文教委員会 第2号
- 発言数
- 114 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1956/02/09
会議録
○委員長(飯島連次郎君) ただいまより文教委員会を開きます。 まず先日の理事会における協議の内容について御報告いたします。委員会の開会については毎週火曜日、木曜日の午後を定例とし、その他は必要に応じて随時開くということです。右の通り決定して御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(飯島連次郎君) さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(飯島連次郎君) 次に、委員派遣の件でありますが、近く国会に提案を予定されております教育委員会制度改正に伴う関係諸法律の一部改正、教科書法案等の審議に資するため、この際地方教育委員会の運営状況、教科書制度及び大学制度その他の事項に関して実情調査を行うため委員派遣を行うこと。派遣地は、第一班、山形県、秋田県。第二班、鳥取県、島根県。派遣期間は二月十五、六日ごろから第一班五日間、第二班六日間とすること。派遣委員は自民党二名、社会党一名、緑風会一名とすること。大体以上の諸点について協議を行いました。 お諮りいたしますが、以上の内容で委員派遣を行うことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋山長造君 今の派遣地についてですが、一班は山形、秋田。二班は島根、鳥取ということのように承わったのですが、これは山形、秋田というのと島根、鳥取というのとはどちらも大体似たようなところじゃないかと思うのです、大体農村でもあるし、むしろやっぱり少し一班と二班で行く先を変えた方がいいんじゃないか。まあ一班の方が山形、秋田ということならば、二班の方はむしろ都会地を中心にした方がいいのじゃないかと思うので、この鳥取、島根という方は距離的にも遠いし、むしろもう少し手前の兵庫、和歌山あたりにされた方が学校の数も多いし、それからまた教育委員会と一口にいっても、大都市から農山村の小さい教育委員会に至るまでいろいろ段階もバラエティに富んでおる。そういうことで所期の目的に沿うゆえんではないかというふうに私どもは考えるのですが。
○委員長(飯島連次郎君) お諮りいたしますが、委員派遣の第二班について秋山君から変更の御意見がございましたが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(飯島連次郎君) 御異議がなければ……。
○加賀山之雄君 理事会ではどういうお話だったのですか、それを選定された事情を……。
○委員長(飯島連次郎君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(飯島連次郎君) 速記を始めて。 ではただいま秋山委員から提案されましたように、派遣地の第二班は兵庫、和歌山に変更することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(飯島連次郎君) 御異議なければさよう決定いたします。 なお派遣委員の人選、派遣期間等、内容の詳細につきましては委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(飯島連次郎君) 御異議なければさよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(飯島連次郎君) 次に、本日の日程として国立学校設置法一部改正、日本学士院法案の提案理由を聴取すること、本日から昭和三十一年度文教予算を議題とすること、その他当面の文教政策等に関する質疑を行うことなどを協議いたします。 以上御報告いたします。
○委員長(飯島連次郎君) まず理事補欠互選を議題といたします。 互選の方法は先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(飯島連次郎君) 御異議なければ委員長は湯山勇君を理事に指名いたします。 ―――――――――――――
○委員長(飯島連次郎君) 次に、国立学校設置法の一部を改正する法律案及び日本学士院法案を一括して議題といたします。 政府より提案理由の説明を求めます。
○国務大臣(清瀬一郎君) ただいま議題となりました国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由および内容の概要を御説明申し上げます。 この法律案は、昭和三十一年度予算に照応して関係条文を改正するものでありまして、国立大学附置の研究所の設置について規定するものであります。 改正点は、京都大学に附置研究所として、ウイルスの探究ならびにウイルス病の予防および治療に関する学理およびその応用の研究を目的とするウイルス研究所を設置することであります。 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。 なにとぞ十分御審議のうえ、御賛成くださるようお願い申しあげます。 引き続きまして日本学士院法案について、提案理由と内容の概要とを御説明申し上げます。 この法案を提案するおもな目的は、現在、総理府の機関たる日本学術会議のうちに置かれている日本学士院について、その会員を日本学士院において選定することとし、これに伴い、日本学士院を文部省に移管することであります。 日本学士院は、明治十二年に創設せられ、以来七十有余年の間、わが国最高の学術上の諮問機関として、碩学を集め、学術の振興に多大の貢献をして参りました。また、その会員たることは、科学者として最高の名誉とされてきたのであります。この間、時代の変遷に応じて、その権限には多少の変化が見られましたが、その基本的な性格には変りがなく、昭和二十三年に至りました。しかるに、昭和二十三年、日本学術会議法が制定されるに及び、日本学士院はもっぱら学術上功績顕著な科学者を優遇するための機関として、その性格を明らかにし、日本学術会議のうちに置かれることになりました。そして、従前日本学士院が有していた諮問機関としての機能は、日本学術会議に引き継がれ、またその会員は、日本学術会議において選定されることになったのであります。 その後、日本学士院においては、会員の選定について、従前どおり日本学士院において選定したい旨の強い希望があり、また日本学術会議においても、昨年十月の総会で、日本学士院を分離独立させることを適当とする旨議決し、これを政府に要望いたしましたので、政府において慎重に考究いたしました結果これを適当と認め、今回この法案を提出するに至ったものであります。 この法案の内容のおもなものを申しあげれば、次のとおりであります。 第一は、日本学士院の所轄を昭和二十三年以前のように文部省としたことであります。第二は、日本学士院会員を日本学士院みずからが選定することとしたことであります。その他のことにつきましては、おおむね現状どおりであります。すなわち、日本学士院は、学術上功績顕著な科学者を優遇するための機関とし、これにふさわしい事業を行い、学術の発達に寄与することを、その目的とするものであります。したがってその事業として、日本学士院は、学術上特にすぐれた研究業績に対して恩賜賞・日本学士院賞を授賞すること、会員が提出しまたは紹介した学術上のすぐれた論文を発表するため、邦文および欧文の日本学士院紀要を編集発行すること、また、国際学士院連合に加入することができること、外国人に対して日本学士院客員の称号を与えることができることなどを法文上に明記いたしました。 以上がこの法案の提案理由および内容の概要であります。 なにとぞじゅうぶん御審議の上、御賛成下さるよらお願い申し上げます。
○委員長(飯島連次郎君) 本件に関する質疑は後日に譲ります。
○委員長(飯島連次郎君) 次に、昨年末実地調査を行いました愛知県の学区制の問題に関し、今回これが解決をみましたので概要の御報告をいたしておきます。 前国会似乗取り上げて参りました愛知県高等学校学区制問題について、その後の経過を御報告いたします。 昨年末本委員会が実地調査を行い、その結果の報告におきまして、この問題は生徒、父兄、教師等の不安、動揺、焦燥を考えれば、早急に解決すべき性質のものであるから、県、市双方とも最善の努力をしてもらいたい旨を要望して参った次第でありますが、結局昨年中はなんらの進展を見せないまま年を越しました。今年に入ってからもなかなか進まない様子でありましたので、一月十二日には調査室をして、県、市各東京出張所長に事態を確かめさせましたところ、さっそく県、市両教育委員会から中間報告が参りまして、なかなか解決しかねていることが判明いたしました。そこで文教委員長名をもって、両教育委員会に対し、電報で、解決の促進を強く要請いたしましたところ、ただちに両教育委員会より、努力する旨の返電がございました。その後も両教育委員会の教育長などからしばしば経過報告を受け、そのたびに解決を督励して参ったのであります。この間両者の交渉は瀕繁に行われ、紆余曲折を経ましたが、ようやくにして二月六日に至り、昭和三十一年度入学者選抜に限り定員の六割までは志願者の全員より選抜と、残りの四割は旧学区内の志願者から選抜することとして、県、市両教育委員会の間におきまして円満に妥結した旨、電報その他で報告がございました。 これは県教育委員会が当初決定公布した、昭和三十一年に限り新学区八割、旧学区二割という入学調整率を市の要望の線に従って新学区六割、旧学区四割に変更せんとする取りきめでありまして、本委員会調査団が昨年指摘した問題点でございます。いまだ詳細な報告はございませんが、以上要点だけ御報告をいたします。
○国務大臣(清瀬一郎君) 本文部委員会委員長並びに派遣の諸君の御努力によって、この難問題が円満に解決をいたしたことは、政府としても感謝に堪えません。謝意を表します。
○秋山長造君 この学区の問題で皆さんが御努力なさって、今のような好結果になったことは私どもも感謝に堪えないのですが、ただこれはことしだけということなんですね。そうするとまた来年の今頃になると、同じような紛争を繰り返すことになるおそれが多分にあるのじゃないか。最近新聞等でもひんぱんにとり上げられておりますようにこの三月、四月の学年変りを前にして、全国的にこの学区制の問題がまたむし返されておる。これはもらほとんど例外ない。こういうことを毎年繰り返し、しかもこれがますます激しくなってくるような情勢をこのままにしておくことは、国全体の教育ということから考えてもはなはだおもしろくないと思うのです。どうしてもこれは文部省として何か一つの確固たる方針を持たれる必要があると思う。もちろんその方針によってそれを押しつけるということはできないにしても、やはり文部省は文部省自体としての一つの方針というものは持たれてしかるべきだ。で、これは文部大臣としてそういうお考えをお持ちになっておるか、ちょっとこれに関連してお伺いしておきたい。
○国務大臣(清瀬一郎君) これは今の教育行政の組織にもよることでございますので、別に設けられまする審議会等の御意見も承わり、またわれわれの行政的に行うべき行い方にもよりましょうから、十分に研究いたしまして、かようなることが永続しないようにいたしたいと決心いたしております。
○秋山長造君 実は昨日の朝日新聞へこの学区の問題が相当大きくとり上げられていろいろな例がある。その中には文部省の初中局の杉江中等教育課長の談話が載っておる。その談話によりますと、やはり文部省としても、この学区の大きい小さいは議論があるとしても、要するに学区制というものはやはり堅持していくべきものだ、それが教育の機会均等ということを守っていくゆえんであるという趣旨の談話が載っておる。しかしどうもこの載っておった談話程度では、どうも実際に現実に火がついてあっちこっちでもめておるこの学区制問題というものを何とか解決をつけるというきき目があるかどうか、はなはだ疑問なんです。われわれから考えれば非常に微温的な感じを受けるわけでございます。いずれにしましても、これは教育行政の根本問題に触れる問題ですから、最終的には文部大臣が今構想されておられるような教育制度審議会というようなものであるいはおやりになるのが適当かとも思いますけれども、しかしこれは、もうすでに今までに文部省として当然一つの方針というものを持っておられたはずなんです。それからまた現に三月の受験期を控えて非常にこれはもう子を持つ親を中心に学校の教師、生徒、すべてがもう頭を悩ましておる。これは目の先に火のついておる問題です。で、一刀両断に、もうこれであったう全部ぴたっと解決してしまうのだということは、なかなか文部大臣のおっしゃるように、今すぐということはできないかもしれぬけれども、しかし文部大臣としてこの学区制の問題について何かそこまでいかないにしても、中間ぐらいのところでもよろしいから一つの方針を打ち出され、それによって助言、勧告を行われることがやはりこの問題を少くとも今より大きくしない、あるいはある程度押えられるというぐらいな効果は狙えるのじゃないかというように思う。その点どういうようにお考えですか。
○国務大臣(清瀬一郎君) なおこれらの点十分に研究いたしまするが、助言なり勧告はいたしたのでございまするが、それではきめ手にならないのですね。いかなるしかしながら学区制が日本に適当なりやをも研究いたし、それからしてどういうところで最後の断が下せるかということもきめなければ今の制度のままでは、これはいけませんです。いけませんことはもう現にこういろ問題か起っておることで証明されております。文部省において十分に研究をし、また学識経験者に研究していたき、来年の初めまでには必ず適当な成案を得たいと思っております。
○秋山長造君 助言、勧告をなさったというのは文部省が何年か前にやったといち意味なんですか、それとも大臣が御就任になって以来、大臣自身の手でおやりになったということなんですか、その点と、それから第二点は、まあ何らかの方針をきめなきゃならぬということはわかるのですが、きめるにしても幅があると思う。それで学区の大きい小さいということはともかくとして、いずれにしても学区制というものを清瀬文部大臣はあくまで守っていこちというお考えなんですか、それとももう学区制そのものもこれはどうなるかわからぬというお考えなんですか。その点お伺いします。
○国務大臣(清瀬一郎君) それもクリアー・カットに今先にきめてしまって審議会にかけることもいかがかと思います。私個人の感想を言えとおっしゃるならば、地方公共団体で施設しておるものでありまするから、学区制を全部撤廃することはいかないのじゃないかと、こう思っております。
○秋山長造君 それから第一点の方は、通牒を出す……。
○国務大臣(清瀬一郎君) 前任者の時代並びに私になってからも口頭または書面でいろいろいっているのであります。今局長より答弁させます。
○政府委員(緒方信一君) 大臣の今の御答弁を補足いたしますと、愛知県の学区の問題が起りましてから、これは先ほど委員長から御報告がありましたように、来年度の入学期を控えて教育委員会の間に対立が起って非常に混乱が起っておりますので、それに対しまして早く解決をされるようにいろいろと内面的にお話を進めて来たのでございまして、それは学区制の問題そのものにつきましてはこれは法律に明らかに規定がございます通り、ただそれをどういうふうにきめるかということにつきましては、これは地方の都道府県の教育委員会の権限になっておりますので、それについて文部省が何か指示をするということはいたしておりません。先ほど申しましたような意味で、愛知県の問題につきましてお話をいたしたわけでございます。
○秋山長造君 そうだろうと思ったのです。大臣がこれはちょっと勘違いされておるので、この大臣の今の話では、全国の教育委員会に対してこの学区問題に対して助言、勧告の手を打ったというお話で、今の局長のお話を聞くと、愛知県という特殊なものについてだけのものなんだと、大臣がいってしまわれたからしょうがないのですが、大臣自身があまり学区制の問題について十分研究もなさっていないということが今の御答弁で局長の答弁と食い違っている点からどうも汲み取れるように思うのです。これはやつぱり考えようによっては学区の問題、これは非常に深刻な問題だと思うのです。やはりこれ、大臣としてもっと関心を持って十分考えていただかなければいかぬ。政務次官がお見えになっているのですが、政務次官はどうですか、根本的なことは来年だというお話なんですが、そういっておられぬ情勢だと思うのですよ。今地方で一番教育問題として目先に火がついているのは学区の問題だと思うのです。何か従前の対策というところまでいけぬにしても、文部省としてただ手をこまねいて見ているというのではどうもあまり不見識なように思うのですが、何か手をお打ちになる御意思はないですか。
○政府委員(竹尾弌君) お説の通りでございまして、よく当局と相談をいたしまして、できるだげ御意に沿うように善処したいと思っております。
○秋山長造君 結局、十分相談するといっても、問題の性質上これは一刻を争う問題だと思いますから、即刻よく御相談になって、そうしてどういう具体的な手をお打ちになるか、そこまでおきめになって、そうして、もう一度われわれにその点をお知うせ願いたいとお願いしておきます。
○政府委員(竹尾弌君) よくわかりました。
○有馬英二君 ちょっと、先ほどの国立学校設置法の一部改正の法律案ですが、この次までに一つなるべく資料を提出していただきたいと思うのですが、それはこの設置される施設がどういうものであるか。それかう第二点は、その構成メンバーがどういうものであるか。ウィルス研究所の構成ですね。たとえば講座が幾つであるか。あるいは教授、助教授数が何人であるか。そういうことも大体予算にも計上されておるようでありますが、その計上されておる予算の根拠はどういうものであるかという資料を御提出願いたい。この次の委員会までにお出し願いたい。
○政府委員(稲田清助君) 承知いたしました。
○委員長(飯島連次郎君) それではただいまの資料要求のありました国立学校設置法の審議をするに必要な資料の準備は、その他なおできる限りの資料を一つ御用意願いたいと思います。あわせて要求しておきます。 ―――――――――――――
○委員長(飯島連次郎君) 次に昭和三十一年度の文教予算を議題といたします。 文部当局の説明を求めます。
○湯山勇君 議事進行ですが、予算の方はずっと引き続いて、中断しないように、説明を聞き、審議した方がいいんじゃないかと思いますので、本日の最後の案件になっております調査事項の方を先にお取り上げいただいたらいかがでしょうか、そうしていただきたいと思うのですが。
○委員長(飯島連次郎君) ただいまの湯山委員の御提案はもっともだと思いますが、予算の問題は本日は説明だけを聞きとって、質疑は次回に譲ったういかがかと思って順序を先にしたわけです。
○秋山長造君 大臣はどうなるのですか。
○委員長(飯島連次郎君) 今閣議に呼び出しがあって参られました。終り次第こちらに見えられるはずです。
○湯山勇君 それじゃけっこうです。
○委員長(飯島連次郎君) それでは予算についての説明を求めます。
○政府委員(天城勲君) お手元にお配りいたしました文部省所管昭和三十一年度予算要求額事項別表、これに即しまして概略御説明いたします。なお事項別表に添えまして二枚ほどのおもなものの事項の内容をお手元にお配りしてございますので、事項によってはこちうもあおせてごらんいただきたいと思っております。 順序に従いまして一番最初は義務教育の充実の問題でございますが、その中で最初に義務教育費国庫負担制度の実施、これは三十一年度七百六十九億五千万円を要求いたしております。前年度に比べまして三十二億五千万、この中身は負担金と教材費でございますが、給与費の負担金の方は明年度概略五十一万児童増が見込まれておりますので、これに伴います教員増大体小学校で六千、中学で一千五百、合せて七千五百の人員増を見込んでおります。その他昇給財源は国家公務員の例にならいまして昇給率四%、それから昨年制定されました産前産後の休暇に伴う補助教員の給与費等を見込んで給与費で七百五十六億三千四百万、教材費は児童の自然増に伴います増加を見込んでおります。 第二番目の義務教育関係の教科書無償給与でございますが、これは別途法律案を具して御審議を願うことになっておりますが、いわゆる準要保護児童に対しまして教科書の無償給与を行う、このために必要な経費一億三千万を新たに計上いたしたわけでございます。御存じの通り従来新たに入学する児童に対しまして、一年生だけ国語と算数の教科書を配付しておりましたけれども、二年ほど中止の状態になっておりましたが、それにかえて新しい立法措置で準要保護児童に給与をいたしたい、こう考えております。明年度は取りあえず小学校の児童だけを対象にいたしまして、大体対象人員は二十一万ほどでございます。 第三番目に特殊教育の振興でございますが、いろいろございますが、備考欄にございますように、盲ろう児童の就学奨励費、これは法律もございまして、義務制の分につきまして就学奨励の補助金を出しておりましたが、一応中学三年までの義務制が完成いたしましたので、明年度は高等部にこれを及ぼしたい、こう考えて予算を要求いたしております。特に盲学校における点字教科書の問題が印刷あるいは入手の面でいろいろ問題がございましたので、明年度高等部の生徒に対しまして教科書の購入費を補助するという金額を約二百万ほど就学奨励費に加えて要求いたしておりますし、備考欄の(5)にございますように、点字印刷機をさらに一台購入いたしまして点字教科書の印刷を促進したい、こう考えております。 その次のへき地教育の振興の経費でございますが、明年度は主として教育内容の面に力を注ぎたい、こう考えまして、備考といたしましては備考欄の(3)にございます単級複式学校の教育課程作成というこの経費を新たに計上いたしたい。 それかう四番目にございますへき地勤務の小学校教員の臨時養成、これは従来からございましたけれども、金額が不十分でございましたので、それの増額をはかりまして十三カ所の臨時養成機関を設置していく、こういう点に主として力を注いだわけでございます。 その他の点につきましては大体前年度と同様の金額でございます。 その次に学校給食の助成の項でございますが、最初に教科書におけるいわゆる準要保護児童対策と同じように、給食につきましても同様の措置をとりたい、こう考えまして五千万を要求いたしております。 それから学校給食の施設設備の関係では前年度五千万に対しまして本年度一億五千万要求しておりますが、念願の中学校にまで学校給食を及ぼすという考えでこれも別途改正案を出して御審議を願う予定でおります。 その次に教科書制度の改正でございますが、これは昨年来教科書の検定、発行された点についていろいろな議論もございまして、ただいま教科書の制度につきまして全面的な改正案を検討中でございますが、それに伴う新しい予算措置でございます。内容といたしましては、教科書の検定関係では新しく検定の審議会を設ける、それから発行の審議会を設けるということと、検定事務の強化ということで金額を計上いたしました。特に従来非常勤の調査員でやっておりました検定を改善するためにその一部を常勤の調査官に置きかえることにいたしまして、別途人件費として調査官四十五人分の人件費を計上いたしております。 それから採択面につきましては、従来の短期間の展示会制度を改めまして、いわゆる常時教科書の研究と展覧に供する意味の常設展示会場、あるいは教科書のセンターというような構想を考えまして、それに要しまする最初の設備費の補助三千万を計上いたしております。予算的には大体六百カ所を予定して三千万を計上いたしておるわけでございます。 その次に教育内容の改善充実の項でございますが、最初に文部省におきまずる地方教育に対する指導機能を充実するという前提で、現在二名おります視学官を六名に増員いたしましてその人件費を別途に計上いたしますとともに指導に伴う経費を計上いたしております。 それから教育内容の刷新改善は従来に続きまして指導要領の改訂、これに伴う手引書等の予算を計上いたしておりますが、事項欄にあります指導行政学校管理担当者連絡協議会、それから学習指導要領等趣旨徹底、教員の資質向上、この三つの事項につきましては地方に対する国の教育内容の指導あるいは趣旨の徹底、教員の講習会というようなものを充実していくという意味で、それぞれ金額は少額でございますけれども増額して要求いたしておるわけであります。 次のぺ-ジに入りまして産業教育、それから理科教育、学校図書館、これの補助金でございますが、それぞれ法律の保護費がございまして、高等学校に対する教育の振興を援助してきているわけでございますが、これらの経費は補助金でございますので、地方財政との関連が深い経費でございまして、特に三十年度の後半から三十一年度にかけましての予算を通じて地方財政の再建という大きな課題がございました。補助金をある程度自粛するという基本線がございましたために、全体として前年度に比べて金額が落ちたわけでございます。しかしこの落ちた中でできるだけ従来の実績から重点的なものは確保していくという考え方をとって参りましたが、この中で変りました点は、理科教育振興では明年度三億六千百万の予算の中で、新たに私立学校を対象といたしまして一千万を私学に向ける考えでおります。学校図書館の方におきましては従来図書の一冊当りの単価が低くて、実際に副わないという御批判が多かったので、単価をそれぞれ改訂いたしまして、実績に近付けたわけでございます。 その次の文教施設整備でございますが、最初の国立文教施設の整備、これは前年度に対しまして約一億三千万増で要求いたしておりますが、中身におきましては昨年から立てております緊急の整備計画に暴きます第二年度といたしまして病院施設の緊急を要するものの整備及び戦災復旧の整備というようなものに重点をおきまして、計画に従って予算を計上いたしております。 それかう公立文教施設の方は前年度に比べてこれは一億ほど金額が減じておりますが、これも先ほど申しました地方財政に対する再建という面での補助金の、政府全体の補助金に対する政策から出たために金額が一億ばかり落ちて参りましたけれども、内容的には従来からいろいろ問題のありました補助単価の是正を第一に取り上げております。それかう第二番目に木造、鉄筋あるいは鉄骨の構造比率を引き上げまして、公立文教施設の質的充実をはかろう、こういう考え方を内容にいたしております。備考で若干補足いたしますと中学校屋内運動場の補助金でございますが、これは従来積雪寒冷湿潤地帯を対象といたしておりますのを、明年度から必ずしもこの地帯に限らず一般に及ぼしていきたいという考え方をもっておりますし、老朽危険校舎の改築におきましても前年度より一億五千万減でありますが、高等学校分につきましては若干ながら金額を伸ばしております。 それから新たにこの表で申しますと、一番下に公立小中学校の統合特別助成補助金、これを新しく起したわけでございます。金額は三億でございますが、町村合併の振興して参るに従いまして学校統合という問題が起ってきております。これは町村合併の実を上げるという点で非常に必要なことでございます。と同時に、小規模学校を適当な所に統合いたしますことは、教育水準の向上にも、あるいは経費からみた学校経営の合理化のためにも役立つと、こう考えまして、新しく学校統合特別助成補助金を三億計上いたしたわけであります。 その次の。ぺ-ジに入りまして、学術の振興という項でありますが、前年度十四億に対しまして二十四億五千万、約十億弱の増でございますが、中身で主な点を申し上げますと、最初に国際地球観測年事業、この経費が八億八千七百万円増になっております。備考にもございますように、新たに南極地域の観測経費をこれに含めておりますが、明年度の計画といたしまして、南極地域の観測に七億五千万、それからその他の国際地球観測年事業といたしまして二億二千五百万円、合せて九億七千五百万円を計上いたしておるわけであります。なお、補足いたしますが、南極地域の観測につきましては、砕氷船の建造費を必要といたしますが、すでに三十年度からその改装の事業を進めておりますので、それに伴う経費を三十年度の補正予算として別途五千三百万円計上いたす予定でおります。科学研究費の事項は、前年度と同じ方法で組んでおります。四番目に新たに私立大学理科特別助成補助金というのを五千万円計上いたしておりますが、これは文部省の中央教育審議会におきまして、私学振興の方策として特に理科系大学の助成という御意見もございまして、経費のかかる理科系の私立大学について特別助成をいたそうと、こう考えて五千万円計上いたしましたが、主として初年度は設備関係を中心に助成をはかりたいと、こう考えております。 七番目の国際文化の交流の事業といたしまして、備考欄にございます四番目の外国人留学生宿舎建設費補助、これを明年度新しい事項として要求しておりますが、御存じの通り、現在日本の国費によって外国人の学生を招聘しておりますが、この学生たちのために宿舎を建設しようという考えで、新たに二千八百万を要求いたしておるわけであります。その他は従来の事業の継続でございます。 六番目の勤労青少年教育の振興の面では、定時制高校及通信教育の整備、それから青年学級の振興でありますが、これも先ほど来申し上げましたように、補助金の関係でございますので、減額をやむなくされておるわけでございますが、中身においてはそれぞれ法律に基いて従来通り施行いたして参る考えでおります。 その次の育英事業等の拡充でございますが、そのうちの育英会の経費でございますが、明年度四十二億を要求いたしておりまして、金額的には前年度と大した伸びを示しておりません。しかし、育英会自身におきまして、返還金の額が次第に増加して参りまして、これを学生に対する貸与金に使えることになっておりますので、その償還額が明年度三億四千万円ほどございますので、国の貸付金は四十億でございますが、貸付は大体四十四億ぐらいできる見当でございまして、中身において、大学生において従来三千円口と二千円口がございましたのを、三千円口を拡大することと、それから高等学校の貸与金が一律に七百円でございましたのを、継続分について千円口を新たに設けるということで単価の増を図っていく考え方でおります。学徒援護会は、新たに第二相談所を設置して学生アルバイトの斡旋をいたそう。それから学生寮の建設は、前年度と同じように一千人分を目途にいたしまして三千万円を要求いたしております。 私学振興は、特に顕著なものは変更はございません。 社会教育でございますが、社会教育の一般の社会教育助成、この費目では、備考欄にございますように、(5)、(6)、明年メルボルンで第十六回のオリンピック大会が行われますので、その選手派遣費を二千万円計上いたしております。それから続いて東京でアジア・オリンピック大会の開催が予定されておりますので、それに必要な体育施設を整えるための準備費、設計費等を含めまして千五百万円、これが新しい事項でございます。社会教育特別助成金でございますが、これは前年度七千万円に対しまして同額でございまして、前年度ございましたいろいろな事業の中から重要なものを続けていくという考え方で計上いたしております。この助成金の中で次のぺ-ジでごらんいただきたいのですが、明年度、ことに重点をおきましたのが婦人教育の振興、通信教育の振興という項目でございます。婦人教育の振興につきましては、新たに四百四十九万八千円を計上いたしまして、各府県における婦人学級の振興を図っていこう。それから通信教育の振興、これは現在勤労青年約文部省認定分で十三人万人ほどの受講生がございますが、その通信教育の普及事業に二百五十万円を増して計上いたしております。それから現在学士院と並んで芸術院というのがありますが、芸術院は自分自身の会館を持っておりませんので、新しく芸術院の会館を購入するために二千万円を計上いたしました。 ユネスコそれから文化財保護事業、これら等については、だいたい従来の線を継続いたしておりますが、特に文化財保護事業におきましては、備考欄にございますように、三番の国立劇場を作るという案がございまして、明年度はそれの設立準備費、これも設計費等が中心でございますが、これを新たに計上いたしましたことと、日本の古美術展覧会を海外で開催するのと、それから奈良の飛鳥朝の遺跡を調査する、これらの事項が新たなものとして計上されております。 その他のものを一括いたしまして最後に計上いたしておりますが、三角が合計で三億六千九百万円ついておりますが、これは三十一年度においては三十年度災害が前年度において減っておりますので、災害減のために三角がついております。 特に文部本省の人件費でございますが、備考にございますように、教科書関係の調査官四十五名、それから指導機構充実のための視学官六名、計五十一名の人員増を含んでおります。 最後のページに国立学校の、総括費用が載っておりますが、国立学校の総経費前年度三百八億に対しまして三百三十三億八千万、約二十五億の増になっておりますが、これの内訳はお手元に別の資料がございますと思いますが、そちらの裏の三枚目にございますのでごらんいただきたいと思いますが、国立学校の経費といたしましては基準経費では教官研究費、講座研究費でございますが、講座研究費約一〇%、それから学生経費約二五%の増を考えまして、基準経費の増を見込んだわけでございます。 新規の経費といたしましては、それぞれ従来の不完全講座の充実等をはかっておりますが、学科におきましては名古屋大学と九州大学に航空工学科を新設いたす考えでおります。病院は診療室その他の増がございまして、前年度と比べて六億ほど伸びておりますが、研究所、いろいろございますが、ここで新たに京都大学にウィルスの研究部門を設置いたしまして、これは先ほど提案理由がございました法律改正を要する問題でございますが、そのほか研究部門の増設といたしましてここに書いてございますが、おもなるものは東大の田無の原子核研究所を新たに六部門増加いたしまして、従来の四部門と合せて十部門に明年度からなります。それから上から四番目の化学研究所、工学研究所の二部門の増は、これは京都大学の化学研究所及び工学研究所の二部門をそれぞれ原子力基礎研究に振りかえて、ここで原子力基礎研究を始めたいという構想でございます。前に戻りますが、大学としては大学の新規経費の四番目に原子か基礎研究施設の新設、東京工業大学において原子力の基礎研究をいたしますし、京都大学でこの化学研究所、工学研究所、これらの部門で原子力の研究をいたそう、こういう考えであります。総計二十五億ほど国立学校関係で経費を増加いたしております。前に戻って恐縮でございますが、総締めで文部省経費明年度千三百五億三千四百万、前年度の千二百三十八億に対しまして大体六十七億の増でございまして、明年度一兆三百五十億の一般会計予算に対しまして、大体二二%を占めておるかと思っております。 以上明年度の要求事項別に従いまして概略御説明申し上げました。
○委員長(飯島連次郎君) 本件につきましては本日は説明を聞く程度にとどめておきます。 ―――――――――――――
○委員長(飯島連次郎君) 次に当面の文教に関する諸問題について質疑の御要望もありますので、順次御発言を願います。
○湯山勇君 大臣にお尋ねしたいと思うのですが、これは先般衆議院の方でも取り上げられまして、大臣もそれに対して御答弁になっております例の長崎県の教育委員会における給食粉乳の横流しの問題でございます。これは新聞で見ますと、大臣は学校給食法に罰則を作ることも検討したいというよろな御発言があったように新劇は伝えておりますが、いろいろ報道されたところを見ますと、今回の長崎県における問題は氷山の一角であって、他にもこういう例が相当あるのではないかという疑惑を持たれております。なおこれに対しては法律的に刑罰がどのようになるにもせよ事態そのものは非常に悪質なものであって、これに対してはやった者その者もありますけれども、文部省自体にも非常に大きな責任があるのではないかというようなことも考えておりますので、その後における新聞等に報道された以降における文部省の方で御調査になったその内容、事実、これに対してどういうふうに御判断になっておられるか、さらにまたこれに対する対策はどうお立てになる御用意があるか、それらの点について一応大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(清瀬一郎君) 実に遺憾な事件でございまして、今回の具体的事件についてはやった関係者はみな今逮捕されております。記録は押収されておりまして、正確なる実相はいまだ十分にわかっておりません。他の県にも同様のことありという新聞も出ましたから、文部省の力をもって各方面に報告を求めておりますけれども、いまだまとまった報告を得ませんから、具体的の報告がまとまり次第この委員会に御報告申し上げたいと思います。これはむろんこちらの方で要求数量に対する配当をなす際に一そう厳重に取り締るべきでありましたが、それに手落ちがあるものと思って非常に恐縮に存じております。この学校給食のことは世間で評判がいいので、これは恒久の制度となるべき性質を持っております。今は小学校だけでありますが、中学校にも及ぼしたいといろ希望を持っておりますから、この制度全体について一つ検討して、こんなあやまちを再びしないように考えております。
○湯山勇君 大臣は各方面の報告を今おまとめになっておる段階だとおっしゃいましたのですが、文部省の事務当局等にお当りになりまして、他の県にもおそらくこういう事例がおありになるだろうと御判断になりますか、あるいは長崎県だけの待殊の事例だというふうにお感じになっていらっしゃ、いますか、現在大臣のお見込みを一つ伺いたいと思います。
○国務大臣(清瀬一郎君) 主観的の見込みを申し上げても御参考にはならぬと思いますが、同様なことがあまりたくさん他県にあるとは私は考えておりません。
○湯山勇君 主観的なことをおっしゃってもあまり何にもならないという大臣のお考え方に私は大へん不安を覚えるものでございまして、今他にもそういち例がある、他の県でもやっておるのだから別に不都合ないじゃないかとは申しませんけれども、他にもたくさんこういう例はあるということを当事者は申しております。他にもたくさんあるのであれば、ありそうであれば、これに対して文部省として打たねばならない手がありますし、他にはそういうことはあまりないだろうということであれば、またそれに対応する文部省の態度があると思いますので、私はそういう前提に立って考えれば、今他の県にそういう事例がたくさんあるだろうか、ないだろうかという見通しは、単なる主観ではなくてよほど御検討になって、ある見通しは大臣としてもお持ちにならなければこれに対応する方法、手段が立たないのではないかということを考えますがゆえに、今のお尋ねをしておるのでございますから、そういう点から一つ大臣重ねて御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(清瀬一郎君) 湯山さんはそういうことが起らないように、あくまで御心配のあまりの御質問だと思っておりまするが、この問題が起りまして、また新聞にもこのほかの地区にもたくさんあるということが出来ましたので、われわれもあわてて各方面の報告を求めておるのであります。もしたくさんあるならば、こちらの方へ直ちに何か反応がありそうなものでございますけれども、他に、もう一つ違ったこれと同じような横流しがあろうという報告はまだ集まっておらないのです。こちらの方はなるべくなければいいが、またこの事件自身もそう広がっておらなければいいがと念じつつ、まあ今日まで暮しておるわけでありまして、詳細なる事実がわかりましたら、この委員会にも、衆議院の委員会にも報告申し上げる約束をしておりまするから、直ちに報告をいたします。
○湯山勇君 これは大臣にお聞きするよりは担当局長にお尋ねした方がいいと思いますのでお尋ねいたしますが、私どもはこういう風聞を、事実は存じませんけれども、どうも粉乳の横流しがあるのではないかというような風聞はもう一昨年あたりかう耳にしております。局長はそういうことをお聞きになったことはありませんか。またそういう段階において何か御調査になったことはありませんか。
○政府委員(小林行雄君) 給食用の輸入されました脱脂粉乳が一部横流しされておるのではないかといううわさも私ども伺ったことございます。しかし私どもといたしましては、いろいろブロック会議等で相談した際にも、そういった点について触れたこともございますけれども、まあ一応各府県とも絶対にそういうことはないということでありましたので、まあそれを実は信頼しておったのでございます。先国会でこの学校給食会法案が御審議になりましたときにも、一部にそういう横流しという事実があるのではなかろうかということも承知いたしまして、そのときにもまあ文部省としてはできるだけこれは風聞だけであってほしい、実際にそういうことの、事態のないようにできるだけ注意してくれということは、くれぐれも会議ごとにいっておったわけでございます。前にもそういった点で、書面で各府県にも各府県の取扱い者の注意を促したこともございますけれども、実際各省がこういった事実として現われてくるというようなことは今までございませんでしたし、また文部省も予想しなかったことであります。
○湯山勇君 そういう風聞もお聞きになるし、注意もなさっておりながら、この各府県からの申請に対する査定が、ほとんどこれは査定というのは名前ばかりで、何といいますか、申請通りに十分な検討もしないで出されておった、そういうふうにしか考えられないわけですけれども、注意もするし、そういうことなければいいということを文部省の方でもお考えになりながう、それに対する文部省自体の態勢ですね、これは今日まで何もとっておられなかったかどうか。その点私は非常に問題があると思いますので、局長のこれも御見解を伺いたいと思います。
○政府委員(小林行雄君) 御承知のようにミルクの各府県からの申請につきましては、年度当初と申しますか、前年末に来年度一年間の大体の需用量の申請をとるわけでございます。そうして一応文部省としては大体の給食の実施延べ人員、それから一回の使用量、それから給食の実施日数というようなもれをにらみ合わせまして大体の量が適当であるかどうかということを一応審査しているのでございます。ただ審査に当りましては、特別に大きな変動のないような場合には、多少の上下はありましても一応それをのむ、と申しまたのは、給食はだんだん最近普及してきておりますので、漸次その粉ミルクの使用量も増加してくるという状況にございますので、特別に大きな開きがなければ一応その府県からの申請量というものはのむというような態度で従来やっておったのでございます。今回の長崎の事件につきましては、長崎から三十年度の第二四半期の申請量が急増いたしましたので、その点について係の者が不審を持ちまして長崎県のほうに問い合わせをいたしました。そうしてその問い合わせの返事では、最近長崎県内の島の部分で急激にこの給食の普及と申しますか、人員が伸びてきたので、やはりぜひこれだけは必要であるというような回答でありましたのと、それからその後に担当の課長が出て参りましたときに、文部省内でその説明を聞きましたときにもやはり同様な説明でありましたので、一応それを信頼したということでございます。しかしいずれにいたしましても、そういった水増しの申請が看破できなかったということは、確かに審査が完璧ではなかったという証拠になると思いますので、今後はこういった申請の審査につきましても、文部省としては一そう自戒して、厳重にやりたい、こういうふうに考えております。
○湯山勇君 長崎県で給食会館を作るというような計画があるというようなことは、局長はお聞きになっておりませんか。
○政府委員(小林行雄君) 文部省としては全然伺っておりません。そういった県の方でそういう給食会館をお作りになるということは全然伺っておりません。
○湯山勇君 今日もなおそういうことは御存じありませんか。
○政府委員(小林行雄君) 先般事件が起りましたあとで、吉岡課長が事京に見えられたときに、私のところに見えましたが、そのときにはそういうことを言っておられましたが、それまでは全然私どもとしては伺っておりません。
○湯山勇君 大臣にお尋ねいたしたいと思うのですが、ただいまお聞きのように、局長の御答弁を聞いておりますと、結局文部省がだまされた、簡単に言えば文部省がだまされたのだというような御答弁になるわけだと思います、結論的に申せば。そこで私はなるほどだまされたことには違いないにしても、これだけ大きな事件を起しておいて、単にだまされたということだけでは私はこれは済まされない問題ではないかと思うんです。これはもっときつい言葉で言えば文部省の怠慢、あるいは不見識、そういうことになるのではないかと思います。もっとうがった観測をすれば、危険校舎にしてもあるいは定員増にしても、こういう直接国の金の出るところについては非常にきつい査定をして、ずいぶん地方の要望を押え、押えてきている。ところが一方余剰農産物その他で贈与があったり、他からの恩典のあるものについてはきわめてルーズで、むしろ今回の事件の起った元を突っ込んでいけば、それは文部省だけの問題じゃなくて、政府全般の問題ですけれども、地方財政に対する圧迫をじゃんじゃん一方では加えている、一方ではこういう直接政府の金をあまり払っていないものについては贈与の面なんかについてはそれと逆にきわめてルーズである。こういういびつなやり方が結局事ここに至らしめたのであって、私も大臣と同じようにこういう事態が今後起らないことを願っておりますし、他の県からは絶対出てもらいたくないのですけれども、しかしこれは単に希望だけであって、すでにもみ消し運動なんかも起っているという事実もあります。そういたしますと、まだまだ他にもあるということになれば、これは私は文部省としての責任も、ただ済まなかった、遺憾であるだけじゃなくて、非常に大きいものがあると思うのですが、大臣はこれらの点をどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(清瀬一郎君) 過去に起りました事柄についてはその軽重により関係人の反省を促す手段はあろうと思いまするが、今回の経験にかんがみまして、このあやまちを再びいたさないように国の制度、制度といえば法規ということになりますが――を改革してあやまちを再びせぬように、すなわち災いを転じて福となすというふうなことにいたしたい、かように考えております。
○湯山勇君 そこで大臣にお尋ねいたしたいのは、大臣は衆議院でお述べになったように罰則を設ける、そういう方法でもって今のようなお考えで今後こういうことが起らないようにしようというふうにお考えになっておるのであれば、私は大へん問題だと思いますので、重ねてお尋ねいたしますが、大臣が今後こういうことが起らないようにしようという内容は単に罰則をつけるというような性格のものか、もっと別なこともお考えになっておられるか、これをお尋ねいたしたいと思います。
○国務大臣(清瀬一郎君) 私は他の機会でも言ったように、行政の運行が罰則だげでいけるとは思っておらないのです。法律家というものはかえって法律ばかりによることはいやなんです。しかしながらこの事件が起って学校給食法というものを見ますると、一たん配給を受けたものを外へは使うなという規則まではあるのです。だが使ったらどうなるということはないので、あの通り、私はこの事件で刺戟を受けました結果、これはいかんと考えたことは事実です。それからあれには小麦及び小麦粉が書いてあるのですね。ミルクその他のものについてはほかに使うなという規則さえもないのです。ですからこの点についても今回の事件をよく掘り下げて考えてみまして、何か適当な法制上のこともあろうか。もう一つは監督ですが、監督と申しましても湯山君御承知の通り今の文部省は何ら手がございません。これなどは監督するのにはどうしたらいいだろう。東京に座っておって親戚に電話をかけるくういのことじゃ、これはいけることじゃございませんから、何か工夫をいたしたいけれども、今回の事件は天から教えてくれた教訓でございます。これがすっかりわかりましたら、どこに欠点があるかを掘り下げて、私自身も考え、局においても考えてもらいたいと思っております。
○湯山勇君 最後に要望を兼ねて大臣にお尋ねもいたしたいと思うのですが、監督のことを今おっしゃいましたが、監督は昨年の給食会の法律のときに立入検査ができるように改正になっておりますから、これは私はいいんじゃないかと思うのです。で、大臣のおっしゃったような法制上の問題も確かにあると思いますが、しかしただこういうふうに大臣が罰則を設けるのだというようなことをおっしゃいますと、もみ消し等のさらに悪質化したものを、悪質化させるような懸念もありますから、簡単に大臣が罰則を設けるというような言葉はおっしゃらないようにしていただきたいと思うのです。これは私の主観的なお願いかもしれませんけれども、あるいは新聞が真偽を誤り伝えたのかもしれませんけれども、そういう方法でなくして、やはり大臣とされましては、このことによって罰則を強化するとか、その他のことによってせっかくここまできておる給食がこれで頓挫するというようなことがあれば、かえって角をためて牛を殺すような結果になると思いますので、あくまでも給食をさらに発展させるという立場に立っていろいろな対策、それから大臣の御見解の発表を今後ともお願い申し上げたいし、文部省自体、先ほどの、単にだまされたというので済まさないで、文部省自体これは十分一つ御反省願って、こういうことのないように、給食の面だけでなくて全般的に政策の中において給食を十分御認識になった対策をお立て願いたい、こうお願いを申し上げるわけでございます。
○国務大臣(清瀬一郎君) 今湯山さんの条理を尽した御意見には敬意を表します。そのようにいたしたいと思います。
○安部キミ子君 大臣にお尋ねいたしますが、新聞によりますと、こういうふうな事態が起ったのも結論的に言って文教予算が少いからというふうに報じております。と申しますのは、その費用を個人のために使ったかというふうに考えますと、そうではなくて、これは公金である、教育委員会の予算が少いから、その教育委員会のために事務費だとか、あるいは滞在費だとか、旅費だとかいうふうに使った、こういうふうに当事者は言っているようでございますが、こういうことになりますと、文部予算が少い、教育予算が少いというふうな発言は、結局これは文部大臣の責任であるのじゃないかと、こういうふうに考えますが、大臣はどう考えられますか。
○国務大臣(清瀬一郎君) こういう不祥事件が起ったのは、おそらく私か、私の前任者かの責任であろうと存じまするが、文教予算が少かったからというのには、私は少し飛躍があるかと思うのです。今新聞に載っているのは逮捕された人が弁明に言うていることですね。自分が遊興に使ったのでも飲食に使ったのでもない、給食会館を作るためだ、本当に給食会館を作るのでも文部省の費用で作るべきものじゃないので、地方自治体の費用で作るべきものだと思うのです、義務教育の学校に対する施設ですから。むろん文教予算は多い方がいいと思います。しかし先刻も政府委員から説明いたしました通り、わが国予算の一三%、世間でやかましく言われる防衛庁の予算よりもずっと大きいのであります。日本は将来もっと盛んな国にいたしたいのでありまするから、文教予算は一そろ取りたいのでありまするけれども、予算の取り方が少かったからこの事件が起ったというのには一つ私は飛躍があると思うのですが、いかがでしょうか。
○安部キミ子君 局長さんにお尋ねしますが、事務費だとか滞在費が少くてそれに使ったというふうなことが言われておりますが、あれはほんとうですか。
○政府委員(小林行雄君) 私が県の課長から聞いたところでは、一応県の給食会館を立てるためにというふうに聞いておりますが、しかしいろいろ警視庁等から入って来ますニュースによりますと、まあ、事務費あるいは旅費、指導費というようなものにも一部使ったらしいということが言われております。
○安部キミ子君 ただいまのお話がありますように、大臣この金はそういうふもな教育関係の費用に使われているのですね。そういうことになれば、私はやはり教育の予算が少いということになっているのじゃないか、はっきりしていると思いますが、どうですか。
○国務大臣(清瀬一郎君) 安部さんのおっしゃることに、しいて私討論を加えるのじゃございませんけれども、何を申しましてもまだ捜査中でございますから、私も刑事の問題については多年携わったことがありまするが、被告人、被疑者というものは、何とか自分の立場をジャスティファイするために一応の弁明はするものであります。この事件がもう少しよくわかりましてから反省研究いたしたいと存じます。
○安部キミ子君 そうしますと、今の御答弁は一応了承しまして、もし今後この犯人の人たちの口かう事務費に使ったとかあるいは旅費に使ったとかというふうなことがはっきりいたしましたときには、大臣は今述べられましたこの発言をどういうふうに責任をもたれますか。
○国務大臣(清瀬一郎君) 今申したことはどれも私は責任をもちます。
○安部キミ子君 それから、もう一つ局長にお尋ねするのですが、幾らの金額が何といろ会社に横流しになったか、はっきりした御答弁をいただきたい。
○政府委員(小林行雄君) 私の知っている範囲内におきましては、大体約五万ポンド、これは二百五十ポンド入のドラム、ファイバー・ドラムのものでございますが、これが二百本、五万ポンドのものが横流しされたというふうに承わっております。これも私どもの官庁のルートから聞いたものではありませんので、はっきりいたしませんけれども、必ずしも正確でないかもしれませんけれども、長崎県が青木正人というブローカーにり渡したというふうに承わっております。
○安部キミ子君 それがどこのミルク会社に渡されたか御承知ありませんか。
○政府委員(小林行雄君) それが昭栄食品工業株式会社というところへ売り渡されたように承わっております。
○安部キミ子君 それは金額していかほどになりすか。
○政府委員(小林行雄君) その辺のところまでまだはっきり正確に承わっておりません。
○安部キミ子君 新聞によりますと八千万円どいうふうに、ある新聞には出ていたと記憶いたしますが、これくらいの金額ですか。
○政府委員(小林行雄君) そんな大きな額にはおそらくならんと思います。
○安部キミ子君 それで私大臣にお尋ねしたいのですが、こういうふうに金の面で不正が行われているということも重大な問題でありますけれども、ことが教育庁で起った事実、しかも児童生徒が飲まなければならないミルクがこういうふうな業者のために横流しになって、しかも教育庁の役人の人たちがこういうふうなことをした、あるいは教育委員会の人が参加しているかもしれませんですが、そして教育関係にある人がこのような不正なことをするということは、これは道徳的見地かう言って重大な問題だと思うのです。私どもが道徳教育とか、あるいは人格の養成とかいうことを言いましても、また現場の先生たちが口すっぱく言われましても、教育庁の中で文部省のミルクが不正にこういうふうに横流しされるというふうなことは私は教育上ゆゆしい問題だと思うのです。そういう点で大臣はどういうふうな見解をもっておられますか。
○国務大臣(清瀬一郎君) これは教育の上においても非常に悪影響を及ぼす事件だと存じます。県教育委員会のことは県立の学校、またその県下の町村立の学校の子供にはすぐに耳に入ることでございますから、順法精神を説く学校に関係する者が、こういうことを犯したということは、通常の刑事事件と違って文教のためには実に遺憾なことでございます。こういうことが再び起うないように十分に注意し、国の制度も、また行政の監督も、これを機会に一層厳密にいたしたいと、かように考考えておるわけでございます。
○安部キミ子君 この問題が正確な調査が終りていないという当局の答弁でありますので、その正確な調査が終りましたら私はもっと突っ込んだ質問をしてみたいと思います。ただ、ただいま大臣もおっしゃっておられますように、事が教育関係で起った不祥事件でありますから、一そうに念を入れて、そうしてこの疑惑が国民に解けるような正しい裁きをしてもらいたい。そして今後のこの問題に対する文部省の遺漏のない対策を立ててもらいたいと思います。一応私の質問はこれで終ります。
○国務大臣(清瀬一郎君) 了承いたしました。
○湯山勇君 ちょっと今のに関連して小林局長にお尋ねいたしますが、これはどこに売られたかということは全然わかりませんか、新聞にはいろいろ発表になっているのですけれども。
○政府委員(小林行雄君) 先ほどお答え申しましたように青木正人、これは大原平一というものと同一人でどっちが本名だかわかりませんが、大原平一、または青木正人というものに売却した、それは大体ブローカーのようでありまして、これから正式に買いましたものが大体昭栄食品工業株式会社というもののようでございます。
○湯山勇君 昭栄を通じて、たとえば新聞の報ずるところによれば明治乳業株式会社に転売しておった、あるいは転売しようとしておったというようなことがありますが、そういう事実は御存じありませんか。
○政府委員(小林行雄君) 私どもとしては全然そういうところまで承わっておりません。
○湯山勇君 これはやはり若干怠慢で、そういうところへこういうふうに売っているとか、売ろうとしているとかということがあれば、文部省もそういうところへ当って、そういう事実がないかどうか、これは別に逮捕されておるわけでも何でもないのですからお調べになるべきだと思うのです。ただ各府県からの報告とか、取調べの結果を待っておるというのではなくて、別に文部省取り調べるのではなくて、調査ですから、そういう事実がなければ安心していいし、疑惑を持たれている点で文部省で調査のできるところは調べて、そうして当委員会へも先ほどのような答弁ではなくて、もう少しここまではこうだと言えるような答弁をすべきだと思いますが、いかがですか。
○政府委員(小林行雄君) 文部省といたしましても事は重大でございますので関係の警視庁なり、税関なり、あるいは地検等にもいろいろ連絡しておるのでございますが、いずれもまだ捜査の段階で内容をお話することができないというようなことでございますので、私どもの今まで知り得た範囲内のことを御説明申し上げたわけであります。
○湯山勇君 新聞に出ている明治乳業あたりへお当りになる御意思はありませんか。
○政府委員(小林行雄君) 私ども明治乳業という名前を承わったのは実はきょう初めてでございまして、私はまあうかつかもしれませんが、初めて承わったのでございまして、そういうことが新聞に出ておりますれば、そういったところとも連絡をとってみたいと思います。
○秋山長造君 問題は別になるのですけれども、私この際文部大臣にお伺いしてみたいと思うのですが、今自治庁で地方公務員法の改正を準備中のようです。この地方公務員法の改正の中にはこの教員の停年制をも含んでおるということが伝えられておる、そうしてわれわれの聞くところでは昨年の二十二特別国会当時同じ問題が出た際、文部当局は教員をこれに含めるということに対して非常に強い反対をとってきた。その結果あれはできなかったわけです。ところが今度は文部当局も、この教員に停年制を適用するということに対しては、ちょっと気持が変って、相当好意的な態度だ、従ってこれはおそらくものになるのじゃないかということを聞くのですが、これが事実であるかどちかということをまずお聞きしたい。
○国務大臣(清瀬一郎君) 秋山さんは最も早く情報を得ておられるのですが、実はまだ閣議でも、先刻は話が出ませんでした。明日は出るのだろうと思います。情報の早いのには驚いた次第です。今度は地方の公務員は、全般に教員という名前は出ておらんです。地方の公務員全体に停年制をしくわけであります。しかしながらその中に公務員の職務の性質によって、今度のは政府の法律でするのじゃないのですね。地方公共団体の中で、県の方で停年制の条例を作ってもよろしいけれども、作る際には職種によって特殊性は考えると、それからまた恩給に若年停止ということがあって、権利はとっても、まだ本人の実際の年令が若いからというのでもらえない人があります。たとえば三十年勤めても二十才ごろからで、まだ五十にならん。そういうふうな場合には、これもまた考慮するというような、教職員に適用されそうな場合には、特殊な考慮を払うという情報があるらしいのです。私もまだテキストを十分に調査しておらんのですが、明日ぐらいは出そうなんです。そういうことでありましたらどうであろうか。あるいは考慮しなければならんじゃあるまいか。一方また今教育界の状況はあなたが一番よく御承知のように、何ですか、下の方の人が世間で言う、後進のために道を開くということも、これも一つの考慮でございまするから、それやこれや考えて、やはり一般の公務員がやるのであるから、そういう場合にはひとつおつき合いをしなきゃなるまいかと先刻以来考えておるところでございます。あまりあけすけに言い過ぎて悪かったかと思いますけれども……。
○秋山長造君 これはまあざっくばらんにもう少しお尋ねしたいのですが、昨年文部省なり、大蔵省なりが、この停年制の問題を持ち出したのですね、御存じの通り。文部省なり、大蔵省なり自治庁の持ち出すのは、これはまあ一応理由はあるのですが、要するに財政面で困るから年をとった人は俸給が多いので、一人やめてもらえば若い人を二人使えるではないか。こういうきわめて簡単な議論、しかしまた一方われわれ教育の重要性、あるいは特殊性というような立場に立って考えると、こういう簡単な割り切り方はいわば俗論だと思うのです。その点まではだれでもおそらく御賛成下さるだろうと思う。だからこそ昨年のあの当時文部当局はこれに猛反対をされ、当時の松村文部大臣も先頭に立って反対されて結局教員は除く、こういうことになったと思うのです。この考え方に清瀬文部大臣は御賛成なさるか、それともそれは松村さんの一人考えであって、おれは違う、こういうお考えであろうか。その点どうですか。教育の特殊性ということから考えても、やはり停年制はやるべきだとお考えなのか。
○国務大臣(清瀬一郎君) 理論としてまた理想として前任者の考えておられることを私宅同様でございます。去年の秋に私が職務を持っておったら、松村君と同様な態度をいたしたと存じます。しかるに前国会、今度の国会の重点は、まあ地方の赤字解消というんで、その圧力がだんだん重くなってきたですね。ソ連の外交といったような国家的な大きな問題がありまするが、この国会の一番重点は地方の赤字解消だろうと思うのです。その世論の圧力があるのと、あの体育大会の持ち回りの問題も、やはりこれに関連して、一ぺんどうかしてこの赤字ということが、国会内の大きな空気でもあるという外部の変化と、それからして今度の案にはさっきも申しました通りですね、職員の特殊性を顧みるということを自治庁の担当者に特殊性というのは何だ。僕が担当しておる学校教員は特殊じゃないかといったら、その通りで、それは特殊性だという答弁を先刻も受けております。 また退職金、一時年金との関連においてここで停年にはなった。しかし退職金はまだもらえんのだといったようなことの不都合がないように、そういうことも考える。いろいろと緩和方策も考えられておるんでありますから、この際にこれに向ってあまりにも強硬な反対もできないじやないかと私今考えておるんです。
○秋山長造君 その案の中に特殊性ということがあるというお話なんですけれども、しかしその特殊性ということによって実質的に教員をこの停年制かう排除するという方策は別にあるわけではないでしょう。その点はいかがですか。
○国務大臣(清瀬一郎君) 完全な保証にはならんと思います。これを作るのは何としても各府県であります。しかし府県の条例を作るに際して今回の法規には特殊性を顧みると。学校の教職員といったのはやはり老練なる長年やっている人が続けてやる方がいいという特殊性があるということは、精神的に条例を作りあるいは条例を審議する議員には大きな拘束の材料とはなろうと思います。しかしあなたもおっしゃる通り、非常な大きな担保を願ったというふうに私が言うたならば、これは誇張で言い過ぎかと思います。しかしともかくも国の法律である。こうする以上は民主主義、法治国家でありますから、全く無効なものだとは考えておりません。
○秋山長造君 それからもう一つお尋ねしたいのですが、大臣のこの考え方の基本というものは、やはり前の松村さんが猛反対をされたときの気持と全く同じ、こういうんですね。
○国務大臣(清瀬一郎君) そうです。
○秋山長造君 だから、そうであるならば、はやり教員には停年制を適用しないことが、やはり教員を守るゆえんだということも間違いない、大臣のお話。にもかかわらず今では地方財政の赤字解消ということが中心になっておるんだから、これはその犠牲になるのもやむを得ないということなんですか。その点がちょっと、もう少し文部大臣として停年制を適用することはよくないというお考えならば、もう少しはっきりした線を出して、自治庁長官なり大蔵大臣なりとやはり折衝されるのが頼もしい文部大臣としての態度ではないかと思うのですがね、その点どうですか。
○国務大臣(清瀬一郎君) 先刻申し上げた通りでございます。一方で教員の立場を守るということもむろん一つの原理、原則ですけれども、何事にも限界というものがありまして、今日の国家全体の情勢と、それから今回の案自身を参酌して幾分の緩和方法を講じておるということとあわせ考えまして、これには同意しなければならぬかと、私は今日ただいまでも思うておるのでございます。
○秋山長造君 大臣は非常に地方のやり方を甘くお考えになっておるのです。さっきも安部さんからお話があったのですが、実際今の地方の実情というものはそんな甘いものではないので、これは特殊性というような抽象的なことで、しかもその特殊性を認める認めぬは地方の自由だというようなことであったら、これは認めるはずはないのです。その中で教育予算というものは地方でも目のかたきにされておることは御承知の通りなんですかうね。だからもう少し停年制は悪いという信念を持っておられるならば、一つその線に沿ってもう少し積極的に、特に政調会長などやられてその面での大御所なのですから、特に一つ積極的に発言をされて、教育を守るということに熱意を示していただきたいと思うのです。
○国務大臣(清瀬一郎君) 御経験に基く貴重な御意見よく拝聴いたしておきまして、なおまだ今晩一晩あることですから十分考えます。 ―――――――――――――
○湯山勇君 大臣も時間がおありにならないようですから端的にお尋ねいたしますが、先般日本教職員組合の教育研究大会に中国代表の招聘でございますか、これをいたしたのが、政府側の方でこれを入れないというようなことになって招待された人たちが香港で立往生したというような事例がございました。これは直接文部大臣の権限外のことといえば権限外のことでございますけれども、しかしやはり事、文教に関する以上は大臣も関係がおありになると思いますので、ああいう事実に対してはどういう御所見を持っていらっしゃいますか。私ども法務大臣は先般懇談会でお目にかかりましたときに、法務大臣は、私としては最善の努力をして実現するように努めたけれども、御承知のようなああいうことになったのは非常に残念でもあり、まことに申しわけない。しかしこれで全部終ったわけではなく、今後とも何とか事態を好転させるように法務大臣としては努力すると、こういうような御発言があったわけですが、文部大臣としてはどうお考えになっていらっしゃるか、お尋ね申し上げたいと思います。
○国務大臣(清瀬一郎君) あの出入国のことは全く諸官庁の行政の問題でありまして、閣議事項でもございません。しかしながら著名なあの問題を私は知らずではございません。一たんこれは許可しないということを当局の牧野大臣より聞きましたのです。 〔委員長退席、理事川口爲之助君着席〕 その後それも余儀ないことだと、わが国とまだ国交が回復しておらぬ中華人民協和国のことでありまするからそれもそうだと思っておりましたら、関係の組合が特に前文相の紹介で私のところにお見えになりまして、条件が悪いならば、すなわち方明などが滞在する日数が多ければこれを短縮する、また各地の講演等に回うないようにするのであったらそれもする、だからあの人をこらせてくれと、違ったまた提案がきましたから、それならば違った条件が出た母上はやはり違って再考をしなければなるまいというので、その条件に私が賛成したのではございませんけれども、こういう別種の申し出がある以上は、これは考うべきものだ、伝えましよう。それで私は伝達の役をして、招請した教職員組合の方でこういう新問題があるからこれを考えてくれという伝達は私いたしました。牧野大臣は事務当局の意見も徴してさらに考えるということを、その日は二日でありましたが、もはや差し迫ったときでありましたが、返事がありまして、もしそういうことで私の伝達が役に立ったらまことによかったと思いつつおりましたら、その翌日に至ってやはり従前の通りという伝達を得たのでございます。私自身が牧野君の決裁がよかったか悪かったかの批判をここですることは慎しみたいと思います。そういう始末でございます。
○湯山勇君 経過についてはよくわかりましたのですが、ただ、問題は文化交流のような場合、たとえば向うから学術の視察団が入るとか、こちらから学術の視察にいくとか、あるいはまた学術団体で向うの学術団体に加入するとか、あるいは向うからこちらに加入するとか、そういった場合、一般的な教育文化の面においてはなるほど国交は回復していなくても、こういう世界的な視野、国際的な理解、そういうものを深めるためにできるだけそういう政治面とか、そういうものを離れて交流するということは、私はやはり、たとい国交が回復していなくてもやるべきじゃないかと思うのですが、そういう原則的な問題については大臣は、今の入国の手続云々の問題は別として、原則的な考えについてはどうお考えになられますか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(清瀬一郎君) そういう問題は一々の具体的問題でないというと役に立たぬことだと思いますけれども、ただ抽象的に言えとおっしゃれば文化の交流は私はいいことだと思うておるのです。前に郭沫若君が来られた前例もあることでありますが、しかしながら幾分でも政治的な色彩が予見できるといったようなことであったら、それは慎しまなければならぬかと、こういうふうに思いまするので、実に機微なことで、具体的にその問題について、今度来られる方明先生のお人柄、また中国における地位、また日教組の会合の過去、現在における行き方と、まあそういういろいろなものを総合して、だれか責任者が判断すべきことでございまして、抽象的に文化交流如何とおっしゃれば可なりと答えるほかはないと、私は思うておるのです。 はなはだ失礼ですが、四十分に私に対する質問が予算委員会でございまするので、ここに政務次官がおられますから、一つ政府次官からこの次のお答えをお願いしたいと思います。
○湯山勇君 大臣一分間でよろしゅうございますから。向うに行かれるのでお尋ねしたいのは、大臣は教員が護憲運動に参加することは政治活動だというような御発言があったようですが、特例法に違反するかしないかということは、政治活動即特例法違反ではないわけですから、これはどの条文に当てはまるということを大臣御検討になられましたでしょうか。御検討になっておられるならば、私もそれについては調べたいと思いますかう、第何項に該当する、そういうことを一つ大臣おわかりでしたら、それだけお答え願いたいと思います。
○国務大臣(清瀬一郎君) このことはもう一ぺん委員会をお開き願って十分に検討したい大切なことだと思っております。ただ私の今まで研究しておる方針は、国家公務員法の百二条ですね、教員諸君は地方の公務員ですけれども、国家の職員と同じように扱うという規則があって、公務員法の百二条が適用になるのです。百二条の中には人事院規則できめたこと、人事院規則、あれは十七の十四ですか、非常にたくさんいろんなことが書いてあるのです。似たようなことがありまするが、あの中で、十二項ですか、多数人のおるところで演説またはラジオの放送、そういうことはいけないというので、政治運動というところで、俗語で何が政治運動かということも広い範囲ですが、過日の衆議院予算委員会の質問の前後の様子から見て、憲法擁護のための演説会でも開いていいか悪いかという意味に私はとったのです。そうであるというと、ここに抵触しやせぬかという考えで、あの当時人事院規則を手元に持っておりませんでしたかう、そのときにあと家へ帰りまして、なお人事院規則を調べましたら、私の頭に浮んだと同じようなことでございますから、きょうは時間が切迫しておりまするから、この次の会議にでも、私の調べが足りぬかもしれませんし重要なことですから、参議院の文教委員会でお取り上げになればいい結果が出ると思います。
○理事(川口爲之助君) 本日の議事日程はこれにて終了いたしましたが、いかがいたしますか。なお問題がございますれば、御質疑を続行されてもけっこうですが。
○安部キミ子君 私は大臣に質問があったのです。それで今教研大会で中国代表の入国問題についても、実は大臣が熱意が足りないということがもつぱらの評判になっているのです。このことについてかつて八・六大会で中国の代表、そのほかソヴィエト代表、共産圏の代表がみな入ってこられて、これが政治的に云々というふうな問題とはかけ離れて、私は当然文部大臣は積極的にこの入国の問題に努力なさるべきだと思っておりましたのに、むしろ巷間のうわさによりますと、文部大臣が率先してこれをじゃましたといううわさがございますので、その辺私は特にお聞きしてみたいと思ったのですが、きょうは大臣がおられませんから、この次の委員会にはぜひ大臣においでいただきたいと思っております。
○理事(川口爲之助君) では次回に御質問を願います。 それではほかに御発言がなければ、本日はこれをもって散会いたします。 午後三時四十四分散会 ―――――・―――――