので困った。そうしてどうしてもあなたのおっしゃるようにいろいろのものを、拘置所はよくしたいのです。まず運動する所を置きたいのです。通風、換気それらの設備をよくして、とにかく一通りモデル・ケースとしてあそこにこしらえるとなると、どうしてもせっかく一松さんが図面をこしらえて買収予定地まで当って下さって、うまく話が進むかと思っていたが、なかなかいかぬ。これはどうも絶望です。拘置所庁舎は定員が二千五百くらい要ります。それに持っていって職員の三分の一はどうしても官舎その他をこしらえなければならぬ。それを見ますと、まあどうしても不可能、不可能らしいのではなく、私は絶望して帰ってきたのです。運動場の設備と通風と採光と保安の方面にも心配がないというようなことでやると。亀田さん困ったね、これは。そうしてこう持ち歩いて、反対陳情があると、あっちこっちということでは、こんなことをしていては、日本の行政はできません。いわんやことしは一千万円からの予算をもらっておる、あなた方からいただいておる、そうして今度あなた方から三千六百万円またいただくことになっておる。そうするともう四千、五千万円近い金が目の前にぶら下っている。あの敷地交換費が二億円以上になる。それを一日も早くやってここはどうも羽仁さんあなたの言われたような所に、大阪をまずやりたいのです。だから法務委員会はどうか現地調査というよりは、現地を説いて下さい。君らの考えは徳川封建時代の考えだ。よくいっても明治時代だ。われわれ昭和における容疑者を扱うというのは、そんな考えじゃいかぬぞと言って――。いい所らしいよ。今の所がいいからいけないと言うのですからね、学校があるからいけないと言うのだから。委員の皆さんどうか考えて下さい。今私は亀田さんから過去の当局者がしかられた。再び私はしかられたくない、後の人に。そうしてどうか私はせめて拘置所と、それに付属の建物だけは模範的なものをこしらえたい。予算があるのだから。こんな時代ありませんよ。だから亀田さんの御難言を機会に、委員の皆さんにどうかこの点においては法務行政を新たな方面に向けるという意味から、この間から羽仁さんが言われるあの趣旨を、どうか一日も早く実現するように。そうして目の前に予算、金を、国費を持っているのでありますから、この機会に何とか解決さしていただきたい。ただし衆議院と参議院の反対は尊重いたしまして、すべての方針を曲げることは、私が曲げるのじゃない、国会を尊重するために余儀なく曲げなきゃならぬということをお許しをいただきたいと存じます。
○羽仁五郎君 ただいまの法相の御説は、御趣旨においてはまことにけっこうなんですが、一点、私の疑念を抱く点があるので、たださしていただきたいと思うのですが、国民の方は拘置所あるいは刑務所をいやがっているということに認識不足があるということ、私は失言ではないかと思います。国民はこれは最近日本では現在閉鎖刑務所などについて問題が起っているけれども、国際的にはもうそんな段階じゃない。いわゆる開放刑務所、オーブン・プリズンで、国民はそれを歓迎している。ところが日本ではオープン・プリズンなんかをやれる果して政府自身に確信がおありになるのかどうか。また矯正、あるいは行刑関係の公務員がそれだけの識見を持っているのか。先ほど亀田委員が福井裁判所が模範的であるということをおっしゃいましたが、私はこれを視察して、いわゆる被疑者をあの福井の裁判所へ連れてきて、そうして地下の独房に入れて、そこには暖房の設備があるけれども、その人に食事を給する一八を足元へ作ってあります。人間がめしを食う弁当を、何ゆえ地面に置いて、そうして足元から差し入れるか。こういう観念が払拭されていない。ですから私は国民がまだ封建時代の、徳川時代の考えだのとおっしゃる前に、法務省の公務員の中にそういう封建時代の考えの人間が一人もいたいかどうかを検討されてから、ただいまの御説を伺いたい。 従って第二に、私はこういう問題が起らないようにする根本として、なぜ監獄法の改正を怠っているのか。現在拘置所と刑務所との区別さえ明らかでないじゃないか。ですからただいまの法相の非常な卓見は、これは監獄法を改正して、そうしていわんや刑務所と拘置所というものが全く性質の違うものであることを明らかにして、しかる後に伺いたいと私は思うのです。それで最近アメリカでもこのオーブン・プリズン、開放刑務所の設置について、国民の間に二つの世論が現われている。一方は、国民はこのオーブン・プリズンを歓迎すべきであるという考えと、しかもまだアメリカのオーブン・プリズンにおいてさえも、国民がこれを歓迎するのにちゅうちょせざるを得ない実際上の理由がある。しかしそこまでいっている。ところが日本はどうなのかといえば、オーブン・プリズンどころじゃない。またオーブン・プリズンを実際どの程度やろうということの意欲を持っておられるかどうかさえ疑わしいのですが、そこまでもいかたい。閉鎖刑務所においてさえまだ国民の中にこれを歓迎し、喜んでそれを迎え、ただいまの御説の通りに学校のすぐ近くに拘置所があることは歓迎すべきであるということが、国民の確信の中に生まれてこない理由は、私は国民がおくれているのじゃなく、官僚がおくれている。法務官僚がおくれているのです。ですからまず今の御説を伺う前に、私はどうして監獄法の改正というようなことをいまだに……非常な御尽力をいただいているようですが、法務省当局においては、私は果して法相の御期待になっているような全力をあげてされねばならないところを、一日でも早くやるべきを、一日でも延ばしているということは、一日でも人権をじゅうりんしていることだというだけの責任を感じているかどうか疑問だと思うのです。 この二つの点について、私はただいまの御説明についていま一段の御説明を願いたいと思うのです。
○国務大臣(牧野良三君) 一本参りました。やはり法務官僚は頭が古い、どうも古いらしい、だからこの機会に一生懸命になってこの法務委員会も協力してよくしていただきたいが、しかしそれと同時に、この請願書に書いてあるのはどうもいかぬですね、この法務官僚はこの請願書を認めないようですね、それまでに、わずか三月の間だけでも法務官僚は進んできたと思う、それからお聞き下さったと思いますが、昨晩私は正木亮博士とともに六時半から対談をいたしました。そうしてあなたの説は全面的にこれを述べて、オープン・プリズンは実行しよう、そうしてけさも地方の検事正がやって来られて、検事正が、私は過去の刑務所に対する経験があるので、行刑行政に対して、東京へ来てこっちの方の委員になってもいいということを言われて、非常に嬉しかったですね、それで正木博士もそれに協力すると言う、それまでにして、おくれているからこの際かけ足であらゆる方面の改革をする、それには何か一つこの法務委員会がその改革に協力していただきたいと思うのでございます。だからこの請願を拒絶してここに建てさしてくれなんという偏狭なことは言いませんが、何かこういう近くに学校があるからということを理由に採用して下さらない、いけないということになりましたら、りっぱな理由のもとに、当局者がやっても非難を受けないような方法でやっていきたい、こう思います。そうして驚きましたね福井の裁判所は。見に行ってきましょう。そうして直しますよそれは。そういうものは御飯ですからね、あれはもうちょっと作るのをおそくして、私がプランを見ればよかったのですが、これはすこぶる参った。この点はきょうは政府委員もたくさん来ておりまして、あなたの御意見に対して深く啓発されたことと存じます。私も啓発されました。そういうものが残っているということは申しわけございません。この点はお説に服して相ともに反省していきたいと存じます。
○亀田得治君 ちょっと第三番目の御答弁が残っている。
○政府委員(竹内壽平君) これは買収をいたしませんのでただいま持っております。北錦町の敷地と都島の敷地とを等価で交換をいたしたいという方針で手続を進めているわけでございます。同じ値段の関係において等価で交換をする……。
○亀田得治君 同じ坪数ですか。
○政府委員(竹内壽平君) 同じ坪数とは参りませんので、評価が北錦町の方は高くなりますし、片方の方は安いものでございますから、坪数の点、それから建物の点を含めまして、これは大阪の財務局にお願をいたしまして、第三者の客観的な評価をいただいて、それに基きまして交換の手続を進めるわけでございます。その交換手続を進めつつあるのでございますが、ただ問題は、その前に都島の所有者であります延原製作所がこれを交換する意思があるかどうかということが問題でございますので、その点を等価にしまして交換してもいいということの内諾を得ております。その後その内諾に基きまして財務局にお願いして評価をしていただいております。この評価も大体できました。ただいまのところは最終的に手続を上申してもらいまして、国務大臣の決裁を受けるという順序になっておりますが、まだ上申書が参っておりませんので、最終的にはできておらぬように存じます。
○亀田得治君 そういうやり方の処理をすることについて、延原との間には契約書ができておるわけですか。延原製作所との間にはそういう等価交換の方式で進めることについての契約書ですね、これが交換されておるわけですか。
○政府委員(竹内壽平君) 大体事務的に交換成文に相当するものを含めまして、手続が完了いたしましたならば、この通り交換するという趣旨で、仮調印のようなものをいたしております。
○亀田得治君 もう一つちょっと法務大臣に申し上げておきたいのですが、陳情請願の理由ですね、これがどうも気に食わぬということを非常に強調されるわけなのですが、この点はあまり強くおっしゃらない方が私よかろうと思うのですよ。これはやはり最初にも申し上げたように、法務省というところは、こういう陳情請願の理由なら通るところであるということを前にお手本を示してくれたものだから、通りやすいものを書いてくるのはこれは当り前なので、それを何か逆に、はなはだけしからぬというふうなことをあまり強調されることは、非常に妙な感じを与えると思いますね。だから本件にちょっと希望を申し上げておきます。そういう点について。
○一松定吉君 この問題につきましては、なるほど法務大臣の言われましたように私は非常に力こぶを入れて請願者のために努力しておる一人であります。そこで今法務大臣の御説明の中で私にわからないことがある。ほとんどあなたの言うことはわからない。あなたは錦町の土地を法務省が買っておいたにかかわらず移転することをやめて、そうして他に物色しておるということは、参議院並びに衆議院の法務委員会が請願を採択して反対の態度に出たがためであるのだ、そこで国会の意思を尊重して、その当時の法務省関係が錦町に移転することをとりやめたのである、いわゆる当時の法務委員会が間違ったことをやったのである、それを請願を採択したということが、自分らの方では錦町に移転することをとりやめざるを得なかったんだ、こういうふうに私は受け取らざるを得ない。それならばあなたにお伺いいたしますが、先にそういう採択をしたということがあっても、後日の事情の変化によって法務委員会が先の採択を取り消すか、先の採択と反対の採択をする場合はこれはあり得べきことだ。改正とか訂正とかいうことがある。それならばあなたに伺うが、今度の法務委員会においてこれは都島の請願が相当であるとして、先の採択と異なる採択をしたならば相変らずあなたはそれには服従なさるという御意見でありますかどうですか、それはあり得べきことだ、さきにそういうものを採択したから法務省の連中は頭が古かったから変えたのだというようなことが、今度衆議院、参議院でこの請願を採択してさきの誤まりを正すということがあればあなたは当然あなたの立場から従うべきだということが一つ。 第二にはその拘置所などというものは学校の近くに置いてもいいのだというようなことをあなたは論拠として、ああいうようなふうになってはいけないからお前方はりっぱな人になるのだよということを範を示すためにわざとでも刑務所の周囲には学校をもっていってもいいのだというようなあなたの意見であるならば、あなたは教育ということについてまだ十分御認識がないのだと思う。悪いことを見せて教育をするというあなたは方便をおとりになっている。よいことを見せてよい方に導くということをどうお考えになるか。孟母三遷の教えということをあなた御存じのはずだ。商売人の中におるから子供が商売のまねばかりする。墓場の前に移ったらお葬式のまねばかりする。そこで学校のあるところに移ったところが孟子が非常に勉強するようになったということがいわゆる孟母三遷の教えといってわれわれが子供のときから教えられているところです。よいことを見せてよい方面に導くということが教育のあり方で、悪いことを見せて、ああなるからああいうことをしてはいけないということは、なるほど一つの教育の二面ではありましょうけれども、そういうじゅずつなぎが出たりするような場所、あるいは赤い着物を着たものが行ったり来たりする場所に学校の生徒をもっていって教育の資料になるのだというようなことはどうですか。それは非常にあなたの頭は進歩したような頭であるけれども、われわれの古い頭から見ればそういう悪いことを見せて教育するよりも、いいことを見せていいところに導くことの方が教育の効果が百パーセントであると私は確信します。 それからわれわれも入るのだ、ことに国会議員が入るのだというのはあなた失言じゃありませんか。国会議員が刑務所の中に入るものが多いということをおっしゃるが、こういうことを言うことはこれは失言です。国会議員のうちにも入るものもあれば入らないものもある。それは人間ですから、普通社会にあって罪科を犯すものがたまたま国会議員の中にある、たまたまあったものが刑務所に入った、それはあり得ることです。しかし議場におるところの議員をさして君たちだって入ることがあるのだから刑務所はりっぱにしておくことはいいというようなことは、私は失言だと思う。これは、よろしく国会議員を侮辱するものだと思う。私はそう思います。君も入るかもしれない、家内も入るかもしれない、僕も入るかもしれない、そういうようなことでよくすることについてわれわれも考えるということは、刑務所をよくする、拘置所をよくする、裁判所もよくするということはいいのでありましょうか。われわれ国会議員としては、なければそういうようなものはなくなるように政治を進めていかなければならない。なるたけ囚人の少い、数は減るようにすることが刑事政策の目的なのだ。一罰百戒、なお囚人が多くなって囚人を多くするためにたくさんの刑務所をこしらえ、たくさんの拘置所を広げるということは、これは逆の考えです。なるだけそういうようなものは少くして、そうして国家が平安に治まるようにということに政治家は注意しなければならぬと私は思う。そこはあなたと違う。そういうようなことについてのお考えであることは、私は大いにあなたの御意見をもう一ぺん聞かなければならぬが、ただあの場所が四階以上は不可である、私はこの前あなたに差し上げた図面によって見ると、あの付近全部、民有地がたくさんありますが、あれらを買収していくとちょっと四千何坪かある。それをたとえば四階建にすると広く二万が何坪かになる。あるいは四階建以上は建てられないというなら四階建でもいいじゃありませんか。あるいは三階建にすると、私が今お手元に差し上げた坪数の三倍のものができる。三階、それで地下一階にして四階になると、相当の地域、範囲が広くなるわけです。必ずしもあれがあなたのおっしゃるように絶望であるというわけにはいかぬのではないか。それからこれらの人を監督するところのいわゆる看守というような関係者の住宅を設けなければならない、それはもちろん必要であります。必要であるが、現在の大阪の拘置所にはそういうようなものは近所にはない。みな地方から通勤しておる。だからして今さらそれを、これができたのは大正六年です。そうするともう四十年になる。その間別に看守の人があの付近に住まないでも今日事欠かないできている。それを今にわかに入るものをぜひあの周囲に置かなければならぬという必要がどこにある。のみならず私はこれをあなたに差し上げたあの坪数のうちに三十戸、五十戸の住宅ができるのですから、全部の看守の住宅をこしらえなくても、必要欠くべからざる程度における人々を収容するだけの住宅はあそこにできる。そうすればあなたの仰せになるように全く絶望したと、そこまで私は御悲観すべきものではない、かように私は考えておる。それから今事務の方の方のお話によると、延原の土地とはほとんど交換の予約ができておるというお話だ。ところが果してそれが実行できるかできぬかということは、まだ延原氏も考えておる。都島の九万の住民が反対している。そういう反対を押し切ってこれを売ることがいいだろうか、悪いだろうかといって今右顧左眄している。そういうようなところに無理に、この住民全部が反対していると ころに無理に持っていかなければならないということはいかがでありましょうか。こういう点も一つ御考慮のうちに入れておいていただきたい。こういう点について今一度法務大臣のお考えを承わりたい。
○国務大臣(牧野良三君) 一松さんだいぶごきげんを悪くしたのか、私の言うことを反感的におとりになった。そんなことを言っておりません。速記録をお読みになって下さって……しかる後に御答弁いたします。そんな偏狭なことは言いやしません。ことにあなたと私の私交の上から言っても、さような意思の持主でないということはあなたは知っているはずだ。しかるに今のような反対をされると、ここはとにかく、大臣としてもさような不謹慎なことは言ってはならぬ、もしもあなたの言うようなことを言ったならば不謹慎だ、さようなことは言っておりません。ただ私は亀田さんの御意見、私はこれを尊重したい。そうして羽仁さんの言われている今までの御指導それを実現したい。そのために御尽力を願いたいというだけである。そうしてそれに対してはあなたからのせっかくの御陳情があるから十分考慮した、そうして現在の場所ということは非常に賛成だから見に行ったのだ、どうもこれが客観的の情勢においてできそうにないのだというので失望してきたのだ、そこで今度はもう一つあなたとゆっくり話をして、どうしたらいいかというところにいこうとするところだから、まあごきげんを悪くしてはいかぬ、私の意見もあなたの意見も求めるところはいいものをいいところに求めたいというのだから、ここはまあ一緒にいきましょう、そうして決して無理をさせないけれども、少しは無理をしないと権威にかかわるという意見があるから多少のところは認めて下さい、そういうことをお願いする。そうして今まで不自由でもがまんしてきたのだから、これからも建物は不自由でがまんしろとおっしゃらないで、この点はできるだけあなたとは了解を求めて、いいものをこしらえるということ、これはあなたばかりじゃない、委員会全体にお願いをしたい。
○一松定吉君 いや、あなたのそういうお言葉を承わると、私は青筋を立ててあなたとここで向い合って激論する必要はもちろんございません。しかしながらあなたのさっきのお言葉の中に、たしか私はこういうようなことがあったことはこれは間違いありません。(国務大臣牧野良三君「似たようなことを言った」と述ぶ)そうしてみると、その点についてあなたと私の意見の違うことについて御意見を承わるということで今私は質問をしたのです。しかしそれは必ずしも本意じゃないというようなことに聞えるようであれば、私もあなた個人について特別懇親を願っておるのですからそういうようなことをしいて追及はいたしませんが、しかし速記録を見た上でということは、それは速記録を見た上でやってけっこうです。公然と人様の聞いておるところでやられたことを私も聞いておることだから、あなたが言わないことを言ってあなたを刺激し、あなたがまた言わないことを言って私を怒らせたって、そういうことでないことはこれはお互いの間にわかっておるのだから、要はただ先の法務委員会における失態の点、それからお互いが入ることもあるかもしれぬからなるたけよくしておこう、なるたけ学校をその近くに持ってくるというようなことは、少しく極端に言い過ぎておるんじゃなかろうかと思って、実は私あなたに申し上げたわけだけれども、しかしながらあなたの平素のことを知っている私としては、なるほどそういうようなことについてはあなたも大いに考慮して、一松お前と一つ相談しようじゃないかという御好意があれば、それは大いに歓迎しその機会をお待ちしておりますから、速記録云々のことはこれはあとで見ればわかるけれども、そんなことで議論はいたしませんし、それからただ考えなければならぬことは、都島の区民が九万ある、あそこは九万の人々が全部それを反対しておるということについて御考慮願うと同時に、亀田君の言う通り錦町の今二万何千坪というものがあるが、それをあのままにしてしかも交換する、錦町を法務省が買ったときのいきさつ等もわれわれはうわさを聞いておりますが、それは公開の席では申しません。また交換の問題についても今いろいろうわさがありますけれども、それも申しません。そういうことは最も頭の鋭い牧野法相のもとにおいてそういうようなことのできないことを私は確信しておるから私はうわさは言いませんけれども、これはよほど御注意をなさる必要があるということを申し上げます。それから延原の点も、今延原は内諾を得ておるということをあなたは仰せになったが、部品の区民九万人が一致結束して延原に対して反対陳情をしておる。そういうことを延原を押し切ってやるかやらぬかということはまだ問題も残っております。牧野法相の言われましたようになお一つ慎重な御考慮の上で最後の決断を下していただきたいということを申し上げてこれ以上深く質問はいたしません。
○宮城タマヨ君 ちょっと法務大臣にお願い申し上げておきたいことが一、二点ございます。法務大臣はもうたびたび法務行政は文化行政にかわらなくちゃならぬということをおっしゃっていらっしゃいますので、私はその点非常にありがたいと思っております。だんだんお話を伺っておりますというとあまりよ過ぎて、私なんかも拘置所へ一ぺん参りたいような気にもなるような感じでございますが、私はまだそこまでいくのには実にほど遠しのことで、ことにあの少年法、少年院法を長年いじっております上から一つ申し上げたいと思いますことは、先ほど羽仁委員からオーブン・プリズンのお話がございましたが、これは世界的の趨勢からいたしましても議論のないところでございますが、それにもかかわらず、おとなのことはさておきましても、子供の、少年院の施設なんかというものが、これはもう解放的であるべきことはもちろんのことでございます。にもかかわらず、今日はその反対の方にいっておるということを一つ大臣に申し上げておきますから、御研究願いたいと思うのでございます。大臣も御存じのように、先々国会になりますが、少年院法の一部改正によって、子供に、少年に、つまり保護しております少年に手錠をはめてもいいという法律がりっぱに通過いたしましたことでございます。(国務大臣牧野良三君「ほほうそうですか」と述ぶ)それは大問題でございまして、衆議院は総員でもって通りましたけれども、参議院の法務委員会においては、非常に長い間調査研究いたしまして、実地の研究もいたしました上で、子供にとにかく手錠をはめるということは相ならぬということで、戦ってみましたのでございますが、結果から申しますというと、とうとう負けまして、今日ではこの少年院を出ました者に対しては、判事の戻状をつきつけて手錠をもって連れ帰すことができることになっております。これは法務行政を文化行政に切りかえるとおっしゃる法務大臣でございましたら、そんなことを許しておおきになるはずはないと思いますので、あらためてこの法律はまた出直してくるだろうと思っておりますけれども、今日子供に対します保護が、つまり二十才以下の保護される子供たち、少年法、少年院法によって保護されておる子供たちが、保護から行刑に移っていっておるという、この傾向なんです。これは私は法務当局が非常に猛反省をしていただかなければ、ほんとうにあすの国家を背負って立ってくれますところの青少年が、手錠一つはめられるということによってだけから申しましても、私はもう感受性の非常に強い、しかも調査して法務省の報告を聞いてみますというと、十五才、十六才、十七才、つまり中等少年院にいっております子供たちに最もたくさん手錠をはめられるという事件が統計の上にちゃんと出されております。そのくらいの子供に一たん手錠をはめますと、これは反抗心の強い年令でございますから、それだけで子供は悪くなって、言ってみれば完全などろぼうになるだろうということがあるのです。でございますから、この点について十分に、ほんとうに保護は保護でもってやって行けるように、一つ大臣もう一ぺん十分に御注意願いたいというようにお願いします。実は昨年のあの十一月の末に、大臣も、また私もお供して名古屋の保護大会に参りましたが、あの大会は、総会が済みましたあとで、大臣はおいでになりませんでしたが、法務省からは事務次官もいらっしゃいましたが、瀬戸少年院を視察いたしまして、そのとき高松宮がおいでになったのでございますが、その宮さんに院長が瀬戸少年院の大体の報告をいたしましたのでございますが、そのあとで五、六の質問をなさいましたが、そのときの第一の質問が、私実にふるっている、それは何かというと、この瀬戸の少年院に刑務所の職員が何人来たか、院長は六人と答えたのです。つまり刑務所の職員であった者で少年院の教官になった者が六人ある。私はその質問で実は驚いたのです。実に痛いところをおつきになった、もう絶対に私ども刑務所の職員であった者が少年院の教官に移るということは全く避けてほしいということを長らく言い続けておる私にとりましては、その質問は非常に私びっくりもしましたけれども、実に私保護ということについて、これは深く御関心を持っていらっしゃるのだ、そして痛いところをおつきになったということをそのとき思ったのでございますが、今日いろいろ人のやりくりで予算の都合もございますので、それは一番人事のやりくりとしたら、刑務所におった職員を少年院に持って行くのが一番いいのでございましょうけれども、そのことが、つまり保護が行刑に移るというその大きい原因をなしておるということを実は心配いたしておるのであります。どうかこの法務行政を文化行政にとおっしゃる大臣におきまして、これはもうあの角度もこの角度もございますが、私は少年法、少年院法について私は大臣のこの文化行政と狙われる角度で、もう一ぺん十分に一つ御研究願って特別の御示唆を願いたいというふうに私はこの際お願い申し上げます。
○国務大臣(牧野良三君) まことにおそれいりました。深く御意見を体して調査かつ研究することにいたします。
○委員長(高田なほ子君) ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(高田なほ子君) 速記を起して下さい。
○羽仁五郎君 先ほど私の非常に尊敬する法務大臣並びに一松委員との間の意見の違いと誤解されるような点があり、それには私も関連しておりますので明かにしておきたいと思うのでありますが、国会議員が刑務所に入ることがあるかもしれないということを牧野法相は言われたのでは私はないと思う。そうではなくして、罪を犯した人でも人間である、人間であるという点においてはわれわれと全く同じものであるということを強調せられるためにさような言葉をお使いになったものだと思う。 それから法務当局の中にまだその罪人、罪を犯した不幸な人たちの人権、あるいは人間としての性質というものを尊重する伝統が非常に薄いために、それを励まされるために法相が特に激しいお言葉を私はお使いになったものだというふうに考えます。その意味では一松先生の御意見と法相との御意見との間には誤解せられるべきものは私はないのだと思います。 それでこれは全く、どうか今までの法相と比較をするというような失礼なことを申し上げるのではございませんけれども、私は現法相に深く期待をしております。そしてなかなかこれは容易に再び得べからざる機会であるのじゃないかと思う。それで法相もよく御認識のように、法務当局におられる公務員の中には、不幸にしてなかなか民主主義的な確信というものが乏しい方が多い。ですから私は今法相が法相の信念というものを生かされるには尋常一様な手段ではできない。今の請願の問題にいたしましても、たとい亀田委員、あるいは一松委員が御納得になりましても、その現場に住んでおられる方々の納得を得られるということは一松委員がおっしゃる通りむずかしい。それはなぜむずかしいかと言えば、つまり当局が拘置所ないし刑務所などにおいて民主的な、つまり人権を尊重したような態度をとっていないことに対する国民の批判なんです。国民は決して拘置所を作ってもらっては困る、刑務所を作ってもらっては困ると言うのではない。今までの日本の当局が拘置所や刑務所でやっているような、人間を人間として取扱わない態度を子供たちに見せたくない。またわれわれも見たくない。従って私はこの問題の解決というものはやはり法相が、繰り返してはまことにおそれいりますけれども、この監獄法の改正というものを一刻も延ばしていては、私は実際人権を不当にじゅうりんして、そしてそのことによって俸給を得ている人が夜中に眠れるというのは私は不思議だと思う。私どもにしても夜半眼が覚めればしばらく眠ることはできません。私は別にそのことについての責任を直接負うているわけではない。法務委員としての責任を思えば寝られない。しかし法務当局はそのことを主たる任務としておられる官吏がおられる。そしてその不当に人権をじゅうりんされている方はその方の兄弟姉妹にほかならない。すなわち自分にほかならない。むしろ不幸な兄弟姉妹、刑務所ないし拘置所に入りたいというようなことこそ私は失言であって、その精神的に病んでいる人、そうして罪を犯している気の毒な人に対しては、われわれのように幸いにして健康であり環境に恵まれている人間よりも、一層手厚い態度をとることは病院の例をここで引くまでもない。私はその点においては私は法州がこの際よほど非常の手段をもってこの監獄法改正、そうしてこの拘置所というものがどういうものであるかというその本質を明らかにしたような制度上、法律上の原則というものをお立てにならなければ、たとえ一松先生なり亀田先生なりが御納得があってもその地元の国民はやはり納得しないと思う。ですから国民も、なるほど国家がそうして当局が、不幸にして罪を犯した人に対してその人権を尊重し、民主的な取扱いをしているということになるならば、決して無理解な反対というものをするものじゃないだろう。その意味から法相の非常な御尽力で間もなく近い将来に監獄法の改正ということに進むということで実は私は期待しているのでありますが、しかしながら一刻も早く、そうしてこれを改正せられることによって、その法務当局の方々御自身が夜眠るときにどれほど休まれるかわからない、どれくらい人間としての喜びを感ぜられるかわからないだろうと思う。それをもうすでに大体の成案ができておられるのに、なおじんぜん日を送っておられる。曠職のそしりを免れないのではないかと思う。月給をただ取りしていると言われても仕方がないのじゃないか。国民からですよ、私が申し上げるのではない。そういう意味で私はこの請願の解決ということのために、こういう問題が起るだろうと思うから、私は歴代法相に向って、なぜ監獄法の改正を早くおやりにならないのかということをお願いしておるのです。この監獄法の改正ということは、そこに入れられている不幸なわれわれ兄弟姉妹の人権が一日も踏みにじられているということがあっては、われわれにとって耐えがたいばかりでなく、またその拘置所なり刑務所ができる周囲の国民からの強い批判ということも考えられまして、一層格段の御尽力を頂いて根本的な解決を示されたい。この法相が現在の重任を負わされていることは、私は、絶好の機会であってこの機会を失ってしまえばまた容易にこれはではきないのでないかと思いますので、はなはだ執拗に申し上げて失礼である点はお許しを願いたいと思うのですが、今の点十分にお考えを願いたいと思います。
○国務大臣(牧野良三君) お言葉に対しましては深く感を抱きまして、そうしてただいま幸いにして事務当局は非常な熱意を傾けて案を進めておりますから、おそらくこの夏までにはでき上る、すみやかに案をお示しすることの機会を早めたいと存じます。
○委員長(高田なほ子君) それでは本請願につきましては当委員会も非常に熱心な御討論がございましたが、私からも国会の意思が十分に尊重されることを特に法務大臣に御要望申し上げまして、本日は本請願についてこの程度にいたしたいと存じますが御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高田なほ子君) 御異議ないと認めます。 ―――――――――――――
○委員長(高田なほ子君) 検察及び裁判の運営に関する調査、これを議題に供します。
○赤松常子君 時間も一時過ぎましたので簡単に二、三点法務大臣にお聞きしておきたいことがございます。 それは昨年の暮でございましたが、私ども同僚議員とそれから数人の熱心な売春問題に関心をもっております婦人代表が、法務大臣が初めて御就任なさいまして、この売春禁止法に対しどういう御所見をお持ちであろうかということを聞きに参ったことがございまして、法務大臣も覚えていらっしゃることと存じます。この席上さまざま議論が出た次第でございますけれども、私どもは御意見を拝聴に行った建前から、法務大臣のお言葉を主としてお聞きした次第でございまして、その中で非常に私ども意を解せない大臣のお言葉がございました。それは芸者問題に対しまして法務大臣が言及なさったことがございまして、日本の花はフジヤマ、ゲイシャ・ガールというように非常に従来も有名であったしこれは日本の象徴であったかのごとき御発言をなされ、将来ともそういうことに重点を置いて芸者の存在というものを認めていきたい、むしろりっぱな芸者を作っていきたいというように、非常に芸者賛美論をなさったのでございます。私どもはおやおやと思ったのですけれども、御意見を拝聴に行った手前、一応黙って聞いて、少し反駁はいたしましたけれども、非常に法務大臣は今のように酒脱でいらっしゃいまして、実に話がお上手でございましたものですから、そういう考えを今法務大臣持っておいでになるのかなと思って少し私どもは意外に思ったのですが、議論はいたしませんでした。そのことにつきまして、それは私ども同性の芸者の皆さんのことを私どもは決して軽蔑する意味ではないのですけれども、今の社会通念といたしまして、芸者の方々の存在というものがそう正しく認識されていないということは、認め得られると思うし、これは悲しい事実でございますけれども、芸者の存在というものに対しまして善良なる社会風俗及び家庭婦人、婦人一般というものは疑問を持っている現在でございます。それにもかかわらずこういう制度をますます将来発展させて行きたいとおっしゃるお気持を今なおお持ちでいらっしゃるのか。一国の法務大臣がそういう、社会から考えられております常識をも考慮にお入れにならないで、そういう言葉をおっしゃったということが一般社会風俗に対して非常な影響力を持っておるわけでございますので、それをしも押し切って、またそういう強い御意見を持続していらっしゃるかどうか、この点が一点でございます。 その次は今度、これは厚生省でございましたが、この売春問題に対して予算を十四億とされておりますが、現実はこれが五千三百万円かに削られておりますが、こういう予算の問題に対しまして法務省当局が厚生省と協力なさってその予算を少しでも多くとるようにどの程度御努力なさったのでしょうか、その点が二点。 それからこの間新聞で拝見いたしますと、個人売春に対しまして法務大臣のお考えは、売春婦は罰しないでその相手方の男だけ罰するという御意見のようでございますが、個人売春に対する法務大別の御意見はあのお言葉通りと解釈してよろしいのでございましょうか。 以上三点御質疑を申し上げます。
○国務大臣(牧野良三君) お答えを申します。どうも私は折々激しい言葉を使う癖がございまして誤解を招き、正しい御理解にそむくことがあり、ただいまも非常に反省をいたしております。赤松さんの前で大へん芸者の礼賛をいたした、従って新聞がこれを法相の芸者礼賛として全国に伝え、津々浦々にまで私は礼賛者であるように決定しております。実はいい機会でありますので……。あなた方の前で私が述べましたのは私の思想ではない、アメリカのガイド・ブック、ヨーロッパで言えばフランス、スイス、ドイツ、それからイギリス等のガイド・ブックを見るとすべて日本についてはフジヤマ・アンド・ゲイシャガールズと書いてある。これはすでに明治時代からのことである。日本の特徴として外国人はガイド・ブックに、観光を勧誘するその木に富士山と芸者とを並べておる。このことに対しては国民としては深く考えなければならん。富士山は自慢できるもので、どこにどうされてもわれわれは世界的に誇り得る。従って芸者というものを廃止することができない以上は芸者は恥かしいものでないというようにしなければならない。しこうして問題の売春婦などと言われるような仮にも行いがあってはならないということへ私は早くから気がつきました。それで廃止することができないと見た私はどうかしてこれを善良な方へ導かなければならないと考えた。そうするとどうすればいいかと言えば彼らに自尊心を与えることが大切だ、それで彼らを芸能をもって立つという方面に導くことが大切だと思っております。幸いにしてこれが報いられまして、今一流の芸者と言われる者はすベて一芸一能に達したものでなければならないということになった。そうしていやしくも素行上非難さるべき芸者は彼らの春秋において行われる大規模な演芸会には出席させないというように私がさした。出席のできないように私はしておる。それほど苦労をいたしておる。こういうことは積極的な方面であります。と同時に消極的な方面に対してまた心配をしなくちゃならんと同時に、法律で売春取締りというような方面に力を入れなければならないというお話をいたしたのであります、結果において芸者礼賛になったということはやむを得ません。今私は日本の芸者に対しては一種の尊敬の念を持つことが非常に多くなりました。この点は認めますが、私は無条件に芸者を礼賛するものではない。日本の国情から芸者というものを全部社会から追放することのできない現状においては、どうかしてこれをりっぱなものにしたいと思っておるのだ、こういうことを言ったのであります。どうぞ御理解をたまわりたいと存じます。 次いで売春に関しましては、赤松さん、私は実際売春の実情をともかく二十年も調べておりましょうかね、本当に私は婦人は弱いと思うのです。そうして衆議院が予算委員会で、逃げて出た売春婦を連れて来て大臣のいすにかけさして黒いめがねをかけて、いろいろのことを語っているのを聞きますと実にいたたまれない、恥を感じて。国会というものはこんなものになったか、そうして弱いはずの売春婦がいやに強がる、こういう状況は見るにたえないのであります。しこうしてみんなこれは男が悪い。婦人の議員はあんなところへあんな者を連れて来はせん。この方面は男です。私はほんとうに残念であります。そうしてその言うことは私は少しも傾聴に値しない。だからどうしてもこの売春問題というものは弱い女を対象としてはならん。広く社会を対象にしなければならぬ。そうしてそれは何かといえば風紀を維持するということと、性道徳が戦後破壊されたという点に深い注意を向けなきゃならぬ。まるであふるるような行為、しこうしてその原因は幾つもある。進駐軍の状況を何と見るか。彼等にこびるような女、あの日本の卑しむべき、恥かしい国民性、同町に映画、わい本、こういうものに対して少しも御注意下さらんで、ただ皆さんが売春婦だけを取締れ、取締れと仰せられることに率直に申すとふんまんを感ずる。私はそんな小さい、偏狭な立法であってはならぬと思います。どうしても日本の風紀を、戦後廃頽した性道徳を、私はここへ手を入れなければいかぬ。それで私は、役所の人々にこのことをほんとうに打ちあけて、みんなが私の心持ちを批判してくれて、そして売春問題を逃げないで、だれがどんな陳情しようが反対しようが解決に努めてくれ、頭を下げて頼んでおります。そうして努力しております。私は彼らの社会にみずから入りましてやっておることでございますが、どうかこの点は私の衷情をお察しを願いたいと思います。 第三の予算の問題でございます。大へんこれが一部の人々から非難を受けておりますが、何を言うにも立案ができない。それは前の国会の決議によりまして審議会を作れということになっておる。どうも私はこれを尊重しないわけにはいかぬのです。従って審議会に出す案というものに苦労しておる。そこで審議会で案を立ててそれによって予算を要求するということでなければならないというのが、大蔵省主計局当局の意見であります。私は交渉に行って頭を下げてきた。おっしゃる通り余っておる金があるなら、予定された金があるならやむを得ぬが、もう使い果して二分も残っていたいという予算の中で、これは無理だ、よろしい、そのかわり必要なときには追加予算は認めるだろうなと言いましたところが、その言質をとられるのは困るということを、大蔵大臣は冗談な様子と真剣な様子と半分で、私を抑えられました。そのときは日夜予算の折衝で大蔵大臣睡眠不足で困っておられるときでありますから、無理は言わないで参りましたが、よろしい、それじゃ全然いただかなくてもよろしうございます、法務行政と同じことで行政は認めますな、議会が決議したらそれはあなた従いますな、ということを一言言って帰ってきたわけでございます。従って私は、ここにおいでになります市川さんと私の部屋でお話したときは、予算をとることは私はそれほど困難だとは思わないが、どういう方面でいくかということを真剣に考えましょうということを申し上げたのであります。とともにこれは政府の予算に頼っちゃ日本のいわゆる売春問題はだめだと思いました。今法律の欠陥に対し、また裁判の円滑なる運営に対処して調停ができた。先ほど宮城さんからお話のあった通りに、保護行政に対しましては大へん熱心に全国の保護司の制度、また人権問題に関しましては、役所の人権擁護に関する行政だけではいかぬと思って人権委員ができておる。これと同じことにあなたや私どもは率先して社会に出て、どうしてもこれは日本の風紀を振粛し、そうして戦後における性道徳というものをりっぱに立たしていくということに、多くの社会人が中へ入っていただいて、社会運動と一緒にその方面で私は必要なる資金ができるというくらいなところまでいかなければ、これほど淪落した世の中を救うことができない。淪落した世の中のこの廃頽な状況を見て、弱い女だけを牢の中に入れるというようなことがどうしても私は賛成できません。なぜこの点に対して衆議院と参議院との婦人議員の諸君は、偏狭な考えをもっておられるか、これでは日本の国も日本の婦人も救えない、こう私は思います。どうぞ私のこんな気持をあわれんで下さい。
○赤松常子君 私は法務大臣のそのお気持もよくわかるわけでございますが、少し誤解しておいでになると思うのです。私どもは売春婦だけを追い回して、刑務所に入れようなんということは考えていないのでございまして、この社会から、ほんとうに恥かしいところに身を沈めている同性の女性一人でもなからしめるということに、根本的な私どもは焦点をおいているわけなんでありますから、何も売春婦だけを追い回すというわれわれの考えではない、ほんとうにこれはこの前も法務大臣にお話しいたしましたときも、業者に資金を融通したそういう人々こそ厳罰に処すべきであるということは私ども強く申したわけでございます。私どもが個人売春について非常に考慮いたしておりますことは、すでに女は罰せられないということが流布されまして、業者が今までの家屋をホテルに改造いたしまして、そうしてもうどんどん新しい形体のまた売春の行為を行わしめるような家屋を、横須賀といわず関西といわず、私ども見ている次第なのです。そういう次にまた抜け道をどんどん業者がやっている。そういう実態を知っておりますわけですから、簡単にこの個人売春ということを考えているということは、またまた新らしい売春を作るということになるのでございますから、非常に私どももその点研究はいたしております次第でございまして、根本的に、一人でも売春婦をなくしようということが私どもの念願であるということを申し上げ、まあこういうことにつきましては、まだまだお話合いもしたいと思いますが、きょうは時間もござませんから、この程度で打ち切りますが、くれぐれも婦人議員が、同性の売春婦を追い回して、冷たい刑務所にほうり込もうなんということは、つゆ思っておりませんことを一言申し上げておきたいと思います。
○国務大臣(牧野良三君) ありがとうございます。
○要員長(高田なほ子君) ちょっと速記を止めてください。 〔速記中止〕
○委員長(高田なほ子君) 速記をつけて下さい。それでは本案について質疑はまだ残っておりますが、時間の都合上次回にこれを譲ることにいたいたします。速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(高田なほ子君) それでは速記をつけて下さい。 検察及び裁判の運営に関して、鶴田委員から発言を求められておりますので、この際発言を許します。
○亀田得治君 農地問題の仮処分で局長に質問をしたいと思います。 事件は高松地方裁判所の丸亀支部です。申請人は善通寺市、市有地です。被申請人は細川与七外十二名。ケース番号は昭和三十一年ヨの第七号、立入禁止仮処分事件。この決定をされたのは昭和三十一年一月二十五日です。関係農地面積が七千十五坪二分二勺、こういうことになっております。問題は、この土地は戦争中に軍が不用になった場合に返すという条件付で農民から買い上げたものです。従って、終戦後そこの農民はその土地の返還運動をずっと続けてきたわけなんです。ところがその過程において善通寺市が国から農民を出し抜いて払い下げを受けたんですね。これは非常にもちろん農民があとから知って憤慨していろいろ問題も起しているのですが、そして善通寺市がそういうふうに出し抜いて買い取っていつの間にか地目だけは宅地と、こういうことに変えてしまっておるものなんです。もちろん農民はずっと耕作をしてきておるし、耕作自身は善通寺市も認めてきておる土地なんです。で問題は、善通寺市が最近この農地をつぶして学校を建てたい、こういうことなんです。で市から農民にその返還を求めるが、今申し上げたような由来を持った土地なんで、そこにいろいろな直ちに納得いかない問題がずっとあるわけなんです。で市の方から農民の土地への立ち入りを禁止すると、こういう仮処分申請を丸亀支部に出しました。これに対して裁判所の方では口頭弁論を開かないで突然に仮処分決定をやったわけです。もちろん農民は知らぬ。でしかもその決定書の内容を見ると、申請人にその使用を許すと、こういうことを含んでおる決定書です。そのために突然に執行吏がやってきてばたばたとかきをして、農民を放り出して、そうして待ちかまえているように、また建築関係の人が入ってきて田畑を踏み荒すと、そういうことになって初めてまあ農民の方は知ったわけです。そこで問題は大体現況農地であるものについてこういうことをやる場合には、まず事前に農地法第四条による行政庁の許可をとらなければならないことに法律上はっきりしております。そういうことを全然無視して、しかも口頭弁論を開かないで、独善にがっと仮処分決定をやってしまって、ちょうど昨年これは場所は福島県でしたか、鏡石村の事件でやはり口頭弁論を開かないでいきなり、これは地主と小作間でしたが、小作人の立入を禁止した。こういう問題がありましたが、これは農林水産委員会でありましたが、あなたに出てもらってその問題で論議をしたことがあります。その際に局長の方では、裁判官会議が地方にありますから、そういう場合にはぜひそういうことにならないように趣旨を伝えるようにしたい、こういうふうに結論的には答えられておるわけです。まあ裁判の運営のことですから、裁判官に対して非常に明確な具体的な指示は出せないのかもしれませんが、裁判官会議等において、農地問題等について慎重にやるようにというふうな趣旨を伝えてある。こういうことだったんですが、またまたこういう事件が起きて関係農民としては非常に憤慨をしておるのです。 そこでお聞きするわけですが、そういう裁判官会議等に対する趣旨の徹底方、こういうことはどういうふうに実際上やられておるのか、それから私はそのことが一つと、もう一つは農地の仮処分要件に対する取り扱い方なんですから、文書等によってもう少し明確なものを出してもいいんじゃないかというふうに思うのです。それが最終的に担当の裁判官の取扱い方をそこで縛るという意味のものでなければ、決して裁判に関与するということにはならないと思うけれども、扱い方だけなんですからそういうふうに文書で出すべきじゃないか。ときどきこういうことが起るから、その辺のことをまず一つお聞きしたいのです。
○説明員(関根小郷君) 亀田委員からお話の点は、実は昨年でございましたと思うのですが、農林水産委員会におきまして同様のお話がございまして、その席、ただいま亀田委員からお話がございましたように、立入禁止というような仮処分についてはかなり慎重の態度をとるべきだ。そして今裁判官会議というお話が出ましたのですが、それはわれわれは裁判官の会同と申しております、これは農林省の役人の方々と、それから県の小作官の方々と一緒になって農地問題につきましての協議会を開いて毎年やっております。そういう機会がございますので、その機会にできる限りわれわれの方からも課長が参りますので、そういうことも趣旨を懇談的にお話ししようということを申し上げました。そういうことは実際にやっております。 ただ今お話が出ました具体的な実案につきまして、私今初めて聞きますので、内容はわかりませんが、おそらく具体的事業になりますると、法律が裁判官の裁量にまかせられております関係から、口頭弁論を聞くかあるいは口頭弁論を開かないで、申請人側の申請だけで今お話の出ました事件で申し上げると、地主側の方の意見を聞いただけで、小作人側の意見を聞かずしてやるということが、法律上許されております。でありますからいくら懇談的に申しましても、具体的事案によりましては、法律で禁止しない限りは申立人の意見だけでやらざるを得ない場合があり得るわけであります。でありますから、具体的事件になりますと、その点が事件の内容を見ないと、とやかく言えないのじゃないかということを申し上げるのです。 それからもう一つ農地の仮処分事件について、書面で全国の裁判所に最高裁判所から何らかの形で流したらどうかというお話でございますが、これは事件の取扱いとは申せ、やはり訴訟手続の内容にはいりますから、どういたしましても法律を変えない限りは、そう進んだ解釈を最高裁判所から流すということはこれはいかがかと思います。現にそういった事例はないわけなんです。でありますからやはりどういたしましても、昨年もたしか亀田委員からお話が出たかと思いますが、何なら法律を改正したらどうかというお考えもある。そうお願いできればその改正の案が果してそれについても論があろうかと思います。法律が出ない限りはわれわれの方では、どういたしましても裁判の手続の問題であるといたしましても、法律で裁量権が与えられております限度においては、通達などでそれを縛るということができないというところから、できる限り懇談の機会で話すという程度しかできないことを申し上げたいと思います。
○亀田得治君 農地の仮処分等については相手方の口頭弁論、あるいは口頭弁論を開かなくとも審尋、あるいは相手方の意見も適当に聞く。一応そういう措置をとることが望ましいとか、そんな程度は干渉でも何でもないのですからできそうに思うのですが、それでも現行法上差し支えますか。
○説明員(関根小郷君) 実は法律で口頭弁論を開くか、あるいは審尋するか、あるいはそういう機会をしないで書面審理だけでするかということが、法律の上で裁判官の裁量にまかせられております場合は、なるべくならこうしろということはやはり差し控えた方がいいのじゃないかと思います。どういたしましても、やはり取扱いとは申せ法律で縛られておりますので非常に困難であろうと思う。もしそういうことを地方行政の立場からいたしましたときに、かえって裁判官の方から法律解釈の問題について何を言うかという点で、反発を受けるようなことになるのじゃないかという気がするのです。でありますからなるべく懇談的な機会に反省に反省を加えるという行き方のほうがいいのじゃないかというふうに考えておるのですが。
○亀田得治君 しかしそういうことになれば、どうしても法律改正をしなきゃならぬということになりますが、ところが仮処分事件ですから、すべてについて一応相手方の言い分を聞かなければならぬのも、ちょっと都合の悪い場合がありますね、事件によって。従って法律改正をするとしても、農地に関する仮処分とかそういうふうに限定することになろうかと思うのですが、そういうやり方でも私は差しつかえないと思うのですがどうでしょうか。
○説明員(関根小郷君) 繰り返すようですが、どうも農地事件だけに限りましてもそういうことはなるべく避けた方がいいのじゃないかと思いますのと、それからまた農地の仮処分だけに限り示しても、たとえば今お話は地主か立入禁止の申請があった。ところが今度小作人側から自分たちは今小作しておるのにかかわらず、地主の方で妨害しそうだという場合には、地主が妨害しようとして困る。いま種をまくときなんです、そういうときに地主の妨害を防ぐために仮処分の申請をすることがあります。そういうときに、むしろ地主側に知らせないでやってくれという要望を受けるわけです。ですから立場を異にしますと、なるべく相手方に知られないうちに、早い期間内に仮処分を出してくれという要望が出てくるわけです。ですから双方の立場を考えますと、非常に一般的に農地の仮処分に限って口頭弁論を開けとか、あるいは審尋をやれというようなことを書面でやるということは少くとも妥当ではないのじゃないかという気がいたします。
○亀田得治君 とにかく差しつかえのある事件がときどき起るんですよ。起るからこういう質疑も必要になるのです。だからやはり差しつかえないようにする方法を考えないとね。こういう点ほどう考えますか。この事件ですと、農地に対して仮処分の禁止をして、農民が入れないだけじゃないんです。さらに家まで建てさせておるんです。これは全く本案訴訟の結果出たようなことを、仮の処分でやってしまっているんですから、これに勝ったって事実上現場が全く変更してしまうんですから、回復できないような状態にしてしまうんです。だからこんなことはあっていいんですか。あなた方どういうお考えですか。
○説明員(関根小郷君) 具体的な問題はどうも記録をよく見ませんとわかりませんが、ただ団交の仮処分と申しまして本案の内容を得るようなことがあり得るおけです。たとえて申しますと、労働者が首を切られた、首を切られたために俸給があしたから出ないというときに、仮処分で解雇処分が無効であって、現在まだ労働者として、社員として仕えるというか、勤めるという地位があることの確認を求めるというようなときには、あしたから食っていけない労働者のためには、裁判所の方では団交の仮処分と称して、社員たる地位をそのまま認める。そして俸給も払えという仮処分をやるわけです。ですからそういった場合を考えますと、団交の仮処分ということが許されているわけです。今お話の具体的な事件を、どうも私記録を見ないとよくわからないんですが、ただ団交の仮処分ということがあり得るということは申し上げることができると思います。
○亀田得治君 それはしかしね、私もあり得るということはわかっているんですが、非常にこれは例外的ですね、こういうことは。しかも今その地位の保全の問題にあなた触れられたわけですが、土地の状況等を変更してしまうというふうなのは、これは全く普通でいう団交よりももっと一歩進んでいるので、これははなはだけしからんと思うんですよ、こういうのは。口頭弁論を開いた結論だとしても、なかなかこれは問題になると思うんですが、こういう趣旨の仮処分は。しかも私は非常に争いのあるような論点はここに出していないんです。もうちゃんと捨象してだれがどういうふうに見たって、この点だけは間違いないという問題点だけに触れているわけです。だからもう少しそれははっきりとお答え願いたいんですが、たとえばこういう農地の状況を変更するわけですから、だから少くとも五千坪以下の場合には知事、五千坪をこえる場合には、農林大臣の、農地法第四条の使用目的変更の許可、これがまず要るわけなんです。私、判事に会って聞いたところ、これが裁判所に出ていないことは明確なんです。それから香川県の小作官も、その判事のいる所に来てもらって、そして聞いたところ、これはもちろん農地法第四条の対象地だと、こう言っておるわけです。ですからそういうことは、つまり口頭弁論を聞きさえすれば、農地に関するそういう複雑な法規関係がどうなっているかということは、反対側からいろいろ主張するわけですから、それで初めて裁判官だって知らない法律もたくさんあるのですから、それが補充されるわけです。ですから農地問題ではそういう危険性が非常に多いのです。なかなか私ども専門に農地問題を取扱っているんですが、それでもちょっと具体的な問題になると、やはり一々条文を見て確かめてやらなければいかんぐらいにこれは複雑です。そんなことを一般の事件を取扱っている判事が一々わかっているわけがないんです。だからこれは非常に危険なことを実際はやっているのです。たまたま私どもの組織とか、そういうことに触れてくれば、こういうふうに問題にもなる。判事にも注意し、あとから口頭弁論を開いて、また取消しとか何とかそういうことはできるわけですが、私はおそらく判事に会って聞いてみても、初めて気がついたような感じなんです。だから全くそういうことを一般の大衆の方が聞いたら、何だ、裁判所なんて頼りないもんだなと、こういう感じをまず受けると思うんですよ。農民なら、ほかのことは知らなくても農地法の第四条とか、そういった自分に関係のあることは皆知っております。それをすらも落して仮処分をやっておる。全くそれは仮処分の必要性とか何とかをこえて、基礎ができていないような乱暴なことをやっておるわけです。だからこういうことの直接事例が起るので、どうしても通達等でできないことであれば、ぜひやはり法律改正をやってほしいと思うんです。法律を作ったからといって少しも差しつかえないことですから、相手の人に一ぺん聞いてもらえばいいんですから。こういうことはどうお考えですか。私はこれは写真も持って来たんです。これは現場の農地ですが、ちょっとあなた見て下さい。ともかく農民の農地に対する感情というものは、一種これは特別ですから。それを何も知らぬのに、ばたばたとほかの者が来てかきをして、あれよあれよといっている間に、用意している建築材料を運ぶなんということはもってのほかです。結局いつも言うように仮処分の取扱い方、これが悪い。だからぜひ私はこれの是正方を考えてほしいと思うんですがね。耕作者が耕作している、地主が妨害に来る、その妨害排除の仮処分の必要がある、これも、もちろんたまにはあります。しかし、そういう場合だって地主を呼んで聞いてもらってもいいんです。われわれの方としてはちっとも差しつかえないんです。こちらが現実に耕作しているんですから、呼んで聞いてもらっても少しも差しつかえない。私どもいつも問題になるのは、農民が追い出される場合に、一言のあいさつもなしにばかっとやられてしまう。それが判事が法律を間違えておってそうして問題が起るんです。法律のワク内での判断を私どもはこんな所まで持ち出さないんです。明らかに農地法四条とかそういうものを落してまっているんです。その点どうお考えですかね。私はもう一つでもこういうことがあっては非常に裁判の権威というものが疑われると思うんです。
○説明員(関根小郷君) 今農地法の問題は、記録を拝見しないと私どもちょっと申し上げられない。今、亀田委員のおっしゃることに疑いを持つわけじゃないんですけれども、どういたしましても訴訟になりますると、今、亀田委員は小作人の方の側のお立場でお話しになっておる。地主の側からの話を開きますと別なまた事実があり得るんです。ですから今具体的な事件について私が裁判するわけにいかぬし、そういうふうな立場から説明を申し上げるわけにいかない。ただ、それでは立法したらどうかというお話がございましたのですが、今お話の中で、小作人の方で地主に対して仮処分の申請をする、地主が妨害してはいかぬ、そのときに地主の立会いを許していいとおっしゃったんですけれども、もし地主に仮処分のことの申請があったということを知らせまして、あるいは二日か三日その間余裕がありますと、地主はどんどんやってしまう。その仮処分を小作人の方から出しているということがわかりますと、早急にやるということがあり得るんです。だから仮処分の申請をされる側から申されると、相手方に何とか知らせないでやってくれというのが常道なんです。そこへもってきてできる限りいろいろな証明書類を持ってくるわけです。それで信用できるとすれば、一応の仮りの処分としてやることを許されているわけなんです。ですからなかなか法律改正の問題としても非常に困難じゃないかという気がいたします。事件が非常にバラエティに富んでいるわけなんですから、お話のように確かに立入り禁止というようなことになりますると、申請人が小作人であろうと、地主であろうと、でき得べくんば相手方の意見を聞くのが穏当だと思うのです、私も。しかし事件によっては必ずしもそういうことをしないでやった方がいいという場合もあり得るんじゃないかという気がいたしますので、立法化ということになると非常に困難じゃないかと思うのです。
○亀田得治君 それは小作人が耕作をしておるその現場を妨害されるから、妨害しないように仮処分してくれ、こういう場合には相手方の意見を聞く必要はないと思うのです、現場を維持していくわけですから。だから立法の際においてもそれはちょっと複雑になるかもしれぬが、そういう点区別して立法化してもいいわけですよ。ぜひこいつはやらないといかぬと思う。 それからもう一つ。これは明らかに判事が法律というものを間違えてやっているわけですね、この場合。これはだから小作官にもその土地を見てもらって、そして判断してもらっているんです。情勢上第四条の許可を必要とする土地かどうか、こんなことは疑いないと思うのです。それは必ず市の方が地目を宅地に変えておるから、これは農地じゃないんだ、従って農地法四条の適用外なんだ、こういうだろうと思ったんで、それで判事に会うときに、その県の小作官の人がいたものだからちょっと立ち会ってもらった。それでその場で聞いたところが、あれは当然農地ですとはっきり言っている、現場主義でいくわけですから。そして由来から言ったってそんな中間地を作っているとか、そんなものじゃないということははっきりしている。そうすると私はこういう大きな間違いですから、これは判事のこういうものに対して何か処分の方法がないんですか。こういうことはすべて判事の独自の判断でやるんだから、ということで懲戒にもなにもならぬ。これはともかく国民がちょっと納得できませんね。先だって白紙逮捕状に関連して高井判事の場合に、略式命令の送達料が足らぬからというので葉書で呼び出して、来ないと拘引状を分したというやつがありますね。これは何か刑事訴訟法の五十八条ですか、あれを誤解したんだと、こういうことです。弾劾裁判所で調べてみると誤解したというのです。しかしそれも判事の法の解釈は自由なんだというような感じのすることをちょっとおっしゃっている方もあった。しかし僕はそこにおのずから限界があろうと思うのです、農地問題、土地問題を裁く場合に。しかも地元の判事ですからわかっているはずです、関係者がどういう人かということは。そうすれば農地法に一応目を配らなきゃいかぬし、それから逮捕拘引状を出す場合だって五十八条を引用するなんというのは、これはまったく非常識きわまるもので、だからあれも訴追の一つになっているわけでしょう。最高裁の方でもそれを認めてやはり処分しているわけです。私はもしそういうふうに通達も出せない、立法化もむずかしい、やはり判事の判断にまかしてあるんだというのであれば、大きな法律上のミスをやった場合にやはり処分をしなけりゃいかぬと思うのですよ。そうしなけりゃ判事が勉強しませんよ。どんな間違ったことをやったってそれはおれ自身の一つの判断だ、こんなことは許せませんよ。そういう点どう考えますか。大いにどしどしそのかわりそういう明らかなミスがあった場合には懲戒に対するなり何とかする、こういうことならこれはまた判事も十分気をつけるだろうし。懲戒にしますか、こういう大事な、法規を抜けて裁判をしておる場合に。
○説明員(関根小郷君) どうも非常にむずかしい問題で、農地法の法律を全然知っておるにかかわらず、故意に適用しなかったというようなことでもありますれば、これは明確な職務上の義務違背ということになりまして、裁判官分限法によりまして懲戒を受けることになると思います。ただいろいろなたくさんの法律があるときに、その解釈を誤ったということだけで直ちに懲戒の目的になるかどうかは、これは具体的の事案ごとにきめざるを得ないと思います。たとえば御承知の例の最高裁判所の裁判官の誤判問題がございました。あれも結局ルールの適用を忘れたということで結局は懲戒になりました。でありますから職務上の義務違背ということがはっきりいたしますれば、これは懲戒になるわけです。それからさらにその程度が非常に著しくなりますれば、今度は御承知の弾劾ということで、国会に設けられております裁判所において弾劾を受けるということになる。でありますから具体的の事案に当りませんと、これは懲戒するかどうかということはやはりきめられないと思います。
○亀田得治君 昨年の鏡石村のような事件ですね、ああいうものは私どもも農地問題を扱う判事としては明らかな職務怠慢だと思う。それからこの場合だって問題のあることは判事は知っておるわけですからね、市と農民との間に。だからその判事が相手方の言い分を聞かないで決定をするということは、自分としては関係法規を全部調べて、そうして責任をもってやるという意味にもとれますがね、またそれだけの責任をもたなければいかぬおけですよ。ところが結果から見ると全くそれが責任を果しておらなかった、事実こうなっておるわけです。そうなれば私はぜひこういうのはやはり懲戒の対象にしてほしいと思うのです。口頭弁論を開けるのに開かないというのは、つまり判事の責任なんだから、開けばわかることなんでしょう。こういうことは当然反対のいろいろな資料を出しますから。それも必要がないと言ったってやった以上は自分が全責任をもたなければいかぬですよ、判事は。裁判官の独立ということは私どもは絶えず尊重するのだが、尊重するだけにそのかわり責任というものは伴いますよ。どんな大きな間違いをやったって、自分の考え方とかそういうことだけで回避はできないと思うのだね。だからあなた初めてこれお聞きになるのだから、これはどうしても問題は抽象的にばかり話していても質疑になりませんし、まあ若干具体的になるのだが、具体的になり過ぎるとまた答弁もむずかしくなるということで、はなはだこういう問題はいつもなかなか突っ込みにくいわけですが、これは私調べてほしいのです、適当な時期に。口頭弁論を開いて、その後の経過を私まだ聞いておりませんが、終了後でもいいし適当な時期に調べてもらって、そうして非常なミスということがはっきりしたらやはり懲戒すべきだと思うのですね。何だったら私どもの方から懲戒の申請の材料をそろえて出してもいいですがね。そういうことはどうですか、差しつかえないでしょう、事件が済んでから。
○説明員(関根小郷君) 実は全国の仮処分事件が一年間に二万件以上ございますので、全部最高裁判所で報告をとっておりません関係から、今伺いました事件は初めて伺ったわけなんです。それで今お話によりまして事件の番号を当事者の名前がわかりましたので、われわれの方も進行工合を見まして調査いたしたいと思います。その上でもし何らか注意を促し、あるいは相当な義務違反でもありますれば、それはそのままほおっておけないと思います。しかしそれはその記録を見た上でないとわれわれは何とも申し上げられません。 それからなお先ほど申し上げましたが、実は農地関係は相当われわれの方といたしましても重視いたしまして、特に先ほど申し上げましたように、毎年農地関係だけの裁判官の協議会を開いております。これは農林省関係府県の補佐官の方々も一緒なんです。ほかの事件については特にそういうことをやっておりませんのに農地関係だけ特にやっております。そういうところの機会がございまするので、さらにまたお話のような趣旨のことをさらに、さらに強調いたしたいと思います。ただ具体的な事件になりますると、事件の内容によって非常にバラエティがございます関係から困難な点がございますが、全体の趣旨をできる限りそういった機会に強めたいと思います。
○亀田得治君 最後にちょっと希望を申し上げておきますが、それをお調べになる場合に、おそらく間違った決定をした野田侃四郎ですね、裁判官の名前は。おそらく名目が宅地になっていたということを大いに責任逃れのために強調すると思うのですね。これは常套手段ですよ。しかし地元で非常に前々から問題になっているので、そんなことで最高裁、局長の方はごまかされないと思うのですが、これは私一つ気になるので、その点ちょっと申し上げておきます。 それからなおどうしても農地関係の裁判官に集まってもらって、特に農地関係についてはそういうふうに注意しているとおっしゃるけれども、地方の裁判所へ行きますと、農地専門とか、そういう判事がおるのじゃないのでして、だから簡裁とか支部とかそういうところまではなかなか徹底しませんよ、そういう協議会とかそういうものだけじゃ。だからどうしてもそうなれば法律改正と、こういうことなんでございます。これも一つ、私も法律改正をするとしたらどういうふうな作り方をしたらいいか、まあ考えてみたいと思いますがね。あなたの方でもって研究してもらいたいと思います。希望を申し上げておきます。一応この程度にしておいて、もう少し問題がけりがついてから、大っぴらに議論できるようなときになったら一つまた改めていたしたいと思います。
○羽仁五郎君 関連して一言裁判所に伺いたいのですが、ちょうど今問題にたりましたような、裁判所において裁判官が法律を解釈する場合について、立法機関がそれを立法したときの意思、またその立法の際に現われた多数及び少数の意見、またその後その法律の適用について、立法機関においてその立法の趣旨について論議がかわされたような場合、そういう場合の委員会の速記録というようなものは、裁判所において裁判官に配付せられて、そうして閲覧がなされているものでしょうかどうですか。その点を伺ってみたいと思います。
○説明員(関根小郷君) 今羽仁委員のお話の点は、実は非常にひんぱんに裁判所の問題となりまする実体法、たとえて申し上げますれば民法、商法、刑法とかそういったものについては、こちらで審議があった場合には必ず少くともその要旨を印刷物にして配っております。それから訴訟手続法の方は、これはもう毎日使うわけですから、かなり詳しいものを配付しているわけなんです。
○羽仁五郎君 そうすると具体的に、今日のあなたと亀田委員との御議論というものの速記録は、そういう関係の裁判官のところに配布されるのでしょうか。
○説明員(関根小郷君) これはおそらく法務委員会の会議録は、各裁判所までいっているかどうかちょっと私記憶ございませんが、多分法務委員会の分まではいっているかと思いますが、ほかのたとえば農林水産の委員会の会議録などはいっておらないかと思います。ただ率直に申し上げますと、たとえば裁判所に参りましても、それが徹底して各裁判官の閲覧にまでいっているかどうか、これは非常に疑問だと思います。ところが私先ほど申し上げましたようなパンフレットにいたしましたのは、各裁判官にいき渡るようにいっております。今申し上げた委員会の会議録は、かりにいったといたしましても一部しかいかない、そこでそれを回覧するわけです。だから徹底していけるかどうか、非常に疑問だと思います。
○羽仁五郎君 少くとも法務委員会の委員会会議録が裁判所において閲覧されることを、裁判所は望ましいというふうにお考えでしょうか。それともその必要なしというふうにお考えでしょうか。
○説明員(関根小郷君) 多分いっていると思いますのですが、望ましいことはもう申し上げるまでもないと思います。
○委員長(高田なほ子君) 他に御発言がなければ、本日はこれをもって散会いたします。 午後二時二十七分散会 ―――――・―――――