社会労働委員会 第25号
- 発言数
- 179 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1956/04/19
会議録
○委員長(重盛壽治君) ただいまから社会労働委員会を開会をいたします。 委員の異動を報告いたします。 四月十八日付廣瀬久忠君辞任、田村文吉君選任、同日付加藤武徳君辞任、泉山三六君選任、同日付久保等君辞任、相馬助治君選任、四月十九日付泉山三六君辞任、加藤武徳君選任、以上であります。 —————————————
○委員長(重盛壽治君) 去る十七日の委員長理事打合せの経過を申し上げておきます。 一、四月十七日当委員会において決定した駐留軍労務者の失業対策に関する件の参考人の意見聴取は、次週において行うこと。 一、春季労働闘争に関する件を議題として取り上げること。 一、母子福祉の一環として、親探し、子探し運動を議題として取り上げること。その場合、現在行われておる朝日新聞主催の同運動に対し、感謝の決議を行うこと。(五月二日) 一、北鮮地区引揚者の実情調査のため、舞鶴市に委員派遣を行うこと。 一、保険関係三法案の審議第一日の質疑は、鳩山内閣総理大臣に対し総括質問のみを行い、時間の関係上、質疑の順位は、社会党、次に緑風会その他の順序で行うこと。 以上の通り、協議決定をいたしましたから、御報告いたします。 —————————————
○委員長(重盛壽治君) 健康保険法等の一部を改正する法律案、厚生年金保険法の一部を改正する法律案、船員保険法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。 これより質疑に入りますが、本日は鳩山総理大臣が出席されておりますので、総括的な質疑を、主として鳩山総理大臣にお願いいたしたいと存じます。総理大臣の出席時間の関係もございますので、委員長理事打合せの協議申し合せの通り、まず、社会党所属委員の御質疑を願って、次に緑風会その他の委員から御質疑願うことにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(重盛壽治君) 御異議ないと認めます。 それでは社会党所属委員から順次御質疑願います。
○山下義信君 総理には御足労をかけまして、大へんお顔色もよろしいようでありますので、けっこうであります。 本日は、健保改正法案につきまして、基本的な問題を伺うのでありますが、健保改正案と申しましても憲法改正案ではないのでありまして、これは失言等の御心配もございませんから、おおらかに、一つ遠慮のない質疑をいたしたいと思うのであります。 この問題は言うまでもなく社会保障制度の中心問題でございまして、社会保障制度というのは、政策というよりは、むしろ国の社会構造と相なるべき制度であり、従いまして、国家自体の構造に関係ある重大な問題でございまするので、私は、社会保障政策、その政策以前の基本的な問題につきまして、若干の御質疑を申し上げたいと思うのであります。 鳩山政治の究極の目標をどういうところにおいておいでになるかということを、まずお尋ねいたしたいのであります。つまり、どういう日本を作り上げようとするのかという点をお尋ねいたしたいのであります。 世間では、鳩山内閣には政策がない、確たる筋金の通った目標というものが明らかでない、いわば思いつきの政治ばかりをやっておるという批判がかなりあります。私はそういうことは信じたくございません。いやしくも一国の政治に目標がないというようなばかばかしいことがあろうはずはございませんので、鳩山政治の目標、一体日本を、どういう日本を作り上げようと考えておるのであるかということを、この機会に聞こうではないか、こういうわけでございます。 まずその点につきまして、総理の御答弁を得たいと存じております。
○国務大臣(鳩山一郎君) 一言にしていえば、どういう日本を作りたいかといえば、民主政治の、りっぱな民主政治の国家にいたしたいというように答えるのも一つの答えかと考えております。政策としては、世界の平和を持ち来たすために努力をいたしたい。国内においては、国民生活の向上を期したい、こういうようなことを考えております。
○山下義信君 抽象的の表現といたしましては、そういうことはたびたび総理がおっしゃっておられることでありますが、それでは伺いますが、占領政策の是正をやるのだということを施政方針の中でも述べておられますが、この占領政策の是正ということは、言いかえれば、結局日本のあるべき姿をあと返りさせようということになるでありましょうか、つまり占領政策が行き過ぎている——日本の姿というものを国情に合わないところに行き過ぎさせているから、これを少しあと返りさせるんだという考え方ではないかと思うのであります。国民は、この鳩山総理の指さしているその目標というものは日本をあと返りさせる。しかも、ずっとあと返りさせて、明治日本の、いわゆる日本帝国の再現をはかるというところまであと下りするのではないかという疑惑を持っているのであります。一体、保守政治というのは、あと返りするのが本領か、あるいは進みながらの保守政治というものがあるのか、どういう考え方でありまするかは、総理の御答弁で明確になると思いますが、一体、どこまで日本の国柄その他の国家構造、政体、それらをあと返りさせようという考えであるかという点を明確に伺いたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 占領時代の制度なり、法制なりを幾分変更いたしたいということはたびたび私申しました。しかしながら、占領時代に行き過ぎたものを直したいという意味は、決して明治時代のような軍国主義だとかを再現したい、侵略政治をやり出したいというような考えは毛頭持っておりません。
○山下義信君 しかし、国民の一部が、いなむしろ大部分が、今日疑惑に思っておりまするのは、たとえば、紀元節の復活をやろうという、あるいは天長節の復活をやろうという、あるいは教育勅語を礼讃する文部大臣があるという、その他の施政、その他の憲法改正論議、あるいは小選挙区の強行をやろうというような鳩山政治の姿を見ているというと、いわゆる明治日本のところまであと返りし、日本帝国まであと返りし、日本という国を富国強兵の国にしようという、かつて戦前に持っておりました国民の考え方、戦前の、しかもずっと古い日本の姿にあと返らせようとする方向を指さすのではないかということの疑惑は容易に払拭しがたいのであります。それならば伺いますが、具体的に日本の国体、国柄、あるいは政体、すなわち政治のやり方、そういう基本的な日本の国柄をどういう姿のところへ持っていこうとするのであるかということをお示しを願いたい。ひいては、今日われわれがこれから審議をしようとするこれらの社会保障制度等にからんで、国民の権利義務、どういうことにこれを変えていこうとするのか。今のままでよろしいかという、この日本の国柄、あるいは国民生活のあるべき姿、そういう基本的な構想について、どういう目標を持っておるかということをお示しを願いたいと思う。
○国務大臣(鳩山一郎君) 新憲法になりましてから、新憲法のとっておる三大政綱、三大主義、民主主義あるいは平和主義あるいは基本的人権というような三つの項目につきましては、むろん将来においても維持していきたいと思っております。
○山下義信君 一般的な、依然として抽象的な御答弁でありますが、それでは伺いますが、今日の日本の国柄というものは、いわば国体は、一体これは共和国でありますか君主国でありますか、どっちと考えられますか。私どもは、今のままでは、これは共和国ではないかと思うのであります。その鳩山政治が考えている天皇の立場をどうするかということにも関連いたしますが、一体共和国でいくという考え方であるか、君主国でいくという考え方であるか、国体をどうしようとする目標を持っているかということを伺いたい。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は、現在の日本は、君主国とは考えません。天皇を象徴とする民主国だと考えております。
○山下義信君 それでは、現在が共和国であるとは考えておいでになりませんか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 君主国とかあるいは民主国というようないろいろ考え、言い方が、考える人によって違うようでありまするから、共和国ということを避けまして、民主国と言いたいのであります。
○山下義信君 今の天皇の位置が、象徴ということが、きわめてあいまいであるという議論をされるのでありまするが、本日は憲法論はいたしませんが、将来天皇の地位というものを明確にされて、日本を君主国という国柄にしようとするお考えはないのでありますか、あるのでありますか、伺いたい。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は、そこまで考えておりません。
○山下義信君 そうすると、国体に対しての目標というものはないのでありますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 国体は現在の憲法による、天皇を象徴とする民主国でいいと考えております。
○山下義信君 それでは、将来天皇の地位、その立場、あるいは天皇のなすべき行為、そういう点について、現在の新憲法に何ら変更を加えるという御意思はないと了承してよろしゅうございますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 根本的には、私はおっしゃる通りに考えております。
○山下義信君 政治のやり方、すなわち政体、政治形態につきまして伺いたいと思いますが、これは一応時間の関係がありまして省略いたしまして、国民の権利義務、すなわち憲法に、現在のいわゆる新憲法に定められてありまする国民の権利、保障せられたる福祉、それらの国民の権利義務につきまして、何らか現在の憲法に変更を加えるという御意思がありますかどうかということを伺いたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は先刻申しました通りに、基本的人権というものを変更する意思はありませんけれども、詳細の点について、幾分かの修正等をなすことは調査会に一任したいと考えております。
○山下義信君 承わるところによりますと、いわゆる政府筋といいますか、民主党筋におかれては、現在の憲法には国民の権利のみが強調せられて、公共の福祉に対するところの国民の義務規定というものがきわめて薄いのであって、次の憲法改正の機会には、国民の義務を相当強く挿入する必要があるという説が伝えられておりますが、これらにつきまして、首相の御見解があらば承わりたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私もそういう議論のあることを聞いております。権利のみを規定して、義務の規定がないという論があることを聞いております。そういうような論については、その是非は憲法調査会において決定すべきものであると考えております。
○山下義信君 是非の議論は他日適当なる機関がもし設置せられれば、それにお譲りでありましょうが、首相の御構想としては、たとえば国民の義務として、国土防衛の義務を課する必要があると考えておられますか、その必要はないと考えておられますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は、現在のもとでは徴兵制度を実施する意思はございません。
○山下義信君 社会保障制度に関しまする憲法第二十五条の規定がございますが、これはこのままで存置してよいと考えておられますか、御所見を承わりたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 何と書いてあるのですか。
○山下義信君 二十五条。
○国務大臣(鳩山一郎君) この原則に対しては、むろん異議はございません。
○山下義信君 国民の福祉を保障する立場におきまして、今日の憲法はいうまでもなく非常に個人主義が強調されてありまして、すなわち、個人主義の上に立った民主主義、民主主義の上に立った個人の権利義務の保障が非常に強くうたわれてある現憲法でありますが、この個人主義の立場、あるいは国民生活の上におきまして、福祉を保障するその対象が国民個人でなくして、あるいは家族本位、あるいは家庭本位ということを福祉の単位として考えるべきではないかという説が一部において行われておりますが、あくまで国民の福祉は個人単位にこれを保障すべきであると考えますか、あるいはかつての日本の社会組織でありましたような家族本位、あるいは家庭本位というような考え方に変更する御意思がありますかどうか、承わりたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は民主主義、民主政治というものは、個人が単位になるものと考えております。
○山下義信君 それは従来ありました家族本位の弊害を御承知の鳩山総理が、あくまでもそういう家族制度の逆行というような、復活というものは避けるというお考えと了承してよろしゅうございますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は民主主義というものは、各個人の、その個人の人格とその個人の尊厳を維持するというためにできたものでありまするから、個人単位になるのが当然だと思うのであります。
○山下義信君 将来の日本のあるべき姿の目標について若干の御所見を承わったのでありますが、私はこの諸政策の根本といたしまして、鳩山政治が目ざすところの日本の将来の姿、国柄というものにつきましては、明確に私はあらゆる政策に先んじて示すべきであると考えて若干の御質問をしたのでありますが、参議院の総選挙も近く迫っておるのでありますが、この総選挙に際しまして、一体国民の判断を求めようとする大きな問題としては、総理は何を考えておいでになるかということを私はこの機会に承わっておきたいと思うのであります。
○国務大臣(鳩山一郎君) 国民に対しては、占領中にできましたところの諸法制、諸制度の改革をする必要があるかどうかということについて国民の意見を聞きたいと思っております。 それから外交政策としては、平和政策一点張りでよろしいかどうかということも明らかにしてもらいたい。軍備拡張というようなことについて、軍国主義になりはしないかとか、あるいは侵略戦争を企図しているのではないかというような誤解が国民の間にないようにいたしたいと考えております。
○山下義信君 私は次のいわゆる第二点の質問といたしましては、鳩山政治の目ざすもの、将来の日本のその目標に向って、目標が一応あるといたしまして、それに向ってのコースをどういうふうにとっていくか、総理がかじをとっていく、日本丸の政治のかじをとっていくそのコースはいろいろあろうと思う。その鳩山政治のコースは一体どういうコースをとるという基本的な御方針であるかということを承わりたい。それは今日共産主義国家の勢力というものが、逐次増大の趨勢にありますことは、もう自他周知のところであります。この共産主義国家の興隆というか、その勢力の増大というか、この勢いについて、歴史的に申しましても、その他の諸情勢から申しましても、日本がその圏内に包まれる可能性、包まれることの不可避なことは私はすべての国民が感得しつつあるところであると思うのであります。感じつつあるところであると思うのであります。これに対して、総理はいかなる御見解を持っておいでになるかということを承わりたいのであります。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は共産主義と民主主義というものは絶対相いれない主義だということを、国民に理解せしむると同時に、共産主義国家と国交を正常化するということが世界平和のために必要だ、共産主義国家と国交を正常化したところで、日本が必ずしも共産主義になるというように考えることは間違いであるというような点を明らかにしたいと思っております。
○山下義信君 われわれも総理の御見解には全く同感であります。私は今共産主義国家と国交を回復しても、共産主義になるおそれがありはしないかとお尋ねしたのではないのであります。総理の御見解の通りの趣旨を伺ったのでありまして、同感の御答弁を得たのであります。 そこで、この機会に簡単に私は総理の所見を伺いますが、共産主義国家の最近の政策の転換、国情の変化、あるいはまた、一昨日から伝えられるところのコミンフォルムの解散等、この共産主義国家のこの最近の諸情勢、われわれといたしましてもこれと手を握ることに何らちゅうちょする必要のないところまで参ったのではないかと考えるのでありまするが、これらの最近の共産主義国家の諸情勢に対しまする首相の御見解を承わりたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) ソビエトの最近の変化もわが国の新聞にはあまり出ませんけれども、イギリスの新聞には非常に大きく書き連ねられているそうであります。それでよくは私わかりません。よくイギリス人が来たり、外人が来たときにソビエトの事情を聞いてみますけれども、よく知っている人が少いようであります。けれども、とにかく共産主義国家にせよ、従来通りの共産主義国家のソビエトにせよ、これと国交を正常化するということが日本を共産国にするということとは全く別の問題であります。いかなる共産主義国家であっても、ソビエトが変っても変らなくても国交を正常化するということが必要だというような見地から私は政治をやっていきたいと思っております。
○山下義信君 次に伺いますことは非常に大切なことで、しかも国民が非常に重大な関心を持っておりますことは、鳩山政治の目標に向って進まれるそのコースが、この共産主義国家との接触を、どの程度の接触を保ちながら進んでいかれようとするのであるか、その腹がまえはどういう腹がまえを持っておいでになるのであろうかということを国民は非常に関心を持っておるのでありまして、その点につきまして、総理の御見解を承わりたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は共産主義国家と国交関係を正常化したい、国と国とお互いに独立国家同士のつき合いをやりたいと考えております。
○山下義信君 せっかく共産主義国家との接触を保ちながら臨まれる目標に向っての鳩山政治のコースを選びながら、非常にそれがジグザグといたしておりますことを国民は遺憾としておるのでありますが、一方では、日ソの接近を望みながら、一方におきましては、日ソばかりじゃありません、日中に対しても同様でありますが、そういう考え方を持ちながら、一例をあげますと、最近におきましては中共への旅行、渡航の制限というようなことが考えられておりますることははなはだ遺憾に思うのでありますが、これは中共に対しても鎖国主義をお取りになるという考えでございましょうか、これはどういう考えでこういう中共渡航の制限などをしようとするのでありますか、この機会に承わりたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 特に共産国の国民たちが日本に入るということについて制限をしようとする意思は、政府としては持っておりません。特別の何かの事情がない限りは、国交の制限はしてないはずであります。
○山下義信君 私は総理の御見解は正しいと思うし、またそのコースをも正しいと思い、これに万幅の支持を惜しまないものでありますが、この種外交問題につきましては専門所管の委員会でございませんから省略しますが、ただ一点伺いたいと思いますことは、この日ソ関係の好転につきまして、よき方に向いていくということでありますが、好転につきまして、参議院の選挙までに何らかの朗報あるいは好ましい情勢が、あるいはまた何らかその交渉の打開の糸口を見つけるというような御期待でもあるのでありましょうか。また、近くソ連へ参りまする河野政府代表に対して相当の期待を持ってよろしいのでございましょうか、また総理も多大な期待を持っておいでになるでありましょうか、この点につきまして伺いたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) その点についていろいろの情報的のことはありますけれども、ここで発表するような具体的の意見を持っておりません。
○山下義信君 それでは、日ソ交渉の好転につきまして、河野農相に期待するところも何もない、かように考えてよろしいのでございますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) そういうように考えられても困ります。
○山下義信君 多大な期待を持ちたいと思うのでありますが、持ってもらっても困るとおっしゃいますし、それでは何らもう期待はずれでそういうふうな期待を持たないでよろしゅうございますかというと、それでも困ると、どうしましょう、どの程度の期待を持ちましょう。
○国務大臣(鳩山一郎君) 質問して下さらなければ一番いいと思います。
○山下義信君 エチケットでございますから了承しました。 次に伺いたいと思いますことは、この米ソ両陣営の力のバランス、いわゆるバランス・オブ・パワー、最近は多少均衡が変ってきたのではないかと国民はそう考える、少々怪しくなってきたのではないか。原水爆の実験——実験というよりか原水爆実験戦争が行われておる。この原水爆実験戦争においてソ連側に若干の歩があるのではないか、ソ連側が漸次米側を圧して優越の状態になりつつあるのではないかということが何となしに察せられるのでありますが、政府においていろいろそういう点に心を配っていられると思うのでありますが、鳩山政治のコースの上に非常に大きな私はお考えがあろうかと思いますから、そのアメリカとソ連との両国の力のバランスの状態をどういうふうに総理は見ておられるかという点につきまして、お示しを願いたいと思うのであります。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は、米ソの力のバランスについて知識を持っておりません。とにかく、米ソの力のバランスが世界の平和を維持しておるということをチャーチルが言ったことがあるということを私は話したことはあるのですが、その後いかなるバランスの状況に立っておるかということについて知識を持っておりませんから、お答えができません。
○山下義信君 チャーチルをしてかわって御答弁せしめられまして大へん巧妙な御答弁。 次に伺いたいと思いますことは、五月一日にアメリカが水爆の実験をやるということでありますが、これは正式にこちらに申して参っておるのでありましょうか。五月一日に相違ございませんでしょうか。これは非常に実験の期日も切迫しておるのでありますが、この水爆実験の影響に対しまする対策、危険があるのでありましょうか、相当国民に危険、危害といいますか、いろいろそういう影響があるとすれば、その防止の用意万端、これは遺漏があってはならぬと思うのでありますが、危険はないのでありましょうか、それに対しまする政府の一切の防止の対策は用意が整うておるのでありましょうか、これは国民に一つお聞かせを願いたいと思うのであります。
○国務大臣(鳩山一郎君) その質問に対してのお答えは、電光外務大臣からする方が正確だと思いますけれども、私のただ記憶に残っておるところによれば、なるべくしないでもらいたい、しないでもらいたいと言ったがしないわけにもいかないという、そこで範囲を小さい範囲においてしてもらいたい、危険のないようにしてもらいたいというような交渉をして、その状態にあると思っておりますが、これは重光君に他の機会にお聞き下さらんことをお願いいたします。
○山下義信君 水爆実験の危険があるかないかということをわかりませんでしょうか。(国務大臣鳩山一郎君「それはわかっております」と述ぶ)それからそれに対する防止といいますか、予防の措置その他は万般できていましょうか、どうでしょうか、あと十日余りに迫っておりますが。
○国務大臣(鳩山一郎君) 重光君が遺漏なく交渉をして、何かその返事を得ておると私聞いておるのですけれども、ただいまちょっと記憶にないのです。日本にどういう障害を受けるか、どういう危険があるかということは厚生大臣から答弁をします。
○山下義信君 厚生大臣の御答弁願いましょう。
○国務大臣(小林英三君) 原爆実験が行われました場合におきましては、直ちに運輸省とも連絡いたしまして、現地に調査船等を派遣をいたしまして原爆に対するこの灰、その他の問題に対する十分な調査をいたす手配をいたしております。もちろん原爆の種類によりましていろいろ被害状態が違うのであります。それを十分に調査をいたしまして、もしそれが魚その他のものが国民生活に与える影響につきましては、調査の上におきまして、それぞれの内地の港におきまして十分な検査その他をいたしたいと存じております。
○山下義信君 私は水爆実験が行われた跡始末のことを聞いておるのではないのでありまして、この水爆実験で何らかの危害を国民に及ぼすおそれがあると考えているんでしょうか、何らそういう被害はないと考えているんでしょうか。もし多少のそういう危害のおそれがあるとすれば、その予防措置というものが、政府としては万全な対策をとっておられるのでしょうかということを聞いておるので、そうでなかったら、どんな危害が及んでくるのだか戦々きょうきょうとしていなければならぬのでありまして、非常に国民は心配をしておるのでありますから、その危害があると見ているんでしょうか、何ら危害はないと見ているんでしょうかという、政府の御見解はどうなんです。
○国務大臣(鳩山一郎君) 外務省からの報告によりますと、米側は危険防止に万全の措置を講ずると述べていますから、これに信頼をしたい、わが方としては船舶に十分周知せしめており、また調査船を派遣するよう努力中であるというように答弁がきております。
○山下義信君 よくおわかりにならないようでありますから、これは厚生大臣で一つ取りまとめて外務大臣と御相談下すって、近い機会にはっきりとおお示しを願いたいのであります。私というよりは、全国民にお示しを願いたいのであります。 私の質問は次の一点で終りたいと思うのでありますが、社会保障制度の諸政策につきましては、他の同僚委員からも御質問があると思いますからそれに譲りますが、私はただ一つ伺いたいことは、この社会保障政策の諸計画、政府にあるのかないのか知りませんが、しかし総理は、御答弁のときにはいつもおっしゃる医療保障、国民年金けっこうであります。そのことをおっしゃる、その具体的な実施計画があるのかないのかそれは存じませんが、私は少くとも十分熱意を傾けていただかなくちゃならぬ。それで熱意というのはただ心持だけじゃいけませんので、この社会保障制度を強力に推進していくためには強力な機関がなくちゃならぬ。それを推進していく機関が何もない。これでは、私は言葉だけが強がりを言っておるのじゃいけませんので、強力な一つ機関を考えていただかなくちゃならぬ。機関の大小は問いません。機関の大小は問わなくても、あまりちっぽけな役に立たぬような機関ではいけませんから、強力な機関が必要と思うが、総理はどうお考えになりますか。同時に、機関をお作りになってもやはり人でありますから、有能の士を、人を挙用していただかなくちゃなりませんので、できれば、私は総理が、直轄にトルーマンのアメリカの社会保障庁を直轄にしているがごとく、あるいは総理御自分の直轄のもとにこれを一つ社会保障制度の諸政策の強力な御推進を願わなければならぬ。そうして腰を落ちつけて、あすやめるのだの、あさってやめるのだのということをおっしゃらないで、おっしゃりもしませんけれども、この社会保障制度の確立までは腰を落ちつけて、一年だって二年だっていいじゃありませんか。御健康のようでありますから、これは一つ総理直轄にこの大政策の遂行を私はやっていただきたいと思うのであります。この社会保障政策の推進につきましての総理の御信念を承わりたいと思うのであります。
○国務大臣(鳩山一郎君) 自民党も社会党もともに社会保障政策の綱領については、同じようなことを主張しておるわけでありまするから、具体的な実施計画につきましては国会の論議を通じて、十分両党の意見の調整ができるものと考えております。あなたのおっしゃることも有力なる参考として研究したいと思います。
○山下義信君 ぜひお願いいたします。 私は新国会の議員に席末を列して以来本年で九カ年ずっと厚生委員を続けております。この間に十幾人か厚生大臣がかわりましたですが、りっぱなお方がその歴代の内閣の厚生大臣になられておられますが、だれを持ってきてもいいというような考え方で厚生大臣を御選任をなさって下さっては困るのですね。それで次の内閣の改造をいつなさるか知りませんが、第四次鳩山内閣をお作りになるかどうか、多分お作りになるでしょうが、一つ今度は厚生大臣を念を入れて人選を願わなければならぬのでありまして、これ一つお約束下さい。十分厚生大臣の選任に注意をすると一つおっしゃっていただきたいと思う。
○国務大臣(鳩山一郎君) むろん厚生事業の必要なことはよくわかっております。これは社会保障制度というものを歴代の内閣が最も重要な政策として掲げているのでありまして、むろん厚生大臣も必要な地位であるということは私も承知いたしております。御期待に沿うようなことはいたしたいと思います。
○山下義信君 これで私の質問を終るのでありますが、この機会に一つだけ伺いたいのは、最近の国民が、これは私は医師でありませんから、しろうと議論でありますが、国民が非常にノイローゼにかかっておる、精神病者が多い、精神薄弱者が多い、性格異常者が多い。そうして今言った神経症状のノイローゼの、これはまあここに専門のお方がたくさんおられるのであって、こういう議論をするのは恥かしいんですが、非常に多い。精神病患者などというものは、厚生省がちょっとさわってみてもおそらく全国民の一割じゃないかと思う。それでノイローゼを入れるというと三割は国民が少し精神がおかしい。これは実際世相を見ましても皆調子が狂って、ピントをはずれたようなことを言ったり、したりやっている。総理もしばしば失言などなさると、われわれまでノイローゼにかかって、まあこの国民のノイローゼ状態といいますか、精神欠陥のこの状態というものは、非常にこれは政府も十分重大視せられて一つ考えていただかなければならぬ。これはどこからこういう精神欠陥者、精神病患者あるいは精神異常者、精神薄弱者というような国民がふえるのであろうか、これは大戦争の悲劇、急激な社会変革の衝撃、いろいろ将来の不安、種々ございましょうけれども、私はこれは十分御検討になりますれば、この種になる原因も政府でおつかみができるのじゃないかと思うのでありましてですね。結論的に申しますと、私は少し心の問題というものが非常に政治の上にも、その他におきましてもおろそかにされているのじゃないかということも考えられますがですね。一体国民のこういうようなノイローゼ症状、ノイローゼ状態に対して、政府は何らか一つ力強い政策を考えていただくお考えはないかということを承わりたい。たとえば、最近読売新聞が盛んに追究しておりますが、いろいろインチキな宗教あるいは立正交成会、あるいは総理もこれは御信心なさっていられるかと思うんですけれども、それでは困るんですね。こういうインチキ宗教等につきましても考えていただかなくちゃならぬ。憲法、憲法、宗教の自由、宗教の自由ではないのでありまして、考えていただかなくちゃならぬ。今申しましたような都内の気違い病院、精神病院の松沢病院には現在約千二百名の精神病患者が入っている、そうして都内にすぐに入院させなくちゃならぬ危険な精神病患者が野放しになっているのが約四万人いるといいます。東京都内に……、これに近い精神病患者が約二十万いるということなんですね。そうしますと、百人にもう五人か七人は精神病者だ、非常にこれは憂慮すべき状態でありまして、諸種の犯罪の原因ともなり、家庭の悲劇ともなる、これは非常に重要なことであると思いますので、この機会に総理のお耳に入れまして、これに対する力強い対策を立てていただくことができるかどうかということを伺いたいと思うのであります。
○国務大臣(鳩山一郎君) あなたのおっしゃる通りに、私もノイローゼの一人かもしれません。しかし、教育の目的は、自主的の精神に満ちた、心身ともに健全なる人間を作るというのが教育の目的なんでありますから、教育行政がだんだんと浸透していきましたならば、ノイローゼ症も減っていかなくてはならないと思います。同時に、社会経済というものがやはり順調になりまして、社会経済安定というものができて、生活の上に不安がないようになれば、やはりノイローゼということは減ってくるでしょう。同時にまた、国際的環境の急激なる変化というようなこともノイローゼということを起すものでありますから、諸種の状態、教育とかあるいは生活の安定とか、世界の平和とかいうものにすべて留意いたしまして、ノイローゼ症の少くなるように努力いたしたいと思います。
○竹中勝男君 総理にお尋ねいたします。私は予算委員会におきましても、あるいは本会議における緊急質問におきましても、社会保障に関しての総理のお考えをたびたびただしておるわけであります。しかし、総理のお答えがまだ私には満足が参りませんので、今日はこの委員会で重ねてもう少し明確に総理から御返答をいただきたいと思って御質問をいたします。 ただいま、ノイローゼに対する総理のお考えは、私はきわめてりっぱであると考えております。ただ、教育だけではない、社会経済の安定、国際関係の安定というものがなければ、国民のノイローゼは絶対になおらないというお考えは、きわめて正確なお考えであると思います。総理のそういうお考えに基いて私はお尋ねするのでありますが、それならば、健康保険をこのたび改正されるところの動機はどこにおありなのでありますか、その点からお尋ねいたします。
○国務大臣(鳩山一郎君) 健康保険制度の健全なる発達をこいねがうために変更するというように答えるよりいたし方がないと思います。
○竹中勝男君 それでは、健康保険制度の改革すべき、いわゆる健全にするための、いわゆる不健全なる部分というのはどこにあるか、どういうところにあるのですか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は財源問題にあると思いますけれども、この点については、厚生大臣から答弁をしてもらいます。
○国務大臣(小林英三君) 健康保険の改正につきましては、もちろんこの累年わたりまする財政的の問題でございまして、このまま放任しておきまするというと、せっかくの健康保険制度も壊滅に、崩壊に瀕する、従いまして勤労者の階級の生活に対して非常な脅威を与えるのじゃないか、健康保険の健全なる発達のために改正をいたそうとするものでございます。
○竹中勝男君 抽象的ではっきりしませんが、総理は、私はあたたかい政治家だと信じております。ところが、総理個人がいかにりっぱなあたたかい心情を持った、信念を持った政治家であっても、この健康保険一つをとってみましても、今度の改正はただいま厚生大臣が答えられたように、保険経済が赤字であるからして、これでいけば、健康保険法がうまく運営できないから改正するというふうに答えられているのであります。これはただいまだけでなくて、初めからそういうように政府が説明しておるわけであります。ところが、総理大臣にお尋ねしますが、国民の病気は、疾患は、患者は決して減っていない。結核患者も減っていない。ところがこの健康保険の改正を見ますと、あるいはその他つき添い婦の問題にしましても、療養の基準にいたしましても、結核対策にいたしましても、生活保護法の医療給付にいたしましても、医療扶助にいたしましても、ことにこの健康保険の改正の案にいたしますると、患者がいよいよ医療を受けられないような結果になるのであります。一部負担の問題にしても、あるいは監査制度の厳重化にいたしましても、官給レセプトの問題にいたしましても、病気になって医者にいきたいという人がふえているにもかかわらず、これが逆に制限されてくるようになって参っておるのであります。総理はあたたかい政治家であるのに、実は逆に冷たい改正が行われておるという点について、どういうようにお考えになりますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 竹中君の言われるのは、患者側に一部の負担をさせるということが不都合だというお考えから立脚しておるものだと私は思います。私も患者に一部を負担させない方がよろしいと思いまするけれども、現在の状況におきましては、とにかく健康保険の健全なる発達をはかるのには、患者も一部を負担し、政府もこれに援助して、一応赤字財政を訂正いたさなくては、健康保険制度が完全な域に達しないと思いまして、この法案の提出に同意をしたわけであります。
○竹中勝男君 総理にこまかいことを私なるべくお尋ねしないで、原則的な点をお願いしたいと思います。それで、私はこういうようにお尋ねしたいのですが、患者が一部負担、初診料、今度は再診料も一部負担、入院するとまた一部負担、それからめんどうな手続を職場でしなければなりません。自分が病気だということを一々労務の方に、あるいはその係の方に届け出なければ、そうしてそういう書類をもらわなければ医者にいけない、こういう場合になると、だんだん診療が制限されてくるわけなんです。実はこの改正はこの診療を制限する、患者が医者にかからないようにするということが一つの目的になっているのです。これは赤字対策だからなんです。赤字を健康保険経済が持ってきたから、この赤字をどうするかということがこの改正の動機になっているのであって、社会保障の充実強化ということではないのです。そこで私は保険経済が大事なのか、患者をなおすことが、国民の病気で困っている人をなおすことが大事なのか、どっちが大事なのかということを総理にお尋ねしたいのです。これは、すでに火がついて火事が起っているのです。もう医者にかかれない、医療費の負担能力のない国民がふえているのです。この場合は、火事を消すことが政府の責任でありませんか。ちょうど火事が燃えておるのに、根本的に火事を消すためにといって、そっちの方は大体放っておいて、消防署の充実だとか、ポンプの購入だとか、そういうようなことばかりしておるのが今の健康保険のやり方なのです。保険経済に対する赤字を解消する、火事を消すよりも、ほんとうに必要なところに国が金を出して、そうして国民がだれでも医療を受けられるようにするということではなくて、逆に将来のために、健康保険の経済のために、経済が先であって人間があとになっておるのです。これは民主主義の原則に全く反するではありませんか。総理はこういう点についてどう思われますか。総理から私はお伺いしたいのです。
○国務大臣(鳩山一郎君) 社会保障制度の推進は、あなたもおっしゃる通り、まことに必要だということは私も考えております。しかしながら、国家財政全般と見合いまして、漸進的に社会保障制度の推進をはからなければなりませんので、それで本年はこの程度の、一部負担の程度の案を出すよりほかに道がないと私は考えたのであります。
○高野一夫君 委員長ちょっと速記をやめて下さい。
○委員長(重盛壽治君) 速記をやめて。 〔速記中止〕
○委員長(重盛壽治君) 速記を始めて。
○国務大臣(小林英三君) 竹中さんのただいまの前段の御質問に、ちょっとお考え違いの点があったのじゃないかと思いますから、私ちょっとお答えしておきます。 健康保険の被保険者はいろいろ一々事業主に届出いたさなくても、保険証さえ持っていけば、いつ何どきでも受診できるように相なっておるのであります。決してそれは受診率を抑制するような制度にはなっていないのであります。
○竹中勝男君 その点は結局早い時期にわかることになるのです。それで、労働者は保険医にかかることを非常にちゅうちょするようになるのです。その点については、今ここに触れません。 私は総理にお尋ねいたします。ただいまこの健康保険法の改正が、実に国民医療にゆゆしい悪影響を与える、すなわち良心的な診療がこれではできないという立場から、全国の保険医が総辞退しようとする動きがあります。すでに六府県の保険医の辞退届が受理されております。また全国的に保険医が辞退届を準備いたしております。こういう医師の総辞退というような、実力行使に似た行為をいいとか悪いとか……、できるだけこれは避けなければならないと考えております。しかしながら、現実にすでにこういう事態が起って、国民が医療に対する不安を持っております。一体五月一日からお医者さんに行っても見てもらえるのかどうか、あるいはその療養費はどうなるのであるか、これはやはり国会として、委員会として、私どもは真剣に考えなければならない現実の問題であります。そこで総理にお尋ね申しますが、私どもは何とかこの辞退届を出しておられるところの医師の方々も、辞退届を受理されたからという理由で厚生省がこれに因縁をつけず、もう一度直ちに保険医としての診療に帰ってこられることを、とどまっていただくことを、私どもは心から希望しておるわけですが、総理はどう思われますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) その通りと思います。保険医の総辞退問題につきましては、政府としては極力回避するように慰留に努めておりますので、日本医師会幹部の良識と相待ちましで、四月中に解決し得ると考えておりますが、不幸にしてもし四月中に解決できずに、五月一日に一部辞退が発効いたしました場合には、被保険者に迷惑をかけないよう、諸般の対策をとらせたいと考えております。
○竹中勝男君 被保険者に迷惑をかけないように処置をしたいという総理の御答弁に対して、私も大へんありがたく思っております。具体的にどのようなことをお考えでありますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 具体的にはよくは存じませんから、厚生大臣から答弁してもらいますけれども、公的医療機関等の保険診療取扱い機関に全面的に協力を求めまして、被保険者の不便をできる限り防止する等、あらゆる措置を講じまして被保険者の不安を解消するように努力したいと思います。
○国務大臣(小林英三君) 今、総理大臣の御答弁になりました通りに万全を期するつもりであります。
○竹中勝男君 公的医療機関に全面的に協力を求めるだけでは、私はこの医療不安は解消しないと思います。なぜならば、公的医療機関はすでにその能力の限界にきておると思います。従業員にしても、機関の設備にしても、医者の数にしても……、そこで厚生省がこの関業医に対してそういうように考えられる限りは、私は絶対に医療不安は解消しないと考えております、私は社会労働委員の一人として、開業医の辞表を出しておられる方々がそのまま健康保険医の仕事、すなわち患者が求めた場合にはこれに応じていく、患者が診療にきた場合には、必ずこれに応じて診療をするという態勢が基礎にならなかったら、厚生大臣の言うように、公的医療機関だけに頼るというような態度はきわめて危険だと私は思います。
○国務大臣(小林英三君) これはできるだけ公的医療機関の諸君の御協力を仰ぐことはもちろんでありますが、また他面におきましては、医療費払い等の処置によりまして、国民の皆さんには、できるだけ御不便をかけないようにいたしたいと考えております。
○竹中勝男君 医療費払いを大臣が約束されて、私も少しは明るい気持になっております。これは保険法の四十四条にもはっきりしておるのですから、その点は緊急の場合、その他やむを得ざる場合ということにこれは該当しますから、とにかく患者が、辞表を出して受理せられておるお医者さんのところにいきましたら、医者の義務としてこれは診療をします。しなければなりません。それに対して、この医療費払いをすると言われたことによって、私は大へん明るい気持を持てると思います。 〔委員長退席、理事山下義信君着 席〕 その線ははっきりしていただきたいと思います。また、その他にも方法があると思いますが、これについては本式に改正法の審議に入りましたときに、私は厚生大臣に直接お尋ねいたします。きょうはできるだけ総理にお尋ねします。 最後に、一つの問題をお尋ねします。それで鳩山さんは一部負担のことを私が非常に気にしておるというふうに解釈していただいておるわけでありますが、事実そうなのであります。二十三億円のものが一部負担の形で患者にかかるわけなんです。ところが鳩山内閣があるいは自民党が発表しておられるいわゆる国民皆保険という考え方、三千万の国民を全部何らかの形で医療保険に入れていく。あるいはこれが三カ年かかるか、五カ年かかるか、とにかく計画性をすでに発表されております、この点私は賛成なんです。ところが、これには少くとも三百五十億円かかります。ところが、三十一年度に、二十三億円を保険経済の赤字のために、むしろ生活に追われておる医療費を持たないところの患者にかけるというこの政策には、どうしても私は賛成することができないのです。なぜかならば、総理は御存じで御了解がいただけるかどうかですけれども、 〔理事山下義信君退席、委員長着席〕 実際お医者さんにいくごとに五十円取られる、二度目にいくと三十円取られる、あるいは一日入院すると三十円出す、こういうことは今日の国民の所得収入の上から、ことに零細企業に働いておる労働者が多いのです。この国家管掌の、政府管掌の健康保険では……。だから医者にいくのに病人が電車に乗らずに二十円の、あるいはバスに乗らずに三十円の乗りもの代を節約して歩いていくような患者が多いのです。それがほんとうに多いのです。そういう生活が現在の日本の生活です。それゆえにノイローゼが起る。生活の不安が一番直接にわれわれの神経を刺激しますから、国民が精神的に弱るのです。鳩山総理はそういうものを絶対に見のがせないと思います。総理のようなあたたかい政治家がほんとうにこういう国民の現実を知っていくならば、わずか五十円じゃないか、三十円じゃないか、そういうことは言えないはずだと思います。それで私どもは民自党が、鳩山内閣が計画しておる皆保険のためには三十五億円がどうしても要るのです。それを促進していく上からも思い切って、これはジェット戦闘機の十台分くらいの値段だ、二十三億というのは。それをなぜ赤字補てんというような、赤字経済というようなことを健全にするというような名目で、弱い、困っておる、そのために一生耐えないようになるようなおそれのある貧乏な患者にかけなければならないのですか。もう少し、二十三億をせめて十億でも一部負担を政府が考えられるお考えはないのですか。鳩山総理にお伺いいたします。もうこれ以上どうしても出せないと言われるものですから——少しでも国民のために、ほんとうに困っておる患者のために、労働者のために、国が支出をさらにしようというお考えはないのですか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 社会保障制度の健全なる発展を希望することは、これは竹中さんと私も同じように考えます。しかし、このたびは大蔵大臣ともずいぶん強い折衝をいたしまして、今度の一部負担の制度を採用したのでありまして、これ以上大蔵省としては出せないというので、やむを得ずこの点において妥協ができたわけでございます。
○相馬助治君 私はこの際、鳩山内閣総理大臣に、ただ一点お尋ねしたいと思うのですが、問題は、先ほど山下同僚委員も指摘いたしましたように、鳩山内閣がどのように国家の性格を政治の面で規定づけていくかという基本的な政策が決定し、これが国民に了解されない限り、今日厚生問題の紛争は解決し得ないと私は超党派的に考えます。今日医師、歯科医師、薬剤師、こういう医療担当者の怨嗟の声が鳩山内閣、自民党に集中しているじゃないですか。これは実に私は自民党とか鳩山内閣のためというのではなくて、国民のためにこの問題は重大だと思うのです。 そこで、言葉にもバターか大砲か、政治はそのいずれかを選ばなければならないというのが常識です。しかるところ、鳩山首相が率いた当時の自由党は、さきの選挙において、バターも十分食べさせる、大砲も作るのだという約束をして、その破綻が今日諸施策の上に現われておると私どもは考えるのでございます。そういう角度からいたしまするというと、内容のいい悪いはしばらくおくとして、私は当時の自由党の言ったことというのは、筋だけは通っていたと、かように考えますが、今日は自由党を含めた自民党、しかもそのまた総裁であります鳩山首相に私は以下のことをお尋ねしたいと思うのでありますが、社会福祉国家に日本を作り上げていくか、それとも軍事優先の国家に、やむを得ずであろうと何であろうと作り上げていこうとするのか、現在の国家性格はそのいずれであると首相はお考えでございますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) むろん社会保障制度の完全なる推進を希望はいたしますけれども、同時に、日本の防衛を全く無視するわけには参らないと思います。やむを得ず現在のような一部負担制度を採用して、両方の漸進をはかるようにいたすより仕方がないと思います。
○相馬助治君 社会福祉国家として推し進めながら、しかも必要上やむを得ず防衛費もこれに計上していくというお答えそのものは私もよく了解いたします。本年度、昭和三十一年度予算におきましても、御承知の通り、防衛費の総額は千四百億をこえ、社会保障費の総額は千百億程度でありまして、そのパーセンテージから申しましても、防衛費は一四%に達し、社会保障費はわずかに一一%であるというこれ自体、そのものを私どもは現実の基礎として考えていかなければなりません。しかも問題なのは、千四百億の防衛費は明瞭に年次計画をもって増加されることが約束されておる。千百億の社会保障費は、年次計画もなければ、これがふえていくのやら、あるいはまた防衛費がふくれれば自然しわ寄せで減っていくのやら、先ほど山下委員がつきましたその場限りのでたらめ厚生行政というのは、これをさすのだと私は考えるのでございまして、千四百億の防衛費は年次計画をもって漸増しつつありますけれども、鳩山首相は日本の財政基礎と現実の上にどの程度の防衛費は耐え得られると考えますか。すなわち、社会保障費を犠牲に供しないところに、どの程度の防衛費は耐え得られるとお考えでございますか。それは基本的な問題でございまするので、ぜひともしさいに承わりたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は専門的のことは大蔵大臣が答弁した方がいいと思いますけれども、パーセンテージの議論を申しますれば、大体におきまして、社会保障制度に使いました金は、あなたのおっしゃる通りに、社会保障制度よりも防衛費の方がパーセンテージが多い。けれども、国民生活の民生安定の費用とかあるいは経済発展の費用とか、バターに関係のある費用を加えますれば、決してその大砲の方が多いというふうにも参らないのでありまして、現在の経済関係からいいますれば、日本の大砲のために使う費用というものは決して多くはないんです。もっとよけいなパーセンテージをとっている国は多いのであります。決して日本は軍国主義になったとか、あるいは侵略戦争をするために軍備の拡大を急速にはかっておるとかいうことは全くありません。
○相馬助治君 今の首相の言葉はにわかに首肯できません。と申しまするのは、バターとパンとの費用を加えれば大砲より増しておるというお説です。その通りでありますが、私はパンの問題を問題としておりません。バターか大砲かというこのバターに値するものが社会保障費であるということは御承知の通りであって、私がなぜこのことを問題にするかと申しますると、先ほどの質問に答えて、徴兵制度は布く気持はないとおっしゃっている、その気持はよくわかります。また、そうであろうと思います。ところが、憲法を改悪し、ある一国の示唆によって防衛費が増大し、同時に防衛隊員がふえて参りまするならば、財政的限度に到達いたします。その場合に、徴兵制度を布くというのは、いずれの国家においても近代国家がそのような道行きを通っているということは、歴史が教えている事実です。従って私は、日本が徴兵制度を布かなければならない財政的限度というものが明確でない限り、日本の社会保障費の限度並びにその総ワクの理想的な姿が浮き彫りされないから、私はこの問題を尋ねておるのでございまするが、そういたしますと、何でございますか、あなたは徴兵制度は布かない、防衛費がどんどん分担されて参る場合には、やむを得ず、これには徴兵制度というものは布かないで、いわゆる安上りの兵隊制度は布かないで、金が食うけれども、防衛費はどんどんふえていく、このことを鳩山内閣としては認めるのだという、こういう御見解でございますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 防衛費はむやみに、財政計画と離れてむやみに計画を立てて、これに突進するという気持は持っておりません。日本の財政の許す範囲内において防衛を増進していきたいと思っております。全くこの日本の防衛費の、現在におきましては安保条約によってある程度の漸増の約束はしてありますので、それに従って幾分かの増強ははかっていかなくてはなりませんけれども、その安保条約以上に日本の防衛費を要求され、あるいはするというような意思は持っておらないのであります。
○相馬助治君 問題は、この日米安保条約その他の問題によって、防衛費その他の問題がいろいろな関係で、わが国の考えだけでいかないということの自体のよしあしは別といたしまして、法治国家として、また国際関係を考えたときに、鳩山内閣の置かれている悲劇的な立場というものには同情いたします。しかし、私どもは一つ錯覚をしている。最近になってよくわかったことは、吉田前首相は、あのような平和条約に捺印はしたけれども、あの人はあの人なりに抵抗をして、憲法は改悪できない、第九条の規定によって防衛隊員というものはこれ以上は増加できないと言って抵抗していたという事実が、今日国民の前に逐次わかってきております。しかるに鳩山内閣に至りましては、そういうアメリカに対する抵抗の度合いというものがきわめて薄くなったとの印象を国民に与えていることは、国家百年のために惜しみてもあまりあることでありまして、そういう意味合いから、私ども社会労働委員会といたしましては、日本の厚生行政に関連する問題を担当いたしておりまする委員会といたしましては、社会保障費を確保したいがために、当然これと車の両輪の関係にあり、あるいは車の両輪というよりは、一方がふえ、一方が減るという有機的な連関を持っておりまする防衛費の総ワクの問題を問題にしなければならないのでありまして、これ以上私は具体的な数字とパーセンテージについて論じませんけれども、どうか一つ鳩山内閣総理大臣は、弱き者に味方することこそ政治の要諦なりとおっしゃったあなた自身の言葉を今日静かに思い起されて、そうしてこの健康保険改悪の問題に端を発して、今日医者や歯科医師が立ち上って問題にしておりますが、これは次の日には国民全体の、患者全体の問題でございまするので、本委員会としてはこの事態を看過することができないのでございます。従いまして、私はこの問題に関連して善処を望むと同時に、鳩山内閣総理大臣に一点だけその意見をお聞きいたして私の質問を終るのでありまするが、今日三千万の人々がこの社会保険制度の恩典に浴しておりません。私はこれらの未加入者を含めて、今日複雑多岐な日本の社会保険の制度の統一と整理と、ある面は伸展とをはかって、この際、抜本的な、具体的な手を打つべきであろうと思うのでありまするが、鳩山内閣総理大臣の構想とその具体策があらばお聞かせ願いたい。まるっきりそういうものはなくて、その場の場当りの出まかせ仕事にやるのだというのならば、私どもはそういうこともその通り承わりたい。それは医師会でも、歯科医師会でも、薬剤師協会でも、これは自衛の策をあの人たちみずから講ずることは、全く一方的に鳩山内閣の責任であるということが国民の前に明瞭になるからでございまして、この点についての一つ具体的な案と構想とをこの際承わりたいと思います。私の質問は以上で終ります。
○国務大臣(鳩山一郎君) あなたの質問の理想とするところに私も賛成であります。先ほどもお答えをいたしましたが、全国民を対象とする医療保険の制度は一日も早く確立すべきものと考えております。そのために、先刻答えました通りに、社会党並びに民自党の共同の諮問機関でも設けまして研究せらるるということは、しごくけっこうだろうと私はお答えをいたしましたが、そういうように進んでいきたいと思います。
○長谷部廣子君 今日は鳩山総理にたくさん質問させていただくつもりで出てきたのでありますけれども、もう時間がないので、二分間ぐらいというお話です。かいつまんで承わりたいと思うのですが、先ほど竹中議員から、二十三億の一部負担の形で国民がしょわされているというような、その御質問に対しまして、総理はなるべく国民にそういう負担をかけたくないということをはっきりおっしゃっていただいて、私はほんとうにうれしかったのでございます。しかしながら、どうしても大蔵省が出せないから、そこで予算としてそういう費用がとれないとおっしゃいましたけれども、どうして大蔵省から総理がおとりになれないのでございましょうかしら、それはいろいろ理由もおありでしょうけれども、どうしてもだめなんですか、だめということ、二言でいいのです。どうしてもいけませんか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 今年は国家財政全体から考えまして、やむを得ず、方々のでこぼこを直したわけなんですけれども、しかしながら将来において、現在の制度がよいと思っていないのでございまして、将来において直していって、竹中君の言われるような世の中にいたしたいということは、先刻申した通りであります。現在において満足しておるというわけではないのでございます。
○長谷部廣子君 それから、今の一万二千円以下の収入の人が一番多いということも、経済企画庁の調査によりましての報告で私は知っているのですけれども、総理も御存じでいらっしゃいますね、そうですね——。そうしますと、その一万二千円以下の生活をしている人がどれだけ家族をかかえているかということも御存じだろうと思うのです。その中から衣食住並びに生活の必需費を取り除いてしまうと、ほんとうに苦しい生活をしているのです。それですから家庭の主婦が内職をしているということも、総理大臣御存じであろうと思います。けれどもほんとうは御存じないと思うのです。それで私がちょっと内職の調査をしてきたのですけれども、ちょっとそれを聞いて下さいませんか。薬を箱に詰める内職が、千個を詰めて、(「質問を進めてくれ、時間がないから」と呼ぶ者あり)ええ、それでちょっと……。それが千個薬を詰めて七十円、それがもう一生懸命にやってそうなんです。それから袋張りが五十円で、一日千から千五百ぐらい張るのが精一ぱいなんです。それから栗の皮むきがあるのですが、これは一貫目が五十円、一日どんなに一生懸命しても二貫目よりできませんから百円なんです。総理は栗の皮をおむきになったことはないと思うのですけれども、どれだけ手にまめができているかわからないのです。それから熟練を要するのには、手袋一ダースが九十円から百八十円、スルメの皮むきなんていうのもありますし、いろいろございますけれども、これはとにかく一日働いて、食事をする間も、トイレへ行くひまも惜しむようにして働いて、それで八十円から百円が精一ぱいなんでございます。それを内職にしているのです。それは主人の給料が一万二千円以下で苦しいからそうなんです。ほんとうに子供の給食費を出すときには、子供の欠席が多いということも総理は御存じでいらっしゃいましょう。こういうような状態でございますから、その一部負担の初診料が五十円、再診料も払わなければならない。十円、二十円は何でもないとおっしゃるかもしれませんけれども、そうじゃない人たちがこの国民の中にどれほどいるかということを、もう一ぺん考え直していただきたい。それを私はお願いするわけなんです。大へん質問にはずれるかもしれませんけれども、どうぞお許しいただきたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) 御無理のないお話であります。それでありまするから、医療費の負担は全然ないようにして、全国民がこの恩恵に浴せるようにいたしたいことを理想として働きます。
○山本經勝君 最後に一点だけお伺いを申し上げます。今回保険法の改正の問題について、総理も十分御承知だと考えます。それは関係者、すなわち医師会、歯科医師会、あるいは医療を受ける被保険者の側の勤労者は、あげて反対をいたしております。このことは十分御承知だと思うのですが、反対の理由を私は十分に総理が御理解になっていないのではないか、ただいまの長谷部委員の御質問なり、要望の中にもありましたことと関連をいたしますが、これらの被保険者は勤労者であり、労働者が大部分を占めている。そこで今年の春、御承知のように春季闘争というのが鳴りもの入りでやられた。ところがその結果、賃金が最低月額にしてやっと四十円、最低は四十円、あるいは最高にして七百数十円、こういう状態でございます。これは月額。そういう実情でありますが、さらに私は大事なことは、この賃金のわずかの上った部分は、問題になっておる労働者の大体三割七分、あるいは三割八分といわれる。そうしますと、四割足らぬ勤労者の賃金がわずかながらでも上りました。しかしながら、その上った額は最低四十円、最高月額にして七百円から八百円見当のものでございます。ところが、今度は健保関係の改正案の内容から逆算を、推算によっていたしますというと、大体患者の一部負担によるものが一人当り平均千五百円見当、そうしてさらに標準報酬月額及び等級の変更に伴って上る分が約一千円、こういう数字に大体なるように考えられます。ところでそういたしますと、この政府の方におきまして、もし争議が非常に深刻に長期化するなれば、必要な場合には自衛隊の動員も辞せないという御声明もあったほと重大な闘争を経て引き上げられた賃金の額は、ことごとくこの健康保険法の改正によって抹殺されてしまう、こういう結果になるように考えます。そうしますと、私は少くとも先ほどからるるお話になっております健康保険という医療保険が骨抜きになってしまうだけではなくて、むしろこの春の大争議も、厚生省がいわゆる健康保険法の赤字を埋めるためにやったのではないかという結果になってしまうように感ずる。このことが反対の大きな理由であります。これは一方そうなりますと、勢い患者がお医者にかかりません。国民医療の低下はむろんでありますが、一方業者であるお医者さん方にいたしましても、これは重大な生活問題にもなり、また良心的な治療をなそうとする医者の方々の、いわゆる天職としての任務にも恥じる結果が起る、こういうような形において反対がなされておる。ですから、私は今のような実情にあることを総理がよく御理解をいただいて、すみやかに何らかの善処をお願いしたいのですが、その一つの方法として、こういうお考えをお持ちになれないかどうか。すなわち、わずか二十三億という少額の負担を、あるいはまた、総額にいたしましても三十数億といわれるわけです。ですからこの総額を、とりあえず政府の負担でやっていただく。ないしは一時の便法として厚生年金保険の余裕金も現に二百八十億ある。さらに積立金に至っては八百数十債、合計千百一億という膨大な金があるわけです。しかしながら、それは全額これに振り向けることに参らぬことは、私も十分存じております。そういたしますと、また三十債何がし、あるいは二十三億といわれる赤字をとりあえずこの金で弁済をしておいて、そうして本来この健康保険、その他国民医療を中心とする医療保険制度の拡大を前提として、最も正しい、最も合理的な方法を組み立てられようというのでありますから、それに十分な研究の期間を与え、そうして機関を設置して、すみやかに合理的な、また恒久的な保険制度の普及徹底、拡大強化をする方策をおもむろに講ぜられても、私はおそくないのではないか、こう考えるわけであります。ですから総理にお伺いしたいのは、そうした施策を前提にして御考慮願えるならば、少くともこの国をあげての反対、世論に反する強行政治をなさらなくても鳩山内閣は済んでゆくの、た、こう考えるわけです。この点について一点だけ総理からお答えを願いたい。
○国務大臣(鳩山一郎君) どうもその社会保険制度について、政府としては財政の基礎を固めつつその範囲を広げてゆく方針をとっておりまして、それが現在においては最も適当だろうと思ってこの制度をとったのであります。特に社会保障中重要と考えられる医療保障制度につきましては、先刻も申しましたように、三十五年度に至れば……、その実施を目的として全国民を対象とする医療保障制度の実現をはかるべく目下検討しておるわけでありまするから、国民もこれによって満足をしてもらって、それまでにどうしてもこれを実現するように努力をしたい。一部負担はそれまでやむを得ないと思います。
○山本經勝君 ただいまのお考えでは、実は私の御質問申し上げたことに当てはまらないわけなんでございます。といいますのは、もっとも赤字がある現実というものは私どもも一応わかる。そこで、赤字をとりあえず暫定的な方法でもってまかなっておいて、そして将来に、いずれこの種健康保険法その他社会医療保険制度の拡張をして、全国にも均霑な潤いを与えようというのでありますから、そのためには相当な時間が必要だと思う。また政策を具体化するために企画立案も必要でありましょうから、十分御研究を願うといたしまして、そこでとりあえずこの厚生年金保険等の余裕金等もございますから、それがわずか三十数億、あるいは二十数億というのであれば、それを一応払っておいて、そして恒久的な施策をお考えになるというのが合理的なのではないかと、こう申し上げた。しかも先ほどから言われておりますように、国をあげての反対の実情にあることを御理解になれば、そういう方法が積極的にとられるということが不可能とは私ども考えぬわけなんです。これは厚生省の一担当大臣の問題ではなくて、やはり内閣として、総理から強くその主張をなさるなれば、おそらく不可能なことではないと思います。この点をお伺いしておる。
○国務大臣(鳩山一郎君) いろいろと内閣においても議論がありまして、考究した結果が、この法案を出したのでありまして、政府としてはこの案を適当な案と考えておる次第であります。
○山本經勝君 もう一点だけお願いを申し上げます。私申し上げていることがどうもうまく通じぬような感じがいたしますが、少くとも反対の理由は、医療の低下が現に起る、そして被保険者の負担が非常に大きくなり、賃金の実態と比例いたしまして、非常に負担が過大になる実情は先ほども申し上げた。ですから、それに対しては少くとも総理のお考え方、先ほどからるるお話になっておりますことを考えてみますと、そういう実情を何とかして打開してやろうという親切なお心がまえがあってほしいものなのです。ですから、私申し上げておるので、ほかに方法がないのじゃなくて、赤字の実態はやむを得ないとしても、その便法なり、暫定的な方法が私は講ぜらるべきではないかということを申し上げている。ですから総理にお答え願いたいことは、たとえば、勤労者である被保険者がいかに困ろうと、あるいは賃金ベースあるいは収入と釣り合わなくてもいたし方がない。あるいは医療関係者がこぞって反対をいたしておってもそれもやむを得ない。それで総理としては、この赤字を埋めるためにやむを得ぬ方法として、一部負担並びに料額の引き上げをやるのだと、こういうことなのですか、そのいずれかを簡単にお答え願えばけっこうなのです。
○国務大臣(鳩山一郎君) 私は一部負担は絶対不合理なものとは思わないのであります。この二、三年弥縫策をやってきたのでありますが、今回はどうしてももう抜本的な策を講じなくちゃならない時代が参りまして、この案を出したわけであります。積立金を使ったらどうかというようなお話もありましたが、積立金を使用するというのは筋が違うと考えます。
○山本經勝君 私の申し上げておることは、今のようなお答えを、求めておるのではなくて、むしろ健康保険にかかっております被保険者の患者が実際上支払えないということになる、金が払えないという現状。そうしますと、医療が低下するということを憂える。それをさせないようにするというためには、できない方法で私はないと思うのです。それで、そういうことをお考えになることはできないものなのかどうなのか、そのことをはっきりとお答え願いたい。
○国務大臣(小林英三君) 今の山本さんの御質問に対しましては、むしろ私からお答え申し上げた方が適当であろうと思います。 御承知のように、健康保険制度というものが発達いたしましてから、最近に至りまして非常な赤字が毎年出て参りましたことは御存じの通りでありまして、これをいかにして、この赤字の対策を講ずべきやという問題は、山本さん今御心配になっておりますようなこともあるかもしれませんけれども、大体におきまして私は借入金だけでやるか、あるいは全額国庫負担でこれをやるか、あるいは私どもが今御審議を願っておりますような国庫からも相当な補助をいたし、また、被保険者からも一部負担をしていただく、この三通りしかないと思うのであります。私どもは、今日のような健康保険が相当進歩向上をいたしておりまして、医療というものも、毎年々々医療費を激増し、また医術も進歩向上いたしております今日でございまするから、また一方におきましては、三千万人になんなんといたしておりまする自費でもって、税金は国家に納めながら、医療につきましては自費でかかっておるような国民が三千万もいるのでありまして、私は今日のような進歩向上いたしておりまする健康保険の状態におきましては、国からも相当の補助をいたしまして、そうして被保険者からも一部負担をしていただいて、これを健全な軌道に乗せていく、財政的にも乗せていくということが、私はひいては被保険者自身の将来に対する利益でもあるというふうに考えておるのでございます。 先ほど山本さんから御質問になりました今回の一部負担、患者の一部負担につきましての患者一人当りは、大体一般外来につきましては平均一人当り二百十七円でございます。歯科におきましては百二十八円、入院の一人当りが千五百二十二円でございまして、これを従来一部負担の問題を拡張いたしましたことからいいますと、これが一人当り平均の百八十円でございます。在来のいわゆる初診料相当額を加えますると、大体二百三十円、今まで払っております現行法にございまする初診料相当額を含めまして、一人当り平均の二百三十円程度でございまして、私はその時代における最高の医療保障をいたしながら、健康保険を軌道に乗せて参ります。この程度の負担であれば、私は決して無理な点ではない、こういうふうに考えております。
○山本經勝君 今の厚生大臣のお話は、これは追って委員会の際にも詳細に、また見解の相違であるとも考えますが……。それで、先ほど総理にお伺いした中で、賃金が、いわゆる春の、春季闘争によって上げられたものが微々たるものであったのみならず、このわずかな賃金の引上げもできなかった勤労者の大多数があるという実情については認識いただけたと思うのですが、そう理解してよろしいですか。そこで、そういう実情でありますから、この種の保険によって医療をやっておりますこれらの勤労者は、何としてもこのような負担の増大について反対であるということも十分御承知願えたと思う。ですから、先ほど各委員の御質問に対してお答えがありましたように、すみやかに根本的な、抜本的な対策をお考え願うことをお願い申し上げまして、私の質問を終りたいと思います。
○委員長(重盛壽治君) ほかに質問ございませんか。総理大臣、意見か何か、答弁しますか。
○国務大臣(鳩山一郎君) 今のお話は、昇給をしたということをおっしゃったわけですね。
○山本經勝君 いや、わずかばかりの賃金の引き上げが行われた、ところがその引き上げの行われたものは三七、八%の労働者であって、ところがその大部分が、六割までは全然賃金が上っておらない、あるいは下った部分さえもあるわけなんです。そういう実情のもとですから、一部負担はわずかな額のように見えても、大きな負担になるという事実を御認識いただかなければならぬということなんです。
○国務大臣(鳩山一郎君) わかりました。
○委員長(重盛壽治君) ほかに御質問がなければ、私から実は私自身も質問を申し上げる予定でありましたが、時間がありませんから質問は省略いたしますが、厚生大臣を通じて今後この問題に関連していろいろお耳に入れたいと思います。
○国務大臣(鳩山一郎君) どうぞ。
○委員長(重盛壽治君) ただ一点だけ申し上げておきたいことは、今度のこの健康保険の案が漸進的なものであるということを盛んにいわれておりまするが、どの角度から見ましても一歩も進んでおりません。これははなはだ失礼でありまするが、鳩山総理といたしましては、この内容は厚生省のあるいは大臣、あるいは関係者等からお聞きになったことを中心としておられるようでありますが、決して今の日本の現状からいきまして、社会保障制度が漸進しつつあるというようなお考えを持っているといたしますならば、お約束せられた社会保障制度の確立が逆に崩れ去っていくという状態になることだけは御認識なさらなければならぬのではないかと思うのであります。きわめて不合理なものがたくさん出てくる。しかも非常にこまかいものを申しますると、かつてつき添い看護婦というようなものをとった例がありますが、これなどはわずかな金でつき添い婦をとられたその人たちは、失業した人は泣き、治療を受けておった患者の諸君も泣き、医者もこれでは治療ができぬというような状態に陥れられた。そういう私どもが社会労働委員会として取り上げるものには、一つ一つがこんな政治でよいのかという面が現われているわけであります。従って、おそらく私どもはこの法案に対しましても、あなたの与党諸君は正面切っては反対できないけれども、これでは困ったというお考えはどなたもお持ちになっていることは大体明確であります。特に総理大臣はなかなかいわゆる雲上人のような立場におられるから、いろいろ陳情はいかないと思いますが、私どものところへは全国から陳情が山と積まれているような実情でありまして、一々これをあなたのところに申し上げるのも私どもは避けて、でき得るだけわれわれはこの委員会で処理をしていきたいという考え方を持っているのでありまするが、赤字を中心としたこの法案の改正という、この基本的な問題は何といいましても、いま一ぺんお考え直しを願うという角度に立たないと解決がつかないのではないかというように、私どもは責任者の立場からは考えられますので、こまかいいろいろな問題につきましては、十分厚生大臣を通じて申し上げることにいたしたいと思いますが、特に格段の御配慮をせられんことを希望いたしまして、きょうは質疑を終りたいと思います。
○相馬助治君 一言御決意を承わったらどうだろう、せっかくおいでいただいたんだから。
○委員長(重盛壽治君) 休憩いたします。 午後零時二十三分休憩 ————・———— 午後二時三十九分開会
○委員長(重盛壽治君) それではただいまから社会労働委員会を再開をいたします。 午前中質疑をいたしました健康保険法の一部を改正する法律案ほか二件の質疑は、次回以後にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(重盛壽治君) 御異議ないと認めます。 —————————————
○委員長(重盛壽治君) 次に、食品衛生法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑を願います。
○高野一夫君 環境衛生部長に伺いますが、私はほんとうはまず第一に、この第一条の目的についてただしたいのでありますが、これはあらゆる質問をしましたあとで最後にお尋ねすることにしたいと思います。 まず第二条の「添加物」、「化学的合成品」、こういうものについて、並びにこの条文の解釈の仕方についてお尋ねしたいと思います。元来、食品衛生法は専門家が承知していればいいというものではなくて、しろうとの食品を製造する者、販売する者、すべての人がわかりやすい法律でないといけないと思うのですが、どうもいろいろ読んでみますると、わかりにくい点がたくさんあって、非常にむずかしい文章があるように思うので、そこでただしたいわけですが、まず私は添加物という意味がこの文章でよくわからないのである、これはどういう意味ですか。 まず一つお尋ねしたいことは、第二条の第一項に「食品」というのがある。「二の法律で食品とは、」として食品の定義が下してあり、それから第二項に「この法律で添加物とは、」として、その添加物の定義が「食品の製造の過程において」とそこに「食品」という言葉がある。それからその三行目に「食品に添加、混和、浸潤」と、こうなっておる。この食品という同じ言葉を使っておるのであるが、みなこれは同じ食品ですか、どういう意味であるか、同じ程度の食品であるとするならば、この条文は非常におかしいと思うのですが、それをまず伺いたいと思う。
○政府委員(楠本正康君) お答えを申し上げます。この法律におきまして、食品と申しますのは、きわめてこの常識的な意味でございまして、直ちに飲食の用に供し得る状態のもの、及びこの社会通念上は飲食に供せられるものと考えておりますもの、さらに当然飲食に供せられるというようなものを一括いたしまして、食品という考え方に立っております。これに対しまして添加物と申しますのは、御承知のように、従来は単に食品そのものに添加するか、あるいはまたこの加工の段階において加えますものを添加物というふうにおおむね考えておりましたが、今回は特に製造の段階におきましても、あるいは加工の段階におきましても、食品に添加し、いろいろ方々で扱いますものをすべて一括いたしまして添加物と規定したわけでございます。従いまして添加物の中には当然製造の過程等におきまして、一つの媒体として扱いましたために、そのものが結果的には残っていないようなものをも添加物とされておる次第でございます。
○高野一夫君 私はまだ添加物の定義を伺ってないので、この食品のこの文字がおかしいと思ったから伺っておるわけで、この第二項の「添加物とは、食品の製造の過程において」と書いてある、この食品というのは、第二条の第一項の定義が下してある食品だと思う。ところがその次には、「食品に添加、混和、浸潤」こういうふうになっておれば、その「添加」、この三行目の「食品」というのは、「製造の過程」にあるものじゃないかと思う。そうすると第二条に「食品」という定義が下してあって、確かに飲食物になっておる。それから第二項の最初の「食品の製造」のその「食品」は明らかに定義通りの「食品」だけれど、その三行目に——私は新旧対照表を見ておるものですから——あとの方に「食品に添加、混和」何々と書いてある、あとの方の「食品」というのは、第二条の第一項に規定した「食品」じゃないかしらぬ、こう思うのですがそれはどうなっておるのですか。
○政府委員(楠本正康君) 失礼を申し上げました。最初に、食品の定義について申し上げましたように、一応食品としては三つの場合を考えております。つまり第一は、直ちにそのまま飲食の用に供する普通の状態にあるものを第一に食品と考える。第二は、この社会通念上まあ食べても——飲食に供せられることが当然だと見られるようなもの、これもその食品と考えられております。また第三に、おそらく飲食に供せられることが明らかであろうというようなものをも食品に含めております。従いましてただいま御指摘の点は、第二の食品という意味は、おそらくこれは将来結果的には飲食に供せられることが当然予測でき得るという種類の食品の意味でございます。
○高野一夫君 そうすると、実際問題として非常におかしいことが出てくると思うのですが、この食品というのは、飲み食いするものということになっている。そうすると、あとの「食品に添加、混和、」という場合のいろいろな、たとえば色をつけたり、味をつけたりする前の食品も含む意味の第二条の定義と解して、飲み食いができるものといたしましても、そうすると、これは過程のもので、ところがそういうようなものは飲み食いができるが、しかしあなたのお話でいけば、まだ飲み食いのできない状態にあるものがある。このあとの「食品」——それはなぜかというと、それじゃ私は例をもって伺いますが、お酒はどうなりますか。お酒は何が添加物になるのですか、日本酒。第二項の定義からいけば、添加物というこの「添加物」の今度は解釈を一応はっきりとしたい、清酒を作ると……。
○政府委員(楠本正康君) 酒の場合には合成酒は別でございますが、醸造清酒におきましては、この法律で申します「添加物」といわれるものは、防腐剤がこれに当るだろうと存じます。しかし、この場合には当然この当初から——酒という姿になってからこの防腐剤が加えられますので、一応ただいまお話のございましたような点は、むしろ合成酒というような場合にはその点は……。
○高野一夫君 いや、合成酒はあとで聞きます、別ですから。清酒について伺います。それであなたの先ほどの添加物について触れられた考え方からいけば、清酒の場合は防腐剤を使う。その防腐剤だけでは添加物ではないはずだと思う、この第二項の定義からいけば。食品の製造の過程において使うものは一切あなたは添加物だとおっしゃられるなら、ここであなたは、米と水とこうじと、それを入れてお酒を作る、それによってたとえば米を主原料とするならば、水、こうじというものは添加物に、この今度の定義でいけばならなければならなくなる。その点はどうなるか、そういう点を大事にしておかぬと、これは食品の取締りはできませんよ。
○政府委員(楠本正康君) まことに御指摘の通りでございます。ただこの場合には、米、こうじあるいは水というようなものは一つの原料、酒の原料でございまして、一応この場合には水は添加物の範囲からは考えません。むしろ原料として考えている次第でございます。
○高野一夫君 そうすると、添加物と原料の区別はどうなるのです。これはあなた、私が問題にするのはそれなんですよ。原料と添加物の区別をはっきりしなければ、その添加物の中には原料も含んでいるのだということになるのか、全然原料と添加物は別という考え方によってゆくのかということによって、この法律の取締りの対象はがらっと変ってくる。
○政府委員(楠本正康君) ただいまお答えいたしておりますように、添加物と原料とははっきり区別をいたしておる次第でございます。
○高野一夫君 そうすると、どうもいろいろ——それじゃ私はもう少し伺いたいのですが、あなたは今合成清酒の話が出ましたが、合成清酒では、その原料と添加物の区別はどうなりますか。合成清酒を取り締って検査をする、防腐剤が過量に入っておりはしないかという検査をする、あるいは腐敗している、どうしているというようなことを検査する場合に、この添加物と原料との関係をはっきりしておかれぬと、これはできない。
○政府委員(楠本正康君) 合成酒の場合にはアルコールが原料になりまして、これに、たとえばかおりをつけるとか、甘味をつけるというようなものは、これは添加物に入ってくるのであります。
○高野一夫君 そうすると、あなたは酒税法を御承知ですか。酒税法の第三条第一項第四号には、合成清酒の定義が下してあります。そして酒税法の施行令の第三条には、合成清酒の原料とはこういうものだということで、具体的にその原料の名前があがって定義が下してあります。そうすると、この酒税法と酒税法施行令によってできている合成清酒というものは、あなたの解釈でいけば、これは全然違ったものになる。味をつけるものも、色をつけるものもすべて原料になっている、この酒税法では。そうしていわゆる醸造した清酒と同じような色合い、同じような味、同じような濃度、そういうものまで持っていく。すべての材料は全部原料として定義されている。そうすると、この食品衛生法の添加物とこの酒税法との関係では、そこに非常な相違が出てきて、取締りの対象が全然違ってくる。
○政府委員(楠本正康君) 御指摘の通りでございますが、しかしながら、目的は全く別個な観点に立っております。この酒税法の目的とは別個の観点に立っております。私どもの方におきましては、この添加物並びに原料というものをはっきり区別いたしますことが、むしろ取締りを徹底する場合の便宜と、かように考えておる次第でございます。
○高野一夫君 どうもおかしい。それでは、ここに合成酒の不良品と思われるようなものがあって、それを摘発して厚生省が検査をするという場合に、検査をされる側が、私どもは酒税法にのっとって解釈いたします、こう言って裁判問題になったらどうします。厚生省でおっしゃるこれこれのものは、酒税法で明らかに原料になっておる。原料の名前まで法律できまっておる。それは、いかに法律とはいいながら、食品衛生法の何とは違うじゃありませんか。お酒は明らかに酒税法によって取り締られる。それによって私どもはやっております、添加物ではありません、こういうようなふうになったらどうしますか。
○政府委員(楠本正康君) 合成酒の食品衛生法上の取締りは、もちろんこの食品衛生法が優先し、これにのっとって行われますので、理屈を言うとおかしな点が出て参りますけれども、しかし、扱い上は、これを優先して扱うという考え方から、食品の取締り上はこれによって別に支障ないものと、かように考えております。
○高野一夫君 それはおかしいですよ。国会が作った法律、厚生省と大蔵省と所管は違うかもしれませんけれども、それを守らなければならない国民の立場から考えて、そして違った定義がそれぞれ別の法律にあげられておるというようなことでは、どっちにわれわれはたよったらいいかということになりますよ。国民の方では。それは法律の目的は、一方は作る方で、一方は取り締る方かもしれないが、明瞭にここに書いてある、酒税法に。そういうことで取締りを受けたら、私は裁判を起します。起せると思います。
○政府委員(楠本正康君) 他の法律との間に定義上に差等のある点につきましては、これは御指摘の通りでございまして、私どもといたしましても、なるたけ他の法規の定義をそのまま使用して参りたいとは思っております。しかしながら、添加物と原料というものを何らかの形において区別いたしませんことには、取締りあるいは今後の食品全体のあり方というようなものにいろいろな支障が参ることが懸念されますので、一応原料と添加物というものをどこかで線を引かなければならないという考え方から分けた次第でございます。そういたしますと、ただいま御指摘のように、アルコールの中に色をつけるというようなもの、あるいはかおりを加えるというようなものは、これは添加物にならざるを得ない、こういうことになるわけでございます。
○高野一夫君 私は今の部長の説明ではとうてい納得ができません。それは、酒税法なるもので定義が下されていないとするならば、あなたのそういう考え方をされることもいいかもしれない。しかしながら、すでに、ずっと前にできた酒税法において明確にきめられておる。しかも、お酒というものは、清酒でも、合成酒でも、酒税法によって製造され、販売される性質のものである。それをらち外から別の法律を持ってきて取り締る場台に、酒税法と全然違った解釈のもとにおやりになるということができるかできないか、これは一つ次回までに十分研究してきていただきたい。 それじゃもう一つ、これは例をもって伺いますが、みその原料、その場合に、みその添加物というのはどういうことになる。あれはすべてが原料ですか。大豆やら麦やら、食塩やら、水やら、いろいろなものがなければみそができない。けれども、イモで作った、ジャガイモで作ったみそもあるようだけれども、これはどうなる。
○政府委員(楠本正康君) みその場合には、最近よく出回っております強化みそ等といたしまして、ビタミンを添加するというようなものもございますが、かようなものが添加物でありまして、みその原料たる豆、大麦、塩等は、これは原料と考えておる次第であります。
○高野一夫君 その場合に、みそを作るのに、しょうゆの場合でもそうですが、なくてはならない食塩、この食塩に非常に不純な悪い食塩を使って、そうしてその食塩から何ものか不純なものが出てくる、これが非常な毒物であるというような場合に、その食塩はそれじゃこの第二条の第二項による添加物ではなくして、原料である。そうすると、添加物としてそれを取り締るということはできないわけですね。あなたの解釈でいけば。
○政府委員(楠本正康君) 塩はもちろん取締りの対象となるのでございますが、ただ食塩というものが添加物としての対象でなく、他の食品としての取締りの対象になるわけでございまして、これは今後特に、他の条文等にも規定してございますように、さらにこれを厳格に取り締っていかなければならぬもの、かように考えておる次第でございます。
○高野一夫君 それじゃもう一つ、わかりやすい例をあげます。しょうちゅうを作るアルコール、無水アルコールを使って、あるいは蒸留したしょうちゅうを使って、それをまぜて、アルコールの濃度、ほんとうのしょうちゅうらしい、三十五度以上のしょうちゅうにするためにアルコールをまぜたり、あるいはむしろアルコールそのものに、味を少しよくするために本物の蒸留したしょうちゅうをまぜる、こういうようなのが、これは至るところ、日常どこでも飲み屋で売っているわけです。これを取り締る場合にどうなりますか。それはいずれが添加物であり、いずれが原料であるか。
○政府委員(楠本正康君) この場合には本来添加物と食品あるいはその原料との区別というものは、製造の過程あるいはその段階等から判断さるべきものと存じます。従ってある食品におきましては添加物として使われたものが、他においては原料として使われることもあり得るわけでございます。しかしながら、実際問題といたしますと、添加物と食品とを、あるいは原料等とを必ずしも厳格に分けなければならないという必要は、少くとも食品衛生上はないと考えております。従ってこの取締り上は、一応両者をきわめて厳格に分けて取り締らなくても、それぞれの立場で厳格に分けて、厳格に取り締ることがむしろ望ましいのではないか、かように考えております。
○高野一夫君 それはあなたとんでもない説明ですよ。それならば、私はあとで質問しなければならないと思っているのだが、その次の化学的合成品にいたしましても、添加物を使う場合に、第六条には何と書いてあるか。厚生大臣が無害のものである、あるいは取り扱っても差しつかえないものであるというなら別だけれども、そのほかの物を使う場合には、特に許可を受けるか何かしなければならない、普通禁じられたものは使ってはいけないくらいにやかましい規定が置いてある。それを添加物と原料はどうでもそのとき自由自在に解釈しても差しつかえないのだということになるならば、第六条で許可を与えたり与えなかったり、禁止したり許したりする基準は、何をもってそれを定められるのか。
○政府委員(楠本正康君) これは添加物として取り締られるものも、それからさらに化学的合成品として取り締るものもございます。従ってたとえますれば、化学的合成品はすべて添加物としてのみ取り締るというならば、御指摘のような次第でございますが、この添加物以外に化学的合成品というものも十分取り締れることになっておりますので、この点はその方で解決をいたしたい、こう考えるわけであります。
○高野一夫君 さっきはあなたは添加物、原料はそう厳密に区別する必要はないのだ、適当に実情に応じてやれるのだというお話があった。今は多少違うようだけれども、この区別がはっきりしないで、食品の取締りが何でできますか。だから間違いが起る、第二燐酸ソーダというものに対して、あなた方は違った解釈を下しておられる。そういうことがやはり間違いのもとになるのであって、決して森永だけの間違いじゃないが、非常な責任があるけれども、厚生省の考え方なり責任というものが全くあいまいになると思うのです。 それでは私はまだ伺いますが、わかりやすい実例——われわれがこれは朝晩口にしなければならない食品に関することだから、私はこれからしつこく何回も当委員会で伺うかわかりません。ところであなたは昨年夏、フランスでコカコーラの輸入が国会で問題になったことを御承知ですか。厚生省は何らかそれの内容についてお調べになったことがあるかどうか。
○政府委員(楠本正康君) これはその当時コカコーラの輸入問題が取り上げられましたことはよく存じております。私どもといたしましても若干これに関心を持ちまして……。
○高野一夫君 それじゃわかっていなければわかっていないでいいです。昨年の夏のフランスの国会に、フランスはアメリカからコカコーラを輸入すべからずという輸入禁止の法案を出した。それはいろんな意味があるわけなんです。そこで私はコカコーラそのものについて非常な疑念を持っている。それはコカコーラを飲むと非常に習慣性になる、それでコカコーラを飲まずにいられなくなるところに、私は何ものかあるとこうにらんでいるのです。従って厚生省に、昨年来衛生試験所でコカコーラの成分の検定をしていただきたいということをお願いして、その結果私がにらんでおったものはまあ検出されなかったらしいけれども、これはコカコーラに合成のカフェイン、お茶のもとです、あれが非常に大量に使われている、ここに非常に大きな原因があるのじゃないか、そのほかの原料も影響すると思うが、そうすると、コカコーラをあなた方が食品衛生法で取り締るという場合が起ったときに、どういうふうにして取り締られるか、これはすべてあの中に入っているものは全部原料だというので、一括した食品として取り締られるのか、それともその中に入っているある物に対しては、それは添加物であるとして、添加物なりにまたやかましくこの第二条を適用した取締り方をされるのかどうか。その辺はどうなりますか。
○政府委員(楠本正康君) 化学的合成品につきましてはすべて基準を定めまして、しかも明らかになっているものでなければ使えない建前をとっておりますので、かりに私どもの承知いたしておりません、つまり厚生大臣が承認を与えておりませんこの添加物、化学的合成品が使われたといたしたとするならば、これは当然輸入することもできない、販売することもできない品物になると、かように考えております。
○高野一夫君 それじゃ私はついでにわかりやすくするために、この次の第三項、第二項と第三項とちゃんぽんにあわせてお尋ねしたい。この第三項の今度新たに追加されたこの化学的合成品というものの定義ですね。これは幾ら読んでも、私ども不学にしてわからぬのですが、これはどういう意味なんですか。「化学的手段により元素又は化合物に分解反応以外の化学反応を起させてえられた物質」、もっと何かしろうとがわかるような説明の仕方、文章の書き方というものはないものかしら。わかりやすいような文章に一つ書いてみて説明して下さい。
○政府委員(楠本正康君) お答え申し上げますが、化学反応のうち分解反応は合成反応とは全く対立する別な反応でございますので、分解反応によりまして得られましたものを化学的な合成品に含ませますことは、化学の常識から考えましては若干適当でないと考えますとともに、分解反応によって得られますものは大体すでに知られているものが多く、また比較的危険なものも少いから、ここで一応かような考えをいたしたわけであります。
○高野一夫君 そうするとどうなんですか。分解反応によってできたものはこの中に入らない。甲の物質と乙の物質とを加えて、それが何か合成作用を起してできたものは、この第三項のものとして取り締る。一口にいえばそういう意味なんですか。これは非常にむずかしくてわれわれもどうもわからぬのです、この文章が。
○政府委員(楠本正康君) この場合の化学反応と申しますのは、一応きわめて複雑な変化というような意味を考えておるわけでございまして、一例をあげますならば、従来第二燐酸ソーダというようなものはこれは化学的合成品ではないように考えておりました。しかしながら、この複雑な化学反応によって得られるものであることについては間違いございませんので、今後はかような定義によりまして、きわめて複雑な化学反応という意味で、例をとって申しますれば、第二燐酸ソーダのようなものも含めるようにいたした次第でございます。
○高野一夫君 どうも私はあなたのおっしゃることがどうしても理解できない。それは何も化学的合成というものは、最初の原料から粒子がよけい加わることが合成じゃないのであって、最初の原料がもっと分解されて、ほかの薬品と一緒になって、そこで分解作用が起って、きわめて簡単な化学的の製品になったものでも、これはやはり合成です。そうするとあなたのお話によれば、それは合成でなくて、いわゆる分解作用ということになってしまうので、この第三項の適用は片っぱしから受けることはできない。この点については次回に一つ、厚生省にもその専門家がおありであろうと思うから、十分研究をされて答弁を願いたい。 そこで非常に私は最近心配している事実が出てくるわけでありますが、赤痢の薬でオーレオマイシンという薬がある。これを鳥の肉に使って、鳥の肉の腐敗を防ぐように肉屋でやる。ペニシリンをいろいろな食物に入れて防腐剤に使う。こういうような場合には、オーレオマイシン、ペニシリンというものは、この第三項には入らないのですか。ペニシリンは抗生物質、オーレオマイシンもそうだとすれば、第三項に入れて取り締ることはできませんか。
○政府委員(楠本正康君) これはただいまの第三項の対象ではございませんので、他の方面からこれを取り締る、規制をいたすことに相なります。
○高野一夫君 他の方面というのは、この法律のどこにありますか。
○政府委員(楠本正康君) 第七条でございます。
○高野一夫君 第七条でどういう取締りができますか。ちょっと説明して下さい。
○政府委員(楠本正康君) 規格、基準を定めまして、規格、基準こ適合しないものは、すべて使用、販売等ができないことに相なりますので、この場合には、今後私どもといたしましては、直ちにかようなものにつきましては、規格、基準を検討いたしまして、これによって取締りを徹底いたしていきたいと考えるのでございます。
○高野一夫君 それは一、二の食品であるならばそれもできましょうけれども、あなたが全国の肉屋で、もしもオーレオマイシンで鶏の肉の防腐をはかって冷蔵庫にしまっているかどうかを検査することができるか。それから肉にしてから、十日も二十日もそれで持たせる、こういうふうな場合に、どういう規格を設けられますか、この第七条で。ペニシリンでいろいろの食品の防腐をやる。それをどういう規格を設けて、そうしてその規格に適応しないという判定がどうしてできますか。
○政府委員(楠本正康君) 防腐剤等は、今ではこれは厳格に取り締ってもおりますので、今後は規格といたしましては、精肉その他には、さような防腐剤を使ってはならないという規定をいたせばいい。それが一つの肉の規格、基準として定めれば目的は達する、かように考えております。
○高野一夫君 とうてい私は納得できない。これはまた、今日は私だけが質問して時間がありませんから、この次にまたそういう実例について私は伺いたい。そういう防腐剤の取締りができるかできないかは、この次にさらにそういう食品関係の専門家をお連れになって、私は説明を聞かしてもらいたい、こう思いますから、今の鶏の肉の問題についての疑問は、この次まで残しておきます。 それじゃ一つ伺いますが、この食品、ことに乳製品、子供の食べるものなんかにビタミンを添加する。ビタミンBで栄養強化をはかる。このビタミンBは第三項の化学的合成品ですか、そうじゃないんですか。
○政府委員(楠本正康君) これは本項に申します化学的合成品でございます。
○高野一夫君 それじゃ私は、従来厚生省においてあった解釈が非常に怪しかったが、われわれが納得できないものを例をあげて伺いますが、ふのりの、あののりのねばねばした成分から取った亜燐酸ソーダをふのりにかえて使っておりますが、亜燐酸ソーダなんというものは、あれは天然品ですか。化学的合成品として従来お扱いになったものは、私は厚生省がどっちの解釈で取り締っておられたかを聞きたい。
○政府委員(楠本正康君) 従来は化学的合成品とはいえなかりたものでございますけれども、今回の改正によりまして、当然化学的合成品の範疇に入る種類のものでございます。
○高野一夫君 私は従来とも当然化学合成品と考えております。今そういう話をする必要もないと思いますが、厚生省に帰ってお調べを願いたい。ふのりからそういうものを取り出すことは、どういう方法で取り出されるかということをお調べになれば、これは化学的合成品として取締りの対象になるものであるかどうかということは直ちにおわかりになる。そのために厚生省にはやはり堂々とみんな専門家がおありになるはずである。それが従来は誤まった解釈をされて、今度は少くともこの中に入ったということですから、それでもって一応了承いたしまするけれども、それじゃあまりいろいろな実例をあげてもおもしろくないと思うんですが、私これは化学的合成品は、第六条でなおやかましく許可問題が規定されているわけですが、ここの定義がわかりにくかったから私は伺いたいのでありますが、醸造みたいな発酵作用によってできたものは化学的のものであるが、それは化学的合成品としてこの中に入りませんか。今度は入りますか。
○政府委員(楠本正康君) これは今後とも化学的合成品の中には入らないのでございます。
○高野一夫君 発酵作用によってできても、その発酵の過程においていろいろ合成作用が起っている場合がたくさんあるはずです。従って発酵でも発酵化学というんですから、発酵している間にいろいろな化学製品の合成作用が起っているんです。何も試験管やいろいろな機械の中で、甲の薬と乙の原料とを交えていろいろなものを作ることだけが合成だとは私は考えない。それはただ方法が発酵と称せられるだけであって、中で起っている作用は、私は明らかに合成作用というべきものがたくさんあると思う。それを従来ともに、発酵に関するものは厚生省は一切化学的合成品として扱っておらない。今後とも扱われないということになるならば、私はこれはおかしいと思うんです。ものによっては扱う必要もないが、中には入らないものもあるかもしれないけれども、ものによっては、発酵でできたものでも、当然これは第三項に入るものがあるはずだと考える。
○政府委員(楠本正康君) 御指摘の点、まことにごもっともでございますが、そういたしますと、植物の体内でできまする、最後突き詰めますと、澱粉というようなものも、場合によるとこれは化学的合成品というような考え方をしなければならぬ場合も出てくるので、どこかでこれは線を引かなければならぬ。しかし私どもといたしましては、化学的合成品の範囲を、できるだけ広く今後は扱いたいということにつきましては、これは十分従来の考え方を改めておりますけれども、どこかで一応線を引くとすれば、まあこの生物学的な操作というものは、これは除外した方がいいんじゃないか、こういうような考え方でございます。
○高野一夫君 この次に一つ十分調べておいて御返事を願いたいと思いますが、今あなたが例をお引きになった植物の中で、澱粉ができるというのと、発酵化学でものができるというのは全然違いますよ。発酵化学には、明らかに化学的にそういう原料を使って、ただ方法が発酵という方法をとったり何かしているにすぎないのであって、植物の中で自然に澱粉ができているというものとは私は違うと思う。この点についてはこの次に一つお調べになって明快なる、的確なる答弁を私はお願いしたい。 時間もありませんので、一人ばかりで質問してもいけませんから、もう一つ伺ってみたいと思いますが、それで本日における私の質問を終りたいと思います。 私は知らなかったのですが、最近CMCというのがあるのだそうですね、それはジャムなどに使う……。青森あたりでリンゴが落ちた。落ちたリンゴからジャムを作ると、非常に悪いジャムしかできないので、そこでその落ちリンゴから作った悪いジャムにこのCMCというものを、薬品を、これはパルプから作るのだそうですが、入れると、全く見せかけは純良な、りっぱなリンゴから作ったジャムみたいなように見えるのだと、それでそのほかソース、豚カツなんかにかける濃いソースもそうだということを聞いたのです。それからアイス・クリームもそうだということを聞いた。ところがそれは厚生省では従来二%以内はこれを使うことは差しつかえないということに何かでなっているのだそうですが、ところが二%使っても、三%以上使ってもなかなかわかりにくい。一々こんなものは店に行って、食べ物屋へ行って調べるわけにはいかない。豚カツ屋へ行ってどろどろしたソースにどのくらい入っているか調べるわけにはいかない。ジャムもそうです。こんなものを許可しておって、そうして食品衛生法で取り締る場合にどういう考え方を、これはお持ちになるか、これを一つ。これは添加物なのかどうか。なるとお考えになっているか。これは非常に最近の大きな問題になっているやに聞いておりますので、これを一つ至急に私は今後とも研究していただきたいと思っているのですが。
○政府委員(楠本正康君) これは現在、ただいま御指摘のグリコール酸ソーダの扱いは化学的合成品として、これは許可を与えておるものでございます。しかし御指摘のように、当初の使用目的を若干逸脱しつつある向きも承知いたしておりますので、これらの点に関しましては、十分検討を加えたいと、かように考えております。
○高野一夫君 私はこれを食べものに使うことを禁止される意思があるかないかということを伺いたい。今日はそれだけを一点……。なぜかというと、CMCというものは全然栄養に何にもならない。そうして食べればただそのまま外へ排出されるものだ。そういうものを子供が食べたり、大人が食べたりするようなジャムや、ソースや、アイス・クリームに平気で使っている。量の制限はあっても、これを許可することが私はどうかと思う。これは添加物でなくて、いわゆる偽和物といいますか、これはいわゆるごまかしものなんだ。食品をごまかして、普通のジャムみたいに見せかけるために使うのであって、増量剤でもなければ、味つけでもない。だからこれは添加物でなくて、偽和物だ。こまかしであって、ごまかしの食品製造に悪用されているのであって、これを禁止される意思はないかどうか。その点をお伺いしたい。
○政府委員(楠本正康君) このCMCにつきましては、これは本来無毒のものでございまして、従って使い方さえ正しければ、必ずしも禁止すべきものではないとは考えております。ところが、当初の目的を若干逸脱いたしまして、きわめて悪いものを、よく見せるというような使用目的に偏しつつあるように聞いております。従いまして、これらの点を十分に調査いたしまして、もし腐ったものを見せかけだけよくするというような使用目的に使われるならば、これに当然禁止の手段を考えなければならぬものと、かように考えております。
○高野一夫君 それじゃあ最後にもう一つだけこの問題で伺っておきたいのですが、厚生省にはいろんな試験機関がありますが、この市販の、ごまかしのジャム、ごまかしの濃いどろどろしたソース、アイス・クリーム、そういうものがごまかしで作られて、見せかけだけよくして、しかも非常に安くなるんだそうです。そこで安いごまかしものを作っている。こういうものを市販の中から取り出してきて、厚生省で検査、試験をされた事実があるかどうか。そうしてあるとするならば、その結果どういうデータが出たかどうかということを、この次までに試験場でもどこでもお調べになって、御報告願いたい。今日は、まあ私ばかり時間をとってもどうですか……。今日の私の質問は、これで打ち切っておきます。
○委員長(重盛壽治君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(重盛壽治君) 速記をつけて。 この問題について、本日の質疑はこの程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(重盛壽治君) 御異議ないと認めます。 それでは一応休憩いたします。 午後三時二十五分休憩 〔休憩後開会に至らなかった〕