農林水産委員会 第4号
- 発言数
- 17 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1956/02/02
会議録
○委員長(棚橋小虎君) ただいまから農林水産委員会を開きます。 森林開発に関する件を議題にいたします。 去る一月三十日の委員会の御決定によって、明日から現地調査をわずらわすことになりました熊野川地区及び剣山地区の森林開発計画について、林野庁長官から説明を聞くことにいたします。 林野庁長官、それから指導部の林道課長が御出席になっております。林野庁長官。
○政府委員(石谷憲男君) 森林開発の問題に関しまして、概要を御説明申し上げておきたいと思います。 昨年末にも機会をいただきまして、ごくあらましのことを申し上げたのでございまするが、本日はその後の私ども事務的な研究の進みました事柄も取り入れまして、御説明申し上げてみたいと思います。御承知のように現在わが国における木材の需給の事情は、本来的に申しますならば、きわめて逼迫した条件の中にある、かように言わなければならないと思うのでありまするが、と申しますることは、年間薪炭原木をあわせ含めますると、少くとも立木石数によりまして二億五千万石程度の需要量があるのに対しまして、国内の現在の森林の生産力をもっていたしましては、現在未利用地域にある森林資源の年成長分のものもあわせ加えまして、それらの所用量の約八割を供給し得るにすぎないといったような現状でありまするにもかかわりませず、なお全体といたしましては、利用し得る森林地域の四割は林道のないままに未利用状態にまかされておりまして、いわば死蔵した資源として奥山深く眠っておる。こういうような現状でございまして、従いまして、ただいま申し上げまするような毎年の必要量はあげて既開発の森林の地域において伐採がされておる、こういうような現状であるわけでございます。従いまして、御承知のように非常に森林に強い伐採が加えられて、いわゆる乱伐あるいは過伐というような傾向が戦時中から非常に長い期間にわたって続いておるということに相なるわけでございます。いわゆる毎年成長いたしまする分だけを切っておりまするならば、少くとも現在の資源というものは数量的に維持されるということになるわけでございまするが、毎年の成長量を非常に大きく乗り越えて伐採が行われておるというのが現状であります。既開発地域だけについて申しまするならば、既開発林の森林の総成長量の約二倍七分ないし二倍八分のものが毎年切られておる、こういうような現状であるわけでありまするので、少くともすみやかに未開発の森林を開発いたしまして、これらの行き過ぎた伐採を極力正常なものに近づかしむるための努力を余すところなくやらなければならないということと同時に、その跡地に対しましては極力造林を進めまして、将来の木材の供給源の確保に努める必要が絶対あるということで、林道開設並びに造林推進の仕事をいたしておるようなわけでございます。 そこで、ただいま申し上げましたように全森林地域の四割はいまだ林道の開設を見ないいわゆる未利用林である、こういうふうに申し上げたのでありまするが、これらの地域に対しましては、現在公共事業費をもちまして奥山開発を進めておるという実情であるわけでございまするが、ただいま申し上げましたようなきわめて逼迫いたしておりまする当面の本来の需給情勢からいたしまするならば、必要な開発のための資金投下というものはなかなか期待通りに進行しておらないという現状であります。それでも逐次残されました未利用林に対する林道も拡充されておるわけでございまして、それぞれの効果のある仕事が進展をいたしておるのでありまするが、一面、非常に多額な開発資金を必要といたしまする関係上、かなりまとまった未利用林を包蔵する地域でありながら、いまだに開発されないで残っているというような対象が実はあるわけでございます。私どもの手で一応全国の森林の地域につきまして、大体三万町歩以上の未利用森林というものが包蔵されております流域を調査いたしてみまするというと、北海道を含めまして、大体十七、八の地区があるように存ずるのでございまするが、そのような地域はいずれも相当まとまった資金を必要とし、相当強力に、しかも計画的に開発を進めて参りませんというと、その実が上って参らないといったようなことも有力な一つの原因となりまして、いまだ開発の進み方が非常にゆるやかである、こういうような実情になっているわけでございます。従いまして、私どもが現在やっておりまする未利用地域一千町歩ぐらいな森林に対しまして、いわゆる公共事業費による補助林道という形で進めております仕事のほかに、相当組織的な開発を行わなければ、これが有効資源化しないというような流域に対しまして、一つ新方式による開発を進めて行くべきではなかろうか。かような考え方のもとに実はさしあたり余剰農産物の見返り円の使用がある程度この仕事のために許されるといったようなことを前提にいたしまして、実は取り上げておりまするのが、これから御視察をいただきます熊野及び剣山週辺の森林開発の問題の取り上げであります。すでにお手許に配付いたしていると思うのでありまするが、ただいま申し上げましたような実態からいたしまして、私どもといたしましては、大規模な森林地域が未開発のままでその流域の中に包蔵されているというような所の中で、民有林を主体とする地域をまず取り上げて開発すべきではなかろうかというふうに考えますると同時に、その未開発の地域が大きな流域の中に散在してあるのではなく、集団してある、しかもその集団してあります面積は比較的大きくまとまっているといったような所をまず取り上げるべきではなかろうか。さらには、その地域が数県にもまたがるといったようなことで、その間に総合一貫した開発の進め方が必要であるというような所をまず優先して取り上げてみる必要があるのじゃないか。それから、ただいまも申し上げましたように、未開発林を開発いたしますと同時に、その跡地にはさらに有利な針葉樹林を植え継ぐことによりまして、将来の需給にマッチすべき森林生産力の拡大強化をはかっていく余地がある立地が相当あるわけでありますので、その跡地は人工造林によりまして、針葉樹林に転換のできるという地域であることをまず考えて開発の順位を定めるべきではなかろうか。それから現在木材の需給は、ただいま申し上げましたごとく非常に逼迫した事情の中にあるわけでございますが、なかんずく針葉樹を主体にいたしまするところの需給が逼迫をしておるといったようなことによりまして、現在その流域の中にあります立木の蓄積の中で針葉樹の占める蓄積割合というものが非常に多いというこういう所を、これはまあ開発効果の面からいきましても、当然そういう所が選ばれなければならぬのでございますが、まずそういう所を着目すべきではなかろうか。さらにはそれらの開発によりまして増加生産を期待されるものが、付近の市場において比較的容易に消化し得る見通しのある地区をまず選定すべきではなかろうか。こういったような条件をさまざま考えまして、一番顕著な対象といたしましては、現在民有林だけでも二十万町歩以上の森林面積を持ち、そのうち当面の開発対象になるものが約十万町歩といったような膨大な森林を持っております熊野の地域、及び面積は、従いましてその開発の規模はこれとはやや劣るのでございまするけれども、同じような針葉樹の豊富な蓄積を内容といたしまする剣山の地域、こういう二つの残された大規模な民有林を主体とする未利用地域の中で、最も開発効果の上がるように考えられまする対象を選びまして、これに計画的な開発を進めていくようなことを取り計らって参りたい、こういうことでいろいろと研究をいたしておるわけでございます。 大体この二つの流域だけを対象にいたしまして開発をいたしまする場合に、お手元に差し上げております資料からごらんいただけると思うのでございまするが、一応の見通しといたしまするというと、林道事業におきまして熊野、剣山の両地区を合せまして、約四百三十キロメーター、まあこれだけのものを開設をいたしまするというと、ただいま申し上げました両地域のいわゆる森林開発のために必要な主たる林道網の完成が期待できるというように考えるわけでございまして、このほかこの事業を実施する主体が同時にその跡地の造林を行なって参るという場合に、おそらくこの主体の手にかかって造林が進められるような対象は、私どもの推定によりまするというと一応一万八百町歩、こういったようなことに相なるわけでございまして、これはこのほかにも現在やっておりまする補助金によりまするところの造林、あるいは大規模な森林所有者に対して行なっておりまするいわゆる融資による造林、さらには自力造林といったようなものがこの開発の進むに従いまして、切り跡地のできる跡の造林をやって参るわけでございまするが、一応この林道開発の仕事と同時に取り上げて参るべき対象であり、取り上げていくべき必要があるのではなかろうかというふうに考えられるものは両者を合せまして約一万八百町歩、こういうものを予定して参りまするならば、大体予定通りの開発というものが進められて参るのではなかろうかと、かように考えておるわけでございます。そこでこれに必要ないわゆる事業費といたしましては六十億円ばかりのものを要するわけでございまするが、実はこれだけのものを、資金を約年々十億規模投入をいたしまして、六カ年間にこれだけの事業を実施して参りたい、かようなふうに考えているわけでございます。昭和三十一年度といたしましては、余剰農産物資金融通特別会計から十億の資金借り入れをいたしまして、この事業の実施に着手をいたしたい、かように考えているわけでございます。従いましてここに一番の問題に相なりまする点は、これだけの開発を計画通りにいたしますると、六年間にわたりまして六十億円という資金が必要と相なってくるのでございまするが、事業計画年度を通じまして、全体資金量の確保見通しというものが果してあるかという点につきまして、この問題を取り上げて参るのに最初の一番大きな問題があるように考えているわけでございます。そこで私どもといたしましては、一応この仕事をやって参りまする一つのやり方といたしまして、どういったような方法が考えられるであろうかということを、実はいろいろ研究をして参ったのでございまするが、一つはいわゆるこの事業主体を新しくここに設けまして、いわゆる開発公団といったようなものを設けまして、農林省の定めまするところのこの全体計画というものに基きまして、毎年度の実施計画を作る、そうしてその実施計画に基きまして、その開発主体のそれぞれの地域における事業主体が直営の形態をもって事業の実施に当って参る、こういうような一つの方式が考えられるように思うのであります。それからまあこのほかにも現在は林野庁の機構の中にこの仕事を実施いたしまするための、いわば森林開発特別会計といったようなものを設けまして、これがいわゆる毎年度計画というものを策定し、そうして実行して参るということになるわけでございまするが、かりにこういうふうな方式を取るといたしますると、おそらく実施の衝に当る機関といたしましては、現在林野庁の中に置かれております国有林野事業特別会計の所属の機関によりましてこれをやって参る、要するにこの機関に仕事を委託いたしましてやって参る、御承知の営林局及び営林署という機構をそのまま利用いたしまして、これにこの森林開発特別会計が事業を委託してやっていくというような一つの方法と、それから現在の県の持っております事業能力というものに対しまして、この特別会計が事業を委託して参るというようなことで、いわゆる委託という形態の仕事でやって参るような形に相なるのではなかろうかと、かようなふうに考えているわけであります。 さらにきわめて簡便な方法といたしましては、現在林野庁の中には国有林野事業特別会計という会計がございまして、いわゆる国有林野事業の実施に当っているわけでございまするが、この特別会計、既存の特別会計がこの資金を借り入れまして、いわゆる国有林野事業としてこれをやって参る、この場合にはもちろん現地の実施機関は営林局長という既存のものを使うということになるわけであります。まあしかしながらいずれの場合を取り上げましても、現地におきまして事業の実施に当り、さらには指導、監督に当るというこの実施機関は委託、直営の場合ともに必要な要員を現在確保しておりまするものを、そのままその仕事のために転用をするということにはなかなか相ならないのではなかろうか。かりに既存のものを利用する、既存のものでやるといたしましても、それだけの人間をふやし、必要な技術者を集結いたしまして、この事業に取りかかっていかなければならぬというふうにまあ考えるのでございます。 そこで私どもいろいろと、まあ研究の過程におきましては、ただいま申し上げましたこの開発のやり方につきまして、いずれも一長一短があるような状況でございまして、一がいにはどれが最上案だということについて、なかなか断定を下すことができないような状況で、事務当局といたしましても、これが一番いいんだというようなことをはっきりと言い切れるような案もなかなか得られにくいのでございますが、特に私どもといたしましては、林道事業と同時にその跡地の造林をあわせてやって参るということを考えますると、やはりどこまでも責任のある主体の直営方式をもってこれをやっていくということが適当ではなかろうかというふうに考えますることと、それから、かりに森林開発特別会計のようなものを設けまして、ただいま御説明申し上げましたように、その末端は県に委託する、あるいは現在の営林局署という国有林野事業特別会計の機関に委託するということになりますると、いわゆる民有林を対象にいたしまして開発する事業でありまするので、いわゆる国有林野事業の関係の組織機関を使いました場合に、最後の受益者からそれぞれの負担金を徴収するという段階に至りましたような場合における仕事の円滑な取り進めにつきまして、いろいろと支障が多いであろうことが予想されるわけでございます。のみならず、一般に地方民との協力関係というものが、従来非常になじみの薄い地域でありまするだけに、営林局署の機構を使うことによっては円滑な進め方というものが期しがたいのではなかろうかというような懸念がありますると同時に、さらに事業全体の実施を県の機構にそのまま委託するというような場合におきましては、特に最近の県の事情等からいたしまするというと、いろいろな不安感というものが出て参るわけでございまして、特に事業面だけのことから申し上げましても、林道事業のようないわゆる公共事業的なものにつきましては、相当な能力、経験があるという実情が認められまするけれども、造林事業のようなものにつきましては、従来の県のいわゆる造林というものがいわゆる指導行政の範囲から一歩も出ておりませんので、従いましてこれを実地にみずからの手でもって植えて、その後の維持管理に当っていくというようなことにつきまして、実は事業面だけの不安感もあるようなわけでございます。ただし、地元等との協力関係におきまして負担金の回収等に当る場合に、非常に円滑な協力が期待できるといったような特徴もあるのでございまするが、まあそれ以上に、全体の事業をお預けして計画通りに実施されて参るということにつきましては、諸種の面に非常な不安があるというようなことも私どもといたしましては心配をいたしておるわけでございます。まあそういうふうにあれこれ考えまするというと、やはり両者の中間的なものとして、新しい実施部隊というものを現地に設ける必要があるのじゃなかろうか。やはりこれはどこまでも委託じゃなくて、直営という格好でいき得るような新しいものを設ける必要があるのじゃなかろうかといったようなことに判断をいたしまするというと、やはりそれの中央機構としての公団といったような形がこの仕事を円滑に進めていく上の機構、やり方としては、やはりベターの案として最後に残ってくるようなことにも考えられるのでございます。いろいろ現地側におきましては、現地側の希望条件等も出ておりまするし、今度御視察をいただきまする場合におきましては、いろいろとまた現地から、この開発の進め方等に対する現地側の希望も先生方に御陳情をすることと思うのでありまするが、私どもの研究をいたしておりまする過程におきまして考えられるさまざまな案を一応申し上げ、その中できわめて達観的な判断でございますけれども、やはり公団直営方式というようなことでやるのが、まあ私どもの事務的な判断といたしましても比較的いい案ということに相なるのではなかろうかと、かようなふうに考えておるのであります。 そこで一応これらの仕事がどういう方式にいたしましても、この余剰農産物資金融通特別会計から借り入れてやるということの仕組みで参りますことはいずれも同じでございまして、これらに対しましては、私どもといたしましては、おおむね次のような事業費の負担割合によりまして返還を考えて参るということで、この事業計画を実はいたしておるようなわけでございます。事業費につきましては、おおむね現行の公共事業の場合の補助の例によりまして、国及び県並びに地元の受益者によって次のような負担を考えたい、こういうふうに考えておるわけであります。 国は、この事業開発主体の行いますところの林道及び造林の仕事に対しまして、国として負担すべきものを、事業をいたしました年度分ごとに、その年度の翌年から十年間にわたって分割してその事業主体に負担すべきものを繰り入れる、こういう考え方でございまして、これらもいずれも現行の林道及び造林補助の例によって参る。従いまして林道の場合におきましては六割、造林の場合におきましては四割というものを実は事業費については考えておるわけであります。また事務費につきましては、林道の場合に十分の六・二五、造林の場合は十分の四というものを国が負担をするという考えでございます。それから次に県の負担でございまするが、これも現行のやはり公共事業の補助における県負担の例に従いまして、林道、造林ともそれぞれの事業費の一割を負担をする。それから事務費につきましては、残りの十分の三・七五と十分の六を負担する。そうしてこの負担額を資金運用部の地方債の引き受け条件と同じ条件によりまして、金利六分五厘、林道の場合におきましては、三年の据置後九年、造林の場合におきましては、四年の据置後十五年の均等年賦として毎年この事業主体の方に繰り入れをいたしまして、そうしてやって参るというふうに考え、さらに地元におきましては、これまた現在の補助の例にならいまして、いわゆる林道の場合に三割、造林の場合に五割を地元負担といたす、かようなふうに考え、林道につきましては農林漁業金融公庫の融資条件にならいまして、金利七分五厘、二年据置後二十八年間の均一年賦で、それからいわゆる受益者の負担金として毎年これを徴収をする、まあこういうふうにいたす。造林に関しましては、金利四分五厘として、四十年後の収穫の場合に分収することによってこれを解決して参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。ただし、収穫前にその負担額に先の金利で複利計算をした額をその事業主体に納めるということになりますというと、いわゆるこの事業主体との間に行いました分収契約というものがそのまま解約ができる、こういうことでやって参る必要があるのじゃないかと、かように考えておる次第でございます。 実は、御承知のように造林につきましては国が三割、都道府県が一割、合計の四割というのが造林の補助金として予算に計上されておるものでございまするが、実はこの同じ造林をいたしまする場合におきましても、この対象によりまして経済的にあるいは自然立地的にかなりの幅があるわけでございます。従いまして平均四割でございまするが、私どもの方といたしましては、その実態に合せまして、現実には一割八分ないし六割といったような範囲におきまして造林の補助金を出しておるというような状況でございまして、これらの今度開発の対象にいたそうというふうに考えておりまする所は、大体この平均の四割でありますにもかかわりませず、一応五割の補助金を交付することが適当であるという対象に相なるということで、一応この受益者負担は五割、残りの五割というふうに計算をいたしておるのでございます。かようなふうに実は計算をいたしまするというと、お手元にお届けいたしております表でごらんいただきまするように、林道事業につきましては国が二十八億八千四百万円、造林事業においては二億五千五百万円、合計国が三十一億三千九百万円、県が林道におきまして五億三千一百万円、造林事業七千六百万円、合計六億七百万円、地元の受益者の負担額としまして林道で十三億八千五百万円、造林事業で五億七千一百万円、合計十九億五千六百万円、こういったような負担区分に相なるのでございます。そこでこういったようなことで計算をいたしまするというと、国から繰り入れまするものは最低の年におきまして年額五千二百万、最高の年で三億一千四百万円ということに相なるわけでございまして、先ほど申し上げました三十一億三千九百万円のものが十五年間にわたって繰り入れられるということに計算をするのでございます。また県の負担金として納入されるものにつきましては、この二つの計画の関係県は奈良、三重、和歌山及び徳島の四県でございますが、その総合計が、最低の年で一百万、最高の年で八千八百万、これが二十五年間にわたりまして、先ほど申し上げましたような金額に相なるわけでございます。それから地元の受益者につきましては、これは林道事業だけにつきまして、いわゆる地元負担金というものを年賦で納入するということになりまするが、その納入額は最低の年で千七百万、最高の年で一億二千万、これが三十五年間にわたって行われる、こういうことに相なるような計算ができ上るのでございます。 大体以上のような考え方、以上のようなもくろみに従いまして、熊野、剣山の両未利用地域に対して、林業的に見ましてやや相互関連性のある、従来の方式とはいささか趣きを異にしました開発方式によりまして、強力に開発を進めていきたいということが私どもの考えておりまする開発の主たる問題でございます。 そこで、最後に一言だけ説明をつけ加えさしていただきたいのでございまするが、現在までの林道、奥山開発、従いまして林道の開設ということと、それからそれらの地域において伐採が行われました場合の跡地の造林というような問題につきましては、地域的に相互の関連性というものは計画の上からも実施の上からも実はないのであります。やはり林道は林道として適当な対象に伸していく、跡地の造林は造林としてまた別の計画に従いまして、あとからやっていく、こういうことでやっておるわけでございます。当初にもちょっと敷衍して申し上げたと思いますけれでも、従来の林道開発はいわゆる一般林道と称しまして、比較的市場から近接な地域にある森林というものに対する林道の開発、これらのものはおおむね必要なものが伸されて、限度近くまで来ておると思いますが、そういう方法と、それからいわゆる市場から大体二十キロ以上も離れました、しかも森林の面積といたしましては夫利用地域が一千町歩以上もあるといったような、いわば残された森林といたしましては相当まとまった対象のものに対して、奥山開発林道というものを公共事業でやっております。これらにつきましても、次第に目ぼしい小団地というものの開発は進んで参りまして、なくなりつつある現状でございまして、今後の奥地開発の問題といたしまして残されますのは、いわゆる相当大規模な未利用林を持っておりますいわゆる未利用の地域というものでありまして、こういう所はすでに下流の一部は開発をされしまして、そのような所にはかなり有利な針葉樹林もできておるわけでございますが、いずれも相当長い流域でございまして、その奥地には濶葉樹林及びモミ、ツガなどの針葉樹の天然林というもので、いささかも人間の撫育の手を経ておりません森林でありまする関係上、こういう対象を開発いたしまする場合におきましては、どうしても市場もよりの里山地区との生産競合の関係からいたしまして、いわゆる無意識にコストの引き下げというものにかられていくような事柄が、いわゆる跡地の治山治水上の問題等を省みるいとまもなく、かなり過度の伐採が行われやすいというような、実は本質的な問題を含んでおる次第であるわけでございます。従いまして私どもといたしましては、この開発たるや相当計画的に、しかもその跡地の造林を遅滞なくやって参るというようなことでこの開発をとり進めていく必要があるのではないかと、かように考えておるわけでございますが、かりにこの段階でそういったようなことまでも敷衍して考えますることが、あるいは妥当でないかとも思うのでございますが、私どもの一つの考え方といたしましては、先ほど申し上げまするように、熊野、剣山だけが大規模な残された未利用地域の多い流域ではないのでございまして、これはたしかに順位を考えまする場合には優位な対象ではございまするが、まだまだこのほかにも残された大規模な森林というものはあるわけでありまして、この中には国有林を主体にするもの、民有林を主体にするもの、いろいろありますが、相当程度あるわけでありますので、将来の方法といたしましては、こういったような方法によりまして、そういった非常におくれているまとまった地域の開発を相次いでやって参るというような考え方のもとに、これらの仕事を当面二地域に限定して取り上げる、こういうふうに考えさせていただきたいものだ、かようにも考えておるのであります。 非常に抽象的で恐縮でございますが、以上をもちまして私の説明を終ります。
○委員長(棚橋小虎君) この問題について御質疑の向きは質疑を願います。
○千田正君 今長官からお話がありましたが、まことにけっこうなことですが、これは一つの民有地利用のモデルケースであるがごとくわれわれは考えるのです。そこで一番私が心配するのは、とかく民有地というものは、やはり各個人なりあるいは地方団体なりが持っているものは、そう簡単に手放せないところの執着を持っているということは御承知の通りだと思いますが、これとの調整をうまくやっていくという御自信があってのことだと思いますけれども、一番われわれが憂慮されるのは、これを執行するに当りまして、個々の所有者との間の折衝が十分なされるかどうか、これに対する所信のほどをこの際はっきり方針をきめていただきたいと思うのですが、その点はいかがでございますか。
○政府委員(石谷憲男君) 実はこの開発地域の選定をいたしまする場合の一要件として、私ども当然考慮いたさなければならない問題は、いわゆる開発対象地域の中の一体所有関係と申しまするか、所有構造はどうなっているかということも大きな要素として取り上げなければならないと、かように考えておるわけであります。特に熊野の問題につきましては、相当いわゆる大規模な森林所有者というものを持っている山がかなり多いわけであります。それからあるいは町村あるいは部落、こういったところが持っている山も相当ある。そこで当然先ほど申し上げまするように、非常に零細な森林所有者の所有関係が複雑多岐にわたっておるような対象に対しまして開発を進めていくという場合には、非常にその限りにおけるトラブルが起りやすいということはいつの場合にもあるわけでありますが、私どもといたしましては、今度取り上げる対象は、そういう場合に比較的それほど複雑な所有関係の地域でないということを、さしあたりテストケースとしてやっていく場合には願わしい条件ではないかと、かように考えておるわけであります。そこで問題は当然各受益をする人たちの受益の程度による負担という問題が残ってくるわけでありまして、その負担に対しましては、私どもはあらかじめ各森林所有者との間に十分な話し合いを取りつけておきまして、そうしてやって参らなければ負担金の徴収ということもなかなか円滑にならないということに相なるものと思っております。そこで一応これだけの開発の仕事をやって参るということに先だちまして、果してこれだけの資金を投下してこの程度の事業量というものをやって参る、そのことによって十分な経済効果と申しまするか、受益の増進というものが考えられて、いわゆる事業的に成り立つ条件の地域であるかどうか、こういう検討が当然なされなければならないわけであります。そこで一応そういうことで全体として事業的には成り立つ、従ってこういった計画による資金の投下というものも大体考えられるということになりました場合におきましても、このいわゆる受益者の側の負担割合というものは、負担の仕方というものはどういうふうにきめて参るかということは、これはなかなかの問題であると思います。もちろん森林のあります場所によりまして非常に違ってくるわけであります。それから現在立っております森林の木の種類によって違い、年令によっても違う、それから所有の規模等によりましても、受益の差というものは必ずしもその割合にスライドするものではない。従ってそういったようなさまざまの要素を取り入れまして、いわゆる負担金を徴収する場合の負担区分のきめ方を適切にやって参る、そういうことによって各森林所有者との話し合いを十分に取りつけまして、事業の着手をやって参りたい、こういうことで実はいろいろやっておるようなわけであります。
○千田正君 これは余剰農産物の借入金を利用しての発足でありますが、やはりこれは返さなければならないのでありまして、それにはよほど事業計画というものははっきりしていかないというと、同時にまたこれに参加させるところの民有団体なり、あるいはその他の所有者に対して納得のいくような説明がなければこれは容易でないと思います。それで事業計画はよほどしっかりしたものを作り上げてこれをやらぬというと、必ずしもこれは利益が上るとか、あるいは所有者が喜ぶような結論になるかならぬかということは、非常にわれわれは疑義を持つわけです。私自身が疑義を持つ。そこで先般農林省としましては機械化公団等が発足しましたけれども、実際においてはもたもたしておる。それはよほど計画において精密なそうして十分な執行の段階に至らない前に、計画だけが先に進んで行ったという感を深くするようにわれわれは思うのでありますが、今度の場合においては、ことに対象にするところの問題は民有地である、金は余剰農産物の借入金である、この点を考慮されまして、もしこれがうまくいかないというようなことが——まああり得ないとは思いますけれども、計画のそごを来たしたような場合において、そうした損失の補償というような面はどういうふうに政府としてこれを生み出す前に考えておられるかどうか、その点はどういうふうにお考えになっておるか。
○政府委員(石谷憲男君) 仰せの通り非常に計画内容というものが地に即してがっちり定められて、その上に十分な見通しの下にこの事業は出発してもよろしい事業であるかどうかという検討をしなければならないものであるということで、いろいろと内容固めをいたしながら研究をいたしておるのでございますが、要するにこの借り入れる資金にいたしましても、余剰農産物の見返り円を四分の四十年償還という条件のあの資金を借りられる。それからかりにその資金でなくても、それと同じ条件の資金でなくてはやはりこの計算というものは成り立たない。こういうことで一応計算をやっておるわけです。従いましてただいま先生の御指摘のありました問題について、そういった場合の損失補償の方法といったようなことまで具体的に私どもまだ研究を遂げておらぬのでございますが、いわゆるその事業計画等におきましては相当余裕のある事業計画をしなければならぬものじゃないかというふうに考えております。と申しますることは、大体この資料にもちょっと書いてございますが、一応現在のところ私どもが大ざっぱに予定いたしておりまする路線は、熊野地区で四十一路線、剣山地区で十九路線というような予定をいたしております。この中には同じ未利用地域と申しましても、山がこの流域によりまして、流域のまたその部分によりまして非常にいい所とそうでない所と非常にあると思います。そこでいわゆるその全体の林道開発という考え方からいきますと、現在の森林状態必ずしもよくない所でありましても、その道がつくことによりまして、跡地造林がどんどん進んで、将来の経済効果というものは非常に大きく期待されるということにも相なるわけでございますが、私どもはそういう考え方をとることによりまして、かなり全体としての収支の見方が非常に危険になりますので、現在の森林状態によりまして、小さい林道もやはりそれぞれの路線ごとに十分なる収支をとりまして、そうしてやはりその収支の上にどうしても乗っかってこないような危険性のあるものは、やはり路線計画の上からひとまず落して参るというような方法によっても、かなり安全度の高い計画内容で対応して参るのが適当じゃなかろうか、こういうような考え方をいたしております。
○重政庸徳君 愛知用水公団に次ぐ今度森林の開発ですが、こういう特殊地域の開発が次々に出てくるのはあながち反対ではないのですけれども、根本的に愛知公団の場合に私どもが最後まで追及いたしたのでございますが、このたびの森林開発は六カ年の計画で、一カ年に十億づつ出る。それから三十一年度は余剰農産物に頼っておるのでありますが、これから今後六カ年間余剰農産物の資金が回るとは常識的にも考えられず、あるいはまたそれにかわるべきものがあるとかないとかいうことも想像できない。そういうことになると、こういうことになるのですがね。この計画はあるいは二カ年なり三カ年なり経過して、そういう資金の手当ができなかった場合には、中断してもあるいは収支が償うものか、おそらく私は計画六カ年全部遂行せねば収支は償わぬというように考えるのであります。そういうことになると、この特殊地帯以外の民有林の開発にいわゆる予算上非常に圧迫を受けるのじゃないか、しわ寄せがくるのじゃないかということが、愛知公団の場合においても最も憂慮したのであります。大蔵大臣及び農林大臣はしばしば委員会において、とにかく誠意をもってやるので、一般には影響は及ぼさぬということを明言したにもかかわらず、すでに三十一年度の予算の場合においてはそういう弊害が出ておる。こういうことは単にその当時の大臣が明言したのみではわれわれは信用できないので、これは大蔵省及び農林省の申し合せとして、何かそういう状況には至らぬということをはっきりした何を出してもらわねば、次々にこういうものが出て、後年度に一般会計から大きな負担をほとんど継続的な継続予算というようになる、この余剰農産物資金が切れた場合には。ということになると、その点を長官どうお考えになっておられますか。もちろんそういう精神で大蔵省とは十分折衝になっておるのだろうと思うのだが、何かその結果をはっきり出す方法がないでしょうか、その点を一つ。
○政府委員(石谷憲男君) ただいま御指摘ありました問題が、冒頭にも申し上げましたように、出発するかせぬか、出発に当っての一番基本的な問題に相なってくることにつきましては、私どもも全くそのように考えておるのであります。果して余剰農産物のこの資金が明三十一年度は十億規模利用できるといたしましても、続く年度において確実に入手ができるかどうかということにつきまして、だれからもなかなかはっきりした保証を得るわけにもいかぬのでございます。さらにそのことがやがてある時期にこの資金ないしはこの資金と同じ借入れ条件の資金が得られないことのために中断をするか、あるいはさらにその結果は一般会計へのしわ寄せになっていくかといったようなことにもなることにつきまして、非常な懸念が出てくるわけであります。そこで、私どもといたしまするというと、一つぜひとも二の機会にその点を明らかにしておきたいと思いまする点は、森林開発の仕事はたとえばダムを作り、さらにそれによって新しい土地の利用度が進んで参るといったような場合の仕事と少し違いまして、極端にいいますというと、確かにまあ一つのものを作りまして、そして事業的に進めていく場合に、ある一定の期間中に投下される資金量を前提にして初めてこの仕事が成り立つという関係はもちろんございます。従いまして、ただいまの御指摘のごとく、かりにこれが二年目で中断した、あるいは三年目でやめられた場合に、一体この仕事は成り立つのかどうかという検討も最初にやっておかなければならぬと思いまするが、ただ効果の面から申しますると、かりに一年間やりまして林道がついたと、そうするとその林道による利用地域というものはそれだけ開発が進んだと、それによって切り出された後に一年間造林が行われれば、その造林の進んだだけは確かにこれは一歩前進ではないかということで、ある一定のところまでいきませんと、全体の経済効果というものはゼロに等しいというそれと違いまして、一歩でも進めばその進んだだけのものは進んだのではないかといわれやすい性格が林業開発の場合にはあると、それだけに極端に申しますると、ある時期におきまして資金の見通し等が非常に困難になってくる、その結果一般会計へのしわというふうなことが考えられてくるという段階において、この事業が非常に中断されやすいという懸念があることは十分今から予想いたしまして、その辺のことを含めての話し合いを遂げておかなければならないと思いますることが一つと、それからもう一つは、これはまあすでに一応どういう方式にいたしましても、見返り円を森林開発の事業に一応投入をする、約十億規模投入をするということにつきましては大体話し合いを進めておるわけでありまするが、まず今までの段階におきますところの大蔵省事務当局との話し合いあたりの中で出て参ります意見といたしましては、国有林野事業特別会計というものがこれを引き受けてやるならば、まさかそういうふうな資金見通しがなくなった場合にはやめるわけにもいかぬだろうし、その場合には国有林野事業の中から一部資金を取り出してやったらいいじゃないかというようなまあ意見も実はなくはないのでございます。で、私どもといたしましては、その点現在やっております国有林野事業特別会計の経理とこの仕事が混同されるということにつきましては、やはりあってはならぬと思うのでございまするが、まあ一つの考え方といたしまするというと、国有林野事業特別会計の中にいわゆる余裕資金的なものが出て参るということになった場合におきまして、この事業のためにその余裕資金の一部を貸し出すというふうなことが、これはまあ本来の問題としてはあり得るというふうにも考えられるのでございますが、御承知のように現にあの特別会計の中におきましては、非常に荒れやすい奥地、水源地帯の民有林、保安林等を買いまして、必要な治山治水工事をやる、あるいは官行造林事業という方式によりまして、荒れた公有林さらには部落有林までの造林をあの特別会計の金でやって行くと、こういった事業もあわせてやっておりまするので、こういった仕事がそのために大きく阻害されて来るということなしに、さらに将来そういったような資金の余裕のごときものが出るという場合には、一つの考え方としては考えられるのじゃないかと、こういうことで実は非常に資金見通しの点につきましては、私どもといたしまして、これだけの問題を考えて出発いたしておりながら、非常に確実でないことが大へん残念なのでございまするが、ただいまのお話しのような点に関しましても一応あらゆる場合を想定いたしまして、十分に対処策をこの出発に先だって打ち合せ、研究をとげておきたいと、かように考えております。
○重政庸徳君 今のお話しによって、そういういろいろな場合が生じてくる、愛知用水公団の場合とは趣きが違う、仕事の性質上。これは私も了承できるのでありますが、どういう事態が生じてきても、民有林の予算に対して、従来の計画の仕事に対してこの開発のために不利を、予算上縮小及びしわ寄せを及ぼすことはないと、多少そういう場合が生ずるときには国有林の操作によって解決する、こう了解してよろしゅうございますか。
○政府委員(石谷憲男君) これは先ほどお話しもありましたように、現に明三十一年度の予算折衝の場合におきましても、私どもといたしましてはこの問題を提起いたしまする前々から、いわゆる公共事業費による一般民有林の開発だとか、あるいは造林だとか、この開発のために必要な資金関係という問題とは全く別個の問題だと、こういう立場でいろいろ話し合って参りまして、事は林業関係の予算に関しまする限りにおきましては、このいわゆる資金管理上の影響が明三十一年度の予算の上にそう大きく影響しているというふうには私ども考えておらぬわけでありますが、今後の問題としては、これもあわせまして、ということになりますというと、いわゆる一般の民有林事業のための予算措置の上に一つの圧迫を与えるというようなことになってくるのでございまするからして、その辺のことは十分にそのように相ならぬように話し合いを遂げておくということがぜひとも肝要なことである、こういうように考えております。ただいまの国有林野の方の関係について申し上げましたものにつきましては、たしかに資金見通しというものはきわめて不安定なものであるということでございまするが、それにもかかわりませず、私どもといたしましてはこの事業計画というものを中断をしたくない、これは当然でございますけれども、中断をしたくない。ところがこの本来の仕事の性格上、中断をすることによってそれまでの資金効果が無意味だということには相ならぬわけで、それだけの効果があったという意味で、比較的中断されやすいような性格を持っている。しかもなかなかその段階において資金の見通しを立てることが非常に困難になって来たにもかかわらず、やはりこの仕事というものは中断をしたくない、すべきでないと、こういったような状況に立ち至りました場合に、もちろんそのときの状況でございまするけれども、その段階において国有林野事業特別会計の中に、この仕事のために投下し得る若干の余裕金というふうなものがあれば、そういうものはやはり期待をして行くこともかまわんじゃないか、期待をして行っていいんじゃなかろうか、こういうふうな考え方でいることを申し上げたわけであります。
○重政庸徳君 それは林野庁及び農林省は、一般の従来の計画の林野庁予算とは別というんで、強硬に進まれることはわれわれも承知いたしております。それからまた進まねばならぬことも承知いたしているのであります。しかし愛知公団の場合において、実はそれが最も最後まで追及し、われわれの付帯決議まで衆参両院つけてやったわけです。それにもかかわらず、今年度の農林省の予算及び大蔵省の説明を聞くと、やはりこれを愛知公団なりほかの特殊地帯の予算、三十一年度の予算を加えて考える。それから説明もそういう説明をややもするとする。それが非常にはっきりしておらない。大蔵大臣は非常に数回に亘って念入りに言ったにもかかわらずそういう結果になる。だから一つ今日至急に明確なお答えを要求するわけに参りませんが、その点を、これはまあ愛知公団なんぞはこれはやめられない、最後までやらねば意味をなさない。これは性質が違うのです。が、こういう場合にはこういう考えを持っているというように、あるいは六カ年間でなくとも、継続としてすべての場合を考えて、二カ年なら二カ年でも時期がたってそういう事態が生じた場合には、他に影響を及すような場合においては、やめねばならぬときにはやめるというような計画を立てていただいて、その点一つはっきりお考えになって、またの機会に御答弁を願います。
○委員長(棚橋小虎君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(棚橋小虎君) 速記をつけて。この問題は本日はこの程度にいたします。なお、御主張の各位におかれましては、よろしくお願いを申し上げます。
○委員長(棚橋小虎君) 時間が少し過ぎましたが、都合上しばらく御辛抱をいただきまして、昭和三十一年度農林省予算の件を議題にいたします。本国会に提出されております昭和三十一年度の国の予算案のうち、農林省関係のものに関して、一般会計、各特別会計及び資金計画等について、今明日に亘ってまずもって農林省事務当局から説明を聞くことにいたします。 なお今日の事務当局関係の説明の結果によって、できるだけ近い機会に日をあらためて、農林大臣の説明を求め、農林大臣の所見を伺うことにいたしたいと存じますが、御了承願います。 では農林省事務当局から、総括事項、一般会計及び各特別会計及び資金計画等について順次御説明をお願い申し上げます。
○政府委員(昌谷孝君) 昭和三十一年度の農林関係予算案について概要御説明申し上げますが、政策別の一覧表と、各局別、事項別の予算の分類表、なお公共事業並びに特別会計につきまして、簡単に整理いたしました資料をお手許に差し上げてございます。 三十一年度の農林関係予算は、農林漁家の経営及び経済を安定せしめることを主眼といたしまして、農林水産業における生産者の積極的な意欲と、科学技術の向上ということを基調といたし、従来の生産増強対策をさらに積極的に実施して、農林水産業の生産性を向上すると同時に、特に農林水産物の価格安定、流通改善及び農林漁業経営の多角化、こういった方面に施策を進めることをその重点といたしまして編成いたしました次第でございます。 まず一般会計における農林関係予算案の総体の規模を申し上げますと、農林省所管合計といたしましては八百八億四千八百万円となります。前年度は八百八十一億一千万円でございます。この農林省所管予算のほかに、総理府所管として出ております農林省関係の北海道関係の公共事業費が六十七億八百万円でございます。それと労働省に今回新たに計上いたされました失業対策費のうち、農林省関係公共事業費に充当すべき分二億円を加えますと、農林省関係予算の合計は八百七十七億五千六百万円ということになります。前年度の九百四十一億四千五百万円に対しまして六十三億八千九百万円の減少ということになっております。 このように関係予算におきまして減額を見ました理由といたしましては、災害復旧事業費におきまして三十一億八千四百万円の減、それから農業保険費におきまして、赤字補てん金の繰り入れ等の減少によりまして三十四億一千九百万円の減少、それから災害営農資金の利子補給補助金が前年に比較いたしまして四億七百万円少い。このような合計七十億ばかりの減少要因がありました関係でございまして、これは災害等が逐次少くなりました関係が予算面に反映いたしました問題であります。従いまして、このような減少要因を除外して考えますというと、農林省関係予算は実質的にはむしろ前年度の規模を上回ったと申し上げてもよかろうかと存じます。 次に主要経費について簡単な説明を申し上げたいと存じます。最初に新農村建設総合対策費についてでありますが、この対策におきましては、農山漁民特に青年の自主的活動を基調とし、立地に応じ土地条件の整備、経営の多角化、技術の改良、各種共同施設の充実等、適地適産に重点を置いた農山漁村の振興に必要な綜合対策を強力に推進するため、市町村の樹立する振興計画に基きまして、年次を追ってその達成をはかることとし、昭和三十一年度においては農用地交換整備事業、水稲早植等適地適産奨励施設、農山漁村振興共同施設等の特別助成事業を行うため十四億五千九百万円を計上いたしております。このうち事業費は十三億でありますが、これに対比いたしまして、前年度は一億八千五百万円が同種の予算として計上があったわけでございますが、これは積雪寒冷地帯等に対する特殊の総合助成であります。なおこの特別助成事業費の十四億五千九百万円にあわせまして、その他の一般助成事業、町村あるいはそれ以下が事業主体になります一般の助成事業、これに農業改良基金制度等についてもこの新農村建設の趣旨に沿いまして運用いたしますほか、農林漁業金融公庫の融資ワクにつきまして、特別に十五億円の貸付金を新農村建設事業のため予定をいたしております。 次に試験研究機構の整備強化に要する経費について申し上げます。農林水産関係の試験研究において国及び都道府県の占める地位の重要なことは申し上げるまでもございませんが、昭和三十一年度におきましては、特に各試験研究機関の相互間の緊密な連携をはかりますとともに、その活動を積極的にするために、農林水産技術会議と仮称いたしておりますが——を設けまして、特に各試験研究機関の今申し上げましたような関係の調整に当ることといたしました。そのため農林水産技術会議の独特の試験研究費と申しますか、特別の試験研究費といたしまして一億円、それから試験研究機関の施設整備といたしまして一億五千万円、なおこのほかに原子力利用関係の経費といたしまして五千六百万円、計三億六百万円を新たに一括計上いたしまして、各試験研究項目の緊要度に応じまして、試験研究機関の総合的な運営と、所要施設の整備充実をはかる等の措置を講じて参る所存でございます。その他の農林関係の各試験研究機関の経費二十六億九千四百万円、それに都道府県試験研究事業に対する補助金二億一千七百万円、民間試験研究に対する助成九千五百万円、これらとあわせまして、農林関係試験研究事業の特段の強化をいたしたい所存であります。 なおこれに関連いたしまして、試験研究と普及過程とのつながりを強化いたします意味におきまして、各種の部門におきます技術改良普及事業の強化をはかるために二十四億二千四百万円を計上いたしております。 第三に輸出振興でありますが、農林水産物の輸出の振興がわが国農林水産業の発展上はもとより、貿易収支上も重要な意義を持つことは申し上げるまでもございません。特に生糸につきましては、昭和二十九年度以降実施しております中央蚕糸協会によります生糸の海外需要増進事業を昭和三十一年度におきましても引き続き実施するほか、農林水産物の輸出振興措置を講ずることとして、所要経費七千三百万円を計上いたしました。このほか新たにマグロ、サケ等水産物の海外需要を喚起いたしますため、通産省所管におきまして特に所要経費一億円を計上いたしました。これによりまして、この通産省所管経費一億円は農林省において運用いたすこととして、これらの事業を活発にいたすことにいたしております。 第四に耕種改善による農作物の増産対策に要する経費について説明申し上げます。 まず農業改良基金の創設でございます。わが国農業はその経営規模が零細でありますし、所得水準も低く、他産業部門に比べ生産力発展の自主的契機に乏しいため、国の強力な財政的支援を必要とすることは申すまでもないのであります。農業改良のための奨励的補助金につきましても、新しい技術の導入を円滑にするためには、その必要性、重要性はいささかも変りありませんが、一定の補助期間を経過して普及の度合いその他の理由によりまして補助金の必要な段階を過ぎましても、なお奨励の必要のあるものがたくさんあるわけでございます。これらのものについては、農業者の自主的な営農改善意欲の向上をはかりながら、この種の事業を促進することを適当と考えまして、これらに対しては無利子の奨励資金の貸付を行うことといたしました。また農業改良上必要な各種施設等の導入を容易にするために必要な系統資金について債務の保証を行うことにより、積極的に系統資金を活用することといたしました。これらに要する経費として九億二千五百万円を新たに計上し、農業改良普及事業の強化と相まって農業経営の安定と農業生産力の増強をはかる方針であります。 次に農産物種子対策でございますが、米麦、大豆、トウモロコシ、肥飼料作物、菜種、菜豆、エンドウについて原々種圃、原種圃、採種圃をそれぞれの段階に応じ設置するほか、災害対策用農産物種子の予備貯蔵を引き続き実施することといたし、これがために四億二千二百万円を計上いたしたのであります。 なお、従来補助により実施して参りました水稲健苗育成施設及び西南暖地等における水田生産力増強施設の奨励は、新農村建設総合対策による場合を除きまして、すべて農業改良基金による貸付金によって実施することといたしております。 次に土壌対策につきましては、低位生産地の調査費として五千三百万円を計上し、今般農業改良基金の貸付金により実施することといたしております酸性土壌改良及び秋落水田改良事業とあわせて低位生産地の解消に努めて参りたいと考えております。また、畑地帯、特殊土壌地帯及び北海道等につきましては、トラクター等による土層改良を実施することとし、所要経費七千八百万円を計上いたしております。 次に植物防疫事業でありますが、農薬備蓄制度と相待って病害虫発生予察、防除組織の整備、特に市町村における防除機具の整備に努めることとし、四億七千五百万円を計上しております。 以上のほか、耕種改善事業といたしましては、特殊農作物及び園芸農作物の生産確保改善の経費として三千百万円を計上いたしております。 第五に食糧増産対策費についてでありますが、まず、土地改良、開拓事業等の農地の拡張改良によります食糧増産経費は関係予算全体としましては、二百四十七億二千万円になります。なお、財政投融資計画中に余剰農産物見返り資金より農業関係費として八十八億円が予定されておりますが、このうち約四十七億円が農業開発に充当せられる予定であります。また世界銀行から農業開発のための資金をも別途考慮しておりますことは御承知の通りであります。これら外資導入関係事業に伴う国庫負担額は、前述の予算額のうち十一億七千二百万円であります。また農林漁業金融公庫によります非補助土地改良事業に対する融資を前年度の四十三億円に対しまして五十五億円と大幅に増額いたしまして、融資による食糧増産事業の拡大をはかっております。まず、土地改良事業費は、関係予算におきまして農業機械整備費を含め百二十億一千九百万円を計上しております。そのうち国営の灌漑排水事業が五十五億四千百万円、都道府県営の灌漑排水事業は三十一億三千六百万円、団体営のかんがい排水事業は十五億四千九百万円、いずれも前年度に比し若干の減少を見ているのでありますが、継続事業の早期完了をはかる等重点的に配分いたしまして、事業実施を効率的に行うよう努めると同時に、食糧増産の基本施設造成の確保を行いたいと考えておるのであります。なお三十一年度におきまして特に温水施設、老朽溜池、農地保全事業等の経費につきましては、若干の増額を考慮いたしておりますほか、外資導入によりまして行う事業といたしましては、愛知用水事業等であります。 次に耕地整備事業でありますが、暗渠排水、客土、区画整理、農道、索道等従来の事業を実施することといたしまして、二十一億一千百万円を計上しております。開拓事業につきましては、七十一億九千七百万円を計上いたしました。このうち開墾建設事業として三十九億三千五百万円、干拓建設事業として二十四億四千八百万円、計画費として三億二千百万円、開拓事業費補助として四億九千百万円を計上いたしました。開拓に伴う新規入植戸数は、機械開墾地区を含めまして五千戸であります。入植助成のためには以上の開拓事業費のほかに、住宅、開墾作業、土壌改良のため、開拓実施費として二十二億一千九百万円を計上いたしております。以上のほかに外資導入によります開拓事業地区といたしましては、上北、根釧の両地区の機械開墾がありますことは御承知の通りでありますが、これの所要経費は六億四百万円を計上し、三十一年度において地元増反のほかに百八十六戸の新規入植を予定いたしております。開拓事業に関連いたしまして、開拓者に対しまして営農資金及び役畜乳牛導入資金として十七億一千五百万円を開拓者資金融通特別会計で貸し付けることとしておりますが、上北、根釧地区の入植者に対しましては、別途余剰農産物資金をこの会計を通じまして、一億七千四百万円を貸し付ける予定であります。さらに開拓者の短期資金の融通の円滑化をはかりますため、開拓者融資保証協会に対し、前年度の五千万円に加えまして、さらに三十一年度においても五千万円の出資の増加を計上いたしております。 以上の一般的な食糧増産対策経費のほかに、鉱害復旧事業といたしまして八億三千万円、災害関連事業といたしまして六億八千百万円を計上いたして、これらの事業の促進をはかることといたしております。 なお、一般公共事業の及びがたい農山村の小団地を開発するための小団地開発整備事業を促進することといたしまして、三億四千六百万円を新たに追加して計上いたしました。 次に農業保険費について申し上げます。農業災害補償制度につきましては、かねてからその制度改正につきまして研究を続けておりますが、昭和三十一年度予算案においては、とりあえず現行制度に即しながら農業災害補償制度の運営に必要な経費を計上いたしたのでありますが、その総額は、百十一億六千六百万円でありまして、前年度に比し三十四億一千九百万円の減少をみてをるのであります。このうち特別会計繰入額につきましては、まず前年度においては必要であった同特別会計再保険金支払財源不足補てん金二十八億円が昭和三十一年度においては計上を必要としなくなっておりましたのと、さらに共済掛金の国庫負担につきましては、水陸稲の平均反当共済金額が減少いたしましたこと、その他麦価、繭価、家畜の掛金率の低下等が見込まれますので、八十六億八千六百万円、前年度百二十億八千七百万円に対しまして八十六億八千六百万円でまかない得るものと考えますのでこれを計上した次第であります。そのほかの経費といたしましては、二十四億八千万円を計上いたしておりますが、これによりまして都道府県による農業共済団体の指導監督の強化、その運営の適正化をはかることとしましたほか、合併農業共済組合に対する特別助成、農作物の損害評価事務の強化等の新事業を実施することといたしますとともに、掛金予納制等についても今後必要な措置を講じて参りたい方針であります。 第七に農林漁業関係団体等の経費について申し上げます。まず、農業委員会の関係でございますが、全国農業会議所、都道府県農業会議に対する事業活動促進に必要な助成費を前年と同様に一億一千万円計上しておりますが、市町村農業委員会費補助につきましては、食糧制度の改変、農業総合計画の推進、農地関係事務等の実情に即しまして行うこととし、職員三分の二人分の事務に相当するもののみを負担いたしまして、残余の職員一人と三分の一人分は地方財源計算に組み入れることといたしました。町村合併による委員会数の減少をも考慮いたしまして九億七千万円を計上し、その他代表者会議費等を含め総額において十一億一千二百万円を計上いたしたのであります。 次に農業協同組合中央会の事業活動促進補助のため六千万円、それから農林漁業組合の検査指導のため一億三千四百万円を計上いたしまして、その監督に遺憾なきを期しております。また農林漁業協同組合再建整備法に基く再建整備組合の増資奨励金に充てるため同法による最終年次でございます昭和三十年度の第四、四半期分の三千万円、それから連合会整備促進事業費の五億三千万円を計上いたしまして、再建整備を促進いたしますとともに、不振農協の整備強化対策といたしまして各都道府県に振興対策委員会を設けまして、その振興対策を講ずることとし、とりあえず昭和三十一年度におきましては組合の債務に対する利子補給、長期駐在員の配置、合併の促進等の指導の強化を行うことといたしまして、これらに要する経費一億一千三百万円を新規に計上いたしております。 第八といたしまして、農林水産物、並びに生産資材の流通改善及び価格安定に関する経費について御説明申し上げます。農林漁業経営の安定と所得の確保をはかりますためには、農林水産物等の価格安定、生産費の低下をはかることが何よりも急務であることはいうまでもないところであります。まず化学肥料につきましては、一般会計におきまして、臨時肥料需給安定法に基く需給調整のための肥料保管措置による欠損補てんの経費及び肥料市況調査等の経費といたしまして一億七百万円を計上しております。農薬につきましても、前年に引き続き全国及び都道府県において保管を行うこととし、所要経費一億二千七百万円を計上しております。購入飼料につきましては、食糧管理特別会計におきまして海外の市況調査費として百万円を計上いたしましたほか、同会計におきまして輸入飼料の売買操作によって需給及び価格の安定をはかることといたしております。生鮮食品流通改善の対策といたしましては、生鮮食料品の取引を公正にし、生産者及び消費者の利益を増進するため、中央卸売市場等の監督を強化することとし、また、その施設の新増設の助成として融資等の措置を講じて参りたいと考えるものであります。乳製品につきましても、廉価な製品の供給と消費の拡大をはかるため、前年に引き続き国内産脱脂粉乳の学童給食への利用を奨励することとし、この購入費補助として一千八百万円を計上いたし、この面からも消費の促進に資したいと存じております。 第九に畜産振興の経費でありますが、まず家畜の導入及び改良増殖についてでありますが、四億四千二百万円を計上いたし、従前に引き続き府県に対する種畜購入補助を実施いたしますほか、集約酪農地域継続二地区につき六百頭、新規に世銀借款により千九百頭のジャージー種乳牛を導入することといたしております。また、有畜農家創設資金利子補給に必要な経費として二億七千六百万円を計上しております。 次に自給飼料対策でありますが、まず牧野改良対策として、草地改良に一億九千四百万円、牧野改良センター二カ所の増設のために三千六百万円、北海道の乾草調整施設費補助として三百万円を計上いたし、牧野改良事業の機械化を急速に推進することといたしましたほか、自給飼料増産のため飼料自給経営施設補助として一千五百万円、飼料作物採種圃等の経費一千五百万円を計上いたしております。また畜産技術の振興をはかるため、畜産技術振興補助として三千三百万円を計上いたしておりますが、これにより中央及び地方における畜産団体による経営診断事業の実施をはかりたいと考えております。なお、畜舎、サイロ等の畜産経営の基幹となるべき施設の導入については、農林漁業金融公庫融資によるもののほか、新たに創設された農業改良基金による債務保証によって系統資金の活用をはかることといたしたのであります。 第十といたしまして、蚕糸業の振興に要する経費について御説明申し上げます。生糸の輸出増進事業及び蚕糸の技術改良につきましては、先に申し述べた通りでありますが、これと相待って国内における原料繭の合理的増産と生産費低減の措置として、従来の経営改善特別措置指導施設費補助として六千三百万円、桑園改植の展示のための桑園能率増進施設に対する補助として五千三百万円を計上いたしておりますが、このほか今般創設される農業改良基金制度に基く貸付金により老朽桑園の改植を促進することとしております。なお、生糸の品質改善対策の一環として新たに蚕品種の再調査、繭検定所に対する繭粒撰別機の設置、練り減り及びラウジネスの調査等に要する経費八百万円を計上しております。 第十一といたしまして、林業振興のための経費について御説明申し上げます。まず山林公共事業費につきましては、治山事業に四十二億七千六百万円、造林事業に二十九億七千万円、林道事業に十六億八千四百万円を計上いたしております。造林事業につきましては、ただいま申し述べましたもののほか、国有林野事業特別会計におきまして、公有林野の官行造林事業といたしまして八億七千百万円を引続き実施いたすこととしております。一般民有林対策といたしまして、林業関係の技術改良については先ほど申し述べた通りでありますが、森林計画に三億九千三百万円、樹苗養成及び毬果採取等優良種苗確保のため八千九百万円、保安林整備計画実施に二千四百万円、森林病害虫防除に一億三千百万円、有益鳥獣増殖のため六百万円を計上いたしまして、森林資源の維持培養に努力いたす所存であります。なお今申し述べましたうち、樹苗養成及び毬果採取については、前年度公共事業費として行なっておったものであります。 第十二といたしまして、水産業の振興の経費について御説明申し上げます。水産業の振興のためには、沿岸及び沖合いにおける資源が枯渇の傾向を示しつつある現状にかんがみまして、従来の水産増殖事業を継続するほか、海外漁場への発展、新漁場の開発に特段の努力を払うことといたしておりますほか、別途新農村建設総合対策の一環として沿岸漁村振興総合施設助成事業を実施いたしまして、沿岸漁村の振興をはかることといたしております。水産資源の増殖につきましては一億九千万円を計上いたし、前年に引き続き内水面における種苗生産及び放流施設、貝類増殖、浅海増殖を実施いたす方針であります。 新漁場開発につきましては、沖合い漁場について五百万円、インド洋におけるマグロ資源開発のため三千二百万円、ブラジル沖合いにおける開発調査のために新規に一千三百万円を計上いたしておりますほか、海洋調査関係経費として五千五百万円を計上しております。また水産資源保護のための漁業調整及び取締り関係につきましては、北洋漁業、太平洋及び東シナ海における以西底びき網漁業、捕鯨業等の国際漁業関係に三億三百万円、沿岸沖合い内水面関係一億二千六百万円を計上いたしておりますほか、新たに沖合い漁業取締船及び調査船各一隻の新規建造を行うこととしております。 次に漁港施設の拡充につきましては、既着工地区の早期完成をはかることに重点を置き二十四億二千七百万円を計上し、漁港修築事業の促進を期しております。 第十三といたしまして、農地、林野、漁港関係の災害復旧費について申し上げます。農地及び農業公共施設の災害復旧費に九十八億一千四百万円、治山施設及び林道の災害復旧に四億七千百万円、漁港の災害復旧に十五億九百万円、合計百十七億九千五百万円を計上いたしましたが、前年に比較いたしまして三十一億八千万円の減少となっております。これは災害が逐次減少したためでありまして、これによりまして昭和三十一年度におきまして、二十七年以前の災害につきましては残事業量のほとんどを完了し、二十八年災害につきましては総事業量の七割五分、二十九年災害につきましては同じく七割、三十年災害につきましては同じく六割五分まで完了いたすことを目途としております。 第十四には農林漁業における財政投融資と営農資金等の利子補給関係費について申し上げます。先ず農林漁業金融公庫でありますが、産業投資特別会計よりの出資十億円、資金運用部からの借入金百四十五億円、及び簡易生命保険及び郵便年金特別会計からの借入金五十五億、これに回収金の八十億を加えまして、合計二百九十億円の原資計画により、従来に引き続きまして土地改良、林業、漁業、塩業、共同利用施設及び自作農維持創設等に要する融資を行うほか、新農村建設のため特別の融資を行うことといたしております。 特別会計による農林省関係の政府融資ないし融資保証の制度としましては、開拓者資金融通及び中小漁業融資保証保険の両特別会計があることは御承知の通りでありますが、開拓者資金融通特別会計の融資予定額としては、先に述べました通り十八億八千九百万円を計上いたし、また中小漁業融資保証保険特別会計におきましては、今般一億円の繰り入れを行うこととし、これによって年間百億円の資金の保証を予定しております。このほか今後の予算措置により直接活用されます系統資金量は、農業改良基金制度により十八億二千一百万円、開拓者資金保証協会出資五千万円により従来の資金量に加えて三億円、有畜農家創設資金利子補給により十二億三千九百万円が予定されております。一般会計による利子補給金といたしましては、昭和二十八年及び二十九年発生災害の被害農家に対する営農資金利子補給、十勝沖地震による農業施設災害復旧資金に対する利子補給並びに水産関係のルース台風、十勝沖地震、カムチャッカ沖地震等による漁業災害及び昭和二十九年及び三十年発生災害に対する復旧資金の利子補給等を含めて十四億五千万円を計上いたしましたほか、有畜農家創設資金利子補給につきましては、先に述べた通りでございます。以上が一般会計の概要でございます。 続いて昭和三十一年度の農林関係特別会計予算について御説明申し上げます。まず食糧管理特別会計につき申し上げます。この会計の歳入、歳出はともに八千七百四十六億九千五百万円となっております。米穀及び麦類の管理制度につきましては、制度の急変を避け、さしあたり普通外米の消費を自由にする等の所要の改善を行うことといたしまして、本特別会計における昭和三十年度までの損失は同年度において処理し、昭和三十一年度においては厳に収支の均衡を確保することとしております。昭和三十一年産米の集荷数量は三十年度当初予算とおおむね同量の二千三百五十万石と予定いたし、配給日数については全国的に均衡化することに努めますほか、普通外米につきましては、現行の消費規正を撤廃する方針であります。国内産麦については、ほぼ三十年度買入れ実績程度の百二十五万トンの買い上げを予定しております。食糧の輸入につきましては、配給外米の品質の向上に留意することといたし、米麦ともにその数量は内地食糧の不足を補う限度にとどめ、米百十一万トン、麦三百八万トンを予定しております。 生産者価格について申し上げますと、三十一年産米の政府買入れ価格につきましては、三十年産米の政府買入れ価格算定に準拠した方式により、三十一年産麦につきましては、現行の政府買入れ価格算定方式によりまして算定いたしたのであります。 また消費者価格及び政府売渡し価格につきましては、内地米は現行価格に据え置くことといたし、普通外米は内地米との格差を適正化し、内麦については消費者価格水準の実勢を考慮して、それぞれ所要の改訂をいたす方針であります。 なおこのほか食生活改善のための学童給食用小麦の廉価払い下げに伴う損失補てん金として十五億四千万円を一般会計より受け入れることといたしております。 米麦以外の農産物等につきましても前年に引き続き、でん粉、テンサイ糖、甘藷なま切りぼし、菜種、飼料の買入費を計上し、農産物及び飼料等の価格の安定及び農家所得の確保をはかる措置を講じたいと考えております。 輸入砂糖につきましては、砂糖の価格安定について別途関係業界の自主的調整措置を講ずることといたしておりますが、なお価格の安定を期し得ない場合におきましては、本会計において所要数量の買い入れ及び売り渡しを行い得るよう措置する方針であります。 第二に農業共済再保険特別会計について申し上げます。この会計の各勘定を通じまして、歳入、歳出はともに百七十六億七千四百万円となっております。このうちまず基金勘定につきましては、三十年度末において農業勘定の剰余金を本勘定に受入れることが見込まれますので、その歳入歳出はともに二十八億九千七百万円を計上いたしております。次に農業勘定でありますが、三十一年度予算では、前年度の予算に比べまして、三十年度引受け実績を基礎として算定した結果、水陸稲の平均反当共済金額の減少があり、麦価、繭価の値下りにより共済掛金の国庫負担額は減少を来たし、また二十九年度の風水害、冷害によります再保険金支払い財源の不足補てん分として三十年度に計上された二十八億円は当然不要となっております。この結果八十一億二千二百万円を一般会計より受け入れることといたしております。次に家畜勘定につきましては、三十一年度は死亡廃用共済と疾病傷害共済との一元化により掛金の料率も引き下げられますので、共済掛金の国庫負担額は減少し、四億八千九百万円を一般会計より受け入れることといたしております。 第三に、森林火災保険特別会計につきましては、前年度同様の事業を実施することとし、歳入、歳出ともに四億二千万円を予定いたしております。 第四に、漁船再保険特別会計につき申し上げます。 まず普通勘定につきましては歳入、歳出ともに十三億三千七百万円と前年に比し増加をいたしておりますが、これは本制度の普及による加入漁船数の増加によるものでありまして、このため国庫負担分二億三千五百万円を一般会計より受け入れすることにいたしました。特殊保険勘定は歳入、歳出ともに四億二千万円を計上いたして再保険金の支払いに充てることといたしておりますが、歳入の一部として資金運用部よりの借入金八千五百万円を予定いたしております。また給与保険勘定につきましては、特殊保険と同様の考えのもとに保険事故が発生した場合の再保険金の財源として資金運用部より五千万円の借り入れを予定し、歳入、歳出とも七千九百万円を計上いたしております。 第五に自作農創設特別措置特別会計につき申し上げます。この会計の歳入、歳出は十四億五千九百万円でありまして、土地の買収につきましては既墾地四千町歩、未墾地一万三千二百町歩、牧野千五百町歩を、またその売り渡しにつきましては、既墾地五千五百町歩、未墾地四万九千町歩、牧野四千五百町歩を予定いたしております。 第六に開拓者資金融通特別会計につき申し上げます。この会計の歳入、歳出は二十三億六千百万円でございます。まず営農資金につきましては、二十九年、三十年の入植者を含めまして、これらに対し営農資金及び共同施設資金として九億五千二百万円を貸し付けることといたしております。この中には経営規模の実績が従来の予定の規模をこえる状態にあるものと判明した二十九年入植者についての融資ワクの増加を考慮いたしております。 また営農不振の地区に対しましては、その振興対策として資金の貸付八千万円を予定し、さらに累年の災害を受けた入植者に対しまして、実質的な負担軽減をはかるため農機具、家畜等の営農改善資金三億三千七百万円に貸付を行うことといたしております。開拓者が営農上必要とする乳牛三千七百頭、役畜四千頭を導入するため家畜導入資金といたしまして三億四千七百万円を計上し、既入植者の安定をはかることといたしました。これらの資金の調達は償還金と借入金によりこれをまかなうこととし、十億円を資金運用部より借り入れるほか、機械開墾地区分については、余剰農産物特別会計より一億七千四百万円を借り入れることといたしております。 第七に国有林野事業特別会計につき申し上げます。この会計の歳入、歳出は、四百九億五百万円であります。本会計においては、木材の需給計画に基く国有林より供給量はこれを確保し得るよう措置することとし、北海道の風倒木につきましては、その妥当と認められる範囲において急速に処分を行うよう計画いたしたのであります。林道及び造林経費については、おおむね前年通りとし、また治山のための民有林買い上げについては、最近の木材価格値下りによる本会計の経理状況にかんがみ、従来の二分の二程度に押え、これに伴う治山施設の施行もこれに応じ縮小をいたしたのであります。また公有林野官行造林につきましては、特に造林の拡大をはかるため計画通りの実施を確保することとしたのであります。以上の結果本会計の収支は十億円の不足を来たすことと相なりますので、これは資金運用部に預け入れてある剰余金を取りくずしまして、これに充当することといたしたのであります。 第八に糸価安定特別会計につきましては、歳入、歳出ともに六十四億二千四百万円を予定いたしております。糸価の異常なる変動を調整するための最低価格による生糸の買上量を一万四千五百俵とし、また輸出適格生糸につき保管会社が買い入れ保管した生糸についても特別買い入れ五千俵を予定いたしております。また繭価の維持のため養蚕団体をして共同保管を行わしめることといたし、これについても保管数量百万貫を予定し、これらに要する経費については、前年度剰余金三十四億六百万円のほか、糸価安定特別会計法の運用によりまして三十億円を限度とする借入金を活用することといたす方針であります。 最後に中小漁業融資保証保険特別会計につきまして申し上げます。この会計は、昭和二十七年度五億円の基金で発足いたしましたが、この融資実績も昭和二十九年以降漸増の傾向にありまして、その保険金支払いも今後増加が予想せられます。この基金に不足を来たすおそれがございますので、さしあたり昭和三十一年度に一億円を一般会計より受け入れ、歳入、歳出ともに六億二千八百万円を予定いたしております。 以上が農林関係一般会計予算案及び特別会計予算案の概要でありますが、農林関係予算の中で比較的に重要な地位を占めております補助金について取りまとめて申し上げますと、公共事業関係で三百四十三億六千五百万円、公共事業以外の一般補助金が百六十億二千三百万円、計五百三億八千八百万円の補助金を計上いたしておりますが、前年度に比較いたしますと、公共事業費において四十億七千百万円の減少、公共事業費以外の一般経費におきまして二億七千百万円の増加となり、差引三十八億円の減少となっておりますが、これは公共事業費におきまして、先ほど申し述べましたように災害復旧事業費の大幅な減少がおもな原因をなしておるのであります。この結果、農林関係補助金に見合います地方公共団体の負担額は、公共事業費におきまして約百十五億円、公共事業以外の一般経費におきまして約五十五億円、計約百七十億円と前年に比較いたしまして約三十七億円の減少をみております。昭和三十一年度におきましては、地方財政逼迫の状況にかんがみまして、特に地方補助職員の給与費の補助額の是正、公共土木事業中山林、漁港についての補助率の引き上げ等、地方負担の軽減という点に努力をいたした次第であります。 よろしくお願いいたします。
○委員長(棚橋小虎君) この問題につきましては、本日はこの程度にして、残余はあすの午後に回すことにいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時四分散会