地方行政委員会 第38号
- 発言数
- 324 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1956/05/24
会議録
○委員長(松岡平市君) これより会議を開きます。 委員の異動がありましたから、御報告申し上げます。本日、委員岸良一君が辞任せられ、新たに河野謙三君が委員に任命せられました。 —————————————
○委員長(松岡平市君) 公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題に供します。昨日の委員会で御報告申し上げましたように、ただいま鳩山内閣総理大臣が委員会に出席せられました。本日午前中は、もっぱら総理大臣に対する質疑を行います。なお、委員各位の御同意を得られることと思いますから、委員長から、鳩山総理大臣は御着席のまま御答弁を願うことにいたしたいと存じます。まず小笠原君に発言を許します。
○小笠原二三男君 きょうの質疑だけで、総理に対する総括的な質疑は時間の都合上終らぬと存じますが、一、二問題点だけ総理の所見を伺っておきたいと存じます。 鳩山総理は、この一人一選挙区制に基く公職選挙法の一部を改正する法律案の発議せられるに当って、総理自身の御熱意として、これが内閣の決定となって御提案になられたものでありますか、また、現在においてもその心境にはお変りはございませんか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は、元来二大政党がいいと考えております。小党分立になりますと、どうも政治の運営がうまく参りませんような気がいたします。昔から二大政党論をとっております。二大政党になるのには、やはり小選挙区の方が第三党の出るおそれが少くなる。私の自分の熱意があるかどうかという御質問に対しては、熱意を持っておりますと御返事をいたしたいと思います。
○小笠原二三男君 それによっていろいろの手続をせられまして、選挙制度調査会の答申も出て参り、鳩山総理としては、制度調査会に最初ごあいさつなさる言葉の中でも、ただいまのような点が主張せられておったようでありますが、その選挙制度調査会の案が手続として尊重せられるということがなく、あなたの総裁をしておられる自民党において著しくこれが変更を加えられて御提案になられたということについても、その政府案が選挙制度調査会案よりも最善のものであるとして、総理大臣はこの提案に御熱意を持っておられたのでありますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は、選挙制度調査会の案をそのまま採用して、議会に提出すればよかったと思います。
○小笠原二三男君 どうして、それが変更をせられることについて、一党の総裁であり、また内閣の最高責任者としての総理である立場でありながら、党の主張を抑えて、よかったと思われる選挙制度調査会案を御提案になるということで御責任をお感じにならなかったのですか、その間の経緯はどういう事情であったのですか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は、区制について全然関知しておりませんでした。ただ自由民主党の人から聞いたところによれば、公正ないい案ができたという抽象的なことばかり聞いておりました。それが世間の党利党略によってというような疑いを抱かしたところに非常な不利益があったと考えますので、そういうような非難を避けて、調査会が作った案をそのまま手を触れずに出した方がよかったということを後日考えたのであります。
○小笠原二三男君 そうしますと、あなたが主宰せられておる閣議においてこの法案を御決定になられるという場合に、あなた自身はこの案の内容をごらんになっておらなかったということでございますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 大局については聞いておりましたけれども、区制の詳細については見ておりません。
○小笠原二三男君 では、まあこれからの質問の都合上、はなはだ失礼な言い分でございまするが、そういう世論による問題、あるいは国会内における非常な紛糾を起してきた過程におきましては、この法案について、総理自身お目をお通しになられたことがございますか。また、あなたがこれではいかぬとお考えになられ、また自民党も修正案をお出しになりましたが、その修正案の内容についても、お目を通されておられますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 大体においては知っておりますけれども、詳細のことは存じません。
○小笠原二三男君 それでは、まあこの点は議論になるところですけれども、時間がありませんから、どんどん先を急ぎますが、今までの質疑の中に出て参りました、政局安定のためには二大政党でねければならない、二大政党を出現せしめるためには、小選挙区制度が最もよろしい、こういう御意見は御堅持になられるということでありますが、衆議院等における速記録等で見ますと、政局安定ということは、さまざまの方の口から出て言われますけれども、何をもって政局の安定とするのか、この点が明確でありません。で現在、鳩山総理が政局の安定、自分の望ましいという政局の安定というものの姿はどういうものであるとお考えになっておられるのか、その点は、少しく所見として詳しく御説明願いたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 小選挙区でありますと、たとえば二大政党のときには、候補者を選挙区ごとに立てることができます。それですから、大体において二大政党の育成にはなるわけです。これが中選挙区だと、一つの政党はようやくまあ三分の二ぐらい候補者を立てることができれば成功な方で、それですから、二大政党の育成にはならない。小選挙区になれば、二大政党という制度は維持されていきますけれども、小選挙区でない中選挙区だったらば、二大政党というものは、その選挙法の性質上だんだんとくずれてくると思いますので、小選挙区の方が、二大政党が出てくるには、そういう制度をとるべきものであると考えたのであります。
○小笠原二三男君 その点は、先ほどの説明でわかりましたが、それによって起る二大政党におけるどういう政治の仕方が政局の安定と称されるものであるかという点をお尋ねしておるのです。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は、現在どういうわけということを考えたのではありませんで、将来にわたって二大政党に日本がなるならば、日本は小選挙区になった方がいいと、こういうように考えただけであります。
○小笠原二三男君 抽象的に政局の安定といって、わかったようでわからぬ点があります。あなたは、別の場所においていろいろのことをおっしゃっておられますが、この提案理由の説明によりますと、「政局を安定せしめ、」この内容となるものは何かといいますと、「国民多数の支持を保つ政党を基盤とする政府が、責任をもって内外にわたる政策を遂行することにあると信じます。「こう申されております。ところが鳩山総理は、他の場所においては、多数党が内閣をとって、四年なら四年という任期を政権の交代なしにしとげて、そのことによって長期の施策が行われることが政局の安定であるという意味合いのことを申されております。けれども、そのことから申しますと、四年の任期四年の任期ということが永続されて、一つの政権が長きにわたって持続されるという形式だけに重点が置かれて、政局の安定ということが言われるのではないかという疑点をわれわれは持つのであります。そういう点を解明する意味で、この点をお伺いしておる。
○国務大臣(鳩山一郎君) 政局の安定というのは、衆議院で国民の信任を得た内閣が、ある程度長期にその政策を実行することができるようにすることにあると思います。政局の安定という意味は、そういう意味だろうと思うんです。
○小笠原二三男君 その場合に、長期にわたって政権を握る、しかも責任をもって政策を実現するという場合に、二大政党の反対側の党の立場、党のあり方というものは、どういうことを期待せられ、また、その場合の内閣としては、反対党に対しては、どういう立場をもってお進みになるのが望ましい形であるとお考えですか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 政策本位に話し合っていくのが一番いい方法だと思います。
○小笠原二三男君 そのことは、二大政党の出現をみるまでもなく、また今日において形式上二大政党とも言われておりますが、今日においてもそれが行われてしかるべきであると考えてよろしゅうございますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私もそう思います。今日においてその必要はあると思います。
○小笠原二三男君 それならお伺いしますが、あなたが四月にわが党の鈴木委員長とお会いになり、日ソ交渉についていろいろなお話し合いをなすったことを伺っております。そしてその後において、あなたのお考えが固まった際においては、また委員長会談等によって、社会党の協力も願わなれけばならぬということを申されているやに伺っております。しかし、その後鳩山総理においては、この種の外交問題について事態が進捗しておるが、そういう会合のあったということも聞きません。話し合いが行われたということも聞きません。そして一方、河野農林大臣が全権として参られた日ソ交渉における表面に現われた漁業協定なり、海難救助協定の取りきめについては、新聞を通じて承知しているというのが反対党の立場であります。しかも緊急な本年度における北洋漁業問題については、いかようになっているのか、御説明を伺っておらぬのであります。しかも、その全権がいち早く会談が終ったならば本国に立ち帰り、総理にも報告せられ、反対党にもこれが内容を説明せられて、自後の手を打つべきはずであるのにもかかわらず、アメリカの方を回る。アメリカが御本家かもしらぬですが、あるいは党内取りまとめのために、何らかの取りつけを先にして日本に帰ってくるという政治的な事情もあるかもしれませんが、いろいろなそういう揣摩憶測を受けるような行動のままに……、日本にすみやかに立ち帰って、この外交問題についてばかりでも、この政局打開と申しますか、外交処理と申しますか、この点について反対党に対して何らかの取りまとめられた意見について報告がなされるというようなことがあっていいはずなんです。そういうことが、じんぜん日がおくれてなされておりません。この点は総理としてどういう御所見を持っておられますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) まだ河野全権から詳細の報告がないのであります。漁業問題に関連して、ただ七月の三十一日までに国交調整について相談をするということが条件になって暫定協定をした、その意味の電報はありました。しかし、どういう暫定の協定ができたかということも、私は存じないのであります。ただいまの段階におきまして、鈴木委員長にその相談をするものがないのです。しかし、河野君が帰りましたならば、よく鈴木君に話をしたいと私は考えております。
○小笠原二三男君 河野氏がアメリカに回って、まだお帰りにならぬので、事情がよくわからぬ。一方随行しておられる方々は、とうに本国に帰っておられる。しかもこの方方も、河野氏が帰らなければ言明できない内容を持っておられる。しかも北洋漁業の問題は、一日もゆるがせにすることができない緊急な事態になっておる。にもかかわらず、アメリカをお回りになることについて、総理は指示を与えられ、あるいはお許しをなさったのだと思うのですが、どういう事情でアメリカを回り、しかもアメリカ滞在をお許しになったのでありますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 漁業の問題の海域は、カナダもアメリカもやはり関係があるものですから、やはりソ連とどういうような約束ができたかということは、同じ地域に漁業権を行使し得るカナダ、米国等に対して報告をする必要があると思ったんだと思います。それで、漁業問題について報告する必要があるから回って行きたいという訓令を仰いできましたから、それは、二日ばかりの問題ですから、何もこちらにそう急に帰ってもらわなくてもいいのでありますから、回って話をつけて、そうして帰って来たらよかろうという返事を与えました。
○小笠原二三男君 急いで帰って来る事情もないから、回って話をつけて来てもらいたい、どういう話をつけて来るのですか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 日ソとの間の話を報告をして、了解を求めておいた方がいい。やはり向うが漁業権を持っているので。
○小笠原二三男君 本国の総理なり、本国の政党なり、また国民の了解を求めるための緊急な事態であるにかかわらず、他国の了解を本国よりも前に求めなければならない、日本の国会よりも前に他国の了解を求めなければならない、そういうお考えはどこから出てきているんですか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 漁業問題もありますけれども、今後の日ソ交渉に ついての、七月の三十一日までに日ソ交渉をしなくちゃなりませんので、それらについての日本の意思はやはり伝えておく必要があると思います。
○小笠原二三男君 そうなれば、いよいよわれわれとしては重大だと存じます。本国の総理が内容的な訓令を与えることなしに、ただアメリカ回りによって了解を取りつけてくるということ、しかもそれは、漁業協定の結ばれたことについて了解をしてもらいたいということ、それだけで回らせたものが、今度は、七月から始められるであろう日ソの国交回復に関して、アメリカ国の要人の了解を取りつける、あるいはその方途について話し合いをして、ある種の指示なり考え方を得て本国に帰ってくる、それから内閣の態度の決定なり、あるいは自民党の取りまとめをする、反対党に対しての了解を取りつけるなり、国民に対して一つの方針を示す。こういうやり方は、自主的な日本の独立国としてあり得ない姿であると私は考えるのであります。この日ソの問題について、どういう了解を取りつけることを訓令しているのでありますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 今後の日ソ漁業協定の運用について、米国とも関係がありますから、やはりこの日ソの間の漁業協定をアメリカに知らしておくというのが日本の義務だと思います。それをおもにして、河野君はアメリカを経由して帰ってくるんだと思います。
○小笠原二三男君 義務であるかないかは、それはわれわれ疑義のあるところであります。河野氏自身がそれを直接行って申し上げなければならない事情であるかないかということについても、重大な疑義があります。了解を取りつけるというようなことは、それぞれの出先機関があるのであって、それによってもやり得るところでありますが、その前に、前段であなたが言いました将来の問題というのは、日ソ国交回復の問題としてあなたが御答弁になったのであります。将来の日ソにおける漁業協定の運用について了解を取りつけるという意味合いを越えた御発言があったのであります。速記録を見れば明らかであります。林長官が横から修正原稿を書いてお渡しになって、それを読めばそれで済むものでない。この点は、私は委員長に、あとで速記を調べた上で、また疑義が残っておれば質疑をすることとして、本問題からはずれておりますし、委員長に叱られても何ですから、問題をまた選挙法の方に戻しますが、今までのこの日ソ関係について御発言があるならば、それはその御発言はおとめはいたしません。
○国務大臣(鳩山一郎君) 日ソの交渉一般については、政府からは河野君に対して何らの訓令も出しておりません。
○小笠原二三男君 何らの訓令も出しておらないのに、河野氏がアメリカを回ったのは、その話しもしてくる、であろうことは、さっきの御答弁で速記に明らかであります。ですから、この点はあと回しにいたしまして、そこで、持ち時間もありませんから、最後にもう一点だけ伺っておきます。 あなたは先ほど、この政府提案の原案は、これはいけないものだから、選挙制度調査会の案をそのまま尊重して提案すればよかったと思うということは、とりもなおさず世論を聞いたということであろうかと思います。ところが、衆議院の最終段階におきましては、これがあなたの総裁をしておられる自民党において抜本的な修正を加えられた。公職選挙法という法律の体裁から申しますならば、この別表第一、小選挙区の区割がついておらなければ、今回の選挙法案として体をなさない。本文が抜けたと申されていい。形式は付則となっておりますが、本文が抜けたものであります。これはとりもなおさず、私まずい例ではありますが、選挙制度調査会の意見は尊重するというのでありますから、そのままだという将来の取りつけばありません。そしてまあ一つの魂だけをこの際ぜひ参議院において通過させてほしい。それから本文の方の選挙運動を、すなわち将来生まれてくる入間の歩き方だけをきめたので、どんな格好の人間がこの魂を持って生まれ出るかということは、これは将来の別表に関する法律、あるいは付帯訴訟等に関する法律が公布せられ、そしてある種の期限があって後に発効するようになって修正せられてきているのであります。内容としてはそういう法律に変ったのであります。で、これを時間的に考えますと、次の通常国会に区割案があるいは審議せられるかもしれない。しかしその後六カ月もたった後の総選挙からでなければ実現は不可能だということになりますと、大体は再来年の総選挙から実施せられる法律案なのであります。そういう問題を全部将来に持ちこしたものであって、国会に対してだけは小選挙区になるような選挙制度調査会の意見を尊重するということも取りつけだけをしておきたいという法律案に変ったのであります。で、こういう法律案を衆議院の混乱の中にようやく可決して参議院に送り込み、参議院でこれを十分審議してもらいたいという意図が正直のところわからぬのであります。審議の対象である本体がなくなってしまったのでありますから、そして問題はあと二年も先の問題になったのでありますから、しかも総理としては、小選挙区制を堅持したいというお考えなら、次の国会においてでも、政府の責任において、選挙制度調査会の案が望ましいというなら、それをお出しになることもできるはずである。しかるにそういうことを一切なしにして、国会の責任においてこの骨抜きになった、本体のなくなった、将来いかようになるかもわからぬ不明な部分の多い法律案を審議して、可決してほしいという、そういうお考えがわれわれにはわからぬのであります。で、なぜこういう修正になられた法律案を自民党総裁としてぜひ通過させたいのであるか、その理由をお伺いいたしたい。あるいはまた総理としては、かえってこの種のものはこれだけ紛糾してきたものですから、おやめになられて、あらためて総理の所見に従って御提案になられるなら、御提案になられる方途をおとりになるということが筋ではないかと考えられます。で、内容に触れても申しましたが、今の二点についてだけ御答弁になっていただきたいと存じます。
○国務大臣(鳩山一郎君) まあ骨抜きにされたというようなお話ですけれども、私は骨抜きになっていないと思っております。つまり政府案の骨子であるところの小選挙区制の基本の原則を維持するということは、その精神、何と申しますか、法の精神というものは修正案においても維持されている。 なお、政党本位の選挙制度、これもくずれてはいないのであります。そうしてただ区制だけの問題になっている。その区制については、世論を調査したのでありますから、これが中正、公正に審議せられて、公平なる態度でもって区制がきまったというような形を作る必要があるのでありますから、このたびのような七人制といいますか、何というか知りませんけれども、ああいうような制度をとって、慎重に区制を検討するということは、政府としてとらねばならぬことだと思いますので、私はやはり骨抜きにもならず、よき小選挙区制を採用したい。私としてはやはりこの問題を参議院においても審議していただいて、すみやかに通していただきたいと考えるわけであります。
○小笠原二三男君 私はたぶんそういう御答弁があろうかと思いましたので、この修正案の内容をあなた自身でお読みになったことがあるかということを伺ったのです。鳩山氏は、われわれの先輩政治家として、長年こういう法案審議に携わってきたでありましょうが、法文の体裁を第一なさない、本体がないのです。いかような区割による選挙を行うかということがなくて、そうしてそのときに必要な選挙運動、あるいはそれに関係した規定を一部分作り上げただけなんです。そうして一切が、施行の日というものは、将来出てくる他の別表の法律その他の法律の公布せられたあとにおいて行うとし、一方その別表の方の法律の発効は、この選挙が行われるであろうときをもって効力を発揮すると、どつちも仮定の立場に立って、抱き合って施行の日をきめられたりしておる。まことに奇怪しごくな法案なんです。そうして国会に対して、小選挙区と申しますか、選挙制度調査会の意見を尊重して作るという、その精神だけを国会にのめというのであります。これは一方かう言うなら、国会の審議権をあらかじめ奪うと同然のことであります。もしも今日においてもこれを堅持せられておるとするならば、なぜ選挙制度調査会案そのもので修正しなかったか、なぜそれでやらなかったか、もしも今のように本文、本体を引っこめたというならば、将来において政府の責任において十分検討せられて、御自由な姿であらためてお出しになるならお出しになっていいでしょう。それを衆議院の混乱を参議院にまで持ち込んで、そうしてあなた御承知のように、先議の問題等であらぬ紛争までも引き起し、参議院としてはえらい迷惑なんです。政府の面子だけ、自民党の面子だけによって参議院のこうした審議の権と申しますか、これがスムースにいかない、ほんとうに中核となる審議の対象を失ってしまった、こういう法案をぜひ通してくれということは、長きにわたる政府家としての鳩山総理のとり方だとは考えられない。残るものは自民党と政府の面子だけなんです。面子で参議院を動かそうとするのですか。今でもまだあなたはお考えになることはで透る、私はこの主張をとりやめろとは言わぬのです。わが党の立場でいえばとりやめていただきたい、しかし議員として、会期末のこの参議院の運営の上からいって、ことさらに混乱を引き起し、しかもそれが面子だけのものであるという案を、われわれに熱意をもって審議してくれとあなたはおっしゃいますか。私は、今でも鳩山総理のお考え次第によっては、この問題は円滑に処理せられると思うのであります。御所見を承わっておきたい。
○国務大臣(鳩山一郎君) 衆議院において混乱を引き起したことは、まことに遺憾でありますが、それを議長は裁定をいたしました。裁定の結果、社会党とも話し会いができて、議案が通過し、参議院に参ったのでありますから、混乱は必ずしも継続すべき性質のものとは私は考えません。そうして問題は小選挙区にあったのではなく、小選挙区制案にあったのでありまするから、その区制案を、(「区制を抜いた小選挙区というのはありませんよ」と呼ぶ者あり)区割だけは小選挙区でありますから、それはまあイギリスなどの例をとってみましても、そういうような例はあったようです。最初から全部一人一選挙区制とすることは、なかなか不可能なような歴史的な事実もありますから、区割が小選挙区なら私はけっこうだと思います。だんだんに小選挙区に進んでいって、完璧なものになればいいと思う。なかなか小選挙区ということは大事業であって、五年後だ、三年後だからしてゆうゆうとしていていいものじゃないと私は思うのです。むしろ小選挙区制というものはなかなか、みんなが利害関係を持っておるものでありますから、これはずいぶん小選挙区制の完全血ものを作るには時はかかるわけです。それですから、ただいま衆議院議長の裁定によって、慎重な態度で区制がきまろうとする、その大体の方向まではさまったのでありますから、それに基いて、この案を参議院に審議をしてもらいたいという希望をわれわれが持つのは当然だと私は考えます。
○小笠原二三男君 それは衆議院における事情からして、そういう修正提案というような形になったことは承知しております。しかし法律案の体裁といい、その内容といい、また将来の実効といい、これが緊急に参議院において審議する対象であるかどうかということを考えた場合に、何も理由がない。政府がおやりになりたいことを私たちは拘束いたしません。将来長きにわたって政府は御努力になられ、御提案になる自由を持っております。しかしわれわれは、区割案を示されないで、概括的に小選挙区制度というものを承認してもらいたいということでは、審議することができないとさえ考えるの、であります。そういう意味から今の質問を申し上げておる。衆議院は衆議院です。参議院は参議院です。この際再度、自民党総裁として、また総理としてお考えになる点がないのかという点をお伺いします。とともに、もう一点としましては、総理がこの法律案の内容として先ほどちょっとぶれておりましたが、小選挙区のほんとうの一人一選挙区制というものは、イギリスにおいても長い年月を経ておる、日本においてもそうなるであろう、一度や二度ではできないだろうというお見通しをおっ しゃっておられます。このことは、とりもなおさず今後出てくるものは、一人区は原則であるが、事情によっては二人区あるいは三人区というものも最初の過程においてはあり得る、一回勝負で全部が全部一人一選挙区制にはならぬというお見通しなのでございますか。まず二つ質問いたしておきます。
○国務大臣(鳩山一郎君) 最初の御質問に対しては、先刻答弁したことに よって御了承を願います。 一人一選挙区制のことにつきましては、確かにイギリスの例を私は先刻申し上げました。その通りであります。それを日本にも直ちに実行すべきかどうかというようなことは、区割委員会で適当に処理してくれるものと……区割委員会というものは、太田長官の委員会における答弁によれば、区割委員会なるものは絶体にこれを尊重するという決心でいきたいということを言われております。私もそうです。区割委員会に一任して、党が関係しますと、やはりまた痛くない腹を探られるようなものでありまして、非常に選挙法の成立に不利益なことでありますから、全部区割委員会に一任をする、それを絶対に尊重するという態度でいきたいと思っております。
○小笠原二三男君 この法案の内容では、その区割をきめる委員会において、選挙制度調査会の前に出された案を尊重して作るとなっております。ところが選挙制度調査会の案は、厳然として一人一選挙区制であります。けれども、そのままと言わないで、尊重してとあるのであります。それに対して符節を合せるように、総理は私の最初の質問に対する答弁としましては、一概に、一度にはできない、だから何度も重ねてやるがためには、最初小選挙区制でいくという原則的なことを御承認願っておきたい、こういう意味合いでお話を申されておるのであります。従って政府の考えとしては、この委員会の意見は拘束はしないが、それとは別途に、この法案にあるように、尊重するという意味合いは、長きにわたって一人一選挙区制になるのであるから、その途中の過程では二人区もあれば、三人区も出るという事態になれば、それもやむを得ないであろうということを申されたと了承するんです。話の筋からいってそうなるんです。そうでありますか、どうですかということを率直に伺うのですが、隣から林さんがその都度その都度原稿を書くと、また手の裏を返した答弁になる、これはどうも困る。
○国務大臣(鳩山一郎君) 区割委員会の決定を尊重します。先刻申した通りであります。
○小林武治君 私は、この公職選挙法の問題に関連することだけを二、三お尋ねをいたします。 私は、先般の本会議におきまして、鳩山総理に対して、この区割案は果して公正なものであるかどうかということをお尋ねしたのでありますが、今回政府は、衆議院のこの大修正に賛成したと、こういうことである以上は、政府案が、不公正であったということをみずから認めた結果であると、こういうふうに思うのでありまして、政府としては、私はきわめて不見識なことである。こういうふうに思うのでありまするが、その点について総理は何らかの責任を感じていないか、まずこういうことをお尋ねしておきます。
○国務大臣(鳩山一郎君) 先刻、責任論は表面にはありませんでしたけれども、修正案と原案との違いについての御質問中に申しましたが、とにかく修正案と原案とは、その精神、目的において大体同じであります。小選挙区制を採用するということについて、政党本位制をくずさないで、ただ違うのは区制について、これを公正なる委員会において慎重に審議してもらうという点が違うだけでありまするから、私は、そんなに急いでこしらえるべきものではない、選挙法の改正というものは、そういうよう血経路を経て、だんだん にでき上る方がいいだろうと思いまして、修正に同意したわけであります。
○小林武治君 今の御答弁は、私どもにあまり納得できないのでありまして、小選挙区制で一番大事なことは、区割の問題であります。この区割がむしろ世論の反撃を受けたから、これを全部削除したということは、私は、世間でよく言う骨抜きだということに当ると、こういうふうに思っておるのであります。この問題について、先ほど小笠原君からお話がありましたが、これは全く法律としては私はどうかと思うのです。法律というものは、具体的な効果を求めるものが法律であって、この法案のようなのは、私は、これは政策の宣言と申しますか、一つの要望を示しておる、こういうものに過ぎないと思うの、でありますが、この点について私は、法制局長官からでもいいが、どういうふうにこれをお考えになっておるかということを一つ伺いたい。
○政府委員(林修三君) これは、実は私の立場から申し上げるのはどうかと思うわけでございまして、実は衆議院で御修正になったわけでございまして、私どもがやったわけではないわけでありまして、しかし、こういう修正後の形を拝見いたしますれば、実体規定はやはり残っておるのでございまして、単に政策を表明したばかりのものではない、こういう法律はもちろん法律として成り立つものと、こういうふうに考えております。
○小林武治君 これは、先ほど小笠原委員が述べられたように、私ども、これだけ長くいろいろごてごて書いてありますが、この中でもってこの際もし規定する必要があるとするならば、これは選挙区の区画画定委員会のことだけだと、こういうふうに思うのでありまして、先ほどお話のように、これから二年後か三年後かわからないようなものを、この際あわてて、そうしてこういう法律を出すという必要は全くない、こう思うのでありまするが、すなわち政党の公認の問題だとか、選挙の運動方法とか、立会演説とか、時効のこと、付帯訴訟のこと、こういうようなことは、急いでこの際立法する必要は全然ないと、こういうふうに思いまするが、これは、総理大臣はどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は、大原則と区割基準とは、やはり法律に定めてあるのでありまするから、法の体制としては少しも欠けてはいないと考えます。
○小林武治君 これは、先ほどから申しておるように、世間、では、この法律は骨抜き法案と言うております。しかし、この骨抜き法案をまた新聞その他では小選挙区法案だなんと言うて、これをはやし立てておりますが、内容は決してそんな仰々しいものではない、こういうふうに私は信ずるのでありまして、実態は、今も言われたように、これは単に選挙区画定委員会設置法案だ、それにすぎない、こういうふうに思うのであります。今ごろ、こういう急を要しないいろいろな条文をごてごてとわれわれに賦課するよりか、むしろこの画定委員会設置法案として、すっきりしたものとして出したらどうかと いうふうに思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) しかし、慎重に審議してということが衆議院で——まあ衆議院というよりは、世論で問題になったのでありまするから、それに対応して区画委員会というものを作って、それで区画をやっていくというようなことを出すのは、政府として世論にこたえるべき一つの方式だと私は考えます。
○小林武治君 私は、今まで総理が言われるように、この区画の画定委員会を作るということは非常に大きな意味がある、そのほかのもろもろの条文というものは無用だということを申し上げておるので、ほんとうの法律としての実態、必要を備えておるものはそれだけである、こういうふうに思いまするが、この点について、法制局長官あるいは自治庁長官は、どういうふうに思いますか。
○委員長(松岡平市君) これは、自治庁長官より御答弁を願います。
○国務大臣(太田正孝君) 申し上げるまでもなく、小選挙区制度というものは、区割の点が一人一区という厳格な制度のもとに置くのが本来の姿でありまして、当時の大正八年のときとは関係が違いまして、政党の力というものを強く見ておりまして、その公認問題及び選挙運動の問題につきまして、大正八年のときになかった制度を定めております。答申案におきましても、これが第一の原則でございまして、個人本位を廃し政党本位とす、この法案の中におきまして、区割と並んだ私は二つの大きな柱と思います。ただ世評にもありまする点で、私どもが弁解しておりまする一つは、小選挙区制度を作るとともに、政治資金でございまするとか、あるいは罰則の問題とか、その他これを行うについて公正なる選挙が行われるようにという、二つの別の意味のかたまりを主張されております。その点につきまして、選挙活動、政治資金の問題あるいは罰則の問題その他の点につきまして、答申案をわれわれが全部入れるまでにいかなかったのでございますが、われわれのいき得る範囲におきまして、これを包括しておりますので、区割制度が今総理大臣の言われた公正中立なる委員会によってりっぱなものができますならば、それではまっていくのじゃないか、それで完成するのじゃないかと、かように考えているわけでございます。従って、そのときになって作ればいいというお考えに対しては、総理大臣の言われるごとく、この選挙制度を作り上げるということは大事業であって、むろん一ぺんにいけばけっこうでありますが、議長裁定の線もあり根本方針をきめるということと、これが区画につきましては、これをきめる人と及び基準、方針とが定まっておりますならば、これによって完成するものである、かような点を考えておることと、もう一つは、実にいつ行うかということは、次の選挙というのがこういう法案のいつでもとるべき形でございますが、今回、法案ができてから六カ月ということを加えられた修正の趣意に政府が賛成いたしましたゆえんというものは、新しい小選挙区の形を実行する上におきまして、政党みずからにも、また一般国民の間にも、この制度によくなれるということが必要、であるという意味におきまして、むしろかような慎重な態度をとった方がいいという意味において、六カ月の期間も加えたのであります。要するに小選挙区制度の実体といたしましては、私は、この修正されて、なお法案の中において盛られておるものは厳然たるものがあると、こうお答え申し上げたいのでございます。
○小林武治君 私はその所見を異にしまして、これは小選挙区法案ではない。小選挙区の方向に進めと、こういうことを言うている。小選挙区法案というのは、具体的に区割ができて、そうしてこれを実施するのが小選挙区法案だと思う。また従いまして、一面からいえば、そんなにぎょうぎょうしく騒ぐほどのこともなかろう、こういうふうに私はまあ考えておるのであります。われわれとしましては、この際区画画定委員会さえあればいいのに、こんな余分なものを一ぱい付加されて、はなはだ迷惑である。これは、今やる必要がないとうことを私どもは考えておるということをあらためて申し上げておきます。
○国務大臣(太田正孝君) もちろん区割という問題が大きな問題であることは、私は否定いたしません。同時に、答申案の骨になっておりまするものは何であるかということは、委員であられた小林さんに申し上げる段ではございませんが、政党本位にするということは法制化されなければならないということが、私どもが答申案を読んだ内容の重要触る点であと思います。従って、区割だけという考え方と、それは大正八年の原敬内閣のときにも行われた問題でございますが、今日二大政党をほんとうに育てて行くという意味におきまして、政党に関するところの法文というものが重大なる要素であると私は思っておるのでございます。
○小林武治君 これは議論になりますが、むろん政党本位の選挙をやる、その他のここに規定しておる条文は今後必要であるのであります。しかしてこれらの条文は、区割とともに、車の両輪をなしておると、こういうことに、これはどなたも考え及ぶことができると、こういうふうに思いまするので、私どもはその際、区割のできる際に同時に規定して何の差しつかえがあるかと、こういうことを言いたいのであります。 それはその程度にいたしまして、総理に伺いたいのは、今回のこの政府案が非常ないるいろの世評を浴びたということは、むろん区割にある程度の不公正があったということが一つの原因でありまするが、なお、もう一つの原因としましては、総理は小選挙区制の採用ということが憲法改正の前提であるようなことをほかの席でも言われている。こういうことを聞いておるのでありまするが、このことは、私は一つの言いすぎと申しますか、あやまちであると、こういうふうに思うのでありますが、総理は今でも、小選挙区制の採用と憲法改正とが不可分の問題であると、こういうふうに思っておるかどうかをはっきりしていただきたい。(「思っているよ。社会党を減殺すると言った」と呼ぶ者あり)
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は、小選挙区改正と憲法改正と関係があるということは言ったことございません。現在もそう考えております。(「社会党は小さくなればいいと言ったじゃないか」と呼ぶ者あり)
○委員長(松岡平市君) 私語の発言はおつつしみを願います。
○小林武治君 総理がそういうふうに思っておられるなら、私はこれを了といたします。 次に伺いたいのは、先般も私はお伺いしたのでありますが、衆議院議員の選挙区をかように将来変更したいと、こういうことでありまするならば、これに対応いたしまして、当然参議院議員の選挙区等につきましても改正すべきであろう、こういうふうに思うのでありまするが、この問題を総理大臣は、現在の選挙制度調査会等に諮問するという気持をお持ちにならぬかどうか。こういうことを伺っておきます。
○国務大臣(鳩山一郎君) ただいまは、参議院議員選挙法を改正する意思は私持っておりませんが、参議院選挙法の改正についても、議論のあることは承知をしております。それでありまするから、選挙制度調査会に諮問すべきものではないかと思っております。
○小林武治君 これは私は、当然対応して、われわれも政府も考えるべき問題であると思うのでありまして、参議院の全国区というふうな問題については、とかく世間でいろいろの批判があるのでありまするが、これにつきまして、当面の責任者の自治庁長官は、将来これを諮問する、こういうふうなことをお考えになっているかどうか。
○国務大臣(太田正孝君) その通りに考えております。
○小林武治君 次に伺いたいのでありまするが、私は、衆議院議員の議員の定数、定員というものは、できるならば一つ少くしたらどうか。また従って、増員等は抑制すべきじゃないか、こういうふうに思うのであります。すなわち、今回せっかく政府案はこれを引っ込めて、白紙に戻しました以上は、むしろこの際、従来の単なる便宜主義、こういうものから離れて、根本的に一つ検討をして、減少をするとか、あるいは現状維持にすべきだと、こういうふうに思うのであります。なるほど今回の法律案には、四百九十七人以内こういうふうになっておりまするが、自庁長官も御存じのように、単にこれを国勢調査の結果は、全国で十二県に亘って定員の相当の減少をきたすと、この減少をきたすのがまずいからして、そのままにしておいたと、きわめてこれは便宜主義で、どちらかと申せば、私は非常に不適当なやり方であると思うのであります。むしろこの際これらの府県は、減少すべきものは減少して、そうして現状の定員をもってする方がいいんではないかと、こういうふうに思うのでございまするが、この定員の問題につきまして、総理大臣はどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 小林君の御意見にも理由はあると私は考えますけれども、とにかく区割に関係する問題というものが非常にめんどうな問題でありまして、これはやはりいろんな憶測をそこに起させるものでありますから、区割委員に全部一任をして、区割委員の裁定に、四百九十七名以内という条件のもとに、区割委員に一任した方がいいと私は考えております。
○小林武治君 四百九十七人以内だからして、この以内で幾らでもいいということを言われるのでありますが、こういう問題は、とかく最高限を示せばそこまで行くと、こういうことになりがちでありまするので、私ども、あるいは世論としても、定員はむしろ現状維持を希望していると、こういうふうに思いまするので、これらの向のことも、私は多少でもこれらの関係の委員会に反映をしてもらいたい、こういうふうに思うのであります。 なお、私伺っておきたいのは、今回の法律では、選挙制度調査会の答申を尊重しろ、こういうふうに書いてありまするし、また聞くところによれば、自民党の最初の修正案は、一人一区を原則とすると、こういうふうにうたわれておったのでありまして、これが尊重と直されたことについて、多少の意味の相違があると、こういうふうに自治庁当局は考えておられるかどうか、その点を伺っておきます。
○国務大臣(太田正孝君) 文字の使いわけのようでございますが、同じ意味に私は解しております。
○小林武治君 そういたしますると、私は従前から小選挙区の区割のことを自分でもいろいろ工夫をし、起草もいたしておるのでありまするが、選挙制度調査会の答申にいたしましても、全部厳格に一人一区としたということについては、相当の無理があったということは、関係者の各位はよく御存じであるのであります。従いまして、場合によれば画定委員会が二人区というものをもし設けることがあった、こういうような場合にも、政府当局はこの画定委員会の結論を尊重する、こういうことになりましょうか。
○国務大臣(太田正孝君) 先ほど総理大臣も言われました通り、区画委員会が答申いたしましたならば、そのままに出したい。そのままなるものの中に、一人区以外の二人区があった場合にはということになりますと、今の言葉を演繹して申しますれば、二人区があってもやむを得ないことになるのじゃないかと思います。もともと今回選挙制度調査会の答申の二人区を設けたことについても議論がございまして、いろんな混乱も起ったのでございますから、そういうことを総理も申され、私も、衆議院においても、ちゃんとそのままにいたすと——ただそのままということが、非常にこまかいことになりますが、答申後に行政区画等が変った場合は、これは別問題でございます。わずかな例外があることは御了承願いたいと思います。
○小林武治君 私は、このことに従来いろいろ関与しておったという立場からも、あるいは二人区を認めることもやむを得ないというふうな意見を持っておるということをこの席で私も申し上げておきます。 それからもう一つ、この際私は伺っておきたいのでありまするが、現在の選挙制度調査会の答申にしましても、とにかく市あるいは特別区、こういうものを分割しておるのでありまするが、かかる場合は、衆議院議員の選港区がかえって東京都の区会議員の選港区あるいは地方の市会議員の選挙区よりもさらに狭くなる、こういうふうなことは、私はいろいろ他に影響する問題があろうと思うのでありまするが、これらの地方議会の選挙区等についても、自治庁は何かお考えになっておるかどうか。
○国務大臣(太田正孝君) 地方議会おける小選挙区問題を考えたかといることにつきましては、私は、ただいまのところ地方議会に関係しては考えておりませんが、ただし、こういうことは衆議院においても御答弁申し上げました。地方選挙におけるよりも狭くなる区域はございます。現にあります。しかし、その区域における定員等の関係から見れば、これはまた違って参ります。 さらに、先ほど申された人員の点につきましても、地方議会の方は自制的に減らしつつあるときに、衆議院議員の選挙区に対してふえているという問題もございます。これらの点につきましては、もともとの建前が違いまして、非常にふやしてきた地方議会の姿と、大正八年に四百六十四人にして、その後二人しかふえておらない、大へんな長い月日の間うっちゃっておいたという事実も地方議会の関係とは違っておることは、私は判断の上に入れていいのじゃないか、こう考えております。地方選挙におきまして小選挙区制度をとるという考えは、私は今持っておりませんが、先ほど申し上げましたいろいろな参議院の関係、地方議会の関係等は、選挙委員会においてよくいろんな点をお考え願いたい、こういうように考えておる次第でございます。
○小林武治君 もう一つ伺っておきますが、もし法案が成立すれば画定委員会ができる。しかしてこの画定委員会の責任というものは、これはまことに重大である。政府もこの案をとにかく採用する、こう言われておるのでありますが、従ってこれの運営は、できるだけ慎重を期さなければならぬ。この法案によれば、この委員会の庶務でありますか、そういうものは自治庁の選挙部がこれに当る、こういうことになっておるのでありまするが、これらの委員会の運営というものについては、自治庁当局はどういうふうにお考えになっておるか、その点を一つ伺っておきます。
○政府委員(鈴木俊一君) この衆議院の修正案におきましては、今御指摘になりましたように、自治庁選挙部が委員会の庶務をやることに相なっておりまするが、委員長の互選あるいは議事の定足数その他の規定があるわけでございますが、その他すべて、これは委員会の委員各位の良識ある運営にまつということで、自治庁といたしましては、あくまでもその庶務をやるにとどまるという考え方で参りたいと思っておるわけであります。
○小林武治君 これは大事なことですから、私は念を押しておきますが、かような案の立案というようなことは、むろんこの委員個人でなかなか及ぶどころではない。従ってこれが準備その他についても、いろいろな問題があろうと思うのでありますが、いやしくもこれに対して、政府あるいは政党の影響力が及ぶということの心配を一般にさせないように、十分これは戒心すべきであると思いますので、その点、私は厳に御注意を申し上げておきます。
○国務大臣(太田正孝君) その御注意は、固く私守っていきたいと思います。 〔加瀬完君「守れないですよ、当然心配が生ずる」と述ぶ。〕
○松澤兼人君 第一にお聞きいたしたいことは、先ほど、小林委員から、大きな問題として、総理が選挙法の改正に非常に熱意を持っておられることは、憲法改正の前提としてこれを考えておられるのじゃないか、われわれは、総理は他の場所においてこの問題について発言されたことを非公式ながら見たり聞いたりしておるのであります。これは、世間が選挙法の改正の問題について非常に心配しておるということは、別に党利党略ということ以外に、この選挙法の改正が憲法の改正に結びつくのじゃないか、この道を用意するのじゃないかということを非常に心配しておるわけでございます。重ねてこの点について、この問題は憲法の改正とは関係がない、あるいはあるということをはっきり御言明願いたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 小選挙区制は、憲法改正の用意のためにしておるわけではございません。そういうことを言ったことはちっともありません。どっかでお聞きになったとかというお話でありますが、そういう演説をしたということはございません。
○松澤兼人君 総理はときどき発言されまして、いろいろ追及されますと、そういうことを言わない方がよかったと思うということをおっしゃることがある。このごろはあまりそういうことをおっしゃらない。(笑声)
○国務大臣(鳩山一郎君) 言わないのだもの。
○松澤兼人君 それは、答弁は非常に慎重になっておりますし、そうしてあまりそういう失言もなさらないから、そういうことを言う必要もないでしょうが、やはり世間の心配は、まあ憲法の改正ということが、結局われわれが言うし、あるいは国民の一部にもそういうことを考えておる。憲法の改正をやれば、結局再軍備、戦争という渦中に巻き込まれるのじゃないか、あるいはまた、家族制度がどうかなるのじゃないか、いろいろそういうことについて心配を持っておる。あなた方は、憲法の改正はしなければならないということを言っておるのですが、その前提として、選挙区の改正ということがやはり議題になるということであれば、これはどんなことがあっても阻止してもらわなければならぬという、そういう気持になる人もある。また、それを通そうとする人もある。ここに問題の分れ目があると思う。そこで今、総理がそういうことを言ったことはないということをはっきり言われますし、で、今後もそういうことのために選挙法の改正をやるのではないということをはっきりと御言明下されば、この問題はこの問題、憲法改正の問題は憲法改正の問題と、国民ははっきりと分けてこれを処理することが、できるのじゃないか、こう思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は、憲法改正の問題が生ずる前に、つまり現在の憲法ができます前から、小選挙区制をいい案だといって唱えております。従ってこのたびの小選挙区制を、憲法改正の用意のためにやっているという次第では決してございません。
○松澤兼人君 個人的にはそういうお考えを持っておられたかしりませんけれども、問題はやはり自由党の総裁あるいはまたは自民党の総裁として鳩山さんが、かつまた総理大臣としてお考えになる、あるいは党の政策あるいは政府の政策として御決定になるというところに、国民は非常に大きな心配を持つわけであります。で、ただ小選挙区に対する考えの方が、憲法改正よりも古かったということだけで、私どもは安心するわけにいかない。しかし、はっきりとここで分けて、選挙法の改正というものは、二大政党の対立あるいは政局の安定ということのために行うものであって、どこまでも憲法改正とは別個のものであるという御言明があれば、国民はその限りにおいては安心するのじゃないか、こう思うのです。
○国務大臣(鳩山一郎君) 先刻申しました通りに、改正用意のためにしているわけではございません。
○松澤兼人君 この修正案では、選挙区画定委員会というものが次の国会の常会以前に案を作成して、これを内閣総理大臣に提出するということになっている。その提出がありましたならば、内閣総理大臣は、これに基いて別表を作って国会に提出するということになっておる。この選挙区画定委員会というものに対しましては、わが党の小笠原委員、あるいは小林委員からお話がありまして、この問題が、非常に重要であるということは、すでに質疑応答の中に明らかにされました。ただ、私心配することは、もしこの七人の選挙区画定委員会というものが、意見がまとまればよし、もしまとまらないで、少数意見の保留者というようなものができましたならば、それはやはり多数決ということによって決定されるのですか。あるいはどこまでも話し合いを続けていって、一定の妥結の結果を得るように努力されるのか、この点はいかがですか。
○国務大臣(鳩山一郎君) ただいまの御質問に帰しては、とにかく区画委員の英知に待つよりほかはないと思います。
○松澤兼人君 区画委員会におきまして、どういうふうにこの案を取り上げるかということについては、原則はありますけれども、議事の運営の仕方については、何も総理大臣として、あるいは自民党の総裁としてお考えはない、あとは英知に待つばかりであると、そうすると、もし少数意見の保留と言いますか、あるいは七人のうちすれすれに、四人と三人というふうに意見が分れる場合には、案はできないことになりますか。それとも多数決という方式でもって運営されるというお考えでありますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は、できるだけ話し合いによってきめてもらいたいと思っております。
○松澤兼人君 もし話し合いができない場合は、画定委員会というものが明確に各選挙区について話し合いがつかない場合には、自然この公職選挙法の改正法律案の衆議院送付の修正案というものは、これは廃案になるというふうに考えてよろしゅうございますか。
○委員長(松岡平市君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(松岡平市君) 速記を起して。
○国務大臣(太田正孝君) 先ほど、松澤委員の過半数によるかどうかという、法文だけのことでございますが、それをちょっと補足しておきます。今度の法律の中で、中央選挙管理会の規則をこっちへ入れております中に、やはり多数決ということが原則になっております。 なお次長から、法文の説明をちょっと申し上げます。
○政府委員(鈴木俊一君) この修正の条文の附則の七項でございますが、この中に、公職選挙法の第五条の二の第十四項から第十六項までの規定は委員会について準用すると、こうなっておりまして、今の公職選挙法第五条の二の十四項、十五項、十六項と申しますのは、中央選挙管理会の会議運営の方式をきめているわけであります。十四項に、「中央選挙管理会の会議は、その委員の半数以上の出席がなければ開くことができない。」、十五項には、「中央選挙管理会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは委員長の決するところによる。」、こういうふうに明文がございますので、画定委員会の会議は、これによってきめられるというふうに考えます。
○松澤兼人君 そうすると、話し合いがつかないという場合はない。すべて多数決によって決定する。そこで、お伺いいたしますけれども、そうなると、やはり政党の影響というものが選挙区画定委員会に大きな比重を持つようになると思うのです。なぜ政党の影響はなるべくこの画定委員会に及ぼさないようにしようとするか、われわれはもちろん政党ということを、たびたび自治庁長官がおっしゃるように、政党主義ということを、今回の選挙法の改正の中に大きく取り上げていくということが、以前の小選挙区法と非常に違ったことである、こういうふうに言われているのでありますから、その点は考慮されなければならない、こう思うのです。この点いかがでございますか。
○国務大臣(太田正孝君) 政党の考えが濃く入ることは、この委員会の性質から申しましても、十分注意しなければならぬことでございまして、この委員の任命につきましては、同一の政党その他の政治団体に属する者が二人を超えないようにしなければならぬ、こういうふうに定められていることと、委員そのものが法律によって定められた方々あるいは「衆議院議長が推薦する学識経験者」ということになっておりますので、こういう点からも、その点は厳格に政党色というものが強く出ないようにいたさなければならない、こう考えております。
○松澤兼人君 この七人の構成でありますけれども、この中に、衆議院議長が推薦する学識経験者二人であります。これは政党に関係のないという人でございますか。
○国務大臣(太田正孝君) その点は法文の中には出ておりませんので、これは全くわかりませんで、全く衆議院議長の推薦におまかせする、こういう意味でございます。
○松澤兼人君 それじゃ、党を代表する人が学識経験ある者であれば、そして衆議院議長が推薦する者であれば、当然党の代表者として入ってくる人があるということをここでは期待できるわけですか。
○国務大臣(太田正孝君) 全く衆議院議長推薦でですから、そういう場合もあり得るかと思います。もちろんそれは公平にいたしまするから、衆議院議長の考え方によってきまることと思います。
○松澤兼人君 この混乱の一つの原因として私どもが考えますことは、この修正案によれば、本年三月十三日の選挙制度調査会の答申を尊重しということで明らかでありますように、そもそも選挙制度調査会というものが内閣総理大臣の諮問機関である。この答申があった場合には、政府は当然これを尊重するはずである。それを尊重しないで、いわゆる党利党略と言われる、あるいはハトマンダーと言われるところの選挙区制というものを作ったことに原因がある。そういうものを党利党略というか、あるいは党の政策としてお出しになるならば、これは議員立法として出されるならばまだ話がわかる。それを一方では選挙制度調査会というものに諮問を出して、諮問の答申があった以上は、それを尊重しなければならない義務があるにもかかわらず、それを党利党略といわれる自民党の案をもってすりかえたというところに非常に問題があったと、こう思うのです。この点は、総理も率直に、この選挙法の改正は、選挙制度調査会の答申を尊重すればよかったというふうに言われております。その非を総理大臣として、あるいは自民党の総裁として鳩山さんお認めになるのは当然だと思うのです。この点いかがですか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 党利党略と非難を受けないようにすることが必要だと私は考えております。
○松澤兼人君 必要だったと……。
○国務大臣(鳩山一郎君) 必要である……。
○松澤兼人君 私は、あのごたごたの原因が、そういう選挙制度調査会の案をそのまま尊重しないで、党利党略と言われる修正を加えたものを政府案として持ち出したところにあったと、こう思う。今後は、はっきりと選挙制度調査会の答申を尊重するということになっておりますから、まず安心ということでありますけれども、またここで、自民党が何かの意図をもってこの決定に働きかけをして、そしてまた、公正であるべき選挙区画定委員会の案が自民党の考えるような案にならないかということを私どもは非常に心配するのです。そういうことに対しましては、総理はこの際厳正に公正にこの選挙区画定委員会がこの案を作ることを希望し、またそういうことを期待するという御言明があってしかるべきじゃないか、こう思いますが……。
○国務大臣(鳩山一郎君) 松澤君のおっしゃる通りに、何人が考えても、中正公正にでき上ったものだというような感じを与えるように努力しなくちゃならないと考えております。
○松澤兼人君 もうおしまいになりますけれども、そこで私どもは、先ほどの小笠原委員との質疑応答によりまして、政局の安定ということが総理も考えておられるこの選挙法改正の重大な要点であるということを承わったのであります。どうも私ども、あるいは国民のある部分の人々は、鳩山内閣が、長く続けば、結局憲法改正というところに落ちつき、そうして戦争の危険に巻き込まれるのではないかということを非常に心配しております。そういう危険というものは、突如起るものではありませんで、われわれ長い経験から考えてみまして、だんだんと一つ一つの法律案なり政府の政策なりというものを積み上げて行って、そうして非常に危険な状態になったときに、国民はあっと思うわけであります。常に私どもが、たとえば防衛関係の法律であるとか、あるいは教育関係の法律であるとか、あるいは地方行政関係の法律であるとかというものを見て、どうも政府は最近保守反動の方向に向っているのではないかということを心配し、そしてわれわれの立場から、これに対してはかなり激しい反対あるいは抵抗を示しているわけであります。この点につきましては、政府は保守反動毛はない、政府のとっている政策というものは保守反動ではないのだ、あるいは言いかえるならば、国際的な情勢のもとにおいて、こういう政策が進歩的な政策であるということの御心境の表明ということが私は必要と思う。もちろんそれは、自民党という政党の総裁の立場というものはわれわれもよくわかるわけでありますが、少くとも私どもは、戦争以前のような、あるいは戦争中のような日本の国というものを再現してはならないということを痛切に考えます。この保守反動あるいは進歩的な政策ということに対する鳩山総理の御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 戦争回避、世界に戦争のないようにしたいという、いわゆる世界平和政策というようなことについては、私はずいぶん熱心なつもりでおります。今おっしゃったように、防衛問題についても、あるいは教育関係の諸法案についても、決して戦争の用意のために、そういうようなことを考えて当局がしているものとは私は考えません。
○松澤兼人君 それでは、最後に一つだけお伺いいたします。最近新聞紙で見ているところによりますと、いろいろ自民党の中にも、人事の問題に対して、あるいは内閣の刷新であるとか、あるいは党人事の入れかえであるとかというようなことが出ているようでありますが、国会が終了いたしましたら、何か内閣と党の人事の交流とか、あるいは内閣の改造とかいったようなことがあるものでございましょうか。これに関しまして、総理は何かそういうことを考えておられるかどうかということを承わりたい。
○国務大臣(鳩山一郎君) そういうようなうわさがあるということを新聞記者諸君から聞いておりますけれども、しかし個人としては、党の人事の改選といいますか、あるいは内閣の改造とか、そういうことは一切考えておりません。
○加瀬完君 総理あるいは政府の正式な御見解を承わっておりますと、政局の安定のためには二大政党が必要である。二大政党を維持育成するには小選挙区制が一番いい、こういう前提のようでございます。まあ外国の例がたびたび引き合いに出されますが、外国の例は一応おきまして、日本におきまして小選挙区制がとられました最近の、大正九年の原内閣、これを見ますと、確かに政友会は絶対多数を取りまして、強力な内閣が出現いたしたが、その次にはテロが発生いたしまして、必ずしも国民は政局の安定というものに喜びを感じておらないということにもなるのじゃないかと思います。それから、次に行われました大正十三年には、全然三党が鼎立をいたしますし、さらに少数会派が生じまして、むしろ政党内閣はその力を減退する端緒を作ったと言い得ると思うのであります。政党の無力化は来たしましたけれども、政局の安定というものは全然得られなかった。原内閣のときには、絶対強力の陰でテロが起りますし、あとの場合には、小選挙区制が必ずしも二大政党にはならなかった、こういう歴史があるわけでございます。で、今後、小選挙区制というものを実施いたしましても、やはりこういう弊害といいますか、結果というものをわれわれは一応おそれなければならない。そこで無理に安定を願って、多数派工作というものを、多数党の出現というものを作為的に行うならば、それはだれよりも総理が最も悲憤を感じておるのでありましょう大政翼賛会の再来ということになると思うのであります。これでは正常な政党活動、あるいは政党の発展ということにはならないと思うのでございますが、総理は、今までの日本における小選挙区の歴史というものからいたしまして、今、私が述べましたような点をどのようにお考えになりまして、新しい小選挙区制というものをおとりになろうということに結論をおつけになったのでありましょうか、これをまず伺います。
○国務大臣(鳩山一郎君) ただいま、原内閣のことを加瀬君は言われましたが、犬養内閣のときにも三百三名を取りまして、そして犬養さんは刺殺されました。つまり、多数党の横暴ということに対して国民の一部が反感を持つということは、これは自然の情勢だと思います。で、私の政局の安定という意味は、小選挙区によって絶対多数を取りたいと、そういう意味でもって政局の安定ということを言っておるわけではないのであります。二大政党ができて、第三党というもののできないのが政局の安定ということだと思います。
○加瀬完君 今までの小選挙区制の歴史を見ると、二大政党ではなくて、一党独裁か、さもなくばかえって政局の不安定を招いておる。今やっと日本は育ち初めの時でございますし、また政党の基盤であります民主主義というもので一番おそれますものは、この独裁あるいはテロということでなければならないと思うのであります。この傾向が日本の政情であるといたしますならば、これらの点については、総理が一番心配をしなければならない点と思うのでありますが、言葉をかえて言うならば、日本の現状あるいは日本の政党の歴史というものにおきましては、うかつに小選挙区というものは取り上げられないという事実をわれわれは感ずるのでございますが、さらにこの点、もう一度総理の取り上げた理由というものをお話しいただきたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は、小選挙区になれば、二大政党というその制度は育成されると考えております。それですからして、まあ今のわが党が多数で出て四年間やれば、そうすると次には社会党が多数で四年間やる。そうすると、四年ごとに政局の安定ができるわけです。ところが、これが小党に分裂しておれば、四年など続くはずがないのであります。政党の離合集散がひどくして、ちょっとのことで倒されてしまうわけでありますから、政策の実行というものができなくなる。つまり、私の言う政局の安定、二大政党の育成ということは、二大政党という、そういうあり方が育成されていくという意味で、それには小選挙区がいいと、そうでなければ、少数の党派が幾つもできまして、それで政局が不安定になり、激変がひんぱんに……、一カ月、二カ月、長いもので三カ月というようなことになるわけでありますから、むろん、そういうふうに変更した方がいいというような奇抜の議論を吐く人もあります。あるいはまた、そういうふうに小党に分立した方が長く続くといったようなことを、歴史の事実をとらえて話しておるフランスの学者もおります。しかし、実際のこの考え方としては、やはり小選挙区制をとれば、二大政党という態勢が育成せられまして、一つが四年間やって、不評判になって他にかわるというような、二大政党の根拠が育成され、政局の安定というものは、その程度の安定ができるという意味で私は言っておるのであります。
○国務大臣(太田正孝君) ちょっと補足して申し上げますが、大正八年の原内閣当時の政党というものの中の分類を見ますと、今日の革新政党と申しますか、社会党の立場のような勢力がなかった。なかったというより、少なかったのでございます。保守党の間の争い。そうして今日の問題はどうかといえば、革新政党と保守党、ここに非常に大正八年当時とは事情が違ったということもお考えのうちに入れていただきたいとおもいます。
○加瀬完君 大正八年なり、十三年なりは、こういう政党のイデオロギーの対立が少なかったにもかかわらず、いわば争いの根拠というものが割合に希簿であったにもかかわらず、大正十三年のごときは、小選挙区になりましても、各会派鼎立、乱立という形で、これは総理の言う多数党によるところの安定というものは得られなかった。で、もしも現在において、長官の言われるように、保守、革新という対立の中で政局の安定を得るために、多数党の出現を願うとすれば、これはどうしてもそのときの与党なり政府なりというものの作為が働かざるを得ない。それで、総理の言う多数党の横暴というものをわれわれは絶対に排撃をしておるのだ。それで、政局の安定というのは、あくまでも国民の理解と納得の上に築かれるものである。こういう多数党の出現というものは困難になってくると思う。これは議論になりますから……。一応総理に、その最後の政局の安定というものは、ただ多数派によりまして独裁をするとか、あるいは横暴をするとかいうことではなくして、あくまでもそれが国民の世論と支持に裏づけされた安定であると、こういうお立場であるというように了解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) もちろんそうであります。
○加瀬完君 そこで、問題は世論ということになりますが、政治活動は、あくまでも世論の動向と申しましょうか、民心の希望、幸福、こういうものを増進するという立場をとらなければならないと思います。この点は、総理もお認めになられておるようでございますので、そこでですね、総理は、御自分の政治行為が激しく世の非難、攻撃を浴びるような事態になりましたならば、どのようなお立場をおとりになられるように日ごろお考えになっておられますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私に対して国民の支持がなくなったという場合ですか。
○加瀬完君 そうではございませんで、これは仮定のことで恐縮でございますが、総理の政治的行動に対しまして、国民が激しく非難をすると、こういう場合がもしありといたしますれば、総理は日ごろこれに対してどう対処なさるお覚悟でございますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は、自分の良心に問うてみまして、自分が悪いと思ったらば、すぐやめます。
○加瀬完君 そこで、毎日新聞の世論調査によりますと、政府のお出しになりました、総理が責任をもってお出しになりました小選挙区制には、悲しいかな、賛成は三五・七%、これに対しまして反対は三六・二%であります。また、今すぐに実施をするということに対しては、反対は三九・八%、賛成は三一・一%であります。さらに、これが多数派の横暴ではないというけれども、保守に有利か、革新に有利かということに対しましては、保守に有利というものが四一・三%、革新に有利というものはただの三・三%しかありません。かつ、鳩山総理そのものに対する支持の調査は、三十年の十月は四九・七%ございましたのが、失礼な言い分ですけれども、現在は三八・一%に落ちております。この世論の動向というものに対して、どうお考えになっておられますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は、自分の良心に問うてみまして、やめた方がいいと思えばやめますし、まだこれだけのことはやった方がいいと思えば、まだやめないでやるつもりでおります。
○加瀬完君 私は、別に不信任案を出しておるわけじゃございませんで、やめろやめろということは言わない。しかし、支持が四九・七%ありましたのが、小選挙区制を出したために三八・一%に落ちてきた。これは、私が言うのではなくて、世論の調査の事実です。こういう傾向というものに対して何か御反省はございませんか。
○国務大臣(鳩山一郎君) そういうようなことはあまり気にいたしませんです。(「ずいぶん気にしておるじゃないか」と呼ぶ者あり)
○国務大臣(鳩山一郎君) しておりません。
○委員長(松岡平市君) 不規則発言はお慎しみ願います。
○加瀬完君 気にしておられないとおっしゃいましても、これは政府としては非常に気にしておるわけです。それは、今度の修正提案の説明の中に、諸般の情勢を考慮して別表は取った。強い世論の要望にこたえて立会演説会は残した。また、多くの輿論にこたえて罰則強化をはかった。こうおっしゃっておる。そうすると、これは諸般の情勢ということは、おそらくこの世論の動向を意味しておるでありましょう。そうすると、今度の修正というものは、少くとも大きな、先ほどから問題になっておる別表を取ったということは、政府が悪かったからといって世論にこたえた。修正案は、政府が世論にそむいた非を明らかにしておるということに私はなると思う。政府が最も頑強に主張いたしましたこの別表は、最も世論の激しい攻撃の対象で、その撤回を余儀なくされたということは、世論にそむいた今までの行為の責任をとったということになると思う。こういう事実を法案の内容において政府は示した。それに対しても、私は一向気にしませんということで、総理のお態度はよろしいのでございましょうか。この点……。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は、あの場合において、ああいうような混乱が生じた場合において、議長の裁定に従うことがいいと思って、議長の裁定に従ったのであります。
○加瀬完君 議長は、世論の動向というものを察しまして、あなたの所属の党派でもあるにかかわらず、政府を支持することができなかった。それほど世論の反撃が強かった。そういう世論の反撃を受けるような悪法案をあなたの政府は提出なさった。これに対してどうお考えになるかということは、総理大臣として当然これは責任のある御答弁があってしかるべきです。
○国務大臣(鳩山一郎君) あの混乱の議会では、議事の運行ができなくなりました。そこで議長は、議場整理のために裁定をしたのであります。そうしてあの混乱について、私は責任をとりません。
○加瀬完君 総理は、きょうの小笠原委員の一番最初の質問に対しまして、今考えれば、選挙制度調査会の案をそのままとった方がいいと思っているんだと、こう言っておる。それをいわゆるゲリマンダーとかハトマンダーとかいわれるように、党利党略で直して出したものが混乱のもとなんです。ただ議事運営の混乱だけで、あなたは別表をお取りになった。国民あるいは世論というものには、そんなものには一向かまわないんだ、こういうお考えですか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は、あの際は、議長の裁定に従うほか道がないと考えまして、議長の裁定に従う方に賛成をいたしました。
○加瀬完君 議長の裁定に従いましたことはけっこうです。百分の何パーセントかの良心があったという点だけは私ども認めます。しかし政府は、公正な態度におきまして、諸般の情勢、世論の要望にこたえてこれを修正したと、こう表示している。してみますと、それはきっかけは、議長の裁定であったかもしれませんが、小選挙区法案そのものに対する世論の反撃というものに政府は御反省なさって、世論を聞いてやったんじゃないと、別表を取り去ったその他の修正について総理はお考えになるんですか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 世論には非常な誤解があります。自由民主党の作成しましたる区画案というものは、党利党略一点張りのように世論は考えました。けれども、私どもそうは考えておりません。よく調査なされば、理由のある点はずいぶんあるのであります。(「あなたはろくに見ていないと言うたじゃないか」と呼ぶ者あり)ろくに見ていない。(小笠原二三男君「それじゃもう一回質問がある」と述ぶ)大綱のことを言っておるのであります。大綱は知っております。(「大綱ではわからぬ」と呼ぶ者あり)
○加瀬完君 総理は、ただ議事運営のためだけで修正をお考えになったということで、世論が非常に小選挙区の、特に区割などについて反対があったということについては、何ら自由民主党としては、あるいは政府の首脳者としては御反省する必要はない、こういうお立場ですか。
○国務大臣(鳩山一郎君) それは、先刻申し上げました通りに、委員会の原案をそのまま出せば、こういうような混乱を引き起さないと私は考えておる。委員会の原案をそのまま考えれば、無用な紛争を避け得たというように思いますから、原案通り出せばよかったと言ったのであります。
○加瀬完君 この問題は、将来この委員会で審議が進みましたときに、詳しくまたお伺いするといたしまして、議会政治の主体でありまする議員なり政党なりの性格について、総理の御見解を承わりたいと思う。議員にしても政党にしても、無条件に国民から権限を委任されておるとは考えない。政党が政策というものを出し、立候補者がその政党の政策を、さらにどのように実現するかという範囲をも含めて、自分の意思というものを公表いたします。その政策の範囲におきまして、国民は権限を委任してその権限の範囲において議員なり政党なりは活動すべきものだ、こういうふうに私は考えておりますが、総理はどうお考えになられますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 国民に対しては、よき政治をする義務を負うものと私は考えております。
○加瀬完君 そのよき政治というもの の表示は、小選挙区等におきまして、政党のかかげた政策、こういうことによって表示されると考えますが、総理 はそのようにお考えになりますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 国民に対し て政党は政策を約束いたします。その約束を実行していく義務を国民に背負 うものと思います。
○加瀬完君 それで私も安心をいたしました。従いまして、まず政党あるい は議員にいたしましても、国民に果さなければならないものは、公約をどう実現するかということであって、逆に、 公約をしないようなことをやるということについては、国民から委任を受けておらないはずであります。こういう立場をとるべきだと思いますが、総理の御見解も、私と同じように考えてよろしゅうございますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 国民に対して公約をしたことを実行する責任を政府は持つわけでありますが、事件のその変化によりまして、国民の同意を得るいとまのない場合も私はあり得るものと思います。しかしながら、小選挙区の問題に関連いたしましては、施政方針演説で、私は小選挙区制も申しましたし、選挙制度調査会も二十六年にできているのであります。公約せずとも、当然に小選挙区制にするということは、国民に対しての私は責任だと考えております。
○加瀬完君 二十六年は、あなたの内閣じゃなかった。二十六年ごろから選挙制度調査会というものがあって、小選挙区制というものが論議されておるならば、その論議されておる小選挙区制をわが内閣においてはやるんだということを第一に公約としては表示すべきだ。そんなことは一つもやらないでおいて、いろいろ公約したことは全部未済だ、不渡り手形だ。それで約束もしなかったことをぴょこんと出す、突然に出すと、こういうことが、これは政治の運用としてノーマルな方法であるというふうには私は考えないのですけれども、総理はどう思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は、小選挙区論は、先刻も申しました通りに、ずいぶん自分の議論として古くから言っておりますので、国民はこれを承知しておるものと思います。(「その文献を示してくれ」と呼ぶ者あり)
○加瀬完君 自分の御議論としてそういうお考えを持っておっても、あなたが総理とし、一党の責任者として、国民に総選挙について公約した中に、小選挙区をやるということは一つも出ていない。そうしてしかも、もしそれが国民の望むところならいい。国民のこれだけの反撃があって、あなたの立場がふさがっている。これほどの反対があるにもかかわらず、これを強行したら、国民は政治なり政治家というものに対してどういう信頼をこれから持ち続けることができますか。公約に対する信頼が持てなくなる。そうして政必見政治というものは成り立ちますか。この責任をどうお考えになりますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私、国民の世論は小選挙区にあると思います。区割に対して反対もありますけれども、しかしながら、小選挙区というその制度そのものに対しては、私は国民の多数は賛成だと思います。
○加瀬完君 ここは政治学の論議をしている教室じゃないのです。小選挙区が制度論としていいとか何とかということじゃなしに、あなたの出した小選挙区制というむのに対して世論は反撃をしている。あなた方も反省して、世論にこたえて修正案を出した。しかもそれはですよ、公約したときには何にも言っておらなかったことなんです。そこで公約のない、しかもはなはだけしからぬいわゆるハトマンダーを出したというので、国民は憤激して、世論があなたに対する反対になって、さっき言ったようなパーセントが現われている。これに対して、もっと政治家というものは責任を私は負うべきだと思う。この点どうですか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は、区割に対してのみ問題があるのでありまして、小選挙区制に対しては世論の支持を得ておる。
○加瀬完君 その区割はあなたが作ったものです。よそから作って持ってきたものじゃない。その区割は、区割々々と、だれかに作らせて持ってきたような話をしているけれども、その区割を作ったのはあなたの政党であり、あなたの政府なんです。それに対して、これを撤回しなければならないほどの責任を感じて修正案を出しておる。それに対しても、何も責任がないとお考えになるのですか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 修正案は原案と、先刻申しました通りに、精神においては大体同じなんです。でありまするから、責任をとる程度のものではないと私は考えております。
○委員長(松岡平市君) 鈴木君に申し上げますが、他にまだ、会派間のこの点についての申し合せで、あなたの時間はきわめて短こうございますから、一つ……。
○鈴木一君 承知しております。 総理にお尋ねいたします。公職選挙法の一部を改正する法律案の提案理由の中に、「思うに現在のわが国の政治において最も必要なことは、政局を安定せしめ、国民多数の支持を保つ政党を基盤とする政府が、責任をもって内外にわたる政策を遂行することにあると信じます。しかして政府と致しまして小選挙区制の採用こそこの目的を達成する最大の要件であると考えるのであります。」こういうふうに言われておりますけれども、もちろんこの政局の安定、不安定に対する考え方は、いろいろ相違もあるかと思いますけれども、少くとも国民の側からすれば、現在政局の不安定の最大の、原因というものは、対立する両政党の政策があまりにもかけ離れておる。国の基本法である憲法に対する解釈も全然違っておる。またこの憲法に対しても、保守党の方は改正をすると、社会党の方は改正をしないと、また外交の問題につきましても、対米関係あるいは対ソ、対中国関係につきましても、全然立場が相違しておる。軍備の問題も、私から申し上げるまでもなく、当然のことでございます。で、政局の不安定の原因は、両党の今申し上げましたような重大な政策の相違が問題でありますので、幾ら小選挙区制を採用しまして、二大政党の対立をはかりましても、現状のままでは、対立がますます激しくなって、政局は一そう不安定になると思うわけでありますけれども、そういう点に対する総理の御見解を承わりたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私も、鈴木君と同じ憂いを抱いております。二大政党になったならば、小選挙区にして二大政党の育成に努むると同時に、社会党あるいは保守党との間の政策の近似性ということについても努力をして、いわゆる共同の広場といいますか、このごろの言葉では、そういうようなものをだんだんと拡張していくということが非常に必要なことだと思います。そうしますれば、二大政党の意義が初めて出てくるのでありまして、この二つのことができなければ政局の安定ということにならないと私は思います。あなたの言うように憲法あるいは軍備あるいは外交等において全く違った考え方を持っていては、政変があるということは、かえって国家が危険になりますから、どうかしてこの二大政党の政策の近似性というものは、そんなに長くかからないでできるだろうと、私は考えております。
○小笠原二三男君 関連してちょっと……。衆議院でもあなたはよく、二大政党の歩み寄り、近似性ということを言っております。政策の近似性。ところがあなたは、そういうことで社会党にだけは近似性を求め、あるいは友愛を求め、寛容を求めておられる。けれども、その政策の近似性の前提となる、二大政党がそうなる前提となる政党の構成と申しますか、勢力分野と申しますか、それを決定するこの選挙制度については、何ら反対党に対して十分な話し合いを持とうともせず、その原案も、自分勝手な思いつきで自党においてこれを出直させて、そしてこれを多数の力でこれを押し通そうとする、こういうやり方で政策の近似性を求める方が、あなた無理じゃないんですか、この点はどういう反省を総理としてお持ちですか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は政局の安定とか、日本のためには、政局が変更いたしましても、国家には害は少しも与えないというような態勢のできることを欲しているという理想を言っているのでありまして、こういうような理想を達成するのには、そう急いでもできません。だんだんとみなが、そういうような気持になってくれなければ、その理想には到達できないと思います。だから、これからはお互いに、共同の広場というものを作ることに互いに努力しようじゃないですか。(「今までそういうことをやったことがないじゃないですか。勝手なことをやっているじゃありませんか」呼ぶ者あり)そういうことはありません。
○鈴木一君 私が今申し上げた政策の接近と申しますか、そういうことについては総理は御賛成のようでありますが、しかし一般的に、口で政策の接近ということは簡単に言えるわけでございますけれども、しかし具体的には、両党の間で共通の政治的な目標というものがここに確立されなければ、政策の接近ということは不可能だと思いますけれども、総理はそういうことが両党の間で可能であるかどうか、御見解を承わりたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は可能だと思います。現に社会保障制度などについては、わが党からも何人、社会党からも何人、両方とも五十人以上、そういうようなことに御賛成して、お互いに共同に社会保障制度を研究しようじゃないかという会が二、三日前にでき上ったようでありますが、そういうように共同の広場を作ることにお互いに努力をすればできると思います。あなた方の方では、やはりそういう心持が、こっちから見れば欠けていると思います。私は世界平和政策のためには、ずいぶん努力をしておるつもりであります。あなた方の方で努力をしてもらってもいいと思うのに、かえって反対の質問を受ける。(「社会党を減殺しようというのだから、なかなかで営ませんよ」と呼ぶ者あり)
○委員長(松岡平市君) 発言をおつつしみを願います。
○国務大臣(鳩山一郎君) あまり話し合いは、また別にほかの広場においてやろうじゃないですか。
○鈴木一君 今、社会保障制度の問題を取り上げてのお話でありましたが、そういう個々の問題でなく、大きな政治目標として、基本的な問題として、いわば現在の敗戦小国である日本が、人口は極度に過剰であり・また資源も少い、こういう日本の将来の政治目標として、民生安定と申しますか、生活向上と申しますか、生活水準の向上と申しますか、そういう点に重点を置いて行くか、あるいはまた明治政府がやったような、富国強兵ということに重きを置いて、民生安定の方は従にするというか、どっちかに政治目標を一定しねい限り、個々の問題を論議しても始まらないと思いますけれども、総理はどっちの方に重点を置くか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 重点は、諸君と私とあまり変ってはいないと思います。私も軍備を充実して、そうして戦争をしようというような気分などは毛頭ないのです。それは了解ができるだろうと思うのです。それですから、私が考えているようなことができますれば、戦争なんというものに日本を持って行くことを憂える人もなくなるだろうと思うのですけれども、それがなかなかできないのは、やはりたとえば日ソの交渉などでも、失敗した方がよいというふうに考えている人が、ずいぶんあなたの方にもあるようであります。(「あなたの方の党にあるのです」と呼ぶ者あり)
○鈴木一君 それは逆でしょう。
○国務大臣(鳩山一郎君) それですから、そういうふうな工合で話し合いをやって行けば、世界戦争のないように日本を持って行くことは、私は可能だと思っております。
○鈴木一君 総理は話し合いのことを盛んに出されますけれども、先ほどから議論のありましたように、小選挙区制の問題については、ほとんど話し合いが行われていないし、また鈴木委員長からの申し入れに対しても、通り一ぺんのごあいさつ程度にあったということしか私は聞いておりませんけれども、そのとき、そのときの都合のいいような御答弁では国民が納得しないだろうと思います。ほんとうに話し合いをするなら、最後まで話し合いをする、もし話し合いがつかなければ、そういう重要法案については国会に上程しないというような態度こそ、初めて共同の広場ができる、私はそう理解しております。総理はどうですか、その点は。
○国務大臣(鳩山一郎君) できるだけそういうようにして参りたいと思います。
○鈴木一君 して参りたいと思うでなくて、しなければならないと思うのです。してないから、こういう問題が起るので。 それじゃ時間がありませんから最後にお伺いしますが、政策の問題から少し発展さしていただきまして、今の日ソ交渉の問題を総理はどう考えておられるか。ソ連は、河野農林大臣が行っての打診の結果でも、領土問題その他についても想像以上にきついものだということが言われておるわけであります。そういうふうなことは、われわれはっとに想像しておったわけですけれども、その前提に立って、ここで日ソ交渉はどういうふうに総理は打開されるのか、できたならば一つ見解を発表してもらいたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 河野君がもうあさって帰って参りますので、そうしますれば、ソ連の意向もよくわかると思います。(「アメリカの意向も」と呼ぶ者あり)この機会に私言っておきますけれども、アメリカに対して何も指示を受けに行ったわけではありません。そういう意味では私は発言してはおりません。ただ魚をとる範囲が、区域が重複をしておるから、それで話をしに行ったのだろうと思う、こう言ったのであります。具体的にアメリカに対して、漁業問題について話しておく必要があると思うからアメリカを回って帰る、お許しを請うという意味の電報であります。漁業問題だけについての電報であります。つまり日ソ交渉の問題というか、国交の正常化については、何も河野君には委託もしておりませんし、何にも報告はないのです。帰りましてからわかりますから、そういう場合においてはよく相談をして、間違いのないようにやって行きたいと思います。
○鈴木一君 もう一つ最後に。先ほど伺っておりますと、河野農林大臣は漁業問題に限って交渉したのであって、国交調整の問題については全然関係がないというふうに言われたと私は記憶しておりますけれども、その日ソ交渉そのものについて全然関係がなく、行った農林大臣が帰ってこなければ、見解の発表もできないということは、どういうことですか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 河野君はそういう権限なしに行ったのでありますけれども、向うのブルガーニン、フルシチョフと会って、とにかく有力者と会っておりますから、多分そういう話に触れてやしないかと私は想像しておる。それでありますから、河野君が帰ってくれば、ソ連の意向もずいぶん明瞭になるだろうと思います。私どもはそれに対して決意しなければならない時期が近づいてきておるだろう・そういうような気分でおるのです。それを今ここで申し上げるわけに参りません。
○森下政一君 総理大臣、もうきょうの委員会に出席を約束していただきました時間が、ほとんど尽きんとしております。ぎりぎり一ぱいであります。きょう、お約束は十時半から御出席願えるはずであったが、事実は十時四十五分で、十五分おくれられたのでありますが、あとの何か御用務の都合があるかと思いますから、切り上げる時間は、総理の御事情をわれわれがくみ取って、一時に切り上げることにしてよかろうかと思いまするが、社会党側の委員はまだようやくその半数がわずかに質疑を終っただけで、なお三名を残しておりますのみならず、質疑をした者も、ただしたいことをことごとくただしたというわけではない、時間の関係がありますから、遠慮しがちにその一部をお尋ねしたということにとどまっておると思う。そこでこれは政府にとっては非常に重大な法案であろうと思うし、なお会期も十分残して曲るわけでありませんから、本委員会から、委員長を通じて要請しましたときには重ねて、いつとは言わぬけれども、必ず委員会に出席して、で透る限り都合をつけてもらえるようにお約束が願いたい、こう思います。そうして、きょう御退席になることを了承したいと思いますが、努めて必ず出るということをお約束していただきたいと思うのです。
○委員長(松岡平市君) ただいまの御発言につきましては、これは委員長から、当然本委員会の審議に必要のある場合、政府に御要請申し上げる、これは総理大臣のみならず、審議に必要であって、この委員会に出ていただけない方は、私はほとんどないと了解しておりますので、手続によってやります。その場合に、当然総理大臣もまた国務の処理上委員会にはお出で願えるものだと了解しておりますから、ぜひさようお取り計らい願いたい。委員長からも、この機会に総理大臣にその点についての御確約をお願いしておきたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) さっき私が言いました言葉に何だか誤解をされておるという人があるのです。それですからして、どうも社会党の方は誤解していないように私は思うのですが、河野君が漁業問題のために話し合いをしたものと私は考えておるのであります。その際、ついでにその他の問題も話しが出たかもしれない、何かそのときに国交の正常化について話し合いが出た、了解を求めに行ったということを私が言ったために、あなた方の方から、米国の了解を求めにアメリカに回ったということを言われるんだと、こういうふうに注意をしてくれる人があるのですが、私はそういう意味で言った覚えはないわけですが。
○委員長(松岡平市君) 一時になりましたから……。
○小笠原二三男君 これは大事なことで、総理から積極的にああいう御発言があるから、私はあの場合の問題は、言うた、言はぬというようなことではなく、録音にもとってあるし、また速記もついているのですから、それを一応調べた上、あなたのお話し通りであるのか、われわれの聞いた通りであるのか、それいかんによって、またただすべき点はただしたいということで留保せられておるのであります。これはあなた御自身で、言った覚えがあるとか、ないとかいうことでなく、責任のある記録によって私はただしたいと存じます。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私もそれがいいと思います。
○委員長(松岡平市君) 総理大臣に申し上げます。委員長といたしましては、総理が何か言い誤まりがあるということで御訂正になる御意思があるならば、この機会にはっきりと自分の言ったことを御訂正を願えば、その点は委員会といたしましては了解いたします。(小笠原二三男君「そういうことはいかぬよ。私自身が質問していることで、その私自身が納得しないことを委員長だけが扱ったって、これはいかぬですよ。」と述ぶ)
○松澤兼人君 議事進行について。委員長せっかくの発言なんですけれども、先ほど総理のお話しでは、われわればかりが誤解しているかのようなお話しねんですけれども、われわれが誤解しているのか、あるいは総理が言い誤まったかということは、速記録を調べてみなければわからない。それですから、今あなたが、こちらの方が聞き違えているのだろうというような発言をなさることは、私は適当じゃないと思う。ですからこの問題は後刻の問題にしまして、あなたがそういうことを言った覚えがないというのならば、その速記録を見て訂正なさるとか、そういう気持がなかったということをおっしゃればよろしい。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私の言葉がもし足りなくて、そういうような誤解を世人に持たせるということは非常に不利益でありますから、ですからこの委員会だけで処理をしていただきたい。もし私がそういうような言葉の足りないことを言った、誤解を招くような言葉を言ったならば、それはお開き捨てにしていただきたい。つまり……。
○小笠原二三男君 これはお聞き捨てにしていただきたいということではなしに、お互いにこうして委員会を開き、速記をつけ、そうして質疑しておることですから、一応言われたことは言われたこととして、これは速記に載るのですから、ですから一応速記その他で事実を確めた上で、あなたの方で言い過ぎであるということになっておれば、それは本意でないならば、本意でないと改めて御訂正になり、お言い直しになれる場合もあるし、訂正することについて政治責任を追及される場合もあるのです。それでなかったら国会運営はできないのです。私も、ですから今の段階では、あなたの御主張は間違っておる、私の聞きとった方が正しいなどとは申しません。従って一切記録その他事実に照して話を進めたいと存じますから、総理も他に所用があるそうですから、これでその方はおさめてけっこうです、本委員会は……。
○委員長(松岡平市君) その点については先ほど委員長から申し上げました。別段その点原則について、何らそういうことはせぬというお話しもなければ、別段総理大臣から言明をいただく必要もないと委員長は思います。休憩いたします。 午後一時七分休憩 ————・———— 午後二時三十二分開会
○委員長(松岡平市君) 委員会を再開いたします。 午前に引き続き質疑を行います。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○中田吉雄君 今回の改正案とは直接関係ないわけですが、私差し迫った問題として、午前中総理にお伺いして至急善処方をお願いしたいと思っておったんですが、太田長官にぜひこの際御検討を願いたいことは、退職国家公務員が今次参議院選挙にたくさん立候補されることが予定されております。ところがその立候補するたとえば公社、外局その他では、自分のところの先輩が立候補されるというので、私たち寡聞なものとしてみましても、各官庁があたかも選挙事務所のようなことになっておる例が非常に多いのです。たとえば私が直接見聞したのでも、補助金の割当に対しまして、県庁の部長が上京しました際、立候補を予定される人の写真をたくさん渡しまして、そうして大よそ公共事業に比例して、さらに昭和二十八年の得票数に比例したりして部長に割当を、まあ今度の参議院選挙に善処方を要求されているわけであります。これはいろんな意味においても非常に重要な問題で、当委員会におきましては、長い間にわたってこの問題が検討されておったのですが、政府はそういう事態についてどういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(太田正孝君) ごもっともなお言葉と思います。それが事実でございましたなら厳格に取り締りたい、こう考えます。
○中田吉雄君 私、午前中この点について総理に御質問することを通告申し上げ、そうして前の昭和二十八年に立候補された人については問わないが、最近のうちに退職されて立候補される人の氏名をまずお伺いしたいということを申し上げておきましたが、事務当局ではわかっておるでしょうか、まずそういう点からお聞きしたいと思います。
○政府委員(鈴木俊一君) 私どもの方としましては、現にやめておる人について以上には、ちょっとそれ以上のことは調査は今日の段階では困難であります。
○中田吉雄君 人事院規則その他でも、国家公務員が政治活動、そういう選挙運動をやるということは、できぬことになっておるわけであります。政府とされては、立候補を予定されておる人がわからぬということであるなら、あとで一つ御調査してお願いしたいのですが、少くとも内閣とされては、各省でどういうことをやっているかということはおよそわかっていると思う。そういうことがあれば善処するというようなことでは非常に手抜かりである、昭和二十八年のごときは、ある官庁でそういうことをやって警察に踏み込まれている例すら私知っているんです。まあ選挙のことですから、お互い様ですからあまり言いたくないのですが、やはりこれは選挙法を変えようというような大きな問題がある際には、現行選挙法や選挙に関するいろいろな諸立法が守られておるということが前提でなければいかぬと思うわけであります。その点については、根本官房長官をいつかの委員会に呼び出しまして、わが党の永井純一郎君がきびしく指摘いたしまして、たとえばある郵政局長が参議院選挙に立候補することを予定して、自分が将来立候補する地盤に対して貯蓄奨励という意味で鏡に名前を入れたり、浪花節をやったり、いろいろなことをやった人が、これは必ず近い将来に選挙に打って出る、事前運動を貯蓄奨励の名でやっておるというきびしい批判があったのであります。そのときに根本官房長官は、断じてそういうことはない、調査してみたが、そういうことはないということであったのです。ところがその人ははっきり郵政局長をやめて、最近、やはり郵便局の局長等もまだ法の改正ができないのにやっておりますし、そういうことを長官とされては、お忙しいこととは思いますが、そういう広範な十数名の人が立候補して、それぞれもう各官長が予算の配分をめぐって、それと 一体になって選挙運動をやっておるのです。これは早急に取締ってもらう必要があると思うのです。これは明らかに人事院規則その他に違反するわけです。ですから小選挙区制を行う際、それと関連するところの政治規正とか、取締りを強化すると言われてみても、現行法すら守られないということでは、われわれ非常に党派的に利用されるように思わずにはいられないわけであります。午前中に立候補者の名前を、最近やめた人、そういう人を出してもらいたい。さらにまたそれらの退職者を出した各部局でどういうことをやっておるかも一つお伺いしたいし、それについての総理大臣としての所見もお伺いしたいということを詳細に総理府の三浦君に出しておったのです。長官の方でいろいろ調査もされておると思うのですが、それは何の連絡もなかったのですか。
○国務大臣(太田正孝君) 私ほんとうに何の連絡もございませんでした。けれどもお言葉の点は非常に重要な問題と思いますので、十分注意いたすことにいたします。
○中田吉雄君 これは全くもう選挙は半分すでに事前運動の段階は済んで、いよいよ本格的選挙に入るところなんです。たとえば、いつかも申し上げましたが、昭和二十八年には、私の友だちで大学を出たのが九州の勧業銀行の支店長をしておる。その地区で、国鉄のあるやめた人が立候補する。そこでその割当数だけその銀行が出さぬのなら、国鉄の運賃収入を預託する銀行を取り消す。百万円単位に幾らという割当があって、自分は保守党だが、これは全く困るというような例もありましたし、さらに日通等からもわれわれに、実際これは取り締ってもらいたいという申し入れもあって、たとえば選挙運動等を兼ねてのいろいろな留置料金の割引とか、その他これはもう枚挙にいとまないわけです。特に参議院としては、職能代表の方も多いので、私は言いたくありませんが、何としても官紀を厳正にし、選挙を清潔なものにするためには、これをもう早急にやっていただかなくては、もうしめしがつかぬと思うのです。一つ最近の機会に、各庁の局長、事務次官、公社の高級職員等で、おやめになって立候補されている者、そういう氏名を一つ、もう太田長官の党で、すでに公認されているのですから、わかっていると思いますし、さらにそれらの人が在職された各官庁で、どういうことが行われているかということを、内々御調査の上、私いろいろなことを質問してみたいと思いますので、一つ特にその点を早急に御調査願いたいと思います。その際には、一つ松岡委員長にも御希望申し上げておきますが、根本長官は当委員会に対していろいろな言明をされておりますので、出席していただきたいということをあらかじめ一つお願いしておく次第であります。
○委員長(松岡平市君) ちょっと中田委員にお尋ねいたしますが、ただいま政府に調査して提出しろとおっしゃったものは、委員会の資料として提出しろという意味でございましょうか。
○中田吉雄君 そうしていただくと大へん仕合せだと思います。
○委員長(松岡平市君) ただいまの中田君の御発言にありました、最近の機会において局長以上の者で、やめて今回の参議院議員に立候補することが明らかな者の名簿、並びにそれらの後人が関係官庁等においてどういう行動をしておるかということを調さした結果を資料として出せという御要求のようでございまするが、これに対して政府がそういう資料を提出し得るやいなやということについての所見を明らかにしていただきたい。
○政府委員(鈴木俊一君) ただいま御要求の資料でございますが、自治庁といたしまして、選挙に関しまして、選挙期日の公示前におきまして、どういう人が立候補するかということを調査すべき法律上の権限がないのでございます。ですからこれは、もし公務員たる地位をやめて、その方が今度の参議院の選挙に立候補するという御意思を持っておられましても、自治庁といたしましては、それをちょっと調査する地位にないわけでございまして、従って中田先生のお話の資料で、もし法律上自治庁として徴し得るものがございますれば、これは当然やるべきだと思うのでございますが、どうもただいまの御要望の筋に沿ったものを自治庁の地位において集めることは、ちょっと困難ではなかろうか、かように考えます。(松澤衆人君「さっき何か太田さん、取り締るとか何とか言っていた。厳重に取り締るとか何とか。そんな権限がある」のですか」と述ぶ)
○中田吉雄君 太田長官の所属されておる自由民主党では、すでに公認されているわけですから、そういうその方を鈴木次長が、権限がないというようなことで、これから逃避されることはない。太田長官の属される自由民主党でも、すでに公認されておる。だれとだれということは、すでにはっきりしておる。一つそれをはっきりしていただき、内閣とされては、当然そういう政府の機構が、法に逸脱した行為があるかどうかということを調べてもらうことは、これは当然なことだと思うわけであります。何か、自治庁としてはでできないかもしれぬが、内閣として、やはり内閣総理大臣は各行政官庁の責任者として私できると思いますが、その点はどうでしょう。
○政府委員(鈴木俊一君) 政府といたしましては、先ほど来大臣が申し上げましたごとく、官吏が事前運動をいたし、要するに選挙法なり、公務員法の規定に違反をした運動をやるということにつきましては、今ここでちょっと書類がございませんので、日時を明らかにできませんが、今回の参議院の通常選挙の関係におきまして、官房長官から各省庁に対しまして、書面で、そのような不正なことがないように厳に通達がございました。また私ども次官会議におきまして、官房長官から、各省庁において、そのようなことがないように厳に注意をせよと、こういう厳重なお話があったのでございます。なお、政府としては、当参議院の御決議によりまして、たしか公明選挙に関する声明を出しております。その中でも、事前運動の点について特に戒めておるわけでございまして、こういう御指摘のようなことがないように、すでに十分注意をいたしておるつもりでございます。ただ、ただいま御要求のございました資料につきましては、先ほど申し上げましたような次第でございます。たとえば自由民主党あるいは社会党において公認をしておるというような新聞紙上の事実は、私どももそれによって承知いたしておりますが、政府として、それを公式に徴し得る何らの地位にもないわけでございますので、自治庁といたしましては、その点につきましての権威ある資料として、有権的な立場でこれを御提出申し上げることは困難かと思うのでございます。
○中田吉雄君 太田長官どうでしょうその点は。そう窮屈に考えられぬでも、そういうものを出したからといって、そうどうこうということはない。社会党の候補もあるでしょうし、自由民主党さんの候補もあるでしょうから、そう窮屈にされる理由もないと思うし、さらに根本官房長官がそういう通達を出しておれば、それを出してもらいたい。なお、そういうことを出してあるにかかわらず、所管官庁が全然選挙事務所になっておるようなことは、一つ官房長官の御出席でも求めて厳に究明したいと思います。一つ官房長官の方から出された通牒を当委員会に提出していただきたいと思うわけであります。委員長におかれましては、一つその点についても御便宜をはかっていただきたいと思うわけであります。
○委員長(松岡平市君) なお、委員長から申し上げます。ただいまの鈴木自治庁次長の答弁に、政府あるいは次官会議の結果で通牒を出した、どういう通牒を出したかということを資料として提出せよという御要求がありましたが、これについて政府が資料として出し得るやいなやの政府の御所見を伺います。
○政府委員(早川崇君) 提出いたします。
○委員長(松岡平市君) 速記をとめて。 午後二時五十分速記中止 ————・———— 午後三時四分速記開始
○委員長(松岡平市君) 速記を起して。 それでは、今の中田君の要求されました資料については、懇談中に政府に申し上げ、中田君の御了承を得ましたような点において、政府は善処せられんことを希望いたします。
○小笠原二三男君 午前に総理に対して質疑した同僚議員に対する太田自治庁長官の御答弁に関連して確めたい点を質問いたします。 参議院の選挙区と申しますか、何と申しますか、専門語は知りませんが、地方区、全国区という区別がありますが、この問題について、主として小林委員は全国区の問題を内容とせられて、参議院の議員の選出方法についても考慮せられておる点があるかという意味合いの質問をしました場合に、その用意がある、選挙制度調査会にすみやかに諮問したいのだという意味合いの御答弁がありました。で、私、自分が全国区出身の議員であるがためにしみったれなことを申し上げるのではございません。政府側の考えさえはっきり承わっておけばいいわけなんです。で、このたび選挙制度調査会に御諮問になられ、参議院の議員の選出方法、一つの選挙制度について御諮問になられるということは、現行の参議院の選挙制度を検討すべきであるという政府の御意向が具体的にあるだろうと考えます。検討すべきであるとお考えになっておられる政府の具体的な考え方、内容というものは、どういうものであるか、この際お示し願いたい。
○国務大臣(太田正孝君) 先ほど私がお答え申し上げましたのは、参議院議員制度について改むべき点があるならばと、こういうのでございまして、具体的な腹案を持ってのことではございません。たとえば全国区がどうとか、盛んに世間で言われている問題むございますし、その他なお選挙法上、直した方がいい点があるかどうかという広い意味で申し上げた次第でございます。
○小笠原二三男君 これは私、今質問する前に、小林さんが質問すれば最もはっきりするところですが、私は午前中そういうふうに聞き取らなかったのです。改むべき点があればという前提で、仮定の問題ではなかったのです。このたび、この問題とも関連しまして、衆議院議員選挙のあり方が小選挙区制ということであるのに平仄を合わして、参議院の選挙制度も、これは検討を要するとして、選挙制度調査会に諮問するという意味合いに私たちは聞き取っておる。
○国務大臣(太田正孝君) 私の申し上げたのが、少し誤解がおありになったかと思いますが、私は小選挙区制度とは関係はもちろん持っておりません。先ほど、今言いましたような広い意味で選挙制度の改革、これは地方議会の方も一緒に出したいつもり、でございます。
○小笠原二三男君 またこれは話が違う。
○国務大臣(太田正孝君) 先ほど私の言ったのは、私の気持はそれでございました。
○小笠原二三男君 地方議会のことについては、小林君の質問に対しては、その考えはないという、あの、何といいますか、衆議院の小選挙区制よりも市会議員その他が少くなる、区域が広い、こういう問題等については、それは考えられるでしょうが、地方議員の選挙そのもののあり方については、選挙制度調査会に諮問するというようなことは聞き取っておらない。それは政府自身の小選挙区とのからみ合いで、区域の多い少いについては、政府としては何らか考えるべき点があろうという意味合いだった。諮問するしないは、それは聞いていない。けれども参議院選挙の場合は、明らかに選挙制度調査会に諮問すると言明しておられる。それがまた何の検討もない、何の腹案もない、政府として何の考えもないということを今言っておりますが、あのときの御答弁の前置詞と申しますか、装飾語では、世間においてもいろいろ言われておるの、でそこで選挙制度調査会に諮問するというふうに、やはりこれは問題があるということを御認定になって言われておった。それを何も今腹の中にない、からっぽなんだというふうに言われては困る。これも言葉が足りぬとか、行き過ぎだというのならば、もっとはっきりお答え願いたい。
○国務大臣(太田正孝君) 私の申しましたのは、全国区の問題というようなものを盛んに言われておりますが、問題がある限りにおいて、そのことを諮問したい、そのことなのでございます。選挙制度について全般的な諮問をしたい、参議院議員の選挙につきまして。そういう意味でございまして、通俗の意味で私はお答え申し上げたのでございます。
○小笠原二三男君 そうすると今までそういう考えも、用意もないということですか、現在の段階では。小選挙区制の問題がだんだん仕上る過程においては、参議院選挙をいじるという意思はないということですか。あるということですか。また小選挙区制が一応、でき上ったあとにそれは回すということですか。この点ははっきり今の政府のお立場をお示し願いたい。
○国務大臣(太田正孝君) 私は初めから、自分の表現があるいは間違っておったかもしれませんが、小選挙区制とは関連がない意味でございます。私の意味は。ただ参議院議員の、むろん今こういう選挙に入らんとするときでございますから、今やるということは、もちろんできませんが、この衆議院議員選挙のほかに、参議院議員選挙につきまして、問題点を諮問したい、こういうことだけのことでございます。
○小笠原二三男君 そうするとその問題点というのは何ですか。
○国務大臣(太田正孝君) 一番大きい問題はやはり全国区の問題だと思います。
○小笠原二三男君 全国区にどういう問題がありますか。(中田吉雄君「推薦制」と述ぶ)おそらく問題点というのは世上取りざたされ、批判されている点を言っているのだと思いますが、それはどういうものですか。列挙していただきたい。
○政府委員(鈴木俊一君) 実はまだ具体的に世上論議されている事項というものを自治庁としては拾い上げておりませんが、いろいろ耳に入っておる話は、私どもあるわけでございます。おそらく元ほど来の御答弁の趣旨は、そういう世上でいろいろ議論になっております問題について、選挙制度調査会に諮問をして、その結論が、改正せよしという結論になりますか、あるいは改正しないでいいという結論になりますかわかりませんが、とにかくその点について調査会の答申を求めたい、こういう御趣意だと思うのであります。具体的にこういう問題について諮問をするというところまで、まだ具体的な、事務的にもそういう案を持っているわけではございません。
○中田吉雄君 ちょっと関連して。(松澤兼人君「世上問題になっているというのはわからぬ」と述ぶ)太田長官、政府としては別ですが、党としてはすでに憲法改正の試案もできて、参議院制度の全国区をどうするという結論はすでに出ているのですか。試案が。それには直接、選挙の担当大臣として、あの決定には参画されているのですか。全国区を廃止して推薦制にするとかいうような、憲法調査会のいろいろな制度の中にあれは出ているのですよ。おたくの党の案に出ているのです。私午前中持ってきておったのですが、それにはっきり出ている。それには選挙に直接関係されている長官としてでなしに、党人としての太田さんはどうなんですか。
○国務大臣(太田正孝君) 私は直接も関係しておりませんし、自治庁といたしましてもそのことには関係を持っておりません。
○小笠原二三男君 何か世上取りざたされているものがあって、そうしてそれが取り上げられて、そして選挙制度調査会に諮問になられるように聞きとれるのですが、非常にこの点だけは民主的に、どこでだれが何を言っているのやらわからぬようなことを取り上げて、何か諮問するというふうに聞えて、どうも責任ある政府の態度のように聞き取れない。もしも政府として何の考えもないならば、選挙制度調査会に諮問することは考えておりませんという方が正しいのだ。どっちでもいいのです。私はもっとはっきりしていただきたい。
○小林武治君 今のに関連して。私はどこをどう改正するという腹案が政府になくても、改正する必要ありやどうか。またありとすれば、どういう点か。こういうふうな聞き方はできる。従って私は政府に腹案がなくても、諮問は一向に差しつかえない、こういうふうに思いますし、また先ほど中田君が言われたようなことは、私は今現在の憲法のもとにおいて、これをどうするかということをお尋ねしておるのでありまして、現在の憲法は直接選挙制度をとっておる、その憲法の許される範囲においても、なお多少の改善の余地がありはせんか、こういう考え方でお聞きしておりまするから、この憲法が変るのはいつのことかわかりませんから、その先のことを問題にしているのではないというふうに一つ御承知願います。
○国務大臣(太田正孝君) ただいま小林委員の言われました通り、現憲法下における問題でございますから、私は見方が違うかしりませんが、選挙制度についての議論のうちでは、相当に参議院議員の問題も論議されている。また学者の議論も出ていると思います。れがいいとか、これがいいとかいうことでなく、そういう問題につきまして、広い意味の諮問をしたい、かような意味でございます。(松澤兼人君「今まで学者の意見を出せといってもなかなか出さぬくせに、今度は学者の意見を……」と述ぶ)
○小笠原二三男君 さっきお話をお聞きしたのからみると、小林さんの介添えもあって、一段とお話が具体的になってきたのです。では、諮問をするのですね。参議院の選挙制度のあり方は、どうあるべきがいいか諮問するのですね。腹案もなしに。
○国務大臣(太田正孝君) 腹案がないということは、先ほど申し上げた通りでございまして、問題点としてこれはどうか、こういうような諮問の形は、今具体的な文字は考えておりませんが、考え方としてはそういう方向でございます。
○小笠原二三男君 ですから政府が必要を認めたということでもなし、改正の必要を認めたということでもなし、認めないということでもなし、現状の段階において諮問するだけの必要はあるとお考えになっているのですね。 (小林武治君「それでもいい」と述ぶ)
○国務大臣(太田正孝君) その意味でございます。
○小笠原二三男君 それでは太田自治庁長官のお考えを伺います。あなたは、選挙法を担当せられている大臣としてお伺いしますが、全国区というものはあった方がいいとお考えですか、ない方がいいとお考えですか。
○国務大臣(太田正孝君) 先ほども申しました通り、私としても研究を要する問題でございますが、とにかく問題点として世の中に出ていることでございまするので、これを諮問するので、私の意見をここにまだ申し上げるところまで参っておりません。
○小笠原二三男君 そういうことを——だから私は、問題点として世の中に出ているのであるからという意味合いですか、その問題点というのは何かというのを、念のためにお伺いしておきたい。これ以上は私は質問はしません。問題点だけ。あなたが問題点だとして把握しておられるものを御披露願ってさえおけばいい。
○国務大臣(太田正孝君) 先ほど私が申しました全国区の制度という問題もありますし、その以外に私どもの知らぬ問題もあろうと思いますが、私が今一番聞いているのは全国区の問題でございます。従って諮問する場合にもその意味を含めてしたいと、こう考えております。
○小笠原二三男君 だから全国区がどういう問題点があるのか。
○松澤兼人君 関連。全国区の選挙制度というものは問題点があるというお話、そうすると諮問をする場合には参議院の選挙方法、選挙制度というもののに対して意見があるかという、そういう諮問の仕方をするのですか。それとも具体的に全国区の選挙制度というものが問題であるからこれに対して諮問をするという形になりますか。
○国務大臣(太田正孝君) まだ形の具体的なところまではいっておりませんが、広い意味で参議院議員選挙について諮問することもありましょうし、またそれを説明する場合に、こんな点があるからということを諮問の場合に言う場合もあろうかと思います。私としてはまだ諮問するという考えだけでございまして、今のところは広い意味に御解釈願いたいと思います。
○松澤兼人君 私は、その諮問する場合、長官が考えておられる世上いろいろ問題があるとかあるいは問題点があるからという、そういう何といいますか、言葉を取り消して、それで参議院の選挙制度について諮問したい、こういうふうに言われた方が私は正しいんじゃないかと思うのです。それ以上お答えができないでしょう。ですから白紙のまま一つ参議院の選挙方法について諮問したい、こういうふうにおっしゃれば、それこそ問題点はなくなるのです。そうじゃないのですか。
○国務大臣(太田正孝君) 今私が最後に申しましたのは、広い意味という方法でやるか、ということがそこでございまして、御趣意の点にあるいは一致していると思うの毛ございます。まだ具体的の文句などは考えておりませんです。
○委員長(松岡平市君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(松岡平市君) 速記を起して。
○加瀬完君 昨日公職選挙法の一部を改正する法律案の提案理由並びにこれの修正の提案理由並びにこれらに関係する法案の要綱についてのいろいろ御説明があったわけでございます。で、この御説明を承わった限りにおきましては、いろいろまだもう一度尋ねまして明確にしておかなければならない点もございますので、若干きのうの御説明についてのみ伺いたいと思います。 これは午前中に同僚の鈴木委員からも質問があったのでございますが、小選挙区によりまして政局の安定ということをねらっているのが、この小選挙区制の一番の大きなねらいだということを、ただたび政府はおっしゃっているわけでございますが、小選挙区がこの目的達成のための最大の要件であるという御説明は、きのうの提案理由の中にも、あるいは要綱の御説明の中にも、どうもはっきりと打ち出されておらない、この点、もう少し詳しく御説明をいただきたい。
○政府委員(太田正孝君) 政局安定のために、小選挙区がとるべき方法であるということを強調した提案理由の説明でございますが、私が申し上げるまでもなく、この数年来、何で小選挙区論というものが起ったか、私の見るところにおきましては、ずいぶん政局が不安定でぐらぐら、ぐらぐらしておりましたときに、一般の声といたしまして小選挙区論が出て参りました。具体的には、選挙制度調査会の二十六年八月二十八日と記憶いたしますが、その答申におきまして、特にそのことが書き出されており、しかも厳格な意味においての一人一区のことも強調され、やむを得ない場合だけは例外としていいということまで掲げられておった経過はかんがみまして、また、私どもの信ずるところにおきましては、二大政党がだんだんすくすくと伸びていくためにもこの制度がいい、そうして政局を安定していく方が国政運用の上においてもりっぱではないか、かように考えた次第でございます。
○加瀬完君 政局安定のためには二大政党が必要だ。二大政党は今できている。政局の安定のためには二大政党が必要だけれども、今のような二大政党ではだめだ、こういうことになる、論理は。そうすると一体どういう二大政党ができればいいのだ、こういうことを質問せざるを得ない、この点どうです。
○国務大臣(太田正孝君) 現に二大政党あり、よってもうこれでいいじゃないかということもよく承わります。しかし、かりにここに解散等がありました場合には、現行法においてやっていくことになります。その結果といたしまして、同じ区域において個人的本位の選挙が行わ承るという結果は、せっかくできたとこいのこの二大政党も、どういう形になるかということに、やはり考え及ばなければならぬと思うのでございます。それでございますから、二大政党がりっぱに伸びていくためにも、小選挙区制度によって政党の争いとし、政策の争いとし、そこに個人的の、今までの選挙の方式を改めるということが必要である、こう考えたのでございます。
○加瀬完君 選挙区は今のままでも二大政党が生まれた。小選挙区にしても大正十三年には二大政党にはならなかった。で、政府の望んでいる二大政党というのはすでにできているのだから、何もここで小選挙区にしなければ二大政党にはなれないという論理は打ち立てられないと思う。
○国務大臣(太田正孝君) 中選挙区下における二大政党と小選挙区下における二大政党、こういう意味において私は申し上げましたので、今のままでいけば、やはり個人本位のという、それが望ましいことでないという選挙制度調査会の答申の趣意も、個人本位ということの行われている中選挙区制度でない小選挙区制度、こう私は申し上げた次第でございます。
○加瀬完君 今の選挙におきましても、中挙選区におきましても個人本位ということよりは、政党本位、政策本位ということに進歩いたしているわけでありまして、従いましてそれらの理由のほかに、今のような二大政党ではだめなんだ、もっと小選挙区によってこういう二大政党を作るのでなければ小選挙区を提案しても意味がない、この点もう少し詳しく。
○国務大臣(太田正孝君) 二大政党の性格もいろいろございますが、とにかく保守的なものとあるいは革新約と申しますか、これを、日本の例にとると言葉がなにになりますから、イギリスにとって言うならば、保守党と労働党こういうように相対立した形が切瑳練摩して政策を争いつつ、一方が行き詰って一方へ行く、また国民も、イギリスの場合でいえば、労働党はこうだと、内閣がかわってもこういうふうに行くのだと、はっきりした見通しがつくようになるのでございます。しかるに今の日本における挙選制度においては、中区選挙区制と申していいかと思いますが、個人の立場というものが相当に出ておりまして、政党で公認制度で一区の場合は一名と限定するようなことになっておりません。中選挙におきまして三人も出るその上に三人以上の候補者も出るような場合がございまするので、私はそういう意味におきまして小選挙区制というものが狭い区域において申と乙の政党が争い、しかも政策本位で争う、それがうまく行くように政策の点におきましてもまた組織の点におきましても、完成したものになるときに、小選挙区制度というものがりっぱにできるのはでないか、私はこう考えております。
○加瀬完君 私は小選挙区制を聞いているのではない。二大政党というものは小選挙区に待たなければできないという理由を聞いておる。大臣の言う一体二大政党というその政党は、どういうことなのですか、どういう性格の政党を意味しているのですか、もっと強いとか強固とかあるいは政策に裏づけられたといったようなことを一言っておられるのですか。
○国務大臣(太田正孝君) 御承知の通り政党は時代によって違いますが、現下の日本におきましてはやはりそういう点について保守的な考え方と——保守と言う歩むやみに引っ込む意味じゃございません。私どもの期待するのは保守党が進歩的になるように、またこれに対して革新党と言われるお方々の党派と、こういうものが二つの党派であると思っております。その革新的の方についても、あるいは理論よりも実行の方いく意見を持つような意見も世の中にあるような次第でございます。とにかく今の日本においての二大政党は、ごらんの通りの社会党と自由民主党とこれが大きな二大政党でございます。
○加瀬完君 ですからそれじゃだめだと言うのでしょう、その二大政党じょだめだ、小選挙区によって新しい二大政党を作ると言うのでしょう。
○国務大臣(太田正孝君) 私は総理も午前に申しましたが、そういう政党が伸びて行くために、すくすくと伸びて行くためにも、小選挙区が必要であると、こういうように申し上げたのであります。
○加瀬完君 これは社会党の言っている言い分じゃなくて、第三者の言い分が今度の小選挙区、いわゆる区割りを含んでおった小選挙区制というものでは、現在の二大政党というものがすくすくと伸びて行くということにはならないといつので反対が起ったわけです。しかしその反対の起った内容を盛ったものを原案としてあなた方がお出しになった。そういうことをやってもそれじゃわれわれ納得できない。そこで一体現在二大政党になっているのに、小選挙区制にかえななければ二大労政になれないという二大政党は、今の二大政党と概念が違うと、こういうふうに解釈せざるを得ない。その点についての説明は私何ら了解できない。
○政府委員(早川崇君) 二大政党ができておるから小選挙区は必要ないじゃないか、こういう……。
○加瀬完君 二大政党ができておるのだから、小選挙区で二大政党を作るならばどんな二大政党か、今のと違うのですか。
○政府委員(早川崇君) 先ほど大臣がお答えになりましたように、二大政党は形ばかりできましたが、これを今のような中選挙区に放っておきますと、大体選挙区は大きくなればなるほど小党分立、分化傾向をたどるということ、これは選挙制度の大体の趨勢でございます。従ってせっかくここで二大政党ができたのでありますから、選挙制度もそれに即応いたしました小選挙区制を採用いたしまして、一そうこの保守革新の二党対立が健全に成長して行くためにも、小選挙が心要かと私は思うのであります。小選挙区制が通りますと、選挙の決定権は中間の浮動票によって左右されるのであります。従って保守も一そうそういう人たちの札を得るために進歩的な政策をとらなければなりません。革新も一部の組織の札だけではだめでありまして、広くそういった中間層の札を獲得するように成長しなければならぬ。ここで初めて英国的な二大政党になっていくのではないか、かようにわれわれは考えておるのであります。
○加瀬完君 政府は小選挙区というものをとらなければ二大政党にはならないのだという前提に立っておられるけれども、一般的には小選挙区がより二大政党になり得る可能性というものはもっておりましょう、しかし事実は小選挙区をしいても二大政党にならない幾多の例もあれば、小選挙区でなくても今日のように二大政党になっている現実もある。目的は、政局の安定のための二大政党というものの出現を望むというならば、現在出現されている二大政党というものを素直に自然に育てて行けばいいのであって、ここに何も二大政党ができておるのに、二大政党でなくなるかもしれない今までの過去の歴史もあった小選挙区制というものを、多くの非難をかぶりながらも強硬に実現しなければならないという理由はどこにもないじゃないか。
○国務大臣(太田正孝君) 先ほども申しましたことでございますが、二大政党ありと、しかし今ここで現状の選挙制度、中選挙区制度でやって行くとしましたならば、やはり個人本位の選挙になるということは、現状が個人本位の点が強いのでございますから、それを政党本位にして行くというところに、小選挙区制度との違いがあると、私はかように申し上げておるのであります。
○加瀬完君 同じことを繰り返しているのは時間の徒労でございますから、私はここに大正十四年の第五十帝国議会でございますかのやはり選挙区制度についての話し合いがありますので、前者と後者の発言のどちらに大臣が御賛成になるか一つ承わります。読みますから聞いて下さい。高見之通さんのお話で、立憲政治のもとにおいては、いかなる場合においても強固なる政党を必要とする、強固なる政党を作るには小選挙区を維持する方がいい、こういう説でございます。これは本委員会において宮澤委員の御関係の深い小川平吉さんが、これは国務大臣ですが、こう答えておる。選挙区の改正は、選挙の公正を期するためにやるものである、政党の強弱を目的として改正をすべきではないと答えておる。どちらに賛成しますか。
○国務大臣(太田正孝君) 強固なる政党になることはこれはもちろん大切なことと思います。しかし大正十四年のときにおきまして、私どもが今言っておるようないわゆる小選挙区というものじゃなかったと私は思います。少くとも個人本位の点が相当に強く出ておる選挙制度で、私どもの今ここに主張せんとするのは、個人本位の選挙というものよりも、政党本位の選挙にしようというところに、手段として大へんな違いがあることを私はもう一ぺん申し上げたいと思うのであります。
○加瀬完君 私はそういうことを伺っていない。今出した二つのどちらに賛成するかどうかということを聞いている。立憲政治のもとにおいてはいかなる場合においても強固なる政党を必要とする、強固なる政党は小選挙区を維持する方がいいとこういう意味の質問に対しまして、小川国務大臣は、当時の……、選挙区の改正は選挙の公正を期することが目的である、政党の弱くなるとか強くなるとかいうことを目的とすべきではないと言っている。どちらの説に賛成なさいますか。
○国務大臣(太田正孝君) 両方とり入れなければならぬと思います。むろん小選挙区になりましても、当初の案にもあります通り、選挙の公正を期さなければならぬということを相並んで主張されているのでございます。強いとかいう政党も、不正な形においてできちゃ悪いわけでございますから、やはり公正な選挙ということも必要であると思います。
○加瀬完君 やはり公正な選挙が必要なので、選挙は根本的に公正なる目的をもって行わなければならないという私は前提としての立場をとるべきだと思う。そこであなたの提案説明によりますと、小選挙区によると公明選挙の理想を実現することができると、こう書いてある。私は、当時の小川国務大臣の識見というものは、今のあなた方には他山の石とまで高く評価をして座右の銘としなければならない言葉だと……。しかしそういう公明選挙というふうなことを目的として、それを強く打ち出しているというふうには、われわれは小選挙区制の法案については、はっきりと了解するわけにはいかん。しかしあなたの説明では、公明選挙が小選挙区によってできるんだと、こう言っておるわけで、どういうわけで小選挙区制によると公明選挙が今以上はるかに達しられるか、この点について御説明をいただきたい。
○政府委員(早川崇君) 小選挙区制度だけでは公明選挙の目的は達しませんが、しかしながら小選挙区制によりますると、この法案に明らかなように、すべて政党本位の、政策本位の争いになるという点が第一点でございます。 第二点は、非常に監視が行き届く反面、いろいろ情実、因縁に惑わされるという欠点はございまするが、同時に身近かに監視が行き届くというような面から申しまして、かなり公明化が推進せられていくのではないかと、かように考える次第でございます。もちろん小選挙区だけで公明選挙はとうてい達成されませんので、同時にこれは広く国民の啓蒙運動というものと並行しなければならないことは申すまでもないと思うのでございます。
○加瀬完君 政府の提案理由の説明では、公明選挙の理想を達成することが、小選挙区制によってできると書いてある。そこで中選挙区よりも小選挙区がはるかに公明選挙の理想が達成できるという具体的な理由を述べてもらいたいと思う。今あなたがいろいろおっしゃられたけれども、小選挙区がかって行われたときに、小選挙区の弊害が非常に多いので、直ちに小選挙区制というものが廃止になった。あなた方の今、党の領袖である三木武吉さんなどは、その当時小選挙区制の弊害をたくさん並べてだいぶ反対しておる。それから当時の国務大臣は、さらに説明を加えまして、特殊の事情のない限り、支部または当初のように特別な地区を代表する意味のある選挙区制というものは存置すべきじゃないという意見を出しておる、弊害が非常に多いということを列挙したあとで。こういうふうなことがあなた方の政府によって小選挙区制をやれば、そういう弊害は、小選挙区の弊害というのは、一切なくなって、直ちに公明選挙ができるということにならなければならない。あなた方の行う小選挙区制によると、どうして公明選挙というものがより一そう達成されるのか、それらについてもっと具体的に述べてもらいたい。
○政府委員(早川崇君) 公明選挙という意味は、単に買収が少ないということのみをもって公明選挙とは申されないのでありまして、公明な選挙というものは、同時に選挙民が明確に政策によって、政策の選択というものを通じて選挙を行うという面も非常にございます。そういう面から申しまして、先ほど申しましたように、与党か野党か、保守か革新か、明確に小選挙区におきましては政策の争いになるわけでありまして、現在の中選挙区のように、同じ政党が同士打ちをするというような、政策を離れました一つの力の争いと申しますか、そういう情実の争いと申しますか、そういうものがなくなるということが最大の小選挙区制の利点でございます。腐敗の問題に関しましては、これはいろいろ小さくなると情実、因縁、腐敗という、これは私一面の真理があると思います。しかし同時にこれは非常に監視が行き届く、また啓蒙活動が狭範囲でありますから徹底するということをあわせ考えるならば、昭和八年ころのように、政府が、警察を完全に内務省が握っており、また選挙民もほんの少数の税金を納めた有権者にすぎない時代とはこれは同日に断ずべき問題ではなかろう、かように思う次第でございます。
○加瀬完君 しかしあなたは小選挙区の利点だけをあげておるけれども、事を行うには、利点とともにいかなる欠陥が生ずるかという作用と、反作用というものは当然物理的にも考えなければならぬ、政府の説明が利点だけをあげて、欠点は……、立会演説の内容みたいなものです。もっと委員会の審議というものは、われわれはこういう利点も考えた、こういう欠点も考えた、この欠点はこういうふうに是正するという方法がとられているんだという具体的なものが並べられなければならぬ、今度の政府のやる小選挙区というものは。そうすると、今まで小選挙区の欠点というものはよほど除かれておるか、なおまだまだ除かれていないかということで、初めてわれわれ審議の対象にすることができる、そういうものが何も講ぜられていないで、利点だけあげていられると、こっちも欠点だけ幾らでもあげられると思う。大臣この点もっと提案理由を説明された内容というものを具体的に述べて下さい。
○国務大臣(太田正孝君) あそこにはっきり申しておきましたことですが、大よそ制度には、加瀬委員のおっしゃる通りに利点と欠点とございます。現状におきまして小選挙区をとるという理詰めをそこに書いたのでございますが、小選挙区になった場合に、結果としてどういう利点があるか、またどういう欠陥があるか、小選挙区制度の方が死票が多い、これは蝋山さんなどが盛んに言われるところで、この死票の多いという点は小選挙区の方が多い、しかし小選挙区で多しといえども、大正九年のときの選挙におきまして三割一分あったのが、昨年の選挙におきまして、中選挙区になってどうであるかというと、三割二分で、ごくわずかしかふえていないのです。これはわが国における実情でありまして、この点からただ死票が多い多いということは言えません。死票というのは、たとえてみると、もう一票あったらばというような問題で落ちる場合が、これがだめになってしまう、一票あればじゃない、数票あったらばということでだめになってしまう。しかし他の一面におきまして非常にたくさん取った、過剰投票も死票でございます。そんな点についての欠陥論も両方議論がございます。また小選挙区になりますと、その地方に直属した人が出る、新人が出ない、また広い範囲を持っておる女の方々が出にくい、こういうようね議論も承わります。しかし私は政党政治というものが、公認制度におきまして厳格なる方法をとっていく限りにおいては、さようなことはないと、ずいぶん今まで唱えられた小選挙区論というのが、大正八年に行われて九年に実行されましたものが一番ティピカルな例として知られておりますが、私の今申します小選挙区という問題は、あのときのと違っておるということを私は固く信じておるのです。それは個人本位ではなく、今政務次官も言われた政策本位の、政党本位の選挙になってくるということで補い得るのではないか、また小選挙区になるというと、おつかいものをするとか、しょっちゅう選挙区のために苦労をするとかいろいろ申されるのでございます。しかしそれも今政務次官が言われた通り、目には目で、光っておる目がその狭い区域において行われるということ、しかも昔は警察権というものが非常に強く現われておりましたが、今日はさようなことを、民主政治下におきまして行うすべもなく、またそんなことがあってはならぬことであります。いろいろな欠点もございますが、またいい点もありまして、現下の二大政党が伸びていくためには、私の一番初めの説明に書いてあります通り、制度にはそれぞれ長所短所があるが、現状におきましては二大政党にいくためにこの長所の方をとってそれが伸びていくことを小選挙区制度において期待すると、かように申し上げた次第で、政務次官の言われた言葉を敷衍して私が御説明申し上げたに過ぎません。
○加瀬完君 問題を限定して私は伺っておるのです。小選挙区制全体の利害得失を私は伺っておるのじゃない。小選挙区によると、政府の提案説明によれば、公明選挙がより達せられるというけれども、小選挙区は常識的には非常に公明選挙を阻害する条件というものが多いのじゃないか、たとえばあなた方は今いろいろ述べられましたけれども、議員が地方的な問題にだけ没頭しがちになるという一つの欠陥がある。そうすると地方とのつながりが非常によくなる反面において、情実というものが生じてくる、情実が強くなってくればそこで選挙の公明を害するという素因もそこに生ずる。 〔委員長退席、理事伊能芳雄君着席〕 あるいは新入の進出が困難であるということになれば、新人は進出をするためには特殊の方策を用いなければならないというようなことも出てくる。あるいは非常に親近感の持たれる人たちが出てくるというようなことも言われるけれども、その反面は今度親近感によるところの情実因縁というものがつきまとう、あるいは地方的なボスが生じやすい、そうなってくると、これはいろいろな弊害もまた当然生まれ、個人的な競争も激甚になってくれば、選挙違反というものも当然比例してふえてくる、あるいは私どもは、二大政党の実現と言っておりますけれども、ほんとうのところは自分の所属する党派というものの絶対多数を確保したいという魂胆がありありとありますから、いよいよ負けそうだということになれば、その金だって作ってくるということも過去にはあった。これからは知りませんけれども過去にあったのだから、将来も生ずるおそれというものも一応警戒しなければならない。そうすると小選挙区というものは選挙違反の温床みたいないろいろなものがある、こういうものに手を打たないで小選挙区をやり、公明選挙を期せられますか。こんな子供だましの説明は私はうなずけない、むしろ逆に、小選挙区のあなた方の言われる長所を伸ばすためにはこういう欠点があるのだから、こういうことを除去したという説明ならば一応承知はいたします。しかし何でもかんでも小選挙区はみんないいという書きっぷりは、われわれは承知できない。その点はどうですか。
○政府委員(早川崇君) 加瀬委員の御意見まことにごもっともかと思います。いかなる制度におきましても絶対的な制度はございませんので、欠点と長所は彼此勘案をいたしまして、よきものをとる、こういうわけでございまして、小選挙区制度の場合におきましても、今御指摘になりましたように、区域が狭くなるから情実因縁が多くなって、腐敗の温床を作る、確かにそれは一面の真理があると思うのであります。これを補うために、今度の小選挙区法案には、大正八年と異なる制度をとったのであります。どういう制度かと申しますと、当時と違いまして公認制度というものを明らかに法律できめまして、政党の党員が投票によって公認者を選んで党の代表——個人早川、個人太田というような現在のやり方ではなくて、政党の代表としての何がしというふうにいたして、その弊害を除去しようと努めておる次第でございます。 また選挙違反に対しましてはどういう手を打っているかと申しますと、なるほど連座制強化という面におきましては付帯訴訟の制度を設けたというものように見えまするが、これまた非常に大逆な改革でございまして、連座制によって出納責任者あるいは総括主宰者が罪に落された場合には、付帯訴訟の制度によりまして新たに訴訟を起さないで、同時に失格する道を開いたのでございます。また逃亡時効も修正案においては二倍になりました。日本の罰則は世界最高の強度なものであります。従って管理が行き届きますならば、なかなかこれは一対一の戦いでありまするから必ず反対党から突込まれるという結果にもなります。罰則も非常に高度なものになっておりまするので、私はそういう面から申しまして、もし警察が将来政府の御用機関みたいになれば別でございます、ところが現在の民主主義の民主警察の時代においては、そういうことは考えられませんので、大正八年、大正十二年の時代とは根本的に異なった状態であると考えまするので、なるほどそういう心配はございますが、同時にこれに対しましては今言ったような手当を講ずることによって、全体として政局安定のためにはこの際大陸国家の、欧州の方式じゃなくて、英米流の小選挙区をとった方がいいのであると、こう政府は判断をいたしたわけでございます。
○加瀬完君 結局政府の説明は、小選挙区の方がいい、いいということだけで何も……、今私の質問している小選挙区にすれば公明選挙に触るということには、何ら理由がないということだけわかりましたので、詳しい質問はいずれあとでいたしますので、提案説明に対する補足説明を求めておるだけでございますから、先に進みます。 その次は、実情に沿わなくなって参ったので現在の定数をふやしたということでございますが、先ほど他の委員から出ました地方議会の議員の数というものをきめられた定数よりも縮減するような方法をむしろ政府は奨励をいたしておる。そこでそれに基いて地方にはそういう行政機構全体に対する縮減方式を用いておって、それが住民の議決機関である議会にまでその縮減方式を一応是認しておいて、衆議院の定数だけをふやすということは、私は非常に首尾一貫しないと思う。この点はどういうお立場でございますか。
○国務大臣(太田正孝君) 先ほど私が申し上げましたが、国会というものと地方議会との本質的の差と申しますか、その点に存することが大きいと思うのでございます。すなわち、国の方だけ人を増して地方の方はむしろ議員の数が減っておるじゃないかという問題でございます。自治庁が減らしているのじゃございませんが、現実におきまして減っております。それは合併等の関係によって減っておりますが、基本的におきまして、ことに戦後における議員の数というものは相当にふえております、地方議会の数はふえております。それが減らされておる現実であるのと、一方は政府を作るという大きな使命を持った国会議員の選挙でございます。で、こういう点につきまして、何を標準にして人員を見ていくかと、いろいろな見方がございましょう。けれども何と申しましても人間の数、人口ということが大きな問題であろうと私は思います。この点につきましてどこの国の例を見ましても、人口の点をとらえております。アメリカは日本より少ないのでございますが、イギリスはむしろ日本よりも一区における割合というものは、ごくわずかな人の中で一人を選ぶという形になっております。日本の現在は大正八年のときの制度におきまして四百六十四人ときめました、そのときに八十三人ふやしたのでございます。その四百六十四人が二名だけ大正八年後にふえているのが現在の数四百六十六名でございます。これに奄美大島の一人が加わっておりまして、数字といたしましては四百六十七人と申し上げていいかと思いますが、この幾星霜の間に、人口は非常に増加したが、定員というものは増加しなかったのでございます。こういう点から考えまして地方議会の数と国会の数とを直接比較することはいかがかと思いますが、相対的に見ましても、国の方がふえ方が非常に少い、こういう点からまず勘案いたしまして、人口の増加の県を主としてふやしていきまして、ところが地方区画、すなわち府県の限界というものが現状の通りにありまするというと、ただ人口だけで見ていきますと平均がとれないので、今までの定員を補充する意味におきまして、減ってくるところはふやしていく、その結果として三十名増すことになったのでございます。
○加瀬完君 行政機構の簡素化とか、人員の縮小というのは、もう今の政府の早くから唱えられておったところの公約なんだ。特にあなたの政府でありませんけれども、最初に出た自治法の改正などでは、地方議員の数の縮小などということを打ち出しておったりなんかしておる。そういうふうに、何か機構の簡素化とか、人員の縮小という一つの大きな施策を打ち出しておりながら、一方において衆議院議員の定数だけをただ人口比例に応じてふやしていくということでは、政府の態度として二分しているのじゃないか、こういうことなんです。そのふやしていることが、長らくふやさなかったからこの際ふやす、それだけの理由はなりたちます。しかしながら政府の他に打ち出している方針とそれはあまりにかけ違うのじゃないか。この点の一体調節はどういうお立場なんだ、こういう点なんです、私の伺っておるのは。
○政府委員(早川崇君) 確かにそれ自身をとりますれば、御指摘の通りでございますが、国会議員というものは、戦争前に比べますと、御承知のように全体としては参議院は貴族院に比べて半分に減っております。人口は一千万以上、この四百六十四名の定員時代に比べまして一千万以上ふえておるのであります。これに対しまして、国会は戦争前よりはるかに減っておる。これと比較いたしますと、地方議会は御承知のように、人口に伴ってどんどんふえていく。ニューヨークの市会議員はわずかに二十名、ところが東京都の都会議員は百二十数名を擁しておる、こういう状態であります。従ってわれわれといたしましては、それ自身といたしましては、なるほど三十名ふやすということは、確かに矛盾のように見えますけれども、公務員の数は戦争前より二倍半もふえておるというふうな総合的な見解から眺めましたならば、せめてこの人口の一千万以上ふえたものに比例按分するときに、各県の定員が減るということは、長年選挙をやってきました選挙民もまたそれによって選ばれました代議士も、そういった歴史的な背景を無視しては考えられない。従って四百六十六名で人口全部を割った数の場合に、現に減るものだけは現状を維持しようというこれが三十名の増加となった次第でございまして、そういった総合的な、また世界各国との比較をながめますと、なるほどふやさないにこしたことはございませんけれども、御指摘のように、大きな政治的な矛盾とか、そういうようにはわれわれはならない、理解していただけるのではなかろうかと、かように思う次第でございまして、なお地方議会その他との関係は、次長からお答えいたさせます。
○政府委員(鈴木俊一君) 地方議会の関係を補足して申し上げます。地方議会の関係は戦後地方自治法の施行の際におきまして、都道府県の議会の議員につきましては、最低が三十人ということになっておりましたのを、一律に十人ふやしまして、最低四十人ということにいたしまして、それから先は人口段階でふえていく、こういうことにいたしたわけであります。それから市町村の場合には……、(加瀬完君「そんなことは聞いておりませんよ。」と述ぶ。)いや、ちょっと関係がございますから……。区割を段階区分をかえまして、ふえ方を、割合をふやしたのであります。ですから、戦後府県も市町村も、地方議会に関する限りは、法定の基準数というものをふやしたのであります。しかも大正八年当時の人口は五千五百万くらいだったと思いますが、今日これが九千万であります。国会は大正八年当時も四百六十四人であって、今日なお四百六十七人、こういうことでほとんどまあ三人しかふえていない。ところが地方議会の場合は、五千五百万から九千万にねりますので、各団体ごとに人口がふえればどんどんこれがふえてくるしかけになっておりますから、今ここに数字を持っておりませんけれども、大正八年当時の地方議会の議員の数と、今日の地方議会の議員の数とを比較いたしますと、相当これはふえておると思うの、であります。そういうことがありますので、必ずしも一がいにこれは調子が揃わないことだとは言い切れないことだと私ども考えておるのであります。
○小林武治君 私は午前中にも質問しておりますが、あの選挙制度調査会の答申中案自体が、減らすべきところを十二県減らさんでおいた。そのために府県間の権衡が非常に破れておるということはあなた方もよく御承知の通り。あれを減らしさえすればこれらの権衡もとれる。あれをやむを得ず、御承知のように、佐賀県と青森県が一名をふやして、しかもあの連鎖反応はさらに十数県に及ぶはずだったのを、あれでとどめておる。この間には府県間の不権衡というか非常に不合理がある。だから私はせっかく政府があの別表の削除に応じたならば、この際そういう便宜主義をやめて、そうしてほんとうに根本的に検討をして、そうしてただ減らすべきものを減らさない、こういう方法でなくて、ふやすならふやすことにして、そうして人数をできるだけ制限する、こういう方法で行った方が、私はほんとうに公正な権衡のとれた区割り案ができる、こういうふうに思うのですが、あなた方はまだあの便宜主義ですね。減らすべきものを減らさぬでおいて、単なる御都合主義でこういうものをそのまま維持しておってよい、こういうふうに思っておるわけでありますか。また今地方議会との関係があったが、私は地方議会との関係が、今のような、人さえふえればどんどんふえる、この方法は私はいけないと思うのでありまして、地方がふえるから中央も若干やむを得ない、これは話が逆だと思う。地方をむしろ減らすべきだ、こういうふうに私はかねてから申し上げておるし、また政府も一度その案を出したことがある。だから逆に考えないで、こういうものはとにかく少い方がいい。またこれは世論をお聞きなさい。国会議員の数をふやすことはほとんど反対しております。だからせっかく今度再検討するなら、もっと根本的にお考えになったらどうか、こういうことなのですが、あれにどうしてもとらわれる、こういうお話ですか。
○政府委員(鈴木俊一君) ただいまの点でございますが、私どもといたしましては、やはり議員の数がそうふえるということにつきましては、必ずしも賛成をするものではないのでございます。ただ小林先生よく御承知のごとく、小選挙区制、一人一区制を作るという場合におきましては、現在の各都道府県に対する配当議員数をさらに現状よりも減った状態で区割りをするということが非常に現実問題としてむづかしいというところから現状を保証するというような案が出てきたわけでございます。でもちろんお話のごとく、四百六十七人という現在の定数を基礎にして、人口に比例をし、あるいは各都道府県に一名なり二名ずつ配当をして、そうしてあとを人口比例で出していく、こういう合理的な基礎のみによって割り切っていくのが一番説明もしやすいし、筋は立つと思うのでありますが、ただ実際問題として今申しましたようね配分の上において非常に困難を感ずる。そこでそれを調和する方法として、一応現状を保証するというような案が出てきたわけであります。もしもそういうことをやらないで、減ることはなくすということにするならば、 〔理事伊能芳雄君退席、委員長着席〕 鳥取県の基礎によって、各府県に皆その比例で議員定数をふやすというような案もあるわけでありますが、こういう四百六十七人を全く比例的に分ける、あるいは鳥取県の人口で比例的に議員をふやしていって、五百八十一人になると思いますが、そういう理論的に徹底したいずれの方法も、どうもそのままでは小選挙区制というものの考え方をとって議員配当する場合には、困難ではないかというのが、今まで私どもの考え方であったわけであります。今回区割委員会におきまして御勘案になります場合に、そういう理論的な方法がいいか悪いか、あるいはそれを調整することで現状の定数を保証するか、あるいは一人なり、二人なりを平均的にまず各府県に配当をして、その余りの議員だけを比例的に配分するというような方式をとるか、従来から出ております方式はそれらの範囲を出でないわけでございまして、やはりそれらの範囲を一つ区割委員会において公正に検討をしていただいて、いずれの方式によるかをおきめ願うものと考えておるのであります。初めからこういうふうにした方がいいだろうという押しつけがましい議論は、私どもとしてはすべきではない、委員会が自由にこの点については当国会等における議論を参酌されまして御検討になるものと私どもは考えておるのであります。
○小林武治君 私は自分の意見としても申し上げておきますが、実は私ども緑風会は小選挙区法案を出した、第一次案においては四百六十六人を逆に按分比例して配当したのだ、従って十二県が減少ができた、こういうことであったのでありますが、第二次案においてはその考えをやめて減るものは減らさない。この考えを私は第二次案に入れて出した。これがまた選挙制度調査会においても踏襲されたと思うのでありますが、秋は第二次案を出したことを今非常に後悔しておる。ああいうような便宜主義を自分がとった、御都合主義でやったことを率直に私申し上げれば、非常に後悔しておる。従ってもし今度おやりになるならば、むしろああいう方法でなく、増すなら増す、二十人増すなら増すと、こういうふうにして、逆にやる方がもっと合理的な案ができる。こういうふうに私は思うのでありますが、これはもう今の府県間のアンバランスというものがこれからむしろ非常に大きな問題になってくる。これが再検討されればされるほど大きな問題になってくると思うのでありますから、私はせめて今の、たとえば京都とか、鹿児島とか、それら十県に及ぶが、非常に不公平がある。ある県は人口は多いのに定数が少い、こういう事例がはっきり出ておりますが、こういう不合理をなくすためには、また別途の考え方をしなければ、なくせない。もう やむを得なければある程度初めから人数をふやして、それを逆に持っていくようにすれば、府県間の権衡は相当とれる、こういうふうに考えておりますが、その点だけ私は参考になるから申 し上げておきます。
○小笠原二三男君 関連して。ただいまの鈴木政府委員の小林委員に対する御答弁は、それはどこの立場を代表した考えですか。政府ですか、選挙制度調査会ですか、それとも修正案を出した方のものの考えですか、自民党の考えですか、どれですか。それは選挙区というだけの範囲でのお考えですか。どうも日ごろ鈴木さんがおっしゃるのには、それは政治的なこと、でありまして、私どもの関知せざるところである。私は事務的な方であるとかということで非常に紛淆を避ける御答弁ですが、今の御答弁では非常にやっぱりそうでもない内容があるんで、どこの立場を代表する考えか、(「経過の説明でしょう」と呼ぶ者あり)その経過を伺っておきたい。
○政府委員(鈴木俊一君) 今私が申しました表現について、あるいは事務的な立場にある者として、政府委員とはいえ、あるいは不適当であったような点がございましたならば、その点は御容赦願いたいと思いますが、要するに選挙制度調査会等におきまして、今まで議論になりました問題の方式を、経過を追って御説明——御説明と申しますか、お話を申し上げて、それらの諸般が今まで出てきておった議員配分の方式であるということを申し上げたわけでありまして、それを将来の区割委員会がどういうふうになさるかということは、これは区割委員会自体の問題でございますから、そのことを私がとやかく申し上げることはないと思います。
○小笠原二三男君 そうすると、今まで理論的に検討をして、理論的に実施をすることも困難であったし、また実際問題として困難も生じてくる、いろいろな案があるということで経過してきた選挙制度調査会の案であり、政府提案の案である。じゃ今度は、この区割委員会におまかせにさえなれば、そういう問題は解消されて、新たな一つの案が出てくるであろうと事務的にお考えになっておられるわけですか。
○政府委員(鈴木俊一君) その点は私どもの貧弱なる頭脳をもっていたしまして、ただいままでにいろいろ出ておりました案というものを考えまするというと、結局単純な人口比例でいきます案か、あるいは鳥取の、要するに一番有権者数、人口数の少い鳥取県の現在持っておりまする議員の数の割合で各都道府県の議員数を出していくこの方式か、この二つが比例的に議員数をはじき出す方式であります。あとの方式なら五百八十人ということになるわけでありますが、そういう方式と、それから一応与えられました議員定数、現在の四百六十六人というものを一人ずつ各府県に配当する、あるいは二人ずつ配当をする、そうして四百六十六人からその一人なり二人なりの者の差し引いた残りの四百二十人とか十人という数を、各府県の人口に比例按分して配当していく、これはやや理論的でありまするけれども、単に人口比例ではなく、それに対して第三の方式は、一応人口比例で出しておいて、あとは現状の配当定数だけは認めていく、こういう方式があったわけでその四つの方式のうちの最後の方式を選挙制度調査会はとったわけであります。その上に、ただいまお話のございましたように、それは非常にアンバランスが生じてくる、極端な青森なり佐賀、二県につきましてだけさらに一名ずつふやす、こういうことを選挙制度調査会では結論として答申されたわけであります。そこに相当不合理があるといえば不合理性が加ってきたわけでありまして、これがまあ第四の案のさらに変更された第五案、こういうことであろうと思っております。そういういずれかの案がやはり結論としては議員配当の方式として実際出てきておるわけでありますから、そのいずれをとるか、あるいはそれにかわるべき、さらに合理的でもあり、また実際にも可能な案があれば、もうこれにこしたことはないわけであります。
○小笠原二三男君 そうすると、まず事務的に鈴木さんに伺いますが、そういう考え方、あるいはなるべく理論的なものでやっていこうとする考え方を持つ場合に、修正提案のように四百九十七人以内という限度をきめられるということは、七人委員会としてはその制約を受け、そこにまた不自然なものが生じてくるという可能性は全然ないのでありますか。
○政府委員(鈴木俊一君) ただいまの点は、第二番目に申し上げました鳥取県の最少の人口を基礎にして議員数を配当していくという案をとりまするというと、四百九十七人以内という修正の数字とぶつかってくるわけであります。ですからそれをそのままとるということは困難かと思いますが、しかしその他の案でございますならば可能でございまするし、過去において出ました緑風会なり、小選挙区促進会なりの案によりましても、四百九十七人以内ということでございますならば可能の数だと思います。
○小笠原二三男君 そうしますと、一つの例としてはっきりわかったことは、四百九十七人以内という制約を受けることによって、七人委員会が自由な検討を加えるが、ある部分については、検討しても実現は不可能であるという部分が生じてくるということだけは明らかですね。
○政府委員(鈴木俊一君) 今の第二案につきまして、五百八十一人という議員の数になるわけでございまして、それをそのまま用いることは困難かと思います。
○小笠原二三男君 修正案の提案者に伺いますが、理由に示すところでは明らかでありませんが、四百九十七人以内と規定した根拠はどこにあおりですか。
○衆議院議員(青木正君) 定員のきめ方につきまして、先ほど自治庁の鈴木次長からもいろいろ御説明がございましたが、また先ほど来委員の皆さん方からも御発言がありましたが、定員を合理的にきめなければならぬという 一つの考え方、これはもちろん尊重し なければなりません。しかしながら、同時に皆さんの御意見にありますように、いたずらにと申すとあるいは語弊があるかもしれませんが、むやみに定員がふえるということもできるだけ規制しなければいかぬのじゃないか、こ ういう考え方もあるわけであります。 そこで今日まで世間に発表されました小選挙区に基く定員の数を調べてみますと、先ほど御説明ありましたように、緑風会案が第二次案でありますが四百八十名、それから小選挙区促進会の定員がやはり四百八十名、それからこれは社会党の案、ではありませんが、社会党側のある議員の方から出されました定員数も、やはり四百八十何名かであります。そういたしますると、政府案並びに調査会案が四百九十七名でありましたので、最高限せめてこの程度できることならば、その範囲内においてできるだけ合理的に、しかも実情に即する案によってきめていただきたい。そのきめ方につきましては、先ほど次長の御説明がありましたように、大よそ四つの方式があるわけであります。そのうちでどういう案にするか、社会党の一部の方から発表になりましたように、まず一名ずつ各府県に配当し、残った数を人口で按分するという考え方もあるでありましょうし、あるいはまた、ただいま小林委員のお話のように、大よその数をまずきめまして、そうしてこれを人口で按分するという考えもあると思うのであります。そのどれをとることが最も合理的であり、また現実に即するか、そういうことにつきましては七人委員会の御判断におまかせいたしたい、かように考えたわけであります。ただ御指摘のごとく、四百九十七名以上にならぬように、そこに一つの目安と申しますか、規制は加えたわけであります。
○小笠原二三男君 そうするとはっきりしていることは、現行定員よりは減らすことは容易でない、四百九十七名よりは少いであろう、こういう範囲で七人委員会が御決定になられる、これは確実なわけですね。
○衆議院議院(青木正君) その通りであります。
○小笠原二三男君 ただし四百九十七名以内にしなければならない、現行定員より三十名かふやさなければならぬという理論的な根拠は何ものもないということも明らかでございますね。
○衆議院議員(青木正君) その通りであります。四百九十七名にならなければならぬということもありませんし、それ以下で四百八十名程度で最も合理的だ、そうしてまた現実にそうした定数がきめられれば、それにこしたことはないわけでありまして、すべてそれは七人委員会の御決定にお願いいたしたい、かように考えるわけであります。
○小笠原二三男君 そうなりますと、七人委員会が最もよい案を作るということで、努力をさせるのだということであれば、これは法文に明確化はしなくとも、七人委員会において自主的な判断で計数をおきめになられるということも、一つの方法であったのではありませんか。
○衆議院議員(青木正君) 七人委員会の良識に御期待申し上げるわけでありますが、ただしかし無制限にふえるといっては極端であるかもしれませんが、あまりふえましてもいかがかと考ますので、今日まで各方面から出ました定員の一番多いと考えられております四百九十七名をこすことのないように、その範囲内でおきめ願いたい、こういたしたのであります。
○小笠原二三男君 先ほど小林委員の申されましたように、四百九十七名というものが、それは既成事実として何かの案としては出たものの、それはやはり世論の猛烈な反撃にあったという事実がある、それを最高にして、押えるということは、あるいはその最高になって実施される案が出てくるという場合も起り得るわけなんです。この点はやはり世論に聞いたとはいえないのじゃないですか。
○衆議院議員(青木正君) 四百九十七名という数字、調査会の決定になりましたこの四百九十七名というきめ方につきましては、私どもも首肯すべき点があると思うのであります。しかしながら同時に、小林委員からも御指摘がありましたごとく、四百九十七名にいたしましても、各府県間の均衡を見ますると、必ずしも適当ではないのであります。そこで四百九十七名がこれが最良の案であるということでありますならば、あるいは四百九十七名ということで限定することも可能であるかもしれませんが、いずれにいたしましても、四百九十七名の案につきましては、府県の配分に若干不合理の点もありますので、他にいい方法があるならば、それもいいじゃないか。また前段申し上げましたごとく、議員の定数が人口に比例してふえることはやむを得ないといたしましても、いたずらにふえましてもいかがかと考えますので、まあ最高限その程度にとどめるようにきめていただきたい、かように考えたわけであります。
○小笠原二三男君 先ほどからお尋ねしている通り、四百九十七という数は何ら理論的な根拠もないことは明らかなんです。しかも世論は議員定数をふやすことには必ずしも同調しないということでもあるのです。しかも修正案提案者を代表する会派におかれては、世論やその他諸種の情勢上区割案というものを削除した。そうして世論の動向にもかんがみて、客観的に七人委員会におまかせして、よい区割案を作りたいのだ、こう言っておって、四百九十七名以内とはなっていますが、可能性としては四百九十七、最大で三十名はふやし得るというワクを与えたことは一貫しておらぬのではないかということが、私の申し上げたいところなんです。そういう意味でお尋ねしていることにお答え願いたい。
○衆議院議員(青木正君) 選挙制度調査会が四百九十七名といたしました理由につきましては、私どもこれは、それはそれとして相当の理由があることを肯定いたすのであります。従いまして選挙制度調査会の案と同じような考え方に落ちつくことも、あるいはあり得るのじゃないかとも考えるのでありますが、しかし先ほど申し上げますごとく、あの案につきましてもいろいろな議論もありますので、他に適当な案がありますならば、他の方法によっておきめ願うことも、もちろん七人委員会の御自由であります。ただしかし、その場合におきましても、御自由だからと申しましても、調査会の案の四百九十七名をいたずらに超過するようなことがあっても、これはなるべく議員定数をいたずらにふやさないようにという世論から見ましても、適当ではないのではないかと、こう考えるわけであります。従って理論的に一貫した考えがないじゃないかという御指摘になりますと、これはその定数をきめるのに、どの方式によることがいいかということは考え方にもよりますし、私としては、この方式でなければならぬということを七人委員会にワクをはめるということもどうかと考えますので、その点は七人委員会の自由な判断にお願いして、最も適当な案を作っていただきたい、かように考えております。
○小笠原二三男君 あまり関連が長過ぎましたから、これだけにしまして、私はまだ問題点はありますが、この点についてはあとでお尋ねします。
○加瀬完君 衆議院議員の定数の問題については、今、小笠原委員の指摘のようにいろいろ問題がございますので、それについてはあとでまたただしたいと思います。 これは午前中、鳩山総理に質問した点でありますが、修正案者並びに自治庁長官にあわせて伺いますが、一応諸般の情勢といいますか、世論の動向というものにこたえまして、修正案が出て参ったという御説明でございます。そこでこういう修正案をお作りになりましたその世論というものは、どういう世論をどうお感じになってこういうふうに修正されたか、その経過を御説明いただきたい。
○衆議院議員(青木正君) 今回、政府が小選挙区制を取り入れました公職選挙法の改正を国会に提案されまして、政府がそういう提案を決意なされ、それから提案された後の新聞論調なり、あるいはまた私どもが衆議院の選挙特別委員会におきまして、現地調査をいたした経過等に見まして、小選挙区制そのものについては必ずしも反対でないという方が少くないのであります。しかしながら、区割そのものについては、今回、政府が決定した区割案についてはいろいろ議論があるのであります。また衆議院における特別委員会における審議の過程におきまして、参考人の意見もお聞きし、また公聴会を開いて公述人の意見もいろいろと承わったのでありますが、そうした御意見の中にも、小選挙区制そのものについては必ずしも反対ではない。しかしながら、政府案の区割につきましては適当でないという御議論が少くなかったのであります。そういうように、国会の外の御意見、あるいはまた各地に私どもが出向きまして拝聴いたしました御意見、また国会内におきまして開陳されました御意見、そういうものをすべて総合いたしまして、これは小選挙区制度そのものについては、われわれはあくまでも日本の将来の政治のあり方のために採用すべきものという考えを持っておりますが、しかし区割案については、政府の提出いたしました区割案は必ずしも適当ではないと考えますの、で、これは慎重にも慎重を期するために、七人委員会によって、その公正な判断によっておきめ願うことが適当じゃないかと、かように考えております。
○国務大臣(太田正孝君) 修正の理由は、私が申し上げるよりも、今、青木議員の言われた通りだろうと思います。私はその修正の一番初めの説明にいてあります通り、非常に議会が混乱いたしまして、衆議院議長のあっせんのもとにおさめようと、そういう大きな線が出ましたので、おそらくこの線にこたえて、国会といたしまして修正案をお作りになったことと信じます。私は衆議院の段階におきましても、幾たびか世論というものは聞かなければならぬ。謙虚な態度をもっていく、こういう考えを持っておりました。それなら修正するかという御質問がありましたときに、衆議院の段階で修正する、それも政府がやるか、党がやるか、参議院の段階におきまして修正せられるか、せられないか。それを政府がその段階においてやるか、あるいは議会の修正になるか、いろいろな段階がございますが、悪い点がありましたならば直さなければならぬということは、はっきり申し上げたところでございます。私自身といたしましても、区割の問題について、区割と離せという大きな衆議院議長の裁断のもとに、両党が相談ずくでやりましたことでございまするので、甲の点、乙の点、いろいろの議論はあると思います。私は幾たびか申したことですが、山と、川と、人口と、産業と、幾何上の線を引くということは非常にむずかしいことであります。矢部君にもあとで会ったときのことでありますが、これは公けに言ってもいいのです。だれが作ってもこれはむずかしい問題だ。政府案に対して、ほかの案を出しているお方もございますが、これとても議論すれば尽きないのです。ただ、それが、われわれは誤解に基くものであると考えるのでありますが悪意を持ち、党利、党略であるというところに非難の点があったように思います。私どもとしては、国会のまないたに乗りまして、いかなるところが、いかなるふうになるかという論断のもとにきめるべきでありますが、何としてもあの混乱を避けるにつきましては、衆議院議長の裁断によって、これを二つに分けてくれという御意向を両党において考えられて、またこれをいれまして、この案が出たのでございます。 しからば、立会演説等についてはどうであるか、この点につきましては、私は自分も言論人として知っております。言論の大切なことは知っております。提案をするときにおきましては、この程度でいいと思いましたが、世論がそうでありまするならば、これは多多ますます弁ずることで、固執する必要もない。御修正なさるならばそれに賛意を表したい。ただし立会演説の欠陥といわれる、騒ぎを起すとかいうような問題については十分な手当がほしい。この手当につきましても、修正案にありまするから、私は世論がそうであるなら譲っていい。また二十万円の供託金につきましても、何か金持ちでなければ出られないというような立場からの御批判がございました。私どもはだいぶ多くの人が出る、候補者に立つ、こういう見通しのもとに、現在の十万円を二十万円にするという案を立てましたが、これも世間でそうおっしゃるならば強く主張する必要もないと心に思い、しかも修正案がそうありましたので、これにも賛意を表した次第であります。 連座制の規定につきましては、私は厳格に、次の国会においては必ず出すということを申しましたが、これを出すべしと、保障的な意味でなくて、厳格なる実行ということを考慮されることに対しては、内容が違っておりませんから賛成いたしたような次第であります。 もう一つ罰則の問題につきまして、時効の関係を倍にいたしましたことも、私は修正案に出た程度は、世論にもそういう点があると思いましたので、これも差しつかえない。しかし根本の問題につきましては、やはり小選挙区制度を支持しなかったならば何の意味もない。それをして下さるならば、議長が二つに分けた方がいいという両方のいれられた案に対しまして、この修正案を私は賛成した次第でございます。
○小笠原二三男君 関連。これは質問と答弁とがぴたっと……。
○国務大臣(太田正孝君) ちょっと失礼。さっきの速記のうちに、悪意があり、党利党略であると誤解されたということに非難されたと、こう直しておいていただきとうございます。今、注意されましたから。
○小笠原二三男君 なかなか慎重な御答弁でけっこうですが、直すならもう一点お直しをいただきたい。立会演説会ですね。このことの、世論が世論だから譲ることとしてという御答弁だった。何ですか、民の声を聞くという太田自治庁長官が、やむなく譲るとか、譲らぬということでなく、積極的にそうあるべきなんで、御訂正願いたい。
○国務大臣(太田正孝君) 昨日、私はちょうど小笠原委員のいないときに、立会演説の私の観察を申し上げてございます。小選挙区制度の模範というイギリスにおきましては立会演説はございません。むろん日本とは政治情勢が違っている点も考えなきゃなりませんが、私は言論で——これはほんとうにお聞き願いたいです、何もかけ引きもございません。言論で有権者に訴える点はどう触っているかと申しますと、一つは個人演説でございます。これは六十回で今までも変りございません。しかるに区域は四分の一になっております。ですから相当、何と申しますか。集約的な意味に入るかと思います。さらに選挙期日を五日減らしておるのでございます。それから私が自分の経験で言ってはおかしいと思いまするが、信じておることは、一番民衆に入ります大切な問題は、むしろ街頭演説じゃないか。特に女の点を私は強調したいのです。立会演説に入ります女の数というものは、一割に達しているところは私はほとんどないと見ております。三千人入った場合の三百人、こういう数字、また小さい場合も同様でございますが、どういうところで聞いておるかというと、仕事をしていて聞いているというのが、私ははなはだ口幅ったいようですが、方々へ応援に参りまして、特に自分はこの点を買って出ているような次第です。それから立会演説そのものにつきましての考え方も、私は自分の口で立っている人間ですから、これは賛成して、中選挙区時代に効果があるということをはっきり言っておるのです。しかし、一番困るのは妨げられる場合でございますが、時間を切っておりますので、十五分なら十五分、その間に騒ぐ人間は出ろと、こう言っても出す方法もないのでございます。次の人の権利があって、すぐ出て参りまするので、そんな意味におきまして、私といたしましては、立会演説については相当の何も持っておりますが、世間でそうおっしゃるなら幾らでも私は認めると、こういう意味でございまして、譲る、譲らぬという言葉には間違いがあったかもしれませんが、私も今まで相当この点では苦しんで参りましたので、また自分も言論で立った人間でありまして、言論を押えるということは非常に不愉快でございますが、一番考えたのがイギリスの例でございまして、小選挙区制におきまして立会演説はございませんのです。けれども、もう世論がほとんど全部がこれを認めておるような状況でございますので、私はその点に譲るという言葉が悪いならば、その点に賛成した次第でございます。
○小笠原二三男君 イギリスの例をお引きになりましたが、日本で立会演説会等を行う経過というものは、やはり政治的な意識の問題として、過渡的な問題として行われてきたものだろうと思うのです。それ自身が悪いのではなくて、その運営の方式、民度の差、こういうものがいろいろ不満をかもし出す点はあると思うのです。それらはそれぞれ除去されるべきでありましょうし、将来、政治意識がもっともっと高まってくるとなれば、そのときにおいて私は今の意見を申し述べるかどうかわかりません。ただイギリスの例を引いて、立会演説会というものはないのだ、イギリスにないのだからないのだと、そこだけとってお話になる部分については、私は不満なんです。イギリスでは戸別訪問だって何だって日常の説得が行われておるんです。あらゆるパンフレットその他によって政党の政策というものが浸透される努力を党員がしておるのです。しかも労働党の委員なり、あるいは保守党の委員なりという、そういう表札までもかけて、そうして戸別訪問に来てやると、お断わりというところもあれば、お父さんは保守党で、むすこは労働党、お母さんはどっちだかわからぬからというので、両方から毎晩行って説得し、説明をする、日常そういう努力が行われておる。日本の場合はそういうことはないのです。選挙期間中でもなるべく浸透させよう、そのことのためには両党の意見が明らかになるというような、そういう場面が、そういう機会がやはり選挙民としては望まれるのです。候補者は不便であっても忍ばなければならぬし、運用上それが幾多の欠点があるというなら、それは積極的に直すべきなんです。そういう意味で私の方は申し上げておるので、イギリス、イギリスと、いつでもイギリスを例にとって、いいところばかり持ってきて、ばさっと言って、ああそうかなということで、それをおっかぶせられるのはごめんこうむりたい。
○国務大臣(太田正孝君) 私は昨日もその点は、今、小笠原委員の言われたことを申し上げました。イギリスはこういう点の欠陥がある、この日本と違うということを申し上げたのです。今あなたのおっしゃる通りのことを申しております。ただ、今のお言葉の中にも、ヤジでございますな、この今度の修正案にはその点につきまして、退去することを得るのですか、それを、させなければならないという規定に法律案ができております。私は小笠原委員の言うのと違いませんですが、実際に……。それも議論がございまして、実はこれはちょっとお聞き願いたいのですが、選挙中に、産業会館においての両党の立会演説がありました。さらに大阪においてもありまして、その当時にまたこの問題が国会において議論されたのでございます。私の意味は、決してそういう意味におきまして自分は立会演説でへこたれるようなこともありませんし、私は私自身の勝手なことですが、言論なら何でも賛成するのですが、一般的の情勢で私はそういうふうに判断したのでございます。
○小笠原二三男君 あまり私も言葉じりをとらえて、事が発展してもあれですから、結論としては立会演説会では意見が同じであるということですから、これ以上申し上げませんが、今の立会演説会を含むもろもろのことを太田自治庁長官がお話なさったことから、私は太田さんがどうということを考えておるのかわからなくなった。端的に伺いますが、削除した、引っ込めた区割案というものは、今でもあなたは通していただけるなら堅持したいという考えですか。それともこれはやはりだめなんだから誤解を受けようが何しようが、ほんとうのことであろうが、私はそこは問いません。これはだめな案なんだから、だからもう引っ込めてほしい、もう修正になったことで、一つ参議院の方でも同調してほしい、こういうことですか。
○国務大臣(太田正孝君) 先ほど私は原則的に申し上げましたが、区割というものは幾何上の線でございまして、どなたもむずかしい問題であろうと思います。私の信念として、いいという点も相当あると思います。けれども、それを今日私が主張する段階じゃございませんので、たとえば答申案そのものにおきましても、答申案を作った人も、あれはそうであったかという地域もございます。部分的にどこそこということは私は今の段階においては申し上げませんが、全部が全部悪いという意味には私はとっておりません。これはだれが見てもそうでございましょうし、いわんや二百六十区というのは、答申案にあるものをそのままとっておるのでございます。それから地域的に申しても、また具体的なことを申し上げ得るのでございますが、そういう点について、この点、この点ということを私としては今申し上げず、議長裁断がこれを二つにしろ、この大きな断に対しまして修正されたことに賛意を表した次第でございます。
○小笠原二三男君 わかりました。手続、形式はわかりました。衆議院の段階における議長裁断によってこういう結論に承服をしたということはわかります。しかしこの案を、選挙制度調査会案をもっとよりよく練ったものとして、責任を持ってお出しになった太田自治庁長官としましては、この案が無修正で堅持せられることを願ってきたのだろうと思います。そうでありませんか。
○国務大臣(太田正孝君) 当然そうでございます。提案者としてはさような考えを信じております。
○小笠原二三男君 そうしますと、修正段階において、議長裁定によってこういうことになったことには承服するけれども、自治庁長官としては不満であるということでございますか。
○国務大臣(太田正孝君) もちろん自分の主張した通りに行くことが満足でありまして、それに行かぬ場合におきましては、一応不満ということも言えるかと思いますが、それを政府の立場といたしまして修正するという国会との関係は、やはり議員の立場もございますし、私は賛成した次第でございます。
○小笠原二三男君 関連が長くなりましたから……、そこは太田さんの立場をもっと究明しなければなりませんが、まあこの点は留保しておきます。
○加瀬完君 青木さんにお尋ねしますが、長官の御説明の中にありましたように、悪意に満ち、党利党略であるという、誤解かもしれないが、そういう一部の世論があった、こういうことも受けて立ちまして、要望に率直にこたえる意味で修正案を御提出になった、こう了解してよろしゅうございますか。
○衆議院議員(青木正君) 政府の提案した区割案にきましては、私どももあの案の内容について、しさいに検討いたしまして、一般世間で言われている点には誤解の点が少くないと思うのであります。しかしもっと掘り下げで考えますと、大切なことは、あの区割というものを、選挙制度調査会で作ったもの、それに対しまして、政府が手を入れたと、ここに一番問題があったと思うのであります。案の内容それ自体よりは、むしろ選挙区制というものは、そういう政府が調査会の案に手を入れたというようなあり方でなしに、あくまでも公正な第三者に作らせて、そのままを採用する、こういうあり方の方がいいんじゃないかという考え方に私どもは重点をおいのであります。どの区割がいいとか、悪いとか、こういう問題よりは、そうでなしに、区割というものは、これはいわば共通の土俵でありますので、土俵はあくまでも第三者に作らせる。その第三者に作らせたものをそのまま採用して、これを国会に提出する、こういうあり方がいいんじゃないかと、こう考えております。
○加瀬完君 今、結局問題は区割であって、その区割を、選挙制度調査会から答申されたものをそのまま受け継げば問題はなかったのだが、これの答申に対して政府が手を入れたので、その点が問題だと、こういうことでございましたが、結局青木さんが問題にしておりまする政府によって手を入れられたそれらの事情ですね、もう少し自治庁長官御説明下さいませんか。
○衆議院議員(青木正君) ちょっと補足しますが、私の申し上げました趣旨は、区割の是非につきましては、これはまあいろいろ誤解もあると思うのであります。しかしそういう問題よりは、はるかに大切なことは、区割というようなものは公正な第三者に作らして、それをそのまま提案することがいいんじゃないか。政府は政府の責任において調査会案の内容につきまして検討した結果、私どもの承知する範囲におきましても、たとえば町村合併等に伴う当然に直さなければならぬ点もあったわけでありますが、しかしながら、そういう点に関しましても、せっかく調査会が案を作りましたのに対しまして、さらに政府がこれに手を入れたというふうに一般から見られる、そういうふうなあり方で区割を作ることが適当でないと、こういう考え方が多いのでありまして、そこでこれはあくまで公正な第三者に区割は作成させる、こういう考え方に立った方がいいのじゃないか、こういう趣意であります。
○政府委員(早川崇君) 政府が手を入れたということで誤解を招いておりますが、調査会案というものは、あくまで答申でございまして、その答申を政府の側から検討いたしますと、幾多の点で実情に沿わないところがございまして、例を申し上げれば数限りなくあるわけでありまするが、それは省略いたしまするが、それを今日国会に提案いたしたわけでございます。
○加瀬完君 青木さんは、結局公正な第三者、たとえば選挙制度調査会のようなところで区割されたものをそのまま受け継ぐ方が妥当であった。しかしこの答申案に対して、政府がいろいろ手を入れたところに問題があったのじゃないか、あるいは誤解を生じたところがあったのじゃないかというふうに御指摘なさったわけであります。今、政府の御答弁は、これは政府が諮問したわけであるから、その諮問の答申に対して、政府が取捨選択、手を入れるのは当然である、そうして完全なものとして政府が出したのだと、こうおっしゃる。修正者を含む衆議院は、今、政務次官の御答弁のように、政府原案は妥当なものでないと思って御修正なさったわけでありますね。
○衆議院議員(青木正君) 私の先ほど申し上げました手を入れたという点が誤解がありますので、その点は訂正いたします。それはあくまで政府は諮問いたしたのでありまして、政府の責任において出すのでありますから、答申を基礎として政府自体の責任において案を作る。これはもう当然のことであります。そこで第二段のお話でありますが、私どもといたしましては、政府が今回出しました区割案につきましては、これが必ずしも不適当であると、かようには考えておりません。それが党利党略に基いて作られたものだというふうに私どもは考えておりません。しかしながら、私繰り返し申し上げるごとく、政党内閣である政府の責任において区割を作ると、こういうあり方が、かりに案の内容がいいものであるにいたしましても、これは非常に誤解を招くおそれもありまするし、また区割というものの性質から見ましても、そこへ政治的な勢力が入るというようなあり方できめることが思わしくない、かように考えられますので、第三者に区割をお願いするということが一番適当じゃないか。どういう案を作りましても、私どもの考えではその案がまありっぱな案にいたましても、政治的な勢力が入った形において作られるということになりますと、世論は納得しないんじゃないかと、かようにまあ考えるわけであります。
○加瀬完君 自治庁は長官も政府側といたしまして、今の青木さんの御説明はその通りと御納得いたしますか。
○政府委員(早川崇君) その通りでございます。
○松澤兼人君 関連して。どうも青木代議士のおっしゃることと、それから早川政務次官のおっしゃることとがぴたっとしないんですが、政務次官の方は、選挙制度調査会の答申の中には町村合併なんかの点があって、例をあげれば幾らでもあるけれども、不適当のようなところがあるから手を入れたと、こうおっしゃる。それから青木衆議院議員の方の話は、それを尊重すべきであった、ところが政府が手を入れたからまずくなったのだと、こうおっしゃる。そうして、まあ修正者の立場から言えば、政府が手を入れるというような格好にしないで、まあ逆に戻して、選挙制度調査会の答申を尊重するようにして、公正な第三者に区画を割ってもらう、これは七人委員会のことをおっしゃるのだろうと思うのです。ですから早川政務次官のやつは、町村合併等、どんなことがあっても認められないようなまずいところがあったから政府が手を入れた、こうおっしゃる。青木代議士の方はそうでなくて、政府が手を入れたからまずくなった、今度は政府が手を入れるという方法にしないで、七人委員会にこれを公正に判断してもらうということ、両方の意見が合わない。もう一度お二人にお伺いします。
○政府委員(早川崇君) われわれ政府といたしましては、政府案というものは決して、言われるような私利私欲、党利党略の案でないと信じております。ただ青木議員の言われますのは、党なり、政党が作った案は、同じ案でも、このたび誤解されるような一つの色めがねで見られるということでありまするので、公平な第三者にこれをゆだねるということを提唱されておるのでございまして、そういう形式がとられるのであれば、われわれもこれに賛成せざるを得ないわけであります。何らその点は食い違いがないと私は信じます。
○小笠原二三男君 議事進行。どうもきょうは長時間にわたってやったために、お互いの答弁も、また質問の方も、言葉じりをとらえたような形にもなり、またとらえられたような形にもなり、話としてはわかるけれども、表現上何か食いついてものを言っていかなければねらぬというような状況になってきたようであります。これはやはり疲れているせいと、けさから長時間やったせいなんですから、これはうまくない。太田さんの顔色もすぐれないようになってきたようでもありますし、一つ委員長において適宜、議事進行についてお取り計らいを願いたいと思います。これは動議などを出す筋合いではありませんから。
○委員長(松岡平市君) 了承いたしました。ただし、ただいまの松澤君の要求に対して、早川政務次官だけはお答えを願いました。青木衆議院議員はお答えになっておりません。青木衆議院議員の御答弁を願います。
○衆議院議員(青木正君) 私ども衆議院におきまして、いろいろ区割案を中心として検討をいたし、また先ほど申し上げましたごとく、現地調査会等にお巷ましても、いろいろ意見を承わったのでありますが、これはいろいろだんだん意見を承わって参りますと、結局区割というものは、どなたが作りましても議論が多いと思うのであります。それぞれの立場でいろいろな案ができる、これは公正な第三者の判断に待って作る以外に道はないのじゃないか。そこで政府が提案しました区割案につきまして、私どもは政府の提案は決して不適当なものとは考えていないのであります。しかし調査会に諮問をし、その答申に基いて政府がこれに対しまして適当なる判断を下して提案いたしたのでありますが、世間から見ますると、何か調査会案に対しまして、政府が特別の政治的な考えを持ってゆがめて出したというような誤解を招きやすいのであります。かりに純粋に事務的な立場に立って直しましたといたしましても、世間は必ずしもそう受け取らない。これは、こういうようなあり方できめること自体に、ややもすれば無理があるのじゃないか。これはいかなる政党、いかなる政府がきめましても、政府がきめるということ自体に問題があるのではないか。そこで考えられますことは、たとえばイギリスのバウンダリー・コミッションのような考え方に立って、やはりこれは公正な第三者に区割をおきめ願う、こういうことにしなければ、問題の根本の解決はできない、かりに政府案につきまして個々の区割について検討いたし、これがいい、あれが悪いというような議論をしてみたところで、これは結局議論倒れになることで、問題を根本的に解決するためには、公正な第三者に区割をまかせるのが一番適当ではないか、かように考えたわけであります。
○加瀬完君 結局するところはいろいろありましても、結局四百七十七区のうち、二百六十区を除いて二百十七区というものに政府が手を入れた、こういうふうな方法は政府自身にすれば、いろいろ答弁の理由があっても、政党が選挙区割にタッチするというのはよろしくない、第三者の公正な裁断に待ってきめるべきだ、こういうお立場に修正者はなった。それがまた世論の反駁を受けたところでもあるし、新しい方法が世論にこたえる方法である、こう判断なされた。そうすると、第一次案といいますか、原案は、世論というものにはなはだそむいておった、あるいは世論というものに十分こたえられるだけの内容を持っておらなかった、こういう判断をしてよろしいと思うのでありますが、この点、長官、どうお考えになりますか、あとは聞きませんから。
○国務大臣(太田正孝君) 先ほど公正なものとして、イギリスのバウンダリー・コミッティの議論も出ましたがこれもまた問題が起ったのです。第一、ゲリマンダーという言葉を使ったというのは、一番ひどいのは、一九四七年の、ついこの間日本に来たモリソン氏のときでありまして、チャーチルが言ったのです。しかもアメリカの例を引いて、非常に興味ある、この研究には非常に必要な問題だと思ったから申し上げたのでございます。わずかな点を労働党が直したのがゲリマンダー、とんでもないことだといってモリソンの方は怒ったのであります。そんな工合で、機械的の線というものは非常に引きにくいということを私は申し上げたのですが、とにかく私どもの作った言い分と、あるいはこれに反対される世論の言い分と二つございますが、議長はこの点に、二つ触れていてはいけないという大きな線を出しましたので、私はこれに賛成したのにすぎないのでございます。この点も私は再三申し上げる点であります。
○委員長(松岡平市君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(松岡平市君) 速記を始めて。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時八分散会 ————・————